JP2004528004A - Cng2b:新規ヒト環状ヌクレオチド作動性イオンチャンネル - Google Patents

Cng2b:新規ヒト環状ヌクレオチド作動性イオンチャンネル Download PDF

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Abstract

本発明は、CNG2Bの単離された核酸及びアミノ酸配列、CNG2Bに対する抗体、CNG2Bを検出する方法、及び生物活性あるCNG2Bを用いた環状ヌクレオチド作動性イオンチャンネルのモジュレータについてのスクリーニング方法を提供する。本発明はさらに、コンピュータシステム内で、ヒトCNG2B遺伝子の突然変異についてスクリーニングする方法、ならびにヒトCNG2Bポリペプチドの3次元構造を同定するための方法を提供する。

Description

【0001】
CNG2B: 新規ヒト環状ヌクレオチド作動性イオンチャンネル
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、本書にその全体が参考として内含されている2000年8月17日付けのUSSN60/226,253号に対する優先権を請求するものである。
【0002】
連邦政府が後援する研究及び開発の下でなされた発明に対する権利に関する供述
該当せず
【0003】
発明の分野
本発明は、CNG2Bの単離された核酸及びアミノ酸配列、CNG2Bに対する抗体、CNG2Bを検出する方法、及び生物活性あるCNG2Bを用いた環状ヌクレオチド作動性イオンチャンネルのモジュレータについてのスクリーニング方法を提供する。本発明はさらに、コンピュータシステム内で、ヒトCNG2B遺伝子の突然変異についてスクリーニングする方法、ならびにヒトCNG2Bポリペプチドの3次元構造を同定するための方法を提供する。
【0004】
発明の背景
環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネル(CNG)は、cGMP及びcAMPといったような環状ヌクレオチドの直接的結合によって開かれる非選択的カチオンチャンネルの1種である。CNGチャンネルは、Na及びCa2+に対する高い透過性をもち、その活性化は、脱分極を導き、内部Ca2+濃度を増大させる。これらのチャンネルは、細胞質環状ヌクレオチドレベルの変化を、細胞励起性の変化、神経伝達物質の分泌及びカルシウム依存性経路の刺激に結びつけることができる。
【0005】
CNGファミリーのチャンネルタンパク質は、マルチマーであり、少なくとも2つの機能的に全く異なるサブユニットクラスによって形成され得る。アルファ及びベータという2つのサブユニットクラスは、6つの膜内外ドメインの共通モチーフ、孔モチーフ及び細胞質環状ヌクレオチド結合ドメインを共有する(Finn et al., Annu. Rev. Physiol, 58:395−426:1996)。CNGアルファサブユニットは、ホモマルチマーとして機能的チャンネルを形成することができる。すなわち、チャンネル孔に寄与する全てのサブユニットが同一である。これらのヘテロマルチマーチャンネルは、未変性CNGチャンネルと一貫性のある機能的特性を示す(Gerstner, et al., J. Neurosci.20(4):1324−1332,2000;Finn., et al., Annu. Rev. Physiol. 58:395−426,1996)。例えば、アルファサブユニット CNGA1がベータサブユニットCNGB1(CNG4)とヘテロマルチーを形成する網膜棒細胞内で、アルファ及びベータサブユニットの同時発現が起こる(Gerstner, et al., J. Neurosci.20(4):1324−1332,Feb. 15,2000)。
【0006】
CNGチャンネルは、光及びエアゾール化又は溶解させられた分子といったような一次感覚刺激に応答した網膜及び聴覚及び味覚芽細胞内の感覚シグナル伝達にとって重要である(Ding, C, et al., Am. J. Physiol.272(Cell Physiol.41):C1335−C1344,1997)。光受容細胞内では、CNGチャンネルは、cGMPの高い基礎濃度に起因して暗闇内で開放している。このため、膜の緊張性脱分極及び構成性神経伝達物質の放出がひき起こされる。光による刺激の時点で、cGMPレベルは低下し、CNGチャンネルを閉じる。こうして、今度は、膜の過分極、内部Ca2+濃度の低下及び神経伝達物質の放出の減少がひき起こされる。(Finn, et al., Annu.Rev.Physiol.58:395−426,1996)。
【0007】
CNGチャンネルは、数多くの組織内で発見されてきており、これらのチャンネルがさまざまな刺激を膜電位及び細胞質カルシウムレベルの変化にリンクさせている可能性があることを示唆している(Ding, et al., Am. J. Physiol.272(Cell Physiol.41):C1335−C1344,1997;Kingston P, Synapse 32:1−12,1999)。例えば、網膜及び嗅覚CNGチャンネルは、脳のさまざまな部分の中で発現されている(Ding, et al., Am. J. Physiol.272(Cell Physiol.41):C1335−C1344,1997; Kingston P, Synapse 32:1−12,1999)。これらのチャンネルは、Ca2+に対してきわめて透過性があるため、これらは、ニューロン活性に対し有意な効果をもつCa2+依存性経路を刺激し得る。より直接的には、これらは、興奮性脱分極を提供することによりニューロン活性に寄与する可能性がある。CNGチャンネルは同様に、学習及び記憶において重要なメカニズムであるより長く持続する変化を提供するべく酸化窒素経路といったようなその他の第2のメッセンジャー系統と相互作用することもできる(Kingston, Synapse 32:1−12,1999)。CNGチャンネルは、睾丸内に発見されており、内部Ca2+濃度の調節を通して、精液の化学走性に関与し得る(Weyand, et al, Nature368:859−863,1994)。CNGチャンネルの発現は、同様に、心臓、大動脈及び腎臓でも指摘されてきており、ここで、これらのチャンネルは心拍数、血圧及び電解質輸送の調節においてそれぞれ役割を果たすことができる(Finn, et al., Ann.Rev.Physiol.1996,58:395−426)。CNGチャンネル機能の全範囲はまだ完全に理解されていないが、それらが数多くの生理学的プロセスにおいて主要な役割を果たすということは明白である。
【0008】
発明の要約
この発明は、環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルの新しいサブユニットであるヒトCNG2Bの初めての単離及び特徴づけを提供するものである。本発明は、CNG2Bのヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方、ならびにCNG2Bモジュレータについての検定方法、CNG2Bに対する抗体、そしてCNG2B核酸及びタンパク質の検出方法を提供する。
【0009】
1つの態様においては、本発明は、カチオンチャンネルのサブユニットを含むポリペプチドをコードする単離された核酸において、該ポリペプチドが、
(i) 少なくとも1つのCNGアルファサブユニットと共に、環状ヌクレオチド作動性又は酸化窒素作動性特性をもつカチオンチャンネルを形成し、
(ii) 配列番号1に対する少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む、核酸を提供する。
【0010】
もう1つの態様では、本発明は、配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸に対してストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する、CNG2Bポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
【0011】
もう1つの態様では、本発明は、配列番号2又は配列番号3に対し少なくとも90%の配列同一性をもつヌクレオチド配列を含んで成る、CNG2Bポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
【0012】
1つの実施形態においては、核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。もう1つの実施形態では、核酸は、配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含んで成る。
【0013】
もう1つの実施形態においては、核酸は、
【化2】
Figure 2004528004
から成るグループの中から選択されたプライマと同じ配列に対しストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリッド形成するプライマによって増幅される。
【0014】
もう1つの実施形態では、核酸は、配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸に対し中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリッド形成する。もう1つの態様において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸に対しストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する単離された核酸を提供する。
【0015】
もう1つの態様では、本発明は、上述のような単離された核酸との接触段階を含む、核酸の検出方法を提供する。
【0016】
もう1つの態様では、本発明は、本発明の核酸を含む発現ベクター及びかかる発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0017】
もう1つの態様では、本発明は、カチオンチャンネルのサブユニットを含み、
(i) 少なくとも1つのCNGアルファサブユニットと共に、環状ヌクレオチド作動性特性をもつカチオンチャンネルを形成し、
(ii) 配列番号1に対する少なくとも95%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含む、
単離されたポリペプチドを提供している。
【0018】
1実施形態においては、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して生成された抗体に特異的に結合する。もう1つの実施形態においては、ポリペプチドは、ホモメリック環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルを含む。もう1つの実施形態においては、ポリペプチドは、ヘテロマー環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルのアルファサブユニットを含んで成る。もう1つの実施形態では、ポリペプチドは、約61kD〜約71kDの間の分子量を有する。もう1つの実施形態では、ポリペプチドは、ヒトCNG2Bのアミノ酸配列を有する。もう1つの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0019】
もう1つの態様では、本発明は、本書で記述するCNG2Bポリペプチドのいずれかに特異的に結合する抗体を提供する。
【0020】
もう1つの態様では、本発明は、カチオンチャンネルを通るイオン流束を増大又は減少させる化合物を同定する方法において、
(i)(a) 少なくとも1つのCNGアルファサブユニットと共に、環状ヌクレオチド作動性特性をもつカチオンチャンネルを形成し、
(b) 配列番号1に対する少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む、
CNG2Bポリペプチドと化合物を接触させる段階、及び
(ii) カチオンチャンネルに対する化合物の機能的効果を決定する段階、
を含んで成る方法を提供する。
【0021】
1つの実施形態においては、機能的効果は、物理的効果又は化学的効果である。1実施形態においては、ポリペプチドは組換え型である。もう1つの実施形態では、機能的効果は、チャンネルに対するリガンド結合を測定することによって決定される。もう1つの実施形態においては、カチオンチャンネルは、ホモマルチマーチャンネルである。もう1つの実施形態においては、カチオンチャンネルはヘテロマルチマーチャンネルである。
【0022】
1実施形態においては、ポリペプチドは真核性宿主細胞又は細胞膜の中で発現される。もう1つの実施形態においては、機能的効果は、イオン流束、イオン濃度変化、電流変化又は電圧変化の測定によって決定される。
【0023】
1つの態様では、本発明は、CNG2Bポリペプチドを含む環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルを通るイオン流束を増大又は減少させる化合物を同定するための方法において、(i) CNG2Bポリペプチドの少なくとも100個のアミノ酸又はCNG2Bポリペプチドをコードする核酸の少なくとも300個のヌクレオチドのアミノ酸配列をコンピュータシステム内に入力する段階であって、該CNG2Bポリペプチドが配列番号1に対し少なくとも95%の同一性をもつアミノ酸配列を含む段階、(ii) アミノ酸配列によりコードされたポリペプチドの3次元構造を生成する段階、(iii) CNG2Bポリペプチドを含むカチオンチャンネルの3次元構造を生成する段階、(iv)化合物の3次元構造を生成する段階、及び(v) 化合物がポリペプチドに結合するか否かを決定するべくポリペプチド及び化合物の3次元構造を比較する段階、を含んで成る方法を提供する。
【0024】
1実施形態においては、アミノ酸配列は、全長CNG2Bポリペプチドである。
【0025】
もう1つの態様では、本発明は、被験者の疾病を治療するためCNG2Bサブユニットを含むCNGカチオンチャンネルを通るイオン流束を変調させる方法において、本書中に記載されている方法のいずれかを用いて同定された化合物を治療上有効な量だけ被験者に投与する段階を含んで成る方法を提供する。
【0026】
もう1つの態様においては、本発明は、ヒトの組織内のCNG2Bの存在を検出する方法において、(i) 生体標本を単離する段階、(ii) CNG2Bと選択的に会合するCNG2B特異的試薬と生体標本を接触せる段階、及び(iii) 標本と選択的に会合するCNG2B特異的試薬のレベルを検出する段階、を含んで成る方法を提供している。
【0027】
1実施形態においては、CNG2B特異的試薬は、CNG2B特異的抗体、CNG2B特異的オリゴヌクレオチドプライマ及びCNG2B核酸プローブから成るグループの中から選択される。
【0028】
もう1つの態様においては、本発明は、コンピュータシステム内でヒトCNG2B遺伝子の突然変異についてスクリーニングする方法において、(i) 配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列をもつCNG2Bポリペプチドをコードする第1の核酸配列及びその保存的に修飾されたバージョンをコンピュータ内に入力する段階、
(ii) 第1の核酸配列に対する実質的同一性をもつ第2の核酸配列と第1の核酸配列を比較する段階、及び(iii) 第1及び第2の核酸配列の間のヌクレオチド差を同定する段階、を含んで成る方法を提供する。
【0029】
1実施形態においては、第2の核酸配列は、1つの疾病状態と結びつけられる。
【0030】
発明の詳細な説明
I.序
本発明は、環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルのCNGファミリーのメンバーの1つであるCNG2Bをコードする核酸を初めて提供する。このファミリーのメンバーは、6つの膜内外領域、孔モチーフ及び細胞質環状ヌクレオチド結合ドメインをもつカチオンチャンネルのポリペプチドサブユニットである。CNG2Bは、いずれかの特定の理論に束縛されることなく、アルファ及びベータサブユニットの両方の特徴をもつラットOCNC2に最も類似している。CNG2Bは、中枢神経系内で発現されることから、多数の神経系疾患のいずれの治療にでも有用となるCNG2B機能のモジュレータを同定することが可能である。
【0031】
本発明は、従って、CNG2Bサブユニットを含有するカチオンチャンネルの活性化物質及び阻害物質についてスクリーニングする方法を提供する。カチオンチャンネル活性のかかるモジュレータは、神経系疾患を含めた疾患の治療にとって有用である。
【0032】
その上、本発明は、CNG2Bが直接又は間接的リポータ分子として作用するCNG活性についての検定を提供する。検定及び検出システムにおけるリポータ分子としてのCNG2Bのこのような使用には広い利用分野があり、例えば、CNG2Bを、in vitro, in vivo及びex vivoで、カチオン濃度、膜電位、電流の流れ、イオン流束、転写、シグナル伝達、レセプタ−リガンド相互作用、第2のメッセンジャー濃度の変化を測定するためのリポータ分子として使用することができる。1実施形態においては、特定の方向への電流の流れ(例えば外向き又は内向きのカチオン流)のインジケータとしてCNG2Bを使用することができ、又もう1つの実施形態においては、緑色螢光タンパク質といったような第2のリポータ分子に対する付着を介して間接的リポータとしてCNG2Bを使用することができる。
【0033】
本発明は同様に、CNG2Bファミリーによって提供されるチャンネルの多様性の調査ならびに神経系疾患を含めた疾患の診断を可能にする、CNG2B核酸及びタンパク質の発現を検出する方法をも提供する。
【0034】
最後に、本発明は、CNG2B遺伝子又はタンパク質の突然変異についてのスクリーニング方法を提供する。本発明は、コンピュータを使用したCNG2B内の突然変異についてのスクリーニング方法を内含するが、これに制限されるわけではない。同様にして、本発明は、CNG2Bポリペプチドの3次元構造を同定する方法、ならびにCNG2Bポリペプチドの3次元構造を含む、結果として得られたコンピュータ読取り可能画像又はデータを提供している。CNG2B遺伝子又はタンパク質の突然変異についてのその他のスクリーニング方法には、高密度オリゴヌクレオチドアレイ、PCR、免疫検定法などが含まれる。
【0035】
機能的には、CNG2Bポリペプチドは、環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルのサブユニット例えばアルファサブユニットである。CNG2B含有チャンネルは、ホモマルチマー又はヘテロマルチマーのいずれかである。ホモマルチマーCNG2B含有チャンネルは、CNG2Bサブユニットに加えて、単数又は複数のCNGアルファ又はベータサブユニットを含有しうる。カチオンチャンネル内のCNG2Bの存在は、ヘテロマーチャンネルの活性を変調でき、かくしてチャンネル多様性を増強することができる。チャンネル多様性は同様に、CNG2B遺伝子の交互にスプライシングされた形態ででも増強される。CNG2B核酸は、ヒト中枢神経系からのcDNAから単離された。
構造的には、ヒトCNG2Bのヌクレオチド配列(配列番号2〜3)は約66kDの予想分子量、61〜71kDの予想分子量範囲を伴うポリペプチド単量体をコードする。CNG2Bポリペプチドは標準的に、6つの膜内外ドメイン、孔モチーフ及び細胞質環状ヌクレオチド結合ドメインを内含するアルファ及びベータCNGサブユニットの中で共通のモチーフの各々を含有している(Finn et al., Ann. Rev. Physiol. 58:395−426:1996)。その他の種からの関連するCNG2B遺伝子は、配列番号1として示されているCNG2Bと少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は好ましくは95%〜100%のアミノ酸同一性を共有している。
【0036】
本発明は同様に、配列番号1に記されているヒトCNG2Bの多形性変異体をも提供する。すなわち、イソロイシン残基がアミノ酸位置110でバリン残基に置き換わる変異体#1; グリシン残基がアミノ酸位置520でセリン残基に置き換わる変異体#2; アミノ酸位置537でリシン残基がアルギニン残基に置き換わる変異体#3及びアミノ酸位置550でグルタミン酸残基がアスパラギン酸残基に置き換わる変異体#4である。
【0037】
CNG2Bのヌクレオチド及びアミノ酸配列を用いて、CNG2Bの多形性変異体、種間相同体及び対立遺伝子を同定することができる。この同定は、in vitroで例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件及び配列決定下でin vitroで、又はその他のヌクレオチド配列との比較のためコンピュータシステム内の配列情報を用いることで、又は、CNG2Bに対し発生させられた抗体を用いることによって行なうことができる。標準的には、CNG2B多形性変異体は直系遺伝子及び対立遺伝子の同定は、配列番号1のアミノ酸配列(又はアミノ酸配列をコードする核酸)を比較することにより行なわれる。標準的に、少なくとも60%以上、70%、65%、75%、80%、好ましくは85%、最も好ましくは95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性により1つのタンパク質がCNG2B多形性変異、種間相同体又は対立遺伝子であることが実証される。配列の比較は、標準的に、以下で論述するデフォルトパラメータを伴うBLAST又はBLAST2.0アルゴリズムを用いて実施される。
【0038】
CNG2B多形性変異体、種間相同体及び対立遺伝子は、推定上のCNG2Bポリペプチド単量体を発現又は同時発現し、それがCNGファミリーの機能的及び生化学的特徴をもつカチオンチャンネルを形成するか否かを検査することによって確認できる。この検定は、CNG2Bに対し約60%以上、65%、70%、75%、80%、好ましくは85%、90%又は95%以上のアミノ酸同一性をもつタンパク質がCNG2Bと同じ機能的特徴を共有し、従ってCNG2Bの種であることを実証するために使用される。標準的には、配列番号1のアミノ酸配列をもつヒトCNG2Bが、CNG2B多形性変異体、直系遺伝子、保存的修飾を受けた変異体、突然変異体又は対立遺伝子の同定を実証するべく推定上のCNG2B PRに比較した正の対照として用いられる。
【0039】
コンピュータシステム内で環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルのモデルを構築するためにも、CNG2Bヌクレオチド及びアミノ酸配列情報を使用することができる。これらのモデルは、その後CNG2Bポリペプチドを含む環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルを活性化又は阻害することのできる化合物を同定するために使用される。CNG2Bポリペプチドを含むチャンネルの活性を変調するこのような化合物は、チャンネル活性の変調及びチャンネル多様性におけるCNG2Bポリペプチドの役割を調査するために使用することができる。
【0040】
生物活性あるCNG2Bの単離は初めて、CNG2Bサブユニットを含むCNG2Bの阻害物質及び活性化物質について検定する手段を提供する。生物活性あるCNG2Bポリペプチドは、例えば電圧又は電流の変化を測定するin vivo及びin vitro発現を用いたCNG2Bのサブユニットを含む環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルの阻害物質及び活性化物質の試験のために有用である。少なくとも1つのCNG2Bサブユニット、任意には最高4つのCNG2Bサブユニットを含むカチオンチャンネルを用いて同定されたかかる活性化物質及び阻害物質は、カチオンチャンネルの環状ヌクレオチド作動性、チャンネル反応速度及びコンダクタンス特性をさらに研究するために使用可能である。かかる活性化物質及び阻害物質は、上述のように、例えば神経系疾患を含む疾患といった、異常なイオン流束が関与する疾病を治療するための薬剤として有用である。CNG2B核酸及びポリペプチド及びCNG2Bポリペプチドを含むチャンネルの発現を検出する方法は又、例えば上述のような異常なイオン流束が関与する疾病のための診断の利用分野にとっても有用である。例えば、ヒトCNG2Bをコードする遺伝子の染色体位置特定を用いて、CNG2Bによりひき起こされCNG2Bと関連づけされる疾病を同定することができる。CNG2Bを検出する方法は又、チャンネル多様性及びチャンネル活性の変調におけるCNG2Bの役割を検査するためにも有用である。
【0041】
II.定義
本書で使用される以下の用語は、相反する規定のないかぎり、それらに与えられた意味を有する。
【0042】
CNG2Bというのは、環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルのサブユニット又は単量体でありかつCNGファミリーのメンバーであるポリペプチドのことを意味する。CNG2Bがカチオンチャンネル、例えばホモマルチマー又はヘテロマルチマーカチオンチャンネルの一部である場合、そのチャンネルは、環状ヌクレオチド作動性又は酸化窒素作動性の特徴をもつ。従って、CNG2Bという語は、(1)配列番号1のCNG2B配列に対し約60%以上のアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは95%、96%、97%、98%又は99%以上のアミノ酸配列同一性をもつアミノ酸サブ配列を有するか、(2)例えば配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメント又は保存的に修飾された変異体を含む免疫原に対し発生させられたポリクローナル抗体といった抗体に結合するか;(3)配列番号2〜3の配列及びそのフラグメント及び保存的に修飾された変異体に対しストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成するか;(4)配列番号2又は配列番号3に対し約90%以上好ましくは約96%、97%、98%、99%以上のヌクレオチド配列同一性をもつ核酸サブ配列を有するか;又は(5)配列番号4〜13から成るグループの中から選択されたプライマセットと同じ配列に対し、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成するプライマによって増幅される、CNG2B多形性変異体、対立遺伝子、突然変異体及び種間相同体を意味する。
【0043】
「環状ヌクレオチド作動性(gated)」活性又は「環状ヌクレオチド作動性(gating)」という語句は、個々のポリペプチド単量体又はサブユニットから成るカチオンチャンネルの1つの特徴を意味する。一般に環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルは、cGMP及びcAMPといったような環状ヌクレオチドの直接的結合によって開かれる非選択的カチオンチャンネルの一つのクラスである。CNGチャンネルは、Na及びCa2+に対する高い透過性をもち、その活性化は、脱分極を導き、内部Ca2+濃度を増大する。CNGチャンネルはかくして、細胞質環状ヌクレオチドレベルの変化を、細胞励起性の変化、神経伝達物質の分泌及び又はカルシウム依存性経路の刺激にリンクさせることができる。CNGチャンネルは、光及びエアゾール化又は溶解させられた分子といったような一次感覚刺激に応答した、例えば中枢神経系全体にわたる細胞といった数多くの細胞内の感覚シグナル伝達において重要な役割を果たす。光受容細胞内では、CNGチャンネルは、cGMPの高い基礎濃度に起因して暗闇内で開放し、膜の緊張性脱分極及び構成性神経伝達物質の放出をひき起こす。光による刺激の時点で、cGMPレベルは低下し、CNGチャンネルを閉じ、こうして、今度は、膜の過分極、内部Ca2+濃度の低下及び神経伝達物質の放出の減少をひき起こす。CNGチャンネルは同様に、酸化窒素経路といったような第2のメッセンジャー系統とも相互作用し得る。一部のケースでは、NOはこれらのチャンネルを作動する上で環状ヌクレオチドの代わりとなり得る(例えばBroillet, et al., Neuron18;951〜958(1997)を参照する)。
【0044】
「ホモメリックチャンネル」又は「ホモマルチマーチャンネル」という語は、同一のアルファサブユニットから成るCNGチャンネルを意味し、一方「ヘテロマーチャンネル」又は「ヘテロマルチマーチャンネル」は、例えばCNG2Bといった少なくとも1つのCNGアルファサブユニットに少なくとも1つのその他のタイプのアルファ又はベータサブユニットを加えたものから成るCNGチャンネルを意味する。
【0045】
「アルファサブユニット」とは、機能的チャンネルを作り出すために少なくとも1つのアルファサブユニットが必要とされることから、CNGカチオンチャンネルの必須サブユニットであるポリペプチド単量体である。アルファサブユニットは、ホモルマルチマーカチオンチャンネルを形成することもできるし、又は、その他のベータサブユニット又はその他の非相同アルファサブユニットを含むヘテロマルチマーチャンネルを形成することもできる。特定のあらゆるアルファサブユニットが、一つの生体又は1つの細胞内のさまざまなチャンネルタイプ、例えば、1つの細胞型内のホモマルチマーチャンネルの形成、第2の細胞型内のベータサブユニットを伴うヘテロマルチマーチャンネルの形成及び、第3の細胞型内の非相同アルファサブユニットを伴う第3のヘテロマルチマーチャンネルの形成に参与できる。
【0046】
「ベータサブユニット」は、アルファサブユニットから成るCNGカチオンチャンネルの補助サブユニットであるポリペプチド単量体である;ただし、ベータサブユニット単独では、チャンネルを形成することができない(例えば米国特許第5,776,734号参照)。ベータサブユニットは、例えば、アルファサブユニットが細胞表面に到達し、活性化反応速度を変更し、チャンネルに対する天然リガンドの結合の感度を変更するのを助けることによって、チャンネルの数を増大させるものとして知られている。ベータサブユニットは、孔領域の外部にあり孔領域を含むアルファサブユニットと会合され得る。これらは同様に、孔領域の外部口にも寄与し得る。
【0047】
CNG2Bポリペプチドを含むチャンネルに影響を及ぼす化合物を試験するための検定という状況下で使われる「機能的効果」という語句は、間接的又は直接的にチャンネルの影響下にあるあらゆるパラメータの決定を内含する。これには、例えば、リガンド結合といったような直接的物理的効果、及び例えばイオン流束及び膜電位の変化といった間接的な化学的又は表現型の効果、及び転写又はホルモン放出の増減といったようなその他の生理学的効果が含まれる。「機能的効果」には、in vitro(例えば単離された細胞、細胞ライセート又は細胞膜を用いた生化学又はリガンド結合検定)、in vivo(細胞及び動物ベースの検定)及びex vivo活性が内含される。
【0048】
「機能的効果を決定する」というのは、例えばリガンド結合といったような、CNG2Bサブユニット又はそれを含むチャンネルに対する直接的物理的効果、又は例えば細胞又は細胞膜内のイオン流束の増減といったような、CNG2Bサブユニットを含むチャンネルに対する間接的な化学的又は表現型効果を有する化合物の効果を検査することを意味する。イオン流束は、チャンネルを通過するあらゆるイオン及び例えばカリウム、ルビジウムといったその類似体でありうる。好ましくは、この語は、CNG2Bを含むチャンネルに対する化合物の機能的効果、例えば、放射性同位元素を含むイオン流束の変化、電流振幅、膜電位、電流の流れ、コンダクタンス、転写、タンパク質結合、リン酸化、脱リン酸化、第2のメッセンジャー濃度(cAMP、cGMP、Ca2+、IP)、リガンド結合、イオン濃度変化、及びその他の生理学的効果例えばホルモン及び神経伝達物質放出ならびに電圧及び電流の変化を意味する。かかる機能的効果は、例えば、パッチクランプ法、電圧感応性染料、イオン感応性染料、全細胞電流、放射性同位元素流出、誘発性マーカーなどといったような、当業者にとって既知のあらゆる手段により測定可能である。
【0049】
CNG2Bポリペプチドを含む環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルの「阻害物質」「活性化物質」又は「モジュレータ」は、CNG2Bチャンネル機能についてin vitro及びin vivo検定を用いて同定された阻害性又は活性化分子を意味する。阻害物質は、チャンネルの低減、遮断、活性化遅延、不活性化、脱感作又はダウンレギュレーションを行なう化合物である。活性化物質は、チャンネルの活性の増大、開放、活性化、易化、活性化増強、感作又はアップレギュレーションを行なう化合物である。阻害物質及び活性化物質についてのかかる検定には、細胞又は細胞膜内でCNG2Bポリペプチドを発現させること、そして次にチャンネルを通るイオンの流束を測定すること及び分極又はCa2+濃度(すなわち電位)の変化を決定することが含まれる。代替的には、かかる検定において、内因性CNG2Bチャンネルを発現する細胞を使用することができる。阻害の程度を検査するため、CNG2Bチャンネルを含む検定又は標本を電位活性化物質又は阻害物質で処理し、阻害物質無しの対照標本と比較する。対照標本(阻害物質で処理されていないもの)には、100%の相対的CNG2B活性値が割当てられる。CNG2Bを含むチャンネルの阻害は、対照との関係におけるCNG2B活性値が約90%、好ましくは50%、より好ましくは25〜0%のときに達成される。CNG2Bを含むチャンネルの活性化は、対照との関係におけるCNG2B活性値が110%、より好ましくは150%、最も好ましくは少なくとも200〜500%高いか又は1000%又はそれ以上である場合に達成される。
【0050】
「生物活性をもつ」CNG2Bポリペプチドというのは、本書で記述されているように試験された環状ヌクレオチド作動性の特徴をもつカチオンチャンネルを形成する能力をもつCNG2Bポリペプチドを意味する。
【0051】
「単離された」、「精製された」又は「生物学的に純粋な」という語は、その未変性状態で発見された場合に通常付随する構成要素を実質的に又は基本的に含まない材料を意味する。純度及び均一性は標準的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法又は高性能液体クロマトグラフィーといったような分析化学技術を用いて決定される。調製物中に存在する優越する種であるタンパク質が、実質的に精製される。特に、単離されたCNG2B核酸が、CNG2B遺伝子をフランキングしCNG2B以外のタンパク質をコードする読取り枠から分離される。「精製された」という語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲル内で基本的に1つバンドを発生させることを意味する。特に、これは、核酸又はタンパク質が少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、そして最も好ましくは少なくとも99%の純度をもつことを意味している。
【0052】
「テスト化合物」又は「薬物候補」又は「モジュレータ」という語又は本書で使用される文法的等価物は、直接的又は間接的にリンパ球活性化を変調させる能力についてテストされるべき、天然に発生するか又は合成のあらゆる分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド(例えば約5〜約25個、好ましくは約10〜20個又は12〜18個、好ましくは約12、15又は18個のアミノ酸の長さをもつ)、小型有機分子、多糖類、脂質(例えばスフィンゴ脂質)、脂肪酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドなどを記述する。テスト化合物は、充分な多様性範囲を提供するコンビナトリアルライブラリ又は無作為化されたライブラリといったようなテスト化合物ライブラリの形をしていてよい。テスト化合物は、任意には、融合パートナ、例えばターゲティング化合物、レスキュー化合物、2量体化化合物、安定化化合物、アドレス可能な化合物及びその他の機能的部分に操作可能な形でリンクされている。従来、有用な特性をもつ新規化学物質は、例えば阻害活性といったいくつかの望ましい特性又は活性をもつテスト化合物(「リード化合物」と呼ばれる)を同定し、リード化合物変異体を作り出し、かつこれらの変異体化合物の特性及び活性を評価することにより生成される。往々にしてかかる分析のために、高処理能力スクリーニング(HTS)方法が利用される。
【0053】
「小型有機分子」というのは、約50ダルトン以上約5000ダルトン未満、好ましくは約2000ダルトン未満、好ましくは約100〜約1000ダルトンの間、より好ましくは約200〜約500ダルトンの間の分子量をもつ、天然発生型の又は合成の有機分子を意味する。
【0054】
「核酸」というのは、1本鎖又は2本鎖形態でのデオキシポリヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそれらの重合体を意味する。この語は、合成、天然発生型の、及び非天然発生型の基準核酸として類似の結合特性をもち、基本ヌクレオチドと類似の要領で代謝される、既知のヌクレオチド類似体又は修飾されたバックボーン残基又はリンケージを含有する核酸を包含する。かかる類似体の例としては、制限的意味なく、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、ホスホン酸メチル、キラルホスホン酸メチル、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が含まれる。
【0055】
相反する指示のないかぎり、特定の核酸配列は同様に、その保存的に修飾された変異体(例えば同義コドン置換)及び相補的配列ならびに明示的に示された配列を暗に包含する。特定的には、同義コドン置換は、単数又は複数の選択された(又は全ての)コドンの第3の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081(1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605−2608(1985);Rossolini et al., Mol. Cell. Probes8:91−98(1994))。核酸という語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドと互換的に使用される。
【0056】
特定の核酸配列には又、「スプライス変異体」も暗に包含されている。同様にして、核酸によりコードされる特定のタンパク質には、その核酸のスプライス変異体によりコードされたあらゆるタンパク質が暗に包含されている。「スプライス変異体」は、その名が示唆する通り、1つの遺伝子の選択的スプライシングの産物である。転写の後、初期核酸写しは、異なる(選択的な)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするような形でスプライスされ得る。スプライス変異体の産生メカニズムは変動するが、エキソンの選択的スプライシングを内含している。読み過し転写により同じ核酸から誘導された選択的ポリペプチドも、この定義に包含される。スプライス産物の組換え型形態を含めたスプライシング反応のあらゆる産物がこの定義中に内含される。
【0057】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という語は、アミノ酸残基の重合体を意味するべく本書では互換的に使用されている。これらの語は、単数又は複数のアミノ酸残基が対応する天然発生型のアミノ酸の人工的化学的ミメティックであるアミノ酸重合体、ならびに天然発生型のアミノ酸重合体及び非天然発生型のアミノ酸重合体に該当する。
【0058】
「アミノ酸」という語は、天然発生型及び合成アミノ酸ならびに天然発生型アミノ酸と類似の要領で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸ミメティックを意味する。天然発生型アミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに、その後修飾されるようなアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、及び0−ホスホセリンである。アミノ酸類似体というのは、天然に発生するアミノ酸と同じ基本的化学構造をもつ化合物、すなわち、水素に結合した炭素、カルボキシル基、アミノ基及びR基例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルフォキシド、メチオニンメチルスルフォニウムを意味する。かかる類似体は、修飾されたR基(例えばノルロイシン)又は修飾されたペプチドバックボーンを有するが、天然発生型のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックというのは、アミノ酸の一般化学構造と異なるものの天然に発生するアミノ酸と類似の要領で機能する構造をもつ化合物を意味する。
【0059】
アミノ酸は、本書において、その一般に知られている3文字記号か又はIUPAC−IUB生化学命名法委員会が推奨する1文字記号のいずれかにより参照指示され得る。ヌクレオチドも同様に、その一般的に受容された単一文字コードで参照指示されうる。
【0060】
「保存的に修飾された変異体」というのは、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に該当する。特定の核酸配列に関しては、保存的に修飾された変異体は、同一の又は基本的に同一のアミノ酸配列をコードするような核酸を意味し、又核酸がアミノ酸をコードしない場合には、基本的に同一の配列を意味する。遺伝子コードの同義性のため、数多くの機能的に同一の核酸が任意の与えられたタンパク質をコードする。例えばコドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全てアミノ酸アラニンをコードする。かくして、アラニンが1コドンにより特定される全ての位置において、そのコドンを、コードされたポリペプチドを改変することなく、記述された対応するコドンのいずれかに改変させることができる。かかる核酸変異は、保存的に修飾された変異の一種である「サイレント変異」である。1つのポリペプチドをコードする本書中の全ての核酸配列は、同様に、核酸の全ての考えられるサイレント変異を記述する。当業者であれば、(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG及び通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除いて)核酸内の各コドンが機能的に同一の分子を生み出すべく修飾され得る、ということを認識することだろう。従って、1つのポリペプチドをコードする核酸の各々のサイレント変異は、各々の記述された配列において暗に含まれる。
【0061】
アミノ酸配列については、当業者であれば、コードされた配列中の単一のアミノ酸又はアミノ酸のわずかな割合を改変、付加又は欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失又は付加は、改変の結果として1つのアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸での置換をもたらしている「保存的に修飾された変異体」であることを認識するだろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表が、当該技術分野において周知のものとなっている。かかる保存的に修飾された変異体は、本発明の多形性変異体、種間相同体及び対立遺伝子に追加されるものであって、これらを排除するものではない。
【0062】
以下の8個の基が各々、互いについての保存的置換であるアミノ酸を含有する:
1) アラニン(A)、グリシン(G);
2) アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3) アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4) アルギニン(R)、リシン(K);
5) イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6) フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7) セリン(S)、トレオニン(T)及び
8) システイン(C)、メチオニン(M)、
(例えばCreighton,「タンパク質」(1984)を参照のこと)。
【0063】
ポリペプチド構造といったような高分子構造は、さまざまな組織レベルに関して記述され得る。この組織の一般的論述については、例えばAlberts et al.,「細胞の分子生物学」(第3版、1994)及びCantor and Schimmel, 生物物理化学第1部:「生体高分子の立体配座」を参照のこと。「一次構造」というのは、特定のペプチドのアミノ酸配列を意味する。「二次構造」というのは、1つのポリペプチド内の局所的に規則正しい3次元構造を意味する。これらの構造は、ドメインとして一般に知られている。ドメインは、ポリペプチドの1つのコンパクトユニットを形成し、標準的に15〜350個のアミノ酸という長さをもつポリペプチドの部分である。標準的ドメインは、βシート及びα−らせんの広がりといったようなより低い組織の複数の区分から成る。「3次構造」は、ポリペプチド単量体の完全な3次元構造を意味する。「4次構造」は、独立した3次元ユニットの非共有結合会合により形成された3次元構造を意味する。異方性用語はエネルギー用語としても知られている。
【0064】
「標識」というのは、分光学、光化学、生化学、免疫化学又は化学的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識には、32P、螢光染料、電子高密度試薬、酵素(例えば、ELISA内で一般的に使用されているようなもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン、及び抗血清又はモノクローナル抗体が入手可能であるタンパク質が含まれる(例えば配列番号1のポリペプチドは、ペプチド内に放射性標識を取込むことなどによって検出可能であり、ペプチドと特異的に反応性をもつ抗体を検出するために用いられる)。
【0065】
本書で用いられているように「核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド」は、通常は水素結合形成を通した、例えば相補的塩基対合を通した、単数又は複数のタイプの化学的結合を通した相補的配列の標的核酸に結合する能力をもつ核酸として定義づけされる。本書で使用されているプローブは、天然(すなわちA、G、C又はT)又は修飾された塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を内含する可能性がある。さらに、プローブ中の残基は、ハイブリダイゼーションと干渉しないかぎりホスホジエステル結合以外のリンケージにより接合されていてよい。かくして、例えば、プローブは、ホスホジエステルリンケージ以外のペプチド結合によって成分塩基が接合されているペプチド核酸でありうる。当業者であれば、プローブが、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェント性に応じてプローブ配列との完全な相補性が欠如した標的配列を結合しうるということを理解することだろう。プローブは好ましくは、同位元素、発色団、発光団(lumiphore), 色素原などで直接標識づけされるか又は、後にストレプトアビジン複合体が結合しうるビオチンなどにより間接的に標識づけされる。プローブの有無について検定することにより、選択配列又はサブ配列の有無を検出することができる。
【0066】
「標識づけされた核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド」は、共有結合により、リンカー又は化学結合を通して、又は非共有結合的に、イオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合又は水素結合を通して標識に結合され、かくしてプローブに結合した標識の存在を検出することによって、その存在を検出できるようになっているものである。
【0067】
「組換え型」という語は、1つの細胞又は核酸、タンパク質又はベクターに関して使用される場合、その細胞、核酸、タンパク質又はベクターが非相同ヌクレオチド又はタンパク質の導入又は未変性核酸又はタンパク質の改変によって修飾されたこと又は、細胞がこのように修飾された細胞から誘導されることを表わす。かくして、例えば、組換え型細胞は、細胞の未変性(非組換え型)形態内で見い出されない遺伝子を発現するか又は、そうでなければ異常発現、過少発現されるか又は全く発現されない未変性遺伝子を発現する。
【0068】
「プロモータ」は、核酸の転写を導く核酸制御配列のアレイとして定義づけされる。本書で使用されるプロモータには、ポリメラーゼII型プロモータの場合のTATA要素といったような転写開始部位の近くの必要な核酸配列が含まれる。プロモータには同様に、転写出発部位から数千塩基対ものところに位置特定されうる遠位エンハンサ又はリプレッサ要素が任意に内含される。「構成性」プロモータというのは、大部分の環境及び発達条件下で活性であるプロモータである。「誘発性」プロモータというのは、環境又は発達調節下で活性なプロモータである。「作用可能に連結された」という語は、発現制御配列が第2の配列に対応する核酸の転写を導く、核酸発現制御配列(例えばプロモータ又は転写因子結合部位のアレイ)と第2の核酸配列の間の機能的リンケージを意味する。
【0069】
「非相同な」という語は、核酸の部分に関して使用される場合、天然には互いに同じ関係で発見されない2つ以上のサブ配列をその核酸が含んでいることを表わす。例えば、核酸は、標準的に、例えば1つの供給源からのプロモータ及びもう1つの供給源由来のコード領域といったような新しい機能的核酸を作るべく配置された関連性のない遺伝子からの2つ以上の配列をもって、組換えにより産生される。同様にして、非相同タンパク質とは、そのタンパク質が天然には互いに同じ関係で発見されない2つ以上のサブ配列を含む(例えば融合タンパク質)ことを表わす。
【0070】
「発現ベクター」というのは、宿主細胞内での特定の核酸の転写を可能にする一連の特定された核酸要素を伴う、組換え又は合成によって生成された核酸構成体である。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス又は核酸フラグメントの一部分であり得る。標準的には、発現ベクターは、プロモータに作用可能に連結された状態で転写されるべき核酸を内含する。
【0071】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の状況下で、「同一の」又は「同一性」百分率という語は、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いてか又は手作業整列及び目視により測定されるような指定領域又は比較ウィンドウ全体にわたる最大の対応性について比較され整列されたとき、同じであるか又は規定の百分率の同じアミノ酸残基又はヌクレオチドをもつ(すなわち配列番号1といったアミノ酸配列又は配列番号2又は配列番号3といったヌクレオチド配列に対し60%の同一性、65%、70%、75%、80%、好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性)2つ以上の配列又はサブ配列を意味する。かかる配列は、このとき、「実質的に同一」であると言われる。この定義は同様に、テスト配列の補体をも意味する。好ましくは、同一性は、長さが少なくとも約25アミノ酸又はヌクレオチドである領域全体にわたるか又はより好ましくは長さが50〜100アミノ酸又はヌクレオチドである領域全体にわたり存在する。
【0072】
配列比較のためには、標準的に1つの配列は、基準配列として作用し、これに対しテスト配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、テスト及び基準配列がコンピュータ内に入力され、サブ配列座標が必要に応じて指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。デフォルトプログラムパラメータを使用するか又は代替パラメータを指定することができる。このとき配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、基準配列との関係におけるテスト配列についての配列同一性百分率を計算する。CNG2B核酸及びタンパク質に対する核酸及びタンパク質の配列比較のためには、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズム及び以下で論述するデフォルトパラメータが使用される。
【0073】
本書で使用される「比較ウィンドウ」は、2つの配列が最適な形で整列された後、同じ数のコンティグ位置の基準配列と1つの配列を比較することのできる、20〜600、通常は約50〜約200、さらに通常には約100〜約150から成るグループの中から選択されたコンティグ位置数のいずれか1つのセグメントの意味合いを含む。比較のための配列整列方法は、当該技術分野において周知のものである。比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによってか、Needleman & Wunsch, J. Mol.Biol. 48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによってか、Person & Lipman, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444(1988)の類似性方法探索によってか、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実現によって(Wisconsin Genetics Software Package内のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group, 575 Science Dr.,Madison, WI)又は手作業整列及び目視によって(例えば「分子生物学における現行プロトコル」(Ausubel et al., 1995補遺)参照)行なうことができる。
【0074】
配列同一性及び配列類似性百分率を決定するために適したアルゴリズムの好ましい例は、それぞれAltschul et al., Nuc. Acids Res.25:3389−3402(1977)及びAltschul et al., J. Mol. Biol.215:403−410(1990)に記述されているBLAST及びBLAST2.0アルゴリズムである。本発明の核酸及びタンパク質についての配列同一性を決定するためには、本書に記述されているパラメータを用いてBLAST及びBLAST2.0が使用される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nib.gov/)を通して公に入手可能である。このアルゴリズムには、まず最初に、データベース配列内の同じ長さの1ワードと整列された時点でいくつかの正の値をもつ閾値評点Tを満たすか又はこれと整合する問合せ配列内の長さWの短かいワードを識別することによって、高評定配列対(HSP)を識別することが関与している。Tは、近傍ワード評点閾値と呼ばれる(Altschul et al., supra)。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見い出すべく探索を開始するためのシードとして作用する。ワードヒットは、累積的整列評点が増大されうるだけ、各配列に沿って両方向に拡張される。累積的評点は、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一対の整合する残基についての報酬評点:つねに >0)及びN(不整合残基についてのペナルティ評点:つねに<0>を用いて計算される。アミノ酸配列については、累積評点を計算するために、評点マトリクスが用いられる。各方向でのワードヒットの拡大は、累積的整列評点がその最大達成値から数量Xだけ降下した場合;単数又は複数の負の評定の残基整列の蓄積に起因して累積的評点がゼロ以下になった場合;又はいずれかの配列の終りに達した時点で、停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、整列の感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、11というワード長(W)、10という予想(E)、M=5、N=4及び両ストランドの比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、3というワード長及び10という予想(E)そして50のBLOSUM62評定マトリクス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Sci.USA89:10915(1989)参照)整列(B)、10という予想(E)、M=5、N=4及び両ストランドの比較をデフォルトとして用いる。
【0075】
BLASTアルゴリズムは同様に、2つの配列間の類似性の統計分析をも実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873−5787(1993)参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間の整合が偶然発生する確率の表示を提供する、最小和確率(P(N))である。例えば、基準核酸に対するテスト核酸の比較における最小和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は基準配列に類似であるとみなされる。
【0076】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であることの表示は、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、以下に記述するように、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対し発生させられた抗体と免疫学的交差反応性をもつということにある。かくして、1つのポリペプチドは標準的に、例えば、2つのペプチドが連続する置換のみによって異なっている場合に、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることのもう1つの表示は、2つの分子又はその他の補体が、以下に記述するようなストリンジェントな条件下で互いにハイブリッド形成するということにある。2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらにもう1つの表示は、同じプライマを配列の増幅のために使用できるということにある。
【0077】
「選択的に(又は特異的に)ハイブリッド形成する」という語句は、その配列が複合混合物(例えば全細胞又はライブラリDNA又はRNA)内に存在する場合に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列のみに分子が結合、二本鎖分子化又はハイブリッド形成することを意味する。
【0078】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、標準的に核酸の複合混合物中でプローブがその標的サブ配列にハイブリッド形成するもののその他のいかなる配列にもハイブリッド形成しないような条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性をもち、異なる状況で異なるものとなる。配列が長ければ長いほど、高い温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範囲の指針は、Tijssen, 生化学及び分子生物学における技術−核酸プローブとのハイブリダイゼーション、「ハイブリダイゼーションの原理及び核酸検定戦略の概要」(1993)の中に見い出される。一般に、ストリンジェントな条件は、定義づけされたイオン強度pHにおける特定的配列についての熱融解点(Tm)よりも約5〜10℃低いものとなるよう選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリッド形成する温度(定義づけされたイオン強度、pH及び核濃度下の)である(標的配列は、余剰に存在することから、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は同様に、ホルムアミドといったような不安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的又は特異的ハイブリダイゼーションについては、正のシグナルが少なくともバックグラウンドの2倍、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、以下の通りであり得る:42℃でインキュベートする50%のホルムアミド、5×SSC及び1%のSDS又は65℃でインキュベートする5×SSC、1%SDS、及び0.2×SSC及び0.1%SDS内で65℃での洗浄。
【0079】
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリッド形成しない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、なお実質的に同一である。例えば、これは、遺伝子コードにより可能になった最大コドン同義性を用いて核酸コピーが作り出された時点で起こる。このような場合、核酸は、標準的に中程度にストリンジェントのハイブリダイゼーション条件下でハイブリッド形成する。「中程度にストリンジェントのハイブリダイゼーション条件」の例としては、37℃で40%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDSの緩衝液中でのハイブリダイゼーション及び45℃で1×SSC内での洗浄が含まれる。当業者であれば、類似のストリンジェントの条件を提供するために、代替的ハイブリダイゼーション及び洗浄条件を利用できるということを容易に認識することだろう。ハイブリダイゼーションパラメータを決定するための付加的な指針が、例えば「分子生物学における現行プロトコル」Ausubel et al.編といった数多くの参考文献中で提供されている。
【0080】
PCRのためには、低ストリンジェント性増幅にとっては約36℃の温度が標準的であるが、アニーリング温度は、プライマ長に応じて約32℃〜48℃の間で変動し得る。高ストリンジェント性のPCR増幅については、約62℃という温度が標準的であるが、高ストリンジェント性のアニーリング温度は、プライマ長及び特異性に応じて約50℃〜約65℃の範囲内にあり得る。高及び低ストリンジェントの増幅のための標準的サイクル条件は、30秒〜2分間の90℃〜95℃の変性段階、30秒〜2分間持続するアニーリング段階、そして1〜2分間約72℃の伸長段階を内含する。低及び高ストリンジェント性増幅反応についてのプロトコル及び指針は、例えば、Innis et al.(1990)PCRプロトコル、方法及び応用手引書、Academic Press, Inc.N.Y. 中に提供されている。
【0081】
「抗体」は、抗原を特異的に結合し認識する免疫グロブリン遺伝子又はそのフラグメントからのフレームワーク領域を含むポリペプチドを意味する。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミュー定常領域遺伝子ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を内含する。軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、それ自体それぞれ免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを定義づけするガンマ、ミュー、アルファ、デルタ又はイプシロンとして分類される。
【0082】
免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各々の四量体は、各々1つの「軽」(約25kD)及び1つの「重」(約50〜70kD)鎖をもつ同一の2つのポリペプチド鎖対で構成されている。各鎖のN末端は、主として抗原認識を担当する約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を画定する。可変軽鎖(V)及び可変重鎖という語は、それぞれこれらの軽鎖及び重鎖を意味する。
【0083】
例えばさまざまなペプチダーゼでの消化により産生される充分に特徴づけされたフラグメントの数として又は無傷免疫グロブリンとして抗体が存在する。かくして、例えば、ペプシンは、それ自体ジスルフィド結合によりV−C1に接合された軽鎖であるFabの2量体であるF(ab)’を産生するべくヒンジ領域内のジスルフィド結合の下で抗体を消化する。F(ab)’は、穏やかな条件下で還元されて、ヒンジ領域内のジスルフィド結合を破り、かくしてF(ab)’二量体をFab′単量体に変換する。Fab′単量体は、基本的に、ヒンジ領域の一部分を伴うFabである(Fundamental Immunology(Paul ed.3d ed.1993)参照)。無傷の抗体の消化に関してさまざまな抗体フラグメントが定義づけされているが当業者であれば、かかるフラグメントが化学的にか又は組換え型DNA方法を用いることによって改めて合成可能であることがわかるだろう。かくして、本書で使用されているような抗体という語は、同様に、全抗体の修飾によって産生された抗体フラグメント、又は組換え型DNA方法を用いて改めて合成されたもの(例えば軽鎖Fv)、又はファージ表示ライブラリを用いて同定されたもの(例えばMcCafferty et al., Nature348:552−554(1990)参照)のいずれかをも含んでいる。
【0084】
モノクローナル又はポリクローナル抗体の調製のためには、当該技術分野で既知のあらゆる技術を使用することができる(例えば、Kohler & Milstein, Nature256;495−497(1975);Kozbor et al., Immunology Today4:72(1983);Cole et al., pp.77−96 Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc.(1985)中参照)。単鎖抗体の産生のための技術(米国特許第4,946,778号)を適合させて、本発明のポリペプチドに対する抗体を産生することができる。同様に、遺伝子導入マウス又はその他の哺乳動物といったようなその他の生体を用いて、ヒト化抗体を発現させることもできる。代替的には、選択された抗原に対し特異的に結合するヘテロマー Fab フラグメント及び抗体を同定するためにファージ表示技術を使用することができる(例えば、McCafferty et al., Nature348:552−554(1990);Marks et al., Biotechnology10:779−783(1992)を参照のこと)。
【0085】
「抗−CNG2B」抗体は、CNG2B遺伝子、cDNA又はそのサブ配列によりコードされるポリペプチドを特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0086】
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が異なる又は改変されたクラス、エフェクタ機能及び/又は種の定常領域又はキメラ抗体に新しい特性を付与する例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などの全く異なる分子に連結されるような形で定常領域又はその一部分が改変、置換又は交換されているか;又は(b)可変領域又はその一部分が、異なる又は改変された抗原特異性をもつ可変領域で改変、置換又は交換されている抗体分子である。
【0087】
「免疫検定」というのは、抗原を特異的に結合させるのに抗体を用いる検定である。免疫検定は、その抗原を単離、ターゲティング及び/又は定量化するために特定の抗体の特異的結合特性を使用することにより特徴づけされる。
【0088】
抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」又は「特異的(又は選択的)免疫反応をもつ」という語句は、タンパク質又はペプチドに言及している場合、タンパク質及びその他の生物製剤の異種集団の中のタンパク質の決定要因である結合反応を意味する。かくして、指定された免疫検定条件下で、特定された抗体は、少なくともバックグラウンドの2倍、特定のタンパク質に対し結合し、標本中に存在するその他のタンパク質に対し有意な量で実質的に結合しない。かかる条件下での1つの抗体に対する特異的結合には、特定のタンパク質に対するその特異性のために選択される抗原が必要となる可能性がある。例えば、配列番号1に示されているような、CNG2Bに対し発生させられたポリクローナル抗体、又はスプライス変異体又はその一部分を、CNG2Bと特異的免疫反応性をもちその他のタンパク質とはもたないポリクローナル抗体のみを得るために選択することができる。この選択は、その他のCNGファミリーのメンバーといったような分子と交差反応する抗体をと取り去ることによって達成できる。さらに、CNG2Bを認識するもののその他のCNGファミリーのメンバーを認識しないような抗体のみを得るべく、CNG2B、多形性変異体、対立遺伝子、直系遺伝子及び保存的に修飾された変異体に対し発生させられたポリクローナル抗体を選択することができる。さらに、同じ要領で、他のCNG2B直系遺伝子ではなくヒトCNG2Bに対する抗体を選択することができる。特定のタンパク質と特異的免疫反応性をもつ抗体を選択するためには、さまざまな免疫検定フォーマットを使用することができる。例えば、タンパク質と特異的免疫反応をもつ抗体を選択するために、固相ELISA免疫検定が日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応性を決定するのに使用できる免疫検定フォーマット及び条件の記述については、Harlow & Lane,「抗体、その実験室マニュアル」(1988)を参照のこと)。標準的には、特異的又は選択的反応は少なくともバックグラウンドシグナル又はノイズの2倍、より標準的にはバックグラウンドの10〜100倍となる。
【0089】
「選択的に会合する」という語句は、上述のように、核酸がもう1つの核酸と「選択的にハイブリッド形成する」能力又は、上述のように抗体がタンパク質に対し「選択的(又は特異的)に」結合する能力を意味する。
【0090】
「宿主細胞」というのは、発現ベクターを含有し、発現ベクターの複製又は発現を支援する細胞を意味する。宿主細胞は、E. coliといったような原核細胞、酵母、昆虫、両生類といった真核細胞又はCHO、HeLaなどといった哺乳動物細胞、例えば、培養細胞、外植体及びin vivoの細胞でありうる。
【0091】
本書で使用されている「生体標本」は、CNG2Bタンパク質をコードする核酸又はCNG2Bポリペプチドを含有する生体組織又は流体の標本である。かかる標本は、ヒトから単離された組織を内含するが、これらに制限されるわけではない。生体標本は同様に、組織学的目的で取られた凍結切片といったような組織切片をも内含することができる。生体標本は、標準的には、真核生体、好ましくは、真菌、植物、昆虫、原生動物、鳥、魚、は虫類といった真核生物そして好ましくは、ラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモット又はウサギといった哺乳動物、そして最も好ましくはチンパンジー又はヒトといった霊長類から得られる。
【0092】
III.CNG2Bポリペプチドをコードする遺伝子の単離
A.一般的組換え型DNA方法。
【0093】
本発明は、組換え型遺伝学の分野における日常的技術に依存するものである。本発明で使用される一般的方法を開示する基本的テキストとしてはSambrook et al., 分子クローニング、実験室マニュアル(第2版1989);Kriegler, 遺伝子の移入及び発現;実験室マニュアル(1990);及び分子生物学における現行プロトコル(Ausubel et al., eds.,1994)が含まれる。
【0094】
核酸については、サイズはキロベース(kb)又は塩基対(bp)で示される。これらは、アガロース又はアクリルアミドゲル電気泳動法、配列決定された核酸又は公表されたDNA配列から誘導された推定値である。タンパク質については、サイズはキロダルトン(kD)又はアミノ酸残基数で示されている。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動、配列決定されたタンパク質、誘導されたアミノ酸配列又は公表されたタンパク質配列から推定される。
【0095】
市販されていないオリゴヌクレオチドは、Van Devanter et al., Nucleic Acids Res.12:6159−6168内に記述されているように、自動合成機を用い、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Letts.22:1859−1862(1981)により最初に記述された固相ホスホラミダイトトリエステル方法に従って、化学合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、Pearson & Reanier, J. Chrom.255:137−149(1983)に記述されているようにアニオン交換HPLCによるか又は天然アクリルアミドゲル電気泳動による。
【0096】
クローニングされた遺伝子及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えば、Wallace et al., Gene16:21−26(1981)の2本鎖鋳型を配列決定するための核酸連鎖停止法を用いてクローニング後に確認できる。
【0097】
B.CNG2Bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の単離のためのクローニング方法
一般に、CNG2Bをコードする核酸配列及び関連する核酸配列相同体は、cDNA及びゲノムDNAライブラリからクローニングされるか又は、オリゴヌクレオチドプライマを用いた増幅技術を使用して単離される。例えば、標準的に、その配列が配列番号2〜3から誘導され得るヌクレオチドプローブ又はポリヌクレオチドとのハイブリッド形成により、ヒト核酸(ゲノム又はcDNA)ライブラリから、CNG2B配列が単離される。CNG2BRNA及びcDNAを単離できる適切な組織は、中枢神経系(CNS)である。好ましくは、増幅のための鋳型は、ヒトCNSの一部分から作られた第1鎖cDNAである。
【0098】
DNA又はRNAからCNG2Bを増幅し単離するためには、プライマを用いた増幅技術を使用することもできる。ヒトCNG2Bの配列を増幅するためには、以下のプライマを使用することもできる。
【0099】
【化3】
Figure 2004528004
【0100】
これらのプライマは、例えば、その後全長CNG2Bについてライブラリをスクリーニングするのに使用される、1〜数百個のヌクレオチドのプローブ又は全長配列のいずれかを増幅するために使用することができる。例えば、オリゴ1(配列番号4)をオリゴ2(配列番号5)と共に使用して657bpのバンドを産生することができ、オリゴ9(配列番号12)及びオリゴ10(配列番号13)を用いて全コード領域を増幅することができる。さらに、その他のオリゴと合わせて、オリゴ9をオリゴ2、6、7又は8(配列番号5、9、10又は11)と共に使用してそれぞれ約1.7Kb、1.28Kb、170bp又は90bpのバンドを産生することができる。同様にして、オリゴ10をオリゴ1、3又は4(配列番号4、6又は7)と共に使用してそれぞれ約715bp、455bp又は240bpのフラグメントを産生することができる。CNG2Bの増幅には、オリゴ9及び10中の太字のヌクレオチドのみが必要とされ、上述の産物のサイズは各々概数である。
【0101】
CNG2B及びその他のCNG2Bファミリーのメンバーをコードする核酸は、プローブとして抗体を用いて発現ライブラリから単離することもできる。かかるポリクローナル又はモノクローナル抗体は、配列番号1の配列又はそのいずれかの免疫原性部分を用いて発生させることができる。
【0102】
CNG2Bの保存された領域と実質的に同一のものであるCNG2Bの多形性変異体、直系遺伝子及び対立遺伝子は、ライブラリをスクリーニングすることにより、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でCNG2B核酸プローブ及びオリゴヌクレオチドを用いて単離することができる。代替的には、同様にCNG2B相同体を認識しこれに選択的に結合するヒトCNG2B又はその一部分に対し作られた抗血清又は精製抗体で免疫学的に発現済み相同体を検出することにより、CNG2B及びCNG2Bの多形性変異体、直系遺伝子及び対立遺伝子をクローニングするために、発現ライブラリを使用することができる。
【0103】
cDNAライブラリを作るためには、CNG2BmRNAが豊富な供給源、例えば中枢神経系を選択しなくてはならない。このとき、mRNAは、逆転写酵素を用いてcDNAへと作製され、組換え型ベクターへと連結され、伝播、スクリーニング及びクローニングのため組換え型宿主へと形質移入される。cDNAライブラリを作製しスクリーニングするための方法は、周知である(例えばGubler & Hoffman, Gene25:263−269(1983);Sambrook et al., supra;Ausubel et al., 前出、を参照のこと)。
【0104】
ゲノムライブラリについては、DNAは組織から抽出され、機械的にせん断されるか又は酵素により消化されて、約12〜20kbのフラグメントを生成する。フラグメントはこのとき、望ましくないサイズから、勾配遠心分離により分離され、バクテリオファージラムダベクター内で構築される。これらのベクター及びファージは、in vitroでパッケージングされる。組換え型ファージは、Benton & Davis, Science196:180−182(1977)内で記述されているようなプラークハイブリダイゼーションにより分析される。コロニーハイブリダイゼーションが、Grunstein et al ., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 72:3961−3965(1975)に一般的に記述された通りに、実施される。
【0105】
CNG2B核酸及びその直系遺伝子, 対立遺伝子, 突然変異体、多形性変異体及び保存的に修飾された変異体を単離する代替的方法では、合成オリゴヌクレオチドプライマの使用とRNA又はDNA鋳型の増幅が組合わされる(米国特許第4,683,195号及び4,683,202号:PCRプロトコル:方法及び応用手引書(Innis et al., eds, 1990)を参照のこと)。mRNAから、cDNAから、ゲノムライブラリ又はcDNAライブラリから直接ヒトCNG2Bのヌクレオチド配列を増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びリガーゼ連鎖反応(LCR)といったような方法を使用することができる。本書で提供された配列を用いて、CNG2B相同体を増幅するように、同義オリゴヌクレオチドを設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ部位は、プライマ内に取込むことができる。ポリメラーゼ連鎖反応又はその他のin vitro増幅方法は同様に、例えば、発現すべきタンパク質についてコードする核酸配列をクローニングするため、生理学的標本中のmRNAをコードするCNG2Bの存在を検出するためのプローブとして使用するための核酸を作るため、核酸配列決定のため、又はその他の目的にためにも有用である。PCR反応によって増幅された遺伝子は、アガロースゲルから精製され、適切なベクターへとクローニングされ得る。
【0106】
CNG2Bの遺伝子発現は、当該技術分野において既知の技術、例えば、mRNAの逆転写及び増幅、合計RNA又はポリA「RNA」の単離、ノーザンブロット法、ドットブロット法、in situ ハイブリダイゼーション、リボヌクレアーゼ保護、高密度ポリヌクレオチドアレイ技術などによっても分析可能である。
【0107】
タンパク質の発現のため又はプローブとしての使用のため組換え型CNG2B遺伝子を構築するのに、合成オリゴヌクレオチドを使用することができる。この方法は、その遺伝子のセンス及びノンセンス(アンチセンス)の両方のストランドを表わす。通常長さ40〜120bpの一連のオーバラップオリゴヌクレオチドを用いて実施される。これらのDNAフラグメントは、このとき、アニールされ連結されクローニングされる。代替的には、CNG2B遺伝子の特異的サブ配列を増幅させるために、正確なプライマと共に増幅技術を使用することができる。このとき、特異的サブ配列は、発現ベクター内に連結される。
【0108】
CNG2Bのための遺伝子は標準的に、複製及び/又は発現のため原核又は真核細胞へと形質転換する前に、中間ベクターへとクローニングされる。これらの中間ベクターは、標準的には、原核生物ベクター、例えばプラスミド又はシャトルベクターである。
【0109】
C.原核生物及び真核生物内での発現
CNG2BをコードするcDNAといったようなクローニングされた遺伝子の高レベルの発現を得るためには、標準的に、転写を導くための強いプロモータ、転写/翻訳ターミネータそして、1つのタンパク質をコードする核酸の場合には翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有する発現ベクター内に遺伝子をサブクローニングさせる。適切な細菌プロモータは、当該技術分野において周知であり、例えばSambook et al., and Ausubel et al.前出、の中で記述されている。CNG2Bタンパク質を発現するための細菌発現系は、例えば、E. coli, Bacillus種及びSalmonellaにおいて入手可能である(Palva et al., Gene22:229−235(1983);Mosbach et al., Nature 302:543−545(1983)。かかる発現系のためのキットは市販されている。哺乳動物細胞、酵母及び昆虫細胞のための真核性発現系が当該技術分野において既知であり、同様に市販されている。
【0110】
非相同核酸の発現を導くために使用されるプロモータの選択は、特定の利用分野によって左右される。プロモータは、好ましくは、その天然の環境内での転写開始部位からの距離にほぼ同じ非相同転写開始部位からの距離のところに位置づけされている。しかしながら、当該技術分野で既知の通り、この距離の幾分かの変動も、プロモータ機能の損失無く対処可能である。
プロモータに加えて、発現ベクターは、標準的に、宿主細胞内でのCNG2Bをコードする核酸の発現に必要とされる全ての付加的要素を含有する転写ユニット又は発現カセットを含有する。かくして、標準的な発現カセットは、写しの効率の良いポリアデニル化、リボソーム結合部位及び翻訳終結に必要とされるシグナル及びCNG2Bをコードする核酸配列に作用可能に連結されたプロモータを内含する。カセットの付加的な要素には、エンハンサ及び、ゲノムDNAが構造遺伝子として使用されている場合には機能的スプライス供与体及び受容体部位が含まれ得る。
【0111】
プロモータ配列に加えて、発現カセットは同様に、効率の良い終結を提供するべく構造遺伝子の下流側に転写終結領域をも含有していなくてはならない。終結領域は、プロモータ配列と同じ遺伝子から得ることもできるし、又異なる遺伝子から得ることもできる。
【0112】
細胞内に遺伝子情報を輸送するのに用いられる特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核又は原核細胞内での発現のために用いられる従来のベクターのいずれでも使用することができる。標準的細菌発現ベクターには、pBR322ベースのプラスミドpSKF、pET23Dといったプラスミド、及びMBP、GST及びLacZといったような融合発現系が内含される。例えばc−mycといった従来の単離方法を提供するため、組換え型タンパク質に対しエピトープタグを付加することもできる。
【0113】
真核性ウイルスからの調節要素を含有する発現ベクターが、標準的に、真核性発現ベクター、例えばSV40ベクター、乳頭腫ウイルスベクター及びエプスタイン−バールウイルスから誘導したベクターの中で使用される。その他の真核性ベクターの例としては、pMSGpAV009/A、pMT010/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、及び、CMVプロモータ、SV40初期プロモータ、SV40後期プロモータ、メタロチオネインプロモータ、マウス乳ガンウイルスプロモータ、ラウス肉腫ウイルスプロモータ、ポリヘドリンプロモータ又は、真核細胞内での発現のために有効であることが示されたその他のプロモータの指導下でタンパク質の発現を可能にするその他のあらゆるベクターがある。
【0114】
真核性ベクターからのタンパク質の発現も同様に、誘発性プロモータを用いて調節可能である。誘発性プロモータを用いて、プロモータの中へとテトラサイクリン又はエクジソンといった誘発剤のための応答要素を取込むことにより、これらの誘発剤の濃度に、発現レベルが結びつけられる。一般的には、誘発剤の存在下でのみ、誘発性プロモータから高レベルの発現が得られる。基底発現レベルは最小である。問題のタンパク質の発現が真核細胞にとって有害である場合、誘発性発現ベクターが往々にして選択される。
【0115】
一部の発現系は、チミジンキナーゼ及びジヒドロ葉酸レダクターゼといったような遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。代替的には、ポリヘドリンプロモータ又はその他の強いバキュロウイルスプロモータの指導下でCNG2Bをコードする配列と共に昆虫細胞内のバキュロウイルスベクタを使用することといったような、遺伝子増幅が関与しない高収量発現系も同様に適している。
【0116】
標準的に、発現ベクター内に内含されている要素は同様に、E. coli内で機能するレプリコン、組換え型プラスミドを内部にもつ細菌の選択を可能にするため抗生物質耐性をコードする遺伝子、及び真核性配列の挿入を可能にするためのプラスミドの可欠領域内のユニーク制限部位をも内含している。選ばれた特定の抗生物質耐性遺伝子は、重要ではなく、当該技術分野において既知の数多くの耐性遺伝子のいずれもが適切である。原核性配列は、必要とあらばそれらが真核細胞内でのDNAの複製と干渉しないような形で選択される。
【0117】
その後標準技術を用いて精製される、大量のCNG2Bタンパク質を発現する細菌、哺乳動物、酵母又は昆虫細胞系統を産生するために、標準的トランスフェクション方法が使用される(例えば、Colley et al., J. Biol. Chem.264:17619−17622(1989);「タンパク質精製手引書」Methods in Enzymology, 182巻中(Deutscher, ed., 1990)を参照)。真核及び原核細胞の形質転換が標準技術に従って実施される。(例えば、Morrison, J. Bact.132:349−351(1977);Clark−Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology101:347−362(Wu et al., eds, 1983を参照のこと)。
【0118】
宿主細胞内に外来性ヌクレオチド配列を導入するための周知の手順のうちのいずれでも使用することができる。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、電気穿孔、微粒子銃、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター、ウイルスベクター、及び宿主細胞内にクローニング済みゲノムDNA、cDNA、合成DNA又はその他の外来性遺伝材料を導入するためのその他の周知の方法のいずれかの使用が含まれる(例えばSambrook et al., 前出参照)。使用される特定の遺伝子操作手順が少なくとも1つの遺伝子をCNG2B発現能力ある宿主細胞内にうまく導入させる能力をもつことだけが必要である。
【0119】
発現ベクターが細胞内に導入された後、トランスフェクションを受けた細胞は以下で識別されている標準的技術を用いて培養から回収されるCNG2Bの発現に有利に作用する条件下で、培養される。
【0120】
IV.CNG2Bポリペプチドの精製
機能的検定の中で使用するため、天然に発生するか又は組換え型のCNG2Bを精製することができる。天然に発生するCNG2B単量体は、例えば、中枢神経系といったようなヒトの組織からか又はCNG2B相同体のその他のあらゆる供給源から精製可能である。組換え型CNG2B単量体は、適切なあらゆる発現系から精製可能である。
【0121】
CNG2B単量体は、硫酸アルミニウムといったような物質での選択的沈降、カラムクロマトグラフィ、免疫精製方法その他を含めた標準的な技術により、実質的純度まで精製可能である(例えばScopes, タンパク質精製:原理と実践(1982);米国特許第4,673,641;Ausubel et al., 前出;及びSambrook et al., 前出)。
【0122】
組換え型CNG2B単量体が精製中である場合、一定数の手順を利用することができる。例えば、立証された分子付着特性をもつタンパク質を、CNG2B単量体に可逆的に融合させることができる。適切なリガンドを用いて、CNG2B単量体を精製カラムに選択的に吸着させ、次に比較的純粋な形でカラムから遊離させることができる。融合タンパク質は、その後、酵素活性により除去される。最後に、CNG2B単量体を、免疫親和性カラムを用いて精製することができる。
【0123】
A.組換え型細菌からのCNG2B単量体の精製
標準的にはプロモータ誘発の後、組換え型タンパク質が、形質転換された細菌により大量に発現されるが、発現は構成的でありうる。IPTGでのプロモータ誘発は、誘発性プロモータ系の一例である。細菌は、当該技術分野における標準的な手順に従って成長させられる。タンパク質の単離のために、新鮮な又は凍結させた細菌細胞が使用される。
【0124】
細菌中で発現されたタンパク質は、誘発性集合体を形成しうる(「封入体」)。CNG2B単量体封入体の精製のためには複数のプロトコルが適切である。例えば、封入体の精製には、例えば50mMのTRIS/HCL、pH7.5、50mMのNaCl、5mMのMgCl、1mMのDTT、0.1mMのATP及び1mMのPMSFの緩衝液中のインキュベーションによる、細菌細胞の分断による、封入体の抽出、分離及び/又は精製が関与する。細胞懸濁液は、フレンチプレスに2〜3回通すことで溶解させ、ポリトロン(Brinkman Instruments) を用いて均質化させるか又は氷上で音波処理することができる。細菌を溶解する代替的方法は当業者には明らかである(例えばSambrook et al, 前出;Ausubel et al, 前出参照)。
【0125】
必要とあらば、封入体は可溶化され、溶解した細胞懸濁液は、標準的に、望まれない不溶性物質を除去するべく遠心分離される。封入体を形成したタンパク質は、互換性ある緩衝液での希釈又は透析により変性され得る。適切な溶媒としては、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、体積/体積ベース)及び塩酸グアニジン(約4M〜約8M)が内含されるが、それらに制限されるわけではない。例えばSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、70%蟻酸といった集合体形成タンパク質を可溶化する能力をもつ一部の溶媒は、免疫原性及び/又は活性の欠如が付随するタンパク質の不可逆的変性の可能性に起因して、この手順における使用には不適切である。塩酸グアニジン及び類似の作用物質は変性原であるものの、この変性は不可逆的でなく、変性原の除去(例えば透析などによる)又は希釈時点で復元が発生して、免疫学的及び/又は生物学的に活性なタンパク質の再形成を可能にすることもある。その他の適切な緩衝液も当業者にとって既知である。ヒトCNG単量体は、例えばNi−NTAアガロース樹脂を用いて、標準的な分離技術によってその他の細菌タンパク質から分離される。
代替的には、細菌周縁質からCNG2B単量体を精製することが可能である。細菌の溶解後、CNG2B単量体が細菌の周縁質内に移出された時点で、細菌の周縁質分画を、当業者にとって既知のその他の方法に加えて低温浸透圧性ショックにより単離させることができる。周縁質から組換え型タンパク質を単離するためには、ペレットを形成するべく細菌細胞を遠心分離させる。ベレットは、20%のスクロースを含有する緩衝液中で再懸濁される。細胞を溶解させるため、細菌は遠心分離され、ペレットは、氷冷の5mMのMgSO中で再懸濁され、約10分間氷浴中に保たれる。細胞懸濁液は、遠心分離に付され、上清は傾瀉され、保存される。上清中に存在する組換え型タンパク質は、当業者にとって周知の標準的分離技術により宿主タンパク質から分離され得る。
【0126】
B.CNG2B単量体を精製するための標準的タンパク質分離技術
溶解度分画化
往々にして初期段階として、特にタンパク質混合物が複合体である場合に、初期塩分画化が、望まれない数多くの宿主細胞タンパク質(又は細胞培地から誘導されたタンパク質)を、問題の組換え型タンパク質から分離することができる。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水の量を有効に減少させることにより、タンパク質を沈殿させる。このときタンパク質は、その溶解度に基づいて沈殿する。タンパク質の疎水性が高くなればなるほど、それがより低い硫酸濃度で沈殿する確率は高くなる。標準的プロトコルには、結果として得られる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%の間にくるような形でタンパク質溶液に対し飽和硫酸アンモニウムを添加することが含まれる。この濃度は、タンパク質のうち最も疎水性の高いものを沈殿させることになる。沈殿物は、その後(問題のタンパク質が疎水性でないかぎり)廃棄され、問題のタンパク質を沈殿させるものとして知られている濃度まで上清に対し硫酸アンモニウムが添加される。その後、緩衝液中で沈殿物を可溶化させ、必要とあらば余剰な塩を、透析又はダイアフィルトレーションのいずれかを通して除去する。低温エタノール沈殿といったような、タンパク質の溶解度に依存するその他の方法も、当業者には周知であり、複合タンパク質混合物を分画化するために使用可能である。
【0127】
サイズ示差ろ過
異なる孔径の膜(例えばAmicon又はMillipore膜)を通した限外ろ過を用いてより大きい及びより小さいサイズのタンパク質から単離するために(例えば約92kDという)CNG2B単量体分子量を使用することができる。第1段階として、問題のタンパク質の分子量よりも低い分子量カットオフをもつ孔径の膜を通して、タンパク質混合物を限外ろ過する。その後、限外ろ過の非透過流を、問題のタンパク質の分子量よりも大きい分子カットオフをもつ膜に対し限外ろ過する。組換え型タンパク質は、膜を通ってろ液中に入る。このとき、以下で記述するようにろ液とクロマトグラフィーに付すことができる。
【0128】
カラムクロマトグラフィ
サイズ、正味表面電荷、疎水性及びリガンドに対する親和性に基づいて、その他のタンパク質からCNG2B単量体を分離することもできる。さらにタンパク質に対し発生させられた抗体をカラムマトリクスに接合させ、タンパク質を免疫精製させることができる。これらの方法は全て当該技術分野において周知である。当業者にとっては、クロマトグラフィー技術をあらゆる規模でかつ数多くの異なるメーカー(たとえばPharmacia Biotech)からの機器を用い.て実施できるということは明白であろう。
【0129】
V.CNG2Bポリペプチドの免疫学的検出
核酸 ハイブリダイゼーション技術を用いたCNG2B遺伝子及び遺伝子発現の検出に加えて、本発明のCNG2B単量体を検出するために免疫検定を使用することも同様に可能である。CNG2B単量体を定性的又は定量的に分析するために、免疫検定を用いることができる。適用可能な技術の概要は、Harlow & Lane,「抗体:実験室マニュアル」(1988)の中に見い出すことができる。
【0130】
A.CNG2B単量体に対する抗体
CNG2B単量体又はヒトCNG2Bといったような特定の種からのCNG2B単量体と特異的に反応するポリクローナル及びモノクローナル抗体の産生方法は、当業者にとって既知である(例えばColigan, 免疫学における現行プロトコル(1991);Harlow & Lane, 前出;Goding, モノクローナル抗体:原理と実践(第2版、1986);Kohler & Milstein, Nature256:495−497(1975)を参照のこと)。かかる技術には、ファージ又は類似のベクター内の組換え型抗体のライブラリからの抗体の選択による抗体の調製及びウサギ又はマウスを免疫化することによるポリクローナル及びモノクローナル抗体の調製が含まれる(例えば、Huse et al., Science246:1275−1281(1989);Ward et al., Nature341:544−546(1989)を参照のこと)。
【0131】
CNG2B単量体と特異的に反応する抗体を産生するためにCNG2B単量体の部分を含む一定数の免疫原を使用することができる。例えば、本書に記述されているように、組換え型CNG2B単量体又はその抗原性フラグメントを単離することができる。組換え型タンパク質は、上述のように真核細胞又は原核細胞内に発現され得、一般に上述されているように精製され得る。組換え型タンパク質は、モノクローナル又はポリクローナル抗体の産生のための好ましい免疫原である。代替的には、本書に開示されている配列から誘導され担体タンパク質に接合された合成ペプチドを免疫原として使用することができる。天然に発生するタンパク質を、純粋な又は不純な形で使用することもできる。このとき産物は、抗体を産生する能力をもつ動物の体内に注入される。タンパク質を測定するため免疫検定においてその後使用するため、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれかを生成することができる。
【0132】
当業者にとっては、ポリクローナル抗体の産生方法は既知のものである。マウス(例えばBALB/Cマウス)又はウサギの近交系をフロイントアジュバントといった標準アジュバント及び標準免疫化プロトコルを用いてタンパク質で免疫化する。免疫原調製に対する動物の免疫応答は、テストブリードを行ないベータサブユニットに対する反応性力価を決定することによって監視される。望ましい場合には、タンパク質に対する反応性をもつ抗体について富化するための抗血清のさらなる分画化を、行なうことができる(Harlow & Lane, 前出を参照のこと)。
【0133】
当業者にとって親しみのあるさまざまな技術によって、モノクローナル抗体を得ることができる。簡単に言うと、望ましい抗原で免疫化された動物からの脾細胞を、一般的には骨髄腫細胞との融合によって不死化させる(Kohler & Milstein, Eur. J. Immunol.6:511−519(1976)参照)。代替的不死化方法としては、エプスタインバールウイルス、ガン遺伝子又はレトロウイルスでの形質転換又は、当該技術分野において周知のその他の方法が含まれる。単一の不死化された細胞から発生するコロニーを、抗原についての所望の特異性及び親和性をもつ抗体の産生についてスクリーニングし、かかる細胞によって産生されたモノクローナル抗体の収量を、脊椎動物宿主の腹腔内注入を含めたさまざまな技術により増強させることができる。代替的には、Huse, et al., Science246:1275−1281(1989)により概略説明されている一般的プロトコルに従ってヒトB細胞からDNAライブラリをスクリーニングすることによってモノクローナル抗体又はその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離することができる。
【0134】
モノクローナル抗体及びポリクローナル血清を収集し、例えば、固体支持体上に不動化された免疫原での固相免疫検定といった免疫検定において免疫原タンパク質に対して滴定する。標準的には、10以上の力価をもつポリクローナル血清を選択し、非CNGファミリータンパク質及びその他のCNGファミリータンパク質に対する交差反応性について、競合的結合免疫検定を用いてテストする。特異的ポリクローナル抗血清及びモノクローナル抗体は通常、少なくとも約0.1mM、より普通には少なくとも1M、好ましくは少なくとも約0.1M以上、そして最も好ましくは0.01M以上のKと結合することになる。ヒトCNG2Bといったような特定のCNG2B直系遺伝子についてのみ特異的な抗体も、非ヒト哺乳動物といったような種からのその他の交差反応直系遺伝子を取り除くことによって作ることができる。
【0135】
CNG2Bに対する特異的抗体がひとたび利用可能になった時点で、さまざまな免疫検定方法によりCNG2Bを検出することができる。免疫学的及び免疫検定手順の再考のためには、「基礎及び臨床免疫学」(Stites & Terr eds., 第7版、1991年)を参照のこと。その上、本発明の免疫検定は、酵素免疫検定(Maggio, ed., 1980);及びHarlow & Lane, 前出の中で広範に再考されている複数の構成のうちのいずれにおいても実施可能である。
【0136】
B.免疫学的結合検定
本発明のCNG2Bポリペプチドは、充分に認識された一定数の免疫学的結合検定(例えば米国特許第4,366,241;4,376,110;4,517,288;及び4,837,168を参照)のうちのいずれを用いてでも検出及び/又は定量化可能である。一般的免疫検定の再考のためには、「細胞生物学における方法:細胞生物学における抗体、第37巻(Asai, ed.(1993);基本及び臨床免疫学(Stites & Terr, eds., 第7版、1991)をも参照のこと。免疫学的結合検定(又は免疫検定)は標準的に、選択されたタンパク質又は抗原(この場合、CNG2B又はその抗原性サブ配列)に特異的に結合する抗体を使用する。抗体(例えば抗−CNG2B)は、当業者にとっては周知でかつ上述の通りの一定数の手段のうちのいずれによっても産生可能である。
【0137】
免疫検定は同様に、往々にして、抗体及び抗原によって形成された複合体に特異的に結合しこれを標識づけするために標識づけ作用物質を使用する。標識づけ作用物質は、それ自体、抗体/抗原複合体を含む部分のうちの1つであり得る。かくして、標識づけ作用物質は、標識づけされたCNG2Bポリペプチド又は標識づけされた抗CNG2B抗体であり得る。代替的には、標識づけ作用物質は、抗体/CNG2B複合体に特異的に結合する2次抗体といったような第3の部分でありうる(2次抗体は、標準的に第1の抗体を誘導する種の抗体に対して特異的である)。PNA又はPNGといったような免疫グロブリン定常領域を特異的に結合する能力をもつその他のタンパク質を、標識づけ作用物質として使用することも可能である。これらのタンパク質は、さまざまな種からの免疫グロブリン定常領域との強い非免疫原性反応性を示す(例えば、Kronval et al., J. Immunol.111:1401−1406(1973);Akerstrom et al., J.Immunol. 135:2589−2542(1985)を参照のこと)。標識づけ作用物質は、ストレプトアビジンといったようなもう1つの分子が特異的に結合できるビオチンといったような検出可能な部分を用いて、修飾することができる。当業者にとっては、さまざまな検出可能な部分が、周知である。
【0138】
検定全体を通して、試薬が組合される毎に、その後インキュベーション及び/又は洗浄段階が必要となる可能性がある。インキュベーション段階は、約5秒〜数時間、好ましくは約5分から約24時間の間で変動し得る。ただし、インキュベーションは、検定のフォーマット、抗原、溶液量、濃度などによって左右されることになる。通常、検定は、大気温で行なわれるが、10℃〜40℃といった温度範囲にわたり実施することもできる。
【0139】
非競合的検定フォーマット
標本中のCNG2Bを検定するための免疫検定は、競合的又は非競合的のいずれであってもよい。非競合的免疫検定は、抗原の量が直接測定される。例えば1つの好ましい「サンドイッチ」検定においては、抗−CNG2Bサブユニット抗体を、それらが不動化される固体基質上に直接結合させることができる。これらの不動化された抗体は次に、テスト標本内に存在するCNG2Bを捕捉する。CNG2B単量体はかくして不動化され、次に、標識を担持する第2のCNG2B抗体といったような標識づけ作用物質によって結合される。代替的には、第2の抗体は、標識が欠如している可能性があるが、それ自体、第2の抗体を誘導した種の抗体に特異的な標識づけされた第3の抗体によって結合され得る。第2又は第3の抗体は標準的には、検出可能な部分を提供するべく、例えばストレプトアビジンといったもう1つの分子が特異的に結合する、ビオチンといった検出可能な部分で修飾される。
【0140】
競合的検定フォーマット
競合的検定においては、標本中に存在するCNG2Bの量は、1つの標本中に存在する未知のCNG2Bにより抗CNG2B抗体から変位させられた(競合し追いやられた)既知の添加された(外因性)CNG2Bを測定することによって間接的に測定される。1つの競合的検定においては、既知の量のCNG2Bが標本に添加され、その後標本は、CNG2Bに特異的に結合する抗体と接触させられる。抗体に結合した外因性CNG2Bの量は、標本中に存在するCNG2Bの濃度と反比例する。特に好ましい実施形態においては、抗体は、固体基板上に不動化される。抗体に結合したCNG2Bの量は、CNG2B/抗体複合体内に存在するCNG2Bの量を測定するか又は代替的には、残った未複合タンパク質の量を測定することによって決定可能である。CNG2Bの量は、標識づけされたCNG2B分子を提供することで検出可能である。
ハプテン阻害は、もう1つの好ましい競合的検出である。この検定では、既知のCNG2Bが固体基質上に不動化される。抗CNG2B抗体が既知の量だけ標本に添加され、その後、標本は不動化されたCNG2Bと接触させられる。既知の不動化されたCNG2Bに結合された抗CNG2B抗体の量は、標本中に存在するCNG2Bの量に反比例する。ここでも又、抗体の不動化された画分又は溶液中に残っている抗体の画分のいずれかを検出することにより、不動化された抗体の量を検出することができる。検出は、抗体が標識づけされている場合直接的であり得、又、上述のように抗体に対し特異的に結合する標識づけされた部分をその後添加することで間接的なものとなる。
【0141】
交差反応性の決定
競合的結合フォーマットでの免疫検定は、CNG2Bについての交差反応性決定のためにも使用可能である。例えばCNG2Bは、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも部分的に対応するCNG2Bタンパク質又はその免疫原性領域を、固体支持体に不動化することができる。その他のCNGファミリーのメンバーといったようなその他のタンパク質が検定に添加されて、不動化された抗原に対する抗血清の結合のために競合する。不動化されたタンパク質に対する抗血清の結合のために競合する付加されたタンパク質の能力は、CNG2B又はその免疫原性部分の、それ自体と競合する能力と比較される。上述のタンパク質についての交差反応性百分率が、標準的な計算を用いて計算される。以上に列挙した付加されたタンパク質の各々と10%未満の交差反応性しかもたない抗血清が選択されてプールされる。交差反応する抗体は任意には、例えば遠い関係をもつ相同体といった付加された考慮対象のタンパク質を用いた免疫吸着によって、プールされた抗血清から除去される。ヒトCNG2BといったようなCNG2Bの特定の直系遺伝子のみに特異的に結合する抗体も同様に、この方法を用いて作ることができる。
【0142】
免疫吸収されプールされた抗血清は、このとき、おそらくはCNG2Bの対立遺伝子、直系遺伝子, 又は多形性変異体であろうと考えられている第2のタンパク質を免疫原タンパク質に比較するため、上述の通りの競合的結合免疫検定において使用される。この比較を行なうためには、2つのタンパク質は、広範囲の濃度で各々検定され、不動化されたタンパク質に対する抗血清の結合の50%を阻害することが必要とされる各タンパク質の濃度が決定される。50%の結合を阻害するのに必要とされる第2のタンパク質の量が、50%の結合を阻害するのに必要とされるCNG2Bによりコードされたタンパク質の量の10倍より小さい場合には、第2のタンパク質は、それぞれのCNG2B免疫原に対し生成されたポリクローナル抗体に特異的に結合すると言われる。
【0143】
その他の検定フォーマット
標本中のCNG2Bの存在を検出し定量化するために、ウェスタンブロット(免疫ブロット)分析が使用される。該技術は一般に、分子量ベースでゲル電気泳動法により標本タンパク質を分離する段階、適切な固体支持体(例えばニトロセルロースフィルタ、ナイロンフィルタ又は誘導体化されたナイロンフィルタ)に対し分離されたタンパク質を移送する段階、及びCNG2Bに特異的に結合する抗体で標本をインキュベートする段階を含む。抗CNG2B抗体は、固体支持体上でCNG2Bに特異的に結合する。これらの抗体は、直接的に標識づけされ得るか、又は代替的には、抗CNG2B抗体に特異的に結合する標識づけされた抗体(例えば標識づけされたヒツジ抗マウス抗体)を用いてその後検出され得る。
【0144】
その他の検定フォーマットには、特定の分子(例えば抗体)に結合し、包埋された試薬又はマーカーを放出するように設計されたリポソームを使用するリポソーム免疫検定(LIA)が含まれている。放出された化学物質は、その後、標準的技術に従って検出される(Monroe et al., Amer. Clin. Prod. Rev. 5:34−41(1986)参照)。
【0145】
非特異的結合の減少
当業者であれば免疫検定における非特異的結合を最小限におさえることが往々にして望ましいということがわかるだろう。特定的には、検定に、固体基質上に不動化された抗原又は抗体が関与する場合、基質に対する非特異的結合の量を最小限にすることが望ましい。かかる非特異的結合を低減させる手段は、当業者にとって周知のものである。標準的には、この技術には、タンパク様組成物での基質のコーティングが関与する。特に、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳及びゼラチンといったようなタンパク質組成物が広く用いられているが、最も好ましいのは脱脂粉乳である。
【0146】
標識
検定において使用される特定の標識又は検出可能な基は、それが検定において用いられる抗体の特異的結合と有意な形で干渉しないかぎりにおいて、本発明の重要な側面ではない。検出可能基は、検出可能な物理的又は化学的特性をもつあらゆる材料であり得る。かかる検出可能な標識は、免疫検定の分野において充分に開発されてきており、一般に、かかる方法内で有用なほとんどあらゆる標識を、本発明に適用することができる。かくして、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段により検出可能なあらゆる組成物である。本発明における有用な標識としては、磁気ビード(例えばDYNABEADSTM)、螢光染料(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えばH、125I、35S、14C又は32P)、酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISA内で一般に使用されるその他のもの)、及びコロイド状金、又は着色ガラス又はプラスチックビーズ(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)といった比色分析標識が含まれる。
【0147】
標識は、当該技術分野において周知の方法に従った検定の所望の成分に対し直接的又は間接的に結合され得る。上述のように、多種多様な標識を使用することができ、標識の選択は、要求される感度、化合物との接合の容易さ、安定性必要条件、利用可能な計装類、及び廃棄規定によって左右される。
【0148】
非放射性標識は、往々にして、間接的手段により付着させられる。一般に、リガンド分子(例えばビオチン)が、分子に共有結合する。リガンドは次に、検出可能な酵素、螢光化合物又は化学発光化合物といったようなシグナル系に共有結合するか又は生来検出可能であるかのいずれかであるもう1つの分子(例えばストレプトアビジン)に結合する。リガンド及びその標的は、CNG2Bを認識する抗体又は抗−CNG2B抗体を認識する2次抗体とのあらゆる適切な組合せの形で使用可能である。
【0149】
分子は又、例えば酵素又は螢光体との組合せにより、シグナル生成化合物に対し直接的に接合され得る。標識として有利な酵素は、主として、加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼ又はオキシダーゼ、特にペルオキシダーゼとなる。螢光性化合物としては、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン、及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが内含される。化学発光性化合物としては、ルシフェロン及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン例えばルミノールが含まれる。使用可能なさまざまな標識づけ又はシグナル産生系を再考するためには、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
【0150】
標識検出手段は、当業者にとって周知のものである。かくして例えば、標識が放射性標識である場合、検出手段としては、シンチレーションカウンタ又はオートラジオグラフィの場合のような写真フィルムが含まれる。標識が螢光標識である場合、光の適切な波長で螢光色素を励起させ結果としての螢光を検出することで、これを検出することができる。螢光は、写真フィルムを用いて、電荷結合素子(CCD)又は光電子倍増管などの使用により、視覚的に検出することができる。同様にして、酵素のための適切な基質を提供し、結果として得られた反応生成物を検出することにより、酵素標識を検出することが可能である。最後に、単純に標識に付随する色を観察することにより、単純な比色分析標識を検出することができる。かくして、さまざまなディップスティック検定においては、接合された金は往々にしてピンクに見え、一方さまざまな接合されたビーズはビーズの色に見える。
【0151】
一部の検定フォーマットでは、標識づけされた化合物の使用は必要とされない。例えば、標的抗体の存在を検出するべく凝集検定を使用することができる。この場合、標的抗体を含む標本によって、抗原でコーティングされた粒子が凝集させられる。このフォーマットでは、いかなる成分も標識づけされる必要はなく、標的抗体の存在は、単純な目視によって検出される。
【0152】
VI.CNG2Bのモジュレータについての検定
A.検定

ヒトのCNG2B及びCNG2B対立遺伝子、直系遺伝子及び多形性変異体が、カチオンチャンネルのサブユニットである。CNG2Bを含むカチオンチャンネルの活性は、例えば電流の測定、膜電位の測定、イオン流束例えばナトリウム又はカルシウムといったカチオンの測定、イオン濃度の測定、第2のメッセンジャー及び転写レベルの測定、リガンド結合の測定といったさまざまなin vitro及びin vivo検定を使用して、及び例えば電圧感応性染料、カチオン(例えばナトリウム又はカルシウム)感応性染料といったようなイオン感応性染料、放射性トレーサー及びパッチ−クランプ電気生理現象を使用して査定できる。
好ましい実施形態においては、CNGカチオンチャンネルの活性は、例えばカルシウム又はナトリウムといったカチオン濃度又は流束をイオン(例えばカルシウム又はナトリウム)特異的染料例えば螢光性染料を用いて検出することによって、検出されることになる。当業者にとってその大部分が周知のものであるこのような染料のいずれも使用することが可能である。例えば、螢光顕微鏡、フローサイトメトリ又は螢光分光法を用いて細胞内遊離Ca2+濃度の変化を検出できるようにする、Ca2+結合時点でのスペクトル応答を示す一定数の螢光プローブのいずれでも、使用することができる。
【0153】
さらに、CNG2Bを含むチャンネルの阻害物質及び活性化物質についてテストするために、かかる検定を使用することができる。カチオンチャンネルのかかるモジュレータが、例えば中枢神経系の神経学的疾患といったような、カチオンチャンネルが関与するさまざまな疾患を治療するのに有用である。かかるモジュレータは同様に、CNGファミリーのメンバーによって提供されるチャンネル多様性の調査、及びCNG2BといったようなCNGファミリーのメンバーにより提供されるカチオンチャンネル活性の調節/変調のためにも有用である。
【0154】
CNGカチオンチャンネルのモジュレータが、組換え型か又は天然に発生する生体活性あるCNG2B、好ましくはヒトCNG2Bを用いてテストされる。CNG2Bは、1つの細胞内で単離、同時発現又は発現され得るか、又は細胞由来の膜の中で発現され得る。このような検定においては、CNG2Bは、ホモマルチマーカチオンチャンネルを形成するため単独で、又は、ヘテロマルチマーカチオンチャンネルを形成するためアルファ及び/又はベータサブユニットを含めたその他のCNGタンパク質と組合わせた形で発現され得る。好ましくは、検定中で用いられるカチオンチャンネルの一部分であるCNG2Bポリペプチドは、配列番号1内で表示された配列又はその保存的に修飾された変異体を有することになる。一般的に、配列番号1に対するポリペプチドのアミノ酸配列同一性は、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、好ましくは85%又は90%、最も好ましくは少なくとも95%以上となる。
【0155】
変調は、本書に記述されているin vitro又はin vivo検定の1つを用いてテストされる。変調の程度を検査するため、潜在的なカチオンチャンネル 阻害物質又は活性化物質で処理された標本又は検定を、テスト化合物無しの対照標本と比較する。往々にして、かかる検定は、環状ヌクレオチド例えばcAMP又はcGMPの存在下で実施され、チャンネルに対する環状ヌクレオチドの効果を変調させるテスト作用物質の能力が検出される。
【0156】
(活性化物質又は阻害物質で未処理の)対照標本には、100という相対的カチオンチャンネル活性値が割当てられる。対照との関係におけるカチオンチャンネル活性が約90%、好ましくは50%、より好ましくは25%であるときにCNG2Bポリペプチドを含むチャンネルの阻害が達成される。対照との関係におけるカチオンチャンネル活性値が110%、より好ましくは150%、より好ましくは200%高い場合にCNG2Bポリペプチドを含むチャンネルの活性化が達成される。イオン流束を増大させる化合物は、CNG2Bポリペプチドを含むチャンネルが開放している確率を増大させること、それが閉じている確率を減少させること、チャンネルを通してのコンダクタンスを増大させること及び/又はイオンの通過を可能にすることによって、イオン電流密度の検出可能な増大をひき起こすことになる。
【0157】
In vitro 検定
例えば結合検定及び生化学検定のような、カチオンチャンネル変調活性をもつ化合物を同定するための検定を、in vitroで実施することができる。本発明のin vitro方法では、精製された組換え型又は天然に発生するCNG2Bタンパク質又はCNG2Bタンパク質を使用することができる。精製されたCNG2Bタンパク質又はそれを含むチャンネルに加えて、組換え型又は天然に発生するCNG2Bタンパク質は、細胞ライセート又は細胞膜の一部であり得る。以下で記述するように、検定は、固体状態でも可溶性でもあり得る。好ましくは、タンパク質又は膜は、固体支持体に対し、共有結合又は非共有結合により結合される。往々にして、本発明のin vitro検定は、非競合的又は競合的なリガンド又は毒素結合又はリガンド親和性検定である。その他のin vitro検定には、タンパク質又はチャンネルについての分光学的特性(例えば螢光、吸光度、屈折率)、流体力学的特性(例えば形状)、クロマトグラフィー特性又は溶解度特性の変化を測定することが含まれる。以下で記述するように、CNG2Bポリペプチドを含むカチオンチャンネルを発現する細胞又は膜の分極(すなわち電位)の変化を測定するために細胞膜又はライセートを使用することもできる。
【0158】
In vivo 細胞又は膜ベース検定
CNG2Bポリペプチドを含むカチオンチャンネルを発現する細胞又は膜の分極(すなわち電位)の変化を決定することにより、イオン流束の変化を査定することができる。細胞分極の変化を決定するための好ましい手段は、電圧−クランプ及びパッチ−クランプ技術、例えば「細胞付着型」モード、「インサイドアウト」モード及び「全細胞」モードで電流変化を測定する(かくして分極変化を測定する)ことによる(例えばAckerman et al., New Engl. J. Med.336:1575−1595(1997)を参照のこと)。全細胞電流は、標準的方法を用いて、適切に決定される(例えば、Hamil et al., PFlugers. Archiv. 391:85(1981)参照)。その他の既知の検定としては、イオン感応性染料を用いた螢光検定がある(例えば、Vestergarrd−Bogind et al., J. Membrane Biol.88:67−75(1988);Daniel et al., J. Pharmacol. Meth.25:185−193(1991);Holevinsky et al., J. Membrane Biology 137:59−70(1994)を参照のこと)。
【0159】
カルシウムの検出に有用なかかる染料の例としては、fura−2、bis−fura2、indo−1、Quin−2、Quin−2 AM、Benzothiaza−1、Benzothiaza−2、indo−5F、Fura−FF、BTC、Mag−Fura−2、Mag−Fura−5、Mag−Indo−1、fluo−3、rhod−2、fura−4F、fura−5F、fura−6F、fluo−4、fluo−5F、fluo−5N、Oregon Green 488BAPTA、Calcium Green、Calcein、Fura−C18、Calcium Green−C18、Calcium Orange、Calcium Crimson、Calcium Green−5N、Magnesium Green、Oregon Green488BAPTA−1、Oregon Green488BAPTA−2、X−rhod−1、Fura Red, Rhod−5F、Rhod−5N、X−Rhod−5N、Mag−Rhod−2、Mag−X−Rhod−1、Fluo−5N、Fluo−5F、Fluo−4FF、Mag−Fluo−4、Aequorin、デキストリン接合体又はこれらの染料のいずれかのその他のあらゆる誘導体他(例えば、Molecular Probe, Eugene, ORについてはカタログ又はインタネットサイト(www. Probes. com)を参照;又、Nuccitelli, ed., Methods in Cell Biology, Volume40:生きた細胞内のカルシウムの研究に対する実践手引書、Academic Press(1994);Lambert, ed., カルシウムシグナリングプロトコル(Methods in Molecular Biology Volume114)、Humana Press(1999);W.T. Mason, ed., 生物活性についての螢光及び発光性プローブ。定量的実時間分析技術に対する実践的手引書、第2版、Academic Press(1999)を参照のこと)が含まれるがこれらに制限されるわけではない。ナトリウム指示薬の例としては、SBFI及びSodium Greenが含まれるがこれらに制限されるわけではない(例えばMolecular Probesのカタログ又はインタネットサイトを参照のこと;Mason, 前出)。
【0160】
CNG2Bポリペプチドを含むチャンネルタンパク質を通してのカチオン流束を阻害又は増大させる能力をもつ化合物についての検定は、本発明のチャンネルをもつ細胞と接触状態にあるか又はこれを含む浴溶液に対して化合物を適用することによって実施できる(例えばBlatz et al., Nature323:718−720(1986):Park, J. Physiol. 481、555−570(1994)参照)。一般に、テストすべき化合物は、1pM〜100mMの範囲内で存在する。
【0161】
チャンネルの機能に対するテスト化合物の効果は、電流又はイオン流束の変化又は電流及び流束の変化の帰結により測定され得る。電流又はイオン流束の変化は、ナトリウム又はカルシウムイオンといったイオン流束の増加又は減少のいずれかによって測定される。イオンは、さまざまな標準的方法で測定可能である。これらは、例えば以上で列挙した染料又は放射性標識づけされたイオンのいずれかを用いて、イオンの濃度変化、例えば細胞内濃度の変化により直接的に、又は膜電位によって間接的に測定され得る。イオン流束に対するテスト化合物の帰結は、かなり変動しうる。従って、本発明のチャンネルに対するテスト化合物の影響を査定するために、あらゆる適切な生理学的変化を使用することができる。テスト化合物の効果は、毒素結合検定によって測定可能である。同様に、例えば伝達物質放出(例えばドーパミン)、細胞内カルシウム変化、ホルモン放出(例えばインシュリン)、既知の遺伝子マーカー及び特徴づけされていない遺伝子マーカーの両方に対する転写変化(例えばノーザンブロット)、細胞体積変化(例えば赤血球内)、免疫応答(例えばT細胞活性化)、細胞成長といった細胞代謝の変化又はpH変化、及び環状ヌクレオチドといった細胞内第2メッセンジャーの変化といったようなさまざまな効果も測定することができる。
CNG2Bの直系遺伝子, 対立遺伝子、多形性変異体及び保存的に修飾された変異体は一般に、上述のような、CNG2Bポリペプチドを含むチャンネルについて実質的に類似の特性を付与することになる。好ましい実施形態においては、CNG2B相同体であることが疑われている化合物と接触状態に置かれた細胞は、真核細胞例えばツメガエル属(例えばXenopus laevis)又はCHO又はHeLa細胞といったような哺乳動物細胞内でのイオン流束を増減させるために検定を受ける。CNG2Bと類似の要領で化合物による影響を受けるチャンネルは、CNG2Bの相同体又は直系遺伝子とみなされる。
【0162】
動物モデル
動物モデルは同様に、カチオンチャンネルモジュレータについてのスクリーニングにおいても使用される。適切な遺伝子ターゲティングベクターでの相同な組換え又は遺伝子の過剰発現の結果としての遺伝子ノックアウト技術を含めた遺伝子導入技術は、CNG2Bタンパク質の不在又は発現増加を結果としてもたらすことになる。望ましい場合、CNG2Bタンパク質の組織特異的発現又はノックアウトが必要となる可能性がある。かかる方法によって生成された遺伝子導入動物は、異常なイオン流束の動物モデルとして使用され、カチオンチャンネルのモジュレータについてのスクリーニングにおいてさらに有用である。
【0163】
B.モジュレータ
CNG2Bサブユニットを含むCNGチャンネルのモジュレータとしてテストされた化合物は、あらゆる小型有機分子、又は生物学的物質、例えばタンパク質、ペプチド、糖、核酸、オリゴヌクレオチド、又は脂質であり得る。代替的には、モジュレータはCNG2Bサブユニットの改変された態様であり得る。標準的には、テスト化合物は小化学分子及びペプチドとなる。基本的にあらゆる化学的化合物を、潜在的モジュレータ又はリガンドとして本発明の検定中で使用することができるが、水溶液又は有機(特にDMSOベースの)溶液中に溶解させた化合物を用いることが最も多い。検定は、検定段階を自動化し、任意の適切な供給源から標準的に並行して実施される複数の検定まで(例えばマイクロタイターフォーマットでは、ロボット検定においてマイクロタイタープレート上で)化合物を提供することによって、大きな化学的ライブラリをスクリーニングするように設計されている。化学的化合物の供給業者としては、Sigma(St. Louis, MO)、Aldrich(St. Louis, MO)、Sigma−Aldrich(St. Louis, MO)、Fluka Chemika−Biochemica Analytika(Buchs Switzerland)を含め、数多く存在することがわかるだろう。
【0164】
好ましい実施形態においては、高処理能力スクリーニング方法には、多数の潜在的治療用化合物(潜在的モジュレータ又はリガンド化合物)を含むコンビナトリアルケミストリー又はペプチドライブラリを提供することが関与している。かかる「コンビナトリアルケミストリーライブラリ」又は「リガンドライブラリ」は、次に、所望の特徴的活性を表示するようなライブラリのメンバー(特定の化学種又はサブクラス)を同定するため、本書に記述されているように、単数又は複数の検定においてスクリーニングされる。かくして同定された化合物は、従来の「リード化合物」として役立つか又はそれ自体潜在的な又は実際の療法として用いられる可能性がある。
【0165】
コンビナトリアルケミストリーライブラリは、試薬といった一定数の化学的「構築ブロック」を組合わせることにより、化学的合成又は生物学的合成のいずれかにより生成されたさまざまな化学的化合物の収集である。例えば、一定の与えられた化合物長(すなわちポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)について、考えられる全てのやり方で一組の化学的構築ブロック(アミノ酸)を組合わせることによって、ポリペプチドライブラリといったような線形コンビナトリアルケミストリーライブラリが形成される。化学的構築ブロックのこのような組合せ混合を通して、何百万もの化学的化合物を合成することができる。
【0166】
コンビナトリアルケミストリーライブラリの調製及びスクリーニングは、当業者にとって周知のものである。かかるコンビナトリアルケミストリーライブラリには、ペプチドライブラリが含まれるが、これらに制限されるわけではない(例えば、米国特許第5,010,175,Furka, Int. J. Pept. Prot. Res.37:487−493(1991)及びHoughton et al., Nature354:84−88(1991)を参照のこと)。化学的多様性ライブラリを生成するためのその他の化学的成分も同様に使用できる。かかる化学的成分としては、以下のものがあるが、これらに制限されるわけではない:ペプトイド(例えばPCT公報第WO91/19735号)、コードされたペプチド(例えばPCT公報第WO93/20242号)、ランダムバイオ−オリゴマ−(例えばPCT公報第WO92/00091号)、ベンゾジアゼピン(例えば米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン及びジペプチドといったDiversomer社の製品(Hobbs et al., Proc. Nat. Acad.Sci. USA90:6909−6913(1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagihara et al., J. Amer. Chem. Soc.114:6568(1992))、グルコース足場を伴う非ペプチド性ペプチドミメティック(Hirschmann et al., J. Amer. Chem. Soc.114:9217−9218(1992))。小型化合物ライブラリの類似性有機合成(Chen et al., J. Amer. Chem. Soc.116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Cho et al., Science261:1303(1993))、及び/又はホスホン酸ペプチジル(Campbell et al., J. Org. Chem. 59:658(1994))、核酸ライブラリ(全て前出のAusubel, Benger及びSambrookを参照)、ペプチド核酸ライブラリ(例えば、米国特許第5,539,083参照)、抗体ライブラリ(例えば、Vaughn et al., Nature Biotechnology, 14(3):309−314(1996)及びPCT/US96/10287参照)、炭水化物ライブラリ(例えば、Liang et al., Science, 274:1520−1522(1996)及び米国特許第5,593,853参照)、小型有機分子ライブラリ(例えばベンゾジアゼピン Baum C & EN, 1月18日,33p、(1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノン及びメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリドン、米国特許第5,525,735及び5,519,134号;モルフォリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼビン、5,288,514,など参照)。
【0167】
コンビナトリアルライブラリの調製のための装置は市販されている(例えば、357MPS、390MPS、Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050Plus, Millipore, Bedford, MA参照)。さらに、数多くのコンビナトリアルライブラリ自体も市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Asinex, Moscow, Ru, Tripos, Inc., St.Louis, MO, ChemStar, Ltd, Moscow, RU, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences. Columbia, MD, など参照)。
【0168】
1実施形態においては、本発明は、ヒトCNG2Bサブユニットを含むCNGチャンネルを発現する細胞又は組織が固相基質に付着されている、高処理能力フォーマットでの固相ベースのin vitro検定を提供している。本発明の高処理能力検定においては、最高数千の異なるモジュレータ又はリガンドをたった一日でスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択された潜在的モジュレータに対し別々の検定を行なうことができ、又濃度或いはインキュベーション時間の効果を観察しなければならない場合には、5〜10ウェル毎に単一のモジュレータをテストすることができる。かくして、単一の標準的マイクロタイタープレートが約96のモジュレータを検定することができる。1536ウェルのプレートを使用する場合には、単一のプレートが、約100〜約1,500の異なる化合物から容易に検定できる。一日に多くのプレートを検定することが可能である。本発明の一貫システムを用いると最高約6000、20,000、50,000又は100,000以上の異なる化合物についての検定スクリーニングが可能である。
【0169】
C.固体状態及び可溶性の高処理能力検定
1実施形態においては、本発明は天然に発生するか又は組換え型のいずれかの、CNG2Bポリペプチドを含むカチオンチャンネル、CNG2Bカチオンチャンネルを含む膜又はCNG2Bポリペプチドを含むカチオンチャンネルを発現する細胞又は組織を用いた可溶性検定を提供する。もう1つの実施形態においては、本発明は、CNG2Bカチオンチャンネルが固相基質に付着させられている高処理能力フォーマットでの固相ベースのin vitro検定を提供している。
【0170】
本発明の高処理能力検定においては、最高数千の異なるモジュレータ又はリガンドをたった一日でスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択された潜在的モジュレータに対し別々の検定を行なうことができ、又濃度又はインキュベーション時間の効果を観察しなければならない場合には、5〜10ウェル毎に単一のモジュレータをテストすることができる。かくして、単一の標準的マイクロタイタープレートが約100(例えば96)のモジュレータを検定することができる。1536ウェルのプレートを使用する場合には、単一のプレートが、約100〜約1500の異なる化合物から容易に検定できる。一日に多くのプレートを検定することが可能である。本発明の一貫システムを用いると最高約6000、20,000、50,000又は100,000を超える異なる化合物についての検定スクリーニングが可能である。
【0171】
問題のチャンネル又はそれを含む細胞又は膜は、共有結合又は非共有結合、例えばタグを介して間接的に又は直接的に固体状態成分に結合され得る。タグは、さまざまな成分のうちのいずれであってもよい。一般に、タグを結合させる分子(タグ結合剤)が固体支持体に固定され、問題のタグ付き分子は、タグ及びタグ結合剤の相互作用によって固体支持体に付着させられている。
【0172】
文献中に充分記述された既知の分子相互反応に基づいて、一定数のタグ及びタグ結合剤を使用することができる。例えば、タグが天然の結合剤例えばビオチン、プロテインA、又はプロテインGを有する場合、これは適切なタグ結合剤(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、免疫グロブリンのFe領域など)と合わせて使用することができる。ビオチンといったような天然結合剤を伴う分子に対する抗体が、同様に広く利用可能でかつ適切なタグ結合剤である。例えば、SIGMA Immuno chemicals 1998カタログSIGMA,St. Lovis MO参照)。
【0173】
同様にして、タグ/タグ結合剤対を形成するため、適切な抗体と組合わせた状態で、あらゆるハプテン又は抗原化合物を使用することができる。何千もの特異的抗体が市販されており、数多くの付加的な抗体が文献中で記述されている。例えば、1つの一般的構成においては、タグは第1の抗体であり、タグ結合剤は、第1の抗体を認識する第2の抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、受容体−リガンド相互作用は同様にタグ及びタグ結合剤対としても適切である。例えば、細胞膜レセプタのアゴニスト及びアンタゴニストがある(例えば、細胞レセプタ−リガンド相互作用、例えばトランスフェリン、C−kit、ウイルスレセプタリガンド、サイトカインレセプタ、ケモカインレセプタ、インタロイキンレセプタ、免疫グロブリンレセプタ及び抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなど;例えばPigott & Power, The Adhesion Molecule Facts Book I(1993))。同様にして、毒素及び毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えばアヘン剤、ステロイドなど)、細胞内レセプタ(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイド及びビタミンD;ペプチドを含めた、さまざまな小型リガンドの効果を媒介するもの)、薬物、レクチン、糖、核酸(共に線状及び環状重合体構成)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質及び抗体は、全てさまざまな細胞レセプタと相互作用することができる。
【0174】
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド及びポリアセテートといったような合成重合体も又、適切なタグ又はタグ結合剤を形成することができる。本開示を再考した時点で当業者には明らかとなるように本書に記述した検定システム内では、その他の数多くのタグ/タグ結合剤対も有用である。
【0175】
ペプチド、ポリエーテルなどといったような一般的リンカーも同様にタグとして役立つことができ、これには、約5〜200個のアミノ酸のポリーグリ配列といったようなポリペプチド配列が内含される。かかる柔軟なリンカーは、当業者にとって既知のものである。例えば、Shearwater Polymers, Inc. Huntsville, Alabamaからポリ(エチレングリコール)リンカーが入手可能である。これらのリンカーは、任意には、アミド結合、スルフヒドリル結合又はヘテロ機能性結合を有する。
【0176】
結合剤は、現在利用可能なさまざまな方法のうちのいずれかを用いて、固体基質に対し固定される。固体基質は一般に、タグ結合剤の一部分と反応性をもつ表面に対し化学基を固定する化学試薬に対し基質の一部分又は全てを露呈することによって、誘導体化又は機能化される。例えば、より長い鎖部分に付着するのに適した基としては、アミン、ヒドロキシ、チオール及びカルボキシル基が含まれることになる。ガラス表面といったようなさまざまな表面を機能化するためにアミノアルキルシラン及びヒドロキシアルキルシランを使用することかできる。かかる固相生重合体アレイの構築については、文献中に充分記述されている。例えば、Merrifield, J. Am. Chem. Soc.85:2149−2154(1963)(例えばペプチドの固相合成について記述する);Geysen et al., J. Immun. Meth. 102:259−274(1987)(ピン上での固相成分の合成について記述する);Frank & Doring, Tetrahedron 44:60316040(1988)(セルロースディスク上でのさまざまなペプチド配列の合成について記述する;Fodor et al., Science, 251:767−777(1991);Sheldon et al. Clinical Chemistry 39(4):718−719(1993);及びKozal et al., Nature Medicine 2(7):753759(1996)(全て固体基質に固定された生重合体のアレイについて記述する)。基板に対しタグ結合剤を固定するための非化学的アプローチには、熱、UV放射による架橋などといったその他の一般的方法が内含される。
【0177】
VII. CNG2Bを使用したコンピュータ援用薬物設計
CNG2Bチャンネルの活性を変調する化合物のためのさらにもう1つの検定には、アミノ酸配列によりコードされた構造情報に基づいてCNG2Bの3次元構造を生成するのにコンピュータシステムが用いられるコンピュータ援用薬物設計が関与している。入力されたアミノ酸配列は、コンピュータプログラム内の予め設計されたアルゴリズムと直接かつ活発に相互作用して、タンパク質の二次、三次及び四次構造モデルを生み出す。タンパク質構造モデルは次に、例えばリガンド又はその他のカチオンチャンネルサブユニットを結合する能力をもつ構造の領域を同定するために検査される。これらの領域はその後、CNG2Bがその他のカチオンチャンネルサブユニットと相互作用する領域又はタンパク質に結合するリガンドを同定するために用いられる。
【0178】
タンパク質の3次元構造モデルは、コンピュータシステム内に、少なくとも25、50、75、100、150又は200のアミノ酸残基のチャンネルタンパク質アミノ酸配列又は対応する核酸配列を入力することによって生成される。単量体の各々のアミノ酸配列は、配列番号1、その保存的に修飾された変異体及びその免疫原性部分から成るグループの中から選択される。アミノ酸配列は、タンパク質の構造情報をコードするタンパク質の各々の一次配列又はサブ配列を表わす。アミノ酸配列の少なくとも25、50、70、100、150又は200の残基(又は少なくとも25、50、75、100、150又は200のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列)が、電子記録媒体(例えば磁気ディスケット、テープ、カートリッジ及びチップ)、光学媒体(例えばCDROM)、インタネット及びRAMにより分配される情報を内含する(ただしこれらの制限されるわけではない)コンピュータ読取り可能基板、コンピュータキーボードから、コンピュータシステム内に入力される。チャンネルタンパク質の3次元構造モデルはこのとき、当業者にとって既知のソフトウェアを用いて、アミノ酸配列及びコンピュータシステムの相互作用によって生成される。結果として得られた三次元コンピュータモデルはこのとき、コンピュータ読取り可能な基板上に保存され得る。
【0179】
アミノ酸配列は、単量体の第2、第3及び第4構造を形成するのに必要とされる情報をコード化する一次構造及び4つの単量体を含むヘテロマー カチオンチャンネルタンパク質を表わしている。ソフトウェアは、構造モデルを生成するため、一次配列によりコード化されるいくつかのパラメータを参照する。これらのパラメータは、「エネルギー項」又は異方性項と呼ばれ、まず第1に静電電位、疎水性電位、溶媒アクセス可能表面及び水素結合が含まれる。二次エネルギー項には、ファンデルワールス電位が含まれる。生体分子は、累積的な形でエネルギー項を最小限にする構造を形成する。従って、コンピュータプログラムは、一次構造又はアミノ酸配列によりコード化される。これらの項を用いて、二次構造モデルを新規作成する。
【0180】
二次構造によりコードされたタンパク質の三次構造は、このとき二次構造のエネルギー項に基づいて形成される。この時点でユーザーは、そのタンパク質が結合された膜であるか又は可溶性であるか、体内でのその場所、及びその細胞位置例えば細胞質、表面又は核といった付加的な変数を入力することができる。これらの変数は、二次構造のエネルギー項と共に、三次構造のモデルを形成するために使用される。三次構造をモデリングするにあたり、コンピュータプログラムは、二次構造の疎水性面を同類のものと整合させ、二次構造の親水性面を同類のものと整合させる。
【0181】
ひとたび構造が生成されたならば、コンピュータシステムにより、潜在的リガンド結合領域が同定される。潜在的リガンドのための3次元構造が上述のように、化合物のアミノ酸又はヌクレオチド配列又は化学式を入力することによって生成される。このとき、潜在的リガンドの3次元構造をCNG2Bタンパク質のものと比較して、CNG2Bに結合するリガンドを同定する。どのリガンドがタンパク質に対する増強した結合確率をもつかを決定するため、エネルギー項を用いてタンパク質とリガンドの間の結合親和性が決定される。
【0182】
コンピュータシステムは同様に、CNG2B遺伝子の突然変異、多形変異体、対立遺伝子及び種間相同体についてスクリーニングするためにも使用される。かかる突然変異は、疾病状態と結びつけることができる。変異体がひとたび同定されたならば、疾病状態に不随するかかる突然変異を受けた遺伝子をもつ患者を同定するために、診断検定を使用することができる。突然変異を受けたCNG2B遺伝子の同定には、第1の核酸、例えば配列番号2−3、又はCNG2Bをコードするアミノ酸配列例えば配列番号1、及びその保存的に修飾された態様の入力を受理することが関与する。配列は、上述のようにコンピュータシステム内に入力される。第1の核酸又はアミノ酸配列はその後、第1の配列に対する実質的同一性をもつ第2の核酸又はアミノ酸配列に比較される。第2の配列は、上述の要領でコンピュータシステム内に入力される。第1及び第2の配列がひとたび比較されたならば、配列間のヌクレオチド又はアミノ酸の差異が識別される。かかる配列は、CNG2B遺伝子、好ましくはヒトCNG2B遺伝子内の対立遺伝子差及び疾病状態に付随する突然変異を表わす可能性がある。上述の第1及び第2の配列は、コンピュータ読取り可能な基板上に保存可能である。
【0183】
CNG2B単量体をコードする核酸を高密度オリゴヌクレオチドアレイ技術(例えば、GeneChipTM)と共に使用して、本発明中のCNG2B相同体、直系遺伝子、対立遺伝子、保存的に修飾された変異体及び多形変異体を同定することができる。同定されつつある相同体が既知の疾病と関連がある場合、これらは、生体標本中の疾病を検出する上での診断ツールとしてGeneChipTMと共に使用できる。例えば、Gunthand et al., AIDS Res. Hum. Retroviruses 14:869−876(1998);Kozal et al., Nat. Med.2:753−759(1996);Matson et al., Anal. Biochem.224:110−106(1995);Lockhart et al. Nat. Biotechnol.14:1675−1680(1996);Gingeras et al., Genome Res.8:435−448(1998);Hacia et al., Nucleic Acids Res. 26:3865−3866(1998)を参照のこと。
【0184】
VIII.細胞トランスフェクション及び遺伝子療法
本発明は、in vitro及びin vivoでの細胞のトランスフェクションのためのCNG2B遺伝子の核酸を提供する。これらの核酸は、以下で記述するように、標的細胞及び生体のトランスフェクションのための周知の一定数のベクターのいずれかの中に挿入することができる。核酸は、ベクター及び標的細胞の相互作用を通して、ex vivo又はin vivoで細胞内に形質移入される。このとき、CNG2Bのための核酸は、プロモータの制御下で本発明のCNG2B単量体を発現し、かくして、CNG2B遺伝子の不在、部分不活性化又は異常発現の効果を和らげる。組成物は、患者体内の治療的応答を惹起させるのに充分な量で患者に投与される。これを達成するのに適した量が、「治療的に有効な用量又は量」として定義づけされる。
【0185】
かかる遺伝子療法手順は、後天性又は遺伝性遺伝子欠陥、ガン、及び数多くの状況下でのウイルス感染を矯正するために使用されてきた。ヒトの体内で人工的遺伝子を発現する能力は、その他の療法による治療に感応しない数多くの疾病を含めた数多くの重大なヒトの疾病の予防及び/又は治ゆを容易にする(遺伝子療法手順を再考するためには、Anderson, Science 256:808−813(1992);Nabel & Felgner,TIBTECH 11:211−217(1993);Mitani & Caskey, TIBTECH 11:162−166(1993);Mulligan, Science926−932(1993);Dillon, TIBTECH 11:167−175(1993);Miller, Nature 357:455−460(1992);Van Brunt, Biotechnology 6(10):1149−1154(1998);Vigne, Restorative Neurology and Neuroscience8:35−36(1995);Kremer & Perricaudet, British Medical Bulletin51(1):31−44(1995);Haddada et al., Current Topics in Microbiology and Immunology中(Doerfler & Bohm eds. 1995);及び Yu et al., Gene Therapy1:13−26(1994)を参照のこと)。
【0186】
細胞内への遺伝子又は遺伝材料の送達は、疾病の遺伝子療法治療における第1段階である。当業者には、多数の送達方法が周知である。好ましくは、核酸は、in vivo及びex vivo 遺伝子療法用途のために投与される。非ウイルスベクター送達系には、DNAプラスミド、裸のヌクレオチド及びリポソームといったような送達ビヒクルと複合体形成された核酸が含まれる。ウイルスベクター送達系には、細胞への送達後にエピソームゲノム又は組込みゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウイルスが内含される。
【0187】
核酸の非ウイルス送達方法には、リポフェクション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン又は脂質/核酸接合体、裸のDNA、人工的ビリオン及び作用物質で増強されたDNAの取り込みが含まれる。リポフェクションは、米国特許第5,049,386号、米国特許第4,946,787号及び米国特許第4,897,355の中で記述されており、リポフェクション試薬が市販されている(例えばTransfectamTM及びLipofectinTM)。ポリヌクレオチドの効率の良いレセプター認識リポフェクションのために適したカチオン及び中性脂質としては、Felgner, WO9/17424号、WO91/16024号のものが含まれる。送達は、細胞(ex vivo投与)又は標的組織(in vivo投与)に対するものでありうる。
【0188】
免疫脂質複合体といったようなターゲティングされたリポソームを含めた脂質:核酸複合体の調製は、当業者にとって周知である(例えば、e.g. Crystal, Science270:404−410(1995);Blaese et al., Cancer Gene Ther. 2:291−297(1995);Behr et al., Bioconjugate Chem.5:382−389(1994);Remy et al,. Bioconjugate Chem.5:647−654(1994);Gao et al., Gene Therapy2:710−722(1995);Ahmad et al., Cancer Res. 52:4817−4820(1992);米国特許第4,186,183、4,217,344、4,235,871、4,261,975、4,485,054、4,501,728、4,774,085、4,837,028及び4,946,787を参照のこと)。
【0189】
核酸の送達のためのRNA又はDNAウイルスベースシステムの使用は、体内での特異的細胞に対するウイルスのターゲティング及び核に対するウイルスペイロードのトラフィックのための進化度の高いプロセスを利用している。ウイルスベクターは、患者に対し直接投与され得(in vivo)、そうでなければin vitroで細胞を処理するのに使用され得、修飾された細胞は患者に投与される(ex vivo)。核酸の送達のための従来のウイルスベースのシステムは、遺伝子移入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連及び単純ヘルペスウイルスベクターを内含することができる。ウイルスベクターは現在、標的細胞及び組織内での遺伝子移入の最も効率の良い汎用方法である。宿主ゲノム内の組込みは、レトロウイルス、レンチウイルス及びアデノ関連ウイルス遺伝子移入方法を用いて可能であり、往々にして、挿入された導入遺伝子の長期発現を結果としてもたらす。さらに、数多くの異なる細胞型及び標的組織内で高い形質導入効率が観察された。
【0190】
レトロウイルスの向性は、外来性外被タンパク質を取込み、標的細胞の潜在的標的集団を拡大させることによって改変できる。レンチウイルスは、非分割細胞を形質導入又は感染させ、高ウイルス力価を標準的に産生することのできるレトロウイルスベクターである。従ってレトロウイルス遺伝子移入システムの選択は、標的組織により左右される。レトロウイルスベクタは、最高6〜10kbの外来性配列のパッケージング容量をもつシス作用性長末端反復から成る。ベクターの複製及びパッケージングのためには、最小のシス作用性LTRで充分であり、これらは次に、標的細胞内に治療用遺伝子を組込んで持続性の導入遺伝子発現を提供するために使用される。広く用いられるレトロウイルスベクターとしては、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全症ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全性ウイルス(HIV)及びそれらの組合せに基づくものが含まれる(例えばBuchscher et al., J. Virol.66:2731−2739(1992);Johann et al., J. Virol. 66:1635−1640(1992);Sommerfelt et al., Virol. 176:58−59(1990);Wilson et al., J. Virol. 63:2374−2378(1989);Miller et al., J. Virol. 65:2220−2224(1991);PCT/US94/05700を参照のこと)。
【0191】
核酸の一過性発現が好まれる利用分野においては、標準的にアデノウイルスベースのシステムが用いられる。アデノウイルスベースベクターは、数多くの細胞型における非常に高い形質導入効率の能力をもち、細胞分割を必要としない。かかるベクターでは、高い力価及び発現レベルが得られた。このベクターは、比較的単純なシステム内で大量に産生可能である。例えば核酸及びペプチドのin vitro産生において及びin vivo及びex vivo 遺伝子療法手順のために、標的核酸で細胞を形質導入するのにアデノ関連ウイルス(「AAV」)ベクターも使用される(例えばWest et al., Virology160:38−47(1987);米国特許第4,797,368;WO93/24641;Kotin, Human Gene Therapy5:793−801(1994);Muzyczka, J. Clin. Invest. 94:1351(1994)を参照のこと)。組換え型AAVベクターの構築については、米国特許第5,173,414;Tratschin et al., Mol. Cell. Biol.5:3251−3260(1985);Tratschin et al., Mol.Cell. Biol.4:2072−2081(1984);Hermonat & Muzyczka, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.81:6466−6470(1984)及びSamulski et al., J.Virol.63:03822−3828(1989)を含めた数多くの出版物の中で記述されている。
【0192】
数多くの遺伝子療法利用分野において、遺伝子療法ベクターが、特定の組織型に対する高度の特異性をもって送達されることが望まれる。ウイルスベクターは、標準的に、ウイルス外表面上でウイルス外被タンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現することにより、一定の与えられた細胞型に対する特異性をもつように修飾される。リガンドは、問題の細胞型上に存在するものとして知られているレセプタに対する親和性をもつように選択される。例えば、Han et al., Proc. Natil. Acad. Sci.U.S.A.92:9747−9751(1995)は、gp70に融合されたヒトヘレグリンを発現するように、モロニーマウス白血病ウイルスを修飾することができ、組換え型ウイルスがヒト上皮成長因子レセプタを発現する或る種のヒト乳ガン細胞を感染させる、ということを報告した。この原理は、リガンド融合タンパク質を発現するその他のウイルス対及びレセプタを発現する標的細胞まで拡大できる。例えば、事実上あらゆる選択された細胞レセプタについての特異的結合親和性をもつ抗体フラグメント(例えばFAB又はFv)を表示するように繊維状ファージを工学処理することができる。上述の説明は、ウイルスベクターに主としてあてはまるが、同じ原理は、非ウイルスベクターにも適用することができる。かかるベクターは、特異的標的細胞による取り込みに有利に作用すると思われる特異的な取り込み配列を含有するように工学処理され得る。
【0193】
遺伝子療法ベクターは、以下で記述されているように、標準的には全身投与(例えば静脈内、腹腔内、筋内、皮下又は頭がい内輸液)又は局所投与により、個々の患者に対し投与することによってin vivoで送達され得る。代替的には、ベクターは、個々の患者から外植された細胞(例えばリンパ球、骨髄吸引液、組織生検)又は万能供血者の造血基幹細胞といった細胞にex vivoで送達され得、その後、通常はベクターを取込んだ細胞についての選択の後、患者の体内に細胞が再移植される。
【0194】
診断、研究又は遺伝子療法のためのex vivoでの細胞トランスフェクション(例えば、トランスフェクションを受けた細胞の宿主生体内への再輸注を介した)は、当業者にとって周知である。好ましい実施形態においては、細胞は、被験生体から単離され、核酸(遺伝子又はcDNA)のトランスフェクションを受け、被験生体(例えば患者)の体内に再び輸注し戻される。当業者にとっては、ex vivoトランスフェクションに適したさまざまな細胞型が周知であり(例えばFreshney et al., 動物細胞の培養、基本技術マニュアル(第3版、1994))、その中では、患者からの細胞の単離及び培養方法の論述についての参考文献が引用されている)。
【0195】
治療用核酸を含有するベクター(例えばレトロウイルス、アデノウイルス、リポソームなど)を、in vivoでの細胞の形質導入のため生体に直接投与することもできる。代替的には、裸のDNAも投与できる。投与は、分子を導入して血液又は組織細胞を積極的に接触させるために通常用いられる経路のいずれかによる。かかる核酸を投与する適切な方法が利用可能で、当業者にとっては周知のものであり、特定の組成物を投与するのに複数の経路を使用できるものの、特定の経路が、他の経路に比べ往々にしてより即刻のより効果的な反応を提供する。
【0196】
投与は、分子を導入して血液又は組織細胞と究極的に接触させるために通常用いられる経路のいずれかによる。核酸は、あらゆる適切なやり方で、好ましくは薬学的に受容可能な担体を用いて投与される。かかる核酸を投与する適切な方法が利用可能で、当業者にとっては周知のものであり、特定の組成物を投与するのに複数の経路を使用できるものの、特定の経路が、他の経路に比べ往々にしてより即時的でより効果的な反応を提供する。
【0197】
IX.薬学組成物と投与
薬学的に受容可能な担体は、一部には、投与中の特定の組成物(例えば、核酸、タンパク質、変調化合物又は形質導入を受けた細胞)ならびに組成物を投与するために用いられる特定の方法によって決定される。従って、本発明の薬学組成物の多種多様な適切な製剤形態が存在している(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第17版、1989を参照のこと)。投与は、例えば注入、経口投与、吸入又は経皮塗布といった適切なあらゆる要領で行なうことができる。
【0198】
経口投与に適した製剤形態は、(a)水、食塩水又はPEG400といったような希釈剤中に懸濁された、有効量のパッケージングされた核酸といったような溶液;(b)液体、固体、顆粒又はゼラチンといったような活性成分を各々予め定められた量だけ含有するカプセル、袋又は錠剤;(c)適切な液体中での懸濁物;及び(d)適切な乳剤から成り得る。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチジャガイモデンプン、微晶質セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化シリコン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びその他の賦形剤、着色料、充てん剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、給湿剤、防腐剤、着香剤、染料、崩壊剤及び薬学的に相容性ある担体を内含し得る。トローチ形態には、例えばスクロースといったような着香剤中の活性成分、ならびに、当該技術分野において既知の担体を活性成分に加えて含有するゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシア乳剤、ゲルなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤が含まれる可能性がある。
【0199】
単独の又はその他の適切な構成要素と組合わせた形の選択された化合物は、吸入を介して投与されるべき、エアロゾル製剤形態(すなわちこれらは「噴霧され」得る)にすることができる。エアロゾル製剤形態は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などといった加圧された受容可能な噴射剤の中に入れることができる。
【0200】
関節内、静脈内、皮内、腹腔内、及び皮下経路といったような非経口投与に適した製剤形態には、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬及び製剤を意図された受容体の血液と等張なものにする溶質を含有しうる水性及び非水性、等張無菌注入溶液及び、懸濁剤、可溶化剤、粘稠化剤、安定剤及び防腐剤を内含しうる水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれる。本発明の実施においては、組成物は、例えば静脈内輸注、経口、局所、腹腔内、膀胱内又は鞘内で投与可能である。非経口投与及び静脈内投与が、好ましい投与方法である。推奨される製剤形態は、アンプル及びバイアルといった一回服用量又は多数回服用量の密封した容器という体裁をとり得る。
【0201】
注入溶液及び懸濁液は、以前に記述された種類の無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。ex vivo療法のための核酸により形質導入された細胞を、前述のように静脈内又は非経口で投与することもできる。
【0202】
本発明の状況下で患者に対して投与される用量は、経時的に患者の体内で有益な治療的応答をもたらすのに充分なものであるべきである。用量は、利用される特定のベクターの有効性及び患者の身体条件、ならびに治療すべき患者の体重又は体表面積によって決定されることになる。用量の規模は、特定のベクターの投与に付随する何らかの不利な副作用の有無、内容及び程度、又は特定の患者の体内の形質導入された細胞型によっても決定されることになる。
【0203】
CNG2Bサブユニットを含むCNGチャンネルの発現の減少又は異常に起因する身体条件の治療又は予防において、投与すべきベクターの有効量を決定するにあたっては、医師は、ベクターの循環する血漿レベル、ベクターの毒性、疾病の進行及び抗ベクター抗体の産生を評価する。一般に、ベクターからの裸のヌクレオチドと等価の用量は、標準的な体重70キロの患者については約1μg〜100μgであり、レトロウイルス粒子を内含するベクター用量は、等価量の治療用核酸を生み出すように計算される。
【0204】
投与のためには、本発明の化合物及び形質導入された細胞は、阻害物質、ベクター、又は形質導入された細胞型のLD−50、及び患者の集団及び全体的健康に対し及ぼされるようなさまざまな濃度での阻害物質、ベクター又は細胞型の副作用によって決定される速度で投与され得る。投与は、単一の又は分割された服用回数で達成され得る。
【0205】
X.キット
ヒトCNG2B及びその相同体は、カチオンチャンネルの発現及び調節を検査するための有用なツールである。CNG2Bプローブ及びプライマといったようなCNG2B核酸に特異的にハイブリッド形成するヒトCNG2B特異的試薬及び、例えばCNG2B抗体といったCNG2Bタンパク質に特異的に結合するCNG2B特異的試薬が、発現及び調節を検査するために使用される。
【0206】
標本中のCNG2BDNA及びRNAの存在についてのヌクレオチド検定には、サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット、リボヌクレアーゼ保護、S1分析、PCR及びLCRといったような増幅技術及びin situ ハイブリダイゼーションといったような、当業者にとって既知の数多くの技術が含まれる。例えば、in situ ハイブリダイゼーションにおいて、標的核酸は、その後の解釈及び分析のため細胞形態を保存しながら細胞内のハイブリダイゼーションに利用可能な状態となるようにその細胞環境から遊離される。以下の論文は、in situ ハイブリダイゼーション技術の概要を提供している:Singer et al., Biotechniques 4:230−250(1986);Haase et al., Methods in Virology, 第II巻、pp.189−226(1984);及び核酸ハイブリダイゼーション;実践的アプローチ(Hames et al., eds.1987)。さらに、CNG2Bタンパク質は、上述のさまざまな免疫検定技術で検出可能である。テスト標本は、標準的に、正の対照(例えば、組換え型CNG2B単量体を発現する標本)及び負の対照の両方に比較される。
【0207】
本発明は同様に、本発明のカチオンチャンネルのモジュレータをスクリーニングするためのキットをも提供している。かかるキットは、容易に利用可能な材料及び試薬から調製できる。例えば、かかるキットは、以下の材料のうちのいずれか単数又は複数のものを含むことができる:CNG2B単量体、反応試験管及びCNG2Bを含有するカチオンチャンネルの活性をテストするための説明書。キットの意図されたユーザー及びそのユーザーの特定のニーズに応じて本発明に従って多種多様なキット及び構成要素を調製することができる。例えば、CNG2B単量体を含むカチオンチャンネルの活性を測定するためのin vitro又はin vivo検定のためにキットをあつらえることができる。
【0208】
本明細書中に引用した全ての出版物及び特許出願は、あたかも各々の個々の出版物又は特許出願が参考として内含されるべく特定的かつ個別に指示されているかのように、本書に参考として内含されている。
【0209】
以上の発明は、理解を明確にする目的で一例として幾分か詳しく記述されてきたが、当業者には、本発明の教示に照らして、添付のクレームの精神又は範囲から逸脱することなく本発明に一定の変更及び修正を加えることができる、ということが容易に明らかになるだろう。
【0210】

以下の例は、制限的意味のない単なる例示として示されている。当業者であれば、基本的に類似の結果を生み出すように、さまざまな重要でないパラメータを変更又は修正できるということを容易に認識することだろう。
【0211】
A.ヒトCNG2Bの同定
ヒトCNG2Bの多数のエキソンを、環状ヌクレオチド作動性チャンネルタンパク質配列を用いたTBLASIN探索を利用して、公開ゲノムデータ(受入れ番号AC022762及びAC021935)から同定した。CNG2Bコード配列の5′及び3′エキソンは、これらの探索中で識別できなかった。AC022762及びAC021935配列に基づいたオリゴヌクレオチドを全長CNG2BcDNAをクローニングするべく設計した。
【0212】
CNG2B遺伝子からの約657bpのバンドが、ヒトの脳から調製した第1鎖cDNAから増幅され、中枢神経系における発現を実証した。このバンドを増幅するために使用したオリゴは、5′−(1)GCAGATCTTCCAGAACTGTAAGGCCA(配列番号14)(センス)及び5′−(2)CCTGCCCTCTTCATCTTTGGAAGTTC(配列番号5)(アンチセンス)であった。CNG2Bの完全3′末端は、2回の連続ラウンドでヒトの脳のcDNAから標準的3′RACE PCR技術によって増幅された。第1ラウンドでは、使用された遺伝子特異的プライマは、5′−(3)GCCAACATCAAGAGCCTAGGTTATTC(配列番号6)(センス)であった。この反応を、次にネスト化された特異的オリゴ5′−(4)GGATGATCTACAGACCAAGTTTGCTCG(配列番号7)(センス)で再増幅させて、長さ約765bpのフラグメントを産生させ、このフラグメントは、配列決定された後、ヒトCNG2BmRNAの完全3′末端を内含することが判明した。このフラグメントの配列は、もとの657bpのCNG2Bフラグメントと重複して、コンティグ配列を提供した。コード配列の5′末端の大部分を、ラットOCNC2タンパク質のN末端アミノ酸配列に基づく同義センスストランドオリゴ(5’−(5)ATGAGCCAGGACGGNAARGTNAARAC(配列番号5)及びヒトCNG2Bに特異的にアンチセンスプライマ(5’−(6)GTTGATGATGCTGATCTCCCCAAAG(配列番号9))を用いて、ヒトの脳のcDNAから増幅した。この反応は、ラットOCNC2と高度の相同性をもつ配列をもつ約1.2Kbのフラグメントを産生した。その後、ヒトCNG2Bの5’コード配列を補完し、イニシエータメチオニンコドンを同定するため、標準的5’RACE PCRを2ラウンド使用した。RACE PCRの最初のラウンドでは、CNG2B特異的オリゴ5’−(7)GGATGATGAGGTTATACATGACTGGG(配列番号10)(アンチセンス)を用いた。この反応を、ネスト化されたCNG2B特異的オリゴ5’−(8)AGGCTAGCAACTTCCTGGCCTTGGAT(配列番号11)(アンチセンス)を用いて、再増幅させた。開始コドンを含むCNG2Bの完全5’末端を含有する約410bpのフラグメントを単離した。このフラグメントは、上述の1.2KbのPCRフラグメントと重複した。CNG2BmRNAの全コンティグコード領域を、もとの657bpの内部フラグメントと765bpの3’RACE産物とこれら2つのフラグメントをアセンブルすることによって決定した。
次に、ヒトCNG2Bの全コード領域を、CNG2Bコード配列の端部に重複するオリゴヌクレオチドを用いて単一フラグメント内で単離させた。使用したオリゴヌクレオチドは5’−(9)GCGAAAGCTTCCACCATGAGCCAGGACACCAAAGTG(配列番号12)(センス)及び5’−(10)CATGTCTAGAATGGGGATGGGGTCACTCTGGACCT(配列番号13)(アンチセンス)であった。第1のオリゴヌクレオチドは、開始メチオニン及びCNG2B遺伝子の第1の21のコーディングヌクレオチドを内含する。上流側には、プラスミドベクターへとサブクローニングするためのHind III制限酵素部位及び翻訳を増強させるためのコザックコンセンサス配列がある。CNG2Bに対応する全てのヌクレオチドは太字になっている。第2のオリゴヌクレオチドはCNG2Bの3’配列からであり、サブクローニングのためのXabI制限酵素部位を内含する。太字で示された全てのヌクレオチドは、CNG2Bの3’末端配列に対応する。停止コドンには下線が付されている。上の2つのオリゴからの太字で示されたヌクレオチドのみがCNG2Bの増幅のために必要であるということを指摘しておくのが重要である。増幅のための好ましい鋳型は、ヒトの脳からの第1鎖cDNAである。使用される増幅条件は、以下の通りであった:95℃で15秒間、72〜60℃で15秒間(連続するサイクル毎に0.5℃ずつ温度を低下させた)、3分間72℃を24サイクルとそれに続く、95℃15秒間、60℃15秒間及び72℃で3分間を20サイクル。CNG2Bの全コード領域に対する約1.73kbのバンドを獲得し、配列決定により確認した。
【0213】
ヒトCNG2Bタンパク質の予想された分子量は、約66Kdであり、その範囲は約60Kd−80Kd、好ましくは約61〜71Kdである。
【0214】
B.その他のCNG遺伝子のヒトCNG2Bの比較
ラットOCNC2に対するCNG2Bの演繹されたアミノ酸配列の整列(Bradley, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.91、8890−8894、1994)が図1に示されている。ヒトCNG2B及びラットOCNC2のアミノ酸配列は、93%の同一性をもち、これらが直系の遺伝子である可能性が高いことを示している。この考え方を裏づける付加的な証拠は、CNG2Bがその他のクローニングされたCNGチャンネルのいずれよりもラットOCNC2に対する相同性がはるかに高いということにある。2つのアミノ酸配列の間の差異の大部分が、アミノ及びカルボキシ末端でクラスタ化されている。ヒトCNG2B及びラットOCNC2は、核酸レベルで90%未満の同一性をもつ。
【0215】
ヒトCNG2B遺伝子は、ラットOCNC2遺伝子に対し直系であると思われ、それが類似の機能的役割を果たすことを示唆している。この考え方の裏づけは、広く行きわたったラットOCNC2の発現が存在する脳内のヒトの発現についての我々の証拠にある(Kingston, et al., Synapse32:1−12(1999)。ラットOCNC2 遺伝子は、ホルマルチマーとして発現された場合環状ヌクレオチドに対し機能的に感応しないことから、CNGベータサブユニットとして当初分類された(Bradley, et al., Proc. Nat. Acad. Sci.91:8890−8894(1994)。その代り、それは、嗅覚形質導入に参与するラットOCNC1アルファサブユニットと機能的ヘテロマルチマーチャンネルを形成することが示された(Bradley, et al., Proc. Nat. Acad. Sci.91:8890−8894(1994)。このアルファ及びベータヘテロマルチマーチャンネルは、未変性CNG嗅覚チャンネルと密に類似したcAMPに対する増大した感応性を示した(Linman, et al., Neuron13:611−621(1994)。しかしながら、その他の研究は、機能的ホモメリックラットOCNC2チャンネルが脳の中に存在する可能性があること、そしてそれらが酸化窒素感応性をもつことを示した(Broillet, et al., Neuron 18:951−958(1997))。この発見は、脳内のラットOCNC2の広く行きわたった分布及びCa2+に対するその高い透過性と組合わされて、これらのチャンネルがニューロンシグナリング及びシナプス可塑性において1つの役割を果たし得ることを示唆している(Bradley, et al. JNC17:1993−2005(1997)。機能的ホモマルチマーチャンネルを形成するラットOCNC2の能力は、それがCNGベータサブユニットとの相同性よりも大きい相同性をCNGアルファサブユニットと共有しているという事実と一貫性をもつ。かくしてラットOCNC2及びヒトCNG2Bは、ヘテロマルチマー及びホモマルチマーの両方として機能的に有意である可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ラットOCNC2とCNG2Bのアミノ酸整列。同一残基には、斜線が施され、左余白の数字がアミノ酸の位置を表わしている。
【図2】
PCRフラグメントの集合から誘導された完全CNG2B配列。コード配列は太字で示され、未翻訳配列は、通常の文字で示されている。
【図3】
完全CNG2Bをコードするヌクレオチド配列。
【図4】
完全CNG2Bのアミノ酸配列。

Claims (40)

  1. カチオンチャンネルのサブユニットを含むポリペプチドをコードする単離された核酸であって、該ポリペプチドが、
    (i) 少なくとも1つのCNGアルファサブユニットと共に、環状ヌクレオチド作動性特性をもつカチオンチャンネルを形成し、
    (ii) 配列番号1に対する少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む、核酸。
  2. 配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸。
  3. 配列番号2又は配列番号3に対する少なくとも90%の配列同一性をもつヌクレオチド配列を含んで成る、請求項1に記載の核酸。
  4. 配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含んで成る請求項3に記載の核酸。
  5. Figure 2004528004
    から成るグループの中から選択されたプライマと同じ配列に対しストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリッド形成するプライマによって増幅される、請求項1に記載の核酸。
  6. 配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸に対し中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリッド形成する、請求項1に記載の核酸。
  7. 配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸に対しストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する、CNG2Bポリペプチドをコードする単離された核酸。
  8. 配列番号2又は配列番号3に対し少なくとも90%の配列同一性をもつヌクレオチド配列を含んで成る、CNG2Bポリペプチドをコードする単離された核酸。
  9. 配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸に対しストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する単離された核酸。
  10. 請求項1に記載の単離された核酸との接触段階を含む、核酸の検出方法。
  11. カチオンチャンネルのサブユニットを含み、
    (i) 少なくとも1つのCNGアルファサブユニットと共に、環状ヌクレオチド作動性特性をもつカチオンチャンネルを形成し、
    (ii) 配列番号1に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を持つアミノ酸配列を含む、
    単離されたポリペプチド。
  12. 配列番号1に対して生成された抗体に特異的に結合する、請求項11に記載のポリペプチド。
  13. 約61kD〜約71kDの間の分子量を有する、請求項11に記載のポリペプチド。
  14. ヒトCNG2Bのアミノ酸配列を有する、請求項11に記載のポリペプチド。
  15. 配列番号1のアミノ酸配列を有する、請求項11に記載のポリペプチド。
  16. ヘテロマー環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルのアルファサブユニットを含んで成る、請求項11に記載のポリペプチド。
  17. 請求項11に記載のCNG2Bポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  18. 結合するポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列を有する、請求項17に記載の抗体。
  19. 請求項1に記載の核酸を含む発現ベクター。
  20. 請求項19に記載のベクターでのトランスフェクションを受けた宿主細胞。
  21. カチオンチャンネルを通るイオン流束を増大又は減少させる化合物を同定する方法であって、
    (i)(a) 少なくとも1つのCNGアルファサブユニットと共に、環状ヌクレオチド作動性特性をもつカチオンチャンネルを形成し、
    (b) 配列番号1に対する少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む、
    CNG2Bポリペプチドと化合物を接触させる段階、及び
    (ii) カチオンチャンネルに対する化合物の機能的効果を決定する段階、
    を含んで成る方法。
  22. 機能的効果がin vitroで測定される、請求項21に記載の方法。
  23. 機能的効果が、物理的効果である、請求項22に記載の方法。
  24. 機能的効果が、チャンネルに対するリガンド結合を測定することによって決定される、請求項22に記載の方法。
  25. 機能的効果が、化学的効果である、請求項22に記載の方法。
  26. ポリペプチドが、真核性宿主細胞又は細胞膜の中で発現される、請求項21に記載の方法。
  27. 機能的効果が、物理的効果である、請求項26に記載の方法。
  28. 機能的効果が、チャンネルに対するリガンド結合を測定するすことによって決定される、請求項27に記載の方法。
  29. 機能的効果が、化学的効果である、請求項26に記載の方法。
  30. 機能的効果が、イオン流束、イオン濃度変化、電流変化又は電圧変化の測定によって決定される、請求項29に記載の方法。
  31. ポリペプチドが組換え型である、請求項21に記載の方法。
  32. カチオンチャンネルがホモマルチマーチャンネルである、請求項21に記載の方法。
  33. カチオンチャンネルがヘテロマルチマーチャンネルである、請求項21に記載の方法。
  34. ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列をもつ、請求項21に記載の方法。
  35. CNG2Bポリペプチドを含む環状ヌクレオチド作動性カチオンチャンネルを通るイオン流束を増大又は減少させる化合物を同定するための方法であって、
    (i) CNG2Bポリペプチドの少なくとも100個のアミノ酸又はCNG2Bポリペプチドをコードする核酸の少なくとも300個のヌクレオチドのアミノ酸配列をコンピュータシステム内に入力する段階であって、該CNG2Bポリペプチドが配列番号1に対し少なくとも89%の同一性をもつアミノ酸配列を含む段階;
    (ii) アミノ酸配列によりコードされたポリペプチドの3次元構造を生成する段階;
    (iii) 前記化合物の3次元構造を生成する段階;及び
    (iv) 前記化合物がポリペプチドに結合するか否かを決定するべくポリペプチド及び前記化合物の3次元構造を比較する段階、
    を含んで成る方法。
  36. 被験者の疾病を治療するためCNG2Bサブユニットを含むCNGカチオンチャンネルを通るイオン流束を変調させる方法であって、請求項21又は35に記載の方法を用いて同定された化合物を治療上有効な量だけ被験者に投与する段階を含んで成る方法。
  37. ヒトの組織内のCNG2Bの存在を検出する方法であって、
    (i) 生体標本を単離する段階、
    (ii) CNG2Bと選択的に会合するCNG2B特異的試薬と生体標本を接触させる段階、及び
    (iii) 標本と選択的に会合するCNG2B特異的試薬のレベルを検出する段階、
    を含んで成る方法。
  38. CNG2B特異的試薬が、CNG2B特異的抗体、CNG2B特異的オリゴヌクレオチドプライマ及びCNG2B核酸プローブから成るグループの中から選択される、請求項37に記載の方法。
  39. コンピュータシステム内でヒトCNG2B遺伝子の突然変異についてスクリーニングする方法であって、
    (i) 配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列をもつCNG2Bポリペプチドをコードする第1の核酸配列及びその保存的に修飾されたバージョンをコンピュータ内に入力する段階、
    (ii) 第1の核酸配列に対する実質的同一性をもつ第2の核酸配列と第1の核酸配列を比較する段階、及び
    (iii) 第1及び第2の核酸配列の間のヌクレオチド差を同定する段階、
    を含んで成る方法。
  40. 第2の核酸配列が1つの疾病状態と結びつけられる、請求項39に記載の方法。
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