JP2004520352A - 消化管運動および摂食を調節するための新規多重環有機化合物 - Google Patents

消化管運動および摂食を調節するための新規多重環有機化合物 Download PDF

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Abstract

消化管運動を調節することで摂食を調節し、肥満および栄養不良を治療するための組成物および方法に有用な多重環有機化合物を開示する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、肥満の治療および摂食の調節の分野に属する。特に、本発明は、新規多重環有機化合物を利用して消化管運動を調節し、肥満を治療するための化合物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満につながる過食は、重要な健康問題である。肥満により、身体にかかる物理的または力学的制限が増大するだけでなく、糖尿病、心臓病、癌、およびその他の慢性疾患のリスクが高まる。そのような肥満の健康への有害作用は科学的に十分立証されており、公衆にも一般に十分理解されているが、個々人の基準で食欲および過食を効果的に調節することは、何百万人という人々にとっては成し遂げることが困難な目標であった。北アメリカでは子供の約25%は太り過ぎ、すなわち肥満とみなされている。北アメリカの人々だけで、体重低減のための処置に一年に約400億ドルを費やしており、この額は増大しつつあるようである。最近の研究で、カナダにおいて肥満治療に費やされる一年分のコストは控えめにみて18億ドルに上ると算出されたが、これは全疾患に対する全ヘルスケア支出額の2.4%に当たる(「肥満のコスト:18億ドル」Pharmaceutical Manufactures Association of Canada, March 1999, 11頁中、を参照されたい)。
【0003】
現在入手可能な抗肥満薬は、中枢神経系(CNS)経路を標的とし、食欲抑制を誘発することによって効果を奏するものが大部分である。しかしながら、そのような薬剤にはCNSに関連した多くの副作用(例えば不安等)があり、高血圧、心血管系疾患、および糖尿病等の慢性の健康上の問題を生ずる可能性がある。最近の肥満を治療するための別の方法では、通常の食物の代わりに摂取する「腸内膨張性」製品を利用することにより、食欲を調節御するというものがある。そのような腸内膨張性製品には、必要な範囲の望ましい栄養素を腸内膨張性製品が含まない点で、栄養状態を変化させるという問題がある。さらに、腸内膨張性製品を摂取する個人は、いかなる食物をも(望ましい栄養素でさえも)食することを拒むことがあり得る。
【0004】
食欲を抑制する薬剤は、そのような薬剤の投与がひとたび停止されれば普通は体重が元に戻ってしまうため、肥満治療の上で最も望ましくない手段のうちの1つである。さらに、原発性肺高血圧症等の疾患のリスクの増大などをはじめとする好ましくない深刻な副作用により、そのような薬剤の使用は制限され得る。例えば食欲抑制剤であるフェンフルラミンおよびデキスフェンフルラミンは、肺および心臓に対して深刻な有害作用を及ぼす可能性があるために、最近、それらの製造業者によって市場から排除された。
【0005】
最近出現した別のタイプの肥満治療には、小腸からの脂肪吸収を妨げる薬剤の利用がある。そのような薬剤は、例えば、脂肪を消化するために用いられる膵酵素を阻害し得る。そして未消化の脂肪は消化管を通過して排泄される。脂肪吸収を低下させる結果、便が油性となり、下着に油状物のしみがつき、腸内ガスが発生し、便通が頻繁になり、さらにビタミンA、D、およびE等の脂溶性栄養素の吸収が低減する可能性がある。
【0006】
健康に有害な副作用を生じたり疾患のリスクを増大させたりすることなく体重増加を減らす、医学的方法は現在存在しない。ヒトおよび他の動物において、不適当な栄養上および医学上の副作用が生じることなく、摂食を調節し、過剰の体重増加(肥満の場合などの)を治療するための有効な組成物および治療方法に対する需要は、依然として存在している。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、ヒトおよび他の動物における摂食を調節するための組成物と方法を提供する。特に、本発明は、ヒトおよび他の動物における消化管運動を調節し得るトリコテセンとして知られる有機化合物群と構造的に関連する、これまで知られていなかった多重環有機化合物を含んでなる非天然組成物を提供する。本明細書に記載したいくつかの化合物は、ヒトおよび他の動物において飽満を示す消化管運動活性パターン(摂食パターン(fed pattern))を誘発し、個体による摂食を低下させるために用いられ得る。他の化合物は、ヒトまたは他の動物の非摂食状態または絶食状態の特徴である消化管運動活性のパターン(絶食パターン(fasting pattern))を強化または増強し、個体による摂食を刺激するか、または摂食パターンを誘発する他の化合物の効果を抑制または調節するために用いられ得る。
【0008】
最近の発見により、天然トリコテセン・マイコトキシン(作物、飼料、およびある真菌種で汚染された食物に見出される)は、ヒトおよび他の脊椎動物のそれぞれにおいて飽満および拒食を誘発し得るものであり、かつ消化管運動活性(「消化管運動」)(消化管を通して食物を前進させる)のパターンを調節する神経回路もまた明らかにされ始めてきている(1999年7月6日に出願された、米国仮出願第60/143,054号、および2000年7月6日に出願された国際特許出願第PCT/CA00/00790号を参照されたい。なお、これらは参照により本明細書に組み入れる)。本発明の方法は、消化管運動のパターン、すなわち、消化管の平滑滑筋組織の収縮、緩和および静止のパターンに影響を及ぼす本明細書に記載の化合物を投与することを含み、それにより摂食に影響を及ぼす。消化管運動活性の「摂食パターン」を刺激することにより、飽満(すなわち満腹感)が伝えられ、その結果、個体が食事や摂食に費やす時間が短縮される。したがって、消化管運動の摂食パターンを刺激する化合物は、肥満治療の場合のように、目的が摂食を制限することである治療方法において有用である。これに対し、「絶食パターン」を強化もしくは増強させるか、または消化管運動の摂食パターンを妨げる化合物では、飽満が身体に対して伝達されないため、食事時間または摂食時間を長くする傾向にある。
【0009】
ある実施形態では、本発明の組成物は、下記に示す式I(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化1】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
R1およびR2は、独立して
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;または、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
である〕
で表される、消化管運動を調節する「8-O-置換-7α,15-カーボネート化合物」を含んでなる。
【0010】
式Iの好ましい代表的な種としては、3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-8α-ヒドロキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(EN139499と称する)、3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(EN139500と称する)、および3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-カーボネート(EN139507と称する)が挙げられる。
【0011】
他の実施形態においては、本発明の組成物は、下記に示す式II(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化2】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
R1およびR2は、独立して
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;または、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)であり;
R3およびR4は、独立して
水素;
C1〜C6アルキル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
で表される、消化管運動を調節する「アセタール化合物」を含んでなる。
【0012】
式IIで表される好ましい代表的な種は、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8α-オール(EN139501と称する)、および7α,15-ベンジリデン-3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン(EN139505と称する)が挙げられる。
【0013】
他の実施形態においては、本発明の組成物は、下記に示す式III(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化3】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
R1およびR2は、独立して
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
である〕
で表される、消化管運動を調節する「7α,15-ジオール」を含んでなる。
【0014】
式IIIで表される好ましい代表的な種は、3α-アセトキシ-12, 13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,8α,15-トリオール(EN139503と称する)、および3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-ジオール(EN139506と称する)が挙げられる。
【0015】
他の実施形態においては、下記に示す式IV(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化4】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合であり;
R2は、
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
である〕
で表される、消化管運動を調節する8-ケト-7α,15-カーボネート化合物を含んでなる。
【0016】
式IVで表される好ましい代表的な種としては、3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8-オン-7α,15-カーボネート(EN139511と称する)、および3α-ベンゾイルオキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン-7α,15-カーボネート(EN139514と称する)が挙げられる。
【0017】
他の実施形態においては、下記に示す式V(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化5】
Figure 2004520352
〔式中、
R2は、
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
であり;
R3およびR4は、独立して
水素;
C1〜C6アルキル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
で表される、消化管運動を調節する8-ケト-12,13-エポキシ-化合物を含んでなる。
【0018】
式Vで表される好ましい代表的な種としては、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシトリコテカン-8-オン(EN139519と称する)、および7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシ-3β-ヒドロキシトリコテカン-8-オン(EN139520と称する)が挙げられる。
【0019】
他の実施形態においては、下記に示す式VI:
【化6】
Figure 2004520352
〔式中、
R2は、
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
であり;
R3およびR4は、独立して
水素;
C1〜C6アルキル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
で表される、消化管運動を調節する8-ケト-12α-ヒドロキシ化合物を含んでなる。
【0020】
式VIで表される好ましい代表的な種としては、限定するものではないが、7α,15-ベンジリデン-9α,12β-ジメチル-3α,12α-ヒジドロキシトリコテカン-8-オン(EN139522と称する)が挙げられる。
【0021】
本発明の組成物および方法において有用な他の化合物は、12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-3α,7α,8α,15-テトラオール(EN139518と称する)である。
【0022】
本発明の他の態様は、本明細書に記載した任意の消化管運動を調節する化合物と薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0023】
また、本発明は、個体において飽満または拒食を誘発するのに十分な量で本明細書に記載した組成物を個体に投与することを含んでなる、個体の摂食を調節し、肥満を治療するための方法を提供する。かかる方法において、本発明の組成物は、任意の様々な経路により投与され得る。好ましくは、本発明の組成物は、個体に経口的に投与する。
【0024】
詳細な説明
本発明は、ヒトや他の脊椎動物において消化管の運動活性を調節することにより、摂食を調節し、過剰の体重増加および肥満を治療するための組成物及び方法を提供する。本発明の方法および組成物は、天然の4−デオキシニバレノール(DON)などのトリコテセン化合物が、食物を摂取する際に通常発生する消化管内での収縮と弛緩のパターンを刺激するという発見に基づいている。この消化管運動の「摂食パターン」の刺激により、飽満、即ち満腹感がシグナル伝達される。飽満(満腹感)は、個人が食事に費やす時間に影響を及ぼす重要な因子である。DONなどのトリコテセン類は、消化管の外側の部位で作用し、シグナルを送るが、このシグナルは神経経路に送られ消化管の平滑筋に至る(2000年、7月6日に出願された、国際出願第PCT/CA00/00790号を参照されたい。なお、前記文献は参照により本明細書に組み入れる)。
【0025】
さらに、例えば、Vero細胞(ミドリザル腎細胞)、マウス赤白血症(MEL)細胞、およびラット脾臓リンパ球の細胞培養で研究されたように(例えば、ErhlichおよびDaigle, Biochem. Biophys. Acta, 923 : 206213 (1987); Rotterら、J Toxicol. Env. Health, 48 : 1-34 (1996) を参照されたい)、DONおよび関連トリコテセン・マイコトキシンの、タンパク質合成を抑制する能力について多くの研究で検討されたと。それによれば、DONおよび関連トリコテセンは、真核生物リボソームの60Sサブユニットに結合し、ペプチド転移酵素の作用を妨げ得ると思われる。かかる毒物学試験により、DONおよび関連天然トリコテセンのある特有の構造的特徴がそれらの既知の有毒活性にとって必須であると考えられるとの結論が得られた。特に、9,10二重結合、12,13-エポキシ環の存在、8-ケト基、およびトリコテセン核上のヒドロキシル基または他の基の存在は、DONおよび関連天然トリコテセン・マイコトキシンにおいて確認されているように、これらのマイコトキシンの毒性に重要なものと考えられ、前記毒性には、ヒトにおける摂食を低下させ、トリコテセンを摂取する他の動物において摂食拒否を誘発するという確認された能力が挙げられる(例えば、Betina, Chem.-Biol. Interactions, 71: 105-146 (1989)を参照 )。
【0026】
本発明は、消化管運動を調節する新規多重環有機化合物を提供する。ヒトおよび他の脊椎動物における消化管運動の摂食パターンを刺激し、飽満(満腹)をシグナル伝達して摂食を低下させる本明細書に記載の化合物が特に有用である。タンパク質合成の抑制に基づくDONおよび他のトリコテセン・マイコトキシンの毒作用に対するある構造的特徴の重要性に関するすでに確立された見解(上記参照)に反して、本発明の化合物には、DONなどの既知のトリコテセンで通常確認される9,10二重結合、および/または8-ケト基、および/または3,4-エポキシド環が低減されたか、そうでなければ変化されたものが含まれる。
【0027】
本発明をさらに明瞭に説明するために、下記の用語を定義する。
【0028】
本明細書中で使用する「消化管」は、胃、小腸及び大腸からなる胃腸管を指す。
【0029】
本明細書中で使用する「消化管運動」又は「消化管運動活性」は、ヒトや他の動物の胃腸管(胃、小腸及び大腸)における平滑筋の運動挙動を意味し、その活性は、筋肉の収縮と弛緩を交互に反復する期間と、休止又は相対的に小さな活性の期間とからなる。たとえば、正常で健常なヒトや他の動物では、食物が経口的に摂取され栄養の抽出と吸収のために口から遠ざかる(つまり前進する)ように腸内に食物を進めるときには、小腸の筋肉収縮と弛緩の振動数と振幅は高くなる(下記の、消化管運動の「摂食パターン」を参照されたい)。消化管運動の他のパターンは、消化管の種々の部分での食物の存在もしくは不在に応じて生じ得る(下記参照)。さらに、特定の消化管の近位の部分は、消化管の遠位の部分における、たとえば十二指腸(小腸の始部)や回腸(小腸の末部)の場合における活性とは異なる運動挙動を示し得ることが、消化管活性の測定から明らかになった。
【0030】
本明細書中で使用する「摂食パターン」および「摂食パターン活性」は同義語であり、ヒトをはじめとする動物における消化管である小腸の収縮及び弛緩の連続パターンを指し、このパターンは通常、食物の摂取の結果生じる。消化管運動の摂食パターンは、栄養を抽出、吸収し、そして最終的に未吸収物質を排泄物として排出するために摂取食物を消化管を通して前進させる。消化管運動活性の摂食パターンは、一般に食物を摂取した数分以内に始まり、飽満、すなわち満腹感をシグナル伝達する役割を果たす。したがって、消化管運動の摂食パターンからの飽満は、通常、個体に食事が終了可能なことを知らせる。飽満は、脳が血中の栄養含量を分析する機会(食物が消費された数時間後に起こり、健康のために特定のレベルに維持される特定の栄養素(たとえばタンパク質、炭水化物、塩、及び脂肪)に対する欲求をシグナル伝達する役割を果たす別の過程)を持つしばらく前に、消化管運動の摂食パターンを介して個体よって感知される。
【0031】
摂食パターンは、各消化管において、また、同じ消化管内の異なる部位においてでさえ、特徴的であり相違している。小腸での摂食パターンは、その平滑筋の連続する一連の収縮と弛緩によって特徴付けられ、このパターンは、小腸の内容物を混合し、食物を口から遠ざけるように小腸内に進め、前方性推進を遅らせて基質の吸収を高める(Lundgrenら, Dig. Dis. Sci., 34:264-283 (1989))。Krantisら(Can.J.Physiol.Pharmacol., 74:894-903(1996))の方法によってin vivoで測定し記録する場合、十二指腸内の消化管運動活性の摂食パターンは、活性過剰の特徴的な激しいパターンであるが、一方同時に、胃幽門洞での摂食パターンは、記録された組織運動活性での測定可能な抑制又は低下を特徴とする。この摂食パターン活性は、消化管運動活性の「絶食パターン」に置き換わる(下記参照)が、この絶食パターンは、栄養抽出のために食物が消化管を通って前進した後に生じる。摂食パターン運動は、主に迷走神経の入力を介して末梢の自律神経節によって主として活性化されるが、より小さい程度については、中枢神経系(CNS)によって調節されている(Yoshidaら, J . Pharmacol. Exp. Therap., 256:272-278 (1991); Tanakaら, J. Surg. Res., 53:588-595 (1996); Chungら, Can. J. Physiol. Pharmacol., 70:1148-1153 (1992)を参照されたい)。自律神経の過剰活性化により、摂食パターンの開始が促進され、その持続期間が増大し、同時に消化管の伝達的運動活性の振動数と振幅が高まる(Hallら,Am. J. Physiol., 250:G501-G510 (1986); Johnsonら, Am. J. Surg., 167:80-88 (1994))。上述したように、トリコテセン・マイコトキシン(たとえばDON)などのトリコテセン類、および本明細書に記載した新規化合物を適正量で使用し、消化管運動の摂食パターンを刺激することが可能である。
【0032】
消化管運動活性の「絶食パターン」または「絶食サイクル運動パターン」は、摂取食物の不在下または食物の摂取前の、胃から腸へ前進させるための摂食物質が存在しない場合の、消化管の運動挙動を指す。十二指腸(小腸の始部)では、消化管運動活性の絶食パターンは、自然に起こる不規則な収縮と弛緩の交互期間(「群(group)」活性または「MMC」活性と称する)と、相対的に休止した期間(「群間(intergroup)」活性と称する)とによって特徴付けられる。交互に生じる群活性及び群間活性を有する十二指腸の絶食パターンの一例は、化合物EN139499を投与する前の図2中の消化管運動の記録における初期部分(t=8とt=40分との間)に示されている。回腸(小腸の末領域)における絶食パターンは、ランダムな収縮および/または弛緩の運動活性、あるいは一般的に休止した状態を特徴とする。食物の摂取により消化管運動の絶食パターンは中断し、消化管運動の摂食パターンの連続活性が刺激される。
【0033】
最近まで、消化管運動を正確に記録し、測定し、特徴付ける方法は得られておらず、実験条件下で収縮および弛緩のいずれか一方の成分のみしか測定可能ではなかった。しかしごく最近になって、Krantisと共同研究者らは、消化管上の種々の位置にin vivoで結合させることができる小型で柔軟な箔歪ゲージを用いて胃腸管の種々の器官について消化管運動の収縮および弛緩成分を同時に測定する方法を開発した(Krantisら, Can. J. Physiol. Pharmacol., 74:894-903 (1996))。この方法では、器官に結合したゲージからのワイヤーをコンピュータによるデータ解析システムに接続する。Krantisら(1996年)の方法は、in vivo、ex vivo(体腔の外に配置された器官)およびin vitro(消化管から取り出された組織)手順を用いて、消化管の薬理学的、神経学的、および生理学的研究に使用することができる。消化管内および器官内の複数の部位において収縮と弛緩を同時に記録する能力により、消化管運動の異なるパターン(すなわち、絶食パターンおよび摂食パターン)をはじめとする消化管運動のより正確な特徴付けと、かかるパターンについての食物や種々の化学物質の作用が得られる。
【0034】
絶食状態の消化管は、「群」、「MMC」、「進行性胃腸運動群(migrating motor complex))」または「進行性筋電性運動群(migrating myoelectric complex)」として知られるサイクル性運動挙動を示す。MMCは、腸内容物の消化間前進と関連し、興奮ニューロンと抑制ニューロンを連続的に活性化して、胃で発生し回腸で終結する収縮と弛緩のサイクルを伝達することを含む。MMCサイクルは3つの異なる相からなる。即ち、第I相は休止期、第II相は不規則な活性振幅拡大期、そして第III相は短期の急速活性振幅拡大期である。MMCは基本的な固有の運動パターンを提供し、このパターンは小腸の「管理者(housekeeper)」として機能する。たとえば、各MMCサイクルの高度前進性第III相運動活性は腸内腔を掃除し、その残存物を取り除き細菌の過度の増殖、逆流及び腸分泌物の蓄積を抑える(Caenepeelら, Dig. Dis. Sci., 34:1180-1184 (1989))。Krantisら(1996年)の方法を使用すると、消化管運動が平滑筋の収縮と弛緩の両方を含むことが今や明らかである。食物が存在しない場合、腸消化管運動の絶食パターンの「群」活性は、古典的には、典型的MMCサイクルの第III相に起因する同じタイプの運動活性に対応しているように思われる。腸内腔に食物が存在する、消化管運動活性は絶食パターンから摂食パターンへ切り替えられる。
【0035】
また、Krantisら(1996年)の方法により、消化管運動におけるトリコテセンの作用様式を明らかにすることができた。トリコテセン4−デオキシニバレノール(DON)は消化管の外側の部位に作用し消化管運動の摂食パターンを刺激するが、この事象は食物の摂取後に起こることを特徴とし、飽満、すなわち満腹感をシグナル伝達する(国際特許出願第PCT/CA00/00790号を参照されたい)。これらの知見は、広く報告された、DONまたは他のトリコテセンを産生する真菌種に汚染された作物を摂取したヒトや他の動物の食欲減退または摂食拒否行動を説明している。
【0036】
さらに、Krantisら(1996)の方法によって測定した場合、消化管運動活性を変更するDONおよび本発明の化合物の作用の時間的経過およびプロファイルは、トリコテセン依存型のタンパク質の合成の抑制またはホルモンによる食物摂取の調節についての時間的経過およびプロファイルと一致しておらず(下記参照)、かかる作用の経路は、消化管運動および/または摂食における効果を確認するに前に非常に長い期間が必要とされると予想される。
【0037】
歴史的にトリコテセン化合物は、作物を汚染しうる種々の真菌類によって産生される毒性二次代謝産物の1種、すなわち名称トリコテセン・マイコトキシンとして同定されている。そのような汚染作物を摂取した動物(ヒトを含む)は、マイコトキシン中毒の種々の病理学的症状、たとえば嘔吐、下痢、内部器官内の出血性損傷、食中毒性無白血球症(ATA;alimentary toxic aleukia)、顆粒球減少症(agranolocytosis)、再生不良性貧血、壊死性アンギナ、粘膜の炎症、拒食症、痙攣、敗血症を発症する可能性があり、時には死亡することもあり得る(たとえばAdvances in Nutritional Research 1980, 3:301-353 (1980)中のUeno「トリコテセン・マイコトキシンン:菌類学、化学及び毒物学(トリコテセン Mycotoxins: Mycology, Chemistry, および Toxicology)」参照)。
【0038】
本明細書で使用する「トリコテセン・マイコトキシン」または「トリコテセン」は、非オレフィン性の親化合物または核化合物トリコテセンをベースにした一群のセスキテルペノイド化合物のメンバーを指す。全てのトリコテセン類は修飾されたセスキテルペンであり、9位と10位の炭素原子(C-9, C-10)間にオレフィン性(二重)結合(故にトリコテセン)を、また12位と13位の炭素原子(C-12,C-13)間に形成されたエポキシ環を含む。したがって、また、トリコテセンは12,13-エポキシトリコテセン化合物として特徴付けられる。Uenoは、天然のトリコテセン・マイコトキシンン類を構造および真菌の特性に基づいて4つのグループに分類した(たとえば、Ueno,1980年、上記参照)。この分類スキームによれば、ニバレノールによって表わされる一群のトリコテセンのメンバーは、炭素-8(C-8)がケトン(オキソ-)基で置換された非マクロ環状化合物である。ニバレノールの他に、「ニバレノール関連」トリコテセン類の群には、天然トリコテセン・マイコトキシンン類、たとえば4−デオキシニバレノール(DON)、トリコテコロン、トリコテシン、3−アセチルデオキシニバレノール(3-アセチル-DON)、7−アセチルデオシニバレノール、3,15-ジアセチルデオキシニバレノール、4−アセチルニバレノール(フサレノン-X)、および4,15-ジアセチルニバレノールが挙げられる。本明細書中で使用する「DON」、「4-DON」、「デオキシニバレノール」、「4-デオキシニバレノール」及び「ボミトキシン(vomitoxin)」はすべて、図3に示す化学構造を有する同一のトリコテセン化合物を指す。したがって、ニバレノールはC-4にヒドロキシル基を含むが、DONは4位にヒドロキシル基を欠く(「4-デオキシ」)という点で、ニバレノールとDONとは異なる。
【0039】
十分に多量で摂取された場合、重篤かつ広範に及ぶ中毒の発症が明らかに引き起こされ得るが、DONはそれにもかかわらず亜致死性中毒に関して最も効力の弱いトリコテセンの1つであると考えられている(たとえば、Preluskyら, Arch. Environ. Contam. Toxicol., 22:36-40 (1992); Friendら, Can. J. Anim. Sci., 66: 765-775 (1986); Ueno, 食物科学の発展IV(Developments in Food Science IV)中、Trichothecenes, chemical, biological, and toxicological aspects)(Elsevier, Amsterdam, 1983年)135−146頁を参照されたい)。
【0040】
DONは、高度の肝臓代謝は受けないと考えられ、即座にかつ大部分が尿中に排出される。
【0041】
本発明の化合物の合成で用いられるトリコテセン類は、真菌の培養物から生物学的にあるいは化学合成によって製造することができる。いくつかは市販されている。穀粒や他の作物を汚染し、それらの表面で増殖することが判明している種々の土壌真菌類は、二次代謝産物としてトリコテセン類を産生する。かかる真菌類としては、フサリウム(Fusarium)、トリコテシウム(Tricothecium)、トリコデルマ(Trichoderma)、ミロテシウム(Myrothecium)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、およびスタチボトリス(Stachybotrys)が挙げられる(Ueno, 1980年を参照されたい)。フサリウム培養物からDONやDONのアセチルエステル(たとえば3-アセチルDONおよび15-アセチルDON)を製造し、精製する方法は記載されている(Can. J. Microbiol., 29:1171-1178 (1983); MillerおよびBlackwell, Can. J. Bot., 64:1-5 (1986); Greenhalghら, Proceedings of the 6th IUPAC International Symposium on Mycotoxins および Phycotoxins: 137-152 (Steyn, P.S.編)(Elsevier Press,アムステルダム,1986年);MillerおよびArnison(Can. J. Plant Path., 8:147-150 (1986)を参照されたい)。したがって、本明細書中に記載した化合物の合成で用いられるDONおよび3-アセチル-DONなどの種々のトリコテセン類は、標準培養法や生産法を用いて真菌培養物から生成、抽出することができる(たとえば、Ehrlichら, Biochim. Biophys. Acta, 932:206-213 (1987); Ueno, 1980(上記)およびその引用文献を参照されたい)。例えば、3-アセチルDONは、フサリウム・エスピーピー(Fusarium spp.)培養物の発酵から容易に精製される。次いで、前記3-アセチルDONをけん化することによってDONを得ることができる。上記のとおり、DONはトウモロコシや麦の豊富な天然汚染物質である。それゆえ、DONや他のトリコテセン類もまた汚染作物から単離できるし、あるいは、それらはブラジルの低木、Baccharis magapotomicaおよびcordfoliaから単離してもよい(Kupchanら, J. Org. Chem., 42:4221-4225 (1977))。
【0042】
下記により詳細に記載したように、本発明は、既知のトリコテセン化合物と同様に作用し、消化管運動の摂食パターンと飽満を誘発し、それにより摂食を低下または停止する新規化合物の能力を利用した過剰の体重増加および肥満を治療する方法を提供する。また、非ヒト動物における摂食の誘発停止は「飼料拒否」と呼ばれる。本明細書に記載した過剰の体重増加および肥満を治療する方法は、本明細書に記載の化合物を個体に投与することを含んでなり、前記化合物は消化管運動の摂食パターン、およびそれによる飽満を刺激する。満腹を感じると、個体では摂食を中止するシグナル伝達が発せられる。投与された化合物の循環濃度が低下した場合、飽満は低下し、個体は食事または摂食を継続し得る。
【0043】
本発明において有用な化合物
天然トリコテセンの化学は公知である(例えば、Ueno,"Trichothecene Mycotoxins: Mycology, Chemistry, and Toxicology," in Advances in Nutritional Research 1980, 3: 301-353 (1980); Williams, Arch. Environ Contai. Toxicol., 18: 374-387 (1989)を参照されたい)。従って、本明細書に記載した新規化合物の構造がひとたび公知となれば、その化合物は、有機合成によって、3-アセチルDONなどのある種のトリコテセンまたはそれらの種々の合成誘導体から合成され得る(下記の実施例を参照)。本明細書に記載した化合物の構造は、当技術分野で利用可能な標準方法を用いて容易に決定される。なお、それらの方法の多くは、公知のトリコテセンの構造を決定または確認するために用いられてきている。本発明の化合物の構造を決定、または確認するのに特に有用なものは、核磁気共鳴(NMR)分析、薄層クロマトグラフィー(TLC)および質量分光法(MS)である。
【0044】
本発明のある組成物は、下記に示す式I(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化7】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
R1およびR2は、独立して
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;または、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
である〕
で表される、消化管運動を調節する「8-O-置換-7α,15-炭酸塩化合物」を含んでなる。
【0045】
式Iの好ましい代表的な種類としては、3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-8α-ヒドロキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(EN139499と称する、図1Aを参照)、3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(EN139500と称する、図1Aを参照)、および3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-カーボネート(EN139507と称する)(図1Dを参照)が挙げられる。
【0046】
本発明の他の組成物は、下記に示す式II(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化8】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
R1およびR2は、独立して
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;または、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)であり;
R3およびR4は、独立して
水素;
C1〜C6アルキル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
で表される、消化管運動を調節する「アセタール化合物」を含んでなる。
【0047】
式IIで表される好ましい代表的な種は、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8α-オール(EN139501と称する、図1Aを参照)、および7α,15-ベンジリデン-3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン(EN139505と称する)(図1Cを参照)が挙げられる。
【0048】
また、本発明は、下記に示す式III(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化9】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
R1およびR2は、独立して
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
である〕
で表される、消化管運動を調節する「7α,15-ジオール」を含んでなる組成物を提供する。
【0049】
式IIIで表される好ましい代表的な種は、3α-アセトキシ-12, 13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,8α,15-トリオール(EN139503と称する、図1Bを参照)、および3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-ジオール(EN139506と称する、図1Cを参照)が挙げられる。
【0050】
また、本発明は、下記に示す式IV(化学構造中の種々の原子および基に対して番号付けしている選択トリコテセンのタイプを含む):
【化10】
Figure 2004520352
〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合であり;
R2は、
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
である〕
で表される、消化管運動を調節する8-ケト-7α,15-カーボネート化合物を含んでなる組成物を提供する。
【0051】
式IVで表される好ましい代表的な種としては、3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8-オン-7α,15-カーボネート(EN139511と称する、式1Eを参照)、および3α-ベンゾイルオキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン-7α,15-カーボネート(EN139514と称する、式1Eを参照)が挙げられる。
【0052】
また、本発明は、下記に示す式V:
【化11】
Figure 2004520352
〔式中、
R2は、
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C2〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
であり;
R3およびR4は、独立して
水素;
C1〜C6アルキル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
で表される、消化管運動を調節する8-ケト-12,13-エポキシ-化合物を含んでなる組成物を提供する。
【0053】
式Vで表される好ましい代表的な種としては、これに限定されないが、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシトリコテカン-8-オン(EN139519と称する)、および7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシ-3β-ヒドロキシトリコテカン-8-オン(EN139520と称する)が挙げられる。
【0054】
また、本発明は、下記に示す式VI:
【化12】
Figure 2004520352
〔式中、
R2は、
水素原子;
C1〜C6アルキル;
C1〜C6アリールアルキル;または、
アシル基C(O)R5
(式中、R5は、
C1〜C6アルキル;
C2〜C6アルケニル;
C3〜C6アルキニル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
からなる群から選択される)
であり;
R3およびR4は、独立して
水素;
C1〜C6アルキル;
フェニル基;
ハロゲン、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
で表される、消化管運動を調節する8-ケト-12α-ヒドロキシ化合物を含んでなる組成物を提供する。
【0055】
式VIで表される好ましい代表的な種としては、これに限定されるものではないが、7α,15-ベンジリデン-9α,12β-ジメチル-3α,12α-ヒジドロキシトリコテカン-8-オン(EN139522と称する)が挙げられる。
【0056】
本発明の組成物および方法において有用な他の化合物は、12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-3α,7α,8α,15-テトラオール(EN139518と称する)である。
【0057】
化合物7α,15-ベンジリデン-9α,12β-ジメチルトリコテカン-3α,8α,12α-トリオール(EN139502、図1B)には、特徴の9,10の二重結合、8-ケト基、ならびにトリコテセンの12,13-エポキシド環が存在しない。EN139502は、消化管運動の摂食パターンを誘発せず、むしろ消化管運動の絶食パターンを促進また強化する。
【0058】
また、本発明は、7α,15-ベンジリデン-3α,8α-ジアセトキシ-9α,12β-ジメチルトリコテカン-12α-オール(EN139508と称する、図1D)を提供する。
【0059】
化合物の消化管運動調整活性
本発明の組成物および方法において有用である本発明の化合物のうちの何種類かは、Krantisら(1996)の方法、または類似の方法を用いて測定した場合、消化管運動の摂食パターンを誘発する。個体において消化管運動の摂食パターンが誘発されると飽満がシグナル伝達され、摂食(摂食、食事、食餌)が低下するが、それらの状況は、過剰の体重増加および肥満を治療するのに好ましい効果である。一方、本明細書に記載したある種の他の化合物(EN139502など)には、公知のトリコテセンに特徴的な12,13-エポキシド環が存在せず、かつ、消化管運動活性の摂食パターンを誘発しない。実際、EN139502は、摂食パターンを誘発せず、消化管運動活性の絶食パターンをむしろ増強または強化するように見える化合物の一例である。
【0060】
Krantisら(1996)の方法は、一般に、麻酔したラットまたは幼ブタ(他の動物が用いられてもよい)における消化管運動を調節する化合物の能力を試験、分析する。手短かに言えば、各動物に麻酔をかけ(例えば、ハロタン:酸素混合物を使用)、化合物または薬剤をカニューレが挿入された大腿動脈から投与する。動物を開腹し、箔歪ゲージ(Showa type N11, Durham Instruments, Pickering, Ontario)を組織接着剤を用いて胃腸漿膜上の選択部位に貼り付ける。かかる部位としては、通常、胃幽門洞(「S1」部位)、十二指腸(「D1」および「D2」部位)、ならびに遠位回腸が挙げられる。これらの3箇所の部位(すなわち、S1、D1およびD2)を用いて消化管運動を記録することにより、消化管運動と摂食パターンが誘発されたかどうかの最も包括的な画像が得られる。各箔歪ゲージからのリード線は体外に出し、消化管運動を連続的にリアルタイムで記録するためのコンピュータ処理データ収集システムに接続する。
【0061】
また、化合物の活性は、摂食試験において試験することができる。前記試験においては、飼料消費と体重増加を、本明細書に記載した消化管運動を調節する化合物を種々の投与量で摂食する被験体において厳密にモニターする。かかる試験は、まず、実験用げっ歯動物およびブタなどの小型哺乳動物を用いて行うことができる。
【0062】
治療方法、医薬組成物、投与方法
本発明は、摂食を調節し、ヒトおよび他の動物における肥満を治療する方法において使用され得る医薬組成物を提供する。また、本発明の組成物は、特に、非ヒト動物に投与して摂食と体重増加を調節するために製剤化することもできる。
【0063】
本発明の他の組成物は、消化管運動の絶食パターンを増強または強化する化合物を含む。かかる組成物は、摂食を高めるか、または摂食パターンを誘発し、それにより摂食を低下させる組成物の効果を妨げるために用いてもよい。摂食を高める組成物は、市場用の商用鶏肉および家畜を調製する場合など、食用の動物の重量を増加させるのに特に有用である。他の組成物は、ヒトに投与し、摂食を刺激し、例えば、ヒトの栄養失調および拒食症を治療するために、適切な製剤化を行うことができる。
【0064】
ヒトおよび他の脊椎動物は、消化管運動の調節に関して同じ基本的消化管神経生理を有する。したがって、本明細書に記載した方法および組成物を用いて治療することができる動物として、ヒトおよび他の霊長類、ブタ、ウシ、ヒツジ、トリ(家禽および他のトリ)、ウマ、ネコ、イヌのほか、ハムスター、モルモット、ラット、およびマウスを含むげっ歯類が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物および他の動物に投与するための組成物はともに、嘔吐などの顕著なまたは不適当な副作用を全く生じさせることなく、消化管運動(摂食パターンまたは絶食パターン )における所望の効果を達成するのに有効な、または飽満をシグナル伝達して摂食を低下させ、それにより肥満または過剰の体重増加を治療するのに有効な、あるいは摂食を高めて栄養強化または体重増加を達成するのに有効な量の本明細書に記載された化合物を含む。
【0065】
本発明の1実施形態では、本発明の化合物を、食事時間前(例えば、10分、20分または60分前、ただしこれらに限定されない)に、個体(ヒトまたは他の動物)に好ましくは経口的に投与する。その結果として、前記化合物は消化管運動を調節し、食事中、個体による摂食低下(または特定の化合物の活性に基づく摂食増加)が達成される。特に好ましい実施形態においては、個体に再度投与しない限り、後の食事中の摂食に影響しないように化合物の効果は1時間または数時間以内に弱まる。
【0066】
経験を積んだ医療従事者は、ヒトまたは他の動物が、臨床的に重量超過であるか、肥満しているかどうか、重量不足であるかどうか、ならびに、個体が本発明の組成物および方法を用いた治療を受ける候補者となるかどうかを判断することができる。本発明によれば、かかる状態は、本明細書に記載した1種以上の化合物を含んでなる組成物を、消化管運動のパターンを調節し、それにより摂食を低下させるか、または食事回数および摂食を増加させるのに有効な量でヒトまたは他の動物に投与することによって治療する。また、本発明のかかる組成物は、一般に、少なくとも1種の薬学的に許容される担体(または非ヒト動物での使用にあたって許容される等価物)を含み、前記担体は、下記のような液体または固体であってよい。
【0067】
本発明の組成物は、固形、半固形または液体の投与形態、例えば、錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル、散剤、坐剤、液体、散剤、水性または油性懸濁液、シロップ、エリキシル剤、および水溶液をはじめとする、目的の投与方法に特に適した種々の形態のいずれであってもよい。医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位投与形態であることが好ましく、その投与量は、消化管運動に対して所望の影響を誘発するように計算された用量の数分の一または数倍であり得る。その組成物は、上記の通り、薬学的に許容される担体または緩衝液と組み合わせた有効な量の選択化合物を含み、また、非毒性、不活性、および薬学的に許容される他の薬物または薬剤、担体、希釈液、賦形剤および製剤補助剤、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。液体混合物または製剤において、薬学的に許容される担体は、リン酸緩衝生理食塩水など緩衝液、または他の薬学的に許容される、特に等張水溶性緩衝液である。「薬学的に許容される」は、生物学的に、化学的に、または他の意味で身体の化学および代謝と不適合性ではなく、医薬組成物中に存在し得る他の成分に対して悪影響を与えることもない物質を意味する。
【0068】
固形組成物用の在来の非毒性固形担体としては、例えば、医薬グレードのマンニトール、乳糖、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウム、などがある。薬学的に許容される液体組成物は、例えば、本明細書に記載した消化管運動を調節する活性化合物および最適な医薬アジュバントを水、食塩水、水性デキスト、グリセロール、エタノールなどのような賦形剤に溶解または分散させることにより調製し、溶液または懸濁液を形成することができる。また、所望により、投与される医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン)を少量の非毒性補助物質を含んでいてもよい。
【0069】
投与形態を調製する標準方法は、当業者には周知であるか、または明らかである(例えば、レミングトン薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(Martin, E. W. (ed.) latest edition Mack Publishing Co., Easton, PA)を参照されたい)。
【0070】
本発明の組成物の主要な活性成分は、本明細書に記載した、1種または複数種の消化管を調節する化合物である。かかる化合物は、摂取すると消化管運動に対して活性を発揮する。したがって、本発明の好適な組成物は経口投与用に調製する。また、かかる化合物は、例えば、静脈内、筋肉内、または腹腔内注射により非経口的に投与してもよい。
【0071】
好適である経口投与では、本発明の組成物は、消化管運動に影響を及ぼす本明細書に記載の化合物を含有する微細な粉末または顆粒剤として調製することができ、希釈剤、分散剤、および/または界面活性剤を含んでもよい。また、経口投与用の組成物は、溶液または懸濁液として水中またはシロップ中に、乾燥状態の丸剤、錠剤、カプセルまたはサッシェ中に、あるいは非水性溶液または懸濁液(懸濁剤が含まれていてもよい)中に存在していてもよい。結合剤または潤滑剤も経口投与用の組成物中に用いてもよい。所望により、または必要により、着香剤、保存剤、懸濁剤、増粘剤、または乳化剤が含まれてもよい。錠剤または顆粒剤は経口投与形態として好ましく、コーティングされていてもよい。
【0072】
非経口投与が用いられる場合、一般にそれは注射の方法である。注射可能な製剤は、在来の形態で、すなわち、液体溶液もしくは懸濁液として、注射前に液体に溶解もしくは懸濁するのに適した固体形態で、または乳濁液として調製することができる。ほとんどの目的において、消化管運動の調節に有用な化合物は、薬学的に許容される緩衝剤に溶解して静脈内注射することができる。しかし、もう一つの方法として、このような化合物を注射部位から徐々に放出するための粘着剤(mordant)を含みうるボーラスとして調製してもよいが、それは本発明の範囲内である。非経口投与の一方法には、投与量の一定濃度が維持されるように、徐放性または持効性系の使用が含まれる(例えば、米国特許第3,710,795号を参照されたい)。
【0073】
本明細書で記載した組成物および方法における消化管運動の調節に有用である正確で有効な化合物の量は、対象によって異なり、対象の年齢、体重および全身状態、治療する過剰の体重増加または肥満の程度、用いる特定の化合物、その投与方法などに基づく。したがって、全個体に適用される理想的な投与量として正確な量を特定することは不可能である。しかしながら、一般に、本発明の化合物は0.01〜100mg/kg体重の範囲で使用または試験される。さらに、特定の個体のために選択される好適かつ有用な投与量は、低催吐性投与量、すなわち、その個体において嘔吐を誘発することのない投与量である。市販の医薬組成物については、本明細書に記載の化合物の薬学的に有効かつ適切な量は、ヒトに使用される場合、合衆国食品医薬品局(または同等の機関)の基準に合致した試験において医療従事者により決定される。動物における使用については、本明細書に記載の化合物を含んでなる適当な組成物は、市販の家畜飼料または動物薬の基準または実施に従い決定され、調製される。
【0074】
本発明の別の実施形態および特徴は、以下の非限定の実施例から明らかであろう。
【実施例】
【0075】
実施例1:出発化合物とアッセイ
本発明の消化管運動を調節する種々の代表的な化合物の合成には、商品として入手可能であるか、または下記に記載したような技術において既知の方法を用いて得ることができる多数の出発化合物を利用した。
【0076】
デオキシニバレノール(3α,7α,15-トリヒドロキシ-12,13-エポキシ-トリコテカ-9-エン-8-オン、C15H20O6、「DON」)は、David Miller博士 (Department of Chemistry, Carleton University, Ottawa, Ontario, Canada)による真菌培養物より生合成的に生成した。DONは、Millerら (Can. J. Microbiol., 29 : 1171-1178 (1983); MillerおよびBlackwell, Can. R Bot., 64 : 1-5 (1986); MillerおよびArnison (Can. J Plant Path., 8 : 147150 (1986)を参照されたい)の方法に従って、真菌培養物由来の発酵培地から精製した。
【0077】
DONのアセチル エステルである3α-アセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン(Cl7H22O7、また「3-アセチルDON」とも称する)は、基本的には、MillerおよびBlackwell (Can. J. Botany, 64 : 1-5 (1986))によって報告されたのと同様にして、基本的には、真菌発酵物から産生、精製した。簡単に説明すると、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum) HLX1503 の真菌培養物の発酵ブロスを濾過して菌糸を除去し、炭酸カリウムにてpH7に注意深く中和した。塩化ナトリウム(145g)を各濾過物1.5リットルに添加した。得られた溶液を500 mlのジクロロメタンで4回抽出した。その有機抽出物をまとめ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた粗材料をシリカゲル100グラムのクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル: ヘキサン混合物 (6:4混合物)を用いてそのシリカゲルから3-アセチルDONを溶出した。この精製方法の代表的な1回の試験により、570 mgの3-アセチルDONが得られた。
【0078】
さらに、多数の新規化合物を合成するための出発化合物として供給する場合には、Blightら (J. Chem. Soc. Perkin 1 : 1691 (1974))によって記載されたのと同様にして、水酸化アルカリ金属を用いたけん化により3-アセチルDONをDONに変換することもできる。
【0079】
他のDON誘導体である、3α-アセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン-7α,15カーボネート(Cl8H2008、また、「3-アセチル-DONカーボネート」とも称し、2000年7月6日に出願された国際特許出願第PCT/CA00/00790号においてはEN139495と呼称)は、20mg の3-アセチル-DON、0.023mlのピリジン、および10mgのトリホスゲンを出発とし、99%収率で調製した。その生成物は、溶出剤として酢酸エチル-ヘキサン混合物(7:3)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより、白色固形物として得られた。標準核磁気共鳴 (NMR)分析により、所望の分子構造を示した下記のデータが得られた:
1H NMR 分析 (CDCl3, 200 MHz): δ : 6.61 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.36 (m, 1H), 5.29 (s, 1H), 4.49 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.41 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.19 (d, J = 16. 0Hz, 1H), 3.95 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.39 (s, 1H), 2.12 (s, 3H), 1.92 (m, 1H), 1.92 (s, 3H), 1.12 (s, 3H)。
【0080】
他のDON誘導体である、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン(C24H2608、また「3-アセチル-DONベンジリデンアセタール」または「7,15-ベンジリデン-3-アセチル-DON」とも呼ばれ、EN139496と呼称、2000年7月6日に出願された国際PCT出願第PCT/CA00/00790を参照されたい)は、20mgの3-アセチル-DONおよび13mgのベンズアルデヒドジメチルアセタールを出発とし、95%収率で調製した。その生成物は、溶出剤として酢酸エチル-ヘキサン混合物(4:6)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより、白色固形物として得られた。NMR分析により、所望の分子構造を示した下記のデータが得られた:
1H-NMR 分析 (CDC13, 200 MHz): δ : 7.45 (m, 5H), 6.81 (d, J = 8.0 Hz, 1 H),5.39 (s, 1 H), 5.10 (m, 1H), 4.90 (s, 1H), 4.35 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.31 (d, J =16.0 Hz, 1H), 3.81 (d, J = 16.0 Hz), 3.81 (d, J = 16 Hz, 1H), 3.21 (m, 2H), 2,202.45 (m, 2H), 2.01 (s, 3H), 1. 91 (s, 3H), 1.31 (s, 3H)。
【0081】
in vivoにおける消化管活動の摂食パターンを誘発する化合物の能力については、Krantisらの方法(Can. J. Physio, Pharmacol 74 : 894-903 (1996); また、2000年7月6日に出願された国際特許出願第PCT/CA00/00790号を参照されたい。なお、前記文献は参照により本明細書に組み入れる)によって決定した。
【0082】
また、摂食における本明細書に記載した化合物の効果は、摂食試験、例えば、哺乳小動物(げっ歯類など)を用いた試験において評価することができる。かかる試験では、試験化合物を投与した各試験被験体について、摂食量および重量増加を評価し、対照被験体と比較した。
【0083】
実施例2: 3 α - アセトキシ -12,13- エポキシ -8 α - ヒドロキシトリコテカ -9- エン -7 α ,15- カーボネート (EN139499) の合成
3-アセトキシ-12,13-エポキシ-8α-ヒドロキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(Cl8H2208、また、「3-アセチル-DON-カーボネート-8-オール」とも称する)の化合物は、下記のプロトコルによって合成した。
【0084】
すなわち、水素化ホウ素ナトリウム(2.4mg、0.072mmol)を、メタノール(5ml)に溶解した3-アセチル-DONカーボネート(50mg、0.13mmol)の撹拌溶液に0℃にて添加した。薄層クロマトグラフィー(TLC)により判定した場合、還元は20分後に終了していた。その反応混合物を0.1N塩酸(2ml)を用いてクエンチングし、水(5 ml)で希釈し、酢酸エチル(2×15ml)で抽出した。有機相をまとめ、飽和重炭酸ナトリウム溶液(10ml)、次いで食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空内で除去した。粗生成物をクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン混合液(1:1)を使用)にかけ、50mgの生成物(99%)を白色固形物として得た。
【0085】
最終産物(呼称EN139499)の構造は、標準核磁気共鳴 (NMR) 分析を用いて確認した。その結果、下記のデータが得られた:
1H NMR [CDCl3, 200 MHz]: δ: 5.98 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.45 (d, J = 16 Hz, 1H), 5.18 (m, lH), 5.02 (d, J = 16 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.72-3.88 (m, 2H), 3.12 (m, 2H), 2. 60-2.72 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.02-2.18 (m, 1H),1.92 (s, 3H), 1.01 (s, 3H)。
【0086】
上記の合成および分析により、EN139499が図1Aで表される構造を有することを特定した。
【0087】
前記カーボネート化合物EN139499(10mg・kg-1)を単回投与し、Krantisら(1996)の方法を用いて、ラットにおける消化管運動の摂食パターンを誘発する能力について試験した。EN139499の静脈注射後30秒以内に、十二指腸部位(D1, D2)に長期(40分、n=10)の活動過剰が生じ、胃幽門洞(S1)に同時におよび並行して運動活性の減衰が生じた。in vivoでの胃腸活動におけるこれらの効果の例は、図2の消化管運動の記録に示した。
【0088】
試験被験体にEN139499を10mg・kg-1体重(b.w.)の投与量で静脈内投与したところ、消化管運動活性の摂食パターンが誘発された。図3〜14の棒グラフは、十二指腸部位D1およびD2ならびに胃幽門洞部位S1での消化管の弛緩および収縮の振幅および振動数におけるEN139499(白抜きの棒)の効果を示すものであり、その効果は、対照の絶食パターンの「群」活性(斜線の棒)(これを100パーセントとして表す)のパーセント活性として表す。特に、EN139499は、図3および図4の各図に示すように、十二指腸D1弛緩の振幅および振動数における消化管運動を刺激し、また、図5および図6の各図に示すように、十二指腸D1収縮の振幅および振動数における消化管運動を刺激した。同様の効果が、十二指腸D2部位おいても確認された(図7〜10を参照されたい)。また、比較するために、図3〜10には、比較的穏やかな「群間」活性(黒塗りの棒)を示した。また、EN139499は、胃幽門洞(S1)での弛緩の振幅および収縮(図11および図12を各々参照)、ならびに収縮の振幅および収縮(図13および図14を各々参照)において、顕著な低下を生じさせた。胃幽門洞運動活性の同時減少を伴った十二指腸消化管運動活性の刺激は、試験被験体にEN139499を投与すると、明らかに消化管運動の摂食パターンが刺激されることを示している。
【0089】
また、他のデータも、1mg・kg-1のEN139499が同様のレベルの摂食パターン自動運動性を誘発し得ることを示した。しかしながら、その作用の継続時間は20〜30分であった。
【0090】
実施例3: 3 α ,8 α - ジアセトキシ -12,13- エポキシトリコテカ -9- エン -7 α ,15- カーボネート (EN139500) の合成
化合物3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(C20H24O9、また「3,8-ジアセチアール-DONカーボネート」とも称する)は下記のプロトコルを用いて合成した。
【0091】
すなわち、無水酢酸(1.32mmol)を、8-ヒドロキシ3-アセチル-DONカーボネート(EN139499、上記と同様にして合成)(25mg、0.066mmol)、トリエチルアミン(1.32mmol)およびDMAP(1mg)の無水CH2C12(4ml)溶液、無水酢酸(1.32mmol)からなる溶液に0℃にて添加した。6時間後に溶媒を真空にて蒸発させた。粗反応生成物を酢酸エチル:ヘキサンの1:1混合物を用いたクロマトグラフィーにより精製し、23mg(95%)で最終生成物を得た。
【0092】
最終生成物(呼称EN139500)の構造は、標準NMR分析を用いて確認した。それにより、下記のデータが得られた。
【0093】
1H NMR (CDC13) : δ: 5.86 (d, J = 8. 0 Hz, 1H), 5.48 (d, J = 16 Hz, 1H), 5.18 (m,1H), 5.08 (d, J =16 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.44 (d, 1H), 4.10 (d, 1H),3.78 (d, 1H), 3.14 (m, 2H), 2.18-2.26 (m, 2H), 2.12 (s, 3H), 1. 99 (s, 3H), 1.93 (s,3H), 1.03 (s, 3H)。
【0094】
上記の合成およびNMR分析により、EN139500が図1Aの構造を有していることが示された。
【0095】
実施例4: 3- アセトキシ -7 α ,15- ベンジリデン -12,13- エポキシ -9,10- ジヒドロトリコテシン -8 α - オール (EN139501) の合成
化合物3α-アセトキシ-7α,15-ベンジルイジン-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8α-オール(C24H3007)を下記のプロトコルを用いて合成した。
【0096】
すなわち、水素化ホウ素ナトリウム(3.6mg、0.11mmol)を、3mlのメタノールに溶解した7,15-ベンジリデン-3-アセチル-DON(50mg、0.13mmol、上記のEN139496)の撹拌溶液に0℃にて添加した。30分後に反応混合物を0.1N塩酸(5ml)でクエンチングし、酢酸エチル(2×15ml)で抽出した。有機相をまとめ、食塩水(15ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空内で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサンの3:7混合物)にかけて精製し、50mg(>99%収率)のEN139501を白色固形物として得た。
【0097】
EN139501を合成する好ましい方法は、3-α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシトリコテカン-8-オン (化合物EN139519とも称する;実施例7を参照されたい)をNaBH4のメタノール溶液で還元する方法である。EN139519の還元は、EN139496のEN139519への還元について記載した同一のプロトコルにより実施した(実施例7を参照されたい)。白色固形物としての生成物が90%を超える収率で得られた。
【0098】
最終生成物の構造は、標準NMRおよび質量分析法(MS)により確定した。それにより、下記のデータが得られた。
【0099】
1Hおよび13C NMR 分析:
1H NMR (アセトン-d6, 500 MHz) δ: 0.97 (d, J = 6.8Hz., 3 H), 1.26 (s, 3H), 1.93-1.99 (td, 1H), 1.95 (s, 3H), 2.00-2.14 (m, 1H), 2.29 (dd, J = 15, 4.4 Hz, 1H), 3.04 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 3.10 (d, J = 4. 0 Hz, 1H), 3.66 (d, J = 4. 5 Hz, 1H), 3.78 (t, J = 2. 0 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.18 (d, J = 11. 8 Hz, 1H), 4.30 (m 2H), 4.49 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 5.02 (td, J = 11.2,4.4 Hz, 1H), 7.02 (s, 1H), 7.25-7.33 (m, 3H), 7.43 (-74.6 (m, 2H)。
【0100】
l3C NMR (アセトン-d6,125, MHz) δ: 14.5,17.6,18.1,20.8,20.8,30.78,40.0,47.3,48.5, 65.9,67.6,72.3,72.6,75.0,77.2,78.6,97.0,127.2,128.6,128.8,141.1,170.7。
【0101】
質量分析:430 M+, 37), 429 (25), 373 (4.3) 105 (100)。
【0102】
上記のデータにより、EN139501が下記の構造であることが示された。
【化13】
Figure 2004520352
同時に、化合物EN139501は、中間体EN139519を単離することなく、EN139496の還元により直接的に得られた。
【0103】
実施例5: 7 α ,15- ベンジリデン -9 α ,12 β - ジメチルトリコテカン -3 α ,8 α ,12 α - トリオール (EN139502) の合成
7α,15-ベンジリデン-9α,12β-メチルトリコテカン-3α,8α,12α-トリオール(C22H30O6)は下記のプロトコルを用いて合成した。
【0104】
すなわち、水素化アルミニウムリチウム(3.7 mg, 10 mmol)を、0℃にて撹拌した、EN139501(25mg、0.067mmol、上記と同様にして合成)の無水テトラヒドロフラン(5ml)溶液に添加した。反応時間の15分後、氷浴を取り除き、反応混合物を1時間還流した。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、冷水を滴加することによってクエンチングした。溶媒を真空内で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(3×15ml)で抽出した。有機相をまとめ、食塩水(15ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空内で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサンの7:3混合物を使用)による精製を行い、18mgの生成物EN139502を白色固形物(72%収率)として得た。
【0105】
最終生成物(呼称EN139502)の構造は、一般的な質量分析法およびNMR分析により確認した。それらの分析の結果、下記のデータが得られた。
【0106】
質量分析法: MS (EI) : 390. (M+)
NMR 分析:
1H NMR (アセトン-d6, 500 MHz): δ : 7.28-7.58 (m, 5H), 6.85 (s, 1H), 4.58 (m,3H), 4.42 (d, 1H), 4.28 (m, 1H), 4.18 (m, 1H), 4.04 (m, 1H), 3.92 (m, 1H), 3.52 (d, 1H), 2.20-2.18 (m, 3H), 1.52 (s, 3H), 1.48 (s, 3H), 0.98 (d, 3H)。
【0107】
13C NMR (アセトン-d6) : 141.49,128.72,128.51,127.35,97.43,83.13,83.11,80.25,77.36,75.26,71.29,70.52,69.83,53.02,43.33,41.53,31.42,30.62,22.57,18.47,17.92,14.44。
【0108】
上記の合成およびNMR分析により、EN139502が図1Bに示す構造を有していることが示された。EN139502には、天然トリコテセンの特徴である9,10二重結合、8-ケト、および12,13-エポキシドが欠如していた。EN139502は、Krantis らの方法 (Can. J. Physiol.Pharmacol, 74 :894-903 (1996)、本文献は参照により本明細書に組み入れる)により測定した場合、摂食パターン消化管運動は誘発しなかった。しかしながら、EN139502は、比較的短時間経過(約5分)後、絶食パターンを強化または増強することが確認された。得られた絶食パターンは活発であり、群間期間およびMMC(すわなち、群活性)の期間に対して、そのパターンの期間または時間経過中いかなる変化もなかった。特に、群間活性および群活性は顕著になった。このことは、対照の絶食パターンの記録が弱い動物において最も明確であった。
【0109】
これらのデータは、EN139502に類似するある化合物を利用して、食事回数または摂食回数を増加させ、それにより、摂食および体重を増加するか、あるいは、摂食パターンを誘発する本明細書に記載した他の化合物の効果を抑制または調節することができることを示している。
【0110】
また、EN139502に関するデータ、ならびに化合物EN139499、EN139500およびEN139501に関するデータは、摂食を低下させる、あるいは拒食を誘発するためにトリコテセンの能力に不可欠であることが予測された構造的特長の重要性に対して、新しい見解を提供するものである。従来、天然トリコテセン特有の9,10二重結合および8-ケト基は、かかる活性に必須であると考えられてきた。しかしながら、本明細書で提供したデータは、驚くべきことに、それらの基のいずれも消化管運動活性の摂食パターンを誘発し、それにより、摂食を低下させるのに必須ではないように思われることを示している。特に、EN139499は、トリコテセン特有の9,10二重結合および12,13-エポキシ基を含んでいるが、8-ケト基はアルコールに還元されている。にもかかわらず、EN139499は消化管運動の摂食パターンを誘発する。同様に、また、EN139500も8-ケト基の代わりに8-アセトキシ基を有するにもかからわらず、この化合物は摂食パターンを誘発する。これらのデータは、トリコテセン特有の8-ケト基が、消化管運動の摂食パターンに必要ではないことを示している。さらに、EN139501のように、9,10二重結合ならびに8-ケト基の還元は、消化管運動の摂食パターンを誘発する能力を無くするものではなかった。したがって、従来技術の見地に反して、9,10二重結合もまた、消化管運動の摂食パターンを誘発する能力に対して必須ではない。
【0111】
しかしながら、EN139499、EN139500および EN139501は、12,13-エポキシ環を有している。この12,13-エポキシ環は、EN139502(式中、トリコテセン特有の9,10二重結合および8-ケト基が還元されているだけでなく、さらに12,13-エポキシ環も開環している)により図示したように、摂食パターンを誘発し、摂食を低下させるために重要であると思われる。上記のとおり、EN139499、EN139500および EN139501とは異なり、化合物EN139502は、消化管運動活性の摂食パターンを誘発しなかった。
【0112】
実施例6: 3 α - アセトキシ -12,13- エポキシ -9 α - メチルトリコテカン -7 α ,8 α ,15- トリオール (EN139503) の合成
EN139503 (Cl7H26O7)と称する化合物は、下記の プロトコルを用いて合成した。
【0113】
すなわち、EN139501(25mg、0.067mmol)およびショウノウスルホン酸(23.31mg、0.1mmol)のメタノール(5ml)に溶解した溶液を90分間室温にて撹拌した。その反応混合物を20 mlの酢酸エチルで希釈し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および食塩水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空内で蒸発させた。粗生成物を酢酸エチル: ヘキサンの6:4混合物を用いたクロマトグラフィーにかけ、19.3mg (>99%)の生成物EN139503を白色固形物として得た。
【0114】
最終生成物(呼称EN139503)はNMR 分析により確認した。その結果、下記のデータが得られた。
【0115】
1H NMR (CDC13, 500 MHz) : δ: 5. 12 (m, 1H), 4.28 (d, 1H), 3.93 (m, 2H), 3.80 (m, 1H), 3.75 (d, 1H), 3.66 (d, 2H), 3.12 (m, 2H), 2.04-2.10 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 1.76-1.84 (m, 1H), 1.50 (dt, 1H), 1.22-1.25 (m, 1H), 1.08 (s, 3H), 0.97 (d,3H)。
【0116】
13C NMR (CDCl3, 500 MHz): δ: 170.54,78.28,76.30,73.06,72.62,71.40,64.83,63.16,48.10,47.99,46.83,41.03,30.81,29.43,20.84,17.05,14.87。
【0117】
上記の合成およびNMR分析により、EN139503が図1Bに示す構造を有することが示された。
【0118】
実施例7:追加化合物の合成
下記に記載したように、追加新規化合物は、当技術分野で公知の有機合成方法を用いて、種々の「出発」化合物または「親」化合物から容易に合成した。
【0119】
脱ベンジル化は、メタノール中に出発化合物を溶解し、触媒量のショウノウスルホン酸を添加し、反応が完了するまで薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターしながら室温にて撹拌した。通常の反応時間は1時間であった。
【0120】
カルボニル化は、7α, 15-ジオールを、トリホスゲンおよびピリジンのジクロロメタン溶液と室温で反応させることによって行った。通常の反応時間は6時間であった。
【0121】
アセチル化およびベンゾイル化は、それぞれジクロロメタンに溶解した無水酢酸および塩化ベンゾイルを用いて室温にて行った。また、トリエチルアミンおよび4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)をそれぞれ共試薬および触媒として用いた。
【0122】
9α,12β-ジメチルトリコテカン-3α,7α,8α,12α,15-ペンタオール(呼称EN139504、図1B)は、EN139502から脱ベンジル化により合成した。
【0123】
3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7,8,15-トリオール(呼称EN139503、図1B)は、EN139501の脱ベンジル化により合成した。
【0124】
7α,15-ベンジリデン-3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン(呼称EN139505、図1C)は、EN139501のアセチル化により合成した。
【0125】
3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-ジオール(呼称EN139506、図1C)は、EN139505の脱ベンジル化により合成した。
【0126】
3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-カーボネート(呼称EN139507、図1C)は、EN139506のカルボニル化により合成した。
【0127】
7α,15-ベンジリデン-3α,8α-ジアセトキシ-9α,12β-ジメチルトリコテカン-12α-オール(呼称EN139508、図1D)は、EN139502のアセチル化により合成した。
【0128】
3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8-オン-7α,15-カーボネート(呼称EN139511、図1E)は、EN139495(3α-アセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン-7α,15-カーボネート;上述)の水素化により合成した。
【0129】
3α-ベンゾイルオキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン-7α,15-カーボネート(呼称EN139514、図1E)は、EN139494のベンゾイル化により合成した。
【0130】
EN139495をH2/Pd/Cで水素化し、EN139512を得た。
【0131】
12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-3α,7α,8α,15-テトラオール(呼称EN139518) は、水性メタノール-KOHに溶解したEN139495のけん化により合成した。EN139518の構造を以下に示す。
【化14】
Figure 2004520352
メタノール中での NaBH 4 を用いた EN139496 の還元による 3- α - アセトキシ -7 α ,15- ベンジリデン -12,13- エポキシトリコテカン -8- オン ( 呼称 EN139519) の合成:
水素化ホウ素ナトリウム(65mg)を、EN139496(426mg)溶解メタノール(40ml)溶液に0℃にて添加した。次いで、反応混合物を室温まで加温し、TLCが撹拌材料がすべて溶解したことを示すまで(通常、1時間)撹拌した。次いで、25mlの1%HCl溶液を添加し、大部分のメタノールを減圧下で除去した。残留水溶液を3回、20mlの酢酸エチルで抽出した。有機抽出物をまとめ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶出剤として2:3の酢酸エチル-ヘキサンを使用)にかけ、精製生成物410mg(>95%)を得た。EN139519の構造を下記に示す。
【化15】
Figure 2004520352
1HNMR (CDCl3, 200MHz) δ: 1. 1 (d, 3H) 1.3 (s, 3H) 1.7-1.9 (m, lH), 2.03 (s, 3H), 2.0-2.28 (m, 3H), 2.6-3.05 (m, 1H), 3.05 (d, lH), 3.1 (d, 1H), 3.6 (d, lH), 3.8-3.9 (m, 2H), 4.15 (d, 1H), 4.85 (s, lH), 5.25 (td, 1H), 5.7 (s, 1H), 7.25-7.7 (m, 3H), 7.45-7.55 (m, 2H)。
【0132】
13C NMR δ: 12.5,16.4,20.2,35.5,36.8,39.8,46.8,47.6,47.9,65,67.5,69.8,70.7,78, 79.5,97.6,125.9,128,128.5,137,170.3,208。
【0133】
7 α ,15- ベンジリデン -12,13- エポキシ -3 β - ヒドロキシトリコテカン -8- オン ( 呼称 EN139520) 、および 7 α ,15- ベンジリデン -9 α ,12 β - ジメチル -3 α ,12 α - ジヒドロキシトリコテカン -8- オン ( 呼称 EN139522) の合成
135mgのLiAlH4を5mlのTHFに溶解した懸濁液を0℃まで冷却し、757mgの化合物EN139496を25mlのTHFに溶解した溶液を30分間かけて滴加した。その溶液を室温まで加温し、次いで、還流するため1〜2時間加熱した。混合物を再度0℃まで冷却し、氷水を添加することによってクエンチングした。大部分のTHFを真空下で除去し、残留溶液をpH5まで酸性化し、40mlの酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物をまとめ、Na2SO4を用いて乾燥させ、溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。2:3の酢酸エチルによる溶出により、150mgのEN399520が得られた。4:1の酢酸エチルによる溶出により168mgのEN399522が得られた。
【0134】
7α,15-ベンジルイジン-12,13-エポキシ-3β-ヒドロキシトリコテカン-8-オン(化合物EN139520)の構造データを下記に示す。
【化16】
Figure 2004520352
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 1.11 (d, J = 6.5Hz, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.78 (td, J = 14.3, 2.6 Hz, 1H) 2.03 (dd, J = 14.1, 4.1Hz, 1H), 2.07 (dd, J = 14.1, 4.1 Hz, 1H), 2.08 (bs, OH), 2.15-2.2 (m, 2H), 2.95-3.07 (m, 1H), 3.07 (d, J = 4.1Hz, 1H), 3.11 (d, J = 4.1Hz, 1H), 3.59 (d, J = 4.5 Hz, 1 H), 3.61 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.17 (dd, J = 12.3, 1.9 Hz, 1H), 4.56 (td, J = 10.7, 4.4 Hz, 1H), 4.88 (s, 1H), 5.72 (s, 1H), 7.3-7.38 (m, 3H), 7.43-7.5 (m, 2H)。
【0135】
13C δ: 13.4,16.9,35.6,37.5,43.0,47.6,47.8,48.4,65.7,67.7,69.4,70.2,79.7,80.2, 97.5,126.3,128.3,129.0,137.6,206.6。
【0136】
7 α ,15- ベンジリデン -9 α ,12 β - ジメチル -3 α ,12 α - ジヒドロキシトリコテカン -8- オン ( 化合物 EN139522) の構造データを下記に示す。
【化17】
Figure 2004520352
1H NMR (アセトン-d6, 500 MHz) δ: 1.02 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.41 (s, 3H), 1.59 (s, 3H), 1.76 (dd, J = 14.1, 3.2 Hz, 1H), 1.88 (td, J = 14.2, 3.3 Hz, 1H), 2.17 (dd, J = 14.1, 10.5Hz, 1H), 2.88 (bs, 1H), 2.96 (m, 1H), 3.49 (d, J = 12. 7 Hz, 1 H), 3.60 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 3.82 (s, 1H), 4.0-4.08 (m, 1H), 4.12 (dd, J = 12.6, 1.4 Hz, 1H), 4.16 (t, J = 1.4Hz, 1H), 4.64-4.68 (m, 1H), 5.08 (s, lH) 5.78 (s, 1H), 7.3-7.4 (m, 3H), 7.5 (m, 2H)。
【0137】
13C NMR δ: 14.1,17.3,22.4,37.4,38.9,43.9,50.2,52.8,69.2,70.5,71.3,77.1,80.1, 80.2,97.0,127.2,128.9,128.3,139.9,209.2。
【0138】
実施例8:ラットにおける摂食試験
成体Sprague-Dawleyラットを用いた摂食試験のプロトコルは、Prelusky (Natural Toxins, 5 (3): 121-125 (1997))により記載された、ブタ使用のトリコテセン摂食試験についてのプロトコルを適用した。in vivoでの運動性スクリーニング試験により、トリコテセンDONを1〜10mg/kg体重(b.w.)で静脈注射すると、成体Sprague-Dawleyラットにおいて消化管運動の摂食パターンが誘発されることが示された。これは、300グラム(g)ラットの場合、実際には、0.3〜3.0ミリグラム(mg)のDONが注射されるに相当する。DON摂食試験で試験される化合物の食餌濃度(ppm)は、in vivoでの運動試験で得られた静注量に匹敵するように選択するとともに、文献に記載されている他の摂食/毒性学試験に従ったものであるように選択した。Arnoldら(Fundament. Appl. Toxicol., 6 (4): 891-696 (1986))によって報告されたデータを用いた場合、0.25mg/kg b.w.(最初に1.69ppmに対応する)のDONから開始し、1日当たり平均22gの飼料(成体ラット1匹当たりの通常の摂食量)を摂食するラットにより摂取されるDONの量は0.037mgである。Prelusky (1997)による研究では、ブタに1日当たり約1.26 mg/kg(体重)のDONを摂取させたが、それは、300gのラットの場合、1日当たり0.378mgのDONに相当すると推定される。
【0139】
さらに、Krantisら(1996)の消化管運動アッセイにおいて摂食パターンを誘発する新規に合成された化合物について、ラットでの摂食量および体重増加における効果を評価した。それらの摂食試験では、「非薬剤」対照群とともに、試験化合物と一般的なDONトリコテセン(陽性対照)双方について3種類の食餌濃度を選択した。下記に示すとおり、別群は、陰性対照として作用させた。別対照群(対摂食群、pair-fed group)は、下記のように、薬物効果に対する摂食量における変動によりデータを混乱させないように役立てた。
【0140】
食餌試験濃度(動物体重(b.w.)300gを基準とした)は、0.083mg/日(3ppm)、0.276 mg/日(10ppm)、および0.55mg/日(20ppm)であった。オスSprague-Dawleyラットによる一般食の日別摂取量を測定するパイロット摂食試験の結果によれば、日別摂食量の割合は、平均27.6g/日であった。生物学的利用率を考慮した場合(Arnoldら, 1986)、DONまたは試験化合物の日別摂取量は、各食餌試験濃度について、それぞれ、0.28mg/kg b.w./日、0.92mg/kg b.w./日、および1.38mg/kg b.w./日と計算された。
【0141】
各摂食実験では、下記のプロトコルを用いた。25匹のオスSprague-Dawleyラット(体重175〜200g)は、Charles River(Quebec Canada)から入手し、6日間順化した。それらのラットを無作為に、試験用に10群(n=10)に分けた。
【0142】
第1群は対照群であり、試験中、無変更の飼料と水を適宜摂取させ;
第2群は「対摂食」対照群であり、2日遅れて開始し(すなわち、順応まで8日)、2日前の試験動物によって摂食された平均量に限定した飼料を摂取させ(第4群についての対はn=5、第5群についての対はn=5);
第3群はDON摂取群であり(試験に含める場合)、3、10、または20ppmのデオキシニバレノール(DON)を含有する飼料と適宜水とを摂取させ;
第4群、第5群等は本明細書に記載した試験化合物(例えば、EN139499およびEN139500)を摂食させる実験群であり、それぞれ、3、10、または20ppmの試験化合物を含有する飼料と適宜水を摂取させた。
【0143】
摂食試験は3日間(第−3日〜第−1日)の普通(対照)飼料を摂取するすべての群で開始し、その間、摂食量および体重増加における経時ベースライン変動をモニターした。次の7日間、または10日間(第1日〜第10日)、各ラットには、それぞれ指定の実験食餌スケジュールを実施した。動物は毎日計量した。新しい飼料を毎日与え、また残った飼料(飼料容器下から回収した乾燥し、こぼれた飼料食餌も含む)を毎日計量した。1日を通して給餌した飼料量を記録した。
【0144】
すべての動物に標準のラット飼料を与えた。前記飼料は粉末形態(18% Autoclavable Rodent Feed, Purina Mills, Woodstock, ON)で与えた。各処理群では、試験化合物(粉末形態)を前記飼料と完全に混合し、所望の最終濃度のものを提供した。
【0145】
各ラットはそれぞれのケージ中に入れておいた。ウッドチップの表面上に置かれた各ケージの底には、2個のフロアーラックを設置した。このラックにより、その動物のみが給餌した飼料を確実に食べることができる。粉末飼料は、ケージ内の特別製陶磁器容器(餌がこぼれるのを制限するようにデザインしたもの)に入れた。動物を12時間の明暗サイクルに保ち、また、実験室への入室を制限し、外部からの活動および/またはノイズによって引き起こされるいかなる不自然な食餌行動をも最小限にした。毎日、明期間の初めに(ほぼ午前9:00)にケージを変え、動物を測量し、古い飼料を測量し、新しい飼料を入れた。このルーチン作業は、動物に対し、いかなるストレスをも最小限にするよう注意深く行った。各ラットは、ケージ中に隠して配置した、1本のプラスチック・チューブを有している。
【0146】
それぞれ最高13日にわたって(第3日〜第10日)、動物を測量し、飼料消費量を測定した。第7日または第10日目のいずれかに、実験終了をマークした。各群から2匹の動物を安楽死させ、胃、小腸および大腸のサンプルを解剖し、病理組織検査用の処理を行った。
【0147】
第−3日〜第−1日にかけては、指定した食餌処理群の飼料消費および体重増加におけるベースラインの変動は、対照群と著しく異なることはなかった。
【0148】
すべてのDON食処理群および試験化合物食処理群において、飼料消費と体重増加が低下し、それは処理食の第1日から明らかであった。
【0149】
EN139499およびEN139500(20ppm)をこのプロトコルで試験した場合、飼料消費と体重増加はともに、各食餌で前記化合物を摂食した動物において低下した。日別体重増加におけるEN139499の効果は、10日間にわたって続いた(図15)。比較目的のために、EN139495(3-アセチル-DON)処理群とEN139499対摂食群の両群における日別測定値を図15に示した。総体的に、10日目のEN139499群における体重増加は19%低下した。同様の結果がEN139500群についても得られた。
【0150】
かかる摂食試験の結果により、食餌によって投与した、DON(陽性対照)およびEN139499(試験化合物)が、Sprague-Dawleyラットの飼料消費および体重増加で即時的かつ持続的低下を引き起こすことが示された。上述のKrantisら(1996)の方法を用いて、消化管運動の摂食パターンを誘発する各化合物のキャパシティー評価に基づいた試験を行うために、これらの各化合物を選択した。Krantisら(1996)の消化管運動アッセイで有効な化合物は、DONの場合の作用と同様の分析結果を示した。すなわち、麻酔Sprague-Dawleyラットに注射した後20〜120秒以内に、十二指腸の摂食運動パターンは典型的な摂食パターン運動活性に変わった。この効果が30〜60分間続いた後、運動活性は絶食パターンに戻った。本発明によれば、この摂食パターンを誘発する化合物は、摂食時間を人為的に短くし、したがって、感受性の高い種において摂食を全体的に低下させる。
【0151】
本発明の代表的な化合物に関するこの摂食試験の結果により、この効果が実証された。特に、DONと本明細書に記載した試験化合物は、第1日にそれらの最も顕著な飼料消費が起こり、その効果は戻らなかった(図示しないデータ)。低下した飼料消費の結果により、体重増加の低下を確認することができた。
【0152】
結論として、摂食行動における日別変動を容易に検出できるこの摂食プロトコルの能力により、DON(陽性対照)および試験化合物の作用における一貫した同様のプロファイルが示された。さらに、それらの結果は、Krantisら(1996)のin vivo運動性アッセイが、摂食調節可能な化合物のスクリーニングに効能があることを示している。これらの摂食試験結果により、他の研究のラットで試験したDONの最大濃度と同等、またはそれ未満の濃度で食餌を与えた場合、DON、EN139495、本発明の試験化合物(EN139499およびEN139500)は、飼料消費と体重増加で濃度依存的低下を示すことが明らかにされた。これらの新規化合物の有効性は相互に類似していた。これらの研究において、同等の食餌濃度のDONの効果に対する試験化合物の効果を比較した結果、類似した作用プロファイルおよび同程度の効力を有することが示された。
【0153】
実施例9:摂食パターンの EN139499 依存性誘発に関する追加研究
化合物EN139499(実施例2(上述))に関する先の研究では、Sprague-Dawleyラットに全身的投与(すなわち10mg/kg、静注)した場合、Krantisら(1966)の方法によって測定したところ、前記化合物は、ラット十二指腸で典型的な摂食パターン運動活性を誘発することを示した。EN139499に関する研究を拡大し、より低い投与量、すなわち、1mg/kg(静注)(n=6)における前記化合物の評価を含むようにした。
【0154】
ハロセイン麻酔したラットに投与するため、EN139499を0.9%食塩水で調製し、上述したKrantisら(1996)の方法を用いて、消化管運動活性を記録した。この研究の結果もまた、1mg/kg(静注)の低用量で投与した場合、EN139499がラットにおける運動活性の典型的な摂食パターンを誘発するのに有効であることを示した。特に、小腸十二指腸(D1部位)では、EN139499は、収縮と弛緩の両方で振幅および振動数の双方の増大を誘発した。消化管運動活性の典型的な摂食パターンの誘発と一致し、胃(胃幽門洞S1部位)は、特有かつ重要な消化管運動の低下を示した(データは示さず)。
【0155】
化合物を10mg/kg(静注)で用いた、先の結果と比較した場合、はっきりした用量反応が明らかであった。すなわち、低用量のEN139499における作用の発現時間は、高用量では70秒であったのに対し、注射から120秒後であった。また、低用量における作用持続は、高用量では40分であったのに対し、20〜30分であった。
【0156】
実施例 10 :他の化合物による消化管運動の摂食パターンの誘発
さらに、Krantisら(1996)の消化管運動アッセイによって測定したのと同様にして、多くの他の化合物について、ラットにおける消化管運動の摂食パターンを誘発するべき能力を試験した。消化管運動の典型的な摂食パターンの誘発は、化合物EN139499について上述したように(例えば、図7〜14を参照されたい)、胃(例えば胃幽門洞S1部位)および小腸(十二指腸D1部位および/またはD2部位)における特有の記録パターンから、また記録された運動活性(すなわち収縮と弛緩の振幅および振動数)の個々の成分の分析から明白であった。各化合物のデータ分析の詳細な結果を以下に簡潔に要約した。
【0157】
EN139506とEN139507は、20%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。EN139503は、40%DMSOに溶解した。EN139505とEN139508は、70%DMSOに溶解した。EN139518は、0.9%食塩水中に溶解した。DMSOは、70%溶液までの溶液について、本明細書に記載したin vivoプロトコルで試験し、Krantisら(1996)の方法を用いて測定したところ、十二指腸(S1、D1、D2部位)から記録された対照消化管運動活性において効果がないことを確認した。
【0158】
コントロール条件下、ハロタン麻酔したオスSprague-Dawleyラットの胃幽門洞は、自発性の小幅振幅である振動性収縮および弛緩の運動反応を示した。近傍十二指腸(D1部位)、またより下方の近傍回腸(D2部位)の高さの小腸では、自発性運動活性が、6〜9分のサイクル長を有する、強度の前進性運動活性(MMCまたは群活性)および非前進性運動活性(群間活性)の期間の循環サイクルにパターン化された。MMCまたは群活性は、1〜4.5分の継続時間におよび、また、高振幅および高振動数の弛緩および収縮から構成されていた。その間に生じた非前進性運動活性は、主として低振幅、低振動数の弛緩および収縮から構成されていた。したがって、運動活性のすべての調節パターンは、先のすべての研究(上述を参照させたい)と一致していた。
【0159】
Krantisら(1996)の消化管運動アッセイによって測定したところ、10mg/kg(体重)、静注(n=10)で投与した化合物EN139503は、40〜50分の作用持続と投与後60秒の発現時間をもって、ラットで典型的な摂食パターンを誘発した。
【0160】
小腸(D1部位)におけるEN139503の効果の例を図16に示した。EN139503を投与(垂直の矢印)した後、十二指腸記録(D1部位)で示すように、活性過多の強度パターンの誘発として、消化管運動活性の典型的な摂食パターンが続いた(水平の矢印)。信頼性のある摂食パターンと一致し、同時に、胃幽門洞(S1部位)で記録された組織運動活性は低下した(データは示さず)。予想通り、消化管運動活性の個々の構成成分(振幅と振動数)の分析により、消化管運動活性の典型的な摂食パターンの誘発が小腸と胃に生じることが示された(データは示さず)。
【0161】
化合物EN139506を10mg/kg(静注(n=8))で試験し、EN139503に類似した消化管運動活性の典型的な摂食パターンが誘発されることを確認した。EN139506の作用持続時間は、投与後、120秒の発現時間で30〜40分であった。
【0162】
化合物EN139507を10mg/kg(静注(n=8))で試験し、消化管運動活性の典型的な摂食パターンが誘発されることを確認した。摂食パターンの継続時間(すなわち15分)は、EN139503およびEN139506などの多数の化合物で記録された30〜40分の範囲より継続時間が多少短かったが、EN139507による摂食パターンの誘発の発現時間(すなわち120秒)は、試験した多数の化合物で観察された時間と類似していた。
【0163】
化合物EN139505は、20mg/kg、静注(n=5)で試験した。消化管運動活性の絶食パターンが時々確認され、それは30〜35分継続した。十二指腸D1部位における活性の発現時間は60秒であった。胃における摂食パターンに典型的な運動活性の低下は、注射後、84秒の平均発現時間で記録された(データは示さず)。
【0164】
化合物EN139508は、10および20mg/kg、静注で試験した場合、消化管運動の服用量依存性摂食パターンを誘発した。高用量では、作用持続がより長くなることが示された(約30分)。両服用量において、作用発現はともに投与後、約60秒であった。
【0165】
化合物EN139518を10mg/kg(静注(n-8))で試験し、投与後120秒以内に消化管運動活性の摂食パターンが誘発されることを確認した。前記化合物は、20〜34分の作用持続時間を有していた。
【0166】
化合物EN139519を10mg/kg、静注(n=7)の投与量で試験し、25秒の発現時間および30〜50分の継続時間を有する摂食パターンを誘発することを確認した。
【0167】
化合物EN139522を10mg/kg、静注(n=6)の投与量で試験し、20秒の発現時間および35分の継続時間の典型的な摂食パターンを誘発することを確認した。
【0168】
実施例 11 :ラットにおける追加摂食試験
追加試験は、実施例8で上述したのと同じ方法を基本的に用いて、摂食および体重増加における本発明の選択化合物の効果を検討するために行った。特に明記しない限り、これらの試験は13日間のプロトコルから成っており、本発明の選択化合物を含有する飼料を摂食したオスSprague Dawleyラットについて、体重増加および飼料消費をモニターした。ラットには、試験化合物含有または非含有の粉末形態標準ラット飼料(Purina Mills, Woodstock, ON)を与えた。
【0169】
これらの試験では、175〜200gの重量範囲にあるオスSprague-Dawleyラット(Charles River, Quebec, Canada)を6日間馴化させた。ラットは、試験のため、以下の5群に無作為に分けた:
第1群(対照):無変更の飼料と適宜水を与えた。
【0170】
第2群:3、10または20ppmのDONを含有する飼料と適宜水を与えた。
【0171】
第3群および第4群(試験群):本発明の選択化合物を含有する飼料を与えた。
【0172】
第5群(対摂食):試験に含まれる場合、この群のラットは、2日遅れさせ(馴化させるのに8日)、2日先行の試験動物(第3群または第4群)により摂食された平均量に限定した飼料を与えた。
【0173】
摂食試験は、3日間、普通の(対照)飼料(第−3日〜第−1日)を摂食したすべての群で開始し、期間中、飼料消費と体重増加における経時ベースライン変動をモニターした。最高10日までの間(第1日〜第10日)、各ラットには、各指定の実験食餌スケジュールの新しい試料のみ、または新しい飼料と試験化合物とを摂取させた。毎日、動物の重量を計量した。また、毎日、新しい飼料を供給した。残された飼料だけでなく、乾燥し、こぼされた飼料も飼料容器の下から回収し、毎日計量した。1日を通して給餌した飼料の量を記録した。
各ラットはそれぞれのケージ中に入れられており、前記ケージは、給餌された飼料を動物のみが確実に摂食できるよう設計されていた。粉末飼料は、飼料こぼしを防ぐように設計された特別製の磁製容器に入れた。動物は、12時間の明暗サイクルに置かれ、実験室への入り口は制限して、外来の活動および/またはノイズによる不自然な摂食行動が生じることを最小限にした。毎日午前9:00に、ケージを変更し、動物の重量を計量し、古い飼料を計量し、新しい飼料を供給した。このルーチン作業は、毎日注意深く同時刻に行った。各ラットには、隠すようにしてケージ中に設置された、1本のプラスチック・チューブを有していた。
【0174】
各々最高13日までにわたって(すなわち、第−3日〜第10日)、動物重量を測定し、飼料消費を確認した。実験は第5日、第7日、または第10日で終了した。各群から2匹の動物を安楽死させ、胃、小腸および大腸の部分を解剖し、病理組織検査用に処理した。
【0175】
上記のプロトコルを用いて、摂食と体重増加について、DONおよび他の化合物の効果を検討し、比較した。
【0176】
試験1
試験1では、ラットに、EN139499を20ppm(n=8)または40ppm(n=5)で混合した通常の粉末飼料(普通食); EN139500を20ppm(n=8)または40ppm(n=6)で混合した普通食; DONを20ppm(n=6)で混合した普通食; あるいは、化合物非含有(対照、n=6)の普通食を給餌した。
【0177】
DON(20ppm)を混合した普通食を摂食したラットは、対照群と比較した場合、日別飼料消費および平均の日別体重増加はともに低下を示した。EN139499またはEN139500と混合した普通食を摂食したラットによる日別飼料消費は、対照動物と比較して、「シーソー」パターンを示したが、そのパターンは、DONを混合した飼料を摂食した動物についての典型的なパターンである(データは示さず)。
【0178】
40ppmのEN139499食を摂食したラットの第10日における総体的な増加重量は、対照群(普通食のみ)の63.6%であった(図16を参照)。40ppmのEN139499食を摂食させたラットにおいて確認された総体的重量増加に関するこの結果は、20ppmのEN139499食を摂食させたラットにおいて確認された効果の約2倍であった。一方、EN139500は、20ppmで、EN139499と同等の効果を有し、40ppmではもはや効果はなかった。これにより、これら2種類の化合物の濃度応答範囲は異なることが示された。
【0179】
試験2
試験2では、ラットに、EN139518を20ppm(n=10)で混合した普通食、または化合物非含有の普通食(普通食のみ、対照、n=6)を給餌した。EN139518は粉末として優れた均質性を示し、完全に可溶した。かかる特性は、本試験で用いた通常の粉末飼料などの飼料製品に前記化合物を配合するのに特に有益である。
【0180】
典型的な「シーソー」パターンは、日別体重増加のパーセントが変動することにより確認された(データは示さず)。EN139518食を摂食させたラットによる「標準の」日別消費は、試験の第3日〜第5日にわたって普通食のみを摂食させた対照群ラットと比較した場合、著しく低下し、それは維持された(図17を参照)。EN139518食を摂食させたラットは、対照群ラットと比較した場合、試験の第5日までに体重増加において約16%の低下を示した(図18)。
【0181】
試験3
試験3では、ラットに、40ppm(n=8)のEN139505を混合した普通食または普通食のみ(対照、n=10)を摂食させた。EN139503は飼料消費または体重増加のいずれかにも影響しなかった。
【0182】
実施例 12 :離乳幼ブタにおける食餌試験
DONおよび本発明の選択化合物について、ブタで実施される摂食試験におけるin vivoでの各効果を試験した。ブタとヒトの消化管神経生理学は類似しているため、ブタは、消化管運動のin vivo試験に好ましい動物モデルである。
【0183】
離乳子豚において、以下のプロトコルを用いて、飼料消失(摂食)における化合物(「薬剤」)の効果をin vivoで検討した。本プロトコルでは、食餌時間は、1日当たり2回の45分(すなわち、午前(「AM」)および午後(「PM」)に制限し、第1日の第1回目の食餌の前に、投与量を変えた化合物を含有する特別食(treat)(「薬剤含有(”drugged”)」特別食または「薬用(”medicated”)」特別食)を給餌した。すべての試験は、サスカチュワン(Saskatchewan)大学の動物管理・供給委員会(Committee on Animal Care and Supply)により発行された動物管理プロトコル(Animal Care Protocol)#19970021に従って行った。
【0184】
DON、EN139499、およびEN139518を、体重(bw)1kg当たり0.11mgの投与量(「低」投与量)、0.17mgの投与量(「中」投与量)、および0.34mgの投与量(「高」投与量)で試験した(第1日午前の摂食前にのみ給餌、以下を参照されたい)。化合物は、スタータークランブル上にかけたミルクリプレーサーからなる事前摂食特別食に入れて投与した。対照群には、ベースライン期間(以下を参照されたい)を通して、かつ試験期間の第1日午前(AM)に偽薬(ミルクリプレーサーおよびスタータークランブル)特別食を摂食させた。
【0185】
雑種(Camborough 15とCanabridの交雑; Pig Improvement Canada)で、5〜7kg(好ましくは±0.5kg)の体重を有し、約25日齢で離乳後5±3日の去勢オス(幼獣の時に去勢したブタ)合計60匹について、20匹からなる分離した3群(各化合物に対して1群)に分けて各試験用に選択した。明らかな健康上の問題(例えば、虚弱、脚が不自由、ヘルニア)があった動物は試験から除外した。ブタは誕生後、耳に刻み目をつけることにより識別し、同腹子の起源および同腹子におけるブタ番号を表した。ブタは日齢約20日で離乳させ、生産育種室へ移し、そこで選択するまで囲い場内に群として収容した。ブタには、フェーズI-薬用育種食および水を適宜とらせ、選択まで典型的な育種方法のとおり管理した。
【0186】
ゼロ投与の偽薬(対照)および各試験化合物の3種類の投与量(低投与量、0.11mg/kg bw;中投与量、0.17mg/kg bw;高投与量、0.34mg/kg bw)の試験化合物(例えば、第1群および他の試験化合物群におけるDON)を各々5匹のブタに(第−1日の重量を用いて)無作為に割り当てた。個々の囲い場内に収容された個別のブタを実験単位と考えた。
【0187】
帰無仮説は、試験化合物を摂食したブタは、偽薬を摂食したブタと違った機能は生じない、とした。手段において確認された変動が偶然生じた可能性がある確率が5%以下であった場合、帰無仮説は棄却され、対立仮説、すなわち、第1日午前9:00の食餌で化合物を摂食したブタは、偽薬を摂取したブタとは異なった機能が生じるという仮説が受け入れられる。
【0188】
順化期間
選択時に、ブタを測定し、個々の囲い場に移した。ブタは、少なくとも2日間、新しい部屋および囲い場、ならびに囲い場内に他の個体がいないことに馴化させた。この期間中、ブタには、適宜、非薬用食と水を利用できるようにした。
【0189】
ベースライン期間
飼料消失および体重増加における事前処理変動は、5日にわたって(第−5日〜第−1日)モニターした。この期間中、午前(AM)および午後(PM)の摂餌約20分前に、非薬用(すなわち、化合物非含有)特別食を摂食し、消費するようにブタを馴化させていった。次いで、ブタに、ほぼ午前9:20 AMおよび午後2:20に開始して45分間、非薬用食を適宜利用できるようにした。また、ブタが適宜水を利用できるようにした。5分以内に特別食を摂食しなかったブタには、特別食の約75%を消費した20分後まで、食餌を与えなかった。また、特別食を摂食しなかった動物には、その給餌時間(午前または午後)の食餌は与えなかった。
【0190】
試験期間
ベースライン期間(上述)の後、2日間の試験期間を行った。「第1日の午前」中、ブタに、同等量の食餌に混合された、指定化合物(薬剤)投与量を含有する特別食を摂食させ、続いて、ベースライン期間で記載したのと同様にして、各食餌を適宜利用できるようにした(45分間のみ)。「第1日の午後」は、ブタに、摂食前に特別食は給餌しなかった。同様に、第2日(午前および午後)についても、ブタに、摂食前に特別食は給餌しなかった。45分間の摂食期間中、いつでも十分に食餌が給餌容器内に確実にあるように注意した。また、ブタが自由に水を利用できるようにした。各動物が45分間の摂食期間を終えた時、給餌容器内に残っているいかなる食餌も片付け、各動物が確実に同じ摂食時間長を有していたようにした。
【0191】
第1日午後の45分間の摂食時間終了時に、血液サンプルを頚静脈静脈穿刺によって各動物から集めた。約5mlのサンプルを7ml容量の赤い蓋のチューブに集めた。これらのチューブには、略記の実験番号、動物タグ番号および日付を記載したラベルを付した。
【0192】
収集後3時間以内に、血液サンプルを3500×g、20分間の遠心処理により分離させた。血しょうをデカントするか吸引し、後の分析用に、ラベルを付したプラスチック製スナップキャップチューブに移した。
【0193】
第3日の朝、各部屋から出し、群れに返す前に、動物を測定した。
【0194】
測定と所見
ブタは、選択時、各々予定された午前特別食(試験期間中の投与量の計算は、同日の体重に基づく)を摂食させる前のベースライン期間および試験期間(上述)中の毎日、ならびに、試験から除く前の試験期間第3日に、個別に測定した。摂食前の添加飼料、および各45分間の摂食時間の終了時に再計量する飼料を秤量して記録した。実質的には、いかなる食べこぼしにも注意し、計量した。
【0195】
個々の動物重量を用いて、各期間中のおよび総体的な日別体重増加を計算した(囲い場当たりの体重増加量を指定期間中の日数で除した)。添加された飼料・再計量された飼料の量を用いて、各摂食期間(午前対午後)、各日、および全体の飼料消失を計算した(飼料消失を指定期間中の生存ブタ日数で除した)。
【0196】
ベースライン期間の開始から4日間、および試験期間の第2日における所見には、動物摂食行動に関する概況を含めた(プレゼンテーション直後または遅効の、連続的または間欠的、45分間より前の終了、動物が食べ続けようとする場合の飼料奪取、特別食および飼料に対する明らかな関心、ならびに様子(元気な様子、疲れた様子、不安気な様子))。
【0197】
ベースライン期間の最終日および試験期間の第1日における所見については、動物が特別食を摂食し始めた時、動物が摂食を終了した時、動物が特別食を連続的に食べた場合、嘔吐(催吐)が生じた場合、ならびに特別食摂取後の動物の様子(元気な様子、眠い様子、病的な様子、不安な様子)、を含めた。45分間の摂食期間中、飼料摂取の開始時間と終了時間とともに、摂食/飲水間の嘔吐、哺乳、様子(元気な様子、眠い様子、病的な様子)、飼料および特別食への動物の関心、ならびに任意の異常行動について記録した。
【0198】
試験中、各囲い場内のブタを毎日少なくとも2回観察し、健康状態を評価した。病気に見えるブタはすべて、より注意深く記録し、観察した。また、摂食の化合物誘発による低下以外に、化合物が関連する有害な効果もすべて記録した。
【0199】
食餌処方、必要量、混合およびサンプリング
順化期間、ベースライン期間および試験期間の食餌として、市販の非薬用飼育食(Ultrawean 21(登録商標)、Federated CO-OP Limited)を用いた。食餌は、少なくとも1.35%のTlys、3600kcal DEを提供し、かつ5〜12kg重量のブタのNRC 1998 一日栄養素必要量を超えるように処方した。食餌は粉砕形状で給餌した。飼料には、試験結果を混乱し得るような検出可能レベルのいかなるトリコテセンも含有されてはいなかった。本試験で用いた混合物と計算値を下記に示した。
【表1】
Figure 2004520352
調成 :
1. 第1日における群(ブタ5匹)当たりの全ブタ重量=W、を測定。
【0200】
2. W値×薬剤=所与の群に必要な総薬剤量。
【0201】
3. W値×ミルクリプレーサー=所与の群に必要な総ミルクリプレーサー。
【0202】
4. 投与量をラベル表示した容器中でこれらの各量の両物質を完全に混合。
【0203】
各動物の特別食の決定 :
各動物重量(kg)×特別食投与量を計算し、各動物のラベルを付した薬剤容器へ量を量り分ける。等量の飼料を添加し、振り混ぜて混合する。
【0204】
結果
上記のプロトコルに従って、低濃度、中濃度、および高濃度のDON、EN139499またはEN139518を摂食しているブタによる飼料消費(標準化)を測定し、棒グラフとして図示し、それぞれ、図19、図20および図21に示した。データから、第1日午前摂餌前の特別食にて各試験群に摂取された3種類の化合物はすべて、試験した3種類の投与量の1種または複数種において、午前特別食後のブタによる午前食餌の飼料消費を低下させたことが明らかである。さらに、飼料消費における各化合物の効果は、次回の食餌(すなわち、第1日午後およびその後の摂食時間)までに徐々に消失していった。実際、第1日午前に、中投与量または高投与量の化合物を摂取した数匹のブタは、化合物の効果が徐々に消失した後、第1日午後の食餌ではさらによく摂食したように思われる(例えば、図21中、EN139518処理ブタの第1日午後を参照されたい)。
【0205】
本試験において、中投与量または高投与量のDONを摂取している複数のブタにおいて嘔吐が何度か生じた。しかしながら、飼料特別食でEN139499またはEN139518を摂取したブタでは嘔吐はみられなかった。
【0206】
この試験結果により、例えば、長期の栄養素摂取の遮断が原因で個体に発生し得る潜在的な生理的合併症をおこすことなく、望ましく、かつ高度に調節可能な方法で(例えば、指定の摂食前に投与する場合)、摂食を効果的に、また一時的に低下させるために本発明の化合物を用いることができることが示された。
【0207】
さらに、in vivoデータから、摂食を低下させる特性は明らかに独立した活性であり、DONなどの天然トリコテセン化合物で汚染された飼料を摂取した動物で摂食が低下した原因としてこれまで見られてきた、悪阻(嘔吐)などのあらゆる「毒性」副作用とは区別できることが明らかである。特に、この点で興味深いのは、化合物EN139499またはEN139518を摂取しているブタからのデータであり、本発明のこれらのいずれの化合物も、過去に、天然トリコテセンが悪阻を誘発し、タンパク質合成を抑制する有毒能力に決定的であると考えられてきた8-ケト基を有していない。
【0208】
上記の記載で引用したすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照により本明細書に援用する。
【0209】
本明細書に記載された本発明の他の変更および実施形態は、本発明の範囲または請求項の趣旨から逸脱することなく、当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1A】図1Aは、本発明のいくつかの代表的な化合物、すなわち、EN139499、EN139500およびEN139501の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図1B】図1Bは、本発明のいくつかの代表的な化合物、すなわち、EN139502、EN139503およびEN139504の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図1C】図1Cは、本発明のいくつかの代表的な化合物、すなわち、EN139505およびEN139506の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図1D】図1Dは、本発明のいくつかの代表的な化合物、すなわち、EN139507およびEN139508の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図1E】図1Eは、本発明のいくつかの代表的な化合物、すなわち、EN139511およびEN139514の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図1F】図Fは、本発明のいくつかの代表的な化合物、すなわち、EN139518、EN139519およびEN139520の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図1G】図1Gは、本発明の代表的な化合物、すなわち、EN139522の分子構造と名称を示す。わかりやすくするため、図中の構造上には、分子中に存在する選択水素原子(H)のみを記載している。Phはフェニルである。
【図2】図2は、Krantisら(1996)の方法によりEN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後Sprague-Dawleyオスラットの十二指腸中の部位2箇所(D1およびD2)、ならびに胃幽門洞中の部位(S1)における消化管運動活性の摂食パターンの誘発の記録を示す。また、図2は、化合物EN139499を投与する前の記録の初期部分(t=8〜t=40分間)では、十二指腸(D1とD2)において交互に生じる群活性および群間活性を有する消化管運動活性の特徴的な絶食パターンも示す。EN139499を投与(垂直の矢印)した後には、十二指腸記録(D1、D2)では活性過多の増強パターンの誘発として示され、また、同時に、胃幽門洞(S1)では、記録した組織運動活性の測定可能な抑制または低下として示されるように消化管運動活性の特徴的な摂食パターン(水平の矢印)が生じた。
【図3】図3は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D1部位で記録された消化管運動活性の弛緩成分の振幅に及ぼす効果の棒グラフを示す。弛緩の振幅は、対照「群」活性のパーセントとして表した。図中、斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示している。
【図4】図4は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D1部位における消化管運動活性の弛緩成分の振動数に及ぼす効果の棒グラフを示す。弛緩の振動数は、対照「群」活性のパーセントとして表している。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示している。
【図5】図5は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D1部位における消化管運動活性の収縮成分の振幅に及ぼす効果の棒グラフを示す。収縮の振幅は、対照「群」活性のパーセントとして表わした。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示している。
【図6】図6は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D1部位における消化管運動活性の収縮成分の振動数に及ぼす効果の棒グラフを示す。収縮の振動数は、対照「群」活性のパーセントとして表した。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示している。
【図7】図7は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D2部位であることを除いては、図3で示したのと同様にして記録した消化管運動活性の弛緩成分の振幅に及ぼす効果の棒グラフを示す。弛緩の振幅は、対照「群」活性のパーセントとして表した。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示している。
【図8】図8は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D2部位であることを除いては、図4で示したのと同様にして記録した消化管運動活性の弛緩成分の振動数に及ぼす効果の棒グラフを示す。弛緩の振動数は、対照「群」活性のパーセントとして表した。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示している。
【図9】図9は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D2部位であることを除いては、図5で示したのと同様にして記録した消化管運動活性の収縮成分の振幅に及ぼす効果の棒グラフを示す。収縮の振幅は、対照「群」活性のパーセントとして表した。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示す。
【図10】図10は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの十二指腸D2部位であることを除いては、図6で示したのと同様にして記録した消化管運動活性の収縮成分の振動数に及ぼす効果の棒グラフを示す。収縮の振動数は、対照「群」活性のパーセントとして表した。斜線の棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示し(100%);黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群間」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示し;白抜きの棒は、EN139499投与後の活性刺激に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示している。
【図11】図11は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの胃幽門洞(S1部位)で記録された消化管運動活性の弛緩成分の振幅に及ぼす効果の棒グラフを示す。弛緩の振幅は、対照「群」活性のパーセントとして表した。黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示し(100%)、白抜きの棒は、EN139499投与後の活性抑制に対する運動活性の弛緩成分の相対振幅を示している。
【図12】図12は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの胃幽門洞(S1部位)で記録された消化管運動活性の弛緩成分の振動数に及ぼす効果の棒グラフを示す。弛緩の振動数は、対照「群」活性のパーセントとして表した。黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示し(100%)、白抜きの棒は、EN139499投与後の活性抑制に対する運動活性の弛緩成分の相対振動数を示している。
【図13】図13は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの胃幽門洞(S1部位)での消化管運動活性の収縮成分の振幅に及ぼす効果の棒グラフを示す。収縮の振幅は、対照「群」活性のパーセントとして表した。黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示し(100%)、白抜きの棒は、EN139499投与後の活性抑制に対する運動活性の収縮成分の相対振幅を示している。
【図14】図14は、化合物EN139499(10mg・kg-1体重、静脈内投与)で処理した、麻酔後ラットの胃幽門洞(S1部位)における消化管運動活性の収縮成分の振動数に及ぼす効果の棒グラフを示す。収縮の振動数は、対照「群」活性のパーセントとして表した。黒塗りの棒は、EN139499投与前の「群」運動活性に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示し(100%)、白抜きの棒は、EN139499投与後の活性抑制に対する運動活性の収縮成分の相対振動数を示している。
【図15】図15は、10日(第1日〜第10日)の摂食試験中のオスSprague-Dawleyラットの平均日別重量を示す。グラム(g)で表した平均の日別重量は、下記の摂食ラットについて示した:通常の粉末飼料(陽性対照、ひし形);化合物EN139495(3-アセチル-DONカーボネート、20ppm)を補充した通常の粉末飼料;化合物EN139499(20ppm)を補充した(混合した)通常の粉末飼料;「対摂食(pair-fed)」量においてEN139499を補充した通常の粉末飼料。詳細については、本明細書を参照されたい。すべてのラットに通常の(未補充の)粉末食料を摂食させ、試験開始前の3日間(第−3日〜第−1日)モニターし、対照群と試験群の間で飼料消費と体重増加における著しいベースライン変動がないことを確認した。
【図16】図16は、10日の摂食試験におけるオスSprague-Dawleyラットの総体的な体重を対照のパーセントとして示した棒グラフを示す。動物には、下記を摂食させた:20ppmまたは40ppmでEN139499(黒塗りの棒)を補充した(混合した)通常の粉末飼料(普通食);20ppmまたは40ppmでEN139500(格子斜線の棒)を補充した普通食;20ppmでDON(斜線の棒)を補充した普通食;普通食単独(対照群、白抜きの棒)。
【図17】図17は、試験の摂食試験全時間(日)にわたって、オスSprague-Dawleyラットによる飼料(g×10-2)の標準化した日別消費を示す。動物は、第1日に開始する食餌によってグループ化し、その場合、ラットは、通常の粉末飼料(普通食)から、20ppmのEN139518(長方形)を混合した通常の粉末飼料または普通食単独(対照群、ひし形)に切り替えられた。通常の対照食とEN139518食間の消費における有意な(p<0.05)差異を示すデータポイントは、星印(第3日〜第5日)によって示した。
【図18】図18は、5日の摂食試験において、オスSprague-Dawleyラットの全重量増加を対照群の全重量増加のパーセントとして示す。ラットには、以下を摂食させた:普通食(対照群、白抜きの棒);図17に記載したのと同じく、20ppmのEN139518と混合した普通食(黒塗りの棒)。
【図19】図19は、第1日午前(AM)に、朝の食餌の約20分前に給餌された、0.11mg/kg体重のDON含有(低投与量、L)単一飼料特別食、0.17mg/kg体重のDON含有(中投与量、M)単一飼料特別食、または0.34mg/kg体重のDON含有(高投与量、H)単一飼料特別食(food treat)を摂食したブタによる、午前(AM)および午後(PM)摂食時の2日間にわたる(第1日および第2日)、標準化した飼料消費の棒グラフを示す。対照(C)動物は、第1日午前に、DON非含有飼料特別食を摂食した。
【図20】図20は、ブタが、DONの代わりに化合物EN139499を含有する飼料特別食を摂取した以外は、図19と同様にして、ブタによる標準化した飼料消費を示す。対照動物は、第1日午前に、EN139499非含有飼料特別食を摂食した。
【図21】図21は、ブタが、DONの代わりに化合物EN139518を含有する飼料特別食を摂取した以外は、図19と同様にして、ブタによる標準化した飼料消費を示す。対照動物は、第1日午前に、EN139518非含有飼料特別食を摂食した。

Claims (22)

  1. 式I:
    Figure 2004520352
    〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
    R1およびR2は、独立して
    水素原子;
    C1〜C6アルキル;
    C1〜C6アリールアルキル;または、
    アシル基C(O)R5
    (式中、R5は、
    C1〜C6アルキル;
    C2〜C6アルケニル;
    C2〜C6アルキニル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環;または、
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
    からなる群から選択される)
    である〕
    で表される、消化管運動を調節する化合物を含んでなる組成物。
  2. 前記化合物が、3α-アセトキシ-12, 13-エポキシ-8α-ヒドロキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(EN139499と称する)、3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-7α,15-カーボネート(EN139500と称する)、および3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-カーボネート(EN139507と称する)からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物を含んでなる組成物。
  3. 式II:
    Figure 2004520352
    〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
    R1およびR2は、独立して
    水素原子;
    C1〜C6アルキル;
    C1〜C6アリールアルキル;または、
    アシル基C(O)R5
    (式中、R5は、
    C1〜C6アルキル;
    C2〜C6アルケニル;
    C2〜C6アルキニル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環;または、
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
    からなる群から選択される)であり;
    R3およびR4は、独立して
    水素;
    C1〜C6アルキル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
    R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
    で表される、消化管運動を調節する化合物を含んでなる組成物。
  4. 前記化合物が、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8α-オール(EN139501と称する)、および7α,15-ベンジリデン-3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン(EN139505と称する)からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物を含んでなる組成物。
  5. 式III:
    Figure 2004520352
    〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合または二重結合であり;
    RおよびR2は、独立して
    水素原子;
    C1〜C6アルキル;
    C1〜C6アリールアルキル;または、
    アシル基C(O)R5
    (式中、R5は、
    C1〜C6アルキル;
    C2〜C6アルケニル;
    C2〜C6アルキニル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
    からなる群から選択される)
    である〕
    で表される、消化管運動を調節する化合物を含んでなる組成物。
  6. 前記化合物が、3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,8α,15-トリオール(EN139503と称する)、および3α,8α-ジアセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-7α,15-ジオール(EN139506と称する)からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物を含んでなる組成物。
  7. 式IV:
    Figure 2004520352
    〔式中、xは、炭素原子9と炭素原子10の間の単結合であり;
    R2は、
    水素原子;
    C1〜C6アルキル;
    C1〜C6アリールアルキル;または、
    アシル基C(O)R5
    (式中、R5は、
    C1〜C6アルキル;
    C2〜C6アルケニル;
    C2〜C6アルキニル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
    からなる群から選択される)
    である〕
    で表される、消化管運動を調節する化合物を含んでなる組成物。
  8. 前記化合物が、3α-アセトキシ-12,13-エポキシ-9α-メチルトリコテカン-8-オン-7α,15-カーボネート(EN139511と称する)、および3α-ベンゾイルオキシ-12,13-エポキシトリコテカ-9-エン-8-オン-7α,15-カーボネート(EN139514と称する)からなる群から選択される、請求項7に記載の化合物を含んでなる組成物。
  9. 式V:
    Figure 2004520352
    〔式中、
    R2は、
    水素原子;
    C1〜C6アルキル;
    C1〜C6アリールアルキル;または、
    アシル基C(O)R5
    (式中、R5は、
    C1〜C6アルキル;
    C2〜C6アルケニル;
    C2〜C6アルキニル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
    からなる群から選択される)
    であり;
    R3およびR4は、独立して
    水素;
    C1〜C6アルキル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
    R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
    で表される、消化管運動を調節する化合物を含んでなる組成物。
  10. 前記化合物が、3α-アセトキシ-7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシトリコテカン-8-オン(EN139519と称する)、および7α,15-ベンジリデン-12,13-エポキシ-3β-ヒドロキシトリコテカン-8-オン(EN139520と称する)からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物を含んでなる組成物。
  11. 式VI:
    Figure 2004520352
    〔式中、
    R2は、
    水素原子;
    C1〜C6アルキル;
    C1〜C6アリールアルキル;または、
    アシル基C(O)R5
    (式中、R5は、
    C1〜C6アルキル;
    C2〜C6アルケニル;
    C2〜C6アルキニル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環;ならびに、
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換された5員もしくは6員複素環式芳香族環、
    からなる群から選択される)
    であり;
    R3およびR4は、独立して
    水素;
    C1〜C6アルキル;
    フェニル基;
    ハロゲン、アルキル、アルコキシ、チオメチル、スルフィニルメチル、スルホニルメチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基で置換されたフェニル基;
    5員もしくは6員複素環式芳香族環であるか;または、
    R3およびR4は、アセタール炭素原子と一緒になって、5、6もしくは7個の炭素原子を有する炭素環を形成している〕
    で表される、消化管運動を調節する化合物を含んでなる組成物。
  12. 前記化合物が、7α,15-ベンジリデン-9α,12β-ジメチル-3α,12α-ヒジドロキシトリコテカン-8-オン(EN139522と称する)である、請求項11に記載の化合物を含んでなる組成物。
  13. さらに、薬学的に許容される担体を含んでなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 摂食量を一時的に低下させるのに十分な量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物を個体に投与することを含んでなる、個体における摂食を低下させる方法。
  15. 摂食量を一時的に低下させるのに十分な量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物を個体に投与することを含んでなる、個体における肥満症を治療する方法。
  16. 個体に飽満感を生じさせるのに十分な量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物を個体に投与することを含んでなる、個体において消化管運動の摂食パターンを誘発する方法。
  17. 前記組成物を経口的に投与する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 7α,15-ベンジリデン-9α,12β-メチルトリコテカン-3α,8α,12α-トリオール(EN139502と称する)を含んでなる、消化管運動の絶食パターンを促進または強化するための組成物。
  19. さらに、薬学的に許容される担体を含んでなる、請求項18に記載の組成物。
  20. 摂食量を一時的に増加させるのに十分な量の請求項18または19に記載の組成物を個体に投与することを含んでなる、個体における摂食を増加させる方法。
  21. 摂食量を一時的に増加させるのに十分な量の請求項18または19に記載の組成物を個体に投与することを含んでなる、個体における栄養失調症を治療する方法。
  22. 摂食量を一時的に増加させるのに十分な量の請求項18または19に記載の組成物を個体に投与することを含んでなる、個体における拒食症を治療する方法。
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