JP2004522597A - 促進化合物を含有する非研磨媒体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、米国特許第4,818,333号に開示される金属仕上方法の改良である。この改良は、加工される金属表面に対して反応性である化学物質をステンレス鋼やプラスチックなどの非研磨媒体と併用することによって実現される。本発明は、この方法を使用して仕上を行った金属物品も包含する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明により、装飾目的および/または機械的機能目的のための金属物品の表面を研磨することによって、これらの表面の等方性の超仕上が得られ、鏡面光沢が得られる。本発明は、これらの表面の研磨方法と、その方法を実施することによって得られる新規物品との療法を包含する。本発明によって形成される改良された表面は、加工された部品の性能を向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
機械加工/研削ラインが問題となる金属物品には様々な種類が存在する。作動面が重要となる機械部品の例としては、スプライン、クランクシャフト、カムシャフト、ベアリング、ギヤ、継手、およびジャーナルが挙げられる。これらの部品の場合、ラインによって表面接触性能が低くなると、摩擦、トルク、騒音、振動、作動温度が増加したり、潤滑性が低下したり、摩耗、スカフィング、塑性変形、および接触疲労、および/または屈曲疲労の領域で破壊が生じたりすることがある。ヘリコプターまたはレーシングカーのパワートレインなどの過酷な環境に配置されるギヤやその他の部品の場合、これらの種類の破壊に対する抵抗性によって、実質的な物品の耐用寿命が決定される。
【0003】
従来、重要表面(くぼんだ領域を含む)は、種々の機械研削/研磨方法によって研磨されてきた。しかしこれらの方法はいくつもの欠点を有する。複雑な形状を有する場合、機械研削工具が非常に高価であり、熟練作業者が必要であり、過度の摩耗が生じる。HRCが約42以上である金属部品は、これらの方法には適していない。機械研削では方向性のある研磨線が生じることが多く、金属表面の熱処理によって損傷が生じて破壊されやすい部分が形成されうる。最後に、機械研削は部品ごとに実施されるため、再現性および均一性の問題が生じる。
【0004】
REMケミカルズ(REM Chemicals,Inc.)は、大量生産において金属部品を研磨して平滑で光沢のある表面が得られる技術を開発しており、同社による特許で開示している。これらの技術は、機械的性能よりも装飾的外観が主要目的である場合に長年使用されてきた。これを受けて、REMの米国特許第4,491,500号は、従来の大量仕上方法の改良を開示しており、その方法ではある種の化学物質が、大量仕上装置(振動ボウルや磨きバレルなど)に加えられ、セラミック体(「媒体」と呼ばれる)および1つ以上の金属工作物とともに使用される。これらの化学物質は、金属に対して穏やかな反応性であり、表面に軟質のコーティングを形成し(「ブラックモード(blackmode)」と呼ばれる)、これは媒体を加えて振動撹拌することによって除去される。得られる面は平滑で光沢がある。‘500号特許に使用される媒体は研磨材であり、すなわち、仕上工程中により速く劣化する(中程度の研磨性または非研磨性の媒体と比較した場合)。
【0005】
REMの米国特許第4,818,333号は、‘500号特許の方法の改良を開示している。この特許には、密度が最低2.75g/ccであるセラミック媒体の化合物の使用が記載されており、これは振動仕上媒体として一般に使用されるものと比較するとかなり研磨グリットが少ない。この特許に記載されている好適な媒体としては、シリカおよびアルミナのセラミックスと他の金属酸化物の併用が挙げられている。この特許の請求の範囲によると、ある規定の条件で振動仕上ボウルにて使用した場合の重量減の%値に基づいて媒体が特徴づけられる。
【0006】
REMのどちらの特許でも、開示される方法を使用して仕上を行った物品の機械的性能にの向上についてはふれられていない。にもかかわらず、REMは、‘500号特許および‘333号特許にしたがって加工したギヤ、ベアリング、およびその他の物品の性能を有意に向上可能であることを示している。さらにREMは、これらの特許の方法をその目的で工業的に使用している。例えば、米国特許第5,503,481号には、‘333号特許の方法を使用してベアリングに等方性表面を形成することによってそれらの部品の疲労寿命が延長されることが記載されている。しかし、‘500号特許および‘333号特許に使用される媒体は、機械的性能の向上を目的とした仕上方法には理想的ではない。‘333号特許の媒体は、平均ダイヤモンドピラミッド硬度(DPH)値が少なくとも890であり、そのため部品の露出面に機械的なテクスチャーが形成される。本発明は装飾的仕上にも使用可能であるが、本発明は、より軟質で非研磨性である媒体(金属および/またはプラスチックなど)を使用することによって媒体の硬度に関する問題に対処している。
【0007】
より軟質な非研磨媒体は、従来金属表面の研磨に工業的に使用されている。例えば、ABRIL法では、亜鉛媒体が使用されるが、研磨コンパウンドも併用される。
【0008】
REMは、本出願の提出の1年以上前に、真鍮製およびステンレス鋼製の部品の仕上のために反応性化学物質を併用するあるプラスチック研磨媒体を工業的に使用していた。しかしこれらの方法で形成される表面のR(6マイクロインチ〜10マイクロインチ)は鏡面光沢または超仕上には不十分であった。本明細書に開示される方法によって、REMは金属物品の超仕上によってより優れた等方性表面を得られるようになった。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、金属表面の超仕上によって鏡面光沢と等方性仕上を得る方法を含む。一般にこの方法は、非研磨媒体、および前記金属物品表面と反応して表面をより軟質な形態に変えることができる化学溶液とともに振動仕上ボウル中に物品を入れる工程を含む。次にこれらの材料は、物品の所望の表面を得るために十分な時間撹拌される。本発明の1つの実施態様では、非研磨媒体はプラスチック媒体である。別の実施態様では、この媒体は金属である。好ましくは、媒体は化学溶液とは有意に反応しない。
【0010】
金属製またはプラスチック製の媒体を使用することによって、‘500号、‘481号、および‘333号の特許に開示される方法に対していくつかの利点が得られる。前述したようにこれらの媒体はより軟質であるため、加工される表面に機械的テクスチャーが形成されにくい。さらに、プラスチックおよび金属の材料は(セラミックスと比較すると)特定の形状および寸法への成形が容易であり、このことは種々の形状および大きさの部品の仕上に重要である。本発明の方法は、以下のいくつかの実施例によって示される。これらの実施例は、本発明の他の実施態様を示しており、特に本明細書に開示される方法を使用して加工される物品を示している。
【0011】
定義
以下の定義は、本発明の説明および/または請求の範囲に使用される。
【0012】
「R」(算術平均粗さ)は、ISO規格4287(DIN規格4768と同じ)に準拠して定義され測定される。
【0013】
max(または最大粗さ深さ)は、DIN規格4768に準拠して定義され測定される。
【0014】
「超仕上表面」は、Rが2.5マイクロインチ以下である表面である。
【0015】
「等方性表面」は、表面の不規則性に実質的に方向性を有さない表面である。
【0016】
「媒体」は、仕上が行われる物品以外に振動仕上ボウルに入れられる固形物である。
【0017】
「鏡面光沢」は、物体がきれいに反射されて見ることができる表面の性質である。
【0018】
「非研磨」媒体は、意図する一連の加工条件下で、重量減が0.1%/時未満であり、規定の超仕上表面条件が実現される媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、超仕上され、鏡面光沢を有する等方性表面を金属物品上に形成する方法を提供する。金属物品は、この技術分野で公知の従来方法によって機械加工される。代表的な最終製造工程では、物品は超仕上によって鏡面光沢を有する等方性仕上が得られる。このための手順を以下に述べる。
【0020】
仕上方法
超仕上等方性表面は、米国特許第4,818,333号、第4,491,500号、および第5,503,481号に開示される方法を大きく新しく改良した方法によって金属物品に形成することができる。
【0021】
a.振動ボウル
等方性表面は、第5,503,481号、‘500号、および‘333号特許に記載される種類の従来の振動仕上装置を使用して形成することができる。この装置は、800〜1500回転/分および振幅1mmから8mmで作動させることができる。‘333号特許には振幅2mmから4mmが好ましいと記載されている。作動中、化学溶液は、新しい溶液が連続的に供給され、使用された溶液が連続的に排出および廃棄されるように流すことができる。この溶液は、0.25〜0.4ガロン/時/立方フィートの速度で供給することができる。装置の作動によって、通常は振動システム(媒体、溶液、および部品)の温度がゆっくりと約35℃まで上昇するような熱が発生する。
【0022】
b.媒体
本発明は、異なる媒体、およびこれらの媒体と混和性の化学物質による処理によって(REMの‘333号、‘500号、および‘481号特許で得られる方法よりも)向上した仕上結果が実現される。1つの実施態様では、媒体は、振動ボウルの作動条件で非研磨性であるプラスチックで構成される。これらの媒体は、バーコル(Barcol)硬度が約57であることが好ましく、REMの‘333号特許に開示されるセラミック媒体と比べると「軟質」である。後述の化学処理条件下で、これらの軟質プラスチック媒体を使用すると、REMの‘333号特許のセラミック媒体を使用して実現されるよりも優れた表面処理が行われる。好適な(そして市販されている)プラスチック媒体の例は、ウォルサー・トロウォル(Walther Trowal,Ltd.)より販売されるトロウォルプラスト(TROWALPLAST)PPである。この媒体は、不飽和ポリエステル樹脂で接合させた50(重量)%のアルミナで構成される。この密度は約1.8g/cmであり、結晶粒度は0.9mm未満である。
【0023】
本発明の別の実施態様では、媒体は、化学処理条件で不活性である金属で構成される。以下に説明する化学処理に適合した材料の1つはAISIグレード302ステンレス鋼である。これらの媒体は、種々の形状および寸法のものが種々の供給元から入手可能である。アボットボール(Abbott Ball)は、このような媒体の供給元の一つです。これらの媒体を使用する場合、質量輸送能力のより大きな振動ボウルを使用する必要が生じることもある。
【0024】
c.化学溶液
本発明で有用な化学溶液は、REMの‘500号および‘333号特許に一般的に記載されている。化学溶液は、処理される物品の金属と反応して、表面上に反応生成物の軟質のコーティング(「ブラックモード」)を形成する。これらの溶液に使用される反応性化学物質としては、リン酸またはリン酸塩、スルファミン酸、シュウ酸たはシュウ酸塩、硫酸または硫酸塩、クロム酸またはクロム酸塩、重炭酸塩、脂肪酸または脂肪酸塩、またはこれらの物質の混合物を挙げることができる。化学溶液は、亜鉛、マグネシウム、リン酸鉄など、ならびに、過酸化物、m−ニトロベンゼン、塩素酸塩、亜塩素酸塩、過硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩化合物などの無機または有機酸化剤などの活性化剤または促進剤を含有してもよい。
【0025】
本発明で有用な種々の化学溶液がREMケミカルズより販売されている。これらの溶液は、約15重量%から45重量%の範囲の酸/塩成分、1重量%の範囲の促進剤、および0重量%から15重量%の酸化剤を含む。本発明で使用可能な具体的な配合物としては、以下のREM製品が挙げられる。
【0026】
1.フェロミル(FERROMIL)(登録商標)FML 575 IFP、無機リン酸塩と自社開発の酸化剤および界面活性剤との混合物を含有する酸性水溶液。
【0027】
2.フェロミル(FERROMIL)(登録商標)VII AERO−700、自社開発の界面活性剤および抑制剤を含有する有機酸水溶液。
【0028】
3.過酸化水素および自社開発の抑制剤を含有するレム(REM)(登録商標)カッパーミル(COPPERMIL)7。
【0029】
これらの配合物は濃縮物として販売されており、ボウルに供給される化学溶液を調製するために水で希釈することができる。通常、希釈によって濃縮物が溶液の5容量%から80容量%となる。
【0030】
この処理の後、金属物品の艶出しを行うための第2の溶液を振動ボウルに加えることが多くの場合望ましい。鋼用の好適な艶出し溶液は、REMケミカルズより販売されるフェロミル(FERROMIL)(登録商標)FBC−218である。この溶液は、無機リン酸塩錯体と自社開発の界面活性剤とを含有する。レム(REM)(登録商標)カッパーミル(COPPERMIL)CBC−235艶出し剤はREMケミカルズより販売され、真鍮用に好適である。これも自社開発の界面活性剤と抑制剤を含有するリン酸水溶液系製品である。
【0031】
本発明は、ブラックモードの形成速度と除去速度のバランスをとることによって等方性表面を形成することができる。ブラックモードが硬質すぎる場合は、除去するためのエネルギーが不十分であり、効率的な研磨が行えない。ブラックモードが軟質すぎると、加工によってテクスチャーのある表面が形成される。ブラックモードの性質は、工程終了後に許容範囲内の部品が得られるような均一仕上を得るためにも重要である。バランスのとれた工程条件の複数の例を以下に示す。
【0032】
以下は本発明の実施例であり、REMの‘333号特許に開示される方法と比較している。
【実施例1】
【0033】
(比較例)
SAE4140鋼クーポン(HRC43〜45)、および可動レンチ(HRC42〜45)について、REMの‘333号特許に開示される方法によって仕上を行う。
【0034】
10立方フィートのスウェコ(Sweco)振動ボウルを、リード角60度および振動振幅4.0mmで使用する。媒体は、REMの‘333号特許に「媒体C」として開示される組成物であるフェロミル(登録商標)メディア#9(REMより入手可能)である。これらの媒体を3/4インチの円錐形で使用する。化学溶液は前述のフェロミル(登録商標)FML−575 IFPであり、これを流速3.75ガロン/時で6.75時間のあいだ12.5容量%に維持する。続いて、24ガロン/時の流速で4時間のあいだ1容量%に維持したフェロミル(登録商標)FBC−218溶液(前述)を供給して部品の艶出しを行う。ボウルには20平方フィートの4140鋼製棒(HRC43〜45)が取り付けられる。
【0035】
プロフィルメーターで測定すると、鋼クーポンの初期Rは23.4(本明細書に記載のすべてのRおよびRmaxの値の単位はマイクロインチである)であり、初期Rmaxは200である。加工後、クーポンのRは1.46となり、Rmaxは13.7となり、中程度の鏡面光沢が得られる。図1(a)は、フェロミル(登録商標)メディア#9によるHRCが43〜45の4140鋼クーポンの最終表面仕上で多数のテクスチャーが形成されることを示している。
【0036】
可動レンチは、文字内部および周囲、取っ手の肩周辺、取っ手の長さ方向にブラックモードが残留し、十分仕上が得られない。粗さ測定は、マール(Mahr)製造のモデルMP4iパーソメーター(Perthometet)(追跡長さ0.06インチ)にガウスフィルターを取り付けて行った。
【実施例2】
【0037】
プラスチック媒体による仕上
SAE4140鋼クーポン(HRC43〜45)、および可動レンチ(HRC42〜45)について、本発明の1つの実施態様により仕上を行う。
【0038】
10立方フィートのスウェコ振動ボウルを、リード角60度および振動振幅4.0mmで使用する。媒体は、ウォルサー・トロウォルのトロウォルプラストPP媒体(前述)である。これらの媒体は19mmの円錐形で使用する。化学溶液は前述のフェロミル(登録商標)FML−575 IFPであり、これを流速3.75ガロン/時で6.75時間のあいだ12.5容量%に維持する。続いて、24ガロン/時の流速で4時間のあいだ1容量%に維持したフェロミル(登録商標)FBC−218溶液(前述)を供給して部品の艶出しを行う。ボウルには20平方フィートの4140鋼製棒(HRC43〜45)が取り付けられる。
【0039】
プロフィルメーターで測定すると、鋼クーポンの初期Rは20.3であり、初期Rmaxは230である。加工後、クーポンのRは0.49となり、Rmaxは7.32となる。最終的な外観では、クーポンは優れた鏡面光沢が得られ、すなわち表面は鏡のように反射性となる。図1(b)は、フェロミル(登録商標)メディア#9を使用するよりも、トロウォルプラストPP媒体を使用する方が、HRCが43〜45の4140鋼クーポンの表面仕上げが優れていることを示している。
【0040】
可動レンチの仕上げも、実施例1の結果よりも優れていた。取っ手の肩または隆起した文字の上にブラックモードは残留しない。この実施例の仕上は、‘333号特許の手順(実施例1)を使用して得られる仕上よりも優れている。
【実施例3】
【0041】
ステンレス鋼媒体による仕上
8620表面硬化クーポンおよびギヤについて、本発明の別の実施態様により仕上を行う。
【0042】
カナダ(Canada)振動ボウル4平方インチのビブラ・フィニッシュ(Vibra Finish)を、リード角60度および振動振幅4.5mmで使用する。媒体は、302ステンレス鋼を、20w/w%の3/32インチ×3/8インチピン、40w/w%の1/8インチダイアゴナル(diagonal)、40w/w%の3/16インチボールコーン(ballcone)の混合物として使用する。化学溶液は、前述のフェロミル(登録商標)VII AERO−700であり、これを流速2.5ガロン/時で8.0時間のあいだ75容量%に維持する。続いて、20ガロン/時の流速で4時間のあいだ1容量%に維持したフェロミル(登録商標)FBC−218溶液(前述)を供給して部品の艶出しを行う。この実施例では、ボウルには20平方フィートの8620鋼製棒(HRC58〜60)が取り付けられる。ギヤ(ウェブスター(Webster)8620浸炭鋼、20歯ギヤ、8直径ピッチ、圧力角25°)はフィレット半径が約0.0469インチである。
【0043】
プロフィルメーターで測定すると、鋼クーポンの初期Rは29.8であり、初期Rmaxは262であった。加工後、クーポンのRは1.95となり、Rmaxは24.4となった。最終的な外観では、クーポンは中程度の鏡面光沢が得られる。
【0044】
ギヤの歯の側面の初期Rは41.0であり、初期Rmaxは202であった。加工後、同じ面のRは1.83となり、Rmaxは18.4であった。ギヤの歯の作動面の初期Rは10.6であり、初期Rmaxは94.4となった。加工後、同じ面のRは3.9となり、Rmaxは31.4となった。これは規格品のOEM自動車用ギアであったため、作動面の超仕上による十分な品質は得られなかった。しかし、ギアのくぼみのルートフィレットでさえも有意な表面仕上が見られた。くぼみ部分にブラックモードは存在しなかった。艶出し後に部品のわずかな変色が見られたが、鏡面の外観は失われなかった。
【0045】
プロフィルメーターで測定すると、HRCが43〜45のSAE4140鋼クーポンの初期Rは23.7であり、初期Rmaxは242であった。加工後、クーポンのRは1.46となり、Rmaxは12.0となった。図1(c)は、302ステンレス鋼媒体は、4140鋼クーポン(前述と同様の条件フェロミル(登録商標)VII AERO−700)に対して、フェロミル(登録商標)メディア#9を使用して得られる図1(a)よりも有意に優れた表面仕上げが得られることを示している。この実施例は、トロウォルプラストPP媒体で得られる仕上ほどよくはなかった。
【実施例4】
【0046】
精巧な真鍮部品のプラスチック媒体を使用した仕上
精巧な薄肉真鍮製ライターケースの仕上を、本発明の1つの実施態様に従い実施する。
【0047】
0.75立方インチのレイテック(Raytech)振動ボウルを、振動出力加減抵抗器によって25%の出力で使用する。媒体は、ウォルサー・トロウォルのトロウォルプラストPP媒体(前述)である。これらの媒体は19mmの円錐形で使用する。化学溶液は前述のレム(REM)(登録商標)カッパーミル7であり、これを流速0.3ガロン/時で5時間のあいだ10容量%に維持する。続いて、3ガロン/時の流速で1時間のあいだ1容量%に維持したレム(REM)(登録商標)カッパーミルCBC−235溶液(前述)を供給して部品の艶出しを行う。ボウルには1.3平方フィートのC36000真鍮製棒が取り付けられる。
【0048】
プロフィルメーターで測定すると、ライターの初期Rは10.7であり、初期Rmaxは77.6であった。加工後、ライターのRは1.22となり、Rmaxは13.4となった。最終的な外観では、ライターは優れた鏡面光沢が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】REMの‘333号特許の方法を使用して仕上を行ったHRCが約43〜45である4140鋼クーポンの表面のSEM画像である(図1(a))。
【図1B】プラスチック媒体を使用して実施した本発明の方法で仕上を行ったHRCが約43〜45である4140鋼クーポンの表面のSEM画像である(図1(b))。
【図1C】ステンレス鋼媒体を使用して実施した本発明の方法で仕上を行ったHRCが約43〜45である4140鋼クーポンの表面のSEM画像である(図1(c))。

Claims (8)

  1. a)金属物品を、
    i.前記金属物品の表面と反応してより軟質な形態に変化させることができる化学溶液、および
    ii.非研磨媒体、
    とともに振動仕上ボウルおよび/または類似のものに入れる工程と、
    b)超仕上され、等方性で、鏡面光沢を有する表面を前記物品に形成するために十分な時間、前記仕上ボウル中で前記物品、媒体、および溶液を撹拌する工程と、
    を含む金属物品の仕上方法。
  2. 前記非研磨媒体が、プラスチックを含む材料から製造される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非研磨媒体が、不飽和ポリエステル樹脂で接合させたアルミナから製造される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記非研磨媒体が、金属を含む材料から製造される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記非研磨媒体が、ステンレス鋼を含む材料から製造される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記非研磨媒体が、302グレードステンレス鋼を含む材料から製造される、請求項1に記載の方法。
  7. 非研磨セラミック媒体またはその他の研磨媒体で得られるよりも表面仕上げが優れている、請求項1に記載の方法。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を使用して仕上が行われる物品。
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