JP2004503823A - カラーフォトサーモグラフィーシステム中の有機銀塩の混合物 - Google Patents

カラーフォトサーモグラフィーシステム中の有機銀塩の混合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、カラーイメージングのためのブロックされた現像主薬を含むカラーフォトサーモグラフィー系において非感光性の有機銀塩の混合物を使用することに関する。有機銀塩の少なくとも1種は、熱現像の間の主たる銀供与体であり、ハロゲン化銀1モル当たり30,000〜60,000mgの範囲内のレベルで存在する少なくとも1種の他の有機銀塩は当該フォトサーモグラフィー要素の熱現像の間のカブリを有効に抑制する。ある態様において、この系は、少なくとも2種の有機銀塩の混合物を含み、第1の有機銀塩は0.1〜10のcLogP及び7〜14のpKspを示し、第2の有機銀塩は0.1〜10のcLogP及び14〜21のpKspを示す。

Description

【0001】
発明の属する分野
本発明は、フォトサーモグラフィー撮影用フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、好ましくは処理液を添加せずに、熱の適用により現像して画像を生じさせることを意図した写真撮影用フィルムに関する。以後の処理工程は、液体処理を使用してもよい。
【0002】
発明の背景
フォトサーモグラフィーフィルムは、処理液を必要とせず、その代わりに、写真画像の現像に必要な薬剤の全てをその中に含有する。これらのフィルムの薬剤は、良好な生フィルム保存性をもたらすように室温では不活性であるが、高温(120℃を超える)で、フィルムの薬剤が機能的に活性になるように設計される。そのようなフォトサーモグラフィーフィルムを設計する際の問題は、処理中のこれらの高温へのハロゲン化銀粒子の暴露が、カブリの生長と、不十分な又は許容できない画像形成をもたらすことがあることである。
【0003】
従来の系の典型的なカブリ防止剤は、従来型の系で使用されるレベルで含まれる場合に、このカブリを有効に防止できない。例えば、カブリの生成を抑制し、処理液中ではハロゲン化銀結晶の現像を抑制するために、化合物1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾール(PMT)が写真システムで広く使用されている。従来型の写真系でのPMT組み込みの典型的なレベルは、画像形成銀1モル当たり1〜50mgの範囲内である。
【0004】
発色フォトサーモグラフィー系におけるカブリを抑制する必要性が依然としてある。
【0005】
発明の要約
本発明は、ブロックされた現像主薬、カプラー、ハロゲン化銀、及び少なくとも2種の有機銀塩の混合物を含む、少なくとも3つの画像形成層を含んでなるカラーフォトサーモグラフィー要素に関する。ある実施態様において、第1の有機銀配位子は0.1〜10のcLogP及び7〜14のpKspを示し、第2の有機銀配位子は0.1〜10のcLogP及び14〜21のpKspを示す。両方の有機銀塩とも、画像形成ハロゲン化銀1モル当たり5gを超えるレベルで存在する。好ましくは、第1の有機銀塩(銀供与体(第1の有機銀塩の主要な機能である)と呼ぶことがある)は、画像形成ハロゲン化銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルで存在する。好ましくは、第2の有機銀塩(熱カブリ防止剤(第2の有機銀塩の主要な機能である)と呼ぶことがある)は、画像形成ハロゲン化銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルで存在する。これらの範囲は、従来型の写真系で使用されるレベルより、1,000〜3,000,000倍高いオーダーである。
【0006】
本発明のある実施態様において、第2の有機銀塩は、画像形成銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルのメルカプト官能性化合物の銀塩、好ましくはメルカプト複素環式化合物の銀塩であり、第2の有機銀塩は、銀供与体を含む発色フォトサーモグラフィーフィルムの熱処理中のカブリを有効に抑制することができる。
【0007】
本発明に係る第2の有機銀塩の使用は、(a)その使用がない場合では感度の低下を引き起こすことがある、画像形成ハロゲン化銀粒子からの増感色素の脱着を防止すること;(b)その使用がない場合では銀塩の形態にはない高レベルのメルカプト官能性化合物の存在下で発生し得るフィルムコーティングの欠陥、例えば表面粗さを防止すること;及び(c)フォトサーモグラフィー材料の従来型の湿式処理を進行させること、がわかった。第2の有機銀塩は、固体粒子分散体としてフィルム中に存在する傾向がある。
【0008】
すなわち、もし特定量のメルカプト官能性化合物がフォトサーモグラフィー要素中に銀塩の微粒子の分散体の形態で組み込まれた場合に、メルカプト官能性化合物単独の場合のカブリ防止効果と同様のカブリ防止効果が得られることが分かった。さらに、感度がより高く、コーティング表面の粗さが小さい画像形成要素が得られる。すなわち、銀塩の形態では存在しない等量のメルカプト官能性化合物よりも高い写真感度と高いコーティング品質を伴って、カブリ抑制を得ることができる。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、ブロックされた現像主薬、カプラー、ハロゲン化銀、及び少なくとも2種の有機銀塩の混合物を含む少なくとも3つの画像形成層を含んでなり、第1の有機銀配位子が0.1〜10のcLogP及び7〜14のpKspを示し、第2の有機銀配位子が0.1〜10のcLogP及び14〜21のpKspを示すカラーフォトサーモグラフィー要素に関する。両方の有機銀塩とも、乳剤又は画像形成層中にハロゲン化銀1モル当たり5gを超えるレベルで存在する。好ましくは、銀供与体(これは第1の有機銀塩の主要な機能である)と呼ぶことがある第1の有機銀塩は、画像形成銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルで存在する。好ましくは、熱カブリ防止剤(これは第2の有機銀塩の主要な機能である)と呼ぶことがある第2の有機銀塩は、画像形成銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルで存在する。
【0010】
分配係数の対数(logP)は、当該化合物のオクタノール/水の分配平衡を特徴づける。分配係数は実験的に求められる。推定値として、clogP値は、フラグメント加成性の関係式により計算できる。これらの計算は、炭化水素鎖中にメチレン単位を追加する場合には比較的単純であるが、より複雑な構造上の変更を加える場合にはより困難である。専門のコンピュータープログラムであるMEDCHEM(ポモナ・メドケム・ソフトウェア(Pomona Medchem Software),ポモナ・カレッジ(Pomona College),カリフォルニア)(バージョン3.54)により、分子構造入力値からlog値として分配係数clogPの一貫した計算が可能であり、本発明においてこれらの値を第1推定値として計算するために使用した。
【0011】
有機銀塩の活動度溶解度積(activity solubility product)、すなわちpKspは、水への有機銀塩の溶解度に関する1つの尺度である。幾つかの有機銀塩は、ほんの僅かに溶解するだけであり、それらの溶解度積は、例えばThe Theory of the Photographic Process(T.H. James, Macmillan Publishing Co. Inc., New York(第4版, 1977年)の第1章、第7〜10頁に開示されている。有機銀塩の多くは、配位子プロトンがAg+で置換されている。メルカプト化合物から得られる銀塩は、比較的溶解性が低い。化合物PMTは、Z.C.H. Tanら, Anal. Chem., 44, 411 (1972);Z.C.H. Tan, Photogr. Sci. Eng., 19, 17 (1975) で報告されているように、25℃で16.2のpKspを有する。これに対し、例えばベンゾトリアゾールは、C.J., Battaglia, Photogr. Sci. Eng., 14, 275 (1970) で報告されているように、25℃の温度で13.5のpKspを有する。
【0012】
本発明において有機銀供与体は窒素酸(イミン)基の銀塩であり、これは場合により複素環式化合物の環構造の一部であってもよい。銀がカルボン酸部分と会合しているベヘン酸銀又は安息香酸銀等の脂肪族及び芳香族カルボン酸は、有機銀供与体化合物としては、特に除外される。窒素酸部分とカルボン酸部分の両方を有する化合物は、銀イオンが、カルボン酸基ではなく窒素酸に会合している限り、本発明の供与体に含まれる。この供与体は、イオウが銀に過度に強く結合していないならば、メルカプト残基も含む場合があり、好ましくはチオール又はチオン化合物ではない。
【0013】
好ましくはイミノ基を含有する化合物の銀塩を使用することができる。好ましくはこの化合物は複素環式核を含む。典型的な好適な複素環式核としては、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、チアゾリン、イミダゾリン、イミダゾール、ジアゾール、ピリジン及びトリアジンが挙げられる。
【0014】
第1の有機銀塩は、テトラゾールの誘導体であってもよい。具体例としては、1H−テトラゾール、5−エチル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−4’メトキシフェニル−1H−テトラゾール、及び5−4’カルボキシフェニル−1H−テトラゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
第1の有機銀塩は、イミダゾールの誘導体であってもよい。具体例としては、ベンゾイミダゾール、5−メチル−ベンゾイミダゾール、イミダゾール、2−メチル−ベンゾイミダゾール、及び2−メチル−5−ニトロ−ベンゾイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
第1の有機銀塩は、ピラゾールの誘導体であってもよい。具体例としては、ピラゾール、3,4−メチル−ピラゾール、及び3−フェニル−ピラゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
第1の有機銀塩は、トリアゾールの誘導体であってもよい。具体例としては、ベンゾトリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−ベンジルメルカプト−1,2,4−トリアゾール、5,6−ジメチルベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、及び4−ニトロ−6−クロロ−ベンゾトリアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
窒素酸の他の銀塩を使用してもよい。例としては、o−安息香酸スルフィミド、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3A,7−テトラアザインデン、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,2,3,3A,7−ペンタアザインデン、ウラゾール、及び4−ヒドロキシ−5−ブロモ−6−メチル−1,2,3,3A,7−ペンタアザインデンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
有機銀供与体化合物の非常に好適な例としては、上記及び日本国特許公報第30270/69号及び18146/70号にも記載されているベンゾトリアゾール、トリアゾール及びこれらの誘導体の銀塩、例えばベンゾトリアゾール又はメチルベンゾトリアゾールなどの銀塩、ハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、例えば5−クロロベンゾトリアゾールなどの銀塩、1,2,4−トリアゾールの銀塩、3−アミノ−5−メルカプトベンジル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に記載されているような1H−テトラゾールの銀塩が挙げられる。
【0019】
銀塩錯体は、銀イオン化学種(例えば、硝酸銀)の水溶液と、銀と錯化させようとする有機配位子の溶液との混合物により調製してもよい。混合プロセスは、ハロゲン化銀析出法で使用されるものを含む、任意の都合の良い形をとってもよい。銀錯体粒子の凝集を避けるために、安定剤を使用してもよい。安定剤は写真技術分野で有用であることが知られている材料のいずれであってもよく、例えば、限定するわけではないが、ゼラチン、ポリビニルアルコール又はポリマーもしくはモノマー界面活性剤が挙げられる。
【0020】
感光性ハロゲン化銀粒子及び有機銀塩は、現像中にそれらが接触的近傍にあるようにコーティングされる。これらは、隣接する層にコーティングできるが、好ましくはコーティング前に混合される。従来の混合法は、先に引用したResearch Disclosure、第17029項や、米国特許第3,700,458号並びに特開昭50−32928号、第49−13224号、第50−17216号及び第51−42729号に記載されている。
【0021】
本発明の第2の有機銀塩又は熱カブリ防止剤としては、5個又は6個の環原子を含有する複素環核を有するチオール又はチオン置換化合物の銀塩であって、その環原子の少なくとも1つが窒素であり、他の環原子が炭素原子と、酸素、硫黄及び窒素から選択される2つまでのヘテロ原子を含む化合物が具体的に考えられる。典型的な好ましい複素環核としては、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、チアゾリン、イミダゾリン、イミダゾール、ジアゾール、ピリジン及びトリアジンが挙げられる。これらの複素環式化合物の好ましい例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアオゾールの銀塩、5−カルボキシ−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩が挙げられる。
【0022】
第2の有機銀塩は、チオンアミドの誘導体であってもよい。具体例としては、6−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾールの銀塩、2−メルカプト−チアゾールの銀塩、ナフト(1,2−d)チアゾール−2(1H)−チオンの銀塩、4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩、2−チアゾリジンチオンの銀塩、4,5−ジメチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩、4−メチル−5−カルボキシ−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩、及び3−(2−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
好ましくは、第2の有機銀塩はメルカプト−トリアゾールの誘導体である。具体例としては、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩及び3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールの銀塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
非常に好ましくは、第2の有機塩は、メルカプト−テトラゾールの誘導体である。ある好ましい態様において、本発明で有用なメルカプトテトラゾール化合物は、以下の構造で表される:
【0025】
【化2】
Figure 2004503823
【0026】
(式中、nは0又は1であり、Rは、置換又は非置換のアルキル、アラルキル又はアリールからなる群から独立に選択される)。置換基としては、限定するわけではないが、C1〜C6アルキル、ニトロ、ハロゲン等があり、これらの置換基は、銀塩の熱カブリ防止効果に悪影響を与えない。好ましくは、nは1であり、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル又は置換もしくは非置換フェニル基である。具体例としては、限定するわけではないが、1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾールの銀塩、1−(3−アセトアミド)−5−メルカプト−テトラゾールの銀塩、又は1−[3−(2−スルホ)ベンズアミドフェニル]−5−メルカプト−テトラゾールの銀塩が挙げられる。
【0027】
本発明のある態様において、第1の有機銀塩はベンゾトリアゾール又はその誘導体であり、第2の有機銀塩はメルカプト官能性化合物、好ましくはメルカプト−複素環式化合物である。第2の有機銀塩は、画像形成銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルで、銀供与体を含む発色性フォトサーモグラフィーフィルムの熱処理中のカブリを有効に抑制することができる。
【0028】
特に好ましい熱カブリ防止剤は1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾール(PMT)である。これに対して、そのようなレベルのPMTが、従来通り処理することを予定したフィルム系に取り込まれた場合に、フィルムは許容できない感度と画像形成の抑制を示すであろう。しかしながら、フォトサーモグラフィー系では、驚くべきことに、熱カブリ防止剤は、画像形成感度又はDmax形成をほとんど又は全く犠牲にせずにDminの形成を有効に抑制することに成功する。多くの場合に、熱カブリ防止剤の使用によりDmaxの増加が示されることすらあるが、これは従来の系と比較して、まったく予想外の効果である。
【0029】
本発明の銀塩熱カブリ防止剤の使用は、(a)その使用がない場合では感度の低下を引き起こすことがある、画像形成ハロゲン化銀粒子からの増感色素の脱着を防止すること;(b)その使用がない場合では銀塩の形態にはない高レベルのメルカプト官能性化合物の存在下で発生し得るフィルムコーティングの欠陥、例えば表面粗さを防止すること;及び(c)フォトサーモグラフィー材料の従来型の湿式処理を進行させること、がわかった。そのような熱カブリ防止剤は、固体粒子分散体としてフィルム中に存在する傾向がある。
【0030】
例えば、特定量のPMT等を銀PMTの微粒子の分散体の形態でフォトサーモグラフィー要素中に組み込まれた場合、PMT単独の場合と同様のカブリ防止効果が得られることが分かった。さらに、Ag−PMTを用いて作製した要素は、高い感度、小さいコーティング表面粗さ、及び従来型の湿式処理で要素を処理する能力を与える。すなわち、等量のPMTと比較して、より高い写真感度及び高いコーティング品質を伴って、カブリ抑制を得ることができる。
【0031】
理論に拘束されるわけではないが、熱カブリを抑制する有機銀塩は、ハロゲン化銀粒子に吸着されることによって、しかしむしろ熱活性化中に銀供与体から利用可能になる銀イオン又はAg+の濃度を変化させることによって、従来型のカブリ抑制剤として機能しないと考えられる。従って、熱カブリ防止剤は、銀金属を被毒するというよりはハロゲン化物イオンポンプを抑制すると考えられる。熱カブリ防止剤は、銀供与体中の有機化合物よりも水への溶解度が低い(pKspがより高い)ため、熱カブリ防止剤は、銀供与体中の有機化合物より強く銀イオンを抑える。
【0032】
概して、有機銀塩形態の熱カブリ防止剤は、硝酸銀及び他の塩を、PMT等の遊離塩基と混合することにより形成される。アルカリ性塩基によりpHを充分に上げることにより、PMTの銀塩を、典型的には直径20nm以上の球状体で析出させることができる。典型的にはPMTの遊離配位子を、ボールミル粉砕して分散体を形成し、ゼラチンとハロゲン化銀を含む乳剤にpH5〜7で加える。
【0033】
上述のように、本発明の好ましい態様は、熱活性化により分解(すなわち、脱ブロック)して現像主薬を放出するブロックされた現像主薬を使用するドライフォトサーモグラフィープロセスに関する。ドライ処理の態様において、熱活性化は、約80〜180℃の間、好ましくは100〜160℃の間の温度で起こることが好ましい。
【0034】
本明細書において「ドライ熱処理」又は「ドライフォトサーモグラフィー」処理とは、写真要素の像様露光後に、生じた潜像を熱を使用してフォトサーモグラフィー要素又はフィルムの温度を、少なくとも約80℃、好ましくは少なくとも約100℃、さらに好ましくは約120℃〜180℃に上げて、フィルムの液体処理をせずに、好ましくは水溶液を適用せずに実質的にドライなプロセスで、現像することを伴う処理を意味する。実質的にドライな処理とは、フィルムを液体、溶剤又は水溶液で均一に飽和させることを伴わない処理を意味する。すなわち、低容積液体処理を伴うフォトサーモグラフィー処理とは反対に、必要な水の量は、裏層を除く全ての塗布された層を最大限膨潤させるのに必要な量の1倍未満、好ましくは0.4倍未満、より好ましくは0.1倍未満である。熱処理の間、フィルムに液体をまったく必要としないか又は加えないことが非常に好ましい。水溶液の存在下でフィルムにラミネートを密着させる必要は無い。
【0035】
好ましくは熱現像の間、3つの感光性ユニットのそれぞれと反応的に関連する内部に位置するブロックされた現像主薬は、脱ブロックされて現像主薬を生成し、脱ブロックした現像主薬は、現像時に像様に酸化され、この酸化された形態のものが、色素供給カプラーと反応して、色素を生成し、カラー画像を形成する。形成される画像は、ポジ型画像であってもネガ型画像であってもよいが、ネガ型画像が好ましい。
【0036】
フォトサーモグラフィー要素の構成成分は、所望の画像を与える要素の任意の位置に存在することができる。必要に応じて、構成成分の1つ以上が、要素の1つ以上の層に存在していてもよい。例えば、場合によっては、特定の百分率の還元剤、トナー、熱溶媒、安定剤及び/又は他の添加剤を、本発明のフォトサーモグラフィー画像記録層上のオーバーコート層中に含めることが望ましい。これは、場合によっては、要素を構成する層中の特定の添加剤の移行を抑制する。
【0037】
所望の画像を生成させるには、写真組み合わせの成分は、互いに「関連している」ことが必要である。本明細書において「関連している」という用語は、フォトサーモグラフィー要素において、写真ハロゲン化銀と画像形成の組み合わせが、所望の処理を可能にして有用な画像を生成するような位置に互いにあることを意味する。これは、それぞれ異なる層の中に成分が位置することを包含する場合がある。
【0038】
好ましくは、現像処理は、(i)60秒間未満、(ii)120〜180℃の温度で、及び(iii)水溶液を適用せずに、行われる。
【0039】
消費者カメラで一般的に使用されるカラーフォトサーモグラフィーフィルムのドライ熱現像は、これらが、湿式処理液なしで熱の適用により現像されるため、処理の容易さと簡便さにおいて大きな長所を提供する。そのようなフィルムは、本質的にドライなシステムを使用して、キオスクでの現像を特に容易にできる。従って、消費者は像様露光済み写真フィルムを、現像およびプリントのために、場合によっては湿式現像ラボから独立した、幾つかの多様な所在地のどこかに位置するキオスクに持って行き、そこでフィルムを第三者である技師によるどのような操作もなしに現像およびプリントすることができると考えられる。また、そのシステムが乾式で、複雑又は危険な化学物質を添加及び使用しないため、消費者がそのようなフィルム現像装置を家庭で所有し操作することができると考えられる。従って、ドライフォトサーモグラフィーシステムは、さらなる便利さ、利用しやすさ、及びより速い現像速度(消費者が画像を撮影した時点からプリントが消費者の手に渡るまで)、さらには消費者側の代表的な一面では家庭での基本的に「即時的な」現像といった、新しい機会を開くものである。
【0040】
キオスクとは、湿式化学ラボでは必要な技師または他の第三者の介入なしに、像様露光された1本のフィルムを(一定の支払いと引き替えに)1本単位で現像することが可能な自動化された自立型設備を意味する。典型的には、消費者がコンピュータのインターフェースによってフィルム処理および任意選択のプリントの実行を開始し、制御することになる。このようなキオスクは、典型的には、寸法が6m未満、好ましくは約3m以下であるため、いろいろな場所に商業的に移動可能である。そのようなキオスクは、場合に応じて発色現像用のヒーター、カラー画像をデジタル的に記録するためのスキャナー、およびディスプレイ要素にカラー画像を送るための装置を備えることができる。
【0041】
そのようなキオスクが利用しやすくてアクセスしやすいことを前提にして、潜在的にはこのようなフォトサーモグラフフィルムは、第三の当事者の処理装置の関与、多槽設備などを必要とせずに一日の任意の時間に「オンデマンド」でものの数分で現像することができる。このようなフォトサーモグラフ処理は、市場状況の中で高い単位時間処理能力のある設備に見合うものにする大量の処理を必要とせず、潜在的には「必要に応じて」一度に1本であっても行なうことができる。このように考えられるキオスクは、フィルムを加熱してネガカラー画像を現像し、次に現像されたカラー画像に対応するディスプレイ要素を生成するという選択肢を伴って、個々の消費者に応じたフィルムの走査を行なうことができる。有用な走査法と画像操作法の詳細は、本願と同じ出願人により出願された米国特許出願第09/592,836号及び米国特許出願第09/592,816号(いずれも、引用によりその内容が本明細書に含まれていることにする)に開示されている。
【0042】
走査技術分野の進歩を考えると、欧州特許第076201号に開示されているようなフォトサーモグラフィーカラーフィルムを走査することは自然で実際的になっており、これは、銀又はハロゲン化銀をネガから除去する必要無くできるが、そのような走査の特別な調整をすることによりその品質を改良することができる。例えばシモンズ(Simons)の米国特許第5,391,443号を参照されたい。そのようなフィルムを走査する方法は、本願と同じ出願人による米国特許出願第   号(整理番号81246)と米国特許出願第   号(整理番号81247)にも開示されている(これらは、引用によりその内容が本明細書に含まれていることにする)。
【0043】
処理された写真要素中で識別可能なカラー記録がいったん形成されると、各カラー記録の画像情報を取り出し、次にカラー調整した観察可能な画像を生成させるために記録を操作するのに、従来法が使用される。例えば、スペクトルの青、緑及び赤の領域内で、写真要素を連続的に走査するか、又は青、緑及び赤の光を単一の走査ビーム中に組み込み、これを分割して、青、緑及び赤のフィルターに通過させて、各カラー記録について別々の走査ビームを形成させることができる。要素中に他の色が像様に存在する場合に、適当な色の光線が使用される。簡単な方法は、一連の横方向にオフセットした平行走査経路に沿って、1点ずつ写真要素を走査する方法である。受け取った輻射線を電気信号に変換するセンサーは、走査点で要素を通過する光の強度を記録する。最も一般的には、この電子信号をさらに操作して、画像の有用な電子記録を形成する。例えば、電気信号をアナログデジタル変換器に通過させて、画像内の画素(点)位置についての必要な位置情報とともに、デジタルコンピューターに送ることができる。こうして集められた画素の数は、所望の画像品質により決まり、変化する。非常に低解像度の画像は、フィルムフレーム当たり192×128画素の画素数であり、低解像度ではフレーム当たり384×256画素、中解像度ではフレーム当たり768×512画素であり、高解像度では解像度ではフレーム当たり1536×1024画素であり、非常に高解像度では解像度ではフレーム当たり3072×2048画素又はさらにフレーム当たり6144×4096画素又はそれ以上である。より多くの画素数、すなわち高解像度は、画像がよりシャープになり、特に高倍率で見る時に詳細を区別できるため、より高品質の画像に形を変える。これらの画素数は、アスペクト比1.5:1を有する画像フレームに関する。当該技術分野で知られているように、他の画素数及びフレームアスペクト比を使用することができる。最も一般的には、フレーム当たりの画素数の4倍の差は、画質に顕著な差をもたらし、認可用又は試写用に低品質の画像を提示し、最後に客に渡すためにより高品質が望ましい場合は、16倍又は64倍の差が好ましい。デジタル化処理により、これらの走査は、1カラー1画素当たり6ビットから1カラー1画素当たり16ビットの間又はそれ以上のビット深さを有する。ビット深さは、好ましくは、1カラー1画素当たり8ビット〜12ビットである。より大きなビット深さは、優れた階調とカラークオリティーを与えることを可能にするため、より高品質画像に形を変える。
【0044】
電子信号は、画像を、コンピューターモニター表示画像、テレビ画像、光学的、機械的又はデジタル式印刷画像及びディスプレイなど(すべて、当該技術分野で周知である)のような観察可能な型に再構築することを可能にするのに適した電子記録を形成することができる。例えば Richard P. Szajewski、Alan Sowinski及びJohn Buhrの米国特許出願第09/592,816号、標題「AN IMAGE PROCESSING AND MANIPULATION SYSTEM」に記載のように、形成された画像は、保存するか、さらなる操作又は視覚化を可能にするように送ることができる。
【0045】
しかしながら、フォトサーモグラフィー現像済みフィルム中の保持されたハロゲン化銀は、光を散乱し、鮮鋭度を低下させ、フィルムの全濃度を増加させて走査を害することがある。さらに、保持されたハロゲン化銀は、周囲/観察/走査光でプリントアウトされ、非像様濃度をもたらし、原シーンの信号対ノイズを低下させ、濃度をよりいっそう増加させる。最終的に、保持されたハロゲン化銀と有機銀塩は、他のフィルム薬剤と反応的に関連したままとなることができ、フィルムを記録媒体として不適切なものにする。これらの銀供給源の除去又は安定化は、フォトサーモグラフィーフィルムを永久保存状態にするために必要である。
【0046】
さらに、フォトサーモグラフィーフィルムにコーティングされた銀(ハロゲン化銀、銀供与体、及び金属銀)は、生成させる色素像に不要であり、そしてこの銀は価値があり、それを回収することが非常に望ましい。
このように、その後の処理工程において、フィルムの銀含有成分:ハロゲン化銀、1種以上の銀供与体、銀含有熱カブリ抑制剤(存在する場合)、及び/又は金属銀の1つ以上を除去することが望ましい場合がある。3つの主要な供給源は、現像された金属銀、ハロゲン化銀、及び銀供与体である。あるいは、フォトサーモグラフィーフィルム中のハロゲン化銀を安定化することが望ましいことがある。フィルム中の銀及び/又は銀源の全量に基づいて、銀は完全に又は部分的に安定化/除去することができる。
ハロゲン化銀及び銀供与体の除去は、写真技術分野の当業者において知られているように、普通の定着薬剤を用いて達成することができる。有用な薬剤の具体例としては:チオエーテル類、チオウレア類、チオール類、チオン類、チオンアミド類、アミン類、第四級アミン塩、ウレア類、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、重亜硫酸塩、アミンオキシド類、イミノジエタノール−二酸化硫黄付加錯体、両性アミン類、ビス−スルホニルメタン類、並びにこれらの化合物のカルボン酸誘導体及び複素環式誘導体が挙げられる。これらの薬剤は、銀イオンと可溶性錯体を形成し、銀をフィルムから受容ビヒクルの中に移す能力を有する。受容ビヒクルは、別の塗布層(ラミネート)又は常用の液体処理浴であることができる。定着用フィルムとして有用なラミネートは、米国特許出願第09/593,049号に開示されており、引用によりその内容が本明細書に含まれていることにする。写真処理液をラミネートを介してフィルムに適用するための自動システムは、米国特許出願第09/593,097号に開示されている。
ハロゲン化銀及び銀供与体の安定化は、一般的な安定化剤により達成できる。これに、先に述べた銀塩除去作用のある化合物を使用できる。そのような化学物質は、銀イオンと比較的安定で感光性の化合物を形成する能力を有する。安定化する場合に、銀をフィルムから除く必要はないが、定着剤及び安定化剤は非常によいことに単一の薬剤であることができる。安定化された銀の物理的状態は、ハロゲン化銀及び銀供与体の場合のように、大きな(>50nm)粒子ではもはやないので、安定化された状態は、光散乱及び全体的濃度がより低く、走査にとって画像をよりいっそう適切なものとするという利点を有する。
【0047】
金属銀の除去はハロゲン化銀及び銀供与体の除去よりも困難である。一般的に、2つの反応工程を伴う。第1工程は金属銀を銀イオンに漂白することである。第2工程は、ハロゲン化銀及び銀供与体について前述した除去/安定化工程(複数可)と同一であることができる。金属銀はフォトサーモグラフィーフィルムの永久記録安定性を低下させない安定な状態である。従って、フォトサーモグラフィーフィルムの安定化が銀の除去よりも望ましい場合、漂白工程を省略して、金属銀をフィルムの中に残してもよい。金属銀を除去する場合、漂白及び定着工程を一緒に実施(ブリックスと呼ぶ)するか、又は順次的に実施(漂白+定着)することができる。
このプロセスは、1以上のシナリオ又は順序の工程を伴うであろう。工程を次々と実施するか、あるいは時間及び位置に関して工程を遅らせることができる。例えば、加熱現像及び走査を、遠く離れたキオスクにおいて実施し、次いで数日後に小売写真仕上店において漂白と定着を行なうことができる。1つの態様では、画像の走査を複数回実施する。例えば、初期走査を熱処理後に画像のソフト表示において行うか、又はより低いコストのハード表示で行うことができ、次いで安定化後により高い品質又はより高いコストの二次走査を、必要に応じて初期表示からの選択に基づいて、永久記録又はプリントを得るために実施する。
【0048】
例示のために、一般的なドライ熱現像工程を伴うフォトサーモグラフィーフィルムの処理の網羅的でない例を以下に示す:
1. 熱現像→走査→安定化(例えばラミネートを使用)→走査→復帰可能な(returnable)永久記録フィルムを得る。
2. 熱現像→定着浴→水洗→乾燥→走査→復帰可能な永久記録フィルムを得る。
3. 熱現像→走査→漂白定着浴→乾燥→走査→フィルム中の銀の全て又は一部の回収。
4. 熱現像→漂白ラミネート→定着ラミネート→走査→(フィルム中の銀の全て又は一部の回収)。
5. 熱現像→漂白→洗浄→定着→洗浄→乾燥→比較的遅い、質の高い走査。
他のスキームは、当業者には明らかであろう。
【0049】
本発明の方法は、好ましくは、従来の湿式化学現像処理と旧法互換性があるフィルムを使用する。これは、熱処理は、従来のC−41処理(これは、成熟した業界基準として広く利用可能である)ほど(少なくとも最初は)利用しやすくないためである。熱プロセッサー及び関連装置が、消費者によるドライフォトサーモグラフィーフィルムの採用を妨害することがある。例えば、熱プロセッサー又は熱処理のアクセスしやすさは、異なる消費者の地理的位置により、又は同一消費者の異なる時点で異なる。C−41薬剤又は同等物によっても処理できるフォトサーモグラフィーフィルムは、この欠点又は問題を克服する。
【0050】
すなわち、少なくとも商業化の初期には、熱処理が利用できる場合は、熱処理に独特の利点(キオスク処理、環境の低い影響など)を消費者が享受でき、熱処理を利用できない場合は、現在いたるところで利用可能なC−41処理の利点を利用できるように、旧法互換性があるフォトサーモグラフィーフィルムが好ましい。従って、フィルムは、現像のためにフィルムを持ち込む消費者が、上記のいずれかのカラー現像手段を選択できるように設計される。(本発明のある実施態様において、フォトサーモグラフィーフィルム中のブロックされた現像主薬は、脱ブロック化後に、ブロックされていない現像主薬と同じ化合物でもよい)。すなわち、ドライフォトサーモグラフィーシステムは、従来の湿式処理法と旧法互換性があるように製造することができる。
【0051】
熱処理の曲線形状を修飾するが、商業的プロセス(脱ブロック化されない)を抑制しない、他の特定のブロックされた現像抑制剤を含有するフォトサーモグラフィーフィルムは、本願と同じ出願人による米国特許出願第09/746,050号(引用によりその内容が本明細書に含まれていることにする)に開示されている。これは、階調スケールの改良された(ブロックされた現像抑制剤の非像様熱放出による寛容度低下の無いD/logH曲線の制御を含む)旧法互換性フォトサーモグラフィーフィルムを可能にする。繰り返すが、これらのブロックされた抑制剤は、C−41処理などでは放出されない。
【0052】
熱的に処理(ドライ物理的現像方法を含む)され次に走査されるように設計された写真要素は、光学的にプリントされたフィルム要素に対して様々な応答を達成するように設計してもよい。色素画像特性曲線ガンマは、多色写真要素の最低限の許容可能な露光寛容度である少なくとも2.7logEの露光寛容度を達成するように光学的にプリントされたフィルム要素より一般的に小さい。写真撮影者が露光レベルを選ぶ際の誤りに対して十分な余裕を見込めるためで、少なくとも3.0logEの露光寛容度が好ましい。さらに大きな露光寛容度が特に好ましい。なぜなら、露光の誤りがいっそう大きくても正確に画像を再現することができるからである。プリント用のカラーネガ要素の場合、プリントされたシーンの視覚的魅力は、ガンマが著しく低いと失われることが多いが、カラーネガ要素を走査してデジタル色素像記録を生成させる場合に、電子信号情報を調節することによりコントラストを増大させることができる。このため、走査されるフィルムのガンマを、乳剤設計、レイダウン又はカプラーレイダウンにより制御して、当該技術分野で周知の有用な方法の2つの例を与えることが有利である。従来の又は迅速アクセスフィルム(例えば、KODAK C−41)について使用されるような水性現像(化学現像方法)を使用して、フィルム要素も処理されるなら、得られるガンマは、さらに抑制され、小さくなりすぎて有効に走査できず、その結果、写真応答の信号対ノイズは望むものに満たないものとなる。従って、走査の前にいずれかの系(熱又は水性)で処理するようにフィルムを設計することが有利である。ブロックされた抑制剤の作用は、熱現像フィルムのガンマを低下させるのに活性であるが、同じフィルムが水性媒体中で処理される時は、ほんのわずかな作用しか無い。こうして、これらは、各現像プロトコールから走査することができる良好な特性応答を、同様に生成することを助ける。ブロックされた抑制剤は、抑制剤をコントラストコントローラーとして有効にする速度で放出する。水性系(熱的除去ではなく加水分解が抑制剤放出のための化学的方法である)で処理される場合、(a)放出はまだ起きるが、放出される抑制剤は水性系では弱すぎて、ハロゲン化銀を現像することに対して大きな作用を持たないか、(b)現像の時間スケールの中では充分に放出が起きない。ブロックされた抑制剤は疎水性が高過ぎて、溶解度の理由のために、水相に利用できないか、又は加水分解の速度が遅すぎる。
【0053】
フォトサーモグラフィー(PTG)フィルムは、定義上、現像をするのにエネルギーのみを必要とするフィルムである。現像は、銀イオンが金属銀に還元されるプロセスであり、カラーシステムでは、色素が像様に生成する。あらゆるフォトサーモグラフィーフィルムにおいて、熱現像後、コーティング中に銀が保持される。この保持された銀は、いくつかの様々な点で問題がある。
【0054】
本明細書において「従来の種類の湿式化学処理」又は同義の「湿式化学処理」は、像様露光済カラー写真要素を、現像主薬(好ましくはフェニレンジアミン又はその同等物)を含有する溶液中に、攪拌しながら60℃未満の温度(好ましくは30〜45℃)で完全に浸漬して、潜像からカラー画像を形成し、現像液が、ハロゲン化銀乳剤中で色素供給カプラーと反応して色素を形成(酸化後)する脱ブロックされた現像主薬を含む商業的に標準化された方法である。
【0055】
好ましくは湿式化学現像処理は、(i)60〜220秒間、好ましくは150〜200秒間、(ii)発色現像液温度35〜40℃で、及び(iii)10〜20ミリモル/リットルのフェニレンジアミン現像主薬を含有する発色現像液を使用して、行われる。そのような処理(湿式化学処理)は当該技術分野で周知であり、ここに詳細に説明する。本発明の組成物を含む写真要素は、例えば、Research Disclosure II又はT.H. James 編, The Theory of the Photographic Process, 第4版, Macmillan, New York,1977年に記載されているような、多くの周知の処理組成物のうちの任意のものを使用して、多くの周知の写真プロセスのいずれかを使用して、処理できる。現像工程は、特定の時間と温度で、ささいな変更を加えて行なうことができ、この工程パラメータは、許容される画像を与えるのに適するものである。
【0056】
ネガ型要素を湿式化学処理する場合、要素は発色現像主薬(これは、カラーカプラーによりカラー画像色素を生成するもの)で処理し、次に酸化剤と溶剤で処理して、銀とハロゲン化銀を除去する。現像主薬は、後述のフェニレンジアミン型のものである。好適な発色現像主薬は、p−フェニレンジアミン類であり、特に以下のもののいずれかである:
4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、
4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(2−(メタンスルホンアミド)エチルアニリンセスキ硫酸塩水和物、
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩、
4−アミノ−3−β−(メタンスルホンアミド)エチル−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、及び
4−アミノ−N−エチル−N−(2−メトキシエチル)−m−トルイジン ジ−p−トルエンスルホン酸。
【0057】
従来の湿式化学法(例えば、C−41)では、発色現像組成物は、適当な発色現像主薬を適当な溶液中で混合することにより容易に調製することができる。生じる組成物に水を加えて、所望の組成物を得ることができる。適当な塩基、例えば水酸化ナトリウムを用いて、pHを所望の値に調整することができる。湿式化学現像のための発色現像液は、そのような組成物で一般的に使用される種々の他の添加剤(例えば、当業者であれば当然に分かるように、酸化防止剤、塩化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物、アミノカルボン酸等の金属イオン封鎖剤、pHを約9〜約13に維持するための緩衝剤(例えば、炭酸塩、リン酸塩及びホウ酸塩)、保恒剤、現像促進剤、蛍光増白剤、湿潤剤、界面活性剤、及びカプラー)の1つ以上を含む。そのような添加剤の量は当該技術分野でよく知られている。
【0058】
色素像は、色素像生成作用のある還元剤と組み合わせて、不活性な遷移金属イオン錯体酸化剤(Bissonetteの米国特許第3,748,138号、第3,826,652号、第3,862,842号及び第3,989,526号、並びにTravisの米国特許第3,765,891号に例示されている)及び/又は過酸化物酸化剤(Matejecの米国特許第3,674,490号、Research Disclosure,第116巻,1973年12月,第11660項、及びBissonetteのResearch Disclosure,第148巻,1976年8月,第14836項、第14846項及び第14847項に例示されている)を使用する方法により生成又は増幅できる。写真要素は、Dunnらの米国特許第3,822,129号、Bissonetteの米国特許第3,834,907号及び第3,902,905号、Bissonetteらの米国特許第3,847,619号、Mowreyの米国特許第3,904,413号、Hiraiらの米国特許第4,880,725号、Iwanoの米国特許第4,954,425号、Marsdenらの米国特許第4,983,504号、Evansらの米国特許第5,246,822号、Twistの米国特許第5,324,624号、Fysonの欧州特許第0487616号、Tannahillらの国際公開第WO90/13059号、Marsdenらの国際公開第WO90/13061号、Grimseyらの国際公開第WO91/16666号、Fysonの国際公開第WO91/17479号、Marsdenらの国際公開第WO92/01972号、Tannahillの国際公開第WO92/05471号、Hensonの国際公開第WO92/07299号、Twistの国際公開第WO93/01524号及び第WO93/11460号、並びにWingenderらの独国特許第4,211,460号に例示されているような方法により色素画像を形成するのに、特に適合させることができる。
【0059】
従来の湿式化学処理では、現像の後に、銀又はハロゲン化銀を除去するための脱銀(例えば、漂白−定着)を単一又は複数の工程(典型的には、タンクを必要とする)で行ない、洗浄、及び乾燥が続く。湿式化学法での脱銀は、漂白剤又は漂白定着剤の使用を伴うことがある。本発明の漂白剤は、鉄(III)、コバルト(III)、クロム(VI)、及び銅(II)等の多価金属の化合物、過硫酸塩、キノン類、及びニトロ化合物を含む。典型的な漂白剤は、鉄(III)塩(例えば塩化第二鉄、フェリシアニド)、重クロム酸塩、及び鉄(III)とコバルト(III)の有機錯体である。アミノポリカルボン酸と過硫酸塩の多価金属錯体(例えば、第二鉄錯体)は好ましい漂白剤であり、アミノポリカルボン酸の第二鉄錯体は好ましい漂白−定着溶液である。有用な第二鉄錯体の例としては以下の錯体が挙げられる:
ニトリロ三酢酸、
エチレンジアミン四酢酸、
3−プロピレンジアミン四酢酸、
ジエチレントリアミン五酢酸、
エチレンジアミンコハク酸、
オルト−ジアミンシクロヘキサン四酢酸、
エチレングリコールビス(アミノエチルエーテル)四酢酸、
ジアミノプロパノール四酢酸、
N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、
エチルイミノジプロピオン酸、
メチルイミノ二酢酸、
エチルイミノ二酢酸、
シクロヘキサンジアミン四酢酸、
グリコールエーテルジアミン四酢酸、
【0060】
好ましいアミノポリカルボン酸としては、1,3−プロピレンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、及びエチレンジアミン四酢酸が挙げられる。漂白剤は、単独又は2種以上の混合物で使用される;典型的には、有用な量は漂白剤溶液1リットル当たり少なくとも0.02モルであり、漂白剤溶液1リットル当たり少なくとも0.05モルが好ましい。第二鉄キレート漂白剤及び漂白剤−定着剤の例は、独国特許第4,031,757号、米国特許第4,294,914号、第5,250,401号及び第5,250,402号;欧州特許第567,126号、第5,250,401号及び第5,250,402号、並びに米国特許出願第08/128,626号(1993年9月28日出願)に開示されている。
【0061】
典型的な過硫酸塩漂白剤は、Research Disclosure,1989年12月,第308119項(Kenneth Mason Publications, Ltd., Dudley Annex, 12a North Street, Emsworth, Hampshire P010 & DQ, England により発行)(この開示内容は引用により本明細書に含まれていることにする)に記載されている。この刊行物は、以後 Research Disclosure BLと呼ぶ。有用な過硫酸塩漂白剤はまた、Research Disclosure,1997年5月,第15704項;Research Disclosure,1981年8月,第20831項;及び独国特許第3,919,551号に記載されている。過硫酸ナトリウム、カリウム及びアンモニウムが好適であり、経済性と安定性の理由から、過硫酸ナトリウムが最も一般的に使用されている。
【0062】
漂白組成物は、pH2.0〜9.0で使用できる。漂白組成物の好ましいpHは3〜7である。漂白組成物が漂白剤なら、好ましいpHは3〜6である。漂白組成物が漂白剤−定着剤なら、好ましいpHは5〜7である。ある実施態様において、発色現像主薬と漂白活性を有する第1溶液とは、色素生成を妨害することができる少なくとも1つの処理浴又は洗浄(妨害浴)により分離される。この妨害浴は、酸性停止浴(例えば、硫酸又は酢酸);現像主薬酸化体スカベンジャーを含有する浴;又は単純な水浴でもよい。一般に、酸性停止浴が、過硫酸漂白剤とともに使用される。
【0063】
これらの漂白液中の種々の塩と会合するであろう対イオンの例は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びテトラアルキルアンモニウム陽イオンである。アンモニウムイオンが引き起こす水中毒性を避けるために、アルカリ金属陽イオン(特に、ナトリウム及びカリウム陽イオン)を使用することが好ましいであろう。場合によっては、過硫酸塩の溶解度を最大限に高めるために、カリウムよりナトリウムが好ましい。さらに、漂白液は、必要に応じて抗カルシウム剤、例えば1−ヒドロキシエチル−1,1−ジホスホン酸;塩素スカベンジャー、例えば、G.M. Einhaus及びD.S. MillerのResearch Disclosure,1978年,第175巻,第17556項に記載されているもの;及び腐食防止剤、例えば硝酸イオンを含有してもよい。
【0064】
漂白溶液は、漂白組成物中で有用であることが当該技術分野で知られている他の添加剤、例えば金属イオン封鎖剤、亜硫酸塩、アミノポリカルボン酸の非キレート化塩、漂白促進剤、再ハロゲン化剤、ハロゲン化物、及び蛍光増白剤を含有してもよい。さらに水溶性脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、酪酸、マロン酸、コハク酸等)を、任意の有効量で使用してもよい。漂白組成物は、使用漂白溶液、溶液濃縮物又は乾燥粉末として調製してもよい。本発明の漂白組成物は、様々な写真要素を30〜240秒間で適切に漂白することができる。
【0065】
漂白剤は、任意の適合性のある定着液とともに使用される。定着又は漂白定着で使用される定着剤の例は、ハロゲン化銀用の水溶性溶媒、例えば:チオ硫酸塩(例えば、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸アンモニウム);チオシアン酸塩(チオシアン酸ナトリウム及びチオシアン酸アンモニウム);チオエーテル化合物(例えば、エチレンビスチオグリコール酸及び3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール);又はチオ尿素がある。これらの定着剤は、単独で又は組合せて使用することができる。チオ硫酸塩を使用することが好ましい。1リットル当たりの定着剤の濃度は、好ましくは約0.2〜2モルである。定着液のpH範囲は、好ましくは3〜10、さらに好ましくは5〜9である。定着液のpHを調整するために、酸又は塩基(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、重炭酸、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム)を使用できる。
【0066】
定着又は漂白定着液は、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸アンモニウム)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸カリウム)、及びメタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及びメタ重亜硫酸アンモニウム)等の保恒剤を含有してもよい。これらの化合物の含量は、亜硫酸イオンの量として約0〜0.50モル/リットルであり、さらに好ましくは0.02〜0.40モル/リットルである。アスコルビン酸、重亜硫酸カルボニル付加物、又はカルボニル化合物を、保恒剤として使用してもよい。
【0067】
上記の漂白浴及び定着浴は、複数のタンク、向流及び/又は並流タンク構成を含む任意の所望のタンク構成を有することができる。安定剤浴は、一般的に、乾燥前の漂白及び定着された写真要素の最終的な洗浄及び硬膜に使用される。あるいは最終リンスを使用してもよい。発色現像の前に、前硬化浴等の浴を使用するか、又は安定化工程後に洗浄工程が続いてもよい。他の追加の洗浄工程を使用できる。従来の処理法は、Research Disclosure BL,パラグラフXIXに例示されている。
本発明の実施に有用な典型的なカラーネガフィルム構成は、以下の要素SCN−1により例示される:
【0068】
【外1】
Figure 2004503823
【0069】
支持体Sは反射性でも透明でもよいが、透明の方が通常好ましい。支持体は、反射性の場合、白色であり、カラープリント要素に現在用いられているいかなる従来の支持体の形態をとってもよい。支持体が透明の場合、支持体は無色であっても薄い色が付いていてもよく、カラーネガ要素に現在利用されている従来型の支持体、例えば無色又は薄い色を付けたフィルム支持体の形態をとることかできる。支持体の構成についての詳細は、当該技術分野ではよく理解されている。有用な支持体の例は、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリ(エチレンナフタレート)フィルム、ポリカーボネートフィルム及び同類のフィルム及び樹脂状材料、並びに紙、布地、ガラス、金属及び予想される処理条件に耐える他の支持体である。上記要素は、フィルター層、中間層、オーバーコート層、下塗り層、ハレーション防止層などの追加の層を含んでいてもよい。密着性を高めるための下塗り層を含む透明支持体及び反射性支持体の構成が、リサーチ・ディスクロージャーIのセクションXVに開示されている。
【0070】
また、本発明の写真要素は、リサーチ・ディスクロージャー、第34390項、1992年11月に記載されているような磁気記録材料、又は例えば米国特許第4,279,945号及び第4,302,523号に記載されているような透明支持体の下側に磁性粒子を含有している層などの透明な磁気記録層を有用に含んでいてもよい。
【0071】
青、緑及び赤の記録層ユニットBU、GU及びRUは各々、1つ以上の親水性コロイド層から形成され、少なくとも1種の輻射線感受性ハロゲン化銀乳剤と、少なくとも1種の色素画像形成カプラー等のカプラーとを含む。上記緑記録ユニットと赤記録ユニットが、高い記録寛容度及び低い画像粒状度を与えるように少なくとも2つの記録層サブユニットに細分されていることが好ましい。最も簡単な考えられる構成において、前記層ユニット又は層サブユニットは、各々、乳剤とカプラーを含む単一の親水性コロイド層で構成される。層ユニット又は層サブユニット中に存在するカプラーが、乳剤含有層以外の親水性コロイド層にコートされている場合、そのカプラー含有親水性コロイド層は、現像中、酸化された発色現像主薬を乳剤から受容するように配置される。通常、カプラー含有層は、乳剤含有層に隣接する親水性コロイド層である。
【0072】
優れた画像鮮鋭度を確保するとともに製造とカメラでの使用を容易にするため、増感された層のすべてを支持体の同一面上に配置することが好ましい。写真要素は、スプール型の場合、カメラ内で巻き出されると、増感層を支持する支持体の面に当たる前に、露光が増感層の全てに当たるように巻かれている。さらに、要素上に露光により得られた画像についての優れた鮮鋭度を確保するため、支持体上方の層ユニットの全厚みを調節しなければならない。一般的に、支持体の露光面上の増感層、中間層及び保護層の合計厚さは35μm未満である。
【0073】
常用の輻射線感受性ハロゲン化銀乳剤の中から適宜選択した乳剤を、前記層ユニット内に組み込んで、本発明の分光吸収率を生じるように使用できる。少量のヨウ化物を含有する高臭化物乳剤を使用することが、非常に一般的である。より高い処理速度を実現するため、高塩化物乳剤を使ってもよい。輻射線感受性の塩化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、塩臭化銀、臭塩化銀、ヨウ塩臭化銀及びヨウ臭塩化銀の粒子がすべて考えられる。これらの粒子は規則的でも不規則的(例えば平板状)でもよい。平板状粒子乳剤、すなわち平板状粒子が全粒子投影面積の少なくとも50%(好ましくは少なくとも70%、最適には少なくとも90%)を占める乳剤は、粒状度との関係で感度を増大するのに特に有利である。平板状であるとみなされるには、粒子は、その厚みに対するその等価円直径(ECD)の比が少なくとも2である平行な2つの主平面を必要とする。特に好ましい平板状粒子乳剤は、平均アスペクト比が少なくとも5、最適には平均アスペクト比が8より大きい平板状粒子を含む乳剤である。平板状粒子の好ましい平均の厚みは0.3μm未満である(非常に好ましくは0.2μm未満である)。極薄平板状粒子乳剤、すなわち平板状粒子の平均厚みが0.07μm未満の乳剤が具体的に考えられる。この粒子群は、本発明のカラーネガフィルムの形態で、表面現像主薬で処理されるとネガ像を生成するように表面潜像を好ましくは形成する。
【0074】
従来の輻射線感受性ハロゲン化乳剤の具体例は、先に引用したリサーチ・ディスクロージャーIのI. Emulsion grains and their preparationにある。いかなる従来型の形態をとっていてもよい乳剤の化学増感は、セクションIV.Chemical sensitizationで説明されている。化学増感剤として有用な化合物としては、例えば、活性ゼラチン、硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、レニウム、リン又はこれらの組み合わせがある。化学増感は概して、pAgレベル5〜10、pHレベル4〜8及び温度30〜80℃で実施される。いかなる従来型の形態をとっていてもよい分光増感法と増感色素は、セクションV. Spectral sensitization and desensitizationで説明されている。その色素は、ハロゲン化銀粒子と親水性コロイドの乳剤に、その乳剤の写真要素へのコーティングの前(例えば化学増感中又は化学増感後)の任意の時点、又は乳剤のコーティングと同時に添加することができる。これらの色素は、例えば、水溶液若しくはアルコール溶液として、又は固体粒子の分散体として添加されてもよい。また、前記乳剤層は典型的には1種以上のカブリ防止剤又は安定剤を含有しているが、これらの添加剤は、セクションVII. Antifoggants and stabilizersで説明されているような従来型の形態をとることができる。
【0075】
本発明で使用されるハロゲン化銀粒子は、例えば上記リサーチ・ディスクロージャーI及びJames著「The Theory of the Photographic Process」に記載されている方法等の当該技術分野で周知の方法によって製造することができる。これらの方法としては、例えばアンモニア性乳剤製造法、中性又は酸性乳剤製造法及び当該技術分野で周知の他の方法が挙げられる。これらの方法は、一般的に、水溶性銀塩と水溶性のハロゲン化物塩を、保護コロイドの存在下で混合し、析出によるハロゲン化銀の形成の間に、温度、pAg、pHの値などを好適な値に調節することによって行われる。
【0076】
粒子が析出する過程で、1種以上のドーパント(銀とハロゲン化物以外の粒子吸蔵物)を導入して粒子の特性を調節することができる。例えば、リサーチ・ディスクロージャーI,セクションI. Emulsion grains and their preparation、サブセクションG. Grain modifying conditions and adjustments、パラグラフ(3)、(4)及び(5)に開示されている各種の従来のドーパントのいずれが本発明の乳剤中に存在してもよい。さらに、Olm等の米国特許第5,360,712号に教示されているような、1つ以上の有機配位子を含む遷移金属六配位錯体を粒子にドープすることが具体的に考えられる。この特許明細書の開示は、引用によりここに含まれていることにする。
【0077】
引用によりここに含まれていることにするリサーチ・ディスクロージャー、第36736項(1994年11月発行)で考察されているような浅い電子トラップ(以下、SETともいう)を形成することによって画像形成感度を増大することのできるドーパントを、粒子の面心立方結晶格子中に組み込むことが具体的に考えられる。
【0078】
本発明の写真要素は、通例通り、ハロゲン化銀を乳剤の形態で備えている。写真乳剤は、一般的に、乳剤を、写真要素を構成するある層としてコートするためのビヒクルを含む。有用なビヒクルとしては、天然に産出する物質、例えばタンパク質、タンパク質誘導体、セルロース誘導体(例えばセルロースエステル)、ゼラチン(例えば、牛骨若しくは獣皮のゼラチンなどのアルカリ処理ゼラチン、又は豚皮ゼラチンなどの酸処理ゼラチン)、脱イオン化ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えばアセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチンなど)及びリサーチ・ディスクロージャーIに記載されている他のビヒクルがある。親水性で透水性のコロイドも、ビヒクル又はビヒクル増量剤として有用である。これらのものとしては、合成高分子解膠剤、キャリヤー及び/又はバインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリビニルアセタール、アルキルアクリレート及びスルホアルキルアクリレート並びにアルキルメタクリレート及びスルホアルキルメタクリレートのポリマー、加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリビニルピリジン、メタクリルアミド共重合体がある。上記ビヒクルを、写真乳剤において有用な任意の量で、乳剤中に加えることができる。また、乳剤は、写真乳剤に有用であることが知られているいかなる添加剤を含んでもよい。
【0079】
ハロゲン化銀として任意の有用な量の感光性銀を、本発明において有用な要素で使用できるが、その全量が、銀が10g/m未満となる量であることが好ましい。7g/m未満の銀量が好ましく、5g/m未満の銀量がよりいっそう好ましい。銀の量がより少ないほど、写真要素の光学的特性が改善され、その要素を用いてより鮮鋭な写真を生成させることができる。このように銀の量が少ないことは、写真要素の迅速な現像と脱銀を可能にする点でさらに重要である。逆に言えば、引伸しを目的としている写真に対して適切に低い粒状度の状態を維持しながら、少なくとも2.7logEの露光寛容度を実現するには、写真要素の支持体表面積1m当りコートされる銀が少なくとも1.5gであるという銀被覆量が必要である。
【0080】
BUは少なくとも1種のイエロー色素像形成カプラーを含み、GUは少なくとも1種のマゼンタ色素像形成カプラーを含み、そしてRUは少なくとも1種のシアン色素像形成カプラーを含む。従来の色素像形成カプラーのあらゆる都合良い組合せを利用できる。従来の色素像形成カプラーは、上記リサーチ・ディスクロージャーI、X. Dye image formers and modififiers, B. Image−dye−forming couplersに例示されている。本発明の写真要素は、例えば“現像抑制剤放出性”化合物(DIR)等の他の画像調整作用のある化合物をさらに含んでいてもよい。本発明の要素に対して有用なDIRは当該技術分野では周知であり、その例は、米国特許第3,137,578号、第3,148,022号、第3,148,062号、第3,227,554号、第3,384,657号、第3,379,529号、第3,615,506号、第3,617,291号、第3,620,746号、第3,701,783号、第3,733,201号、第4,049,455号、第4,095,984号、第4,126,459号、第4,149,886号、第4,150,228号、第4,211,562号、第4,248,962号、第4,259,437号、第4,362,878号、第4,409,323号、第4,477,563号、第4,782,012号、第4,962,018号、第4,500,634号、第4,579,816号、第4,607,004号、第4,618,571号、第4,678,739号、第4,746,600号、第4,746,601号、第4,791,049号、第4,857,447号、第4,865,959号、第4,880,342号、第4,886,736号、第4,937,179号、第4,946,767号、第4,948,716号、第4,952,485号、第4,956,269号、第4,959,299号、第4,966,835号、第4,985,336号;英国特許出願公開第1,560,240号、第2,007,662号、第2,032,914号、第2,099,167号;独国特許第2,842,063号、第2,937,127号、第3,636,824号、第3,644,416号;欧州特許出願公開第272,573号、第335,319号、第336,411号、第346,899号、第362,870号、第365,252号、第365,346号、第373,382号、第376,212号、第377,463号、第378,236号、第384,670号、第396,486号、第401,612号及び第401,613号に記載されている。
【0081】
DIR化合物は、Photographic Science and Engineering, Vol. 13, p.174 (1969)におけるC. R. Barr, J. R. Thirtle及びP. W. Vittumの論文“Developer−Inhibitor−Releasing (DIR) Couplers for Color Photography”にも開示されている。この開示は、引用によりここに含まれていることにする。
【0082】
単一の色素像形成層ユニット中に、1つ、2つ又は3つの別個の乳剤層をコートすることは通常行われることである。2つ以上の乳剤層を、単一層ユニットにコートする場合、これらの乳剤層はそれらの感度が互いに異なるように典型的には選ばれる。より感度の高い乳剤を、感度のより低い乳剤の上にコートした場合に、これら2つの乳剤をブレンドした場合よりも高い感度が実現される。より感度の低い乳剤を、より感度の高い乳剤の上にコートした場合に、これら2つの乳剤をブレンドした場合よりも高いコントラストが実現される。最高感度乳剤を、露光輻射線源に最も近くなるようにコートし、最低感度乳剤を支持体に最も近くになるようにコートすることが好ましい。
【0083】
本発明の層ユニットの1つ以上は、少なくとも2つ、より好ましくは3つ以上のサブユニット層に細分されていることが好ましい。色記録ユニット内の全ての感光性ハロゲン化銀乳剤が、可視スペクトルの同じ領域に分光感度を有することが好ましい。この態様では、前記ユニットに組み込まれた全てのハロゲン化銀乳剤が、本発明に係る分光吸収率を有するが、それら乳剤間の分光吸収特性の差は小さいと考えられる。さらにいっそう好ましい態様では、より感度の低いハロゲン化乳剤の増感は、低い光量から高い光量の露光量に応じて、写真記録材料による均一な像様スペクトル応答を与えるように、感度の低いハロゲン化銀乳剤の上に存在する層ユニットのより感度の高いハロゲン化銀乳剤の光遮蔽効果を考慮して、特別に設計される。従って、下側にある層の分光感度のオンピーク遮断とブロードニングを考慮して、細分された層ユニットのより感度の低い乳剤中でピーク光吸収分光増感色素の割合が高いことが望ましい。
【0084】
中間層IL1及びIL2は、その主な機能として、色汚染低減機能、すなわち酸化された現像主薬が色素生成カプラーと反応する前に隣接する記録層に移行するのを防止する機能を有する親水性コロイド層である。これらの中間層は、単に、酸化された現像主薬が移動しなければならない拡散経路の長さを長くすることによってある程度有効である。これらの中間層が酸化された現像主薬を遮断する効果を高めるため、酸化された現像主薬を組み込むことが従来実施されている。ステイン防止剤(酸化された現像主薬のスカベンジャー)は、リサーチ・ディスクロージャーI、X. Dye image formers and modifiers, D. Hue modifiers/stabilization、パラグラフ(2)に開示されているものの中から選択することができる。GU及びRU中の1つ以上のハロゲン化銀乳剤が高臭化物乳剤であるために青色光に対して有意な固有感度を有している場合、IL1中に、例えばCarey Lea銀又はイエロー処理液で脱色可能な色素等のイエローフィルターを組み込むことが好ましい。好適なイエローフィルター色素は、リサーチ・ディスクロージャーI、セクションVIII. Absorbing and Scattering materials, B. Absorbing materialsに例示されているものの中から選択することができる。本発明の要素では、マゼンタ色のフィルター材料は、IL2とRUにはない。
【0085】
ハレーション防止層ユニットAHUは、典型的には、処理液で除去可能か又は脱色可能な光吸収性物質、例えば顔料と色素のうちの一方又はそれらの組み合わせを含む。好適な物質は、リサーチ・ディスクロージャーI、セクションVIII. Absorbing materialsに開示されているものの中から選択することができる。AHUの一般的な別の位置は、支持体Sと、その支持体の最も近くにコートされている記録層ユニットとの間である。
【0086】
表面オーバーコートSOCは、取扱い及び処理時にカラーネガ要素を物理的に保護するために設けられる親水性コロイド層である。また、各SOCは、カラーネガ要素の表面又はその表面の近くで非常に有効な添加剤を組み込むのに都合よい場所も提供する。場合によっては、表面オーバーコートは、表面層と中間層に分割され、後者は表面層中の添加剤と隣接する記録層ユニットとの間のスペーサーとして機能する。他の一般的な態様で、表面層と中間層に添加剤が分配され、中間層は隣接する記録層ユニットとの適合性を有する添加剤を含む。非常に一般的には、SOCは、例えば、リサーチ・ディスクロージャーI、セクションIX. Coating physical property modifying addendaに例示されているようなコーティング助剤、可塑剤と滑剤、帯電防止剤及び艶消し剤などの添加剤を含む。乳剤層の上に重なるSOCは、さらに、リサーチ・ディスクロージャーI、セクションVI. UV dyes/optical brighteners/luminescent dyes、パラグラフ(1)に例示されているような紫外線吸収剤を好ましくは含む。
【0087】
要素SCN−1の層ユニット順序の代わりに、別の層ユニット順序を利用することができ、この順序はある種の乳剤を選択する場合に特に魅力的である。高塩化物乳剤及び/又は薄い(平均粒子厚み<0.2μm)平板状粒子乳剤を使用して、BU、GU及びRUの位置の可能な全ての入れ替えは、マイナスブルー記録の青色光汚染のおそれなしに実施することができる。なぜなら、これらの乳剤は、可視スペクトルにおいて無視できる固有感度を示すからである。同じ理由から、青色光吸収剤をこれらの中間層に組み込む必要はない。
【0088】
色素像形成層ユニット中の複数の乳剤層の感度が互いに異なる場合、最高感度を有する層への色素像形成カプラーの組み込みを、銀を基準とした化学量論的量未満に制限することが従来行われている。最高感度乳剤層の機能は、特性曲線の最小濃度のすぐ上方の部分、すなわちその層ユニット中の残りの1つ又は複数の乳剤層の閾値感度より下に露光領域を出じさせることである。この場合、最高感度乳剤層の高い粒状度が生成した色素像記録に加わることが、画像形成感度を犠牲にすることなく最低限に抑えられる。
【0089】
先の考察において、青、緑及び赤の記録層ユニットは、プリントに使用されるカラーネガ要素で従来実施されているように、それぞれ、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像色素形成カプラーを含むものとして説明した。これは、プリントに使用されるカラーネガ要素では慣用的な態様である。本発明は、例示するような従来のカラーネガの構成に適切に適用することができる。カラーリバーサルフィルムの構成は、着色マスキングカプラーが完全に存在しないことを除き、類似の形態をとることができる。典型的な形態で、現像抑制剤放出性カプラーも存在しないことがある。好ましい態様では、本発明のカラーネガ要素は、専ら、3つの別個の電子カラー記録を生成させるために走査することを意図したものである。従って、生成される画像色素の実際の色相は重要でない。各層ユニットで生じる色素像が、残りの層ユニットの各々で生じる色素像と区別できることだけが不可欠である。このような差異を生じさせる性能を提供するには、各層ユニットが、別個のスペクトル領域内に吸収半値幅を有する画像色素を生成するように選択された1種以上の色素像形成カプラーを含むことが考えられる。青、緑若しくは赤の記録層ユニットが、プリントに使用することを意図したカラーネガ要素の場合に一般的であるように、スペクトルの青、緑若しくは赤の領域内に吸収半値幅を有するか、又は近紫外(300〜400nm)から可視へさらに近赤外(700〜1200nm)にわたる範囲のスペクトルの他の都合の良い領域に吸収半値幅を有する、イエロー、マゼンタ又はシアン色素を形成するかどうかは、層ユニット中の画像色素の吸収半値幅が実質的に同一の広がりを持たない波長範囲に広がっている限り重要でない。「実質的に同一の広がりを持たない波長範囲」なる用語は、各画像色素が、別の画像色素の吸収半値幅によって占められていない少なくとも25nm(好ましくは50nm)のスペクトル領域にわたって広がる吸収半値幅を示すことを意味する。画像色素は互いに重ならない吸収半値幅を示すことが理想的である。
【0090】
1つの層ユニットが感度の異なる2つ以上の乳剤層を含む場合、層ユニットのその他の乳剤層の色素像と異なるスペクトル領域に存在する吸収半値幅を示す色素像を層ユニットの各乳剤層において形成することによって、電子記録から再生される観察しようとする画像の画像粒状度を低下させることが可能である。この技術は、感度の異なるサブユニットに層ユニットが分割されている要素に好適である。この技術によって、同じ分光感度の乳剤層により形成される異なる色素像に対応して、複数の電子記録を各層ユニットについて生じさせることができる。最高感度の乳剤層により形成された色素像を走査することによって形成されるデジタル記録を使用して、最小濃度のすぐ上方に位置する観察される色素像の部分を再生する。より高い露光レベルで、第2の電子記録及び場合に応じて第3の電子記録を、残りの1つ又は複数の乳剤層により形成されるスペクトル的に区別される色素像を走査することによって形成できる。これらのデジタル記録はノイズが少ない(粒状度が低い)ので、より感度の低い乳剤層の閾値露光レベルを超える露光範囲で、観察しようとする画像を再生するのに使用できる。粒状度を低下させるためのこの技術は、Suttonの米国特許第5,314,794号に詳しく開示されている。この開示は、引用によりここに含まれていることにする。
【0091】
本発明のカラーネガ要素の各層ユニットは、特性曲線のガンマが1.5より小さい色素像を形成し、少なくとも2.7logEの露光寛容度を得ることを容易にする。多色写真要素の許容可能な最低露光寛容度は、写真使用時に起こる可能性がある最も極端な白色(例えば花嫁の結婚衣装)と最も極端な黒色(例えば花婿のタキシード)を正確に記録することを可能にする露光寛容度である。2.6logEの露光寛容度は、一般的な花嫁と花婿の結婚シーンに適応できる。少なくとも3.0logEの露光寛容度が好ましい。なぜなら、この露光寛容度によって、写真撮影者が露光レベルを選ぶ際の誤りに対して十分な余裕を見込めるためである。さらに大きな露光寛容度が特に好ましい。なぜなら、露光の誤りがいっそう大きくても正確に画像を再現することができるからである。プリント用のカラーネガ要素の場合、プリントされたシーンの視覚的魅力は、ガンマが著しく低いと失われることが多いが、カラーネガ要素を走査してデジタル色素像記録を生成させる場合に、電子信号情報を調節することによりコントラストを増大させることができる。本発明の要素を、反射ビームを使用して走査するとき、そのビームは層ユニットを2回通過する。その結果、濃度変化(ΔD)が2倍になることによってガンマ(ΔD÷ΔlogE)が有効に2倍になる。従って、1.0又はさらに0.6という低いガンマが考えられ、そして約5.0logEまで、又はそれ以上の露光寛容度が実現可能である。約0.55のガンマが好ましい。約0.4〜0.5の間のガンマが特に好ましい。
【0092】
色素生成カプラーを使用する代わりに、多色画像を形成させる際に使用される従来の添加される色素像生成化合物を、青、緑及び赤の記録層ユニットに添加することができる。色素像は、露光量の関数として、色素の選択的分解、生成又は物理的除去によって形成させることができる。例えば銀色素の漂白プロセスは周知であり、添加された画像色素の選択的分解によって色素像を形成させるのに商業的に利用されている。この銀色素漂白プロセスは、リサーチ・ディスクロージャーI、セクションX. Dye image formers and modifiers, A. Silver dye bleachに説明されている。
【0093】
予備形成された画像色素を青、緑及び赤の記録層ユニットに組み込むことができ、そのような組み込まれる色素として、最初、移動性でないが、酸化された現像主薬とのレドックス反応にあずかる機能として移動性部分において色素発色団を放出できる色素を選択できることも周知である。これらの化合物は、一般的にレドックス色素放出剤(RDR)と呼ばれている。放出された移動性色素を洗い落とすことによって、走査可能な保持された色素像が生成する。また、放出された移動性色素を、それらが媒染層中に固定される受容体に転写することもできる。次に、その画像を保持している受容体を走査することができる。受容体は、最初、カラーネガ要素の一体部分である。該要素の一体部分のままの受容体に対して走査を実施する場合、その受容体は、典型的には、透明な支持体、その支持体のすぐ下側の色素像保持媒染層、及びこの媒染層のすぐ下側に白色反射層を有する。色素像の走査を容易にするために前記受容体をカラーネガ要素から剥がす場合、受容体の支持体は、色素像が見えることを意図しているときに通常選択されるように反射性であってもよく、透明であってもよい。透明の場合、色素像の透過走査を行うことができる。RDR及びRDRが組み込まれた色素像転写システムはリサーチ・ディスクロージャー,Vol. 151, 1976年11月,第15162項に記載されている。
【0094】
また、最初、移動性であるが、像様現像の間に固定することのできる化合物によって色素像を提供できることも分かっている。この種の画像形成色素を利用する画像転写システムは、さきに開示された色素像転写システムで長年にわたって使用されている。本発明の実施と適合できるこれらの及びその他の画像転写システムは、リサーチ・ディスクロージャー,Vol. 176,1978年12月,第17643項,XXIII. Image transfer systemsに開示されている。
【0095】
リサーチ・ディスクロージャーI.セクションXIV. Scan facilitating featuresに例示されているように、走査に適応させるためのカラーネガ要素についてのいくつもの変更が示唆されている。本発明の実施化に使用する場合、上記のカラーネガ要素の構成に適合できる範囲のこれらのシステムが考えられる。
【0096】
また、本発明の画像形成要素を非従来型の増感スキームで使用できることも考えられる。例えば、スペクトルの赤、緑及び青領域に対して増感された画像形成層を使用する代わりに、感光性材料が、シーンの輝度を記録するための1つの白感層と、シーンのクロミナンスを記録するための2つの感色性層を有していてもよい。現像後、得られた画像を、米国特許第5,962,205号に記載されているように走査し、デジタル式で再処理し、原シーンの全色を再構築することができる。また、この画像形成要素は、カラー分割露光を伴うパン増感乳剤を含んでいてもよい。この態様では、本発明の現像主薬は、前記分割露光とあいまって、原シーンのカラー値を完全に取り戻すことのできる着色又は中性画像を生成する。そのような要素では、画像は、現像銀の濃度、1種以上の従来のカプラーの組み合わせ又はレゾルシノールカプラー等の「ブラック」カプラーによって形成することができる。分割露光は、適当なフィルターによって逐次行うか又は空間的に離れたフィルター要素からなるシステム(一般的に「カラーフィルターアレイ」と呼ばれている)によって同時に行うことができる。
【0097】
また、本発明の画像形成要素は、例えばパン増感されたハロゲン化銀乳剤と本発明の現像主薬を含む黒白画像形成材料であることもできる。この態様において、画像は、現像銀の処理後の濃度によって、又は中性画像階調スケールを保持するために使用できる色素を生成するカプラーによって形成できる。
【0098】
従来の露光されたカラー写真材料を化学現像した後、従来型のイエロー、マゼンタ及びシアンの画像色素を生成させて、その記録されたシーンの露光量を読み取る場合、それらの濃度を調べることにより写真要素の赤、緑及び青の色記録ユニットの応答を正確に知ることができる。デンシトメトリーは、選択した着色フィルターを使用して、RGB画像色素生成ユニットの像様応答を、比較的独立したチャネルに分離して、試料を透過した光を測定する方法である。光学的プリント用のカラーネガフィルム要素の応答を測定するにはステータスMフィルターを使用し、そして、直接透過観察を意図したカラーリバーサルフィルムにはステータスAフィルターを使用することが一般的である。積分デンシトメトリーにおいて、不完全な画像色素の不要なサイドとテイルの吸収は少量のチャネル混合をもたらし、その場合、例えばマゼンタチャネルの全応答の一部が、中性の特性曲線において、イエロー又はシアンの画像色素の記録又は両方の記録のオフピーク吸収に由来することがある。そのようなアーチファクトはフィルムの分光感度を測定する際には無視できる。積分濃度応答を適当に数学的に処理することによって、これらの不要のオフピーク濃度の寄与は、解析濃度を提供して完全に修正することができ、その場合、所定の色記録の応答は他の画像色素のスペクトル寄与から独立している。解析濃度の測定法は、W. Thomas編のSPSE Handbook of Photographic Science and Engineering、セクション15.3、Color Densitometry、pp.840−848, John Wiley and Sons, New York, 1973に要約されている。
【0099】
露光され次いで処理されたカラーネガフィルム要素を走査して、画像パターンの操作可能な電子記録を得て、次に調節された電子記録を目視可能な形態に再変換することによって画像が得られる場合、画像のノイズを低減することができる。画像の鮮鋭度と彩度とを、他の性能の欠点を避けるか又は最低限に抑えると同時に層のガンマ比を狭い範囲内にあるように設計することによって増大できるが、その場合、色記録は、観察しようとするカラー画像を再生する前に、電子形態にする。プリント時に、又は電子画像記録を操作することによって、残りの画像情報から画像ノイズを分離することは不可能であるが、低ガンマ比のカラーネガフィルム要素によって提供されるような、低ノイズを示す電子画像記録を調節することによって、周知のプリント技術では達成できない方式で、全体的な曲線形状と鮮鋭度の特性を改善することができる。従って、光学的プリント用途に役立つように構成された従来型のカラーネガ要素から同様に得られる電子画像記録より優れた上記カラーネガ要素から得られた電子画像記録から、画像を再形成することができる。上記要素の優れた画像形成特性は、赤、緑及び青の色記録ユニットの各々のガンマ比が1.2未満の場合に得られる。より好ましい態様では、赤、緑及び青光感受性色生成ユニットは各々1.15未満のガンマ比を示す。さらに好ましい態様では、赤及び青光感受性色生成ユニットは各々1.10未満のガンマ比を示す。非常に好ましい態様では、赤、緑及び青光感受性色生成ユニットは各々、1.10未満のガンマ比を示す。全ての場合において、単一又は複数の個々のカラーユニットは、好ましくは1.15未満のガンマ比を示し、より好ましくは1.10未満のガンマ比を示し、そしてさらにいっそう好ましくは1.05未満のガンマ比を示す。これらの層ユニットのガンマ比は必ずしも等しくなくてよい。ガンマ比の値がこのように低いことは、中間層の相互作用(層ユニット間の中間層重層効果としても知られている)のレベルが低いことを示しており、走査と電子処理の後の画像の品質が改善される原因となると考えられる。層ユニット間の化学的相互作用からもたらされる明らかに有害な画像特性を、画像処理中、電子工学的に抑制する必要はない。その相互作用を、周知の電子画像処理スキームを用いて適正に抑制することは、不可能ではないにしても困難な場合が多い。
【0100】
優れた感光性を有する要素が本発明を実施するのに最もよく利用される。これらの要素が、少なくとも約ISO 50の感度を有するのが良く、好ましくは少なくとも約ISO 100の感度、より好ましくは少なくとも約ISO 200の感度を有する。感度がISO 3200まで、又はさらに感度の高い要素が具体的に考えられる。カラーネガ写真要素のスピード又は感度は、処理後、カブリ濃度を超える特定の濃度を得るために必要な露光量に逆比例する。各色記録におけるガンマが約0.65であるカラーネガ要素の写真感度は、the American National Standards Institute (ANSI)によって、ANSI Standard Number PH2.27−1981(ISO(ASA感度))として具体的に定義されており、カラーフィルムの緑感光性でかつ感度が最低の色記録ユニットの各々における最低濃度を0.15超える濃度を生成するのに必要な平均露光レベルに特に関連する。この定義は、International Standard Organization(ISO)のフィルム感度の等級に従っている。本願の目的を達成するため、カラーユニットのガンマが0.65と異なる場合、ASA又はISO感度は、他の決まった方式で感度を決定する前に、ガンマ対logE(露光量)曲線を0.65の値に、線形的に増加又は減少させることによって計算すべきである。
【0101】
また、本発明は、しばしばシングルユースカメラ(又は“レンズ付きフィルム”ユニット)と呼ばれているものに本発明の写真要素を使用することも考えられる。これらのカメラは、その中にフィルムを予め装填して販売され、そして、露光されたフィルムをカメラに入れたまま、カメラ全体が処理業者に戻される。本発明で使用されるこのシングルユースカメラは、当該技術分野で知られているいずれのものでもよい。これらのカメラは、シャッター手段、フィルム巻上げ手段、フィルム前進手段、防水ハウジング、単一若しくは複数のレンズ、レンズ選択手段、可変絞り、焦点レンズ又は焦点距離レンズ、採光条件をモニターする手段、採光条件又は使用者に提供された説明書に基づいてシャッター時間又はレンズ特性を調節する手段、及び使用条件をフィルムに直接記録するカメラの手段等の当該技術分野で周知の特徴を備えることができる。これらの特徴としては、限定するわけではないが、Skarmanの米国特許第4,226,519号に記載されているようなフィルムを手動で又は自動的に前進させ、そしてシャッターをリセットする簡単な機構を備えること;Matterson等の米国特許第4,345,835号に記載されているような自動露光制御装置を備えること;Fujimura等の米国特許第4,766,451号に記載されているような防湿性;Ohmura等の米国特許第4,751,536号に記載されているような内部及び外部のフィルムケーシングを備えること;Taniguchi等の米国特許第4,780,735号に記載されているようなフィルムに使用条件を記録する手段を備えること;Araiの米国特許第4,804,987号に記載されているようなレンズ固定カメラを提供すること;Sasaki等の米国特許第4,827,298号に記載されているような優れたカール防止特性を有するフィルム支持体を用意すること;Ohmura等の米国特許第4,812,863号に記載されているようなファインダーを備えること;Ushiro等の米国特許第4,812,866号に記載されているような規定の焦点距離とレンズスピードを有するレンズを備えること;Nakayama等の米国特許第4,831,398号とOhmura等の米国特許第4,833,495号に記載されているような複数のフィルム容器を備えること;Shibaの米国特許第4,866,469号に記載されているような改良された減摩特性を有するフィルムを用意すること;Mochidaの米国特許4,884,087号に記載されているような巻上げ機構、回転スプール又は弾性スリーブを備えること;Takei等の米国特許第4,890,130号と第5,063,400号に記載されているような軸方向に取り外し可能なフィルムのパトローネ又はカートリッジを備えること;Ohmura等の米国特許第4,896,178号に記載されているような電子フラッシュ手段を備えること;Mochida等の米国特許第4,954,859号に記載されているような露光を行うための外部で動作可能な部品を備えること;Murakamiの米国特許第5,049,908号に記載されているような改良されたスプロケットホールを有するフィルム支持体とそのフィルムを前進させる手段を備えること;Haraの米国特許第5,084,719号に記載されているような内部ミラーを備えること;及びYagi等の欧州特許願第0,466,417Aに記載されているようなしっかり巻き上げられるスプールに使用するのに適したハロゲン化銀乳剤を用意することである。
【0102】
当該技術分野で周知の方法でシングルユースカメラにフィルムを装填できるが、露光時にスラストカートリッジによって巻き取られるようにシングルユースカメラにフィルムを装填することが特に好ましい。スラストカートリッジは、Kataokaの米国特許第5,226,613号、Zanderの米国特許第5,200,777号、Dowling等の米国特許第5,031,852号及びRobertson等の米国特許第4,834,306号に開示されている。このようにスラストカートリッジを利用するのに好適な本体の幅が狭いシングルユースカメラは、Tobioka等の米国特許第5,692,221号に記載されている。
【0103】
カメラは、組み込み処理能、例えば発熱要素を備えていてもよい。それらの使用を含む、画像を捕獲して表示するシステムに使用されるそのようなカメラの設計は、引用によりその開示がここに含まれていることにする1999年9月1日付けで出願された米国特許出願第09/388,573号に開示されている。この特許出願明細書に開示されているようなシングルユースカメラを使用することが、本発明を実施する際に特に好ましい。
【0104】
本発明の写真要素を、リサーチ・ディスクロージャーI、セクションXVIに記載されている技術を含む周知の技術のいずれかを使用して像様露光することが好ましい。これには一般的に、スペクトルの可視領域の光を露光することが含まれ、一般的に、そのような露光はレンズによる実物像の露光であるが、露光は、発光装置(例えば、発光ダイオード、CRTなど)による、記憶された画像(例えばコンピュータが記憶している画像)に対する露光でもよい。また、フォトサーモグラフィー要素は、各種形態のエネルギーによって露光されるが、それらのエネルギーとしては、電磁スペクトルの紫外及び赤外領域、並びに電子ビームとβ線、ガンマ線、X線、α粒子、中性子線及びレーザーが生成する非コヒーレント(ランダム位相)型又はコヒーレント(同位相)型の他の形態の粒子波様放射線エネルギーがある。露光は、写真ハロゲン化銀の分光増感に応じて、単色、整色又は全整色露光である。
【0105】
フォトサーモグラフィー要素は、基本的に写真ハロゲン化銀からなる感光性成分を含む。リサーチ・ディスクロージャー 17029に記載されているタイプのフォトサーモグラフィー要素を引用により本願に援用する。そのフォトサーモグラフィー要素には、リサーチ・ディスクロージャーIに開示されているようにタイプA又はタイプBのものがある。タイプAの要素は、反応的に関連する、感光性ハロゲン化銀、還元剤又は現像主薬、アクチベーター、及びコーティングビヒクル又はバインダーを含む。これらのシステムで、現像は、感光性ハロゲン化銀中の銀イオンが金属銀に還元されることにより起こる。タイプBのシステムは、有機化合物と銀イオンの塩又は錯体に加えて、タイプAのシステムの要素をすべて含むことがある。それらのシステムで、この有機錯体は現像中に還元されて金属銀を生成する。上記有機銀塩は銀供与体と呼ばれる。そのような画像形成要素を記載している文献としては、例えば、米国特許第3,457,075号、第4,459,350号、第4,264,725号及び第4,741,992号がある。タイプBのフォトサーモグラフィー材料では、ハロゲン化銀由来の潜像銀は、処理によって画像を形成する上記組み合わせのための触媒として作用すると考えられる。これらのシステムにおいて、写真ハロゲン化銀の好ましい濃度は、フォトサーモグラフィー材料中の銀供与体1モル当り写真ハロゲン化銀0.01〜100モルの範囲内の濃度である。
【0106】
タイプBのフォトサーモグラフィー要素は、有機銀塩酸化剤を含む酸化−還元画像形成組み合わせを含む。その有機銀塩は、光に対して比較的安定な銀塩であるが、露光された光触媒(すなわち感光性ハロゲン化銀)及び還元剤の存在下で80℃以上に加熱されると、銀画像の形成を促進する。
【0107】
感光性ハロゲン化銀粒子と有機銀塩は、現像中、触媒的近接状態(catalytic proximity)にあるようにコートされる。これらは隣接層にコートされるが、コートに先だって混合されることが好ましい。常用の混合技術は、先に引用したリサーチ・ディスクロージャー、第17029項、並びに米国特許第3,700,458号及び特開昭50−32928号、特開昭49−13224号、特開昭50−17216号及び特開昭51−42729号公報に例示されている。
【0108】
本発明の写真要素に使用できるブロックされた現像主薬の例としては、限定するわけではないが、Reevesの米国特許第3,342,599号;Kenneth Mason Publications, Ltd.(Dudley Annex, 12a North Street, Emsworth, Hampshire P010 7DQ, ENGLAND)により刊行されたResearch Disclosure(129 (1975) pp. 27−30);Hamaoka らの米国特許第4,157,915号;WaxmanとMourningの米国特許第4,060,418号;及び米国特許第5,019,492号に記載されているブロックされた現像主薬がある。特に有用なブロックされた現像主薬は、1999年12月30日付け出願の米国特許願第09/476,234号、IMAGING ELEMENT CONTAINING A BLOCKED PHOTOGRAPHICALLY USEFUL COMPOUND;1999年12月30日付け出願の米国特許願第09/475,691号、IMAGING ELEMENT CONTAINING A BLOCKED PHOTOGRAPHICALLY USEFUL COMPOUND;1999年12月30日付け出願の米国特許願第09/475,703号、IMAGING ELEMENT CONTAINING A BLOCKED PHOTOGRAPHICALLY USEFUL COMPOUND;1999年12月30日付け出願の米国特許願第09/475,690号、IMAGING ELEMENT CONTAINING A BLOCKED PHOTOGRAPHICALLY USEFUL COMPOUND;及び1999年12月30日付け出願の米国特許願第09/476,233号、PHOTOGRAPHIC OR PHOTOTHERMO GRAPHIC ELEMENT CONTAING A BLOCKED PHOTOGRAPHICALLY USEFUL COMPOUNDに記載されているブロックされた現像主薬である。ブロックされた現像主薬のさらなる改良は、米国特許出願第09/710,341号明細書、米国特許出願第09/718,014号明細書、米国特許出願第09/711,769号明細書、米国特許出願第09/711,548号明細書及び米国特許出願第09/710,348号明細書に記載されている。ブロックされた現像主薬及びそれらのフォトサーモグラフィー要素における使用のさらに他の改良は、本願と同日に出願された本願出願人に譲渡された同時係属出願である米国特許出願第09/718,027号明細書及び米国特許出願第09/717,742号明細書に記載されている。
【0109】
本発明の1つの態様において、本発明において有用なブロックされた現像主薬は、下記構造式Iにより表すことができる:
【0110】
【化3】
Figure 2004503823
【0111】
この式中、DEVはハロゲン化銀発色現像主薬であり;
LINK1及びLINK2は連結基であり;
TIMEはタイミング基であり;
lは0又は1であり;
mは0,1又は2であり;
nは0又は1であり;
l+nは1又は2であり;
Bはブロッキング基であるか、又はBは、
【0112】
【化4】
Figure 2004503823
【0113】
(式中、B’は第2の現像主薬DEVもブロックする)
である。
本発明の好ましい態様において、LINK1又はLINK2は下記構造式IIにより表される:
【0114】
【化5】
Figure 2004503823
【0115】
〔式中、Xは炭素又は硫黄を表し;
Yは酸素、硫黄又はN−R (式中、R は置換若しくは未置換アルキル又は置換若しくは未置換アリールである)を表し;
pは1又は2であり;
Zは炭素、酸素又は硫黄を表し;
rは0又は1であり;
但し、Xが炭素の場合にpとrはともに1であり、Xが硫黄の場合にYは酸素であり、pは2であり、rは0であり;
#は、PUG(LINK1の場合)又はTIME(LINK2の場合)に対する結合部位を表し;
$は、TIME(LINK1の場合)又はT(t) 置換炭素(LINK2の場合)に対する結合部位を表す]。
具体的な連結基としては、例えば次のものが挙げられる。
【0116】
【化6】
Figure 2004503823
【0117】
TIMEはタイミング基である。そのような基は当該技術分野で良く知られており、例えば(1)米国特許第5,262,291号に開示されているような芳香族求核置換反応を利用する基;(2)ヘミアセタールの開裂反応を利用する基(米国特許第4,146,396号;特願昭60−249148号及び昭60−249149号);(3)共役系に沿う電子移動反応を利用する基(米国特許第4,409,323号及び第4,421,845号;特願昭57−188035号、特願昭58−98728号、特願昭58−209736号、特願昭58−209738号);及び(4)分子内求核置換反応を利用する基(米国特許第4,248,962号)がある。
具体的なタイミング基は下記式T−1〜T−4で表される。
【0118】
【化7】
Figure 2004503823
【0119】
上記式中、Nuは求核性基であり;
Eは、電子欠乏炭素原子を含有する炭素芳香族環若しくは複素芳香族環を1つ以上含んでなる求電子性基であり;
LINK3は、Nuの求核性部位とE中の電子欠乏炭素原子の間の最短経路に1〜5個の原子を提供する連結基であり;
aは0又は1である。
そのようなタイミング基としては、例えば下記のものがある。
【0120】
【化8】
Figure 2004503823
【0121】
これらのタイミング基は、米国特許第5,262,291号に詳細に記載されている。この米国特許第5,262,291号明細書の記載は引用によりここに含まれていることにする。
【0122】
【化9】
Figure 2004503823
【0123】
上記式中、Vは酸素原子、硫黄原子又は
【0124】
【化10】
Figure 2004503823
【0125】
を表し;
13及びR14は各々水素原子又は置換基を表し;
15は置換基を表し;
bは1又は2を表す。
13とR14が置換基を表す場合のR13とR14の典型例及びR15の典型例としては下記のものがある。
【0126】
【化11】
Figure 2004503823
【0127】
上記式中、R16は脂肪族若しくは芳香族の炭化水素残基又は複素環式基を表し;そしてR17は水素原子、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素残基又は複素環式基を表し;R13,R14及びR15は各々二価の基を表すことがあり、そしてこれらの基のうちの任意の2つが互いに組み合わさって環構造を完成していてもよい。式(T−2)で表される基の具体例を以下に示す。
【0128】
【化12】
Figure 2004503823
【0129】
【化13】
Figure 2004503823
【0130】
【化14】
Figure 2004503823
【0131】
上記式中、Nulは求核性基を表し、酸素原子又は硫黄原子を求核性化学種の例として挙げることができ;E1は、Nulによる求核攻撃を受ける基である求電子性基を表し;そしてLINK4は、分子内求核置換反応が起りうるような立体配置をNulとE1がとることができるようにする連結基を表す。式(T−3)で表される基の具体例を以下に示す。
【0132】
【化15】
Figure 2004503823
【0133】
【化16】
Figure 2004503823
【0134】
【化17】
Figure 2004503823
【0135】
上記式中、V、R13、R14及びbは全て、それぞれ式(T−2)の場合と同じ意味を有する。さらに、R13とR14は連結してベンゼン環若しくは複素環を形成していてもよく、又はVはR13若しくはR14と連結してベンゼン環若しくは複素環を形成していてもよい。Z とZ は各々独立に炭素原子又は窒素原子を表し、そしてxとyは各々0又は1を表す。
タイミング基(T−4)の具体例を以下に示す。
【0136】
【化18】
Figure 2004503823
【0137】
【化19】
Figure 2004503823
【0138】
【化20】
Figure 2004503823
【0139】
本発明において使用するのに好ましいブロックされた現像主薬は下記構造式IIIにより表される。
【0140】
【化21】
Figure 2004503823
【0141】
[式中、DEVは現像主薬であり;
LINKは連結基であり;
TIMEはタイミング基であり;
nは0,1又は2であり;
tは0,1又は2であり、tが2でない場合に、必要な数(2−t個)の水素がこの構造中に存在し;
は四面体(sp混成)炭素であり;
pは0又は1であり;
qは0又は1であり;
wは0又は1であり;
pとqの和は1であり、pが1である場合に、q及びwの両方が0であり、qが1である場合に、wは1であり;
12は水素、又は置換若しくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アリール又は複素環式基であるか、あるいはR12はWと組み合わさって1つの環を形成していてもよく;
Tは、置換若しくは非置換(以下のT基が該当する)のアルキル基、シクロアルキル基、アリール若しくは複素環式基、無機の一価の電子吸引性基、又は少なくとも1個のC1〜C10有機基により(R13基により又はR13基とR14基により)、好ましくは置換若しくは非置換のアルキル若しくはアリール基によりキャップされた無機の二価の電子吸引性基から独立に選ばれるか、又はTはW若しくはR12と組み合わさって1つの環を形成しているか、あるいは2個のT基が組み合わさって1つの環を形成していてもよく;
Tが電子吸引性基(有機又は無機)、1〜7個の電子吸引性基で置換されたアリール基、又は置換若しくは非置換複素芳香族基である場合に、Tは活性化基である。好ましくは、Tは無機の基、例えばハロゲン、−NO、−CN、ハロゲン化アルキル基、例えば−CF、あるいはR13により又はR13とR14によりキャップされた無機の電子吸引性基、例えば−SO13,−OSO13,−NR14(SO13),−CO13,−COR13,−NR14(COR13)等である。特に好ましいT基は、1〜7個の電子吸引性基で置換されたアリール基である。
【0142】
Dは、置換若しくは非置換(以下のD基が該当する)の複素芳香族基若しくはアリール基又は一価の電子吸引性基から選ばれる第1の活性化基であり、ここで、前記複素芳香族基は任意選択的にT又はR12とともに1つの環を形成していてもよい。
【0143】
Xは、第2の活性化基であるとともに二価の電子吸引性基である。X基は、少なくとも1個のW基に結合している酸化された炭素、硫黄又はリン原子を含む。窒素、酸素、硫黄又はリン原子に結合した側基を除き、X基が四面体炭素原子を含まないことが好ましい。X基としては、例えば、−CO−,−SO−,−SOO−,−COO−,−SON(R15)−,−CON(R15)−,−OPO(OR15)−,−PO(OR15)N(R16)−等が挙げられ、X基の主鎖中(C*とWの間の最短の経路内)の原子は水素原子に結合していない。
WはW’又は下記構造式IIIAにより表される基である。
【0144】
【化22】
Figure 2004503823
【0145】
W’は、置換若しくは非置換(下記のW’基が該当する)のアルキル(好ましくは1〜6個の炭素原子を含む)、シクロアルキル(ビシクロアルキルを包含するが、好ましくは4〜6個の炭素原子を含む)、アリール(例えばフェニル又はナフチル)又は複素環式基から独立に選ばれ、ここでW’はT又はR12と組み合わさって1つの環を形成していてもよく(構造式IIIAの場合に、W’は少なくとも1つの置換基、すなわち構造式IIIAにおけるW’基の右側の部分を含み、その置換基は定義上では活性化作用があり、X又はDを含む);
【0146】
Wが構造式IIIAにより表される場合、又はW’が1個以上の電子吸引性基で置換されたアルキル若しくはシクロアルキル基であるか、1〜7個の電子吸引性基で置換されたアリール基であるか、置換若しくは非置換の複素芳香族基であるか、又は1個以上の電子吸引性基で置換されている場合の非芳香族複素環であるときには、Wは活性化基である。Wが電子吸引性基で置換されている場合に、その置換基が無機の基、例えばハロゲン、−NO若しくは−CN、又はハロゲン化アルキル基、例えば−CF、あるいはR13により(又はR13とR14により)キャップされた無機の基、例えば−SO13,−OSO13,−NR13(SO14),−CO13,−COR13,−NR13(COR14)等であることがより好ましい。
【0147】
13,R14,R15及びR16は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、置換又は非置換のアルキル、アリール又は複素環式基から独立に選ばれるものであることができ、より好ましくはフェニル又はC1〜C6アルキル基である。
【0148】
12と、Tと、D若しくはWとからなる組のうちの任意の少なくとも2つ(直接結合していない)は、環の生成がブロッキング基の機能を阻害しないことを条件として、環を形成するように連結していてもよい。
現像主薬として有用な具体的な現像主薬には、以下のものがある。
【0149】
【化23】
Figure 2004503823
【0150】
上記式中、R20は水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
21は水素又はアルキルであり;
22は水素、アルキル、アルコキシ又はアルケンジオキシであり;
23、R24、R25、R26及びR27は水素、アルキル、ヒドロキシアルキル又はスルホアルキルである。
【0151】
より好ましくは、本発明において使用されるブロックされた現像主薬は、上記構造式Iの範囲の中に含まれるが、より狭義の下記構造式IIIB:
【0152】
【化24】
Figure 2004503823
【0153】
[式中、ZはOH又はNRであり、ここでR及びRは独立に水素又は置換若しくは非置換のアルキル基であるか、又はRとRが連結して環を形成しており;
,R,R及びRは独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、カルボンアミド、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド若しくはアルキルであるか、又はRがR若しくはRと及び/又はRがR若しくはRと連結して環を形成していてもよく;
WはW’であるか、又は下記構造式IIIC:
【0154】
【化25】
Figure 2004503823
【0155】
(式中、T,t,C*,R12,D,p,X,q,W’及びwは先に定義した通りである)により表される基であり、好ましい基に限定されない]
により表される。
【0156】
繰り返すが、本発明は、構造式III又はIIICに従うブロックされた現像主薬を含むフォトサーモグラフィー要素を含み、このブロックされた現像主薬は20分間以下の半減期(t1/2)(以下のように求められる)を有する。
【0157】
複素芳香族基又は置換基を参照する場合、複素芳香族基は、好ましくは、N、O、S又はSe等の1個以上のヘテロ原子を含有する5員又は6員環である。好ましくは、複素芳香族基は、置換若しくは未置換の、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピコリニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナルジニル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアトリアゾリル、チアゾリル、チエニル及びトリアゾリル基がある。特に好ましいものは、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−オキサゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ピリジル、2−キノリニル、1−イソキノリニル、2−ピロリル、2−インドリル、2−チオフェニル、2−ベンゾチオフェニル、2−フリル、2−ベンゾフリル、2−、4−若しくは5−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−、4−若しくは5−ピラゾリル、3−インダゾリル、2−及び3−チエニル、2−(1,3,4−トリアゾリル)、4−若しくは5−(1,2,3−トリアゾリル)、5−(1,2,3,4−テトラゾリル)である。複素環式基は、さらに置換されていてもよい。好ましい置換基は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル及びアルコキシ基である。
【0158】
本明細書において、特定の部分又は基に言及した場合、「置換又は非置換」とは、その部分が非置換であっても、1つ以上の置換基(最大限可能な数までの置換基)で置換されていてもよいこと、例えば置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ベンゼン(5個までの置換基を有する)、置換又は非置換複素芳香族(5個までの置換基を有する)及び置換又は非置換複素環式(5個までの置換基を有する)を意味する。一般的に、特に断らない限り、本願発明において分子に対して利用可能な置換基には、置換又は非置換体にかかわらず、写真有用性に必要な特性を損なわないいかなる基も包含される。上記の基についての置換基の例としては周知の置換基があり、例えば、ハロゲン、例えばクロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード;アルコキシ、特に“低級アルコキシ”(すなわち1〜6個の炭素原子を含有)、例えばメトキシ、エトキシ;置換又は非置換アルキル、特に低級アルキル(例えばメチル、トリフルオロメチル);チオアルキル(例えばメチルチオ又はエチルチオ)、特に1〜6個の炭素原子を有するもの;置換及び非置換アリール、特に6〜20個の炭素原子を有するもの(例えばフェニル);及び置換又は非置換ヘテロアリール、特に、N、O又はSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5員又は6員環を有するもの(例えばピリジル、チエニル、フリル、ピロリル);以下に述べるもののような酸基又は酸塩の基;及び当該技術分野で周知の他の基がある。アルキル置換基としては、具体的には、「低級アルキル」(すなわち1〜6個の炭素原子を有するもの)、例えばメチル、エチルなどが挙げられる。シクロアルキレンとしては、適切な場合に、ビシクロアルキルが挙げられる。さらに、アルキル基又はアルキレン基については、分岐、非分岐又は環式であってもよいと解される。
本発明において使用する写真的に有用なブロックされた現像主薬の幾つかの例を以下に示す。
【0159】
【化26】
Figure 2004503823
【0160】
【化27】
Figure 2004503823
【0161】
【化28】
Figure 2004503823
【0162】
【化29】
Figure 2004503823
【0163】
【化30】
Figure 2004503823
【0164】
【化31】
Figure 2004503823
【0165】
【化32】
Figure 2004503823
【0166】
【化33】
Figure 2004503823
【0167】
【化34】
Figure 2004503823
【0168】
【化35】
Figure 2004503823
【0169】
【化36】
Figure 2004503823
【0170】
【化37】
Figure 2004503823
【0171】
【化38】
Figure 2004503823
【0172】
【化39】
Figure 2004503823
【0173】
ブロックされた現像主薬は、画像形成要素を構成する画像形成層の1つ以上に組み込まれることが好ましい。使用されるブロックされた現像主薬の量は、それが添加される各層において、好ましくは0.01〜5g/m、より好ましくは0.1〜2g/m、非常に好ましくは0.3〜2g/mである。それらは、要素の色形成層であっても非色形成層であってもよい。ブロックされた現像主薬は、処理中に写真要素に接触する別個の要素中に含まれていてもよい。
【0174】
画像形成要素の像様露光後、ブロックされた現像主薬は、処理液中の酸又は塩基の存在により、画像形成要素の処理の間に活性化され、画像形成要素の処理の間に画像形成要素を加熱することにより活性化され、及び/又は画像形成要素を、処理の間に、ラミネートシートなどの別のシートに接触させることにより、活性化される。上記ラミネートシートは、例えばリサーチ・ディスクロージャー、1996年9月389号、第38957項(以後「リサーチ・ディスクロージャーI」と呼ぶ)のセクションXIX及びXX に開示されている補足的な処理用化学薬剤を任意に含有する。本願で引用するセクション(section)はすべて、特にことわらない限り、リサーチ・ディスクロージャーIのセクションである。このような化学薬剤としては、例えば、亜硫酸塩類、ヒドロキシルアミン、ヒドロキサム酸類など;カブリ防止剤、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、窒素含有複素環式化合物など;金属イオン封鎖剤、例えば有機酸類;並びにその他の添加剤、例えば緩衝剤、スルホン化ポリスチレン、ステイン低減剤、殺生物剤、脱銀剤、安定剤などが挙げられる。
【0175】
ブロックされた現像主薬に加えて還元剤を含めてもよい。有機銀塩用の還元剤は、銀イオンを還元して金属銀にすることができるいかなる物質であってもよく、有機物質が好ましい。従来の写真現像主薬、例えば3−ピラゾリジノン類、ヒドロキノン類、p−アミノフェノール類、p−フェニレンジアミン類及びカテコールが有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、好ましくはフォトサーモグラフ層の5〜25%の範囲内の濃度で存在することが好ましい。
【0176】
ドライシルバーシステムにおいて様々な還元剤が開示されている。その還元剤としては、アミドキシム類、例えばフェニルアミドキシム、2−チエニルアミドキシム及びp−フェノキシ−フェニルアミドキシム;アジン類(例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジン);脂肪族カルボン酸アリールヒドラジド類とアスコルビン酸の組み合わせ、例えばアスコルビン酸と組み合わせた2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジド;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミン、レダクトン及び/又はヒドラジンの組み合わせ、例えばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトン又はホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組み合わせ;ヒドロキサム酸類、例えばフェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニル−ヒドロキサム酸及びo−アラニンヒドロキサム酸;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ、例えばフェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールの組み合わせ;α−シアノ−フェニル酢酸誘導体、例えばα−シアノ−2−メチルフェニル酢酸エチル、α−シアノ−フェニル酢酸エチル;ビス−β−ナフトール類、例えば2,2’−ジヒドロキシル−1−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル及びビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン;ビス−o−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン又は2,4−ジヒドロキシアセトフェノン)の組み合わせ;5−ピラゾロン類、例えば3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン;レダクトン類、例えばジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン及びアンヒドロジヒドロ−ピペリドン−ヘキソースレダクトン;スルファミドフェノール還元剤、例えば2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール及びp−ベンゼンスルホンアミドフェノール;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;クロマン類、例えば、2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン;1,4−ジヒドロピリジン類、例えば2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルベトキシ−1,4−ジヒドロピリデン;ビスフェノール類、例えばビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−メタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン;4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール);及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;アスコルビン酸誘導体、例えば1−アスコルビル−パルミテート、アスコルビルステアレート、及びベンジルとジアセチルのような不飽和のアルデヒド類とケトン類;ピラゾリジン−3−オン類;並びに特定のインダン−1,3−ジオン類である。
【0177】
フォトサーモグラフィー要素の有機還元剤の最適濃度は、個々のフォトサーモグラフィー要素、所望の画像、処理条件、個々の有機銀塩及び個々の酸化剤に応じて変わる。
【0178】
フォトサーモグラフィー要素は熱溶媒(thermal solvent)を含有していてもよい。有用な熱溶媒としては、例えばサリチルアニリド、フタルイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−カリウム−フタルイミド、スクシンイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド、フタラジン、1−(2H)−フタラジノン、2−アセチルフタラジノン、ベンズアニリド、及びベンゼンスルホンアミドがある。従来技術の熱溶媒は、例えば米国特許第6,013,420号(Windender)明細書に記載されている。トーニング剤及びトーニング剤の組み合わせの例は、例えば、リサーチディスクロージャー、1978年6月、第17029項及び米国特許第4,123,282号に述べられている。
【0179】
ポストプロセッシング画像安定剤と潜像保持安定剤はフォトサーモグラフィー要素において有用である。フォトサーモグラフィーの技術分野で周知の安定剤はいずれも、上記フォトサーモグラフィー要素に対して有用である。有用な安定剤の具体例としては、例えば米国特許第4,459,350号に記載されているような光分解活性な安定剤と安定剤前駆体がある。有用な安定剤の他の例としては、米国特許第3,877,940号に記載されているようなアゾールチオエーテル類と保護されたアゾリンチオン安定剤前駆体とカルバモイル安定剤前駆体がある。
【0180】
本発明のフォトサーモグラフィー要素は、単独又は組み合わせの様々なコロイド及びポリマーを、ビヒクル及びバインダーとして各種の層に好ましくは含む。有用な材料は親水性又は疎水性である。これらの材料は透明又は半透明であり、これらの材料としては、天然に産出する物質、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、セルロース誘導体、デキストランなどの多糖類、アラビアゴムなど、並びに合成高分子物質、例えばポリ(ビニルピロリドン)とアクリルアミドポリマーなどの水溶性ポリビニル化合物がある。有用な他の合成高分子化合物としては、例えばラテックス形態にある分散されたビニル化合物が挙げられ、特に写真要素の寸法安定性を増大するものが挙げられる。有効なポリマーとしては、アクリレート類、例えばアルキルアクリレート類、及びメタクリレート類、アクリル酸、スルホアクリレート類の水に不溶性のポリマー及び架橋部位を有するものがある。好ましい高分子量の物質及び樹脂としては、ポリ(ビニルブチラール)、酢酪酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン)、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、塩素化ゴム、ポリイソブチレン、ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニリデンと酢酸ビニルの共重合体、ポリ(ビニルアルコール)及びポリカーボネートがある。コーティングを有機溶剤を使用して調製する場合、有機の可溶性樹脂をコーティング配合物中に直接混合してコートすることができる。水溶液からコーティングを行う場合、任意の有用な有機の可溶性物質をラテックス又はその他の微粒子分散体として加えることができる。
【0181】
先に述べたフォトサーモグラフィー要素は、有用な画像の形成を促進することが知られている添加剤を含有していてもよい。フォトサーモグラフィー要素は、リサーチ・ディスクロージャー,1978年12月,第17643項とリサーチ・ディスクロージャー,1978年6月、第17029項に記載されているような、感度増大化合物として機能する現像調節剤、増感色素、硬膜剤、帯電防止剤、可塑剤及び滑剤、コーティング助剤、蛍光増白剤、吸収性色素及びフィルター色素を含んでいてもよい。
【0182】
フォトサーモグラフィー要素の諸層は、写真技術分野で知られているコーティング法、例えば、ディップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティング、又はホッパーを使用する押出コーティングによって支持体上にコートされる。必要に応じて、2つ以上の層が同時にコートされる。
【0183】
先に述べたフォトサーモグラフィー要素は、そのフォトサーモグラフィー要素を安定化するのに役立つ熱安定剤を、露光と処理に先立って含むことが好ましい。このような熱安定剤は、貯蔵中のフォトサーモグラフィー要素の安定性を改善する。好ましい熱安定剤は、2−ブロモ−2−アリールスルホニルアセトアミド類、例えば2−ブロモ−2−p−トリルスルホニルアセトアミド;2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾール;及び6−置換−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン類、例えば6−メチル若しくは6−フェニル−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンである。
【0184】
像様露光は、フォトサーモグラフィー要素に現像可能な潜像を生成するのに十分な時間と強度で行うことが好ましい。
フォトサーモグラフィー要素の像様露光を行った後、得られた潜像は各種の方法で現像することができる。要素全体を熱処理温度まで加熱する方法が最も簡便である。この全体加熱は、単に、フォトサーモグラフィー要素を、現像画像が形成されるまで、例えば約0.5秒間〜約60秒間、約90℃〜約180℃の範囲内の温度に加熱するだけである。その熱処理温度を上げる又は下げることによって、処理時間を短くしたり長くすることは有用である。好ましい熱処理温度は、約100℃〜約160℃の範囲内の温度である。フォトサーモグラフィー技術分野で知られている加熱手段は、露光されたフォトサーモグラフィー要素に、望ましい処理温度を提供するのに有用である。加熱手段は、例えば、簡便なホットプレート、アイロン、ローラー、加熱ドラム、マイクロ波加熱手段、熱風、蒸気などである。
【0185】
フォトサーモグラフィー要素用のプロセッサーの設計を、フォトサーモグラフィー要素の貯蔵と使用に利用されるカセット又はカートリッジの設計とリンクさせることが考えられる。さらに、フィルム又はカートリッジに記憶されているデータを使用して、要素の処理条件又は走査を変更することができる。画像形成システムにおいてこれらの工程を達成する方法は、譲受人が本願と同じで同時係属中の1998年12月7日付で出願された米国特許出願第09/206,586号、第09/206,612号及び第09/206,583号に開示されている。これらの開示は、引用によりここに含まれていることにする。処理、走査及び画像ディスプレイを調節するため使用できる情報を要素に書き込むためにプロセッサーを使用することができる装置を使用することも考えられる。このシステムは、1998年12月7日付で出願されたStoebeらの米国特許出願第09/260,914号及び1999年6月15日付で出願された米国特許出願第09/333,092号に開示されている。これらの開示は、引用によりここに含まれていることにする。
【0186】
熱処理は、圧力と湿度についての周囲条件下で行うことが好ましい。標準大気圧及び湿度の範囲外の条件も有効である。
フォトサーモグラフィー要素の成分は、所望の画像を提供する該要素中のいずれの位置にあってもよい。必要に応じて、1つ以上の成分が該要素の1つ以上の層内にあってもよい。例えば、場合によっては、要素のフォトサーモグラフィー画像記録層の上方のオーバーコート層に、一定百分率の還元剤、トナー、安定剤及び/又は他の添加剤を加えることが望ましい。このようにすると、場合によっては、要素を構成する層中の特定の添加剤の移行が抑えられる。
【0187】
イエロー、マゼンタ及びシアン色素像記録が、本発明の処理された写真要素にいったん形成されたら、従来技術を使用して、各色記録についての画像情報を検索し、次に、カラーバランスのとれた目視可能な画像を続いて形成させるためにその色記録を操作することができる。例えば、スペクトルの青、緑及び赤の領域内で連続的に写真要素を走査するか、又は各色記録に対する別個の走査ビームを生成するように青、緑及び赤のフィルターによって分離されたフィルターを通過した単一走査ビームに青、緑及び赤の光を組み込むことができる。簡単な方法は、一連の横方向にオフセットされた平行な走査経路にそって1点ずつ写真要素を走査する方法である。走査点で要素を通過する光の強度は、センサーによって認識され、そのセンサーは受けとった放射線を電気信号に変換する。最も一般的には、この電子信号を、さらに操作し、画像の有用な電子記録を生成する。例えば、電気信号を、アナログ−デジタル変換器に通し、次に、画像内の画素(点)位置についての必要な位置情報とともにデジタルコンピューターに送る。別の態様では、この電子信号を、測色情報又は調子情報で符号化し、例えばコンピュータモニター表示画像、テレビジョン画像、プリント像などの観察可能な形態に再構築するのに好適な電子記録を形成する。
【0188】
本発明に係る画像形成要素の多くを、要素からハロゲン化銀を除去する前に走査することが考えられる。残留ハロゲン化銀は濁ったコーティングをもたらすが、拡散照明機器を利用するスキャナーを使用することによって、このようなシステムの走査画像の品質を改善できることが分かっている。拡散照明を生じる当該技術分野で知られているいかなる技術も使用できる。好ましいシステムとしては、その内壁が高度の拡散反射を生じるように特別に設計された拡散キャビティを利用する反射システム及び正反射光のビームの拡散が、ビーム内に配置された光を散乱する働きをする光学要素を使用することによって達成される透過システムがある。そのような要素は、所望の散乱を生じる成分を含むか又は所望の散乱を促進するように表面処理されたガラス又はプラスチックであることができる。
【0189】
走査により抽出された情報から画像を形成する際に遭遇する難題の1つは、目視するのに利用可能な情報に係る画素の数が、同じような古典的な写真プリントから利用できる画素の数のほんの一部にしか過ぎないことである。従って、利用可能な画像情報の質を最大限に高めることが、走査画像形成ではいっそう重要である。画像の鮮鋭度を高めかつ異常な画素信号(すなわちノイズ)の影響を最低限に抑えることが、画像の品質を高める一般的な方法である。異常な画素信号の影響を最低限に抑えるための慣用的な方法は、隣接画素からの読取り値に補正係数を付加することによって、各画素濃度の読取り値を重み付けした平均値に調節する方法である。より近傍の画素ほどより大きく重み付けされる。
【0190】
Wheeler等の米国特許第5,649,260号、Koeng等の米国特許第5,563,717号及びCosgrove等の米国特許第5,644,647号に記載されているように、本発明の要素は、基準露光量を受けた非露光写真記録材料の部分に1つ以上のパッチ領域に由来する濃度較正パッチを有することができる。
【0191】
画像記録の質を最大限に高める技術を含む走査信号操作の具体的なシステムは、Bayerの米国特許第4,553,156号;Urabe等の米国特許第4,591,923号、Sasaki等の米国特許第4,631,578号;Alkoferの米国特許第4,654,722号、Yamada等の米国特許第4,670,793号;Kleesの米国特許第4,694,342号及び第4,962,542号;Powellの米国特許第4,805,031号;Mayne等の米国特許第4,829,370号;Abdulwahabの米国特許第4,839,721号;Matsunawa等の米国特許第4,841,361号と第4,937,662号;Mizukoshi等の米国特許第4,891,713号;Petilliの米国特許第4,912,569号;Sullivan等の米国特許第4,920,501号及び第5,070,413号;Kimoto等の米国特許第4,929,979号;Hirosawa等の米国特許第4,972,256号;Kaplanの米国特許第4,977,521号;Sakaiの米国特許第4,979,027号;Ngの米国特許第5,003,494号;Katayama等の米国特許第5,008,950号;Kimuraの米国特許第5,065,255号;Osamu等の米国特許第5,051,842号;Lee等の米国特許第5,012,333号;Bowers等の米国特許第5,107,346号;Telleの米国特許第5,105,266号;MacDonald等の米国特許第5,105,469号;及びKwon等の米国特許第5,081,692号に開示されている。走査中にカラーバランスを調節する技術はMoore等の米国特許第5,049,984号とDavisの米国特許第5,541,645号に開示されている。
【0192】
いったん得られたデジタル色記録は、ほとんどの場合、観察するのに満足のいくカラーバランスがとれた画像を生成し、かつビデオモニターにおいて又は従来型のカラープリントとしてプリントするときに、出力のための各種の変換とレンダリングを通して、画像保持信号のカラー忠実度を保持するように調節される。走査後の画像保持信号を変換する好ましい技術は、Giorgianni等の米国特許第5,267,030号に開示されている。この開示は、引用によりここに含まれていることにする。さらに、当業者がカラーデジタル画像の情報を操作できることの例示が、Giorgianni及びMaddenのDigital Color Management, Addison−Wesley, 1988にある。
【0193】
〔実施例〕
例1
この例は、本発明のフォトサーモグラフィー要素の利点を示す。以下の成分を、この例の写真要素において使用した。
乳剤E−1:
この例において使用したハロゲン化銀乳剤は、95.5%のAgBr及び4.5%のAgIからなっていた。粒子は、1.06ミクロンの有効円直径と0.126ミクロンの厚さを有していた。この乳剤を、増感色素SM−1及びSM−2の適用によりマゼンタ光に対して増感し、そして当該技術分野において知られているように最適な画像形成性能が得られるように化学的に増感した。
【0194】
【化40】
Figure 2004503823
【0195】
銀塩分散体SS−1:
撹拌式反応容器に431gの石灰処理ゼラチンと6569gの蒸留水を入れた。214gのベンゾトリアゾール、2150gの蒸留水及び790gの2.5モル濃度の水酸化ナトリウムを含む溶液を調製した(溶液B)。反応容器中の混合物を、必要に応じて溶液B、硝酸及び水酸化ナトリウムを添加して、pAg7.25及びpH8.00に調節した。4Lの0.54モル濃度の硝酸銀溶液を前記容器に250cc/分で加え、そして溶液Bを同時に加えることによりpAgを7.25に維持した。硝酸銀溶液を使い尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽くした時点で混合物を限外濾過により濃縮した。得られた銀塩分散体は、銀ベンゾトリアゾールの微粒子を含んでいた。
【0196】
AgPMT分散体AF−1:
撹拌式反応容器に、9.7gの石灰処理ゼラチン及び300gの蒸留水を入れした。14.1gのフェニルメルカプトテトラゾール、90.2gの蒸留水、16.0gのアセトン及び31.7gの2.5モル濃度の水酸化ナトリウムを含む溶液を調製した(溶液C)。反応容器中の混合物は、必要に応じて溶液C、硝酸及び水酸化ナトリウムを添加して、pAg7.25及びpH5.8に調節した。この容器に200ccの0.54モル濃度の硝酸銀溶液を11cc/分で加え、そして溶液Cを同時に加えることによりpAgを7.25に維持した。硝酸銀溶液を使い尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽くした時点で27gの20%ゼラチン溶液を加えた。得られた銀塩分散体は、銀フェニルメルカプトテトラゾールの微粒子を含んでいた。
【0197】
AgPMT/PMT共分散体AF−2:
これらの材料は、以下の配合でジルコニアビーズを用いて水性混合液中で4日間ボールミルにかけた。1gのフェニルメルカプトテトラゾールに対し、トリ−イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1g)、水(10gにする量)及びビーズ(25ml)を使用した。ビーズは、濾過により除去した。フェニルメルカプトテトラゾール1モル当たり0.5モルの硝酸銀を添加することにより、50%のフェニルメルカプトテトラゾールが銀−フェニルメルカプトテトラゾールに変換された。
【0198】
フェニルメルカプトテトラゾール供給源を変えることからなる変更を加えて下記表1−1に列挙する標準的なフォーマットに従ってコーティングを作製した()。溶融体のpHを3.5に調節した。全てのコーティングを、厚さ7ミルのポリ(エチレンテレフタレート)支持体上に作製した。
【0199】
【表1】
Figure 2004503823
【0200】
カプラー分散体CDM−1:
カプラーM−1(224EV)及びリン酸トリクレシルを1:0.5の質量比で含むオイルベースのカプラー分散体を常用の手段により調製した。
【0201】
【化41】
Figure 2004503823
【0202】
比較例:
ブロックされた現像主薬DEV−1を含み、カブリ防止剤を含まない比較用コーティングを、標準的なコーティングフォーマットを使用して作製した。
本発明の例:
ブロックされた現像主薬DEV−1と、カブリ防止剤調製物AF−1及びAF−2をそれぞれ含む2種の本発明のコーティングを、標準的なコーティングフォーマットを使用して作製した。
【0203】
コーティング評価:
得られたコーティングを、ステップウェッジを通して、デイライト(Daylight)5Aフィルターによりフィルターした3000Kの3.04logルクス光源に露光した。露光時間は1/10秒間であった。露光後、コーティングを加熱プラテンに20秒間接触させて熱処理した。
上に列挙したコーティングは、以下の表に示すように性能を発揮した。最適ストリップ処理条件を得るために、種々のプラテン温度で多数のストリップを処理した。これらのデータから、画像ディスクリミネーションを計算した。画像ディスクリミネーションは、下記の値に対応する:
【0204】
【数1】
Figure 2004503823
【0205】
の値が大きいほど、カブリ防止剤が望ましい高い信号対ノイズ比をもたらすことを示している。
上に列挙したコーティングは、表1−2に示すような性能を発揮した。
【0206】
【表2】
Figure 2004503823
【0207】
この表から、本発明のカブリ防止剤が、比較用コーティングに比べてピークディスクリミネーションを改善することが分かる。
【0208】
例2
フォトサーモグラフィーフィルムにおいてベンゾトリアゾールの銀塩と5−フェニル−1−メルカプトテトラゾールの銀塩の組み合わせを使用することの利点を実証するために、表2−1の成分を含むコーティングを7ミルのポリ(エチレンテレフタレート)支持体上に作製した。
銀塩分散体AF−3(銀1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール):
撹拌式反応容器に431gの石灰処理ゼラチン及び6569gの蒸留水を入れた。320gの1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2044gの蒸留水及び790gの2.5モル濃度の水酸化ナトリウムを含む溶液を調製した(溶液D)。反応容器中の混合物を、必要に応じて溶液D、硝酸及び水酸化ナトリウムを添加して、pAg7.25及びpH8.00に調節した。
この容器に4リットルの0.54モル濃度の硝酸銀溶液を250cc/分で加え、そして溶液Dを同時に加えることによりpAgを7.25に維持した。この硝酸銀溶液を使い尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽くした時点で混合物を限外濾過により濃縮した。得られた銀塩分散体は、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールの銀塩の微粒子を含んでいた。
カプラー分散体CDM−2:
カプラーM−2を含むが、他にいかなる永久溶媒も含まない、カプラー分散体を従来法により調製した。
【0209】
【表3】
Figure 2004503823
【0210】
【化42】
Figure 2004503823
【0211】
これらの共通成分の他に、銀塩SS−1及びAF−3を、表2−2に示す量(銀に基づく量)で各コーティングに加えた。得られたコーティングを、ステップウェジを通して、デイライト5Aフィルターによりフィルターした3000Kの3.04logルクス光源に1/10秒間露光した。露光後、コーティングは、150摂氏度の加熱プラテンに20秒間接触させることにより熱処理した。次にコーティングを、溶液のKODAK Flexicolor(商標)Fix中で定着させて、ハロゲン化銀を除去した。各コーティングについて、X−Rite(商標)濃度計で、最大露光量でのステータスM赤濃度(赤Dmax)を測定した。赤Dmax値は、表2−2の最後の列に報告する。
【0212】
【表4】
Figure 2004503823
【0213】
表2−2のデータから、ベンゾトリアゾールに由来する銀塩とメルカプトテトラゾールに由来する銀塩の混合物を使用することが、熱処理フィルムにおいて高い最大濃度を達成するのに必要であることがはっきりと分かる。
【0214】
例3
メルカプトテトラゾールの銀塩を使用することの、その遊離の錯化していない形態のものと比べたさらなる利点を、以下の実験において実証した。表3−1に列挙する共通成分を含むフォトサーモグラフィーコーティングを、7ミルのポリ(エチレンテレフタレート)支持体上に作製した。
分散体AD−1(1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール(PMT)):
9.6グラムのPMT、0.96グラムのポリビニルピロリドン、0.96グラムのTriton X−200界面活性剤及び84.5グラムの蒸留水を含む混合物を調製した。この混合物に、240ccの1.8mm酸化ジルコニウムビーズを加え、この分散体をローラーミルで3日間粉砕して、PMTの微粒子分散体を得た。
【0215】
【表5】
Figure 2004503823
【0216】
これらの成分の他に、銀塩SS−1及びAF−3並びに遊離5−フェニル−1−メルカプトテトラゾール(AD−1)を、表3−2に列挙する量で各コーティングに加えた。得られたコーティングは、ステップウェッジを通して、デイライト(Daylight)5A及びラッテン(Wratten)2Bフィルターによりフィルターした3000Kの3.04logルクス光源に1/10秒間露光した。露光後、コーティングを、150摂氏度の加熱プラテンに20秒間接触させることにより熱処理した。次にこれらのコーティングを、溶液のKODAK Flexicolor Fix中で定着して、ハロゲン化銀を除去した。別の組の露光済コーティングを、British Journal of Photography Annual, 1988, pp. 196−198に記載されているように標準的なコダックフレキシカラー(商標)(C−41)処理で処理した。各コーティングについて、X−Rite濃度計で、最大露光量でのステータスM緑濃度(緑Dmax)を測定した。熱処理したコーティング及びC−41処理したコーティングに関する緑Dmax値を下記表3−2に示す。表3−2の最後の列は、150℃で熱処理した同じコーティング調製物に比べて、標準的C−41処理を行ったコーティングにより示された緑Dmaxの消失率(%)を示す。消失率(%)が小さいことは、写真要素が、熱処理された場合でも標準的なC−41条件下でも類似したセンシトメトリー挙動を示すことを意味するため、消失率(%)は小さい方が望ましい。
【0217】
【表6】
Figure 2004503823
【0218】
表3−2のデータが示しているように、遊離フェニルメルカプトテトラゾールAD−1を含むコーティングは、標準的なC−41条件で処理するとき最大濃度の消失が大きい。
【0219】
例4
処理条件は、この例に記載する通りである。特に断わらない限り、ハロゲン化銀は、現像後、KODAK Flexicolor Fix液に浸漬することにより除去した。一般に、この工程を省略すると、測定濃度で約0.2の増加が得られる。以下の成分を例で使用した。また、全ての化学構造のリストも含めた。
全てのコーティングは、表4−1に示される共通要素を含んでいた。さらに、銀塩SS−1、AF−3及びPMTのレベルを、コーティングの関数として表4−2に列挙する。比較例は、純粋な化合物として組み込まれたPMTを含むが、本発明の例は、銀塩として組み込まれたPMTを示す。
【0220】
【表7】
Figure 2004503823
【0221】
【表8】
Figure 2004503823
【0222】
PMT有機酸の組み込みとは対照的にPMTの銀塩を使用すると、2つの主要な利点が示された。第1には、銀−PMTを含むコーティングは、以下の表4−3に示すように、銀−PMTを含まないコーティングよりも高い感度を示した。感度を求めるために、表4−2のコーティングを、5500Kの色温度をシミュレートするためにフィルターした光源にステップタブレットを通して露光した。光源をさらにラッテン#9フィルターによりフィルターし、可視光スペクトルの赤色と緑色部分だけをフィルムに露光した。光源の強度は2.4log(ルクス)であり、0.1秒間の露光時間を使用した。露光後、コーティングを145℃で20秒間処理して、可視画像を得た。この画像に濃度測定を実施してH&D曲線を生成し、ここからコントラスト正規化感度計量値を用いて感度を求めた。表4−3に、これらのコーティングについて求められた感度を示すが、これらの感度は全て対照コーティングの感度に対して正規化したものである。
【0223】
【表9】
Figure 2004503823
【0224】
表4−3から、PMT有機酸の組み込みとは対照的に銀塩としてのPMTの組み込みによって、穏やかな感度の増加が得られることが分かる。
表4−3に例示した新たなプロセスコーティングの他に、エージングに対するコーティングの安定性を調べるために、同じコーティングを38℃及び相対湿度60%の条件に1週間曝露した。以下の表4−4は、この試験の結果を示すが、ここでΔ感度なるパラメーターは、人工エージング前のコーティングの感度に対する人工エージング後のコーティングの写真感度の差を意味する。負の値は、エージングによる感度の消失を表す。
【0225】
【表10】
Figure 2004503823
【0226】
本発明のコーティングのいくつかではエージングによるいくらかの感度の消失があったが、表4−4から、エージングによる感度消失は、PMT有機酸を使用して作製した比較用コーティングとは対照的に、PMTの銀塩を利用したコーティングでははるかに小さいことが明らかである。
【0227】
例5
処理条件は、以下の本発明の多層例において記載する通りである。下記成分を、この例において使用した。また、全ての化学構造のリストも含めた。
銀塩分散体SS−2:
撹拌反応容器に431gの石灰処理ゼラチン及び6569gの蒸留水を入れた。214gのベンゾトリアゾール、2150gの蒸留水及び790gの2.5モル濃度の水酸化ナトリウムを含む溶液を調製した(溶液E)。反応容器中の混合物を、必要に応じて溶液E、硝酸及び水酸化ナトリウムを添加して、pAg7.25及びpH8.00に調節した。
この容器に4リットルの0.54モル濃度の硝酸銀溶液を250cc/分で加え、そして溶液Eを同時に加えることによりpAgを7.25に維持した。硝酸銀溶液を使い尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽くした時点で混合物を限外濾過により濃縮した。得られた銀塩分散体は、銀ベンゾトリアゾールの微粒子を含んでいた。
カブリ防止作用のある銀塩分散体AF−4:
撹拌反応容器に431gの石灰処理ゼラチン及び6569gの蒸留水を入れた。320gの1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2044gの蒸留水及び790gの2.5モルの水酸化ナトリウムを含む溶液を調製した(溶液F)。反応容器中の混合物を、溶液F、硝酸及び必要に応じて水酸化ナトリウムを添加して、pAg7.25及びpH8.00に調整した。
この容器に4リットルの0.54モル濃度の硝酸銀溶液を250cc/分で加え、そして溶液Fを同時に加えることによりpAgを7.25に維持した。硝酸銀溶液を使い尽くすまでこのプロセスを続け、硝酸銀溶液を使い尽くした時点で混合物を限外濾過により濃縮した。得られた銀塩分散体は、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールの銀塩の微粒子を含んでいた。
ハロゲン化銀乳剤:
これらの例において使用した乳剤は全て、当該技術分野において周知の常用の手段により析出させたヨウ臭化銀平板状粒子である。以下の表5−1に、それらのヨウ化物含量(残りは臭化物であると想定する)、それらの寸法、及び分光感度を付与するために使用した増感色素と共に、種々の乳剤を列挙する。全ての乳剤を、最適感度を生じるように、当該技術分野において知られているように化学増感した。
【0228】
【表11】
Figure 2004503823
【0229】
カプラー分散体CDM−2:
カプラーM−2とリン酸トリクレシルを1:0.5の質量比で含むオイルベースのカプラー分散体を、常用の手段により調製した。
カプラー分散体CDC−1:
カプラーC−1とフタル酸ジブチルを1:2の質量比で含むオイルベースのカプラー分散体を、常用の手段により調製した。
カプラー分散体CDY−1:
カプラーY−1(381AQF)とフタル酸ジブチルを1:0.5の質量比で含むオイルベースのカプラー分散体を、常用の手段により調製した。
【0230】
【化43】
Figure 2004503823
【0231】
【化44】
Figure 2004503823
【0232】
【化45】
Figure 2004503823
【0233】
表5−2に記載する多層画像形成要素は、ライブシーンを捕獲することを目的とするフルカラーフォトサーモグラフィー要素に使用できるように作製した。この例の多層要素は、湿式処理工程なしに画像を生成することができた。
【0234】
【表12】
Figure 2004503823
【0235】
【表13】
Figure 2004503823
【0236】
【表14】
Figure 2004503823
【0237】
得られたコーティングを、ステップウェッジを通して、5500Kの1.8logルクス光源及びラッテン2Bフィルターに露光した。露光時間は0.1秒間であった。露光後、コーティングを、145℃の加熱プラテンに20秒間接触させることにより熱処理した。シアン、マゼンタ及びイエロー濃度をステータスMカラープロファイルを用いて読み取り、以下の表5−3に列挙する濃度を得た。これらの濃度から、コーティングが多色情報を捕獲する有用な写真要素として機能することは明らかである。
【0238】
【表15】
Figure 2004503823
【0239】
例5のフィルム要素をさらに、50mm/f1.7レンズを備えた一眼レフカメラに装填した。カメラの露出調整をASA 100に設定し、フラッシュを使用せずに屋内のライブシーンを上記要素で捕獲した。要素を、145℃で20秒間加熱し、要素にその後の処理を行なわずに現像した。
【0240】
得られた画像を、Nikon LS2000フィルムスキャナーで走査した。こうして得られたデジタル画像ファイルを、Adobe Photoshop(バージョン5.0.2)に取り込んで、デジタル的に補正して階調スケールと彩度を変更し、こうして許容できる画像を得た。コンピューターモニターにより、画像をソフトコピーとして観察した。画像ファイルをKodak 8650色素昇華型プリンターに送り、許容できる品質のハードコピー出力を得た。これは、完全なイメージングチェーンでのフォトサーモグラフィー要素の使用を実証するものである。
本発明を特定の好ましい態様を特に参照して詳述したが、本発明の精神及び範囲の中で変更及び改良をなせることが当然に理解されよう。

Claims (16)

  1. 感光性ハロゲン化銀乳剤、ドライ熱現像の間に銀を供与するための酸化剤として機能する第1の非感光性有機銀塩、ブロックされた現像主薬、及び当該フォトサーモグラフィー要素のドライ熱現像の間のカブリを抑制するための第2の非感光性有機銀塩をさらに含み、両方の有機銀塩がハロゲン化銀1モル当たり少なくとも5gの量となるレベルで存在するカラーフォトサーモグラフィー要素。
  2. 前記第2の有機銀塩が、メルカプト官能性化合物を含み、ハロゲン化銀1モル当たり5〜3,000gの範囲内のレベルで存在して、カラーフォトサーモグラフィーフィルムの熱処理の間のカブリを有効に抑制する請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  3. 前記第2の有機銀塩が、1〜4個の窒素ヘテロ原子を含むメルカプト官能性複素芳香族化合物を含む請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  4. 前記第2の有機銀塩が、2−メルカプトベンゾイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、5−カルボキシ−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、及び2−メルカプトベンゾオキサゾールの銀塩からなる群から選ばれる請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  5. 前記第2の有機銀塩がチオンアミドである請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  6. 前記第2の有機銀塩が、6−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾールの銀塩、2−メルカプト−チアゾールの銀塩、ナフト(1,2−d)チアゾール−2(1H)−チオンの銀塩、4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩、2−チアゾリジンチオンの銀塩、4,5−ジメチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩、4−メチル−5−カルボキシ−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩及び3−(2−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩からなる群から選ばれる請求項5記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  7. 前記第2の有機銀塩がメルカプト−トリアゾール又はメルカプト−テトラゾールである請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  8. 前記第2の有機銀塩が、下記構造式:
    Figure 2004503823
    (式中、nは0又は1であり、Rは置換又は非置換のアルキル、アラルキル又はアリールからなる群から独立に選ばれ、nは1であり、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであるか、又は置換若しくは非置換フェニル基である)
    により表される化合物の銀塩である請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  9. 前記第1の有機銀塩が0.1〜10のcLogP及び7〜14のpKspを有し、第2の有機銀塩が0.1〜10のcLogP及び14〜21のpKspを有する請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  10. 前記第1の有機銀塩がイミン基の銀塩を含む請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  11. 前記イミン基が複素環式構造体の環構造の一部である請求項10記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  12. 前記複素環式構造体が、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、チアゾール、チアゾリン、イミダゾリン、イミダゾール、ジアゾール、ピリジン、ピラゾール及びトリアジンからなる群から選ばれる請求項11記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  13. 前記第1の有機銀塩が、1H−テトラゾールの銀塩、5−エチル−1H−テトラゾールの銀塩、5−アミノ−1H−テトラゾールの銀塩、5−4’メトキシフェニル−1H−テトラゾールの銀塩、5−4’カルボキシフェニル−1H−テトラゾールの銀塩、ベンゾイミダゾールの銀塩、5−メチル−ベンゾイミダゾールの銀塩、イミダゾールの銀塩、2−メチル−ベンゾイミダゾールの銀塩、2−メチル−5−ニトロ−ベンゾイミダゾールの銀塩、ピラゾール、3,4−メチル−ピラゾールの銀塩、3−フェニル−ピラゾールの銀塩、ベンゾトリアゾールの銀塩、1H−1,2,4−トリアゾールの銀塩、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールの銀塩、3−アミノ−5−ベンジルメルカプト−1,2,4−トリアゾールの銀塩、5,6−ジメチルベンゾトリアゾールの銀塩、5−クロロベンゾトリアゾールの銀塩、4−ニトロ−6−クロロ−ベンゾトリアゾールの銀塩、o−安息香酸スルフィミドの銀塩、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3A,7−テトラアザインデンの銀塩、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,2,3,3A,7−ペンタアザインデンの銀塩、ウラゾールの銀塩及び4−ヒドロキシ−5−ブロモ−6−メチル−1,2,3,3A,7−ペンタアザインデンの銀塩からなる群から選ばれる請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  14. 前記第1の有機銀塩がベンゾトリアゾール類、トリアゾール類及びそれらの誘導体の銀塩からなる群から選ばれる請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  15. 前記第1の有機銀塩がベンゾトリアゾールの銀塩である請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
  16. ハロゲン化銀1モル当たり5〜3,000g/モルのAgPMTを含む請求項1記載のカラーフォトサーモグラフィー要素。
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