JP2004515014A - バイオメトリックデバイスに対するエラーレートを求めるための方法および装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、入力要求の際に少なくとも1つのバイオメトリックセンサを用いて入力された人間の生物測定学的特徴と、正当者の特徴セットとして記憶されている特徴とが一致した場合に、アクセスが許可され、一致しなかった場合にはアクセスが拒否され、この場合エラーレートを求めるために、正当者の現下の生物測定学的特徴が、複数の外部の生物測定学的特徴に対してテストされ、不当者に対するアクセス許可の頻度と正当者に対する拒絶の頻度とによってエラーレートが定められる、バイオメトリックデバイスに対するエラーレートを求めるための方法に関している。
【0002】
また本発明は、入力要求の際に少なくとも1つのバイオメトリックセンサを用いて入力されたある人間の生物測定学的特徴と、特徴セットとして記憶されている正当者の特徴とが一致した場合にはアクセスを許可し、一致しなかった場合にはアクセスを拒否するように構成されている、少なくとも1つのバイオメトリックセンサを備えたバイオメトリックデバイスに関している。
【0003】
バイオメトリックデバイスを用いたアクセスまたはエントリの監視制御は、大抵はパスワードの入力やキーを使用しないで行われ、その重要性が増してきている。このバイオメトリックデバイスは、バイオメトリックセンサを用いて、アクセスを試みる人間の所定の生物測定学的特徴、例えば指紋、顔の輪郭、声、体重などを識別する。通常は、例えばセンサチップやカメラを用いた走査検出によって得られその適用毎に現れる特徴情報が抽出され、特徴セットとして統合される。この特徴セットは、その後で、装置に記憶されているアクセス正当者の特徴セットと比較される。予め設定可能な所定のレベルでの一致が見られた時は、アクセスが許可され、それ以外は拒否される。その際には、安全性を高めるために、複数の生物測定学的特徴、例えば指紋や声紋などが組合わされてもよい。
【0004】
生物測定学的特徴は、例えば数字キーと同じように決して一義的なものではないので、セキュリティレベルに係わる重要なエラーの可能性が存在する。特に、どの位の頻度で不正者のアクセスが受入れられたかを定める、受諾エラーレート(False Acceptance Rate)や、どの位の頻度で正当者が拒否されたかを表わす、拒否エラーレート(False Rejection Rate)が公知である。これらの2つのエラーレートは、できるだけ小さいものでなければならないことは明らかであり、この場合セキュリティにとって特に重要なのは専ら受諾エラーレートの方である。
【0005】
具体的なレベルでのバイオメトリックデバイスの購入や使用の際には、ユーザーはこれらのエラーレートをよく知っていなければならないし、エラーレートもその折々のセキュリティの要求レベルに応じて選択されなければならない。
【0006】
前述したエラーレートを求めるためには、非常に多くの加入者を用いた現下の大がかりなフィールドテストが必要とされる。この場合の結果としては、多数の人間に関する平均値が得られる。このテストでは、そのつど一人の人間が正当者として受入れられ、それに対してその他の大勢は拒まれる。得られたエラーレート、詳細には受諾エラーレートと拒否エラーレートは、その後供給される機器ないしシステムに割当てられる。
【0007】
しかしながら実際には、受諾エラーレートも拒否エラーレートも、その折々の個人に、詳細にはその時々の“正当者”に非常に強い依存性を有している。また大半のバイオメトリックデバイスも個人の特性の強い装置であるので、利用者にとっては特に個人データとしての特性量が重要であり、これは一般的には、そのつどの利用者の生物測定学的特徴を用いたおびただしいコストをかけたテストの実施が必要とされる。
【0008】
本発明の課題は、比較的簡単でかつコストのかからないやり方で個人的なエラーレートが求められる方法を提供することである。
【0009】
前記課題は、冒頭に述べたような形式の本発明による方法により、バイオメトリックデバイスにおいて、複数の外部特徴セットが含まれているデータベースの適用のもとで、テスト過程が、前記外部特徴セットと、正当者の現下の特徴が記憶されている特徴セットとの比較で実施され、この結果から正当者に対する個人的なエラーレートが求められるようにしてい解決される。
【0010】
本発明によれば次のような利点が得られる。すなわちデータベースは一度だけ作成すればよく、その後はデータ担体に記憶させて当該のバイオメトリックデバイスに実装するだけでよい。従ってユーザーは、その生物測定学的特徴、例えば指紋を入力し、さらに当該装置でエラーレートを求めることのできるテスト過程を実施できる。
【0011】
本発明の有利な変化例によれば、少なくとも生物測定学的特徴の走査に関してバイオメトリック装置と等価的な装置を用いて様々な外部の生物測定学的特徴が収集され、外部特徴セットとしてデータベースに記憶される。この変化例では、“実際に”複数のテスト要員がデータベース形成のために利用される。
【0012】
バイオメトリックセンサの後方で得られた情報から生物測定学的特徴が抽出され、その形態でデータベースに記憶されるならば、センサによって直接受入れた情報を記憶する場合に必要とされるメモリースペースの一部を使用してデータを見つけ出すことが十分可能となる。
【0013】
本発明の別の有利な実施例によれば、例えばデータベースに対して外部特徴セットが統計学的に分類された仮想の特徴で形成される。これはその特性に関して実在する人間の特徴のように扱われる。このようにすれば、外部データベースに対して例えば受諾エラーレート毎の誤った値の受入れが避けられる。なぜならその特徴セットは、当該のデータベース内にも存在し、それによって識別が行われるからである。そのような人工的なデータベースのさらなる利点は、多数の特徴セット、例えば大量の指紋を記憶する必要がなく、必要に応じて形成するだけでよいことである。それらは記憶した後で再び消去させることもできる。そのためメモリスペースが不足することはない。別の有利な実施例によれば、現下の特徴セットとして記憶される正当者の特徴が、利用者の現下の生物測定学的特徴の多数の走査からの平均値形成で求められる。このような平均値形成を達成するために、利用者は、バイオメトリックデバイスのもとで目下の特徴、例えばその時の指紋を複数回提供しなければならない。
【0014】
さらに有利には、データベースが暗号化され、一時的にテスト過程の時だけ復号化される。これにより、特に第3者によるデータを用いた不正利用が避けられる。
【0015】
既に前述したようにエラーレートとしては主に、誤った受諾によるエラーレート(受諾エラーレート)と、誤った拒否によるエラーレート(拒否エラーレート)が求められる。
【0016】
本発明の課題を解決するために、冒頭に述べたような形式のバイオメトリックデバイスにおいて、多数の外部特徴セットを含んでいるデータベースへのアクセスのもとで、テスト過程が実施され、これらの外部特徴セットと、記憶されている正当者の目下の特徴が比較され、その結果から正当者に対する個人的なエラーレートが求められる。
【0017】
本発明の別の有利な実施例は従属請求項に記載されている。
【0018】
以下では本発明を図面に基づいて詳細に説明する。この場合、
図1は、本発明による方法の枠内でのデータベース作成の様子とその利用がバイオメトリックデバイスと共に表わした図であり、
図2は、同等のエラーレートとの比較による受諾エラーレートと拒否エラーレートの間の関係を例示的に表わした図であり、
図3は、図2の関係を別の尺度で表わしたものであり、但し利用者の数は3である。
【0019】
実施例
図1には、バイオメトリックセンサSENも有しているデバイスBARを用いて人数nの人々から対応する生物測定学的特徴、ここではそれぞれの指の指紋F1,F2………Fnが走査ないし記録される。デバイスBARでは、当業者に公知のやり方で、重要な特徴がバイオメトリックセンサSEN後方に入射された情報から抽出され、特徴セットとしてデータベースDABに書込まれる。このデータベースはここでは例示的にコンパクトディスクで実現されている。
【0020】
データベースDABは、その後でバイオメトリックデバイスBERに提供されるか、これと一緒にユーザーに供給される。バイオメトリックデバイスの稼働中にはユーザーは(ここでは正当者とも称する)、個人的な生物測定学的特徴、例えば指紋FWがセンサSENを用いて入力される。抽出の後で再び目下の生物測定学的特徴MBの特徴セットが作成される。この場合この特徴セットMBは、ユーザーによる生物測定学的特徴の入力の繰返しを介した平均化によっても作成し得る。特徴セットMBは、ここにおいて当該デバイスBERのメモリにファイルされ、ユーザーないし正当者は、テスト過程を開始することができる。これはユーザーの個人的特徴MBに対するデータベースDABの各特徴セットMiのテストに用いられる。
【0021】
テスト過程の経過の中では、正当者に対する個人的なエラーレートが求められる。詳細には1つが受諾エラーレートであり、これはどの位の頻度で不正者に当該デバイスBERがアクセスを許可したかを表わし、もう1つが拒否エラーレートFRRであり、これはどの位の頻度で正当者が当該バイオメトリックデバイスBERから拒否されたかを表わしている。
【0022】
特に拒否エラーレートFRRは、(部外者によるアクセスまたはエントリの試みがないことを保証した上で)、例証されていない一連のテストで求められる。例えば数百回の試みの後で、拒否エラーレートFRRをパーセント領域で求めることができる(例えば拒絶回数のカウントや、拒絶ないし許諾レベルを表わす有効値の評価などによって)。特徴セットが記憶されたならば、そこからは、拒否エラーレートFRRの特性曲線が、仮想閾値に依存して求められる。同じように許諾エラーレートも、全ての外部特徴に対するユーザーの現下の個人的な特徴MBのテストによって、仮想閾値に依存して求めることができる。
【0023】
そのようにして求められた許諾エラーレートFARおよび拒絶エラーレートFRRに対する特性曲線は、ユーザーに対し、その個々の安全性自体が実際の閾値の設定によって確定できるように考慮する。当該デバイスは、ユーザーに、いわゆる“Receiver−Operator−Curve”も表示する。これは図2に例示的に示されており、符号ROCが付されている。この図中に約45度の角度で延在する直線は、“Equal−Error−Rate”とも称され、比較と例示のために表わされている。
【0024】
それに対して図3には、異なった人間に対する3つの異なる依存関係が示されており、この場合図3は、図2とは尺度の選択が異なっているだけである。すなわちここでは前記“Equal−Error−Rate”が別の上昇を有している。図3では、異なった3人の人間に対する特性曲線に符号“ROC1”、“ROC2”、“ROC3”がそれぞれ付されている。
【0025】
さらに次のことが可能である。すなわち、データベースDABに対して統計的に分類された但し仮想の特徴を用いて外部特徴セットを形成することも可能である。これはその特性に関してまるで実在する人間の特徴のようになり得る。そのようなデータベースは、次のような利点を有する。すなわち、外部データベースに対する供給で、例えば許諾エラーレートに対する誤った値が受取られることが除外されるからである。なぜならその特徴セットも当該データベース内に存在するからである。実際には、人工的に作られた特徴セットが、実際の人間の“通常”の特徴セットのように立証される保証が必要である。この場合に利点として認められるのは、外部特徴セットが永続的に記憶される必要がなく、必要に応じて一時的に形成されるだけでよいことである。そのためメモリスペースは経済的に利用できる。
【0026】
本発明では、実在する人間のデータセットが含まれているデータベースの利用のもとで有利には、部外者のデータを保護するために、データベースが暗号化され、テスト過程の期間の間だけ復号化が可能である。
【0027】
本発明はとりわけエラーレートを求める際に個人を考慮することができる。これによって適正なセキュリティバリヤがより高い安全性とスピードで確定できる。このことは図3に示されている3つのテスト過程に基づく評価で表わされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による方法の枠内でのデータベース作成の様子とその利用がバイオメトリックデバイスと共に表わした図である。
【図2】
同等のエラーレートとの比較による受諾エラーレートと拒否エラーレートの間の関係を例示的に表わした図である。
【図3】
図2の関係を別の尺度で表わした図である。
Claims (13)
- 入力要求の際に少なくとも1つのバイオメトリックセンサ(SEN)を用いて入力された人間の生物測定学的特徴(MB)と、特徴セットとして記憶されている正当者の特徴(MB)とが一致した場合に、アクセスが許可され、一致しなかった場合にはアクセスが拒否され、この場合エラーレートを求めるために、正当者の現下の生物測定学的特徴(MB)が、複数(n)の外部の生物測定学的特徴(Mi)に対してテストされ、エラーレートが、不当者に対するアクセス許可の頻度と正当者に対する拒絶の頻度とによって定められる、バイオメトリックデバイス(BER)に対するエラーレート(FAR,FRR)を求めるための方法において、
バイオメトリックデバイス(BER)において、複数(n)の外部特徴セットが含まれているデータベース(DAB)の適用下で、テスト過程が、前記の外部特徴セットと、正当者の現下の特徴が記憶されている特徴セットとの比較で実施され、この結果から正当者に対する個人的なエラーレート(FAR、FRR)が求められるようにしたことを特徴とする方法。 - 少なくともバイオメトリックデバイス(BER)を用いた生物測定学的特徴の走査に関して等価的なデバイス(BAR)を用いることによって、様々な外部の人間の生物測定学的特徴(Mi)を検出し、外部特徴セットとしてデータベース(DAB)に記憶させる、請求項1記載の方法。
- バイオメトリックセンサ(SEN)の後方から得られる情報から生物測定学的特徴が抽出され、その形態でデータベース(DAB)に記憶される、請求項2記載の方法。
- 前記データベース(DAB)に対して、外部特徴セットが統計学的に分類された仮想特徴で形成され、これはその特性に関して実在する人間の特徴のように扱われる、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
- 正当者の現下の特徴セットとして記憶される特徴が、正当者の現下の生物測定学的特徴の複数の走査からの平均値形成によって求められる、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
- 前記データベース(DAB)は、暗号化され、テスト過程の間だけ一時的に復号化される、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
- 前記エラーレートとして、受諾エラーレート(FAR)および/または拒否エラーレート(FRR)が求められる、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
- 入力要求の際にセンサを用いて入力された、人間の生物測定学的特徴と、正当者の特徴セットとして記憶されている特徴(MB)とが一致した場合にアクセスが許可され、一致しなかった場合にはアクセスが拒否されるように構成されている、少なくとも1つのバイオメトリックセンサ(SEN)を備えたバイオメトリックデバイス(BER)において、
複数(n)の外部特徴セットが含まれているデータベース(DAB)へのアクセスのもとで、テスト過程が、前記外部特徴セットと、正当者の現下の特徴が記憶されている特徴セットとの比較で実施され、この結果から正当者に対する個人的なエラーレート(FAR、FRR)が求められるように当該デバイス(BER)が構成されていることを特徴とするバイオメトリックデバイス。 - 前記データベース(DAB)は、少なくともバイオメトリックデバイス(BER)を用いた生物測定学的特徴の走査に関して等価的なデバイス(BAR)を用いた、様々な人間の生物測定学的特徴(Mi)の検出によって得られた複数の外部特徴セットを含んでいる、請求項8記載のバイオメトリックデバイス。
- 前記データベース(DAB)は、統計学的に分類された仮想特徴で合成的に形成されその特性に関して実在する人間の特徴のように扱われる、複数の外部特徴セットを含んでいる、請求項8または9記載のバイオメトリックデバイス。
- 前記データベース(DAB)には、バイオメトリックセンサ(SEN)の後方から得られる情報から生物測定学的特徴を抽出する複数の特徴が記憶されている、請求項9記載のバイオメトリックデバイス。
- 前記データベース(DAB)は暗号化されており、当該デバイスは、テスト過程の間だけ復号化が可能となるように構成されている、請求項8から11いずれか1項記載のバイオメトリックデバイス。
- 求められたエラーレートは、受諾エラーレート(FAR)および/または拒否エラーレート(FRR)である、請求項8から12いずれか1項記載のバイオメトリックデバイス。
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