JP2004506238A - 音響光学可変フィルタ - Google Patents
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Abstract
音響光学チューナブルフィルタは、光ビーム(14)の伝播のための平面光導波路(2)と、光放射の経路に沿って順次配置された、光ビームを形成するための手段と、ビーム光波と相互作用して、予め定められた波長範囲内のそれらの回折を引起すことができる音波(15)を生成するように適合された音波変換器(16)と、光ビームの回折部分を選択するための手段とを含む。光ビーム形成手段および選択手段は、平面導波路の平面に配置されかつ、対応のストライプ状導波路(3)のアパーチャと重なるユニットリフレクタ(10)および(11)の組を各々が備える、ストライプ状導波路(3)および(4−7)の形態でそれぞれ実現される。リフレクタの相対的位置および傾斜角は、異なるユニットリフレクタ(10)から反射されたいずれのビーム(13)の対に対しても動作放射波長において位相差を維持するように選択される。位相差の値は本質的に2πの倍数である。
Description
【0001】
【発明の分野】
この発明は光学に関し、特に音響光学チューナブルフィルタに関する。
【0002】
【先行技術】
装置、すなわち、重み付け結合を用いる統合音響光学チューナブルフィルタであって、SAWと共線的に光導波路を伝播する異なる偏光の導波光学モードの表面弾性波(SAW)上での音響光学的(AO)変換により、予め定められた光スペクトル波長をフィルタする装置が公知である(アリジュイン・カル−ロイおよびチェンS.ツァイ、重み付け結合を用いた統合音響光学チューナブルフィルタ、IEEE J. Quantum Electronics, 1994、第30巻、第7号、1574−1586頁)(Arjuin Kar−roy and Chen S. Tsai, Integrated acoustooptic tunable filters using weighted coupling, IEEE J. Quantum Electronics, 1994, vol. 30, No. 7, pp. 1574−1586)。フィルタされた光波長は、SAW周波数を変更することによって同調される。なお、周波数は、相互作用波の間の位相同期条件を満たすように選択される。入射光学モードとSAW回折光学モードとは、予め定められた偏光のうち1つしか伝送しない交差偏光子(cross polarizer)で分離される。相互作用波の伝播方向に沿った、それらの結合係数のさらなる重み付けを用いると、フィルタ通過帯サイドローブレベルを−24.4dBに下げることができる。
【0003】
前記装置の特徴は通過帯の狭さが不十分なことである。通過帯の幅は光学的異方性値および相互作用の長さによって限定され、装置の寸法を大きく増すことなく減少させることはできない。
【0004】
LiNbO3からなる、薄膜導波路での異方性非共線的音響光学相互作用に基づく音響光学チューナブルフィルタであって、光ビームを伝播するための平面光導波路と、放射経路に沿って順次配置される以下の手段、すなわち、光ビーム形成手段と、ビーム光波と相互作用しかつ予め定められた波長範囲内のそれらの回折を引き起こすことができる音波を生成するように適合される音波変換器と、光ビーム回折部分を選択するための手段とを含む音響光学チューナブルフィルタも公知である(ブンマン・キムおよびチェンS.ツァイ、導波路における異方性および非共線的音響光学相互作用を用いた薄膜チューナブル光学フィルタリング、IEEE Journal of Quantum Electronics、QE−15巻、第7号、1979年7月、642−647頁)(Bumman Kim, and Chen S. Tsai. Thin Film Tunable Optical Filtering Using Anisotropic and Noncollinear Acoustooptic Interaction in Waveguides, IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol. QE−15, No. 7, July 1979, pp. 642−647)。予め定められた光スペクトル波長は、異なる偏光を有し、かつ、平面光導波路を伝播する導波光学モードのSAWでの非共線的回折により、音響光学セルを用いてフィルタされる。入射光学モードとSAW回折光学モードとは、焦点合わせ要素(レンズ)からなる選択手段を用いて、角度付けられた空間で分離される。相互作用するモードが異なる伝播方向を有するため、レンズは角度スペクトルのフーリエ変換を行ない、予め定められた光波長の回折ビームを空間的に選択する。音響光学フィルタ通過帯の同調は、音響光学セル中を伝播するSAW周波数を変えることによって行なわれる。装置のスペクトル分解は光波長およびSAW比に比例し、形成要素を用いて作製される光ビームアパーチャに反比例する。この場合、ブロード光ビームを平面導波路に入射する役割を果たすのはプリズム結合要素である。音響光学セルは、光波および音波が伝播しかつ相互作用することができる導波媒体を含み、さらに音波変換器も含む。音響セル中でいくつかのフェーズド変換器を用いてSAWを励起することにより、音響光学相互作用帯が拡張し、その結果、光波長同調領域を改善する。
【0005】
前記装置の特徴は、その幅がSAWとの相互作用領域中の光ビームアパーチャの値によって定められる通過帯が不十分に狭いことである。装置の寸法を大幅に増大させることおよびその製造をより困難にすることなしには、前記通過帯を増大させることができない。留意すべきなのは、平面光導波路中を伝播する、ブロード(1−2cmよりも広い)でかつ均質な光ビームの発生は極めて困難な科学技術的課題であり、これまで満足に達成されたことがないということである。
【0006】
【発明の概要】
この発明の基本的な目的は、最小の寸法と狭い通過帯とを有する音響光学チューナブルフィルタの開発である。
【0007】
前記目的は以下のように達成される。
光ビームを伝播する平面光導波路と、光放射経路に沿って順次配置された以下の手段、すなわち、光ビーム形成手段と、光ビーム波と相互作用しかつ予め定められた波長範囲内のそれらの回折を引起こすことができる音波を生成するように適合された音波変換器と、回折された光ビーム部分を選択するための手段とを含む音響光学チューナブルフィルタにおいて、この発明に従うと、
光ビーム形成手段および選択手段のうち少なくとも1つは、前記導波路自体の中またはその近傍において、平面導波路平面に設けられる少なくとも1つのストライプ状導波路の形態で、および、ストライプ状導波路アパーチャと重なる複数のユニット反射器の形態で実現され、その相対的位置および傾斜角は、異なるユニット反射器から反射されるいずれのビームの対に対しても動作放射波長において位相差を維持するように選択され、位相差の値は本質的に2πの倍数である。ここで、π=3.14159…は普遍定数である。
【0008】
光放射のより十分なフィルタリング(filtration)と装置のより小さな寸法とを確実にするため、形成手段と選択手段との両者をストライプ状導波路の形態で実現するのが有利であり、ビーム形成手段のストライプ状導波路のユニット反射器は、選択手段の反射器の傾斜と反対方向に傾けなければならない。
【0009】
いくつかの周波数チャネルの同時フィルタリングを確実にするため(ドロップ機能)(drop function)、複数の類似のストライプ状導波路を有するように選択手段を実現するのが有利である。導波路において、ユニット反射器の配置および傾斜角は、他のストライプ状導波路とは異なる、所与のストライプ状導波路にのみ固有の特定の動作波長を鑑みて選択される。さらなる説明を容易にするため、対応のユニット反射器を備える選択手段のストライプ状導波路を以後選択要素と称し、ビーム形成手段のユニット反射器を備えるストライプ状導波路を形成要素と称する。
【0010】
広帯域光信号の通過の目的のため(通過機能)(through−pass function)、光線経路ストライプ状導波路の中で最後のものをビーム形成手段のストライプ状導波路と同一のものとして実現するのが有利である。
【0011】
広帯域光信号の通過(通過機能)は、音響光学セルによって偏向されたものを除き、すべての波長に対して行なわれることに留意されたい。偏向された光ビームの一部は、予め定められた波長で、1つ以上の選択要素からなる選択手段によってフィルタリングされかつ再方向付けされる。しかし、すべての残余の(フィルタリングされていない)波長は装置を通過できることが望ましい。その目的のため、音響光学フィルタは、メイン変換器とは反対に方向付けられかつ、選択手段の最後のストライプ状導波路と最後から2つ目のストライプ状導波路との間の空間内でビームの光波と相互作用できる音波を生成するように適合される、さらなる音波変換器を設けることが好適である。
【0012】
光ビームの最大限の拡張を確実にするため、なお、この拡張により、予め定められた通過帯線幅に対して装置サイズが最小化されるのであるが、ユニット反射器は、対応のストライプ状導波路の軸に対して約45°の角度で傾けられるのが有利である。
【0013】
熱光学効果による、異なる光チャネルのフィルタされた放射の波長の独立した同調を確実にするため、少なくとも1つのストライプ状導波路に沿って、制御された直流または交流電流源にその端が接続された電極を設けることが有利である。
【0014】
電気光学効果による、異なる光チャネルのフィルタされた放射の波長の独立した同調を確実にするため、少なくとも1つのストライプ状導波路に沿って、制御された直流電流源にその端が接続された1対の電極を設けることが有利である。
【0015】
形成要素および/または選択要素のユニット反射器の各々の位置および傾斜角、反射率の最適な値を選択することにより、チューナブル光フィルタの同調帯およびその抑制帯のスペクトル間隔の伝送線の形状およびそのエンベロープを修正できる。たとえば、音響光学チューナブルフィルタの抑制帯を拡張するため、ユニット反射器は互いから異なる間隔を空けられることが有利であり、フィルタ通過帯におけるサイドローブの本質的な抑制(20−30dBよりも多く)を確実にするため、ユニット反射器は、ストライプ状導波路の中間部からその端に向けて値が減少していく異なる反射率を有することが有利である。
【0016】
この発明は、添付の図面を参照して、その特定の実施例の説明によりさらに論じられる。
【0017】
【発明の実施例の最適なモード】
環境(基板およびこの場合は空気雰囲気の上層)の屈折率よりも大きな屈折率を有しかつ厚みが数μmの薄い層が固体基板1(図1−図3)の上またはその下(いわゆる埋込導波路の場合)に実現される。前記層が平面光導波路2である。すなわち、光ビームは非常に低い損失(1dB/cm未満)で前記層の中を伝播することができる。この構造がサポートする、導かれる(導波)波(モード)の数およびそれらの光学フィールド(optical field)の空間的分布は、深さ方向の屈折率の変化のプロファイルによって定められる。
【0018】
平面光導波路2(図1)の中またはその近く(図2、図3)に、ストライプ状光導波路3−7が実現される。ストライプ状光導波路は、深さ方向だけでなく、構造の横方向にも増加する屈折率の値を有する。すなわち、前記導波路は、数ミクロンから数十ミクロンの厚みを有しかつその環境よりも大きな屈折率の値を有する薄いストライプ状形態の、固体表面の上または下の局所的領域である。したがって、前記導波路は、屈折率の値が増加する領域で、その軸に沿って狭くかつ発散しない光ビーム伝播を維持することができる。ストライプ状導波路および平面導波路は、以下の技術を用いて製造可能である。すなわち、金属の拡散、塩溶解からのプロトン交換、基板よりも高い屈折率を有する物質のスパッタリング、気相または液相からのエピタキシ、たとえば電子および/または光子による放射による表面層特性の変更である。ストライプ状光導波路3はビーム形成要素の機能を果たし、その研磨されたエッジ、すなわち入力8を通して、異なる光スペクトル波長を有し得る光ビームが入力される。ストライプ状光導波路3への光は、たとえば、ファイバからストリップへの光導波路9結合によって、光放射を導波路構造のエッジに焦点合わせすることによってなど、さまざまな方法で入力可能である。
【0019】
ストライプ状光導波路3および4−7の各々は、それぞれ、複数の傾斜付きユニット線形光反射器10および11を設ける。この反射器はストライプ状光導波路3および4−7のアパーチャに重なる。ストライプ状導波路4−7は、光ビームの一部を選択するための手段の機能をさらに果たす。光ビームは形成手段を通過し、光ファイバ導波路12を通して部分的に出力され、入力信号レベルをモニタするのに使用され得る(出力機能)(out function)。しかし、最適な装置構造を提供するため、入力ビームエネルギの大部分は、僅かに発散する拡張ビーム14を形成するコヒーレントな光ビーム13の形態で平面光導波路に遷移する。
【0020】
ストライプ状光導波路3がすぐ近傍に、すなわち、平面光導波路2(図2、図3)から距離「a」のところに実現されると、反射ビーム13は、それらを分離しかつより低い屈折率を有する領域「a」を通される。装置の光学的損失を低減するため、前記領域の幅を十分に大きくして、ストライプ状導波路3のモードの入射光学フィールドが平面導波路2に到達しないようにしなければならない(すなわち、放射減衰を防止しなければならない)。一方で、前記距離を十分に小さくして、そこを通る導波モードのトンネル通過を容易にしなければならない。この局面では、トレードオフは、大きさのオーダで、ストライプ状光導波路3自体の幅、すなわち約5−20μmと等しい分離領域「a」の値である。ストライプ状光導波路3を平面光導波路(図1参照)上に直接に実現すると、反射された光ビームは単に1つの導波路から別の導波路に遷移するだけであり、それにより、その間の分離境界と交差する。損失は無視できるほどである。
【0021】
前記光ビームは、音波源16が生成する音波15が伝播する領域をさらに通過する。通常は、交流電界の高周波源17に接続される電極の櫛(comb)である1つ以上のフェーズドインターデジタル変換器(IDT)を音波源16として用いる。変換器16は、圧電効果により、光導波路2が占める表面下領域を伝播しかつ、導波された光波と効率的に相互作用できる表面弾性波(SAW)を励起する。拡張ビーム14の一部は、ブラッグ位相同期条件を満たす動作光波長でSAW上で回折され、その伝播方向を変える。さらに、回折された光ビームは、平面光導波路2から、ストライプ状光導波路4およびユニット反射器11の形態で実現される選択手段に入る。次にこのビームは、装置から出力18、すなわち、導波路4の研磨された端面(エッジ)を介して光ファイバ導波路19に出力される。
【0022】
以下に述べるように、ユニット反射器11の相対的位置および傾斜角は、異なるユニット反射器11から反射されるいずれのビームの対に対しても動作放射波長上において位相差を維持するように選択され、この位相差は本質的に2πの倍数である。このとき、異なるユニット反射器11から反射されるビームの干渉の結果、光波の大部分が動作光波長上でのみ同相で集まり(summed)、フィルタは予め定められた光波長のみを伝送する。すべての他の光波長では、強め合う干渉の条件に合わず、数オーダの大きさで信号の通過が減少する(信号抑制)。フィルタの動作波長の同調は、音響光学効果および/または電気光学効果ならびに熱光学効果または電気歪効果(図1−図3)に基づいて行なわれる。
【0023】
図1に示される音響光学チューナブルフィルタにおいて、選択手段は、ストライプ状光導波路4を1つだけと、1つの音波変換器16とを含む。しかし、各々がそれ自身のユニット反射器11(図2)の組を有する多数の光導波路4−7が選択手段を含み、かつ、さらなる音波(図3)変換器20(図3)を用いる場合、装置の機能的能力は本質的に拡張される。したがって、装置は、マルチチャネル狭帯域チューナブル光フィルタの特性を獲得する。さらに、ユニット反射器11の相対的向きに依存して、装置は2つの重要な機能を実行する。形成手段と選択手段との両者をストライプ状導波路の形態で実現し、かつ、ビーム形成手段のストライプ状導波路3のユニット反射器10が選択手段の反射器11の傾斜と反対方向に傾斜されると、入射放射の狭帯域フィルタリング(ドロップ機能)が行なわれる。ユニット反射器11を有する、放射経路上で最後のストライプ状導波路7がビーム形成手段のストライプ状導波路3と同一に実現されると、最後のストライプ状導波路7への広帯域光信号の通過(通過機能)が行なわれ、信号は光ファイバ導波路21を用いて出力され得る。
【0024】
光チャネルの各々の動作周波数のさらなる電子的制御のため、形成要素および/または選択要素のストライプ状光導波路3−7のすぐ近傍に、導電材料のストライプの形態の電極22および23を実現する。制御された直流電流源24からの電界が隣接した電極22に印加されると、電気光学または電気歪効果により、ストライプ状導波路の近傍で屈折率の局所的変化が起こり、これにより光ビームを通すための波の位相変化が起こって光学フィルタの動作波長をシフトさせる。屈折率の同様の変化は、対応の電流源25からの直流または交流電界を単一の電極23(図2)の端に印加することによる熱光学効果によって与えることができる。電流は電極23の加熱を引起こし、導波路5の領域での屈折率の局所的変化を生じ、こうして光フィルタの動作波長をシフトさせる。
【0025】
この発明に従う音響光学チューナブルフィルタは以下のように動作する。入力8を介して狭い光ビームが形成要素(図1−図3)のストライプ状光導波路3に入力され、ユニット反射器10の各々で2つのビームに分けられる。(かなり強度の低い)ビームのうち1つが反射され、ストライプ状光導波路3から平面光導波路2に遷移する。(入射したビームと比較して僅かに強度が低い)他のビームは、ストライプ状光導波路3を通過して次のユニット反射器10に達し、そこで再び2つのビームに分けられるなどである。すべての反射ビーム13は、隣接する反射器10間の間隔での光ビームの遅延によって生じる光位相シフトを考慮して、コヒーレントに集められる。結果として生じる光ビーム14は、広いアパーチャ(入力用のものの100倍)と、出力された光放射の低発散とを有する。この発散は、ストライプ状導波路3の横方向の光波等位相面の不変性と、多数のユニット反射器10の予め厳密に定められた傾斜および位置とによるものである。
【0026】
導波路2平面で形成要素が放射する角度スペクトルU(p)は、以下のように説明される。一般性に偏見を持たなければ、導波された(導波)モードの電界の横方向分布をexp(−(y/wo)2)と表わし得る。ここで、woはストライプ状導波路の有効幅であり、yは(平面導波路面の)横方向座標である。各反射器10の幅は2wであり、反射率Rm、位相シフトkxmで示される。ここでxmはm番目の反射器の座標である。
【0027】
光ビームの最大の拡張を確実にするため、ユニット反射器の傾斜角は、ストライプ状導波路の軸に対して45°となるように選択され、反射器自体は厳密に周期的に間隔dを空けられる。
【0028】
xm=dm, m=1,2,3,… M (1)
次にU(p)は以下のように得られるであろう。
【0029】
【数1】
【0030】
Cは、すべてのスペクトル成分のエネルギがすべてのユニット反射器上のストライプ状導波路からのエネルギ放出と等しいという条件下で定められる正規化定数である。Ψmは、m番目の反射器のストライプ状光導波路から平面光導波路への光導波モードの重み付け関数または変換ファクタである。rmおよびRmは、振幅および強度に対するm番目のユニット反射器での反射率である。tmおよびTmは、振幅および強度に対するm番目のユニット反射器の伝送係数である。pは、ユニット反射器から反射されたビームの方向に対応する軸に対する観測角の正弦である。uo(p)は、ユニット反射器が放射した角度スペクトルである。bは、たとえば、他の波のタイプ(他の偏光、放射モードなど)への変換による、反射の間に生じるエネルギ損失を考慮する係数である。Ψmについて、以下の漸化式が有効であることが実証され得る。
【0031】
【数2】
【0032】
これにより、ΨmとRmとの間に存在する関係を定めることができる。まず、一定の反射率(R=Rm)の場合を論じ、簡略化のため、w/w0は1よりも遥かに大きいと仮定する。すると、以下の式を導出できる。
【0033】
【数3】
【0034】
拡張ビームの強度の角度分布を以下のように表わす。
【0035】
【数4】
【0036】
λ0=1.54μmである場合のビーム形成要素の放射スペクトルを図4に示す。前記スペクトルは、以下の幅を有する非常に狭いピークである。
【0037】
Δp=λ0/(NdM) (8)
図4は、ピーク幅が0.0001ラジアンのオーダの大きさを有することを示す。計算の際、N=2.2であり、ユニット反射器が一定の反射率R=0.002を有しかつ間隔d=7μmで厳密に周期的に配置され、反射器の数がM=1000であり、反射器の構造の全長はdM=0.7cmであり、ストライプ状光導波路の有効幅はw0=10μmであると仮定した。
【0038】
この狭い角度スペクトルの出現は、2つの余因子(co−factor)を含む式(8)に基づいて実証され得る。それらのうち第1のもの、すなわちu0 2(p)は、ストライプ状光導波路の導波モードの、ユニット反射器からの部分的反射によって形成される、限られた光源の角度スペクトルを示す。スペクトルは約0.04ラジアンの広い角度分布を有し、その最大値は鏡面反射されたビーム(p=0)に対応する。第2の余因子は、約0.0001ラジアンの角度発散(Δp)を有する狭い線形スペクトルを示し(図4)、異なるユニット反射器による干渉の結果を示す。線スペクトル最大の位置を以下のように表わす。
【0039】
【数5】
【0040】
したがって、p=0である場合、反射器の配置は式(9)に従って選択される。これは、光放射の予め定められた波長で、干渉(mλ)オーダのうち1つの伝播方向と鏡面反射されたビームとが、装置から出る拡張光ビームの角度発散(Δp)に対する精度に一致するという条件を満たす。言い換えると、これは、動作光波長で、異なるユニット反射器から反射されたビームの位相差が本質的に2πの倍数となるようにユニット反射器の傾斜角および位置が選択されることを意味する。
【0041】
さらに、(9)に従うと、光波長が変化すると、拡張ビームの指向性パターンは全体としてシフトする(走査する)。
【0042】
【数6】
【0043】
光伝播方向が逆になると(図1)、選択手段の選択要素の動作は形成手段の形成要素の動作と同様になる。すなわち、ストライプ状導波路4の導波光モードフィールドは、ユニット反射器11の各々での反射の結果として平面光導波路2からストライプ状導波路4に通過した多数のコヒーレントな光ビームの干渉の結果として形成される。出力18に達することができる光波の角度スペクトルは、形成光学要素に対して与えられる式(4−10)で示されることが実証され得る。
【0044】
回折されたビームの偏位角θは、光放射波長λ0およびSAW周波数(f)に依存する。
【0045】
【数7】
【0046】
ここで、ΛはSAW波長であり、Λ=v/fであり、vおよびfはSAWの速度および周波数であり、N1,N2,θ1およびθ2はそれぞれ入射波および回折波に対する有効反射率およびブラッグ角である。式(11)は、3つの相互作用波(2つの光波および1つの音波)について位相同期(ブラッグ条件)を満たす条件から導出される。ブラッグ角は音波位相面から計数される。簡略化のため、(波のタイプの変化のない)等方性回折の場合をさらに論じ、N=N1=N2と仮定する。このとき、
θ=2θBであり、ここで、
θB=arcsin(λ0/(2/ΛN)) (12)
である。
【0047】
光波のビームと音波とを相互作用させるには、光波ビームは、適切なブラッグ角(θ1およびθ2)で伝播しなければならない。形成手段および選択手段の両者のユニット反射器10、11の相対的位置および傾斜角は、異なるユニット反射器から反射されるいずれのビームの対に対しても動作放射波長上で位相差を維持するように選択される。なおこの長さは本質的に2πの倍数である。物理学の観点では、これは、異なるユニット反射器からの干渉のオーダのうち1つの伝播方向が、対応のストライプ状光導波路から平面光導波路へ、およびその逆に遷移する、鏡面反射されたビームによって定められる方向と一致する場合に対応する。
【0048】
反射器の位置および傾斜角、反射率Rならびに数Mを変えることにより、音響光学チューナブルフィルタ通過帯の外側の信号抑制帯およびサイドローブレベルならびにフィルタされた信号の振幅および線幅を変更することができる。反射器10、11は、たとえば、プロトン交換、イオン注入などによって他の光学的特性を有する(一般的に約0.2μmの)狭いストライプとして作製され、かつ、光導波路表面上に同じまたはその他の材料から作られる(約1−100nm高さの)段差または溝としても作製される局所的領域の形態を有し得る。ユニット反射器の反射率は一般的に0.005÷0.0001であり、製造工程および反射器外形の最適な選択によって制御可能である。良好なコリメーティング特性(角度のある空間での狭い指向性およびサイドローブの強力な抑制)と、ナロービームからブロードビームへおよびその逆への高効率の変換とを達成するため、反射器の数を十分に大きくしなければならない(一般的に、積R*Mは2よりも大きい、すなわち、Mは約500÷1000)。ユニット反射器間の距離は、通常、光導波路の幅に匹敵する(約5÷20μm)。
【0049】
したがって、ストライプ状光導波路3の入力8を介して伝えられ、異なる光スペクトル波長を含む光ビームは形成光学要素を通過し、コヒーレントな光ビーム13の組として平面光導波路2に遷移する。この指向性パターンは、式(10)に従うと、光放射波長に依存し、非常に狭い幅(約0.0001ラジアン)を有する。さらに、ブラッグ同期条件を満たす光波長およびAOセルを通過した光ビームの一部はSAW15で回折され、厳密に定められた波長および伝播方向を有する光放射のその部分しか伝送しない選択手段の選択要素に向けて角度2θ2をなして偏向される。すなわち、選択手段は光放射波長にわたって加法的選択(addition selection)を行なう。なおこの放射は、音波と共に領域を通過したものである。形成要素および選択要素のフィルタリング特性は、それらのスペクトル関数の畳込みによって表わすことができる。この畳込みは、要素が構造的に同一である場合、以下の形態を有する。
【0050】
【数8】
【0051】
ここで、C1は、ユニット反射器間の自由な間隔の存在を考慮した(約1以下の)数因子である。式(13)からわかるのは、SAWが存在しない場合(θB=0である場合)の信号の直接通過を回避するために、形成要素および選択要素の鏡面反射ビームの相対的傾斜角(θ0)は、ユニット反射器から反射された光ビームの回折発散角(λ0/(Nw0)よりも大きくなければならないことである。幾何学的観点では、これは、鏡面反射されたビーム間の平面光導波路において、それらがそれぞれ研磨された端面8および18を介してストライプ状光導波路3および4に方向付けられると角度180°−θ0を形成する場合に対応する。この条件は図6に示されるが、ここでは、2つの典型的な場合についての音響光学フィルタの通過スペクトルI(λ0)を示す。曲線31はθ0=0の場合に対応し、曲線32はθ0=0.1の場合に対応する(すなわち、θ0は、波長7μmの、SAW上の回折光の偏移角に等しい)。θ0=である場合、装置は、さまざまな干渉オーダ(mλ)に対応する狭いサブゾーンの組を伝送することが明らかである。しかしながら、θ0=0.1である場合(すなわち、θ0が
【0052】
【数9】
【0053】
よりも大きい場合)、音響光学フィルタ伝送信号の(30dBよりも大きい)有効な抑制が観察される。通過帯線幅Δλ0は、放射指向性パターンの角度発散(Δp)と光波長が変化するにつれての指向性パターンの走査特徴とによって定められる。このとき、(10)および(12)に従うと、以下のようになる。
【0054】
Δλ=λ0 2/(NdM) (14)
式(14)からわかるのは、この発明に従うチューナブルフィルタは、寸法が等しければ、標準的な共線音響光学フィルタよりも約N/ΔN倍狭い線幅を有することである。同じサイズのニオブ酸リチウム基板の場合、これは、20倍よりも大きな通過帯線の狭まりをもたらす。
【0055】
音響光学セルは装置の動作に重要なさらなる選択特性を有することに留意されたい。すなわち、AO相互作用において、ブラッグ同期条件に合う光波のみが加わる(すなわち偏向される)。等方性回折の場合、以下の式を満たす光波のみが選択されることを実証することができる。
【0056】
λ=λm(1+θ0)/(1+λm/(2NΛ)) (15)
この式が実証しているのは、各々固定されたSAW波長Λにおいて、λmの近傍にそのような光波長λの組が見出され、同時にそれについて位相同期条件が満たされ、かつ、形成要素のストライプ状光導波路から平面光導波路への最大限効率的な変換と、SAW上での効率的な光の回折と、動作光波長での回折放射のかなりの部分の、選択要素のストライプ状光導波路への遷移とがもたらされることである。すなわち、この装置は、SAW波長が変化する際の通過帯の自動同調特性を有している。留意すべきなのは、このフィルタは一度に多数のサブゾーンに対して同期した通過帯同調を行なうことである。特定のタイプのチューナブルフィルタについて、動作サブゾーンとしてそれらのうちいずれを選択することもできる。
【0057】
外部広帯域光学フィルタによりおよび/またはデータ伝送のための予め定められた波長範囲のみの使用により、動作サブゾーンの選択を行なうことができる。たとえば、mλ=10に対応するサブゾーンについて、動作波長は1.54μmに近い。その値よりも下では、すべての結果は、光ファイバ通信に用いるのに最も好適なものとして前記サブゾーンにのみ関連する。というのも、前記サブゾーンは、現在使用されている光増幅器のタイプがカバーする範囲(1530−1565nm)に対応するからである。しかしながら、すべての上述の推論は他の波長範囲にも自動的に当てはまる。すなわち、このフィルタは汎用の装置であり、光波長に依存するのは、たとえば伝送線幅(式(14)参照)などのその技術的パラメータのみであるからである。
【0058】
アパーチャLを有する単一のインターデジタル装置によって励起されたSAW上の光回折帯の光学的幅を以下の式で示すことが実証され得る。
【0059】
【数10】
【0060】
音響光学チューナブルフィルタのフィルタリング特性は、AOセル(式(16))のフィルタリング特性と、音波によっても制御される形成手段および選択手段(式(13))の特性との積によって定められる。
【0061】
mλ=10について、異なるSAW波長(33 Λ=12μm,34 Λ=10μm,35 Λ=8μm,36 Λ=7μm,37 Λ=5μm)に対して、ニオブ酸リチウム音響光学チューナブルフィルタの典型的特徴の例を図7に示す。簡略化のため、SAWでの光回折の効率に関してすべての曲線が正規化される。なお、この効率は、インターデジタル装置電極に印加される無線周波数(RF)電力にほぼ比例する。SAW波長が5から12μmに変化すると、装置は、光ファイバおよび既存の光増幅器で生じる最小の信号損失にほぼ対応する、1.511μmから1.571μm、すなわち60nmの同調帯内の光放射の選択的フィルタリングを行なう。フィルタ伝送線幅の形状を図8(曲線39)に示す。計算のため、反射率はすべてのユニット反射器について一定であると仮定した。0.5(または−3dB)のレベルでは、これは0.1nmの幅であり、これは光波長に上の600個の同調可能なチャネルに対応する。信号抑制レベルが低下すると、フィルタ伝送線の適度な拡張が存在することに留意されたい。たとえば、−10dBのレベルでは、線の幅は0.33nmである。
【0062】
光学要素の最大サイドローブのレベルは、それらの伝送係数を重み付けすることによって低減可能である。この場合、フィルタ通過帯の外側の寄生信号をより十分に抑制するために、ユニット反射器は、形成要素および/または選択要素の始めおよび終わりの近くで値が小さくなる可変反射率を有するように選択される。反射率変更規則は、フィルタ伝送線幅およびサイドローブ抑制レベルに関するトレードオフ要件に基づいて選択される。図8に示されるフィルタの技術的能力を実証するため(曲線40参照)、重み付け関数が、重み付け定数(C2)が5である限定ガウス関数(limited Gaussian function)(17)である場合について、音響光学チューナブルフィルタの伝送も示す。
【0063】
【数11】
【0064】
ストライプ状光導波路から平面光導波路への、光学導波モードのフィールドの変換の係数または重み付け関数の重み付けの結果、寄生信号の抑制と、拒否レベルが高い場合の音響光学チューナブルフィルタの伝送線の狭まりとが本質的に改善するのは明らかである。たとえば、ユニット反射器からの反射率が可変である場合(曲線40)、帯域幅は、それぞれ、−3dBのレベルで0.1nm;−10dBのレベルで0.17nm;かつ、−20dBのレベルで0.22nmである。すなわち、音響光学チューナブルフィルタは−20dBのレベルで270個の独立したチャネルを設けるか、または、−10dBのレベルで350個のチャネルを設ける。同調帯(60nm)内の寄生信号の抑制は35dBを超える。
【0065】
用いられる重み付け関数のタイプを図9に示す。重み付け関数は、対応のユニット反射器の場所の近傍の平面光導波路の光学フィールド振幅の相対的値に等しい。ユニット反射器の反射率が一定である場合、重み付け関数は、指数関数的依存性(曲線41)の形態を有する。重み付け定数が5である限定ガウス関数の形態の重み付け関数を曲線42で示す。曲線43は、反射率が可変のユニット反射器を導波光学モードが通過する際のストライプ状光導波路の導波光学モードフィールドの変化を示す。図10は、ユニット反射器の反射率の対応する変化を示す。この変化とは、図9に示す重み付け関数42の予め定められた形態を与えるものである。
【0066】
外部広帯域入力フィルタの使用が望ましくなく、かつ、必要な信号抑制帯が大き過ぎて一度に多数のサブゾーンを含んでしまうという可能な状況が存在する。そのような場合、形成要素および/または選択要素のユニット反射器は互いから異なる間隔を空けて配置される。それらの位置は、必要な信号抑制をもたらす最適化手順に基づいて選択される。たとえば、それらの位置は、間隔(d0)の倍数であり、かつ、異なるユニット反射器から鏡面反射され、ストライプ状光導波路から平面光導波路に遷移する光ビームについて2πの位相差を与える値だけ、周期的擬似乱数的配置についてシフトされ得る。角度45°をなすように反射器が位置決めされる場合、これは、間隔(d0)の値がチューナブルフィルタの動作光放射光波長に等しいことを意味する。なお動作波長は対応のストライプ状光導波路の効率的な反射率(N)によって分けられる。そのような反射器の配置により、チューナブルフィルタの動作光放射光波長においてのみ、異なる反射器から形成されたビームのコヒーレントな集まり(summation)がもたらされる。動作波長から十分に離れたすべての他の光波長では、位相シフトの無秩序な遅延を伴なう、異なる反射器から形成されたビームの集まりによって生じるフィールドは、無視できるほどに小さいものである。
【0067】
式(1)をユニット反射器の擬似乱数的配置を考慮する以下の式(18)で置換えると、そのようなタイプの音響光学チューナブルフィルタの設計を、式(1)−(4)に従って、数字でのみ行なうことができる。
【0068】
xm=dm+d0Am m=1,2,3,…M (18)
ここで、d0=λ0/Nは反射器の擬似乱数的配置の間隔取りであり、λ0はチューナブルフィルタの動作光放射光波長であり、Amは、−M0から+M0にランダムに変化する整数(0,±1,±2,…±M0)の組である。ここでM0は反射器の擬似乱数的配置の多重度であり、M0はd/d0の比よりも小さくなければならない。以下の式は擬似乱数シーケンス発生器として用いられる。
【0069】
Am=Integer(M0sin(C3m2)) (19)
ここでC3はパラメータであり、この場合、C3=400である。
【0070】
図11は、形成要素および選択要素の傾斜付き反射器の(多重度4の)周期的(曲線44および46)ならびに擬似乱数的(曲線45および47)配置についての音響光学チューナブルフィルタの伝送線幅形状を示す。さらに、重み付け関数が、重み付け定数が5である限定ガウス関数(17)である場合、曲線44および46はユニット反射器の反射率が一定である場合に対応し、曲線45および47はユニット反射器の反射率が可変である場合に対応する。
【0071】
フィルタ抑制帯内の光波長の変化の範囲全体の中で、1.4μmおよび1.54μmに近い2つの特徴的な間隔を選択する。この間隔は、SAW波長が7μmである場合、2つの干渉オーダがそれぞれmλ=11およびmλ=100である場合の、音響光学チューナブルフィルタの最大伝送に対応するものである。音響光学チューナブルフィルタのフィルタリング特性をさらに十分に実証するため、図11で、mλ=11(曲線44および45)およびmλ=10(曲線46および47)について、伝送線の形状を対数目盛で表わす。特に、曲線46と47とを比較すると、反射率が一定である場合(曲線46)と比較して、ユニット反射器の反射率が可変である場合(曲線47)は、寄生信号抑制の大幅な増大はフィルタ通過帯の外側においてであるのが明らかである。
【0072】
サブゾーンの数(または干渉オーダmλ)が変化しても、間隔7μmを有するユニット反射器の厳密に周期的な配置に対応する曲線44および46は実際には変化しないのが明らかである。すなわち、上述のように、隣接するサブゾーンからの信号の通過を回避するには、さらなる広帯域フィルタを用いることおよび/またはデータ伝送のために1つのサブゾーン内の予め定められた波長範囲のみを用いることが必要である。しかしながら、ユニット反射器が互いから異なる間隔で配置されれば(曲線45)、音響光学チューナブルフィルタは、SAW波長によって定められる唯一の固定光波長しか伝送しない。mλ=11に対応する1406μmの線は、mλ=10に対応する1540nmの動作線と比較して、−40dBよりも高いレベルで抑制されることが明らかである。したがって、(18)に従うユニット反射器の擬似乱数的配置は、動作波長に最も近い1つの光波長でのみ、異なる反射器から形成されるビームのコヒーレントな集まりをもたらす。動作波長から十分に離れたすべての他の光波長では、異なる反射器から形成されたビームの集まりから生じるフィールドは、位相シフトの無秩序な遅延を有するが、これは無視できるほどに小さいことがわかっている。フィルタ通過帯外側の信号抑制レベルは、反射器の擬似乱数的配置の多重度と、フィルタ抑制帯値の合計値とに依存することに留意されたい。
【0073】
留意すべきなのは、音響光学フィルタ選択手段は、4と同様の、たとえば5および6などの複数のストライプ状導波路を含むことができ、前記導波路の各々のユニット反射器11の位置および傾斜角は、他のストライプ状導波路の動作波長とは異なる、所与のストライプ状導波路のみに固有の特定の動作波長を考慮するように選択されることである。式(10)および(15)に従うと、光学フィルタ動作周波数は、音波の周波数と、ストライプ状光導波路の効率的な屈折率と、反射器配置の間隔取りとによって決まる。したがって、式(10)に従うと、フィルタされた放射の波長の前記変化(δλ/λ=δN/N=δd/d)は強め合う(constructional)ものであり得る。すなわち、ストライプ状導波路のパラメータの変化(屈折率の変化δN)によっておよび/またはユニット反射器配置の間隔取りの同等の変化(δd)によって引起され、いつ外部電界が印加されるかを示した。特に、制御された直流電流源24からの電界が電極22の対に印加されると、電気光学または電気歪効果による、ストライプ状導波路6の近傍での屈折率の局所的変化が現れ、位相シフトを引起し、光学フィルタ動作波長を変位する。交互のまたは一定の電界が対応の電流源25から電極23(図2)の端に印加されると、熱光学効果により屈折率の同様の変化がもたらされ得る。電流の流れは電極23の加熱を引起し、この結果、導波路5の領域での屈折率の局所的変化を生じる。これは、光学フィルタ動作波長のシフトを生じる。
【0074】
放射経路の中で最後のストライプ状導波路7がビーム形成手段のストライプ状導波路3と同一に実現される場合をさらに論じる。反射器10および11の外形ならびに式(13)からわかることは、この構造が広帯域光信号を通過させることができることである。実際に、光波長が変化すると、形成要素および選択要素の指向性パターンは同期して走査を行ない、その間の角度は実際には変化しない。したがって、動作光波長での指向性パターンが形成要素の指向性パターンと平行であるようにストライプ状導波路7の反射器11の向きを選択すれば、光ビームのエネルギのかなりの部分(50%まで)は、動作波長が十分に大きい区域(60nmよりも大きい)にわたるすべての波長において形成要素から選択手段に遷移する。
【0075】
しかしながら、装置の出力での入力導波路9から導波路21への広帯域光信号の通過(通過機能)は、音波を用いて偏向されたものを除いて、すべての波長に対して行なわれる。留意すべきなのは、広帯域光信号の通過に導波路12を用いることが可能であるが(出力機能)、装置の設計がよりよくなる(損失がより少なくなる)につれ、導波路12に到達する光の強度がより小さくなる(一般的に10%未満)ことである。予め定められた波長の、偏向された光ビームの一部はフィルタリングされ、ストライプ状導波路4−6を介して、それらは対応の選択要素により光ファイバ導波路19に搬送される(ドロップ1、ドロップ2およびドロップ3機能)。しかしながら、すべての残余の(フィルタリングされていない)波長も装置を通過することが許されるのが望ましい。この目的のため、音響光学フィルタはさらなる音波変換器20を備える。この変換器は、メイン変換器16の音波とは反対方向に向けられかつ選択手段の最後および最後から2番目のストライプ状導波路7および6の間の間隔内でビーム光波と相互作用することができる音波を生成するように適合される。すなわち、通過(貫通)機能を果たす選択手段のストライプ状光導波路7のすぐ上流で、第2の音波が伝播する。第1の音響セルからの回折波に対するブラッグ角は、第2の音響セル(図3)に対する入射波のブラッグ角と一致する。言い換えると、鏡面反射された光ビームが選択手段のストライプ状導波路から出力されると、それらは、第2の音響光学セル(図3)の回折光波に対してブラッグ角をなすように方向付けられる。さらなる音波変換器20により、フィルタリングされていないすべての波長を含む光ビームは第2の音波で回折され、(第1の音波での回折と比較して)逆方向に偏位し、広帯域光学信号の通過の機能を果たす(貫通)ストライプ状導波路7上の選択手段を用いて装置から効率的に出力され得る。これに加え、第2の音波は、光周波数のさらなるドップラーシフトを補う。音波変換器16および20の両者は同じ周波数で動作できるからである。
【0076】
形成要素および/または選択要素の鏡面反射光ビームが0ブラッグ角に方向付けられる(共線的である)特定の場合をさらに論じる。曲線31(図6)の挙動によると、この発明に従うと、装置は、外部交流または直流電界により反射率δN/N=δλ/λを変化させる既存の可能性において、チャネルの各々の動作光波長の電子的同調が可能な光学マルチチャネルフィルタの機能を果たす。
【0077】
この発明に従う音響光学チューナブルフィルタは、最小限の寸法(この例では、動作フィールドは1cm未満である)と、60nmまでの同調帯内の狭い通過帯線(3dBのレベルで約0.1nmおよび−20dBのレベルで0.22nm)と、フィルタ通過帯外側の寄生信号の高レベルの抑制(30dBよりも高い)とを有する。
【0078】
産業上の利用可能性
提案される音響光学チューナブルフィルタは、光ファイバ通信で用いられる高密度波長分割多重(DWDM)システムの設計の分野でならびに、たとえば、気体、液体および固体の組成を検知するための変換器などの、リモートセンシング装置用の光放射の小型チューナブル分光計に、好適に用いることができる。
【0079】
音響光学チューナブルフィルタは、集積光学および超小型電子工学デバイスのために開発された公知の方法によって製造可能である。この装置の製造のための材料として、低損失(約1dB/cm以下)の光導波路の製造および効率的な音波の励起のための方法が開発されたいずれの透明な固体も使用可能である。そのような材料には、ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウム、半導体ヘテロエピタキシャル構造AIIIBV、たとえばZnO/SiO2/Siなど、SAWの励起のための圧電層を含む誘電体積層構造などが属する。比較的簡単に技術的に実現可能でありかつ最も単純な例が、良好な光学的、音響光学的かつ電気光学的特性を有するニオブ酸リチウムからなる光導波路に基づく装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う平面導波路に配置されたストライプ状導波路を有する音響光学チューナブルフィルタの概略図である。
【図2】この発明に従い、平面導波路の近傍の複数のストライプ状導波路と、さらなる制御電極とを有する音響光学チューナブルフィルタの概略図である。
【図3】この発明に従い、平面導波路の近傍の複数のストライプ状導波路と、さらなる制御電極と、さらなる音波変換器とを有する音響光学チューナブルフィルタの概略図である。
【図4】平面導波路平面での反射ビームの方向に依存する、形成要素の放射強度の変化を示す図である。
【図5】異なる光波長に対する、図4と同様の、平面導波路平面での反射ビームの方向に依存する、形成要素の放射強度の変化を示す図である。
【図6】ユニット反射器の異なる傾斜角について、音響光学チューナブルフィルタI(λ0)の伝送強度の変化を示す図である。
【図7】音波の異なる波長について、音響光学チューナブルフィルタの伝送強度の変化を示す図である。
【図8】ユニット反射器の反射率が一定である場合および変更される場合の、音響光学チューナブルフィルタの伝送強度の変化を示す図である。
【図9】ユニット反射器の配置領域での平面導波路およびストライプ状導波路の光学フィールドの振幅の変化を示す図である。
【図10】ユニット反射器の連続番号に依存して反射率の変化を示す図である。
【図11】ユニット反射器間の間隔が異なる場合およびその反射率が異なる場合の、音響光学チューナブルフィルタの伝送強度の関係を示す図である。
【発明の分野】
この発明は光学に関し、特に音響光学チューナブルフィルタに関する。
【0002】
【先行技術】
装置、すなわち、重み付け結合を用いる統合音響光学チューナブルフィルタであって、SAWと共線的に光導波路を伝播する異なる偏光の導波光学モードの表面弾性波(SAW)上での音響光学的(AO)変換により、予め定められた光スペクトル波長をフィルタする装置が公知である(アリジュイン・カル−ロイおよびチェンS.ツァイ、重み付け結合を用いた統合音響光学チューナブルフィルタ、IEEE J. Quantum Electronics, 1994、第30巻、第7号、1574−1586頁)(Arjuin Kar−roy and Chen S. Tsai, Integrated acoustooptic tunable filters using weighted coupling, IEEE J. Quantum Electronics, 1994, vol. 30, No. 7, pp. 1574−1586)。フィルタされた光波長は、SAW周波数を変更することによって同調される。なお、周波数は、相互作用波の間の位相同期条件を満たすように選択される。入射光学モードとSAW回折光学モードとは、予め定められた偏光のうち1つしか伝送しない交差偏光子(cross polarizer)で分離される。相互作用波の伝播方向に沿った、それらの結合係数のさらなる重み付けを用いると、フィルタ通過帯サイドローブレベルを−24.4dBに下げることができる。
【0003】
前記装置の特徴は通過帯の狭さが不十分なことである。通過帯の幅は光学的異方性値および相互作用の長さによって限定され、装置の寸法を大きく増すことなく減少させることはできない。
【0004】
LiNbO3からなる、薄膜導波路での異方性非共線的音響光学相互作用に基づく音響光学チューナブルフィルタであって、光ビームを伝播するための平面光導波路と、放射経路に沿って順次配置される以下の手段、すなわち、光ビーム形成手段と、ビーム光波と相互作用しかつ予め定められた波長範囲内のそれらの回折を引き起こすことができる音波を生成するように適合される音波変換器と、光ビーム回折部分を選択するための手段とを含む音響光学チューナブルフィルタも公知である(ブンマン・キムおよびチェンS.ツァイ、導波路における異方性および非共線的音響光学相互作用を用いた薄膜チューナブル光学フィルタリング、IEEE Journal of Quantum Electronics、QE−15巻、第7号、1979年7月、642−647頁)(Bumman Kim, and Chen S. Tsai. Thin Film Tunable Optical Filtering Using Anisotropic and Noncollinear Acoustooptic Interaction in Waveguides, IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol. QE−15, No. 7, July 1979, pp. 642−647)。予め定められた光スペクトル波長は、異なる偏光を有し、かつ、平面光導波路を伝播する導波光学モードのSAWでの非共線的回折により、音響光学セルを用いてフィルタされる。入射光学モードとSAW回折光学モードとは、焦点合わせ要素(レンズ)からなる選択手段を用いて、角度付けられた空間で分離される。相互作用するモードが異なる伝播方向を有するため、レンズは角度スペクトルのフーリエ変換を行ない、予め定められた光波長の回折ビームを空間的に選択する。音響光学フィルタ通過帯の同調は、音響光学セル中を伝播するSAW周波数を変えることによって行なわれる。装置のスペクトル分解は光波長およびSAW比に比例し、形成要素を用いて作製される光ビームアパーチャに反比例する。この場合、ブロード光ビームを平面導波路に入射する役割を果たすのはプリズム結合要素である。音響光学セルは、光波および音波が伝播しかつ相互作用することができる導波媒体を含み、さらに音波変換器も含む。音響セル中でいくつかのフェーズド変換器を用いてSAWを励起することにより、音響光学相互作用帯が拡張し、その結果、光波長同調領域を改善する。
【0005】
前記装置の特徴は、その幅がSAWとの相互作用領域中の光ビームアパーチャの値によって定められる通過帯が不十分に狭いことである。装置の寸法を大幅に増大させることおよびその製造をより困難にすることなしには、前記通過帯を増大させることができない。留意すべきなのは、平面光導波路中を伝播する、ブロード(1−2cmよりも広い)でかつ均質な光ビームの発生は極めて困難な科学技術的課題であり、これまで満足に達成されたことがないということである。
【0006】
【発明の概要】
この発明の基本的な目的は、最小の寸法と狭い通過帯とを有する音響光学チューナブルフィルタの開発である。
【0007】
前記目的は以下のように達成される。
光ビームを伝播する平面光導波路と、光放射経路に沿って順次配置された以下の手段、すなわち、光ビーム形成手段と、光ビーム波と相互作用しかつ予め定められた波長範囲内のそれらの回折を引起こすことができる音波を生成するように適合された音波変換器と、回折された光ビーム部分を選択するための手段とを含む音響光学チューナブルフィルタにおいて、この発明に従うと、
光ビーム形成手段および選択手段のうち少なくとも1つは、前記導波路自体の中またはその近傍において、平面導波路平面に設けられる少なくとも1つのストライプ状導波路の形態で、および、ストライプ状導波路アパーチャと重なる複数のユニット反射器の形態で実現され、その相対的位置および傾斜角は、異なるユニット反射器から反射されるいずれのビームの対に対しても動作放射波長において位相差を維持するように選択され、位相差の値は本質的に2πの倍数である。ここで、π=3.14159…は普遍定数である。
【0008】
光放射のより十分なフィルタリング(filtration)と装置のより小さな寸法とを確実にするため、形成手段と選択手段との両者をストライプ状導波路の形態で実現するのが有利であり、ビーム形成手段のストライプ状導波路のユニット反射器は、選択手段の反射器の傾斜と反対方向に傾けなければならない。
【0009】
いくつかの周波数チャネルの同時フィルタリングを確実にするため(ドロップ機能)(drop function)、複数の類似のストライプ状導波路を有するように選択手段を実現するのが有利である。導波路において、ユニット反射器の配置および傾斜角は、他のストライプ状導波路とは異なる、所与のストライプ状導波路にのみ固有の特定の動作波長を鑑みて選択される。さらなる説明を容易にするため、対応のユニット反射器を備える選択手段のストライプ状導波路を以後選択要素と称し、ビーム形成手段のユニット反射器を備えるストライプ状導波路を形成要素と称する。
【0010】
広帯域光信号の通過の目的のため(通過機能)(through−pass function)、光線経路ストライプ状導波路の中で最後のものをビーム形成手段のストライプ状導波路と同一のものとして実現するのが有利である。
【0011】
広帯域光信号の通過(通過機能)は、音響光学セルによって偏向されたものを除き、すべての波長に対して行なわれることに留意されたい。偏向された光ビームの一部は、予め定められた波長で、1つ以上の選択要素からなる選択手段によってフィルタリングされかつ再方向付けされる。しかし、すべての残余の(フィルタリングされていない)波長は装置を通過できることが望ましい。その目的のため、音響光学フィルタは、メイン変換器とは反対に方向付けられかつ、選択手段の最後のストライプ状導波路と最後から2つ目のストライプ状導波路との間の空間内でビームの光波と相互作用できる音波を生成するように適合される、さらなる音波変換器を設けることが好適である。
【0012】
光ビームの最大限の拡張を確実にするため、なお、この拡張により、予め定められた通過帯線幅に対して装置サイズが最小化されるのであるが、ユニット反射器は、対応のストライプ状導波路の軸に対して約45°の角度で傾けられるのが有利である。
【0013】
熱光学効果による、異なる光チャネルのフィルタされた放射の波長の独立した同調を確実にするため、少なくとも1つのストライプ状導波路に沿って、制御された直流または交流電流源にその端が接続された電極を設けることが有利である。
【0014】
電気光学効果による、異なる光チャネルのフィルタされた放射の波長の独立した同調を確実にするため、少なくとも1つのストライプ状導波路に沿って、制御された直流電流源にその端が接続された1対の電極を設けることが有利である。
【0015】
形成要素および/または選択要素のユニット反射器の各々の位置および傾斜角、反射率の最適な値を選択することにより、チューナブル光フィルタの同調帯およびその抑制帯のスペクトル間隔の伝送線の形状およびそのエンベロープを修正できる。たとえば、音響光学チューナブルフィルタの抑制帯を拡張するため、ユニット反射器は互いから異なる間隔を空けられることが有利であり、フィルタ通過帯におけるサイドローブの本質的な抑制(20−30dBよりも多く)を確実にするため、ユニット反射器は、ストライプ状導波路の中間部からその端に向けて値が減少していく異なる反射率を有することが有利である。
【0016】
この発明は、添付の図面を参照して、その特定の実施例の説明によりさらに論じられる。
【0017】
【発明の実施例の最適なモード】
環境(基板およびこの場合は空気雰囲気の上層)の屈折率よりも大きな屈折率を有しかつ厚みが数μmの薄い層が固体基板1(図1−図3)の上またはその下(いわゆる埋込導波路の場合)に実現される。前記層が平面光導波路2である。すなわち、光ビームは非常に低い損失(1dB/cm未満)で前記層の中を伝播することができる。この構造がサポートする、導かれる(導波)波(モード)の数およびそれらの光学フィールド(optical field)の空間的分布は、深さ方向の屈折率の変化のプロファイルによって定められる。
【0018】
平面光導波路2(図1)の中またはその近く(図2、図3)に、ストライプ状光導波路3−7が実現される。ストライプ状光導波路は、深さ方向だけでなく、構造の横方向にも増加する屈折率の値を有する。すなわち、前記導波路は、数ミクロンから数十ミクロンの厚みを有しかつその環境よりも大きな屈折率の値を有する薄いストライプ状形態の、固体表面の上または下の局所的領域である。したがって、前記導波路は、屈折率の値が増加する領域で、その軸に沿って狭くかつ発散しない光ビーム伝播を維持することができる。ストライプ状導波路および平面導波路は、以下の技術を用いて製造可能である。すなわち、金属の拡散、塩溶解からのプロトン交換、基板よりも高い屈折率を有する物質のスパッタリング、気相または液相からのエピタキシ、たとえば電子および/または光子による放射による表面層特性の変更である。ストライプ状光導波路3はビーム形成要素の機能を果たし、その研磨されたエッジ、すなわち入力8を通して、異なる光スペクトル波長を有し得る光ビームが入力される。ストライプ状光導波路3への光は、たとえば、ファイバからストリップへの光導波路9結合によって、光放射を導波路構造のエッジに焦点合わせすることによってなど、さまざまな方法で入力可能である。
【0019】
ストライプ状光導波路3および4−7の各々は、それぞれ、複数の傾斜付きユニット線形光反射器10および11を設ける。この反射器はストライプ状光導波路3および4−7のアパーチャに重なる。ストライプ状導波路4−7は、光ビームの一部を選択するための手段の機能をさらに果たす。光ビームは形成手段を通過し、光ファイバ導波路12を通して部分的に出力され、入力信号レベルをモニタするのに使用され得る(出力機能)(out function)。しかし、最適な装置構造を提供するため、入力ビームエネルギの大部分は、僅かに発散する拡張ビーム14を形成するコヒーレントな光ビーム13の形態で平面光導波路に遷移する。
【0020】
ストライプ状光導波路3がすぐ近傍に、すなわち、平面光導波路2(図2、図3)から距離「a」のところに実現されると、反射ビーム13は、それらを分離しかつより低い屈折率を有する領域「a」を通される。装置の光学的損失を低減するため、前記領域の幅を十分に大きくして、ストライプ状導波路3のモードの入射光学フィールドが平面導波路2に到達しないようにしなければならない(すなわち、放射減衰を防止しなければならない)。一方で、前記距離を十分に小さくして、そこを通る導波モードのトンネル通過を容易にしなければならない。この局面では、トレードオフは、大きさのオーダで、ストライプ状光導波路3自体の幅、すなわち約5−20μmと等しい分離領域「a」の値である。ストライプ状光導波路3を平面光導波路(図1参照)上に直接に実現すると、反射された光ビームは単に1つの導波路から別の導波路に遷移するだけであり、それにより、その間の分離境界と交差する。損失は無視できるほどである。
【0021】
前記光ビームは、音波源16が生成する音波15が伝播する領域をさらに通過する。通常は、交流電界の高周波源17に接続される電極の櫛(comb)である1つ以上のフェーズドインターデジタル変換器(IDT)を音波源16として用いる。変換器16は、圧電効果により、光導波路2が占める表面下領域を伝播しかつ、導波された光波と効率的に相互作用できる表面弾性波(SAW)を励起する。拡張ビーム14の一部は、ブラッグ位相同期条件を満たす動作光波長でSAW上で回折され、その伝播方向を変える。さらに、回折された光ビームは、平面光導波路2から、ストライプ状光導波路4およびユニット反射器11の形態で実現される選択手段に入る。次にこのビームは、装置から出力18、すなわち、導波路4の研磨された端面(エッジ)を介して光ファイバ導波路19に出力される。
【0022】
以下に述べるように、ユニット反射器11の相対的位置および傾斜角は、異なるユニット反射器11から反射されるいずれのビームの対に対しても動作放射波長上において位相差を維持するように選択され、この位相差は本質的に2πの倍数である。このとき、異なるユニット反射器11から反射されるビームの干渉の結果、光波の大部分が動作光波長上でのみ同相で集まり(summed)、フィルタは予め定められた光波長のみを伝送する。すべての他の光波長では、強め合う干渉の条件に合わず、数オーダの大きさで信号の通過が減少する(信号抑制)。フィルタの動作波長の同調は、音響光学効果および/または電気光学効果ならびに熱光学効果または電気歪効果(図1−図3)に基づいて行なわれる。
【0023】
図1に示される音響光学チューナブルフィルタにおいて、選択手段は、ストライプ状光導波路4を1つだけと、1つの音波変換器16とを含む。しかし、各々がそれ自身のユニット反射器11(図2)の組を有する多数の光導波路4−7が選択手段を含み、かつ、さらなる音波(図3)変換器20(図3)を用いる場合、装置の機能的能力は本質的に拡張される。したがって、装置は、マルチチャネル狭帯域チューナブル光フィルタの特性を獲得する。さらに、ユニット反射器11の相対的向きに依存して、装置は2つの重要な機能を実行する。形成手段と選択手段との両者をストライプ状導波路の形態で実現し、かつ、ビーム形成手段のストライプ状導波路3のユニット反射器10が選択手段の反射器11の傾斜と反対方向に傾斜されると、入射放射の狭帯域フィルタリング(ドロップ機能)が行なわれる。ユニット反射器11を有する、放射経路上で最後のストライプ状導波路7がビーム形成手段のストライプ状導波路3と同一に実現されると、最後のストライプ状導波路7への広帯域光信号の通過(通過機能)が行なわれ、信号は光ファイバ導波路21を用いて出力され得る。
【0024】
光チャネルの各々の動作周波数のさらなる電子的制御のため、形成要素および/または選択要素のストライプ状光導波路3−7のすぐ近傍に、導電材料のストライプの形態の電極22および23を実現する。制御された直流電流源24からの電界が隣接した電極22に印加されると、電気光学または電気歪効果により、ストライプ状導波路の近傍で屈折率の局所的変化が起こり、これにより光ビームを通すための波の位相変化が起こって光学フィルタの動作波長をシフトさせる。屈折率の同様の変化は、対応の電流源25からの直流または交流電界を単一の電極23(図2)の端に印加することによる熱光学効果によって与えることができる。電流は電極23の加熱を引起こし、導波路5の領域での屈折率の局所的変化を生じ、こうして光フィルタの動作波長をシフトさせる。
【0025】
この発明に従う音響光学チューナブルフィルタは以下のように動作する。入力8を介して狭い光ビームが形成要素(図1−図3)のストライプ状光導波路3に入力され、ユニット反射器10の各々で2つのビームに分けられる。(かなり強度の低い)ビームのうち1つが反射され、ストライプ状光導波路3から平面光導波路2に遷移する。(入射したビームと比較して僅かに強度が低い)他のビームは、ストライプ状光導波路3を通過して次のユニット反射器10に達し、そこで再び2つのビームに分けられるなどである。すべての反射ビーム13は、隣接する反射器10間の間隔での光ビームの遅延によって生じる光位相シフトを考慮して、コヒーレントに集められる。結果として生じる光ビーム14は、広いアパーチャ(入力用のものの100倍)と、出力された光放射の低発散とを有する。この発散は、ストライプ状導波路3の横方向の光波等位相面の不変性と、多数のユニット反射器10の予め厳密に定められた傾斜および位置とによるものである。
【0026】
導波路2平面で形成要素が放射する角度スペクトルU(p)は、以下のように説明される。一般性に偏見を持たなければ、導波された(導波)モードの電界の横方向分布をexp(−(y/wo)2)と表わし得る。ここで、woはストライプ状導波路の有効幅であり、yは(平面導波路面の)横方向座標である。各反射器10の幅は2wであり、反射率Rm、位相シフトkxmで示される。ここでxmはm番目の反射器の座標である。
【0027】
光ビームの最大の拡張を確実にするため、ユニット反射器の傾斜角は、ストライプ状導波路の軸に対して45°となるように選択され、反射器自体は厳密に周期的に間隔dを空けられる。
【0028】
xm=dm, m=1,2,3,… M (1)
次にU(p)は以下のように得られるであろう。
【0029】
【数1】
【0030】
Cは、すべてのスペクトル成分のエネルギがすべてのユニット反射器上のストライプ状導波路からのエネルギ放出と等しいという条件下で定められる正規化定数である。Ψmは、m番目の反射器のストライプ状光導波路から平面光導波路への光導波モードの重み付け関数または変換ファクタである。rmおよびRmは、振幅および強度に対するm番目のユニット反射器での反射率である。tmおよびTmは、振幅および強度に対するm番目のユニット反射器の伝送係数である。pは、ユニット反射器から反射されたビームの方向に対応する軸に対する観測角の正弦である。uo(p)は、ユニット反射器が放射した角度スペクトルである。bは、たとえば、他の波のタイプ(他の偏光、放射モードなど)への変換による、反射の間に生じるエネルギ損失を考慮する係数である。Ψmについて、以下の漸化式が有効であることが実証され得る。
【0031】
【数2】
【0032】
これにより、ΨmとRmとの間に存在する関係を定めることができる。まず、一定の反射率(R=Rm)の場合を論じ、簡略化のため、w/w0は1よりも遥かに大きいと仮定する。すると、以下の式を導出できる。
【0033】
【数3】
【0034】
拡張ビームの強度の角度分布を以下のように表わす。
【0035】
【数4】
【0036】
λ0=1.54μmである場合のビーム形成要素の放射スペクトルを図4に示す。前記スペクトルは、以下の幅を有する非常に狭いピークである。
【0037】
Δp=λ0/(NdM) (8)
図4は、ピーク幅が0.0001ラジアンのオーダの大きさを有することを示す。計算の際、N=2.2であり、ユニット反射器が一定の反射率R=0.002を有しかつ間隔d=7μmで厳密に周期的に配置され、反射器の数がM=1000であり、反射器の構造の全長はdM=0.7cmであり、ストライプ状光導波路の有効幅はw0=10μmであると仮定した。
【0038】
この狭い角度スペクトルの出現は、2つの余因子(co−factor)を含む式(8)に基づいて実証され得る。それらのうち第1のもの、すなわちu0 2(p)は、ストライプ状光導波路の導波モードの、ユニット反射器からの部分的反射によって形成される、限られた光源の角度スペクトルを示す。スペクトルは約0.04ラジアンの広い角度分布を有し、その最大値は鏡面反射されたビーム(p=0)に対応する。第2の余因子は、約0.0001ラジアンの角度発散(Δp)を有する狭い線形スペクトルを示し(図4)、異なるユニット反射器による干渉の結果を示す。線スペクトル最大の位置を以下のように表わす。
【0039】
【数5】
【0040】
したがって、p=0である場合、反射器の配置は式(9)に従って選択される。これは、光放射の予め定められた波長で、干渉(mλ)オーダのうち1つの伝播方向と鏡面反射されたビームとが、装置から出る拡張光ビームの角度発散(Δp)に対する精度に一致するという条件を満たす。言い換えると、これは、動作光波長で、異なるユニット反射器から反射されたビームの位相差が本質的に2πの倍数となるようにユニット反射器の傾斜角および位置が選択されることを意味する。
【0041】
さらに、(9)に従うと、光波長が変化すると、拡張ビームの指向性パターンは全体としてシフトする(走査する)。
【0042】
【数6】
【0043】
光伝播方向が逆になると(図1)、選択手段の選択要素の動作は形成手段の形成要素の動作と同様になる。すなわち、ストライプ状導波路4の導波光モードフィールドは、ユニット反射器11の各々での反射の結果として平面光導波路2からストライプ状導波路4に通過した多数のコヒーレントな光ビームの干渉の結果として形成される。出力18に達することができる光波の角度スペクトルは、形成光学要素に対して与えられる式(4−10)で示されることが実証され得る。
【0044】
回折されたビームの偏位角θは、光放射波長λ0およびSAW周波数(f)に依存する。
【0045】
【数7】
【0046】
ここで、ΛはSAW波長であり、Λ=v/fであり、vおよびfはSAWの速度および周波数であり、N1,N2,θ1およびθ2はそれぞれ入射波および回折波に対する有効反射率およびブラッグ角である。式(11)は、3つの相互作用波(2つの光波および1つの音波)について位相同期(ブラッグ条件)を満たす条件から導出される。ブラッグ角は音波位相面から計数される。簡略化のため、(波のタイプの変化のない)等方性回折の場合をさらに論じ、N=N1=N2と仮定する。このとき、
θ=2θBであり、ここで、
θB=arcsin(λ0/(2/ΛN)) (12)
である。
【0047】
光波のビームと音波とを相互作用させるには、光波ビームは、適切なブラッグ角(θ1およびθ2)で伝播しなければならない。形成手段および選択手段の両者のユニット反射器10、11の相対的位置および傾斜角は、異なるユニット反射器から反射されるいずれのビームの対に対しても動作放射波長上で位相差を維持するように選択される。なおこの長さは本質的に2πの倍数である。物理学の観点では、これは、異なるユニット反射器からの干渉のオーダのうち1つの伝播方向が、対応のストライプ状光導波路から平面光導波路へ、およびその逆に遷移する、鏡面反射されたビームによって定められる方向と一致する場合に対応する。
【0048】
反射器の位置および傾斜角、反射率Rならびに数Mを変えることにより、音響光学チューナブルフィルタ通過帯の外側の信号抑制帯およびサイドローブレベルならびにフィルタされた信号の振幅および線幅を変更することができる。反射器10、11は、たとえば、プロトン交換、イオン注入などによって他の光学的特性を有する(一般的に約0.2μmの)狭いストライプとして作製され、かつ、光導波路表面上に同じまたはその他の材料から作られる(約1−100nm高さの)段差または溝としても作製される局所的領域の形態を有し得る。ユニット反射器の反射率は一般的に0.005÷0.0001であり、製造工程および反射器外形の最適な選択によって制御可能である。良好なコリメーティング特性(角度のある空間での狭い指向性およびサイドローブの強力な抑制)と、ナロービームからブロードビームへおよびその逆への高効率の変換とを達成するため、反射器の数を十分に大きくしなければならない(一般的に、積R*Mは2よりも大きい、すなわち、Mは約500÷1000)。ユニット反射器間の距離は、通常、光導波路の幅に匹敵する(約5÷20μm)。
【0049】
したがって、ストライプ状光導波路3の入力8を介して伝えられ、異なる光スペクトル波長を含む光ビームは形成光学要素を通過し、コヒーレントな光ビーム13の組として平面光導波路2に遷移する。この指向性パターンは、式(10)に従うと、光放射波長に依存し、非常に狭い幅(約0.0001ラジアン)を有する。さらに、ブラッグ同期条件を満たす光波長およびAOセルを通過した光ビームの一部はSAW15で回折され、厳密に定められた波長および伝播方向を有する光放射のその部分しか伝送しない選択手段の選択要素に向けて角度2θ2をなして偏向される。すなわち、選択手段は光放射波長にわたって加法的選択(addition selection)を行なう。なおこの放射は、音波と共に領域を通過したものである。形成要素および選択要素のフィルタリング特性は、それらのスペクトル関数の畳込みによって表わすことができる。この畳込みは、要素が構造的に同一である場合、以下の形態を有する。
【0050】
【数8】
【0051】
ここで、C1は、ユニット反射器間の自由な間隔の存在を考慮した(約1以下の)数因子である。式(13)からわかるのは、SAWが存在しない場合(θB=0である場合)の信号の直接通過を回避するために、形成要素および選択要素の鏡面反射ビームの相対的傾斜角(θ0)は、ユニット反射器から反射された光ビームの回折発散角(λ0/(Nw0)よりも大きくなければならないことである。幾何学的観点では、これは、鏡面反射されたビーム間の平面光導波路において、それらがそれぞれ研磨された端面8および18を介してストライプ状光導波路3および4に方向付けられると角度180°−θ0を形成する場合に対応する。この条件は図6に示されるが、ここでは、2つの典型的な場合についての音響光学フィルタの通過スペクトルI(λ0)を示す。曲線31はθ0=0の場合に対応し、曲線32はθ0=0.1の場合に対応する(すなわち、θ0は、波長7μmの、SAW上の回折光の偏移角に等しい)。θ0=である場合、装置は、さまざまな干渉オーダ(mλ)に対応する狭いサブゾーンの組を伝送することが明らかである。しかしながら、θ0=0.1である場合(すなわち、θ0が
【0052】
【数9】
【0053】
よりも大きい場合)、音響光学フィルタ伝送信号の(30dBよりも大きい)有効な抑制が観察される。通過帯線幅Δλ0は、放射指向性パターンの角度発散(Δp)と光波長が変化するにつれての指向性パターンの走査特徴とによって定められる。このとき、(10)および(12)に従うと、以下のようになる。
【0054】
Δλ=λ0 2/(NdM) (14)
式(14)からわかるのは、この発明に従うチューナブルフィルタは、寸法が等しければ、標準的な共線音響光学フィルタよりも約N/ΔN倍狭い線幅を有することである。同じサイズのニオブ酸リチウム基板の場合、これは、20倍よりも大きな通過帯線の狭まりをもたらす。
【0055】
音響光学セルは装置の動作に重要なさらなる選択特性を有することに留意されたい。すなわち、AO相互作用において、ブラッグ同期条件に合う光波のみが加わる(すなわち偏向される)。等方性回折の場合、以下の式を満たす光波のみが選択されることを実証することができる。
【0056】
λ=λm(1+θ0)/(1+λm/(2NΛ)) (15)
この式が実証しているのは、各々固定されたSAW波長Λにおいて、λmの近傍にそのような光波長λの組が見出され、同時にそれについて位相同期条件が満たされ、かつ、形成要素のストライプ状光導波路から平面光導波路への最大限効率的な変換と、SAW上での効率的な光の回折と、動作光波長での回折放射のかなりの部分の、選択要素のストライプ状光導波路への遷移とがもたらされることである。すなわち、この装置は、SAW波長が変化する際の通過帯の自動同調特性を有している。留意すべきなのは、このフィルタは一度に多数のサブゾーンに対して同期した通過帯同調を行なうことである。特定のタイプのチューナブルフィルタについて、動作サブゾーンとしてそれらのうちいずれを選択することもできる。
【0057】
外部広帯域光学フィルタによりおよび/またはデータ伝送のための予め定められた波長範囲のみの使用により、動作サブゾーンの選択を行なうことができる。たとえば、mλ=10に対応するサブゾーンについて、動作波長は1.54μmに近い。その値よりも下では、すべての結果は、光ファイバ通信に用いるのに最も好適なものとして前記サブゾーンにのみ関連する。というのも、前記サブゾーンは、現在使用されている光増幅器のタイプがカバーする範囲(1530−1565nm)に対応するからである。しかしながら、すべての上述の推論は他の波長範囲にも自動的に当てはまる。すなわち、このフィルタは汎用の装置であり、光波長に依存するのは、たとえば伝送線幅(式(14)参照)などのその技術的パラメータのみであるからである。
【0058】
アパーチャLを有する単一のインターデジタル装置によって励起されたSAW上の光回折帯の光学的幅を以下の式で示すことが実証され得る。
【0059】
【数10】
【0060】
音響光学チューナブルフィルタのフィルタリング特性は、AOセル(式(16))のフィルタリング特性と、音波によっても制御される形成手段および選択手段(式(13))の特性との積によって定められる。
【0061】
mλ=10について、異なるSAW波長(33 Λ=12μm,34 Λ=10μm,35 Λ=8μm,36 Λ=7μm,37 Λ=5μm)に対して、ニオブ酸リチウム音響光学チューナブルフィルタの典型的特徴の例を図7に示す。簡略化のため、SAWでの光回折の効率に関してすべての曲線が正規化される。なお、この効率は、インターデジタル装置電極に印加される無線周波数(RF)電力にほぼ比例する。SAW波長が5から12μmに変化すると、装置は、光ファイバおよび既存の光増幅器で生じる最小の信号損失にほぼ対応する、1.511μmから1.571μm、すなわち60nmの同調帯内の光放射の選択的フィルタリングを行なう。フィルタ伝送線幅の形状を図8(曲線39)に示す。計算のため、反射率はすべてのユニット反射器について一定であると仮定した。0.5(または−3dB)のレベルでは、これは0.1nmの幅であり、これは光波長に上の600個の同調可能なチャネルに対応する。信号抑制レベルが低下すると、フィルタ伝送線の適度な拡張が存在することに留意されたい。たとえば、−10dBのレベルでは、線の幅は0.33nmである。
【0062】
光学要素の最大サイドローブのレベルは、それらの伝送係数を重み付けすることによって低減可能である。この場合、フィルタ通過帯の外側の寄生信号をより十分に抑制するために、ユニット反射器は、形成要素および/または選択要素の始めおよび終わりの近くで値が小さくなる可変反射率を有するように選択される。反射率変更規則は、フィルタ伝送線幅およびサイドローブ抑制レベルに関するトレードオフ要件に基づいて選択される。図8に示されるフィルタの技術的能力を実証するため(曲線40参照)、重み付け関数が、重み付け定数(C2)が5である限定ガウス関数(limited Gaussian function)(17)である場合について、音響光学チューナブルフィルタの伝送も示す。
【0063】
【数11】
【0064】
ストライプ状光導波路から平面光導波路への、光学導波モードのフィールドの変換の係数または重み付け関数の重み付けの結果、寄生信号の抑制と、拒否レベルが高い場合の音響光学チューナブルフィルタの伝送線の狭まりとが本質的に改善するのは明らかである。たとえば、ユニット反射器からの反射率が可変である場合(曲線40)、帯域幅は、それぞれ、−3dBのレベルで0.1nm;−10dBのレベルで0.17nm;かつ、−20dBのレベルで0.22nmである。すなわち、音響光学チューナブルフィルタは−20dBのレベルで270個の独立したチャネルを設けるか、または、−10dBのレベルで350個のチャネルを設ける。同調帯(60nm)内の寄生信号の抑制は35dBを超える。
【0065】
用いられる重み付け関数のタイプを図9に示す。重み付け関数は、対応のユニット反射器の場所の近傍の平面光導波路の光学フィールド振幅の相対的値に等しい。ユニット反射器の反射率が一定である場合、重み付け関数は、指数関数的依存性(曲線41)の形態を有する。重み付け定数が5である限定ガウス関数の形態の重み付け関数を曲線42で示す。曲線43は、反射率が可変のユニット反射器を導波光学モードが通過する際のストライプ状光導波路の導波光学モードフィールドの変化を示す。図10は、ユニット反射器の反射率の対応する変化を示す。この変化とは、図9に示す重み付け関数42の予め定められた形態を与えるものである。
【0066】
外部広帯域入力フィルタの使用が望ましくなく、かつ、必要な信号抑制帯が大き過ぎて一度に多数のサブゾーンを含んでしまうという可能な状況が存在する。そのような場合、形成要素および/または選択要素のユニット反射器は互いから異なる間隔を空けて配置される。それらの位置は、必要な信号抑制をもたらす最適化手順に基づいて選択される。たとえば、それらの位置は、間隔(d0)の倍数であり、かつ、異なるユニット反射器から鏡面反射され、ストライプ状光導波路から平面光導波路に遷移する光ビームについて2πの位相差を与える値だけ、周期的擬似乱数的配置についてシフトされ得る。角度45°をなすように反射器が位置決めされる場合、これは、間隔(d0)の値がチューナブルフィルタの動作光放射光波長に等しいことを意味する。なお動作波長は対応のストライプ状光導波路の効率的な反射率(N)によって分けられる。そのような反射器の配置により、チューナブルフィルタの動作光放射光波長においてのみ、異なる反射器から形成されたビームのコヒーレントな集まり(summation)がもたらされる。動作波長から十分に離れたすべての他の光波長では、位相シフトの無秩序な遅延を伴なう、異なる反射器から形成されたビームの集まりによって生じるフィールドは、無視できるほどに小さいものである。
【0067】
式(1)をユニット反射器の擬似乱数的配置を考慮する以下の式(18)で置換えると、そのようなタイプの音響光学チューナブルフィルタの設計を、式(1)−(4)に従って、数字でのみ行なうことができる。
【0068】
xm=dm+d0Am m=1,2,3,…M (18)
ここで、d0=λ0/Nは反射器の擬似乱数的配置の間隔取りであり、λ0はチューナブルフィルタの動作光放射光波長であり、Amは、−M0から+M0にランダムに変化する整数(0,±1,±2,…±M0)の組である。ここでM0は反射器の擬似乱数的配置の多重度であり、M0はd/d0の比よりも小さくなければならない。以下の式は擬似乱数シーケンス発生器として用いられる。
【0069】
Am=Integer(M0sin(C3m2)) (19)
ここでC3はパラメータであり、この場合、C3=400である。
【0070】
図11は、形成要素および選択要素の傾斜付き反射器の(多重度4の)周期的(曲線44および46)ならびに擬似乱数的(曲線45および47)配置についての音響光学チューナブルフィルタの伝送線幅形状を示す。さらに、重み付け関数が、重み付け定数が5である限定ガウス関数(17)である場合、曲線44および46はユニット反射器の反射率が一定である場合に対応し、曲線45および47はユニット反射器の反射率が可変である場合に対応する。
【0071】
フィルタ抑制帯内の光波長の変化の範囲全体の中で、1.4μmおよび1.54μmに近い2つの特徴的な間隔を選択する。この間隔は、SAW波長が7μmである場合、2つの干渉オーダがそれぞれmλ=11およびmλ=100である場合の、音響光学チューナブルフィルタの最大伝送に対応するものである。音響光学チューナブルフィルタのフィルタリング特性をさらに十分に実証するため、図11で、mλ=11(曲線44および45)およびmλ=10(曲線46および47)について、伝送線の形状を対数目盛で表わす。特に、曲線46と47とを比較すると、反射率が一定である場合(曲線46)と比較して、ユニット反射器の反射率が可変である場合(曲線47)は、寄生信号抑制の大幅な増大はフィルタ通過帯の外側においてであるのが明らかである。
【0072】
サブゾーンの数(または干渉オーダmλ)が変化しても、間隔7μmを有するユニット反射器の厳密に周期的な配置に対応する曲線44および46は実際には変化しないのが明らかである。すなわち、上述のように、隣接するサブゾーンからの信号の通過を回避するには、さらなる広帯域フィルタを用いることおよび/またはデータ伝送のために1つのサブゾーン内の予め定められた波長範囲のみを用いることが必要である。しかしながら、ユニット反射器が互いから異なる間隔で配置されれば(曲線45)、音響光学チューナブルフィルタは、SAW波長によって定められる唯一の固定光波長しか伝送しない。mλ=11に対応する1406μmの線は、mλ=10に対応する1540nmの動作線と比較して、−40dBよりも高いレベルで抑制されることが明らかである。したがって、(18)に従うユニット反射器の擬似乱数的配置は、動作波長に最も近い1つの光波長でのみ、異なる反射器から形成されるビームのコヒーレントな集まりをもたらす。動作波長から十分に離れたすべての他の光波長では、異なる反射器から形成されたビームの集まりから生じるフィールドは、位相シフトの無秩序な遅延を有するが、これは無視できるほどに小さいことがわかっている。フィルタ通過帯外側の信号抑制レベルは、反射器の擬似乱数的配置の多重度と、フィルタ抑制帯値の合計値とに依存することに留意されたい。
【0073】
留意すべきなのは、音響光学フィルタ選択手段は、4と同様の、たとえば5および6などの複数のストライプ状導波路を含むことができ、前記導波路の各々のユニット反射器11の位置および傾斜角は、他のストライプ状導波路の動作波長とは異なる、所与のストライプ状導波路のみに固有の特定の動作波長を考慮するように選択されることである。式(10)および(15)に従うと、光学フィルタ動作周波数は、音波の周波数と、ストライプ状光導波路の効率的な屈折率と、反射器配置の間隔取りとによって決まる。したがって、式(10)に従うと、フィルタされた放射の波長の前記変化(δλ/λ=δN/N=δd/d)は強め合う(constructional)ものであり得る。すなわち、ストライプ状導波路のパラメータの変化(屈折率の変化δN)によっておよび/またはユニット反射器配置の間隔取りの同等の変化(δd)によって引起され、いつ外部電界が印加されるかを示した。特に、制御された直流電流源24からの電界が電極22の対に印加されると、電気光学または電気歪効果による、ストライプ状導波路6の近傍での屈折率の局所的変化が現れ、位相シフトを引起し、光学フィルタ動作波長を変位する。交互のまたは一定の電界が対応の電流源25から電極23(図2)の端に印加されると、熱光学効果により屈折率の同様の変化がもたらされ得る。電流の流れは電極23の加熱を引起し、この結果、導波路5の領域での屈折率の局所的変化を生じる。これは、光学フィルタ動作波長のシフトを生じる。
【0074】
放射経路の中で最後のストライプ状導波路7がビーム形成手段のストライプ状導波路3と同一に実現される場合をさらに論じる。反射器10および11の外形ならびに式(13)からわかることは、この構造が広帯域光信号を通過させることができることである。実際に、光波長が変化すると、形成要素および選択要素の指向性パターンは同期して走査を行ない、その間の角度は実際には変化しない。したがって、動作光波長での指向性パターンが形成要素の指向性パターンと平行であるようにストライプ状導波路7の反射器11の向きを選択すれば、光ビームのエネルギのかなりの部分(50%まで)は、動作波長が十分に大きい区域(60nmよりも大きい)にわたるすべての波長において形成要素から選択手段に遷移する。
【0075】
しかしながら、装置の出力での入力導波路9から導波路21への広帯域光信号の通過(通過機能)は、音波を用いて偏向されたものを除いて、すべての波長に対して行なわれる。留意すべきなのは、広帯域光信号の通過に導波路12を用いることが可能であるが(出力機能)、装置の設計がよりよくなる(損失がより少なくなる)につれ、導波路12に到達する光の強度がより小さくなる(一般的に10%未満)ことである。予め定められた波長の、偏向された光ビームの一部はフィルタリングされ、ストライプ状導波路4−6を介して、それらは対応の選択要素により光ファイバ導波路19に搬送される(ドロップ1、ドロップ2およびドロップ3機能)。しかしながら、すべての残余の(フィルタリングされていない)波長も装置を通過することが許されるのが望ましい。この目的のため、音響光学フィルタはさらなる音波変換器20を備える。この変換器は、メイン変換器16の音波とは反対方向に向けられかつ選択手段の最後および最後から2番目のストライプ状導波路7および6の間の間隔内でビーム光波と相互作用することができる音波を生成するように適合される。すなわち、通過(貫通)機能を果たす選択手段のストライプ状光導波路7のすぐ上流で、第2の音波が伝播する。第1の音響セルからの回折波に対するブラッグ角は、第2の音響セル(図3)に対する入射波のブラッグ角と一致する。言い換えると、鏡面反射された光ビームが選択手段のストライプ状導波路から出力されると、それらは、第2の音響光学セル(図3)の回折光波に対してブラッグ角をなすように方向付けられる。さらなる音波変換器20により、フィルタリングされていないすべての波長を含む光ビームは第2の音波で回折され、(第1の音波での回折と比較して)逆方向に偏位し、広帯域光学信号の通過の機能を果たす(貫通)ストライプ状導波路7上の選択手段を用いて装置から効率的に出力され得る。これに加え、第2の音波は、光周波数のさらなるドップラーシフトを補う。音波変換器16および20の両者は同じ周波数で動作できるからである。
【0076】
形成要素および/または選択要素の鏡面反射光ビームが0ブラッグ角に方向付けられる(共線的である)特定の場合をさらに論じる。曲線31(図6)の挙動によると、この発明に従うと、装置は、外部交流または直流電界により反射率δN/N=δλ/λを変化させる既存の可能性において、チャネルの各々の動作光波長の電子的同調が可能な光学マルチチャネルフィルタの機能を果たす。
【0077】
この発明に従う音響光学チューナブルフィルタは、最小限の寸法(この例では、動作フィールドは1cm未満である)と、60nmまでの同調帯内の狭い通過帯線(3dBのレベルで約0.1nmおよび−20dBのレベルで0.22nm)と、フィルタ通過帯外側の寄生信号の高レベルの抑制(30dBよりも高い)とを有する。
【0078】
産業上の利用可能性
提案される音響光学チューナブルフィルタは、光ファイバ通信で用いられる高密度波長分割多重(DWDM)システムの設計の分野でならびに、たとえば、気体、液体および固体の組成を検知するための変換器などの、リモートセンシング装置用の光放射の小型チューナブル分光計に、好適に用いることができる。
【0079】
音響光学チューナブルフィルタは、集積光学および超小型電子工学デバイスのために開発された公知の方法によって製造可能である。この装置の製造のための材料として、低損失(約1dB/cm以下)の光導波路の製造および効率的な音波の励起のための方法が開発されたいずれの透明な固体も使用可能である。そのような材料には、ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウム、半導体ヘテロエピタキシャル構造AIIIBV、たとえばZnO/SiO2/Siなど、SAWの励起のための圧電層を含む誘電体積層構造などが属する。比較的簡単に技術的に実現可能でありかつ最も単純な例が、良好な光学的、音響光学的かつ電気光学的特性を有するニオブ酸リチウムからなる光導波路に基づく装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う平面導波路に配置されたストライプ状導波路を有する音響光学チューナブルフィルタの概略図である。
【図2】この発明に従い、平面導波路の近傍の複数のストライプ状導波路と、さらなる制御電極とを有する音響光学チューナブルフィルタの概略図である。
【図3】この発明に従い、平面導波路の近傍の複数のストライプ状導波路と、さらなる制御電極と、さらなる音波変換器とを有する音響光学チューナブルフィルタの概略図である。
【図4】平面導波路平面での反射ビームの方向に依存する、形成要素の放射強度の変化を示す図である。
【図5】異なる光波長に対する、図4と同様の、平面導波路平面での反射ビームの方向に依存する、形成要素の放射強度の変化を示す図である。
【図6】ユニット反射器の異なる傾斜角について、音響光学チューナブルフィルタI(λ0)の伝送強度の変化を示す図である。
【図7】音波の異なる波長について、音響光学チューナブルフィルタの伝送強度の変化を示す図である。
【図8】ユニット反射器の反射率が一定である場合および変更される場合の、音響光学チューナブルフィルタの伝送強度の変化を示す図である。
【図9】ユニット反射器の配置領域での平面導波路およびストライプ状導波路の光学フィールドの振幅の変化を示す図である。
【図10】ユニット反射器の連続番号に依存して反射率の変化を示す図である。
【図11】ユニット反射器間の間隔が異なる場合およびその反射率が異なる場合の、音響光学チューナブルフィルタの伝送強度の関係を示す図である。
Claims (10)
- 音響光学チューナブルフィルタであって、
光ビーム(14)の伝播のための平面光導波路(2)と、
光放射の経路に沿って順次配置された、光ビームを形成するための手段と、
光ビーム波と相互作用して、予め定められた波長範囲内のそれらの回折を引起こすことができる音波(15)を生成するように適合された、音波変換器(16)と、
光ビームの回折部分を選択するための手段とを含み、
光ビーム形成手段および選択手段のうち少なくとも1つは、前記導波路自体の中でまたはその近傍において、平面導波路(2)の平面に配置される少なくとも1つのストライプ状導波路(3)の形態にあり、および、ストライプ状導波路(3)のアパーチャと重なる複数のユニット反射器(10)の形態にあり、前記ユニット反射器の相対位置および傾斜角は、異なるユニット反射器(10)から反射されたいずれのビーム(13)の対に対しても動作放射波長において位相差を維持するように選択され、前記位相差は本質的に2πの倍数であることを特徴とする、音響光学チューナブルフィルタ。 - 形成手段および選択手段の両者ともストライプ状導波路(3および4)の形態にあり、ビーム形成手段のストライプ状導波路のユニット反射器(10)は、選択手段のユニット反射器(10)の傾斜とは反対方向に傾斜されることを特徴とする、請求項1に記載の音響光学フィルタ。
- 選択手段は複数の類似のストライプ状導波路(4−7)を含み、前記導波路の各々のユニット反射器(11)の配置および傾斜角は、予め定められた波長が特定の導波路に一意であるように選択されるように選ばれることを特徴とする、請求項2に記載の音響光学フィルタ。
- 放射経路上で最後のストライプ状導波路(7)は、ビーム形成手段のストライプ状導波路(3)と同一のものとして実現されることを特徴とする、請求項3に記載の音響光学フィルタ。
- 前記フィルタはさらなる音波変換器(20)を備え、変換器は、メイン変換器(16)の音波と反対に方向付けられかつ、選択手段の最後および最後から2つ目のストライプ状導波路(6および7)の間の間隔内でビーム光波と相互作用することができる音波を生成するように適合されることを特徴とする、請求項4に記載の音響光学フィルタ。
- ユニット反射器(3−7)の傾斜角は、対応のストライプ状導波路の軸に対して約45°であることを特徴とする、請求項1または2に記載の音響光学フィルタ。
- ユニット反射器(10,11)は異なる反射率を有し、その値はストライプ状導波路の中間部からその端に向けて減少していくことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の音響光学フィルタ。
- ユニット反射器(10,11)は互いから異なる間隔で配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の音響光学フィルタ。
- 少なくとも1つのストライプ状導波路(5)に沿って電極(23)が位置決めされ、その電極の端は制御された交流または直流電流源(25)に接続されることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の音響光学フィルタ。
- 少なくとも1つのストライプ状導波路(6)に沿って、制御された直流電流源(24)に接続された1対の電極(22)が配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の音響光学フィルタ。
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