JP2004362990A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単且つコンパクトな構成で、反応ガスの良好な流れを可能にし、しかも積層方向の薄型化を図る。
【解決手段】燃料電池10は、電解質・電極接合体56を一組のセパレータ58で挟持する。セパレータ58は、プレート60、62を備え、プレート60には、複数の折り曲げ片70が形成される。折り曲げ片70は、プレート62から離間する方向に突出してカソード電極52に接触する第1突起部72aと、前記プレート62側に突出して該プレート62をアノード電極54に接触させる第2突起部72bと、前記プレート62側に突出して該プレート62に接触する第3突起部72cとを設ける。
【選択図】図8
【解決手段】燃料電池10は、電解質・電極接合体56を一組のセパレータ58で挟持する。セパレータ58は、プレート60、62を備え、プレート60には、複数の折り曲げ片70が形成される。折り曲げ片70は、プレート62から離間する方向に突出してカソード電極52に接触する第1突起部72aと、前記プレート62側に突出して該プレート62をアノード電極54に接触させる第2突起部72bと、前記プレート62側に突出して該プレート62に接触する第3突起部72cとを設ける。
【選択図】図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体とセパレータとが交互に積層される燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、固体電解質型燃料電池(SOFC)は、電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いており、この電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した単セル(電解質・電極接合体)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。この燃料電池は、通常、単セルとセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、カソード電極に酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されると、前記カソード電極と電解質との界面でこの酸化剤ガス中の酸素がイオン化(O2−)され、酸素イオンが電解質を通ってアノード電極側に移動する。アノード電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)やCOが供給されているために、このアノード電極において、酸素イオン及び水素(又はCO)が反応して水(又はCO2)が生成される。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている固体電解質型燃料電池は、図25に示すように、発電セル1とセパレータ2とを交互に積層している。発電セル1は、固体電解質層1aと、この固体電解質層1aの両面に配設される燃料極層1b及び空気極層1cとを設けている。発電セル1と一対のセパレータ2との間には、導電性を有する多孔質の燃料極集電体3及び空気極集電体4が介装されている。
【0005】
セパレータ2には、燃料供給通路5と空気供給通路6とが形成される。燃料供給通路5及び空気供給通路6は、セパレータ2の略中央部に延在しており、互いに異なる面から燃料極集電体3及び空気極集電体4に臨む燃料孔5a及び空気孔6aに連通している。
【0006】
このような構成において、燃料ガス(H2、CO等)は、燃料供給通路5を通ってセパレータ2の略中央から燃料極集電体3の中心に向かって吐出される。このため、燃料ガスは、燃料極集電体3内の気孔を通過して燃料極層1bの略中心に供給され、さらに図示しないスリットの案内作用下に前記燃料極層1bの略中心から外周縁に向かって放射状に流れる。
【0007】
同時に、空気は、空気供給通路6を通ってセパレータ2の略中央から空気極集電体4の中心に向かって吐出される。従って、空気は、空気極集電体4内の気孔を通過して空気極層1cの略中心に供給され、さらに、図示しないスリットの案内作用下に前記空気極層1cの略中心から外周縁に向かって放射状に流れる。これにより、各発電セル1で発電が行われる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−203579号公報(段落[0035]〜[0040]、図4)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の特許文献1では、発電セル1とセパレータ2とが交互に積層されるとともに、前記セパレータ2の剛性が比較的高いため、前記セパレータ2自体が成形歪みや熱歪みによって変形した際に、前記発電セル1上の燃料ガス流路や空気流路が変形するおそれがある。
【0010】
特に、燃料ガス流路が変形すると、燃料ガスの流れが不均一になって燃料ガス利用率が低下してしまい、発電性能が低下するという問題がある。しかも、集電部の接触面圧が不均一になり、接触抵抗が増加して集電効率が低下するという問題がある。
【0011】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つコンパクトな構成で、反応ガスの良好な流れを可能にし、しかも積層方向の薄型化を図ることができる燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、セパレータが互いに積層される第1及び第2プレートを備え、前記第1及び第2プレート間には、アノード電極に向かって燃料ガスを供給する燃料ガス通路と、カソード電極に向かって酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路とが形成されている。
【0013】
そして、第1プレートには、プレート面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片が設けられている。折り曲げ片は、第2プレートから離間する方向に突出してセパレータの一方の面側に配置される電解質・電極接合体のカソード電極又はアノード電極に接触する第1突起部と、前記第2プレート側に突出して該第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される電解質・電極接合体のアノード電極又はカソード電極に接触させる第2突起部とを設けている。
【0014】
このため、燃料電池の積層方向に荷重が作用する際、第1及び第2突起部がこの荷重を受けることにより、折り曲げ片だけを経由して該荷重を電解質・電極接合体に伝達することができる。従って、セパレータ全体の剛性を下げながら、電解質・電極接合体と第2プレートとを互いに密着させて相互の密着性を高め、前記電解質・電極接合体を良好に挟持することが可能になる。これにより、電解質・電極接合体にセパレータ全体の歪みが伝わらず、前記セパレータに作用する面圧を均一化して燃料ガスや酸化剤ガスを円滑且つ確実に流すことができる。
【0015】
さらに、複数の折り曲げ部を設けることにより、密着性を高める他、集電部の剛性を高めるとともに、集電密度を上げて効率的な集電が遂行される。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池では、セパレータが互いに積層される第1及び第2プレートを備え、前記第1及び第2プレート間には、アノード電極に向かって燃料ガスを供給する燃料ガス通路と、カソード電極に向かって酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路とが形成されている。
【0017】
そして、第1プレートには、プレート面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片が設けられるとともに、第2プレートには、前記第1プレート側に突出する複数の突出部が設けられている。折り曲げ片は、セパレータの一方の面側に配置される電解質・電極接合体のカソード電極又はアノード電極に接触する一方、突出部に接触して第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される電解質・電極接合体のアノード電極又はカソード電極に接触させている。
【0018】
複数の突出部を設けることにより、反応ガスの流量や圧力が増加しても、この反応ガスの一部が突出部に進入して前記流量や圧力が調整され、前記反応ガスの圧力損失の低減と該反応ガスの均一な流れとが容易に図られる。
【0019】
さらに、本発明の請求項3に係る燃料電池では、折り曲げ片は、第2プレートから離間する方向に突出してセパレータの一方の面側に配置される電解質・電極接合体のカソード電極又はアノード電極に接触する第1突起部と、前記第2プレート側に突出して突出部に接触し、前記第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される電解質・電極接合体のアノード電極又はカソード電極に接触させる第2突起部とを設けている。
【0020】
従って、第2突起部が突出部に接触するため、この突出部の高さ方向の寸法を良好に短尺化することができる。これにより、第2プレートを、例えば、板金加工する際に、加工工数が減少するとともに、突出部の成形密度を高めることが可能になる。
【0021】
さらにまた、本発明の請求項4に係る燃料電池では、折り曲げ片は、第2プレート側に突出し該第2プレートに接触する第3突起部を設けている。従って、第2及び第3突起部が第2プレートに接触し、折り曲げ片の剛性が有効に向上する。一方、第2プレートの突出部を設けなくても、第1及び第2プレート間に反応ガス通路を形成することができ、例えば、前記第2プレートとアノード電極との接触面積を増加することが可能になる。
【0022】
また、本発明の請求項5に係る燃料電池では、酸化剤ガス通路は、折り曲げ片を設けた切り欠き開口部を介してカソード電極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路に連通している。このため、カソード電極全面に酸化剤ガスを均一に供給することができ、発電効率の向上が図られる。
【0023】
さらに、本発明の請求項6に係る燃料電池では、セパレータの中央部には、電解質・電極接合体で反応に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスを含む排ガスを積層方向に排出する排ガス通路が形成されている。これにより、相当に高温になっている排ガスの排熱を、燃料電池自体を加熱するための熱源として回収することができ、熱効率の向上が可能になる。
【0024】
さらにまた、本発明の請求項7に係る燃料電池では、排ガス通路の中央部には、燃料ガス通路に連通する燃料ガス供給連通孔が、該排ガス通路からシールされて積層方向に設けられている。従って、排ガスの排熱を利用して燃料ガスを昇温させることにより、燃料電池の迅速な活性化が図られるとともに、電解質・電極接合体の温度低下を阻止して発電効率を有効に向上させることが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10が複数積層された燃料電池スタック12の概略斜視説明図であり、図2は、前記燃料電池スタック12が筐体19内に収容された燃料電池システム13の一部断面説明図である。
【0026】
燃料電池10は、固体電解質型燃料電池であり、設置用の他、車載用等の種々の用途に用いられている。第1の実施形態では、燃料電池スタック12の適用例として、例えば、図2に示す燃料電池システム13と、図3に示すガスタービン14とが採用されている。
【0027】
ガスタービン14を構成するケーシング16の外周には、燃焼器18の回りに複数、例えば、8基の燃料電池スタック12が45°間隔ずつ離間して装着される。各燃料電池スタック12は、中央側から燃焼器18側の室20に反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスが混在する排ガスが排出される。室20は、排ガスの流れ方向(図3中、矢印X方向)に向かって幅狭となり、その先端側外周部に熱交換器22が外装されている。室20の前端側にタービン(出力タービン)24が配設されており、このタービン24にコンプレッサ26及び発電器28が同軸に連結されている。ガスタービン14は、全体として軸対称に構成されている。
【0028】
タービン24の排出通路30は、熱交換器22の第1通路32に連通するとともに、コンプレッサ26の供給通路34は、前記熱交換器22の第2通路36に連通する。第2通路36は、加熱エア導入通路38を介して各燃料電池スタック12の外周部に連通している。
【0029】
燃料電池10は、図4及び図5に示すように、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質(電解質板)50の両面に、カソード電極52及びアノード電極54が設けられた電解質・電極接合体56を備える。電解質・電極接合体56は、比較的小径な円板状に形成される。アノード電極54は多孔質材で構成されており、このアノード電極54の気孔率は、例えば、20%〜50%、より好ましくは、30%〜45%の範囲内に設定される。
【0030】
燃料電池10は、一組のセパレータ58間に複数、例えば、8個の電解質・電極接合体56を挟んで構成される。セパレータ58間には、このセパレータ58の中心部である燃料ガス供給連通孔44と同心円上に8個の電解質・電極接合体56が配列される。
【0031】
セパレータ58は、互いに積層される複数枚、例えば、2枚のプレート60、62を備える。プレート60、62は、例えば、ステンレス合金等の板金で構成されており、それぞれ波形外周部60a、62aを設けている(図4及び図6参照)。
【0032】
図4〜図6に示すように、プレート(第1プレート)60の中央側には、燃料ガス供給連通孔44及び4つの排ガス通路46を設けるための橋架部63aが形成される。プレート60には、各排ガス通路46を周回する4つの内側突起部64aがプレート(第2プレート)62側に膨出成形される。
【0033】
隣り合う2個の内側突起部64aには、プレート60の外周方向に延在する2つの外側突起部64bが設けられるとともに、内側突起部64aと前記外側突起部64bとの間には、燃料ガス供給連通孔44に連通する燃料ガス通路66が形成される(図7参照)。外側突起部64bは、それぞれ半径外方向に所定の距離だけ突出し、その先端を結ぶ仮想円に沿って8個の電解質・電極接合体56が配列される。
【0034】
プレート60には、円形状折り曲げ部68が各電解質・電極接合体56の形状に対応し仮想円に沿って8カ所に形成される。図7及び図8に示すように、折り曲げ部68は、プレート60の面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片70を備える。各折り曲げ片70は、プレート62から離間する方向に突出して一方の電解質・電極接合体56を構成するカソード電極52に接触する第1突起部72aと、前記第1突起部72aの一端から前記プレート62側に突出して該プレート62を他方の電解質・電極接合体56を構成するアノード電極54に接触させる第2突起部72bと、前記第1突起部72aの他端から前記プレート62側に突出して該プレート62に接触する第3突起部72cとを設ける(図8参照)。
【0035】
具体的には、図9に示すように、プレート60の面内を略コ字状に切り欠いて折り曲げ片70が形成され、この折り曲げ片70を前記プレート60との境界部位から矢印C1方向(プレート62側)に窪ませることにより、第2突起部72bが設けられる。この第2突起部72bから矢印C2方向に突出させて第1突起部72aが設けられるとともに、この第1突起部72aから矢印C1方向に突出させて第3突起部72cが設けられる。プレート60には、各折り曲げ片70を設けることによって酸化剤ガスを流すための切り欠き開口部74が形成される。
【0036】
図6及び図10に示すように、プレート62の中央側には、プレート60の橋架部63aに対向して橋架部63bが形成される。プレート62の燃料ガス供給連通孔44の周囲には、プレート60に向かって突出する内側凹部76が成形され、前記内側凹部76が前記プレート60に接合される際に、前記プレート60、62間には、燃料ガス分配通路66aが形成される(図11参照)。
【0037】
プレート62には、図4、図6及び図10に示すように、仮想円に沿って配列される各電解質・電極接合体56に対応し、前記電解質・電極接合体56から離間する方向に突出する複数の窪み(突出部)78が設けられる。なお、プレート60の外側突起部64bに対応する部位には、窪み78が設けられていない。
【0038】
図8に示すように、各窪み78は、各折り曲げ片70の第2及び第3突起部72b、72cに接触する位置に配置される。プレート62には、各電解質・電極接合体56の中心位置に対応し、すなわち、外側突起部64bの先端部に対応し、燃料ガス通路66に連通する燃料ガス導入口80が貫通形成される。
【0039】
プレート62の波形外周部62aの内方近傍には、この波形外周部62aに沿ってプレート60に向かって突出する外側凹部82が成形される(図6参照)。外側凹部82がプレート60に接合されることにより、プレート60とプレート62との間には、酸化剤ガス通路84が形成される(図12参照)。この酸化剤ガス通路84は、プレート60に形成された複数の切り欠き開口部74に連通する。
【0040】
各セパレータ58間には、図11に示すように、燃料ガス供給連通孔44をシールするための絶縁シール90が設けられるとともに、図12に示すように、波形外周部60a、62a間には、絶縁シール92が設けられる。絶縁シール90としては、例えば、マイカ材やセラミック材が使用される一方、絶縁シール92としては、前記絶縁シール90よりも低剛性な、例えば、セラミック繊維が使用される。
【0041】
図13に示すように、電解質・電極接合体56のアノード電極54と一方のセパレータ58を構成するプレート62とは、互いに密着するとともに、各窪み78に対応して空間94が形成される。電解質・電極接合体56のカソード電極52と他方のセパレータ58を構成するプレート60との間には、酸化剤ガス通路84から切り欠き開口部74を介して連通する酸化剤ガス供給流路96が形成される。酸化剤ガス供給流路96は、各折り曲げ片70の第1突起部72aの高さ寸法に応じて開口寸法が設定される。
【0042】
各セパレータ58は、プレート60の複数の折り曲げ片70がプレート62に接触することにより、前記折り曲げ片70が集電体として機能するとともに、各燃料電池10が矢印A方向に沿って直列的に接続される。
【0043】
図1及び図2に示すように、燃料電池スタック12は、複数の燃料電池10の積層方向両端に円板状のエンドプレート100a、100bを配置する。エンドプレート100aは、絶縁されており、中心部に燃料ガス供給口102が形成され、この燃料ガス供給口102が各燃料電池10の燃料ガス供給連通孔44に連通する。
【0044】
エンドプレート100aには、燃料ガス供給口102を挟んで2個のボルト挿入口104aが形成される。ボルト挿入口104aは、燃料電池スタック12の2つの排ガス通路46に対応している。エンドプレート100aには、燃料ガス供給口102を中心とする仮想円に沿って、すなわち、各電解質・電極接合体56に対応して、8個の円形開口部106が形成される。各円形開口部106には、燃料ガス供給口102に向かって突出する矩形開口部108が連通するとともに、前記矩形開口部108の一部が排ガス通路46に重なっている。
【0045】
エンドプレート100bは、導電部材で構成されている。図2に示すように、このエンドプレート100bの中央部に接続端子部110が軸方向に膨出形成されるとともに、前記接続端子部110を挟んで2個のボルト挿入口104a、104bが形成される。各ボルト挿入口104a、104bは、同軸上に設けられており、2本のボルト112が挿入され、前記ボルト112の先端にナット114が螺合してエンドプレート100a、100b間に所望の締め付け荷重が付与される。接続端子部110は、導線116を介して出力端子118aに電気的に接続される。出力端子118aは、筐体19に固定される。
【0046】
エンドプレート100aの各円形開口部106には、電極面締め付け手段120が配設される。この電極面締め付け手段120は、燃料電池スタック12の積層方向端部に電気的に接触する集電板としての押し付け部材124が配置される。押し付け部材124にスプリング126の一端が当接するとともに、前記スプリング126の他端が受け板128に支持される。スプリング126は、発電時の熱による影響を回避し、さらに絶縁性を有している。この受け板128は、筐体19内に保持されている。
【0047】
各押し付け部材124の端部124aは、燃料電池スタック12の軸方向に屈曲しており、この端部124aと1本のボルト112の一端とは、導線130を介して電気的に接続される。このボルト112の他端(頭部)は、接続端子部110に近接しており、この他端は、導線132を介して出力端子118bに電気的に接続される。出力端子118bは、出力端子118aと近接且つ平行して筐体19に固定される。
【0048】
このように構成される燃料電池スタック12の動作について、以下に説明する。
【0049】
燃料電池10を組み付ける際には、先ず、セパレータ58を構成するプレート60、62が接合されるとともに、リング状の絶縁シール90が燃料ガス供給連通孔44を周回して前記プレート60又は前記プレート62に設けられる。一方、プレート60の波形外周部60a又はプレート62の波形外周部62aには、波形状の絶縁シール92が設けられる。
【0050】
これにより、セパレータ58が構成され、プレート60、62間には、燃料ガス通路66と酸化剤ガス通路84とが形成される(図8及び図13参照)。さらに、燃料ガス通路66は、燃料ガス分配通路66aを介して燃料ガス供給連通孔44に連通する一方、酸化剤ガス通路84は、それぞれの波形外周部60a、62a間から外部に開放されている。
【0051】
次いで、セパレータ58間に電解質・電極接合体56が挟持される。図4及び図5に示すように、各セパレータ58は、互いに対向する面、すなわち、プレート60、62間に8個の電解質・電極接合体56が配置される。このため、図13に示すように、電解質・電極接合体56のカソード電極52とプレート60との間には、複数の切り欠き開口部74を介して酸化剤ガス通路84に連通する酸化剤ガス供給流路96が形成される。
【0052】
一方、電解質・電極接合体56のアノード電極54とプレート62とが密着しており、このアノード電極54内には、燃料ガス導入口80を介して燃料ガス通路66に連通する燃料ガス供給流路140が形成される。さらに、セパレータ58間には、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスを混合して排ガス通路46に導くための排出通路142が形成される。
【0053】
上記のように組み付けられた燃料電池10が矢印A方向に積層されて、燃料電池スタック12が組み立てられる(図1参照)。この燃料電池スタック12は、図2に示すように、電極面締め付け手段120を介して筐体19内に装着される。
【0054】
そこで、燃料電池スタック12を構成するエンドプレート100aの燃料ガス供給口102から燃料ガス供給連通孔44に燃料ガス(例えば、水素含有ガス)が供給されるとともに、前記燃料電池スタック12の外周部側から加圧された酸化剤ガスである酸素含有ガス(以下、空気ともいう)が供給される。燃料ガス供給連通孔44に供給された燃料ガスは、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池10を構成するセパレータ58内の燃料ガス分配通路66aに導入される(図11参照)。
【0055】
図5及び図6に示すように、燃料ガスは、外側突起部64bに沿って燃料ガス通路66を移動し、それぞれの先端部から燃料ガス導入口80に導入される。燃料ガス導入口88は、各電解質・電極接合体56のアノード電極54の中心位置に対応して設けられており、燃料ガスは前記燃料ガス導入口80から前記アノード電極54内に供給され、該アノード電極54内を中心部から外周に向かって流動する(図13参照)。
【0056】
一方、各燃料電池10の外周側から供給される酸化剤ガスは、各セパレータ58のプレート60、62間に形成されている酸化剤ガス通路84に供給される。この酸化剤ガス通路84に供給された酸化剤ガスは、各切り欠き開口部74から酸化剤ガス供給流路96に導入され、電解質・電極接合体56のカソード電極52の全面に均一に供給される(図5及び図13参照)。
【0057】
従って、各電解質・電極接合体56では、アノード電極54内の中心部から外周に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極52の全面に酸化剤ガスが供給される。その際、酸素イオンが電解質50を通ってアノード電極54に移動し、化学反応により発電が行われる。
【0058】
ここで、各燃料電池10は、矢印A方向(積層方向)に電気的に直列に接続されており、図2に示すように、一方の極は、導電性のエンドプレート100bに設けられた接続端子部110から導線116を介して出力端子118aに接続される。他方の極は、電極面締め付け手段120を構成する押し付け部材124及びボルト112を介して出力端子118bに接続される。従って、出力端子118a、118b間に出力を取り出すことができる。
【0059】
また、複数の電解質・電極接合体56のうち、いずれかの電解質・電極接合体56が断線した際にも、残りの電解質・電極接合体56で通電することが可能であり、発電の信頼性を向上させることができる。
【0060】
一方、各電解質・電極接合体56の外周に移動した反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスが混在する排ガスは、セパレータ58間に形成される排出通路142を介して前記セパレータ58の中心部側に移動する。セパレータ58の中心部近傍には、排ガスマニホールドを構成する4つの排ガス通路46が形成されており、排ガスがこの排ガス通路46から外部に排出される。
【0061】
この場合、第1の実施形態では、プレート60の面内に、一部を切り欠いて複数の折り曲げ片70が設けられている。この折り曲げ片70は、図8及び図13に示すように、プレート62から離間する方向に突出して一方の電解質・電極接合体56を構成するカソード電極52に接触する第1突起部72aと、前記プレート62側に突出して該プレート62を他方の電解質・電極接合体56を構成するアノード電極54に接触させる第2及び第3突起部72b、72cとを設けている。
【0062】
このため、燃料電池10の積層方向(矢印A方向)に荷重が作用する際、第1〜第3突起部72a、72b及び72cがこの荷重を受けることにより、該荷重を各折り曲げ片70に伝達することができる。従って、セパレータ58全体の剛性を下げながら、電解質・電極接合体56とプレート(第2プレート)62とを互いに密着させることによって密着性を高め、前記電解質・電極接合体56を良好に挟持することが可能になる。これにより、電解質・電極接合体56にセパレータ58全体の歪みが伝わらず、前記セパレータ58に作用する面圧を均一化して、燃料ガスや酸化剤ガスを円滑且つ確実に流すことができる。
【0063】
さらに、複数の折り曲げ片70を設けることにより、密着性を高める他、集電部の剛性を高めるとともに、集電密度を上げることができ、効率的な集電が遂行される。
【0064】
また、プレート62は、プレート60側に突出する複数の窪み78を設けており、この窪み78は、各折り曲げ片70の第2及び第3突起部72b、72cに接触している。このため、酸化剤ガス通路84が形成されると同時に、プレート62とアノード電極54とが密着する。窪み78を設けることにより、プレート62とアノード電極54との間で燃料ガスの流量や圧力が増加しても、この燃料ガスの一部が前記窪み78に進入して前記流量や前記圧力が調整され、燃料ガスの圧力損失の低減するとともに、燃料ガスの均一な流れを確保することができる。
【0065】
しかも、第2突起部72bが窪み78に接触するため、この窪み78の高さ方向の寸法を良好に短尺化することができる。これにより、プレート62を、例えば、板金加工する際に、加工工数が減少するとともに、窪み78の成形密度を高めることが可能になる。その上、第2及び第3突起部72b、72cが窪み78に接触するため、各折り曲げ片70の剛性が有効に向上する。
【0066】
また、酸化剤ガス通路84は、各折り曲げ片70を設ける切り欠き開口部74を通ってカソード電極52に酸化剤ガスを供給している。このため、カソード電極52の全面に酸化剤ガスを均一に供給することができ、発電効率の向上が図られる。
【0067】
さらに、セパレータ58の中央部には、電解質・電極接合体56で反応に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスを含む排ガスを積層方向に排出する排ガス通路46が形成されている。これにより、相当に高温になっている排ガスの排熱を、燃料電池10自体を加熱するための熱源として回収することができ、熱効率の向上が可能になる。
【0068】
さらにまた、排ガス通路46の中央部には、燃料ガス通路66に連通する燃料ガス供給連通孔44が、該排ガス通路46からシールされて積層方向に設けられている。従って、排ガスの排熱を利用して燃料ガスを昇温させることができ、燃料電池10の迅速な活性化が図られるとともに、電解質・電極接合体56の温度低下を阻止して発電効率を有効に向上させることが可能になる。
【0069】
なお、第1の実施形態では、セパレータ58を構成するプレート60が一方の電解質・電極接合体56のカソード電極52に接触する一方、プレート62が他方の電解質・電極接合体56のアノード電極54に接触しているが、前記プレート60が前記アノード電極54に接触する一方、前記プレート62が前記カソード電極52に接触するように構成してもよい。
【0070】
次に、燃料電池スタック12を、図3に示すガスタービン14に組み込んだ場合の動作について、概略的に説明する。
【0071】
図3に示すように、このガスタービン14では、始動時に燃焼器18が駆動されてタービン24が回転され、コンプレッサ26及び発電器28が駆動される。コンプレッサ26の駆動によって外気が供給通路34に導入され、高圧且つ所定温度(例えば、200℃)になった空気が熱交換器22の第2通路36に送られる。
【0072】
この熱交換器22の第1通路32には、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスである高温の排ガスが供給されており、熱交換器22の第2通路36に導入された空気が加熱される。この加熱された空気は、加熱エア導入通路38を通って燃料電池スタック12を構成する各燃料電池10の外周部に導入される。このため、各燃料電池10で発電が行われ、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスが混在する排ガスは、ケーシング16内の室20に排出される。
【0073】
その際、固体電解質型燃料電池である燃料電池10から排出される排ガスは、800℃〜1000℃の高温となっており、この排ガスがタービン24を回転させて発電器28による発電が行われるとともに、熱交換器22に送られて吸入される外部空気の加熱を行うことができる。これにより、燃焼器18を使用する必要がなく、燃料電池スタック12から排出される排ガスを用いてタービン24を回転させることが可能になる。
【0074】
しかも、排ガスが800℃〜1000℃と高温となっており、燃料電池スタック12に供給される燃料の内部改質を行うことができる。従って、燃料として、例えば、天然ガスやブタン、あるいはガソリン系等の種々の燃料を使用して内部改質を行うことが可能になる。
【0075】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池150の分解斜視図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第9の実施形態でも、同様にその詳細な説明は省略する。
【0076】
燃料電池150は、電解質・電極接合体56を挟持する一組のセパレータ152を備える。このセパレータ152は、例えば、2枚のプレート60、154を設ける。プレート154は、面内に窪みを形成しておらず、平坦状に構成されている。
【0077】
これにより、第2の実施形態では、プレート60、154間に燃料ガス通路66及び酸化剤ガス通路84を形成することができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。しかも、平坦状のプレート154とアノード電極54との接触面積を一層増加させることが可能になる。
【0078】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ160の分解斜視図である。
【0079】
セパレータ160は、例えば、2枚のプレート162、62を備える。プレート162には、各排ガス通路46を周回する4つの内側突起部64aと、この内側突起部64aの外方に設けられて前記内側突起部64aとの間に燃料ガス通路66を形成する外側突起部164とが形成される。
【0080】
図16は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池170の動作説明図であり、図17は、前記燃料電池170の動作を示す一部分解斜視説明図である。
【0081】
燃料電池170は、一組のセパレータ172を介して複数、例えば、16個の電解質・電極接合体56を挟んで構成される。セパレータ172の面内には、このセパレータ172の中心部である燃料ガス供給連通孔44と同心円上に8個の電解質・電極接合体56が配列される内周側配列層P1と、この内周側配列層P1の外周に8個の電解質・電極接合体56が配列される外周側配列層P2とが設けられる(図16参照)。
【0082】
セパレータ172は、プレート174、176を備える。図18に示すように、プレート174には、各排ガス通路46を周回する4つの内側突起部64aと、この内側突起部64aの外方に設けられて前記内側突起部64aとの間に燃料ガス通路178を形成する外側突起部180とが形成される。
【0083】
外側突起部180は、それぞれ半径外方向に所定の距離だけ突出する複数の第1壁部182aと第2壁部182bとを交互に設けている。第1壁部182aは、先端を結ぶ仮想円が内周側配列層P1の中心線を形成し、この内周側配列層P1に沿って8個の電解質・電極接合体56が配列される。第1壁部182a間には、この第1壁部182aよりも長尺な第2壁部182bが設けられ、前記第2壁部182bの先端を通る仮想円により外周側配列層P2の中心線が形成される。この外周側配列層P2の中心線に沿って8個の電解質・電極接合体56が配列される。
【0084】
プレート174には、内周側配列層P1と外周側配列層P2とに配設される電解質・電極接合体56に対応して円形折り曲げ部184が16カ所に形成される。各円形折り曲げ部184は、複数の折り曲げ片70を備えている。
【0085】
図17に示すように、プレート176には、内周側配列層P1と外周側配列層P2とに沿って配設される電解質・電極接合体56に対応し、前記電解質・電極接合体56から離間する方向に突出する複数の窪み(突出部)78が設けられる。プレート176には、各電解質・電極接合体56の中心位置に対応して燃料ガス導入口80が16カ所に形成される。
【0086】
このように構成される第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、特に燃料電池170が16個の電解質・電極接合体56を備えており、前記燃料電池170の高出力化が容易に図られるという利点がある。
【0087】
図19は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池190の分解斜視図である。
【0088】
燃料電池190は、電解質・電極接合体192を挟持する一組のセパレータ194を備える。電解質・電極接合体192は、例えば、リングを8等分した形状(扇形状)に設定されている。
【0089】
図19及び図20に示すように、セパレータ194は、例えば、2枚のプレート196、198を設けており、このプレート196には、各電解質・電極接合体192の形状に対応して扇形折り曲げ部200が8カ所に形成される。各扇形折り曲げ部200は、複数の折り曲げ片70を設けるとともに、前記折り曲げ片70は、プレート196の中心に向かって整列される。プレート198には、各電解質・電極接合体192の形状に対応して窪み78が配設される。
【0090】
このように構成される第5の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、電解質・電極接合体192の発電面積が良好に拡大可能であるという利点がある。
【0091】
図21は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池210の分解斜視図である。この燃料電池210は、リング状の電解質・電極接合体212を一組のセパレータ194で挟持して構成されている。従って、上記の第5の実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
図22は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池220の一部省略断面図である。
【0093】
燃料電池220は、電解質・電極接合体56を挟持する一組のセパレータ222を備え、前記セパレータ222は、プレート224、226を設ける。プレート224は、複数の折り曲げ片228を形成するとともに、前記折り曲げ片228は、プレート226から離間する方向に突出してカソード電極52に接触する突起部230を有する。突起部230は、第1の実施形態の第1突起部72aに比べて幅広に構成されており、前記第1突起部72aよりも低い剛性に設定される。
【0094】
プレート226には、プレート224に向かって突出する複数の窪み(突出部)232が形成される。窪み232は、第1の実施形態の窪み78よりも深さが大きく設定されており、この窪み232は、突起部230の両肩部234a、234bに接触して所望の剛性を確保している。
【0095】
図23は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池240の一部省略断面図である。
【0096】
燃料電池240を構成するセパレータ242は、プレート224a、226aを備える。プレート224aに設けられた折り曲げ片228は、プレート226aに設けられた窪み232の位置からずれている。すなわち、突起部230の肩部234bのみが窪み232に接触しており、セパレータ242は、第7の実施形態に比べて剛性を小さく設定することができる。
【0097】
図24は、本発明の第9の実施形態に係る燃料電池250の一部省略断面図である。
【0098】
燃料電池250を構成するセパレータ252は、プレート254、62を備える。プレート254に設けられた折り曲げ片256は、第1及び第2突起部72a、72bを有するとともに、前記第1突起部72aの端部は、カソード電極52から折り返して窪み78に接触することなく終端する。
【0099】
従って、第9の実施形態では、第1突起部72aがカソード電極52に接触する一方、第2突起部72bがプレート62の窪み78に接触することにより、第1の実施形態に比べて、セパレータ252の剛性を小さく設定することが可能になる。
【0100】
なお、第7〜第9の実施形態では、プレート226、226a及び62に窪み232及び78を設けることなく、前記プレート226、226a及び62を平坦面状に構成してもよい。また、これらを種々組み合わせることにより、所望の剛性を容易に得ることができる。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、セパレータが第1及び第2プレートを備え、この第1プレートに第1及び第2突起部が設けられるとともに、燃料電池の積層方向に荷重が作用する際、前記第1及び第2突起部がこの荷重を受けることにより、該荷重を折り曲げ片に伝達することができる。従って、セパレータ全体の剛性を下げながら、電解質・電極接合体と第2プレートとを互いに密着させることで密着性を高め、前記電解質・電極接合体を良好に挟持することが可能になる。これにより、電解質・電極接合体にセパレータ全体の歪みが伝わらず、セパレータに作用する面圧を均一化して燃料ガスや酸化剤ガスが円滑且つ確実に流れる。
【0102】
さらに、第2突起部と第2プレートとの間には、反応ガス通路が形成される。これにより、燃料電池は、積層方向の寸法を有効に減少させることが可能になる。しかも、複数の折り曲げ部を設けることにより、集電部の剛性を高めるとともに、集電密度を上げて効率的な集電が遂行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックが筐体内に収容された燃料電池システムの一部断面説明図である。
【図3】前記燃料電池スタックを組み込むガスタービンの概略構成を示す断面説明図である。
【図4】前記燃料電池の分解斜視図である。
【図5】前記燃料電池の動作を示す一部分解斜視説明図である。
【図6】前記燃料電池を構成するセパレータの分解斜視説明図である。
【図7】前記セパレータを構成する一方のプレートの一部拡大正面説明図である。
【図8】前記燃料電池の一部省略断面図である。
【図9】前記セパレータに設けられる折り曲げ片の斜視説明図である。
【図10】前記セパレータを構成する他方のプレートの一部拡大正面説明図である。
【図11】前記燃料電池の中心部の拡大断面図である。
【図12】前記燃料電池の外周縁部の拡大断面図である。
【図13】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの分解斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の動作説明図である。
【図17】前記燃料電池の動作を示す一部分解斜視説明図である。
【図18】前記燃料電池のセパレータを構成する一方のプレートの一部拡大正面説明図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
【図20】前記燃料電池を構成するセパレータの分解斜視図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
【図22】本発明の第7の実施形態に係る燃料電池の一部省略断面図である。
【図23】本発明の第8の実施形態に係る燃料電池の一部省略断面図である。
【図24】本発明の第9の実施形態に係る燃料電池の一部省略断面図である。
【図25】特許文献1に係る燃料電池の断面説明図である。
【符号の説明】
10、150、170、190、210、220、240、250…燃料電池
12…燃料電池スタック 13…燃料電池システム
14…ガスタービン 19…筐体
44…燃料ガス供給連通孔 46…排ガス通路
50…電解質 52…カソード電極
54…アノード電極
56、192、212…電解質・電極接合体
58、152、160、172、194、222、242、252…セパレータ
60、62、154、162、174、176、196、198、224、224a、226、226a、254…プレート
66、178…燃料ガス通路 66a…燃料ガス分配通路
68…折り曲げ部 70、228、256…折り曲げ片
72a〜72c、230…突起部 74…切り欠き開口部
78、232…窪み 80、88…燃料ガス導入口
90、92…絶縁シール 96…酸化剤ガス供給流路
100a、100b…エンドプレート
118a、118b…出力端子 120…電極面締め付け手段
140…燃料ガス供給流路 200…扇形折り曲げ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体とセパレータとが交互に積層される燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、固体電解質型燃料電池(SOFC)は、電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いており、この電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した単セル(電解質・電極接合体)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。この燃料電池は、通常、単セルとセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、カソード電極に酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されると、前記カソード電極と電解質との界面でこの酸化剤ガス中の酸素がイオン化(O2−)され、酸素イオンが電解質を通ってアノード電極側に移動する。アノード電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)やCOが供給されているために、このアノード電極において、酸素イオン及び水素(又はCO)が反応して水(又はCO2)が生成される。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている固体電解質型燃料電池は、図25に示すように、発電セル1とセパレータ2とを交互に積層している。発電セル1は、固体電解質層1aと、この固体電解質層1aの両面に配設される燃料極層1b及び空気極層1cとを設けている。発電セル1と一対のセパレータ2との間には、導電性を有する多孔質の燃料極集電体3及び空気極集電体4が介装されている。
【0005】
セパレータ2には、燃料供給通路5と空気供給通路6とが形成される。燃料供給通路5及び空気供給通路6は、セパレータ2の略中央部に延在しており、互いに異なる面から燃料極集電体3及び空気極集電体4に臨む燃料孔5a及び空気孔6aに連通している。
【0006】
このような構成において、燃料ガス(H2、CO等)は、燃料供給通路5を通ってセパレータ2の略中央から燃料極集電体3の中心に向かって吐出される。このため、燃料ガスは、燃料極集電体3内の気孔を通過して燃料極層1bの略中心に供給され、さらに図示しないスリットの案内作用下に前記燃料極層1bの略中心から外周縁に向かって放射状に流れる。
【0007】
同時に、空気は、空気供給通路6を通ってセパレータ2の略中央から空気極集電体4の中心に向かって吐出される。従って、空気は、空気極集電体4内の気孔を通過して空気極層1cの略中心に供給され、さらに、図示しないスリットの案内作用下に前記空気極層1cの略中心から外周縁に向かって放射状に流れる。これにより、各発電セル1で発電が行われる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−203579号公報(段落[0035]〜[0040]、図4)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の特許文献1では、発電セル1とセパレータ2とが交互に積層されるとともに、前記セパレータ2の剛性が比較的高いため、前記セパレータ2自体が成形歪みや熱歪みによって変形した際に、前記発電セル1上の燃料ガス流路や空気流路が変形するおそれがある。
【0010】
特に、燃料ガス流路が変形すると、燃料ガスの流れが不均一になって燃料ガス利用率が低下してしまい、発電性能が低下するという問題がある。しかも、集電部の接触面圧が不均一になり、接触抵抗が増加して集電効率が低下するという問題がある。
【0011】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つコンパクトな構成で、反応ガスの良好な流れを可能にし、しかも積層方向の薄型化を図ることができる燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、セパレータが互いに積層される第1及び第2プレートを備え、前記第1及び第2プレート間には、アノード電極に向かって燃料ガスを供給する燃料ガス通路と、カソード電極に向かって酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路とが形成されている。
【0013】
そして、第1プレートには、プレート面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片が設けられている。折り曲げ片は、第2プレートから離間する方向に突出してセパレータの一方の面側に配置される電解質・電極接合体のカソード電極又はアノード電極に接触する第1突起部と、前記第2プレート側に突出して該第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される電解質・電極接合体のアノード電極又はカソード電極に接触させる第2突起部とを設けている。
【0014】
このため、燃料電池の積層方向に荷重が作用する際、第1及び第2突起部がこの荷重を受けることにより、折り曲げ片だけを経由して該荷重を電解質・電極接合体に伝達することができる。従って、セパレータ全体の剛性を下げながら、電解質・電極接合体と第2プレートとを互いに密着させて相互の密着性を高め、前記電解質・電極接合体を良好に挟持することが可能になる。これにより、電解質・電極接合体にセパレータ全体の歪みが伝わらず、前記セパレータに作用する面圧を均一化して燃料ガスや酸化剤ガスを円滑且つ確実に流すことができる。
【0015】
さらに、複数の折り曲げ部を設けることにより、密着性を高める他、集電部の剛性を高めるとともに、集電密度を上げて効率的な集電が遂行される。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池では、セパレータが互いに積層される第1及び第2プレートを備え、前記第1及び第2プレート間には、アノード電極に向かって燃料ガスを供給する燃料ガス通路と、カソード電極に向かって酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路とが形成されている。
【0017】
そして、第1プレートには、プレート面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片が設けられるとともに、第2プレートには、前記第1プレート側に突出する複数の突出部が設けられている。折り曲げ片は、セパレータの一方の面側に配置される電解質・電極接合体のカソード電極又はアノード電極に接触する一方、突出部に接触して第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される電解質・電極接合体のアノード電極又はカソード電極に接触させている。
【0018】
複数の突出部を設けることにより、反応ガスの流量や圧力が増加しても、この反応ガスの一部が突出部に進入して前記流量や圧力が調整され、前記反応ガスの圧力損失の低減と該反応ガスの均一な流れとが容易に図られる。
【0019】
さらに、本発明の請求項3に係る燃料電池では、折り曲げ片は、第2プレートから離間する方向に突出してセパレータの一方の面側に配置される電解質・電極接合体のカソード電極又はアノード電極に接触する第1突起部と、前記第2プレート側に突出して突出部に接触し、前記第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される電解質・電極接合体のアノード電極又はカソード電極に接触させる第2突起部とを設けている。
【0020】
従って、第2突起部が突出部に接触するため、この突出部の高さ方向の寸法を良好に短尺化することができる。これにより、第2プレートを、例えば、板金加工する際に、加工工数が減少するとともに、突出部の成形密度を高めることが可能になる。
【0021】
さらにまた、本発明の請求項4に係る燃料電池では、折り曲げ片は、第2プレート側に突出し該第2プレートに接触する第3突起部を設けている。従って、第2及び第3突起部が第2プレートに接触し、折り曲げ片の剛性が有効に向上する。一方、第2プレートの突出部を設けなくても、第1及び第2プレート間に反応ガス通路を形成することができ、例えば、前記第2プレートとアノード電極との接触面積を増加することが可能になる。
【0022】
また、本発明の請求項5に係る燃料電池では、酸化剤ガス通路は、折り曲げ片を設けた切り欠き開口部を介してカソード電極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路に連通している。このため、カソード電極全面に酸化剤ガスを均一に供給することができ、発電効率の向上が図られる。
【0023】
さらに、本発明の請求項6に係る燃料電池では、セパレータの中央部には、電解質・電極接合体で反応に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスを含む排ガスを積層方向に排出する排ガス通路が形成されている。これにより、相当に高温になっている排ガスの排熱を、燃料電池自体を加熱するための熱源として回収することができ、熱効率の向上が可能になる。
【0024】
さらにまた、本発明の請求項7に係る燃料電池では、排ガス通路の中央部には、燃料ガス通路に連通する燃料ガス供給連通孔が、該排ガス通路からシールされて積層方向に設けられている。従って、排ガスの排熱を利用して燃料ガスを昇温させることにより、燃料電池の迅速な活性化が図られるとともに、電解質・電極接合体の温度低下を阻止して発電効率を有効に向上させることが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10が複数積層された燃料電池スタック12の概略斜視説明図であり、図2は、前記燃料電池スタック12が筐体19内に収容された燃料電池システム13の一部断面説明図である。
【0026】
燃料電池10は、固体電解質型燃料電池であり、設置用の他、車載用等の種々の用途に用いられている。第1の実施形態では、燃料電池スタック12の適用例として、例えば、図2に示す燃料電池システム13と、図3に示すガスタービン14とが採用されている。
【0027】
ガスタービン14を構成するケーシング16の外周には、燃焼器18の回りに複数、例えば、8基の燃料電池スタック12が45°間隔ずつ離間して装着される。各燃料電池スタック12は、中央側から燃焼器18側の室20に反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスが混在する排ガスが排出される。室20は、排ガスの流れ方向(図3中、矢印X方向)に向かって幅狭となり、その先端側外周部に熱交換器22が外装されている。室20の前端側にタービン(出力タービン)24が配設されており、このタービン24にコンプレッサ26及び発電器28が同軸に連結されている。ガスタービン14は、全体として軸対称に構成されている。
【0028】
タービン24の排出通路30は、熱交換器22の第1通路32に連通するとともに、コンプレッサ26の供給通路34は、前記熱交換器22の第2通路36に連通する。第2通路36は、加熱エア導入通路38を介して各燃料電池スタック12の外周部に連通している。
【0029】
燃料電池10は、図4及び図5に示すように、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質(電解質板)50の両面に、カソード電極52及びアノード電極54が設けられた電解質・電極接合体56を備える。電解質・電極接合体56は、比較的小径な円板状に形成される。アノード電極54は多孔質材で構成されており、このアノード電極54の気孔率は、例えば、20%〜50%、より好ましくは、30%〜45%の範囲内に設定される。
【0030】
燃料電池10は、一組のセパレータ58間に複数、例えば、8個の電解質・電極接合体56を挟んで構成される。セパレータ58間には、このセパレータ58の中心部である燃料ガス供給連通孔44と同心円上に8個の電解質・電極接合体56が配列される。
【0031】
セパレータ58は、互いに積層される複数枚、例えば、2枚のプレート60、62を備える。プレート60、62は、例えば、ステンレス合金等の板金で構成されており、それぞれ波形外周部60a、62aを設けている(図4及び図6参照)。
【0032】
図4〜図6に示すように、プレート(第1プレート)60の中央側には、燃料ガス供給連通孔44及び4つの排ガス通路46を設けるための橋架部63aが形成される。プレート60には、各排ガス通路46を周回する4つの内側突起部64aがプレート(第2プレート)62側に膨出成形される。
【0033】
隣り合う2個の内側突起部64aには、プレート60の外周方向に延在する2つの外側突起部64bが設けられるとともに、内側突起部64aと前記外側突起部64bとの間には、燃料ガス供給連通孔44に連通する燃料ガス通路66が形成される(図7参照)。外側突起部64bは、それぞれ半径外方向に所定の距離だけ突出し、その先端を結ぶ仮想円に沿って8個の電解質・電極接合体56が配列される。
【0034】
プレート60には、円形状折り曲げ部68が各電解質・電極接合体56の形状に対応し仮想円に沿って8カ所に形成される。図7及び図8に示すように、折り曲げ部68は、プレート60の面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片70を備える。各折り曲げ片70は、プレート62から離間する方向に突出して一方の電解質・電極接合体56を構成するカソード電極52に接触する第1突起部72aと、前記第1突起部72aの一端から前記プレート62側に突出して該プレート62を他方の電解質・電極接合体56を構成するアノード電極54に接触させる第2突起部72bと、前記第1突起部72aの他端から前記プレート62側に突出して該プレート62に接触する第3突起部72cとを設ける(図8参照)。
【0035】
具体的には、図9に示すように、プレート60の面内を略コ字状に切り欠いて折り曲げ片70が形成され、この折り曲げ片70を前記プレート60との境界部位から矢印C1方向(プレート62側)に窪ませることにより、第2突起部72bが設けられる。この第2突起部72bから矢印C2方向に突出させて第1突起部72aが設けられるとともに、この第1突起部72aから矢印C1方向に突出させて第3突起部72cが設けられる。プレート60には、各折り曲げ片70を設けることによって酸化剤ガスを流すための切り欠き開口部74が形成される。
【0036】
図6及び図10に示すように、プレート62の中央側には、プレート60の橋架部63aに対向して橋架部63bが形成される。プレート62の燃料ガス供給連通孔44の周囲には、プレート60に向かって突出する内側凹部76が成形され、前記内側凹部76が前記プレート60に接合される際に、前記プレート60、62間には、燃料ガス分配通路66aが形成される(図11参照)。
【0037】
プレート62には、図4、図6及び図10に示すように、仮想円に沿って配列される各電解質・電極接合体56に対応し、前記電解質・電極接合体56から離間する方向に突出する複数の窪み(突出部)78が設けられる。なお、プレート60の外側突起部64bに対応する部位には、窪み78が設けられていない。
【0038】
図8に示すように、各窪み78は、各折り曲げ片70の第2及び第3突起部72b、72cに接触する位置に配置される。プレート62には、各電解質・電極接合体56の中心位置に対応し、すなわち、外側突起部64bの先端部に対応し、燃料ガス通路66に連通する燃料ガス導入口80が貫通形成される。
【0039】
プレート62の波形外周部62aの内方近傍には、この波形外周部62aに沿ってプレート60に向かって突出する外側凹部82が成形される(図6参照)。外側凹部82がプレート60に接合されることにより、プレート60とプレート62との間には、酸化剤ガス通路84が形成される(図12参照)。この酸化剤ガス通路84は、プレート60に形成された複数の切り欠き開口部74に連通する。
【0040】
各セパレータ58間には、図11に示すように、燃料ガス供給連通孔44をシールするための絶縁シール90が設けられるとともに、図12に示すように、波形外周部60a、62a間には、絶縁シール92が設けられる。絶縁シール90としては、例えば、マイカ材やセラミック材が使用される一方、絶縁シール92としては、前記絶縁シール90よりも低剛性な、例えば、セラミック繊維が使用される。
【0041】
図13に示すように、電解質・電極接合体56のアノード電極54と一方のセパレータ58を構成するプレート62とは、互いに密着するとともに、各窪み78に対応して空間94が形成される。電解質・電極接合体56のカソード電極52と他方のセパレータ58を構成するプレート60との間には、酸化剤ガス通路84から切り欠き開口部74を介して連通する酸化剤ガス供給流路96が形成される。酸化剤ガス供給流路96は、各折り曲げ片70の第1突起部72aの高さ寸法に応じて開口寸法が設定される。
【0042】
各セパレータ58は、プレート60の複数の折り曲げ片70がプレート62に接触することにより、前記折り曲げ片70が集電体として機能するとともに、各燃料電池10が矢印A方向に沿って直列的に接続される。
【0043】
図1及び図2に示すように、燃料電池スタック12は、複数の燃料電池10の積層方向両端に円板状のエンドプレート100a、100bを配置する。エンドプレート100aは、絶縁されており、中心部に燃料ガス供給口102が形成され、この燃料ガス供給口102が各燃料電池10の燃料ガス供給連通孔44に連通する。
【0044】
エンドプレート100aには、燃料ガス供給口102を挟んで2個のボルト挿入口104aが形成される。ボルト挿入口104aは、燃料電池スタック12の2つの排ガス通路46に対応している。エンドプレート100aには、燃料ガス供給口102を中心とする仮想円に沿って、すなわち、各電解質・電極接合体56に対応して、8個の円形開口部106が形成される。各円形開口部106には、燃料ガス供給口102に向かって突出する矩形開口部108が連通するとともに、前記矩形開口部108の一部が排ガス通路46に重なっている。
【0045】
エンドプレート100bは、導電部材で構成されている。図2に示すように、このエンドプレート100bの中央部に接続端子部110が軸方向に膨出形成されるとともに、前記接続端子部110を挟んで2個のボルト挿入口104a、104bが形成される。各ボルト挿入口104a、104bは、同軸上に設けられており、2本のボルト112が挿入され、前記ボルト112の先端にナット114が螺合してエンドプレート100a、100b間に所望の締め付け荷重が付与される。接続端子部110は、導線116を介して出力端子118aに電気的に接続される。出力端子118aは、筐体19に固定される。
【0046】
エンドプレート100aの各円形開口部106には、電極面締め付け手段120が配設される。この電極面締め付け手段120は、燃料電池スタック12の積層方向端部に電気的に接触する集電板としての押し付け部材124が配置される。押し付け部材124にスプリング126の一端が当接するとともに、前記スプリング126の他端が受け板128に支持される。スプリング126は、発電時の熱による影響を回避し、さらに絶縁性を有している。この受け板128は、筐体19内に保持されている。
【0047】
各押し付け部材124の端部124aは、燃料電池スタック12の軸方向に屈曲しており、この端部124aと1本のボルト112の一端とは、導線130を介して電気的に接続される。このボルト112の他端(頭部)は、接続端子部110に近接しており、この他端は、導線132を介して出力端子118bに電気的に接続される。出力端子118bは、出力端子118aと近接且つ平行して筐体19に固定される。
【0048】
このように構成される燃料電池スタック12の動作について、以下に説明する。
【0049】
燃料電池10を組み付ける際には、先ず、セパレータ58を構成するプレート60、62が接合されるとともに、リング状の絶縁シール90が燃料ガス供給連通孔44を周回して前記プレート60又は前記プレート62に設けられる。一方、プレート60の波形外周部60a又はプレート62の波形外周部62aには、波形状の絶縁シール92が設けられる。
【0050】
これにより、セパレータ58が構成され、プレート60、62間には、燃料ガス通路66と酸化剤ガス通路84とが形成される(図8及び図13参照)。さらに、燃料ガス通路66は、燃料ガス分配通路66aを介して燃料ガス供給連通孔44に連通する一方、酸化剤ガス通路84は、それぞれの波形外周部60a、62a間から外部に開放されている。
【0051】
次いで、セパレータ58間に電解質・電極接合体56が挟持される。図4及び図5に示すように、各セパレータ58は、互いに対向する面、すなわち、プレート60、62間に8個の電解質・電極接合体56が配置される。このため、図13に示すように、電解質・電極接合体56のカソード電極52とプレート60との間には、複数の切り欠き開口部74を介して酸化剤ガス通路84に連通する酸化剤ガス供給流路96が形成される。
【0052】
一方、電解質・電極接合体56のアノード電極54とプレート62とが密着しており、このアノード電極54内には、燃料ガス導入口80を介して燃料ガス通路66に連通する燃料ガス供給流路140が形成される。さらに、セパレータ58間には、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスを混合して排ガス通路46に導くための排出通路142が形成される。
【0053】
上記のように組み付けられた燃料電池10が矢印A方向に積層されて、燃料電池スタック12が組み立てられる(図1参照)。この燃料電池スタック12は、図2に示すように、電極面締め付け手段120を介して筐体19内に装着される。
【0054】
そこで、燃料電池スタック12を構成するエンドプレート100aの燃料ガス供給口102から燃料ガス供給連通孔44に燃料ガス(例えば、水素含有ガス)が供給されるとともに、前記燃料電池スタック12の外周部側から加圧された酸化剤ガスである酸素含有ガス(以下、空気ともいう)が供給される。燃料ガス供給連通孔44に供給された燃料ガスは、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池10を構成するセパレータ58内の燃料ガス分配通路66aに導入される(図11参照)。
【0055】
図5及び図6に示すように、燃料ガスは、外側突起部64bに沿って燃料ガス通路66を移動し、それぞれの先端部から燃料ガス導入口80に導入される。燃料ガス導入口88は、各電解質・電極接合体56のアノード電極54の中心位置に対応して設けられており、燃料ガスは前記燃料ガス導入口80から前記アノード電極54内に供給され、該アノード電極54内を中心部から外周に向かって流動する(図13参照)。
【0056】
一方、各燃料電池10の外周側から供給される酸化剤ガスは、各セパレータ58のプレート60、62間に形成されている酸化剤ガス通路84に供給される。この酸化剤ガス通路84に供給された酸化剤ガスは、各切り欠き開口部74から酸化剤ガス供給流路96に導入され、電解質・電極接合体56のカソード電極52の全面に均一に供給される(図5及び図13参照)。
【0057】
従って、各電解質・電極接合体56では、アノード電極54内の中心部から外周に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極52の全面に酸化剤ガスが供給される。その際、酸素イオンが電解質50を通ってアノード電極54に移動し、化学反応により発電が行われる。
【0058】
ここで、各燃料電池10は、矢印A方向(積層方向)に電気的に直列に接続されており、図2に示すように、一方の極は、導電性のエンドプレート100bに設けられた接続端子部110から導線116を介して出力端子118aに接続される。他方の極は、電極面締め付け手段120を構成する押し付け部材124及びボルト112を介して出力端子118bに接続される。従って、出力端子118a、118b間に出力を取り出すことができる。
【0059】
また、複数の電解質・電極接合体56のうち、いずれかの電解質・電極接合体56が断線した際にも、残りの電解質・電極接合体56で通電することが可能であり、発電の信頼性を向上させることができる。
【0060】
一方、各電解質・電極接合体56の外周に移動した反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスが混在する排ガスは、セパレータ58間に形成される排出通路142を介して前記セパレータ58の中心部側に移動する。セパレータ58の中心部近傍には、排ガスマニホールドを構成する4つの排ガス通路46が形成されており、排ガスがこの排ガス通路46から外部に排出される。
【0061】
この場合、第1の実施形態では、プレート60の面内に、一部を切り欠いて複数の折り曲げ片70が設けられている。この折り曲げ片70は、図8及び図13に示すように、プレート62から離間する方向に突出して一方の電解質・電極接合体56を構成するカソード電極52に接触する第1突起部72aと、前記プレート62側に突出して該プレート62を他方の電解質・電極接合体56を構成するアノード電極54に接触させる第2及び第3突起部72b、72cとを設けている。
【0062】
このため、燃料電池10の積層方向(矢印A方向)に荷重が作用する際、第1〜第3突起部72a、72b及び72cがこの荷重を受けることにより、該荷重を各折り曲げ片70に伝達することができる。従って、セパレータ58全体の剛性を下げながら、電解質・電極接合体56とプレート(第2プレート)62とを互いに密着させることによって密着性を高め、前記電解質・電極接合体56を良好に挟持することが可能になる。これにより、電解質・電極接合体56にセパレータ58全体の歪みが伝わらず、前記セパレータ58に作用する面圧を均一化して、燃料ガスや酸化剤ガスを円滑且つ確実に流すことができる。
【0063】
さらに、複数の折り曲げ片70を設けることにより、密着性を高める他、集電部の剛性を高めるとともに、集電密度を上げることができ、効率的な集電が遂行される。
【0064】
また、プレート62は、プレート60側に突出する複数の窪み78を設けており、この窪み78は、各折り曲げ片70の第2及び第3突起部72b、72cに接触している。このため、酸化剤ガス通路84が形成されると同時に、プレート62とアノード電極54とが密着する。窪み78を設けることにより、プレート62とアノード電極54との間で燃料ガスの流量や圧力が増加しても、この燃料ガスの一部が前記窪み78に進入して前記流量や前記圧力が調整され、燃料ガスの圧力損失の低減するとともに、燃料ガスの均一な流れを確保することができる。
【0065】
しかも、第2突起部72bが窪み78に接触するため、この窪み78の高さ方向の寸法を良好に短尺化することができる。これにより、プレート62を、例えば、板金加工する際に、加工工数が減少するとともに、窪み78の成形密度を高めることが可能になる。その上、第2及び第3突起部72b、72cが窪み78に接触するため、各折り曲げ片70の剛性が有効に向上する。
【0066】
また、酸化剤ガス通路84は、各折り曲げ片70を設ける切り欠き開口部74を通ってカソード電極52に酸化剤ガスを供給している。このため、カソード電極52の全面に酸化剤ガスを均一に供給することができ、発電効率の向上が図られる。
【0067】
さらに、セパレータ58の中央部には、電解質・電極接合体56で反応に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスを含む排ガスを積層方向に排出する排ガス通路46が形成されている。これにより、相当に高温になっている排ガスの排熱を、燃料電池10自体を加熱するための熱源として回収することができ、熱効率の向上が可能になる。
【0068】
さらにまた、排ガス通路46の中央部には、燃料ガス通路66に連通する燃料ガス供給連通孔44が、該排ガス通路46からシールされて積層方向に設けられている。従って、排ガスの排熱を利用して燃料ガスを昇温させることができ、燃料電池10の迅速な活性化が図られるとともに、電解質・電極接合体56の温度低下を阻止して発電効率を有効に向上させることが可能になる。
【0069】
なお、第1の実施形態では、セパレータ58を構成するプレート60が一方の電解質・電極接合体56のカソード電極52に接触する一方、プレート62が他方の電解質・電極接合体56のアノード電極54に接触しているが、前記プレート60が前記アノード電極54に接触する一方、前記プレート62が前記カソード電極52に接触するように構成してもよい。
【0070】
次に、燃料電池スタック12を、図3に示すガスタービン14に組み込んだ場合の動作について、概略的に説明する。
【0071】
図3に示すように、このガスタービン14では、始動時に燃焼器18が駆動されてタービン24が回転され、コンプレッサ26及び発電器28が駆動される。コンプレッサ26の駆動によって外気が供給通路34に導入され、高圧且つ所定温度(例えば、200℃)になった空気が熱交換器22の第2通路36に送られる。
【0072】
この熱交換器22の第1通路32には、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスである高温の排ガスが供給されており、熱交換器22の第2通路36に導入された空気が加熱される。この加熱された空気は、加熱エア導入通路38を通って燃料電池スタック12を構成する各燃料電池10の外周部に導入される。このため、各燃料電池10で発電が行われ、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスが混在する排ガスは、ケーシング16内の室20に排出される。
【0073】
その際、固体電解質型燃料電池である燃料電池10から排出される排ガスは、800℃〜1000℃の高温となっており、この排ガスがタービン24を回転させて発電器28による発電が行われるとともに、熱交換器22に送られて吸入される外部空気の加熱を行うことができる。これにより、燃焼器18を使用する必要がなく、燃料電池スタック12から排出される排ガスを用いてタービン24を回転させることが可能になる。
【0074】
しかも、排ガスが800℃〜1000℃と高温となっており、燃料電池スタック12に供給される燃料の内部改質を行うことができる。従って、燃料として、例えば、天然ガスやブタン、あるいはガソリン系等の種々の燃料を使用して内部改質を行うことが可能になる。
【0075】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池150の分解斜視図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第9の実施形態でも、同様にその詳細な説明は省略する。
【0076】
燃料電池150は、電解質・電極接合体56を挟持する一組のセパレータ152を備える。このセパレータ152は、例えば、2枚のプレート60、154を設ける。プレート154は、面内に窪みを形成しておらず、平坦状に構成されている。
【0077】
これにより、第2の実施形態では、プレート60、154間に燃料ガス通路66及び酸化剤ガス通路84を形成することができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。しかも、平坦状のプレート154とアノード電極54との接触面積を一層増加させることが可能になる。
【0078】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ160の分解斜視図である。
【0079】
セパレータ160は、例えば、2枚のプレート162、62を備える。プレート162には、各排ガス通路46を周回する4つの内側突起部64aと、この内側突起部64aの外方に設けられて前記内側突起部64aとの間に燃料ガス通路66を形成する外側突起部164とが形成される。
【0080】
図16は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池170の動作説明図であり、図17は、前記燃料電池170の動作を示す一部分解斜視説明図である。
【0081】
燃料電池170は、一組のセパレータ172を介して複数、例えば、16個の電解質・電極接合体56を挟んで構成される。セパレータ172の面内には、このセパレータ172の中心部である燃料ガス供給連通孔44と同心円上に8個の電解質・電極接合体56が配列される内周側配列層P1と、この内周側配列層P1の外周に8個の電解質・電極接合体56が配列される外周側配列層P2とが設けられる(図16参照)。
【0082】
セパレータ172は、プレート174、176を備える。図18に示すように、プレート174には、各排ガス通路46を周回する4つの内側突起部64aと、この内側突起部64aの外方に設けられて前記内側突起部64aとの間に燃料ガス通路178を形成する外側突起部180とが形成される。
【0083】
外側突起部180は、それぞれ半径外方向に所定の距離だけ突出する複数の第1壁部182aと第2壁部182bとを交互に設けている。第1壁部182aは、先端を結ぶ仮想円が内周側配列層P1の中心線を形成し、この内周側配列層P1に沿って8個の電解質・電極接合体56が配列される。第1壁部182a間には、この第1壁部182aよりも長尺な第2壁部182bが設けられ、前記第2壁部182bの先端を通る仮想円により外周側配列層P2の中心線が形成される。この外周側配列層P2の中心線に沿って8個の電解質・電極接合体56が配列される。
【0084】
プレート174には、内周側配列層P1と外周側配列層P2とに配設される電解質・電極接合体56に対応して円形折り曲げ部184が16カ所に形成される。各円形折り曲げ部184は、複数の折り曲げ片70を備えている。
【0085】
図17に示すように、プレート176には、内周側配列層P1と外周側配列層P2とに沿って配設される電解質・電極接合体56に対応し、前記電解質・電極接合体56から離間する方向に突出する複数の窪み(突出部)78が設けられる。プレート176には、各電解質・電極接合体56の中心位置に対応して燃料ガス導入口80が16カ所に形成される。
【0086】
このように構成される第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、特に燃料電池170が16個の電解質・電極接合体56を備えており、前記燃料電池170の高出力化が容易に図られるという利点がある。
【0087】
図19は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池190の分解斜視図である。
【0088】
燃料電池190は、電解質・電極接合体192を挟持する一組のセパレータ194を備える。電解質・電極接合体192は、例えば、リングを8等分した形状(扇形状)に設定されている。
【0089】
図19及び図20に示すように、セパレータ194は、例えば、2枚のプレート196、198を設けており、このプレート196には、各電解質・電極接合体192の形状に対応して扇形折り曲げ部200が8カ所に形成される。各扇形折り曲げ部200は、複数の折り曲げ片70を設けるとともに、前記折り曲げ片70は、プレート196の中心に向かって整列される。プレート198には、各電解質・電極接合体192の形状に対応して窪み78が配設される。
【0090】
このように構成される第5の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、電解質・電極接合体192の発電面積が良好に拡大可能であるという利点がある。
【0091】
図21は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池210の分解斜視図である。この燃料電池210は、リング状の電解質・電極接合体212を一組のセパレータ194で挟持して構成されている。従って、上記の第5の実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
図22は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池220の一部省略断面図である。
【0093】
燃料電池220は、電解質・電極接合体56を挟持する一組のセパレータ222を備え、前記セパレータ222は、プレート224、226を設ける。プレート224は、複数の折り曲げ片228を形成するとともに、前記折り曲げ片228は、プレート226から離間する方向に突出してカソード電極52に接触する突起部230を有する。突起部230は、第1の実施形態の第1突起部72aに比べて幅広に構成されており、前記第1突起部72aよりも低い剛性に設定される。
【0094】
プレート226には、プレート224に向かって突出する複数の窪み(突出部)232が形成される。窪み232は、第1の実施形態の窪み78よりも深さが大きく設定されており、この窪み232は、突起部230の両肩部234a、234bに接触して所望の剛性を確保している。
【0095】
図23は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池240の一部省略断面図である。
【0096】
燃料電池240を構成するセパレータ242は、プレート224a、226aを備える。プレート224aに設けられた折り曲げ片228は、プレート226aに設けられた窪み232の位置からずれている。すなわち、突起部230の肩部234bのみが窪み232に接触しており、セパレータ242は、第7の実施形態に比べて剛性を小さく設定することができる。
【0097】
図24は、本発明の第9の実施形態に係る燃料電池250の一部省略断面図である。
【0098】
燃料電池250を構成するセパレータ252は、プレート254、62を備える。プレート254に設けられた折り曲げ片256は、第1及び第2突起部72a、72bを有するとともに、前記第1突起部72aの端部は、カソード電極52から折り返して窪み78に接触することなく終端する。
【0099】
従って、第9の実施形態では、第1突起部72aがカソード電極52に接触する一方、第2突起部72bがプレート62の窪み78に接触することにより、第1の実施形態に比べて、セパレータ252の剛性を小さく設定することが可能になる。
【0100】
なお、第7〜第9の実施形態では、プレート226、226a及び62に窪み232及び78を設けることなく、前記プレート226、226a及び62を平坦面状に構成してもよい。また、これらを種々組み合わせることにより、所望の剛性を容易に得ることができる。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、セパレータが第1及び第2プレートを備え、この第1プレートに第1及び第2突起部が設けられるとともに、燃料電池の積層方向に荷重が作用する際、前記第1及び第2突起部がこの荷重を受けることにより、該荷重を折り曲げ片に伝達することができる。従って、セパレータ全体の剛性を下げながら、電解質・電極接合体と第2プレートとを互いに密着させることで密着性を高め、前記電解質・電極接合体を良好に挟持することが可能になる。これにより、電解質・電極接合体にセパレータ全体の歪みが伝わらず、セパレータに作用する面圧を均一化して燃料ガスや酸化剤ガスが円滑且つ確実に流れる。
【0102】
さらに、第2突起部と第2プレートとの間には、反応ガス通路が形成される。これにより、燃料電池は、積層方向の寸法を有効に減少させることが可能になる。しかも、複数の折り曲げ部を設けることにより、集電部の剛性を高めるとともに、集電密度を上げて効率的な集電が遂行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックが筐体内に収容された燃料電池システムの一部断面説明図である。
【図3】前記燃料電池スタックを組み込むガスタービンの概略構成を示す断面説明図である。
【図4】前記燃料電池の分解斜視図である。
【図5】前記燃料電池の動作を示す一部分解斜視説明図である。
【図6】前記燃料電池を構成するセパレータの分解斜視説明図である。
【図7】前記セパレータを構成する一方のプレートの一部拡大正面説明図である。
【図8】前記燃料電池の一部省略断面図である。
【図9】前記セパレータに設けられる折り曲げ片の斜視説明図である。
【図10】前記セパレータを構成する他方のプレートの一部拡大正面説明図である。
【図11】前記燃料電池の中心部の拡大断面図である。
【図12】前記燃料電池の外周縁部の拡大断面図である。
【図13】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの分解斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の動作説明図である。
【図17】前記燃料電池の動作を示す一部分解斜視説明図である。
【図18】前記燃料電池のセパレータを構成する一方のプレートの一部拡大正面説明図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
【図20】前記燃料電池を構成するセパレータの分解斜視図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池の分解斜視図である。
【図22】本発明の第7の実施形態に係る燃料電池の一部省略断面図である。
【図23】本発明の第8の実施形態に係る燃料電池の一部省略断面図である。
【図24】本発明の第9の実施形態に係る燃料電池の一部省略断面図である。
【図25】特許文献1に係る燃料電池の断面説明図である。
【符号の説明】
10、150、170、190、210、220、240、250…燃料電池
12…燃料電池スタック 13…燃料電池システム
14…ガスタービン 19…筐体
44…燃料ガス供給連通孔 46…排ガス通路
50…電解質 52…カソード電極
54…アノード電極
56、192、212…電解質・電極接合体
58、152、160、172、194、222、242、252…セパレータ
60、62、154、162、174、176、196、198、224、224a、226、226a、254…プレート
66、178…燃料ガス通路 66a…燃料ガス分配通路
68…折り曲げ部 70、228、256…折り曲げ片
72a〜72c、230…突起部 74…切り欠き開口部
78、232…窪み 80、88…燃料ガス導入口
90、92…絶縁シール 96…酸化剤ガス供給流路
100a、100b…エンドプレート
118a、118b…出力端子 120…電極面締め付け手段
140…燃料ガス供給流路 200…扇形折り曲げ部
Claims (7)
- 電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体とセパレータとが交互に積層される燃料電池であって、
前記セパレータは、互いに積層される第1及び第2プレートを備え、
前記第1及び第2プレート間には、前記アノード電極に向かって燃料ガスを供給する燃料ガス通路と、前記カソード電極に向かって酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路とが形成されるとともに、
前記第1プレートは、プレート面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片を設け、
前記折り曲げ片は、前記第2プレートから離間する方向に突出して前記セパレータの一方の面側に配置される前記電解質・電極接合体の前記カソード電極又は前記アノード電極に接触する第1突起部と、
前記第2プレート側に突出して該第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される前記電解質・電極接合体の前記アノード電極又は前記カソード電極に接触させる第2突起部と、
を設けることを特徴とする燃料電池。 - 電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体とセパレータとが交互に積層される燃料電池であって、
前記セパレータは、互いに積層される第1及び第2プレートを備え、
前記第1及び第2プレート間には、前記アノード電極に向かって燃料ガスを供給する燃料ガス通路と、前記カソード電極に向かって酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路とが形成されるとともに、
前記第1プレートは、プレート面内の一部を切り欠いて複数の折り曲げ片を設け、
前記第2プレートは、前記第1プレート側に突出する複数の突出部を設け、
前記折り曲げ片は、前記セパレータの一方の面側に配置される前記電解質・電極接合体の前記カソード電極又は前記アノード電極に接触する一方、前記突出部に接触して前記第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される前記電解質・電極接合体の前記アノード電極又は前記カソード電極に接触させることを特徴とする燃料電池。 - 請求項2記載の燃料電池において、前記折り曲げ片は、前記第2プレートから離間する方向に突出して前記セパレータの一方の面側に配置される前記電解質・電極接合体の前記カソード電極又は前記アノード電極に接触する第1突起部と、
前記第2プレート側に突出して前記突出部に接触し、前記第2プレートを前記セパレータの他方の面側に配置される前記電解質・電極接合体の前記アノード電極又は前記カソード電極に接触させる第2突起部と、
を設けることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1又は3記載の燃料電池において、前記折り曲げ片は、前記第2プレート側に突出し該第2プレートに接触する第3突起部を設けることを特徴とする燃料電池。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記酸化剤ガス通路は、前記折り曲げ片を設けた切り欠き開口部を介して前記カソード電極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路に連通することを特徴とする燃料電池。
- 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記セパレータの中央部には、前記電解質・電極接合体で反応に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスを含む排ガスを積層方向に排出する排ガス通路が形成されることを特徴とする燃料電池。
- 請求項6記載の燃料電池において、前記排ガス通路の中央部には、前記燃料ガス通路に連通する燃料ガス供給連通孔が、該排ガス通路からシールされて積層方向に設けられることを特徴とする燃料電池。
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-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003161259A patent/JP2004362990A/ja active Pending
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JP4611196B2 (ja) * | 2005-12-28 | 2011-01-12 | 本田技研工業株式会社 | 燃料電池及び燃料電池スタック |
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