JP2004513591A - 指向性マイクロフォン - Google Patents
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Abstract
複数のマイクロフォン素子(4、5、12、13)を有するマイクロフォンアレイ(3)を備える指向性マイクロフォンが開示される。それらのマイクロフォン素子のうち、素子(4)は後方素子であり、他の素子は前方素子である。プロセッサ(19、31)が素子に接続される。プロセッサは信号を処理するハードウェアプロセッサであってよく、また、信号を処理するソフトウェア制御システムであってもよい。プロセッサは、前方素子(5、12、13)のうちの1つにおける波の到来を判定した後、後方素子(4)におけるその波の受信のための機会ウィンドウを設定する。機会ウィンドウは、所定の方向から放射する波のみがその時間フレームにおいて到来するように設定され、それにより、その方向からの音波がマイクロフォンにより処理されることが可能になるとともに、異なる方向からの他の波は除去される。音波が受信され処理されるマイクロフォンの弧の角度は、機会ウィンドウt3−t2のサイズを変化させることによって設定可能である。ハードウェア実施例では、プロセッサはフィルタ(21、22)、ゼロ交差検出器(23、24)、単安定回路(25、26)およびフリップフロップ(28)を有し、タイミング信号をセットしフリップフロップ(28)をトリガしてスイッチ(29)を制御し、フィルタ(21、22)の帯域幅内の波が素子(4)に到来した場合、その波に対応するオーディオ信号が素子(4)からスイッチ(29)を通じて出力(30)に送信される。
【選択図】図7
【選択図】図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は指向性マイクロフォンに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在のマイクロフォン技術は多くの制限を有する。マイクロフォンは、録音または増幅される信号に最も多くの歪みを付加するとみなされるため、ハイファイシステムにおける最も弱いリンクである。スタジオおよび映画プロダクションもまたマイクロフォンの使用法により制約を受ける。一般に、マイクロフォンは、周囲からの不要な音のピックアップを最小にするために、対象の近くに配置される必要がある。これは視覚的に撮影の支障となる。有効なピックアップ範囲は限定されているため、静粛な環境での遠距離配置もまた問題となり得る。ライブインタビューのようなスタジオ外放送は、上記の制限を受けることに加えて、より一層高いレベルの多様な不所望の音の音源から悪影響を受け、その不所望の音はマイクロフォンによって受信され、したがってマイクロフォンが受信するべき必要な音響信号とともに送信されるおそれがある。
【0003】
指向性マイクロフォンについてのもう1つの主要な問題点は音色(すなわち、マイクロフォンの周波数応答)である。マイクロフォンを一方の側に向けることは周波数応答を変化させ、したがってマイクロフォンによって録音される人の音声を歪ませ得る。
【0004】
ほとんどの通常のマイクロフォンは、静電膜によって動作するエレクトレットコンデンサマイクロフォンか、または可動コイルによって動作するダイナミックマイクロフォンのいずれかである。エレクトレットマイクロフォンは、最も一般的に使用されるプロ向けのマイクロフォンである。マイクロフォンはいくつかの重要な特性、すなわち感度、周波数応答(音色)および指向性ピックアップパターン(極図式)を有する。感度および周波数応答の双方は一般に、エレクトレットマイクロフォンによって満たされる。ピックアップパターン(すなわち極図式)とは、相異なる方向からやって来る音に対する感度および周波数応答を指す。利用可能なピックアップパターンは、すべてのマイクロフォンに共通であり、基本的に次の4つのタイプがある:
全指向性。これは、全方向に一様な応答を提供し、一般に優れた音色を提供する。
【0005】
8の字形。これは、前および後ろからの音をピックアップするべきものであり、より高い周波数では良好な音色を有するが、低い周波数では不良な音色を有する。
【0006】
カージオイド。これは、おおよそ半円からの音をピックアップするべきものであり、より高い周波数では良好な音色を有するが、低い周波数では不良な音色を有する。
【0007】
ショットガン。例えば60〜120°の角度からの音をピックアップするべきものであり、一般に悪い音色を有する。
【0008】
ショットガン応答は、60〜120°の弧の概ね前方のピックアップパターンを有し、より低い周波数で応答が全指向性に向かうと、ピックアップパターンは非常に歪む。このタイプのマイクロフォンは一般に、群衆中でのインタビュー中および公開または屋外エリアのようなノイズの多い場所で音声を録音するために使用される。プロ向けの録音、特に音楽および映画作品には不適当である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、指向性マイクロフォンの性能を改善することである。
【0010】
本発明は、指向性マイクロフォンを提供する。この指向性マイクロフォンは、
音波を電気オーディオ信号に変換する少なくとも2個の離間したマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
それらのマイクロフォン素子から電気信号を受信する処理セクションとを有し、該処理セクションは:
素子のうちの1つにおける音波の到来を検出する検出手段と、当該の1つの素子から別の素子までの音波の伝搬時間に基づいて電気信号を出力側から送出することを選択的に可能にする方向識別手段とを有する。
【0011】
1つの素子から別の素子までの伝搬時間に基づいて信号が出力を通ることを選択的に可能にすることにより、所定の方向から伝搬する信号のみを出力側に送出できる。その理由は、同じ周波数の音波が相異なる方向から伝搬する場合、その波が前記1つの素子から前記別の素子まで伝わる伝搬時間は相異なるものとなり、その結果、その信号を阻止することが可能となるからである。したがって、マイクロフォンによって処理される所定の方向からの信号のみにより、該信号の対応するオーディオ信号が出力側から送出される。
【0012】
方向識別手段は、前記1つの素子から前記別の素子までの波の伝搬時間および音波の周波数の双方に基づいて、電気信号を出力側から送出することを選択的に可能にするのが望ましい。
【0013】
検出手段は、前記1つの素子によって検出されたオーディオ信号のゼロ交差を検出するゼロ交差検出器を備える。そのオーディオ信号は、前記1つの素子によって受信され、さらに電気信号に変換された音波に対応するのが望ましい。
【0014】
方向識別手段は、検出手段に応答してタイミング信号を出力するタイミング手段と、前記別の素子に結合されタイミング信号を受信するスイッチとを有する。スイッチは、タイミング信号を受信すると、電気オーディオ信号を前記別の素子から出力側から送出できるように作動可能である。タイミング信号の持続時間は、3次元の弧の角度を規定する時間帯域に依存し、さらに、タイミング信号の持続時間は前記1つの素子から前記別の素子までの音波の伝搬期間を規定するものであり、前記の3次元の弧の角度にわたり、電気信号を出力側から送出するように音波がマイクロフォンにより受信されマイクロフォンにより処理されるものである。
【0015】
方向識別手段は、電気信号を所定の帯域幅に制限するために電気信号をフィルタリングするフィルタ手段を有するのが望ましい。
【0016】
信号タイミング手段は、検出手段に接続された1対の単安定回路(monostable)を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間がタイミング信号の持続時間を規定するのが望ましい。
【0017】
単安定回路はANDゲートに接続され、単安定回路が双方ともハイ信号を提供するとき、ANDゲートは単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所望の持続時間の前記タイミング信号を提供するのが望ましい。
【0018】
ANDゲートはD型フリップフロップに接続されており、それにより、タイミング信号がフリップフロップにより受信されると共に電気信号が前記別の素子により受信されると、フリップフロップは、極性においてタイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される電気信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、フリップフロップの出力はスイッチに接続され、前記別の素子により生成される電気信号を出力側に供給することを可能にするようにスイッチを制御するのが望ましい。
【0019】
所定帯域内の周波数のみがスイッチに送信されるように、第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタがスイッチと前記別の素子の間に設けられるのが望ましい。
【0020】
音波が前記別の素子で受信されるときにフリップフロップをトリガするために、第2のゼロ交差検出器が第2のフィルタに接続される。その結果そのときに、信号がタイミング信号により設定される期間内に到来した場合にスイッチは作動し、その結果前記別の素子により生成される電気信号をスイッチ手段により出力側から送出することが許容されるのが望ましい。
【0021】
本発明の一実施形態では、処理セクションは、複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有し、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出する。
【0022】
この実施形態では、アレイ内のそれぞれの処理セクションの1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する。
【0023】
本発明の一実施形態では、前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、それぞれの前方素子はそれぞれの前記処理アレイに接続され、それぞれの処理アレイは、前記後方素子と、処理アレイからの出力をミクシングしてオーディオ出力信号を提供するオーディオミクサとの双方に接続される。
【0024】
複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、それぞれの素子は実質的に直線上にあるのが望ましい。
【0025】
方向識別手段は、タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、音響信号を受信し処理して電気信号を出力側から送出できるのが望ましい。
【0026】
制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように単安定回路を制御するコントローラを備えるのが望ましい。
【0027】
また、本発明は、指向性マイクロフォンを提供し、この指向性マイクロフォンは、
マイクロフォンにより受信される音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
マイクロフォン素子からオーディオ電気信号を受信し、所定の位相差の範囲内に入る位相差を有する信号を出力側に供給できるようにする処理手段とを有し、前記位相差の範囲は、音波の3次元の弧の角度をセットするものであり、該3次元の弧の角度にわたり入射する音波は、出力側から出力信号を送出するようにマイクロフォンにより受信されマイクロフォンにより処理される。。
【0028】
こうして、位相差の範囲を選択することにより、有効な3次元の弧の角度、したがってマイクロフォンの指向性を制御でき、その結果、弧のその範囲内に放射する信号がマイクロフォンからの出力を提供するためにマイクロフォンにより処理されるようになる。
【0029】
一実施形態では、処理手段は、
音波が1つの素子により検出されていることを示す第1出力を提供する第1回路手段と、
第1回路手段の出力に応答してタイミング信号を提供する第2回路手段と、
別の素子に結合され、別の素子により生成されるオーディオ信号を出力へ選択的にスイッチングするスイッチ手段を有する第3回路手段と、
前記別の素子における音波の到来を示す第2出力を提供する第4回路手段と、
第2および第4回路に結合され、第4回路からの出力およびタイミング信号に応答して、タイミング信号の持続時間中、第2出力信号の受信直後に、前記別の素子からのオーディオ信号がスイッチ手段により出力側から送出されるようにスイッチを作動させるスイッチ制御回路とを有する。
【0030】
第2回路は、検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間がタイミング信号の持続時間を規定するのが望ましい。
【0031】
単安定回路はANDゲートに接続され、その結果単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、ANDゲートは単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供するのが望ましい。
【0032】
ANDゲートはD型フリップフロップを含むスイッチ回路に接続され、タイミング信号および第2出力の双方がフリップフロップにより受信されると、フリップフロップは、極性においてタイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される電気オーディオ信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成し、フリップフロップの出力はスイッチに接続され、前記別の素子により生成される電気信号を出力側に供給できるようにスイッチを制御するのが望ましい。
【0033】
所定帯域内の周波数のみがスイッチに送信されるように、第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタが第3回路と前記別の素子の間に設けられるのが望ましい。
【0034】
第4回路は、音波が前記別の素子で受信されると、フリップフロップをトリガするゼロ交差検出器であり、そのときに、信号がタイミング信号によりセットされる期間内に到来した場合にスイッチは作動し、前記別の素子により生成される電気信号はスイッチ手段により出力側から送出されることが許容されるのが望ましい。
【0035】
本発明の一実施形態では、処理手段は、複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有し、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出するものである。
【0036】
この実施形態では、アレイ内のそれぞれの方向識別手段の1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する。
【0037】
本発明の一実施形態では、前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、それぞれの前方素子はそれぞれの前記処理アレイに接続され、それぞれの処理アレイは、前記後方素子と、処理アレイからの出力をミクシングしてオーディオ出力信号を提供するオーディオミクサとの双方に接続される。
【0038】
複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、それぞれの素子は実質的に直線上にあるのが望ましい。
【0039】
第2回路は、タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、音響信号を受信し処理して電気信号を出力側から送出できるのが望ましい。
【0040】
制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように単安定回路を制御するコントローラを備えるのが望ましい。
【0041】
またさらに、本発明は、指向性マイクロフォンを提供し、この指向性マイクロフォンは、
音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
第1の素子に結合され、第1の素子からオーディオ信号を受信し、第1の素子による音波の受信を示す第1出力を提供する第1回路と、
第1回路からの出力を受信し、第1の素子から別の素子までの音波の伝搬のための機会ウィンドウ(window of opportunity)を提供する所定期間を示すタイミング信号を生成する第2回路と、
別の素子からの出力オーディオ信号を受信し、前記別の素子による音波の受信を示す第2出力を提供する第3回路と、
第2および第3回路に接続され、第2回路により提供されるタイミング信号の持続時間中の第2出力に応答してスイッチ制御信号を提供する第4回路と、
前記別の素子に結合され、前記別の素子により生成されるオーディオ信号を受信し、また第4回路にも接続され、第4回路からスイッチ制御信号を受信し前記別の素子からのオーディオ信号を出力側へスイッチングするスイッチ手段とを有する。
【0042】
第2回路は、検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間がタイミング信号の持続時間を規定するのが望ましい。
【0043】
単安定回路はANDゲートに接続され、単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、ANDゲートは単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供するのが望ましい。
【0044】
第4回路はD型フリップフロップでありANDゲートは該フリップフロップに接続されており、タイミング信号がフリップフロップにより受信され電気信号が前記別の素子により受信されると、フリップフロップは、極性においてタイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される電気オーディオ信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、フリップフロップの出力はスイッチに接続され、前記別の素子により生成される電気信号を出力側に供給できるようにスイッチを制御する。
【0045】
第1回路は、オーディオ信号を信号の所定の周波数帯域幅に制限する第1フィルタを有するのが望ましい。
【0046】
第3回路は、第1フィルタと実質的に同一の第2フィルタを有し、該第2フィルタは、所定帯域内の周波数のみがスイッチに送信されるように、スイッチ手段と前記別の素子の間に設けられるのが望ましい。
【0047】
第3回路は、音波が前記別の素子で受信されるときにフリップフロップをトリガするために第2フィルタに接続された第2ゼロ交差検出器を有し、したがってそのときに、信号がタイミング信号により設定される期間内に到来した場合にスイッチは作動し、前記別の素子により生成される電気信号はスイッチ手段により出力側から送出されることが許容されるのが望ましい。
【0048】
本発明の一実施形態では、複数の前記第1回路、第2回路、第3回路、第4回路およびスイッチ手段からなる処理アレイが設けられる。
【0049】
この実施形態では、アレイ内のそれぞれの第1回路および第3回路の1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する。
【0050】
本発明の一実施形態では、前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、それぞれの前方素子はそれぞれの前記処理アレイに接続され、それぞれの処理アレイは、前記後方素子と、処理アレイからの出力をミクシングしてオーディオ出力信号を提供するオーディオミクサとの双方に接続される。
【0051】
複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、それぞれの素子は実質的に直線上にあるのが望ましい。
【0052】
第2回路は、タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記3次元の弧の角度にわたり、音響信号を受信し処理して電気信号を出力側から送出できるのが望ましい。
【0053】
制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように単安定回路を制御するコントローラを備えるのが望ましい。
【0054】
第1素子と第2素子は、第1素子により受信するべき最短波長音響信号の波長の4分の1より小さい距離だけ離れるのが望ましい。
【0055】
それぞれの前方素子は、それらのそれぞれの素子により受信するべき最短波長の4分の1波長より小さい距離だけ、後方素子から離間されるのが望ましい。
【0056】
また、本発明は、
音波を電気オーディオ信号に変換する少なくとも2個の離間したマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイを有する指向性マイクロフォンのための処理セクションを提供し、
前記処理セクションは、素子から電気信号を受信するための入力と、
1つの素子における音波の到来を検出する検出手段と、
前記1つの素子から別の素子までの音波の伝搬時間に基づいて電気信号を出力側から送出することを選択的に可能にする方向識別手段とを有する。
【0057】
またさらに、本発明は、マイクロフォンにより受信される音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を含むマイクロフォンアレイを有する指向性マイクロフォンのための処理セクションを提供し、該処理セクションは、
マイクロフォンから電気オーディオ信号を受信する入力手段と、
所定の位相差の範囲内に入る位相差を有する信号が出力側に供給されることを可能にする処理手段とを有し、該位相差の範囲は、音波の3次元の弧の角度を設定するものであり、前記の3次元の弧の角度にわたり入射する音波を、出力側から出力信号を送出するためにマイクロフォンにより受信し処理セクションにより処理できる。
【0058】
またさらに、本発明は、音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイを含む指向性マイクロフォンのための処理セクションを提供し、該処理セクションは、
第1の素子に結合され、第1の素子からオーディオ信号を受信し、第1の素子による音波の受信を示す第1出力を提供する第1回路と、
第1回路からの出力を受信し、第1の素子から別の素子までの音波の伝搬のための機会ウィンドウを提供する所定期間を示すタイミング信号を生成する第2回路と、
別の素子からの出力オーディオ信号を受信し、該別の素子による音波の受信を示す第2出力を提供する第3回路と、
第2および第3回路に接続され、第2回路により提供されるタイミング信号の持続時間中の第2出力に応答してスイッチ制御信号を提供する第4回路と、
前記別の素子に結合され、前記別の素子により生成されるオーディオ信号を受信し、また第4回路にも接続され、第4回路からスイッチ制御信号を受信し前記別の素子からのオーディオ信号を出力側へスイッチングするスイッチ手段とを有する。
【0059】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明の一実施形態によるマイクロフォンに入射する音波を示す。マイクロフォンは、複数のマイクロフォン素子を備えるマイクアレイ3によって表されている。この実施形態では、2個のマイクロフォン素子4および5が設けられている。マイクロフォン素子は、静電膜または可動コイル型デバイスのような、音波を電気オーディオ信号に変換する任意の適当なトランスデューサの形態のものでよい。
【0060】
図1において、音源1から放射される音波2はマイクアレイ3により受信される。アレイ3は、マイクアレイ3の軸、すなわち素子4と5を結ぶ線が、波2の伝搬方向と平行になるように配置される。換言すれば、マイクロフォンは、マイクロフォンの指向性軸を表す矢印6によって示されるように、音源1に直接向けられる。
【0061】
図2は、マイクアレイ3に入射する音波を示す図である。音波は、周知のように、破線8により示される山および谷を有するとともに、ゼロ交差9も有する。すなわち、山は一方の向きにおける最大振幅を示し、谷は反対の向きにおける最大振幅を示し、ゼロ交差9は振幅ゼロである。
【0062】
素子4と5の間の距離は、マイクロフォンが受信するべき最短波長の4分の1波長より小さい量である。
【0063】
図1および図2から明らかなように、音波がマイクロフォンの軸の方向に伝搬している場合(その軸は矢印6により表される)、ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬するのに要する距離は図2の距離10により示され、これは軸6の方向における素子4と5の間の距離である。
【0064】
図3は、図2と同様の例を示しているが、音波はマイクロフォンとある角度をなして伝搬している。この例では、ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬するのに要する距離は図3の距離Xにより示され、これは図2の距離10より小さい。
【0065】
図4は、音波がマイクロフォンの軸と直角の方向に伝搬している場合を実質的に示している。この場合、ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬する距離はゼロである。その理由は、ゼロ交差点(図4の番号9により示される)は素子4および5の双方に同時に入射するからである。
【0066】
このように、素子4および5への波の入射角が、波がマイクロフォンの軸の方向に伝搬している図1および図2の状況から、図4に示されるようなマイクロフォンに垂直な方向へと変化するにつれて、ゼロ交差点が素子5から素子4まで伝搬するのに要する距離は減少する。したがって、ゼロ交差点が素子5から素子4まで伝搬するのにかかる時間もまた、いかなる所与の周波数に対しても減少する。なぜなら音波の伝搬速度は方向にかかわらず同じであろうからである。上で注意したように、これは、音波のゼロ交差点がまず前方素子5に入射してから後方素子4に入射するまで伝搬するのに要する距離は、マイクロフォン軸に対する音波のなす角が図1および図2の状況から図4の状況へと増大するにつれて減少するからである。音波がマイクロフォンの後方から放射されていると仮定される場合、図1〜図4に示した状況に対して相対的に見て、前方素子5から後方素子4まで伝搬する距離は実効的に負の距離であり、かかる時間は負の時間となる。
【0067】
ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬するのに要する距離の差は、波の位相で表現することができる。例えば、図2の状況では、位相差は実質的におよそ90°である。その理由は、素子4と5の間隔は、音波の波長の4分の1よりほんのわずかに小さいからである。これは、検出器4と5で受信される波の間の位相差が常に0°と90°の間にあることを保証する。
【0068】
図5は、位相差と、音波がその伝播の際マイクロフォンの軸6に対してして成す角度との間の関係を示す。
【0069】
図5のトレースAからわかるように、図1および図2の場合のような角度ゼロでは、位相差は図2に表されているようにおよそ90°である。図4の場合のような90°では、位相差は0°であり、ゼロ交差点が素子4および5に同時に到来することを示す。したがって、適切な位相差の範囲を選択することによって、マイクロフォンの3次元の弧の角度、換言すれば前方開口(forward aperture)を選択することができる。例えば、図5を参照すると、図5に示されるように80°と90°の間の位相差範囲が選択される場合、3次元の弧の角度は、例えば−20°から20°までとなる。それにより、マイクロフォンの実効的な指向性の弧の角度は40°となる。その範囲がおよそ90°に限定される場合、実効的な弧の角度は0°であり、これは図1および図2において矢印6の方向に放射する音のみをマイクロフォンにより処理できることを意味する。したがって、実効的な弧の角度は、前方素子5および後方素子4によるゼロ交差点の受信の間の時間差に云いかえられる。所与の温度において空気中で、音波が前方素子5から後方素子4まで伝搬する時間に厳密に等しいタイミング差が時間taのように提供される場合、これは上で参照した90°の例に等価であり、軸6の方向から受信される放射のみがマイクロフォンにより処理されることになる。しかし、その時間にta+Δta2または−Δta1のような許容差あるいは範囲が与えられる場合、そこから音が受信されることが可能な角度の範囲は広がる。その範囲が大きいほど、明らかに角度も大きい。したがって、非常に精密な指向性に対してはΔta1は非常に小さいが、あまり精密でない、より大きい3次元の弧の角度に対してはΔta1はより大きい。これは、後で図7Aを参照してさらに詳細に説明されるであろう。
【0070】
図5のトレースAは、図1および図2に示した第1周波数の波の状況を表す。図5において破線で示されるトレースBは、より大きい波長すなわちより低い周波数の音波に対する状況を示す。理解されるように、より低い周波数の信号Bに対して同じ考え方が当てはまり、その周波数に対してマイクロフォンにより受信し処理するべき所望の3次元の弧の角度を提供するために適切な位相差角度を選択することによって、音を所定の方向に限定できる。
【0071】
図6は、追加の前方素子12および13もまた含まれる本発明の第2実施形態を示す。したがってこの実施形態では、マイクロフォンアレイ3は後方素子4、ならびに前方素子5、12および13を有する。後方素子4から各素子5、12または13までの距離は、図6の矢印9、14および15により表されている。好ましくは、矢印9、14および15により示されるように、その距離は比例的に増大する。前方素子の個数を増やす理由は後で説明される。
【0072】
図7は、本発明の第1実施形態によるブロック図である。図7を参照すると、マイクアレイ3は、後方素子4および前方素子5を有するように示されている。素子4および5は、素子4および5により生成される電気信号を増幅する増幅器17および18に接続されてもよい。
【0073】
素子4および5は処理セクション19に接続される。処理セクション19は、増幅器17を介して素子5に接続される第1バンドパスフィルタ20と、増幅器18を介して後方素子4に接続される第2の同一のフィルタ21とを備える。バンドパスフィルタ20およびバンドパスフィルタ21は、素子4および5により検出される音波に応答してオーディオ周波数の狭い帯域幅を選択するために、狭い。したがって、フィルタ20および21の狭い帯域幅の周波数に対応する音波のみがフィルタ20および21を通過する。フィルタ20は第1ゼロ交差検出器23に接続される。検出器23は1対の単安定回路25および26に接続される。単安定回路25は、素子5により生成される電気オーディオ信号のゼロ交差に対応する音波のゼロ交差が素子5で生起するときに、検出器23からの出力時に負極性のパルスを生成する。単安定回路26は、素子5による音波のゼロ交差の検出に応答して、検出器23からの出力の受信時に、より長い正極性のパルスを生成する。単安定回路25および26の出力はANDゲート27に接続される。ANDゲート27はD型フリップフロップ28のD入力に接続される。バンドパスフィルタ21は、ゼロ交差検出器24に接続されるとともに、電子スイッチ29にも接続される。ゼロ交差検出器24はフリップフロップ28のC入力に接続される。フリップフロップ28の出力Qはスイッチ29を制御するためにスイッチ29に接続される。スイッチ29は、バンドパスフィルタ20および21と同一である狭バンドパスフィルタ22に接続される。
【0074】
音響信号が前方素子5により検出されると、音響信号は素子5により電子形態に変換され、増幅器17によりフィルタ20に渡される。音響信号がフィルタ20の帯域幅内にある場合、信号はゼロ交差検出器23に送られる。ゼロ交差点が検出されるとすぐに、検出器23は信号を単安定回路25および26に出力する。単安定回路25および26が信号を受信すると、単安定回路は、それらの正および負のパルスを出力する。
【0075】
図7Aに最もよく示されるように、単安定回路25からの負のパルスは、単安定回路26からの正のパルスより短い持続時間を有し、ANDゲート27に供給される時間t3−t2のハイ信号の重なりを生じている。期間t3−t2に存在するハイ信号により、ANDゲート27の出力はハイになり、このハイ信号がフリップフロップ28の入力Dに印加される。
【0076】
期間t3−t2は、音響信号が前方素子5から後方素子4まで伝搬することができる時間範囲を表し、この時間範囲では音響信号は、しかも後で説明するようにマイクロフォンにより受容される3次元の弧の角度内にあるとして受容できる。図7Aに示されるように、時間taは、0°の角度が受容される(すなわち軸6の方向の音波のみ)前述の時間を表し、一方−Δta1および+Δta2は例えば−20°と20°の間の範囲を提供し、これはマイクロフォンにより受容できる40°の3次元の弧を与える。明らかに、Δta1を小さくすることによって、マイクロフォンにより受信される弧の角度は縮小し、したがってマイクロフォンの指向性の精度は増大する。ゼロ交差点が検出器23により受信され出力が単安定回路25および26に供給される時刻t1と、時刻t2との間の時間は、マイクロフォンにより音信号を受信しその音信号を処理するための機会ウィンドウが開始する前に、音波が前方素子5から後方素子4に向かって伝搬するのにかかる時間を表す。期間t3−t2は、期間Δta1を変化させながら期間Δta2を実質的に一定に維持することによって調整される。全期間ta−t1は、好ましくは、期間t2−t1に比例するように常に維持される。時間t2−t1は開口のうち信号を取らない部分であり、Δtaであるt3−t2は、機会ウィンドウすなわち信号が受信され出力側に供給される期間である。時間Δta2は、図7AではΔta1と同じサイズとして示されているが、一般にはより一層小さく、コンポーネントの許容差の程度を表す。
【0077】
こうして、素子4により受信され対応する電気オーディオ信号がフィルタ21を通過する同じ周波数の同じ音波が、フリップフロップ28の入力Cに出力を提供するように、ゼロ交差検出器24をもトリガする。Cで入力が受信されると、Dにおける入力のステータスがQに転送され、これが図7Aに示されるような時間t3−t2における場合のように正である場合、出力は正であり、それによりスイッチ29をトリガしてスイッチ29を閉じる。こうして、フィルタ21を通過する信号はそれゆえスイッチ29を通ってフィルタ22へ、したがって出力30へ伝えることができる。こうして、マイクロフォンから出力される信号は、マイクロフォンの要求される3次元の弧の角度内で受信されている信号を示す出力30における信号のみであり、それにより、選択され処理されることが要求される指向性信号のみが実際にマイクロフォンにより処理され、利用のために出力側に送信されることを保証する。
【0078】
バンドパスフィルタ22は、単安定回路25および26、ANDゲート27ならびにフリップフロップ28により受信される信号に応答してスイッチ29のスイッチオンに起因して生じ得る小さいギャップを満たす際に特別の役割を果たす。いかなるフィルタも、ベルのリンギングに類した態様で短期間その出力をリンギングすなわち維持する固有の能力を有する。この効果は、マイクロフォンからの信号の拒絶により一瞬阻止された信号の欠落部分を再構成するために使用される。こうして、マイクロフォンにより生成される音は、明らかないかなる不連続性もない連続的な音となる。
【0079】
図8は、図7の実施形態の発展形を示す。図7ではフィルタ20、21および22の帯域幅によって提示されるような単一の帯域幅のみがマイクロフォンにより処理される。明らかに、実際には、広範囲の周波数がマイクロフォンにより扱われる必要があり、これを達成するため、処理回路19は信号処理アレイ31内で複数回実効的に2重化されている。図8に示されるそれぞれのプロセッサ19は、それらのプロセッサのそれぞれに含まれていたフィルタ20、21および22の帯域幅が異なり、累積されると広い帯域幅カバレジを提供することを除いては、図7を参照して示された構成と同一である。図8の例では、4個のプロセッサ19のみがアレイ31内に示されている。しかし、実際にははるかに多数が含まれるであろう。したがって、それぞれのプロセッサ19は図7を参照して説明した態様で個別の帯域幅を有効に扱い、すべてのプロセッサ19の出力がオーディオミクサ32に供給され、オーディオミクサ32はそれらの出力を受信し、出力をミクシングして最終出力信号33を提供する。図8のぞれぞれのプロセッサ19は、図7の実施形態の通り単安定回路25および26を備える。ただし、単安定回路25および26の出力持続時間は、それらのプロセッサ19のそれぞれにおけるフィルタにより通過させるべき相異なる周波数に対応して相異なる。
【0080】
図9は、図6の実施形態に適用可能なブロック図であり、図6に示したように、3個の前方素子が設けられ、後方素子4から距離9、14および15だけ離間される。
【0081】
この実施形態では、素子4、5、12および13は増幅器18、17、35および36に接続され、増幅器からの出力は処理アレイ31に接続される。理解されるように、後方素子4はそれぞれの処理回路31に接続され、素子5、12および13は処理素子31のうちの1つに接続される。
【0082】
処理素子31は、図8に示した素子31と同じであり、多重の図7の処理回路19から構成される。これらの素子は、図8および図7を参照して説明した素子31および素子19と全く同じ方式で作用する。しかし、それぞれのアレイ31は、それぞれの素子5、12または13と素子4との間隔に対応する相異なるΔta期間を有するであろう。この実施形態では、それぞれの処理回路31は、相異なる波長すなわち周波数範囲を扱うべきものである。例えば、素子5に接続されているいちばん上の回路31は、図8の素子31と全く同じ方式で機能し比較的短い波長を扱い、素子12に接続された後方素子4からはより一層大きい距離だけ離れている第2の回路31はより一層長い波長を扱い、素子13に接続されているいちばん下の回路31はさらに長い波長を扱うことになる。回路31は、出力38を提供するためにミクサ37に接続される。
【0083】
図6および図9の実施形態の場合のように、複数の前方素子の使用により、ただ1つの前方素子が使用される実施形態よりもより一層容易に、より高い周波数を扱うことが可能となる。その理由は、より低い音周波数では位相差が非常に小さくなるため、後方素子4と前方素子5の間の単一距離でのゼロ交差の電子的弁別は信頼できなくなるからである。より多くの前方素子を使用することにより、より低い音周波数すなわちより大きい波長は、後方素子4とそれぞれの前方素子の間の間隔が大きくなるため、より一層良好に扱うことができる。
【0084】
図10は、マイクロフォンにより受信可能な3次元の弧の角度の極図式を示す。明らかに、図には2次元のみが示されているが、理解されるように、図7Aにおいて時刻t2とt3の間の適当な持続時間を選択することによって、マイクロフォンにより受信され送信される3次元の弧の角度を選択することができる。図10に示される例では、マイクロフォンは、前方軸39と、マイクロフォンにより受信され処理される3次元の弧の角度40とを有する。領域41に放射し領域40外に外れる信号はマイクロフォンにより処理されず、したがって利用のために出力へ送信されない。
【0085】
図11は、図7の実施形態へのさらなる変更を示す。この実施形態では、処理セクション19は、低レベル信号検出器42および電子スイッチ43からなるノイズゲートを有する。こうして、出力30で受信される低レベル信号は検出器42により検出され、検出器42がスイッチ43を開くことにより、出力信号30が最終出力44に送信されないようにしている。
【0086】
この実施形態はまた、ユーザ調整可能な開口コントロール45を含んでもよい。開口コントロール45は、単安定回路25および26に接続されてそれらのタイミングを変化させることにより、マイクロフォンにより受信され処理される前方開口すなわち3次元の弧の角度(図10に示される弧40のような)の変化を可能にする。コントロール45は、マイクロフォン3により受容され処理されることになる3次元の弧の角度を変化させるために、図7Aに示した時間Δta1、したがって時間間隔t3−t2を実効的に変化させる。こうして、マイクロフォンの指向性の度合いを、コントロール45の制御により調整できる。
【0087】
明らかに、図8および図9の実施形態におけるそれぞれの処理セクション19は、図11に含まれる変更を含むことも可能である。
図12は、図8の実施形態のさらなる発展形を示す。図12では、オーディオコンプレッサ46が増幅器17および18と処理アレイ31との間に挿入結合される。これは、固定の圧縮レベルによりノイズ低減を改善するものであり、さまざまなオーディオ信号処理段階に対する高いオーディオ信号レベルを生成し、それにより、オーディオ信号処理中に生成されるいかなるノイズも、その後オーディオ信号をその適正な形態に復元する固定の圧縮解除レベルのオーディオデコンプレッサ47によって低減される。
もう1つの変更は、オーディオ圧縮の選択されたレベルを最終出力53における処理済み出力に送出するための、ユーザ調整可能な自動利得制御50を含む。
【0088】
もう1つの変更は、ユーザ調整可能なアンビエンスコントロールを提供する。これによれば、ローパスオーディオフィルタ48の後に音量コントロール49が続き、その出力がオーディオミクサ32に供給される。
【0089】
もう1つの変更は、ユーザ調整可能なトーンコントロール51を提供する。これにより、バスコントロールまたはトレブルコントロールのようなオーディオ機能が可能となる。最後に、さらなる改善は、ユーザ調整可能なオーディオ増幅器52を提供する。これは、バランスされた処理済みオーディオ出力53を追加的に提供する音量コントロールとして作用する。
【0090】
図13、図13A、図13B、図13Cおよび図13Dは、先の実施形態でのようにハードウェアコンポーネントによる信号の処理ではなく、信号のソフトウェア制御処理を含む、本発明の実施形態である。
【0091】
図13を参照すると、双方の実施形態で使用される処理システムが示されている。この実施形態では、後方素子54は前述の後方素子4に対応し、前方素子55(図示の例では3個)は素子5、12および13に対応する。素子54〜55は増幅器56に接続され、増幅器56の出力はそれぞれアナログ−ディジタル変換器57に接続される。アナログ−ディジタル変換器はマイクロプロセッサ58に接続され、マイクロプロセッサ58は後で説明するようなすべての信号処理を実行する。プロセッサ58の出力はディジタル−アナログ変換器59に接続され、変換器59の出力は増幅器60に接続され、増幅された出力61を提供する。
【0092】
図13Aは、ソフトウェア具現化された一実施形態によるプロセッサ58の例であり、この図に示されるブロックは、プロセッサ58により具現化される処理プロトコルを表す。図13Aに示される複数のモジュールはプロセッサ58に含まれ、モジュールは有限インパルス応答または無限インパルス応答フィルタ90および91を含む。フィルタ90への入力は素子54からであり、図13Aでは符号88により表され、他の前方素子55のうちの1つからの入力はフィルタ91への入力89により表される。フィルタ90および91は位相プロセッサ902に接続され、それはスイッチ93を制御する。スイッチ93は、もう1つの有限インパルス応答または無限インパルス応答94に接続され、出力95を提供する。
【0093】
図13Bには、第2の実施形態が示されており、素子54と、前方素子55の1つとにそれぞれ対応する入力96および97が、それぞれ高速フーリエ変換プロセッサ98および99に結合されている。高速フーリエ変換プロセッサ98および99は位相処理セクション100に接続される。セクション100の出力は逆高速フーリエ変換プロセッサ101に接続され、プロセッサ101の出力はオプションの出力処理回路102に接続され、出力103を提供する。
【0094】
図13Cを参照すると、図13および図13Aのソフトウェア制御処理の動作の流れ図が示されている。理解されるように、プログラムはステップ115から開始される。ステップ116で、プロセッサ58により受信された信号のサンプルが取得され、ステップ117で、信号のサンプルはフィルタ90および91を通される。ステップ118で、チャネル1でゼロ交差が発生したかどうかについての判定がなされる。それは、前方素子55のうちの1つから受信される信号に対応する。判定結果がYESである場合、プロセスはステップ119に進み、ソフトウェア制御タイマがトリガされ、実効的に、オーディオ信号が後方素子54により受信されることが可能な機会ウィンドウである時間をセットする。ステップ120で、ソフトウェアはチャネル2でゼロ交差を探索する。それは後方素子54から受信されている信号を識別判定する。判定結果がYESである場合、プロセスはステップ121に進み、そのゼロ交差がソフトウェアタイマのトリガによってセットされた時間ウィンドウ内に入るかどうかの判定がなされる。判定結果がYESである場合、プログラムはステップ122に進み、イネーブルフラグを1にセットする。判定結果がNOである場合には、ステップ123でイネーブルフラグがクリアされる。
【0095】
ステップ124で、フラグの設定について判定がなされ、フラグが1にセットされている場合、ステップ125に従ってチャネル2の出力が供給される。判定結果がNOである場合、出力はゼロにセットされ、したがって結局、ゼロ出力が供給されることにより、信号を阻止あるいは消去する。というのは、それは時間ウィンドウ内に入らなかったとステップ121で判定されたからである。これは実質的に、図13Aに示したスイッチ93の機能を提供する。次にステップ127で、信号は出力フィルタ94を通され、その信号は、図13のプロセッサ58から項目95で特定されるように出力され、図13に示したディジタル−アナログ変換器59に送られる。
【0096】
次にステップ128で、ソフトウェア制御プロセスはステップ116に戻り、前方素子55および後方素子54から図13の88および89に提供される新しい信号のサンプルが再び上記の要領で処理される。
【0097】
こうして、本発明のソフトウェア具現化では、理解されるように、プロセスは信号のタイミングと、後方素子54における所定の機会ウィンドウ内の信号の到来とに作用し、このことが生起すると、信号はディジタル形式への変換のためにプロセッサ58の出力側に提供され、次に増幅のために増幅器60に送られて、出力61を提供する。
【0098】
図13Dは、図13Bの実施形態の具現化を説明する流れ図であり、どの信号が出力側に供給されるべきかを判定するために信号の高速フーリエ変換を使用する。プロセスはステップ104で開始され、ステップ105で、後方素子54と、前方素子55の1つとに対応する双方のチャネル96および97上で高速フーリエ変換が実行される。ステップ105で、複素高速フーリエ変換が複素数を生成し、これが位相値および大きさを与える極回転に変換される。ステップ106で、各チャネルにおける変換された信号の第1サンプル点のサンプルが形成され、したがってそのサンプル点の位相および振幅が取得され、それらのサンプル点の位相が所定範囲内にあるかどうかについて判定がなされる。判定結果がNOである場合、ステップ110でサンプルNの大きさがゼロにセットされる。判定結果がYESである場合、ステップ108でNのカウントが1だけインクリメントされ、ステップ109で、高速フーリエ変換信号のすべてのサンプル点が考慮されたかどうかについて判定がなされる。判定結果がNOである場合、プロセスはステップ107に戻り、続いて次のサンプル点が考慮される。サンプリングと、位相が所定範囲内にあるかどうかの判定は、高速フーリエ変換信号のN個のすべてのサンプル点が上記のように処理されるまで、ステップ107〜109をループして継続する。ステップ109で、すべてのサンプル点が処理されたと判定されると、高速フーリエ変換信号の出力が提供される。当該位相範囲内に入らないサンプル点の大きさはゼロにセットされ、その範囲内に入るその他の点は変更されない。
【0099】
ステップ111で、図13Bの要素101により追加的処理を実行できる。この追加的処理は、等化、ノイズ消去などを含むことが可能であり、そこでサンプル点はさらに大きさゼロに低減されるか、または所定のプロトコルに従って変更される。ステップ112で、逆高速フーリエ変換が実行され、ステップ113で、追加フィルタリング、アンビエンス調整等のような追加的処理をさらに実行することが可能であり、続いて出力が図13Bの出力103として提供される。これは、本発明のこの実施形態におけるプロセッサ58の出力を含むことになる。その信号はディジタル−アナログ変換器59により受信され、増幅器60に供給するためにアナログ形式に変換されて、出力61を提供する。
【0100】
ステップ114で、ソフトウェアルーチンは単にステップ105に戻り、後方素子54と、前方素子55の1つとから入って来る信号の分析を継続する。
【0101】
明らかに、図13、図13Aおよび図13Bの実施形態によるマイクロフォンの指向性は、図13Aの場合には、トリガソフトウェアタイマおよびそのタイマの持続時間によって設定され、図13Bの実施形態では、ステップ107で設定される位相差範囲により設定される。これらの値を、分析するべき周波数に応じて設定することが可能である。
【0102】
先の実施形態の場合と同様に、図13Aおよび図13Bを参照して説明したモジュールが複数個、プロセッサ58に含まれ、それぞれのモジュールが素子54、増幅器56およびアナログ−ディジタル変換器57からの出力を受信するとともに、素子55の1つ、それに関連する増幅器56およびそれに関連するアナログ−ディジタル変換器57からの出力の1つをも受信することになる。
【0103】
図14および図15は、本発明の実際的実施形態を示す。マイクロフォンは、後方素子66および前方素子67を含むプリント回路ボード65を収容する。素子66および67は、キャビティ68内に支持され、回路ボード65を収容するために支持管69を設けてもよい。管69および回路ボード65は、弾力性のあるOリング71により回路ボードノッチ70上に支持され、Oリング71は保護ケージ73内のフック72に取り付けられる。カバー74がケージ73を覆ってもよく、また保護ケージ73をハンドグリップ75に取り付けてもよい。ハンドグリップ75は、キャビティ76と、ケーブル79に接合可能なコネクタ78を取り付けるためのねじ取付台77とを有する。そしてケーブル79はハウジング81のコネクタ80に接合可能であり、ハウジング81には、前述の処理回路が含まれることが可能であり、それはブロック82により例示されている。出力コネクタ83および制御パネル84もまたハウジング81に取り付けできる。ハウジング81はバッテリパック85を含むことが可能であり、ハウジング81は運搬用ストラップ87により、またはベルトクリップ86により支持され得る。
【0104】
温度はマイクロフォンの環境で伝搬する音波の速度を変える可能性がある。温度補償を提供するため、温度センサ200が素子4、5、12および13(ならびに図13を参照して説明した対応する素子54および55)の近くに取り付けられ、温度依存信号をプロセッサ201(図7を参照)に出力し、温度に依存して、単安定回路25および26で設定される期間Δta1(またはプロセッサ58内の時間カウントもしくは位相範囲)により、したがって空気の温度変化に基づき、前方素子と後方素子の間で所与の周波数の音波の相異なる速度に対しての調節を行わせる。こうして、温度が変化すると、その温度における空気を通る音波の速度の変化を補償するように、期間または位相差によって設定される機会ウィンドウが自動的に調整される。
【0105】
本発明のすべての実施形態に含まれる重要な事項は、図14および図15に記載されており、温度補償要素である。
【0106】
さらなる実施形態(図示せず)では、フィルタに対するフィードバック回路を具現化し、制御回路を用いてフィードバックの量を制御することにより、フィルタリンギングを音源に応じて適応的に制御できる。
【0107】
さらに、同じシステムを、FFTバージョン上で、周波数の大きさをピーク検出し可変減衰率付きの指数関数的減衰を使用することにより具現化できる。
【0108】
入来信号をモニタリングすることにより、制御システムはリンギングを変形修整して音質を改善することができる。
【0109】
さらに、所定の周波数における大きさの平均値を取り、これを用いてその周波数における「ノイズフロア」を生成することにより、システムはこのレベルより低いすべての信号を除去すること、すなわち適応的環境ノイズ処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるマイクロフォンに入射する、音源からの音波を示す図である。
【図2】本発明の原理または好ましい実施形態を説明できるように山と谷を有する音波に関して表示したことを除いては、図1と同じ図を示す。
【図3】異なる方向からマイクロフォンに到来する音波を示すことを除いては図2と同様の図である。
【図4】マイクロフォンの軸に垂直な方向から到来する音波を示す、同じく図2と同様の図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による、マイクロフォンにさまざまな角度で入射する音波の位相関係を示す。
【図6】本発明の第2実施形態によるマイクロフォンの図を示す。
【図7】本発明の一実施形態によるマイクロフォンのブロック図である。
【図7A】タイミング信号を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態によるブロック図である。
【図9】図6の実施形態に適用可能なブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態によるマイクロフォンの振幅応答の極図式の例を示す。
【図11】ノイズ低減システムの変形例およびマイクロフォンの指向性の度合を選択するためのコントロールを含む、図7の実施形態を示す。
【図12】本発明の一実施形態のさらなる発展形を示す。
【図13】前の実施形態で使用されているようなハードウェアコンポーネントではなく、ソフトウェア制御された信号処理を利用する第2実施形態のブロック図である。
【図13A】図1のシステムの一部のブロック図である。
【図13B】第2のソフトウェア処理システムによるブロック図である。
【図13C】図13Aの実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図13D】図13Bの実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図14】本発明の一実施形態による指向性マイクロフォンの例を示す。
【図15】図14の実施形態の断面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は指向性マイクロフォンに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在のマイクロフォン技術は多くの制限を有する。マイクロフォンは、録音または増幅される信号に最も多くの歪みを付加するとみなされるため、ハイファイシステムにおける最も弱いリンクである。スタジオおよび映画プロダクションもまたマイクロフォンの使用法により制約を受ける。一般に、マイクロフォンは、周囲からの不要な音のピックアップを最小にするために、対象の近くに配置される必要がある。これは視覚的に撮影の支障となる。有効なピックアップ範囲は限定されているため、静粛な環境での遠距離配置もまた問題となり得る。ライブインタビューのようなスタジオ外放送は、上記の制限を受けることに加えて、より一層高いレベルの多様な不所望の音の音源から悪影響を受け、その不所望の音はマイクロフォンによって受信され、したがってマイクロフォンが受信するべき必要な音響信号とともに送信されるおそれがある。
【0003】
指向性マイクロフォンについてのもう1つの主要な問題点は音色(すなわち、マイクロフォンの周波数応答)である。マイクロフォンを一方の側に向けることは周波数応答を変化させ、したがってマイクロフォンによって録音される人の音声を歪ませ得る。
【0004】
ほとんどの通常のマイクロフォンは、静電膜によって動作するエレクトレットコンデンサマイクロフォンか、または可動コイルによって動作するダイナミックマイクロフォンのいずれかである。エレクトレットマイクロフォンは、最も一般的に使用されるプロ向けのマイクロフォンである。マイクロフォンはいくつかの重要な特性、すなわち感度、周波数応答(音色)および指向性ピックアップパターン(極図式)を有する。感度および周波数応答の双方は一般に、エレクトレットマイクロフォンによって満たされる。ピックアップパターン(すなわち極図式)とは、相異なる方向からやって来る音に対する感度および周波数応答を指す。利用可能なピックアップパターンは、すべてのマイクロフォンに共通であり、基本的に次の4つのタイプがある:
全指向性。これは、全方向に一様な応答を提供し、一般に優れた音色を提供する。
【0005】
8の字形。これは、前および後ろからの音をピックアップするべきものであり、より高い周波数では良好な音色を有するが、低い周波数では不良な音色を有する。
【0006】
カージオイド。これは、おおよそ半円からの音をピックアップするべきものであり、より高い周波数では良好な音色を有するが、低い周波数では不良な音色を有する。
【0007】
ショットガン。例えば60〜120°の角度からの音をピックアップするべきものであり、一般に悪い音色を有する。
【0008】
ショットガン応答は、60〜120°の弧の概ね前方のピックアップパターンを有し、より低い周波数で応答が全指向性に向かうと、ピックアップパターンは非常に歪む。このタイプのマイクロフォンは一般に、群衆中でのインタビュー中および公開または屋外エリアのようなノイズの多い場所で音声を録音するために使用される。プロ向けの録音、特に音楽および映画作品には不適当である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、指向性マイクロフォンの性能を改善することである。
【0010】
本発明は、指向性マイクロフォンを提供する。この指向性マイクロフォンは、
音波を電気オーディオ信号に変換する少なくとも2個の離間したマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
それらのマイクロフォン素子から電気信号を受信する処理セクションとを有し、該処理セクションは:
素子のうちの1つにおける音波の到来を検出する検出手段と、当該の1つの素子から別の素子までの音波の伝搬時間に基づいて電気信号を出力側から送出することを選択的に可能にする方向識別手段とを有する。
【0011】
1つの素子から別の素子までの伝搬時間に基づいて信号が出力を通ることを選択的に可能にすることにより、所定の方向から伝搬する信号のみを出力側に送出できる。その理由は、同じ周波数の音波が相異なる方向から伝搬する場合、その波が前記1つの素子から前記別の素子まで伝わる伝搬時間は相異なるものとなり、その結果、その信号を阻止することが可能となるからである。したがって、マイクロフォンによって処理される所定の方向からの信号のみにより、該信号の対応するオーディオ信号が出力側から送出される。
【0012】
方向識別手段は、前記1つの素子から前記別の素子までの波の伝搬時間および音波の周波数の双方に基づいて、電気信号を出力側から送出することを選択的に可能にするのが望ましい。
【0013】
検出手段は、前記1つの素子によって検出されたオーディオ信号のゼロ交差を検出するゼロ交差検出器を備える。そのオーディオ信号は、前記1つの素子によって受信され、さらに電気信号に変換された音波に対応するのが望ましい。
【0014】
方向識別手段は、検出手段に応答してタイミング信号を出力するタイミング手段と、前記別の素子に結合されタイミング信号を受信するスイッチとを有する。スイッチは、タイミング信号を受信すると、電気オーディオ信号を前記別の素子から出力側から送出できるように作動可能である。タイミング信号の持続時間は、3次元の弧の角度を規定する時間帯域に依存し、さらに、タイミング信号の持続時間は前記1つの素子から前記別の素子までの音波の伝搬期間を規定するものであり、前記の3次元の弧の角度にわたり、電気信号を出力側から送出するように音波がマイクロフォンにより受信されマイクロフォンにより処理されるものである。
【0015】
方向識別手段は、電気信号を所定の帯域幅に制限するために電気信号をフィルタリングするフィルタ手段を有するのが望ましい。
【0016】
信号タイミング手段は、検出手段に接続された1対の単安定回路(monostable)を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間がタイミング信号の持続時間を規定するのが望ましい。
【0017】
単安定回路はANDゲートに接続され、単安定回路が双方ともハイ信号を提供するとき、ANDゲートは単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所望の持続時間の前記タイミング信号を提供するのが望ましい。
【0018】
ANDゲートはD型フリップフロップに接続されており、それにより、タイミング信号がフリップフロップにより受信されると共に電気信号が前記別の素子により受信されると、フリップフロップは、極性においてタイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される電気信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、フリップフロップの出力はスイッチに接続され、前記別の素子により生成される電気信号を出力側に供給することを可能にするようにスイッチを制御するのが望ましい。
【0019】
所定帯域内の周波数のみがスイッチに送信されるように、第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタがスイッチと前記別の素子の間に設けられるのが望ましい。
【0020】
音波が前記別の素子で受信されるときにフリップフロップをトリガするために、第2のゼロ交差検出器が第2のフィルタに接続される。その結果そのときに、信号がタイミング信号により設定される期間内に到来した場合にスイッチは作動し、その結果前記別の素子により生成される電気信号をスイッチ手段により出力側から送出することが許容されるのが望ましい。
【0021】
本発明の一実施形態では、処理セクションは、複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有し、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出する。
【0022】
この実施形態では、アレイ内のそれぞれの処理セクションの1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する。
【0023】
本発明の一実施形態では、前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、それぞれの前方素子はそれぞれの前記処理アレイに接続され、それぞれの処理アレイは、前記後方素子と、処理アレイからの出力をミクシングしてオーディオ出力信号を提供するオーディオミクサとの双方に接続される。
【0024】
複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、それぞれの素子は実質的に直線上にあるのが望ましい。
【0025】
方向識別手段は、タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、音響信号を受信し処理して電気信号を出力側から送出できるのが望ましい。
【0026】
制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように単安定回路を制御するコントローラを備えるのが望ましい。
【0027】
また、本発明は、指向性マイクロフォンを提供し、この指向性マイクロフォンは、
マイクロフォンにより受信される音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
マイクロフォン素子からオーディオ電気信号を受信し、所定の位相差の範囲内に入る位相差を有する信号を出力側に供給できるようにする処理手段とを有し、前記位相差の範囲は、音波の3次元の弧の角度をセットするものであり、該3次元の弧の角度にわたり入射する音波は、出力側から出力信号を送出するようにマイクロフォンにより受信されマイクロフォンにより処理される。。
【0028】
こうして、位相差の範囲を選択することにより、有効な3次元の弧の角度、したがってマイクロフォンの指向性を制御でき、その結果、弧のその範囲内に放射する信号がマイクロフォンからの出力を提供するためにマイクロフォンにより処理されるようになる。
【0029】
一実施形態では、処理手段は、
音波が1つの素子により検出されていることを示す第1出力を提供する第1回路手段と、
第1回路手段の出力に応答してタイミング信号を提供する第2回路手段と、
別の素子に結合され、別の素子により生成されるオーディオ信号を出力へ選択的にスイッチングするスイッチ手段を有する第3回路手段と、
前記別の素子における音波の到来を示す第2出力を提供する第4回路手段と、
第2および第4回路に結合され、第4回路からの出力およびタイミング信号に応答して、タイミング信号の持続時間中、第2出力信号の受信直後に、前記別の素子からのオーディオ信号がスイッチ手段により出力側から送出されるようにスイッチを作動させるスイッチ制御回路とを有する。
【0030】
第2回路は、検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間がタイミング信号の持続時間を規定するのが望ましい。
【0031】
単安定回路はANDゲートに接続され、その結果単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、ANDゲートは単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供するのが望ましい。
【0032】
ANDゲートはD型フリップフロップを含むスイッチ回路に接続され、タイミング信号および第2出力の双方がフリップフロップにより受信されると、フリップフロップは、極性においてタイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される電気オーディオ信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成し、フリップフロップの出力はスイッチに接続され、前記別の素子により生成される電気信号を出力側に供給できるようにスイッチを制御するのが望ましい。
【0033】
所定帯域内の周波数のみがスイッチに送信されるように、第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタが第3回路と前記別の素子の間に設けられるのが望ましい。
【0034】
第4回路は、音波が前記別の素子で受信されると、フリップフロップをトリガするゼロ交差検出器であり、そのときに、信号がタイミング信号によりセットされる期間内に到来した場合にスイッチは作動し、前記別の素子により生成される電気信号はスイッチ手段により出力側から送出されることが許容されるのが望ましい。
【0035】
本発明の一実施形態では、処理手段は、複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有し、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出するものである。
【0036】
この実施形態では、アレイ内のそれぞれの方向識別手段の1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する。
【0037】
本発明の一実施形態では、前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、それぞれの前方素子はそれぞれの前記処理アレイに接続され、それぞれの処理アレイは、前記後方素子と、処理アレイからの出力をミクシングしてオーディオ出力信号を提供するオーディオミクサとの双方に接続される。
【0038】
複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、それぞれの素子は実質的に直線上にあるのが望ましい。
【0039】
第2回路は、タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、音響信号を受信し処理して電気信号を出力側から送出できるのが望ましい。
【0040】
制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように単安定回路を制御するコントローラを備えるのが望ましい。
【0041】
またさらに、本発明は、指向性マイクロフォンを提供し、この指向性マイクロフォンは、
音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
第1の素子に結合され、第1の素子からオーディオ信号を受信し、第1の素子による音波の受信を示す第1出力を提供する第1回路と、
第1回路からの出力を受信し、第1の素子から別の素子までの音波の伝搬のための機会ウィンドウ(window of opportunity)を提供する所定期間を示すタイミング信号を生成する第2回路と、
別の素子からの出力オーディオ信号を受信し、前記別の素子による音波の受信を示す第2出力を提供する第3回路と、
第2および第3回路に接続され、第2回路により提供されるタイミング信号の持続時間中の第2出力に応答してスイッチ制御信号を提供する第4回路と、
前記別の素子に結合され、前記別の素子により生成されるオーディオ信号を受信し、また第4回路にも接続され、第4回路からスイッチ制御信号を受信し前記別の素子からのオーディオ信号を出力側へスイッチングするスイッチ手段とを有する。
【0042】
第2回路は、検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間がタイミング信号の持続時間を規定するのが望ましい。
【0043】
単安定回路はANDゲートに接続され、単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、ANDゲートは単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供するのが望ましい。
【0044】
第4回路はD型フリップフロップでありANDゲートは該フリップフロップに接続されており、タイミング信号がフリップフロップにより受信され電気信号が前記別の素子により受信されると、フリップフロップは、極性においてタイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される電気オーディオ信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、フリップフロップの出力はスイッチに接続され、前記別の素子により生成される電気信号を出力側に供給できるようにスイッチを制御する。
【0045】
第1回路は、オーディオ信号を信号の所定の周波数帯域幅に制限する第1フィルタを有するのが望ましい。
【0046】
第3回路は、第1フィルタと実質的に同一の第2フィルタを有し、該第2フィルタは、所定帯域内の周波数のみがスイッチに送信されるように、スイッチ手段と前記別の素子の間に設けられるのが望ましい。
【0047】
第3回路は、音波が前記別の素子で受信されるときにフリップフロップをトリガするために第2フィルタに接続された第2ゼロ交差検出器を有し、したがってそのときに、信号がタイミング信号により設定される期間内に到来した場合にスイッチは作動し、前記別の素子により生成される電気信号はスイッチ手段により出力側から送出されることが許容されるのが望ましい。
【0048】
本発明の一実施形態では、複数の前記第1回路、第2回路、第3回路、第4回路およびスイッチ手段からなる処理アレイが設けられる。
【0049】
この実施形態では、アレイ内のそれぞれの第1回路および第3回路の1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する。
【0050】
本発明の一実施形態では、前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、それぞれの前方素子はそれぞれの前記処理アレイに接続され、それぞれの処理アレイは、前記後方素子と、処理アレイからの出力をミクシングしてオーディオ出力信号を提供するオーディオミクサとの双方に接続される。
【0051】
複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、それぞれの素子は実質的に直線上にあるのが望ましい。
【0052】
第2回路は、タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記3次元の弧の角度にわたり、音響信号を受信し処理して電気信号を出力側から送出できるのが望ましい。
【0053】
制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように単安定回路を制御するコントローラを備えるのが望ましい。
【0054】
第1素子と第2素子は、第1素子により受信するべき最短波長音響信号の波長の4分の1より小さい距離だけ離れるのが望ましい。
【0055】
それぞれの前方素子は、それらのそれぞれの素子により受信するべき最短波長の4分の1波長より小さい距離だけ、後方素子から離間されるのが望ましい。
【0056】
また、本発明は、
音波を電気オーディオ信号に変換する少なくとも2個の離間したマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイを有する指向性マイクロフォンのための処理セクションを提供し、
前記処理セクションは、素子から電気信号を受信するための入力と、
1つの素子における音波の到来を検出する検出手段と、
前記1つの素子から別の素子までの音波の伝搬時間に基づいて電気信号を出力側から送出することを選択的に可能にする方向識別手段とを有する。
【0057】
またさらに、本発明は、マイクロフォンにより受信される音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を含むマイクロフォンアレイを有する指向性マイクロフォンのための処理セクションを提供し、該処理セクションは、
マイクロフォンから電気オーディオ信号を受信する入力手段と、
所定の位相差の範囲内に入る位相差を有する信号が出力側に供給されることを可能にする処理手段とを有し、該位相差の範囲は、音波の3次元の弧の角度を設定するものであり、前記の3次元の弧の角度にわたり入射する音波を、出力側から出力信号を送出するためにマイクロフォンにより受信し処理セクションにより処理できる。
【0058】
またさらに、本発明は、音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイを含む指向性マイクロフォンのための処理セクションを提供し、該処理セクションは、
第1の素子に結合され、第1の素子からオーディオ信号を受信し、第1の素子による音波の受信を示す第1出力を提供する第1回路と、
第1回路からの出力を受信し、第1の素子から別の素子までの音波の伝搬のための機会ウィンドウを提供する所定期間を示すタイミング信号を生成する第2回路と、
別の素子からの出力オーディオ信号を受信し、該別の素子による音波の受信を示す第2出力を提供する第3回路と、
第2および第3回路に接続され、第2回路により提供されるタイミング信号の持続時間中の第2出力に応答してスイッチ制御信号を提供する第4回路と、
前記別の素子に結合され、前記別の素子により生成されるオーディオ信号を受信し、また第4回路にも接続され、第4回路からスイッチ制御信号を受信し前記別の素子からのオーディオ信号を出力側へスイッチングするスイッチ手段とを有する。
【0059】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明の一実施形態によるマイクロフォンに入射する音波を示す。マイクロフォンは、複数のマイクロフォン素子を備えるマイクアレイ3によって表されている。この実施形態では、2個のマイクロフォン素子4および5が設けられている。マイクロフォン素子は、静電膜または可動コイル型デバイスのような、音波を電気オーディオ信号に変換する任意の適当なトランスデューサの形態のものでよい。
【0060】
図1において、音源1から放射される音波2はマイクアレイ3により受信される。アレイ3は、マイクアレイ3の軸、すなわち素子4と5を結ぶ線が、波2の伝搬方向と平行になるように配置される。換言すれば、マイクロフォンは、マイクロフォンの指向性軸を表す矢印6によって示されるように、音源1に直接向けられる。
【0061】
図2は、マイクアレイ3に入射する音波を示す図である。音波は、周知のように、破線8により示される山および谷を有するとともに、ゼロ交差9も有する。すなわち、山は一方の向きにおける最大振幅を示し、谷は反対の向きにおける最大振幅を示し、ゼロ交差9は振幅ゼロである。
【0062】
素子4と5の間の距離は、マイクロフォンが受信するべき最短波長の4分の1波長より小さい量である。
【0063】
図1および図2から明らかなように、音波がマイクロフォンの軸の方向に伝搬している場合(その軸は矢印6により表される)、ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬するのに要する距離は図2の距離10により示され、これは軸6の方向における素子4と5の間の距離である。
【0064】
図3は、図2と同様の例を示しているが、音波はマイクロフォンとある角度をなして伝搬している。この例では、ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬するのに要する距離は図3の距離Xにより示され、これは図2の距離10より小さい。
【0065】
図4は、音波がマイクロフォンの軸と直角の方向に伝搬している場合を実質的に示している。この場合、ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬する距離はゼロである。その理由は、ゼロ交差点(図4の番号9により示される)は素子4および5の双方に同時に入射するからである。
【0066】
このように、素子4および5への波の入射角が、波がマイクロフォンの軸の方向に伝搬している図1および図2の状況から、図4に示されるようなマイクロフォンに垂直な方向へと変化するにつれて、ゼロ交差点が素子5から素子4まで伝搬するのに要する距離は減少する。したがって、ゼロ交差点が素子5から素子4まで伝搬するのにかかる時間もまた、いかなる所与の周波数に対しても減少する。なぜなら音波の伝搬速度は方向にかかわらず同じであろうからである。上で注意したように、これは、音波のゼロ交差点がまず前方素子5に入射してから後方素子4に入射するまで伝搬するのに要する距離は、マイクロフォン軸に対する音波のなす角が図1および図2の状況から図4の状況へと増大するにつれて減少するからである。音波がマイクロフォンの後方から放射されていると仮定される場合、図1〜図4に示した状況に対して相対的に見て、前方素子5から後方素子4まで伝搬する距離は実効的に負の距離であり、かかる時間は負の時間となる。
【0067】
ゼロ交差点が前方素子5から後方素子4まで伝搬するのに要する距離の差は、波の位相で表現することができる。例えば、図2の状況では、位相差は実質的におよそ90°である。その理由は、素子4と5の間隔は、音波の波長の4分の1よりほんのわずかに小さいからである。これは、検出器4と5で受信される波の間の位相差が常に0°と90°の間にあることを保証する。
【0068】
図5は、位相差と、音波がその伝播の際マイクロフォンの軸6に対してして成す角度との間の関係を示す。
【0069】
図5のトレースAからわかるように、図1および図2の場合のような角度ゼロでは、位相差は図2に表されているようにおよそ90°である。図4の場合のような90°では、位相差は0°であり、ゼロ交差点が素子4および5に同時に到来することを示す。したがって、適切な位相差の範囲を選択することによって、マイクロフォンの3次元の弧の角度、換言すれば前方開口(forward aperture)を選択することができる。例えば、図5を参照すると、図5に示されるように80°と90°の間の位相差範囲が選択される場合、3次元の弧の角度は、例えば−20°から20°までとなる。それにより、マイクロフォンの実効的な指向性の弧の角度は40°となる。その範囲がおよそ90°に限定される場合、実効的な弧の角度は0°であり、これは図1および図2において矢印6の方向に放射する音のみをマイクロフォンにより処理できることを意味する。したがって、実効的な弧の角度は、前方素子5および後方素子4によるゼロ交差点の受信の間の時間差に云いかえられる。所与の温度において空気中で、音波が前方素子5から後方素子4まで伝搬する時間に厳密に等しいタイミング差が時間taのように提供される場合、これは上で参照した90°の例に等価であり、軸6の方向から受信される放射のみがマイクロフォンにより処理されることになる。しかし、その時間にta+Δta2または−Δta1のような許容差あるいは範囲が与えられる場合、そこから音が受信されることが可能な角度の範囲は広がる。その範囲が大きいほど、明らかに角度も大きい。したがって、非常に精密な指向性に対してはΔta1は非常に小さいが、あまり精密でない、より大きい3次元の弧の角度に対してはΔta1はより大きい。これは、後で図7Aを参照してさらに詳細に説明されるであろう。
【0070】
図5のトレースAは、図1および図2に示した第1周波数の波の状況を表す。図5において破線で示されるトレースBは、より大きい波長すなわちより低い周波数の音波に対する状況を示す。理解されるように、より低い周波数の信号Bに対して同じ考え方が当てはまり、その周波数に対してマイクロフォンにより受信し処理するべき所望の3次元の弧の角度を提供するために適切な位相差角度を選択することによって、音を所定の方向に限定できる。
【0071】
図6は、追加の前方素子12および13もまた含まれる本発明の第2実施形態を示す。したがってこの実施形態では、マイクロフォンアレイ3は後方素子4、ならびに前方素子5、12および13を有する。後方素子4から各素子5、12または13までの距離は、図6の矢印9、14および15により表されている。好ましくは、矢印9、14および15により示されるように、その距離は比例的に増大する。前方素子の個数を増やす理由は後で説明される。
【0072】
図7は、本発明の第1実施形態によるブロック図である。図7を参照すると、マイクアレイ3は、後方素子4および前方素子5を有するように示されている。素子4および5は、素子4および5により生成される電気信号を増幅する増幅器17および18に接続されてもよい。
【0073】
素子4および5は処理セクション19に接続される。処理セクション19は、増幅器17を介して素子5に接続される第1バンドパスフィルタ20と、増幅器18を介して後方素子4に接続される第2の同一のフィルタ21とを備える。バンドパスフィルタ20およびバンドパスフィルタ21は、素子4および5により検出される音波に応答してオーディオ周波数の狭い帯域幅を選択するために、狭い。したがって、フィルタ20および21の狭い帯域幅の周波数に対応する音波のみがフィルタ20および21を通過する。フィルタ20は第1ゼロ交差検出器23に接続される。検出器23は1対の単安定回路25および26に接続される。単安定回路25は、素子5により生成される電気オーディオ信号のゼロ交差に対応する音波のゼロ交差が素子5で生起するときに、検出器23からの出力時に負極性のパルスを生成する。単安定回路26は、素子5による音波のゼロ交差の検出に応答して、検出器23からの出力の受信時に、より長い正極性のパルスを生成する。単安定回路25および26の出力はANDゲート27に接続される。ANDゲート27はD型フリップフロップ28のD入力に接続される。バンドパスフィルタ21は、ゼロ交差検出器24に接続されるとともに、電子スイッチ29にも接続される。ゼロ交差検出器24はフリップフロップ28のC入力に接続される。フリップフロップ28の出力Qはスイッチ29を制御するためにスイッチ29に接続される。スイッチ29は、バンドパスフィルタ20および21と同一である狭バンドパスフィルタ22に接続される。
【0074】
音響信号が前方素子5により検出されると、音響信号は素子5により電子形態に変換され、増幅器17によりフィルタ20に渡される。音響信号がフィルタ20の帯域幅内にある場合、信号はゼロ交差検出器23に送られる。ゼロ交差点が検出されるとすぐに、検出器23は信号を単安定回路25および26に出力する。単安定回路25および26が信号を受信すると、単安定回路は、それらの正および負のパルスを出力する。
【0075】
図7Aに最もよく示されるように、単安定回路25からの負のパルスは、単安定回路26からの正のパルスより短い持続時間を有し、ANDゲート27に供給される時間t3−t2のハイ信号の重なりを生じている。期間t3−t2に存在するハイ信号により、ANDゲート27の出力はハイになり、このハイ信号がフリップフロップ28の入力Dに印加される。
【0076】
期間t3−t2は、音響信号が前方素子5から後方素子4まで伝搬することができる時間範囲を表し、この時間範囲では音響信号は、しかも後で説明するようにマイクロフォンにより受容される3次元の弧の角度内にあるとして受容できる。図7Aに示されるように、時間taは、0°の角度が受容される(すなわち軸6の方向の音波のみ)前述の時間を表し、一方−Δta1および+Δta2は例えば−20°と20°の間の範囲を提供し、これはマイクロフォンにより受容できる40°の3次元の弧を与える。明らかに、Δta1を小さくすることによって、マイクロフォンにより受信される弧の角度は縮小し、したがってマイクロフォンの指向性の精度は増大する。ゼロ交差点が検出器23により受信され出力が単安定回路25および26に供給される時刻t1と、時刻t2との間の時間は、マイクロフォンにより音信号を受信しその音信号を処理するための機会ウィンドウが開始する前に、音波が前方素子5から後方素子4に向かって伝搬するのにかかる時間を表す。期間t3−t2は、期間Δta1を変化させながら期間Δta2を実質的に一定に維持することによって調整される。全期間ta−t1は、好ましくは、期間t2−t1に比例するように常に維持される。時間t2−t1は開口のうち信号を取らない部分であり、Δtaであるt3−t2は、機会ウィンドウすなわち信号が受信され出力側に供給される期間である。時間Δta2は、図7AではΔta1と同じサイズとして示されているが、一般にはより一層小さく、コンポーネントの許容差の程度を表す。
【0077】
こうして、素子4により受信され対応する電気オーディオ信号がフィルタ21を通過する同じ周波数の同じ音波が、フリップフロップ28の入力Cに出力を提供するように、ゼロ交差検出器24をもトリガする。Cで入力が受信されると、Dにおける入力のステータスがQに転送され、これが図7Aに示されるような時間t3−t2における場合のように正である場合、出力は正であり、それによりスイッチ29をトリガしてスイッチ29を閉じる。こうして、フィルタ21を通過する信号はそれゆえスイッチ29を通ってフィルタ22へ、したがって出力30へ伝えることができる。こうして、マイクロフォンから出力される信号は、マイクロフォンの要求される3次元の弧の角度内で受信されている信号を示す出力30における信号のみであり、それにより、選択され処理されることが要求される指向性信号のみが実際にマイクロフォンにより処理され、利用のために出力側に送信されることを保証する。
【0078】
バンドパスフィルタ22は、単安定回路25および26、ANDゲート27ならびにフリップフロップ28により受信される信号に応答してスイッチ29のスイッチオンに起因して生じ得る小さいギャップを満たす際に特別の役割を果たす。いかなるフィルタも、ベルのリンギングに類した態様で短期間その出力をリンギングすなわち維持する固有の能力を有する。この効果は、マイクロフォンからの信号の拒絶により一瞬阻止された信号の欠落部分を再構成するために使用される。こうして、マイクロフォンにより生成される音は、明らかないかなる不連続性もない連続的な音となる。
【0079】
図8は、図7の実施形態の発展形を示す。図7ではフィルタ20、21および22の帯域幅によって提示されるような単一の帯域幅のみがマイクロフォンにより処理される。明らかに、実際には、広範囲の周波数がマイクロフォンにより扱われる必要があり、これを達成するため、処理回路19は信号処理アレイ31内で複数回実効的に2重化されている。図8に示されるそれぞれのプロセッサ19は、それらのプロセッサのそれぞれに含まれていたフィルタ20、21および22の帯域幅が異なり、累積されると広い帯域幅カバレジを提供することを除いては、図7を参照して示された構成と同一である。図8の例では、4個のプロセッサ19のみがアレイ31内に示されている。しかし、実際にははるかに多数が含まれるであろう。したがって、それぞれのプロセッサ19は図7を参照して説明した態様で個別の帯域幅を有効に扱い、すべてのプロセッサ19の出力がオーディオミクサ32に供給され、オーディオミクサ32はそれらの出力を受信し、出力をミクシングして最終出力信号33を提供する。図8のぞれぞれのプロセッサ19は、図7の実施形態の通り単安定回路25および26を備える。ただし、単安定回路25および26の出力持続時間は、それらのプロセッサ19のそれぞれにおけるフィルタにより通過させるべき相異なる周波数に対応して相異なる。
【0080】
図9は、図6の実施形態に適用可能なブロック図であり、図6に示したように、3個の前方素子が設けられ、後方素子4から距離9、14および15だけ離間される。
【0081】
この実施形態では、素子4、5、12および13は増幅器18、17、35および36に接続され、増幅器からの出力は処理アレイ31に接続される。理解されるように、後方素子4はそれぞれの処理回路31に接続され、素子5、12および13は処理素子31のうちの1つに接続される。
【0082】
処理素子31は、図8に示した素子31と同じであり、多重の図7の処理回路19から構成される。これらの素子は、図8および図7を参照して説明した素子31および素子19と全く同じ方式で作用する。しかし、それぞれのアレイ31は、それぞれの素子5、12または13と素子4との間隔に対応する相異なるΔta期間を有するであろう。この実施形態では、それぞれの処理回路31は、相異なる波長すなわち周波数範囲を扱うべきものである。例えば、素子5に接続されているいちばん上の回路31は、図8の素子31と全く同じ方式で機能し比較的短い波長を扱い、素子12に接続された後方素子4からはより一層大きい距離だけ離れている第2の回路31はより一層長い波長を扱い、素子13に接続されているいちばん下の回路31はさらに長い波長を扱うことになる。回路31は、出力38を提供するためにミクサ37に接続される。
【0083】
図6および図9の実施形態の場合のように、複数の前方素子の使用により、ただ1つの前方素子が使用される実施形態よりもより一層容易に、より高い周波数を扱うことが可能となる。その理由は、より低い音周波数では位相差が非常に小さくなるため、後方素子4と前方素子5の間の単一距離でのゼロ交差の電子的弁別は信頼できなくなるからである。より多くの前方素子を使用することにより、より低い音周波数すなわちより大きい波長は、後方素子4とそれぞれの前方素子の間の間隔が大きくなるため、より一層良好に扱うことができる。
【0084】
図10は、マイクロフォンにより受信可能な3次元の弧の角度の極図式を示す。明らかに、図には2次元のみが示されているが、理解されるように、図7Aにおいて時刻t2とt3の間の適当な持続時間を選択することによって、マイクロフォンにより受信され送信される3次元の弧の角度を選択することができる。図10に示される例では、マイクロフォンは、前方軸39と、マイクロフォンにより受信され処理される3次元の弧の角度40とを有する。領域41に放射し領域40外に外れる信号はマイクロフォンにより処理されず、したがって利用のために出力へ送信されない。
【0085】
図11は、図7の実施形態へのさらなる変更を示す。この実施形態では、処理セクション19は、低レベル信号検出器42および電子スイッチ43からなるノイズゲートを有する。こうして、出力30で受信される低レベル信号は検出器42により検出され、検出器42がスイッチ43を開くことにより、出力信号30が最終出力44に送信されないようにしている。
【0086】
この実施形態はまた、ユーザ調整可能な開口コントロール45を含んでもよい。開口コントロール45は、単安定回路25および26に接続されてそれらのタイミングを変化させることにより、マイクロフォンにより受信され処理される前方開口すなわち3次元の弧の角度(図10に示される弧40のような)の変化を可能にする。コントロール45は、マイクロフォン3により受容され処理されることになる3次元の弧の角度を変化させるために、図7Aに示した時間Δta1、したがって時間間隔t3−t2を実効的に変化させる。こうして、マイクロフォンの指向性の度合いを、コントロール45の制御により調整できる。
【0087】
明らかに、図8および図9の実施形態におけるそれぞれの処理セクション19は、図11に含まれる変更を含むことも可能である。
図12は、図8の実施形態のさらなる発展形を示す。図12では、オーディオコンプレッサ46が増幅器17および18と処理アレイ31との間に挿入結合される。これは、固定の圧縮レベルによりノイズ低減を改善するものであり、さまざまなオーディオ信号処理段階に対する高いオーディオ信号レベルを生成し、それにより、オーディオ信号処理中に生成されるいかなるノイズも、その後オーディオ信号をその適正な形態に復元する固定の圧縮解除レベルのオーディオデコンプレッサ47によって低減される。
もう1つの変更は、オーディオ圧縮の選択されたレベルを最終出力53における処理済み出力に送出するための、ユーザ調整可能な自動利得制御50を含む。
【0088】
もう1つの変更は、ユーザ調整可能なアンビエンスコントロールを提供する。これによれば、ローパスオーディオフィルタ48の後に音量コントロール49が続き、その出力がオーディオミクサ32に供給される。
【0089】
もう1つの変更は、ユーザ調整可能なトーンコントロール51を提供する。これにより、バスコントロールまたはトレブルコントロールのようなオーディオ機能が可能となる。最後に、さらなる改善は、ユーザ調整可能なオーディオ増幅器52を提供する。これは、バランスされた処理済みオーディオ出力53を追加的に提供する音量コントロールとして作用する。
【0090】
図13、図13A、図13B、図13Cおよび図13Dは、先の実施形態でのようにハードウェアコンポーネントによる信号の処理ではなく、信号のソフトウェア制御処理を含む、本発明の実施形態である。
【0091】
図13を参照すると、双方の実施形態で使用される処理システムが示されている。この実施形態では、後方素子54は前述の後方素子4に対応し、前方素子55(図示の例では3個)は素子5、12および13に対応する。素子54〜55は増幅器56に接続され、増幅器56の出力はそれぞれアナログ−ディジタル変換器57に接続される。アナログ−ディジタル変換器はマイクロプロセッサ58に接続され、マイクロプロセッサ58は後で説明するようなすべての信号処理を実行する。プロセッサ58の出力はディジタル−アナログ変換器59に接続され、変換器59の出力は増幅器60に接続され、増幅された出力61を提供する。
【0092】
図13Aは、ソフトウェア具現化された一実施形態によるプロセッサ58の例であり、この図に示されるブロックは、プロセッサ58により具現化される処理プロトコルを表す。図13Aに示される複数のモジュールはプロセッサ58に含まれ、モジュールは有限インパルス応答または無限インパルス応答フィルタ90および91を含む。フィルタ90への入力は素子54からであり、図13Aでは符号88により表され、他の前方素子55のうちの1つからの入力はフィルタ91への入力89により表される。フィルタ90および91は位相プロセッサ902に接続され、それはスイッチ93を制御する。スイッチ93は、もう1つの有限インパルス応答または無限インパルス応答94に接続され、出力95を提供する。
【0093】
図13Bには、第2の実施形態が示されており、素子54と、前方素子55の1つとにそれぞれ対応する入力96および97が、それぞれ高速フーリエ変換プロセッサ98および99に結合されている。高速フーリエ変換プロセッサ98および99は位相処理セクション100に接続される。セクション100の出力は逆高速フーリエ変換プロセッサ101に接続され、プロセッサ101の出力はオプションの出力処理回路102に接続され、出力103を提供する。
【0094】
図13Cを参照すると、図13および図13Aのソフトウェア制御処理の動作の流れ図が示されている。理解されるように、プログラムはステップ115から開始される。ステップ116で、プロセッサ58により受信された信号のサンプルが取得され、ステップ117で、信号のサンプルはフィルタ90および91を通される。ステップ118で、チャネル1でゼロ交差が発生したかどうかについての判定がなされる。それは、前方素子55のうちの1つから受信される信号に対応する。判定結果がYESである場合、プロセスはステップ119に進み、ソフトウェア制御タイマがトリガされ、実効的に、オーディオ信号が後方素子54により受信されることが可能な機会ウィンドウである時間をセットする。ステップ120で、ソフトウェアはチャネル2でゼロ交差を探索する。それは後方素子54から受信されている信号を識別判定する。判定結果がYESである場合、プロセスはステップ121に進み、そのゼロ交差がソフトウェアタイマのトリガによってセットされた時間ウィンドウ内に入るかどうかの判定がなされる。判定結果がYESである場合、プログラムはステップ122に進み、イネーブルフラグを1にセットする。判定結果がNOである場合には、ステップ123でイネーブルフラグがクリアされる。
【0095】
ステップ124で、フラグの設定について判定がなされ、フラグが1にセットされている場合、ステップ125に従ってチャネル2の出力が供給される。判定結果がNOである場合、出力はゼロにセットされ、したがって結局、ゼロ出力が供給されることにより、信号を阻止あるいは消去する。というのは、それは時間ウィンドウ内に入らなかったとステップ121で判定されたからである。これは実質的に、図13Aに示したスイッチ93の機能を提供する。次にステップ127で、信号は出力フィルタ94を通され、その信号は、図13のプロセッサ58から項目95で特定されるように出力され、図13に示したディジタル−アナログ変換器59に送られる。
【0096】
次にステップ128で、ソフトウェア制御プロセスはステップ116に戻り、前方素子55および後方素子54から図13の88および89に提供される新しい信号のサンプルが再び上記の要領で処理される。
【0097】
こうして、本発明のソフトウェア具現化では、理解されるように、プロセスは信号のタイミングと、後方素子54における所定の機会ウィンドウ内の信号の到来とに作用し、このことが生起すると、信号はディジタル形式への変換のためにプロセッサ58の出力側に提供され、次に増幅のために増幅器60に送られて、出力61を提供する。
【0098】
図13Dは、図13Bの実施形態の具現化を説明する流れ図であり、どの信号が出力側に供給されるべきかを判定するために信号の高速フーリエ変換を使用する。プロセスはステップ104で開始され、ステップ105で、後方素子54と、前方素子55の1つとに対応する双方のチャネル96および97上で高速フーリエ変換が実行される。ステップ105で、複素高速フーリエ変換が複素数を生成し、これが位相値および大きさを与える極回転に変換される。ステップ106で、各チャネルにおける変換された信号の第1サンプル点のサンプルが形成され、したがってそのサンプル点の位相および振幅が取得され、それらのサンプル点の位相が所定範囲内にあるかどうかについて判定がなされる。判定結果がNOである場合、ステップ110でサンプルNの大きさがゼロにセットされる。判定結果がYESである場合、ステップ108でNのカウントが1だけインクリメントされ、ステップ109で、高速フーリエ変換信号のすべてのサンプル点が考慮されたかどうかについて判定がなされる。判定結果がNOである場合、プロセスはステップ107に戻り、続いて次のサンプル点が考慮される。サンプリングと、位相が所定範囲内にあるかどうかの判定は、高速フーリエ変換信号のN個のすべてのサンプル点が上記のように処理されるまで、ステップ107〜109をループして継続する。ステップ109で、すべてのサンプル点が処理されたと判定されると、高速フーリエ変換信号の出力が提供される。当該位相範囲内に入らないサンプル点の大きさはゼロにセットされ、その範囲内に入るその他の点は変更されない。
【0099】
ステップ111で、図13Bの要素101により追加的処理を実行できる。この追加的処理は、等化、ノイズ消去などを含むことが可能であり、そこでサンプル点はさらに大きさゼロに低減されるか、または所定のプロトコルに従って変更される。ステップ112で、逆高速フーリエ変換が実行され、ステップ113で、追加フィルタリング、アンビエンス調整等のような追加的処理をさらに実行することが可能であり、続いて出力が図13Bの出力103として提供される。これは、本発明のこの実施形態におけるプロセッサ58の出力を含むことになる。その信号はディジタル−アナログ変換器59により受信され、増幅器60に供給するためにアナログ形式に変換されて、出力61を提供する。
【0100】
ステップ114で、ソフトウェアルーチンは単にステップ105に戻り、後方素子54と、前方素子55の1つとから入って来る信号の分析を継続する。
【0101】
明らかに、図13、図13Aおよび図13Bの実施形態によるマイクロフォンの指向性は、図13Aの場合には、トリガソフトウェアタイマおよびそのタイマの持続時間によって設定され、図13Bの実施形態では、ステップ107で設定される位相差範囲により設定される。これらの値を、分析するべき周波数に応じて設定することが可能である。
【0102】
先の実施形態の場合と同様に、図13Aおよび図13Bを参照して説明したモジュールが複数個、プロセッサ58に含まれ、それぞれのモジュールが素子54、増幅器56およびアナログ−ディジタル変換器57からの出力を受信するとともに、素子55の1つ、それに関連する増幅器56およびそれに関連するアナログ−ディジタル変換器57からの出力の1つをも受信することになる。
【0103】
図14および図15は、本発明の実際的実施形態を示す。マイクロフォンは、後方素子66および前方素子67を含むプリント回路ボード65を収容する。素子66および67は、キャビティ68内に支持され、回路ボード65を収容するために支持管69を設けてもよい。管69および回路ボード65は、弾力性のあるOリング71により回路ボードノッチ70上に支持され、Oリング71は保護ケージ73内のフック72に取り付けられる。カバー74がケージ73を覆ってもよく、また保護ケージ73をハンドグリップ75に取り付けてもよい。ハンドグリップ75は、キャビティ76と、ケーブル79に接合可能なコネクタ78を取り付けるためのねじ取付台77とを有する。そしてケーブル79はハウジング81のコネクタ80に接合可能であり、ハウジング81には、前述の処理回路が含まれることが可能であり、それはブロック82により例示されている。出力コネクタ83および制御パネル84もまたハウジング81に取り付けできる。ハウジング81はバッテリパック85を含むことが可能であり、ハウジング81は運搬用ストラップ87により、またはベルトクリップ86により支持され得る。
【0104】
温度はマイクロフォンの環境で伝搬する音波の速度を変える可能性がある。温度補償を提供するため、温度センサ200が素子4、5、12および13(ならびに図13を参照して説明した対応する素子54および55)の近くに取り付けられ、温度依存信号をプロセッサ201(図7を参照)に出力し、温度に依存して、単安定回路25および26で設定される期間Δta1(またはプロセッサ58内の時間カウントもしくは位相範囲)により、したがって空気の温度変化に基づき、前方素子と後方素子の間で所与の周波数の音波の相異なる速度に対しての調節を行わせる。こうして、温度が変化すると、その温度における空気を通る音波の速度の変化を補償するように、期間または位相差によって設定される機会ウィンドウが自動的に調整される。
【0105】
本発明のすべての実施形態に含まれる重要な事項は、図14および図15に記載されており、温度補償要素である。
【0106】
さらなる実施形態(図示せず)では、フィルタに対するフィードバック回路を具現化し、制御回路を用いてフィードバックの量を制御することにより、フィルタリンギングを音源に応じて適応的に制御できる。
【0107】
さらに、同じシステムを、FFTバージョン上で、周波数の大きさをピーク検出し可変減衰率付きの指数関数的減衰を使用することにより具現化できる。
【0108】
入来信号をモニタリングすることにより、制御システムはリンギングを変形修整して音質を改善することができる。
【0109】
さらに、所定の周波数における大きさの平均値を取り、これを用いてその周波数における「ノイズフロア」を生成することにより、システムはこのレベルより低いすべての信号を除去すること、すなわち適応的環境ノイズ処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるマイクロフォンに入射する、音源からの音波を示す図である。
【図2】本発明の原理または好ましい実施形態を説明できるように山と谷を有する音波に関して表示したことを除いては、図1と同じ図を示す。
【図3】異なる方向からマイクロフォンに到来する音波を示すことを除いては図2と同様の図である。
【図4】マイクロフォンの軸に垂直な方向から到来する音波を示す、同じく図2と同様の図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による、マイクロフォンにさまざまな角度で入射する音波の位相関係を示す。
【図6】本発明の第2実施形態によるマイクロフォンの図を示す。
【図7】本発明の一実施形態によるマイクロフォンのブロック図である。
【図7A】タイミング信号を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態によるブロック図である。
【図9】図6の実施形態に適用可能なブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態によるマイクロフォンの振幅応答の極図式の例を示す。
【図11】ノイズ低減システムの変形例およびマイクロフォンの指向性の度合を選択するためのコントロールを含む、図7の実施形態を示す。
【図12】本発明の一実施形態のさらなる発展形を示す。
【図13】前の実施形態で使用されているようなハードウェアコンポーネントではなく、ソフトウェア制御された信号処理を利用する第2実施形態のブロック図である。
【図13A】図1のシステムの一部のブロック図である。
【図13B】第2のソフトウェア処理システムによるブロック図である。
【図13C】図13Aの実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図13D】図13Bの実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図14】本発明の一実施形態による指向性マイクロフォンの例を示す。
【図15】図14の実施形態の断面図である。
Claims (112)
- 音波を電気オーディオ信号に変換する少なくとも2個の離間したマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
前記素子から前記電気信号を受信する処理セクションとを有し、該処理セクションは、
前記素子のうちの1つにおける音波の到来を検出する検出手段と、当該の1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの該音波の伝搬時間に基づいて前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にする方向識別手段とを有する、指向性マイクロフォン。 - 前記方向識別手段は、前記1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの前記波の伝搬時間および前記音波の周波数の双方に基づいて、前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にする、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 前記検出手段は、前記1つの出力によって検出された前記オーディオ信号のゼロ交差を検出するゼロ交差検出器を備え、該オーディオ信号は、前記1つの素子によって受信されさらに電気信号に変換された音波に対応する、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 前記方向識別手段は、前記検出手段に応答してタイミング信号を出力する信号タイミング手段と、前記別の素子に結合され前記信号タイミング信号を受信するスイッチとを有し、前記スイッチは、前記信号タイミング信号の受信時に前記電気オーディオ信号を前記別の素子から前記出力側に送出できるように作動可能であり、前記タイミング信号の持続時間は、3次元の弧の角度を規定する時間帯域に依存し、さらに、前記タイミング信号の持続時間は前記1つの素子から前記別の素子までの前記音波の伝搬期間を規定するものであり、前記の3次元の弧の角度にわたり、電気信号を前記出力側から送出するように音波が前記マイクロフォンにより受信され前記マイクロフォンにより処理されるものである、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 前記方向識別手段は、前記電気信号を所定の帯域幅に制限するために前記電気信号をフィルタリングするフィルタ手段を有する、請求項2に記載のマイクロフォン。
- 前記信号タイミング手段は、前記検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、前記持続時間相互間の差異が前記タイミング信号の持続時間を規定する、請求項4に記載のマイクロフォン。
- 前記単安定回路はANDゲートに接続され、前記単安定回路が双方ともハイ信号を提供するとき、該ANDゲートは前記単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供する、請求項6に記載のマイクロフォン。
- 前記ANDゲートはフリップフロップに接続されており、それにより、前記タイミング信号が該フリップフロップにより受信されると共に電気信号が前記別の素子により受信されると、該フリップフロップは、極性において前記タイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される前記電気オーディオ信号のほんのわずか半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、該フリップフロップの出力は前記スイッチに接続され、前記別の素子により生成される前記電気信号を前記出力側に供給できるように前記スイッチを制御する、請求項7に記載のマイクロフォン。
- 所定帯域内の周波数のみが前記スイッチに送信されるように、前記第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタを前記スイッチと前記別の素子の間に設けられている、請求項8に記載のマイクロフォン。
- 前記音波が前記別の素子で受信されると前記フリップフロップをトリガするために、第2のゼロ交差検出器が前記第2のフィルタに接続され、その結果そのときに、前記信号が前記タイミング信号により設定される期間内に到来した場合に前記スイッチは作動し、前記別の素子により生成される前記電気信号を前記スイッチ手段により前記出力側に送出することが許容される、請求項9に記載のマイクロフォン。
- 前記処理セクションは、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出する複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有する、請求項10に記載のマイクロフォン。
- 前記アレイ内のそれぞれの処理セクションの1つまたは複数の前記フィルタは、オーディオスペクトルにわたり相異なる周波数帯域幅を提供する、請求項11に記載のマイクロフォン。
- 前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、前記マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、前記前方素子のそれぞれはそれぞれの前記処理アレイに接続され、前記処理アレイのそれぞれは、前記後方素子と、オーディオ出力信号を提供するために前記処理アレイからの出力をミクシングするオーディオミクサの双方に接続される、請求項11に記載のマイクロフォン。
- 前記複数の前方素子は前記後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、前記素子のそれぞれは実質的に直線上にある、請求項13に記載のマイクロフォン。
- 前記方向識別手段は、前記タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、前記電気信号を出力側から送出するように音響信号を受信し処理できるものである、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 前記音波が伝搬する空気の温度を検出し、該空気温度に応じて、前記別の素子における音波の予期される受信に対する伝搬時間を調整する気温検出手段を有する、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 前記処理セクションは、検出手段および方向識別手段を提供するソフトウェア制御プロセッサを備え、前記検出手段及び方向識別手段は前記素子のうちの1つの素子における音波の到来を検出し、該1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの該音波の伝搬時間に基づいて前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にするものである、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 前記処理セクションは、アナログ電気信号を、前記プロセッサに供給するためのディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器をさらに有する、請求項17に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記プロセッサは、前記1つの素子および前記別の素子から受信される信号のゼロ交差点を判定するために前記プロセッサに提供される信号をサンプリングし、前記1つの素子からの信号のゼロ交差点の検出時にタイマをセットし、さらに前記プロセッサは、前記別の素子からの信号のゼロ交差が前記タイマによりセットされた期間内に到来したかどうかを判定し、該ゼロ交差点が該期間内にある場合に前記別の素子からの信号を出力側に供給する、請求項18に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記電気オーディオ信号は、前記プロセッサにより前記信号に対して高速フーリエ変換を実行することによって処理され、信号のサンプルの位相が求められ、該位相が所定範囲内にあるかどうかについて比較判定がなされ、その結果該位相が所定範囲内にある場合、これは対応するオーディオ信号が前記1つの素子から前記別の素子まで所定期間内に伝搬したことを示し、そして該範囲内にない場合、前記サンプルを大きさゼロにセットして該サンプルを阻止または消去し、前記プロセッサはまた前記位相範囲内に入らないサンプルを阻止または消去した後に前記信号に対して逆フーリエ変換を実行し、該信号を出力側に供給する、請求項18に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記信号を前記出力側に供給する前に前記信号を改善するために追加的信号処理が実行される、請求項20に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記制御手段は、前記タイミング信号を生成する前記単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように前記単安定回路を制御するコントローラを備える、請求項15に記載のマイクロフォン。
- マイクロフォンにより受信される音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
前記マイクロフォン素子から前記オーディオ電気信号を受信し、所定の位相差の範囲内に入る位相差を有する前記信号を出力側に供給できるようにする処理手段とを有し、前記位相差の範囲は、音波の3次元の弧の角度を設定するものであり、該3次元の弧の角度にわたり入射する音波は、出力側から出力信号を送出するように前記マイクロフォンにより受信され前記マイクロフォンにより処理される、指向性マイクロフォン。 - 前記処理手段は、
音波が前記素子のうちの1つの素子により検出されていることを示す第1出力を提供する第1回路手段と、
前記第1回路手段の出力に応答してタイミング信号を提供する第2回路手段と、
前記素子のうちの別の素子に結合され、該別の素子により生成されるオーディオ信号を前記出力へ選択的にスイッチングするスイッチ手段を有する第3回路手段と、
前記別の素子における音波の到来を示す第2出力を提供する第4回路手段と、
前記第2および第4回路に結合され、前記第4回路からの出力および前記タイミング信号に応答して、前記タイミング信号の持続時間中、前記第2出力信号の受信直後に、前記別の素子からの前記オーディオ信号が前記スイッチ手段により前記出力側に送出されるように前記スイッチを作動させるスイッチ制御回路とを有する、請求項23に記載のマイクロフォン。 - 前記第2回路は、前記検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間が前記タイミング信号の持続時間を規定する、請求項24に記載のマイクロフォン。
- 前記単安定回路はANDゲートに接続され、その結果前記単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、該ANDゲートは前記単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供できる、請求項24に記載のマイクロフォン。
- 前記ANDゲートはD型フリップフロップを備えるスイッチ制御回路に接続され、前記タイミング信号および第2出力が前記フリップフロップにより受信されると、前記フリップフロップは、極性において前記タイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される前記電気オーディオ信号のほんのわずか半波長を超える持続時間を有する出力を生成し、前記フリップフロップの出力は前記スイッチに接続され、前記別の素子により生成される前記電気信号を前記出力側に供給できるように前記スイッチを制御する、請求項26に記載のマイクロフォン。
- 所定帯域内の周波数のみが前記スイッチに送信されるように、前記第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタが前記第3回路と前記別の素子の間に設けられている、請求項27に記載のマイクロフォン。
- 第4回路は、音波が前記別の素子で受信されると前記フリップフロップをトリガするゼロ交差検出器であり、したがってそのときに、前記信号が前記タイミング信号により設定される期間内に到来した場合に前記スイッチは作動し、その結果前記別の素子により生成される前記電気信号は前記スイッチ手段により前記出力側に送出されることが許容される、請求項24に記載のマイクロフォン。
- 前記処理手段は、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出する複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有する、請求項27に記載のマイクロフォン。
- 前記アレイ内のそれぞれの方向識別手段の1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する、請求項30に記載のマイクロフォン。
- 前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、前記マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、前記前方素子のそれぞれはそれぞれの前記処理アレイに接続され、前記処理アレイのそれぞれは、前記後方素子と、オーディオ出力信号を提供するために前記処理アレイからの出力をミクシングするオーディオミクサとの双方に接続される、請求項30に記載のマイクロフォン。
- 複数の前方素子は後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、前記素子のそれぞれは実質的に直線上にある、請求項32に記載のマイクロフォン。
- 前記第2回路は、前記タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、前記電気信号を出力側から送出するように音響信号を受信し処理できる、請求項24に記載のマイクロフォン。
- 制御手段は、前記タイミング信号を生成する前記単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように前記単安定回路を制御するコントローラを備える、請求項28に記載のマイクロフォン。
- 音波が伝搬する空気の温度を検出し、該空気温度に応じて、前記別の素子における音波の予期される受信に対する伝搬時間を調整する気温検出手段を有する、請求項23に記載のマイクロフォン。
- 処理セクションは、前記1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの前記音波の伝搬時間、したがって位相差に基づいて前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にするソフトウェア制御プロセッサを備える、請求項1に記載のマイクロフォン。
- 処理セクションは、アナログ電気信号を、前記プロセッサに供給するためのディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器をさらに有する、請求項37に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記プロセッサは、前記1つの素子および前記別の素子から受信される信号のゼロ交差点を判定するために前記プロセッサに提供される信号をサンプリングし、前記1つの素子からの信号のゼロ交差点の検出時にタイマをセットし、さらに前記プロセッサは、前記別の素子からの信号のゼロ交差が前記タイマによりセットされた期間内に到来したかどうかを判定し、該ゼロ交差点が該期間内にある場合に前記別の素子からの信号を前記出力側に供給する、請求項38に記載の指向性マイクロフォン。
- 電気オーディオ信号は、前記プロセッサにより前記信号に対して高速フーリエ変換を実行することによって処理され、信号のサンプルの位相が求められ、該位相が所定範囲内にあるかどうかについて比較判定がなされ、該範囲内にない場合、前記サンプルを大きさゼロにセットして該サンプルを阻止または消去し、前記プロセッサはまた前記位相範囲内に入らないサンプルを阻止または消去した後に前記信号に対して逆フーリエ変換を実行し、該信号を前記出力側に供給する、請求項38に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記信号を前記出力側に供給する前に前記信号を改善するために追加的信号処理が実行される、請求項40に記載の指向性マイクロフォン。
- 音波を電気オーディオ信号にそれぞれ変換する少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイと、
前記素子のうちの第1の素子に結合され、該第1の素子から前記オーディオ信号を受信し、該第1の素子による音波の受信を示す第1出力を提供する第1回路と、
前記第1回路からの前記出力を受信し、前記第1の素子から前記素子のうちの別の素子までの前記音波の伝搬のための機会ウィンドウを提供する所定期間を示すタイミング信号を生成する第2回路と、
前記別の素子からの出力オーディオ信号を受信し、前記別の素子による前記音波の受信を示す第2出力を提供する第3回路と、
前記第2および第3回路に接続され、前記第2回路により提供される前記タイミング信号の持続時間中の前記第2出力に応答してスイッチ制御信号を提供する第4回路と、
前記別の素子に結合され、前記別の素子により生成される前記オーディオ信号を受信し、また前記第4回路にも結合され、前記第4回路から前記スイッチ制御信号を受信し前記別の素子からの前記オーディオ信号を出力側へスイッチングするスイッチ手段とを有する、指向性マイクロフォン。 - 前記第2回路は、検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間が前記タイミング信号の持続時間を規定する、請求項42に記載のマイクロフォン。
- 前記単安定回路はANDゲートに接続され、前記単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、該ANDゲートは前記単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供する、請求項43に記載のマイクロフォン。
- 前記第4回路はD型フリップフロップであり前記ANDゲートは該フリップフロップに接続されており、前記タイミング信号が該フリップフロップにより受信され電気信号が前記別の素子により受信されると、該フリップフロップは、極性において前記タイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される前記電気オーディオ信号のほんのわずか半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、該フリップフロップの出力は前記スイッチに接続され、前記別の素子により生成される前記電気信号を出力側に供給することを可能にするように前記スイッチを制御する、請求項44に記載のマイクロフォン。
- 前記第1回路は、前記オーディオ信号を信号の所定の周波数帯域幅に制限する第1フィルタを有する、請求項42に記載のマイクロフォン。
- 前記第3回路は、前記第1フィルタと実質的に同一の第2フィルタを有し、該第2フィルタは、所定帯域内の周波数のみが前記スイッチに送信されるように、前記スイッチ手段と前記別の素子の間に設けられる、請求項46に記載のマイクロフォン。
- 前記第3回路は、前記音波が前記別の素子で受信されるときに前記フリップフロップをトリガするために前記第2フィルタに接続された第2ゼロ交差検出器を有し、したがってそのときに、前記信号が前記タイミング信号により設定される期間内に到来した場合に前記スイッチは作動し、その結果前記別の素子により生成される前記電気信号を前記スイッチ手段により出力側に送出することが可能なる、請求項42に記載のマイクロフォン。
- 前記マイクロフォンは、複数の前記第1回路、第2回路、第3回路、第4回路および前記スイッチ手段からなる処理アレイを有する、請求項42に記載のマイクロフォン。
- 前記第1および第2回路はフィルタを有し、前記アレイ内のそれぞれの第1回路および第3回路のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する、請求項49に記載のマイクロフォン。
- 前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、前記マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、前記前方素子のそれぞれはそれぞれの前記処理アレイに接続され、前記処理アレイのそれぞれは、前記後方素子と、オーディオ出力信号を提供するために前記処理アレイからの出力をミクシングするオーディオミクサの双方に接続される、請求項50に記載のマイクロフォン。
- 前記複数の前方素子は前記後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、前記素子のそれぞれは実質的に直線上にある、請求項51に記載のマイクロフォン。
- 前記第2回路は、前記タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記3次元の弧の角度にわたり前記電気信号を出力側から送出するように音響信号を受信し処理できる、請求項42に記載のマイクロフォン。
- 前記制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように該単安定回路を制御するコントローラを備える、請求項53に記載のマイクロフォン。
- 前記第1素子と第2素子は、前記第1素子により受信するべき最短波長音響信号の波長の4分の1より小さい距離だけ分離される、請求項42に記載のマイクロフォン。
- 前記前方素子のそれぞれは、それらのそれぞれの素子により受信するべき最短波長の1/4波長より小さい距離だけ、前記後方素子から離間される、請求項51に記載のマイクロフォン。
- 音波を電気オーディオ信号に変換する少なくとも2個の離間したマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイを有する指向性マイクロフォンのため使用され、
前記素子から前記電気信号を受信するための入力と、
前記素子のうちの1つの素子における音波の到来を検出する検出手段と、
前記1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの前記音波の伝搬時間に基づいて前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にする方向識別手段とを有する、処理セクション。 - 前記方向識別手段は、前記1つの素子から前記別の素子までの前記波の伝搬時間および前記音波の周波数の双方に基づいて、前記電気信号を前記出力側に送出することを選択的に可能にするため設けられている、請求項57に記載の処理セクション。
- 前記検出手段は、前記1つの素子によって検出された前記オーディオ信号のゼロ交差を検出するゼロ交差検出器を備え、前記オーディオ信号は、前記1つの素子によって受信され前記1つの素子によって電気信号に変換された音波に対応する、請求項57に記載の処理セクション。
- 前記方向識別手段は、前記検出手段に応答してタイミング信号を出力する信号タイミング手段と、前記別の素子に結合され前記タイミング信号を受信するスイッチとを有し、前記スイッチは、前記タイミング信号の受信時に前記電気オーディオ信号を前記別の素子から出力側に送出することを可能にするように作動可能であり、前記タイミング信号の持続時間は、3次元の弧の角度を規定する時間帯域に依存し、前記3次元の弧の角度にわたり、前記電気信号を出力側から送出するように音波が前記マイクロフォンにより受信され前記マイクロフォンにより処理されるものであり、前記タイミング信号の持続時間は前記1つの素子から前記別の素子までの前記音波の伝搬期間を規定する、請求項57に記載の処理セクション。
- 前記方向識別手段は、前記電気信号を所定の帯域幅に制限するために前記電気信号をフィルタリングするフィルタ手段を有する、請求項58に記載の処理セクション。
- 前記信号タイミング手段は、前記検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間が前記タイミング信号の持続時間を規定する、請求項60に記載の処理セクション。
- 前記単安定回路はANDゲートに接続され、前記単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、該ANDゲートは前記単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、要求される持続時間の前記タイミング信号を提供する、請求項62に記載の処理セクション。
- 前記ANDゲートはD型フリップフロップに接続され、その結果前記タイミング信号が該フリップフロップにより受信され電気信号が前記別の素子により受信されると、該フリップフロップは、極性において前記タイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される前記電気信号のほんのわずか半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、該フリップフロップの出力は前記スイッチに接続され、前記別の素子により生成される前記電気信号が出力側に供給することを可能にするように前記スイッチを制御する、請求項63に記載の処理セクション。
- 所定帯域内の周波数のみが前記スイッチに送信されるように、前記第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタが前記スイッチと前記別の素子の間に設けられている、請求項64に記載の処理セクション。
- 前記音波が前記別の素子で受信されると、前記フリップフロップをトリガするために、第2のゼロ交差検出器が前記第2のフィルタに接続され、そのときに、前記信号が前記タイミング信号により設定される期間内に到来した場合に前記スイッチは作動し、前記別の素子により生成される前記電気信号は前記スイッチ手段により出力側に送出することが可能になる、請求項65に記載の処理セクション。
- 前記処理セクションは、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出する複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有する、請求項66に記載の処理セクション。
- 前記アレイ内のそれぞれの処理セクションの1つまたは複数の前記フィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数帯域幅を提供する、請求項67に記載の処理セクション。
- 前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、前記マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、前記前方素子のそれぞれはそれぞれの前記処理アレイに接続され、前記処理アレイのそれぞれは、前記後方素子と、オーディオ出力信号を提供するために前記処理アレイからの出力をミクシングするオーディオミクサの双方に接続される、請求項67に記載の処理セクション。
- 前記複数の前方素子は前記後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、前記素子のそれぞれは実質的に直線上にある、請求項69に記載の処理セクション。
- 前記方向識別手段は、前記タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記3次元の弧の角度にわたり、前記電気信号を出力側から送出するように音響信号を受信し処理できる、請求項57に記載の処理セクション。
- 前記音波が伝搬する空気の温度を検出し、該空気温度に応じて、前記別の素子における音波の予期される受信に対する伝搬時間を調整する気温検出手段を有する、請求項57に記載のマイクロフォン。
- 前記処理セクションは、前記素子のうちの1つの素子における音波の到来を検出し、該1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの該音波の伝搬時間に基づいて前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にする前記検出手段および前記方向識別手段を提供するソフトウェア制御プロセッサを備える、請求項57に記載のマイクロフォン。
- 前記処理セクションは、アナログ電気信号を、前記プロセッサに供給するためのディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器をさらに有する、請求項73に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記プロセッサは、前記1つの素子および前記別の素子から受信される信号のゼロ交差点を判定するために前記プロセッサに提供される信号をサンプリングし、前記1つの素子からの信号のゼロ交差点の検出時にタイマをセットし、さらに前記プロセッサは、前記別の素子からの信号のゼロ交差が前記タイマによりセットされた期間内に到来したかどうかを判定し、該ゼロ交差点が該期間内にある場合に前記別の素子からの信号を出力側に供給する、請求項73に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記電気オーディオ信号は、前記プロセッサにより前記信号に対して高速フーリエ変換を実行することによって処理され、信号のサンプルの位相が求められ、該位相が所定範囲内にあるかどうかについて比較判定がなされ、該位相が所定範囲内にある場合、これは対応するオーディオ信号が前記1つの素子から前記別の素子まで所定期間内に伝搬したことを示し、該範囲内にない場合、前記サンプルを大きさゼロにセットして該サンプルを阻止または消去し、前記プロセッサはまた前記位相範囲内に入らないサンプルを阻止または消去した後に前記信号に対して逆フーリエ変換を実行し、該信号を出力側に供給する、請求項73に記載の指向性マイクロフォン。
- 前記信号を出力側に供給する前に前記信号を改善するために追加的信号処理が実行される、請求項76に記載の指向性マイクロフォン。
- 少なくとも2個のマイクロフォン素子を含むマイクロフォンアレイを有する指向性マイクロフォンのため使用され、それぞれのマイクロフォン素子は該マイクロフォンにより受信される音波を電気オーディオ信号に変換するものであり、
前記マイクロフォンから前記電気オーディオ信号を受信する入力手段と、
ゼロ位相差の場合を含む所定の位相差の範囲内に入る位相差を有する信号を出力側に供給することを可能にする処理手段とを有し、該位相差の範囲は、音波の3次元の弧の角度を設定するものであり、前記の3次元の弧の角度にわたり入射する音波が該出力側から出力信号を送出するために前記マイクロフォンにより受信され、そして、これを処理できるように構成されている、処理セクション。 - 前記処理手段は、
音波が前記素子のうちの1つの素子により検出されていることを示す第1出力を提供する第1回路手段と、
前記第1回路手段の出力に応答してタイミング信号を提供する第2回路手段と、
前記素子のうちの別の素子に結合され、該別の素子により生成されるオーディオ信号を前記出力へ選択的にスイッチングするスイッチ手段を有する第3回路手段と、
前記別の素子における音波の到来を示す第2出力を提供する第4回路手段と、
前記第2および第4回路に結合され、前記第4回路からの出力および前記タイミング信号に応答して、前記タイミング信号の持続時間中、前記第2出力信号の受信直後に、前記別の素子からの前記オーディオ信号を前記スイッチ手段により出力側に送出するように前記スイッチを作動させるスイッチ制御回路とを有する、請求項78に記載の処理セクション。 - 前記第2回路は、前記検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間が前記タイミング信号の持続時間を規定する、請求項79に記載の処理セクション。
- 前記単安定回路はANDゲートに接続され、前記単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、該ANDゲートは前記単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を提供する、請求項80に記載の処理セクション。
- 前記ANDゲートはD型フリップフロップを備えるスイッチ回路に接続され、前記タイミング信号および第2出力の双方が前記フリップフロップにより受信されると、前記フリップフロップは、極性において前記タイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される前記電気オーディオ信号のほんのわずか半波長を超える持続時間を有する出力を生成し、前記フリップフロップの出力は前記スイッチに接続され、前記別の素子により生成される前記電気信号を出力側に供給することを可能にするように前記スイッチを制御する、請求項81に記載の処理セクション。
- 所定帯域内の周波数のみが前記スイッチに送信されるように、前記第1のフィルタと実質的に同一の第2のフィルタを前記第3回路と前記別の素子の間に設けられている、請求項82に記載の処理セクション。
- 前記第4回路は、前記音波が前記別の素子で受信されると前記フリップフロップをトリガするゼロ交差検出器であり、したがって、そのときに、前記信号が前記タイミング信号により設定される期間内に到来した場合に前記スイッチは作動し、前記別の素子により生成される前記電気信号を前記スイッチ手段により出力側に送出することが許容される、請求項79に記載の処理セクション。
- 前記処理手段は、それぞれが所定周波数の音波に対応する電気信号を検出し送出する複数の前記検出手段および方向識別手段からなる処理アレイを有する、請求項84に記載の処理セクション。
- 前記アレイ内のそれぞれの方向識別手段の1つまたは複数のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する、請求項85に記載の処理セクション。
- 前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、前記マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、前記前方素子のそれぞれはそれぞれの前記処理アレイに接続され、前記処理アレイのそれぞれは、前記後方素子と、オーディオ出力信号を提供するために前記処理アレイからの出力をミクシングするオーディオミクサとの双方に接続される、請求項86に記載の処理セクション。
- 前記複数の前方素子は前記後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、前記素子のそれぞれは実質的に直線上にある、請求項87に記載の処理セクション。
- 前記第2回路は、前記タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記の3次元の弧の角度にわたり、前記電気信号を出力側から送出するために音響信号を受信し処理できる、請求項79に記載の処理セクション。
- 前記制御手段は、前記タイミング信号を生成する前記単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように前記単安定回路を制御するコントローラを備える、請求項89に記載の処理セクション。
- 前記音波が伝搬する空気の温度を検出し、該空気温度に応じて、前記別の素子における音波の期待される受信に対する伝搬時間を調整する気温検出手段を有する、請求項78に記載の処理セクション。
- 前記処理セクションは、前記1つの素子から前記素子のうちの別の素子までの前記音波の伝搬時間、したがって位相差に基づいて前記電気信号を出力側に送出することを選択的に可能にするソフトウェア制御プロセッサを備える、請求項1に記載の処理セクション。
- 前記処理セクションは、アナログ電気信号を、前記プロセッサに供給するためのディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換器をさらに有する、請求項78に記載の処理セクション。
- 前記プロセッサは、前記1つの素子および前記別の素子から受信される信号のゼロ交差点を判定するために前記プロセッサに提供される信号をサンプリングし、前記1つの素子からの信号のゼロ交差点の検出時にタイマをセットし、さらに前記プロセッサは、前記別の素子からの信号のゼロ交差が前記タイマによりセットされた期間内に到来したかどうかを判定し、該ゼロ交差点が該期間内にある場合に前記別の素子からの信号を出力側に供給する、請求項92に記載の処理セクション。
- 前記電気オーディオ信号は、前記プロセッサにより前記信号に対して高速フーリエ変換を実行することによって処理され、信号のサンプルの位相が求められ、該位相が所定範囲内にあるかどうかについて比較判定がなされ、該範囲内にない場合、前記サンプルを大きさゼロにセットして該サンプルを阻止または消去し、前記プロセッサはまた前記位相範囲内に入らないサンプルを阻止または消去した後に前記信号に対して逆フーリエ変換を実行し、該信号を出力側に供給する、請求項92に記載の処理セクション。
- 前記信号を出力側に供給する前に前記信号を改善するために追加的信号処理が実行される、請求項95に記載の処理セクション。
- 少なくとも2個のマイクロフォン素子を有するマイクロフォンアレイを含み、、それぞれのマイクロフォン素子は音波を電気オーディオ信号に変換するものであり、
前記素子のうちの第1の素子に結合され、前記素子のうちの第1の素子から前記オーディオ信号を受信し、該第1の素子による音波の受信を示す第1出力を提供する第1回路と、
前記第1回路からの前記出力を受信し、前記第1の素子から前記素子のうちの別の素子までの前記音波の伝搬のための機会ウィンドウを提供する所定期間を示すタイミング信号を生成する第2回路と、
前記別の素子からの出力オーディオ信号を受信し、前記別の素子による前記音波の受信を示す第2出力を提供する第3回路と、
前記第2および第3回路に接続され、前記第2回路により提供される前記タイミング信号の持続時間中の前記第2出力に応答してスイッチ制御信号を提供する第4回路と、
前記別の素子に結合され、前記別の素子により生成される前記オーディオ信号を受信し、また前記第4回路にも結合され、前記第4回路から前記スイッチ制御信号を受信し前記別の素子からの前記オーディオ信号を出力側へスイッチングするスイッチ手段とを有する、指向性マイクロフォンのための処理セクション。 - 前記第2回路は、検出手段に接続された1対の単安定回路を有し、一方の単安定回路は第1の持続時間の負のパルスを出力し、他方の単安定回路はより長い第2の持続時間の正のパルスを出力し、正の持続時間の共通期間が前記タイミング信号の持続時間を規定する、請求項97に記載の処理セクション。
- 前記単安定回路はANDゲートに接続され、前記単安定回路が双方ともハイ信号を提供すると、該ANDゲートは前記単安定回路により生成されるハイ信号の重なりに対応するハイ信号を生成することにより、所要の持続時間の前記タイミング信号を所定持続時間の遅延されたハイ信号の形態で提供する、請求項98に記載の処理セクション。
- 前記第4回路はD型フリップフロップであり前記ANDゲートは該フリップフロップに接続されており、前記タイミング信号が該フリップフロップにより受信され電気信号が前記別の素子により受信されると、該フリップフロップは、極性において前記タイミング信号に対応するとともに前記別の素子により生成される前記電気オーディオ信号のちょうど半波長を超える持続時間を有する出力を生成するように制御され、該フリップフロップの出力は前記スイッチに接続され、前記別の素子により生成される前記電気信号を出力側に供給することを可能にするように前記スイッチを制御する、請求項99に記載の処理セクション。
- 前記第1回路は、前記オーディオ信号を信号の所定の周波数帯域幅に制限する第1フィルタを有する、請求項97に記載の処理セクション。
- 前記第3回路は、前記第1フィルタと実質的に同一の第2フィルタを有し、該第2フィルタは、所定帯域内の周波数のみが前記スイッチに送信されるように、前記スイッチ手段と前記別の素子の間に設けられる、請求項101に記載の処理セクション。
- 前記第3回路は、前記音波が前記別の素子で受信されると、前記フリップフロップをトリガするために前記第2フィルタに接続された第2ゼロ交差検出器を有し、したがって、そのときに、前記信号が前記タイミング信号により設定される期間内に到来した場合に前記スイッチは作動し、前記別の素子により生成される前記電気信号は前記スイッチ手段により出力側に送出することが可能になる、請求項97に記載の処理セクション。
- 前記マイクロフォンは、複数の前記第1回路、第2回路、第3回路、第4回路および前記スイッチ手段からなる処理アレイを有する、請求項97に記載の処理セクション。
- 前記第1および第2回路はフィルタを有し、前記アレイ内のそれぞれの第1回路および第3回路のフィルタは、オーディオスペクトルの所望の幅にわたり相異なる周波数の帯域幅を提供する、請求項104に記載の処理セクション。
- 前記1つの素子は、前方素子を含む複数の素子のうちの1つであり、前記別の素子は後方素子を含み、前記マイクロフォンは複数の前記処理アレイを有し、前記前方素子のそれぞれはそれぞれの前記処理アレイに接続され、前記処理アレイのそれぞれは、前記後方素子と、オーディオ出力信号を提供するために前記処理アレイからの出力をミクシングするオーディオミクサの双方に接続される、請求項105に記載の処理セクション。
- 前記複数の前方素子は前記後方素子から相異なる距離だけ、かつ順次大きくなる距離だけ離間され、前記素子のそれぞれは実質的に直線上にある、請求項106に記載の処理セクション。
- 前記第2回路は、前記タイミング信号の持続時間を変化させることにより3次元の弧の角度を変化させる制御手段を有し、前記3次元の弧の角度にわたり、前記電気信号を出力側から送出するために音響信号を受信し処理できる、請求項97に記載の処理セクション。
- 前記制御手段は、前記タイミング信号を生成する単安定回路からの信号の重なりのタイミングを変化させるように該単安定回路を制御するコントローラを備える、請求項108に記載の処理セクション。
- 前記第1素子と第2素子は、前記第1素子により受信するべき最短波長音響信号の波長の4分の1より小さい距離だけ離れる、請求項97に記載の処理セクション。
- 前記前方素子のそれぞれは、それらのそれぞれの素子により受信するべき最短波長の4分の1波長より小さい距離だけ、前記後方素子から離間される、請求項110に記載の処理セクション。
- 第1マイクロフォン素子と、
前記第1素子から離間した少なくとも1つの第2マイクロフォン素子と、
前記素子の付近で気温を検出する温度検出手段とを有し、ここで、前記素子の出力を、前記素子のうちの1つから前記素子のうちの別の1つまでの音波の伝搬に基づいて前記マイクロフォンにより受信される音波の指向性を求めるために処理することが可能であり、前記気温検出手段の出力を、温度と、温度の変化に起因する空気中の音波の速度の変化とに基づいて処理を調節するために使用することが可能である、指向性マイクロフォン。
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