JP2004507565A - オリゴヌクレオチド合成用のリンカーホスホルアミダイト - Google Patents
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Abstract
カルボン酸リンカーアームの易切断性を、オリゴヌクレオチド合成に有用な汎用担体の単一ホスホルアミダイトとのカップリング化学反応と組み合わせる新規手法。3’−エステル結合を介して結合した保護されたヌクレオシドを一端に有し、反応性ホスホルアミダイト基又は他のホスフェート前駆体基をもう一端に有する2官能リンカーアームを含む、新しいホスホルアミダイト試薬群のリンカーホスホルアミダイトを開示する。リンカーホスホルアミダイト上のホスホルアミダイト基は、中間リンカーアームのない従来のヌクレオシド−3’−ホスホルアミダイト試薬と同じ条件で活性化することができ、類似の反応性を有する。リンカーホスホルアミダイト内に含まれる3’−エステル結合は、予め誘導体化された担体上の結合に類似した諸特性を有する。このエステル結合は後続する全ての合成工程に対して安定であるが、水酸化アンモニウムなどの切断試薬で処理すると加水分解される。これにより、所望の3’−水酸基末端を有するオリゴヌクレオチド生成物が遊離し、担体に付着した該試薬のホスフェート部分(その後廃棄される)が残る。
【選択図】 図5
【選択図】 図5
Description
【0001】
【関連出願の相互参照】
本発明は、米国特許法第119条(e)に基づき、本明細書にその内容を参考文献として援用した仮出願番号60/231301号(2000年9月8日出願)の利益を主張する。
【0002】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、その態様の1つにおいて、オリゴヌクレオチド合成に有用な一連の新規リン含有化合物に関する。他の態様において、本発明はオリゴヌクレオチド合成におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0003】
従来技術の説明
オリゴヌクレオチド類は、生化学及び分子生物学の試薬として広く使用されるようになってきた(G.M.Blackburn and M.J.Gait、Nucleic Acids in Chemistry and Biology、1990、IRL Press、Oxford)。これらの物質は、DNA配列決定用プライマー(C.J.Howe and E.S.Ward、Nucleic Acids Sequencing:A Practical Approach、1989、IRL Press、Oxford)、ポリメラーゼ連鎖反応又は「PCR」(N.Smyth Templeton、1992、Diagnostic molecular Pathology 1、58〜72)プライマー、DNAプローブ(L.J.Kricka、Nonisotopic DNA Probe Techniques、1992、Academic Press、San Diego)として、及び合成遺伝子又は改変遺伝子の構築(S.A.Narang、Synthesis and Applications of DNA and RNA、1987、Academic Press、San Diego)において使用されている。改変オリゴヌクレオチドには、診断薬及び治療薬としての広い用途が見出されている。下記の参照文献を参照されたい。
【0004】
【参考文献1】
特に有意義なのは、数千又は数万の異なるDNA配列を含めることができる高密度DNAアレイの開発であった(M.Schena、DNA Microarreys:A Practical Approach、1999、Oxford University Press、Oxford)。その結果、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドの需要が着実に高まり、現在では毎年数百万個のオリゴヌクレオチドが必要とされている。
【0005】
化学的固相合成法は、必要とされる数多くの合成オリゴヌクレオチドを生成できる唯一の方法であり、ホルホルアミダイトカップリング化学反応を用いた自動合成法(S.L.Beaucage and R.P.Iyer、1992、Tetrahedron 12、2223〜2311)が、好ましい合成法となった。固相合成法の第1段階は、ヌクレオシド残基を不溶性支持体、たとえば細孔性ガラス(controlled pore glass)又はポリスチレンビーズの表面に共有結合によって結合させることである(S.L.Beaucage、D.E.Bergstom、G.D.Glick and R.A.Jones著、「Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry」、2000、Unit 3.1、R.T.Pon、「Solid−phase supports for oligonucleotide synthesis」、John Wiley&Sons、New York)。この結合は、支持体の表面上でオリゴヌクレオチドを合成するために必要な全ての化学的段階に対して耐性でなければならない。さらに、この結合は支持体からオリゴヌクレオチド生成物を遊離するために合成完了後に切断可能でなければならない。
【0006】
支持体から遊離した生成物は、十分に定義され、且つその後の酵素反応に関与可能な(すなわちポリメラーゼなどの酵素によって認識される)末端を有することも重要である。固相オリゴヌクレオチド合成の好ましい方法ではいずれも、3′末端残基を支持体に結合させ、オリゴヌクレオチド配列を3′から5′方向へ組み立てる。支持体から切断した後は3′−水酸基が望ましいが、これは酵素的切断によって生じる構造と一致するからである。3′末端リン酸はポリメラーゼによって延長することができず、このようなオリゴヌクレオチドはPCR又は配列決定用プライマーとしても機能することができないので不十分である。
【0007】
前記リンカーの必要条件は、カルボン酸又はジカルボン酸リンカーアームを使用し、第1のヌクレオチド残基をエステル結合によって3′−水酸基に結合させることによって満たされる。合成後、このエステル結合を水酸化アンモニウムで加水分解すると、支持体から所望する3′−OH官能基を備えたオリゴヌクレオチドが遊離する。このような手段によって支持体にヌクレオチドを結合させる方法は、図1a及び図1bで示した従来技術に例示されているようによく知られている。このようなアプローチでは、ジカルボン酸リンカーアーム、たとえばコハク酸、ヒドロキノン−O,O′−二酢酸、ジグリコール酸、シュウ酸、マロン酸などが頻繁に使用される。
【0008】
しかし、支持体にカルボン酸エステル又はアミド結合を形成するために必要な化学反応は、オリゴヌクレオチド配列を作製するために必要なホスホルアミダイト化学反応とは異なる。したがって、ヌクレオシド結合段階は通常、自動化合成とは別に実施する。自動化合成に先立って、A、C、G、T又はその他の微量ヌクレオシドを含有した予め正確に誘導体化した支持体を選択しなければならない。オリゴヌクレオチド数が少ないときにはこれで十分であるが、異なる配列を96ウェルプレートなどで多数合成するときは面倒で、間違いの原因となり得る。ホスホルアミダイト合成サイクルの直前に自動的にエステル化/アミド化段階を実施する迅速な結合試薬が開発されたが(R.T.Pon、S.Yu and Y.S.Sanghvi、1999、Bioconjugate Chemistry 10、1051〜1057 及びR.T.Pon and S.Yu、1999、Synlett、1778〜1780参照)、これらの試薬にはエステル化化学反応並びにホスホルアミダイト化学反応を実施するために特別に変更したDNA合成機が必要である。
【0009】
市販の自動装置はホスホルアミダイト合成のためのみに設計されているので、単一の化学結合反応のみを使用する方法がより望ましい。この要求を満たすために、1個の遊離水酸基と1個の保護されているか、又は支持体に結合した水酸基を有し、ジオール部分を含有する様々な「汎用」固相支持体が開発されてきた(S.L.Beaucage、D.E.Bergstom、G.D.Glick and R.A.Jones著、「Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry」、2000、Unit 3.1、R.T.Pon、「Solid−phase supports for oligonucleotide synthesis」、John Wiley&Sons、New York)。図1〜3を参照のこと。このアプローチでは、オリゴヌクレオチド配列を合成するために使用された同ヌクレオシド−3′−ホスホルアミダイト試薬を使用して第一のヌクレオシド残基を支持体に結合させる。しかし、これによってオリゴヌクレオチドは3′−エステル結合ではなく3′−リン酸結合によって支持体に結合するようになる。したがって、支持体から切断することによって最初に生成するのは3′−リン酸化生成物である。所望する3′−OH末端の形成には、他の試薬が必要であるか、又は3′−リン酸基を除去するために脱保護の時間を延長することが必要である。脱リン酸化反応はまた、定量的ではなく、そのため生成物の混合物が生じる。したがって、このアプローチは処理時間が長く、所望する3′−OH生成物の収率が低く、最終生成物中に3′がリン酸化された配列とリン酸化されていない配列が混合しているため、満足のいくものではない。
【0010】
したがって、現在まで進歩はしてきたにもかかわらず、まだ改善の余地が残されている。具体的には、ホスホルアミダイトカップリング化学反応を使用する利点と、前述した「正確に予め誘導体化された支持体」を使用する必要なく効率的に自動合成する利点とを兼ね備えた新規オリゴヌクレオチド合成法を得ることが望まれる。
【0011】
【発明の概要】
本発明の一つの目的は、従来技術の上記欠点の少なくとも1つを取り除く又は軽減することである。
【0012】
本発明の一つの目的は、オリゴヌクレオチド合成に有用な新規リン含有化合物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、新規オリゴヌクレオチド合成方法を提供することである。
【0014】
したがって、その一側面において、本発明は式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化47】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
【化48】
(式中、
Q1は有機部分であり、
Q2は−0−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化49】
(式中、Gは、C又はNであって、少なくとも1つがNである)、及び
【化50】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物を提供する。
【0015】
その別の側面において、本発明は式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化51】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
【化52】
(式中、
Q1は有機部分であり、
Q2は−0−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化53】
(式中、GはC又はNであって、少なくとも1つのGはNである)、及び
【化54】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つは電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物を生成する方法であって、
式II、III、及びIVの化合物:
X1−OH (II)
H−Q−O−R24 (III)
Z2 (IV)
(式中、R18は保護基であり、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)
を反応させる工程を備える方法を提供する。
【0016】
その別の側面において、本発明は、式Va又は式Vb:
【化55】
(式中、
X1は、以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化56】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Q1は有機部分であり、
Q2は−0−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化57】
(式中、Gは、C又はNであって、少なくとも1つがNである)、及び
【化58】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数であり、
R25は水素又は保護基である)
で表される誘導体化されたヌクレオシドを生成する方法であって、
式II及びVIで表される化合物:
【化59】
(R26は、水素又は保護基である)
を、式VIIa(式Vaのヌクレオシドを生成する場合)又はVIIb(式Vbのヌクレオシドを生成する場合)で表される化合物:
【化60】
とともに反応させる工程を備える方法を提供する。
【0017】
このように、本発明者等は、カルボン酸リンカーアームの易切断性を、単一ホスホルアミダイトの汎用担体カップリング化学反応と組み合わせる新規手法を開発した。この手法は、一端に3’−エステル結合を介して結合した保護されたヌクレオシドを、他端に反応性ホスホルアミダイト基又は他のホスフェート前駆体基を有する二官能リンカーアームを含有する新しい一群のホスホルアミダイト試薬(リンカーホスホルアミダイト)の合成を必然的に伴う(図2及び3参照)。前記リンカーホスホルアミダイト上のホスホルアミダイト基は、中間リンカーアームを欠く従来のヌクレオシド−3’−ホスホルアミダイト試薬と同一条件下で活性化され、同様の反応性を有する。前記リンカーホスホルアミダイト内に含まれる3’−エステル結合は、予め誘導体化された担体上の結合に類似した諸特性を有する。このエステル結合は、後続する全ての合成工程に対して安定であるが、水酸化アンモニウムなどの切断試薬で処理すると加水分解される。これにより、所望の3’−水酸基末端を有するオリゴヌクレオチド生成物が遊離し、担体に付着した該試薬のホスフェート部分(その後廃棄される)が残る。
【0018】
本明細書を通して、「オリゴヌクレオチド」という語は広い意味を有し、本来のオリゴヌクレオチド、主鎖が修飾されたオリゴヌクレオチド(例えば、オリゴ治療薬として有用なホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、及びメチルホスホネート類縁体)、標識されたオリゴヌクレオチド、糖修飾オリゴヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチド−ペプチド複合体などのオリゴヌクレオチド誘導体を包含するものである。
【0019】
本明細書を通して、置換部分に言及するときには、置換の性質は本明細書に限定されるものではないが、水素、C1〜C20アルキル基、C5〜C30アリール基、C5〜C40アルカリール基(alkaryl group)(前述の各炭化水素基は、それ自体が1以上のハロゲン、酸素、及び硫黄で置換されていてもよい)、ハロゲン、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1以上の要素であり得る。さらに、「アルキル」という語は、本明細書を通して、単結合、1以上の二重結合、1以上の三重結合、及びこれらの混合物を有する炭化水素部分を包含する。
【0020】
式Iの化合物は、担体材料上に所望配列のオリゴヌクレオチドを生成するのに有用である。本明細書では、「担体(support)」及び「担体材料(support material)」という語は区別なく使用され、従来の固体担体を包含するものである。固体担体の性質は、特に限定されず、当業者に周知のものである。したがって、固体担体は無機物でもよい。好適な無機物の例として、これらに限定されるものではないが、シリカ、多孔質ガラス、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル)、及び1以上のこれら物質を含有する粘土からなる群から選択してもよい。あるいは、固体担体は架橋ポリマーなどの有機物でもよい。好適な架橋ポリマーの例として、これらに限定されるものではないが、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。本発明で使用する好ましい一つの固体担体は従来のものであり、細孔の調節されたガラスビーズ及びポリスチレンビーズから選択してもよい。
【0021】
【好ましい実施態様の詳細な説明】
ホスホルアミダイト試薬は、通常、アルコールを、2−シアノエチルジイソプロピルクロロホスホルアミダイト、N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミドクロライド、又はビス−(ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエトキシホスフィンなどの3価のホスファイトと反応させて調製する。得られるヌクレオシドホスホルアミダイト試薬はオリゴヌクレオチド配列の構築に使用できるので、保護された2’−デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、又は保護されていない3’−又は5’−水酸基の何れかを有するその他のヌクレオシド化合物は、この反応の最も一般的な基質である。しかし、アミノ又はチオール末端修飾剤などの他の多数の試薬、非ヌクレオチドスペーサー、蛍光色素、コレステロール又はビタミンEなどの親油基、及びビオチンなどの非同位体標識も、アルコールに、次いでホスホルアミダイト試薬に変換される。これらの試薬では、安定なホスフェート結合を介してオリゴヌクレオチド配列にこの試薬を恒久的に結合させるために、ホスホルアミダイト基が反応基として使用される。
【0022】
本発明の一側面においては、保護されたヌクレオシド又は遊離の水酸基を有する非ヌクレオシド末端修飾剤などの試薬は、カルボン酸リンカーアームにエステル化される。得られるエステル結合は、水酸化アンモニウム又は他の切断条件に曝されたときにその後切断される部位になるであろう。本発明のリンカーホスホルアミダイトは、この内部切断部位を有する点で、生成物からホスフェート基を決して分離しない従前のホスホルアミダイト試薬とは異なるものである。カルボン酸リンカーアームは、3価のホスファイトと反応して前記試薬をホスホルアミダイト試薬に転換できる第2の部位(例えば、水酸基)を有するべきである。したがって、前記リンカーはカルボン酸基及びアルコールの両者を有する任意の化合物であり得る(図2参照)。リンカーとなり得るものの例には、4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMPA)、4−ヒドロキシメチル安息香酸(HMBA)、4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)酪酸(HMPB)、3−(4−ヒドロキシメチルフェノキシ)プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、又は12−ヒドロキシステアリン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
従来から、固相オリゴヌクレオチド合成のリンカーアームは、コハク酸、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸、ジグリコール酸、シュウ酸、マロン酸などのジカルボン酸であり、それらの有用な諸特性は十分に確立されているため、本発明ではこれらのタイプのリンカーアームを継続使用することが望ましい。したがって、周知のジカルボン酸を使用するリンカーホスホルアミダイト試薬の第2の合成ルート(図3)も可能である。この手順では、ジカルボン酸リンカーの一端をヌクレオシドに結合させることにより、切断可能なエステル結合を形成する。次いで、リンカーホスホルアミダイトのホスホルアミダイト部を形成可能なアルコール又はアミノ基へカルボキシル基を転換するのに役立つ第2のジオール又はアミノアルコールに、エステル又はアミド結合を介して、ジカルボン酸の他端を結合する。リンカーアームの第2の部分の化合物候補例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、2−アミノエタノール、1,2−ジアミノエタン、1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ブタンジオール、4−アミノ−1−ブタノール、1,4−ジアミノブタン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、6−アミノ−1−ヘキサノ−ル、1,6−ジアミノヘキサン、又は4−アミノ−シクロヘキサノールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
前記リンカーの末端に存在するリン含有基は、オリゴヌクレオチド合成条件下で活性化することができ、且つ反応できる任意のタイプの前駆体であり得る。オリゴヌクレオチド合成に関しては、ホスホジエステル法、ホスホトリエステル法、修正ホスホトリエステル法、クロロホスファイト又はホスファイトトリエステル法、H−ホスホネート法、ホスホルアミダイト法などの様々な化学的手法が知られている。しかし、現在、最後の2つの方法のみが普通に用いられ、ホスホルアミダイト法が格段に普及している。
【0025】
本発明を通して使用される「活性化」又は「活性化されたリン酸化部分」という用語は広い意味を有するものであり、亜リン酸エステル、リン酸エステル、又はホスホネート結合のいずれかを介してリン基(phosphorous group)を結合することができる様々な方法を指す。3価(PIII)又は5価(PV)のいずれかの酸化状態を含むリン部分が可能であり、リンの酸化状態はカップリング反応の過程で(通常、PIIIからPVへと)変化し得る。したがって、所望の生成物の前駆体となる試薬は、生成物とは異なる酸化状態をとってもよい。リン酸化に使用される試薬は、本質的に反応性であり得、そのため外来の活性化又はカップリング試薬は不要である。このタイプの例には、クロロホスファイト、クロロホスフェート、及びイミダゾール、トリアゾール、若しくはテトラゾール置換ホスファイト、及びホスフェート試薬などがある。別個の活性化剤の存在によって活性化されるまでは安定なリン酸化試薬はより便利であり、広範に使用される。これらの試薬の例には、2−シアノエチル−N,N’−ジイソプロピルホスホルアミダイト誘導体、及びビス−(N、N’−ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエチルホスフィンなどのホスホルアミダイト及びビスホスホルアミダイト試薬がある。カップリング特性をより望ましくするために、反応基を有する試薬を他の反応基で置換してもよい。使用前に、高反応性三塩化リンをトリス−(イミダゾリド)リン又はトリス−(トリアゾリド)リン種へと変換するのがこの例である。カップリング試薬を追加してリン酸化試薬を活性種へとインサイチュで転化する必要がある場合もある。これは、ジシクロヘキシルカルボジイミド又は1−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕−3−エチルカルボジイミド塩酸塩及びこれに類する試薬などのカルボジイミドカップリング試薬;O−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、又はO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、及びこれらに類する試薬などのウロニウムカップリング試薬;及びベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、又はベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、及びこれらに類する試薬などのホスホニウムカップリング試薬が使用できる、カルボン酸エステル及びアミドの形成に類似しているかもしれない。H−ホスホネート試薬のカップリングに特に有用な塩化ピバロイル;及びホスフェート試薬のカップリングに特に有用な置換アリールスルホニルクロライド、イミダゾリド、トリアゾリド、テトラゾリド試薬などの無水中間体混合物を生成するカップリング試薬が必要なこともある。リン酸化試薬は、中性の非荷電種としてそれらの取扱いを容易にする保護基を有していてもよい。これらの保護基は除去可能であり、単離することなく、インサイチュで荷電種を生成することを可能とし、次いでこの荷電種がカップリング反応に関与する。このアプローチの一例は、修正ホスホトリエステル法として知られている。したがって、リン基を導入し、それらをカップリングしてホスファイト、ホスフェート、及びホスホネート結合を生成する広範且つ多様な試薬と反応条件が存在する。しかし、これらの方法はすべて当業者には既知である。
【0026】
4つの一般的な塩基(A、C、G、及びT)又は一般的でないその他の塩基のリンカーホスホルアミダイト試薬は、4つの従来のヌクレオシド−3’−ホスホルアミダイト試薬と同様にして調製し、自動DNA合成装置にかけることができる(図2及び3)。その際、安価で容易に入手可能な誘導体化されていないアミノ又はヒドロキシル固相担体は、「汎用(universal)」担体としてカラム又はプレート形式のいずれでも使用することができる。さらに、後続の鎖伸張工程のために従来のホスホルアミダイト試薬に切り替える前に、第1の合成サイクルでリンカーホスホルアミダイトを結合させるために、標準のホスホルアミダイトカップリングサイクルを使用することができる。両タイプのホスホルアミダイト試薬に対して活性化剤(通常、テトラゾール)が依然同じであるため、追加のカップリング試薬は不要である。1回に8つの異なるホスホルアミダイト試薬を支持できる自動合成装置がすでに広く入手可能なため、4つのリンカーホスホルアミダイトと4つの従来のホスホルアミダイトの1セットを同時に取り付けることは問題とならない。第1のヌクレオシドをエステル又はアミド結合を介して自動的に結合させる本発明者等の従来法は、5つの余分な試薬(4つのヌクレオシドと1つのカップリング試薬)を要し、且つかかる多量の余分な試薬を収容する合成装置は容易に入手できないので、追加されるリンカーホスホルアミダイトが4つしか必要ではないということは、この従来法よりも遥かに有利である。
【0027】
合成終了後、予め誘導体化された担体ですでに使用したものと同じ試薬と条件を用いて、生成物を切断することができ、所望の3’−水酸基末端を有する生成物が遊離することになる。ホスホルアミダイトリンカーのホスフェート部分は、担体に付着したままであり、廃棄される。リンカーホスホルアミダイトで使用されたリンカーアームによっては、この切断工程は非常に速くなり得る。例えば、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸を含有するリンカーホスホルアミダイトを使用すれば、室温の水酸化アンモニウムでほんの2分間処理すれば十分である。担体から遊離したら、これらの生成物を従来法によりさらに脱保護しなければならないが、更なる脱リン酸化工程は不要であり、3’−リン酸化生成物と3’−OH生成物の混合物は生成しない。
【0028】
複数のオリゴヌクレオチドも同じ合成カラムで直列に生成される(図4)。この方法では、第1のオリゴヌクレオチド配列が、5’−末端水酸基を有する、すなわち5’−ジメトキシトリチル基を持たない担体上に合成される。次いで、第1のオリゴヌクレオチドの末端5’−水酸基は、第2のオリゴヌクレオチド配列の3’−末端塩基を含有するホスホルアミダイトリンカーに対する反応部位として働くことができる。この第2の配列は、調製された第1の配列とは同じでも異なってもよい。ホスホルアミダイトリンカーを用いて最初の塩基を付加した後、次いで第2の配列の残部を合成するために従来のホスホルアミダイト試薬を使用する。総塩基数が固相担体の細孔容積を超えるまで、更なる配列を担体上に蓄積し続けてもよい。このようにして調製された複数のオリゴヌクレオチドは、第1の配列を担体表面から切断する試薬で処理したときに、相互及び担体表面から同時に遊離することが好ましい。あるいは、オリゴヌクレオチド生成物間で異なるホスホルアミダイトリンカーを使用すると、個々のホスホルアミダイトリンカーの切断条件を調節することにより、担体から生成物を選択的に且つ順次遊離することが可能になる。第1のオリゴヌクレオチド配列を担体に付着させるために使用したホスホルアミダイトリンカーのホスフェート残基は、使用した担体と共に廃棄してもよい。しかし、後続のホスホルアミダイト付加体リンカーのホスフェート残基は、先行するオリゴヌクレオチドの5’−末端に結合されたままであろう。ホスホルアミダイトリンカーの選択によっては、ある残留リンカー部分が5’−末端ホスホジエステル基を生成するホスフェート残基に結合したままになることもある。こうした5’−ホスフェートジエステル末端修飾は不自然ではあるが、それらが存在しても、DNA配列決定やPCRプライマーとして3’−末端修飾にのみ感受性のあるオリゴヌクレオチドを使用することを妨げず、そのためこのようなオリゴヌクレオチドは、多くの用途に重大な影響を与えずに、なお使用することができる。好ましいホスホルアミダイトリンカー試薬としては、切断と同じ条件下で5’−末端ホスフェート基から脱離する結合基が挙げられる。このホスホルアミダイトリンカーは、天然の5’−モノホスフェート及び天然の3’−OH基を先行オリゴヌクレオチド末端上に生成する。好ましいホスホルアミダイトリンカーを用いて生成されたオリゴヌクレオチドは、5’−末端の関与する連結反応と3’−末端の関与するプライマー伸張反応の両方に関わることができる。
【0029】
したがって、本発明の一側面は、式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化61】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
【化62】
(式中、
Q1は有機部分であり、
Q2は−O−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化63】
(式中、GはC又はNであって、少なくとも1つのGはNである)、及び
【化64】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物に関する。
【0030】
前記リン酸化部分は、
【化65】
(式中、
R11及びR12は同一であるか又は異なり、それぞれは置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−20アリール基、置換又は非置換C5−20アラルキル基でもよく、あるいはR11及びR12は共にC3−10シクロアルキル基を形成し、これらすべてが酸素、窒素、及び硫黄から選択される1以上のヘテロ原子で必要に応じて置換されており、
R10、R13、R14、R15、及びR16は同一であるか又は異なり、それぞれは保護基である)
を含む群から選択されることが好ましい。
【0031】
好ましくは、前記保護基は、置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−30アリール基、C3−10シクロアルキル基、C5−40アルカリール基、C1−20ハロアルキル基、C5−30ハロアリール基、C3−10ハロシクロアルキル基、C1−20ニトロアルキル基、C5−20ニトロアリール基、C3−10ニトロシクロアルキル基、C1−20チオアルキル基、C5−30チオアリール基、C3−10チオシクロアルキル基、C1−20シアノアルキル基、C5−30シアノアリール基、C3−10シアノシクロアルキル基、C1−20アルキルシリル基、及びC5−30アリールシリル基を含む群から選択される。より好ましくは、前記保護基は、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、C1−10アルキルシリル基、C5− 10アリールシリル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される。
【0032】
より好ましいリン酸化部分は、
【化66】
(式中、R10、R11、及びR12は、上で定義した通りである)である。好ましくは、R10、R11、及びR12は同一であるか又は異なり、それぞれは1以上のハロゲン、ニトロ基、チオ基、及びシアノ基で必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である。より好ましくは、R11とR12は同一である。最も好ましくは、R11及びR12それぞれはi−プロピルである。さらに好ましくは、R10はC1−10シアノアルキル基である。最も好ましくは、R10はシアノエチル基である。
【0033】
式Iの化合物において、Q1は有機部分である。好ましくは、この有機部分は、1以上の酸素、窒素、ハロゲン、及び硫黄で必要に応じて置換されたC1−300炭化水素部分である。
【0034】
ひとつの好ましい実施態様において、Q1は、C1−40アルキル基、C5−40アリール基、C5−40アルキルアリール基(alkyaryl)、C3−40シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される。
【0035】
別の好ましい実施態様において、Q1は次式
−CH2−CH2−
で表される。
【0036】
別の好ましい実施態様において、Q1は次式
−CH2−O−CH2−
で表される。
【0037】
さらに別の好ましい実施態様において、Q1は次式:
【化67】
(式中、R17、R18、及びR19は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;R20及びR21は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;Q4は、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)2、及び−N(R)−からなる群から選択され;Rは、水素、置換又は非置換C1−C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;rは0、1、又は2であり;Q5及びQ6のうち一方は、水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、Q5及びQ6のうち他方は次式:
【化68】
(式中、pは0又は1であり、Q7は−O−、−S−、−C(O)−、−S(0)2−、及び−N(R)−からなる群から選択され、Rは水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され、R22及びR23は同一であるか又は異なり、水素、ハロゲン、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、sは0、1、又は2である)で表される)
で表される。
【0038】
式1の化合物における極めて好ましい変数の組み合わせは以下の通りである。
【0039】
l、m、n、o、p、及びqはすべて1であり、
Q1は、
−CH2−CH2−
又は
−CH2−O−CH2−
又は
【化69】
(式中、R17、R18、及びR19は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;R20及びR21は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;Q4は、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)2−、及び−N(R)−からなる群から選択され;Rは、水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;rは0、1、又は2であり;Q5及びQ6のうち一方は、水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、Q5及びQ6のうち他方は次式:
【化70】
(式中、pは0又は1であり、Q7は−O−、−S−、−C(O)−、−S(0)2−、及び−N(R)−からなる群から選択され、Rは水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され、R22及びR23は同一であるか又は異なり、水素、ハロゲン、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、sは0、1、又は2である)で表される)
から選択され、
Q2は酸素であり、
Q3は−SO2であり、
A1、A2、R3、R4、R5、R6はすべて水素であり、
Z1は、以下の構造:
【化71】
(式中、R10は2−シアノエチルであり、R11及びR12はそれぞれイソプロピルである)を有する。
【0040】
式の化合物は式II、III、及びIVの化合物:
X1−OH (II)
H−Q−Q−R24 (III)
z2 (IV)
(式中、R24は水素又は保護基であり、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)を一緒に反応させる工程を備える方法によって生成してもよい。
【0041】
1つの好ましい実施態様においては、R24は保護基であり、前記方法は、式II及びIIIの化合物を反応させて反応生成物を生成する工程と、その後該反応生成物を式IVの化合物と反応させて式Iの化合物を生成する工程とを備える。
【0042】
別の好ましい実施態様においては、R24は水素であり、前記方法は、式III及びIVの化合物を反応させて反応生成物を生成する工程と、その後該反応生成物を式IIの化合物と反応させて式Iの化合物を生成する工程とを備える。
【0043】
保護基を使用することは当該技術分野では従来から行われており、その選択は当業者には周知である。したがって、本明細書で特に言及していない他の保護基を本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0044】
本発明の別の側面は、1以上の目的のオリゴヌクレオチドを合成するために、式Iの化合物を使用することに関する。このことは、
(i) 式Iの化合物を式VIII:
【化72】
(式中、Xは−O−及び−NR19−から選択され、R19は水素、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択される)
で表される担体材料と反応させて、
式IX:
【化73】
で表される第1の誘導体化された担体を生成する工程と、
(ii) 式VIの第1の誘導体化された担体材料を、第1の目的のオリゴヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチド配列が合成されるまで、少なくとも1つのヌクレオチドと反応させる工程と、
(iii) 式IXの化合物から第1の対象オリゴヌクレオチドを切断する工程とを備える方法により達成される。当業者であれば理解できるように、Z1に選ばれるリン酸化部分の選択次第で、リンの酸化状態はPIIIからPVに変化し得る。
【0045】
オリゴヌクレオチド合成に使用する他の試薬、一般的な反応条件、及び装置は、この主題に関する以下の概説記事/テキストに見出せるであろう。
【0046】
【参考文献2】
また、1以上の国際公開第97/23497号[Pon他(Pon #1)]、国際公開第97/23496号[Pon他(Pon #2)]、国際公開第00/01711号[Pon他(Pon #3)]、及び同時係属中の2001年9月5日出願の米国特許出願[Pon他(Pon #4)]も参照されたい。
【0047】
本発明の実施態様を、以下の例を参照して説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではなく、又はそのように解釈してはならない。
【0048】
例1− 5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールスクシネート)−(2−シアノエチルN,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト 4a
5′−ジメトキシトリチルチミジン1(3.27g、6mmol)、無水コハク酸(1.10g、10mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(147mg、1.2mmol)を無水ピリジン(40ml)に溶解して、室温で(2日間)撹拌した。この溶液を留去して濃縮し、クロロホルムに再溶解して、水(2x)及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。このクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥して留去すると粗5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシネート 2a(4.50g)が得られ、さらに精製することなく使用した。
【0049】
5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシネート 2a(2.84g、4.4mmol)を無水アセトニトリル(50ml)及びピリジン(2.9ml)、次に塩化p−トルエンスルホニル(1.64g、8.6mmol)及びN−メチルイミダゾール(1.26ml、15.8mmol)に溶解した。透明な溶液が形成されたら、エチレングリコール(0.25ml、4.5mmol)を添加して、この溶液を室温で20分間撹拌した。この溶液をクロロホルムで希釈して、水、飽和NaCl水溶液及び水で順番に洗浄した。このクロロホルム溶液を濃縮してシリカゲルクロマトグラフィ(2%メタノール/クロロホルム)で精製すると所望する5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールスクシネート) 3aが31%の収率(935mg)で得られた。TLC(シリカゲル、5%メタノール/クロロホルム)Rf=0.38。
【0050】
或いは、5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシネート 2a(1.29g、2mmol)を無水アセトニトリル(30ml)及びピリジン(1.3ml、16mmol)、次に塩化p−トルエンスルホニル(0.74g、3.9mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.57ml、7.2mmol)に溶解した。室温で(10分間)撹拌した後、この溶液をシリンジでエチレングリコール(11.2ml、20mmol)に滴下した。撹拌後(30分)、溶媒を留去に濃縮して、クロロホルムに再溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液及び水(2x)で洗浄した。次いで、1〜2%メタノール/クロロホルムを使用したシリカゲルクロマトグラフィで粗生成物を精製した。3aの収量は1.045g(76%)であった。
【0051】
アルコール3a(923mg、1.34mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.91ml、5.2mmol)を無水クロロホルム(8ml)に溶解し、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.39ml、1.75mmol)を添加した。この反応物を室温で1時間撹拌した。この反応物をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)及び水で洗浄して、次いでシリカゲルクロマトグラフィでジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:53:5から開始してトリエチルアミン/クロロホルム5:95で終了させることによって精製した。これによって、ホスホルアミダイト生成物 4aが89%(1.06g)の収率で得られた。TLC(シリカゲル、20%ヘキサン/酢酸エチル)Rf=0.65。31P NMR(CDCl3)δ150.754及びδ150.269。
【0052】
例2− 5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールジグリコレート)−(2−シアノエチルN,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト4bの合成
5′−ジメトキシトリチルチミジン 1(1.63g、3mmol)、無水ジグリコール酸(522mg、4.5mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(73mg、0.6mmol)を無水ピリジン(30ml)に溶解して、室温で(2日間)撹拌した。この溶液を留去して濃縮し、クロロホルムに再溶解して、水(2x)、飽和NaCl水溶液及び水で洗浄した。このクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥して留去すると粗5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−ジグリコレート 2b(1.93g、98%)が得られ、さらに精製することなく使用した。
【0053】
5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−ジグリコレート 2b(1.93g、2.93mmol)を無水アセトニトリル(40ml)及びピリジン(1.9ml)、次に塩化p−トルエンスルホニル(1.09g、5.7mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.84ml、10.5mmol)に溶解した。透明な溶液が形成されたら、エチレングリコール(0.16ml、2.9mmol)を添加して、この溶液を室温で20分間撹拌した。この溶液をクロロホルムで希釈して、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィ(2%メタノール/クロロホルム)で精製すると所望する5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールジグリコレート) 3bが53%の収率(1.09g)で得られた。TLC(シリカゲル、5%メタノール/クロロホルム)Rf=0.35。
【0054】
アルコール 3b(830mg、1.18mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.80ml、4.6mmol)を無水クロロホルム(8ml)に溶解し、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.34ml、1.5mmol)を添加した。この反応物を室温で1時間撹拌した。この反応物をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)及び水で洗浄して、次いでシリカゲルクロマトグラフィでジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:53:5から開始してトリエチルアミン/クロロホルム5:95で終了させることによって精製した。これによって、ホスホルアミダイト生成物 4bが67%(720mg)の収率で得られた。TLC(シリカゲル、20%ヘキサン/酢酸エチル)Rf=0.65。31P NMR(CDCl3)δ150.774及びδ150.691。
【0055】
例3− 5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールハイドロキノンジアセテート)−(2−シアノエチルN,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト 4cの合成
5′−ジメトキシトリチルチミジン 1及びハイドロキノン−O,O′−二酢酸を使用して、S.L.Beaucage、D.E.Bergstrom、G.D.Glick、and R.A.Jones著「Current Protocols in Nucleic Acids Chemistry」、Unit 3.2、Richard T.Pon、「Attachment of Nucleosides to Solid−Phase Supports」、John Wiley&Sons、New York、2000に記載されているように、5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−ハイドロキノン−O,O′−ジアセテートピリジニウム塩又はトリエチルアンモニウム塩 2cを調製した。2c(2.50g、3mmol)を無水アセトニトリル(50ml)及びピリジン(1.9ml)に溶解した。塩化p−トルエンスルホニル(1.12g、5.9mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.86ml、1.08mmol)を添加した。透明な溶液が形成されたら、エチレングリコール(0.17ml、3.0mmol)を添加し、この溶液を30分間撹拌した。反応は不完全で、さらにエチレングリコール(0.085ml、1.5mmol)を添加して、反応物を一晩放置した。この溶液を留去して濃縮し、クロロホルムで希釈して、水、飽和NaHCO3水溶液、及び水(2x)で洗浄した。粗生成物を0〜3%メタノール/クロロホルムを使用したシリカゲルクロマトグラフィで精製すると、5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールハイドロキノンジアセテート) 3cが収率35%(830mg)で得られた。
【0056】
或いは、2c(2.13g、2.5mmol)を無水ピリジン(1.6ml、20mmol)及び無水アセトニトリル(30ml)に溶解した。塩化p−トルエンスルホニル(0.93g、4.88mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.72ml、9.0mmol)を添加し、この溶液を室温で(10分間)撹拌した。この溶液をシリンジでエチレングリコール(14ml、250mmol)に撹拌しながら滴下した。さらに30分間撹拌後、反応物を留去に濃縮して、クロロホルムに再溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液及び水(2x)で洗浄した。粗物質をクロロホルムに溶かした0〜2%(v/v)メタノール勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィで精製したところ3cが得られた(719mg、収率36%)。
【0057】
ジイソプロピルエチルアミン(0.38ml、2.2mmol)及びアルコール 3c(382mg、0.48mmol)を無水クロロホルム(8ml)に溶解し、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.16ml、0.72mmol)を添加した。室温で2時間撹拌した後、この反応物をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)及び水で洗浄し、次いでシリカゲルクロマトグラフィでジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:53:5(v/v/v)から開始して、次にクロロホルムに溶かした5〜10%のトリエチルアミン(v/v)によって精製した。これによって、ホスホルアミダイト生成物 4cが27%(128mg)の収率で得られた。
【0058】
例4− CPG支持体からのリンカーホスホルアミダイトの切断速度
リンカーホスホルアミダイト 4a、4b、及び4cを無水アセトニトリルに溶解して0.1M溶液を得た。この溶液をPE/Bisystems 394 自動DNA合成機の予備の塩基取付位置に入れた。非誘導体化長鎖アルキルアミン細孔性ガラス(LCAA−CPG)又は非誘導体化グリセロール細孔性ガラス(Gly−CPG)支持体を含有する1μmole規模の合成カラムを、DNA合成用の通常のテトラゾール試薬、脱保護試薬、キャッピング試薬、及び洗浄試薬と共に装備した。リンカーホスホルアミダイト試薬をCPG支持体に結合させるために、1μmole規模の塩基付加サイクルを1回実施した。いずれの場合も5′−ジメトキシトリチル保護基がヌクレオシドに残存した。
【0059】
この合成カラムを合成機から取り外して、真空下で乾燥させた(10分間)。CPG支持体をカラムから取り出し、メタノール及びクロロホルムで再度洗浄して乾燥させた。保持されたヌクレオシドを測定するために各支持体の一部を計量してジメトキシトリチル分析を行った。さらに一部を計量して指定した時間室温の水酸化アンモニウムで処理した。次いで、この支持体を水、アセトニトリル、メタノール、及び最後にクロロホルムで洗浄した。この支持体を乾燥させて、残存した保持ヌクレオシドをジメトキシトリチル分析によって決定した。各リンカーホスホルアミダイトのリンカー切断量を表1に示した。
【0060】
【表1】
表1の結果から、リンカーホスホルアミダイト試薬の切断速度は、従来のスクシネート、ジグリコレート、又はハイドロキノン−O,O′−ジアセテートリンカーアームによって結合したヌクレオシドの切断速度と同様であることがわかる。
【0061】
例5− リンカーホスホルアミダイト試薬を使用した(Tp) 7 Tのオリゴヌクレオチド合成
オクタチミジン配列、TTTTTTTTは、0.1Mリンカーホルホルアミダイト試薬4a〜cを使用して第1のヌクレオシドを添加すること以外は標準的1μmole規模合成条件を使用して、PE/Biosystems 394 DNA合成機で調製した。非誘導体化LCAA−CPG又はGly−CPG支持体を使用した。保持された最初のヌクレオシドは、第1のリンカーホスホルアミダイト結合サイクルによって遊離するジメトキシトリチル陽イオンの量を定量することによって測定した。総結合効率及び平均結合効率は、最初と最後のトリチルの色によって推定した。
【0062】
合成後、トリチル−off自動末端切断方法を使用して、支持体からオリゴヌクレオチド生成物を遊離させた。4a〜bを使用して作製した配列は水酸化アンモニウムで60分間自動処理して切断して、4cの配列は水酸化アンモニウムで5分間自動処理して切断した。収集した生成物の量は260nmでのUV吸収で測定した。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
LCAA−CPG支持体上で試薬4a〜cから調製した(Tp)7T生成物をMALDI−TOF質量分析法によって分析したところ、各オリゴヌクレオチドの質量は予測通りだった(M+H、計算値2371.57、測定値2373.0〜2374.6)。したがって、リンカーホスホルアミダイトから生成した生成物は、従来の合成法によって調製した生成物と同一であった。
【0064】
例6− リンカーホルホルアミダイト試薬を使用したオリゴヌクレオチドdGTAAAACGACGGCCAGTの合成
17塩基長のM13汎用プライマー配列dGTAAAACGACGGCCAGTは、0.1Mリンカーホルホルアミダイト試薬4a〜cを使用して第1のヌクレオシドを添加すること以外は標準的1μmole規模合成条件を使用して、PE/Biosystems 394 DNA合成機で調製した。非誘導体化LCAA−CPG又はGly−CPG支持体を使用した。保持された最初のヌクレオシドは、第1のリンカーホスホルアミダイト結合サイクルによって遊離するジメトキシトリチル陽イオンの量を定量することによって測定した。
【0065】
合成後、トリチル−off自動末端切断方法を使用して、支持体からオリゴヌクレオチド生成物を遊離させた。収集した生成物の量を260nmでのUV吸収で測定した。次に、他の物質もまた回収できるかどうかを決定するために合成支持体に第2の自動切断サイクルを実施した。表3からわかるように、結果から89〜94%の間の生成物が第1の切断期間中に遊離することが示された。
【0066】
【表3】
LCAA−CPG支持体上で試薬4a〜cから調製したM13プライマーオリゴヌクレオチドをMALDI−TOF質量分析法によって分析した。いずれの場合も、生成物は予測通りの質量であった(M+H、計算値5228.41、測定値5225.7〜5228.2)。従来の予備誘導体化LCAA−CPG支持体上で同配列を制御して合成してもまた、MALDI−TOF質量分析法によって同じ結果が得られることがわかった(M+H、計算値5228.41、測定値5229.3)。したがって、リンカーホスホルアミダイトから生成した生成物は、従来の合成法によって調製した生成物と同一であった。
【0067】
例7− リンカーホスホルアミダイト合成による生成物と従来の予備誘導体化支持体から調製した生成物との比較
例5で調製した6種類の未精製オクタチミジン生成物の試料及び例6で調製した6種類の17塩基長M13汎用プライマー配列の試料を、24%ポリアクリルアミド/7Mウレアゲルを使用したポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。5′−ジメトキシトリチルチミジンで予備誘導体化した従来の長鎖アルキルアミンCPG支持体上で合成した標準オクタチミジン及びM13汎用プライマー配列を比較として前記試料と並べて泳動した。さらに、非3′−水酸基ではなく3′−リン酸基を有するオクタチミジン及びM13汎用プライマー配列を合成した。これらの試料もまた、前記試料と並べて泳動して、所望しない3′−リン酸残基を含有する可能性がある生成物を確認した。この結果によって、リンカーホスホルアミダイト生成物は標準生成物と同様に移動することが示された。3′−リン酸化オクタチミジンマーカーは、リンカーホスホルアミダイト生成物よりも早く移動した。3′−リン酸化17塩基長配列もまた、非3′−リン酸化生成物よりも早く移動したが、この場合移動度の違いはそれほど多くない。
【0068】
前記のオリゴヌクレオチドをまた、キャピラリーゲル電気泳動法(CGE)によって、Hewlett−Packard 3−D CE装置、100μmx48.5cm PVAコーティングキャピラリー、HP置換可能オリゴヌクレオチドポリマーA及びHPオリゴヌクレオチド緩衝液を使用して分析した。5′−DMT−T−3′−コハク酸ホスホルアミダイト 4aで作製したM13汎用プライマー配列及び同配列を有する3′−リン酸化オリゴヌクレオチドの混合物のCGE分析によって、3′−リン酸化配列の移動は異なっており、リンカーホスホルアミダイトから得られた生成物から完全に分離することが示された。
【0069】
ポリアクリルアミドゲル及びCGE両方の結果から、リンカーホスホルアミダイトで作製した生成物の移動は予備誘導体化支持体上で作製した標準物と一致し、3′−リン酸化マーカーの移動とは異なることが示された。したがって、いずれの場合においても、オリゴヌクレオチドが支持体から遊離するとき、リン酸残基は生成物の3′−末端から切断されていた。
【0070】
例8−タンデム合成用リンカーホスホルアミダイトの合成(図6)
2,2′−ジスルホニルジエタノールの65%水溶液(10mmol)を無水ピリジン(4x20ml)と共に乾燥するまで留去して、無水ピリジン(25ml)に再溶解した。次に、5′−ジメトキシトリチル−N−保護2′−デオキシリボヌクレオシド−3′−O−コハク酸ヘミエステルトリエチルアンモニウム塩(2.0mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(2.6mmol)、HBTU(2.6mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(10mmol)を添加した。反応物を室温で(10分間)撹拌したところ、TLC(5%メタノール/CHCl3)で反応が完了したことが示された。この溶液を留去によって濃縮してピリジンを除去し、CHCl3で希釈して、水(4x)で洗浄して乾燥するまで留去した。次に、粗生成物 5を1〜3%メタノール/CHCl3を使用したシリカゲルクロマトグラフィによって精製した。収率:B=ABz、73%、B=CBz、80%、B=GiBu、73%、及びB=T、76%。ESI質量分析:B=ABz、M+Na計算値917.95、B=CBz、M+Na計算値892.92、測定値892、B=GiBu、M+Na計算値898.93、測定値=898、及びB=T、M+Na計算値803.85、測定値803。
【0071】
ヌクレオシド 5(1.28mmol)を無水クロロホルム(15ml)に溶かしたジイソプロピルエチルアミン(5.0mmol)の溶液に溶解した。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(1.66mmol)を添加して、反応物を室温で(1時間)撹拌した。この溶液をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)で洗浄した。このクロロホルム溶液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィによってジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:55:3から42:53:5、その後5%トリエチルアミン/CHCl3を使用して生成物 6を精製した。収率:B=ABz、47%、B=CBZ、50%、B=GiBu、49%、及びB=T、56%。
【0072】
例9− リンカーホスホルアミダイト 6を使用した1個のオリゴヌクレオチド合成
リンカーホスホルアミダイト試薬 6の0.1〜0.5M溶液を予備の塩基取付位置5〜8に入れること以外は標準的方法による1μmole規模の合成のために、ABI394DNA合成機を設計した。アミノ基102μmol/gを含有する非誘導体化長鎖アルキルアミン細孔性ガラス(LCAA−CPG)を含有する合成カラムを予備誘導体化LCAA−CPGの代わりに装備した。次に、合成機を表4に示した配列を調製するようにプログラムした。
【0073】
合成後、NH4OHを使用して生成物を支持体から自動的に切断し(60分間)、加熱することによって(55°、16時間)脱保護した。粗生成物をUVによって定量し、結合収率はトリチルの色によって推定し、配列の同一性はMALDI−TOF質量分析法によって確認した(表4)。
【0074】
【表4】
例10− 5′−リン酸化オリゴヌクレオチドの合成
末端に5′−リン酸基を有する17塩基長オリゴヌクレオチド配列、5′−p−dGTAAAACGACGGCCAGTを例9のように調製したが、他の結合サイクルは試薬6(B=T)を使用して実施して、配列末端に他のチミジンヌクレオシド及び5′−リン酸を添加した。次いで、この配列を支持体から切断し、例9のように脱保護した。この段階の間、末端チミジンヌクレオシドは17マーの末端から切断され、5′−リン酸残基を遊離した。同一の配列はまた、従来の「リン酸On」ホスホルアミダイト試薬を使用して合成し、末端5′−リン酸基を添加した。2種の生成物のポリアクリルアミドゲル電気泳動による移動度は同一であった。MALDI−TOF質量分析法もまた使用して、2個のオリゴヌクレオチドの正確で同一の構造であることを確かめた。6でリン酸化されたオリゴヌクレオチド、M+H計算値5308.4、測定値5306.1、「リン酸On」試薬でリン酸化されたオリゴヌクレオチド、M+H計算値5308.4、測定値5308.8。
【0075】
例11− 5′−リン酸化トリヌクレオチドのタンデム合成
アセトニトリルに溶かしたリンカーホスホルアミダイト 6(B=T)の0.1M溶液を394DNA合成の塩基取付位置#8に入れた。リン酸Onホスホルアミダイトの溶液を位置#5に入れた。他の試薬は全て従来の合成法通りに入れた。ハイドロキノン−O,O′−二酢酸リンカーアームによってLCAA−CPGに結合させた5′−ジメトキシトリチルチミジン34mgを含有する合成カラムを使用した。次に、1回のタンデム合成で、配列5AA8GG8CC8TTTを入れることによって4種類のトリヌクレオチド、d(pAAT)、d(pCCT)、d(pGGT)、及びd(pTTT)を調製するように合成機をプログラムした。合成後、NH4OHを使用して(60分)生成物を支持体から自動的に切断し、脱保護した(16時間、55°)。収率:70.6A260単位。
【0076】
A、G、C及びTヌクレオシドに対応する6のリンカーホスホルアミダイト溶液をそれぞれ394DNA合成機の位置#5、6、7及び8に入れた。5′−ジメトキシトリチル−N4−ベンゾイル−2′−デオキシシチジンで誘導体化した1000Å低保持LCAA−CPG(10.7μmol/g)34.1mgを含有する合成カラムを装備した。次に、1アミノ酸のコドンにそれぞれ対応する以下の20個のトリヌクレオチド−5′−リン酸、d(pAAA)、d(pAAG)、d(pACT)、d(pATG)、d(pATC)、d(CAC)、d(pCAT)、d(pCCC)、d(CGT)、d(pCTC)、d(GAA)、d(pGAG)、d(pGCT)、d(pGGT)、d(pGTT)、d(pTAG)、d(pTCT)、d(pTGG)、d(pTGC)、d(pTTC)を、配列AA5AA6AC8AT6AT7CA7CA8CC7CG8CT7GA5GA6GC8GG8GT8TA6TC8TG6TG7−TTCを入れることによって1回のタンデム合成で調製するように合成機をプログラムした。トリチル−ON/マニュアルモードで前記合成を完了した後、位置#5のリンカーホスホルアミダイト試薬をリン酸Onホルホルアミダイトと置き換えて、他の合成サイクルを実施して末端5′−リン酸基を添加した。次に、NH4OHを使用して(60分間)生成物を支持体から自動的に切断し、脱保護した(16時間、55°)。収率:23.6 A260単位。
【0077】
例12− スクシニルスルホニルジエタノール(succ−SE)リンカーアームの加水分解
この例では、スルホニルジエタノール(SE)リンカーホスホルアミダイトが迅速に加水分解されることを示す。この切断の速さは、前述の例3で使用したリンカーで認められた切断とほとんど同じである。
【0078】
アセトニトリルに溶かした5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシニルスルホニルジエタノールホスホルアミダイト 6の0.1M溶液をABI 394 DNA合成機の予備の塩基取付位置に入れた。合成カラムには非誘導体化LCAA−CPGを使用した。他には変更していない1μmole規模の合成サイクルを使用して2種類の合成を実施した。
【0079】
第1の場合では、トリチル−on/マニュアル末端法を使用したホスホルアミダイト結合サイクルを1回のみ実施して、支持体にSEリンカーホスホルアミダイトを添加した。CPGを除去して、支持体の一部をジメトキシトリチル定量分析することによってジメトキシトリチル含量が20.3μmol/gであることを測定した。次に支持体の他の部分を28%水酸化アンモニウム水溶液で1分、5分及び10分間処理した。メタノール及びクロロホルムで洗浄後、支持体をジメトキシトリチル分析したところ、1分、5分及び10分後に生じた加水分解はそれぞれ92%、96%及び98%であることが示された。
【0080】
第2の場合では、トリチル−off/マニュアル末端法を使用して21塩基長配列dAGCTAGCTAGCTAGCTAGCTTを調製した。リンカーホルホルアミダイトの最初の保持量をジメトキシトリチル分析によって測定したところ20μmol/gで、合成全体の平均結合効率は99.8%であった。次に、特定の自動化末端方法を使用して、水酸化アンモニウム28%水溶液を少量ずつ収集バイアルに1分間隔で15分間添加した。この合成法によって3′−OH遊離末端を有するオリゴヌクレオチドが生成した。水酸化アンモニウム各画分を手動で収集し、55°で一晩加熱することによって脱保護し、留去してアンモニアを除去し、次いで260nmのUVで定量した。次いで、支持体から遊離したA260累積量を時間に対してプロットして、加水分解の程度を測定した。この実験によって、1分、5分及び10分後それぞれに生じた加水分解は65%、94%及び98%であることが示された。したがって、支持体からの21塩基長オリゴヌクレオチド配列の切断は、1個のヌクレオシドの切断よりもほんのわずかに遅い。
【0081】
第3の実験では、スルホニルジエタノール結合を含有する市販の「リン酸−On」ホスホルアミダイト試薬を使用して、非誘導体化LCAA−CPGを含有する合成カラムをリン酸化した。次に、3′−リン酸化末端を含有し、3′−OH末端を含有しない21塩基長配列dAGCTAGCTAGCTAGCTAGCTTをこの支持体上で調製した。最初に保持されるリン酸−On試薬は33μmol/gで、合成全体の平均結合効率は99.8%であった。次いで、前述のように水酸化アンモニウム28%水溶液中での加水分解速度を測定した。結果から、1分、5分及び10分後それぞれに生じた加水分解は64%、98%及び99%であることが示された。
【0082】
これらの結果によって、より安定なコハク酸結合を加水分解するよりも、より不安定なスルホニルジエタノール官能基を除去することによって、リンカーホスホルアミダイトの切断が生じることが示される。観察された切断速度(5分で98%)は、ハイドロキノン−O,O′−二酢酸リンカーアームの切断速度(2分で98%)とほとんど同じで、従来のコハク酸リンカーアームの切断速度(約2時間で98%)より著しく速い。したがって、リンカーアームを含有するスルホニルジエタノールは、迅速な切断条件を必要とする適用に適している。
【0083】
例示的な実施態様及び例を参照にして本発明を説明してきたが、この説明は限定した意味で解釈されるものではない。したがって、当業者にとって、例示的実施形態の様々な変更、並びに本発明の他の実施形態は、この説明を参照にすれば明らかであろう。したがって、添付のクレームはこのような変更又は実施形態を包含するものと考えられる。
【0084】
個々の出版物、特許又は特許明細書が具体的かつ個別的にその全体を参考文献として援用するものと表示される場合と同等に、本明細書に関する全ての出版物、特許及び特許明細書は、その全体が参考文献として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1a】
本発明の実施態様を添付の図面を参照して説明するが、同一の数字は同一の要素を示す。図1aは、ヌクレオシドを担体に付ける従来の合成法を示したものである。
【図1b】
図1bは、オリゴヌクレオチドを直列に合成する従来手法を示したものである。
【図2】
本方法の好ましい実施態様を示す。
【図3】
本方法の好ましい実施態様を示す。
【図4】
オリゴヌクレオチドを直列に合成する本方法の好ましい実施態様を示す。
【図5】
下記例1〜3に使用する合成ルートを示す。
【図6】
直列合成用の好ましい試薬の合成について示したものである。
【関連出願の相互参照】
本発明は、米国特許法第119条(e)に基づき、本明細書にその内容を参考文献として援用した仮出願番号60/231301号(2000年9月8日出願)の利益を主張する。
【0002】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、その態様の1つにおいて、オリゴヌクレオチド合成に有用な一連の新規リン含有化合物に関する。他の態様において、本発明はオリゴヌクレオチド合成におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0003】
従来技術の説明
オリゴヌクレオチド類は、生化学及び分子生物学の試薬として広く使用されるようになってきた(G.M.Blackburn and M.J.Gait、Nucleic Acids in Chemistry and Biology、1990、IRL Press、Oxford)。これらの物質は、DNA配列決定用プライマー(C.J.Howe and E.S.Ward、Nucleic Acids Sequencing:A Practical Approach、1989、IRL Press、Oxford)、ポリメラーゼ連鎖反応又は「PCR」(N.Smyth Templeton、1992、Diagnostic molecular Pathology 1、58〜72)プライマー、DNAプローブ(L.J.Kricka、Nonisotopic DNA Probe Techniques、1992、Academic Press、San Diego)として、及び合成遺伝子又は改変遺伝子の構築(S.A.Narang、Synthesis and Applications of DNA and RNA、1987、Academic Press、San Diego)において使用されている。改変オリゴヌクレオチドには、診断薬及び治療薬としての広い用途が見出されている。下記の参照文献を参照されたい。
【0004】
【参考文献1】
特に有意義なのは、数千又は数万の異なるDNA配列を含めることができる高密度DNAアレイの開発であった(M.Schena、DNA Microarreys:A Practical Approach、1999、Oxford University Press、Oxford)。その結果、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドの需要が着実に高まり、現在では毎年数百万個のオリゴヌクレオチドが必要とされている。
【0005】
化学的固相合成法は、必要とされる数多くの合成オリゴヌクレオチドを生成できる唯一の方法であり、ホルホルアミダイトカップリング化学反応を用いた自動合成法(S.L.Beaucage and R.P.Iyer、1992、Tetrahedron 12、2223〜2311)が、好ましい合成法となった。固相合成法の第1段階は、ヌクレオシド残基を不溶性支持体、たとえば細孔性ガラス(controlled pore glass)又はポリスチレンビーズの表面に共有結合によって結合させることである(S.L.Beaucage、D.E.Bergstom、G.D.Glick and R.A.Jones著、「Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry」、2000、Unit 3.1、R.T.Pon、「Solid−phase supports for oligonucleotide synthesis」、John Wiley&Sons、New York)。この結合は、支持体の表面上でオリゴヌクレオチドを合成するために必要な全ての化学的段階に対して耐性でなければならない。さらに、この結合は支持体からオリゴヌクレオチド生成物を遊離するために合成完了後に切断可能でなければならない。
【0006】
支持体から遊離した生成物は、十分に定義され、且つその後の酵素反応に関与可能な(すなわちポリメラーゼなどの酵素によって認識される)末端を有することも重要である。固相オリゴヌクレオチド合成の好ましい方法ではいずれも、3′末端残基を支持体に結合させ、オリゴヌクレオチド配列を3′から5′方向へ組み立てる。支持体から切断した後は3′−水酸基が望ましいが、これは酵素的切断によって生じる構造と一致するからである。3′末端リン酸はポリメラーゼによって延長することができず、このようなオリゴヌクレオチドはPCR又は配列決定用プライマーとしても機能することができないので不十分である。
【0007】
前記リンカーの必要条件は、カルボン酸又はジカルボン酸リンカーアームを使用し、第1のヌクレオチド残基をエステル結合によって3′−水酸基に結合させることによって満たされる。合成後、このエステル結合を水酸化アンモニウムで加水分解すると、支持体から所望する3′−OH官能基を備えたオリゴヌクレオチドが遊離する。このような手段によって支持体にヌクレオチドを結合させる方法は、図1a及び図1bで示した従来技術に例示されているようによく知られている。このようなアプローチでは、ジカルボン酸リンカーアーム、たとえばコハク酸、ヒドロキノン−O,O′−二酢酸、ジグリコール酸、シュウ酸、マロン酸などが頻繁に使用される。
【0008】
しかし、支持体にカルボン酸エステル又はアミド結合を形成するために必要な化学反応は、オリゴヌクレオチド配列を作製するために必要なホスホルアミダイト化学反応とは異なる。したがって、ヌクレオシド結合段階は通常、自動化合成とは別に実施する。自動化合成に先立って、A、C、G、T又はその他の微量ヌクレオシドを含有した予め正確に誘導体化した支持体を選択しなければならない。オリゴヌクレオチド数が少ないときにはこれで十分であるが、異なる配列を96ウェルプレートなどで多数合成するときは面倒で、間違いの原因となり得る。ホスホルアミダイト合成サイクルの直前に自動的にエステル化/アミド化段階を実施する迅速な結合試薬が開発されたが(R.T.Pon、S.Yu and Y.S.Sanghvi、1999、Bioconjugate Chemistry 10、1051〜1057 及びR.T.Pon and S.Yu、1999、Synlett、1778〜1780参照)、これらの試薬にはエステル化化学反応並びにホスホルアミダイト化学反応を実施するために特別に変更したDNA合成機が必要である。
【0009】
市販の自動装置はホスホルアミダイト合成のためのみに設計されているので、単一の化学結合反応のみを使用する方法がより望ましい。この要求を満たすために、1個の遊離水酸基と1個の保護されているか、又は支持体に結合した水酸基を有し、ジオール部分を含有する様々な「汎用」固相支持体が開発されてきた(S.L.Beaucage、D.E.Bergstom、G.D.Glick and R.A.Jones著、「Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry」、2000、Unit 3.1、R.T.Pon、「Solid−phase supports for oligonucleotide synthesis」、John Wiley&Sons、New York)。図1〜3を参照のこと。このアプローチでは、オリゴヌクレオチド配列を合成するために使用された同ヌクレオシド−3′−ホスホルアミダイト試薬を使用して第一のヌクレオシド残基を支持体に結合させる。しかし、これによってオリゴヌクレオチドは3′−エステル結合ではなく3′−リン酸結合によって支持体に結合するようになる。したがって、支持体から切断することによって最初に生成するのは3′−リン酸化生成物である。所望する3′−OH末端の形成には、他の試薬が必要であるか、又は3′−リン酸基を除去するために脱保護の時間を延長することが必要である。脱リン酸化反応はまた、定量的ではなく、そのため生成物の混合物が生じる。したがって、このアプローチは処理時間が長く、所望する3′−OH生成物の収率が低く、最終生成物中に3′がリン酸化された配列とリン酸化されていない配列が混合しているため、満足のいくものではない。
【0010】
したがって、現在まで進歩はしてきたにもかかわらず、まだ改善の余地が残されている。具体的には、ホスホルアミダイトカップリング化学反応を使用する利点と、前述した「正確に予め誘導体化された支持体」を使用する必要なく効率的に自動合成する利点とを兼ね備えた新規オリゴヌクレオチド合成法を得ることが望まれる。
【0011】
【発明の概要】
本発明の一つの目的は、従来技術の上記欠点の少なくとも1つを取り除く又は軽減することである。
【0012】
本発明の一つの目的は、オリゴヌクレオチド合成に有用な新規リン含有化合物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、新規オリゴヌクレオチド合成方法を提供することである。
【0014】
したがって、その一側面において、本発明は式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化47】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
【化48】
(式中、
Q1は有機部分であり、
Q2は−0−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化49】
(式中、Gは、C又はNであって、少なくとも1つがNである)、及び
【化50】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物を提供する。
【0015】
その別の側面において、本発明は式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化51】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
【化52】
(式中、
Q1は有機部分であり、
Q2は−0−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化53】
(式中、GはC又はNであって、少なくとも1つのGはNである)、及び
【化54】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つは電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物を生成する方法であって、
式II、III、及びIVの化合物:
X1−OH (II)
H−Q−O−R24 (III)
Z2 (IV)
(式中、R18は保護基であり、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)
を反応させる工程を備える方法を提供する。
【0016】
その別の側面において、本発明は、式Va又は式Vb:
【化55】
(式中、
X1は、以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化56】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Q1は有機部分であり、
Q2は−0−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化57】
(式中、Gは、C又はNであって、少なくとも1つがNである)、及び
【化58】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数であり、
R25は水素又は保護基である)
で表される誘導体化されたヌクレオシドを生成する方法であって、
式II及びVIで表される化合物:
【化59】
(R26は、水素又は保護基である)
を、式VIIa(式Vaのヌクレオシドを生成する場合)又はVIIb(式Vbのヌクレオシドを生成する場合)で表される化合物:
【化60】
とともに反応させる工程を備える方法を提供する。
【0017】
このように、本発明者等は、カルボン酸リンカーアームの易切断性を、単一ホスホルアミダイトの汎用担体カップリング化学反応と組み合わせる新規手法を開発した。この手法は、一端に3’−エステル結合を介して結合した保護されたヌクレオシドを、他端に反応性ホスホルアミダイト基又は他のホスフェート前駆体基を有する二官能リンカーアームを含有する新しい一群のホスホルアミダイト試薬(リンカーホスホルアミダイト)の合成を必然的に伴う(図2及び3参照)。前記リンカーホスホルアミダイト上のホスホルアミダイト基は、中間リンカーアームを欠く従来のヌクレオシド−3’−ホスホルアミダイト試薬と同一条件下で活性化され、同様の反応性を有する。前記リンカーホスホルアミダイト内に含まれる3’−エステル結合は、予め誘導体化された担体上の結合に類似した諸特性を有する。このエステル結合は、後続する全ての合成工程に対して安定であるが、水酸化アンモニウムなどの切断試薬で処理すると加水分解される。これにより、所望の3’−水酸基末端を有するオリゴヌクレオチド生成物が遊離し、担体に付着した該試薬のホスフェート部分(その後廃棄される)が残る。
【0018】
本明細書を通して、「オリゴヌクレオチド」という語は広い意味を有し、本来のオリゴヌクレオチド、主鎖が修飾されたオリゴヌクレオチド(例えば、オリゴ治療薬として有用なホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、及びメチルホスホネート類縁体)、標識されたオリゴヌクレオチド、糖修飾オリゴヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチド−ペプチド複合体などのオリゴヌクレオチド誘導体を包含するものである。
【0019】
本明細書を通して、置換部分に言及するときには、置換の性質は本明細書に限定されるものではないが、水素、C1〜C20アルキル基、C5〜C30アリール基、C5〜C40アルカリール基(alkaryl group)(前述の各炭化水素基は、それ自体が1以上のハロゲン、酸素、及び硫黄で置換されていてもよい)、ハロゲン、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1以上の要素であり得る。さらに、「アルキル」という語は、本明細書を通して、単結合、1以上の二重結合、1以上の三重結合、及びこれらの混合物を有する炭化水素部分を包含する。
【0020】
式Iの化合物は、担体材料上に所望配列のオリゴヌクレオチドを生成するのに有用である。本明細書では、「担体(support)」及び「担体材料(support material)」という語は区別なく使用され、従来の固体担体を包含するものである。固体担体の性質は、特に限定されず、当業者に周知のものである。したがって、固体担体は無機物でもよい。好適な無機物の例として、これらに限定されるものではないが、シリカ、多孔質ガラス、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル)、及び1以上のこれら物質を含有する粘土からなる群から選択してもよい。あるいは、固体担体は架橋ポリマーなどの有機物でもよい。好適な架橋ポリマーの例として、これらに限定されるものではないが、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。本発明で使用する好ましい一つの固体担体は従来のものであり、細孔の調節されたガラスビーズ及びポリスチレンビーズから選択してもよい。
【0021】
【好ましい実施態様の詳細な説明】
ホスホルアミダイト試薬は、通常、アルコールを、2−シアノエチルジイソプロピルクロロホスホルアミダイト、N,N−ジイソプロピルメチルホスホンアミドクロライド、又はビス−(ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエトキシホスフィンなどの3価のホスファイトと反応させて調製する。得られるヌクレオシドホスホルアミダイト試薬はオリゴヌクレオチド配列の構築に使用できるので、保護された2’−デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、又は保護されていない3’−又は5’−水酸基の何れかを有するその他のヌクレオシド化合物は、この反応の最も一般的な基質である。しかし、アミノ又はチオール末端修飾剤などの他の多数の試薬、非ヌクレオチドスペーサー、蛍光色素、コレステロール又はビタミンEなどの親油基、及びビオチンなどの非同位体標識も、アルコールに、次いでホスホルアミダイト試薬に変換される。これらの試薬では、安定なホスフェート結合を介してオリゴヌクレオチド配列にこの試薬を恒久的に結合させるために、ホスホルアミダイト基が反応基として使用される。
【0022】
本発明の一側面においては、保護されたヌクレオシド又は遊離の水酸基を有する非ヌクレオシド末端修飾剤などの試薬は、カルボン酸リンカーアームにエステル化される。得られるエステル結合は、水酸化アンモニウム又は他の切断条件に曝されたときにその後切断される部位になるであろう。本発明のリンカーホスホルアミダイトは、この内部切断部位を有する点で、生成物からホスフェート基を決して分離しない従前のホスホルアミダイト試薬とは異なるものである。カルボン酸リンカーアームは、3価のホスファイトと反応して前記試薬をホスホルアミダイト試薬に転換できる第2の部位(例えば、水酸基)を有するべきである。したがって、前記リンカーはカルボン酸基及びアルコールの両者を有する任意の化合物であり得る(図2参照)。リンカーとなり得るものの例には、4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMPA)、4−ヒドロキシメチル安息香酸(HMBA)、4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)酪酸(HMPB)、3−(4−ヒドロキシメチルフェノキシ)プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、又は12−ヒドロキシステアリン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
従来から、固相オリゴヌクレオチド合成のリンカーアームは、コハク酸、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸、ジグリコール酸、シュウ酸、マロン酸などのジカルボン酸であり、それらの有用な諸特性は十分に確立されているため、本発明ではこれらのタイプのリンカーアームを継続使用することが望ましい。したがって、周知のジカルボン酸を使用するリンカーホスホルアミダイト試薬の第2の合成ルート(図3)も可能である。この手順では、ジカルボン酸リンカーの一端をヌクレオシドに結合させることにより、切断可能なエステル結合を形成する。次いで、リンカーホスホルアミダイトのホスホルアミダイト部を形成可能なアルコール又はアミノ基へカルボキシル基を転換するのに役立つ第2のジオール又はアミノアルコールに、エステル又はアミド結合を介して、ジカルボン酸の他端を結合する。リンカーアームの第2の部分の化合物候補例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、2−アミノエタノール、1,2−ジアミノエタン、1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ブタンジオール、4−アミノ−1−ブタノール、1,4−ジアミノブタン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、6−アミノ−1−ヘキサノ−ル、1,6−ジアミノヘキサン、又は4−アミノ−シクロヘキサノールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
前記リンカーの末端に存在するリン含有基は、オリゴヌクレオチド合成条件下で活性化することができ、且つ反応できる任意のタイプの前駆体であり得る。オリゴヌクレオチド合成に関しては、ホスホジエステル法、ホスホトリエステル法、修正ホスホトリエステル法、クロロホスファイト又はホスファイトトリエステル法、H−ホスホネート法、ホスホルアミダイト法などの様々な化学的手法が知られている。しかし、現在、最後の2つの方法のみが普通に用いられ、ホスホルアミダイト法が格段に普及している。
【0025】
本発明を通して使用される「活性化」又は「活性化されたリン酸化部分」という用語は広い意味を有するものであり、亜リン酸エステル、リン酸エステル、又はホスホネート結合のいずれかを介してリン基(phosphorous group)を結合することができる様々な方法を指す。3価(PIII)又は5価(PV)のいずれかの酸化状態を含むリン部分が可能であり、リンの酸化状態はカップリング反応の過程で(通常、PIIIからPVへと)変化し得る。したがって、所望の生成物の前駆体となる試薬は、生成物とは異なる酸化状態をとってもよい。リン酸化に使用される試薬は、本質的に反応性であり得、そのため外来の活性化又はカップリング試薬は不要である。このタイプの例には、クロロホスファイト、クロロホスフェート、及びイミダゾール、トリアゾール、若しくはテトラゾール置換ホスファイト、及びホスフェート試薬などがある。別個の活性化剤の存在によって活性化されるまでは安定なリン酸化試薬はより便利であり、広範に使用される。これらの試薬の例には、2−シアノエチル−N,N’−ジイソプロピルホスホルアミダイト誘導体、及びビス−(N、N’−ジイソプロピルアミノ)−2−シアノエチルホスフィンなどのホスホルアミダイト及びビスホスホルアミダイト試薬がある。カップリング特性をより望ましくするために、反応基を有する試薬を他の反応基で置換してもよい。使用前に、高反応性三塩化リンをトリス−(イミダゾリド)リン又はトリス−(トリアゾリド)リン種へと変換するのがこの例である。カップリング試薬を追加してリン酸化試薬を活性種へとインサイチュで転化する必要がある場合もある。これは、ジシクロヘキシルカルボジイミド又は1−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕−3−エチルカルボジイミド塩酸塩及びこれに類する試薬などのカルボジイミドカップリング試薬;O−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、又はO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、及びこれらに類する試薬などのウロニウムカップリング試薬;及びベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、又はベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、及びこれらに類する試薬などのホスホニウムカップリング試薬が使用できる、カルボン酸エステル及びアミドの形成に類似しているかもしれない。H−ホスホネート試薬のカップリングに特に有用な塩化ピバロイル;及びホスフェート試薬のカップリングに特に有用な置換アリールスルホニルクロライド、イミダゾリド、トリアゾリド、テトラゾリド試薬などの無水中間体混合物を生成するカップリング試薬が必要なこともある。リン酸化試薬は、中性の非荷電種としてそれらの取扱いを容易にする保護基を有していてもよい。これらの保護基は除去可能であり、単離することなく、インサイチュで荷電種を生成することを可能とし、次いでこの荷電種がカップリング反応に関与する。このアプローチの一例は、修正ホスホトリエステル法として知られている。したがって、リン基を導入し、それらをカップリングしてホスファイト、ホスフェート、及びホスホネート結合を生成する広範且つ多様な試薬と反応条件が存在する。しかし、これらの方法はすべて当業者には既知である。
【0026】
4つの一般的な塩基(A、C、G、及びT)又は一般的でないその他の塩基のリンカーホスホルアミダイト試薬は、4つの従来のヌクレオシド−3’−ホスホルアミダイト試薬と同様にして調製し、自動DNA合成装置にかけることができる(図2及び3)。その際、安価で容易に入手可能な誘導体化されていないアミノ又はヒドロキシル固相担体は、「汎用(universal)」担体としてカラム又はプレート形式のいずれでも使用することができる。さらに、後続の鎖伸張工程のために従来のホスホルアミダイト試薬に切り替える前に、第1の合成サイクルでリンカーホスホルアミダイトを結合させるために、標準のホスホルアミダイトカップリングサイクルを使用することができる。両タイプのホスホルアミダイト試薬に対して活性化剤(通常、テトラゾール)が依然同じであるため、追加のカップリング試薬は不要である。1回に8つの異なるホスホルアミダイト試薬を支持できる自動合成装置がすでに広く入手可能なため、4つのリンカーホスホルアミダイトと4つの従来のホスホルアミダイトの1セットを同時に取り付けることは問題とならない。第1のヌクレオシドをエステル又はアミド結合を介して自動的に結合させる本発明者等の従来法は、5つの余分な試薬(4つのヌクレオシドと1つのカップリング試薬)を要し、且つかかる多量の余分な試薬を収容する合成装置は容易に入手できないので、追加されるリンカーホスホルアミダイトが4つしか必要ではないということは、この従来法よりも遥かに有利である。
【0027】
合成終了後、予め誘導体化された担体ですでに使用したものと同じ試薬と条件を用いて、生成物を切断することができ、所望の3’−水酸基末端を有する生成物が遊離することになる。ホスホルアミダイトリンカーのホスフェート部分は、担体に付着したままであり、廃棄される。リンカーホスホルアミダイトで使用されたリンカーアームによっては、この切断工程は非常に速くなり得る。例えば、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸を含有するリンカーホスホルアミダイトを使用すれば、室温の水酸化アンモニウムでほんの2分間処理すれば十分である。担体から遊離したら、これらの生成物を従来法によりさらに脱保護しなければならないが、更なる脱リン酸化工程は不要であり、3’−リン酸化生成物と3’−OH生成物の混合物は生成しない。
【0028】
複数のオリゴヌクレオチドも同じ合成カラムで直列に生成される(図4)。この方法では、第1のオリゴヌクレオチド配列が、5’−末端水酸基を有する、すなわち5’−ジメトキシトリチル基を持たない担体上に合成される。次いで、第1のオリゴヌクレオチドの末端5’−水酸基は、第2のオリゴヌクレオチド配列の3’−末端塩基を含有するホスホルアミダイトリンカーに対する反応部位として働くことができる。この第2の配列は、調製された第1の配列とは同じでも異なってもよい。ホスホルアミダイトリンカーを用いて最初の塩基を付加した後、次いで第2の配列の残部を合成するために従来のホスホルアミダイト試薬を使用する。総塩基数が固相担体の細孔容積を超えるまで、更なる配列を担体上に蓄積し続けてもよい。このようにして調製された複数のオリゴヌクレオチドは、第1の配列を担体表面から切断する試薬で処理したときに、相互及び担体表面から同時に遊離することが好ましい。あるいは、オリゴヌクレオチド生成物間で異なるホスホルアミダイトリンカーを使用すると、個々のホスホルアミダイトリンカーの切断条件を調節することにより、担体から生成物を選択的に且つ順次遊離することが可能になる。第1のオリゴヌクレオチド配列を担体に付着させるために使用したホスホルアミダイトリンカーのホスフェート残基は、使用した担体と共に廃棄してもよい。しかし、後続のホスホルアミダイト付加体リンカーのホスフェート残基は、先行するオリゴヌクレオチドの5’−末端に結合されたままであろう。ホスホルアミダイトリンカーの選択によっては、ある残留リンカー部分が5’−末端ホスホジエステル基を生成するホスフェート残基に結合したままになることもある。こうした5’−ホスフェートジエステル末端修飾は不自然ではあるが、それらが存在しても、DNA配列決定やPCRプライマーとして3’−末端修飾にのみ感受性のあるオリゴヌクレオチドを使用することを妨げず、そのためこのようなオリゴヌクレオチドは、多くの用途に重大な影響を与えずに、なお使用することができる。好ましいホスホルアミダイトリンカー試薬としては、切断と同じ条件下で5’−末端ホスフェート基から脱離する結合基が挙げられる。このホスホルアミダイトリンカーは、天然の5’−モノホスフェート及び天然の3’−OH基を先行オリゴヌクレオチド末端上に生成する。好ましいホスホルアミダイトリンカーを用いて生成されたオリゴヌクレオチドは、5’−末端の関与する連結反応と3’−末端の関与するプライマー伸張反応の両方に関わることができる。
【0029】
したがって、本発明の一側面は、式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
【化61】
(式中、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
【化62】
(式中、
Q1は有機部分であり、
Q2は−O−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
【化63】
(式中、GはC又はNであって、少なくとも1つのGはNである)、及び
【化64】
から選択され、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物に関する。
【0030】
前記リン酸化部分は、
【化65】
(式中、
R11及びR12は同一であるか又は異なり、それぞれは置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−20アリール基、置換又は非置換C5−20アラルキル基でもよく、あるいはR11及びR12は共にC3−10シクロアルキル基を形成し、これらすべてが酸素、窒素、及び硫黄から選択される1以上のヘテロ原子で必要に応じて置換されており、
R10、R13、R14、R15、及びR16は同一であるか又は異なり、それぞれは保護基である)
を含む群から選択されることが好ましい。
【0031】
好ましくは、前記保護基は、置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−30アリール基、C3−10シクロアルキル基、C5−40アルカリール基、C1−20ハロアルキル基、C5−30ハロアリール基、C3−10ハロシクロアルキル基、C1−20ニトロアルキル基、C5−20ニトロアリール基、C3−10ニトロシクロアルキル基、C1−20チオアルキル基、C5−30チオアリール基、C3−10チオシクロアルキル基、C1−20シアノアルキル基、C5−30シアノアリール基、C3−10シアノシクロアルキル基、C1−20アルキルシリル基、及びC5−30アリールシリル基を含む群から選択される。より好ましくは、前記保護基は、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、C1−10アルキルシリル基、C5− 10アリールシリル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される。
【0032】
より好ましいリン酸化部分は、
【化66】
(式中、R10、R11、及びR12は、上で定義した通りである)である。好ましくは、R10、R11、及びR12は同一であるか又は異なり、それぞれは1以上のハロゲン、ニトロ基、チオ基、及びシアノ基で必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である。より好ましくは、R11とR12は同一である。最も好ましくは、R11及びR12それぞれはi−プロピルである。さらに好ましくは、R10はC1−10シアノアルキル基である。最も好ましくは、R10はシアノエチル基である。
【0033】
式Iの化合物において、Q1は有機部分である。好ましくは、この有機部分は、1以上の酸素、窒素、ハロゲン、及び硫黄で必要に応じて置換されたC1−300炭化水素部分である。
【0034】
ひとつの好ましい実施態様において、Q1は、C1−40アルキル基、C5−40アリール基、C5−40アルキルアリール基(alkyaryl)、C3−40シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される。
【0035】
別の好ましい実施態様において、Q1は次式
−CH2−CH2−
で表される。
【0036】
別の好ましい実施態様において、Q1は次式
−CH2−O−CH2−
で表される。
【0037】
さらに別の好ましい実施態様において、Q1は次式:
【化67】
(式中、R17、R18、及びR19は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;R20及びR21は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;Q4は、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)2、及び−N(R)−からなる群から選択され;Rは、水素、置換又は非置換C1−C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;rは0、1、又は2であり;Q5及びQ6のうち一方は、水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、Q5及びQ6のうち他方は次式:
【化68】
(式中、pは0又は1であり、Q7は−O−、−S−、−C(O)−、−S(0)2−、及び−N(R)−からなる群から選択され、Rは水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され、R22及びR23は同一であるか又は異なり、水素、ハロゲン、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、sは0、1、又は2である)で表される)
で表される。
【0038】
式1の化合物における極めて好ましい変数の組み合わせは以下の通りである。
【0039】
l、m、n、o、p、及びqはすべて1であり、
Q1は、
−CH2−CH2−
又は
−CH2−O−CH2−
又は
【化69】
(式中、R17、R18、及びR19は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;R20及びR21は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;Q4は、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)2−、及び−N(R)−からなる群から選択され;Rは、水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され;rは0、1、又は2であり;Q5及びQ6のうち一方は、水素、ハロゲン化物、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、Q5及びQ6のうち他方は次式:
【化70】
(式中、pは0又は1であり、Q7は−O−、−S−、−C(O)−、−S(0)2−、及び−N(R)−からなる群から選択され、Rは水素、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基を含む群から選択され、R22及びR23は同一であるか又は異なり、水素、ハロゲン、置換又は非置換C1〜C20アルキル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、及び置換又は非置換C5〜C40アルキルアリール基からなる群から選択され、sは0、1、又は2である)で表される)
から選択され、
Q2は酸素であり、
Q3は−SO2であり、
A1、A2、R3、R4、R5、R6はすべて水素であり、
Z1は、以下の構造:
【化71】
(式中、R10は2−シアノエチルであり、R11及びR12はそれぞれイソプロピルである)を有する。
【0040】
式の化合物は式II、III、及びIVの化合物:
X1−OH (II)
H−Q−Q−R24 (III)
z2 (IV)
(式中、R24は水素又は保護基であり、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)を一緒に反応させる工程を備える方法によって生成してもよい。
【0041】
1つの好ましい実施態様においては、R24は保護基であり、前記方法は、式II及びIIIの化合物を反応させて反応生成物を生成する工程と、その後該反応生成物を式IVの化合物と反応させて式Iの化合物を生成する工程とを備える。
【0042】
別の好ましい実施態様においては、R24は水素であり、前記方法は、式III及びIVの化合物を反応させて反応生成物を生成する工程と、その後該反応生成物を式IIの化合物と反応させて式Iの化合物を生成する工程とを備える。
【0043】
保護基を使用することは当該技術分野では従来から行われており、その選択は当業者には周知である。したがって、本明細書で特に言及していない他の保護基を本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0044】
本発明の別の側面は、1以上の目的のオリゴヌクレオチドを合成するために、式Iの化合物を使用することに関する。このことは、
(i) 式Iの化合物を式VIII:
【化72】
(式中、Xは−O−及び−NR19−から選択され、R19は水素、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択される)
で表される担体材料と反応させて、
式IX:
【化73】
で表される第1の誘導体化された担体を生成する工程と、
(ii) 式VIの第1の誘導体化された担体材料を、第1の目的のオリゴヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチド配列が合成されるまで、少なくとも1つのヌクレオチドと反応させる工程と、
(iii) 式IXの化合物から第1の対象オリゴヌクレオチドを切断する工程とを備える方法により達成される。当業者であれば理解できるように、Z1に選ばれるリン酸化部分の選択次第で、リンの酸化状態はPIIIからPVに変化し得る。
【0045】
オリゴヌクレオチド合成に使用する他の試薬、一般的な反応条件、及び装置は、この主題に関する以下の概説記事/テキストに見出せるであろう。
【0046】
【参考文献2】
また、1以上の国際公開第97/23497号[Pon他(Pon #1)]、国際公開第97/23496号[Pon他(Pon #2)]、国際公開第00/01711号[Pon他(Pon #3)]、及び同時係属中の2001年9月5日出願の米国特許出願[Pon他(Pon #4)]も参照されたい。
【0047】
本発明の実施態様を、以下の例を参照して説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではなく、又はそのように解釈してはならない。
【0048】
例1− 5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールスクシネート)−(2−シアノエチルN,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト 4a
5′−ジメトキシトリチルチミジン1(3.27g、6mmol)、無水コハク酸(1.10g、10mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(147mg、1.2mmol)を無水ピリジン(40ml)に溶解して、室温で(2日間)撹拌した。この溶液を留去して濃縮し、クロロホルムに再溶解して、水(2x)及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。このクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥して留去すると粗5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシネート 2a(4.50g)が得られ、さらに精製することなく使用した。
【0049】
5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシネート 2a(2.84g、4.4mmol)を無水アセトニトリル(50ml)及びピリジン(2.9ml)、次に塩化p−トルエンスルホニル(1.64g、8.6mmol)及びN−メチルイミダゾール(1.26ml、15.8mmol)に溶解した。透明な溶液が形成されたら、エチレングリコール(0.25ml、4.5mmol)を添加して、この溶液を室温で20分間撹拌した。この溶液をクロロホルムで希釈して、水、飽和NaCl水溶液及び水で順番に洗浄した。このクロロホルム溶液を濃縮してシリカゲルクロマトグラフィ(2%メタノール/クロロホルム)で精製すると所望する5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールスクシネート) 3aが31%の収率(935mg)で得られた。TLC(シリカゲル、5%メタノール/クロロホルム)Rf=0.38。
【0050】
或いは、5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシネート 2a(1.29g、2mmol)を無水アセトニトリル(30ml)及びピリジン(1.3ml、16mmol)、次に塩化p−トルエンスルホニル(0.74g、3.9mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.57ml、7.2mmol)に溶解した。室温で(10分間)撹拌した後、この溶液をシリンジでエチレングリコール(11.2ml、20mmol)に滴下した。撹拌後(30分)、溶媒を留去に濃縮して、クロロホルムに再溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液及び水(2x)で洗浄した。次いで、1〜2%メタノール/クロロホルムを使用したシリカゲルクロマトグラフィで粗生成物を精製した。3aの収量は1.045g(76%)であった。
【0051】
アルコール3a(923mg、1.34mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.91ml、5.2mmol)を無水クロロホルム(8ml)に溶解し、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.39ml、1.75mmol)を添加した。この反応物を室温で1時間撹拌した。この反応物をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)及び水で洗浄して、次いでシリカゲルクロマトグラフィでジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:53:5から開始してトリエチルアミン/クロロホルム5:95で終了させることによって精製した。これによって、ホスホルアミダイト生成物 4aが89%(1.06g)の収率で得られた。TLC(シリカゲル、20%ヘキサン/酢酸エチル)Rf=0.65。31P NMR(CDCl3)δ150.754及びδ150.269。
【0052】
例2− 5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールジグリコレート)−(2−シアノエチルN,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト4bの合成
5′−ジメトキシトリチルチミジン 1(1.63g、3mmol)、無水ジグリコール酸(522mg、4.5mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(73mg、0.6mmol)を無水ピリジン(30ml)に溶解して、室温で(2日間)撹拌した。この溶液を留去して濃縮し、クロロホルムに再溶解して、水(2x)、飽和NaCl水溶液及び水で洗浄した。このクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥して留去すると粗5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−ジグリコレート 2b(1.93g、98%)が得られ、さらに精製することなく使用した。
【0053】
5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−ジグリコレート 2b(1.93g、2.93mmol)を無水アセトニトリル(40ml)及びピリジン(1.9ml)、次に塩化p−トルエンスルホニル(1.09g、5.7mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.84ml、10.5mmol)に溶解した。透明な溶液が形成されたら、エチレングリコール(0.16ml、2.9mmol)を添加して、この溶液を室温で20分間撹拌した。この溶液をクロロホルムで希釈して、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィ(2%メタノール/クロロホルム)で精製すると所望する5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールジグリコレート) 3bが53%の収率(1.09g)で得られた。TLC(シリカゲル、5%メタノール/クロロホルム)Rf=0.35。
【0054】
アルコール 3b(830mg、1.18mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.80ml、4.6mmol)を無水クロロホルム(8ml)に溶解し、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.34ml、1.5mmol)を添加した。この反応物を室温で1時間撹拌した。この反応物をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)及び水で洗浄して、次いでシリカゲルクロマトグラフィでジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:53:5から開始してトリエチルアミン/クロロホルム5:95で終了させることによって精製した。これによって、ホスホルアミダイト生成物 4bが67%(720mg)の収率で得られた。TLC(シリカゲル、20%ヘキサン/酢酸エチル)Rf=0.65。31P NMR(CDCl3)δ150.774及びδ150.691。
【0055】
例3− 5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールハイドロキノンジアセテート)−(2−シアノエチルN,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト 4cの合成
5′−ジメトキシトリチルチミジン 1及びハイドロキノン−O,O′−二酢酸を使用して、S.L.Beaucage、D.E.Bergstrom、G.D.Glick、and R.A.Jones著「Current Protocols in Nucleic Acids Chemistry」、Unit 3.2、Richard T.Pon、「Attachment of Nucleosides to Solid−Phase Supports」、John Wiley&Sons、New York、2000に記載されているように、5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−ハイドロキノン−O,O′−ジアセテートピリジニウム塩又はトリエチルアンモニウム塩 2cを調製した。2c(2.50g、3mmol)を無水アセトニトリル(50ml)及びピリジン(1.9ml)に溶解した。塩化p−トルエンスルホニル(1.12g、5.9mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.86ml、1.08mmol)を添加した。透明な溶液が形成されたら、エチレングリコール(0.17ml、3.0mmol)を添加し、この溶液を30分間撹拌した。反応は不完全で、さらにエチレングリコール(0.085ml、1.5mmol)を添加して、反応物を一晩放置した。この溶液を留去して濃縮し、クロロホルムで希釈して、水、飽和NaHCO3水溶液、及び水(2x)で洗浄した。粗生成物を0〜3%メタノール/クロロホルムを使用したシリカゲルクロマトグラフィで精製すると、5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−(1,2−エタンジオールハイドロキノンジアセテート) 3cが収率35%(830mg)で得られた。
【0056】
或いは、2c(2.13g、2.5mmol)を無水ピリジン(1.6ml、20mmol)及び無水アセトニトリル(30ml)に溶解した。塩化p−トルエンスルホニル(0.93g、4.88mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.72ml、9.0mmol)を添加し、この溶液を室温で(10分間)撹拌した。この溶液をシリンジでエチレングリコール(14ml、250mmol)に撹拌しながら滴下した。さらに30分間撹拌後、反応物を留去に濃縮して、クロロホルムに再溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液及び水(2x)で洗浄した。粗物質をクロロホルムに溶かした0〜2%(v/v)メタノール勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィで精製したところ3cが得られた(719mg、収率36%)。
【0057】
ジイソプロピルエチルアミン(0.38ml、2.2mmol)及びアルコール 3c(382mg、0.48mmol)を無水クロロホルム(8ml)に溶解し、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(0.16ml、0.72mmol)を添加した。室温で2時間撹拌した後、この反応物をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)及び水で洗浄し、次いでシリカゲルクロマトグラフィでジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:53:5(v/v/v)から開始して、次にクロロホルムに溶かした5〜10%のトリエチルアミン(v/v)によって精製した。これによって、ホスホルアミダイト生成物 4cが27%(128mg)の収率で得られた。
【0058】
例4− CPG支持体からのリンカーホスホルアミダイトの切断速度
リンカーホスホルアミダイト 4a、4b、及び4cを無水アセトニトリルに溶解して0.1M溶液を得た。この溶液をPE/Bisystems 394 自動DNA合成機の予備の塩基取付位置に入れた。非誘導体化長鎖アルキルアミン細孔性ガラス(LCAA−CPG)又は非誘導体化グリセロール細孔性ガラス(Gly−CPG)支持体を含有する1μmole規模の合成カラムを、DNA合成用の通常のテトラゾール試薬、脱保護試薬、キャッピング試薬、及び洗浄試薬と共に装備した。リンカーホスホルアミダイト試薬をCPG支持体に結合させるために、1μmole規模の塩基付加サイクルを1回実施した。いずれの場合も5′−ジメトキシトリチル保護基がヌクレオシドに残存した。
【0059】
この合成カラムを合成機から取り外して、真空下で乾燥させた(10分間)。CPG支持体をカラムから取り出し、メタノール及びクロロホルムで再度洗浄して乾燥させた。保持されたヌクレオシドを測定するために各支持体の一部を計量してジメトキシトリチル分析を行った。さらに一部を計量して指定した時間室温の水酸化アンモニウムで処理した。次いで、この支持体を水、アセトニトリル、メタノール、及び最後にクロロホルムで洗浄した。この支持体を乾燥させて、残存した保持ヌクレオシドをジメトキシトリチル分析によって決定した。各リンカーホスホルアミダイトのリンカー切断量を表1に示した。
【0060】
【表1】
表1の結果から、リンカーホスホルアミダイト試薬の切断速度は、従来のスクシネート、ジグリコレート、又はハイドロキノン−O,O′−ジアセテートリンカーアームによって結合したヌクレオシドの切断速度と同様であることがわかる。
【0061】
例5− リンカーホスホルアミダイト試薬を使用した(Tp) 7 Tのオリゴヌクレオチド合成
オクタチミジン配列、TTTTTTTTは、0.1Mリンカーホルホルアミダイト試薬4a〜cを使用して第1のヌクレオシドを添加すること以外は標準的1μmole規模合成条件を使用して、PE/Biosystems 394 DNA合成機で調製した。非誘導体化LCAA−CPG又はGly−CPG支持体を使用した。保持された最初のヌクレオシドは、第1のリンカーホスホルアミダイト結合サイクルによって遊離するジメトキシトリチル陽イオンの量を定量することによって測定した。総結合効率及び平均結合効率は、最初と最後のトリチルの色によって推定した。
【0062】
合成後、トリチル−off自動末端切断方法を使用して、支持体からオリゴヌクレオチド生成物を遊離させた。4a〜bを使用して作製した配列は水酸化アンモニウムで60分間自動処理して切断して、4cの配列は水酸化アンモニウムで5分間自動処理して切断した。収集した生成物の量は260nmでのUV吸収で測定した。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
LCAA−CPG支持体上で試薬4a〜cから調製した(Tp)7T生成物をMALDI−TOF質量分析法によって分析したところ、各オリゴヌクレオチドの質量は予測通りだった(M+H、計算値2371.57、測定値2373.0〜2374.6)。したがって、リンカーホスホルアミダイトから生成した生成物は、従来の合成法によって調製した生成物と同一であった。
【0064】
例6− リンカーホルホルアミダイト試薬を使用したオリゴヌクレオチドdGTAAAACGACGGCCAGTの合成
17塩基長のM13汎用プライマー配列dGTAAAACGACGGCCAGTは、0.1Mリンカーホルホルアミダイト試薬4a〜cを使用して第1のヌクレオシドを添加すること以外は標準的1μmole規模合成条件を使用して、PE/Biosystems 394 DNA合成機で調製した。非誘導体化LCAA−CPG又はGly−CPG支持体を使用した。保持された最初のヌクレオシドは、第1のリンカーホスホルアミダイト結合サイクルによって遊離するジメトキシトリチル陽イオンの量を定量することによって測定した。
【0065】
合成後、トリチル−off自動末端切断方法を使用して、支持体からオリゴヌクレオチド生成物を遊離させた。収集した生成物の量を260nmでのUV吸収で測定した。次に、他の物質もまた回収できるかどうかを決定するために合成支持体に第2の自動切断サイクルを実施した。表3からわかるように、結果から89〜94%の間の生成物が第1の切断期間中に遊離することが示された。
【0066】
【表3】
LCAA−CPG支持体上で試薬4a〜cから調製したM13プライマーオリゴヌクレオチドをMALDI−TOF質量分析法によって分析した。いずれの場合も、生成物は予測通りの質量であった(M+H、計算値5228.41、測定値5225.7〜5228.2)。従来の予備誘導体化LCAA−CPG支持体上で同配列を制御して合成してもまた、MALDI−TOF質量分析法によって同じ結果が得られることがわかった(M+H、計算値5228.41、測定値5229.3)。したがって、リンカーホスホルアミダイトから生成した生成物は、従来の合成法によって調製した生成物と同一であった。
【0067】
例7− リンカーホスホルアミダイト合成による生成物と従来の予備誘導体化支持体から調製した生成物との比較
例5で調製した6種類の未精製オクタチミジン生成物の試料及び例6で調製した6種類の17塩基長M13汎用プライマー配列の試料を、24%ポリアクリルアミド/7Mウレアゲルを使用したポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。5′−ジメトキシトリチルチミジンで予備誘導体化した従来の長鎖アルキルアミンCPG支持体上で合成した標準オクタチミジン及びM13汎用プライマー配列を比較として前記試料と並べて泳動した。さらに、非3′−水酸基ではなく3′−リン酸基を有するオクタチミジン及びM13汎用プライマー配列を合成した。これらの試料もまた、前記試料と並べて泳動して、所望しない3′−リン酸残基を含有する可能性がある生成物を確認した。この結果によって、リンカーホスホルアミダイト生成物は標準生成物と同様に移動することが示された。3′−リン酸化オクタチミジンマーカーは、リンカーホスホルアミダイト生成物よりも早く移動した。3′−リン酸化17塩基長配列もまた、非3′−リン酸化生成物よりも早く移動したが、この場合移動度の違いはそれほど多くない。
【0068】
前記のオリゴヌクレオチドをまた、キャピラリーゲル電気泳動法(CGE)によって、Hewlett−Packard 3−D CE装置、100μmx48.5cm PVAコーティングキャピラリー、HP置換可能オリゴヌクレオチドポリマーA及びHPオリゴヌクレオチド緩衝液を使用して分析した。5′−DMT−T−3′−コハク酸ホスホルアミダイト 4aで作製したM13汎用プライマー配列及び同配列を有する3′−リン酸化オリゴヌクレオチドの混合物のCGE分析によって、3′−リン酸化配列の移動は異なっており、リンカーホスホルアミダイトから得られた生成物から完全に分離することが示された。
【0069】
ポリアクリルアミドゲル及びCGE両方の結果から、リンカーホスホルアミダイトで作製した生成物の移動は予備誘導体化支持体上で作製した標準物と一致し、3′−リン酸化マーカーの移動とは異なることが示された。したがって、いずれの場合においても、オリゴヌクレオチドが支持体から遊離するとき、リン酸残基は生成物の3′−末端から切断されていた。
【0070】
例8−タンデム合成用リンカーホスホルアミダイトの合成(図6)
2,2′−ジスルホニルジエタノールの65%水溶液(10mmol)を無水ピリジン(4x20ml)と共に乾燥するまで留去して、無水ピリジン(25ml)に再溶解した。次に、5′−ジメトキシトリチル−N−保護2′−デオキシリボヌクレオシド−3′−O−コハク酸ヘミエステルトリエチルアンモニウム塩(2.0mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(2.6mmol)、HBTU(2.6mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(10mmol)を添加した。反応物を室温で(10分間)撹拌したところ、TLC(5%メタノール/CHCl3)で反応が完了したことが示された。この溶液を留去によって濃縮してピリジンを除去し、CHCl3で希釈して、水(4x)で洗浄して乾燥するまで留去した。次に、粗生成物 5を1〜3%メタノール/CHCl3を使用したシリカゲルクロマトグラフィによって精製した。収率:B=ABz、73%、B=CBz、80%、B=GiBu、73%、及びB=T、76%。ESI質量分析:B=ABz、M+Na計算値917.95、B=CBz、M+Na計算値892.92、測定値892、B=GiBu、M+Na計算値898.93、測定値=898、及びB=T、M+Na計算値803.85、測定値803。
【0071】
ヌクレオシド 5(1.28mmol)を無水クロロホルム(15ml)に溶かしたジイソプロピルエチルアミン(5.0mmol)の溶液に溶解した。2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(1.66mmol)を添加して、反応物を室温で(1時間)撹拌した。この溶液をクロロホルムで希釈して、NaCl水溶液(4x)で洗浄した。このクロロホルム溶液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィによってジクロロメタン/ヘキサン/トリエチルアミン42:55:3から42:53:5、その後5%トリエチルアミン/CHCl3を使用して生成物 6を精製した。収率:B=ABz、47%、B=CBZ、50%、B=GiBu、49%、及びB=T、56%。
【0072】
例9− リンカーホスホルアミダイト 6を使用した1個のオリゴヌクレオチド合成
リンカーホスホルアミダイト試薬 6の0.1〜0.5M溶液を予備の塩基取付位置5〜8に入れること以外は標準的方法による1μmole規模の合成のために、ABI394DNA合成機を設計した。アミノ基102μmol/gを含有する非誘導体化長鎖アルキルアミン細孔性ガラス(LCAA−CPG)を含有する合成カラムを予備誘導体化LCAA−CPGの代わりに装備した。次に、合成機を表4に示した配列を調製するようにプログラムした。
【0073】
合成後、NH4OHを使用して生成物を支持体から自動的に切断し(60分間)、加熱することによって(55°、16時間)脱保護した。粗生成物をUVによって定量し、結合収率はトリチルの色によって推定し、配列の同一性はMALDI−TOF質量分析法によって確認した(表4)。
【0074】
【表4】
例10− 5′−リン酸化オリゴヌクレオチドの合成
末端に5′−リン酸基を有する17塩基長オリゴヌクレオチド配列、5′−p−dGTAAAACGACGGCCAGTを例9のように調製したが、他の結合サイクルは試薬6(B=T)を使用して実施して、配列末端に他のチミジンヌクレオシド及び5′−リン酸を添加した。次いで、この配列を支持体から切断し、例9のように脱保護した。この段階の間、末端チミジンヌクレオシドは17マーの末端から切断され、5′−リン酸残基を遊離した。同一の配列はまた、従来の「リン酸On」ホスホルアミダイト試薬を使用して合成し、末端5′−リン酸基を添加した。2種の生成物のポリアクリルアミドゲル電気泳動による移動度は同一であった。MALDI−TOF質量分析法もまた使用して、2個のオリゴヌクレオチドの正確で同一の構造であることを確かめた。6でリン酸化されたオリゴヌクレオチド、M+H計算値5308.4、測定値5306.1、「リン酸On」試薬でリン酸化されたオリゴヌクレオチド、M+H計算値5308.4、測定値5308.8。
【0075】
例11− 5′−リン酸化トリヌクレオチドのタンデム合成
アセトニトリルに溶かしたリンカーホスホルアミダイト 6(B=T)の0.1M溶液を394DNA合成の塩基取付位置#8に入れた。リン酸Onホスホルアミダイトの溶液を位置#5に入れた。他の試薬は全て従来の合成法通りに入れた。ハイドロキノン−O,O′−二酢酸リンカーアームによってLCAA−CPGに結合させた5′−ジメトキシトリチルチミジン34mgを含有する合成カラムを使用した。次に、1回のタンデム合成で、配列5AA8GG8CC8TTTを入れることによって4種類のトリヌクレオチド、d(pAAT)、d(pCCT)、d(pGGT)、及びd(pTTT)を調製するように合成機をプログラムした。合成後、NH4OHを使用して(60分)生成物を支持体から自動的に切断し、脱保護した(16時間、55°)。収率:70.6A260単位。
【0076】
A、G、C及びTヌクレオシドに対応する6のリンカーホスホルアミダイト溶液をそれぞれ394DNA合成機の位置#5、6、7及び8に入れた。5′−ジメトキシトリチル−N4−ベンゾイル−2′−デオキシシチジンで誘導体化した1000Å低保持LCAA−CPG(10.7μmol/g)34.1mgを含有する合成カラムを装備した。次に、1アミノ酸のコドンにそれぞれ対応する以下の20個のトリヌクレオチド−5′−リン酸、d(pAAA)、d(pAAG)、d(pACT)、d(pATG)、d(pATC)、d(CAC)、d(pCAT)、d(pCCC)、d(CGT)、d(pCTC)、d(GAA)、d(pGAG)、d(pGCT)、d(pGGT)、d(pGTT)、d(pTAG)、d(pTCT)、d(pTGG)、d(pTGC)、d(pTTC)を、配列AA5AA6AC8AT6AT7CA7CA8CC7CG8CT7GA5GA6GC8GG8GT8TA6TC8TG6TG7−TTCを入れることによって1回のタンデム合成で調製するように合成機をプログラムした。トリチル−ON/マニュアルモードで前記合成を完了した後、位置#5のリンカーホスホルアミダイト試薬をリン酸Onホルホルアミダイトと置き換えて、他の合成サイクルを実施して末端5′−リン酸基を添加した。次に、NH4OHを使用して(60分間)生成物を支持体から自動的に切断し、脱保護した(16時間、55°)。収率:23.6 A260単位。
【0077】
例12− スクシニルスルホニルジエタノール(succ−SE)リンカーアームの加水分解
この例では、スルホニルジエタノール(SE)リンカーホスホルアミダイトが迅速に加水分解されることを示す。この切断の速さは、前述の例3で使用したリンカーで認められた切断とほとんど同じである。
【0078】
アセトニトリルに溶かした5′−ジメトキシトリチルチミジン−3′−O−スクシニルスルホニルジエタノールホスホルアミダイト 6の0.1M溶液をABI 394 DNA合成機の予備の塩基取付位置に入れた。合成カラムには非誘導体化LCAA−CPGを使用した。他には変更していない1μmole規模の合成サイクルを使用して2種類の合成を実施した。
【0079】
第1の場合では、トリチル−on/マニュアル末端法を使用したホスホルアミダイト結合サイクルを1回のみ実施して、支持体にSEリンカーホスホルアミダイトを添加した。CPGを除去して、支持体の一部をジメトキシトリチル定量分析することによってジメトキシトリチル含量が20.3μmol/gであることを測定した。次に支持体の他の部分を28%水酸化アンモニウム水溶液で1分、5分及び10分間処理した。メタノール及びクロロホルムで洗浄後、支持体をジメトキシトリチル分析したところ、1分、5分及び10分後に生じた加水分解はそれぞれ92%、96%及び98%であることが示された。
【0080】
第2の場合では、トリチル−off/マニュアル末端法を使用して21塩基長配列dAGCTAGCTAGCTAGCTAGCTTを調製した。リンカーホルホルアミダイトの最初の保持量をジメトキシトリチル分析によって測定したところ20μmol/gで、合成全体の平均結合効率は99.8%であった。次に、特定の自動化末端方法を使用して、水酸化アンモニウム28%水溶液を少量ずつ収集バイアルに1分間隔で15分間添加した。この合成法によって3′−OH遊離末端を有するオリゴヌクレオチドが生成した。水酸化アンモニウム各画分を手動で収集し、55°で一晩加熱することによって脱保護し、留去してアンモニアを除去し、次いで260nmのUVで定量した。次いで、支持体から遊離したA260累積量を時間に対してプロットして、加水分解の程度を測定した。この実験によって、1分、5分及び10分後それぞれに生じた加水分解は65%、94%及び98%であることが示された。したがって、支持体からの21塩基長オリゴヌクレオチド配列の切断は、1個のヌクレオシドの切断よりもほんのわずかに遅い。
【0081】
第3の実験では、スルホニルジエタノール結合を含有する市販の「リン酸−On」ホスホルアミダイト試薬を使用して、非誘導体化LCAA−CPGを含有する合成カラムをリン酸化した。次に、3′−リン酸化末端を含有し、3′−OH末端を含有しない21塩基長配列dAGCTAGCTAGCTAGCTAGCTTをこの支持体上で調製した。最初に保持されるリン酸−On試薬は33μmol/gで、合成全体の平均結合効率は99.8%であった。次いで、前述のように水酸化アンモニウム28%水溶液中での加水分解速度を測定した。結果から、1分、5分及び10分後それぞれに生じた加水分解は64%、98%及び99%であることが示された。
【0082】
これらの結果によって、より安定なコハク酸結合を加水分解するよりも、より不安定なスルホニルジエタノール官能基を除去することによって、リンカーホスホルアミダイトの切断が生じることが示される。観察された切断速度(5分で98%)は、ハイドロキノン−O,O′−二酢酸リンカーアームの切断速度(2分で98%)とほとんど同じで、従来のコハク酸リンカーアームの切断速度(約2時間で98%)より著しく速い。したがって、リンカーアームを含有するスルホニルジエタノールは、迅速な切断条件を必要とする適用に適している。
【0083】
例示的な実施態様及び例を参照にして本発明を説明してきたが、この説明は限定した意味で解釈されるものではない。したがって、当業者にとって、例示的実施形態の様々な変更、並びに本発明の他の実施形態は、この説明を参照にすれば明らかであろう。したがって、添付のクレームはこのような変更又は実施形態を包含するものと考えられる。
【0084】
個々の出版物、特許又は特許明細書が具体的かつ個別的にその全体を参考文献として援用するものと表示される場合と同等に、本明細書に関する全ての出版物、特許及び特許明細書は、その全体が参考文献として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1a】
本発明の実施態様を添付の図面を参照して説明するが、同一の数字は同一の要素を示す。図1aは、ヌクレオシドを担体に付ける従来の合成法を示したものである。
【図1b】
図1bは、オリゴヌクレオチドを直列に合成する従来手法を示したものである。
【図2】
本方法の好ましい実施態様を示す。
【図3】
本方法の好ましい実施態様を示す。
【図4】
オリゴヌクレオチドを直列に合成する本方法の好ましい実施態様を示す。
【図5】
下記例1〜3に使用する合成ルートを示す。
【図6】
直列合成用の好ましい試薬の合成について示したものである。
Claims (72)
- 式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
Q1は有機部分であり、
Q2は−O−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4のうち少なくとも1つは電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
で表される化合物。 - 前記保護基が、置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−30アリール基、C3−10シクロアルキル基、C5−40アルカリール基、C1−20ハロアルキル基、C5−30ハロアリール基、C3− 10ハロシクロアルキル基、C1−20ニトロアルキル基、C5−20ニトロアリール基、C3−10ニトロシクロアルキル基、C1−20チオアルキル基、C5−30チオアリール基、C3−10チオシクロアルキル基、C1−20シアノアルキル基、C5−30シアノアリール基、C3−10シアノシクロアルキル基、C1−20アルキルシリル基、及びC5−30アリールシリル基を含む群から選択される、請求項2に記載の化合物。
- 前記保護基が、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、C1−10アルキルシリル基、C5−10アリールシリル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項2に記載の化合物。
- R10、R11、及びR12が同一であるか又は異なり、それぞれは1以上のハロゲン、ニトロ基、チオ基、及びシアノ基で必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である、請求項5に記載の化合物。
- R11及びR12が同一である、請求項5に記載の化合物。
- R11及びR12がそれぞれi−プロピルである、請求項5に記載の化合物。
- R10がC1−10シアノアルキル基である、請求項5に記載の化合物。
- R10がシアノエチル基である、請求項5に記載の化合物。
- Q1が、C1−40アルキル基、C5−40アリール基、C5−40アルキルアリール基、C3−40シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項1に記載の化合物。
- Q1が次式
−CH2−CH2−
で表される、請求項1に記載の化合物。 - Q1が次式
−CH2−O−CH2−
で表される、請求項1に記載の化合物。 - Q1が次式:
で表される、請求項1に記載の化合物。 - l、m、n、o、p、及びqがすべて1であり、
Q1が、
−CH2−CH2−
又は
−CH2−O−CH2−
又は
から選択され、
Q2が酸素であり、
Q3が−SO2であり、
A1、A2、R3、R4、R5、R6がすべて水素であり、
Z1が、以下の構造を有する
請求項1に記載の化合物。 - 式I:
X1−Q−Z1 (I)
で表される化合物を生成する方法であって、
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qが、
Q1は有機部分であり、
Q2は−O−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、少なくとも一つのA3及びA4は電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
式II、III、及びIVの化合物:
X1−OH (II)
H−Q−O−R24 (III)
Z2 (IV)
(式中、R24は水素又は保護基であり、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)
を反応させる工程を備えた方法。 - R24が保護基であり、式IIとIIIの化合物を反応させて反応生成物を生成する工程と、その後該反応生成物を式IVの化合物と反応させて式Iの化合物を生成する工程とを備える、請求項16に記載の方法。
- R24が水素であり、式IIIとIVの化合物を反応させて反応生成物を生成する工程と、その後該反応生成物を式IIの化合物と反応させて式Iの化合物を生成する工程とを備える、請求項16に記載の方法。
- 前記保護基が、置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−30アリール基、C3−10シクロアルキル基、C5−40アルカリール基、C1−20ハロアルキル基、C5−30ハロアリール基、C3−10ハロシクロアルキル基、C1−20ニトロアルキル基、C5−20ニトロアリール基、C3−10ニトロシクロアルキル基、C1−20チオアルキル基、C5−30チオアリール基、C3−10チオシクロアルキル基、C1−20シアノアルキル基、C5−30シアノアリール基、C3−10シアノシクロアルキル基、C1−20アルキルシリル基、及びC5−30アリールシリル基を含む群から選択される、請求項19に記載の方法。
- 前記保護基が、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、C1−10アルキルシリル基、C5−10アリールシリル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項19に記載の方法。
- R10、R11、及びR12が同一であるか又は異なり、それぞれは1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である、請求項22に記載の方法。
- R11及びR12が同一である、請求項22に記載の方法。
- R11及びR12がそれぞれi−プロピルである、請求項22に記載の方法。
- R10がC1−10シアノアルキル基である、請求項22に記載の方法。
- R10がシアノエチル基である、請求項22に記載の方法。
- Q1が、C1−40アルキル基、C5−40アリール基、C5−40アルキルアリール基、C3−40シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
- Q1が次式
−CH2−CH2−
で表される、請求項16に記載の方法。 - Q1が次式
−CH2−O−CH2−
で表される、請求項16に記載の方法。 - Q1が次式:
で表される、請求項16に記載の方法。 - l、m、n、o、p、及びqがすべて1であり、
Q1が、
−CH2−CH2−
又は
−CH2−O−CH2−
又は
から選択され、
Q2が酸素であり、
Q3が−SO2であり、
A1、A2、R3、R4、R5、R6がすべて水素であり、
Z1が以下の構造:
を有する、請求項16に記載の方法。 - 第一の目的のオリゴヌクレオチドを生成する方法であって、
(i) 式I:
X1−Q−Z1 (I)
(式中、
X1は以下の構造から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
Qは、
Q1は有機部分であり、
Q2は−O−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数である)
から選択される部分であり、
Z1はリン酸化部分である)
の化合物を式VIII:
で表される担体材料と反応させて、式IX:
(ii) 前記式VIの第1の誘導体化された担体材料を、前記第1の目的のオリゴヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチド配列が合成されるまで、少なくとも1つのヌクレオチドと反応させる工程と、
(iii) 式IXの化合物から前記第1の目的のオリゴヌクレオチドを切断する工程とを備える方法。 - 前記保護基が、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、C1−10アルキルシリル基、C5−10アリールシリル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項34に記載の方法。
- 前記保護基が、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項34に記載の方法。
- R10、R11、及びR12が同一であるか又は異なり、それぞれは1以上のハロゲン、ニトロ基、チオ基、及びシアノ基で必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である、請求項37に記載の方法。
- R11及びR12が同一である、請求項37に記載の方法。
- R11及びR12それぞれがi−プロピルである、請求項37に記載の方法。
- R10がC1−10シアノアルキル基である、請求項37に記載の方法。
- R10がシアノエチル基である、請求項37に記載の方法。
- Q1が、C1−40アルキル基、C5−40アリール基、C5−40アルキルアリール基、C3−40シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項33に記載の方法。
- Q1が次式
−CH2−CH2−
で表される、請求項33に記載の方法。 - Q1が次式
−CH2−O−CH2−
で表される、請求項33に記載の方法。 - Q1が次式:
で表される請求項33に記載の方法。 - l、m、n、o、p、及びqがすべて1であり、
Q1が、
−CH2−CH2−
又は
−CH2−O−CH2−
又は
Q2が酸素であり、
Q3が−SO2であり、
A1、A2、R3、R4、R5、R6がすべて水素であり、
Z1が以下の構造:
を有する、請求項33に記載の方法。 - 工程(iii)の前に、以下の追加の工程、すなわち、
末端水酸基保護基を工程(ii)の生成物から除去し、次いで該生成物を式Iの別の化合物と反応させて第2の誘導体化された担体材料を生成する工程と、
第2の目的のオリゴヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチド配列が合成されるまで、前記第2の誘導体化された担体材料を少なくとも1つのヌクレオチドと反応させる工程とを実施する、請求項33に記載の方法。 - 前記第1の目的のオリゴヌクレオチドと前記第2の目的のオリゴヌクレオチドとが実質的に同じ配列を有する、請求項48に記載の方法。
- 前記第1の目的のオリゴヌクレオチドと前記第2の目的のオリゴヌクレオチドとが実質的に異なる配列を有する、請求項48に記載の方法。
- 工程(iii)が、前記第1の目的のオリゴヌクレオチド及び前記第2の目的のオリゴヌクレオチドを実質的に同時に切断することを備えた、請求項48に記載の方法。
- 工程(iii)が、前記第1の目的のオリゴヌクレオチドと前記第2の目的のオリゴヌクレオチドを順次切断することを備えた、請求項48に記載の方法。
- 前記除去と前記反応工程を少なくとも2サイクル繰り返し実施して、少なくとも3つの目的のオリゴヌクレオチドを生成する、請求項48に記載の方法。
- 工程(iii)が、少なくとも3つの目的のオリゴヌクレオチドを実質的に同時に切断することを備えた、請求項53に記載の方法。
- 工程(iii)が、少なくとも3つの目的のオリゴヌクレオチドの順次切断することを備えた、請求項53に記載の方法。
- 式Va又は式Vb:
X1は、以下の構造:
R1は水素、フッ素、又は−OR3であり、
R2及びR3は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、メチル、及び保護基から選択され、
B*は核酸塩基である)
から選択される保護されたヌクレオシド部分を含み、
Q1は有機部分であり、
Q2は−O−、−N(H)−、−N(R7)−、及び−S−から選択され、
Q3は−S(O)2−、−S(O)−、−C(O)−、−O−、−O−(R8)−O−、及び−R9−から選択され、
A1及びA2は同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、−COOR7、−CONH、−CONR7、−CN、−NO2、−SR7、−S(O)R7、−S(O)2R7、−SC(C6H5)3、C1−10アルキルスルホニル基、C5−10アリール基、C1−10アルキルチオ基、−Si(R7)3、C1−10ハロアルキル基、ナフチル、9−フルオレニル、2−アントラキノニル、
A3及びA4は、同じでも異なってもよく、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、及び電子吸引基から選択され(但し、A3とA4の少なくとも1つが電子吸引基を含む)、
R3、R4、R5、及びR6は同一であるか又は異なり、それぞれは水素、ハロゲン、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R7はC1−10アルキル基、C5−10アリール基、及びC3−10シクロアルキル基から選択され、
R8はC1−10アルキル基又はC5−10アリール基であり、
R9はC5−10アリール基又は−CH2−であり、
l、m、n、及びpはそれぞれ独立に0又は1であり、
oは0〜30の整数であり、
qは0〜50の整数であり、
R25は水素、保護基、又はZ1(Z1はリン酸化部分)である)
で表される誘導体化されたヌクレオシドを生成する方法であって、
式II及びVIで表される化合物:
- l、o、及びqがそれぞれ独立に0又は1であり、
m及びnがそれぞれ1であり、
oが0〜10の整数である、請求項56に記載の方法。 - 式IIとVIの化合物を反応させて反応生成物を生成させる工程と、その後前記反応生成物を式VIIa又はVIIbの化合物と反応させて式Va又はVbの化合物を生成させる工程とを備える、請求項56に記載の方法。
- 式VIとVIIa又はVIとVIIbの化合物を反応させて反応生成物を生成させる工程と、その後前記反応生成物を式IIの化合物と反応させて式Va又はVbの化合物を生成させる工程とを備える、請求項56に記載の方法。
- 前記保護基が、置換又は非置換C1−20アルキル基、置換又は非置換C5−30アリール基、C3−10シクロアルキル基、C5−40アルカリール基、C1−20ハロアルキル基、C5−30ハロアリール基、C3−10ハロシクロアルキル基、C1−20ニトロアルキル基、C5−20ニトロアリール基、C3−10ニトロシクロアルキル基、C1−20チオアルキル基、C5−30チオアリール基、C3−10チオシクロアルキル基、C1−20シアノアルキル基、C5−30シアノアリール基、C3−10シアノシクロアルキル基、C1−20アルキルシリル基、及びC5−30アリールシリル基を含む群から選択される、請求項56に記載の方法。
- 前記保護基が、C1−10アルキル基、C5−10アリール基、C3−10シクロアルキル基、C1−10アルキルシリル基、C5−10アリールシリル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項56に記載の方法。
- 式Va又は式Vbの化合物を式IVの化合物
Z2
(IV)
(式中、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)
と反応させる工程をさらに備える、請求項56に記載の方法。 - R10、R11、及びR12は同一であるか又は異なり、それぞれは1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で必要に応じて置換されたC1−10アルキル基である、請求項64に記載の方法。
- R11及びR12が同一である、請求項64に記載の方法。
- R11及びR12それぞれがi−プロピルである、請求項64に記載の方法。
- R10がC1−10シアノアルキル基である、請求項64に記載の方法。
- R10がシアノエチル基である、請求項64に記載の方法。
- Q1が、C1−40アルキル基、C5−40アリール基、C5−40アルキルアリール基、C3−40シクロアルキル基、及び1以上のハロゲン、酸素、硫黄、ニトロ基、シリル基、チオ基、及びシアノ基で置換されたこれらの類縁体を含む群から選択される、請求項56に記載の方法。
- l、m、n、o、p、及びqがすべて1であり、
Q1が、
−CH2−CH2−
又は
−CH2−O−CH2−
又は
Q2が酸素であり、
Q3が−SO2であり、
A1、A2、R3、R4、R4、R5、R6がすべて水素であり、
前記リン酸化部分が以下の構造:
を有する、請求項56に記載の方法。 - R25がZ1であり、前記工程の前に、まず式VIIa又は式VIIbの化合物を式IV:
Z2
(式中、Z2はZ1のリン含有前駆体又は活性化されたリン酸化部分である)の化合物と最初に反応させ、その後、式(II)の化合物及び式(VI)の化合物と順次反応させる請求項56に記載の方法。
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