JP2004501617A - ヒト心筋および筋肉で発現したミオシン様遺伝子 - Google Patents

ヒト心筋および筋肉で発現したミオシン様遺伝子 Download PDF

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Abstract

特にヒト心臓および筋肉で発現する新規なるミオシン様タンパク質、該ミオシン様タンパク質をコードする単離された核酸、それらに直接または間接的に由来する化合物および組成物、ならびにそれらを用いる診断および治療方法が提供される。

Description

【0001】
(CDファイルの内容の出典明示による組み入れ)
本願はPCT実施細則第801(a)節のもと、AEOMICA7PCTと題され、4コピー提出された1枚の(CD−R)コンパクトディスクで本明細書とともに提出された配列表を含む。配列表は、sequence.txtのファイル名の一ファイルで提出され、最新の更新は05/24/01 02:36p、2,283,433バイトであり、この開示は出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、特にヒト心筋および筋肉で発現する新規なミオシン様タンパク質、そのミオシン様タンパク質をコードする単離された核酸、それに直接または間接的に由来する化合物および組成物、ならびにそれを用いる診断および治療方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
ミオシンは細胞内エンジンとして働く偏在性タンパク質であり、典型的には細胞内のアクチンフィラメント束に沿って動いて、筋肉収縮、細胞質分裂、膜輸送 およびシグナル伝達をはじめとする種々の細胞プロセスを駆動する。Baker et al., Curr. Opin. Cell Biol. 10: 80−86 (1998)。細胞内通過物および巡回物の領域では、数形態のミオシンタンパク質が事実上全ての真核細胞で見られている。
【0004】
ミオシン遺伝子スーパーファミリーには複数の遺伝子にコードされた少なくとも17のメンバーまたはクラスがある。
【0005】
哺乳類細胞は最も多数のミオシン遺伝子を有し、9つのクラスに属する28のミオシン遺伝子が同定されている。Sellers, Biochem. Biophys. Acta 1496: 3−22 (2000)。酵母菌サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のゲノムはミオシン遺伝子を5つだけ含む。Brown, Curr. Opin. Cell Biol. 9: 44−48 (1997)。これら両極単のなかほどのものでは、線虫カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)は14の同定されたミオシン遺伝子を有する。Baker et al., J. Mol. Biol. 172: 523−535 (1997)。またミオシンは植物細胞にも見られ、植物ではもっぱらクラスVIII、XIおよびXIIIが発現する。
【0006】
ミオシン構造は常に1または2本のH鎖と数本のL鎖を含む。
【0007】
H鎖は構造と機能が異なる3つのドメインからなる。ヘッドドメインはミオシンファミリーで高度に保存され、力を作り出す働きをし、アクチン結合部位およびATP結合部位を含み、このヘッドドメインのATPアーゼ活性はアクチン結合によって活性化される。ネック領域はL鎖との会合を媒介し、隣接するヘッドドメインを調節する。テールドメインは各ミオシンの特異的活性を調節する。
【0008】
ミオシンIおよびミオシンVのL鎖はカルモジュリンであり、これはある種の酵素のカルシウム結合調節サブユニットである。またミオシンIIはカルシウム結合L鎖によって調節されるが、カルモジュリンではない。
【0009】
これとともに、異なるミオシンH鎖とL鎖はミオシンに異なる細胞での役割を果たさせる。
【0010】
例えば、刷子縁微絨毛では、2つの最も豊富な形態のミオシンの1つであるミオシンIはマイクロフィラメント束を原形質膜に結合させる。
【0011】
上記の2つの最も豊富なクラスのもう一方のミオシンIIは、会合して太いフィラメントを形成する筋細胞で二量体を形成し、収縮装置の一部分となる。
【0012】
骨格筋、心筋および平滑筋での収縮および力の生成における十分同定された役割の他、ミオシンIIは細胞質分裂、細胞運動、細胞極性/走化性、細胞構造の維持、および非筋細胞での発達に必要とされる。Sellers, Biochem. Biophys. Acta 1496:3−22 (2000)。
【0013】
このように、 アクチンおよびミオシンIIフィラメントの両者を含む収縮束が多くの細胞種に見られる。上皮細胞では、これらの束は環状ベルトと呼ばれ、構造上(例えば、細胞の形状を制御する助けをする内部のかすがいとして)機能したり、または運動のため(例えば、創傷治癒、収縮が細胞シートの裂け目を封じる)に機能したりする。
【0014】
ミオシンIIは皮質膜を強化する働きをする、細胞骨格構造に不可欠な構成要素である。細胞質分裂では、ミオシンIIは、収縮して切断溝を形成する収縮環のモーター作動を起こす不可欠な役割を果たす。
【0015】
ミオシンIXはラット、ヒトおよびC.エレガンスで同定されているが、多様な組織および細胞種で発現し、細胞内シグナル伝達経路に関与しているものと考えられる。ミオシンIXはRho(Gタンパク質)の負のレギュレーターとして働き、このことはそれが細胞骨格の再編成およびその他の細胞プロセスに関与するRhoシグナル伝達経路を制御する可能性があることを示唆するものである。Bahler et al., Biochem. Biophys. Acta 1496:52−59 (2000)。しかし、ミオシンIXの厳密な細胞内機能およびRhoシグナル伝達経路におけるそれらの正確な役割まだ明らかでない。
【0016】
種々のクラスの膜結合ミオシン、特にミオシンIとミオシンVは細胞内の小胞の移動と関連づけられている。ゴルジ膜とのその同時局在により、ミオシンIは細胞質の膜コンパートメント間で膜小胞を移動させると考えられている。またミオシンIは、微絨毛における膜−マイクロフィラメント結合としても働く。
【0017】
ミオシンの働きのさらに他の例では、酵母におけるタンパク質分泌はミオシンV遺伝子の突然変異によって妨げられるが、これはミオシンVの重要な役割を示唆するものである。脊椎動物の脳組織では、ミオシンVはゴルジ体の、神経細胞から伸びる膜加工物の先端に濃縮される。Espreafico et al., J. Cell Biol. 119: 1541 (1992)。この種の膜会合はマウスではミオシンV突然変異の結果と一致し、シナプスの伝達を侵し、発作を起こし、ついには死に至る。細胞の移動においては、細胞の種々の領域に種々のミオシンが存在する。ミオシンIは爬行アメーバのリーディングエッジに存在し、おそらく移動期に関与し、一方、ミオシンIIはテールに濃縮され、細胞体の収縮に関与している。
【0018】
それらの偏在性とミオシンによって起こる多様な働きを考えれば、ミオシンの欠損が多様な疾病に関連づけられていることも不思議ではない。
【0019】
例えば、上記のように、マウスにおけるミオシンVの突然変異はシナプスの伝達を侵し、発作を起こし、ついには死に至らしめる。
【0020】
またミオシンおよびミオシン様遺伝子は、いくつかのヒト疾病にも関連づけられている。
【0021】
例えば、ミオシンは肥厚性心筋症に役割を果たす。常染色体優性型の疾病はしばしば第14染色体の心臓ミオシンH鎖遺伝子のエクソン13のミスセンス点突然変異によって起こる。ときには異常な心臓ミオシンH鎖雑種遺伝子が存在することもある。
【0022】
もう1つの例としては、ミオシンVIIAをコードする遺伝子の突然変異が数形態のアッシャー症候群の一因である。Weil et al., Nature 374: 60−61 (1995)。アッシャー症候群は色素性網膜炎を伴う聴覚障害を特徴とする。
【0023】
3つのミオシンクラスVI、VIIおよびXVは哺乳類の遺伝的聴覚障害に関連づけられている。Hasson, Am. J. Hum. Genet. 61:801−5 (1997); Redowicz, J. Muscle Res. Cell Mot. 20:241−248 (1999)。これらのミオシンの突然変異はマウスの内耳の感覚細胞の立体絨毛に異常をもたらす。
【0024】
他のミオシン様遺伝子も内耳も正常な立体絨毛機能に必要であり得ることから、これらのさらなるミオシン様遺伝子の突然変異は種々の形態の先天性聴覚障害の基礎にある、または一因となる。例えば、無症候性の遺伝性聴覚障害(DFNA17)(1997年染色体22q12.2−q13.3にマッピング)は現在では連鎖領域内に位置する非筋ミオシンH鎖遺伝子であるMYH9の突然変異と関連づけられている。Lalwani et al., Am. J. Hum. Genet. 67:1121−8 (2000)。
【0025】
ミオシンならびにクラス間および種間での配列類似性に長年関心が寄せられていたにもかかわらず、遺伝的に十分同定された種でさえも全てのミオシンおよびミオシン様遺伝子が同定されているわけではない。
【0026】
例えば、最近マウス骨髄間質細胞から新たなミオシン様遺伝子(MysPDZ)がクローニングされた。この新たに同定された遺伝子がコードするタンパク質はPDZドメインを含むが、アクチン結合ドメインは含まない。Furusawa et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 270: 67−75 (2000)。PDZドメインは調節性のタンパク質間相互作用、また膜タンパク質の特異的C末端配列との結合に関連づけられている。Gee et al., Biochem. 39: 14638−46 (2000)。
【0027】
MysPDZは細胞骨格に局在しているようである。Furusawa et al.はMysPDZとヒト第17染色体からのゲノムクローンの間の有意な類似性を示し、ヒト・オーソログがATP/GTP結合部位を含んでいることが確認されている。Nagase et al., DNA Res. 3: 321−329 (1996)。ヒトのもう1つのPDZドメイン含有タンパク質は、おそらくα−アクチンとの結合を介してアクチンフィラメントと会合することが示されている。Bauer et al., Blood 96: 4236−45 (2000)。
【0028】
そしてヒトでも最近、新たな他のミオシン様タンパク質の遺伝子がクローニングされた。例えば、WO 00/26372、および米国特許第6,001,593号(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。
【0029】
正常な細胞プロセスと疾病におけるミオシンの重要性を考えれば、当技術分野ではまだ発見されていないミオシンおよびミオシン様遺伝子に取り組む必要がある。
【0030】
さらに、心臓および脈管系の疾患はヒトの罹病率および死亡率の大きな原因である。遺伝因子がこれらの疾病の全てとは言えないまでも大部分の疾病素因、発病および/または攻撃性の一因であるということがますます判明している。ヒト心疾患の予測、診断および予後を可能とする方法および手段が必要である。
【0031】
(発明の概要)
当技術分野でのこれら、またその他の要請は、ヒト心筋ならびに骨格筋で高レベルに発現する新規なヒトミオシン様遺伝子hGDMLP−1の同定およびクローニングをもとにした化合物、組成物および方法を提供する本発明によって満たされる。
【0032】
第1の態様では、本発明は、(i)配列番号1(全長cDNA配列)のヌクレオチド配列、(ii)配列番号2(hGDMLP−1 cDNAオープンリーディングフレームを示す)のヌクレオチド配列、(iii)配列番号2のヌクレオチド配列の縮重変異体であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(hGDMLP−1の全長アミノ酸配列)、(v)保存的アミノ酸置換を有する配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、(vi)ある程度保存されたアミノ酸置換を有する配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または(vii)(i)〜(vi)のいずれか1つのヌクレオチド配列の相補体であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸を提供する。
【0033】
分かるであろうが、hGDMLP−1をコードする単離された核酸はゲノム由来または転写物由来のいずれであってもよい。
【0034】
本発明はまた、高ストリンジェント条件下でプローブとハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、そのプローブの配列が(i)配列番号2からなるか、(ii)配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、(iii)保存的アミノ酸置換を有する配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、または(iv)(i)〜(iii)の相補体である、単離された核酸であって、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸を提供する。
【0035】
以下にさらに示されるように、GenBank受託番号AA993492はhGDMLP−1のエクソン15および16の部分と配列が同じ無名のESTである。「同一でない」とは、本発明の核酸がAA993492の配列とは若干異なる、付加をもつ、または少なくとも1個のヌクレオチドが異なることを意味する。
【0036】
本発明はさらに、中程度のストリンジェント条件下でプローブとハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、そのプローブの配列が(i)配列番号2からなるか、(ii)配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、(iii)保存的アミノ酸置換を有する配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、または(iv)(i)〜(iii)の相補体である、単離された核酸であって、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸を提供する。
【0037】
関連する態様では、本発明は、配列番号3の少なくとも8個の連続するアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含み、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸を提供する。
【0038】
本発明はまた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単離された核酸の少なくとも17個のヌクレオチド断片を含み、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0039】
本発明の単離された核酸の有用な実施形態では、単離された核酸はATPアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。さらに有用な実施形態では、この単離された核酸はカルモジュリンと結合し得るポリペプチドをコードする。典型的には本発明の核酸は骨格筋および心筋の双方で発現する。
【0040】
もう1つの態様では、本発明は、1以上の発現制御エレメントに作動可能なように連結された、本発明の単離された核酸分子を提供する。
【0041】
本発明はさらに、本発明の単離された核酸分子を含む複製可能なベクターを提供する。
【0042】
さらなる態様では、本発明は、本発明の核酸分子を含むよう形質転換された宿主細胞、またはその後代を提供する。
【0043】
関連する態様では、本発明は、本発明の形質転換宿主細胞を、該核酸分子によってコードされるタンパク質が発現する条件下で培養することを含む、ポリペプチドの産生方法を提供する。
【0044】
従って本発明は、hGDMLP−1ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは上記の方法によって産生される。
【0045】
その他の実施形態では、本発明は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、(b)配列番号3の少なくとも8個のアミノ酸の断片を含む単離されたポリペプチド、(c)(a)または(b)の配列からの少なくとも95%の偏差が保存的置換である、(a)または(b)の単離されたポリペプチド、および(d)(a)または(b)の単離されたポリペプチドと少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチドからなる群から選択される、単離されたポリペプチドを提供する。
【0046】
もう1つの態様では、本発明は、その結合が本発明のポリペプチドによって競合阻害され得る、単離された抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体を提供する。
【0047】
本発明のポリペプチドの結合相手を同定する方法であって、該ポリペプチドを可能性のある結合相手と接触させ、さらに、その可能性のある結合相手が該ポリペプチドに結合するかどうかを調べることを含む方法を提供する。
【0048】
もう1つの態様では、本発明は、本発明の核酸の発現を調節する方法であって、その核酸の発現を調節する有効量の薬剤を投与することを含む方法を提供する。本発明はさらに、本発明のポリペプチドの少なくとも1つの活性を調節する方法であって、本発明のポリペプチドの少なくとも1つの活性を調節する有効量の薬剤を投与することを含む方法を提供する。
【0049】
もう1つの態様では、本発明は、本発明の核酸分子を含むように改変したトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物、ならびに本発明のポリペプチドのオーソログを発現できないトランスジェニック非ヒト動物を提供する。
【0050】
もう1つの態様では、本発明は、ヒトhGDMLP−1の突然変異によって起こる疾病を診断する方法であって、該疾病の疑いのある被験者由来の核酸サンプルにおいて該突然変異を検出することを含む方法を提供する。
【0051】
さらなる態様では、本発明は、ヒトhGDMLP−1の発現の変化によって起こる疾病を診断または監視する方法であって、該疾病の疑いのある被験者由来の核酸またはタンパク質サンプルにおいてヒトhGDMLP−1の発現レベルを測定し、正常レベルの発現からの変化が診断および/または監視情報を提供することを含む方法を提供する。
【0052】
本発明はさらに、本発明の核酸、タンパク質、抗体、アンタゴニストおよびアゴニストおよび医薬上許容される賦形剤を個々に含む組成物をはじめとする、医薬組成物を提供する。
【0053】
関連する態様では、本発明は、ヒトhGDMLP−1の発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方法であって、かかる治療を必要とする被験者に、本発明の核酸、タンパク質またはhGDMLP−1アゴニストを含む有効量の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0054】
同様に本発明はさらに、ヒトhGDMLP−1の発現または活性の増加に関連する疾患を治療または予防する方法であって、かかる治療を必要とする被験者に、本発明の抗体またはアンタゴニストを含む有効量の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0055】
本発明は、例えば検出可能なように標識された本発明の核酸、抗体、またはポリペプチドを含む診断組成物を提供する。いくつかの実施形態では、この診断組成物はin vivo投与に適している。
【0056】
もう1つの実施形態では、本発明は、基質に結合されている本発明の単離された核酸分子、ならびにそのマイクロアレイの少なくとも1つのプローブが本発明の核酸であるマイクロアレイを提供する。
【0057】
本発明はさらに、サンプルにおいて標的核酸(該標的は本発明の核酸である)を検出する方法であって、a)サンプルを、該サンプル中の該標的核酸に相補的な配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含むプローブと、該プローブを該標的へ検出可能なように結合させるに十分なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズさせ、さらに、b)該結合の有無、所望によりその量を検出することを含む方法を提供する。
【0058】
本発明はまた、異種アミノ酸配列と融合した本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。ある特定の有用な実施形態では、この異種アミノ酸配列は蛍光部分などの検出可能な部分である。その他の実施形態では、この異種アミノ酸配列はIg Fc領域である。
【0059】
なおもう1つの態様では、本発明は、ヒトhGDMLP−1の発現を調節する薬剤をスクリーニングする方法であって、ヒトhGDMLP−1を発現すると考えられる細胞または組織サンプルを化学剤または生物剤と接触させ、次いで、ヒトhGDMLP−1発現の量を対照のものと比較することを含む方法を提供する。
【0060】
(図面の簡単な説明)
本発明の上記、またその他の目的および利点は添付の図面を参照して以下の詳細な説明を考慮すれば明らかになる。なお、同じ記号は全体を通じて同じ部分をさす。
図1は、その発現が使用者の基準、特に本発明の遺伝子のあるエクソンの心臓特異的発現を確認することに見合う、ゲノム配列におけるエクソンの同定を助けるグラフ表示のスクリーンショットである。
図2A〜2Lは、本発明のヒトゲノム由来ミオシン様タンパク質(hGDMLP−1)をコードするcDNAの配列を、その推定アミノ酸配列とともに示す。
図3A〜3Cは、本発明のhGDMLP−1コード配列のアライメントを、2つの最も近い既知のオーソログとともに示す。
図4は、本発明のhGDMLP−1およびヒト・ミオシリンのアミノ酸配列のアライメントを示す。
図5は、hGDMLP−1遺伝子のゲノム構成の模式図であり、このタンパク質の44個のエクソンの相対的な位置および大きさ、ならびにそれらのゲノムクローン(BAC)およびcDNAオープンリーディングフレームとの関係を示している。
図6は、本発明のhGDMLP−1の標識断片でプロービングしたノーザンブロットであり、hGDMLP−1に対応する8kb転写物の筋肉および心臓特異的発現を示している。
【0061】
(発明の詳細な説明)
本発明は新規なヒト・ミオシンH鎖様タンパク質、hGDMLP−1、hGDMLP−1をコードするポリヌクレオチド、および特に疾患の診断、予防または治療のためのこれら組成物の使用に関する発見に基づくものである。
【0062】
(定義)
特に断りのない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および専門用語は本発明が属する技術分野の熟練者に一般に理解されている意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲において単数形の「a」、「an」および「the」は文中で特に断りのない限り複数表現を含む。
【0063】
本明細書において「核酸」(同義語として「ポリヌクレオチド」)とは、天然の5’−3’ホスホジエステル結合にある天然のヌクレオチドを有するポリヌクレオチド、例えばDNAまたはRNA、ならびに非天然ヌクレオチド類似体、非天然型のヌクレオシド間結合、またはその両者を有するポリヌクレオチド(ただし、この非天然ポリヌクレオチドは実験的に望ましい条件下で塩基対の配列識別が可能であること)を含む。特に断りのない限り「核酸」とは、いずれのトポロジーコンホメーションも含み、従ってこの用語は明らかに一本鎖、二本鎖、部分的に二重らせん、三重らせん、ヘアピン型、環状型、および南京錠型のものを含む。
【0064】
本明細書において「単離された核酸」とは、天然に見られるものと同じ配列のいずれの核酸分子とも同一でない物理的形態で存在する核酸分子であって、「単離された」とは、そのように記載された核酸が、それがいけないというわけではないが、それ自体その天然環境から物理的に取り出されている必要はない。
【0065】
例えば、核酸は、それが天然には見られないヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド間結合を含む場合に「単離された」と言える。これに対してホスホジエステル結合にある天然のヌクレオシドからなる場合、核酸は、それが天然には見られない純度で存在すれば「単離された」と言え(ここで純度は他の配列の核酸の存在に関して、タンパク質の存在に関して、脂質の存在に関して、あるいは生物細胞の他のいずれかの成分の存在に関して判断することができる)、あるいはその核酸が生物のゲノムのその他の点では同一の配列をフランキングする配列を欠いている場合、またはその核酸が天然には同じ状態では存在しない配列を有する場合に「単離された」と言える。
【0066】
このように定義すると、「単離された核酸」としては、宿主細胞染色体の異なる部位へ組み込まれた核酸、天然型断片と異種配列との組換え融合体、エピソームとして存在する、または宿主細胞染色体へ組み込まれた組換えベクターが挙げられる。
【0067】
本明細書において単離された核酸が、その核酸またはその相補体の少なくとも一部が直接翻訳されて参照ポリペプチドのアミノ酸配列を生じることができれば、あるいはその単離された核酸が単独または発現ベクターの一部として用いてin vitroで、または原核宿主細胞で、または真核宿主細胞で参照ポリヌクレオチドを発現させることができれば、参照ポリヌクレオチドを「コードする」という。
【0068】
本明細書において「エクソン」とは、連続する配列が成熟mRNA転写物に寄与することがバイオインフォマティクスにより推定される、および/または実験により確認されるゲノムDNAに見られる核酸配列をさす。
【0069】
本明細書において「オープンリーディングフレーム」および同等の頭字語「ORF」とは、連続するアミノ酸の配列へその全てが翻訳され得る転写物由来の核酸部分をさす。このように定義すると、ORFはヌクレオチドで計った場合、ちょうど3で割り切れる長さである。このように定義すると、ORFは天然タンパク質全体をコードする必要はない。
【0070】
本明細書において「ORFにコードされるペプチド」とは、ORFの推定される、または実際の翻訳物をさす。
【0071】
本明細書において参照核酸配列の「縮重変異体」とは、標準的な遺伝子コードを用いて直接翻訳されて参照核酸配列から翻訳されたものと同じアミノ酸配列を生じ得る全ての核酸配列を意味する。
【0072】
本明細書において「マイクロアレイ」および同等なものとして「核酸マイクロアレイ」とは、支持体に結合した複数の核酸の集合体をさし、その複数の結合した核酸の各々へのハイブリダイゼーションが個別に検出できる。この支持体は固相または多孔質、平板または非平板、単一または散在性のものであってよい。
【0073】
このように定義すると、「マイクロアレイ」および「核酸マイクロアレイ」とは、いわゆるSchena (ed.), DNA Microarrays. A: Practical Approach (Practical Approach Series), Oxford University Press (1999) (ISBN: 0199637768) ; Nature Genet. 21(1) (suppl):1 − 60 (1999);およびSchena (ed.), Microarray Biochip: Tools and Technology, Eaton Publishing Company/BioTechniques Books Division (2000) (ISBN: 1881299376)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)の装置全てを含む。
【0074】
このように定義すると、「マイクロアレイ」および「核酸マイクロアレイ」とは、特に、出典明示によりそのまま本明細書の一部とするBrenner et al., Proc, Natl. Acad. Sci. USA 97(4):166501670 (2000)に記載されるように、複数の核酸が単一の平板支持体よりもむしろ複数のビーズに分布配置されている、支持体に結合した複数の核酸の集合体を含み、この場合、「マイクロアレイ」および「核酸マイクロアレイ」とは複数の凝集ビーズをさす。
【0075】
本明細書において液相ハイブリダイゼーションに関して、「プローブ」または同等なものとして「核酸プローブ」もしくは「ハイブリダイゼーションプローブ」とは、直接標識されている、または直接標識しようとする既知配列の単離された核酸をさす。本明細書において核酸マイクロアレイに関して、「プローブ」(または同等なものとして「核酸プローブ」もしくは「ハイブリダイゼーションプローブ」)とは、支持体に結合されている、または結合させようとする単離された核酸をさす。上記のいずれかに関して「標的」とは配列相補性によってプローブと結合させようとする核酸をさす。
【0076】
本明細書において「配列番号Xを含むプローブ」およびその変形は、そのプローブの少なくとも一部が(i)参照配列番号Xで直接示される配列、または(ii)参照配列番号Xで示される配列と相補的な配列のいずれかを有する核酸プローブを意味し、直接示される配列とその相補体の間の選択は、そのプローブが所望の標的に相補的である必要性によって指し示される。
【0077】
本明細書において「プローブの発現」および「単離された核酸の発現」およびそれらの言葉上同等なものは、そのプローブ(もしくはそれぞれ単離された核酸)、またはそれと配列が相補的なプローブ(もしくはそれぞれ単離された核酸)が、所定の供給源のmRNA転写物に由来する核酸サンプルと高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズし得ることを意味する。例えば、単に例として示せば、「肝臓」におけるプローブの発現は、肝臓から得られたmRNAに由来する核酸サンプルと高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズし得ることを意味する。
【0078】
本明細書において「単一エクソンプローブ」はあるエクソン(「参照エクソン」)の少なくとも一部を含み、参照エクソンを含む転写物由来の核酸と高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズし得る。しかしこの単一エクソンプローブは、その参照エクソンを欠いているが、ゲノム中でその参照エクソンと隣接して見られる1以上のエクソンを含む核酸とは高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズしない。
【0079】
本明細書の目的では「高ストリンジェント条件」は、液相ハイブリダイゼーションの場合、6X SSC (20X SSCは3.0M NaClおよび0.3Mクエン酸ナトリウムを含む)、1% SDS中、65℃で少なくとも8時間の水性ハイブリダイゼーション(すなわちホルムアミドを含まない)の後に、0.2X SSC、0.1% SDS中、65℃で1回以上の洗浄として定義される。「中程度のストリンジェント条件」は、液相ハイブリダイゼーションの場合、6X SSC、1% SDS中、65℃で少なくとも8時間の水性ハイブリダイゼーション(すなわちホルムアミドを含まない)の後に、2X SSC、0.1% SDS中、室温で1回以上の洗浄として定義される。
【0080】
マイクロアレイに基づくハイブリダイゼーションの場合、標準的な「高ストリンジェント条件」は、50%ホルムアミド、5X SSC、0.2μg/μlポリ(dA)、0.2μg/μlヒトcot1 DNA、および0.5% SDS中、加湿炉にて42℃で一晩のハイブリダイゼーションの後に、1X SSC、0.2% SDS中、55℃で5分間、次いで0.1X SSC、0.2% SDS中、55℃で20分間のマイクロアレイの連続洗浄として定義される。マイクロアレイに基づくハイブリダイゼーションの場合、構造上および機能上関連するタンパク質をコードするmRNAとの交差ハイブリダイゼーションに好適な「中程度のストリンジェント条件」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の温度を室温(約25℃)に下げること以外は高ストリンジェント条件に同じであると定義される。
【0081】
本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」とは、長さに関係なく、天然に存在するまたは合成のアミノ酸単量体(残基)の重合体をさすために互換的に用いられ、ここでアミノ酸単量体は天然に存在するアミノ酸、天然に存在するアミノ酸構造変異体、およびペプチド結合に参与できる天然には存在しない合成類似体を含む。「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は明らかにグリコシル化などの翻訳後および合成後修飾を受けてもよい。
【0082】
本明細書において「オリゴペプチド」とは、25以下のモノマーサブユニットを有するタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを表す。
【0083】
「単離されたタンパク質」「単離されたポリペプチド」、「単離されたペプチド」および「単離されたオリゴペプチド」とは、天然に見られるものと同一のアミノ酸配列のいずれのタンパク質分子とも同一でないタンパク質(またはそれぞれポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチド)をさし、「単離された」とは、それがいけないというわけではないが、そのように記載された核酸がそれ自体その天然環境から物理的に取り出されている必要はない。
【0084】
例えば、タンパク質は、それが天然には見られないアミノ酸類似体または誘導体を含むか、あるいは標準的なペプチド結合以外の結合を含む場合に「単離された」と言える。
【0085】
これに対して全てがペプチド結合によって結合している天然アミノ酸からなる場合、タンパク質は、それが天然には見られない純度で存在すれば「単離された」と言え(ここで純度は他の配列のタンパク質の存在に関して、あるいは核酸、脂質、または生物細胞の他の成分などの非タンパク質成分の存在に関して判断することができる)、あるいはそれが、そのタンパク質を天然には発現しない宿主細胞内のような天然には見られない組成で存在する場合に「単離された」と言える。
【0086】
「精製されたタンパク質」(同等なものとして、精製されたポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチド)は、組成中の全タンパク質に対する質量で計った場合に少なくとも95%の濃度で存在する上記のような単離されたタンパク質である。「実質的に精製されたタンパク質」(同等なものとして、実質的に精製されたポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチド)は、組成中の全タンパク質に対する質量で計った場合に少なくとも70%の濃度で存在する上記のような単離されたタンパク質である。
【0087】
本明細書において「タンパク質イソ型」とは、同一でない一次アミノ酸配列を有するが、少なくとも1つに共通エクソンによってコードされているアミノ酸配列を共有する複数のタンパク質をさす。
【0088】
本明細書において「選択的スプライシング」およびその言葉上同等なものは、単一の遺伝子から複数のタンパク質イソ型の発現をもたらすあらゆるタイプのRNAプロセッシングを含み、従って、「スプライシング変異体」およびその言葉上同等なものは、プロセシングを受けるが、集合的に複数のタンパク質イソ型をコードする所定の遺伝子から転写されたmRNAを含む。例えば、単に例として示せば、スプライシング変異体はエクソン挿入、エクソン伸張、エクソントランケーション、エクソン欠失、5’非翻訳領域(「5’UT」)における選択および3’非翻訳領域(「3’UT」)における選択が挙げられる。このような3’選択としては例えば、RNA転写物切断部位およびポリ(A)付加部位における違いが挙げられる。例えば、Gautheret et al., Genome Res. 8:524−530 (1998)参照。
【0089】
本明細書において「オーソログ」とは、複数の種における同じ遺伝子の分離出現である。この分離出現は同一ではないが類似のアミノ酸配列を有し、配列類似性の程度はいくらかは、同じ遺伝子を有する共通の祖先からのその種の進化的距離に依存する。
【0090】
本明細書において「パラログ」は、1つの種内における遺伝子の分離出現を示す。この分離出現は同一ではないが類似のアミノ酸配列を有し、配列類似性の程度はいくらかは、分離出現を起こす遺伝子の倍加現象からの進化的距離に依存する。
【0091】
本明細書において「ホモログ」とは、「オーソログ」および「パラログ」を包括するものである。
【0092】
本明細書において「抗体」とは、その少なくとも一部が少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグメントによってコードされ、かつ、所望の標的分子に特異的に結合し得るポリペプチドをさす。この用語には天然に存在する形態、ならびにフラグメントおよび誘導体が含まれる。
【0093】
「抗体」の範囲内にあるフラグメントとしては、種々のプロテアーゼ消化によって生じるもの、化学切断および/または化学解離によって生じるもの、組換えによって生じるもの(ただし、そのフラグメントは依然として標的分子と特異的に結合し得ること)が挙げられる。かかるフラグメントとしては、Fab、Fab’、Fv、F(ab)’、および一本鎖Fv(scFv)フラグメントがある。
【0094】
「抗体」の範囲内にある誘導体としては、配列が改変されているが依然として標的分子と特異的に結合し得る抗体(またはそのフラグメント)を含み、種間キメラおよびヒト化抗体;抗体融合物;ジアボディー(二重特異性抗体)、一本鎖ジアボディー、およびイントラボディーなどのヘテロメリック抗体複合体および抗体融合物が挙げられる(例えば、Marasco (ed.), Intracellular Antibodies: Research and Disease Applications, Springer−Verlag New York, Inc, (1998) (ISBN: 3540641513)参照、なお、この開示は出典明示よりそのまま本明細書の一部とする)。
【0095】
本明細書において「抗原」とは抗体が結合し得るリガンドをさし、抗体それ自体に免疫原性は必要ない。抗体と接触させる抗原部分を「エピトープ」と呼ぶ。
【0096】
「特異的結合」とは、不均一な(均質でない)サンプルに同時に存在する2つの分子種の、サンプル中の他の分子種との結合に優先して互いに結合する能力をさす。典型的には、特異的結合相互作用はその反応における偶発的結合相互作用の少なくとも2倍、より典型的には少なくとも10倍、多くの場合では100倍異なり、分析物を検出するのに用いる場合、不均一な(均質でない)サンプル中の分析物の存在が決定因であるとき、特異的結合は十分識別できる。典型的には特異的結合反応の親和性またはアビジチーは少なくとも10−7Mであり、特異性のより大きい特異的結合反応は典型的には少なくとも10−8Mから少なくとも約10−9Mの親和性またはアビジチーである。
【0097】
本明細書において「分子結合相手」および同等なものとして「特異的結合相手」とは、特異的結合を示す分子対、典型的には生体分子対をさす。限定されるものではないが例としては、レセプターとリガンド、抗体と抗原、およびビオチンとアビジン、ストレプトアビジン、ニュートロアビジンおよびカプトアビジンのいずれかが挙げられる。
【0098】
文中に特に断りのない限り本明細書において「hGDMLP−1」は、ヒトhGDMLP−1と他の種に由来するオーソログの両者を含む。特に有用なオーソログはチンパンジー、アカゲザル、ヒヒ、オランウータン、およびゴリラなどの他の霊長類種由来のもの;ラット、マウス、モルモットなどの齧歯類由来のもの;ウサギなどのウサギ目由来のもの;およびウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギなどの家畜由来のものが挙げられる。
【0099】
本明細書において「アゴニスト」とは、hGDMLP−1と結合した際にhGDMLP−1の作用を増強または持続時間を延長する、あるいはhGDMLP−1の働きを刺激する分子をさす。逆に本明細書において「アンタゴニスト」とは、hGDMLP−1と結合した際にhGDMLP−1の生物活性または免疫活性の作用の量を低下させる、または持続時間を短縮する、あるいはhGDMLP−1の働きを低下させる分子をさす。
【0100】
本明細書において「アンチセンス」とは、(i)標的mRNA転写物、または(ii)その標的mRNA転写物を生じるために転写されるものに相補的なゲノムDNA鎖と細胞内条件下でハイブリダイズする配列が十分相補的であり、かつ、十分な相補配列長の核酸分子をさす。
【0101】
「生物学的に活性な」hGDMLP−1タンパク質、その誘導体または断片は、hGDMLP−1の少なくとも1つの測定可能な生物活性、生化学活性、構造的活性または調節活性を有する。「免疫学的に活性な」hGDMLP−1タンパク質、その誘導体または断片は、免疫性タンパク質、誘導体または断片に対して特異的な細胞性または体液性免疫応答を誘導することができ、好ましくはあるが、その応答は天然のhGDMLP−1と交差反応性がある必要はない。
【0102】
薬剤がhGDMLP−1の少なくとも1つの生物学的または免疫学的活性を測定可能なように変化させる場合、その薬剤はhGDMLP−1タンパク質の活性を「調節する」と言い、かかる変化は、必ずしもそうである必要はないが、細胞内に存在するhGDMLP−1の量の変化によって達成され得る。
【0103】
本明細書において「共通配列」とは、(i)不要塩基を明らかにするための再配列決定、(ii)伸張(例えば、RACEまたはアンカーPCRによる)、または(iii)1を超えるクローンの重複配列からの構築のいずれか、または全てによって構成された核酸配列である。
【0104】
本明細書において核酸、タンパク質および抗体に関して「一部」とは、「断片」と同義である。
【0105】
本明細書においてhGDMLP−1の「変異体」とは、hGDMLP−1が1以上のアミノ酸で変化した配列を有するタンパク質をさす。この用語には保存的またはある程度保存的な置換、アミノ酸欠失、アミノ酸挿入、またはそれらの組合せを有するタンパク質が含まれる。生物学的または免疫学的活性を損なわずにどのアミノ酸残基が置換、挿入、または欠失しているか決定する指針は本明細書の以下で示される。
【0106】
核酸分子
第1の態様では本発明は、hGDMLP−1をコードする単離された核酸、それと少なくとも65%の配列同一性を有する変異体、その縮重変異体、保存的またはある程度保存的な置換を有するhGDMLP−1タンパク質をコードする変異体、交差ハイブリダイズする核酸、およびその断片を提供する。
【0107】
図2は、以下のようなhGDMLP−1 cDNAクローンのヌクレオチド配列を、推定されるアミノ酸翻訳とともに示すが、これらの配列はさらに出典明示によりそのまま本明細書の一部とする配列表にも示される。
配列番号1       (nt; 全長cDNA)
配列番号2       (nt; cDNA ORF)
配列番号3       (aa; 全長タンパク質)
配列番号4       (nt; cDNA nt 1〜2953)
配列番号5       (nt; cDNA nt 3175〜末端)
配列番号6〜2,942    (nt; 配列番号4をスキャンする17マー)
配列番号2,943〜5,871  (nt; 配列番号4をスキャンする25マー)
配列番号5,872〜10,771 (nt; 配列番号5をスキャンする17マー)
配列番号10,772〜15,663 (nt; 配列番号5をスキャンする25マー)
配列番号15,664〜15,707 (nt; エクソン)
配列番号15,708〜15,751 (nt; アンプリコン)
配列番号15,752     (nt; 推定プロモーター配列)
【0108】
特に断りのない限り、各ヌクレオチド配列は本明細書ではデオキシリボヌクレオチド配列として示す。しかし所定の配列がそのポリヌクレオチド組成に適当であると解釈するものとし、例えば、単離された核酸がRNAからなる場合には、所定の配列はチミジンをウリジンで置換したリボヌクレオチドをさす。
【0109】
特に断りのない限り、本発明の単離された核酸のヌクレオチド配列は、自動シーケンサー(MegaBACE(商標)1000, Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA, USAなど)を用いて、あるいはかかる配列または公開データベースへこれまでに登録ンされているゲノム配列を頼りにして、少なくとも1回の酵素的重合反応(例えば、逆転写および/またはポリメラーゼ連鎖反応)から直接または間接的に生じたDNA分子を配列決定することで決定した。特に断りのない限り、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列は、このようにして決定された核酸配列からの翻訳によって推定したものである。
【0110】
結果として、本明細書に示されるいずれの核酸配列にも重合の際のヌクレオチドの誤った組込みによって、または自動シーケンサーによる誤った塩基呼び出しによって(ただし、かかるシーケンシングエラーは本明細書で直接決定された核酸に関しては、特に断りのない限り、二重らせんDNAの各相補鎖のシーケンシングによって最小化されている)、または公開データベースに登録されている同様のエラーによって導入されたエラーが含まれる。
【0111】
結果的に、本明細書に記載のhGDMLP−1 cDNAクローンは公的保管所(American Type Culture Collection, Manassas, Virginia, USA)に寄託されている。この寄託は2001年3月23日にATCCに受理され、活性試験後の受託日2001年5月23日、受託番号PTA−3397で承認された。本明細書で報告される配列におけるエラーはいずれも、標準法を用いて寄託クローンから増やした核酸を配列決定することで決定および修正することができる。
【0112】
真核生物ゲノムではしばしば単一ヌクレオチド多形(SNP)が見られ、ヒトゲノムでは140万を超えるSNPがすでに同定されており(International Human Genome Sequencing Consortium, Nature 409:860−921 (2001)、ある種の一個体から同定した配列はその集団内に存在する他の対立遺伝子型とは異なるものであり得る。さらに、集団全般では単一ヌクレオチド多形よりもむしろ小さな欠失や挿入のほうが珍しくなく、そのタンパク質の機能が変更されていない場合が多い。
【0113】
従って、本発明のある態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一な核酸を提供するのみならず、本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約65%同一な、典型的には本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約70%、75%、80%、85%、または90%同一な、便宜には本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約91%、92%、93%、94%または95%同一な、便宜には本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一な、また最も保存されている場合では本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約99.6%、99.7%、99.8%および99.9%同一な単離された核酸を提供することである。これらの配列変異体は天然で起こり得るし、ランダム突然変異誘発または指定突然変異誘発によるなど人の介入によっても生じ得る。
【0114】
本明細書の目的では、2つの核酸配列の同一性%はTatiana et al., ”Blast 2 sequences − a new tool for comparing protein and nucleotide sequences”, FEMS Microbiol Lett. 174:247−250 (1999)の手法を用いて決定されるが、この手法はオンライン
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.html
で利用できるコンピュータープログラムBLAST 2 SEQUENCESによって実施されるものである。核酸の同一性%を評価するには、BLAST 2 SEQUENCESのBLASTNモジュールを、(i)マッチリワード: 1、(ii)ミスマッチペナルティ: −2、(iii)オープンギャップ5およびエクステンションギャップ2ペナルティー、(iv)ギャップX_ドロップオフ50は10ワードサイズ11フィルターを予測のデフォルト値とともに用い、両配列をそのまま全部入力する。
【0115】
周知のように、遺伝子コードは複数のコドンから翻訳される各アミノ酸(メチオニンを除く)によって縮重していることから、異なる配列の複数の核酸が同一のタンパク質をコードすることができる。また周知のように、最適発現のためのコドンの選択は種ごとに異なる。本発明の単離された核酸はhGDMLP−1タンパク質およびタンパク質断片の発現に有用であることから、本発明のもう1つの態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一なだけでなく、その縮重変異体との配列が同一な、hGDMLP−1タンパク質およびその一部をコードする単離された核酸を提供することである。
【0116】
また周知のように、天然の対立遺伝子変異体の間ではアミノ酸置換がしばしば生じ、保存的置換はタンパク質機能に小さな変化しか起こさないことが多い。
【0117】
従って本発明のある態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一な核酸を提供するのみならず、保存的アミノ酸置換を伴うhGDMLP−1およびその一部をコードする単離された核酸も提供し、またある程度保存されたアミノ酸置換を伴うhGDMLP−1およびその一部をコードする単離された核酸も提供することである。
【0118】
本来、進化上関連のあるタンパク質間で見られる変異または推定される化学的類似性を基にした、保存的アミノ酸置換を呼び出すには種々の測定基準があるが、本明細書の目的では保存的置換は本明細書の以下に再現されるPAM250 log様マトリックスでは正の値を有するいずれかの変化である(Gonnet et al., Science 256(5062) :1443−5 (1992)参照):
【表1】
Figure 2004501617
【0119】
本明細書の目的で、「ある程度保存された」置換とは、本明細書の上記で再現されたPAM250 log様マトリックスで負でない値を有するいずれかの変化である。
【0120】
また当技術分野で周知のように、核酸の相関もまた機能的試験、すなわち、定義されたハイブリダイゼーションストリンジェンシーで2つの核酸が互いに塩基対を形成する能力を用いて同定することができる。
【0121】
従って本発明のもう1つの態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一な単離された核酸を提供するのみならず、高ストリンジェント条件下(本明細書で定義の通り)で本発明の種々の単離されたhGDMLP−1核酸(「参照核酸」)の全長または一部とハイブリダイズする単離された核酸(「交差ハイブリダイズ核酸」)、ならびに中程度のストリンジェント条件下で本発明の種々の単離されたhGDMLP−1核酸の全長または一部とハイブリダイズする交差ハイブリダイズ核酸を提供することである。
【0122】
かかる交差ハイブリダイズ核酸は特に、選択的イソ型、ホモログ、パラログおよびオーソログとして本発明のタンパク質に関連するタンパク質のプローブとして、またそれらタンパク質の発現を駆動するのに有用である。特に好ましいオーソログとしては、チンパンジー、アカゲザル、ヒヒ、およびゴリラなどの他の霊長類種由来のもの;ラット、マウス、モルモットなどの齧歯類由来のもの;ならびにウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギなどの家畜由来のものが挙げられる。
【0123】
参照核酸のハイブリダイズ部分は典型的には少なくとも15ヌクレオチド長、多くの場合では少なくとも17ヌクレオチド長である。しかししばしばこの参照核酸のハイブリダイズ部分は少なくとも20ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、さらには30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、および50ヌクレオチド長という場合もある。もちろんより長い参照核酸部分、例えば少なくとも50nt、少なくとも100nt、少なくとも150nt、200nt、250nt、300nt、350nt、400nt、450nt、または500nt以上の部分、あるいは参照核酸の全長とハイブリダイズする交差ハイブリダイズ核酸も有用である。
【0124】
この交差ハイブリダイズ核酸のハイブリダイズ部分は参照核酸の少なくとも一部と配列が少なくとも75%同一である。典型的には、この交差ハイブリダイズ核酸のハイブリダイズ部分は参照核酸の少なくとも一部と配列が少なくとも80%、多くの場合では少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、または少なくとも90%同一でありさえする。多くの場合、この交差ハイブリダイズ核酸のハイブリダイズ部分は参照核酸の少なくとも一部と配列が少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。ときにはこの交差ハイブリダイズ核酸のハイブリダイズ部分は参照核酸の少なくとも一部と配列が少なくとも99.5%同一である場合もある。
【0125】
本発明はまた、本発明の種々の単離された核酸の断片を提供する。
【0126】
ここで参照核酸の「断片」とは、参照核酸配列の一部(ただしこの部分のヌクレオチドは少なくとも17個ないし参照核酸の全長未満である)と同一のヌクレオチド配列を有する単離された(いずれにせよ得られている)核酸を意味する。このように定義すると、「断片」は参照核酸の物理的断片化によって得られる必要はないが、それによりそのような由来を除外するものではない。
【0127】
理論上、17ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドは3ギガベースのヒトゲノムでは無作為に1度未満しか生じず、従って、ゲノムコンプレックシティの核酸混合物の中で参照配列を独自に同定し得る核酸プローブを提供するのに十分な長さである。周知のように、サブゲノムコンプレックシティの核酸サンプルをプロービングすることにより、かつ/または17ヌクレオチド長といった短い複数の断片を集合体として用いて、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるなど核酸増幅を誘導することにより、さらなる特異性が得られる。
【0128】
本明細書の以下にさらに記載するが、参照核酸にコードされているタンパク質のエピトープをマッピングする際に有用であるペプチドの発現または合成を指示するには、少なくとも6個の連続するアミノ酸をコードする核酸断片(すなわち、18ヌクレオチド以上の断片)が有用である。例えば、Geysen et al., ”Use of peptide synthesis to probe viral antigens for epitopes to a resolution of a single amino acid,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998−4002 (1984);ならびに米国特許第4,708,871号および同第5,595,915号参照(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。
【0129】
本明細書の以下にさらに記載するが、免疫原として有用であるペプチドの発現または合成を指示するには、少なくとも8個の連続するアミノ酸をコードする断片(すなわち、24ヌクレオチド以上の断片)が有用である。例えば、Lerner, ”Tapping the immunological repertoire to produce antibodies of predetermined specificity,” Nature 299:592−596 (1982); Shinnick et al., ”Synthetic peptide immunogens as vaccines,” Annu. Rev. Microbiol. 37:425−46 (1983); Sutcliffe et al., ”Antibodies that react with predetermined sites on proteins,” Science 219:660−6 (1983)参照(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。
【0130】
従って本発明の核酸断片は少なくとも17ヌクレオチド長、典型的には少なくとも18ヌクレオチド長、多くの場合では少なくとも24ヌクレオチド長である。多くの場合、本発明の核酸は少なくとも25ヌクレオチド長、さらには30ヌクレオチド長、35ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、または45ヌクレオチド長でさえある。もちろん、少なくとも50nt、少なくとも100nt、少なくとも150nt、200nt、250nt、300nt、350nt、400nt、450nt、または500nt以上を有する大きな断片も有用であり、好ましい場合がある。
【0131】
発現されるメッセージの監視よりもむしろゲノム配列の発掘を基に考えた場合、本発明はさらにhGDMLP−1遺伝子の一部を含む単離されたゲノム由来核酸を提供する。
【0132】
本発明は特にゲノム由来の単一エクソンプローブを提供する。
【0133】
所有者が同じ同時係属米国特許出願番号09/774,203(2001年1月29日出願)および同09/632,366(2000年8月3日出願)および仮米国特許出願番号60/236,359(2000年5月26日出願)および同60/236,359(2000年9月27日出願)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)にさらに示されているように、「単一エクソンプローブ」はあるエクソン(「参照エクソン」)の少なくとも一部を含み、その参照エクソンを含む転写物由来核酸と高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズし得る。しかしこの単一エクソンプローブは、その参照エクソンを欠いているが、そのゲノム中で参照エクソンと隣接して見られる1以上のエクソンを含む核酸とは高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズしない。
【0134】
ゲノム由来の単一エクソンプローブは典型的にはさらに、その参照エクソン部分の第一の末端に隣接して、同じようにゲノムのエクソンに隣接する第一のイントロンおよび/または遺伝子間配列を含む。多くの場合、ゲノム由来の単一エクソンプローブはさらに、そのエクソン部分の第二の末端に隣接して、同じようにゲノムのエクソンに隣接する第二のイントロンおよび/または遺伝子間配列を含む。
【0135】
ゲノム由来単一エクソンプローブの最小長は、そのエクソン部分が転写物由来核酸と高ストリンジェント条件下でハイブリダイズするに十分な長さであるといった必要条件により規定される。従って、このエクソン部分は少なくとも17ヌクレオチド、典型的には少なくとも18ヌクレオチド、20ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、またはさらには30、35、40、45、または50ヌクレオチド長でさえあり、便宜にはそのエクソンの全長、100nt、150nt、200nt、250nt、300nt、350nt、400nt、またはさらには500nt長をも含み得る。
【0136】
ゲノム由来単一エクソンプローブの最大長は、そのプローブが1個のみのエクソン部分を含む、すなわち、参照エクソンは欠いているが、そのゲノム中で参照エクソンと隣接して見られる1以上のエクソンを含む核酸とは高ストリンジェント条件下で検出可能なようにハイブリダイズできないといった必要条件により規定される。
【0137】
真核生物ゲノムにおけるエクソンの様々な空間配置を考えると、本発明の単一エクソンプローブの最大長は典型的には せいぜい25kb、多くの場合ではせいぜい20kb、15kb、10kbまたは7.5kb、あるいはさらにはせいぜい5kb、4kb、3kb、またはせいぜい約2.5kbの長さでさえある。
【0138】
本発明のゲノム由来単一エクソンプローブは便宜には、ゲノムの残りのプローブ配列とは隣接して見られない第一の末端プライミング配列を少なくとも含み、また多くの場合、ゲノムの残りのプローブ配列とは隣接して見られない第二の末端プライミング配列を含む。
【0139】
本発明はまた、hGDMLP−1遺伝子の転写を制御する核酸配列エレメントを含む単離されたゲノム由来核酸を提供する。
【0140】
現在利用できるヒトゲノムの完全なドラフトをもってすれば、hGDMLP−1遺伝子の近傍内にある(かつ、本明細書に特に記載されるものに付加されている)ゲノム配列は、PCR増幅により容易に得ることができる。
【0141】
本発明の単離された核酸は天然の5’−3’ホスホジエステルヌクレオシド間結合にある天然ヌクレオチド、例えばDNAまたはRNAからなってもよいし、あるいは非天然ヌクレオチド類似体、非天然ヌクレオシド間結合、または合成後修飾のいずれかまたは全てを、その核酸全域にわたって、またはその1以上の部分に局在して含んでいてもよい。当技術分野で周知のように、単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いる場合、かかる非天然類似体、非天然ヌクレオシド間結合、または合成後修飾の範囲は、得られた核酸の配列識別塩基対形成を可能とするものに限られる。in vitroまたはin vivoにおいてRNAまたはタンパク質の直接発現に用いる場合、かかる非天然類似体、非天然ヌクレオシド間結合、または合成後修飾の範囲は、核酸を重合基質として適切に機能させるものに限定される。この単離された核酸を治療薬として用いる場合、かかる変化の範囲は単離された核酸に害を与えないものに限定される。
【0142】
例えば、プローブとしての使用が望まれる場合、本発明の単離された核酸としては、便宜には、放射性標識または蛍光団などの直接検出できる標識を組み込んだヌクレオチド類似体、またはビオチンまたは種々のハプテンなど、その後の反応で可視化できる標識を組み込んだヌクレオチド類似体が挙げられる。
【0143】
一般的な放射性標識類似体としては、α−32P−dATP、α−32P−dCTP、α−32P−dGTP、α−32P−dTTP、α−32P−3’dATP、α−32P−ATP、α−32P−CTP、α−32P−GTP、α−32P−UTP、α−35S−dATP、γ−35S−GTP、γ−33P−dATPなど、33P、32P、および35Sで標識されたものが挙げられる。
【0144】
本発明の核酸に容易に組み込まれる市販の蛍光ヌクレオチド類似体としては、CyS−dCTP、Cy3−dUTP、Cy5−dCTP、Cy3−dUTP (Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, New Jersey, USA)、フルオレセイン−12−dUTP、テトラメチルローダミン−6−dUTP、テキサスレッド(登録商標)−5−dUTP、カスケードブルー(登録商標)−7−dUTP、BODIPY(登録商標)FL−14−dUTP、BODIPY(登録商標)TMR−14−dUTP、BODIPY(登録商標)TR−14−dUTP、ローダミングリーン(商標)−5−dUTP、オレゴングリーン(登録商標)488−5−dUTP、テキサスレッド(登録商標)−12−dUTP、BODIPY(登録商標)630/650−14−dUTP、BODIPY(登録商標)650/665−14−dUTP、アレキサフルオル(登録商標)488−5−dUTP、アレキサフルオル(登録商標)532−5−dUTP、アレキサフルオル(登録商標)568−5−dUTP、アレキサフルオル(登録商標)594−5−dUTP、アレキサフルオル(登録商標)546−14−dUTP、フルオレセイン−12−UTP、テトラメチルローダミン−6−UTP、テキサスレッド(登録商標)−5−UTP、カスケードブルー(登録商標)−7−UTP、BODIPY(登録商標)FL−14−UTP、BODIPY(登録商標)TMR−14−UTP、BODIPY(登録商標)TR−14−UTP、ローダミングリーン(商標)−5−UTP、アレキサフルオル(登録商標)488−5−UTP、アレキサフルオル(登録商標)546−14−UTP (Molecular Probes, Inc. Eugene, OR, USA)が挙げられる。
【0145】
その他の蛍光団を有するヌクレオチドの通常の合成に関するプロトコールも入手できる。その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる、Henegariu et al., ”Custom Fluorescent−Nucleotide Synthesis as an Alternative Method for Nucleic Acid Labeling,” Nature Biotechnol. 18:345 − 348 (2000)。
【0146】
一般に後の標識のためにヌクレオチドと結合させるハプテンとしては、ビオチン (ビオチン−11−dUTP、Molecular Probes, Inc,, Eugene, OR, USA; ビオチン−21−UTP、ビオチン−21−dUTP, Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA, USA)、ジゴキシゲニン(DIG−11−dUTP、アルカリ不安定性, DIG−11−UTP, Roche Diagnostics Corp., Indianapolis, IN, USA)、およびジニトロフェニル(ジニトロフェニル−11−dUTP, Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USA)が挙げられる。
【0147】
もう1つの例として、転写または翻訳のアンチセンス阻害のための使用が望まれる場合、本発明の単離された核酸は便宜には、多くの場合ヌクレアーゼ耐性であるヌクレオシド間結合の変化を含む。Hartmann et al. (eds.), Manual of Antisense Methodology (Perspectives in Antisense Science), Kluwer Law International (1999) (ISBN:079238539X); Stein et al. (eds.), Applied Antisense Oligonucleotide Technology, Wiley−Liss (cover (1998) (ISBN: 0471172790); Chadwick et al. (eds.), Oligonucleotides as Therapeutic Agents − Symposium No. 209, John Wiley & Son Ltd (1997) (ISBN: 0471972797)参照、なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする。かかる変化したヌクレオシド間結合は、本発明の単離された核酸がターゲッティングされた遺伝子コレクションのために用いられる場合にも望ましい場合が多い。その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる、Gamper et al., Nucl. Acids Res. 28(21):4332−9 (2000)。
【0148】
核酸がアンチセンス目的に用いられる場合にしばしば好ましい改変されたオリゴヌクレオチド主鎖としては、例えば、ホスホロチオエート;キラルホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;ホスホトリエステル;アミノアルキルホスホトリエステル;3’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートをはじめとするメチルおよびその他のアルキルホスホネート;ホスフィネート;3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートをはじめとするホスホルアミデート;チオノホスホルアミデート;チオノアルキルホスホネート;チオノアルキルホスホトリエステル;ならびに通常の3’−5’結合、これらの2’−5’結合類似体を有するボラノホスフェート、および逆の極性を有するもの(ここで、隣接するヌクレオシドユニット対は3’−5’→5’−3’、または2’−5’→5’−2’結合している)が挙げられる。上記のリン含有結合の形成を教示する代表的米国特許としては、限定されるものではないが、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第4,476,301号、同第5,023,243号、同第5,177,196号、同第5,188,897号、同第5,264,423号、同第5,276,019号、同第5,278,302号、同第5,286,717号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、同第5,405,939号、同第5,453,496号、同第5,455,233号、同第5,466,677号、同第5,476,925号、同第5,519,126号、同第5,536,821号、同第5,541,306号、同第5,550,111号、同第5,563,253号、同第5,571,799号、同第5,587,361号、および同第5,625,050が挙げられる。なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする。
【0149】
リン原子を含まないアンチセンス用の好ましい改変オリゴヌクレオチド主鎖は短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、あるいは1以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成される主鎖を有する。これらにはモルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖を有するもの、ならびに混合したN、O、SおよびCH成分部分を有するその他のものが挙げられる。上記の主鎖の製造を教示する代表的な米国特許としては、限定されるものではないが、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,264,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,610,289号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、および同第5,677,439が挙げられる。なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする。
【0150】
その他の好ましいオリゴヌクレオチドミメティクスでは、糖およびヌクレオシド間結合の両者が、ペプチド核酸(PNA)などの新たな基で置換されている。
【0151】
PNA化合物では、核酸のホスホジエステル主鎖はアミド含有、特にアミド結合により結合したN−(2−アミノエチル)グリシン単位を繰り返すことで置換されている。核塩基は、典型的にはメチレンカルボニル結合によって主鎖のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合している。
【0152】
PNA主鎖の非電荷性は、DNA/DNAおよびDNA/RNA二重らせんで見られるものよりも高い熱安定性を有するPNA/DNAおよびPNA/RNA二重らせんをもたらし、その結果、PNAとDNAまたはRNA鎖との間の電荷反発がなくなる。一般に、PNA/DNAまたはPNA/RNA二重らせんのTmは、対応するDNA/DNAまたはDNA/RNA二重らせんのTmより塩基対当たり1℃高い(100mM NaCl中)。
【0153】
中性の主鎖も、PNAに、塩濃度に依存するところが大きい安定したDNA二重らせんを形成させる。イオン強度が低いと、PNAは、DNAハイブリダイゼーションに支障をきたす、または不能にする温度で標的配列とハイブリダイズし得る。またDNA/DNA二重らせんの形成とは異なり、PNAハイブリダイゼーションはマグネシウムの不在下でも起こり得る。従って、サンプル中に競合するDNAまたはRNAが存在する場合、またはプロービングされる核酸が高レベルの二次構造を含む場合には、イオン強度を調節するのが有用である。
【0154】
PNAはまた、相補的DNAとの結合において、より高い特異性を示す。PNA/DNAミスマッチはDNA/DNAミスマッチよりも不安定性が大きい。PNA/DNA 15マー混合物中の1個のミスマッチはTmを8〜20℃(平均15℃)低下させる。対応するDNA/DNA二重らせんでは1個のミスマッチはTmを4〜16℃(平均11℃)低下させる。PNAプローブはDNAプローブよりもかなり短いので、それらの特異性はより高い。
【0155】
さらに、ヌクレアーゼおよびプロテアーゼは核塩基側鎖を有するPNAポリアミド主鎖を認識しない。結果として、PNAオリゴマーは酵素消化に耐性があり、in vivoおよびin vitroの双方でこれらの化合物の寿命は延長される。さらにPNAは広いpH範囲で安定である。
【0156】
その主鎖がアミド結合からなっていることから、PNAは改変型ペプチド合成プロトコールを用いて合成することができる。PNAオリゴマーはFmocおよびtBocの両方法で合成できる。このPNA化合物の製造を教示する代表的な米国特許としては、限定されるものではないが、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、および同第5,719,262号(各々出典明示により本明細書の一部とされる)が挙げられ、自動PNA合成も市販の合成装置で容易に行える(例えば、”PNA User’s Guide,” Rev. 2, February 1998, Perseptive Biosystems Part No. 60138, Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA参照)。
【0157】
PNAの化学および適用は特にRay et al., FASEB J. 14(9):1041−60 (2000); Nielsen et al., Pharmacol Toxicol. 86(1):3−7 (2000); Larsen et al., Biochem Biophys Acta. 1489(1):159−66 (1999); Nielsen, Curr. Opin. Struct. Biol. 9(3):353−7 (1999)およびNielsen, Curr. Opin. Biotechnol. 10(1):71−5 (1999)(これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)に総説されている。
【0158】
天然に見られる核酸組成物との違い、例えば、非天然塩基、ヌクレオシド間結合の変更、合成後修飾はその核酸全域に存在していてもよいし、あるいはそうではなく、便宜にはその個々の部分に局在していてもよい。後者の例としては、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる、米国特許第5,760,012および同第5,731,181号にさらに示されるように、個々のDNAおよびRNAドメインを有し、ターゲッティングされた遺伝子修復に有用であるキメラ核酸を合成することができる。もう1つの例としては、DNAおよびPNAの双方を含むキメラ核酸が、改変型PCR反応で有用であることが示されている。出典明示により本明細書の一部とされる、Misra et al., Biochem. 37: 1917−1925 (1998)参照、またFinn et al., Nucl. Acids Res. 24: 3357−3363 (1996)も参照。
【0159】
特に断りのない限り、本発明の核酸は所望の用途に適当ないずれのトポロジーコンホメーションを含んでもよく、従って明らかに、中でも、一本鎖、二本鎖、三重らせん、四重らせん、部分的二本鎖、部分的三重らせん、部分的四重らせん、分枝型、ヘアピン型、環状、および南京錠型コンホメーションが含まれる。南京錠型コンホメーションおよびそれらの有用性は、Baner et al., Curr. Opin. Biotechnol. 12:11−15 (2001); Escude et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 14;96(19):10603−7 (1999); Nilsson et al., Science 265(5181):2085−8 (1994) (なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の伊津部とされる)にさらに記載されている。三重らせんおよび四重らせんコンホメーションおよびそれらの有用性は、Praseuth et al., Biochem. Biophys. Acta. 1489(1):181−206 (1999); Fox, Curr. Med. Chem. 7(1):17−37 (2000); Kochetkova et al., Methods Mol. Biol. 130:189−201 (2000); Chan et al., J. Mol. Med. 75(4):267−82 (1997) なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)に総説されている。
【0160】
本発明の核酸は検出可能なように標識することができる。
【0161】
一般に用いられる標識としては、32P、33P、35S、H(およびNMR検出用としては13Cおよび15N)などの放射性核種、特異的抗体または高親和性結合相手(アビジンなど)によって検出できるハプテン、ならびに蛍光団が挙げられる。
【0162】
上記のように、検出可能な標識は、核酸に標識されたヌクレオチド類似体を含ませることで組み込むことができる。かかる類似体は、DNA分子に関してはニックトランスレーション、ランダムプライミング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ターミナル・トランスフェラーゼ・テーリング、およびオーバーハングの末端埋め、またRNA分子に関しては、例えばT7、T3およびSP6などのファージプロモーターに由来するin vitro翻訳によるなどの酵素的重合によって組み込むことができる。かかる各標識アプローチのための市販のキットも容易に入手できる。
【0163】
また類似体は自動固相化学合成の際に組み込むこともできる。
【0164】
周知のように、標識はまた核酸合成後に、検出可能な標識の合成後共有結合に便宜な部位を提供する5’リン酸および3’ヒドロキシルを用いて組み込むこともできる。
【0165】
その他の種々の合成後アプローチでも核酸の内部標識が可能である。
【0166】
例えば蛍光団は、DNA、RNAおよびPNAにおいてグアニン残基のN7と反応する(程度は低いがアデニンとも反応する)シスプラチン試薬を用いて結合させ、核酸と蛍光団標識(Universal Linkage System)(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAおよびAmersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ, USAから入手できる)との間の安定な配位複合体とすることができる。出典明示により本明細書の一部とされる、Alers et al., Genes, Chromosomes & Cancer, Vol. 25, pp. 301−305 (1999); Jelsma et al., J. NIH Res. 5:82 (1994); Van Belkum et al,, BioTechniques 16:148−153 (1994)参照。もう1つの例として、核酸は、アリールアジド化学を用いて標的核酸と光結合または熱結合される、ジスルフィド含有リンカー(FastTag(商標)Reagent, Vector Laboratories, Inc. Burlingame, CA, USA)を用いて標識することができ、還元後、遊離チオールがハプテン、蛍光団、糖、アフィニティーリガンドまたはその他のマーカーとの結合に利用できる。
【0167】
独立した、または相互作用する複数の標識を本発明の核酸に組み込むこともできる。
【0168】
例えば、蛍光消光の解放によって特異的ハイブリダイゼーションを追跡するため(Tyagi et al., Nature Biotechnol. 14: 303−308 (1996); Tyagi et al., Nature Biotechnol. 16: 49−53 (1998); Sokol et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 11538−11543 (1998); Kostrikis et al., Science 279:1228−1229 (1998); Marras et al., Genet. Anal. 14: 151−156 (1999);米国特許第5,846,726号、同第5,925,517号、同第5,925,517号)、あるいはエキソヌクレオチド切断を追跡するために(米国特許第5,538,848号、Holland et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276−7280 (1991); Heid et al., Genome Res. 6(10):986−94 (1996); Kuimelis et al., Nucleic Acids Symp Ser. (37):255−6 (1997);米国特許第号5,723,591号、なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)、蛍光団およびそれに近接して蛍光消光の働きをする部分の両者を組み込めばよい。
【0169】
このようにして標識した本発明の単離された核酸は、さらに以下に記載されるようにプローブとして使用できる。
【0170】
また本発明の核酸は便宜には支持体に結合させることができる。支持体は多孔質または固相、平板または非平板、単一または散在性のものであってよく、結合は共有結合でも非共有結合でもよい。支持体に結合させれば、本発明の核酸は非標識状態でもプローブとして使用できる。
【0171】
例えば、本発明の核酸は便宜には、多孔質支持体、一般にはメンブラン、典型的にはニトロセルロース、ナイロンまたは正電荷ナイロン誘導体からなるものに結合させることができ、このようにして結合させた本発明の核酸を用いて、ゲノム核酸サンプルまたは転写物由来の核酸サンプルのいずれかの標識された核酸サンプル内に存在するhGDMLP−1核酸を、例えば逆ドットブロットによって検出することができる。
【0172】
また本発明の核酸は便宜にはガラスなどの固相支持体にも結合させることができるが、非晶質シリコーン、結晶質シリコーン、またはプラスチックなどの他の固相材料も使用できる。かかるプラスチックとしては、ポリメチルアクリル系、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロースニトレート、ニトロセルロース、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0173】
典型的にはこの固相支持体は長方形であるが、他の形状、特に円盤や球形であっても一定の利点をもたらす。特に核酸アレイのための支持体としてスライドガラスに代わる有利なものとしては、Demers, ”Spatially Addressable Combinatorial Chemical Arrays in CD−ROM Format,” 国際特許公報WO 98/12559(出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)に記載のような光ディスクがある。
【0174】
本発明の核酸は支持体の表面に共有結合させてもよいし、あるいは変性および仮定される非共有結合性の相互作用による結合を助ける攪乱剤中で誘導体化した表面に塗布してもよいし、あるいはその組合せであってもよい。
【0175】
本発明の核酸は、複数の他の核酸が同時に結合している支持体に結合させてもよく、結合した複数の核酸の各々に対するハイブリダイゼーションは個別に検出できる。低密度の場合(例えば多孔質膜上)、これらの支持体と結合した集合体は典型的にはマクロアレイと呼ばれ、高密度の場合は(典型的にはガラスなどの固相支持体上)、これらの複数の核酸の集合体が結合した支持体は一般にマイクロアレイと呼ばれる。本明細書においてマイクロアレイという場合には、あらゆる密度のアレイを含む。従って本発明のもう1つの態様は、本発明の核酸を含むマイクロアレイを提供することである。
【0176】
本発明の単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、ゲノム核酸および転写物由来核酸サンプルの双方でhGDMLP−1核酸を検出、同定および定量、ならびにその双方からhGDMLP−1核酸を単離することができる。溶液中で遊離状態の場合、かかるプローブは、常にというわけではないが典型的には、検出可能なように標識され、マイクロアレイのように支持体に結合されている場合には、かかるプローブは常にというわけではないが典型的には標識されない。
【0177】
例えば、本発明の単離された核酸をプローブとして用いて、染色体分散像に対する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による、欠失、挿入、転座およびhGDMLP−1ゲノム遺伝子座の倍加などのhGDMLP−1ゲノム遺伝子座における著しい変異を検出および同定することができる。例えば、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる、Andreeff et al. (eds.), Introduction to Fluorescence In Situ Hybridization: Principles and Clinical Applications, John Wiley & Sons (1999) (ISBN: 0471013455)参照。本発明の単離された核酸をプローブとして用いて、例えば制限断片長多形のサザンブロット検出を用い、より小さなゲノム変異を評価することができる。本発明の単離された核酸をプローブとして用いて、本発明の核酸を含むゲノムクローンを単離することができ、その後これを制限マッピングおよび配列決定して配列レベルでの欠失、挿入、転座および置換(単一ヌクレオチド多形、SNP)を同定することができる。
【0178】
また本発明の単離された核酸をプローブとして用いて、転写物由来核酸サンプルのhGDMLP−1核酸を検出、同定および定量、ならびにその転写物由来核酸サンプルからhGDMLP−1核酸を単離することができる。
【0179】
例えば、本発明の単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、長さによりhGDMLP−1 mRNAを検出、同定し、さらに全RNAサンプルまたはポリ−A選択RNAサンプルのノーザンブロットにより定量することができる。例えば、本発明の単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、限局化によりhGDMLP−1メッセージを検出、同定、さらに組織切片に対するin situハイブリダイゼーションにより定量することができる(例えば、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる、Schwarchzacher et al., In Situ Hybridization, Springer−Verlag New York (2000) (ISBN: 0387915966)参照)。例えば、本発明の単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、cDNAライブラリーにおけるhGDMLP−1クローンの表現を測定することができる。例えば、本発明の単離された核酸をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、cDNAライブラリーからhGDMLP−1核酸を単離することができ、これにより欠失、挿入、トランケーション(選択的スプライシング型のエクソンの欠失、挿入、およびトランケーションの同定を含む)、および単一ヌクレオチド多形をはじめとするhGDMLP−1メッセージの配列レベルの同定が可能となる。
【0180】
上記のプローブ技術は全て十分当業者の技術の範囲内であり、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd ed.), Cold. Spring Harbor Laboratory Press (2001) (ISBN: 0879695773); Ausubel et al. (eds.), Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology (4th ed.), John Wiley & Sons, 1999 (ISBN: 047132938X);およびWalker et al. (eds.), The Nucleic Acids Protocols Handbook, Humana Press (2000) (ISBN: 0896034593) (なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)などの標準的な文書により詳しく記載されている。
【0181】
本発明の以下の実施例に記載されるように、本発明の核酸を用いてまた、マイクロアレイに含まれる転写物由来サンプルにおいてhGDMLP−1核酸を検出および同定、すなわちhGDMLP−1遺伝子の発現を測定することもできる。hGDMLP−1発現の測定はhGDMLP−1遺伝子の遺伝的障害の診断に特に有用である。
【0182】
当業者ならば容易に明らかとなろうが、標識されたものであれ支持体に結合されたものであれ、あるいはその双方であっても、各hGDMLP−1核酸プローブはこのように一般に、発現がすでに確認されている各組織、注目すべきは心筋および骨格筋でのhGDMLP−1発現のレベルを測定する手段としての使用に利用できる。この有用性はプローブに特異的なものであり、高ストリンジェント条件下でこのプローブは、プローブ内に含まれるhGDMLP−1遺伝子のその部分を特異的に含むメッセージの発現レベルを追跡する。
【0183】
測定手段は分子生物学のみならず多くの技術分野で周知であり、信頼的、特異的、かつ実質的有用性を有することが知られている。例えば、米国特許第6,016,191号は炭化水素中での液流の特性を上手く測定する手段を記載および特許請求しており;米国特許第6,042,549号は運動強度を測定する装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,889,351号は粘度を測定し、また、流体の特性を測定する装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,570,694号は血圧を測定する装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,930,143号は機器手段の寸法を測定する装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,279,044号は可動エレメントの絶対的な位置を決定する測定装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,186,042号は車輪の作動力を測定する装置を記載および特許請求しており;また米国特許第4,246,774号は煙草などの発煙品のドラフトを測定する装置を記載および特許請求している。
【0184】
hGDMLP−1が発現することがまだ示されていない組織については、一般に、hGDMLP−1核酸の存在を検出するためにかかる組織をサーベイする手段として本発明のhGDMLP−1核酸プローブを利用することができる。
【0185】
サーベイ手段、すなわち、ある領域の検索により所望の対象物の存在および/または位置を決定する手段は分子生物学のみならず多くの技術分野で周知であり、信頼的、特異的、かつ実質的有用性を有することが知られている。例えば、米国特許第6,046,800号は移動する対象物のある領域をサーベイする装置を記載および特許請求しており;米国特許第6,025,201号は全血サンプルのセル・バイ・セル(cell−by−cell)基板において非血小板粒子または細胞から血小板を限局化および識別する装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,990,689号はある系の電磁保護の異常を検出および限局化する装置を記載および特許請求しており;米国特許第5,984,175号は着用できるユーザー識別ユニットを検出および同定する装置を記載および特許請求しており;米国特許第3,980,986号はボアホールの底で作動するドリルビットの位置を確認する手段を記載および特許請求している。
【0186】
上記のように、本発明の核酸プローブはマイクロアレイの構築に有用であり、次ぎにこのマイクロアレイは、遺伝子発現を測定およびサーベイするのに有用な製品となる。
【0187】
マイクロアレイに含まれる場合、各hGDMLP−1核酸プローブはマイクロアレイをそのプローブ内に含まれるhGDMLP−1遺伝子の部分を検出するのに特に有用なものとし、このように、かかるプローブなしではシグナルなしと報告されたであろうマイクロアレイディバイスにシグナル検出能を付与する。この有用性はかかるマイクロアレイ上の個々の各プローブを、電子装置に含まれるアンテナ、回路、ファームウェアまたはソフトウェア素子に類するものとし(ここで、アンテナ、回路、ファームウェアまたはソフトウェア素子はその装置に、それまでには検出できなかった無線周波スペクトルの部分で新たに、また付加的にシグナルを検出できる能力を付与する)、かかるディバイスは特異的、実質的、および信頼できる有用性を有することが知られている。
【0188】
有用性があることを示す測定のためには発現レベルの変化は観察されなくともよい。
【0189】
例えば、遺伝子発現解析を用いて細胞に対する化学剤の毒性を評価する場合、その薬剤が遺伝子の発現レベルを変化させることができないということは、その薬剤はおそらくその遺伝子の発現タンパク質が一部となる経路には作用しないことの証拠となる。同様に、リード化合物の発見においてであれ、その次のリード化合物誘導体のスクリーニングにおいてであれ、遺伝子発現解析を用いて薬理剤の副作用を評価する場合、その薬剤が遺伝子の発現レベルを変更することができないということは、その薬剤はその遺伝子の発現タンパク質が一部となる経路には作用しないことの証拠となる。出典明示によりそのまま本明細書の一部とされるWO99/58720は、その発現が算出に用いられる遺伝子の特性または機能に関わらず、第一および第二の遺伝子発現プロフィールの関連性を定量する、また複数の遺伝子発現プロフィールの関連性を順序づける方法を提供する。
【0190】
もちろん、マイクロアレイハイブリダイゼーションによる遺伝子発現解析をはじめとする遺伝子発現解析は主として実験室ベースの技術である。主として実験室で実験室での研究を助けるために用いられる装置や器具は特異的、実質的、かつ信頼できる有用性を有するに十分確立されている。例えば、米国特許第6,001,233号はカム作動式クランプを有するゲル電気泳動装置を記載および特許請求しており;例えば、米国特許第6,051,831号はタイム・オブ・フライト質量分析計で用いる高質量検出器を記載および特許請求しており;例えば、米国特許第5,824,269号はフローサイトメーターを記載および特許請求している(数種のゲル電気泳動装置、TOF−MS装置、またはフローサイトメーターは一般向けに販売されている)。
【0191】
実際のところ、特に、遺伝子発現を測定する上で実験室向けに意図した装置としての核酸マイクロアレイは特異的、実質的かつ信頼できる有用性を有するに十分確立されたものである。従って本発明のマイクロアレイは、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる以下の米国特許:米国特許第5,445,934(「固相支持体上のオリゴヌクレオチドアレイ」)、同第5,744,305号(「支持体に結合した材料のアレイ」)、および同第6,004,752(「分子が結合した固相支持体」)の装置および製品として特許請求されたマイクロアレイの少なくとも特異的、実質的かつ信頼できる有用性を有する。
【0192】
ゲノム由来単一エクソンプローブおよびゲノム由来単一エクソンプローブマイクロアレイは特に、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる同一所有者の同時係属米国出願第09/632,366号(2000年8月3日出願)にさらに記載されている、本発明の核酸のスプライシング変異体のハイスループット検出が可能となるというさらなる有用性を持つ。
【0193】
また、本発明の単離された核酸を用いてmRNA、cDNAまたはゲノムDNAを鋳型として解析または単離のいずれかの目的で核酸合成を誘導することができる。
【0194】
プライマーとして用いるためには、本発明の単離された核酸の少なくとも17個の連続するヌクレオチドを用いる。多くの場合、本発明の単離された核酸の少なくとも18個、19個または20個の連続するヌクレオチドが用いられ、ときには本発明の核酸の少なくとも20個、22個、24個または25個の連続するヌクレオチドが用いられ、さらには本発明の核酸の30個以上といったヌクレオチドも特異的合成の誘導のために使用できる。
【0195】
本発明の核酸プライマーを用いて、例えばmRNA鋳型上での第一鎖cDNA合成を誘導することもできる。
【0196】
かかるプライマー伸張を行って直接メッセージの解析をすることができる。あるいは、mRNA鋳型上での合成を行って第一鎖cDNAを作製することができる。この第一鎖cDNAはその後、特に上記のように一本鎖プローブとして直接、または欠失、挿入および置換をはじめとする変異、正常な対立遺伝子変異体および異常な表現型と関連する突然変異の双方の同定を可能とする配列決定のための鋳型として、または第二鎖cDNA合成ため(例えば、クローニングまたは発現ベクターへの挿入の前工程として)もしくは増幅のための鋳型として使用することができる。
【0197】
また本発明の核酸プライマーを用いて、例えばSNP検出のための単一塩基伸張(SBE)を誘導することもできる(例えば、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる米国特許第6,004,744号参照)。
【0198】
もう1つの例としては、本発明の核酸プライマーを用いて、転写物由来またはゲノムDNAを鋳型として用い、hGDMLP−1核酸の増幅を誘導することができる。
【0199】
プライマー指示による増幅法は今や当技術分野で十分確立されている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は特にMcPherson, PCR (Basics: From Background to Bench), Springer Verlag (2000) (ISBN: 0387916008); Innis et al. (eds.), PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press (1999) (ISBN: 0123721857); Gelfand et al. (eds.), PCR Strategies, Academic Press (1998) (ISBN: 0123721822); Newton et al., PCR, Springer−Verlag New York (1997) (ISBN: 0387915060); Burke (ed.) PCR: Essential Techniques, John Wiley & Son Ltd (1996) (ISBN: 047195697X); White (ed.), PCR Cloning Protocols: From Molecular Cloning to Genetic Engineering, Vol. 67, Humana Press (1996) (ISBN: 0896033430); McPherson et al. (eds.), PCR 2: A. Practical Approach, Oxford University Press, Inc. (1995) (ISBN: 0199634254)(なお、これらの開示は出典明示よりそのまま本明細書の一部とされる)に編集されている。RT−PCRを実施する方法は、例えば、Siebert et al. (eds.), Gene Cloning and Analysis by RT−PCR, Eaton Publishing Company/Bio Techniques Books Division, 1998 (ISBN: 1881299147); Siebert (ed.), PCR Technique: RT−PCR, Eaton Publishing Company/Bio Techniques Books (1995) (ISBN: 1881299139)(なお、これらの開示は出典明示よりそのまま本明細書の一部とされる)に編集されている。
【0200】
現在では圧延円増幅などの等温増幅アプローチも十分記載されている。例えば、Schweitzer et al., Curr, Opin. Biotechnol. 12(1):21−7 (2001);米国特許第5,854,033および同第5,714,320号、ならびに国際特許公報WO97/19193およびWO00/15779(なお、これらの開示は出典明示よりそのまま本明細書の一部とされる)参照。圧延円増幅は、SNP検出を助ける他の技術と併用することができる。例えば、Lizardi et al., Nature Genet. 19(3):225−32 (1998)参照。
【0201】
以下にさらに記載されるように、T7、T3、またはSP6プロモーターなどのファージプロモーターで核酸インサートをフランキングするベクターへ挿入した本発明の核酸を用いて、本発明の核酸のいずれかの鎖に相補的なRNAのin vitro発現を誘導することができる。このRNAは特にcDNA−mRNA差し引き法、またはin vitro翻訳のための一本鎖プローブとして使用できる。
【0202】
本明細書の以下でさらに議論するが、hGDMLP−1タンパク質またはその一部をコードする本発明の核酸を用いて、特にhGDMLP−1タンパク質またはタンパク質断片を、単独または融合タンパク質の一部として発現させることができる。
【0203】
発現は本発明のゲノム核酸からでも、あるいは本発明の転写物由来核酸からでも可能である。
【0204】
ゲノム核酸からタンパク質発現を行う場合、発現は、最初のRNA転写物からイントロンをスプライシングできる真核細胞、典型的には哺乳類細胞で行うのが典型である。発現はEBVを基にしたベクターなどのエピソームベクターからも駆動できるし、あるいは宿主細胞へ組み込まれたゲノムDNAからも行える。以下にさらに詳しく記載するが、転写物由来の(言い換えれば、イントロンを含まない)本発明の核酸から発現させる場合には、発現は広範な原核または真核細胞で行える。
【0205】
in vitroで発現させた場合、そのタンパク質、タンパク質断片、またはタンパク質融合体はその後単離して、特に本発明のタンパク質またはタンパク質イソ型に特異的な免疫アッセイにおいて標準として使用することもできるし;例えば本発明のタンパク質に欠陥がある患者の受動的置換療法として投与される、またはワクチンとして投与される、治療薬としても使用できるし;特異的抗体のin vitro産生にも使用できる(その後、この抗体は例えば本発明のタンパク質の検出および定量のための分析試薬として用いたり、免疫療法薬として用いたりされる)。
【0206】
また本発明の単離された核酸を用いて、本発明のタンパク質のin vivo発現を駆動することもできる。in vivo発現は、遺伝子療法を目的としてベクター、典型的にはウイルスベクター、多くの場合には複製不能レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス(AAV)を基にしたベクターから駆動できる。in vivo発現はまた、米国特許第5,589,466号、同第5,679,647号、同第5,804,566号、同第5,830,877号、同第5,843,913号、同第5,880,104号、同第5,958,891号、同第5,985,847号、同第6,017,897号、同第6,110,898号、同第6,204,250号(なお、これらの開示は出典明示よりそのまま本明細書の一部とされる)にさらに記載されるように、「裸の」核酸ワクチン接種の目的で、その核酸に内在するシグナルから、またはベクター、多くの場合にはpVAX1 (Invitrogen, Carlsbad CA, USA)などのプラスミドベクターから駆動することもできる。
【0207】
また本発明の核酸は転写および翻訳のアンチセンス阻害のために使用できる。Phillips (ed,), Antisense Technology, Part B, Methods in Enzymology Vol. 314, Academic Press, Inc. (1999) (ISBN: 012182215X); Phillips (ed.), Antisense Technology, Part A, Methods in Enzymology Vol. 313, Academic Press, Inc. (1999) (ISBN: 0121822141); Hartmann et al. (eds.), Manual of Antisense Methodology (Perspectives in Antisense Science), Kluwer Law International (1999) (ISBN: 079238539X); Stein et al. (eds.), Applied Antisense Oligonucleotide Technology, Wiley−Liss (cover (1998) (ISBN: 0471172790); Agrawal et al. (eds.), Antisense Research and Application, Springer−Verlag New York, Inc. (1998) (ISBN: 3540638334); Lichtenstein et al. (eds.), Antisense Technology: A Practical Appoach, Vol. 185, Oxford University Press, INC. (1998) (ISBN: 0199635838); Gibson (ed.) Antisense and Ribozyme Methodology: Laboratory Companion, Chapman & Hall (1997) (ISBN: 3826100794); Chadwick et al. (eds.), Oligonucleotide as Therapeutic Agents − Symposium No. 209, John Wiley & Son Ltd (1997) (ISBNC: 0471972797)(なお、これらの開示は出典明示よりそのまま本明細書の一部とされる)参照。
【0208】
全長ヒトhGDMLF−1タンパク質イソ型をコードする本発明の核酸、特に全長イソ型をコードするcDNAは、販売に適した商業製品としてのさらなる、よく認識された即時的実現世界を持っている。例えば、Invitrogen Corp. (Carlsbad, CA, USA)はその遺伝学研究補助を通じて、GeneStorm(登録商標)発現用クローンとて発現ベクターの選択の1つにクローニングされた全長ヒトcDNA(ヒトhGDMLF−1以外のもの)を販売し、各遺伝子は個々に発注でき、しかも明確なカタログ番号があるので遺伝子ごとに利用でき、実益があり、各クローンの販売額は650.00US$である。
【0209】
ヒトhGDMLF−1タンパク質をコードするゲノム領域を含む本発明の核酸、またはその一部なおさらなる有用性を持つ。
【0210】
例えば、本発明のゲノム核酸は、例えば、上記および同一所有者の同時係属米国特許出願番号09/774,203(2001年1月29日出願)、および同09/632,366(2000年8月3日出願)、ならびに同一所有者の同時係属米国仮特許出願60/207,456(200年5月26日出願)、同60/234,687(2000年9月21日出願)、同60/236,359(2000年9月27日出願)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)にさらに記載されている、本発明のゲノム由来単一エクソンプローブの製造のための増幅基質として使用できる。
【0211】
もう1つの例として、例えば本発明のタンパク質を産生し得る安定した細胞株を作出するために、本発明のゲノム核酸を、その挿入遺伝子座を増幅して、または増幅せずに、体細胞ゲノムへ非相同組込みすることができる。
【0212】
本明細書の以下にさらに詳しく記載されるもう1つの例として、本発明のゲノム核酸を胚幹細胞(ES)細胞に非相同組込して、本発明のタンパク質を産生し得るトランスジェニック非ヒト動物を作出することができる。
【0213】
また本発明のゲノム核酸を用いて、ヒトhGDMLF−1遺伝子座に対して相同組換えをターゲッティングすることもできる。例えば、米国特許第6,187,305号、同第6,204,061号、同第5,631,153号、同第5,627,059号、同第5,487,992号、同第5,464,764号、同第5,614,396号、同第5,527,695号および同第6,063,630号、およびKmiec et al. (eds.), Gene Targeting Protocols, Vol. 133, Humana Press (2000) (ISBN: 0896033600); Joyner (ed.), Gene Targeting: A Practical Approach, Oxford University Press, Inc. (2000) (ISBN: 0199637938); Sedivy et al., Gene Targeting, Oxford University Press (1998) (ISBN: 071677013X); Tymms et al. (eds.), Gene Knockout Protocols, Humana Press (2000) (ISBN: 0896035727); Mak et al. (eds.), The Gene Knockout FactsBook, Vo1. 2, Academic Press, Inc. (1998) (ISBN: 0124660444); Torres et al., Laboratory Protocols for Conditional Gene Targeting, Oxford University Press (1997) (ISBN: 019963677X); Vega (ed.), Gene Targeting, CRC Press, LLC (1994) (ISBN: 084938950X) (なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)参照。
【0214】
ゲノム領域が転写調節エレメントを含む場合、ヒト細胞からのhGDMLF−1タンパク質のin vitro産生の目的であっても遺伝子療法の目的であっても、相同組換えを用いてhGDMLF−1の発現を変更することができる。例えば、出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる、米国特許第5,981,214号、同第6,048,524号、同第5,272,071号参照。
【0215】
また、相同組換えで典型的に用いられるものよりも短い本発明の核酸断片を、おそらくは相同組換えの際に結びつくものとは異なる細胞機構によって、ターゲッティングされた遺伝子の補正または変更のために使用することもできる。
【0216】
例えば、部分的二重らせんとなったRNA/DNAキメラがターゲッティングされた遺伝子の補正に有用であることが示されている。米国特許第5,945,339号、同第5,888,983号、同第5,871,984号、同第5,795,972号、同第5,780,296号、同第5,760,012号、同第5,756,325号、同第5,731,181号(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)。三重らせん形成ドメインに融合したオリゴヌクレオチドは小さすぎて、改変された末端塩基または改変された末端ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドを有する場合ほど(Gamper et al., Nucl. Acids Res. 28(21):4332−9 (2000))、ターゲッティングされた遺伝子補正における有用性は示されなかった(Culver et al., ”Correction of chromosomal point mutations in human cells with bifunctional oligonucleotides,”Nature Biotechnol. 17(10):989−93 (1999)) (なお、これらの開示は出典明示により本明細書の一部とされる)。
【0217】
また、本発明の単離された核酸を用いて、所望の表現型改良を有するhGDMLF−1タンパク質変異体の組換え操作のための最初の基質を提供することもできる。かかる操作としては、例えば、位置指定突然変異誘発、その後に機能スクリーニングを伴ったランダム突然変異誘発、および特に米国特許第6,180,406号、同第6,165,793号、同第6,117,679、および同第6,096,548号(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)に記載のような、タンパク質を組換え進化させるより精緻なスキームが挙げられる。
【0218】
本発明の核酸は、ゲノムライブラリー、cDNAライブラリー、およびmRNAサンプルなどの核酸サンプルを標準的な方法でプロービングする目的で、本発明の標識プローブを用いることで得ることができる。本発明の核酸はまた、本明細書の以下の実施例1でさらに示されるように、本発明の核酸プライマーを用いた増幅によっても得ることができる。約100ntよりも短い本発明の核酸はまた、典型的には、市販の自動合成装置を用いて固相合成によって、化学的に合成することもできる。
【0219】
ベクターおよび宿主細胞
もう1つの態様では、本発明は、本発明の1以上の単離された核酸を含むベクターおよびかかるベクターが導入された宿主細胞を提供する。
【0220】
これらのベクターは特に、宿主細胞内で本発明の核酸を増やすため(クローニングベクター)、個別の生物に由来する宿主細胞間で本発明の核酸を往復させるため(シャトルベクター)、宿主細胞染色体へ本発明の核酸を挿入するため(挿入ベクター)、in vitroまたは宿主細胞内で本発明の核酸のセンスまたはアンチセンスRNA転写物を発現させるため、また、本発明の核酸にコードされているポリペプチドを単独または異種ポリペプチドとの融合体として発現させるために使用できる。本発明のベクターは多くの場合で、かかるいくつかの使用に好適なものである。
【0221】
ベクターは今や当技術分野では周知のものであり、特に、Jones et al. (eds.) Vectors: Cloning Applications: Essential Techniques (Essential Techniques Series), John Wiley & Son Ltd 1998 (ISBN: 047196266X); Jones et al. (eds.), Vectors: Expression Systems: Essential Techniques (Essential Techniques Series), John Wiley & Son Ltd, 1998 (ISBN: 0471962678); Gacesa et al., Vectors: Essential Data, John Wiley & Sons, 1995 (ISBN: 0471948411); Cid−Arregui (eds.), Viral Vectors: Basic Science and Gene Therapy, Eaton Publishing Co., 2000 (ISBN: 188129935X); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001 (ISBN: 0879695773); Ausubel et al. (eds.), Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology (4th ed.), John Wiley & Sons, 1999 (ISBN: 047132938X) なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とされる)に記載されている。さらに、膨大な種類のベクターが市販されている。既存のベクターの使用およびその改変は十分当業者範囲にあり、本明細書では基本的な特徴を記載する必要しかないであろう。
【0222】
典型的には、ベクターはウイルス、プラスミド、原核生物もしくは真核生物染色体エレメント、またはそのいくつかの組合せに由来するものであり、少なくとも1つの複製起点、少なくとも1つの異種核酸挿入部位(典型的には、複数の強固にクラスターを形成した単一切断制限部位を有するポリリンカーの形態)、および少なくとも1つの選択マーカーを含むが、組込型ベクターには、宿主内で染色体改変に機能を持つ起点を含まないものもあり、また、選択マーカーを含まないベクターもある。本発明のベクターはさらに、ベクターの少なくとも1カ所に挿入された本発明の少なくとも1つの核酸も含む。
【0223】
複製起点および選択マーカーは、存在する場合には、所望の宿主細胞を基に選択し、さらにこれらの宿主細胞は所望の適用を基に選択する。
【0224】
例えば、原核細胞、典型的には大腸菌(E. coil)をクローニング用に選択するのが典型である。この場合、ベクターの複製は、ラムダファージ、M13、T7、T3およびP1などの大腸菌感染ファージの複製戦略、または自己複製エピソーム、、すなわちColE1プラスミド、ならびにpBR322およびpUC系プラスミドをはじめとする後続誘導体の複製起点に基づくものである。大腸菌を宿主とする場合、選択マーカーは同様に、グラム陰性菌における選択性に関して選択する。例えば典型的なマーカーは、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゼオシンなどの抗生物質耐性を付与し、栄養要求性マーカーも使用できる。
【0225】
もう1つの例として、特に真核生物遺伝子の研究には、例えばツーハイブリッド系の使用によって相互作用するタンパク質成分を同定するため、またタンパク質発現のために、相同組換えにより遺伝子変異のターゲッティングが容易で、しかも組換え発現したタンパク質を用いて遺伝子の欠損を補足しやすいことから、酵母細胞、典型的にはS.セレビシエが選択される。酵母で用いる本発明のベクターは、常にというわけではないが典型的には、酵母で用いるのに好適な複製起点と、酵母で機能する選択マーカーを含む。
【0226】
組込型YIpベクターは自己複製しないが、典型的には1コピーで酵母ゲノムに低頻度で組み込まれ、従って宿主細胞染色体の一部として複製する。これらのベクターは酵母で機能する複製起点を欠くが、細菌細胞でベクターが増殖するのに好適な少なくとも1つの複製起点を有するのが典型である。これに対してYEpベクターは酵母2ミクロンプラスミド起点(2μm ori)が存在するためにエピソームとして自己複製する。YCp酵母動原体プラスミドベクターは、動原体配列CENおよび自己複製配列ARSを含有する自己複製ベクターであり、このARS配列は酵母染色体の天然の複製起点に相当するものと考えられる。
【0227】
酵母ベクターにおける選択マーカーとしては種々の栄養要求性マーカーが含まれ、最も一般的なものとして(サッカロミセス・セレビシエでは)URA3、HIS3、LEU2、TRP1およびLYS2があり、これらはura3−52、his3−D1、leu2−D1、trp1−D1およびlys2−201など、特定の栄養要求性突然変異を補足する。URA3およびLYS2酵母遺伝子はさらに、それぞれ原栄養株の増殖を妨げるが、それぞれura3およびlys2変異体の増殖を可能とする特異的阻害剤、5−フルオロ−オロチン酸(FOA)およびα−アミノアジピン酸(αAA)を基にした負の選択を可能とする。その他の選択マーカーとしては、例えばゼオシン耐性を付与するものがある。
【0228】
さらにもう1つの例としては、高効率のタンパク質発現のためには昆虫細胞が選択される場合が多い。宿主細胞がヨトウガ(Spodoptera frugiperda)由来である場合(例えば、Sf9およびSf21細胞株、ならびにexpressSF(商標)細胞(Protein Sciences Corp., Meriden, CT, USA)、ベクター複製戦略は典型的にはバキュロウイルス生活環に基づく。典型的には、バキュロウイルストランスファーベクターを用いて、野生型AcMNPVポリヘドリン遺伝子を目的の異種遺伝子で置き換える。野生型ゲノムのポリヘドリン遺伝子をフランキングする配列はトランスファーベクター上の発現カセットの5’および3’に位置する。AcMNPV DNAと同時トランスフェクトした後、目的の遺伝子を含む組換えウイルスとポリヘドリンまたはp10プロモーターを生じるこれらの配列に間で相同組換えが起こる。選択はlacZ融合活性の視覚的スクリーニングを基にすることができる。
【0229】
さらにもう1つの例として、医薬剤として意図されるタンパク質の発現のためには多くの場合で哺乳類細胞が選択され、また、タンパク質の可能性のあるアゴニストおよびアンタゴニストまたは生理学的経路のスクリーニングのためにも哺乳類細胞が宿主細胞として選択される。
【0230】
宿主細胞として哺乳類細胞が選択される場合、染色体外自己複製のために意図されるベクターとしては典型的にはSV40起点(COS1およびCOS7細胞などのラージT抗原を発現する細胞株における複製のため)、パピローマウイルス起点、または長期間のエピソーム複製のためのEBV起点(例えば、EBV EBNA−1遺伝子産物およびアデノウイルスE1Aを構成的に発現する293−EBNA細胞で用いる)などのウイルス起点が挙げられる。組込を意図したベクター、従って、哺乳類染色体の一部としての複製としては、必ずしも必要ではないが、SV40起点などの哺乳類細胞で機能する複製起点を含んでもよい。アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、および種々の哺乳類レトロウイルスなどのウイルスに基づくベクターは、典型的にはウイルス複製戦略によって複製する。
【0231】
哺乳類細胞で用いられる選択マーカーとしては、ネオマイシン(G418)、ブラスチシジン、ハイグロマイシン、およびゼオシン耐性、ならびにHAT培地を用いてプリンサルベージ経路を基にした選択が挙げられる。
【0232】
植物細胞はまた、典型的には植物ウイルス(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に由来するベクターレプリコン、および植物における安定性に関して選択された選択マーカーとともに発現に使用することができる。
【0233】
プラスミドまたはウイルスに由来するベクターに容易に適応させることができるものより大きい本発明の核酸を増殖させるために、本発明はさらに、hGDMLP−1核酸、多くの場合ゲノム核酸を含む人工染色体、すなわちBAC、YACおよびHACを提供する。
【0234】
BAC系はよく特徴付けられた大腸菌F因子を基にしたもので、宿主細胞由来のスーパーコイル環に存在する低コピープラスミドである。F因子の構造的特徴は個々のヒトDNAクローンを安定して維持させるとともに、クローニングされたDNAの操作を容易にする。Shizuya et al., Keio J. Med. 50(1):26−30 (2001); Shizuya et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89(18):8794−7 (1992)参照。
【0235】
YACはYLpと呼ばれる酵母線状プラスミドを基にしたもので、in vivoでテロメア(TEL)として機能する同種または異種DNA配列を含有するとともに、酵母ARS(複製起点)およびCEN(動原体)セグメントを含有する。
【0236】
HACとは、ヒト人工染色体である。Kuroiwa et al., Nature Biotechnol. 18(10):1086−90 (2000); Henning et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(2):592−7 (1999); Harrington et al., Nature Genet. 15(4):345−55 (1997)。ある形式では、αサテライトDNAの長い合成アレイがテロメアDNAおよびゲノムDNAと組み合わさって、選択の不在下で有糸分裂的に、また細胞遺伝学的に安定な線状小染色体を形成する。
【0237】
本発明のベクターはまた多くの場合、挿入された異種核酸由来のRNAのin vitro転写を可能とするエレメントも含む。かかるベクターは典型的には、T7、T3、またはSP6由来のものなど、核酸インサートをフランキングするファージプロモーターを含む。多くの場合、2つの異なるかかるプロモーターが挿入された核酸をフランキングするが、これによりセンス鎖およびアンチセンス鎖の両者のin vitro産生が分離できる。
【0238】
本発明の発現ベクター(すなわち、挿入された異種核酸からのポリペプチドの発現を駆動するベクター)は多くの場合、タンパク質をコードする異種核酸インサートと作動可能なように連結されたその他の種々の遺伝子エレメント、典型的にはプロモーターおよびエンハンサーエレメントなど、転写を駆動する遺伝子エレメント、転写終結および/またはポリアデニル化シグナルなどのRNAプロセッシングを助けるもの、およびリボゾーム共通配列など、翻訳を助けるものを含む。
【0239】
例えば、原核細胞、典型的には大腸菌で本発明のタンパク質を発現させるためのベクターは、プロモーター、多くの場合ラムダファージpLプロモーター、trcプロモーター、trcおよびlacプロモーターに由来するハイブリッド、バクテリオファージT7プロモーター(T7ポリメラーゼを発現するように操作された大腸菌細胞で)、またはaraBADオペロンなどのファージプロモーターを含む。多くの場合、かかる原核発現ベクターはさらにaspAターミネーターなどの転写ターミネーター、ならびに共通リボゾーム結合部位および翻訳終結コドンなどの翻訳を助けるエレメントも含む。Schomer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8506−8510 (1986)。
【0240】
もう1つの例として、酵母細胞、典型的にはS.セレビシエで本発明のタンパク質を発現させるためのベクターは、CYC1プロモーター、GAL1プロモーター、ADH1プロモーター、またはGDPプロモーターなどの酵母プロモーターを含み、典型的にはCYC1またはADH1遺伝子由来の転写終結シグナルなど、転写終結を助けるエレメントを有する。
【0241】
もう1つの例として、哺乳類細胞で本発明のタンパク質を発現させるためのベクターは、哺乳類細胞で活性なプロモーターを含む。かかるプロモーターは多くの場合、哺乳類ウイルスに由来するもので、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺伝子由来のエンハンサー−プロモーター配列、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復(RSV LTR)由来のエンハンサー−プロモーター配列、およびSV40由来のエンハンサー−プロモーターなどがある。多くの場合、発現は、後期SV40ポリアデニル化部位などのポリアデニル化部位、ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子由来の転写終結配列、およびリボゾーム結合部位の組込みによって増強される。さらに、ベクターはウサギβ−グロビン遺伝子のイントロンIIおよびSV40スプライシングエレメントなどのイントロンを含み得る。
【0242】
ベクターによって駆動されるタンパク質発現は構成的なものでも誘導性のものでもよい。
【0243】
誘導性ベクターとしては、lacオペロンによって調節されるtrcプロモーター、トリプトファンによって調節されるpLプロモーター、およびデキサメタゾンによって誘導されるMMTV−LTRプロモーターなどの天然の誘導性プロモーター、または隣接するプロモーターに誘導性の制御を付与する合成プロモーターおよび/または付加的エレメントが挙げられる。誘導性の合成プロモーターの例としては、Plac/ara−1ハイブリッドプロモーター、およびPLtetO−1プロモーターがある。PltetO−1プロモーターはラムダファージのPLプロモーターから高レベルで発現するという点で有利であるが、ラムダリプレッサー部位が2コピーのTn10テトラサイクリン耐性オペロンのオペレーター2で置き換えられていることから、このプロモーターはTetレプレッサータンパク質によって強固に抑制され、かつ、テトラサイクリン(Tc)と無水テトラサイクリンなどのTc誘導体に応答して誘導されることとなる。
【0244】
誘導エレメントのもう1つの例としての糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)およびエストロゲン応答エレメント(ERE)などのホルモン応答エレメントは個々のホルモンレセプターを有する細胞で発現させる目的でベクターを用いる場合にホルモン誘導性を付与することができる。発現のバックグラウンドレベルを小さくするためには、代わりに、昆虫ホルモンのエクジソンに応答するエレメントをエクジソンレセプターと同時発現させて用いることができる。
【0245】
発現ベクターは、発現したポリペプチドを、精製および/または可視化を助ける小タンパク質タグと融合させるように設計することができる。
【0246】
例えば、本発明のタンパク質は、例えばNiNTAレジン(Qiagen Inc., Valencia, CA, USA)またはTALON(商標)レジン(コバルト固定化アフィニティークロマトグラフィー媒体, Clontech Labs, Palo Alto, CA, USA)を用いた固定化金属アフィニティークロマトグラフィーによって融合タンパク質の精製を助けるポリヒスチジンタグとともに発現させることができる。もう1つの例として、この融合タンパク質はキチン結合タグおよび自己励起インテリを含んでもよく、これによりこの融合タグ(IMPACT(商標)システム, New England Biolabs, Inc., Beverley, MA, USA)の自己脱離を伴ったキチンに基づく精製が可能となる。あるいは、この融合タンパク質は、カルモジュリンアフィニティーレジン(Stratagene, La Jolla, CA, USA)による精製を可能とするカルモジュリン結合ペプチドタグ、またはアビジン樹脂および次にタグ脱離剤(Promega, Madison, WI, USA)を用いてin vivoにおけるビオチニル化タンパク質の精製を可能とするビオチンカルボキシラーゼキャリヤータンパク質の特異的に切断可能な断片を含んでもよい。もう1つの有用な代替法として、本発明のタンパク質はグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合体として発現させることもでき、このグルタチオンとの結合の親和性および特異性は、グルタチオン−スーパーフローレジン(Clontech Laboratories, Palo Alto, CA, USA)などのグルタチオン親和性樹脂を用い、その後遊離グルタチオンで溶出させる精製を可能とする。なお、かかるシステムで作製されるタンパク質はヘパリン、トロンビン、またはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計することができ、これによって目的のクローニングポリペプチドのGST部分は意のままに遊離させることができる。
【0247】
その他のタグとしては例えば、抗Xpress抗体によって検出できるXpressエピトープ(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、抗mycタグ抗体によって検出できるmyc タグ、抗V5抗体によって検出できるV5エピトープ(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、抗FLAG(登録商標)抗体によって検出できるFLAG(登録商標)(Stratagene, La Jolla, CA, USA)、およびHAエピトープが挙げられる。
【0248】
発現したタンパク質の分泌のために、ベクターは、リーダーペプチドなどの分泌シグナルをコードする適当な配列を含んでもよい。例えば、pSecTag2ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)は、種々の哺乳類細胞株からの組換えタンパク質の効率的な分泌のためのマウスIgκ鎖のV−J2−C領域に由来する分泌シグナルを含む5.2kbの哺乳類発現ベクターである。
【0249】
また発現ベクターは異種核酸インサートにコードされているタンパク質を、精製および/または識別タグよりも大きなポリペプチドと融合するように設計することもできる。有用なタンパク質融合体としては、ファージまたは細胞の表面上でコードされたタンパク質の提示を可能とするもの、緑色蛍光タンパク質(GFP)様発色団を有するものなど内在蛍光タンパク質との融合物、IgG Fc領域との融合物、およびツーハイブリッド系で用いる融合物が挙げられる。
【0250】
ファージディスプレーのためのベクターは、M13などの繊維状ファージの表面でのディスプレーのために、コードされているポリペプチドを例えば遺伝子IIIタンパク質(pIII)または遺伝子VIIIタンパク質(pVIII)と融合させる。Barbas et al., Phage Display: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001) (ISBN 0−87969−546−3); Kay et al. (eds.), Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual, San Diego: Academic Press, Inc., 1996; Abelson et al. (eds.), Combinatorial Chemistry, Methods in Enzymology vol. 267, Academic Press (May 1996)参照。
【0251】
酵母ディスプレーのためのベクター、例えばpYD1酵母ディスプレーベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)は、α−アグルチニン酵母接着レセプターを用いてS.セレビシエの表面に組換えタンパク質を提示する。哺乳類ディスプレーのためのベクター、例えばpDisplay(商標)ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)は血小板由来増殖因子レセプターのN末端細胞表面ターゲッティングシグナルおよびC末端トランスメンブランアンカードメインを用いて組換えタンパク質をターゲッティングする。
【0252】
今では、異種核酸にコードされているタンパク質を、エクオレア・ビクトリア(Aequorea Victoria)由来の基質依存性内在蛍光緑色蛍光タンパク質(「GFP」)およびその変異体の発色団と融合させる多様なベクターが存在する。これらのタンパク質は内在蛍光性であり、GFP様発色団はそのアミノ酸配列に全部コードされ、補因子または基質の必要なく蛍光を発することができる。
【0253】
構造上、GFP様発色団は中央α−ヘリックスを有する11鎖β−バレル(β−can)を含み、この中央α−ヘリックスは、2つの芳香環構造とそれらの間のブリッジを含むコンジュゲートΠ共鳴構造を有する。このΠ共鳴構造はアミノ酸間の自己触媒環化によって形成され、環化はイミダゾリノン中間体を介して進行し、次に関与しているチロシンのCα−Cβ結合の酸素分子によって脱水が起こる。
【0254】
GFP様発色団は、A.ビクトリアGFP(GenBank受託番号AAA27721)、ウミシイタケ(Renilla reniformis GFP、FP583 (GenBank受託番号AF168419) (DsRed)、FP593 (AF272711)、FP483 (AF168420)、FP484 (AF168424)、FP595 (AF246709)、FP486 (AF168421)、FP538 (AF168423)、およびFP506 (AF168422)などの天然に存在するタンパク質に見られるGFP様発色団から選択することができ、発色団の内在蛍光を保持するのに必要な天然タンパク質しか含まなくてよい。蛍光に必要な最小ドメインを決定する方法は当技術分野で公知である。Li et al.,”Deletions of the Aequorea victoria Green Fluorescent Protein Define the Minimal Domain Required for Fluorescence,” J. Biol. Chem. 272:28545−28549 (1997)。
【0255】
あるいは、GFP様発色団は天然に見られるものから改変したGFP様発色団から選択することができる。典型的には、かかる改変は異種発現系における組換え産生を向上させるため(タンパク質配列の変化を伴う場合と伴わない場合がある)、天然タンパク質の励起および/または発光スペクトルを変更するため、精製を助けるためになされるものであるか、あるいはクローニングの結果として、または研究の偶然の結果として起こるものである。
【0256】
かかる改変GFP様発色団を操作する方法、および単独でまたはタンパク質融合体の一部として、蛍光活性に関してそれらを試験する方法は当技術分野で周知である。これらの努力の初期の結果は、出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、Heim et al., Curr. Biol. 6:178−182 (1996)に総説があり、もっと最近の総説としては、有用な突然変異の表付きで、出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、Palm et al., ”Spectral Variants of Green Flurescent Protein,” in Green Fluorescent Proteins, Conn (ed.), Methods Enzymol. vol. 302, pp. 378 − 394 (1999)に見出せる。今ではかかる種々の改変型発色団が市販され、本発明の融合タンパク質において容易に使用することができる。
【0257】
例えば、EGFP (「増強GFP」), Cormack et al., Gene 173:33−38 (1996);米国特許第6,090,919号および同第5,804,387号は、哺乳類細胞においてより明るい蛍光、より高い発現のため、またフローサイトメーターでの使用に対する励起スペクトルの至適化のために操作した、レッドシフト型の、ヒトコドンに最適なGFP変異体である。EGFPは本発明の融合タンパク質にGFP様発色団を便宜に付与することができる。細菌発現用ベクター、N末端タンパク質融合体発現用ベクター、C末端タンパク質融合体発現用ベクター、および二シストロン性の発現のためのベクターをはじめ、プラスミドおよびウイルス双方の種々のEGFPベクターが市販されている(Clontech Labs, Palo Alto, CA, USA)。
【0258】
発光スペクトルのもう一方の末端については、EBFP(「増強青色蛍光タンパク質」)およびBFP2は発光を緑から青にシフトし、蛍光の明るさを増し、そのタンパク質の溶解度を高める4つのアミノ酸置換を含む。Heim et al., Curr. Biol. 6:178−182 (1996); Cormack et al., Gene 173:33−38 (1996)。EBFPは哺乳類細胞での発現に対して至適化され、一方、もとのクラゲコドンを持っているBFP2は細菌で発現させることができ、さらに以下で考察されるが、作製された宿主細胞は結果として得られる融合タンパク質の有用性に影響を及ぼさない。EBFPおよびBFP2由来のGFP様発色団は便宜には本発明の融合タンパク質中に含ませることができ、これらのブルーシフト変異体を含むベクターはClontech Labs (Palo Alto, CA, USA)から入手できる。
【0259】
同様にEYFP(「増強黄色蛍光タンパク質」)もClontech Labsから入手でき、EBFPとは異なり、発光を緑から黄緑へシフトする4つのアミノ酸置換を含む。Ormo et al., Science 273:1392−1395 (1996)。改変型黄色蛍光タンパク質変異体のシトリンがHeikal et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:11996−12001 (2000)に記載されている。ECFP(「増強藍色蛍光タンパク質」)(Clontech Labs, Palo Alto, CA, USA)は6つのアミノ酸置換を含み、そのうち1つが発光スペクトルを緑から藍色へシフトする。Heim et al., Curr. Biol. 6:178−182 (1996); Miyawaki et al., Nature 388:882−887 (1997)。これらGFP変異体の各々のGFP様発色団は便宜には本発明の融合タンパク質に含ませることができる。
【0260】
GFP様発色団はまた、米国特許第6,124,128号、同第6,096,865号、同第6,090,919号、同第6,066,476号、同第6,054,321号、同第6,027,881号、同第5,968,750号、5,874,304号、同第5,804,387号、同第5,777,079号、同第5,741,668号、および同第5,625,048号(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載のものをはじめ、その他の改変型GFPに由来するものであってもよい。また、Conn (ed.), Green Fluorescent Protein, Methods in Enzymology, vol. 302, Academic Press, Inc. 1999 (ISBN: 0121822036)も参照。
【0261】
IgG Fc領域との融合体は、出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、国際特許出願WO97/43316、WO97/34631、WO96/32478、WO96/18412にさらに記載されるFcRnレセプター(FcRpレセプターおよびBrambellレセプターFcRbとも呼ばれる)との相互作用を介してタンパク質医薬品の血清半減期を延長させる。
【0262】
本発明のタンパク質、タンパク質融合体、およびタンパク質断片の長期にわたる高収率の組換え産生のためには安定発現が好ましい。
【0263】
安定発現は選択マーカーを有するベクターの宿主細胞への組込みとその後の組込み物の選択によって容易に達成される。
【0264】
例えば、pUB6/V5−His A、BおよびCベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)は、広範な哺乳類組織種および細胞株における異種タンパク質の高レベルの安定発現を目的に設計されている。pUB6/V5−Hisでは、組換えタンパク質の発現を駆動するのにヒトユビキチンC遺伝子由来のプロモーター/エンハンサー配列を用いており、293、CHOおよびNIH3T3細胞における発現レベルはCMVおよびヒトEF−1aプロモーターからのレベルに匹敵する。このbsd遺伝子は強力な抗生物質ブラスチシジンによる、安定してトランスフェクトされた哺乳類細胞の迅速な選択を可能とする。
【0265】
複製不能レトロウイルスベクター、典型的にはモロニーネズミ白血病ウイルス由来のものは、プロウイルスが組み込まれた安定なトランスフェクト体を作出するのに特に有用であることが分かっている。このレトロウイルスの高効率形質導入機構は、RetroPack(商標)PT 67、EcoPack2(商標)−293、AmphoPack−293、GP2−293細胞株など(全てClontech Laboratories, Palo Alto, CA, USAから入手可能)の種々のパッケージング細胞株の有効性とあいまって、広範な宿主範囲を高効率で感染させることを可能とする。なお、組み込まれるプロウイルスのコピー数は感染の回数を変えることで容易に調節できる。レトロウイルスベクターは、ネオマイシン、ハイグロマイシンおよびピューロマイシン耐性など、安定な組込み体の選択を容易にすることができる種々の選択マーカーとともに利用できる。
【0266】
本発明はさらに、細胞内にエピソームとして存在する、または全体もしくは一部が宿主細胞の染色体に組み込まれた本発明のベクターを含む宿主細胞を含む。
【0267】
その他の観点として(そのいくつかは上記されている)、宿主細胞株は発現したタンパク質を所望の様式でプロセッシングする能力に関して選択してもよい。ポリペプチドのかかる翻訳後修飾としては、限定されるものではないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が挙げられ、かかる翻訳後修飾を伴うhGDMLP−1タンパク質を提供することも本発明の1つの態様である。
【0268】
はじめに示したように、宿主細胞は原核生物であっても真核生物であってもよい。
【0269】
適当な宿主細胞の代表例としては、限定されるものではないが、大腸菌、カウロバクター・クレセンタス(Caulobactor crescentus)、放線菌種(Streptomyces)およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)などの細菌細胞、サッカロミセス・セレビシエ、ジゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)などの酵母細胞、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)由来のものなどの昆虫細胞株、例えばSf9およびSf21細胞株、ならびにexpresSF(商標)細胞(Protein Sciences Corp., Meriden, CT, USA) 、すなわちショウジョウバエS2細胞、およびトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni) High Five(登録商標)細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、ならびに哺乳類細胞が挙げられる。典型的な哺乳類細胞としては、COS1およびCOS7細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH 3T3細胞、293細胞、HEPG2細胞、HeLa細胞、L細胞、HeLa、MDCK、HEK293、WI38、ネズミES細胞株(例えば、129/SV、C57/BL6、DBA−1、129/SVJ由来のもの)、K562、Jurkat細胞、およびBW5147が挙げられる。その他の哺乳類細胞株も周知であり、the American Type Culture Collection (ATCC) (Manassas, VA, USA)およびthe National Institute of General medical Sciences (NIGMS) Human Genetic Cell Repository at the Coriell Cell Repositories (Camden, NJ, USA)から容易に入手できる。
【0270】
本発明のベクターおよび核酸を宿主細胞へ導入する方法は当技術分野で周知であり、その技術の選択は主として導入する特定のベクターおよび選択される宿主細胞によって異なる。
【0271】
例えば、ラムダファージベクターは典型的には、パッケージングエクストラクト(例えば、Gigapack(登録商標)パッケージングエクストラクト, Stratagene, La Jolla, CA, USA)を用いてパッケージングし、このパッケージングウイルスを大腸菌感染に用いる。プラスミドベクターは典型的には化学コンピテントまたは電気コンピテント細菌細胞へ導入する。
【0272】
大腸菌細胞は、例えばCaCl、またはMg2+、Mn2+、Ca2+、RbまたはK溶液、ジメチルスルホキシド、ジチオスレイトール、およびヘキサミンコバルト(III)処理により化学コンピテントとし(Hanahan, J. Mol. Biol. 166(4):557−80 (1983))、熱ショックによりベクターを導入する。また、多様な化学コンピテント細胞が市販されている(例えば、Epicurian Coli(登録商標)XL10−Gold(登録商標)Ultracompetent Cells (Stratagene, La Jolla, CA, USA); DH5αコンピテント細胞(Clontech Laboratories, Palo Alto, CA, USA); TOP10化学コンピテント大腸菌キット(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA))。
【0273】
細菌細胞は種々のプレパルス処理により電気コンピテント、すなわち、エレクトロポレーションによる外来DNAの取り込みに対してコンピテントとすることができ、ベクターはエレクトロポレーションによって導入し、その後、選択培地で増殖させる。拡張系のプロトコールが
Electroprotocols (BioRad, Richmond, CA, USA)
(http://www.bio−rad.com/LifeScience/pdf/New_Gene_Pulser.pdf)
にてオンラインで提供されている。
【0274】
ベクターはスフェロプラスト形成、リチウム塩処理、エレクトロポレーションまたはプロトプラスト融合によって酵母細胞へ導入することができる。
【0275】
スフェロプラストは、加水分解酵素、すなわち、カタツムリ消化管抽出物(通常、グルスラーゼまたはザイモリアーゼと呼ばれる、アルトロバクター・ルテウス(Arthrobacter luteus)由来の酵素)の作用で、浸透圧安定化剤、典型的には1Mソルビトールの存在下で細胞壁の一部を取り除くことによって調製される。このスフェロプラストにDNAを加え、混合物をポリエチレングリコール(PEG)およびCa2+の溶液で共沈殿させる。次に、これらの細胞をソルビトール溶液に再懸濁し、融解した寒天と混合した後、ソルビトールを含有する選択プレートの表面に重ねる。リチウムを介した形質転換に関しては、細胞壁を明らかに透過性とする酢酸リチウムで酵母細胞を処理し、DNAを加え、細胞をPEGで共沈殿させる。これらの細胞を軽い熱ショックに曝し、遊離しているPEGと酢酸リチウムを洗浄し、その後、通常の選択培地を含むプレートに拡げる。特別に調製した一本鎖キャリヤーDNAとある種の有機溶媒を用いることで高い形質転換頻度が得られる。Schiestl et al., Curr. Genet. 16(5−6):339−46 (1989)。エレクトロポレーションに関しては、新たに増殖させた酵母培養物を典型的には、洗浄し、ソルビトールなどの浸透圧保護剤に懸濁し、DNAと混合し、この細胞懸濁物にエレクトロポレーション装置でパルスをかける。次に、選択培地を含むプレートの表面に細胞を拡げる。Becker et al., Methods Enzymol. 194:182−7 (1991)。エレクトロポレーションによる形質転換効率はPEG、一本鎖キャリヤーDNA、および対数増殖期後期のの細胞を用いることで100倍を超えて高めることができる。YACなどのより大きな構築物もプロトプラスト融合によって導入することができる。
【0276】
哺乳類および昆虫細胞はパッケージングされたウイルスベクターに直接感染させることもできるし、あるいは化学的または電気的手段によってトランスフェクトすることもできる。
【0277】
化学的トランスフェクションに関しては、DNAはCaPOで共沈殿させてもよいし、あるいはリボゾームおよび非リボゾーム脂質に基づく薬剤を用いて導入してもよい。市販のキットはCaPOトランスフェクション(CalPhos(商標)Mammalian Transfection Kit, Clontech Laboratories, Palo Alto, CA, USA)として入手でき、脂質を介するトランスフェクションは、LTPOFECTAMINE(商標)2000、LIPOFECTAMINE(商標)試薬、CELLFECTIN(登録商標)試薬、およびLIPOFECTIN(登録商標)試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、DOTAPリボゾームトランスフェクション試薬、FuGENE 6、X−tremeGENE Q2、DOSPER (Roche Molecular Biochemicals Indianapolis, IN USA)、Effectene(商標)、PolyFect(登録商標)、Superfect(登録商標)(Qiagen, Inc., Valencia, CA, USA)などの市販の試薬を用いて行える。哺乳類細胞のエレクトロポレーションのためのプロトコールは
Electroprotocols (Bio−Rad, Richmond, CA, USA)
(http://www.bio−rad.com/LifeScience/pdf/New_Gene_Pulser.pdf)
にてオンラインで見出すことができる。また、出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、Norton et al. (eds.), Gene Transfer Methods: Introducing DNA into Living Cells and Organisms, BioTechniques Books, Eaton Publishing Co. (2000) (ISBN 1−881299−34−1)も参照。
【0278】
その他のトランスフェクション法としては、粒子衝撃によるトランスフェクションがある。例えば、Cheng et al.. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:(10):4455−9 (1993); Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87(24):9568−72 (1990)参照。
【0279】
タンパク質
もう1つの態様では、本発明はhGDMLP−1タンパク質、抗原としての使用に(例えば、エピトープマッピングに)、また免疫原としての使用に(例えば、抗体の作製のため、またはワクチンとして)好適なその種々の断片、hGDMLP−1ポリペプチドおよび断片と異種ポリペプチドとの融合体、およびタンパク質、断片および本発明の融合体と他の部分との(例えば、キャリヤータンパク質との、蛍光団との)コンジュゲートを提供する。
【0280】
図2はhGDMLP−1 cDNAクローンにコードされている推定アミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列はそれぞれさらに配列表にも示されている。
【0281】
特に断りのない限り、本発明のタンパク質のアミノ酸配列は核酸配列からの推定翻訳として求められる。従って、本明細書に記載のアミノ酸配列は、上記に詳細に記載したように、核酸配列のエラーによるエラーを含んでいる可能性がある。さらに、原核生物ゲノムではしばしば単一ヌクレオチド多形(SNP)が生じ、ヒトゲノムでは140万を超えるSNPがすでに同定されており(International Human Genome Sequencing Consortium, Nature 409:860 − 921 (2001))、1つの種の1個体から決定した配列はその集団内に存在する他の対立遺伝子形態とは異なる可能性がある。そのタンパク質の機能を変化させない小さな欠失や挿入がしばしば見出せる。
【0282】
従って、本発明のある態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一なタンパク質を提供するだけでなく、本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約65%同一な、典型的には本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約70%、75%、80%、85%、または90%同一な、便宜には本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約91%、92%、93%、94%または95%同一な、便宜には本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一な、また最も保存されている場合では本明細書に特に記載されたものと配列が少なくとも約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%および99.9%同一な単離されたタンパク質を提供することである。これらの配列変異体は天然で起こり得るし、ランダム突然変異誘発または指定突然変異誘発によるなど人の介入によっても生じ得る。
【0283】
本明細書の目的では、2つのアミノ酸配列の同一性%はTatiana et al., ”Blast 2 sequences − a new tool for comparing protein and nucleotide sequences”, FEMS Microbiol Lett. 174:247−250 (1999)の手法を用いて決定されるが、この手法はオンライン
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.html
で利用できるコンピュータープログラムBLAST 2 SEQUENCESによって実施されるものである。アミノ酸の同一性%を評価するには、BLAST 2 SEQUENCESのBLASTPモジュールを、(i)BLOSUM62マトリックス, Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 89(22):10915−9 (1992)、(ii)オープンギャップ11およびエクステンションギャップ1ペナルティー、および(iii)ギャップx_ドロップオフ50は10ワードサイズ3フィルターを予測のデフォルト値とともに用い、両配列をそのまま全部入力する。
【0284】
周知のように、天然の対立遺伝子変異体の間ではアミノ酸置換がしばしば生じ、保存的置換はタンパク質機能に小さな変化しか起こさないことが多い。
【0285】
従って本発明のある態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一なタンパク質を提供するのみならず、保存的アミノ酸置換を伴うhGDMLP−1タンパク質の配列、またはその一部を有する単離されたタンパク質も提供する。さらなる態様は、ある程度保存されたアミノ酸置換を伴うhGDMLP−1タンパク質の配列およびその一部を有する単離されたタンパク質を提供することである。これらの保存的置換変異体またはある程度保存された置換変異体は天然でも起こり得るし、人の介入によっても生じ得る。
【0286】
本来、進化上関連のあるタンパク質間で見られる変異または推定される化学的類似性の中で認められるいずれかの変化を基にした、保存的アミノ酸置換を呼び出すには種々の測定基準があるが、本明細書の目的では保存的置換は本明細書の以下に再現されるPAM250 log様マトリックスでは正の値を有するいずれかの変化である(Gonnet et al., Science 256(5062) :1443−5 (1992)参照):
【表2】
Figure 2004501617
【0287】
本明細書の目的で、「ある程度保存された」置換とは、本明細書の上記で再現されたPAM250 log様マトリックスで負でない値を有するいずれかの変化である。
【0288】
また当技術分野で周知のように、タンパク質の相関もまた機能的試験、すなわち、定義されたハイブリダイゼーションストリンジェンシーでこれらのコード核酸が互いに塩基対を形成する能力を用いて同定することができる。
【0289】
従って本発明のもう1つの態様は、本明細書に特に記載されたものと配列が同一な単離されたタンパク質を提供するのみならず、高ストリンジェント条件下(本明細書の上記で定義した通り)で本発明の種々の単離された核酸(「参照核酸」)の全長または一部とハイブリダイズする核酸によってコードされている単離されたタンパク質(「ハイブリダイゼーション関連タンパク質」)もまた提供することである。本発明のさらなる態様は、中程度のストリンジェント条件下(本明細書の上記で定義した通り)で本発明の種々の単離された核酸(「参照核酸」)の全長または一部とハイブリダイズする核酸にコードされている単離されたタンパク質(「ハイブリダイゼーション関連タンパク質」)を提供することである。
【0290】
このハイブリダイゼーション関連タンパク質としては、本発明のhGDMLP−1タンパク質の選択的イソ型、ホモログ、パラログおよびオーソログであり得る。特に有用なオーソログとしては、チンパンジー、アカゲザル、ヒヒ、オランウータンおよびゴリラなどの他の霊長類種由来のもの;ラット、マウス、モルモットなどの齧歯類由来のもの;ウサギなどのウサギ目由来のもの;ならびにウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギなどの家畜由来のものがある。
【0291】
またタンパク質の関連性は第二の機能試験、すなわち、第二のタンパク質の抗体への結合を競合阻害する第一のタンパク質の能力を用いて同定することができる。
【0292】
従って本発明のもう1つの態様は、本明細書で特に記載されたものと配列が同一な単離されたタンパク質を提供するのみならず、本発明の種々の単離されたhGDMLP−1タンパク質(「参照タンパク質」)の全長または一部に対する抗体の結合を競合阻害する単離されたタンパク質(「交差反応性タンパク質」)もまた提供することである。かかる競合阻害は当技術分野で周知の免疫アッセイを用いて容易に調べることができる。
【0293】
本明細書に特に記載されたものとアミノ酸配列が異なる本発明のタンパク質としては、10%までの非同一性を生じる欠失および挿入を有するもの、保存的またはある程度保存された置換、ハイブリダイゼーション関連タンパク質、および交差反応性タンパク質を有するものを含み、生物学的に活性であり、すなわち、hGDMLP−1の少なくとも1つの構造、調節、または生物学的もしくは生化学的活性を保持するものである。上記のように、またさらに以下の実施例1で記載するように、これらの活性としてはATPアーゼ活性、アクチン結合、カルモジュリン結合、IQドメインの保持、およびミオシンH鎖様テールの保持が挙げられる。
【0294】
機能を保持しつつ変化を許容する残基は、アラニンスキャニング突然変異誘発(Cunningham et al., Science 244(4908):1081−5 (1989)、トランスポゾンリンカースキャニング突然変異変異(Chen et al., Gene 263(1−2):39−48 (2001)、ホモログおよびアラニンスキャニング突然変異誘発(Jin et al., J. Mol. Biol. 226(3):851−65 (1992)、コンビナトリアルアラニンスキャニング(Weiss et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 97(16):8950−4 (2000)などの当技術分野で公知の方法を用いてそのタンパク質を既知の残基で変更し、次に機能アッセイを行うことで同定することができる。トランスポゾンリンカースキャニングキットは市販されている(New England Biolabs, Beverly, MA, USA, カタログ番号E7−102s; EZ::TN(商標)In−Frame Linker Insertion Kit, カタログ番号EZI04KN, Epicentre Technologies Corporation, Madison, WI, USA)。
【0295】
以下にさらに記載するように、本発明の単離されたタンパク質はhGDMLP−1タンパク質、それらのイソ型、ホモログ、パラログ、および/またはオーソログを特異的に認識する抗体を作製するための特異的免疫原として容易に使用することができる。次にこれらの抗体は、特に、例えば血清などのタンパク質液サンプルの検出のためのELISAにより、免疫組織化学により、または組織サンプル中でのタンパク質の検出についてはレーザースキャンサイトメトリーにより、または細胞懸濁液での細胞内タンパク質の検出についてはフローサイトメトリーにより、本発明のhGDMLP−1タンパク質に関してアッセイするために、また例えば免疫沈降によるなど、特異的抗体を媒介とするhGDMLP−1タンパク質の単離および/または精製のために、またhGDMLP−1作用の特異的アゴニストまたはアンタゴニストとして特異的に使用できる。
【0296】
本発明の単離されたタンパク質はまた、本発明のhGDMLP−1タンパク質の濃度および/または量を特異的に測定するのに用いるアッセイにおいて特異的標準としてすぐさま利用することができる。周知のように、タンパク質分析対象物の検出および定量のためのELISAキットは、測定標準として用いる既知の濃度の単離および精製されたタンパク質を含むのが典型である(例えば、ヒトインターフェロン−γ OptEIAキット, カタログ番号555142, Pharmingen, San Diego, CA, USAはバキュロウイルスにより産生されたヒト組換えγインターフェロンを含む)。
【0297】
本発明の単離されたタンパク質はまた、タンパク質間相互作用の表面改良型レーザー脱離イオン化法(surface−enhanced laser desorption ionization; SELDI)検出のための特異的生体分子キャプチャープローブとしてすぐさま利用することができる。WO98/59362、WO98/59360、WO98/59361、およびMerchant et al., Electrophoresis 21(6):1164−77 (2000)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。同様に本発明の単離されたタンパク質はまた、BIACORE表面プラズモン共鳴プローブで特異的生体分子キャプチャープローブとしてすぐさま利用することができる。Weinberger et al., Pharmacogenomics 1(4):395−416 (2000); Malmqvist, Biochem. Soc. Trans. 27(2):335−40 (1999)参照。
【0298】
本発明の単離されたタンパク質はまた、hGDMLP−1産生に特定の欠陥を有する患者における治療サプリメントとしても有用である。
【0299】
もう1つの態様では、本発明はまた、本発明の種々のタンパク質の断片を提供する。これらのタンパク質断片は特にhGDMLP−1の抗原性断片および免疫原性断片としても有用である。
【0300】
ここでタンパク質の「断片」とは、参照アミノ酸配列の一部(ただしこの部分のアミノ酸は少なくとも6個ないし参照核酸の全長未満である)と同一のアミノ酸配列を有する単離された(いずれにせよ得られている)タンパク質(同じく、ポリペプチド、ペプチド、オリゴペプチド)を意味する。このように定義すると、「断片」は参照タンパク質の物理的断片化によって得られる必要はないが、それによりそのような由来を除外するものではない。
【0301】
少なくとも6個の連続するアミノ酸の断片は参照タンパク質のB細胞およびT細胞エピトープをマッピングする上で有用である。Geysen et al., ”Use of peptide synthesis to probe viral antigens for epitopes to a resolution of a single amino acid,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998−4002 (1984)および米国特許第4,708,871号、および同第5,595,915号(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。かかるエピトープマッピングに有用であるためにこの断片はそれ自体免疫原性である必要はなく、主要抗原エピトープの一部である必要もなく、あるいは天然抗体によって認識される必要すらないので、本発明もタンパク質の少なくとも6個のアミノ酸の断片はいずれのものもかかる研究に有用である。
【0302】
少なくとも8個の連続するアミノ酸、多くの場合では少なくとも15個の連続するアミノ酸の断片は、本発明のタンパク質を認識する抗体を作製するための免役原として有用である。例えば、Lerner, ”Tapping the immunological repertoire to produce antibodies of predetermined specificity,” Nature 299:592−596 (1982); Shinnick et al., ”Synthetic peptide immunogens as vaccines,” Annu. Rev. Microbiol. 37:425−46 (1983); Sutcliffe et al., ”Antibodies that react with predetermined sites on proteins,” Science 219:660−6 (1983) (なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。上記の参照文献にさらに記載されているように、タンパク質などのキャリヤーにコンジュゲートされたいずれの8マーも事実上免疫原性であることが明らかで、すなわち、そのペプチドコンジュゲートに対する抗体を惹起し得ることが明らかであって、従って本発明のタンパク質の少なくとも8個のアミノ酸の断片はいずれも免疫原として有用である。
【0303】
少なくとも8、9、10または12個の連続するアミノ酸の断片はまた、全長タンパク質またはその一部の、抗体に対する(エピトープマッピングの場合)、および多量体複合体のサブユニットなどの天然の結合相手に対する、または対象タンパク質のレセプターもしくはリガンドに対する結合の競合阻害剤としても有用であり、この競合阻害剤により目的タンパク質に特異的に結合する分子の同定および分離が可能となる。出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、米国特許第5,539,084号および同第5,783,674号。
【0304】
このように本発明のタンパク質またはタンパク質断片は少なくとも6個のアミノ酸長さ、典型的には少なくとも8、9、10または12個のアミノ酸長、多くの場合には少なくとも15個のアミノ酸長である。多くの場合、本発明のタンパク質またはその断片は少なくとも20個のアミノ酸長、さらには25個のアミノ酸、30個のアミノ酸、35個のアミノ酸、または50個以上のアミノ酸長でさえある。もちろん、少なくとも75個のアミノ酸、100個のアミノ酸、または150個のアミノ酸を有するより大きな断片も有用であり、好ましい場合がある。
【0305】
本発明はさらに本発明のタンパク質およびタンパク質断片の各々の異種ポリペプチドとの融合体を提供する。
【0306】
ここで融合とは、本発明のタンパク質およびタンパク質断片がアミノ酸またはアミノ酸類似体のペプチド結合ポリマーとして異種ポリペプチドと線状に隣接することを意味し、ここで「異種ポリペプチド」とは、天然には本発明のタンパク質およびタンパク質断片と隣接して存在しないポリペプチドを意味する。このように定義すると、融合体は変更された並び方でhGDMLP−1タンパク質の複数の断片からもっぱらなってよく、この場合、hGDMLP−1断片はいずれも融合タンパク質の他方のhGDMLP−1断片に対して異種であるとみなせる。しかし、より典型的には、この異種ポリペプチドはhGDMLP−1タンパク質それ自体に由来するものではない。
【0307】
本発明の融合タンパク質は本発明のタンパク質の少なくとも1つの断片を含み、この断片は少なくとも6個、典型的には少なくとも8個、多くの場合では少なくとも15個、便宜には少なくとも16、17、18、19または20個のアミノ酸長である。融合体に含められる本発明のタンパク質の断片は便宜には少なくとも25個のアミノ酸長、少なくとも50個のアミノ酸長であり、少なくとも75、100、または150個といったアミノ酸長であってもよい。本発明のタンパク質の全長を含む融合体が特に有用である。
【0308】
本発明の融合タンパク質に組み込む異種タンパク質は少なくとも6個のアミノ酸長、多くの場合には少なくとも8個のアミノ酸長、便宜には少なくとも15、20および25個のアミノ酸長である。IgG Fc領域などのより大きなポリペプチド、さらには全長タンパク質(GFT発色団含有タンパク質など)を含む融合体が特に有用である。
【0309】
本発明のベクターおよび発現ベクターの説明で上記したように(その考察は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)、本発明の融合タンパク質に組み込む異種ポリペプチドとしては便宜には、組換え発現タンパク質の精製および/または可視化を助けるよう設計したものが挙げられる。また精製タグを化学合成した融合体に組み込むこともできるが、化学合成は典型的にはHPLCによるさらなる精製で足るに十分な純度が得られる。しかしながら、上記のような可視化タグは、そのタンパク質が化学合成によって作出された場合でもそれらの有用性を保持し、そしてこのように組み込まれた場合には、本発明の融合タンパク質をhGDMLP−1の存在の直接的検出マーカーとして有用なものとする。
【0310】
上記でも論じたように、本発明の融合タンパク質に組み込まれる異種ポリペプチドとしては便宜には、分泌シグナルおよび/またはリーダー配列の組込みによる組換え発現タンパク質の、原核生物宿主では周縁細胞質空間または細胞外媒質への、また真核細胞では培地中への分泌を助けるものが挙げられる。
【0311】
本発明のその他の有用なタンパク質融合体としては、酵母ツーハイブリッド系でおとりとしての本発明のタンパク質の使用を可能とするものが挙げられる。Bartel et al. (eds.), The Yeast Two−Hybrid System, Oxford University Press (1997) (ISBN: 0195109384); Zhu et al., Yeast Hybrid Technologies, Eaton Publishing, (2000) (ISBN 1−881299−15−5); Fields et al., Trends Genet. 10(8):286−92 (1994); Mendelsohn et al., Curr. Opin. Biotechnol. 5(5):482−6 (1994); Luban et al., Curr. Opin. Biotechnol. 6(1):59−64 (1995); Allen et al., Trends Biochem. Sci. 20(12):511−6 (1995); Drees, Curr. Opin. Chem. Biol. 3(1):64−70 (1999); Topcu et al., Pharm. Res. 17(9):1049−55 (2000); Fashena et al., Gene 250(1−2):1−14 (2000)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。典型的には、かかる融合体は大腸菌Lex Aか酵母菌GAL4 DNA結合ドメインかのいずれかとのものである。核局在シグナルと融合したおとりを発現する関連のおとりプラスミドが利用できる。
【0312】
他の有用なタンパク質融合体としては、ファージまたは細胞の表面にコードタンパク質を提示させるもの、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの内在蛍光タンパク質との融合体、および上記のような(その考察は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)IgG Fc領域との融合体である。
【0313】
本発明のタンパク質およびタンパク質断片はまた、本発明のタンパク質と結合する、またはそれを取り込む細胞の切断を行うために、シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素、志賀毒素A、炭疽毒致死因子、リシンなどのタンパク質毒素と便宜に融合させることができる。
【0314】
本発明の単離されたタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体は天然のペプチド結合によって結合した天然のアミノ酸からなってもよいし、あるいは非天然アミノ酸類似体、非天然結合および合成後(翻訳後)修飾のいずれかまたは全てを、そのタンパク質全域にわたって、またはその1以上の部分に局在して含んでもよい。
【0315】
当技術分野で周知のように、単離されたタンパク質を例えばエピトープマッピングに用いる場合、かかる非天然類似体、非天然残基間結合、または合成後修飾は、そのペプチドと抗体と結合を可能とする範囲に限られる。マウスなどの非ヒト宿主における抗体の作製のための免疫原として用いる場合には、かかる非天然類似体、非天然残基間結合、または合成後修飾は、そのタンパク質の免疫原性を妨げない範囲に限られる。単離されたタンパク質を治療薬として用いる場合(例えば、ワクチンとして、または置換療法のため)には、かかる変化は単離されたタンパク質に毒性を与えない範囲に限られる。
【0316】
非天然アミノ酸は固相化学合成中に、または組換え技術によって組み込むことができるが、典型的には前者がより一般的である。
【0317】
ペプチドの固相化学合成は当技術分野で十分確立されている。手順としては特にChan et al. (eds.), Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach (Practical Approach Series), Oxford Univ. Press (March 2000) (ISEN: 0199637245); Jones, Amino Acid and Peptide Synthesis (Oxford Chemistry Primers, No 7), Oxford Univ. Press (August 1992) (ISBN: 0198556683);およびBodanszky, Principles of Peptide Synthesis (Springer Laboratory, Springer Verlag (December 1993) (ISBN: 0387564314)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載されている。
【0318】
非天然アミノ酸は固相化学合成の際に組み込むことができる。
【0319】
例えば、天然アミノ酸のD−鏡像異性体は化学ペプチド合成の際に容易に組み込むことができ、D−アミノ酸から構築されたペプチドはタンパク質分解作用に対する耐性が高くなり、またD−鏡像異性体の組込みを用いてペプチドに特殊な三次元コンホメーションを付与することもできる。一般に化学合成中に付加される他のアミノ酸類似体としては、オルチニン、ノルロイシン、リン酸化アミノ酸(典型的にはホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン)、L−マロニルチロシン、ホスホチロシンの非加水分解性類似体(Kole et al., Biochem, Biophys. Res. Com. 209:817−821 (1995))、および種々のハロゲン化フェニルアラニン誘導体が挙げられる。
【0320】
検出可能な標識を有するアミノ酸類似体もまた、標識されたポリペプチドを得るために合成中に便宜に組み込むことができる。
【0321】
ビオチンは例えばビオチノイル−−(9−フルオレニルメチルカルボニル)−L−リジン(FMOCビオシチン)(Molecular Probes, Eugene, OR, USA)を用いて付加することができる。(ビオチンはまた、大腸菌BirA基質ペプチドの融合タンパク質へ酵素作用的に組み込むことで付加することもできる)。
【0322】
合成中のペプチド配列の選択された部位にダブシル発色団を組み込むには、ダブシル−L−リジンのFMOCおよびtBOC誘導体(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USA)を使用することができる。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)系でバブシルクエンチャーと対合させるのに最も一般的な蛍光団であるアミノナフタレン誘導体EDANSは、EDANS−−FMOC−L−グルタミン酸またはそれと対応するtBOC誘導体(両者ともMolecular Probes, Inc., Eugene, OR, USA製)を用い、タンパク質の自動合成中に導入することができる。テトラメチルローダミン蛍光団は(FMOC)−−TMR−L−リジン(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR, USA)を用い、ペプチドの自動FMOC合成中に組み込むことができる。
【0323】
化学合成中に組み込むことができるその他の有用なアミノ酸類似体としては、アリール側鎖が保護されたアスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、およびチロシン類似体(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA, USA)が挙げられる。なお、このアリール側鎖は環状、分枝鎖、スルホン化、グリコシル化およびリン酸化ペプチドの合成を可能とする。
【0324】
化学合成中に組み込むことができるその他多数のFMOC保護された非天然アミノ酸類似体が市販されており、例えば、Fmoc−2−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−−カルボン酸、Fmoc−3−エンド−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エンド−カルボン酸、Fmoc−3−エキソ−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エキソ−カルボン酸、Fmoc−3−エンド−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−エンド−カルボン酸、Fmoc−3−エキソ−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−エキソ−カルボン酸、Fmoc−cis−2−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、Fmoc−trans−2−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、Fmoc−1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、Fmoc−cis−2−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、Fmoc−1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸、Fmoc−D−2−アミノ−4−(エチルチオ)酪酸、Fmoc−L−2−アミノ−4−(エチルチオ)酪酸、Fmoc−L−ブチオニン、Fmoc−S−メチル−L−システイン、Fmoc−2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)、Fmoc−3−アミノ安息香酸、Fmoc−4−アミノ安息香酸、Fmoc−2−アミノベンゾフェノン−2’−カルボン酸、Fmoc−N−(4−アミノベンゾイル)−b−アラニン、Fmoc−2−アミノ−4,5−ジメトキシ安息香酸、Fmoc−4−アミノ馬尿酸、Fmoc−2−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、Fmoc−2−アミノ−5−ヒドロキシ安息香酸、Fmoc−3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、Fmoc−4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、Fmoc−4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、Fmoc−5−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、Fmoc−2−アミノ−3−メトキシ安息香酸、Fmoc−4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、Fmoc−2−アミノ−3−メチル安息香酸、Fmoc−2−アミノ−5−メチル安息香酸、Fmoc−2−アミノ−6−メチル安息香酸、Fmoc−3−アミノ−2−メチル安息香酸、Fmoc−3−アミノ−4−メチル安息香酸、Fmoc−4−アミノ−3−メチル安息香酸、Fmoc−3−アミノ−2−ナフトエ酸、Fmoc−D,L−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸、Fmoc−L−メチルドーパ、Fmoc−2−アミノ−4,6−ジメチル−3−ピリジンカルボン酸、Fmoc−D,L−?−アミノ−2−チオフェン酢酸、Fmoc−4−(カルボキシメチル)ピペラジン、Fmoc−4−カルボキシピペラジン、Fmoc−4−(カルボキシメチル)ホモピペラジン、Fmoc−4−フェニル−4−ピペリジンカルボン酸、Fmoc−L−1,2,3,4−テトラヒドロノルハルマン−3−カルボン酸、Fmoc−L−チアゾリジン−4−カルボン酸(すべてThe Peptide Laboratory (Richmond, CA, USA)から入手可能)が挙げられる。
【0325】
非天然残基はまた、サプレッサーtRNA、典型的にはUAG停止コドンを認識するものを、所望の非天然アミノ酸を用いた化学的アミノアシル化により操作することで生合成的に付加することもできる。タンパク質遺伝子の目的部位に選択された停止コドンUAGを導入するには従来の位置指定突然変異誘発を用いる。in vitro転写/翻訳系でアシル化サプレッサーtRNAと変異遺伝子を併用する場合には、そのUAGコドンに応じて非天然アミノ酸を組み込んで、特定の位置にそのアミノ酸を含有するタンパク質を得る。Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(9):4780−5 (1999); Wang et al., Science 292(5516):498−500 (2001)。
【0326】
本発明の単離されたタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体はまた、環状および分枝型をもたらす結合をはじめ、非天然型の残基環結合を含んでもよい。
【0327】
本発明の単離されたタンパク質およびタンパク質断片はまた、翻訳後修飾および合成後修飾をそのタンパク質全域にわたって、またはその1以上の部分に局在して含んでもよい。
【0328】
例えば、真核細胞で組換え発現により生じたものである場合、本発明の単離されたタンパク質、断片およびタンパク質融合体は典型的にはN−結合および/またはO−結合のグリコシル化を含み、そのパターンはそのタンパク質配列上のグリコシル化部位および宿主細胞の識別といった両者の有用性に反映する。グリコシル化パターンのさらなる改変は酵素作用的に行うことができる。
【0329】
もう1つの例として、本発明の組換えポリペプチドはまた、最初のメチオニン残基が修飾されていてもよく、これは宿主を媒介とするプロセスによるものである場合がある。
【0330】
本発明のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体が化学合成によって生じたものである場合、合成後修飾は脱保護および樹脂からの切断の前に行ってもよいし、あるいは脱保護および切断の後に行ってもよい。合成されたタンパク質の脱保護および切断前の修飾は、例えば修飾部分を樹脂に結合した合成ペプチドのN末端にターゲッティングすることで、よりよく制御できる場合が多い。
【0331】
有用な合成後(および翻訳後)修飾としては蛍光団などの検出可能な標識とのコンジュゲートが挙げられる。
【0332】
非変性条件下で、一方の腕でN末端アミノ基およびリジン残基のε−アミノ酸基と、そしてもう一方の腕ではシステイン残基のフリーのチオール基と反応する多様なアミン反応性およびチオール反応性蛍光団誘導体が合成されている。
【0333】
タンパク質と種々のアミン反応性またはチオール反応性蛍光団とのコンジュゲーションを可能とするキットが市販されている:Molecular Probes, Inc. (Eugene, OR, USA)は、例えば、タンパク質とアレクサフルオル350、アレクサフルオル430、フルオレセイン−EX、アレクサフルオル488、オレゴングリーン488、アレクサフルオル532、アレクサフルオル546、アレクサフルオル546、アレクサフルオル568、アレクサフルオル594、およびテキサスレッド−Xとをコンジュゲートするキットを提供している。
【0334】
その他多様なアミノ反応性およびチオール反応性蛍光団も市販されており(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USA)、アレクサフルオル(登録商標)350、アレクサフルオル(登録商標)488、アレクサフルオル(登録商標)532、アレクサフルオル(登録商標)546、アレクサフルオル(登録商標)568、アレクサフルオル(登録商標)594、アレクサフルオル(登録商標)647(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAから入手できるモノクローナル抗体標識キット)、BODIPY色素(BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODTPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665など)、カスケードブルー、 カスケードイエロー、ダンシル、リッサミンローダミンB、マリナブルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAから入手)が挙げられる。
【0335】
本発明のポリペプチドはまた、二官能性架橋試薬を用いて蛍光団、その他のタンパク質およびその他の高分子とコンジュゲートさせることができる。
【0336】
一般的なホモ二官能性試薬としては、例えば、APG、AEDP、BASED、BMB、BMDB、BMH、BMOE、BM[PEO]3、BM[PEO]4、BS3、BSOCOES、DFDNB、DMA、DMP、DMS、DPDPB、DSG、DSP (Lomantの試薬)、DSS、DST、DTBP、DTME、DTSSP、EGS、HBVS、Sulfo−BSOCOES、Sulfo−DST、Sulfo−EGS(全てPierce, Rockford, IL, USAから入手)が挙げられ、一般的なヘテロ二官能性架橋剤としては、ABH、AMAS、ANB−NOS、APDP、 ASBA、BMPA、BMPH、BMPS、EDC、EMCA、EMCH、EMCS、KMUA、KMUH、GMBS、LC−SMCC、LC−SPDP、MBS、M2C2H、MPBH、MSA、NHS−ASA、PDPH、PMPI、SADP、SAED、SAND、SANPAH、SASD、SATP、SBAP、SFAD、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、SMPT、SPDP、Sulfo−EMCS、Sulfo−GMBS、Sulfo−HSAB、Sulfo−KMUS、Sulfo−LC−SPDP、Sulfo−MBS、Sulfo−NHS−LC−ASA、Sulfo−SADP、Sulfo−SANPAH、Sulfo−SIAB、Sulfo−SMCC、Sulfo−SMPB、Sulfo−LC−SMPT、SVSB、TFCS(全てPierce, Rockford, IL, USAから入手)が挙げられる。
【0337】
本発明のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体は、かかる架橋試薬を用いて、アミン反応性またはチオール反応性でない蛍光団とコンジュゲートさせることができる。
【0338】
本発明のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体と便宜にコンジュゲートさせることができるその他の標識としては、放射性標識、エコーソノグラフコントラスト試薬、およびMRIコントラスト剤が挙げられる。
【0339】
本発明のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体はまた、便宜には、抗hGDMLP−1抗体を作製する目的で免疫原性を増強するために、架橋剤を用いてKLH、ウシチログロブリン、さらにはウシ血清アルブミン(BSA)などのキャリヤータンパク質とコンジュゲートさせることもできる。
【0340】
本発明のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体はまた、便宜には、ポリエチレングリコール(PEG)とコンジュゲートさせることもでき、PEG化は置換療法を目的に静脈投与されるタンパク質の血清半減期を延長させる。Delgado et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 9(3−4):249−304 (1992); Scott et al., Curr. Pharm. Des. 4(6):423−38 (1998); DeSantis et al., Curr. Opin. Biotechnol. 10(4):324−30 (1999)(出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。PEGモノマーはタンパク質に直接またはリンカーを介して結合させることができ、塩化トレシル(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリド)で活性化したPEGモノマーを用いたPEG化は穏和な条件下で結合を指示することができる。
【0341】
本発明の単離されたタンパク質(その融合体を含む)は、組換え発現によって、典型的には上記のような本発明の発現ベクターを用いて、あるいは約100未満のアミノ酸であれば化学合成(典型的には、固相合成)によって、また場合によってはin vitro翻訳によって作製することができる。
【0342】
本発明の単離されたタンパク質を作製した後、所望により精製を行ってもよい。
【0343】
組換え発現したタンパク質の精製は今や十分当技術分野の技術の範囲内にある。例えば、Thorner et al. (eds.)., Applications of Chimeric Genes and Hybrid Proteins, Part A: Gene Expression and Protein Purification (Methods in Enzymology, Volume 326), Academic Press (2000), (ISBN: 0121822273); Harbin (ed.), Cloning, Gene Expression and Protein Purification : Experimental Procedures and Process Rationale, Oxford Univ. Press (2001) (ISBN: 0195132947); Marshak et al., Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1996) (ISBN: 0−87969−385−1);およびRoe (ed.), Protein Purification Applications, Oxford Untversity Press (2001)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とするので、ここで詳しく述べる必要はない)参照。
【0344】
しかしながら、要するに、精製タグがかかるタグの付いた発現ベクターの使用によって融合された場合には、精製は、少なくとも部分的には、ポリヒスチジンタグに関する固定化金属アフィニティークロマトグラフィーの使用など、そのタグに適当な手段によって行うことができる。当技術分野で一般的なその他の技術としては、硫酸アンモニウム分画、免疫沈降、高速タンパク液体クロマトグラフィー(FPLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および分取ゲル電気泳動が挙げられる。
【0345】
化学合成されたペプチドの精製は、例えばHPLCによって容易に行える。
【0346】
従って本発明のある態様は、純粋または実質的に純粋な形態の本発明の単離されたタンパク質を提供することである。
【0347】
本発明の精製されたタンパク質とは、上記のように、単離されたタンパク質であり、すなわち、組成中の全タンパク質に対して質量をもとに測定(w/w)した場合に少なくとも95%の濃度で存在する。かかる純度は、例えばHPLCによるなどのさらなる精製を行わない化学合成の際にしばしば得ることができるものである。本発明の精製されたタンパク質は96%、97%、98%、さらには99%といった濃度(組成中の全タンパク質に対して質量をもとに測定)で存在し得る。本発明のタンパク質はHPLCなどによる精製の後、99.5%、99.6%、さらには99.7%、99.8%、あるいはさらに99.9%といったレベルで存在することすら可能である。
【0348】
本発明の単離されたタンパク質を治療薬として用いる場合(ワクチン、または置換療法のためなど)には高レベルの純度が好ましいが、本発明の単離されたタンパク質はまた低純度でも有用である。例えば、本発明の部分精製タンパク質は、実験動物内で抗体を作製するための免疫原としても使用できる。
【0349】
このようにもう1つの態様では、本発明は、本発明の単離されたタンパク質を実質的に精製された形態で提供する。本発明の「実質的に精製されたタンパク質」とは、上記のように、組成中の全タンパク質に対して質量をもとに測定した場合に少なくとも70%の濃度で存在する単離されたタンパク質である。便宜には、実質的に精製されたタンパク質は、組成中の全タンパク質に対して質量をもとに測定した場合に少なくともタンパク質75%、80%、あるいはさらには少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、94.5%、あるいはさらには少なくとも94.9%の濃度で存在する。
【0350】
好ましい実施形態では、本発明の精製された、および実質的に精製されたタンパク質は、検出可能な両性電解質、アクリルアミドモノマー、ビス−アクリルアミドモノマー、およびポリアクリルアミドを欠いた組成である。
【0351】
本発明のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質融合体は便宜には支持体に結合させることができる。この支持体は多孔質または固相、平板または非平板であってよく、結合は共有結合であっても非共有結合であってもよい。
【0352】
例えば、本発明のタンパク質、断片および融合体は便宜には多孔質支持体、一般にはメンブラン、典型的にはニトロセルロース、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、または陽イオン誘導体化した親水性PVDFに結合させることができ、このように結合させた本発明のタンパク質、断片および融合体を用いて、例えば血清中で、本発明の固定化タンパク質と特異的に結合する抗体を検出および定量することができる。
【0353】
もう1つの例として、本発明のタンパク質、断片および融合体は便宜に、プラスチックなどの実質的に非孔質の支持体に結合させて、例えば血清中で、本発明の固定化タンパク質に特異的に結合する抗体を検出および定量することができる。かかるプラスチックとしては、ポリメチルアクリル系、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロースニトレート、ニトロセルロース、またはそれらの混合物が挙げられ、アッセイが標準的なマイクロタイターディッシュで行われる場合には、このプラスチックは典型的にはポリスチレンである。
【0354】
本発明のタンパク質、断片および融合体はまた、表面増強レーザー脱離イオン化源として用いるのに好適な支持体と結合させることもでき、このように結合させると、本発明のタンパク質、断片および融合体は、その間の生物学的相互作用を示すに十分な表面結合タンパク質に対する親和性またはアビジチーで結合する第二のタンパク質と結合させ、次にそれを検出するのに有用となる。本発明のタンパク質、断片および融合体はまた、表面プラズモン共鳴検出に用いるのに好適な支持体と結合させることができ、このように結合させると、本発明のタンパク質、断片および融合体は、その間の生物学的相互作用を示すに十分な表面結合タンパク質に対する親和性またはアビジチーで結合する第二のタンパク質と結合させ、次にそれを検出するのに有用となる。
【0355】
抗体および抗体産生細胞
もう1つの態様では、本発明は、本発明のhGDMLP−1タンパク質およびタンパク質断片と特異的に結合する、または本発明の単離されたhGDMLP−1核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片と結合する抗体(そのフラグメントおよび誘導体を含む)を提供する。本発明の抗体は、その天然コンホメーションにあるタンパク質上に存在するような、あるいはいくつかの場合では例えばSDS中での可溶化によって変性されたタンパク質上に存在するような、かかるタンパク質またはタンパク質断片の線状エピトープ、不連続エピトープ、またはコンホメーションエピトープに特異的であり得る。
【0356】
その他の実施形態では、本発明は、その結合が本発明の1以上のhGDMLP−1タンパク質およびタンパク質断片によって、または本発明の単離されたhGDMLP−1核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片によって競合阻害され得る抗体(そのフラグメントおよび誘導体を含む)を提供する。
【0357】
本明細書において「抗体」とは、その少なくとも一部が少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子にコードされており、第一の分子種と特異的に結合し得る、また、かかる特異的結合能を維持しているその断片または誘導体と特異的に結合し得るポリペプチドをさす。
【0358】
ここで「特異的に結合する」および「特異的結合」とは、抗体が第一の分子種と、その抗体および第一の分子種と混合されている他の分子種との結合に優先して結合する能力を意味する。抗体は、それが第一の分子種と特異的に結合し得る場合に第一の分子種を特異的に「認識する」。
【0359】
当技術分野で周知のように、抗体が混合物中の分子種を識別する程度はいくらかは、その混合物中の分子種のコンホメーションの関連性に依存し、典型的には 、本発明の抗体は非hGDMLP−1タンパク質との偶発的結合の少なくとも2倍、より典型的には少なくとも5倍、典型的には10倍、25倍、50倍、75倍を超え、多くの場合100倍を超え、時には500倍または1000倍を超えて識別する。本発明のタンパク質またはタンパク質断片を検出するのに用いる場合、本発明の抗体はヒト心筋または骨格筋由来サンプルにおいて本発明のタンパク質の存在を調べるのに使用できるに十分特異的である。
【0360】
典型的には、本発明のタンパク質またはタンパク質断片に対する本発明の抗体(またはIgM八量体の場合には、抗体多量体)の親和性またはアビジチーは少なくとも約1x10−6モル(M)、典型的には少なくとも約5x10−7M、便宜には少なくとも約1x10−7Mであり、少なくとも1x10−8M、5x10−9M、および1x10−10Mの親和性またはアビジチーが特に有用である。
【0361】
本発明の抗体は、いずれかの哺乳類種に由来するIgG、IgM、IgD、IgEおよびIgAなどの天然に存在する形態であってよい。
【0362】
ヒト抗体は、まれにではあるが、ヒトドナーまたはヒト細胞に直接由来するものであってもよい。かかる場合、本発明のタンパク質に対する抗体は典型的には自己免疫など、本発明のタンパク質またはタンパク質断片による偶発的免疫から生じたものである。かかる抗体は、必ずしもそうではないが典型的には、ポリクローナルである。
【0363】
ヒト抗体は多くの場合、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニック動物を用いて得られ、このトランスジェニック動物は本発明のタンパク質免疫原で能動的に免疫化することができる。ヒト抗体を産生し得るヒトIgトランスジェニックマウスおよび特異的免疫化においてそれらからヒト抗体を産生させる方法は特に米国特許第6,162,963号、同第6,150,584号、同第6,114,598号、同第6,075,181号、同第5,939,598号、同第5,877,397号、同第5,874,299号、同第5,814,318号、同第5,789,650号、同第5,770,429号、同第5,661,016号、同第5,633,425号、同第5,625,126号、同第5,569,825号、同第5,545,807号、同第5,545,806号、および同第5,591,669号(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載されている。かかる抗体は典型的にはモノクローナルであり、また典型的にはネズミ抗体の産生のために開発された技術を用いて産生される。
【0364】
ヒト抗体は特に有用であり、投与された抗体に対するレシピエントの免疫応答が、マウスなどの別の種に由来する抗体の投与によって生じるものよりも実質的に小さいことが多いので、本発明の抗体をin vivo診断薬または治療薬としてヒトに投与する場合が好ましい場合が多い。
【0365】
本発明のIgG、IgM、IgD、IgEおよびIgA抗体はまた、齧歯類(典型的にはマウスであるが、ラット、モルモットおよびハムスター)、ウサギ目(典型的にはウサギ)、またヒツジ、ヤギ、ウシおよびウマなどの大型哺乳類をはじめとするその他の哺乳類種からも便宜に得られる。かかる場合、トランスジェニックヒト抗体産生非ヒト哺乳類については偶発的免疫の必要はなく、非ヒト哺乳類は標準的な免疫プロトコールに従い、本発明のタンパク質またはタンパク質断片で能動免疫されるのが典型である。
【0366】
上記のように、本発明のタンパク質の8個以上の連続するアミノ酸の、事実上全ての断片が、担体、典型的にはウシチログロブリン、キーホールリンペット・ヘモシアニン、またはウシ血清アルブミンなどのタンパク質と、便宜には上記の他の箇所で記載した(その考察も出典明示により本明細書の一部とする)もののような二官能性リンカーを用いてコンジュゲートした免疫原として有効に使用することができる。
【0367】
また免疫原性は本発明のタンパク質およびタンパク質断片の融合体によって他の分子種に付与することもできる。
【0368】
例えば、本発明のペプチドは分枝ポリリジンコアマトリックス上での固相合成によって作製することもできるが、これらの多抗原性ペプチド(MAP)は高い純度、高いアビジチー、正確な化学定義およびワクチン開発における安全性の向上をもたらす。Tam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5409−5413 (1988); Posnett et al., J. Biol. Chem. 263, 1719−1725 (1988)。
【0369】
非ヒト哺乳類の免疫プロトコールは当技術分野では十分確立されておりHarlow et al. (eds.) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1998) (ISBN: 0879693142); Coligan et al. (eds.), Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc. (2001) (ISBN: 0−471−52276−7); Zola, Monoclonal Antibodies : Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives (Basics: From Background to Bench), Springer Verlag (2000) (ISBN: 0387915907)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)、また、多くの場合、多重免疫を含み、フロインドの完全アジュバントおよびフロインドの不完全アジュバントなどのアジュバントを含んでも含まなくともよい。
【0370】
非ヒト哺乳類由来の抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよく、ポリクローナル抗体は本発明のタンパク質の免疫組織化学検出に一定の利点があり、モノクローナル抗体は本発明のタンパク質の特定のエピトープを同定および識別する上で利点がある。
【0371】
免疫後、本発明の抗体は当技術分野で受け入れられているいずれかの技術を用いて作製することができる。かかる技術は当技術分野で周知である。Coligan et al. (eds.), Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc. (2001) (ISBN: 0−471−52276−7), Zola, Monoclonal Antibodies : Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives (Basics: From Background to Bench), Springer Verlag (2000) (ISBN: 0387915907); Howard et al. (eds.), Basic Methods in Antibody Production and Characterization, CRC Press (2000) (ISBN: 0849394457); Harlow et al. (eds.), Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1998) (ISBN: 0879693142), Davis (ed.), Monoclonal Antibody Protocols, Vol. 45, Humana Press (1995) (ISBN: 0896033082), Delves (ed.), Antibody Production: Essential Techniques, John Wiley & Son Ltd (1997) (ISBN: 0471970107); Kenney, Antibody Solution: An Antibody Methods Manual, Chapman & Hall (1997) (ISBN: 0412141914)(出典明示によりそのまま本明細書の一部とするので、ここで詳細に述べる必要はない)。
【0372】
しかしながら、要するに、かかる技術は特に、ハイブリドーマによるモノクローナル抗体の産生、ならびに免疫グロブリン遺伝子またはその断片を発現するように操作された宿主細胞からの抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体の発現を含む。これらの2つの産生方法は相容れないものではなく、本発明のタンパク質またはタンパク質断片に特異的な抗体をコードする遺伝子はハイブリドーマからクローニングした後、他の宿主細胞で発現させることができる。この2つの方法は必ずしもともに行う必要はなく、例えば、本発明のタンパク質またはタンパク質断片に特異的な抗体をコードする遺伝子は、その開示が出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、米国特許第5,627,052号にさらに記載されているように、所望のタンパク質に特異的であることが分かっているB細胞から、または抗体ディスプレーファージから直接クローニングすることもできる。
【0373】
宿主細胞での組換え発現は、本発明の抗体のフラグメントまたは誘導体が望まれる場合に特に有用である。
【0374】
組換え抗体産生のための宿主細胞は、全抗体であれ抗体フラグメントであれ、あるいは抗体誘導体であれ、原核生物であっても真核生物であってもよい。
【0375】
本発明のファージディスプレー抗体を産生するには原核宿主が特に有用である。
【0376】
M13などの繊維状ファージの表面で提示させるために抗体可変領域断片を例えば遺伝子IIIタンパク質(pIII)または遺伝子VIIIタンパク質(pVIII)と融合させたファージディスプレー抗体の技術はこれまでに十分確立されており(Sidhu, Curr. Opin. Biotechnol. 11(6):610−6 (2000); Griffiths et al., Curr. Opin. Biotechnol. 9(1):102−8 (1998); Hoogenboom et al., Immunotechnology, 4(1):1−20 (1998); Rader et al., Current Opinion in Biotechnology 8:503−508 (1997); Aujame et al., Human Antibodies 8:155−168 (1997); Hoogenboom, Trends in Biotechnol. 15:62−70 (1997); de Kruif et al., 17:453−455 (1996); Barbas et al., Trends in Biotechnol. 14:230−234 (1996); Winter et al., Ann. Rev. Immunol. 433−455 (1994))、かかるライブラリー由来の抗体フラグメントを作製、増殖、スクリーニング(パン)および使用するのに必要な技術およびプロトコールが最近編集されている(Barbas et al., Phage Display: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001) (ISBN 0−87969−546−3); Kay et al. (eds.), Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Mannual, Academic Press, Inc. (1996); Abelson et al. (eds.), Combinatorial Chemistry, Methods in Enzymology vol. 267, Academic Press (May 1996)、なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。
【0377】
典型的には、ファージディスプレー抗体フラグメントとしてはscFvフラグメントまたはFabフラグメントがあり、要すれば全長抗体も、ディスプレーファージ由来の可変領域を完全抗体へクローニングし、さらなる原核または真核宿主細胞で全長抗体を発現させることで作製することができる。
【0378】
原核細胞も、本発明の抗体、抗体フラグメントおよび抗体誘導体の発現に有用である。
【0379】
例えば、本発明の抗体フラグメントはピキア・パストリス(Takahashi et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 64(10):2138−44 (2000); Freyre et al., J. Biotechnol. 76(2−3):157−63 (2000); Fischer et al., Biotechnol. Appl. Biochem. 30 (Pt 2):117−20 (1999); Pennell et al., Res. Immunol. 149(6):599−603 (1998); Eldin et al., J. Immunol. Methods. 201(1):67−75 (1997))、およびサッカロミセス・セレビシエ(Frenken et al., Res. Immunol. 149(6):589−99 (1998); Shusta et al., Nature Biotechnol. 16(8):773−7 (1998)で産生可能である。なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする。
【0380】
また本発明の抗体(抗体フラグメントおよび誘導体を含む)は昆虫細胞でも産生可能である(Li et al., Protein Expr. Purif. 21(1):121−8 (2001); Ailor et al., Biotechnol. Bioeng. 58(2−3):196−203 (1998); Hsu et al., Biotechnol. Prog. 13(1):96−104 (1997); Edelman et al., Immunology 91(1):13−9 (1997);およびNesbit et al., J. Immunol. Methods. 151(1−2):201−8 (1992)、なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。
【0381】
また本発明の抗体ならびにそのフラグメントおよび誘導体は植物細胞でも産生可能である(Giddings et al., Nature Biotechnol. 18(11):1151−5 (2000); Gavilondo et al., Biotechniques 29(1):128−38 (2000); Fischer et al., J. Biol. Regul. Homeost. Agents 14(2):83−92 (2000); Fischer et al., Biotechnol. Appl. Biochem. 30 (Pt 2):113−6 (1999); Fischer et al., Biol. Chem. 380(7−8):825−39 (1999); Russell, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 240:119−38 (1999);およびMa et al., Plant Physiol. 109(2):341−6 (1995) 、なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。
【0382】
本発明の抗体、抗体フラグメントおよび抗体誘導体の組換え発現に有用な哺乳類細胞としては、CHO細胞、COS細胞、293細胞および骨髄腫細胞が挙げられる。
【0383】
Verma et al., J. Immnunol. Methods 216(1−2):165−81 (1998)は抗体発現のための細菌、酵母、昆虫および哺乳類発現系を総説および比較している。
【0384】
また本発明の抗体は、Merk et al., J. Biochem. (Tokyo). 125(2):328−33 (1999)およびRyabova et al., Nature Biotechnol. 15(1):79−84 (1997)にさらに記載されているように細胞フリー翻訳によって、Pollock et al., J Immunol. Methods 231(1−2):147−57 (1999)にさらに記載されているようにトランスジェニック動物の乳汁中で産生することもできる。なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする。
【0385】
本発明はさらに本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片と特異的に結合する抗体フラグメントを提供し、すなわち、この結合は本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、または本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片によって競合阻害され得る。
【0386】
かかる有用なフラグメントとしては、Fab、Fab’、Fv、F(ab)’、および一本鎖Fv(scFv)フラグメントがある。他の有用なフラグメントはHudson, Curr. Opin. Biotechnol. 9(4):395−402 (1998)に記載されている。
【0387】
また本発明の1つの態様は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片と特異的に結合する抗体誘導体を提供することであり、すなわち、この結合は本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、または本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片によって競合阻害され得る。
【0388】
かかる有用な誘導体としては、キメラ抗体、霊長類化抗体およびヒト化抗体があるが、かかる誘導体はヒトにおける免疫原性が小さいことから、非ヒト哺乳類種由来の非改変抗体よりもin vivo投与に好適である。
【0389】
キメラ抗体は典型的には、ある種(典型的にはマウス)の免疫グロブリンのH鎖および/またはL鎖可変領域(CDRおよびフレームワーク残基を含む)を、別の種(典型的にはヒト)の不変領域と融合させたものが挙げられる。例えば、
米国特許第5,807,715号; Morrison et al., Proc.. Natl. Acad. Sci. USA.81(21):6851−5 (1984); Sharon et al., Nature 309(5966):364−7 (1984); Takeda et al., Nature 314(6010):452−4 (1985)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。霊長類化抗体およびヒト化抗体としては典型的にはネズミ抗体由来のH鎖および/またはL鎖CDRを非ヒト霊長類またはヒト抗体V領域のフレームワークにグラフトしたものが挙げられ、通常はさらにヒト不変領域を含む(Riechmann et al., Nature 332(6162):323−7 (1988); Co et al., Nature 351(6326):501−2 (1991);米国特許第6,054,297号、同第5,821,337号、同第5,770,196号、同第5,766,886号、同第5,821,123号、同第5,869,619号、同第6,180,377号、同第6,013,256号、同第5,693,761号、および同第6,180,370号、なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。
【0390】
本発明のその他の有用な抗体誘導体としては、ヘテロ抗体複合体、ならびにジアボディー(二重特異性抗体)、一本鎖ジアボディーおよびイントラボディーなどの抗体融合体が挙げられる。
【0391】
本発明の抗体(そのフラグメントおよび誘導体を含む)は便宜に標識することができる。従って、本発明のもう1つの態様は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片と特異的に結合する標識抗体を提供することであり、すなわち、この結合は本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、または本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片によって競合阻害され得る。
【0392】
標識の選択は、いく分かは所望の使用によって異なる。
【0393】
例えば、本発明の抗体を組織サンプルの免疫組織化学染色に用いる場合、本発明標識は便宜には、検出可能な生成物の生成および局部沈着を触媒する酵素であってもよい。
【0394】
典型的にそれらの免疫組織化学的可視化を可能とする抗体とコンジュゲートした酵素が周知であり、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)およびウレアーゼが挙げられる。視覚的に検出可能な生成物の生成および沈着のための典型的基質としては、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、o−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)、p−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、P−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(PNPG)、3’,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、4−クロロ−1−ナフトール(CN)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート(BCIP)、ABTS(登録商標)、BluoGal、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、メト硫酸フェナジン(PMS)、一リン酸フェノールフタレイン(PMP)、テトラメチルベンジジン(TMB)、テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)、X−Gal、X−Gluc、およびX−グルコシドが挙げられる。
【0395】
その他の基質を用いても、発光性の局部沈着のための生成物を生成することができる。例えば、過酸化水素(H)の存在下において、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)はルミノールなどの環状ジアシルヒドラジドの酸化を触媒することができる。酸化直後、ルミノールは励起状態にあり(中間反応生成物)、発光すると基底状態に戻る。フェノール化合物などの増強剤によって発光の強い増強が得られる。利点としては、感受性が高いこと、分解能が高いこと、および放射活性を用いず、少量の抗体が必要なだけで迅速に検出できることである。例えば、Thorpe et al., Methods Enzymol. 133:331−53 (1986); Kricka et al., J. Immunoassay 17(1):67−83 (1996);およびLundqvist et al., J. Biolumin. Chemilumin. 10(6):353−9 (1995) (なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。かかる増強された化学発光検出(ECL)のためのキットは市販されている。
【0396】
これらの抗体はまた、金コロイドを用いて標識することもできる。
【0397】
もう1つの例としては、例えばフローサイトメトリー検出、走査レーザーサイトメトリー検出、または蛍光免疫アッセイに本発明の抗体を用いる場合、それらは便宜には蛍光団で標識することができる。
【0398】
本発明の抗体と便宜に結合し得る多様な蛍光団標識がある。
【0399】
フローサイトメトリー適用では、細胞外検出でも細胞内検出でも、一般に有用な蛍光団としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、アロフィコシアニン(APC)、R−フィコエリトリン(PE)、ペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)、テキサスレッド、Cy3、Cy5、蛍光共鳴エネルギータンデム蛍光団(PerCP−Cy5.5、PE−Cy5、PE−Cy5.5、PE−Cy7、PE−テキサスレッドおよびAPC−Cy7)が挙げられる。
【0400】
その他の蛍光団としては、特に、アレクサフルオル(登録商標)350、アレクサフルオル(登録商標)488、アレクサフルオル(登録商標)532、アレクサフルオル(登録商標)546、アレクサフルオル(登録商標)568、アレクサフルオル(登録商標)594、アレクサフルオル(登録商標)647(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAから入手できるモノクローナル抗体標識キット)、BODIPY色素(BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODTPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665など)、カスケードブルー、 カスケードイエロー、ダンシル、リッサミンローダミンB、マリナブルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR, USAから入手)、ならびにCy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7が挙げられ、これらは全て本発明の抗体を蛍光標識するのにも有用である。
【0401】
標識アビジン、ストレプトアビジン、カプトアビジン、またはニュートラビジンを用いた二次検出では、本発明の抗体はビオチンで便宜に標識することができる。
【0402】
本発明の抗体を例えばウエスタンブロッティング適用に用いる場合には、それらは33P、32P、35S、H、および125Iなどの放射性同位元素で便宜に標識することができる。
【0403】
もう1つの例として、本発明の抗体を放射性免疫療法に用いる場合には、標識は便宜には228Th、227Ac、225Ac、223Ra、213Bi、212Pb、212Bi、211At、203Pb、194Os、188Re、186Re、153Sm、149Tb、131I、125I、111In、105Rh、99mTc、97Ru、90Y、90Sr、88Y、72Se、67Cu、または47Scであってよい。
【0404】
もう1つの例として、本発明の抗体をin vivo診断用に用いる場合には、それらはガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)(Lauffer et al., Radiology 207(2):529−38 (1998)などのMRIコントラスト剤とのコンジュゲーションにより、または放射性同位元素標識により検出可能とすることができる。
【0405】
明らかに、上記標識の使用は述べられている適用に限定されるものではない。
【0406】
また本発明の抗体(その断片および誘導体を含む)は、毒素の切断作用を、本発明のタンパク質を提示および/または発現する細胞に向けるために、毒素とコンジュゲートすることもできる。一般に、かかる免疫毒素中の抗体はシュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素、志賀毒素A、炭疽毒致死因子、またはリシンとコンジュゲートする。総説としては、Hall (ed.), Immunotoxin Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology, Vol 166), Humana Press (2000) (ISBN:0896037754);およびFrankel et al., (eds.), Clinical Applications of Immunotoxins, Springer−Verlag New York, Incorporated (1998) (ISBN:3540640975)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。
【0407】
本発明の抗体は便宜には支持体に結合させることができ、従って本発明のもう1つの態様は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片と特異的に結合する抗体を提供することであり、すなわち、この結合は、支持体に結合された本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、または本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片によって競合阻害され得る。
【0408】
支持体は多孔質または非孔質、平板または非平板のものであってよい。
【0409】
例えば、本発明の抗体は便宜には、免疫アフィニティークロマトグラフィーのためにNHS活性化セファロースまたはCNBr活性化セファロースなどの濾材とコンジュゲートさせてもよい。
【0410】
例えば、本発明の抗体は便宜には、典型的にはビオチン−ストレプトアビジン相互作用によって常磁性マイクロスフェアに結合させることもでき、次にこのマイクロスフェアを本発明のタンパク質を発現または提示する細胞の単離に用いることができる。もう1つの例として、本発明の抗体は便宜には、ELISA用マイクロタイタープレートの表面に結合させることもできる。
【0411】
上記のように、本発明の抗体は原核細胞および真核細胞で産生可能である。従って、本発明のもう1つの態様は、本発明の抗体を発現するように組換え改変したハイブリドーマ細胞、B細胞、形質細胞および宿主細胞をはじめ、本発明の抗体を発現する細胞を提供することである。
【0412】
なおさらなる態様では、本発明は、本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片と特異的に結合するように考案したアプタマーを提供し、すなわち、この結合は本発明の1以上のタンパク質およびタンパク質断片、または本発明の単離された核酸にコードされている1以上のタンパク質およびタンパク質断片によって競合阻害され得る。
【0413】
医薬組成物
hGDMLP−1は骨格筋および心筋細胞の適切な働きに重要なものであり、hGDMLP−1の発現、活性、分布、局在および/または溶解度における欠陥がヒト疾病の原因となり、これらの疾病は心筋および/または骨格筋機能の障害として現れる。
【0414】
従って、本発明の核酸、タンパク質および抗体、ならびにhGDMLP−1活性のミメティクス、アゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤を含む医薬組成物を、hGDMLP−1欠陥の治療に向けた治療薬として投与することができる。
【0415】
このようにもう1つの態様では、本発明は、本発明の核酸、核酸断片、タンパク質、タンパク質融合体、タンパク質断片、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、ミメティクス、アゴニスト、アンタゴニストおよび阻害剤を含む医薬組成物を提供する。
【0416】
かかる組成物は典型的には、医薬上許容される担体または賦形剤中に、かつ/またはそれらとともに処方された本発明の治療薬を約0.1から90重量%を含む。
【0417】
医薬組成物は当技術分野では十分確立されており、Gennaro (ed.),  Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2000) (ISBN: 0683306472); Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th ed., Lippincott Williams & Wilkins Publishers (1999) (ISBN: 0683305727);およびKibbe (ed.), Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association, 3rd ed. (2000) (ISBN: 091733096X) にさらに記載されており、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とするので、本明細書では詳しく記載する必要はない。
【0418】
しかしながら要するに、本発明の医薬組成物の処方は選択された投与経路によって異なる。本発明で用いる医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、局所、舌下、直腸、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、経粘膜、経皮、鼻腔内、腹腔内、肺内、および子宮内をはじめとする腸内および非経口投与の双方を含む種々の経路によって投与できる。
【0419】
経口投与形としては、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル剤、水剤、ジェル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤など患者の服用向けに処方することができる。
【0420】
経口投与用組成物の固形製剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールをはじめとする糖類;トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモまたはその他の植物由来の澱粉;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または微晶質セルロースなどのセルロース;アラビアガムおよびトラガカントガムをはじめとするガム;ゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質;カオリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機質;およびアカシアおよびアルギン酸などのその他の物質といった炭水化物またはタンパク質増量剤などの好適な担体または賦形剤を含んでよい。
【0421】
架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)、微晶質セルロース、コーンスターチ、グリコール酸ナトリウム澱粉、およびアルギン酸など、崩壊および/または溶解を助ける薬剤を加えることもできる。
【0422】
使用できる錠剤結合剤としては、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(Povidone(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、澱粉およびエチルセルロースが挙げられる。
【0423】
使用できる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、ワックス、オイル、およびコロイドシリカが挙げられる。
【0424】
上記のものをはじめとする、増量剤、崩壊および/または溶解を助ける薬剤、錠剤結合剤、および滑沢剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0425】
固形経口投与形では、全体が均一である必要はない。
【0426】
例えば、糖衣錠核を濃縮糖溶液などの好適な被覆剤と併用してもよく、さらにアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。
【0427】
本発明の経口投与形としては、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチン製の軟質密封カプセル、グリセロールまたはソルビトールなどの被覆剤が挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースまたはスターチなどの増量剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤および所望により安定剤と混合した有効成分を含むことができる。軟カプセルでは、脂肪油、脂肪液、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に、安定剤を伴って、または伴わずに有効化合物を溶解または懸濁させればよい。
【0428】
さらに、製品の識別のため、または有効化合物の量、すなわち用量を識別するために錠剤または糖衣錠に染料または色素を加えてもよい。
【0429】
経口(腸内)投与用医薬組成物の液体製剤は水またはその他の水性ビヒクルで調製し、メチルセルロース、アルギン酸塩、トラガカントガム、ペクチン、ケルギン、カラギーナン、アカシア、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールなどの種々の沈殿防止剤を含んでもよい。これらの液体製剤としてはまた、有効化合物とともに湿潤剤、甘味剤、ならびに着色および香味剤を含有する水剤、エマルション、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。
【0430】
本発明の医薬組成物はまた、非経口投与用に処方することもできる。
【0431】
静脈注射用としては、可溶型の本発明の化合物は、5%デキストロース(「D5」)、生理緩衝食塩水、0.9%塩水、ハンクス液、またはリンゲル液などの生理学上許容される液体ビヒクル中に処方されているか、あるいは凍結乾燥品として提供されている場合にはそれらと混合する。
【0432】
筋肉内製剤、例えば好適な可溶塩型の本発明の化合物の滅菌製剤は、注射水、0.9%塩水、または5%グルコース溶液などの医薬用賦形剤に溶解して投与すればよい。あるいは、好適な不溶型の化合物を水性基剤、または長鎖脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル)、脂肪油(ゴマ油など)、トリグリセリドまたはリポソームなどの医薬上許容される油性基剤中の懸濁物として調製および投与すればよい。
【0433】
組成物の非経口製剤としては、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、酪酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)などの種々の担体を含んでよい。
【0434】
また水性注射懸濁剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなど、懸濁液の粘度を高める物質を含んでもよい。非脂質性ポリカチオンアミノポリマーも送達に用いることができる。所望によりこの懸濁液はまた、好適な安定剤または高濃度溶液の調製を可能とするために化合物の溶解度を高める薬剤を含んでもよい。
【0435】
本発明の医薬組成物はまた、注射可能、長期作用、定着可能とするよう処方することができる。
【0436】
本発明の医薬組成物は局所投与も可能である。
【0437】
局所用半固形軟膏製剤は典型的には、約1から20%、例えば5から10%の濃度の有効成分を、医薬用クリームベースなどの担体中に含む。種々の局所用製剤として、有効成分と種々の補助剤およびビヒクルを含有する滴剤、チンキ剤、ローション剤、クリーム剤、溶液剤、および軟膏が挙げられる。その他の経皮製剤、典型的にはパッチ送達製剤では、医薬上有効な化合物を2−N−メチル−ピロリドン(NMP)またはアゾンなどの1以上の皮膚浸透剤を用いて処方する。
【0438】
また吸入製剤も容易に処方することができる。吸入用としては、種々の粉末および液体製剤が調製できる。
【0439】
本発明の医薬組成物中の医薬上許容される有効な化合物は、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、酪酸、酒石酸、リンゴ酸、およびコハク酸をはじめとする種々の酸の塩として提供することができる。塩は、水性または他のプロトン性溶媒中で、その対応する遊離の塩基形態よりも溶解度が高い傾向にある。
【0440】
医薬組成物を調製した後、それらを適当な容器にパッケージングし、指示された症状の治療に向けた表示を付ける。
【0441】
有効化合物は意図した目的を達成するに有効な量で提供される。有効量の決定は十分当業者の能力の範囲内にある。
【0442】
「治療上有効な量」とは、疾病の徴候または症状を緩和する、またはその進行を予防する(医学分野で理解されているように、治癒は望ましいが、必ずしも必要でない)有効成分、例えば、hGDMLP−1タンパク質、融合タンパク質またはその断片、hGDMLP−1に特異的な抗体、hGDMLP−1のアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤の量をさす。
【0443】
本発明の医薬剤の治療上有効な量は、細胞培養アッセイなどのin vitro試験、その後のモデル動物、通常にはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、またはブタにおけるアッセイによってまず評価することができる。この動物モデルはまた、好ましい初期濃度範囲および投与経路を決定するためにも使用できる。
【0444】
例えば、ED50(集団の50%で治療上有効な量)およびLD5O(集団の50%に対する致死量)を1以上の動物細胞培養モデル系で決定することができる。毒性作用と治療作用の用量比が治療指数であり、LD50/ED50で表せる。高い治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0445】
ヒトに向けた初期用量範囲を処方する上で、この細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータを用い、毒性をほとんど、または全く示さないED50を含む循環濃度の範囲を提供するのが好ましい。投与後、または一連の投与の合間では、有効剤の循環濃度は、用いる投与形、患者の感受性および投与経路など、当技術分野で周知の薬物動態因子に応じてこの範囲内で変更する。
【0446】
正確な用量は、治療を必要とする被験者に特異的な因子に照らして医師により決定される。医師が考慮できる因子としては、その病態の重篤度、被験者の健康状態、被験者の年齢、体重、性別、食事療法、投与時間および頻度、薬剤の組合せ、反応感受性、ならびに治療耐性/応答が挙げられる。長時間作用性の医薬組成物はその特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3〜4日毎、毎週、または2週間に1度で投与することができる。
【0447】
通常の用量は投与経路にもよるが、0.1〜100,000μg、総用量約1gまで可変である。治療薬が本発明のタンパク質または抗体である場合、この治療タンパク質または抗体薬は典型的には0.01mg〜30mg/kg患者体重(例えば、1mg/kg〜5mg/kg)の一日用量で投与される。この医薬製剤は望ましい総一日用量を達成するために所望により一日複数回で投与してもよい。
【0448】
特定の投与形および送達方法についての指針は文献に示され、当業者に一般に入手できる。当業者ならばタンパク質またはそれらの阻害剤よりもヌクレオチドの様々な製剤を用いるであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は特定の細胞、条件、場所などに特異的である。
【0449】
本発明の医薬製剤を患者に投与するには、医薬分野の熟練者に公知の常法を用いればよい。本発明の医薬組成物は単独で投与してもよいし、あるいは他の治療薬または介入と併用してもよい。
【0450】
治療法
本発明はさらに、心筋および/または骨格筋機能の障害として現れるhGDMLP−1の、例えばhGDMLP−1の発現、活性、分布、局在化、および/または溶解度の欠陥を有する被験者を治療する方法を提供する。本明細書において「治療」とは、疾病の軽減および予防を含む、医学的に受け取られているタイプの治療的介入を含む。
【0451】
本発明の治療方法のある実施形態では、hGDMLP−1タンパク質、その融合体、断片または誘導体を含む治療上有効量の医薬組成物を臨床上有意なhGDMLP−1欠陥を有する被験体に投与する。
【0452】
タンパク質組成物は、例えば天然型hGDMLP−1の欠陥を補うために投与される。他の実施形態では、タンパク質組成物を、hGDMLP−1に対する体液性および/または細胞性免疫応答を惹起するためにワクチンとして投与する。この免疫応答を用いてhGDMLP−1の活性を調節する、あるいは免疫原に応じ、変異体または不適切に発現するイソ型など、異常な形態または異常な発現をする形態に対して免疫化することができる。さらに他の実施形態では、hGDMLP−1を異常に集積する細胞を除去するために、毒性部分を有するタンパク質融合体を投与する。
【0453】
本発明の治療法のもう1つの実施形態では、本発明の核酸を含む治療上有効量の医薬組成物を投与する。この核酸はhGDMLP−1タンパク質、その融合体または断片の発現を駆動するベクターにて、またはかかるベクターを用いずに送達することができる。
【0454】
hGDMLP−1の発現を駆動できる核酸組成物は、例えば天然型hGDMLP−1の欠陥を補うために、あるいはDNAワクチンとして投与される。プラスミド同様、ウイルス、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、またはワクシニアウイルス由来の発現ベクターが使用できる。例えば、Cid−Arregui (ed.), Viral Vectors: Basic Science and Gene Therapy, Eaton Publishing Co., 2000 (ISBN: 188129935X)参照。
【0455】
アンチセンス核酸組成物、またはhGDMLP−1アンチセンス核酸の発現を駆動するベクターは、過剰産生または異常タンパク質の産生が疾病の病態生理学的基礎にある状況において、hGDMLP−1の転写および/または翻訳をダウンレギュレートするために投与される。
【0456】
治療に有用なアンチセンス組成物は、hGDMLP−1遺伝子のコード領域または非コード領域に相補的な配列を有し得る。例えば、転写開始部位、例えば開始部位から〜10番と+10番の間に由来するオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0457】
リボザイムなど、hGDMLP−1転写物に対して配列特異的にハイブリダイズし得る触媒的アンチセンス組成物も治療に有用である。例えば、Phylactou, Adv. Drug Deliv. Rev. 44(2−3):97−108 (2000); Phylactou et al., Hum. Mol. Genet. 7(10):1649−53 (1998); Rossi, Ciba Found. Symp. 209:195−204 (1997);およびSigurdsson et al., Trends Biotechnol. 13(8):286−9 (1995)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)参照。
【0458】
本発明の治療方法に有用なその他の核酸としては、hGDMLP−1ゲノム遺伝子座またはその近傍で三重らせんを形成し得るものがある。かかる三重らせんオリゴヌクレオチドは転写を阻害することができ(Intody et al., Nucleic Acids Res. 28(21):4283−90 (2000); McGuffie et al., Cancer Res. 60(14):3790−9 (2000)(なお、これらの開示は出典明示により本明細書の一部とする)、かかる三重らせん形成オリゴ(TFO)を含む医薬組成物は、過剰産生または異常タンパク質の産生が疾病の病態生理学的基礎にある状況において投与される。
【0459】
本発明の治療方法のもう1つの実施形態では、本発明の抗体(そのフラグメントまたは誘導体を含む)を含む治療上有効量の医薬組成物を投与する。周知のように、抗体組成物は、例えば、hGDMLP−1の活性を阻害するため、または治療薬をhGDMLP−1の存在および/または集積部位にターゲッティングするために投与される。
【0460】
本発明の治療方法のもう1つの実施形態では、hGDMLP−1の非抗体アンタゴニストを含む医薬組成物を投与する。hGDMLP−1のアンタゴニストは当技術分野で一般に公知の方法を用いて作製することができる。特に、精製hGDMLP−1は、医薬剤ライブラリー、多くの場合では小分子のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするため、少なくとも1つのhGDMLP−1と特異的に結合し、その活性を阻害するものの同定に使用できる。
【0461】
その他の実施形態では、hGDMLP−1のアゴニストを含む医薬組成物が投与される。アゴニストはアンタゴニストの同定に用いたものと同じ方法で同定することができる。
【0462】
本発明のさらに他の治療方法では、hGDMLP−1、その融合体または誘導体を発現する宿主細胞を含む医薬組成物を投与することができる。かかる場合、これらの細胞は、異種またはアロタイプ拒絶を回避するよう典型的には自己のものであり、hGDMLP−1の産生または活性における欠陥を補うために投与される。
【0463】
その他の実施形態では、本発明のhGDMLP−1タンパク質、核酸、抗体、アンタゴニスト、およびアゴニストを含む医薬組成物を、その他の適当な治療薬と組み合わせて投与することができる。組合せ療法に用いる適当な薬剤の選択は、当業者ならば通常の製薬原理に従って行える。治療薬またはアプローチの組合せは上記の種々の疾患の治療または予防を達成すべく相加的にまたは協働的に作用して、より高い治療効果をもたらし、かつ/または本発明の医薬組成物のより低用量での使用を可能とし、有害な副作用の可能性を軽減することができる。
【0464】
トランスジェニック動物および細胞
もう1つの態様では、本発明は、hGDMLP−1核酸を含むトランスジェニック細胞および非ヒト生物、ならびにヒトhGDMLP−1遺伝子の内在オーソログの標的破壊を伴うトランスジェニック細胞および非ヒト生物を提供する。
【0465】
これらの細胞は胚幹細胞または体細胞であり得る。トランスジェニック非ヒト生物はキメラ、非キメラ異型接合、および非キメラ同型接合であり得る。
【0466】
診断方法
hGDMLP−1遺伝子の変化によって引き起こされる疾病の素因を診断、監視または評価するために、本発明の核酸を、ゲノムDNAサンプル中のhGDMLP−1遺伝子の配列およびより大きなレベルでのゲノム構造を評価するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。これらの核酸はまた、心臓または筋肉由来のサンプルのhGDMLP−1 mRNAレベルを評価するためのハイブリダイゼーションプローブとしても使用できる。また、本発明の抗体は、心臓または筋肉のhGDMLP−1タンパク質の発現レベルを評価するために使用できる。
【0467】
もう1つの態様では、hGDMLP−1の発現を特徴とする症状または疾病の診断のため、またはhGDMLP−1、アゴニスト、アンタゴニストもしくは阻害剤で処置される患者の監視のためのアッセイにおいて、hGDMLP−1と特異的に結合する抗体を用いてもよい。診断目的に有用な抗体は治療に関して上記したものと同様の方法で作製することができる。hGDMLP−1に関する診断アッセイとしては、ヒト体液または細胞もしくは組織抽出液でhGDMLP−1を検出するために抗体または標識を用いる方法がある。これらの抗体は修飾を伴ってまたは伴わずに使用でき、共有結合または非共有結合のいずれかでレポーター分子と連結して標識してもよい。当業者に公知の多様なレポーター分子が使用でき、そのいくつかが上記されている。
【0468】
当技術分野ではELISA、RIAおよび蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)をはじめ、hGDMLP−1を測定する種々のプロトコールが知られており、hGDMLP−1発現のレベルの変更または異常を診断する基準となっている。hGDMLP−1発現の正常値または標準値は正常な哺乳類被験体、好ましくはヒトから採取した体液または細胞抽出液を、複合体の形成に好適な条件下でhGDMLP−1抗体と合わせることで確立される。標準複合体形成の量はは種々の方法で定量できるが、光度測定によるものが好ましい。生検組織由来の被験サンプル、対照サンプルおよび罹患サンプルで発現したhGDMLP−1の量を標準値と比較する。標準値と被験値間の偏差が疾病を診断するパラメーターとなる。
【0469】
本発明のもう1つの実施形態では、hGDMLP−1をコードするポリヌクレオチドを診断目的に使用することができる。使用できるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオチド配列、相補的RNAおよびDNA分子、ならびにPNAが挙げられる。これらのポリヌクレオチドを用いて、hGDMLP−1の発現が疾病に関連している生検組織における遺伝子発現を検出および定量すればよい。この診断アッセイを用いてhGDMLP−1の有無および過剰発現を識別し、治療介入中のhGDMLP−1レベルの調節を監視すればよい。
【0470】
1つの態様では、hGDMLP−1または密接に関連する分子をコードする、ゲノム配列をはじめとしたポリヌクレオチド配列を検出し得るPCRプローブとのハイブリダイゼーションを用いて、hGDMLP−1をコードする核酸配列を同定することができる。プローブの特異性、すなわちそれが極めて特異的な領域、例えば5’調節領域の10個の特異なヌクレオチドからなっているか、特異性の低い領域、例えば、特に3’コード領域からなっているかということ、およびハイブリダイゼーションまたは増幅のストリンジェンシー(最大か、高いか、中間的か、または低いか)ということは、そのプローブが天然にしか存在しないhGDMLP−1をコードする配列、対立遺伝子または関連の配列を識別するかどうかを決定する。
【0471】
プローブは関連配列の検出にも使用でき、好ましくはhGDMLP−1コード配列のいずれかに由来するヌクレオチドの少なくとも50%を含んでいるべきである。本発明のハイブリダイゼーションプローブはDNAでもRNAでもよく、配列番号1のヌクレオチド配列に由来するものでも、天然に存在するhGDMLP−1のプロモーター、エンハンサーエレメントおよびイントロンを含むゲノム配列(配列番号3)に由来するものであってもよい。
【0472】
hGDMLP−1をコードするDNAの特異的ハイブリダイゼーションプローブを作製する手段としては、hGDMLP−1またはhGDMLP−1誘導体をコードする核酸配列を、mRNAプローブの作製のためのベクターにクローニングすることを含む。かかるベクターは当技術分野で公知であって市販されており、適当なRNAポリメラーゼと適当な標識ヌクレオチドを添加することでin vitroでRNAプローブを合成するのに使用できる。ハイブリダイゼーションプローブは種々のレポーター遺伝子、例えば、32Pもしくは35Sなどの放射性ヌクレオチド、またはアビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合させたアルカリ性ホスファターゼなどの酵素標識などによって標識すればよい。
【0473】
hGDMLP−1をコードするポリヌクレオチド配列は、hGDMLP−1の発現と関連した疾患、特に心筋および骨格筋疾患の診断に用いることができる。
【0474】
hGDMLP−1をコードするポリヌクレオチド配列はサザンまたはノーザン解析、ドットブロットまたは他のメンブランに基づく技術;PCR技術;またはhGDMLP−1発現の変更を検出するために患者生検由来の体液もしくは組織を用いるディップスティック、ピン、ELISAまたはマイクロアレイで用いることができる。かかる定性または定量法は当技術分野で周知である。
【0475】
hGDMLP−1をコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダイゼーション複合体の形成に好適な条件下で患者由来の体液または組織サンプルに加えればよい。好適なインキュベーション時間の後、このサンプルを洗浄し、シグナルを定量し、標準値と比較する。生検または抽出サンプル中のシグナルの量が比較対照サンプルのものと有意に変化していれば、それらのヌクレオチド配列はサンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズしており、サンプルにおいてhGDMLP−1をコードするヌクレオチド配列のレベルの変更が存在することは、関連の疾病が存在することを示す。かかるアッセイはまた、動物研究、臨床試験において、または個々の患者の治療を監視する上で、特定の治療計画の効果を評価するのにも使用できる。
【0476】
hGDMLP−1の発現に関連する疾病の診断基準とするには、発現の正常または標準プロフィールを確立する。これは、動物またはヒトいずれかの正常被験体から採取した体液または細胞抽出液を、ハイブリダイゼーションまたは増幅に好適な条件下で、hGDMLP−1をコードする配列またはその断片と合わせることで達成すればよい。標準ハイブリダイゼーションは、正常な被験体から得た値を、既知量の実質的に精製されたポリヌクレオチドを用いた実験からの値と比較することで定量することができる。正常サンプルから得た標準値を、病徴がある患者由来のサンプルから得た値と比較すればよい。標準値と被験値の間の偏差を用いて疾病の存在が確認される。
【0477】
疾病が確認され、治療プロトコールが始められたところで、ハイブリダイゼーションを規定の基準で繰り返し、患者における発現レベルが正常者で見られるレベルに近づいているかどうかを評価することができる。一連のアッセイから得られた結果を用いて数日から数ヶ月の範囲にわたる治療効果を示すことができる。
【0478】
癌に関しては、ある個体からの生検組織における相対的に高い量の転写物の存在がこの疾病の発症素因を示し、あるいは急性臨床徴候が現れる前に疾病を検出する手段となる。このタイプのより決定的な診断は健康の専門家により早い予防手段または積極的治療を採らせ、それにより癌の発症またはさらなる進行が防げる。
【0479】
hGDMLP−1をコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断用途としてはPCRの使用が挙げられる。かかるオリゴマーは化学的に合成されたものでも、酵素的に生成されたものでも、in vitro産生されたものであってもよい。オリゴマーは好ましくは2つのヌクレオチド配列からなり、一方はセンス配向、もう一方はアンチセンス配向を持ち、特異的遺伝子または症状の同定に対して至適化された条件下で用いられる。密接に関連するDNAまたはRNA配列の検出および/または定量のため、低ストリンジェント条件下でこれら2つのオリゴマー、オリゴマーの埋め込みセット、またはオリゴマーの変性プールであっても使用できる。
【0480】
hGDMLP−1の発現を定量にも使用できる方法には、ヌクレオチドの放射性標識またはビオチニル化ヌクレオチド、対照核酸の同時増幅、および実験結果を外挿する標準曲線が含まれる(Melby, P. C et al. (1993) J. Immunol. Methods, 159:235−244; Duplaa, C. et al. (1993) Anal. Biochem. 229−236)。複数のサンプルの定量速度は、目的のオリゴマーが種々の希釈率で提供されるELISA形式でアッセイを実施することで加速化でき、分光光度または比色応答により迅速な定量が得られる。
【0481】
さらなる実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列のいずれかに由来するオリゴヌクレオチドをマイクロアレイにおいて標的として用いてもよい。このマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルを同時に監視するため(転写像を測定するため)、および遺伝子変異体、突然変異、および多形を同定するために使用できる。この情報は、遺伝子機能の決定、疾病の遺伝的基礎の理解、疾病の診断、および治療薬の活性の現像および監視に有用である(Heller, R. et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150−55)。
【0482】
ある実施形態では、このマイクロアレイはPCT出願WO95/11995 (Chee et al.), Lockhart, D. J. et al. (1996; Nat. Biotech. 14: 1675−1680)およびSchena, M. et al. (1996; Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 10614−10619)(これらは全て出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載の方法に従って作製および使用する。
【0483】
このマイクロアレイは好ましくは多数の特異な一本鎖核酸配列(通常は、固相支持体に固定された、合成アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはcDNA断片のいずれか)からなる。これらのオリゴヌクレオチドは好ましくは約6〜60ヌクレオチド長、より好ましくは15〜30ヌクレオチド長、最も好ましくは約20〜25ヌクレオチド長である。ある種のマイクロアレイでは、わずか7〜10ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを用いるのが好ましい場合もある。マイクロアレイは既知の5’または3’配列にわたるオリゴヌクレオチド、全長配列にわたる一連のオリゴヌクレオチド、またはその配列に沿った特定の領域から選択された特異なオリゴヌクレオチドを含み得る。マイクロアレイに用いるポリヌクレオチドは、少なくともその配列の断片が既知である目的遺伝子に特異的であるか、あるいは特定の細胞種、発達段階または病態に共通の1以上の未同定のcDNAに特異的であるオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0484】
マイクロアレイの既知配列に対してオリゴヌクレオチドを作製するためには、目的の遺伝子をそのヌクレオチド配列の5’、より好ましくは3’末端で始まるコンピューターアルゴリズムを用いて調べる。このアルゴリズムはその遺伝子に特有であり、ハイブリダイゼーションに好適な範囲内のGC含量を有し、さらにハイブリダイゼーションを妨げ得る推定二次構造を含まない、規定の長さのオリゴマーを識別する。ある状況では、マイクロアレイ上のオリゴヌクレオチド対を用いるのが適当である場合がある。これらの「対」は、好ましくは配列の中央に位置する1個のヌクレオチド以外は同じものである。このような対の第二のオリゴヌクレオチド(1個だけがミスマッチ)は対照として用いられる。オリゴヌクレオチド対の数は2個〜100万個の範囲であり得る。これらのオリゴマーは光指定化学法を用い、支持体上の所定の領域で合成される。この支持体はペーパー、ナイロンまたは他のタイプのメンブラン、フィルター、チップ、スライドガラスまたは他のいずれかの好適な固相支持体であってよい。
【0485】
もう1つの態様では、出典明示によりそのまま本明細書の一部とする、PCT出願WO95/251116 (Baldeschweiler et al.)に記載のように、オリゴヌクレオチドは化学結合法およびインクジェット適用装置を用いることで支持体表面で合成してもよい。もう1つの態様では、ドット(またはスロット)ブロットと同様の「グリッド付き」アレイを用い、真空装置、温度、紫外線、機械的または化学的結合法で支持体表面にcDNA断片またはオリゴヌクレオチドを配置および結合させてもよい。上記のようなアレイは手により、または市販の装置(スロットブロットまたはドットブロット装置)、材料(いずれかの好適な固相支持体)および機械(ロボットを含む)を用いて作製でき、8、24、96、384、1536または6144のオリゴヌクレオチド、あるいはそれ自体、市販の器具を有効使用できる2〜100万の間の他のいずれかの数を含めばよい。
【0486】
マイクロアレイを用いてサンプル解析を行うには、生物サンプル由来のRNAまたはDNAをハイブリダイゼーションプローブとする。mRNAを単離し、cDNAを作製し、鋳型として用いてアンチセンスRNA(aRNA)を作製する。このaRNAを蛍光ヌクレオチドの存在下で増幅し、標識されたプローブをマイクロアレイとともにインキュベートすると、プローブ配列がマイクロアレイの相補的オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする。インキュベーション条件は、ハイブリダイゼーションが正しい相補的マッチで生じるように、または種々の程度の低い相補性を伴うように調節する。ハイブリダイズしていないプローブを除いた後、スキャナを用いて蛍光のレベルおよびパターンを測定する。スキャンした画像を調べ、相補性の程度とマイクロアレイ上の各オリゴヌクレオチド配列の相対的存在度を求める。生物サンプルはいずれかの体液(血液、尿、唾液、痰、胃液など)、培養細胞、生検、または他の組織標本から得ることができる。検出装置を用いて、異なる配列を全て同時に、ハイブリダイゼーションの有無および量を測定することができる。このデータはサンプル間の配列、突然変異、変異体、または多形に関する大規模な相関研究に用いることができる。
【0487】
本発明のもう1つの実施形態ではまた、hGDMLP−1をコードする核酸配列を用い、天然に存在するゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを作製することもできる。特定の染色体に対して、ある染色体の特定の領域に対して、あるいはヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1構築物または単一染色体cDNAライブラリーなどの人工染色体構築物に対して配列がマッピングされ得る(Price, C. M. (1993) Blood Rev. 7:127−134,およびTrask, B. J. (1991) Trends Genet. 7:149−154に総説)。
【0488】
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH、Verma et al. (1988) Human Chromosomes: A Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, New York, N.Y.に記載)をその他の物理的染色体マッピング技術および遺伝地図データと相関させてもよい。遺伝地図データの例としては、種々の科学誌またはOnline Mendelian Inheritance in Man (OMIM)で見出せる。物理的染色体地図上のhGDMLP−1をコードする遺伝子の位置と特定の疾病、または特定の疾病に対する素因との間の相関はその遺伝疾病に関連するDNAの領域を定める助けとなる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常個体、キャリヤー、または罹患個体間の遺伝子配列の違いを検出することもできる。
【0489】
染色体標本のin situハイブリダイゼーション、および確立された染色体マーカーを用いた連鎖解析などの物理的マッピング技術は遺伝地図の拡張に使用できる。特定のヒト染色体の番号または腕が分かっていない場合でも、マウスなどの別の哺乳類種の染色体上の遺伝子の位置により関連のマーカーが明らかになる場合も多い。物理的マッピングにより、新しい配列を染色体腕またはその一部に割り当てることができる。これにより、位置クローニングまたはその他の遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を研究する研究者に価値のある情報が与えられる。ひとたび疾病または症状が遺伝連鎖によって大まかに特定のゲノム領域に配置されれば(例えば、ATが11q22−23へといったように(Gatti, R. A et al. (1988) Nature 336:577−580))、この領域にマッピングされる配列のいずれかはさらなる検討のための関連遺伝子または調節遺伝子である可能性がある。また、本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常個体、キャリヤーまたは罹患個体間の転座、逆位などによる染色体位置の違いを検出することもできる。
【0490】
本発明のもう1つの実施形態では、hGDMLP−1、その触媒もしくは免疫断片、またはそのオリゴペプチドは、種々の薬剤スクリーニング技術のいずれかにおいて化合物ライブラリーをスクリーニングするのに使用することができる。かかるスクリーニングに用いる断片は溶液中で遊離状態であっても、固相支持体に固定されていても、細胞表面に保持されていても、細胞内に位置していてもよい。hGDMLP−1と供試薬剤との間の結合複合体の形成を測定すればよい。
【0491】
使用できるもう1つの薬剤スクリーニング技術は、公開PCT出願WO84/03564に記載のような、目的タンパク質に対して好適な結合親和性を有する化合物のハイスループットスクリーニングを提供する。この方法では、hGDMLP−1に対して適用されたように、多数の異なる少量の試験化合物が、プラスチックピンまたは他の数種の表面などの固相支持体上で合成される。これらの試験化合物をhGDMLP−1またはその断片と反応させて洗浄する。結合したhGDMLP−1を次に当技術分野で周知の方法によって検出する。精製したhGDMLP−1を、上記の薬剤スクリーニング技術で用いるプレートに直接被覆してもよい。あるいは、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、それを固相支持体に固定化してもよい。
【0492】
もう1つの実施形態では、hGDMLP−1と結合し得る中和抗体がhGDMLP−1との結合をめぐって試験化合物と特異的に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる。この方法では、これらの抗体を用いて、hGDMLP−1と1以上の抗原決定基を共有するいずれかのペプチドの存在を検出することができる。
【0493】
さらなる実施形態では、hGDMLP−1をコードするヌクレオチド配列をこれまでに開発されている分子生物学技術のいずれに用いてもよいが、これらの新しい技術は、限定されるものではないがトリプレット遺伝コードおよび特定の塩基対の相互作用といった特性をはじめとするこれまでに知られているヌクレオチド配列の特性を頼りにするものである。
【0494】
【実施例】
以下の実施例は例として示されるものであり、限定されるものではない。
【0495】
実施例1
新規ヒトゲノム由来ミオシン様遺伝子をコードするcDNAの同定および特性決定
細胞の収縮装置を混乱させることにより疾病素因を与える、または疾病の一因となる新規なるヒト遺伝子を同定するために、発明者らは特にヒト心筋および/または骨格筋で発現されるエクソンのヒトゲノムDNAを取り出し、発現した転写物のクローニングおよび/または配列決定をもとにしたこれまでの同定努力には応じないことが分かっている遺伝子の一部を特に調べることにした。
【0496】
要するに、推定エクソンを同定するためにヒトゲノム配列データに対しバイオインフォマティックアルゴリズムを適用した。各推定エクソンをゲノムDNAから増幅し、典型的にはフランキング非コード配列を含んだより大きなアンプリコン内の推定コード配列をセンタリングする。これらのゲノム由来単一エクソンプローブを固相支持体上に並べ、バイオインフォマティックにより推定されたエクソンの発現を、ゲノム由来単一エクソンマイクロアレイに対する一連の同時二色ハイブリダイゼーションによって評価した。このアプローチおよび手順はさらに詳細にPenn et al., ”Mining the Human Genome using Microarrays of Open Reading Frames,” Nature Genetics 26:315−318 (2000); 同一所有者の同時係属米国特許出願09/774,203(2001年1月29日出願);および同一所有者の同時係属仮米国特許出願60/207,456(2000年5月26日出願)、同60/234,687(2000年9月21日出願)、および同60/236,359(2000年9月27日出願)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載されている。
【0497】
得られたエクソン特異的発現データのコンピューター検索を助けるために特に設計されたグラフィックディスプレーを用いて、同一所有者の同時係属米国特許出願09/774,203(2001年1月29日出願)にさらに記載されているように、ヒト心臓では高レベルに発現したが試験した他の9種類の組織または細胞種ではいずれでも発現しなかったエクソンを同定した。
【0498】
図1は心臓特異的エクソンが例示のためにビューペインの中央に示されているグラフィックディスプレーのスクリーンショットである。メガベース(「Mb」)単位の一定の間隔で区分された黒い線は、ヒト第22染色体(「ゲノム配列ライン」)の一連のストレッチを表す。線の下の「amp」と表示された左右方向の領域は(実際のディスプレーでは青色)、ある1つの、またはその他の実験においてゲノムDNAから増幅された第22染色体の領域を規定する長方形である。この長方形はゲノム配列ラインと並んで、アンプリコンの開始および終結ヌクレオチドを示している。
【0499】
このビュ−ペイン中を下に見ていくと、左右方向の領域にヒト心臓(「HEA」)、脳(「BRA」)、成人肝臓(「ADU」)、HeLa細胞(「HEL」)、肺(「LUN」)、胎児肝臓(「FET」)、HBL100細胞(「HBL」)、骨髄(「BON」)、BT4細胞(「BT4」)および胎盤(「PLA」)の種々のアンプリコンに関して測定された発現が示されている。同一所有者の同時係属米国特許出願09/774,203にさらに記載されているように、対照(ここでは10種の組織由来のメッセージのプール)に対するかかる発現が、実際のディスプレーでは赤および緑のシェードで示され、緑は対照より発現が高いことを示す。
【0500】
図1から分かるように、約11.1052Mbの中心に位置するエクソンは、ヒト心臓において対照単独を超えるレベルで発現し(供試組織および細胞種の中で)、これはさらなる研究に向けた発明者らの包括基準を満たすものである。
【0501】
標準RACE(cDNA末端の迅速増幅)およびRT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)技術は、集合体として8,166個のヌクレオチドにわたり、遺伝子の全コード領域を含むと思われる重複cDNAクローンを得るために使用した。RT−PCRおよびRACE技術は特にSiebert et al. (eds.), Gene Cloning and Analysis by RT−PCR, Eaton Publishing Company/Bio Techniques Books Division, 1998 (ISBN:1881299147); Schaefer, Anal. Biochem. 20:227(2):255−73 (1995); Ausubel et al. (eds.), Short Protocols in Molecular Biology : A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, 4th edition (April 1999), John Wiley & Sons (ISBN:047132938X)およびSambrook et al. (eds.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual(3rd ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press (2000) (ISBN: 0879695773)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載されている。このcDNAは、MegaBace(商標)シーケンサー(Molecular Dynamics, Inc., Sunnyvale, CA, USA)を用いて両鎖の配列決定を行った。
【0502】
図2A〜2LはcDNA配列(配列番号1)とその翻訳物(配列番号3)をひとまとめに示したものである。以下に示す理由で、発明者らはこの新規なる遺伝子をhGDMLP−1と呼称した。
【0503】
hGDMLP−1のcDNAは8166個のヌクレオチドにわたり、ヌクレオチド170からのオープンリーディングフレームを含み、また、2568個のアミノ酸のタンパク質(285.3kDの翻訳後修飾が不在)と推定されるnt7876を含む。このクローンは全長であり、メチオニンで始まり、3’−ポリ−Aテールの手前で停止コドンにより終結するリーディングフレームを有する。
【0504】
構造上、N末端の600個のアミノ酸ならびにC末端の1100個のアミノ酸(1400−2568)はかなり親水性が高く、最初の480残基の優に1/3のアミノ酸が強酸性または強塩基性である。
【0505】
Pfam (http://pfam.wustl.edu/)、SMART (http://smart.embl−heidelberg.de/)、ならびにPROSITEパターンおよびプロフィールデータベース(http://www.expasy.ch/prosite/)を用いるモチーフ検索により、いくつかの公知のドメインを確認した。ミオシンヘッド(ミオシンモーター、ラージATPアーゼとも呼ばれる)ドメインはアミノ酸残基566−1335にコードされており、ミオシンテールドメインは残基1422−1919に位置する。ミオシンヘッドおよびミオシンテールが存在が示されたので、発明者らはかかる遺伝子を「ヒトゲノム由来ミオシン様タンパク質−1(「hGDMLP−1」)と呼んだ。
【0506】
ミオシンヘッドおよびミオシンテールドメインに加えて、SMARTおよびPfamの双方で残基1336−1358においてIQドメインがさらに確認された。このIQドメインは保存されたIle残基およびGln残基を含む短いカルモジュリン結合モチーフであり、これはミオシンIおよびVのL鎖として働くことが知られているカルモジュリンとhGDMLP−1との相互作用を示唆している。
【0507】
hGDMLP−1 cDNA配列をBLASTクエリーとしてGenBank nrおよびdbEstデータベースに使用した。このnrデータベースは非冗長Genbankコード配列翻訳物、Brookhavenタンパク質データバンク(PDB)の三次元構造由来の配列、SwissProtからの配列、タンパク質情報源(PIR)からの配列、およびタンパク質研究協会(PRF)からの配列をすべて含む。DbEst(発現配列タグのデータベース)は、EST、短い単一パスリードcDNA(mRNA)配列および示差ディスプレー実験およびRACE実験からのcDNA配列を含む。
【0508】
hGDMLP−1コード配列の短い領域に対して強い配列類似性を示すESTがいくつか同定され、ESTはhGDMLP−1のエクソン15および16と同一であった(EST受託番号AA993492: ”ot64g05.s1 Soares_testis_NHT Homo sapiens cDNA clone IMAGE:1621592 3’ similar to TR:Q92614 Q92614 MYELOBLAST KIAA0216.;, mRNA”)(配列番号1ナンバリングに従ってnt2954−3174にわたる)。
【0509】
それにもかかわらず、hGDMLP−1は全長クローンとしてこれまでに同定されていない。しかしながら、GenBankに先行受託されている2つの全長遺伝子は密接に関連しているものと思われる。
【0510】
その第一の遺伝子は、PDZドメイン(mysPDZ)(GenBank受託番号BAA93660)を含むネズミ・ミオシン遺伝子であり、Furusawa et al.,”Isolation of a novel PDZ−containing myosin from hematopoietic supportive bone marrow stromal cell lines,” Biochem. Biophys. Res. Commun. 270(1):67−75 (2000)にさらに記載されている(なお、この開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)。最も類似の高い領域、すなわち、hGDMLP−1の残基477−2270では、hGDMLP−1およびBAA93660はアミノ酸レベルで40%の同一性と60%の類似性を示す。なお、類似性はNCBI BLASTスタンダードBLOSUMマトリックス(Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915−10919 (1992); Henikoff et al., Proteins 17:49−61 (1993))に従って評価した。この領域はhGDMLPミオシンヘッドドメインおよびミオシンテールドメインの双方を含む。
【0511】
hGDMLP−1はまた、マウスのネズミPDZ含有ミオシンのヒト・オーソログ(受託番号BAA13206)に対し、同じ領域(hGDMLP−1の残基477−2270)にわたって高い類似性を示し、hGDMLP−1とアミノ酸レベルで40%の同一性および61%の類似性を示す。
【0512】
図3A〜3Cは、BAA93660(ネズミPDZ含有ミオシン様遺伝子、残基341−2035)およびBAA13206(Pループを含むヒト・ミオシンH鎖様遺伝子、残基1−1581)を有するhGDMLP−1の複数の配列アラインメント(アミノ酸残基505−2249)をひとまとめに示したものである。ギャップは配列中に1以上のダッシュ記号(−)で示す。3つの整列ラインの下にある共通ラインの中で「*」はアラインメント中の全ての配列が同一または保存されている残基を示し、「:」は保存的置換を示し、「・」はある程度保存された置換を示す。
【0513】
さらに、hGDMLP−1と、これまでにミオシンまたはミオシン様と同定された10種の他のタンパク質との直接比較により、hGDMLP−1の配列はmysPDZと最も類似していることが確認された。有意な類似性はまた、ヒト(ネズミではない)ミオシリン(myoC)に対しても検出された。図4はhGDMLP−1とヒトミオシリン(myoC)のアライメントを対にして示している。示されたように、アミノ酸配列において類似性が最大の領域では残基の28%が同一であり、残基の54%が類似している。なお、類似性はBLOSUM62マトリックスにより評価した。
【0514】
mysPDZおよびmyoCの両者は細胞骨格に関連するタンパク質である。MyoCは緑内障と関連しており、分泌型を有し、光受容体細胞の繊毛と関連が見られる。これらの配列類似性に基づけば、hGDMLP−1は細胞骨格に関連するミオシン様タンパク質である。
【0515】
hGDMLP−1の親水性のN末端およびC末端から得た配列をGenBankで個別に検索すると、そのN末端領域(112−515)はコラーゲンαおよび他の親水性タンパク質(シリシンおよび神経フィラメントトリプレットHタンパク質など)といくらかの配列類似性を持つのに対して、そのタンパク質のC末端は独特のものである。
【0516】
実施例2
hGDMLP−1をコードするゲノム領域の同定および特性決定
ゲノム配列のBLAST検索により、このcDNA配列を包含するクローンの最小セットを構成する4つのBACが確認された(図5)。
【0517】
hGDMLP−1を包含する4つのBACの公知の起源(AL022329、AL080245、Z98949およびAL079300)に基づけば、この遺伝子は染色体22q11低コピー反復領域から約1Mb離れたヒト染色体22q11.2に対しマッピングすることができる。
【0518】
cDNAおよびゲノム配列の比較により、染色体22q11.2上の288kb領域を占めている44個のエクソンが確認された。エクソンの構成は表1に示されている。
【0519】
【表3】
Figure 2004501617
【表4】
Figure 2004501617
【0520】
実施例3
hGDMLP−1の発現および転写制御
hGDMLP−1のエクソン1、3、4、7、8、9、15、20、24、31、39、43および44を個別に増幅し、ゲノム由来単一エクソンプローブを発現解析を目的に、本質的にPenn et al., ”Mining the Human Genome using Microarrays of Open Reading Frames,” Nature Genetics 26:315−318 (2000)および同一所有者の同時系属米国特許出願09/774,203(2001年1月29日出願)(なお、これらの開示は出典明示によりそのまま本明細書の一部とする)に記載のようにして整列させた。
【0521】
表2はハイブリダイゼーション実験の結果を報告したものである。「アンプリコン」は固有の表示である。「シグナル」はノーマライズされたシグナル強度を示す。「比」は、対照に対する発現の比である。「ND」は「測定せず」を示す。
【0522】
【表5】
Figure 2004501617
【表6】
Figure 2004501617
【表7】
Figure 2004501617
【表8】
Figure 2004501617
ND=測定せず
【0523】
表2から分かるように、骨格筋および心臓はhGDMLP−1発現の主要な場所である。
【0524】
心臓および骨格筋特異的発現を、アンプリコン40(エクソン43)をプローブとして用いるノーザンブロット解析によってさらに確認した。図6で示されるように、アッセイした12の組織、すなわち、血液、白血球、肺、胎盤、小腸、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺、結腸、骨格筋、心臓および脳のうち骨格筋と心臓のみが両者とも8kbの転写物を有する発現を示す。
【0525】
このゲノム配列を持っていることで、hGDMLP−1遺伝子のプロモーターおよびその他の制御配列の検索が可能であった。
【0526】
推定転写制御領域はプロモーターおよび下流エレメントを含めて、転写開始部位の前後2kbと同定され、それ自体cDNAクローンの第一のヌクレオチドと同定された。BAC AL022329の配列から得られたこの領域は以下の配列を有し、ここでヌクレオチド1001番が転写開始部位である。
【表9】
Figure 2004501617
【0527】
PROSCAN
(http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/proscan/)
を用いても、推定プロモーター領域に重要なプロモーターは確認されなかった。
しかし、ウェブサイト
http://motif.genome.ad.jp/
では、SRY(性決定領域Y遺伝子産物)結合部位(配列番号15,752に従ってナンバリングした場合134..140bp)および1組のMZF1(骨髄性ジンクフィンガー1、CD34およびc−mybの負のレギュレーター、ならびにレチノイン酸応答)結合部位(1843..1850bpおよび403−395bp)をはじめとする転写因子結合部位が確認された。
【0528】
実施例4
hGDMLP−1疾病の関連
hGDMLP−1機能に欠陥および/または発現はヒト疾病の原因となる。そこで、かかる疾病の素因、疾病の存在(診断)、および疾病経過の監視は本明細書で提供されるhGDMLP−1特異的診断組成物および方法を用いて行うことができる。 従って、かかる疾病の治療は本明細書で提供されるhGDMLP−1特異的治療組成物および方法を用いて行うことができる。
【0529】
hGDMLP−1染色体領域にマッピングされる疾病を表3に示す。
【表10】
Figure 2004501617
【0530】
これらの疾病のいくつかはミオシン様遺伝子、特にヒト心臓で発現するミオシン様遺伝子の変化と一致した生理学的特徴を有する。
【0531】
このように、ネコ眼症候群(CES)と呼ばれる虹彩の変化には心臓奇形が不随している場合が多い。小過剰染色体(第21染色体より小さい)が存在し、しばしば2つの動原体を持ち、二サテライト性で、inv dup(22)(q11)を示す。遺伝子候補はまだ同定されていない。
【0532】
22q11欠損症候群を有する者(del 22q11)は、先天性心疾患(患者の74%)、特にコノトランカル欠陥(ファロー四徴症、断続大動脈弓、および動脈幹);口蓋異常(69%)、特にVelocardiofacial(口蓋・心・顔面)機能不全(VPI)、粘膜下口蓋裂、および口蓋裂;特徴的な顔の造作(患者の大多数に存在);および言語障害(70〜90%)をはじめとする一定の所見を有する。
【0533】
ディジョージ症候群(DGS)は大部分の場合が染色体22q11.2の欠損によるものであるが、上皮小体形成不全、胸腺形成不全および心臓の流出管欠陥から生じる低カルシウム血症を特徴とする。この症候群はこれまでには先天性遺伝子欠損であると考えられていたが、同定された遺伝子座の1つまたは数個の遺伝子はこの症候群の特徴的な表現型の病因に主要な役割を果たす可能性がある。いくつかの遺伝子には特徴的な欠損はないが、これらの原因遺伝子の決定的な同定はなされていない。
【0534】
いくつかの疾患が、22q11にマッピングされている別のミオシン様遺伝子であ関連づけられているが、これらの関連づけのいくらかは推測であり、hGDMLP−1における突然変異によるものであるかもしれない。
【0535】
例えば、常染色体優性巨大血小板疾患メイ・ヘグリン異常、フェチトナー症候群およびセバスチャン症候群は血小板減少症、巨大血小板および特徴的な白血球封入の三者を共通して持つ。メイ・ヘグリン異常とフェチトナー症候群は第22染色体の480kbの重複した領域にマッピングされることから、3つの疾患は全て対立遺伝子的である。MYH9は血小板で発現し、かつ、顆粒球分化の際にアップレギュレートされることから、最近、MYH9が可能性のある候補遺伝子であると同定されてはいるが、この疾病とMYH9との関係は推測である(Kelley et al., Nature Genetics 26:106−108 (2000))。
【0536】
22q11にマッピングされているその他の疾患はhGDMLP−1の欠損によるものである可能性があるが、主要な疾病の発現は心筋または骨格筋ではない。
【0537】
例えば、Xiong et al., Am. J. Hum. Genet. 65:1698−1710 (1999)は、不定病巣を有する家族性部分癲癇症候群の疾病遺伝子座を22q11〜q12間にマッピングした。この症候群は前頭部、側頭部、ときには後頭部癲癇病巣から起こる、大部分、夜間発作を特徴とする。この症候群は不完全浸透で常染色体優性形質として遺伝する。
【0538】
いくつかの研究では、第22染色体に精神分裂病罹患性遺伝子座が存在する可能性があることが示唆されている(Gill et al., Am. J. Med. Genet, 67:40−5 (1996))。さらに、Pulver et al. (1994)は口蓋・心・顔面症候群を有する患者での高い精神分裂病発生率を報告しており、これは22q11に位置する。候補遺伝子はまだ同定されていない。
【0539】
オーピッツG症候群(Opitz et al., Birth Defects Orig. Art. Ser. 2: 95−101 (1969)) は隔離症または眼角隔離症;喉頭気管食道裂;唇裂、口蓋裂および垂裂;嚥下困難および嗄声;尿生殖器欠陥、特に男性の尿道下裂および女性のスプレード(splayed)大陰唇;精神遅滞;および先天性心欠陥を特徴とする。オーピッツ症候群はまた、肛門孔の部分または完全閉鎖 (無孔肛門);脳梁の形成不全または非形成;腎臓異常;心欠陥;または精神遅滞をはじめとするさらなる異常を特徴とする場合もある。オーピッツG症候群は22q11.2にマッピングされているが、この疾病と関連づけられた特異的遺伝子はまだない。例えば、Robin et al., Am. J. Med. Genet. 62: 305−317 (1996)参照。
【0540】
先天性白内障は小児盲の全症例の10から30%の間を占める。これら先天性のものは22q11.2〜22q12.2にマッピングされている青色白内障である。β−クリスタリン遺伝子が可能性のある候補遺伝子として同定されているが、決定的な関連は示されていない。
【0541】
さらに、まだhGDMLP−1染色体座にマッピングされることが示されていない疾病でもhGDMLP−1欠損の原因となることを示す。
【0542】
心臓・脈管系の疾病はヒト罹患率および死亡率の著しい原因である。遺伝因子が、全てではないにしてもこれらの疾病の大部分の素因、発病および/または攻撃性の原因であるという発見がますます増えている。単一の遺伝子の突然変異が原因であると確認されている場合もあるが、大抵の場合、これらの疾患はポリジーンが原因であると考えられている。
【0543】
例えば、冠状動脈心疾患、卒中、および末梢動脈血管疾患を含む心血管疾患(CVD)は米国および他の先進国では主要な死因となっている。発展途上地域では、冠状動脈心疾患および卒中ががそれぞれ死因の第二位および第三位にランクされている。米国だけで、毎年、約100万人の死者(年間の全死亡数の約42%)がCVDによるものである。CVDはまた罹患率の主要な原因でもあり、米国では年間約150万人心筋梗塞を患い、約500,000人が卒中を患っている。CVDのリスクは年齢とともに増加し、また、高齢人口はますます増えていることから、CVDは将来も主たる健康問題であり続ける。
【0544】
CVDは、脂肪を含んだ泡沫細胞からなる脂肪縞として始まり、繊維状プラークへと発達する動脈病巣により引き起こされる。アテローム性動脈硬化プラークは徐々に成長し、数十年にわたっていくつかの狭窄を生じ、あるいは動脈閉塞を起こす。安定なプラークもあるが、不安定なものもあり、破裂して血栓となるものもある。血栓は塞栓となり、急速に管腔を閉塞し、心筋梗塞や急性虚血症候群をもたらすこともある。
【0545】
CVDのリスク因子には年齢と性別がある。さらに、CVDの家族歴は著しくリスクを引き上げ、この疾病群の発症が遺伝に基づくことが示されている。肥満、特に動脈幹の肥満(その原因は遺伝的なものであると思われる)もCVDのもう1つのリスク因子である。高脂血症、低αリポタンパク質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高インスリン血症、ホモシスチン尿症、および異βリポタンパク質血症などの家族性疾患(全て脂質およびリポタンパク質異常をもたらす)はCVDの発症に対する素因となり得る。インスリン依存性および非インスリン依存性糖尿病は双方とも遺伝的成分を有し、これもまたアテローム性動脈硬化症の発症に関連づけられている。
【0546】
文献では、心血管疾患の遺伝的原因の証拠が十分ある。例えば、Allayee et al., Am. J. Hum. Genet, 63:577−585(1998)による研究では、家族性複合型高脂血症(FCHL)と小型高密度LDL粒子との間の遺伝的関連を示している。これらの研究はまた、FCHL家族とCVDのリスクがあるより一般的な集団の間で少なくともある程度、LDL粒子サイズの遺伝的決定因子が共有されていると結論付けた。Juo et al., Am. J. Hum. Genet. 63: 586−594 (1998)は小型高密度LDL粒子と高いアポリポタンパク質Bレベルが(双方ともFCHL家族員に一般に見られる)、共通に主要遺伝子および個々のポリジーン成分を共通して持っていることを示した。この共通の主要遺伝子は調節されたLDL粒子サイズの変異体の37%を占め、兆冊されたapoBレベルの変異体の23%を占める。
【0547】
アテローム発生性のリポタンパク質表現型(ALP)は一般遺伝形質であり、この症状としては、小型高密度LDL粒子の優勢、高レベルのトリグリセリド豊富なリポタンパク質、低レベルの高密度リポタンパク質、および高リスクのCVD、特に心筋梗塞が挙げられる。Nishina et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 89: 708−712 (1992)およびRotter et al., Am. J. Hum. Genet. 58:585−594(1996)はいずれも、ALPとLOLR遺伝子座の関連を示している。Rotter et al.(上記)はまた、第16染色体上のCETP遺伝座に対する、および第6染色体上のSOD1遺伝子座に対する、また可能性として第11染色体上のAPOA1/APOC3/APOA4クラスターへの関連を報告している。
【0548】
脂質代謝の成分として同定された遺伝子、例えばアポリポタンパク質E(apoE)およびLDLレセプター(LDLR)における突然変異はCVDの発症に対する素因と関連づけられることが示されている。例えば、いくつかのapoE変異体は、高い血漿コレステロールおよびトリグリセリドレベルならびにアテローム性動脈硬化症の高いリスクを特徴とする家族性異βリポタンパク質血症と関連することが分かっている(de Knijff et al., Mutat 4: 178−194 (1994))。LDLR遺伝子における突然変異は、低密度リポタンパク質(LDL)と結合した血清コレステロールの上昇(これはCDV罹患性の上昇をもたらす)を特徴とする常染色体優性疾患である、家族性高コレステロール血症と関連づけられている
【0549】
これまでに多くの遺伝子の突然変異がCVD罹患性の上昇に関連することが示されている。しかし、確認されている遺伝的連関は、CVDの全ての遺伝的寄与を説明するわけではないと考えられる。
【0550】
なおもう1つの例として、高血圧症は、その高い罹患率とCVDの高いリスクとのその関連から、主要な健康問題となっている。米国では全成人の約25%、60歳を超える高齢者の60%以上が高血圧である。
【0551】
少なくとも2回のその後の来訪時の2回以上の心拡張期BP測定値の平均が90mmHg以上である場合、または2回以上のその後の来訪時の複数の心収縮期の測定値の平均が一貫して140mmHgより高い場合に動脈性または全身性高血圧症と診断される。肺高血圧症は肺動脈系内の血圧が正常範囲より高い場合と定義され、肺高血圧症は右心室(RV)不全をもたらすことがある。
【0552】
高血圧症はその他の心血管リスク因子とともに、主として血管内皮に損傷を与えることでアテローム性動脈硬化症およびその他の形態のCVDをもたらす。米国人工の40%を超えて、高血圧には高脂血症が伴い、アテローム性動脈硬化プラークの発症をもたらす。高脂血症が存在しない場合には、血管内膜の肥厚が生じる。非アテローム性動脈硬化性高血圧症に起こる血管損傷は卒中または心不全をもたらし得る。
【0553】
続発性高血圧症に関連した家族性疾病としては、家族性腎疾患、多発性嚢胞腎疾患、骨髄性甲状腺癌、クロム親和性細胞腫、および上皮小体機能亢進症が挙げられる。高血圧症はまた、糖尿病患者では通常の2倍である。
【0554】
全高血圧症例の95%を超えるものが本態性高血圧症であり、すなわち同定可能な先行する臨床的根拠がない。本態性高血圧症は家族群発を示し、種々の遺伝病による可能性がある。大抵の場合、高血圧は遺伝的要素と環境的要素の双方を有する因子の複雑な相互作用によるものである。本態性高血圧症の発症に寄与する遺伝子の最近の探索では、この疾患がポリジーン起源であることが示されている。しかし、いくつかの例外(アンギオテンシノゲン、アンギオテンシンレセプター−1、グアニンヌクレオチド結合タンパク質のβ−3サブユニット、腫瘍壊死因子レセプター−2、およびα−アズシンなど)はあるが、関連する特定の遺伝子はまだ見つかっていない。
【0555】
本態性高血圧症罹患性遺伝子座は染色体17および15qにマッピングされている。Hasstedt et al., Am. J. Hum. Genet, 43:14−22 (1988)は、高血圧または正常血圧発端者、早期卒中死の姉妹、または早期冠状動脈疾患の兄弟からたどった16のユタ系の1,800人の正常血圧者の赤血球ナトリウムを測定し、赤血球ナトリウムが1つの遺伝子座の4つの対立遺伝子で同定されることを示唆した。この主要遺伝子座は赤血球ナトリウムにおける変動の29%を占め、ポリジーン遺伝は54.6%を占めると思われる。発端者が正常血圧よりも高血圧である家系のほうで高赤血球ナトリウムの遺伝子型がより高頻度であることは、この主要遺伝子座が高血圧罹患性を引き上げることの証拠となった。
【0556】
278家系の心収縮期血圧の研究から、Perusse et al., Am. J. Hum. Genet. 49:94−105 (1991)は、心収縮期血圧の変動が年齢や性別に応じて、単一遺伝子の対立遺伝子バリエーションによって影響を受けている可能性があることを報告している。彼らはまた、単一の遺伝子が男性においても女性においても、年齢に伴う血圧の急上昇と関連していることを示唆した。
【0557】
しかし、他の染色体上にまだ確認されていない高血圧関連の遺伝子座がさらに存在するとい強い証拠がある。
【0558】
例えば、Xu et al., Am. J. Hum. Genet. 64: 1694−1701 (1999)は、367の多形マーカーを用いて全常染色体ゲノムを走査することで、血圧を調節する遺伝子を含む染色体領域に関する体系的調査を行った。サンプリング計画、血族組の数、および遺伝子型分離された両親の有効性のため、この研究はその種の中でも最も有力なものの1つである。5%ゲノム域有意水準に達した領域はないものの、染色体3、11、15、16および17の領域については最大ロッドスコアは2.0を上回った。
【0559】
もう1つの例として、心不整脈は毎年数千の死亡を数えている。心室性細動などの不整脈は米国だけで年間300,000を超えるの突然死を引き起こし、多数の疾患を包含している。もう1つのタイプの不整脈である、家族性拡張性心筋症の20〜25%を占める特発性拡張性心筋症は米国で年間10,000を超える死亡の原因であり、心臓移植の主な適応症である。
【0560】
心不整脈は徐脈性不整脈(遅い脈拍)または頻拍性不整脈(速い脈拍)に分類できる。徐脈性不整脈は主として房室結節とヒス−プルキンエ系内の内因性自動挙動または伝導の異常によるものである。頻拍性不整脈は自動性の変更、再入、または誘発性の自動性によって起こる。
【0561】
推定されるポリジーン疾患から起こる徐脈性不整脈としては、QT延長症候群4、房室ブロック、家族性洞房結節症、進行性心伝導欠陥、および家族性心筋症が挙げられる。おそらくポリジーン因を有する頻拍性不整脈としては、家族性心室性頻拍、ウォルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、家族性不整脈惹起性右心室形成異常、心臓手症候群V、メレダ病、家族性心室性細動、および家族性左心室の非コンパクションが挙げられる。
【0562】
これらの不整脈のなかには、1以上の原因遺伝子が同定されいるものいくつかある。
【0563】
例えば、房室ブロックはSCN5A遺伝子における突然変異、ならびに19q13にマッピングされている遺伝子座の突然変異と関連づけられている。研究では、家族性洞房結節症と10q22−q24上のマーカーとの連鎖が示されている。家族性心室性頻拍はGタンパク質サブユニットα−i2(GNAI1)をコードする遺伝子および/または関連の遺伝子における突然変異と関連づけられている。ウォルフ−パーキンソン−ホワイト症候群の家族の調査では、常染色体優性パターンの遺伝およびこの疾患と7q3バンド上のDNAマーカーとの連鎖の証拠が示唆されている。連鎖解析で、8qter上へのメレダ病遺伝子の局在に関して強い証拠が示されている。家族性心室性細動は心臓カルシウムチャネル遺伝子SCN5Aにおける突然変異によって引き起こされる可能性がある。家族性左心室の非コンパクションはタファジン(TAZ)をコードする遺伝子における、またはFK506結合タンパク質1A遺伝子(FKBP1A)における突然変異と関連づけられている。
【0564】
家族性拡張性心筋症は加齢関連浸透を持つ常染色体優性パターンの遺伝を特徴とする。家族性拡張性心筋症といくつかの遺伝子座との連鎖はそのポリジーン性を示している。これらの遺伝子座としては、1p11−q11上のCMD1A、9q13上のCMD1B、10q21上のCMD1C、1q32上のCMD1D、3p上のCMD1E、6q上のCMD1F、2q31上のCMD1G、2q14−q22上のCMD1Hおよび2q35上のDES遺伝子における突然変異によるCMD1Iが挙げられる。さらに、心筋症はまた、ACTC遺伝子、心臓β−ミオシンH鎖遺伝子(MYH7)、または心臓トロポニンT遺伝子における突然変異によっても引き起こされる可能性がある。
【0565】
家族性不整脈惹起性右心室形成異常は低浸透度の常染色体優性として遺伝し、若年性突然死の主要な遺伝因の1つである。家族性不整脈惹起性右心室形成異常の浸透度は一般集団の6/10,000からあるエリアの4.4/1,000までの範囲にわたると見積もられる。家族性不整脈惹起性右心室形成異常のいくつかの遺伝子座がマッピングされているが、このことはこの疾病もまた本質的にポリジーン性であることを示している。これらの遺伝子座としては、14q23−q24上のARVD1、1q42−q43上のARVD2、14q12−q22上のARVD3、2q32.1−q32.3上のARVD4、3p23上のARVD5、および10p14−p12上のARVD6が挙げられる。
【0566】
進行性心伝導欠陥(PCCD)はLenegre−Lev病とも呼ばれ、最も一般的な心伝導疾患の1つである。これは右または左脚ブロックを有するヒス−プルキンエ系による心伝導の進行性の変化とQRS群の拡がりを特徴とし、完全な房室ブロックをもたらし、ついには失神や突然死を起こす。これは世界でもペースメーカー埋込みの主要な原因となっている(先進国では、年間1,000人つき0.15が埋込み)。PCCDの原因は明らかにされていないが、右脚ブロックを伴う家族症例が報告されており、少なくともいくらかの症例は遺伝起源であることが示唆されている。報告ではPCCDは19q13.3上のHB1およびSCN5A遺伝子における突然変異と関連づけられている(Schott et al., Nature Genet. 23: 20−21 (1999))。
【0567】
なおさらなる例としては、先天性心疾患は1000例の生誕につき8例の割合で起こり、これは米国では年間新たに診断される先天性心疾患乳児約32,000に相当する。先天性心疾患を有する乳児の20%が1年以内に死亡する。1年目に生き残った乳児の約80%は成人まで生存する。先天性心疾患はまた、これらの患者の循環欠陥を修正するのに実施される推定20,000例の外科術により経済的影響を持つ。米国の先天性心疾患を有する成人の推定数は現在のところ約900,000人である。
【0568】
患者の90%では、先天性心疾患は多因子遺伝によるものである。奇形の5〜10%だけが主要遺伝因子によるものであり、染色体か、または単一の突然変異遺伝子の結果かのいずれかである。
【0569】
成人に見られる最も一般的な先天性心疾患は二尖大動脈弁である。この欠陥は一般集団の2%に存在し、成人の大動脈狭窄の術例の約50%を占める。心房中隔欠損症は成人で見られる先天性心疾患の30〜40%を占める。小児集団に見られる最も一般的な先天性心疾患は心室中隔欠損症であり、全先天病変の15〜20%を占める。ファロー四徴症は成人に見られる最も一般的なチアノーゼ性先天性異常である。その他の先天性心疾患としては、アイゼンメイガー症候群、動脈管開存症、肺動脈弁狭窄症、大動脈縮窄症、大動脈転位症、三尖弁閉鎖症、一心室心、エブスタイン奇形、および両大血管右心起始が挙げられる。
【0570】
いくつかの研究では、1以上の先天性心疾患に関連する推定遺伝子座が同定されている。
【0571】
先天性心疾患は全ダウン症候群患者の40%を超る患者が罹患している。ダウン症候群に関連する先天性心疾患の推定遺伝子を含む候補染色体領域はETS2とMX1の間の21q22.2−q22.3である。
【0572】
ディジョージ症候群(DGS)は、ファロー四徴症などの心臓の流出管欠陥をはじめとるいくつかの症状を特徴とする。ほとんどの症例は染色体22q11.2(ディジョージ症候群染色体領域、またはDGCR)の欠損によるものである。22q11の欠損はダウン症候群に次いで2番目に最も多い先天性心疾患症例である。推定転写因子TUPLE1をはじめ、この欠損部ではいくつかの遺伝子が失われている。この欠損は種々の表現型、例えば、Shprintzen症候群;コノトランカル異常顔面(タカオ症候群);およびファロー四徴症、動脈幹および断続大動脈弓をはじめとする心臓の孤立性流出管欠陥と関連づけられている。
【0573】
DGSの症例の90%は今や22q11欠損によるものであり得るが、その他の関連の染色体欠損も確認されている。例えば、Greenberg et al., Am. J. Hum. Genet. 43:605−611 (1988)は、del10p13の欠損を伴う1例のDGSおよび18q21.33の欠損を伴う1例を報告している。Fukushima et al., Am. J. Hum. Genet. 51 (上記):A80 (1992)は、4q2l.3−q25の欠損との関連を報告している。Gottlieb et al., Am. J. Hum. Genet. 62: 495−498 (1998)は、10p上の1を超える領域の欠損がDGS表現型に関連づけることができたとの結論を出している。ディジョージ症候群と少なくとも2つの、おそらくはそれを超える染色体位置との関連は、この疾病におけるいくつかの遺伝子の関与を強く示唆するものである。
【0574】
Digilio et al., J. Med. Genet. 34: 188−190 (1997)は、del(22q11)を排除した後に家族に隔離されたファロー四徴症の再発の経験的リスク像を算出し、22q11におけるそれらの位置とは異なる遺伝子が無症候性ファロー四徴症の家族性群発に関与するに違いないと結論づけた。Johnson et al., Am. J. Med. Genet. (1997)は、159例のファロー四徴症の細胞遺伝学的評価を行った。彼らは、N25コスミドプローブを用いて試験する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を行った14%においてdel(22q11)が同定されたことを報告している。
【0575】
他の先天性心疾患も、ポリジーン起源であると思われる。例えば、Holmes et al., Birth Defects Orig. Art. Ser. X(4):228−230 (1974)は、多因子性の原因と一致する姉妹における形成不全性左心症候群の家族性群発を示している。
【0576】
心臓および脈管系のその他の重要な疾病もまた、遺伝因、典型的にはポリジーン因の要素を持つものと考えられる。これらの疾病としては、例えば、形成不全性左心症候群、心血管形成異常、プファイファー心臓・頭蓋症候群、眼球・顔面・心臓・歯症候群、カプール−トリエロ症候群、ソノダ症候群、Ohdo瞼裂縮小症候群、心臓−手症候群、ピエール・ロバン症候群、ヒルシュスプラング病、コーセッフ症候群、グレーンジ閉塞性動脈症候群、キーンズ・セーアー症候群、カルタゲナー症候群、Alagille 症候群、Ritscher−Schinzel症候群、イベマルク症候群、ヤング・シンプソン症候群、血色素症、Holzgreve 症候群、バルト症候群、スミス−レムリ−オーピッツ症候群、グリコーゲン貯蔵症、ゴーシェ様病、ファブリー病、ローリー−マクリーン症候群、レット症候群、オーピッツ症候群、マルファン症候群、ミラー−デッカー脳回欠損症候群、ムコ多糖沈着症、ブルアダ症候群、humerospinal 異骨症、Phaver 症候群、McDonough症候群、マルファノイド過剰運動症候群、無チランスフェリン血症、コルネリア・デ・ロンギ症候群、レオパード症候群、 ダイアモンド−ブラックファン貧血、ステインフェルド症候群、早老症、およびウィリアムズ−ビューレン症候群が挙げられる。
【0577】
hGDMLP−1欠損は上記疾患の少なくともいくつかの一因であることが分かるであろう。
【0578】
本明細書に記載の全ての特許、特許公報、およびその他の刊行参考文献はあたかも各々が個々に具体的に出典明示により本明細書の一部とされているかのように、出典明示によりそのまま本明細書の一部とする。本明細書に種々の参照文献を挙げることで、出願者らはいずれの参照文献も本発明に「先行する」ものと認めるものではない。
【0579】
特定の実施例が示しているが、上記は例示であって、それに限定されるものではない。これまでに記載の実施形態の1以上の特徴は本発明の他のいずれかの実施形態の1以上の特徴といかようにも組み合わせることができる。さらに、本明細書を振り返れば、当業者ならば本発明の多くの変形が明らかとなるであろう。従って、本発明の範囲は添付のクレームを全範囲の同等な部分とともに参照すれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】その発現が使用者の基準、特に本発明の遺伝子のあるエクソンの心臓特異的発現を確認することに見合う、ゲノム配列におけるエクソンの同定を助けるグラフ表示のスクリーンショットである。
【図2】図2A〜2Lは本発明のヒトゲノム由来ミオシン様タンパク質(hGDMLP−1)をコードするcDNAの配列を、その推定アミノ酸配列とともに示す。
【図3】図3A〜3Cは、本発明のhGDMLP−1コード配列のアライメントを、2つの最も近い既知のオーソログとともに示す。
【図4】本発明のhGDMLP−1およびヒト・ミオシリンのアミノ酸配列のアライメントを示す。
【図5】hGDMLP−1遺伝子のゲノム構成の模式図であり、このタンパク質の44個のエクソンの相対的な位置および大きさ、ならびにそれらのゲノムクローン(BAC)およびcDNAオープンリーディングフレームとの関係を示している。
【図6】本発明のhGDMLP−1の標識断片でプロービングしたノーザンブロットであり、hGDMLP−1に対応する8kb転写物の筋肉および心臓特異的発現を示している。

Claims (61)

  1. (i)配列番号1のヌクレオチド配列、(ii)配列番号2のヌクレオチド配列、(iii)配列番号2ヌクレオチド配列の縮重変異体であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、(v)保存的アミノ酸置換を有する配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、(vi)ある程度保存されたアミノ酸置換を有する配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または(vii)(i)〜(vi)のいずれかのヌクレオチド配列の相補体であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
  2. 高ストリンジェント条件下でプローブとハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、そのプローブの配列が(i)配列番号2からなるか、(ii)配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、(iii)保存的アミノ酸置換を有する配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、または(iv)(i)〜(iii)の相補体である、単離された核酸であって、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸。
  3. 中程度のストリンジェント条件下でプローブとハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、そのプローブの配列が(i)配列番号2からなるか、(ii)配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、(iii)保存的アミノ酸置換を有する配列番号3の配列を有するポリペプチドをコードするか、または(iv)(i)〜(iii)の相補体である、単離された核酸であって、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸。
  4. 配列番号3の少なくとも8個の連続するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸の少なくとも17個のヌクレオチド断片を含み、GenBank受託番号AA993492とは配列が同一でなく、長さが50kb未満である、単離された核酸。
  6. 該核酸または該核酸の相補体がATPアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸。
  7. 該核酸または該核酸の相補体がATPアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする、請求項5に記載の単離された核酸。
  8. 該核酸または該核酸の相補体がカルモジュリンと結合し得るポリペプチドをコードする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸。
  9. 該核酸または該核酸の相補体がカルモジュリンと結合し得るポリペプチドをコードする、請求項5に記載の単離された核酸。
  10. 該核酸または該核酸の相補体が骨格筋および心筋で発現する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸。
  11. 該核酸または該核酸の相補体が骨格筋および心筋で発現する、請求項5に記載の単離された核酸。
  12. 1以上の発現制御エレメントに作動可能なように連結された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
  13. 1以上の発現制御エレメントに作動可能なように連結された、請求項5に記載の単離された核酸分子。
  14. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸分子を含む複製可能なベクター。
  15. 請求項5に記載の単離された核酸分子を含む複製可能なベクター。
  16. 支持体に結合させた、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
  17. 支持体に結合させた、請求項5に記載の単離された核酸分子。
  18. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸分子を含むよう形質転換された宿主細胞、またはその後代。
  19. 請求項5に記載の核酸分子を含むよう形質転換された宿主細胞、またはその後代。
  20. 請求項18に記載の宿主細胞を、該核酸分子によってコードされるタンパク質が発現する条件下で培養することを含む、ポリペプチドの産生方法。
  21. 請求項20に記載の方法によって産生された、単離されたポリペプチド。
  22. (a)配列番号3のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、(b)配列番号3の少なくとも8個のアミノ酸の断片を含む単離されたポリペプチド、(c)(a)または(b)の配列からの少なくとも95%の偏差が保存的置換である、(a)または(b)の単離されたポリペプチド、および(d)(a)または(b)の単離されたポリペプチドと少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチドからなる群から選択される、単離されたポリペプチド。
  23. その結合が請求項22に記載のポリペプチドによって競合阻害され得る、単離された抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体。
  24. 請求項22に記載のポリペプチドの結合相手を同定する方法であって、
    該ポリペプチドを可能性のある結合相手と接触させ、さらに
    その可能性のある結合相手が該ポリペプチドに結合するかどうかを調べる
    ことを含む方法。
  25. 該接触がin vivoで行われる、請求項24に記載の方法。
  26. 請求項1に記載の核酸の発現を調節する方法であって、
    請求項1に記載の核酸の発現を変化させる有効量の薬剤を投与する
    ことを含む方法。
  27. 請求項22に記載のポリペプチドの少なくとも1つの活性を調節する方法であって、
    請求項21または22に記載のポリペプチドの少なくとも1つの活性を調節する有効量の薬剤を投与する
    ことを含む方法。
  28. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸分子を含むように改変したトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物。
  29. 請求項5に記載の核酸分子を含むように改変したトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物。
  30. 請求項22に記載のポリペプチドの内在性のオーソログを発現できないトランスジェニック非ヒト動物。
  31. ヒトhGDMLP−1の突然変異によって起こる疾病を診断する方法であって、
    該疾病の疑いのある被験者由来の核酸サンプルにおいて該突然変異を検出することを含む方法。
  32. ヒトhGDMLP−1の発現の変化によって起こる疾病を診断または監視する方法であって、
    該疾病の疑いのある被験者由来の核酸またはタンパク質サンプルにおいてヒトhGDMLP−1の発現レベルを測定し、正常レベルの発現からの変化が診断および/または監視情報を提供する
    ことを含む方法。
  33. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
  34. 請求項5に記載の核酸を含む医薬組成物。
  35. 請求項22に記載のポリペプチドおよび医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
  36. 請求項23に記載の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
  37. 請求項22に記載のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  38. 請求項22に記載のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  39. 請求項37に記載のアゴニストを含む医薬組成物。
  40. 請求項38に記載のアンタゴニストを含む医薬組成物。
  41. ヒトhGDMLP−1の発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方法であって、かかる治療を必要とする被験者に請求項33〜35または37のいずれかに記載の有効量の医薬組成物を投与することを含む方法。
  42. ヒトhGDMLP−1の発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方法であって、かかる治療を必要とする被験者に請求項36または40に記載の有効量の医薬組成物を投与することを含む方法。
  43. 検出可能なように標識された請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸を含む診断組成物。
  44. 検出可能なように標識された請求項5に記載の核酸を含む診断組成物。
  45. 検出可能なように標識された請求項22に記載のポリペプチドを含む診断組成物。
  46. 請求項23に記載の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体を含む診断組成物。
  47. 該抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体が検出可能なように標識されている、請求項46に記載の診断組成物。
  48. さらにin vivo投与に適している、請求項43に記載の診断組成物。
  49. さらにin vivo投与に適している、請求項44に記載の診断組成物。
  50. さらにin vivo投与に適している、請求項45に記載の診断組成物。
  51. さらにin vivo投与に適している、請求項46に記載の診断組成物。
  52. さらにin vivo投与に適している、請求項47に記載の診断組成物。
  53. アレイの少なくとも1つのプローブが請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸である、マイクロアレイ。
  54. アレイの少なくとも1つのプローブが請求項5に記載の核酸である、マイクロアレイ。
  55. サンプルにおいて標的核酸(該標的は請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸である)を検出する方法であって、
    a)サンプルを、該サンプル中の該標的核酸に相補的な配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含むプローブと、該プローブを該標的へ検出可能なように結合させるに十分なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズさせ、さらに
    b)該結合の有無、所望によりその量を検出する
    ことを含む方法。
  56. サンプルにおいて標的核酸(該標的は請求項5に記載の核酸である)を検出する方法であって
    a)サンプルを、該サンプル中の該標的核酸に相補的な配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含むプローブと、該プローブを該標的へ検出可能なように結合させるに十分なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズさせ、さらに
    b)該結合の有無、所望によりその量を検出する
    ことを含む方法。
  57. 異種アミノ酸配列と融合した請求項22に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
  58. 該異種アミノ酸配列が検出可能な部分である、請求項57に記載の融合タンパク質。
  59. 該検出可能の部分が蛍光性である、請求項58に記載の融合タンパク質。
  60. 該異種アミノ酸配列がIg Fc領域である、請求項57に記載の融合タンパク質。
  61. ヒトhGDMLP−1の発現を調節する薬剤をスクリーニングする方法であって、
    ヒトhGDMLP−1を発現すると考えられる細胞または組織サンプルを化学剤または生物剤と接触させ、次いで
    ヒトhGDMLP−1発現の量を対照のものと比較する
    ことを含む方法。
JP2002500716A 2000-05-26 2001-05-25 ヒト心筋および筋肉で発現したミオシン様遺伝子 Pending JP2004501617A (ja)

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