JP2004503032A - 二状態磁気電子物品監視マーカの状態を変更する装置 - Google Patents

二状態磁気電子物品監視マーカの状態を変更する装置 Download PDF

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Abstract

磁気電子物品監視(EAS)マーカ、そして特に磁気的に記録された媒体に取り付けられたEASマーカを活性化しかつ非活性化する装置を開示する。一実施形態では、装置は、マーカを確実に活性化しかつ非活性化するが、磁気的に記録された媒体を損傷しない略均一な磁界を供給するソレノイド型コイルのような、コイルを備えている制御回路を含む。

Description

【0001】
〔技術分野〕
本発明は、二状態磁気電子物品監視マーカの状態を変更する装置に関する。
【0002】
〔背景技術〕
磁気電子物品監視(「EAS」)マーカは、価値のあるアイテムを盗難に対して保護するために多年にわたり使用されてきた。これらのEASマーカは、低保磁力の、高透過性磁気材料で作られた信号生成層、および永久磁化磁気材料で作られた連続または分割信号阻止層を一般的に有する。信号阻止層が活性化されたときには、それは、EAS検出システムによって検出可能である信号を信号生成層が供給することを効果的に阻止し、それゆえにEASマーカが非活性化される。信号阻止層が非活性化されるときには、EASマーカが活性化され、かつEAS検出システムは、マーカを検出することができる。上述したように活性化および非活性化することができるEASマーカは、常に活性化された「一状態」マーカと区別するために、「二状態」マーカと、しばしば呼ばれる。今日まで莫大な数の二状態EASマーカが売られており、かつそれらは、世界中で図書館の資料のような資産を盗難に対して保護する。
【0003】
磁気EASマーカを活性化及び非活性化するために用いられる装置は、それら自体磁気体である。即ち、作用面の近くに所望の強度の磁界を生成する磁石のアレイまたは電気コイルを含むことにより、それらは、マーカを選択的に活性化または非活性化するためにEASマーカがその面の上を通すことができるようにする。残念ながら、二状態マーカの状態を変更するために用いられる装置は、ビデオテープのような、磁気的に記録された媒体を損傷する可能性を有するものもある。即ち、磁気的に記録された媒体は、磁界の存在によって消去され、書換えられ、または損傷されうる。それゆえに、磁気的に記録された媒体がそれに取付けられたEASマーカの状態を変更するために装置の上を通すときには、装置は、磁気的に記録された媒体を損傷しうる。上述したことを考慮して、ビデオテープのような磁気的に記録された媒体を損傷しない二状態磁気EASマーカを非活性化する装置を提供することが望ましい。
【0004】
従来の活性化および非活性化システムは、例えば、磁界に対するマーカの位置および向きが一般的に知られているので、本の背に取り付けられたEASマーカを確実に活性化または非活性化することができる。コンパクト・ディスクでは、EASマーカは、ディスク自体に取付ける可能性が高く、ディスクが収納されるケースに対して、すなわち印加される磁界に対して、X−Y平面のいずれの向きでもよい。従来の装置は、より強度な磁界を発生させることによってこの不確実性を補償し、かつこれが活性化および非活性化の信頼性を増大するが、それは、装置の付近に配置された陰極線管(CRTs)の障害になりうる。更に、ある利用者は、(正当化されるか否かは別として)高磁界による健康問題を感じることがあるため、かかる従来の活性化/非活性化装置を用いることを希望しない。それゆえに、これらの問題を克服する装置を提供することが望ましい。
【0005】
〔発明の概要〕
磁気的に記録された媒体を損傷せずにマーカを非活性化または再活性化することができるように、作用面の短い距離内の磁界の強度を制御することによって磁気的に記録された媒体を損傷せずに二状態磁気EASマーカの状態を変更する装置を提供する試みが過去になされた。即ち、磁界は、マーカを非活性化するために(EASマーカの予想位置に対応している)一つの距離で十分に強いが、磁気的に記録された媒体を損傷するほど(磁気的に記録された媒体の予想位置に対応している)第2のより遠距離では強くない。これらの磁界は、個々の磁石のアレイ、またはオープン・コイルを用いて一般的に生成されてきた。この距離依存アプローチは、ある程度成功したが、これによってユーザは、意図した方法でEASマーカが作用面の上を通ることができるようにEASマーカを位置決めすることが必要となる。これは、磁気的に記録された媒体をそのケースまたはコンテナから取り外すことを通常必要とし、それは時間がかかる。また、ある理由で作用面の上の磁界が予想または指定したよりも大きいならば、磁気媒体への損傷を結果としてもたらしうる。
【0006】
一実施形態では、本発明は、以下の方法でこれらの問題点を克服する。当該の領域内で略均一である磁界は、EASマーカを確実に活性化または非活性化するために十分に強いが、ビデオテープのような、磁気的に記録された媒体の損傷を防ぐために十分に弱い強度で生成される。例えば、普通のビデオテープは、約590ガウス以上の磁界に露出されたときに損傷する可能性があり、かつ約560ガウス以上の磁界に露出されたときにいくらか悪い効果を示しうる。他方、多くの磁気EASマーカは、確実に活性化されかつ非活性化されるために約275ガウスの磁界を必要とする。従って、当該の領域内で略均一である磁界が生成されるならば、二状態EASマーカは、それらが取付けられる磁気的に記録された媒体を損傷する危険を冒すことなく確実に活性化されかつ非活性化することができる。
【0007】
別の態様では、本発明の装置は、コンパクト・ディスクのような光学的に記録された媒体に取付けられた二状態EASマーカの状態を確実に変更するために用いることができる。本発明の装置は、少なくとも一実施形態では、装置を使用している間に人間が浴びる磁界効果を最小化するかまたは削除すると同時に、XおよびY方向の向きに係わりなくマーカを非活性化または再活性化するために十分である一定の磁界を当該の領域内に供給することができる。
【0008】
一実施形態では、本発明の装置は、電圧を変えるよりも、LCR回路のリアクタンスを変えることによって異なる強度の磁界を選択的に生成する。これは、より効率的でありかつより少ない構成部分で十分であり、それゆえに電子パッケージをより小さくすることができる。
【0009】
無線周波識別(“RFID”)タグおよび問合せ器の使用を含む、本発明のこれらおよびその他の態様は、以下により詳細に記載される。
【0010】
本発明は、添付した図面を参照して記載される。
【0011】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の装置の一実施形態は、略均一な磁界を用いて二状態磁気EASマーカを確実に活性化しかつ非活性化する。略均一な磁界は、ソレノイド型コイルによって生成されるのが好ましい。ソレノイドは、通常、それを通る通路を有している円筒形コイルであり、かつソレノイド型コイルは、その用語が本発明に関して用いられる場合に、その断面が円ではないが、それを通る通路を有するコイルである。例えば、図1に示したハウジングの断面は、円ではないが、ここに記載した種類のソレノイド型コイルを収容することができる。
【0012】
この種類のコイルを用いて、磁界の強度は、EASマーカを活性化または非活性化するために必要なもの以上であるが、例えば、磁気的に記録されたビデオテープが損傷するより低い強度に当該の容積全体にわたり維持することができる。その結果、EASマーカが取付けられるビデオテープのような磁気的に記録された媒体は、媒体に対する損傷を考慮することなくかかるマーカによって保護することができる。別の重要な利益は、ビデオテープがそれが格納されている保護ケースにそのままでよいということであり、それは、図書館利用者に対して多くのかかるアイテムをチェック・アウトするかまたは図書館利用者からアイテムをチェック・インしなければならないユーザに対してかなりの時間を節約する。これらおよびその他の利点は、以下により詳細に記載される。
【0013】
本発明の記載を簡略化するために、磁気EASマーカは、以下のセクションIに記載され、本発明によるかかるマーカの状態を変更するために用いられる磁界の特性は、セクションIIに記載され、本発明によるかかるマーカの状態を変更する装置の様々な実施形態は、セクションIIIに記載され、かつ代表的な回路は、セクションIVに記載される。
【0014】
〔I.磁気EASマーカ〕
あらゆる適切な磁気EASマーカは、例えば、“TATTLE−TAPE”という名称でミネソタ州、St.PaulのMinnesota Mining & Manufacturing Company(3M)から市販されているものを、本発明の装置に取付けて用いることができる。これらは、(例えば、B1、B2またはR2として3Mによって指定された)本、(DVM−1として3Mによって指定された)ビデオテープ、または(DCD−2として3Mによって指定された)CDに対するEASマーカを含むことができる。これらの磁気EASマーカは、信号生成層および信号阻止層を含む。当技術分野でよく知られているように、信号阻止層が活性化されたときには、それは、信号生成層によって生成された信号の検出を効果的に阻止する。信号阻止層が非活性化されたときには、問合せ磁界に曝したときに信号生成層は、適切な検出システムによって検出することができる。
【0015】
DCD−2のような、CDに対するEASマーカに対する信号生成層は、長さ約7.7cm(3インチ)、幅1mm(0.04インチ)、そして厚さ180マイクロメータ(0.007インチ)であり、かつ約67%(原子百分率)コバルト、5%鉄、25%ホウ素および珪素からなるアモルファス磁気合金から作られており、それは、名称2705Mとしてニュージャージ州、ParsippanyのHoneywell(前Allied Signal)社から現在市販されている。信号生成層素子は、保磁度を低減しかつクロス・ウェブ方向の異方性を強化するために焼きなましされる。DVM−1のような、ビデオテープに対するEASマーカに対する信号生成層は、長さ約13.6cm(5.375インチ)、幅3.18mm(0.125インチ)、そして厚さ180マイクロメータ(0.007インチ)であり、かつ名称PERMALLOY(商標)としてペンシルバニア州、ReadingのCarpenter Technology Corporationから現在市販されている種類の鉄/ニッケル合成で作られている。
【0016】
上述したEASマーカの信号阻止層は、複数の離間したセグメントを含む。DCD−2のようなEASマーカに対して、各セグメントは、長さ約5mm(0.20インチ)、幅1mm(0.04インチ)かつ厚さ40マイクロメータ(0.0016インチ)であり、かつDVM−1マーカに対して、各セグメントは、長さ約5mm(0.20インチ)、幅3mm(0.125インチ)かつ厚さ40マイクロメータ(0.0016インチ)である。信号阻止層は、名称Arnokrome3としてイリノイ州MarengoのArnold Engineeringから現在市販されている鉄とクロムの合金から作られている。一実施形態では、信号阻止層セグメントは、約200+/−30エールステッドの均一の保磁度を提供するように焼きなましされた。上述したように、信号阻止層は、近接した信号阻止層を含んだその他の構成も同様に適切であるが、信号生成層の長さ方向に、ある間隔で離散的に並べた断片で一般に供給される。
【0017】
〔II.本発明の装置に関連する磁界の特性〕
上記したように、本発明の装置の重要な特徴は、磁気EASマーカを確実に活性化しかつ非活性化するが、ビデオテープのような磁気的に記録された媒体を損傷しない磁界を生成するための機能である。
【0018】
〔A.EASマーカの状態を変更すること〕
上述した種類のEASマーカは、信号阻止層を非活性化することによって通常活性化される。その段階は、例えば、少なくとも約275ガウスの一つの好適な方向を持った初期磁界にマーカを曝し、その後、磁界が約80ガウス未満になるまで各インクレメンタル(incremental)減少毎に約15%のステップ状に磁界を変えかつ減少することによって達成することができる。これは、例えば、米国特許第6,002,335号(Zaremboら)、特にその図3および4に関して記載されている。EASマーカを非活性化するために、信号阻止層は、例えば、少なくとも約275ガウスの強度を有している単一磁界に一度マーカを曝すことによって、活性化される。このように、信号阻止層の非活性化は減少する正弦波(即ち、強度において変わりかつ減少するものであり、かつ磁界を“リング・ダウンする(ringing down)”と呼ばれるもの)へ層を曝すことを含む一方で、信号阻止層の活性化は、強度が少なくとも275ガウスである1パルスまたは正弦波の半分に層を曝すことだけでよい。
【0019】
〔B.磁気的に記録された媒体への損傷の阻止〕
磁気的に記録された媒体の特性は、かかる媒体の異なる種類の間で異なり、かつ経時的に変化するであろう。現在の標準VHSビデオテープおよびハンドヘルド・コンシューマ・ビデオ・カメラで用いられるようなビデオテープは、ほとんどの観察者に対して知覚できるように損傷されることなく約590ガウスまでの磁界に一般に露出することができる。更に、約590ガウスより小さい磁界への現在のビデオテープの繰返し露出は、一般的にテープへの認識できる損傷を結果としてもたらさない。
【0020】
〔C.略均一な磁界〕
本発明の装置によって生成された磁界は、略均一であるべきである。この発明に関して用いられるような、用語“略均一”は、(以下に規定される)当該の領域内の磁界が、ビデオテープのような磁気的に記録された媒体が損傷されるレベル程に少くとも強くないが、磁気EASマーカが確実に活性化または非活性化されるレベルよりも少くとも強いということを意味する。例えば、560ガウス以上の磁界に曝されたときに磁気的に記録された媒体が損傷するならば、かつ少なくとも275ガウスの磁界に曝されたときに磁気EASマーカが確実に活性化または非活性化されるならば、本発明の意味での“略均一”な磁界とは、当該のゾーン内で275と560ガウスとの間にある磁界である。即ち、略均一とは、磁気媒体が損傷されうる強度レベル(範囲の上限)および磁気EASマーカが確実に活性化または非活性化されうる強度レベル(範囲の下限)により設定される境界によって規定される。また、本発明の略均一な磁界は、(その強度が全ての場所で概ね同じであるということを意味する)通常のセンスで略均一でありうるが磁界強度の通常の均一性は、特に磁気コイルの終端の近くでは実際に達成することが非常に困難であり、かつ本発明の要件ではない。
【0021】
当該のゾーンは、磁気的に記録された媒体および磁気EASマーカの両方を含む領域または容積として規定される。磁界が当該のゾーン内で略均一であるならば、磁気的に記録された媒体は、それらの格納ケース内でまたはそれなしでその磁界を一般的に通り抜けることができかつ取付けた磁気EASマーカが確実に活性化または非活性化される。磁気的に記録された媒体が格納ケース内に収納される位置も含み、格納ケースのサイズを変化することができるので、磁界の均一性は、非常に重要でありうる。また、上記したように、ソレノイド型コイルは、装置の容積全体にわたり略均一な磁界を生成することができ、それゆえに、テープを損傷する磁界に磁気的に記録されたテープを曝すことなくEASマーカの活性化および非活性化できる。
【0022】
〔III.EASマーカの状態を変更する装置〕
本発明の別の態様は、上述した種類の略均一な磁界を確実に生成する装置である。即ち、略均一な磁界に対する望ましさの抽象的な提案が存在していたとしても、ここに記載した応用に適する略均一な磁界を供給する実用化された装置が存在することは、知られていない。ここに記載する装置の実施形態は、説明的であり、かつ同じまたは類似する機能を実行することができるその他の実施形態は、以下の記載に基づき当業者によって設計することができる。
【0023】
図1は、本発明の装置100の一実施形態を図示する。それは、本体102およびそれを通る通路104を含み、かつ通路の一端に挿入された物体が下流に移動し、そして通路の他端から出るようにすることができる。別の実施形態では、通路は、一端が閉じられて、ビデオテープまたはその他の物体がその中に単に挿入されかつ通路の同じ端から取り出される。装置100の物理的設計における変形は、確かに可能であり、例えば、通路が(通路を通って物体を移動するためのコンベヤー、駆動機構、またはその他の装置をおそらく伴って)一般的に水平であるような設計を含むことができる。また、装置100は、電力接続106も含みかつ、制御回路の全てがハウジング内に含まれないならば、接続回路108を含む。
【0024】
通路の開口は、既知の輪郭を有している物体だけが通路に適合するように図2に示すような代案で設計することができる。図2に示す開口または通路110aは、既知の向きでケースに入ったビデオテープを受け入れるように寸法決めされ、かつ開口または通路110bは、既知の向きでケースに入ったコンパクト・ディスクを受け取るように寸法決めされる。ビデオテープのような、アイテムの向きおよびその取付けマーカが(おそらく図2に示した開口の使用により)既知の場合には、印加する磁界の強度は、信頼できるマーカの活性化および非活性化を提供するように制御することができる。これは、ビデオテープおよびコンパクト・ディスクが装置に対していかなる向きでも装置に提示することができるようにする、従来の装置に対する改善を示す。
【0025】
〔IV.回路図〕
図3に示す回路図は、一つの代表的な制御回路を図示する。図3および4に示した制御回路の構成部分の一つの代表的な組の特性は、以下の表1に示される。
【0026】
装置は、制御回路の他の部分に一定の電力を供給するためのコンデンサ202と対になる電源200、直流(DC)であるのが好ましい、によって電力供給される。電力は、コンデンサ222および抵抗224に並列に接続される、インダクタ220に供給される。このLRC回路は、以下に記載するように、シリコン制御整流器(SCR)226がオフになった直後にオンになることを防ぐ。電源は、適当な電圧にコンデンサ230を充電し、そして回路の電流がゼロになったときには、SCR226がオフになりかつインダクタ236が、好ましくは比較的長い時間にわたり、リング・ダウンする。その時間は、(回路の抵抗に対する無効インピーダンスの比として規定される)回路のQ値を含む、回路の特性に依存する。好ましくは30〜38%間の隣接する正のピーク間で一定の割合で減少を示す指数包絡線内で、インダクタ236が比較的長い時間にわたりリング・ダウンするときには、従来のEASマーカに取り付けた信号阻止層は、確実に非活性化させることができる。信号阻止層を活性化するときには、リング・ダウンは、正弦波の半分(一つの正のピーク)の終了で停止され、かつ電流の残りの部分は、SCR232およびインダクタ234によって接地に放出される。リング・ダウンは、SCR232およびインダクタ234によって正弦波の半分の終了で停止されて回路の電流が負になることを防ぐ。電流が負になることを防ぐことによって、回路は、切り換わり、それゆえに反対方向のマーカの保磁度絶対値を超えることから磁界を保持する。図3の回路は、スイッチ238を介して回路の他の部分に選択的に接続するコンデンサ228を更に含む。
【0027】
図3の回路は、例えば、ビデオテープまたはコンパクト・ディスクのEASマーカを活性化しかつ非活性化するために図1または2に示した装置内でまたはそれに関連したもので用いることができる。スイッチ238は、(図3に示すように)好ましくは、適当なコンピュータ制御システムによって、制御され、開くかまたは接するようになっている接点242のいずれかである。スイッチ238がオープン位置にあるときには、回路は、ビデオテープのマーカを活性化及び非活性化するために用いることができ、かつスイッチ238が接点242で閉じられて、それによって回路に更なるキャパシタンスを加えたときには、回路は、コンパクト・ディスクのマーカを活性化及び非活性化するために用いることができる。
【0028】
米国特許第5,825,292号および第5,699,047号(Tsaiら)に記載されたような、コンパクト・ディスクにマークを付けるために用いられるある一定のEASマーカに対して、コンデンサ228および230の組合せキャパシタンスは、それが印加された磁界に対してどのような位置にあるかに係わりなくマーカが確実に活性化されかつ非活性化されることを保証するために、例えば、68マイクロファラッドに設定される。これは、一つの例示的実施形態では、それぞれ60マイクロファラッドおよび8マイクロファラッドであるコンデンサ228および230のキャパシタンスを有することによって達成することができる。ビデオテープに添付されたマーカを確実に活性化しかつ非活性化するために必要な磁界は、EASマーカの向きが一般的に知られているならば本およびコンパクト・ディスクに用いたものよりもかなり低いものでよい。例えば、EASマーカが装置の長さに並行に向けられているとき、8マイクロファラッドのキャパシタンスを有しているコンデンサ230は、ビデオテープを損傷することなく確実にEASマーカを活性化しかつ非活性化するために十分な磁界を生成することができる。
【0029】
図4は、異なる強度の磁界を用いて様々なアイテムに取り付けられたEASマーカを活性化しかつ非活性化するために用いることができ、かつ図3に示した回路の態様を組み入れた制御回路の別の例示的回路図である。即ち、図4に示した制御回路は、上述したようにビデオテープのEASマーカを活性化しかつ非活性化するために用いることができるが、また、本およびコンパクト・ディスクのEASマーカを活性化しかつ非活性化することもできる。ハウジングがここに記載したソレノイド型コイルのようなコイルを含むように用いられるならば、ハウジングに対する開口は、様々な種類の材料をハウジングの中に通すことができるように十分に大きくすべきである。
【0030】
図4に示すように、スイッチ238は、適当なコンピュータ制御システムによって、好ましくは、決定されるように、極240または242のいずれかに接触することができるかまたはそれらのいずれにも接触しないようにすることができる。スイッチ238が極240または242のいずれにも接触しないならば、回路は、上述したような方法で動作しかつSCR210または226がそれぞれ作動されるかどうかにより、本またはビデオテープのEASマーカを非活性化するために用いることができる。図4に示すように、スイッチ238が極240に接触するならば、コンデンサ228は、回路の中に接続されかつそれにそのキャパシタンスを加える。コンデンサ228のキャパシタンスが、例えば、60マイクロファラッドであるならば、回路の組合せキャパシタンスは、60から120マイクロファラッドに増大される。SCR210の作動により、インダクタ214は、次いで、本またはコンパクト・ディスクのいずれかに関連するEASマーカの活性化および非活性化を可能にする磁界を生成するためにもたらされる。
【0031】
図4の回路をまた参照すると、スイッチ238が極242に接触するならば、コンデンサ228は、図3に示すような回路に切り替えられ、かつ同様にそれにそのキャパシタンスを加える。コンデンサ230のキャパシタンスが、例えば、8マイクロファラッドであるならば(かつ上記したように、コンデンサ228のキャパシタンスが60マイクロファラッドであると仮定すると)、回路の組合せキャパシタンスは、8から68マイクロファラッドに増大される。SCR226の作動により、例えば、3.15ミリヘンリーのインダクタンスを有することができる、インダクタ236は、次いで、例えば、CDに取り付けられたEASマーカを装置に活性化かつ非活性化させることができる磁界を生成することをもたらす。
【0032】
以下の表は、上記例示的回路で用いることができる回路素子(およびそれらの特性)を提供する。
【0033】
表1
電源200:     420ボルトDC
コンデンサ202:  4600マイクロファラッド
インダクタ204:  40マイクロヘンリー
コンデンサ206:  0.22マイクロファラッド
抵抗208:     47オーム
抵抗224:     47オーム
コンデンサ212:  60マイクロファラッド
インダクタ214:  800マイクロヘンリー
インダクタ218:  10マイクロヘンリー
インダクタ220:  40マイクロヘンリー
コンデンサ222:  0.22マイクロファラッド
コンデンサ228:  60マイクロファラッド
コンデンサ230:  8マイクロファラッド
インダクタ236:  3150マイクロヘンリー
インダクタ234:  10マイクロヘンリー
【0034】
上述した種類のSCRsは、名称25R1A120としてカリフォルニア州、El SegundoのInternational Rectifierから現在市販されている。これらおよびその他の適切な制御回路および構成部分は、本発明の装置を動作するために用いることができる。
【0035】
インダクタ236は、上述したように、当該のアイテムに取り付けられたEASマーカを活性化しかつ非活性化するためのソレノイド型コイルとして動作するコイルの形式で提供することができる。コイル236(それがビデオテープに用いられるゆえ)は、円形または概略の円形のいずれかが好ましい。これは、これの形状が最も均一な磁界特性を供給するからである。また、コイルは、大きなコイルは、より大きい抵抗を有し、動作するためにより大きな電力を必要とし、かつ回路のQ値を低減するので、可能な限り小さくかつそれでもなお当該のアイテムを収容できるように設計されるべきである。例えば、図1および2に示した装置は、それぞれ、中央の通路または開口に関して一般に同心状に配置される金属ワイヤの複数のターンを一般に有しているコイルを内部に含むことができる。一実施形態では、コイル236は、(コイルの長さ単位に対しより多くのターンを提供するために)正方形断面を有した12ゲージ純銅線で作られ、かつ234のコイル、および3.15mHのインダクタンスを含む。この種のコイルは、指定番号7424としてミネソタ州、Lino LakesのMag−Con Engineering Inc.から市販されている。
【0036】
〔V.その他の構成部分および特徴〕
また、本発明の装置は、何かが装置に入ってきたことを決定したり、またはその物体が何かを決定したり、またはそれらの両方を決定したりするための一つ以上の検出システムを含むことができる。例えば、光検出器は、通路に入ってくる物体が可視または不可視光の光線をさえぎるときに、物体の存在を表す信号を発生するために用いることができる。これらの種類のセンサは、当技術分野でよく知られている。第1のセンサが存在するアイテムの種類を決定する検出器を起動し、第2のセンサが(コンパクト・ディスクのような)一種類のアイテムに取り付けられたEASマーカを活性化または非活性化するための回路を作動し、かつ第3のセンサが(ビデオテープのような)別の種類のアイテムに取り付けられたEASマーカを活性化または非活性化するために回路を作動するように、二つ以上のかかるセンサを提供することができる。このような方法で、異なる種類のアイテムに取り付けられたEASマーカは、EASマーカの完全な活性化または非活性化を容易にするように、装置内の最適な位置において活性化または非活性化させることができる。
【0037】
検出システムは、装置で用いられるアイテムに関連したRFIDタグからの情報を問合せしかつそれによって取得するRFID問合せ器でありうるかまたはそれを含むことができる。RFID検出システムは、ループ・アンテナおよび、アンテナのインピーダンスをRFID回路のインピーダンスに一致させるアンテナ同調回路を一般的に含む。アンテナおよびアンテナ同調回路は、RFID問合せ器に接続される。RFID問合せ器は、光検出器によって、または手動作動式スイッチを含んだその他の適切な手段によって生成された信号によってトリガすることができる。RFID問合せ器がRFIDタグに問合せるときには、問合せ器または別のシステムが、タグが取付けられた物体の種類を決定することに用いることができる情報を持ってタグが応答する。次いで、装置は、例えば、取り付けたEASマーカの完全かつ確実な活性化または非活性化を保証するために、(本および光学的に記録された媒体のような)磁界によって傷つけられることのない物体に対する磁界を増大することによって磁界の特性を変えることができる。これは、上述したように、回路の中またはその外にキャパシタンスを切り替えることによって達成することができる。
【0038】
〔VI.まとめ〕
本発明の装置は、それは、それらのケースからビデオテープ取り出すことの必要性を削除することによって図書館の中へのおよび図書館から外への図書館の資料をチェックする処理を速めるので、図書館の応用において特に有用である。一状態EASマーカ(決して非活性化することができないEASマーカ)を現在使用している小売りビデオ・レンタル施設は、本発明の装置の使用により、EASマーカが活性化または非活性化されるときにビデオテープの在庫を損傷しないという確信を持って二状態EASマーカをその代わりに使用することができる。また、これは、別の一般的な問題も除去する。既ち、ビデオ・レンタル施設からのビデオテープに取付けられた一状態EASマーカにより(図書館または店舗のような)その他の施設において検出システムが作動するということ。
【0039】
さらに別の利点は、それらが従来の活性化/非活性化装置に対してある向きで存在するときに活性化および非活性化することが困難でありうるマーカを確実に活性化および非活性化する本発明の装置の能力である。例えば、コンパクト・ディスクに取付けられたEASマーカは、ディスクがケース内に配置される方法により様々な向きで活性化/非活性化装置に遭遇しうる。本発明の装置は、高いQ値を有した回路により相対的に強い均一な磁界を提供することができるので、コンパクト・ディスクに用いられるEASマーカを確実に活性化または非活性化することができる、なぜならば回路の強い磁界および高いQ値は、最適な向き以外で存在するCDのマーカを補うからである。
【0040】
本発明のこれらおよびその他の利点、およびここに記載された実施形態のある一定の変形は、当業者によって理解されるであろう。例えば、制御回路に対するその他の変更がなされなければならないが、一つの側の一部分が開いているコイルといった、当該の領域内に略均一な磁界を提供する非ソレノイド型コイルまたはその他の装置も予期される。従って、本発明は、これらの実施形態によって限定されないが、特許請求の範囲によって限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】
本発明の装置の別の実施形態の斜視図である。
【図3】
本発明による、例えば、磁気的に記録されたビデオテープのマーカを活性化および非活性化するために用いる装置に対する代表的な制御回路を図示する回路図である。
【図4】
本発明による、磁気的に記録されたビデオテープを含んでいる、様々な図書館の資料のマーカを活性化および非活性化するために用いる装置に対する代表的な制御回路を図示する回路図である。

Claims (33)

  1. 磁気的に記録されたビデオテープに取り付けられた二状態電子物品監視マーカの状態を変更する装置であって、当該領域に磁界を生成するコイルを含んだ制御回路を備え、前記制御回路およびコイルは、前記マーカを活性化または非活性化するのに十分な強度であるが、前記ビデオテープを損傷するには十分ではない強度である略均一な磁界を前記当該領域に生成するように構成された装置。
  2. 前記略均一な磁界は、275ガウスと560ガウスとの間の強度を有する請求項1に記載の装置。
  3. 前記コイルは、ソレノイド型コイルである請求項1に記載の装置。
  4. 前記コイルを含んだハウジングを更に備え、前記ハウジングは、前記ビデオテープを受け入れるために前記コイルを通る通路を備えた請求項1に記載の装置。
  5. 前記通路は、ビデオテープを受け入れるように形作られた断面開口を有する請求項4に記載の装置。
  6. 前記通路は、ケースに入れられたビデオテープを受け入れるように形作られた断面開口を有する請求項4に記載の装置。
  7. 前記ビデオテープの存在を検出する検出システムを更に備えている請求項1に記載の装置。
  8. 前記検出システムは、光学検出システムである請求項7に記載の装置。
  9. 前記検出システムは、前記ビデオテープに取り付けられたRFIDタグから情報を取得するRFID問合せ器である請求項7に記載の装置。
  10. ビデオテープと組み合わされる請求項1に記載の装置。
  11. 前記制御回路は、LRC回路を備えており、前記磁界の強度は、構成部分を回路内にまたは回路外にと切り換えることによって変化される請求項1に記載の装置。
  12. アイテムに取り付けられた二状態電子物品監視マーカの状態を変更する方法であって、
    a)該マーカを通す通路を有しているコイルを提供する段階と、
    b)前記通路を通して前記アイテムをパスする段階と、
    c)前記マーカを活性化または非活性化するために前記通路内に略均一な磁界を提供する段階と、
    を具備する方法。
  13. 前記アイテムは、磁気的に記録されたビデオテープであり、かつ前記略均一な磁界は、前記ビデオテープへの損傷なく前記マーカを活性化または非活性化する請求項12に記載の方法。
  14. 前記コイルは、ソレノイド型コイルである請求項12に記載の方法。
  15. 前記略均一な磁界は、275ガウスと560ガウスとの間の強度を有する請求項13に記載の方法。
  16. d)アイテムの種類を検出する段階と、
    e)前記アイテムに取り付けられた前記マーカの信頼できる活性化または非活性化を確実にするために前記磁界の強度を変える段階と、
    を更に具備する請求項12に記載の方法。
  17. アイテムの二状態電子物品監視マーカの状態を変更する装置であって、
    a)コイル内に略均一な強度を有する磁界を生成するソレノイド型コイルを含んでいる制御回路と、
    b)前記アイテムを受け入れるための前記コイル内の開口と、
    を備えている装置。
  18. 前記アイテムは、本、コンパクト・ディスク、または磁気的に記録されたビデオテープである請求項17に記載の装置。
  19. 前記装置は、前記アイテムの存在を検出する検出システムを更に備えている請求項17に記載の装置。
  20. 前記装置は、アイテムの種類を検出する検出システムを更に備えている請求項17に記載の装置。
  21. 前記装置は、ハウジングを含み、かつ前記開口は、所定の向きでケースに入れられたビデオテープを受け入れるように寸法決めされている請求項20に記載の装置。
  22. 前記装置は、ハウジングを含み、かつ前記開口は、所定の向きでケースに入れられたコンパクト・ディスクを受け入れるように寸法決めされている請求項20に記載の装置。
  23. 前記装置は、ハウジングを含み、かつ前記開口は、所定の向きでケースに入れられたビデオテープ、および所定の向きでケースに入れられたコンパクト・ディスクを受け入れるように寸法決めされている請求項20に記載の装置。
  24. 前記制御回路は、検出されたアイテムの種類に基づき前記磁界の強度を調整するようになっている請求項20に記載の装置。
  25. 前記制御回路は、磁気的に記録されたビデオテープが検出されたときに、275ガウスと560ガウスとの間の強度を有している略均一な磁界を供給するようになっている請求項21に記載の装置。
  26. 前記検出システムは、前記アイテムに関する情報を取得するために当該アイテムに取り付けられたRFIDタグに問合せるRFID問合せシステムである請求項20に記載の装置。
  27. ビデオテープまたはコンパクト・ディスクの二状態電子物品監視マーカの状態を変更する装置であって、
    a)前記マーカを活性化または非活性化するために略均一な磁界を生成する制御回路と、
    b)前記装置内に形成された開口を有しているハウジングとを備え、前記開口は、所定の向きでケースに入れられたビデオテープ、および所定の向きでケースに入れられたコンパクト・ディスクを受け入れるように寸法決めされている装置。
  28. 前記装置は、前記ビデオテープまたはコンパクト・ディスクの存在を検出する検出システムを更に含む請求項27に記載の装置。
  29. 前記略均一な磁界は、ビデオテープまたはコンパクト・ディスクが検出されたときに生成され、磁界の強度は、いずれのアイテムが検出されたかに基づき選択される請求項28に記載の装置。
  30. アイテムの二状態電子物品監視マーカの状態を変更する装置であって、
    a)該装置内に形成された開口を有しているハウジングと、
    b)二つの検出器であって、前記開口に挿入されたアイテムが前記検出器を逐次的に通るように、一方の前記検出器が他方の前記検出器よりも前記開口により近く配置された二つの検出器と、
    c)前記マーカを活性化または非活性化するために略均一な磁界を生成する制御回路と、
    を備えている装置。
  31. 前記第1の検出器は、前記アイテムの存在に関して前記制御回路に信号を送り、かつ前記第2の検出器は、前記磁界を生成するように前記制御回路に信号を送るようになっている請求項30に記載の装置。
  32. 前記装置は、前記開口に挿入されたアイテムが前記第1、第2、続いて第3の検出器を逐次的に通るように配置された第3の検出器を含む請求項30に記載の装置。
  33. 前記第1の検出器は、前記アイテムの存在に関して前記制御回路に信号を送り、かつ前記第2の検出器は、前記アイテムが第1の種類のものであるならば第1の強度の磁界を生成することを前記制御回路に信号を送り、前記第3の検出器は、前記アイテムが第2の種類のものであるならば第2の強度の磁界を生成するように前記制御回路に信号を送るようになっている請求項32に記載の装置。
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