JP2004508042A - 細胞表面受容体−リガンド結合のためのレポーターシステム - Google Patents
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Abstract
Description
関連出願の表示
本出願は、2000年9月7日に出願された米国仮出願番号60/230,705号(該仮出願の開示内容全体は本明細書に参考として援用される)に依存し、該仮出願の利益を要求する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、組換え核酸技術の分野に関連する。本発明は、さらに薬物探索の分野に関する。より詳細には、本発明は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、チロシンキナーゼ型受容体、およびイオンチャネルなどの細胞表面受容体と相互作用する物質を検出するための組換え核酸、組換え細胞、キット、およびアッセイに関する。組換え核酸、組換え細胞、キット、およびアッセイは、ハイスループットスクリーニング(HTS)によく適している。
【0003】
当該分野の状態に関する説明
細胞表面受容体と相互作用する物質を検出するためのさまざまなアッセイが当該分野において知られている。一般に、これらのアッセイは、目的の受容体を発現する組換え細胞に依存し、ある物質と該受容体との相互作用をレポーター遺伝子のアップまたはダウンレギュレーションに関連づける。これらのアッセイの多くの目的は、薬学的に活性のある物質を同定することである。そのような薬学的に活性のある物質は、疾患状態もしくは異常に関連しうる所定のシグナル経路において、望ましくない過剰または過少発現を抑えるための薬物として使用することができる。
【0004】
例えば、米国特許第5,401,629号(Harpoldら)は、イオンチャネルおよび/または細胞表面受容体に対するアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を有する化合物をアッセイするための組換え細胞およびアッセイ系を開示している。該‘629号特許は、レポーター遺伝子構築物によって形質転換された、細胞表面上に受容体を有する組換え細胞を開示している。構築物は、1)受容体が該受容体のアゴニストまたはアンタゴニスト活性を有する化合物と相互作用する場合に生じる細胞内状態に応答する転写調節エレメント、および2)検出可能な遺伝子産物をコードし、かつ機能できるように転写調節エレメントに結合されているレポーター遺伝子を含む。転写調節エレメントは、カルシウム、cAMP、またはNGFに応答性を有する。アッセイされる受容体は、アドレナリン性受容体、およびムスカリン性受容体などのGタンパク質共役型受容体である。レポーターは、CAT、ホタルルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、およびアルカリホスファターゼである。細胞系(cell line)は、トランスフェクション可能で、目的の特異的受容体のバックグラウンドレベルが低いかまたは全く認められない状態のものでなければならない。受容体は、カラム5の42行目〜カラム6の12行目に列挙されている。実施例では、組換え哺乳類細胞およびアッセイが開示されている。しかし、該‘629号特許のアッセイは、高い発現レベルを有する細胞を同定し入手するために時間および手間が掛かるクローン選択方法に依存する。さらに、該アッセイは、アッセイの感度を減少させるバックグラウンドシグナルのレベルが高い。
【0005】
米国特許第5,436,128号(Harpoldら)は、細胞表面局在受容体およびイオンチャネルの特異的なアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する物質を検出し、同定する方法、ならびに本方法に有用な組換え細胞について開示している。該‘128号特許の組換え細胞は、特異的イオンチャネルまたは細胞表面受容体を発現するように遺伝子操作され、また、受容体またはイオンチャネルに由来するシグナルによって制御される調節領域に結合したレポーター遺伝子を含むDNA構築物を含有する。組換え細胞は、内因性の細胞表面タンパク質を発現することができるか、または細胞表面タンパク質をコードする異種DNAを発現することができる。細胞表面受容体は、ムスカリン性受容体などのGタンパク質共役型受容体である。調節領域は、c−fos遺伝子、VIP遺伝子、ソマトスタチン遺伝子、プロエンケファリン遺伝子、カルボキシキナーゼ遺伝子、および神経成長因子−1遺伝子、ならびにcAMP応答配列および細胞内カルシウムイオン濃度に応答性を有するエレメントを含む。レポーター遺伝子は、CAT、ホタルルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアルカリホスファターゼである。実施例は、組換え哺乳類細胞系およびアッセイを開示している。しかし、該‘629号特許のアッセイと同様に、該‘128号特許のアッセイは、時間が掛かるクローン選択方法を必要とし、アッセイは、バックグラウンドシグナルのレベルが高い。
【0006】
米国特許第5,854,004号(Czernilofskyら)は、受容体依存性シグナル伝達経路に対する変調効果を有する物質をスクリーニングするためのプロセス、およびそのようなプロセスにおいて有用な組換え細胞を開示している。アッセイは、Gタンパク質共役型受容体を発現する組換え細胞を使用する。該組換え細胞は、受容体の活性に関与する分子の細胞内濃度の変化に応答する調節配列に連結されたレポーターをコードする組換えDNAを含有する。調節分子は、イノシトール−1,4,5−三リン酸、ジアシルグリセロール、cAMP、またはカルシウムである。調節エレメントは、TREまたはCRE調節エレメントである。哺乳類細胞が有用であることが開示されている。レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、CAT、およびルシフェラーゼである。受容体は、Gタンパク質共役型受容体である。しかし、該‘629および‘128号特許と同様に、該‘004号特許のクローン選択方法は、時間および手間が掛かり、高いバックグラウンド対シグナル比を生じる。
【0007】
Himmlerら(Journal of Receptor Research, 13(1−4):79−94, 1993)は、受容体に作用する薬物の生物学的活性を測定する細胞スクリーニングシステムを開示している。該システムは、受容体をcAMPシグナル伝達経路にカップリングさせ、複数のcAMP応答エレメント(CRE)に機能できるように連結されたレポーター遺伝子の転写が活性化されることに依存する。ヒトドーパミンD1受容体およびCRE制御下のルシフェラーゼを発現する安定組換え細胞系は、アポモルフィンの刺激によりルシフェラーゼ誘導を示した。
【0008】
さらに、Weyerら(Receptors and Channels, 1:193−200, 1993)は、ホスホリパーゼCシステムを介して、レポーター遺伝子の発現とGタンパク質共役型受容体の活性化とを関連付けることによってGタンパク質共役型受容体の活性を変調する物質を検出する細胞アッセイシステムを開示している。ICAM−1遺伝子調節領域の制御下にルシフェラーゼ遺伝子を含有する組換え細胞が開示されている。これらの組換え細胞は、ヒトニューロキニン2受容体またはヒトセロトニン2受容体をコードする構築物をさらに含有することができる。ルシフェラーゼ遺伝子の発現は、分子と組換え細胞によってコードされる受容体との相互作用によって制御される。
【0009】
アデニル酸シクラーゼにカップリングする受容体(Chen, W.ら、Anal. Biochem., 22:349−54, 1995)およびCa+を動員することによって作用する受容体(Weyerら、上掲;Stratowa, C.ら、J. Recept. Signal Transduct. Res., 15:617−30, 1995;Sista, P.ら、Mol. Cell. Biochem., 141:129−34, 1994;Schadlow, V.ら、Mol. Biol. Cell, 3:941−51, 1995)に関するいくつかのレポーターシステムに関する記述がある。しかし、それらの中に、多様な環境における化合物の効率的な大量スクリーニングについて十分に最適化されているものはない。
【0010】
さらに最近では、細胞表面受容体と物質との相互作用の結果としてのシグナル伝達経路の活性の変化を検出するためのシステムは、二重レポーター(dual reporter)構築物を含んでいる。例えば、Stablesら(Journal of Receptor & Signal Transduction Research, 19(1−4):395−410, 1999)は、それぞれ異なるGタンパク質共役型受容体に応答する2つの異なるルシフェラーゼレポーターを同時に使用して、各受容体と相互作用する物質を検出することについて開示している。このアッセイでは、ヒトバソプレッシンV2受容体を発現し、cAMP応答エレメントに機能できるように結合されたホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を含有する組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が、ヒトβ2−アドレナリン受容体を発現し、cAMP応答エレメントに操作可能に結合したレニラ(Renilla)ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含有する組換え細胞CHO細胞と共培養された。ホタルルシフェラーゼとレニラルシフェラーゼの活性は異なる基質および反応条件に依存するため、一方の活性化は、例えば組換え細胞が組換え受容体と相互作用する物質と接触する結果として、他方の活性化から区別することができる。こうして、該アッセイは、一つの培養によって、試料中に一または複数の特異的なGタンパク質共役型受容体を活性化する物質が含まれるかどうかについての情報を提供することができる。しかし、上記で考察されたアッセイと同様に、Stablesらのアッセイも、アッセイに最も有用である細胞を同定するために、時間の掛かるクローン選択方法を利用している。
【0011】
真核細胞の膜受容体のうち、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のスーパーファミリー、即ちヘプタヘリックス受容体が最も広範に分布している(例えば、Watson, S.およびArkinstall, S., The G−Protein Linked Receptor Facts Book, Academic Press, London, 1994)。それらは、異なる多くの化学分類由来の非常に多様な物質からシグナルを受け取り、様々な細胞内、組織、および器官応答を生じる。Gタンパク質共役型受容体と相互作用する多様な物質のうち、走化性物質は広範な群を形成する。この群は、微生物による攻撃の間免疫細胞の移動を調節する。さらに、Gタンパク質共役型ケモカイン受容体のいくつかは、HIV−1ウイルスがCD4陽性細胞に融合し続いて感染するために必要であるので、最近非常に注目されている(Weiss, R.A.およびClapham, P.R., Nature, 381:647−648, 1996;Hill, C.M.およびLittman, D.R., Nature, 382: 668−669, 1996;Fauci, A.S., Nature, 384:529−533, 1996)。他のGタンパク質共役型受容体としては、ムスカリン性アセチルコリン受容体、アドレナリン性受容体、セロトニン受容体、およびオプシン受容体、ならびに他の神経伝達物質受容体およびホルモン受容体が含まれる。
【0012】
現在、臨床で使用されている薬学的薬物の70%以上は、Gタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーのメンバーを標的としている。それらが仲介する多数の生理学的作用のため、薬物試験の大部分は、この種類の膜受容体上で行われる。ハイスループットスクリーニング(HTS)の出現により、GPCRに対して特異的に設計された効率的な細胞ベースのレポーターシステムが必要になっている。
【0013】
組換えGタンパク質共役型受容体アッセイが知られ、それらの多くはハイスループットスクリーニングに適用可能である一方、当該分野においてより高感度で、手間および時間が掛からない改良されたアッセイが必要とされている。
【0014】
発明の概要
本発明は、ハイスループットスクリーニングに用いることができる、迅速で、信頼性が高く、比較的安価なレポーターシステムを提供することによって、当該分野における難点に取り組んでいる。本発明は、選択された細胞表面受容体と相互作用する物質を検出するのに使用することができる、遺伝子操作されたレポーターシステムを提供する。従って、本発明は、Ca2+の移動と、マイトジェン活性化タンパク質(MAPK)カスケードを介したシグナルとによって作用するGPCRによく適した新規の最適化された細胞ベースのレポーターシステムを提供する。
【0015】
本発明のシステムは、リガンドの細胞表面受容体への結合、またはリガンドと組換え細胞表面上のイオンチャネルとの相互作用の最終的な結果として、キメラレポーター遺伝子の発現の活性化、もしくはサイレンサーモチーフによる該発現の抑制が生じるように、キメラレポーター遺伝子が、セカンドメッセンジャー応答性エレメントなどの少なくとも1つの転写調節エレメントに機能できるように連結されているレポーター構築物を含有する組換え細胞を使用する。レポーター構築物は、新規のキメラレポーター遺伝子の発現を制御する。キメラレポーター遺伝子は、2つの個別の遺伝子のコーディング配列を含み、それらのそれぞれは検出可能な遺伝子産物を産生する。実施態様では、それらの遺伝子の一方は、内因性の活性を有する(即ち、基質分子または活性化分子の添加を必要としない)遺伝子産物をコードし、他方の遺伝子は、きわめて低いレベルで検出することができる活性を有し、また高いシグナル対ノイズ比を提供するタンパク質をコードする。ある実施態様では、キメラレポーター遺伝子は、強化緑色蛍光タンパク質(Enhanced Green Fluorescent Protein: EGFP)などの緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする配列、またはGFPの一部をコードする配列であって蛍光を発するのに十分な配列を含む。ある実施態様では、キメラレポーター遺伝子はまた、フォチヌス(Photinus)ルシフェラーゼ、またはルシフェラーゼの一部をコードする配列であって発光するのに十分な配列を含む。本発明のレポーター構築物によって、GFPによるシグナルを検出してクローン選択を行うことが可能となる。シグナルを検出するために蛍光活性化セルソーター(FACS)または蛍光顕微鏡を使用することができ、迅速な単一細胞解析および選別が可能である。同時に、ルシフェラーゼによって、感度および信頼性の高いレポーターシグナルが達成される。GFP固有の蛍光があるため、レポーター遺伝子を発現する細胞を検出するために基質分子を予め充填する必要がない。従って、細胞の取り扱いは極めて簡単で、アッセイを強健にする。さらに、クローン選択後の細胞の生存率は非常に高い。
【0016】
従って、本発明は、本発明のレポーター構築物を含有する組換え細胞を提供する。組換え細胞は、レポーター構築物を含有することに加えて、少なくとも1つの外来性受容体、とりわけGタンパク質共役型受容体、他の膜受容体、またはイオンチャネルタンパク質を発現することができる。即ち、組換え細胞は、Gタンパク質共役型受容体を自然に発現することができるか、またはGタンパク質共役型受容体をコードする非相同的核酸を含有することができる。本発明の組換え細胞が細胞表面上に存在するGタンパク質共役型受容体と相互作用する物質に暴露される場合、該細胞は高レベルでレポーター遺伝子を発現するが、細胞表面上に存在するGタンパク質共役型受容体と相互作用する物質が存在しない場合、レポーター遺伝子を検出可能なレベルで発現しない。
【0017】
本発明はまた、組換え細胞を作製する方法を提供する。該方法は、形質転換、トランスフェクション、その他本発明のレポーター構築物を組換え細胞を作製するのに適切な宿主細胞に導入することを含むことができる。該方法は、Gタンパク質共役型受容体などの細胞表面受容体を発現する異種核酸を、宿主細胞に形質転換し、トランスフェクションし、またはそうでなければ導入することをさらに含むことができる。該方法は、宿主細胞のゲノムに組み込まれた遺伝子由来の目的の異種タンパク質を発現する、安定した組換え細胞を準備することを含むことができる。該方法はまた、例えば、FACSまたはレポーター活性の目視での観察(蛍光、色などの変化による)によって、迅速なクローン選択を行うための手順を含むことができる。該方法はまた、プラスミドなどのゲノム外エレメントとして組換え体に存在する、少なくとも1つの異種遺伝子を発現させる一過的に形質転換された組換え細胞の調製を含むことができる。組換え細胞は細胞系であることができ、哺乳類細胞、昆虫細胞、または他の適切な細胞であることができる。
【0018】
従って、本発明は、レポーター構築物を提供する。レポーター構築物は、少なくとも1つの応答エレメントに操作可能に連結されたキメラレポーター遺伝子を含む。レポーター構築物は、選択された宿主細胞におけるキメラレポーター遺伝子の高レベルかつ緊縮な発現について、および選択された細胞表面受容体について、実施者によって最適化される。例えば、レポーター構築物上に存在する応答エレメントの数および間隔配置を最適化して、エレメントが応答性となるのに十分な量の分子が存在する場合にのみ高レベルの発現を提供することができる。この方法では、レポーター構築物は、バックグラウンドシグナルを最小にするのに役立ち、システム全体の信頼性および感度を援助することができる。実施態様では、本発明のシステムを使用して、標的Gタンパク質受容体と相互作用する物質を検出する。実施態様では、最小のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターに融合した複数のTPA(12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート)応答性エレメント(TRE)から成る合成エンハンサーを使用する。レポーター構築物はベクター(例えば、プラスミド)上に存在することができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0019】
さらに、本発明は、本発明のレポーター構築物を作製する方法を提供する。該方法は、核酸の作製や改変に有用であることが当業者に公知である分子遺伝学的技術を含む。該方法は、本発明のレポーター構築物を提供し、本発明のアッセイにおいてレポーター遺伝子の指定された発現を最適化するために使用される。
【0020】
本発明は、細胞表面受容体と相互作用する物質を検出するためのアッセイをさらに提供する。アッセイは、本発明の組換え細胞を、少なくとも1つの物質を含有するサンプルに暴露すること、およびサンプルが組換えレポーター遺伝子の発現を活性化するかどうかを決定すること、それによってサンプル内の少なくとも1つの物質が細胞表面受容体と相互作用したかどうかを示すことを含むことができる。該方法は、細胞表面受容体と相互作用する物質を精製すること、単離すること、および/または同定することをさらに含むことができる。
【0021】
従って、本発明は、本発明のアッセイを実施するためのキットを提供する。キットは、すべての細胞、構築物、試薬、および目的の細胞表面受容体へのある物質の結合を検出するのに必要な供給物を含むことができるが、必ずしもこれらを含まない。キットは、例えば、Gタンパク質共役型受容体活性化代謝経路の活性を変調する薬物を同定するために使用することができる。
【0022】
図面を参照することにより、本発明は、より詳細に説明されるであろう。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、細胞表面受容体またはイオンチャネルと相互作用する物質を検出するためのレポーターシステムを提供する。レポーターシステムは、目的の細胞表面受容体またはイオンチャネルを発現する組換え細胞、および細胞表面受容体もしくはイオンチャネルともう1つの分子(例えば、リガンド)との相互作用の結果として産生されるか、またはそうでなければ利用可能となる少なくとも1つの分子に発現を調節されるレポーター遺伝子とを利用する。本発明のレポーターシステムは、迅速で、信頼性が高くかつ使用が簡単である。レポーターシステムはまた、最良な応答性を有する受容体特異的レポーター細胞系の迅速かつ効率的な確立のためのクローン選択方法を提供する。本発明のレポーター構築物は、多様な細胞タイプにおいて、多様な細胞表面受容体およびイオンチャネルと共に機能し、この点で当該分野において公知である構築物よりも有利である。いくつかの細胞系は、それらを受容不能にする内因性受容体またはイオンチャネルを発現するため、多様な細胞タイプにおいて機能する構築物の能力は有利である。内因性受容体またはチャネルは、組換え試験受容体またはチャネルと共有するリガンドと相互作用することによって干渉することもあるし、あるいは複合的リガンド混合物を使用する場合、内因性受容体またはチャネルは、標的受容体もしくはチャネルと協力して応答することもある。以下に記載のように、他で示さない限り、「受容体」は、一般に受容体およびイオンチャネルの両方を示すものとして使用され、「イオンチャネル」を含めて解釈するとイオンチャネルの機能または一般的アプリケーションと一致しない場合にのみ、受容体に限定して解釈すべきである。
【0024】
本発明の第1の局面では、レポーター構築物を含む核酸が提供される。核酸は、本発明のキメラ遺伝子をコードし、標的細胞において発現され得る任意の核酸であることができる。従って、本発明の核酸は、RNAもしくはDNA、二本鎖もしくは一本鎖、直鎖もしくは閉環、鎖状、および/またはスーパーコイルであることができる。
【0025】
実施態様では、本発明の核酸は、当業者に公知である構築物およびエレメントを含む。例えば、核酸は、発現ベクターまたはシャトルベクターであることができる。その例として、プラスミド;ファージおよびファージ核酸を含むウイルスならびにウイルス核酸;コスミド;ファージミド;ならびに細菌人工染色体(BAC)および酵母人工染色体(YAC)を含む人工染色体が挙げられるが、これらに限定されない。核酸は裸の核酸として提供することもできるし、または核酸を宿主細胞に導いて送達することを助ける他の分子との複合体、もしくは混合物の一部として提供することができる。例えば、核酸は、核酸の宿主細胞への取り込みを増加させるリポソーム、細胞もしくは組織特異的抗体、または細胞もしくは組織特異的リガンドを含む組成物中に用意することができる。
【0026】
本発明のレポーター構築物は、少なくとも1つの転写調節エレメントに操作可能に連結されたキメラレポーター遺伝子を含む。転写調節エレメントは、少なくとも1つのタンパク質もしくはタンパク質複合体が結合することができるプロモーターまたはエンハンサーの部分を構成する。従って、実施態様では、キメラレポーター遺伝子は、プロモーターおよび/または少なくとも1つのエンハンサー配列に、機能できるように連結されている。プロモーターまたはエンハンサー、従って、転写調節エレメントは、それがコーディング配列の転写の調節に参加する場合、コーディング配列に操作可能に連結されている。様々な転写調節エレメントが当業者に公知であり、そのすべてが本発明に適用可能である。転写調節エレメントの例としては、cAMP応答エレメント(CRE)およびTPA応答エレメント(TRE;AP−1)、または表面受容体の刺激時に遺伝子転写に関与する他の任意の転写調節エレメントが挙げられるが、これらに限定されない。他の転写調節エレメントについては、米国特許第5,401,629号および同第5,435,128号(Harpoldら)ならびに米国特許第5,854,004号(Czernilofskyら)に開示されており、それらの全体が参考として本明細書に援用されている。
【0027】
実施態様において、転写調節エレメントは、細胞表面受容体がリガンドに結合する結果として、直接的にまたは最終的に発生し得る細胞内シグナルに応答性を有する。例えば、転写調節エレメントは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)またはホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(TPA)に応答性であることができる。
【0028】
レポーター構築物はすくなくとも1つのキメラレポーター遺伝子を含み、ここで、その発現は少なくとも1つの転写調節エレメントによって制御されている。発現は、細胞内シグナル伝達分子に応答して、アップレギュレートまたはダウンレギュレートされ得る。好ましくは、細胞内シグナル伝達分子が存在しない場合、キメラレポーター遺伝子の発現はほとんど検出されないかまたはまったく検出されない。実施態様では、複数の転写調節エレメントが一つのキメラレポーター遺伝子に操作可能に連結されている。これらの実施態様では、レポーター構築物は、選択された宿主細胞において、キメラレポーター遺伝子が高レベルかつ緊縮に発現するように最適化されている。例えば、構築物上に存在する転写調節エレメントの数および間隔配置は、エレメントが応答する分子が十分量存在する場合にのみ、高レベル発現を提供するように最適化されている。一つの調節エレメントの複数のコピー、1より多いタイプの調節エレメント、またはこれら2つの組み合わせを含むことによって、本発明のレポーター構築物は、バックグラウンドシグナルを最小にし、システム全体の信頼性および感度を援助するように最適化することができる。転写調節エレメントの例には、AP−1、CRE、およびNFATがある。
【0029】
最小プロモーターは、それ自体必ずしも必要ではないが、転写を指令する能力をなお有するプロモーターの最も小さなフラグメントを構成する。上記の2つの成分(即ち、少なくとも1つの転写調節エレメントおよび最小プロモーター)は、本明細書において「レポーター調節エレメント」と規定される。実施態様では、1より多いタイプのレポーター調節エレメントが、単一のキメラレポーター遺伝子に操作可能に連結されている。
【0030】
本発明のレポーター構築物は、少なくとも1つのキメラレポーター遺伝子(本明細書ではレポーター融合遺伝子ともいう)を含む。キメラレポーター遺伝子は、少なくとも2つのタンパク質、またはその機能的部分(即ち、フラグメント)のコーディング配列を含む。適切なレポーター遺伝子は、それらが発現される細胞を溶解もしくは破壊するかまたは該細胞の生存率を減少させる必要を伴わずに、発現産物をモニターすることができるレポーター遺伝子である。「機能部分」は、それが発現される細胞を溶解もしくは破壊するか、または該細胞の生存率を減少させる必要を伴わずに、モニターすることができる活性を有するタンパク質あるいはポリペプチドをコードするのに十分量のコーディング配列である。好適な実施態様では、フラグメントの活性は、該フラグメントが起因する全長タンパク質の活性と同じ活性である。レポーター構築物から発現されるレポータータンパク質は容易に検出することができるため、タンパク質の機能的部分の同定は、過度または過剰な実験を必要とせず、直接的事項である。
【0031】
適切なレポーター遺伝子は当該分野において公知であり、ルシフェラーゼ、抗生物質耐性、重金属耐性、および他の遺伝子であって、発光、蛍光、試薬の色の変化を生じる化学反応、または遺伝子が導入されている細胞におけるいくつかの検出可能な表現型の変化によって、検出することができる上記遺伝子を含む。レポーター遺伝子の例としては、ホタルルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、レニラ(Renilla)ルシフェラーゼ、フォチヌス(Photinus)ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
レポーター構築物において、キメラレポーター遺伝子を作製するために使用されるレポーター遺伝子の選択は、当業者の好みに基づくことができる。当業者に周知でありかつ広範に実施されている標準的な分子生物学技術を使用して、キメラレポーター遺伝子を作製することができる。例えば、制限エンドヌクレアーゼ切断および再連結を使用して、2つのレポーター遺伝子のコーディング領域を融合し、キメラレポーター遺伝子を作製することができる。必要であれば、制限エンドヌクレアーゼ切断部位のオリゴ特異的操作を使用して、レポーター遺伝子の所望の点での切断を確実にし、例えば、キメラレポーター遺伝子の適切なリーディングフレームを維持することができる。
【0033】
本発明のレポーター構築物は選択マーカーをさらに含み、それらには抗生物質耐性および重金属耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。選択マーカーは当業者に周知であり、従って、ここで詳細に列挙する必要はない。選択マーカーは、本発明のアッセイに使用するための大量の構築物を調製するのに有用であり得て、また例えば、本発明の組換え細胞、および該組換え細胞の純粋培養の維持のための選択マーカーとして使用することができる。さらに、本発明のレポーター構築物は、宿主での構築物の複製および維持を増強するために複製開始点を含むことができる。
【0034】
本発明のレポーター構築物によって、本発明を実施する者は、レポーター調節エレメントを介した活性化(または抑制)に応じて所望のレベルのレポーター遺伝子を発現する組換え細胞を作製することができる。例えば、レポーター構築物によって、実施者は、選択された受容体および/またはシグナル伝達経路に連結されることが公知である分子など、予め選択された細胞内シグナル伝達分子によって誘導して、キメラレポーター遺伝子の発現のレベルを最大にすることができる。本発明の実施態様では、ヘプタヘリックス受容体に基づくレポーター細胞系の構築において、最適化されたレポーター構築物が使用される。これらの実施態様では、プロモーターは、最小プロモーターに融合された複数のTREモチーフを含む。実施態様では、レポーター構築物はpGL3−AP1x1 FOSである。実施態様では、レポーター構築物はpGL3.AP1x9 FOSである。実施態様では、レポーター構築物はpGL3−AP1x1 CMVである。実施態様では、構築物は、レポーター構築物pGL3.AP1x9 CMVにおけるような9つのTREモチーフを含む。実施態様では、レポーター構築物はpcFUSIIである。さらに他の実施態様では、レポーター構築物はpcFUS3である。例示的レポーター構築物については、以下の実施例、および図においてより詳細に記載されている。
【0035】
もう1つの局面では、本発明は、本発明のレポーター構築物を作製する方法を提供する。該方法は、核酸の作製や改変に有用であることが当業者に公知である分子遺伝学的技術を含む。該方法は、本発明のレポーター構築物を提供し、本発明のアッセイにおいてレポーター遺伝子の支配された発現を最適にするために使用される。一般に、ベクターなどの一般に利用可能な核酸分子には少なくとも1つのレポーター遺伝子、および少なくとも1つの転写調節エレメントを挿入し、シグナル伝達分子(例えば、転写因子)が転写調節エレメントに結合した結果、検出可能なレポータータンパク質の産生が増強または抑制されるように改変される。単一の転写調節エレメントの複数コピーを、単一なレポーター遺伝子に、機能できるように連結させることができる。さらに、複数の種類のレポーター調節エレメントを、単一なレポーター遺伝子に、機能できるように連結させることができる。さらに、異なる数および種類の調節エレメントの混合物を、単一なレポーター遺伝子に機能できるように連結させることができる。レポーター調節エレメントの選択、および各エレメントのコピー数は、宿主細胞において最高レベルのレポーター遺伝子の発現を提供するように最適化すべきである。加えて、発現が所望されない条件下では、発現のレベルは検出のレベルに近いか、またはそれ未満であることが好ましい。該レポーター構築物は、様々な細胞タイプに最適であるが、全シグナルおよびシグナル対ノイズバックグラウンド比は、本発明の構築物を含有する個々の細胞タイプで異なり得る。シグナル対ノイズ比は、利用されているシグナル伝達経路において必要な成分をコードする1つ以上の組換え遺伝子を細胞に導入することによって、改良することができる。選択された細胞に対しレポーター調節エレメントの数を最適化することは、当業者が迅速に達成することができる日常的、直接的事項である。
【0036】
もう1つの局面では、本発明は組換え細胞を提供する。本発明の組換え細胞は、本発明のレポーター構築物を含有する。組換え細胞は、レポーター構築物上に存在する少なくとも1つのレポーター遺伝子を発現することができる。レポーター遺伝子の発現は、細胞表面受容体とリガンドの相互作用に最終的に応答する少なくとも1つの転写調節エレメントによって調節される。レポーター遺伝子の発現は、細胞表面受容体とリガンドとの間の相互作用に応答して、アップレギュレートまたはダウンレギュレートされ得る。実施態様では、レポーター遺伝子の発現は、細胞表面受容体とリガントの相互作用に応答してアップレギュレートされる。リガンドは、薬物、プロドラッグ、およびウイルスを含むが、これらに限定されない細胞表面受容体と相互作用する任意の物質または微生物であることができる。物質、またはリガンドは有機的でもよいし無機的でもよい。
【0037】
実施態様では、細胞表面受容体と相互作用する物質(例えば、リガンド)に細胞が暴露される場合、本発明の組換え細胞は高いレベルでレポーター遺伝子を発現するが、細胞表面受容体と相互作用する物質が存在しない場合、認識可能なレベルでは該遺伝子を発現しない。これらの実施態様では、細胞表面受容体は、Gタンパク質共役型受容体、チロシンキナーゼタイプ受容体、またはイオンチャネル受容体であることができるが、これらに限定されない。
【0038】
従って、レポーター構築物を含有することに加えて、組換え細胞は少なくとも1つの細胞表面受容体を発現する。細胞表面受容体は、内因性遺伝子(即ち、分子生物学的技術を使用して細胞に導入されたのではない遺伝子)から、または組換えにより(即ち、分子生物学的技術による遺伝子を宿主細胞に導入した結果として)発現させることができる。実施態様では、宿主細胞のゲノムに天然に存在する遺伝子の発現は、分子生物学技術により遺伝子のコピーをさらに導入し、組換え細胞を生じることによって増大することができる。従って、細胞表面受容体遺伝子は、1、2、または複数コピーで組換え細胞中に存在することができ、ゲノム上(即ち、宿主の染色体内)、染色体外、またはその両方に存在することができる。実施態様では、細胞表面受容体は、レポーター遺伝子構築物上に存在する遺伝子から発現される。実施態様では、細胞表面受容体は、レポーター遺伝子構築物とは別の構築物上に存在する遺伝子から発現される。実施態様では、細胞表面受容体の発現は調節を受けない(即ち、該受容体は構成的に発現される)が、一方、他の実施態様では、細胞表面受容体の発現は調節を受ける。
【0039】
実施態様では、細胞表面受容体はGタンパク質共役型受容体である。実施態様では、細胞表面受容体はイオンチャネル受容体である。実施態様では、細胞表面受容体はチロシンキナーゼタイプ受容体である。好ましくは、受容体、または発現される受容体の大部分は、細胞表面に局在化される。Gタンパク質共役型受容体の例としては、ロイコトリエンB4受容体(BLTR)、ケモカイン受容体CCR5およびCXCR4、アルファ1bアドレナリン受容体、ならびにC5a受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
特に非内因性細胞表面受容体が発現される実施態様では、シグナル伝達経路の1つ以上のメンバーは不在であるかまたは十分に機能しないため、組換え細胞は、細胞表面受容体から産生されるシグナルを転写調節エレメントに天然には伝達しない。これらの実施態様では、不在であるかまたは十分に機能しない経路メンバーは、組換え「ヘルパー」タンパク質として細胞に供給することができる。組換えヘルパータンパク質は、レポーター構築物または別の発現ベクターから発現させることができる。さらに、それらは、宿主細胞ゲノムに組み込まれているベクターからも発現させることができる。
【0041】
さらなる局面では、本発明は組換え細胞を作製する方法を提供する。該方法は、本発明のレポーター構築物を形質転換、トランスフェクション、またはそうでなければ適切な宿主細胞に導入することを含むことができる。核酸、ウイルスなどを真核細胞に形質転換、トランスフェクト、またはそうでなければ導入するための技術は、当業者に公知である。レポーター構築物、他のベクター(他の遺伝子を共発現させるために使用する場合)、または宿主細胞の容認できない変化を生じない限り、任意の適切な技術を使用することができる。容認できない変化には、核酸および細胞を、意図する目的に不適合にする変化が含まれる。
【0042】
実施態様では、該方法は、Gタンパク質共役型受容体などの細胞表面受容体をコードする異種核酸を宿主細胞に形質転換、トランスフェクト、またはそうでなければ導入することをさらに含む。細胞表面受容体をコードする異種核酸の導入は、レポーター構築物の宿主細胞への導入前、同時、または好ましくは後に、達成することができる。実施態様では、細胞表面受容体をコードする遺伝子は、レポーター構築物上に存在する。他の実施態様では、細胞表面受容体をコードする遺伝子は別の核酸構築物上に存在する。
【0043】
該方法は、宿主細胞のゲノムに組み込まれている遺伝子から目的の異種タンパク質を発現する、安定組換え細胞を調製することを含むことができる。あるいは、該方法は、宿主細胞のゲノムに組み込まれていない遺伝子から(例えば、エプスタイン・バーウイルスベクター上に存在する遺伝子から)目的の異種タンパク質を発現する安定組換え細胞を調製することを含むことができる。該方法はまた、プラスミドなどのゲノム外エレメントとして、組換え体内に存在する少なくとも1つの異種遺伝子を発現する、一過的に形質転換された組換え細胞を調製することを含むことができる。本発明は、最良な発現組換えクローンの迅速な選択のための方法を提供する。安定的および一過的に形質転換された細胞を調製するための技術は、当業者に公知である。一般に、システムを構築する細胞は単一の祖先形質転換体の後代である。本明細書で規定される組換え発現システムは、発現させようとするDNA配列または合成遺伝子に連結された調節エレメントの誘導時に、異種タンパク質を発現する。
【0044】
組換え細胞は細胞系であることができ、哺乳類または非哺乳類であり得る。実施態様では、哺乳類の細胞表面受容体は、昆虫細胞において組換え発現される。一般に、多くの哺乳類転写調節エレメントは、昆虫(例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)卵巣(Sf9、Sf21)細胞)および他の非哺乳類(例えば、酵母、線虫)細胞などの他の真核細胞においても活性を有するため、そのような細胞においても、哺乳類レポーター構築物および組換え細胞受容体を使用することが可能である。例えば、とりわけ細胞内カルシウムレベルに応答性を有する哺乳類細胞由来のAP−1エレメントは、カルシウムを動員する場所に受容体システムが存在するならば、昆虫細胞においても機能することができる。
【0045】
本発明のさらなる局面は、細胞表面受容体と相互作用する物質を検出するためのアッセイである。概略的に、本発明のアッセイの原理を図8に示す。一般に、アッセイは、本発明の組換え細胞(細胞の培養物を含む)をサンプルに暴露させることと、レポーター構築物上に存在するレポーター遺伝子の発現が変化するかどうかを決定することとを含む。変化(即ち、アップまたはダウンレギュレーション)は、サンプルが、組換え細胞の表面に存在する受容体と相互作用することができる少なくとも1つの物質を含有することを示す。レポーター遺伝子発現の変化は、当業者に広く知られておりかつ入手可能である試薬、プロトコル、および装置を使用して、容易に解析される。例えば、多くの業者が、ルシフェラーゼ、CAT、β−ガラクトシダーゼ、およびアルカリホスファターゼ由来のシグナルの発現および検出のためのシステムを販売している。市販されていない他のシステムも当業者に知られており、本発明に従って使用することができる。
【0046】
アッセイは、任意の適切な量の培養培地中の細胞をそのままで(intact)または溶解して実施することができる。好適な実施態様では、アッセイは、96穴または384穴プレートなどのマイクロタイタープレートにおいて実施される。これらの実施態様では、マイクロタイタープレートのいくつかまたはすべてのウェルが、本発明の組換え細胞の培養物を含有する。それぞれの培養物は、同じまたは異なる物質を含有するサンプルに暴露される。従って、選択された細胞表面受容体と相互作用する能力について複数の物質をアッセイするために、同じマイクロタイタープレートを使用することができる。さらに、活性の有無を検証するために、単一のマイクロタイタープレートにおける複数のウェルを使用して、サンプルを複数回アッセイすることができる。すべての場合において、シグナルは、組換え試験受容体を有さない対照細胞において得られるシグナルと相対比較される。
【0047】
本発明のアッセイは、選択された細胞表面受容体と相互作用する大量の物質、または物質の混合物をスクリーニングするために使用することができるハイスループットアッセイであることができる。例えば、本発明の実施態様では、Gタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーの細胞表面受容体を発現する組換え細胞が、ある物質と相互作用すると、受容体にシグナルを発生させ、続いてレポーター構築物上のレポーター遺伝子を活性化する。レポーター遺伝子産物の発現のレベルは、適切な技術(蛍光、発光、色の変化)によってモニターされる。
【0048】
実施態様では、細胞表面受容体と相互作用する物質をアッセイする方法は、細胞表面受容体と相互作用する物質を精製、単離、および/または同定することをさらに含む。これらの実施態様では、当業者に公知の技術を使用して、物質を精製および/または単離することができる。そのような技術としては、沈殿、ろ過(サイズ排除クロマトグラフィーを含む)、液体クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、遠心分離、アフィニティークロマトグラフィー、および溶媒抽出が挙げられるが、これらに限定される必要はない。
【0049】
本発明のレポーターシステムは、組換え細胞のクローン選択を含むことができる。従って、実施態様では、本発明に係る細胞の作製方法は細胞のクローン選択を含む。従って、実施態様では、本発明のアッセイは、細胞表面受容体の活性に影響を及ぼす分子のスクリーニングに先立ち、効率的に発現する細胞を得るためのクローン選択をすることを含む。クローン選択は、当業者に公知である任意の技術を使用して行うことができる。例えば、該アッセイは、低電力手術用顕微鏡のUV光による照射(活性化)中に、蛍光標示式セルソーター(FACS)を使用して行うことができる。従って、本発明のアッセイは、当該分野における公知のアッセイに必要とされた多くの時間および労力を回避する。本発明のシステムにより、他のアッセイに必要な時間の何分の一かで、良好に応答する細胞を同定することが可能である。その結果、本発明のアッセイのシグナル対ノイズ比は他のアッセイよりも高くなる。
【0050】
クローン選択は、レポーター細胞系の構築および本発明のアッセイの実施において有利に使用することができる。しばしば、最終細胞系の感度は、実質的に増加し得る。本発明の構築物におけるキメラレポーター遺伝子の存在はまた、FACSによる、または蛍光顕微鏡によるコロニーの目視下での同定によるコロニー選択を可能にする。従って、実施態様では、フォチヌス(Photinus)ルシフェラーゼにインフレーム(in frame)で融合したEGFPを含む、キメラレポーター遺伝子を有する構築物が提供される。
【0051】
本発明のもう1つの局面では、キットが提供される。実施態様では、本発明のアッセイを実施するために(即ち、特定の細胞表面受容体と相互作用する物質を含有するサンプルを同定するか、またはそのような物質を検出するために)、該キットを使用する。キットは、細胞、構築物、試薬、および目的の細胞表面受容体に対するある物質の結合を検出するのに必要な供給物を含むが、必ずしもこれらに限定されない。例えば、Gタンパク質共役型受容体活性化代謝経路の活性を変調する薬物を同定するために、キットを使用することができる。また、例えば、イオンチャネルと相互作用するタンパク質または小さな分子を検出するために、該キットを使用することができる。
【0052】
実施例
本発明の実施態様の例を参考にして、本発明をさらに説明する。以下の実施例は、本発明の特定の実施例をさらに十分に例示することを意味し、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【0053】
実施例1:レポータープラスミドの構築
本発明のレポータープラスミドの構築を図1に概略的に示す。特に、プラスミドpGL3basic(Promega)を本発明のレポーター構築物の骨格として使用した。本発明で使用するプライマーおよびオリゴヌクレオチドを表1に示す。表中、コンセンサスTREモチーフを太字で示し、制限エンドヌクレアーゼ部位に下線を付している。
【0054】
【表1】
【0055】
プライマーP1およびP2により、最小CMVプロモーターを増幅する一方、プライマーP3およびP4ならびにテンプレートとしてpc−FOS(ATCC41042)を使用し、PCRによってc−fosプロモーターを増幅した。上流プライマー配列はそれぞれ1つのTREを含有した。このTREを、転写開始点に対し−54位(最小c−fosプロモーター)および−51位(最小CMVプロモーター)に挿入した。PCRフラグメントを、それぞれBglII、HindIII(最小CMVプロモーター)、およびSacI、HindIII(最小c−fosプロモーター)で消化した。フラグメントを適切に消化したベクターに挿入した。これにより、それぞれプラスミドpGL3−APx1 FOSおよびpGL3−APx1 CMVが生じた。プラスミドをSacIで線状化し、8xTREボックス(オリゴヌクレオチドO5〜O8に対応する)を挿入した。これにより、プラスミドpGL3−APx9 FOSおよびpGL3−APx9 CMVを生じた。8xTREボックスをベクターに挿入することによって、ベクターのSacI部位が破壊され、オリゴヌクレオチドO5およびO6と共に新たなSacI部位が導入された。5xTRE構築物を得るために、4xTREを含有するSacIフラグメントを切り出し、プラスミドを再連結した(図1)。プライマーおよびオリゴヌクレオチドは本発明者らが設計し、Gibco BRLにおいて注文合成した。
【0056】
実施例2:キメラレポーター遺伝子の構築
プライマーP5およびP6を用いるPCR反応において、プラスミドpEGFP−1(Clontech)をテンプレートとして使用し、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)を増幅した。NcoIおよびBspHIで該産物を切断し、ルシフェラーゼ遺伝子の前方のpGL3−APx9 CMVのNcoI部位に挿入し、プラスミドpFUSIIを得た。それによりEGFPの末端の終止コドンが除去され、EGFPとホタルルシフェラーゼとの間の融合タンパク質を生じた。プラスミドpFUSIIをBamHIおよびKpnIで消化し、完全なレポーター構築物を含有するフラグメントを、BglII/KpnI部位間でpcDNA3プラスミドの骨格に連結し、それによってpcDNA3のCMVプロモーターを置き換えた。得られたプラスミドpcFUSIIはレポーター構築物およびネオマイシン耐性カセットを含有する(図2;配列番号11)。
【0057】
実施例3:レポータープラスミドの構築
3つの原型受容体をレポーターシステムにおいて試験した。すべての受容体ORFを、標準的な技術によりpIRESpuroベクター(Clontech)に挿入した。アルファアドレナリン性受容体、Rα1b cDNAはRobert Lefkowitz博士より無償で提供されたものであり(Lomasneyら、Journal of Biological Chemistry, 266:6365−6369, 1991を参照のこと)、ケモカイン受容体であるCCR5は、本発明者らがPCRによってヒト単球よりクローン化して配列決定し、ヒトロイコトリエンB4受容体であるBLTRをコードするcDNAは、本発明者らの研究室において早期にクローン化されていた(Owmanら、Genomics, 37:187−194, 1996;Owmanら、Biochemical and Biophysical Research Communications, 240:162−166, 1997)。
【0058】
実施例4:レポーター細胞系の選択
細胞培養
10%ウシ胎仔血清、0.5%ストレプトマイシンおよびペニシリンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中において、37℃および7%CO2でGlutamax Iと共に、HeLa細胞およびCHO細胞を増殖させた。
【0059】
トランスフェクション
HeLaおよびCHO細胞に、本質的に当該分野に公知の方法(Rolsら、Nucleic Acids Research,22:540, 1994を参照のこと)の記載通りに、エレクトロポレーション法を用いた。簡単に説明すると、ElectroSquarePorator T820(Genetronics; BTX)を使用することにより、5×106個の細胞を、ギャップ4mmのキュベット内のエレクトロポレーション緩衝液(10mMリン酸緩衝液、250mMショ糖、1mM MgCl2、pH7.2)中で、150Vで3ミリ秒間ずつ15回、電気パルスを与えた。電気パルスの前に、細胞を6〜10マイクログラムのプラスミドと混合し、氷上で10分間インキュベートした。エレクトロポレーション後、細胞を10分間37℃に保った。一過性発現後の刺激実験では、1つのトランスフェクション由来の細胞を24穴プレートの6つのウェルに分配した。
【0060】
15cm径のディッシュ中で増殖させた細胞を、9マイクログラムの線状化されたプラスミドと共にエレクトロポレートし、安定HeLa細胞系を確立した。2日後、培地に、それぞれ1μg/mlのG418または1μg/mlのピューロマイシンを補充した。培地は、2週間の間、1日おきに取り換えた。
【0061】
目視選択手順
約2週間後、プレートあたり50〜200個のコロニーが増殖した。HFレポーター細胞系の選択のために、培地に100nM PMAを約16時間補充した。適切な蛍光フィルターを有するOlympus倒立顕微鏡を使用し、UV光下でコロニーを確認した。緑色のコロニーをピペットで拾い出し、増殖させ、レポーター細胞系として試験した。異なる受容体を、エレクトロポレーションにより安定にトランスフェクトし、ピューロマイシン(1μg/ml)耐性クローンを選択した。コロニーを拾い出し、増殖させ、適切なアゴニストによる受容体刺激後にレポーター遺伝子を活性化する能力について分析した。この手順により、HF1pBLTR細胞、HF1pRα1b細胞、およびHF1pCCR5細胞を生じた。
【0062】
FACS選択手順
Becton−Dickinson製FACS Vantage機器を使用した。HF1細胞およびHF1pBLTR細胞を、6穴プレート内で増殖させた。FACSの16時間前に、細胞を、それぞれ3×10−4M ATPまたは2×10−8M LTB4で刺激した。細胞をトリプシン処理し、マグネシウムおよびカルシウムを含まない10ml PBSで3回洗浄し、FACSの1時間前に、1mM EDTAを含有するPBS中に1mlあたり500,000細胞で懸濁した。次いで、HF1細胞から、次の2つのプール、即ち母集団の20%にあたる100,000個の細胞群、および最良の応答性を有する細胞の5%にあたる40,000個の細胞群をそれぞれ選別した。HF1pBLTR細胞(最良の細胞の10%を示す100,000個の細胞)を選別した。最良の応答性細胞は、最も多くのEGFPを含有する細胞と規定される。これらのプールを増殖させ、母細胞系と並行して2週間培養し、次いで、記載のような連結刺激実験に使用した。
【0063】
実施例5:ルシフェラーゼアッセイおよび刺激実験
ルシフェラーゼアッセイ
多様なプロモーター構築物で一過性トランスフェクションした細胞を、トランスフェクションの24時間後に、24穴プレート中で100nM PMAによって10時間刺激した。次いで、培地を取り出し、PBSで1回細胞を洗浄し、1ウェルあたり100マイクロリットルのレポーター溶解緩衝液(Promega)を添加した。分析まで通常1晩、−20℃でプレートを保存した。製造者の指示に従い、ルシフェラーゼアッセイキット(Biothema, Sweden)を用いて、ルシフェラーゼアッセイを実施した。一過性トランスフェクションした細胞を、Turner TD−20e照度計で分析した。安定にトランスフェクションされたクローンのルシフェラーゼアッセイを、96穴プレート形式のBMG Lumistar照度計を用いて行った。組織培養クオリティー用の白色の透明底プレート(Costar)を使用した。1ウェルあたり90μl培地中で約10,000〜20,000個の細胞を増殖させた。3日後、10μl PBSにリガンドを添加し、さらに16時間インキュベートした。培地を除去し、細胞溶解緩衝液を添加した。さらなる解析までプレートを−70℃で保存した。すべての実験は、4回反復で2〜4回実施した。
【0064】
96穴プレートリーダーにおける蛍光分析
透明底を有する黒色プレート(Costar)においてBMG Fluostar蛍光計で蛍光測定を実施した。上記のように培養および刺激した細胞を100μl PBS中でアッセイした。蛍光測定後、PBSを除去し、上記のようにルシフェラーゼ活性を決定した。
【0065】
阻害剤
上記のように、HF1、HF1pBLTR、およびHF1pRα1b細胞を96穴プレート中で増殖させた。それぞれのアゴニストによる刺激の30分前に、それぞれの阻害剤を1μMの濃度で細胞に添加した。16時間後にルシフェラーゼアッセイを実施した。
【0066】
計算
すべての計算は、GraphPadプリズムコンピュータプログラムで実施した。
【0067】
実施例6:昆虫細胞系における最適化のためのpcFUSIIの改変
ネオマイシン耐性遺伝子のSV40プロモーターを、プラスミドpIE1−3(Novagen)由来のバキュロウイルスIE−1プロモーターで置き換えることによって、プラスミドpcFUSIIを昆虫細胞で使用するために改変した。これは、pcFUSIIをEcoRI/AflIIで消化し、AflII部位を平滑化することによって行った。次いで、IE1プロモーターを含有するpIE1−3由来のEcoRI/SmaIフラグメントをこの部位に連結し、このようにして、プラスミドpcFUSII−IEを得た(配列番号12)。
【0068】
実施例7:Gタンパク質キメラ構築物
すべてのネイティブな昆虫Gタンパク質が、哺乳類受容体からシグナルを有効に伝達する能力を有するとは限らないため、昆虫細胞に基づくいくつかのレポーターシステムにはGタンパク質発現ユニットも含有させた。このユニットは、哺乳類GαまたはキメラGαサブユニットのいずれかの転写を制御する構成的(即ち、調節を受けない)プロモーターから成る。次いで、この発現単位は基本レポーターの構築(図2)に挿入される。キメラGタンパク質は昆虫Gαサブユニット(dGαq3)の遺伝子を基本とし、最後の5個のアミノ酸が、ヒトGαi2またはGα16サブユニットのいずれかの最後の5個のアミノ酸で、置き換えられている。これは、表2に記載のプライマーとテンプレートとしてdGq−3の遺伝子(Talluri S.ら、PNAS, 92:11475−11479, 1995)とを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって達成した。
【0069】
【表2】
【0070】
Pwoポリメラーゼ、および2mM MgSO4と共にテンプレートを10サイクル増幅した(95℃で20秒、55℃で30秒、72℃で2分)。産物をBglII/NotIで消化し、続いて、pIE1−3に連結した。得られたプラスミドをEcoRIおよびHindIIIで消化し、平滑化した。IE1プロモーターおよびキメラGタンパク質を含有する発現カセットを精製し、pcFUSII−IEレポーターベクターの充填(filled−in)BsmI部位に連結した。
【0071】
実施例8:レポーター構築物の阻害
選択された阻害剤によって本発明のレポーター構築物が阻害される能力を試験した。図7はこれらの実験の結果を示す。グラフは、本発明のレポーター細胞系、つまり組換え受容体を発現しないHF1、アルファアドレナリン性試験受容体を発現するHF1pRα1bレポーター細胞、およびロイコトリエンB4試験受容体を発現するHF1pBLTRレポーター細胞を示す。それぞれの細胞を、以下に記載するように、a)アゴニストのみ(対照)、b)UO126、c)DHBP、またはd)GF109203Xに暴露した。
【0072】
まず、HF1細胞をATP(図3に例示した最大濃度で)で刺激して内因性ATP受容体を活性化し、次いで、組換え受容体(HF1pBLTRおよびHF1pRa1b)を発現する細胞をそれらの応答性アゴニスト(それぞれ図4Aおよび4Bに例示した最大濃度で)で刺激した。他のシグナル伝達経路を阻害するために、アゴニスト刺激を開始する30分前に、それぞれ1μMの濃度の化合物(右側に示されている)でレポーター細胞を処理した。アゴニストのみで処理した細胞(対照)のルシフェラーゼ活性を100%とした。4回反復して実施した実験の典型的な組を示す。誤差バーは±SEMを示す。スチューデントt検定により統計的有意性解析を実施した。
【0073】
結果は、本発明のレポーター構築物の発現を阻害するために、多様な化合物を使用することができることを示す。この結果はさらに、本発明のシステムは、本発明のレポーター構築物およびレポーター細胞が発生するシグナルのレベルにポジティブな影響を及ぼす化合物または分子を同定するために使用することができるだけではなく、該システムは、シグナルのレベルにネガティブな影響を及ぼす化合物または分子を同定するためにも使用することができることを示す。さらに、この結果は、化合物をシステムに添加して、レポーター構築物および細胞が発生するシグナルの強度を調節することができることを示している。即ち、本発明を実施する当業者が選択した量の阻害化合物または分子を、本発明のアッセイに添加して、所望のレベルのシグナルがアッセイによって産生されるようにシグナルの強度を調整することができる。
【0074】
実施例9:昆虫細胞系に基づくレポーターシステム
昆虫細胞におけるレポーター構築物pcFUSIIの試験
カルシウムの動員時に、レポーター構築物pcFUSIIが昆虫細胞において活性化されるかどうかを試験するために、構築物を一過的にS2細胞にトランスフェクションした。次いで、トランスフェクトされた細胞を、カルシウム放出に影響を及ぼす薬物で処理した。タプシガーギン(500nM)またはスタウロスポリン(500nM)で処理するとレポーター遺伝子の活性化が5〜10倍増加することが見出された(図9)。先に行った哺乳類レポーターシステムでの経験を考慮すると、これらの結果は、pcFUSII構築物が、昆虫細胞のレポーターベクターとして使用することができることを示している。
【0075】
昆虫細胞系のレポーターシステムにおけるエクオリンの試験
昆虫細胞における、このレポーターシステムの有用性を試験するために、pIE1−エクオリン発現プラスミドを、ラットα1bおよびCCR5受容体の発現ベクターと共に、Sf9細胞に共感染させた。ラットα1b受容体は、昆虫細胞の内因性Gタンパク質を使用して、Sf9細胞でカルシウムを動員できることが見出された。一方、CCR5は、ヒトGα16サブユニットの遺伝子を発現する発現ベクターと共感染した場合にのみ、カルシウムを動員することができた。従って、本発明は、ヒト細胞表面受容体に連結したキメラレポーター構築物だけではなく、異種ヒトシグナル伝達経路をも含む組換え細胞を提供するので、様々な細胞表面受容体を使用する様々な細胞においてシステムを使用することができる。
【0076】
実施例10:異なるタイプの調節エレメントの混合物を含有するプロモーターの構築
プラスミドpcFUS2−6xSTAT/NFκBの構築は、オリゴヌクレオチドO9(5’TTTCCGGGAAATTCCCTTTCCGGGAAATTCCCTTTCCGGGAAATTCCCGGATCC3’;配列番号16)およびO10(5’GGGAATTTCCCGGAAAGGGAATTTCCCGGAAAGGGAATTTCCCGGAAA3’;配列番号17)の各2コピーを、EcoRVで消化されたpcFUS2ベクターに連結することによって達成された。6xSTAT/NFκBカセットを含有するKpnI/XhoI断片を切り出して、XhoI制限化pGL3基本プラスミド(PROMEGA)に連結し、pGL3−12xSTAT/NFκBを得た。pcFUS2−6xSTAT/NFκBのKpnI/HindIIIプロモーター断片を、pGL3−9xAP−1FOSのKpnI/HindIIIプロモーター断片で置き換えることによって、レポータープラスミドpcFUS3を構築した。6xSTAT/NFκBおよび9xAP−1カセットを含有するXhoI/HindIIIフラグメントを含有するpcFUS3のプロモーターの配列を、配列番号18として本明細書に開示する。
【0077】
実施例11:pcFUS3をトランスフェクションした哺乳類レポーター細胞系の特徴付け
当該分野において公知の標準的な技術によって、レポーターベクターpcFUS3をHeLa細胞に安定にエレクトロポレーションした。(実施例4および5に記載の通り)320個の安定した細胞クローンを目視選択法によってスクリーニングし、PMAまたはATP刺激後、ルシフェラーゼアッセイ法で20個のクローンを2回再確認した。5個のクローンは、実施したすべての試験でHF1細胞よりも優れていた。目的に最も適した細胞クローンをHFF11と命名し、さらなる研究の例示的クローンとして使用した。
【0078】
HFF11細胞において内因的に発現された受容体を、当該分野において公知のそれぞれのリガンドで刺激した。内因的に発現された受容体CXCR4をSDF−1で刺激するか、または内因的に発現されたATP受容体をATPで刺激することによって得られた結果は、HF1細胞に対してシグナル対ノイズ比が2〜3倍上昇したことを示した。
【0079】
HFF11細胞を使用して、ヒトCCR5またはC5aのヒト受容体(C5aR)を安定して発現する細胞系を確立した。最大限のアゴニスト刺激後、ルシフェラーゼ活性が、CCR5をトランスフェクトした細胞では約80倍、C5a C末端ペプチド(BACHEM H−3462)で刺激したC5aRをトランスフェクトした細胞では約30倍上昇した。
【0080】
実施例12:レポーター構築物で一過的にトランスフェクトした哺乳類細胞の特徴付け
原型レポータープラスミド(pcFUS2;pcFUS2−6xSTAT/NFκB;pcFUS3およびpGL3−12xSTAT/NFκB)を使用し、エレクトロポレーションによってHeLa細胞に一過的にトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、細胞は、100nM PMAまたは100nM PMAと10−6Mタプシガーギンとで刺激されるか、対照として処理された。10時間のインキュベーション後、細胞を溶解し、アッセイした。増幅値を表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
本発明は、好適な実施態様を参考にして上記において詳細に説明してきた。しかし、当業者であれば、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、本発明の実施において様々な改変および変更を加えることができることが理解できるであろう。本明細書において引用されたすべての参考文献は、それらの全体が参考として本明細書に援用される。
【0083】
【配列表】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【図面の簡単な説明】
【図1】プロモーター領域内に様々な数のAP−1(TRE)モチーフを含むことによる、本発明のレポーター構築物の構築を概略的に示す図である。
【図1A】最小CMVまたは最小c−fosプロモーターのいずれかのすぐ前方にPCRを使用して、第1のTREを直接挿入した。
【図1B】第1のTREの前方にオリゴヌクレオチドO5〜O8を挿入することによって、9xTRE構築物をクローン化した。
【図1C】9xTRE構築物をSacIで消化し、4TREを除去して、5xTREを作製した。
【図2】本発明のレポーター構築物の概略図である。プラスミドpcFUSIIを使用して、安定なHeLaレポーター細胞系、HF1を確立した。構築物は、9xTRE CMV最小プロモーターによって駆動され、HeLa宿主細胞の刺激後のEGFPの検出を可能にするのに十分高いシグナルを確実にする、EGFP−ホタルルシフェラーゼキメラレポーター遺伝子を含有する。pcDNA3ベクターの骨格はまた、ネオマイシン耐性カセットを含有する。名称pAは、ポリAテイルを表す。EGFPは、強化緑色蛍光タンパク質を表す。
【図3】2つの宿主細胞系におけるルシフェラーゼ活性の誘導において、最小c−fosプロモーターまたは最小CMVプロモーターと組み合わせたTREの数の影響を示す図である。
【図3A】HeLa細胞。
【図3B】CHO細胞。
一過性発現のためにエレクトロポレートされた細胞を100nM PMAで10時間刺激した。刺激および非刺激細胞間の相対的発光単位(RLU)の比として増幅を算出した。結果を、3〜4回の独立したトランスフェクション実験(それぞれの実験を3回反復した)の平均値+SEMとして表現する。n.d.は「測定せず」を意味する。
【図4】FACS分析の結果を示す図である。HF1pBLTR細胞を2×10−8MロイコトリエンB4で刺激し、次いで、Becton−Dickinson FACS Vantageで選別した。最も高いEGFPレベルを発現した10%の細胞を通門させ、増殖させた。
【図4A】非刺激細胞。
【図4B】刺激細胞。矢印は、通門させ、増殖させた10%部分の細胞を示す。
【図5】本発明のレポーター細胞系、HF1を確立するために使用したHeLa細胞内に存在する内因性ATP受容体の応答を例示した図である。
【図5A】様々な濃度のATPによる16時間の刺激後の濃度−応答曲線。算出されたEC50値は1.07×10−4Mである。4回反復して実施した典型的な実験の平均値を示す。誤差バーは±SEMを示す。
【図5B】標的細胞上に存在する内因性ATP受容体によって仲介される応答を誘導し、そして伝達するために、示された時点において10−4M ATPによる刺激後に96穴形式で増殖させた本発明のHF1レポーター細胞のTRE介在性応答の時間経過。4回反復して実施した1つの典型的な実験の平均値を示す。誤差バーは±SEMを示す。
【図6】本発明のレポーター細胞を、3つの広く異なるケミカルメディエーターのファミリーを代表するリガンドで活性化された3種類の受容体で試験したモデル実験を示す図である。
【図6A】モノアミン(エピネフリン)がリガンドであった。
【図6B】脂質メディエーター(LTB4)がリガンドであった。
【図6C】(配列RANTESを有する)ペプチドがリガンドであった。
アルファアドレナリン受容体Rα1b(A中)、ロイコトリエンB4受容体BLTR(B中)、およびケモカイン受容体CCR5(C中)を発現するレポーター細胞の刺激に関する濃度−応答曲線を示す。それぞれの受容体は、本発明のHF1レポーター細胞において安定して発現され、それぞれのアゴニストによる刺激を受けた。これらの実験において50%有効濃度(EC50)を生じるアゴニスト濃度の値は、BLTRと相互作用するロイコトリエンB4では、4.4×10−8M;Rα1bと相互作用するエピネフリンでは、1.17×10−7M;およびCCR5と相互作用するRANTESでは、1.11×10−7Mであった。4回反復して実施した典型的な実験の平均値を示す。誤差バー(小さ過ぎてほとんど見えない)はSEMを示す。
【図7】本発明のレポーター構築物の発現のレベルが阻害剤によって変化し得るかどうかを試験するように設計された実験の結果を示す図である。アゴニスト刺激を開始する各30分前に、レポーター細胞を1μMの濃度の多様な化合物(右側に示された)で処理した。4回反復して実施した典型的な組の実験を示す。誤差バーは±SEMを示す。スチューデントt検定により統計的有意性解析を実施した。
【図8】本発明によるアッセイを概略的かつ全体的に示す図である。
【図9】カルシウム放出に影響を及ぼす様々な薬物で処理した場合のS2昆虫細胞におけるpcFUSIIのレポーター構築物発現の結果を示す図である。
Claims (21)
- 少なくとも1つの転写調節エレメントに、機能できるように連結されたキメラレポーター遺伝子を含むレポーター構築物であって、前記キメラレポーター遺伝子が、インフレームで融合された異なる2つの遺伝子由来のコーディング配列を含み、前記コーディング配列のそれぞれが、該コーディング配列が発現される細胞を溶解もしくは破壊するかまたは該細胞の生存度を減少させる必要を伴わずに検出することができる遺伝子産物を産生する、上記レポーター構築物。
- 前記キメラレポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードする遺伝子由来のコーディング配列および発光するタンパク質をコードする遺伝子由来のコーディング配列を含む、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記キメラレポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子、抗生物質耐性遺伝子、重金属耐性遺伝子由来のコーディング配列、またはこれらの遺伝子のうち2つの遺伝子に由来するコーディング配列を含む、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記キメラレポーター遺伝子が、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、細菌ルシフェラーゼ遺伝子、レニラ(Renilla)ルシフェラーゼ遺伝子、フォチヌス(Photinus)ルシフェラーゼ遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、アルカリホスファターゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子由来のコーディング配列、またはこれらの遺伝子のうち2つの遺伝子に由来するコーディング配列を含む、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記構築物が、プラスミド、ウイルス、ウイルス核酸、コスミド、ファージミド、または人工染色体である、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記キメラレポーター遺伝子が、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする遺伝子由来およびフォチヌス(Photinus)ルシフェラーゼをコードする遺伝子由来の配列を含む、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記少なくとも1つの転写調節エレメントが、セカンドメッセンジャー応答エレメントを含む、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記少なくとも1つの転写調節エレメントが、cAMP応答エレメント(CRE)、TPA応答エレメント(TRE;AP−1)、NFAT応答エレメント、またはこれら3つのエレメントの混合である、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記少なくとも1つの転写調節エレメントが、細胞表面受容体のリガンドへの結合の結果として、直接的または最終的に発生し得る細胞内シグナルに応答性を有する、請求項1に記載のレポーター構築物。
- 前記少なくとも1つの転写調節エレメントが、環状アデノシン一リン酸(cAMP)またはホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(TPA)に応答性を有する、請求項9に記載のレポーター構築物。
- 前記少なくとも1つの転写調節エレメントが、最小プロモーターに融合した複数のTREモチーフを含む、請求項1に記載のレポーター構築物。
- a)少なくとも1つの転写調節エレメントに、機能できるように連結されたキメラレポーター遺伝子を含むレポーター構築物であって、前記キメラレポーター遺伝子が、インフレームで融合された異なる2つの遺伝子由来のコーディング配列を含み、前記コーディング配列のそれぞれが、該コーディング配列が発現される細胞を溶解もしくは破壊するかまたは該細胞の生存度を減少させる必要を伴わずに検出することができる遺伝子産物を産生する、レポーター構築物と、
b)細胞表面受容体またはイオンチャネルと、
を含む組換え細胞であって、
前記細胞表面受容体またはイオンチャネルと該受容体またはチャネルに特異的に相互作用する物質との相互作用が、レポーター遺伝子の発現レベルを変化させる、組換え細胞。 - 前記細胞が哺乳類細胞または昆虫細胞である、請求項12に記載の組換え細胞。
- 前記細胞がヘプタヘリックス受容体である細胞表面受容体を含む、請求項12に記載の組換え細胞。
- 前記細胞がキットの構成要素として存在する、請求項12に記載の組換え細胞。
- 細胞表面受容体タンパク質またはイオンチャネルに特異的に相互作用する物質の検出方法であって、
a)i)少なくとも1つの転写調節エレメントに、機能できるように連結されたキメラレポーター遺伝子を含むレポーター構築物であって、前記キメラレポーター遺伝子が、インフレームで融合された異なる2つの遺伝子由来のコーディング配列を含み、前記コーディング配列のそれぞれが、該コーディング配列が発現される細胞を溶解もしくは破壊するかまたは該細胞の生存度を減少させる必要を伴わずに検出することができる遺伝子産物を産生する、レポーター構築物と、
ii)細胞表面受容体またはイオンチャネルであって、前記細胞表面受容体またはイオンチャネルが組換え細胞の表面で発現される、細胞表面受容体またはイオンチャネルと、を含む組換え細胞であって、
前記細胞表面受容体またはイオンチャネルと物質との特異的相互作用が、該レポーター遺伝子の発現レベルを変化させる、組換え細胞を準備する工程と、
b)前記細胞表面受容体またはイオンチャネルに特異的に相互作用することが可能であると推測される少なくとも1つの物質を含有するサンプルに、該組換え細胞を暴露させる工程と、
c)前記キメラレポーター遺伝子の発現が変化させられているかどうかを決定する工程と、を含む方法であって、
レポーター遺伝子発現の変化が、サンプル中の物質と細胞表面受容体またはイオンチャネルとの相互作用、即ち、前記細胞表面受容体またはイオンチャネルに特異的に相互作用する物質のサンプル中における存否を示す、検定方法。 - 前記細胞表面受容体がヘプタヘリックス受容体である、請求項16に記載の方法。
- 遺伝子発現の変化が、遺伝子発現の増加である、請求項16に記載の方法。
- 前記キメラレポーター遺伝子が、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする遺伝子由来およびフォチヌス(Photinus)ルシフェラーゼをコードする遺伝子由来の配列を含む、請求項16に記載の方法。
- 組換え細胞を準備する工程が、EGFPによるシグナルの検出によるクローン選択を含む、請求項19に記載の方法。
- シグナルを検出するために蛍光標示式セルソーター(FACS)または蛍光顕微鏡が使用される、請求項20に記載の方法。
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