JP2004520076A - 疾患の治療におけるテロメア維持への干渉 - Google Patents

疾患の治療におけるテロメア維持への干渉 Download PDF

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Abstract

本発明は、酵母および哺乳動物のテロメア調節に関与する、新規ヌクレオチド配列およびそれらに由来するポリペプチド配列に関する。薬物および組成物のスクリーニングのための方法も提供する。本発明はさらに、主として癌および老化を治療するための、これらの遺伝子/タンパク質の診断的および/または治療的使用を含む方法に関する。

Description

【0001】
1.発明の分野
本発明は、細胞周期の調節に重要な真核生物遺伝子を同定するための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、細胞の成長、老化(aging)および死に必須である酵母遺伝子およびそれらに対応する哺乳動物遺伝子に関する。寿命または悪性腫瘍の要因となる細胞周期関連遺伝子およびそれらの対応する機能を同定および調節するための方法および組成物も提供する。
【0002】
2.発明の背景
酵母ゲノムの遺伝子操作は、真核細胞の複製、成長および最終的には老化または老衰(senescence)に必要な必須遺伝子を同定するための好都合なモデルを提供する。細胞の寿命および癌細胞の不死化に関連する事象は密接に関連している。老衰または細胞の成長を阻止するためには、それらを調節している原因および手段を分子レベルでまず発見する必要がある。
【0003】
約40年前にレオナルド・ヘイフリック(Leonard Hayflick)およびポール・ムーアヘッド(Paul Moorhead)は、線維芽細胞が限られた回数(50〜60回)しか分裂できないこと―「ヘイフリック限界」として現在知られている現象―に最初に気づいた。正常細胞とは対照的に、悪性細胞は無限回数の分裂が可能である。老年医学/腫瘍学の分野における最近の研究活動のほとんどはテロメアに焦点を合わせている。大まかに言うと「テロメア」は染色体の先端部であり、反復性の核酸配列から構成されるが遺伝子は含んでいない。これらの先端部は分裂のたびに短くなり、遺伝的不均衡の原因となる。癌細胞、生殖細胞および研究が行われたすべての真核微生物は、テロメラーゼと呼ばれる酵素によってこの短縮を修正する能力を持つことが知られている。テロメラーゼまたはその既知の遺伝子(TLC1およびEST)による老衰の制御は現在も研究が進展途上にあり、その結果は予備的なもので、かつしばしば矛盾している。しかし、テロメアの損失は老衰に一定の役割を果たすという可能性が示されており、S.セレビシエ(S. cerevisiae)ではこの筋書きに関する証拠が得られている(例えば、米国特許第5,695,932号;第5,489,508号;第5,840,495号を参照)。テロメアの損失はいわゆる老化の唯一の原因ではないと思われ、この損失は、老化の一因になると思われる他の病的状態、すなわちクロイツフェルト・ヤコブ病、アルツハイマー病、関節の摩耗、老眼、プログラム細胞死、癌といった老年期に顕在する状態の前兆にもなると考えられる。これらの状態を疾患または正常な老化のいずれとみなすかは定義の問題である。一般に、すべての致死遺伝子は宿主の長期生存に対する対因子(opponent)であり、それらはすべて注目に値する。老化過程または腫瘍発生の原因となる遺伝子は、現時点では老化または癌への関与が必ずしも明白ではなくとも、宿主ゲノム中に数多く存在すると思われる。
【0004】
最終的にはヒト宿主に恩恵をもたらした多くの重要な科学的発見は、最初はモデル系でなされた。酵母S.セレビシエS288C株の全DNA配列が1996年4月に決定されて以来、パン酵母は老化および癌の問題を遺伝子レベルで解明するための極めて好都合なモデルとなっている。酵母ゲノム配列を含むデータベースは公的に入手可能であり、かつ例えば、http://bioinformatics.weizmann.ac.il;http://genome−www.stanford.edu/Saccharomyces/;http://vectordb.atcg.com/vectordb/;http://www.mpimg−berlin−dahlem.mpg.de/〜andy/ GN/S.cerevisiae/またはhttp://www.mips.biochem.mpg.de/proj/yeast/などの公開ウェブサイトにある。その他のデータベースも存在し、これらのデータベースおよびその中での他のウェブサイトへのリンクは本発明の目的に等しく適している。その例には、酵母ジェンバンク(Yeast GenBank)(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来するすべてのジェンバンク(GenBank)配列の収集物);酵母スイスプロット(Yeast Swiss−Prot)(サッカロミセス・セレビシエに由来するスイスプロット(Swiss−Prot)タンパク質配列の収集物)およびYPD(プロテオーム社(Proteome, Inc.)が維持管理を行っている酵母タンパク質データベース)が非限定的に含まれ、それらの内容は参照として本明細書に組み入れられる。酵母を操作する方法は十分に確立されていて、当業者には周知であり、例えば、www.goshen.edu/bio/yeast、www.fhcrc.org/〜gottschlingおよびwww.sacs.ucsf.edu/home/HerskowitzLabなどの公開ウェブサイトに記載がある。
【0005】
すべての酵母遺伝子の配列は既知であり、かつそれぞれの染色体にマッピングされているが、これらの遺伝子の多く、特に他の種に相対物がないもの、または既知の遺伝子との十分な配列相同性が明らかになっていないものの生物的機能を予想することは未だに困難である。言い換えれば、遺伝子の配列を決定することは意味のある機能を遺伝子に帰属させることよりも容易である。さらに、機能が知られている遺伝子であっても、別の遺伝子の調節機構または産物と組み合わされた場合に、そのような遺伝子の機能または調節がどのように修飾されるかは明らかでない。このため、当技術分野では、ある遺伝子の既知または未知の機能を別の遺伝子と組み合わせて同定するという問題に関しては、未だに極めて予測不可能である。
【0006】
この問題は通常、関心対象のそれぞれの特定の遺伝子または特定の遺伝子の組み合わせに対して、既知の遺伝子操作技術およびスクリーニング法を研究者が適用し、場合ごとに解決される。モデルとしては酵母がしばしば選択されるが、これは操作が容易であり、多数の候補を比較的短期間にスクリーニングすることが可能なためである。酵母は検討がなされた微生物の中で組換えおよび遺伝子変換の頻度が最も高く、これは哺乳動物における頻度よりも数桁高い。ポストゲノム時代において、酵母における連続的な遺伝子ノックアウト研究(四分子分析と呼ばれるもの、例えば、http://bioinformatics.weizmann.ac.il/pub/softwaremac/mactetrad 69.readme)により、試験条件下では6つの遺伝子産物のうち約一つの割合で細胞の生命に必須である(その欠失が致死的である)ことが明らかになった。検討されている遺伝子産物の道理にかなった一部(a reasonable fraction)は酵素であるが、その他の遺伝子の機能は不明であるか、またはそれらの機能は先験的な仮定に合致しない。
【0007】
一般的に用いられるアプローチは、遺伝子ノックアウトおよび相補性によるスクリーニング法である。「相補性」という用語は、本明細書において、対象となる遺伝子要素が、それを細胞に導入した際にその細胞を変異の影響から改善させるような形式で変異型遺伝子要素に対して相同であることを意味する遺伝学的用語として用いられる(例えば、米国特許第5,527,896号を参照)。これ以上の詳細および例については、参照として本明細書に組み入れられる、ハートウェル(Hartwell)らの米国特許第5,866,338号を参照されたい。酵母遺伝子の多くはヒトでの相対物と相同的であるため、酵母における知見はヒト遺伝子の調節に容易に解釈し直すことができる。酵母およびヒトの遺伝子を相互参照する手段は現在では実現可能であり、これは例えば、参照として本明細書に組み入れられる、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/XREFdb/に記載された「XREF2」プログラムを用いて行うことができる。
【0008】
これらの戦略のいくつかにより、例えば、酵母サッカロミセス・セレビシエからDNA複製補助因子が同定されており、後にはこれが哺乳動物宿主でも再現可能であることが明らかになっている。
【0009】
いくつかの米国特許から、テロメラーゼおよびその機能に関する当技術分野の到達状況に関する識見が得られる。例えば、参照として組み入れられる米国特許第5,916,752号および第5,698,686号はテロメラーゼ組成物およびスクリーニング法を開示しており、米国特許第5,958,680号および第5,917,025号はテロメラーゼ遺伝子配列を開示しており、種々の米国特許第5,916,752号、第5,891,639号、第5,888,747号、第5,876,979号、第5,863,936号、第5,863,726号、第5,859,183号、第5,858,777号、第5,856,096号、第5,846,723号、第5,840,495号、第5,840,490号、第5,837,857号、第5,837,453号、第5,830,644号、第5,804,380号、第5,776,679号、第5,770,613号、第5,767,278号、第5,760,062号、第5,747,317号および第5,733,730号はテロメラーゼおよびテロメアのその他の関連した面および関連していない面を開示している。しかし、それらのいずれからも本発見への識見は得られない。
【0010】
したがって、酵母または一般的な真核細胞におけるテロメア/テロメラーゼ調節に関与する本遺伝子/タンパク質の存在を示唆または教示した報告は、本発明の前には先行技術において存在しない。
【0011】
3.発明の概要
腫瘍細胞または種々の疾患に対応するその他の調節不全(deregulated)細胞のモデルとして酵母変異株を提供することが、本発明の一つの目的である。
【0012】
本発明によれば、酵母における合成致死性(synthetic lethality)などによる遺伝子スクリーニング法により、テロメラーゼ経路に関与する新規遺伝子が判明することが現在明らかになっている。より詳細には、テロメラーゼ遺伝子TLC1(S.セレビシエで認められているようなテロメラーゼのRNA成分)が過剰発現された宿主細胞を生存できないようにする、3つの劣性酵母遺伝子tol1、tol2、tol3(テロメラーゼ過剰発現致死性(telomerase overexpression lethal))における変異が同定された。「遺伝子」とは、その変異型対立遺伝子が細胞、特に異常なテロメラーゼ活性を示す細胞にとって致死的であることが立証されている、本方法によって細胞のゲノム中に同定された部位、ドメイン、実際の遺伝子、配列、区域、断片またはオープンリーディングフレームを意味する。異常なテロメラーゼ活性とは、正常細胞と対比して上昇した細胞におけるテロメラーゼ活性のことを意味する。このようなテロメラーゼ活性の上昇は、例えば、遺伝子のプロモーター領域における変化、遺伝子の重複、テロメラーゼ遺伝子のコード領域とより活性の高いプロモーターとの異常な融合が生じる染色体材料の転座または喪失などによる、テロメラーゼ遺伝子の過剰発現によって生じうる。また、テロメラーゼ活性の上昇は、より活性の高い形態のタンパク質が生じるコード領域における変異によっても生じうる。TLC1の類似体および相同体も本発明の好ましい態様として考慮されており、これには、限定されないが、embZ35904、gbU14595SCU14595、embZ35905SCYBR036C、dbjD28120YSCCLS2、gbL24113YSCCSG2P、embX76992SCPDX3;ヒト(Homo sapiens)におけるクローンDJ0261D10gbAC005476.3AC005476;センチュウ(Caenorhabditis. elegans)におけるgbU5334OCELF02E8が含まれる。同様に、限定されないが、ヒトキニノーゲンHMW重鎖、プレプロα−2−チオールプロテイナーゼ、カルモジュリン刺激タンパク質、キニノーゲン、免疫グロブリンκ鎖、一酸化窒素合成酵素、免疫グロブリン重鎖可変領域、T細胞受容体δ鎖V領域、Igγ鎖、Ig H鎖V−D−JH4領域、パールカン、インスリン様増殖因子II、インターフェロン−α、p15およびp12のラットコード配列、インターフェロン−αI前駆体、AAD10などを含む、一連のEST遺伝子またはそれらの産物(「常に短いテロメア(ever shorter telomeres)」またはテロメラーゼの触媒成分)の類似体および相同体も好ましい。
【0013】
さらに、テロメア調節において、ならびにその結果として老化および癌の過程において同様の役割を果たす、tol遺伝子の哺乳動物および/またはヒト相同体も考慮される。これはヒト細胞系(酵母EST2に最も近い相同体であるhTERTを有する、または有していない線維芽細胞および上皮細胞)で確認されている。
【0014】
本遺伝子の調節機構に対するこの識見の結果として、癌の治療および予防のために有用な薬物に関するスクリーニング法の手段も提供する。前記の疾患カテゴリーに限定されることなく、本発明は、種々の真菌病原体または酵母病原体を治療するための手段も提供する。集団スクリーニング法および遺伝子分析により、テロメラーゼを過剰発現する真核生物を特異的に死滅させうると思われる化合物および/または薬物標的が同定される。したがって、真核生物の必須遺伝子の同定によって開発される治療薬も考慮される。同定されたこのような遺伝子またはその産物は、既存の薬物の既知の機序とは異なる機序に基づく治療薬に関する新規標的として役立つ。このような化合物は、例えば、本来の変異株に認められるものと同様の表現型または形態を生み出すことにより、本明細書に開示する方法によって同定された遺伝子または遺伝子産物の機能を阻害または増強する。
【0015】
本発明の一つの特定の態様において、第一の遺伝子の欠陥は、腫瘍細胞または細胞周期の調節不全に冒された細胞に認められる欠損、またはそれらに関連した欠損であることが好ましい。または、本発明によって提供される細胞における第一の遺伝子の欠陥は、哺乳動物またはヒトの腫瘍細胞または染色体異常のある細胞に認められる欠陥、またはそれらに関連した欠陥と類似または相同なものである。「相同の」とは、ファミリーのメンバーの間である種の配列またはドメインが高度に保存されている(配列一致率が少なくとも40%)ような遺伝子の「ファミリー」の中での直接的な関係のことを意味する。これに対して、「類似の」遺伝子は、同様または「類似の」機能を果たすと考えられるものの、直接的な関係にはない(すなわち、類似の遺伝子の間では配列が保存されていない)。
【0016】
本遺伝子の調節の機序に関する識見の結果として、老衰の診断、治療および予防の手段が提供される。本発明は、細胞の寿命、例えば有糸分裂回数を延長するための方法および試薬に関する。
【0017】
本発明のさらにもう一つの目的は、細胞集団の治療的遺伝子への曝露により、細胞集団において対象細胞が選択的に停止または死滅するような、少なくとも一つの第一の遺伝子の欠陥を含む細胞集団における遺伝子産物による、遺伝子治療の手段を含む。このような遺伝子産物は、酵母tol遺伝子と類似または相同なヒト遺伝子によってコードされる、または調節される。
【0018】
過剰発現された関心対象の既知の第一の遺伝子および第二の変異遺伝子(両者の共存によって細胞死が決定される)を有する酵母変異株の致死性に基づく、合成致死性スクリーニング法を開示する。本スクリーニングアッセイ法では、関心対象の遺伝子の機能を補完または抑制しうる多数の変異株を用いる。細胞周期の制御に関与する新規遺伝子を最も一般的な形式で同定する、本発明を可能にする実験例も提供する。
【0019】
テロメラーゼ活性の過剰発現を特徴とする癌などの増殖性疾患の治療に有用な化合物を同定する方法であって、1)被験化合物がtol遺伝子産物に影響を及ぼすのに十分な条件および期間の下で、tol遺伝子産物またはその類似体もしくは相同体を被験化合物と接触させる段階、2)被験化合物の存在下におけるtol遺伝子産物の活性を、tol遺伝子産物の非存在下における遺伝子産物の活性と比較する段階を含む方法。この例示的なアッセイ法においては、tol遺伝子産物またはその類似体もしくは相同体の活性を低下させうる化合物が、癌またはテロメラーゼ活性の過剰発現を特徴とする他の増殖性疾患の治療に有用なものとして同定される。本発明のもう一つの態様においては、野生型tol遺伝子またはその類似体もしくは相同体を有する細胞を被験化合物と接触させ、tol遺伝子産物またはその類似体もしくは相同体の発現および/または活性を評価して、かつ被験化合物に曝露されていない細胞におけるtol遺伝子産物の発現および/または活性と比較する全細胞アッセイを行う。この面において、遺伝子産物の発現または活性の低下を引き起こす化合物は、癌またはテロメラーゼ活性の過剰発現を特徴とする他の増殖性疾患の治療に有用である。
【0020】
tol変異体を有するトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック非ヒト生物も提供する。テロメラーゼを過剰発現している動物の制御に役割を果たす化合物を検出する方法を含む、これらの生物を用いる方法も開示する。
【0021】
本発明のさらにもう一つの目的は、腫瘍細胞の増殖もしくは複製を阻害する方法、または異常なテロメラーゼ活性を示す細胞を死滅させる方法であって、細胞に対して致死的であることが立証されうる少なくとも一つの変異を収容しうる部位である、細胞のゲノムにおける第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する薬物または薬物候補を投与することを含む方法を提供する。
【0022】
4.発明の詳細な説明
本発明は、高いテロメラーゼ活性の存在下では必須であり、かつその非存在下では必要ではない、遺伝子およびそのそれぞれの産物を提供する。本研究の目的は、高レベルのテロメラーゼの存在下では生存できないが(TOLテロメラーゼ過剰発現致死性(telomerase overexpression lethal))、その非存在下では成長可能な変異株を分離することである。この識見により、望ましくない細胞成長(腫瘍)を抑制するための強力な手段が提供されるとともに、正常細胞の寿命を延長させる手段も提供される。
【0023】
本スクリーニング法の概要を以下に述べる。酵母の操作における一般的な技術的手順はガスリー(C Guthrie)およびフィンク(G R Fink)、「酵素化学法(Methods in Enzymology)」(第194巻:酵母の遺伝学および分子生物学への手引き(Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology)、1991、Academic Press)に記載があり、その内容はその全体が本明細書に組み入れられる。顕著に(3〜4倍)延長したテロメアを有する、ガラクトースで誘導可能なEST1、EST2およびTLC1を過剰発現する酵母変異株をスクリーニングに用いる。この菌株は、EST1およびEST2遺伝子を染色体から発現し、一方、GAL1−TLC1はURA3を含むプラスミドに提供される。
【0024】
エチルメタンスルホネート(EMS)変異誘発を行う24時間前に、テロメラーゼ活性を消失させるために菌株をグルコースに移す(TLC1オフ)。変異誘発の後に、グルコースを含む選択培地に細胞を平板培養する。コロニーのレプリカ平板法を以下の3種類の異なるプレート上で行う:グルコースを含む選択用プレート(TLC1オフ)、ガラクトースおよびラフィノースを含む選択用プレート(TLC1オン)ならびにガラクトースおよびラフィノースを含む5−FOA[Boeke, J.D.ら、「酵母の分子遺伝学における選択物質としての5−フルオロオロチン酸(5−FOA)(5−Fluoroorotic acid(5−FOA)as a selective agent in yeast molecular genetics)」Methods Enzymol.(1987)154:164〜175を参照]プレート。テロメラーゼ活性に耐えられない変異株は、ガラクトースで増殖しないことによって検出される。ガラクトースで増殖できないことが実際にテロメラーゼに起因する場合には、プラスミドを喪失した細胞は、5−FOAを含むガラクトース培地上で増殖することができる。続いて、上記の増殖パターンに合致するコロニーを、誘導可能なEST1、EST2およびTLC1遺伝子を有する野生株と交配させる。変異が劣性であれば、二倍体tol/TOL株は生存可能であり、かつ高いテロメラーゼ活性に耐えられる。続いてこの菌株に胞子形成を行わせて胞子を分析する。変異が優性であれば(TOL−dom)、TOL−dom/TOL二倍体株ではテロメラーゼを誘導することはできない。優性変異株はテロメラーゼがないために老化するか、またはテロメラーゼの導入によってはるかに早く死滅すると考えられる。
【0025】
このスクリーニング過程の間、細胞はテロメラーゼを伴わずに増殖するために老化する。重要なことは、テロメラーゼを活性化しても、関心対象の変異株は定義上この活性に耐えられないため、それらを老化から救うことができない点である。関心対象のコロニーを同定し、かつ野生型との交配によって救出するまでの分裂回数は40回を上回るべきではない。これは、単一細胞からコロニーが形成されるまでの分裂が約20回であり、レプリカ平板法からコロニーが再形成されるまでの分裂が約10回であるという推計値に基づく。極めて長いテロメアを有する菌株でスクリーニング法を行うことを考慮すれば、少なくとも30〜50回の分裂では生存性は低下しない。9020個を上回るコロニーのスクリーニングを行い、その結果、tol遺伝子が見いだされた。
【0026】
一般的な情報および、酵母ゲノムを含むデータベースは公式に利用可能であり、例えば、その内容およびリンクが参照として本明細書に組み入れられる、以下のような公式ウェブサイトにおいて見出される:http://bioinformayics.weizmann.ac.il;http://ourworld.compuserve.com/homepages/C Velten/yeast.htm;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Yeast;http://genome−www.stanford.edu/Saccharomyces/;genome−ftp.stanford.edu(directory/yeast/genome_seq);http://vectordb.atcg.com/vectordb/;http://www.mpimg−berlin−dahlem.mpg.de/ ̄andy/GN/S.cerevisiae/;またはhttp://www.mips.biochem.mpg.de/proj/yeast。他のデータベースも同様に存在し、これらのデータベースおよび他のウェブサイトへのリンクも、本発明の目的にとって等しく適している。例として、その内容が参照として本明細書に組み入れられるYeast GenBank(サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces serevisiae)に由来する全てのGenBank配列の集まり);Yeast Swiss−Prot(サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces serevisiae)に由来するSwiss−Protタンパク質配列のコレクション);YPD(Proteome, Inc. が管理する酵母タンパク質データベース)、その定期的な更新版が含まれるが、これらに限定されない。酵母を操作する方法は十分に確立されており、かつ当業者に公知であり、中でも例えば、www.goshen.edu/bio/yeast、www.fhcrc.org/ ̄gottschling、およびwww.sacs.ucsf.edu/home/HerskowitzLab/protocols/plotocolのような公式ウェブサイトにおいて見出される。
【0027】
本発明は、条件感受性致死性変異を有する変異体生物を同定する方法およびその後の遺伝子産物を特徴とする。開示された方法は、生存にとって必須である遺伝子および対応する遺伝子産物を迅速に同定するための、ゲノムライブラリーまたは変異体ライブラリーのハイスループット(high−throughput)スクリーニングのために有用である。致死性変異によって、限定的条件下(すなわち、腫瘍細胞において)では機能的でない遺伝子またはタンパク質がもたらされる。非機能的遺伝子は、プロモーター内に欠損を有する可能性があり、遺伝子発現の減少または異常をもたらす可能性がある。非機能的タンパク質は、不適切なタンパク質の折り畳みまたは異常なタンパク質分解を引き起こす構造的欠陥を有しうる。不適切なタンパク質折り畳みの結果、折り畳み、本来の基質の認識、ならびに/または基質の結合および放出は部分的または完全に失敗する。
【0028】
本発明は、テロメアーゼ依存過程を阻害することができ、かつ細胞増殖を制御することができる新規化合物に関する。したがって、細胞増殖の阻害のための用途が本発明の化合物にとって好ましい。特に、本発明の化合物は、過度または異常な細胞増殖を有する被験者を治療するために有用となりうる。
【0029】
本発明の化合物が治療的恩典を提供できる多様な病的な細胞増殖条件が存在し、一般的な戦略は異常な細胞増殖の阻害である。説明すると、病的または異常な増殖を示す細胞型には、様々な癌および白血病、乾せん、骨疾患、結合組織を巻き込むような繊維増殖障害、アテローム性動脈硬化症、およびその他の平滑筋増殖障害ならびに慢性炎症が含まれる。
【0030】
増殖異常に加えて、例えば、組織の脱分化が原因で起こる分化異常の治療は、(任意に)有糸分裂への頓挫性再入を伴いうる。そのような変性性障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症等、および脊髄小脳変性を含む神経系の慢性的な神経変性疾患が含まれる。他の分化異常には、例えば、軟骨細胞または骨細胞の脱分化によって起こりうるような、結合組織に関連した異常ならびに、内皮組織および平滑筋細胞の脱分化を伴う血管異常、腺細胞における変性変化を特徴とする胃潰瘍、および分化不全を特徴とする腎疾患、例えばウィルムス腫瘍が含まれる。
【0031】
治療的な適用(例えば、ヒトおよび獣医学的用途の両方で)に加えて、対象化合物がインビトロの細胞の増殖状態および/または分化状態を、例えばテロメアの長さを制御することによって制御するために、細胞培養添加物として使用されうることは明白であろう。
【0032】
同様に、ディファレンシャル(differential)スクリーニングアッセイ法を用いて、非ヒト酵母酵素に対して特異性を有する本発明の化合物を選択することができる。したがって、真核細胞病原体に対して特異的に作用する化合物、例えば抗真菌剤、または抗寄生虫剤を、本発明の阻害剤から選択することができる。説明すると、本発明の阻害剤は、衰弱した免疫抑制患者において一般的に起こる日和見感染症であるカンジダ症の治療に用いることができる。これらの同じ阻害剤を用いて、白血病およびリンパ腫患者、免疫抑制治療を受けている人々、および真菌感染症が特に問題となる真性糖尿病またはAIDSのような素因を有する患者におけるこれらの感染症を治療することができる。
【0033】
説明のために、本明細書に記載したアッセイ法を用いて、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール菌症、分芽菌症、ゲオトリクム症、クリプトコッカス症、色素酵母菌症、コクシジウム症、分生胞子症(conidiosporosis)、ヒストプラスマ症、マズラミコーシス、リノスポリジウム症、ノカルディア症、パラアクチノミセス症、ペニシリウム症、モニリア症、またはスポロトリクム症のような真菌症に関係する少なくとも一種の真菌を阻害するために最終的に有用でありうる薬剤をスクリーニングすることができる。
【0034】
そのような治療的利用の他に、そのような示差スクリーニングアッセイ法によって開発された抗真菌剤を、例えば食料品における保存剤、家畜の体重増加を促進するための飼料添加剤、または非生物材料の処理、例えば病院機器および病室の汚染除去のための消毒製剤として用いることができる。
【0035】
同様にして、哺乳類遺伝子およびショウジョウバエ(Drosophila)のような昆虫遺伝子の阻害を並べて比較すると、本発明の誘導体の中からヒト/哺乳類の酵素および昆虫酵素とを識別する阻害剤を選択することが可能となると考えられる。したがって、本発明は、ショウジョウバエ(Drosophila)のような昆虫の管理のために用いられるように、殺虫剤における本発明の用途および製剤を広く意図する。
【0036】
さらにもう一つの態様において、本発明の阻害剤化合物のいくつかを、哺乳類の相対物と比較して植物遺伝子に対する阻害特異性に基づいて選択することができる。例えば、植物酵素を阻害するための最大の選択性を有する化合物を選択するために、一つまたは複数のヒト酵素によるディファレンシャルスクリーニングにおいて、植物遺伝子を配置することができる。したがって、本発明は枯葉剤等の形態など農業的応用のための本発明のCDK阻害剤の製剤を特に意図している。
【0037】
もう一つの局面において、本発明は、一つまたは複数の薬学的に許容されうる担体(添加剤)および/または希釈剤と共に製剤化した、一つまたは複数の治療的有効量の上記の化合物を含む、薬学的に許容されうる組成物を提供する。以下に詳細に説明するように、本発明の薬学的組成物を、以下に関して適合させたものを含む、固体状または液体状での投与のため特に製剤化してもよい:(1)経口投与、例えば飲薬(水溶液もしくは非水溶液、または懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉剤、顆粒、舌に適用するためのペースト;(2)非経口投与としては、例えば滅菌溶液または懸濁液としての皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射;(3)局所適用、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏、もしくはスプレーとして;または(4)膣内もしくは直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、もしくはフォームとして。
【0038】
本明細書において用いられる「治療的有効量」という用語は、動物における細胞の少なくとも一つの亜集団における細胞間情報伝達経路を阻害し、それによる処理細胞におけるその経路の生物学的帰結を妨害することによって、何らかの所望の治療効果を得るために有効である本発明の化合物を含む、化合物、材料、または組成物の量を意味する。
【0039】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書において、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症がなく、妥当な利益/リスク比に比例して、ヒトおよび動物の組織と接触して用いることに適している化合物、材料、組成物および/または剤形を意味するために用いられる。
【0040】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、一つの臓器、または体内の一部分から体内の他の臓器または他の部分に対象の薬剤を運ぶまたは輸送することに関係する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料のような、薬学的に許容される材料、組成物、または媒体を意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に対して有害でないという意味において「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として役立ちうる材料のいくつかの例には:(1)乳糖、ブドウ糖、およびショ糖のような糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンのようなデンプン;(3)セルロースおよび、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースのようなその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび坐剤ロウのような賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油のような油脂;(10)プロピレングリコールのようなグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールのようなポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)薬学的製剤において用いられる他の非毒性適合性物質が含まれる。
【0041】
上記のように、本発明の阻害剤の特定の態様は、アミノ基またはアルキルアミノ基のような塩基性官能基を含んでもよく、したがって、薬学的に許容される酸によって薬学的に許容される塩を形成することができる。この点において、「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機酸付加塩および有機酸付加塩を意味する。これらの塩を、本発明の化合物の最終的な単離および精製の際にインサイチューで、または遊離状態の本発明の精製化合物を適切な有機酸または無機酸と個々に反応させ、形成された塩を単離することによって、調製することができる。代表的な塩には、臭化水素塩、塩化水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシラート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシレート、グルコヘプト酸塩、ラクトビオネート、およびラウリルスルホン酸塩等が含まれる。
【0042】
他の例において、本発明の化合物は、一つまたは複数の酸性官能基を含んでもよく、したがって、薬学的に許容される塩基によって薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの例において「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機塩基付加塩および有機塩基付加塩を意味する。これらの塩はさらに、化合物の最終的な単離および精製の際にインサイチューで調製することができ、または酸解離状態の精製化合物を、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩のような適した塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機一級アミン、二級アミン、もしくは三級アミンと個々に反応させることによって、調製することができる。代表的なアルカリ塩類またはアルカリ土類塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩等が含まれる。塩基付加塩の形成にとって有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が含まれる。
【0043】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コート剤、甘味料、香料、保存剤および抗酸化剤も同様に組成物中に存在しうる。
【0044】
薬学的に許容される抗酸化剤の例にはいかが含まれる:(1)アスコルビン酸、水酸化システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性抗酸化剤;(2)アスコルビン酸・パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール等のような脂溶性抗酸化剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤が含まれる。
【0045】
本発明の製剤には、経口投与、鼻腔内投与、局所投与(頬および舌下を含む)、直腸投与、膣投与、および/または非経口投与に適した製剤が含まれる。製剤は、便宜上単位剤形で存在してもよく、薬学の技術分野において公知の任意の方法によって調製されうる。単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与様式に応じて変化すると考えられる。単一の剤形を作製するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般的に治療効果を生じる化合物の量であると考えられる。一般的に、100%のうち、この量は活性成分の約1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲内であろう。これらの製剤または組成物を調製する方法には、本発明の化合物を担体と、および任意で一つまたは複数の付属成分と結合させる段階が含まれる。一般的に、本発明の化合物を液体担体、または細粒固体担体またはその双方と均一に完全に結合させ、次に必要であれば産物を成形することによって、製剤が調製される。
【0046】
経口投与に適した本発明の製剤は、活性成分として本発明の化合物の規定量をそれぞれ含む、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、(香料基剤、通常、ショ糖およびアカシアゴムまたはトラガカントを用いる)ロゼンジ、粉剤、顆粒剤の形状で、または水溶液もしくは非水溶液中での溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型の乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、または(ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアゴムなどの不活性基材を用いる)トローチとしておよび/またはマウスウオッシュ等としての形状であってもよい。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与されうる。
【0047】
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣丸、粉剤、顆粒等)において、活性成分を、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれかのような、一つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合する:(1)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/またはケイ酸のような充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアゴムのような結合剤;(3)グリセロールのような湿潤剤;(4)寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(5)パラフィンのような溶液遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物のような吸収加速剤;(7)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物などの潤滑剤;ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、薬学的組成物はまた緩衝剤を含んでもよい。類似のタイプの固体組成物も同様に、乳糖または牛乳の糖と共に、高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて軟および硬充填ゼラチンカプセルにおいて充填剤として用いられうる。
【0048】
錠剤を、任意に一つまたは複数の補助成分と共に、圧縮または成型によって作製してもよい。圧縮錠剤を、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムもしくは架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製してもよい。成型錠剤を、適切な機械において不活性液体希釈剤によって湿らせた粉末化合物の混合物を成型することによって作製してもよい。
【0049】
本発明の薬学的組成物の錠剤、ならびに糖衣丸、カプセル剤、丸剤および顆粒のようなその他の固体剤形を、任意に、腸溶コーティングおよび製薬技術分野で公知の他のコーティングのようなコーティングおよび外被と共に得ることができる、または調製することができる。それらをまた、例えば、所望の放出プロフィールを提供するための様々な比率のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いることによって、その中の活性成分の遅いまたは制御された放出を提供するように製剤化してもよい。それらを例えば、細菌残留フィルターによる濾過によって、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射可能媒体に溶解することができる滅菌固体組成物の形で滅菌物質を組み入れることによって、滅菌してもよい。これらの組成物はまた、任意に不透明化物質を含んでもよく、そして胃腸管の特定の部位に限って、またはそれらの部位に選択的に、ゆっくりと活性成分を放出する組成物であってもよい。用いることができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびロウが含まれる。活性成分はまた、適当であれば、上記の賦形剤の一つまたは複数を有する、微小封入体の形状でありうる。
【0050】
本発明の化合物を経口投与するための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、微小乳剤、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。活性成分の他に、液体剤形は、例えば水および他の溶媒のような当技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油脂(特に綿実油、落花生油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物のような可溶化剤および乳化剤を含んでもよい。
【0051】
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤、甘味料、着香料、着色料、香料ならびに保存剤のようなアジュバント(adjuvant)を含みうる。
【0052】
懸濁剤は、活性化合物の他に、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性(microcrystalline)セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物などの、懸濁化剤を含んでもよい。
【0053】
直腸投与または経膣投与のための本発明の薬学的組成物の製剤は、坐剤として示されうり、これは例えば、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸または膣腔内で融解して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ロウ、またはサリチル酸塩を含む一つまたは複数の適切な非刺激性の賦形剤または担体と、本発明の一つまたは複数の化合物を混合することによって調製されうる。
【0054】
経膣投与に適した本発明の製剤にはまた、当技術分野において適当であることが知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤が含まれる。
【0055】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤質が含まれる。活性化合物を、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体および必要でありうる任意の保存剤、緩衝剤、または噴射剤と共に混合してもよい。
【0056】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、油脂、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含んでもよい。
【0057】
粉剤およびスプレーは、本発明の化合物の他に、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはそれらの物質の混合物のような賦形剤を含みうる。スプレーは、クロロフルオロヒドロカーボン、ならびにブタンおよびプロパンのような揮発性の非置換炭化水素のような通常の噴射剤をさらに含みうる。
【0058】
経皮パッチは、本発明の化合物の体内への制御された送達を提供する、さらなる長所を有する。そのような剤形は、適当な媒体に化合物を溶解または分散させることによって作製することができる。化合物の皮膚を介した流入を増加させるために吸収促進剤も同様に用いることができる。そのような流入の速度を、速度調節膜を提供することによって、またはポリマーマトリクスまたはゲル中に化合物を分散させることによって、制御することができる。
【0059】
眼科用製剤、眼軟膏、点眼液、粉剤、移植片等も同様に、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0060】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、意図されたレシピエントの血液と等張な製剤にする溶質、懸濁剤もしくは濃化剤を含んでもよい、一つもしくは複数の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、もしくは乳液、または使用直前に滅菌注射可能溶液または分散剤に戻してもよい滅菌粉末と組み合わせた、本発明の一つもしくは複数の化合物を含む。
【0061】
本発明の薬学的組成物において用いられうる適切な水溶性担体または非水溶性担体の例には、水、エタノール、(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)ポリオール、およびそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適当な流動性を、例えば、レシチンのようなコーティング材料を用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、維持することができる。
【0062】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含んでもよい。微生物の作用の阻害は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等のような様々な抗菌剤および抗真菌剤を含めることによって、確保されうる。同様に、糖、塩化ナトリウム等のような等張剤が組成物に望ましく含まれうる。さらに、注射可能な薬学的形態の持続的な吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅らせる物質を含めることによってもたらされうる。
【0063】
場合によっては、薬物の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性が低い結晶またはアモルファス材料の液体懸濁液を用いることによって達成されうる。薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、その結果、結晶の大きさおよび結晶形に依存しうる。または、非経口投与剤形の吸収の遅延は、油性媒体に薬物を溶解または懸濁することによって行われる。
【0064】
注射可能デポー剤形は、本発明の化合物の微小封入マトリクスを、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生体分解性のポリマーにおいて形成することによって作製される。ポリマーに対する薬物の比、および用いる特定のポリマーの特性に応じて、薬物の放出速度を制御することができる。その他の生体分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能製剤はまた、生体組織と適合性であるリポソームまたは微小乳液中に薬物を捕獲することによって調製される。
【0065】
本発明の化合物を医薬品としてヒトおよび動物に投与する場合、それ自体を投与するか、または例えば0.1%〜99.5%(より好ましくは0.5%〜90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、薬学的組成物として投与することができる。
【0066】
本発明の調製物を、経口投与、非経口投与、局所投与、または直腸内投与してもよい。それらは当然、それぞれの投与経路に適した形状で投与される。例えば、それらは、錠剤、またはカプセル剤、注射剤、吸入剤、眼科用ローション、軟膏、坐剤等、注射、注入、または吸入投与;ローションまたは軟膏による局所投与;および坐剤による直腸内投与によって投与される。経口投与が好ましい。
【0067】
本明細書において用いられる「非経口投与」および「非経口的に投与する」という用語は、腸内および局所投与以外の投与様式、通常注射による投与を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、および槽内の注射および注入が含まれるがこれらに限定されない。
【0068】
本明細書において用いられる「全身投与」、「全身に投与する」、「末梢投与」、および「末梢に投与する」という用語は、本明細書において、これが患者の神経系に入って、したがって代謝および他の類似の過程に供されるように、中枢神経系に直接投与する以外の化合物、薬物、または他の材料を投与すること、例えば皮下投与を意味する。
【0069】
これらのペプチドおよび化合物を、例えばスプレーによる経口投与、鼻腔内投与、直腸内投与、膣内投与、非経口投与、槽内投与、および粉末、軟膏、または点眼液のような、経頬投与および舌下投与を含む局所的投与を含む、任意の適切な経路によって治療するために、ヒトおよびその他の動物に投与してもよい。
【0070】
選択した投与経路にかかわらず、適切な水和型で用いられうる本発明の化合物および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知である従来の方法によって薬学的に許容される投与剤形に製剤化される。
【0071】
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投与レベルを、患者に対して毒性を示さずに、特定の患者、組成物および投与様式に対して所望の治療反応を得るために有効な活性成分の量を得るために変更してもよい。
【0072】
選択した用量レベルは、用いる本発明の特定の化合物、もしくはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、投与時期、用いられる特定の化合物の排泄速度、治療期間、他の薬物、用いられる特定の化合物と組み合わせて用いられる化合物および/もしくは材料、治療すべき患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康、および既往、ならびに医学の技術分野において公知の類似の要因を含む、様々な要因に依存すると考えられる。
【0073】
当技術分野において通常の技術を有する医師または獣医師は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定して処方することができる。例えば、医師または獣医師は薬学的組成物において用いられる本発明の化合物の用量を、所望の効果を得るために必要な用量より低いレベルで開始して、所望の効果が得られるまで用量を徐々に増加させることができる。
【0074】
一般的に、本発明の化合物の適切な一日量は、治療効果を生じるために有効な最低用量である化合物の量であると考えられる。そのような有効量は、一般的に上記の要因に依存すると考えられる。一般的に、示された鎮痛効果のために用いる場合、本発明の化合物の患者への静脈内投与量、脳室内投与量および皮下投与量は、1日あたり体重1キログラムあたり約0.0001mg〜約100mgの範囲であると考えられる。望ましいならば、活性化合物の有効な一日量を、1日を通じて適当な間隔で個別に2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上に分けて、任意に単位剤形で投与してもよい。
【0075】
本発明の化合物を単独で投与することができるが、薬学的製剤(組成物)として化合物を投与することが好ましい。
【0076】
本発明を全般的に記述したが、これは本発明の特定の局面および態様を説明する目的のために単に含まれるのであって本発明を制限することを意図していない、以下の実施例を参考にしてより容易に理解されるであろう。
【0077】
実施例1.テロメラーゼ細胞死スクリーニング法による酵母tol遺伝子の同定
酵母におけるテロメラーゼ過剰発現の存在下で生存できない変異株、またはその逆のものを以下の通りにスクリーニングする。用いる酵母株は、環状動原体性プラスミド上にあるGAL1遺伝子からの誘導性プロモーターの下にあるEST1、EST2およびTEL1遺伝子を含む。この菌株にEMSまたはUVによる変異誘発を加えて生存率を10〜30%とする。続いて、必要な塩、ビタミンおよびデキストロースを含む、寒天をベースとする培地上に120mm径ペトリ皿1枚当たり500コロニー形成単位の変異誘発細胞を平板培養することにより、変異誘発細胞の力価を決定する。2〜3日間を経てコロニーが成長した時点で、変異誘発コロニーを含むペトリ皿の、炭素源としてデキストロース、ガラクトースまたはグリセロール有する3種の同様のプレートに対するレプリカ平板法を行う。ガラクトースを含む培地上では成長せず、デキストロースおよびグリセロールを含む培地上では成長するコロニーが選択される。呼吸欠損細胞によって形成されるコロニーはグリセロールでは成長しないと考えられ、このため、以降の分析からは除外される。この分離株を、ガラクトースを含む培地上で成長しないことに関して再スクリーニングする。
【0078】
続いて、選択された分離株からTLC1を含むプラスミドを失わせる。これにより、変異細胞がガラクトースを含む培地上で増殖できるようになるはずである。続いて、選択された分離株を、接合型が反対の野性株と交配させる。雑種株がガラクトース上で増殖すれば、分離株における合成致死性変異は劣性であると結論される。雑種株がガラクトース上で増殖できない場合には、変異は優性であり、以降の分析からは除外される。劣性合成致死性変異を含む雑種を野性株と交配させ、胞子形成を行わせた上で解体し、かつ合成致死性表現型の分離に関する適切な単一変異パターンの有無に関して胞子四分子を検査する。このような分離パターンを示す変異株を相補性によってクローニングする。上記および他の酵母スクリーニング法は周知であり(例えば、米国特許第5,912,154号、第5,908,752号、第5,876,951号、第5,869,287号、第5,866,338号、第5,789,184号、第5,674,996号、第5,578,477号、第5,527,896号、第5,352,581号、第5,175,091号および第5,139,936号を参照)、かつ当業者は特定の目的に対してどれを選択すべきかを容易に判断できる。
【0079】
実施例2.tol遺伝子の哺乳動物およびヒト相同体の同定
相同体および類似体の同定のための戦略は当技術分野で周知であり、かつ詳細は例えば、参照として本明細書に組み入れられる国際公開公報第99/27113号、国際公開公報第99/01560号、国際公開公報第98/45450号に記載されている。この戦略は本質的には、ヒトまたは哺乳動物のゲノムライブラリーを、tol cDNAに対して相補的なプローブを用いてスクリーニングすることを含む。遺伝子のクローニング、単離、シークエンシングの方法は当技術分野で周知である。その結果として、tol遺伝子の哺乳動物の相同体から、限定されないが、CHL1、ヒトヘリカーゼ、ercc2遺伝子、マウスDNAヘリカーゼ、ヒトII型ケラチンサブユニットタンパク質を含む遺伝子が見いだされている。
【0080】
実施例3.tol遺伝子を用いる癌のスクリーニングの方法
本発明により、当業者が、例えば血液、血漿、リンパ液、胸水、髄液、唾液、喀痰、尿および精液などの臨床的に入手しうる体液、または組織試料を用いて、癌の存在を検出すること、さらには疾患の病期および患者の予後を評価することがいずれも可能となる。tol遺伝子またはその産物を用いるアッセイ法は、悪性腫瘍に関する診断マーカーとして、さらには癌療法の進展および有効性をモニタリングする手段として用いることができる。臨床的に意味のある遺伝子を用いるアプローチは当技術分野で周知であり、例えば、参照として組み入れられる以下のPCT公報、例えば、国際公開公報第99/41406号、国際公開公報第99/40221号、国際公開公報第99/35261号、国際公開公報第98/59040号、国際公開公報第99/33998号、国際公開公報第97/35871号、国際公開公報第97/28281号、国際公開公報第98/37241号、国際公開公報第98/37181号、国際公開公報第98/28442号、国際公開公報第98/21343号、国際公開公報第98/14593号、国際公開公報第98/14592号、国際公開公報第98/11207号、国際公開公報第98/08938号、国際公開公報第98/07838号、国際公開公報第98/02581号、国際公開公報第98/01543号、国際公開公報第98/01542号、国際公開公報第98/00563号、国際公開公報第97/41262号、国際公開公報第97/20069号、国際公開公報第97/18322号、国際公開公報第97/15687および国際公開公報第97/11198号に記載されている。
【0081】
臨床検査室から凍結生検標本を入手し、および試料におけるtol特異的mRNAの発現を検出するRT−PCR法により、テロメラーゼ調節不全のヒト相同体に関するスクリーニングを行う。プライマーの選択は、tol遺伝子の入手しうる核酸配列データに基づいて決定する。以下の結果が得られている:8例の正常乳房組織試料には陽性シグナルを示すと思われるシグナルを有するものはなかった(0/8);4例の原発癌のうち1例は検査結果が陽性であった(1/4);17例の導管腺癌のうち16例は陽性であり(16/17)、隣接する「正常組織」のうち陽性であったのは2例のみであった。良性前立腺肥大の試料のうち進行期のものは検査結果が陽性であった。
【0082】
実施例4.寿命を延長させる方法
本発明は、正常細胞の寿命、例えば有糸分裂回数を延長させるための方法および試薬にも関する。一般に、本方法は、テロメラーゼの触媒サブユニットEST2もしくはTLC1またはその生物活性断片に関連したtol遺伝子の今回の発見に依拠している。本方法はインビボ、エクスビボおよびインサイチューのいずれにおいても有用である。本質的には、野生型tol遺伝子は高いテロメラーゼ活性を有する細胞の老化または死滅を引き起こすことができ、一方、変異していない正常な相対物の増強は正常宿主細胞の延長をもたらすことが見いだされた。本発見に関する識見を提供するためのモデルとして考慮されるトランスジェニック動物を、以下に開示する通りに設計する。
【0083】
「正常な」tolの過剰発現は寿命を延長させる可能性が高いと考えられる。センチュウ(Caenorhabditis elegans)において、ホモ接合型のtolは野生株N2よりも平均寿命および最大寿命を約20%延長させている。
【0084】
この発見による利益は大きく、その背景については例えば、参照として本明細書に組み入れられるPCT公報、国際公開公報第99/35243号を参照されたい。
【0085】
実施例5.tol遺伝子/産物の作用物質および拮抗物質のスクリーニングおよび検査の方法
本発明により、本遺伝子および/もしくはtol遺伝子単独もしくはテロメラーゼ遺伝子の組み合わせによってコードされる産物ならびに/またはテロメラーゼ自体と相互作用する化合物が同定される。tol変異体は過剰発現されたテロメラーゼと共存した場合に老衰および致死性を引き起こすため、tol活性を阻害または抑制する薬物は腫瘍細胞を死滅させる可能性がある。これに対して、変異型tol活性を阻害する、および/または野生型tol活性を増強する薬物は、細胞の複製回数を増加させ、最終的には細胞の寿命を延長させるために有用である可能性が高い。酵母を用いるこのような化合物のスクリーニングのためのモデルを樹立し、かつ候補化合物の大規模なライブラリーが得られる当技術分野の既知の技法と組み合わせることにより、このようなモデルにおいて活性を示す化合物を同定することが可能である。これらの化合物は有効であることが示されており、かつ癌治療法の開発または寿命の延長に有用であると考えられる。本発明で同定される細胞周期障害またはDNA複製障害の治療に有用な薬物は、今や、本明細書において上記の通りに樹立した酵母モデルを用いてスクリーニングすることが可能である。有機および無機化合物、ペプチドまたはペプチド模倣物、アンチセンス分子、抗体などの複数のクラスの薬物のスクリーニングが可能である。化学物質ライブラリーの作製およびハイスループットなスクリーニングを行うための方法は十分に確立されており、かつ当業者に周知である。細胞周期の調節に関して得られた識見を用いて、選択された候補を酵母を用いるアッセイ法でスクリーニングし、哺乳動物細胞または細胞系の試験をさらに行うことによってその治療能力を評価するための薬物探索プログラムを確立する。理想的には、これらの医薬品はテロメラーゼを過剰発現する細胞を予測可能な様式で死滅させ、それによって癌または他の細胞周期に関連した臨床状態の今後の見込みを決定することを可能にする。試験可能な適した化合物には、以下のPCT公報に詳細に開示されているものが含まれる:国際公開公報第99/41262号、国際公開公報第99/41261号、国際公開公報第99/40087号、国際公開公報第99/38964号、国際公開公報第99/33861号、国際公開公報第99/08679号、国際公開公報第99/03507号、国際公開公報第98/50397号、国際公開公報第98/47911号、国際公開公報第98/40080号、国際公開公報第98/40066号、国際公開公報第98/40065号、国際公開公報第98/39966号、国際公開公報第98/39965号、国際公開公報第98/33503号、国際公開公報第98/29114号、国際公開公報第98/25885号、国際公開公報第98/25884号、国際公開公報第98/23759号、国際公開公報第98/11204号、国際公開公報第97/38013号、国際公開公報第97/37691号および国際公開公報第97/02279号。
【0086】
したがって、対象化合物の1000〜100,000種またはそれ以上の派生物(diversomer)からなる種々のライブラリーを合成し、PCT国際公開公報第94/09135号に記載されたような、阻害物質を検出するためのハイスループットなアッセイ法を用いることにより、生物活性を迅速にスクリーニングすることが可能である。コンビナトリアル合成の方法、ならびにライブラリーのスクリーニングおよびデコンボルーション(deconvolution)の方法の概説については、例えば、ゴードン(E. M. Gordon)ら(1994)J. Med. Chem. 37:138〜1401およびそこに引用された参考文献を参照されたい。さらに、チルホスチン(tyrhostin)、ピロゾロピリミジンならびにそれらの誘導体および塩などの等しく適している拮抗物質も有用な医薬化合物と考えられる。H−89、K252a、H−7、N−(9−アクリジニル)マレイミド、スタウロスポリン、ハービマイシンA、ゲニステイン、ダイゼイン、ケルセチン(米国特許第5,919,813号および第5,872,223号に開示)のようなイソフラボン類、キノリメチレン−オキシインドール(米国特許第5,905,149号に開示)、アンゲルマイシン、2−イミノクロメン誘導体(米国特許第5,648,378号に開示)、5−アミノピラゾール(米国特許第5,922,741号に開示)、セスキテルペンラクトン(米国特許第5,905,089号に開示)、種々のベンジリデン−Z−インドリン化合物(米国特許第5,880,141号に開示)、尿素型およびチオ尿素型の化合物(米国特許第5,773,459号に開示)、ベンゾピラン化合物(米国特許第5,763,470号に開示)、多価フェノール化合物(米国特許第5,780,008号に開示)、レゾルサイクリック酸ラクトン(resorcyclic acid lactone)(米国特許第5,674,892号に開示)、4−アミノピロロ[2,3−d]ピリミジン(米国特許第5,639,757号に開示)およびその他の多岐にわたるホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(米国特許第5,877,210号に開示)などの他の薬物の阻害活性も同じ酵母アッセイ系で試験する。このため、本変異株を用いるスクリーニングアッセイ法はこれらの特定の標的と標的とする拮抗化合物を同定するのに極めて有用なアッセイ法であることが明らかである。
【0087】
このアプローチの有用性は、テロメラーゼ過剰発現線維芽細胞アッセイ法を用いることによってさらに裏づけられる。プロモーターおよびその他の条件は異なるものの、その原理は本発明の範囲および精神に含まれる。このアッセイ法では、線維芽細胞の増殖を阻害するため、またはそれらを特異的に除去するために、上記のように同定された化合物を用いる。増殖阻害効果および死滅効果に加えて、変異型遺伝子の発現も、有用な薬物の試験を目的とする当技術分野で認められた標準的な方法によってモニタリングされる。
【0088】
参照として本明細書に組み入れられるカントリー(Cantley)の米国特許第5,532,167号に開示された手順に従って、試験を行おうとするペプチドのライブラリーを合成する。本変異体の拮抗物質としてのペプチドに加えて、種々の他の化合物を上記に開示したアッセイ法に基づいて同定する。これらには、遺伝子の5’領域に対して相補的であり、かつ三重鎖の形成を介して転写を阻止するアンチセンス分子が非制限的に含まれる。当業者は、確立された手順に従って適切なオリゴヌクレオチドを選択しうる。例えば、バイオサーチ(Biosearch)8750型DNA合成装置により、標準的なH−ホスホネート化学反応を用いて、一連のメトキシエチルアミン3’末端キャップ型オリゴデオキシヌクレオチドを、制御された孔径のガラス表面に調製する。15または18塩基のオリゴデオキシヌクレオチドを、セミプレップ(semiprep)ダイナマックス(Dynamax)C−4 300Aカラム上でのDMT−オン精製によって精製する。続いて、二次的なDMT−オフ精製を同じカラム上で行う。続いて、ファルマシア(Pharmacia)NAP−25カラムを通してオリゴマーを脱塩し、バイオラッド(Biorad)AC SOW−X8(Na+)200〜400メッシュポリプレップ(polyprep)カラムによってナトリウム型に変換させた後に、別のNAP−25カラムを通過させる。アンチセンスオリゴ体、および同じ塩基を乱雑化した配列中に含むその対照物を、同様の様式で調製する。以下の実験に用いる凍結乾燥オリゴマーをPBS(1mM原液)中に溶解し、ミリポア(Millipore)0.2μmディスクを用いて滅菌濾過する。関心対象の遺伝子に対するアンチセンス阻害試験に用いる配列は、AUG翻訳開始コドンにまたがる対応するmRNAの27塩基領域である。本発明はこのような配列には限定されないが、mRNAの開始コドン領域を対象とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、結果として生じる遺伝子産物の翻訳を効果的に阻害すると考えられているアンチセンス分子の一種である。その他の有効なアンチセンス分子は、mRNAの反対側の末端を特異的に標的とするものでありうる。
【0089】
優性tol遺伝子の「正常な」発現を選択的に妨害し、過剰発現されたテロメラーゼ遺伝子またはその産物と相互作用する劣性tol遺伝子の発現を増強させるために、上記のように調製した、mRNAにおけるAUG開始ドメインに相補的と考えられる5μg/g体重のホスホロチオネート化アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを5匹のマウスに注入し、対照にはPBSを注入する。注射から3週間後にこれらのマウスのすべてから肝生検標本を調製する。各生検標本は凍結した後にスライスして薄切片にし、アイソトープ標識した核酸プローブとハイブリダイズさせる。オートラジオグラフィー用乳剤に曝露させて3日後にスライドを現像し、関心対象のmRNAを含む細胞に対して銀染色を行う。ホスホロチオネート化アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを投与したマウスの肝標本における陽性細胞の標識および数は減少し、このことからアンチセンスが発現を妨害したことが示される。これに対して、対照マウスでは細胞1個当たりのmRNAレベルが約2倍に増加する。発現の減少は実施例7におけるウエスタンブロット試験によっても裏づけられる。
【0090】
適切な修飾、アジュバントおよび分子を伴うアンチセンス分子の適切な投与量の選択、作製、投与および試験の方法は当技術分野で周知であり、例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,734,039号、第5,583,032号、第5,756,476号、第5,856,103号および第5,677,289号に記載されている。AUG配列を標的とする古典的なアンチセンス分子に加えて、当業者は非コードセンス配列、リボソームフレームシフト配列およびリボザイム配列などの他の適したアプローチの用い方も熟知していると考えられる。このようなアプローチの詳細は、例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,843,723号、第5,759,829号、第5,707,866号および第5,712,384号に記載されている。上記のアンチセンスの手法に限定されることはなく、形質転換された悪性細胞を、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,935,937号に開示されたような、前記細胞の死滅を引き起こすと思われるアンチセンス核酸分子によって治療するための組成物および方法などの他の手段も等しく適している。
【0091】
酵母を用いるアッセイ法および/または哺乳動物細胞アッセイ法において陽性としてスクリーニングされた薬物を、続いて、動物における過剰な細胞成長によって引き起こされる疾患の治療に関して試験する。この目的のためには、フィッシャー344ラットの右大脳半球の白質深部に同系9L膠質肉腫細胞(4×10個)を接種する。動物には、皮下に移植した浸透ミニポンプを用いて被験化合物の2週間にわたる連続処置を行う。対照ラットの場合にはミニポンプに生理食塩水を充填する。データの統計解析にはフィッシャーの直接法(Fisher’s Extract Test)を用いた。テロメラーゼを過剰発現する癌細胞を標的とする薬物とともに神経膠芽腫細胞を投与すると、時間依存的および用量依存的な増殖停止ならびに同様に低下したDNA合成を伴う細胞死が引き起こされる。投与から4〜6日後に、腫瘍の成長の阻害の程度を対照動物との比較によって評価する。
【0092】
従って、この手法は広い範囲の疾患に有効であることが明らかである。そのような疾患のほとんどが悪性疾患、すなわち多様な種類の癌であり、以下のような固形腫瘍および白血病であるが、これらに限定されない:アプドーマ、分離腫、鰓腫、悪性カルチノイド症候群、カルチノイド心疾患、癌(例えば、ウォーカー癌、基底細胞癌、基底有棘細胞癌、ブラウン−ピアース(Brown−Pearce)癌、腺管癌、エールリッヒ腫瘍、クレブス2腫瘍、メルケル細胞腫、粘液性癌腫、非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、乳頭状癌、硬性癌、細気管支、細気管支癌、気管支原生癌、扁平上皮細胞癌、および移行上皮癌)、組織球障害、白血病(例えば、B細胞白血病、混合型白血病、ヌル細胞白血病、T細胞白血病、慢性T細胞白血病、HTLV−II関連白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、肥満細胞性白血病、および骨髄性白血病)、悪性組織球増殖症、ホジキン病、免疫増殖性小(immunoproliferative small)、非ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、細網組織増殖症、黒色腫、軟骨芽細胞腫、軟骨腫、軟骨肉腫、線維腫、線維肉腫、巨細胞腫、組織球腫、脂肪腫、脂肪肉腫、中皮腫、粘液腫、粘液肉腫、骨腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、滑膜腫、腺線維腫、腺リンパ腫、癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫、間葉腫、中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント質腫、歯牙腫、奇形種、胸腺腫、栄養膜腫(trophoblastic tumor)、腺癌、腺腫、胆管腫、コレステリン腫、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢胞腺腫、顆粒膜細胞腫、男性胚細胞腫、肝癌、汗腺腫、島細胞腫(islet cell tumor)、ライディヒ細胞腫(Leydig cell tumor)、乳頭腫、セルトリ細胞腫、卵胞膜細胞腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、筋原細胞腫、筋腫、筋肉腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、脳室上皮腫、神経節細胞腫、神経膠腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫(neurilemmoma)、神経芽腫、神経上皮腫、神経線維腫、神経腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫(paraganglioma nonchromaffin)、被角血管腫、好酸球増多随伴性血管類リンパ組織増殖症、硬化性血管腫(angioma sclerosing)、血管腫症、グロムス血管腫、血管内皮腫、血管腫、血管外皮細胞腫、血管肉腫、リンパ管腫、リンパ管筋腫(lymphangiomyoma)、リンパ管肉腫、松果体腫、癌肉腫、軟骨肉腫、葉状嚢肉腫、線維肉腫、血管肉腫、平滑筋肉腫、白血肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、筋肉腫、粘液肉腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、肉腫、新生物(例えば、骨新生物、胸部新生物、消化器系新生物、結腸直腸新生物、肝臓新生物、膵臓新生物、下垂体新生物、精巣新生物、眼窩新生物、頭頸部新生物、中枢神経新生物、耳道(acoustic)新生物、骨盤新生物、気道新生物、および尿性器新生物)、神経線維腫症、子宮頸部異形成。
【0093】
いくつかの疾患は、過度だが良性の細胞増殖(すなわち、非悪性)によって起こる。そのような疾患の例は、以下である:線維症、良性前立腺過形成、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、糸球体硬化症、ケロイド、乾せん、黒子、角化症、線維性軟ゆう、伝染性軟属腫、性病いぼ、皮脂腺過形成(sebaceous hyperplasia)、尖圭コンジローム、血管腫、静脈湖、軟骨皮膚炎(chondrodermatitis)、化膿性肉芽腫、化膿性汗腺炎、ケロイド、角化棘細胞腫、白斑症、多発性皮脂嚢腫、睫毛乱生症、表層上皮母斑(superficial epithelial nevus)、ポリープ、接合部母斑(junctional nevus)、化膿性肉芽腫、結節性痒疹、皮膚線維腫、脂腺腫、およびその他の皮膚疾患、ならびに例えばカポジ肉腫、乳頭腫のような非悪性新生物疾患。
【0094】
同様に、tol活性の拮抗物質が細胞寿命の延長に有用性を示すと考えられることは明らかであり、これは老衰の予防に有用である。
【0095】
実施例6.変異型tol遺伝子を有するトランスジェニック動物
tol遺伝子を有する、トランスジェニックマウスなどのトランスジェニック非ヒト生物を作製する方法を提供する。このような動物を作製する戦略は当技術分野で周知であり、例えば、参照として本明細書に組み入れられる国際公開公報第97/35967号に記載がある。腫瘍に影響を及ぼす化合物、または老年医学の研究のために有用な化合物を検出する方法を含む、これらの生物を用いる方法は考慮の対象であり、提供される。
【0096】
これらの方法は本質的には本明細書に開示するものと同じである。本発明によれば、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタまたは非ヒト霊長類を含む任意の非ヒト種のトランスジェニック動物を、微量注入法、電気穿孔法、細胞銃(cell gun)法、細胞融合法または機能的な同等物(米国特許第5,550,316号を参照)を非制限的に含む当技術分野で知られた任意の技術を用いて作出する。本発明の好ましい態様では、本明細書に以下に開示する方法に従ってトランスジェニック動物を作製する。簡潔に述べると、本方法は以下のことを含む。組換え核酸構築物を受精卵に微量注入することによってトランスジェニック子孫を調製する。例としては、膣栓を有する最近交配した雌から受精マウス卵を採取し、続いてDNA構築物の微量注入を行ってもよいが、これに限定されない。DNA構築物を約0.0〜3g/mlの濃度で受精卵の雄性前核の中に、前核の体積がほぼ2倍になるような量として微量注入する。注入を行った卵を、精管切除術を施した雄と前日の夜に交配させた雌性マウスに移す。ワグナー(Wagner)およびホッピー(Hoppe)による米国特許第4,873,191号も参照されたい。微量注入用のDNAクローンはSalI、NotIなどの適切な制限酵素で切断し、DNA断片を1%アガロースゲル(TBE緩衝液中)上の電気泳動にかける(米国特許第5,811,633号)。臭化エチジウム染色によってDNAバンドを可視化し、切り出して、0.3M酢酸ナトリウム、pH 7.0を含む透析バッグに入れる。続いてDNAを透析バッグ内に電気溶出させ、フェノール−クロロホルム(1:1)で抽出して、2倍容積のエタノールによって沈殿させる。DNAを1mlの低塩濃度緩衝液(0.2M NaCl、20mM Tris、pH 7.4および1mM EDTA)中に再溶解し、かつエルチップ(Elutip)−Dカラムにて精製する。カラムには3mlの高塩濃度緩衝液(1M NaCl、20mM Tris、pH 7.4および1mM EDTA)をまず通した後に、5mlの低塩濃度緩衝液で洗浄する。DNA溶液をカラムに3回通過させて、DNAをカラムマトリックスに結合させる。3mlの低塩濃度緩衝液で1回洗浄した後に、0.4mlの高塩濃度緩衝液でDNAを溶出させ、2倍容積のエタノールによって沈殿させる。UV分光光度計による260nmの吸光度によってDNA濃度を測定する。微量注入に関してはDNA濃度を5mM Tris、pH 7.4および0.1mM EDTA中で約3g/mlに調整する。微量注入用にDNAを精製するための他の方法も知られている。続いて、精製した挿入型プラスミドを、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,877,397号、第5,907,078号、第5,849,993号、第5,602,309号、第5,387,742号に記載されたものなどの標準的な手順に従って、受精した(CS7BL/6xCBA)F2マウス胚の前核に微量注入し、偽妊娠させた雌の体内に生存している胚を移した。構築物は、RSV末端反復配列(LTR)、神経膠線維酸性タンパク質(GFAP)またはヒトβグロブリンプロモーター(GF)などの適切なプロモーターと機能的に結合させる。変異型DNAのサザンブロット分析により、注入した胚から発生したマウスを導入遺伝子配列の存在に関して分析する。既知の量のクローニングされたDNAを含む対照標準物質に対するバンド強度により、導入遺伝子のコピー数を評価する。3〜8週齡の時点で、これらのマウスから細胞を単離し、導入遺伝子によってコードされるtol産物の存在に関してアッセイする。対照非トランスジェニックマウスはすべて変異型tolの発現に関して陰性の結果であった。サザンブロット分析により、これらの動物の多くは体細胞および/または生殖細胞1個当たり導入遺伝子を一つまたは複数コピー含むことが示されている。これらのマウスは、例えば、tolの作用物質または拮抗物質の試験を行うことを目的にtol変異体をインビボで研究するためのモデルとして有用である。
【0097】
実施例7.本発明に基づく免疫処置アプローチ
以上に挙げた実施例は、tol変異体を提供することにより、テロメラーゼを過剰発現する細胞が、ある種の状況下では致死性を呈することを示している。tol遺伝子が機能的でなく、テロメラーゼを高レベルに発現する細胞が無限に複製する癌の成長においても同様の原理が働いている可能性がある。このため、正常細胞はtolの抗原性が異なるために癌細胞とは異なると考えられる。このような抗原を認識して区別するように宿主の免疫系に初回抗原刺激を行えば、これらの悪性細胞を除去することが可能である。
【0098】
3匹のBalb/c雌性マウス(Charles River Breeding Laboratories、Wilmington、MA)の一群に、100lのDetoxアジュバント(RIBI ImmunoChem Res Inc、Hamilton、MO)中にある5g/回の実質的に精製されたテロメラーゼ、および他の変異型tolタンパク質の産物を第0日、3日、7日、10日および14日に腹腔内注射によって注入する。第17日にマウスを屠殺して脾臓を摘出し、確立された手順によって50%ポリエチレングリコール4000を用いてリンパ球をマウス骨髄腫653株と融合させる(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,939,269号および第5,658,791号を参照)。融合細胞を9穴マイクロタイタープレートに2×10個/ウェルの密度で播いた後、融合1日後にHAT選択を行う。続いて、固定されたハイブリドーマ培養上清をビオチン化変異型pp60 C末端ペプチドと反応させる。抗体に関して陽性であるウェルを以降の試験のために増殖させる。これらの培養物は増殖させた際に安定なままであり、細胞系を凍結保存する。親培養物のアイソタイプ判定を行った後、変異型タンパク質複合体を捕捉して特異的に認識する能力に関してアッセイする。次にこれらの複合体を、特異的免疫応答を引き起こす免疫原として腫瘍モデルにおいて検討する。
【0099】
または、ポリクローナルウサギ抗血清を精製した変異型タンパク質ペプチドに対して産生させる。このようなペプチドを0.05%グルタルアルデヒドを用いてキーホールリンペットヘモシアニン(Keyhole Limpet Heamocyanin)と結合させることにより、C末端ペプチドに対するポリクローナル抗体を入手し、フロイント完全アジュバント中に乳化させた後に複数の部位への皮内注射に用いる。動物には4週後および7週後に、フロイント不完全アジュバント中で乳化させた結合ペプチドによる追加免疫接種を行い、最後の注射から10日後に採血した。
【0100】
次に、上記の手順に従って調製した抗体を、参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,601,989号、第5,563,247号、第5,610,276号および第5,405,941号などの当技術分野で知られた標準的な手順に従って、テロメラーゼおよびtol複合体を過剰発現する腫瘍細胞の同定および/もしくは診断のため、ならびに/または治療的アプローチのために用いる。
【0101】
実施例8.酵母感染症の治療方法
上記の通り、テロメラーゼを大量に有する細胞を特異的に標的とするこれらの化合物は、膣のマイクロフローラバランスを乱さずに、女性が酵母感染症を制御するために効果的に用いることができる。このような化合物は創傷周囲のカンジダ菌を制御するためにも同様に用いてもよい。限定されないが、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・クィレルモンディイ(Candida quillermondii)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、黄色アスペルギルス(Aspergillus flavus)、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)、偽巣性コウジ菌(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、リゾプス・アーリザス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・オリザ(Rhizopus oryzae)、アブシジア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモサ(Absidia ramosa)およびムコール・プシルス(Mucor pusillus)またはそれらの組み合わせを含む、その他の酵母菌も治療標的として等しく適している。
【0102】
この試験では5人の罹患患者が薬物を含む膣坐薬を一日一回、局所適用している。その結果、3日後にはいずれの患者にも酵母感染症は認められていない。また、これらの患者にはいずれも、いかなる種類の不都合な反応も認められていない。この点に関して、本発明による局所適用は治療しようとする領域に限定されないことが理解される必要がある。本発明の医薬組成物は、経口的、静脈内などの他の手段によって送達された場合、酵母感染症の治療または予防のために等しく適している。
【0103】
以上に引用したインターネット情報源、特許、刊行物およびその中の参考文献はすべて、参照として本明細書に明確に組み入れられる。
【0104】
本発明をこのように説明してきたが、これにはさまざまな形で変更できることは明らかである。このような変更は本発明の精神、および範囲からの逸脱とはみなされるべきでなく、このような変更はすべて、以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。

Claims (30)

  1. 以下の段階を含む、第二の標的部位(secondary target site)を同定する方法:
    (a)テロメラーゼ活性をコードする少なくとも一つの第一の遺伝子(primary gene)および該第一の遺伝子の過剰発現を指令しうるプロモーターを含むゲノムを有する、複数の細胞を提供する段階;
    (b)該細胞のゲノム中の一つまたは複数の第二の部位に、一つまたは複数の変異を生じさせる段階;
    (c)該第一の遺伝子が過剰発現された場合に、該細胞に対して致死的であることが立証される少なくとも一つの変異を有する細胞を選択する段階、
    (d)該少なくとも一つの致死的変異が位置することによって第二の標的部位が提供される、該細胞のゲノム中の部位を決定する段階。
  2. 哺乳動物の相同体またはその類似体を含むtol遺伝子、その相同体またはその類似体を、第二の標的部位が含む、請求項1記載の方法。
  3. 哺乳動物の相同体またはその類似体を含むtol1、tol2、tol3、その相同体またはその類似体からなる群よりtol遺伝子が選択される、請求項2記載の方法。
  4. 第二の標的部位またはそのいずれかの遺伝子産物が、第一の遺伝子の発現の修飾、または該第一の遺伝子を過剰発現する細胞の生存性に影響を及ぼす過程、のいずれかに関与する、請求項1記載の方法。
  5. 少なくとも一つの第一の遺伝子が、EST1、EST2、EST3、TLC1、その哺乳動物の相同体もしくは類似体を含むその相同体、その類似体、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  6. tol遺伝子の相同体または類似体が、CHL1、ヒトヘリカーゼをコードする遺伝子、ercc2、マウスDNAヘリカーゼをコードする遺伝子、またはヒトII型ケラチンサブユニットタンパク質をコードする遺伝子からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  7. TLC1遺伝子が、その哺乳動物の相同体もしくは類似体を含む、embZ35904、gbU14595、embZ35905、dbjD28120、gbL24113、embX76992、gbAC005476.3、gbU53340、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
  8. EST1、EST2およびEST3遺伝子が、ヒトキニノーゲンHMW重鎖、プレプロα−2−チオールプロテイナーゼ、カルモジュリン刺激タンパク質、キニノーゲン、免疫グロブリンκ鎖、一酸化窒素合成酵素、免疫グロブリン重鎖可変領域、T細胞受容体δ鎖V領域、Igγ鎖、Ig H鎖V−D−JH4領域、パールカン(perlecan)、インスリン様増殖因子II、インターフェロン−α、p15およびp12のラットコード配列、インターフェロン−αI前駆体、AAD10またはそれらの組み合わせをコードする遺伝子から選択される、請求項5記載の方法。
  9. 薬物または薬物候補のスクリーニングのために第二の標的部位またはその致死的変異を用いることをさらに含む、請求項1記載の方法。
  10. 薬物または薬物候補がヒト腫瘍の成長もしくは複製を阻害する、またはヒト腫瘍の消失を引き起こす、請求項9記載の方法。
  11. 薬物または薬物候補が第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する、請求項9記載の方法。
  12. 薬物または薬物候補がポリペプチド、オリゴヌクレオチド、多糖類または低分子を含む、請求項9記載の方法。
  13. 細胞のゲノム中の部位を含む第二の標的部位であって、ゲノムがテロメラーゼ活性をコードする少なくとも一つの第一の遺伝子と該第一の遺伝子の過剰発現を指令しうるプロモーターとを含み、該第一の遺伝子が過剰発現された場合に該細胞に対して致死的であることが立証されうる少なくとも一つの変異を該部位が収容しうる、第二の標的部位。
  14. 請求項13記載の第二の標的部位およびその対立遺伝子変異体の致死的変異。
  15. 腫瘍細胞の増殖もしくは複製を阻害する方法または該細胞の死滅を引き起こす方法であって、該細胞が異常なテロメラーゼ活性を示し、該細胞のゲノム中の第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する該薬物または薬物候補を投与することを含み、その部位が、該細胞に対して致死的であることが立証されうる少なくとも一つの変異を収容しうる部位である、方法。
  16. 哺乳動物の相同体またはその類似体を含むtol遺伝子、その相同体またはその類似体を、第二の標的部位が含む、請求項15記載の方法。
  17. 哺乳動物の相同体またはその類似体を含むtol1、tol2、tol3、その相同体またはその類似体からなる群よりtol遺伝子が選択される、請求項15記載の方法。
  18. 異常なテロメラーゼ活性がテロメラーゼの過剰発現を含む、請求項15記載の方法。
  19. 薬物または薬物候補の有効量、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物であって、該薬物または薬物候補が異常なテロメラーゼ活性を示す細胞のゲノム中の第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害し、その部位が、該細胞に対して致死的であることが立証されうる少なくとも一つの変異を収容しうる部位である、医薬組成物。
  20. 異常なテロメラーゼ活性がテロメラーゼの過剰発現を含む、請求項19記載の医薬組成物。
  21. 少なくとも一つの第二の標的部位、その相同体またはその類似体、および少なくとも一つの第一の遺伝子、その相同体またはその類似体を含む組換え真核細胞であって、該少なくとも一つの第一の遺伝子がテロメラーゼをコードし、該一つの第一の遺伝子を上方制御、下方制御、消失または破壊することで老衰(senescence)または合成致死性(synthetic lethality)をもたらすように、該少なくとも一つの第二の標的部位が変異を含んでいる、組換え真核細胞。
  22. 以下の段階を含む、薬物のスクリーニングの方法:
    (a)テロメラーゼを過剰発現することができ、野生型tol遺伝子、その相同体またはその遺伝子産物が変異した場合にテロメラーゼ過剰発現条件下で老衰または合成致死性を示す、一つまたは複数の真核細胞を提供する段階;
    (b)テロメラーゼを過剰発現する条件下で、および選択的には野生型tol遺伝子、その相同体またはその遺伝子産物を阻害または変異する条件下で、一つまたは複数の細胞を一つまたは複数の薬物候補と接触させる段階;ならびに
    (c)テロメラーゼを過剰発現する条件下で、老衰もしくは合成致死性をもたらす薬物候補を選択するか、またはテロメラーゼを過剰発現し、かつ野生型tol遺伝子、その相同体もしくはその遺伝子産物を阻害もしくは変異する条件下で、老衰もしくは合成致死性を阻害、抑制、改善もしくは予防する薬物候補を選択する段階。
  23. 請求項1記載の方法によって同定される第二の標的部位。
  24. 腫瘍細胞の増殖もしくは複製を阻害する方法または該細胞の死滅を引き起こす方法であって、該細胞が異常なテロメラーゼ活性を示し、請求項21記載の第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する(もしくは増強させる)薬物または薬物候補を投与することを含む方法。
  25. 薬物または薬物候補の有効量、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物であって、該薬物または薬物候補が、請求項21記載の第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する(もしくは増強させる)ことが可能である、医薬組成物。
  26. 第二の標的部位が、異常なテロメラーゼ活性を示す細胞のゲノム中に見いだされる、請求項25記載の医薬組成物。
  27. 異常なテロメラーゼ活性がテロメラーゼの過剰発現を含む、請求項25記載の医薬組成物。
  28. 腫瘍細胞の増殖もしくは複製を阻害する方法または該細胞の死滅を引き起こす方法であって、該細胞が異常なテロメラーゼ活性を示し、第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する(もしくは増強させる)薬物または薬物候補を投与することを含む方法。
  29. 薬物または薬物候補の有効量、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物であって、該薬物または薬物候補が、異常なテロメラーゼ活性を示す細胞のゲノム中の第二の標的部位と関連のある遺伝子産物と相互作用する、それと結合する、またはその発現もしくは活性を阻害する(もしくは増強させる)ことが可能である、医薬組成物。
  30. 該異常なテロメラーゼ活性がテロメラーゼの過剰発現を含む、請求項29記載の医薬組成物。
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