JP2004511069A - 高い電流密度用途の多層炭素ベース電界放出電子デバイス - Google Patents
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Abstract
電界放出デバイスは、リアクタ内に基板を配置し、基板を加熱し、水素および炭素含有ガス(約8〜13%の濃度)の混合物をリアクタに供給するとともに、約0.5マイクロメータより大きな厚さに炭素ベースの材料の第1の層が成長するようにある時間の間に基板の近くのガスの混合物にエネルギーを供給し、次に、炭素含有ガスの濃度を減少させ、炭素ベースの材料の第2の層(第2の層が第1の層よりかなり厚い)を連続的に成長させることにより、提供される。次いで、上記基板は、第1の層から除去され、電極が第2の層に与えられる。上記デバイスは、独立型であり、陰極線管、増幅器および進行波管等の様々な電子デバイスの冷却カソードとして用いられ得る。上記基板の表面は、電界放出デバイス上のパターニングされた表面を生成するために、第1の層の成長前にパターニングされ得る。
【選択図】図2B
【選択図】図2B
Description
【0001】
(本発明の背景)
1.本発明の分野
本発明は、一般に電界エミッタに関する。さらに詳細には、電界放出を用いて高い電流密度を生成し、炭素含有ガス(carbon−containing gas)を用いるプロセスから製造された2層の材料を有するデバイスが提供される。
【0002】
2.関連技術の説明
2つの基本的なジオメトリの電界放出電子デバイスがある。第1のジオメトリは、電子放出チップのアレイを用いる。これらのデバイスは、極端に小さな曲率半径を有し、通常、1〜数マイクロメータの高さである電子放出チップを形成するための複雑なフォトリソグラフィ技術を用いて製造される。チップは、一般に、シリコン、モリブデン、タングステンおよび/または他の耐火金属から構成される。従来技術は、さらに、マイクロチップが特定の結晶配向のダイアモンドから製造され得るか、または、非炭素マイクロチップが性能をエンハンスするためにダイアモンドまたはダイアモンドに類似した炭素でコーティングされ得ることを提示する。(米国特許第5,199,918号。)また、様々な金属(炭素を含む)の薄いワイヤまたはウィスカの製造物を基礎とされたマイクロチップの分類が説明されている(「Field Emission from Nanotube Bundle Emitters at Low Fields,」Q.Wang et al,App.Phys.Lett.70.[24],pp.3308(1997))。
【0003】
電界放出デバイスを製造する第2の従来技術は、通常、ダイアモンドおよび/またはダイアモンドに類似した炭素からなる低いか、または負の電子親和力表面に基づく(米国特許第5,341,063号;米国特許第5,602,439号)。これらのデバイスは、チップ状に形成され得るか、または、平坦にされ得る。他の広いバンドギャップ材料(主に第III族窒化物)はまた、負の電子親和力の性質による電界放出デバイスとして提示されている。
【0004】
第1の方法において、複雑なリソグラフィおよび/または他の製造技術がチップを製造するために必要とされる。さらに、非ダイアモンド材料から作製されたチップは、アノードからのバックスパッタリングによる、抵抗性のチップの熱およびチップの毒作用に起因する短い機能寿命(functional lifetime)を有する。ダイアモンドベースのマイクロチップは、これら2つの問題をある程度まで解決するが、通常、十分に機能するためには多くの負の電子親和力表面を必要になる。
【0005】
第2の方法は、作動すべきデバイスの低いか、または負の電子親和力表面を必要とする。さらに、従来技術は、ダイアモンドまたはダイアモンドに類似したものの改良されたエミッタが、炭素格子の螺旋転位または他の欠陥を与えることによって製造され得ることを提示する。(米国特許第5,619,092号)。10A/cm2の電流密度を有するダイアモンドベースの材料が、最近、説明されている。(T.Habemann,J.Vac.Sci.Tech.B16,p.693(1998))。これらのデバイスが基板上に製造され、残されている。
【0006】
最新の論文によると、ゲートおよび非ゲートされたダイアモンマイクロチップが説明されている。(D.E.Patterson et al,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.509(1998))。いくつかの非ゲートされたエミッタはチップ当たり7.5マイクロアンペアの電流を与えると報告された。エミッタを形成するために用いられる価値あるプロセスが説明されていなかった。チップが2.5×107チップ/cm2の密度で形成され得る場合、全てのチップが放出し、全てのチップが一様に放出すると仮定すると、電流密度が175A/cm2と同様に高くあり得ることが計算された。
【0007】
電界エミッタの異なる特徴が異なるデバイスに必要とされる。フラットパネルディスプレイ、センサおよび高周波デバイス等のいくつかのデバイスについては、低い電場での放出がパワー要件を最小にするために特に望ましい。他のデバイスについては、放出のためのより高い閾値電場は、かなり良いが、高い電流が必要とされる。特に、高い電流は、マグネトロンおよびクリストロン等の、増幅器およびいくつかのパワー供給源において、電子銃のいくつかの用途のために必要とされる。
【0008】
したがって、複雑で、かつ、マイクロメータサイズの(またはより小型の)チップを備えた構造、または、所定の結晶配向または特定の欠陥を必要とする構造の製造を含まない、十分に機能する、改良された炭素ベースの電子エミッタが必要とされる。さらに、これらのエミッタは、高レベルの放出電流を適度な(moderate)電場に提供する。好適には、エミッタは、基板なしで機械的な強さを有するために十分なエミッタ材料の厚さを有し、様々な電子装置の使用に適切であるフリースタンディング電子源(free−standing electron source)を作製する。
【0009】
(本発明の要旨)
本発明により、高い電流密度の炭素ベースの電子エミッタは、2層の炭素ベースの材料を有するバルク構造を形成するための炭素の化学蒸着法または物理的な蒸着法によって形成される。バルク材料またはこの態様で成長された本体は、高い熱伝導基質を伝導炭素チャネル(conductive carbon channel)の周りに提供するとみなされ、この結果、伝導チャネルの抵抗熱は、高い電流でさえ、チャネルから散逸され得る。電子は、最後に、伝導チャネルからの電界放出によって炭素表面から放出される。さらに、放出層は、非常に高い熱伝導率を有するより厚い層と直接に接触し、この結果、熱は、放出層の異常な熱および破損を避ける割合で、放出層から転送され得る。
【0010】
炭素ベースの本体は、リアクタに基板を置く(リアクタの圧力を低くし、水素および炭素含有ガス(8〜13%の濃度のメタン)を含むガスの混合体をリアクタの中に供給する)高エネルギーが基板の近くのガスに供給されることによって成長する。エネルギーは、マイクロ波またはRFプラズマ等のいくつかの方法によって供給され得る。基板は、リアクタ内の基板ステージを積極的に加熱または冷却することを介して選択された温度範囲に置かれる。層が数マイクロメータの厚さに成長した後、メタン濃度が減少し、第2の、かなり厚い層が成長する。次いで、基板が除去され、炭素ベースの材料の独立型の本体が2つの層を有するままになる。それぞれの層は、電気抵抗の好適な範囲を有する。電極は、より厚い層の表面上に置かれる。電子放出は、より薄い層の表面から、高い電流密度で安定している。この表面は、平坦であり得るか、または、構造化され得る。炭素ベースの本体上の構造化された表面は、放出層が成長する前に、基板の表面を構造化することによって達成される。
【0011】
炭素ベースの本体からの高い電流密度の電子放出に基づくデバイスが提供される。これらは、電子銃と、電子銃、増幅器および進行波管等(traveling wave tube)を含む陰極線管を含む。
【0012】
本発明の上述の目的および他の目的ならびに利点は、以下に記載された説明および添付された図面(同一の番号が同一の部分を示す)から明らかである。
【0013】
(好適な実施形態の説明)
真空に逃げる(escape)、材料の伝導帯の電子について、作用関数として周知のエネルギー、Φが、電子が真空エネルギーレベルに等しいエネルギーに達することが出来るように、電子に供給されなければならない。このエネルギーは、一般に、材料を加熱することによって供給され、熱電子放出として周知であるものに至る。本発明について、電界放出として周知の量子力学の効果(電子が真空にポテンシャル障壁を通じてトンネリングすることを可能にする)が用いられる。ポテンシャル障壁の低下は、本願と同時に出願された、「Carbon−Based Field Emission Electron Device for High Current Density Appllicaitons」と題する特許出願においてより十分に説明されているように、強力な外部の電界を固体表面に印加することによって達成される。本方法は、本デバイスについて、マイクロメータ当たり数百ボルトの電場の強さにのみ実用的である。ポテンシャルバイヤの効果を低減させる別の方法は、マイクロチップにて電場の強さをエンハンスするサブ−マイクロメータサイズの形状構造、すなわちマイクロチップを提供することである。従来技術において説明された方法は、この成果を達成するために、製造されたマイクロチップまたはウェスカを用いる。
【0014】
本発明は、ある材料にサブ−マイクロメータサイズのフィーチャを達成するため、すなわち非伝導炭素ベースの材料の基質に伝導炭素ベースの材料のチャネルを作り上げるために、それ程複雑でないジオメトリを用いる。さらに、これらのチャネルを有する材料の2層が供給され、2層は、電気伝導および熱伝導の異なる性質を有する。驚いたことに、本発明の材料は、高レベルの電流密度での電子放出を達成する。
【0015】
図1Aは、基板103上の2層101および102を有する炭素ベースのバルク材料を示す。炭素べースの材料は、化学蒸着法(CVD)または物理的な蒸着法(PVD)の技術によって基板103上に堆積される。それぞれの層の炭素ベースの材料は少なくとも95%炭素原子から構成され、この材料の残りは堆積システムにある他の元素の原子から成る。炭素の他にこの材料に存在する典型的な化学種は、水素、窒素および酸素を含むが、これらに限定されるわけではない。炭素材料の形成のために用いられ得る堆積技術は、マイクロ波CVD、ホットフィラメントCVD、DCプラズマアーク堆積(plasma arc decompositon)、フレーム堆積(flame decompositon)、カソードアーク堆積(cathodic arc decompositon)、熱分解およびマグネトロンスパッタリング(magnetron sputtering)を含むが、これらに限定されるわけではない。本発明は、炭素チャネル105および107をそれぞれの層に提供しており、このチャネルは、それぞれの層の基質材料104および106において、1マイクロメータ未満の直径を有する。チャネルは、電子顕微鏡によって観察不可能である。それぞれの層の基質材料104および106は、高い熱伝導率を有するように形成される。非常に薄い転移層108は、層101と102との間に示される。電子の電界放出は、基板103が除去された後、かつ、適切に印加された電界が表面に存在する時に、伝導チャネル105と表面109との交差部にて生じるとみなされる。
【0016】
層101および102は、より電気伝導性の層101、続いて、より電気伝導せず、より高い熱伝導性の層102を形成することを可能にする2つのステップで堆積される。層101および102よりかなり薄い転移層108が形成される。このとき、ガス成分は、層101を成長させる際に用いられるより高い炭化水素内容物から層102を成長させる際に用いられるより低い炭水水素内容物へと変えられる。通常、数十オングストロームのオーダーの厚さを有する転移層108は、成長表面近くにプラズマにおいてガス成分が変化する数秒の間に形成される。より高い電気伝導材料105および107のチャネルは、転移層108を横切って相互接続するとみなされる。より電気伝導性の層101は、従来技術に公知である単なる核形成層ではない。代わりに、より電気伝導性の層は、本発明のデバイスに放出表面(表面109である)を提供する。
【0017】
基板103は、層が成長し、電極層が堆積され、本発明の電子放出デバイスを形成した後に、除去される。基板は、周知の物理的または化学的方法によって除去され得る。図1Bは、層102の上部に配置された電極110を示す。電極110は、炭素ベースの層102の表面とのオーム接点を達成するように堆積される金属層または他の伝導材料の層であり得る。
【0018】
本発明の炭素ベースの材料は、純粋のダイアモンドフィルムの形成の場合のように、完全にsp3混成された炭素(hybidized carbon)の形成を避ける高い炭素内容物堆積技術を用いる。このプロセスは、マイクロチップ、ファイバ、ウィスカまたは炭素原子のよく組織化された配置を含む任意の他の構造を作製するために設計された炭素フィルムの特定の処理を全く用いない。さらに、このプロセスは、炭素エミッタを生産するために従来技術において示された、ダイアモンドおよび/またはダイアモンドに類似する炭素構造の欠陥を特に作製しない。このプロセスは、炭素材料のバルクを通じてランダムに貫通する炭素の伝導チャネルを作製するという結果が生じるとみなされるバルク固体材料の形成を含む。
【0019】
図2Aは、本発明の材料を形成するプロセスを示す。図2Aにおいて、供給材料ガスまたは選択された量の炭素原子を含有するガスの組み合わせ203は10−5Torr〜500Torrの間の圧力に維持される真空チャンバに導入される。好適には、圧力が50Torr〜200Torrの間にある。供給材料ガスは、好適には、容量で、約85〜90%の水素、5%より大きく約13%のメタンまでの濃度のメタンガス、バランスのための酸素(balance oxygen)を含む。第1の層である層201を成長させるために、メタン内容物は、好適には、8%より大きく、最も好適には、メタン内容物は、容量で、10%より大きい。電子放出炭素フィルムを生成するために従来技術で用いられる典型的な供給材料ガス成分は、約5%未満のメタン内容物を必要とする。メタンは本システムに炭素原子を供給するために選択されたガスとして本明細書中で特定されているが、任意の数の炭素を含有する化学種が用いられ得ることが理解される。これらの炭素を含有する前駆体のいくつかは、エタン、プロパン、アセトン、アセチレン、メタノール、エタノールおよび尿素を含むが、限定されていない。炭素原子のメタン当量は、それぞれの前駆体について用いられる。炭素前駆体が室温で気体でない場合、前駆体が標準的な技術によって気体に変換され得る。次いで、(単数または複数の)ガス203は、ガス状の化学種204(炭素を含有するイオンおよび/または炭素原子を内部に存在させる)を形成するために、プラズマ、ホットフィラメントまたはレーザによってエネルギーについて上昇される。好適なガス活性化の方法は、1kWを超えるパワーで作用するマイクロ波またはRFプラズマであるが、ホットフィラメント、レーザまたは他の技術は、炭素を含有するイオンおよび/または炭素原子を内部に存在させているガス状の化学種を形成するために用いられ得る。次いで、高エネルギー化学種204が基板205上に衝突する。基板205は、約250℃〜約1200℃の範囲の温度に加熱され、好適には、約600℃〜約1100℃の範囲の温度に加熱される。基板205は、Si,MoおよびTiを含む、公知のカーバイド形成材である材料の任意のグループから選択される。さらに、ダイアモンドパウダーを用いる基板成長表面の予備処理が炭素ベースのエミッタ材料の成長を大きくエンハンスすることが見出された。典型的な基板の予備処理は、メタノール中のダイアモンドパウダー(10μm未満直径の粒子サイズ)の懸濁において、50Wで20分の間、基板の超音波核形成を用いる。20分後、基板は、核形成用のバスから除去され、任意の残りのダイアモンドパウダーについて洗浄される。この予備処理およびCVDダイアモンドの成長のためのいくつかの予備処理が従来技術において知られている。
【0020】
炭素リッチな(carbon−rich)成長プロセスは、基質材料207を通じて貫通する電気伝導する炭素チャネル206を備えたより高い電気伝導する炭素ベースの層201を生じさせる。層201は、少なくとも0.5マイクロメータの厚さに成長するが、好適には、約10マイクロメータより大きい厚さにまで成長する。層201は、1×10−1〜1×10−4Ω・cm、好適には、1×10−2〜1×10−3Ω・cmの電気抵抗を有する。
【0021】
層201が成長した後、より電気伝導しないが、より高い熱伝導性の層202を生成するために、堆積条件が変えられる。この層の成長の間、成長反応において炭素化学種の濃度が減少される。この減少は、炭素を含有する供給材料ガスの濃度を減少させること、成長温度を変化させるか、またはリアクタの圧力を減少させることを含むいくつかの方法によって行われ得る。好適には、濃度は、供給材料ガスの炭素濃度を層201を成長させる際に用いられた値の約50%に減少することによって減少される。次いで、層202は、選択された厚さの層を形成するための十分な時間の間に成長する。好適には、層202の厚さは、層201の厚さの少なくとも10倍である。2つの層は、炭化水素濃度がリアクタの中で変化している時間の間に形成される転移層208により、分離される。高い熱伝導性の層202は、約10−2〜103Ω・cmの間、好適には、約10−1〜10Ω・cmの間の電気伝導率を有する。さらに、層202は、100W/m・Kより大きい熱伝導率を有する。この高い熱伝導率を有する層202は、高電流がこの材料について達成されることを可能にするとみなされる。従来技術のデバイスにおいて、高電流の出力は、小さい面積から電子放出によって引き起こされる高温に起因するデバイスの欠損を招く。本発明において、高い熱伝導性の層202は、より即時に、活性化している層201からジュール熱を除去し、高電流密度を可能にする。放出層201を成長させるために用いられる炭素成長パラメータは、高品質の絶縁ダイアモンドフィルムを成長させるために用いられる典型的な成長パラメータを避けなければならない。ダイアモンドフィルムは、炭素内容物については少なく、水素内容物については多いガスを用い、熱除去層202を成長させるために用いられる成長パラメータは、電子が放出用の層201にフローすることを可能にする十分な電気伝導率を提供する。
【0022】
基板205は、以上に説明されたように除去され、電極が図1Bを参照して説明されたように適用される。層の厚さは、基板が除去された後に本体として取り扱われるべき材料に十分な強さを提供する。材料の大きな厚さのために、長期の成長時間が必要であり得る。例えば、10マイクロメータ/時間の成長率で、1日以上の成長時間が2つの層のウエハまたは炭素ベースの材料の本体を成長させるために必要である。大きなサイズの基板は、本発明の材料での大きなウエハを形成するために用いられ得、これにより基板が除去され得、電極がより厚い表面に適用され、次いで、所望のエミッタのサイズにカッティングまたは切断される。
【0023】
層201の炭素ベースの材料が主にダイアモンドおよび/またはダイアモンド類似物(95〜99%sp3炭素を含む)のいずれかから構成される場合、本発明は、より大きな電子放出特性、例えば、所与の印加電場での、より長い寿命、より大きな放出安定性およびより高い電流密度を有することが見出される。本説明に束縛されることを望んでいないが、層201がダイアモンドおよび/またはダイアモンド類似物の炭素から主に構成されている場合、バルク材料207の極端に高い熱伝導率は、従来技術の電界放出材料より長い時間にわたってより高い電流密度およびより大きな安定性でデバイスが動作されることを可能にする速度(rate)で、炭素チャネル206から熱を伝導させて取り出す。層202は、層201から熱散逸させるために有用である。
【0024】
図1Bを参照すると、電子の電界放出は、適切な電場が表面109上に設定される場合に表面109から生じることが見出される。典型的な閾値の電場(1μAより大きい放出電流が生じさせる電場)は、約10V/μmである。適切なグラウンド接点が放出表面と対向する表面に作製されなければならない。100A/cm2より大きな電流密度は、100V/マイクロメータ未満の印加された電場で本発明のデバイスから達成される。
【0025】
図2Bは、成長プロセス前に構造化される基板209以外は図2Aと同じプロセスを示す。基板は、様々な方法で表面上に形成された構造を有し得る。一方法は、基板にピットを形成するシリコンの異方性エッチングによる。次いで、ピットは、基板が除去される後に、層201の炭素ベースの本体において突出物となる。表面を構造化する他の方法は、層201の成長前に基板上の、ダイアモンドダスト、レーザビームまたはイオン衝撃によるアブレーションを含む。炭素ベースの本体の表面により、本体成長後の基板209の表面の形状を推定する。基板209の除去後、炭素ベースの本体のテクスチャード加工の(textured)表面は、電子放出の間に電流密度の選択されたレベルを達成するための電場の要件を減少させるために用いられ得る。層202の対向する表面は、図1Bを参照して説明されるように金属化される。
【0026】
本発明の材料は、高パワー、高周波数出力を必要とし、冷却カソードから利益を得る様々な用途にて用いられる。本発明の材料は、放射の影響に反応せず、数百摂氏度の温度範囲にわたって動作できる。この材料の用途のいくつかは、電子銃、RFおよびマイクロ波増幅器およびマイクロ波源である。
【0027】
図3Aを参照すると、本発明の材料が電子銃306にて示される。本発明の2層の炭素ベースの電子エミッタの放出層301は、第1の誘電体層303A、電子抽出(extraction)電極層304、第2の誘電体層302Bおよび集束電極層(focusing electrode layer)305によって連続的に覆われている。オーム接点307は、電子銃に電子を供給するために高熱伝導層302に作製される。誘電体層に適切な材料は、二酸化シリコンまたは他の絶縁材料であり、金属または他の伝導材料は電極に適切である。複数の誘電体層および電極層を製造し、層の開口部を作製する方法は、半導体製造技術に従来的に用いられる方法である。多層のウエハを切断または他の方法で分割して個別の電子銃にする前に単一の炭素ウエハ上に多くの電子銃を作製することが好適である。典型的な電子銃は、1〜5マイクロメータの直径を有する層内の開口部を含み、この開口部は、約10マイクロメータ〜約20マイクロメータの範囲のピッチ(開口部の中心間の距離)を有する。ピッチは、直径よりほんの少し大きいだけの小ささであり、ピッチを示す計算および結果は、開口部の直径の少なくとも約2倍である。例えば、電子銃は、100×100の開口部のアレイ、または10,000の開口部において、10マイクロメータピッチを有する1マイクロメータの開口部を含まなければならない。まだ、数千の電子銃が単一の2インチの直径またはより大きな炭素ウエハ上に生成され得る。
【0028】
図3Bは、陰極線管(CRT)の図3Aの電子銃を示す。図3Bを参照すると、電子銃305は、CRTの電気的な接続ベース312上に設けられる。電子銃305は、適切なパワーがデバイスに与えられると電子ビーム307を生成する。このビームは、CRTハウジング309の外部に配置された磁気偏向コイル308によって操作され、燐光体スクリーン(phosphor screen)310にぶつかり、イメージ311を生成するように方向付けられる。本発明の電子銃は、本発明の炭素ベースのエミッタの高出力の電流密度および電子銃の小さいサイズのために、特にアピール性が高い(appealing)。このCRTは、テレビセットおよびコンピュータモニタのCRTのようなものであり得る。さらに、電子銃は、走査電子顕微鏡およびオージェ電子分光計等の多くの科学的な機器において用いられ得る。本発明の材料を用いる電子銃は、(従来技術の電子銃より)高い輝度、小さなスポットサイズおよび高い動作周波数を有する。この進展により、より明るく、より高い分解能を有するCRTを可能にする。炭素ベースの冷却カソードは、十分な電場が印加されるとすぐに電子を放出し、次いで、これを用いるCRTは瞬時にオンになる。熱電子銃(thermionic electron gun)を用いる従来技術のCRTは、フィラメントまたは他の熱電子エミッタを通じて電流を定常的に引き出さない場合、長い準備時間を必要とする。電子銃における本発明の炭素ベースのエミッタを用いる他の利点は、電子銃のより長い寿命であり、電子ビームのより大きな安定性であり、より低い製造コストである。
【0029】
本材料の高い電流特性はまた、RFおよびマイクロ波増幅器の利点を証明する。増幅器は、より小さく、より軽いパッケージにおいてより大きな増幅パワーを示す。本発明の材料を用いる高周波増幅器の模式図が図4に示される。この増幅器において、絶縁ベース401は、ベース401に堆積されるか、または取り付けられる金属または他の伝導材料から構成される伝導するグラウンド面405を有する。個別の実体として、冷却カソードエミッタは、本発明の炭素ベースのエミッタ402を製造し、誘電体層403をエミッタ402に堆積し、最後に、誘電体層403上に伝導するゲート層404を堆積することによって形成される。次に、マイクロメータサイズのホール406が、標準的な半導体製造技術を用いて、ゲート層および誘電体層に空けられる。この冷却カソードの製造方法は、電子銃を作製するために前述された方法と類似している。ゲートされた冷却カソード402/403/404/406は、伝導性エポキシ(conductive epoxy)等の電気伝導接着剤によってグラウンド面405に取り付けられ、アノード407は、電子を集めるためのベースアセンブリから離れた選択された距離にて配置される。デバイスが動作中である場合、制御信号がグラウンド面405と冷却カソードゲート404との間に配置され、増幅された信号は、グラウント面405とアノード407との間で生成される。
【0030】
図5は、本発明の電子銃を組み込んでいる、進行波管(TWT)、標準的なマイクロ波生成デバイスの模式図を示す。このデバイスにおいて、電子は、入力信号電極502を介してエミッタベース507についてRF励起ポテンシャルを提供することにより、本発明の501の炭素ベースのエミッタから抽出される。エミッタベース507は、電極502についてDCバイアスされる。放出電子は、電極502の信号入力の駆動周波数において、パルスビーム503の状態で生成される。パルスビーム503は、高電圧によって加速され、へリックス504を通じてビームダンプ505上に集束される。パルスビーム503は、へリックス504と誘導的に結合し、出力電極506にて増幅された出力信号(RFパワー)を作り出す。デバイスは、エンベロープ508に包まれる。本発明の炭素ベースの電子源を用いるTWTの利点は、優れた効率性およびより高いパワー対ウェイトレイシオ(power−to−weight ratio)を含む。
【0031】
本発明の炭素ベースの材料は、より詳細には、以下の実施例によって説明される。本実施例は、例示のみを意図され、多くの変更および改変が当業者には明らかである。
【0032】
(実施例1)
図2Aを参照すると、シリコン基板205がダイアモンドパウダーおよびメタノール懸濁液(100mL.メタノールにおいて0.1g.1μmダイアモンドパウダー)の浸漬(immersion)によって炭素成長前に予備処理され、20分間、超音波振動(50W)を受けた。ソニケーション後の基板205上にある任意の残りのダイアモンド/メタノールがメタノールのすすぎ(rinse)を用いることによって除去された。次いで、基板205は、乾燥窒素(dry nitrogen)で乾燥され、水で冷却されたモリブデンホルダ(water−cooled molybdenum holder)上の市販のマイクロ波化学蒸着法システム(ASTeXAX5400)に導入される。リアクタは、1mTorr未満の圧力にまで排気される。87%の水素、11%のメタンおよび2%の酸素から成るガス混合物203は、532sccm水素、70sccmメタンおよび9sccm酸素のガスの流量を用いて、リアクタに導入された。本システムは、115Torrという一定の圧力に保持される。マイクロ波プラズマ204が点火され、5kWで維持された。基板205は、プロズマにおいて900℃〜1050℃の間の堆積温度を維持するように昇温された。炭素ベースの層201は、10マイクロメータ/時間の堆積率で、2時間、基板205上に堆積され、結果として約20マイクロメータの材料の厚さまで生成する。層201の電気伝導率は約1×10−2Ω・cmである。2時間の成長期間の終わりに、メタンの流量が40sccmにまで低減された。メタン濃度のこの低減は、高い熱伝導性で、かつ、より大きな電気伝導性の層202が放出層201上に直接およびすぐに堆積される。伝導炭素チャネルが構造を通じて成長するようにみなされた。高い熱伝導性の層202は、24時間の間、堆積され、結果として約240マイクロメータの厚みの層が生じる。成長サイクル後、基板205は化学的な溶解によって除去され、活性化した表面208を露光する。独立型炭素ベースの本体全体が240マイクロメータの測定された厚さを有する。
【0033】
試験する真空デバイスに対して、図1Bに示される電極110が組み込まれ、このデバイスは5×10−7Torr下の試験チャンバに配置される。個別の電極は、放出表面上に電場を生成するために、放出表面の近く(約20マイクロメータ)に持って来られた。放出本体は、54V/マイクロメータの印加された電場において、4マイクロメータ平方の面積から30マイクロアンペアより大きな連続的な直流を生成した。これは750A/cm2の電流密度である。これは、任意の公知の従来技術に報告されたよりもかなり高い電流密度である。
【0034】
高い熱伝導性の層202の利点を示すための比較について、放出する層201が22時間成長し、さらなる熱伝導性の層がデバイスに加えられることないことを除いて、上述された所与のプロセスと同一のプロセスが続いて行われた。フィルムは、165マイクロメータの測定された厚さを有する。このフィルムは、41V/マイクロメータの印加された電場の過熱に起因して故障する前に、2.5マイクロアンペアの電流だけを4マイクロメータ平方の面積にわたって生成した。これは、62.5A/cm2の電流密度であった。
【0035】
本発明が特定の詳細に関して説明されたが、このような詳細は、この詳細が特許請求の範囲に含まれる程度を除いて、本発明の範囲を限定するものとしてみなされない。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
図1Aは、平坦な基板(A)に形成された、絶縁している高い熱伝導性炭素構造において電気伝導チャネルを備えた2層の高い電流炭素ベースの電子エミッタの模式図を示す。
【図1B】
図1Bは、基板が除去された後、表面がオーム接点(B)で覆われた、絶縁している高い熱伝導性炭素構造において電気伝導チャネルを備えた2層の高い電流炭素ベースの電子エミッタの模式図を示す。
【図2A】
図2Aは、平坦な基板の上の本発明の高い電流炭素ベースの電子エミッタを形成する方法の模式図を示す。
【図2B】
図2Bは、構造化された表面の上の本発明の高い電流炭素ベースの電子エミッタを形成する方法の模式図を示す。
【図3A】
図3Aは、本発明の電子銃の模式図を示す。
【図3B】
図3Bは、本発明の電子銃を含む陰極線管(B)の模式図を示す。
【図4】
図4は、本発明の増幅器の模式図を示す。
【図5】
図5は、本発明の進行波管の模式図を示す。
(本発明の背景)
1.本発明の分野
本発明は、一般に電界エミッタに関する。さらに詳細には、電界放出を用いて高い電流密度を生成し、炭素含有ガス(carbon−containing gas)を用いるプロセスから製造された2層の材料を有するデバイスが提供される。
【0002】
2.関連技術の説明
2つの基本的なジオメトリの電界放出電子デバイスがある。第1のジオメトリは、電子放出チップのアレイを用いる。これらのデバイスは、極端に小さな曲率半径を有し、通常、1〜数マイクロメータの高さである電子放出チップを形成するための複雑なフォトリソグラフィ技術を用いて製造される。チップは、一般に、シリコン、モリブデン、タングステンおよび/または他の耐火金属から構成される。従来技術は、さらに、マイクロチップが特定の結晶配向のダイアモンドから製造され得るか、または、非炭素マイクロチップが性能をエンハンスするためにダイアモンドまたはダイアモンドに類似した炭素でコーティングされ得ることを提示する。(米国特許第5,199,918号。)また、様々な金属(炭素を含む)の薄いワイヤまたはウィスカの製造物を基礎とされたマイクロチップの分類が説明されている(「Field Emission from Nanotube Bundle Emitters at Low Fields,」Q.Wang et al,App.Phys.Lett.70.[24],pp.3308(1997))。
【0003】
電界放出デバイスを製造する第2の従来技術は、通常、ダイアモンドおよび/またはダイアモンドに類似した炭素からなる低いか、または負の電子親和力表面に基づく(米国特許第5,341,063号;米国特許第5,602,439号)。これらのデバイスは、チップ状に形成され得るか、または、平坦にされ得る。他の広いバンドギャップ材料(主に第III族窒化物)はまた、負の電子親和力の性質による電界放出デバイスとして提示されている。
【0004】
第1の方法において、複雑なリソグラフィおよび/または他の製造技術がチップを製造するために必要とされる。さらに、非ダイアモンド材料から作製されたチップは、アノードからのバックスパッタリングによる、抵抗性のチップの熱およびチップの毒作用に起因する短い機能寿命(functional lifetime)を有する。ダイアモンドベースのマイクロチップは、これら2つの問題をある程度まで解決するが、通常、十分に機能するためには多くの負の電子親和力表面を必要になる。
【0005】
第2の方法は、作動すべきデバイスの低いか、または負の電子親和力表面を必要とする。さらに、従来技術は、ダイアモンドまたはダイアモンドに類似したものの改良されたエミッタが、炭素格子の螺旋転位または他の欠陥を与えることによって製造され得ることを提示する。(米国特許第5,619,092号)。10A/cm2の電流密度を有するダイアモンドベースの材料が、最近、説明されている。(T.Habemann,J.Vac.Sci.Tech.B16,p.693(1998))。これらのデバイスが基板上に製造され、残されている。
【0006】
最新の論文によると、ゲートおよび非ゲートされたダイアモンマイクロチップが説明されている。(D.E.Patterson et al,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.509(1998))。いくつかの非ゲートされたエミッタはチップ当たり7.5マイクロアンペアの電流を与えると報告された。エミッタを形成するために用いられる価値あるプロセスが説明されていなかった。チップが2.5×107チップ/cm2の密度で形成され得る場合、全てのチップが放出し、全てのチップが一様に放出すると仮定すると、電流密度が175A/cm2と同様に高くあり得ることが計算された。
【0007】
電界エミッタの異なる特徴が異なるデバイスに必要とされる。フラットパネルディスプレイ、センサおよび高周波デバイス等のいくつかのデバイスについては、低い電場での放出がパワー要件を最小にするために特に望ましい。他のデバイスについては、放出のためのより高い閾値電場は、かなり良いが、高い電流が必要とされる。特に、高い電流は、マグネトロンおよびクリストロン等の、増幅器およびいくつかのパワー供給源において、電子銃のいくつかの用途のために必要とされる。
【0008】
したがって、複雑で、かつ、マイクロメータサイズの(またはより小型の)チップを備えた構造、または、所定の結晶配向または特定の欠陥を必要とする構造の製造を含まない、十分に機能する、改良された炭素ベースの電子エミッタが必要とされる。さらに、これらのエミッタは、高レベルの放出電流を適度な(moderate)電場に提供する。好適には、エミッタは、基板なしで機械的な強さを有するために十分なエミッタ材料の厚さを有し、様々な電子装置の使用に適切であるフリースタンディング電子源(free−standing electron source)を作製する。
【0009】
(本発明の要旨)
本発明により、高い電流密度の炭素ベースの電子エミッタは、2層の炭素ベースの材料を有するバルク構造を形成するための炭素の化学蒸着法または物理的な蒸着法によって形成される。バルク材料またはこの態様で成長された本体は、高い熱伝導基質を伝導炭素チャネル(conductive carbon channel)の周りに提供するとみなされ、この結果、伝導チャネルの抵抗熱は、高い電流でさえ、チャネルから散逸され得る。電子は、最後に、伝導チャネルからの電界放出によって炭素表面から放出される。さらに、放出層は、非常に高い熱伝導率を有するより厚い層と直接に接触し、この結果、熱は、放出層の異常な熱および破損を避ける割合で、放出層から転送され得る。
【0010】
炭素ベースの本体は、リアクタに基板を置く(リアクタの圧力を低くし、水素および炭素含有ガス(8〜13%の濃度のメタン)を含むガスの混合体をリアクタの中に供給する)高エネルギーが基板の近くのガスに供給されることによって成長する。エネルギーは、マイクロ波またはRFプラズマ等のいくつかの方法によって供給され得る。基板は、リアクタ内の基板ステージを積極的に加熱または冷却することを介して選択された温度範囲に置かれる。層が数マイクロメータの厚さに成長した後、メタン濃度が減少し、第2の、かなり厚い層が成長する。次いで、基板が除去され、炭素ベースの材料の独立型の本体が2つの層を有するままになる。それぞれの層は、電気抵抗の好適な範囲を有する。電極は、より厚い層の表面上に置かれる。電子放出は、より薄い層の表面から、高い電流密度で安定している。この表面は、平坦であり得るか、または、構造化され得る。炭素ベースの本体上の構造化された表面は、放出層が成長する前に、基板の表面を構造化することによって達成される。
【0011】
炭素ベースの本体からの高い電流密度の電子放出に基づくデバイスが提供される。これらは、電子銃と、電子銃、増幅器および進行波管等(traveling wave tube)を含む陰極線管を含む。
【0012】
本発明の上述の目的および他の目的ならびに利点は、以下に記載された説明および添付された図面(同一の番号が同一の部分を示す)から明らかである。
【0013】
(好適な実施形態の説明)
真空に逃げる(escape)、材料の伝導帯の電子について、作用関数として周知のエネルギー、Φが、電子が真空エネルギーレベルに等しいエネルギーに達することが出来るように、電子に供給されなければならない。このエネルギーは、一般に、材料を加熱することによって供給され、熱電子放出として周知であるものに至る。本発明について、電界放出として周知の量子力学の効果(電子が真空にポテンシャル障壁を通じてトンネリングすることを可能にする)が用いられる。ポテンシャル障壁の低下は、本願と同時に出願された、「Carbon−Based Field Emission Electron Device for High Current Density Appllicaitons」と題する特許出願においてより十分に説明されているように、強力な外部の電界を固体表面に印加することによって達成される。本方法は、本デバイスについて、マイクロメータ当たり数百ボルトの電場の強さにのみ実用的である。ポテンシャルバイヤの効果を低減させる別の方法は、マイクロチップにて電場の強さをエンハンスするサブ−マイクロメータサイズの形状構造、すなわちマイクロチップを提供することである。従来技術において説明された方法は、この成果を達成するために、製造されたマイクロチップまたはウェスカを用いる。
【0014】
本発明は、ある材料にサブ−マイクロメータサイズのフィーチャを達成するため、すなわち非伝導炭素ベースの材料の基質に伝導炭素ベースの材料のチャネルを作り上げるために、それ程複雑でないジオメトリを用いる。さらに、これらのチャネルを有する材料の2層が供給され、2層は、電気伝導および熱伝導の異なる性質を有する。驚いたことに、本発明の材料は、高レベルの電流密度での電子放出を達成する。
【0015】
図1Aは、基板103上の2層101および102を有する炭素ベースのバルク材料を示す。炭素べースの材料は、化学蒸着法(CVD)または物理的な蒸着法(PVD)の技術によって基板103上に堆積される。それぞれの層の炭素ベースの材料は少なくとも95%炭素原子から構成され、この材料の残りは堆積システムにある他の元素の原子から成る。炭素の他にこの材料に存在する典型的な化学種は、水素、窒素および酸素を含むが、これらに限定されるわけではない。炭素材料の形成のために用いられ得る堆積技術は、マイクロ波CVD、ホットフィラメントCVD、DCプラズマアーク堆積(plasma arc decompositon)、フレーム堆積(flame decompositon)、カソードアーク堆積(cathodic arc decompositon)、熱分解およびマグネトロンスパッタリング(magnetron sputtering)を含むが、これらに限定されるわけではない。本発明は、炭素チャネル105および107をそれぞれの層に提供しており、このチャネルは、それぞれの層の基質材料104および106において、1マイクロメータ未満の直径を有する。チャネルは、電子顕微鏡によって観察不可能である。それぞれの層の基質材料104および106は、高い熱伝導率を有するように形成される。非常に薄い転移層108は、層101と102との間に示される。電子の電界放出は、基板103が除去された後、かつ、適切に印加された電界が表面に存在する時に、伝導チャネル105と表面109との交差部にて生じるとみなされる。
【0016】
層101および102は、より電気伝導性の層101、続いて、より電気伝導せず、より高い熱伝導性の層102を形成することを可能にする2つのステップで堆積される。層101および102よりかなり薄い転移層108が形成される。このとき、ガス成分は、層101を成長させる際に用いられるより高い炭化水素内容物から層102を成長させる際に用いられるより低い炭水水素内容物へと変えられる。通常、数十オングストロームのオーダーの厚さを有する転移層108は、成長表面近くにプラズマにおいてガス成分が変化する数秒の間に形成される。より高い電気伝導材料105および107のチャネルは、転移層108を横切って相互接続するとみなされる。より電気伝導性の層101は、従来技術に公知である単なる核形成層ではない。代わりに、より電気伝導性の層は、本発明のデバイスに放出表面(表面109である)を提供する。
【0017】
基板103は、層が成長し、電極層が堆積され、本発明の電子放出デバイスを形成した後に、除去される。基板は、周知の物理的または化学的方法によって除去され得る。図1Bは、層102の上部に配置された電極110を示す。電極110は、炭素ベースの層102の表面とのオーム接点を達成するように堆積される金属層または他の伝導材料の層であり得る。
【0018】
本発明の炭素ベースの材料は、純粋のダイアモンドフィルムの形成の場合のように、完全にsp3混成された炭素(hybidized carbon)の形成を避ける高い炭素内容物堆積技術を用いる。このプロセスは、マイクロチップ、ファイバ、ウィスカまたは炭素原子のよく組織化された配置を含む任意の他の構造を作製するために設計された炭素フィルムの特定の処理を全く用いない。さらに、このプロセスは、炭素エミッタを生産するために従来技術において示された、ダイアモンドおよび/またはダイアモンドに類似する炭素構造の欠陥を特に作製しない。このプロセスは、炭素材料のバルクを通じてランダムに貫通する炭素の伝導チャネルを作製するという結果が生じるとみなされるバルク固体材料の形成を含む。
【0019】
図2Aは、本発明の材料を形成するプロセスを示す。図2Aにおいて、供給材料ガスまたは選択された量の炭素原子を含有するガスの組み合わせ203は10−5Torr〜500Torrの間の圧力に維持される真空チャンバに導入される。好適には、圧力が50Torr〜200Torrの間にある。供給材料ガスは、好適には、容量で、約85〜90%の水素、5%より大きく約13%のメタンまでの濃度のメタンガス、バランスのための酸素(balance oxygen)を含む。第1の層である層201を成長させるために、メタン内容物は、好適には、8%より大きく、最も好適には、メタン内容物は、容量で、10%より大きい。電子放出炭素フィルムを生成するために従来技術で用いられる典型的な供給材料ガス成分は、約5%未満のメタン内容物を必要とする。メタンは本システムに炭素原子を供給するために選択されたガスとして本明細書中で特定されているが、任意の数の炭素を含有する化学種が用いられ得ることが理解される。これらの炭素を含有する前駆体のいくつかは、エタン、プロパン、アセトン、アセチレン、メタノール、エタノールおよび尿素を含むが、限定されていない。炭素原子のメタン当量は、それぞれの前駆体について用いられる。炭素前駆体が室温で気体でない場合、前駆体が標準的な技術によって気体に変換され得る。次いで、(単数または複数の)ガス203は、ガス状の化学種204(炭素を含有するイオンおよび/または炭素原子を内部に存在させる)を形成するために、プラズマ、ホットフィラメントまたはレーザによってエネルギーについて上昇される。好適なガス活性化の方法は、1kWを超えるパワーで作用するマイクロ波またはRFプラズマであるが、ホットフィラメント、レーザまたは他の技術は、炭素を含有するイオンおよび/または炭素原子を内部に存在させているガス状の化学種を形成するために用いられ得る。次いで、高エネルギー化学種204が基板205上に衝突する。基板205は、約250℃〜約1200℃の範囲の温度に加熱され、好適には、約600℃〜約1100℃の範囲の温度に加熱される。基板205は、Si,MoおよびTiを含む、公知のカーバイド形成材である材料の任意のグループから選択される。さらに、ダイアモンドパウダーを用いる基板成長表面の予備処理が炭素ベースのエミッタ材料の成長を大きくエンハンスすることが見出された。典型的な基板の予備処理は、メタノール中のダイアモンドパウダー(10μm未満直径の粒子サイズ)の懸濁において、50Wで20分の間、基板の超音波核形成を用いる。20分後、基板は、核形成用のバスから除去され、任意の残りのダイアモンドパウダーについて洗浄される。この予備処理およびCVDダイアモンドの成長のためのいくつかの予備処理が従来技術において知られている。
【0020】
炭素リッチな(carbon−rich)成長プロセスは、基質材料207を通じて貫通する電気伝導する炭素チャネル206を備えたより高い電気伝導する炭素ベースの層201を生じさせる。層201は、少なくとも0.5マイクロメータの厚さに成長するが、好適には、約10マイクロメータより大きい厚さにまで成長する。層201は、1×10−1〜1×10−4Ω・cm、好適には、1×10−2〜1×10−3Ω・cmの電気抵抗を有する。
【0021】
層201が成長した後、より電気伝導しないが、より高い熱伝導性の層202を生成するために、堆積条件が変えられる。この層の成長の間、成長反応において炭素化学種の濃度が減少される。この減少は、炭素を含有する供給材料ガスの濃度を減少させること、成長温度を変化させるか、またはリアクタの圧力を減少させることを含むいくつかの方法によって行われ得る。好適には、濃度は、供給材料ガスの炭素濃度を層201を成長させる際に用いられた値の約50%に減少することによって減少される。次いで、層202は、選択された厚さの層を形成するための十分な時間の間に成長する。好適には、層202の厚さは、層201の厚さの少なくとも10倍である。2つの層は、炭化水素濃度がリアクタの中で変化している時間の間に形成される転移層208により、分離される。高い熱伝導性の層202は、約10−2〜103Ω・cmの間、好適には、約10−1〜10Ω・cmの間の電気伝導率を有する。さらに、層202は、100W/m・Kより大きい熱伝導率を有する。この高い熱伝導率を有する層202は、高電流がこの材料について達成されることを可能にするとみなされる。従来技術のデバイスにおいて、高電流の出力は、小さい面積から電子放出によって引き起こされる高温に起因するデバイスの欠損を招く。本発明において、高い熱伝導性の層202は、より即時に、活性化している層201からジュール熱を除去し、高電流密度を可能にする。放出層201を成長させるために用いられる炭素成長パラメータは、高品質の絶縁ダイアモンドフィルムを成長させるために用いられる典型的な成長パラメータを避けなければならない。ダイアモンドフィルムは、炭素内容物については少なく、水素内容物については多いガスを用い、熱除去層202を成長させるために用いられる成長パラメータは、電子が放出用の層201にフローすることを可能にする十分な電気伝導率を提供する。
【0022】
基板205は、以上に説明されたように除去され、電極が図1Bを参照して説明されたように適用される。層の厚さは、基板が除去された後に本体として取り扱われるべき材料に十分な強さを提供する。材料の大きな厚さのために、長期の成長時間が必要であり得る。例えば、10マイクロメータ/時間の成長率で、1日以上の成長時間が2つの層のウエハまたは炭素ベースの材料の本体を成長させるために必要である。大きなサイズの基板は、本発明の材料での大きなウエハを形成するために用いられ得、これにより基板が除去され得、電極がより厚い表面に適用され、次いで、所望のエミッタのサイズにカッティングまたは切断される。
【0023】
層201の炭素ベースの材料が主にダイアモンドおよび/またはダイアモンド類似物(95〜99%sp3炭素を含む)のいずれかから構成される場合、本発明は、より大きな電子放出特性、例えば、所与の印加電場での、より長い寿命、より大きな放出安定性およびより高い電流密度を有することが見出される。本説明に束縛されることを望んでいないが、層201がダイアモンドおよび/またはダイアモンド類似物の炭素から主に構成されている場合、バルク材料207の極端に高い熱伝導率は、従来技術の電界放出材料より長い時間にわたってより高い電流密度およびより大きな安定性でデバイスが動作されることを可能にする速度(rate)で、炭素チャネル206から熱を伝導させて取り出す。層202は、層201から熱散逸させるために有用である。
【0024】
図1Bを参照すると、電子の電界放出は、適切な電場が表面109上に設定される場合に表面109から生じることが見出される。典型的な閾値の電場(1μAより大きい放出電流が生じさせる電場)は、約10V/μmである。適切なグラウンド接点が放出表面と対向する表面に作製されなければならない。100A/cm2より大きな電流密度は、100V/マイクロメータ未満の印加された電場で本発明のデバイスから達成される。
【0025】
図2Bは、成長プロセス前に構造化される基板209以外は図2Aと同じプロセスを示す。基板は、様々な方法で表面上に形成された構造を有し得る。一方法は、基板にピットを形成するシリコンの異方性エッチングによる。次いで、ピットは、基板が除去される後に、層201の炭素ベースの本体において突出物となる。表面を構造化する他の方法は、層201の成長前に基板上の、ダイアモンドダスト、レーザビームまたはイオン衝撃によるアブレーションを含む。炭素ベースの本体の表面により、本体成長後の基板209の表面の形状を推定する。基板209の除去後、炭素ベースの本体のテクスチャード加工の(textured)表面は、電子放出の間に電流密度の選択されたレベルを達成するための電場の要件を減少させるために用いられ得る。層202の対向する表面は、図1Bを参照して説明されるように金属化される。
【0026】
本発明の材料は、高パワー、高周波数出力を必要とし、冷却カソードから利益を得る様々な用途にて用いられる。本発明の材料は、放射の影響に反応せず、数百摂氏度の温度範囲にわたって動作できる。この材料の用途のいくつかは、電子銃、RFおよびマイクロ波増幅器およびマイクロ波源である。
【0027】
図3Aを参照すると、本発明の材料が電子銃306にて示される。本発明の2層の炭素ベースの電子エミッタの放出層301は、第1の誘電体層303A、電子抽出(extraction)電極層304、第2の誘電体層302Bおよび集束電極層(focusing electrode layer)305によって連続的に覆われている。オーム接点307は、電子銃に電子を供給するために高熱伝導層302に作製される。誘電体層に適切な材料は、二酸化シリコンまたは他の絶縁材料であり、金属または他の伝導材料は電極に適切である。複数の誘電体層および電極層を製造し、層の開口部を作製する方法は、半導体製造技術に従来的に用いられる方法である。多層のウエハを切断または他の方法で分割して個別の電子銃にする前に単一の炭素ウエハ上に多くの電子銃を作製することが好適である。典型的な電子銃は、1〜5マイクロメータの直径を有する層内の開口部を含み、この開口部は、約10マイクロメータ〜約20マイクロメータの範囲のピッチ(開口部の中心間の距離)を有する。ピッチは、直径よりほんの少し大きいだけの小ささであり、ピッチを示す計算および結果は、開口部の直径の少なくとも約2倍である。例えば、電子銃は、100×100の開口部のアレイ、または10,000の開口部において、10マイクロメータピッチを有する1マイクロメータの開口部を含まなければならない。まだ、数千の電子銃が単一の2インチの直径またはより大きな炭素ウエハ上に生成され得る。
【0028】
図3Bは、陰極線管(CRT)の図3Aの電子銃を示す。図3Bを参照すると、電子銃305は、CRTの電気的な接続ベース312上に設けられる。電子銃305は、適切なパワーがデバイスに与えられると電子ビーム307を生成する。このビームは、CRTハウジング309の外部に配置された磁気偏向コイル308によって操作され、燐光体スクリーン(phosphor screen)310にぶつかり、イメージ311を生成するように方向付けられる。本発明の電子銃は、本発明の炭素ベースのエミッタの高出力の電流密度および電子銃の小さいサイズのために、特にアピール性が高い(appealing)。このCRTは、テレビセットおよびコンピュータモニタのCRTのようなものであり得る。さらに、電子銃は、走査電子顕微鏡およびオージェ電子分光計等の多くの科学的な機器において用いられ得る。本発明の材料を用いる電子銃は、(従来技術の電子銃より)高い輝度、小さなスポットサイズおよび高い動作周波数を有する。この進展により、より明るく、より高い分解能を有するCRTを可能にする。炭素ベースの冷却カソードは、十分な電場が印加されるとすぐに電子を放出し、次いで、これを用いるCRTは瞬時にオンになる。熱電子銃(thermionic electron gun)を用いる従来技術のCRTは、フィラメントまたは他の熱電子エミッタを通じて電流を定常的に引き出さない場合、長い準備時間を必要とする。電子銃における本発明の炭素ベースのエミッタを用いる他の利点は、電子銃のより長い寿命であり、電子ビームのより大きな安定性であり、より低い製造コストである。
【0029】
本材料の高い電流特性はまた、RFおよびマイクロ波増幅器の利点を証明する。増幅器は、より小さく、より軽いパッケージにおいてより大きな増幅パワーを示す。本発明の材料を用いる高周波増幅器の模式図が図4に示される。この増幅器において、絶縁ベース401は、ベース401に堆積されるか、または取り付けられる金属または他の伝導材料から構成される伝導するグラウンド面405を有する。個別の実体として、冷却カソードエミッタは、本発明の炭素ベースのエミッタ402を製造し、誘電体層403をエミッタ402に堆積し、最後に、誘電体層403上に伝導するゲート層404を堆積することによって形成される。次に、マイクロメータサイズのホール406が、標準的な半導体製造技術を用いて、ゲート層および誘電体層に空けられる。この冷却カソードの製造方法は、電子銃を作製するために前述された方法と類似している。ゲートされた冷却カソード402/403/404/406は、伝導性エポキシ(conductive epoxy)等の電気伝導接着剤によってグラウンド面405に取り付けられ、アノード407は、電子を集めるためのベースアセンブリから離れた選択された距離にて配置される。デバイスが動作中である場合、制御信号がグラウンド面405と冷却カソードゲート404との間に配置され、増幅された信号は、グラウント面405とアノード407との間で生成される。
【0030】
図5は、本発明の電子銃を組み込んでいる、進行波管(TWT)、標準的なマイクロ波生成デバイスの模式図を示す。このデバイスにおいて、電子は、入力信号電極502を介してエミッタベース507についてRF励起ポテンシャルを提供することにより、本発明の501の炭素ベースのエミッタから抽出される。エミッタベース507は、電極502についてDCバイアスされる。放出電子は、電極502の信号入力の駆動周波数において、パルスビーム503の状態で生成される。パルスビーム503は、高電圧によって加速され、へリックス504を通じてビームダンプ505上に集束される。パルスビーム503は、へリックス504と誘導的に結合し、出力電極506にて増幅された出力信号(RFパワー)を作り出す。デバイスは、エンベロープ508に包まれる。本発明の炭素ベースの電子源を用いるTWTの利点は、優れた効率性およびより高いパワー対ウェイトレイシオ(power−to−weight ratio)を含む。
【0031】
本発明の炭素ベースの材料は、より詳細には、以下の実施例によって説明される。本実施例は、例示のみを意図され、多くの変更および改変が当業者には明らかである。
【0032】
(実施例1)
図2Aを参照すると、シリコン基板205がダイアモンドパウダーおよびメタノール懸濁液(100mL.メタノールにおいて0.1g.1μmダイアモンドパウダー)の浸漬(immersion)によって炭素成長前に予備処理され、20分間、超音波振動(50W)を受けた。ソニケーション後の基板205上にある任意の残りのダイアモンド/メタノールがメタノールのすすぎ(rinse)を用いることによって除去された。次いで、基板205は、乾燥窒素(dry nitrogen)で乾燥され、水で冷却されたモリブデンホルダ(water−cooled molybdenum holder)上の市販のマイクロ波化学蒸着法システム(ASTeXAX5400)に導入される。リアクタは、1mTorr未満の圧力にまで排気される。87%の水素、11%のメタンおよび2%の酸素から成るガス混合物203は、532sccm水素、70sccmメタンおよび9sccm酸素のガスの流量を用いて、リアクタに導入された。本システムは、115Torrという一定の圧力に保持される。マイクロ波プラズマ204が点火され、5kWで維持された。基板205は、プロズマにおいて900℃〜1050℃の間の堆積温度を維持するように昇温された。炭素ベースの層201は、10マイクロメータ/時間の堆積率で、2時間、基板205上に堆積され、結果として約20マイクロメータの材料の厚さまで生成する。層201の電気伝導率は約1×10−2Ω・cmである。2時間の成長期間の終わりに、メタンの流量が40sccmにまで低減された。メタン濃度のこの低減は、高い熱伝導性で、かつ、より大きな電気伝導性の層202が放出層201上に直接およびすぐに堆積される。伝導炭素チャネルが構造を通じて成長するようにみなされた。高い熱伝導性の層202は、24時間の間、堆積され、結果として約240マイクロメータの厚みの層が生じる。成長サイクル後、基板205は化学的な溶解によって除去され、活性化した表面208を露光する。独立型炭素ベースの本体全体が240マイクロメータの測定された厚さを有する。
【0033】
試験する真空デバイスに対して、図1Bに示される電極110が組み込まれ、このデバイスは5×10−7Torr下の試験チャンバに配置される。個別の電極は、放出表面上に電場を生成するために、放出表面の近く(約20マイクロメータ)に持って来られた。放出本体は、54V/マイクロメータの印加された電場において、4マイクロメータ平方の面積から30マイクロアンペアより大きな連続的な直流を生成した。これは750A/cm2の電流密度である。これは、任意の公知の従来技術に報告されたよりもかなり高い電流密度である。
【0034】
高い熱伝導性の層202の利点を示すための比較について、放出する層201が22時間成長し、さらなる熱伝導性の層がデバイスに加えられることないことを除いて、上述された所与のプロセスと同一のプロセスが続いて行われた。フィルムは、165マイクロメータの測定された厚さを有する。このフィルムは、41V/マイクロメータの印加された電場の過熱に起因して故障する前に、2.5マイクロアンペアの電流だけを4マイクロメータ平方の面積にわたって生成した。これは、62.5A/cm2の電流密度であった。
【0035】
本発明が特定の詳細に関して説明されたが、このような詳細は、この詳細が特許請求の範囲に含まれる程度を除いて、本発明の範囲を限定するものとしてみなされない。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
図1Aは、平坦な基板(A)に形成された、絶縁している高い熱伝導性炭素構造において電気伝導チャネルを備えた2層の高い電流炭素ベースの電子エミッタの模式図を示す。
【図1B】
図1Bは、基板が除去された後、表面がオーム接点(B)で覆われた、絶縁している高い熱伝導性炭素構造において電気伝導チャネルを備えた2層の高い電流炭素ベースの電子エミッタの模式図を示す。
【図2A】
図2Aは、平坦な基板の上の本発明の高い電流炭素ベースの電子エミッタを形成する方法の模式図を示す。
【図2B】
図2Bは、構造化された表面の上の本発明の高い電流炭素ベースの電子エミッタを形成する方法の模式図を示す。
【図3A】
図3Aは、本発明の電子銃の模式図を示す。
【図3B】
図3Bは、本発明の電子銃を含む陰極線管(B)の模式図を示す。
【図4】
図4は、本発明の増幅器の模式図を示す。
【図5】
図5は、本発明の進行波管の模式図を示す。
Claims (22)
- 2つの層を有する炭素ベースの本体であって、第1の層が約0.5マイクロメータより大きい厚みを有し、第2の層が該第1の層の厚みより大きい厚みを有し、該層が、基板をリアクタ内に選択された圧力で配置し、該基板を選択された温度範囲にし、第1の濃度の炭素含有ガスと水素とを含む混合ガスを該リアクタに供給しながら、該第1の層が成長するに十分な時間に亘ってエネルギーを該基板近傍で該混合ガスに供給し、その後該炭素含有ガスの濃度を第2の濃度まで低減し、該第2の層を成長させて、その後該第1の層から該基板を除去することにより形成される本体と、
該第2の層上の電気コンタクトと、
を備えた電界放出電子デバイス。 - 前記第1の層が、0.5マイクロメータより大きい厚みを有する、請求項1に記載のデバイス。
- 前記第2の層が、前記第1の層の厚みの約10倍より大きい厚みを有する、請求項1に記載のデバイス。
- 前記混合ガスが、メタン、または約5パーセントメタンと約13パーセントメタンとの間の容量濃度のメタンと同等の炭素原子を有する炭化水素ガスを含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記混合ガスが、メタン、または約8パーセントメタンと約12パーセントメタンとの間の容量濃度のメタンと同等の炭素原子を有する炭化水素ガスを含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記混合ガスが、メタン、または約10パーセントメタンより大きい容量濃度のメタンと同等の炭素原子を有する炭化水素ガスを含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記混合ガスが、さらに酸素を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記基板が、カーバイド形成材料からなる材料より選択される、請求項1に記載のデバイス。
- 前記リアクタ内の圧力が、約1×10−5Torrから約500Torrの範囲内である、請求項1に記載のデバイス。
- 前記リアクタ内の圧力が、約50Torrから約200Torrの範囲内である、請求項1に記載のデバイス。
- 前記基板の温度が、約600°C〜約1100°Cの範囲内である、請求項1に記載のデバイス。
- 前記エネルギーが、マイクロ波またはRFプラズマの方法によって前記混合ガスに供給される、請求項1に記載のデバイス。
- 前記エネルギーが、1キロワットより大きい電力レベルで供給される、請求項12に記載のデバイス。
- 前記第1の層が、約1×10−4と1×10−1Ω・cmとの間の電気抵抗率を有する、請求項1に記載のデバイス。
- 前記第1の層が、約1×10−3と1×10−2Ω・cmとの間の電気抵抗率を有する、請求項1に記載のデバイス。
- 前記第2の層が、前記第1の層の電気抵抗率よりも大きい電気抵抗率を有する、請求項1に記載のデバイス。
- 前記デバイスからの電流密度が、100ボルト/マイクロメータ未満の印加電界の存在下で、10A/cm2よりも大きい、請求項1に記載のデバイス。
- 前記基板が前記リアクタ内に配置される前に、該基板の表面上で選択された形状にパターニングされる、請求項1に記載のデバイス。
- 2つの層を有する炭素ベースの本体であって、第1の層が約0.5マイクロメータより大きい厚みを有し、第2の層が該第1の層の厚みより大きい厚みを有し、該層が、基板をリアクタ内に選択された圧力で配置し、該基板を選択された温度範囲にし、水素と第1の濃度の炭素含有ガスとを含む混合ガスを該リアクタに供給しながら、該第1の層が成長するに十分な時間に亘ってエネルギーを該基板近傍で該混合ガスに供給し、その後該炭素含有ガスの濃度を第2の濃度まで低減し、該第2の層を成長させて、その後該第1の層から該基板を除去することにより形成される本体と、
該炭素ベースの本体上の第1の誘電体層と、
第2の誘電体層によって分離された第1および第2の電極と、
該炭素ベースの本体と該電極とに対する電気コンタクトと、
を備えた電子銃。 - 電子銃であって、2つの層を有する炭素ベースの本体であって、第1の層が約0.5マイクロメータより大きい厚みを有し、第2の層が該第1の層の厚みより大きい厚みを有し、該層が、基板をリアクタ内に選択された圧力で配置し、該基板を選択された温度範囲にし、水素と第1の濃度の炭素含有ガスとを含む混合ガスを該リアクタに供給しながら、該第1の層が成長するに十分な時間に亘ってエネルギーを該基板近傍で該混合ガスに供給し、その後該炭素含有ガスの濃度を第2の濃度まで低減し、該第2の層を成長させて、その後該第1の層から該基板を除去することにより形成される本体と、該炭素ベースの本体上の第1の誘電体層と、第2の誘電体層によって分離された第1および第2の電極と、該炭素ベースの本体と該電極とに対する電気コンタクトと、
を含む電子銃と、
ハウジングと、
電気的接続用のベースと、
偏向コイルと、
リン光体スクリーンと、
を備えた陰極線管。 - 絶縁ベースと、
導電グランド面と、
2つの層を有する炭素ベースの本体であって、第1の層が約0.5マイクロメータより大きい厚みを有し、第2の層が該第1の層の厚みより大きい厚みを有し、該層が、基板をリアクタ内に選択された圧力で配置し、該基板を選択された温度範囲にし、水素と第1の濃度の炭素含有ガスとを含む混合ガスを該リアクタに供給しながら、該第1の層が成長するに十分な時間に亘ってエネルギーを該基板近傍で該混合ガスに供給し、その後該炭素含有ガスの濃度を第2の濃度まで低減し、該第2の層を成長させて、その後該第1の層から該基板を除去することにより形成される本体と、
貫通する開口部を有する誘電体層と、
貫通する開口部を有する電子抽出電極と、
アノードと、
を備えた高周波増幅器。 - エミッタベースと、
2つの層を有する炭素ベースの本体であって、第1の層が約0.5マイクロメータより大きい厚みを有し、第2の層が該第1の層の厚みより大きい厚みを有し、該層が、基板をリアクタ内に選択された圧力で配置し、該基板を選択された温度範囲にし、水素と第1の濃度の炭素含有ガスとを含む混合ガスを該リアクタに供給しながら、該第1の層が成長するに十分な時間に亘ってエネルギーを該基板近傍で該混合ガスに供給し、その後該炭素含有ガスの濃度を第2の濃度まで低減し、該第2の層を成長させて、その後該第1の層から該基板を除去することにより形成される本体と、該本体への電気コンタクトと、を含む電界放出デバイスと、
入力信号電極と、
出力電極が取り付けられたヘリックスと、
ビームダンプと、
を備えた進行波管。
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