JP2004526364A - 3次元音響環境をシミュレートするための方法とシステム - Google Patents

3次元音響環境をシミュレートするための方法とシステム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は最低2チャンネルの再生デイバイスを使い、オーディオシステムの3次元音響環境をシミュレートするための方法を提供するものである。
【解決手段】その方法には最初に最低1個のスピーカーを使用し、次にヘッドフォンを使用して、第1及び第2の擬似ヘッド関連伝達関数(HRTF)データを発振させ、そのデータの第1及び第2の周波数リプレゼンテーションを分割又は第1及び第2のデータのタイムドメインリプレゼンテーションのデイコンボルジョンオペレータを使用するか、又は、第1及び第2のデータのセプトラムリプレゼンテーションを削除し、そしてその分割又は削除の結果を用いてリスナーが使用する音響再生デイバイスに音源からのオーディオパスのシステムに接続可能な最低2個のフイルターを用意し、リモートスピーカーの自然音を発生さすために操作可能なインパルスリスポンスを有するフイルターの準備が含まれる。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には最低2チャンネル再生デイバイスを使用し、オーディオシステムでの3D音響環境をアナライズし、シミュレートする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サウンドレコーディングのより良い基準としてサラウンド(周辺)及びマルチチャンネルのサウンドトラックが徐々にステレオに取って替りつつある。最近の新しい音響機器はサラウンド機能を備えている。今日、市場に出廻っている新しい音響システムの多くはマルチプルスピーカーやサラウンドサウンドディコーダーを備えている。
【0003】
事実、昔のステレオレコーデングを修正するアルゴリズムを考案し、それがあたかもサラウンドでレコーデングされたが如き音を出すようにしている企業も多くある。又、別の企業では、古いステレオシステムをアップグレードするアルゴリズムを開発し、二つのスピーカーのみでサラウンドの様な音がでるようにしている。
【0004】
ステレオエキスパンションアルゴリズムは認知された音揚感を拡大する。又、多くのサウンドボードやスピーカーシステムには拡大されたステレオサウンドを伝えるのに必要な回路が組み込まれている。
【0005】
3次元の位置決めアルゴリズムでは、これを更に一歩進めて、リスナーの廻りの特定の位置に音がくるようにしている。即ち、リスナーの左、右、上、下に拡がる音像の全てにである。これらのアルゴリズムは疑似キューに基づいており、音が実際に360°の空間で聴かれる方法を再現する。
【0006】
これらのアルゴリズムでは、音源の空間座標に関して、リスナーの耳で聴かれる音を計算するため、ヘッド関連伝達関数(HRTF)が多く用いられている。例えば、リスナーの左側に位置している音源から出た音はまず第一に左耳で聴かれ、一瞬後に右耳で聴かれる。異った周波数の相対振幅も耳翼の指向性とリスナー自身の頭の妨害によって変化する。
【0007】
上述の如く、HRTFは空間の一地点から特定の鼓膜への音の測定されたトランスフオメーションである。自然な無響リスニングで見られるような鼓膜で聞かれる聴感情報の再生はバーチャルな音源を創造することで可能となる。
【0008】
従って、ここで明らかになる事はヘッドフォン又はスピーカーを使用してバーチャルな音源をシミュレートする機能を改善するためのHRTFデータを得るより良い方法を見出すことである。
【0009】
先行技術による2つの方法は:
1)鼓膜の位置に置かれたマイクロフォンを有するダミーヘッド及び人間の頭と耳をシミュレートするダミーヘッドを使用し、
2)その耳管の内側に小型マイクロフォンを据える。但し、身体的限界があり、マイクロフォンは耳管への半分位の所に据えられる。
【0010】
測定されたマイクロフォン出力は個人又はダミーヘッドの特定のHRTFインフォメーションを表わすものである。バーチャルな音源をシミュレートするために、サウンドシグナルは測定されたHRTFインフオメーションでコンボルブされる。
【特許文献1】
なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の先行技術による方法には次のようないくつかの欠点がある。
1)人間は各々が各人独自の耳及び頭のサウンドインフオメーションを表す独自のHRTFを有しており、ダミーヘッド又は特定の主体を使って測定された非個人化されたHRTFを使用しての測定結果は満足できない3D感覚を生じさせる。この問題は殆んどの場合高周波に影響を与えて、フロント−バックの混同と“インサイドザヘッド”感覚が生ずる。
【0012】
2)もう一つの欠点に、測定は鼓膜近辺で行われるが、再生は耳の外側で行われるので、一度はダミーヘッド又は特定の主体のレフアレンスHRTFが使われ、もう一度はヘッドフォンを聴いている人間の個人のHRTFが使われるためサウンドが2度コンボルブされることになる。そこで当然音の再生は不正確なものとなり、満足できない3Dオーディオ感覚を生じさせることになる。
【0013】
3)この様な実験を行うためには、更なるシミュレートと測定機器が必要となる。このような機器類(スピーカー、アンプリフアイヤーマイクロフォン等)は必然的に被測定体にひずみを与えて測定に影響し、測定されたレグナルにも影響を及ぼす。
【0014】
部屋、空気、頭、耳翼、耳管はリニアな伝達関数を持ち、アンプリフアイアー、スピーカー、マイクロフォン等は非リニアな伝達関数を持つ。従って、優れた実験者は分析に際して周波数特性を事前測定し、測定機器のリニア性の影響を排除するよう努めなければならない。但し、現行のシグナルプロセシング技術では通常機器のひずみの非リニア部分を排除することは困難である。
【0015】
4)先行技術の2スピーカーサウンドシステムに於いては、リスナーはスピーカーの間に正確に位置しなければならない。このスポットからのずれは音響にひずみを生じさすことになる。
【0016】
5)先行技術の2スピーカーサウンドシステムは対称的な環境でのみ優れた機能を果すもので、スピーカーはマッチされていなければならず、又、部屋のアコースティックは対称的である必要がある。かヽる制限により多くのユーザーは2つのスピーカーでのサラウンドサウンドを楽しむことが困難となる。
【0017】
6)先行技術の3Dヘッドフォンシステムは不十分な3Dサウンドを生み、主としてフロントーバックの混同と“インサイドザヘッド”感覚を引起すことになる。
[発明の要約]
【0018】
従って、この発明の広い目的はリスナーのHRTFを使い先行技術の欠点を補い、最も正確な3D音響再生を達成させ、耳管の外側の音響再生に適応させ、測定機器のリニア及び非リニア部分の両方のひずみとその影響を打ち消し、少ないスピーカー(2個又はそれ以上)を使い、ユーザーが部屋の中央に座する必要がなく、又、部屋のアコースティック環境を変えることなくバーチャルなサラウンドサウンド環境を創り、シミュレートされた音源が“アウトオブザヘッド”で認知され、如何なる音色の変化も一切ないヘッドフォンを使った優れた3Dシミュレーションをもたらす測定と再生の方法とシステムを提供するものである。
【0019】
本発明では上記の目的は最低2チャンネルの再生デイバイスを使用しオーデイオシステムの3次元音響環境をシミュレートするための方法を提供することで達成されるものであり、前述の方法は最初に最低1個のスピーカーを使用し、次にヘッドフォンを使用して、第1及び第2の疑似ヘッド関連伝達関数(HRTF)データを発生させ、前述のデータの前述の第1及び第2周波数リプレゼンテーションの分割、又は前述の第1及び第2のデータのタイムドメインリプレゼンテーションのディコンボルジョンオペレータの使用、又は、前述の第1及び第2のデータのセプトラムリプレゼンテーションの削除、及び前述の分割又は削除の結果を使用してリスナーが使用する音響再生デイバイスに音源からのオーデイオパスのシステムに接続可能な最低2個のフィルターを備えるためのリモートスピーカーの自然音を発生さすために操作可能なインパルスリスポンスを有するフィルターを準備するものである。
【0020】
又、本発明は最低1個のスピーカーを使用して3次元音響環境をシミュレートするための方法を提供するものであり、前述の方法では選択されたアコースティック環境でダミーの左側及び右側の耳、耳翼及び耳管を有するダミーヘッドを置き、前述のスピーカーを経由して送られ、第1及び第2のマイクロフォンにより前述のダミーヘッドで受けた第1及び第2のヘッド関連伝達関数(HRTF)サウンドデータをレコーディングし、1対のヘッドフォンを経由してダミーヘッドに送られた第3及び第4のHRTFのサウンドデータを記録し、前述のサウンドデータの前述の第1及び第2周波数リプレゼンテーション及び各スピーカーの前述の第3及び第4の前述のサウンドデータをそれぞれ分割、ティコンボルビング又は削除して各音源チャンネルのための左側及び右側耳フィルターの伝達関数を準備し、前述のシステムに接続された各々の音源チャンネル及び2つのサウンドトランデューサーの間の音響再生システムでの前述の左側及び右側フィルターを導入する。
【0021】
更に本発明は最低1個のスピーカーを使用して3次元音響環境をシミュレートするための方法を提供するものであり、前述の方法では選択されたアコースティック環境で各耳管内にミニチュアマイクロフォンを持つリスナーのヘッドを位置させ、前述のスピーカーを経由して送られ、前述のダミーヘッドで受けた第1及び第2のヘッド関連伝達関数(HRTF)サウンドデータをレコーディングして前述のマイクロフォンを経由して前述のリスナーのヘッドに送られた第3及び第4のHRTFサウンドデータを記録し、前述のサウンドデータの前述の第1及び第2周波数リプレゼンテーション及び各スピーカーの前述の第3及び第4の前述のサウンドデータをそれぞれ分割、ディコンボルビング又は削除して各音源チャンネルのための左側及び右側耳フィルターの伝達関数を準備し、前述のシステムに接続された各々の音源チャンネル及び2つのサウンドトランデューサーの間の音響再生システムでの前述の左側及び右側フィルターを導入する。
【0022】
又、更に本発明は音源、オーディオ再生及びプロセス手段及び最低2個のスピーカー又はヘッドフォンを有する3次元音響環境をシミュレートするオーディオシステムを提供するものであり、前述のシステムは各々が前述の音源及び前述のスピーカーの1つ又はヘッドフォンに接続された最低2個のフィルターとここで説明された方法により準備された疑似ヘッド関連伝達関数を生じさすことで得られたインパルスポンスにより特徴づけられる前述の各々のフィルターから成るものである。
【0023】
本発明がより充分に理解されるよう、この発明を次の説明図に参照して、好ましい実施態様との関連で説明する。
【0024】
詳細なる図の詳しい参照で示されている事項には、例を用いて本発明のみの好ましい実施態様を図解で説明するのが目的であり、本発明の原理と概念の最も有効で、且つ、理解され易いと思われるものが提示される。これに関しては、本発明についての基本的な理解に必要であるもの以上に詳細に本発明の構造的な説明を加えない。
図面の説明は本発明の各種形状を実際に具体化する当業者には明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1A及び図1Bはダミーヘッドと各鼓膜の位置に置かれたトランデューサーを使って、オープンフィールドに発生したオーディオシグナルを記録するためのシステム2の説明である。
【0026】
このシグナルは、このケースの場合前方左側スピーカーを表わしているが、一つの特定の角度αのためのHRTFパラメーターを得るためにレコーディングされる。
【0027】
このシグナルジェネレーター4は測定のために使用されるテストシグナルを発生させる。
このシグナルはパワーアンプ7によって増幅され、スピーカー8で再生される。
【0028】
ルーム10のアコースティック特性はダイレトなサウンドに対し初期の反射と残響を加え、サウンドに影響を与える。このルームの影響は各々のケーションによって異なるので、ヘッド12の左側の耳に到達するサウンドは右側の耳に到達するサウンドとは異なる。
【0029】
ヘッド12は一方の耳14にサウンドを反射し、他の耳14′からのサウンドを妨害し、そのサウンドに影響を与える。そのサウンドはマイクロフォン20及び20′によりリコーデングされる前にヘッド12の耳翼16及び16′と耳管18及び18′を通過する。
【0030】
マイクロフォン20及び20′の出力シグナルはマイクロフォンプレアンプ22及び22′によって増幅され、シグナルアナライザー24によってアナライズされる。シグナルアナライザー24は2つの別のシグナル、即ち、左側の耳14のシグナルと右側の耳14′のシグナルをアナライズする。
【0031】
オリジナルシグナルと測定されたシグナルを比較して、テストの実施者はシステム全体の伝達関数を得ることができる。
実際には得られた伝達関数はシグナルパスにある全てのコンポーネントの一連の伝達関数から成るもので、測定された伝達関数
Figure 2004526364
及び
Figure 2004526364
は幾つかの伝達関数の積として表わすことができる(図1Bのブロック6〜22を参照):
【数1】
Figure 2004526364
【0032】
茲で:
上記の伝達関数はスピーカーの角度によって決り、
Figure 2004526364
の記号を付す。
DSはだみースピーカーコンステレーションで、
Figure 2004526364
はコンボルジョンオペレータ(タイムドメイン環境での)である。
【0033】
さて第2A及び2B図について説明する。図1A及び図1Bに関する上述のオープンフィールドシステムと方法の中で使用されているものと同じ機器を用いたヘッドフォン測定のための設定の図解である。
【0034】
ここでは、音源はダミーヘッド12に設けられたヘッドフォン26及び26′である。ヘッドの中間平面とヘッドフォン26と26′の軸との間の角度βは固定され、それはヘッドフォンの機械的構造によって決まる。
【0035】
シグナル発振器4はパワーアンプ6及び6′より増幅され、ヘッドフォン26及び26′により再生されるテストシグナルをジェネレートする。
そのサウンドはマイクロフォン20及び20′でレコーディングされる前にダミーヘッドの耳翼16及び16′と耳管18及び18′を通過する。マイクロフォン20及び20′の出力シグナルはマイクロフォンプレアンプ22及び22′で増幅され、シグナルアナライザー24でアナライズされる。シグナルアナライザー24は左側の耳14からのシグナルと右側の耳14′からのシグナルの二つの別々のシグナルをアナライズする。
【0036】
オリジナルシグナルを測定されたシグナルと比較して、テストの実施者はこのシステムの伝達関数を得ることができる。
【0037】
測定された伝達関数
Figure 2004526364
及び
Figure 2004526364
は幾つかの伝達関数の積として表すことができる(図2Bのブロック6及び6′〜22及び22′を参照):
【数2】
Figure 2004526364
【0038】
茲で:
DPはダミーヘッドフォンコンステレーションである。
図3A及び図3Bはシングルスピーカー8を経由した音源25を聴く人間の情況の説明である。このオーディオ源25はパワーアンプ6によって増幅され、スピーカー8で再生されるオーディオシグナルをジェネレートする。ルーム1Dのアコースティック特性は初期の反射と残響を加え、サウンドに影響を与える。
【0039】
このルームの影響は各々のロケーションによって異なるので、左側の耳28に到達するサウンドは右側の耳28′に到達するサウンドとは異なる。その人間のヘッド12′は一方の耳28にサウンドを反射し、他の耳28′からのサウンドを妨害し、そのサウンドに影響を与える。そのサウンドは耳翼30及び30′と耳管32と32′を通り、左側と右側の鼓膜34と34′を振動させる。その振動は内耳により神経刺激に変換されて、最終的にこの刺激はユーザーの脳に到達する。
【0040】
刺激が脳に伝わる間に、オリジナルオーディオトラックは修正され、この全体的な修正は一連のブロックとして表わされ、その各ブロックは異なった伝達関数を有している(図3Bのブロック6及び6′〜34及び34′を参照)。
【0041】
全体のシステムの伝達関数が
Figure 2004526364
及び
Figure 2004526364
であるとすると:
【数3】
Figure 2004526364
【0042】
茲で:
HSはヒューマンースピーカーコンステレーションである。
【0043】
図2A及び図2Bに対応する図4A及び図4Bはヘッドフォンを経由して音曲を聴く人間の図解である。オーディオ源25はパワーアンプ6によって増幅され、スピーカー8で再生されるオーディオシグナルをジェネレートする。そのサウンドは人間の耳翼30及び30′と耳管32と32′を通り、左側と右側の鼓膜を振動させる。その振動は内耳により神経刺激に変換されて、最終的にこの刺激は脳に到達する。
【0044】
オリジナルオーディオトラックはそれが脳に伝わる間に修正され、この全体的な修正は一連のブロックとして表わされ、その各ブロックは異った伝達関数を有している(図4Bのブロック6及び6′〜34及び34′を参照)。
【0045】
全体のシステムの伝達関数
Figure 2004526364
及び
Figure 2004526364
であるとすると:
【数4】
Figure 2004526364
【0046】
茲で:
HPはヒューマンーヘッドフォンコンステレーションである。
ヘッドフォンバーチャル化システムは図5A及び図5Bで示されている。このシステムでは二つのフィルター36及び36′が音曲の通路に置かれており、このオーディオパスは第4A及び4B図に関しての前記の説明と同じである。
【0047】
先行技術のサラウンドヘッドフォンでの左側フィルター36の伝達関数は:
【数5】
Figure 2004526364
【0048】
右耳フィルター36′の伝達関数は:
【数6】
Figure 2004526364
【0049】
本発明では異なるフィルターが使用され、左耳フィルター6の伝達関数は:
【数7】
Figure 2004526364
【0050】
右耳フィルター6′の伝達関数は:
【数8】
Figure 2004526364
【0051】
このシステム全体の伝達関数は次のようになる:
【数9】
Figure 2004526364
【0052】
茲で:
HVはヒューマンーバーチャル化コンステレーションである。
【0053】
右側及び左側のデータを分割する代りに、右側及び左側のデータのタイムドメインリプレゼンテーションのデイコンボルジョンオペレータを使用するか、又は、右側及び左側のデータのセプストラムリプレゼンテーションを削除することでフィルターの計算をすることも可能である。
【0054】
図6は本発明によるバーチャライザーシステムに基づくスピーカーのオンサイト測定システムの図解である。この測定の目的はリスナーのプレイバックルームの実際のプレイバックコンディションについてのインフォメーションを得ることである。
【0055】
測定はリスナーの耳管の近く、又は、内側に置かれたミニチュアーマイクロフォンをベースにする。スピーカークオリティー、スピーカーの位置及びルームアコースティックが測定に影響を与える。
【0056】
先行技術のスピーカーバーチャル化システムと異なり、スピーカーの置位は重要でない。このシステムは非対称の環境でも機能する。
シグナル発振器4は測定に使用されるテストシグナルをジエネレートし、そのシグナルはパワーアンプ6及び6′により増幅され、左側スピーカー8又は右側スピーカー8′により再生される。
【0057】
プレイバックルーム10のアコーステック特性は初期の反射と残響を加え、サウンドに影響を与える。このルームの影響は各々のロケーションによって異なるので、左側の耳に到達するサウンドは右側の耳に到達するサウンドとは異なる。
【0058】
その人間のヘッド12′は一方の耳28にサウンドを反射し、一方の耳28からのサウンドを妨害し、そのサウンドに影響を与える。そのサウンドは耳管32及び32′の内側に置かれた左側及び右側マイクロフォン38及び38′でレコーディンされる前に耳翼30及び30′を通る。
【0059】
マイクロフォン38及び38′の出力シグナルはマイクロフォンプレアンプ22及び22′により増幅され、シグナルアナライザー24でアナライズされる。このシグナルアナライザー24は左側の耳からのシグナルと右側の耳からのシグナルの2つの異なったシグナルをアナライスする。
【0060】
この段階で合計4つの異なる測定が行われる。即ち、左側スピーカー8からの2つの測定(左側と右側の耳)と右側スピーカー8′からの2つの測定である。ユーザーが2個以上のスピーカーを持っている場合にはそれぞれ1個のスピーカーにつき2つの測定を行う。
【0061】
図7はスピーカーのバーチャル化システムの図解である。二つのフイルター36及び36′がオーディオ源26とパワーアンプ6及び6′の間に置かれ、左側及び右側スピーカー8及び8′がそれぞれの音を再生する。
【0062】
リスナー12とスピーカー8及び8′が測定のために使用される同じスポットに位置し、図6参照、そのルームのアコースティック特性が大きく変化しない限り、ユーザーは、アングルαに位置して、その音をあたかもバーチャルスピーカー8″によって創られたかのような感じで聴くことができる。
【0063】
バーチャルスピーカー8′のサウンドはルーム10(図1参照)に位置したダミーヘッド測定に使用されたリアルスピーカー8のサウンドに似ている。
【0064】
図7のシステムの全体の伝達関数は:
【数10】
Figure 2004526364
【0065】
茲で:
HVSはヒューマンーバーチャル化スピーカーコンステUーションでありH(P-room)はプレーバックルームの伝達関数である。
【0066】
図8は3個のバーチャルスピーカー8II、8III 及び8IVをシミュレートする2スピーカーバーチャル化システムの図解である。
2個のフイルター46及び48は第1のオーディオ源40とアダー42及び44の間に位置し、フイルター50及び52は第2のオーディオ源54をフイルターし、フイルター56及び58は第3のオーディオ源60をフイルターする。
【0067】
左側のアダー42は全ての左側フイルター(46、50及びの結果の和で右側のアダー44は全ての右側フイルター(48、52及び58)の結果の和である。アダー42及び44の出力はパワーアンプ62及び64で増幅され、左側スピーカと右側スピーカー8及び8′によってそれぞれ再生される。各々のペアーになったフイルターの伝達関数はそれぞれのバーチャルスピーカーの位置を決定する。
【0068】
上述の方法は如何なる数のバーチャルスピーカーの再生にも適しており、特定のアジマス、エレベーション及びディスタンスのレンジの制限はない。オリジナル測定に使用されたルームを変更することにより異なったアコースティック環境をシミユレートすることも可能である。
【0069】
このシステムに更にリアルスピーカーを追加して、次の数学的部分で説明している通りリスニング体験を更に更なる範囲をコントロールすることも可能である。
【0070】
先行技術と本発明のシステムの物性的及び数学的発展は次の通りである。
【0071】
先行技術のシステムでは、左側フイルターのためのEg.9の使用でEg.13の発展は次の通りである。:
【数11】
Figure 2004526364
【0072】
明らかにバーチャル化されたシステムの音はスピーカーシステムの音とは大きく異なっている。パワーアンプ、スピーカー、マイクロフォン及びマイクロフォン、プレアンプの伝達関数からリニア部を事前測定し除去することは可能であるが、これらのデバイスの非リニア部はアクテブのままである。
【0073】
ダミーヘッドの耳翼と耳管の伝達関数をこのシステムの伝達関数から分離することは不可能であるので、この様なシステムで聴く人は彼自身の音と同じようにダミーヘッドの耳を通してフイルターされた音を聴くことになる。
【0074】
従って、先行技術のバーチャル化システムはリアルスピーカーからの音とは異なったものとなる。
【0075】
先行技術のシステムと対比して、本発明によればフイルターディスクリアションのためのEg.11の使用でEg.13の発展は次の通りである。:
【数12】
Figure 2004526364
【0076】
同様にEg.14の発展は次のような結果として表される。:
【数13】
Figure 2004526364
【0077】
これらの方程式からバーチャル化されたシステムとリアルスピーカーシステムの差はダミーヘッドの妨害特性とリスナーのヘッドとの差であることが分かる。妨害特性とリスナーのヘッドとの差の一番顕著な差はヘッドサイズの違いによって生じる。この違いが両方の耳に到達する時間の異なったデイレイとなる。
【0078】
自動的に変更してリアルサゥンドのようにするためバーチャル化システムにするようそのシステムに調整機能を持たすことも可能である。
【0079】
プレイバック用ヘッドフォンが実験に使用されるものと類似したものであればバーチャル化されたレステムは角度αに置かれたスピーカーを有するリアルスピーカーシステムと殆ど同じ音を出す。実験には最良の機器と最良のレコーディングルームを使用するのが望ましい。
バーチャル化されたレステムのサウンドは実験に使われたその部屋に置かれて実験に使われたそのスピーカーのサウンドとなる。
【0080】
従って、事実リスナーは比較的単純で安上りの機能を使い、優れたスピーカーと優れたプレイバックルームをシミュレートすることが可能となる。
【0081】
2スピーカーサラウンドシステム(図7Eg.15及びEg.16)の伝達関数を表す2つの方程式は:
【数14】
Figure 2004526364
【0082】
リアルルーム(図3で述べた)に位置したリアルスピーカーの伝達関数とを等しくするためには:
【数15】
Figure 2004526364
【0083】
及び:
【数16】
Figure 2004526364
【0084】
これは次のように表すことができる。
【数17】
Figure 2004526364
【0085】
この方程式で唯一の未知数は左側と右側のフイルターの伝達関数である。2つの未知数と2つの方程式があるので、これらの方程式の唯一の解を得て、フイルターの伝達関数を計算することができる。
【0086】
このシステムについて経験を加え、このシステムの特色を出すため二個以上のリアルスピーカーを使用することも可能である。
【0087】
角度θに位置した第3のリアルスピーカーとその後に第3のフイルターF3を加えると方程式は次のように変わる。:
【数18】
Figure 2004526364
【0088】
ここには解かなければならない2つの方程式と3つの未知数F(Left)、F(Right)及びF(3)がある。この制約は任意なものであり、このシステムの性質を変えるために用いられることができる。
例えば、”スイートスポット”(サラウンド経験が最適となる座位)のサイズ及び形をコントロールすることが可能である。
【0089】
更にスピーカーを追加するには更なる制約と更なるフイルターが必要となる。更なるスピーカーは更なる”スイートスポット”を加えることになり(実際には追加の一対のスピーカーが一つの新しいスイートスポットを作る)、”ダークスポット”(アコースティックエネルギーが減少する領域)を生み、又、”スイートスポット”のサイズと形をコントロールすることが示される。
【0090】
サラウンド感覚の他の特色をコントロールする他の制約も同様に発展が可能である。
【0091】
この技術の当業者には、本発明が前述の実施態様の詳細に限定されるものでなく、本発明はその精神及びその基本的範囲から逸脱することなく特定の形で実施できるのは当然明白なことである。
【0092】
従ってこれらの実施態様は全ての面で具体的であり、限定されるべきでないものであり、本発明の範囲は前述の説明によるよりも付加された請求事項により表示されるものであり、従って請求事項と等しい意味と範囲内の全ての変更はその中に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】ダミーヘッドを使っての人間の耳管の内側でオープンフィールドトランデューサーに発生させるオーディオシグナルを記録するためのシステムの図解である。
【図1B】ダミーヘッドを使っての人間の耳管の内側でオープンフィールドトランデューサーに発生させるオーディオシグナルを記録するためのシステムの図解である。
【図2A】第1図で示されたオープンエアの実験で使用された機器と同じものを用いてのヘッドフォン測定のシステムの図解である。
【図2B】第1図で示されたオープンエアの実験で使用された機器と同じものを用いてのヘッドフォン測定のシステムの図解である。
【図3A】スピーカー1個を使ってのオーディオトラックを聴く主体の略図である。
【図3B】スピーカー1個を使ってのオーディオトラックを聴く主体の略図である。
【図4A】ヘッドフォンを使ってのオーディオトラックを聴く主体の略図である。
【図4B】ヘッドフォンを使ってのオーディオトラックを聴く主体の略図である。
【図5A】ヘッドフォンのための3次元音響環境バーチャル化システムの略図である。
【図5B】ヘッドフォンのための3次元音響環境バーチャル化システムの略図である。
【図6】スピーカーをベースにした3次元音響環境バーチャル化システムのためのオンサイト測定システムの略図である。
【図7】スピーカーをベースにした3次元音響環境バーチャル化システムの図解。
【図8】3つのバーチャルスピーカーをシミュレートする2スピーカーバーチャルシステムの図解である。

Claims (7)

  1. 最低2チャンネル再生デイバイスを用いたオーディオシステムでの3D音響環境をシミユレートする方法で、前記の方法は:
    最初に最低1個のスピーカーを使用し、次にヘッドフオンを使用して、第1及び第2の擬似ヘッド関連伝達関数(HRTF)データを発振させ、
    前記のデータの第1及び第2の周波数リプレゼンテーションの分割、又は、前記の第1及び第2のデータのタイムドメインリプレゼンテーションのデイコンボルジョンオペレータの使用、又は、前記の第1及び第2のデータのセプトラムリプレゼンテーションの削除し、
    前記の分割又は削除の結果を使用して、リスナーが使用する音響再生デイパイスに音源からのオーデイオパスの前記システムと接続可能な最低2個のフイルターを備えるためのリモートスピーカーの自然音を発生さすために操作可能なインパルスリスポンスを有するフイルターを準備することから成る。
  2. 最低1個のスピーカーを用いた3D音響環境をシミユレートする方法で、前記の方法は:
    選ばれた音響環境にダミーの左側及び右側の耳、耳翼、耳管を有するダミーヘッドを置き、
    前記のスピーカーを経由して送られ、第1及び第2のマイクロフォンにより前記ダミーヘッドで受けられた第1及び第2のヘッド関連伝達関数(HRTF)の音響データをレコーディングし、
    1対のヘッドフォンを経由して前記のダミーヘッドへ送られた第3及び第4のHRTF音響データをレコーディングし、
    前記の音響データの第1及び第2の周波数リプレゼンテーション及び各スピーカーの前記の第3及び第4の音響データをそれぞれ分割、ディコンボルビング又は削除することで各オーディオ源チャンネルのための左側及び右側の耳のフイルターのための伝達関数を準備し、
    各オーディオ源チャンネルと前記のシステムに接続された2つの音響トランデューサーとの間の音響再生システムに前記の左側と右側のフイルターを導入することから成る。
  3. 最低1個のスピーカーを用いた3D音響環境をシミユレートする方法で、前記の方法は:
    選ばれたアコースティック環境の中で各耳管にミニチュアーのマイクロフォンを取り付けたリスナーのヘッドの位置確認をし、
    前記スピーカーを経由して送られ、前記のマイクロフォンで受けられた第1及び第2のヘッド関連伝達関数(HRTF)の音響データをレコーディングし、
    前記のマイクロフォンを経由して前記リスナーのヘッドへ送られた第3及び第4のHRTF音響データをレコーディングし、
    前記の音響データの第1及び第2の周波数リプレゼンテーション及び各スピーカーの前記の第3及び第4の音響データをそれぞれ分割、デイコンボルビング又は削除することで各オーディオ源チャンネルのための左側及び右側の耳のフイルターのための伝達関数を準備し、各オーディオ源チャンネルと前記のシステムに接続された2つの音響トランデューサーとの間の音響再生システムに前記の左側と右側のフイルターを導入することから成る。
  4. 前記のHRTFがパワーアンプ、スピーカー、左側及び右側の耳のルーム環境、左側及び右側の耳のダミーヘッドの妨害、ダミーヘッドの左側及び右側の耳管、ダミーヘッドの左側及び右側の耳翼、左側及び右側のマイクロフォン及びマイクロフォンのプリアンプに関る一群の関数から選ばれた最低2つの関数のコンボルジョンオペレーターを乗じて得られる請求項2又は請求項3による方法。
  5. 前記の第1又は第2の伝達関数データが次の方程式を使って計算される請求項1に記載の方法。
    Figure 2004526364
  6. オーディオ源、オーディオ再生及びプロセスの手段及び最低2つのスピーカー又はヘッドフォンを有する3D音響環境をシミユレートするためのオーディオシステムで、前記のシステムは:
    各フイルターが前記のオーディオ源と前記のスピーカー又はヘッドフォンの一つの間で接続されている最低2個のフイルター、
    請求項1による方法で準備された擬似ヘッド関連伝達関数をジエネレートして得られるインパレスレスポンスにより特徴づけられる前記の各フイルターから成る。
  7. 前記のフイルターが次の方程式で計算される請求項6に記載のシステム。
    Figure 2004526364
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