JP2004531216A - Siah−numb相互作用に基づくスクリーニング法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、p53の生物鎖において、腫瘍抑制および/またはアポトーシスの調節における機能不全に関する癌および一定の神経変性疾患を治療するために使用することができる化合物を検出し、同定しおよび/またはスクリーニングするための方法に関し、本方法はSiah-1/Numb相互作用に基づく。
Description
【背景技術】
【0001】
本発明はp53の生物鎖(biological chain)中に存在し、特に、腫瘍の抑制および/またはアポトーシスの調節における障害と関連する癌または一定の神経変性疾患の治療のために使用することができる化合物を検出し、同定しおよび/またはスクリーニングするための方法に関する。
【0002】
アポトーシス、すなわち細胞死はp53蛋白質を含む多くの蛋白質により調節されている複雑な現象である。この蛋白質は多くの他の蛋白質と相互作用し、その発現は、細胞死および腫瘍復帰(reversion)の現象を誘発し、細胞内の他の遺伝子の発現の誘発または抑制と関連させることができる。
【0003】
このように、本発明者らは腫瘍抑制および/またはアポトーシスに導くカスケード中に誘発され活性化される遺伝子(TSAPは「腫瘍抑制因子活性化経路」を示す)、または抑制される遺伝子(TSIPは「腫瘍抑制因子阻害経路」を示す)の存在を証明している。これらの遺伝子は、特に、特許出願国際公開公報第97/22695号または国際公開公報第00/08147号の主題内容を構成している。
【0004】
抗腫瘍活性を有し(および特にアポトーシスまたは腫瘍抑制を誘発することができ)、または神経変性疾患を治療するために使用することができる新規化合物を作製するためには、p53カスケードの機構を明確に理解できることが重要である。このように、本出願の発明者らは、アルツハイマー病において役割を果たすことが示唆されているプレセニリン1(PS1)が、国際公開公報第97/22695号の出願において説明されている蛋白質TSIP2と同一であることを証明している。同様に、アポトーシスを減少させる目的でこの現象に干渉することができ、神経変性疾患において使用することができる薬剤を捜すことは正当である。
【発明の開示】
【0005】
本発明はp53カスケードに干渉することができ、これにより腫瘍復帰および/またはアポトーシスを誘発する、または逆に、アポトーシスの現象を減少させることができる生成物をスクリーニングし同定するための方法に関する。
【0006】
本発明は、特許出願国際公開公報第97/22695号において説明されているTSAP3蛋白質が、Numb蛋白質(GenBankデータベースではアクセッション番号AF015040で記述されている)に結合する事実に基づくものである。Numb蛋白質はそれ自体Mdm2との相互作用を示し、Mdm2はp53制御過程に関連する蛋白質である。
【0007】
本発明はまた、TSAP3(これはまたSiah-1蛋白質であると同定されており、同様にこの名称、すなわちSiahをつけることができる)がNumbへ結合すると、ユビキチンプロテアソームに依存する経路によりNumb蛋白質の分解が誘発されるという事実に基づく。
【0008】
このように、第1の態様では、本発明はSiahのNumbへの結合に干渉し、減少させもしくは阻害する化合物をスクリーニングする、および/または選択し同定するための方法であって、
a)前記化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞におけるNumb蛋白質の量の増加を、前記化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0009】
第2の態様では、本発明はSiahのNumbへの結合に干渉し、減少させもしくは阻害する化合物をスクリーニングする、選択する、または同定するための方法であって、
a)前記化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0010】
他の態様では、本発明の教示により、おそらくSiahの代わりにNumbに結合すると、Siah蛋白質により誘発された分解よりも大きなNumbの分解を誘発する化合物を同定することが可能となるであろう。その結果、Numbの量が減少し、存在するp53の量が増大し、腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)が増大する。結果的に、本発明は腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させるための化合物をスクリーニングし、選択しおよび/または同定するための方法であって、
a)前記化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、前記化合物と接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0011】
逆に、本発明はまた、特に、腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)減少させおよび/または阻害するための化合物をスクリーニングし、選択しまたは同定するための方法であって、
a)化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を誘発する化合物を同定する工程と、
c)工程b)で同定した化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
d)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加を、前記化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0012】
腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させる化合物を決定するために、本発明にかかる異なる方法を組み合わせることも可能である。このように、特に、腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させる機能を有する化合物をスクリーニングし、選択しもしくは同定するための方法であって、
a)前記化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を誘発する化合物を同定する工程と、
c)工程b)で選択した化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
d)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、前記化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法を得ることが可能である。
【0013】
そのため、この種の方法も本発明の主題内容の一部である。
【0014】
そのため、本発明はSiahとNumb蛋白質が互いに結合することができるという事実を利用するものである。そのため、実際にもう一方の蛋白質と接触する各蛋白質のドメインを同定する価値がある。これは、完全蛋白質の餌(bait)または作用物質(agonist)として、このように同定されたペプチドを使用することを可能とすべきだからである。これにより、Siah-Numb結合に干渉し、腫瘍抑制および/もしくはアポトーシスを誘起する(特に、これらのペプチドがNumb(Siah誘導ペプチド)の分解に効果を有する場合)、または逆にこれらの現象を減少させる(特に、これらのペプチドがSiahのNumbへの結合を阻止する場合、これらは、Numbから誘導された餌ペプチドか、Siahから誘導されたものかであって、特に競合により、Numbへのこの蛋白質の結合を阻止する)ことのいずれかが可能な化合物を特定することができる。
【0015】
そのため、本発明は特に腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性のあるSiahの領域を同定するための方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドをNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、SiahとNumb蛋白質とを発現している対照標準哺乳類細胞中に存在するNumb蛋白質の量と比較することにより同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0016】
「Siahの領域」は特に、Siah蛋白質の一次配列から誘導された一次配列を有するペプチドを意味すると理解される。
【0017】
そのため、本発明はまた、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のあるSiahの領域を同定するための方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドをNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加を、SiahとNumb蛋白質とを発現している対照標準哺乳類細胞中に存在するNumb蛋白質の量と比較することにより同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0018】
より一般的には、本発明は、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドを、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系で接触「窩(lacuna)」させる工程と、
b)前記系においてSiahとNumbとの間の結合の減少を引き起こすペプチドを同定する工程と、
を含む方法によりNumb蛋白質との結合に関係するSiahの領域を同定することを可能にする。
【0019】
本発明はまた、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させることが望ましい場合に、特に餌としてNumb領域を使用することができる前記方法と同様の方法に従い、Siahとの結合に関係するNumbの領域を決定することも可能であることが明らかである。
【0020】
そのため、本発明はSiah-Numb結合と相互作用することができ、そのためアポトーシスおよび/または腫瘍抑制の調節において重要な生成物を同定することができる。それにもかかわらず、治療、特に癌および神経変性疾患の治療に使用できるようにするには、より活性を高くし、および/またはより毒性を低くするためにこれらの生成物を最適化する必要があるであろう。
【0021】
このように、薬剤の開発は以下の原理に従いしばしば実施される:
−適した方法を用いた所望の活性を有する化合物に対するスクリーニング、
−「症状スケジュール」(この場合、アポトーシスおよび腫瘍抑制の現象に対する作用)に適合する化合物の選択、
−選択した化合物の構造(化合物がペプチドである場合特に配列(適した3次配列)、または化合物が化学化合物である場合化学式およびバックボーン)決定、
−(例えば立体化学配置を変更することにより(例えばペプチド中のアミノ酸をLからDに変更することにより))構造を修飾する、特に残基をバックボーンに付加することにより、置換基をペプチドまたは化学バックボーンに付加する、およびペプチドを修飾する(特に、Ganteの「Peptidomimetics」、Angewandte Chemie-International Edition Engl. 1994、33,1699-1720を参照のこと)ことによる、選択した化合物の最適化、
−研究中の病理に最も近いモデルでよくある適したモデルで得られた化合物の試験およびスクリーニング。この段階では、特に動物モデル、一般にはげっ歯類モデル(マウス、ラットなど)またはイヌモデル、もしくは霊長類モデルさえもがしばしば使用される。
【0022】
癌の症例で使用できる動物モデルの例は、腫瘍の発症につながる腫瘍細胞を注射(特に皮下注射)された免疫抑制マウス(例えば、scid/scidマウス)に基づくモデルである。可能性のある抗新生物性化合物の効力は、例えば形成された腫瘍の大きさを測定することにより研究される。
【0023】
神経変性疾患の研究を行うために、Amsonらにより説明されているp-53欠損マウスからなるモデル(2000、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、97,5346-50)、またはChenら、Janusら、およびMorganら(2000、Nature、408 pp. 975-985)において説明されているモデルを使用することができる。
【0024】
このように、本発明は特に、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性を有することを基本に、癌を治療するために使用できる化合物を同定することを可能とすることに関する。そのため、本発明の主題内容の一部は、
a)腫瘍抑制および/またはアポトーシスの増大においてある程度の活性を有する化合物を同定することを可能とする本発明にかかる方法を実施する工程と、
b)工程a)で選択した生成物を修飾する工程と、
c)工程b)で修飾した生成物をインビトロおよび/またはインビボ過程で、腫瘍抑制および/またはアポトーシスに関連するモデルにおいて試験する工程と、
d)工程a)で選択した生成物の場合において得られる腫瘍抑制および/またはアポトーシス活性よりも大きな活性を得ることができる生成物を同定する工程と、
を含む方法である。
【0025】
工程d)は、以下の工程d')に置き換えることができる:
d')(工程c)で用いたモデルの1つがインビボモデルである場合)動物モデルでより毒性が低いことを含む、求められている生物学的効果を得ることができる生成物を同定する工程。
【0026】
試験をアポトーシスまたは腫瘍抑制のインビトロモデルで実施する場合、例えば、Tellermanらにより説明されているK256/KSモデル(1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,90,8702-6)を使用することができる。Amsonらにより説明されているM1-LTR細胞(1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,93,3953-7)またはNemaniらが説明しているU937/US3-US4細胞(1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,93,9039-42)を使用することもできる。
【0027】
インビボ試験は、これらの細胞を動物、特に免疫抑制マウスに注射することにより、および試験する異なる化合物の効果を調べることにより実施することができる。
【0028】
当業者であれば、規制要求に従い(特に毒物学に関し)、このようにして同定した生成物により得られる利益に関し、薬剤として使用することができる生成物を同定するために必要な条件およびしきい値の規定の仕方は周知である。
【0029】
同様に、本発明は、上記方法により同定された腫瘍抑制および/またはアポトーシスを妨げる生成物を最適化し、薬剤として使用することができる生成物を同定することを可能とする方法にも関する。
【0030】
このように、本発明はまた、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のある生成物を同定するための方法であって、
a)本発明にかかる方法を実施し、腫瘍抑制および/またはアポトーシスの減少においてある程度の活性を有する化合物を同定することを可能とする工程と、
b)工程a)で選択した生成物を、特に化学的バックボーンに残基を付加することにより修飾する工程と、
c)工程b)で修飾した生成物をインビトロおよび/またはインビボ過程で腫瘍抑制および/またはアポトーシスに関連するモデルにおいて試験する工程と、
d)工程a)で選択した生成物の場合に得られる腫瘍抑制および/またはアポトーシス活性と比較して、小さな活性を得ることができる生成物を同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法にも関する。
【0031】
工程d)は以下の工程d')に置き換えることができる:
d')(工程c)で用いたモデルの1つがインビボモデルである場合)動物モデルでより毒性が低いことを含む、求められている生物学的効果を得ることができる生成物を同定する工程。
【0032】
このように、最も良い(生物活性および臨床効果)/(使用の潜在的リスク)比を示す生成物を得ることができることも主題内容である。
【0033】
これらの結果を得るために利用されるパラメータは全て周知であり、新規薬剤を開発することを望んでいる当業者の能力の範囲内であり、例えば薬剤局(Agence du Medicament (Drug Agency))、欧州委員会(European Commission)または連邦薬剤局(Federal Drug Agency)などの団体の指示において見出すことができる。
【0034】
本発明にかかる方法を実施するには、SiahとNumbとの間の結合を決定することができ、かつ真核細胞中のNumb蛋白質の量の増加または減少を簡単に測定することができるモデルが必要である。
【0035】
Numb蛋白質の量はウェスタンブロット法により研究することができ、前記蛋白質に対する抗体を用いて視覚化される。そのような抗体は特に、ヴァイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science, Rhovot, Israel)(照会番号WIS3465)またはトランスダクションラボラトリーズ(Transduction Laboratories)(照会番号N80220)から得ることができる。
【0036】
哺乳類細胞の研究およびスクリーニングが必要な本発明にかかる方法を実施するためには、前記細胞においてSiahおよびNumb蛋白質の1つもしくは残りを過剰発現し、または両方の蛋白質を共に過剰発現すると好都合である。
【0037】
このように、特に、対象化合物の試験が行われた細胞と、スクリーニングすることが望ましい化合物が添加されていない細胞およびSiahを発現せずにNumbを発現する細胞(陽性対照標準)とを比較することにより、Numb蛋白質の量の変動をより容易に研究することができる。
【0038】
2つの蛋白質SiahおよびNumbの発現はこれら2つの蛋白質をコードする遺伝子(特にcDNA)を細胞中に導入することにより増大させることができることが理解される。これらの遺伝子はベクター上に配置するか、あるいは染色体中に導入される。
【0039】
エピソーム発現を選択した場合、前記哺乳類細胞は、SiahをコードするDNA断片を運搬するベクター、NumbをコードするDNA断片を運搬するベクター、およびSiahをコードするDNA断片とNumbをコードするDNA断片とを運搬するベクターから選択される少なくとも1つのベクターによりトランスフェクトされる。このように同じベクターが両方の蛋白質を発現することができ、あるいは2つのベクターを導入することができる。
【0040】
例えば原核細胞(大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtiis)など)または真核細胞(サッカロマイセス(Saccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)などの酵母、哺乳類細胞(HeLa、Cos、Hep-2など)もしくは昆虫細胞(バキュロウイルス(Baculovirus)系を用いる)において、SiahおよびNumb蛋白質を容易に発現させ、精製することができるベクターを使用することができる。このように、精製を容易にするためには、蛋白質がそのN末端またはC末端に標識を有することは好都合である。特に、ヒスチジンまたはGST標識が選択される。これらの方法は当業者には周知であり、当業者はストラタジーン(Stratagene)のような会社のカタログで適当なプラスミドを見出す。
【0041】
本発明の方法がNumbとSiahとの間の結合を研究するためにインビトロモデルで実施される場合、進行様式はいくつかある。
【0042】
以下のプロトコルを使用することができる:
−例えば、原核細胞(大腸菌、枯草菌など)または真核細胞(サッカロマイセス、クルイベロマイセスなどの酵母、哺乳類細胞(HeLa、Cos、Hep-2など)もしくは昆虫細胞(バキュロウイルス系を用いる)において、SiahおよびNumb蛋白質を発現し、精製する。精製を容易にするためには、蛋白質がそのN末端またはC末端に標識を有すると好都合である。ヒスチジンまたはGST標識が特に選択される。これらの方法は当業者には周知であり、当業者はストラタジーンのような会社のカタログで適当なプラスミドを見出す;
−蛋白質を適したビーズに結合させる。GST標識を使用する場合、発現する蛋白質はグルタチオンを呈するセファロースビーズに結合される;
−インビトロ翻訳により蛋白質を調製する。これは、周知のプロモータ(T7またはT3)の制御下でcDNAをクローン化し、RNAを作製させるために適当なRNAポリメラーゼを使用し、その後にインビトロで蛋白質を発現させることができる市販のベクター(例えばプロメガ(Promega)から入手可能)を用いて容易に実施することができる。使い捨てのキットを用い、製造者の指示に従う;
−セファロース-グルタチオンビーズへインビトロ翻訳により得られた蛋白質を添加することにり蛋白質を共沈させる。ビーズにはGSTと共に融合された蛋白質が付着する。十分な接触時間の後、ビーズを洗浄し、SDS-PAGEゲル電気泳動分析を実施し、オートラジオグラフィーを行う。2つの蛋白質に対応するバンドの出現により、これらの蛋白質が共に結合されていることが明らかに証明される。
【0043】
適当な対照標準を使用すると、試験すべき化合物を共沈工程中に添加した後に放出される蛋白質の量を対照標準において放出される蛋白質の量とを比較することにより、SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を規定することができる。
【0044】
FRET(蛍光共鳴エネルギー伝達)システムを用いて蛋白質の結合を研究することも可能である。FRETシステムでは、適当な残基で各蛋白質を標識し、2つの蛋白質の結合により2つの残基のそれぞれの間で反応が誘発され、容易に検出可能な蛍光が放出される。
【0045】
本発明はまた、本発明にかかる方法により得ることができる化合物、特に腫瘍抑制および/またはアポトーシスの増大に活性のある化合物、Siah-Numb結合の阻害に活性のある化合物、および腫瘍抑制および/またはアポトーシスの減少および/または阻害に活性のある化合物に関する。
【0046】
本発明はまた、Numb蛋白質と相互作用するSiahの領域に対応するペプチド配列にも関し、この配列は特に本発明の方法により同定することができる。
【0047】
本発明はまた、Siah蛋白質と相互作用するNumbの領域に対応するペプチド配列にも関し、この配列は特に本発明の方法により同定することができ、Numbと相互作用するSiahのペプチド配列を同定することができる方法を、特に上記インビトロプロトコルを適合することにより、Siahと相互作用するNumbのペプチド配列を決定するように適合させることができる。
【0048】
本発明はまたこのように同定したペプチド配列をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0049】
ペプチド配列または核酸配列もしくはヌクレオチド配列という用語(後者2つの用語は交換して使用できる)は、単離した配列を表すことは明らかであり、天然由来の配列であり、および、特にその塩基ユニットを天然のものではないユニットと置換することにより、または塩基ユニット(例えば、ホスホロチオエート(核酸)またはペプチド核酸)間の結合を修飾することにより、修飾できる配列である。
【0050】
SiahとNumbの結合に干渉する化合物を同定することができることも本発明の主題内容の一部である。これらの化合物のいくつかは特に、p53カスケードへの効果を誘発することができる。このように、本発明にかかる化合物、本発明にかかるペプチド配列、または本発明にかかるヌクレオチド配列もまた、薬剤として、本発明の主題内容の一部である。
【0051】
本発明にかかる方法により同定された化合物は、化学構造を有する化合物、脂質、糖、蛋白質、ペプチド、蛋白質-脂質、蛋白質-糖、ペプチド-脂質、もしくはペプチド-糖ハイブリッド化合物、または化学的分枝が付加された蛋白質もしくはペプチドとすることができる。
【0052】
予想される化学化合物は1以上の芳香族または非芳香族環、ならびに任意の性質を有する複数の残基(特に、1から6の炭素原子を有する低級アルキル)を含んでもよい。
【0053】
これらの化合物、核酸配列およびペプチド配列はこのように、アポトーシス/腫瘍復帰効果を促進するまたは抑えることにより、癌または神経変性疾患を治療することを特に目的とする薬剤を調製するために使用することができる。
【0054】
本出願の発明者らは、初めて、Siah蛋白質がNumb蛋白質に結合する事実を証明した。このように、本発明はSiah蛋白質とNumb蛋白質からなる複合体にも関する。
【0055】
本発明はまた、細胞内でのSiahのNumbへの結合を阻害するための方法であって、
a)前記細胞を、本発明にかかる方法により同定された、Siah-Numb結合を阻害する化合物と接触させる工程、
を含む方法に関する。
【0056】
このように考えられる化合物はまた、Siah蛋白質またはNumb蛋白質から誘導された「餌」ペプチドとすることもできる。この方法はインビトロまたはインビボで実施することができる。
【0057】
本発明はまた癌を治療するための方法に関し、この方法は、本発明により同定され、アポトーシスおよび/または腫瘍復帰を増大させる化合物を、患者に投与することを特徴とする。
【0058】
アポトーシスを減少させるまたは阻害する本発明にかかる化合物を患者に投与する工程を含む神経変性疾患を治療するための方法もまた、本発明の主題内容の一部である。
【0059】
実施例で明らかにされ証明されているように、Numb蛋白質へ結合する他に、Siah蛋白質はまた、ユビキチン結合プロテアソーム経路によりその分解を誘発する。Numb蛋白質はMdm2蛋白質に結合することがわかっていることは注目すべきである。その蛋白質が存在するとp53の負の調節が誘発される。発明者らが前に証明したように、細胞中でSiahが発現すると、アポトーシス現象が誘発されることも周知である。このように、本発明はまた、細胞中で、特にNumbを介してMdm2に結合されるp53の減少を阻害する方法であって、
a)前記細胞をアポトーシスおよび/または腫瘍復帰を増大させる本発明にかかる化合物と接触させる工程、
を含む方法も提供する。
【0060】
逆に、特にMdm2とNumbとの相互作用により、細胞中のp53蛋白質の量の減少を増大させることも可能であり、その方法は、
a)前記細胞をアポトーシスおよび/または腫瘍抑制を阻害するまたは減少させる本発明にかかる化合物と接触させる工程、
を含む。
【0061】
これらの2つの方法は、特に治療状況の中でインビトロまたはインビボで実施することができる。
【0062】
実施例
実施例1.GST融合蛋白質の発現
100μg/mlのアンピシリンを含むSB培地で、37℃において、プラスミドpGEX-P-1-SiahまたはpGEX-P-1-Numbを用いて形質転換したB121(DE3)の単離コロニーからの前培養物の調製。
【0063】
プラスミドPGEX-P-1はアマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)ABから得ることができる。
【0064】
蛋白質は配列番号1(Siah)および配列番号2(Numb)の配列に対応する相補cDNAによりコードされるヒト蛋白質である。GenBankの別の蛋白質に対する照会番号は、ヒトSiahではHSU76247およびヒトNumbではAF015040である。
【0065】
次の日に、250mlのSB+Ampに5mlの前培養物を接種する。
【0066】
光学密度が0.5と0.7との間になるまで、GST-Numbの場合37℃で、GST-Siahの場合28℃で増殖させる。
【0067】
蛋白質合成を誘発するために0.1mMのIPTGを添加する。
【0068】
1時間30分(GST-Numb)および1時間(GST-Siah)、GST-Numbの場合37℃で、GST-Siahの場合28℃で増殖させる。
【0069】
培養物を3000rpmで10分間(1800g、4℃)遠心分離する。
【0070】
沈澱を10mlのA NP40緩衝液(NP40、1%;トリス、pH7.4、10mM;NaCl、150mM;EDTA、1mM;グリセロール、10%;DTT、1mM;アプロチニン、2μg/ml;ロイペプチン、2μg/ml;ペプスタチン、2μg/ml;AEBSF、1mM)中に再懸濁させる。
【0071】
細胞を強度50、氷上で15秒間、3回、超音波処理する。
【0072】
混合物を12000rpmで10分間(18000g、4℃)遠心分離する。
【0073】
上清を-80℃で保存する。
【0074】
実施例2.セファロース-グルタチオンビーズへの結合
全ビーズの調製およびインキュベーションを4℃で行う。
【0075】
2mlの上清を(PBS中で3回の洗浄、A NP40緩衝液中で1回の洗浄後、A NP40緩衝液中50%濃度(体積あたりの重量)で再懸濁させ、各場合において3000rpmで遠心分離することにより調製した)200μlのビーズに添加する。
【0076】
照会番号17.0756.01でアマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)ABにより供給されているグルタチオン-セファロース4Bビーズを使用する。
【0077】
これらを4℃で、少なくとも1時間優しく振り混ぜる。
【0078】
ビーズをプロテアーゼ阻害物質を含まないA NP40緩衝液中で3回洗浄する。
【0079】
ビーズをプロテアーゼ阻害物質を含む1mlのA NP40中に再懸濁させる。
【0080】
SDS-PAGE電気泳動分析では、20から40μlの再懸濁ビーズをとり、5分間遠心分離する;上清を除去しビーズを10μlのX添加緩衝液中に再懸濁し、97℃で7分間加熱する。使用すべき融合蛋白質の量を標準化するために、クーマシーブルーで視覚化した後、ゲルを添加し分析する。
【0081】
実施例3.インビトロ翻訳
蛋白質を翻訳し発現させるために、プロメガ(Promega)により供給されるTNT結合網状赤血球溶解物システムキットを、使用したベクターにより、T7 RNAポリメラーゼまたはT3 RNAポリメラーゼと共に使用した(AIPIおよびSiah 1ではT7、NumbではT3)。キットは製造者の使用説明書(照会番号L4610)に従って使用した。
【0082】
蛋白質に35S-メチオニン(アマシャムファルマシア)を取り込ませた。
【0083】
インビトロで得られた生成物をSDA-PAGE電気泳動法で分析した。
【0084】
電気泳動後、ゲルを固定緩衝液(5%メタノール、15%酢酸、80%水)中に30分間入れ、ゲルをアマシャムファルマシアから供給されたアンプリファイ(Amplify)製品(照会番号NAMP100)中に浸漬することにより、シグナルを増幅させる。
【0085】
コダックバイオマックス(Kodak Biomax)MRフィルムを乾燥ゲル上で1時間から1週間の間、露光し、その後現像する。
【0086】
実施例4.蛋白質の共沈
量を標準化した後、GST融合蛋白質に結合させた30μlのセファロース-グルタチオンビーズを緩衝液B(NP40、1%、TrisHCl、50mM、NaCl、150mM、ロイペプチン、2μl/ml、アプロチニン、1%、ABESF、1mM)中で洗浄した。
【0087】
実施例3で得られたインビトロ翻訳生成物、5から10μlを、オートラジオグラフィで観察される生成物の量により添加する。
【0088】
一晩中接触させた後、ビーズを、抗蛋白分解酵素を含まないA NP40緩衝液で10回洗浄した。
【0089】
SDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーにより分析を行う。
【0090】
そのため、図1Bではインビトロ翻訳で得られたSiah蛋白質がGST-Numb融合蛋白質に結合することが明確に示されている。
【0091】
同様に、インビトロ翻訳で得られたNumb蛋白質がGST-Siah融合タンパク質に結合することを示すことが可能である(図示せず)。
【0092】
実施例5.細胞および一時トランスフェクション
293Tヒト胚腎臓細胞(ATCC照会番号:CRL1573)を、5%CO2を含む雰囲気中、10%ウシ胎児血清(FCS)が補充されたDMEM中で維持する。細胞はトランスフェクションの前の日に新しく継代された。
【0093】
DMEM+10%FCS中、20μMクロロキンの存在下、リン酸カルシウム手順により、293T細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション後8時間で、トランスフェクション培地をDMEM+10%FCSと置換した。トランスフェクション後48時間で細胞を回収した。
【0094】
MG132を使用する試験では、トランスフェクトした細胞を37℃で6時間、50μMのDMSO中のMG132(カルバイオケム-ノヴァバイオケム(Calbiochem-Novabiochem))または、対照標準としてDMSOだけで処理した。ヒトNumb蛋白質、マウスMdm2およびGFPを発現するプラスミドは米国カルフォルニア州サンディエゴ所在のインビトロゲン(Invitrogen)から入手されるpcDNA3プラスミドとした。
【0095】
Siah-1蛋白質はプラスミドpBKRSV(米国カルフォルニア州ラホーヤ所在のストラタジーン)中にサブクローニングした相補DNAから得た。
【0096】
実施例6.ウエスタンブロッティング
293T細胞をプラスミドによりトランスフェクトして48時間後、細胞をTBS-トリトン溶解緩衝液(トリス緩衝生理食塩水[TBS]、[pH8.0];1%、トリトンX-100、10mgのフッ化フェニルメチルスルホニル/ml;アプロチニン、5mg/ml、ロイペプチン、5mg/ml)中で溶解した。
【0097】
細胞溶解物をSDS-PAGEゲル電気泳動により分離し、ニトロセルロース膜(バイオラッド(Biorad))に転写した。その後、Numbポリクローナル抗体(ヴァイツマン研究所(Weizmann Institute)、Ref. 3465、またはトランスダクションラボラトリーズ(Transduction Laboratories)からの照会番号N80220)および抗GFPモノクローナル抗体(ベーリンガー(Boehringer)、Ref. 1814460)を用いてウエスタンブロット分析を行い、ゲル上に添加した量の標準化を立証した。ペルオキシダーゼおよび、アマシャムファルマシアバイオテクABにより供給されるエレクトロケモルミネセント試薬に結合した二次抗体を用いて、シグナルを検出した。
【0098】
図2は、Mdm2が存在する場合と同様に、Siahが存在するとNumb蛋白質の量が減少することを明確に示している。SiahとMdm2蛋白質両方をNumbと接触させた場合効果が合計されるので、これらの効果は独立していると考えられる。
【0099】
図2Bは、Siah蛋白質によるNumbの分解はユビキチンプロテアソーム経路により起こることを示している。というのは、この分解がこの経路の阻害物質を用いることにより阻害されるからである。
【0100】
本出願において示した結果により、このように、Numb蛋白質とSiah蛋白質との間に存在する結合、およびユビキチンプロテアソームに依存する経路によりSiah蛋白質がNumb蛋白質の分解を引き起こすという事実が証明される。
【0101】
Siah蛋白質とNumb蛋白質との間の結合を証明するために他の技術、特にFinleyおよびBrentが開発したシステムから誘導された2-ハイブリッド法(Annu Rev Genet 1997;31:663-704)を使用することも可能である。
【0102】
餌蛋白質はプラスミドpEG202中にクローンすることができ、そのような適用に適していることは当業者には周知である(promoter 67-1511、lexA 1538-2227、ADH Ter 2209-2522、pBR remnants 2540-2889、2μ ori 2890-4785、YSCNFLP 4923-5729、HIS3 7190-5699、TYIB 7243-7707、RAF_part 7635-7976、pBR backbone 7995-10166、bla 8131-8988)。
【0103】
獲物(prey)蛋白質はプラスミドpJG4-5中にクローンすることができ、これも当業者には周知である(promoter GAL 1-528、fusion cassette 528-849、ADH Ter 867-1315、2μ ori 1371-3365、TRP1 3365-4250、pUC backbone 4264-6422、Ap 4412-5274)。
【0104】
レポータープラスミドpSH18-34を使用することもでき、これも当業者には周知である。このプラスミドは特に、照会番号V611-20でインビトロゲン(Invitrogen)から入手可能であり、同じ供給者からすでに株EGY48に形質転換されたものも得ることができる(これはRFY231とも呼ばれる)(単独株照会番号:C835-00、pSH18-34で形質変換されたもの:C836-00)。
【0105】
結合は酵母株RFY231で証明されている(Finley Jrら、1998、Proc Natl Acad Sci USA、95、14266-71で説明されている)。この酵母株は遺伝子型(MATα trp1 Δ ::hisG his3 ura3-1 leu2::3Lexop-LEU2)を有し、EGY48から誘導される(Gurisら、1993,Cell、75、791-803)。
【0106】
レポーター遺伝子はLacZ遺伝子とした。
【0107】
研究はガラクトースを含みロイシンを含まない培地で実施し、着色コロニーの存在をこの皿上で調べる。
【0108】
実施例7.Siah-Numb結合および/またはNumb蛋白質の量に干渉する化合物のスクリーニング
実施例1から6において説明した分析を、研究したい化合物を添加して実施し、その化合物を添加せずに得られた結果と比較する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】Siah-1とNumbとの間のインビトロ相互作用の分析。(A)クーマシーブルー(Coomassie Blue)を用いて見られる融合蛋白質GST-68(蛋白質68はBNIP2のLeu82-Glu314断片である)(列1および2)およびGST-Numb(列3および5)。(B)蛋白質AIP1(列a)およびSiah-1(列b)のインビトロ翻訳生成物のオートラジオグラフであり、これらの生成物は35S-メチオニンで標識されている。列1から4はGST融合蛋白質により示される生成物とのAIP1(1および3)またはSiah-1(2および4)の沈澱を示したものである。
【図2】蛋白質が発現するレベルに対するSiahとNumbとの間のインビボ相互作用の効果の分析。(A)293T細胞に空発現ベクター(列1)または発現Numb(列2)、Siah-1(列3)、NumbおよびSiah-1(列4)、NumbおよびMdm2(列5)、ならびにNumb、Siah-1およびMdm2(列6)を同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、ウエスタンブロット分析を、抗Numb抗体を用いて実施した。対照実験もまた、ゲル上添加標準として抗GFP(緑色蛍光蛋白質)抗体を用いて実施した。(B)ウエスタンブロットは、ユビキチンプロテアソームの阻害物質(MG132)無しで、またはその存在下で前に説明したように分析した。MG132が無いと、Numb蛋白質の量はSiah-1の存在下でMdm2の有無に関係なく(レーン2、3および4)減少する。MG132が存在すると、Numb蛋白質の量は一定のままである(レーン6、7および8)。
【図3】Siah-1とNumbとのインビボおよびインビトロ相互作用の分析A.酵母2-ハイブリッド(two-hybrid)データの概要である。Siah-1およびNumbは酵母2-ハイブリッドにおける相互作用分析により相互作用する。LexA-Siah-1およびB42-Numb相互作用の試験を、増殖またはβ-ガラクトシダーゼ活性のいずれかにより実施した。ガラクトース(Ga1)が存在すると、活性化のために標識されたB42を含む標的は発現されるが、グルコース(Glu)では抑制される。陰性対照標準として標的プラスミドと餌プラスミドの組み合わせ、すなわち、LexA-RFHM1/B42-Cdi3、LexA-Siah-1/B42-Cdi3、LexA-RFHM1/B42-Numb、または陽性対照標準の組み合わせ、すなわち、LexA-RFHM12/Cdi3およびLexA-Siah-1/B42-Siah-1を含む酵母の試験を同時に行った。予測されたように、陽性対照標準として標的および餌プラスミドを含む酵母は、グルコースではなくガラクトースの存在下で増殖を示し、β-gal+であった。さらに、LexA-Siah-1およびB42-Numbを含む酵母もまた強いガラクトース依存性増殖およびβ-gal活性を示した。B.GST-Siah-1および放射性同位体により標識したNumbのインビトロ相互作用。Numbおよび陰性対照標準AIP1は、35Sで標識したメチオニンおよびシステインの存在下、ウサギ網状赤血球溶解物においてインビトロ翻訳(IVT)により作製した。等量の放射性同位体により標識された生成物を、GST-Siah-1または陰性対照標準としてGST-NKTR融合蛋白質のいずれかを用いてインキュベートした。これらの蛋白質はグルタチオンビーズ上に捕捉された。放射性同位体標識した蛋白質を蛋白質サンプル緩衝液中で溶出し、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド(SDS-PAGE)ゲル(10%)上での電気泳動により、還元条件(0.7mM 2-β-メルカプトエタノール)下で分離し、オートラジオグラフィーで視覚化した。C.GST-NumbとSiah-1との間の相互組み合わせ。インビトロ翻訳(IVT)から誘導したAIP1またはSiah-1を作製し、上述したように、GST-NKTRまたはGST-Numbのいずれかを使用してGSTプルダウン法を実施した。示したGSTの寄与は、BおよびCの左パネルに図示した。GST-Numbが部分的に分解されることに注意すべきである。D.Flag-NumbおよびSiah-1のインビボ相互作用。Siah-1のアミノ酸位置129、131および135で3つの偽センス(false-sense)突然変異(Cys→Ser)を有する、Siah-1mで示した構造を作製し、より安定した蛋白質を生じさせた。293T細胞はリン酸カルシウム沈降法を用いて、Flag-AIP1およびSiah-1mまたはFlag-NumbおよびSiah-1mのいずれかにより一時的に同時トランスフェクトした。総細胞溶解物(TLS)中で発現したFlag-AIP1およびFlag-Numbのレベルを、抗flag抗体を用いた免疫標識法により決定した(D、左パネル)。Flag抗体を用いてFlag-Numbを免疫沈降させ、その後Siah-1に対する抗血清を用いた免疫標識を行い、Siah-1-Numb結合伸長物を決定した(D、右パネル)。単量体形態のSiah-1は約32kDaのサイズのペプチドとして移動することに注意すべきである。Siah-1総溶解物中の約60kDaのサイズの蛋白質バンドは、おそらくSiah-1二量体を示すものであろう。E.U937細胞およびJurkat細胞におけるSiah-1およびNumbの内在性相互作用。2.5×108の細胞を可還元性DTBPリンカーを用いて架橋することにより化学的に架橋させた。細胞誘導溶解物を、陰性対照標準としての種と対合する抗Ig、もしくは抗Numb抗体のいずれかと共に一晩中インキュベートし、その後G-アガロース-蛋白質と共にインキュベートした。免疫複合体を12%SDS-PAGEゲル中で分離し、その後抗Siah-1抗体を用いて標識した。抗Numb抗体は、U937細胞およびJurkat細胞の両方において、32kDa単量体型のSiah-1を同時免疫沈降させることに注意すべきである(E、右パネル)。右パネルは2つの細胞溶解物(TL)におけるNumbの内在性発現を示している。
【図4】Siah-1およびNumb相互作用ドメインのマッピング。A.-C.インビトロ翻訳(IVT)から導いた、図に示した放射性同位体標識Siah-1断片(Δ1-10)、または陰性対照標準AIP1を、GST-NKTR(データ図示せず)またはいくつかの(ΔA-C)Numb GST融合蛋白質と共にインキュベートすることによりGSTプルダウン分析を実施した。サンプルを上述したように分離した。GST-Numb(第2パネル)はSiah-1の最小断片、すなわちアミノ酸180-211から構成されるΔ10と相互作用することに注意すべきである。B.GSTの寄与を表示したもの。C.およびD.それぞれ、Siah-1およびNumb欠失変異体を示す図である。全長Numb中に示した黒色のバーはSH3を含むモチーフの正確な位置を示す。C中の(*)は3つの偽センス変異の位置を示す。
【図5】Numbの分解およびユビキチン化に対するSiah-1の過剰発現効果。A.-C.Siah-1はインビボでNumbの分解を誘発する。A.リン酸カルシウム沈降法を用いて、図に示したプラスミドにより293T細胞を一時的に同時トランスフェクトした。トランスフェクション48時間後、総細胞溶解物を調製し、SDS-PAGE法、その後に抗体により分離した。蛋白質サンプルが同程度まで添加されたことを確認するため、膜を除去し抗チューブリン抗体で再プローブした(A.下パネル)。B.Numbの安定状態レベルを、プロテアソーム阻害物質MG132(50μM)の存在下、または未存在下のいずれかで、免疫標識法を用いて分析した。この阻害物質は細胞を回収する3時間前に添加した。C.Siah-1によるNumbのインビボユビキチン化。flag-Numb、HA-ポリユビキチン、および様々な量のSiah-1(10〜30μg)をコードするプラスミドにより、293T細胞を一時的にトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後、細胞を抗flag抗体と共にインキュベートした。抗HAで免疫標識することにより、ユビキチン化に対し免疫沈降分析を行った。Numbの分解を阻止する目的で回収6時間前にMG132(50μM)を293Tトランスフェクトタントに添加したことに注意すべきである。HCは免疫グロブリンの重鎖の位置を正確に示す(C、上パネル)。Mdm2を陽性対照標準基準点として使用した。中央パネルは、抗Numb抗体を用いて視覚化したflag-Numb発現レベルを示す。下パネルはSiah-1またはMdm2の量を増大させて、抗HAにより検出されるユビキチン化の全体概略図である。
【図6】Numbの内在性分解に対するSiah-1のインビボ効果A.-D.p53により誘発されたSiah-1の増強作用により内在性Numbのレベルの減少が促進される。A.LTR6細胞を32℃にさらし(p53が活性化される)24時間後に、細胞溶解物を調製し内在性Siah-1(A.下パネル)および内在性Numb(上パネル)が発現したレベルについて分析した。Siah-1蛋白質レベルの増加はNumbの発現の減少を伴うことに注意すべきである。B.アンチセンスSiah-1により安定してトランスフェクトされたLTR6細胞の分析。37℃でさえ、アンチセンスSiah-1は32kDaのSiah-1蛋白質の発現を阻害した(B.中央パネル、バンド2)。p53活性化後のSiah-1の増加(B.中央パネル、バンド3)は、アンチセンスコンストラクトを用いてトランスフェクトした細胞ではかなり阻害された。これにより、Numb蛋白質のレベルの増大により起こるSiah-1の発現が減少した(B.上パネル、バンド4)。C.左パネルは、ベクターのみまたはアンチセンスSiah-1のいずれかでトランスフェクトしたLTR6細胞中での、p53を活性化した後のアネキシン-v-陽性細胞のFACS分析を示す。アンチセンスSiah-1により、p-53誘発アポトーシスが大きく減少することに注意すべきである。C.右パネル、LTR6総細胞溶解物を調製し、SDS-PAGE分析により分離した後、抗PARP抗体または抗チューブリン抗体を用いて免疫標識した。D.U937細胞、または対照標準ベクターもしくはSiah-1のいずれかを発現した安定U937トランスフェクタントを、総細胞溶解物中の内在性Numbについて分析した。さらに、U937細胞から導いたクローンUS4もまた、Siah-1およびNumb蛋白質の内在レベルについて分析した。溶解物を、抗Numb抗体(D.上パネル)、または抗Siah-1抗体(D.中央パネル)、または抗チューブリン抗体(D.下パネル)のいずれかでプローブした。Siah-1を過剰発現したU937細胞ではNumbタンパク質のレベルが減少していることに注意すべきである。
【図7】Notch活性に対するSiah-1過剰発現のインビボ効果Siah-1を過剰発現しているU937細胞における内在性Notch1の再分配A.対照標準ベクター(パネル1から3)またはSiah-1(パネル4から7)のいずれかを発現している安定U937トランスフェクタントのNotch1の内在性免疫蛍光について、共焦点顕微鏡を用いて分析した。細胞はヒトNotch1の細胞質部分を認識する抗体を用いて標識し、続いてFITC複合第2抗体を用いて標識した。Notch免疫蛍光測定法は低倍率(パネル1および4)または高倍率(パネル2,3,5,6および7)のいずれかに関連する。Siah-1を過剰発現している細胞中の核および細胞質標識に比べ、対照標準ベクターを含むU937細胞中のNotch1はボーダーアウトライン型標識であることに注意すべきである。Notch1の核標識をより良く視覚化するために、ヨウ化プロピジウムによる標識を含ませた(パネル3,6および7)。核中にNotch1が存在することがZ面画像により確認された(パネル7)。バーは5μmの長さを表す。B.パネル8から10は対照標準ベクターを含むU937細胞中でEDTAにより誘発されたNotch1の核転座を示している(パネル8から10)。PBSを含む10mM EDTA中、37℃で30分間、細胞をインキュベートし、その後洗浄し抗Notch1(細胞内)抗体を用いて、EDTA除去後直ちに(T=0)または30分後(T=30)に標識した。核を視覚化するために細胞をヨウ化プロピジウムで逆標識(counterlabel)した。T=30では核中に陽性Notch1標識が存在することに注意すべきである。パネル8は未処理U937細胞を示す。C.Notch1活性。MCF-7細胞およびSiah-1を過剰発現している安定MCF-7トランスフェクタントを、NICD(pGA981-6)レポーターコンストラクトを用いて一時的にトランスフェクトし、感染後48時間でのNICD活性についてモニタした。Siah-1を安定してトランスフェクトしたMCF-7細胞の内在性NICDレポーター活性が増大することに注意すべきである。このNICD活性の増大はNumbの同時トランスフェクションにより効果的に阻害された。
【0001】
本発明はp53の生物鎖(biological chain)中に存在し、特に、腫瘍の抑制および/またはアポトーシスの調節における障害と関連する癌または一定の神経変性疾患の治療のために使用することができる化合物を検出し、同定しおよび/またはスクリーニングするための方法に関する。
【0002】
アポトーシス、すなわち細胞死はp53蛋白質を含む多くの蛋白質により調節されている複雑な現象である。この蛋白質は多くの他の蛋白質と相互作用し、その発現は、細胞死および腫瘍復帰(reversion)の現象を誘発し、細胞内の他の遺伝子の発現の誘発または抑制と関連させることができる。
【0003】
このように、本発明者らは腫瘍抑制および/またはアポトーシスに導くカスケード中に誘発され活性化される遺伝子(TSAPは「腫瘍抑制因子活性化経路」を示す)、または抑制される遺伝子(TSIPは「腫瘍抑制因子阻害経路」を示す)の存在を証明している。これらの遺伝子は、特に、特許出願国際公開公報第97/22695号または国際公開公報第00/08147号の主題内容を構成している。
【0004】
抗腫瘍活性を有し(および特にアポトーシスまたは腫瘍抑制を誘発することができ)、または神経変性疾患を治療するために使用することができる新規化合物を作製するためには、p53カスケードの機構を明確に理解できることが重要である。このように、本出願の発明者らは、アルツハイマー病において役割を果たすことが示唆されているプレセニリン1(PS1)が、国際公開公報第97/22695号の出願において説明されている蛋白質TSIP2と同一であることを証明している。同様に、アポトーシスを減少させる目的でこの現象に干渉することができ、神経変性疾患において使用することができる薬剤を捜すことは正当である。
【発明の開示】
【0005】
本発明はp53カスケードに干渉することができ、これにより腫瘍復帰および/またはアポトーシスを誘発する、または逆に、アポトーシスの現象を減少させることができる生成物をスクリーニングし同定するための方法に関する。
【0006】
本発明は、特許出願国際公開公報第97/22695号において説明されているTSAP3蛋白質が、Numb蛋白質(GenBankデータベースではアクセッション番号AF015040で記述されている)に結合する事実に基づくものである。Numb蛋白質はそれ自体Mdm2との相互作用を示し、Mdm2はp53制御過程に関連する蛋白質である。
【0007】
本発明はまた、TSAP3(これはまたSiah-1蛋白質であると同定されており、同様にこの名称、すなわちSiahをつけることができる)がNumbへ結合すると、ユビキチンプロテアソームに依存する経路によりNumb蛋白質の分解が誘発されるという事実に基づく。
【0008】
このように、第1の態様では、本発明はSiahのNumbへの結合に干渉し、減少させもしくは阻害する化合物をスクリーニングする、および/または選択し同定するための方法であって、
a)前記化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞におけるNumb蛋白質の量の増加を、前記化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0009】
第2の態様では、本発明はSiahのNumbへの結合に干渉し、減少させもしくは阻害する化合物をスクリーニングする、選択する、または同定するための方法であって、
a)前記化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0010】
他の態様では、本発明の教示により、おそらくSiahの代わりにNumbに結合すると、Siah蛋白質により誘発された分解よりも大きなNumbの分解を誘発する化合物を同定することが可能となるであろう。その結果、Numbの量が減少し、存在するp53の量が増大し、腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)が増大する。結果的に、本発明は腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させるための化合物をスクリーニングし、選択しおよび/または同定するための方法であって、
a)前記化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、前記化合物と接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0011】
逆に、本発明はまた、特に、腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)減少させおよび/または阻害するための化合物をスクリーニングし、選択しまたは同定するための方法であって、
a)化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を誘発する化合物を同定する工程と、
c)工程b)で同定した化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
d)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加を、前記化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0012】
腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させる化合物を決定するために、本発明にかかる異なる方法を組み合わせることも可能である。このように、特に、腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させる機能を有する化合物をスクリーニングし、選択しもしくは同定するための方法であって、
a)前記化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を誘発する化合物を同定する工程と、
c)工程b)で選択した化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
d)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、前記化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法を得ることが可能である。
【0013】
そのため、この種の方法も本発明の主題内容の一部である。
【0014】
そのため、本発明はSiahとNumb蛋白質が互いに結合することができるという事実を利用するものである。そのため、実際にもう一方の蛋白質と接触する各蛋白質のドメインを同定する価値がある。これは、完全蛋白質の餌(bait)または作用物質(agonist)として、このように同定されたペプチドを使用することを可能とすべきだからである。これにより、Siah-Numb結合に干渉し、腫瘍抑制および/もしくはアポトーシスを誘起する(特に、これらのペプチドがNumb(Siah誘導ペプチド)の分解に効果を有する場合)、または逆にこれらの現象を減少させる(特に、これらのペプチドがSiahのNumbへの結合を阻止する場合、これらは、Numbから誘導された餌ペプチドか、Siahから誘導されたものかであって、特に競合により、Numbへのこの蛋白質の結合を阻止する)ことのいずれかが可能な化合物を特定することができる。
【0015】
そのため、本発明は特に腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性のあるSiahの領域を同定するための方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドをNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、SiahとNumb蛋白質とを発現している対照標準哺乳類細胞中に存在するNumb蛋白質の量と比較することにより同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0016】
「Siahの領域」は特に、Siah蛋白質の一次配列から誘導された一次配列を有するペプチドを意味すると理解される。
【0017】
そのため、本発明はまた、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のあるSiahの領域を同定するための方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドをNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)前記哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加を、SiahとNumb蛋白質とを発現している対照標準哺乳類細胞中に存在するNumb蛋白質の量と比較することにより同定する工程と、
を含む方法に関する。
【0018】
より一般的には、本発明は、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドを、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系で接触「窩(lacuna)」させる工程と、
b)前記系においてSiahとNumbとの間の結合の減少を引き起こすペプチドを同定する工程と、
を含む方法によりNumb蛋白質との結合に関係するSiahの領域を同定することを可能にする。
【0019】
本発明はまた、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させることが望ましい場合に、特に餌としてNumb領域を使用することができる前記方法と同様の方法に従い、Siahとの結合に関係するNumbの領域を決定することも可能であることが明らかである。
【0020】
そのため、本発明はSiah-Numb結合と相互作用することができ、そのためアポトーシスおよび/または腫瘍抑制の調節において重要な生成物を同定することができる。それにもかかわらず、治療、特に癌および神経変性疾患の治療に使用できるようにするには、より活性を高くし、および/またはより毒性を低くするためにこれらの生成物を最適化する必要があるであろう。
【0021】
このように、薬剤の開発は以下の原理に従いしばしば実施される:
−適した方法を用いた所望の活性を有する化合物に対するスクリーニング、
−「症状スケジュール」(この場合、アポトーシスおよび腫瘍抑制の現象に対する作用)に適合する化合物の選択、
−選択した化合物の構造(化合物がペプチドである場合特に配列(適した3次配列)、または化合物が化学化合物である場合化学式およびバックボーン)決定、
−(例えば立体化学配置を変更することにより(例えばペプチド中のアミノ酸をLからDに変更することにより))構造を修飾する、特に残基をバックボーンに付加することにより、置換基をペプチドまたは化学バックボーンに付加する、およびペプチドを修飾する(特に、Ganteの「Peptidomimetics」、Angewandte Chemie-International Edition Engl. 1994、33,1699-1720を参照のこと)ことによる、選択した化合物の最適化、
−研究中の病理に最も近いモデルでよくある適したモデルで得られた化合物の試験およびスクリーニング。この段階では、特に動物モデル、一般にはげっ歯類モデル(マウス、ラットなど)またはイヌモデル、もしくは霊長類モデルさえもがしばしば使用される。
【0022】
癌の症例で使用できる動物モデルの例は、腫瘍の発症につながる腫瘍細胞を注射(特に皮下注射)された免疫抑制マウス(例えば、scid/scidマウス)に基づくモデルである。可能性のある抗新生物性化合物の効力は、例えば形成された腫瘍の大きさを測定することにより研究される。
【0023】
神経変性疾患の研究を行うために、Amsonらにより説明されているp-53欠損マウスからなるモデル(2000、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、97,5346-50)、またはChenら、Janusら、およびMorganら(2000、Nature、408 pp. 975-985)において説明されているモデルを使用することができる。
【0024】
このように、本発明は特に、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性を有することを基本に、癌を治療するために使用できる化合物を同定することを可能とすることに関する。そのため、本発明の主題内容の一部は、
a)腫瘍抑制および/またはアポトーシスの増大においてある程度の活性を有する化合物を同定することを可能とする本発明にかかる方法を実施する工程と、
b)工程a)で選択した生成物を修飾する工程と、
c)工程b)で修飾した生成物をインビトロおよび/またはインビボ過程で、腫瘍抑制および/またはアポトーシスに関連するモデルにおいて試験する工程と、
d)工程a)で選択した生成物の場合において得られる腫瘍抑制および/またはアポトーシス活性よりも大きな活性を得ることができる生成物を同定する工程と、
を含む方法である。
【0025】
工程d)は、以下の工程d')に置き換えることができる:
d')(工程c)で用いたモデルの1つがインビボモデルである場合)動物モデルでより毒性が低いことを含む、求められている生物学的効果を得ることができる生成物を同定する工程。
【0026】
試験をアポトーシスまたは腫瘍抑制のインビトロモデルで実施する場合、例えば、Tellermanらにより説明されているK256/KSモデル(1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,90,8702-6)を使用することができる。Amsonらにより説明されているM1-LTR細胞(1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,93,3953-7)またはNemaniらが説明しているU937/US3-US4細胞(1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,93,9039-42)を使用することもできる。
【0027】
インビボ試験は、これらの細胞を動物、特に免疫抑制マウスに注射することにより、および試験する異なる化合物の効果を調べることにより実施することができる。
【0028】
当業者であれば、規制要求に従い(特に毒物学に関し)、このようにして同定した生成物により得られる利益に関し、薬剤として使用することができる生成物を同定するために必要な条件およびしきい値の規定の仕方は周知である。
【0029】
同様に、本発明は、上記方法により同定された腫瘍抑制および/またはアポトーシスを妨げる生成物を最適化し、薬剤として使用することができる生成物を同定することを可能とする方法にも関する。
【0030】
このように、本発明はまた、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のある生成物を同定するための方法であって、
a)本発明にかかる方法を実施し、腫瘍抑制および/またはアポトーシスの減少においてある程度の活性を有する化合物を同定することを可能とする工程と、
b)工程a)で選択した生成物を、特に化学的バックボーンに残基を付加することにより修飾する工程と、
c)工程b)で修飾した生成物をインビトロおよび/またはインビボ過程で腫瘍抑制および/またはアポトーシスに関連するモデルにおいて試験する工程と、
d)工程a)で選択した生成物の場合に得られる腫瘍抑制および/またはアポトーシス活性と比較して、小さな活性を得ることができる生成物を同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法にも関する。
【0031】
工程d)は以下の工程d')に置き換えることができる:
d')(工程c)で用いたモデルの1つがインビボモデルである場合)動物モデルでより毒性が低いことを含む、求められている生物学的効果を得ることができる生成物を同定する工程。
【0032】
このように、最も良い(生物活性および臨床効果)/(使用の潜在的リスク)比を示す生成物を得ることができることも主題内容である。
【0033】
これらの結果を得るために利用されるパラメータは全て周知であり、新規薬剤を開発することを望んでいる当業者の能力の範囲内であり、例えば薬剤局(Agence du Medicament (Drug Agency))、欧州委員会(European Commission)または連邦薬剤局(Federal Drug Agency)などの団体の指示において見出すことができる。
【0034】
本発明にかかる方法を実施するには、SiahとNumbとの間の結合を決定することができ、かつ真核細胞中のNumb蛋白質の量の増加または減少を簡単に測定することができるモデルが必要である。
【0035】
Numb蛋白質の量はウェスタンブロット法により研究することができ、前記蛋白質に対する抗体を用いて視覚化される。そのような抗体は特に、ヴァイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science, Rhovot, Israel)(照会番号WIS3465)またはトランスダクションラボラトリーズ(Transduction Laboratories)(照会番号N80220)から得ることができる。
【0036】
哺乳類細胞の研究およびスクリーニングが必要な本発明にかかる方法を実施するためには、前記細胞においてSiahおよびNumb蛋白質の1つもしくは残りを過剰発現し、または両方の蛋白質を共に過剰発現すると好都合である。
【0037】
このように、特に、対象化合物の試験が行われた細胞と、スクリーニングすることが望ましい化合物が添加されていない細胞およびSiahを発現せずにNumbを発現する細胞(陽性対照標準)とを比較することにより、Numb蛋白質の量の変動をより容易に研究することができる。
【0038】
2つの蛋白質SiahおよびNumbの発現はこれら2つの蛋白質をコードする遺伝子(特にcDNA)を細胞中に導入することにより増大させることができることが理解される。これらの遺伝子はベクター上に配置するか、あるいは染色体中に導入される。
【0039】
エピソーム発現を選択した場合、前記哺乳類細胞は、SiahをコードするDNA断片を運搬するベクター、NumbをコードするDNA断片を運搬するベクター、およびSiahをコードするDNA断片とNumbをコードするDNA断片とを運搬するベクターから選択される少なくとも1つのベクターによりトランスフェクトされる。このように同じベクターが両方の蛋白質を発現することができ、あるいは2つのベクターを導入することができる。
【0040】
例えば原核細胞(大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtiis)など)または真核細胞(サッカロマイセス(Saccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)などの酵母、哺乳類細胞(HeLa、Cos、Hep-2など)もしくは昆虫細胞(バキュロウイルス(Baculovirus)系を用いる)において、SiahおよびNumb蛋白質を容易に発現させ、精製することができるベクターを使用することができる。このように、精製を容易にするためには、蛋白質がそのN末端またはC末端に標識を有することは好都合である。特に、ヒスチジンまたはGST標識が選択される。これらの方法は当業者には周知であり、当業者はストラタジーン(Stratagene)のような会社のカタログで適当なプラスミドを見出す。
【0041】
本発明の方法がNumbとSiahとの間の結合を研究するためにインビトロモデルで実施される場合、進行様式はいくつかある。
【0042】
以下のプロトコルを使用することができる:
−例えば、原核細胞(大腸菌、枯草菌など)または真核細胞(サッカロマイセス、クルイベロマイセスなどの酵母、哺乳類細胞(HeLa、Cos、Hep-2など)もしくは昆虫細胞(バキュロウイルス系を用いる)において、SiahおよびNumb蛋白質を発現し、精製する。精製を容易にするためには、蛋白質がそのN末端またはC末端に標識を有すると好都合である。ヒスチジンまたはGST標識が特に選択される。これらの方法は当業者には周知であり、当業者はストラタジーンのような会社のカタログで適当なプラスミドを見出す;
−蛋白質を適したビーズに結合させる。GST標識を使用する場合、発現する蛋白質はグルタチオンを呈するセファロースビーズに結合される;
−インビトロ翻訳により蛋白質を調製する。これは、周知のプロモータ(T7またはT3)の制御下でcDNAをクローン化し、RNAを作製させるために適当なRNAポリメラーゼを使用し、その後にインビトロで蛋白質を発現させることができる市販のベクター(例えばプロメガ(Promega)から入手可能)を用いて容易に実施することができる。使い捨てのキットを用い、製造者の指示に従う;
−セファロース-グルタチオンビーズへインビトロ翻訳により得られた蛋白質を添加することにり蛋白質を共沈させる。ビーズにはGSTと共に融合された蛋白質が付着する。十分な接触時間の後、ビーズを洗浄し、SDS-PAGEゲル電気泳動分析を実施し、オートラジオグラフィーを行う。2つの蛋白質に対応するバンドの出現により、これらの蛋白質が共に結合されていることが明らかに証明される。
【0043】
適当な対照標準を使用すると、試験すべき化合物を共沈工程中に添加した後に放出される蛋白質の量を対照標準において放出される蛋白質の量とを比較することにより、SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を規定することができる。
【0044】
FRET(蛍光共鳴エネルギー伝達)システムを用いて蛋白質の結合を研究することも可能である。FRETシステムでは、適当な残基で各蛋白質を標識し、2つの蛋白質の結合により2つの残基のそれぞれの間で反応が誘発され、容易に検出可能な蛍光が放出される。
【0045】
本発明はまた、本発明にかかる方法により得ることができる化合物、特に腫瘍抑制および/またはアポトーシスの増大に活性のある化合物、Siah-Numb結合の阻害に活性のある化合物、および腫瘍抑制および/またはアポトーシスの減少および/または阻害に活性のある化合物に関する。
【0046】
本発明はまた、Numb蛋白質と相互作用するSiahの領域に対応するペプチド配列にも関し、この配列は特に本発明の方法により同定することができる。
【0047】
本発明はまた、Siah蛋白質と相互作用するNumbの領域に対応するペプチド配列にも関し、この配列は特に本発明の方法により同定することができ、Numbと相互作用するSiahのペプチド配列を同定することができる方法を、特に上記インビトロプロトコルを適合することにより、Siahと相互作用するNumbのペプチド配列を決定するように適合させることができる。
【0048】
本発明はまたこのように同定したペプチド配列をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0049】
ペプチド配列または核酸配列もしくはヌクレオチド配列という用語(後者2つの用語は交換して使用できる)は、単離した配列を表すことは明らかであり、天然由来の配列であり、および、特にその塩基ユニットを天然のものではないユニットと置換することにより、または塩基ユニット(例えば、ホスホロチオエート(核酸)またはペプチド核酸)間の結合を修飾することにより、修飾できる配列である。
【0050】
SiahとNumbの結合に干渉する化合物を同定することができることも本発明の主題内容の一部である。これらの化合物のいくつかは特に、p53カスケードへの効果を誘発することができる。このように、本発明にかかる化合物、本発明にかかるペプチド配列、または本発明にかかるヌクレオチド配列もまた、薬剤として、本発明の主題内容の一部である。
【0051】
本発明にかかる方法により同定された化合物は、化学構造を有する化合物、脂質、糖、蛋白質、ペプチド、蛋白質-脂質、蛋白質-糖、ペプチド-脂質、もしくはペプチド-糖ハイブリッド化合物、または化学的分枝が付加された蛋白質もしくはペプチドとすることができる。
【0052】
予想される化学化合物は1以上の芳香族または非芳香族環、ならびに任意の性質を有する複数の残基(特に、1から6の炭素原子を有する低級アルキル)を含んでもよい。
【0053】
これらの化合物、核酸配列およびペプチド配列はこのように、アポトーシス/腫瘍復帰効果を促進するまたは抑えることにより、癌または神経変性疾患を治療することを特に目的とする薬剤を調製するために使用することができる。
【0054】
本出願の発明者らは、初めて、Siah蛋白質がNumb蛋白質に結合する事実を証明した。このように、本発明はSiah蛋白質とNumb蛋白質からなる複合体にも関する。
【0055】
本発明はまた、細胞内でのSiahのNumbへの結合を阻害するための方法であって、
a)前記細胞を、本発明にかかる方法により同定された、Siah-Numb結合を阻害する化合物と接触させる工程、
を含む方法に関する。
【0056】
このように考えられる化合物はまた、Siah蛋白質またはNumb蛋白質から誘導された「餌」ペプチドとすることもできる。この方法はインビトロまたはインビボで実施することができる。
【0057】
本発明はまた癌を治療するための方法に関し、この方法は、本発明により同定され、アポトーシスおよび/または腫瘍復帰を増大させる化合物を、患者に投与することを特徴とする。
【0058】
アポトーシスを減少させるまたは阻害する本発明にかかる化合物を患者に投与する工程を含む神経変性疾患を治療するための方法もまた、本発明の主題内容の一部である。
【0059】
実施例で明らかにされ証明されているように、Numb蛋白質へ結合する他に、Siah蛋白質はまた、ユビキチン結合プロテアソーム経路によりその分解を誘発する。Numb蛋白質はMdm2蛋白質に結合することがわかっていることは注目すべきである。その蛋白質が存在するとp53の負の調節が誘発される。発明者らが前に証明したように、細胞中でSiahが発現すると、アポトーシス現象が誘発されることも周知である。このように、本発明はまた、細胞中で、特にNumbを介してMdm2に結合されるp53の減少を阻害する方法であって、
a)前記細胞をアポトーシスおよび/または腫瘍復帰を増大させる本発明にかかる化合物と接触させる工程、
を含む方法も提供する。
【0060】
逆に、特にMdm2とNumbとの相互作用により、細胞中のp53蛋白質の量の減少を増大させることも可能であり、その方法は、
a)前記細胞をアポトーシスおよび/または腫瘍抑制を阻害するまたは減少させる本発明にかかる化合物と接触させる工程、
を含む。
【0061】
これらの2つの方法は、特に治療状況の中でインビトロまたはインビボで実施することができる。
【0062】
実施例
実施例1.GST融合蛋白質の発現
100μg/mlのアンピシリンを含むSB培地で、37℃において、プラスミドpGEX-P-1-SiahまたはpGEX-P-1-Numbを用いて形質転換したB121(DE3)の単離コロニーからの前培養物の調製。
【0063】
プラスミドPGEX-P-1はアマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)ABから得ることができる。
【0064】
蛋白質は配列番号1(Siah)および配列番号2(Numb)の配列に対応する相補cDNAによりコードされるヒト蛋白質である。GenBankの別の蛋白質に対する照会番号は、ヒトSiahではHSU76247およびヒトNumbではAF015040である。
【0065】
次の日に、250mlのSB+Ampに5mlの前培養物を接種する。
【0066】
光学密度が0.5と0.7との間になるまで、GST-Numbの場合37℃で、GST-Siahの場合28℃で増殖させる。
【0067】
蛋白質合成を誘発するために0.1mMのIPTGを添加する。
【0068】
1時間30分(GST-Numb)および1時間(GST-Siah)、GST-Numbの場合37℃で、GST-Siahの場合28℃で増殖させる。
【0069】
培養物を3000rpmで10分間(1800g、4℃)遠心分離する。
【0070】
沈澱を10mlのA NP40緩衝液(NP40、1%;トリス、pH7.4、10mM;NaCl、150mM;EDTA、1mM;グリセロール、10%;DTT、1mM;アプロチニン、2μg/ml;ロイペプチン、2μg/ml;ペプスタチン、2μg/ml;AEBSF、1mM)中に再懸濁させる。
【0071】
細胞を強度50、氷上で15秒間、3回、超音波処理する。
【0072】
混合物を12000rpmで10分間(18000g、4℃)遠心分離する。
【0073】
上清を-80℃で保存する。
【0074】
実施例2.セファロース-グルタチオンビーズへの結合
全ビーズの調製およびインキュベーションを4℃で行う。
【0075】
2mlの上清を(PBS中で3回の洗浄、A NP40緩衝液中で1回の洗浄後、A NP40緩衝液中50%濃度(体積あたりの重量)で再懸濁させ、各場合において3000rpmで遠心分離することにより調製した)200μlのビーズに添加する。
【0076】
照会番号17.0756.01でアマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)ABにより供給されているグルタチオン-セファロース4Bビーズを使用する。
【0077】
これらを4℃で、少なくとも1時間優しく振り混ぜる。
【0078】
ビーズをプロテアーゼ阻害物質を含まないA NP40緩衝液中で3回洗浄する。
【0079】
ビーズをプロテアーゼ阻害物質を含む1mlのA NP40中に再懸濁させる。
【0080】
SDS-PAGE電気泳動分析では、20から40μlの再懸濁ビーズをとり、5分間遠心分離する;上清を除去しビーズを10μlのX添加緩衝液中に再懸濁し、97℃で7分間加熱する。使用すべき融合蛋白質の量を標準化するために、クーマシーブルーで視覚化した後、ゲルを添加し分析する。
【0081】
実施例3.インビトロ翻訳
蛋白質を翻訳し発現させるために、プロメガ(Promega)により供給されるTNT結合網状赤血球溶解物システムキットを、使用したベクターにより、T7 RNAポリメラーゼまたはT3 RNAポリメラーゼと共に使用した(AIPIおよびSiah 1ではT7、NumbではT3)。キットは製造者の使用説明書(照会番号L4610)に従って使用した。
【0082】
蛋白質に35S-メチオニン(アマシャムファルマシア)を取り込ませた。
【0083】
インビトロで得られた生成物をSDA-PAGE電気泳動法で分析した。
【0084】
電気泳動後、ゲルを固定緩衝液(5%メタノール、15%酢酸、80%水)中に30分間入れ、ゲルをアマシャムファルマシアから供給されたアンプリファイ(Amplify)製品(照会番号NAMP100)中に浸漬することにより、シグナルを増幅させる。
【0085】
コダックバイオマックス(Kodak Biomax)MRフィルムを乾燥ゲル上で1時間から1週間の間、露光し、その後現像する。
【0086】
実施例4.蛋白質の共沈
量を標準化した後、GST融合蛋白質に結合させた30μlのセファロース-グルタチオンビーズを緩衝液B(NP40、1%、TrisHCl、50mM、NaCl、150mM、ロイペプチン、2μl/ml、アプロチニン、1%、ABESF、1mM)中で洗浄した。
【0087】
実施例3で得られたインビトロ翻訳生成物、5から10μlを、オートラジオグラフィで観察される生成物の量により添加する。
【0088】
一晩中接触させた後、ビーズを、抗蛋白分解酵素を含まないA NP40緩衝液で10回洗浄した。
【0089】
SDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーにより分析を行う。
【0090】
そのため、図1Bではインビトロ翻訳で得られたSiah蛋白質がGST-Numb融合蛋白質に結合することが明確に示されている。
【0091】
同様に、インビトロ翻訳で得られたNumb蛋白質がGST-Siah融合タンパク質に結合することを示すことが可能である(図示せず)。
【0092】
実施例5.細胞および一時トランスフェクション
293Tヒト胚腎臓細胞(ATCC照会番号:CRL1573)を、5%CO2を含む雰囲気中、10%ウシ胎児血清(FCS)が補充されたDMEM中で維持する。細胞はトランスフェクションの前の日に新しく継代された。
【0093】
DMEM+10%FCS中、20μMクロロキンの存在下、リン酸カルシウム手順により、293T細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション後8時間で、トランスフェクション培地をDMEM+10%FCSと置換した。トランスフェクション後48時間で細胞を回収した。
【0094】
MG132を使用する試験では、トランスフェクトした細胞を37℃で6時間、50μMのDMSO中のMG132(カルバイオケム-ノヴァバイオケム(Calbiochem-Novabiochem))または、対照標準としてDMSOだけで処理した。ヒトNumb蛋白質、マウスMdm2およびGFPを発現するプラスミドは米国カルフォルニア州サンディエゴ所在のインビトロゲン(Invitrogen)から入手されるpcDNA3プラスミドとした。
【0095】
Siah-1蛋白質はプラスミドpBKRSV(米国カルフォルニア州ラホーヤ所在のストラタジーン)中にサブクローニングした相補DNAから得た。
【0096】
実施例6.ウエスタンブロッティング
293T細胞をプラスミドによりトランスフェクトして48時間後、細胞をTBS-トリトン溶解緩衝液(トリス緩衝生理食塩水[TBS]、[pH8.0];1%、トリトンX-100、10mgのフッ化フェニルメチルスルホニル/ml;アプロチニン、5mg/ml、ロイペプチン、5mg/ml)中で溶解した。
【0097】
細胞溶解物をSDS-PAGEゲル電気泳動により分離し、ニトロセルロース膜(バイオラッド(Biorad))に転写した。その後、Numbポリクローナル抗体(ヴァイツマン研究所(Weizmann Institute)、Ref. 3465、またはトランスダクションラボラトリーズ(Transduction Laboratories)からの照会番号N80220)および抗GFPモノクローナル抗体(ベーリンガー(Boehringer)、Ref. 1814460)を用いてウエスタンブロット分析を行い、ゲル上に添加した量の標準化を立証した。ペルオキシダーゼおよび、アマシャムファルマシアバイオテクABにより供給されるエレクトロケモルミネセント試薬に結合した二次抗体を用いて、シグナルを検出した。
【0098】
図2は、Mdm2が存在する場合と同様に、Siahが存在するとNumb蛋白質の量が減少することを明確に示している。SiahとMdm2蛋白質両方をNumbと接触させた場合効果が合計されるので、これらの効果は独立していると考えられる。
【0099】
図2Bは、Siah蛋白質によるNumbの分解はユビキチンプロテアソーム経路により起こることを示している。というのは、この分解がこの経路の阻害物質を用いることにより阻害されるからである。
【0100】
本出願において示した結果により、このように、Numb蛋白質とSiah蛋白質との間に存在する結合、およびユビキチンプロテアソームに依存する経路によりSiah蛋白質がNumb蛋白質の分解を引き起こすという事実が証明される。
【0101】
Siah蛋白質とNumb蛋白質との間の結合を証明するために他の技術、特にFinleyおよびBrentが開発したシステムから誘導された2-ハイブリッド法(Annu Rev Genet 1997;31:663-704)を使用することも可能である。
【0102】
餌蛋白質はプラスミドpEG202中にクローンすることができ、そのような適用に適していることは当業者には周知である(promoter 67-1511、lexA 1538-2227、ADH Ter 2209-2522、pBR remnants 2540-2889、2μ ori 2890-4785、YSCNFLP 4923-5729、HIS3 7190-5699、TYIB 7243-7707、RAF_part 7635-7976、pBR backbone 7995-10166、bla 8131-8988)。
【0103】
獲物(prey)蛋白質はプラスミドpJG4-5中にクローンすることができ、これも当業者には周知である(promoter GAL 1-528、fusion cassette 528-849、ADH Ter 867-1315、2μ ori 1371-3365、TRP1 3365-4250、pUC backbone 4264-6422、Ap 4412-5274)。
【0104】
レポータープラスミドpSH18-34を使用することもでき、これも当業者には周知である。このプラスミドは特に、照会番号V611-20でインビトロゲン(Invitrogen)から入手可能であり、同じ供給者からすでに株EGY48に形質転換されたものも得ることができる(これはRFY231とも呼ばれる)(単独株照会番号:C835-00、pSH18-34で形質変換されたもの:C836-00)。
【0105】
結合は酵母株RFY231で証明されている(Finley Jrら、1998、Proc Natl Acad Sci USA、95、14266-71で説明されている)。この酵母株は遺伝子型(MATα trp1 Δ ::hisG his3 ura3-1 leu2::3Lexop-LEU2)を有し、EGY48から誘導される(Gurisら、1993,Cell、75、791-803)。
【0106】
レポーター遺伝子はLacZ遺伝子とした。
【0107】
研究はガラクトースを含みロイシンを含まない培地で実施し、着色コロニーの存在をこの皿上で調べる。
【0108】
実施例7.Siah-Numb結合および/またはNumb蛋白質の量に干渉する化合物のスクリーニング
実施例1から6において説明した分析を、研究したい化合物を添加して実施し、その化合物を添加せずに得られた結果と比較する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】Siah-1とNumbとの間のインビトロ相互作用の分析。(A)クーマシーブルー(Coomassie Blue)を用いて見られる融合蛋白質GST-68(蛋白質68はBNIP2のLeu82-Glu314断片である)(列1および2)およびGST-Numb(列3および5)。(B)蛋白質AIP1(列a)およびSiah-1(列b)のインビトロ翻訳生成物のオートラジオグラフであり、これらの生成物は35S-メチオニンで標識されている。列1から4はGST融合蛋白質により示される生成物とのAIP1(1および3)またはSiah-1(2および4)の沈澱を示したものである。
【図2】蛋白質が発現するレベルに対するSiahとNumbとの間のインビボ相互作用の効果の分析。(A)293T細胞に空発現ベクター(列1)または発現Numb(列2)、Siah-1(列3)、NumbおよびSiah-1(列4)、NumbおよびMdm2(列5)、ならびにNumb、Siah-1およびMdm2(列6)を同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、ウエスタンブロット分析を、抗Numb抗体を用いて実施した。対照実験もまた、ゲル上添加標準として抗GFP(緑色蛍光蛋白質)抗体を用いて実施した。(B)ウエスタンブロットは、ユビキチンプロテアソームの阻害物質(MG132)無しで、またはその存在下で前に説明したように分析した。MG132が無いと、Numb蛋白質の量はSiah-1の存在下でMdm2の有無に関係なく(レーン2、3および4)減少する。MG132が存在すると、Numb蛋白質の量は一定のままである(レーン6、7および8)。
【図3】Siah-1とNumbとのインビボおよびインビトロ相互作用の分析A.酵母2-ハイブリッド(two-hybrid)データの概要である。Siah-1およびNumbは酵母2-ハイブリッドにおける相互作用分析により相互作用する。LexA-Siah-1およびB42-Numb相互作用の試験を、増殖またはβ-ガラクトシダーゼ活性のいずれかにより実施した。ガラクトース(Ga1)が存在すると、活性化のために標識されたB42を含む標的は発現されるが、グルコース(Glu)では抑制される。陰性対照標準として標的プラスミドと餌プラスミドの組み合わせ、すなわち、LexA-RFHM1/B42-Cdi3、LexA-Siah-1/B42-Cdi3、LexA-RFHM1/B42-Numb、または陽性対照標準の組み合わせ、すなわち、LexA-RFHM12/Cdi3およびLexA-Siah-1/B42-Siah-1を含む酵母の試験を同時に行った。予測されたように、陽性対照標準として標的および餌プラスミドを含む酵母は、グルコースではなくガラクトースの存在下で増殖を示し、β-gal+であった。さらに、LexA-Siah-1およびB42-Numbを含む酵母もまた強いガラクトース依存性増殖およびβ-gal活性を示した。B.GST-Siah-1および放射性同位体により標識したNumbのインビトロ相互作用。Numbおよび陰性対照標準AIP1は、35Sで標識したメチオニンおよびシステインの存在下、ウサギ網状赤血球溶解物においてインビトロ翻訳(IVT)により作製した。等量の放射性同位体により標識された生成物を、GST-Siah-1または陰性対照標準としてGST-NKTR融合蛋白質のいずれかを用いてインキュベートした。これらの蛋白質はグルタチオンビーズ上に捕捉された。放射性同位体標識した蛋白質を蛋白質サンプル緩衝液中で溶出し、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド(SDS-PAGE)ゲル(10%)上での電気泳動により、還元条件(0.7mM 2-β-メルカプトエタノール)下で分離し、オートラジオグラフィーで視覚化した。C.GST-NumbとSiah-1との間の相互組み合わせ。インビトロ翻訳(IVT)から誘導したAIP1またはSiah-1を作製し、上述したように、GST-NKTRまたはGST-Numbのいずれかを使用してGSTプルダウン法を実施した。示したGSTの寄与は、BおよびCの左パネルに図示した。GST-Numbが部分的に分解されることに注意すべきである。D.Flag-NumbおよびSiah-1のインビボ相互作用。Siah-1のアミノ酸位置129、131および135で3つの偽センス(false-sense)突然変異(Cys→Ser)を有する、Siah-1mで示した構造を作製し、より安定した蛋白質を生じさせた。293T細胞はリン酸カルシウム沈降法を用いて、Flag-AIP1およびSiah-1mまたはFlag-NumbおよびSiah-1mのいずれかにより一時的に同時トランスフェクトした。総細胞溶解物(TLS)中で発現したFlag-AIP1およびFlag-Numbのレベルを、抗flag抗体を用いた免疫標識法により決定した(D、左パネル)。Flag抗体を用いてFlag-Numbを免疫沈降させ、その後Siah-1に対する抗血清を用いた免疫標識を行い、Siah-1-Numb結合伸長物を決定した(D、右パネル)。単量体形態のSiah-1は約32kDaのサイズのペプチドとして移動することに注意すべきである。Siah-1総溶解物中の約60kDaのサイズの蛋白質バンドは、おそらくSiah-1二量体を示すものであろう。E.U937細胞およびJurkat細胞におけるSiah-1およびNumbの内在性相互作用。2.5×108の細胞を可還元性DTBPリンカーを用いて架橋することにより化学的に架橋させた。細胞誘導溶解物を、陰性対照標準としての種と対合する抗Ig、もしくは抗Numb抗体のいずれかと共に一晩中インキュベートし、その後G-アガロース-蛋白質と共にインキュベートした。免疫複合体を12%SDS-PAGEゲル中で分離し、その後抗Siah-1抗体を用いて標識した。抗Numb抗体は、U937細胞およびJurkat細胞の両方において、32kDa単量体型のSiah-1を同時免疫沈降させることに注意すべきである(E、右パネル)。右パネルは2つの細胞溶解物(TL)におけるNumbの内在性発現を示している。
【図4】Siah-1およびNumb相互作用ドメインのマッピング。A.-C.インビトロ翻訳(IVT)から導いた、図に示した放射性同位体標識Siah-1断片(Δ1-10)、または陰性対照標準AIP1を、GST-NKTR(データ図示せず)またはいくつかの(ΔA-C)Numb GST融合蛋白質と共にインキュベートすることによりGSTプルダウン分析を実施した。サンプルを上述したように分離した。GST-Numb(第2パネル)はSiah-1の最小断片、すなわちアミノ酸180-211から構成されるΔ10と相互作用することに注意すべきである。B.GSTの寄与を表示したもの。C.およびD.それぞれ、Siah-1およびNumb欠失変異体を示す図である。全長Numb中に示した黒色のバーはSH3を含むモチーフの正確な位置を示す。C中の(*)は3つの偽センス変異の位置を示す。
【図5】Numbの分解およびユビキチン化に対するSiah-1の過剰発現効果。A.-C.Siah-1はインビボでNumbの分解を誘発する。A.リン酸カルシウム沈降法を用いて、図に示したプラスミドにより293T細胞を一時的に同時トランスフェクトした。トランスフェクション48時間後、総細胞溶解物を調製し、SDS-PAGE法、その後に抗体により分離した。蛋白質サンプルが同程度まで添加されたことを確認するため、膜を除去し抗チューブリン抗体で再プローブした(A.下パネル)。B.Numbの安定状態レベルを、プロテアソーム阻害物質MG132(50μM)の存在下、または未存在下のいずれかで、免疫標識法を用いて分析した。この阻害物質は細胞を回収する3時間前に添加した。C.Siah-1によるNumbのインビボユビキチン化。flag-Numb、HA-ポリユビキチン、および様々な量のSiah-1(10〜30μg)をコードするプラスミドにより、293T細胞を一時的にトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後、細胞を抗flag抗体と共にインキュベートした。抗HAで免疫標識することにより、ユビキチン化に対し免疫沈降分析を行った。Numbの分解を阻止する目的で回収6時間前にMG132(50μM)を293Tトランスフェクトタントに添加したことに注意すべきである。HCは免疫グロブリンの重鎖の位置を正確に示す(C、上パネル)。Mdm2を陽性対照標準基準点として使用した。中央パネルは、抗Numb抗体を用いて視覚化したflag-Numb発現レベルを示す。下パネルはSiah-1またはMdm2の量を増大させて、抗HAにより検出されるユビキチン化の全体概略図である。
【図6】Numbの内在性分解に対するSiah-1のインビボ効果A.-D.p53により誘発されたSiah-1の増強作用により内在性Numbのレベルの減少が促進される。A.LTR6細胞を32℃にさらし(p53が活性化される)24時間後に、細胞溶解物を調製し内在性Siah-1(A.下パネル)および内在性Numb(上パネル)が発現したレベルについて分析した。Siah-1蛋白質レベルの増加はNumbの発現の減少を伴うことに注意すべきである。B.アンチセンスSiah-1により安定してトランスフェクトされたLTR6細胞の分析。37℃でさえ、アンチセンスSiah-1は32kDaのSiah-1蛋白質の発現を阻害した(B.中央パネル、バンド2)。p53活性化後のSiah-1の増加(B.中央パネル、バンド3)は、アンチセンスコンストラクトを用いてトランスフェクトした細胞ではかなり阻害された。これにより、Numb蛋白質のレベルの増大により起こるSiah-1の発現が減少した(B.上パネル、バンド4)。C.左パネルは、ベクターのみまたはアンチセンスSiah-1のいずれかでトランスフェクトしたLTR6細胞中での、p53を活性化した後のアネキシン-v-陽性細胞のFACS分析を示す。アンチセンスSiah-1により、p-53誘発アポトーシスが大きく減少することに注意すべきである。C.右パネル、LTR6総細胞溶解物を調製し、SDS-PAGE分析により分離した後、抗PARP抗体または抗チューブリン抗体を用いて免疫標識した。D.U937細胞、または対照標準ベクターもしくはSiah-1のいずれかを発現した安定U937トランスフェクタントを、総細胞溶解物中の内在性Numbについて分析した。さらに、U937細胞から導いたクローンUS4もまた、Siah-1およびNumb蛋白質の内在レベルについて分析した。溶解物を、抗Numb抗体(D.上パネル)、または抗Siah-1抗体(D.中央パネル)、または抗チューブリン抗体(D.下パネル)のいずれかでプローブした。Siah-1を過剰発現したU937細胞ではNumbタンパク質のレベルが減少していることに注意すべきである。
【図7】Notch活性に対するSiah-1過剰発現のインビボ効果Siah-1を過剰発現しているU937細胞における内在性Notch1の再分配A.対照標準ベクター(パネル1から3)またはSiah-1(パネル4から7)のいずれかを発現している安定U937トランスフェクタントのNotch1の内在性免疫蛍光について、共焦点顕微鏡を用いて分析した。細胞はヒトNotch1の細胞質部分を認識する抗体を用いて標識し、続いてFITC複合第2抗体を用いて標識した。Notch免疫蛍光測定法は低倍率(パネル1および4)または高倍率(パネル2,3,5,6および7)のいずれかに関連する。Siah-1を過剰発現している細胞中の核および細胞質標識に比べ、対照標準ベクターを含むU937細胞中のNotch1はボーダーアウトライン型標識であることに注意すべきである。Notch1の核標識をより良く視覚化するために、ヨウ化プロピジウムによる標識を含ませた(パネル3,6および7)。核中にNotch1が存在することがZ面画像により確認された(パネル7)。バーは5μmの長さを表す。B.パネル8から10は対照標準ベクターを含むU937細胞中でEDTAにより誘発されたNotch1の核転座を示している(パネル8から10)。PBSを含む10mM EDTA中、37℃で30分間、細胞をインキュベートし、その後洗浄し抗Notch1(細胞内)抗体を用いて、EDTA除去後直ちに(T=0)または30分後(T=30)に標識した。核を視覚化するために細胞をヨウ化プロピジウムで逆標識(counterlabel)した。T=30では核中に陽性Notch1標識が存在することに注意すべきである。パネル8は未処理U937細胞を示す。C.Notch1活性。MCF-7細胞およびSiah-1を過剰発現している安定MCF-7トランスフェクタントを、NICD(pGA981-6)レポーターコンストラクトを用いて一時的にトランスフェクトし、感染後48時間でのNICD活性についてモニタした。Siah-1を安定してトランスフェクトしたMCF-7細胞の内在性NICDレポーター活性が増大することに注意すべきである。このNICD活性の増大はNumbの同時トランスフェクションにより効果的に阻害された。
Claims (22)
- SiahのNumbへの結合を阻止する化合物を同定するための方法であって、
a)該化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)該哺乳類細胞におけるNumb蛋白質の量の増加を、該化合物と接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - SiahのNumbへの結合を阻止する化合物を同定するための方法であって、
a)該化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を同定する工程と、
を含む方法。 - 腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させるための化合物を同定するための方法であって、
a)該化合物をSiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)該哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、該化合物と接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を減少させるおよび/または阻害するための化合物を同定するための方法であって、
a)化合物を、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)SiahとNumbとの間の結合の減少および/または阻害を誘発する化合物を同定する工程と、
c)工程b)で同定した化合物を、SiahおよびNumb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
d)該哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加を、該化合物を接触させていない対照標準細胞と比較して同定する工程と、
を含む方法。 - 腫瘍抑制および/または細胞死(アポトーシス)を増大させるための化合物を同定するための方法であって、
a)請求項2記載の方法を用いて、SiahとNumbとの間の結合を阻害する化合物を同定する工程と、
b)工程a)で同定した該化合物について請求項3記載の方法を実施する工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性のあるSiahの領域を同定するための方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドを、Numb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)該哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の減少を、SiahおよびNumb蛋白質を発現している対照標準哺乳類細胞中に存在するNumb蛋白質の量と比較することにより同定する工程と、
を含む方法。 - 腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のあるSiahの領域を同定する方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドを、Numb蛋白質を発現している哺乳類細胞と接触させる工程と、
b)該哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加を、SiahおよびNumb蛋白質を発現している対照標準哺乳類細胞中に存在するNumb蛋白質の量と比較することにより同定する工程と、
を含む方法。 - Numb蛋白質との結合に関係するSiahの領域を同定するための方法であって、
a)Siah蛋白質から誘導したペプチドを、SiahとNumbとの間の結合をインビトロで決定することができる系と接触させる工程と、
b)該系でSiahとNumbとの間の結合の減少を引き起こすペプチドを同定する工程と、
を含む方法。 - 腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性のある生成物を同定する方法であって、
a)請求項3、5または6のいずれか一項記載の方法を実施する工程と、
b)工程a)で選択した生成物を、特に化学的バックボーンに残基を付加することにより修飾する工程と、
c)工程b)で修飾した生成物の試験を、腫瘍抑制および/またはアポトーシスに関連するモデルで、インビトロおよび/またはインビボ過程で実施する工程と、
d)工程a)で選択した生成物の場合において得られる活性に比べて大きい腫瘍抑制および/またはアポトーシス活性が得られる生成物を同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のある生成物を同定するための方法であって、
a)請求項1、2、4または7のいずれか一項記載の方法を実施する工程と、
b)工程a)で選択した生成物を、特に化学的バックボーンに残基を付加することにより修飾する工程と、
c)工程b)で修飾した生成物の試験を、腫瘍抑制および/またはアポトーシスに関連するモデルで、インビトロおよび/またはインビボ過程で実施する工程と、
d)工程a)で選択した生成物の場合において得られる活性に比べて低下した腫瘍抑制および/またはアポトーシス活性が得られる生成物を同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 哺乳類細胞が、SiahをコードするDNA断片を運搬するベクター、Numbに対するDNA断片を運搬するベクター、ならびにSiahに対するDNA断片およびNumbをコードするDNA断片を運搬するベクターから選択される少なくとも1つのベクターによりトランスフェクトされることを特徴とする、請求項1または4記載の方法。
- 哺乳類細胞中のNumb蛋白質の量の増加が、ウエスタンブロット法により同定されることを特徴とする、請求項1または4記載の方法。
- 請求項3、5または9のいずれか一項記載の方法により同定され、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを増大させる活性のある化合物の、癌治療を目的とする薬剤を調製するための使用。
- 請求項1、2、4または10のいずれか一項記載の方法により同定され、腫瘍抑制および/またはアポトーシスを減少させるおよび/または阻害する活性のある化合物の、神経変性疾患治療を目的とする薬剤を調製するための使用。
- 請求項6〜8のいずれか一項記載の方法により同定することができるSiahの領域に対応するペプチド配列。
- 請求項15記載のペプチド配列をコードするヌクレオチド配列。
- 薬剤としての、請求項15記載のペプチド配列、または請求項16記載のヌクレオチド配列。
- 薬剤を調製するための、請求項15記載のペプチド配列、または請求項16記載のヌクレオチド配列の使用。
- Siah蛋白質とNumb蛋白質とからなる複合体。
- インビトロで細胞中のNumbへのSiahの結合を阻害するための方法であって、
a)該細胞を、請求項1または2のいずれかに記載の方法により同定した化合物と接触させる工程、
を含む方法。 - インビトロで細胞中のp53の減少を阻害するための方法であって、
a)該細胞を、請求項3、5、6または9のいずれか一項記載の方法により同定した化合物と接触させる工程、
を含む方法。 - インビトロで細胞中のp53の量の減少を増大させるための方法であって、
a)該細胞を、請求項4、7または10のいずれか一項記載の方法により同定した化合物と接触させる工程、
を含む方法。
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