JP2004507446A - 低用量ハプテン化腫瘍細胞および腫瘍細胞抽出物の免疫治療 - Google Patents

低用量ハプテン化腫瘍細胞および腫瘍細胞抽出物の免疫治療 Download PDF

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Abstract

本発明は、ハプテン化された腫瘍細胞およびそれらの抽出物を含む組成物、この組成物を調製する方法、このようなハプテン化された腫瘍細胞を含むワクチン、ならびにこのようなワクチンで癌を処置する方法に関連する。特定の実施形態において、黒色腫細胞をジニトロフェニル基でハプテン化し、そして転移性疾患を有する黒色腫患者の処置のために使用した。好ましくは、患者は、ハプテン化細胞を含む第一のワクチン用量を与えられ、免疫系を「プライミング」される。続いて、患者はシクロホスファミドのような免疫モジュレーターを注射される。好ましい実施形態において、この「プライミング」ワクチン投薬後、適切な時期に、ハプテン化された細胞とアジュバンドの混合物を含むさらなるワクチン用量が投与される。記載された処置プランは、好ましい抗腫瘍免疫応答を惹起するためにより有効である。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、ハプテン化腫瘍細胞およびその抽出物を含む組成物に関する。本発明はまた、癌を処置するための方法に関連し、ここで、ハプテン改変腫瘍細胞調製物のプライミング用量は、防御的抗腫瘍免疫を増強するかもしくは免疫抑制を阻害するかまたはその両方の任意の免疫調節薬剤(例えば、シクロホスファミド)の前に、そして免疫学的アジュバントとハプテン化腫瘍細胞の間の混合物、または腫瘍細胞抽出物を含む組成物の前に、投与される。
【0002】
(発明の背景)
(ハプテン化腫瘍細胞ワクチン)
ハプテンジニトロフェニル(DNP)で改変した自己全細胞ワクチンは、黒色腫患者の転移部位における炎症性応答を生成することが示されてきた。DNP改変ワクチンでの手術後アジュバント治療を受ける患者の生存率は、手術単独で処置された患者について報告される生存率よりも顕著に高い。ワクチンについて、インタクトな細胞が好ましい。
【0003】
David Berdの米国特許第5,290,551号は、ハプテン化黒色腫細胞を含むワクチン組成物を開示および権利主張する。これらの細胞で処置された黒色腫患者は、強力な免疫応答を発現した。この応答は、例えば、ハプテン化および非ハプテン化腫瘍細胞に対する遅延型過感受性(DTH)反応において検出された。より重要には、非ハプテン化細胞に対する免疫応答は、黒色腫患者の増加した生存率に関連している。
【0004】
ハプテン化腫瘍細胞ワクチンはまた、肺癌、乳癌、結腸癌、膵臓癌、卵巣癌、および白血病を含む、他の型の癌について記載されている(1994年2月28日に出願された米国特許出願番号08/203,004号;PCT公開番号WO96/40173および同WO98/14206、ならびにPCT出願番号PCT/US98/16660を参照のこと)。
【0005】
一般的に、ハプテン化細胞に対する免疫応答は、ハプテンの選択と無関係であることが見出されているが、ハプテンに結合される官能基依存する。特に、リジンのε−アミノ基ならびにアスパラギン酸およびグルタミン酸の−COOH基のハプテン化は、強い免疫応答について効果的であることが報告されている(NahasおよびLeskowitz、Cellular Immunol.,1980;54:241)。
【0006】
動物研究から、アルサニル酸で改変した同系リンパ球を用いるマウスの免疫化は、これらの改変細胞(DTH(Bachら、J.Immunol.,1978;121:1460)および細胞傷害性T細胞(Shermanら、J.Immunol.1978;121:1432)を含む)に対する強力なT細胞応答を誘導する。アルサニル酸のラット腎臓への注射は、活発な自己免疫腎炎を誘導した(Rennkeら、Kidney International,1994;45:1044)。明らかに、ごく微小量のアルサニル酸のヒトへの投与は、受容可能でないが、スルファニル酸(低量で非毒性の化合物)は、同様の免疫効果を誘導するはずである(NahasおよびLeskowitz、前出、1980)。両方の化合物は、亜硝酸ナトリウムでの処理によってジアゾ化された後、チロシンおよびヒスチジンに結合され得る。さらに、スルファニル酸改変タンパク質での動物の免疫化は、自己免疫を誘導し得る(Weigle,j.Exp.Med.,1965;122:1049)。このカテゴリーにおける第3の潜在的に興味深いハプテンは、Kimら(Eur.J.Immunol.,1992;22:775)の研究を考慮して、ホスホリルコリン(PC)である。しかし、これらのハプテンは、ヒトにおいて有効であることは証明されておらず;反対に、NahasおよびLeskowitz(前出)は、有効でないことを示唆する。
【0007】
これらの発見は、免疫治療による、癌、特に黒色腫の処置における迅速な進歩をもたらしてきた。それにも関わらず、さらにより効果的な治療についての必要性が当該分野で残る。なぜなら、上述のハプテン化された腫瘍細胞ワクチン技術で達成された応答の割合は、めざましいものであったが、100%に達しなかった。より効果的な処置レジメンについての必要性がまた当該分野で存在し、このレジメンは、より多くの投薬量を可能にするか、またはより少数の細胞を用いる効果的な治療を提供するかのいずれかのために、1用量当り、実質的により少ないハプテン化細胞を必要とする。これは、切除された腫瘍から得られ得る細胞の数が、上記のようにワクチン調製物に必要であるよりも、より少なくあり得る場合に、初期段階または再発性の癌の処置のために特に重要である。
【0008】
本発明は、驚くほど効率的な方法で、当該分野におけるこれらおよび他の必要性に取り組む。
【0009】
本明細書中の任意の参考文献の引用は、このような参考文献が本願に対する「先行技術」として利用可能であることを認めるものとして、解釈されるべきではない。
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、ハプテン化腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物を有利に提供し、この組成物は、癌患者における抗腫瘍応答を誘導するように意図される癌処置レジメンにおけるプライミング用量として使用され得る。
【0011】
1つの局面に従って、本発明は、ハプテン改変哺乳動物、好ましくは、ヒトの、腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物に関する。
【0012】
別の局面において、本発明は、約2×10〜約2.5×10のハプテン改変哺乳動物腫瘍細胞または細胞等価物を含む組成物に関する。
【0013】
さらに別の局面において、本発明は、癌を処置する方法に関し、この方法は、哺乳動物、好ましくは、ヒトに、ハプテン改変ヒト腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物を投与する工程であって、ここで、上記哺乳動物が、上記腫瘍細胞膜と同じ型の悪性腫瘍に罹患する工程、を包含する。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明は、癌を処置する方法に関し、この方法は、防御的抗腫瘍免疫を増強するかもしくは免疫抑制を阻害するかまたはその両方の任意の免疫調節薬剤の投与の前に、ハプテン改変もしくは非改変腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物を含む初回用量を投与することによって、処置を開始する工程を包含する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、癌を処置する方法に関し、この方法は、防御的抗腫瘍免疫を増強するかもしくは免疫抑制を阻害するかまたはその両方の任意の免疫調節薬剤の投与の前に、いずれのアジュバントも含まない、ハプテン改変もしくは非改変腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物を含む初回用量を投与することによって、処置を開始する工程を包含する。
【0016】
なお別の実施形態において、本発明は、癌を処置する方法に関し、この方法は、防御的抗腫瘍免疫を増強するかもしくは免疫抑制を阻害するかまたはその両方の任意の免疫調節薬剤の投与の前に、ハプテン改変もしくは非改変腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物およびアジュバントを含む初回用量を投与することによって、処置を開始する工程を包含する。
【0017】
なお別の実施形態において、本発明は、癌を処置する方法に関し、この方法は、ハプテン改変もしくは非改変腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物を含む初回用量を投与することによって、処置を開始する工程を包含する。適切な期間後、防御的抗腫瘍免疫を増強するかもしくは免疫抑制を阻害するかまたはその両方の免疫調節薬剤(その後さらにワクチン調製物(これは、免疫学的アジュバントを含み得る)が続く)は、選択された工程に従って投与される。
【0018】
従って、本発明の1つの目的は、ハプテン化または非ハプテン化腫瘍細胞調製物で、免疫系をプライミングすることによって、癌ワクチン分野におけるより効果的な処置レジメンを提供することである。
【0019】
本発明のこの局面および他の局面は、以下の発明の詳細な説明および実施例においてさらに詳しく述べられる。
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、腫瘍細胞ワクチンの投与、特に、ハプテン化腫瘍細胞調製物の反復注射を含む投与に基づいた、癌治療のための改善された処置プロトコールを提供する。シクロホスファミドおよびアジュバントを有するかまたは有さない反復用量のハプテン化腫瘍細胞調製物で処置する前に、比較的低量のハプテン改変腫瘍細胞もしくは腫瘍細胞抽出物または非ハプテン化腫瘍細胞もしくは腫瘍細胞抽出物(アジュバントを有するかまたはなしで)を含む初回用量を投与することによって、検疫系をプライミングすることは、非改変主用細胞に対する増強された免疫応答を生じ得る。この後者のプライミング現象は、一般に、腫瘍ワクチンの結果を改善するための広範な適用を有する(すなわち、腫瘍細胞または細胞抽出物(精製された腫瘍関連抗原を含む)がハプテン化されるか否か)。
【0021】
本明細書中に記載される研究は、ハプテン改変腫瘍細胞で患者を免疫化することが、非改変腫瘍細胞に対して免疫を誘導し得るという考えに強力な支持を提供してきた。動物およびヒトのデータは、低用量のハプテン化または非ハプテン化腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物の初回(プライミング)投与が、癌のハプテン改変細胞または細胞抽出物の免疫療法の効率を増加することを示す。本発明は、ヒトにおいて改善した結果を達成するための原理を提供する。より詳細には、本発明は、より効果的な抗腫瘍免疫応答(例えば、DTHによって測定されるような)、腫瘍退化、生存の延長などを可能にする。
【0022】
本発明は、部分的に、新しく開発された動物モデル由来のデータに基づく(同時継続出願番号60/180,257、弁護士事件整理番号1225/0G680、02/04/00出願に記載される)。低用量のシクロホスファミド処置の前に、単回用量のDNP改変の照射された自己腫瘍細胞(アジュバントBacille Calmette−Guerinがない)を用いてマウスを前処理し、次いで、アジュバントと混合したDNP改変の照射された自己腫瘍細胞でのワクチン接種に供した場合に、このモデルにおいて、低用量シクロホスファミドに先行する、DNP改変の照射された自己腫瘍細胞ワクチンの治療結果において改善が観察された。これらの結果は、ワクチン接種プロトコルについての前処置レジメンの増強効果を示す。
【0023】
本発明は、部分的に、ヒト研究に由来するデータに基づく。低用量のシクロホスファミド処置の前に、単回用量のDNP改変または非改変の照射された自己腫瘍細胞(アジュバントBacille Calmette−Guerinがない)を用いてヒトを前処理し、次いで、アジュバントと混合したDNP改変の照射された自己腫瘍細胞でのワクチン接種に供した場合に、低用量シクロホスファミドに先行する、DNP改変の照射された自己腫瘍細胞ワクチンの治療結果において改善が観察された。これらの結果は、ワクチン接種プロトコルについての前処置レジメンの増強効果を示す。
【0024】
本発明の種々の局面は、以下の節においてより詳細に示される。種々の節へのこの構成は、本発明の理解を容易にすることが意図され、そして、それを限定することは全く意図されない。
【0025】
(定義)
以下の定義された用語は、本明細書全体で使用され、そして、本発明の範囲および実施を理解する際に役立つはずである。
【0026】
「ハプテン改変腫瘍細胞調製物」は、本明細書中でより詳細に説明されるように、ハプテン化腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物のいずれかをいう。
【0027】
用語「対応する」は、組成物中の細胞の数を説明するために使用されるかまたは組成物中の腫瘍細胞抽出物の量(すなわち、組成物中の細胞等価物)を調製するために使用される。
【0028】
特定の実施形態において、用語「約(およそ)(about)」または「約(approximately)」は、所定の値または範囲の50%以内、好ましくは、25%以内、およびより好ましくは、10%以内を意味する。あるいは、当業者によって考慮される場合、用語 約(およそ)は、平均値の許容可能な標準誤差以内を意味する。
【0029】
「処方物」は、ハプテン化腫瘍細胞または細胞抽出物の保存もしくは投与またはその両方のための水性培地または水溶液をいい、これは、好ましくは、生物に直接注射可能である。水性培地は、およそ等張濃度で、塩もしくは糖、または両方を含む。
【0030】
成句「薬学的に受容可能な」は、ヒトまたは非ヒト動物に投与される場合に、特定の濃度での分子実体、および生理学的に耐用性でありそして代表的にアレルギー性または同様の厄介な反応(例えば、胃の不調、発熱、めまい感など)を代表的に引き起こさない組成物をいう。好ましくは、本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な」は、ヒトまたは非ヒト動物における使用について、連邦政府の監督官庁もしくは州政府によって承認されたか、または米国薬局方もしくは他の一般に認識された薬局方において記載されることを意味する。
【0031】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、参照物質が、それが正常に見出される天然の環境から取り出されることを意味する。より詳細には、細胞性成分がない場合に、単離された生物学的物質となる。単離されたペプチドは、他のタンパク質もしくは核酸、または両方と結合され得、このペプチドは、これらと細胞中で結合し、これが膜結合である場合、細胞膜と結合する。単離された細胞小器官、細胞、または組織は、これが生物体中で見出される解剖学的な部位から取り出される。単離された物質は、必要はないが、精製され得る。
【0032】
用語「精製された」は、本明細書中で使用される場合、無関係の物質(すなわち、混入物)を減少または除去する条件下で、単離された物質をいう。例えば、精製されたタンパク質は、好ましくは、それが細胞中で結合する他のタンパク質または核酸がなく;精製された細胞は、無関係の細胞および組織マトリックス成分がない。
【0033】
「アジュバントがない」組成物は、アジュバントを含まないか、またはアジュバントと同時投与されることも、アジュバントの前後24時間未満に投与されることもない組成物(例えば、ハプテン化腫瘍細胞調製物)である。これはまた、「アジュバントフリー」といわれる。
【0034】
「被験体」は、本発明の組成物中に処方されたハプテン化腫瘍細胞を受容し得るヒトまたは非ヒト動物をいう。好ましくは、被験体はヒトである。しかし、本発明はまた、獣医学、特に、家庭内ペット(イヌ、ネコ)、および家蓄(ウマ、ウシ、ブタなど)の処置について意図される。
【0035】
「抗腫瘍応答」は、以下の少なくとも1つである;腫瘍壊死、腫瘍退化、腫瘍炎症、活性化Tリンパ球による腫瘍浸潤、遅延型過感受性(DTH)応答、および臨床的応答。
【0036】
「組成物」、「ワクチン組成物」または「腫瘍細胞ワクチン」は、本明細書中で交換可能に使用され、必要に応じて、アジュバントを有する、処方物中のハプテン改変腫瘍細胞調製物の混合物をいう。本発明のアジュバントフリーの初回用量(プライミング)実施形態の状況において、組成物またはワクチンは改変であり得、改変および非改変の混合物であり得、または非改変であり得:腫瘍細胞、腫瘍細胞膜(特に原形質、すなわち、細胞外膜)、または腫瘍細胞から抽出されたタンパク質もしくはペプチドであり得る。
【0037】
用語「ワクチン」、「免疫治療」、および「免疫療法」は、本明細書中で交換可能に使用され、例えば、腫瘍の外科的切除後の癌を処置するためのハプテン改変腫瘍細胞調製物を含む組成物の投与をいう。
【0038】
「抗腫瘍応答」としては、以下の1つ以上が挙げられるがこれらに限定されない:腫瘍壊死、腫瘍退化、腫瘍炎症、活性化リンパ球による腫瘍浸潤、腫瘍浸潤リンパ球の活性化、DTH応答(腫瘍細胞に対する)、および臨床的応答。
【0039】
用語「処置する」は、腫瘍の細胞(すなわち、癌)に対する抗腫瘍応答を誘発しようと試みることを意味する。
【0040】
(ハプテン化腫瘍細胞調製)
本発明は、転移性癌および原発性癌を含む、癌を処置するためのハプテン化腫瘍細胞ワクチンの調製における使用に関する。本発明で処置可能な癌としては、固形腫瘍および非固形腫瘍(血液学的悪性腫瘍を含む)が挙げられる。本発明に従って処置され得る固形腫瘍の例としては、肉腫、癌、および以下のような他の腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺腫、乳頭状癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、ヘパトーム、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫、子宮頚癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫。血液学的悪性腫瘍としては、白血病、リンパ腫、および多発骨髄腫が挙げられる。以下は、本発明の組成物および方法を用いて処置可能な癌の非限定的な好ましい例である:黒色腫(第4期黒色腫を含む);卵巣癌(進行型卵巣癌を含む);白血病(急性骨髄性白血病が挙げられるが、これらに限定されない);結腸(肝臓に転移した結腸癌を含む);直腸癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、および前立腺癌。
【0041】
(腫瘍細胞)
本発明の組成物は、腫瘍細胞(例えば、上記のように癌の処置レジメンの経過中に外科的に切除された腫瘍から得られた細胞)から調製される。本発明中で使用される腫瘍細胞または細胞抽出物は、好ましくは、以下のように調製される。腫瘍は、Berdら、Cancer Res.,1986;46:2572、Satoら、Cancer Invest.,1997;15:98、米国特許第5,290,551号、および米国出願番号08/203,004、同08/479,016、同08/899,905、同08/942,794、または対応するPCT公開WO96/40173(これらの各々は、本明細書中にその全体が参考として援用される)によって記載されるように、処理される。手短に言うと、例えば、コラゲナーゼおよびDNaseを用いる酵素学的分離によって、ブレンダー中の機械的分離によって、ピンセットで裂くこと(teasing)によって、乳鉢および乳棒を使用して、小刀刃を使用して小片に切断するなどによる分離によって、細胞を抽出した。非固形腫瘍に関して、血液または骨髄サンプルが収集され得、そして、密度勾配遠心分離によって、腫瘍細胞を単離し得る。
【0042】
本発明の腫瘍細胞は、インタクト細胞、弱毒化細胞、または死滅細胞であり得る。被験体への投与後に増殖および分裂し得ない腫瘍細胞は、結果としてそれらが実質的に増殖の状態になく、本発明における使用について好ましい。「増殖状態にない細胞」は、分裂しないインタクトな細胞を意味することが理解されるべきである。細胞を分裂不能にする従来的な方法が、当業者に公知であり、そして、本発明において、有用であり得る。例えば、細胞は、使用の前に、照射され得る。細胞が投与後に増殖するのを妨ぐために、腫瘍細胞は照射されて、約2500cGyの線量を受け得る。あるいは、ハプテン化、および特に二重ハプテン化は、細胞を増殖不能にし得る。
【0043】
腫瘍細胞は、好ましくは、処理される型と同じ型が起源であるべきであり、そして、さらにより好ましくは、同系である(例えば、自己または組織型適合性)。本発明の目的について、同系は、意図されるレシピエントの免疫系が、細胞を「自己」として認識するように(例えば、これらの細胞は、同じまたはほぼ同じMHC分子の補体を発現する)、遺伝的に十分密接に関連した腫瘍細胞をいう。これについての別の用語は、「組織型適合性」である。例えば、遺伝的同一性は、抗原または免疫学的反応、および当該分野で公知の任意の他の方法に対して決定され得る。同系腫瘍細胞は、腫瘍細胞を遺伝的に操作することによって作成され得、必要なMHC分子を発現する。
【0044】
好ましくは、細胞は、処置される癌の型から、そして、より好ましくは、処置される同じ患者起源である。腫瘍細胞は、生検または外科的切除試料から、またはこのような細胞の組織培養物から分離される自己細胞であり得るが、これらに限定されない。それでもなお、同種異系細胞および幹細胞はまた、本発明の範囲内である。
【0045】
(腫瘍細胞膜)
本発明の単離された改変腫瘍細胞膜は、哺乳動物、好ましくは、ヒトの腫瘍細胞から調製される。本発明の1つの実施形態において、腫瘍細胞膜は、動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、またはブタファミリー由来)の腫瘍から単離される。ハプテン化腫瘍細胞膜の単離および調製は、1995年6月7日に出願された、米国特許出願番号08/479,016、および1998年2月17日に出願された米国特許第90/025,012において記載される。
【0046】
膜が単離される腫瘍細胞は、インタクト細胞、弱毒化細胞、または死滅細胞であり得る。被験体への投与前に腫瘍細胞を、増殖および分裂し得なくさせ、その結果、それらの細胞が実質的に増殖の状態になく、本発明において使用され得る。あるいは、腫瘍細胞膜はまた、膜自身は増殖し得ないので、インビボで増殖および分裂し得る腫瘍細胞から単離され得る。好ましくは、このような場合において、腫瘍細胞膜調製物は、インビボで増殖可能な腫瘍細胞が混入していない。
【0047】
腫瘍細胞を用いる場合、腫瘍細胞膜は、好ましくは、処置される型と同じ型の癌の腫瘍細胞から単離される。例えば、卵巣癌を処置するために使用される膜は、卵巣癌細胞から単離される。好ましくは、腫瘍細胞は、処置される同じ被験体起源である。腫瘍細胞は、好ましくは、同系(例えば、自己)であるが、その被験体に対して同種異系でもあり得る。膜供給源として使用される腫瘍細胞に対する特定の抗原と患者の腫瘍細胞上に存在する抗原との間に遺伝的同一性が存在し得る。腫瘍細胞は、生検試料または組織培養物から分離された細胞であり得るが、これらに限定されない。同種異系細胞および幹細胞から単離された膜はまた、本発明の範囲内である。
【0048】
腫瘍細胞膜としては、すべての細胞性膜、例えば、外膜、核膜、ミトコンドリア膜、小胞膜、小胞体膜、ゴルジ体膜、およびリソソーム膜が挙げられ得る。本発明の1つの実施形態において、約50%を超える膜が腫瘍細胞外膜である。好ましくは、約60%を超える膜が、腫瘍細胞外膜からなり、約70%を超えるものがより好ましく、80%がさらにより好ましく、90%がなおさらに好ましく、95%がなおさらに好ましく、そして、99%が、最も好ましい。
【0049】
好ましくは、単離された膜は、実質的に核がなく、そしてインタクトな細胞である。例えば、膜調製物は、これが膜物質の約2×10個の細胞等価物(c.e)中に約100個未満の細胞および/または核を含む場合、実質的に核がないか、またはインタクトな細胞である。細胞等価物は、示された数の細胞から単離された量の膜である。実質的に細胞および/または核がない単離された腫瘍細胞膜は、リンパ球および/またはリンパ球膜を含み得る。
【0050】
好ましくは、単離された腫瘍細胞膜は、細胞外膜(すなわち、腫瘍細胞原形質膜)である。本発明の膜調製物は、全外膜またはその画分を含み得る。本発明の単離された膜(好ましくは、外膜の画分を含む)は、MHC分子画分および/または熱ショックタンパク質画分を含む。膜フラグメントの大きさは、重要でない。
【0051】
同種異系の腫瘍細胞膜はまた、同系(例えば、自己)抗原提示細胞と共に、本発明の方法において使用され得る。このアプローチは、患者自身の腫瘍以外の供給源起源である腫瘍細胞膜での患者の免疫化を可能にする。同系抗原提示細胞は、患者の細胞媒介性免疫系がそれらに応答し得るように、同種異系膜を処理する。
【0052】
本明細書中で言及される腫瘍細胞膜(改変または非改変)として、このような膜調製物が、貯蔵または投与され得る任意の形態(例えば、希釈液中に再懸濁された膜、膜ペレット、または凍結膜または凍結乾燥膜)が挙げられる。
【0053】
腫瘍細胞膜は、ハプテン化細胞から得られ得るか、または、以下に記載される技術を使用して、細胞からの抽出後にハプテン化され得る。
【0054】
腫瘍細胞膜は、例えば、低浸透圧性ショック、機械的分離および酵素的分離を使用して細胞を破壊することによって、そして遠心分離によって種々の細胞成分を分離することによって、腫瘍細胞(例えば、上記のように得られた)から調製される。手短には、以下の工程が使用され得る:腫瘍細胞を溶解する工程、溶解した腫瘍細胞から核を取り除いて核のない腫瘍細胞を得る工程、細胞および核がない実質的に純粋な膜を得る工程、ならびに腫瘍細胞膜をハプテンに結合させてハプテン改変腫瘍細胞膜を得る工程。膜単離は、Heikeらの方法に従って、行なわれ得る。
【0055】
本発明の1つの実施形態において、インタクトな細胞および核は、顕微鏡的に決定されるように、膜が実質的に核および細胞がなくなるまで、連続的な遠心分離によって除去され得る。例えば、溶解細胞は、例えば、約5分間、約500〜2,000gのような低速で遠心分離され得る。この分離手順では、約100個未満の細胞または核が、膜材料の約2×10個の細胞等価物(c.e.)に残る。回収された上清は、例えば、約90分間、約100,000gでの超遠心によってペレット化され得る膜を含む。このペレットは、主に膜を含む。膜は、例えば、約8%スクロース、5mMトリス、pH7.6中で再懸濁され得、そして、使用まで約−80℃で冷凍される。任意の希釈液、好ましくは、安定剤として作用する希釈剤が使用され得る。膜調製物の質を決定するために、画分(約6×10c.e.膜)を定期的に培養し得る。細胞コロニーは発生するべきではなく、そして、細胞または核は、光学顕微鏡によって検出されるべきではない。
【0056】
調製された細胞の改変またはDNPもしくは別のハプテンを用いた膜の改変は、公知の方法によって(例えば、滅菌条件下でハプテンとともに腫瘍細胞もしくは膜を30分間インキュベートし、続いて、滅菌生理食塩水で洗浄することを含むMillerおよびClaman(J.Immunol.,1976;117:1519)の方法によって)行われ得る。ハプテン改変は、モノクローナル抗ハプテン抗体を用いたフローサイトメトリーにより確認され得る。
【0057】
解離した細胞もしくは単離した膜は、新鮮な状態で用いられ得るか、または凍結した状態で保存され得る(例えば、必要になるまで制御速度冷凍機中でもしくは液体窒素中で)。この細胞および膜は、融解時に使用できる状態である。好ましくは、この細胞または膜は、それらが患者に投与される前に短時間で融解される。例えば、この細胞または膜は、患者が皮膚を試験または処置される日に融解され得る。
【0058】
同種異系の腫瘍細胞膜は、上記のように調製され得る。しかし、被験体に投与される前に、この調製物は、同系(例えば、自系)抗原提示細胞とともに同時にインキュベートされ得る。同系抗原提示細胞は、同種異系膜をプロセシングし、その結果、患者の細胞媒介性免疫システムは、それらに応答し得る。このアプローチは、患者自身の腫瘍以外の供給源に由来する腫瘍細胞膜を用いた患者の免疫を可能にする。同種異系腫瘍細胞膜は、約2時間〜約数日間の種々の期間にわたり抗原提示細胞とともにインキュベートされる。次いで、膜をパルスした抗原提示細胞は、洗浄され、そして患者に注射される。
【0059】
抗原提示細胞は、多くの方法において調製され得る。これらの方法としては、以下が挙げれられる:例えば、Grabbeら(Immunol.Today,1995;16:117−121)およびSienaら(Exp.Hematol.,1995;23:1463−1471)の方法。簡潔には、例えば、静脈穿刺により免疫される患者から血液を得る。あるいは、骨髄のサンプルを採取し得る。あるいは、血液白血球を白血球搬出法により獲得し得る。これらの供給源のいずれかから、単核性白血球を勾配遠心分離により単離する。この白血球を、抗原CD34に対するモノクローナル抗体を用いた陽性選択によりさらに精製し得る。この精製した白血球を培養し、そして組織培養培地(例えば、ウシ胎児血清、プールしたヒト血清または自系血清のような血清を補充したRPMI−1640)中で増殖させる。あるいは、無血清培地が用いられ得る。抗原提示細胞の増殖を刺激するために、サイトカインを培養培地に添加し得る。サイトカインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン4(IL4)、TNF(腫瘍壊死因子)、インターロイキン3(IL3)、FLT3リガンドおよび顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)。
【0060】
単離し、そして培養して増殖させた抗原提示細胞を、例えば、樹状細胞、単球、マクロファージおよびランゲルハンス細胞として特徴付け得る。
【0061】
(腫瘍細胞ペプチド)
ハプテン改変した抗癌ワクチンにおいて使用されるペプチドの単離は、米国特許出願第08/479,016号(1995年6月7日出願)および同第09/447,897号(1998年11月24日出願)に記載される。両出願は、ハプテン改変したペプチドの抽出および単離(これらは、本発明に合わせられ得る)を開示する。ペプチドはまた、既知の配列に基づいて合成され得るか、またはハプテン化の前に単離され得る。次いで、この単離されたペプチドは、二重ハプテン化により改変され得る。
【0062】
本発明の目的に関しては、ペプチドは、2以上のアミノ酸の化合物であり、そしてタンパク質を含む。ペプチドは、好ましくは、約1,000kD〜約10,000kD、より好ましくは、約1,000kD〜約5,000kDの低分子量であり、これらのペプチドは、ハプテン化した腫瘍細胞から単離され、そしてTリンパ球を刺激して、γインターフェロンを産生する。本発明のペプチドは、約8〜約20アミノ酸、好ましくは、約8〜12アミノ酸であり得る。さらに、このペプチドは、好ましくは、ハプテン化される。ペプチドは、細胞表面、細胞内部、または2つの位置の任意の組み合わせから単離され得る。抽出物は、癌細胞の型(正常細胞に対して)に特有であり得る。本発明のペプチドとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:MHC分子に結合するペプチド、細胞表面会合タンパク質、熱ショックタンパク質/シャペロニンと会合するペプチド、癌の発癌遺伝子、または変異した抗発癌遺伝子によりコードされるタンパク質。本発明の1つの好ましい実施形態において、ペプチドは、MHC分子に結合される。本発明の目的に関して、「ペプチド等価物」は、MHC分子から単離されたペプチドと同じアミノ酸配列を有するペプチドであるが、ペプチドを含むタンパク質の分解、インビトロ合成または組換えDNA技術いずれかにより調製される。
【0063】
好ましくは、このペプチドは、腫瘍特異的抗原に由来する。同じT細胞が規定した腫瘍抗原が、異なるヒト黒色腫腫瘍により発現されるという実質的な証拠が存在し、これは、形質転換関連事象が、関連組織および/または細胞起源の腫瘍において同じ腫瘍抗原の再発発現を生じ得ることを示唆する(Sahasrabudheら、J.Immunol.,1993;151:6302−6310;Shamamianら、Cancer Immunol.Immunother.,1994;39:78−83;Coxら.,Science,1994;264:716;Peoplesら、J.Immunol.,1993;151:5481−5491;Jeromeら、Cancer Res.,1991;51:2908−2916;Moriokeら、J.Immunol.,1994;153:5650−5658)。このような抗原の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:MART1/Melan A、gp−100、およびチロシナーゼ(黒色腫);MAGE−1およびMAGE−3(膀胱、頭部および頚部、非小細胞の癌腫);HPV E6およびE7タンパク質(子宮頚癌);HER2/neu/c−erb−2(乳癌);HER3、HER4、Mucin(MUC−1)(乳房、膵臓、結腸、前立腺);前立腺特異的抗原(PSA)(前立腺);およびCEA(結腸、乳房、GI)。
【0064】
本発明の細胞抽出物(腫瘍細胞形質膜に位置するMHC分子から本来は単離されたペプチドを含む)は、T細胞を刺激する特性を有する。本発明の目的に関して、刺激とは、T細胞の増殖、および細胞抽出物に応答したT細胞によるサイトカインの産生をいう。T細胞の増殖は、改変した核酸(例えば、Hチミジン、125IUDR(ヨードデオキシウリジン)が挙げられるが、これに限定されない);およびインタクトな細胞を染色する3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)のような色素のT細胞による取り込みによって観察され得る。さらに、サイトカイン(例えば、γ−インターフェロン(IFNγ)、腫瘍壊死因子(TNF)、およびインターロイキン2(IL−2)が挙げられるが、これらに限定されない)の産生が試験され得る。サイトカインの産生は、好ましくは15pg/mlより多い量、より好ましくは、約20〜約30pg/ml、なおより好ましくは、約50pg/mlである。あるいは、細胞傷害性アッセイを用いて、T細胞刺激を評価し得る。
【0065】
ハプテン改変細胞から、ペプチドが抽出され得、これらのうちのいくつかは、細胞を改変した結果としてハプテン改変され得る。あるいは、抽出したペプチドもしくは合成ペプチドは、単離または合成の後にハプテンと反応され得る。当業者に公知のタンパク質抽出技術の次に、患者の処置に有効なタンパク質もしくはペプチドを単離するために抗原アッセイが行われ得る。細胞抽出物を単離する方法は、当業者に容易に公知である。簡潔には、癌細胞を腫瘍から単離し、そしてインビトロで培養する。ハプテン調製物を、上記の方法に従って培養細胞に添加する。ペプチドを、確立した技術(例えば、Rotzschkeら、Nature.1990;348:252の技術(この開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される))に従って細胞から単離する。この細胞を弱酸(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)が挙げられるが、これに限定されない)で処理する。その後、この細胞を遠心分離し、上清を採取する。5,000を超える分子量を有する化合物をゲル濾過(G25セファロース、Pharmacia)により上清から除去する。上清の残りを、漸増アセトニトリル濃度の勾配を用いた0.1% TFAにおいて逆相HPLCカラム(Superpac Pep S、Pharmacia LKB)で分離する;流速=1ml/分、分画サイズ=1ml。低分子ペプチドを含む画分を、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1989)の方法に従ってHPLCにより回収し、濃縮し、そして凍結する。
【0066】
低分子ペプチドを含むHPLC画分を、例えば、自系Bリンパ球に結合させることにより免疫学的活性についてスクリーニングする。次いで、これを、腫瘍特異的Tリンパ球を刺激する能力について試験する。この試験に用いられるT細胞をヒト患者から単離し、そしてPCT公開番号WO98/14206に記載されるようにインビトロで増殖させる。次いで、T細胞を刺激するペプチドをそれらの構造について分析する。例えば、このペプチドを当該分野で公知の方法を用いて配列決定して、それらのアミノ酸配列を決定する。本発明の1つの実施形態において、このペプチドを、Burrowsら(J.NeuroSci.Res.,1997;49:107−116)およびGavinら(Eur.J.Immunol.,1994;24:2124−33)により記載されるようにプールとして配列決定して、主だったモチーフを決定する。本発明の別の実施形態において、このペプチドを、米国特許第5,747,269号;同第5,487,982号;5,827,516号および5,820,862号に記載されるような当該分野で公知の方法(例えば、HPLC)を用いてさらに分離し、そして配列決定する。配列決定は、EdmanおよびBerg,Eur.J.Biochem.,1967;80:116−132に記載されるようなエドマン分解または当該分野で公知のその任意の改変法を用いることにより行われる。単離されたペプチドを特徴付けるための1つの強力な技術は、質量分析である。
【0067】
一旦、MHC分子から単離されたペプチドの配列が既知になると、同じ配列を有する合成ペプチドが合成され、そしてワクチンとして単独で(抗原提示細胞に対して提示される)および/または上記の方法を用いて他の抽出物または細胞全体と組み合わせて用いられる。等価なペプチドはまた、組換え産生され得るか、または単離されたペプチドを含むタンパク質の化学的分解により産生され得る。
【0068】
別の実施形態において、公知のペプチドの構造は、少なくとも1つのアミノ酸を変化させることにより改変され、そのように改変したペプチドは、T細胞を刺激するその能力について試験される。
【0069】
(ハプテン化)
腫瘍細胞、膜、またはペプチドをハプテン化し得る。本発明の目的に関しては、キャリアに結合体化された場合に免疫応答を誘導し得る事実上任意の低分子(ペプチドを含む)は、ハプテンとして機能し得る。異なる化学構造の種々のハプテンは、類似の型の免疫応答を誘導することが示されている:例えば、ジニトロフェニル(DNP);トリニトロフェニル(TNP)(Kempkesら、J.Immunol.,1991;147:2467);ホスホリルコリン(Jangら、Eur.J.Immunol.,1991;21:1303);ニッケル(Pistoorら、J.Invest.Dermatol.,1995;105:92);およびヒ酸塩(NalefskiおよびRao、J.Immunol.,1993;150:3806)。ハプテンを細胞に結合体化することは、好ましくは、リジンのε−アミノ基または−COOH基を介した結合体化により達成され得る。このグループのハプテンとしては、多くの化学的に多様な化合物が挙げられる:ハロニトロベンゼン(ジニトロフルオロベンゼン、ジフルオロジニトロベンゼン、トリニトロフルオロベンゼンが挙げられる)、N−ヨードアセチル−N’−(5−スルホニック−1−ナフチル)エチレンジアミン、ニトロベンゼンスルホン酸(トリニトロベンゼンスルホン酸およびジニトロベンゼンスルホン酸が挙げられる)、フルオレセインイソチオシアネート、ヒ酸ベンゼンイソチオシアネート、およびジニトロベンゼン−S−マスタード(NahasおよびLeskowitz,Cellular Immunol.,1980;54:241)。一旦本開示に通じると、当業者は、本発明における使用のためにハプテンを選択し得る。
【0070】
ハプテンは、一般に、タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸側鎖上の置換基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸の場合はフリーのカルボン酸基;リジンのε−アミノ基;システインのチオール部分;セリンまたはチロシンのヒドロキシル基;ヒスチジンのイミダゾール部分;あるいはトリプトファン、チロシンまたはフェニルアラニンのアリール基)に結合体化するための反応基を含む。本明細書中で用いられる場合、用語「反応基」とは、ペプチドもしくはタンパク質上の官能基と反応する、ハプテン上の官能基をいう。用語「官能基」は、有機化学におけるその標準的な意味を有する。ハプテン上のこれらの反応基は、本明細書中で「ハプテン反応基」といわれる。多くのハプテン反応基が公知であり、これは、ペプチドおよびタンパク質を含むアミノ酸の側鎖に存在する置換基と相互作用する。特定のポリペプチドの置換基に結合体化するためのこのような反応基の好ましい例は、カルボン酸またはスルホン酸誘導体(酸クロリド、無水物、およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステルのような反応性カルボン酸エステルが挙げられる)、イミドエステル、ジアゾニウム塩、イソシアネート、イソチオシアネート、ハロニトロベンゼン、α−ハロカルボニル化合物、マレイミド、硫黄マスタード、窒素マスタードおよびアジリジンである。
【0071】
(1級アミンと反応性の官能基) アミノ酸側鎖上に存在する1級アミンと共有結合を形成するハプテン反応基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酸クロリド、無水物、反応性エステル、α,β−不飽和ケトン、イミドエステル、およびハロニトロベンゼン。1級アミンのような求核基と反応する能力を有する種々の反応性エステルが市販される(例えば、Pierce(Rockford,Illinois)から)。
【0072】
(カルボン酸と反応性の官能基) カルボジイミド(例えば、EDC)の存在下でのカルボン酸は活性化され得、このことによって、種々の求核基(1級アミンおよび2級アミンが挙げられる)との相互作用が可能になる。安定したエステルを形成するためのカルボン酸のアルキル化は、硫黄マスタードもしくは窒素マスタードとの相互作用、またはアルキルもしくはアリールアジリジン部分のいずれかを含むハプテンとの相互作用により達成され得る。
【0073】
(芳香族基と反応性の官能基) 特定のアミノ酸と関連する芳香族部分の相互作用は、タンパク質もしくはペプチドの存在下でのアリールジアゾニウム化合物の光活性化により達成され得る。従って、ヒスチジン、トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニン(特に、ヒスチジンおよびトリプトファン)のアリール側鎖の改変は、このような反応性官能基の使用により達成され得る。
【0074】
(スルフヒドリル基と反応性の官能基) アミノ酸の側鎖上に存在するスルフヒドリル基に結合し得る反応基がいくつか存在する。α,β−不飽和ケトンもしくはエステル部分を含むハプテン(例えば、マレイミド)は、スルフヒドリル基およびアミノ基と相互作用し得る反応性官能基を提供する。さらに、反応性ジスルフィド基(例えば、2−ピリジルジチオ基)または5,5’−ジチオ−ビス−(2−ニトロ安息香酸)基もまた適用可能である。反応性ジスルフィド結合を含む試薬のいくつかの例としては、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジル−ジチオ)プロピオネート(Carlssonら、Biochem J.,1978;173:723−737)、S−4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチルベンジルチオ硫酸ナトリウム、および4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−(2−ピリジルジチオ)トルエンが挙げられる。チオール基と反応する二重結合を有する反応基を含有する試薬のいくつかの例としては、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートおよびスクシンイミジルm−マレイミドベンゾエートが挙げられる。
【0075】
他の機能分子としては、スクシンイミジル3−(マレイミド)プロピオネート、スルホスクシンイミジル4−(p−マレイミド−フェニル)ブチレート、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル−シクロヘキサン)−1−カルボキシレート、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルが挙げられる。上記の試薬およびその硫酸塩の多くは、Pierceから入手可能である。
【0076】
ハプテンはまた、抗体と相互作用するハプテン認識基を含む。この認識基は、ハプテン反応基と不可逆的に結合する。従って、ハプテン反応基が標的分子上の官能基に結合体化する場合、ハプテン認識基は、抗体との結合に利用される。適切なハプテン反応基を選択することによって、ハプテン認識基の抗体認識およびハプテン認識基への結合は、ハプテンが結合体化する官能基に独立して作製され得る。この場合、ハプテンは、機能的に等価であり、そして抗体結合特徴を共有すると言われる。当然、2つのハプテンの認識基が化学的に異なる場合、反応基は、同じであっても異なってもよく、すなわち、標的分子上で同じかまたは異なる官能基と反応する。
【0077】
異なるハプテン認識基の例としては、ジニトロフェニル、トリニトロフェニル、フルオレセイン、他の芳香族、ホスホリルコリン、ペプチド、改良型グリコシル化最終生成物(advanced glycosylation endproduct)(AGE)、炭水化物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
特定の実施形態において、同じハプテン認識基は、異なるハプテン反応基を介して異なるアミノ酸に結合し得る。例えば、試薬スルホン酸ジニトロベンゼン、ジニトロ−フェニルジアゾニウム、およびジニトロベンゼン−S−マスタードは、全てそれぞれ、アミノ基、芳香族基、およびカルボン酸基に結合したジニトロフェニルハプテンを形成する。同様に、アルソン酸ハプテンは、アルソン酸ベンゼンイソチオシアネートをアミノ基に反応させるか、またはアゾベンゼンアルソネートを芳香族基に反応させることによって結合され得る。別の特定の実施形態において、腫瘍細胞または細胞抽出物は、2つの異なる官能基の誘導体化によって2つのハプテンと結合体化される。例えば、腫瘍細胞調製物は、ε−アミノ基に結合したDNP基およびヒスチジンおよびチロシンの芳香族側鎖に結合したスルファニル酸基と2重にハプテン化され得る。
【0079】
(腫瘍細胞の単離およびハプテン化)
分離した細胞、細胞膜、またはペプチドは、凍結培地(例えば、L−グルタミン酸を補充しNaOHを用いて適切なpHに調整した450mlのRPMI 1640(Mediatech)に添加した50mlのヒト血清アルブミン(HSA)(American Rad Cross)の滅菌濾過溶液から調製した)中、例えば、制御された速度のフリーザーまたは液体窒素中で必要になるまで凍結保存され得る。この細胞は、解凍の際に使用する準備ができている。好ましくは、この細胞は、ハプテン化の直前に解凍される。必要に応じて、この細胞は、洗浄され得、必要に応じて、照射されて約2500cGyの用量を受ける。次いでこれらは、再び洗浄され、フェノールレッドおよびHSAを含まないHanks Balanced Salt Solution(HBSS)に懸濁され得る。
【0080】
DNPまたは別のハプテンを用いた調製細胞の改変は、公知の方法によって、例えば、MillerおよびClamian(J.Immunol.,1976;117:151)(その全体が本明細書中に参考として援用される)の方法(これは、滅菌条件下での腫瘍細胞とDNFBとの30分間のインキュベーション、続いて滅菌生理食塩水またはHBSS/HSAを用いた洗浄を含む)によって実施され得る。
【0081】
(ワクチン調製物)
本発明の組成物は、混合物で投与され得るか、または意図される投与経路および標準的な薬学的な経験に関して選択された薬学的に受容可能なキャリアと組合わせて投与され得る。投薬量は、患者の体重、および臨床状態に関して設定され得る。キャリアに対する活性成分の比例した割合は、当然、組成物の化学的性質、溶解度、および安定性、ならびに意図される投薬量に依存する。使用される本発明の腫瘍細胞の量は、癌細胞に対するこの化合物の親和性、存在する癌細胞の量、およびこの組成物の溶解度などの因子に依存する。本発明の化合物は、例えば、皮内経路、静脈経路、腹腔内経路、筋内経路、および皮下経路を介した接種および注射を含む、任意の適切な経路で投与され得る。
【0082】
本発明の好ましい実施形態において、最初の「プライミング」投与に使用される組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤(例えば、Hanks溶液、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、および水などであるが、これらに限定されない)に懸濁された、約2×10〜2.5×10個の、より好ましくは約2×10個未満の、さらにより好ましくは約1×10個未満の、増殖無能力腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物を含むワクチンを、必要に応じてアジュバントと共に含む。この組成物は、上腕部または上脚部(リンパ節解剖に対して同側性の肢を除く)上で、1投与当たり1〜約3個の連続部位に皮内注射することによって投与され得る。引続く投与のためのワクチン調製物は、約2×10〜約2.5×10個の腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物、好ましくは約1×10〜約2.5×10個の腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物を含み得る。
【0083】
(処方物)
本発明に従う処方物は、種々の様式で調製され得る。異なる成分は、一緒に混合され得、次いで、ハプテン化腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物に添加され得る。1個または数個の成分とハプテン化腫瘍細胞調製物とを混合し、次いで残っている成分を添加することもまた、可能である。この処方物の調製およびハプテン化腫瘍細胞のその添加は、好ましくは滅菌条件下で実施される。
【0084】
本発明に従う培地の成分のそれぞれの割合は、当業者によって適合され得る。
【0085】
一般的に、ヒト腫瘍細胞に関して、HSAが、適切な緩衝化細胞培養培地に添加される。「ヒト血清アルブミン」または「HSA」は、分子量約66kDを有する585アミノ酸残基からなる非グリコシル化単量体タンパク質をいう。その球形構造は、17個のジスルフィド架橋によって維持され、これらの架橋は、連続した一連の9個の2重ループを作る(Brown「Albumin structure,function and uses」Rosenoer,V.M.ら(編)、Pergamon Press:Oxford,27−51頁、1977)。HSAをコードする遺伝子は、非常に多型でありことが公知であり、30個より多くの明らかに異なる遺伝子改変体が、電気泳動分析によって同定されている(Weitkamp,L.R.ら、Ann,Hum.Genet.,1973;37:219−226)。HSA遺伝子は、推定mRNA「キャッピング」部位からポリ(A)付加の最初の部位までの16,961ヌクレオチドに対応する、15個のエキソンおよび14個のイントロンを含む。自己血清アルブミンは、他の動物種由来の腫瘍細胞の調製に使用され得る。
【0086】
その本質において、緩衝化細胞培養培地は、等張性の緩衝化水溶性(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、Tris−緩衝化生理食塩水、またはHEPES緩衝化生理食塩水)である。好ましい実施形態において、この培地は、例えば、Sigma Chemical Co.(St.Louis、Missouri,USA)から市販されるような簡素なHank’s培地(フェノールレッドなし)である。他の組織培養培地がまた、使用され得、これには、基礎培地Eagle(Earle’s塩またはHank’s塩のいずれかを含む)、Dulbecco’s変法Eagle培地(DMEM)、Iscove’s変法Dulbecco培地(IMDM)、Medium 199、Minimal Essential Medium(MEM)Eagle(Earle’s塩またはHank’s塩のいずれかを含む)、RPMI、Dulbecco’sリン酸緩衝化塩、Eagle’s平衡化塩(EBSS)、およびHank’s平衡化塩(HBSS)が挙げられる。これらの培地は、例えば、グルコース、Ham’s栄養、またはHEPESで補充され得る。他の成分(例えば、重炭酸ナトリウムおよびL−グルタミン)が、特に含まれるか、または特に除外され得る。培地、塩、および他の試薬は、Sigma、Gibco、BRL、Mediatech、および他の企業を含む多数の供給源から購入され得る。ヒトにおける使用のために、適切な培地が、薬学的に受容可能である。
【0087】
好ましくは、全インタクト細胞の処方物は、緩衝化培養培地(好ましくは、HBSS)中に最適化されたHSA濃度を含む。特定の実施形態において、HSAの最終濃度は、HBSS中、約1.0%である。しかし、細胞生存における予期せぬ改善が、少なくとも約0.25%のHSAを用いて達成され得、細胞生存におけるより高い改善が0.3%のHSAを用いて(0.1%のHSAと比較した場合)達成され得、そしてさらに高い改善が、少なくとも約0.5%のHSAを用いて可能である。濃度の上限は、天然に由来するHSA中に存在し得る夾雑物を回避するための必要性、あるいは組換えHSAに対するアレルギー反応を回避するための必要性によって決定される。好ましくは、本発明の処方物中のHSA濃度は、わずか約10%である。より好ましくは、この濃度は、約5%以下であり、さらにより好ましくは、約2%以下である。
【0088】
同様に、本発明の組成物または処方物は、HSAに加えて他の成分を含んで、ハプテン化腫瘍細胞をさらに安定化し得る。このような成分の例としては、5%濃度の炭水化物および糖(例えば、デキストロース、スクロース、グルコースなど);10%濃度の長鎖ポリオールに対する培地(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコールなど);他のタンパク質;アミノ酸;核酸;キレート化剤;タンパク質分解インヒビター;保存剤;および他の成分が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の組成物の任意のこのような組成は、薬学的に受容可能である。
【0089】
(アジュバント)
好ましい実施形態において、投与される腫瘍細胞ワクチン(「プライミング」投与を含む)は、免疫アジュバントと共に投与され得る。用語「アジュバント」は、抗原に対する免疫応答を増強する化合物または混合物をいう(Hoodら、Immunology,第2版、1984,Benjamin−Cummings:Menlo Park,California,384頁)。市販の薬学的に受容可能なアジュバントには制限があるが、アジュバントの代表的な例としては、Bacille Calmette−Guerin(BCG)、Quillaja saponariaおよびCorynebacterium parvumの樹皮から精製された同質のサポニンを含む合成アジュバントQS−21が挙げられる(McCuneら、Cancer,1979;43:1619)。他のアジュバントとしては、フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバント、解毒化エンドトキシン、ミネラルオイル、リポレクチンのような表面活性化物質、プルロニックポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、およびオイルエマルジョンまたは炭化水素エマルジョンが挙げられる。いくつかの場合、以下に例示するような免疫促進化合物は、アジュバントとして機能し得る。
【0090】
アジュバントが最適化に供されることが理解される。言い換えると、当業者は、使用するために最適なアジュバントを決定するために、慣用にすぎない実験に従事し得る。
【0091】
(免疫調節因子および併用治療)
ハプテン化腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物の処置レジメンは、免疫調節因子(すなわち、体の免疫系を変更、抑制または強化する薬物)を含み得る。この免疫調節因子は、一般的に、以下に列挙されるような機能に従ってグループに再分され得る。しかし、例示された免疫調節化合物が細胞型、投薬量、処方、投与経路、処置レジメン、および患者の状態に依存して異なる機能を供与し得ることが、理解されるべきである。免疫強化因子(immunopotentiator)は、本明細書中において、腫瘍ワクチンを用いた処置に関して免疫系を強化する化合物をいう。好ましくは、免疫強化因子は、本発明に従うハプテン化腫瘍細胞または細胞抽出物によって引き起こされた抗腫瘍応答の任意のダウンレギュレーションを少なくとも一時的に減少し、このダウンレギュレーションは、例えば、T抑制細胞を含むが;免疫系の他の部分にはより少ない程度に影響する。シクロホスファミドがこのような化合物の好ましい例に含まれる。シクロホスファミドは、好ましくは、約100mg/m未満の用量で投与されるか、より好ましくは、約300mg/mの用量で投与される。免疫抑制因子(immunosuppressant)としては、当該分野で公知の化学療法剤が挙げられ、好ましくは免疫系の一般的な抑制を誘導する用量で投与されるが、これらに限定されない。免疫促進剤(immunostimulant)は、エンドトキシンおよび内因性因子(例えば、IL−2、IL−4、INFγ、IL−12、およびGM−CSFを含むがこれらに限定されないサイトカインおよびリンホカイン)を含む、一般用語である。本発明に従って、免疫調節因子は、適切なように、単独で投与されるか、ハプテン化腫瘍細胞ワクチンと混合されるか、またはハプテン化腫瘍細胞ワクチンと同時投与され得る。本発明の腫瘍細胞および抽出物はまた、化学療法、放射線療法、免疫療法、および遺伝子治療を含むがこれらに限定されない別の癌処置と併用して使用され得る。
【0092】
(臨床応答の判断基準)
処置応答を評価するために標準的な判断基準としては、以下が挙げられる:完全な応答(これは、新規な転移を発生することなく、少なくとも約1ヶ月間、より好ましくは少なくとも約3ヶ月間の、全ての転移が完全に消失したことを示す);部分応答(これは、新規な転移を発生することなく、少なくとも約1ヶ月間、より好ましくは少なくとも約3ヶ月間の、測定可能な転移の平均直径が少なくとも約50%減少したことを示す);および混合応答(これは、別の転移の付随した増殖を伴って、測定可能な転移の平均直径が少なくとも約50%減少したことを示す)。永続性の疾患は、約25%より多い任意の測定可能な転移の平均直径における増加を示す。再発または生存時間の延長の両方がまた、あり得る臨床応答の判断基準の例である。
【0093】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の例示であるが、それらの限定ではない。
【0094】
(実施例1:黒色腫患者の処置プロトコル)
(患者群)DNP改変自己黒色腫細胞(ワクチン)の処置効果を、外科手術後の転移性リンパ節併発を有する第III期黒色腫患者、または肺転移を有する第IV期黒色腫患者において研究した。ワクチン処置を開始する前に、好ましくは開始点から2ヶ月以内に、1以上の腫瘍塊を外科的に各患者から切除する。腋窩節について、形式的な腋窩節切開を行う。鼡径節について、表面の鼡径節切開を行い、外科医の裁量で深い切開を伴う。他のリンパ節保有領域について、適切な節切開を行う。十分な腫瘍サンプル(少なくとも約50×10個の細胞を得る約2cmまたは5g)を、ワクチン調製のために使用される滅菌条件下で保持する。患者は、好ましくはコンピュータ連動断層撮影(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)によって、黒色腫がないことを確認される。
【0095】
(ワクチン調製)低温保存された細胞懸濁液(処置と同日に送達するために、患者の切除されたリンパ節腫瘍塊部分から以前に調製された)からワクチンを調製する。細胞を、以前に記載されたように調製およびハプテン化する(本願における「詳細な説明」;Berdら、Cancer Res 1986;46:2572−7;米国特許第5,290,551号;米国特許出願第08/203,004号;同08/475,016号;および同08/899,905号を参照のこと)。ハプテン化および洗浄後、細胞を、1%HSAを補充したHBSSに懸濁し、そして4℃で保存した。
【0096】
ワクチン用量1は、0.2〜0.3mlのハンクス溶液に懸濁した(0.75±0.25)×10個のDNP改変インタクト腫瘍細胞から成る。
【0097】
ワクチン用量2〜8は、0.2〜0.3mlのハンクス溶液に懸濁した(2.5±0.75)×10個のDNP改変インタクト腫瘍細胞から成る。用量2〜8について、ワクチンを、Tice Bacillus Calmette−Guerin(Tice BCG;Pasteur Institute株の亜株;Organon Teknika Corp.)と共にゆっくりと混合する。凍結乾燥された粉末形態のBCGを、「保存Tice BCG」溶液を作製するために、1.0mlの保存性でない注射用生理食塩水で再溶解する。保存溶液は、調製日に使用する。ワクチンの第二および第三の用量を、「保存Tice BCG」溶液の1:10希釈(保存性でない注射用整理食塩水で)の0.1mlと混合する(Tice−A)。第四および第五のワクチンを、「保存Tice BCG」溶液の1:100希釈の0.1mlと混合する(Tice−B)。第六および第七のワクチン、ならびに6ヶ月での追加免疫ワクチンを、「保存Tice BCG」溶液の1:1000希釈の0.1mlと混合する(Tice−C)。予期されるBCG反応は、小さな(<5mm)中心潰瘍しか有さない炎症性丘疹である。反応が、これ(ガイド2よりも大きい;11.1節を参照のこと)よりも大きい場合、次の用量に対するBCGの用量を1/10倍にすることによってさらに減少させる(Tice−D)。2つの連続するTice−AまたはTice−B用量だけが与えられるべきである。
【0098】
(処置の概要)1日目、アジュバンドを含まないハプテン化細胞を含む第一のワクチン用量を、引続く全てのワクチン用量についてと同じ肢に単回皮内注射として投与する:腕への場合、前腕の腹側領域に;肢への場合、膝のちょうど上の前側領域に投与する。シクロホスファミド(300mg/m)の単回投与を迅速な(5〜10分)静脈注入として7日目に与える。10日目で開始して、引続いてワクチン用量2〜8を毎週投与し、次いで6ヶ月で1回追加免疫を行った。ワクチンは、1〜2cm離れた3つの皮内部位に均等に分布させる。全てのワクチン注射を、以前の注射から1〜2cmまで離れた同一の領域に投与する。通常、注射部位は、背側上椀であるが、リンパ節切開の部位ではない。左右の腋窩節の切開を受けた患者は、上部大腿外側に注射される。慣用的な実験室アッセイ(例えば、血液学(示差血小板計数を用いるCBC)、化学(BUNまたはクレアチニン、LDH、SGOT,アルカリホスファターゼ、電解質)、および肝炎)、物理的検査、および臨床的評価(例えば、頭部−胸部−腹部−骨盤のCT/MRI)が、5年の期間にわたって定期的に行われる。ワクチン研究を、図1に示す。
【0099】
(評価)再発なしの生存を評価する分析は、有効性の主な終点である。さらに、全体としての生存および耐性が評価される。再発の発生率を、Kaplan−Meierの積極限法(Kaplan−Meier’s produc−limit method)を用いて計算する。
【0100】
(実施例2:BCGのないハプテン化腫瘍細胞を用いる前処置は、治療結果を改善する)
DNP改変照射自己腫瘍細胞ワクチン(低用量シクロホスファミドに先行する)によって、抗転移効果を新に開発されたモデルにおいて誘発する(同時係属出願番号60/180,257号、代理人整理番号1225/0G680、2000年4月2日出願に記載される)。この動物モデル(転移性疾患の再発についての外科手術後の免疫治療の効果についての情報を提供するのに特に有用である)を使用して、改変プロトコルが、さらに大きな治療利点を提供し得るか否かを評価した。詳細には、治療レジメン(A)(低用量のシクロホスファミドに続く非改変またはDNP改変自己(合成)腫瘍細胞ワクチンからなる)を新しい治療前レジメン(B)(このレジメンにおいては、自己DNP改変腫瘍細胞(BCGを含まない)の単回用量を投与した後に低用量のシクロホスファミド処置を開始し、続いて非改変またはDNP改変された自己の腫瘍細胞ワクチン投与をする)と比較した。
【0101】
(材料および方法)
(腫瘍細胞)自然発生的に生じるマウス乳癌(例えば、Heppnerら、Cancer Res 1978;38:3758、およびMillerら、Cancer Res 1981;41:3863を参照のこと)から生じる非常に転移性の410.4腫瘍(例えば、Millerら、Invasion Metastasis 1981;1:220、Pulaskiら、Cancer Res 1998;58:1486、およびMiller、Cancer Res 1978;38:3758を参照のこと)を使用した。腫瘍細胞を、インビトロでFalconの75cmポリスチレン組織培養フラスコ(Becton Dickinson Labware、Franlin lakes,NJ)中に5%CO、37℃で10%ウシ胎仔血清ならびに100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に維持した。2〜3日おきに腫瘍細胞をトリプシン−EDTA溶液(Life Technologies Inc.,Grand Island、NY)で脱着し、そして新しいフラスコ1つについて20mlの培地中2.0×10個の細胞を播種した。
【0102】
(インビボ腫瘍モデル)インビトロで培養した410.4腫瘍細胞を、トリプシン−EDTAで脱着し、そして0.2mlのRPMI−1640培地(Life Technologies Inc.)中、3×10の410.4腫瘍細胞を雌BALB/cAnNCrIBRマウス(7〜10週齢)(Charles Ricers Breeding Laboratories、Wilmington、MA)の乳腺脂肪パットに注入した。腫瘍が、直径6〜8mmに達したときに、この腫瘍を外科的に切除した。記載しない限り、腫瘍切除の5〜8日後に、マウスを群に分け、そして我々の実験設計に供した。
【0103】
(ワクチン調製)ワクチン接種の日に、インビトロで培養した410.4腫瘍細胞を、0.02%のEDTA溶液(トリプシンなし)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)で脱着し、次いで力強くピペッティングし、そして腫瘍細胞をγ照射(セシウム137供給源からの2500cGY(J.L.Sepherd and Associates、Model 143−68 照射器))に供した。引続いて、γ照射した410.4細胞のアリコートを、Berdら(J Clin Oncol 1997;15:2356)のプロトコルに従って、ジニトロフルオロベンゼン(DNFB、Sigma Chemicals Co.,St.Louis,MO)に曝露することによって、DNP改変した。各ワクチンを総容量0.2mlで投与し、そして各ワクチンは、3〜5×10の非改変またはDNP改変のγ線照射された腫瘍細胞であって、0.5〜4×10のコロニー形成単位(CFU)のBCG(Tice株)と混合された腫瘍細胞から構成された。
【0104】
(処置プロトコル)(A)非前処置プロトコル。記載しない限り、腫瘍切除後5〜8日目のマウスは、15mg/kgのシクロホスファミドの腹腔内(i.p.)注射を受けた。低用量シクロホスファミド処置の3日後、マウスは、非改変またはDNP改変照射自己腫瘍細胞ワクチンの皮下(s.c.)注射を腫瘍切除部位近傍に受けた。このプロトコルを、実験の行われている期間にわたって10日毎に繰り返した。これらのマウスを、1週間に2回、可視的転移の発生についてモニターし、そして、その結果を、同一の処置プロトコルに供された全マウスのうち再発なく生存するマウスの割合で示した。
【0105】
(B)前処置プロトコル。前処置プロトコルは、1×10のDNP改変照射自己腫瘍細胞(BCGなし)(原発性腫瘍切除後、3〜7日後のマウスの背部に投与される)の単回s.c.注射から構成される。3〜7日後、これらのマウスは、15mg/kgのシクロホスファミド(Mead Johnson−A Bristol−Myers Squibb Co.,Princeton,NJ)のi.p.注射を受けた。低用量シクロホスファミド処置の3日後、これらのマウスは、非改変またはDNP改変照射自己腫瘍細胞ワクチンのs.c.注射を、腫瘍切除部位近傍に受けた。このプロトコルを、実験の行われている期間にわたって10日毎に繰り返した。これらのマウスを、1週間に2回、可視的転移の発生についてモニターし、そして、その結果を、同一の処置プロトコルに供された全マウスのうち再発なく生存するマウスの割合で示した。
【0106】
(統計学的分析)異なる処置プロトコルに供されたマウスの再発なく生存する割合を、対応スチューデントT−検定の使用によって、腫瘍切除後種々の時点で比較した。0.05よりも低いP値を有意とみなした。
【0107】
(結果)
(プロトコルAのみ)低用量シクロホスファミドに続いてDNP改変照射自己腫瘍細胞ワクチンを用いるマウス(これらのマウスから原発性腫瘍を外科的に切除している)の処置は、低用量シクロホスファミドに続いて非改変照射自己腫瘍細胞ワクチンを用いるこのようなマウスの処置よりも有意に良好な再発のない生存をもたらした(P=0.005)。
【0108】
(プロトコルA 対 プロトコルB)低用量シクロホスファミド処置開始3〜7日前にDNP改変照射自己腫瘍細胞(BCGなし)でのマウスの前処置、その後のDNP改変照射自己腫瘍細胞ワクチン処置は、低用量シクロホスファミドに続いてDNP改変照射自己腫瘍細胞ワクチン(前処置レジメンなし)を受けたマウスで観察された再発のない生存に対して有意に改善された再発のない生存をもたらした(P=0.002)。
【0109】
(結果)これらの結果は、プロトコルBが、プロトコルAと比較した場合に記載された転移性疾患の腫瘍モデルにおいてさらなる治療利点を提供することを示した。このことは、前処置プロトコル(ハプテン化された腫瘍細胞を投与した後にシクロホスファミドおよびさらなるワクチン用量が投与される)が、転移性悪性腫瘍を有する患者にもまたさらなる治療利点を提供し得ることを示唆する。
【0110】
(実施例3:ハプテン化または非ハプテン化された照射自己黒色腫腫瘍細胞処置後の免疫モジュレーターおよびハプテン化ワクチンの投与のタイミングが、治療結果を改善する)
ハプテン改変ワクチンの抗転移効果は、免疫モジュレーターであるシクロホスファミド(CY)およびBCGと混合されたDNPワクチンの低用量での投与の数日前に投与される「プライミング(priming)」誘発用量の投与によって増強される。誘発(または「プライミング」)用量は、以下の3つ組成物のうち1つを含む:(1)10の照射自己腫瘍細胞(AU TC);(2)照射自己腫瘍細胞および照射自己DNP改変腫瘍細胞(それぞれ10)の混合物;(3)10の照射自己DNP改変腫瘍細胞。
【0111】
(材料および方法)
(患者群)ハプテン化ワクチン投与前のハプテン化もしくは非ハプテン化またはハプテン化と非ハプテン化の混合の照射された自己腫瘍細胞の「プライミング」誘発用量投与の処置効果を、大きな領域のリンパ節転移を有する214の外科手術後の黒色腫患者で研究した。ワクチン処理の開始前、好ましくは開始点から2ヶ月以内に、1以上の腫瘍塊を各患者から外科的に切除した。十分な腫瘍サンプル(少なくとも約50×10細胞を得る約2cmまたは5g)をワクチン調製のために使用される滅菌条件下で保持した。実施例1に概略された方法に従ってワクチンを調製した。患者は、好ましくはコンピュータ連動断層撮影(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)によって、黒色腫がないことを確認された。
【0112】
(処置プロトコル)3つのプロトコルを使用して、低用量シクロホスファミドおよびBCGと混合したDNPワクチン投与の数日前に投与される前処置誘発用量が、前処置誘発用量なしのプロトコルよりも大きな治療効果を提供するか否かを評価した。誘発(または「初期刺激」)用量は、以下の3つの組成物のうち1つを含んだ:(1)10の照射自己腫瘍細胞(AU TC);(2)照射自己腫瘍細胞および照射自己DNP改変腫瘍細胞(それぞれ10)の混合物;または(3)10個の照射自己DNP改変腫瘍細胞。
【0113】
プロトコルA(124の患者):全患者に低用量のシクロホスファミド(300mg/m)を静脈内投与し、続いて低用量のシクロホスファミドの3日後、BCGと混合したDNPワクチン(用量範囲:2.5〜25.0×10照射AUTC)を複数回皮内注射した。CYの5〜7日前に患者の腹側前腕への皮内注射として「プライミング」用量を投与した。プロトコルB(27の患者):第一の用量を、CYと同日に投与した。プロトコルC(43の患者):第一の用量を、特定の時点(A+B)で投与した。
【0114】
(結果)
プロトコルA、これは以下の3つの組成物のうち1つを含む「プライミング」誘発用量の投与を包含する:(1)10の照射自己腫瘍細胞(AU TC);(2)それぞれ10の照射自己腫瘍細胞および照射自己DNP改変腫瘍細胞の混合物;または(3)10の照射自己DNP改変腫瘍細胞(好ましい減少組成物)。低用量シクロホスファミド(CY)およびGCPと混合されたDNP改変照射自己腫瘍細胞の投与数日前の投与は、第一の組成物をシクロホスファミドと同日に投与する(または共に省略する)プロトコルよりも有意に良好な再発のない生存率をもたらした。プロトコルAについて、5年の再発のない生存率が41%であったのに対してBおよびC群(第一の用量をCYと同日に受けた)では18%であった(p=0.1、ログランクテスト(log rank test))。多変量分析(Cox回帰)は、再発のない生存の差異が公知の予後可変性(数(+)節)の各プロトコル下で処置された患者群間の不均衡に起因しなかったことを示した。
【0115】
さらに、(+)遅延型感受性(直径5mm以上の硬結)を発症した患者の割合は、81/115=70.4%であり(P<0.001、フィッシャーの抽出検定)、これはCYと同日に「プライミング」を投薬したプロトコルの(+)DTH応答率よりも有意に高い。プロトコルC下で(+)遅延型感受性(直径5mm以上の硬結)を発症した患者の割合は、10/51=19.6%であった(p<0.001、フィッシャーの抽出検定)。ワクチン処置に続いてDNP改変または非改変AU TCに対する(+)DTH応答の発症が、より長期の生存と有意に関連することが示されたので、「プライミング」誘発用量は、以下の3つの組成物:(1)照射自己腫瘍細胞(AU TC);(2)照射自己腫瘍細胞および照射自己DNP改変腫瘍細胞の混合物;および(3)照射自己DNP改変腫瘍細胞のうち1つを含み、プロトコルAにおけるような照射自己腫瘍細胞は、(+)DTH応答率を高めることによって、患者の生存の機会を増加した。
【0116】
「プライミング」誘発を低用量シクロホスファミドの投与の数日前でかつCYと近時でないことまたは同日でなく投薬するタイミングが、引続くDNPワクチンの経過が腫瘍免疫性を生じるかまたは非応答性であるかを明らかに決定する。
【0117】
本発明は、本明細書中で記載された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書中に記載されたものに加えて、本発明の種々の改変が、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0118】
全ての数値が、近似値であり、そして説明のみのために提供されることがさらに理解されるべきである。
【0119】
本願を通じて引用される特許、特許出願、および刊行物は、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
図1Aは、本発明に従う、概略された臨床的処置レジメンにおける事象のスケジュールを示す。
【図1B】
図1Bは、本発明に従う、概略された臨床的処置レジメンにおける事象のスケジュールを示す。

Claims (24)

  1. ハプテン化腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物であって、該組成物が、1用量当たり約2×10〜約2.5×10の腫瘍細胞または細胞等価物を含み、ここで該腫瘍細胞または細胞等価物がハプテンと結合し、そしてインビボで増殖または増加が不能にされる、組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物であって、ここで前記ハプテンが、ジニトロフェニル、トリニトロフェニル、N−ヨードアセチル−N’−(5−スルホニック 1−ナフチル)エチレンジアミン、トリニトロベンゼンスルホン酸、イソチオシアン酸フルオレセイン、ヒ酸、イソチオシアン酸ベンゼン、スルファニル酸、アルサニル酸、ジニトロベンゼン−S−マスタードおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、組成物。
  3. 前記ハプテンがジニトロフェニルである、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記腫瘍細胞抽出物が腫瘍細胞膜成分を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記腫瘍細胞抽出物が腫瘍細胞ポリペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 請求項1に記載の組成物であって、ここで前記腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物が、黒色腫、卵巣癌、結腸癌、乳癌、直腸癌、肺癌、腎臓癌、前立腺癌、および白血病からなる群より選択される腫瘍に起源する、組成物。
  7. 前記腫瘍が黒色腫である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記腫瘍が卵巣癌である、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物が、照射により増殖不能にされている、請求項1に記載の組成物。
  10. いずれのアジュバンドも含まない、請求項1に記載の組成物。
  11. 腫瘍に罹患する哺乳動物患者において抗腫瘍応答を誘発する方法であって、該方法が、用量当たり約2×10〜約2.5×10の腫瘍細胞または細胞等価物を含むハプテン化腫瘍細胞または細胞抽出物を含む組成物を該患者に投与する工程を包含し、ここで、該腫瘍細胞または細胞等価物が、ハプテンと結合し、そしてインビボで増殖または増加不能とされる、方法。
  12. 請求項10に記載の方法であって、該方法がいずれのアジュバンドも含まない組成物の初回用量を投与する工程をさらに包含する、方法。
  13. 請求項10に記載の方法であって、ここで、アジュバンドおよび腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む第二の組成物の前に前記組成物が投与される方法であって、ここで該第二の組成物が、
    a)ハプテンと結合し、そして
    b)約2×10〜約2.5×10の腫瘍細胞または腫瘍細胞等価物を含む、
    方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、ここで前記アジュバンドが、Bacille Calmette−Guerin、Q−21、および解毒エンドトキシンからなる群より選択される、方法。
  15. 前記組成物の投与後にシクロホスファミドが投与される、請求項11に記載の方法。
  16. 前記組成物の投与4〜7日後にシクロホスファミドが投与される、請求項14に記載の方法。
  17. 請求項10に記載の方法であって、ここで前記腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物が、黒色腫、卵巣癌、結腸癌、乳癌、直腸癌、肺癌、腎臓癌、前立腺癌、および白血病からなる群より選択される腫瘍が起源である、方法。
  18. 前記腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物が自己のものである、請求項10に記載の方法。
  19. 前記腫瘍細胞が黒色腫である、請求項10に記載の方法。
  20. 前記患者がヒトである、請求項10に記載の方法。
  21. 腫瘍に罹患する哺乳動物患者における抗腫瘍応答を誘発する方法であって、該方法が、以下:
    (a)処置の1日目に、いずれのアジュバンドも含まない約2×10〜約2.5×10の腫瘍細胞に対応する自己の腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物;
    (b)処置開始後、4〜7日目に、防御的抗腫瘍免疫を増強するか、免疫抑制を阻害するか、またはその両方である免疫調節因子;および
    (c)自己の腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む少なくとも1つのさらなる組成物、
    を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  22. 前記免疫調節化合物が、シクロホスファミドである、請求項21に記載の方法。
  23. 腫瘍に罹患している哺乳動物患者の抗腫瘍応答を誘発する方法であって、該方法が、以下:
    (a)処置の1日目に、いずれのアジュバンドも含まない約2×10〜約2.5×10の腫瘍細胞に対応するハプテン化自己腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物;
    (b)処置開始後4〜7日目に、シクロホスファミド;ならびに
    (c)処置開始後、少なくとも1週間、アジュバンドおよび約2×10〜約1×10の腫瘍細胞に対応するハプテン化自己腫瘍細胞または腫瘍細胞抽出物を含む組成物、
    を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  24. 前記アジュバンドが、Bacille Calmette−Guerinである、請求項22に記載の方法。
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