JP2004513607A - ヒト精神分裂病遺伝子 - Google Patents

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Abstract

ニューレグリン1遺伝子(NRG1)を含有し、NRG1ポリペプチドをコードする核酸が開示される。また、関連するNRG1ポリペプチドをコードする核酸;NRG1ポリペプチド;NRG1ポリペプチドに結合する抗体;精神分裂病の罹り易さの診断方法;NRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子のためのアッセイまたはNRG1結合因子を同定するアッセイ、および該アッセイにより同定された因子または結合因子;NRG1核酸、NRG1ポリペプチド、またはNRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子を含むNRG1治療因子;NRG1治療剤を含有する医薬組成物;ならびに精神分裂病の治療方法が記載される。

Description

【0001】
関連出願
本出願は、2000年2月28日に出願された米国特許出願第09/515,716号の一部継続出願である。上記出願の全教示は参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
発明の背景
精神分裂病は、精神病理の破壊的な形態であり、一生のうちの有病率は世界中で0.5%〜1%である。双子と養子の研究では、遺伝的因子と環境的要因の両方が罹病性に影響することが示されている(例えば、 Tsuang, M.T. ら、Schizophr. Res. 4(2):157−71 (1991); Tienari, P.J. および Wynne, L.C., Ann. Med. 26(4):233−7 (1994); Franzek, E. および Beckmann, H., Am. J. Psychiatry 155(1):76−83 (1998); Tsuang, M. T., J. Biomed. Sci. 5(1):28−30 (1998) を参照のこと)。1親等内では、そのリスクは、精神分裂病個体の親で6%から、兄弟姉妹で10%、さらに子供で13%までと様々であり、両親の一方も精神分裂病である場合、兄弟姉妹に対するリスクは17%に上昇し、2人とも精神分裂病者の子供は、該疾患を発症するリスクが46%である(McGue, M.および Gottesmann, I.I., Eur. Arch. Psychiatry Clin. Neurosci 240:174−181 (1991); また、例えば、Lim, L.C. および Sim, L.P., Singapore Med. J. 33(6):645−7 (1992)も参照のこと)。しかしながら、伝達の様式は不明なままである。
【0003】
第3、第5、第6、第8、第10、第13、第20、第22染色体およびX染色体上の遺伝子座を含むいくつかの遺伝子座に対する連鎖を示す報告書が公表されている(例えば、染色体3pおよび8pについては、Pulver, A.E., ら、Am. J. Med. Genet. 60(4):252−60 (1995);染色体5q、6pおよび8pについては、Kendler, K.S. ら、Am. J. Med. Genet. 88(1):29−33 (1999);染色体5q、6p、8p、20pおよび22pについては、Hovatta, I. ら、Mol. Psychiatry 3(5):452−7 (1998);染色体6pについては、Schwab, S.G. ら、Nat. Genet. 11(3):325−7 (1995), Brzustowicz, L.M. ら、Am. J. Hum. Genet. 61(6):1388−96 (1997) および Cao, Q. ら、Genomics 43(1):1−8 (1997);第6および第8染色体については、Straub, R.E. ら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol 61I:823−33 (1996);第8染色体については、Kendler, KS. ら、Am. J. Psychiatry 153(12):1534−40 (1996);第10染色体については、Straub, R.E. ら、Am. J. Med. Genet. 81(4):296−301 (1998) および Schwab, S.G. ら、Am. J. Med. Genet. 81(4):302−307 (1998);第13染色体については、Lin, M.W. ら、Psyciatr. Genet. 5(3):117−26 (1995); Lin, M.W. ら、Hum. Genet. 99(3):417−420 (1997) および Blouin, J.L. ら、Nat. Genet. 20(1):70−73 (1993)(第8および第13);第22染色体については、Gill, M. ら、Am. J. Med. Genet. 67(1):40−45 (1996) および Bassett, A.S. ら、Am. J. Med. Genet. 81(4):328−37 (1998);ならびにX染色体については、Milunsky, J. ら、Clin. Genet. 55(6):455−60 (1999) を参照のこと)。
【0004】
発明の概要
本発明は、ニューレグリン(neuregulin)1遺伝子(NRG1)を含有してなる単離された核酸分子に関する。一態様において、該単離された核酸分子は、配列番号:1および配列番号:1の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を含有してなる。本発明はさらに、配列番号:1および配列番号:1の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸分子に関する。本発明はさらにまた、NRG1ポリペプチドをコードする(例えば、配列番号:2〜5および10〜38のいずれか1つ、または別のNRG1ポリペプチドのスプライシングバリアントをコードする)単離された核酸分子(例えば、cDNA分子)に関する。
【0005】
本発明はさらに、NRG1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号:1または配列番号:1の相補体;配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つ、またはNRG1ポリペプチドの別のスプライシングバリアントをコードするヌクレオチド配列)を含有してなる第2の核酸分子、またはその断片もしくは誘導体と試料を、選択的ハイブリダイゼーションに適切な条件下で接触させる工程を含む、試料中におけるNRG1の全部または一部を含有してなる核酸分子の存在について試料をアッセイするための方法を提供する。本発明はさらにまた、NRG1ポリペプチド、その断片もしくは誘導体の発現レベルを(直接または間接的に)検出する工程を含む、NRG1ポリペプチド、その断片もしくは誘導体の発現レベルについて試料をアッセイするための方法を提供する。
【0006】
本発明はまた、調節配列に作動可能に連結された本発明の単離された核酸分子を含有してなるベクター、ならびに該ベクターを含有してなる組換え宿主細胞に関する。本発明はまた、本明細書に記載の単離された核酸分子の発現に好適な条件下で本発明の組換え宿主細胞を培養する工程を含む、該核酸分子にコードされるポリペプチド(NRG1ポリペプチド)の作製方法を提供する。
【0007】
本発明はさらに、本発明の単離された核酸分子にコードされる単離されたポリペプチド(例えば、NRG1ポリペプチド)、ならびにその断片または誘導体を提供する。特定の態様において、該ポリペプチドは、配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つのアミノ酸配列を含有してなる。別の態様において、該ポリペプチドは、NRG1ポリペプチドの別のスプライシングバリアントである。本発明はまた、配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つのアミノ酸配列との同一性が約90%を超えるアミノ酸配列を含有してなる単離されたポリペプチドに関する。
【0008】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに選択的に結合する、抗体またはその抗原結合断片に関し、コードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体と試料を接触させる工程を含む、試料中の本発明の単離された核酸分子にコードされるポリペプチドの存在をアッセイするための方法に関する。
【0009】
本発明はさらに、精神分裂病に対する素因を診断する方法に関する。個体の精神分裂病に対する素因を診断する方法は、NRG1における変異の存在を検出すること、ならびにNRG1ポリペプチドの異なるスプライシングバリアントの存在などのNRG1ポリペプチドの発現の変化を検出することを含む。該発現の変化は定量的、定性的または定量的および定性的の両方でありうる。
【0010】
本発明はさらにまた、1つまたはそれ以上のNRG1ポリペプチドの活性または発現を変化(例えば、増強または阻害)させる因子を同定するためのアッセイに関する。例えば、NRG1ポリペプチドまたはその断片もしくは誘導体を含む細胞、細胞画分または溶液を、試験対象の因子と接触させることができ、NRG1ポリペプチドの発現または活性のレベルを評価することができる。1つより多いNRG1ポリペプチドの活性または発現を同時に評価することができる(例えば、細胞、細胞画分または溶液が、異なるスプライシングバリアントなどの1種より多いNRG1ポリペプチドを含み得、該異なるポリペプチドまたはスプライシングバリアントのレベルを評価しうる)。
【0011】
別の態様において、本発明は、1つまたはそれ以上のNRG1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定するためのアッセイに関する。例えば、ツー酵母ハイブリッド系において、DNA結合ドメインをコードする核酸およびNRG1ポリペプチド、スプライシングバリアント、またはその断片もしくは誘導体をコードする核酸を含む第1のベクターを使用し、転写活性化ドメインをコードする核酸と、NRG1ポリペプチド、スプライシングバリアント、またはその断片もしくは誘導体と相互作用する可能性のあるポリペプチド(例えば、NRG1ポリペプチド結合因子またはNRG1ポリペプチド受容体)をコードする核酸とを含む第2のベクターを使用する。第1のベクターおよび第2のベクターの両方を含む酵母を適切な条件下でインキュベーションすることにより、NRG1ポリペプチドまたはその断片もしくは誘導体と相互作用するポリペプチドの同定が可能になり、したがって、それは、NRG1ポリペプチドの発現の活性を変化させる因子でありうる。
【0012】
NRG1ポリペプチドの発現または活性を増強または阻害する因子もまた本発明に包含され、NRG1ポリペプチドの発現または活性を増強または阻害する因子と、NRG1および/またはポリペプチドを含む細胞を接触させることにより、またはNRG1ポリペプチドを接触させることにより、NRG1ポリペプチドの発現または活性を変化(増強または阻害)させる方法も本発明に包含される。
【0013】
さらにまた、本発明は、本発明の核酸;本発明のポリペプチド、および/またはNRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子を含有してなる医薬組成物に関する。本発明はさらに、本発明の核酸、本発明のポリペプチド、NRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子、または該核酸、ポリペプチドおよび/またはNRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子を含有してなる組成物などのNRG1治療剤を投与することによる精神分裂病の治療方法に関する。
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書に記載のように、本出願人は、染色体8p12上の1.5Mbセグメントに存在する精神分裂病の疾患罹病性遺伝子を同定するために、連鎖解析およびハプロタイプ解析を用いた。この遺伝子はニューレグリン1遺伝子(NRG1)である。ニューレグリン1遺伝子の全配列をAppendix Iに示す。該配列におけるマイクロサテライトマーカーおよび一塩基多型(SNP)をAppendix IIに示す。Appendix IIIは、ニューレグリン1エキソンのスプライスバリアントを示す。
【0015】
本発明の核酸
このように、本発明は、哺乳動物(例えば、霊長類またはヒト)ニューレグリン1遺伝子(NRG1)を含有してなる単離された核酸分子に関する。本明細書で用いる「NRG1」という用語は、8p21〜11遺伝子座内の精神分裂病に対する罹りやすさに関連する単離された核酸分子をいい、またNRG1ポリペプチド(例えば、Appendix Iに示すような配列番号:2〜5もしくは10〜38のいずれか1つを有してなるポリペプチド、またはNRG1ポリペプチドの別のスプライシングバリアント)をコードする単離された核酸分子(例えば、cDNAまたは遺伝子)をいう。好ましい態様では、該単離された核酸分子は、配列番号:1(Appendix Iに示す)または配列番号:1の相補体を含有してなる。別の好ましい態様では、該単離された核酸分子は、Appendix IIに示すような1つまたはそれ以上の一塩基多型が存在する配列番号:1または配列番号:1の相補体を含有してなる。
【0016】
本発明の単離された核酸分子は、RNA、例えばmRNA、またはcDNAおよびゲノムDNAなどのDNAでありうる。本明細書で用いる「ニューレグリン1核酸」(「NRG1核酸」)は、NRG1をコードする核酸分子(単鎖または二本鎖のいずれかのRNA、mRNA、cDNAまたはゲノムDNA)をいう。DNA分子は二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖のRNAまたはDNAは、コード鎖あるいはセンス鎖または非コード鎖あるいはアンチセンス鎖でありうる。該核酸分子は、イントロンならびに非コード3’および5’配列などのさらなる非コード配列(例えば、調節配列など)をさらに含み得る。さらに、該核酸分子は、マーカー配列、例えば該ポリペプチドの単離または精製を補助するポリペプチドをコードする配列と融合させうる。かかる配列には、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質をコードするもの、およびインフルエンザ由来の血球凝集素A(HA)ポリペプチドマーカーをコードするものが含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で用いる「単離された」核酸分子は、通常、該遺伝子またはヌクレオチド配列に隣接する核酸から分離されたもの(ゲノム配列の場合ように)および/または他の転写された配列から完全に、または部分的に精製されたもの(例えば、RNAライブラリーの場合のように)である。例えば、本発明の単離された核酸は、それが天然に存在する複雑な細胞環境から、または組換え技術により作製される場合は培養培地から、または化学的前駆体から、または化学的に合成される場合は他の化学物質から実質的に単離されうる。ある場合においては、該単離された材料は、組成物(例えば、他の物質を含有してなる粗抽出物)、バッファー系または試薬混合物の一部を構成する。他の場合において、該材料は、例えばPAGEまたはHPLCなどのカラムクロマトグラフィーにより測定したとき本質的に均質となるまで精製し得る。好ましくは、単離された核酸分子は、存在する全ての高分子種の少なくとも約50、80または90%(モル基準で)を含有する。ゲノムDNAに関して、用語「単離された」はまた、ゲノムDNAが天然に会合する染色体から分離された核酸分子に言及しうる。例えば、単離された核酸分子は、核酸分子が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチドを含有しうる。
【0018】
核酸分子は、他のコード配列または調節配列に融合されても、依然として単離されていると見なされうる。従って、ベクターに含まれる組換えDNAは、本明細書中で使用される「単離された」の定義に含まれる。また、単離された核酸分子は、異種宿主細胞中の組換えDNA分子、ならびに溶液中の部分的または実質的に精製されたDNA分子を含む。「単離された」核酸分子はまた、本発明のDNA分子のインビボおよびインビトロのRNA転写産物を含む。単離された核酸分子またはヌクレオチド配列は、化学的に合成されるかまたは組換え手段によるものである核酸分子またはヌクレオチド配列を含みうる。それゆえ、ベクターに含まれる組換えDNAは、本明細書中で使用される「単離された」の定義に含まれる。さらに、単離されたヌクレオチド配列は、異種生物内の組換えDNA分子、ならびに部分的または実質的に精製された溶液中のDNA分子を含む。本発明のDNA分子のインビボおよびインビトロのRNA転写産物もまた、「単離された」ヌクレオチド配列に含まれる。かかる単離されたヌクレオチド配列は、相同な配列(例えば、他の哺乳動物種から)を単離するため、遺伝子マッピング(例えば、染色体とのインサイチュハイブリダイゼーションによる)のため、またはノーザンブロット解析等により組織(例えば、ヒト組織)における遺伝子の発現を検出するためのプローブとしてコードされるポリペプチドの製造に有用である。
【0019】
本発明はまた、天然では必ずしも見出されないが、NRG1ポリペプチド(例えば、配列番号:2〜5もしくは10〜38、またはNRG1ポリペプチドの代替的スプライシングバリアントのいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド)をコードするバリアント核酸分子に関する。従って、例えば、天然に存在するヌクレオチド配列とは異なる配列を含むが、遺伝子コードの縮重により、本発明のNRG1ポリペプチドをコードするDNA分子もまた、本発明の主題である。本発明はまた、一部(断片)をコードするか、またはNRG1ポリペプチドのアナログもしくは誘導体等のバリアントポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。かかるバリアントは、対立遺伝子変異または単一ヌクレオチド多型等の場合には天然に存在し得、種々の変異原および変異原性プロセスにより誘導されるもの等は天然には存在し得ない。意図される変異には、付加および欠失を含む保存的または非保存的なアミノ酸変化を生じうる1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失および置換が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、ヌクレオチド(および/または得られたアミノ酸)変化がサイレントであるかまたは保存的であり;すなわち、それらはNRG1ポリペプチドの特徴または活性を変更しない。1つの好ましい態様では、ヌクレオチド配列は、1つ以上の多型マイクロサテライトマーカー(例えば、Appendix IIに示されるような)を含有する断片である。別の好ましい態様では、ヌクレオチド配列は、NRG1における1つ以上の単一ヌクレオチド多型(例えば、Appendix IIに示されるような)を含む断片である。
【0020】
本発明の核酸分子の他の変更としては、例えば、標識、メチル化、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート)、荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート)、ペンダント成分(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレン)、キレーター、アルキレーター、および修飾結合(例えば、αアノマー核酸)等のヌクレオチド間修飾が挙げられうる。水素結合および他の化学的相互作用を介して設計された配列に結合する能力において核酸分子を模倣する合成分子もまた含まれる。かかる分子には、例えば、分子の骨格においてリン酸結合の代わりにペプチド結合を用いるものが含まれる。
【0021】
本発明はまた、選択的ハイブリダイゼーション等の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で本明細書中に記載されるヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子(例えば、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズし、任意にポリペプチドの活性を有する核酸分子)に関する。1つの態様では、本発明は、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件(例えば、選択的ハイブリダイゼーションのための)下で配列番号:1または配列番号:1の相補体から選択されるヌクレオチド配列を含有するヌクレオチド配列にハイブリダイズする本明細書中に記載されるバリアントを含む。別の態様では、本発明は、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件(例えば、選択的ハイブリダイゼーションのための)下で、配列番号:2〜5および10〜38から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズする本明細書に記載されるバリアントを含む。好ましい態様では、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション下でハイブリダイズするバリアントは、NRG1の活性(例えば、結合活性)を有する。
【0022】
かかる核酸分子は、特異的ハイブリダイゼーション(例えば、高ストリンジェンシー条件下での)により検出および/または単離されうる。本明細書中で使用される「特異的ハイブリダイゼーション」は、第1の核酸が第2の核酸以外のいかなる核酸にもハイブリダイズしないような様式(例えば、第1の核酸が、ハイブリダイゼーションが行われるサンプル中のいかなる他の核酸よりも第2の核酸に対して高い類似性を有する場合)で、第2の核酸にハイブリダイズする第1の核酸の能力をいう。ハイブリダイゼーションに関して「ストリンジェンシー条件」は、第2の核酸への特定の核酸のハイブリダイゼーションを可能にするインキュベーションおよび洗浄条件、例えば、温度および緩衝液濃度の条件をいう技術用語である;第1の核酸は、第2の核酸に完全(すなわち、100%)に相補的であり得、または第1および第2の核酸は、完全よりも低い(例えば、70%、75%、85%、95%)ある程度の相補性を共有し得る。例えば、所定の高ストリンジェンシー条件は、低い相補性を有するものから完全に相補的な核酸を区別するのに使用されうる。核酸ハイブリダイゼーションに関して「高ストリンジェンシー条件」、「中ストリンジェンシー条件」および「低ストリンジェンシー条件」は、Current Protocols in Molecular Biologyの2.10.1〜2.10.16頁および6.3.1〜6.3.6頁(Ausubel, F.M.ら、”Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley & Sons, (1998)、その教示の全体が参考として本明細書中に援用される)に説明されている。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する正確な条件は、イオン強度(例えば、0.2XSSC、0.1XSSC)、温度(例えば、室温、42℃、68℃)およびホルムアミド等の不安定化剤またはSDS等の変性剤の濃度だけでなく、核酸配列の長さ、塩基組成、ハイブリダイズしている配列間のミスマッチパーセントおよび他の非同一配列内の該配列のサブセットの出現の頻度等の因子にも依存する。従って、等価な条件は、2つの核酸分子間の類似した程度の同一性または類似性を維持しながらこれらのパラメーターの1つ以上を変化させることにより決定されうる。典型的には、条件は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%もしくはそれ以上、互い同一である配列が互いにハイブリダイズしたままであるように使用される。ハイブリダイゼーションが起こらないレベルのストリンジェンシーからハイブリダイゼーションが最初に観察されるレベルまでハイブリダイゼーション条件を変化させることにより、所定の配列がサンプル中の最も類似する配列とハイブリダイズ(例えば、選択的に)することが可能な条件が決定されうる。
【0023】
例示的な条件は、Krause,M.H.およびS.A.Aaronson,Methods in Enzymology, 200:546−556(1991)に記載されている。また、Ausubelら、”Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley & Sons, (1998)は、中または低ストリンジェンシー条件のための洗浄条件の決定を記載している。洗浄は、ハイブリッドの相補性の最小レベルを決定するように条件が通常設定される工程である。一般に、相同性ハイブリダイゼーションのみが生じる最も低い温度から開始して、最終的な洗浄温度を低下させる(SSC濃度を一定に保持する)ことにより各℃が、ハイブリダイズする配列間のミスマッチの最大の程度を1%増大させる。一般に、SSCの濃度を倍加することにより、約17℃のTの増大を生じる。これらのガイドラインを用いて、洗浄温度は、求められるミスマッチのレベルに応じて、高、中、または低ストリンジェンシーについて経験的に決定されうる。
【0024】
例えば、低ストリンジェンシー洗浄は、0.2XSSC/0.1%SDSを含有する溶液中で室温で10分間洗浄する工程を含みうる;中ストリンジェンシー洗浄は、0.2XSSC/0.1%SDSを含有する予め温められた溶液(42℃)溶液中で42℃で15分間洗浄する工程を含みうる;高ストリンジェンシー洗浄は、0.1XSSC/0.1%SDSを含有する予め温められた(68℃)溶液中で68℃で15分間洗浄する工程を含みうる。さらに、洗浄は、当該分野で公知であるように所望の結果が得られるまで繰り返してまたは連続して行われうる。等価な条件は、当該分野で公知であるように、標的核酸分子と使用されるプライマーまたはプローブとの間の類似した程度の同一性または類似性を維持しながら、例として与えられたパラメーターの1つ以上を変化させることにより測定されうる。
【0025】
2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の同一性パーセントは、最適な比較目的(例えば、ギャップが第1の配列の配列に導入されうる)のために配列を整列することにより決定されうる。次いで、対応する位置のヌクレオチドまたはアミノ酸が比較され、2つの配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一な位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一な位置の数/位置の総数×100)。所定の態様では、比較目的のために整列される配列の長さは、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは少なくとも約70%、80%または90%の参照配列の長さである。2つの配列の実際の比較は、周知の方法、例えば、数学的アルゴリズムを用いて達成されうる。かかる数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:5873−5877 (1993)に記載されている。かかるアルゴリズムは、Altschulら、Nucleic Acids Res., 25:389−3402 (1997)に記載されるようなNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2)に組み込まれる。BLASTおよびギャップBLASTプログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えば、NBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照。1つの態様では、配列比較のためのパラメーターは、スコア=100、ワード長=12に設定されうるか、変化されうる(例えば、W=5またはW=20)。
【0026】
配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、CGC配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを使用する場合、PAM120ウェイト残基テーブル、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティが使用されうる。配列解析のためのさらなるアルゴリズムが当該分野で公知であり、TorellisおよびRobotti (1994) Comput.Appl.Biosci., 10:3−5に記載されたADVANCEおよびADAM;ならびにPearsonおよびLipman (1988) PNAS, 85:2444−8に記載されたFASTAを含む。
【0027】
別の態様では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Blossom 63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、および12、10、8、6、または4のギャップウェイトおよび2、3、または4の長さウェイトを用いてCGCソフトウェアパッケージ(http://www.cgc.comで入手可能)中のGAPプログラムを用いて達成されうる。さらに別の態様では、2つの核酸配列間の同一性パーセントは、CGCソフトウェアパッケージ(http://www.cgc.comで入手可能)中のGAPプログラムを用いて、50のギャップウェイトおよび3の長さウェイトを用いて達成されうる。
【0028】
本発明はまた、高ストリンジェント条件下で、配列番号:1および配列番号:1の相補体から選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズする断片または一部を含む単離された核酸分子を提供し、さらに高ストリンジェント条件下で配列番号:2〜5および10〜38までから選択されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズする断片または一部を含む単離された核酸分子を提供する。本発明の核酸断片は、少なくとも約15、好ましくは少なくとも約18、20、23または25ヌクレオチドであり、30、40、50、100、200またはそれ以上のヌクレオチド長でありうる。本明細書中に記載される抗原性ポリペプチドをコードするより長い断片、例えば、30またはそれ以上のヌクレオチド長は、以下に記載される抗体の産生のために特に有用である。
【0029】
関連する局面では、本発明の核酸断片は、本明細書中に記載されるようなアッセイにおいてプローブまたはプライマーとして使用される。「プローブ」または「プライマー」は、塩基特異的様式で核酸分子の相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。かかるプローブおよびプライマーは、Nielsenら、Science, 254, 1497−1500 (1991)に記載されるようにポリペプチド核酸を含む。また本明細書中で使用される用語「プライマー」は、特に、本明細書中に記載されるものを含むがそれらに限定されない周知の方法(例えば、PCR、LCR)を用いてテンプレート定方向DNA合成の開始の点として働く一本鎖オリゴヌクレオチドをいう。
【0030】
典型的には、プローブまたはプライマーは、配列番号:1、配列番号:1の相補体から選択される連続したヌクレオチド配列、または配列番号:2〜5および10〜38から選択されるアミノ酸配列をコードする配列を含む核酸分子の連続したヌクレオチドの少なくとも約15、典型的には約20〜25、およびより典型的には約40、50または75にハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。好ましい態様では、プローブまたはプライマーは、100またはそれより少ないヌクレオチド、好ましくは6〜50ヌクレオチド、好ましくは12〜30ヌクレオチドを含有する。他の態様では、プローブまたはプライマーは、連続したヌクレオチド配列または連続したヌクレオチド配列の相補体に少なくとも70%同一であり、好ましくは少なくとも80%同一であり、より好ましくは少なくとも90%同一であり、さらにより好ましくは少なくとも95%同一であるか、または連続したヌクレオチド配列または連続したヌクレオチド配列の相補体に選択的にハイブリダイズしうる。しばしば、プローブまたはプライマーは、標識、例えば、ラジオアイソトープ、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子をさらに含む。
【0031】
プローブまたはプライマーとして有用な代表的なオリゴヌクレオチドは、AppendixIIに示されるマイクロサテライトマーカーを含む。
【0032】
上記に記載のもの等の本発明の核酸分子は、標準的な分子生物学的技術および配列番号:1、および/または2〜5および10〜38に提供される配列情報を用いて同定および単離されうる。例えば、核酸分子は、配列番号:1に提供される配列および/または配列番号:1の相補体の1つ以上に基づいて設計される、または配列番号:2〜5および10〜38のいずれか1つ以上に提供されるアミノ酸配列の1つ以上をコードする配列に基づくヌクレオチドに基づいて設計される、合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により増幅および単離されうる。一般的には、PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification (H.A. Erlich編、Freeman Press, NY,NY, 1992);PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innisら編、Academic Press, San Diego, CA, 1990);Mattilaら、Nucleic Acids Res., 19:4967 (1991);Eckertら、PCR Methods and Applications,1:17 (1991); PCR (McPhersonら編、IRL Press, Oxford);および米国特許第4,683,202号明細書を参照。核酸分子は、テンプレートとしてcDNA、mRNAまたはゲノムDNAを用いて増幅され、適切なベクターにクローン化され、DNA配列解析によって特徴づけられうる。
【0033】
他の適切な増幅方法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace, Genomics, 4:560 (1989), Landegrenら、Science, 241: 1077 (1988), 転写増幅(Kwohら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 86:1173 (1989))、および自己配列複製(Guatelliら、Proc.Nat.Acad.Sci. USA, 87:1874 (1990))および核酸に基づく配列増幅(NASBA)が挙げられる。後者の2つの増幅方法は、等温転写に基づく等温反応を含み、これは増幅産物として一本鎖RNA(ssRNA)および二本鎖DNA(dsDNA)の両方を、それぞれ約30または100対1の比で生じる。
【0034】
増幅DNAは、放射標識され、ヒト細胞に由来するcDNAライブラリー、zap express、ZIPLOXまたは他の適切なベクター中のmRNAをスクリーニングするためのプローブとして使用されうる。対応するクローンが単離され得、DNAがインビボ切除の後に得られ得、クローン化インサートが、いずれかの方向または両方向で当該分野で認識されている方法により配列決定され、適切な分子量のポリペプチドをコードする正確なリーディングフレームが同定されうる。例えば、本発明の核酸分子のヌクレオチド配列の直接解析は、市販の周知の方法を用いて達成されうる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual (第2版、CSHP, New York 1989); Zyskindら、Recombinant DNA Laboratory Manual, (Acad.Press, 1988))を参照。これらのまたは類似した方法を用いて、ポリペプチドおよびポリペプチドをコードするDNAが単離され、配列決定され、さらに特徴づけられうる。
【0035】
本発明のアンチセンス核酸分子は、配列番号:1および/または配列番号:1の相補体、および/または配列番号:1または配列番号:1の相補体の一部のヌクレオチド配列、および/または配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つ以上のアミノ酸配列をコードする配列、または配列番号:2〜5または10〜38の1つ以上の部分をコードする配列を用いて設計され、当該分野で公知の手順を用いる化学合成および酵素的連結反応を用いて構築されうる。例えば、アンチセンス核酸分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、分子の生物学的安定性を増大するか、またはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増大するように設計された天然に存在するヌクレオチドまたは種々の修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用されうる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、核酸分子がアンチセンス方向にサブクローン化された発現ベクターを用いて生物学的に生産されうる(すなわち、挿入された核酸分子から転写されたRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)。
【0036】
一般に、本発明の単離された核酸配列は、サザンゲルにおいて分子量マーカーとして、および関連する遺伝子位置をマッピングするために標識される染色体マーカーとして使用されうる。核酸配列はまた、患者内の内因性DNA配列と比較して、遺伝子障害(例えば、精神分裂病の素因または罹り易さ)を同定するために使用され、およびプローブとして、関連するDNA配列にハイブリダイズし、これを発見し、またはサンプルから既知配列を減算するために使用されうる。核酸配列はさらに、遺伝学的フィンガープリント法のためにプライマーを駆動するのに、DNA免疫技術を用いて抗ポリペプチド抗体を惹起するのに、および抗原として抗DNA抗体を惹起するのに、または免疫応答を誘発するのに使用されうる。本明細書中に同定されるヌクレオチド配列(および完全な遺伝子配列に対応する)の一部または断片は、ポリヌクレオチド試薬として多数の方法で使用されうる。例えば、これらの配列は、(i)それぞれの遺伝子を染色体上にマッピングする;従って、遺伝子疾患に関連する遺伝子領域を位置づける;(ii)微小な生物学的サンプルから個体を同定する(組織タイピング);および(iii)生物学的サンプルの法医学的同定を補助するために使用されうる。さらに、本発明のヌクレオチド配列は、解析、特徴付けもしくは治療的使用のために、または対応するポリペプチドが発現される組織のためのマーカーとして、構成的に、組織分化の間、または疾患状態において、組換えポリペプチドを同定および発現するために使用されうる。核酸配列は、さらに、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイおよび/または診断アッセイにおける試薬として使用され得、また、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイおよび/または診断アッセイにおいて使用するためのキット(例えば、試薬キット)の成分として含まれうる。
【0037】
本発明の別の局面は、配列番号:1および配列番号:1の相補体(またはその一部)からなる群より選択される核酸分子を含有する核酸構築物に関する。本発明のさらに別の局面は、配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする核酸分子を含有する核酸構築物に関する。前記構築物は、本発明の配列がセンスまたはアンチセンス方向に挿入されたベクター(例えば、発現ベクター)を含有する。本明細書中に使用される用語「ベクター」は、それが連結された別の核酸を輸送しうる核酸分子をいう。1つのタイプのベクターは、「プラスミド」であり、さらなるDNAセグメントが連結されうる環状二本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、ここでさらなるDNAセグメントがウイルスゲノムに連結されうる。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自律増殖しうる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、所定のベクター(発現ベクター)は、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を行いうる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。しかし、本発明は、等価な機能で働く、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)等の発現ベクターの他の形態を含むことを意図する。
【0038】
本発明の好ましい組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸分子の発現に適した形態で本発明の核酸分子を含む。このことは、組換え発現ベクターが発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択される1つまたはそれ以上の調節配列(発現される核酸配列に作動可能に連結されている)を含むことを意味する。組換え発現ベクター内で、「作動可能に連結された」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合、宿主細胞において)を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味することを意図する。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御因子(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。かかる調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を行うものおよび所定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を行うもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および所望されるポリペプチドの発現のレベル等の因子に依存しうることが当業者により認識されるであろう。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それにより本明細書中に記載される核酸分子によりコードされる、融合ポリペプチドを含むポリペプチドを産生しうる。
【0039】
本発明の組換え発現ベクターは、原核または真核細胞、例えば、大腸菌等の細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞における本発明のポリペプチドの発現のために設計されうる。適切な宿主細胞は、Goeddel、上記にさらに考察されている。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いてインビトロで転写および翻訳されうる。
【0040】
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は本明細書中では交換可能に使用される。かかる用語は、特定の被験者細胞だけでなく、かかる細胞の子孫または潜在的な子孫をもいうことが理解される。所定の修飾が、変異または環境的影響のいずれかにより引き続く世代において生じ得るので、かかる子孫は、実際には親細胞とは同一ではないが、本明細書中で使用される用語の範囲内に依然として含まれる。
【0041】
宿主細胞は、任意の原核または真核細胞でありうる。例えば、本発明の核酸分子は、細菌細胞(例えば、大腸菌)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現されうる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0042】
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術により原核または真核細胞に導入されうる。本明細書中で使用される用語「形質転換」または「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む、種々の当該分野で認識されている外来核酸分子(例えば、DNA)を宿主細胞に導入する技術をいうことが意図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrookら(上記)および他の研究室マニュアル中に見出されうる。
【0043】
哺乳動物細胞の適切なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、細胞の小画分のみでそれらのゲノムに外来DNAを組み込み得ることが知られている。これらのインテグラントを同定または選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子は、一般に、目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。好ましい選択マーカーは、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセート等の薬物に対する耐性を付与するものを含む。選択マーカーをコードする核酸分子は、本発明の核酸分子と同じベクターで宿主細胞に導入されてもよいし、または別のベクターで導入されてもよい。導入された核酸分子で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択により同定されうる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込まれた細胞は生存し、一方、他の細胞は死滅する)。
【0044】
培養中の原核または真核宿主細胞等の本発明の宿主細胞は、本発明のポリペプチドを産生(すなわち、発現)するために使用されうる。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いてポリペプチドを産生する方法を提供する。ある態様では、前記方法は、本発明のポリペプチドが産生されるように、本発明の宿主細胞(本発明のポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入された)を適切な培地中で培養することを含む。別の態様では、前記方法はさらに、培地または宿主細胞からポリペプチドを単離することを含む。
【0045】
本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用されうる。例えば、1つの態様において、本発明の宿主細胞は、本発明の核酸分子(例えば、外因性のニューレグリン1遺伝子、またはNRG1ポリペプチドをコードする外因性の核酸)が導入されている、受精した卵母細胞または胚性幹細胞である。かかる宿主細胞は、次に、外因性ヌクレオチド配列がゲノムに導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内因性ヌクレオチド配列が変化されている相同な組換え動物を作製するのに使用されうる。かかる動物は、ヌクレオチド配列の機能および/または活性、および該配列によりコードされたポリペプチドを研究するため、ならびにそれらの活性のモジュレーターを同定および/または評価するために有用である。本明細書で用いられる場合、「トランスジェニック動物」は、動物の細胞の1つ以上が導入遺伝子を含む、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラットまたはマウス等の齧歯動物である。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリおよび両生類が挙げられる。導入遺伝子は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれ、かつ成熟動物のゲノムにとどまる外因性DNAであり、それにより、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織において、コードされた遺伝子産物の発現を指示する。本明細書で用いられる場合、「相同な組換え動物」は、内因性遺伝子と、動物の細胞、例えば、動物の発達前の動物の胚細胞、に導入される外因性DNA分子との間の相同な組換えにより、内因性遺伝子が変化している、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスである。
【0046】
胚操作およびマイクロインジェクションを介してトランスジェニック動物、特にマウス等の動物を作製する方法は、当該分野において通常のものになってきており、例えば、米国特許第4,736,866号明細書、米国特許第4,870,009号明細書、米国特許第4,873,191号明細書およびHogan Manipulating the Mouse Embryo (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986) に記載されている。相同な組換えベクターおよび相同な組換え動物を構築する方法は、Bradley(1991) Current Opinion in Bio/Technology, 2:823−829ならびにPCT国際公開第90/11354号パンフレット、国際公開第91/01140号パンフレット、国際公開第92/0968号パンフレット、および国際公開第93/04169号パンフレットにさらに記載されている。本明細書に記載されている非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilmutら(1997) Nature, 385:810−813およびPCT国際公開第97/07668号パンフレットおよび国際公開第97/07669号パンフレットに記載の方法により作製されうる。
【0047】
本発明のポリペプチド
本発明はまた、NRG1によりコードされた単離されたポリペプチド(「NRG1ポリペプチド」)およびその断片およびバリアント、ならびに本明細書に記載されたヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド(例えば、他のスプライシングバリアント)に関する。用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーのことをいい、特定の長さをいうのではなく、したがってペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質が、ポリペプチドの定義内に含まれる。本明細書で使用される場合、組換えおよび非組換え細胞から単離される際には実質的に細胞物質を含まないとき、または化学的に合成される際には化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まないときポリペプチドは「単離された」または「精製された」と言われる。ポリペプチドは、しかしながら、細胞内で通常結合しない他のポリペプチドに結合されえ(例えば、「融合タンパク質」において)、それでもなお、「単離された」または「精製された」ものである。
【0048】
本発明のポリペプチドは、均質になるまで精製されうる。しかしながら、ポリペプチドが均質になるまで精製されていない調製物も有用であることが理解される。重要な特徴は、相当な量の他の成分の存在下であってさえ、調製物がポリペプチドの所望の機能を許容するということである。したがって、本発明は、様々な精製度を包含する。1つの態様において、用語「細胞物質を実質的に含まない」は、約30%未満(乾燥重量で)の他のタンパク質(すなわち、混入タンパク質)、約20%未満の他のタンパク質、約10%未満の他のタンパク質、または約5%未満の他のタンパク質を有するポリペプチドの調製物を含む。
【0049】
ポリペプチドが組換え的に作製される場合、それはまた培養培地を実質的に含まず、すなわち、培養培地は、ポリペプチド調製物の約20容量%未満、約10容量%未満、または約5容量%未満に相当する。用語「化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない」は、合成に伴われる化学前駆物質または他の化学物質から分離されるポリペプチドの調製物を含む。1つの態様において、用語「化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない」は、約30%未満(乾燥重量で)の化学前駆物質または他の化学物質、約20%未満の化学前駆物質または他の化学物質、約10%未満の化学前駆物質または他の化学物質、または約5%未満の化学前駆物質または他の化学物質を有するポリペプチドの調製物を含む。
【0050】
1つの態様において、本発明のポリペプチドは、配列番号:1およびその相補体およびその一部からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされたアミノ酸配列、例えば、配列番号:2〜5もしくは10〜38のいずれか1つ、または配列番号:2〜5もしくは10〜38のいずれか1つの一部を含む。
【0051】
本発明のポリペプチドはまた、断片および配列バリアントを包含する。バリアントは、有機体の同一遺伝子座によりコードされた実質的に相同なポリペプチド、すなわち、対立遺伝子バリアント、ならびに他のスプライシングバリアントを含む。バリアントはまた、有機体の他の遺伝子座に由来するが、配列番号:1およびその相補体およびその一部からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされたポリペプチドに対して実質的に相同を有するか、または配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つをコードするヌクレオチド配列からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされたポリペプチドに対して実質的に相同を有するポリペプチドを包含する。バリアントはまた、これらのポリペプチドに実質的に相同または同一であるが、他の有機体に由来するポリペプチド、すなわちオルソログ(ortholog)を含む。バリアントはまた、これらのポリペプチドに実質的に相同または同一であり、化学合成により作製されるポリペプチドを含む。バリアントはまた、これらのポリペプチドに実質的に相同または同一であり、組換え法により作製されるポリペプチドを含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、アミノ酸配列が、少なくとも約45〜55%、典型的には少なくとも約70〜75%、より典型的には少なくとも約80〜85%、および最も典型的には約90%より多く相同または同一である場合、2つのポリペプチド(またはポリペプチドの領域)が実質的に相同または同一である。本発明の実質的に相同なアミノ酸配列は、より詳細に前に説明したようなストリンジェントな条件下で、配列番号:1またはその一部にハイブリダイズする核酸分子によりコードされるか、またはより詳細にそれらについて説明したようなストリンジェントな条件下で、配列番号:2〜5もしくは10〜38またはその一部のいずれか1つをコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸分子によりコードされる。
【0053】
2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の相同または同一の割合を決定するために、最適な比較目的のため配列を整列させる(例えば、他方のポリペプチドまたは核酸分子との最適な整列のために一方のポリペプチドまたは核酸分子の配列にギャップが導入されうる)。次に、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが、比較される。一方の配列における位置が、他方の配列における対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められる場合、分子はその位置で相同である。本明細書で使用される場合、アミノ酸または核酸の「相同」は、アミノ酸または核酸の「同一」と等しい。2つの配列間の相同の割合は、配列により共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、相同の割合は、同一の位置の数/全部の位置の数の100倍に等しい)。
【0054】
本発明はまた、同一性の程度は低いが、本発明の核酸分子によりコードされたポリペプチドにより行なわれる1つ以上の同一機能を行なうために十分な類似性を有するポリペプチドを包含する。類似性は、保存的アミノ酸置換により決定される。かかる置換は、ポリペプチドの所定のアミノ酸を類似の特徴を有するもう1つのアミノ酸により置換するものである。保存的置換は、表現型的にサイレントでありうる。保存的置換として典型的に見られるものは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIle間の1つからもう1つへの置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの互換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換ならびに芳香族残基PheおよびTyr間の置換である。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントでありうるかに関するガイダンスは、Bowie ら、Science 247:1306−1310(1990) により見出される。
【0055】
バリアントポリペプチドは、1つ以上の置換、欠失、挿入、逆位、融合、および切形またはこれらのいずれかの組み合わせによりアミノ酸配列が異なりうる。さらに、バリアントポリペプチドは、十分に機能的でありうるか、または1つ以上の活性における機能が欠如しうる。十分に機能的なバリアントは、典型的には、保存的変化または重要でない(non−critical)残基もしくは重要でない領域における変化のみを含む。機能的なバリアントはまた、機能において変化を生じないかまたはわずかな変化を生じる、類似アミノ酸の置換を含みうる。あるいは、かかる置換は、ポジティブにまたはネガティブに機能に多少影響しうる。非機能的バリアントは、典型的には、1つ以上の非保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、逆位もしくは切形、または重要な残基もしくは重要な領域における置換、挿入、逆位もしくは欠失を含む。
【0056】
機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発(Cunninghamら、Science, 244:1081−1085(1989) )等の当該技術で公知の方法により同定されうる。後者の手順は、分子中の全ての残基で単一のアラニン変異を導入する。次に、生じる変異体分子が、インビトロでの生物学的活性、またはインビトロでの増殖活性について試験される。ポリペプチド活性に対して重要な部位がまた、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識等の構造解析により決定されうる(Smith ら、J. Mol. Biol., 224:899−904(1992);de Vos ら、Science, 255:306−312(1992))。
【0057】
本発明はまた、本発明のポリペプチドのポリペプチド断片を含む。断片は、配列番号:1およびその一部またはその相補体を含む核酸分子によりコードされたポリペプチドに由来しうる(例えば、配列番号:2〜5または10〜38、または他のスプライシングバリアント)。しかしながら、本発明はまた、本明細書に記載されるポリペプチドのバリアントの断片を包含する。本明細書で使用される場合、断片は、少なくとも6個の連続したアミノ酸を含有する。有用な断片は、ポリペプチドの1以上の生物学的活性を保持するもの、ならびにポリペプチド特異的抗体を作製するための免疫源として使用されうる断片を含む。
【0058】
生物学的に活性な断片(例えば、6、9、12、15、16、20、30、35、36、37、38、39、40、50、100以上のアミノ酸長さであるペプチド)は、周知の方法を用いるポリペプチド配列の解析により同定されているドメイン、セグメントまたはモチーフ、例えば、シグナルペプチド、細胞外ドメイン、1以上の膜貫通セグメントまたはループ、リガンド結合領域、ジンクフィンガードメイン、DNA結合ドメイン、アシル化部位、グリコシル化部位、またはリン酸化部位を含みうる。
【0059】
断片は別々でありえ(他のアミノ酸またはポリペプチドと融合されていない)、またはより大きなポリペプチド内にありうる。さらに、数個の断片が単一のより大きなポリペプチド内に含まれうる。1つの態様において、宿主中で発現されるように設計された断片は、ポリペプチド断片のアミノ末端に融合された異種のプレ−およびプロ−ポリペプチド領域、および断片のカルボキシル末端に融合された追加の領域を有しうる。
【0060】
本発明は、したがって、キメラまたは融合ポリペプチドを提供する。これらは、ポリペプチドに実質的に相同でないアミノ酸配列を有する異種のタンパク質またはポリペプチドに作動可能に連結された本発明のポリペプチドを含む。「作動可能に連結された」は、ポリペプチドおよび異種のタンパク質がインフレーム(in−frame)で融合されることを示す。異種のタンパク質は、ポリペプチドのN末端またはC末端で融合されうる。1つの態様において、融合ポリペプチドは、本来のポリペプチドの機能に影響を与えない。例えば、融合ポリペプチドは、ポリペプチド配列がGST配列のC末端に融合されているGST融合ポリペプチドでありうる。融合ポリペプチドの他の型としては、限定されないが、酵素的融合ポリペプチド;例えば、β−ガラクトシダーゼ融合、酵母ツーハイブリッドGAL融合、ポリ−His融合およびIg融合が挙げられる。かかる融合ポリペプチド、特にポリ−His融合は、組換えポリペプチドの精製を促進しうる。一定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、ポリペプチドの発現および/または分泌は、異種のシグナル配列を用いることにより増加されうる。それゆえに、他の態様において、融合ポリペプチドは、そのN末端に異種のシグナル配列を含む。
【0061】
EP−A−O 464 553は、免疫グロブリンの定常部の様々な部分を含む融合タンパク質を開示する。Fcは、治療および診断に有用であり、したがって、例えば、改良された薬物動態学的特性を生じる(EP−A 0232 262)。薬物発見において、例えば、アンタゴニストを同定するための高スループットスクリーニングアッセイを目的として、ヒトタンパク質が、Fc部分と融合されている。Bennett ら、Journal of Molecular Recognition, 8:52−58(1995) およびJohansonら、The Journal of Biological Chemistry, 270, 16:9459−9471(1995)。したがって、本発明はまた、本発明のポリペプチドを含む可溶性融合ポリペプチド、および免疫グロブリンの様々なサブクラス(IgG、IgM、IgA、IgE)の重鎖または軽鎖の定常部の様々な部分を包含する。
【0062】
キメラまたは融合ポリペプチドは、標準的な組換えDNA技術を用いることにより作製されうる。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は、通常の技術にしたがって、インフレームで互いに結合される。他の態様において、融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む通常の技術により合成されうる。あるいは、核酸断片のPCR増幅は、2つの連続的な核酸断片間の相補的な突出を生じさせるアンカープライマーを用いて行なわれえ、それは続いてアニール化され、再増幅されて、キメラ核酸配列を生じうる(Ausubel ら、Current Protocols in Molecular Biology, 1992を参照)。さらに、すでに融合部分(例えば、GSTタンパク質)がコードされている多くの発現ベクターが、市販で入手可能である。本発明のポリペプチドをコードする核酸分子は、融合部分がポリペプチドにインフレームで連結されているようなかかる発現ベクターにクローン化されうる。
【0063】
単離されたポリペプチドは、天然にそれを発現する細胞から精製されえ、それを発現するように改変された細胞(組換え体)から精製されえ、または既知のタンパク質合成法を用いて合成されうる。1つの態様において、ポリペプチドは、組換えDNA技術により作製される。例えば、ポリペプチドをコードする核酸分子は発現ベクターにクローン化され、発現ベクターは宿主細胞に導入され、ポリペプチドが宿主細胞中で発現される。次に、標準的なタンパク質精製技術を用いる適切な精製機構により、ポリペプチドが細胞から単離される。
【0064】
一般に、本発明のポリペプチドは、SDS−PAGEゲルまたは当該分野で認識された方法を用いる分子ふるいゲル濾過カラムにおける分子量マーカーとして使用されうる。本発明のポリペプチドは、抗体を生じるか、または免疫応答を惹起するために使用されうる。ポリペプチドはまた、生体液における該ポリペプチド、またはそれが結合する分子(例えば、レセプターまたはリガンド)のレベルを定量的に測定するためのアッセイにおいて、試薬、例えば、標識試薬として使用されうる。ポリペプチドはまた、細胞または組織のマーカーとして使用されえ、そこで対応するポリペプチドは、優先的に、構成的に組織分化の間に、または疾患状態でのいずれかで発現される。ポリペプチドは、例えば、相互作用捕捉アッセイにおいてなどで、対応する結合試薬、例えば、レセプターまたはリガンドを単離するため、および結合相互作用のペプチドまたは小分子のアンタゴニストまたはアゴニストをスクリーニングするために使用されうる。例えば、ニューレグリン1は、erbBレセプターチロシンキナーゼに結合し、それを活性化するので、ポリペプチドは、かかるerbBレセプターキナーゼを単離するために使用されうる。
【0065】
本発明の抗体
別の局面において、本発明は、例えば、配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つによりコードされたアミノ酸配列またはその一部を有するか、または配列番号:1の全てまたは一部を含む核酸分子によりコードされたアミノ酸配列(例えば、配列番号:2〜5または10〜38、または別のスプライシングバリアント、またはその一部)を有する本発明のポリペプチドおよびポリペプチド断片に対する抗体を提供する。用語「抗体」は、本明細書で用いられる場合、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な一部、すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子のことをいう。本発明のポリペプチドに特異的に結合する分子は、該ポリペプチドまたはその断片に結合するが、天然に該ポリペプチドを含む試料、例えば生物学的試料中の他の分子に実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な一部の例としては、ペプシン等の酵素を用いて抗体を処理することにより生じうるF(ab)およびF(ab’) 断片が挙げられる。本発明は、本発明のポリペプチドに結合するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成」は、本明細書で用いられる場合、本発明のポリペプチドの特定のエピト−プと免疫反応しうる抗原結合部位を1種のみ含む抗体分子の集団のことを言う。モノクローナル抗体組成は、したがって、典型的には、免疫反応する本発明の特定のポリペプチドに対して単一の結合親和性を示す。
【0066】
ポリクローナル抗体は、所望の免疫原、例えば、本発明のポリペプチドまたはその断片で適切な被験体を免疫化させることにより、上記のように調製されうる。免疫化した被験体の抗体力価は、固定化ポリペプチドを用いる酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)等の標準的な技術により、時間を通じてモニターされうる。所望であれば、ポリペプチドに対する抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離されえ、IgG画分を得るためのプロテインAクロマトグラフィー等の周知の技術によりさらに精製されうる。免疫化後適切な時間に、例えば、抗体力価が最も高いとき、抗体産生細胞が、被験体から得られえ、初めにKohlerおよびMilstein(1975)Nature, 256:495−497 により記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、(1983)Immunol.Today,4 :72)、EBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、(1985)、モノクローナル抗体および癌治療、Alan R. Liss,Inc.、77〜96頁)またはトリオーマ(trioma)技術等の標準的な技術によりモノクローナル抗体を調製するために使用されうる。ハイブリドーマを作製するための技術は、周知である(一般に、Current Protocols in Immunology (1994)Coligan ら(編)、Jhon WileyおよびSons, Inc., New York, NY参照)。簡単には、上記免疫原で免疫化された哺乳動物由来のリンパ球(典型的には脾臓細胞)に不死細胞株(典型的には骨髄腫)が融合され、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清が、本発明のポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するためにスクリーニングされる。
【0067】
リンパ球および不死細胞株を融合するために使用される多数の周知のプロトコルのいずれかが、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を産生するために適用されうる(例えば、Current Protocols in Immunology 、上記;Galfreら、(1997)Nature, 266 :55052 ;R.H.Kenneth, in Monoclonal Antibodies :A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, New York (1980);およびLerner(1981) Yale J. Biol. Med., 54 :387−402 を参照)。さらに、当業者は、かかる方法の多くのバリエーションが存在し、それらもまた有用であることを認識するであろう。
【0068】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの調製に代わり、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体は、ポリペプチドを用いて組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングすることにより同定および単離され、それにより該ポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離しうる。ファージディスプレイライブラリーを作製し、スクリーニングするためのキットが、市販により入手できる(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, カタログ番号27−9400−01;およびStratagene SurfZAPTM Phage Display Kit, カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを作製し、スクリーニングするのに使用するために特に好適な方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5, 223, 409号明細書、PCT国際公開第92/18619号パンフレット、PCT国際公開第91/17271号パンフレット、PCT国際公開第92/20791号パンフレット、PCT国際公開第92/15679号パンフレット、PCT国際公開第93/01288号パンフレット、PCT国際公開第92/01047号パンフレット、PCT国際公開第92/09690号パンフレット、PCT国際公開第90/02809号パンフレット、Fuchs ら、(1991) Bio/Technology, 9:1370−1372;Hayら、(1992) Hum. Antibod. Hybridomas, 3:81−85 ;Huseら、(1989)Science, 246:1275−1281 ;Griffiths ら、(1993)EMBO J., 12 :725−734 に見出されうる。
【0069】
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体等の組換え抗体は、標準的な組換えDNA技術を用いて作製されえ、本発明の範囲内である。かかるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA技術により産生されうる。
【0070】
一般に、本発明の抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降等の標準的な技術により、本発明のポリペプチドを単離するために使用されうる。ポリペプチド特異的抗体は、細胞由来の天然のポリペプチドおよび宿主細胞で発現された組換え的に産生されたポリペプチドの精製を促進しうる。さらに、ポリペプチドの発現の量およびパターンを評価するために、(例えば、細胞溶解物、細胞上清、または組織試料中の)ポリペプチドを検出するのに、本発明のポリペプチドに特異的な抗体が使用されうる。抗体は、例えば、所定の治療法の有効性を決定するため、臨床試験手順の一部として、組織におけるタンパク質レベルをモニターするため診断に使用される。検出可能な物質に抗体を結合することにより、検出が容易になりうる。検出可能な物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適切な補欠分子族の複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチン、およびアビジン/ビオチンが挙げられる。適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる。発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる。生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられる。適切な放射性物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。
【0071】
本発明の診断アッセイおよびスクリーニングアッセイ
本発明はまた、ニューレグリン1遺伝子発現を評価するため、または本発明のNRG1ポリペプチドの活性を評価するための診断アッセイに関する。1つの態様において、アッセイは、生物学的試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)に関連して使用され、それにより個体が、精神分裂病に罹患しているか、または精神分裂病を発症するおそれがある(その素因を有するまたはそれに感受性を有する)かどうかを決定する。本発明はまた、個体が精神分裂病を発症しやすいかどうかを決定するための予後(または予測)アッセイを提供する。例えば、遺伝子における変異が、生物学的試料においてアッセイされうる。かかるアッセイは、予後または予測目的に使用され、それにより、精神分裂病に関連する症状の開始前に個体を予防的に治療しうる。本発明の他の局面は、本発明のポリペプチドの遺伝子発現または活性における因子(例えば、薬物、化合物または他の因子)の影響をモニターするためのアッセイ、ならびにNRG1ポリペプチドに結合する因子を同定するためのアッセイに関する。これらおよび他のアッセイおよび因子は、以下の段落でさらに詳細に記載される。
【0072】
診断アッセイ
本明細書中に記載される核酸、プローブ、プライマー、ポリペプチドおよび抗体は、精神分裂病に対する感受性の診断方法、ならびに精神分裂病に対する感受性を診断するために有用なキットにおいて使用することができる。
【0073】
本発明の1つの態様において、精神分裂病に対する感受性の診断は、NRG1における多型を検出することによって行われる。多型は、フレームシフト変異を生じさせる、1つのヌクレオチド挿入もしくは欠失または2つ以上のヌクレオチドの挿入もしくは欠失などのNRG1における変異;コードされるアミノ酸の変化を生じさせる、少なくとも1つのヌクレオチドの変化;未成熟停止コドンの生成を生じさせる、少なくとも1つのヌクレオチドの変化;数ヌクレオチドの欠失で、そのヌクレオチドによってコードされる1つ以上のアミノ酸の欠失を生じさせる欠失;遺伝子のコード配列の分断を生じさせる、例えば、不等(unequal)組換えまたは遺伝子変換などによる1つまたは数個のヌクレオチドの挿入;遺伝子の全体または一部の重複;遺伝子の全体または一部の転位;あるいは遺伝子の全体または一部の再配置であり得る。2つ以上のそのような変異が1つの遺伝子に存在し得る。そのような配列変化は、NRG1によってコードされるポリペプチドにおける変異を生じさせる。例えば、変異がフレームシフト変異である場合、そのフレームシフトは、コードされるアミノ酸の変化を生じさせ得るし、かつ/または短縮型ポリペプチドの生成をもたらす未成熟停止コドンの生成を生じさせ得る。あるいは、精神分裂病に対する感受性に関連した多型は1つ以上のヌクレオチドにおける同義変異(すなわち、NRG1によってコードされるポリペプチドにおける変化を生じさせない変異)であり得る。そのような多型は、スプライシング部位を変化させるか、mRNAの安定性または輸送に影響を及ぼすか、あるいはそうでなければ遺伝子の転写または翻訳に影響を及ぼし得る。上記に記載される変異のいずれかを有するNRG1は、本明細書中では「変異(型)遺伝子」と呼ばれる。
【0074】
精神分裂病に対する感受性を診断する1つの方法では、サザン分析、ノーザン分析またはインサイチューハイブリダイゼーションなどの様々なハイブリダイゼーション方法を使用することができる(Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel,F.他編、John Wiley&Sons、1999年までのすべての増補を含む)を参照のこと)。例えば、ゲノムDNA、RNAまたはcDNAの試験対象者由来の生物学的サンプル(「試験サンプル」)が、精神分裂病を有すると思われる個体、または精神分裂病に対して感受性であると思われる個体、または精神分裂病にかかりやすいと思われる個体、または精神分裂病に関する欠陥を有すると思われる個体(「試験個体」)から得られる。そのような個体は、成人、小児または胎児であり得る。試験サンプルは、血液サンプル、羊水サンプル、脳脊髄液サンプル、あるいは皮膚、筋肉、口内粘膜または結膜粘膜、胎盤、胃腸管または他の器官からの組織サンプルなどの、ゲノムDNAを含有する任意の供給源に由来し得る。胎児の細胞または組織に由来するDNAの試験サンプルは、羊水穿刺または絨毛膜絨毛サンプリングなどによる適切な方法によって得ることができる。その後、DNAサンプル、RNAサンプルまたはcDNAサンプルは、NRG1における多型が存在するかどうかを明らかにするために、かつ/またはNRG1によってコードされるスプライシングバリアントが存在するかどうかを明らかにするために調べられる。多型またはスプライシングバリアントの存在は、核酸プローブに対する、ゲノムDNA、RNAまたはcDNAにおける遺伝子のハイブリダイゼーションによって示され得る。本明細書中で使用される「核酸プローブ」はDNAプローブまたはRNAプローブであり得る;核酸プローブは、NRG1における少なくとも1つの多型を含有し得るか、またはNRG1の特定のスプライシングバリアントをコードする核酸を含有する。プローブは、上記に記載された核酸分子のいずれかであり得る(例えば、遺伝子、断片、遺伝子を含むベクター、プローブまたはプライマーなど)。
【0075】
精神分裂病に対する感受性を診断するために、ハイブリダイゼーションサンプルを、NRG1を含有する試験サンプルを少なくとも1つの核酸プローブと接触させることによって形成する。mRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましいプローブは、本明細書中に記載されるmRNA配列またはゲノムDNA配列にハイブリダイゼーションし得る標識された核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、完全長の核酸分子またはその一部、例えば、長さが少なくとも15ヌクレオチド、30ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、250ヌクレオチドまたは500ヌクレオチドで、ストリンジェントな条件のもとで、適切なmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイゼーションするのに十分なオリゴヌクレオチドなどであり得る。例えば、核酸プローブは、配列番号:1の全体もしくは一部、または配列番号:1の相補体もしくはその一部であり得るか、あるいは配列番号:2〜5または10〜38のいずれか1つ(またはそれ以上)の全体または一部をコードする核酸であり得る。本発明の診断アッセイにおいて使用される他の好適なプローブは上記に記載されている(例えば、項目「本発明の核酸」のもとで議論されたプローブおよびプライマーを参照のこと)。
【0076】
ハイブリダイゼーションサンプルは、NRG1に対する核酸プローブの特異的なハイブリダイゼーションを可能にする十分な条件のもとで維持される。本明細書中で使用される「特異的なハイブリダイゼーション」は、(例えば、ミスマッチを全く有しない)正確なハイブリダイゼーションを示す。特異的なハイブリダイゼーションは、例えば、上記に記載されるように、高ストリンジェンシー条件または適度なストリンジェンシー条件のもとで行われうる。特に好ましい態様において、特異的なハイブリダイゼーションに対するハイブリダイゼーション条件は高ストリンジェンシーである。
【0077】
その後、特異的なハイブリダイゼーションが、それが存在する場合には、標準的な方法を使用して検出される。特異的なハイブリダイゼーションが核酸プローブと試験サンプル中のNRG1との間で生じる場合、NRG1は、多型を有するか、またはスプライシングバリアントであり、核酸プローブに存在する。2つ以上の核酸プローブもまた、この方法では同時に使用することができる。これらの核酸プローブのいずれか1つの特異的なハイブリダイゼーションは、NRG1における多型を示すか、またはNRG1によってコードされる特定のスプライシングバリアントの存在を示し、従って、精神分裂病に対する感受性に関する診断となる。
【0078】
ノーザン分析(Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel,F.他編、John Wiley&Sons、上記)を参照のこと)では、上記に記載されたハイブリダイゼーション方法が、精神分裂病に対する感受性に関連した多型または特定のスプライシングバリアントの存在を確認するために使用される。ノーザン分析の場合、RNAの試験サンプルが、適切な手段によって個体から得られる。上記に記載されるように、個体に由来するRNAに対する核酸プローブの特異的なハイブリダイゼーションは、NRG1における多型を示すか、またはNRG1によってコードされる特定のスプライシングバリアントの存在を示し、従って、精神分裂病に対する感受性に関する診断となる。
【0079】
核酸プローブの使用の代表的な例については、例えば、米国特許第5,288,611号および同第4,851,330号を参照のこと。
【0080】
あるいは、ペプチド核酸(PNA)プローブを、上記に記載されたハイブリダイゼーション方法において核酸プローブの代わりに使用することができる。PNAは、有機塩基(A、G、C、TまたはU)がグリシン窒素にメチレンカルボニルリンカーを介して結合しているN−(2−アミノエチル)グリシンユニットなどのペプチド様の無機骨格を有するDNA模倣体である(例えば、Nielsen,P.E.他、Bioconjugate Chemistry、1994、5、アメリカ化学会、1頁(1994)を参照のこと)。PNAプローブは、精神分裂病に対する感受性に関連した多型を有する遺伝子に特異的にハイブリダイゼーションするように設計することができる。NRG1に対するPNAプローブのハイブリダイゼーションは、精神分裂病に対する感受性に関する診断となる。
【0081】
本発明の別の方法において、遺伝子内の変異または多型が制限部位の作出または除去を生じさせる場合、制限消化による変異分析を、変異遺伝子または多型を含有する遺伝子を検出するために使用することができる。ゲノムDNAを含有する試験サンプルが個体から得られる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、試験個体に由来するゲノムDNAの試験サンプルにおけるNRG1(および必要な場合には隣接配列)を増幅することができる。RFLP分析が記載されるように行われる(Current Protocols in Molecular Biology(上記)を参照のこと)。関連するDNA断片の制限パターンは、NRG1における変異または多型の存在または非存在を示し、従って、精神分裂病に対するこの感受性の存在または非存在を示す。
【0082】
配列分析もまた、NRG1における特定の多型を検出するために使用することができる。DNAまたはRNAの試験サンプルが試験個体から得られる。PCRまたは他の適切な方法を使用して、遺伝子を増幅することができ、かつ/または所望する場合にはその隣接配列を増幅することができる。NRG1もしくは該遺伝子の断片、cDNAもしくはcDNAの断片、またはmRNAもしくはmRNAの断片の配列が、標準的な方法を使用して決定される。遺伝子、遺伝子断片、cDNA、cDNA断片、mRNAまたはmRNA断片の配列は、該遺伝子、cDNA(例えば、配列番号:1、または配列番号:2〜5もしくは10〜38のいずれか1つ(またはそれ以上)をコードする核酸配列、またはその断片)、またはmRNAの既知の核酸配列と適宜比較される。多型がNRG1に存在することにより、個体が精神分裂病に対する感受性を有することが示される。
【0083】
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドもまた、増幅されたオリゴヌクレオチドと対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブとのドットブロットハイブリダイゼーション(例えば、Saiki,R.他(1986)、Nature(London)324:163〜166を参照のこと)の使用によって、多型がNRG1に存在することを検出するために使用することができる。「対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド」(これはまた本明細書中では「対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ」と呼ばれる)は、NRG1に特異的にハイブリダイゼーションし、かつ精神分裂病に対する感受性に関連した多型を含有する約10塩基対〜50塩基対(好ましくは、約15塩基対〜30塩基対)のオリゴヌクレオチドである。NRG1における特定の多型に対して特異的な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、標準的な方法を使用して調製することができる(Current Protocols in Molecular Biology(上記)を参照のこと)。精神分裂病に対する感受性に関連する遺伝子内の多型を確認するために、DNAの試験サンプルが個体から得られる。PCRを使用して、NRG1のすべてまたは断片およびその隣接配列を増幅することができる。増幅されたNRG1(または該遺伝子の断片)を含有するDNAは、標準的な方法(Current Protocols in Molecular Biology(上記)を参照のこと)を使用してドットブロットされ、そしてブロットはオリゴヌクレオチドプローブと接触させられる。その後、増幅されたNRG1に対するプローブの特異的なハイブリダイゼーションの存在が検出される。個体に由来するDNAに対する対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの特異的なハイブリダイゼーションは、NRG1における多型を示し、従って精神分裂病に対する感受性を示している。
【0084】
別の態様において、個体に由来する標的核酸配列セグメントに相補的であるオリゴヌクレオチドプローブのアレイを、NRG1における多型を確認するために使用することができる。例えば、1つの態様において、オリゴヌクレオチドアレイを使用することができる。オリゴヌクレオチドアレイは、典型的には、異なる既知の位置において基体の表面に結合されている複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。これらのオリゴヌクレオチドアレイは、「ジーンチップス(Genechips)(商標)」としても記載されており、この分野では広く記載されている(例えば、米国特許第5,143,854号ならびにPCT国際特許出願公開WO90/15070および同第WO92/10092)。これらのアレイは、一般には、ホトリソグラフィー法および固相オリゴヌクレオチド合成法の組合せを組み込んだ機械的な合成方法または光誘導による合成方法を使用して作製することができる。Fodor他、Science、251:767〜777(1991);Pirrung他、米国特許第5,143,854号(PCT国際特許出願公開WO90/15070もまた参照のこと);Fodor他、PCT国際特許出願公開WO92/10092および米国特許第5,424,186号を参照のこと(これらのそれぞれの教示は全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。機械的な合成方法を使用するこれらのアレイを合成する技術が、例えば、米国特許第5,384,261号に記載されている(その教示は全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0085】
オリゴヌクレオチドアレイが調製されると、目的とする核酸がアレイとハイブリダイゼーションさせられ、多型について走査される。ハイブリダイゼーションおよび走査は、一般には、本明細書中に記載される方法によって、そしてまた、例えば、PCT国際特許出願公開WO92/10092および同第WO95/11995ならびに米国特許第5,424,186号(これらの教示は全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に記載される方法によって行われる。簡単に記載すると、1つ以上の以前に同定された多型マーカーを含む標的核酸配列が、周知の増幅技術(例えば、PCR)によって増幅される。典型的には、これには、多型から上流および下流の両方で標的配列の2つの鎖に相補的であるプライマー配列の使用が含まれる。非対称的PCR技術もまた使用することができる。増幅された標的は、一般には標識を取り込んでおり、その後、適切な条件のもとでアレイとハイブリダイゼーションさせられる。アレイのハイブリダイゼーションおよび洗浄が完了した後、アレイは、標的配列がハイブリダイゼーションしているアレイ上の位置を決定するために走査される。走査から得られたハイブリダイゼーションデータは、典型的には、アレイ上の位置を関数とする蛍光強度の形態である。
【0086】
例えば、1つの単一多型を検出するための単一検出ブロックに関して主に記載されるが、アレイは、多数の検出ブロックを含むことができ、従って、多数の特定の多型を分析することができる。代わりの態様では、複数の検出ブロックが、アレイに対する標的のハイブリダイゼーションのときに様々な最適な条件が使用され得るように、1つのアレイ内において、または多数の別個のアレイにおいてグループ化され得ることが一般に理解される。例えば、ATリッチセグメントに含まれる多型とは別に、ゲノム配列のGCリッチ領域に含まれる多型の検出を提供することは多くの場合望ましいと考えられる。これは、それぞれの状況についてハイブリダイゼーション条件の個別の最適化を可能にする。
【0087】
多型を検出するためにオリゴヌクレオチドアレイを使用することのさらなる記載が、例えば、米国特許第5,858,659号および同第5,837,832号に見出すことができる(これらの教示は全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0088】
核酸分析の他の方法を、NRG1における多型またはNRG1によってコードされるスプライシングバリアントを検出するために使用することができる。代表的な方法として、例えば、直接的な手作業による配列決定(ChurchおよびGilbert,(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1991〜1995;Sanger,F.他(1977) Proc.Natl.Acad.Sci. 74:5463〜5467;Beavis他、米国特許第5,288,644号);自動化された蛍光配列決定;一本鎖高次構造多型アッセイ(SSCP);クランプド変性ゲル電気泳動(CDGE);変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Sheffield,V.C.他(19891) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:232〜236)、移動度シフト分析(Orita,M.他(1989) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2766〜2770) 制限酵素分析(Flavell他(1978) Cell 15:25);Geever他(1981) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:5081);ヘテロ二重鎖分析;化学的ミスマッチ切断(CMC)(Cotton他(1985) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397〜4401);RNase保護アッセイ(Myers,R.M.他(1985) Science 230:1242);ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチド(大腸菌のmutSタンパク質など)の使用;対立遺伝子特異的PCRが挙げられる。
【0089】
本発明の別の態様において、精神分裂病に対する感受性の診断はまた、固相酵素免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈殿および免疫蛍光を含む様々な方法によりNRG1ポリペプチドの発現および/または組成を調べることによって行うことができる。個体に由来する試験サンプルが、NRG1によってコードされるポリペプチドの発現の変化および/またはその組成の変化の存在について、あるいはNRG1によってコードされる特定のスプライシングバリアントの存在について評価される。NRG1によってコードされるポリペプチドの発現の変化は、例えば、量的なポリペプチド発現(すなわち、産生されるポリペプチドの量)の変化であり得る;NRG1によってコードされるポリペプチドの組成の変化は、質的なポリペプチド発現の変化(例えば、変異型NRG1ポリペプチドまたは異なるスプライシングバリアントの発現)である。好ましい態様において、精神分裂病に対する感受性の診断は、NRG1によってコードされる特定のスプライシングバリアントを検出することによって、または様々なスプライシングバリアントの特定のパターンを検出することによって行われる。
【0090】
質的および量的の両方の変化もまた存在し得る。本明細書中で使用される、ポリペプチドの発現または組成における「変化」は、対照サンプルにおけるNRG1によるポリペプチドの発現または組成と比較したときの、試験サンプルにおける発現または組成の変化をいう。対照サンプルは、試験サンプルに対応し(例えば、同じタイプの細胞に由来し)、かつ精神分裂病に罹患していない個体に由来するサンプルである。対照サンプルと比較して、試験サンプルにおいてポリペプチドの発現または組成が変化していることは、精神分裂病に対する感受性を示している。同様に、対照サンプルと比較して、試験サンプルにおいて1つ以上の異なるスプライシングバリアントが存在すること、または試験サンプルにおいて有意に異なる量の異なるスプライシングバリアントが存在することは、精神分裂病に対する感受性を示している。NRG1によってコードされるポリペプチドの発現または組成を調べる様々な手段を使用することができ、これには、分光測定法、比色測定法、電気泳動、等電点フォーカシング、および免疫ブロッティング(Current Protocols in Molecular Biology、特に第10章もまた参照のこと)などの免疫アッセイ(例えば、David他、米国特許第4,376,110号)が含まれる。例えば、1つの態様において、ポリペプチド(例えば、上記に記載されるような)ポリペプチドに結合し得る抗体、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体を使用することができる。抗体はポリクローナルであり得るか、またはより好ましくはモノクローナルであり得る。完全な抗体またはその断片(例えば、FabまたはF(ab’))を使用することができる。用語「標識された」は、プローブまたは抗体に関しては、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによってプローブまたは抗体を直接的に標識すること、ならびに直接標識された別の試薬との反応性によってプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含するものとする。間接的に標識することの例には、蛍光的に標識された二次抗体を使用する一次抗体の検出、および蛍光的に標識されたストレプトアビジンを用いて検出することができるようにDNAプローブをビオチンで末端標識することが含まれる。
【0091】
変異型NRG1によってコードされるポリペプチドに特異的に結合する上記のような抗体、または非変異型遺伝子によってコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体、またはNRG1によってコードされる特定のスプライシングバリアントに特異的に結合する抗体を使用するウエスタンブロッティング分析を使用して、特定のスプライシングバリアントが試験サンプルに存在すること、または多型NRG1もしくは変異型NRG1によってコードされるポリペプチドが試験サンプルに存在すること、あるいは特定のスプライシングバリアントが試験サンプルに存在しないこと、または非多型遺伝子もしくは非変異型遺伝子によってコードされるポリペプチドが試験サンプルに存在しないことを確認することができる。多型遺伝子もしくは変異型遺伝子によってコードされるポリペプチドの存在、あるいは非多型遺伝子もしくは非変異型遺伝子によってコードされるポリペプチドの非存在は、精神分裂病に対する感受性に関する診断になり、ニューレグリン1遺伝子によってコードされる特定のスプライシングバリアントの存在(または非存在)もそうである。
【0092】
この方法の1つの態様において、試験サンプル中のNRG1によってコードされるポリペプチドのレベルまたは量が、対照サンプル中のNRG1によってコードされるポリペプチドのレベルまたは量と比較される。試験サンプル中のポリペプチドのレベルまたは量が、違いが統計学的に有意であるように、対照サンプル中のポリペプチドのレベルまたは量よりも多いか、または少ないことは、NRG1によってコードされるポリペプチドの発現における変化を示しており、従って精神分裂病に対する感受性に関する診断になる。あるいは、試験サンプル中のNRG1によってコードされるポリペプチドの組成が、対照サンプル中のNRG1によってコードされるポリペプチドの組成と比較される。対照サンプル中のポリペプチドの組成と比較して、試験サンプル中のポリペプチドの組成が異なること(例えば、異なるスプライシングバリアントが存在すること)は、精神分裂病に対する感受性に関する診断になる。別の態様において、ポリペプチドのレベルまたは量および組成の両方が試験サンプルおよび対照サンプルにおいて評価され得る。対照サンプルと比較して、試験サンプル中のポリペプチドの量またはレベルが異なること;対照サンプルと比較して、試験サンプル中の組成が異なること;あるいは量またはレベルの違いおよび組成の両方が異なることは精神分裂病に対する感受性を示している。
【0093】
診断方法において有用なキット(例えば、試薬キット)は、本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて有用な様々な成分を含む。そのような成分には、例えば、本明細書に記載されるようなハイブリダイゼーション用のプローブまたはプライマー(例えば、標識されたプローブまたはプライマー)、標識された分子を検出するための試薬、制限酵素(例えば、RFLP分析のために)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、変異型NRG1ポリペプチドまたは非変異型(天然型)NRG1ポリペプチド(例えば、配列番号2〜5または10〜38のいずれか1つ(またはそれ以上))に結合する抗体、NRG1を含む核酸を増幅するための手段、あるいはNRG1の核酸配列を分析するための手段、またはNRG1ポリペプチドのアミノ酸配列を分析するための手段などが含まれる。
【0094】
スクリーニングアッセイおよびそれによって同定される因子
本発明は、本発明の核酸にハイブリダイゼーションするヌクレオチドの存在を確認するための方法、ならびに本発明の核酸によってコードされるポリペプチドの存在を確認するための方法(これらはまた本明細書中では「スクリーニングアッセイ」と呼ばれる)を提供する。1つの態様において、サンプルにおける目的とする核酸分子(例えば、本発明の核酸と有意な相同性を有する核酸)の存在(または非存在)が、サンプルを、上記に記載されるような高ストリンジェンシー条件のもとで、本発明の核酸(例えば、配列番号1の配列または配列番号1の相補体を有する核酸、あるいは配列番号2〜5または10〜38のいずれか1つの配列を有するアミノ酸配列をコードする核酸、あるいはそのような核酸の断片またはバリアント)を含む核酸と接触させ、その後、サンプルをハイブリダイゼーションの存在(または非存在)について評価することによって評価され得る。好ましい態様において、高ストリンジェンシー条件は、選択的なハイブリダイゼーションに適切な条件である。好ましい態様において、高ストリンジェンシー条件は、選択的なハイブリダイゼーションに適切な条件である。別の態様において、目的とする核酸分子を含有するサンプルは、目的とする核酸分子(例えば、ニューレグリン1核酸)の一部に対して少なくとも部分的に相補的である連続したヌクレオチド配列(例えば、上記に記載されるようなプライマーまたはプローブ)を含有する核酸と接触させられ、そして接触させられたサンプルは、ハイブリダイゼーションの存在または非存在について評価される。好ましい態様において、連続したヌクレオチド配列を含有する核酸は、目的とする核酸分子の一部に対して完全に相補的である。
【0095】
これらの態様のいずれにおいても、目的とする核酸の全体または一部を、ハイブリダイゼーションの実施に先立って増幅に供することができる。
【0096】
別の態様において、サンプルにおける目的とするポリペプチド(本発明のポリペプチドあるいはその断片またはバリアントなど)の存在(または非存在)は、サンプルを、目的とするポリペプチドに特異的にハイブリダイゼーションする抗体(例えば、上記に記載される抗体などの抗体)と接触させ、その後、目的とするポリペプチドに対する抗体の結合の存在(または非存在)についてサンプルを評価することによって評価することができる。
【0097】
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチドの活性を変化させる(例えば、増大または低下させる)か、またはそうでなければ本明細書中に記載されるポリペプチドと相互作用する因子(例えば、融合タンパク質、ポリペプチド、ペプチド擬似物、プロドラッグ、受容体、結合因子、抗体、小分子または他の薬物、あるいはリボザイム)を同定する方法を提供する。例えば、そのような因子は、本明細書中に記載されるポリペプチドに結合する因子(例えば、NRG1結合因子);例えば、本発明のポリペプチドの活性に対する刺激作用または阻害作用を有する因子;NRG1結合因子と相互作用する本発明のポリペプチドの能力を変化させる(例えば、増強または阻害する)因子(例えば、受容体または他の結合因子);またはNRG1ポリペプチドの翻訳後プロセシングを変化させる因子(例えば、正常に合成された位置から細胞表面などの細胞内の別の位置に該ポリペプチドを向かわせるタンパク質分解的プロセシングを変化させる因子;より活性なポリペプチドが細胞から放出されるようにタンパク質分解的プロセシングを変化させる因子、など)でありうる。
【0098】
1つの態様において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド(またはその生物学的に活性な部分)に結合するか、またはその活性を調節する候補因子または試験因子をスクリーニングするアッセイ、ならびにそのようなアッセイによって同定され得る因子を提供する。試験因子は、この分野で知られているコンビナトリアルライブラリー法における多数の方法のいずれかを使用して得ることができる。これらには、生物学的ライブラリー;空間的に送達可能な(addressable)平行した固相ライブラリーおよび液相ライブラリー;デコンボルーションを必要とする合成ライブラリー法;「一ビーズ・一化合物」ライブラリー法;ならびにアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法が含まれる。生物学的ライブラリー法はポリペプチドライブラリーに限定されるが、それ以外の4つの方法は、ポリペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリーに適用可能である(Lam,K.S.(1997) Anticancer Drug Des.,12:145)。
【0099】
1つの態様において、NRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子を同定するために、NRG1ポリペプチド(例えば、配列番号2〜5または10〜38、あるいはNRG1によってコードされる別のスプライシングバリアント)あるいはその断片または誘導体(これらは上記に記載される)を含有または発現する細胞、細胞溶解物または溶液を、試験対象の因子と接触させることができる;あるいは、該ポリペプチドを試験対象の因子と直接接触させることができる。NRG1活性のレベル(量)が評価され(例えば、NRG1活性のレベル(量)が直接的または間接的のいずれかで測定され)、そして対照における活性のレベル(すなわち、試験対象の因子の非存在下でのNRG1ポリペプチドあるいはその断片または誘導体の活性のレベル)と比較される。因子の存在下での活性のレベルが、因子の非存在下での活性のレベルと、統計学的に有意な量で異なる場合、その因子は、NRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子である。対照に対するNRG1ポリペプチド活性のレベルの増大は、その因子が、NRG1活性を増強する因子(NRG1活性のアゴニスト)であることを示している。同様に、対照に対するNRG1ポリペプチド活性のレベルの低下は、その因子が、NRG1活性を阻害する因子(NRG1活性のアンタゴニスト)であることを示している。別の態様において、試験対象の因子の存在下でのNRG1ポリペプチドあるいはその誘導体または断片の活性のレベルは、以前に明らかにされている対照のレベルと比較される。因子が存在するもとでの活性のレベルが、対照のレベルと、統計学的に有意な量で異なることは、その因子がNRG1活性を変化させることを示している。
【0100】
本発明はまた、NRG1の発現を変化させる因子(該遺伝子の発現(例えば、転写または翻訳)を変化させる(例えば、増大または低下させる)か、あるいはそうでなければ本明細書中に記載される核酸と相互作用する)(例えば、アンチセンス核酸、融合タンパク質、ポリペプチド、ペプチドミメティクス、プロドラッグ、受容体、結合因子、抗体、小分子または他の薬物、あるいはリボザイム)を同定するアッセイ、ならびにそのようなアッセイによって同定され得る因子に関する。例えば、NRG1ポリペプチドをコードする核酸(例えば、NRG1)を含有する溶液を、試験対象の因子と接触させることができる。溶液は、例えば、核酸を含有する細胞、または核酸を含有する細胞溶解物を含みうる;あるいは溶液は、核酸の転写/翻訳に必要なエレメントを含む別の溶液であり得る。溶液に懸濁されていない細胞もまた、所望する場合には用いることができる。NRG1発現のレベルおよび/またはパターン(例えば、種々のスプライシングバリアントのレベルおよび/またはパターンなどの、発現したmRNAまたはタンパク質のレベルおよび/またはパターン)が評価され、そして対照における発現のレベルおよび/またはパターン(すなわち、試験対象の因子の非存在下でのNRG1発現のレベルおよび/またはパターン)と比較される。因子の存在下でのレベルおよび/またはパターンが、因子の非存在下でのレベルおよび/またはパターンとは統計学的に有意な量または様式で異なる場合、その因子は、NRG1の発現を変化させる因子である。NRG1発現の増強は、その因子がNRG1活性のアゴニストであることを示している。同様に、NRG1発現の阻害は、その因子がNRG1活性のアンタゴニストであることを示している。別の態様において、試験対象の因子の存在下でのNRG1ポリペプチド(例えば、種々のスプライシングバリアント)のレベルおよび/またはパターンが、以前に明らかにされている対照のレベルおよび/またはパターンと比較される。因子が存在するもとでのレベルおよび/またはパターンが、対照のレベルおよび/またはパターンとは統計学的に有意な量または様式で異なることは、その因子がNRG1の発現を変化させることを示している。
【0101】
本発明の別の態様において、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子、またはそうでなければ本明細書中に記載される核酸と相互作用する因子を、レポーター遺伝子に機能的に連結されたニューレグリン1遺伝子のプロモーター領域をコードする核酸を含有する細胞、細胞溶解物または溶液を使用して同定することができる。試験対象の因子と接触させた後、レポーター遺伝子の発現レベル(例えば、発現したmRNAまたはタンパク質のレベル)が評価され、そして対照における発現レベル(すなわち、試験対象の因子の非存在下でのレポーター遺伝子の発現レベル)と比較される。因子が存在するもとでのレベルが、因子が存在しないもとでのレベルと、統計学的に有意な量または様式で異なる場合、その因子は、NRG1プロモーターに機能的に連結されている遺伝子の発現を変化させるその能力によって示されるように、NRG1の発現を変化させる因子である。レポーターの発現の増強は、その因子が、NRG1活性のアゴニストであることを示している。同様に、レポーターの発現の阻害は、その因子が、NRG1活性のアンタゴニストであることを示している。別の態様において、試験対象の因子の存在下でのレポーターの発現レベルが、以前に明らかにされている対照のレベルと比較される。因子が存在するもとでのレベルが、対照のレベルと、統計学的に有意な量または様式で異なることは、その因子がNRG1の発現を変化させることを示している。
【0102】
NRG1によってコードされる種々のスプライシングバリアントの量を変化させる因子(例えば、第1のスプライシングバリアントの活性を増強させ、かつ第2のスプライシングバリアントの活性を阻害する因子)、ならびに第1のスプライシングバリアントの活性のアゴニストであり、第2のスプライシングバリアントの活性のアンタゴニストである因子を、上記に記載されるこれらの方法を使用して同定することができる。
【0103】
本発明の他の態様において、様々なアッセイを、NRG1結合因子に関連してNRG1ポリペプチドの活性に対する試験因子の影響を評価するために使用することができる。例えば、NRG1ポリペプチドと相互作用する化合物(これは本明細書中では「NRG1結合因子」と呼ばれ、受容体などの、NRG1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドまたは他の分子であり得る)を発現する細胞が、試験因子の存在下でNRG1ポリペプチドと接触させられ、そしてNRG1ポリペプチドとNRG1結合因子との相互作用を変化させる試験因子の能力が測定される。あるいは、NRG1結合因子を含有する細胞溶解物または溶液を使用することができる。NRG1ポリペプチドまたはNRG1結合因子に結合する因子は、NRG1ポリペプチドがNRG1結合因子に結合し、またはNRG1結合因子と会合し、またはそうでなければNRG1結合因子と相互作用する能力を妨げるか、または増強することによって相互作用を変化させることができる。試験因子がNRG1ポリペプチドまたはNRG1結合因子に結合する能力の測定は、例えば、試験因子を放射性同位体または酵素的標識とカップリングして、ポリペプチドに対する試験因子の結合が、125I、35S、14CまたはHによる標識を直接的または間接的に検出することによって測定できるようにすることによって行うことができ、放射性同位体は、放射線のダイレクトカウンティング、またはシンチレーションカウンティングによって検出されうる。あるいは、試験因子は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたはルシフェラーゼで酵素的に標識することができ、酵素的標識は、適切な基質の生成物への変換を測定することによって検出されうる。試験因子がポリペプチドと相互作用する能力を、相互作用因子のいずれも標識することなく測定することもまた本発明の範囲内である。例えば、微量生理機能測定装置(microphysiometer)を使用して、試験因子とNRG1ポリペプチドまたはNRG1結合因子との相互作用を、試験因子またはNRG1ポリペプチドまたはNRG1結合因子のいずれをも標識することなく検出することができる。McConnell,H.M.他(1992)、Science、257:1906〜1912。本明細書中で使用される「微量生理機能測定装置」(例えば、Cytosensor(商標))は、細胞がその環境を酸性化する速度を、光制御可能な電位差測定センサー(LAPS)を使用して測定する分析装置である。この酸性化速度の変化を、リガンドとポリペプチドとの相互作用の指標として使用することができる。
【0104】
本発明の別の態様において、本明細書中に記載されるように、1つ以上のNRG1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定するために様々なアッセイを使用することができる。例えば、FieldsおよびSong(Fields,S.およびSong.O.、Nature、340:245〜246(1989))によって記載されるシステムなどの酵母ツーハイブリッドシステムを使用して、1つ以上のNRG1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定することができる。そのような酵母ツーハイブリッドシステムでは、ベクターが、2つの機能的ドメイン(DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメイン)を有する転写因子の柔軟性に基づいて構築される。この2つのドメインが分離され、しかし互いに相互作用する2つの異なるタンパク質に融合された場合、転写活性化が達成され得、そして特異的なマーカー(例えば、HisおよびAdeなどの栄養性マーカー、またはlacZなどの色マーカー)の転写を、相互作用および転写活性化の存在を確認するために使用することができる。例えば、本発明の方法では、DNA結合ドメインをコードし、さらにNRG1ポリペプチド、スプライシングバリアントあるいはその断片または誘導体をコードする核酸を含む第1のベクターが使用され、そして転写活性化ドメインをコードする核酸と、さらにはNRG1ポリペプチド、スプライシングバリアントあるいはその断片または誘導体と潜在的に相互作用し得るポリペプチド(例えば、NRG1ポリペプチド結合因子または受容体)をコードする核酸とをコードする第2のベクターが使用される。第1のベクターおよび第2のベクターを含有する酵母を適切な条件(例えば、Clontechから得られるMatchmaker(商標)システムなどで使用されるマッチング条件)下でインキュベーションすることにより、目的とするマーカーを発現するコロニーを同定することができる。このようなコロニーは、NRG1ポリペプチドあるいはその断片または誘導体と相互作用するポリペプチドを同定するために調べることができる。そのようなポリペプチドは、上記に記載されるように、NRG1ポリペプチドの発現活性を変化させる因子として有用であり得る。
【0105】
本発明の上記のアッセイ方法の1つ以上の態様では、ポリペプチドの一方または両方の複合体化形態を非複合体化形態から分離することを容易にするために、ならびにアッセイの自動化を行うために、NRG1ポリペプチド、NRG1結合因子またはアッセイの他の成分のいずれかを固相支持体に固定化することが望ましくあり得る。ポリペプチドに対する試験因子の結合、またはポリペプチドと結合因子との相互作用が、試験因子の存在下および非存在下で、反応物を含有する好適な任意の容器において達成され得る。そのような容器の例として、マイクロタイタープレート、試験管および微量遠心チューブが挙げられる。1つの態様において、NRG1ポリペプチドまたはNRG1結合因子がマトリックスまたは他の固相支持体に結合することを可能にするドメインが付加されている融合タンパク質(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質)が提供され得る。
【0106】
別の態様おいて、本発明の核酸分子の発現の調節因子が、NRG1ポリペプチドをコードする核酸を含有する細胞、細胞溶解物または溶液を試験因子と接触させ、そして細胞、細胞溶解物または溶液における適切なmRNAまたはポリペプチド(例えば、スプライシングバリアント)の発現を測定する方法で同定される。試験因子が存在するもとでの適切なmRNAまたはポリペプチドの発現レベルが、試験因子が存在しないもとでのmRNAまたはポリペプチドの発現レベルと比較される。その後、試験因子を、この比較に基づいて発現の調節因子として同定することができる。例えば、mRNAまたはポリペプチドの発現が、試験因子の存在において、その非存在下の場合よりも大きい(統計学的に有意に大きい)とき、その試験因子は、mRNAまたはポリペプチドの発現の刺激因子またはエンハンサーとして同定される。あるいは、mRNAまたはポリペプチドの発現が、試験因子の存在下において、その非存在下の場合よりも小さい(統計学的に有意に小さい)とき、その試験因子は、mRNAまたはポリペプチドの発現の阻害剤として同定される。細胞におけるmRNAまたはポリペプチドの発現レベルは、mRNAまたはポリペプチドを検出するための本明細書中に記載される様々な方法によって測定することができる。
【0107】
本発明はさらに、上記に記載されたスクリーニングアッセイによって同定される新規な因子に関する。従って、本明細書中の記載に従って同定された因子を適切な動物モデルにおいてさらに使用することは本発明の範囲内である。例えば、本明細書中の記載に従って同定された因子(例えば、調節性因子、アンチセンス核酸分子、特異的抗体、またはポリペプチド結合因子である試験因子)は、そのような因子による治療の効力、毒性または副作用を明らかにするために、動物モデルにおいて使用することができる。あるいは、本明細書中の記載に従って同定された因子は、そのような因子の作用機構を明らかにするために、動物モデルにおいて使用することができる。さらに、本発明は、上記に記載されるような治療のための、上記に記載されるスクリーニングアッセイによって同定された新規な因子の使用に関する。さらに、本明細書中の記載に従って同定された因子は、ポリペプチドまたは遺伝子(あるいはポリペプチドまたは遺伝子を含む細胞)を本明細書中の記載に従って同定された因子と接触させることによって、ニューレグリン1によってコードされるポリペプチドの活性を変化させるために、またはニューレグリン1の発現を変化させるために使用することができる。
【0108】
医薬組成物
本発明はまた、本明細書中に記載される核酸、特に、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするヌクレオチドを含む医薬組成物;本明細書中に記載されるポリペプチド(例えば、配列番号2〜5もしくは10〜38の1つ以上、および/またはNRG1によってコードされる他のスプライシングバリアント)を含む医薬組成物;および/または本明細書中に記載されるようなNRG1の発現もしくはNRG1ポリペプチドの活性を変化させる(例えば、増強もしくは阻害する)因子を含む医薬組成物に関する。例えば、ポリペプチド、タンパク質(例えば、NRG1受容体)、その断片、融合タンパク質もしくはプロドラッグ、または本発明のヌクレオチドを含むヌクレオチドもしくは核酸構築物(ベクター)、NRG1ポリペプチドの活性を変化させる因子、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子、あるいはNRG1結合因子もしくはNRG1結合パートナーは、医薬組成物を調製するために、生理学的に許容されうるキャリアまたは賦形剤とともに製剤化することができる。キャリアおよび組成物は無菌であり得る。製剤は投与様式に合わせるべきである。
【0109】
好適な医学的に許容されうるキャリアには、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理的食塩水、緩衝化生理的食塩水、アルコール、グリセロール、エタノール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール類、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロースまたはデンプン、デキストロースなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香料オイル、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど、ならびにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。医薬調製物は、所望する場合には、活性な因子と有害に反応しない補助的な因子と、例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤化剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、風味剤および/または芳香物質などと混合することができる。
【0110】
組成物はまた、所望する場合には、微量の湿潤化剤または乳化剤またはpH緩衝化剤を含有することができる。組成物は、液体溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、ピル、カプセル、持続放出性製剤または粉末であり得る。組成物は、従来の結合剤およびキャリア(トリグリセリドなど)を用いて坐薬として製剤化することができる。経口用製剤は標準的なキャリアを含むことができ、例えば、製薬規格のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。
【0111】
これらの組成物を導入する方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、眼内、静脈内、皮下、局所的、経口的および鼻腔内が含まれるが、これらに限定されない。他の好適な導入方法としてまた、遺伝子治療(下記に記載される)、再充填可能なデバイスまたは生分解性デバイス、粒子加速デバイス(「遺伝子銃」)および徐放性ポリマーデバイスをも挙げることができる。本発明の医薬組成物はまた、他の因子との組合せ療法の一部として投与することができる。
【0112】
組成物は、ヒトへの投与に適合した医薬組成物として日常的な手法に従って製剤化することができる。例えば、静脈内投与される組成物は、典型的には、無菌の等張性水性緩衝液における溶液である。必要な場合には、組成物はまた、可溶化剤、および注射部位における痛みを取り除くための局所麻酔剤を含むことができる。一般に、成分は、ユニット投薬形態で、例えば、活性因子の量を示す気密容器(アンプルまたは袋など)における乾燥した凍結乾燥粉末または水非含有濃縮物として、別々に、または一緒に混合されて提供される。組成物が注入により投与され得る場合には、組成物は、無菌の医薬規格の水、生理的食塩水またはデキストロース/水を含有する注入ボトルを用いて調剤され得る。組成物が注射により投与される場合には、成分が投与前に混合され得るように、注射用無菌水または生理的食塩水のアンプルが提供され得る。
【0113】
局所適用の場合、局所適用と適合し得るキャリアを含み、かつ好ましくは水よりも大きい動的粘度を有する非噴霧性形態物、粘性から半固体または固体の形態物を用いることができる。好適な製剤には、限定されないが、溶液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム、軟膏、粉末剤、浣腸剤、ローション、ゾル、リニメント剤、膏薬、エアロゾル剤などが含まれ、これらは、所望する場合には、滅菌されるか、または補助的な因子、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤化剤、緩衝剤、もしくは浸透圧に影響を及ぼす塩などと混合される。前記因子は、化粧用製剤に配合することができる。局所適用の場合、噴霧可能なエアロゾル調製物もまた好適であり、この場合、活性成分は、好ましくは固体または液体の不活性なキャリア物質との組合せで、絞り出しボトルに充填されるか、または加圧された揮発物、通常の場合にはガス状噴射剤(例えば、加圧空気)との混合で充填される。
【0114】
本明細書中に記載される因子は中性形態物または塩形態物として配合することができる。薬学的に受容可能な塩には、遊離アミノ基と形成される塩、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する塩、および遊離カルボキシル基と形成される塩、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプルピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する塩が含まれる。
【0115】
本発明の因子は治療的に効果的な量で投与される。特定の障害または状態の治療において治療的に効果的である因子の量は、障害または状態の性質に依存するが、標準的な臨床的技術によって決定することができる。さらに、インビトロアッセイまたはインビボアッセイを、最適な投薬量範囲を確認することを助けるために必要に応じて用いることができる。製剤において用いられる正確な用量はまた、投与経路、精神分裂病の症状の重篤度に依存するが、医師の判断およびそれぞれの患者の状況に従って決定すべきである。効果的な用量は、インビトロ試験システムまたは動物モデル試験システムから導かれた用量応答曲線から外挿し得る。
【0116】
本発明はまた、本発明の医薬組成物の成分の1つまたはそれ以上が充填された1つまたはそれ以上の容器を含む医薬的なパックまたはキットを提供する。任意に、そのような容器には、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府当局により規定された書式で注意書きが伴い得る。そのような注意書きは、ヒトへの投与に対する、製造、使用または販売の当局による承認を示す。パックまたはキットには、投与様式、薬物投与の順序(例えば、個別、連続的、または同時)などに関する情報が表記され得る。パックまたはキットはまた、患者に治療を受けることを忘れないようにする手段を含むことができる。パックまたはキットは、併用療法の単回ユニット投薬量であり得るか、または多数のユニット投薬量であり得る。特に、本発明の因子は分割することができ、任意の組合せで混合することができ、1つのバイアルまたは錠剤で存在し得る。ブリスターパックまたは他の調剤手段で組み立てられた因子が好ましい。本発明の目的のために、ユニット投薬量は、それぞれの因子の個体の薬理学に依存し、かつ標準的な時間経過でFDA承認された投薬量で投与される投薬量を意味するものとする。
【0117】
治療方法
本発明はまた、NRG1治療因子を使用して、精神分裂病に対する治療方法(予防的および/または治療的)に関する。「NRG1治療因子」は、精神分裂病を治療するために使用される因子で、本明細書中に記載されるようにNRG1ポリペプチドの活性および/またはニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる(例えば、増強または阻害する)因子(例えば、NRG1のアゴニストまたはアンタゴニスト)である。NRG1治療因子は、様々な手段によって、NRG1ポリペプチドの活性または遺伝子発現を変化させることができ、例えば、さらなるNRG1ポリペプチドを提供することによって、またはNRG1の転写もしくは翻訳をアップレギュレーションすることによって;NRG1ポリペプチドの翻訳後プロセシングを変化させることによって;NRG1スプライシングバリアントの転写を変化させることによって;あるいはNRG1ポリペプチドの活性を(例えば、NRG1ポリペプチドに結合することにより)妨げることによって、またはNRG1の転写もしくは翻訳をダウンレギュレーションすることによって変化させることができる。代表的なNRG1治療因子として、下記のものが挙げられる:
【0118】
本明細書中に記載される核酸またはその断片もしくは誘導体、特に、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするヌクレオチド、およびそのような核酸を含むベクター(例えば、遺伝子、cDNAおよび/またはmRNA(NRG1ポリペプチドまたはその活性な断片もしくは誘導体をコードする核酸など)、あるいはオリゴヌクレオチド;例えば、配列番号1、または配列番号2〜5もしくは10〜38のいずれか1つ(またはそれ以上)をコードする核酸、またはその断片もしくは誘導体);
【0119】
本明細書中に記載されるポリペプチド(例えば、配列番号2〜5もしくは10〜38の1つもしくはそれ以上、および/またはNRG1によってコードされる他のスプライシングバリアント、またはその断片または誘導体);
【0120】
他のポリペプチド(例えば、NRG1受容体、例えば、ErbB2、ErbB3、ErbB4、ならびにヘテロダイマーのErbB2/ErbB4、ErbB2/ErbB3およびErbB3/ErbB4を含むerB受容体など);NRG1結合因子;ペプチド模倣物;その融合タンパク質またはプロドラッグ;抗体(例えば、上記に記載されるように、変異型NRG1ポリペプチドに対する抗体、または非変異型NRG1ポリペプチドに対する抗体、またはNRG1によってコードされる特定のスプライシングバリアントに対する抗体);リボザイム;他の小分子;
【0121】
および他の因子で、ニューレグリン1遺伝子の発現またはポリペプチド活性を変化させる(例えば、増強または阻害する)因子、あるいはNRG1ポリペプチドの翻訳後プロセシングを変化させる因子、あるいはNRG1スプライシングバリアントの転写を調節する因子(例えば、どのスプライシングバリアントを発現させるかに影響を及ぼす因子、または発現するそれぞれのスプライシングバリアントの量に影響を及ぼす因子)。
【0122】
好ましい態様において、NRG1治療因子は、1つ以上のNRG1ポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号2〜5または10〜38の1つまたはそれ以上、あるいはその断片または誘導体をコードする)である。別の好ましい態様において、NRG1治療因子は、NRG1の調節領域などのNRG1の断片を含む核酸(例えば、配列番号1の断片またはその誘導体を含む核酸)である。さらに別の好ましい態様において、NRG1治療因子は、NRG1の調節領域と、さらに1つ以上のNRG1ポリペプチド(またはその断片もしくは誘導体)をコードする核酸とを含む核酸である。
【0123】
1つより多いNRG1治療因子を所望する場合には同時に使用することができる。
【0124】
核酸であるNRG1治療因子は精神分裂病の治療において使用される。本明細書中で使用される用語「治療」は、疾患に関連した症状を改善することだけでなく、疾患の発症を防止すること、疾患の発症を遅延させること、そして疾患の症状の重篤度または頻度を低下させることをも示す。治療は、個体におけるNRG1ポリペプチドの活性を変化させる(例えば、阻害もしくは増強する)ためか、置換するためか、または補充するために設計される。例えば、NRG1治療因子は、ニューレグリン1遺伝子の発現もしくは利用性またはNRG1の特定のスプライシングバリアントの発現もしくは利用性をアップレギュレートまたは増大させるために、あるいは逆に、ニューレグリン1遺伝子の発現もしくは利用性またはNRG1の特定のスプライシングバリアントの発現または利用性をダウンレギュレートまたは低下させるために投与することができる。天然型NRG1もしくは特定のスプライシングバリアントの発現または利用性をアップレギュレートまたは増大させることは、欠損遺伝子または他のスプライシングバリアントの発現または活性を妨げるか、あるいはその発現または活性を補償することができ、一方、天然型NRG1または特定のスプライシングバリアントの発現または利用性をダウンレギュレートまたは低下させることは、欠損遺伝子または特定のスプライシングバリアントの発現または活性を最小限にすることができ、それにより欠損遺伝子または特定のスプライシングバリアントの影響を最小限にすることができる。
【0125】
NRG1治療因子(1つまたは複数)は、治療的に効果的な量(すなわち、疾患に関連した症状を改善することによって、疾患の発症を防止もしくは遅延させることによって、および/または疾患の症状の重篤度もしくは頻度を低下させることによって、疾患を治療するために十分である量)で投与される。特定の個体の障害または状態の治療において治療的に効果的である量は、疾患の症状および重篤度に依存し、標準的な臨床的技術によって決定することができる。さらに、インビトロアッセイまたはインビボアッセイを、最適な投薬量範囲を確認することを助けるために任意に用いることができる。製剤において用いられる正確な用量はまた、投与経路および疾患または障害の重篤度に依存し、医師の判断およびそれぞれの患者の状況に従って決定するべきである。効果的な用量は、インビトロ試験システムまたは動物モデル試験システムから導かれた用量応答曲線から外挿することができる。
【0126】
1つの態様において、本発明の核酸(例えば、配列番号1などの、NRG1ポリペプチドをコードする核酸、あるいはNRG1ポリペプチドまたはそのスプライシングバリアント、その誘導体もしくは断片をコードする別の核酸、例えば、配列番号2〜5または10〜38のいずれか1つまたはそれ以上をコードする核酸など)は、単独または上記に記載されるような医薬組成物のいずれかで使用することができる。例えば、NRG1、またはNRG1ポリペプチドをコードするcDNAは、それ自体で、またはベクター内に含ませて、細胞により天然型NRG1ポリペプチドが産生されるように、細胞内に(インビトロまたはインビボのいずれかで)導入することができる。必要な場合には、遺伝子、またはcDNA、または遺伝子もしくはcDNAを含むベクターで形質転換された細胞を、疾患に冒されている個体に導入(または再導入)することができる。従って、天然型NRG1の発現および活性を現実には有しない細胞、または変異型NRG1の発現および活性を有する細胞、または疾患に関連したNRG1スプライシングバリアントの発現を有する細胞を、NRG1ポリペプチドまたはNRG1ポリペプチドの活性な断片(またはNRG1ポリペプチドの異なるバリアント)を発現させるために操作することができる。好ましい態様において、NRG1ポリペプチドあるいはその活性な断片または誘導体をコードする核酸をウイルスベクターなどの発現ベクターに導入することができ、そしてこのベクターを動物内の適切な細胞に導入することができる。ウイルス移入システムおよび非ウイルス移入システムを含む他の遺伝子移入システムを使用することができる。あるいは、非ウイルス遺伝子移入法、例えば、リン酸カルシウム共沈殿、機械的な技術(例えば、マイクロインジェクション)、リポソームによる膜融合媒介移入、または直接的なDNA取り込みなどもまた使用することができる。
【0127】
あるいは、本発明の別の態様において、本発明の核酸、本発明の核酸に対して相補的な核酸、またはそのような核酸の一部(例えば、下記に記載されるようなオリゴヌクレオチド)は、NRG1のmRNAおよび/またはゲノムDNAに特異的にハイブリダイゼイズする核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)が投与されるか、またはサイチュで生成される「アンチセンス」治療で使用することができる。mRNAおよび/またはDNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸は、例えば、翻訳および/または転写を阻害することによってNRG1ポリペプチドの発現を阻害する。アンチセンス核酸の結合は、従来の塩基対相補性によって、または例えば、DNA二重鎖に結合する場合には、二重らせんの主溝における特異的な相互作用を介して行われ得る。
【0128】
本発明のアンチセンス構築物は、例えば、上記に記載されるような発現ベクターとして送達することができる。プラスミドが細胞内で転写された場合、プラスミドは、NRG1ポリペプチドをコードするmRNAおよび/またはDNAの一部分に対して相補的なRNAを産生する。あるいは、アンチセンス構築物は、エクスビボで生成させられ、そして細胞内に導入されるオリゴヌクレオチドプローブであり得る。次いで、オリゴヌクレオチドプローブは、NRG1のmRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズすることによって発現を阻害する。1つの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、内因性のヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼ)に対して耐性であり、それによりオリゴヌクレオチドプローブをインビボで安定にする修飾されたオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用される例示的な核酸分子は、DNAのホスホルアミダイト(phosphoramidate)アナログ、ホスホチオアートアナログおよびメチルホスホナートアナログである(例えば、米国特許第5,176,996号、同第5,264,564号および同第5,256,775号を参照のこと)。さらに、アンチセンス治療において有用なオリゴマーを構築する一般的な方法はまた、例えば、Van der Krol他((1988)Biotechniques、6:958〜976)およびStein他((1988)Cancer Res、48:2659〜2668)によって記載される。アンチセンスDNAに関して、例えば、NRG1配列の−10領域〜+10領域の間の翻訳開始部位に由来するオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
【0129】
アンチセンス治療を行うために、NRG1をコードするmRNAに対して相補的なオリゴヌクレオチド(mRNA、cDNAまたはDNA)が設計される。アンチセンスオリゴヌクレオチドはNRG1のmRNA転写物に結合し、翻訳を妨げる。完全な相補性は、好ましいが、必要ではない。RNAの一部に対して「相補的」な配列は、本明細書中で示される場合、配列が、RNAとハイブリダイズすることができ、これにより安定な二重鎖を形成する十分な相補性を有することを示している。二本鎖のアンチセンス核酸の場合には、従って、二重鎖DNAの1つの鎖を試験することができ、または三重鎖の形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズする能力は、上記に詳しく記載されているように、アンチセンス核酸の相補性度および長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、核酸は、RNAとのより多くの塩基ミスマッチを含むことができ、安定な二重鎖(または、場合により三重鎖)を依然として形成することができる。当業者は、標準的な手法の使用によってミスマッチの許容可能な程度を確認することができる。
【0130】
アンチセンス治療において使用されるオリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の、DNA、RNAあるいはそのキメラ混合物または誘導体またはバリアントであり得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを改善するために、塩基部分、糖部分またはリン酸エステル骨格を修飾することができる。オリゴヌクレオチドは、(例えば、宿主細胞の受容体をインビボで標的化するための)ペプチドなどの他の付加基、または細胞膜を横断する輸送を促進する因子(例えば、Letsinger他(1989)、Proc.Natl.Acad Sci.USA、86:6553〜6556;Lemaitre他(1987)、Proc.Natl.Acad Sci.USA、84:648〜652;PCT国際特許出願公開WO88/09810を参照のこと)、または血液脳関門を横断する輸送を促進する因子(例えば、PCT国際特許出願公開WO89/10134を参照のこと)、またはハイブリダイゼーションにより誘発される切断剤(例えば、Krol他(1988)、BioTechniques、6:958〜976を参照のこと)、またはインターカレーション剤(例えば、Zon(1988)、Pharm.Res.5:539〜549を参照のこと)を含むことができる。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションにより誘発される架橋剤、輸送因子、ハイブリダイゼーションにより誘発される切断剤)に結合することができる。
【0131】
アンチセンス分子は、NRG1をインビボで発現する細胞に送達される。多数の方法を、アンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAを細胞に送達するために使用することができる。例えば、アンチセンス分子を組織部位に直接注入することができ、あるいは所望する細胞を標的化するために設計された修飾型アンチセンス分子(例えば、標的細胞表面に発現する受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体に連結されたアンチセンス)を全身投与することができる。あるいは、好ましい態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーター(例えば、polIIIまたはpolII)の制御下に置かれている組換えDNA構築物が利用される。患者における標的細胞をトランスフェクトするためにそのような構築物を使用することにより、内因性のNRG1転写物との相補的な塩基対を形成し、それによりNRG1のmRNAの翻訳を妨げる十分な量の一本鎖RNAの転写がもたらされる。例えば、ベクターを、細胞によって取り込まれ、そしてアンチセンスRNAの転写が行われるようにインビボで導入することができる。そのようなベクターは、所望するアンチセンスRNAが産生されるように転写され得る限り、エピソームに維持することができるか、または染色体に組み込ませることができる。そのようなベクターは、この分野において標準的で、そして上記に記載される組換えDNA技術方法によって構築することができる。例えば、プラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターを、組織部位に直接導入することができる組換えDNA構築物を調製するために使用することができる。あるいは、所望する組織に選択的に感染するウイルスベクターを使用することができる。そのような場合、投与は別の経路(例えば、全身投与)によって達成され得る。
【0132】
内因性NRG1の発現もまた、標的化された相同的組換えを使用してNRG1またはそのプロモーターを不活性化または「ノックアウト」することによって低下させることができる(例えば、Smithies他(1985)、Nature、317:230〜234;Thomas&Capecchi(1987)、Cell、51:503〜512;Thompson他(1989)、Cell、5:313〜321を参照のこと)。例えば、内因性NRG1(NRG1のコード領域または調節領域のいずれか)に対して相同的なDNAが隣接する変異型の非機能的なNRG1(または完全に無関係なDNA配列)を、NRG1をインビボで発現する細胞をトランスフェクトするために、選択マーカーおよび/または負の選択マーカーとともに、またはそのようなマーカーを用いることなく使用することができる。標的化された相同的組換えを介してDNA構築物を挿入することにより、NRG1の不活化がもたらされる。組換えDNA構築物は、上記に記載されるように、適切なベクターを使用して、必要とされる部位にインビボで直接投与または標的化することができる。あるいは、非変異型NRG1の発現を、類似する方法を使用して増大させることができる。すなわち、標的化された相同的組換えを、上記に記載されるように、細胞内の変異型NRG1の代わりに、非変異型の機能的なNRG1(例えば、配列番号:1を有する遺伝子)を含むDNA構築物またはその一部を挿入するために使用することができる。別の態様において、標的化された相同的組換えを、細胞内に存在するNRG1ポリペプチドのバリアントとは異なるNRG1ポリペプチドのバリアントをコードする核酸を含むDNA構築物を挿入するために使用することができる。
【0133】
あるいは、内因性NRG1の発現は、NRG1の調節領域(すなわち、NRG1のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に対して相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化して、体内の標的細胞におけるNRG1の転写を妨げる三重らせん構造を形成させることによって低下させることができる。(一般的には、Helene,C.(1991)、Anticancer Drug Des.、6(6):569〜84;Helene,C.他(1992)、Ann,N.Y.Acad.Sci.、660:27〜36;およびMaher,L.J.(1992)、Bioassays、14(12):807〜15を参照のこと)。同様に、本明細書中に記載されるアンチセンス構築物は、NRG1タンパク質の1つの正常な生物学的活性を中和することによって、インビボ組織培養において、そしてエクスビボ組織培養のために、その両方で、組織の操作(例えば、組織分化)において使用することができる。さらに、アンチセンス技術(例えば、アンチセンス分子のマイクロインジェクション、あるいはNRG1のmRNAまたは遺伝子配列に関してその転写物がアンチセンスであるプラスミドによるトランスフェクション)は、発達事象におけるNRG1の役割、ならびに成体組織におけるNRG1の正常な細胞機能を調べるために使用することができる。そのような技術は、細胞培養において利用され得るが、トランスジェニック動物の作製においてもまた使用することができる。
【0134】
本発明のさらに別の態様において、本明細書中に記載されるような他のNRG1治療因子もまた精神分裂病の治療または防止において使用することができる。治療因子は、上記に記載されるように組成物で送達することができ、またはそれ自身で送達することができる。治療因子は全身投与することができ、または特定の組織に標的化することができる。治療因子は、例えば、化学合成、組換え製造、インビボ製造(例えば、米国特許第4,873,316号(Meade他)などのトランスジェニック動物)を含む様々な手段によって製造することができ、そして本明細書中に記載される手段などの標準的な手段を使用して単離することができる。
【0135】
上記治療方法のいずれかの組合せ(例えば、変異型NRG1のmRNAを標的化するアンチセンス治療とともに非変異型NRG1ポリペプチドを投与すること;NRG1によってコードされる第1のスプライシングバリアントを、NRG1によってコードされる第2のスプライシングバリアントを標的化するアンチセンス治療とともに投与すること)もまた使用することができる。
【0136】
本発明を下記の非限定的な実施例によってさらに説明する。本明細書中に引用されているすべての刊行物の教示はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0137】
実施例 精神分裂病に連鎖した遺伝子の同定
患者集団
アイスランドにおける精神分裂病の平均余命は、近隣諸国で観測されている平均余命に類似しており、男性については0.6%で、女性については0.9%である。患者を診断して、以前に診断された精神分裂病者の診断を確認し、そしてサンプルを集める7名の精神科医からなるチームが用いられた。それぞれの精神科医は、精神分裂病および情緒障害に対する調査票(寿命版)(SADS−L)(Endicott,J.およびSpitzer,R.L.、Arch.Gen.Psychiatry、35:837(1978))を使用して面接した。その後、SADS−L面接から得られた情報を使用して、すべての症例が、研究診断基準(RDC)と精神的障害の診断および統計学マニュアル(第3版改訂)(DMS III−R)とに従って分類された。さらに、精神病に対する運用基準OPCRITチェックリストもまた、精神病に対する多診断法を容易にするために使用された(McGuffin,P.他、Arch.Gen Psychiatry、48(8):764〜70(1991))。
【0138】
BACコンティグの構築
目的の領域に対するBAC(細菌人工染色体)コンティグを、RCPI11ヒトBACライブラリー(Pieter deJong、Roswell Park)を使用して作製した。BACを、その領域における入手可能なSTSマーカーおよびマイクロサテライトマーカーを使用するハイブリダイゼーション、その後、BAC末端配列から設計されたマーカーを使用する連続した数回のハイブリダイゼーションにより同定した。ハイブリダイゼーションの結果を確認して、BACの順序を、その領域におけるすべての入手可能なマーカーを使用するPCRによって決定した。主目的は、マイクロサテライトマーカーを高分解能で順序づけることであった。
【0139】
新しいマイクロサテライトマーカーの検索
BACをショットガンクローニングして、メンブランに方眼状に配置した。マイクロサテライトの反復を含有するクローンを、マイクロサテライト反復配列からなるオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションによって同定した。陽性クローンを配列決定により分析して、プライマーを、これらのマイクロサテライトを増幅するために設計した。
【0140】
DNA配列決定
目的とする領域の全体を最少数で覆う(covering the minimum tiling path)9個のBACをショットガンクローニングおよび配列決定により分析した。色素ターミネーター(ABI PRISM BigDye(商標))化学を蛍光自動化DNA配列決定のために使用した。ABI prism377配列決定装置を使用して、データを集め、そしてPolyphredソフトウエアと組み合わせたPhred/Phrap/Consedソフトウエアパッケージを使用して、配列を組み立てた。
【0141】
配列データベースにおけるエキソンの検索
エキソン/遺伝子を、DNAデータベースおよびタンパク質データベースに対するBLASTアラインメントによって検索した。
【0142】
cDNAライブラリーにおける新しいエキソンの検索
3’および5’の両方のRACE(cDNA端の迅速な増幅)を、Clontech laboratories Inc.から得られるMarathon−Ready(商標) cDNA、およびdeCODE geneticsで作製されたcDNAライブラリーを使用して行った。全脳、胎児脳および精巣に由来するcDNAライブラリーを使用した。
【0143】
エキソン予測ツールを使用する新しいエキソンの検索
遺伝子探索ソフトウエア(deCODE genetics)を使用して、エキソンが本発明者らの1.5Mb配列のどこに存在するかを予測した。これらの候補エキソンをcDNAライブラリーから増幅するプライマーを設計して、タッチダウンPCRを行い、生成物を配列分析によって確認した。
【0144】
エキソンの捕捉
エキソンを、Live technologiesから得られるエキソントラッピングキットを使用することによって「捕捉」した。プライマーを、これらの候補エキソンをcDNAライブラリーから増幅するために設計して、タッチダウンPCRを行い、生成物を配列分析によって確認した。
【0145】
全ゲノムスキャン
6以内の減数分裂事象で関連する罹患者に由来するサンプル、260名の罹患者および334名の関連する血縁者の遺伝子型を、950個のマイクロサテライトマーカーのマーカー集団を使用して決定した。1つの遺伝子座(8p21−8p11)を、150個のさらなる追跡マーカーを用いて再調査した。全ゲノムスキャンにおける260名の罹患者およびその血縁者に加えて、132名の罹患者および147名の入手可能な血縁者の遺伝子型もまた、8p21−11遺伝子座に対する150個のマイクロサテライトマーカーを使用して決定した。
【0146】
統計学的分析
連鎖分析を、Allegroソフトウエアを用いて行った。図1には、CS罹患家系(158名の罹患者、罹患者間における5マイオティック事象の最大距離)を使用した対立遺伝子共有モデルに対する結果が示される。
【0147】
確からしい精神分裂病遺伝子座(8p21−11における遺伝子座)の物理的マッピング
最大LODスコアが3に近い見出された最も重要な遺伝子座の物理的マッピングを、細菌人工染色体(BAC)を使用して行った。最初、遺伝子座は約30cMと広かった。この領域の小さい一部のみが以前に配列決定されていただけであり、塩基の総累積数は約5Mbであった。この領域におけるマーカーの発表された順序は正しくなく、そしてこの領域において知られている多型マーカーの大部分は放射ハイブリッドマッピングされていなかった。BACマップを用いた主目的は、この領域におけるすべての多型マーカーを高分解能(100〜150kb)で順序づけることであり、新しい多型マーカーを検索することであった。
【0148】
この領域に由来するプライマーを用いてBACライブラリーをスクリーニングすることによって、3000個のBACがハイブリダイゼーション法およびPCR法によって回収された。コンティグのマッピングを行った:これらのクローンのうちの940個が、PCRおよびハイブリダイゼーションによってコンティグに特定された。さらに、252個のさらなるBACが、フィンガープリント分析に基づいてコンティグに特定された(合計で1192個のBACクローンがコンティグに特定された)。マーカーの順序を訂正した後、最大lodスコアは3.1である(図1)。BACコンティグによって含まれる30cMのBAC領域における534個のマーカーの順序が、今回、新しく決定された。この物理的マップにより、多型マイクロサテライトマーカーおよびSTSマーカーの配置および設置が可能になった。BACを、BACコンティグからサブクローン化して、ハイブリダイゼーションによって新しいマイクロサテライトについて検索した。サンプルの遺伝子型を、平均して、遺伝子座全体で0.17cM毎の多型マイクロサテライトマーカーを使用して決定した。マイクロサテライトはAppendix IIに示される。
【0149】
物理的マッピング研究の結果、遺伝子座が約20cMに狭められた。この20cMの領域は4つの大きなコンティグ(それぞれが2〜10Mb)によって埋められた。主ピークは7cMを越えて広がり、この領域は1つのBACコンティグに存在した。4つのコンティグは、これらのコンティグにおける放射ハイブリッドマッピングされたマーカー、人工酵母染色体(YAC)マップからのデータに基づいて、そしてハプロタイプを家族内で比較することによって正しく配置された。本明細書中に記載されるようにマーカーの順序が訂正されたので、密集してマッピングされたマーカーを使用して、より正しいハプロタイプを再構築することができ、そして家族間で実質的な重なりを示す危険性ハプロタイプについて検索することができる。
【0150】
危険性ハプロタイプの同定
遺伝子座8p21−11
密集してマッピングされたマーカーに対する遺伝子型を使用して、罹患者のハプロタイプを構築して、個体の各家族内において3人以上の罹患者が保有する候補の危険性ハプロタイプを同定した。これらの候補ハプロタイプを家族間で比較することによって、これらのハプロタイプのいくつかが実質的な重なりを有することが見出された(図2)。罹患者において見出されたハプロタイプのコア(D8S1810からテロメア側の6個のマーカー、0.3Mb)が、患者の10%(調査した746染色体のうちの37個)で見出された。対照的に、対照の3%がこのハプロタイプを有していた(376のうちの6)。図2は、44名の患者のハプロタイプがこの危険性ハプロタイプの一部を有することを示している。図3は、配列決定されたBACSの順序の概略、および8p12の遺伝子座における危険性ハプロタイプの範囲を示している。
【0151】
連鎖分析およびハプロタイプ分析からの結果は、ニューレグリン1(NRG1)遺伝子および新しい遺伝子のニューレグリン1関連遺伝子1(NRG1AG1)に由来するエキソンを有する、8p12における1.5Mbのセグメントに存在する疾患感受性遺伝子の存在を強く示唆している。ニューレグリン1関連遺伝子1(NRG1AG1)に対する遺伝子は、米国特許出願第09/515,715号(代理人文書番号:2345.2005−000、発明の名称「ヒト精神分裂病遺伝子」)にさらに記載されている。これは、本出願と同時に出願され、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0152】
候補領域の配列
遺伝子座8p12
候補ハプロタイプが家族間で実質的な重なりを示した8p12におけるBACコンティグの1.5Mbの配列決定。この配列は、1つのコンティグに存在し、非常に注目される候補遺伝子のニューレグリン1(NRG1)を有する。
【0153】
遺伝子の同定
遺伝子座8p12
ニューレグリン1は、十分に特徴付けられた遺伝子であり、それに由来する多くのスプライス形態が研究されている。エキソン、一ヌクレオチド多型(SNP)およびエキソンを示す図が図4に示される。ニューレグリン1の新しいエキソンおよびスプライスバリアントが、cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって同定された。遺伝子およびそのスプライスバリアントはAppendix Iに示される。
【0154】
ニューレグリン1関連遺伝子1は新しい遺伝子であり、既知のタンパク質配列はこの新しい遺伝子に対して有意な相同性を示さない。エキソン、一ヌクレオチド多型(SNP)、ならびに欠失および挿入を示す図がAppendix IIに示される。この遺伝子はニューレグリン遺伝子内に含まれ、そして危険性ハプロタイプにより規定される1.5Mbの領域内に存在するので、この遺伝子もまた、精神分裂病に対する有力な候補遺伝子である。
【0155】
ニューレグリン1(NRG1)
ニューレグリン1(これはまた、ARIA、GGF2およびヘレグリンとも呼ばれる)は、単一遺伝子の選択的RNAスプライシングから生じる一群のポリペプチド因子である(Fischbach,G.D.およびRosen,K.M.、Annu.Rev.Neurosci.20:429〜458(1997);Orr−Urtreger,A.他、Proc.Natl Acad.Sci.USA、90:1746〜1750(1993);そしてまた、Corfas,G.他、Neuron、14(1):103〜15(1995)、およびMeyer,D.他、Development、124(18):3575〜86(1997)も参照のこと)。ニューレグリン1の基本的な構造は、N端領域、免疫グロブリン(Ig)モチーフ、グリコシル化が多いスペーサードメイン、EGF様ドメインおよび細胞質テールを含む(Fischbach,G.D.およびRosen,K.M.、Annu.Rev.Neurosci.20:429〜458(1997);Loeb,J.A.他、Development、126(4):781〜91(1999);Meyer,D.他、Development、124(18):3575〜86(1997)を参照のこと)。ニューレグリン1の全遺伝子配列は本明細書中に初めて示され、配列番号:1として示される。スプライシングバリアントは様々なポリペプチド配列をもたらし、例えば、配列番号:2〜配列番号:5までおよび配列番号:10〜配列番号:38までを有するそのような配列をもたらす。Appendix IIIには、スプライスバリアントの表が示される。Appendix IIIの表には、cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって見出された8個の新しいバリアントが含まれる。見出されたクローンのうちの1つ、クローンOG−49−2(Appendix IIIを参照のこと)は、以前に知られているクローンとは異なる。このクローンは、既知のN端領域、クリングル様ドメイン、そして3’末端におけるALUエキソンを有する。このクローンは、すべての以前に知られているニューレグリンクローンが有するようなEGF様ドメインを有しない。
【0156】
ニューレグリンは多くの組織で発現しており、中でも中枢神経系で発現している(例えば、Corfas,G.他、Neuron、14(1):103〜115(1995)を参照のこと)。ニューレグリン1遺伝子は、NMDA受容体の発現におけるその役割、上皮増殖因子受容体およびGABA(a)受容体サブユニットの活性化だけでなくAChR遺伝子発現の活性化におけるその役割、そしてまたGタンパク質シグナル変換カスケードにおける成分のその誘導を含む多くの理由で精神分裂病に関連していることが予想される。ニューレグリン1のこれらの活性のそれぞれを下記に簡単に議論する。
【0157】
ニューレグリンはNMDA受容体サブユニットの発現に関与している(Mohn,A.R.他、Cell、98(4):427〜36(1999))。NMDA受容体は、NR1サブユニットと、発達的および領域的に制御されたNR2サブユニット(A〜D)の選択とから構成される。正常な数のNR1サブユニットのわずかに5%のみを発現する遺伝子操作された変異体(マウス)は、精神分裂病的特徴を示し、従って今までのところ、おそらくは精神分裂病の最も良い齧歯類モデルである(同上)。
【0158】
ニューレグリンは、AChR遺伝子発現の強力な活性化因子である。筋肉におけるアセチルコリン受容体のmRNA発現を誘導すると提案されている神経シグナルにはニューレグリン(NRG)が含まれる。ニューレグリンは、SH2ドメインタンパク質SCHの動員を含むerbB受容体チロシンキナーゼに結合して、これを活性化し、続いてRas/Raf、MAPKカスケードを活性化することによってAChrの発現を増大させる(Lindstrom,J.、Mol.Neurobiol.15(2):193〜222(1997))。AChR類の病原性役割が、現在、神経変性疾患に対して、精神病に対して、ニコチン中毒に対して、変異から自己免疫応答にまで変化する機構を伴い、そして筋肉の弱化からてんかんにまで変化する徴候および症状を伴う多くの疾患で発見されている(同上)。精神分裂病のドーパミン仮説は、精神分裂病が過剰なドーパミンによって引き起こされることを示唆している。いくつかの類似した症状が、グルタミン酸受容体およびAchRに対するチャンネルブロッカーとして作用する、PCBのような薬物によって生じ得る。精神分裂病者の大きな割合はタバコ喫煙量が極めて多い。そのような精神分裂病者は自己治療することを試みようとしてもよいことが示唆されている。ニューレグリン遺伝子における変異は、AchR遺伝子の発現を変化させることがあり、そしてそのような機構によって疾患を発症させ得る。
【0159】
ニューレグリンの1つの重要な機能は、細胞の増殖および分化を制御することを助けるErbBファミリーの受容体との相互作用である。例えば、ニューレグリンは上皮増殖因子受容体のErbB3およびErbB4を活性化する(Zhu,X.他、EMBO J.14(23):5842〜8(1995);Kornblum,HI他、Dev.Neurosci.22(1−2):15〜24(2000))。NRG1およびErbB受容体が発達中の神経系において発現することは、神経冠系列における細胞の運命特定化、増殖および生存の制御を含む神経発達におけるそれらの役割を示している。最近の証拠は、ErbB3およびErbB4がCNSの発達において重要な役割を果たしていることを示している。精神分裂病の原因に関するいくつかの理論は、この疾患が不完全な脳発達によって引き起こされることを仮定しており、そして様々な研究により、神経の発達異常が精神分裂病には存在することが裏付けられている(Kornblum,H.I.他、Dev.Neurosci.22(1−2):15〜24(2000))。
【0160】
ニューレグリンはGABA(A)受容体β2サブユニットの発現を誘導する。サブユニット発現のこの増大には、機能的なGABA(A)受容体の増大が対応している(Rieff,H.I.他、J.Neurosci.19(24):10757〜66(1999))。1つの仮説は、精神分裂病の病態生理学がヒトの前頭葉前部皮質におけるGABA伝達の機能不全を伴い得るということである。側背側の前頭葉前部皮質の機能不全は、精神分裂病の病態生理学の中心的な特徴であると考えられ、そしてこの機能不全がγ−アミノ酪酸(GABA)神経伝達の変化に関連し得る(同上)。
【0161】
NRGシグナル変換経路の活性化により、Gタンパク質シグナル変換カスケードにおける成分の発現が誘導され得る(Fu,A.K.他、Mol.Cell Neurosci.14(3):241〜53(2000))。向代謝性(metabotropic)グルタミン酸受容体が、グルタミン酸作動性伝達の多数の局面におけるその関連性を考慮してこの十年間にわたりかなり注目されている。このファミリーのGタンパク質共役型受容体の分子生物学、薬理学および医化学の最近の進歩は、虚血および精神分裂病などの脳の障害および疾患におけるサブタイプ選択的調節因子に対する治療機会をもたらしている(Richardson−Burns,S.M.他、Biol.Psychiatry、47(1):22〜8(2000))。
【0162】
遺伝子が、エキソンが危険性ハプロタイプにより規定される1.5Mbの配列のどこに存在し得るかを予測することによって同定された。その後、プライマーが設計され、cDNAライブラリー(脳)がスクリーニングされた。
【0163】
変異分析
ニューレグリン(8p12)
ニューレグリン1遺伝子(180名の罹患者および180名の対照者に由来するDNA)の26個のすべてのエキソンを変異についてスクリーニングした。多数のSNPがエキソンにおいて見出された。これには、タンパク質におけるアミノ酸を変化させる4つのSNP、そして5’非翻訳領域および3’非翻訳領域において検出された4つのSNPが含まれる(図4;Appendix IIもまた参照のこと)。イントロン内のSNPが現在調査中である。数百個のSNPが、候補の危険性ハプロタイプにより同定される1.5Mbの領域において検出された。SNP、欠失および挿入がAppendix IIに示される。
【0164】
細菌人工クローン(BAC)
BACクローンのR−217N4、R−29H12、R−450K14、R−478B14、R−420M9、R−22F19、R−72H22、R−244L21、R−225C17、R−317J8およびR−541C15は、RCP111ヒトBACライブラリー(Pieter deJong、Roswell Park)に由来する。使用したベクターはpBACe3.6であった。これらのクローンを、LB/クロラムフェニコール(25μg/ml)/グリセロール(7.5%)を含有する94ウエルマイクロタイタープレートに移し、そして単一コロニーが配列決定によって確実に同定された後、−80℃で保存した。その後、これらのクローンは、適切な抗生物質クロラムフェニコール(25μg/ml)/スクロース(5%)を含むLB寒天平板において画線培養することができる。
【0165】
cDNAクローン−ニューレグリン1の新規なスプライスバリアント
PCR−RACEの生成物(ニューレグリン1)をpCRII−TOPOベクター(InVitrogen)に連結した。cDNAクローンは、ACF−6_30_8848、OG−49−2、OG−A1R−75、ACF−68、ACF−69、ACF−6_29_8848、ACF−6_28_8847およびACF−2_11_8847である。これらのクローンを、LB/アンピシリン(100μg/ml)/グリセロール(15%)を含有する94ウエルマイクロタイタープレートに移し、そして単一コロニーが配列決定によって確実に同定された後、−80℃で保存した。その後、これらのクローンは、適切な抗生物質、アンピシリン(100μg/ml)またはカナマイシン(50μg/ml)を含むLB寒天平板において画線培養することができる。
【0166】
本発明はその好ましい態様に関して特に示され、かつ記載されているが、形態および細部における様々な変化が、添付された請求項により規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そこで行われ得ることが当業者によって理解される。
【0167】
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【0168】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、8p21〜11の精神分裂病遺伝子座のノンパラメトリックなマルチポイント(nonparametric multipoint)LODスコアを示すグラフである。
【図2】図2は、精神分裂病に罹った個体において見られるハプロタイプを示す。多数のハプロタイプにおいて見られる部分を緑で示す。
【図3】図3は、配列決定したBACSの順番、および遺伝子座8p12における精神分裂病のリスクのあるハプロタイプの境界を示す。
【図4】図4は、遺伝子座8p12におけるエキソン、一塩基多型(SNP)、およびニューレグリン1のエキソンを示す。変異についてスクリーニングしたシリンダー(cylinder)について、Nは新規エキソン、白星印はSNP(コード)、黒星印はSNP(非翻訳)、白まるは5’エキソン、黒まるは3’エキソン、線はゲノムでの隣接を示す。
【図5】

Claims (58)

  1. ニューレグリン1遺伝子またはその断片もしくはバリアントを含有してなる単離された核酸分子。
  2. ニューレグリン1遺伝子が配列番号:1のヌクレオチド配列を有してなる請求項1記載の単離された核酸分子。
  3. 配列番号:2〜5および10〜38からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有してなるポリペプチドをコードする核酸。
  4. 配列番号:1および配列番号:1の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を含有してなる単離された核酸分子。
  5. 配列番号:1および配列番号:1の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする単離された核酸分子。
  6. 配列番号:2〜5および10〜38からなる群より選ばれるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする単離された核酸分子。
  7. 配列番号:1および配列番号:1の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を含有してなる第2の核酸分子と試料を高ストリンジェンシー条件下で接触させる工程を含む、試料中の第1の核酸分子の存在をアッセイするための方法。
  8. 調節配列に作動可能に連結された、配列番号:1、配列番号:1の相補体、ならびに配列番号:2〜5および10〜38のいずれか1つをコードする核酸からなる群より選ばれる単離された核酸分子を含有してなるベクター。
  9. 請求項8記載のベクターを含有してなる組換え宿主細胞。
  10. 単離された核酸分子の発現に好適な条件下で請求項9記載の組換え宿主細胞を培養する工程を含む、該核酸分子にコードされるポリペプチドの産生方法。
  11. 配列番号:2〜5および10〜38からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有してなる、ニューレグリン1遺伝子にコードされる単離されたポリペプチドまたは該ポリペプチドの断片もしくはバリアント。
  12. ニューレグリン1遺伝子が配列番号:1の配列または配列番号:1の相補体を有してなる請求項11記載の単離されたポリペプチド。
  13. 配列番号:2〜5および10〜38からなる群より選ばれるアミノ酸配列との同一性が約90%より大きいアミノ酸配列を含有してなる単離されたポリペプチド。
  14. 請求項11記載の単離されたポリペプチドを含有してなる融合タンパク質。
  15. 配列番号:2〜5および10〜38からなる群より選ばれるアミノ酸配列または該アミノ酸配列の断片もしくはバリアントと選択的に結合する、抗体またはその抗原結合断片。
  16. 試料中の請求項11記載の単離された核酸分子にコードされるポリペプチドの存在をアッセイする方法であって、該コードされるポリペプチドと特異的に結合する抗体と該試料を接触させる工程を含む、方法。
  17. ニューレグリン1遺伝子における多型を検出することを含み、ここで、該遺伝子における多型の存在が精神分裂病に罹りやすいことを示す、個体の精神分裂病に対する罹りやすさを診断する方法。
  18. 対照試料におけるニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの発現または組成と比較した、被検試料におけるニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの発現または組成の変化を検出することを含み、ここで、被検試料における該ポリペプチドの発現または組成の変化の存在が精神分裂病に罹りやすいことを示す、精神分裂病に対する罹りやすさを診断する方法。
  19. ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの発現または組成の変化が、対照試料において発現されたスプライシングバリアントポリペプチドとは異なるスプライシングバリアントポリペプチドの被検試料における発現を含む、請求項18記載の方法。
  20. ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの活性を変化させる因子の同定方法であって、
    a) 該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片を試験対象の因子と接触させる工程;
    b) 該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片の活性レベルを評価する工程;ならびに
    c) 該活性レベルを、該因子の非存在下での該ポリペプチドまたはその活性誘導体もしくは断片の活性レベルと比較する工程、
    を含み、ここで、該因子の存在下での該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片の活性レベルが、該因子の非存在下でのレベルとは統計学的に有意な量で異なるならば、該因子は該ポリペプチドの活性を変化させる因子である、方法。
  21. 請求項20記載の方法により同定可能な、ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの活性を変化させる因子。
  22. ニューレグリン1レセプター、ニューレグリン1結合因子、ペプチド擬似物、融合タンパク質、プロドラッグ、抗体およびリボザイムからなる群より選ばれる、ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの活性を変化させる因子。
  23. ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドを請求項22記載の因子と接触させる工程を含む、該ポリペプチドの活性を変化させる方法。
  24. ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドとニューレグリン1結合因子との相互作用を変化させる因子の同定方法であって、
    a) 該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片および該結合因子を試験対象の因子と接触させる工程;
    b) 該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片と該結合因子との相互作用を評価する工程;ならびに
    c) 該相互作用のレベルを、該因子の非存在下での該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片と該結合因子との相互作用のレベルと比較する工程、
    を含み、ここで、該因子の存在下での該ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片の相互作用のレベルが、該因子の非存在下での相互作用のレベルとは統計学的に有意な量で異なるならば、該因子は該ポリペプチドと該結合因子との相互作用を変化させる因子である、方法。
  25. 請求項24記載の方法により同定可能な、ニューレグリン1ポリペプチドとニューレグリン1結合因子との相互作用を変化させる因子。
  26. ニューレグリン1レセプター、第2のニューレグリン1結合因子、ペプチド擬似物、融合タンパク質、プロドラッグ、抗体およびリボザイムからなる群より選ばれる第1のニューレグリン1結合因子とのニューレグリン1ポリペプチドの相互作用を変化させる因子。
  27. ニューレグリン1ポリペプチドおよび/またはニューレグリン1結合因子を請求項26記載の因子と接触させる工程を含む、ニューレグリン1ポリペプチドとニューレグリン1結合因子との相互作用を変化させる方法。
  28. a) 請求項1記載の核酸またはその誘導体もしくは断片を含む溶液を試験対象の因子と接触させる工程;
    b) 該核酸、誘導体もしくは断片の発現レベルを評価する工程;ならびに
    c) 該発現レベルを、該因子の非存在下での該核酸、誘導体もしくは断片の発現レベルと比較する工程、
    を含み、ここで、該因子の存在下での該ヌクレオチド、誘導体もしくは断片の発現レベルが、該因子の非存在下での発現とは統計学的に有意な量で異なるならば、該因子はニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子である、方法。
  29. 請求項28記載の方法により同定可能な、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子。
  30. a) レポーター遺伝子と作動可能に連結された、ニューレグリン1遺伝子のプロモーター領域を含有してなる核酸を含む溶液を試験対象の因子と接触させる工程;
    b) 該レポーター遺伝子の発現レベルを評価する工程;ならびに
    c) 該発現レベルを、該因子の非存在下での該レポーター遺伝子の発現レベルと比較する工程、
    を含み、ここで、該因子の存在下での該レポーター遺伝子の発現レベルが、該因子の非存在下での発現レベルとは統計学的に有意な量で異なるならば、該因子はニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子である、
    ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子の同定方法。
  31. 請求項30記載の方法により同定可能な、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子。
  32. a) 請求項1記載の核酸またはその誘導体もしくは断片を含む溶液を試験対象の因子と接触させる工程;
    b) 該核酸、誘導体もしくは断片の発現を評価する工程;ならびに
    c) 該発現を、該因子の非存在下での該核酸、誘導体もしくは断片の発現と比較する工程、
    を含み、ここで、該因子の存在下での該ヌクレオチド、誘導体もしくは断片の発現が、該因子の非存在下での発現とは統計学的に有意な量で異なるならば、該因子はニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子である、
    ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子の同定方法。
  33. 該因子の存在下での該ヌクレオチド、誘導体もしくは断片の発現が、該因子の非存在下での1つまたはそれ以上のスプライシングバリアントの発現と種類または量において異なる1つまたはそれ以上のスプライシングバリアントの発現を含む、請求項32記載の方法。
  34. 請求項34記載の方法により同定可能な、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子。
  35. ニューレグリン1に対するアンチセンス核酸、ニューレグリン1ポリペプチド、ニューレグリン1レセプター、ニューレグリン1結合因子、ペプチド擬似物、融合タンパク質、そのプロドラッグ、抗体およびリボザイムからなる群より選ばれる、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる因子。
  36. ニューレグリン1遺伝子を含む細胞を請求項35記載の因子と接触させる工程を含む、ニューレグリン1遺伝子の発現を変化させる方法。
  37. DNA結合ドメインおよびニューレグリン1ポリペプチド、スプライシングバリアント、またはその断片もしくは誘導体をコードする核酸を含有してなる第1のベクター、ならびに転写活性化ドメインをコードする核酸と被験ポリペプチドをコードする核酸とを含有してなる第2のベクターを用いるツー酵母ハイブリッド系を使用することを含み、転写活性化が該ツー酵母ハイブリッド系において起こるならば、該被験ポリペプチドは、ニューレグリン1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドである、ニューレグリン1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドの同定方法。
  38. ニューレグリン1遺伝子またはその断片もしくは誘導体、ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチド、ニューレグリン1レセプター、ニューレグリン1結合因子、ペプチド擬似物、融合タンパク質、プロドラッグ、抗体、ニューレグリン1遺伝子発現を変化させる因子、ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの活性を変化させる因子、ニューレグリン1遺伝子にコードされるポリペプチドの転写後プロセッシングを変化させる因子、ニューレグリン1ポリペプチドとニューレグリン1結合因子との相互作用を変化させる因子、ニューレグリン1遺伝子にコードされるスプライシングバリアントの転写を変化させる因子およびリボザイムからなる群より選ばれるニューレグリン1治療剤。
  39. 請求項38記載のニューレグリン1治療剤を含有してなる医薬組成物。
  40. ニューレグリン1治療剤が、ニューレグリン1遺伝子またはその断片もしくは誘導体を含有してなる単離された核酸分子である請求項39記載の医薬組成物。
  41. ニューレグリン1治療剤が、配列番号:2〜5および10〜38からなる群より選ばれるポリペプチドである請求項39記載の医薬組成物。
  42. ニューレグリン1治療剤が、ErbB2、ErbB3、ErbB4、ErbB2/ErbB4のヘテロ二量体、ErbB2/ErbB3のヘテロ二量体およびErbB3/ErbB4のヘテロ二量体からなる群より選ばれるニューレグリン1レセプターである請求項39記載の医薬組成物。
  43. ニューレグリン1治療剤を個体に治療有効量で投与することを含む、個体の精神分裂病の治療方法。
  44. ニューレグリン1治療剤がニューレグリン1アゴニストである請求項43記載の方法。
  45. ニューレグリン1治療剤がニューレグリン1アンタゴニストである請求項43記載の方法。
  46. 外因性ニューレグリン1遺伝子およびニューレグリン1ポリペプチドをコードする核酸からなる群より選ばれる核酸を含有してなるトランスジェニック動物。
  47. a) 試料を、ニューレグリン1核酸の配列の一部の相補体と少なくとも部分的に同一である連続したヌクレオチド配列を含有してなる核酸と、ハイブリダイゼーションに適切な条件下で接触させる工程;ならびに
    b) ニューレグリン1核酸と、前記ニューレグリン1核酸の配列の一部の相補体と少なくとも部分的に同一である連続したヌクレオチド配列を含有してなる前記核酸との間でハイブリダイゼーションが起こったか否かを評価する工程
    を含む、ニューレグリン1核酸の存在について試料をアッセイするための方法。
  48. 連続したヌクレオチド配列を含有してなる前記核酸が、前記ニューレグリン1核酸の配列の一部の相補体と完全に同一である、請求項47記載の方法。
  49. 前記ニューレグリン1核酸の少なくとも一部の増幅を含む請求項47記載の方法。
  50. 前記連続したヌクレオチド配列が、100個以下のヌクレオチド長であり、かつa)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列と少なくとも80%同一であるか;b)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列の相補体と少なくとも80%同一であるか;またはc)前記ニューレグリン1核酸に選択的にハイブリダイズすることができるかのいずれかである、請求項47記載の方法。
  51. ニューレグリン1核酸のヌクレオチド配列の一部の相補体と少なくとも部分的に同一である連続したヌクレオチド配列を含有してなる核酸を含有してなる、ニューレグリン1核酸の存在について試料をアッセイするための試薬。
  52. 該核酸が、前記ニューレグリン1核酸のヌクレオチド配列の一部の相補体と完全に同一である連続したヌクレオチド配列を含有してなる、請求項51記載の試薬。
  53. a) ニューレグリン1核酸のヌクレオチド配列の一部の相補体と少なくとも部分的に同一である連続したヌクレオチド配列を含有してなる1つまたはそれ以上の標識核酸、および
    b) 該標識を検出するための試薬
    を別々の容器に含有してなる、ニューレグリン1核酸の存在について試料をアッセイするための試薬キット。
  54. 該標識核酸が、前記ニューレグリン1核酸のヌクレオチド配列の一部の相補体と完全に同一である連続したヌクレオチド配列を含有してなる、請求項53記載の試薬キット。
  55. ニューレグリン1核酸のヌクレオチド配列の一部の相補体と少なくとも部分的に同一であり、かつプライマー伸長条件下に維持したとき、前記ニューレグリン1核酸のプライマーとしての機能を果たしうる連続したヌクレオチド配列を含有してなる1つまたはそれ以上の核酸を含有してなる、ニューレグリン1核酸の存在について試料をアッセイするための試薬キット。
  56. ニューレグリン1核酸の存在について試料をアッセイするための、100個以下のヌクレオチド長であり、かつa)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列と少なくとも80%同一であるか;b)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列の相補体と少なくとも80%同一であるか;またはc)前記ニューレグリン1核酸に選択的にハイブリダイズすることができるかのいずれかである核酸の使用。
  57. 配列番号:1とは少なくとも1塩基の違いを有するニューレグリン1核酸の存在について試料をアッセイするための、100個以下のヌクレオチド長であり、かつa)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列と少なくとも80%同一であるか;b)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列の相補体と少なくとも80%同一であるか;またはc)前記ニューレグリン1核酸に選択的にハイブリダイズすることができるかのいずれかである核酸の使用。
  58. 精神分裂病に対する罹りやすさを診断するための、100個以下のヌクレオチド長であり、かつa)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列と少なくとも80%同一であるか;b)配列番号:1の連続したヌクレオチド配列の相補体と少なくとも80%同一であるか;またはc)前記ニューレグリン1核酸に選択的にハイブリダイズすることができるかのいずれかである核酸の使用。
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