JP2004522380A - アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

アンテナ装置は、接地面(104)と実質的に平行に支えられるパッチ導体(102)、第1の箇所において該パッチ導体に接続される給電ピン(106)、及び該パッチ導体上の第2の箇所と該接地面との間に接続される接地ピン(108)を有する。前記給電ピンと前記接地ピンとは、リンク導体(510)によって接続され、これらのピンの間に結合される分路キャパシタンス手段を持つ。前記キャパシタンス手段の適当な値、並びに前記リンク導体の位置及び寸法が、前記アンテナに対する良好なマッチングが達成されることを可能にする。前記リンク導体は、前記パッチ導体に直接的に接続されても良く、前記リンク導体の上下両方に前記給電ピンと前記接地ピンとの間の間隙があっても良い。異なる断面積を持つ前記給電ピン及び前記接地ピンによって、並びに/又は前記パッチ導体中にスロットを設けることによってインピーダンス変換がなされ得る。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実質的に平面のパッチ導体(patch conductor)を有するアンテナ装置、及びこのような装置を組み込む無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体電話の送受話器などの無線端末は、典型的には、ノーマルモードのへリックスアンテナ若しくはメアンダラインアンテナなどの外部アンテナ、又は板状逆Fアンテナ(PIFA)若しくは類似のものなどの内部アンテナのいずれかを組み込む。
【0003】
このようなアンテナは、(波長に対して)小さく、それ故、小さいアンテナの根本的な限界(fundamental limits)のために狭帯域である。しかしながら、セルラー式無線通信システムは、典型的には10%以上の部分帯域幅(fractional bandwidth)を持つ。PIFAでこのような帯域幅を達成するためには、例えば、かなりの体積を必要とし、パッチアンテナの帯域幅と体積との間には直接的な関係があるが、このような体積は、小さい送受話器に向かう現在の傾向により容易には利用できない。更に、PIFAは、帯域幅を改善するのに必要であるパッチの高さの増大につれて共振においてリアクティブになる。
【0004】
国際特許出願第WO01/37369号は、寸法がアンテナに適当なインピーダンスマッチングをするよう選ばれる導電性マッチング素子で給電ピンと短絡ピン(shorting pin)とを連結することによってマッチングが達成されるPIFAを開示している。このようなアンテナは本質的に狭帯域である。
【0005】
欧州特許出願第EP0,867,967号は、アンテナをマッチングさせるのをより容易にする目的で、給電ピンが該給電ピンの長さを増大させるために曲折され、それによって、該給電ピンのインダクタンスを増大させるPIFAを開示している。広帯域マッチングは、このようなアンテナで達成するのは困難であり、小さいマッチングキャパシタンスを必要とする。
【0006】
本願出願人の同時係属の未公開の国際特許出願第PCT/IB02/00051号(出願人参照番号:PHGB010009)は、PIFAにおいて給電ピンと短絡ピンとの間にスロットが設けられる従来のPIFAの変形例を開示している。このような装置は、実質的に改善されたインピーダンス特性を持つ一方で、従来のPIFAより必要とする体積が小さいアンテナを供給した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、改善された平面のアンテナ装置を供給することにある。
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、実質的に平面のパッチ導体を有するアンテナ装置であって、給電ピンが第1の箇所で前記パッチ導体に接続され、接地ピン(ground pin)が前記パッチ導体上の第2の箇所と接地面(ground plane)との間に接続され、前記装置が、前記給電ピンと前記接地ピンとを接続するリンク導体(linking conductor)、及び該給電ピンと該接地ピンとの間に結合される分路キャパシタンス手段(shunt capacitance means)を更に有し、前記リンク導体の位置及び寸法、並びに前記キャパシタンス手段の値が、前記アンテナに対する良好なマッチングが達成されることを可能にするよう選択されるアンテナ装置が供給される。
【0009】
リンク導体の存在は、給電ピン及び接地ピンによって形成される短絡伝送線路(short−circuit transmission line)の長さ、従って、該短絡伝送線路のインダクタンスを低減させるよう作用し、分路キャパシタンスの値を増大させることを可能にし、これは改善された広帯域を供給する。前記リンク導体はまたパッチ導体に接続されても良く、又は前記リンク導体の上下両方にこれらのピンの間の間隙があっても良い。マッチングインダクタンスがアンテナ構造の一部として設けられるよう構成することにより、該インダクタンスは、付加的なコストなしに回路による解決法(circuit solution)によってもたらされるものより高いQを持つ。
【0010】
給電ピンと接地ピンとは、インピーダンス変換をするために異なる断面積を持ち得る。他の例においては、又は更に、前記給電ピン及び前記接地ピンの一方又は両方が、インピーダンス変換をするために複数の導体で形成され得る。前記インピーダンス変換はまた、国際特許出願第PCT/IB02/00051号において開示されているような前記給電ピンと前記接地ピンとの間のパッチ導体中のスロットによってもなされ得る。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば、本発明に従って作成されるアンテナを含む無線通信装置が供給される。
【0012】
添付図面を参照し、一例として、本発明の実施例を以下に記載する。
【0013】
図面において、同じ参照符号は、対応する特徴を示すために用いられている。
【0014】
【発明の実施の形態】
送受話器上に取り付けられるPIFAの透視図が図1に示されている。PIFAは、送受話器の一部を形成する接地面104と平行に支えられる長方形のパッチ導体102を有する。アンテナは、給電ピン106を介して給電され、(接地ピンとしても知られる)短絡ピン108によって接地面104に接続される。給電ピンと接地ピンとは、構成の便利のために典型的には平行であるが、このことは、アンテナの機能のためには必須ではない。
【0015】
PIFAの典型的な実施例において、パッチ導体102は、寸法20×10mmを持ち、大きさが40×100×1mmである接地面104より8mm上に配置される。給電ピン106は、パッチ導体102と接地面104との両方の隅に配置され、短絡ピン108は、給電ピン106から3mmだけ離される。これらのピン106及び108の各々は、1mmの幅を備える平面である。
【0016】
PIFAのインピーダンスが誘電性であることは良く知られている。このことの1つの説明は、給電ピン106及び短絡ピン108上の電流を差動モード(等量且つ逆方向の、無放射の)電流とコモンモード(同方向の、放射の)電流との合計とみなすことにより与えられる。差動モード電流に対して、給電ピン106及び短絡ピン108は、短絡伝送線路を形成し、この短絡伝送線路は、波長に対して非常に短い長さ(図1において示されている実施例においては8mm、即ち2GHzにおける0.5λ)のために誘電性リアクタンスを持つ。この誘電性リアクタンスは、アンテナ給電にわたって分路インダクタンスのように作用する。アンテナ102にマッチングさせるために、分路キャパシタンスが、アンテナの共振周波数において前記インダクタンスと共振することによって該インダクタンスを無視する(tune out)ために給電ピン106と短絡ピン108との間に設けられる必要がある。これは、分路コンデンサによって設けられ得るが、既知のPIFAにおいては、前記キャパシタンスは、典型的には、アンテナの形状寸法を変更することによって設けられる。例えば、これは、パッチ導体102を給電ピン106に近い接地面104の方へ拡大して接地に対して幾らかの付加的なキャパシタンスを設けることによってなされ得る。
【0017】
図1に示されている複合アンテナ(combined antenna)102及び接地面104のリターンロス(return loss)S11が、Ansoft Corporationから入手可能な高周波ストラクチャ・シミュレータ(HFSS)を用いてシミュレートされた。0.45pFの分路コンデンサでマッチングされる場合の(120Ωを基準とする)800MHzと3000MHzとの間の周波数fに対する結果が図2に示されている。同じ周波数範囲にわたってシミュレートされたインピーダンスを図示するスミスチャートが図3に示されている。マッチングコンデンサなしでシミュレートされたインピーダンスを図示する他のスミスチャートが図4に示されており、マッチングさせてないインピーダンスの誘導的な性質を示している。
【0018】
このアンテナ装置は、略々440MHzの6dB帯域幅及び略々200MHzの10dB帯域幅を持つ。伝送線路の分路インダクタンスが低減され、コンデンサの値が増大される場合に、帯域幅は著しく改善され得る。これは、第一次近似(first approximation)として、アンテナが実質的に一定の抵抗を備える直列共振LCR回路のように見えるからである。このような回路は、相補形並列(complementary parallel)LC回路によって最も良く広帯域化(broadband)される。(短絡伝送線路によって設けられる)並列回路のインダクタンスを低減させ、キャパシタンスを増大させることは、アンテナの応答を補完してより良くし、それ故、帯域幅の改善においてより効果的である応答を供給する。
【0019】
この目的は、本発明に基づいて、図5中の側面図において示されているように給電装置を変更することにより、達成され得る。この変更においては、給電ピン106と短絡ピン108とをともにこれらのピンの長さの大部分にわたって接続するリンク導体510が設けられる。図5において示されているように、リンク導体は、給電ピン106と短絡ピン108とをこれらのピンがパッチ導体102に接触する箇所から接続し、それ故、パッチ導体102にも接続される。しかしながら、この装置は必須ではなく、別の実施例においては、リンク導体510の上下両方にこれらのピン106及び108の間の間隙があり得る。これは、リンク導体が、差動モード電流に対してピン106及び108の間の経路を設ける一方、コモンモード電流には最小限の影響しか及ぼさないからである。従って、設けるリンク導体510は、(給電ピン106及び短絡ピン108とともに)短絡伝送線路を形成するのに十分な高さを持ち、リンク導体510はパッチ導体まで延びている必要はなく、リンク導体510はただ単に薄いストラップを有し得る。
【0020】
例として、リターンロスS11を決定するためのシミュレーションが行なわれた。このシミュレーションにおいて、導体510は、6mmの長さを持ち、給電ピン106と短絡ピン108とをこれらのピンの長さのうちの2mmについては接続されないままにした。1.75pFの分路コンデンサでマッチングされる場合の(120Ωを基準とする)800MHzと3000MHzとの間の周波数fに対する結果が図6に示されている。同じ周波数範囲にわたってシミュレートされたインピーダンスを図示するスミスチャートが図7に示されている。図1の従来のPIFAと比較して、6dB帯域幅は550MHzまで25%だけ改善される一方で、10dB帯域幅は390MHzまでほとんど倍増される。この改善された帯域幅は、図7及び3に示されているスミスチャートを比較することにより明らかに分かり得る。
【0021】
マッチングコンデンサなしでシミュレートされたインピーダンスを図示する他のスミスチャートが図8において示されており、このスミスチャートは前記コンデンサなしでのマッチングが非常に劣っていることを示している。これは、付加的なマッチングさせる構成要素が用いられない国際特許出願公開第WO01/37369号において開示されているアンテナ装置と全く対照的である。このような装置は、分路インダクタンスが与えられる場合に50Ωに対するマッチングが達成され得るように低いコモンモード抵抗を必要とする。この制約は、アンテナが本質的に狭帯域であることを意味する。
【0022】
リンク導体510の長さを増大させ、より高い値のコンデンサ(higher−valued capacitor)を用いることによって更により良いパフォーマンスが達成され得ることは明らかである。
【0023】
アンテナがマッチングされるインピーダンスは、本願出願人の同時係属の未公開の国際特許出願第PCT/IB02/00051号(出願人参照番号:PHGB010009)に記載されているように、給電ピン106及び短絡ピン108の相対的な厚さを変更することによって変えられ得る。これは、コモンモード電流は給電ピン106中の電流と短絡ピン108中の電流との合計であり、従って、これらのピンの相対的な厚さ(従って、インピーダンス)を変更することによって、これらのピンの間の電流の割合は変動され得るからである。例えば、短絡ピン108の断面積が増大され、短絡ピン108のインピーダンスを低減させる場合には、給電ピン106におけるコモンモード電流が低減され、アンテナの実効インピーダンスが増大されるであろう。このような作用効果はまた、給電ピン106及び短絡ピン108の一方若しくは両方を並列に接続された複数の導体と置き換えることによって、又はこれらの方法の組み合わせによっても達成され得る。
【0024】
インピーダンス変換はまた、国際特許出願第PCT/IB02/00051号において開示されているように給電ピン106と短絡ピン108との間のパッチ導体102中にスロットを設けることによっても構成され得る。パッチ導体中に非対称にスロットを配設することにより、その場合に、パッチ導体102は異なる寸法の導体を持つ短絡2導体伝送線路のように見えることから、給電ピン106及び短絡ピン108によって運ばれる相対的な電流は変動され得る。パッチ導体102が電話器ケーシングの内側表面上にプリントされ得る移動体電話の実施例において、このような装置は、(バネ付きの接点(sprung contact)のように設けられ得る)共通の給電ピン106及び接地ピン108を用いながら、様々なパッチ導体の形状構成によって様々なアンテナインピーダンスが設けられることを可能にするという利点を持つ。
【0025】
本発明は、単バンドPIFA(single band PIFA)に関して記載されているが、デュアルバンド又はマルチバンドの形状構成に容易に適用され得ることは明らかであろう。このような実施例においては、各帯域に対して適当なキャパシタンスが、周波数選択式の受動回路網(frequency−selective passive network)を介して容易に設けられ得る。所要のキャパシタンスは、1つ以上のデスクリートコンデンサ(discrete capacitor)として設けられる代わりに、既知の技術範囲によって、アンテナ構造の集積部品として設けられ得ることも明らかであろう。
【0026】
上記でPIFAに関して詳細に記載されているが、本発明は、より広い適用可能性を持ち、より広い帯域幅及びより良好なフィルタリングを供給するように、アンテナ給電装置が2つの伝送線路を有するとみなされることができ、伝送線路インピーダンスが相補形回路素子と共に用いられ得るように伝送線路の長さが選択されるいかなるモノポールのようなアンテナ装置でも用いられ得る(PIFAは大きいトップロード(top−load)を持つ非常に短いモノポールアンテナとみなされ得る)。
【0027】
上記のPIFA装置において、伝送線路は短絡伝送線路であり、回路素子はコンデンサであった。しかしながら、伝送線路が(容量性インピーダンスを備える)開回路であり、相補形回路素子がインダクタである別の装置もあり得る。このような装置は、リンク導体510を取り除き、パッチ導体102の縁まで延在し、インダクタとマッチングさせるのに適当な容量性インピーダンスを設けるよう選ばれる長さを持つスロットをパッチ導体102中に設けることにより図5のPIFAを変更することによって形成され得る。
【0028】
開回路装置はあり得るが、短絡伝送線路を用いる方が、これが相補形回路素子としてコンデンサを用いることを可能にすることから更に好ましい。コンデンサは、一般的に、インダクタ(典型的には約40)と比べてより高いQ(移動通信の周波数において典型的には約200)を持ち、より良い公差(tolerance)も持つ。アンテナ基板上にインダクタンス(PIFAの場合の空気)を置くことは、該インダクタンスが高品質であり、高品質のデスクリートコンデンサと共に用いられ得ることを意味する。場合によっては、とりわけ、利用可能な回路技術が乏しい場合には、(例えば開回路伝送線路の場合に)アンテナ基板上に直接的にコンデンサを形成することは有益であり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】送受話器上に取り付けられるPIFAの透視図である。
【図2】0.45pFのコンデンサでマッチングされた図1のアンテナのためのMHz単位の周波数に対するdB単位のシミュレートされたリターンロスS11のグラフである。
【図3】800MHz乃至3000MHzの周波数範囲にわたって、0.45pFのコンデンサでマッチングされた図1のアンテナのシミュレートされたインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図4】800MHz乃至3000MHzの周波数範囲にわたって、マッチングさせていない図1のアンテナのシミュレートされたインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図5】本発明に従って作成されたアンテナ給電装置の側面図である。
【図6】図5の給電装置を介して給電され、1.75pFのコンデンサでマッチングされたPIFAのためのMHz単位の周波数に対するdB単位のシミュレートされたリターンロスS11のグラフである。
【図7】800MHz乃至3000MHzの周波数範囲にわたって、図5の給電装置を介して給電され、1.75pFのコンデンサでマッチングされたPIFAのシミュレートされたインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図8】800MHz乃至3000MHzの周波数範囲にわたって、図5の給電装置を介して給電され、マッチングさせていないPIFAのシミュレートされたインピーダンスを示すスミスチャートである。

Claims (10)

  1. 実質的に平面のパッチ導体を有するアンテナ装置であって、給電ピンが第1の箇所で前記パッチ導体に接続され、接地ピンが前記パッチ導体上の第2の箇所と接地面との間に接続され、前記装置が、前記給電ピンと前記接地ピンとを接続するリンク導体、及び該給電ピンと該接地ピンとの間に結合される分路キャパシタンス手段を更に有し、前記リンク導体の位置及び寸法、並びに前記キャパシタンス手段の値が、前記アンテナに対する良好なマッチングが達成されることを可能にするよう選択されるアンテナ装置。
  2. 前記接地面が、前記パッチ導体から離間され、該パッチ導体と同一の広がりを持つことを特徴とする請求項1の記載の装置。
  3. 前記給電ピンの断面積と前記接地ピンの断面積とが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記給電ピンが複数の導体を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 前記接地ピンが複数の導体を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記給電ピンと前記接地ピンとが実質的に平行であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記キャパシタンス手段がデスクリートコンデンサを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記リンク導体の上縁が前記パッチ導体に接続されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
  9. 前記パッチ導体が、前記第1の箇所と前記第2の箇所との間にスロットを組み込むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアンテナ装置を含む無線通信装置。
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