JP2004504026A - ヒトdesc1様セリンプロテアーゼの調節 - Google Patents

ヒトdesc1様セリンプロテアーゼの調節 Download PDF

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Abstract

ヒトDESC1様セリンプロテアーゼを調節する試薬、およびヒトDESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子産物と結合する試薬は、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管、および末梢神経系若しくは中枢神経系疾患(これらに制限される訳ではない)を含む機能障害又は疾患を、予防し、回復させ、又は治す働きがあり得る。

Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼの調節に関する。
【0002】
発明の背景
プロテアーゼは、アミノ酸間のペプチド結合を加水分解し、代謝および他の生物学的プロセスにおいて重要な役割を担う。これらは、酵素前駆体を機能的酵素にプロセッシングすることによって酵素活性を調節し、細胞外に酵素を放出し、加水分解によって酵素を活性化する。プロテアーゼの差次的発現またはその他の選択的活性化は疾患状態に関与している。多数のヒト疾患はプロテアーゼ量と関連している。手短かな再考に関しては、米国特許第6,001,814号を参照のこと。例えば、HIVタンパク質はポリタンパク質前駆体として翻訳され、これはHIVがコードするプロテアーゼによる成熟分子として放出されるまで不活性である。したがって、プロテアーゼおよびプロテアーゼアゴニストおよびアンタゴニストの同定は、医学上重要である。
【0003】
プロテアーゼの1クラスはセリンプロテアーゼである。このセリンプロテアーゼクラスは、キモトリプシン、カテプシンG、トリプシンおよびトロンビンを含む種々のプロテアーゼから構成される。セリンプロテアーゼは、セリン−195、ヒスチジン−57およびアスパラギン酸−102(これらはキモトリプシンの番号付け体系に基づく)からなる触媒性の三つ組を特徴とする。Lang および Schuller は、EMBLデータベースに配列を寄託した。これはEMBL受入れ番号第AF064819号(扁平上皮細胞癌中で異常発現された遺伝子のcDNA配列として記載されている)、DESC1である。DESC1はセリンプロテアーゼである。DESC1は、扁平上皮細胞舌癌または転移性頚部結節組織中ではなく、正常な口頭上皮中に発現される。
【0004】
このことは、疾患状態におけるこの遺伝子および同様の遺伝子に関する役割を示唆する。関連する遺伝子の単離およびこれらの遺伝子およびそれぞれの遺伝子産物のアゴニストおよびアンタゴニストの同定に関する必要が存在する。
【0005】
発明の要旨
本発明の課題は、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼを調節する試薬および方法を提供することである。本発明のこの課題および他の課題は、以下に記載の1またはそれ以上の態様によって提供される。
【0006】
本発明の一態様は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドである:
配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%の同一性を有するアミノ酸配列;ならびに、
配列番号2示されるアミノ酸配列。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、細胞外基質分解を減少させる物質のスクリーニング方法である。試験(被験)化合物を、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと接触させる:
配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%の同一性を有するアミノ酸配列;ならびに、
配列番号2に示されるアミノ酸配列。
【0008】
試験化合物およびDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド間の結合を検出する。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと結合する試験化合物は、これにより、細胞外基質分解を減少させるのに有望な物質として同定される。この物質はDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させることによって機能し得る。
【0009】
本発明の別の態様は、細胞外基質分解を減少させる物質のスクリーニング方法である。試験化合物を、以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと接触させる:
配列番号6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約50%の同一性を有するヌクレオチド配列;ならびに、
配列番号6に示されるヌクレオチド配列。
【0010】
このポリヌクレオチドに対する試験化合物の結合を検出する。このポリヌクレオチドと結合する試験化合物は、細胞外基質分解を減少させるのに有望な物質として同定される。この物質はDESC1様セリンプロテアーゼmRNAと相互作用することを介し、DESC1様セリンプロテアーゼの量を減少させることによって機能し得る。
【0011】
本発明の別の態様は、細胞外基質分解を調節する物質をスクリーニングする方法である。試験化合物を、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと接触させる:
配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%の同一性を有するアミノ酸配列;ならびに、
配列番号2に示されるアミノ酸配列。
【0012】
ポリペプチドのDESC1様セリンプロテアーゼ活性を検出する。このポリペプチドのDESC1様セリンプロテアーゼ活性を、試験化合物の不存在下におけるDESC1様セリンプロテアーゼ活性と比較して増大させる試験化合物は、これにより、細胞外基質分解の増大に関して有望な物質として同定される。
【0013】
このポリペプチドのDESC1様セリンプロテアーゼ活性を、試験化合物の不存在下におけるDESC1様セリンプロテアーゼ活性と比較して減少させる試験化合物は、これにより、細胞外基質分解の減少に関して有望な物質として同定される。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、細胞外基質分解を減少させる物質のスクリーニング方法である。試験化合物を、以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドのDESC1様セリンプロテアーゼ産物と接触させる:
配列番号6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約50%の同一性を有するヌクレオチド配列;ならびに、
配列番号6に示されるヌクレオチド配列。
【0015】
DESC1様セリンプロテアーゼ産物に対する試験化合物の結合を検出する。DESC1様セリンプロテアーゼ産物と結合する試験化合物は、これにより、細胞外基質分解の減少に関して有望な物質として同定される。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、細胞外基質分解を減少させる方法である。細胞を、以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはこのポリヌクレオチドによってコードされる産物と特異的に結合する試薬と接触させる:
配列番号6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約50%の同一性を有するヌクレオチド配列;ならびに、
配列番号6に示されるヌクレオチド配列。
【0017】
細胞内のDESC1様セリンプロテアーゼ活性はこれにより減少する。
【0018】
したがって本発明は、例えばこの酵素の活性部位におけるアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る試験化合物を同定するのに使用可能なヒトDESC1様セリンプロテアーゼを提供する。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼおよびその断片はまた、この酵素をブロックし、効率的にその活性を減少させることができる特異的抗体を生じさせるのに有用である。

【0019】
本発明の詳しい説明
本発明は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、
a)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも約50%一致するアミノ酸配列;および配列番号2に示すアミノ酸配列から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
b)配列番号6の配列を含むポリヌクレオチド;
c)(a)および(b)に明記するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;
d)遺伝コードの縮重のため、その配列が(a)〜(c)に明記するポリヌクレオチド配列から逸脱しているポリヌクレオチド;ならびに、
e)(a)〜(d)に明記するポリヌクレオチド配列の断片、誘導体またはアレル変異体を表すポリヌクレオチド、
から成る群より選択されるポリヌクレオチドに関する。
【0020】
さらに、新規DESC1様セリンプロテアーゼ、特にヒトDESC1様セリンプロテアーゼが本発明の発見であることが本出願人により発見された。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼは、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼは、セリンプロテアーゼDESC1(配列番号3、EMBL受入れ番号第AF064819号)を用いてヒト配列をサーチすることによって同定された。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼのコード配列(配列番号6)は、GenBank受入れ番号第AC013642号および第AC012571号によって同定されるヒトクローンにおいて見出され;追加の3’配列は配列番号1に示されるものである。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子はヒト染色体15に位置している。
【0021】
ヒトDESC1様セリンプロテアーゼは、EMBL受入れ番号第AF064819号を用いて同定され、セリンプロテアーゼDESC1(図1)と注釈されるタンパク質と313アミノ酸にわたって46%の同一性を有する。配列番号2に示されるヒトDESC1様セリンプロテアーゼは322アミノ酸を含有する。図2および図3、配列番号6〜15に示されるドメインにより、本発明酵素はトリプシン−ヒス セリンプロテアーゼと同定され、これによりこのタンパク質の機能的役割が示される。例えば、フィブロネクチンドメインは、DESC1様セリンプロテアーゼが細胞表面タンパク質であることを示す。図3の BLOCKS Nos. BL01253H および BL01253G および BIOCHEMISTRY, 3rd edition, L. Stryer editor, ページ127, Freeman and Company Press (1988) を参照のこと。他のブロックはセリンプロテアーゼ典型的ブロックであり、クリングルドメインおよびアップル(Apple)ドメインタンパク質ブロックを含む。図4はさらに、DESC1様セリンプロテアーゼの規定部分およびマクロモデルトリプシンコンセンサスタンパク質配列(配列番号4)の間の高度な同一性を示すことによって、このセリンプロテアーゼがトリプシンファミリーの一員として同定されることを強調する。
【0022】
ヒトDESC1様セリンプロテアーゼをコードする配列は、TAAストップコドンにまたがるDESC1様セリンプロテアーゼのコード領域の部分およびEST、EMBL受入れ番号第U77054号の配列、配列番号5の間のほぼ完全なアライメントによって示されるように記載される。ESTは初期癌において役割を有するものと記載されている。
【0023】
本発明のヒトDESC1様セリンプロテアーゼは、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管および末梢神経系または中枢神経系疾患の処置および診断に有用であることが予想される。また、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼおよび遺伝子は、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼおよび遺伝子アゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングするのに用いることもできる。
【0024】
ポリペプチド
本発明に係るDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドには、配列番号2に示すアミノ酸配列、または以下定義による生物学的に活性なその変異体より選択される、少なくとも14、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、または300個の連続アミノ酸が含まれる。したがって、本発明のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、DESC1様セリンプロテアーゼタンパク質の一部、完全長のDESC1様セリンプロテアーゼタンパク質、又はDESC1様セリンプロテアーゼタンパク質の全部または一部を含む融合タンパク質であり得る。
【0025】
生物学的に活性な変異体
生物学的活性がある、即ちセリンプロテアーゼ、および、好ましくはトリプシンセリンプロテアーゼ活性を保持しているDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド変異体もまた、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドである。天然または非天然DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド変異体は、配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも約47、50、55、60、65または70%、好ましくは、約75、80、85、90、96、97または98%一致するアミノ酸配列またはその断片を有することが好ましい。推定されるDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド変異体と配列番号2に記載のアミノ酸配列との間の一致(同一性)パーセントは、Blast2整列(アライメント)プログラム(Blosum62, Expect 10, standard genetic codes)を用いて決定される。
【0026】
一致パーセントの変異は、例えばアミノ酸置換、挿入または欠失に起因し得る。アミノ酸置換は1対1のアミノ酸の置き換えとして定義される。置換されたアミノ酸が類似の構造的および/または化学的性質を有する場合、置換は事実上保存的である。保存的置換の例は、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの置換、グルタメートによるアスパルテートの置換、またはセリンによるスレオニンの置換である。
【0027】
アミノ酸挿入または欠失はアミノ酸配列への、またはその内部での変化である。これらは典型的には約1〜5アミノ酸の範囲で起こる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの生物学的または免疫学的活性を破壊することなく、どのアミノ酸残基が置換、挿入または欠失できるかを決定する際の指針は、当分野で周知のコンピュータープログラム、例えばDNASTARソフトウェアを用いて見出すことができる。あるアミノ酸変化が生物学的に活性なDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに影響するか否かは、例えば米国特許第5,595,948号、第5,840,510号および第6,001,814号に記載のように、セリンプロテアーゼ活性を検定することにより容易に決定できる。
【0028】
融合タンパク質
融合タンパク質は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドアミノ酸配列に対する抗体の作製に、そして様々な検定系での使用に有用である。例えば、融合タンパク質は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの一部と相互作用するタンパク質の同定に使用できる。タンパク質親和クロマトグラフィーまたはタンパク質−タンパク質相互作用のためのライブラリーに基づく検定、例えば酵母2−ハイブリッドまたはファージディスプレイ系をこの目的のために使用できる。このような方法は当分野で周知であり、薬物スクリーニングとしても使用できる。
【0029】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド融合タンパク質は、ペプチド結合により互いに融合した二つのポリペプチドセグメントを含んでいる。第一のポリペプチドセグメントは、配列番号2または上記のような生物学的に活性な変異体の少なくとも14、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、または300個の連続アミノ酸を含む。第一のポリペプチドセグメントはまた、完全長DESC1様セリンプロテアーゼタンパク質を含み得る。
【0030】
第二のポリペプチドセグメントは完全長タンパク質またはタンパク質断片であってよい。融合タンパク質の構築に一般的に使用するタンパク質は、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、自己蛍光タンパク質(青色蛍光タンパク質(BFP)を包含する)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を包含する。さらに、融合タンパク質の構築には、ヒスチジン(His)標識、FLAG標識、インフルエンザへマグルチニン(HA)標識、Myc標識、VSV−G標識、およびチオレドキシン(Trx)標識を包含するエピトープ標識を使用する。その他の融合構築は、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−標識、Lex a DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4 DNA結合ドメイン融合物、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物を包含する。また、融合タンパク質はさらに、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドコード配列と非相同タンパク質配列の間に位置する開裂部位を含むよう組み立てることができ、その結果、このDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、開裂され、非相同部分を無くすように精製できる。
【0031】
融合タンパク質は当分野で周知のように化学合成できる。好ましくは、融合タンパク質は二つのポリペプチドセグメントを共有結合で連結することにより、または分子生物学分野で標準的な方法により調製する。例えば、当分野で知られているように、第二のポリペプチドセグメントをコードしているヌクレオチドを有する適切なリーディングフレームに配列番号6より選ばれるコード配列を含むDNA構築物を作製し、このDNA構築物を宿主細胞で発現させることによる組換えDNA法を用いて、融合タンパク質を調製できる。融合タンパク質構築用の多くのキットが、Promega Corporation(Madison, WI)、Stratagene(La Jolla, CA)、CLONTECH(Mountain View, CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz, CA)、MBL International Corporation(MIC; Watertown, MA)、およびQuantum Biotechnologies(Montreal, Canada; 1−888−DNA−KITS)といった企業から入手できる。
【0032】
種相同体の同定
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのポリヌクレオチド(下記)を使用して他の種、例えばマウス、サル、または酵母由来のcDNA発現ライブラリーをスクリーニングするために好適なプローブまたはプライマーを作製し、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの相同体をコードしているcDNAを同定し、そして当分野で周知のようにこのcDNAを発現させて、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの種相同体を得ることができる。
【0033】
ポリヌクレオチド
DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であってよく、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのコード配列又はその相補物を含んでいてもよい。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼのコード配列を、配列番号6に示す。
【0034】
ヒトDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている縮重ヌクレオチド配列、および、配列番号1に示すヌクレオチド配列と少なくとも約50、好ましくは約75、90、96または98%一致するホモローガスなヌクレオチド配列もまた、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドである。二つのポリヌクレオチド配列間の配列一致パーセントは、ALIGNのようなコンピュータープログラムを用いて決定するが、これは、ギャップオープンペナルティー−12およびギャップエクステンションペナルティー−2によるアフィンギャップ検索を用いるFASTAアルゴリズムを使用するものである。相補的DNA(cDNA)分子、種相同体および生物学的に活性なDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドの変異体もやはりDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドである。
【0035】
ポリヌクレオチド変異体および相同体の同定
上記のDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチド変異体および相同体もまたDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドである。典型的には、相同DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチド配列は、当分野で周知のように、ストリンジェントな条件下で候補ポリヌクレオチドを既知のDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドにハイブリダイズさせることにより同定できる。例えば、以下の洗浄条件 −− 2X SSC(0.3M NaCl、0.03Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.1%SDS、室温 2回、各々30分間;次いで2× SSC、0.1%SDS、50℃ 1回、30分間;次いで2× SSC、室温 2回、各々10分間 −− を使用して、最大約25−30%の塩基対ミスマッチ(不対合)を含む相同配列を同定できる。より好ましくは、相同核酸鎖は15−25%の塩基対ミスマッチを、さらに好ましくは5−15%の塩基対ミスマッチを含む。
【0036】
本明細書に開示するDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドの種相同体はさらに、適当なプローブまたはプライマーを作製し、他の種、例えばマウス、サル、または酵母由来のcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることによって同定できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドのヒト変異体は、例えばヒトcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることにより同定できる。二本鎖DNAのTは相同性が1%低下する毎に1−1.5℃低下することがよく知られている(Bonnerら、J.Mol.Biol. 81,123(1973))。故にヒトDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドの変異体または他の種のDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドは、推定の相同DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドまたはその相補物とハイブリダイズさせて被験ハイブリッドを作製することによって同定できる。被験ハイブリッドの融解温度を完全に相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むハイブリッドの融解温度と比較し、被験ハイブリッド中の塩基対ミスマッチの数またはパーセントを算出する。
【0037】
ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件に従いDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドまたはその相補物とハイブリダイズするヌクレオチド配列もまたDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドである。ストリンジェントな洗浄条件は当分野で周知且つ理解されており、例えばSambrookら、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2d ed., 1989, 9.50−9.51頁に開示されている。
【0038】
典型的には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のためには、温度と塩濃度の組み合わせを、検討中のハイブリッドの理論的Tよりおよそ12−20℃低くなるよう選択すべきである。配列番号1または6に示すヌクレオチド配列を有するDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドまたはその相同体と、それらのヌクレオチド配列のいずれか1つと少なくとも約50、55、60、65、70、好ましくは約75、90、96、または98%一致するポリヌクレオチド配列とのハイブリッドのTは、例えばBoltonおよびMcCarthy, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 48,1390(1962)の式:
=81.5℃−16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−600/l)、
[式中、l=塩基対で表したハイブリッドの長さ]
を用いて算出できる。
ストリンジェントな洗浄条件としては例えば、4× SSC(65℃)、または50%ホルムアミド、4× SSC(42℃)、または0.5× SSC、0.1%SDS(65℃)が挙げられる。高度ストリンジェントな洗浄条件は、例えば0.2× SSC(65℃)などである。
【0039】
ポリヌクレオチドの調製
天然に存在するDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドは、膜構成成分、タンパク質および脂質といった他の細胞成分を含まないよう単離できる。ポリヌクレオチドは細胞から調製でき、標準的核酸精製技術を用いて単離、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術を用いて合成、若しくは自動合成機を用いることによって調製できる。ポリヌクレオチドを単離する方法は機械的であり、当分野で知られている。ポリヌクレオチドを取得するためこのような任意の技術を用いて、単離されたDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを得ることができる。例えば、制限酵素およびプローブを用いてDESC1様セリンプロテアーゼヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド断片を単離できる。単離したポリヌクレオチドは他の分子を含まないか、あるいは少なくとも70、80、または90%含まない調製物である。
【0040】
DESC1様セリンプロテアーゼcDNA分子は、DESC1様セリンプロテアーゼmRNAを鋳型に用いて標準的分子生物学技術にて調製できる。その後DESC1様セリンプロテアーゼcDNA分子は、当分野で周知でありSambrookら.(1989)のようなマニュアルに開示される分子生物学技術を用いて複製できる。ヒトゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを鋳型として使用して本発明に係るポリヌクレオチドのさらなるコピーを得るため、PCRのような増幅技術を用いることができる。
【0041】
別法として、合成化学技術を用いてDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを合成することもできる。遺伝コードの縮重により、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列を有するDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはその生物学的に活性な変異体をコードする別のヌクレオチド配列の合成を可能にする。
【0042】
ポリヌクレオチド伸長
PCRに基づく様々な方法を用いて、本明細書中に開示した核酸配列を伸長させ、プロモーターおよび調節要素といった上流配列を検出することができる。例えば制限部位PCRは、既知の座に隣接する未知配列を検索するため、ユニバーサルプライマーを使用する(Sarkar, PCR Methods Applic. 2,318−322,1993)。まず、ゲノムDNAを、リンカー配列に対するプライマーと既知領域に特異的なプライマーの存在下で増幅する。次に、増幅させた配列を、同じリンカープライマーと最初のものの内部にある別の特異的プライマーを用いて、第二回目のPCRを行なう。各回のPCR産物を適当なRNAポリメラーゼで転写し、かつ逆転写酵素を行いて配列決定する。
【0043】
既知領域に基づく異なる(ディバージェント)プライマーを用いて配列を増幅または伸長するために、逆PCRを使用することもできる(Trigliaら、Nucleic Acids Res. 16,8186,1988)。OLIGO 4.06 Primer Analysisソフトウェア(National Biosciences Inc., Plymouth, Minn)のような市販ソフトウェアを用いて、長さ22−30ヌクレオチド長、50%またはそれ以上のGC含有量を持ち、約68−72℃の温度で標的配列とアニーリングするプライマーを設計できる。この方法は、幾つかの制限酵素を用いて、遺伝子の既知領域に適当な断片を作り出せる。次いでこの断片を分子内ライゲーションにより環化し、PCR鋳型として使用する。
【0044】
使用できるもう一つの方法は、ヒトおよび酵母人工染色体DNA中の既知配列に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む、捕捉PCRである(Lagerstromら、PCR Methods Applic. 1,111−119,1991)。この方法では、作製した二本鎖配列を、PCRの実施前に当該DNA分子の未知断片中に入れるため、さらに複数の制限酵素消化とライゲーションを行うことができる。
【0045】
未知配列を回収するために使用できるもう一つの方法はParkerら、Nucleic Acids Res. 19,3055−3060,1991の方法である。さらに、PCR、ネスティド(nested)プライマー、およびPROMOTERFINDERライブラリー(CLONTECH, Palo Alto, Calif.)を用いてゲノムDNA歩行を行なうことができる(CLONTECH, Palo Alto, Calif.)。このプロセスはライブラリーをスクリーニングする必要性を排除し、イントロン/エクソン接合点の発見に有用である。
【0046】
スクリーニングで完全長cDNAを求める場合、より大きなcDNAを含むようサイズ選択したライブラリーを使用するのが望ましい。遺伝子の5’領域を含む配列をより多く含んでいるという点で、無作為プライミングしたライブラリーが好ましい。無作為プライミングしたライブラリーの使用は、オリゴd(T)ライブラリーが完全長cDNAを産生しない状況で特に好ましいであろう。ゲノムライブラリーは、配列を5’非転写調節領域へと伸長させるのに有用な場合がある。
【0047】
市販品が入手可能な毛細管電気泳動系を用いて、PCRまたは配列決定産物のサイズを分析、またはヌクレオチド配列を確認することができる。例えば、毛細管配列決定は、電気泳動分離用の流動性ポリマー、レーザー励起する4種の異なる蛍光色素(各ヌクレオチドにつき1種ずつ)、および電荷結合素子カメラによる放射された波長の検出を利用することができる。出力/光強度は適当なソフトウェア(例えばGENOTYPERおよびSequence NAVIGATOR、Perkin Elmer)を用いて電気信号に変換でき、試料のロードからコンピューター分析および電子的データ表示に至る全プロセスをコンピューター管理することができる。毛細管電気泳動は、特定の試料中に限られた量で存在するかも知れないDNAの小片を配列決定するのに特に好ましい。
【0048】
ポリペプチドの取得
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、例えばヒト細胞からの精製によって、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドの発現によって、または直接的化学合成によって取得できる。
【0049】
タンパク質精製
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを、その酵素を発現する任意の細胞(DESC1様セリンプロテアーゼ発現構築物でトランスフェクトした宿主細胞を含む)から精製することができる。ヒト正常上皮細胞および初期癌細胞は、セリンプロテアーゼDESC1DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの特に有用なソースを提供する。精製DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、当分野で周知の方法を用いて、細胞内でDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと通常会合している他の化合物、例えば特定のタンパク質、炭水化物または脂質から分離される。そのような方法には、サイズ排除クロマトフラフィー、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび調製用ゲル電気泳動が挙げられるが、これらに制限されない。精製DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの調製は、少なくとも80%純粋;90%、95%または99%純粋な調製であることが好ましい。調製物の純度は当分野で周知の任意の方法、例えばSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって評価できる。
【0050】
ポリヌクレオチドの発現
DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを発現させるため、挿入されたコード配列の転写と翻訳に必要な要素を含む発現ベクター中にそのポリヌクレオチドを挿入することができる。当業者に周知の方法を利用して、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列および適当な転写および翻訳調節要素を含む発現ベクターを構築できる。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えがある。このような技術は、例えばSambrookら、(1989)およびAusubelら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York., 1989に記載されている。
【0051】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列を含み、そして発現する様々な発現ベクター/宿主系が利用できる。これらには、微生物、例えば組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌;酵母発現ベクターにより形質転換された酵母、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)により感染を受けた昆虫細胞系、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)、若しくは細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR322プラスミド)により形質転換された植物細胞系、または動物細胞系が包含されるがこれらに限定される訳ではない。
【0052】
調節要素または調節配列は、宿主細胞タンパク質と相互作用して転写と翻訳を実行するベクターの非翻訳領域−エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域−である。かかる要素はその強さと特異性において異なっている。利用するベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導的プロモーターを包含する、多数の好適な転写および翻訳要素を使用できる。例えば、細菌系でクローニングを行う場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene, LaJolla,Calif.)またはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)等のハイブリッドlacZプロモーターのような誘導的プロモーターを使用できる。バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞に使用できる。植物細胞のゲノムから誘導したプロモーターまたはエンハンサー(例えば熱ショック、RUBISCO、および貯蔵タンパク質遺伝子)、または植物ウイルスから誘導したプロモーターまたはエンハンサー(例えば、ウイルスプロモーターまたはリーダー配列)を該ベクター中にクローニングすることができる。哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子由来の、または哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが好ましい。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を複数コピー含む細胞系を作製する必要がある場合は、SV40またはEBVに基づくベクターを適当な選択マーカーと共に使用することができる。
【0053】
細菌および酵母発現系
細菌系では、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに対して意図する用途に応じて幾つかの発現ベクターを選択できる。例えば、抗体の誘導のため、大量のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドが必要である場合は、容易に精製できる融合タンパク質の高レベル発現を指令するベクターが使用できる。このようなベクターは、BLUESCRIPT(Stratagene)のような多機能E.coliクローニングおよび発現ベクターを包含するが、これに限定される訳ではない。BLUESCRIPTベクターにおいては、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列を、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metとこれに続く7残基の配列と共にフレーム内で該ベクター中にライゲーションすることができ、その結果ハイブリッドタンパク質が産生される。pINベクター(Van Heeke & Schuster, J.Biol.Chem. 264,5503−5509,1989)またはpGEXベクター(Promega, Madison, Wis.)もまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を伴う融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるのに使用できる。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、その後遊離グルタチオンの存在下で溶離することにより、溶菌させた細胞から容易に精製できる。このような系で調製したタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第Xa因子プロテアーゼ開裂部位を含むよう設計でき、その結果、目的とするクローンポリペプチドをGST部分から随意に解放することができる。
【0054】
酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいては、α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHのような構成的または誘導的プロモーターを含む幾つかのベクターが使用できる。総説としてAusubelら、(1989)およびGrantら、Methods Enzymol. 153,516−544,1987を参照されたい。
【0055】
植物および昆虫発現系
植物発現ベクターを使用する場合、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列の発現は、幾つかのプロモーターのうち任意のものにより駆動できる。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターのようなウイルスプロモーターを、単独で、またはTMV由来のオメガリーダー配列と組み合わせて使用できる(Takamatsu, EMBO J. 6,307−311,1987)。別法として、RUBISCOの小サブユニットのような植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを使用することもできる(Coruzziら、EMBO J. 3,1671−1680,1984;Broglieら、Science 224,838−843,1984;Winterら、Results Probl.Cell Differ. 17,85−105,1991)。これらの構築物は、直接DNA形質転換または病原体媒介トランスフェクションにより植物細胞中に導入できる。このような技術は、幾つかの一般に入手可能な総説に記載されている(例えば、HobbsまたはMurray、MCGRAW HILL YEARBOOK OF SCIENCE AND TECHNOLOGY, McGraw Hill, New York, N.Y., pp191−196,1992)。
【0056】
昆虫系もまたDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの発現に使用できる。例えば、かかる系の1つAutographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫で外来遺伝子を発現させるベクターとして使用する。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列を、ポリヘドリン遺伝子のような該ウイルスの非必須領域中にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの調節下に置くことができる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをうまく挿入すると、ポリヘドリン遺伝子は不活性化し、コートタンパク質を欠く組換えウイルスが生成する。次いでこの組換えウイルスをS.frugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫への感染に使用し、そこでDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを発現させることができる(Engelhardら、Proc.Nat.Acad.Sci. 91,3224−3227,1994)。
【0057】
哺乳動物発現系
ウイルスに基づく多くの発現系を用いて哺乳動物宿主細胞でDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを発現させることができる。例えば、発現ベクターとしてアデノウイルスを使用する場合、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列は、後期プロモーターおよび3部に分かれたリーダー配列を含むアデノウイルス転写/翻訳複合体中にライゲーションできる。該ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を用いて、感染宿主細胞においてDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを発現できる生存ウイルスを取得できる(Logan & Shenk, Proc.Natl.Acad.Sci. 81,3655−3659,1984)。所望によりラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーのような転写エンハンサーを用いて、哺乳動物宿主細胞での発現を増大させることができる。
【0058】
ヒト人工染色体(HAC)もまた、プラスミドが内包し発現するDNA断片よりも大きなDNA断片の運搬に使用できる。6Mから10MのHACを組み立て、常套的送達法により細胞に到達させる(例えば、リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、または小胞)。
【0059】
さらに、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列のより効率的な翻訳を達成するために、特異的開始シグナルを使用できる。かかるシグナルはATG開始コドンおよび連続配列を包含する。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列、その開始コドン、および上流配列を適当な発現ベクター中に挿入した場合、さらなる転写または翻訳調節シグナルは必要ないであろう。しかしながら、コード配列またはその断片のみを挿入した場合は、外因性の翻訳調節シグナル(ATG開始コドンを包含する)を供給すべきである。開始コドンは挿入物全体を確実に翻訳させるために、正しいリーディングフレームになければならない。外因性翻訳要素および開始コドンは天然および合成両者の様々な起源であってよい。発現の効率は、使用する特定の細胞系に対し適切なエンハンサーを存在させることにより増強できる(Scharfら、Results Probl.Cell Differ. 20,125−162,1994)。
【0060】
宿主細胞
宿主細胞菌株は、挿入した配列の発現を調節する能力または発現されたDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを所望の方法で処理できる能力を目的として選択できる。該ポリペプチドのこのような修飾には、アセチル化、カルボキシ化、グリコシル化、燐酸化、脂質化、およびアシル化が包含されるがこれらに限定されない。該ポリペプチドの「プレプロ」型を開裂する翻訳後プロセシングもまた、正しい挿入、折り畳み、および/または機能を促進するために使用できる。翻訳後活性のための特異的な細胞機構および特徴的メカニズムを持つ異なる宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)が、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209)から入手でき、外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実とするために選択できる。
【0061】
組換えタンパク質の長期高収量産生のために、安定な発現が好ましい。例えば、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを安定に発現する細胞系を、ウイルス複製起点および/または内因性発現要素、および同じまたは別のベクター上にある選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを用いて形質転換することができる。該ベクターの導入に続いて、細胞を強化培地で1−2日間生育させた後、培地を選択培地に交換することができる。選択マーカーの目的は選択に対する抵抗性を付与することであり、その存在が、導入されたDESC1様セリンプロテアーゼ配列をうまく発現する細胞の生育と回収を可能にする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型にとって適当な組織培養技術を用いて増殖させることができる。例えば、ANIMAL CELL CULTURE, R.I.Freshney,ed.,1986を参照されたい。
【0062】
幾つかの選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収できる。これらには、それぞれtkまたはaprt細胞で使用できる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11,223−32,1977)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22,817−23,1980)遺伝子が包含されるが、これらに限定される訳ではない。さらに、代謝拮抗物質、抗生物質、または除草剤耐性を選択の基準に用いることができる。例えば、dhfrはメソトレキサートに対する耐性を付与し(Wiglerら、Proc.Natl.Acad.Sci. 77,3567−70,1980)nptはアミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を付与し(Colbere−Garapinら、J.Mol. Biol. 150,1014,1981)、そしてalsおよびpatはそれぞれクロルスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与する(Murray, 1992,上記)。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpBは細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用するようにさせ、hisDは細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用するようにさせる(Hartman & Mulligan, Proc.Natl.Acad.Sci. 85,8047−51,1988)。アントシアニンのような可視マーカー、β−グルクロニダーゼとその基質GUS、およびルシフェラーゼとその基質ルシフェリンは、形質転換体を同定し、特異的ベクター系に帰すことのできる一過性または安定なタンパク質発現の量を定量するために使用できる(Rhodesら、Methods Mol.Biol. 55,121−131,1995)。
【0063】
発現の検出
マーカー遺伝子発現の存在はDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドが存在することも示唆しているが、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの存在と発現は確認する必要がある。例えば、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列がマーカー遺伝子配列内部に挿入されている場合、誘導または選択に応答して、通常、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドの発現を示す。
【0064】
これとは別に、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを含み、PI−DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを発現する宿主細胞は、当業者に知られる様々な方法によって同定できる。これらの方法には、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質生検またはイムノアッセイ技術(核酸またはタンパク質の検出および/または定量のための膜、溶液、またはチップに基づく技術を包含する)が包含されるがこれらに限定されない。例えば、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列の存在は、プローブまたは断片またはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの断片を使用するDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅によって検出できる。核酸増幅に基づく検定は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを含む形質転換体を検出するための、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドをコードしている配列から選択されるオリゴヌクレオチドの使用を含む。
【0065】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに対し特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを使用して該ポリペプチドの発現を検出および測定するための様々なプロトコルが当分野で知られている。例として、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化セルソーティング(FACS)がある。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド上の2個の非干渉性エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる、2部位のモノクローナルに基づくイムノアッセイが使用でき、または、競合的結合検定を使用することができる。これらのおよびその他の検定はHamptomら、SEROLOGICAL METHODS: A LABORATORY MANUAL, APS Press, St.Paul, Minn., 1990およびMaddoxら、J.Exp.Med. 158,1211−1216,1983に記載されている。
【0066】
多岐にわたる標識およびコンジュゲーション技術が当業者に知られており、様々な核酸およびアミノ酸検定に使用できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識化ハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを調製する手段は、標識したヌクレオチドを使用する、オリゴ標識化、ニック翻訳、末端標識化、またはPCR増幅を包含する。これとは別に、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列を、mRNAプローブの産生のためのベクター中にクローニングすることもできる。このようなベクターは当分野で既知であり、市販品が入手でき、標識化ヌクレオチドおよび適当なRNAポリメラーゼ、例えばT7、T3、またはSP6を添加することによりインビトロでのRNAプローブの合成に使用することができる。これらの方法は、市販の様々なキットを用いて実施できる(Amersham Pharmacia Biotech、 Promega、およびUS Biochemical)。検出を容易にするために使用できる適当なリポーター分子または標識には、放射性核種、酵素、および蛍光、化学ルミネセント、または色素生成物質、ならびに基質、補助因子、インヒビター、磁性粒子などが包含される。
【0067】
ポリペプチドの発現および精製
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列で形質転換させた宿主細胞は、発現と、細胞培養からのタンパク質の回収に適した条件下で培養できる。形質転換細胞により産生されたポリペプチドは、その配列および/または使用したベクターに応じて分泌されまたは細胞内に貯留され得る。当業者には理解できるであろうが、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核または真核細胞膜を通った可溶性DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの分泌を指令する、または膜結合DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの膜挿入を指令する、シグナル配列を含むよう設計できる。
【0068】
上に論じたように、他の構築物を用いて、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードしているヌクレオチド配列と結合させることができる。このような精製促進ドメインは、金属キレート化ペプチド、例えば固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュール、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパク質Aドメイン、およびFLAGS伸長/親和精製系で利用するドメインが包含されるが、これらに限定されない(Immunex Corp., Seattle, Wash.)。精製ドメインとDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドとの間に開裂可能リンカー配列、例えば第Xa因子またはエンテロキナーゼに特異的なリンカー配列を入れること(Invitrogen, San Diego, CA)もまた、精製を促進するために利用できる。このような発現ベクターの1つは、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと、チオレドキシンまたはエンテロキナーゼ開裂部位に先立つ6個のヒスチジン残基とを含む融合タンパク質の発現を提供する。このヒスチジン残基はIMAC(Porathら、Prot.Exp.Purif. 3,263−281,1992に記載の固定化金属イオン親和クロマトグラフィー)による精製を促進し、一方エンテロキナーゼ開裂部位は融合タンパク質からのDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの精製手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターはKrollら、DNA Cell Biol. 12,441−453,1993に開示されている。
【0069】
化学合成
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている配列は、その全体または一部を、当分野で周知の化学的方法を用いて合成できる(Caruthersら、Nucl.Acids Res.Symp.Ser. 215−223,1980;Hornら、Nucl.Acids Res.Symp.Ser. 225−232,1980)。これとは別に、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド自身を、そのアミノ酸配列を合成するための化学的方法、例えば固相技術を用いる直接ペプチド合成を用いて調製できる(Merrifield, J.Am.Chem.Soc. 85,2149−2154,1963;Robergeら、Science 269,202−204,1995)。タンパク質合成は手動技術またはオートメーションを用いて実施できる。自動化合成は、例えばApplied Biosystems 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いて達成できる。所望により、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの断片を別々に合成し、化学的方法を用いて合して完全長の分子を調製することもできる。
【0070】
新たに合成したペプチドは、調製用高速液体クロマトグラフイー(例えばCreighton, PROTEINS: STRUCTURES AND MOLECULAR PRINCIPLES, WH Freeman and Co., New York, N.Y., 1983)により実質的に精製できる。合成DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの組成はアミノ酸分析または配列決定により確認できる(例えばエドマン分解法;Creighton、上記を参照されたい)。さらに、直接合成中にDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのアミノ酸配列の任意の部分を改変させ、そして/または化学的方法を用いて他のタンパク質由来の配列と合して、変異体ポリペプチドまたは融合タンパク質を調製することができる。
【0071】
改変ポリペプチドの調製
当業者には理解できるであろうが、天然に存在しないコドンを有するDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドコード化ヌクレオチドを調製することは有利であり得る。例えば、特定の原核または真核宿主が好むコドンを選択して、タンパク質発現の速度を増大させ、または所望の性質、例えば天然に存在する配列から産み出される転写物の半減期より長い半減期を持つRNA転写物を調製することができる。
【0072】
本明細書に開示するヌクレオチド配列は、当分野で一般的に知られる方法を用いて、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を修飾する改変を包含する(但しこれらに限定される訳ではない)様々な理由で、該ポリペプチドコード配列を改変させるように設計できる。無作為断片化によるDNAシャフリングと遺伝子断片および合成オリゴヌクレオチドのPCR再集合を用いてヌクレオチド配列を設計できる。例えば、位置指定突然変異誘発を用いて、新たな制限部位を挿入し、グリコシル化パターンを変え、コドンの優先性を変え、スプライス変異体を調製し、突然変異を導入する等を実施できる。
【0073】
抗体
当分野で知られているいかなる型の抗体も、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのエピトープに特異的に結合するよう作製できる。本明細書で使用する「抗体」とは、無傷の免疫グロブリン分子、およびその断片、例えばFab、F(ab’)、およびFvを包含し、これらはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのエピトープに結合できる。典型的には、エピトープを形成するためには少なくとも6、8、10、または12の連続するアミノ酸が必要である。しかしながら、非連続アミノ酸を含むエピトープはより多くの、例えば少なくとも15、25、または50のアミノ酸を必要とするかも知れない。
【0074】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのエピトープに特異的に結合する抗体は治療に使用でき、そして免疫化学検定、例えばウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学検定、免疫沈降、またはその他の当分野で既知の免疫化学的検定に使用できる。所望の特異性を有する抗体の同定のため、様々なイムノアッセイが使用できる。競合的結合または免疫放射検定のための多数のプロトコルが当分野でよく知られている。このようなイムノアッセイは典型的には、免疫原と、その免疫原に特異結合する抗体との間の複合体形成の測定を含んでいる。
【0075】
典型的には、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異的に結合する抗体は、免疫化学検定に使用する時、他のタンパク質が提供する検出シグナルより少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供する。好ましくは、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異結合する抗体は、免疫化学検定で他のタンパク質を検出せず、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを溶液から免疫沈降させることができる。
【0076】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、またはヒトを免疫してポリクローナル抗体を産生させるのに使用できる。所望により、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、担体タンパク質、例えば牛血清アルブミン、チログロブリン、およびスカシガイヘモシアニンとコンジュゲートさせることができる。宿主の種に応じて、免疫学的反応を増大させるために種々のアジュバントを使用できる。このようなアジュバントは、フロイントアジュバント、鉱物性ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、および界面活性物質(例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルジョン、スカシガイヘモシアニン、およびジニトロフェノール)を包含するがこれらに限定されない。ヒトに使用するアジュバントの中ではBCG(bacilli Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvumが特に有用である。
【0077】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体は、培養中の連続的細胞系により抗体分子の産生を提供する任意の技術を用いて調製できる。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBV−ハイブリドーマ技術があるがこれらに限定されない(Kohlerら、Nature 256,495−497,1985; Kozborら、J.Immunol.Methods 81,31−42,1985; Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci. 80,2026−2030,1983; Coleら、Mol.Cell Biol. 62,109−120,1984)。
【0078】
さらに、マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングして適当な抗原特異性と生物活性を持つ分子を得る、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術が利用できる(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci. 81,6851−6855,1984; Neubergerら、Nature 312,604−608,1984; Takedaら、Nature 314,452−454,1985)。モノクローナルおよびその他の抗体はまた、これを治療に使用した場合に患者が該抗体に対する免疫反応を起こすのを防ぐため、「ヒト化」することができる。このような抗体は、治療に直接使用できるほど配列が充分ヒトに類似しているかも知れず、または幾つかの重要残基の変更を必要とするかも知れない。齧歯類の抗体とヒト配列の間の配列相違は、個々の残基の位置指定突然変異誘発により、または相補性決定領域全体の格子により、ヒト配列内の残基と相違する残基を置き換えることによって最小化することができる。別法として、ヒト化抗体はGB2188638Bに記載のように組換え法を用いて調製できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異的に結合する抗体は、U.S.5565332に開示のように、部分的または完全にヒト化した抗原結合部位を含むことができる。
【0079】
これに代わり、当分野で既知の方法を用いて、一本鎖抗体の調製のために記載した技術を適合させ、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異結合する一本鎖抗体を調製することができる。関連する特異性を持つが別個のイディオタイプ組成を有する抗体を、無作為組み合わせ免疫グロブリンライブラリーから鎖シャフリングによって調製することができる(Burton, Proc.Natl.Acad.Sci. 88,11120−23,1991)。
【0080】
一本鎖抗体はまた、ハイブリドーマcDNAを鋳型に用いて、PCRのようなDNA増幅法を用いて組み立てることができる(Thirionら、1996, Eur.J.Cancer Prev. 5,507−11)。一本鎖抗体は単一または二重特異性であり得、また、二価または四価であり得る。四価二重特異性一本鎖抗体の組み立ては例えばColoma & Morrison, 1997, Nat.Biotechnol. 15,159−63に教示されている。二価二重特異性一本鎖抗体の組み立てはMallender & Voss, 1994, J.Biol.Chem. 269,199−206に教示されている。
【0081】
下記のように、一本鎖抗体をコードしているヌクレオチド配列を手動または自動ヌクレオチド合成を用いて組み立て、標準的組換えDNA法を用いて発現構築物中にクローニングし、そして細胞中に導入してコード配列を発現させることができる。別法として、一本鎖抗体を、例えば糸状ファージ技術を用いて直接調製することもできる(Verhaarら、1995, Int.J.Cancer 61,497−501; Nichollaら、1993, J.Immunol.Meth. 165,81−91)。
【0082】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異結合する抗体はまた、リンパ球集団においてインビボ産生を誘導することによって、または、文献に開示されている極めて特異的な結合試薬のパネルまたは免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングすることによって調製することもできる(Orlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci. 86,3833−3837,1989; Winterら、Nature 349,293−299,1991)。
【0083】
その他の型の抗体を、本発明方法において組み立て、治療に使用することができる。例えば、WO93/03151に開示のように、キメラ抗体を組み立てることができる。免疫グロブリンから誘導され多価且つ多重特異的である結合タンパク質、例えばWO94/13804に記載の「diabodies」もまた調製できる。
【0084】
本発明に係る抗体は当分野で周知の方法により精製できる。例えば、抗体は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドが結合しているカラムを通過させることにより親和精製できる。次いで、結合した抗体を、高い塩濃度の緩衝液を用いてカラムから溶出することができる。
【0085】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のDNAまたはRNA配列に対し相補的なヌクレオチド配列である。いったん細胞中に導入されるとこの相補的ヌクレオチドは、該細胞が産生した天然配列と結合して複合体を形成し、転写または翻訳のいずれかを遮断する。好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも11ヌクレオチド長であるが、少なくとも12、15、20、25、30、35、40、45、若しくは50またはそれ以上のヌクレオチド長であってもよい。より長い配列もまた使用できる。アンチセンスオリゴヌクレオチド分子をDNA構築物に提供し、上記のように細胞中に導入して、その細胞におけるDESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子産物のレベルを低下させることができる。
【0086】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはこの両者の組み合わせであってよい。オリゴヌクレオチドは、1つのヌクレオチドの5’末端を、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロアミデート、燐酸エステル、カルバメート、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、カルボネート、および燐酸トリエステルといった非ホスホジエステルヌクレオチド間結合を有する別のヌクレオチドの3’末端と共有結合させることにより、手動で、または自動合成機によって合成できる。Brown, Meth.Mol. Biol. 20,1−8,1994; Sonveaux, Meth.Mol.Biol. 26,1−72,1994; Uhlmannら、Chem.Rev. 90,543−583,1990を参照されたい。
【0087】
DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子の制御、5’、または調節領域と二本鎖を形成するアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計することにより、DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子発現の修飾が得られる。転写開始部位、例えば開始部位から−10および+10位の間から誘導されるオリゴヌクレオチドが好ましい。同様に、「三重らせん」塩基対合法を用いて阻害を達成できる。三重らせん対合は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子またはシャペロンの結合に対して十分に開くという能力の阻害を引き起こすため、有用である。三本鎖DNAを用いる治療上の進歩が文献に記載されている(例えばGeeら、Huber & Carr, MOLECULAR AND IMMUNOLOGIC APPROACHES, Futura Publishing Co., Mt.Kisco, N.Y., 1994)。転写物がリボソームに結合するのを防ぐことによりmRNAの翻訳を遮断するアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた設計できる。
【0088】
アンチセンスオリゴヌクレオチドとDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドの相補配列との間に好結果の複合体を形成させるためには、正確な相補性は必要ない。例えばDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドに対し正確に相補的である2、3、4、若しくは5またはそれ以上の長さの連続するヌクレオチドを含み、その各々が、隣接するDESC1様セリンプロテアーゼヌクレオチドとは相補的ではない連続するある長さのヌクレオチドによって隔てられているアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DESC1様セリンプロテアーゼmRNAに対して充分な標的化特異性を提供できる。好ましくは、相補的な連続ヌクレオチドの長さはそれぞれ少なくとも4、5、6、7若しくは8またはそれ以上のヌクレオチド長である。非相補的な介在配列は、好ましくは1、2、3、または4ヌクレオチド長である。当業者は、アンチセンス−センスの対の算出融点を容易に使用して、特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドと特定のDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチド配列間で寛容されるミスマッチの程度を決定できるであろう。
【0089】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドとハイブリダイズする能力に影響を及ぼすことなく修飾できる。これらの修飾は該アンチセンス分子の内部、または一端若しくは両端である。例えば、ヌクレオシド間の燐酸結合は、アミノ基と末端リボースの間にいろいろな数の炭素残基を有するコレステリルまたはジアミン部分を加えることによって修飾できる。修飾された塩基および/または糖、例えばリボースの代わりのアラビノース、または3’ヒドロキシ基または5’燐酸基が置換されている3’,5’−置換オリゴヌクレオチドもまた修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドに使用できる。これらの修飾オリゴヌクレオチドは当分野で周知の方法により調製できる。例えば、Agrawalら、Trends Biotechnol. 10,152−158,1992; Uhlmannら、Chem.Rev. 90,543−584,1990; Uhlmannら、Tetrahedron.Lett. 215,3539−3542,1987を参照されたい。
【0090】
リボザイム
リボザイムは触媒活性を有するRNA分子である。例えば、Cech, Science 236,1532−1539; 1987; Cech, Ann.Rev.Biochem. 59,543−568; 1990, Cech, Curr.Opin.Struct.Biol. 2,605−609; 1992, Couture & Stinchcomb, Trends Genet. 12,510−515, 1996を参照されたい。当分野で知られるように、リボザイムは、RNA配列を開裂することにより遺伝子機能を阻害するのに使用できる(例えば、Haseloffら、米国特許5641673)。リボザイムの作用機構は、相補的標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションと、その後のエンドヌクレオ分解的な(endonucleolytic)開裂を含む。例には、特異的ヌクレオチド配列のエンドヌクレオ分解的な開裂を特異的且つ効果的に触媒できる、設計されたハンマーヘッドモチーフリボザイム分子がある。
【0091】
DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドのコード配列を用いて、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドから転写されたmRNAに特異結合するリボザイムを作製できる。他のトランスのRNA分子を極めて配列特異的に開裂できるリボザイムを設計し組み立てる方法が開発され、当分野で記載されている(Haseloffら、Nature 334,585−591,1988)。例えば、リボザイムの開裂活性は、別個の「ハイブリダイゼーション」領域を該リボザイム中に組み入れることによって、特定のRNAを標的とさせることができる。このハイブリダイゼーション領域は標的RNAに対し相補的な配列を含んでおり、したがってその標的と特異的にハイブリダイズする(例えばGerlachら、EP321201を参照されたい)。
【0092】
DESC1様セリンプロテアーゼRNA標的内部の特異的リボザイム開裂部位は、この標的分子を、以下の配列:GUA、GUU、およびGUCを包含するリボザイム開裂部位についてスキャンすることにより同定できる。同定できたならば、該開裂部位を含む標的RNAの領域に対応する、15および20の間のリボヌクレオチドを有する短いRNA配列を、標的を非機能的にし得る二次構造の特徴について評価できる。さらに、候補のDESC1様セリンプロテアーゼRNA標的の適合性を、リボヌクレアーゼ防護検定を用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対する利用可能性を試験することによって評価できる。より長い相補配列を用いて、標的に対するハイブリダイゼーション配列の親和性を増大させることができる。リボザイムのハイブリダイズおよび開裂する領域は、相補領域を介して標的RNAにハイブリダイズする時、リボザイムの触媒領域が標的を開裂し得るといったように、完全に相関している。
【0093】
リボザイムはDNA構築物の一部として細胞内に導入できる。マイクロ注入、リポソーム媒介トランスフェクション、電気穿孔、または燐酸カルシウム沈殿といった機械的方法を用いて、DESC1様セリンプロテアーゼ発現の低下が望まれる細胞中にリボザイム含有DNA構築物を導入することができる。これとは別に、細胞がDNA構築物を安定的に保持することが望まれる場合は、該構築物をプラスミド上で供給し、当分野で知られるように、別個の要素として維持するか、または細胞のゲノム中に組み込むことができる。リボザイムコード化DNA構築物は、細胞中のリボザイムの転写を調節するために、プロモーター要素、エンハンサーまたはUAS要素、および転写ターミネーターシグナルといった転写調節要素を含み得る。
【0094】
Haseloffら、米国特許5641673に教示のように、リボザイムは、標的遺伝子の発現を誘導する因子に応答してリボザイムの発現が起こるように設計することができる。リボザイムはまた、追加レベルの調節を提供するよう設計でき、その結果、mRNAの破壊はリボザイムと標的遺伝子の両者が細胞に誘導された時にのみ起こる。
【0095】
スクリーニング方法
本発明は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドに結合する、またはその活性を調節する、被験化合物をスクリーニングするための検定を提供する。好ましくは、被験化合物はDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する。より好ましくは、被験化合物は、DESC1様セリンプロテアーゼ活性を、被験化合物の不在時に比較して少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%低下または増大させる。
【0096】
被験化合物
被験化合物は当分野で既知の薬理学的物質であってよく、または薬理活性を持っていることが前もって分かっていない化合物であってよい。この化合物は天然に存在する、または実験室で設計されたものであってよい。これらは、微生物、動物、または植物から単離されたものであってよく、そして組換え的に調製され、または当分野で既知の化学的方法により合成されたものであってよい。所望により被験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的アドレス特定可能な並行固相または液相ライブラリー、デコンボルーションを要する合成ライブラリー法、「一ビーズ一化合物」ライブラリー法、および親和クロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を包含する(但しこれらに限定される訳ではない)当分野で既知の数多くの組み合わせライブラリー法のいずれかを用いて取得できる。生物学的ライブラリーアプローチはポリペプチドライブラリーに限定されているが、他の4種のアプローチはポリペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリーに適用できる。Lam, Anticancer Drug Des. 12,145,1997を参照されたい。
【0097】
分子ライブラリーの合成法は当分野でよく知られている(例えば、DeWittら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 90,6909,1993; Erbら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 91,11422,1994; Zuckermannら、J.Med.Chem. 37,2678,1994; Choら、Science 261,1303,1993; Carellら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl. 33,2059,1994; Carellら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl. 33,2061; Gallopら、J.Med.Chem. 37,1233,1994を参照されたい)。化合物のライブラリーは溶液で(例えば、Houghten, Biotechniques 13,412−421,1992)、またはビーズ(Lam, Nature 354,82−84,1991)、チップ(Fodor, Nature 364,555−556,1993)、細菌または胞子(Ladner、米国特許5223409)プラスミド(Cullら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 89,1865−1869,1992)、またはファージ(Scott & Smith, Science 249,386−390, 1990; Devlin, Science 249,404−406,1990);Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.97,6378−6382,1990; Felici, J.Mol.Biol. 222,301−310,1991; およびLadner、米国特許5223409)上に提供できる。
【0098】
ハイスループットスクリーニング
被験化合物は、高(ハイ)スループットスクリーニングを用いて、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する能力、またはDESC1様セリンプロテアーゼ活性若しくはDESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子発現に影響を及ぼす能力についてスクリーニングできる。ハイスループットスクリーニングを使用して、多くの個別的化合物を並行して試験でき、その結果多数の被験化合物を迅速にスクリーニングできる。最も広範に確立されている技術は96ウェル微量定量プレートを利用するものである。この微量定量プレートのウェルは、典型的には50から500μlの範囲の検定容量を必要とする。このプレートに加えて、96ウェルフォーマットに適合させた多くの機器、材料、ピペット、ロボット、プレート洗浄機、およびプレート読み取り機が市販されている。
【0099】
別法として、「自由フォーマット検定」、または試料間に物理的障壁を持たない検定が使用できる。例えば、組み合わせペプチドライブラリーのための、単純な均質検定で色素細胞(メラノサイト)を用いる検定が、Jayawickremeら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 19,1614−18(1994)に記載されている。ペトリ皿中のアガロースの下にこの細胞を入れ、次いで組み合わせ化合物を伴っているビーズをアガロースの表面に載せる。組み合わせ化合物はこのビーズから化合物を部分的に放出する。化合物がゲルマトリックス中へと局所的に拡散するにつれて活性化合物が細胞の色の変化を惹起するため、活性化合物を暗色色素領域として視覚化することができる。
【0100】
自由フォーマット検定のもう一つの例は、生体分子スクリーニング学会第1回年次総会(Philadelphia,Pa.、1995年11月7−10日)で報告されたChelsky、「組み合わせライブラリーのスクリーニングのための戦略:新規な、そして伝統的なアプローチ」により記載されている。Chelskyは、カルボニックアンヒドラーゼのための単純な均質酵素検定をアガロースゲルの内部に入れ、その結果ゲル中の酵素がゲル全体に色の変化を惹起するようにさせた。その後、光リンカーを介して組み合わせ化合物を持つビーズをゲル内部に入れ、すると該化合物はUV光により部分的に放出された。酵素を阻害する化合物は、色の変化がより少ない局所阻害領域として観察された。
【0101】
さらに別の例がSalmonら、Molecular Diversity 2,57−63(1996)に記載されている。この例では、組み合わせライブラリーを、寒天中で生育する癌細胞への細胞毒性効果を有する化合物についてスクリーニングした。
【0102】
もう一つのハイスループットスクリーニング法がBeutelら、米国特許5976813に記載されている。この方法では、被験試料を多孔性マトリックスに入れる。次に1またはそれ以上の検定成分を、マトリックス、例えばゲル、プラスチックシート、フィルター、またはその他の形の容易に操作できる固体担体の内部、上、または底に入れる。試料がこの多孔性マトリックスに導入されるとこれらは充分ゆっくりと拡散し、その結果、被験試料が混ざらずに検定が遂行できる。
【0103】
結合検定
結合検定について、被験化合物は、例えば本酵素のATP/GTP結合部位またはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの活性部位に結合してこれを占有する結果、正常な生物活性を妨げるような、小分子であることが好ましい。このような小分子の例は、小ペプチドまたはペプチド様分子を包含するが、これらに限定される訳ではない。
【0104】
結合検定では、被験化合物またはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのいずれかが検出可能な標識、例えば蛍光、放射性同位元素、化学ルミネセント、または酵素標識(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼ)を含むことができる。そこで、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに結合している被験化合物の検出は、例えば放射能の放出を直接計数することにより、またはシンチレーション計数により、または検出可能産物への適当な基質の変換を測定することにより、達成できる。
【0105】
別法として、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドへの被験化合物の結合を、反応体のいずれをも標識せずに測定することができる。例えば、マイクロフィジオメーターを用いて、被験化合物とDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドとの結合を検出できる。マイクロフィジオメーター(例えばサイトセンサーTM)とは、細胞がその環境を酸性化する速度を光アドレッサブル電位差センサー(LAPS)を用いて測定する分析機器である。この酸性化速度の変化は、被験化合物とDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの相互作用の指標として使用できる(McConnellら、Science 257,1906−1912,1992)。
【0106】
被験化合物がDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに結合する能力の測定はまた、実時間Bimolecular Interaction Analysis(BIA)のような技術を用いて達成できる(Sjolander & Urbaniczky, Anal.Chem. 63,2338−2345,1991、およびSzaboら、Curr.Opin.Struct.Biol. 5,699−705,1995)。BIAは、いかなる反応体をも標識せずに、生体特異的相互作用を実時間で研究するための技術である(例えばBIAcore(登録商標))。光学的現象表面プラズモン共鳴(SPR)の変化を、生体分子間の実時間反応の指標に使用できる。
【0107】
本発明のさらに別の態様では、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを二ハイブリッド検定または三ハイブリッド検定(例えば、米国特許5283317; Zervosら、Cell 72,223−232,1993; Maduraら、J.Biol.Chem. 268,12046−12054,1993; Bartelら、Biotechniques 14,920−924,1993; Iwabuchiら、Oncogene 8,1693−1696,1993; およびBrent WO94/10300)における「おとりタンパク質」として使用し、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに結合またはこれと相互作用してその活性を調節する他のタンパク質を同定することができる。
【0108】
二ハイブリッド系は殆どの転写因子のモジュール的性格に基づくものであり、それは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインから成っている。簡潔に述べると、この検定は二種の異なるDNA構築物を利用する。例えば、一方の構築物においては、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドが、既知の転写因子のDNA結合ドメインをコードしているポリヌクレオチドに融合できる(例えばGAL−4)。別の構築物においては、未同定タンパク質(「餌」または「試料」)をコードしているDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードしているポリヌクレオチドに融合できる。もし「おとり」および「餌」タンパク質がインビボで相互作用してタンパク質依存複合体を形成できたならば、該転写因子のDNA結合および活性化ドメインは極めて近位に招来される。この近位性が、転写因子に応答する転写調節部位と機能的に結合しているリポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写を可能にする。リポーター遺伝子の発現が検出でき、機能的転写因子を含む細胞コロニーを単離し、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードしているDNA配列取得に使用することができる。
【0109】
反応体の一方または両方の非結合型からの結合型の分離を促進するため、そして検定の自動化の便宜を図るため、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを固定化することが望ましいかも知れない。したがって、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを固体支持体に結合させることができる。好適な固体支持体は、ガラスまたはプラスチックスライド、組織培養プレート、微量定量ウェル、管、シリコンチップ、またはビーズ(ラテックス、ポリスチレン、またはガラスビーズを包含するがこれらに限定されない)のような粒子を包含するがこれらに限定されない。共有および非共有結合、受動吸収、またはそれぞれポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物に付着させた結合部分と固体支持体の対、の使用を包含する、当分野で既知の任意の方法を用いてDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物を固体支持体に付着させることができる。被験化合物は好ましくは整列して固体支持体に結合させ、その結果個々の被験化合物の位置を追跡することができる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(またはポリヌクレオチド)への被験化合物の結合は、反応体を入れるのに適した任意の容器で達成できる。かかる容器の例には微量定量プレート、試験管、および微量遠沈管がある。
【0110】
一つの態様において、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを固体支持体に結合させるドメインを含む融合タンパク質である。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質をグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St.Louis, Mo.)上またはグルタチオン誘導体化微量定量プレート上に吸着させ、次いでこれを被験化合物または被験化合物および非吸着DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに合し;次にこの混合物を複合体形成が行われる条件下でインキュベートする(例えば、塩およびpHに関して生理的条件)。インキュベーションの後、ビーズまたは微量定量プレートのウェルを洗浄して未結合成分を除去する。反応体の結合は上記のように直接的または間接的に測定できる。別法として、複合体を固体支持体から解離させた後に結合を測定することもできる。
【0111】
本発明に係るスクリーニング検定には、タンパク質またはポリヌクレオチドを固体支持体上に固定化するためのその他の技術を使用することもできる。例えば、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用して固定化できる。当分野で周知の技術(例えばビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford,Ill.)を用いて、ビオチニル化したDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物をビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジン被覆した96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化できる。別法として、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド、ポリヌクレオチド、または被験化合物に特異的に結合するが、所望の結合部位、例えばATP/GTP結合部位またはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの活性部位に干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導体化することができる。未結合の標的またはタンパク質が抗体コンジュゲーションによりウェル中に捕捉できる。
【0112】
GST−固定化複合体について上に記載した方法に加え、このような複合体を検出する方法には、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたは被験化合物に特異結合する抗体を用いる、複合体の免疫検出、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの活性検出へと引き継がれる酵素結合検定、および非還元条件下でのSDSゲル電気泳動がある。
【0113】
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する被験化合物を求めるスクリーニングは、無傷の細胞で実施することもできる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む任意の細胞が、細胞に基づく検定系で使用できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドは細胞中に天然に存在し、または上記のような技術を用いて導入できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する被験化合物の結合は、上記のように測定する。
【0114】
酵素検定
ヒトDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのセリンプロテアーゼ活性を増大または低下させる能力について、被験化合物を試験できる。セリンプロテアーゼ活性は、例えば米国特許第5,695,948号、第5,840,510号および第6,001,814号に記載のように測定できる。
【0115】
酵素検定は、精製DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド、細胞膜調製物または無傷の細胞と、被験化合物とを接触させた後に実施できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのトランスケトラーゼ活性を少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90または100%低下させる被験化合物を、DESC1様セリンプロテアーゼ活性を低下させる可能性のある治療物質として同定する。ヒトDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのセリンプロテアーゼ、好ましくはセリンプロテアーゼトリプシン活性を少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90または100%増大させる被験化合物を、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼ活性を増大させる可能性のある治療物質として同定する。
【0116】
遺伝子発現
別の態様では、DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子の発現を増大または減少させる被験化合物を同定する。DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを被験化合物と接触させ、RNAまたはDESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドのポリペプチド産物の発現を測定する。被験化合物存在下での適当なmRNAまたはポリペプチドの発現レベルを、該被験化合物不在下でのmRNAまたはポリペプチドの発現レベルと比較する。すると被験化合物が、この比較に基づく発現のモジュレーターとして同定できる。例えば、mRNAまたはポリペプチドの発現が、被験化合物の不在時よりも存在時により大きい場合は、この被験化合物を、該mRNAまたはポリペプチド発現の刺激物質または増強物質と同定する。そうではなく、mRNAまたはポリペプチドの発現が、被験化合物の不在時よりも存在時により小さい場合は、この被験化合物を、該mRNAまたはポリペプチド発現のインヒビターと同定する。
【0117】
細胞におけるDESC1様セリンプロテアーゼmRNAまたはポリペプチド発現のレベルは、mRNAまたはポリペプチドを検出するための当分野で周知の方法により決定できる。定性または定量的方法のいずれかが使用できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドのポリペプチド産物の存在は、例えばラジオイムノアッセイのような免疫化学的方法、ウエスタンブロッティング、および免疫組織化学を包含する、当分野で周知の様々な技術を用いて決定できる。別法として、ポリペプチド合成は、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド内への標識アミノ酸の取り込みを検出することにより、インビボで、細胞培養で、またはインビトロ翻訳系で決定できる。
【0118】
このようなスクリーニングは、無細胞検定系または無傷の細胞のいずれかで実施できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドを発現するいかなる細胞も細胞に基づく検定系で使用できる。DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチドは細胞内に天然に存在するか、または上記のような技術を用いて導入することができる。一次培養または確立された細胞系、例えばCHOまたはヒト胚性腎293細胞のいずれかを使用できる。
【0119】
医薬組成物
本発明はさらに、治療効果を達成するために患者に投与できる医薬組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物は、例えばDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド、DESC1様セリンプロテアーゼポリヌクレオチド、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに特異的に結合する抗体、または類似体、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド活性のアゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターを含み得る。この組成物は単独で、または少なくとも1種類の他の物質、例えば安定化化合物と組み合わせて投与でき、これは、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、および水を包含する(但しこれらに限定されない)任意の無菌で生物学的適合性のある製薬的担体中で投与できる。この組成物は単独で、または他の物質、薬物またはホルモンと組み合わせて患者に投与できる。
【0120】
活性成分に加えてこれらの医薬組成物は、賦形剤および補助物質を含む適当な製薬的に許容し得る担体を含有でき、これらは、製薬的に使用できる調製物への活性化合物の処理を促進する。本発明に係る医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、局所、舌下、または直腸手段を包含する(但しこれらに限定されない)多くの経路により投与できる。経口投与用医薬組成物は、当分野で既知の製薬的に許容し得る担体を用いて経口投与に適した用量に調合できる。このような担体により、該医薬組成物を、患者が内服するための錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などに調合できる。
【0121】
経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を、固体賦形剤と合し、得られた混合物を所望により粉砕し、そしてこの顆粒混合物を、所望ならば適当な補助物質を加えた後に処理して錠剤または糖衣剤核を得る。好適な賦形剤は炭水化物またはタンパク質増量剤、例えば乳糖、シュクロース、マンニトール、またはソルビトールを包含する糖;トウモロコシ、小麦、米、馬鈴薯、またはその他の植物由来の澱粉;セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム;アラビアゴムおよびトラガカントゴムを包含するゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンのようなタンパク質である。所望により崩壊剤または可溶化剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加できる。
【0122】
糖衣剤核は、濃縮糖溶液のような適当な被覆剤と共に使用でき、これはさらに、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、carbopolゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含むことができる。製品の同定のためまたは活性化合物の量、即ち用量をあらわすために染料または色素を錠剤または糖衣被覆剤に添加できる。
【0123】
経口的に使用できる医薬調合物は、ゼラチン製の押してはめ込むカプセル剤、ならびに、ゼラチンおよび被覆剤、例えばグリセロールまたはソルビトールでできた軟封入カプセル剤を包含する。押してはめ込むカプセル剤は、活性成分を、乳糖または澱粉のような増量剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、および所望により安定剤と混合して含有できる。軟カプセル剤では、活性化合物を、安定剤を加えたまたは加えない適当な液体、例えば脂肪油、液体、または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁できる。
【0124】
非経口投与に好適な医薬製剤は、水溶液、好ましくは生理学的適合性の緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的に緩衝化した食塩水中で調合できる。水性注射用懸濁剤は、該懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有できる。さらに、活性化合物の懸濁剤は適当な油性注射用懸濁剤として調製できる。好適な親油性溶媒または媒質は、胡麻油のような脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを包含する。非脂質ポリカチオンアミノポリマーもまた送達に使用できる。所望により懸濁剤は、化合物の溶解性を増し高濃縮溶液の調製を可能にするような適当な安定剤または物質を含むことができる。局所または鼻腔投与のためには、透過すべき特定の障壁に対し適当な浸透剤を製剤に使用する。このような浸透剤は当分野で一般に知られている。
【0125】
本発明に係る医薬組成物は当分野で既知の方法で、例えば常套的混合、溶解、顆粒化、糖衣剤製造、すりつぶし、乳化、カプセル化、捕捉、または凍結乾燥プロセスによって製造できる。この医薬組成物は塩として提供でき、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、琥珀酸などを包含する(但しこれらに限定されない)多くの酸を用いて調製できる。塩は、水性または他のプロトン性溶媒において、対応する遊離塩基型よりもより可溶性の傾向がある。別の場合には、好ましい調製物は、pH範囲4.5から5.5において以下のもの:1−50mMヒスチジン、0.1%−2%シュクロース、および2−7%マンニトール、の全てまたは任意のものを含有できる凍結乾燥粉末であってよく、これを使用前に緩衝液と合する。
【0126】
調合と投与のための技術のさらなる詳細は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Maack Publishing Co., Easton, Pa)の最新版に見出すことができる。医薬組成物を製造した後、これらを適当な容器に入れ、適応状態の治療のためにラベルを貼る。このようなラベル表示は、投与の量、頻度、および投与方法を包含する。
【0127】
治療上の適応および方法
本発明のDESC1様セリンプロテアーゼを調節して、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管、および末梢神経系または中枢神経系疾患のような疾患における治療効果を提供することができる。これは、DESC1様セリンプロテアーゼのコード領域の3’末端とほぼ完全な同一性を有するEST(EMBL受入れ番号第U77054号、配列番号5)の同定によって示されるように、初期癌細胞において発現されるものである。
【0128】
癌は、基本的に発癌性細胞形質転換によって発症する疾患である。形質転換細胞をそれらの正常な対応物から区別し、かつ癌の病態生理に基づく形質転換細胞の特徴は幾つかある。それらには、非制御型細胞性増殖、通常の死誘導シグナルに対する不応答(不死化)、増大した細胞運動性及び侵襲性、新たな血管新生の誘導を通じた血液供給を補充するための増大した能力(血管新生)、遺伝子の不安定性、並びに調節不全遺伝子発現が挙げられる。薬剤耐性の獲得とともに、これらの異常な生理機能の種々の組み合わせににより、最終的に臓器不全および患者の死となる難治性疾患状態に頻繁に陥る。
【0129】
最も一般的な癌治療は、細胞増殖を標的とし、形質転換細胞と正常細胞との間の効率に関するその特異な増殖能に基づいている。このアプローチは、幾つかの重要な正常細胞タイプもまた高増殖であり、かつ癌細胞が高頻度にこれらの物質に対して耐性となるという現実により妨げられている。従って、従来の抗癌治療についての治療指数は珍しく2.0を超えている。
【0130】
ゲノミクス誘導性分子の標的同定は、癌患者に安全で、かつより効率的な処置を提供できる治療介入のための新たな癌特異的標的を同定する可能性を開いた。従って、新たに発見される腫瘍関連遺伝子及びその産物を疾患におけるそれらの機能(群)について試験でき、そして革新的な治療を発見し、かつ開発するために道具として用いることができる。以上に概説した生理学的プロセスの多くに重要な働きがある遺伝子は、癌標的として特徴付けることができる。
【0131】
遺伝子は処置として使用できる。また、ゲノミクスを通じて同定される遺伝子又は遺伝子断片は、すぐに1つ又はそれ以上の非相同(ヘテローガス)発現系において発現させ、機能性組換えタンパク質を産生させることができる。このタンパク質は、その生物学的機能についてインビトロで特徴付けられ、その後その生化学活性の化学修飾因子(モジュレーター)を同定するため、ハイスループット分子スクリーニングプログラムにおける道具として用いられる。標的タンパク質活性のアゴニスト及び/又はアンタゴニストをこの様式で同定し、次いで、細胞およびインビボ疾患モデルにて抗癌活性について試験する。生物学的モデルにおける反復試験や、詳細な薬物動態力学的分析及び中毒学的分析を用いたリード化合物の最適化により、薬物開発及び次のヒトでの試験についての基礎を形成する。
【0132】
DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子、酵素、またはそのアゴニストもしくはアンタゴニストは、心血管症状に対する治療効果を有し得る。心血管疾患には、以下の心臓および血管系の障害が含まれる:
うっ血性心不全、心筋梗塞、虚血性心疾患、すべての種類の心房性および心室性不整脈、高血圧血管疾患および末梢血管疾患。
【0133】
心不全とは、心機能の異常性のせいで、心臓が、代謝中の組織の必要に見合う割合で血液をポンプすることができない病態生理学的状態として定義される。これには、ハイアウトプットおよびローアウトプット、急性および慢性、右側または左側、収縮性または弛緩性のようなすべての型のポンプ不全が、原因に関係なく含まれる。
【0134】
心筋梗塞(MI)は一般に、冠血流の突然の減少、その後の、動脈硬化症によってあらかじめ狭小化した冠動脈の血栓性閉塞によって生じる。MI予防(初期および二次的予防)は、MIの急性処置および合併症の予防と同様に包含される。
【0135】
虚血性疾患は、冠流が制限され、酸素に関して心筋の必要量に見合わない灌流を生じる症状である。この群の疾患には、安定狭心症、不安定狭心症および無症候性虚血が含まれる。
【0136】
不整脈には、すべての型の心房性および心室性頻脈性不整脈(心房性頻脈、心房粗動、心房細動、房室リエントラント頻脈、興奮前症候群、心室頻脈、心室粗動、心室細動)、ならびに徐脈性型不整脈が含まれる。
【0137】
高血圧血管疾患には、初期ならびにすべての種類の二次的動脈高血圧(腎、内分泌、神経原性、その他)が含まれる。遺伝子は、高血圧の処置、ならびにすべての合併症の予防に関する薬物標的として用いることができる。
【0138】
末梢血管疾患とは、動脈および/または静脈流が減少し、血液供給と組織酸素要求の間の不均衡が生じる血管疾患として定義される。これには、慢性末梢動脈閉塞疾患(PAOD)、急性動脈血栓症および塞栓症、炎症性血管障害、レイノー現象および静脈障害が含まれる。
【0139】
CNS障害、例えばパーキンソン疾患、皮質基底変性(corticobasal degeneration)、運動ニューロン疾患、痴呆、ALS、多発性硬化症、外傷性脳傷害、外傷後脳傷害、小血管脳血管疾患、脳卒中および脳卒中後後遺症もまた、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼの調節によって処置できる。
【0140】
本発明は、上記のスクリーニング検定によって同定される新規物質の使用にさらに関する。従って、本明細書に記載するように同定される被験化合物を適当な動物モデルに使用することは、本発明の範囲内にある。例えば、本明細書に記載するように同定される物質(例えば、調整物質、アンチセンス核酸分子、特異的な抗体、リボザイム又はDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド結合分子)を、そのような物質を用いた処置の効果、毒性又は副作用を決定するために、動物モデルに用いることがある。あるいは、本明細書に記載するように同定された物質を、該物質の作用機構を決定するために、動物モデルに使用する場合がある。さらに、本発明は、本明細書に記載の処置に対する上記スクリーニング検定によって同定される新規物質の使用に関する。
【0141】
DESC1様セリンプロテアーゼ活性に影響を及ぼす試薬を、DESC1様セリンプロテアーゼ活性を低下させるために、インビトロ又はインビボのいずれかにおいてヒト細胞に投与することができる。試薬は、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子の発現産物と結合することが好ましい。その発現産物がタンパク質である場合、試薬は抗体であることが好ましい。エックスビボにおけるヒト細胞の処置については、抗体を、人体から取り出しておいた幹細胞の調製物に添加することができる。その後、その細胞を、当分野で周知のように、クローン増殖させるか、又はさせずに同じ又は別の人体に移すことができる。
【0142】
1つの態様においては、試薬を、リポソームを用いて送達する。リポソームは、投与した動物中にて、少なくとも約30分間、より好ましくは少なくとも約1時間、さらにより好ましくは少なくとも約24時間安定であることが好ましい。リポソームは、試薬、特にポリヌクレオチドを、動物(例えばヒト)の特定の部位に標的化することができる脂質組成物を含む。リポソームの脂質組成物は、動物の特有の器官、例えば肺、肝臓、脾臓、心臓、脳、リンパ節及び皮膚を標的化できることが好ましい。
【0143】
本発明に有用なリポソームは、標的化した細胞の原形質膜と融合でき、その内容物を細胞に送達できる脂質組成物を含む。好ましくは、リポソームのトランスフェクション効率は約10細胞に送達されるリポソーム16nmol当たりDNA約0.5μgであり、より好ましくは約10細胞に送達されるリポソーム16nmol当たりDNA約1.0μgであり、さらにより好ましくは約10細胞に送達されるリポソーム16nmol当たりDNA約2.0μgである。好ましくは、リポソームは直径が、約100〜500nmであり、より好ましくは約150〜450nmであり、さらにより好ましくは約200〜400nmである。
【0144】
本発明に用いるに適したリポソームは、例えば当業者に知られる遺伝子送達法に標準的に用いられるリポソームを含む。より好ましいリポソームは、ポリカチオン脂質組成物を有するリポソームおよび/またはポリエチレングリコールと連結されたコレステロールバックボーン(骨格鎖)を有するリポソームを含む。あるいは、リポソームは特定の細胞タイプを標的化できる化合物、例えばリポソームの外側表面に曝される細胞特異的リガンドを包含する。
【0145】
リポソームを、試薬、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムと複合化させることは、当分野で標準的な方法 (例えば、米国特許5,705,151を参照のこと) を用いて達成することができる。好ましくは、ポリヌクレオチド約0.1μg〜約10μgをリポソーム約8nmolと複合化する、より好ましくはポリヌクレオチド約0.5μg〜約5μgをリポソーム約8nmolと複合化する、さらにより好ましくはポリヌクレオチド約10μgをリポソーム約8nmolと複合化する。
【0146】
別の態様においては、抗体を、受容体媒介性標的化送達を用いて、インビボにて特定の組織に送達することができる。受容体媒介性DNA送達技術は、例えばFindeisら、Trends in Biotechnol. 11, 202−05 (1993); Chiouら、GENE THERAPEUTICS: METHODS AND APPLICATIONS OF DIRECT GENE TRANSFER (J. A. Wolffら、) (1994); Wu & Wu, J. Biol. Chem. 263, 621−24 (1988); Wuら、J. Biol. Chem. 269, 542−46 (1994); Zenkeら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87, 3655−59 (1990); Wuら、J. Biol. Chem. 266, 338−42 (1991) にて教示されている。
【0147】
治療的有効量の決定
治療的有効量の決定は、充分当業者の能力の範囲内にある。治療的有効量とは、治療的有効量の不在下で起こるDESC1様セリンプロテアーゼ活性に比較してDESC1様セリンプロテアーゼ活性を増大させまたは低下させる活性成分の量を指す。
【0148】
いかなる化合物に関しても、治療的有効量は最初に細胞培養検定で、または動物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌ、またはブタで見積もることができる。動物モデルは適当な濃度範囲および投与経路の決定にも使用できる。次にこのような情報を用いて人間での有用な用量と投与経路を決定できる。
【0149】
治療的有効性および毒性、例えばED50(集団の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%で致死的な用量)は、細胞培養または実験動物における標準的薬学的方法により決定できる。治療効果に対する毒性効果の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50で表すことができる。
【0150】
大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。細胞培養検定および動物研究から得られるデータを、人間への使用のための用量範囲を処方する際に使用する。かかる組成物に含まれる用量は、好ましくは殆どまたは全く毒性を持たないED50を包含する循環濃度の範囲内である。この用量は、使用する用量型、患者の感受性、および投与経路に応じてこの範囲内で変わる。
【0151】
正確な用量は、治療を必要とする対象に関連する因子に照らして医師が決定する。用量および投与は、充分なレベルの活性成分を提供するよう、または所望の効果を維持するよう、調節する。考慮できる因子は、疾病状態の重篤度、対象の全身健康状態、年齢、体重、および対象の性別、食餌、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応の感受性、および療法に対する寛容/応答を包含する。長時間作用性医薬組成物は、その製剤の半減期およびクリアランス率に応じて3から4日毎、毎週、または2週間に1回投与することができる。
【0152】
標準的な用量は投与経路に応じて0.1から100000マイクログラムまで変えることができ、約1gまでの総用量とすることができる。特定の用量および送達方法についての指針は文献に提供されており、一般に当分野の医師が入手できる。当業者は、ヌクレオチド用にはタンパク質またはそれらのインヒビター用のものとは異なる製剤を使用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は特定の細胞、状態、場所などに特異的である。
【0153】
この試薬が一本鎖抗体である場合、この抗体をコードしているポリヌクレオチドを組み立て、トランスフェリン−ポリカチオン−媒介DNA転移、裸のまたはカプセル内核酸を用いるトランスフェクション、リポソームの媒介する細胞融合、DNA被覆ラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、電気穿孔、「遺伝子銃」、およびDEAE−または燐酸カルシウム−媒介トランスフェクションを包含する(但しこれらに限定される訳ではない)充分確立した技術を用いて、ex vivoまたはインビボで細胞内に導入できる。
【0154】
抗体の有効なインビボ用量は、約5μgから約50μg/kg、約50μgから約5mg/kg、約100μgから約500μg/kg(患者の体重)、および約200から約250μg/kg(患者の体重)の範囲である。一本鎖抗体をコードしているポリヌクレオチドの投与のためには、有効なインビボ用量は、約100ngから約200ng、500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg、および約20μgから約100μgのDNAの範囲である。
【0155】
発現産物がmRNAである場合、試薬は好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムを発現するポリヌクレオチドは、上記のように多岐にわたる方法によって細胞中に導入できる。
【0156】
好ましくは、試薬は、DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子の発現またはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの活性を、該試薬の不在時と比較して少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%低下させる。DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子の発現レベルまたはDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの活性を低下させるよう選択した機構の有効性は、当分野で周知の方法、例えばDESC1様セリンプロテアーゼ特異的mRNAへのヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション、定量的RT−PCR、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの免疫学的検出、またはDESC1様セリンプロテアーゼ活性の測定を用いて評価できる。
【0157】
上記のいずれの態様においても、本発明に係る任意の医薬組成物は他の適当な治療薬と組み合わせて投与できる。併用療法に使用するための適当な物質の選択は、常套的製薬原理に従い、当業者により実施することができる。治療薬の組み合わせは、相乗的に働いて、上記の様々な疾患の治療または予防を奏効させる。このアプローチを用いて、より低い各物質の用量で治療効果を達成することができ、したがって有害な副作用の可能性を低減することができる。
【0158】
上記の治療方法のいずれも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、および最も好ましくはヒトといった哺乳動物を包含する、このような治療を必要とする任意の対象に適用することができる。
【0159】
診断方法
ヒトDESC1様セリンプロテアーゼはさらに、この酵素をコードしている核酸配列における突然変異の存在に関連する疾病および異常、または疾病および異常に対する感受性を検出する診断検定に使用できる。例えば、疾患に罹患している個体と正常な個体とにおけるDESC1様セリンプロテアーゼをコードするcDNAまたはゲノム配列の間の差異を決定できる。もし、罹患している個体の幾つかまたは全てに突然変異が観察され、正常な個体で観察されないならば、その突然変異がその疾患の原因物質である可能性がある。
【0160】
レファレンス遺伝子および突然変異を有する遺伝子の間の配列相違は、直接DNA配列決定法によって明らかにできる。加えて、クローニングしたDNAセグメントを、特定のDNAセグメントを検出するためのプローブとして使用できる。この方法の感受性はPCRと組み合わせる時極めて増強される。例えば、二本鎖PCR産物または修飾PCRにより調製された一本鎖テンプレート分子と共に、配列決定プライマーを使用することができる。配列決定は、放射標識したヌクレオチドを用いる常套的方法によって、または蛍光標識を使用する自動配列決定法によって実施する。
【0161】
DNA配列相違に基づく遺伝子試験は、変性させる物質を含むまたは含まないゲル中のDNA断片の電気泳動移動度の変化を検出することにより実施できる。小配列の欠失および挿入は、例えば高分解能ゲル電気泳動によって視覚化できる。異なる配列のDNA断片は変性させるホルムアミド勾配ゲル上で識別でき、ここでは、異なるDNA断片の移動度が、それらの特異的融解温度または部分的融解温度に従って、ゲル中の異なる位置で遅延する(例えば、Myersら、Science 230,1242,1985を参照されたい)。特定の位置での配列改変もまたヌクレアーゼ保護検定、例えばRNアーゼおよびS1保護または化学的開裂法によって明らかにすることができる(例えば、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,4397−4401,1985)。即ち特異的DNA配列の検出は、ハイブリダイゼーション、RNアーゼ保護、化学的開裂、直接DNA配列決定といった方法によって、または制限酵素とゲノムDNAのサザンブロッティングを使用することによって実施できる。ゲル電気泳動およびDNA配列決定のような直接法に加えて、突然変異はin situ分析により検出することもできる。
【0162】
DESC1様セリンプロテアーゼレベルの変化もまた種々の組織で検出できる。血液または組織生検のように、宿主から誘導した身体試料中のタンパク質ポリペプチドのレベルを検出するために用いる検定は、当業者に周知であり、ラジオイムノアッセイ、競合的結合検定、ウェスタンブロット分析、およびELISA検定を包含する。
【0163】
本明細書に引用する全ての特許および特許出願は、引用により特に本明細書の一部とする。上記の内容は本発明を一般的に記載するものである。より完全な理解は以下の具体的実施例を参照することによって得られ、それらの実施例は例示のみの目的で提供するものであり、本発明の範囲を限定する意図は無い。
【0164】
実施例1
DESC1様セリンプロテアーゼ活性の検出
配列番号6のポリヌクレオチドを発現ベクターpCEV4に挿入し、得られた発現ベクターpCEV4−DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをヒト胎児腎293細胞にトランスフェクトする。
【0165】
チオベンジルエステル基質を用いて、米国特許第5,500,344号に記載のように、トランスフェクト細胞の細胞抽出物のプロテアーゼ活性を測定する。顆粒およびカラムフラクション由来の酵素活性をモニターするため、室温で、0.5mM 5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)(Sigma)を用いて検定を行い、HSBzl脱離基を検出(410=13600M−1cm−1)する。
【0166】
さらに、ミクロタイター検定(Green and Shaw, Anal. Biochem. 93, 223−226, 1979)を用いてBLT−エラスターゼ活性を見積もる。簡単には、サンプル50μLを、10mM HEPES、1mM CaCl、1mM MgClからなる1mM DTNB100μL、pH7.2に加える。BLT(Sigma)50μLを加えて、最終濃度500μMにすることによって反応を開始させる。メターゼ(Metase)測定では、0.1M HEPES、0.05M CaCl、pH7.5中のサンプル希釈物50μLを、1mM DTNB100μLに加え、Boc−Ala−Ala−Met−S ベンジル(Bzl)50μLを加え、最終濃度150μMにすることによって反応を開始させる。検定の時間は呈色度合いに応じ、その割合(rate)は Dynatech MR 5000 マイクロプレートリーダーで測定(O.D.410)する。サンプルおよびDTNBのみまたはDTNBおよび基質のみのコントロールを実行する。
【0167】
さらに、ペプチドチオベンジルエステル基質を用いて、プロテアーゼ活性を測定する。キマーゼ基質、Suc−Phe−Leu−Phe−SBzlは BACHEM Bioscience Inc., Philadelphia, Pa から購入する。Z−Arg−SBzl(トリプシン基質、Kam et al., J. Biol. Chem. 262, 3444−3451, 1987);Boc−Ala−Ala−AA−SBzl(AA=Asp、Met、Leu、Nle、またはSer)、およびSuc−Ala−Ala−Met−SBzl(Odake et al., Biochemistry 30, 2217−2227, 1991);Harper et al., Biochemistry 23, 2995−3002, 1984)は以前のように合成する。Boc−Ala−Ala−Asp−SBzlはAspアーゼの基質であり、Met、LeuまたはNleを含有するペプチドチオベンジルエステルはMetアーゼSPの基質である。検定は、0.01M CaClおよび8% MeOを含有する0.1M HEPESバッファー、pH7.5中室温で、0.34mM 4,4’−ジチオジピリジン(Aldrithiol−4, Aldrich Chemical Co., Milwaukee, Wis.)を用いて行い、4,4’−ジチオジピリジンと反応してチオピリドンを放出するHSBzl脱離基を検出する(324=19800M−1cm−1、Grasetti and Murray, Arch. Biochem. Biophys. 119, 41−49, 1967)。バッファー2.0mL、4,4’−ジチオジピリジン 150μL、および基質25μLを含有するキュベットに酵素保存溶液10〜25μLを加えて、Beckman 35 分光光度計を用いて324nmで初期の割合(速度)を測定する。基質のバックグラウンド加水分解の割合(速度)に関して補正するために、同一容量の基質および4,4’−ジチオジピリジンを参照細胞に加える。各基質濃度に関して2回初期割合を測定し、各ケースにおいて平均する。基質濃度は100〜133μMである。配列番号2のポリペプチドのDESC1様活性が示される。
【0168】
実施例2
組換えヒトDESC1様セリンプロテアーゼの発現
ピキア パストリス(Pichia pastoris)発現ベクターpPICZB(Invitrogen, San Diego, CA) を用いて、大量の組換えヒトセリンプロテアーゼDESC1セリンプロテアーゼDESC1ポリペプチドを酵母中に生産させる。DESC1様セリンプロテアーゼコード化DNA配列は配列番号6から誘導する。ベクターpPICZB中に挿入する前に、DNA配列を、その5’端に開始コドン、及び3’端にエンテロキナーゼ開列部位、His6レポータータグや終止コドンを含ませるといった周知の方法によって修飾する。さらに、その両末端に制限エンドヌクレアーゼの認識配列を加え、対応する制限酵素を用いてpPICZBのマルチクローニングサイトを消化した後に、修飾DNA配列をpPICZB中にライゲートする。この発現ベクターは、ピキア パストリスにて酵母プロモーターにより誘導される誘導性発現用に設計する。得られたpPICZ/md−His6ベクターを用いて、酵母を形質転換する。
【0169】
この酵母を、5リッター攪拌フラスコ中で通常の条件下にて培養し、組換え産物タンパク質を、8Mウレアの存在下で親和性クロマトグラフィー(Ni−NTA−樹脂)により培養物から単離する。結合したポリペプチドを、pH3.5の緩衝液を用いて溶出し、中性化する。His6レポータータグからのポリペプチドの分離は、製造元の指示に従い、エンテロキナーゼ(Invitrogen, San Diego, CA)を用いる部位特異的タンパク質分解により行なう。精製ヒトDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを得る。
【0170】
実施例3
DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと結合する被験化合物の同定
グルタチオン−S−トランスフェラーゼタンパク質を含み96ウェル マイクロタイタープレートのグルタチオン誘導化ウェルに吸着させた精製DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを、生理緩衝溶液pH7.0の小分子ライブラリー由来の被験化合物と接触させる。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む。被験化合物は蛍光標識を含む。この試料を5分間〜1時間インキュベートする。コントロール試料は、被験化合物の非存在下にてインキュベートする。
【0171】
被験化合物を含む緩衝液を、ウェルから洗い出す。DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに対する被験化合物の結合を、ウェル内容物の蛍光測定により検出する。被験化合物をインキュベートしていないウェルの蛍光と比較して少なくとも15%ウェルの蛍光を増大させる被験化合物を、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと結合する化合物と同定する。
【0172】
実施例4
DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子発現を低下させる被験化合物の同定
被験化合物を、DESC1様セリンプロテアーゼ発現構築物でトランスフェクトしたヒト細胞培養に投与し、37℃で10〜45分間、インキュベートする。トランスフェクトしていない同じタイプの細胞培養を、被験化合物を加えず、同じ時間インキュベートし、ネガティブコントロールとする。
【0173】
RNAを、Chirgwinら、Biochem. 18, 5294−99,1979に記載のように2つの培養物から単離する。ノーザンブロットを全RNA20〜30μgを用いて調製し、エクスプレスハイブ(Expresshyb)(CLONTECH)中65℃にて、32P−標識化DESC1様セリンプロテアーゼ特異的プローブを用いてハイブリダイズさせる。このプローブは配列番号6の相補物より選ばれる少なくとも11個の連続ヌクレオチドを包含する。被験化合物の非存在下にて得られるシグナルと比較して、DESC1様セリンプロテアーゼ特異的シグナルを低下させる被験化合物を、DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子発現のインヒビターとして同定する。
【0174】
実施例5
DESC1様セリンプロテアーゼ遺伝子産物と特異的に結合する試薬を用いた乳癌の処置
配列番号6の相補物より選択される少なくとも11個の連続ヌクレオチドを含むアンチセンスDESC1様セリンプロテアーゼオリゴヌクレオチドの合成は、ホスホラミダイト手順を用いて、ファルマシア ジーン アセンブリー シリーズ シンセサイザー(Pharmacia Gene Assembler series synthesizer)にて実施する(Uhlmannら、Chem. Rev. 90, 534−83, 1990を参照のこと)。アセンブリーおよび脱保護に続き、オリゴヌクレオチドを2度エタノール沈殿させ、乾燥させ、そしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に所望の濃度に懸濁する。これらのオリゴヌクレオチドの純度は、キャピラリーゲル電気泳動及びイオン交換HPLCにより試験する。オリゴヌクレオチド調製のエンドトキシンレベルは、リムルスアメーバ様検定(Limulus Amebocyte Assay)(Bang, Biol. Bull. (Woods Hole, Mass.) 105, 361−362, 1953) を用いて決定する。
【0175】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、患者の乳癌に直接投与する。患者の乳癌の大きさは減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はEMBL受入れ番号第AF064819号によって同定されるタンパク質のDNA配列(配列番号1)を示す。
【図2】図2はDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図3】図3はEMBL受入れ番号第AF064819号によって同定されるタンパク質のアミノ酸配列(配列番号3)を示す。
【図4】図4はコンセンサス隠れマルコフモデル配列のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図5】図5はEST、EMBL受入れ番号第U77054号のDNA配列(配列番号5)を示す。
【図6】図6はDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドのDNA配列(配列番号6)を示す。
【図7】図7は、ホモログ(H)と称されるEMBL受入れ番号第AF064819号によって同定されるタンパク質(配列番号3)と、クエリー(Q)配列と称されるDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド(配列番号2)のBLASTPアライメントを示す。太字で示される配列はPROSITEデータベースサーチによって同定された。下線の配列はBLOCKSデータベースサーチによって同定された。
【図8】図8は配列番号2のアミノ酸配列に対するPROSITEデータベースサーチの結果を示す。
【図9】図9は配列番号2のアミノ酸配列に対するBLOCKSデータベースサーチの結果を示す。
【図10】図10は、配列番号2の規定の部分およびコンセンサス隠れマルコフモデル配列(配列番号4)間のHMMPFAMアライメントを示す。

Claims (71)

  1. DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、
    a)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも約50%一致するアミノ酸配列;および配列番号2に示すアミノ酸配列から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    b)配列番号6に記載の配列を含むポリヌクレオチド;
    c)(a)および(b)に明記するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;
    d)遺伝コードの縮重のため、その配列が(a)〜(c)に明記するポリヌクレオチド配列から逸脱しているポリヌクレオチド;並びに
    e)(a)〜(d)に明記するポリヌクレオチド配列の断片、誘導体またはアレル変異体を表すポリヌクレオチド、
    から成る群より選択されるポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  3. 請求項2に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  4. 請求項1に記載のポリヌクレオチドによってコードされている、実質上精製されたDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチド。
  5. a)請求項3に記載の宿主細胞を、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドの発現に好適な条件下で培養する工程;および、
    b)該宿主細胞培養からDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを回収する工程、
    を含む、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを産生する方法。
  6. a)請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドを生物試料の核酸材料とハイブリダイズさせ、それによりハイブリダイゼーション複合体を形成させる工程;および、
    b)該ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程、
    を含む、生物試料中のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出するための方法。
  7. ハイブリダイゼーション前に、生物試料の核酸材料を増幅させる、請求項6に記載の方法。
  8. 生物試料を、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたは請求項4に記載のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと特異的に相互作用する試薬と接触させる工程を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたは請求項4に記載のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドを検出するための方法。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の方法を実施するための診断キット。
  10. 被験化合物を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドによってコードされている任意のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと接触させる工程;
    該DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドに対する被験化合物の結合を検出する工程、
    を含むDESC1様セリンプロテアーゼの活性を低下させる物質をスクリーニングする方法であって、該ポリペプチドと結合する被験化合物を、DESC1様セリンプロテアーゼの活性を低下させる可能性のある治療物質として同定する方法。
  11. 被験化合物を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドによってコードされるDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと接触させる工程;および、
    該ポリペプチドのDESC1様セリンプロテアーゼ活性を検出する工程、
    を含むDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、DESC1様セリンプロテアーゼ活性を増大させる被験化合物をDESC1様セリンプロテアーゼの活性を増大させる可能性のある治療物質として同定し、そして該ポリペプチドのDESC1様セリンプロテアーゼ活性を減少させる被験化合物をDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる可能性のある治療物質として同定する方法。
  12. 被験化合物を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドと接触させ、該ポリヌクレオチドに対する被験化合物の結合を検出する工程を含む、DESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる物質をスクリーニングする方法であって、該ポリヌクレオチドに結合する被験化合物をDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる可能性のある治療物質として同定する方法。
  13. 細胞を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドまたは請求項4に記載の任意のDESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドと特異的に結合する試薬と接触させ、それによりDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる工程を含む、DESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる方法。
  14. 請求項10〜12のいずれかに記載の方法によって同定される、DESC1様セリンプロテアーゼポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性を調整する試薬。
  15. 請求項2に記載の発現ベクターまたは請求項14に記載の試薬および製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物。
  16. 疾患においてDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調整する、請求項15に記載の医薬組成物の使用。
  17. 該疾患が、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管、末梢神経系若しくは中枢神経系疾患である、請求項16に記載の使用。
  18. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするcDNA。
  19. 配列番号6を含む、請求項18に記載のcDNA。
  20. 配列番号6から成る、請求項18に記載のcDNA。
  21. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  22. 該ポリヌクレオチドが配列番号6から成る、請求項21に記載の発現ベクター。
  23. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする発現ベクターを含む宿主細胞。
  24. 該ポリヌクレオチドが配列番号6から成る、請求項23に記載の宿主細胞。
  25. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含む精製されたポリペプチド。
  26. 配列番号2に示すアミノ酸配列から成る、請求項25に記載の精製されたポリペプチド。
  27. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む融合タンパク質。
  28. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする発現ベクターを含む宿主細胞を、該ポリペプチドが発現される条件下で培養し;そして該ポリペプチドを単離する工程を含む、該ポリペプチドを産生する方法。
  29. 該発現ベクターが配列番号6を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 配列番号6に記載の11個の連続ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを、生物試料の核酸材料とハイブリダイズさせ、それによりハイブリダイゼーション複合体を形成させ;そして、該ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドのコード配列を検出する方法。
  31. ハイブリダイズさせる工程の前に、該核酸材料を増幅させる工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 配列番号6に記載の11個の連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;および、
    請求項30に記載の方法についての説明書、
    を含む、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドのコード配列を検出するためのキット。
  33. 生物試料を、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異的に結合する試薬と接触させて、試薬−ポリペプチド複合体を形成させる工程;および、
    該試薬−ポリペプチド複合体を検出する工程、
    を含む、該ポリペプチドを検出する方法。
  34. 該試薬が抗体である、請求項33に記載の方法。
  35. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異的に結合する抗体;および
    請求項33に記載の方法についての説明書、
    を含む、該ポリペプチドを検出するためのキット。
  36. 被験化合物を、(1)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも約50%一致するアミノ酸配列、および(2)配列番号2に示すアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させる工程;および
    該ポリペプチドに対する被験化合物の結合を検出する工程、
    を含むヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調整することができる物質をスクリーニングする方法であって、該ポリペプチドに結合する被験化合物をヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調節する可能性のある物質として同定する方法。
  37. 接触させる工程が細胞においてである、請求項36に記載の方法。
  38. 細胞がインビトロである、請求項36に記載の方法。
  39. 接触させる工程が無細胞系においてである、請求項36に記載の方法。
  40. 該ポリペプチドが検出可能な標識を含む、請求項36に記載の方法。
  41. 被験化合物が検出可能な標識を含む、請求項36に記載の方法。
  42. 被験化合物が該ポリペプチドと結合している標識化リガンドに取って代わる、請求項36に記載の方法。
  43. 該ポリペプチドが固体支持体と結合している、請求項36に記載の方法。
  44. 被験化合物が固体支持体と結合している、請求項36に記載の方法。
  45. 被験化合物を、(1)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも約50%一致するアミノ酸配列、および、(2)配列番号2に示すアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させる工程;および
    該ポリペプチドの活性を検出する工程、
    を含むヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調整する物質をスクリーニングする方法であって、該ポリペプチドの活性を増大させる被験化合物をヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を増大させる可能性のある物質として同定し、該ポリペプチドの活性を減少させる被験化合物をヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる可能性のある物質として同定する方法。
  46. 接触させる工程が細胞においてである、請求項45に記載の方法。
  47. 細胞がインビトロである、請求項45に記載の方法。
  48. 接触させる工程が無細胞系においてである、請求項45に記載の方法。
  49. 被験化合物を、配列番号6に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる産物と接触させる工程;および
    該産物に対する被験化合物の結合を検出する工程、
    を含むヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調整する物質をスクリーニングする方法であって、該産物に結合する被験化合物をヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を調節する可能性のある物質として同定する方法。
  50. 該産物がポリペプチドである、請求項49に記載の方法。
  51. 該産物がRNAである、請求項49に記載の方法。
  52. 細胞を、配列番号6に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる産物と特異的に結合する試薬と接触させ、それによりヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる工程を含む、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼの活性を減少させる方法。
  53. 該産物がポリペプチドである、請求項52に記載の方法。
  54. 該産物が抗体である、請求項53に記載の方法。
  55. 該産物がRNAである、請求項52に記載の方法。
  56. 該試薬がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項55に記載の方法。
  57. 該試薬がリボザイムである、請求項56に記載の方法。
  58. 細胞がインビトロである、請求項52に記載の方法。
  59. 細胞がインビボである、請求項52に記載の方法。
  60. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異的に結合する試薬;および製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物。
  61. 該試薬が抗体である、請求項60に記載の医薬組成物。
  62. 配列番号6に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの産物と特異的に結合する試薬;および製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物。
  63. 該試薬がリボザイムである、請求項62に記載の医薬組成物。
  64. 該試薬がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項62に記載の医薬組成物。
  65. 該試薬が抗体である、請求項62に記載の医薬組成物。
  66. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする発現ベクター;および製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物。
  67. 該発現ベクターが配列番号6を含む、請求項66に記載の医薬組成物。
  68. 癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心疾患、末梢神経系若しくは中枢神経系疾患より選択されるDESC1様セリンプロテアーゼ機能障害関連疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、ヒトDESC1様セリンプロテアーゼの機能を調整する試薬の治療的有効量を投与し、それによりDESC1様セリンプロテアーゼ機能障害関連疾患の症状を回復させる工程を含む方法。
  69. 該試薬が請求項36に記載の方法によって同定される、請求項68に記載の方法。
  70. 該試薬が請求項45に記載の方法によって同定される、請求項68に記載の方法。
  71. 該試薬が請求項49に記載の方法によって同定される、請求項68に記載の方法。
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