JP2004520817A - ワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、アレルギー性疾患の治療、予防、または改善のための新規な薬剤の提供に関する。とくに、新規な薬剤は、IgEに由来するエピトープまたはミモトープである。提供される新規な領域は、受動的および能動的な免疫防御または免疫治療のいずれの標的にもなりうる。本発明はさらに、該薬剤の製造方法、それを含有する医薬組成物、および医療におけるその使用に関する。このほかに本発明の態様を構成するのは、本発明に係るIgE領域に結合することのできるリガンド、とくにモノクロナール抗体、および受動的な免疫治療または免疫防御としての医療におけるその使用である。

Description

【0001】
本発明は、アレルギー性疾患の治療、予防、または改善のための新規な薬剤の提供に関する。とくに、新規な薬剤は、IgEに由来するエピトープまたはミモトープである。これらの新規な領域は、受動的および能動的な免疫防御または免疫治療のいずれの標的にもなりうる。本発明はさらに、該薬剤の製造方法、それを含有する医薬組成物、および医療におけるその使用に関する。このほかに本発明の態様を構成するのは、本発明に係るIgE領域に結合することのできるリガンド、とくにモノクロナール抗体、および受動的な免疫治療または免疫防御としての医療におけるその使用である。
【0002】
アレルギー性応答において、アレルギーに関連する共通した症状は、ヒスタミンのようなアレルギー性メディエーターが免疫細胞から周囲組織中および脈管構造中に放出されることにより引き起こされる。アレルゲン特異的IgEとの相互作用により放出が誘発される時点まで、ヒスタミンは、通常、マスト細胞および好塩基球に貯蔵されている。喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、I型過敏症、およびアレルギー性鼻炎のようなアレルギー性応答を媒介する際のIgEの役割は周知である。花粉またはチリダニアレルゲンのような抗原に遭遇すると、B細胞はアレルゲン特異的IgEの合成を開始する。次いで、アレルゲン特異的IgEは、好塩基球上およびマスト細胞上のFcεRIレセプター(高親和性IgEレセプター)に結合する。続いて、アレルゲンとの遭遇が起これば、隣接したIgE/FcεRI複合体の架橋によりマスト細胞または好塩基球からのヒスタミン放出が誘発される(Sutton and Gould, Nature, 1993, 366: 421−428; EP 0 477 231 B1)。
【0003】
すべての免疫グロブリンに見られるように、IgEは、2本の重鎖と2本の軽鎖とを含む。ε重鎖は、5つのドメイン、すなわち、1つの可変ドメイン(VH)と4つの定常ドメイン(Cε1〜Cε4)とからなる。IgEの分子量は、約190,000Daであり、重鎖は約550アミノ酸の長さである。IgEの構造については、PadlanおよびDavis(Mol. Immunol., 23 1063−75, 1986)ならびにHelmetら(1990年10月2日付でPDBに寄託された2IgEモデル構造(Protein Data Bank, Research Collabarotory for Structual Bioinformatics; http://pdb−browsers.ebi.ac.uk))の文献に論じられている。IgEドメインのそれぞれは、2つのβシートに分類されるa〜fと名づけられた伸長(β)ポリペプチドセグメントの7本の逆平行ストランドを有する潰れたバレルからなる。4本のβストランド(a、b、d、およびe)が1つのシートを形成し、3本のストランド(c、f、およびg)からなる第2のシートに積重ねられている。各βシートの形状は、各シート内の隣接した逆平行ストランドのアミノ酸残基の側鎖が横方向に充填されることにより保持されている(そして、これらのストランド間で主鎖が水素結合することによりさらに安定化されている)。非伸長(非β)コンホメーションを形成する残基のループは、1つのシート内または対向するシート間に逆平行βストランドを拘束する。aストランドからbストランドへの結合はA−Bループと名づけられ、他も同様である。A−Bおよびd−eループは、トポロジー的には四本鎖シートに属し、ループf−gは、三本鎖シートに属する。対をなす対向シート間の境界は、球形ドメインの疎水的内部を形成する。水の進入が不可能なこの主に疎水性のコアは、対向するβシートに由来する互に向かい合った残基の側鎖の稠密充填により生ずる。
【0004】
過去において、IgE媒介ヒスタミン放出機序を妨害するようにデザインされたいくつかの受動的または能動的な免疫治療法の研究がなされてきた。これらの方法としては、受動的に投与される抗体を用いるかまたはレセプターに競合的に結合するIgE由来ペプチドの受動的投与を用いて、FcεRIまたはFcεRII(低親和性IgEレセプター)レセプターに結合するIgEまたはアレルゲン/IgE複合体を妨害する方法が挙げられる。このほか、ヒスタミン放出抑制性免疫応答を刺激する能動免疫におけるIgE由来の特異的ペプチドの使用について記載している研究者もいる。
【0005】
この分野のこれまでの研究者は、彼らの研究の過程において、新たな抗アレルギー治療をデザインする際に考慮に入れなければならないいくつかの要件および問題に遭遇してきた。最も危険性の高い問題の1つは、ヒスタミン放出シグナルへのIgE架橋の関与に関するものである。ほとんどの場合、能動的ワクチン接種時に抗IgE抗体が生成されると隣接するIgE−レセプター複合体の架橋によりアレルゲンの不在下でヒスタミン放出自体が誘発される可能性がある。この現象はアナフィラキシー誘発性と呼ばれる。IgE検出アッセイに一般に使用されるかなり多くの市販の抗IgEモノクローナル抗体がアナフィラキシー誘発性であり、したがって、役に立たず患者に投与すると危険であると思われる。
【0006】
抗体がアナフィラキシー誘発性であるか否は、IgE分子上の標的エピトープの位置に依存する。しかしながら、この分野の現状の知識に基づいて、多大な科学的関心をもち労力をかけたとしても、抗体もしくはエピトープがどんな特性を有しているかまたは患者に対して正もしくは負の臨床効果を有しているか否についてほとんどまたはまったく予測することができない。
【0007】
したがって、安全かつ効果的なものとするために、受動的に投与されるかまたはワクチンにより誘導される抗体は、それ自体アナフィラキシー性を有することなく、ヒスタミン誘導経路を妨害することのできるIgEの領域に結合しなければならない。本発明は、これらの目的をすべて達成し、ヒスタミン放出を阻害する非アナフィラキシー性抗体を生成させることのできる薬剤を提供する。これらの薬剤は、能動的ワクチンのベースを形成するかもしくは受動的免疫治療に適した抗体を生成させるために利用してもよいし、または治療効果を得るためにそれ自体を受動的に投与してもよい。
【0008】
IgE媒介アレルギー性応答に対してなんらかの有益な効果を有する特異的抗IgE抗体を同定するために、多くの研究が当業者により行われてきた(WO90/15878、WO 89/04834、WO 93/05810)。これらの有益な抗体により認識されるエピトープを同定し、そのようなエピトープのペプチドミモトープを作成し、それらを免疫原として用いて抗IgE抗体を産生するという試みもなされてきた。
【0009】
WO 97/31948には、このタイプの研究の例が記載されており、さらに、能動的ワクチン接種を目的として担体分子にコンジュゲートされたCε3およびCε4ドメイン由来のIgEペプチドが記載されている。これらの免疫原はワクチン接種の研究に使用することが可能であり、抗体生成の結果としてin vivoでヒスタミン放出を抑制できると言われている。この文献には、Cε3ドメインに含まれ能動的ワクチン接種の目的に有用なIgEペプチドに結合できると言われているモノクローナル抗体(BSW17)が記載されている。
【0010】
EP 0 477 231 B1には、能動的ワクチン接種による免疫防御に使用されるキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にコンジュゲートされたIgEのCε4ドメイン由来の免疫原(残基497〜506、Stanworthデカペプチドとしても知られる)が記載されている。WO 96/14333は、EP 0 477 231 B1に記載された研究の継続である。
【0011】
WO 99/67293、WO 00/50460、およびWO 00/50461にはいずれにも、ワクチン接種によりアレルギーの能動的免疫治療を行うためのIgE免疫原が記載されている。
【0012】
他の方法は、Cε3およびCε4に由来するペプチドの同定に基づくものであり、これらのペプチドは、それ自体、好塩基球上またはマスト細胞上の高親和性または低親和性レセプターに結合するIgEと競合する(WO 93/04173、WO 98/24808、EP 0 303 625 B1、EP 0 341 290)。
【0013】
本発明は、受動的または能動的な免疫防御または治療に使用されるIgEの新規な配列の同定である。これらの配列は、これまで、抗アレルギー治療剤に関連づけられなかった。本発明は、表面に露出されるものとして同定されたIgEの連続部分から単離された特異的エピトープが組み込まれたペプチドそれ自体を提供し、さらに、これらの新たに同定されたエピトープのミモトープを提供する。これらのペプチドまたはミモトープは、アレルギーの治療に単独で使用してもよいし、またはワクチン接種された被験者のアレルギー症状を抑制、軽減、もしくは除去するためのアレルギーの能動的な免疫防御もしくは免疫治療を行う際に自己抗IgE抗体を誘導すべく使用されるワクチンであってもよい。
【0014】
驚くべきことに、本発明のペプチドにより誘導される抗IgE抗体は、非アナフィラキシー誘発性であり、マスト細胞および好塩基球からのIgE媒介ヒスタミン放出を阻止することができる。
【0015】
本発明のペプチドでありかつペプチド改変のベースとして役立ちうるヒトIgEの領域は、以下のとおりである:
【表1】
Figure 2004520817
これらのうちで、とくに好ましいペプチドは、以下のリストから選択される。
Cys (359)−LVVDLAPSKGTVN−(371)Cys
Cys−(391)−KQRNGTL−(397)−Cys
Cys−(389)−EEKQRNGTLTV−(398)−Cys
Cys−(422)−HPHLPR−(427)−Cys
Cys−(421)−THPHLPRA−(428)−Cys
Cys−(420)−VTHPHLPRAL−(429)−Cys
Cys−(419)−RVTHPHLPRALM−(430)−Cys
Cys−(418)−cRVTHPHLPRALMR−(431)−Cys
Cys−(417)−QcRVTHPHLPRALMRS−(430)−Cys
Cys−(416)−YQcRVTHPHLPRALMRST−(431)−Cys [←特に好ましい]
Cys−(451)−PEWPGSRDKR−(460)−Cys
ここで、上記のペプチド配列中の小文字c(または表1中のX)は、場合により任意の他のアミノ酸残基で置換されていてもよい天然システインを示すが、この点に関しては、メチオニンによる置換が好ましい。好ましくは、置換する残基はセリンではない。括弧中の数字は、IgE分子内のアミノ酸位置を示す。プロテインDもしくはBSAにコンジュゲートされているかまたはHepBコアタンパク質内で発現されるこれらのペプチドを含む免疫原は、本発明の好ましい態様を構成する。
【0016】
これらのエピトープが組み込まれたペプチドは、本発明の好ましい態様を構成する。したがって、本発明のペプチドは、本明細書に列挙されているいずれのペプチドよりも長いこともある。たとえば、本発明のそのようなペプチドは、列挙されたペプチドを含み、列挙されたペプチドの一方または両方の末端にアミノ酸が付加されたものであってもよい。これに関連して、追加の残基は、IgEの天然配列に由来するものであってもなくてもよい。ペプチドはまた、いずれか一方の末端からアミノ酸を除去することにより、列挙されたペプチドよりも短くしてもよい。本発明のこれらの態様のいずれにおいても、残基の付加または除去には、好ましくは10個未満のアミノ酸、より好ましくは5個未満のアミノ酸、より好ましくは3個未満のアミノ酸が関与し、最も好ましくは2個以下のアミノ酸が関与する。これらのアミノ酸は、列挙されたペプチドの一方または両方の末端に付加させるかまたは該末端から除去することが可能である。
【0017】
これらのエピトープと同一の特性を有するミモトープ、および免疫応答を生じ、IgE分子の一部をなすIgEエピトープと交差反応するそのようなミモトープを含む免疫原もまた、本発明の一部を構成する。
【0018】
したがって、本発明は、これらのIgEエピトープそのものおよびそれらの任意のミモトープを含む単離されたペプチドを包含する。ミモトープの意味は、天然IgEエピトープを認識する抗体により認識されうる程度に;(Gheysen, H.M. et al., 1986, Synthetic peptides as antigens. Wiley, Chichester, Ciba foundation symposium 119, p130−149; Gheysen, H.M., Molecular Immunology, 23, 7, 709−715);または適切な担体と組み合わせたときに天然IgEエピトープと交差反応する抗体を生成することができる程度に、天然IgEと十分に類似した物質として定義される。
【0019】
本発明のミモトープは、IgE構造の表面露出領域を模擬するものであるが、それらの領域内の主要な特徴部分は、ループ構造に関連した表面露出範囲内のそれらの領域であると発明者らは考えている。IgEのドメイン構造については、”Introduction to protein Structure” (page 304, 2nd Edition, Branden and Tooze, Garland Publishing、New York, ISBN 0 8153 2305−0)に記載されており、2つの対向する逆平行βシートから構成されたβバレルの形態をとる(図8参照)。したがって、ミモトープには、隣接するシートに由来する天然アミノ酸残基であってもよいNまたはC末端の伸長部を有するループが含まれる可能性があり、Cε2−3リンカーであるHelix 3も含まれうる。この例として、P100はCε3のA−Bループを含有し;Carl4はCε3のB−Cループを含有し;Carl5はCε3のD−Eループを含有し;Carl7はCε3のF−Gループを含有し;P8はCε4のA−Bループを含有し;P5はCε3のC−Dループを含有し;P110はCε4のC−Dループを含有する。したがって、これらのループのミモトープは、本発明の態様を構成する。
【0020】
本発明のワクチンに製剤化するのに最も好ましいループは、Cε3のB−Cループ、Cε3のD−Eループ、およびCε3のF−Gループである。本発明のとくに好ましいペプチドを形成するのは、Cε2−3リンカーである。それゆえ、ペプチドおよびそれらを含む免疫原は、単独で使用することが可能である。このほか、これらの最も好ましい免疫原を含む組合せワクチンは、アレルギーの治療にとくに有用である。
【0021】
先に同定されたIgEエピトープのペプチドミモトープは、選択されたアミノ酸の付加、欠失、または置換により、特定の目的に合わせてデザインすることが可能である。それゆえ、本発明のペプチド免疫原は、本明細書に列挙されているペプチド配列の任意の残基の付加、欠失、または置換の結果として、改変することが可能である。改変が付加または置換である場合、天然または非天然のアミノ酸が含まれてもよく、さらに、IgEの対応する領域から誘導されたアミノ酸残基の付加が含まれてもよい。ペプチド配列の改変には、好ましくは10個未満のアミノ酸残基、より好ましくは5個未満の残基、より好ましくは3個未満の残基が関与し、最も好ましくは2個以下のアミノ酸残基が関与する。このようにして、本発明のペプチドは、たとえば、末端システインの付加により、あるいはダブルグリシンヘッドもしくはテールのようなリンカー配列またはリシン残基で終端するリンカーの付加により、タンパク質担体へのコンジュゲーションを容易にする目的で改変することが可能である。他の選択肢として、たとえば、ペプチドの安定性を向上させるために、D−立体異性体形の1個以上のアミノ酸の付加または置換を行って有益な誘導体を形成することも可能である。そのような改変されたペプチドまたはミモトープが、成分残基を天然に存在する20個のアミノ酸に必ずしも限定する必要のない完全にまたは部分的に非ペプチドのミモトープであってもよいことは、当業者であれば理解されよう。
【0022】
好ましくは、ペプチド配列が全IgE分子の一部をなすときの形状によく類似したコンホメーションになるようにペプチドを拘束すべく、当技術分野で公知の技術を用いてペプチドを環化させる。ペプチドを環化させる好ましい方法には、ジスルフィド架橋が形成されるように1組のシステイン残基を付加することが含まれる。
【0023】
ペプチドミモトープは、配列の方向が逆になっているという点で天然IgE配列のレトロ配列であってもよいし;またはその代わりに、配列は、全部もしくは少なくとも一部分がD−立体異性体アミノ酸(インベルソ配列)から構成されていてもよい。また、ペプチド配列は、配列方向が逆になっておりかつアミノ酸がD−立体異性体形であるという点でレトロ−インベルソの性質をもつものであってもよい。このようなレトロペプチドまたはレトロ−インベルソペプチドは、非自己であるという利点を有し、免疫系における自己寛容の問題を克服することが可能である。
【0024】
マルチペプチド免疫原(好ましくは、上述したように環化/拘束されたもの)は、列挙されたペプチド配列またはそのミモトープから形成することが可能であり、それらは免疫応答の誘導に有利であると思われる。たとえば、Helix 3は、配列内に含まれる反復ペプチドエピトープが存在するように二量体ペプチドリピートとして構築することのできるペプチドの例である。たとえば、BOAは、それぞれの末端に2つのシステインを付加してそれぞれの末端に二量体を拘束することによりペプチドの構造の自由度が制限されたHelix 3タンデムリピートを含む。このようにして、それぞれの単量体単位を構造中に拘束することが可能であり、しかも依然として天然状態に類似の伸長構造(たとえば、ヘリックス−ターン)に折畳める可能性を有する。そのようなマルチペプチド免疫原は、本発明の好ましい免疫原である。
【0025】
他の選択肢として、ペプチドミモトープは、本発明のIgEエピトープに結合できる抗体を用いてファージディスプレイ法(EP 0 552 267 B1)のような技術により同定することが可能である。この技術により、天然ペプチドの構造を模擬するゆえに抗天然ペプチド抗体に結合できる多数のペプチド配列が生成されるが、それらはそれ自体、天然IgEペプチドとの顕著な配列相同性を必ずしも共有する必要はない。この手法は、増強された免疫原性(たとえば、IgEレセプターもしくは抗IgE抗体に対するより高い親和結合特性、またはより高い親和度でIgEに結合するポリクローナル免疫応答を誘導できる性質)を有するペプチドの同定が可能であるという意味で顕著な利点をもつ可能性があるか、または天然ペプチド配列の使用に伴って生じるおそれのある潜在的な自己抗原寛容の問題を完全に克服できる可能性がある。さらに、この技術を用いれば、認識されたミモトープ配列間で共有される化学的性質により各天然ペプチドについて認識パターンの同定が可能となる。
【0026】
他の選択肢として、ペプチドミモトープは、抗IgEペプチドポリクローナル抗体に対する親和性の増大によりペプチドの免疫原性を増加させるという目的で生成させることが可能であり、その効果は、(バイオコア実験)のように当分野で公知の技術により測定可能である。これを達成するために、以下の一般規則に従ってペプチド配列を選択的に変化させることが可能である。
*構造的な束縛を保つために、プロリンおよびグリシンは置換してはならない。
*他の位置は、類似の物理化学的性質を有するアミノ酸で置換することができる。
したがって、各アミノ酸残基は、そのアミノ酸に最もよく似ているアミノ酸で置換することができる。
【0027】
したがって、本発明は、新規のエピトープおよびそのミモトープならびにアレルギーの防御または治療のための医薬組成物の製造におけるそれらの使用を提供する。本発明のエピトープまたはミモトープのうちの少なくとも一方と担体分子とを含む免疫原もまた、アレルギーの免疫防御または治療のためのワクチンに使用するために提供される。したがって、本発明のエピトープ、ミモトープ、または免疫原は、医療におよびアレルギー性疾患の医学的治療または防御に使用するために提供される。
【0028】
本発明のミモトープのサイズは、天然エピトープが見いだされる全IgEドメインから選択された領域を模擬する程度に小さいと予想される。したがって、ペプチド性ミモトープは、全長が100アミノ酸未満であり、好ましくは75アミノ酸よりも短く、より好ましくは50アミノ酸未満であり、最も好ましいのは長さが4〜25アミノ酸の範囲である。好ましいペプチドミモトープの具体例は、P14およびP11であり、それらの長さはそれぞれ13および23アミノ酸である。非ペプチド性ミモトープは、分子容に関して、対応するペプチド性ミモトープと類似の大きさであると予想される。
【0029】
どの技術を用いれば本発明の範囲内に含まれるミモトープとして特定の構築物の状態を確認しうるかは、当業者には明白であろう。そのような技術としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。推定ミモトープにより生成される抗血清が天然IgE分子と交差反応するとともにアレルギー性エフェクター細胞からのアレルギー性メディエーター放出を阻止する機能をもつという点に関して構築物の免疫原性を確認するために、推定ミモトープのアッセイを行うことが可能である。これらの応答の特異性は、ミモトープそれ自体もしくは天然IgE、および/またはIgE内のエピトープに結合することが知られている特異的モノクローナル抗体を用いて抗血清の活性を阻害することによる競合実験により確認することができる。
【0030】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのIgEエピトープまたはミモトープを担体分子に連結させてワクチン接種プロトコールに適合した免疫原を形成するが、好ましくは担体分子は天然IgE分子に関係しないものである。ミモトープは、任意にリンカー配列を介して、化学共有結合を用いたコンジュゲーションによりまたは遺伝子工学処理の施された融合パートナーの発現により、連結させることが可能である。一実施形態として、本発明のペプチドは、そのペプチド配列が融合パートナーの一次配列内に見いだされる形で融合パートナーとの融合分子として発現される。
【0031】
免疫原性担体へのペプチドの共有結合は、当技術分野で周知の方法により実施することができる。このように、たとえば、直接共有結合させるために、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、または(N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステルを利用することが可能であり、その際、CDAPおよびSPDPのような一般的な市販のヘテロ二官能性リンカーが利用できる(製造者の説明書を用いて)。結合反応の後、透析法、ゲル濾過法、分別法などにより、免疫原を容易に分離および精製することができる。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明者らは、アシルヒドラジンペプチド誘導体を調製することによりペプチドとくに環化ペプチドを担体にコンジュゲートさせることが可能であるを見いだした。
【0033】
ペプチド/タンパク質担体構築物は、以下のように作製することができる。アシルヒドラジンペプチド誘導体は、以下のスキーム1の固相ペプチド合成に示されるように固相で調製することができる。
Figure 2004520817
【0034】
これらのペプチド誘導体は、当技術分野で周知の技術により、完全自動装置で、ポリアミド担体またはポリエチレングリコール−ポリスチレン(PEG−PS)担体のいずれかを利用して、周知の「Fmoc」手順を用いて、容易に調製することができる[固相合成のための技術および手順については、’Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach’、E. AthertonおよびR.C. Sheppard著、IRL at Oxford University Press刊(1989)に記載されている]。酸媒介開裂により、線状脱保護改変ペプチドを得た。これは、’Method In Molecular Biology, Vol.35: Peptide Synthesis Protocols (M.W. Pennington および B.M. Dunn編)、第7章、第91−171頁、D. Andreauら著に概説されている方法を用いて、容易に酸化および精製することが可能であり、これによりジスルフィド架橋改変エピトープが得られる。
【0035】
このように合成されたペプチドは、次に、以下の技術を用いてタンパク質担体にコンジュゲートさせることができる:
【0036】
アリールアルデヒド官能基の導入では、スキーム2に示されるように調製したスクシンイミド活性エステル(BAL−OSu)を利用した(詳細についてはWO 98/17628を参照されたい)。BSA(ウシ血清アルブミン)などの担体のアミノ官能基の約50%までの置換では、通常、可溶性改変ペプチドが得られる。BSAの置換をさらに多くすると、不溶性構築物になる。BSAおよびBAL−OSuを等モル濃度でDMSO/緩衝液(スキーム参照)中で2時間混合した。以下のスキーム2/3−改変担体調製における遊離アミノ基に対するフルオレスカミン試験により判定した場合、実験的に得られたこのプロトコールではBSAの約50%が置換される。
Figure 2004520817
【0037】
改変ペプチドと誘導体化担体とを単純に組合せると、透析により容易に単離されるペプチド担体構築物が得られる−スキーム4−ペプチド/担体コンジュゲート。
Figure 2004520817
【0038】
本発明の免疫原で使用される担体のタイプについては、当業者であれば容易にわかるであろう。担体の機能は、IgEペプチドに対する免疫応答の誘導を助長するサイトカイン介助を提供することである。本発明に使用しうる担体としては、すべてを網羅するものではないが、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)のような血清アルブミン、破傷風毒素もしくはジフテリア毒素(TTおよびDT)もしくはCRM197のような不活化細菌毒素またはそれらの組換えフラグメント(たとえば、TTのフラグメントCのドメイン1、またはDTのトランスロケーションドメイン)、あるいはツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)が挙げられる。他の選択肢として、T細胞介助を提供できる免疫原をさらに含んでいてもよいリポソーム担体にミモトープまたはエピトープを直接コンジュゲートすることも可能である。好ましくは、ミモトープと担体との比は、1:1〜20:1程度であり、好ましくは、各担体は、3〜15個のペプチドを保持していなければならない。
【0039】
本発明の実施形態では、好ましい担体は、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のプロテインDである(EP 0 594 610 B1)。プロテインDは、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のIgD結合性タンパク質であり、Forsgrenが特許を取得している(WO 91/18926、承認されたEP 0 594 610 B1)。ある状況下では、たとえば、組換え免疫原発現系では、プロテインDのフラグメント、たとえば、プロテインD 1/3rd(プロテインDのN末端の100〜110個のアミノ酸を含む(GB 9717953.5))を使用することが望ましい場合もある。
【0040】
本発明のIgEペプチドを提供する他の好ましい方法は、組換え融合分子に組み込まれた形で提供する方法である。たとえば、EP 0 421 635 Bには、ウイルス様粒子中に外来ペプチド配列を提供するためのキメラヘパドナウイルスコア抗原粒子の使用が記載されている。したがって、本発明の免疫原は、B型肝炎コア抗原からなるキメラ粒子中に提供されたIgEペプチドを含有しうる。さらに、組換え融合タンパク質は、本発明のミモトープと、インフルエンザウイルスのNS1のような担体タンパク質とを含有しうる。本発明の一部を構成する任意の組換え発現タンパク質に対して、該免疫原をコードする核酸もまた本発明の一態様を構成し、同様に、該核酸を含有する発現ベクターおよび該発現ベクターを含有する宿主細胞(自律的にまたは染色体中に挿入)もまた、本発明の一態様を構成する。上記の宿主細胞中で発現させることにより組換え的に免疫原を産生し、そこから免疫原を単離する方法は、本発明のさらなる態様である。全長天然IgE分子またはそれをコードする全長天然DNA配列は、本発明の範囲には含まれない。
【0041】
本発明で使用されるペプチドは、当技術分野で周知の固相法により容易に合成することができる。「T−boc」法または「F−moc」法を利用することにより、適切な合成を行うことが可能である。環状ペプチドは、周知の「F−moc」法およびポリアミド樹脂を利用した固相法により完全自動装置で合成することができる。他の選択肢として、このプロセスを手動で行うために必要な実験手順については、当業者であればわかるであろう。固相合成に関する技術および手順については、’Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach’、E. AthertonおよびR. C. Sheppard著、IRL at Oxford University Press刊(1989年)に記載されている。他の選択肢として、ミモトープをコードする核酸分子を細菌または哺乳動物の細胞系で発現させてから発現されたミモトープを精製することを含む組換え法により、ペプチドを産生することが可能である。ペプチドおよびタンパク質の組換え発現の技術については、当技術分野で周知であり、Maniatis, T., Fritsch, E.F. and Sambrook et al., Molecular Cloning: a laboratory manual, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yrok (1989)に記載されている。本発明の一部を構成する任意の組換え発現タンパク質に対して、該免疫原をコードする核酸もまた本発明の一態様を構成し、同様に、該核酸を含有する発現ベクターおよび該発現ベクターを含有する宿主細胞(自律的にまたは染色体中に挿入)もまた、本発明の一態様を構成する。
【0042】
本発明の免疫原は、先に記載したようなペプチド(それらのミモトープおよび類似体を含む)を含有するものであってもよいしまたはそれらの免疫交差反応性の誘導体もしくはフラグメントであってもよい。同様に本発明の一部を構成するのは、本発明の免疫原またはペプチド、それらのミモトープもしくは誘導体をコードする核酸部分である。
【0043】
したがって、本発明は、アレルギーを防御または治療するための医薬組成物の製造における新規なエピトープまたはミモトープ(先に定義したとおり)の使用を提供する。本発明のミモトープまたはペプチドと担体分子とを含む免疫原もまた、アレルギーを免疫防御または治療するためのワクチンに使用するために提供される。したがって、本発明のミモトープ、ペプチド、または免疫原は、医療におよびアレルギー性疾患の医学的治療または防御に使用するために提供される。
【0044】
本発明のワクチンには、有利にはアジュバントが含まれていてもよい。本発明のワクチンに好適なアジュバントには、IgEペプチド免疫原に対する抗体応答を増強しうるアジュバントが包含される。アジュバントは、当技術分野で周知である(Vaccine Design − The Subunit and Adjuvant Approach, 1995, Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Eds. Powell, M.F., and Newman, M.J., Plenum Press, New York and London, ISBN 0−306−44867−X)。本発明の免疫原と併用するのに好ましいアジュバントとしては、アルミニウム塩またはカルシウム塩(水酸化物またはリン酸塩)が挙げられる。
【0045】
本発明のワクチンは、一般的には、初回抗原刺激用量および追加抗原刺激用量で投与されるであろう。追加抗原刺激用量は、適切な間隔でまたは好ましくは年1回または循環抗体のレベルが所望のレベルを下回った時に与えられるであろうと想定される。追加抗原刺激用量は、最初の担体分子を存在させずにペプチドから構成してもよい。そのように追加抗原刺激構築物は、別の担体を含んでいてもよいし、担体がまったく存在しない状態であってもよい。
【0046】
本発明のさらなる態様において、本明細書に記載の免疫原またはワクチンを医療に使用するために提供する。
【0047】
本発明のワクチン調製物は、全身的または経粘膜的経路を介して該ワクチンを投与することにより、アレルギーに罹患しやすいかまたは罹患している哺乳動物を保護または治療するために使用することが可能である。これらの投与としては、筋肉内、腹腔内、皮内、もしくは皮下経路を介した注射;または口腔/消化管、気道、尿生殖路などへの経粘膜投与が挙げられる。好ましい投与経路は、経皮的経路、たとえば、皮膚貼付剤によるものである。したがって、アレルギーに罹患しているかまたは罹患しやすい患者に本発明のペプチド、免疫原、またはリガンドを投与することを含むアレルギーの治療方法が提供される。
【0048】
各ワクチン用量中のタンパクの量は、典型的なワクチン被接種者において有意な有害副作用を伴うことなく免疫防御応答を誘発する量として選択される。そのような量は、どの特異的免疫原を利用するかまたはどのように該抗原を提供するかによって変化するであろう。一般的には、各用量には1〜1000μgのタンパク質が含まれるであろうと推定されるが、好ましくは1〜500μg、より好ましくは1〜100μgであり、なかでも1〜50μgが最も好ましい範囲である。特定のワクチンに対する最適量は、被験者の適切な免疫応答を観測することを含む標準的試験により確認することができる。最初のワクチン接種に続いて、適当な間隔をおいて1回または数回の追加免疫を患者に施すことが可能である。
【0049】
本発明の関連態様には、本発明のペプチドに結合することのできるリガンドがある。そのようなリガンドの例は、抗体(またはFabフラグメント)である。また、医療におけるおよびアレルギーを治療するための薬剤の製造におけるリガンドの使用も提供される。本明細書中の「抗体」という用語は、有用な抗原結合特異性を有する分子という意味で使用されている。抗体のフラグメントまたは誘導体でありかつ同一のまたはよく似た機能を呈しうるポリペプチドがこの用語に包含されうることは、当業者であれば容易に理解されよう。そのような抗体のフラグメントまたは誘導体は、本明細書で使用される抗体という用語に包含されるものとみなされる。
【0050】
さらに、本発明のペプチドまたは免疫原を用いてワクチン接種することにより動物中で誘導された抗体を精製し、アレルギーを防御または治療するために別の動物に受動的に投与することも可能である。本発明のペプチドは、当技術分野で公知の技術により、モノクローナル抗体ハイブリドーマ(たとえば、Koehler and Milstein, Nature, 1975, 256, p495に記載の公知の技術を使用して)、ヒト化モノクローナル抗体、またはCDRグラフト化モノクロナールを生産するために使用することも可能である。そのような抗体は、受動的な免疫防御もしくは免疫治療に使用することが可能であるかまたはIgEペプチドミモトープの同定に使用することが可能である。
【0051】
本発明のリガンドはアレルギーの防御または治療に使用しうるので、本発明のリガンドを含む医薬組成物が提供される。
【0052】
本発明の態様は、診断アッセイに使用することも可能である。たとえば、患者から採取した血清中に存在する抗IgEの力価をアッセイする際、本発明の種々のペプチドを認識する一群のリガンドを使用することが可能である。さらに、ペプチドそれ自体を用いて、循環抗IgEをタイプ分けすることも可能である。ある状況下では、たとえばアトピー患者において、循環抗IgEレベルをアッセイすることが適切な場合もありうるので、本発明のペプチドおよびポリ/モノクローナル抗体は、アトピーの診断に使用することも可能である。さらに、患者に血液を再注入する前に親和性を利用して循環IgEを患者の血液から除去するために、ペプチドを使用することも可能である。
【0053】
ワクチンの調製については、New Trends and Developments in Vaccines, edited by Voller et al., Unversity Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A. 1978に概説されている。巨大分子へのタンパク質のコンジュゲーションについては、Likhiteの米国特許第4,372,945号およびArmorらの米国特許第4,474,757号に開示されている。
【0054】
本出願で参照した引用文献中に含まれる情報は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0055】
実施例
以下の実施例により本発明について説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0056】
実施例 1: fgloop1(Carl21/ 配列番号 20) および fgloop2(Carl30/ 配列番号 29) ペプチドに対するマウス血清を用いた抗 IgE ELISA 試験
目的: 高親和性レセプターFcεRIへの循環IgEの結合を阻止することのできる抗体を上記ペプチドにより誘導することができるかを試験する。
【0057】
C末端にリンカーペプチドをもたせてCarl21およびCarl30ペプチドを合成し、fgloop1(配列: CRVTHPHLPRALMCGSK)およびfgloop2(配列: CYQMRVTHPHLPRALMRSTCGSK)ペプチドを形成した。それらをBSAにコンジュゲートさせ、マウス免疫原性を評価した。
【0058】
免疫化
水中油型エマルジョン/3D−MPL/QS21アジュバント中に製剤化された25μgのペプチド−BSAコンジュゲートを0、14、および28日目に筋肉内投与することにより、6〜8週齢の雌BALB/cマウスを免疫化した。28および42日目(2および3回目の注射の14日後)にマウスから採血した。fgloop2で免疫化されたマウスのグループは、3回目の注射の49日後に4回目の注射を受けた。
【0059】
ELISA:
最初に、ペプチド(コンジュゲート対照)およびヒトIgEの認識に関してマウス血清を試験した。これは古典的ELISA法により行った。簡潔に述べると、50μlのペプチドまたはヒトIgE(100μg/ml、炭酸塩緩衝液中またはPBS中)のいずれかを用いて+4℃で一晩かけて96ウェルプレートをコーティングした。
【0060】
洗浄し飽和させた後(PBS−0.1% Tween−5%粉乳)、50μlのマウス血清を1/500から始めて二倍段階希釈で添加した。モノクロナールマウスIgG1 Ab, PT011を標準として使用することにより、μg/ml mAb当量としてポリクロナール抗IgE応答を計算できるようにした。このmAbは、コーティングされたIgE、可溶性のIgE(IgE−FcεRIα相互作用を阻害する)、およびレセプターに結合されたIgEを認識する。37℃で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、ビオチン化抗マウスAbにより続いて過酸化ストレプトアビジン複合体により、結合されたマウス抗体を検出した。結合されたペルオキシダーゼをTMB(BioRad)と反応させ、その反応をHS0で停止させ、そして450〜630nmで読み取った。
【0061】
FcεRIαへの可溶性IgEの結合を阻害する能力に関して、コーティングされたヒトIgEに陽性の血清を試験した。このために、4℃で一晩かけてFcεRIα鎖(高親和性レセプターのIgE結合鎖)を0.5μg/ml(50μ/ウェル)で96ウェルプレート上にコーティングした。上述したようにプレートを洗浄し飽和させた。二倍段階希釈のマウス血清(1/50から始める)を一定用量10μg/mlのキメラマウス/ヒトIgE(IgE抗NP、Serotec)と混合した。FcεRIαでコーティングされたプレートに添加する前に、この混合物を37℃で1時間インキュベートした。上述したように過酸化抗マウスλ軽鎖(Boehringer)により続いてTMBおよびHS0により、結合されたキメラIgEを検出した。
【0062】
この場合、光学濃度の減少(キメラIgE単独と比較して)は、レセプターへのIgEの結合の低下を示す。すなわち、可溶性IgEに結合してFcεRIαへの可溶性IgEの結合を阻害するペプチド誘導マウス血清の能力を示す。
【0063】
結果
fg loop 1およびfg loop 2のいずれを用いても、抗IgE応答を誘発することができた(表2)。fg loop 2で免疫化されたマウスは10匹中10匹が抗IgE応答を示したのに対して、fg loop 1で免疫化されたマウスは10匹中4匹だけが抗IgE応答を生じたにすぎなかった。
【0064】
fg loop 2で免疫化されたマウスは、10匹中1匹が、4回目の注射(3回目の注射の49日後、採血は4回目の注射の14日後)の後、高い抗IgE力価(450μg/ml当量mAb PTO11)を示した−図1および表3のマウス9を参照されたい。このマウスから採取した血清(サンプル3.9)でも、ELISA条件下でレセプターへのIgEの結合を阻害することができた(図2)。
【0065】
【表2】
表2: 3回目の注射の後におけるfgloop 1および2コンジュゲートに対する免疫応答
抗ペプチドについての中点値力価の結果
抗IgEについてのμg/mL mAb PT11当量の結果
Figure 2004520817
【0066】
【表3】
Figure 2004520817
【0067】
実施例 2: fgloop2 に対するマウス血清を用いたアカゲザルにおける PCA 研究
キメラIgE抗NPを、実施例1の抗fg loop 2マウス血清の2つの希釈液(3.7および3.9 = ELISAで非阻害性および阻害性)またはペプチドなしのBSAコンジュゲートに対する血清(対照血清)と混合した。陽性対照は、mAb PT11であった。
【0068】
100μlのIgE/抗IgE混合物を皮内注射し、24時間後、6mgのBSA−NPを静脈内注射して、皮内注射部位でアレルギー反応を引き起こした。
【0069】
静脈内注射の約15分後、膨疹反応(cm単位で測定した)を測定した。互いに直交する2つの直径を求めた。
【0070】
【表4】
表4: マウス7(3.7)およびマウス9(3.9)に由来する実施例1のfgloop2マウス血清を用いたアカゲザルPCA研究。抗体用量は、最終注射用量として示されている。PBS−1% BSA中の希釈液として100μlを注射した。両方のサルに同じように注射した。実験プロトコール: IgE抗NP+抗IgE <−−−−−−−−−−24時間−−−−−−−−−−>「アレルゲン」
Figure 2004520817

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、fg loop 2で免疫化されたマウスの抗IgE力価を示す。
【図2】
図2は、抗体(FGLOOP2に対するもの)によるIgE受容体へのキメラIgEの結合の阻害を示す。

Claims (18)

  1. 配列番号29、1〜28および30〜34に示される配列のうちのいずれか1つを有するペプチドまたはそのミモトープ。
  2. ペプチドである、請求項1に記載のミモトープ。
  3. 請求項1または2に記載のペプチドまたはミモトープと、任意に担体分子とを含む、アレルギー治療用の免疫原。
  4. 前記担体分子がプロテインDまたはB型肝炎コア抗原から選択される、請求項3に記載の免疫原。
  5. 前記ペプチドもしくはミモトープと前記担体分子との化学的コンジュゲートであるか、または前記担体分子との融合タンパク質として発現されるものである、請求項3または4に記載の免疫原。
  6. 前記ペプチドまたはペプチドミモトープが前記担体の一次配列内に提供される、請求項3〜5のいずれか1項に記載の免疫原。
  7. 前記ペプチドまたはミモトープが構造的に束縛されている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の免疫原。
  8. 前記ペプチドまたはミモトープがその両末端を連結する共有結合により環化されている、請求項7に記載の免疫原。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のペプチドまたはミモトープまたは免疫原と、任意にアジュバントとを含む、ワクチン。
  10. 請求項1に記載のペプチドを認識することのできる、リガンド。
  11. 請求項10に記載のリガンドを含む、医薬組成物。
  12. 医療に使用するための、請求項1に記載のペプチドまたは請求項3〜8のいずれか1項に記載の免疫原または請求項9に記載のワクチンまたは請求項10に記載のリガンド。
  13. アレルギーを治療または予防するための薬剤の製造における、請求項1に記載のペプチドもしくはミモトープまたは請求項3〜8のいずれか1項に記載の免疫原または請求項9に記載のワクチンまたは請求項10に記載のリガンドの使用。
  14. 請求項3〜8のいずれか1項に記載の免疫原を製造することと、該免疫原を賦形剤および/またはアジュバントと共に製剤化することとを含む、ワクチンの製造方法。
  15. アレルギーに罹患しているかまたは罹患しやすい患者を治療する方法であって、請求項9に記載のワクチンまたは請求項11に記載の医薬組成物を該患者に投与することを含む、上記方法。
  16. 請求項1に記載のペプチド、請求項2に記載のミモトープ、または請求項3〜6のいずれか1項に記載の免疫原をコードする、単離された核酸分子。
  17. 請求項16に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
  18. 請求項17に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
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