JP2004503765A - 磁気変換器トルク測定 - Google Patents
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Abstract
磁気変換素子(22)が、磁力源(30)の存在の下で軸(A―A)の周りにシャフト(20)の一体的領域を回転させることによって形成される。磁化の環(42)は軸方向にその磁化を持つことになる。環(42)によって形成された外部磁界(40)は、トルクの下で軸方向シフトを有するその軸方向および半径方向成分(図7と8)を示す。プロファイルシフトの方向は、磁化処理が進行する間、シャフト(20)の回転方向に依存する。反対のシフト方向を示す一対の領域(122a、122b;242、244)は、トルク依存のシフトがシャフトの軸方向変位から分離されている信号を提供する(図22、図24)。磁化の環(42)はシャフト軸の周りの角度に関して不均一かもしれない。磁化処理を受けているシャフトの回転領域に発生する渦電流を防止する対策が開示され、同様に、不均一性の影響を緩和するセンサ配置(図30)のための「スイートスポット」(230)も開示される。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、磁気ベースの変換素子アセンブリを使用するトルクの測定に関係する。変換素子は、素子に働く曲げモーメントを発生させる測定力に適用することもできる。より詳細には、本発明は、本明細書でプロファイルシフト長手方向磁化と称するトルク依存の磁界の形を表す磁気変換素子に関係する。この磁化はシャフト、通常はシャフトの一体部分の中で、シャフト(長手方向に延びる)の方向を有すると共に、該シャフトの軸の周りにトルクが加えられたときに軸シフトの方向にそのプロファイルがシフトする検出可能な外部磁界を発生するシャフト軸の周りの磁化の環として実現される。
本発明は詳細には、トルクが加わるシャフトの軸方向の動きによって生じる問題に関係する。本発明は磁器変換素子に関し、上記素子を組み込んだ変換器の構造に関する。本発明はまた、磁気変換器システムに関する。
本発明はまた、変換器領域のトルク軸の周りの角度に対するトルク変換器領域の磁化の不均一性の削減にも関係する。本発明は更に、変換素子として使用予定の部材の一部を磁化する方法に関し、また、変換器領域に対する磁界センサーの配置に関する。
以下、本発明を、特にトルク測定、より詳細には、変換素子がシャフトの一体部分である該シャフトに加わるトルクに関して検討し記載する。シャフトは磁化可能な材料、すなわち強磁性体からなるものとする。好ましくは、該強磁性体は大きな飽和度及び残留磁化が得られ、高い保磁力を有することのできる硬磁性材料から選択される。本発明を実施する場合に使用される磁化領域は永久磁化の領域で、これは、記憶(stored)または残留磁気と称してもよい。
【0002】
発明の背景
近年、シャフトのトルクを検知するための磁気ベース変換器の使用において様々な発展があった。これらは、非接触アセンブリで実現可能な利点があり―特に、回転シャフトに対して有用である。磁化変換素子はシャフト上かシャフト
と一体に取り付けられ、該変換素子によって生じるトルク依存磁化に応答するセンサー構造がそのシャフトとの機械的接触なしに配置される。
【0003】
既知の変換素子の一つの形は、シャフトの軸の周りに閉じたループを形成する周方向または円形の磁化に依存する形式である。磁化自体はトルク軸に対して横方向で、トルク軸の周りに閉じたループまたは環を形成する。シャフトの一体部分に加わるこの形の磁化の例は、公開された国際出願WO99/56099に開示されている。検知される外部のトルク依存磁界は一般に軸方向に存在する。
【0004】
より最近になって、変換素子の新しい形の磁化処理が開発された。これらは、磁化の方向がシャフト軸の方向を持った、シャフト軸の周りの環状磁化である。このような磁化の環はシャフト内に磁束のトロイドを形成すると共に、トロイドの延長として、シャフトの外側に磁束の環を形成する。このような磁化は、上述の周方向磁化に対比して、長手方向と称される。環状長手方向磁化の一つの形は周方向検知用の長手方向磁化のことで、この場合、検知されるトルク依存磁界はシャフト軸に対して周方向または接線方向の成分である。この形の長手磁化を使用する変換器は、公開された国際出願WO01/13081に開示される。公開された国際出願WO01/13082を参照してもよい。これらの両公開出願は引用によって本明細書に組み込まれている。
【0005】
環状長手磁化の第2に形は、プロファイルシフト長手磁化と称されるものである。この形の磁化は、同時係属中の国際出願PCT/EP01/04077―2001年4月10日に出願されて本明細書に引用によって組み込まれている―の主題である。プロファイルシフト長手磁化については、以下で図1〜21に関して説明するが、PCT/EP01/04077およびその図4〜25からの抜粋である。
【0006】
PCT/EP01/04077(’04077出願)に開示された変換素子では、変換素子によって形成されるトルク依存外部磁界は、トルクの機能として軸方向にシフトされた、軸方向と半径方向の磁界プロファイルを持つ。これは後から説明するが、驚くべき結果である。プロファイルは軸方向の位置の関数としての、外部磁界の軸方向または半径方向成分の測定値である。’04077出願に記載された磁化プロセスによって形成される変換素子について行った試験でさらに驚くことは、周方向あるいは接線方向成分が検出されないか、少なくとも任意の上記成分がノイズ内に埋もれるような非常に弱いものであることが判明したことである。
【0007】
上記の磁界分布特性を有する変換素子の作製について以下に述べる。素子の磁化処理はWO01/13081の図6に概略図示(但し、一部修正)するような磁石システム内でシャフトの軸の周りの相対的な回転によって得られる。より深い磁化が従来使用されたものよりもより強力な磁石を用いた馬蹄形磁石を形成する永久磁石からなる磁石システムを用いることによって得られる。さらに詳しくは、シャフトに近接した磁極は、それらの間の間隔や隙間に比べて軸方向の幅がかなり広くなっている。
【0008】
シャフト内に変換素子を作製する方法は、大別すると、2つの処理とそれに続く第3の処理からなる。簡潔には消磁あるいは磁気清浄化(magnetic cleansing)と称される磁気的調製と、それに続く磁化処理手順である。記載されるべき磁気的調製(前磁化手順(pre−magnetisation procedure))は、後で所望の磁界が形成される磁気清浄化部分の提供として要約することができる。磁化処理手順は、前記前磁化手順と幾分類似した後磁化手順(post−magnetisation procedure)が続いて行われてもよい。
【0009】
軸方向または半径方向シフトプロファイルの利用は磁気トルク変換器の大きな効用であることが判明した。これは以下に詳しく説明する。しかしながら、実際には、シャフトの軸方向変位に対する感度によって、シャフトの正確なトルク測定を行う際に問題が生じる場合がある。両者は、測定に利用される軸方向または半径方向プロファイルの軸方向シフトを生成する。
【0010】
一般に長手方向に磁化された変換素子を利用する場合に生じる別の問題は、シャフトなどの部材と磁力源(永久または電磁石)間の相対回転によって形成される環状磁化が、回転軸の周りの磁化の不均一性をもたらす恐れがあることだ。これは、回転不均一性(RNU)または回転信号均一性(RSU)と称される。
【0011】
発明の概要
シャフトの軸方向変位の問題を解決する重要な貢献は、シャフトの軸に沿って間隔をあけた2つの変換器領域が同一の方法ではあるが、磁力源に対するシャフトの相対回転(通常、シャフトが回転する)が一方の領域の形成に対しては一方向であり他方の領域の形成に対してはそれが反対方向になる状態で磁化される場合、2つの領域に対するそれぞれの磁気プロファイルは両者に加わるトルクの共通方向に対して反対の方向にシフトするという事実の認識に基づく。対照的に、シャフトの軸方向変位は一定の外部検出器構造に対する両プロファイルの同一方向のシフトを発生させる。この差がトルクと軸方向変位のシフトの分離を可能にして、シャフトの軸方向変位に対してトルク測定値を補償できるようにする。更に、トルクによって影響されない軸方向変位の測定値を獲得できる。
【0012】
本発明の第1の局面によれば、請求項1に記載の磁気変換素子が提供される。本発明はまた、請求項9に記載されるような変換素子を使用した変換器構造を提供する。本発明の更なる局面は、請求項8に合致する請求項1の磁気変換素子の作製にある。本発明の第2の局面は、請求項19に記載の磁気変換器システムを提供する。
【0013】
上述のNRU問題の一つの理由は、磁化されるシャフト内の渦電流の発生にあるかもしれない。本発明の第3と第4の局面は、請求項23と26にそれぞれ記載される、部材の一部を磁化する方法を提供する。
【0014】
測定の目的のための最良なRSUを得るための一つの技術は、NRUの効果が削減されるような、軸方向の磁界センサーの配置に「スイートスポット」が存在することの認識から生じる。本発明の第5の局面は、請求項30に記載の変換器構造を提供する。
【0015】
本発明と、その様々な局面におけるその好ましい実施例を添付の図面に関して説明するが、図1〜21は先の出願PCT/EP01/04077の開示に関し、図22〜31は本発明の実施例に関する。
【0016】
PCT/EP01/04077の従来提案
これらの従来の提案を、特に変換素子を形成するためにシャフトの一部を磁化処理することに関連させて説明する。所望の磁化が形成されるべき本体又は部分は、より一般的にはセンサーホスト(sensor host)と称することができる。次に続くセクションは、磁気的に清浄な、強磁性体センサーホストの磁化処理に関するものである。センサーホスト、特にシャフトの磁気的調製(前磁化処理)は後磁化処理と同様、後述する。結果として得られる変換素子は、回転シャフトの非接触検出の説明のところで述べる。
【0017】
磁化処理アセンブリ
図1は、円形断面の磁気的に清浄化された(magnetically cleansed)シャフト20を示し、該シャフト20はその軸A−Aの周りに加わるトルクを受けることができるようになっている。シャフト20は軸A−Aの周りに回転可能に設置することができる。シャフトはソリッドな断面を有している。回転方向は図面の右端から見たときに、シャフトに関して時計方向(cw)である。図2は図1の右側から見た図である。シャフトの一部22の周囲に近接して設けられているものは、磁力源(magnetic source)30であり、シャフト表面に対して半径方向(磁力源のNS方向)に配置された一対の反対極性の強力磁石32、34を備えた磁石アセンブリから構造される。これらの遠くの方の磁極は磁束集結部材(magnetic concentrator)36により連結されており、該磁束集結部材36は、これら磁石間に低リラクタンスのブリッジを形成し、部分22の隣接ゾーンを磁化させるために該隣接ゾーンに入り込む、対向する磁極あるいは端部32a、34aからの磁束38を発生させ、あるいは集中させる助けを行う。そして、磁石アセンブリ30は半径方向の面(radial plane)内において作用するU字型ないし馬蹄形磁石を提供する。該磁石アセンブリは非常に強力な永久磁石32、34を使用できるようにするために複数の分離された部分から構造される。磁極とセンサー表面との間に得られる磁界強度は4kガウスより大きくなり、好ましくは5kガウスを超える。これは、後述するように磁石と表面との最小間隔を要求する。
【0018】
図1及び図2からわかるように、磁石32、34は軸方向に一列となっており、シャフト20は磁石に対してA−A軸の周りを回転し、部分22の軸A−Aの周りの環状ゾーン内にS極24とN極26を誘起する。磁化はシャフトの表面より内側を該シャフトの周の周りにわたって延びている。部分22に得られる磁化の深さも後述するように重要である。部分22はシャフト20の軸A−Aの周りに加わるトルクに応答する変換素子を提供する。図1及び図2において、シャフトは磁石アセンブリ30に対して回転するように示されているが、シャフトの周りに磁石アセンブリを回転させることにより、あるいはこれら2つを組み合わせることにより、所望の相対的回転が達成できることが理解される。
【0019】
シャフトの磁化処理のために使用される図示の磁石アセンブリにおいて、その試験は以下に報告するが、各磁極32a、34a(及び各磁石32、34)の軸方向の幅wは周方向における厚さtより実質的に大きい。さらに磁極32a、34a間のギャップgも幅wより実質的に小さくなっている。
【0020】
例として、以下により十分に説明する検出可能な外部磁界の性質は、高性能FV520B鋼からなる直径18mmのシャフトに対して行われた磁化処理により得られた。各磁石32、34は幅wが15mm、厚さtが4mmであった。用いたギャップgは2mmであった。この磁化処理プロセスにおいて、磁極32a、34aとシャフト表面との間の間隔はできるだけ2mm以下で一定になるようにした。ギャップが大きくなると、信号利得(傾斜)及び信号の線形性が小さくなる。信号利得については後にさらに考察する。磁化処理手順により、図4(環42)に示すような深さまで部分22を飽和できることがわかった。また、図1に模式的に示すように、磁束40はN極24とS極26の間のシャフト部分22から外側へ発生する。この外部磁束及びそのトルク下でのふるまいは、記載すべき驚くような結果を生じさせた。
【0021】
磁化処理手順
次に、磁化処理手順もしくは磁気的プログラミングとも称されるものについて図3a〜図3cを参照して詳細に説明する。実際、これらの動作及びタイミングは適切に構造された装置により行われる。磁力源あるいは磁気的プログラミングユニット(MPU)は既述した単一の馬蹄形アセンブリ30とする。また、磁化処理されるべきシャフトは磁気的に清浄化されたものとする。
【0022】
図3a〜図3cにおいて一連のステップ1)、2)、3)で示すように、磁力源あるいは磁気プログラミングユニット(MPU)30は、ニュートラル位置もしくは非作動位置(図3a)から回転シャフト20に向けて半径方向軸に沿って、十分磁化される作動位置(図3b)まで移動し、その後、ニュートラル位置(図3c)まで戻る。距離D1は、ニュートラル位置におけるMPU30とシャフト表面との間の間隔であり、距離D2は十分に磁化される作動位置における最小間隔(図2のd)である。シャフトは角速度V1で回転させる。シャフト10に向かって前進するMPU30の線速はV2であり、シャフトからの後退速度はV3である。
【0023】
磁化処理手順が行われる環境は、所望の磁界を持つシャフト20のプログラミングに影響を与えるような磁界の発生ができるだけないようにすべきである。特にMPU30を移動させるあらゆる手段は、シャフトの近傍に不要な磁界を発生させることを防止するように設計されるべきである。磁化処理プロセスは次の通りである。
【0024】
ステップ1)(図3a)MPU(30)をシャフト10から距離D1の非作動位置に位置決めし、手順の間、一定に保った角速度V1でシャフトの回転を開始する。D1は、MPUからの直接的又は間接なあらゆる磁束がシャフトホストになんら永続的影響を与えないような十分な距離とする。
【0025】
回転速度V1は厳密なものではないが、上述したように全磁化処理手順にわたって一定に維持することが重要である。通常V1は10〜3000rpmの範囲である。V1の値を設定する際に考慮すべき一つのファクタは、ゼロトルクオフセットと称されるパラメータである。これについては下記でさらに考察する。
【0026】
ステップ2)(図3b)V1でのセンサーホストの回転が確立すると、MPU30は比較的遅い速度V2でシャフト10に向かって移動する。V2の値は部分的にV1に依存する。V1の値が大きくなるに従いV2の値を増加させることができる。典型的には、V1が2800rpmのとき、V2は1〜2mm/秒とすることができる。通常、MPUは永久磁石が表面に接触するのを避けるためできるだけシャフトに接近するように、すなわち十分磁化しうる作動位置まで移動させることが望ましい(図4参照)。接触は、シャフトの回転速度あるいはMPUをガイドする制御機構の動作を変化させることがある。MPUとセンサーホストの表面との間の距離D2は、できるだけ短くするだけでなく、高精度で一定に保持されなければならない。このためセンサーホストに対するMPU30の位置を検出するためのフィードバック制御手段が、所望の制御を得るために使用することができる。
【0027】
MPUはシャフトの部分22の飽和磁化処理を達成するため、多数の回転に対して十分磁気的に作用する位置に保持される。目下のところ、磁化の深さがシャフトの半径の30%より大きいことが好ましいが、60%の深さを超えるとセンサーの性能が低下することがある。
【0028】
ステップ3)(図3c)シャフトの回転速度をV1に保持したまま、MPUを、V1に直接関連する速度V3で、十分磁気的に作用する位置からニュートラル位置まで後退させる。一旦ニュートラル位置に戻ると、シャフトの回転を停止させ、シャフトを除去する。するとシャフトは図1に示すように部分22が十分に規定された磁化をもつようになる。この磁化の性質は図4及び図5a〜図5cを参照してさらに詳細に説明する。V3は通常、前進速度V2より実質的に小さい。2800rpmの値に対してV2が1〜2mm/秒であることは上述した。V3の値は0〜5mm/秒であることが後退のためには適当であり、好ましくは0.25/mm以下である。この後退はステップ2)で形成された所望の磁化に何の妨害も与えない。
【0029】
ステップ4)(オプション)磁化されたシャフトは、後述する前磁化処理の清浄化と同様であるがそれより低いレベルの後磁化処理を受けてもよい。
【0030】
図4及び図5a〜図5cに移る前に、力ゼロ・オフセットの概念について説明する。これは回転速度V1の選択に関連してステップ1において述べた。
【0031】
上述のようにシャフト内がゼロもしくはゼロに近いトルクのもとでシャフトが磁化される状況から始める。下記で考察する応答グラフからより明らかになるように、磁化された部分をトルク変換素子として使用する場合、該部分は、a)トルクの関数であり、b)時計回り(cw)又は反時計回り(ccw)のトルクの方向に依存する極性を有し、c)トルクがゼロのときに実質的にゼロの値を持つ、磁界出力を提供する。しかし、磁化処理手順が、シャフトがトルクを受けている間に行われた場合、そのトルクにおいて出力信号はゼロを通りすぎるような値となるであろう。シャフトをトルクゼロに緩和させると、ゼロでない静止出力が得られる。この静止出力の極性は磁化処理の際に加わったトルクの方向に依存する。この現象は、公開された国際出願WO00/57150に開示されているプリ・トルク法(pre−torquing)として知られている技術における実用的な効果を与える。
【0032】
上述した磁化処理手順は、適当な数のMPUを逐次あるいは同時に用いてシャフトに沿って複数の変換素子を形成することに適用することができる。これらの変換素子は所定の異なる極性であってもよく、必要によりプリ・トルクを受けていてもよい。現在の実施は、異なる複数変換素子についてシャフトの異なる複数の軸方向部分を同時に磁化処理するための優位性を示す。これは、前に磁化された部分に影響を及ぼす、次の部分を磁化するために使用される強い磁界が生じる可能性を減少させる。複数の磁化された部分は、変換素子部分が該変換素子に対して反対極性の磁化の保護/保持部分(guard or keeper portions)を並置する場合にも利用することができる(図20)。
【0033】
図4は図3bのステップ2)における部分22の磁化を示す回転シャフトの側面図である。MPU30は十分に作用しうる位置にあり、発生する磁束38は環状領域42を磁化させる。この領域の磁化は軸方向である。
【0034】
上記手順により得られる深い軸方向の磁化の性質を図5a〜図5dを参照してより詳細に説明する。
【0035】
図5aは、上述したステップにより磁化処理された部分22を有するシャフト20の軸方向断面を示し、該部分はN極26とS極24を持つ環状領域42(陰付けして示す)を提供する。もちろん、これら磁極は図面のものに限定されるものではなく、説明をわかりやすくするために記載されたものである。
【0036】
図5b及び図5cは図5aにおけるA1線及びA2線の半径方向断面図である。これらの断面図は外側から部分22に向かって見たときの磁束の極性を示すために記載したものである。そして図5bは該領域42のN極に向かう領域42の内部磁束(S)を示し、図5cは領域42のS極から遠ざかる内部磁極(N)を示す。磁化された環状領域は該領域の内部に、閉じた磁気ループ44を形成し、より小さい外側ループ40がシャフトの外側に形成される。両方のループはシャフト軸A−Aの周りにトロイダル形状となっている。
【0037】
実験は、ループ44の内側表面が実質的にゼロかゼロに近い半径となることを示した。これは、図5b及び図5cのそれぞれの中心に図示される極性により表され、さらに図5dの磁束分布により模式的に表される。シャフト20の軸方向コアを通るこの増大した磁束分布は領域42の半径方向の深さの関数である。上述したように、この領域は飽和まで磁化されている。図7、図8及び図9を参照して以下に報告する実験結果は、今述べた種類の磁束分布を有するよう上述したステップに従い磁化処理されたシャフト10に関するものである。当業者は、ソリッドな磁化された物体内の磁束分布の決定が容易でないことがわかる。本研究において、我々はシャフト内の小さな軸方向の穴にプローブを挿入させることを行った。
【0038】
実際のトルク測定の目的のために、使用する磁界分布は外部磁界40のようなものである。上述した磁化処理手順により変換素子に生じる実際の結果は驚くべきものであり、予期されるものではない。
【0039】
外部磁界プロファイル
次に、上述した磁化処理手順に従い磁化された部分を有するシャフトにより形成された磁界プロファイルの測定について述べる。該磁化された部分は、同様に上述した方法で予め磁気的に清浄化された非磁性部分により軸方向に境界付けられている。すなわち、全シャフトは上述した方法で磁気清浄化されている。
【0040】
図6a及び図6bは、外部磁界を調べるセンサーBの3つの配向を示す。図6aは上述したような磁化された部分22を有するシャフト20を示し、その軸方向の中心は半径方向の面28内にある。3つの異なった磁気プロファイルが図6a及び図6bに示すような形態で配向された指向性センサーを用いて測定された。使用したこれらのセンサーは公開国際出願WO98/52063に開示されているような飽和インダクタ型のものであり、磁界応答インダクタは通常数ミリメートルの長さである。磁界測定のために一緒に使用した他のセンサーデバイスは、磁界応答エレメントが非常に小さいホール効果センサーと、指向性磁気抵抗効果型センサーである。これらの全てのセンサーは、最大応答の近くで広い角度を持ち、最小応答の軸に対して直角に鋭いゼロを持つ8の字の応答パターンを有する。
【0041】
3セットの測定が、図6a及び図6bのインダクタ50x、50y、50zにより表されるように、シャフト10に対して3つの異なったセンサー配向のものを用いて行われた。全ての測定はシャフト表面に近接しているが接触していない関連センサーにより行われてた。シャフトは一定の印加トルクでその軸の周りを回転させた。3つの異なるトルク値が使用された。測定は一度につき1つの配向で行った。
【0042】
センサー50xは、インライン方向とも称される軸方向(x軸)に配向している。該軸に平行な磁界Bx(インライン磁界)の測定がxの関数として行われた。センサーは図7の磁界プロファイルを得るため軸(x)方向に移動させた。
【0043】
センサー50yは半径方向の磁界Byの測定をするためシャフト軸A−Aの半径方向に配向させる。該センサーは半径方向の磁界Byのプロファイルをxの関数として得るため一定の半径において軸(x)方向に移動させた。このプロファイルは図8に見られる。
【0044】
センサー50zは周方向ないし接線方向の磁界Bzを応答するようシャフトの接線方向に配向させる。また、該センサーは接線方向の磁界Byのプロファイルをxの関数として得るためシャフトから一定の半径方向距離で軸(x)方向に移動させる。このプロファイルは図9に見られる。
【0045】
図7〜図9の曲線でそれぞれ与えられる軸方向磁界、半径方向磁界、接線方向磁界のプロファイルについてさらに考察する。各プロファイルは、図6aと6bの適当な50x、50y、50z位置に配向した同様なセンサーにより得られた。
【0046】
図7はシャフト表面から2.5mmの所に設置されたセンサー50xによる、上述した手順で磁化処理されたシャフトの3つのプロファイル示す。シャフトは2800rpmで駆動させ、プロファイルはトルク値0、+80、−80Nmで求めた。グラフの横軸は変換素子の軸中心28からのx方向距離である。縦軸は検出した磁界を表す出力信号値(mV)である。出力はオフセットを示している。縦軸ゼロは約2300mVである。得られたプロファイルは3つのトルク全てに対して同様な形状であるが、トルクにより軸方向にシフトしていることがわかる。ゼロトルク曲線は中心線28の所でピークをとる。+80Nm曲線と−80Nm曲線に対するピークはゼロトルク曲線と同じピーク値であるが、中心線の両方向にシフトしている。そしてトルクは軸方向磁界Bxの軸方向のシフトを生じさせ、そのシフトの大きさはトルクの関数であり、その極性は加わるトルクの極性に依存する。
【0047】
また、図7は関心のあるいくつかの他の特徴を示している。測定された磁界Bxは、センサーが領域22の磁極から離れるように動くとき、ゼロに向かって低下する前に、領域22の磁極に近接した反対極性の領域に入る。この極性の変化は図10及び図11を参照して以下に説明する。磁極は変換素子の中心線28から約±15mmの所にある。測定された磁界の極性は2つの磁極領域で同じ方向であるが、大きさがトルクに依存して異なることを示す。x=0の点に対して対称に近いゼロトルク曲線と比較すると、一磁極に隣接(約15mmの距離)する領域において測定された出力はトルクの一方の極性により増加し、トルクの他方の極性により減少するが、この増加/減少は両磁極領域で反対となる。軸方向の磁界は、トルクに依存する傾斜方向で、一方の磁極から他方の磁極に向かって傾斜していることが推測される。
【0048】
また、図8に現れる別の特徴は、点Pが接近しているが、全ての曲線が通る磁極の軸方向のすぐ外側に現れることがある。これらはここではピボット・ポイントと称する。
【0049】
図8は同様に形成された磁界プロファイルで、半径方向磁界Byに対するものである。センサー50yはシャフト表面から2.5mmの所に配置した。
【0050】
図8において、出力信号(mV)はまたオフセットを持つように示されている。縦軸ゼロは2500mVである。0Nm曲線を見ると、各磁極領域で同じピーク強度に到達するが、信号極性は反対となる。2つの領域の間において、x=0の所でゼロを通るスムーズに変化する(実験誤差は許容)。±80Nm曲線は軸方向磁界測定で示されたものと同様な特徴を示した。それらはゼロトルク曲線に対してx方向にシフトする。ゼロトルク曲線に対して、一方の磁極領域ではそのピーク値は増加し、他方の磁極領域では減少し、この増加/減少は2つの磁極領域で反対となる。このことは、磁界パターンの傾斜が、加えられたトルクの極性に依存することを再び示している。全ての曲線はピボット・ポイントあるいは磁極を越えたすぐの小領域Pで同じになる。
【0051】
最後に図9は、シャフトに形成された磁化が、任意のxの値において周方向ないし接線方向成分Bzを実質的に持たないことを示す。
【0052】
変換素子22により発生するトルク依存磁界の性質について理論付け(「傾斜(tilt)の概念が磁界に起こりうる影響として提唱される」がなくても、軸方向磁界及び半径方向磁界の両方が、トルク測定のための磁気ベース変換器システムのための可能性を提供することが理解される。特に図7の横軸ゼロの両側の平行な直線領域はトルク測定に利用することができる。弾性限度内でトルクと磁気出力との関係に線形関係が存在することが分かっている。同様に、図8の横軸ゼロのまわりに延びる平行直線領域も利用することができる。この領域もトルクと磁気出力との間に線形関係を与える。
【0053】
図7及び図8の曲線によって示された結果を考察するにあたり、まず図10を参照する。この図は、センサーホストの表面に近接して(シャフト表面から2mmの所)測定された、ベクトル矢印により表された磁束方向を示す。各ドットは軸方向の測定点を示し、各ドットを通る各ベクトル矢印は該ドットにおける磁束の方向を示す(相対的大きさではないが)。測定はシャフトの磁化領域の上及びそれを越えた所まで行われた。磁極はNとSと記載された領域にある。シャフトに加わるトルクはゼロである(他のいかなる力もゼロである)。
【0054】
磁界は中心線28の所では実質的に軸方向であり、磁極に向かうに従い半径方向に増加するようになり、磁極付近で半径方向がピークで軸方向成分がゼロとなる。磁極をさらに越えると、半径方向成分が減少し、軸方向成分は増加するが、中心線に対して反対方向になる。図10は方向のみに関し、大きさに関するものでないことに留意されるべきである。図10に示すベクトル分布は図7及び図8のゼロトルクの場合の測定された大きさの分布と一致していると考えられる。
【0055】
図11a〜図11cはトルクのもとでの軸方向及び半径方向の磁界分布の変化に関して上述した「傾斜」概念を簡単に磁気的にモデル化して示す。図11a〜図11cはある方向(例えばcw)に加えられたトルク、ゼロトルク及び他の方向(ccw)に加えられたトルクに関連する磁界をそれぞれ示す。
【0056】
先ず図11bを見ると、シャフトの磁化された領域22の磁極近傍の点64、66から発生する磁束線からなる扇形部60、62が示されている。磁束線の方向は矢印で表されている。磁界の大きさは示されていない。扇形部の角度はそれぞれ基準線68、70に対して表されている。図11bにおいて各基準線は各扇形部の中心矢印61、63と一直線をなしている。図11aのcwトルクのもとでは、2つの扇形部は点64、66の周りを「ロール」している。ゼロトルクのもとでは、基準線と一直線をなしている2つの扇形部はシャフト表面に対して同じ角度(反対方向であるが)、つまりαp=αnとなっている。トルクのもとでこれら扇形部は同じ方向にロールし、矢印61、63の放射ラインは基準線68,70に対してシフトしている。角度をシャフト20の表面を基準にしてとると、図11aのcwトルクに対して扇形部60の角度αpは減少し、扇形部62の角度αnは増加する。図11cに示すようにトルクがccw方向に加わると反対のことが起こる。
【0057】
磁力源として動作する特定の磁石システムの構造の詳細は図1及び図2を参照して上述した。シャフト内の磁化された領域の形成のより詳細な説明は図4及び図5a〜図5cを参照して行った。図4の磁力源30は、上述したプロファイル特性を有する外部磁界を形成する変換素子を作製するために図1に示すものと同様な形態である。所望の磁極形態のパラメータのさらに幾つかの観点について図12a及び図12bを参照してここで考察する。これらの図は、目下のところ最もよく知られているが、本発明に対して十分な程度の磁化と磁界は導かない図12aの形態と、所望の外部磁界を形成する図12bの形態を対比させている。図12aは、変換素子を提供するために磁化されるべきシャフト20の部分22’に対して反対の磁極となっている磁石32’、34’から構造される磁力源30を示す。磁石32’、34’は、シャフト20に作用するU字状磁石を提供するために磁束集結部材36’により結合されている。図12aのアセンブリに関して異なっているものは、磁極間、特に磁極端32’a、34’a間のかなり幅の広いギャップgである。各磁石32、34はそれら自身の周りに磁界35を形成する傾向にあるが、その磁束はシャフト部分22’に入り、残留磁化を生じさせるよう磁化するのに寄与しない。さらに、部分22を通る通路に見られる磁束は表面近傍ゾーン43の表面近くに集中する傾向がある。磁石32’、34’を互いにより接近させると(gを小さくする)、各磁石の周りにリンクする磁束35は減少し、図12bに示すように部分22’内により多くの磁束が集中し、より深いものとなる。これは図1、図4、図5a〜図5dにおいて見られる状況である。図1及び図4において、矢印付きのループは磁石アセンブリ及びシャフト20の近接部分22’を循環する磁束を示す。さらに、部分22’内の磁化の深さは、かなり幅広い(w)磁極端32’a、34’aを持つことにより増大される。w/gの比は約7以上であると十分と思われる。
【0058】
電磁石による代替
これまで考察してきた永久磁石アセンブリは、非常に大きな磁界強度が適当な大きさで達成できる利点を有している。しかしながら、これらは磁界強度を容易に変化させたり、切り替えを行ったりすることができない不都合を有する。代替物として、直流電流(D.C.)で励磁される電磁石アセンブリを、センサーホストを磁気的にプログラミングするための磁力源として使用することができる。電磁石で制御が可能となるので、所望のセンサー特性を達成するため磁石間の磁界強度をマッチングさせること:測定信号の回転の不均一性を大幅に改良するため磁石アセンブリとセンサーホストとの間の有効磁界強度を調整すること:所望の全測定スケール範囲を調整すること:プロセスのプログラミング、特に上述のステップ3)の後退フェーズを迅速化すること:が可能となるか、もしくはより容易に行えるようになる。電磁石は、ステップ3)においてセンサーホストから後退させたり、ステップ1)においてセンサーホストに向けて前進させたりすることは必ずしも必要ではなく、電磁石の電流を制御することによりステップ1)〜ステップ3)の手順を同様に行うことができる。ステップ1)は励磁電流を傾斜を付けて増加させることにより行うことができ、MPU後退の効果は電磁石の励磁電流を傾斜を付けて減少させることにより得ることができる。
【0059】
電磁石で得られる最大磁束密度は永久磁石の最大磁束密度より小さいので、センサーホスト内の所定の使用可能な磁界強度に対して、磁石システムは永久磁石システムより物理的に大きくなる。
【0060】
前磁化処理
次に、センサーホストに対する前磁化処理について、特にシャフトを消磁させることに関連させて説明する。この処理は、上述した磁界分布特性を得るために重要である。一般に認められているように、シャフトはその材料内の磁区(ドメイン)に異なった影響を与える種々の機械的処理及び/又は熱処理を受けているかもしれない。シャフトははっきりしない磁界を受けたり、そのような磁界を獲得しているかもしれない。このような不知のものは変換特性を変化させてしまう。そしてほとんどのケースでは、シャフトは前磁化処理を施され、上記で磁気清浄化と称した磁気的に明確な状態に置かれる。
【0061】
必要な消磁の程度は、後に行われる磁化処理に一部依存する。例えば、変換素子を作製する磁気的プログラミングがかなり低レベルの磁界強度を用いるものである場合、センサーホストを完全に消磁することがより重要になる。このような状況において、磁気清浄化は、消磁手順の結果、あらゆる方向において磁区のグループ化が存在しないように、シャフト材料の材料の各結晶粒(grains)の磁化方向がランダムとなることを意味する。各結晶粒の何らかの組織化された磁気的配向を与える磁区のグループ化の存在は、磁化された変換素子内の欠陥、例えば、測定された磁気信号のオフセットの増加;シャフトの回転角の関数としての信号の不均一性;変換素子の経時安定性の低下;を導く。
【0062】
磁気清浄化は、磁化された変換素子が形成されるべき領域を十分越えた範囲で行う必要があり、例えば好ましくはシャフト全体で消磁されるべきであり、これによりセンサーホスト内にはっきりしない局部磁石システムが存在しなくなる。特にシャフト軸に平行に形成された「棒状磁石」はシャフト内を経時により移動し、センサーの使用のなんらかの基準に影響を及ぼすかもしれない。
【0063】
図13は磁気清浄化のための装置を示す。この装置は、中空ソレノイド様に巻回された消磁コイル80、主電源トランス装置82及び電流リミッター84から構造される。18mm径のシャフトに対しては、適当なコイルは約300巻きで約30cm径の大きな電流を通すことができるケーブルであった。大きな同軸ケーブルの外側導体をソレノイドコイルにしたものが適当であることがわかった。トランス装置82は、110又は240VACの主直流電源に接続された可変トランス86を有する。この可変トランスはアイソレーショントランス88に接続され、該アイソレーショントランス88は、その2次側で10アンペア以上を例えば48Vまでの電圧で安全に送ることができる。コイル80は電流リミッター84を介してトランス88の2次側に接続され、該電流リミッター84は抵抗、例えばパワーレオスタットであってもよく、より手の込んだ電子デバイスであってもよい。電流リミッターは、ステップがコイルを流れる電流をモニターされるならば省略してもよい。典型的なコイル抵抗は約100mΩである。トランス装置の可変性は、電流を所望の如く制御することを可能にする。
【0064】
コイル80を励磁し、シャフトの全長を、該コイルを8〜10Aで励しながら該コイルを通過させる。これは、約1kガウスの消磁磁界を形成する。典型的なものでは、500〜1200ガウスの範囲の磁界となることが見られる。シャフトはコイルの軸に沿って移動させるため移動可能な治具に取付け、その移動をシャフトの遠い方の端部がコイルを離れるまで続けるようにし、シャフトが受ける磁界を徐々に減少させるようにしてもよい。他の方法により、コイルに対するシャフトの軸方向の位置の関数としてのコイル電流の制御を含む、その他の消磁処理を行ってもよい。
【0065】
この前磁化処理は、広範囲のセンサーホスト形状(シャフト、ディスク等)に対して、また、周方向に磁化されたものを含む広範囲のタイプの磁気変換素子に対して、より一般的に適用できる可能性を有すると思われる。
【0066】
後磁化処理
上述した磁化処理手順に続く後磁化処理からなるオプションのステップ4)は、前磁化処理と同様な方法であるが、より低レベルの磁界で行われる。また、このステップは、上述したような他の方法で磁化されたセンサーホストを安定化させるためにより一般的に適用することができる。
【0067】
ステップ4)の後磁化処理において、磁化されたシャフトは、励磁されたソレノイドコイル80を再び軸方向に通過する。しかしコイルを流れる電流は前磁化処理のための電流よりも1オーダー小さい大きさのものである。上述した前磁化処理の例において使用された8〜10Aの電流は、後磁化処理のためには例えば0.5〜1Aまで低減される。この電流は形成しようとする基本的な磁界パターンに変化を与えない値であるが、最もよく推測すると、磁化処理の後に存在するかもしれない寄生磁界を低減させるか、はねつけるものである。この後磁化処理ステップは、シャフトの回転による出力信号の不均一性、経時によるオフセット、最終的なセンサーの安定性を全体として改善できることがわかった。
【0068】
磁化処理手順、特にそのステップ2)に戻ると、既述の如く距離D2(図3b)はできるだけ小さく保たれなければならない。シャフト表面に実際に接触することは避けられなければならない。さらに、捻れは、その小さな変動がセンサーホストに入ってくる磁束に大きな影響を与えるので、できるだけ一定に保たれなければならない。例えば、MPU30とシャフト表面の間に作用するレーザー距離センサーに基づく位置制御フィードバックシステムを利用することができる。このようなシステムは、断面が円形でないシャフトに使用可能である。MPUの磁極とセンサーホストの表面との間の磁界は、通常±1kガウス〜±6kガウスの範囲で非常に大きい。
【0069】
磁化処理手順、特にステップ2)の間に、得られる磁化はMPU30、例えばシャフトの反対側から離れた点において測定することができる。この点にて、独立したセンサーデバイスが、内部に保存された磁界に相関する外部磁界を測定するために設置される。磁化処理手順は、なんらかの不要な検出磁界が得られるまで続けることができる。電磁石システムによるプログラミングはここではよりよい制御ができるので有利である。
【0070】
センサーの磁化レベルは実時間でモニターすることができ、従って電磁石の電流も調節することができる。変形例は、電磁石の電流を所定の磁化レベルに設定する段階的アプローチである。電磁石は、モニター測定が行われている間、スイッチオフされ、測定によるより低レベル又はより高レベルの磁化に対しては再度励磁される。このモニター測定及び再励磁ステップは、所望の結果が得られるまで繰り返すことができる。
【0071】
この実時間的及び段階的処理は、位置の調整による永久磁石の使用に対する理論において適用できるが、要求される制御の程度は実現するにはかなり難しい。
【0072】
トルク測定システム
以下の記述は図7及び図8の曲線、特に上述したこれら曲線の直線的領域に基づくトルク測定システムの利用に関するものである。
【0073】
図14は図7(極性は反対)の軸方向のプロファイル曲線を一般的表示したもので、90はゼロトルク曲線を示し、92、94は反対方向のトルクにより生じたトルクシフト曲線の関連部分である。単一のセンサー又はセンサーアレイが、領域のX1+及びX1−のような軸方向位置のシャフトに近接した非接触位置に配置され、そこでは曲線は平行でかつ最も線形性がよくなっている。これらのセンサーは軸方向に配置される。所定のトルクにおける軸方向位置に対する磁界強度の線形性は本質的なものではないが、トルク値の補償及び計算に望ましく、助けになる。X1+又はX1−に配置されたセンサーは、トルクの関数であるBxを表す信号を形成することがわかる。X1+における出力はX1−における出力と反対符号である。センサーは2つの位置のそれぞれに配置し、これらの信号を互いに加算することもできる。このことは図19を参照してさらに説明する。
【0074】
半径方向のケースを図15に示す。図15は図8の曲線の中心線部分である(極性は反対)。96は原点を通るゼロトルク曲線を示し、97、98は関連するトルクシフト部分を示す。これは図16に示すように利用できる。信号センサー又は好ましく対向するセンサー対52’、54’が、変換素子(シャフト20の磁化された部分22)の中心線の両側のX1、X2のような位置、好ましくは中心面28からXの大きさと等しい位置に配置される。図17は、半径方向に廃校するが対向している対をなす対向センサー(例えば52’)の利点を示す。対をなすセンサーはそれらと反対極性の出力A1、A2に加算的に組み合わされるよう接続され、結合信号A=A1+A2を形成する。しかし、地磁気のような共通なモードの影響は打ち消される。他の対のセンサーからの出力は同様に処理され、結合出力信号B=B1+B2が得られる。
【0075】
図15は、全てのトルクレベルにおいて値A−Bが一定のままであり、曲線のBy対xの傾斜を示し、変換素子の「利得」ファクタとして表すことができることを示す。A、B又はA+Bはトルク依存出力関数である。
【0076】
図18は、これらの信号が、利得ファクタにおける変化が補償されるトルク出力信号を形成するためにどのようにして利用できるかを示す回路図である。図17において、変換素子部分22からのセンサー信号A、BはWO98/52063に記載されているような回路102a、102bを使用することにより適正に得られる。これら2つの信号はそれぞれ加算回路104と減算回路106に供給される。和信号(A+B)/2は利得制御可能な増幅器108の入力として供給され、該増幅器108には、別の信号ユニット出力(A−B)が利得制御信号として供給される。増幅器108の出力Tは利得ファクタにおける変化が補償されたトルク信号Tである。
【0077】
図7及び図14の軸方向磁界分布に戻ると、図19は、図14のシャフトの磁化された変換器領域の近傍のX1−、X1+のような位置に配置された一対の軸方向に配向したセンサー56a、56bを示す。これら2つのセンサーはトルク(A+B)=A−(−B)及び利得あるいは傾斜A−B=A+(−B)を測定するために接続することができる。
【0078】
保護/保持(GUARD/KEEPER)磁界領域
変換素子領域のための保護又は保持磁界の設置について上記で言及した。図20及び図21はこれをどのようにして行うかを示す。図20は通常図1に従うものであるが、図20の磁石システム130はさらに2つの磁極により拡張さている。シャフト120に沿ってかつ近接して交互の極性の4つの半径方向の磁石が設けられ、共通の拡張された磁束集結部材136を有している。磁化処理手順は図3a〜図3cのステップに従い、上述した前磁化処理及び後磁化処理がそれぞれ先後する。
【0079】
磁石132、134は変換素子として使用するために磁化された領域122を付与するように互いに作用する。この領域122は外部磁束140を有する。1つの外側の磁石133は磁石132と共同して作用し、磁化された領域を部分122の1つの磁極(S)とそれに軸方向に隣接した反対極性(N)に分ける。これらの磁極は、測定に使用されない磁束140’によりリンクされる。他の外側磁石135は同様に磁石134と共同して作用し、磁化された領域部分122の1つの磁極(N)とそれに軸方向に隣接した反対極性(S)に分かける。結果として生じる閉じたループ状磁束は図21において細い点線で示されている。2つの外側の保護/保持領域137、139は、アクティブな変換領域122の侵出を防止し、シャフトに沿った領域122に不要な磁界の侵入を防止し、所望の変換領域の特性を安定化させることを助けるように作用する。領域122に侵入する不要な磁界を防止する保護領域は長手方向に磁化されている必要はない。これら保護領域は番号WO99/56099として公開された先述の国際出願に記載されているような周方向又は環状の磁化として知られているような他の明確な磁化の形態をとってもよい。
【0080】
好ましい実施例の説明
図1〜5に関して説明したような領域22の磁化処理に戻ると、上述の磁化手順のステップ1)で、シャフトが一定角速度V1で回転しなければならないと説明した。
【0081】
単一領域22の実際の変換器の使用を、軸方向と半径方向磁化プロファイルに対して、それぞれ図14(図7と共に)と図15(図8と共に)に示す。いずれの場合も、トルクに対するプロファイルの応答は、プロファイルを軸方向にシフトする効果である。これらの応答曲線に入る追加の要因が存在する。トルクに対する軸方向シフトの方向は、シャフトが磁化されている間はシャフトの回転方向に依存する。これは、現時点では物理的に説明できない最も驚くべき結果である。しかしながら、それは実験で証明されており、単一変換器領域22に関して生じる問題の解決の根拠を提供する。
【0082】
問題は、測定される回転シャフトの軸方向の動きに対する変換器システムの潜在的感度である。軸方向の動きの大きさは、シャフトが使用される状況と、変換器システムの所定の工学的実施の公差によって大きく変化するのは明らかである。センサーシステムに対するシャフトの軸方向の動きによる出力信号変化をトルクによるものから分離する必要があることは容易に理解されるだろう。本発明の一局面は、この問題に対する提案の解決策の根拠に関する。すなわち、2つの変換素子がシャフト上に設けられて一方はシャフトの時計方向回転で磁化され他方は反時計方向回転で磁化される場合、シャフト変位は両変換器に同一の向きに影響を与えるが、所定のトルクは変換器に反対の向きに影響を与えることである。変換器の信号は、軸方向変位成分が反対に作用する間は、トルク信号成分を加算する方向に組み合せてもよい。
【0083】
この教示を実行できる方法を図22と23に関して説明する。図22では、シャフト140は一対の間隔をあけた変換器領域122a、122bを持ち、それぞれ、先に記載の磁化領域22を形成するための上述の手順によって磁化されている。各変換器領域に関連してそれぞれのセンサーデバイス構造142a、144bがあり、それぞれ信号調整回路144a、144bに接続されて、測定されたトルクT1、T2をそれぞれ表すそれぞれのトルク出力信号v1、v2を発生させる。しかしながら、トルク出力信号v1、v2はセンサーデバイス構造に対するシャフト140の軸方向シフトによる成分を含むかもしれない。信号は、センサー構造142a、142bに対するシャフト140の軸方向の動きによる成分をできるだけ除去すると共にシャフト内のトルクを表す出力信号Tを生成するために、更なる処理が必要である。この処理は回路146によって実施されるが、これについては、信号Tを導くために必要な信号操作を説明した後で以下に更に説明する。信号操作を拡張して、必要なら、軸方向シフト成分sを導くこともできる。
【0084】
領域122a、122bは同程度に磁化されて、同一の軸方向極性、例えば左側にN極を持つものと仮定する。2つの領域122a、122bに関して異なるところは、一方はシャフトが軸A―Aの周りに一方向、例えば図22で右から見て時計方向に回転する間に磁化され、他方の領域はシャフトが他の方向、例えば反時計方向に回転する間に磁化される。磁化処理時の回転方向のこの違いが、軸方向の動きからのトルクの区別を可能にする、トルク下の磁界プロファイルでの異なる方向のシフトをもたらす。これを図23に関して更に説明する。説明を容易にするために、半径方向磁界プロファイルが図15の応答特性によって検知されるがセンサー構造は、領域122a、122bの中心線128a、128bの一方の側にそれぞれ一つまたは一対のセンサーデバイス(図16)を備えている場合をまず考察しよう。各領域に対して、中心線から距離X1の位置で検知が行われる。これは図23に示す状況である。
【0085】
図23は2つの軸方向に間隔をあけた変換器領域122a、122bに対するそれぞれの応答曲線96a、96bを示す。シャフト内のトルクに対する応答は、応答プロファイル96aを関連センサー構造に対して一方向にシフトすることと、応答プロファイル96bをその関連センサー構造に対して反対方向にシフトすることである。これは、応答曲線96a、96bに付したそれぞれの矢印P1、P2によって示される。しかしながら、シャフト、従ってそれによって支えられる磁気プロファイルの軸方向変位については、センサー構造に対するプロファイルシフトは、それぞれ矢印Q1とQ2で示すように両プロファイルに関して同一方向である。かくして、例えば軸方向に右側へのシャフトの動きはセンサーをそれぞれ左方向に位置Xs1、Xs2まで効果的にシフトする。
【0086】
トルクFのプロファイルの異なる動き(P1、P2)は、反対極性プロファイルシフトを示すとして先に言及したものである。すでに検討したように、プロファイルシフト応答が線形であるとの根拠によって、プロファイル96aに応答するセンサーの出力v1の変化は次のように表される、
式(1a)
【数1】
プロファイル96bに応答するセンサーのv2は次のように表され、
式(1b)
【数2】
ここにv1とv2はゼロトルクおよびゼロ軸シフト(基準位置に対して)で適用される静止電圧レベルの変化であり、Tとsはそれぞれ、加えられるトルクと軸方向変位、k1とk3は変換器領域122a、122bのトルク対電圧伝達関数に対するそれぞれの定数であり、k3とk4は変換器領域122a、122bの軸方向変位対電圧伝達関数に対するそれぞれの定数である。トルク成分v2のマイナス記号は、トルク伝達関数がv1のそれに対して反対向きであることを示す。
【0087】
トルク指示電圧VTはv1とv2の引き算の組合せによって次のようになる:式
【数3】
これは、より便利な形になり、
式(2a)
【数4】
K1は、付加トルクTがあるが軸方向変位sがない状態の測定値VTにより、またK2は、軸方向変位sはあるが付加トルクTがない状態の測定値VTによってそれぞれ得られる。
【0088】
注目されるように、k1とk3は定数K1の値で加算的だが、k1とk3を個々に知る必要はない。k1=k3ならK1=2K1である。同様にk2とk4を個々に知る必要はないが、それらは引き算的なのでK2はどちらよりも小さくなり、k2=k4ならK2=0で、この場合、式(2a)は次のようになって、
式(2b)
【数5】
軸方向の動きに影響されない。後者が完全には補償されない場合でも、トルク電圧VTでの軸方向変位の効果は式(1a)と(1b)の測定値v1またはv2に比べてずっと小さくなる。
【0089】
K2≠0の非理想的な場合を考えると、軸方向変位成分は次のようにして得られる。
変位指示電圧VSはv1とv2の加算の組合せによって得られる:
式
【数6】
これは、より便利な形になり、
式(3a)
【数7】
【0090】
トルク測定に関して上述したのと類似の論法に従って軸方向変位成分sの測定値を得ることができる。
【0091】
K1’は付加トルクTがあるが軸方向変位のない状態の測定値VSによって得られ、K2’は軸方向変位sはあるが付加トルクTはない状態の測定値VSによって得られる。K1’とK2’は、K1およびK2と同時に得られる。
【0092】
気付かれるように、この場合k2とk4は定数K2’の値で加算的だが、k2とk4を個々に知る必要はない。k2=k4ならK2’=2k2(K2はゼロ)である。同様に、k1とk3を個々に知る必要はないが、K1はいずれよりも小さくなり、k1=k3ならK1’=0(K1は2k1に等しい)となって、式(3a)は次のようになり、
【数8】
式 Vs=K2’s
トルクによって影響を受けない。後者が完全には補償されない場合でも、変位電圧VSでのトルクの影響は式(1a)と式(1b)の測定値v1またはv2に比べてはるかに小さくなる。
【0093】
式(2a)と(3a)を操作することによって、トルクTと変位sの一方または両方は、問題のシャフトがトルクと軸方向変位(K2≠K1’≠0)の両方を受けている場合に下記のように計算可能で、ここにVTとVSは変換器センサー信号から得られる測定電圧である:
式(2aから)、式
【数9】
式(2aから)、式
【数10】
Tとsに関してこれらの式をそれぞれ解くことによって、
式(4a)
【数11】
また、式(4b)
【数12】
K2=0なら、式
【数13】
K1’=0なら、式
【数14】
図22に戻ると、上記の式を実行するために回路146によって実行される機能はマイクロプロセッサの助けによって好都合に実施可能で、このために信号v1、v2がそれぞれのアナログ・デジタルコンバータ(ADC)によってまずデジタル化される。次のセクションでのv1とv2に対する記述は、それらの信号のデジタル化版となる。
【0094】
v1とv2はそれぞれ、差と合計のユニット148と150に印加され、それから信号VTとVSが、それぞれ式(2a)、(3a)で与えられるように求められる。信号VT、VSは次に、式(4a)、(4b)に従って信号VT、VSによって動作するようにプログラムされたマイクロプロセッサ152によって使用され、必要に応じてそれぞれトルクTとシフトの信号を発生させる。
【0095】
回路146内ですべての機能を提供するように単一のマイクロプロセッサをプログラムできることは言うまでもない。それぞれのトルクとシフトの値T、Sはv1とv2の入力から直接に導くことができる。
式(5a)
【数15】
式(5b)
【数16】
ここに式
【数17】
すでに説明した軸方向変位補償技術を、図16、17に示される、より複雑な変換器構造で使用できる。この構造は多重の半径方向配向センサーを含み、それによって外側の磁界が補償され、伝達関数の利得と傾斜が確定されてその変化を補償できる。図18は、単一の変換器領域22からトルク表示用出力信号Tを導くための回路を示す。出力信号Tはいかなる軸方向変位成分に関しても補償されないだろう。図18の回路は2つの領域のおのおののトルク検知のために採用可能であり、この場合、図22のユニット144a、144bはそれぞれ、図18の回路と一致している。それぞれの出力トルク信号T1、T2(図22の表記の形に従う)はトルク表示用電圧の形を取る。各未補償信号T1、T2は、効果的に、上述の式に合ったユニット146における処理によってそれぞれ信号v1、v2になる。
【0096】
トルク測定値は軸方向プロファイル測定値に基づいて求めることもできる。軸方向プロファイルは図7に関し、また図14の一般化されたプロファイルに関して先に検討した。単一変換器領域に対する補償されたトルク測定は、図20に関して説明する。補償はまた、変換器伝達関数の実効利得と傾斜に対するものである。測定された出力は軸方向変位に対する補償を含まないので、これがまた、トルク依存の軸方向シフトを測定すべき磁気プロファイルに対してセンサーデバイスをシフトする効果を持つ。軸方向変位を補償して、より正確なトルク依存出力を得るために先に採用した方法を、軸方向プロファイルの場合にも適用できる。
【0097】
軸方向シフトまたは変位を磁気変換器のトルク誘導プロファイルから分離するための上述の対策に続いて、本発明の更なる実施例を説明する。それは、反対方向に磁界プロファイルシフトを示す2つの変換器領域を持つシャフトの軸シフトの補償に関する上記の開示に依存する。
【0098】
ここで、前記の教示を更に発展させて、シフト補償されたトルクの測定を可能にするか、トルクに独立なシフトの測定を可能にするか、あるいはこれら両方の測定の実現を可能にするシステムを提供する一つのシステムを開示しよう。更なる実施例は添付の図24〜29に関して説明する。
【0099】
軸方向変位または加速度が測定すべきパラメータであるような長さ方向磁化処理のプロファイルシフトの形を利用できる。軸方向シフトの正確で反復可能な測定が更にシフトの線形関数である出力によって得られることが判明している。この点で、測定される値は変換素子とセンサーシステム間の相対軸方向シフトであり、説明の目的のために、センサーシステムは固定されて、その長手軸の周りに加えられたトルクと共に軸方向変位も受けるシャフトと協働し、該シャフトはすでに説明したタイプの一対の一体的変換素子を支えているものと見なす。その一方と他方の変換素子は先に説明したようにそれぞれ、シャフトが時計方向と反時計方向に回転している間に磁化される。
【0100】
図24によれば、これは2つの一体領域242、244を持ったシャフト240を示し、該領域は図1〜6dに関して先に説明したように磁化されて、図7、8のプロファイルシフト特性を示す変換素子として働くようになっている。説明する実施例のために、使用される特性は図7の軸方向プロファイルシフトである。領域242、244はそれぞれ、矢印で示すように一方向および反対方向に回転するシャフトによって磁化される。領域はシャフト軸に対して同一方向、例えば図で左側にNで右側にSのように磁気的に磁極化される。すでに説明したように、磁化処理を受ける間の反対方向の回転によって、領域242、244のプロファイルは、共通のトルクがシャフトに加えられた状態で反対方向に移動する。
【0101】
変換器領域242、244はそれぞれのセンサーアセンブリ246、248と協働する。それぞれが、一対の軸方向配向コイル(飽和インダクタ)250a、250bと252a、252bを備えている。各対では、コイルは、それぞれ国際公開出願WO98/52063で開示される種類の信号処理(調整)回路250、252の中に示される向きに直列に接続される。ユニット250、252は、シャフト240の長手軸の周りに加えられるトルクに応じてそれぞれトルク依存出力信号T1、T2を生成する。これらの信号はユニット254で組み合わされ、トルクと軸方向位置をそれぞれ表す出力TとSを提供する。
【0102】
出力信号を得る方法を更に説明するために、図14にならって領域242、244の両者に適用可能な軸方向プロファイルを示す図25を参照すると共に、トルクの関数として出力信号T1、T2の曲線をグラフで示す図28を参照する。
【0103】
図25によれば、2つの応答プロファイルを示し、それぞれ、例えば図6aの50Xのような単一コイルの軸方向配向センサーに対する、軸方向位置を持った電圧出力のプロットである。2つのプロファイルは同一である。左側のものは領域242を含む変換器の動作に合致するように符号が付され、右側のものは領域244を含む変換器の動作に合致する。アセンブリ246のコイル250a、250bとアセンブリ248のコイル252a、252bなどの一対のコイルについては、2つのコイルは、例えば、図30に関して下記に説明するスイートスポット間の距離に等しい距離だけ軸方向に離れて配置される。しかしながら、間隔pを、変換器アセンブリが設置されるときに各コイルアセンブリの2つのコイルが応答の線形傾斜上にあって関連変換器応答の中心線Lの周りに対称的に配置されるように、ある範囲内の任意の値にしてもよい。
【0104】
各対のコイルは関連応答線上のポイントX0−とX0+で作動するように位置決めされる。これらのポイントは、スイートスポットの位置でもよいが、必ずしもその必要はない。ポイントX0−とX0+は、水平線Mで表される等レベルにある。ゼロトルクでは、回路250、252は、図26のポイントT0において等しい出力T1、T2を発生させる。
【0105】
シャフト240がトルクを受けると、応答プロファイルは固定センサーアセンブリに対してシフトされるが、容易に考えられるように、センサーアセンブリは、位置X1−とX1+までプロファイルに対してシフトされて、プロファイルの線形部分の上の、投影された垂直線によって示されるポイントで動作する(すべてのシフトは図解を明瞭にするために誇張されている)。図25と27では傾斜の線形部分における動作が維持される。新しい動さポイントは異なるレベルにある。図示のように、領域242に関連するプロファイルは、両者に共通のトルクに応じて領域244に関連するプロファイルに対して反対方向にシフトするので、動作ポイント内のシフトは反対の方向を持ち、出力信号レベルのシフトは領域242のものに対して反対の方向を持つ。その結果、トルクの関数としてのT1を表す線形曲線は、図26で示されるように、T2を表すものとは反対の傾斜を持つ。両曲線は、所定のトルクではT0レベルに対して同一の出力信号を持つが極性は反対の応答を表す。T0成分を除去するために、トルク出力T1、T2はトルク出力T(=T1−T2)を得るためにユニット254の一部254aで差分動作を受ける。トルク出力Tは、ゼロトルクで値が0となる信号Tによって図26でも図示される。Tの符号はトルクの方向を示す(時計方向または反時計方向)。
【0106】
次に、シャフトの軸方向シフトまたは変位の効果に注目しよう。これは図27に関連して検討するが、図は図25と同一のプロファイルと、プロファイル上の動作ポイントX0−、X0+でのセンサーの同一初期配置を示す。この場合、シャフトはプロファイルに対してセンサー位置X2−、X2+まで軸方向にシフトされる。図25のトルク依存シフトの場合と同様に、各プロファイル上の動作ポイントは垂直線の投影で示すようにそれぞれ反対方向にシフトするが、最も重要なことは、図25とは異なり、2つのプロファイルのシフトは同一の向きを持つことである。この結果、出力T1、T2又は回路250,252は同一の向きに、同一の大きさだけ変化する。これは、図26で、両変換器に適用されるポイントTSまでの、ゼロトルクにおける軸方向変位による出力信号シフトで示される。TSは、図28の顕著な特徴をはっきりさせるために任意の位置で示す。トルクがシャフト240に加えられる一方、シャフトがこの同一軸方向変化を受けたままになっている場合は、その結果として、線形トルク曲線T1’、T2’が回路250、252の出力によって生成される。曲線T1’、T2’は、(TS〜T0)に等しい定数で垂直にシフトされるのではなく、図26の上記のT1、T2と全く同一である。
【0107】
かくしてトルクTは、シャフトの軸方向位置、例えばT0とTSの値にかかわらず、T1とT2の出力間の差から等しく求めることができる。254aにおける差分ステップはトルク出力を、発生するかもしれない軸方向シフトから実質的に独立にする。軸方向シフトは信号出力T1、T2に同じ向きに影響を与えて相殺される。
【0108】
ゼロトルク又は任意の所定トルクにおける差(TS−T0)は、T0で表されるような所定の基準線に対する軸方向シフトsの正確な尺度であることも判明した。従って、図26に戻って、信号出力T1、T2を表す上方の曲線が合計された場合(T1+T2)、レベルT0において一定値の出力が得られる(厳密には2T0だが目盛係数2は目下説明中の原理に無関係なものとして無視される)。同様にレベルTSで表されるシフト位置では、T1+T2出力の合計(T1’+T2’)が、レベルTSで一定値の出力を提供する。図28は、合計回路254Bに加えられた回路250、252の出力信号T1、T2から導かれたxに対する軸方向シフトsのグラフを示す。かくして、変換器アセンブリと記載の回路は次の可能性を提供する:
1)軸方向シフトに対して補償されたトルクを測定すること、
2)トルクによって影響されない軸方向シフトを測定すること、
3)1)と2)の両者を測定すること。
【0109】
上述の実施例は、軸に沿った同一の極性、N―SとN―Sによって磁化された2つの変換器領域242、244を持つ。上記の教示は、2つの変換器領域が隣接する同一磁極、例えばN―SとS―Nを持つ場合に適用できる。この結果、一方の領域が他方に対して逆にされた応答プロファイルとなり、上述の動作を得るために、一つの変換器からの信号の極性における補償用リバーサルが必要になる。
【0110】
上記の実施例の別の修正例では、2つのセンサーシステム246、248自体を適当な極性で単一の信号処理(調整)回路に直列に接続して、合計出力(T1+T2)又は差分出力(T1−T2)を得ることができる。
【0111】
変換器領域242〜244が隣接する同一磁極を持つ場合は、2つの同一の隣接領域を形成するための共通中心磁石を持つダブルU字型磁石配置を持った領域を磁化する可能性を提供する。この中心磁石には、この目的のために延長した軸方向長さを与えてもよい。
【0112】
上述の実施例の軸方向シフト測定局面を加速度計に利用できるが、その場合は可動部材が、加速度で生じる力に比例して変位するように取り付けられる。この例を図27に模式的に示す。
【0113】
図29では、長寸部材260(シャフト)が、基部264に対してそれを加速する力を受ける質量部262の間に取り付けられる。シャフト260の一端が質量部262に取り付けられ、他端は基部262で支持される可撓サポート又はダイアフラム266に取り付けられて、質量部262によって発生した加速力の下で基部に対して変形できるようになっている。図示の例では、シャフト260は双頭の矢印によって示される力の下で垂直運動可能に取り付けられる。シャフトは、領域242、244の方式で磁化された2つの変換器領域272、274と、それと協働するセンサーアセンブリと、信号処理化回路275とを持ち、信号処理回路は上述のように作動すると共にその回路から、シャフト260の軸方向シフト出力sが質量部262と基部264間の相対加速度の尺度として求められる。
【0114】
軸方向シフト補償と軸方向シフト測定における上述の開発は、軸方向(インライン)プロファイルシフト応答を利用する変換器に関して与えられた。同様の原理は半径方向プロファイルシフト応答(図8、15)に適用可能で、これがまた、プロファイルは、共通のトルクを受ける2つの変換器領域については、それぞれのセンサーアセンブリに対して反対方向にシフトするが(その領域は反対方向の回転の下で磁化されている)、プロファイルはシャフトの軸方向変位については、それぞれのセンサーアセンブリに対して同一方向にシフトするという特性を示す。
【0115】
本発明の別の局面は、回転シャフトを磁化(エンコード)するための磁石の使用がシャフト内に渦電流の発生をもたらすという発見から生じる。この例は、図1〜3cに関して上述した磁化処理手順の中で判明した。
【0116】
固定式永久磁石アセンブリに対してシャフトを回転させる一つの実際的な方法は、それを旋盤に取り付けることである。3000rpm以上の回転速度が使用された。この目的のために普通の旋盤を適合させると、シャフトの両端との導電接触と、機械を通る閉じた電気経路をもたらす。発見されたことは、磁化領域の軸方向長さがシャフト長さの重要な部分となるシャフトでは、シャフトに沿って軸方向成分を持ちその成分が後から外部機械経路を流れるような高い渦電流がシャフト内に発生するかもしれないことである。これらの電流は10〜100A以上の範囲で測定された。問題となるものは、その電流が、例えば旋盤のベアリングを通る外部経路での変動によって不均一なことである。これらの短期的な変動は、シャフト軸の周りの角度の関数として、誘導磁化(図5a〜5d)の不均一性をもたらす場合がある。それは、角度の関数が変調されるときの磁化である。
【0117】
変換器領域の磁化のこの望ましくない変調の結果は、回転シャフト内でトルクを測定したときの出力信号の変調である。本発明の2つの局面はこの問題を緩和するための対策に関する。
【0118】
変換器アセンブリの出力信号の電子処理に完全に頼るのではなく、できるだけ源でこの問題に対処するために2つの解決策が提案される。第1は、軸方向電流を防ぐ目的で、シャフトを回転させる旋盤その他の機械と非電気的導電接触の状態でシャフトを取り付けることである。第2は、磁化処理実験でシャフトを回転させるために使用した旋盤に適用された方法だが、これは、シャフトが磁石アセンブリの影響下で一定速度で回転している間、均一な渦電流成分の流れを確保する目的で均一な導電外部経路を提供するために、シャフトの両端に置かれて互いに電気的に接続された一対の導電ブラシまたはブラシのアレイを持つことであった。均一な電流の獲得は、シャフトの軸の周りの均一な磁化の獲得の助けとなるだろう。
【0119】
これまで行われた具体的な作業は、シャフトの各端部でそれぞれの真鍮ブラシのアレイを使用した。シャフトは上述のFV520B高性能鋼製であった。
【0120】
磁化処理手順における電磁石の使用が可能なことも上述した。先のこの提案をこの場合に適用してもよいが、問題は次の事実によってより小さなものになるかもしれない。つまり、シャフトの変換器領域の磁化のための磁石の励磁は一般に、非常に短期間、通常1mSまたはそれ以下にまでなっているからである。
【0121】
先の説明は磁界センサーの3つの配向について述べた。すなわち、軸方向またはインライン(図9Aと9Bではx方向、半径方向(y方向)、および接線方向(z方向)である。軸方向と半径方向配向は共に、それぞれ図7と8に示す感トルク磁界プロファイルシフトを生じる。図14〜19の説明は、軸方向および半径方向磁界プロファイルを使用する実際的な測定技術の実行についての更なる詳細を提供する。
【0122】
本発明の更に別の局面で次に説明することは、磁界プロファイル、より詳細には軸方向又はインラインプロファイルに関してセンサーの配置を最適化するための追加の対策である。軸方向磁界の場合に、図14で位置x1+とx1−の一方または両方に配置された2つの軸方向に間隔をあけたセンサー(またはセンサーグループ)が使用されたことを想起されるだろう。両位置のセンサーは図19に図示され、それらの信号が組み合わされた。これらの教示は図24〜28の実施例で特定の方法で実行されたが、そこでは「スイートスポット」へのセンサーの配置が言及された。
【0123】
理想的には図7と14にあるような同一の磁界プロファイルが、シャフトの角位置のいかんに係わらず、得られるだろ。実際には、その磁界プロファイルは、シャフト角度の関数として変調(理由のいかんに係わらず)されるかもしれない。その結果、図30の曲線で見られる不均一性が存在する(図30は、センサーを軸に隣接して変換器領域に沿って軸方向に動かしながら取られた信号測定値を示す)。より詳細には、使用した測定装置を図31に示す。変換器領域222は中心線228を持つ。軸方向配向センサー(256)は軸(x)方向に動かされる。単一のインダクタコイルが、先に述べたタイプの飽和コアタイプの回路で使用された。そのインダクタンスは約220μHだった。コアは長さ8mmで、コイル本体は長さ6mm、直径は2mm未満だった。コイル軸とシャフト表面間の隙間DSは2.5mmであった。センサーの実際の物理的サイズのために、測定されたプロファイルはコイルの長さにわたって局部的な平均化を示す。センサーは信号出力VSを提供するために適当な回路に接続された。
【0124】
図30の曲線を得るために、3000rpmのシャフト回転速度で2つの磁石によって磁化された直径18mmのFV520B鋼のシャフトが使用された。シャフトは旋盤に取り付けられた。上述の渦電流対策は装備されなかった。シャフトは、4500ガウスを超える強度の2つの磁石によって磁化され、各磁石は15mmの軸方向磁極長さを持ち、磁極間の間隔は2mmだった。
【0125】
センサーの各軸方向位置xにおいて、シャフトの回転角度の関数として出力VSが詳しく調べられた。回転角度による出力の変動が存在する。図30は最大振幅の曲線210、最小振幅の曲線212、および中間振幅の曲線214を示す。角度の関数としての振幅変動は出力の濾波によって処理できるが、これらの曲線が、より有利な解決策をもたらす。
【0126】
図30の曲線に関して注目すべきことは、変換器領域の中心線から±10mmの距離で、振幅変動が最小になる「スイートスポット」230が存在することである。各曲線は事実上、中心線の各側のそれぞれのポイントで一致する。かくして、例えば図14と19でx1+とx1−の位置に軸方向に間隔をあけて配置されたセンサーは、振幅変動を最少にするために、スイートスポットポイントに整合して配置すべきことが示される。また当然観察されることだが、スイートスポットは、変換器領域からのトルク関連測定可能磁気信号が最も急な傾斜を持ち、かつ、寄生効果が最低の値になるポイントで起こる。言い換えれば、スイートスポットは、最適S/N比が期待できるポイントである。引用した例では、スイートスポットは、中心線から永久磁石アセンブリの軸方向範囲の約0.6の位置、または磁極の軸方向長さの約2/3の、中心線からの距離に存在する。
【0127】
スイートスポットポイントの軸方向位置はセンサーとシャフト表面間の距離DSの関数であることが判明した。この変動は、変換器領域からの距離が増加するときの磁束の曲率によるものと考えられる。スイートスポットは、距離DSが増加するにつれて中心線から離間する。しかしながら、それらは依然として最大の傾斜とS/Nのポイントにとどまる。これは、各スイートスポットポイントに位置するセンサーがシャフトから同一距離にあるものと想定する。測定された磁界自体は距離DSが減少するにつれて減少するだろう。
【0128】
それぞれx1+とx1−にある各センサーが、シャフトの周りに直径方向の反対側に配置された2つの組合せセンサーデバイス(記載の誘導タイプ)からなるときに、より良い結果が得られた。
【0129】
注目すべきことだが、スイートスポット230はゼロ検出磁束Bのポイントに位置するかもしれない―図14参照。図30の曲線は、あるオフセット値でゼロ磁束に対応するVS値を持つ(公称2500mV)。トルクが加えられていないときのゼロ磁束での動作は、曲線が動作ポイントで線形傾斜を持つ限り、それ自体、トルクによるプロファイルシフトの検出において問題となることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、PCT/EP01/04077の開示による、磁化処理されたシャフトの一体部分を有するシャフトを示す。
【図2】
図2は、図1のシャフト及び磁石アセンブリの端面図である。
【図3】
図3a〜図3cは、図1及び図2に示す磁石アセンブリを使用したシャフトの磁化処理手順のステップを示す。
【図4】
図4は、磁化処理手順を模式的に示す。
【図5】
図5aは、シャフト内の変換素子に形成された磁束を示し、図5b及び図5cは、それぞれA1線断面図及びA2線断面図であり、図5dは、変換素子内の磁界をさらに示す。
【図6】
図6a及び図6bは、全て軸方向位置の関数として表した軸方向、半径方向、接線方向の磁気プロファイルを得るためのセンサー配向を示す。
【図7】
図7は、軸方向の磁界のプロファイルである。
【図8】
図8は、半径方向の磁界のプロファイルである。
【図9】
図9は、周方向の磁界のプロファイルである。
【図10】
図10は、変換素子の近傍における磁束の方向の説明図である。
【図11】
図11a〜図11cは、磁界分布におけるトルクの影響に関連する説明図である。
【図12】
図12a及び図12bは、磁力源により変換領域に形成される磁界を説明する目的のために模式的に示した図であり、図12bは、図1及び図4に示す本発明の実施に関連するものである。
【図13】
図13は、シャフトのための前磁化処理及び後磁化処理に使用される装置の回路図である。
【図14】
図14は、図7の曲線の一般化表示である。
【図15】
図15は、図8の曲線の一般化表示である。
【図16】
図16は、図15に基づく半径方向磁界測定のためのセンサー対を示す。
【図17】
図17は、1つのセンサー対の形態を示す。
【図18】
図18は、利得補償されたトルク出力信号を得るための回路を示す。
【図19】
図19は、図14に基づく一対の軸方向に配向したセンサーの配置を示す。
【図20】
図20は、保護/保持磁界を提供するための磁化処理システム及び方法を示す。
【図21】
図21は、シャフト内の合成力を模式的に示す。
【図22】
図22は、本発明の第1実施例による変換器アセンブリを備えた一対の変換素子を組み込むように磁化されたシャフトを示す。
【図23】
図23は、半径方向プロファイルの場合に適用された、図22の2つの素子の反対極性プロファイルシフトを図示する。
【図24】
図24は、トルクと軸方向シフトの出力信号の両者を提供するための、本発明の第2実施例による磁化変換器システムを示す。
【図25】
図25は、それぞれ図24のシステムの動作に関連するトルク依存シフトと軸方向変位依存シフトを備えた軸方向磁化プロファイルを示す。
【図26】
図26は、図24のシステムの動作に関連する出力曲線をグラフで示す。
【図27】
図27は、それぞれ図24のシステムの動作に関連するトルク依存シフトと軸方向変位依存シフトを備えた軸方向磁化プロファイルを示す。
【図28】
図28は、図24のシステムの動作に関連する出力曲線をグラフで示す。
【図29】
図29は、本発明の軸方向変位測定の局面の実施例である加速度計を示す。
【図30】
図30は、本発明の別の局面の軸方向(インライン)実施例におけるセンサー配置のための「スイートスポット」を定める振幅プロファイル曲線を図示する。
【図31】
図31は、図30の曲線を得るために使用される測定システムを図示する。
発明の分野
本発明は、磁気ベースの変換素子アセンブリを使用するトルクの測定に関係する。変換素子は、素子に働く曲げモーメントを発生させる測定力に適用することもできる。より詳細には、本発明は、本明細書でプロファイルシフト長手方向磁化と称するトルク依存の磁界の形を表す磁気変換素子に関係する。この磁化はシャフト、通常はシャフトの一体部分の中で、シャフト(長手方向に延びる)の方向を有すると共に、該シャフトの軸の周りにトルクが加えられたときに軸シフトの方向にそのプロファイルがシフトする検出可能な外部磁界を発生するシャフト軸の周りの磁化の環として実現される。
本発明は詳細には、トルクが加わるシャフトの軸方向の動きによって生じる問題に関係する。本発明は磁器変換素子に関し、上記素子を組み込んだ変換器の構造に関する。本発明はまた、磁気変換器システムに関する。
本発明はまた、変換器領域のトルク軸の周りの角度に対するトルク変換器領域の磁化の不均一性の削減にも関係する。本発明は更に、変換素子として使用予定の部材の一部を磁化する方法に関し、また、変換器領域に対する磁界センサーの配置に関する。
以下、本発明を、特にトルク測定、より詳細には、変換素子がシャフトの一体部分である該シャフトに加わるトルクに関して検討し記載する。シャフトは磁化可能な材料、すなわち強磁性体からなるものとする。好ましくは、該強磁性体は大きな飽和度及び残留磁化が得られ、高い保磁力を有することのできる硬磁性材料から選択される。本発明を実施する場合に使用される磁化領域は永久磁化の領域で、これは、記憶(stored)または残留磁気と称してもよい。
【0002】
発明の背景
近年、シャフトのトルクを検知するための磁気ベース変換器の使用において様々な発展があった。これらは、非接触アセンブリで実現可能な利点があり―特に、回転シャフトに対して有用である。磁化変換素子はシャフト上かシャフト
と一体に取り付けられ、該変換素子によって生じるトルク依存磁化に応答するセンサー構造がそのシャフトとの機械的接触なしに配置される。
【0003】
既知の変換素子の一つの形は、シャフトの軸の周りに閉じたループを形成する周方向または円形の磁化に依存する形式である。磁化自体はトルク軸に対して横方向で、トルク軸の周りに閉じたループまたは環を形成する。シャフトの一体部分に加わるこの形の磁化の例は、公開された国際出願WO99/56099に開示されている。検知される外部のトルク依存磁界は一般に軸方向に存在する。
【0004】
より最近になって、変換素子の新しい形の磁化処理が開発された。これらは、磁化の方向がシャフト軸の方向を持った、シャフト軸の周りの環状磁化である。このような磁化の環はシャフト内に磁束のトロイドを形成すると共に、トロイドの延長として、シャフトの外側に磁束の環を形成する。このような磁化は、上述の周方向磁化に対比して、長手方向と称される。環状長手方向磁化の一つの形は周方向検知用の長手方向磁化のことで、この場合、検知されるトルク依存磁界はシャフト軸に対して周方向または接線方向の成分である。この形の長手磁化を使用する変換器は、公開された国際出願WO01/13081に開示される。公開された国際出願WO01/13082を参照してもよい。これらの両公開出願は引用によって本明細書に組み込まれている。
【0005】
環状長手磁化の第2に形は、プロファイルシフト長手磁化と称されるものである。この形の磁化は、同時係属中の国際出願PCT/EP01/04077―2001年4月10日に出願されて本明細書に引用によって組み込まれている―の主題である。プロファイルシフト長手磁化については、以下で図1〜21に関して説明するが、PCT/EP01/04077およびその図4〜25からの抜粋である。
【0006】
PCT/EP01/04077(’04077出願)に開示された変換素子では、変換素子によって形成されるトルク依存外部磁界は、トルクの機能として軸方向にシフトされた、軸方向と半径方向の磁界プロファイルを持つ。これは後から説明するが、驚くべき結果である。プロファイルは軸方向の位置の関数としての、外部磁界の軸方向または半径方向成分の測定値である。’04077出願に記載された磁化プロセスによって形成される変換素子について行った試験でさらに驚くことは、周方向あるいは接線方向成分が検出されないか、少なくとも任意の上記成分がノイズ内に埋もれるような非常に弱いものであることが判明したことである。
【0007】
上記の磁界分布特性を有する変換素子の作製について以下に述べる。素子の磁化処理はWO01/13081の図6に概略図示(但し、一部修正)するような磁石システム内でシャフトの軸の周りの相対的な回転によって得られる。より深い磁化が従来使用されたものよりもより強力な磁石を用いた馬蹄形磁石を形成する永久磁石からなる磁石システムを用いることによって得られる。さらに詳しくは、シャフトに近接した磁極は、それらの間の間隔や隙間に比べて軸方向の幅がかなり広くなっている。
【0008】
シャフト内に変換素子を作製する方法は、大別すると、2つの処理とそれに続く第3の処理からなる。簡潔には消磁あるいは磁気清浄化(magnetic cleansing)と称される磁気的調製と、それに続く磁化処理手順である。記載されるべき磁気的調製(前磁化手順(pre−magnetisation procedure))は、後で所望の磁界が形成される磁気清浄化部分の提供として要約することができる。磁化処理手順は、前記前磁化手順と幾分類似した後磁化手順(post−magnetisation procedure)が続いて行われてもよい。
【0009】
軸方向または半径方向シフトプロファイルの利用は磁気トルク変換器の大きな効用であることが判明した。これは以下に詳しく説明する。しかしながら、実際には、シャフトの軸方向変位に対する感度によって、シャフトの正確なトルク測定を行う際に問題が生じる場合がある。両者は、測定に利用される軸方向または半径方向プロファイルの軸方向シフトを生成する。
【0010】
一般に長手方向に磁化された変換素子を利用する場合に生じる別の問題は、シャフトなどの部材と磁力源(永久または電磁石)間の相対回転によって形成される環状磁化が、回転軸の周りの磁化の不均一性をもたらす恐れがあることだ。これは、回転不均一性(RNU)または回転信号均一性(RSU)と称される。
【0011】
発明の概要
シャフトの軸方向変位の問題を解決する重要な貢献は、シャフトの軸に沿って間隔をあけた2つの変換器領域が同一の方法ではあるが、磁力源に対するシャフトの相対回転(通常、シャフトが回転する)が一方の領域の形成に対しては一方向であり他方の領域の形成に対してはそれが反対方向になる状態で磁化される場合、2つの領域に対するそれぞれの磁気プロファイルは両者に加わるトルクの共通方向に対して反対の方向にシフトするという事実の認識に基づく。対照的に、シャフトの軸方向変位は一定の外部検出器構造に対する両プロファイルの同一方向のシフトを発生させる。この差がトルクと軸方向変位のシフトの分離を可能にして、シャフトの軸方向変位に対してトルク測定値を補償できるようにする。更に、トルクによって影響されない軸方向変位の測定値を獲得できる。
【0012】
本発明の第1の局面によれば、請求項1に記載の磁気変換素子が提供される。本発明はまた、請求項9に記載されるような変換素子を使用した変換器構造を提供する。本発明の更なる局面は、請求項8に合致する請求項1の磁気変換素子の作製にある。本発明の第2の局面は、請求項19に記載の磁気変換器システムを提供する。
【0013】
上述のNRU問題の一つの理由は、磁化されるシャフト内の渦電流の発生にあるかもしれない。本発明の第3と第4の局面は、請求項23と26にそれぞれ記載される、部材の一部を磁化する方法を提供する。
【0014】
測定の目的のための最良なRSUを得るための一つの技術は、NRUの効果が削減されるような、軸方向の磁界センサーの配置に「スイートスポット」が存在することの認識から生じる。本発明の第5の局面は、請求項30に記載の変換器構造を提供する。
【0015】
本発明と、その様々な局面におけるその好ましい実施例を添付の図面に関して説明するが、図1〜21は先の出願PCT/EP01/04077の開示に関し、図22〜31は本発明の実施例に関する。
【0016】
PCT/EP01/04077の従来提案
これらの従来の提案を、特に変換素子を形成するためにシャフトの一部を磁化処理することに関連させて説明する。所望の磁化が形成されるべき本体又は部分は、より一般的にはセンサーホスト(sensor host)と称することができる。次に続くセクションは、磁気的に清浄な、強磁性体センサーホストの磁化処理に関するものである。センサーホスト、特にシャフトの磁気的調製(前磁化処理)は後磁化処理と同様、後述する。結果として得られる変換素子は、回転シャフトの非接触検出の説明のところで述べる。
【0017】
磁化処理アセンブリ
図1は、円形断面の磁気的に清浄化された(magnetically cleansed)シャフト20を示し、該シャフト20はその軸A−Aの周りに加わるトルクを受けることができるようになっている。シャフト20は軸A−Aの周りに回転可能に設置することができる。シャフトはソリッドな断面を有している。回転方向は図面の右端から見たときに、シャフトに関して時計方向(cw)である。図2は図1の右側から見た図である。シャフトの一部22の周囲に近接して設けられているものは、磁力源(magnetic source)30であり、シャフト表面に対して半径方向(磁力源のNS方向)に配置された一対の反対極性の強力磁石32、34を備えた磁石アセンブリから構造される。これらの遠くの方の磁極は磁束集結部材(magnetic concentrator)36により連結されており、該磁束集結部材36は、これら磁石間に低リラクタンスのブリッジを形成し、部分22の隣接ゾーンを磁化させるために該隣接ゾーンに入り込む、対向する磁極あるいは端部32a、34aからの磁束38を発生させ、あるいは集中させる助けを行う。そして、磁石アセンブリ30は半径方向の面(radial plane)内において作用するU字型ないし馬蹄形磁石を提供する。該磁石アセンブリは非常に強力な永久磁石32、34を使用できるようにするために複数の分離された部分から構造される。磁極とセンサー表面との間に得られる磁界強度は4kガウスより大きくなり、好ましくは5kガウスを超える。これは、後述するように磁石と表面との最小間隔を要求する。
【0018】
図1及び図2からわかるように、磁石32、34は軸方向に一列となっており、シャフト20は磁石に対してA−A軸の周りを回転し、部分22の軸A−Aの周りの環状ゾーン内にS極24とN極26を誘起する。磁化はシャフトの表面より内側を該シャフトの周の周りにわたって延びている。部分22に得られる磁化の深さも後述するように重要である。部分22はシャフト20の軸A−Aの周りに加わるトルクに応答する変換素子を提供する。図1及び図2において、シャフトは磁石アセンブリ30に対して回転するように示されているが、シャフトの周りに磁石アセンブリを回転させることにより、あるいはこれら2つを組み合わせることにより、所望の相対的回転が達成できることが理解される。
【0019】
シャフトの磁化処理のために使用される図示の磁石アセンブリにおいて、その試験は以下に報告するが、各磁極32a、34a(及び各磁石32、34)の軸方向の幅wは周方向における厚さtより実質的に大きい。さらに磁極32a、34a間のギャップgも幅wより実質的に小さくなっている。
【0020】
例として、以下により十分に説明する検出可能な外部磁界の性質は、高性能FV520B鋼からなる直径18mmのシャフトに対して行われた磁化処理により得られた。各磁石32、34は幅wが15mm、厚さtが4mmであった。用いたギャップgは2mmであった。この磁化処理プロセスにおいて、磁極32a、34aとシャフト表面との間の間隔はできるだけ2mm以下で一定になるようにした。ギャップが大きくなると、信号利得(傾斜)及び信号の線形性が小さくなる。信号利得については後にさらに考察する。磁化処理手順により、図4(環42)に示すような深さまで部分22を飽和できることがわかった。また、図1に模式的に示すように、磁束40はN極24とS極26の間のシャフト部分22から外側へ発生する。この外部磁束及びそのトルク下でのふるまいは、記載すべき驚くような結果を生じさせた。
【0021】
磁化処理手順
次に、磁化処理手順もしくは磁気的プログラミングとも称されるものについて図3a〜図3cを参照して詳細に説明する。実際、これらの動作及びタイミングは適切に構造された装置により行われる。磁力源あるいは磁気的プログラミングユニット(MPU)は既述した単一の馬蹄形アセンブリ30とする。また、磁化処理されるべきシャフトは磁気的に清浄化されたものとする。
【0022】
図3a〜図3cにおいて一連のステップ1)、2)、3)で示すように、磁力源あるいは磁気プログラミングユニット(MPU)30は、ニュートラル位置もしくは非作動位置(図3a)から回転シャフト20に向けて半径方向軸に沿って、十分磁化される作動位置(図3b)まで移動し、その後、ニュートラル位置(図3c)まで戻る。距離D1は、ニュートラル位置におけるMPU30とシャフト表面との間の間隔であり、距離D2は十分に磁化される作動位置における最小間隔(図2のd)である。シャフトは角速度V1で回転させる。シャフト10に向かって前進するMPU30の線速はV2であり、シャフトからの後退速度はV3である。
【0023】
磁化処理手順が行われる環境は、所望の磁界を持つシャフト20のプログラミングに影響を与えるような磁界の発生ができるだけないようにすべきである。特にMPU30を移動させるあらゆる手段は、シャフトの近傍に不要な磁界を発生させることを防止するように設計されるべきである。磁化処理プロセスは次の通りである。
【0024】
ステップ1)(図3a)MPU(30)をシャフト10から距離D1の非作動位置に位置決めし、手順の間、一定に保った角速度V1でシャフトの回転を開始する。D1は、MPUからの直接的又は間接なあらゆる磁束がシャフトホストになんら永続的影響を与えないような十分な距離とする。
【0025】
回転速度V1は厳密なものではないが、上述したように全磁化処理手順にわたって一定に維持することが重要である。通常V1は10〜3000rpmの範囲である。V1の値を設定する際に考慮すべき一つのファクタは、ゼロトルクオフセットと称されるパラメータである。これについては下記でさらに考察する。
【0026】
ステップ2)(図3b)V1でのセンサーホストの回転が確立すると、MPU30は比較的遅い速度V2でシャフト10に向かって移動する。V2の値は部分的にV1に依存する。V1の値が大きくなるに従いV2の値を増加させることができる。典型的には、V1が2800rpmのとき、V2は1〜2mm/秒とすることができる。通常、MPUは永久磁石が表面に接触するのを避けるためできるだけシャフトに接近するように、すなわち十分磁化しうる作動位置まで移動させることが望ましい(図4参照)。接触は、シャフトの回転速度あるいはMPUをガイドする制御機構の動作を変化させることがある。MPUとセンサーホストの表面との間の距離D2は、できるだけ短くするだけでなく、高精度で一定に保持されなければならない。このためセンサーホストに対するMPU30の位置を検出するためのフィードバック制御手段が、所望の制御を得るために使用することができる。
【0027】
MPUはシャフトの部分22の飽和磁化処理を達成するため、多数の回転に対して十分磁気的に作用する位置に保持される。目下のところ、磁化の深さがシャフトの半径の30%より大きいことが好ましいが、60%の深さを超えるとセンサーの性能が低下することがある。
【0028】
ステップ3)(図3c)シャフトの回転速度をV1に保持したまま、MPUを、V1に直接関連する速度V3で、十分磁気的に作用する位置からニュートラル位置まで後退させる。一旦ニュートラル位置に戻ると、シャフトの回転を停止させ、シャフトを除去する。するとシャフトは図1に示すように部分22が十分に規定された磁化をもつようになる。この磁化の性質は図4及び図5a〜図5cを参照してさらに詳細に説明する。V3は通常、前進速度V2より実質的に小さい。2800rpmの値に対してV2が1〜2mm/秒であることは上述した。V3の値は0〜5mm/秒であることが後退のためには適当であり、好ましくは0.25/mm以下である。この後退はステップ2)で形成された所望の磁化に何の妨害も与えない。
【0029】
ステップ4)(オプション)磁化されたシャフトは、後述する前磁化処理の清浄化と同様であるがそれより低いレベルの後磁化処理を受けてもよい。
【0030】
図4及び図5a〜図5cに移る前に、力ゼロ・オフセットの概念について説明する。これは回転速度V1の選択に関連してステップ1において述べた。
【0031】
上述のようにシャフト内がゼロもしくはゼロに近いトルクのもとでシャフトが磁化される状況から始める。下記で考察する応答グラフからより明らかになるように、磁化された部分をトルク変換素子として使用する場合、該部分は、a)トルクの関数であり、b)時計回り(cw)又は反時計回り(ccw)のトルクの方向に依存する極性を有し、c)トルクがゼロのときに実質的にゼロの値を持つ、磁界出力を提供する。しかし、磁化処理手順が、シャフトがトルクを受けている間に行われた場合、そのトルクにおいて出力信号はゼロを通りすぎるような値となるであろう。シャフトをトルクゼロに緩和させると、ゼロでない静止出力が得られる。この静止出力の極性は磁化処理の際に加わったトルクの方向に依存する。この現象は、公開された国際出願WO00/57150に開示されているプリ・トルク法(pre−torquing)として知られている技術における実用的な効果を与える。
【0032】
上述した磁化処理手順は、適当な数のMPUを逐次あるいは同時に用いてシャフトに沿って複数の変換素子を形成することに適用することができる。これらの変換素子は所定の異なる極性であってもよく、必要によりプリ・トルクを受けていてもよい。現在の実施は、異なる複数変換素子についてシャフトの異なる複数の軸方向部分を同時に磁化処理するための優位性を示す。これは、前に磁化された部分に影響を及ぼす、次の部分を磁化するために使用される強い磁界が生じる可能性を減少させる。複数の磁化された部分は、変換素子部分が該変換素子に対して反対極性の磁化の保護/保持部分(guard or keeper portions)を並置する場合にも利用することができる(図20)。
【0033】
図4は図3bのステップ2)における部分22の磁化を示す回転シャフトの側面図である。MPU30は十分に作用しうる位置にあり、発生する磁束38は環状領域42を磁化させる。この領域の磁化は軸方向である。
【0034】
上記手順により得られる深い軸方向の磁化の性質を図5a〜図5dを参照してより詳細に説明する。
【0035】
図5aは、上述したステップにより磁化処理された部分22を有するシャフト20の軸方向断面を示し、該部分はN極26とS極24を持つ環状領域42(陰付けして示す)を提供する。もちろん、これら磁極は図面のものに限定されるものではなく、説明をわかりやすくするために記載されたものである。
【0036】
図5b及び図5cは図5aにおけるA1線及びA2線の半径方向断面図である。これらの断面図は外側から部分22に向かって見たときの磁束の極性を示すために記載したものである。そして図5bは該領域42のN極に向かう領域42の内部磁束(S)を示し、図5cは領域42のS極から遠ざかる内部磁極(N)を示す。磁化された環状領域は該領域の内部に、閉じた磁気ループ44を形成し、より小さい外側ループ40がシャフトの外側に形成される。両方のループはシャフト軸A−Aの周りにトロイダル形状となっている。
【0037】
実験は、ループ44の内側表面が実質的にゼロかゼロに近い半径となることを示した。これは、図5b及び図5cのそれぞれの中心に図示される極性により表され、さらに図5dの磁束分布により模式的に表される。シャフト20の軸方向コアを通るこの増大した磁束分布は領域42の半径方向の深さの関数である。上述したように、この領域は飽和まで磁化されている。図7、図8及び図9を参照して以下に報告する実験結果は、今述べた種類の磁束分布を有するよう上述したステップに従い磁化処理されたシャフト10に関するものである。当業者は、ソリッドな磁化された物体内の磁束分布の決定が容易でないことがわかる。本研究において、我々はシャフト内の小さな軸方向の穴にプローブを挿入させることを行った。
【0038】
実際のトルク測定の目的のために、使用する磁界分布は外部磁界40のようなものである。上述した磁化処理手順により変換素子に生じる実際の結果は驚くべきものであり、予期されるものではない。
【0039】
外部磁界プロファイル
次に、上述した磁化処理手順に従い磁化された部分を有するシャフトにより形成された磁界プロファイルの測定について述べる。該磁化された部分は、同様に上述した方法で予め磁気的に清浄化された非磁性部分により軸方向に境界付けられている。すなわち、全シャフトは上述した方法で磁気清浄化されている。
【0040】
図6a及び図6bは、外部磁界を調べるセンサーBの3つの配向を示す。図6aは上述したような磁化された部分22を有するシャフト20を示し、その軸方向の中心は半径方向の面28内にある。3つの異なった磁気プロファイルが図6a及び図6bに示すような形態で配向された指向性センサーを用いて測定された。使用したこれらのセンサーは公開国際出願WO98/52063に開示されているような飽和インダクタ型のものであり、磁界応答インダクタは通常数ミリメートルの長さである。磁界測定のために一緒に使用した他のセンサーデバイスは、磁界応答エレメントが非常に小さいホール効果センサーと、指向性磁気抵抗効果型センサーである。これらの全てのセンサーは、最大応答の近くで広い角度を持ち、最小応答の軸に対して直角に鋭いゼロを持つ8の字の応答パターンを有する。
【0041】
3セットの測定が、図6a及び図6bのインダクタ50x、50y、50zにより表されるように、シャフト10に対して3つの異なったセンサー配向のものを用いて行われた。全ての測定はシャフト表面に近接しているが接触していない関連センサーにより行われてた。シャフトは一定の印加トルクでその軸の周りを回転させた。3つの異なるトルク値が使用された。測定は一度につき1つの配向で行った。
【0042】
センサー50xは、インライン方向とも称される軸方向(x軸)に配向している。該軸に平行な磁界Bx(インライン磁界)の測定がxの関数として行われた。センサーは図7の磁界プロファイルを得るため軸(x)方向に移動させた。
【0043】
センサー50yは半径方向の磁界Byの測定をするためシャフト軸A−Aの半径方向に配向させる。該センサーは半径方向の磁界Byのプロファイルをxの関数として得るため一定の半径において軸(x)方向に移動させた。このプロファイルは図8に見られる。
【0044】
センサー50zは周方向ないし接線方向の磁界Bzを応答するようシャフトの接線方向に配向させる。また、該センサーは接線方向の磁界Byのプロファイルをxの関数として得るためシャフトから一定の半径方向距離で軸(x)方向に移動させる。このプロファイルは図9に見られる。
【0045】
図7〜図9の曲線でそれぞれ与えられる軸方向磁界、半径方向磁界、接線方向磁界のプロファイルについてさらに考察する。各プロファイルは、図6aと6bの適当な50x、50y、50z位置に配向した同様なセンサーにより得られた。
【0046】
図7はシャフト表面から2.5mmの所に設置されたセンサー50xによる、上述した手順で磁化処理されたシャフトの3つのプロファイル示す。シャフトは2800rpmで駆動させ、プロファイルはトルク値0、+80、−80Nmで求めた。グラフの横軸は変換素子の軸中心28からのx方向距離である。縦軸は検出した磁界を表す出力信号値(mV)である。出力はオフセットを示している。縦軸ゼロは約2300mVである。得られたプロファイルは3つのトルク全てに対して同様な形状であるが、トルクにより軸方向にシフトしていることがわかる。ゼロトルク曲線は中心線28の所でピークをとる。+80Nm曲線と−80Nm曲線に対するピークはゼロトルク曲線と同じピーク値であるが、中心線の両方向にシフトしている。そしてトルクは軸方向磁界Bxの軸方向のシフトを生じさせ、そのシフトの大きさはトルクの関数であり、その極性は加わるトルクの極性に依存する。
【0047】
また、図7は関心のあるいくつかの他の特徴を示している。測定された磁界Bxは、センサーが領域22の磁極から離れるように動くとき、ゼロに向かって低下する前に、領域22の磁極に近接した反対極性の領域に入る。この極性の変化は図10及び図11を参照して以下に説明する。磁極は変換素子の中心線28から約±15mmの所にある。測定された磁界の極性は2つの磁極領域で同じ方向であるが、大きさがトルクに依存して異なることを示す。x=0の点に対して対称に近いゼロトルク曲線と比較すると、一磁極に隣接(約15mmの距離)する領域において測定された出力はトルクの一方の極性により増加し、トルクの他方の極性により減少するが、この増加/減少は両磁極領域で反対となる。軸方向の磁界は、トルクに依存する傾斜方向で、一方の磁極から他方の磁極に向かって傾斜していることが推測される。
【0048】
また、図8に現れる別の特徴は、点Pが接近しているが、全ての曲線が通る磁極の軸方向のすぐ外側に現れることがある。これらはここではピボット・ポイントと称する。
【0049】
図8は同様に形成された磁界プロファイルで、半径方向磁界Byに対するものである。センサー50yはシャフト表面から2.5mmの所に配置した。
【0050】
図8において、出力信号(mV)はまたオフセットを持つように示されている。縦軸ゼロは2500mVである。0Nm曲線を見ると、各磁極領域で同じピーク強度に到達するが、信号極性は反対となる。2つの領域の間において、x=0の所でゼロを通るスムーズに変化する(実験誤差は許容)。±80Nm曲線は軸方向磁界測定で示されたものと同様な特徴を示した。それらはゼロトルク曲線に対してx方向にシフトする。ゼロトルク曲線に対して、一方の磁極領域ではそのピーク値は増加し、他方の磁極領域では減少し、この増加/減少は2つの磁極領域で反対となる。このことは、磁界パターンの傾斜が、加えられたトルクの極性に依存することを再び示している。全ての曲線はピボット・ポイントあるいは磁極を越えたすぐの小領域Pで同じになる。
【0051】
最後に図9は、シャフトに形成された磁化が、任意のxの値において周方向ないし接線方向成分Bzを実質的に持たないことを示す。
【0052】
変換素子22により発生するトルク依存磁界の性質について理論付け(「傾斜(tilt)の概念が磁界に起こりうる影響として提唱される」がなくても、軸方向磁界及び半径方向磁界の両方が、トルク測定のための磁気ベース変換器システムのための可能性を提供することが理解される。特に図7の横軸ゼロの両側の平行な直線領域はトルク測定に利用することができる。弾性限度内でトルクと磁気出力との関係に線形関係が存在することが分かっている。同様に、図8の横軸ゼロのまわりに延びる平行直線領域も利用することができる。この領域もトルクと磁気出力との間に線形関係を与える。
【0053】
図7及び図8の曲線によって示された結果を考察するにあたり、まず図10を参照する。この図は、センサーホストの表面に近接して(シャフト表面から2mmの所)測定された、ベクトル矢印により表された磁束方向を示す。各ドットは軸方向の測定点を示し、各ドットを通る各ベクトル矢印は該ドットにおける磁束の方向を示す(相対的大きさではないが)。測定はシャフトの磁化領域の上及びそれを越えた所まで行われた。磁極はNとSと記載された領域にある。シャフトに加わるトルクはゼロである(他のいかなる力もゼロである)。
【0054】
磁界は中心線28の所では実質的に軸方向であり、磁極に向かうに従い半径方向に増加するようになり、磁極付近で半径方向がピークで軸方向成分がゼロとなる。磁極をさらに越えると、半径方向成分が減少し、軸方向成分は増加するが、中心線に対して反対方向になる。図10は方向のみに関し、大きさに関するものでないことに留意されるべきである。図10に示すベクトル分布は図7及び図8のゼロトルクの場合の測定された大きさの分布と一致していると考えられる。
【0055】
図11a〜図11cはトルクのもとでの軸方向及び半径方向の磁界分布の変化に関して上述した「傾斜」概念を簡単に磁気的にモデル化して示す。図11a〜図11cはある方向(例えばcw)に加えられたトルク、ゼロトルク及び他の方向(ccw)に加えられたトルクに関連する磁界をそれぞれ示す。
【0056】
先ず図11bを見ると、シャフトの磁化された領域22の磁極近傍の点64、66から発生する磁束線からなる扇形部60、62が示されている。磁束線の方向は矢印で表されている。磁界の大きさは示されていない。扇形部の角度はそれぞれ基準線68、70に対して表されている。図11bにおいて各基準線は各扇形部の中心矢印61、63と一直線をなしている。図11aのcwトルクのもとでは、2つの扇形部は点64、66の周りを「ロール」している。ゼロトルクのもとでは、基準線と一直線をなしている2つの扇形部はシャフト表面に対して同じ角度(反対方向であるが)、つまりαp=αnとなっている。トルクのもとでこれら扇形部は同じ方向にロールし、矢印61、63の放射ラインは基準線68,70に対してシフトしている。角度をシャフト20の表面を基準にしてとると、図11aのcwトルクに対して扇形部60の角度αpは減少し、扇形部62の角度αnは増加する。図11cに示すようにトルクがccw方向に加わると反対のことが起こる。
【0057】
磁力源として動作する特定の磁石システムの構造の詳細は図1及び図2を参照して上述した。シャフト内の磁化された領域の形成のより詳細な説明は図4及び図5a〜図5cを参照して行った。図4の磁力源30は、上述したプロファイル特性を有する外部磁界を形成する変換素子を作製するために図1に示すものと同様な形態である。所望の磁極形態のパラメータのさらに幾つかの観点について図12a及び図12bを参照してここで考察する。これらの図は、目下のところ最もよく知られているが、本発明に対して十分な程度の磁化と磁界は導かない図12aの形態と、所望の外部磁界を形成する図12bの形態を対比させている。図12aは、変換素子を提供するために磁化されるべきシャフト20の部分22’に対して反対の磁極となっている磁石32’、34’から構造される磁力源30を示す。磁石32’、34’は、シャフト20に作用するU字状磁石を提供するために磁束集結部材36’により結合されている。図12aのアセンブリに関して異なっているものは、磁極間、特に磁極端32’a、34’a間のかなり幅の広いギャップgである。各磁石32、34はそれら自身の周りに磁界35を形成する傾向にあるが、その磁束はシャフト部分22’に入り、残留磁化を生じさせるよう磁化するのに寄与しない。さらに、部分22を通る通路に見られる磁束は表面近傍ゾーン43の表面近くに集中する傾向がある。磁石32’、34’を互いにより接近させると(gを小さくする)、各磁石の周りにリンクする磁束35は減少し、図12bに示すように部分22’内により多くの磁束が集中し、より深いものとなる。これは図1、図4、図5a〜図5dにおいて見られる状況である。図1及び図4において、矢印付きのループは磁石アセンブリ及びシャフト20の近接部分22’を循環する磁束を示す。さらに、部分22’内の磁化の深さは、かなり幅広い(w)磁極端32’a、34’aを持つことにより増大される。w/gの比は約7以上であると十分と思われる。
【0058】
電磁石による代替
これまで考察してきた永久磁石アセンブリは、非常に大きな磁界強度が適当な大きさで達成できる利点を有している。しかしながら、これらは磁界強度を容易に変化させたり、切り替えを行ったりすることができない不都合を有する。代替物として、直流電流(D.C.)で励磁される電磁石アセンブリを、センサーホストを磁気的にプログラミングするための磁力源として使用することができる。電磁石で制御が可能となるので、所望のセンサー特性を達成するため磁石間の磁界強度をマッチングさせること:測定信号の回転の不均一性を大幅に改良するため磁石アセンブリとセンサーホストとの間の有効磁界強度を調整すること:所望の全測定スケール範囲を調整すること:プロセスのプログラミング、特に上述のステップ3)の後退フェーズを迅速化すること:が可能となるか、もしくはより容易に行えるようになる。電磁石は、ステップ3)においてセンサーホストから後退させたり、ステップ1)においてセンサーホストに向けて前進させたりすることは必ずしも必要ではなく、電磁石の電流を制御することによりステップ1)〜ステップ3)の手順を同様に行うことができる。ステップ1)は励磁電流を傾斜を付けて増加させることにより行うことができ、MPU後退の効果は電磁石の励磁電流を傾斜を付けて減少させることにより得ることができる。
【0059】
電磁石で得られる最大磁束密度は永久磁石の最大磁束密度より小さいので、センサーホスト内の所定の使用可能な磁界強度に対して、磁石システムは永久磁石システムより物理的に大きくなる。
【0060】
前磁化処理
次に、センサーホストに対する前磁化処理について、特にシャフトを消磁させることに関連させて説明する。この処理は、上述した磁界分布特性を得るために重要である。一般に認められているように、シャフトはその材料内の磁区(ドメイン)に異なった影響を与える種々の機械的処理及び/又は熱処理を受けているかもしれない。シャフトははっきりしない磁界を受けたり、そのような磁界を獲得しているかもしれない。このような不知のものは変換特性を変化させてしまう。そしてほとんどのケースでは、シャフトは前磁化処理を施され、上記で磁気清浄化と称した磁気的に明確な状態に置かれる。
【0061】
必要な消磁の程度は、後に行われる磁化処理に一部依存する。例えば、変換素子を作製する磁気的プログラミングがかなり低レベルの磁界強度を用いるものである場合、センサーホストを完全に消磁することがより重要になる。このような状況において、磁気清浄化は、消磁手順の結果、あらゆる方向において磁区のグループ化が存在しないように、シャフト材料の材料の各結晶粒(grains)の磁化方向がランダムとなることを意味する。各結晶粒の何らかの組織化された磁気的配向を与える磁区のグループ化の存在は、磁化された変換素子内の欠陥、例えば、測定された磁気信号のオフセットの増加;シャフトの回転角の関数としての信号の不均一性;変換素子の経時安定性の低下;を導く。
【0062】
磁気清浄化は、磁化された変換素子が形成されるべき領域を十分越えた範囲で行う必要があり、例えば好ましくはシャフト全体で消磁されるべきであり、これによりセンサーホスト内にはっきりしない局部磁石システムが存在しなくなる。特にシャフト軸に平行に形成された「棒状磁石」はシャフト内を経時により移動し、センサーの使用のなんらかの基準に影響を及ぼすかもしれない。
【0063】
図13は磁気清浄化のための装置を示す。この装置は、中空ソレノイド様に巻回された消磁コイル80、主電源トランス装置82及び電流リミッター84から構造される。18mm径のシャフトに対しては、適当なコイルは約300巻きで約30cm径の大きな電流を通すことができるケーブルであった。大きな同軸ケーブルの外側導体をソレノイドコイルにしたものが適当であることがわかった。トランス装置82は、110又は240VACの主直流電源に接続された可変トランス86を有する。この可変トランスはアイソレーショントランス88に接続され、該アイソレーショントランス88は、その2次側で10アンペア以上を例えば48Vまでの電圧で安全に送ることができる。コイル80は電流リミッター84を介してトランス88の2次側に接続され、該電流リミッター84は抵抗、例えばパワーレオスタットであってもよく、より手の込んだ電子デバイスであってもよい。電流リミッターは、ステップがコイルを流れる電流をモニターされるならば省略してもよい。典型的なコイル抵抗は約100mΩである。トランス装置の可変性は、電流を所望の如く制御することを可能にする。
【0064】
コイル80を励磁し、シャフトの全長を、該コイルを8〜10Aで励しながら該コイルを通過させる。これは、約1kガウスの消磁磁界を形成する。典型的なものでは、500〜1200ガウスの範囲の磁界となることが見られる。シャフトはコイルの軸に沿って移動させるため移動可能な治具に取付け、その移動をシャフトの遠い方の端部がコイルを離れるまで続けるようにし、シャフトが受ける磁界を徐々に減少させるようにしてもよい。他の方法により、コイルに対するシャフトの軸方向の位置の関数としてのコイル電流の制御を含む、その他の消磁処理を行ってもよい。
【0065】
この前磁化処理は、広範囲のセンサーホスト形状(シャフト、ディスク等)に対して、また、周方向に磁化されたものを含む広範囲のタイプの磁気変換素子に対して、より一般的に適用できる可能性を有すると思われる。
【0066】
後磁化処理
上述した磁化処理手順に続く後磁化処理からなるオプションのステップ4)は、前磁化処理と同様な方法であるが、より低レベルの磁界で行われる。また、このステップは、上述したような他の方法で磁化されたセンサーホストを安定化させるためにより一般的に適用することができる。
【0067】
ステップ4)の後磁化処理において、磁化されたシャフトは、励磁されたソレノイドコイル80を再び軸方向に通過する。しかしコイルを流れる電流は前磁化処理のための電流よりも1オーダー小さい大きさのものである。上述した前磁化処理の例において使用された8〜10Aの電流は、後磁化処理のためには例えば0.5〜1Aまで低減される。この電流は形成しようとする基本的な磁界パターンに変化を与えない値であるが、最もよく推測すると、磁化処理の後に存在するかもしれない寄生磁界を低減させるか、はねつけるものである。この後磁化処理ステップは、シャフトの回転による出力信号の不均一性、経時によるオフセット、最終的なセンサーの安定性を全体として改善できることがわかった。
【0068】
磁化処理手順、特にそのステップ2)に戻ると、既述の如く距離D2(図3b)はできるだけ小さく保たれなければならない。シャフト表面に実際に接触することは避けられなければならない。さらに、捻れは、その小さな変動がセンサーホストに入ってくる磁束に大きな影響を与えるので、できるだけ一定に保たれなければならない。例えば、MPU30とシャフト表面の間に作用するレーザー距離センサーに基づく位置制御フィードバックシステムを利用することができる。このようなシステムは、断面が円形でないシャフトに使用可能である。MPUの磁極とセンサーホストの表面との間の磁界は、通常±1kガウス〜±6kガウスの範囲で非常に大きい。
【0069】
磁化処理手順、特にステップ2)の間に、得られる磁化はMPU30、例えばシャフトの反対側から離れた点において測定することができる。この点にて、独立したセンサーデバイスが、内部に保存された磁界に相関する外部磁界を測定するために設置される。磁化処理手順は、なんらかの不要な検出磁界が得られるまで続けることができる。電磁石システムによるプログラミングはここではよりよい制御ができるので有利である。
【0070】
センサーの磁化レベルは実時間でモニターすることができ、従って電磁石の電流も調節することができる。変形例は、電磁石の電流を所定の磁化レベルに設定する段階的アプローチである。電磁石は、モニター測定が行われている間、スイッチオフされ、測定によるより低レベル又はより高レベルの磁化に対しては再度励磁される。このモニター測定及び再励磁ステップは、所望の結果が得られるまで繰り返すことができる。
【0071】
この実時間的及び段階的処理は、位置の調整による永久磁石の使用に対する理論において適用できるが、要求される制御の程度は実現するにはかなり難しい。
【0072】
トルク測定システム
以下の記述は図7及び図8の曲線、特に上述したこれら曲線の直線的領域に基づくトルク測定システムの利用に関するものである。
【0073】
図14は図7(極性は反対)の軸方向のプロファイル曲線を一般的表示したもので、90はゼロトルク曲線を示し、92、94は反対方向のトルクにより生じたトルクシフト曲線の関連部分である。単一のセンサー又はセンサーアレイが、領域のX1+及びX1−のような軸方向位置のシャフトに近接した非接触位置に配置され、そこでは曲線は平行でかつ最も線形性がよくなっている。これらのセンサーは軸方向に配置される。所定のトルクにおける軸方向位置に対する磁界強度の線形性は本質的なものではないが、トルク値の補償及び計算に望ましく、助けになる。X1+又はX1−に配置されたセンサーは、トルクの関数であるBxを表す信号を形成することがわかる。X1+における出力はX1−における出力と反対符号である。センサーは2つの位置のそれぞれに配置し、これらの信号を互いに加算することもできる。このことは図19を参照してさらに説明する。
【0074】
半径方向のケースを図15に示す。図15は図8の曲線の中心線部分である(極性は反対)。96は原点を通るゼロトルク曲線を示し、97、98は関連するトルクシフト部分を示す。これは図16に示すように利用できる。信号センサー又は好ましく対向するセンサー対52’、54’が、変換素子(シャフト20の磁化された部分22)の中心線の両側のX1、X2のような位置、好ましくは中心面28からXの大きさと等しい位置に配置される。図17は、半径方向に廃校するが対向している対をなす対向センサー(例えば52’)の利点を示す。対をなすセンサーはそれらと反対極性の出力A1、A2に加算的に組み合わされるよう接続され、結合信号A=A1+A2を形成する。しかし、地磁気のような共通なモードの影響は打ち消される。他の対のセンサーからの出力は同様に処理され、結合出力信号B=B1+B2が得られる。
【0075】
図15は、全てのトルクレベルにおいて値A−Bが一定のままであり、曲線のBy対xの傾斜を示し、変換素子の「利得」ファクタとして表すことができることを示す。A、B又はA+Bはトルク依存出力関数である。
【0076】
図18は、これらの信号が、利得ファクタにおける変化が補償されるトルク出力信号を形成するためにどのようにして利用できるかを示す回路図である。図17において、変換素子部分22からのセンサー信号A、BはWO98/52063に記載されているような回路102a、102bを使用することにより適正に得られる。これら2つの信号はそれぞれ加算回路104と減算回路106に供給される。和信号(A+B)/2は利得制御可能な増幅器108の入力として供給され、該増幅器108には、別の信号ユニット出力(A−B)が利得制御信号として供給される。増幅器108の出力Tは利得ファクタにおける変化が補償されたトルク信号Tである。
【0077】
図7及び図14の軸方向磁界分布に戻ると、図19は、図14のシャフトの磁化された変換器領域の近傍のX1−、X1+のような位置に配置された一対の軸方向に配向したセンサー56a、56bを示す。これら2つのセンサーはトルク(A+B)=A−(−B)及び利得あるいは傾斜A−B=A+(−B)を測定するために接続することができる。
【0078】
保護/保持(GUARD/KEEPER)磁界領域
変換素子領域のための保護又は保持磁界の設置について上記で言及した。図20及び図21はこれをどのようにして行うかを示す。図20は通常図1に従うものであるが、図20の磁石システム130はさらに2つの磁極により拡張さている。シャフト120に沿ってかつ近接して交互の極性の4つの半径方向の磁石が設けられ、共通の拡張された磁束集結部材136を有している。磁化処理手順は図3a〜図3cのステップに従い、上述した前磁化処理及び後磁化処理がそれぞれ先後する。
【0079】
磁石132、134は変換素子として使用するために磁化された領域122を付与するように互いに作用する。この領域122は外部磁束140を有する。1つの外側の磁石133は磁石132と共同して作用し、磁化された領域を部分122の1つの磁極(S)とそれに軸方向に隣接した反対極性(N)に分ける。これらの磁極は、測定に使用されない磁束140’によりリンクされる。他の外側磁石135は同様に磁石134と共同して作用し、磁化された領域部分122の1つの磁極(N)とそれに軸方向に隣接した反対極性(S)に分かける。結果として生じる閉じたループ状磁束は図21において細い点線で示されている。2つの外側の保護/保持領域137、139は、アクティブな変換領域122の侵出を防止し、シャフトに沿った領域122に不要な磁界の侵入を防止し、所望の変換領域の特性を安定化させることを助けるように作用する。領域122に侵入する不要な磁界を防止する保護領域は長手方向に磁化されている必要はない。これら保護領域は番号WO99/56099として公開された先述の国際出願に記載されているような周方向又は環状の磁化として知られているような他の明確な磁化の形態をとってもよい。
【0080】
好ましい実施例の説明
図1〜5に関して説明したような領域22の磁化処理に戻ると、上述の磁化手順のステップ1)で、シャフトが一定角速度V1で回転しなければならないと説明した。
【0081】
単一領域22の実際の変換器の使用を、軸方向と半径方向磁化プロファイルに対して、それぞれ図14(図7と共に)と図15(図8と共に)に示す。いずれの場合も、トルクに対するプロファイルの応答は、プロファイルを軸方向にシフトする効果である。これらの応答曲線に入る追加の要因が存在する。トルクに対する軸方向シフトの方向は、シャフトが磁化されている間はシャフトの回転方向に依存する。これは、現時点では物理的に説明できない最も驚くべき結果である。しかしながら、それは実験で証明されており、単一変換器領域22に関して生じる問題の解決の根拠を提供する。
【0082】
問題は、測定される回転シャフトの軸方向の動きに対する変換器システムの潜在的感度である。軸方向の動きの大きさは、シャフトが使用される状況と、変換器システムの所定の工学的実施の公差によって大きく変化するのは明らかである。センサーシステムに対するシャフトの軸方向の動きによる出力信号変化をトルクによるものから分離する必要があることは容易に理解されるだろう。本発明の一局面は、この問題に対する提案の解決策の根拠に関する。すなわち、2つの変換素子がシャフト上に設けられて一方はシャフトの時計方向回転で磁化され他方は反時計方向回転で磁化される場合、シャフト変位は両変換器に同一の向きに影響を与えるが、所定のトルクは変換器に反対の向きに影響を与えることである。変換器の信号は、軸方向変位成分が反対に作用する間は、トルク信号成分を加算する方向に組み合せてもよい。
【0083】
この教示を実行できる方法を図22と23に関して説明する。図22では、シャフト140は一対の間隔をあけた変換器領域122a、122bを持ち、それぞれ、先に記載の磁化領域22を形成するための上述の手順によって磁化されている。各変換器領域に関連してそれぞれのセンサーデバイス構造142a、144bがあり、それぞれ信号調整回路144a、144bに接続されて、測定されたトルクT1、T2をそれぞれ表すそれぞれのトルク出力信号v1、v2を発生させる。しかしながら、トルク出力信号v1、v2はセンサーデバイス構造に対するシャフト140の軸方向シフトによる成分を含むかもしれない。信号は、センサー構造142a、142bに対するシャフト140の軸方向の動きによる成分をできるだけ除去すると共にシャフト内のトルクを表す出力信号Tを生成するために、更なる処理が必要である。この処理は回路146によって実施されるが、これについては、信号Tを導くために必要な信号操作を説明した後で以下に更に説明する。信号操作を拡張して、必要なら、軸方向シフト成分sを導くこともできる。
【0084】
領域122a、122bは同程度に磁化されて、同一の軸方向極性、例えば左側にN極を持つものと仮定する。2つの領域122a、122bに関して異なるところは、一方はシャフトが軸A―Aの周りに一方向、例えば図22で右から見て時計方向に回転する間に磁化され、他方の領域はシャフトが他の方向、例えば反時計方向に回転する間に磁化される。磁化処理時の回転方向のこの違いが、軸方向の動きからのトルクの区別を可能にする、トルク下の磁界プロファイルでの異なる方向のシフトをもたらす。これを図23に関して更に説明する。説明を容易にするために、半径方向磁界プロファイルが図15の応答特性によって検知されるがセンサー構造は、領域122a、122bの中心線128a、128bの一方の側にそれぞれ一つまたは一対のセンサーデバイス(図16)を備えている場合をまず考察しよう。各領域に対して、中心線から距離X1の位置で検知が行われる。これは図23に示す状況である。
【0085】
図23は2つの軸方向に間隔をあけた変換器領域122a、122bに対するそれぞれの応答曲線96a、96bを示す。シャフト内のトルクに対する応答は、応答プロファイル96aを関連センサー構造に対して一方向にシフトすることと、応答プロファイル96bをその関連センサー構造に対して反対方向にシフトすることである。これは、応答曲線96a、96bに付したそれぞれの矢印P1、P2によって示される。しかしながら、シャフト、従ってそれによって支えられる磁気プロファイルの軸方向変位については、センサー構造に対するプロファイルシフトは、それぞれ矢印Q1とQ2で示すように両プロファイルに関して同一方向である。かくして、例えば軸方向に右側へのシャフトの動きはセンサーをそれぞれ左方向に位置Xs1、Xs2まで効果的にシフトする。
【0086】
トルクFのプロファイルの異なる動き(P1、P2)は、反対極性プロファイルシフトを示すとして先に言及したものである。すでに検討したように、プロファイルシフト応答が線形であるとの根拠によって、プロファイル96aに応答するセンサーの出力v1の変化は次のように表される、
式(1a)
【数1】
プロファイル96bに応答するセンサーのv2は次のように表され、
式(1b)
【数2】
ここにv1とv2はゼロトルクおよびゼロ軸シフト(基準位置に対して)で適用される静止電圧レベルの変化であり、Tとsはそれぞれ、加えられるトルクと軸方向変位、k1とk3は変換器領域122a、122bのトルク対電圧伝達関数に対するそれぞれの定数であり、k3とk4は変換器領域122a、122bの軸方向変位対電圧伝達関数に対するそれぞれの定数である。トルク成分v2のマイナス記号は、トルク伝達関数がv1のそれに対して反対向きであることを示す。
【0087】
トルク指示電圧VTはv1とv2の引き算の組合せによって次のようになる:式
【数3】
これは、より便利な形になり、
式(2a)
【数4】
K1は、付加トルクTがあるが軸方向変位sがない状態の測定値VTにより、またK2は、軸方向変位sはあるが付加トルクTがない状態の測定値VTによってそれぞれ得られる。
【0088】
注目されるように、k1とk3は定数K1の値で加算的だが、k1とk3を個々に知る必要はない。k1=k3ならK1=2K1である。同様にk2とk4を個々に知る必要はないが、それらは引き算的なのでK2はどちらよりも小さくなり、k2=k4ならK2=0で、この場合、式(2a)は次のようになって、
式(2b)
【数5】
軸方向の動きに影響されない。後者が完全には補償されない場合でも、トルク電圧VTでの軸方向変位の効果は式(1a)と(1b)の測定値v1またはv2に比べてずっと小さくなる。
【0089】
K2≠0の非理想的な場合を考えると、軸方向変位成分は次のようにして得られる。
変位指示電圧VSはv1とv2の加算の組合せによって得られる:
式
【数6】
これは、より便利な形になり、
式(3a)
【数7】
【0090】
トルク測定に関して上述したのと類似の論法に従って軸方向変位成分sの測定値を得ることができる。
【0091】
K1’は付加トルクTがあるが軸方向変位のない状態の測定値VSによって得られ、K2’は軸方向変位sはあるが付加トルクTはない状態の測定値VSによって得られる。K1’とK2’は、K1およびK2と同時に得られる。
【0092】
気付かれるように、この場合k2とk4は定数K2’の値で加算的だが、k2とk4を個々に知る必要はない。k2=k4ならK2’=2k2(K2はゼロ)である。同様に、k1とk3を個々に知る必要はないが、K1はいずれよりも小さくなり、k1=k3ならK1’=0(K1は2k1に等しい)となって、式(3a)は次のようになり、
【数8】
式 Vs=K2’s
トルクによって影響を受けない。後者が完全には補償されない場合でも、変位電圧VSでのトルクの影響は式(1a)と式(1b)の測定値v1またはv2に比べてはるかに小さくなる。
【0093】
式(2a)と(3a)を操作することによって、トルクTと変位sの一方または両方は、問題のシャフトがトルクと軸方向変位(K2≠K1’≠0)の両方を受けている場合に下記のように計算可能で、ここにVTとVSは変換器センサー信号から得られる測定電圧である:
式(2aから)、式
【数9】
式(2aから)、式
【数10】
Tとsに関してこれらの式をそれぞれ解くことによって、
式(4a)
【数11】
また、式(4b)
【数12】
K2=0なら、式
【数13】
K1’=0なら、式
【数14】
図22に戻ると、上記の式を実行するために回路146によって実行される機能はマイクロプロセッサの助けによって好都合に実施可能で、このために信号v1、v2がそれぞれのアナログ・デジタルコンバータ(ADC)によってまずデジタル化される。次のセクションでのv1とv2に対する記述は、それらの信号のデジタル化版となる。
【0094】
v1とv2はそれぞれ、差と合計のユニット148と150に印加され、それから信号VTとVSが、それぞれ式(2a)、(3a)で与えられるように求められる。信号VT、VSは次に、式(4a)、(4b)に従って信号VT、VSによって動作するようにプログラムされたマイクロプロセッサ152によって使用され、必要に応じてそれぞれトルクTとシフトの信号を発生させる。
【0095】
回路146内ですべての機能を提供するように単一のマイクロプロセッサをプログラムできることは言うまでもない。それぞれのトルクとシフトの値T、Sはv1とv2の入力から直接に導くことができる。
式(5a)
【数15】
式(5b)
【数16】
ここに式
【数17】
すでに説明した軸方向変位補償技術を、図16、17に示される、より複雑な変換器構造で使用できる。この構造は多重の半径方向配向センサーを含み、それによって外側の磁界が補償され、伝達関数の利得と傾斜が確定されてその変化を補償できる。図18は、単一の変換器領域22からトルク表示用出力信号Tを導くための回路を示す。出力信号Tはいかなる軸方向変位成分に関しても補償されないだろう。図18の回路は2つの領域のおのおののトルク検知のために採用可能であり、この場合、図22のユニット144a、144bはそれぞれ、図18の回路と一致している。それぞれの出力トルク信号T1、T2(図22の表記の形に従う)はトルク表示用電圧の形を取る。各未補償信号T1、T2は、効果的に、上述の式に合ったユニット146における処理によってそれぞれ信号v1、v2になる。
【0096】
トルク測定値は軸方向プロファイル測定値に基づいて求めることもできる。軸方向プロファイルは図7に関し、また図14の一般化されたプロファイルに関して先に検討した。単一変換器領域に対する補償されたトルク測定は、図20に関して説明する。補償はまた、変換器伝達関数の実効利得と傾斜に対するものである。測定された出力は軸方向変位に対する補償を含まないので、これがまた、トルク依存の軸方向シフトを測定すべき磁気プロファイルに対してセンサーデバイスをシフトする効果を持つ。軸方向変位を補償して、より正確なトルク依存出力を得るために先に採用した方法を、軸方向プロファイルの場合にも適用できる。
【0097】
軸方向シフトまたは変位を磁気変換器のトルク誘導プロファイルから分離するための上述の対策に続いて、本発明の更なる実施例を説明する。それは、反対方向に磁界プロファイルシフトを示す2つの変換器領域を持つシャフトの軸シフトの補償に関する上記の開示に依存する。
【0098】
ここで、前記の教示を更に発展させて、シフト補償されたトルクの測定を可能にするか、トルクに独立なシフトの測定を可能にするか、あるいはこれら両方の測定の実現を可能にするシステムを提供する一つのシステムを開示しよう。更なる実施例は添付の図24〜29に関して説明する。
【0099】
軸方向変位または加速度が測定すべきパラメータであるような長さ方向磁化処理のプロファイルシフトの形を利用できる。軸方向シフトの正確で反復可能な測定が更にシフトの線形関数である出力によって得られることが判明している。この点で、測定される値は変換素子とセンサーシステム間の相対軸方向シフトであり、説明の目的のために、センサーシステムは固定されて、その長手軸の周りに加えられたトルクと共に軸方向変位も受けるシャフトと協働し、該シャフトはすでに説明したタイプの一対の一体的変換素子を支えているものと見なす。その一方と他方の変換素子は先に説明したようにそれぞれ、シャフトが時計方向と反時計方向に回転している間に磁化される。
【0100】
図24によれば、これは2つの一体領域242、244を持ったシャフト240を示し、該領域は図1〜6dに関して先に説明したように磁化されて、図7、8のプロファイルシフト特性を示す変換素子として働くようになっている。説明する実施例のために、使用される特性は図7の軸方向プロファイルシフトである。領域242、244はそれぞれ、矢印で示すように一方向および反対方向に回転するシャフトによって磁化される。領域はシャフト軸に対して同一方向、例えば図で左側にNで右側にSのように磁気的に磁極化される。すでに説明したように、磁化処理を受ける間の反対方向の回転によって、領域242、244のプロファイルは、共通のトルクがシャフトに加えられた状態で反対方向に移動する。
【0101】
変換器領域242、244はそれぞれのセンサーアセンブリ246、248と協働する。それぞれが、一対の軸方向配向コイル(飽和インダクタ)250a、250bと252a、252bを備えている。各対では、コイルは、それぞれ国際公開出願WO98/52063で開示される種類の信号処理(調整)回路250、252の中に示される向きに直列に接続される。ユニット250、252は、シャフト240の長手軸の周りに加えられるトルクに応じてそれぞれトルク依存出力信号T1、T2を生成する。これらの信号はユニット254で組み合わされ、トルクと軸方向位置をそれぞれ表す出力TとSを提供する。
【0102】
出力信号を得る方法を更に説明するために、図14にならって領域242、244の両者に適用可能な軸方向プロファイルを示す図25を参照すると共に、トルクの関数として出力信号T1、T2の曲線をグラフで示す図28を参照する。
【0103】
図25によれば、2つの応答プロファイルを示し、それぞれ、例えば図6aの50Xのような単一コイルの軸方向配向センサーに対する、軸方向位置を持った電圧出力のプロットである。2つのプロファイルは同一である。左側のものは領域242を含む変換器の動作に合致するように符号が付され、右側のものは領域244を含む変換器の動作に合致する。アセンブリ246のコイル250a、250bとアセンブリ248のコイル252a、252bなどの一対のコイルについては、2つのコイルは、例えば、図30に関して下記に説明するスイートスポット間の距離に等しい距離だけ軸方向に離れて配置される。しかしながら、間隔pを、変換器アセンブリが設置されるときに各コイルアセンブリの2つのコイルが応答の線形傾斜上にあって関連変換器応答の中心線Lの周りに対称的に配置されるように、ある範囲内の任意の値にしてもよい。
【0104】
各対のコイルは関連応答線上のポイントX0−とX0+で作動するように位置決めされる。これらのポイントは、スイートスポットの位置でもよいが、必ずしもその必要はない。ポイントX0−とX0+は、水平線Mで表される等レベルにある。ゼロトルクでは、回路250、252は、図26のポイントT0において等しい出力T1、T2を発生させる。
【0105】
シャフト240がトルクを受けると、応答プロファイルは固定センサーアセンブリに対してシフトされるが、容易に考えられるように、センサーアセンブリは、位置X1−とX1+までプロファイルに対してシフトされて、プロファイルの線形部分の上の、投影された垂直線によって示されるポイントで動作する(すべてのシフトは図解を明瞭にするために誇張されている)。図25と27では傾斜の線形部分における動作が維持される。新しい動さポイントは異なるレベルにある。図示のように、領域242に関連するプロファイルは、両者に共通のトルクに応じて領域244に関連するプロファイルに対して反対方向にシフトするので、動作ポイント内のシフトは反対の方向を持ち、出力信号レベルのシフトは領域242のものに対して反対の方向を持つ。その結果、トルクの関数としてのT1を表す線形曲線は、図26で示されるように、T2を表すものとは反対の傾斜を持つ。両曲線は、所定のトルクではT0レベルに対して同一の出力信号を持つが極性は反対の応答を表す。T0成分を除去するために、トルク出力T1、T2はトルク出力T(=T1−T2)を得るためにユニット254の一部254aで差分動作を受ける。トルク出力Tは、ゼロトルクで値が0となる信号Tによって図26でも図示される。Tの符号はトルクの方向を示す(時計方向または反時計方向)。
【0106】
次に、シャフトの軸方向シフトまたは変位の効果に注目しよう。これは図27に関連して検討するが、図は図25と同一のプロファイルと、プロファイル上の動作ポイントX0−、X0+でのセンサーの同一初期配置を示す。この場合、シャフトはプロファイルに対してセンサー位置X2−、X2+まで軸方向にシフトされる。図25のトルク依存シフトの場合と同様に、各プロファイル上の動作ポイントは垂直線の投影で示すようにそれぞれ反対方向にシフトするが、最も重要なことは、図25とは異なり、2つのプロファイルのシフトは同一の向きを持つことである。この結果、出力T1、T2又は回路250,252は同一の向きに、同一の大きさだけ変化する。これは、図26で、両変換器に適用されるポイントTSまでの、ゼロトルクにおける軸方向変位による出力信号シフトで示される。TSは、図28の顕著な特徴をはっきりさせるために任意の位置で示す。トルクがシャフト240に加えられる一方、シャフトがこの同一軸方向変化を受けたままになっている場合は、その結果として、線形トルク曲線T1’、T2’が回路250、252の出力によって生成される。曲線T1’、T2’は、(TS〜T0)に等しい定数で垂直にシフトされるのではなく、図26の上記のT1、T2と全く同一である。
【0107】
かくしてトルクTは、シャフトの軸方向位置、例えばT0とTSの値にかかわらず、T1とT2の出力間の差から等しく求めることができる。254aにおける差分ステップはトルク出力を、発生するかもしれない軸方向シフトから実質的に独立にする。軸方向シフトは信号出力T1、T2に同じ向きに影響を与えて相殺される。
【0108】
ゼロトルク又は任意の所定トルクにおける差(TS−T0)は、T0で表されるような所定の基準線に対する軸方向シフトsの正確な尺度であることも判明した。従って、図26に戻って、信号出力T1、T2を表す上方の曲線が合計された場合(T1+T2)、レベルT0において一定値の出力が得られる(厳密には2T0だが目盛係数2は目下説明中の原理に無関係なものとして無視される)。同様にレベルTSで表されるシフト位置では、T1+T2出力の合計(T1’+T2’)が、レベルTSで一定値の出力を提供する。図28は、合計回路254Bに加えられた回路250、252の出力信号T1、T2から導かれたxに対する軸方向シフトsのグラフを示す。かくして、変換器アセンブリと記載の回路は次の可能性を提供する:
1)軸方向シフトに対して補償されたトルクを測定すること、
2)トルクによって影響されない軸方向シフトを測定すること、
3)1)と2)の両者を測定すること。
【0109】
上述の実施例は、軸に沿った同一の極性、N―SとN―Sによって磁化された2つの変換器領域242、244を持つ。上記の教示は、2つの変換器領域が隣接する同一磁極、例えばN―SとS―Nを持つ場合に適用できる。この結果、一方の領域が他方に対して逆にされた応答プロファイルとなり、上述の動作を得るために、一つの変換器からの信号の極性における補償用リバーサルが必要になる。
【0110】
上記の実施例の別の修正例では、2つのセンサーシステム246、248自体を適当な極性で単一の信号処理(調整)回路に直列に接続して、合計出力(T1+T2)又は差分出力(T1−T2)を得ることができる。
【0111】
変換器領域242〜244が隣接する同一磁極を持つ場合は、2つの同一の隣接領域を形成するための共通中心磁石を持つダブルU字型磁石配置を持った領域を磁化する可能性を提供する。この中心磁石には、この目的のために延長した軸方向長さを与えてもよい。
【0112】
上述の実施例の軸方向シフト測定局面を加速度計に利用できるが、その場合は可動部材が、加速度で生じる力に比例して変位するように取り付けられる。この例を図27に模式的に示す。
【0113】
図29では、長寸部材260(シャフト)が、基部264に対してそれを加速する力を受ける質量部262の間に取り付けられる。シャフト260の一端が質量部262に取り付けられ、他端は基部262で支持される可撓サポート又はダイアフラム266に取り付けられて、質量部262によって発生した加速力の下で基部に対して変形できるようになっている。図示の例では、シャフト260は双頭の矢印によって示される力の下で垂直運動可能に取り付けられる。シャフトは、領域242、244の方式で磁化された2つの変換器領域272、274と、それと協働するセンサーアセンブリと、信号処理化回路275とを持ち、信号処理回路は上述のように作動すると共にその回路から、シャフト260の軸方向シフト出力sが質量部262と基部264間の相対加速度の尺度として求められる。
【0114】
軸方向シフト補償と軸方向シフト測定における上述の開発は、軸方向(インライン)プロファイルシフト応答を利用する変換器に関して与えられた。同様の原理は半径方向プロファイルシフト応答(図8、15)に適用可能で、これがまた、プロファイルは、共通のトルクを受ける2つの変換器領域については、それぞれのセンサーアセンブリに対して反対方向にシフトするが(その領域は反対方向の回転の下で磁化されている)、プロファイルはシャフトの軸方向変位については、それぞれのセンサーアセンブリに対して同一方向にシフトするという特性を示す。
【0115】
本発明の別の局面は、回転シャフトを磁化(エンコード)するための磁石の使用がシャフト内に渦電流の発生をもたらすという発見から生じる。この例は、図1〜3cに関して上述した磁化処理手順の中で判明した。
【0116】
固定式永久磁石アセンブリに対してシャフトを回転させる一つの実際的な方法は、それを旋盤に取り付けることである。3000rpm以上の回転速度が使用された。この目的のために普通の旋盤を適合させると、シャフトの両端との導電接触と、機械を通る閉じた電気経路をもたらす。発見されたことは、磁化領域の軸方向長さがシャフト長さの重要な部分となるシャフトでは、シャフトに沿って軸方向成分を持ちその成分が後から外部機械経路を流れるような高い渦電流がシャフト内に発生するかもしれないことである。これらの電流は10〜100A以上の範囲で測定された。問題となるものは、その電流が、例えば旋盤のベアリングを通る外部経路での変動によって不均一なことである。これらの短期的な変動は、シャフト軸の周りの角度の関数として、誘導磁化(図5a〜5d)の不均一性をもたらす場合がある。それは、角度の関数が変調されるときの磁化である。
【0117】
変換器領域の磁化のこの望ましくない変調の結果は、回転シャフト内でトルクを測定したときの出力信号の変調である。本発明の2つの局面はこの問題を緩和するための対策に関する。
【0118】
変換器アセンブリの出力信号の電子処理に完全に頼るのではなく、できるだけ源でこの問題に対処するために2つの解決策が提案される。第1は、軸方向電流を防ぐ目的で、シャフトを回転させる旋盤その他の機械と非電気的導電接触の状態でシャフトを取り付けることである。第2は、磁化処理実験でシャフトを回転させるために使用した旋盤に適用された方法だが、これは、シャフトが磁石アセンブリの影響下で一定速度で回転している間、均一な渦電流成分の流れを確保する目的で均一な導電外部経路を提供するために、シャフトの両端に置かれて互いに電気的に接続された一対の導電ブラシまたはブラシのアレイを持つことであった。均一な電流の獲得は、シャフトの軸の周りの均一な磁化の獲得の助けとなるだろう。
【0119】
これまで行われた具体的な作業は、シャフトの各端部でそれぞれの真鍮ブラシのアレイを使用した。シャフトは上述のFV520B高性能鋼製であった。
【0120】
磁化処理手順における電磁石の使用が可能なことも上述した。先のこの提案をこの場合に適用してもよいが、問題は次の事実によってより小さなものになるかもしれない。つまり、シャフトの変換器領域の磁化のための磁石の励磁は一般に、非常に短期間、通常1mSまたはそれ以下にまでなっているからである。
【0121】
先の説明は磁界センサーの3つの配向について述べた。すなわち、軸方向またはインライン(図9Aと9Bではx方向、半径方向(y方向)、および接線方向(z方向)である。軸方向と半径方向配向は共に、それぞれ図7と8に示す感トルク磁界プロファイルシフトを生じる。図14〜19の説明は、軸方向および半径方向磁界プロファイルを使用する実際的な測定技術の実行についての更なる詳細を提供する。
【0122】
本発明の更に別の局面で次に説明することは、磁界プロファイル、より詳細には軸方向又はインラインプロファイルに関してセンサーの配置を最適化するための追加の対策である。軸方向磁界の場合に、図14で位置x1+とx1−の一方または両方に配置された2つの軸方向に間隔をあけたセンサー(またはセンサーグループ)が使用されたことを想起されるだろう。両位置のセンサーは図19に図示され、それらの信号が組み合わされた。これらの教示は図24〜28の実施例で特定の方法で実行されたが、そこでは「スイートスポット」へのセンサーの配置が言及された。
【0123】
理想的には図7と14にあるような同一の磁界プロファイルが、シャフトの角位置のいかんに係わらず、得られるだろ。実際には、その磁界プロファイルは、シャフト角度の関数として変調(理由のいかんに係わらず)されるかもしれない。その結果、図30の曲線で見られる不均一性が存在する(図30は、センサーを軸に隣接して変換器領域に沿って軸方向に動かしながら取られた信号測定値を示す)。より詳細には、使用した測定装置を図31に示す。変換器領域222は中心線228を持つ。軸方向配向センサー(256)は軸(x)方向に動かされる。単一のインダクタコイルが、先に述べたタイプの飽和コアタイプの回路で使用された。そのインダクタンスは約220μHだった。コアは長さ8mmで、コイル本体は長さ6mm、直径は2mm未満だった。コイル軸とシャフト表面間の隙間DSは2.5mmであった。センサーの実際の物理的サイズのために、測定されたプロファイルはコイルの長さにわたって局部的な平均化を示す。センサーは信号出力VSを提供するために適当な回路に接続された。
【0124】
図30の曲線を得るために、3000rpmのシャフト回転速度で2つの磁石によって磁化された直径18mmのFV520B鋼のシャフトが使用された。シャフトは旋盤に取り付けられた。上述の渦電流対策は装備されなかった。シャフトは、4500ガウスを超える強度の2つの磁石によって磁化され、各磁石は15mmの軸方向磁極長さを持ち、磁極間の間隔は2mmだった。
【0125】
センサーの各軸方向位置xにおいて、シャフトの回転角度の関数として出力VSが詳しく調べられた。回転角度による出力の変動が存在する。図30は最大振幅の曲線210、最小振幅の曲線212、および中間振幅の曲線214を示す。角度の関数としての振幅変動は出力の濾波によって処理できるが、これらの曲線が、より有利な解決策をもたらす。
【0126】
図30の曲線に関して注目すべきことは、変換器領域の中心線から±10mmの距離で、振幅変動が最小になる「スイートスポット」230が存在することである。各曲線は事実上、中心線の各側のそれぞれのポイントで一致する。かくして、例えば図14と19でx1+とx1−の位置に軸方向に間隔をあけて配置されたセンサーは、振幅変動を最少にするために、スイートスポットポイントに整合して配置すべきことが示される。また当然観察されることだが、スイートスポットは、変換器領域からのトルク関連測定可能磁気信号が最も急な傾斜を持ち、かつ、寄生効果が最低の値になるポイントで起こる。言い換えれば、スイートスポットは、最適S/N比が期待できるポイントである。引用した例では、スイートスポットは、中心線から永久磁石アセンブリの軸方向範囲の約0.6の位置、または磁極の軸方向長さの約2/3の、中心線からの距離に存在する。
【0127】
スイートスポットポイントの軸方向位置はセンサーとシャフト表面間の距離DSの関数であることが判明した。この変動は、変換器領域からの距離が増加するときの磁束の曲率によるものと考えられる。スイートスポットは、距離DSが増加するにつれて中心線から離間する。しかしながら、それらは依然として最大の傾斜とS/Nのポイントにとどまる。これは、各スイートスポットポイントに位置するセンサーがシャフトから同一距離にあるものと想定する。測定された磁界自体は距離DSが減少するにつれて減少するだろう。
【0128】
それぞれx1+とx1−にある各センサーが、シャフトの周りに直径方向の反対側に配置された2つの組合せセンサーデバイス(記載の誘導タイプ)からなるときに、より良い結果が得られた。
【0129】
注目すべきことだが、スイートスポット230はゼロ検出磁束Bのポイントに位置するかもしれない―図14参照。図30の曲線は、あるオフセット値でゼロ磁束に対応するVS値を持つ(公称2500mV)。トルクが加えられていないときのゼロ磁束での動作は、曲線が動作ポイントで線形傾斜を持つ限り、それ自体、トルクによるプロファイルシフトの検出において問題となることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、PCT/EP01/04077の開示による、磁化処理されたシャフトの一体部分を有するシャフトを示す。
【図2】
図2は、図1のシャフト及び磁石アセンブリの端面図である。
【図3】
図3a〜図3cは、図1及び図2に示す磁石アセンブリを使用したシャフトの磁化処理手順のステップを示す。
【図4】
図4は、磁化処理手順を模式的に示す。
【図5】
図5aは、シャフト内の変換素子に形成された磁束を示し、図5b及び図5cは、それぞれA1線断面図及びA2線断面図であり、図5dは、変換素子内の磁界をさらに示す。
【図6】
図6a及び図6bは、全て軸方向位置の関数として表した軸方向、半径方向、接線方向の磁気プロファイルを得るためのセンサー配向を示す。
【図7】
図7は、軸方向の磁界のプロファイルである。
【図8】
図8は、半径方向の磁界のプロファイルである。
【図9】
図9は、周方向の磁界のプロファイルである。
【図10】
図10は、変換素子の近傍における磁束の方向の説明図である。
【図11】
図11a〜図11cは、磁界分布におけるトルクの影響に関連する説明図である。
【図12】
図12a及び図12bは、磁力源により変換領域に形成される磁界を説明する目的のために模式的に示した図であり、図12bは、図1及び図4に示す本発明の実施に関連するものである。
【図13】
図13は、シャフトのための前磁化処理及び後磁化処理に使用される装置の回路図である。
【図14】
図14は、図7の曲線の一般化表示である。
【図15】
図15は、図8の曲線の一般化表示である。
【図16】
図16は、図15に基づく半径方向磁界測定のためのセンサー対を示す。
【図17】
図17は、1つのセンサー対の形態を示す。
【図18】
図18は、利得補償されたトルク出力信号を得るための回路を示す。
【図19】
図19は、図14に基づく一対の軸方向に配向したセンサーの配置を示す。
【図20】
図20は、保護/保持磁界を提供するための磁化処理システム及び方法を示す。
【図21】
図21は、シャフト内の合成力を模式的に示す。
【図22】
図22は、本発明の第1実施例による変換器アセンブリを備えた一対の変換素子を組み込むように磁化されたシャフトを示す。
【図23】
図23は、半径方向プロファイルの場合に適用された、図22の2つの素子の反対極性プロファイルシフトを図示する。
【図24】
図24は、トルクと軸方向シフトの出力信号の両者を提供するための、本発明の第2実施例による磁化変換器システムを示す。
【図25】
図25は、それぞれ図24のシステムの動作に関連するトルク依存シフトと軸方向変位依存シフトを備えた軸方向磁化プロファイルを示す。
【図26】
図26は、図24のシステムの動作に関連する出力曲線をグラフで示す。
【図27】
図27は、それぞれ図24のシステムの動作に関連するトルク依存シフトと軸方向変位依存シフトを備えた軸方向磁化プロファイルを示す。
【図28】
図28は、図24のシステムの動作に関連する出力曲線をグラフで示す。
【図29】
図29は、本発明の軸方向変位測定の局面の実施例である加速度計を示す。
【図30】
図30は、本発明の別の局面の軸方向(インライン)実施例におけるセンサー配置のための「スイートスポット」を定める振幅プロファイル曲線を図示する。
【図31】
図31は、図30の曲線を得るために使用される測定システムを図示する。
Claims (32)
- 周りに回転可能か屈曲が可能な軸を有する磁化可能な部材からなり;
該部材は、該部材の外部表面から内方に延びる該軸の周りの第1と第2の軸方向の磁化の環を有するように磁化処理され、該第1と第2の磁化の環は軸方向に間隔をあけて配置されると共に、各磁化の環は、該部材が該軸の周りに該部材に加わるトルク及び/又は該軸の周りに該部材を曲げる力を受けたとき、該表面の外側に周方向(接線方向)の磁束の有意な成分を、好ましくは、発生させない磁気変換素子であって;
該第1の環は、該軸の周りに加わる所定のトルクに応じて該第2の環によって示される磁界プロファイルに対して反対方向にシフトする磁界プロファイルを示すことを特徴とする磁気変換素子。 - 該部材はトルクを受けるシャフトの一体的部分であり、該部材は該磁化の環以外の残留磁界がなく、該シャフトは該部材の近傍に寄生磁界がない請求項1に記載の磁気変換素子。
- 各磁化の環は、実質的に該軸に対して延びる、内部の閉じたループ状磁界を形成する請求項1又は2に記載の磁気変換素子。
- 各飽和磁化の環の半径方向の深さが該軸と該表面との間の半径の30〜60%である請求項1又は2に記載の磁気変換素子。
- 各環は該軸の方向に分布を持つ磁界を形成し、その磁界の分布の軸方向成分は少なくとも形成された磁束分布の一部にわたってトルクの関数として軸方向にシフトする請求項1の磁気変換素子。
- 各環は該軸の方向に分布を持つ磁界を形成し、その磁界の分布の半径方向成分は少なくとも形成された磁束分布の一部にわたってトルクの関数として軸方向にシフトする請求項1のトルク磁気変換素子。
- 該磁界の分布が該部材の磁極において又は磁極を越えた所にピボット・ポイント又はピボット領域を有し、ケースにより、軸方向成分又は半径方向成分が、トルク依存軸方向シフトに関係なくこれらのポイント又は領域を通過する請求項5又は6に記載の磁気変換素子。
- 該第1の磁化の環は該部材を磁化するための手段に対する該部材の一方向の相対回転によって作られ、該第2の磁化の環は該第1の方向と反対の方向に該部材を磁化するための手段に対する該部材の相対回転によって作られる請求項1〜7のいずれかに記載の磁気変換素子。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の磁気変換素子と、該素子により形成される磁界を検出するために各磁化の環に近接して配置される少なくとも1つのセンサーからなる変換器構造。
- 該少なくとも1つの磁界センサーは、周方向又は接線方向が最小応答方向である請求項9の変換器構造。
- 該それぞれの少なくとも1つの磁界センサーは、軸方向に存在するか又は半径方向に存在する最大応答軸を有する請求項10に記載の変換器構造。
- 最大応答軸が半径方向であり、該それぞれの少なくとも1つの磁界センサーが、各磁化の環の軸方向中心面と一直線に又は近接して配置される請求項10に記載の変換器構造。
- 最大応答軸が軸方向であり、該それぞれの少なくとも1つの磁界センサーが各該磁化の環の軸方向中心面の一方の側に対して軸方向に配置される請求項9又は10に記載の変換器構造。
- 少なくとも2つの磁界センサーがあり、各磁界センサーの最大応答軸が軸方向にあり、それぞれの少なくとも一方の磁界センサーが各磁化の環の軸方向中心面の一方の側に軸方向に配置される請求項10の変換器構造。
- 請求項5又は請求項7および5に記載の磁気変換素子と、軸方向磁界成分に応答するように配向されると共に各磁化の環の軸方向中心面の一方の側に軸方向に配置されるそれぞれの少なくとも一つの磁界センサーからなる変換器構造。
- 軸方向磁界成分に応答するように配向されると共に各環の軸方向中心面の他方の側に軸方向に配置されるそれぞれの少なくとも一つの更なる磁界センサーからなる請求項15に記載の変換器構造。
- 請求項6又は請求項7および6に記載の磁気変換素子と、半径方向磁界成分に応答するように配向されると共に各磁化の環の軸方向中心面又はその近傍で軸方向に配置されるそれぞれの少なくとも一つの磁界センサーからなる変換器構造。
- 周りに回転可能な軸を有する磁化可能な材料の部材の形の磁気変換素子を備え;
該部材は、該部材の外部表面から内方に延びる該軸の周りの第1と第2の軸方向の磁化の環を有するように磁化処理され、該第1と第2の磁化の環は軸方向に間隔をあけて配置されると共に、好ましくは各磁化の環は、該部材が該軸の周りに該部材に加わるトルクを受けたとき、該表面の外側に周方向(接線方向)の磁束の有意な成分を発生させず;
該第1の環は、該軸の周りに加わる所定のトルクに応じて該第2の環によって示される磁界プロファイルに対して反対方向にシフトする磁界プロファイルを示し;そして
センサーシステムはそれぞれ該第1と第2の環によって示される磁界プロファイルに応答するそれぞれのセンサーアセンブリと、該センサーアセンブリの応答を組み合せて、シャフトに加えられるトルク又は該シャフトの軸方向変位を表す出力信号を提供するか又は前記のトルクおよび軸方向変位を表すそれぞれの信号を提供するための手段を備えるようにした;磁気変換器システム。 - 各環は該軸の方向に分布を持つ磁界を形成し、その磁界の分布の軸方向成分は少なくとも形成された磁束分布の一部にわたってトルクの関数として軸方向にシフトする請求項18の磁気変換器システム。
- 各環は該軸の方向に分布を持つ磁界を形成し、その磁界の分布の半径方向成分は少なくとも形成された磁束分布の一部にわたってトルクの関数として軸方向にシフトする請求項18のトルク磁気変換器システム。
- 該第1の磁化の環は該部材を磁化するための手段に対する該部材の一方向の相対回転によって作られ、該第2の磁化の環は該第1の方向と反対の方向に該部材を磁化するための手段に対する該部材の相対回転によって作られる請求項18〜20のいずれかに記載の磁気変換器システム。
- 部材の部分を該部分の軸の周りに磁化の環を形成するために磁化処理することからなり、該部分の磁化処理が、該軸の周りに該部材と磁石システムを相対的に回転させることからなる、部材の部分を磁化処理する方法であって;
中間に該環が形成される該部材の領域から時間に対して均一な導電路を確立することを特徴とする方法。 - 該磁石システムは永久磁石アセンブリであって該部材はそれに対して相対的に回転し、該導電路は該領域と電気的に接触するブラシ手段を含む請求項22に記載の方法。
- 該部材は該磁石システムに対して回転し、該導電路は該領域と電気的に接触するブラシ手段を含む請求項22に記載の方法。
- 部材の部分を磁化して該部分の軸の周りに磁化の環を確立する方法において、該部材は磁化処理時に該軸の周りに回転し、
該部材は、その磁化処理時に該部分の成分を回転させるための手段から電気的に隔離されていることを特徴とする方法。 - 更に、下記ステップからなる磁化処理のための磁化可能な部材を準備することからなる請求項22〜25のいずれかに記載の方法:
貫通するアパーチャを有するコイルを交流電流で励磁するステップ、および
該アパーチャの中を該部材を通過させるステップ。 - 該コイルを励磁して2000アンペア回数以上を発生させる請求項26に記載の方法。
- 該コイルはソレノイドの形に巻かれ、該部材はシャフトであって該部材は該ソレノイドを通って軸方向に動かされるようにした請求項27又は28に記載の方法。
- 周りに回転可能か屈曲が可能な軸を有する磁化可能な材料の部材からなる磁気変換素子を備え;
該部材は、該部材の外部表面から内方に延びる該軸の周りの軸方向の磁化の環を有するように磁化処理され、該磁化の環は、該部材が該軸の周りに該部材に加わるトルク及び/又は該軸の周りに該部材を曲げる力を受けたとき、該表面の外側に周方向(接線方向)の磁束の有意な成分を発生させず、該部材は該軸の方向に分布を有する磁界を形成し、その分布の軸方向成分は該形成された磁束分布の少なくとも一部分にわたってトルクの関数として軸方向にシフトし;そして
該素子によって形成された磁界を検知するために該磁化の環に隣接して配置される少なくとも一つの磁界センサーを備え;
該少なくとも一つのセンサーは、磁界分布が該部材の回転角の関数として最小の変動を示すポイント(スイートスポット)で軸方向に配置されることを特徴とする;変換器構造。 - 磁化の環の中心線の反対側で一対の上記ポイント(スイートスポット)のそれぞれに配置される少なくとも一つのセンサーが存在する請求項29に記載の変換器構造。
- 該少なくとも一つの磁界センサーは周方向又は接線方向に最小応答の方向を有する請求項29に記載の変換器構造。
- 該少なくとも一つの磁界センサーは、軸方向に存在する最大応答の軸を有する請求項29、30又は31に記載の変換器構造。
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