JP2004526899A - シーリング要素を備えたタービンブレード - Google Patents

Abstract

タービンブレードは、その外周端部にヒール６を含み、その外側には、第１の端部分１６および第２の端部分２０と、両端部分間にある先端部２６とを有する少なくとも１つのシーリング要素１２が形成される。第１の端部１６の高さは、第２の部分２０より高いレベルにあるブレードの上部側に位置することで、タービンの回転子上に設けられる２つの隣接するブレードのシーリング要素１２間にのこぎり歯を形成する。シーリング要素の先端部２６は、第１の端部１６と第２の端部２０との間に凸状の表面を有する。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、ブレードの軸の両側に配置された圧力側および吸引側を有する、タービンの可動回転子段のブレードであって、前記ブレードは、外周端部に位置するヘッドと、前記ヘッド上に形成された少なくとも１つのシーリングワイパとをさらに含み、前記シーリングワイパは、圧力側および吸引側を横断して設けられ、吸引側に第１の端部分があり、圧力側に第２の端部分があり、前記第１の端部分の高さは、前記第２の端部分より高く、前記ワイパは、前記第１および第２の端部分の間にワイパ先端部を与えるブレードに関する。
【背景技術】
【０００２】
航空機産業や他の種類の工業生産において使用するためのターボマシンの性能は、絶えず向上している。例えば、ブレードの端部での回転子と固定子間の密閉度を高め、可動部品および固定部品の動作を確実に一致させることにより、可動ブレードタービン段または圧縮段の効率を高めることが可能である。
【０００３】
エンジンの動作条件に応じて、可動ブレードの特定の振動不安定性の現象が観察されることがある。特に、ブレードの先端部での空力的な流れ条件から振動が生じることがある。
【０００４】
一般的に、ブレードの先端と関連する固定子との間は、隙間がある状態にされる。動作中、ブレードとシュラウドとの間に摩擦が生じることにより、前記隙間に振動が現れ、いくつかの理由で、ブレードの端部および／またはシュラウドの表面にダメージが及ぶ可能性が生じる。第１に、回転子と、回転子と同心のシュラウドの形状は、正確な円形ではない。第２に、回転子とシュラウドとの間の熱膨張の差による振動が存在する。第３に、回転子の可動部品、または関連する固定子の静止部品にかかる応力から機械的な変形が生じる。
【０００５】
このような摩擦を低減させるために、可動ブレードと対面する固定子の内面に、「研摩可能な」材料からなるシーリングおよび磨耗ライニングを配置することが知られている。これらの表面は、研摩可能であり、言い換えれば、表面に適合するまで、ブレードの通過に応じて、磨耗しまたは研摩される材料で表面が被覆されている。ブレードには、ブレードの周囲にワイパが設けられ、ワイパは、研摩可能なライニングと協働するように構成される。ワイパは、研摩材料からなる成形された要素の形態のものである。
【０００６】
ワイパが磨耗しないように、１つのブレードから次のブレードへとのこぎり歯状にワイパを配置することが知られている。しかしながら、このようなワイパの直線状の先端部により、残留漏出部分が大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の目的は、前記残留漏出部分を減少させることにより、タービンの効率を増大させて、エンジンの燃料消費率を低減させることが可能なワイパを備えたブレードを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、前記ワイパ先端部が、前記第１および第２の端部分の間に延在する凸状表面を与えることにより、この目的を達成する。
【０００９】
ワイパの先端部が凸状であるため、先端部とシュラウドの表面との間の利用可能な部分が減少する。
【００１０】
凸状表面の断面は、中心軸、中心、半径を有する円形であることが有利である。
【００１１】
ワイパを容易に製造できるように、先端部の形状として円弧を選択することが有利である。
【００１２】
中心軸は、圧力側から吸引側へ向けられた角度だけ、ブレード軸から偏位していることが有利であり、中心は、ブレード軸に対して垂直方向に測定された距離だけ偏位していることが有利である。
【００１３】
第１の端部分の高さを第２の端部分よりも高くすることで、２つの連続したブレード間にのこぎり歯の作用を維持する。そのため、単一の固有の曲線表面を有するように、２つの端部分を接続することが望ましい場合、円弧の曲率を調整する必要がある。
【００１４】
距離は、少なくとも１ピッチステップの半分であることが有利であり、この１ピッチステップの半分は、前記第１の端部分と前記第２の端部分との間の間隔の半分に相当する。
【００１５】
磨耗を避けるようにワイパ隙間を設けるために、ブレードの軸に対して１ステップの半分だけ先端部の曲率の中心を偏位することが好ましい。
【００１６】
前記第１の端部分と前記第２の端部分との間の高低差は、少なくとも０．２ミリメートル（ｍｍ）であることが好ましい。
【００１７】
この高低差により、２つの連続するブレード間にのこぎり歯の作用を保持できる。
【００１８】
ブレードは、ブレードとシュラウドとの間を流れる空気に対するバッフルを作り出すように、実質的に平行であり、振動不安定性を低減させることができる２つのワイパを有する。
【００１９】
本発明の他の特徴および利点は、非制限的な例を用いて、添付の図面を参照する以下の記載から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
図１は、内端部にあるブレード基部４と、外周端部にあるヘッド６とを含むターボマシンのブレード２を示す。軸流を与えるために、ブレード２は、前記ブレード２が設けられた回転子の軸に垂直な方向のブレード軸Ｘ−Ｘ’に沿って延在し、圧力側８と吸引側１０を備えたプロファイルを有する。ヘッド６の外面上に、２つのワイパ１２および１４が形成される。
【００２１】
図１および図２に示すように、ワイパ１２および１４は、圧力側８および吸引側１０に対して横断してて設けられる。ワイパ１２および１４の各々は、吸引側１０に位置する第１の端部分１６、１８をそれぞれ有し、圧力側８に位置する第２の端部分２０、２２をそれぞれ有する。
【００２２】
図３は、固定子２４に配置された回転子（図示せず）に設けられ、矢印Ｆで示す回転方向を有する複数のブレード２を示す。ブレードはすべて、ワイパ１２および１４を備えている。ワイパ１２および１４は、回転子の回転軸に垂直な平行な平面に設けられ、ブレード間ピッチの１つの角度ステップに等しい角度だけ外周に延在して、固定子２４の内壁とのバッフルを形成する。図３では、ワイパ１２のみしか見えない。
【００２３】
第１の端部分１６の高さは、第２の端部分２０より高いため、最初のブレード２に形成されたワイパ１２から、後続するブレード２に形成されたワイパ１２へ進むさいに、のこぎり歯の作用をなす。高低差ｄは、ワイパ１２が磨耗しないように、０．２ｍｍに等しくなるように選択されることが好ましい。
【００２４】
固定子２４は、内壁に研摩可能な材料を有するため、動作中、固定子が擦り減ることによって、ワイパ１２および１４と摩擦を起こして、それらの形状に適合することができる。したがって、表面が互いに一致した後は摩擦が低減し、漏出量を減少させることができるようになる。
【００２５】
ワイパ１２および１４の先端部２６と固定子２４との間の残留漏出量を減少させるために、先端部２６の表面は、円周方向に凸状の形をしている。図３の陰影をつけた部分は、従来技術と比較して、漏出面積が縮小されていることを示す。
【００２６】
特に、先端部２６の断面は、中心Ｏ、半径Ｒの円弧２８の形を描くものである。第１の端部分１６は、２つの端部分１６および２０の高さが異なるため、円弧２８が傾斜する先端部２６を介して、第２の端部分２０に接続される。したがって、円弧２８の中心Ｏは、ブレードが回転子２４に取り付けられたとき、ブレードの回転の中心Ωに対して距離Ｌだけ偏位している。距離Ｌは、ワイパの長さの少なくとも半分のものであり、これは、ピッチステップの半分、すなわち、２つの連続するブレード２の間隔の半分に相当する。
【００２７】
ワイパの中心軸ｘ−ｘ’は、ブレードの軸Ｘ−Ｘ’に対して、吸引側１０の方に向いた角度αだけ偏位している。したがって、角度αの向きは、矢印Ｆで示す回転子２４の回転方向と反対である。円弧２８の曲率半径Ｒは、シュラウドの曲率半径と等しいか、またはそれより小さいものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】２つのワイパを有するタービンブレードの斜視図である。
【図２】図１の平面図である。
【図３】シュラウド内に位置する回転子上に取り付けられた複数のブレードを示す断面図である。
【図４】シュラウドと接触した状態にあるブレードを示す簡易図である。

Claims (7)

1. ブレードの軸（ＸＸ’）の両側に配置された圧力側（８）および吸引側（１０）を有する、タービンの可動回転子段のブレード（２）であって、前記ブレード（２）が、外周端部に位置するヘッド（６）と、前記ヘッド（６）上に形成された少なくとも１つのシーリングワイパ（１２、１４）とをさらに含み、前記シーリングワイパ（１２、１４）が、圧力側および吸引側（８、１０）を横断して配置され、吸引側（１０）に第１の端部分（１６、１８）を与え、圧力側（８）に第２の端部分（２０、２２）を与え、前記第１の端部分（１６、１８）の高さが、前記第２の端部分（２０、２２）より高く、前記ワイパが、前記第１および第２の端部分（１６、１８；２０、２２）の間にワイパ先端部（２６）を与え、
   前記ワイパ先端部（２６）が、前記第１および第２の端部分の間に延在する凸状の表面（２８）を与えることを特徴とする、ブレード（２）。
2. 前記凸状の表面（２８）の断面が、中心軸（ｘｘ’）、中心（Ｏ）、半径（Ｒ）を有する円形であることを特徴とする、請求項１に記載のブレード（２）。
3. 前記中心軸（ｘｘ’）が、圧力側（８）から吸引側（１０）へ向けられた角度（α）だけブレード軸（ＸＸ’）から偏位し、中心（Ｏ）が、ブレード軸（ＸＸ’）に垂直方向に測定された距離（Ｌ）だけ偏位したことを特徴とする、請求項２に記載のブレード（２）。
4. 前記距離（Ｌ）が、少なくとも１ピッチステップの半分であり、１ピッチステップの半分が、前記第１の端部分（１６、１８）と前記第２の端部分（２０、２２）との間隔の半分に相当することを特徴とする、請求項３に記載のブレード（２）。
5. 前記第１の端部分（１６、１８）と前記第２の端部分（２０、２２）との間の高低差（ｄ）が、少なくとも０．２ｍｍであることを特徴とする、請求項１から４のいずれか一項に記載のブレード（２）。
6. ２つのワイパ（１２、１４）を備えることを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載のブレード（２）。
7. 両方のワイパ（１２、１４）が、実質的に平行であることを特徴とする、請求項６に記載のブレード（２）。

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