JP2004526454A - 組換えワクシニアウイルスベクター - Google Patents
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Abstract
本発明は、E3L遺伝子がorfウイルスのE3Lホモログをコードする遺伝子で置き換えられている組換えワクシニアウイルスを提供する。前記組換えワクシニアウイルスを含有する組成物ならびにその使用方法も提供する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えワクシニアウイルスベクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワクシニアウイルスはDNAウイルスのポックスウイルス科のメンバーである。ワクシニアウイルスをはじめとするポックスウイルスは発現ベクターとして広く使用されているが、それは、この組換えウイルスが比較的容易に分離でき、広範な宿主域を有し、しかも大量のDNAを保持させることができるからである。
【0003】
ワクシニアウイルスのゲノムには、外因性DNAを組み込むことのできる非必須領域が存在する。外因性DNAは周知の相同的組換え法によりワクシニアウイルスのゲノムに挿入することができる。得られる組換えワクシニアウイルスはワクチンおよび抗癌剤として有用である。
【0004】
ワクシニアウイルス組換え体をベクターとして、特にワクチンおよび抗癌剤として使用することには、生きた組換えウイルスを環境に導入することに伴う安全性の問題が生じる。各種宿主系内でのワクシニアウイルス組換え体の病原性は、ウイルスの生育にとって必須ではない特定のワクシニアウイルス遺伝子の欠失または不活性化によって弱毒化されてきた。しかし、当技術分野では、広い宿主域、所望の遺伝子産物の活発なタンパク質合成といった、野生型ウイルスの望ましい性質を保持しながらも、病原性が低下しているベクターの開発が依然として必要とされている。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、ワクシニアウイルスのE3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されている組換えワクシニアウイルスを提供する。本発明はさらに、該組換えワクシニアウイルスおよび外因性DNAを含んでなる発現ベクター、ならびに該組換えワクシニアウイルスの使用方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ワクシニアウイルスのE3L遺伝子産物は190アミノ酸からなるポリペプチドである。E3L遺伝子は、dsRNA結合タンパク質、Z-DNA結合タンパク質、および二量体形成を含めて、いくつかの機能をコードしている。Kiblerら (1997) J. Virol. 71: 1992 (参照により本明細書に組み入れる) に記載されるように、アミノ酸118-190はdsRNA結合に関与している。本明細書で用いるアミノ酸の番号付けは、Goebelら (1990) Virology 179: 247-66, 577-63 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) から採用したものである。
【0007】
本発明によれば、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されている組換えワクシニアウイルスは免疫原性があるが、野生型ワクシニアウイルスと比べて、マウスにおいて低い病原性を示すことが見出された。鼻腔内に投与すると、本発明の組換えウイルスは鼻組織において高力価へと複製するものの、肺や脳には広がらず、低減された神経毒を示す。
【0008】
orfウイルスはヒツジ、ヤギおよびヒトに感染するパラポックスウイルス属のポックスウイルスである。ヒトに病気を引き起こすことは稀であり、通常は穏やかで、自己限定性である。orfウイルスはワクシニアウイルスのE3L遺伝子に対して配列類似性を示す遺伝子を含んでいる。この遺伝子はorfウイルスゲノムの左端から20キロベースの位置にあり、ワクシニアウイルスのE3L遺伝子に対して31%の同一性および57%の類似性を示す推定上のアミノ酸配列を有する産物をコードしている。orfウイルスのE3Lホモログは当技術分野で公知であり、例えば、McInnesら (1998) Virus Genes 17: 107-115 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) に開示されている。
【0009】
本発明はさらに、先に開示した組換えワクシニアウイルスを含み、さらに外因性(すなわち、非ワクシニアウイルス)DNAを含んでなる組換えワクシニアウイルスベクターを提供する。外因性DNAはどのような所望の産物をコードしてもよく、例えば、抗原、抗癌剤、またはマーカーもしくはレポーター遺伝子産物をコードすることができる。組換えワクシニアウイルスはさらに、ウイルスによりコードされる非必須遺伝子機能の欠失または不活性化を有していてもよい。非必須遺伝子機能とは、ウイルスが宿主細胞内で複製する際に必要とされない機能のことである。好ましくは、外因性DNAを、その発現を制御する調節エレメントに機能的に連結させる。調節エレメントはワクシニアウイルス由来のものが好ましい。
【0010】
本発明の組換えワクシニアウイルスは、当技術分野で公知の方法により、例えば、相同的組換えにより構築することができる。標準的な相同的組換え法は、ウイルスDNAに相同な配列を含むDNA断片もしくはプラスミドによるトランスフェクションを利用したり、感染細胞での組換えを達成するために野生型もしくは組換えワクシニアウイルスによる感染を利用する。通常のマーカーレスキュー法を使用して組換えワクシニアウイルスを同定することができる。組換えワクシニアウイルスを相同的組換えにより作製するための代表的な方法は、Picciniら (1987) Methods in Enzymology 153: 545 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) に開示されている。
【0011】
例えば、本発明の好ましい実施形態に従う組換えワクシニアウイルスを構築するには、宿主細胞に、E3L遺伝子が欠失されているワクシニアウイルスを感染させ、該宿主細胞を、ワクシニアウイルスE3L遺伝子を挟んでいる左アームと右アームに相同な配列により挟まれたorfウイルスのE3Lホモログをコードする核酸を含有するプラスミドでトランスフェクトする。本発明の組換えワクシニアウイルスを作製するために用いるワクシニアウイルスは、天然のウイルス株であっても、遺伝子操作されたウイルス株であってもよい。ヒトおよび動物用のワクチンとして有用なウイルス株が特に好ましく、それらは公知であって市販もされている。そのような株として、Wyeth、Lister、WR、および米国特許第5,762,938号 (参照により本明細書に組み入れる) に記載されるようなCopenhagenの遺伝子操作された欠失変異体が挙げられる。組換え用プラスミドは当技術分野で公知の標準方法により作製することができる。ワクシニアウイルスのE3L遺伝子、ならびに左隣と右隣のアームの核酸配列は当技術分野で公知であり、例えば、Earlら (1993) Genetic Maps: locus maps of complex gnomes, O'Brien編, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1.157 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) およびGoebelら (1990), (前掲)に見出せる。ここで用いるアミノ酸の番号付けは、Goebelら (1990), (前掲)から採用したものである。組換えに用いるワクシニアウイルスは他の欠失、不活性化、または上記のような外因性DNAを含んでいてもよい。orfウイルスのE3Lホモログをコードする核酸配列はMcInnesら(前掲)に開示されている。
【0012】
感染およびトランスフェクションに続いて、ワクシニアウイルスおよびプラスミド上のマーカーの存在または非存在を選択することにより組換え体を同定することができる。組換えワクシニアウイルスは標準方法で、例えば、凍結と融解を繰り返すことにより、宿主細胞から抽出することができる。
【0013】
得られた組換えワクシニアウイルスを相同的組換えによりさらに改変して、他の欠失、不活性化を与えたり、あるいは外因性DNAを挿入したりすることも可能である。
【0014】
本発明によれば、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置き換えられている組換えワクシニアウイルスは、野生型ウイルスに匹敵するウイルス複製、タンパク質合成、インターフェロン耐性および細胞向性を保持しているが、同一株の野生型ワクシニアウイルスと比べて、マウスにおける病原性が著しく低減していることが見出された。
【0015】
本発明はさらに、本発明の組換えワクシニアウイルスベクターおよび担体を含有する組成物を提供する。本明細書で用いる担体という用語は、あらゆる溶媒、希釈剤、分散媒、抗菌剤および抗真菌剤、マイクロカプセル、リポソーム、カチオン性脂質担体、等張剤、吸収遅延剤などを含むものである。
【0016】
本発明の組換えワクシニアウイルスおよび組成物は、組換え遺伝子産物の生産用のin vitro発現ベクターとして、遺伝子産物のデリバリーシステムとして、ヒトもしくは動物用のワクチンとして、または抗癌剤として使用することができる。組換えワクシニアウイルスのそのような用途は当技術分野で知られており、例えば、Moss (1996) "Poxviridae: The Viruses and Their Replication" Virology, Fieldsら編, Lippincott-Raven, Philadelphia, pp. 2637-2671 (参照により本明細書に組み入れる) に記載されている。
【0017】
本発明はさらに、組換え遺伝子産物を生産する方法を提供し、該方法は、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置き換えられているワクシニアウイルスを含み、さらに、該組換え遺伝子産物の発現を制御する調節エレメントに機能的に連結された該組換え遺伝子産物をコードする外因性DNAを含む組換えワクシニアウイルスベクターを、該組換え遺伝子産物が発現される条件にさらし、場合により該組換え遺伝子産物を回収することを含んでなる。好ましい実施形態においては、組換え遺伝子産物は、該遺伝子産物またはそれを発現するベクターを哺乳動物に投与したとき、抗原性および/または免疫原性応答を惹起する抗原である。
【0018】
本明細書中に引用する全ての文献は、全体をそのまま組み入れるものとする。
【0019】
以下の実施例は本発明をさらに説明するのに役立つもので、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0020】
実施例1
組換えワクシニアウイルスの構築
WR株のワクシニアウイルスのE3L遺伝子座に、orfウイルスのE3L遺伝子を再結合させるために、プラスミドpMPE3ΔGPTMCS (Kiblerら (1997) J. Virol. 71: 1992に記載;参照により本明細書に組み入れる) を使用した。組換え用プラスミドpMPE3ΔGPT(Virogeneticsにより提供された)は、pBSIISK (Stratagene, La Jolla, CA) の誘導体であり、これはβ-ガラクトシダーゼ配列を欠失させてあり、また、ワクシニアウイルスE3L遺伝子に隣接する左および右アームに相同な配列を含んでいるが、E3L遺伝子そのものは欠失している。この組換え用プラスミドはE3Lに隣接するアームの外側に大腸菌(E. coli)gpt遺伝子を含んでおり、したがって、ミコフェノール酸(MPA)で処理することによりトランスフェクト細胞を選択することが可能である。プラスミドpMPE3ΔGPTを多重クローニング部位(MCS)の導入により改変して、図1に示すpMPE3ΔGPTMCSを作製した。
【0021】
orf E3Lホモログ(ニュージーランドのオタゴ大学のAndrew MercerからpVUプラスミドにクローニングしたorfウイルスゲノムの制限断片として提供された)は、ポリメラーゼ連鎖反応(融解温度92℃で1分、アニーリング温度50℃で2分、伸長温度72℃で3分、これを25サイクル)により、BamHIおよびHindIII制限部位を含む遺伝子特異的プライマー(5'CTATGGATCCACAATGGCCTGCGAGTGC3'および5'ATCTAAGCTTAATTAGAAGCTGATGCCGC3')を用いて増幅した。この増幅遺伝子をBamHIとHindIIIで処理して消化し、pMPE3ΔGPTMCSの同一部位に連結させてサブクローニングした。
【0022】
in vivo組換えはベビーハムスターの腎BHK-21細胞において行った。感染と共に、トランスフェクションのためにLipofect-ACE (GIBCO, Gaithersburg, MD)を製造業者の指示どおりに使用した。50%コンフルエントのBHK-21細胞に、感染多重度(MOI)5で、E3L欠損VV(WRΔE3L、これはE3Lが欠失された遺伝子座にlacZ遺伝子を含むWR株のワクシニアウイルスである)を感染させたところ、このウイルスによる青色のプラークが形成された。DNAとLipofect-ACE (GIBCO)とを製造業者の説明書に従って混合し、この混合物を細胞に添加した。抗生物質を含まない完全培地を細胞に添加した後、細胞をCO2インキュベーター内に入れて37℃で36時間培養し、プラスミドとウイルス間の組換えを起こさせた。次いで細胞を回収して増殖培地に置き、1000xg、4℃で10分遠心分離し、2%のFBSを含有する完全培地200μl中に再懸濁した。
【0023】
凍結と融解を3回繰り返してトランスフェクト/感染細胞からウイルスを抽出し、このウイルスを、ecogpt選択培地(5%のFBS、0.4mgのミコフェノール酸(MPA)、10mgのキサンチン、および0.6mgのヒポキサンチンを含む完全培地40ml)で6時間前処理しておいたコンフルエントBHK-21細胞に感染させた。1時間感染させた後、各プレートにecogpt選択培地を添加し、プラークをはっきりと目視できるようになるまで(2〜4日間)、細胞を37℃で増殖させた。
【0024】
プラークが現れたら、細胞の上に0.5%のアガロースと0.04%のX-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトシド)を含有するecogpt選択培地をオーバーレイした。オーバーレイの6時間後、青色のプラークを回収して200μlの1mM Tris HCl pH8.8に入れ、凍結-融解を3回行った。上記ステップを繰り返すことにより2回以上のプラーク精製を行った。その後、各プラークをecogpt選択培地の非存在下でBHK-21細胞において48時間増幅した。ウイルスに感染した細胞を回収し、凍結-融解に供した。凍結-融解法に続いて、この増幅ストックの連続希釈物をウサギ腎コンフルエントRK-13細胞に感染させ、その後5%のFBSを含む完全培地(選択培地を含まない)中でインキュベートした。このインキュベーション中に2回目の組換え現象が起こり、その結果、オリジナルのウイルス(WRΔE3L)または挿入されたorf E3Lホモログを含む組換えウイルスのいずれかが回収される。この感染の2日後、培地を、完全培地中に0.5%のアガロース、0.04%のX-Gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトシド)、および5%のFBSを含有するオーバーレイと置き換えた。
【0025】
オーバーレイしたプレートから10個の無色のプラークを回収し、200μlの1mM Tris HCl pH8.8に懸濁した。無色のプラークは、orf E3L遺伝子を含む(lacZ遺伝子がorf E3L遺伝子で置き換えられた)ウイルスの存在を示している。これらのプラークのそれぞれをBHK-21で増幅させてウイルスストックを調製した。各ウイルスストックを配列決定に供して、E3L遺伝子座にある遺伝子がorf E3Lホモログであることを確認した。
【0026】
実施例2
WR 、 WR Δ E3L および WRorfE3L による感染
WR株の野生型ワクシニアウイルス(wt WR)ならびに実施例1に記載した変異体WRΔE3LおよびWRorfE3Lの病原性を次のようにして評価した。
【0027】
1群5匹のc57bl6マウス(4週齢)に、様々な用量(104プラーク形成単位(pfu)、105pfuおよび106pfu)のWR、WRΔE3LおよびWRorfE3Lを鼻腔内投与により感染させ、その生死を毎日観察した。1群6匹のc57bl6マウス(4週齢)に同量のウイルスを頭蓋内注入により感染させ、その生死を毎日観察した。
【0028】
図2に示すように、WRによる鼻腔内感染は104pfuより低いLD50を示したが、WRΔE3Lま
たはWRorfE3Lに関しては最大用量(106pfu)でさえも病原性がまったく認められなかった。これらの結果は、orf E3Lホモログを発現する組換えウイルスの病原性がWR株の野生型ワクシニアウイルスより1000倍以上低いことを示している。
【0029】
実施例3
ウイルスの組織分布
1群3匹のc57bl6マウスに106pfuのwt WR、WRΔE3LおよびWRorfE3Lを鼻腔内投与により注入した。感染から5日後に鼻甲介、肺および脳を回収し、処理し、RK-13細胞系において力価測定を行った。図3に示すように、wt WRは鼻甲介、肺および脳で検出された。WRorfE3Lは鼻甲介で検出されたが、wt WRとは違って、鼻腔内注入後に肺や脳には広がっていなかった。
【0030】
実施例4
WRorfE3L によるワクチン接種
1群5匹のc57bl6マウスを様々な用量(20〜20,000 pfuの範囲)のWRorfE3Lで免疫した。1カ月後、免疫マウスと非免疫対照マウス(擬似)を100万pfuのwt WRでチャレンジした。wt WRに起因する疾病の指標として体重減少を採用した。図4に示すように、非免疫対照マウスには重度の体重減少が認められたが、免疫マウスはすべてチャレンジ後に正常な体重増加を記録した。20 pfuの組換えウイルスでさえ、wt WR感染からマウスを防御するのに十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】プラスミドpMPEΔGPTを示す。制限酵素部位は推定される位置であるが、正確な相対位置関係にある。
【図2】ワクシニアウイルスを鼻腔内注入した後のマウスの生存を示すグラフである。
【図3】鼻腔内注入後のワクシニアウイルスの組織分布を示すグラフである。
【図4】野生型ウイルスでチャレンジした後のワクチン接種マウスとワクチン未接種マウスの体重変化を示すグラフである。
【0001】
本発明は、組換えワクシニアウイルスベクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワクシニアウイルスはDNAウイルスのポックスウイルス科のメンバーである。ワクシニアウイルスをはじめとするポックスウイルスは発現ベクターとして広く使用されているが、それは、この組換えウイルスが比較的容易に分離でき、広範な宿主域を有し、しかも大量のDNAを保持させることができるからである。
【0003】
ワクシニアウイルスのゲノムには、外因性DNAを組み込むことのできる非必須領域が存在する。外因性DNAは周知の相同的組換え法によりワクシニアウイルスのゲノムに挿入することができる。得られる組換えワクシニアウイルスはワクチンおよび抗癌剤として有用である。
【0004】
ワクシニアウイルス組換え体をベクターとして、特にワクチンおよび抗癌剤として使用することには、生きた組換えウイルスを環境に導入することに伴う安全性の問題が生じる。各種宿主系内でのワクシニアウイルス組換え体の病原性は、ウイルスの生育にとって必須ではない特定のワクシニアウイルス遺伝子の欠失または不活性化によって弱毒化されてきた。しかし、当技術分野では、広い宿主域、所望の遺伝子産物の活発なタンパク質合成といった、野生型ウイルスの望ましい性質を保持しながらも、病原性が低下しているベクターの開発が依然として必要とされている。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、ワクシニアウイルスのE3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されている組換えワクシニアウイルスを提供する。本発明はさらに、該組換えワクシニアウイルスおよび外因性DNAを含んでなる発現ベクター、ならびに該組換えワクシニアウイルスの使用方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ワクシニアウイルスのE3L遺伝子産物は190アミノ酸からなるポリペプチドである。E3L遺伝子は、dsRNA結合タンパク質、Z-DNA結合タンパク質、および二量体形成を含めて、いくつかの機能をコードしている。Kiblerら (1997) J. Virol. 71: 1992 (参照により本明細書に組み入れる) に記載されるように、アミノ酸118-190はdsRNA結合に関与している。本明細書で用いるアミノ酸の番号付けは、Goebelら (1990) Virology 179: 247-66, 577-63 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) から採用したものである。
【0007】
本発明によれば、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されている組換えワクシニアウイルスは免疫原性があるが、野生型ワクシニアウイルスと比べて、マウスにおいて低い病原性を示すことが見出された。鼻腔内に投与すると、本発明の組換えウイルスは鼻組織において高力価へと複製するものの、肺や脳には広がらず、低減された神経毒を示す。
【0008】
orfウイルスはヒツジ、ヤギおよびヒトに感染するパラポックスウイルス属のポックスウイルスである。ヒトに病気を引き起こすことは稀であり、通常は穏やかで、自己限定性である。orfウイルスはワクシニアウイルスのE3L遺伝子に対して配列類似性を示す遺伝子を含んでいる。この遺伝子はorfウイルスゲノムの左端から20キロベースの位置にあり、ワクシニアウイルスのE3L遺伝子に対して31%の同一性および57%の類似性を示す推定上のアミノ酸配列を有する産物をコードしている。orfウイルスのE3Lホモログは当技術分野で公知であり、例えば、McInnesら (1998) Virus Genes 17: 107-115 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) に開示されている。
【0009】
本発明はさらに、先に開示した組換えワクシニアウイルスを含み、さらに外因性(すなわち、非ワクシニアウイルス)DNAを含んでなる組換えワクシニアウイルスベクターを提供する。外因性DNAはどのような所望の産物をコードしてもよく、例えば、抗原、抗癌剤、またはマーカーもしくはレポーター遺伝子産物をコードすることができる。組換えワクシニアウイルスはさらに、ウイルスによりコードされる非必須遺伝子機能の欠失または不活性化を有していてもよい。非必須遺伝子機能とは、ウイルスが宿主細胞内で複製する際に必要とされない機能のことである。好ましくは、外因性DNAを、その発現を制御する調節エレメントに機能的に連結させる。調節エレメントはワクシニアウイルス由来のものが好ましい。
【0010】
本発明の組換えワクシニアウイルスは、当技術分野で公知の方法により、例えば、相同的組換えにより構築することができる。標準的な相同的組換え法は、ウイルスDNAに相同な配列を含むDNA断片もしくはプラスミドによるトランスフェクションを利用したり、感染細胞での組換えを達成するために野生型もしくは組換えワクシニアウイルスによる感染を利用する。通常のマーカーレスキュー法を使用して組換えワクシニアウイルスを同定することができる。組換えワクシニアウイルスを相同的組換えにより作製するための代表的な方法は、Picciniら (1987) Methods in Enzymology 153: 545 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) に開示されている。
【0011】
例えば、本発明の好ましい実施形態に従う組換えワクシニアウイルスを構築するには、宿主細胞に、E3L遺伝子が欠失されているワクシニアウイルスを感染させ、該宿主細胞を、ワクシニアウイルスE3L遺伝子を挟んでいる左アームと右アームに相同な配列により挟まれたorfウイルスのE3Lホモログをコードする核酸を含有するプラスミドでトランスフェクトする。本発明の組換えワクシニアウイルスを作製するために用いるワクシニアウイルスは、天然のウイルス株であっても、遺伝子操作されたウイルス株であってもよい。ヒトおよび動物用のワクチンとして有用なウイルス株が特に好ましく、それらは公知であって市販もされている。そのような株として、Wyeth、Lister、WR、および米国特許第5,762,938号 (参照により本明細書に組み入れる) に記載されるようなCopenhagenの遺伝子操作された欠失変異体が挙げられる。組換え用プラスミドは当技術分野で公知の標準方法により作製することができる。ワクシニアウイルスのE3L遺伝子、ならびに左隣と右隣のアームの核酸配列は当技術分野で公知であり、例えば、Earlら (1993) Genetic Maps: locus maps of complex gnomes, O'Brien編, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1.157 (その開示内容を参照により本明細書に組み入れる) およびGoebelら (1990), (前掲)に見出せる。ここで用いるアミノ酸の番号付けは、Goebelら (1990), (前掲)から採用したものである。組換えに用いるワクシニアウイルスは他の欠失、不活性化、または上記のような外因性DNAを含んでいてもよい。orfウイルスのE3Lホモログをコードする核酸配列はMcInnesら(前掲)に開示されている。
【0012】
感染およびトランスフェクションに続いて、ワクシニアウイルスおよびプラスミド上のマーカーの存在または非存在を選択することにより組換え体を同定することができる。組換えワクシニアウイルスは標準方法で、例えば、凍結と融解を繰り返すことにより、宿主細胞から抽出することができる。
【0013】
得られた組換えワクシニアウイルスを相同的組換えによりさらに改変して、他の欠失、不活性化を与えたり、あるいは外因性DNAを挿入したりすることも可能である。
【0014】
本発明によれば、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置き換えられている組換えワクシニアウイルスは、野生型ウイルスに匹敵するウイルス複製、タンパク質合成、インターフェロン耐性および細胞向性を保持しているが、同一株の野生型ワクシニアウイルスと比べて、マウスにおける病原性が著しく低減していることが見出された。
【0015】
本発明はさらに、本発明の組換えワクシニアウイルスベクターおよび担体を含有する組成物を提供する。本明細書で用いる担体という用語は、あらゆる溶媒、希釈剤、分散媒、抗菌剤および抗真菌剤、マイクロカプセル、リポソーム、カチオン性脂質担体、等張剤、吸収遅延剤などを含むものである。
【0016】
本発明の組換えワクシニアウイルスおよび組成物は、組換え遺伝子産物の生産用のin vitro発現ベクターとして、遺伝子産物のデリバリーシステムとして、ヒトもしくは動物用のワクチンとして、または抗癌剤として使用することができる。組換えワクシニアウイルスのそのような用途は当技術分野で知られており、例えば、Moss (1996) "Poxviridae: The Viruses and Their Replication" Virology, Fieldsら編, Lippincott-Raven, Philadelphia, pp. 2637-2671 (参照により本明細書に組み入れる) に記載されている。
【0017】
本発明はさらに、組換え遺伝子産物を生産する方法を提供し、該方法は、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置き換えられているワクシニアウイルスを含み、さらに、該組換え遺伝子産物の発現を制御する調節エレメントに機能的に連結された該組換え遺伝子産物をコードする外因性DNAを含む組換えワクシニアウイルスベクターを、該組換え遺伝子産物が発現される条件にさらし、場合により該組換え遺伝子産物を回収することを含んでなる。好ましい実施形態においては、組換え遺伝子産物は、該遺伝子産物またはそれを発現するベクターを哺乳動物に投与したとき、抗原性および/または免疫原性応答を惹起する抗原である。
【0018】
本明細書中に引用する全ての文献は、全体をそのまま組み入れるものとする。
【0019】
以下の実施例は本発明をさらに説明するのに役立つもので、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0020】
実施例1
組換えワクシニアウイルスの構築
WR株のワクシニアウイルスのE3L遺伝子座に、orfウイルスのE3L遺伝子を再結合させるために、プラスミドpMPE3ΔGPTMCS (Kiblerら (1997) J. Virol. 71: 1992に記載;参照により本明細書に組み入れる) を使用した。組換え用プラスミドpMPE3ΔGPT(Virogeneticsにより提供された)は、pBSIISK (Stratagene, La Jolla, CA) の誘導体であり、これはβ-ガラクトシダーゼ配列を欠失させてあり、また、ワクシニアウイルスE3L遺伝子に隣接する左および右アームに相同な配列を含んでいるが、E3L遺伝子そのものは欠失している。この組換え用プラスミドはE3Lに隣接するアームの外側に大腸菌(E. coli)gpt遺伝子を含んでおり、したがって、ミコフェノール酸(MPA)で処理することによりトランスフェクト細胞を選択することが可能である。プラスミドpMPE3ΔGPTを多重クローニング部位(MCS)の導入により改変して、図1に示すpMPE3ΔGPTMCSを作製した。
【0021】
orf E3Lホモログ(ニュージーランドのオタゴ大学のAndrew MercerからpVUプラスミドにクローニングしたorfウイルスゲノムの制限断片として提供された)は、ポリメラーゼ連鎖反応(融解温度92℃で1分、アニーリング温度50℃で2分、伸長温度72℃で3分、これを25サイクル)により、BamHIおよびHindIII制限部位を含む遺伝子特異的プライマー(5'CTATGGATCCACAATGGCCTGCGAGTGC3'および5'ATCTAAGCTTAATTAGAAGCTGATGCCGC3')を用いて増幅した。この増幅遺伝子をBamHIとHindIIIで処理して消化し、pMPE3ΔGPTMCSの同一部位に連結させてサブクローニングした。
【0022】
in vivo組換えはベビーハムスターの腎BHK-21細胞において行った。感染と共に、トランスフェクションのためにLipofect-ACE (GIBCO, Gaithersburg, MD)を製造業者の指示どおりに使用した。50%コンフルエントのBHK-21細胞に、感染多重度(MOI)5で、E3L欠損VV(WRΔE3L、これはE3Lが欠失された遺伝子座にlacZ遺伝子を含むWR株のワクシニアウイルスである)を感染させたところ、このウイルスによる青色のプラークが形成された。DNAとLipofect-ACE (GIBCO)とを製造業者の説明書に従って混合し、この混合物を細胞に添加した。抗生物質を含まない完全培地を細胞に添加した後、細胞をCO2インキュベーター内に入れて37℃で36時間培養し、プラスミドとウイルス間の組換えを起こさせた。次いで細胞を回収して増殖培地に置き、1000xg、4℃で10分遠心分離し、2%のFBSを含有する完全培地200μl中に再懸濁した。
【0023】
凍結と融解を3回繰り返してトランスフェクト/感染細胞からウイルスを抽出し、このウイルスを、ecogpt選択培地(5%のFBS、0.4mgのミコフェノール酸(MPA)、10mgのキサンチン、および0.6mgのヒポキサンチンを含む完全培地40ml)で6時間前処理しておいたコンフルエントBHK-21細胞に感染させた。1時間感染させた後、各プレートにecogpt選択培地を添加し、プラークをはっきりと目視できるようになるまで(2〜4日間)、細胞を37℃で増殖させた。
【0024】
プラークが現れたら、細胞の上に0.5%のアガロースと0.04%のX-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトシド)を含有するecogpt選択培地をオーバーレイした。オーバーレイの6時間後、青色のプラークを回収して200μlの1mM Tris HCl pH8.8に入れ、凍結-融解を3回行った。上記ステップを繰り返すことにより2回以上のプラーク精製を行った。その後、各プラークをecogpt選択培地の非存在下でBHK-21細胞において48時間増幅した。ウイルスに感染した細胞を回収し、凍結-融解に供した。凍結-融解法に続いて、この増幅ストックの連続希釈物をウサギ腎コンフルエントRK-13細胞に感染させ、その後5%のFBSを含む完全培地(選択培地を含まない)中でインキュベートした。このインキュベーション中に2回目の組換え現象が起こり、その結果、オリジナルのウイルス(WRΔE3L)または挿入されたorf E3Lホモログを含む組換えウイルスのいずれかが回収される。この感染の2日後、培地を、完全培地中に0.5%のアガロース、0.04%のX-Gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトシド)、および5%のFBSを含有するオーバーレイと置き換えた。
【0025】
オーバーレイしたプレートから10個の無色のプラークを回収し、200μlの1mM Tris HCl pH8.8に懸濁した。無色のプラークは、orf E3L遺伝子を含む(lacZ遺伝子がorf E3L遺伝子で置き換えられた)ウイルスの存在を示している。これらのプラークのそれぞれをBHK-21で増幅させてウイルスストックを調製した。各ウイルスストックを配列決定に供して、E3L遺伝子座にある遺伝子がorf E3Lホモログであることを確認した。
【0026】
実施例2
WR 、 WR Δ E3L および WRorfE3L による感染
WR株の野生型ワクシニアウイルス(wt WR)ならびに実施例1に記載した変異体WRΔE3LおよびWRorfE3Lの病原性を次のようにして評価した。
【0027】
1群5匹のc57bl6マウス(4週齢)に、様々な用量(104プラーク形成単位(pfu)、105pfuおよび106pfu)のWR、WRΔE3LおよびWRorfE3Lを鼻腔内投与により感染させ、その生死を毎日観察した。1群6匹のc57bl6マウス(4週齢)に同量のウイルスを頭蓋内注入により感染させ、その生死を毎日観察した。
【0028】
図2に示すように、WRによる鼻腔内感染は104pfuより低いLD50を示したが、WRΔE3Lま
たはWRorfE3Lに関しては最大用量(106pfu)でさえも病原性がまったく認められなかった。これらの結果は、orf E3Lホモログを発現する組換えウイルスの病原性がWR株の野生型ワクシニアウイルスより1000倍以上低いことを示している。
【0029】
実施例3
ウイルスの組織分布
1群3匹のc57bl6マウスに106pfuのwt WR、WRΔE3LおよびWRorfE3Lを鼻腔内投与により注入した。感染から5日後に鼻甲介、肺および脳を回収し、処理し、RK-13細胞系において力価測定を行った。図3に示すように、wt WRは鼻甲介、肺および脳で検出された。WRorfE3Lは鼻甲介で検出されたが、wt WRとは違って、鼻腔内注入後に肺や脳には広がっていなかった。
【0030】
実施例4
WRorfE3L によるワクチン接種
1群5匹のc57bl6マウスを様々な用量(20〜20,000 pfuの範囲)のWRorfE3Lで免疫した。1カ月後、免疫マウスと非免疫対照マウス(擬似)を100万pfuのwt WRでチャレンジした。wt WRに起因する疾病の指標として体重減少を採用した。図4に示すように、非免疫対照マウスには重度の体重減少が認められたが、免疫マウスはすべてチャレンジ後に正常な体重増加を記録した。20 pfuの組換えウイルスでさえ、wt WR感染からマウスを防御するのに十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】プラスミドpMPEΔGPTを示す。制限酵素部位は推定される位置であるが、正確な相対位置関係にある。
【図2】ワクシニアウイルスを鼻腔内注入した後のマウスの生存を示すグラフである。
【図3】鼻腔内注入後のワクシニアウイルスの組織分布を示すグラフである。
【図4】野生型ウイルスでチャレンジした後のワクチン接種マウスとワクチン未接種マウスの体重変化を示すグラフである。
Claims (7)
- E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されているワクシニアウイルス。
- E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されているワクシニアウイルスを含んでなり、さらに、外因性DNAの発現を制御する調節エレメントに機能的に連結された外因性DNAを含んでなる発現ベクター。
- 前記ワクシニアウイルスから該ウイルスによりコードされる1以上の非必須遺伝子機能が欠失されている、請求項2に記載の発現ベクター。
- 請求項2に記載の発現ベクターおよび担体を含有する組成物。
- 組換え遺伝子産物を生産する方法であって、E3L遺伝子がorfウイルス由来のE3Lホモログをコードする遺伝子で置換されているワクシニアウイルスを含んでなり、さらに、外因性DNAの発現を制御する調節エレメントに機能的に連結された外因性DNAを含んでなる発現ベクターを、該組換え遺伝子産物が発現される条件にさらすことを特徴とする、上記方法。
- 前記組換え遺伝子産物を回収することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
- 組換えワクシニアウイルスWR orf E3L。
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