JP2004510745A - 細菌におけるプラスミド遺伝の安定化 - Google Patents

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Abstract

本発明は、医薬品として受容し得る担体または希釈剤及び、(i) 部位特異的組換え酵素をコードするDNA配列、及び(ii)組換え酵素の認識配列及び異種ポリペプチドをコードするDNA配列を含むプラスミドを含む細菌を含むワクチンに関するものである。この組換え酵素はプラスミドの遺伝を安定化し、それによって異種ポリペプチドを発現する能力が細菌から失われるのを防いでいる。

Description

【0001】
本発明はワクチンに使用するための細菌におけるプラスミド遺伝の安定化に関するものである。
【0002】
(発明の背景)
予防接種の原理は宿主に免疫応答を誘導し、その後の病原体の攻撃に対する防御をすることである。これは病原体の生弱毒株、すなわち、強毒病原体によって引き起こされる病気を生じないような弱い毒性の株の接種により行なうことができる。
【0003】
組換えDNA技術の出現はワクチンの開発を非常に加速した。特に、この技術は病原体の異種抗原をコードする発現ベクターで形質転換された細菌を使用するワクチン開発の道を開いた。このことは、性質がよく分かっている細菌株を広範囲の種々の抗原を発現させるために使用することができ、免疫系に抗原を提示する担体として働かせることができることを意味している。
【0004】
理想的には、ワクチンに使用する細菌は遺伝的に規定されており、弱毒であり、使用される動物及びヒトにおける耐容性があり、免疫原性を保持している。最近の遺伝子技術を使用して、今では安定した弱毒化欠失を創り出す遺伝的に確立した弱毒細菌株を構築することが可能になった。多数のサルモネラの位置指定突然変異がこの技術を使用して創り出された。非常に多数の遺伝子における突然変異は弱毒であったと報告されており、これにはaro遺伝子(例えば、aroA, aroC, aroD及びaroE), pur, htrA, ompR, ompF, ompC, galE, cya, crp及びphoPが含まれる。
【0005】
異種抗原の発現を指令するための組換えプラスミドをワクチンに使用する際の大きな問題はその不安定性である。ほとんどの組換えプラスミドは実験室に適合させたE.coliまたはその他の細菌の株において比較的安定して遺伝するが、活発に増殖する細菌種、例えばチフス菌からは急速に消失することがしばしばある。
【0006】
宿主に投与した生菌ワクチンから発現プラスミドが消失することは発現した免疫応答に対して悪影響を及ぼす。したがってその発現プラスミドの安定性の改善は生ワクチン開発に成功するための重要な要件である。生ワクチン中のプラスミドの維持を達成するために多数の系が示されている:
【0007】
1.プラスミド維持はインビトロにおいて抗生物質耐性のようなプラスミドがコードするマーカーを指標として継続的に選別することにより行われることがある。しかし、これは、抗生物質の濃度を維持できないインビボにおいてプラスミド安定性を維持するには有効な方法ではない。
【0008】
2.必要とする異種抗原をコードする遺伝物質をプラスミドベクターを全く必要とせずに細菌染色体中に組込むことができる。しかし、単一染色体コピーからの抗原発現のレベルでは一般的に機能的な免疫応答を発生させるには充分でない。
【0009】
3.必須遺伝子を欠失した細菌株は細菌染色体から失われた必須遺伝子を有するプラスミドと合わせて使用される。プラスミドを失った細菌細胞はすべて死滅する。この最もよい例はasd「平衡致死」系(Curtis et al. Immunol. Invest., 1989, 18(1−4): 583−596)である。asd平衡致死系において、ジアミノピメリン酸の非存在下に増殖すると染色体のasd突然変異は細胞を分解し易くする。asd遺伝子はプラスミドが担っているので、プラスミドが失われると細胞の分解を生じる。この系ではプラスミド遺伝を改善しない;単にプラスミドを失った細胞を集団から除去するのみである。したがって、もしもプラスミドが遺伝の低下を示すと、細菌は増殖の低下を示し、これによりチフス菌の弱毒化を著しく促進し、ワクチンとしての作用を減じてしまう。プラスミドが比較的安定して遺伝するネズミチフス菌においてはこの系を使用する異種抗原の導入には成功したが、プラスミド遺伝の効率が余りよくないチフス菌ではよい成績は得られなかった(Tacket et al, Infect. Immun., 1997. 65(8): 3381−3385)。このように平衡致死系はインビトロでは充分にプラスミドを維持したが、インビボでは有効ではなかった。
【0010】
4.Galen et al (Infect. Immun., 1999, 67(12): 6424−6433)はプラスミド維持を増強するために、安定化遺伝子座(プラスミドPSC101のpar)、分配系(プラスミドR1のparA)及びプラスミドR1のhok−sok自殺系を組合わせて使用した。Galenらが使用した系のいずれも部位特異的組換え系を含んでいない。
【0011】
組換えプラスミドに(1),(3)または(4)の系を取り入れたとしても、不安定な遺伝はチフス菌のような細菌において長期複製(1培養継代以上)では問題が継続する。(1)から(4)の系の中では系(4)のみが、そして特に(4)に使用されたpar及びparAが、プラスミド遺伝の増強に役立っている;系(1)から(3)においては細菌集団からのプラスミドの消失は続くが、死滅機構によるプラスミドを失った細胞の除去によってプラスミドが維持されることはない。不安定プラスミドによるそのような死滅機構を使用することにより、既に弱毒化しているワクチン株はさらに弱毒化を生じ、有効性を低下させてしまう。
【0012】
組換えプラスミドの不安定遺伝の原因は多分いくつかあるだろう。Summers et al (Mol. Microbiol., 1993. 8(6): 1031−8)は、プラスミド不安定性の可能な要因として相同組換えの結果として細菌細胞に生じるプラスミド多量体の形成にあることを示唆している。
【0013】
プラスミドは天然にはほとんどの細菌中に存在する。これらの大部分はコピー数が少ないが、選別をしなくともその遺伝は非常に安定している。天然に存在する系の安定性に寄与するいくつかの遺伝システムが記述されている。それらは:
− 分裂する細胞がそれぞれプラスミドの少なくとも1コピーを受け取る確率を増加させる分配機構;
− コンジュゲーションによりプラスミドのない宿主にプラスミドを拡散することを可能にする移転機能(Easter et al, J. Bacterol., 1997. 79(20): 6472−6479);
− 細胞からのプラスミドの消失に基づいて活性化される自殺機構 (Pecote et al, Appl. Environ. Microbial., 1997. 63(5): 1917−1924);及び
− 部位特異的組換えを必要とする多量体分解システム。
【0014】
多量体分解システムはプラスミド多量体を単一プラスミドコピーに分解することにより安定性をもたらし、そしてそれ故に細胞分裂の無作為分離の間に生じるプラスミドの無い娘細胞の確率を減少させる。プラスミド多量体を単量体に分解するように作用する多数の部位特異的組換え系が同定されている。
【0015】
(発明の要約)
ワクチンに使用する弱毒生菌の新規な株を開発する計画の一部として、我々は異種ポリペプチド、典型的に病原菌の異種抗原をこれらの細菌中で発現させるための発現プラスミドを開発した。このプラスミドは抗生物質選別を適用した場合に弱毒生菌中で安定して遺伝し、抗生物質選別を行なわない場合には同一菌株から消失することを発見した。我々はその安定性を増加させることを意図してプラスミドを修飾した。
【0016】
我々は部位特異的組換え酵素および組換え酵素の認識配列をコードするDNAフラグメントを含むカセットをプラスミド中に導入した。この修飾プラスミドは抗生物質選別をせずに増殖した弱毒生菌中に発現した場合にそれが由来した親のプラスミドよりも著しく安定していることが判明した。カセットを含むプラスミドは弱毒細菌中で抗生物質選別を適用して発現した場合にも親プラスミドよりも安定であることが判明した。
【0017】
抗生物質選別を行なわずに40から45代培養した後にカセットを含むプラスミドは100%の細菌細胞中に存在したが、一方カセットを含まない親プラスミドは同代数の培養後に10%以下の細胞に存在した。抗生物質選別を適用した同様の実験では、修飾プラスミドはやはり親プラスミドより安定であった;典型的に、カセットを含むプラスミドは100%の細胞が含んでいたのに対し、カセットを含まない親プラスミドはわずか80%の細胞が含んでいた。
【0018】
したがって、本発明は医薬として受容し得る担体または希釈剤及び細菌を含むワクチンを提供し、その細菌は以下を含有している:
(i)部位特異的組換え酵素をコードしているDNA配列;及び
(ii)組換え酵素の認識配列を含むプラスミド及び異種ポリペプチドをコードしているDNA配列。
【0019】
さらに、部位特異的組換え酵素をコードする配列と認識配列の間に介在する配列をカセットから除去して、この二つの機能的遺伝子座が互いに約1.5kbフラグメント上に隣接するような改良がカセットに施されている。カセットから不必要な配列を除去することによりカセットが小さくなり、それを含むプラスミドをより小さくし、それにより操作がし易くなる。このカセットの縮小版もプラスミド遺伝を安定化するという点では元の大きな配列と同様に機能する。
【0020】
またカセットを含むプラスミドは認識配列と異種ポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーターの間に転写終結配列を導入する修飾も行なわれた。安定化カセット中の活性プロモーターによると推定される、カセットを含むプラスミドからの異種ポリペプチドの高レベルな構成的発現が観察されたので、これを行なった。この転写終結配列は、異種ポリペプチドの発現がそのためのプロモーターのみによって調節されることを確実にする。また安定化作用を維持しつつプロモーター作用に対応するカセットの領域を除去することも可能である。
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明において有用なプラスミド
本発明に使用するプラスミドは部位特異的組換え酵素の認識配列及び異種ポリペプチドをコードするDNA配列を含んでいる。望ましくはプラスミドは部位特異的組換え酵素をコードするDNA配列も含んでいる。そうでなければ、組換え酵素をコードするDNA配列は別のプラスミドに存在することもできるし、あるいは細菌染色体に組込むこともできる。本発明に使用することができる組換え酵素及び認識配列の性質について以下に詳細に検討する。
【0022】
プラスミドが認識配列及び組換え酵素をコードするDNA配列を含む場合には、この二つの間に介在する配列の長さは少ない方が望ましい。介在配列の大きさを減ずる、または除去することによりカセットの大きさを減ずることは、それを含むカセット及びプラスミドが小さくなり、したがって組換えDNA技術を使用する操作が容易になる。典型的に、認識配列と組換え酵素をコードする配列の間隔は1.5kb以下、望ましくは0.5kb以下そしてさらに望ましいのは0.2kb以下である。
【0023】
本発明の一態様において、認識配列及び異種ポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーターの間に転写終結配列が存在する。転写終結配列は、異種ポリペプチドの発現がそのためのプロモーターのみによることを確実にする。適当な転写終結配列はどれでも使用することができ、最小限の転写を生じるかあるいは全く生じない強力な転写終結配列が望ましい。本発明の望ましい態様において、5S rrnB転写ターミネーター類、rrnB T1及びrrnB T2が使用される。これらのターミネーターのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1に示されている。
【0024】
望ましくは、異種ポリペプチド及び/または組換え酵素用の発現カセットは、プロモーター、転写開始部位、リボソーム結合部位(RBS)、異種ポリペプチドまたは組換え酵素のコード配列、翻訳停止コドン及び転写ターミネーターから構成されている。
【0025】
異種ポリペプチドの発現は種々のプロモーターにより行なうことができる。望ましくは原核プロモーター、及び特に選択した細菌株に適したプロモーターが使用されるであろう。特に、発現はnirBプロモーターまたはhtrAプロモーター(それぞれUSP 5,683,700及び WO 95/20665を参照)によって行なうことができる。pagCまたはssaHプロモーターも使用することができる。典型的に組換え酵素の発現はそれ自身の内在性プロモーターによって行われるであろう。
【0026】
プラスミドはまた抗生物質耐性のような選別マーカーを含むことができる。典型的にアンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールまたはカナマイシン耐性遺伝子が使用される。本発明の望ましい態様において、カナマイシン耐性マーカーが使用される。本発明に使用したプラスミドは認識配列及び任意に組換え酵素をコードする配列も含むように修飾した当業者既知のプラスミドである。
【0027】
本発明のプラスミドはプラスミド安定性またはプラスミド維持を増加させるための他のシステムを1以上含むこともできる。適当なシステムとしては自殺システム、平衡致死システム、パーティションシステム及びプラスミドpSC101のpar遺伝子座(Galen et al,上記)がある。
【0028】
平衡致死システムの場合には、細菌の生存に必須な遺伝子は細菌の染色体から除去される。染色体から除去された遺伝子はプラスミド上に存在する;したがってプラスミドの消失は細菌が生存できないことを意味する。本発明の一態様において使用された平衡致死システムは上記(3)に記述されたasdシステムである。
【0029】
自殺システムの場合には、プラスミドまたは細菌染色体はプラスミドをバラバラに分解する強力な細胞死滅剤をコードしているが、一方でこのプラスミドを持つ細菌は細胞死滅剤の解毒剤をコードするプラスミドにより保護されている。典型的に、細胞死滅剤及び/またはそれをコードするRNAは解毒剤または解毒剤をコードするRNAより安定である。このことは、プラスミドが消失した後に細胞死滅剤は細胞中に解毒剤よりも長くあるいは高濃度に存在するであろうから、プラスミドの消失は細菌の死を生じるであろう、と言うことを意味する。一般的に、細胞死滅剤はトキシンでありそして細胞膜孔または溶原物質であろう。解毒剤は細胞死滅剤をコードする遺伝子の発現を阻止することができるアンチセンスRNA、その物質を分解することができる酵素またはその物質に結合してそれを不活化するタンパクであろう。本発明の一態様において、自殺システムはhok−sokシステムである(Galen et al上記)。
【0030】
パーティションシステムの場合には、プラスミドの中に細胞分裂の際にプラスミドのコピーを各娘細胞が受け取る確率を増加させるような遺伝配列が含まれている。そのようなシステムは典型的にプラスミド分子を積極的に娘細胞中に物理的に分離するように作用する。本発明に使用するために適したパーティションシステムとしてはプラスミドpR1(Galen et al上記)のparA動原体様積極パーティションシステムがある。
【0031】
組換え酵素及び認識配列
認識配列を含むプラスミドの遺伝を安定化する部位特異的組換え酵素はいずれも本発明に使用することができる。組換え酵素は一般的に解離酵素である。解離酵素はプラスミド多量体を解離することができる。部位特異的組換え酵素はインテグラーゼまたはインベルターゼでもあり得るし、その一部は解離酵素活性を有している。
【0032】
本発明に使用し得る解離酵素の例としてはプラスミドP1のCre組換え酵素、E. coli XerC (ArgR)タンパク、プラスミドFのDタンパク組換え酵素、プラスミドRP4及びRP2のRarA組換え酵素、プラスミドR1の部位特異的組換え酵素、Tn3様転位性遺伝因子によりコードされる解離酵素及びSalmonella dublin毒性プラスミドのRsd解離酵素がある。ここで言及しなかったが同様の作用を有するその他の解離酵素も本発明に使用することができる。本発明の特に望ましい態様において、組換え酵素はRsd解離酵素である。Rsd解離酵素は
(a) SEQ ID NO:1の位置680から1459までのヌクレオチド配列を含むDNA分子、
(b) (a)の相補体にハイブリッド形成するDNA分子または
(c) (a)または(b)のDNA分子と同じアミノ酸配列をコードしているが(a)または(b)のDNA分子と縮重しているDNA分子によってコードすることができる。
【0033】
解離酵素をコードする配列に加えて、細菌は本発明に使用される部位特異的組換え酵素による多量体解離に必要な、または促進する、ポリペプチドをコードするヌクレオチドを含むことができる。
【0034】
本発明に使用できる認識配列は上記組換え酵素のためのものである。使用した部位特異的組換え酵素によって認識される認識配列であればいずれも使用することができる。適当な認識配列としてはXerC部位特異的組換え酵素によって認識される部位、例えばプラスミドColE1のcer部位及び類似するColKのckr部位(Summers et al, Mol. Genet. Genes., 201(2): 334−338)、プラスミドpSC101のpsi部位及びShigella flexneriのプラスミドpHS−2のcer様部位がある。その他の使用できる認識配列としてはSalmonella dublin毒性プラスミドのcrs部位、プラスミドP1のloxP部位、Fプラスミドのrfs部位及びTn3様転位性遺伝因子のres部位がある。特にここで言及しなかったが同じ作用を有する配列も使用することができる。本発明の望ましい態様において、crs認識配列が認識配列として使用されている。crs認識配列は
(a) SEQ ID NO:1の54から556のヌクレオチドまたはその相補体、または
(b) SEQ ID NO:1の53から556のヌクレオチドを含むDNA分子またはその相補体とハイブリッド形成するDNA分子、の配列を持つことができる。
【0035】
採用した個別の組換え酵素を採用した細菌株に使用するために順応させることができる。例えば、選択した細菌株において特に良好に作用する既知組換え酵素の変異体を単離するために上述の検定と組合わせて突然変異選別を使用することができる。
【0036】
同一細菌細胞中で二つ以上のプラスミドを安定化するために二つ以上の異なる部位特異的組換え酵素を同時に使用することができる。そのような態様において、安定化されるそれぞれのタイプのプラスミドは典型的に使用した組換え酵素の一つに特異的な異なる認識配列を含んでいる。その他には、各プラスミドがその組換え酵素の認識配列を含んでいる、同一細胞中の二つ以上の異なるプラスミドを安定化するために単一の部位特異的組換え酵素を使用することができる。
【0037】
SEQ ID NO:1の680から1459位置のRsd解離酵素をコードするポリヌクレオチド配列の同族体及び/またはSEQ ID NO:1の54から556位置のcrs認識配列のヌクレオチド配列の同族体を本発明に使用することができる。典型的に、同族体はSEQ ID NO:1の対応する配列と少なくとも70%の配列相同性を有し、望ましくは少なくとも80または90%そしてより望ましくは少なくとも95%、97%または99%の配列相同性を有している。その配列相同性は少なくとも15、望ましくは少なくとも30、例えば40,60または100またはそれ以上の連続ヌクレオチドの領域に亘って存在している。
【0038】
ポリヌクレオチド相同性の測定方法は当業者には良く知られている。例えば、BESTFITプログラムを提供するUWGCGパッケージを相同性を計算するために、例えば、デフォルトセッティングで使用することができる(Devereux et al (1984) Nucleic Acids Research 12, p387−395)。PILEUP及びBLASTアルゴリズムも相同性を計算するためにまたは配列を整列するために(典型的にデフォルトセッティングで)使用することができる、例えばAltschul (1993) J Mol Evol 36: 290−300またはAltschul et al (1990) J Mol Biol 215: 403−10に記述されている。
【0039】
同族体は典型的にSEQ ID NO:1中の対応する配列とバックグランド以上の有意レベルでハイブリッド形成する。同族体とSEQ ID NO:1の配列の間の相互作用によって発生するシグナルのレベルは典型的にバックグランドハイブリッド形成の強さの少なくとも10倍、望ましくは少なくとも100倍である。相互作用の強さは、例えば、プローブの、例えば、32Pによる放射標識により測定することができる。選択的ハイブリッド形成は典型的に中間から高度ストリンジェンシー、例えば0.03M塩化ナトリウム及び0.003Mクエン酸ナトリウム、約50℃から約60℃という条件を使用して行なう。
【0040】
同族体はSEQ ID NO:1中の対応する配列とは同族体の少なくとも30、例えば少なくとも40,60または100の連続ヌクレオチドの領域に亘って少なくとも1,2,5,10あるいはそれ以上の置換、欠失または挿入によって異なっているであろう。この様に同族体はSEQ ID NO:1中の対応する配列とは少なくとも1,2,5,10,30あるいはそれ以上の置換、欠失または挿入によって異なっているであろう。
【0041】
Rsd解離酵素またはcrs認識配列の同族体について被検プラスミドを安定化する能力を試験することができる。可能性がある認識配列を試験する場合には、候補配列を試験プラスミド中に挿入しそして1以上の細菌株において組換え酵素の存在下または非存在下にそして/または配列を欠失したプラスミドと比較してプラスミドの安定性を評価することができる。組換え酵素同族体をコードする配列について組換え酵素の存在下と非存在下においてプラスミド安定性を比較することにより認識配列を含むプラスミドを安定化する能力を評価することができる。
【0042】
プラスミド安定性は下記例に記述するプラスミド遺伝検定を使用して評価することができる。一般的に、この検定はプラスミドを含む細菌のコロニーまたは培養を準備することが必要である。細菌を培地に接種する。培養は一定時間増殖し、そして継代することができる。培養の終了時にまたは培養の間の時系列において、例えばプラスミド上に存在する選別マーカー(例えば、抗生物質耐性マーカー)を含む細菌の比率を測定することにより、プラスミドを含んでいる細菌の比率を測定する。
【0043】
プラスミド安定性はまたプラスミドを含むネズミチフス菌のような細菌でマウスに予防接種してインビボにおいて評価することもできる。脾臓中のそのプラスミドを含む細菌の比率を測定することができる。
【0044】
さらに、プラスミド安定性はプラスミドで形質転換した細菌からプラスミドを単離し、単量体及び多量体のプラスミドの比率を測定することにより評価することができる;プラスミドの多量体型の存在は、プラスミドが単量体に解離されておらず、プラスミドが不安定であることを示している。典型的に、プラスミドDNAは予め定めた時間、細菌の分裂回数または継代数、の後に単離され、そして単離は望ましくは経時的なプラスミド安定性を評価するために時系列に沿って行われる。
【0045】
プラスミドDNAの単量体及び多量体型の比率は、プラスミドDNAをアガロースゲル上で電気泳動を行いそしてプラスミドの単量体及び多量体型の相違を、典型的に臭化エチジューム染色及びU.V.照射を使用して可視化することにより測定することができる。プラスミドの多量体型は単量体型よりもゲル中を遅く移動するのでこの二つを区別することができる。典型的にプラスミドDNAは切れ目がないので超コイル構造をとっており、プラスミドの種々の型の解離は容易であろう。ある場合には種々のサイズの多量体がゲル上に段になって認められることがあり、それぞれの型の相対的比率を評価できる。代表的なゲルを図9に示したが、その中のレーン2は本発明のプラスミドを含みそしてレーン1は小さい対照プラスミドを含んでいる。
【0046】
本発明に使用するための認識配列及び/または組換え酵素はこれらの検定において被検プラスミドを安定化し、または安定性を増加させることが望ましい。典型的にそれらはこれらの検定において被検プラスミドの多量体型を減少させまたは除去するであろう。
【0047】
DNAワクチン
本発明の一態様において、ワクチンはDNAワクチンである。望ましくは、その態様においてワクチンの担体細菌は侵襲的細菌でありそして異種抗原の発現は真核プロモーターによって行われる。本発明のそのような態様において、異種抗原の発現は典型的に予防接種された固体の細胞中において生じるであろう。
【0048】
侵襲的細菌(宿主細胞に入り込むことができる細菌)はDNAワクチンを搬送するために使用できることが示されている。米国特許番号5,877,159にはDNAワクチンの原理及びそのようなワクチンがどのように作られるかが記述されている。米国特許5,877,159に使用されている方法及びワクチンは本発明と組合わせて適用することができる。
【0049】
侵襲的細菌としては動物細胞の細胞質または核に自然に入り込むことができる細菌、並びに動物細胞の細胞質または核に自然に入り込むことはできないが遺伝子操作により入り込めるようにした細胞が含まれる。Salmonella株はDNAワクチンを搬送するために使用できることが示されている(Darji et al, 1997, Cell, 91, 765−775; Paglia et al, Blood, 1998, 92(9) 3172−3176)。
【0050】
この態様において異種抗原を発現するために使用されるプロモーターは真核細胞中で機能する。プロモーターはSV40,CMVまたはRSVプロモーターのようなウイルスプロモーターまたはβ−カゼイン、ウテログロビン、β−アクチンまたはチロシナーゼプロモーターのような真核細胞プロモーターであろう。望ましくは異種抗原を発現させるために使用されるプロモーターは抗原提示細胞(APC)において発現することができるものであろう。
【0051】
本発明に有用な細菌
本発明のワクチンを作製するために使用される細菌は一般的に経口的に感染するものである。その細菌は真核細胞に侵入しそして増殖しそして/または粘膜表面にコロニーを作るものであろう。細菌は一般的にグラム陰性であるが鼻腔内予防接種を含む一部の態様においてはグラム陽性細菌を使用することができる。細菌は一般的に弱毒である。
【0052】
使用する細菌はEscherichia, Salmonella, Shigella, Vibrio, Haemophilus, Neisseria, Yersinia, Bordetella, Brucella, Listeria, Rickettsia, Klebsiella, Aeromonas, Franciesella, Corynebacterium, Citrobacter, Chlamydia, Mycobacterium, Legionella, Rhodococcus, Pseudomonas, Helicobacter, Bacillus, LeishmaniaまたはErysipelothrix属から選択することができる。
【0053】
本発明に使用するために特に望ましい細菌の例はEscherichia coli‐これはヒトに下痢を生じさせることができる;Salmonella typhimurium‐いくつかの動物種においてサルモネラ病の原因;Salmonella typhi‐ヒトチフスの病因;Salmonella enteritidis‐ヒトにおける食中毒の原因の一つ;Salmonella choleraesuis‐ブタにおけるサルモネラ病の一因;Salmonella dublin‐ウシ、特に新生子ウシにおける全身性及び下痢性疾患の一因;Haemophlus influenza‐髄膜炎の一因;Neisseia gonorrhoeae‐淋疾の一因;Yersinia enterocolitica‐胃腸炎から致死性敗血症まで広い範囲のヒト病気の原因;Bordetella pertussis‐百日咳の原因;及びBrucella abortus‐ウシの流産及び不妊及びヒトの波状熱として知られる病気の一因、である。
【0054】
本発明においてE. coli及びSalmonellaの株は特に有用である。Salmonellaは強力な免疫原であり、全身的及び局所的に細胞及び抗体の応答を刺激することができる。特にSalmonella typhiの弱毒株は本発明において使用することが望ましい。本発明において使用することが望ましいSalmonella typhiの株としてはCVD908−htrA(ΔaroCΔaroDΔhtrA)及びCVD908(ΔaroCΔaroD)である(Tacket et al, 1997, Infection & Immunity, 65(2), 452−456)。エンテロトキシン性E. coli(「ETEC」)の弱毒株も使用することができる。ETECは下痢を生じるE. coliに属している。ETECは小腸起始部にコロニーを作る。標準的なETEC株はATCC H10407である。腸病原性E. coli(EPEC)、腸侵襲性E. coli(EIEC)または腸出血性E. coli(EHEC)の弱毒株も使用することができる。
【0055】
侵襲的細菌は、予防接種した個体の細胞中に異種抗原を発現させるために真核発現カセットが使用される本発明の態様においては特に有用である。使用することができる天然の侵襲的細菌の例としてはSalmonella, Shigella, Listeria及びRickettsia属、並びにETECである。
【0056】
本発明に使用するために望ましいShigella株は米国特許5,877,159に記述されているものである。それらはShigella flexneri 2a, (ATCC No.29903), Sigella sonnei (ATCC No.29930), 及びShigella disenteriae (ATCC No.13313)である。弱毒Shigella株はShigella flexneri 2a 2457TΔaroA.ΔvirG (Noriega et al, 上記), Shigella flexneri M90TΔicsA (Goldberg et al, Infect. Immun., 62:5664−5668 (1994)), Shigella flexneri Y SFL114 aroD突然変異体(Karnell et al, Vacc., 10: 167−174 (1992)), 及びShigella flexneri ΔaroAΔaroD (Verma et al, Vacc., 9: 6−9 (1991)である。
【0057】
侵襲性になるように操作された非天然侵襲性細菌の例としてはYersinia,Escherichia,Klebsiella,Bordetella,Neisseria,Aeromonas,Franciesella,Corynebacterium,Citrobacter,Chlamydia,Hemophilus,Brucella, Mycobacterium,Legionella,Rhodococcus,Pseudomonas,Helicobacter,Vibrio,Bacillus,Leishmania及びErysipelothrix属から由来したものがある。これらの細菌は一般的にSalmonella,Shigella,Listeria,Rickettsia,または腸侵襲性E.coliの侵襲的性質を模倣して操作することができる。
【0058】
典型的に、細菌は動物細胞の細胞質に入り込むことを可能にする遺伝子を挿入することにより遺伝子操作される。そのような遺伝子の例としては、Shigellaの侵襲タンパク、溶血素をコードするもの、Escherichiaの侵襲プラスミド上にあるもの、及びListeriaのリステリオリシンOがある(Formal et al, Infect. Immun., 46: 465(1984); Bielecke et al, Nature, 345: 175−176 (1990); Small et al, In: Microbiology, 1986, 121−124, Levine et al, Eds., American Society for Microbiology, Washington, D.C. (1986); and Zychlinsky et al, Molec. Micro., 11: 619−627 (1994))。インフルエンザウイルスヘマグルチニンHA−2のようなウイルス遺伝子も使用することができる(Plank et al, J. Biol. Chem.,269:12918−12924(1994))。
【0059】
ここに言及した抗原はいずれも本発明のDNAワクチンを使用して発現することができる。特に、ウイルスまたは真核抗原は真核細胞中で発現するように既に典型的に最適化されているので、それらは発現するであろう。例えば特別なコドンを使用しているために、真核細胞中では発現し難い細菌または非真核抗原の場合には、真核細胞中における発現を改善するためにこれらのポリペプチドをコードする遺伝子を修飾することができる。
【0060】
弱毒化突然変異
望ましくは、本発明に使用する細菌は病原性を弱められている。使用される弱毒化突然変異は一般的に遺伝子の機能を完全に破壊している。これは遺伝子からのポリペプチド合成を完全に壊してしまうかまたは機能しないポリペプチドを合成するような突然変異を起こさせることにより達成される。いずれのポリペプチド合成も行なわせないために、遺伝子全体またはその5’−末端を除去することができる。遺伝子のコード配列ないの欠失または挿入を行なうことにより機能しないポリペプチド(例えば、野生型タンパクのN−末端のみを含むポリペプチド)のみを合成する遺伝子を創り出すことができる。
【0061】
望ましくは突然変異は非復帰突然変異である。これは細菌がワクチンとして使用された時に本質的に野生型に復帰しないことを示す突然変異である。そのような突然変異には挿入及び欠失がある。挿入及び欠失は大きいことが望ましく、典型的には少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10から600ヌクレオチドである。
【0062】
ワクチンに使用される細菌は規定された突然変異、つまり解析された突然変異、のみを含むことが望ましい。良く解析されていない突然変異は好ましくない副作用の原因となる性質を細菌に付与するリスクがあるので、そのゲノムの中に良く解析されていない突然変異を持つ細菌をワクチンとして使用することは好ましくない。
【0063】
弱毒化突然変異は、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジンのような試薬を使用して化学的に、またはTn10突然変異誘発、P22−介在形質導入、ラムダファージ介在乗換え、及び接合型転位のような組換えDNA技術を使用する非特異的突然変異を使用して細菌に導入することができる。しかし、組換えDNA技術を使用する部位指定突然変異誘発が望ましい、何故ならこの様にして構築された株は非常に良く規定されているからである。特に相同組換えを含む技術による遺伝子の欠失または突然変異が望ましい。
【0064】
弱毒化突然変異の例としては、これに限定しないが:
(i)独立栄養突然変異、例えばaro (Hoiseth et al, Nature, 291:238−239 (1981)), gua (McFarland et al, Microbiol. Path., 3: 129−141 (1987)), nad (Park et al, J. Bact., 170: 3725−3730 (1988), thy (Nnalue et al, Infect. Immun., 55: 955−962 (1987)),及び asd (Curtiss,上記 )突然変異;
(ii)全体的調節機能を不活化する突然変異、例えばcya (Curtiss et al, Infect. Immun., 55: 3035−3043 (1987)), crp (Curtiss et al (1987), 上記), phoP/phoQ (Groisman et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86: 7077−7081 (1989); 及びMiller et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86: 5054−5058 (1989)), phoP.sup.c (Miller et al, J. Bact, 172: 2485−2490(1990)) またはompR (Dorman et al, Infect. Immun., 57: 2136−2140 (1989))突然変異;
(iii)ストレス応答を修飾する突然変異、例えばrecA (Buchmeier et al, Mol. Micro., 7: 933−936 (1993)), htrA (Johnson et al, Mol. Micro., 5: 401−407 (1991)), htpR (Neidhardt et al, Biochem. Biophys. Res. Com., 100: 894−900 (1981)), hsp (Neidhardt et al, Ann. Rev. Genet., 18: 295−329 (1984)) 及びgroEL (Buchmeier et al, Sci., 248: 730−732 (1990))突然変異;
(iv)特異的毒性因子における突然変異、例えばlsyA (Libby et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 91: 489−493 (1994)), pagまたは prg (Miller et al (1990), supra; and Miller et al (1989), 上記), iscAまたは virG (d’Hauteville et al, Mol. Micro., 6: 833−841 (1992)), plcA (Mengaud et al, Mol, Microbiol., 5: 367−72 (1991); Camilli et al, J. Exp. Med, 173: 751−754 (1991)),及び act (Brundage et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 90: 11890−11894 (1993))突然変異;
(v)DNAトポロジーに影響する突然変異、例えばtopA (Galan et al, Infect. Immun., 58: 1879−1885 (1990))突然変異;
(vi)表面ポリサッカライドの生合成を阻害する突然変異、例えばrfb, galE (Hone et al, J. Infect. Dis., 156: 164−167 (1987))またはvia (Popoff et al, J. Gen. Microbiol., 138: 297−304 (1992))突然変異;
(vii)自殺システムを修飾する突然変異、例えばsacB (Recorbet et al, App. Environ. Micro., 59: 1361−1366 (1993); Quandt et al, Gene, 127: 15−21 (1993)), nuc (Ahrenholtz et al, App. Environ. Micro., 60: 3746−3751 (1994)), hok, gef, kil, または phlA (Molin et al, Ann. Rev. Microbiol., 47: 139−166 (1993))突然変異;
(viii)自殺システムを誘導する突然変異、例えばP22 (Rennell et al, Virol., 143: 280−289 (1985))によりコードされる溶原、ラムダムレイングリコシル転位酵素(Bienkowska−Szewczyk et al, Mol. Gen. Genet., 184: 111−114 (1981))またはS−遺伝子(Reader et al, Virol., 43: 623−628 (1971); 及び
(ix)正しい細胞周期を混乱させるかまたは修飾する突然変異、例えばminB(de Boer et al, Cell, 56: 641−649 (1989))突然変異。
【0065】
望ましくは、本発明に使用される細菌は1個、2個、3個または4個の別々の遺伝子における非復帰突然変異により弱毒化される。典型的に突然変異は少なくとも次の遺伝子の一つにあるであろう:aro遺伝子、pur遺伝子、ompC, ompF, ompR, htrA, galE, cya, crp, 及びphoP。
【0066】
本発明の望ましい態様において、細菌は下記における非復帰突然変異により弱毒化される:
− htrA遺伝子及び少なくとも1個のaro遺伝子;
− 少なくとも1個のaro遺伝子及び少なくとも1個のomp遺伝子;
− aroC遺伝子、ompF遺伝子、及びompC遺伝子のそれぞれ;または
− 2個の別々のaro遺伝子のそれぞれ、特にaroA及びaroC、aroA及びaroDまたはaroC及びaroD。
【0067】
異種ポリペプチド
幅広い種類の異種ポリペプチドを本発明のワクチンに使用される細菌によって発現することができる。細菌によって自然には発現されないという意味においてそのポリペプチドは細菌にとっで「異種」である。そのペプチドは典型的に宿主細菌にとっては異なる種のものであるが、同じ種の異なる株のものであり得る。細菌を操作して1以上の異種ポリペプチドを発現することができるが、その場合にポリペプチドは同じ生物のものでも異なる生物のものでも良い。
【0068】
本発明の望ましい態様において、異種ポリペプチドは病原体の異種抗原である。異なる病原体の2以上の異種抗原を発現することができ、1つのワクチンにより複数の病原体それぞれに対して予防接種することができる。
【0069】
異種ポリペプチドは抗原決定基を含む完全なタンパクまたはタンパクの一部であり得る。本発明の一態様において、異種ポリペプチドは融合タンパクである。融合は2以上の異なる抗原または抗原と異種ポリペプチドの免疫原性を高めるように設計された領域を含むことができる。破傷風毒素の無毒性フラグメントC(TetC)との融合を使用することができる。
【0070】
抗原は細菌、ウイルス、イースト、カビまたは寄生虫のものであり得る。
【0071】
異種ポリペプチドを誘導することができるウイルスの例としては:呼吸器シンシチアウイスル;オルソミクソウイルス、例えばインフルエンザウイルス;レトロウイルス、例えばRSV,HIV及びSIV;ヘルペスウイルス、例えばEBV,CMVまたは単純疱疹ウイルス;レンチウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス;ラブドウイルス、例えば狂犬病ウイルス;ピコルナウイルス、例えばポリオウイルス;ポックスウイルス、例えばワクシニアウイルス;ロタウイルス;及びパルボウイルスがある。
【0072】
異種ポリペプチドとして発現される望ましいウイルス抗原の例としては、ヒト免疫不全ウイルス抗原Nef,p24,gp120,gp41,Tat,Rev,及びPol(Nature, 313: 277−280 (1985))及びgp120のT細胞及びB細胞の抗原決定基(Palker et al, J. Immunol., 142: 3612−3619 (1989));B型肝炎表面抗原(Wu et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86: 4726−4730 (1989));ロタウイルス抗原、例えばVP4(Mackow et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 87: 518−522 (1990))及びVP7(Green et al, J. Virol., 62: 1819−1823 (1988))、ヘマグルチニンまたは核タンパクのようなインフルエンザウイルス抗原(Robinson et al., 上記;Webster et al,上記)及び単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Whitley et al, In: New Generation Vaccines, 825−854ページ)がある。
【0073】
異種抗原を誘導することができる病原性細菌の例としては、Mycobacterium, Haemophilus, Bordetella, Helicobacter, Salmonella, Shigella, Escherichia, Rickettsia, Listeria, Legionella, Pseudomonas, Yersinia, Vibrio, Borellia, Lactococcus, Lactobacillus, Brucella, Aeromonas, Franciesella, Corynebacterium, Citrobactor, Rhodococcus, Leishmania, Neisseria及びChlamydia属がある。
【0074】
異種抗原として発現される望ましい細菌抗原の例としては、Shigella sonnei 1型抗原(Formal et al, Infect. Immun., 34: 746−750 (1981));Yersinia pestisのF1抗原(Titball et al, Infect. Immun., 1997, 65(5), 1926−1930); Neisseria meningititidisの抗原及び特にGNA33,GNA2001,GNA1220及びGNA1946遺伝子によってコードされる抗原(Pizza et al, Science, 2000, 287, 1816−1820 (2000));V. cholerae Inaba 569B株O−抗原(Forrest et al, J. Infect. Dis., 159: 145−146 (1989);毒素原性大腸菌の防御抗原、例えばコロニー形成因子抗原を含む線毛抗原、特にCFA/I,CFA/II,及びCFA/IV(Yamamoto et al, Infect. Immun., 50: 925−928 (1985))及び熱不安定トキシンの非毒性B−ユニット(Clements et al, 46: 564−569 (1984));百日咳菌のペルタクチン(Roberts et al, Vacc., 10: 43−48 (1992))、百日咳菌のアデニルシクラーゼ−溶血素(Guiso et al, Micro. Path., 11: 423−431 (1991));破傷風菌の破傷風毒素のフラグメントC(Fairweather et al, Infect. Immun., 58: 1323−1326 (1990))及びLT(熱不安定腸毒素)及びST(熱安定毒素)抗原がある。
【0075】
それから異種抗原を誘導することができる寄生虫抗原の例としては、Plasmodium, Chtamydia, Trypanosome, Giardia, Boophilus, Babesia, Entamoeba, Eimeria, Leishmania, Schistosome, Brugia, Fascida, Dirofilaria, Wuchereria, 及びOnchocerea属がある。
【0076】
異種抗原として発現する寄生虫病原体の望ましい抗原の例としては、Plasmodium種のマラリア原虫抗原(Sadoff et al, Science, 240: 336−337 (1988))、例えばP. bergeriiのマラリア原虫抗原またはP. falciparumのマラリア原虫抗原;Plasmodium種のメロゾイト表面抗原(Spetzler et al, Int. J. Pept. Prot. Res., 43: 351−358 (1994));Entamoeba histolyticaのガラクトース特異的レクチン(Mann et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 88: 3248−3252 (1991));Leishmania種のgp63(Russell et al, J. Immunol., 140: 1274−1278 (1988));Brugia malayiのパラミオシン(Li et al, Mol. Biochem. Parasitol., 49: 315−323 (1991));Schistosoma mansoniのトリオースリン酸イソメラーゼ(Shoemaker et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89: 1842−1846 (1992));Trichostrongylus colubriformisの分泌グロビン様タンパク(Frenkel et al, Mol. Biochem. Parasitol., 50: 27−36 (1992));Frasciola hepatica(Hillyer et al, Exp. Parasitol., 75: 176−186 (1992))、Schistosoma bovis及びS. japoicum (Bashir et al, Trop. Geog. Med., 46: 255−258 (1994)) のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ;及びSchistosoma bovis及びS. japonicumのKLH(Bashir et al, 上記)がある。
【0077】
異種抗原は腫瘍特異的抗原でもあり得る。望ましい腫瘍特異的抗原としては、前立腺特異的抗原(Gattuso et al, Human Pathol., 26: 123−126 (1995))、TAG−72及びCEA(Guadagni et al, Int. J. Biol. Markers, 9: 53−60 (1994)),MAGE−1及びチロシナーゼ(Coulie et al, J. Immunothera., 14: 104−109 (1993))がある。
【0078】
異種抗原は移植抗原でもあり得る。望ましい移植抗原の例としては、T細胞上のCD3受容体がある。(Alegre et al, Digest. Dis. Sci., 40:58−64 (1995))
【0079】
異種抗原は修飾されていても良いしあるいは免疫される種に本来備わっている抗原であっても良い。異種抗原は自己免疫抗原でもあり得る。自己免疫抗原の例はIASβ鎖である(Topham et al, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 91: 8005−8009 (1994))。
【0080】
本発明の特に望ましい態様において、異種抗原はHelicobacter属の細菌、特にHelicobacter pyloriから誘導される。Helicobacter pylori抗原はウレアーゼ、カタラーゼ、AlpAまたはこれらのいずれかのフラグメントであり得る。本発明の望ましい態様において、2以上のH. pylori抗原がワクチンによって提供される。
【0081】
本発明の一部の態様において、安定化するためにプラスミドによってコードされている異種ポリペプチドは異種抗原をコードする配列と別に、またはそれに加えて存在することができる。例えば、ポリペプチドは細菌染色体または第二プラスミド上の配列によりコードされている異種抗原の発現を調節または変化させることができる。その他に、または加えて、プラスミドによりコードされている異種ポリペプチドは選別マーカーまたはプラスミドを有している細菌の最適な増殖に必要なポリペプチドであろう。
【0082】
異種ポリペプチドが調節的な役割を演じている場合には、異種抗原をコードする配列の発現を活性化するまたは増加することに関係しているであろう。調節は適当な時に、例えば増殖の適当な段階または予防接種のために宿主に投与された時、にのみ抗原の発現が活性化されるように誘導することができる。このことは発現が誘導されるまでプラスミドを有する細菌に対する早期の選別圧力を除くかまたは減少させるのに役立つ。
【0083】
ワクチンの作製
ワクチンは弱毒細菌ワクチンを作製する既知技術を使用して製剤化することができる。ワクチンは典型的に経口投与のために、例えば投与の前に緩衝液に入れて調製するための乾燥した安定な粉末として提供される。調製は細菌の生存を保証する適当なpHの緩衝液で簡単に行われる。弱毒細菌及びワクチンを胃酸から保護するために、重炭酸ナトリウム製剤をワクチンの投与毎に一緒に投与するのが便利である。その他には、ワクチンは腸溶カプセルの形態で提供される。
【0084】
ワクチンは望ましくは哺乳動物の、特にヒト宿主のみならず動物宿主の予防接種に使用することができる。このように微生物、特に病原体による感染を本発明によって調製したワクチンの有効量を投与することにより防ぐことができる。本発明の一態様において、ワクチンは病原性微生物の心配を減少させるであろうし、また感染を防ぐ事ができなくても感染により生じる病気を防ぐか好転させるであろう。使用する用量は最終的には医師の判断によるが、宿主の大きさ及び体重及び製剤化したワクチンのタイプなどを含む種々の因子によるであろう。しかし、70kg成人宿主に対する用量は10から1011細菌、望ましくは10から10及びより望ましくは5x10細菌が適当であろう。
【0085】
本発明の一部の態様では、ワクチンは1以上の細菌株または種を含んでおり、それぞれの細菌は異なる抗原または抗原のセットを発現する。
【0086】

配列の簡単な説明
SEQ ID NO:1はrsd及びcrs配列(天然に存在する介在配列を除去した)及びrrnB転写終結配列を含む本発明に使用し得るカセットのヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:2はSEQ ID NO:1の配列にコードされているRsd組換え酵素のアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:3はPCRプライマー5959のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:4はPCRプライマー5960のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:5はPCRプライマー5961のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:6はPCRプライマー5962のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:7はPCRプライマー5974のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:8はPCRプライマー5989のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:9はPCRプライマー5990のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:10はPCRプライマー5991のヌクレオチド配列を示す。
SEQ ID NO:11はPCRプライマー5992のヌクレオチド配列を示す。
【0087】
材料及び方法
細菌株及びプラスミド。使用した細菌株及びプラスミドは表1に示した。
【0088】
組換えDNA技術。標準的な方法を使用した(Sambrook et al. Molecular cloning: a Laboratory Manual, 2nd Edition, CSH Laboratory Press, 1989)。プラスミド精製はQIAGENTMのキットを使用して行なった。クローニングのためのDNAフラグメントのPCR増幅は高度信頼性Pfu TurboTMポリメラーゼ(StratageneTM)(Life TechnologiesTM)を使用して行なった。他のPCR増幅はTaqポリメラーゼ(Life TechnologiesTM)を使用して行なった。DNAフラグメントはアガロースゲルからQIAGENTMのQIAquickゲル抽出キットを使用して単離した。
【0089】
プラスミド遺伝検定。アンピシリン200 mg/ml、カルベニシリン300 mg/ml、またはカナマイシン20 mg/mlを添加したチフス菌株のL−ブロス培養をコロニーから接種し、37℃で終夜増殖した。この培養を抗生物質選別なしで1:10,000希釈して新鮮L−ブロスに接種するために使用し、新規な培養を37℃で終夜増殖した。この株を数回この様にして継代し、そして各培養毎に細菌の全数及びアンピシリン耐性菌数を測定するため希釈液を3重複してL−寒天及びアンピシリン200 mg/mlまたはカナマイシン20 mg/mlを添加したL−寒天上に展開した。抗生物質耐性を維持しているコロニーの比率を測定して各プラスミドの安定性を少なくとも3回の独立した実験において測定した。図5−8のデータは各時点における3回の測定の平均値としてプロットしてある。
【0090】
ウレアーゼ発現のウエスタンブロット分析。これはNovexTMの装置及び試薬を使用して行なった。細菌細胞を37℃で終夜培養したL−ブロス培養の1mlから採取した。細胞を1ml PBSで洗い、100ml PBSに再懸濁した。2%β−メルカプトエタノールを添加した同容量のSDS−PAGE検体平衡液を加え、沸騰水浴中5分間インキュベートした。3から6ml容量を12%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、タンパクをニトロセルロース膜に電気転移した。以降の処理は室温において行なった。膜をPBS中5%脱脂乳、0.05% Tween20TM(PBST)で1時間固定し、ついで1%脱脂乳PBST中1:2,000に希釈した抗−ウレアーゼポリクロナールウサギ血清に移した。次いで膜を1%脱脂乳PBST中10分間4回洗い、次いで1%脱脂乳PBST中1:2,000に希釈したヤギ抗−ウサギIgG−HRPコンジュゲートと1時間インキュベートした。膜を上記のように4回洗い、次いでECLフィルムに照射する前に増強化学ルミネッセンス(ECL)検出試薬(AmershamTM)を加えた。
【0091】
結果
例1:
S. typhiにおけるプラスミド消失。プラスミドpHUR3(図1)及びpNUR3はそれぞれネズミチフス菌htrAまたはnirBプロモーターにより発現するHelicobacter pyloriから由来した複製起点及びpBR322のアンピシリン耐性決定基及びureAB遺伝子を使用している。我々は、ブロス培養における対数増殖期の間に両プラスミドはチフス菌ワクチン株CVD908及びBRD948から消失することを観察した。この不安定性は、30継代後に一般的に組換えプラスミドを含有し続けている細菌細胞は20%以下であるような程度である。さらに、アンピシリンによる選別の存在下においても、静止期培養中の細菌のかなりの部分はプラスミドを持っていない(図5)。これは多分多数の細菌が培養中にβ−ラクタマーゼを発現するためにアンピシリンが急速に不活化されるからである。
【0092】
S. dublin毒性プラスミドのrsd−crs遺伝子座を取込むプラスミド誘導体の構築。Salmonella dublin毒性プラスミドのトランス作用解離酵素遺伝子(rsd)及びシス作用多量体解離部位(crs)を制限エンドヌクレアーゼEcoRV及びSmaIにより作製した3kbフラグメントの中にマップし、そしてそのヌクレオチド配列を確認した(Krause et al, J. Bacteriol, 1991. 173(18): 5754−5762)。rsd−crs遺伝子座を取込んだDNAフラグメントはプライマーとしてオリゴヌクレオチド5960及び5961を使用してSalmonella dublinから調製したプラスミドDNAから増幅した。このフラグメントはEcoRIで消化し、そしてpHUR3のEcoRI部位にクローン化してプラスミドpHUR3rsd(図2)を得た。このプラスミドはチフス菌株BRD948及びBRD1116を電気穿孔により形質転換するために使用した。生成した株のいずれもプラスミドpHUR3を含有する株に比較して遺伝安定性が有意に増加することを示した(図6)。
【0093】
例2:
プラスミドpHUR3rsdはSalmonella dublin毒性プラスミドのrsd組換え酵素およびcrs組換え部位を天然の構造で、機能不明のオープンリーディングフレームを含む約1.5kbの介在配列と共に、組込んでいる。我々は組換え発現ベクターのサイズを小さくするために介在配列を除去したpHUR3rsdの変異体を作製した。鋳型としてSalmonella dublinから調製したプラスミドDNA及びプライマーとしてcrsに対してオリゴヌクレオチド5960及び5962、及びrsdに対して5961及び5974(表2)を使用して、rsd及びcrs遺伝子座をPCR増幅した。次いで2個のフラグメントに重複延長PCRによるスプライシングを行ない、そして生成したrsd−crsカセットをベクターpPCR−Script (StratageneTM)中にクローン化した。ここからpHUR3のEcoRI部位中にこのカセットを再クローンしてプラスミドpHUR3rsdΔ5974(図3)を得た。
【0094】
rsd−crsカセットは弱毒チフス菌株におけるpHUR3rsdΔ5974の遺伝を安定化する。プラスミドpHUR3rsdΔ5974を弱毒チフス菌株BRD948中に遺伝子導入し、継代数に対するプラスミド含有細胞比率を数回の実験により測定した。pHUR3rsdΔ5974誘導体は殆どの実験において元のプラスミドpHUR3よりも有意に安定であった(図7)。しかし、pHUR3rsdΔ5974の消失率は実験間で若干の変動があった。さらに、一度pHUR3rsdΔ5974の消失が始まると、その消失はpHUR3よりも早かった。
【0095】
UreABはpHUR3rsdΔ5974から過剰発現する。プラスミドpHUR3はその中のウレアーゼ、ureAB、Helicobacter pyloriのオペロンはSalmonella htrAプロモーターから発現する発現ベクターである。これは、異種抗原に対する免疫応答を増強することが認められているチフス菌の宿主細胞への侵襲が生じた時にureABの発現が誘導されるのを確実にする。さらに、異種抗原の発現はそれがコードされているプラスミドの遺伝に対して不安定化する影響を及ぼすことができる。したがって、それをコードしているプラスミドを維持するためにインビトロ増殖の間は異種抗原の発現を抑制することが望ましい。したがって、我々はpHUR3中へのrsd−crsカセットの導入がureABの発現に影響しないことを確認することにした。チフス菌株のウエスタンブロット分析は、pHUR3rsdΔ5974からのUreABの発現はpHUR3からよりは有意に高いことを示した。これもまたrsd−crsカセットの方向が逆転しているケースであった。このことはrsd−crsカセット内に始まる強いそして異なるプロモーター作用があり、ureABオペロンの制御できない転写を生じたことを示している。
【0096】
高レベルのウレアーゼ発現のために安定化カセットに調節できないプロモーターを加えてしまったのでそれを含むチフス菌細胞にプラスミドpHUR3rsdΔ5974が著しい負荷を与えていると我々は結論する。プラスミドを失った細胞が稀に生じた時には、この追加的負荷のために速い速度でウレアーゼを発現し続ける細胞がより早く増殖する。このように、一度開始したプラスミド消失の速度はpHUR3におけるよりもpHUR3rsdΔ5974における方が速い。
【0097】
例3:
E. coliのrrnB 5S RNA遺伝子の3’−領域は強力な転写ターミネーターを組込んでいる(Brosius et al, Gene, 1984. 27(2): 161−172)。ウレアーゼ発現に対するrsd−crsカセットの作用に対抗するために、htrAプロモーターのすぐ上流にこの転写ターミネーターを使用してpHUR3rsdΔ5974誘導体を構築した。さらに、β−ラクタム抗生物質は治療に使用されることが多いので、ワクチン株の成分としてβ−ラクタマーゼ抵抗性決定基を持たない方が望ましい。したがって我々は、このpHUR3rsdΔ5974誘導体のbla遺伝子をプラスミドpH3RC3に付与したカナマイシン抵抗性決定基と置換した(図5)。
【0098】
プラスミドpH3RC3は以下のようにして構築した。最初に、crsに近接するEcoRI部位を除去した。EcoRIで部分消化した後アガロースゲルから線状プラスミドを単離してこれを行なった。付着末端を付けそしてDNAを結合してE. coli株XL10−Gold(StratageneTM)に遺伝子導入した。関連EcoRI部位を欠失した組換えプラスミドを選別し、pH3RC1と命名した。rrnB 5S転写ターミネーター領域をプライマーとしてオリゴヌクレオチド5991及び5992(表2)を使用してE. coli DNAからPCR増幅した。オリゴヌクレオチドの効果により、生成したフラグメントは一端にEcoRI領域を、他端にEcoRIに適合する付着末端を作るApoI部位を含んでいる。PCR増幅により得られたフラグメントはpPCR−Script(StratageneTM)にクローン化し、そしてこれからApoIを使用して切り出し、そしてpH3RC1のEcoRI部位に再クローンした。クローン化フラグメントを適切な方向に有する組換えプラスミドはプライマーとしてオリゴヌクレオチド5992及び5959を使用するPCRにより同定し、pH3RC2と命名した。カナマイシン耐性決定基をカナマイシンGenBlock(PharmaciaTM)からプライマーとしてオリゴヌクレオチド5989及び5990(表2)を使用してPCR増幅した。生成したフラグメントをBspHIで消化し、そしてアンピシリン耐性決定基を除去するために同じ制限エンドヌクレアーゼで消化したpH3RC2の中へ直接クローン化した。カナマイシン耐性誘導体を選別し、そしてカナマイシン抵抗決定基の方向を、正しい構造に期待されるサイズ(約1.2kb)のDNAフラグメントを発生するオリゴヌクレオチド5962及び5990を使用するPCRにより確認した。これらの誘導体の一つをpH3RC3(図4)と命名した。
【0099】
チフス菌におけるプラスミドpH3RC3のインビトロ安定性。プラスミドpH3RC3をBRD948に導入し、そして大きな継代数における遺伝を検定した。独立に行なった3実験において80世代の間消失せずに維持された(図8)。
【0100】
例4:
本発明はDNAワクチンの安定化にも使用することができ、そしてこの例はどのようにしてDNAワクチンを作ることができるかを説明するための紙上例である。
【0101】
crs−rsdカセットは制限フラグメント上のpH3RC3から作ることができ、そして標準的なクローニング方法によりDNAワクチンベクター中に挿入する。例えば、pVAX−Fは、EcoRIフラグメント上の呼吸器シンシチアウイルスのF抗原をコードする遺伝子をCMV−βプロモーターの多重クローニング部位下流にクローニングすることにより市販ベクターpVAX−1(InvitrogenTM)から作製することができる。
【0102】
本発明のDNAワクチンの安定性は、原核発現プラスミドについて記述したのと同様のインビトロシステムを使用してチフス菌及びネズミチフス菌において評価することができる。さらに、このプラスミドを含有するSalmonella株はJ774及びU937のような細胞系にマクロファージを感染させそして株の経時的なプラスミド維持能力を測定することもできるであろう。
【0103】
DNAワクチンを含むネズミチフス菌株でマウスを経口的に予防接種することができる。株の維持、及びその中のプラスミドの安定性は予防接種後の種々の時点においてマウス脾臓において測定することが可能である。
【0104】
例5:
crs−rsdカセットのcrs領域は両方向に強いプロモーター作用を持っている。このことはpHUR3に比較してプラスミドpHUR3rsdΔ5974によりウレアーゼ発現のレベルが増加することにより示されている。この性質は、例えばhtrAまたはnirBプロモーターによるインビボ調節発現をするように設計した発現ベクターには望ましくない。crs領域のプロモーター作用はRsd結合及び安定遺伝の性質を生じる組換えに必要な部位とは異なるであろう。プロモーター部位を決定するcrs領域及び組換えに必要な領域のマッピングは組換え作用を持つがプロモーター作用は持たない誘導体を構築することを可能にするであろう。これはこのことをどのようにして行なうかを示す紙上実験である。
【0105】
crs領域の削除誘導体を前記重複延長PCRの修正方法を使用して作製することができる(図10及びTao, B.Y. and K.C.P. Lee, Mutagenesis by PCR, In PCR Technology: current innovations, H.G. Griffin and A.M. Griffin, Editors. 1994, CRC Press, Inc.: Boca Raton, Florida. P.69−83を参照)。これを行なうために、削除する領域に隣接するDNAフラグメントを4個のオリゴヌクレオチド(図10のオリゴ1&2及びオリゴ3&4)を使用して二つの別個のPCR反応により作製する。削除する領域に直ちに隣接する2個のオリゴヌクレオチド(図10のオリゴ2及びオリゴ3)は互いに相補的である約20bpの5’−ヌクレオチド配列を有している。このようにして作製された2個のフラグメントを混合し、プライマーとして外側のオリゴヌクレオチド(図10のオリゴ1及びオリゴ4)を取込む第3のPCR反応における鋳型として使用するならば、単一のcrs欠失フラグメントが作製される。
【0106】
組換え作用の安定化は以下のようにして測定することができる。プラスミドpH3RC3の誘導体はその中の複製起点に近いBssSI制限エンドヌクレアーゼ部位を削除して作製することができる。これはプラスミドpH3RC3をBssSIで部分消化し、DNAポリメラーゼのクレノウフラグメントで付着末端に結合し、E. coliの実験室株に遺伝子導入することにより行われる。次いで求めるプラスミドはBssSIで消化したプラスミド標本中に見出すことができる。求めるプラスミドは約6kb及び0.6kbのBssSIフラグメントである。欠失フラグメントはPCR反応の最初のペアにおいてpH3RC3を使用する延長PCRによっても作製することができる。このようにcrsを含むプラスミドpH3RC3のBssSIフラグメントの外側とハイブリッドするようにオリゴヌクレオチドを作製することができる。組込まれたBssSI部位はプラスミドpH3RC3の野生型crsフラグメントの代わりに欠失フラグメントのクローン化に使用することができ、そしてこれらのプラスミド誘導体の遺伝性は材料と方法に記述したプラスミド遺伝検定を使用して試験することができる。著しい消失を示すプラスミド誘導体は組換えを安定化するのに必要な配列を欠失したと見なすことができる。
【0107】
プロモーター作用は、Valdivia及びFalkow(Bacterial genetics by flow cytometry: rapid isolation of Salmonella typhimurium acid−inducible promoters by differential fluoresence induction, Mol. Microbiol, 1996. 22(2): p. 367−78)によって記述されているpFPV25のようなプラスミド発現ベクターによって運ばれ、緑色蛍光タンパクをコードする遺伝子、gfpの前に欠失フラグメントを組込むことにより測定することができる。この目的のために、crsの外側とハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドがgfp遺伝子の発現を推進するために必要な位置であるpFPV25のBamHI部位への取り込みを促進するためのBamHIまたはBg1II制限酵素部位を包含するために必要である。
【0108】
一度組換え作用及びプロモーター作用を安定化する位置がほぼ決定すれば、組換え作用を失わずにプロモーター作用を削除することは可能である。
【0109】
もしも組換えとプロモーターの作用が同じ領域内に位置する、またはかなり重複している、ことが判明したなら、組換え作用に影響しない点突然変異の導入によってはプロモーター作用を不活化することは不可能であろう。これは既に引用した論文にTao and Lee (1994)によって記述されているのと同じ方法で重複延長PCRを使用して行なわれる。次いで突然変異フラグメントは組換え作用をプラスミド安定性検定を使用して、プロモーター作用を上述のgfp発現ベクター検定において検定することができる。
Figure 2004510745
Figure 2004510745

【図面の簡単な説明】
【図1】
Helicobacter pyloriから由来したプラスミドpBR322及びUreAB遺伝子の複製及びアンピシリン決定基を使用し、Salmonella typhimurium htrAプロモーターによって発現するプラスミドpHUR3の遺伝地図。
【図2】
Salmonella dublinの毒性プラスミドのトランス作用解離酵素遺伝子(rsd)及びシス作用多量体解離部位(crs)を有する3 kbフラグメントを挿入することによりpHUR3から作製したプラスミドpHUR3rsdの遺伝地図。
【図3】
Salmonella dublinの毒性プラスミドに存在するrsd遺伝子及びcrs部位を含んでいるが介在配列のない1.5kbカセットを挿入することによりpHUR3から作製したプラスミドpHUR3rsdΔ5974の遺伝地図。
【図4】
htrAプロモーターのすぐ上流で転写終結をするE. coliのrrnB 5S RNA遺伝子の3’領域を挿入することによりpHUR3rsdΔ5974から作製したプラスミドpH3RC3の遺伝地図。
【図5】
継代数に対するプラスミドを維持している細菌の比率として示した、チフス菌CVD908及びCVD948株におけるプラスミドpHUR3及びpNUR3の遺伝。(A)継代数に対するプラスミドを維持している細菌のパーセントを示す。(B)継代数(線型スケール)に対するプラスミドを維持している細菌のパーセント(対数スケール)を示す。
【図6】
チフス菌BRD948及びBRD1116株におけるプラスミドpHUR3rsdの経時的遺伝。(A)継代数に対するプラスミドを維持している細菌のパーセントを示す。(B)継代数(線型スケール)に対するプラスミドを維持している細菌のパーセント(対数スケール)を示す。
【図7】
チフス菌BRD948株におけるプラスミドpHUR3rsdΔ5974の遺伝。(A)継代数に対するプラスミドを維持している細菌のパーセントを示す。(B)継代数(線型スケール)に対するプラスミドを維持している細菌のパーセント(対数スケール)を示す。
【図8】
チフス菌BRD948株におけるプラスミドpH3RC3の遺伝。(A)継代数に対するプラスミドを維持している細菌のパーセントを示す。(B)継代数(線型スケール)に対するプラスミドを維持している細菌のパーセント(対数スケール)を示す。
【図9】
Rsd/crsシステムのpH3RC3多量体解離に及ぼす影響。pHUR3(対照プラスミド)及びpH3RC3(本発明によるプラスミド)を含んでいるBRD948のプラスミドDNAを抽出し、アガロースゲル電気泳動にかけた。pH3RC3の方が大きなプラスミドであるにもかかわらず、プラスミドpHUR3の方が移動は少なかった。このことはネズミチフス菌BRD948株のpHRC3に比較してpHUR3は多量化していることを示しており、pHUR3について認められた遺伝の不安定はプラスミド多量体の形成によるという考えを補強している。
【図10】
修飾重複延長PCRの説明。修飾重複延長PCRはDNAにおける規定の欠失突然変異を作製するために使用する。欠失に隣接する2個のDNAフラグメントを増幅するために4個のオリゴヌクレオチドが設計される。最も遠いオリゴヌクレオチド(オリゴ1及びオリゴ4)は最終産物をクローニングできるようにその5’−末端(“R”及び“S”)に制限エンドヌクレアーゼ部位を正常に含んでいる。内側のオリゴヌクレオチド(オリゴ2及びオリゴ3)の5’−末端の約20塩基は生成したDNAフラグメントの末端の基礎的ペアリングを可能にするために互いに相補的(太線で示す)である。第一段階において、欠失させる領域に隣接した2個のDNAフラグメントを別々のPCR反応に於いてオリゴ1とオリゴ2、及びオリゴ3とオリゴ4を使用して増幅する。第二段階においてこのようにして生成したDNAフラグメントをオリゴ1とオリゴ4を使用する別のPCR反応に鋳型として使用する。

Claims (30)

  1. 医薬として受容し得る担体または希釈剤及び下記を含む細菌:
    (i)部位特異的組換え酵素をコードするDNA配列;及び
    (ii)組換え酵素の認識配列及び異種ポリペプチドをコードするDNA配列を含むプラスミド、
    からなるワクチン。
  2. 異種ポリペプチドが病原体の抗原である請求項1に記載のワクチン。
  3. プラスミドが部位特異的組換え酵素をコードするDNA配列を含む請求項1または2に記載のワクチン。
  4. 部位特異的組換え酵素が部位特異的組換え酵素の解離酵素ファミリーの一員である上記請求項のいずれかに記載のワクチン。
  5. 部位特異的組換え酵素がRsd解離酵素でありそして認識配列がcrs認識配列である請求項4に記載のワクチン。
  6. Rsd解離酵素およびcrs認識配列がプラスミド上で0.5kb以下離れている請求項5に記載のワクチン。
  7. Rsd解離酵素が
    (a) SEQ ID NO:1の位置680から1459のヌクレオチド配列を含むDNA分子、
    (b) (a)の相補体にハイブリッド形成するDNA分子、または
    (c) (a)または(b)のDNA分子と同じアミノ酸配列をコードするが(a)または(b)のDNA分子の縮重型であるDNA分子、
    によってコードされている請求項5または6に記載のワクチン。
  8. crs認識配列が
    (a) SEQ ID NO:1のヌクレオチド54から556またはその相補体、または
    (b) SEQ ID NO:1のヌクレオチド53から556の配列を含むDNA分子とハイブリッド形成するDNA分子またはその相補体、
    の配列を有する請求項5,6または7に記載のワクチン。
  9. 認識配列と異種ポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーターの間に転写終結配列が存在する上記請求項のいずれか一つに記載のワクチン。
  10. ポリペプチドの発現がnirB, pagC, ssaHまたはhtrAプロモーターにより推進される上記請求項のいずれか一つに記載のワクチン。
  11. 細菌がEscherichia, Salmonella, Shigella, Vibrio, Neisseria, Bordetella, ListeriaまたはMycobacterium属から選択されている上記請求項のいずれか一つに記載のワクチン。
  12. 細菌がEscherichia coli, Salmonella typhimurium, Salmonella typhi, Salmonella enteritidis, Salmonella choleraesuis, Salmonella dublin, Neisseria gonorrhoeae, Neisseria menigitidis, Shigella flexneri, Shigella dysenteriae, Shigella sonnei, Vibrio CholeraeまたはMycobacterium tuberculosisである請求項11に記載のワクチン。
  13. 細菌が病原性細菌の弱毒株である上記請求項のいずれか一つに記載のワクチン。
  14. 細菌がSalmonella typhiの弱毒株である請求項13に記載のワクチン。
  15. 細菌がエンテロトキシン性E. coli (ETEC)、腸病原性E. coli(EPEC)、腸侵襲性E. coli(EIEC)または腸管出血性E. coli(EHEC)の弱毒株である請求項13に記載のワクチン。
  16. 細菌がShigella flexneriまたは Shigella sonneiである請求項13に記載のワクチン。
  17. 細菌が以下の遺伝子:
    aro遺伝子、pur遺伝子、ompC, ompF, ompR, htrA, galE, cya, crpおよびphoP、の少なくとも一つの遺伝子における非復帰突然変異により弱毒化している請求項13から16のいずれか一つに記載のワクチン。
  18. 細菌が1個、2個、3個または4個の異なる遺伝子における非復帰突然変異により弱毒化している請求項13から17のいずれか一つに記載のワクチン。
  19. 細菌が(i)htrA遺伝子または少なくとも一つのomp遺伝子における非復帰突然変異及び(ii)少なくとも一つのaro遺伝子における非復帰突然変異により弱毒化している請求項13から18のいずれか一つに記載のワクチン。
  20. 細菌がaroC遺伝子、ompF遺伝子及びompC遺伝子のそれぞれにおける非復帰突然変異により弱毒化している請求項13から18のいずれか一つに記載のワクチン。
  21. 細菌が2個の異なるaro遺伝子のそれぞれにおける非復帰突然変異により弱毒化している請求項13から19のいずれか一つに記載のワクチン。
  22. aro遺伝子がaroA及びaroC, aroA及びaroDまたはaroC及びaroDである請求項21に記載のワクチン。
  23. 異種ポリペプチドの発現が真核発現カセットにより行われる請求項1から9及び11から22のいずれか一つに記載のワクチン。
  24. 細菌が侵襲的細菌である請求項23に記載のワクチン。
  25. 異種抗原がHelicobacter pylori抗原である請求項2から24のいずれか一つに記載のワクチン。
  26. 上記請求項のいずれか一つに規定されている細菌。
  27. 請求項1から10、23及び25のいずれか一つに規定されているプラスミド。
  28. ヒトまたは動物に予防接種する方法に使用する請求項1から25のいずれか一つに記載のワクチンまたは請求項26に記載の細菌。
  29. ヒトまたは動物に予防接種するための医薬品を製造するために請求項26に記載された細菌の使用。
  30. 請求項1から25のいずれかに記載のワクチンまたは請求項26に記載の細菌を宿主に投与することを含むヒトまたは動物に免疫応答を引き起こす方法。
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JP2015536142A (ja) * 2012-12-07 2015-12-21 ローマン・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングLohmann Animal Health GmbH 生ワクチンの調製

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