JP2004512804A - ヒト転移酵素タンパク質 - Google Patents

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ユエ、ヘンリー
ヒルマン、ジェニファー・エル
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Abstract

本発明は、新規のヒト転移酵素タンパク質(TRNSFS)と、TRNSFSを同定しコードするポリヌクレオチドとを提供する。また、本発明は、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、TRNSFSの発現に関連する疾患の診断または治療方法、予防方法を提供する。

Description

【0001】
技術分野
本発明は、ヒト転移酵素タンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列、並びにこれらの配列を用いた癌及び発達障害、胃腸疾患、遺伝病、免疫疾患、神経障害、生殖障害、平滑筋異常症の診断及び治療、予防に関する。
【0002】
発明の背景
転移酵素タンパク質
転移酵素(トランスフェラーゼ)は、供与体から受容体への分子の転移を触媒する酵素である。この反応は、酸化及び還元、または共有結合の切断が含まれ、基質或いはある種の基質の特定の部位に特異的である場合が多い。転移酵素タンパク質は、細胞成分の合成及び分化、並びに細胞シグナル伝達及び細胞増殖、炎症、アポトーシス、分泌、排泄を含む細胞機能の調節などの機能に必須の反応に関与する。転移酵素は、これらの機能に関係する疾患プロセスにおける重要なステップに関与する。これらの酵素は、転移される基の種類によって分類される場合が多い。例えば、メチルトランスフェラーゼは炭素1個のメチル基を転移し、アミノトランスフェラーゼは窒素性アミノ基を転移し、同様に命名された各酵素は、アルデヒド基、ケト基、アシル基、グリコシル基、アルキル基、アリール基、イソプレニル基及びsaccharyl基、亜リン酸を含む基、硫黄を含む基、セレンを含む基を転移し、CoAなどの小酵素も含まれる。
【0003】
グリコシルトランスフェラーゼの一例には、O−結合N−アセチルグルコサミン(O−linkeDNAcetylglucosamine:O−GIcNAc)トランスフェラーゼがあり、単糖N−アセチルグルコサミンとセリン残基またはスレオニン残基のヒドロキシル基との結合反応を触媒する。O−GlcNAc及びN−アセチルβ−D−グルコサミニダーゼ(O−GlcNAcase)はそれぞれ、キナーゼ及びホスファターゼによるタンパク質のリン酸化の調節に類似の方法で、タンパク質にO−GlcNAcを付加及び除去を行う。O−GlcNAcトランスフェラーゼが、細胞核及びサイトゾルに主に局在化され、転写や核輸送及び細胞骨格機構などの幾つかの細胞システムにおいて、ある役割を果たすことが判明した。O−GlcNAcトランスフェラーゼは、110−kDa(p110)の2つの触媒サブユニットと1つの78−kDa(p78)の触媒サブユニットからなるヘテロダイマーである。この酵素をコードする遺伝子は、高度に保存されている。p110サブユニットのアミノ末端は、tetratricopeptide反復(TPR)モチーフに相同であるが、カルボキシル末端は目立った相同性を有しない(Kreppel, L.K. et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:9308−9315)。TPRモチーフを含むタンパク質は、このTPRドメインを介して相互作用し、調節複合体を形成する。TPRモチーフは、細胞周期、転写及びタンパク質輸送などの細胞プロセスの調節にある役割を果たすと考えられている(Das, AK. et al. (1998) EMBO J 17:1192−1199)。
【0004】
酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)は、プリンサルベージ酵素であって、ヒポキサンチン及びグアニンのそれぞれのモノヌクレオチドへの転換を触媒する。「ハウスキーピング」遺伝子として知られるHGPRTは遍在性であり、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応の内部標準として用いられる場合が多い。HGPRTの全てのメンバーに保存されているセリン−チロシンジペプチドが存在し、プリン塩基のホスホリボシル化(phosphoribosylation)に必須である(Jardim, A. and OIlman, B. (1997) J. Biol. Chem. 272:8967−8973)。HGPRTが欠乏すると、尿酸の過剰な産生につながって、重度の通風になる恐れがある。HGRTが存在しないと、尿酸過剰血症、精神薄弱、舞踏病アテトーシス及び脅迫自傷などの特徴をもつレッシュ‐ナイハン症候群を引き起こす(Sculley, D.G. et al. (1992) Hum Genet 90:195−207)。
【0005】
ポリプレニルトランフェラーゼ(polyprenyl transferase)は、ポリプレニル基の分子への付加を触媒する。例えば、1,4−dihydroxy−2−napthoate octaprenyltransferaseは、40−C側鎖を1,4−dihydroxy−2−napthoic acid (DHNA)に付加して、可溶性DHNAの膜結合ジメチルメナキノン(demethylmenaquinone)への転換を触媒する。これは、メナキノン(ビタミンK2)の生合成における重要なステップである。octaprenyltransferaseはEscherichia coliの膜タンパク質であり、メナキノンの合成に必須である(Suvarna, K. et al. (1998) J. Bacteriol. 180:2782−2787)。キノンは大抵、生物に必須の酸化−還元サイクルに関与する(Morrison, R.T. and Boyd, RN. (1987) Organic Chemistry, Allyn and Bacon, Inc., Newton, Massachusetts, pp. 1092−1093)。他のoctaprenyltransferaseは、嫌気性条件の下でのキノンの合成を可能にすることから、嫌気性代謝においてある役割を果たすと考えられる(Alexander, K. and Young, IG. (1978) Biochemistry 17:4750−4755)。
【0006】
3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸(PAPS)の合成には、アデノシン3リン酸(ATP)スルフリラーゼ及びアデノシン5’−ホスホ硫酸(APS)キナーゼの2つの酵素が必要である。ATPスルフリラーゼは、ATP及び遊離硫酸塩からのAPS形成を触媒する。APSキナーゼはAPSをリン酸化して、高等生物における唯一の硫酸塩の供与体であるPAPSを生成する。細菌及び真菌、酵母、植物においては、これら2つの酵素は離れているポリペプチドである。しかし、動物では、ATPスルフリラーゼとAPSキナーゼが1つのタンパク質に存在する。動物で発見された2つの機能を有する酵素は、ATPスルフリラーゼ及びAPSキナーゼの既知の配列と広範な相同性を有することがわかった。APSキナーゼペプチド配列は十分に保存され、システイン残基及びPAPS依存性酵素モチーフに隣接するATP−GTP結合モチーフ(Pループ)を含む。ATPスルフリラーゼペプチド配列は、ATPスルフリラーゼ及びPAPSレダクターゼに見られるPPモチーフを含む(Rosenthal, E. and Leustek, T. (1995) Gene 165:243−248; Li, H. et al. (1995) J. Biol. Chem. 270:29453−29459; Deyrup, A.T. et at. (1998) J. Biol. Chem. 273:9450−9456; Bork, P. and Koonin, E.V. (1994) Proteins 20:347−355)。
【0007】
酵素、ホスファチジルエタノールアミンN−メチルトランスフェラーゼ(PEMT)は、ホスファチジルエタノールアミンのメチル化を触媒する。肝臓の肝細胞は、ホスファチジルエタノールアミンを段階的にメチル化してホスファチジルコリン(PC)を合成し、PEMTに対する豊富な活性を有する。他の細胞及び組織は、PEMTに対する最小の活性しか示さない。肝細胞を含む全ての哺乳類細胞は、CDPコリン経路を介してコリンからPCを合成する。研究結果から、妊娠及び乳汁分泌、飢餓によって食事からのコリンの供給が不十分なときに、PC合成を維持してコリンを生成する機能が、肝臓のPEMTにあることがわかった(Walkey, C.J. et at. (1998) J. Biol. Chem. 273 :27043−27046)。PEMT型は、肝細胞の増殖及び肝臓癌にある役割を果たすと思われる(Walkey, C.J. et al. (1999) Biochim. Biophys. Acta 1436:405−412)。脳におけるPEMTの活性の低下は、アルツハイマー病に関連する(Guan, Z.Z. et al. (1999) Neurochem. Int. 34:41−47)。
【0008】
酵素、スルホトランスフェラーゼは、硫黄を含む基の分子への転移を触媒する。例えば、HNK−1スルホトランスフェラーゼ(HNK−1ST)は、硫黄基を糖タンパク質及びグリコリピドに付加して、HNK−1炭水化物エピトープを形成する。HNK−1エピトープは、ヒトNK細胞に対する抗体によって発見され、N−CAM及びミエリン関連糖タンパク質を含む神経接着分子に見られる。HNK−1炭水化物エピトープは、末梢脱髄性神経障害(peripheral demyelinative neuropathy)に関与する自己抗原として機能的重要性を有することが認められた。HNK−1STは、ゴルジ関連スルホトランスフェラーゼとのコンセンサス配列を有するII型膜タンパク質である。ヒトとラットのHNK−1STは、90%のアミノ酸配列相同性を有する。ヒトのHNK−1STは、主に胎児の脳及び成人の脳、精巣、卵巣にみられる(Ong, E. et al. (1998) J. Biol. Chem. 273:5190−5195を参照)。
【0009】
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT I)は、ミトコンドリア脂肪酸β酸化(細胞におけるエネルギー生産の主な源)における律速段階である脂肪酸アシル基のCoAからカルニチンへの転移を触媒する。CPT Iは、脂肪酸を燃料として利用する組織に異なって発現する2つの構造遺伝子(αとβ)を有する。α構造遺伝子は、肝臓及び膵臓β細胞、心臓で多く発現する。CPT Iのβ構造遺伝子は、骨格筋及び脂肪組織、心臓、精巣で主に発現する(Yu, G.S. et al. (1998) J. Biol. Chem. 273:32901−32909)。CPT Iの欠乏は致死性の障害であり、中鎖脂肪で治療可能と思われる。この障害は、初めの8ヶ月から18ヶ月の間、ウイルス感染及び下痢による絶食状態に関連するライ症候群様発症を示す。この症状の特徴は、昏睡及び発作、肝腫瘍、低ケトン性低血糖症である。持続的な神経障害が一般的である(Online Mendelian Inheritance in Man entry #255l20; ExPASy Enzyme:EC 2.3.1.21)。
【0010】
酵素、グリシンN−メチルトランスフェラーゼは、S−adenosylhomocyteine及びサルコシンを形成するS−アデノシルメチオニンからグリシンへのメチル基の転移を触媒する。グリシンN−メチルトランスフェラーゼは、ヌクレオチド結合領域を有する同一サブユニットの四量体であり、肝臓に局在化している。ラット及びウサギ、ブタ、ヒトの肝臓のそれぞれのグリシンN−メチルトランスフェラーゼ間にアミノ酸配列相同性が見られる。グリシンN−メチルトランスフェラーゼは、多環式芳香族炭化水素(PAH)と結合する二量体として存在し、転写活性化因子として作用し得る(Ogawa, H. et al. (1998) Int. J. Biochem. Cell Biol. 30:13−26; Bhat, R. and Bresnick, E. (1997) J. Biol. Chem. 272:21221−21226)。
【0011】
ミリストイル CoA :プロテイン N− ミリストイルトランスフェラーゼ
14炭素脂肪酸でのNアシル化、即ちミリスチン酸エステルが、通常の細胞機能に必須及び/または治療の潜在的な標的である多数のタンパク質のN末端グリシンのアミノ基に見られる。このようなタンパク質の例には、ヘテロ三量体Gタンパク質のサブユニット、ミリストイル化高アラニンCキナーゼ基質(MARCKS)、ヒト免疫不全ウイルスgag及びnefタンパク質、GTP結合arf1、プロテインホスファターゼカルシニュリンB、pp60srcプロテインチロシンキナーゼ、レチナールカルシウム結合リカバリン、カベオラ関連内皮酸化窒素シンターゼ(caveolac−associated endothelial nitric oxide synthase)、cAMP依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニット、ミトコンドリア関連チトクロームb5レダクターゼが含まれる(Glover, C.J. et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:28680−28689)。Nミリストイル化タンパク質は、種々の機能に必要なミリスチン酸成分をもつ様々な細胞小器官に関連する。このような種々の機能には、タンパク質間の相互作用、タンパク質と脂質の相互作用、リガンドによるタンパク質高次構造の変化、細胞下ターゲッティングの修正が含まれる。
【0012】
タンパク質のミリストイル化は大抵、最初のアミノ酸100個の合成中の、同時翻訳の際に起こる。この反応は、酵素、ミリストイルCoA:プロテインN−ミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)1(EC 2.3.1.97)によって触媒される(Towler, D. A. et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. 84:2708−2712)。免疫蛍光顕微鏡によって、NMTが酵母及び哺乳類の細胞の細胞質全体に均一に分布していることがわかった。この事実とNミリストイル化が遊離ポリリボソームに結合している新生ポリペプチドで起こることから、NMTが細胞質において物理的に局在化して機能的に活性化することが明らかになった(Wilcox, C. et al. (1987) Science 238:1275−1278)。
【0013】
タンパク質のNミリストイル化は、厳重な調節性のプロセスであって、1)例えば、N−methionylaminopeptidase及び脂肪酸シンテターゼ、長鎖アシルCoAシンテターゼ、アシルCoAタンパク質などの幾つかの異なった酵素/タンパク質の協調的な関与、2)ミリストイルCoA基質のプールへのNMTのアクセス、3)Nアセチル化及びポリペプチドの折りたたみなどの潜在的な阻害反応を避けるための、タンパク質合成の際の新生ポリペプチド基質のNミリストイル化、の各プロセスを含む。調節性Nミリストイル化におけるNMTの機能から、NMTが確実に適切なタンパク質合成装置へターゲッティングされるように設計された機構が存在すると思われる。これらの機構には、急激に増大するポリペプチド基質を認識してNミリストイル化を促進する他の協同成分との相互作用が含まれ得る(Giover, et al.前出)。タンパク質のNミリストイル化活性は、癌及び感染症、免疫疾患の化学療法の標的となり得る。NMTのアンタゴニストは、腫瘍性タンパク質及び他の成長活性化細胞内タンパク質の翻訳後のミリストイル化を低減し得る(Felsted,R.L. et al., (1995) J. Natl. Cancer lnst. 87:1571−1573; Furuishi, K. et al., (1997) Biochem. Biophys. Res. Comm. 237:504−511)。
【0014】
マンノース −1− リン酸グアニルトランスフェラーゼ
多くの分泌タンパク質及び膜タンパク質は、共有結合で結合した糖鎖またはオリゴ糖を有するグリコシル化タンパク質である。これらの糖タンパク質には、1個或いは2、3個の糖のみを有するもの、また、直線或いは枝分かれした多数のオリゴ糖側鎖を有するものもある。多くの細胞膜糖タンパク質の糖残基が、これらのタンパク質を膜に向かわせる。糖タンパク質の糖残基は親水性であり、細胞膜の炭化水素のコアではなく、水または細胞外の表面付近に局在化するのが極めて好ましい。膜の一端から多端への糖タンパク質の回旋には大きなエネルギーが必要であり、膜糖タンパク質の糖が生体膜の非対称性維持の一助となっている。赤血球の膜に見られるタンパク質であるグリコホリンは、最も特徴的な糖タンパク質の1つである。多くの可溶性の糖タンパク質も知られており、その中には担体タンパク質及び抗体、リソソームに多数のタンパク質がある。細胞膜糖タンパク質の炭水化物は、細胞間の認識において重要な役割を果たす。オリゴ糖は、多くの炎症プロセスに関与し、腫瘍の免疫療法の標的となり得る。
【0015】
糖タンパク質は、アスパラギン(N)残基を介してそれらのオリゴ糖に結合することが多い。これらのN結合オリゴ糖は、極めて多様であるが、それらが形成される多くの経路の最初のステップは共通である。2個のN−アセチルグルコサミン及び9個のマンノース、3個のグルコース残基を含むA14残基コアオリゴ糖(A 14 residue core oligosaceharide)は、ドリコールリン酸供与体分子からタンパク質の或るN残基に転移される(Lehninger, A. L. et al. (1993) Principles of Biochemistry, Worth Publishers, New York, NY, pp. 931を参照)。グリコシル化は、タンパク質における翻訳後修飾の中で最も広範であり、糖タンパク質の分泌及び抗原性、クリアランスに必須である。
【0016】
ある種のピロホスホリラーゼなどの糖質代謝に関与する様々な酵素は、グリコシル化に直接或いは間接的に関与する。ADPグルコースピロホスホリラーゼは、細菌及び植物のα−1,4−グルカン(グリコーゲンまたはデンプン)の生合成において、重要な役割を果たす。詳細には、ADPグルコースピロホスホリラーゼは、グルコース−1−リン酸及びATPから活性化グルコシル供与体であるADPグルコースへの合成を触媒する。ADPグルコースピロホスホリラーゼは四量体であって、アロステリック調節性酵素である。細菌及び植物のADPグルコースピロホスホリラーゼのサブユニットの配列には、多数の保存された領域がある。更に、サインパターン(signature pattern)と推定される3つの領域も存在する(ExPASy PROSITE データベース, 文献 PSOO8OB−P5008 10)。最初の2つの領域はN末端にあり、Escherichia coli酵素におけるアロステリック及び基質結合部位の一部であると提言された。3番目のパターンは、酵素のコア部分の保存された領域に対応する。
【0017】
真核細胞では、マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼ(MPG:mannose−1−phosphate guanyltransferase)が、タンパク質のグリコシル化の初期段階に関与する。この酵素はマンノース代謝に関与し、その酵素産物は糖タンパク質合成物の中に含められる。マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼは、NDP−ヘキソースピロホスホリラーゼまたはGDP−マンノースピロホスホリラーゼとも呼ばれ、GTPとα−D−マンノース−1リン酸から2リン酸塩とCDP−エタノールアミンへの転換を触媒する。この酵素はGDP−グルコースピロホスホリラーゼに極めて類似しており、細胞周期の進行の調節に関与し得る。最近、MPG1をコードするcDNAがTrichoderma reesci cDNAライブラリから単離された(Kruszewska, J. S. et al. (1998) Curr. Genet. 33:445−500)。1.6kbのcDNAのヌクレオチド配列によって、364個のアミノ酸からなるタンパク質をコードするORFが明らかになった。配列の比較によって、このタンパク質が、酵母Saccharomyces cerevisiaeMPGI遺伝子と70%、Schizosaccharomyces pombe遺伝子と75%の同一性を有することが実証された。MPGは、多様な生物に保存されている。例えば、最近のゲノムシークエンシングプロジェクトによって、植物Arabidopsis thaliana及び線虫Caenorhabditis elceans(それぞれSEQ ID NO:32及びSEQ ID NO:33)において、MPG相同体が同定された。
【0018】
糖質欠乏糖タンパク質症候群(CDGS:carbohydrate−deficient glycoprotein syndromes)などの多くの障害や疾患において、グリコシル化の変化が起こることが知られている。生化学経路において、MPGの上流はphosphomannomutase (PMM)と呼ばれる重要な酵素であって、MPGによって触媒される反応に必要なマンノース−1リン酸を供給する。PMMは、D−マンノース−6−リン酸からD−マンノース−1−リン酸への転換を触媒し、CDGSに関与する。CDGSは、遺伝性多システム障害のグループである(Matthijs, G. et al. (1997) Nat. Genet. 16:88−92)。殆どのCDGSの臨床の表現型は主として、血栓及び出血、発作様症状にみられる血液凝固異常をはじめ、重度の精神運動制止及び精神薄弱などである。CDGSの特徴的な生化学的異常は、糖タンパク質の低グリコシル化である。CDGSのタイプによって、糖タンパク質の糖側鎖が切断されるか或いはタンパク質のコアから完全に失われる。
【0019】
CDGS 1B型と呼ばれる新しいタイプのCDGSが最近報告された(Niehues, R. et al. (1998) Clin. Invest. 101:1414−1420)。この新しい疾患の臨床の表現型は、精神運動制止及び精神薄弱には見られず、他のCDGSとは基本的に異なっている。その代わり、CDGS 1B型は、蛋白喪失性腸症の特徴を有する胃腸疾患である。CDGS 1B型を発症した患者の中には、血栓または致死性の出血をともなう患者もいる。ホスホマンノースイソメラーゼの欠乏は、この疾患を引き起こす可能性が極めて高く、マンノースを経口投与する治療法が開発された(Niehues,前出)。マンノース治療によって、CDGS 1B型の臨床の表現型を治療することが可能である。CDGSが、利用可能なマンノースの減少を示すヒトの代謝における最初の遺伝性疾患であることに注目されたい。上記した研究結果から、血中のマンノースレベルを上昇させることによって、タンパク質のグリコシル化の欠乏を治療することが可能である。
【0020】
新規のヒト転移酵素タンパク質及びそれらをコードするポリヌクレオチドの発見により、癌及び発達障害、胃腸疾患、遺伝病、免疫疾患、神経障害、生殖障害、平滑筋異常症の診断及び治療、予防に有用な新規の組成物を提供することで当分野のニーズに答えることができる。
【0021】
発明の要約
本発明は、総称して「TRNSFS」、個々には「TRNSFS−1」、「TRNSFS−2」、「TRNSFS−3」、「TRNSFS−4」、「TRNSFS−5」、「TRNSFS−6」、「TRNSFS−7」、「TRNSFS−8」、「TRNSFS−9」、「TRNSFS−10」、「TRNSFS−11」、「TRNSFS−12」、「TRNSFS−13」、「TRNSFS−14」、及び「TRNSFS−15」と呼ぶ実質的に精製されたポリペプチド、ヒト転移酵素タンパク質を提供する。本発明の一実施態様では、SEQ ID NO:1−15(配列番号:1−15)及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含む実質的に精製されたポリペプチドを提供する。
【0022】
更に本発明は、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列の少なくとも1つと90%以上のアミノ酸同一性を有する実質的に精製された変異体を提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配を含むポリペプチドをコードする単離され実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと90%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。
【0023】
更に、本発明は、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと厳密な条件の下でハイブリダイズする単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと相補的な配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
本発明はまた、核酸を含むサンプルにおいて、ポリヌクレオチドを検出する方法であって、(a)ポリヌクレオチド配列の相補体を、少なくとも1つのサンプルのポリヌクレオチドとハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、(b)そのハイブリダイゼーション複合体を検出する過程とを含み、そのハイブリダイゼーション複合体の存在とサンプルにおけるポリヌクレオチドの存在とが相関性を有する、検出方法を提供する。本発明の一実施態様では、ハイブリダイゼーションの前にポリヌクレオチドを増幅する過程を含む。
【0025】
本発明はまた、SEQ ID NO:16−30及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。また、本発明は、SEQ ID NO:16−30及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列と90%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。更に本発明は、SEQ ID NO:16−30及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
本発明は更に、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、この発現ベクターは宿主細胞内に含まれる。
【0027】
本発明はまた、ポリペプチドを製造する方法であって、(a)ポリペプチドの発現に好適な条件の下、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を有する発現ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b)その宿主細胞の培地からそのポリペプチドを回収する過程とを含む製造方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に提供する。
【0029】
更に本発明は、SEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリペプチドと結合する精製された抗体を提供する。また、本発明は、そのポリペプチドの精製されたアゴニスト及びアンタゴニストを提供する。
【0030】
本発明はまた、TRNSFSの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防が必要な患者にSEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に効果的な量投与することを含む、TRNSFSの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防方法を提供する。
【0031】
本発明はまた、TRNSFSの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防が必要な患者にSEQ ID NO:1−15及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドのアンタゴニストを効果的な量投与することを含む、TRNSFSの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防方法を提供する。
【0032】
本発明の記載について
本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、ここに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更できることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい。
【0033】
本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0034】
本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用した。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈されるものではない。
【0035】
定義
「TRNSFS」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及び好ましくは人類を含む哺乳動物)から得られる実質的に精製されたTRNSFSのアミノ酸配列を指す。
【0036】
用語「アゴニスト」は、TRNSFSと結合したとき、TRNSFSの効果を増大する、或いはその持続時間を延長する分子を指す。このアゴニストには、TRNSFSに結合してその効果を変調するタンパク質、核酸、糖質、任意の他の分子を含み得る。
【0037】
「アレル変異配列」は、TRNSFSをコードする遺伝子の別の形を指す。アレル変異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA若しくは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変わらない場合もある。天然或いは組換え体のすべての遺伝子には、アレル形が存在しないもの、1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生じる変異は、ヌクレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各変異は、単独或いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以上生じる。
【0038】
TRNSFSをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、或いは置換が起こっても、TRNSFSと同じポヌクレオチド或いはTRNSFSの機能特性の少なくとも1つを備えるポリペプチドである。この定義には、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列の正常の染色体の遺伝子座ではない位置でアレル変異配列と不適当或いは予期せずハイブリダイゼーション、及びTRNSFSをコードするポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、容易に検出可能な或いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り、サイレント変化を生じTRNSFSと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入、或いは置換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的にTRNSFSの活性が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/または両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。たとえば、負の電荷をもつアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含み得り、正の電荷をもつアミノ酸は、リジン及びアルギニンを含み得り、そして近い親水性値をもち非電荷極性頭基を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン及びチロシンを含みうる。
【0039】
用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質配列、それらの任意の断片、天然の分子または合成された分子を指す。TRNSFSの断片である「断片」及び「免疫原性断片」、「抗原性断片」は、好ましくはアミノ酸約5〜約15個の長さであり、最も好ましくはアミノ酸14個の長さであり、TRNSFSのある生物学的活性または免疫学的活性を保持する。ここでは、「アミノ酸配列は自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列であるが、アミノ酸配列及び類似の用語は、列記したタンパク質分子に関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定されるわけではない。
【0040】
「増幅」は、核酸配列の追加的な複製を生成することに関連する。増幅は、一般にはこの技術分野では周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行われる。
【0041】
「アンタゴニスト」は、TRNSFSと結合したとき、TRNSFSの生物学的または免疫学的活性の効果の程度を低下させたり、その持続時間を短縮する分子を指す。アンタゴニストは、タンパク質、核酸、糖質、抗体またはTRNSFSの効果を減少させるの他の分子である。
【0042】
用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab’)及びそれらの断片などの、無傷の分子及びFv断片を指す。TRNSFSポリペプチドと結合する抗体は、抗体を免疫する目的の小さなペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用いて調整可能である。動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化するのに使用されるポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から引き出されたり、化学的に合成され得り、必要に応じて担体プロテインと結合することも可能である。ペプチドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ血清アルブミン、チログロビン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH)を含む。次ぎに、この結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0043】
用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子のフラグメント(即ちエピトープ)を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化するのに用いられるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質上の所定の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。抗原決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出すために用いられる免疫原)と競合し得る。
【0044】
用語「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス鎖と相補的な核酸配列を含む全ての組成物を指す。アンチセンス分子は、合成や転写を含む任意の方法で作り出すことができる。相補的ヌクレオチドは、一度細胞に導入されると、細胞によって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。「マイナス(−)」という表現はアンチセンス鎖、「プラス(+)」という表現はセンス鎖を指す。
【0045】
用語「生物学的活性」は、自然発生分子の構造的、調節的、或いは生化学的機能を有するタンパク質を指す。同様に、「免疫学的に活性」とは、天然或いは組換え体のTRNSFS、合成のTRNSFSまたはそれらの任意のオリゴペプチドが、適当な動物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結合する能力のことである。
【0046】
用語「相補的」及び「相補性」は、許容の塩と許容の温度条件の下で、塩基対の形成によってポリヌクレオチドが自然に結合することを指す。例えば、配列「A−G−T」と相補的な配列「T−C−A」と結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、幾つかの核酸が結合するのみの部分的な場合、或いは一本鎖間に完全な相補性が存在して完全な相補性となる場合があり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に大きな影響を与える。このことは、核酸鎖間の結合に左右される増幅反応、並びにペプチド核酸(PNA)分子の設計若しくは使用において特に重要である。
【0047】
「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列を含む任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液、無菌組成物を含み得る。TRNSFS若しくはTRNSFSの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブは、凍結乾燥状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合可能である。ハイブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面活性剤(例えば、SDS)、その他の物質(例えば、デンハート液、乾燥ミルク、サケ精子DNAなど)を含む水溶液に展開され得る。
【0048】
「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するために再配列された核酸配列であって、XL−PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5’及び/または3’の方向に延長されて再配列された核酸配列、或いはGELVIEW 断片構築システム(GCG, Madison, WI)などのフラグメントの構築のためのコンピュータプログラムを用いて2つ以上のインサイトクローン社の重複配列から構築された核酸配列を指す。延長及び構築の両方によってコンセンサス配列に構築されるものもある。
【0049】
用語「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」は、ノーザン分析によるTRNSFSをコードする核酸配列と同じ或いは関連する核酸の検出が、サンプル内のTRNSFSをコードする核酸の存在を示すことから、TRNSFSをコードするポリヌクレオチドからの転写物の発現と相関性を有すること指す。
【0050】
「欠失」は、1個以上のアミノ酸残基若しくは核酸残基が欠如するアミノ酸配列若しくは核酸配列の変化を指す。
【0051】
本明細用語「誘導体」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の化学修飾のことである。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、アルキル基、アシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌクレオチドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能を少なくとも1つ保持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もとのポリペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能を少なくとも1つ保持する、グリコシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによって修飾されたものである。
【0052】
「類似性」とは、相補性の程度を表す用語である。これには、部分的類似性と完全な類似性とがあり得る。この「同一性」は「類似性」とも言える。同一の配列が標的の核酸とハイブリダイゼーションするのを少なくとも部分的に阻止する部分的に相補的な配列は、「実質的に同様」と呼ばれる。完全に相補的な配列と標的の配列とのハイブリダイゼーションの抑制は、厳密性を低下させた条件の下ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロッティング或いはノーザンブロッティング法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検査される。実質的に同様の配列或いはハイブリダイゼーションプローブは、厳密性を低下させた条件の下、完全に相補的な配列と標的の配列との結合に対して競合して抑制する。これは、厳密性を低下させた条件では、2つの配列の互いへの結合が特異的(即ち、選択的)に相互作用しなけらばならず、厳密性を低下させた条件の下では非特異的な結合が許容されるということではない。部分的な相補性ともいえない(例えば、30%未満の類似性或いは同一性)第2の標的配列を用いて、非特異的結合が存在しないことの検査が可能である。非特異的結合が存在しない場合は、実質的に類似配列或いはプローブが第2の非相補的標的配列とハイブリダイゼーションしない。
【0053】
句「百分率同一性」又は「%同一性」とは、2つ以上のアミノ酸配列或いは核酸配列の比較で見つかった配列類似性の百分率のことである。この百分率同一性は、例えば、MEGALIGNプログラム(DNASTAR Madison WI)など電子装置を用いて決定可能である。このMEGALIGNプログラムは、様々な方法、例えば、クラスター方法に従って、2つ以上の配列間のアライメントを作り出すことが可能である(例えば、Higgins, D.G.及びP.M. Sharp (1988) Gene73:237−244.を参照)。クラスターアルゴリズムが、全ての組の間の距離を測って、配列を各クラスターに分類する。これらのクラスターは、組によって整列され、次ぎにグループに分けられる。2つのアミノ酸の配列間の百分率類似性、例えば配列Aと配列Bの百分率類似性は、配列Aと配列Bの一致する残基の合計数を、配列Aの長さから配列Aのギャップ残基数と配列Bのギャップ残基数とを差し引いたもので除し、それに100を掛けることによって得られる。2つのアミノ酸配列間の低い類似性或いは非類似性のギャップは、百分率類似性の決定には含まれない。核酸配列間の百分率同一性はまた、クラスター法或いはJotun Hein法などの当分野で周知の別の方法によってカウント或いは計算することも可能である(例えば、Hein. J. (1990) Methods Enzymol. 183:626−645.を参照)。配列間の同一性はまた、例えば、ハイブリダイゼーションの条件を変えるなどの当分野で周知の別の方法によって決定することも可能である。
【0054】
「ヒト人工染色体(HAC)」は、6kb〜10MbのサイズのDNA配列を含み得り、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての要素を含む直鎖状の微小染色体である(Harrington, J.J.等 (1997) Nat Genet. 15:345−355を参照)。
【0055】
用語「ヒト化抗体」とは、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せるために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変異された抗体分子である。
【0056】
「ハイブリダイゼーション」とは、核酸の一本鎖が相補的な一本鎖と塩基対を形成して結合する全てのプロセスである。
【0057】
用語「ハイブリダイゼーション複合体」とは、相補的な塩基対間の水素結合の形成によって、2つの核酸配列間に形成された複合体のことである。ハイブリダイゼーション複合体は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)で形成されるか、或いは溶液中の1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、膜、フィルター、チップ、ピン、或いはスライドガラス、または細胞及びその核酸を固定する任意の適当な基板)に固定されたもう一つの核酸配列との間で形成され得る。
【0058】
用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子の配列に対して、1個以上のアミノ酸残基或いはヌクレオチドがそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いは核酸配列の変化を指す。
【0059】
「免疫応答」とは、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症、遺伝病などと関係する症状のことである。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に影響を及ぼすサイトカイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子の発現によって特徴づけられ得る。
【0060】
本明細書において「マイクロアレイ」とは、基板上に配列された様々なポリヌクレオチドのアレイのことである。
【0061】
本明細書のマイクロアレイの記述における「エレメント」或いは「アレイエレメント」とは、基板の表面に配列されたハイブリダイゼーション可能なポリヌクレオチドのことである。
【0062】
用語「変調」とは、TRNSFSの活性の変化のことである。変調の例として、TRNSFSのタンパク質活性の特性、或いは結合特性、またはその他の生物学的特性、機能的特性或いは免疫学的特性の変化がある。
【0063】
句「核酸」或いは「核酸配列」とは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、或いはそれらの断片を指す。また、一本鎖若しくは二本鎖のセンス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム若しくは合成起源のDNA或いはRNAと、またペプチド核酸(PNA)や任意のDNA様物質、RNA様物質も指す。本明細書において「断片(またはフラグメント)」とは、(例えば、同じゲノム内の任意の別の配列とは異なる)SEQ ID NO:16−30を特別に同定する独特のポリヌクレオチド配列の領域を含む核酸配列のことである。例えば、SEQ ID NO:16−30は、ハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用であり、更に、関連ポリヌクレオチド配列からSEQ ID NO:16−30を区別する類似性の検査にも有用である。SEQ ID NO:16−30の断片は、少なくともヌクレオチド15〜20個の長さである。この断片に対応するSEQ ID NO:16−30の正確な長さ及びSEQ ID NO:16−30の領域は、断片の使用目的に基づいた当分野で一般的な技術の1つを用いて日常業務的に決定できる。また、断片は翻訳された場合、完全長のポリペプチドの抗原性などのいくつかの機能的特徴或いはATP結合部位などの構造的ドメイン特徴を維持したポリペプチドを形成し得る。
【0064】
用語「機能的に関係した」及び「機能的に結合した」とは、機能的に関係する核酸配列のことである。コードされたポリペプチドの転写をプロモータが制御する場合、そのプロモーターはコードする配列と機能的に関係する或いは機能的に結合する。機能的に関係した或いは機能的に結合した核酸配列は近接して同じ読み枠内に存在し得るが、リプレッサー遺伝子などのある種の遺伝子要素は、ポリペプチドをコードする配列とは近接して結合していないが、ポリペプチドの発現を調節するオペレーター配列とは結合したままである。
【0065】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、PCR増幅、ハイブリダイゼーション、或いはマイクロアレイに使用可能な核酸配列のことであり、その長さは少なくとも6ヌクレオチドから60ヌクレオチドである。好ましくは約15から30ヌクレオチドであり、さらに好ましいくは約20から25のヌクレオチドである。本明細書において、オリゴヌクレオチドは、当技術分野では同一と定義される「アンプリマー」及び「プライマー」、「オリゴマー」と実質的に同じである。
【0066】
「ペプチド核酸」(PNA)とは、末端がリジンで終わるアミノ酸残基のペプチドバックボーンに結合した、約5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス分子又は抗遺伝子剤のことである。この末端のリジンにより、この組成物が溶解性を有する。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優先的に結合して転写物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細胞において寿命を延ばし得る。(例えば、Nielsen, P.E.他(1993) Anticancer Drug Des. 8:53−63を参照)。
【0067】
用語「サンプル」とは、その最も広い意味で用いられている。TRNSFSをコードする核酸若しくはその断片、TRNSFS自体を含むと推測される生物学的サンプルには、体液と、細胞からの抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内小器官、膜と、細胞と、溶液中又は固体の支持物に固定されたゲノムDNA,RNA,cDNAと、組織又は組織プリント等も含まれ得る。
【0068】
用語「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、タンパク質或いはペプチドとアゴニスト或いは抗体、アンタゴニストとの間の相互作用のことである。この相互作用は、結合する分子によって認識される、例えば、抗原決定基つまりエピトープなどのタンパク質の特定の構造の存在によって左右される。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、結合していない標識した「A」及びその抗体を含む反応において、エピトープAを含むポリペプチドが存在するか或いは結合していない無標識の「A」が存在すると、抗体と結合する標識Aの量が減少する。
【0069】
用語「厳密な(stringent)条件」とは、ポリヌクレオチドと請求項に記載されたポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが可能な条件である。厳密な条件は、塩濃度及び有機溶剤(例えば、ホルムアミド)の濃度、温度、及び当分野で周知の別の条件によって決められる。詳細には、塩の濃度を下げたり、ホルムアミドの濃度を上げたり、またハイブリダイゼーションの温度を上げることで厳密性を高めることができる。
【0070】
用語「実質的に精製された」とは、自然の環境から取り除かれてから、単離或いは分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している構成要素が少なくとも約60%以上除去されたものであり、好ましくは約75%以上の除去、最も好ましいのは約90%以上除去されたものである。
【0071】
「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0072】
「基板」とは、膜、フィルター、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁気或いは非磁気のビード、ゲル、管、プレート、ポリマー、微細粒子、毛管を含む好適な固体或いは半固体の支持物のことである。基板は、ポリヌクレオチドやポリペプチドが結合する壁及び溝、ピン、チャネル、孔などの様々な表面形態を有する。
【0073】
「形質転換」とは、外来DNAが入り込み受容体細胞を変化させるプロセスのことである。形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自然或いは人工の条件の下で起こり得り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中に外来核酸配列を挿入する任意の周知の方法によって行うことができる。この形質転換の方法は、形質転換される宿主細胞のタイプによって選択される。この方法には、ウイルス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクション、及び微粒子照射が含まれるが、限定されるものではない。「形質転換された」細胞には、導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主染色体の一部として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さらに、限られた時間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれる。
【0074】
「変異体」とは、一つ以上のアミノ酸が変異したアミノ酸配列である。この変異体には、例えばロイシンとイソロシンとの置換のような、置換されたアミノ酸が類似の構造或いは類似の化学特性を有する「保存的」変異が含まれる。稀ではあるが、変異体には、グリシンをトリプトファンで置換する「非保存的」変異も含まれる。また、類似の小さな変異には、アミノ酸の欠失、挿入、或いはその両方が含まれる。当分野で周知の例えばLASERGENETMソフトウエアを用いて、生物学的或いは免疫学的活性を損なうことなく、どのアミノ酸残基を置換、挿入、或いは欠失させるかを決めることができるであろう。
【0075】
ポリヌクレオチド配列の文脈の中で用いられる用語「変異配列」とは、TRNSFSに関連したポリヌクレオチド配列を含み得る。この定義は、例えば、「アレル」、「スプライス」、「種」、「多形性」変異配列についてもあてはまる。スプライ変異配列は基準分子と極めて同一性が高い可能性があるが、mRNAプロセシング中のエキソンの交互のスプライシングによってポリヌクレオチドの数が多くなったり、少なくなったりする。対応するポリペプチドは、機能ドメインが加わったり、ドメインが減ったりし得る。種変異配列は、種によって異なるポリヌクレオチド配列である。できたポリペプチドは、互いに高いアミノ酸同一性を有する。多形性変異配列は、所定の種と種の間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列における変異である。多形性変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1つの塩基が異なる「1つのヌクレオチド多形性」(SNP)も含み得る。SNPの存在は、例えば、或る集団、病態、病態の特徴を表し得る。
【0076】
発明
本発明は、新規のヒト転移酵素タンパク(TRNSFS)及びTRNSFSをコードするポリヌクレオチドに基づき、癌及び発達障害、胃腸疾患、遺伝病、免疫疾患、神経障害、生殖障害、平滑筋異常症の診断、治療、及び予防の為のそれらの組成物の使用に関する。
【0077】
表1は、TRNSFSをコードする完全長のヌクレオチド配列の構築に用いたIncyteクローンを示す。列1及び列2はそれぞれ、ポリペプチド、ポリヌクレオチドのSEQ ID NOを示す。列3は、各TRNSFSをコードする核酸が同定されたIncyteクローンのクローンIDを示し、列4は、それらのクローンが単離されたcDNAライブラリを示す。列5は、Incyteクローン及びそれらに関連するcDNAライブラリを示す。cDNAライブラリが示されていないクローンは、プールされたcDNAライブラリに由来する。列5中のクローンは、各TRNSFSのコンセンサスヌクレオチド配列の組み立てに用いられ、ハイブリダイゼーション技術における断片として有用である。
【0078】
表2の各列は、本発明の各ポリペプチドの様々な特性を示し、列1はSEQ ID NO、列2は各ポリペプチドにおけるアミノ酸残基の番号、列3はリン酸化可能部位、列4はグリコシル化可能部位、列5はサイン(signature)配列及びモチーフを有するアミノ酸残基、列6はBLAST解析によって同定された相同配列、列7は配列相同性及びタンパク質モチーフによって各ポリペプチドを特徴づける為に用いる分析方法を表している。図1A及び1Bで示されるように、SEQ ID NO:1は、ヒトミリストイルCoA:タンパク質N−ミリストイルトランスフェラーゼ(G1 2443814; SEQ ID NO:31)と化学的及び構造的類似性を有している。特に、SEQ ID NO: 1とヒトミリストイルCoA;タンパク質N−ミリストイルトランスフェラーゼとは74%の同一性を有し、2つのNグリコシル化可能部位と、3つのカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位と、7つのプロテインキナーゼCリン酸化可能部位と、ミリストイルCoA:タンパク質N−ミリストイルトランスフェラーゼサインを共に有し、それぞれが類似する等電点7.7及び8.2を有する。SEQ ID NO:2もまた、V256残基よりV284残基に至る一つの潜在的細菌性ヘキサペプチドトランスフェラーゼサインを有する。このサインは、多数の細菌性トランスフェラーゼに保存されている。これらの細菌性トランスフェラーゼは単一のファミリーに属していると考えられ、糖脂質、多糖類及びその他の巨大分子中の生合成に関与する。図2A、図2B、図2C及び図2Dに示されるように、SEQ ID NO:2は、Arabidopsis thaliana MPG (GI 2642159;SEQ ID NO:32)及びCaenorhabditis elegans MPG (GI 2804432; SEQ ID NO:33)と化学的及び構造的類似性を有している。特に、SEQ ID NO:2とArabidopsis thaliana MPGは61%の同一性を有し、MPGhとCaenorhabditis elegans MPGは63%の同一性を有する。MPGhのADP−グルコースピロホスホリラーゼサインもまた、Arabidopsis thalianaMPGとCaenorhabditis elegansMPGの間に保存されていることに注目されたい。さらに付け加えると、SEQ ID NO:2のN322残基のN―グリコシル化可能部位と、S78、T136、T191残基のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位と、Y144残基のチロシンキナーゼリン酸化可能部位と、潜在的細菌性ヘキサペプチドトランスフェラーゼサイン(signature)とがArabidopsis thalianaMPGとCaenorhabditis elegansMPGの間で保存されている。
【0079】
表3の列は、組織特異性と、TRNSFSをコードするヌクレオチド配列に関連した疾患若しく異常症、症状とを示している。表3の第一列は、ヌクレオチドの配列番号(SEQ ID NO)を示している。列2は、列1のヌクレオチド配列の断片を示している。例えば、SEQ ID NO: 16 乃至 SEQ ID NO: 30を同定し、SEQ ID NO: 16 乃至 SEQ ID NO: 30と関連するポリヌクレオチド配列とを区別する、ハイブリダイゼーション若しくは増幅の技術において、これらの断片は有用である。これら断片によりコードされるポリヌクレオチドは、例えば、免疫原性ペプチドとして有用である。列3は、TRNSFSを発現する組織カテゴリー、及びTRNSFSを発現する全組織におけるその割合を示す。列4は、TRNSFSを発現する組織に関連する、疾患若しくは異常症、症状、並びにTRNSFSを発現する全組織におけるそれらの割合を示す。列5は、各cDNAライブラリをサブクローニングするのに用いられるベクターを示している。特に注目すべきは、生殖組織、平滑筋及び神経組織におけるSEQ ID NO:1の発現である。更に、生殖及び胃腸組織におけるSEQ ID NO:2の発現にも注目されたい。
【0080】
表4の列は、TRNSFSをコードするcDNAのクローンが単離されたcDNAの作製に用いられる組織の説明を記載している。列1は、ヌクレオチドのSEQ ID NOを示し、列2はそれらのクローンが単離されたcDNAライブラリを示し、列3は列2のcDNAライブラリに対応する組織の由来及び詳細を示している。
【0081】
本発明はまた、TRNSFSの変異体を包含する。好適なTRNSFSの変異体は、TRNSFSアミノ酸配列と少なくとも約80%、より好適には少なくとも約90%、もっとも好適なのは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有し、少なくとも一つのTRNSFSの機能的若しくは構造的特性を有するものである。
【0082】
本発明はまた、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド包含する。特定の実施例では、本発明は、TRNSFSをコードするSEQ ID NO: 16 乃至 SEQ ID NO: 30からなる一群より選択される配列を有するポリヌクレオチド配列を包含する。
【0083】
本発明は、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列も包含する。特に、そのようなポリヌクレオチド変異配列は、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約80%、より好適には少なくとも約90%、もっとも好適なのは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する。本発明の特定の実施態様では、SEQ ID NO: 16 乃至 SEQ ID NO: 30からなる一群より選択される配列を含み、SEQ ID NO: 16 乃至 SEQ ID NO: 30からなる一群より選択された核酸配列と少なくとも約80%、より好適には少なくとも約90%、もっとも好適なものは約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する、SEQ ID NO: 16 乃至 SEQ ID NO: 30からなる一群より選択された配列を有するポリヌクレオチド配列の変異配列を包含する。上記のポリヌクレオチドの変異配列のいずれも、TRNSFSの機能的若しくは構造的特徴の少なくとも一つを有するアミノ酸配列をコードし得る。
【0084】
遺伝暗号の縮重により作り出され得るTRNSFSをコードする種々のポリヌクレオチド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小の類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。したがって本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り出され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組み合わせは、自然発生のTRNSFSのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプレット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮する。
【0085】
TRNSFSをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、好適に選択された厳密な条件の下で、自然発生のTRNSFSのヌクレオチドとハイブリダイズ可能なことが望ましいが、非自然発生のコドンを含めるなどの実質的に異なったコドンの使用を有するTRNSFS又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻度に基づいてコドンを選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞又は原核宿主に発生する割合を高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えないで、TRNSFS及びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する別の理由は、自然発生の配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備えるRNA転写物を作ることにある。
【0086】
本発明はまた、TRNSFS及びその誘導体をコードするDNA配列又はそれらの断片を完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当分野で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の何れの中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、TRNSFSまたはその任意の断片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0087】
更に本発明には、種々の厳密性条件の下で、請求項に記載されたポリヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる。詳しくは、記載のSEQ ID NO:16−30またはその断片とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる。(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399−407; 及び Kimmel. A.R. (1987) Methods Enzymol. 152:507−511.を参照)。例えば、厳密な塩濃度は、通常は約750mM未満の塩化ナトリウムと約75mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、好ましくは約500mM未満の塩化ナトリウムと約50mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、最も好ましくは約250mM未満の塩化ナトリウムと約25mM未満のクエン酸三ナトリウムである。例えば、ホルムアミドなどの有機溶剤を使用しないと、厳密性の低いハイブリダイゼーションになり、約35%以上のホルムアミド、更に好ましくは50%以上のホルムアミドを使用すると、厳密性の高いハイブリダイゼーションになる。温度の厳密条件は、通常は約30℃以上であり、より好ましくは約37℃以上であり、最も好ましくは約42℃以上である。その他の変更できるパラメーターには、ハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの薬品の濃度、キャリアDNAの含有の有無があり、当分野の技術者には周知である。必要な様々な条件を組み合わせることで、厳密性の程度を変えることができる。好適な実施例では、ハイブリダイゼーションは、温度が30℃で、750mMの塩化ナトリウムと75mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDSで行う。より好適な実施例では、温度が37℃で、500mMの塩化ナトリウムと50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)で行う。最も好適な実施例では、温度が42℃で、250mMの塩化ナトリウムと25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、200μg/mlのssDNAで行う。これらの条件の有用な変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0088】
ハイブリダイゼーションの後の洗浄過程にも、様々な厳密性の程度がある。洗浄の厳密な条件は、塩濃度と温度によって決められる。上記したように、塩濃度を下げること或いは温度を上げることで洗浄の厳密性を高めることができる。例えば、洗浄過程での塩濃度の厳密な条件は、好ましくは約30mM未満の塩化ナトリウムと約3mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、更に好ましくは約15mM未満の塩化ナトリウムと約1.5mM未満のクエン酸三ナトリウムである。洗浄過程の温度の厳密な条件は、通常は約25℃以上であり、好ましくは約42℃以上であり、更に好ましくは約68℃以上である。好適な実施例では、洗浄過程は、温度が25℃で、30mMの塩化ナトリウムと3mMのクエン酸三ナトリウム、0.1%SDSで行われる。より好適な実施例では、洗浄過程は、温度が42℃で、15mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.1%SDSで行われる。最も好適な実施例では、洗浄過程は、温度が68℃で、15mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.1%SDSで行われる。更なるこれらの条件の変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0089】
当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施例も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SEQUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech Piscataway NJ)、或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)にみられるような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせなどの酵素が用いられる。好ましくは、Hamilton MICROLAB2200液体転移システム(Hamilton, Reno, NV)、PTC200 Thermal Cycler200(MJ Research, Watertown MA)及びABI CATALYST 800 (Perkin−Elmer) などの装置を用いて配列の準備を自動化する。次に、ABI 373または377 DNAシークエンシングシステム(Perkin−Elmer)、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics. Sunnyvale CA)、当分野で周知の方法を用いてシークエンシングを行う。得られた配列を当分野で周知の様々なアルゴリズムを用いて分析する(例えば、Ausubel, F.M. (1997) Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York NY, unit 7.7; Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley VCH, New York NY, pp. 856−853.を参照)。
【0090】
部分的なヌクレオチド配列を利用し、当分野で周知のPCR法をベースにした種々の方法を用いてTRNSFSをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節要素などの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つの方法では、一般的なプライマー及びネスト化プライマーを用いてクローニングベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する。(例えば、Sarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318−322を参照)。逆PCR法を用いる別法では、広範な方向に伸長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライマーを用いる。この鋳型は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制限断片に由来する。(例えば、Triglia, T.等(1988)Nucleic Acids Res. 16:8186を参照)。キャプチャPCR法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体DNAの既知の配列に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む。(例えば、Lagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Applic 1:111−119を参照)。この方法では、多数の制限酵素による消化及びライゲ−ションを用いて、PCRを行う前に未知の配列の領域の中に組換え二本鎖配列を挿入することが可能である。また、当分野で周知の別の方法を用いて未知の配列を得ることも可能である。(例えば、Parker, J.D. 他 (1991)Nucleic Acids Res. 19:3055−3060を参照)。更に、PCR、ネスト化プライマー、PROMTERFINDERライブラリを用いれば、ゲノムDNA内の歩行が可能である(Clontech, Palo Alto CA)。この方法ではライブラリをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エキソン接合部を探すのに有用である。全てのPCR法をベースにした方法では、プライマーは、市販のOLIGO 4.06 Primer Analysis software(National Biosciences社, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムなどを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含有率が50%以上、約68℃〜72℃の温度で鋳型に対してアニールするよう設計される。
【0091】
完全長cDNAのスクリーニングのときは、大きなcDNAを含むようにサイズが選択されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブラリが完全な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5’領域を有する配列を含むものが多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である。ゲノムライブラリは、5’非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0092】
市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPCR産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは、キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリマー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光色素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能である。出力/光強度は、適切なソフトウェア(例えば、GENOTYPER 及び SEQUENCE NAVIGATOR, Perkin−Elmerを参照)を用いて電気信号に変換され、サンプルのローディングからコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュータ制御可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しない場合もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0093】
本発明の別の実施例では、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列またはその断片を組換えDNA分子に用いて、適切な宿主細胞内にTRNSFS、その断片または機能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の宿重により、実質的に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列が作られ得り、これらの配列をTRNSFSのクローン化及び発現に利用可能である。
【0094】
種々の目的でTRNSFSをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知られている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。この目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセシング及び/または発現の調節が含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの混合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌクレオチド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの仲介による定方向突然変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グリコシル化パターンの変更、コドン優先の変更、スプライスバリアントの生成等が可能である。
【0095】
別の実施例によれば、TRNSFSをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法を用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.等(1980)Nucl. Acids Res. Symp. Ser 7:215−223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. Acids Res. Symp. Ser.225−232を参照)。別法として、化学的方法を用いてTRNSFS自体またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は種々の固相技術を用いて実行可能である(例えば、Roberge, J.Y.等(1995) Science 269:202−204を参照)。また、合成の自動化は例えばABI 431Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて達成し得る。更にTRNSFSのアミノ酸配列または任意のその一部は、直接的な合成の際の変更、及び/または化学的方法を用いた他のタンパク質または任意のその一部からの配列との組み合わせにより、変異体ポリペプチドを作ることが可能である。
【0096】
このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M. 及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392−421を参照)を用いて実質的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシークエンシングにより確認することができる(例えば、Creighton. T. (1983) Proteins, Structures and Molecular Properties, WH Freeman, New York, NYを参照)。
【0097】
生物学的に活性なTRNSFSを発現させるために、TRNSFSをコードするヌクレオチド配列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な要素を含む。これらの要素には、ベクター及びTRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、5’及び3’の非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このような要素は、その長さ及び特異性が様々である。特定の開始シグナルによって、TRNSFSをコードする配列のより効果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナルには、ATG開始コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。TRNSFSをコードする配列及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合は、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであろう。しかしながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は、インフレームのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベクターに含まれなければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自然及び合成の様々なものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞系に好適なエンハンサーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。(例えば、Scharf, D. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18−162.を参照)。
【0098】
当業者に周知の方法を用いて、TRNSFSをコードする配列、好適な転写及び翻訳調節要素を含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法には、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含まれる。(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16−17章; 及び Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章、16章を参照)。
【0099】
種々の発現ベクター/宿主系を利用して、TRNSFSをコードする配列の保持及び発現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる。本発明は使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0100】
細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニング、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミド(GIBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクターの多数のクローニング部位にTRNSFSをコードする配列をライゲーションするとlacZ遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための比色スクリーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クローニングされた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパーファージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である。(例えば、Van Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503−5509.を参照)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のTRNSFSが必要な場合は、TRNSFSの発現をハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現を誘発するT5またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用できる。
【0101】
TRNSFSの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシダーゼやPGHプロモーターなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多種のベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastorisに使用可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細胞内への保持のどちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来配列を組み込む。(例えば、上記のAusubel.; 及びBitter, G.A. 他 (1987) Methods Enzymol.153:51−794: Scorer. C. A. 他 (1994) Bio/Technology 121−181−184.を参照)
植物系もTRNSFSの発現に使用可能である。TRNSFSをコードする配列の転写は、例えば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターが単独で、或いはTMV(Takamatsu, N.等(1987)EMBO J 6:307−311)由来のオメガリーダー配列と組み合わせて促進される。これらの作製物は、直接のDNA形質転換或いは病原体を介したトランスフェクションによって、植物細胞の中に導入可能である。(例えば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill NY, pp.191−196を参照)。
【0102】
哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にTRNSFSをコードする配列を結合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、感染した宿主細胞にTRNSFSを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655−3659を参照)。さらに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用いて、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質を高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用いることが可能である。
【0103】
ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているものより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10MbのHACsを作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、またはベシクル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat Genet.15:345−355.を参照)。
【0104】
哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞におけるTRNSFSの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、TRNSFSをコードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベクターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別のベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択培地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は選択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配列をうまく発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能である。
【0105】
任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能である。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ、それぞれtk又はapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他 (1977) Cell 11:223−232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817−823を参照)。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグリコシッドネオマイシン及びG−418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロルスルフロン(cTRNSFSsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigler, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567−3570; Colbere−Garapin, F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1−14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝子、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載されている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047−51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基質ルシフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clontech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トランスフォーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或いは安定したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.A.他(1995)Methods Mol. Biol. 55:121−791を参照)。
【0106】
マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、TRNSFSをコードする配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、TRNSFSをコードする配列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能である。または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がTRNSFSをコードする配列と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0107】
一般に、TRNSFSをコードする核酸配列を含み、TRNSFSを発現する宿主細胞は、当業者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタンパク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベースの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるTRNSFSの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。このような技法には、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。TRNSFS上の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモノクローナルベースイムノアッセイ(two−site, monoclonal−based immunoassay)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ及びその他のアッセイは、当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton. R. 他.(1990) Serological Methods, Laboratory Manual. APS Press. St Paul. MN, Sect. IV; Coligan, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Greene Pub. Associates and Wiley−Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D. (1990) Immunochemical Protocols, Humans Press, Totowa NJ)。
【0109】
種々の標識方法及び結合方法が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイに用いられ得る。TRNSFSをコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。別法として、TRNSFSをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプローブを生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野では周知であり市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP6などの好適なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって、in vitroでのRNAプローブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えば、Amersham Pharmacia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Biochemical Corp(Cleveland OH)が市販する種々のキットを用いて行うことができる。容易な検出のために用い得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コファクター、インヒビター、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素産生剤などが含まれる。
【0110】
TRNSFSをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地でのこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件の下で培養される。形質転換された細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用されるその配列及び/またはそのベクターによる。TRNSFSをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するTRNSFSの分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解されよう。
【0111】
更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチドの修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。タンパク質の「prepro」形を切断する翻訳後のプロセシングを利用して、標的タンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能である。翻訳後の活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の正しい修飾及びプロセシングを確実にするために選択される。
【0112】
本発明の別の実施例では、TRNSFSをコードする自然或いは変更された、または組換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配列に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラTRNSFSタンパク質が、TRNSFSの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリのスクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分が、市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6−His、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれるが、これらに限定されるものではない。GST及びMBP、Trx、CBP、6−Hisによって、固定されたグルタチオン、マルトース、フェニルアルシン酸化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリン、金属キレート樹脂のそれぞれで同族の融合タンパク質の精製が可能となる。FLAG、c−mc、及び赤血球凝集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特異的に認識する市販のモノクロナール抗体及びポリクロナール抗体を用いた融合タンパク質の免疫親和性の精製ができる。また、TRNSFSをコードする配列と異種タンパク質配列との間にあるタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むように遺伝子操作すると、TRNSFSが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タンパク質の発現と精製の方法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されている。市販されている様々なキットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促進できる。
【0113】
本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したTRNSFSの合成が可能である。これらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパク質をコードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、好ましくは35Sメチオニンである放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0114】
TRNSFSの断片は、組換え生成物だけでなく固相技術を用いて直接的なペプチド合成によって作製され得る(例えば、前出のCreighton, pp. 55−60.を参照)。タンパク質の合成は、手動或いは自動で行われ得る。自動合成は、例えば431Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことが可能である。TRNSFSの種々の断片は別々に合成して、次ぎに結合させて完全長分子を生成する。
【0115】
治療
例えば、配列及びモチーフにおける化学的及び構造的類似性が、TRNSFSとヒト転移酵素タンパク質との間に存在する。更に、TRNSFSの発現は、癌及び細胞増殖、胃腸、炎症性、免疫性、神経、生殖及び平滑筋のそれぞれの組織、及び胎児細胞株と密接な関係がある。従って、TRNSFSは、癌及び発達障害、胃腸疾患、遺伝病、免疫疾患、神経障害、生殖障害、平滑筋異常症において、ある役割を果たすと考えられる。TRNSFSの発現または活性の増大に関連するする疾患の治療においては、TRNSFSの発現または活性を低下させることが望ましい。また、TRNSFSの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては、TRNSFSの発現または活性を増大させることが望ましい。
【0116】
従って、一実施例において、TRNSFSの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、患者にTRNSFSまたはその断片や誘導体を投与することが可能である。このような疾患の例には、限定するものではないが、癌が含まれ、その中には腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌などがあり、詳しくは副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌が含まれ、また、発達障害も含まれ、その中には尿細管性アシドーシス、貧血、クッシング症候群、軟骨形成不全性小人症、デュシェンヌ‐ベッカー型筋ジストロフィ、癲癇、性腺形成異常、WAGR症候群(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、尿生殖器異常、精神薄弱)、スミス‐マジェニス症候群(Smith− Magenis syndrome)、脊髄形成異常症候群、遺伝性粘膜上皮異形成、遺伝性角皮症、シャルコー‐マリー‐ツース病及び神経線維腫症などの遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、舞踏病(Syndenham’s chorea)及び脳性小児麻痺などの発作障害、脊髄二分裂、無脳症、頭蓋脊椎披裂、先天性緑内障、白内障、感覚神経性聴力損失とが含まれ、胃腸疾患も含まれ、その中には、嚥下障害、消化性食道炎、食道痙攣、食道狭窄、食道癌、消化不良、消化障害、胃炎、胃癌、食欲不振、悪心、嘔吐、胃不全麻痺、洞または幽門の浮腫、腹部アンギナ、胸焼け、胃腸炎、イレウス、腸管感染、消化性潰瘍、胆石症、胆嚢炎、胆汁うっ滞、膵臓炎、膵臓癌、胆道疾患、肝炎、高ビリルビン血症、硬変症、肝臓の受動性うっ血、ヘパトーム、感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、クローン病、ホイップル病、マロリー‐ヴァイス症候群、結腸癌、結腸閉塞、過敏性腸症候群、短小腸症候群、下痢、便秘、胃腸出血、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)腸症が含まれ、また、遺伝病も含まれ、その中には、レッシュ‐ナイハン症候群、ミトコンドリアカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症、カルニチン欠乏症、ペルオキシソームアシル−CoA酸化酵素欠損症(peroxisomal acyl−CoA oxidase deficiency)、ペルオキシソームチオラーゼ欠損症、ペルオキシソーム2官能タンパク質欠損症、ミトコンドリア超長鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリア中鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリア短鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリア電子伝達フラボタンパク質及び電子伝達フラボタンパク質:ユビキノンオキシドレダクターゼ欠損症、ミトコンドリア3官能タンパク質欠損症、ミトコンドリア短鎖3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、副腎白質ジストロトフィ、アルポート症候群、コロイデレミア、デュシェンヌ‐ベッカー型筋ジストロフィ、ダウン症候群、嚢胞性線維症、慢性肉芽腫症、ゴーシェ病、ハンチントン病、マルファン症候群、筋ジストロフィ、筋緊張性ジストロフィ、頻繁骨形成不全(pycnodysostosis)、レフサム症候群、網膜芽腫、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ウェルナー症候群、フォン‐ウィルブランド病、ウィルムス腫瘍、及びツェルヴェーガー症候群が含まれ、また、免疫疾患も含まれ、その中には、炎症、日光性角化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、滑液包炎、胆嚢炎、硬変、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、気腫、胎児赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、発作性夜間血色素尿症、肝炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、混合型結合織病(MCTD)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜の炎症、骨髄線維症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、真性多血症、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、原発性血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、ウェルナー症候群、癌合併症、白血病、及び骨髄腫が含まれ、
また、神経障害も含まれ、その中には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性側策硬化及びその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病、ゲルストマン症候群、Gerstmann−Straussler−Scheinker症候群を含むプリオン病(prion disease)と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳3叉神経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異常症(neuroskeletal disorder)、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄病、筋ジストロフィー及び他の神経筋障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝性、代謝性、内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺と、気分性及び不安性精神障害、及び妄想性精神病と、季節型感情障害(SAD)と、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、分裂病性精神障害、帯状疱疹後神経痛、及びトゥーレット病が含まれ、また、生殖障害が含まれ、その中には、プロラクチン産生異常と、卵管病、排卵異常、及び子宮内膜症、発情期異常、月経周期異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過剰刺激症候群、子宮内膜癌及び卵巣癌、子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、及び奇形発生を含む不妊症と、乳癌、線維嚢胞性乳腺症、及び乳漏症と、精子形成異常、生理学上の精子異常、精巣癌、前立腺癌、良性の前立腺過形成、前立腺炎、ペーロニー病、インポテンス、男性乳房癌及び女性化乳房とが含まれ、更に、平滑筋異常症も含まれ、その中には、口峡炎、アナフィラキシー、不整脈、喘息、心血管ショック、クッシング症候群、高血圧、低血糖症、心筋梗塞、片頭痛、及び褐色細胞腫と、心筋症、脳症、癲癇、カーンズ‐セイヤ症候群、乳酸アシドーシス、筋クローヌス性障害、及び眼筋麻痺などを含む筋障害が含まれる。平滑筋異常症は、平滑筋の正常な動作における任意の障害及び変質と定義され、ここに掲げた異常を含む。平滑筋は、血管、胃腸管、心臓、及び子宮の平滑筋を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0117】
別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むTRNSFSの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、TRNSFSまたはその断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0118】
更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むTRNSFSの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精製されたTRNSFSを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与することも可能である。
【0119】
更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むTRNSFSの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、TRNSFSの活性を調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0120】
更なる実施例では、TRNSFSの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、患者にTRNSFSのアンタゴニストを投与することが可能である。このような疾患の例には、限定するものではないが上記した疾患が含まれる。一実施態様では、TRNSFSと特異的に結合する抗体が直接アンタゴニストとして、或いはTRNSFSを発現する細胞または組織に薬剤を運ぶ標的或いは運搬機構として間接的に用いられ得る。
【0121】
別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むTRNSFSの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、TRNSFSをコードするポリヌクレオチドの相補体を発現するベクターを患者に投与することも可能である。
【0122】
別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与することもできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0123】
TRNSFSのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。詳しくは、精製されたTRNSFSを用いて抗体を作ったり、治療薬のライブラリをスクリーニングしてTRNSFSと特異的に結合するものを同定が可能である。TRNSFSの抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラグメントが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中和抗体(即ち、二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0124】
抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のものを含む種々の宿主が、TRNSFSまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備えるそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバントにはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュバント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジュバントの中では、BCG(bacilli Calmette−Guerin)及びCorynebacterium parvumが特に好ましい。
【0125】
TRNSFSに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、または断片は、約5以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列が望ましく、更に望ましいのは約10以上のアミノ酸からなるものである。これらのオリゴペプチド或いはペプチド、またはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であることが望ましく、小さな自然発生の分子のアミノ酸配列全体も含む。TRNSFSアミノ酸の短い伸展部は、KLHなどの別のタンパク質の配列と融合し、キメラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0126】
TRNSFSに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗体分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohler, G. 等. (1975) Nature 256:495−497; Kozbor, D. 等. (1985) .J. Immunol. Methods 81−8−42; Cote, R.J. 等. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026−2030; Cole, S.P. 等. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109−120を参照)。
【0127】
更に、「キメラ抗体」の作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺伝子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を備える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851−6855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:604−608; Takeda, S.等. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分野で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、TRNSFS特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオタイプの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから鎖混合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11120−3を参照)。
【0128】
抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免疫グロブリンライブラリのスクリーニング又は文献に示されているような、高度に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、産生することもできる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833−3837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293−299を参照)。
【0129】
TRNSFSに対する特異的な結合部位を含む抗体も産生することができる。例えば、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab’)に断片と、F(ab’)に断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成されるFab断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、Fab発現ライブラリを作製することによって、所望の特異性とモノクローナルFab断片の迅速且つ容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. 等. (1989) Science 254:1275−1281を参照)。
【0130】
種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、TRNSFSとその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性TRNSFSエピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナルベースのイムノアッセイが好ましいが、競合的結合アッセイも利用することができる(Pound、前出)。
【0131】
ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、TRNSFS抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは、平衡状態の下でTRNSFS抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度で割ったものである。多数のTRNSFSエピトープに対して親和性が不均一なポリクロナール抗体試薬の測定値Kaは、TRNSFS抗体の平均親和性または結合活性を表す。特定のTRNSFSエピトープに単一特異的なモノクロナール抗体試薬のKaは、親和性の真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親和性抗体試薬は、TRNSFS抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノアッセイに用いるのが好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗体試薬は、TRNSFSが抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製(immunopurification)及び類似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (1988) Antibodies, Volume I: Practical Approach. IRL Press, Washington, DC; Liddell, J. E. and Cryer, A. (1991) Practical Guide to Monoclonal Antibodies, John Wiley & Sons, New York NY)。
【0132】
ポリクロナール抗体試薬の抗体価及び結合活性を更に評価して、あるダウンストリーム適用に対するこのような試薬の品質及び適性を調べる。例えば、少なくとも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的な抗体を含むポリクロナール抗体試薬の使用は、TRNSFS抗体複合体を沈殿させなければならない処理に適している。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体価、結合活性、抗体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、Catty, 前出, 及びColigan 他、前出を参照)。
【0133】
本発明の別の実施例では、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド、またはその任意の断片または相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施形態では、TRNSFSをコードするポリヌクレオチドの相補配列がmRNAの転写を阻止するのに好適である場合、これを使用することができる。特に細胞は、TRNSFSをコードするポリヌクレオチドと相補的な配列で形質転換することもできる。したがって、相補的分子または断片は、TRNSFSの活性の調節、または遺伝子機能の調節のために使用することができる。このような技術は当分野では周知であり、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、TRNSFSをコードする配列の制御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能である。
【0134】
レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス又はワクシニア、又は様々な細菌性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的の器官、組織又は細胞集団に運ぶこともできる。当業者に周知の方法を用いてTRNSFSをコードポリヌクレオチドと相補的な核酸配列を発現するベクターを作製することができる(例えば、前出のSambrook 他、及び前出のAusubel 他によるものを参照)。
【0135】
TRNSFSをコードする遺伝子は、TRNSFSをコードするポリヌクレオチド又はその断片を高いレベルで発現する発現ベクターで、細胞又は組織を形質転換することによって止めることができる。このような作製物を用いて翻訳できないセンス又はアンチセンス配列を細胞の中に導入することができる。DNAの中に組み入れられない場合でも、このようなベクターは内在性のヌクレアーゼによって機能が損なわれるまでmRNA分子を転写し続ける。非複製ベクターでも一過性の発現を一ヶ月以上に亘って続け、好適な複製要素がベクター系の一部である場合はさらに長く持続し得る。
【0136】
上記した通り、遺伝子の発現は、TRNSFSをコードする遺伝子の制御5’または調節領域に対する相補的な配列またはアンチセンス分子(DNA或いはRNA、PNA)を設計することによって調節することができる。転写開始部位、即ち開始部位から−10と+10との間の領域に由来するオリゴヌクレオチドが好適である場合と同様に、「三重らせん」と塩基対合法を用いて阻止することができる。三重らせん構造は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の結合のために十分に広がるのを阻止するため有益である。三重式DNAを用いる最近の治療の進歩は文献に記載されている(例えば、Gee, J.E. 等. (1994) In: Huber, B.E. 及び B.I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishing Co., Mt. Kisco, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス分子もまた、転写物がリボソームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳を阻止するように設計できる。
【0137】
酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために用いることができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボザイム分子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断が続く。例えば、TRNSFSをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ効果的に触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0138】
任意の潜在的RNA標的の中の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列GUA、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキャニングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について評価することが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性をテストすることによって評価することが可能である。
【0139】
本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用いて、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホスホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含まれる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでTRNSFSをコードするDNA配列の転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等の好適なRNAポリメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入れることが可能である。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDNA作製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入することができる。
【0140】
RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くすることができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフランキング配列の追加、または分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合よりむしろホスホロチオネート又は2’Oメチルの使用が含まれる、がこれらに限定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌクレアーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけでなく、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)などの従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大することができる。
【0141】
ベクターを細胞又は組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者から採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すためにクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポリカチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行することができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:462−66:を参照)。
【0142】
上記したいかなる治療方法も、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び最も好ましいヒトなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適用できる。
【0143】
本発明の別の実施例は、上記した全ての治療効果のために、医学上認められる担体と共に医薬品或いは無菌組成物の投与に関連する。このような医薬品組成物は、TRNSFS、TRNSFSに対する抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、又はTRNSFSのインヒビターなどからなる。この組成物は、単体で、或いは安定剤などの1種類以上の別の薬剤と共に、無菌の生体適合性医薬品担体に投与することができる。このような医薬品担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、及び水などが含まれるがこれらに限定されるものではない。この組成物は、単独或いは薬物又はホルモンなどの別の薬剤と共に投与することができる。
【0144】
本発明に用いられる医薬品組成物は、任意の数の経路を用いて投与することもできる。この経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内、心室内、経皮性、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、異所性、舌下、または直腸が含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0145】
活性処方成分に加えて、これらの医薬品組成物には、活性化合物を医薬的に使用可能な薬剤にするのを容易にする、医薬品添加物及び補助剤を含む好適な薬学的に認められる担体が含まれ得る。製剤及び投与についての詳しい技術については、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, PA)に記載されている。
【0146】
経口投与用の医薬品組成物が、経口投与に好適な投与量において当分野で周知の薬学的に許容される担体を用いて、製剤することができる。このような担体により、医薬品組成物が患者が摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣剤、カプセル、液体、ゲル状、シロップ剤、泥状物、懸濁液として製剤される。
【0147】
経口用に用いられる医薬品は、活性化合物と固体の薬品添加物とを混合し、得られた顆粒の混合物を処理して、(所望に応じてすりつぶした後)タブレット或いは糖衣錠コア(dragee cores)にする。好適な医薬品添加物とは、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類、トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、又はその他の植物からのでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース、アラビアゴム及びトラガカントゴムを含むゴム、ゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質などの炭水化物又はタンパク質賦形剤である。必要に応じて、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、かんてん、アルギン酸、またはその塩であるアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤が加えられる。
【0148】
糖衣錠コアは、濃縮糖溶剤などの好適なコーティングと共に用いられる。このような濃縮糖溶剤には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶剤、及び好適な有機溶媒または混合溶剤などが含まれ得る。染料または色素が、製品の識別又は活性化合物の量、即ち薬用量を示すため、錠剤または糖衣錠に加えられる。
【0149】
経口用に用いられる医薬品製剤には、ゼラチンから作られたプッシュ−フィット型のカプセル、グリセロールまたはソルビトールなどのコーティングとゼラチンからなる封入されたカプセルが含まれる。プッシュ−フィット型のカプセルには、ラクトース又はスターチなどの賦形剤や結合材、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、所望に応じて安定剤と混合された活性処方成分が含まれる。ソフトカプセルでは、活性化合物が、安定剤と共に或いは安定剤なしで、脂肪油、溶液、またはポリエチレングリコール溶液などの好適な溶液に溶解或いは懸濁され得る。
【0150】
非経口投与用に好適な医薬品剤が、水溶液で製剤されるが、ハンクス液、リンガー液、生理緩衝食塩水などの生理学的に適合性のある緩衝剤が好ましい。水性懸濁注射液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性化合物の懸濁液は、好適な油性注入懸濁液として製剤され得る。好適な親水性溶液または媒体には、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチル、トリグリセリド又はリボソームなどの合成脂肪酸が含まれる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーが、運搬目的で使用される。随意選択により、懸濁液は高濃度の溶液が可能となるよう化合物の溶解性を高める好適な安定剤または薬剤を含み得る。
【0151】
局部または鼻腔投与のために、特定の障壁に浸透する好適な浸透剤が製剤に用いられる。このような浸透剤は当業者には周知である。
【0152】
本発明の医薬品組成物は、当分野で周知の方法、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣化、溶離(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥処理を用いて製造され得る。
【0153】
医薬品組成物は塩類として製剤され、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸と共に形成可能である。塩分は対応する遊離塩基系よりも、水溶剤または他のプロトン溶剤に溶けやすい。別の場合の好ましい薬剤の形態には、1から50mMヒスチジン、0.1%〜2%スクロース、及び2〜7%マンニトールの幾つか或いは全てを含み、pHの範囲が4.5〜5.5であり、使用前に緩衝剤と結合する凍結乾燥粉末を用いることができる。
【0154】
医薬品組成物が調合された後、それらは適当な箱に詰められ、指定した症状の薬としてラベルが貼られる。TRNSFSの投与のため、このようなラベルには、量、頻度、及び投与の方法が含まれるであろう。
【0155】
本発明に用いる好適な医薬品組成物には、目的を達成するため、効果的な量の活性処方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、自分の能力で十分に効果的な服用量を決めることができる。
【0156】
どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができる。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタなどが用いられる。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用いることができる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路を決定することができる。
【0157】
医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばTRNSFS又はその断片、TRNSFSの抗体、TRNSFSのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビターなどの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED50(服用に対して集団の50%に医薬的効果がある)またはLD50(服用に対して集団の50%に致命的である)統計を計算するなど、細胞培養または動物実験における標準的な薬剤手法によって決定することができる。毒性効果と治療効果との薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高い治療指数を示す医薬品組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いられる。このような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50を含む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与形態及び患者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0158】
正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるため或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮されるものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答が含まれる。作用器官が長い医薬品組成物は、三日か四日に一度、一週間に一度、二週間に一度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投与され得る。
【0159】
通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μgまでの最大約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダンスは文献に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することができる。当業者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製剤を利用するであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの運搬は、特定の細胞、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0160】
診断
別の実施例では、TRNSFSに特異的に結合する抗体が、TRNSFSの発現によって特徴付けられる疾患の診断、またはTRNSFSやTRNSFSのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いられる。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤される。TRNSFSの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や組織から採取されたものからTRNSFSを検出する方法が含まれる。これらの抗体は、修飾をして或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共有結合性の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子が用いられるが、その内の幾つかは上記した。
【0161】
TRNSFSを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロトコルは、当分野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのTRNSFSの発現を診断する元となるものを提供する。正常或いは標準的なTRNSFSの発現の値は、複合体の形成に適した条件の下、正常な哺乳動物、好ましくはヒトである被験者から採取した体液または細胞とTRNSFSに対する抗体とを結合させることによって決定する。標準的な複合体形成の量は種々の方法で定量され得るが、測光法(photometric)が好ましい。被験者のTRNSFSの発現の量、制御及び疾患、生検組織からのサンプルが標準値と比較される。標準値と被験者との間の偏差が、疾患を診断するパラメーターとなる。
【0162】
別の実施例によれば、TRNSFSをコードするポリヌクレオチドを診断のために用いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。ポリヌクレオチドを用いて、疾患と相関し得るTRNSFSを発現する生検組織における遺伝子の発現を検出及び定量する。この診断アッセイを用いて、TRNSFSの不在、存在、及び過度の発現を調べ、治療中のTRNSFSレベルの制御を監視する。
【0163】
ある実施形態では、TRNSFSまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポリヌクレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーションによって、TRNSFSをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば5’調節領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるやや特異性の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼーション或いは増幅の厳密性(最大、高い、中間、または低い)は、プローブがTRNSFSをコードする自然界の配列のみを同定するかどうか、或いはアレルや関連配列コードする自然界の配列のみを同定するかどうかによって決まるであろう。
【0164】
プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、TRNSFSをコードする任意の配列からのヌクレオチドを50%以上含むのが望ましい。目的の本発明のハイブリダイゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:16−30の配列、或いはTRNSFS遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含むゲノム配列に由来し得る。
【0165】
TRNSFSをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブの作製方法には、TRNSFS及びTRNSFS誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をmRNAプローブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このようなベクターは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラーゼ及び好適な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを合成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば32P或いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biotin)結合系によってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識等の種々のレポーターの集団によって標識され得る。
【0166】
TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、TRNSFSの発現に関連する疾患を診断することが可能である。限定するものではないが、このような疾患の例には、癌が含まれ、その中には腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌などがあり、詳しくは副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌が含まれ、また、発達障害も含まれ、その中には尿細管性アシドーシス、貧血、クッシング症候群、軟骨形成不全性小人症、デュシェンヌ‐ベッカー型筋ジストロフィ、癲癇、性腺形成異常、WAGR症候群(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、尿生殖器異常、精神薄弱)、スミス‐マジェニス症候群(Smith− Magenis syndrome)、脊髄形成異常症候群、遺伝性粘膜上皮異形成、遺伝性角皮症、シャルコー‐マリー‐ツース病及び神経線維腫症などの遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、舞踏病(Syndenham’s chorea)及び脳性小児麻痺などの発作障害、脊髄二分裂、無脳症、頭蓋脊椎披裂、先天性緑内障、白内障、感覚神経性聴力損失とが含まれ、胃腸疾患も含まれ、その中には、嚥下障害、消化性食道炎、食道痙攣、食道狭窄、食道癌、消化不良、消化障害、胃炎、胃癌、食欲不振、悪心、嘔吐、胃不全麻痺、洞または幽門の浮腫、腹部アンギナ、胸焼け、胃腸炎、イレウス、腸管感染、消化性潰瘍、胆石症、胆嚢炎、胆汁うっ滞、膵臓炎、膵臓癌、胆道疾患、肝炎、高ビリルビン血症、硬変症、肝臓の受動性うっ血、ヘパトーム、感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、クローン病、ホイップル病、マロリー‐ヴァイス症候群、結腸癌、結腸閉塞、過敏性腸症候群、短小腸症候群、下痢、便秘、胃腸出血、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)腸症が含まれ、また、遺伝病も含まれ、その中には、レッシュ‐ナイハン症候群、ミトコンドリアカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症、カルニチン欠乏症、ペルオキシソームアシル−CoA酸化酵素欠損症(peroxisomal acyl−CoA oxidase deficiency)、ペルオキシソームチオラーゼ欠損症、ペルオキシソーム2官能タンパク質欠損症、ミトコンドリア超長鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリア中鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリア短鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリア電子伝達フラボタンパク質及び電子伝達フラボタンパク質:ユビキノンオキシドレダクターゼ欠損症、ミトコンドリア3官能タンパク質欠損症、ミトコンドリア短鎖3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、副腎白質ジストロトフィ、アルポート症候群、コロイデレミア、デュシェンヌ‐ベッカー型筋ジストロフィ、ダウン症候群、嚢胞性線維症、慢性肉芽腫症、ゴーシェ病、ハンチントン病、マルファン症候群、筋ジストロフィ、筋緊張性ジストロフィ、頻繁骨形成不全(pycnodysostosis)、レフサム症候群、網膜芽腫、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ウェルナー症候群、フォン‐ウィルブランド病、ウィルムス腫瘍、及びツェルヴェーガー症候群が含まれ、また、免疫疾患も含まれ、その中には、炎症、日光性角化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、滑液包炎、胆嚢炎、硬変、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、気腫、胎児赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、発作性夜間血色素尿症、肝炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、混合型結合織病(MCTD)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜の炎症、骨髄線維症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、真性多血症、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、原発性血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、ウェルナー症候群、癌合併症、白血病、及び骨髄腫が含まれ、
また、神経障害も含まれ、その中には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性側策硬化及びその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病、ゲルストマン症候群、Gerstmann−Straussler−Scheinker症候群を含むプリオン病(prion disease)と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳3叉神経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異常症(neuroskeletal disorder)、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄病、筋ジストロフィー及び他の神経筋障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝性、代謝性、内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺と、気分性及び不安性精神障害、及び妄想性精神病と、季節型感情障害(SAD)と、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、分裂病性精神障害、帯状疱疹後神経痛、及びトゥーレット病が含まれ、また、生殖障害が含まれ、その中には、プロラクチン産生異常と、卵管病、排卵異常、及び子宮内膜症、発情期異常、月経周期異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過剰刺激症候群、子宮内膜癌及び卵巣癌、子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、及び奇形発生を含む不妊症と、乳癌、線維嚢胞性乳腺症、及び乳漏症と、精子形成異常、生理学上の精子異常、精巣癌、前立腺癌、良性の前立腺過形成、前立腺炎、ペーロニー病、インポテンス、男性乳房癌及び女性化乳房とが含まれ、更に、平滑筋異常症も含まれ、その中には、口峡炎、アナフィラキシー、不整脈、喘息、心血管ショック、クッシング症候群、高血圧、低血糖症、心筋梗塞、片頭痛、及び褐色細胞腫と、心筋症、脳症、癲癇、カーンズ‐セイヤ症候群、乳酸アシドーシス、筋クローヌス性障害、及び眼筋麻痺などを含む筋障害が含まれる。TRNSFSをコードするポリヌクレオチド配列は、サザーン法やノーザン法、ドットブロット法、或いはその他の膜系の技術、PCR法、ディップスティック(dipstick)、ピン(pin)、ELISA式アッセイ、及び変異TRNSFSの発現を検出するために患者から採取した体液或いは組織を利用するマイクロアレイに使用することが可能である。このような質的或いは量的方法は、当分野では周知である。
【0167】
特定の形態において、TRNSFSをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患、特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。TRNSFSをコードするヌクレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション複合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに加えることができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプルと較べて著しく変わっている場合は、サンプル内のTRNSFSをコードするヌクレオチド配列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このようなアッセイを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視における、特定の治療効果を推定することが可能である。
【0168】
TRNSFSの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、正常あるいは標準的な発現の概要が確立される。これは、ハイブリダイゼーション或いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出された体液或いは細胞と、TRNSFSをコードする配列或いはその断片とを結合させることにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験者から得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実験からの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た標準的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。標準値と被験者の値との偏差を用いて疾患の存在を確定する。
【0169】
疾患の存在が確定され治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーションアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な患者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返し行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用いることができる。
【0170】
癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる。
【0171】
TRNSFSをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断への利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合成、酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好ましくはTRNSFSをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはTRNSFSをコードするポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定の遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや低い厳密性条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のため用いることが可能である。
【0172】
TRNSFSの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標識或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的な曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.等(1993) J. Immunol. Methods, 159:235−44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229−236を参照)。多数のサンプルの定量速度が、目的のオリゴマーが種々の希釈液に含まれ、分光光度法或いは非色応答により迅速に定量するELISA型のアッセイを用いることによって加速された。
【0173】
別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列由来のオリゴヌクレオチドまたはそれより長い断片を、マイクロアレイにおける標的として用いる。マイクロアレイを用いて、同時に極めて多くの遺伝子の発現レベルを監視し、遺伝子の変異、突然変異及び多形性を識別する。この情報は、遺伝子機能の決定、疾患の遺伝的根拠の解釈、疾患の診断、及び治療薬剤の活性の監視及び開発に有用である。
【0174】
当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. 93:10614−10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号WO95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150−2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997) 米国特許第5,605,662号を参照)
本発明の別の実施例ではまた、TRNSFSをコードする核酸配列を用いて、自然発生のゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを生成することが可能である。この配列は、以下のものに対してマッピングされる。特定の染色体、染色体の特定領域または人工生成の染色体、例えば、ヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1生成物或いは単一染色体cDNAライブラリである。(例えば、Harrington, 1.3. 他 (1997) Nat Genet. 15:345−355; Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127−134, 及びTrask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:149−154を参照)
in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッピング技術及び遺伝マップデータと相関するであろう(例えば、Heinz−Ulrich, 他による(1995) in Meyers, 前出, pp. 965−968.を参照)。遺伝子マップデータの例は、種々の科学誌あるいはOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のサイトで見付けることができる。物理的な染色体マップ上のTRNSFSをコードする遺伝子の位置と特定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に対する素因が、このような疾患と関係するDNAの領域を決定するのに役立つ。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者と、保有者、及び感染した者との遺伝子配列における違いを検出することもある。
【0175】
染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子マップを拡張することもできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上での遺伝子の配置により、たとえ特定のヒト染色体の数或いはアームが分かっていなくても、関連するマーカーが明らかになることが多い。新規の配列を、物理的なマッピングによって、染色体アームに割り付けることもできる。このことは、位置クローニング或いは別の遺伝子発見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって、価値ある情報である。疾患或いは症候群の位置が、例えば血管拡張性失調症の11q22−23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、その領域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子或いは調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:577−580を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保有者、即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出することもある。
【0176】
本発明の別の実施例では、TRNSFS、その触媒作用断片或いは免疫原断片またはそのオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物のライブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニングに用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは細胞内に存在する。TRNSFSとテストされる薬剤との複合体を結合することによる形成は計測されることもある。
【0177】
薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基板の上に合成される。試験用化合物は、TRNSFS、或いはその断片と反応してから洗浄される。次ぎに、結合されたTRNSFSが、当分野で周知の方法で検出される。精製されたTRNSFSはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられるプレート上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプチドを捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0178】
別の実施例では、TRNSFSと結合可能な中和抗体がTRNSFSと結合するため試験用化合物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる。この方法では、抗体が、TRNSFSと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプチドの存在も検出する。
【0179】
別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にTRNSFSをコードするヌクレオチド配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特異的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提供することができる。
【0180】
当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の実施例は、例示目的であって本発明を限定するものではない。
【0181】
前出及び以下に記載した全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国出願(1998年9月10日に提出した、代理人整理番号PF−0592P)、米国出願(1998年11月4日に提出した、代理人整理番号PF−0624P)、米国出願番号60/133,642を引用することをもって本明細書の一部とする。
【0182】
【実施例】
1  cDNA ライブラリの作製
RNAにはClontech社から購入したものと、表4に列記した組織から単離したものとがある。ある組織をホモジナイズしてグアニジニウムイソチオシアネート溶液に溶解した。一方で別の組織をホモジナイズしてフェノールに溶解するか、或いはTRIZOL (Life Technologies)、グアニジニウムイソチオシアネート及びフェノールの単相溶液などの好適な変性剤の混合液に溶解した。この溶解物を塩化セシウムクッションにおいて遠心分離またはクロロホルムで抽出した。イソプロパノール或いは酢酸ナトリウムのどちらかとエタノール、或いは別の方法でこの溶解物からRNAを沈殿させた。
【0183】
RNAの純度を高めるためにRNAのフェノールによる抽出及び沈殿を必要な回数繰り返した。場合によっては、DNA分解酵素でRNAを処理する。殆どのライブラリでは、オリゴd(T)連結常磁性粒子(Promega)またはOLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN. Chatseorth CA)、OLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いてポリ(A+)RNAを単離した。別法では、POLY(A)PURE mRNA精製キット(Ambion, Austin TX)などの別のRNA単離キットを用いて組織溶解物から直接単離した。
【0184】
ある場合には、Stratagene社にRNAを提供しStratagene社が対応するcDNAライブラリを作製した。そうでない場合は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)またはSUPERSCRIPT プラスミドシステム(Life Technologies)を用いて当分野で周知の推奨方法または類似の方法でcDNAを合成してcDNAライブラリを作製した。(例えば、Ausubel, 1997,前出,ユニット5.1−6.6を参照)。逆転写は、オリゴd(T)またはランダムプライマーを用いて開始した。合成オリゴヌクレオチドアダプターを二本鎖cDNAに結合させてから、好適な1種類の制限酵素或いは複数の制限酵素でcDNAを消化した。殆どのライブラリでは、SEPHACRYL S 1000または SEPHAROSE CL2B、SEPHAROSE CL4Bカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech)、アガロースゲル電気泳動法によってcDNAの大きさ(300〜1000bp)を選択した。PBLUESCRIPTプラスミド(Stratagene)またはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)、plNCY (Incyte Pharmaceuticals, Palo Alto CA)などの好適なプラスミドのポリリンカーの適合性制限酵素部位にcDNAを結合させた。この組換えプラスミドを、Stratagene社のXL1−Blue, XL1−BIueMRF、SOLR、またはLife Technologies社のDH5αまたはDH 10B、ElectroMAX DH 10Bを含むコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。
【0185】
2  cDNA クローンの単離
UNIZAPベクターシステム(Stratagene)或いは細胞溶解を利用して、in vivo切除によって宿主細胞からプラスミドを回収した。MagicまたはWIZARD Minipreps DNA精製システム(Promega)、及びAGTC Miniprep精製キット(Edge Biosystems, Gaithersburg MD)、QIAGEN社のQIAWELL 8、QIAWELL 8 Plus、QIAWELL 8 Ultra プラスミド精製システム、REAL Prep 96プラスミドキットの内の少なくとも1つを用いてプラスミドを精製した。沈殿させた後、0.1mlの蒸留水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍結乾燥しないで4℃で保管した。
【0186】
別法では、高スループットの直接結合PCR法によって宿主細胞溶解物からプラスミドDNAを増幅した。(Rao, V.B. (1994) Anal. Biochem. 216:1−14)。宿主細胞の溶解及び熱サイクリング過程を単一反応混合液で行った。サンプルを処理してから384−ウエルプレートに移して保管し、増幅したプラスミドDNAの濃度をPICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroskan II蛍光スキャナー(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光定量的に測定した。
【0187】
3 シークエンシング及び分析
cDNAのシークエンシング反応は、標準的な方法で、或いはABI CATALYST 800 (Perkin−Elmer) thermal cyclerまたはPTC−200 thermal cycler (MJ Research)とHYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific) またはMICROLAB 2200 (Hamilton) 液体転移システムとの組み合わせなどの高スループット装置で行った。cDNAのシークエンシング反応の準備には、Amersham Pharmacia Biotech社の試薬、またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reactionキット(Perkin−Elmer)などのABIシークエンシングキットに含まれる試薬を用いた。cDNAのシークエンシング反応の電気泳動的な分離及び標識したポリヌクレオチドの検出には、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics)、標準ABIプロトコル及び塩基対呼び出しソフトウェアを用いるABI PRISM 373または377シークエンシングシステム(Perkin−Elmer)、当分野で周知のその他の配列解析システムを用いた。cDNA配列の読み枠は、標準的な方法(Ausubel, 1997, 前出, unit 7.7)を用いて決定した。cDNA配列の幾つかを選択して、本実施例の5に記載した方法で配列を延長した。
【0188】
cDNAのシークエンシングから得たポリヌクレオチド配列の構築及び解析は、当分野の技術者に周知のアルゴリズムを利用したソフトウェアを組合せて行った。表5は、利用したツール、ソフトウェア、アルゴリズム、それらの説明、引用文献、閾値パラメーターの概要を示す。表5の列1は用いたツール及びプログラム、アルゴリズム、列2はそれらの簡単な説明、列3は引用することで本明細書の一部とした引用文献、列4の記載部分は2つの配列の一致度の評価に用いたスコア及び確率値、他のパラメータを示す(確率値が高ければ高いほど配列間の相同性が高くなる)。配列の解析には、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Software Engineering, S. San Francisco CA)及びLASERGENEソフトウェア (DNASTAR)を用いた。
【0189】
ポリヌクレオチド配列の確証は、BLAST及び動的計画法、ジヌクレオチド最近接分析に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクター及びリンカー、ポリA配列を取り除き、あいまいな塩基対をマスクすることで行った。次に、BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムを用いて、公共のデータベースであるGenBankの霊長類及びげっ歯類、哺乳類、脊椎動物、真核生物のデータベースやBLOCKSデータベースなどから選択した配列に対してこれらの配列を問合わせて注釈を得た。Phred及びPhrap、Consedに基づいたプログラムを用いて完全長のポリヌクレオチド配列の中にこれらの配列を構築して、BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムでオープンリーディングフレームのためにスクリーンした。完全長のポリヌクレオチド配列を翻訳して対応する完全長のアミノ酸配列を引き出し、GenBankデータベース(上記)及びSwissProt、BLOCKS、PRINTS、PFAM、Prositeなどのデータベース、またはPFAMなどのHidden Markov Model (HMM)に基づいたタンパク質ファミリーデータベースに対して問い合わせてこれらの完全長の配列を分析した。HMMは、確率を利用して遺伝子ファミリーのコンセンサス一次構造を解析する(例えば、Eddy, SR. (1996) Curr. Opin. Str. Biol. 6:361−365を参照)。
【0190】
完全長のポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の構築及び分析に用いる上記のプログラムは、SEQ ID NO:16−30からのポリヌクレオチド配列の断片の同定にも使用できる。約20から4000までのヌクレオチドの断片はハイブリダイゼーション及び増幅に有用であり、上記の発明で説明した。
【0191】
4 ノーザン分析
ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識されたヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrook,前出, 7章; 及び Ausubel. F.M. 他、前出, 4章及び16章を参照)。
【0192】
BLASTに用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(Incyte Pharmaceuticals)のようなヌクレオチドデータベース内の同一或いは関連する分子を検索する。この分析は多くの膜系ハイブリダイゼーションより非常に速度が速い。さらにコンピュータ検索の感度を変更して、任意の特定の一致が、厳密な一致或いは相同的一致の何れかとして分類されるかを確定することができる。検索の基準は、
(%配列同一性×%最大BLASTスコア)/100
として定義される積スコアである。積スコアは、2つの配列間の類似度及び配列一致の長さの両方を考慮する。例えば、積スコア40の場合、その一致は1〜2%誤差の範囲内で正確であり、70ではその一致は正確であろう。類似分子は通常、15〜40の範囲の積スコアを示す分子を選択することにより同定されるが、それより低いスコアでも関連した分子が同定される場合もある。
【0193】
ノーザン分析の結果は、TRNSFSをコードする転写物が発生したライブラリの分布割合として報告される。分析には、器官/組織及び疾患によるcDNAライブラリの分類も含まれる。器官/組織のカテゴリーには、心血管、皮膚、発生、内分泌、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖、泌尿が含まれる。疾患のカテゴリーには、癌、炎症/外傷、細胞増殖、胎児、神経、貯留(pooled)が含まれる。それぞれのカテゴリーについて、目的の配列を発現するライブラリの数を数えて、それを全ての範囲のライブラリの数で割った。各組織に特異的に発現する割合(パーセント)と各疾患で発現する割合を表3に示した。
【0194】
5  TRNSFS をコードするポリヌクレオチドの延長
SEQ ID NO:16及びSEQ ID NO:18−30の完全長の核酸配列は、完全長分子の好適な断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を延長して作製した。一方のプライマーは既知の断片の5’の延長を開始するために合成し、他方のプライマーは既知の断片の3’の延長を開始するために合成した。開始プライマーは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは他の適切なプログラムを用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで約50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じないようにヌクレオチドを延長した。
【0195】
選択されたヒトcDNAライブラリーを用いてこの配列を延長した。2段階以上の延長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、追加或いはネスト化プライマーの組を設計する。
【0196】
当分野で既知の方法を利用したPCR法で高い忠実度で増幅した。PCRはPTC−200 thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルブロックプレートで行った。反応混合液は、鋳型DNA及び200nmolの各プライマー、Mg と(NHSOとβ−メルカプトエタノールを含むバッファー、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメーターで増幅を行った。
ステップ1  94℃で3分間
ステップ2  94℃で15秒
ステップ3  60℃で1分間
ステップ4  68℃で2分間
ステップ5  ステップ2及び3、4を20回繰り返す
ステップ6  68℃で5分間
ステップ7  4℃で保管
別法では、プライマーの組、T7とSK+に対して以下のパラメータで増幅を行った。
ステップ1  94℃で3分間
ステップ2  94℃で15秒
ステップ3  57℃で1分間
ステップ4  68℃で2分間
ステップ5  ステップ2及び3、4を20回繰り返す
ステップ6  68℃で5分間
ステップ7  4℃で保管。
【0197】
各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶解した100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v/v) PICOGREEN; Molecular Probes, Eugene OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各ウェルに分配してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。このプレートをFluoroskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプルの蛍光を計測してDNAの濃度を定量化する。反応混合物の5〜10μlのアリコットを1%のアガロースミニゲル上での電気泳動によって解析し、何れの反応物が配列を延長することに成功したかを決定する。
【0198】
延長したヌクレオチドを脱塩及び濃縮してから384ウェルのプレートに移し、CviJIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison WI)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に音波処理またはせん断を行った。ショットガンシークエンシングのために、消化したヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離して断片を切断し、寒天をAgar ACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New England Biolabs, Beverly MA)を用いて延長したクローンをpUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部位の延び出しを処理してコンピテント大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した細胞を選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB/2Xカルベニシリン培養液の384ウェルプレートに37℃で一晩培養した。
【0199】
細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。
ステップ1  94℃で3分間
ステップ2  94℃で15秒
ステップ3  60℃で1分間
ステップ4  72℃で2分間
ステップ5  ステップ2及び3、4を29回繰り返す
ステップ6  72℃で5分間
ステップ7  4℃で保管。
上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチルサルホサイド(dimethysulphoxide)( 1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC DIRECTキット(Amersham Pharmacia Biotech)またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reactionキット(Perkin−Elmer)を用いてシークエンシングした。
【0200】
同様に上述の手順で、SEQ ID NO:16及びSEQ ID NO:18−30のヌクレオチド配列を利用し、この延長のために設計したオリゴヌクレオチドと好適な遺伝子ライブラリを用いて5′調節配列を得た。
【0201】
SEQ ID NO:17の完全長の核酸配列は、完全長分子の好適な断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を延長して作製した。一方のプライマーは既知の断片の5’の延長を開始するために合成し、他方のプライマーは既知の断片の3’の延長を開始するために合成した。開始プライマーは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences, Plymouth, MN)或いは他の適切なプログラムを用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで約50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じないようにヌクレオチドを延長した。
【0202】
この配列の延長のために選択されたヒトcDNAライブラリ(Life Technologies)を用いる。2段階以上の延長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、既知領域をさらに延長するための別のプライマーの組を設計する。
【0203】
XL−PCRキット(Perkin Elmer Co., Norwalk. CT)の説明書の指示に従って処理を行い、また酵素と反応混合物とを徹底的に混合することにより、高い忠実度の増幅を行う。それぞれ40pmolの各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始する場合、PTC−200thermal cycler(M.J. Reserch, Inc., Watertown MA)を用いて、以下のパラメータ、即ち、
ステップ1  94℃で1分間(初期変性)
ステップ2  65℃で1分間
ステップ3  68℃で6分間
ステップ4  94℃で15秒間
ステップ5  65℃で1分間
ステップ6  68℃で7分間
ステップ7  ステップ4〜6をさらに15サイクル反復
ステップ8  94℃で15秒間
ステップ9  65℃で1分間
ステップ10 68℃で7分15秒間
ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復
ステップ12 72℃で8分間
ステップ13 4℃(その温度を保持)
でPCRを行う。
【0204】
反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度の(約0.6〜0.8%)アガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、何れの反応物が配列を延長することに成功したかを決定する。最も大きな生成物を含むと考えられるバンドを選択して、ゲルから切り出し、QIAQUICK DNAゲル精製キット(QIAGEN Inc.)を用いて精製し、クレノウ酵素を用いて末端の延び出しを切り取って、再連結及びクローニングが容易になる平滑末端を作る。
【0205】
エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μlのT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベートする。(40μlの適切な培養液の中の)コンピテントな大腸菌細胞を、3μlの連結混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培養液で(例えば、Sembroo、前出、Appendix A, p. 2を参照)で培養する。37℃で1時間インキュベートした後、大腸菌混合物を、カルベニシリン(2x carb)を含むLuria Bertani(LB)アガー(例えば、Sembrook、前出、Appendix A, p. 1を参照)上に蒔く。後日、いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の滅菌96穴マイクロタイタープレートの各ウェル内に入れられた150μlの液状のLB/2xCarb培地で培養する。さらに後日、それぞれ5μlの終夜培養した各培養物を非滅菌96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、各サンプルの内の5μlをPCRアレイに移す。
【0206】
PCR増幅のため、4単位のrTthDNAポリメラーゼを含む18μlの濃縮PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用いられる遺伝子特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加える。増幅は以下の条件、即ち
ステップ1  94℃で60秒間
ステップ2  94℃で20秒間
ステップ3  55℃で30秒間
ステップ4  72℃で90秒間
ステップ5  ステップ2〜4をさらに29サイクル反復
ステップ6  72℃で180秒間
ステップ7  4℃(そのまま保持)
で行う。
【0207】
PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動させる。PCR産物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクローンを選択し、プラスミドに連結して、配列決定を行う。
【0208】
同様に上述の手順で、SEQ ID NO:17のヌクレオチド配列を利用し、この延長のために設計したオリゴヌクレオチドと好適な遺伝子ライブラリを用いて5′調節配列を得た。
【0209】
6 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用
SEQ ID NO:16−30から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの場合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフトウェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザインし、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸(Amersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、Boston MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴヌクレオチドを、SEPHADEX G−25超精細排除デキストランビードカラム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて実質的に精製する。毎分10カウントの標識されたプローブを含むアリコットを、次のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl II、Eco RI、Pst I、Xba1或いはPvu II(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒトゲノムDNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0210】
各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製メンブラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に転写する。ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くため、ブロットを、段階的に厳密性が増す条件で最大0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウムまで順次室温にて洗浄する。ハイブリダイゼーションパターンをオートラジオグラフィーで視覚化して比較する。
【0211】
7 マイクロアレイ
化学結合方法及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でアレイ要素を合成することが可能である(例えば、上記Baldeschweilerを参照)。ドットブロット法またはスロットブロット法に類似したアレイを利用し、要素を熱、UV、機械的または化学的結合方法を用いて基板の表面に配置し結合させる。典型的なアレイは、手作業または利用可能な方法や機械を用いて作製することができ、任意の適正な数の要素を含み得る。ハイブリダイゼーションの後、ハイブリダイズしていないプローブを取り除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパターンを決定する。スキャンした画像を分析して、マイクロアレイ上で要素にハイブリダイズする各プローブの相補性の程度及び相対的な量/発現レベルを調べることが可能である。
【0212】
完全長のcDNA、発現配列タグ(EST)、或いはそれらの断片が、マイクロアレイの要素を含み得る。ハイブリダイゼーションに好適な断片を、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)などの当分野で公知のソフトウェアを用いて選択することが可能である。本発明の核酸配列の1つに対応する完全長のcDNA、EST、或いはそれらの断片、或いは本発明に関連するcDNAライブラリから任意に選択されたcDNAを、ガラススライドなどの好適な基質に整列する。cDNAは、例えばUV交差結合(UV cross−linking)を利用してスライドに固定してから、熱処理及び化学処理を施し、最後に乾燥させる(例えば、 Schena, M. 他. (1995) Science 270:467−470; 及び Shalon, D. 他. (1996) Genome Res. 6:639−645を参照)。蛍光プローブを準備して、基質上の要素にハイブリダイゼーションするために用いる。上記した方法でこの基質を分析する。
【0213】
8 相補的ポリヌクレオチド
TRNSFSをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、自然発生のTRNSFSの発現の低下即ち阻害するために用いられる。約15〜約30個の塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、より小さな或いはより大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる。Oligo4.06ソフトウェア(National Biosciences)及びTRNSFSのコーディング配列を用いて、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーターがコーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するためには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがTRNSFSをコードする転写物に結合するのを阻害する。
【0214】
9  TRNSFS の発現
TRNSFSの発現及び精製は、細菌またはウイルスを基にした発現系を用いて行うことができる。細菌でTRNSFSが発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写レベルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクローニングする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節要素に関連するT5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp−lac(tac)ハイブリッドプロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。組換えベクターを、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ細菌が、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発されるとTRNSFSを発現する。真核細胞でのTRNSFSの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に一般にバキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多面性ウイルス(AcMNPV)を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺伝子を、相同組換え或いは転移プラスミドの媒介を伴う細菌の媒介による遺伝子転移のどちらかによって、TRNSFSをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感染力は維持され、強いポリヘドリンプロモータによって高いレベルのcDNAの転写が行われる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda (Sf9)昆虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることもある。後者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる。(例えば、Engelhard. E. K.他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224−3227; Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937−1945.を参照)。
【0215】
殆どの発現系では、TRNSFSが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、またはFLAGや6−Hisなどのペプチドエピトープ標識で合成された融合タンパク質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベースの精製が素早く1回で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キロダルトンの酵素GSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した状態で固定されたグルタチオンで融合タンパク質の精製が可能となる(Amersham Pharmacia Biotech)。精製の後、GST部分を特定の操作部位でTRNSFSからタンパク分解的に切断できる。アミノ酸8個のペプチドであるFLAGで、市販のモノクロナール及びポリクロナール抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性の精製が可能となる。6個のヒスチジン残基が連続して伸展した6−Hisによって、金属キレート樹脂(QIAGEN)で精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製の方法は、Ausubel (1995,前出, ch 10, 16)に記載されている。これらの方法で精製したTRNSFSを直接用いて以下のアッセイを行うことができる。
【0216】
10  TRNSFS 活性の実証
TRNSFSの活性は、TRNSFS存在下でのドナー分子からアクセプター分子への放射標識分子グループの移動を計測して測定する。例えば、HNKスルホトランスフェラーゼの活性は、100 mMのTRIS−HCl、pH 7.2、0.1%Triton X−100、10 mMのMnCl、及び2.5 mMのATP内に、0.02 mMの[35S]PAPS、25μlのIgGビーズ結合酵素懸濁液、0.1 mMのアクセプターオリゴ糖または0.0265 mMのアクセプター糖脂質を含む反応混合液内で測定される。反応混合液は37℃で2時間インキュベートする。反応生成物は0.25 Mの蟻酸アンモニウム、pH4.0に調整し、C18逆相クロマトグラフィーカラムで分離する。カラムは洗浄し、生成物は70%メタノールで溶出する。アクセプター分子内で回収した放射活性は液体シンチレーション計数器を用いて計数し、アッセイにおけるHNKスルホトランスフェラーゼの活性に比例する。
【0217】
別法では、ミリストイルCoA:タンパク質Nミリストイルトランスフェラーゼの活性は、当分野で知られている方法を用いて合成ペプチド基質をミリストイル化するTRNSFSの能力によって実証される(Giang, D.K. and Cravatt, B.F.(1998) J.Biol.Chem. 273:6595−6598、及び Towler and Glaser (1986) Proc. Natl. Acad. Sci., 83:2812−2816)。[H] ミリストイルCoA(0.75μCi;52Ci/mMol;0.3μM;Amersham Pharmacia Biotech)を、30 mMのtris−HCl、pH7.5に0.5 mMのEDTA、0.5 mMのEGTA、1.0 %(v/v)Triton X−100及び4.5 mMのβメルカプトエタノールを加えた反応緩衝液(反応液の総量50μl)内の、COS−7全細胞タンパク質(7.5μg)及びペプチド基質(200μM;Towler and Glaser、前出)の混合液に加える。反応は25℃で10分間続行させ、50μlのエタノールで急冷してから5μlの100%トリクロロ酢酸で処理し、氷上に10分間置き、10,000xgで5分間回転させる。一定量(25μl)の上澄みを逆相高圧液体クロマトグラフィーで分析する。ミリストイル化ペプチドは既述のように合成し(Towler and Glaser、前出)、ミリストイル化ペプチド生成物の溶出時間を定義する標準として用いる。カラム分画(1ml)を収集し、シンチレーション計数器で計数する。全ての場合において、ペプチドなしの制御反応も分析し、ペプチド有りの反応から差し引いてミリストイルトランスフェラーゼ反応速度を求める。初期反応速度は20%未満のミリストイル化生成物が形成される反応から決定する。ミリストイルトランスフェラーゼ反応速度は、サンプル内のTRNSFS存在量に比例する。
【0218】
別法では、マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼの活性は、緩衝条件下の理論量でTRNSFSがその基質GTP及びα−D−マンノース−1−リン酸と結合することによって測定される。好適な時点で生成物であるCDPエタノールアミン及び2リン酸塩はクロマトグラフィー法で測定し、この時までに反応生成物を基質から分離する。アッセイの標準条件で、CDPエタノールアミン及び2リン酸塩の生成量は生物学的サンプルにおけるTRNSFSの活性に正比例する。
【0219】
11 機能的アッセイ
TRNSFSの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルでのTRNSFSをコードする配列の発現によって評価する。cDNAを、cDNAを高いレベルで発現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングする。このようなベクターには、pCMV SPORTTM (Life Technologies.)及びpCR 3.1 (Invitrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロモーターを含んでいる。5〜10μgの組換えベクターを、好ましくは内皮由来か造血由来のヒト細胞株にリポソーム製剤或いは電気穿孔法によって一過性に形質移入する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミドを同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞と形質移入されていない細胞とを区別できる。また、標識タンパク質の発現によって、cDNAの組換えベクターからの発現を正確に予想できる。このような標識タンパク質には、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、及びCD64またはCD64−GFP融合タンパク質が含まれる。レーザー光学に基づいた技術を利用した自動流動細胞計測法(FCM)を用いて、GFPまたはCD64−GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、その細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。また、FCMで、先行した或いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取り込みを検出して計量する。これらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって計測される核DNA内容物の変化と、ブロモデオキシウリジンの取り込み量の低下によって計測されるDNA合成の下方調節と、特異的な抗体との反応性によって計測される細胞表面及び細胞内のタンパンク質の発現の変化と、蛍光複合アネキシンVタンパク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変化とが含まれる。流動細胞計測法は、Ormerod, M. G.による (1994) Flow Cytometry Oxford, New York, NY.に記載されている。
【0220】
遺伝子発現におけるTRNSFSの影響は、TRNSFSをコードする配列とCD64またはCD64−GFPのどちらかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価することができる。CD64またはCD64−GFPは形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫グロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞と形質転換されない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆された磁気ビードを用いて分離することができる(DYNAL. Lake Success. NY)。mRNAは、当分野で公知の方法で細胞から精製することができる。TRNSFS及び目的の他の遺伝子をコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析することができる。
【0221】
12  TRNSFS に特異的な抗体の産生
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G. (1990) Methods Enzymol. 182:488−495を参照)または他の精製技術で実質的に精製されたTRNSFSを用いて、標準的なプロトコルでウサギを免疫化して抗体を作り出す。
【0222】
別法では、TRNSFSアミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成してこれを用いて当業者に周知の方法で抗体を産生させる。C末端付近の、或いは隣接する親水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については、当分野で周知である(例えば、前出のAusubel, 1995,11章を参照)。
【0223】
通常、約15残基の長さのオリゴペプチドを、Applied BiosystemsのペプチドシンセサイザABI 431Aペプチドシンセサイザー(Perkin−Elmer)を用いてfmoc法のケミストリにより合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)を用いた反応によりKLH(Sigma−Aldrich, St. Louis MO)に結合させて、免疫原性を高める(例えば、前出のAusubel, 1995を参照)。フロイントの完全アジュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するには、例えばペプチドをプラスチックに結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0224】
13 特異的抗体を用いる自然発生 TRNSFS の精製
自然発生TRNSFS或いは組換えTRNSFSを、TRNSFSに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティーカラムは、CNBr−活性化SEPHAROSE(Amersham Pharmacia Biotech)のような活性化クロマトグラフィー用レジンとTRNSFS抗体とを共有結合させることにより構築する。結合の後、そのレジンを製造者の使用説明書に従って、ブロックし洗浄する。
【0225】
TRNSFSを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、TRNSFSを優先的に吸着できる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファーで)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とTRNSFSとの結合を切るような条件で(例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、TRNSFSを回収する。
【0226】
14  TRNSFS と相互作用する分子の同定
TRNSFS又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(例えば、Bolton他 (1973) Biochem. J. 133:529を参照)で標識する。マルチウェルプレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したTRNSFSと共にインキュベートし、洗浄して、標識したTRNSFS複合体を有する全てのウェルをアッセイする。様々なTRNSFS濃度で得られたデータを用いて、候補の分子とTRNSFSとの結合、親和性、数について数値を計算する。
【0227】
当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連する分野の専門家には明らかな本明細書に記載の本発明の実施のための方法の様々な改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0228】
表の簡単な説明
表1は、TRNSFSをコードする完全長の配列を作り出すために用いた、ポリペプチド配列及びヌクレオチド配列の配列番号(SEQ ID NO)、クローンID番号、cDNAライブラリ、cDNA断片を示す。
【0229】
表2は、潜在モチーフ及び相同配列を含む各ポリペプチド配列の特徴、及びTRNSFSの同定に用いた方法及びアルゴリズムを示す。
【0230】
表3は、各核酸配列の有用な断片と、ノーザン分析によって決定された各核酸配列の組織特異的発現パターンと、これらの組織に関連した疾患、障害、及び状態と、各cDNAがクローニングされたベクターとを示す。
【0231】
表4は、TRNSFSをコードするcDNAクローンを単離したcDNAライブラリを作製するために用いた組織を示す。
【0232】
表5は、TRNSFSの分析に用いたツール、プログラム及びアルゴリズムをその説明、引用文献、閾値パラメーターとともに示す。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
LASERGENEソフトウェア(DNASTER, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて作成したTRNSFS−1(1632930; SEQ ID NO:1)とヒトミリストイルCoA:タンパク質Nミリストイル転移酵素(GI 2443814; SEQ ID NO:31) の間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図1B】
LASERGENEソフトウェア(DNASTER, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて作成したTRNSFS−1(1632930; SEQ ID NO:1)とヒトミリストイルCoA:タンパク質Nミリストイル転移酵素(GI 2443814; SEQ ID NO:31) の間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図2A】
LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて作成したTRNSFS−2(2682663; SEQ ID NO:2)、シロイヌナズナMPG (GI 2642159; SEQ ID NO:32)、及び線虫MPG (GI 2804432; SEQ ID NO:33)の間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図2B】
LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて作成したTRNSFS−2(2682663; SEQ ID NO:2)、シロイヌナズナMPG (GI 2642159; SEQ ID NO:32)、及び線虫MPG (GI 2804432; SEQ ID NO:33)の間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図2C】
LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて作成したTRNSFS−2(2682663; SEQ ID NO:2)、シロイヌナズナMPG (GI 2642159; SEQ ID NO:32)、及び線虫MPG (GI 2804432; SEQ ID NO:33)の間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図2D】
LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて作成したTRNSFS−2(2682663; SEQ ID NO:2)、シロイヌナズナMPG (GI 2642159; SEQ ID NO:32)、及び線虫MPG (GI 2804432; SEQ ID NO:33)の間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【表1】
Figure 2004512804
【表2】
Figure 2004512804
【表3】
Figure 2004512804
【表4】
Figure 2004512804
【表5】
Figure 2004512804
【表6】
Figure 2004512804
【表7】
Figure 2004512804
【表8】
Figure 2004512804
【表9】
Figure 2004512804

Claims (21)

  1. SEQ ID NO:1 乃至 SEQ ID NO:15(配列番号:1−15)及びそれらの断片からなる一群より選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチド。
  2. 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する実質的に精製された変異体。
  3. 請求項1のポリペプチドをコードする単離され精製されたポリヌクレオチド。
  4. 請求項3のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌクレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  5. 厳密な条件の下で請求項3のポリヌクレオチドとハイブリダイズする単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 請求項3のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチド。
  7. ポリヌクレオチドの検出法であって、
    (a)請求項6のポリヌクレオチドをサンプル内の少なくとも一つの核酸とハイブリダイズさせて、それによりハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、
    (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイブリダイゼーション複合体の存在が、前記サンプル内の前記ポリヌクレオチドの存在と相関性を有する、該過程とを含むことを特徴とする検出法。
  8. 前記ハイブリダイゼーションの前に前記ポリヌクレオチドの増幅過程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の検出法。
  9. SEQ ID NO:16 乃至 SEQ ID NO:30及びそれらの断片からなる一群より選択されたポリヌクレオチド配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチド。
  10. 請求項9のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌクレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  11. 請求項9のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチド。
  12. 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも一つの断片を含む発現ベクター。
  13. 請求項12の発現ベクターを含む宿主細胞。
  14. ポリペプチドの製造方法であって、
    (a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件の下で、請求項13の宿主細胞を培養する過程と、
    (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むことを特徴とする製造方法。
  15. 好適な医療用担体と共に請求項1のポリペプチドを含む医薬品組成物。
  16. 請求項1のポリペプチドと特異的に結合する精製された抗体。
  17. 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  18. 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  19. TRNSFSの発現または活性の低下に関連する疾患の治療または予防が必要な患者に、請求項15の医薬品組成物を効果的な量投与する過程を含む、TRNSFSの発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方法。
  20. TRNSFSの発現または活性の増大に関連する疾患の治療または予防が必要な患者に、請求項18のアンタゴニストを効果的な量投与する過程を含む、TRNSFSの発現または活性の増加に関連する疾患を治療または予防する方法。
  21. 前記断片が酵素的に活性な断片であることを特徴とする請求項1のポリペプチド断片。
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