JP2004518624A - Hiv−1感染を阻害する組成物および方法 - Google Patents

Hiv−1感染を阻害する組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、三つの化合物の混合物を不空組成物であって、二つの化合物の混合物を含む組成物であって:(a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり;(b)一つの化合物は、gp41の融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり;前記混合物中の化合物の相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり;前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物を提供する。本発明はまた、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な請求項1または2に記載の組成物のある量と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法を提供する。

Description

【0001】
本願は、2001年1月26日に出願されたPCT国際出願番号PCT/US01/02633、2001年2月6日に出願された米国仮出願番号60/266,738、2001年6月25日に出願された米国出願番号09/912,824、および、2000年9月15日に出願された米国出願番号09/663,219を継続し、その優先権を主張し、その内容を本明細書の一部として援用する。
【0002】
本願中を通して、種々の刊行物を括弧内に参照する。これらの刊行物の開示は、本発明の属する技術の状態をより完全に記述するために、その全体を本明細書の一部として本願に援用する。これらの参照文献の完全な書誌的引用は、図面の簡単な説明の前に列記されている。
【0003】
【発明の背景】
ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)による細胞の感染は、ウイルスエンベロープ(env)糖タンパク質gp120およびgp41によって媒介され、これら糖タンパク質は、非共有結合性オリゴマー複合体としてウイルスおよびウイルス感染細胞の表面で発現する。標的細胞に侵入したHIV−1は、(1)HIV−1の最初のレセプターである細胞表面のCD4へ、ウイルス表面の糖タンパク質gp120が結合すること、(2)CCR5およびCXCR4のような融合コレセプターへ、envが結合すること、(3)gp41のコンフォメーションが多様に変化することを含む、カスケード事象を通じて細胞表面において進行する。融合の際に、gp41は、最終的に融合を媒介できるコンフォメーションに折り畳まれるプレヘアピン融合中間体を含んだ、一時的なコンフォメーションを採る。ウイルスおよび細胞の膜が融合し、続いてウイルスのゲノムが標的細胞へ導入されることでこれらの事象は完了する。感染した細胞と感染していない細胞の融合を経由する感染の拡散には、同様の分子的事象の連鎖が必要である。ウイルス侵入プロセスのそれぞれの過程が、治療的介入の対象となりうる。
【0004】
HIV−1の結合は、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質と結合する物質によって、また、ヒトCD4に結合する物質によって阻害することが出来る。特に、HIV−1の結合は、gp120が結合するヒトCD4のドメインを組み入れた化合物と、それを分子的に擬態した化合物によって阻害することができる[1−7]。このgp120とCD4の相互作用はウイルスの感染に不可欠なので、CD4を基にした分子は、全てではないがほとんどのHIV−1の株を標的にできる可能性を持つ。加えて、そのような分子に対する耐性を発達させるウイルスの能力は限られている。
【0005】
gp120の結合を決定する要因は、CD4上の第1の細胞外ドメイン(D1)に位置しており、結合に重要なアミノ酸は、36−47のアミノ酸を含むループの中央に位置している。有効なHIV−1の阻害活性は、このループとその周辺の組織を擬態した27のアミノ酸ペプチドで再現されている[7]。
【0006】
CD4を基にした分子の幾つかの組み換え体が開発され、ヒトで臨床活性が試験されている。これらのうちの最初のものは、CD4の4つの細胞外ドメイン(D1−D4)を含んでいたが、膜貫通領域および細胞内領域を欠いていた。この分子は、可溶CD4(sCD4)と称され、10mg/kgの投薬範囲でヒトに投与された時に優れた耐性を示した[8,9]。sCD4で治療した一定の患者に、感染力を持つHIV−1のプラスマレベルの一時的な減少が観察された。ヒトの体内においてsCD4の半減期が短いことが(静脈内投与後45分)、この物質を長期の治療に使用することの一つの障害であると認識された。
【0007】
第2世代のCD4を基にしたタンパク質は血清中の半減期を伸ばして開発された。これらのCD4−免疫グロブリン融合タンパク質は、ヒトIgG分子のヒンジCH2およびCH3領域に遺伝的に融合した、CD4のD1D2ドメインを含んでいた。これら二価のタンパク質は、それらのCD4ドメインからはHIV−1中和能力を、そのIgG分子からはFcエフェクター機能を引き出す。CD4−IgG1融合タンパク質は優れた耐性を有し、フェーズIの臨床試験において薬物動態が改良されたことが示された[10]。その抗ウイルス評価は確定されていない。
【0008】
さらに最近、ヒトIgG2の軽鎖および重鎖の定常領域に遺伝的に融合したCD4のD1D2ドメインを備えた、第3世代の4価CD4−IgG2融合タンパク質が開発された。この物質はHIV−1エンベロープ糖タンパク質gp120にナノモルの親和力[5]で結合し、レセプターを遅延させることによって、また、gp120をビリオン表面から引き離すことによってウイルスの結合を阻害することができ、それによってウイルスを不可逆的に不活性化する。標準的なPBMCに基づいた中和分析において、CD4−IgG2は、すべての主要なサブタイプおよびアウトライアーグループに由来する一次HIV−1分離株を中和した。ウイスルの感染力を90%減少させるのに必要なCD4−IgG2濃度、即ちインビトロIC90は、おおよそ15−20μg/ml[11]であり、インビボで容易に達成可能な濃度である。CD4−IgG2は、エキソビボ分析で血清陽性であるドナーのプラスマから直接得られたHIV−1の中和において同様に有効であり、この物質が、臨床で遭遇するさまざまなウイルスの準種(quasispecies)に対して活性であることを示した[12]。CD4−IgG2はまた、HIV−1感染hu−PBL−SCIDマウスモデルにおいて、初期の分離株による感染を予防した[13]。最近の分析では、CD4−IgG2が一次ウイルスを中和する能力が、それらがコレセプターを使用することに依存しないことが示されている[14]。
【0009】
CD4に基づいた一価または二価のタンパク質と比較して、CD4−IgG2は一次HIV−1分離株の阻害に100倍大きい有効性を一貫して示している[5,12,14,15]。有効性の増強は、CD4−IgG2の増加された結合価/結合活性を用いてビリオンと結合する能力と、免疫グロブリン分子のそれぞれのFab様アームにおける二つのgp120結合サイトの立体的近位に由来する。
【0010】
CD4−IgG2のより大きいFab様アームは、ビリオン上のHIV−1エンベロープスパイクにまでおよぶ可能性が高い。さまざまな症状発現前のモデルにおいて、CD4−IgG2の抗HIV−1活性は、一次HIV−1分離株を広く強力に中和する稀有なヒトモノクローナル抗体に都合よく匹敵することが示された[5,11,14,15]。加えて、CD4−IgG2療法は、原理的に、抗envモノクローナル抗体または高度に変異し易いHIV−1エンベロープ糖タンパク質を使った治療に比べて、ウイルスの薬物耐性の発達に対する感受性が小さい。これらの特性は、細胞と結合していないウイルスが新しい感染経路を確立する機会を得る前にそれを中和する物質として、CD4−IgG2が治療に有用である可能性を示唆する。治療の他に、CD4−IgG2は職業上の、出産期の、またはその他の理由でHIV−1に暴露された結果として感染することを予防することに有効性を有する可能性がある。
【0011】
フェーズIの臨床試験において、CD4−IgG2の単独投薬は優れた薬理学および耐薬性を示した。加えて、測定可能な抗ウイルス活性が二つの基準のそれぞれで観察された。第1に、10mg/kgの単独投薬の後、プラスマHIV RNAの統計的に著しく急激な減少が観察された。加えて、二人の患者の試験のそれぞれで、感染性HIVのプラスマレベルの持続的な減少が観察された。これらの観察結果を総合すると、CD4−IgG2がヒト中で抗ウイルス活性を有することが示される[16]。
【0012】
CD4を基にしたタンパク質およびその分子的な擬態に加えて、HIV−1の結合は抗体および非ペプチジル分子によっても阻害できる。周知の阻害剤は、(1)IgG1b12およびF105のような抗env抗体[17,18]、(2)OKT4A、Leu 3a、およびそれらのヒト化バージョン[19,20]、(3)gp120またはCD4のいずれかを標的にする非ペプチド物質[21]、[22−24]、を含む。化合物の後者のグループは、アウリントリカルボン酸、ポリヒドロキシカルボキシレート、スルホン酸ポリマー、および硫酸デキストランを含む。
【0013】
幾つかの物質は、gp41融合中間体を標的にすることにより、HIV−1感染を妨げることが確認されている。これらの阻害剤は、融合中間体と相互に作用し、それらが最終融合コンフォメーションに折り畳まれることを防ぐ。最初に同定されたそのような物質は、疎水性のアルファ螺旋を形成すると予測されているgp41の外部ドメインの一部と一致した、合成あるいは組み換えペプチドを含む。そのような領域の一つは、gp41の細胞外部分のアミノセグメントおよびカルボキシセグメントの両方に存在し、最近の結晶学的な証明は、これらの領域がgp41の推定された融合コンフォメーションと関係していることを示唆している[25,26]。HIV−1感染は、融合の際に暴露されるN−またはC−ターミナルgp41エピトープのいずれかと結合する物質によって阻害することができる。これらの物質は、gp41に基づいたペプチドであるT−20(以前はDP178として知られていた)、T−1249、DP107、N34、C28、および様々な融合タンパク質およびそれの類似体を含む[27−33]。他の研究では、非天然のD−ペプチドおよび非ペプチジル部分を含む阻害剤が確認されている[34,35]。T−20によって、この分類の阻害剤の臨床的な概念検証が与えられた。T−20は、フェーズI/IIのヒトの臨床試験において、2対数倍までプラスマHIV RNAレベルを減少した。この抗ウイルス活性の広範さは、多様なHIV−1株の間でgp41の配列が高度に保存されていることを、この分類の阻害剤が反映していることを示している。
【0014】
最近の研究[37]は、HIV−1融合中間体に対して抗体が生じる可能性を示した。この研究は、CD4と結合するgp120/gp41と融合コレセプターの相互作用で形成される一時的な融合中間体を補足する「融合成分」HIVワクチン免疫原を用いる。これらの研究で用いられている免疫原は、HIV−1のgp120/gp41を発現する細胞、およびヒトのCD4およびCCR5を発現するがCXCR4は発現しない細胞、の共生培養体のホルマリン固定物である。そのワクチンによって誘起された抗体は、一次HIV−1単離株の阻害において、コレセプターを使用したにも関わらずかつてない幅および強さの有効性を示した。このことは、その抗体が、保存性が高くかつHIV−1が侵入する間に一過性で暴露されたgp41の融合中間体のような構造に対して生じたことを示している。このクラスの抗体は、2F5として知られる、融合前のウイルス粒子に構造的に存在しているエピトープと相互作用する抗gp41モノクローナル抗体を含んでいない[38]。
【0015】
以前に、ある抗env抗体を他の抗env抗体[39−44]、抗CD4抗体[45]またはCD4を基にしたタンパク質[6]と組み合わせて使用して、HIV−1の侵入を阻害する協働作用が示された。同様に、抗CCR5抗体を他の抗CCR5抗体、CCケモキネシス、またはCD4に基づいたタンパク質[46]と組み合わせて使用することで、協働作用が観察された。米国出願番号09/493,346に記載した我々の以前の研究は、融合阻害剤と付着阻害剤の組み合わせを検討している。2000年6月に公開されたPCT国際出願番号PCT/US99/30345、WO 00/35409に記載した我々の以前の研究は、HIV−1付着阻害剤とCCRコレセプター阻害剤の組み合わせを検討している。しかしながら、融合阻害剤とCCRコレセプターの組み合わせ、さらには融合阻害剤とCCRコレセプターおよびHIV−1付着阻害剤の3つの組み合わせは、いまだ検討されていない。
【0016】
【発明の概要】
本発明は、二つの化合物の混合物を含む組成物であって:
(a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり、
(b)一つの化合物は、gp41の融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させるものであり;
前記混合物中の化合物の相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物を提供する。
【0017】
本発明は、三つの化合物の混合物を含む組成物であって: (a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり、(b)一つの化合物は、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質がCD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1がCD4+細胞に結合するのを遅延させるものであり、(c)一つの化合物は、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり; 前記混合物中の化合物のいずれか二つの相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物を提供する。
【0018】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な本発明の組成物のある量と接触させ、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、(1)CCR5のレセプターに結合する抗体のある量、および(2)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物のある量と接触させ、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害することを含む方法を提供する。
【0020】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、(1)CCR5のレセプターに結合する抗体のある量、(2)HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1の前記CD4+細胞への付着を遅延させる化合物の、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な量、および(3)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物のある量、と接触させることを含む方法を提供する。
【0021】
【発明の詳細な記述】
プラスミドCD4−IgG2−HC−pRcCMVおよびCD4−KLC−pRcCMVは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(「ブダペスト条約」)の要件に従い且つこれを満たして、10801 University Blvd, Manassas, VA 20110−2209のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に、それぞれATCC受付番号75193および75194の下で寄託された。これらのプラスミドは、1992年1月30日にATCCに寄託された。pMA243と命名されたプラスミドも同様に、ブダペスト条約に従って、1993年12月16日に、受付け番号75626の下でATCCに寄託された。
【0022】
マウスハイブリドーマであるPA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(「ブダペスト条約」)の要件に従い且つこれを満たして、10801 University Blvd, Manassas, VA 20110−2209のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に、次のATCC受付番号下で寄託された:PA8(ATCC番号HB−12605)、PA9(ATCC番号HB−12606)、PA10(ATCC番号HB−12607)、PA11(ATCC受付け番号HB−12608)、PA12(ATCC受付け番号HB−12609)、およびPA14(ATCC受付け番号HB−12610)。これらのハイブリドーマは、1998年12月2日に寄託された。
【0023】
ここで使用する下記の標準略語は、明細書の全体を通して特定のアミノ酸を示すために使用される:
A=ala=アラニン R=arg=アルギニン
N=asn=アスパラギン D=asp=アスパラギン酸
C=cys=システイン Q=gln=グルタミン
E=glu=グルタミン酸 G=gly=グリシン
H=his=ヒスチジン I=ile=イソロイシン
L=leu=ロイシン K=lys=リジン
M=met=メチオニン F=phe=フェニルアラニン
P=pro=プロリン S=ser=セリン
T=thr=スレオニン W=trp=トリプトファン
Y=tyr=チロシン V=val=バリン
本発明は、二つの化合物の混合物を含む組成物であって:(a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり;(b)一つの化合物は、gp41の融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり;前記混合物中の化合物の相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物を提供する。
【0024】
本発明は、三つの化合物の混合物を含む組成物であって:(a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり;(b)一つの化合物は、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質がCD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1がCD4+細胞に結合するのを遅延させるものであり;(c)一つの化合物は、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり;前記混合物中の化合物のいずれか二つの相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物を提供する。
【0025】
本発明は、三つの化合物の混合物を含む組成物であって:一つの化合物は、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質がCD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1がCD4+細胞に結合するのを遅延させるものであり;他の化合物は、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり;前記混合物中の化合物のいずれか二つの相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物を提供する。
【0026】
ここで使用する「HIV−1」は、ヒト免疫不全ウイルス1型を意味する。HIV−1は、細胞外ウイルス粒子およびHIV−1感染細胞に結合したHIV−1の形態が含まれるが、これらに限定されない。HIV−1JR−FLは、AIDS患者の脳組織から解剖により最初に単離された株である[47]。このウイルスを、レクチン刺激された正常なヒト抹消血単核細胞と共に共培養した。該ウイルスはクローン化されており、そのエンベロープ糖タンパク質のDNA配列は既知である(Genbank受付け番号#U63632)。ウイルス侵入阻害剤に対する感受性に関して、HIV−1JR−FLは、HIV−1単離株の典型例として知られている。
【0027】
ここで用いる「gp41融合中間体」には、HIV−1エンベロープに媒介された膜融合のプロセスの際に、HIV−1エンベロープ糖タンパク質gp41上に優先的かつ一時的に提示または露出される構造、コンホメーション、およびオリゴマー状態が含まれる。これらの中間体は、HIV−1と細胞レセプターとの相互作用時に形成されるか、または細胞レセプターとの相互作用の前に、HIV−1上に部分的にもしくは完全に閉塞された状態で存在する可能性がある。「gp41融合中間体」は、治療的介入のための標的を提供できない膜融合性gp41のコンホメーションを含まない。
【0028】
gp41融合中間体は、融合の際に一時的に露出され且つ治療的介入の標的を提供できる複数のエピトープを含んでいてもよい。ここで用いる「N−末端gp41エピトープ」は、アミノ酸W628〜L663の配列の全てまたは一部を含むことができる。これらのエピトープは、1位および4位に疎水性アミノ酸を含むヘプタッドリピート(7アミノ酸の配列)によってα螺旋セグメントと相互作用するコイルドコイルを形成する能力を有している。このアミノ酸のナンバリングシステムは、HIV−1のHxB2単離株(Genbankタンパク質受付け番号AAB50262)についてのものである。HIV−1エンベロープタンパク質の配列の可変性に起因して、このような配列の組成、サイズおよび正確な位置は種々のウイルス単離株について異なる可能性がある。このgp41融合中間体はまた、HIV−1の侵入の際に一時的に発現される他の線形エピトープまたはコンホメーションエピトープにも存在する可能性がある。阻害剤は、gp41融合中間体に存在する複数のエピトープをターゲッティングする可能性がある。或いは、別々の阻害剤を組合わせて使用して、gp41に存在する一以上のエピトープをターゲッティングしてもよい。
【0029】
ここで用いる「膜融合性の」は、膜融合を媒介できることを意味する。ここで用いる「HIV−1融合コレセプター」は、該レセプターを発現する標的細胞とHIV−1もしくはHIV−1エンベロープ糖タンパク質細胞との間の融合を媒介する細胞レセプターを意味する。HIV−1融合コレセプターにはCCR5、CXCR4および他のケモカインレセプターが含まれるが、これらに限定されない。ここで用いる「融合」は、哺乳類細胞またはHIV−1のようなウイルス上で見られる脂質二重層膜の結合または一体化を意味する。このプロセスは、標的細胞に対するHIV−1の付着から区別される。付着は、融合コレセプターではないヒトCD4レセプターに対するHIV−1外部糖タンパク質の結合によって媒介される。
【0030】
ここで用いる「遅延する」は、量が低下することを意味する。ここで用いる「付着」は、融合コレセプターではないヒトCD4レセプターに対するHIV−1糖タンパク質の結合によって媒介されるプロセスを意味する。ここで用いる「CD4」は、細胞質ドメイン、疎水性のまく貫通ドメイン、およびHIV−1gp120エンベロープ糖タンパク質に結合する細胞外ドメインを含んでなる、成熟した天然の膜結合CD4タンパク質を意味する。
【0031】
ここで用いる「エピトープ」は、抗体または他の化合物に結合するための表面を形成する分子の一部を意味する。該エピトープは、隣接もしくは非隣接のアミノ酸、糖鎖、または他の非ペプチド部分、またはオリゴマー特異的な表面を含み得る。
【0032】
本発明の化合物類は、相乗的効果を示すことが立証されている。ここで用いる「相乗的」は、組合わせて使用したときの化合物類の組合せ効果が、それらを個別に使用したときの効果の合算よりも大きいことを意味する。
【0033】
本発明の組成物の一つの実施例において、CD4+細胞表面上のCD4へのHIV−1・gp120エンベロープ糖タンパク質の結合を遅延させることによりHIV−1のCD4+細胞への付着を遅延させる化合物は、CD4に基づくタンパク質である。
【0034】
ここで用いる「CD4に基づくタンパク質」は、CD4がHIV−1・gp120エンベロープ糖タンパク質との複合体を形成するために必要なCD4の部分に対応したアミノ酸残基の少なくとも一つの配列を含む何れかのタンパク質を意味する。
【0035】
一つの実施例において、前記CD4に基づくタンパク質は、CD4−免疫グロブリン融合タンパク質である。一つの実施例において、このCD4−免疫グロブリン融合タンパク質は二つの重鎖および二つの軽鎖を含んでなるCD4−IgG2であり、該重鎖はCD4−IgG2HC−pRcCMV(ATCC受付け番号75193)と称する発現ベクターによってコードされ、前記軽鎖はCD4−kLC−pRcCMV(ATCC受付け番号75194)と称する発現ベクターによってコード化される。また、ここで用いるCD4−IgG2は、PRO542とも称される。
【0036】
本発明の組成物の一つの実施例において、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4に結合するのを遅延させることによって、HIV−1のCD4+細胞への付着を遅延させる前記化合物はタンパク質であり、そのアミノ酸配列はエンベロープ糖タンパク質としてHIV−1中に存在する配列を含む。一つの実施例において、前記タンパク質は前記CD4+細胞表面のCD4のエピトープに結合する。一つの実施例において、前記エンベロープ糖タンパク質は、gp120、gp160およびgp140からなる群から選択される。
【0037】
本発明の組成物の一つの実施例において、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4に結合するのを遅延させることによって、HIV−1が前記CD4+細胞に付着するのを遅延させる前記化合物は、抗体または抗体の一部である。一つの実施例において、前記抗体はモノクローナル抗体である。一つの実施例において、前記モノクローナル抗体はヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。一つの実施例において、前記抗体の一部は前記抗体のFab断片である。一つの実施例において、前記抗体の一部は前記抗体の可変ドメインを含む。一つの実施例において、前記抗体の一部は前記抗体のCDR部を含む。一つの実施例において、前記モノクローナル抗体は、IgG、IgM、IgD、IgA、またはIgEモノクローナル抗体である。
【0038】
ここで用いる「抗体」は、二つの重鎖および二つの軽鎖を含み、且つ抗原を認識する免疫グロブリン分子を意味する。この免疫グロブリン分子は通常知られている分類の何れから誘導されたものでもよく、IgA、分泌性IgA、IgGおよびIgMが含まれるが、これらに限定されない。IgGサブクラスもまた当業者に周知であり、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むが、これらに限定されない。それは、例えば天然に存在する抗体および天然に存在しない抗体の両者を含む。より詳細に言えば、「抗体」はポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、並びにそれらの一価断片および二価断片を含む。更に、「抗体」はキメラ抗体、全合成抗体、単鎖抗体、およびそれらの断片を含む。該抗体は、ヒト抗体または非ヒト抗体であってよい。非ヒト抗体は、人間におけるその抗原性を低下させるために、組換え法によってヒト化してもよい。抗体をヒト化するための方法は、当業者に既知である。
【0039】
本発明は、上記抗体のヒト化形態を提供する。ここで用いる「ヒト化された」は、CDR領域外のアミノ酸の殆どまたは全部が、ヒト免疫グロブリン分子由来の対応するアミノ酸で置換された抗体を意味する。ヒト化形態の抗体の一つの実施例においては、CDR領域外のアミノ酸の殆どもしくは全部が、ヒト免疫グロブリン分子由来のアミノ酸で置換されるが、一以上のCDR領域内の殆どもしくは全部のアミノ酸は変化されない。アミノ酸の小さい付加、欠失、挿入、置換、または改変は、それによって所定の抗原に結合する抗体の能力が排除されない限り許容される。適切なヒト免疫グロブリン分子には、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgM分子が含まれる。「ヒト化された」抗体は元の抗体と同じ抗原特異性、即ち、本発明においてはCCR5に結合する能力を保持するであろう。
【0040】
当業者は、本発明のヒト化抗体を作製する方法を知っているであろう。種々の刊行物(その幾つかは本明細書の一部として本願に援用される)もまた、ヒト化交代を作製する方法を記載している。例えば、米国特許第4,816,567号(58)に記載されている方法は、一つの抗体の可変領域およびもう一つの抗体の定常領域を有するキメラ抗体の製造を含んでいる。
【0041】
米国特許第5,225,539号は、ヒト化抗体を製造するためのもう一つのアプローチを記載している。この特許は、ヒト化抗体を製造するための組換えDNA技術の使用を記載しており、ここでは一つの免疫グロブリンの可変領域のCDRを、異なる特異性をもった免疫グロブリン由来のCDRで置換して、ヒト化抗体が所望の標的を認識するが、ヒト患者の免疫系によって有意に認識されないようにしている。即ち、部位特異的突然変異誘発を使用して、CDRをフレームワークにグラフトする。
【0042】
抗体をヒト化する他のアプローチは、ヒト化された免疫グロブリンを製造する方法を記載した、米国特許第5,585,089号(60)および同第5,693,761号(61)、並びにWO 90/07861号に記載されている。これらは、ドナー免疫グロブリン由来の一以上のCDRおよび可能な追加のアミノ酸、並びに受容側のヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域を有している。これらの特許は、所望の抗原に対する抗体の親和性を増大させる方法を記載している。フレームワークにおける幾つかのアミノ酸は、アクセプターではなく、ドナーにおけるこれら位置でのアミノ酸と同じになるように選ばれる。詳細に言えば、これらの特許は、マウスモノクローナル抗体のCDRをヒト免疫グロブリンのフレームワークおよび定常領域と組合せることによって、レセプターに結合するヒト化抗体を調製すること記載している。ヒトフレームワーク領域は、マウス配列との相同性を最大にするように選択することができる。コンピュータモデルを使用して、CDRまたは特異的な抗原と相互作用し易いフレームワーク領域のアミノ酸を同定し、次いでこれらの位置にマウスのアミノ酸を使用して、ヒト化抗体を作製することができる。
【0043】
上記特許5,585,089号およびWO 90/07861(60)もまた、ヒト化抗体の設計に使用し得る四つの可能な基準を提案している。第一の提案は、アクセプターについて、ヒト化すべきドナー免疫グロブリンに対して著しく相同的な、特定のヒト免疫グロブリン由来のフレームワークを使用することであった。第二の提案は、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク中のアミノ酸が異常で、且つその位置でのドナーアミノ酸がヒト配列について典型的であれば、アクセプターではなくドナーのアミノ酸を選択し得ることであった。第三の提案は、ヒト化免疫グロブリン鎖の3つのCDRに直接隣接した位置において、アクセプターのアミノ酸ではなくドナーのアミノ酸を選択し得ることであった。第四の提案は、アミノ酸が抗体の三次元モデルにおいてCDRの3Å以内に側鎖原子を有すると推定され、且つCDRと相互作用できると推定されるフレームワーク位置において、ドナーアミノ酸残基を使用することであった。上記の方法は、当業者がヒト化抗体を作製するために用い得る幾つかの方法を単に例示するものに過ぎない。
【0044】
一つの実施例において、当該モノクローナル抗体はHIV−1のエンベロープ糖タンパク質に結合する。一つの実施例において、HIV−1エンベロープ糖タンパク質は、gp120およびgp160から選択される。
【0045】
一つの実施例において、HIV−1エンベロープ糖タンパク質はgp120であり、gp120に結合するモノクローナル抗体はIgG1b12またはF105である。IgG1b12は、NIH・AIDS研究および参照試薬計画カタログ(NIH AIDS Research and Rreference Reagent Program Catalog)の項目#2640に記載されている。F105は、NIH・AIDS研究および参照試薬計画カタログの項目#2640に記載されている。
【0046】
一つの実施例において、当該抗体は、CD4+細胞表面上のCD4のエピトープに結合する。
【0047】
本発明の組成物の一つの実施例において、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、前記CD4+細胞へのHIV−1の付着を遅延させる化合物はペプチドである。本発明の組成物の一つの実施例において、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、前記CD4+細胞へのHIV−1の付着を遅延させる化合物は非ペプチド物質である。ここで用いる「非ペプチド」は、該物質が、その全体が、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸の線形配列からなるものでないことを意味する。しかし、非ペプチド物質は、一以上のペプチド結合を含んでいてもよい。
【0048】
本発明の組成物の一つの実施例において、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させる化合物は、抗体である。一つの実施例において、該抗体はモノクローナル抗体である。一つの実施例において、該抗体はポリクローナル抗体である。
【0049】
本発明の組成物の一つの実施例において、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することにより、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させる化合物は、ペプチドである。
【0050】
本発明の組成物の一つの実施例において、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することにより、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる前記化合物は、T−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、およびN34(L6)C28(配列番号:5)からなる群から選択されるペプチドを含む融合タンパク質である。一つの実施例において、該ペプチドは、T−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、N34(L6)C28(配列番号:5)、およびT−1249(配列番号:6)からなる群から選択される。一つの実施例において、該ペプチドはT−20(配列番号:1)である。
【0051】
ここで用いる「T−20」および「DP178」は、次のアミノ酸配列、即ち、記載されている通り[29、32]、YTSLIHSLIEESQNQQEKNEQELLELDKWASLWNWF(配列番号:1)のアミノ酸配列を有するペプチドを指称するために互換的に用いられる。DP107は、下記のアミノ酸配列を有する:NNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARILAVERYLKDQ(配列番号:2)。N34は下記のアミノ酸配列を有する:SGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQAR(配列番号:3)。C28は以下のアミノ酸配列を有する:WMEWDREINNYTSLIHSLIEESQNQQEK(配列番号:4)。N34(L6)C28は、下記のアミノ酸配列を有する:SGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARSGGRGGWMEWDREINNYTSLIHSLIEESQNQQEK(配列番号:5)。T−1249は、下記のアミノ酸配列を有する:WQEWEQKITALLEQAQIQQEKNEYELQKLDKWASLWEWF(配列番号:6)。
【0052】
ここに記載した組成物の一つの実施例において、前記ペプチドは、(1)該ペプチドの5’末端、3’末端または両末端に対する少なくとも一つのグリシン残基が追加されていることを除き、T−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、N34(L6)C28(配列番号:5)、およびT−1249(配列番号:6)からなる群から選択される野生型ペプチドの配列と同一の配列を有するアミノ酸からなり、且つ(2)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる変異体ペプチドである。
【0053】
一つの実施例において、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる前記化合物は、T−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、N34(L6)C28(配列番号:5)、およびT−1249(配列番号:6)からなる群から選択されるペプチドを含む融合タンパク質である。
【0054】
ここに記載する組成物の一つの実施例において、前記ペプチドは、T−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、N34(L6)C28(配列番号:5)、およびT−1249(配列番号:6)からなる群から選択される。
【0055】
ここに記載する組成物の一つの実施例において、前記ペプチドはT−20(配列番号:1)である。ここに記載する組成物の一つの実施例において、前記ペプチドはT−1249(配列番号:6)である。
【0056】
本発明の一つの実施例において、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物は、非ペプチド物質である。
【0057】
一つの実施例において、本発明の非ペプチド物質は小分子である。一つの実施例において、前記非ペプチド物質は、500ダルトン未満の分子量を有する化合物である。
【0058】
本発明の組成物の一つの実施例において、CCR5レセプターに結合する抗体には、PA8(ATCC受付け番号HB−12605)、PA10(ATCC受付け番号12607)、PA11(ATCC受付け番号HB−12608)、PA12(ATCC受付け番号HB−12609)、およびPA14(ATCC受付け番号HB−12610)が含まれるが、これらに限定されない。一つの実施例において、前記抗体はモノクローナル抗体である。一つの実施例において、該モノクローナル抗体はヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。一つの実施例において、前記抗体の一部は該抗体のFab断片である。一つの実施例において、前記抗体の一部は、該抗体の可変ドメインを含んでいる。一つの実施例において、前記抗体の一部は該抗体のCDR部分を含んでいる。一つの実施例において、前記モノクローナル抗体は、IgG、IgM、IgD、IgA、またはIgEモノクローナル抗体である。
【0059】
本発明の組成物の一つの実施例において、前記混合物における各化合物の相対的質量比は、約25:1〜約1:1で変動する。一つの実施例において、該質量比は約25:1である。一つの実施例において、該質量比は約5:1である。一つの実施例において、該質量比は約1:1である。
【0060】
本発明の組成物の一つの実施例において、該組成物はキャリアと混合される。本発明のキャリアには、エアロゾルキャリア、静脈内キャリア、経口キャリアまたは局所キャリアが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能なキャリアは当業者に周知である。このような薬学的に許容可能なキャリアには、水溶液または非水溶液、懸濁液、およびエマルジョンが含まれるが、これらに限定されない。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、オイレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性キャリアには、水、アルコール/水溶液、エマルジョンもしくは懸濁液、塩水および緩衝媒体が含まれる。非経腸的担体には、塩化ナトリウム溶液、リンゲル氏ブドウ糖液、ブドウ糖および塩化ナトリウム溶液、乳酸添加リンゲル氏液または固定油が含まれる。静脈注射用担体には、液体および栄養補給剤、リンゲル氏ブドウ糖液に基づくもののような電解質補充剤などが含まれる。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、不活性ガスなどのような、保存剤および他の添加剤を存在させてもよい。
【0061】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な本発明の組成物のある量と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法を提供する。
【0062】
一つの実施例において、前記CD4+細胞は対象の中に存在し、前記接触は該対象に前記組成物を投与することにより行われる。
【0063】
ここで用いる「対象」は、HIVに感染するに至ることができる如何なる動物または人工的に改変された動物をも含む。人工的に改変された動物には、ヒト免疫系を備えたSCIDマウスが含まれるが、これに限定されない。動物にはマウス、ラット、イヌ、ネコ、モルモット、イタチ、ウサギ、および霊長類が含まれるが、これらに限定されない。一つの好ましい実施例において、この対象はヒトである。
【0064】
ここで用いる「投与する」は、当業者に既知の如何なる方法を使用して実施または行ってもよく、これには病巣内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、リポソーム媒介送達、経粘膜投与、腸投与、局所投与、鼻内投与、経口投与、肛門内投与、癌内投与、または耳内投与が含まれる。本発明の化合物類は、対象において相乗的な有効量で組合されるように、別々に投与してもよい(例えば、異なる投与経路、注射部位または投与スケジュールによる)。
【0065】
本発明の組成物の投与量は、対象および特定の投与経路に応じて変化するであろう。投与量は、0.1〜100,000μg/kgで変化することができる。組成に基づいて、投与量は、例えば連続ポンプにより連続的に送達してもよく、または周期的な間隔で送達してもよい。例えば、一以上の別々の機会に送達してもよい。特定の組成物を複数回投与する望ましい時間間隔は、当業者によって、過度の実験を伴わずに決定することができる。
【0066】
ここで用いる「有効投与量」は、対象を治療し、または対象がHIV−1に感染するに至るのを予防するために十分な量を意味する。当業者は、単純な滴定実験を行って、対象を治療するために如何なる量が必要であるかを決定することができる。
【0067】
一つの実施例において、該組成物の有効量は、前記対象の体重量当たり約0.000001mg/kgから約100mg/kgである。
【0068】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、(1)CCR5のレセプターに結合する抗体のある量、および(2)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することにより、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させる化合物のある量と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法を提供する。
【0069】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、(1)CCR5のレセプターに結合する抗体のある量、(2)HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1の前記CD4+細胞への付着を遅延させる化合物の、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な量、および(3)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物のある量と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法を提供する。
【0070】
本発明は、CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、(1)HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1の前記CD4+細胞への付着を遅延させる化合物の、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な量、および(2)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物のある量と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法を提供する。
【0071】
一つの実施例において、前記CD4+細胞は対象中に存在し、前記接触は前記組成物を該対象に投与することによって行われる。一つの実施例において、前記複数の化合物は前記対象に同時に投与される。一つの実施例において、前記複数の化合物は前記対象に異なる時点で投与される。一つの実施例において、前記複数の化合物は前記対象に異なる投与経路で投与される。
【0072】
本発明は種々の応用を有しており、これにはHIVに冒されるに至った対象を治療するような、HIV治療が含まれる。ここで用いる「HIV−1に冒される」とは、対象がHIV−1に感染した少なくとも一つの細胞を有することを意味する。ここで用いる「治療する」とは、HIV−1障害の進行を遅延させ、停止させ、または反転させることを意味する。一つの実施例において、「治療する」とは、障害を排除する点まで進行を反転させることを意味する。ここで用いる「治療する」とは、ウイルス感染の数の減少、感染性ウイルス粒子の数の減少、ウイルス感染細胞の数の減少、またはHIV−1に関連した症状の寛解をも意味する。本発明のもう一つの応用は、対象がHIVに罹患するのを防止することである。ここで用いる「罹患する」とは、HIV−1に感染するに至り、その遺伝子情報がホスト細胞の中で複製され、および/またはホスト細胞に組み込まれることを意味する。本発明のもう一つの応用は、HIV−1に感染するに至った対象を治療することである。ここで用いる「HIV−1感染」とは、例えば標的細胞膜とHIV−1またはHIV−1エンベロープ糖タンパク質+細胞との融合による、標的細胞へのHIV−1遺伝子情報の導入を意味する。この標的細胞は、対象の体細胞であってよい。好ましい実施例において、該標的細胞はヒト対象由来の体細胞である。本発明のもう一つの応用は、HIV−1感染を阻害することである。ここで用いる「HIV−1感染を阻害する」とは、標的細胞ポピュレーションの中に導入されたHIV−1遺伝子情報の量を、本発明の組成物を投与せずに導入された量と比較して減少させることを意味する。
【0073】
本発明は、以下の実験の詳細から更に良く理解されるであろう。しかし、当業者は、そこで述べられる特定の方法および結果が、特許請求の範囲により完全に記載された本発明の単なる例示に過ぎないことを容易に理解するであろう。
【0074】
【実験の詳細】
<第1シリーズの実験>
A.材料と方法
1)試薬
精製組み換えCD4−IgG2タンパク質は、Progenics Pharmaceuticals株式会社によって、プラスミドCD4−IgG2−HC−pRcCMVおよびCD4−KLC−pRcCMV(各ATCC受付番号、75193および75194)から、[5]に記載のとおりに製造した。HeLa−env細胞は、HIV−1 gp120/gp41 env発現プラスミドpMA243を、[51]の記載のとおりにHeLa細胞(ATCCカタログ番号#CCL−2)に形質転換して調製した。PM1細胞はアメリカ国立衛生研究所AIDS試薬プログラム(カタログ番号#3038)から入手可能である。T−20ペプチドは、標準固相Fomc化学を使用して合成し、[31、32]に記載のとおりに精製し、特性を決定する。
【0075】
2)HIV−1のenvに媒介される膜融合の阻害
HIV−1のエンベロープに媒介された、HeLa−EnvJR−FLとPM1細胞の融合は、共鳴エネルギー転移(RET)分析を用いて検出した。フルオレセインオクタデシルエステル(F18)でラベルされたエンベロープ発現細胞およびオクタデシルローダミン(R18)でラベルされたPM1細胞の同数(2x104)を、96穴プレート中のウシ胎児血清15%含有リン酸緩衝生理食塩水に蒔き、様々な濃度のCD4−IgG2、T−20またはそれらの組み合わせの存在下で、37℃で4時間インキュベートした。蛍光RETは細胞蛍光プレートリーダー(PerSeptive Biosystems)で測定し、%RETは以前に記載したとおりに決定した[19]。
【0076】
3)薬剤の組み合わせによる相乗効果、相加効果、または拮抗効果の定量解析
HIV−1阻害データは、ChouおよびTalayの組合せ指数法[52,53]に従って解析した。そのデータは次式で記述できる半有効原理(median−effect principle)に従ってモデル化する。
【0077】
【数1】
Figure 2004518624
ここで、fは阻害に対する発症の割合、cは濃度、Kは半有効値を生じるために必要な薬剤の濃度、およびmは投与量応答曲線の形を表す経験的な係数である。等式(1)は、Michaelis−Mentonの酵素速度論、ラングミュア吸着等温式、およびHenderson−Hasselbalchのイオン化平衡の一般的な形であり、全ての場合でm=1である。本件では、KはIC50値と等しい。Kおよびmは、投与量応答曲線のカーブフィッティングによって決定する。
【0078】
実験薬剤およびそれらの組み合わせについて、Kおよびmの最適なパラメーターが得られた後、所定のfについてのcを計算するために、等式(1)を再編する。得られた値の表(例えば図X)は、等式
【数2】
Figure 2004518624
を用いて組合せ指数(CI)を計算するために使われる。ここで、
は単独で使われた場合の化合物1の濃度
は単独で使われた場合の化合物2の濃度
1mは混合で使われた場合の化合物1の濃度
2mは混合で使われた場合の化合物2の濃度
全ての濃度は、所定の程度の阻害を達成するために必要な濃度である。等式(2)は分子が相互に非排他的である場合、即ち異なる活動サイトを有する場合に使用される。これはHIV−1の結合およびgp41の融合中間体を阻害するためにあり得るシナリオなので、等式(2)は全ての組合せ指数を計算するために使用した。相互に非排他的な計算は、c1m2m/c項が省略される相互に排他的な計算よりも、相乗効果の程度のより保存された評価を提供する。CI<1は相乗効果を示し、CI=1は純粋に相加的な効果を示し、CI>1は拮抗作用を示す。通常、CI値は、測定可能な臨床上の利益を達成するために必要な高レベルの阻害に最も関連する。
【0079】
B.結果と考察
HIV−1付着の阻害剤およびgp41の融合中間体の阻害剤の組み合わせは、最初にRET分析において、HIV−1のenvを媒介とした膜融合の阻害能力について試験した。この分析は、HIV−1侵入プロセスの高い成功モデルであることが証明されている。この分析は、env依存性コレセプター使用パターンおよび親ウイルスの細胞屈性を精確に再現する[19]。実際、この分析は、CCR5が必要な融合コレセプターとして機能することと、ウイルス侵入のレベルで作用することを示すのに役立つ[54]。融合分析および感染性ウイルスは、金属キレート剤、並びにウイルスおよび細胞レセプターの完全な補体をターゲッティングする薬剤による阻害に対して同様に感受性である[19、46、55]。
【0080】
個別に使用された薬剤および組み合わせて使われた薬剤についての両方の分析から、投与量応答曲線を得た。データは、半有効原理(median−effect principle)を用いて解析した[52,53]。単独で使用した薬剤の濃度、または所定の効果を生じるるために要求されるそれらの混合物は、組合せ指数(CI)として知られる項目で定量的に比較される。CI>1は拮抗作用を示し、CI=1は純粋に加算効果を示し、CI<1は、一つの薬剤の存在がもう一つの薬剤の効果を増強する相乗効果を示す。
【0081】
CD4−IgG2およびT−20の組み合わせは、env媒介膜融合の阻害に強力な相乗作用をもたらす。図1は、CD4−IgG2、T−20、およびその二つの組み合わせの膜融合分析で得られたそれぞれの投与量応答曲線を示す。組み合わせの曲線は、阻害剤濃度が低い方で高く表示され、相乗的な挙動におけるCD4−IgG2およびT−20の作用の定量的な証拠を提供している。
【0082】
観察されたCD4−IgG2とT−20の相乗効果の程度を定量的に計算するために、我々は組合せ指数法[52,53]に従って投与量応答曲線を解析した。その解析は、CD4−IgG2:T−20の質量比が25:1、5:1、および1:1のとき得られたデータを含めた。質量比が25:1のとき、高濃度(0〜250μg/ml CD4−IgG2および0〜10μg/ml T−20)および低濃度(0〜50μg/ml CD4−IgG2および0〜2μg/ml T−20)の両方を評価した。図2に示したとおり、これらの範囲の阻害剤比率および濃度において強力な相乗効果が観察され、CI値は最適条件下で0.20と低かった。0.2のCI値は、抗HIV−1抗体[41−44]、逆転写酵素阻害剤[56]、またはプロテアーゼ阻害剤[57]を含んだ組合わせによってはめったに得られないので、この相乗効果の程度は顕著なものである。この観察された相乗効果は、HIV−1の結合と、gp41融合中間体の形成とが相互依存的なステップであることを示す。一つの可能性として、付着阻害剤は、最適未満の濃度で使われたときには、gp120とCD4の結合を遅延させるが排除はしないかもしれない。この場合、gp41融合中間体が形成されて、膜融合に必要とされるよりも下のレベルで長期間ウイスル上で(または感染細胞上で)持続する可能性があり、それゆえ阻害剤のよい標的を提供する。
【0083】
観察された相乗効果は、阻害に必要なCD4−IgG2とT−20の量を大いに減少する。質量比25:1で、CD4−IgG2およびT−20を使用したときの減少を図3に示す。この場合、ウイルス侵入を95%まで阻害するためには、T−20単独では0.21μg/ml、CD4−IgG2単独では19μg/ml、それらを組み合わせた場合はT−20が0.044μg/mlおよびCD4−IgG2が1.1μg/mlで、合計1.14μg/mlが必要である。組み合わせることによって、T−20およびCD4−IgG2の投与量はそれぞれ5倍および17倍減少する。より高レベルの阻害剤によって、さらに大きな投与量の減少が得られる。
【0084】
[第2の実験系]
HIV−1の侵入は少なくとも3つの連続するカスケード事象で進行する。即ち、(1)HIV−1表面糖タンパク質gp120と、HIV−1の主要な細胞レセプターであるCD4の結合;(2)CCR5およびCXCR4のような膜融合性コレセプターと、gp120−CD4複合体との相互作用。(3)HIV−1膜貫通糖タンパク質gp41に媒介された膜融合。PRO542(CD4−IgG2)はgp120に結合することにより、ウイルスがCD4を介して宿主細胞に結合することを阻害する抗体様分子である。PRO140(PA14)およびPA12はCCR5に対するモノクローナル抗体であり、CCR5のHIV−1コレセプターとしての機能をブロックする。最後に、T−20はgp41の高度に保存されたC−末端外部ドメインに由来する36merのペプチドである。T−20は、gp41が媒介する膜融合事象をブロックする。従って、PRO542は、HIV−1の侵入の第1の工程をブロックする付着阻害剤である。PRO140およびPA12はともに、第2の工程をブロックするCCR5コレセプター阻害剤である。そして、T−20は第3の工程をブロックする融合阻害剤である。付着阻害剤、コレセプター阻害剤および融合阻害剤はすべて、HIV−1侵入阻害剤として知られている抗ウイルス物質集団の広義のカテゴリーのメンバーである。CCR5コレセプター阻害剤およびCXCR4コレセプター阻害剤は、コレセプター阻害剤の二つの異なるサブクラスを構成する。
【0085】
個別に使用した場合、これらの化合物のそれぞれはHIV−1のインビトロでの感染を阻害する。PRO542とT−20は両方とも、ヒト臨床試験で個々に使用された場合でも重大な抗ウイルス活性を示し(1,2)、HIV−1侵入の阻害剤の臨床的な概念検証を与えた。
【0086】
HIV−1侵入の多段階的かつ相互依存的な性質は、侵入阻害剤の組み合わせが、抗ウイルス効果を増加する(相乗的)かまたは減少する(拮抗する)非相加的または協同的な方法で作用し得ることを示唆する。CCR5コレセプター阻害剤とともに付着阻害剤を使用すること、融合阻害剤とともに付着阻害剤を使用すること、他のCCR5コレセプター阻害剤とともにCCR5コレセプター阻害剤を使用すること、融合阻害剤とともにCXCR4コレセプター阻害剤を使用することを含む、侵入阻害剤のある2種類の組み合わせによって、顕著な相乗効果が得られた。
【0087】
しかしながら、阻害剤の任意のクラスのあるメンバーについては相乗効果が得られる一方で、同じクラスの他のメンバーを使用したとき(3)には、純粋に相加的な効果または拮抗的な効果も見られることがあり、これはHIV−1侵入のプロセスの複雑さと、相乗的な組み合わせを予測する困難性を強調している。HIV−1阻害剤の三つのクラスのメンバーに含まれる、CCR5コレセプター阻害剤と融合阻害剤の2種の組み合わせ、あるいは3種または4種の組み合わせは、以前の研究では試験されていない。図4Dに示したように、我々は、CCR5コレセプター阻害剤PRO140を融合阻害剤T−20と合わせて使用し、HIV−1の相乗的な阻害が得られることを発見した。加えて、図4A−4C、および図5に示したように、付着阻害剤(PRO542)、CCR5コレセプター阻害剤(PRO140またはPA12のいずれか)および融合阻害剤(T−20)を含む3種の組み合わせを使用して、著しい相乗効果が観察された。この3種の組み合わせで観察された相乗効果は驚くほど効能があり、投与減少範囲を260倍にする。
【0088】
<第1シリーズの実験のための参考文献>
【0089】
【参考文献1】
Figure 2004518624
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<第2シリーズの実験>
ヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV−1)による細胞の感染は、ウイルスエンベロープ(env)糖タンパク質gp120およびgp41によって媒介され、これら糖タンパク質は、非共有結合性のオリゴマー複合体としてウイルスおよびウイルス感染細胞の表面で発現する。標的細胞に侵入したHIV−1は、(1)HIV−1の主要なレセプターである細胞表面のCD4に、ウイルス表面の糖タンパク質gp120が結合すること、(2)CCR5およびCXCR4のような融合コレセプターにenvが結合すること、(3)gp41のコンフォメーションが多様に変化することを含むカスケード事象を通じて、細胞表面において進行する。融合に際して、gp41は、最終的に融合を媒介できるコンフォメーションに折り畳まれるプレヘアピン融合中間体を含む一時的なコンフォメーションを採る。これらの事象は、ウイルスおよび細胞の膜の融合、並びにその後のウイルスゲノムの標的細胞への導入に至る。感染した細胞と感染していない細胞の融合を経由する感染の拡散には、同様の分子的事象の連鎖が必要である。ウイルス侵入プロセスのそれぞれの過程が、治療的介入の対象となりうる。
【0090】
HIV−1の付着は、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質と結合する物質によって、また、ヒトCD4に結合する物質によって阻害することが出来る。特に、HIV−1の付着は、gp120が結合するヒトCD4のドメインを組み入れた化合物と、それを分子的に擬態した化合物によって阻害することができる[1−7]。このgp120とCD4の相互作用はウイルスの感染に不可欠なので、CD4を基にした分子は、全てではないがほとんどのHIV−1の株をターゲッティングできる可能性を有する。加えて、そのような分子に対する耐性を生じるウイルスの能力は限られている。
【0091】
gp120の結合を決定する要因は、CD4上の第1の細胞外ドメイン(D1)に位置しており、結合に重要なアミノ酸は、36−47のアミノ酸を含むループの中央に位置している。強力なHIV−1阻害活性は、このループとその周辺の組織を擬態した27のアミノ酸ペプチドで再現されている[7]。
【0092】
CD4を基にした分子の幾つかの組み換え体が開発され、ヒトで臨床活性が試験されている。これらのうち最初のものは、CD4の4つの細胞外ドメイン(D1−D4)を含んでいたが、膜貫通領域および細胞内領域を欠いていた。この分子は、可溶性CD4(sCD4)と称され、10mg/kgの投薬範囲でヒトに投与された時に優れた耐性を示した[8,9]。sCD4で治療した一定の患者に、感染力を持つHIV−1の血漿レベルの一時的な減少が観察された。ヒトの体内においてsCD4の半減期が短いことが(静脈内投与後45分)、この物質を長期の治療に使用することの一つの障害であると認識された。
【0093】
血清中の半減期を伸ばした、第2世代のCD4に基づくタンパク質が開発された。これらのCD4−免疫グロブリン融合タンパク質は、ヒトIgG分子のヒンジCH2およびCH3領域に遺伝的に融合された、CD4のD1D2ドメインを含んでいた。これら二価のタンパク質は、それらのCD4ドメインからはHIV−1中和能力を、そのIgG分子からはFcエフェクター機能を引き出す。CD4−IgG1融合タンパク質は優れた耐性を有し、フェーズIの臨床試験において薬物動態が改良されたことが示された[10]。その抗ウイルス評価は確定されていない。
【0094】
さらに最近になって、ヒトIgG2の軽鎖および重鎖の定常領域に遺伝的に融合された、CD4のD1D2ドメインを備えた第3世代の4価CD4−IgG2融合タンパク質が開発された。この物質は、HIV−1エンベロープ糖タンパク質gp120にナノモルの親和力[5]で結合してレセプターを妨害することによって、また、gp120をビリオン表面から引き離すことによってウイルスの結合を阻害することができ、それによってウイルスを不可逆的に不活性化する。標準的なPBMCに基づいた中和分析において、CD4−IgG2は、すべての主要なサブタイプおよびアウトライアーグループに由来する一次HIV−1分離株を中和した。ウイスルの感染力を90%減少させるのに必要なCD4−IgG2濃度、即ちインビトロIC90は、おおよそ15−20μg/ml[11]であり、インビボで容易に達成可能な濃度である。CD4−IgG2は、エキソビボ分析で血清陽性であるドナーのプラスマから直接得られたHIV−1の中和において同様に有効であり、この物質が、臨床で遭遇するさまざまなウイルスの準種(quasispecies)に対して活性であることを示した[12]。CD4−IgG2はまた、HIV−1感染hu−PBL−SCIDマウスモデルにおいて、初期の分離株による感染を予防した[13]。最近の分析では、一次ウイルスを中和するCD4−IgG2の能力が、それらがコレセプターを使用することに依存しないことが示されている[14]。
【0095】
CD4に基づいた一価または二価のタンパク質と比較して、CD4−IgG2は、一次HIV−1分離株の阻害において100倍大きい有効性を一貫して示している[5,12,14,15]。効能の増強は、CD4−IgG2の増加された結合価/結合活性を用いてビリオンと結合する能力と、免疫グロブリン分子の各Fab様アームにおける二つのgp120結合サイトとの立体的近位に由来する。CD4−IgG2のより大きいFab様アームは、ビリオン上のHIV−1エンベロープスパイクにまでおよぶ可能性が高い。さまざまな症状発現前のモデルにおいて、CD4−IgG2の抗HIV−1活性は、一次HIV−1分離株を広く強力に中和する稀なヒトモノクローナル抗体に都合よく匹敵することが示された[5,11,14,15]。加えて、CD4−IgG2療法は、原理的に、抗envモノクローナル抗体または高度に変異し易いHIV−1エンベロープ糖タンパク質を使った治療に比べて、ウイルスの薬物耐性の発生に対する感受性が小さい。これらの特性は、細胞と結合していないウイルスが新しい感染経路を確立する機会を得る前にそれを中和する物質として、CD4−IgG2が治療に有用である可能性を示唆する。治療の他に、CD4−IgG2は職業上の、出産期の、またはその他の理由でHIV−1に暴露された結果として感染することを予防することに有効性を有する可能性がある。
【0096】
フェーズIの臨床試験において、CD4−IgG2の単独投薬は優れた薬理学および耐薬性を示した。加えて、測定可能な抗ウイルス活性が二つの基準のそれぞれで観察された。第1に、10mg/kgの単独投薬の後、血漿HIV RNAの統計的に著しく急激な減少が観察された。加えて、二人の患者の試験のそれぞれで、感染性HIVのプラスマレベルの持続的な減少が観察された。これらの観察結果を総合すると、CD4−IgG2がヒトにおいて抗ウイルス活性を有することが示される[16]。
【0097】
CD4に基づくタンパク質およびその分子的な擬態に加えて、HIV−1の付着は、抗体および非ペプチド分子によっても阻害することができる。既知の阻害剤には、(1)IgG1b12およびF105のような抗env抗体[17,18]、(2)OKT4A、Leu 3a、およびそれらのヒト化バージョン[19,20]、(3)gp120またはCD4のいずれかを標的にする非ペプチド物質[21]が含まれる[22−24]。化合物の後者のグループには、アウリントリカルボン酸、ポリヒドロキシカルボキシレート、スルホン酸ポリマー、および硫酸デキストランが含まれる。
【0098】
gp41融合中間体を標的にすることにより、HIV−1感染を妨げる幾つかの物質が確認されている。これらの阻害剤は、融合中間体と相互に作用し、それらが最終的な融合コンフォメーションに折り畳まれることを防ぐ。最初に同定されたそのような物質には、疎水性のアルファ螺旋を形成すると予測されるgp41の外部ドメインの一部に対応した、合成あるいは組み換えペプチドが含まれる。そのような領域の一つは、gp41の細胞外部分のアミノセグメントおよびカルボキシセグメントの両方に存在し、最近の結晶学的な証明は、これらの領域がgp41の推定された融合コンフォメーションと関係していることを示唆している[25,26]。HIV−1感染は、融合の際に暴露されるN末端またはC末端のgp41エピトープのいずれかと結合する物質によって阻害することができる。これらの物質には、gp41に基づいたペプチドであるT−20(以前はDP178として知られていた)、T−1249、DP107、N34、C28、および様々な融合タンパク質およびそれの類似体が含まれる[27−33]。他の研究では、非天然のD−ペプチドおよび非ペプチド部分を含む阻害剤が確認されている[34,35]。T−20によって、この分類の阻害剤の臨床的な概念検証が与えられた。T−20は、フェーズI/IIのヒトの臨床試験において、2対数倍まで血漿HIV RNAレベルを減少した[36]。この抗ウイルス活性の広範さは、多様なHIV−1株の間でgp41の配列が高度に保存されていることを、この分類の阻害剤が反映していることを示している。
【0099】
最近の研究[37]は、HIV−1融合中間体に対して抗体が生じる可能性を示した。この研究は、CD4と結合するgp120/gp41と融合コレセプターの相互作用の際に形成される一時的な融合中間体を補足する、「融合成分」HIVワクチン免疫原を用いる。これらの研究で用いられている免疫原は、HIV−1のgp120/gp41を発現する細胞、およびヒトのCD4およびCCR5を発現するがCXCR4は発現しない細胞、の共生培養体のホルマリン固定物である。そのワクチンによって誘起された抗体は、一次HIV−1単離株の阻害において、コレセプターを使用したにも関わらずかつてない幅および強さの効力を示した。このことは、その抗体が、保存性が高くかつHIV−1が侵入する間に一過性で暴露されたgp41の融合中間体のような構造に対して生じたことを示している。このクラスの抗体は、2F5として知られる抗gp41モノクローナル抗体、即ち、融合前のウイルス粒子に構造的に存在しているエピトープと相互作用するモノクローナル抗体を含んでいない[38]。
【0100】
以前に、ある抗env抗体を、他の抗env抗体[39−44]、抗CD4抗体[45]またはCD4に基づくタンパク質[6]と組み合わせて使用して、HIV−1の侵入を阻害する協働作用が示された。同様に、抗CCR5抗体を他の抗CCR5抗体、CCケモキネシス、またはCD4に基づくタンパク質[46]と組み合わせて使用することで、協働作用が観察された。しかしながらこれまでの研究では、gp41融合中間体の阻害剤とHIV−1侵入の他の段階の阻害剤を組み合わせた相乗効果の可能性は検討されていない。特に、gp41融合中間体の阻害剤とHIV−1付着阻害剤との組み合わせを検討した研究は存在しない。
【0101】
A.材料と方法
1)試薬
精製組み換えCD4−IgG2タンパク質は、Progenics Pharmaceuticals株式会社によって、プラスミドCD4−IgG2−HC−pRcCMVおよびCD4−KLC−pRcCMV(各ATCC受付番号、75193および75194)から、[5]に記載のとおりに製造した。HeLa−env細胞は、HIV−1 gp120/gp41 env発現プラスミドpMA243を、[51]の記載のとおりにHeLa細胞(ATCCカタログ番号#CCL−2)に形質転換して調製した。PM1細胞はアメリカ国立衛生研究所AIDS試薬プログラム(カタログ番号#3038)から入手可能である。T−20ペプチドは、標準固相Fomc化学を使用して合成し、[31、32]に記載のとおりに精製し、特性を決定する。
【0102】
2)HIV−1のenvに媒介される膜融合の阻害
HIV−1のエンベロープに媒介された、HeLa−EnvJR−FLとPM1細胞の融合は、共鳴エネルギー転移(RET)分析を用いて検出した。フルオレセインオクタデシルエステル(F18)でラベルされたエンベロープ発現細胞およびオクタデシルローダミン(R18)でラベルされたPM1細胞の同数(2x104)を、96穴プレート中のウシ胎児血清15%含有リン酸緩衝生理食塩水に蒔き、様々な濃度のCD4−IgG2、T−20またはそれらの組み合わせの存在下で、37℃で4時間インキュベートした。蛍光RETは細胞蛍光プレートリーダー(PerSeptive Biosystems)で測定し、%RETは以前に記載したとおりに決定した[19]。
【0103】
3)薬剤の組み合わせによる相乗効果、相加効果、または拮抗効果の定量解析
HIV−1阻害データは、ChouおよびTalayの組合せ指数法[52,53]に従って解析した。そのデータは次式で記述できる半有効原理(median−effect principle)に従ってモデル化する。
【0104】
【数3】
Figure 2004518624
ここで、fは阻害に対する発症の割合、cは濃度、Kは半有効値を生じるために必要な薬剤の濃度、およびmは投与量応答曲線の形を表す経験的な係数である。等式(1)は、Michaelis−Mentonの酵素速度論、ラングミュア吸着等温式、およびHenderson−Hasselbalchのイオン化平衡の一般的な形であり、全ての場合でm=1である。本件では、KはIC50値と等しい。Kおよびmは、投与量応答曲線のカーブフィッティングによって決定する。
【0105】
実験薬剤およびそれらの組み合わせについて、Kおよびmの最適なパラメーターが得られた後、所定のfについてのcを計算するために、等式(1)を再編する。得られた値の表(例えば図X)は、等式
【数4】
Figure 2004518624
を用いて組合せ指数(CI)を計算するために使われる。ここで、
は単独で使われた場合の化合物1の濃度
は単独で使われた場合の化合物2の濃度
1mは混合で使われた場合の化合物1の濃度
2mは混合で使われた場合の化合物2の濃度
全ての濃度は、所定の程度の阻害を達成するために必要な濃度である。等式(2)は分子が相互に非排他的である場合、即ち異なる活動サイトを有する場合に使用される。これはHIV−1の結合およびgp41の融合中間体を阻害するためにあり得るシナリオなので、等式(2)は全ての組合せ指数を計算するために使用した。相互に非排他的な計算は、c1m2m/c項が省略される相互に排他的な計算よりも、相乗効果の程度のより保存された評価を提供する。CI<1は相乗効果を示し、CI=1は純粋に相加的な効果を示し、CI>1は拮抗作用を示す。通常、CI値は、測定可能な臨床上の利益を達成するために必要な高レベルの阻害に最も関連する。
【0106】
B.結果と考察
HIV−1付着の阻害剤およびgp41の融合中間体の阻害剤の組み合わせは、最初にRET分析において、HIV−1のenvを媒介とした膜融合の阻害能力について試験した。この分析は、HIV−1侵入プロセスの高い成功モデルであることが証明されている。この分析は、env依存性コレセプター使用パターンおよび親ウイルスの細胞屈性を精確に再現する[19]。実際、この分析は、CCR5が必要な融合コレセプターとして機能することと、ウイルス侵入のレベルで作用することを示すのに役立つ[54]。融合分析および感染性ウイルスは、金属キレート剤、並びにウイルスおよび細胞レセプターの完全な補体をターゲッティングする薬剤による阻害に対して同様に感受性である[19、46、55]。
【0107】
個別に使用された薬剤および組み合わせて使われた薬剤についての両方の分析から、投与量応答曲線を得た。データは、半有効原理(median−effect principle)を用いて解析した[52,53]。単独で使用した薬剤の濃度、または所定の効果を生じるるために要求されるそれらの混合物は、組合せ指数(CI)として知られる項目で定量的に比較される。CI>1は拮抗作用を示し、CI=1は純粋に加算効果を示し、CI<1は、一つの薬剤の存在がもう一つの薬剤の効果を増強する相乗効果を示す。
【0108】
CD4−IgG2およびT−20の組み合わせは、env媒介膜融合の阻害に強力な相乗作用をもたらす。図6は、CD4−IgG2、T−20、およびその二つの組み合わせの膜融合分析で得られたそれぞれの投与量応答曲線を示す。組み合わせの曲線は、阻害剤濃度が低い方で高く表示され、相乗的な挙動におけるCD4−IgG2およびT−20の作用の定量的な証拠を提供している。
【0109】
観察されたCD4−IgG2とT−20の相乗効果の程度を定量的に計算するために、我々は組合せ指数法[52,53]に従って投与量応答曲線を解析した。その解析は、CD4−IgG2:T−20の質量比が25:1、5:1、および1:1のとき得られたデータを含めた。質量比が25:1のとき、高濃度(0〜250μg/ml CD4−IgG2および0〜10μg/ml T−20)および低濃度(0〜50μg/ml CD4−IgG2および0〜2μg/ml T−20)の両方を評価した。図7に示したとおり、これらの範囲の阻害剤比率および濃度において強力な相乗効果が観察され、CI値は最適条件下で0.20と低かった。0.2のCI値は、抗HIV−1抗体[41−44]、逆転写酵素阻害剤[56]、またはプロテアーゼ阻害剤[57]を含んだ組合わせによってはめったに得られないので、この相乗効果の程度は顕著なものである。この観察された相乗効果は、HIV−1の結合と、gp41融合中間体の形成とが相互依存的なステップであることを示す。一つの可能性として、付着阻害剤は、最適未満の濃度で使われたときには、gp120とCD4の結合を遅延させるが排除はしないかもしれない。この場合、gp41融合中間体が形成されて、膜融合に必要とされるよりも下のレベルで長期間ウイスル上で(または感染細胞上で)持続する可能性があり、それゆえ阻害剤のよい標的を提供する。
【0110】
観察された相乗効果は、阻害に必要なCD4−IgG2とT−20の量を大いに減少する。質量比25:1で、CD4−IgG2およびT−20を使用したときの減少を図8に示す。この場合、ウイルス侵入を95%まで阻害するためには、T−20単独では0.21μg/ml、CD4−IgG2単独では19μg/ml、それらを組み合わせた場合はT−20が0.044μg/mlおよびCD4−IgG2が1.1μg/mlで、合計1.14μg/mlが必要である。組み合わせることによって、T−20およびCD4−IgG2の投与量はそれぞれ5倍および17倍減少する。より高レベルの阻害剤によって、さらに大きな投与量の減少が得られる。
【0111】
<第二シリーズの実験のための参照文献>
【0112】
【参考文献2】
Figure 2004518624
Figure 2004518624
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<第3シリーズの実験>
HIVの侵入は一連の現象を通じて進行し、この現象は治療の有望な目標となる。PRO542は、HIV−1がCD4に付着するのを遮断することによってHIV−1を中和し、T−20はgp41を介した融合を遮断する。両薬物ともに、臨床試験の第I/II相において有望であることが示されている。本実験では、HIV−1感染の前臨床モデルにおいて、前記薬物を個別に及び組み合わせて調べ、併用指標法を使用して、協同作用に関し阻害データを分析した。広範な薬物濃度にわたって、様々な表現型のウイルスについて、ウイルス−細胞融合及び細胞−細胞融合の相乗的な阻害が観察され、しばしば、インビトロで10倍以上の用量低下が生じた。さらに作用機序に関する研究によって、かかる相乗作用の分子的基礎を探った。PRO 542:T−20の組み合わせに対して顕著な活性の増大が観察されたことは、HIV−1の侵入が多段階であるために、侵入阻害剤の組み合わせに対してウイルスが非常に影響を受けやすいことを示している。これらの知見は、これらの薬剤を組み合わせてインビボでの治療に用いることを検討することに関して強固な論拠を与えるものである。
【0113】
近年の進歩にもかかわらず、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)感染に対する現時の治療法には、HIV−1を根絶させることができない、多剤耐性変種が発生する、及び顕著な毒性が存在するという限界がある。このため、HIV−1複製サイクルのさらなる段階(ウイルスの侵入など)を標的とする新規な治療法が緊急に必要とされている。HIV−1の侵入は、治療の標的として有望な3つの段階、すなわち、(1)HIV−1表面糖タンパク質gp120のCD4への付着、(2)gp120−CD4複合体と補助受容体との相互作用、及び(3)HIV−1膜貫通糖タンパク質gp41によって媒介される膜融合から構成される。付着阻害剤、補助受容体阻害剤、及び融合阻害剤は、侵入阻害剤と総称され、現在臨床開発段階にある(1−4)。
【0114】
付着阻害剤であるPRO 542(CD4−IgG2)は、初代HIV−1単離株を強力に中和する4価のCD4免疫グロブリン融合タンパク質である(5)。第I/II相試験では、PRO 542は優れた許容性と薬理作用を示し、血漿HIV RNA、血漿ウイルス血症、及び細胞に付随するウイルスを測定したところによれば、ウイルスの負荷量を減少させた(1、2)。PRO 542は、現在、第2相の臨床試験中である。
【0115】
融合阻害剤T−20は、gp41のC末端の外部ドメインに由来するペプチドである。T−20は、一過的なgp41融合中間体への作用能によって仲介される広範囲の抗ウイルス活性を有している(6、7)。融合中間体の正確な構造は不明であるが、gp41の融合後のコンフォメーションに基づいて、「プレヘアピン」中間体として知られている。T−20は、第I/II相試験で単一の薬剤として使用すると、HIV RNAを1〜2桁減少させ、FDAによって認可された抗レトロウイルス剤と併用すると長期のウイルス抑制が見られた(3、4)。T−20は、第III相臨床試験に入っている。
【0116】
HIV−1複製を長期的に抑制させるためには、抗レトロウイルス薬を組み合わせることが必要とされる。PRO 542とT−20は許容度が高く、HIV−1侵入の異なる段階を標的とする「ファーストインクラス」薬剤なので、PRO 542及びT−20は、併用の候補として魅力的である。さらに、HIV−1の侵入は多段階の相互依存的な性質を有するので、これらの薬物は非相加的に作用する可能性があることが示唆される。本研究において、本発明者らは、インビトロでこれらの薬剤を各別に及び組み合わせて評価し、協同的な効果について結果を解析した。PRO 542:T−20の組み合わせは、広範囲の実験条件にわたって、様々な表現型のHIV−1単離株の侵入を強力且つ相乗的に阻害した。別の研究では、抗ウイルス活性の増大に関する分子的な基礎に光を当てた。
【0117】
<材料と方法>
化合物 チャイニーズハムスター卵巣細胞中でPRO 542を発現させ、Progenicsのカラムクロマトグラフィーによって精製した(5)。固相フルロエニルメトキシカルボニル化学反応によってT−20を合成し、逆相クロマトグラフィーによって精製して、ProgenicsのHPLCと質量分析によって純度とサイズを分析した。リン酸緩衝生理食塩水中にPRO 542とT−20を調合し、−95℃で保存した。
【0118】
HIV−1ウイルス−細胞融合アッセイ NLlucenvウイルスに、HIV−1JR−FL(R5)又はHIV−1DH123(R5X4)から得たエンベロープ糖タンパク質(env)をトランスに補完した(8)。薬物の存在下又は不存在下で、HeLa−CD4CCR5細胞を、50〜100ng/mlのp24を含有するキメラのレポーターウイルスに感染させた。細胞を洗浄し、薬物を含有する新鮮な培地を2時間の時点で加え、12時間の時点で薬物を含有しない培地を加えた。72時間後に、細胞可溶化液のルシフェラーゼ活性をアッセイした(9)。
【0119】
HIV−1細胞−細胞融合アッセイ HIV−1エンベロープ糖タンパク質を発現するHeLa細胞とCD4標的細胞間の融合を測定する蛍光共鳴エネルギー移動(RET)アッセイを用いて、HIV−1JR−FL及びHIV−1LAIのエンベロープ糖タンパク質によって媒介される細胞−細胞融合を測定した(10)。本研究では、標的細胞としてT細胞株PM1とSupT1を使用した。PM1は、内在的にCCR5とCXCR4を発現している。融合後に色素が同一の膜に位置するとRETが起こるように励起スペクトルと発光スペクトルが重複する蛍光色素を用いて細胞の膜を標識する。RETシグナルは、膜の融合の程度と直接関連する。
【0120】
薬物相互作用の定量的分析 3つの独立したアッセイから得られる阻害データを平均し、併用指標(CI、Cpmbination Index)法を用いて協同効果を分析した(11)。全ての分析で、PRO 542とT−20は非競合的に作用すると仮定したが、これによって相乗効果は控え目に見積もられることになる。0.9未満(又は1.1超)のCI値を意味のある協同効果(又は拮抗作用)を表すものとみなした。薬物を単独で又は組み合わせて使用するときに阻害に必要とされる薬物濃度の比率として、用量の減少を計算した(11)。
【0121】
<結果>
HIV−1ウイルス−細胞融合の阻害 PRO 542、T−20、及びこれらを1:2のモル比で組み合わせたものを用いて、HIV−1JR−FL及びHIV−1DH123の侵入を阻害した。HIV−1JR−FLの場合(図9a)、90%阻害(IC90)に必要とされる濃度はPRO 542で12nM、T−20で45nMであり、これらの組み合わせでは4.1nM(PRO 542が1.5nM、T−20が2.6nM)であった。組み合わせた場合のIC90が各化合物単独のIC90に比べて相当低いという事実から、好ましい薬物−薬物相互作用が明白である。
【0122】
併用指標分析(図10)によって、HIV−1JR−FL及びHIV−1DH123の両者に強いPRO 542:T−20相乗効果が観察されることが実証された。50−95%阻害の範囲では、HIV−1JR−FLのCI値は0.39−0.14の範囲に、HIV−1DH123のCI値は1.1−.36の範囲にあった。HIV−1JR−FLの侵入を90−95%阻害するために、約1/10のPRO542と約1/20のT−20が必要であった。HIV−1DH123については、有意な用量減少も観察された(図10)。
【0123】
HIV−1 Envを介した細胞−細胞融合の阻害 PRO 542、T−20、及びこれらを1:10のモル比で組み合わせたものを用いて、HIV−1JR−FL Envを介した細胞−細胞融合をRETアッセイで阻害した(図9b)。IC90値は、PRO 542で11nM、T−20で22nMであり、これらの組み合わせで5.5nM(0.55nM PRO 542及び4.9nM T−20)であった。50−95%阻害の範囲にわたり、CI値は0.34−0.27の範囲にあった(図10)。1:2及び1:50のPRO 542:T−20モル比を用いた場合にも強い相乗効果が観察され、50倍に及ぶ用量の低下がもたらされた(図10)。
【0124】
PRO 542とT−20は、HIV−1LAI(X4) Envを介した融合も相乗的に阻害した。1:10のPRO 542:T−20の比率では、50−95%の阻害でCI値は0.45−0.28の範囲にあった。用量の低下は、PRO 542で12倍乃至30倍、T−20で2.5倍乃至5.4倍の範囲にあった。PM1の代わりにSupT1 T細胞株を用いたときにも相乗効果が観察された(データは示さず)。
【0125】
PRO 542:T−20相乗効果の機序に関する研究 T−20は、融合前のコンフォメーションにあるEnvとは相互作用せず、一過的なgp41構造を標的にする(7)。これに対して、PRO 542は、遊離のウイルスを中和し、侵入に必要とされるEnvのコンフォメーションの変化を誘発する(12)。PRO 542は、おそらく、gp41融合中間体の形成を誘発し、T−20が遊離のウイルスに作用できるようにし得るのであろう。この仮定を検討するために、洗浄とPM1細胞の添加に先立って、PRO 542とT−20を単独で及び組み合わせて、HeLa−Env細胞とともに、37℃で1時間プレインキュベートした(図9c)。PRO 542の効力は1/6に低下していたが、なお有意な効力を示したのに対して、T−20は、この設定条件では実質的に不活性だった。PRO 542:T−20混合物の効力はPRO542の効力と変わらず、T−20が前記混合物中で不活性であることを示すとともに、PRO 542がプレヘアピン中間体の形成を誘発しないことを示唆していた。本結果は、PRO 542:T−20の相乗効果が、両化合物間での直接的な結合を反映しているのではないことも示している。何れの薬物も、洗浄前にPM1細胞とともにプレインキュベートすると活性を示さなかった(データは示さず)。
【0126】
さらなる実験によって、プレヘアピン中間体を形成するために必要とされる条件を探った。Hela−EnvとPM1細胞を、25℃(HIV−1融合が不能な温度(13))で2時間、同時にインキュベートした。阻害剤を添加し、細胞を37℃に加温した。これらの条件下で、PRO 542が融合を遮断する効力は明確に低下していたのに対して、T−20は完全な活性を示した(図1d)。このように、25℃では、HIV−1の融合は、gp120−CD4の付着を超えて進行することができるが、プレヘアピン中間体が形成された時点又はその前で停止してしまう。阻害剤を添加する前に、細胞を25℃で16時間インキュベートしたときにも同様の結果が得られた(データは示さず)。
【0127】
最後に、洗浄前に、25℃で2時間、HeLa−Env細胞、PM1細胞、及び阻害剤(PRO 542、T−20、又は1:10の組み合わせ)を同時にインキュベートし、37℃に加温した。これらの条件下で、PRO 542の活性は約1/12に低下したが、なお有意な活性を示した。T−20は実質的に不活性であった(IC50が250倍を超えて増加した)。PRO 542とT−20の組み合わせは、PRO 542成分と同等の活性を保有していた(データは示さず)。総合すると、融合可能な温度でEnv、CD4、及び補助受容体が相互作用しなければ、プレヘアピン中間体が形成されないことを、本結果は示している。
【0128】
<考察>
HIV−1の侵入は、新世代の抗レトロウイルス治療の有望な目標であり、PRO 542とT−20は、この極めて協同的なプロセスの異なる段階を遮断する「ファーストインクラス」の治験薬である。侵入阻害剤を組み合わせることが、HIV−1治療の新たなパラダイムとして浮上するかもしれないことを認識し、本研究では、2つの前臨床HIV−1感染モデルにおいてPRO 542:T−20の組み合わせについて調べた。広い薬物濃度範囲にわたって、様々な表現型のウイルス単離株で、ウイルス−細胞融合及び細胞−細胞融合の両者について強力な相乗効果が観察された。多くの事例で、この相乗効果は、インビトロでPRO 542とT−20の用量を10倍以上減少させた。このように、HIV−1の侵入が多段階であるために、HIV−1ウイルスは、協同的な阻害に対して極めて影響を受けやすい状態にあるものと思われる。本知見は、各化合物の潜在的な治療能力を最大化するように設計された併用臨床試験に対して強固な論拠を与える。
【0129】
仮にインビボで確証されれば、これらの知見は臨床において数多くの重要な有益性をもたらすことができるかもしれない。第一に、より強力な治療法は薬剤耐性ウイルスの出現を抑えることにより、患者の治療に対する選択の余地を保持する。さらに、治療に必要とされるPRO 542とT−20の量を減少させることによって、前記相乗効果は簡略化された投与計画を可能とするであろう。PRO 542とT−20は、これまでの臨床検査で許容度が高かったのでその懸念は少ないかもしれないが、低用量の投薬計画は、一般に毒性も低い。
【0130】
ウイルス−細胞融合に関しては、PRO 542よりT−20の方が用量の減少が大きかったのに対して、細胞−細胞融合の場合には逆であった。かかる相対的な用量の減少は、この2つの製品の補完的な作用機序(すなわち、PRO 542は無細胞ウイルスを中和するが、T−20はこれを中和せず、T−20は細胞−細胞融合を遮断するのに特に有効である(6−8))を反映している。HIV−1の伝染の2つの主要な様式を各薬物がインビトロで強固に遮断する能力を活用することによって、PRO 542とT−20の組み合わせは、インビボで極めて有効であることが明らかとなるかもしれない。
【0131】
PRO 542とT−20は、R5、X4、及びR5X4ウイルスのエンベロープによって媒介される融合を相乗的に阻害した。初代ウイルスに対するPRO 542の活性はウイルスによる補助受容体の使用とは無関係である(8)のに対して、T−20のウイルス−細胞融合遮断能は、報告によれば、補助受容体の用法に応じて変動する(14)。PRO 542とT−20の相乗効果が補助受容体の用法によって微妙に影響を受けるのかどうかを決定するためには、多岐にわたるウイルスを用いた研究が別途必要とされる。
【0132】
PRO 542単独ではgp41プレヘアピン中間体の形成を誘発することはできず、該中間体はEnv、CD4、及び補助受容体が融合可能な温度で相互作用したときにのみ形成された。このため、相乗効果は、複数のgp120/gp41三量体が集まって融合孔を形成する等のより微弱な現象に由来する可能性がある(13)。中和量以下の用量で、PRO 542は、Envsの集団の一部が標的細胞と相互作用するのを妨げるが、おそらく残りのEnvsはプレヘアピン中間体へと進行できるのであろう。かなりの数の遊離Envsを融合孔の部位へ動員するのに必要とされる十分長い時間にわたって、前記融合中間体はT−20に対して暴露され続け、T−20の影響を受ける状態に保たれるのかもしれない。最近の研究では、細胞を混合した最初の15分以内に加えるとT−20は100%の阻害を示したが、75分の時点では、実質的に活性がなかった(10%未満の阻害)(15)。現在進行中の研究では、この期間中のPRO542の効果について調べている。
【0133】
別の研究では、より多くの付着祖阻害剤、補助受容体阻害剤、及び融合阻害体の組み合わせを探索している。また、本研究では、サブタイプBウイルスのみを使用した。PRO 542及びT−20単独の場合と同様に、前記組み合わせが、遺伝的なサブタイプに依存せずにHIV−1を阻害するかどうかを決定することが重要であろう。最後に、さらなる研究によって、初代細胞中で複製能を有するウイルスを抑えるウイルスPRO542とT−20の組み合わせが、インビトロ及びHIV−1感染の動物モデルの両者で探索されるであろう。
【0134】
要約すれば、PRO 542とT−20は、インビトロでHIV−1の侵入を阻害するために使用すると、強力な相乗効果を示した。多様な表現型に関して、ウイルス−細胞と細胞−細胞融合の協同阻害が観察され、有意義な用量の低下がもたらされた。これらの知見は、これらの薬剤の組み合わせをインビボで評価するための強固な論拠を与える。
【0135】
<第3シリーズの実験のための参考文献>
【0136】
【参考文献3】
Figure 2004518624
Figure 2004518624
Figure 2004518624
<第4シリーズの実験>
HIV−1の付着阻害剤、補助受容体阻害剤、及び融合阻害剤間の相乗効果の機序
HIV−1の侵入は、gp120−CD4付着阻害剤PRO542、gp120−補助受容体阻害剤PRO140、並びにgp41融合阻害剤T−20及びT−1249を含む新世代の抗ウイルス治療法の有望な目標となる一連の現象を介して進行する。HIV−1の侵入が多段階で生じるために、本プロセスの異なる段階に作用する薬物の組み合わせによる阻害に対して、ウイルスは極めて影響を受けやすくなっている。付着阻害剤、補助受容体阻害剤、及び融合阻害剤を二重及び三重に混ぜ合わせた薬物カクテルによって、インビトロにおける広い範囲の実験条件にわたって、HIV−1の侵入が強力且つ相乗的に遮断されることが示されている。
【0137】
本研究は、観察された前記相乗的相互作用の分子的基礎を明らかにするために行われた。HIV−1膜融合は半自動蛍光アッセイを用いてリアルタイムにモニターし、各薬物及び薬物カクテルの阻害活性は添加時、洗い流し(washout)、及び段階的温度制御研究において評価した。このデータは、融合孔の部位への多数の融合活性なHIV−1エンベロープ糖タンパク質の動員を協同的に遅延させるように薬物が作用するモデルに合致した。これらの知見は、HIV−1侵入阻害剤のインビボでの併用に対して重要な示唆を与え、抗ウイルス治療に対する重要な新しいパラダイムとなる可能性がある。
【0138】
図11に示されているように、HIV−1の侵入には、(1)gp120−CD4付着、(2)gp120−補助受容体相互作用、及び(3)gp41を介した融合という治療の目標となる少なくとも3つの段階が関与している。
【0139】
CD4−IgG2付着阻害剤(PRO 542)は、図12に示されているように、CD4に基づいた四価のタンパク質である。該阻害剤は、インビトロ、エクソビボ、及びインビボで広く且つ強力に初代HIV単離株を中和し、融合に先立って作用する。PRO542は、第I/II相の2つの臨床試験を完了しており、(1)優れた安全性と薬物動態学的プロフィール、及び非免疫原性であること、(2)単回投与によって、ウイルスの負荷量が統計学的に有意に減少すること、(3)遊離及び細胞に付随した感染性ウイルスの持続的な減少を示す。PRO542は、第II相の試験中である。
【0140】
PRO140補助受容体阻害剤は、図13に示されているように、CCR5に対するモノクローナル抗体である。該阻害剤は、CCR5を用いるウイルスを強力に中和する。該阻害剤は、初代T細胞とマクロファージを保護し、その阻害は遺伝的サブタイプに依存しない。該阻害剤は、ケモカインによって誘導されるシグナル伝達に影響を与えずにHIVの侵入を選択的に遮断する。インビトロでの31週の培養を経ても、HIV耐性の出現はみられていない。
【0141】
T−20融合阻害剤は、14に示されているように、HIV−1のgp41に由来するペプチドである。該阻害剤は、HIV−1細胞−細胞融合及び細胞−ウイルス融合をインビトロで広く且つ強力に遮断する。該阻害剤は、第I/II相の臨床試験を完了しており、(1)優れた許容性、(2)薬物動態(pK)は二日に一度の皮下投与でよいことを裏付け、(3)臨床的に有意な用量依存的ウイルス負荷量の低下を示している。
【0142】
侵入阻害剤の併用
HIVをインビボで抑制するためには、併用療法が必要とされるかもしれない。HIV侵入阻害剤は、治療における次なる大きな進歩となるであろう。拮抗的な組み合わせを回避し、相乗的な組み合わせを同定するためには、臨床開発の後期ではなく初期に薬物−薬物相互作用を決定することが重要である。相乗的な組み合わせの臨床的な有益性には、より強力な抗ウイルス効果及びより持続的な抗ウイルス効果が含まれる。
【0143】
HIV−1ウイルス−細胞融合アッセイは、図15に記載されている。単サイクルHIV−1侵入アッセイでは、(1)に記載されているようにEnv−Luc+ HIVレポーターウイルスを調製した。所定のHIV株のgp120/gp41が前記ウイルスには補充されているので、CD4と融合補助受容体を発現する標的細胞と融合することが可能であり、細胞内にウイルス遺伝子が導入されることになる。ウイルスは、HIVenvではなくルシフェラーゼレポーター酵素をコードしているので、感染によって、新しいウイルス粒子ではなくルシフェラーゼが産生される。ルシフェラーゼの量は、標準的な方法を用いて感染の72時間後に測定する。
【0144】
図16及び図17は、PRO542とT−20によるウイルス−細胞融合の相乗的な阻害を示している。
【0145】
図18には、HIV−1細胞−細胞融合アッセイが記載されている。このようなアッセイは、HIV−1膜融合の共鳴エネルギー転移(RET)アッセイである。gp120/gp41を発現する細胞(ENV細胞)は蛍光色素オクタデシルフルオレシン(F18)で標識されているのに対して、CD4と融合補助受容体を発現するT細胞(CD4細胞)はオクタデシルローダミン(R18)で標識されている。F18の発光スペクトルはR18の励起スペクトルと重なっているので、融合後に、前記色素が同一の膜に位置すると、蛍光RETを生じせしめる。450nmでF18を刺激し、590nmでR18の発光を測定することによってRETを測定する。RETシグナルは、HIV−1の融合量と直接相関する(2)。
【0146】
図19と図20は、PRO542とT−20による細胞−細胞融合の相乗的な阻害を示している。
【0147】
図21と図22は、PRO140、PRO542、及びT−20を三重に組み合わせることによって、HIV−1の侵入が相乗的に遮断されることを示している。
【0148】
図23は、補助受容体の不存在下では、PRO542がT−20の活性を強化しないことを示している。洗浄、PM1標的細胞の添加、及び融合アッセイの完了前に、37℃で2時間、PRO542、T−20、又は1:2の混合物をHeLa−ENVJR−FL細胞とともにプレインキュベートした。
【0149】
図24と図25に示されているように、プレヘアピン中間体の形成には、CD4、補助受容体、及び37℃が必要であるのかもしれない。
【0150】
図26と図27は、PRO542がT−20の標的の半減期を増加させるという考えられる相乗効果の機序を記載している。
【0151】
図28は、envを介した膜融合(RET)アッセイにおける、PRO542、T−1249、及び1:10のモル比での組み合わせを用いたHIV−1の侵入の相乗的阻害を示している。図29は、PRO542とT−1249を1:10のモル比で組み合わせたものの併用指標及び用量の減少を示している。
【0152】
<第4シリーズの実験のための参考文献>
【0153】
【参考文献4】
Figure 2004518624
[配列表]
Figure 2004518624
Figure 2004518624
Figure 2004518624
Figure 2004518624
Figure 2004518624

【図面の簡単な説明】
【図1】
HIV−1の侵入の相乗的阻害
envを介した膜融合(RET)アッセイにおいて、CD4−IgG2(−−黒四角−−)、T−20(−−黒丸−−)、及びCD4−IgG2とT−20を25:1で組み合わせたもの(・・・黒三角・・・)のHIV−1侵入阻害を分析した。それぞれF18とR18で予め標識されたHeLa−EnvJR−FL とPM1細胞の混合物に阻害剤を加えた。4時間インキュベートした後に蛍光RETを測定し、記載に従って(19)パーセント阻害を算出した。結果は、3つの独立した実験から得られた平均値である。式(1)に記載されているmedian effect法に従ってデータを解析した。K及びmに対する最適合パラメーターは、CD4−IgG2で0.31μg/ml及び0.73、T−20で0.017μg/mlと0.92、それらの組み合わせで0.11μg/mlと1.0である。これらの曲線をプロットすると、実験と理論が合理的に合致することが示される(それぞれ、CD4−IgG2、T−20、及びそれらの組み合わせにおいて、r=0.983、0.998、及び0.996)。表記のごとく、前記化合物の効力の差を標準化するために、CD4−IgG2並びにCD4−IgG2及びT−20の25:1混合物とT−20とで異なる濃度スケールが使用されている。
【図2】
CD4−IgG2とT−20を組み合わせることによるHIV−1侵入の阻害に対する併用指標。CD4−IgG2、T−20、及びこれらを一定の重量比で組み合わせたものがenvを介した膜融合を阻害する能力をRETアッセイで分析した。25:1(多量)の組み合わせでは、250μg/mlのCD4−IgG2、10μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。25:1(少量)の組み合わせでは、50μg/mlのCD4−IgG2、2μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。5:1の組み合わせでは、50μg/mlのCD4−IgG2、2μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。1:1の組み合わせでは、10μg/mlのCD4−IgG2、10μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。分析の前に、3以上の独立のアッセイから得られた阻害データを平均した。様々な阻害剤及び組み合わせの用量反応曲線を式(1)にフィッティングさせた後、所定のパーセント阻害を生じせしめるのに必要とされる阻害剤濃度を計算するために式(1)を再構成した。それらの既知重量比から阻害混合物中の各薬剤の濃度を求めた。次いで、これらの値を用いて、式(2)に従って併用指標(CI)を求めた。CI<1は相乗効果を、CI=1は相加的効果を、CI>1は拮抗作用を表す。
【図3】
CD4−IgG2とT−20の相乗的な組み合わせで観察された用量の減少。CD4−IgG2、T−20、及びこれらを25:1の一定重量比で組み合わせたものが、envを介した膜融合を阻害する能力をRETアッセイで調べた。6つの独立したアッセイから得られた阻害データを平均した。Kとmは、用量反応曲線のカーブフィッティングによって決定し、単一の薬剤及びそれらの組み合わせに対する所定のfに対するcを計算するために式(1)を再構成した。用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。
【図4A】
CD4−IgG2、PRO 140、PA12及びT−20の組み合わせで観察された用量の減少。これらの薬剤がHIV envを介した膜融合を阻害する能力を、RETアッセイにおいて各別に及び組み合わせて調べた。a)は、CD4−IgG2、PA12、T−20、及び概ね1:1:10の一定モル比でこれらを組み合わせたものであり、用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。a)では、125nM CD4−IgG2、167nM PA12、1100nM T−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈6〜8個を検査した。所定のパーセント阻害を生じせしめるのに必要とされる阻害剤の濃度を求めた。それらの既知モル比から阻害混合物中の各薬剤の濃度を求めた。次いで、式(2)に従って併用指標(CI)を算出するために、これらの値を使用した。CI<1は相乗効果を、CI=1は相加的効果を、CI>1は拮抗作用を表す。
【図4B】
CD4−IgG2、PRO 140、PA12及びT−20の組み合わせで観察された用量の減少。これらの薬剤がHIV envを介した膜融合を阻害する能力を、RETアッセイにおいて各別に及び組み合わせて調べた。b)は、CD4−IgG2、PRO 140、T−20、及び概ね2:1:20の一定モル比でこれらを組み合わせたものであり、用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。b)では、125nM CD4−IgG2、67nM PRO 140、1100nM T−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈6〜8個を検査した。所定のパーセント阻害を生じせしめるのに必要とされる阻害剤の濃度を求めた。それらの既知モル比から阻害混合物中の各薬剤の濃度を求めた。次いで、式(2)に従って併用指標(CI)を算出するために、これらの値を使用した。CI<1は相乗効果を、CI=1は相加的効果を、CI>1は拮抗作用を表す。
【図4C】
CD4−IgG2、PRO 140、PA12及びT−20の組み合わせで観察された用量の減少。これらの薬剤がHIV envを介した膜融合を阻害する能力を、RETアッセイにおいて各別に及び組み合わせて調べた。c)はCD4−IgG2、PRO 140、T−20、及び概ね4:1:30の一定モル比でこれらを組み合わせたものであり、用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。c)では、125nM CD4−IgG2、33nM PRO 140、1100 nM T−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈6〜8個を検査した。所定のパーセント阻害を生じせしめるのに必要とされる阻害剤の濃度を求めた。それらの既知モル比から阻害混合物中の各薬剤の濃度を求めた。次いで、式(2)に従って併用指標(CI)を算出するために、これらの値を使用した。CI<1は相乗効果を、CI=1は相加的効果を、CI>1は拮抗作用を表す。
【図4D】
CD4−IgG2、PRO 140、PA12及びT−20の組み合わせで観察された用量の減少。これらの薬剤がHIV envを介した膜融合を阻害する能力を、RETアッセイにおいて各別に及び組み合わせて調べた。d)はPRO 140、T−20、及び1:30の一定モル比でこれらを組み合わせたものであり、用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。d)では、36nM PRO 140、1100nM T−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈6〜8個を検査した。所定のパーセント阻害を生じせしめるのに必要とされる阻害剤の濃度を求めた。それらの既知モル比から阻害混合物中の各薬剤の濃度を求めた。次いで、式(2)に従って併用指標(CI)を算出するために、これらの値を使用した。CI<1は相乗効果を、CI=1は相加的効果を、CI>1は拮抗作用を表す。
【図5】
PRO 542、PRO 140、及びT−20を三重に組み合わせることによって、HIV−1の侵入が相乗的に遮断される。PRO 542、PRO 140、及びT−20を単独で、並びに概ね3:1:30のモル比で組み合わせて使用し、HIV−1JR−FL envを介した細胞−細胞融合を阻害した。該アッセイの方法はLitwinらに記載されている(67)。
【図6】
HIV−1の侵入の相乗的阻害
envを介した膜融合(RET)アッセイにおいて、CD4−IgG2(−−黒四角−−)、T−20(−−黒丸−−)、及びCD4−IgG2とT−20を25:1で組み合わせたもの(・・・黒三角・・・)のHIV−1侵入阻害を分析した。それぞれF18とR18で予め標識されたHeLa−EnvJR−FL とPM1細胞の混合物に阻害剤を加えた。4時間インキュベートした後に蛍光RETを測定し、記載に従って(19)パーセント阻害を算出した。結果は、3つの独立した実験から得られた平均値である。式(1)に記載されているmedian effect法に従ってデータを解析した。K及びmに対する最適合パラメーターは、CD4−IgG2で0.31μg/ml及び0.73、T−20で0.017μg/mlと0.92、それらの組み合わせで0.11μg/mlと1.0である。これらの曲線をプロットすると、実験と理論が合理的に合致することが示される(それぞれ、CD4−IgG2、T−20、及びそれらの組み合わせにおいて、r=0.983、0.998、及び0.996)。表記のごとく、前記化合物の効力の差を標準化するために、CD4−IgG2並びにCD4−IgG2及びT−20の25:1混合物とT−20とで異なる濃度スケールが使用されている。
【図7】
CD4−IgG2とT−20の組み合わせによるHIV−1侵入の阻害に対する併用指標。CD4−IgG2、T−20、及びこれらを一定の重量比で組み合わせたものが、envを介した膜融合を阻害する能力をRETアッセイで分析した。25:1(多量)の組み合わせでは、250μg/mlのCD4−IgG2、10μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。25:1(少量)の組み合わせでは、50μg/mlのCD4−IgG2、2μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。5:1の組み合わせでは、50μg/mlのCD4−IgG2、2μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。1:1の組み合わせでは、10μg/mlのCD4−IgG2、10μg/mlのT−20、及びそれらの組み合わせの三倍系列希釈10個を検査した。分析の前に、3以上の独立のアッセイから得られた阻害データを平均した。様々な阻害剤及び組み合わせの用量反応曲線を式(1)にフィッティングさせた後、所定のパーセント阻害を生じせしめるのに必要とされる阻害剤濃度を計算するために式(1)を再構成した。それらの既知重量比から阻害混合物中の各薬剤の濃度を求めた。次いで、これらの値を用いて、式(2)に従って併用指標(CI)を求めた。CI<1は相乗効果を、CI=1は相加的効果を、CI>1は拮抗作用を表す。
【図8】
CD4−IgG2とT−20の相乗的な組み合わせで観察された用量の減少。CD4−IgG2、T−20、及びこれらを25:1の一定重量比で組み合わせたものが、envを介した膜融合を阻害する能力をRETアッセイで調べた。6つの独立したアッセイから得られた阻害データを平均した。Kとmは、用量反応曲線のカーブフィッティングによって決定し、単一の薬剤及びそれらの組み合わせに対する所定のfに対するcを計算するために式(1)を再構成した。用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。
【図9】
PRO 542、T−20、及びそれらの組み合わせによるHIV−1JR−FLウイルス−細胞融合(A)及び細胞−細胞融合(B−D)の阻害。PRO542:T−20のモル比は1:2(AとC)又は1:10(B)であった。用量の減少(A及びB)又はその欠如(C)を表すために、混合物中のPRO542とT−20の濃度がプロットされている。洗い流しアッセイ(C)では、洗浄、加温、及びPM1細胞の添加の前に、25℃で2時間、HeLa−Env細胞とともに薬物をプレインキュベートした。細胞−細胞プレインキュベーションアッセイ(D)では、薬物の添加及び37℃への加温の前に、HeLa−Env及びPM1細胞を25℃で2時間同時インキュベートした。値は、三回(A、B)又は二回(C、D)行った独立のアッセイの平均を表している。
【図10】
PRO542とT−20の組み合わせによるHIV−1の侵入阻害に対する併用指標値と用量減少。
【図11】
HIV−1の侵入には、治療の目標となる少なくとも3つの段階、すなわち、gp120−CD4の付着、gp120−補助受容体相互作用、gp41を介した融合が関与する。
【図12】
PRO 542(CD4−IgG2)付着阻害剤。
【図13】
PRO 140補助受容体阻害剤。
【図14】
T20融合阻害剤。
【図15】
HIV−1ウイルス細胞融合アッセイ。
【図16】
PRO542とT−20によるウイルス−細胞融合の相乗的阻害。PRO542のみ(・・・黒三角・・・)、T−20のみ(−−黒丸−−)、1:2混合物(−−黒四角−−)、(−−−−−−)混合物中のPRO 542、(||||||)混合物中のT−20。用いたウイルスは、HIV−1JR−FLであった。
【図17】
PRO542及びT−20によるウイルス−細胞融合の相乗的阻害。PRO542とT−20は1:2のモル比で使用した。
【図18】
HIV−1細胞−細胞融合アッセイ。HIV−1膜融合の共鳴エネルギー転移(RET)アッセイ。
【図19】
PRO542とT−20による細胞−細胞融合の相乗的阻害。PRO542のみ(・・・黒三角・・・)、T−20のみ(−−黒丸−−)、1:10混合物(−−黒四角−−)、(−−−−−−)混合物中のPRO 542、(||||||)混合物中のT−20。用いたウイルスは、HIV−1JR−FLであった。
【図20】
1:2、1:10、及び1:50の比のPRO542とT−20による細胞−細胞融合の相乗的阻害。
【図21】
PRO140、PRO542、及びT−20を三重に組み合わせることによって、HIV−1の侵入が相乗的に遮断される。PRO140のみ(・・・黒菱形・・・)、PRO542のみ(・・・黒三角・・・)、T−20のみ(−−黒丸−−)、1:3:30混合物(−−黒四角−−)、( )混合物中のPRO140、(||||||)混合物中のPRO542、(−−−−−−)混合物中のT−20。
【図22】
PRO140、PRO542、及びT−20を三重に組み合わせることによって、HIV−1の侵入が相乗的に遮断される。PRO140、PRO542、及びT−20は1:3:30のモル比で使用した。
【図23】
PRO542は、補助受容体の不存在下では、T−20活性を強化しない。PRO542のみ(・・・黒三角・・・)、T−20のみ(−−黒丸−−)、PRO542:T−20カクテル(−−黒四角−−)、(−−−−−−)カクテル中のPRO542。
【図24】
プレヘアピン中間体の形成には、CD4、補助受容体、及び37℃が必要である。(−−黒丸−−)T−20標準アッセイ、(−−白丸−−)T−20、25℃プレインキュベーション、(・・・黒三角・・・)PRO542標準アッセイ、(−−白三角−−)PRO542、25℃プレインキュベーション。
【図25】
プレヘアピン中間体の形成には、CD4、補助受容体、及び37℃が必要である。(−−黒丸−−)T−20標準アッセイ、(−−白丸−−)T−20温度シフト洗い流しアッセイ。
【図26】
考えられる相乗効果の機序:PRO542は、T−20の標的の半減期を増加させる。
【図27】
考えられる相乗効果の機序:PRO542は、T−20の標的の半減期を増加させる。
【図28】
HIV−1の侵入の相乗的阻害:PRO542、T−1249、及びPRO542:T−1249を1:10のモル比で組み合わせたもの(4:1の重量比での組み合わせ)によるHIV−1の侵入の阻害を、envを介した膜融合(RET)アッセイで分析した。それぞれF18とR18で予め標識されたHeLa−EnvJR−FLとPM1細胞の混合物に阻害剤を加えた。4時間インキュベートした後に蛍光RETを測定し、Litwinらの記載(J. Virol. 70:6437,1996)に従ってパーセント阻害を算出した。カクテル中に存在するPRO 542とT−1249の濃度は、データのカーブフィットから得たものであり、用量の減少を表すために示されている。
【図29】
PRO542とT−1249を1:10のモル比で組み合わせたものについて観察された併用指標と用量減少。図28に記載されているように化合物を分析した。併用指標の値は、median effect法に従って求めた。用量減少とは、阻害剤を単独で使用したときに所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度に対する相乗的な組み合わせで所定の阻害度を得るために必要な阻害剤濃度の比率である。

Claims (51)

  1. 二つの化合物の混合物を含む組成物であって、
    (a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり、
    (b)一つの化合物は、gp41の融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり、
    前記混合物中の化合物の相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、
    前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物。
  2. 三つの化合物の混合物を含む組成物であって、
    (a)一つの化合物は、CCR5のレセプターに結合する抗体またはその一部であり、
    (b)一つの化合物は、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質がCD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1がCD4+細胞に付着するのを遅延させるものであり、
    (c)一つの化合物は、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採るのを遅延させるものであり、
    前記混合物中の化合物のいずれか二つの相対質量比は約100:1から約1:100の範囲にあり、
    前記組成物は、前記CD4+細胞のHIV−1感染の阻害に有効である組成物。
  3. 請求項2に記載の組成物であって、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、前記CD4+細胞へのHIV−1の付着を遅延させる前記化合物は、CD4に基づいたタンパク質である組成物。
  4. 請求項3に記載の組成物であって、前記CD4に基づいたタンパク質は、CD4−免疫グロブリン融合タンパク質である組成物。
  5. 請求項4に記載の組成物であって、前記CD4−免疫グロブリン融合タンパク質はCD4−IgG2であり、前記CD4−IgG2は二つの重鎖および軽鎖を具備し、前記重鎖は、CD4−IgG2HC−pRcCMV(ATCC受付け番号75193)と称する発現ベクターによってコードされ、前記軽鎖は、CD4−kLC−pRcCMV(ATCC受付け番号75194)と称する発現ベクターによってコード化される。
  6. 請求項2に記載の組成物であって、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4に結合するのを遅延させることによって、HIV−1のCD4+細胞への付着を遅延させる前記化合物はタンパク質であり、そのアミノ酸配列はエンベロープ糖タンパク質としてHIV−1中に見られる配列を含む組成物。
  7. 請求項6に記載の組成物であって、前記タンパク質は前記CD4+細胞表面のCD4のエピトープに結合する組成物。
  8. 請求項7に記載の組成物であって、前記エンベロープ糖タンパク質は、gp120、gp160およびgp140からなる群から選択される組成物。
  9. 請求項2に記載の組成物であって、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4に結合するのを遅延させることによって、HIV−1が前記CD4+細胞に付着するのを遅延させる前記化合物は、抗体または抗体の一部である組成物。
  10. 請求項9に記載の組成物であって、前記抗体はモノクローナル抗体である組成物。
  11. 請求項10に記載の組成物であって、前記モノクローナル抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である組成物。
  12. 請求項9に記載の組成物であって、前記抗体の一部は、前記抗体のFab断片である組成物。
  13. 請求項9に記載の組成物であって、前記抗体の一部は、前記抗体の可変ドメインを含む組成物。
  14. 請求項9に記載の組成物であって、前記抗体の一部は、前記抗体のCDR部を含む組成物。
  15. 請求項10に記載の組成物であって、前記モノクローナル抗体は、IgG、IgM、IgD、IgA、またはIgEモノクローナル抗体である組成物。
  16. 請求項10に記載の組成物であって、前記モノクローナル抗体がHIV−1エンベロープ糖タンパク質に結合する組成物。
  17. 請求項16に記載の組成物であって、前記HIV−1のエンベロープ糖タンパク質は、前記gp120およびgp160からなる群から選択される組成物。
  18. 請求項16に記載の組成物であって、HIV−1のエンベロープ糖タンパク質はgp120であり、gp120に結合する前記モノクローナル抗体はIgG1b12またはF105である組成物。
  19. 請求項9に記載の組成物であって、前記抗体は、前記CD4+細胞の表面でCD4のエピトープに結合する組成物。
  20. 請求項2に記載の組成物であって、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4に結合するのを遅延させることによって、HIV−1が前記CD4+細胞に結合するのを遅延させる前記化合物は、ペプチドである組成物。
  21. 請求項2に記載の組成物であって、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4に結合するのを遅延させることによって、HIV−1が前記CD4+細胞に結合するのを遅延させる前記化合物は、非ペプチド物質である組成物。
  22. 請求項1または2に記載の組成物であって、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる前記化合物は抗体である。
  23. 請求項22に記載の組成物であって、前記抗体はモノクローナル抗体である組成物。
  24. 請求項1または2に記載の組成物であって、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる前記化合物は、ペプチドである。
  25. 請求項1または2に記載の組成物であって、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる前記化合物は、T−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、N34(L6)C28(配列番号:5)、およびT−1249(配列番号:6)からなる群から選択されるペプチドを含む融合タンパク質である組成物。
  26. 請求項24に記載の組成物であって、前記ペプチドはT−20(配列番号:1)、DP107(配列番号:2)、N34(配列番号:3)、C28(配列番号:4)、N34(L6)C28(配列番号:5)、およびT−1249(配列番号:6)からなる群から選択される組成物。
  27. 請求項24に記載の組成物であって、前記ペプチドはT−20(配列番号:1)である組成物。
  28. 請求項1または2に記載の組成物であって、gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる前記化合物は、非ペプチド物質である組成物。
  29. 請求項1または2に記載の組成物であって、CCR5のレセプターに結合する前記抗体はPA8(ATCC受付け番号HB−12605)、PA10(ATCC受付け番号12607)、PA11(ATCC受付け番号HB−12608)、PA12(ATCC受付け番号HB−12609)、およびPA14(ATCC受付け番号HB−12610)からなる群から選択される組成物。
  30. 請求項1または2に記載の組成物であって、前記抗体はPA14(ATCC受付け番号HB−12610)である組成物。
  31. 請求項29に記載の組成物であって、前記抗体はモノクローナル抗体である組成物。
  32. 請求項29に記載の組成物であって、前記モノクローナル抗体はヒトの抗体、ヒト化された抗体、またはキメラ抗体である組成物。
  33. 請求項1または2に記載の組成物であって、前記抗体のタンパク質は前記抗体のFab断片である組成物。
  34. 請求項1または2に記載の組成物であって、前記抗体のタンパク質は前記抗体の様々なドメインを含む組成物。
  35. 請求項1または2に記載の組成物であって、前記抗体の一部は前記抗体のCDR部を含む組成物。
  36. 請求項31に記載の組成物であって、前記モノクローナル抗体はIgG、IgM、IgD、IgA、またはIgEモノクローナル抗体である組成物。
  37. 請求項1または2に記載の組成物であって、前記混合物中のそのような化合物のそれぞれの相対質量比は、約25:1から約1:1の範囲にある組成物。
  38. 請求項37に記載の組成物であって、前記質量比は約25:1である組成物。
  39. 請求項37に記載の組成物であって、前記質量比は約5:1である組成物。
  40. 請求項37に記載の組成物であって、前記質量比は約1:1である組成物。
  41. 請求項1または2に記載の組成物であって、前記組成物はキャリアに混合される組成物。
  42. 請求項41に記載の組成物であって、前記キャリアはエアロゾル、静脈内の、経口のまたは局所的なキャリアである組成物。
  43. CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な請求項1または2に記載の組成物のある量と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法。
  44. 請求項43に記載の方法であって、前記CD4+細胞は対象中に存在し、前記接触は前記組成物をその対象に投与することによって成される方法。
  45. 請求項43に記載の方法であって、前記効果的な組成物の量は、前記対象の体重量当たり約0.000001mg/kgから約100mg/kgであることを含む方法。
  46. CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、
    (1)CCR5のレセプターに結合する抗体のある量、および
    (2)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物のある量、
    と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法。
  47. CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法であって、前記CD4+細胞を、
    (1)CCR5のレセプターに結合する抗体のある量、
    (2)HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質が前記CD4+細胞表面のCD4へ結合するのを遅延させることによって、HIV−1の前記CD4+細胞への付着を遅延させる化合物の、前記CD4+細胞のHIV−1感染阻害に効果的な量、および
    (3)gp41融合中間体上のエピトープに非共有的に結合することによって、gp41がHIV−1とCD4+細胞との融合を仲介できるコンフォメーションを採ることを遅延させる化合物のある量
    と接触させることを含み、それによって前記CD4+細胞のHIV−1感染を阻害する方法。
  48. 請求項46または47に記載の方法であって、前記CD4+細胞は対象中に存在し、前記接触は前記組成物をその対象に投与することによって成される方法。
  49. 請求項48に記載の方法であって、前記化合物は前記対象に同時に投与される方法。
  50. 請求項48に記載の方法であって、前記化合物は前記対象に異なる時点で投与される方法。
  51. 請求項48に記載の方法であって、前記化合物は前記対象に異なる投与経路で投与される方法。
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