JP2004527270A - 材料の集束ビーム切断 - Google Patents
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Abstract
ビームを用いる、材料セグメントの少なくとも部分的な切断によってプロテーゼを製造する方法を開示する。この切断は好ましくは工程制御ユニットによって制御され、材料セグメントをパターンにそって切断し、目的画像およびサイズをつくる。幾つかの実施態様では、材料セグメントが、生物から分離された組織セグメントを含む。組織切断用の装置は、組織セグメント、支持台、ビームジェネレータおよび工程制御ユニットを有する。ビームジェネレータは、支持台によって支えられる組織セグメントに、ビームを向けるよう方向づけられている。工程制御ユニットは、支持台に操作可能に接続される。改善された切断アプローチを、心臓弁プロテーゼの構成に使用することができる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織などの材料の切断用の集束ビームの使用に関する。特に、本発明は、集束ビームを用いる、プロテーゼ中への導入用の組織の精密切断に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療物品が、特に患者の体液との接触にむけて設計されている。この接触は、医療物品と患者の血液および/または組織との間の表面の相互作用が大きな意義になるほどに十分に長くなり得る。これらの医療デバイスの構成要素は、組織から形成され得る。関連する医療物品として、例えばプロテーゼが含まれる。
【0003】
プロテーゼ、すなわちプロステーシスデバイスは、ヒトおよび動物の、損傷したまたは病気にかかった器官、組織および他の構造の修復または置換に使用される。プロテーゼは、典型的には長期間埋め込まれるため、一般に生体適合性でなければならない。プロテーゼは、天然材料(組織など)、合成材料またはそれらの組合せから構成され得る。
【0004】
天然材料由来のバイオプロステーシス心臓弁は、1960年代の初期に導入された。バイオプロステーシス心臓弁は、典型的にはブタの大動脈弁から得るか、またはウシの心膜などの他の生物学的材料から製造される。異種移植心臓弁、すなわちレシピエントの種と異なる種のドナーに由来する心臓弁は、典型的には、埋め込みの前にグルタルアルデヒドまたは他の架橋剤を用いて固着され、免疫学的な拒絶反応の可能性を低減させる。グルタルアルデヒドおよび他の固着剤は一般に、タンパク質中の遊離官能基と反応して共有結合を形成し、それによってタンパク質に近い化学的架橋になる。
【0005】
機械的心臓弁は長期間の使用を通じて耐久性が確認されているという利点があるが、これらはプロテーゼ弁上またはその周辺での血液凝固および血栓塞栓症の可能性を伴う。血液凝固は、弁または関連する血管の、急性または亜急性の封鎖を引き起こし得る。このため、埋め込まれた機械的心臓弁を有する患者は、弁の埋め込み後は抗凝血剤の服用を続ける。抗凝血剤は出血問題のリスクを与え、そしてある種の個体には安全に用いることができない。
【0006】
対照的に、組織由来のプロステーシス心臓弁は一般に、抗凝血性治療を必要とすることなく高度な血栓抵抗を供する血流特性および表面性質を有する。それ故に、血栓症または血栓塞栓症および出血問題は、機械的心臓弁により生じる可能性よりも、起こる可能性が低い。プロステーシス組織心臓弁は、埋め込み後約7〜10年で劣化が始まる傾向により、制限される。弁の変質は、若い患者および妊娠中において特に早い。しかしながら、プロテーゼの埋め込み後の組織変質を低減させるために、別の処理が発展し、そして発展し続けている。組織処理における改善が埋め込まれた組織物の耐久性を改善するにつれて、組織ベースのプロテーゼなどが優先傾向になるであろう。それ故に、バイオプロステーシス心臓弁は、特定の個体における心臓弁置換用の機械的心臓弁の代替としての役目を果たす。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明はプロテーゼの製造方法に関する。この方法は、ビームを用いる、材料セグメントを少なくとも部分的に切断する工程であって、この切断工程が工程制御ユニットによって制御されて、材料を切断し目的形状をもたらす工程を包含する。この方法は、プロテーゼ構成要素製造用の組織セグメントおよびポリマーシートの切断に特に適している。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、組織セグメント切断用の装置に関する。この装置は、組織セグメント、支持台(support platform)、ビームジェネレータ、モーターおよび工程制御ユニットを有する。支持台は組織セグメントを支える。ビームジェネレータを方向づけして、ビームを組織セグメントへ向ける。加えて、工程制御ユニットは、支持台およびビームの相対的位置を制御する。この装置はさらに、支持台およびビームの相対的位置を変化させるモーターを有する。幾つかの実施態様では、工程制御ユニットは、モーターに操作可能に接続されたデジタルプロセッサを有し、ここでデジタルプロセッサは目的パターンに基づいてモーターを制御する。
【0009】
他の態様では、本発明は、ホストから分離された組織セグメントを含む心臓弁プロテーゼであって、この組織が焼灼されたエッジを有するものに関する。
【0010】
加えて、本発明は、異なる厚さを有する組織シート部分を取り除く、組織シートの切断方法に関する。この方法は、組織シートの画像化工程および組織シートの切断工程を包含する。組織シートの画像化工程は滑らかな表面上で行なわれ、異なるポイントでの組織シートの厚さを評価する。組織シートの切断は、選択された範囲外の厚さを有する組織シート部分を取り除く。
【0011】
(図面の簡単な説明)
図1は、無傷リーフレットを含む弁外植片から形成される大動脈心臓弁プロテーゼの斜視図である。
【0012】
図2は、僧帽心臓弁外植片の斜視図である。
【0013】
図3は、組織構成要素から組み立てられた、大動脈心臓弁プロテーゼの側面図である。
【0014】
図4は、組織構成要素から形成された4つのリーフレット僧帽弁プロテーゼの側面斜視図である。
【0015】
図5Aは、医療デバイス形成のための精密切断用の自動集束ビーム切断装置の概略図である。
【0016】
図5Bは、図5Aの切断装置で使用される支持台の実施態様の概略上面図である。
【0017】
図6は、切断装置でのガイドとして使用されるリーフレットテンプレートの態様例の上面平面図である。
【0018】
図7は、大動脈弁外植片からの大動脈リーフレット切断の平面図である。
【0019】
図8は、併せて縫われた3つの大動脈リーフレットを有する組織セグメントの平面図である。
【0020】
図9は、図8の組織セグメントの平面図であって、リーフレットの反対側を示す。
【0021】
図10は、大動脈壁の一部を切断してコミッシュアー支持体を形成した、図8の組織セグメントの平面図である。
【0022】
図11は、3つのリーフレットの周りの大動脈壁を切断した後の、図8の組織セグメントの平面図である。
【0023】
図12は、コミッシュアー支持体をラウンディングした後の、図11の組織セグメントの平面図である。
【0024】
図13は、組織シートに縫われた図12の組織セグメントの平面図である。
【0025】
図14は、組織セグメントの反対の端を接合して、弁構造および組織の部分切り取りを形成した、図13の組織構成要素の側面図である。
【0026】
図15は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第1リーフレットセクションの側面図である。
【0027】
図16は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第2リーフレットセクションの側面図である。
【0028】
図17は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第3リーフレットセクションの側面図である。
【0029】
図18は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第4リーフレットセクションの上面図である。
【0030】
図19は、組織セグメントを支えるのに適した円筒型マンドレルの側面斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
医療デバイスの構成における、集束ビーム(例えば、放射線または水)を用いる組織または他の材料の精密切断は、優れた再現性および均一性を伴う組織エレメントの効果的な生産をもたらす。好ましい実施態様では、切断は自動システムで行なわれるが、手動ビーム切断も有利に行なうことができる。自動切断工程では、切断工程を記憶されたパターン/画像または有形のテンプレートに従って制御でき、材料の再現可能な切断を導く。他の実施態様では、自動切断工程はデジタル画像に依存し、デジタル画像と所望のコンフィギュレーションのデジタル目的画像との相違に基づく切断を導く。得られる切断組織エレメントは、より高い正確さおよび一貫性を伴って製造され、その一方で人間のミスによる無駄が低減される。好ましい実施態様は組織セグメントの切断を包含するが、集束ビーム切断は、医療デバイスの製作における、他の材料セグメント、特にポリマーの切断に有利に適用され得る。
【0032】
一般に、関連する医療デバイスは、人体内の対応する構造を擬態するように形成されたプロテーゼまたはプロテーゼの構成要素である。 プロテーゼを、対応する生来の構造の置換または修復に使用することができる。従って、医療デバイスは一般にレシピエント患者内への長期間の埋め込みに適する。一般に、患者は動物であり、好ましくは哺乳動物(ヒトなど)である。
【0033】
組織セグメントの切断の前に、組織は、患者レシピエントから(すなわち自家移植組織)、患者と同じ種の個体から(すなわち同種移植組織)または異なる種の個体から(すなわち異種移植組織)採られ得る。この組織を、切断前および/または切断後に、別の加工(滅菌剤および/または架橋剤を用いる処理など)に供することができる。好ましい実施態様では、組織は、加工を経た採取からの水和した形態を維持されるが、しかし乾燥させたおよび/または凍結した組織も精密切断工程に供することができる。
【0034】
幾つかのデバイス(心嚢パッチおよび創傷治癒用の皮膚移植片など)は、構造が単純である。例えば、心嚢パッチは一般に長方形の組織セクションであり得る。複合さが少ない構造のこれらにおいても、集束ビーム切断を用いる組織の加工によってヒトの接触の必要性を低減させることには利点があり得る。切断工程を、所望の厚さへの組織の切断に用いることができる。
【0035】
さらに、種々の組織ベースのプロテーゼは、集束ビーム切断を用いて得られる精密さによるより高い効率性および均一性を伴って製造することができる複合構造を有する。組織ベースの心臓弁プロテーゼの加工は、特に関心が持たれている。適した心臓弁プロテーゼには、切断組織構成要素が組み立てられた構成弁、および精密集束ビーム切断によって適切に切り取られ、そして埋め込み構成要素を用いて組み立てられて、プロテーゼが完成する、リーフレットを有する無傷組織弁、が含まれる。これらのより複合的な構造において、精密集束ビーム切断アプローチは特定の利点を提供する。
【0036】
明確なジオメトリーを伴う、複合が少ない構造および複合構造の両方の切断において、切断ツールがプログラムされて、あらかじめ選択されたテンプレートに従い得る。これは、デジタル形態で記憶された画像または仮想テンプレートあるいは有形のテンプレートであり得る。仮想テンプレートまたは有形のテンプレートは、目的組織エレメントの構造を輪郭づける2次元または3次元パターンを形成する。仮想テンプレートまたは有形のテンプレートに基づく切断は、組織シートからの組織エレメント切断に特に適している。テンプレートベースの切断は、あらかじめ選択されたパターンに従って調整されうる、明確なジオメトリーを伴う非平面的な構成要素の切断にも適している。
【0037】
初期組織セグメントが切断装置中に適切に置いてある限りは、自動切断手順は、仮想テンプレートに従って組織を適切に切断することができる。有形のテンプレートを用いて、ビームがテンプレートのパターンに従うように切断を自動化することができ、あるいは、有形のテンプレートが物理的にビームを遮断し、ビームが材料につたって動くときに、テンプレートによって遮断されない材料のみを切断することができる。あるいは、操作者がモーター付スタンド上でビームを手動で制御して、テンプレートに示されたパターンに沿って切断することができる。
【0038】
他の実施態様では、切断工程は、デジタル画像、好ましくは3次元画像を用いる。適切な画像化アプローチとして、例えば映像画像化、コンピューター3D増大および走査位相測定が含まれる。これらのアプローチは、光の使用により、目的物を画像化する。画像化を行なう場合、目的物に、目的物を通して向けられたおよび/または透明な支持体表面を通して向けられた背面照明を用いて、画像化を目的として光をあてるか、あるいは目的物から反射された光を測定することができる。画像の測定または異なる方向からの基準点を使用して、3次元画像を作図することができる。好ましいアプローチは非接触型画像化によるものであるが、プローブを使用して接触ベース画像を形成してもよい。
【0039】
実際の組織エレメントのデジタル画像をまず位置合わせし、所望の形状に対応する、目的画像中の対応する構造に合わせる。一旦デジタル画像を位置合わせすると、目的物のデジタル画像と所望の形状の記憶された画像との間の任意の相違を評価することができる。所望の形状の記憶された画像を、所望の特性を有するあらかじめ加工された目的物のデジタル画像から得ることができ、または例えば設計ソフトウェアを用いて、所望の仮想形状によって得ることができる。
【0040】
実際の目的物のデジタル画像と所望の目的物品のデジタル画像との相違は、切断工程中に取り除かれる材料を表わす。従って、このデジタル相違情報を使用して、2つの画像を区分する輪郭にそった切断により、切断操作を行なうことができる。画像を使用して、切断を制御して、不注意な組織の切断を避け、無傷を維持することができる。このアプローチは、複合構造が位置合わせ工程からなり、そして分かれた構造的特徴による、ビームを用いる妨害を画像の検査によって避けることができる点で、テンプレートベースのアプローチとは異なる。
【0041】
切断は、平面内であるいは3次元で、切断を行なう集束ビームに関連して、輪郭にそって組織を移動して行なわれる。相対運動は、組織セグメントの移動によっておよび/または集束ビームの移動によって達成される。従って、組織を可動ステージ上にのせて切断工程を導くことができる。あるいは、集束ビームを組織につたって走査する。ビーム源(レーザーなど)が非常に大規模であって実際的な方法で動かすことができない場合は、集束ビームを向ける代わりに、光学構成要素または同様の指示ツール(導管、鏡、レンズなど)を動かすことができる。
【0042】
適した集束ビームとして、例えば集束高強度光ビームまたは流体ジェットが含まれ、ここで流体は液体(水など)またはガス(空気など)であり得る。集束高強度光ビームは、レーザー光源または非レーザー光源であり得る。光源は任意の光学周波数を有してもよいが、好ましい光源として、例えば赤外レーザーが含まれる。他の実施態様では、集束流体ジェット(水ジェット)を使用して、切断が行なわれる。
【0043】
組織は、切断工程中、水和していてもよく、または乾燥してもよい。同様に、組織は、切断工程中、凍っていても、凍っていなくてもよい。好ましい実施態様では、組織は凍っておらずそして水和している。組織の脱水は、望ましくなくそして不可逆的な構造的変化を引き起こし得る。切断工程中における、組織の望ましくない量の脱水を防ぐために、組織を湿った形態の切断表面上に置くことができる。切断表面上の湿気を、例えば流動床を使用して維持することができる。同様に、噴霧器を使用して組織上に液体を噴霧し、加湿を維持することができる。集束ビームを適切に設定できる場合は、組織を液体中に沈めることができる。
【0044】
湿気層が保たれない場合であっても、切断を素早く行なえば、たとえ周囲大気条件であっても、組織は切断工程中に顕著に乾燥しないであろう。加えて、周囲大気を高湿度に保って組織の乾燥を低減することができる。所望により、切断を、組織の乾燥を有効に除く非常に高湿度レベルの大気の密閉システム(グローブボックスなど)または温度と湿度が調節されたルームで行なうことができる。
【0045】
任意の追加的加工が必要とされる場合は、組織切断後に切断組織をさらに加工して、プロテーゼを完成させることができる。化学的処理(固着、生物学的剤(成長因子など)との接触および滅菌を、組織切断前および/または組織切断後に行なうことができる。別の構造的工程として、1またはそれ以上の構成要素からのプロテーゼの組み立てを包含し得る。簡単な構造(心嚢パッチおよび皮膚移植片など)は完全構造的であり、切断後に、任意の別の非構造的加工がなされそして貯蔵される。他のプロテーゼ(心臓弁プロテーゼなど)は、少なくともデバイスの埋込みを助力する縫製カフおよび/または他の構成要素の追加を必要とし得る。心臓弁プロテーゼは、組織エレメントの取り付け、ステントおよび/または他の構造的支持体への取り付けも必要とし得、埋め込み用および埋め込みに従う適した機能用のプロテーゼが調製され得る。
【0046】
医療用の組織(プロテーゼの形成など)の手動切断は、高度に熟練した技術者を必要とするが、幾つかの状況においてはこの工程は繰返しが多くあり得る。それでもやはり、確実な医療デバイスを形成するための切断の重要性は、プロテーゼの精密加工の使用を必要とする。熟練した技術者であっても、組織の手動切断による過失は、構成要素(ブタの心臓弁など)の相当の無駄をもたらし、これは顕著な調製および取扱い費用をもたらす。従って、医療デバイス生産のための組織の手動加工は、比較的コストが高くなる。
【0047】
集束ビームを用いる切断は、人間の相互作用が低減された、組織またはポリマーの精密切断を提供する。 工程が自動化されている場合、切断は、高められた均一性、正確性を伴って、そして浪費の低減を伴って行われ得る。加えて、熟練した作業者は、他の仕事を行なうため、解放され得る。また、組織エレメントの自動加工は、処理能力および収率を高め得る。組織エレメントにおける一貫性(リーフレットの大きさなど)は、より予測可能な性能を伴う、より均一なデバイスを提供できる。
【0048】
医療デバイス
好ましい医療デバイスは一般に組織材料を含むが、あるいは医療デバイスが他の材料、特にポリマーから形成されて、そして組織と結合されてもよい。一般に、これらの医療デバイスは、患者中へのまたは患者上への長期埋め込み用に設計されたプロテーゼまたは構成要素である。関連するプロテーゼとして、例えば人工心臓、人工心臓弁、弁輪形成リング、心嚢パッチ、血管、冠状動脈および構造的ステント、血管移植片または導管、永久的内在経費的デバイス、血管シャント、創傷治癒用の皮膚移植片および手術パッチが含まれる。
【0049】
特に好ましい医療デバイスとして、組織ベースの心臓弁プロテーゼが含まれる。組織ベースの心臓弁プロテーゼはステントを有してもよく、ここでステントは、組織ベースのリーフレットの機能を維持するためのフレームとしての役目をし;あるいはステントレスであってもよく、ここで組織心臓弁は、レシピエントの生来の支持構造体、例えば腱(chordae)に付着した大動脈または乳頭筋を利用して埋め込まれ、リーフレット機能を維持する。心臓弁プロテーゼは、所望の形状を有するよう切断される組織のセグメントから構成され、そして完全なプロテーゼに組立てられ得る。あるいは、心臓弁プロテーゼは、無傷リーフレットを用いる心臓弁外植片の切り取りによって形成され得る。
【0050】
大動脈ステントレス心臓弁プロテーゼを図1に示す。大動脈弁100は、カバー102および採られた心臓弁外植片104を含む。心臓弁外植片104は、コミッシュアー112で接する3つのリーフレット106、108、110を有する。カバー102は、一般的な環状ベース114および3つのコミッシュアー支持体116、118、120を有する。コミッシュアー支持体116、118、120は、スカロップ122の間に伸びる。縫合124は、流入エッジ126および流出エッジ128に沿って位置され、カバー102を心臓弁外植片104に固定する。心臓弁外植片104は、カバー102への取り付けの前に、適切に切断される。
【0051】
僧帽ステントレス心臓弁プロテーゼの実施態様を図2に示す。採られた僧帽心臓弁外植片150は好ましくは、輪152、輪152と接続するリーフレット154、リーフレット154の間に伸びる腱索158および一部の乳頭筋セクション160を含む。リーフレット154、腱158および乳頭筋セクション160は、完全な弁下(subvalvular)装置を形成する。あるいは、乳頭筋セクション160は、合成材料、ポリマーなどで置換されてもよい。輪152は、前僧帽輪164に、ブタの大動脈弁162の残りの部分を含む。後部僧帽輪166は主に心房筋で形成され、前輪164の領域は、繊維状の骨格、すなわちミトロ大動脈腱組織によって支えられる。以下にさらに記載するように、輪152および乳頭筋セクション160を、本明細書に記載の方法で切り取ることができる。
【0052】
3つのリーフレット、ステントレスの、組み立てられた大動脈心臓弁プロテーゼを図3に示す。大動脈プロテーゼ170は、ブタの大動脈心臓弁から切除された3つのリーフレット172、174、176を含む。リーフレット172、174、176は、コミッシュアー支持体178、180、182で接合される。リーフレット172、174、176は、縫合186または他の留め具を用いて、ウシ心膜のセクション184または他の適した材料に固定される。ウシ心膜184は弁構造を一緒に保持する。以下にさらに記載するように、リーフレットは、心嚢組織への取り付けの前に切断される。心嚢組織も一般に、リーフレットへの取り付けの前に切断される。またさらに、切断を、ウシ心膜におけるリーフレットの組立てに従って行なってもよい。他の実施態様では、ウシ心膜を、合成材料または他の組織材料で置換する。
【0053】
組織エレメントから組立てられた、4つのリーフレットを有するステントレス僧帽弁プロテーゼを、図4に示す。心臓弁200は、縫製リング202および4つのリーフレット204、206、208、210を含む。腱212は、リーフレット204、206、208、210のエッジから伸びる。腱212は、以下にさらに記載するように、生体適合性材料(組織など)の単独のシートから形成され得る。腱212は、患者の乳頭筋への取り付け用の取り付けセクション214と接続する。組織形成リーフレット204、206、208、210のエッジ216は、縫製リング202の2つの部分218、220の間を縫われ、リーフレットが縫製リングに固定される。リーフレットおよび縫製リングを含む構成要素を、集束ビームを、そして好ましくは有形のテンプレートまたはテンプレート画像を用いて、切断され得る。
【0054】
組織
適切なバイオプロステーシスの組織材料は、天然材料、合成組織マトリックスおよびこれらの組合せから形成され得る。合成組織マトリックスは、架橋され組織マトリックスを形成する細胞外マトリックスタンパク質から、あるいはポリマーなどの合成材料から形成され得、そしてこれらはマトリックスと関連する生存細胞を有するまたは有していたものである。従って、組織材料は、生存細胞または、もはや存在しない生存細胞から形成される構造部を有する。細胞外マトリックスタンパク質は市販されている。
【0055】
本発明で使用されるための、天然の、すなわち生物学的組織材料には、比較的無傷の組織、そして脱細胞化(decellularized)組織が含まれる。これらの天然組織は、例えば、生来の心臓弁、根、壁およびリーフレットなどの生来の心臓弁の一部、心嚢パッチなどの心嚢組織、羊膜嚢、接続組織、バイパス移植片、腱、靭帯、皮膚パッチ、血管、軟骨、硬膜、皮膚、骨、筋膜、粘膜下組織、臍組織などから得ることができる。
【0056】
天然組織は、選択された動物種、一般的に哺乳動物(ヒト、ウシ、ブタ、イヌ、アザラシまたはカンガルー)由来である。これらの組織として、全器官、一部の器官または構造的組織構成要素が含まれ得る。適した組織として、異種移植片、同種移植片および自家移植片が含まれる。これらの天然組織として、一般的にコラーゲンを含む材料が含まれる。天然組織は典型的には軟組織であるが、しかし必ずしもそうとは限らない。組織材料は、組織心臓弁プロテーゼの構成に特に有用である。この組織は脱細胞化されてもよい。脱細胞化アプローチは例えば、米国特許第5855620号、Bishopricら、発明の名称「Matrix Substrate for a Viable Body Tissue-Derived prosthesis and Method for Making the Same」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0057】
組織は架橋によって固着されてもよい。固着化は、例えば組織の酵素劣化を防ぐことによって、機械的安定化をもたらす。グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドまたはこれらの組合せが、固着化において典型的に使用されるが、しかし他の固着剤(エポキシド、ジイミドおよび他の二官能性アルデヒドなど)を使用してもよい。特に、アルデヒド官能基は、タンパク質(コラーゲンなど)中のアミン基と高度に反応する。
【0058】
架橋に加えて、組織を他の化合物で処理して、組織性能を変性させることができる。好ましい実施態様では、組織は、石灰化低減化合物で処理される。グルタルアルデヒド架橋組織において、好ましい抗石灰化剤として、例えば多価金属カチオン(Al+3など)が含まれる。多価金属カチオンの使用は、例えば米国特許第5368608号、Levyら、発明の名称「Calcification-Resistant Materials and Methods of Making Same Through use of Multivalent Cations」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。微視的貯蔵構造を用いる抗石灰化剤の送達は、同時係属の同出願人の米国特許出願第08/931930号、Schroederら、発明の名称「Calcification Resistant Biomaterials」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。組織を、他の薬剤を用いて処理し、成長因子などの所望の性能を与えてもよい。
【0059】
組織材料は医療デバイス全体を形成することができ、あるいは医療デバイスの一部を形成することもできる。同様に、異なる部分の組織材料を組合せて、医療デバイスを形成することもできる。特に、幾つかの心臓弁プロテーゼを、動物から採られた無傷心臓弁外植片から形成することができる。次いで、外植片を、例えば架橋剤を用いて処理することができ、そして適切な天然または合成材料(縫製カフなど)を用いて修飾して、取り付けに役立たせることができる。このような実施態様を、例えば図1および2に示す。他の好ましい実施態様では、組織のセグメントを所望の形状に切断して組み立て、リジッドなステントを有するまたは有しない所望のプロステーシス弁を形成することができる。組み立てられた組織エレメントを有する関連する実施態様を、例えば図3および4に示す。
【0060】
切断装置
好ましい切断装置は切断工程の自動制御能力を有するが、しかし幾つかの他の実施態様ではモーター付切断装置の手動制御を提供する。自動切断を行なうために、組織または他の材料(ポリマー材料など)を、ステージ、マンドレルまたは同様の支持台の上にのせる。支持台を動かすことによって、ビーム源を動かすことによって、または組織上の選択された位置でビームを向ける集束光学素子を動かすことによって、切断ビームを組織につたって動かし、所望の切断を行なうことができる。切断は、所望の形状を有する切断組織のセクションをもたらす記憶されたパターンまたは有形のテンプレートに従うようにプログラムされ得る。あるいは、画像化デバイスを使用して、切断される組織または組織の一部のデジタル画像を調製することができる。デジタル画像と目的画像との相違が切断によって取り除かれる組織を表わすように、デジタル画像を所望の目的画像と比較する。
【0061】
好ましい実施態様では、切断工程中、組織を湿らせておく。従って、組織セグメントを流動床上に置いて組織を湿らせておくか、または噴霧器を使って、組織の湿気を維持することができる。他の実施態様では、切断装置を、グローブボックス中などの制御された環境中に置くことができる。グローブボックス内では、高い湿気レベルを保ち、組織からの湿気の蒸発を遅らせることができる。従って、最初に組織が湿っている場合は、切断工程において組織は顕著には乾燥しないであろう。湿度レベルを制御して、100%相対湿度に近づけることができる。同様に、高い相対湿度レベルに制御された環境の部屋の中で、切断装置を操作することもできる。
【0062】
切断操作において、組織を水溶液中に沈めることができる。これは、可視光ような水に顕著には吸収されない波長を有するレーザービームを用いて、テンプレートに沿って切断するのに特に実行可能である。切断は、液体と空気との間の界面での光の回折によって悪化し得る。しかしながら、レーザーをレンズを通して溶液中に直接投影して、屈折による悪化を低減させるまたは除去することができる。レーザービームを送達するミラーチューブに接続したレンズを沈めるのに適した装置は、米国特許第5938954号、Onumaら、発明の名称「Submerged Laser Beam Irradiation Equipment」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。テンプレートに沿って、組織およびレンズを比較的遅い速度で走査して、光学ひずみが生じ得る、液体の波の形成を避けることができる。
【0063】
本明細書中の記載は、組織を含む好ましい実施態様に焦点をあてているが、装置を、医療デバイス用の他の材料、特にポリマー、の切断用に使用することもできる。医療デバイスのポリマーエレメントの切断を含む実施態様では、一般に、湿気は問題とならない。ポリマーの切断に適切なレーザー波長を以下に記載する。
【0064】
適した切断装置を図5Aに概略的に示す。切断装置250は、例えば組織セグメント252、支持台254、集束ビーム源256、光学素子258、イメージャー260および工程制御ユニット262、一般にプロセッサを含む、を有し得る。切断装置はさらに有形のテンプレートを含み得る。組織セグメント252は、動物源からの弁外植片、組織のシートまたは任意の他の適切な組織片であり得る。組織セグメント252は、例えば支持台254に留められてもよく、または種々の手段(吸引など)で支持台に保持されてもよく、またはマンドレル上に置いて、組織の繊細な部分に損傷を与えることなく、所望の方向に組織セグメント252を保持するか、あるいは何れの留め具を用いずに支持台254上に直接平坦に置くことができる。
【0065】
支持台254は支持表面またはマウント270を有し、これは一般に平面であるかまたはマンドレルのように湾曲していてもよい。上記のとおり、支持表面270はクリップ、ホルダーなどを有して、切断操作中に組織セグメント252を適切に支えるかまたは保持してもよい。ビームが光ビームである場合は、プラットフォーム254は、組織、水、ポリマーおよび/またはガスなどの副作用の抑制のための透明なカバーを有していてもよい。幾つかの実施態様では、支持台254は、プラットフォームを所望の座標で位置付ける、モーター付スタンド272を有する。例えば、モーター付スタンド272は、3軸、すなわち前方および後方、左右、および上下、にそって、支持表面270を動かすトラックを有してもよい。好ましくは、モーター付スタンドは、選択可能な速度で少しずつ動く。例えば、工程制御ユニット262によって制御されたステップ形モーターの使用により、再現性を得ることができる。プラットフォームの位置および/または速度は一般に、工程制御ユニット262によって制御される。あるいはまたは加えて、支持台254は、手動操作スタンドおよび/またはモーター付スタンドの手動オーバーライドを有してもよい。手動制御は、ノブの回転、レバー動作などを含んでもよく、数的に較正してもしなくてもよい。
【0066】
支持台のある実施態様を図5Bに示す。支持台282は、床を通る液体の流れに基づいて流動する適切な粒子を含む流動床284を有する。液体源からの液体は、導管286を通って、液体が流動床に入るマニホールド288へ流れる。液体は、排水管290で床から出る。液体を再循環させてもよい。組織252を、試料の下に一連の穴または吸気口を有する吸引取付具292上に置いて、組織の損傷を伴うことなく、組織を保持させてもよい。吸引取付具を、吸引ポンプ294と接続する。吸引取付具を通る流れは、流動床をつたう排水管290への流れを顕著に妨げることのないよう、十分に弱く設計され得る。吸引取付具中へ流れる任意の液体を、液体源中に再循環させることができる。流動床および/または吸引取付具内の液体の流れを、工程制御ユニットによって制御することができる。あるいは、噴霧器が、組織上に周期的に渡らせ、湿気レベルを維持するか、あるいは固定された位置から連続的な噴霧を供してもよい。
【0067】
図5Aに関して、ビーム源256は、レーザー、強い光源(閃光電球など)、流体ジェットまたは他の高エネルギー集束ビームであってよい。ビーム源は、ビーム源を移動させるおよび/または再び方向づけしビームを所望の方向に向ける、支持体274を有してもよい。広範囲の光波長を使用して、切断を行なってもよい。加えて、光源からの光の放射を、周波数シフト光学素子(ラマンセルなど)または周波数を増やす非線形光学エレメントを通して通過させて、より望ましい光周波数を得てもよい。
【0068】
適した光波長について、約1ミクロンより大きい波長を有する赤外線光源を使用することができる。適した赤外線レーザーとして、約10.6ミクロンの放出を伴うCO2レーザー、および約1.3ミクロンおよび約1.06ミクロンの放出を伴うネオジムYAG(Nd-YAG)レーザーが含まれる。1.3ミクロン放出は、手術中におけるたいていの組織の切断により適切であることが見出されているが、しかしながら1.06ミクロンの赤外光は組織の焼灼に特に効果的であることが見出されている。レーザービームは一般的に、架橋または周辺の組織を損傷させずに、同様に相応するポリマーのエッジを溶解させずに、エッジを焼灼して種々の精度に切断する。また、5〜30気圧でラマンセルに満たされた水素を使用して、改善された切断のために、約1.06ミクロンの波長光の一部を、約1.9ミクロンにシフトさせてもよい。ラマンシフトセルの使用は、米国特許第5180378号、Kungら、発明の名称「Laser Surgery System」に詳細に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0069】
赤外光は見ることができないという不利益を有する。これは、自動切断装置の走査においては重要ではないが、システムを初期に位置合わせするのに対しては、光を見ることは利点がある。ビーム路の可視的整列のために、可視レーザーを、赤外線レーザー光と同じ光路にそって向けることができる。
【0070】
約350nm〜約800nmの可視光を使用して、切断を行なうこともできる。チタン-サファイアレーザーは約760nmでの放出を有し、これは柔らかな組織の切断に適している。ヘリウム-ネオンレーザーは、約632nmでの出力を有する。適したダイオードレーザーは、約400nm〜約1.6ミクロンの範囲の出力を有し、可視および近赤外の範囲をカバーしている。同様に、色素レーザーを使用して、選択された波長での強い可視光を調製することもできる。
【0071】
加えて、約250nm〜約350nmの範囲の波長を有する近紫外線もまた、組織の切断に効果的である。約500nm〜約700nmの波長を有する可視光を、非線形光学エレメントなどの標準的な周波数ダブラー(倍周波装置)を使用して周波数をシフトさせて、所望の紫外線を調製してもよい。同様に、Nd-YAGレーザーに周波数クワドループルラー(quadrupler)を装備させて、近UV放射線を調製してもよい。あるいは、フッ化キセノンレーザーを使用して、適した紫外光を直接調製してもよい。手術の実施における紫外光の使用は、米国特許第4791927号、Menger、発明の名称「Dual-Wavelength Laser Scalpel」に詳細に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。独立したまたは組織に従ったポリマーセグメントの切断では、赤外光は幾つかのポリマーを溶融させ得るまたは変形させ得るため、可視光および紫外光が好ましい。
【0072】
好ましい実施態様では、レーザー光源は、少なくとも約1ミリワット、およびより好ましくは50ミリワット〜約500ワット、さらに好ましくは約150ミリワット〜約100ワットのパワー出力を有する。適したパワーレベルは、組織の厚さおよび性質に依存し得る。連続的な光放出あるいはパルス状の光放出の何れも使用することができる。例えば、適したパルス状のレーザーを、約1ナノ秒(nanosecond)〜数ミリ秒(milliseconds)でパルスにすることができる。10nsの階級の短パルスは、約10ヘルツ〜約1000ヘルツの階級の繰返し率を有し得る。パルスエネルギーは、好ましくは約0.01ジュール〜約10ジュールの範囲である。適したレーザーは、種々の市販供給者から、本装置に適した範囲で入手することができる。
【0073】
加えて、高圧流体を組織切断に使用することができる。好ましい流体として、例えば水または水溶液(緩衝液など)、空気または他のガスなどが含まれる。流体ジェットカッターには、ノズルを通して流体を超高圧にさせるポンプが含まれる。好ましい実施態様では、流体を1またはそれ以上の非常に微細なオリフィスに通させて、髪の毛のように細い精密切断用の流体ジェットを作り出す。流体ジェットはパルス状の操作で作動してもよい。
【0074】
ポンプを使用して、流体を高圧でノズルに送達する。パルス状の流れにおいて、ダイヤフラムまたは他のポンプを使用することができる。送達チューブは、ポンプを有するノズルに接続する。組織の性質に依存して、ノズルへ導く圧力は一般に、約1,000psi(ポンド/平方インチ)〜約50,000psi、好ましくは約5,000psi〜約30,000psiの範囲である。パルス状の操作では、例えば約1パルス/秒〜約100,000パルス/秒の繰返し率を使用することができる。例えば米国特許第5871462号、Yoderら、発明の名称「Method For Using Fluid Jet Cutting System」に記載されるような、手術用の同様の流体ジェットシステムが意図され、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0075】
幾つかの実施態様では、光学エレメント258は任意的である。他の実施態様では、光学素子258は、切断ビームの方向付けおよび/または集束のための種々の構成要素を含み得る。光学素子258を、光放射線または流体ビーム切断を用いる実施態様に使用することができる。特に、光学素子258は、ビーム方向付け光学素子(鏡など)、光ファイバーケーブル、プリズム、導管など、および集束/流れ制御型光学素子(フロージェットなど)、ノズル、フィルターおよびレンズであり得る。光学素子258は、所望の位置および/または方向で光学素子258を位置させる、必要に応じたアクチュエーター276を含み得る。
【0076】
好ましい実施態様では、工程制御ユニット262がアクチュエーター276の動作を制御できるように、アクチュエーター276を工程制御ユニット262に接続する。アクチュエーター276は必要に応じてモーターを有し、そして、特定の構成要素における適切な手法によって、例えばレンズをのせるための市販のレンズホルダーなどを使用して、光学構成要素に接続される。さらなる実施例として、アクチュエーター276は、半球の2次元を覆う光ファイバーケーブルおよびレンズを動かして、所望の方向で切断ビームを位置付けることができる。
【0077】
イメージャー260は、1またはそれ以上の組織のデジタル画像を形成し、切断工程を導くのに使用される、光学的構成要素である。イメージャー260は一般に、画像化を行なうために、1またはそれ以上の画像化デバイス280を1またはそれ以上の所望の位置で位置付ける、支持体278を含む。画像化デバイス280は、種々の原理に基づき得る。画像化デバイス280は次のセクションで詳細に記載する。好ましい実施態様では、イメージャー260は工程制御ユニット262に接続される。
【0078】
工程制御ユニット262は、切断工程を制御する種々の回路基板、コネクタ、コンピューター、端子などを有し、そして他のエレメント(冷却ファンなど)を有し得る。工程制御ユニット262は、支持台、切断ビーム、光学エレメント、組織の水和および他の特徴を制御し得る。工程制御ユニット262は好ましくは、1またはそれ以上のデジタルプロセッサ295を含む。他の実施態様では、工程制御ユニット262は、光学素子258またはビーム源256からのビームに関連する、組織252のモーター付の動きの手動制御に使用できる、手動制御ユニット296を有し得る。手動制御(手動オーバーライド)をつけ加えて、あるいは別の方法として、プロセッサ295の制御における切断工程を直接的に制御してもよい。手動制御は、プロセッサ295により、手動指令が達成され得る。
【0079】
Pentium III( 登録商標 )チップなどの、任意の適切なプロセッサ295を使用することができる。特に、プロセッサ295は、切断装置の操作用に設計された専用のプロセッサであってよい。あるいは、プロセッサ295は、MacIntosh( 登録商標 )、Windows( 登録商標 )、Unix( 登録商標 )、Linux( 登録商標 )または他の都合よい操作システムで操作される、通常使用されるパーソナルコンピューターまたはワークステーションであり得る。切断操作の操作に適したソフトウェアとして、例えば、テキサス州AustinのNational Instruments Corp.,から入手可能なLabVIEW( 登録商標ソフトウェアが含まれる。特に、LabVIEW( 登録商標 )ソフトウェアを、切断操作全体をプログラムおよび調整するプラットフォームとして使用することができ、これには任意の画像化ソフトウェアおよびステージを操作する制御ソフトウェアが含まれる。適したソフトウェアは、カリフォルニア州AnaheimのView Engineeringからも入手できる。
【0080】
画像化
一部の組織の自動切断を容易にするために、切断工程の前におよび/または切断工程中におよび/または切断工程後に、デジタル画像を組織セグメントから形成することができる。適したデジタル画像は、接触または非接触画像化システムから形成することができる。接触イメージャーは、目的物の表面上のポイントで静かに接触し、表面ジオメトリーを確定する、1またはそれ以上の接触プローブを使用する。好ましい実施態様では、非接触光学イメージャーを使用する。幾つかの異なる光学技術(映像画像の形成など)を使用して、デジタル画像を形成してもよく、そして市販の画像化ソフトウェアを用いるコンピューター化3D増強を使用して、または走査位相測定を行なって、評価することができる。
【0081】
所望の最終構造、すなわち目的構造のデジタル表示を、同様につくりそして記憶させることができる。目的構造を、通常使用される描画ソフトウェアを使用して、または適した切断技術を用いて形成された所望の構造のデジタル画像の撮影により、つくることができる。加工された組織から形成されたデジタル画像間の相違を、目的構造のデジタル画像、すなわち目的画像と比較することができる。比較が完全に自動化されていてもよく、あるいは、操作者が可能切断パターンを確認、選択または変更できるように、コンピューター的分析(例えばCAD(Computer-Aided Design・コンピュータを使った設計デザイン)ソフトウェアを使用するもの)で表示して相違を示させてもよい。この比較は、組織の加工のさらなる基礎を提供できる。
【0082】
組織セグメントのデジタル画像の形成で、映像画像化システムを使用してもよい。デジタル映像カメラは市場で容易に入手できる。リング照明器を、映像カメラのレンズの周りに備えて、組織セグメントを均一に照らしてもよい。繊維光学素子ベースの適切なリング照明器は、Edmund Scientificから入手することができる。複数の視界を、映像カメラを選択された位置へ動かすことによって、または支持台上の組織を所望の方向に方向づけて動かすことによって、得ることができる。種々の基準ポイントに利用できる複数の画像を使用して、目的物の3次元視界を作ることができる。
【0083】
他の実施態様では、光の投影パターンを目的物につたって走査し、比較的一定の線形割合(linear rate)で画像化することができる。例えば、線の格子を、目的物の表面にわたって投影することができる。目的物から反射された光を、例えば電荷結合素子(CCD)アレー検出器を用いて検出することができる。光パターンが組織につたって走査されるように、ポイントにおける深さは、目的物の特定のポイントに対応する、CCDエレメントの読み取りによって評価される。こうして、3次元画像が形成される。走査位相測定を用いる画像の生成は、米国特許第5646733号、Bieman、発明の名称「Scanning Phase Measuring Method and System for an Object at a Vision Station」にさらに記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0084】
目的物の画像と記憶された画像との間の比較を含む機械視覚に向けた種々のアプローチが開発され、画像を記憶された画像と関連づけている。例えば、品質管理における、画像比較を行なう手順は、米国特許第5481619号、Schwatzら、発明の名称「Inspection Method Using Template Images, Unique Histogram Analysis, and Multiple Levels Correlated to Addresses of Template Images」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。これらのアプローチを、対象の切断工程に直接適応させることができる。例えば、組織画像と「テンプレート」画像とを、それらを重ね合わせて比較することができる。異なる画像を、ヒストグラムの形状で作ることができる。これらを使用して、切断ツールを、一部の組織を取り除くように向けて、目的物の画像を目的画像と一致させることができる。
【0085】
より最新式の整列アルゴリズムを使用してもよい。例えば、選択された特徴を使用して、組織の画像を、市販の3次元ディスプレイソフトウェアに基づいた目的画像と位置合わせすることができる。画像を位置合わせして、実際の画像と目的画像との間の相違を評価することができる。選択された特徴に基づいて画像を位置合わせすることは、米国特許第5875004号、Yamaneら、発明の名称「Image Processing Inspection Apparatus」(出典明示により本明細書に組込まれている)、および米国特許第5982945号、Neffら、発明の名称「Image Processing Method and Apparatus for Correlating a Test Image With a Template」(出典明示により本明細書に組込まれている)に記載されている。
【0086】
画像を位置合わせする場合、組織画像と目的画像との間の境界または輪郭は、切断の指針を提供する。2つの画像の間の境界に沿った切断によって、余分な組織を取り除き、そして目的画像に適合するように、組織を作成する。目的物の実際の画像を使用して、無傷組織が所望の切断に合うか確かめることもできる。望まれない組織切断を避けるために、特定の切断角を変えて所望の切断を行なうことができる。これらの技術を使用して、弁のジオメトリーによる変動を低減させるかまたは制御して、所望のコンフィギュレーションを達成するか、あるいは、組織の過剰部分を取り除くことによって、採られた弁または弁の部分(例えばリーフレット)を、より小さい所望のサイズに切断することができる。
【0087】
切断工程
医療デバイスおよびそれらの構成要素の調製において、ここに記載された装置および方法を使用して、種々の切断操作を成し遂げることができる。以下の記載は、組織の切断を中心とする。しかしながら、ポリマーおよびポリマー/組織の組合せの切断は、一般的に同様の方法で行なうことができる。
【0088】
ある切断アプローチでは、テンプレートによって定義された座標に沿った、組織セグメントの切断によって、均一の組織エレメントが形成される。テンプレートは、有形のテンプレートでもよく、あるいは工程制御ユニットにおいてデジタル画像として記憶された仮想テンプレートであってもよい。リーフレットの切断用のテンプレートの例を図6に示す。ここでパターン298中のラインは、例えばビームを向ける針などの動きを通して、たどる集束ビーム用の切断ラインを示す。他の実施態様では、材料をつたってビームを走査し、そして有形のテンプレートがビームを遮断して、曝された材料のみを切断するようにテンプレートに基づく材料の切断を防ぐ。
【0089】
あるいは、組織セグメントの画像をつくり、そして、組織セグメントの画像と目的画像との間の相違に基づいて、切断を行なう。組織を取り除いて、初期組織セグメント画像を目的画像に合わせるように、切断をプログラムする。他の実施態様では、画像化を使用して、目的画像を参照せずに不要な構造を取り除く。例えば、以下にさらに記載するように、組織のシートを切断して、所望の厚さ範囲から逸脱する部分を取り除いてもよい。
【0090】
本明細書中では切断を中心として記載しているが、集束ビームを使用して、医療デバイスで使用される材料に切れ目を入れるまたは部分的に切断することもできる。例えば組織またはポリマー材料に切れ目を入れて、プロテーゼの構成要素をより曲げやすくすることによって、およびプロテーゼの製作用の組み立て時間を低減させることによって、医療デバイスの製作の効率を助力することができる。ビームエネルギーおよび切断速度を調節することによって、ビームが材料を完全に通して切断しないように、切れ目を入れることを行なうことができる。一般に、ここでいう切断は、材料を貫く完全な切断をいうが、しかし幾つかの実施態様では、切れ目を入れることで十分であることも認識されるであろう。
【0091】
テンプレートベースの切断は、プロテーゼ組立て用の、組織の平面的なセクションの切断に特に有用である。画像ベースの切断(imaged based cutting)は、弁外植片の切り取りに特に有用であり、所望のパラメーターに適合させることができる。切断工程は好ましくは自動化されておりPCUによって制御される一方で、装置には好ましくは、手動オーバーライドが含まれ、特定の組織セグメントに基づく標準的な手順におけるバリエーションが含まれるように、操作者が切断を向けることができる。
【0092】
組織切断を、組織の調製工程の種々のステージでの自動切断方法を有利に使用して、行なうことができる。例えば、幾つかの組織切断工程を、環境的に制御された条件下で行なうことができ、必要に応じて、次いで、組織に対する1またはそれ以上の化学処理を行なうことができる。加えて、自動切断手順を、調達工程の初期段階、組織を取り出した直後などで有利に行なうこともできる。ホストから摘出した未加工型の弁の、より正確な切り取りは、加工時間を低減させ、そして収率を上げることができる。
【0093】
テンプレートベースの切断は、多くの異なる型の心臓弁プロテーゼの生産に有用である。幾つかの好ましい実施態様では、組織のシートを、1またはそれ以上のテンプレートに基づいて切断して、特定のリーフレットまたは複合的リーフレットを形成することができる。他の好ましい実施態様では、テンプレートを使用して、弁外植片から特定のリーフレットを形成することができる。
【0094】
例えば、ある実施態様では、心臓弁プロテーゼは、抽出された弁から取り除かれたリーフレットから形成され、そしてそれから完全な弁プロテーゼに組立てられる。まず、ブタあるいは他の弁を適切な供給源から入手し、そしてさらなる加工が行なわれるまで、適切な貯蔵条件で保存する。組織は一般に、組織のさらなる操作の前に架橋されるが、しかし組織切断後に架橋を行なってもよい。初期の弁を、ステージ上で方向づけて、切断装置の集束ビームを用いて、図7に示すような3つのセクションに、弁を精密切断する。セクションの数は変えることができる。損傷したまたは石灰化したようにみえる任意のリーフレットを捨てることができる。プロテーゼにおけるこの初期切断および残りの組織切断を、テンプレートまたはデジタル画像を用いてつくることができる。
【0095】
得られるリーフレットセクション300は、未切断のカスプまたはリーフレット302および、次の組み立てにおいて可撓性を提供する、大動脈壁を貫く集束ビームを用いた切断部305を含む大動脈壁部分304を含む。大動脈壁部分304の切断部305は、リーフレット302の切断を避けながらつくられる。1またはそれ以上の弁から切断された、3つの切り取られたリーフレットセクション300を、併せて縫う/縫合する、接着するまたは他の方法で接合して、図8および9に示すような、3つのリーフレット302を有する接合された組織セグメント306を形成する。他の実施態様では、異なる数のリーフレットが併せて縫合される。
【0096】
所望により、リーフレット302自体を切り取ることもできる。例えば、幾つかのリーフレットは、リーフレットの遊離エッジに向かって、筋子(muscle bar)といわれる厚くなった部分を有する。集束ビーム切断装置を用いて、集束ビームを一般に遊離エッジに対して平行に用いてリーフレットを切断して、筋子を減らすまたは取り除くことができる。得られる小さなリーフレットは、小さなサイズの弁の生産に使用することができる。例えば、初期で33mmのリーフレットを、筋子を減らすまたは取り除いて、26mmリーフレットの大きさに切断することができる。
【0097】
ある好ましい実施態様では、各リーフレットセクション300と接する大動脈壁の一部を切り取り、各リーフレット302のエッジ近くのコミッシュアー支持体308を残す。特に、集束ビームを用いて、図10および11に示すようにリーフレット302の切断を伴うことなく、大動脈壁を小孔307の下で切り取ることができる。図12に示すように、コミッシュアー支持体308の上端を丸い形状に切断することができる。
【0098】
大動脈弁プロテーゼの製造に向けた次の段階において、切り取られた組織セグメント306を、縫製、接着または融合などによって、組織シート310に付着させる。このシートは、例えばウシ心膜または他の組織のシートなどであり得る。組織シート310を、合成または天然の繊維から形成されたファブリックシートまたはファブリックチューブで置換してもよく、これらは組織シート310のように加工することができる。弁の製作を助力するのに、集束ビーム装置を使用して、図13に示すように、組織シート310におけるスリット312を切断する。スリット312は、組織セグメント306の切断を伴うことなく形成される。スリット312を形成した後、組織シート310を操作して、組織セグメント306の2つの反対のエッジ314、316を接合して、3つのリーフレット弁構造物を形成する。反対のエッジを接合した後、構造物は、切断工程の完成に必要とされる適切な支持体の3次元形状を有する。例えば、弁構造物は、ステージに接続されるマンドレルまたは類似物によって支えられ得る。
【0099】
大動脈弁の最終切り取りは、形成された弁の上端および底に沿ったシート310の過剰部分の切り落としを含む。図14に関して、上端エッジ309に沿った切り取りが完結し、そして組織シート310の3つのセクションの1つが、弁の底部にそって切り取られている。弁の底部に沿った組織シート310の他の2つのセクションを同様に切り取る。過剰な組織シート310の切り取りは、リーフレットの方向を含めて、弁を適切に配置した後に、3次元テンプレートを使用して行なうことができ、またはデジタル画像を使用して、切断ツールを導くことができる。組み立てられた弁を、図3に示す。
【0100】
図4に示す、4つのリーフレット弁プロテーゼ200は、併せて接合して弁を形成する、4つのリーフレットセクションから組み立てられ得る。図15〜18に関して、リーフレットセクション350、352、354、356それぞれは、リーフレット204、206、208、210の1つにそれぞれ対応するセクションを有する。リーフレットセクション350、352、354、356はさらに、それぞれのエッジセクション360、362、364、366を有する。エッジセクション360、362、364、366は、図4に示すように、縫製リング202の部分218および220の間での挿入によって縫製リングに固定され、併せてエッジ216を形成する。
【0101】
図15〜18に関して、折り目368は、リーフレット204、206、208、210から、エッジセクション360、362、364、366を分離する。特に、リーフレット204、206、208、210は、折り目368および腱212の間に形成される。スリット370は、リーフレットセクション352、356に切り込まれ、腱212を形成する。同様に、スロット372をリーフレットセクション350、354に切り込み、腱212を形成する。取り付けセクション214は、腱212の底部から伸びる。タブ374などの追加的な構造を含めて、プロテーゼの組み立てを容易にすることができる。
【0102】
リーフレットセクション350、352、354、356は、本明細書に記載されたテンプレートアプローチを用いる切断に、十分に適している。架橋されたウシ心膜のシートなどの組織シートを、出発材料として使用することができる。組織のシートを切断してリーフレットセクションを形成するため、デジタル画像を使用して方向づけられた特定の構造はない。好ましい実施態様では、切断ビームは図6に示すようなテンプレートに従い、図15〜18に示されるリーフレットセクションの輪郭を描く、実線に対応する。テンプレートは有形のテンプレートであってもよく、あるいは仮想の、すなわちデジタルのテンプレートであってもよい。非常に正確な切断は、あらかじめ選択された輪郭に対応するテンプレートに沿って、組織シートの方へ切断ビームを向けることによって、容易に行なうことができる。組織シートを、水の薄いフィルムでカバーして、レーザーまたは他のビーム切断工程を顕著に妨害することなく、水和した状態に組織を維持する。例えば、組織をステージ上の流動床に置いてまたは噴霧器を使用して、水の薄いフィルムを組織上に保持させることができる。
【0103】
組織の切断後、例えば組織の架橋によって、組織をさらに加工してもよい。所望により、最終組み立て前の適切な期間の間、組織構成要素を湿潤貯蔵下に置くことができる。準備時に、プロテーゼを構成要素からから組み立てることができる。組織構成要素の組み立てで、リーフレットセクション350、352、354、356を、隣接するリーフレットセクションに付着させる。取り付けセクション214が2つのグループで固定され、リーフレットセクション352、356の2つの取り付けセクション214の1つが、各グループに付着する。腱212は付着されずに残り、血流の干渉を低減する。エッジセクション360、362、364、366は、図4に示すように、縫製リングに付着される。同様の弁プロテーゼの組み立ては、米国特許第5415667号、Frater、発明の名称「Mitral Heart Valve Replacement」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。一般に、一旦シートをプラットフォーム上に設けると、多くの構成要素を単独のポリマーシートまたは組織シートから切断することができる。
【0104】
採られた弁からの無傷リーフレットを含む外植片を導入するプロテーゼは、より複合的な構造であるため、デバイスのデジタル画像に基づく切断の影響を受けやすい。例えば、図1の大動脈弁および図2の僧帽弁を、デジタル画像から切り取り、目的画像に近づけることができる。例えば、マンドレルなどを用いて、プラットフォーム上に外植片を置いた後に、大動脈弁外植片を画像化して、リーフレットの方向およひ位置を決定することができる。次いで、弁の上端エッジを切断して、リーフレットの損傷を伴うことなく、目的画像から、所望のスカロップ形状を形成することができる。弁の上端エッジを形成した後、底部エッジを切断して、リーフレットの損傷を伴うことなく、上端エッジおよび底部エッジとの間の所望の構造的関連を形成することができる。切断ツールを弁の周りで動かして、適切な切断角を得て、無傷構造の損傷を伴うことなく、特定の切断をつくることができる。
【0105】
同様に、図2の僧帽弁を用いて、輪152を所望の形状に切り取ることができる。輪152を、弁の上端セクションの画像に従って、切り取ることができる。次いで、リーフレットまたは腱の損傷を伴うことなく、切断を行なうことができる。同様に、弁の底部分を画像化して、乳頭状セクション160を所望のサイズおよび形状に切断して、一方腱を無傷で残すことができる。画像化および集束ビームを用いる切断の間、弁外植片を、切断を妨げない適したマウントで支えることができる。組織を、上記した適切な装置を用いて、湿らせておくことができる。再び、切断ツールを弁の周りで動かして、適切な切断角を得て、無傷構造の損傷を伴うことなく、特定の切断をつくることができる。
【0106】
上記したように、画像化システムを使用して、知られた高さを有する平らなまたは湾曲した表面上に置かれた組織を用いて、組織の厚さを測定することができる。画像化を使用して、正確な厚さの測定を得ることができる。これは、平坦な支持台を用いて、あるいは円筒型マンドレル、円錐状マンドレルなどの上に材料を置いて、行なうことができる。マンドレルの表面に沿った画像化を使用して、厚さの変化を同定し、切断の手引きを提供し、選択された厚さの範囲外の組織を取り除くことができる。平坦な表面を、支持体表面上に形成することができる。支持体表面は、磨かれた御影石の表面のように、非常に平坦であってよい。御影石表面および平坦なプラットフォームは、組織が平坦な表面上にあろうとあるいはマンドレルにあろうと、厚さ測定における目盛り基準点としての役目をし、工程制御ユニットによって向けられるとおり組織を切断することができる。
【0107】
図19に関して、厚さを評価する装置400は一般に、アーム420によってプラットフォーム254に付着された回転シャフト404上に乗せられた円筒型マンドレル402を含む。マンドレルは、所望により、異なる形状およびサイズを有していてもよい。例えば、マンドレルを、異なるサイズの弁中への挿入用に、先細にしてもよい。点線で示すホール408を通って設けられた吸引を使用して、組織シート406または弁外植片をマンドレル402に付けておいてもよい。光ビーム410、412を、マンドレル(410)に沿っておよび/またはマンドレル軸(412)に対して垂直に沿って、または厚さの測定に使いよい他の方向に沿って、投影することができる。例えば、より厚い組織は光をより遮断するであろうために、厚さは、検出器414、416(光電子増倍管またはダイオード検出器でありうる)を用いて検出した光の量と相関し得る。
【0108】
マンドレル402にのせた組織を湿らせておくのに、噴霧器422を使用することができる。噴霧器422を、水、緩衝液または他の適した液体の供給源に、アーム424を通して接続することができる。
【0109】
厚さを評価した後、組織を切断し、所望の範囲の厚さを有しない部分を取り除くことができる。組織をマンドレルにのせたままで切断を行なうことができ、例えばシャフト404でマンドレルを回転させて、集束ビームを用いて組織を切断することができる。例えば、約2mm〜約2.5mmの範囲外の厚さを有する組織を、組織セグメントから取り除くことができる。このマンドレルを、上述した他の画像化および集束ビーム切断実施態様で使用することもできる。
【0110】
医療デバイスの完成
対象の医療デバイスは、上述した組織を含む。多くの実施態様では、複合組織エレメントが組み立てられるかおよび/または追加の非組織構成要素がデバイスに付着されて医療デバイスが完成される。特に、医療デバイスは、組織に加えて、他の生体適合性材料、ポリマー、セラミックスおよび金属など、を含んでもよい。
【0111】
デバイスの設計に依存して、追加の組織エレメントおよび非組織エレメントの取り付けの前にまたは後に、組織の切断を行なうことができる。特に、特定の組織エレメントに加えてあるいは同じくして、追加の組織エレメントおよび/または非組織構成要素を切断するのが望ましくあり得る。これらの実施態様では、切断前に、組織を他の構成要素と付着させる。あるいは、追加的構成要素を切断の前に組織に付着させる場合、追加的構成要素が組織の切断を妨げることもあり得る。これらの実施態様では、追加的構成要素は、組織エレメントを切断した後に付着させる。
【0112】
プロテーゼ中への導入に適したセラミックスとして、限定するものではないが、ヒドロキシアパタイト、アルミナおよびパイロライトカーボンが含まれる。生体適合性金属として、例えば、チタン、コバルト、ステンレス鋼、ニッケル、鉄合金、コバルト合金、Elgiloy( 登録商標 )など、 コバルト-クロム-ニッケル合金、MP35N、 ニッケル-コバルト−クロム-モリブデン合金、およびNitinol( 登録商標 )、ニッケル-チタン合金、が含まれる。
【0113】
プロテーゼ用の重合材料を、精製された生物学的ポリマーと同様に、合成ポリマーから作ることができる。これらのポリマーを、医療デバイスを形成する組織と組合せることができ、またはこれらを単独でまたは他の非組織材料を用いて使用することができる。適した合成材料として、厳しい脱水に持ちこたえないヒドロゲルおよび他の合成材料が含まれる。適したポリマーとして、患者内へ埋め込んだ後、徐々に吸収される、生体吸収可能な(bioresorbable)ポリマーが含まれる。加えて、例えば他のポリマー、生物学的薬剤(成長因子など)、不活性材料(炭素など)および/または金属などを用いて、ポリマーをコートし、ポリマーに所望の性質を生じさせてもよい。
【0114】
適切な合成ポリマーとして、限定するものではないが、ポリアミド(例えばナイロン( 商標 ))、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ビニルポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニル)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、エチレン酢酸ビニル、ポリスルホン、ニトロセルロースおよび同様のコポリマーが含まれる。デキストラン、ヒドロキシエチルでんぷん、ゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、および同様のコポリマーなどの生体吸収可能な合成ポリマーも使用することができる。これらの合成重合材料を、繊維または糸に形成して、次いでファブリックメッシュに織ってまたは編んで、マトリックスまたは基材を形成することができる。あるいは、合成ポリマー材料を、適切な形態に成形またはキャストすることができる。
【0115】
生物学的ポリマーは、天然由来のものであってもよく、あるいは発酵などによってあるいは組み換え遺伝子技術によってインビトロで製造されたものであってもよい。適した生物学的ポリマーとして、限定するものではないが、コラーゲン、エラスチン、絹、ケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸、多糖類(例えばセルロースおよびデンプン)およびこれらのコポリマーが含まれる。
【0116】
例として、図1の心臓弁プロテーゼ100は、弁の外側にファブリックカバー102を有する。このファブリックは好ましくは、ポリエステルなどの合成ポリマーから形成される。縫合ラインは切断に従うため、一般にカバーは組織が切断された後に付着され得るが、しかしながらファブリックを組織と共に切断して、切断後に縫合してもよい。プロテーゼを含む組織を中心として記載してきたが、非組織材料のみを用いて、関連する医療デバイスを形成することもできる。
【0117】
包装、分配および使用
切断後に、組織、場合によりプロテーゼに形成されたものを、貯蔵することができる。好ましい貯蔵技術は、微生物の雑菌混入の危険性を最小化するものである。例えば、滅菌した緩衝液、生理食塩水および/または抗菌剤(グルタルアルデヒドまたはアルコールなど)を含む密閉された容器中に、組織を貯蔵することができる。
【0118】
分配について、バイオプロテーゼを一般に密封された滅菌容器中に入れる。許容され得る滅菌レベルの持続を確保するため、認められた無菌手順を使用して組織を滅菌容器に移すことができる。日付が望ましい最大保管時間を表すように、容器に日付を入れることができる。
【0119】
容器は一般に、所望のおよび/または必要とされるラベルと共に、医療デバイスの使用についての取扱説明書をつけて、包装される。この容器は、プロテーゼの外科的埋め込みのヘルスケア専門家に分配される。埋め込みは、適任のヘルスケア専門家によって行なわれる。外科的埋め込みは一般に、損傷した組織のプロテーゼによる置換または補充を包含する。
【0120】
上記の実施態様は例示説明であって限定するものではない。他の実施態様は特許請求の範囲内である。本発明を好ましい実施態様に関して記載したが、本発明の意図および視野から離れることなく、形態および詳細について改変できることは、当業者に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は、無傷リーフレットを含む弁外植片から形成される大動脈心臓弁プロテーゼの斜視図である。
【図2】図2は、僧帽心臓弁外植片の斜視図である。
【図3】図3は、組織構成要素から組み立てられた、大動脈心臓弁プロテーゼの側面図である。
【図4】図4は、組織構成要素から形成された4つのリーフレット僧帽弁プロテーゼの側面斜視図である。
【図5A】図5Aは、医療デバイス形成のための精密切断用の自動集束ビーム切断装置の概略図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの切断装置で使用される支持台の実施態様の概略上面図である。
【図6】図6は、切断装置でのガイドとして使用されるリーフレットテンプレートの態様例の上面平面図である。
【図7】図7は、大動脈弁外植片からの大動脈リーフレット切断の平面図である。
【図8】図8は、併せて縫われた3つの大動脈リーフレットを有する組織セグメントの平面図である。
【図9】図9は、図8の組織セグメントの平面図であって、リーフレットの反対側を示す。
【図10】図10は、大動脈壁の一部を切断してコミッシュアー支持体を形成した、図8の組織セグメントの平面図である。
【図11】図11は、3つのリーフレットの周りの大動脈壁を切断した後の、図8の組織セグメントの平面図である。
【図12】図12は、コミッシュアー支持体をラウンディングした後の、図11の組織セグメントの平面図である。
【図13】図13は、組織シートに縫われた図12の組織セグメントの平面図である。
【図14】図14は、組織セグメントの反対端を接合して、弁構造および組織の部分切り取りを形成した、図13の組織構成要素の側面図である。
【図15】図15は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第1リーフレットセクションの側面図である。
【図16】図16は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第2リーフレットセクションの側面図である。
【図17】図17は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第3リーフレットセクションの側面図である。
【図18】図18は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第4リーフレットセクションの上面図である。
【図19】図19は、組織セグメントを支えるのに適した円筒型マンドレルの側面斜視図である。
【0001】
本発明は、組織などの材料の切断用の集束ビームの使用に関する。特に、本発明は、集束ビームを用いる、プロテーゼ中への導入用の組織の精密切断に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療物品が、特に患者の体液との接触にむけて設計されている。この接触は、医療物品と患者の血液および/または組織との間の表面の相互作用が大きな意義になるほどに十分に長くなり得る。これらの医療デバイスの構成要素は、組織から形成され得る。関連する医療物品として、例えばプロテーゼが含まれる。
【0003】
プロテーゼ、すなわちプロステーシスデバイスは、ヒトおよび動物の、損傷したまたは病気にかかった器官、組織および他の構造の修復または置換に使用される。プロテーゼは、典型的には長期間埋め込まれるため、一般に生体適合性でなければならない。プロテーゼは、天然材料(組織など)、合成材料またはそれらの組合せから構成され得る。
【0004】
天然材料由来のバイオプロステーシス心臓弁は、1960年代の初期に導入された。バイオプロステーシス心臓弁は、典型的にはブタの大動脈弁から得るか、またはウシの心膜などの他の生物学的材料から製造される。異種移植心臓弁、すなわちレシピエントの種と異なる種のドナーに由来する心臓弁は、典型的には、埋め込みの前にグルタルアルデヒドまたは他の架橋剤を用いて固着され、免疫学的な拒絶反応の可能性を低減させる。グルタルアルデヒドおよび他の固着剤は一般に、タンパク質中の遊離官能基と反応して共有結合を形成し、それによってタンパク質に近い化学的架橋になる。
【0005】
機械的心臓弁は長期間の使用を通じて耐久性が確認されているという利点があるが、これらはプロテーゼ弁上またはその周辺での血液凝固および血栓塞栓症の可能性を伴う。血液凝固は、弁または関連する血管の、急性または亜急性の封鎖を引き起こし得る。このため、埋め込まれた機械的心臓弁を有する患者は、弁の埋め込み後は抗凝血剤の服用を続ける。抗凝血剤は出血問題のリスクを与え、そしてある種の個体には安全に用いることができない。
【0006】
対照的に、組織由来のプロステーシス心臓弁は一般に、抗凝血性治療を必要とすることなく高度な血栓抵抗を供する血流特性および表面性質を有する。それ故に、血栓症または血栓塞栓症および出血問題は、機械的心臓弁により生じる可能性よりも、起こる可能性が低い。プロステーシス組織心臓弁は、埋め込み後約7〜10年で劣化が始まる傾向により、制限される。弁の変質は、若い患者および妊娠中において特に早い。しかしながら、プロテーゼの埋め込み後の組織変質を低減させるために、別の処理が発展し、そして発展し続けている。組織処理における改善が埋め込まれた組織物の耐久性を改善するにつれて、組織ベースのプロテーゼなどが優先傾向になるであろう。それ故に、バイオプロステーシス心臓弁は、特定の個体における心臓弁置換用の機械的心臓弁の代替としての役目を果たす。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明はプロテーゼの製造方法に関する。この方法は、ビームを用いる、材料セグメントを少なくとも部分的に切断する工程であって、この切断工程が工程制御ユニットによって制御されて、材料を切断し目的形状をもたらす工程を包含する。この方法は、プロテーゼ構成要素製造用の組織セグメントおよびポリマーシートの切断に特に適している。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、組織セグメント切断用の装置に関する。この装置は、組織セグメント、支持台(support platform)、ビームジェネレータ、モーターおよび工程制御ユニットを有する。支持台は組織セグメントを支える。ビームジェネレータを方向づけして、ビームを組織セグメントへ向ける。加えて、工程制御ユニットは、支持台およびビームの相対的位置を制御する。この装置はさらに、支持台およびビームの相対的位置を変化させるモーターを有する。幾つかの実施態様では、工程制御ユニットは、モーターに操作可能に接続されたデジタルプロセッサを有し、ここでデジタルプロセッサは目的パターンに基づいてモーターを制御する。
【0009】
他の態様では、本発明は、ホストから分離された組織セグメントを含む心臓弁プロテーゼであって、この組織が焼灼されたエッジを有するものに関する。
【0010】
加えて、本発明は、異なる厚さを有する組織シート部分を取り除く、組織シートの切断方法に関する。この方法は、組織シートの画像化工程および組織シートの切断工程を包含する。組織シートの画像化工程は滑らかな表面上で行なわれ、異なるポイントでの組織シートの厚さを評価する。組織シートの切断は、選択された範囲外の厚さを有する組織シート部分を取り除く。
【0011】
(図面の簡単な説明)
図1は、無傷リーフレットを含む弁外植片から形成される大動脈心臓弁プロテーゼの斜視図である。
【0012】
図2は、僧帽心臓弁外植片の斜視図である。
【0013】
図3は、組織構成要素から組み立てられた、大動脈心臓弁プロテーゼの側面図である。
【0014】
図4は、組織構成要素から形成された4つのリーフレット僧帽弁プロテーゼの側面斜視図である。
【0015】
図5Aは、医療デバイス形成のための精密切断用の自動集束ビーム切断装置の概略図である。
【0016】
図5Bは、図5Aの切断装置で使用される支持台の実施態様の概略上面図である。
【0017】
図6は、切断装置でのガイドとして使用されるリーフレットテンプレートの態様例の上面平面図である。
【0018】
図7は、大動脈弁外植片からの大動脈リーフレット切断の平面図である。
【0019】
図8は、併せて縫われた3つの大動脈リーフレットを有する組織セグメントの平面図である。
【0020】
図9は、図8の組織セグメントの平面図であって、リーフレットの反対側を示す。
【0021】
図10は、大動脈壁の一部を切断してコミッシュアー支持体を形成した、図8の組織セグメントの平面図である。
【0022】
図11は、3つのリーフレットの周りの大動脈壁を切断した後の、図8の組織セグメントの平面図である。
【0023】
図12は、コミッシュアー支持体をラウンディングした後の、図11の組織セグメントの平面図である。
【0024】
図13は、組織シートに縫われた図12の組織セグメントの平面図である。
【0025】
図14は、組織セグメントの反対の端を接合して、弁構造および組織の部分切り取りを形成した、図13の組織構成要素の側面図である。
【0026】
図15は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第1リーフレットセクションの側面図である。
【0027】
図16は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第2リーフレットセクションの側面図である。
【0028】
図17は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第3リーフレットセクションの側面図である。
【0029】
図18は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第4リーフレットセクションの上面図である。
【0030】
図19は、組織セグメントを支えるのに適した円筒型マンドレルの側面斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
医療デバイスの構成における、集束ビーム(例えば、放射線または水)を用いる組織または他の材料の精密切断は、優れた再現性および均一性を伴う組織エレメントの効果的な生産をもたらす。好ましい実施態様では、切断は自動システムで行なわれるが、手動ビーム切断も有利に行なうことができる。自動切断工程では、切断工程を記憶されたパターン/画像または有形のテンプレートに従って制御でき、材料の再現可能な切断を導く。他の実施態様では、自動切断工程はデジタル画像に依存し、デジタル画像と所望のコンフィギュレーションのデジタル目的画像との相違に基づく切断を導く。得られる切断組織エレメントは、より高い正確さおよび一貫性を伴って製造され、その一方で人間のミスによる無駄が低減される。好ましい実施態様は組織セグメントの切断を包含するが、集束ビーム切断は、医療デバイスの製作における、他の材料セグメント、特にポリマーの切断に有利に適用され得る。
【0032】
一般に、関連する医療デバイスは、人体内の対応する構造を擬態するように形成されたプロテーゼまたはプロテーゼの構成要素である。 プロテーゼを、対応する生来の構造の置換または修復に使用することができる。従って、医療デバイスは一般にレシピエント患者内への長期間の埋め込みに適する。一般に、患者は動物であり、好ましくは哺乳動物(ヒトなど)である。
【0033】
組織セグメントの切断の前に、組織は、患者レシピエントから(すなわち自家移植組織)、患者と同じ種の個体から(すなわち同種移植組織)または異なる種の個体から(すなわち異種移植組織)採られ得る。この組織を、切断前および/または切断後に、別の加工(滅菌剤および/または架橋剤を用いる処理など)に供することができる。好ましい実施態様では、組織は、加工を経た採取からの水和した形態を維持されるが、しかし乾燥させたおよび/または凍結した組織も精密切断工程に供することができる。
【0034】
幾つかのデバイス(心嚢パッチおよび創傷治癒用の皮膚移植片など)は、構造が単純である。例えば、心嚢パッチは一般に長方形の組織セクションであり得る。複合さが少ない構造のこれらにおいても、集束ビーム切断を用いる組織の加工によってヒトの接触の必要性を低減させることには利点があり得る。切断工程を、所望の厚さへの組織の切断に用いることができる。
【0035】
さらに、種々の組織ベースのプロテーゼは、集束ビーム切断を用いて得られる精密さによるより高い効率性および均一性を伴って製造することができる複合構造を有する。組織ベースの心臓弁プロテーゼの加工は、特に関心が持たれている。適した心臓弁プロテーゼには、切断組織構成要素が組み立てられた構成弁、および精密集束ビーム切断によって適切に切り取られ、そして埋め込み構成要素を用いて組み立てられて、プロテーゼが完成する、リーフレットを有する無傷組織弁、が含まれる。これらのより複合的な構造において、精密集束ビーム切断アプローチは特定の利点を提供する。
【0036】
明確なジオメトリーを伴う、複合が少ない構造および複合構造の両方の切断において、切断ツールがプログラムされて、あらかじめ選択されたテンプレートに従い得る。これは、デジタル形態で記憶された画像または仮想テンプレートあるいは有形のテンプレートであり得る。仮想テンプレートまたは有形のテンプレートは、目的組織エレメントの構造を輪郭づける2次元または3次元パターンを形成する。仮想テンプレートまたは有形のテンプレートに基づく切断は、組織シートからの組織エレメント切断に特に適している。テンプレートベースの切断は、あらかじめ選択されたパターンに従って調整されうる、明確なジオメトリーを伴う非平面的な構成要素の切断にも適している。
【0037】
初期組織セグメントが切断装置中に適切に置いてある限りは、自動切断手順は、仮想テンプレートに従って組織を適切に切断することができる。有形のテンプレートを用いて、ビームがテンプレートのパターンに従うように切断を自動化することができ、あるいは、有形のテンプレートが物理的にビームを遮断し、ビームが材料につたって動くときに、テンプレートによって遮断されない材料のみを切断することができる。あるいは、操作者がモーター付スタンド上でビームを手動で制御して、テンプレートに示されたパターンに沿って切断することができる。
【0038】
他の実施態様では、切断工程は、デジタル画像、好ましくは3次元画像を用いる。適切な画像化アプローチとして、例えば映像画像化、コンピューター3D増大および走査位相測定が含まれる。これらのアプローチは、光の使用により、目的物を画像化する。画像化を行なう場合、目的物に、目的物を通して向けられたおよび/または透明な支持体表面を通して向けられた背面照明を用いて、画像化を目的として光をあてるか、あるいは目的物から反射された光を測定することができる。画像の測定または異なる方向からの基準点を使用して、3次元画像を作図することができる。好ましいアプローチは非接触型画像化によるものであるが、プローブを使用して接触ベース画像を形成してもよい。
【0039】
実際の組織エレメントのデジタル画像をまず位置合わせし、所望の形状に対応する、目的画像中の対応する構造に合わせる。一旦デジタル画像を位置合わせすると、目的物のデジタル画像と所望の形状の記憶された画像との間の任意の相違を評価することができる。所望の形状の記憶された画像を、所望の特性を有するあらかじめ加工された目的物のデジタル画像から得ることができ、または例えば設計ソフトウェアを用いて、所望の仮想形状によって得ることができる。
【0040】
実際の目的物のデジタル画像と所望の目的物品のデジタル画像との相違は、切断工程中に取り除かれる材料を表わす。従って、このデジタル相違情報を使用して、2つの画像を区分する輪郭にそった切断により、切断操作を行なうことができる。画像を使用して、切断を制御して、不注意な組織の切断を避け、無傷を維持することができる。このアプローチは、複合構造が位置合わせ工程からなり、そして分かれた構造的特徴による、ビームを用いる妨害を画像の検査によって避けることができる点で、テンプレートベースのアプローチとは異なる。
【0041】
切断は、平面内であるいは3次元で、切断を行なう集束ビームに関連して、輪郭にそって組織を移動して行なわれる。相対運動は、組織セグメントの移動によっておよび/または集束ビームの移動によって達成される。従って、組織を可動ステージ上にのせて切断工程を導くことができる。あるいは、集束ビームを組織につたって走査する。ビーム源(レーザーなど)が非常に大規模であって実際的な方法で動かすことができない場合は、集束ビームを向ける代わりに、光学構成要素または同様の指示ツール(導管、鏡、レンズなど)を動かすことができる。
【0042】
適した集束ビームとして、例えば集束高強度光ビームまたは流体ジェットが含まれ、ここで流体は液体(水など)またはガス(空気など)であり得る。集束高強度光ビームは、レーザー光源または非レーザー光源であり得る。光源は任意の光学周波数を有してもよいが、好ましい光源として、例えば赤外レーザーが含まれる。他の実施態様では、集束流体ジェット(水ジェット)を使用して、切断が行なわれる。
【0043】
組織は、切断工程中、水和していてもよく、または乾燥してもよい。同様に、組織は、切断工程中、凍っていても、凍っていなくてもよい。好ましい実施態様では、組織は凍っておらずそして水和している。組織の脱水は、望ましくなくそして不可逆的な構造的変化を引き起こし得る。切断工程中における、組織の望ましくない量の脱水を防ぐために、組織を湿った形態の切断表面上に置くことができる。切断表面上の湿気を、例えば流動床を使用して維持することができる。同様に、噴霧器を使用して組織上に液体を噴霧し、加湿を維持することができる。集束ビームを適切に設定できる場合は、組織を液体中に沈めることができる。
【0044】
湿気層が保たれない場合であっても、切断を素早く行なえば、たとえ周囲大気条件であっても、組織は切断工程中に顕著に乾燥しないであろう。加えて、周囲大気を高湿度に保って組織の乾燥を低減することができる。所望により、切断を、組織の乾燥を有効に除く非常に高湿度レベルの大気の密閉システム(グローブボックスなど)または温度と湿度が調節されたルームで行なうことができる。
【0045】
任意の追加的加工が必要とされる場合は、組織切断後に切断組織をさらに加工して、プロテーゼを完成させることができる。化学的処理(固着、生物学的剤(成長因子など)との接触および滅菌を、組織切断前および/または組織切断後に行なうことができる。別の構造的工程として、1またはそれ以上の構成要素からのプロテーゼの組み立てを包含し得る。簡単な構造(心嚢パッチおよび皮膚移植片など)は完全構造的であり、切断後に、任意の別の非構造的加工がなされそして貯蔵される。他のプロテーゼ(心臓弁プロテーゼなど)は、少なくともデバイスの埋込みを助力する縫製カフおよび/または他の構成要素の追加を必要とし得る。心臓弁プロテーゼは、組織エレメントの取り付け、ステントおよび/または他の構造的支持体への取り付けも必要とし得、埋め込み用および埋め込みに従う適した機能用のプロテーゼが調製され得る。
【0046】
医療用の組織(プロテーゼの形成など)の手動切断は、高度に熟練した技術者を必要とするが、幾つかの状況においてはこの工程は繰返しが多くあり得る。それでもやはり、確実な医療デバイスを形成するための切断の重要性は、プロテーゼの精密加工の使用を必要とする。熟練した技術者であっても、組織の手動切断による過失は、構成要素(ブタの心臓弁など)の相当の無駄をもたらし、これは顕著な調製および取扱い費用をもたらす。従って、医療デバイス生産のための組織の手動加工は、比較的コストが高くなる。
【0047】
集束ビームを用いる切断は、人間の相互作用が低減された、組織またはポリマーの精密切断を提供する。 工程が自動化されている場合、切断は、高められた均一性、正確性を伴って、そして浪費の低減を伴って行われ得る。加えて、熟練した作業者は、他の仕事を行なうため、解放され得る。また、組織エレメントの自動加工は、処理能力および収率を高め得る。組織エレメントにおける一貫性(リーフレットの大きさなど)は、より予測可能な性能を伴う、より均一なデバイスを提供できる。
【0048】
医療デバイス
好ましい医療デバイスは一般に組織材料を含むが、あるいは医療デバイスが他の材料、特にポリマーから形成されて、そして組織と結合されてもよい。一般に、これらの医療デバイスは、患者中へのまたは患者上への長期埋め込み用に設計されたプロテーゼまたは構成要素である。関連するプロテーゼとして、例えば人工心臓、人工心臓弁、弁輪形成リング、心嚢パッチ、血管、冠状動脈および構造的ステント、血管移植片または導管、永久的内在経費的デバイス、血管シャント、創傷治癒用の皮膚移植片および手術パッチが含まれる。
【0049】
特に好ましい医療デバイスとして、組織ベースの心臓弁プロテーゼが含まれる。組織ベースの心臓弁プロテーゼはステントを有してもよく、ここでステントは、組織ベースのリーフレットの機能を維持するためのフレームとしての役目をし;あるいはステントレスであってもよく、ここで組織心臓弁は、レシピエントの生来の支持構造体、例えば腱(chordae)に付着した大動脈または乳頭筋を利用して埋め込まれ、リーフレット機能を維持する。心臓弁プロテーゼは、所望の形状を有するよう切断される組織のセグメントから構成され、そして完全なプロテーゼに組立てられ得る。あるいは、心臓弁プロテーゼは、無傷リーフレットを用いる心臓弁外植片の切り取りによって形成され得る。
【0050】
大動脈ステントレス心臓弁プロテーゼを図1に示す。大動脈弁100は、カバー102および採られた心臓弁外植片104を含む。心臓弁外植片104は、コミッシュアー112で接する3つのリーフレット106、108、110を有する。カバー102は、一般的な環状ベース114および3つのコミッシュアー支持体116、118、120を有する。コミッシュアー支持体116、118、120は、スカロップ122の間に伸びる。縫合124は、流入エッジ126および流出エッジ128に沿って位置され、カバー102を心臓弁外植片104に固定する。心臓弁外植片104は、カバー102への取り付けの前に、適切に切断される。
【0051】
僧帽ステントレス心臓弁プロテーゼの実施態様を図2に示す。採られた僧帽心臓弁外植片150は好ましくは、輪152、輪152と接続するリーフレット154、リーフレット154の間に伸びる腱索158および一部の乳頭筋セクション160を含む。リーフレット154、腱158および乳頭筋セクション160は、完全な弁下(subvalvular)装置を形成する。あるいは、乳頭筋セクション160は、合成材料、ポリマーなどで置換されてもよい。輪152は、前僧帽輪164に、ブタの大動脈弁162の残りの部分を含む。後部僧帽輪166は主に心房筋で形成され、前輪164の領域は、繊維状の骨格、すなわちミトロ大動脈腱組織によって支えられる。以下にさらに記載するように、輪152および乳頭筋セクション160を、本明細書に記載の方法で切り取ることができる。
【0052】
3つのリーフレット、ステントレスの、組み立てられた大動脈心臓弁プロテーゼを図3に示す。大動脈プロテーゼ170は、ブタの大動脈心臓弁から切除された3つのリーフレット172、174、176を含む。リーフレット172、174、176は、コミッシュアー支持体178、180、182で接合される。リーフレット172、174、176は、縫合186または他の留め具を用いて、ウシ心膜のセクション184または他の適した材料に固定される。ウシ心膜184は弁構造を一緒に保持する。以下にさらに記載するように、リーフレットは、心嚢組織への取り付けの前に切断される。心嚢組織も一般に、リーフレットへの取り付けの前に切断される。またさらに、切断を、ウシ心膜におけるリーフレットの組立てに従って行なってもよい。他の実施態様では、ウシ心膜を、合成材料または他の組織材料で置換する。
【0053】
組織エレメントから組立てられた、4つのリーフレットを有するステントレス僧帽弁プロテーゼを、図4に示す。心臓弁200は、縫製リング202および4つのリーフレット204、206、208、210を含む。腱212は、リーフレット204、206、208、210のエッジから伸びる。腱212は、以下にさらに記載するように、生体適合性材料(組織など)の単独のシートから形成され得る。腱212は、患者の乳頭筋への取り付け用の取り付けセクション214と接続する。組織形成リーフレット204、206、208、210のエッジ216は、縫製リング202の2つの部分218、220の間を縫われ、リーフレットが縫製リングに固定される。リーフレットおよび縫製リングを含む構成要素を、集束ビームを、そして好ましくは有形のテンプレートまたはテンプレート画像を用いて、切断され得る。
【0054】
組織
適切なバイオプロステーシスの組織材料は、天然材料、合成組織マトリックスおよびこれらの組合せから形成され得る。合成組織マトリックスは、架橋され組織マトリックスを形成する細胞外マトリックスタンパク質から、あるいはポリマーなどの合成材料から形成され得、そしてこれらはマトリックスと関連する生存細胞を有するまたは有していたものである。従って、組織材料は、生存細胞または、もはや存在しない生存細胞から形成される構造部を有する。細胞外マトリックスタンパク質は市販されている。
【0055】
本発明で使用されるための、天然の、すなわち生物学的組織材料には、比較的無傷の組織、そして脱細胞化(decellularized)組織が含まれる。これらの天然組織は、例えば、生来の心臓弁、根、壁およびリーフレットなどの生来の心臓弁の一部、心嚢パッチなどの心嚢組織、羊膜嚢、接続組織、バイパス移植片、腱、靭帯、皮膚パッチ、血管、軟骨、硬膜、皮膚、骨、筋膜、粘膜下組織、臍組織などから得ることができる。
【0056】
天然組織は、選択された動物種、一般的に哺乳動物(ヒト、ウシ、ブタ、イヌ、アザラシまたはカンガルー)由来である。これらの組織として、全器官、一部の器官または構造的組織構成要素が含まれ得る。適した組織として、異種移植片、同種移植片および自家移植片が含まれる。これらの天然組織として、一般的にコラーゲンを含む材料が含まれる。天然組織は典型的には軟組織であるが、しかし必ずしもそうとは限らない。組織材料は、組織心臓弁プロテーゼの構成に特に有用である。この組織は脱細胞化されてもよい。脱細胞化アプローチは例えば、米国特許第5855620号、Bishopricら、発明の名称「Matrix Substrate for a Viable Body Tissue-Derived prosthesis and Method for Making the Same」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0057】
組織は架橋によって固着されてもよい。固着化は、例えば組織の酵素劣化を防ぐことによって、機械的安定化をもたらす。グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドまたはこれらの組合せが、固着化において典型的に使用されるが、しかし他の固着剤(エポキシド、ジイミドおよび他の二官能性アルデヒドなど)を使用してもよい。特に、アルデヒド官能基は、タンパク質(コラーゲンなど)中のアミン基と高度に反応する。
【0058】
架橋に加えて、組織を他の化合物で処理して、組織性能を変性させることができる。好ましい実施態様では、組織は、石灰化低減化合物で処理される。グルタルアルデヒド架橋組織において、好ましい抗石灰化剤として、例えば多価金属カチオン(Al+3など)が含まれる。多価金属カチオンの使用は、例えば米国特許第5368608号、Levyら、発明の名称「Calcification-Resistant Materials and Methods of Making Same Through use of Multivalent Cations」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。微視的貯蔵構造を用いる抗石灰化剤の送達は、同時係属の同出願人の米国特許出願第08/931930号、Schroederら、発明の名称「Calcification Resistant Biomaterials」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。組織を、他の薬剤を用いて処理し、成長因子などの所望の性能を与えてもよい。
【0059】
組織材料は医療デバイス全体を形成することができ、あるいは医療デバイスの一部を形成することもできる。同様に、異なる部分の組織材料を組合せて、医療デバイスを形成することもできる。特に、幾つかの心臓弁プロテーゼを、動物から採られた無傷心臓弁外植片から形成することができる。次いで、外植片を、例えば架橋剤を用いて処理することができ、そして適切な天然または合成材料(縫製カフなど)を用いて修飾して、取り付けに役立たせることができる。このような実施態様を、例えば図1および2に示す。他の好ましい実施態様では、組織のセグメントを所望の形状に切断して組み立て、リジッドなステントを有するまたは有しない所望のプロステーシス弁を形成することができる。組み立てられた組織エレメントを有する関連する実施態様を、例えば図3および4に示す。
【0060】
切断装置
好ましい切断装置は切断工程の自動制御能力を有するが、しかし幾つかの他の実施態様ではモーター付切断装置の手動制御を提供する。自動切断を行なうために、組織または他の材料(ポリマー材料など)を、ステージ、マンドレルまたは同様の支持台の上にのせる。支持台を動かすことによって、ビーム源を動かすことによって、または組織上の選択された位置でビームを向ける集束光学素子を動かすことによって、切断ビームを組織につたって動かし、所望の切断を行なうことができる。切断は、所望の形状を有する切断組織のセクションをもたらす記憶されたパターンまたは有形のテンプレートに従うようにプログラムされ得る。あるいは、画像化デバイスを使用して、切断される組織または組織の一部のデジタル画像を調製することができる。デジタル画像と目的画像との相違が切断によって取り除かれる組織を表わすように、デジタル画像を所望の目的画像と比較する。
【0061】
好ましい実施態様では、切断工程中、組織を湿らせておく。従って、組織セグメントを流動床上に置いて組織を湿らせておくか、または噴霧器を使って、組織の湿気を維持することができる。他の実施態様では、切断装置を、グローブボックス中などの制御された環境中に置くことができる。グローブボックス内では、高い湿気レベルを保ち、組織からの湿気の蒸発を遅らせることができる。従って、最初に組織が湿っている場合は、切断工程において組織は顕著には乾燥しないであろう。湿度レベルを制御して、100%相対湿度に近づけることができる。同様に、高い相対湿度レベルに制御された環境の部屋の中で、切断装置を操作することもできる。
【0062】
切断操作において、組織を水溶液中に沈めることができる。これは、可視光ような水に顕著には吸収されない波長を有するレーザービームを用いて、テンプレートに沿って切断するのに特に実行可能である。切断は、液体と空気との間の界面での光の回折によって悪化し得る。しかしながら、レーザーをレンズを通して溶液中に直接投影して、屈折による悪化を低減させるまたは除去することができる。レーザービームを送達するミラーチューブに接続したレンズを沈めるのに適した装置は、米国特許第5938954号、Onumaら、発明の名称「Submerged Laser Beam Irradiation Equipment」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。テンプレートに沿って、組織およびレンズを比較的遅い速度で走査して、光学ひずみが生じ得る、液体の波の形成を避けることができる。
【0063】
本明細書中の記載は、組織を含む好ましい実施態様に焦点をあてているが、装置を、医療デバイス用の他の材料、特にポリマー、の切断用に使用することもできる。医療デバイスのポリマーエレメントの切断を含む実施態様では、一般に、湿気は問題とならない。ポリマーの切断に適切なレーザー波長を以下に記載する。
【0064】
適した切断装置を図5Aに概略的に示す。切断装置250は、例えば組織セグメント252、支持台254、集束ビーム源256、光学素子258、イメージャー260および工程制御ユニット262、一般にプロセッサを含む、を有し得る。切断装置はさらに有形のテンプレートを含み得る。組織セグメント252は、動物源からの弁外植片、組織のシートまたは任意の他の適切な組織片であり得る。組織セグメント252は、例えば支持台254に留められてもよく、または種々の手段(吸引など)で支持台に保持されてもよく、またはマンドレル上に置いて、組織の繊細な部分に損傷を与えることなく、所望の方向に組織セグメント252を保持するか、あるいは何れの留め具を用いずに支持台254上に直接平坦に置くことができる。
【0065】
支持台254は支持表面またはマウント270を有し、これは一般に平面であるかまたはマンドレルのように湾曲していてもよい。上記のとおり、支持表面270はクリップ、ホルダーなどを有して、切断操作中に組織セグメント252を適切に支えるかまたは保持してもよい。ビームが光ビームである場合は、プラットフォーム254は、組織、水、ポリマーおよび/またはガスなどの副作用の抑制のための透明なカバーを有していてもよい。幾つかの実施態様では、支持台254は、プラットフォームを所望の座標で位置付ける、モーター付スタンド272を有する。例えば、モーター付スタンド272は、3軸、すなわち前方および後方、左右、および上下、にそって、支持表面270を動かすトラックを有してもよい。好ましくは、モーター付スタンドは、選択可能な速度で少しずつ動く。例えば、工程制御ユニット262によって制御されたステップ形モーターの使用により、再現性を得ることができる。プラットフォームの位置および/または速度は一般に、工程制御ユニット262によって制御される。あるいはまたは加えて、支持台254は、手動操作スタンドおよび/またはモーター付スタンドの手動オーバーライドを有してもよい。手動制御は、ノブの回転、レバー動作などを含んでもよく、数的に較正してもしなくてもよい。
【0066】
支持台のある実施態様を図5Bに示す。支持台282は、床を通る液体の流れに基づいて流動する適切な粒子を含む流動床284を有する。液体源からの液体は、導管286を通って、液体が流動床に入るマニホールド288へ流れる。液体は、排水管290で床から出る。液体を再循環させてもよい。組織252を、試料の下に一連の穴または吸気口を有する吸引取付具292上に置いて、組織の損傷を伴うことなく、組織を保持させてもよい。吸引取付具を、吸引ポンプ294と接続する。吸引取付具を通る流れは、流動床をつたう排水管290への流れを顕著に妨げることのないよう、十分に弱く設計され得る。吸引取付具中へ流れる任意の液体を、液体源中に再循環させることができる。流動床および/または吸引取付具内の液体の流れを、工程制御ユニットによって制御することができる。あるいは、噴霧器が、組織上に周期的に渡らせ、湿気レベルを維持するか、あるいは固定された位置から連続的な噴霧を供してもよい。
【0067】
図5Aに関して、ビーム源256は、レーザー、強い光源(閃光電球など)、流体ジェットまたは他の高エネルギー集束ビームであってよい。ビーム源は、ビーム源を移動させるおよび/または再び方向づけしビームを所望の方向に向ける、支持体274を有してもよい。広範囲の光波長を使用して、切断を行なってもよい。加えて、光源からの光の放射を、周波数シフト光学素子(ラマンセルなど)または周波数を増やす非線形光学エレメントを通して通過させて、より望ましい光周波数を得てもよい。
【0068】
適した光波長について、約1ミクロンより大きい波長を有する赤外線光源を使用することができる。適した赤外線レーザーとして、約10.6ミクロンの放出を伴うCO2レーザー、および約1.3ミクロンおよび約1.06ミクロンの放出を伴うネオジムYAG(Nd-YAG)レーザーが含まれる。1.3ミクロン放出は、手術中におけるたいていの組織の切断により適切であることが見出されているが、しかしながら1.06ミクロンの赤外光は組織の焼灼に特に効果的であることが見出されている。レーザービームは一般的に、架橋または周辺の組織を損傷させずに、同様に相応するポリマーのエッジを溶解させずに、エッジを焼灼して種々の精度に切断する。また、5〜30気圧でラマンセルに満たされた水素を使用して、改善された切断のために、約1.06ミクロンの波長光の一部を、約1.9ミクロンにシフトさせてもよい。ラマンシフトセルの使用は、米国特許第5180378号、Kungら、発明の名称「Laser Surgery System」に詳細に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0069】
赤外光は見ることができないという不利益を有する。これは、自動切断装置の走査においては重要ではないが、システムを初期に位置合わせするのに対しては、光を見ることは利点がある。ビーム路の可視的整列のために、可視レーザーを、赤外線レーザー光と同じ光路にそって向けることができる。
【0070】
約350nm〜約800nmの可視光を使用して、切断を行なうこともできる。チタン-サファイアレーザーは約760nmでの放出を有し、これは柔らかな組織の切断に適している。ヘリウム-ネオンレーザーは、約632nmでの出力を有する。適したダイオードレーザーは、約400nm〜約1.6ミクロンの範囲の出力を有し、可視および近赤外の範囲をカバーしている。同様に、色素レーザーを使用して、選択された波長での強い可視光を調製することもできる。
【0071】
加えて、約250nm〜約350nmの範囲の波長を有する近紫外線もまた、組織の切断に効果的である。約500nm〜約700nmの波長を有する可視光を、非線形光学エレメントなどの標準的な周波数ダブラー(倍周波装置)を使用して周波数をシフトさせて、所望の紫外線を調製してもよい。同様に、Nd-YAGレーザーに周波数クワドループルラー(quadrupler)を装備させて、近UV放射線を調製してもよい。あるいは、フッ化キセノンレーザーを使用して、適した紫外光を直接調製してもよい。手術の実施における紫外光の使用は、米国特許第4791927号、Menger、発明の名称「Dual-Wavelength Laser Scalpel」に詳細に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。独立したまたは組織に従ったポリマーセグメントの切断では、赤外光は幾つかのポリマーを溶融させ得るまたは変形させ得るため、可視光および紫外光が好ましい。
【0072】
好ましい実施態様では、レーザー光源は、少なくとも約1ミリワット、およびより好ましくは50ミリワット〜約500ワット、さらに好ましくは約150ミリワット〜約100ワットのパワー出力を有する。適したパワーレベルは、組織の厚さおよび性質に依存し得る。連続的な光放出あるいはパルス状の光放出の何れも使用することができる。例えば、適したパルス状のレーザーを、約1ナノ秒(nanosecond)〜数ミリ秒(milliseconds)でパルスにすることができる。10nsの階級の短パルスは、約10ヘルツ〜約1000ヘルツの階級の繰返し率を有し得る。パルスエネルギーは、好ましくは約0.01ジュール〜約10ジュールの範囲である。適したレーザーは、種々の市販供給者から、本装置に適した範囲で入手することができる。
【0073】
加えて、高圧流体を組織切断に使用することができる。好ましい流体として、例えば水または水溶液(緩衝液など)、空気または他のガスなどが含まれる。流体ジェットカッターには、ノズルを通して流体を超高圧にさせるポンプが含まれる。好ましい実施態様では、流体を1またはそれ以上の非常に微細なオリフィスに通させて、髪の毛のように細い精密切断用の流体ジェットを作り出す。流体ジェットはパルス状の操作で作動してもよい。
【0074】
ポンプを使用して、流体を高圧でノズルに送達する。パルス状の流れにおいて、ダイヤフラムまたは他のポンプを使用することができる。送達チューブは、ポンプを有するノズルに接続する。組織の性質に依存して、ノズルへ導く圧力は一般に、約1,000psi(ポンド/平方インチ)〜約50,000psi、好ましくは約5,000psi〜約30,000psiの範囲である。パルス状の操作では、例えば約1パルス/秒〜約100,000パルス/秒の繰返し率を使用することができる。例えば米国特許第5871462号、Yoderら、発明の名称「Method For Using Fluid Jet Cutting System」に記載されるような、手術用の同様の流体ジェットシステムが意図され、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0075】
幾つかの実施態様では、光学エレメント258は任意的である。他の実施態様では、光学素子258は、切断ビームの方向付けおよび/または集束のための種々の構成要素を含み得る。光学素子258を、光放射線または流体ビーム切断を用いる実施態様に使用することができる。特に、光学素子258は、ビーム方向付け光学素子(鏡など)、光ファイバーケーブル、プリズム、導管など、および集束/流れ制御型光学素子(フロージェットなど)、ノズル、フィルターおよびレンズであり得る。光学素子258は、所望の位置および/または方向で光学素子258を位置させる、必要に応じたアクチュエーター276を含み得る。
【0076】
好ましい実施態様では、工程制御ユニット262がアクチュエーター276の動作を制御できるように、アクチュエーター276を工程制御ユニット262に接続する。アクチュエーター276は必要に応じてモーターを有し、そして、特定の構成要素における適切な手法によって、例えばレンズをのせるための市販のレンズホルダーなどを使用して、光学構成要素に接続される。さらなる実施例として、アクチュエーター276は、半球の2次元を覆う光ファイバーケーブルおよびレンズを動かして、所望の方向で切断ビームを位置付けることができる。
【0077】
イメージャー260は、1またはそれ以上の組織のデジタル画像を形成し、切断工程を導くのに使用される、光学的構成要素である。イメージャー260は一般に、画像化を行なうために、1またはそれ以上の画像化デバイス280を1またはそれ以上の所望の位置で位置付ける、支持体278を含む。画像化デバイス280は、種々の原理に基づき得る。画像化デバイス280は次のセクションで詳細に記載する。好ましい実施態様では、イメージャー260は工程制御ユニット262に接続される。
【0078】
工程制御ユニット262は、切断工程を制御する種々の回路基板、コネクタ、コンピューター、端子などを有し、そして他のエレメント(冷却ファンなど)を有し得る。工程制御ユニット262は、支持台、切断ビーム、光学エレメント、組織の水和および他の特徴を制御し得る。工程制御ユニット262は好ましくは、1またはそれ以上のデジタルプロセッサ295を含む。他の実施態様では、工程制御ユニット262は、光学素子258またはビーム源256からのビームに関連する、組織252のモーター付の動きの手動制御に使用できる、手動制御ユニット296を有し得る。手動制御(手動オーバーライド)をつけ加えて、あるいは別の方法として、プロセッサ295の制御における切断工程を直接的に制御してもよい。手動制御は、プロセッサ295により、手動指令が達成され得る。
【0079】
Pentium III( 登録商標 )チップなどの、任意の適切なプロセッサ295を使用することができる。特に、プロセッサ295は、切断装置の操作用に設計された専用のプロセッサであってよい。あるいは、プロセッサ295は、MacIntosh( 登録商標 )、Windows( 登録商標 )、Unix( 登録商標 )、Linux( 登録商標 )または他の都合よい操作システムで操作される、通常使用されるパーソナルコンピューターまたはワークステーションであり得る。切断操作の操作に適したソフトウェアとして、例えば、テキサス州AustinのNational Instruments Corp.,から入手可能なLabVIEW( 登録商標ソフトウェアが含まれる。特に、LabVIEW( 登録商標 )ソフトウェアを、切断操作全体をプログラムおよび調整するプラットフォームとして使用することができ、これには任意の画像化ソフトウェアおよびステージを操作する制御ソフトウェアが含まれる。適したソフトウェアは、カリフォルニア州AnaheimのView Engineeringからも入手できる。
【0080】
画像化
一部の組織の自動切断を容易にするために、切断工程の前におよび/または切断工程中におよび/または切断工程後に、デジタル画像を組織セグメントから形成することができる。適したデジタル画像は、接触または非接触画像化システムから形成することができる。接触イメージャーは、目的物の表面上のポイントで静かに接触し、表面ジオメトリーを確定する、1またはそれ以上の接触プローブを使用する。好ましい実施態様では、非接触光学イメージャーを使用する。幾つかの異なる光学技術(映像画像の形成など)を使用して、デジタル画像を形成してもよく、そして市販の画像化ソフトウェアを用いるコンピューター化3D増強を使用して、または走査位相測定を行なって、評価することができる。
【0081】
所望の最終構造、すなわち目的構造のデジタル表示を、同様につくりそして記憶させることができる。目的構造を、通常使用される描画ソフトウェアを使用して、または適した切断技術を用いて形成された所望の構造のデジタル画像の撮影により、つくることができる。加工された組織から形成されたデジタル画像間の相違を、目的構造のデジタル画像、すなわち目的画像と比較することができる。比較が完全に自動化されていてもよく、あるいは、操作者が可能切断パターンを確認、選択または変更できるように、コンピューター的分析(例えばCAD(Computer-Aided Design・コンピュータを使った設計デザイン)ソフトウェアを使用するもの)で表示して相違を示させてもよい。この比較は、組織の加工のさらなる基礎を提供できる。
【0082】
組織セグメントのデジタル画像の形成で、映像画像化システムを使用してもよい。デジタル映像カメラは市場で容易に入手できる。リング照明器を、映像カメラのレンズの周りに備えて、組織セグメントを均一に照らしてもよい。繊維光学素子ベースの適切なリング照明器は、Edmund Scientificから入手することができる。複数の視界を、映像カメラを選択された位置へ動かすことによって、または支持台上の組織を所望の方向に方向づけて動かすことによって、得ることができる。種々の基準ポイントに利用できる複数の画像を使用して、目的物の3次元視界を作ることができる。
【0083】
他の実施態様では、光の投影パターンを目的物につたって走査し、比較的一定の線形割合(linear rate)で画像化することができる。例えば、線の格子を、目的物の表面にわたって投影することができる。目的物から反射された光を、例えば電荷結合素子(CCD)アレー検出器を用いて検出することができる。光パターンが組織につたって走査されるように、ポイントにおける深さは、目的物の特定のポイントに対応する、CCDエレメントの読み取りによって評価される。こうして、3次元画像が形成される。走査位相測定を用いる画像の生成は、米国特許第5646733号、Bieman、発明の名称「Scanning Phase Measuring Method and System for an Object at a Vision Station」にさらに記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。
【0084】
目的物の画像と記憶された画像との間の比較を含む機械視覚に向けた種々のアプローチが開発され、画像を記憶された画像と関連づけている。例えば、品質管理における、画像比較を行なう手順は、米国特許第5481619号、Schwatzら、発明の名称「Inspection Method Using Template Images, Unique Histogram Analysis, and Multiple Levels Correlated to Addresses of Template Images」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。これらのアプローチを、対象の切断工程に直接適応させることができる。例えば、組織画像と「テンプレート」画像とを、それらを重ね合わせて比較することができる。異なる画像を、ヒストグラムの形状で作ることができる。これらを使用して、切断ツールを、一部の組織を取り除くように向けて、目的物の画像を目的画像と一致させることができる。
【0085】
より最新式の整列アルゴリズムを使用してもよい。例えば、選択された特徴を使用して、組織の画像を、市販の3次元ディスプレイソフトウェアに基づいた目的画像と位置合わせすることができる。画像を位置合わせして、実際の画像と目的画像との間の相違を評価することができる。選択された特徴に基づいて画像を位置合わせすることは、米国特許第5875004号、Yamaneら、発明の名称「Image Processing Inspection Apparatus」(出典明示により本明細書に組込まれている)、および米国特許第5982945号、Neffら、発明の名称「Image Processing Method and Apparatus for Correlating a Test Image With a Template」(出典明示により本明細書に組込まれている)に記載されている。
【0086】
画像を位置合わせする場合、組織画像と目的画像との間の境界または輪郭は、切断の指針を提供する。2つの画像の間の境界に沿った切断によって、余分な組織を取り除き、そして目的画像に適合するように、組織を作成する。目的物の実際の画像を使用して、無傷組織が所望の切断に合うか確かめることもできる。望まれない組織切断を避けるために、特定の切断角を変えて所望の切断を行なうことができる。これらの技術を使用して、弁のジオメトリーによる変動を低減させるかまたは制御して、所望のコンフィギュレーションを達成するか、あるいは、組織の過剰部分を取り除くことによって、採られた弁または弁の部分(例えばリーフレット)を、より小さい所望のサイズに切断することができる。
【0087】
切断工程
医療デバイスおよびそれらの構成要素の調製において、ここに記載された装置および方法を使用して、種々の切断操作を成し遂げることができる。以下の記載は、組織の切断を中心とする。しかしながら、ポリマーおよびポリマー/組織の組合せの切断は、一般的に同様の方法で行なうことができる。
【0088】
ある切断アプローチでは、テンプレートによって定義された座標に沿った、組織セグメントの切断によって、均一の組織エレメントが形成される。テンプレートは、有形のテンプレートでもよく、あるいは工程制御ユニットにおいてデジタル画像として記憶された仮想テンプレートであってもよい。リーフレットの切断用のテンプレートの例を図6に示す。ここでパターン298中のラインは、例えばビームを向ける針などの動きを通して、たどる集束ビーム用の切断ラインを示す。他の実施態様では、材料をつたってビームを走査し、そして有形のテンプレートがビームを遮断して、曝された材料のみを切断するようにテンプレートに基づく材料の切断を防ぐ。
【0089】
あるいは、組織セグメントの画像をつくり、そして、組織セグメントの画像と目的画像との間の相違に基づいて、切断を行なう。組織を取り除いて、初期組織セグメント画像を目的画像に合わせるように、切断をプログラムする。他の実施態様では、画像化を使用して、目的画像を参照せずに不要な構造を取り除く。例えば、以下にさらに記載するように、組織のシートを切断して、所望の厚さ範囲から逸脱する部分を取り除いてもよい。
【0090】
本明細書中では切断を中心として記載しているが、集束ビームを使用して、医療デバイスで使用される材料に切れ目を入れるまたは部分的に切断することもできる。例えば組織またはポリマー材料に切れ目を入れて、プロテーゼの構成要素をより曲げやすくすることによって、およびプロテーゼの製作用の組み立て時間を低減させることによって、医療デバイスの製作の効率を助力することができる。ビームエネルギーおよび切断速度を調節することによって、ビームが材料を完全に通して切断しないように、切れ目を入れることを行なうことができる。一般に、ここでいう切断は、材料を貫く完全な切断をいうが、しかし幾つかの実施態様では、切れ目を入れることで十分であることも認識されるであろう。
【0091】
テンプレートベースの切断は、プロテーゼ組立て用の、組織の平面的なセクションの切断に特に有用である。画像ベースの切断(imaged based cutting)は、弁外植片の切り取りに特に有用であり、所望のパラメーターに適合させることができる。切断工程は好ましくは自動化されておりPCUによって制御される一方で、装置には好ましくは、手動オーバーライドが含まれ、特定の組織セグメントに基づく標準的な手順におけるバリエーションが含まれるように、操作者が切断を向けることができる。
【0092】
組織切断を、組織の調製工程の種々のステージでの自動切断方法を有利に使用して、行なうことができる。例えば、幾つかの組織切断工程を、環境的に制御された条件下で行なうことができ、必要に応じて、次いで、組織に対する1またはそれ以上の化学処理を行なうことができる。加えて、自動切断手順を、調達工程の初期段階、組織を取り出した直後などで有利に行なうこともできる。ホストから摘出した未加工型の弁の、より正確な切り取りは、加工時間を低減させ、そして収率を上げることができる。
【0093】
テンプレートベースの切断は、多くの異なる型の心臓弁プロテーゼの生産に有用である。幾つかの好ましい実施態様では、組織のシートを、1またはそれ以上のテンプレートに基づいて切断して、特定のリーフレットまたは複合的リーフレットを形成することができる。他の好ましい実施態様では、テンプレートを使用して、弁外植片から特定のリーフレットを形成することができる。
【0094】
例えば、ある実施態様では、心臓弁プロテーゼは、抽出された弁から取り除かれたリーフレットから形成され、そしてそれから完全な弁プロテーゼに組立てられる。まず、ブタあるいは他の弁を適切な供給源から入手し、そしてさらなる加工が行なわれるまで、適切な貯蔵条件で保存する。組織は一般に、組織のさらなる操作の前に架橋されるが、しかし組織切断後に架橋を行なってもよい。初期の弁を、ステージ上で方向づけて、切断装置の集束ビームを用いて、図7に示すような3つのセクションに、弁を精密切断する。セクションの数は変えることができる。損傷したまたは石灰化したようにみえる任意のリーフレットを捨てることができる。プロテーゼにおけるこの初期切断および残りの組織切断を、テンプレートまたはデジタル画像を用いてつくることができる。
【0095】
得られるリーフレットセクション300は、未切断のカスプまたはリーフレット302および、次の組み立てにおいて可撓性を提供する、大動脈壁を貫く集束ビームを用いた切断部305を含む大動脈壁部分304を含む。大動脈壁部分304の切断部305は、リーフレット302の切断を避けながらつくられる。1またはそれ以上の弁から切断された、3つの切り取られたリーフレットセクション300を、併せて縫う/縫合する、接着するまたは他の方法で接合して、図8および9に示すような、3つのリーフレット302を有する接合された組織セグメント306を形成する。他の実施態様では、異なる数のリーフレットが併せて縫合される。
【0096】
所望により、リーフレット302自体を切り取ることもできる。例えば、幾つかのリーフレットは、リーフレットの遊離エッジに向かって、筋子(muscle bar)といわれる厚くなった部分を有する。集束ビーム切断装置を用いて、集束ビームを一般に遊離エッジに対して平行に用いてリーフレットを切断して、筋子を減らすまたは取り除くことができる。得られる小さなリーフレットは、小さなサイズの弁の生産に使用することができる。例えば、初期で33mmのリーフレットを、筋子を減らすまたは取り除いて、26mmリーフレットの大きさに切断することができる。
【0097】
ある好ましい実施態様では、各リーフレットセクション300と接する大動脈壁の一部を切り取り、各リーフレット302のエッジ近くのコミッシュアー支持体308を残す。特に、集束ビームを用いて、図10および11に示すようにリーフレット302の切断を伴うことなく、大動脈壁を小孔307の下で切り取ることができる。図12に示すように、コミッシュアー支持体308の上端を丸い形状に切断することができる。
【0098】
大動脈弁プロテーゼの製造に向けた次の段階において、切り取られた組織セグメント306を、縫製、接着または融合などによって、組織シート310に付着させる。このシートは、例えばウシ心膜または他の組織のシートなどであり得る。組織シート310を、合成または天然の繊維から形成されたファブリックシートまたはファブリックチューブで置換してもよく、これらは組織シート310のように加工することができる。弁の製作を助力するのに、集束ビーム装置を使用して、図13に示すように、組織シート310におけるスリット312を切断する。スリット312は、組織セグメント306の切断を伴うことなく形成される。スリット312を形成した後、組織シート310を操作して、組織セグメント306の2つの反対のエッジ314、316を接合して、3つのリーフレット弁構造物を形成する。反対のエッジを接合した後、構造物は、切断工程の完成に必要とされる適切な支持体の3次元形状を有する。例えば、弁構造物は、ステージに接続されるマンドレルまたは類似物によって支えられ得る。
【0099】
大動脈弁の最終切り取りは、形成された弁の上端および底に沿ったシート310の過剰部分の切り落としを含む。図14に関して、上端エッジ309に沿った切り取りが完結し、そして組織シート310の3つのセクションの1つが、弁の底部にそって切り取られている。弁の底部に沿った組織シート310の他の2つのセクションを同様に切り取る。過剰な組織シート310の切り取りは、リーフレットの方向を含めて、弁を適切に配置した後に、3次元テンプレートを使用して行なうことができ、またはデジタル画像を使用して、切断ツールを導くことができる。組み立てられた弁を、図3に示す。
【0100】
図4に示す、4つのリーフレット弁プロテーゼ200は、併せて接合して弁を形成する、4つのリーフレットセクションから組み立てられ得る。図15〜18に関して、リーフレットセクション350、352、354、356それぞれは、リーフレット204、206、208、210の1つにそれぞれ対応するセクションを有する。リーフレットセクション350、352、354、356はさらに、それぞれのエッジセクション360、362、364、366を有する。エッジセクション360、362、364、366は、図4に示すように、縫製リング202の部分218および220の間での挿入によって縫製リングに固定され、併せてエッジ216を形成する。
【0101】
図15〜18に関して、折り目368は、リーフレット204、206、208、210から、エッジセクション360、362、364、366を分離する。特に、リーフレット204、206、208、210は、折り目368および腱212の間に形成される。スリット370は、リーフレットセクション352、356に切り込まれ、腱212を形成する。同様に、スロット372をリーフレットセクション350、354に切り込み、腱212を形成する。取り付けセクション214は、腱212の底部から伸びる。タブ374などの追加的な構造を含めて、プロテーゼの組み立てを容易にすることができる。
【0102】
リーフレットセクション350、352、354、356は、本明細書に記載されたテンプレートアプローチを用いる切断に、十分に適している。架橋されたウシ心膜のシートなどの組織シートを、出発材料として使用することができる。組織のシートを切断してリーフレットセクションを形成するため、デジタル画像を使用して方向づけられた特定の構造はない。好ましい実施態様では、切断ビームは図6に示すようなテンプレートに従い、図15〜18に示されるリーフレットセクションの輪郭を描く、実線に対応する。テンプレートは有形のテンプレートであってもよく、あるいは仮想の、すなわちデジタルのテンプレートであってもよい。非常に正確な切断は、あらかじめ選択された輪郭に対応するテンプレートに沿って、組織シートの方へ切断ビームを向けることによって、容易に行なうことができる。組織シートを、水の薄いフィルムでカバーして、レーザーまたは他のビーム切断工程を顕著に妨害することなく、水和した状態に組織を維持する。例えば、組織をステージ上の流動床に置いてまたは噴霧器を使用して、水の薄いフィルムを組織上に保持させることができる。
【0103】
組織の切断後、例えば組織の架橋によって、組織をさらに加工してもよい。所望により、最終組み立て前の適切な期間の間、組織構成要素を湿潤貯蔵下に置くことができる。準備時に、プロテーゼを構成要素からから組み立てることができる。組織構成要素の組み立てで、リーフレットセクション350、352、354、356を、隣接するリーフレットセクションに付着させる。取り付けセクション214が2つのグループで固定され、リーフレットセクション352、356の2つの取り付けセクション214の1つが、各グループに付着する。腱212は付着されずに残り、血流の干渉を低減する。エッジセクション360、362、364、366は、図4に示すように、縫製リングに付着される。同様の弁プロテーゼの組み立ては、米国特許第5415667号、Frater、発明の名称「Mitral Heart Valve Replacement」に記載されており、出典明示により本明細書に組込まれている。一般に、一旦シートをプラットフォーム上に設けると、多くの構成要素を単独のポリマーシートまたは組織シートから切断することができる。
【0104】
採られた弁からの無傷リーフレットを含む外植片を導入するプロテーゼは、より複合的な構造であるため、デバイスのデジタル画像に基づく切断の影響を受けやすい。例えば、図1の大動脈弁および図2の僧帽弁を、デジタル画像から切り取り、目的画像に近づけることができる。例えば、マンドレルなどを用いて、プラットフォーム上に外植片を置いた後に、大動脈弁外植片を画像化して、リーフレットの方向およひ位置を決定することができる。次いで、弁の上端エッジを切断して、リーフレットの損傷を伴うことなく、目的画像から、所望のスカロップ形状を形成することができる。弁の上端エッジを形成した後、底部エッジを切断して、リーフレットの損傷を伴うことなく、上端エッジおよび底部エッジとの間の所望の構造的関連を形成することができる。切断ツールを弁の周りで動かして、適切な切断角を得て、無傷構造の損傷を伴うことなく、特定の切断をつくることができる。
【0105】
同様に、図2の僧帽弁を用いて、輪152を所望の形状に切り取ることができる。輪152を、弁の上端セクションの画像に従って、切り取ることができる。次いで、リーフレットまたは腱の損傷を伴うことなく、切断を行なうことができる。同様に、弁の底部分を画像化して、乳頭状セクション160を所望のサイズおよび形状に切断して、一方腱を無傷で残すことができる。画像化および集束ビームを用いる切断の間、弁外植片を、切断を妨げない適したマウントで支えることができる。組織を、上記した適切な装置を用いて、湿らせておくことができる。再び、切断ツールを弁の周りで動かして、適切な切断角を得て、無傷構造の損傷を伴うことなく、特定の切断をつくることができる。
【0106】
上記したように、画像化システムを使用して、知られた高さを有する平らなまたは湾曲した表面上に置かれた組織を用いて、組織の厚さを測定することができる。画像化を使用して、正確な厚さの測定を得ることができる。これは、平坦な支持台を用いて、あるいは円筒型マンドレル、円錐状マンドレルなどの上に材料を置いて、行なうことができる。マンドレルの表面に沿った画像化を使用して、厚さの変化を同定し、切断の手引きを提供し、選択された厚さの範囲外の組織を取り除くことができる。平坦な表面を、支持体表面上に形成することができる。支持体表面は、磨かれた御影石の表面のように、非常に平坦であってよい。御影石表面および平坦なプラットフォームは、組織が平坦な表面上にあろうとあるいはマンドレルにあろうと、厚さ測定における目盛り基準点としての役目をし、工程制御ユニットによって向けられるとおり組織を切断することができる。
【0107】
図19に関して、厚さを評価する装置400は一般に、アーム420によってプラットフォーム254に付着された回転シャフト404上に乗せられた円筒型マンドレル402を含む。マンドレルは、所望により、異なる形状およびサイズを有していてもよい。例えば、マンドレルを、異なるサイズの弁中への挿入用に、先細にしてもよい。点線で示すホール408を通って設けられた吸引を使用して、組織シート406または弁外植片をマンドレル402に付けておいてもよい。光ビーム410、412を、マンドレル(410)に沿っておよび/またはマンドレル軸(412)に対して垂直に沿って、または厚さの測定に使いよい他の方向に沿って、投影することができる。例えば、より厚い組織は光をより遮断するであろうために、厚さは、検出器414、416(光電子増倍管またはダイオード検出器でありうる)を用いて検出した光の量と相関し得る。
【0108】
マンドレル402にのせた組織を湿らせておくのに、噴霧器422を使用することができる。噴霧器422を、水、緩衝液または他の適した液体の供給源に、アーム424を通して接続することができる。
【0109】
厚さを評価した後、組織を切断し、所望の範囲の厚さを有しない部分を取り除くことができる。組織をマンドレルにのせたままで切断を行なうことができ、例えばシャフト404でマンドレルを回転させて、集束ビームを用いて組織を切断することができる。例えば、約2mm〜約2.5mmの範囲外の厚さを有する組織を、組織セグメントから取り除くことができる。このマンドレルを、上述した他の画像化および集束ビーム切断実施態様で使用することもできる。
【0110】
医療デバイスの完成
対象の医療デバイスは、上述した組織を含む。多くの実施態様では、複合組織エレメントが組み立てられるかおよび/または追加の非組織構成要素がデバイスに付着されて医療デバイスが完成される。特に、医療デバイスは、組織に加えて、他の生体適合性材料、ポリマー、セラミックスおよび金属など、を含んでもよい。
【0111】
デバイスの設計に依存して、追加の組織エレメントおよび非組織エレメントの取り付けの前にまたは後に、組織の切断を行なうことができる。特に、特定の組織エレメントに加えてあるいは同じくして、追加の組織エレメントおよび/または非組織構成要素を切断するのが望ましくあり得る。これらの実施態様では、切断前に、組織を他の構成要素と付着させる。あるいは、追加的構成要素を切断の前に組織に付着させる場合、追加的構成要素が組織の切断を妨げることもあり得る。これらの実施態様では、追加的構成要素は、組織エレメントを切断した後に付着させる。
【0112】
プロテーゼ中への導入に適したセラミックスとして、限定するものではないが、ヒドロキシアパタイト、アルミナおよびパイロライトカーボンが含まれる。生体適合性金属として、例えば、チタン、コバルト、ステンレス鋼、ニッケル、鉄合金、コバルト合金、Elgiloy( 登録商標 )など、 コバルト-クロム-ニッケル合金、MP35N、 ニッケル-コバルト−クロム-モリブデン合金、およびNitinol( 登録商標 )、ニッケル-チタン合金、が含まれる。
【0113】
プロテーゼ用の重合材料を、精製された生物学的ポリマーと同様に、合成ポリマーから作ることができる。これらのポリマーを、医療デバイスを形成する組織と組合せることができ、またはこれらを単独でまたは他の非組織材料を用いて使用することができる。適した合成材料として、厳しい脱水に持ちこたえないヒドロゲルおよび他の合成材料が含まれる。適したポリマーとして、患者内へ埋め込んだ後、徐々に吸収される、生体吸収可能な(bioresorbable)ポリマーが含まれる。加えて、例えば他のポリマー、生物学的薬剤(成長因子など)、不活性材料(炭素など)および/または金属などを用いて、ポリマーをコートし、ポリマーに所望の性質を生じさせてもよい。
【0114】
適切な合成ポリマーとして、限定するものではないが、ポリアミド(例えばナイロン( 商標 ))、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ビニルポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニル)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、エチレン酢酸ビニル、ポリスルホン、ニトロセルロースおよび同様のコポリマーが含まれる。デキストラン、ヒドロキシエチルでんぷん、ゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、および同様のコポリマーなどの生体吸収可能な合成ポリマーも使用することができる。これらの合成重合材料を、繊維または糸に形成して、次いでファブリックメッシュに織ってまたは編んで、マトリックスまたは基材を形成することができる。あるいは、合成ポリマー材料を、適切な形態に成形またはキャストすることができる。
【0115】
生物学的ポリマーは、天然由来のものであってもよく、あるいは発酵などによってあるいは組み換え遺伝子技術によってインビトロで製造されたものであってもよい。適した生物学的ポリマーとして、限定するものではないが、コラーゲン、エラスチン、絹、ケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸、多糖類(例えばセルロースおよびデンプン)およびこれらのコポリマーが含まれる。
【0116】
例として、図1の心臓弁プロテーゼ100は、弁の外側にファブリックカバー102を有する。このファブリックは好ましくは、ポリエステルなどの合成ポリマーから形成される。縫合ラインは切断に従うため、一般にカバーは組織が切断された後に付着され得るが、しかしながらファブリックを組織と共に切断して、切断後に縫合してもよい。プロテーゼを含む組織を中心として記載してきたが、非組織材料のみを用いて、関連する医療デバイスを形成することもできる。
【0117】
包装、分配および使用
切断後に、組織、場合によりプロテーゼに形成されたものを、貯蔵することができる。好ましい貯蔵技術は、微生物の雑菌混入の危険性を最小化するものである。例えば、滅菌した緩衝液、生理食塩水および/または抗菌剤(グルタルアルデヒドまたはアルコールなど)を含む密閉された容器中に、組織を貯蔵することができる。
【0118】
分配について、バイオプロテーゼを一般に密封された滅菌容器中に入れる。許容され得る滅菌レベルの持続を確保するため、認められた無菌手順を使用して組織を滅菌容器に移すことができる。日付が望ましい最大保管時間を表すように、容器に日付を入れることができる。
【0119】
容器は一般に、所望のおよび/または必要とされるラベルと共に、医療デバイスの使用についての取扱説明書をつけて、包装される。この容器は、プロテーゼの外科的埋め込みのヘルスケア専門家に分配される。埋め込みは、適任のヘルスケア専門家によって行なわれる。外科的埋め込みは一般に、損傷した組織のプロテーゼによる置換または補充を包含する。
【0120】
上記の実施態様は例示説明であって限定するものではない。他の実施態様は特許請求の範囲内である。本発明を好ましい実施態様に関して記載したが、本発明の意図および視野から離れることなく、形態および詳細について改変できることは、当業者に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は、無傷リーフレットを含む弁外植片から形成される大動脈心臓弁プロテーゼの斜視図である。
【図2】図2は、僧帽心臓弁外植片の斜視図である。
【図3】図3は、組織構成要素から組み立てられた、大動脈心臓弁プロテーゼの側面図である。
【図4】図4は、組織構成要素から形成された4つのリーフレット僧帽弁プロテーゼの側面斜視図である。
【図5A】図5Aは、医療デバイス形成のための精密切断用の自動集束ビーム切断装置の概略図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの切断装置で使用される支持台の実施態様の概略上面図である。
【図6】図6は、切断装置でのガイドとして使用されるリーフレットテンプレートの態様例の上面平面図である。
【図7】図7は、大動脈弁外植片からの大動脈リーフレット切断の平面図である。
【図8】図8は、併せて縫われた3つの大動脈リーフレットを有する組織セグメントの平面図である。
【図9】図9は、図8の組織セグメントの平面図であって、リーフレットの反対側を示す。
【図10】図10は、大動脈壁の一部を切断してコミッシュアー支持体を形成した、図8の組織セグメントの平面図である。
【図11】図11は、3つのリーフレットの周りの大動脈壁を切断した後の、図8の組織セグメントの平面図である。
【図12】図12は、コミッシュアー支持体をラウンディングした後の、図11の組織セグメントの平面図である。
【図13】図13は、組織シートに縫われた図12の組織セグメントの平面図である。
【図14】図14は、組織セグメントの反対端を接合して、弁構造および組織の部分切り取りを形成した、図13の組織構成要素の側面図である。
【図15】図15は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第1リーフレットセクションの側面図である。
【図16】図16は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第2リーフレットセクションの側面図である。
【図17】図17は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第3リーフレットセクションの側面図である。
【図18】図18は、図4の4つのリーフレット心臓弁プロテーゼ用の第4リーフレットセクションの上面図である。
【図19】図19は、組織セグメントを支えるのに適した円筒型マンドレルの側面斜視図である。
Claims (49)
- ビームを用いて材料セグメントを少なくとも部分的に切断する工程を包含するプロテーゼの製造方法であって、該切断が工程制御ユニットによって制御されて、目的画像に対応して材料を切断する方法。
- パターンがあらかじめ選択されたテンプレートによって決定される、請求項1記載の方法。
- 前記材料セグメントが生物から分離された組織セグメントを含む、請求項1記載の方法。
- 前記組織セグメントが組織シートを含む、請求項3記載の方法。
- 前記材料セグメントがポリマーを含む、請求項1記載の方法。
- 前記目的画像がリーフレットセクションを有する、請求項1記載の方法。
- 前記目的画像が、
a)材料セグメントのデジタル画像を形成する工程、
b)該デジタル画像と目的画像とを比較して、デジタル画像と目的画像との間の相違を評価する工程;および
c)該相違に基づいて切断パターンを決定する工程、
によって決定される、請求項1記載の方法。 - 前記デジタル画像が映像カメラを使用して形成される、請求項7記載の方法。
- 前記デジタル画像が走査位相測定によって形成される、請求項7記載の方法。
- 切断パターンを決定する工程が、デジタル画像と目的画像との間の境界に基づいて切断パターンを形成する工程を包含する、請求項7記載の方法。
- 前記切断パターンが、目的対象物の一部を形成する任意の材料の切断を避けるよう選択される、請求項7記載の方法。
- デジタル画像と目的画像とを比較する工程の前に、目的画像に対してデジタル画像を方向づける工程をさらに包含する、請求項7記載の方法。
- 前記ビームがレーザービームを含み、該レーザービームが周波数シフト光学素子を通って通過する、請求項1記載の方法。
- 前記ビームが赤外レーザー光を含む、請求項1記載の方法。
- 前記ビームが可視レーザー光を含む、請求項1記載の方法。
- 前記ビームが紫外レーザー光を含む、請求項1記載の方法。
- 前記ビームが流体を含む、請求項1記載の方法。
- 前記切断が、ビームを向ける光学素子を適切な位置へ動かして、材料セグメント上の選択された位置へビームを向けることを包含する、請求項1記載の方法。
- 前記切断が、材料を支える支持台を動かして、組織の選択された位置へ光を向けることを包含する、請求項1記載の方法。
- 前記少なくとも部分的な切断が、材料セグメントの部分的な切断を含む、請求項1記載の方法。
- 前記少なくとも部分的な切断が、材料セグメントの完全な切断を含む、請求項1記載の方法。
- 工程制御ユニットがデジタルプロセッサを有する、請求項1記載の方法。
- 切断構成要素を組立ててプロテーゼを形成する工程をさらに包含する、請求項1記載の方法。
- 組織セグメント切断用の装置であって、該装置が
a)組織セグメント;
b)組織セグメントを支える支持台;
c)ビームを組織セグメントに向けるよう方向づけられたビームジェネレータ;および
d)支持台およびビームの相対的位置を制御する工程制御ユニット、
を有する、装置。 - 支持台およびビームの相対的位置を変えるモーターをさらに有する、請求項24記載の装置。
- 前記工程制御ユニットがモーターを動かして、支持台およびビームの相対的位置を調節する、請求項25記載の装置。
- 前記モーターが支持台に操作可能に接続されて、ビームに対して支持台を動かす、請求項25記載の装置。
- 前記工程制御ユニットが、モーターに操作可能に接続されたデジタルプロセッサを有し、該プロセッサが目的画像に基づいてモーターを制御する、請求項25記載の装置。
- 前記工程制御ユニットが、モーターの作動を制御する手動制御を有する、請求項25記載の装置。
- 前記支持台が組織と接触する平坦な表面を有する、請求項24記載の装置。
- 前記支持台が組織セグメントを支えるマンドレルを有する、請求項24記載の装置。
- 前記マンドレルが円筒型または先細型である、請求項31記載の装置。
- ビーム源によって生じるビームの範囲内でビームの向きを変える光学エレメントをさらに有し、前記工程制御ユニットが光学構成要素に操作可能に接続されて、支持台に対して光学構成要素を動かす、請求項24記載の装置。
- 前記支持台が流動床を有する、請求項24記載の装置。
- 前記支持台が吸引取付具を有する、請求項24記載の装置。
- 検出器を有する画像化デバイスをさらに有し、該画像化デバイスが工程制御ユニットに接続されて、組織セグメントのデジタル画像を形成する、請求項24記載の装置。
- 前記画像化デバイスがデジタル映像カメラを有する、請求項36記載の装置。
- 前記組織セグメントが、無傷リーフレットを有する心臓弁外植片を有する、請求項24記載の装置。
- 前記組織セグメントが組織シートを有する、請求項24記載の装置。
- 前記組織シートが、組織を覆う水のフィルムを有する、請求項39記載の装置。
- 前記ビーム源がレーザーを含む、請求項24記載の装置。
- モーター付スタンドにのせられた、ビームを向ける光学素子をさらに有し、モーター付スタンドの動作が組織セグメント上のビームの位置を変える、請求項24記載の装置。
- ビーム源が流体ジェットを含む、請求項24記載の装置。
- さらに湿度制御を有して、組織周辺の環境が高湿度に維持される、請求項24記載の装置。
- ホストから分離された組織セグメントを含む心臓弁プロテーゼであって、該組織が焼灼されたエッジを有する、心臓プロテーゼ。
- 組織シートを切断して、異なる厚さを有する組織シート部分を取り除く方法であって、該方法が:
滑らかな表面上の組織シートを画像化して、異なるポイントで組織シートの厚さを評価する工程;および
組織シートを切断して、選択された範囲外の厚さを有する組織シート部分を分離する工程、
を包含する、方法。 - 前記組織シートが較正基準点としての役目をする平坦な支持台の上にのせられる、請求項46記載の方法。
- 前記組織シートがマンドレル上にのせられる、請求項46記載の方法。
- 前記画像化がレーザーおよび検出器を用いて行なわれる、請求項46記載の方法。
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