JP2004520051A6 - 腸管神経系に由来する幹細胞および前駆細胞ならびにそれらの使用 - Google Patents

腸管神経系に由来する幹細胞および前駆細胞ならびにそれらの使用 Download PDF

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Abstract

腸管神経系由来の多能性前駆細胞(EPC)(幹細胞)を、出生後の哺乳動物腸管組織から分離し、in vitroで培養して維持することができる。本発明は、出生後の哺乳動物腸管組織から分離された腸管神経系由来多能性前駆細胞(EPC)を含んでなるin vitro細胞組成物を提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞、特に腸管神経系由来の幹細胞を分離する方法、およびヒトまたは他の哺乳動物におけるその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
神経系の細胞の大部分は胚形成の間に生じるということが、これまで久しく、神経生物学における有力な定説であった。しかしながら、長年にわたっていくつかの研究室から得られた数多くの知見および業績は、こうした定説に疑問を呈するものであった。現在では、神経系細胞の大部分は確かに胚形成時および出生後早い時期に生じるという事実にもかかわらず、成体哺乳動物の脳の一定領域において新しいニューロンが継続的に追加されていることが知られている。こうした認識が、成体の脳の様々な領域に由来する幹細胞培養物の確立を可能にするプロトコールの開発につながっている。このような幹細胞は、自己再生する能力を有し、in vitroでも、脳に移植した場合でも、ニューロンおよびグリア細胞を発生させることができる。さらに、こうした実験は、様々な神経変性疾患(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)または先天性神経欠損の細胞補充療法に、培養下で増殖させた幹細胞を利用することができるという可能性を高める(Mommaら、2000; TempleおよびAlvarez-Buylla, 1999)。
【0003】
中枢神経系(CNS)に加えて、胚の末梢神経系(PNS)の前駆細胞からも自己再生する多能性幹細胞が分離されている。こうして、StempleおよびAndersonは数年前に、E10.5のラット胚の神経管の外植片から神経堤幹細胞(NCSC)を確立することができることを示した。NCSCを長期間、多能性細胞として維持することが可能であり、培養条件に応じてそのNCSCはニューロンおよびグリア細胞に分化することができる(StempleおよびAnderson、1992)。興味深いことに、同様のNCSC培養物は、E15ラット胚の座骨神経に定着した後遊走神経堤由来細胞からも確立された(Morrisonら、1999)。こうした知見は、PNSの多能性前駆細胞がPNS組織形成の比較的後期の哺乳動物胚に存在することを示唆する。
【0004】
脊椎動物の腸管神経系(ENS)はPNSのもっとも複雑な部分である。このENSは、腸管壁の放射軸のまわりに2つの同心円、外側の腸管筋および内側の粘膜下組織、として配置された相互に連絡した神経節叢に組織化された多数の多様なタイプのニューロンおよびグリア細胞からなっている(Gershonら、1994)。PNSのほとんどの細胞の場合と同様に、ENSは完全に神経堤(NC)細胞に由来する(Le DouarinおよびTeillet、1973)。ENSの前駆細胞の大部分は、体節1〜7の段階で耳の後ろの後脳の迷走神経NCで発生する。神経管から葉裂の直後に(E8.5〜9.0)、迷走神経NC細胞の小集団が腹側外側に遊走し、鰓領域の後部に近接して、腹側性に背部大動脈の頚枝に蓄積し、ここにおいて、局所シグナルの影響のもとで、迷走神経NC細胞は、RET+チロシンキナーゼ受容体(RTK)の発現を誘導する(Durbecら、1996)。RET+迷走神経NC細胞は前腸の間充織(腸管神経堤(ENC)細胞)に侵入し、体軸方向に移動して、3〜4日間(E9.5〜13.5)で腸管の全長に定着し、ENSのニューロンおよびグリアの大部分を生じる(Durbecら、1996; Kapurら、1992)。
【0005】
この数年間、哺乳動物においてENSの発生に重要な役割を果たす数多くの分子が同定されている。こうした分子の中に、神経栄養因子、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ならびにその受容体、GFRα-1(共受容体)およびRet(シグナル伝達受容体)がある。ENS発生に重要な他の分子は、エンドセリン-3(ET-3)およびその受容体EDNRB、ならびに転写因子Mash-1、Phox2BおよびSox10である(TaravirasおよびPachnis、1999)。本発明者らの研究室の研究は、哺乳動物ENSの発生におけるGDNF-RETシグナル伝達経路の役割を理解することに焦点を当ててきた。数年前に、本発明者らは、c-Retのヌル突然変異を有するマウスが食道の後側のすべての腸管神経節を欠いていること(腸管神経節細胞欠損)を明らかにした(Durbecら、1996; Schuchardtら、1994)。このような知見は、c-Retの機能喪失型突然変異についてヘテロ接合性の個体が先天性巨大結腸症(ヒルシュスプルング病)、結腸の各部から腸管神経節細胞が欠損していることを特徴とする症状、をしばしば発症することを示したヒトに関する一般的な分析と一致する(ParisiおよびKapur、2000)。
【0006】
哺乳動物ENSの発生を全体的に理解し、RET RTKの作用機構を詳細に理解するために、本発明者らはマウス胎児の腸の器官培養系(organotypic culture system)を開発して利用した(Natarajanら、1999)。培養開始の段階で、腸には部分的に未分化のENS前駆細胞が存在するが、数日間培養すると広範にニューロンおよびグリア細胞に分化するに至る。この培養系を用いて、野生型およびRET欠損型の腸におけるENSの発生を比較して、in vivoで観察された神経節細胞欠損表現型がin vitro培養条件下でも変わらずに再現されることが明らかになった。さらに、器官培養した野生型もしくはRET欠損神経節欠損型の腸に、E11.5マウス胚の腸から分離されたENC細胞をマイクロインジェクションした結果、腸管壁が広範に再増殖する。最終的に、同様の方法によって、野生型腸管壁に導入された単一のENC細胞がENSの2つの細胞系統、すなわちニューロンおよびグリアの両者を生じることが明らかになった。これらのデータは、E11.5マウス胚のENC細胞が、器官培養において野生型および神経節細胞欠損型のいずれの腸にも効率的に定着することができる多能性細胞集団を構成することを示す(Natarajanら、1999)。
【0007】
したがって、現在までのところ多能性幹細胞は、胚性PNS、ならびに成体および胚のCNS組織から得られている。こうした細胞は、細胞補充療法に使用することはできるが、その利用は多くの要因によって厳しく限定される。CNS組織を入手することが困難なため、CNSからのそうした幹細胞の分離は、死後に摘出された胚組織もしくは成体組織を用いてのみ行うことができる。したがって、こうした組織は分離が困難で、その上、そうした組織を用いた細胞補充療法は免疫拒絶に関する問題を伴う可能性がある。同様の問題は、胚性由来PNS幹細胞にも関係してくる。
【発明の開示】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、腸管神経系由来の多能性前駆細胞(EPC)(幹細胞)が出生後の哺乳動物腸管組織から分離され、in vitroで培養して維持することができることを発見した。したがって、腸管組織は新規で容易に入手可能なENSの多能性前駆細胞の供給源を提供することができる。この前駆細胞は先行技術に伴う問題点の一部を克服するものである。
【0009】
したがって、本発明の第1の態様によれば、腸管神経系由来の多能性前駆細胞(EPC)を含んでなるin vitro細胞組成物が提供される。ここにおいて、前記前駆細胞は出生後の哺乳動物の腸管組織から分離される。
【0010】
本発明の第2の態様において、
(a) 出生後の哺乳動物から腸管筋の試料を採取すること、
(b) 前記試料を破砕して、その試料から分離された細胞を得ること、
(c) 前記破砕から得られた細胞を培地中で培養すること、および
(d) 前記培養物を維持するか、または腸管神経系由来の多能性前駆細胞の実質的に純粋な試料が得られるまで、前記細胞層を破壊して新たな培地中で培養すること、
を含んでなる、腸管神経系由来多能性前駆細胞の供給源を得る方法が提供される。
【0011】
実質的に純粋とは、細胞の大部分、望ましくは細胞の60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%より多くがENS多能性前駆細胞であることを意味する。
【0012】
この方法を用いて、ヒトに移植するために動物から細胞を採取することができる。あるいは、自家移植の治療を必要とする患者から細胞を採取するために、この方法を人体に適用することができる。
【0013】
本発明のさらに別の態様において、
(a) 出生後の哺乳動物からの腸管筋の試料を提供すること、
(b) 前記試料を破砕して、この試料から分離された細胞を得ること、
(c) 前記破砕から得られた細胞を培地中で培養すること、および
(d) 前記培養を維持するか、または腸管神経系由来の多能性前駆細胞の実質的に純粋な試料が得られるまで、前記細胞層を破壊して新たな培地中で培養すること、
を含んでなる、腸管神経系由来多能性前駆細胞の供給源を得る方法が提供される。
【0014】
こうしたことは、前記前駆細胞が出生後の腸に存在するという最初の証明である。したがって、こうした細胞は、ENSの多能性前駆細胞の容易に入手可能な供給源を提供し、この前駆細胞は培養後、様々な疾病の治療に利用することができる。
【0015】
したがって、本発明の別の態様においては、ヒトもしくは動物体の治療法に用いるための、出生後の哺乳動物腸管組織に由来する腸管神経系由来多能性前駆細胞(EPS)を含んでなる組成物が提供される。
【0016】
本明細書に記載の治療をはじめとする治療法に用いる薬剤を製造するために、出生後の哺乳動物腸管組織に由来する腸管神経系由来多能性前駆細胞(EPC)を使用することも提供される。
【0017】
また、本明細書に記載のように、本発明はヒトもしくは動物体の治療法を提供するが、この方法は、治療を必要とする患者に、病気の改善をもたらすのに有効な量の細胞を投与することを含んでなる。改善とは、疾病の治癒、もしくは疾病の1以上の症状の軽減(全体的もしくは部分的、永続的もしくは一時的な軽減)を意味する。
【0018】
したがって、本発明は、上記の細胞組成物、または適当な担体と混合した細胞を含んでなる組成物を提供する。この態様において、本発明は、あとで患者に移植することを目的とした、前記細胞を送達するのに適した医薬組成物を提供する。別の態様において、本発明は、上記の方法によって得られる細胞を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は医学的治療法に用いるための上記医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
EPC細胞は、形態学的にも、EPC細胞で発現される免疫学的マーカーの存在によっても同定され、他の腸管細胞と区別することができる。例えば、胚形成の間に、ENSの多能性前駆細胞はRet(Pachnisら、1993, Durbecら、1996; Tsuzukiら、1995)を発現するが、本発明者らは、この受容体が出生後にもENS細胞において発現されることを見いだした。ENS由来細胞を同定するために利用できる他のマーカーには、PGP9.5(Schofieldら、1995)およびTuj1(FerreiraおよびCaceres、1992)(これは分裂後のニューロンで発現される)およびGFAP(JessenおよびMirsky、1980)(これは成熟グリア細胞を同定する)がある。後述するように、本発明者らは、ENS細胞の大部分はGFAPとTuj1の両者を発現するが、残りの細胞はGFAPもしくはTuj1のいずれか一方を発現することを見いだした。形態学的には、培養したENSの多能性前駆細胞は、短い突起を有する平らな三角形の細胞であって、この細胞は細胞径の2〜3倍の長さにまで伸びることができる。
【0021】
本発明に使用される腸管組織はあらゆる哺乳動物から得られ、これはヒトでもヒト以外でもよいが、たとえば、ウサギ、モルモット、マウスもしくは他の齧歯類、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシまたはウマである。好ましい動物はマウスもしくはラットのような齧歯類であるが、マウスが望ましい。
【0022】
腸管組織は出生後いつでも摘出することができる。好ましい実施形態においては、15日齢までの哺乳動物からこの細胞を分離する。しかしながら、この細胞を、もっと日齢の高い、例えば成体哺乳動物を含めた30、50、100日齢の哺乳動物から分離してもよい。
【0023】
本発明による細胞を採取するためには、手術を受けた被験動物もしくはヒト患者から腸の切片を採取する。次にこの組織試料を切開して、腸筋層間神経叢の神経節を分離し、トリプシンやコラゲナーゼのような酵素、例えばコラゲナーゼ0.5mg/mlで消化して、切片の細胞を解離させる。細胞を解離させるための酵素の選択および濃度は、用いられる組織のタイプ、大きさ、および齢によって左右されるが、これは当業者の技量の範囲内である。次に解離された組織を組織培養プレート上で適当な条件下で培養する。望ましい実施形態においては、フィブロネクチンをコートした組織培養プレート上で、15〜20%ニワトリ胚抽出物(Morrisonら)を含有する培地中で組織を培養する。このような培養条件は多能性腸管神経系前駆細胞の増殖を選択的に促進し、約7日間でこの細胞が培養プレートに存在する主要な細胞タイプとなる。
【0024】
多能性腸管神経系前駆細胞の増殖の結果得られる細胞を用いて、クローン培養物を作製することができるが、このクローン培養物は、出生後の哺乳動物ENSに由来する単一の細胞がin vitroでニューロンとグリア細胞の両者を生成しうることを明白に示すものである。上記のような多能性前駆細胞の培養物は、特定の神経ペプチド[例えば、ニューロペプチドY(NPY)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、ソマトスタチン(SOM)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)]、または特定の神経伝達物質の生合成に重要な酵素[一酸化窒素シンターゼ(NOS)]を発現するニューロンを含有する。NPY、CGRP、SOM、VIPもしくはNOSのいずれか1つまたはすべてを一連の分子マーカーとして利用して、本発明者らは、上記の培養条件が、成熟哺乳動物ENSに通常存在するニューロンサブタイプの生成を促進できることを明らかにした。
【0025】
したがって、本発明はまた、in vitro培養条件の変更によって、多能性前駆細胞の特定のニューロン表現型への方向性を予見することができる。本発明のこうした態様は、哺乳動物神経系の別の部位に移植するのに適した特定のニューロンの生成に特に用いられる。
【0026】
本発明の細胞は老化を受けることなく集団として維持することができるが、その期間は望ましくは最低7日間であり、より望ましくは最低14日間、より一層望ましくは最低28日間、さらにより一層望ましくは最低56日間、もっとも望ましくは最低90日間である。ニワトリ胚抽出物は、これらの細胞の分化を妨げる。
【0027】
本発明の組成物は、少なくとも103個の細胞を含むことが望ましいが、少なくとも104個の細胞がより望ましく、少なくとも105個の細胞がさらに望ましく;少なくとも106個の細胞を含むことがもっとも望ましいが、ここで、そのうちの少なくとも90%はEPCである。
【0028】
本発明の細胞および細胞組成物を、自家移植、すなわちEPC細胞を取り出したもとの個体への移植、に使用することができるが、あるいは異種移植、すなわち別の個体への移植に使用することもできる。自家移植は、細胞の免疫拒絶反応に関する問題を回避するために好ましい。本発明の細胞および組成物は、腸、特に小腸、の面積が広いために、この器官の機能に有害な影響を及ぼすことなく、細胞を分離するための組織の小部分を外科的に取り出すことが可能であるので、自家移植に特に適している。しかしながら、治療を受ける被験体をEPCの供給源として使用することができない場合は、細胞の異種移植を行うことができる。
【0029】
治療は腸管神経系の一部に細胞補充することを目的とする。例えば、本発明のこのような細胞および組成物を細胞補充療法に使用して、特定のタイプの細胞が腸のある部分からはなくなっているが、他の部分には存在するといった疾患を治療することができる。例えば、先天性巨大結腸症(ヒルシュスプルング病)は、結腸の一部から腸管神経節が欠けていることを特徴とする。
【0030】
最近、本発明者らは、2つのRETアイソフォームのうち1つだけを発現するマウスの系統を開発したが、この系統は腸管神経節が大腸の限局された領域からのみ無くなっているという点で、ヒトの状態を模倣している。このマウスモデルの実験解析によって、ヒルシュスプルング病の病原メカニズムについてよりよい理解が得られ、本発明の細胞および組成物を用いる細胞補充に基づいた、このような神経欠損の治療法の試験が可能になる。
【0031】
腸管内の部位において、ニューロン細胞が失われるか、もしくは不完全なニューロン細胞が存在することを特徴とする、本発明が用途を見いだすことのできる胃腸管の他の疾患および障害には、偽性腸閉塞、アカラシア(弛緩不能)、先天性欠損、便秘、早熟、およびウイルス感染から二次的に生じる症状があるが、それらに限定されない。
【0032】
しかし、本発明の組成物および細胞はさらに、中枢神経系または末梢神経系の疾患および障害の治療に用いることができる。こうした治療の場合は、前駆細胞を含む細胞組成物を、望ましい細胞タイプへの分化を誘導するのに必要な増殖因子と共に培養することが望ましい。こうして、本発明を神経変性疾患およびCNSのニューロン障害の治療に使用することができる。こうした疾患および障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、先天性神経欠損、ハンチントン舞踏病、および脳卒中もしくは外傷に起因するニューロン細胞の喪失を包含するが、それらに限定されない。
【0033】
本発明の細胞および組成物を治療法において使用する場合は、この細胞および組成物を体内の適切な組織に送達することが望ましい。例えば、治療がヒルシュスプルング病のような結腸の疾患もしくは症状に関するものである場合、細胞もしくは組成物は結腸に向けられるべきである。治療がアルツハイマー病のような脳の疾患もしくは症状に関するものである場合は、細胞もしくは組成物を脳に送達すべきである。
【0034】
本発明にしたがって、提供された組成物は個体に投与することができる。投与は「治療上有効な量」で行われることが望ましいが、これは患者に対して恩恵を示すのに十分なものである。こうした恩恵とは、最低1つの症状を少なくとも改善することでありうる。実際の投与量、ならびに投与の頻度および期間は、治療されるべきものの性質および重症度によるであろう。治療の処方、例えば投薬量の決定などは、一般開業医や他の医師の責任の範囲内である。
【0035】
組成物の投与は、治療すべき症状に応じて、単独でもしくは他の治療薬と組み合わせて、同時にあるいは順次行うことができる。
【0036】
本発明の組成物は、任意の適当な経路で、例えば治療すべき部位への注射によって、治療の必要な患者に投与される。正確な投与量は、治療すべき領域の大きさおよび位置、ならびに組成物の正確な内容を含めて、多くの要因によって決まると考えられる。成人患者の1回の治療のための投与量を、小児および乳幼児のために、比例して調整することができる。治療は、医師の裁量で、毎日、週2回、毎週、毎月の間隔で、繰り返すことができる。
【0037】
本発明の細胞は通常、医薬組成物の形で投与されるが、これは多能性前駆細胞に加えて少なくとも1つの成分を含有することができる。
【0038】
したがって、本発明による医薬組成物、および本発明にしたがって用いる医薬組成物は、活性成分の他に、製薬上許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、もしくは当業者に公知の他の材料を含むことができる。こうした材料は、無毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げるべきでない。担体もしくは他の材料の正確な内容は、投与経路に左右されるであろう。
【0039】
罹患部位へ注射するために、活性成分は非経口的に許容される水溶液の形態をとることができるが、この水溶液は発熱物質を含まず、適当なpH、等張性および安定性を有するものである。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液(Sodium Chloride Injection)、リンゲル注射液(Ringer’s Injection)、加乳酸リンゲル注射液(Lactated Ringer’s Injection)といった等張性ビヒクルを用いて、適当な溶液を調製することが十分可能である。防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤、および/または他の添加剤を必要に応じて含めることができる。
【0040】
組成物の投与は、治療すべき症状に応じて、単独でもしくは他の治療薬と組み合わせて、同時にあるいは順次行うことができる。
【0041】
ここで、下記の限定的でない図面および実施例を参照して、本発明をさらに説明することとする。こうした説明を考慮して、当業者には本発明の他の実施形態が想起されるであろう。
【実施例】
【0042】
実施例1: 出生後の腸からの腸管神経系由来多能性前駆細胞( EPC )の分離
出生後のマウス(P2-15)から腸を摘出した。この器官を取り出し、抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を含有する1x PBSで十分に洗浄した。次に、ピンセットを用いて、腸管神経節を含むこの器官の外側の筋層を剥がした。続いて、その組織を(1x PBSに溶解した)コラゲナーゼ中で37℃にて約30〜45分間(動物の齢によって決まる)インキュベートした。解離された組織を、次に、フィブロネクチンをコートした組織培養プレート上で、15〜20%ニワトリ胚抽出物を含有する培地にプレートした(Morrisonら、1999)。この培地は次の組成を有する:DMEM 85%、ニワトリ胚抽出物(15%)(Gibco, UK)、ウシ線維芽細胞増殖因子(20ng/ml/時間)(Sigma, UK)、N2サプリメント(1%)(Life Technologies Ltd, UK)、B27サプリメント(2%)(Life Technologies Ltd, UK)、ペニシリン/ストレプトマイシン(1%)、β-メルカプトエタノール(50μM)、レチノイン酸(35ng/ml)(Sigma, UK)。ニワトリ胚抽出物が培地中に上記濃度で存在すると、多能性腸管神経系前駆細胞を選択的に増殖させることができる。この細胞は、7日間で、培養プレートに存在する主要な細胞タイプとなる。数日間で数回継代した後、この培養物は平坦で短い突起を有する細胞からなる均一な集団で構成されたが(図1)、これはStempleおよびAnderson, 1992に記載された初期の神経堤幹細胞(NCSC)を思わせた。本発明者らは、このNCSC様培養物をかなり増やすことができた。すなわち、2〜3匹の動物から得られた小腸の小切片から始めて、最低90日間は老化を受けずに、高度に増殖する細胞集団として維持することが可能な数百万もの細胞を得ることができた。したがって、このような知見から、本発明者らの培養条件は、腸管神経節に由来し、かつ成熟した腸管ニューロンおよびグリア細胞を生じることができる細胞集団の増殖および拡大を維持できることが示唆される。
【0043】
実施例2: EPC 細胞の同定
上記の細胞が腸管神経節に由来し、したがって神経堤起源のものであることを確認するために、Ret欠損(Ret.k-/Ret.k-)新生仔(P1)動物の腸から同様の培養物を確立した。ここで、上記の動物は、小腸および大腸の全体から腸管神経節を欠いている。NCSC様細胞は、Ret.k-ホモ接合動物から確立された培養物にはまったく見られず、このことは上記の特徴的な細胞集団が腸管神経節に由来することを強く示唆する。
【0044】
このENS由来細胞集団の特徴をさらに明らかにするために、ENSの成熟したニューロンおよびグリア細胞において発現される一群の分子マーカーを用いて、NCSC様細胞集団を染色した。用いられた分子マーカーとしては、PGP9.5およびTuj1(分裂終了ニューロンで発現)ならびにGFAP(成熟グリア細胞を同定する)がある。過半数の細胞(60%)が、GFAPとTuj1の両方を発現したが、このことは、こうした二重陽性細胞が、哺乳動物ENSの成熟ニューロンおよびグリアの、いずれにも拘束されない多能性前駆細胞に相当することを示唆している。こうした二重陽性細胞の他に、上記培養物中には、より少ない画分としてGFAP+のみ(25%)およびTuj1+のみ(15%)の細胞も存在した。
【0045】
ENSの多能性前駆細胞は胚形成の間にRetを発現するので、このチロシンキナーゼ受容体の発現について、免疫染色と、Natarajanら、1999およびLoおよびAnderson、1995に記載の方法を使用した488nmのアルゴンイオンレーザーによるFACStar(Becton-Dickinson)自動細胞解析分離装置を用いたFACS分析とによって、推定上のEPC培養物を調べた。抗Ret抗体(Youngら、1999)はABL(日本)から入手した。
【0046】
この実験は、出生後の腸から確立された細胞の大部分が腸管神経系由来の多能性前駆細胞の特徴的なマーカーであるRet PTKを発現することを示す。その形態およびマーカー分析から、このEPC細胞は哺乳動物ENSの多能性前駆細胞に相当することが強く示唆される。
【0047】
実施例3: 神経栄養因子の存在下での EPC 細胞の分化
前記の培養細胞がRet+細胞であることをさらに調べるために、この細胞を、RetリガンドであるGDNFおよびNeurturin(Ballotら、2000)と共に培養した。10ng/mlのGDNFの存在下で4日間培養した後、細胞の過半数が長い軸索突起を示し、PGP9.5およびTuj1を高レベルで発現することが明らかになった。10ng/mlのneurturinと共に培養した後も、同様の結果が得られた。
【0048】
実施例4: E8.5 胚に注入された出生後マウスの腸から得られた EPC 細胞の遊走および分化
この実験のために、実施例1の方法を用いたが、ただし細菌LacZ遺伝子を広範に発現するトランスジェニックマウス、例えばPTYマウス(NIMRのR. Beddington博士から分譲された)から、出生後EPCを単離する。細菌LacZ遺伝子を広範に発現する利用可能な他のマウス系統には、Rosa26系統のマウスがある。
【0049】
非lacZ発現系統のE8.5マウス胚を、無傷の内蔵卵黄嚢を有する子宮から注意深く切開して取り出し、SturmおよびTam(1993)の方法にしたがって、5% O2、5% CO2、90% N2の雰囲気下においてDR50培地(50% DMEM、50%ラット血清)中で24時間、in vitro培養し、さらに次の48時間は、20% O2、5% CO2、75% N2の雰囲気下においてDR50培地(25% DMEM、75%ラット血清)中で培養する。lacZ発現系統の出生後EPC(上記)を、次に、TrainorおよびKrumlauf(2000)に記載の方法によって、迷走神経堤細胞の遊走経路内に、すなわち体節1〜5のレベルで神経管の外側に移植する。3日間培養後、in vivoでの細胞の遊走および分化を、β-ガラクトシダーゼ組織化学によって検査することができる。
【0050】
X-gal染色のために、培養時間の終わりに、40℃で20分間、組織を1%ホルムアルデヒド、0.1%グルタルアルデヒド、1mM MgCl2、1mM EGTAおよび0.02% NP40(PBS溶液)中で固定する。β-ガラクトシダーゼ発現細胞は、PBS中に5mMフェリシアン化カリウム、5mMフェロシアン化カリウム、2mM MgCl2、0.01%デオキシコール酸、0.02% NP40および1mg/ml X-galを含有する染色溶液中で37℃(O/N)にて組織試料をインキュベートすることによって可視化される。ホールマウント標本を写真に撮り、次に4%パラホルムアルデヒド(PBS溶液)中で2時間、室温にて後固定し、30%ショ糖(PBS溶液)O/Nにおいて40℃でインキュベートし、OCT化合物に包埋して、クリオスタットにおいて薄片(20μm)に切断する(Jung)。その後、形態学的に、また、細胞タイプを同定する免疫染色(例えば分裂後のニューロンを同定するPGP9.5および/またはTuj1、成熟グリア細胞を同定するGFAP)を用いて、染色された細胞を同定することができる。
【0051】
次に、出生後EPCが、Retを欠損している神経節細胞欠損腸管壁に定着することができることを示すために、Ret-の胚を用いてこの実験を繰り返す。
【0052】
実施例5: EPC 細胞からの非腸管ニューロンの生成
Lhx6およびLhx7は、一対の密接に関連した、LIM-ホメオドメインサブクラスの転写因子であるが、これらは最近本発明者らによって同定された。これらの転写因子は、終脳の介在ニューロンにおいて特徴的に発現される(Grigoriouら、1998; Lavdasら、1999)。より詳細には、Lhx7は大脳基底核のコリン作動性ニューロン(アルツハイマー病の場合に影響を受ける細胞集団である)において特異的に発現される。機能喪失研究から、Lhx7の欠損したマウスはコリン作動性ニューロンの大部分を欠いていることが立証され、このことは、大脳基底核前駆体のコリン作動性系統への分化にとって転写因子Lhx7が必要であり、かつ十分であることを示唆する(C. HearnおよびV. Pachnis、未発表の知見)。その上、移植片培養実験からは、Lhx7が、増殖因子FGF8によってニューロン前駆体において誘導されることが示唆された(Tuckerら、1999)。
【0053】
したがって、EPCが終脳ニューロンのコリン作動性特性を取ることができる範囲を調べるために、EPCを、ポリD-リジンおよびラミニンをコートしたプレート上の低濃度のニワトリ胚抽出物(1%)を含む培地に移し、培養時に10ng/mlの増殖因子FGF8と接触させる。FGF8の存在下で4日間培養した後、培養細胞を、特異的抗体を用いてLhx7(Grigoriouら、1998)の発現について免疫染色することによって分析する。Lhx7の存在は、EPCが終脳ニューロンのコリン作動性特性を取ることができることを示す。
【0054】
あるいはまた、上記の実験は、実施例4に記載のように、LacZ(β-ガラクトシダーゼをコードする)を広範に発現するが、Lhx7調節配列の制御下で発現するマウス系統に由来するEPCを用いて行うことができる。この系統は、当業者に公知の標準プロトコールにしたがって、マウス胚性幹細胞のLhx7遺伝子座の標的相同組換えを用いた突然変異誘発によって誘導される。コリン作動性特性を取る細胞は上記のようにX-gal染色によって同定される。
【0055】
実施例6: EPC からのニューロスフェア様細胞塊の生成
EPCは実施例1に記載のように調製した。ニューロスフェア様細胞塊(NLB)の形成は、腸管解離の5日後のEPC培養物において上皮増殖因子の添加によって促進された。NLBは、組織培養基体から離れて浮遊塊として増殖を続ける球形の構造物として、相互に付着した様々な数のEPC細胞から構成されることが明らかになった。このEPC由来NLBは、成体脳細胞の培養時に形成されるニューロスフェアに外観が類似していた。一般的なニューロンおよびグリアマーカー(それぞれTuj1およびGFAP)を用いたNLBの免疫染色によって、ニューロンおよびグリア細胞系統へ向けてのEPC細胞の広範な分化が明らかになった。さらに、ニューロンのサブタイプに特異的なマーカー、例えばNPY、CGRPおよびVIPを用いた免疫染色によって、末梢および中枢神経系の様々な部分に通常存在するニューロンの特異的サブタイプの存在が示された。このような細胞をin vitroで増殖させる能力は、成熟ニューロン細胞タイプの多様なアレイを生じる有効な手段を提供すると考えられる。
【0056】
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【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】8日齢マウスに由来する培養した腸管神経系由来多能性前駆細胞(EPC)を示す。

Claims (12)

  1. 出生後の哺乳動物腸管組織から分離される腸管神経系由来多能性前駆細胞(EPC)を含んでなるin vitro細胞組成物。
  2. 前記腸管神経系由来多能性前駆細胞がRetチロシンキナーゼ受容体を発現する、請求項1に記載のin vitro細胞組成物。
  3. 前記腸管神経系由来多能性前駆細胞がPGP9.5、Tuj1およびGFAP分子マーカーのうち少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のin vitro細胞組成物。
  4. 前記腸管神経系由来多能性前駆細胞がTuj1およびGFAP分子マーカーを含む、請求項3に記載のin vitro細胞組成物。
  5. 腸管神経系由来多能性前駆細胞の供給源を得る方法であって、
    (a) 出生後の哺乳動物から腸管筋の試料を採取すること、
    (b) 前記試料を破砕して、その試料から分離された細胞を得ること、
    (c) 前記破砕から得られた細胞を培地中で培養すること、および
    (d) 前記培養物を維持するか、または腸管神経系由来多能性前駆細胞の実質的に純粋な試料が得られるまで、前記細胞層を破砕して新培地中で培養すること、
    を含んでなる方法。
  6. 腸管神経系由来多能性前駆細胞の供給源を得る方法であって、
    (a) 出生後の哺乳動物からの腸管筋の試料を提供すること、
    (b) 前記試料を破砕して、その試料から分離された細胞を得ること、
    (c) 前記破砕から得られた細胞を培地中で培養すること、および
    (d) 前記培養物を維持するか、または腸管神経系由来多能性前駆細胞の実質的に純粋な試料が得られるまで、前記細胞層を破砕して新培地中で培養すること、
    を含んでなる方法。
  7. (e) 前記培養細胞を、CNS細胞の分化に特異的な少なくとも1つの増殖因子と接触させること;および
    (f) 分化した細胞を分離すること、
    をさらに含んでなる、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記増殖因子がFGF8であり、分化した細胞がLhx7を発現する、請求項7に記載の方法。
  9. ヒトもしくは動物体の治療法に用いるための、請求項1〜4のいずれか1つに記載のin vitro細胞組成物、または、請求項5〜8のいずれか1つに記載の方法にしたがって得られた腸管神経系由来多能性前駆細胞。
  10. ヒルシュスプルング病治療用の薬剤の調製における、請求項1〜4のいずれか1つに記載のin vitro細胞組成物、または、請求項5もしくは6に記載の方法にしたがって得られた腸管神経系由来多能性前駆細胞の使用。
  11. 神経変性疾患もしくは先天性神経障害治療用の薬剤の調製における、請求項1〜4のいずれか1つに記載のin vitro細胞組成物、または、請求項5〜8のいずれか1つに記載の方法にしたがって得られた腸管神経系由来多能性前駆細胞の使用。
  12. 前記疾患もしくは障害が中枢神経系の疾患もしくは障害である、請求項11に記載の使用。
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