JP2004527605A - 抗細菌性および殺真菌性を有するポリマー分散液およびポリマー溶液 - Google Patents

抗細菌性および殺真菌性を有するポリマー分散液およびポリマー溶液 Download PDF

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Abstract

本発明は周期律表のIb族の金属イオンにより抗細菌性および殺真菌性を付与されたポリマー分散液またはポリマー溶液に関する。本発明によれば、a)これらのポリマー分散液またはポリマー溶液はチオール基を含む調整剤を使用して製造されてはおらず、b)これらの金属イオンは電気化学的方法を用いて導入されており、さらにc)前記分散液または溶液は、活性量の有機殺生物剤を含有するものではない。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は元素周期律表のIb族金属により抗細菌性および殺真菌性を付与された水性ポリマー分散液またはポリマー溶液に関する。ここでこれらのポリマーは調整剤を使用することなく、すなわちチオール調整剤を使用せずに調製されたものであり、これらの金属イオンは電気化学的方法を用いて導入されたものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマー、とくに水性のポリマー溶液およびポリマー分散液は細菌、酵母あるいは真菌に感染しやすい。このような感染により例えば製品の変色や粘度、pHおよび臭いの変化が生じることがある。さらに医薬品用途に使用されるポリマーの場合、いずれの薬局方においても最大細菌数に適合することが求められている。
【0003】
ポリマーを攻撃する微生物の例としては細菌のアルカリゲネス・フェカーリス(Alcaligenes faecalis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、ミクロコッカス・フラブス(Micrococcus flavus)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、シュードモナス・エルジノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、酵母のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ロドトルラ・アルビカンス(Rhodotorula albicans)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、並びに糸状菌のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)ならびにゲオトリカム・カンジダム(Geotrichum candidum)が挙げられる。
【0004】
ポリマー溶液およびポリマー分散液ならびにそれらから製造される製品を微生物の侵襲から保護するには、製品の物性が所定の期間一定であり、細菌数範囲に適合するようにこれらを保存しなくてはならない。
【0005】
細菌または真菌の感染からポリマーを保存するための技法は多数知られている。ホルムアルデヒドまたは一般的なアルデヒドの生成剤(generator)に加えて次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素などの多数の殺細菌物質、さらには例えば米国特許第5736591号に述べられているような有機化学的殺細菌剤が微生物による感染に対して使用されている。ドイツ国特許DE19707221A1もまた細菌、酵母および真菌感染ならびにその他の微生物による感染の問題を銀、銅及び亜鉛などの抗生物性金属イオンを用いて解決するための提案を多数開示している。
【0006】
ドイツ国特許DE19707221A1は金属イオンを含有する抗細菌活性と殺真菌活性を有するポリマー分散液を調製するための方法における特定の溶液について記載している。この溶液はさまざまなポリマー分散液を保護するのに用いることができる。特に有利なのは、金属イオンを特に金属塩の形でポリマー分散液と混合するという問題が、銀塩を添加する代わりに銀含有ポリマー分散液を添加することにより、解決されたことであると言われている。これは、純粋な形態であるか溶解した形態であるかを問わず、電解質を添加すると、特に液滴が水性ポリマー分散液と接触する点で局所的に高濃度となることにより、ポリマー分散液が不可逆的に凝固する傾向があるためである。銀含有ポリマーならびに所望の抗細菌活性および殺真菌活性を有する金属イオンをその他の分散液に添加することにより、抗細菌性および殺真菌性を付与すべきポリマー分散液中に更なる成分(ポリマー保護ポリマー)が導入されてしまうことが避けられないという点は明らかに不利である。抗細菌性ならびに殺真菌性を付与すべきポリマー分散液とは基本的に異なる組成を持つ更なる成分の導入は、多岐に渡る理由から、例えば医薬品、化粧品あるいはその他の用途のためのポリマーに適用される承認要件の点からも、相当不利であると考えることができる。また抗細菌性ならびに殺真菌性を付与すべきポリマーの物性への悪影響を排斥することもできない。
【0007】
有効な抗細菌および殺真菌保護を得るために、米国特許第5736591号はIb族の金属と有機殺生物剤を組み合わせて用いることを提案している。無機および有機殺生物剤の組み合わせにも関わらず、金属イオンは1〜50ppmの濃度で使用しなくてはならない。この金属イオンは実施例において塩溶液の形で導入されている。しかし、カラム3、37〜39行目に「Ib族金属をラテックスに添加するために電解反応もまた利用することができる」ともある。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、有機殺生物剤を使用する必要がなく、必要な金属イオン濃度をさらに低減することである。このことは特に化粧品製剤および医薬品製剤について求められている。
【0009】
本発明者はこの目的が、本発明に係る、(a)ポリマー分散液またはポリマー溶液が調整剤、すなわちチオール調整剤を使用することなく調製されていること、(b)金属イオンが電気化学的方法を用いて導入されていること、および(c)有効量の有機殺生物剤が含まれないことを特徴とする元素周期律表のIb族の金属イオンにより抗細菌性および殺真菌性が付与されたポリマー分散液またはポリマー溶液により達成されることを見出した。
【0010】
この新たな方法の有利な点は、要求される金属イオンが1ppm未満、多くの場合0.6ppm未満であることである。これは低い金属含有量のみが許容されているあるいは望ましい、化粧品製剤および医薬品製剤にとってとりわけ重要である。
【0011】
本発明は、分散液にチオール基を含有する化合物が含まれていない場合は一般に1ppm未満の低レベルの金属イオンで十分であるとの驚くべき知見に基づいている。米国特許第5736591号のラテックス分散液はチオール基を含む調整剤を用いて調製されているが故に高い濃度の金属イオンが必要であり、また十分な抗細菌および殺真菌保護を達成するために、さらに有機殺生物剤が必要であったと考えられる。
【0012】
元素周期表Ib族の有用な金属イオンとしては特に銅および銀が挙げられる。
【0013】
本発明に従って安定化される有用なポリマー分散液またはポリマー溶液としては、それぞれ分散媒または溶媒として、いかなる量の水を含有していてもよい、少量の水を含有する、または主として水を含有するポリマー分散液または溶液であって、調整剤を用いて調製されていない、またはチオール基を含有しない調整剤を用いて調製されたものが挙げられる。
【0014】
このポリマーにはいわゆる主モノマーに由来する単位が一般に40重量%未満、特に好ましくは60重量%未満、もっとも好ましくは80重量%未満含有されている。
【0015】
主モノマーはC−C20-アルキル(メタ)アクリレート、20個以下の炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20以下の炭素原子のスチレン類、エチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、1〜10個の炭素原子を有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子と1もしくは2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはそれらの混合物から選択される。
【0016】
本発明により安定化される有用な分散液および溶液としてはとりわけ主モノマーとしてビニルエステル、なかでもアクリルエステルなどの不飽和エステルを含有するpHが4.5〜9のものが挙げられる。
【0017】
とりわけメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレートなどのC-C10-アルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレートが適している。
【0018】
アルキル(メタ)アクリレートの混合物もまた適している。
【0019】
1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸の有用なビニルエステルとしては例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルおよび酢酸ビニルがある。
【0020】
有用なスチレン性化合物としてはビニルトルエン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-ブチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレンおよび好ましくはスチレンが挙げられる。ニトリル類の例としてはアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが挙げられる。
【0021】
ハロゲン化ビニルとしては塩素、フッ素または臭素置換エチレン性不飽和化合物、好ましくは塩化ビニルおよび塩化ビニリデンが挙げられる。
【0022】
有用なビニルエーテルとしては例えばビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルが挙げられる。1〜4個の炭素原子を有するアルコールのビニルエーテルが好ましい。
【0023】
2〜8個の炭素原子と2個のオレフィン性二重結合を有する有用な炭化水素としてはブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンが挙げられ、2〜8個の炭素原子と1個の二重結合を有する有用な炭化水素としては例えばエチレンまたはプロピレンが挙げられる。
【0024】
好ましい主モノマーとしてはC-C10-アルキルアクリレートおよびメタクリレート、とりわけC-C-アルキルアクリレートおよびメタクリレートならびにビニルエステル、とりわけ酢酸ビニル、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
とりわけ、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルおよび酢酸ビニルおよびそれらの混合物が好ましい。
【0026】
フリーラジカル重合したポリマーは、主モノマーに由来する単位に加えて、更なるモノマー、例えばカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸基を有するモノマーに由来する単位を含有してもよい。カルボン酸基が好ましい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸が適している。メタクリル酸およびアクリル酸が好ましい。
【0027】
有用な更なるモノマーとしては例えばヒドロキシル基含有モノマー、特にC-C10-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートならびに(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0028】
有用な更なるモノマーとしては更に、フェニルオキシエチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、および2-アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0029】
有用な更なるモノマーとしてはまた、架橋性モノマーおよび加水分解性ケイ素基を有するモノマーが挙げられる。
【0030】
好ましい実施様態では、これらのポリマーは乳化重合により調製され、したがってこれらのポリマーはエマルジョンポリマーである。
【0031】
しかし、これらのポリマーはまた水、水性/非水性溶媒混合物、または非水性溶媒中での溶液重合で調製し、つづいて水中に分散させることにより調製することもできる。
【0032】
乳化重合ではイオン性および/もしくは非イオン性の乳化剤および/もしくは保護コロイド(例えばポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールなど)、または安定剤(界面活性化合物など)が用いられる。
【0033】
適した保護コロイドについての詳細な解説がHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, volume XIV/1, Makromolekulare Stoffe, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961, 411-420頁に記載されている。適した乳化剤としては、陰イオン性、陽イオン性、および非イオン性の乳化剤が挙げられる。付随して用いられる界面活性剤としては、保護コロイドとは異なり分子量が通常2000g/モル以下である乳化剤のみを用いることが好ましい。界面活性剤の混合物を使用する場合、個々の成分はもちろん互いに相溶性を持たなければならず、万一これに懸念がある場合、2、3の予備実験を行うことによって確認することができる。陰イオンおよび非イオン性乳化剤は界面活性剤として好ましく使用される。通常付随して用いられる乳化剤としてはエトキシル化脂肪アルコール(EO度が3〜50、アルキル基はC〜C36)、エトキシル化モノ、ジ、およびトリアルキルフェノール(EO度が3〜50、アルキル基はC〜C)、スルホコハク酸のジアルキルエステルのアルカリ金属塩および硫酸アルキル(アルキル基:C〜C12)、エトキシル化アルカノール(EO度:4〜30、アルキル基:C12〜C18)、エトキシル化アルキルフェノール(EO度:3〜100、アルキル基:C〜C)、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12〜C18)およびアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C〜C18)のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。
【0034】
更なる好適な乳化剤は式II:
【化1】
Figure 2004527605
(式中、RおよびR’は水素またはC-C14アルキルであるが、同時に水素であることはなく、XおよびYはアルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンである。RおよびR’は好ましくは6〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基または水素であり、特に好ましくは6、12、または16個の炭素原子を有するものであり、両者が同時に水素であることはない。XおよびYは好ましくはナトリウム、カリウムまたはアンモニウムイオンであり、ナトリウムが特に好ましい。)
で表される化合物である。とりわけ有利な化合物IIはXおよびYがナトリウムであり、Rが分岐のC12-アルキル基であってR’が水素またはRであるものである。多くの場合、モノアルキル化されたものを50〜90重量パーセント含有する工業用グレードの混合物、例えばDowfax 2 A1(Dow Chemical Companyの商標)が使用される。
【0035】
適した乳化剤はまたHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, volume 14/1, Makromolekulare Stoffe, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1961, 192〜208頁にも記載されている。
【0036】
市販されている乳化剤の例としてはDowfax 2 A1(商標), Emulan NP 50(商標), Dextrol OC50(商標), Emulgator 825, Emulgator 825 S, Emulan OG(商標), Texapon NSO(商標), Nekanil 904 S(商標), Lumiten I-RA(商標), Lumiten E 3065, Disponil FES 77, Lutensol AT 18, Steinapol VSL, Emulphor NPS 25が挙げられる。
【0037】
界面活性剤は通常重合するモノマーに対し0.1〜10重量パーセントの範囲で用いられる。
【0038】
乳化重合のための水溶性開始剤としてはペルオキソ二硫酸のアンモニウム塩およびアルカリ金属塩(例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム)、過酸化水素および有機過酸化物(tert-ブチルヒドロペルオキシドなど)が挙げられる。
【0039】
少なくとも一つの通常は無機還元剤と無機または有機の酸化剤とからなる還元-酸化(レドックス)開始剤系もまた適している。
【0040】
酸化成分には例えば上述の乳化重合のための開始剤が含有される。
【0041】
還元成分は、例えばアスコルビン酸を含有する。この酸化還元開始剤系は複数の原子価の状態で存在することのできる金属成分を有する可溶性金属化合物と共に使用することができる。
【0042】
通常用いられる酸化還元開始剤系には、例えばアスコルビン酸/硫酸鉄(II)がペルオキソ二硫酸ナトリウムまたは過酸化水素とともに包含される。個々の成分、例えば還元成分、は混合物であってもよい。
【0043】
上述の化合物は多くの場合は水溶液の形で用いられる。下限の濃度は分散液中で許容されうる水の量により決定され、上限の濃度は当該化合物の水における溶解度によって決定される。一般にこの濃度は溶液に対し0.1〜30重量パーセント、好ましくは0.5〜20重量パーセント、特に好ましくは1.0〜10重量パーセントである。
【0044】
開始剤の量は一般に、重合するモノマーに対し0.1〜10重量パーセント、好ましくは0.5〜5重量パーセントである。乳化重合の過程において複数の異なる開始剤を使用することもまた可能である。
【0045】
重合では調整剤を用いることができるが、その量は重合するモノマーに対し例えば0〜5重量パーセント、好ましくは0〜0.8重量パーセントである。有用な調整剤は例えばドイツ国特許DE-A19712247の第4頁に記載されている。しかし、tert-ブチルメルカプタン、エチルヘキシルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メルカプトプロピルトリメトキシシランまたはtert-ドデシルメルカプタンなどのチオール基を含有する調整剤は使用してはならない。
【0046】
抗細菌性および殺真菌性が付与されるポリマーの乳化重合は、一般に30〜130℃で、好ましくは50〜90℃で行われる。重合媒体は水のみ、あるいは水とメタノールなどの水と混和する液体との混合物から成るものであってよい。好ましくは水のみを使用する。乳化重合はバッチ式または段階法もしくは勾配法を含むフィード式で行うことができる。フィード式で行うことが好ましく、該方式では、重合バッチのいくらかを最初の装填分として導入し、重合温度まで加熱し、初期重合を行い、ついで重合が継続中に重合バッチの残りを重合ゾーンに連続的に、段階的に、または濃度勾配の下に、通常は複数の空間的に分離した供給流(このうちの一つ以上がモノマーを純粋な状態で、または乳化した状態で含有する)として供給する。
【0047】
フリーラジカル水性乳化重合中に開始剤を重合容器に添加する方法は、当業者にはよく知られている。開始剤は重合容器に入れる最初の装填で全部加えてもよく、またはフリーラジカル水性乳化重合を行いながらそれが消費される速度で連続的にまたは段階的に導入してもよい。個々の場合においては、当業者にはよく知られているように、これは開始剤系の化学的性質と重合温度の両方に依存するであろう。いくらかを最初の装填分に添加しておき、残りをそれが消費される速度で重合ゾーンへ供給することが好ましい。
【0048】
残ったモノマーを除去するために、実際の乳化重合が終った後、すなわちモノマー転化率が少なくとも95%となった後に更に開始剤を添加することが通常行われる。
【0049】
フィード方式の場合、個々の成分は反応器内へ上から、横から、または反応器の底を通じて下から供給することができる。
【0050】
乳化重合により通常15〜75重量パーセント、好ましくは30〜50重量パーセントの固形分を持つ水性ポリマー分散液が製造される。
【0051】
高分子バインダーすなわちエマルジョンポリマーのガラス転移点は好ましくは-60〜+100℃、特に好ましくは-20〜+60℃、最も好ましくは-10〜+50℃の範囲である。
【0052】
ガラス転移点は示差熱分析または示差走査熱分析(例えばASTM3418/82「midpoint temperature」を参照のこと)などの通例の方法で決定することができる。
【0053】
このように分散液または溶液から調製されたポリマーは、分散媒または溶媒として、例えば25〜85%の水をそれぞれ含有することができる。
【0054】
分散液または溶液は好ましくは50〜70重量パーセントの水を含有する。
【0055】
金属イオン、好ましくは銀イオン、は電気化学的方法を用いて分散液または溶液中に導入される。これは銀電極間に電流が流れ、銀化される水性基材が電極の間を通過する時に電解質として作用する、従来の装置を用いて行われる。
【0056】
銀化には基本的に2つの方法がある。(a)後に重合で用いる水をあらかじめ所望の濃度で銀化しておくか、または(b)予め調製されたポリマー中に銀イオンを導入するかである。
【0057】
(b)の場合、条件全体(電流強度、電極表面積、流量)を電極間の体積要素(volumeelement)中の銀イオンの平均局所濃度が5ppm、好ましくは2ppmを超えないように選択する。局所濃度を超過することなく、所望の最終濃度を達成するには、銀化した分散液または溶液を再びまたはくり返しこの装置に流すことが有利である。しかし分散液流の一部のみを処理し、この処理した分散液流の部分を未処理の分散液流と混合することも可能である。
【0058】
有用な装置としては例えばKatadyn(スイス、Wallisellen)製のElektro-Katadyn装置(登録商標)が挙げられる。
【実施例】
【0059】
a)ポリマーの調製
ポリマー1
500gの完全脱イオン水、3.5gのラウリル硫酸ナトリウムおよび50gのフィード1からなる溶液を80℃に加熱した後に、80℃で2時間かけて7.5gのペルオキソ二硫酸ナトリウム(水中濃度7%)と混合し、その後に続けてフィード1およびフィード2と混合する。
【0060】
フィード1
500gの完全脱イオン水
23gのエトキシル化ノニルフェノール(100EO単位)
7gのラウリル硫酸ナトリウム(水中濃度15%)
370gのアクリル酸エチル
160gのメタクリル酸メチル
【0061】
フィード2
21gのペルオキソ二硫酸ナトリウム(水中濃度2.5%)
【0062】
その後補足的な重合を2時間行い、室温まで冷却し、0.2gの過酸化水素(濃度30%)を9gの完全脱イオン水に溶解した溶液と、0.3gのアスコルビン酸と0.5gの硫酸鉄(II)(水中濃度1%)とを24gの完全脱イオン水に溶解した溶液を順次混合した。ピロリン酸ナトリウム(水中濃度3%)および水酸化ナトリウム(水中濃度10%)を加えてpHを7.5に調節した。
【0063】
ポリマー2
フィード1に調整剤として10gのイソプロパノールを含有させ、ポリマー1の手順をくり返した。
【0064】
b)銀の導入方法
b1)分散液中に銀を電気化学的に直接導入する方法
銀イオンと混合する分散液を、Katadyn Produkte AG CH-8304 Wallisellen製のtype EK4 Electro-Katadynシルバライザーおよびポンプからなる装置に流す。所望の銀用量が得られるようにポンプの流量を決定しなくてはならない。設定する銀化電流は流量と所望の銀用量とから計算する。これはファラデーの式を用いて行う。
【0065】
1A=1時間当たり約4gのAg
1mA=1時間当たり約4mgのAg
【0066】
計算例:
Figure 2004527605
(400:4=100)
【0067】
計算された銀化電流を設定し、ポンプを使用して実施例1の分散液をElectro-Katadyn EK-4ユニットに通す。調製物がElectro-Katadynユニットにポンプで汲み上げられたら直ちに銀化電流のスイッチを入れ、この分散液と所望の量の銀とを混合する。ポリマー1の分散液を0.2、0.5および1ppmの銀と混合した。
【0068】
分散液2も同様に処理した。
【0069】
b2)分散液を調製するために使用する水に銀を導入する方法
1ppmの銀イオンを(c)項で記載する電気化学的方法によって完全脱イオン水中に導入する他はポリマー1の調製をくり返す。
【0070】
c)テスト方法
各20gのポリマー1および2に0.2mlの各細菌懸濁液(エシェリヒア・コリ、シュードモナス・エルジノーザ、スタヒロコッカス・アウレウス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・ニガー)をそれぞれ接種し均質化して、1.8〜3.4x10の菌を存在させた。
【0071】
菌数を直後、14日後、および28日後に測定した。結果を下記の表1〜7に示す。
【表1】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、保存有効性は経口用製剤に求められるPh.Eur.3、2000の要件を満たしている。
【表2】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、保存有効性は経口用製剤に求められるPh.Eur.3、2000の要件を満たしている。
【0072】
5種類の試験細菌をくりかえし接種、すなわち細菌が死滅後に再接種したところ、銀濃度0.5ppmのポリマー1の分散液においてc)項記載の試験方法を使用して下記の結果が得られた。
【表3】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、保存有効性は経口用製剤に求められるPh.Eur.3、2000の要件を満たしている。
【表4】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、2回目の接種後の保存有効性は十分である。
【0073】
n.a.=評価不能。
【表5】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、3回目の接種後の保存有効性は十分である。
【表6】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、4回目の接種後の保存有効性は十分である。
【表7】
Figure 2004527605
評価:
行った微生物学的調査の結果によると、5回目の接種後の保存有効性は十分である。
【0074】
d)製剤の製造
マトリックス錠剤のための顆粒
30%のポリマー含有量および0.4ppmの銀含有量を有する分散液2を流動床造粒機中で造粒液体として使用して、マトリックス錠剤のための顆粒を製造する。この目的のために使用する場合は、更なる希釈または製剤化は行わない。
【0075】
顆粒の製造
流動床造粒機(例えばGlatt WSG15装置)に活性物質としてのパラセタモール粉末を3.5kg、フィラーとしてのラクトース一水和物を1.7kg装填し、この最初の装填物を、上記の分散液を5.67リットルスプレーすることにより造粒する。続いて残留水分が<2%となるまで乾燥させる。
【表8】
Figure 2004527605
得られた顆粒は自由流動性で当該分野で通常使用される条件のもとでマトリックス錠剤に打錠成形可能である。
【0076】
錠剤コーティング
銀含量が0.2ppmである分散液1を用いて錠剤のコアをコーティングするための下記の配合物を調製し、スプレーにより塗布した。
【表9】
Figure 2004527605
スプレー用配合物の調製
まずトリアセチンを1100gの水に溶解する。分散液を徐々に添加し、混合物を一定速度で撹拌して均質化する。
【0077】
別途、Kollidon 30(商標)成分を340gの水に溶解し、この溶液を二酸化チタンおよびタルクと混合してホモジェナイザー(例えばUltraturrax)により処理する。得られた顔料懸濁液を最終的に可塑化剤とともに撹拌して分散液とした後下記に示す条件の下で錠剤コアにスプレーする:
【表10】
Figure 2004527605
得られた白色の錠剤コートは乾燥後完全な均一性を示し、ひび割れなどの欠陥が全く見られない。

Claims (9)

  1. a)ポリマー分散液またはポリマー溶液がチオール調整剤を使用することなく調製されていること、
    b)金属イオンが電気化学的方法を用いて導入されていること、および
    c)有効量の有機殺生物剤が含まれないことを特徴とする、
    元素周期律表のIb族の金属イオンにより抗細菌性および殺真菌性が付与されたポリマー分散液またはポリマー溶液。
  2. さらに、
    d)Ib族の金属イオンの量が1ppm未満であることを特徴とする、
    請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  3. 分散媒または溶媒が主として水である、請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  4. pHが4.5〜9であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  5. 金属イオンが予め調製されたポリマー分散液またはポリマー溶液に導入されることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  6. 重合を行う前に金属イオンが導入された水を用いて調製される、請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  7. 金属イオンが銀イオンである、請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  8. 金属イオン含量が0.6ppm未満であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液。
  9. 請求項1に記載のポリマー分散液またはポリマー溶液を含有する医薬品製剤または化粧品製剤。
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