JP2004526945A - 表面を特徴付けする方法及びそれに関する装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、光学プリズムの底面に被覆した感光層の表面にあって、前記表面が時間と共に、その光学的厚さを変えることができる活性領域を含む表面を特徴付けする方法において、前記方法がプリズム−感光層境界面の反射変動の分析に基づく技術を利用する方法に関する。方法は;プリズム底部での全反射を可能とする入射角を持った平行光ビームをプリズムに通し、前記ビームが特徴付けの対象となる部分に相当する、境界面の固定部分を照射すること;活性領域の反射力が最小となる入射角を決定するために角度の走査を行うこと;活性領域の検出感度が最適となる入射角を決定すること;入射角を最適値に調整すること;および結像システムを使って反射力を測定することから構成される。本発明はまた前記方法を実行するための装置にも関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は表面を特徴付けする方法、およびこの方法を実行するための装置に関するものである。具体的には、この方法により物理的、化学的、生化学的または生物学的であると考えられる相互作用が定性的および/または定量的な測定が可能になる。
【背景技術】
【0002】
この分野の従来法の大部分は蛍光マーカーを使って分子間相互作用を現すため特殊条件下での作業が求められる。この様な特殊条件では複数のタイプの相互作用を同時に解析することができない。これに対し本発明の方法は、数百種類までの分子相互作用を、即時にマーカー無しに品質的および定量的に、詳細に追跡することを可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の方法は、光学プリズムの底面に付着した感光性フィルムの表面の特徴付けを、プリズム/感光性フィルム境界面の反射力の変動解析に基づく技術を用いて可能にしている。この反射力のプリズムに入り、特徴付け対象となる前記表面の一部に対応する境界面に向けられた光線の入射角により変化すると考えられる。この反射力はまた感光性フィルムの光学的厚みによっても変動するため、本発明の方法は、中でも、その光学的厚みが時間と共に変化すると思われる感光性フィルムのある領域内の変化を特徴付けすることを可能にする。特徴付け対象となる部分に「対応する」境界面のその部分とは、当然特徴付け対象となる表面部分に対面している部分である。
【0004】
発明の方法は、具体的には表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)を基本とする技術、または干渉分光法を基本としてプリズムと、導波管のカップリングを利用する技術に使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明の主題は感光性フィルムの表面を特徴付けする方法であって、前記表面にはその光学的厚みが時間と共に変化すると思われる活性領域を有しており、前記感光性フィルムは光学プリズムの底面に付着されており、前記方法はプリズム/感光性フィルム境界面の反射力の変動を分析することに基づく技術を使用しており、そしてこの方法では
a)境界面を通り、プリズムの底面での全反射を可能にする入射角度でプリズムに侵入する平行光線が作られ、前記光線は有用領域と呼ばれる前記表面の中の特徴付け対象となる部分に対応する境界面の固定部分を照射し、そして反射光線はプリズムの射出表面から射出光線として出て行き;
b)前記光線の入射角度を変化させることで、有用領域の角度走査を実行して、活性領域の少なくとも一部、または全部の反射力が最小となる角度を記録し;
c)活性領域を検出する感度が最大となる最適入射角度を決定し;
d)入射角度を前記段階で決定された最適角度に設定する;そして有用部分から出てくる全射出光線を受け取ることができる感光性表面を持つ画像化/検出システムを使って反射力を測定する。
【0006】
平行光線とは全ての光線が平行である光線である。
【0007】
本発明の方法および装置においてプリズムは、境界面での反射現象を全て利用するカップリングプリズムとして使用される。
【0008】
感光性フィルムの特徴付け対象表面は、外部媒体と接触する、感光性フィルムの外面の表面である。
【0009】
実際には、薄い感光性フィルムはプリズムの底面に付着されるか、またはプリズムと同じか、又は類似の屈折率の平行面を持つ平坦な透明プレート上に付着されるが、このプレートはプリズムの底面に固着されるか、又は固着することできる。この時に感光性フィルムは外面に付着しており、プリズムの底面とは接触していない。この外面をプリズムに固着した場合、この様な例ではこの面がプリズムの真の底面と見なされる。
【0010】
感光性フィルムは薄い金属フィルムであり、本例では発明の方法は表面プラズモン共鳴の現象を利用している。使用される金属の中では金および銀が特に言及される。例えばクロムの薄い金属中間層を用いて、金フィルムとプリズムガラスの接合を強化することができる。フィルムまたは銀をプリズムに付着することも可能であるが、銀フィルムそのものは金フィルムで覆い、それにより銀が酸化されないようにする。
【0011】
感光性金属フィルムはプリズムの底面、または低屈折誘電体(プリズムの屈折率に等しいか、それに近い屈折率を持つ)である薄フィルムの上に付着される。
【0012】
感光性フィルムは、また導波管として機能できる高屈折率誘電体の薄い透明フィルムでもよい。この場合、二枚の薄誘電層がプリズムの底面に付着されるが、第一層はスペーサー媒体として働き、そしてプリズムの屈折率とガイディングフィルムの屈折率の中間の屈折率を持つ薄フィルム(例えばシリカの)であり、次の層は高屈折率を持つガイディングフィルムである。このガイディングフィルムは例えば化学量論または非化学量論のチタンまたは酸化オスミウムから作られる。このガイディングフィルムそのものを薄い金属フィルムで覆ってもよい。
【0013】
感光性フィルムが導波管として機能する誘電体フィルムである場合、本発明の方法、特にこの導波管はコヒーレント光源を必要とする共振ミラーシステムとしての利用を可能にする。共鳴ミラーの原理および応用は既知であり、例えばR.Cushら、Biosensoers&Bioelectronics 8、347〜353(1993);P.E.Buckleら、Biosensors&Bioelectronics 8、355〜363(1993);S.F.Bier、Sensors&Actuators B、31.37〜50(1995):C.Stammら、Sensors&Actuators B.31.203〜207(1996);A.Bernardら、Eur.J.Biochem,230、416〜423(1995)を参照のこと。これら文献の文書および下記文書の内容は参照され、本記載に取り込まれている。
【0014】
本発明の実施に使用される薄フィルムは既知の方法、例えば真空蒸発、スパッタリング、CVD、MOCVD等を利用して固着してよい。
【0015】
以下、記載を簡素化するために折に触れて表面プラズモン共鳴現象を参照するが、専門家はこの本発明の方法が、特段の困難を伴わずに共振ミラーシステムを利用している装置に応用できることを容易に理解するだろう。
【0016】
上記の如く本発明の方法は、特に既知の現象である表面プラズモン共鳴(SPR)を利用することで実現できる。この現象は光線が、プリズム底面に付着させた薄金属フィルムのガラス/金属境界面で反射する時に観察される。問題の分析体に対する配位子が金属フィルム外面に固定され、液体であれ気体であれ、分析体を含むことができる媒体に、この金属フィルムを接触させると、後者つまり気体の分析体が存在する場合には、分析体は親和性により配位子と結合するようになり、その結果金属面に固定されている分子フィルムの厚さ、即ち光学的厚さが変化し、この変化が特にSPR現象により境界面の反射力の変化となって現れるようになる。
【0017】
表面プラズモン共鳴の光学現象は約30年前に発見され(E.KRETSCHMANN&H.BAETHER;Z.Naturforsch.,23a(1968)、615〜617)、最初は薄い非有機フィルムを定性的に特徴付けするのに用いられた(W.P.CHEN&J.M.CHEN、J.Opt.Soc.Am、71(1981)、189〜191)。この光学原理は、光学的厚さの変化(幾何学的厚さにより増幅された屈折率)を金属フィルム外面に物質が固定することで、金属製/誘電性境界面上に生ずる反射力の変化を測定して検知することに基づいている。1980年代から表面プラズモン共鳴現象は生物学的応用、特に生物学的相互作用の定量的特徴付けに使用されている。従って、屈折率の変化を知ることで、金属薄フィルム上に前もって固定化された配位子と相互作用している生物学的分子の数(J.A.DE FEIJTERら、Biopolymers、17(1978)、1759〜1772;A.BERNARDら、Eur.J.Biochem.、230(1995)、416〜423、J.PIEHLERら、J.of Immunol.Methods、201(1997)、P.GUEDONら、Anal.Chem.,(2000)6003〜6009)、その濃度および比率を即時に特徴付けして知ることができる。
【0018】
本発明の方法および装置の利点の一つは、それぞれ分離した小さな固着域またはスポットが、空間的に識別することができる規則的な体系(例えばマトリックスまたは六角形パターン)で、感光性フィルム上に一定の様式で各種配位子を局所的に被覆できることである(「アドレス」配位子と呼ぶ)。
【0019】
SPR現象による反射力の変化は、全反射する光線の入射角に依存することが知られている。境界面での全反射現象は、光波が屈折率nの媒体を通過し、屈折率n(この時n<n)の媒体にα>α=arcsin(n/n)である入射角αで侵入するとき起こる。感光性フィルムの厚みが増すと(特に分析体が金属フィルム上の固定配位子に固着した場合)、反射光の強度は低下し、一度最小値を取った後再度上昇するが、この現象は数度の入射角の変化について観察される。従って分析体と接触させる前に、あるスポットで反射光の強度が最低となる入射角を記録することが望まれるが、この入射角はそのスポットと基材のベアゾーンを、十分に比較することで知ることができる。この角度の正確な値を各スポットについて知ることで、表面状態の特徴を知ることができる。その結果、分析体の分子の大きさに拠るが、分析体が固着する(または大量に固着する)各スポットの検出感度が、最適となる角度を決定することができる
【0020】
感光性フィルムの光学的厚みが増すと、例えば分析体が固定化配位子を含むスポットに固着すると、これにより入射外角(ここでの「入射外角」という用語は、プリズム侵入前の、外環境に於ける光線入射角を意味している)が低下する方向への共鳴ピーク(反射力が最低)のシフトが起こる。ピークの初期入射角に近く(最小値に近い反射力に対応)僅かに大きい入射外角を選ぶことで、ピークのこのシフトに伴って、このように選択された入射角度に関しては反射力が高められ、その結果該当領域はより明るく画像上に反映される(またはグレーのレベルがより明るいグレーに変化する)が、一方その光学的外観に変化が見られないスポットは暗いままである。この様にして、発明の方法に従い使用される最適入射角度は、その光学的厚みが変化すると考えられる全てのスポットに関し、検出感度が最大になるように、容易に決定することができる。事実、初期状態では、これらスポットはたいていの場合極めて近い共鳴ピークを持っている。さらに角度走査により、初期状態に於ける各スポットの共鳴ピーク入射角を正確に決定できるようにし、そして各スポットについてコンピューターを利用して、それぞれのスポットについてピークのシフト値を正確に決定できるように、これらスポットそれぞれから放射される光子束を検出する、画像システムの検出装置により集められた結果を、正規化することができる。
【0021】
特定の実施形態では、請求項に定義される如く、発明の方法はこれら機能を単独、または場合によって組み合わせて持つことができるだろう。
【0022】
有用部分の活性領域における変化を特徴付け可能にするために、反射力を時間の関数として、連続的または所定の間隔で測定する。
【0023】
反射力の変化は、そのスポットに固着した分子の数に比例し、その固着度は問題のスポットに於ける厚みの増加に対応する。
【0024】
例えば感光性フィルムの有用領域に次のものを固着できる:
−抗原(特異抗体を探索する)
−ある抗体の特異的ミノトープを探索するためのランダムペプチド;
−細胞物質中の腫瘍抗原を探索するための抗腫瘍抗体
−細胞分類(cell sorting)を目的とした、特定細胞の全ての特異的配位子。
【0025】
本発明の方法は、また固定された分子と細胞を含む分析体との間の、あらゆる相互作用を研究するのにも用いることができる。
【0026】
本発明の方法は、またタンパク質(この場合分析体はタンパク質)のシグナリング(signaling)または酵素的役割を抑制し得る、活性フィルム上に固定されている小分子(例えばオリゴ糖)のスクリーニングにも利用できる。この小分子は、タンパク質または細胞に対する生物学的、または生化学的親和性により選択される。
【0027】
発明の主題は、また発明の方法を実行するための画像装置でもある。この装置は特に、多くの有機センサーを支持する感光性フィルムの表面、即ち一つまたはそれ以上の配位子集団が、固定化されている表面を画像化することに使用できる。これらセンサーは「アドレス付け」配位子のマトリックスを形成するスポットの形で、感光性フィルム上に固着してもよい。
【0028】
これらスポットは感光性フィルムの表面上に固着するか、または感光性フィルムの表面にできた(例えばレーザー研磨により)ウエルを埋める方法で、形成される。
【0029】
装置は以下を具備する、発明の方法を実行する画像化装置を含み:
−入射面、射出面および感光性フィルムが備えられた底面を持つ光学プリズムを備え、前記プリズムが、その先端角およびそれを作っている材料の屈折率により特徴付けされ;
−プリズムの入射面と同一側に配置されており、プリズムに対し固定されたその光学軸が、そこを通過してきた平行入射ビームが前記射出面に向けられ、屈折した後プリズムの底面に衝突し、そこでビームは全反射し、屈折した後射出面から出て、射出ビームを形成するように方向付けされている第一無限焦点光学共役システムを備え、前記第一共役システムが、入射面で屈折した前記入射ビームが、少なくとも前記感光性フィルムの有用部分と呼ばれる部分の全てを照らし、そして前記光学軸のいずれかの側において、入射ビームの方向が合計で少なくとも10°の角範囲を超えて変化した時に、全反射が起こり、前記有用部分が、活性領域を含んでおり、その光学的厚みが時間と共に変化するとかんがえられ;
−プリズムの射出面と同じ側に配置された第二無限焦点光学共役システムを備え、プリズムに対し固定されたその光軸が、第一共役システムの光軸と平行な入射ビームが、この第二共役システムの光軸に平行な射出ビームをもたらし;
−平坦な感光性表面を有し、前記第二共役システムを通過して、後者システムの光軸に対し垂直である光を受け取り、解析することができる検出システムを備え;
さらに
(i)前記第二共役システムは、前記角度範囲内で入射ビームの方向が変化した時に、有用領域放射される全ての光が通過する開口部を有し、そして第二共役システムは有用領域から放射された全ての光が、検出システムの感光性表面を照らすシステムであり;そして
(ii)プリズムの先端角および屈折率は、入射ビームの方向が第一共役システムの光学軸に平行な場合には、プリズムの射出面を出る、第二検出システムの対象となる有用部分の中間像が、第二検出システムの光学軸に対し垂直である。
【0030】
活性領域内の様々な点での共鳴を観察でき、そして経時的なシステムの変化に伴う共鳴のシフトが観察できるよう行わなければならない角度走査は、特に金属、ガラス、波長等によって変わる。一般的には角度走査は少なくとも約10°である。
【0031】
反射力を金属/誘電体境界面の入射外角の関数として研究するためには、一般には使用される波長ならびに、誘電体および金属両方の性質に応じて、約4から10度の角度走査が必要である。例えば頂角30.6°、屈折率1.776、45nmの厚さの金薄フィルムを持つプリズム底部のガラス/金属境界面では、光源の波長が600nmの場合には、表面プラズモンの共鳴を全て記すには約8度の領域の走査が必要である。
【0032】
更に、金属薄フィルムに、例えば固定化された生物学的物質を持つポリマーから成る多数のスポットが備えられている場合、金の例では共鳴はスポットを支持する感光性フィルムの全ての部分で破綻し、その結果共鳴は入射外角が減少する方向にシフトする。例えば、厚さ3mm、660nmでの屈折率が1.7であるスポットの場合、共鳴は約2度シフトする。感光性フィルムがスポット上に固定されたこの生物学的物質と、相互作用可能な分析体を含む流体とが接触すると、約4度までの共鳴の新たなシフトが観察されるだろう。
【0033】
金の共鳴を観察したい場合には、生物学的物質を持つポリマースポットおよび分析体と相互作用した後のこれらスポットの一部について、角度の偏位の合計を調べなければならないため、合計で14度の角度走査が必要となる。仕事を快適に実施するには16度の角度走査が使用でき、そして前記材料が、特に屈折率および厚みについて随意に変更できることが望ましい。特定の応用、および特定の材料と特定の波長では、10°の角度走査の使用で十分なこともある。しかし発明の装置は16°までの角度走査の使用を可能にするだろう。
【0034】
光源は、コヒーレント光源またはインコヒーレント光源である。導波管装置の場合は必ずコヒーレント光源である。
【0035】
照準システムは、発散光ビームを平行光ビームに変換するための通常の光学システムでよい。
【0036】
光学偏光システムは、例えばステッピングモータまたはDCモータ上に取り付けることができる回転平面鏡を備えている。ガルバノメーター鏡を使用することもできる。回転鏡をある角度で回転させると、固定された入射光から生じる反射光線は、前記角度の二倍の角度偏向することが知られている。回転平面鏡は、特にプリズムの一端に平行な軸を中心に回転できてもよい。プリズムのこの端部はプリズムのそれぞれ入射、および射出面を含む二つの面の交差線である。
【0037】
本発明の装置は偏光システムを含んでもよく、例えば照準システムと回転鏡の間に配置され、偏光される光をプリズムの前記端部と平行にする。偏光システムは、例えば単純な偏光子または偏光ビームスプリッターキューブである。共鳴鏡システムの場合、当然プリズムの後に第二偏光子が必要である。
【0038】
特定の実施態様では、クレームに定義の如く、本発明の装置は機能を単独、または場合によって組み合わせて持っても良い。
【0039】
本発明において、用語「ジオプトリックシステム」とはレンズまたは複レンズを意味すると理解されよう。
【0040】
本発明の装置は、回転鏡を除き、その全てが相互の関係に於いて固定されている装置要素の位置を変更することなしに、最良の入射角で金属/外部媒体境界面上の光学的厚さ(材料の屈折率により増加された幾何学的厚み)の変化を検出できるようにする。従って、予備的研究での入射角の変更が一枚の回転鏡を作動するだけで極めて簡単に実施でき、各入射角での感光性領域の反射力が決定でき、さらにこうして事前に決定された最適入射角に回転鏡を固定して実際の測定を行うことも可能になる。
【0041】
実施形態の一つによれば、発明の光学画像化装置はCCDマトリックス装置による同時解析が可能な、金属フィルムの有用領域の全面積になるように、金属薄フィルムの有用領域の画像がCCD検出マトリックスの最大面積を占めている。
【0042】
結像システムおよび検出システムが、プリズムに関し固定されていても、検出装置が金属薄フィルムの有用領域の画像から放射されるビームの全てを受け取ることができるようになるための重要な機構は、光ビームがプリズム侵入後に金属薄フィルムに衝突し、CCDマトリックスの全有益面積を照らし、そして前記角度範囲、おそらくは少なくとも16°までの範囲に重なる前記ビームについてこれを行う様な光学共役システムを含む発明の装置である。この様な光学共役システムは例えば、少なくとも16°の角度域を持つ感光領域から反射されるビーム全てを受け取るためには、その口径数、即ち光学部品の有効直径に対する焦点距離の比がN=1/(2sin16°/2))=3.6である装置を用い、既知の方法にて開発することができる。共役システムは、例えば焦点距離80mmと直径31.5mmの第一レンズ、および焦点距離65mmと直径25mmの第二レンズ(この組み合わせの口径数は2.6)より作り上げることができ、前記レンズはプリズムの射出面を経由した有用部分の画像が、第一レンズの対物焦点面におおよそ納まり、そしてこの第一レンズの画像焦点面は、第二レンズの対物焦点面に一致し、最後にCCDマトリックスが第二レンズの画像焦点面内にある様に配置されている;この様にして、無限焦点結合装置が形造られている。また、例えば一般に「視野レンズ」と呼ばれるビームを光軸に戻すことができる第三のレンズを使うことも可能であり、それにより二個レンズ無限焦点システムに比べシステムの口径が大きくなる(M.BORNとE.WOLF、光学原理(Principles of Optics)、第VI章、Pergamon Press、1959参照)。
【0043】
有用部分の各スポットを十分な感度で解析可能な、本発明の装置の一具体的実施形態に於ける別の重要要素は、プリズムの先端角度と屈折率を選択して、プリズム内に形成された有用領域の中間画像(即ちプリズムの射出面が形成する、平らな光屈折境界面を通過した有益表面の画像であり、射出ビームを受け取る光学結像システムの対象物となる)が、光学結像システム内に於いて、検出システム(CCDマトリックス)の焦点面に一致する画像、またはこの面に極めて接近し且つ検出システムと平行であるか、もしくはこの面に関しする角度の傾きが極め小さいために、領域全体の画像がぼやけない画像を渡すようにすることである。
【0044】
光学結像システムは、固有の被写体深度、即ち検出器上の画像が鮮明になる検出器により画定される、光軸に沿った縦方向の幅を持っている。被写体深度は、光学システムの焦点とその口径に直接依存する。従って、ある焦点距離を持つ場合、被写体深度は口径数(光学部品の直径に対する焦点距離の比)と共に増加する。しかし同時に、システム内を通過する光線を最大にし、それにより高い角容認度を得るためには、可能な限り口径数は小さくしなければならない。このような条件は相矛盾するものであるため、妥協点を見いださなければならない。
【0045】
検出器上に鮮明な画像を得るには、光軸に対する垂直面に関し、プリズム射出面を経た有用領域の画像の傾角が、検出システムにより画定される被写体深度を超えない程度に小さくなければならない。しかし、本システムの入射ビームの傾角は、画像の好適な光学装置による修正を必要とし、この修正は結像システムの光学部品を傾けるか、または検出システムを傾けてCCD検出器上に、鮮明な全領域の画像を持つようにして行われるだろう。
【0046】
光学部品の傾角の問題は、問題となる角度が比較的大きくなるために、前記光学部品に全ての光線を通すには、この光学部品が極めて開放的になることを意味し、例えば屈折率1.515、先端角60°の二等辺三角形型プリズムの場合には検出システムの口径数は0.55となり、この値はシステムに大きな収差をもたらし、被写体深度が極めて浅くなるために受け入れ不可能である。同様にカメラを傾斜した場合にはシステムはもはや正確な画像条件下で作動しなくなり、もはやアプラナティズムとは呼べる状態ではなくなることから、鮮明さが失われるだろう。
【0047】
本応用の装置の実施形態に使用されるプリズムおよび光学部品の新規性は、プリズム/感光フィルム境界面でのビーム入射角(プリズムの入射面の入射角について指示されている変動限界内)とは無関係に、プリズムの射出面を経てきた中間画像の傾角がほとんど変化せず、検出システムの光軸に対しほぼ垂直に保たれるという事実にある。これにより有用領域中心部からの全反射光は、プリズムを出る時点で、結像システムの光軸に対し小さな角度を作るようになるが、一方対応する検出器上の画像点は、本システムにより画定された被写体深度の限界内に収まるだろう。
【発明の効果】
【0048】
発明の装置の主要な利点は、全ての光学要素が固定されていること(回転鏡から分離され)、光学部品の口径が小さいこと(そのため部品の収差がより小さく、高い被写体深度が可能になる)、そしてシステムの焦点および角度、特には16°まで、に関する受け入れ性能を損なうことなく、これらのことを実現できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
発明のその他目的および長所は、非限定例の一例として示された添付図面を参照することで、以下の記載より明らかになるだろう。
【実施例】
【0050】
発明による装置は:
−光源1;
−光源から放射された入射光ビームに関する第一照準システム2;
−少なくとも一個のプリズム4を含む、反応セル3;および
−プリズム底部により反射されたビームに関する画像化/検出システム5を具備している。
【0051】
インコヒーレント光源1は、例えば狭いスペクトルバンドを持つ発光ダイオードである。これは、例えば660nmの波長と30nmのスペクトルバンドを持つ発光ダイオードであろう。
【0052】
光源1から発せられたビームは、照準システム2により照準合わせされる。この照準システム2は、例えば光ビームを平行にするための二個の顕微鏡用対物レンズからなるシステムである。
【0053】
次に光は表面プラズモンを励起できるよう、偏光器6により偏光される。
【0054】
実施例の一つでは、図1に示すように偏光は振動ガルバノメーター鏡7によりプリズム4の入射面に向け反射される。振動鏡7は二枚のレンズ8および9によりプリズム底部と共役している。これによりプリズムへのビーム入射角は振動鏡7を、図面に対して垂直方向にある軸7aの周囲で、回転させることで変化するだろう。振動鏡7は、例えば低周波発生装置により制御し、部分的に回転する。
【0055】
実験を実施するために望ましい角度を設定できるように、振動鏡7の回転装置の回転運動はDC素子を使って打ち切ってもよい。
【0056】
鏡7の直径は、プリズム4の入射ビームが全て反射できる直径である。
【0057】
問題の実施例では、直径は少なくとも10mmである。鏡7の全移動度は周波数300メガヘルツでは16度である。鏡が回転している間、振動鏡7は連続的な固定周波数移動を表す。
【0058】
プリズム4と共に鏡連結体を構成するのに使用されるレンズ8、9は、例えば焦点距離F’=75mm、直径35mm、19°の可動域を持つレンズ、または焦点距離F’=50mm、直径25mm、可動域17°のレンズである。
【0059】
図1は例示の鏡7の位置についての光ビームの範囲を実線で示しており、そして鏡7が、その角度可動域の極限位置を占めた場合のビームの範囲を波線で示している。
【0060】
鏡7によりプリズム4に反射されたビームの入射角は、様々な方法で決定できるだろう。
【0061】
第一の実施例では、プリズムの入射面で反射されたビーム部分は十分な長さを持つCCD(Charge Coupled Device:荷電結合装置)のアレイ10により集められる。
【0062】
この結合CCDアレイ10を用いて、ビームの入射角が検出される。
【0063】
プリズム入射面からこうして反射されたビームは、アレイ10の全域を使用するようにその焦点距離が選択されたレンズにより、CCDストリップ10の上の焦点に集められる。
【0064】
画素数512の、長さL=12.7mmのCCDアレイでは、例えば焦点距離F’=48mm、直径30mmのレンズ11を使用できる。
【0065】
別の実施形態(未提示)では、各鏡の位置について入射位置を決定するために、揺動鏡7は鏡により回転される。例えば可変式ステッピングモータが使用できる。
【0066】
反応セル3には少なくとも一個のガラス製プリズム4が入っており、その幾何学および屈折率は、プリズム4の対物面の中間画像が画像化/検出システム5の検出面に実質平行であるものである。
【0067】
実施形態の一つでは、プリズムは屈折率1.8のガラス製であり、先端角40°、底面幅10mm、および底面長25mmという特徴を有している。プリズムの二つの平行面間の距離は8mmである。
【0068】
プリズム4と同じ屈折率を持つガラス製プレート12が、屈折率の等しいオイルにより、プリズム底部に固着されている。
【0069】
薄いクロムフィルム13、薄い金フィルム14および特徴付けの対象となるフィルム15が、このガラスプレート12の上に連続的に被覆される。
【0070】
クロムフィルム13は、水性媒体の前に金フィルムをガラスプレートに確実に接着させるために用いられている。この薄いクロム層13の厚さは、例えば1.5から2ナノメートルの間である。
【0071】
金薄層14の厚さは、例えば40から50ナノメートルの間であり、好ましくは約45ナノメートルである。
【0072】
分子相互作用を定性的および定量的に測定することを含む応用では、特徴付けの対象となるフィルムは、例えば有機フィルム15である。
【0073】
有機フィルム15は、上記の如く連続するフィルムの形状、またはスポットの形状に付着させてもよい。連続フィルムで、一種類の配位子(例えば抗体)のみを含む例では、スポットの形に分離した点として分析体(例えばミノトープ探索時のペプチド)の溶液を被覆し、次に特別に固着されていない分析体を除去するため、濯ぎを実施することが適当である。
【0074】
スポット形状の有機フィルムの例では、感光性フィルムを研究対象となる分析体を含む溶液に接触させる。
【0075】
配位子は、既知の方法により金フィルム上に固着される。
【0076】
例えば、オリゴヌクレオチドと、研究対象の一本鎖DNA断片との間の相互作用を調べる場合、金フィルム14にオリゴヌクレオチドを固着するのに使用される有機フィルム15は、ポリマー、例えばポリピロールであり、オリゴヌクレオチドが、このポリピロールに移植される。このポリマーは極めて安定であるという利点を有しており、プローブ(固定化されたオリゴヌクレオチド)を含む有機フィルムは、数回再使用することができる。このような移植型ポリピロールフィルムの製造、およびその金フィルムへの被覆は、例えば欧州特許第0 691 978号およびフランス国特許第2 789 401号に記載されている。
【0077】
ひとたびガラスプレート12をプリズム4の底面に固着したら、プレートをパン16で密封する。
【0078】
このパン16は、例えばPTFE製であり、一つまたはそれ以上の手段により分析体溶液を導入できるようにしている。これら溶液の流れを作るために、排出量可変式の蠕動ポンプ18を使用してもよい。
【0079】
溶液の導入を最適化するために、前記蠕動ポンプ18は以下のような基準:
−遠隔操作可能であること;
−毎分数マイクロリットルから毎分数百マイクロリットル(約300から400 ml/分)の範囲の排出が可能であること;および
−注入開始時および終了時に回転速度の入力/出力制御が可能であること;
を満たしている。
【0080】
反応セル3全体(プリズム4およびパン16)は、システムおよび注入産物の温度を制御し、維持するために図2に示す断熱チャンバー19内に封入されている。
【0081】
温度は、いずれのタイプの生物学的分子も検出できるように、例えば37℃に維持されるだろう。
【0082】
断熱チャンバー19は、検出セル3に簡単にアクセスできる開口部を持つことが好ましい(表示せず)。
【0083】
チャンバーは特に、例えば銅耐性要素の様な加熱基板20を有し得、この基板にはPTFE製反応パン16が取り付けられる。この基板20は検出セル3全体を封入するカバー21により覆われている。
【0084】
カバー21には、それを通しプリズムの両側に光ビームを通すための側窓22、23が備えられている。例えばそれらはガラスまたは光ビームを乱すことなく光ビーム通過させるその他材料から作られている。
【0085】
パン16のライン17の周囲に巻かれたコイル(未表示)により、注入産物をセルの温度に維持することができる。
【0086】
画像化/検出システム5は、プリズム4の底部を通り反射されたビームを受け取るために、プリズム4の射出面と同じ側に配置されている。
【0087】
このシステムには、無限焦点共役/拡大システム24およびCCDカメラ25を具備している。
【0088】
ここでは無限焦点拡大システム24は、全CCDカメラ25上の金フィルムの有用領域の画像を拡大するのに用いられる。
【0089】
金フィルム14の有用領域は、例えば約25mm2である。
例示の実施態様では、倍率M=1.6が作られ、NA(口径数)=1.6のシステムを用いて、画像をCCDカメラ25の面と共役させる。
【0090】
無限焦点システム24は、例えば焦点距離F’=50mm、直径35mmのレンズ26、および焦点距離F’=80mm、直径40mmの別のレンズを含む。
【0091】
レンズ26はプリズムの射出面で屈折した後、活性フィルムの有用部分の画像が、対物焦点面26に位置するように配置される。結果的に、画像が、レンズ27の画像焦点平面に形成する。
【0092】
この共役システムはまた、例えば頂点距離80mm、直径35mmの第一レンズと焦点距離65mm、直径25mmの第二レンズ(この組み合わせの口径は2.6)により形成してもよい。この光学系システム設計するには、CODE V(Optical Research Associates)のような市販の光学計算ソフトウエアーが利用できる。
【0093】
CCDカメラ25(または単純なCCDマトリックス)は、例えば768×576画素から成る6.4mm×5.8mmの感光面を持つだろう。
【0094】
CCD検出器はまた、例えば751×582の活性画素を含む6.4×4.8mmの感光面を持ち、8ビットでシグナルサンプリングを行う1.5インチ形式のオフセット−ヘッドカメラ、または1280×1204活性画素を含む8.57×6.86mm2の感光面を持ち、12ビットでシグナルサンプリングを行う2/3インチ形式のコンパクトカメラでもよい。これらのカメラは市販されている。
【0095】
発明による装置の要素は全てコンピューターシステム(未表示)により自動制御される。
【0096】
前記装置を利用する方法は、段階を以下のように:
−金フィルム14および特徴付けの対象となるフィルム15で覆われたガラスプレート12の表面の角度走査する段階;
−画像化/検出システム5の感度がプレート12全体に対し最大となる入射角の決定する段階;
−この入射角を得るために振動鏡7を位置決めする段階;および
−時間を追って画像化/検出システムにより反射力を測定する段階;
を含んでいる。
【0097】
次に装置を用いて、特徴付けの対象となるフィルム15の活性領域の表面を特徴付けする。
【0098】
装置は分子相互作用の研究に応用してもよい。
【0099】
有機フィルム15と分析体間の相互作用を測定するには、有機フィルム15の配位子との相互作用が分析対象となる分析体(未標識)を、反応セル3に導入すると同時に反射力を測定する段階を実行する。
【0100】
この様にして、有機フィルム15と導入された分析体との間の相互作用の変化が測定される。
【0101】
これら測定は、非選択的条件下で実行されるために、あらゆる相互作用が起こり、それが研究される。
【0102】
画像化/検出システム5は幾何学的厚さ、すなわち媒体の屈折率を増した光学的厚さを、金フィルム14の有用部分のいずれかの点に、割り当てる。
【0103】
これにより光学的厚さが等しい領域について、位相的に表示し、表面の特徴付けすることが可能になる。
【0104】
従って、金フィルム14で覆われたガラスプレート12の表面を角度走査する間に、システム5はフィルム14の各点の幾何学的厚さを決定し、フィルム14の表面の状態を検証する。
【0105】
走査中に測定されたコントラストは、また即時測定の参照レベルとしても使用される。
【0106】
即時測定中に、画像化/検出システム5は、角度走査中に記録された参照レベルに対する反射力の変化を測定する。
【0107】
この反射力の変化の測定は、金フィルム14の有用部分のいずれかの点で実行される。
【0108】
反射力は表面に存在する分子種により変わるため、この測定により有機フィルム15、金フィルムおよび導入された分子間の様々な相互作用を決定することで、定性的な分析が可能になる。
【0109】
このようにして装置の感度が最適となる角度に設定されている場合、反射力の正の変化は、有機フィルム15の配位子と相互作用する分析体の存在を示し、変化がないことは、相互作用する分析体がないことを示している。
【0110】
一方、負の変化は物質の消失を示すことになり、換言すればフィルム15の分解を示している。
【0111】
即時に反射力の変化の大きさを測定することで、単位面積当たりの分析体分子の数、即ち金フィルム14の各点に於ける導入分析体分子の濃度を、決定することが可能となる。
【0112】
このように発明による装置はまた、フィルム15の配位子と相互作用している分子の定量分析を可能にする。
【0113】
金フィルムへのフィルム15の結合力、および研究対象となる相互作用の性質に応じて、測定終了時に有機フィルム15を再生し、それと反応した分析体分子を全て除去することが可能になる。
【0114】
このようにして、フィルム15は他の分析体分子との相互作用の研究に再使用することができる。
【0115】
測定感度を最適化するには、フィルム15に固着されるスポットの分布も最適化する必要があるだろう。なぜならばプローブが多数存在すると、これが隣接し合うプローブと分子間相互作用に対し重大な立体構造障害となり、相互作用を弱めるため、プローブ同士が近づきすぎないようにしながら、スポット当たりのプローブ(配位子)の数を十分多くして、測定シグナルのバックグランドノイズと区別できるようにする必要があるためである。オリゴヌクレオチドと、研究対象の一本鎖DNA断片との間の相互作用を研究する場合、発明による方法には多くの利点がある。相互作用は非選択的ハイブリダイゼーション条件、例えば約37℃の温度で研究されるため、反応物質間のあらゆる相互作用を同時に観察できる。
【0116】
装置は即時に、且つマーカー無しで、数百の分子相互作用を同時にモニターできる。具体的には、DNA断片内にある点突然変異の存在を識別することができる。
【0117】
識別技術は分子間対合が、DNA配列がオリゴヌクレオチドの配列に厳密に相補的で全体的であるか、またはDNA配列が突然変異した塩基を持つために部分的であるか、のいずれかであるという事実に基づいている。
【0118】
DNAに応用された熱力学は、配列中の固定位置に関し、光学的厚さが突然変異のタイプによって変化することを示している。装置は突然変異のタイプを正確に決定できることになる。
【0119】
非選択的条件では、正常配列とこの配列の塩基の一つに突然変異を持つ三種類の配列、換言すれば塩基の一つが変位している四種類の配列を、金フィルム14上に四種類のスポットとして付着させれば、装置は固定化配列のそれぞれについて異なるシグナルを測定できる。
【0120】
実際、分析対象となる断片の配列の種類を問わず、装置は全体の相互作用と三種類の部分的相互作用を測定する。
【0121】
次に固定化された配列によると、更にそれはDNA配列の正確な性質を決定することを目的として、塩基間の相互作用力を示す既存の表を参照するのに十分である。
【0122】
従って、検出システムが例えば完全に相補的なシグナルの値に関し較正されていれば、もはや正常配列および三種類の変位型配列を固定化する必要はない−シグナル配列のみ固定するだけで十分である。
【0123】
その結果、固体基質におけるアドレス付きDNA配列の容量を、因数4で増やす。
【0124】
発明による装置は分子相互作用を直接、且つ即時にモニターすることから、蛍光マーカーを利用する方法の様に、ある一つの相互作用にとってのみ好都合な温度で測定を行う必要がない。
【0125】
それは、この様な方法では、ある特定温度で観察可能な単一の相互作用のみ、記録することができるからである。もしこれらの方法を室温で実施した場合、全てのマーカーが同時に蛍光を放射しするため、区別することはできないだろう。
【0126】
以下の実施例により本発明を例示する。
【0127】
プリズム形態の例
1)屈折率n=1.776のガラスに関するデータ:
−材料:SF11(供給元:SCHOTT);
−最適先端角度:30.6°;
−歪像係数:0.479;
−画像サイズに対する収差の割合:4.17%
2)屈折率n=2.20のガラスに関するデータ:
−材料:ニオブン酸リチウム LiNbO3(供給元:CRYSTAL TECHNOLOGY Inc.,Palo Alto,CA);
−最適先端角度:77.4°;
−歪像係数:0.7;
−画像サイズに対する収差の割合:1.57%
3)屈折率n=3.33のガラスに関するデータ:
−材料:GaAs(供給元:AXT Inc.,Palo Alto, CA);
−最適先端角度:123.7°;
−歪像係数:0.89;
−画像サイズに対する収差の割合:0.5%
【0128】
プリズムのデザインは、既知の方法を用いる適当なアルゴリズムを確立できるMATLABソフトウエアー(Math Works社製)を使用して行った。特定屈折率nについては、射出面を通るプリズム底部の中間画像を、第二無限焦点共役システムの光軸に対して直角にする先端角が、少なくとも一つ存在する。次に、同様にして、この中間画像に対し最小の屈折角を与えるペア(屈折率/先端角)を探索する。
【0129】
プリズムは、タンタル酸リチウム(LiTaO3)またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)単結晶の様な、単一の結晶を用い作ることもできる。
【0130】
これらは複屈折性材料であり、換言すればそれらは光の偏光状態によって異なる屈折率を示すことがある。この欠点は例えば結晶軸を方位合わせすることによって、効果的な屈折率が、有用領域へのビームの入射角度に関係なく、磁気横偏光の際に、同一になるようにすることで、克服できるだろう。
【0131】
別の解決法は、ガリウムヒ素、ゲルマニウム(屈折率、約4)またはケイ素(屈折率、約3.9)といった半導体材料を使用することである。
【0132】
これら材料は全て良好な赤外線透過性を有しており、このことは長波長に於ける表面プラズモンのもつ有利な特徴にとって好都合である。
【0133】
応用例:
1)点突然変異の識別
四種類の25塩基長のDNA配列、すなわちK-rasの遺伝子の通常または本来の配列(WT)、陰性コントロールとして使用される試験配列(CP)、および同一コドンの単一塩基のみが本来の配列と異なっている二種類の突然変異配列M1およびM5を、備えた感光域を使用する。
【0134】
K-ras遺伝子の突然変異は、ほとんど不変的に癌を発生させることが知られており、従って突然変異を持つ個体を特定する必要がある。
【0135】
これら四種類の配列は、国際特許出願明細書第WO 94/22889号および第WO 00/47317号に記載の電気化学的工程により、四種類のスポットの形で共有結合により固定された。
【0136】
第一段階は、最高感度で雑種形成(hybridization)を観察する角度を決定するために、感光領域の反射力を入射外角の関数として研究することである。次に実際にCPスポットのみ反応することを示すために、22℃のハイブリダイゼーション緩衝液(BPS:137mM NaCl)中にあるCPに相補的な配列を注入した。この実験は、システムが選択であった前段階により保証されたため、システムを50 mMの水酸化ナトリウム液で再生した後、次の段階でWT相補的配列を注入したところ、この配列はWTスポットを極めて良好に反応したが、突然変異配列に対応する二種類のスポットにはほとんど反応せず、さらにCPスポットとは全く反応しなかった。次に再生後、M1相補的配列を注入したところ、この配列はM1スポットと極めて良好に反応したが、WTおよびM5とはほとんど反応せず、CPとは全く反応しなかった。最後の注入からは予想通りの結果、即ちM5相補的配列がM5とは極めて良く反応したが、WTおよびM1とはほとんど反応せず、CPとは全く反応しないという結果が得られた。
【0137】
これら雑種形成のそれぞれについて、親和性を測定することが可能であり、そして本来のまたは突然変異のスポットと相互作用した、分子の数およびその親和性値に依存する形で、この方法により点突然変異を識別し、そして突然変異のタイプを同定することさえ可能であることを断言できる。
【0138】
四つのタイプの雑種形成に関し、標準の反射力曲線を時間の関数として確立すれば、記述の中で示した様に、比較することにより、二種類のプローブだけで点突然変異を検出できる。
【0139】
2)タンパク質−タンパク質相互作用の分析
四種類のスポットを備えた、その内の三つのスポットに抗体を有した感光領域を用いる。二種類の抗体は、hCG−ヒト妊娠ホルモン−に対するものであり、この抗体は男性に於いてこれが発見された時に、高頻度で精巣癌であることを示すものである。三番目の抗体は抗ウサギ抗体であり、この抗体はヒトと交差反応しない。これらは単純にポリマースポットに吸着された。最後のスポットはいずれの抗体もなく、ポリマーのみを含んでいる。
【0140】
まずウシ血清アルブミン飽和するまで注入したが、これは特別ではない認識される分子の受動的吸着を制限するものである。次に、hCGのPBSバッファー液を注入する。ポリマーのみのスポットは全く相互作用の反応を示さず(経時的な反射力の変化がない)、抗ウサギ抗体を吸着させたスポットは、時間経過に伴い減少する反応を示したが、このことはポリマーと弱く結合したこの抗体が脱着され、反応パンから外れることを意味している。残りの二つのスポットはそれぞれ対数型の相互作用反応を示し、hCGが抗体により認識されたことが明らかである。しかし、二種類の抗hCG抗体は別種類のものであるため、相互作用反応曲線の開始点に於ける傾きに差が認められた。これは、抗体のhCGに対する親和性が同一でないためである。一方の抗体に関しては、反射力の結果より親和性は8×10-10と推定されるが、これはELISA法により独立して測定された値に等しい。
【産業上の利用の可能性】
【0141】
発明の主題は上記記載の方法を、本明細書に記載された様な分子相互作用の定性的および定量的測定に応用することでもある。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】発明による装置の概略図。
【図2】発明による反応セルの概略図。

Claims (15)

  1. 感光フィルム表面が時間と共に、その光学的厚さの変わる活性領域を有し、前記感光フィルムが光プリズムの底面に被覆されており、前記方法はプリズム/感光フィルム境界面の反射率の変動解析に基づく技術を用いて、感光フィルム表面を特徴付ける方法であって、
    a)前記面を特徴付ける部分に相当する、有用部分と呼ばれる、境界面の固定部分に照射する平行光線を、入射面経由で、プリズム底面で全反射を可能にする入射角で、プリズムに入射させ、反射光線を発生光線としてプリズムの出口面経由で生じさせるステップと、
    b)前記光線の入射角を変化させて、活性領域の少なくとも一部、又は全部の反射率が最小になる入射角を記録するように、有用部分を角度走査するステップと、
    c)活性領域検出の感度が最大である最適入射角を決定するステップと、
    d)入射角を前項のステップで決定した最適値に設定するステップと、
    e)有用部分から放射する全出射光線を受光することの出来る感光面を有する結像/検出システムを用いて反射率を測定するステップと、
    の各ステップを含むことを特徴とする方法。
  2. ステップd)の後、活性領域内の固定配位子群と結合することの出来る、少なくとも一つの検体を含む又は含むことの出来る流体を、前記感光フィルムに接触させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. ステップe)において、活性領域の反射率の変化を時間の関数として測定する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 対応する検体が、配位子と結合することの出来る検体であり、前記測定結果を、少なくとも一つの配位子/対応する検体対の相互作用の定量的な特徴付けをするために使用することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 配位子及び/又は検体が、野生型又は変異型オリゴヌクレチドと、野生型又は変異型タンパク質と、タンパク質断片と、ランダムシーケンスのオリゴペプチドと、ヘプタンと、自然配位子の作用薬又は拮抗薬と、細胞と、生物受容体と、オリゴ糖との中から選ばれる、ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 野生型オリゴヌクレチドと、与えられた位置に任意の点変異を有する変異型オリゴヌクレチドとを配位子として使用し、前記与えられた位置で変異を探すDNA断片を検体として使用し、得られた反射率曲線を野生型と前記位置で可能な三つの変異とについて予め確定した反射率曲線と比較し、前記位置に変異が存在するときは、検体中に存在する変異を予測すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記請求項のうちいずれか一つの方法を実行するための結像装置であって、
    −入口面と、出口面と、感光フィルムを供えた底面とを有する光プリズムであって、その頂角とその製造材料の屈折率とによって、特徴付けられる前記プリズムを備え、
    −プリズムの入口面と同じ側に置かれ、プリズムに対して固定した該光軸は、それを通過した平行入射光線が前記入口面の方向へ向けられ、屈折され、次いでプリズム底面に突き当たってそこで全反射し、屈折の後、出口面において、出射光線を形成する第一無限焦点光共役システムを備え、前記第一共役システムが、入口面で屈折された前記入射光線が、前記感光フィルムの有用部分と呼ばれるものの少なくとも全体を照射し、そこで入射光線の方向が、前記光軸の両側に全体で少なくとも10°の角度範囲に渡って変化したとき、全反射をする方向と口径を有し、前記有用部分は、その光学的厚さが時間とともに変動する適切な活性領域を含んでおり、
    −プリズムの出口面と同じ側に置かれ、プリズムに対して固定したその光軸は、第一共役システムの光軸に平行な入射光線が、第二共役システムの光軸と平行な出射光線を与えるような方向を向いて、第二無限焦点光共役システムを備え、
    −前記第二共役システムを通過した光を受光して解析することが出来、第二共役システムの光軸に直交する、平らな感光面を有する検出システムと、
    を備え、
    (iii)前記第二共役システムは、入射光線の方向が前記角度範囲で変化するとき、有用領域から放射する光全部が、それを通過するような口径を有し、第二共役システムは、有用領域から放射する光全部が検出システムの感光面を照射すること、
    (iv)プリズムの頂角と屈折率は、入射光線の方向が第一共役システムの光軸に平行であるとき、プリズムの出口面を通過する有用部分の中間映像、これは第二検出システムの対象物を構成するもので、プリズム出口面の光軸に直交すること、
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
  8. プリズムの頂角と屈折率が、入射光線の方向が前記角度範囲に渡って変化したとき、出口面を通じて形成される有用領域の中間映像の角度方向が、第二共役システムの視野深度の限界を超えないようにすること、を特徴とする請求項7に記載のする装置。
  9. 前記角度範囲が、少なくとも12度又は少なくとも14度又は、少なくとも16度であること、を特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
  10. 第二共役システムの倍率が、有用領域から放射する光すべてが検出システムの全感光面を照射するようなものであること、を特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 前記第二共役システムが、それを通じて出射光線が入る第一光屈折システムと、検出システムの感光領域に送られる光が、それを通じて出る第二光屈折システムとを含み、プリズムの出口面を経由する前記中間映像が前記第一光屈折システムの対物面にある、請求項7乃至10のうちいずれか一項に記載の装置。
  12. 前記光偏向システムが、プリズムの縁の一つに平行な軸の周りで旋回出来る回転平面鏡を備えること、を特徴とする請求項7乃至11のうちいずれか一項に記載の装置。
  13. 検出装置が、有用部分の任意の点領域の反射率を測定及び/又は比較するために、光を解析することの出来ること、を特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の装置。
  14. 検出装置が、CCD又はCOMSマトリクスを備えること、を特徴とする請求項7乃至13のいずれか一項に記載の装置。
  15. 薄い金属フィルムが、活性領域において、固定された複数の配因子の少なくとも一つの個体群を有することを特徴とする請求項7乃至14のいずれか一項に記載の装置。
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