JP2004361335A - 二酸化炭素感応材料および二酸化炭素センサ - Google Patents

二酸化炭素感応材料および二酸化炭素センサ Download PDF

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Abstract

【課題】安定した高い特性を得ることができる二酸化炭素感応材料および二酸化炭素センサを提供する。
【解決手段】二酸化炭素感応膜14は、炭酸水素イオンをドーパントとして取り込み可能な導電性ポリマーと、吸湿性を有する絶縁性ポリマーとを含んでおり、二酸化炭素の濃度に応じて電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスなどの電気特性が変化する。導電性ポリマーとして、ヒドロキシ基あるいはアミノ基、またはその両方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を含んでいる。よって、溶媒に対する溶解度を高くすることができ、材料を均一に混合することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素(CO)の濃度を検出する二酸化炭素感応材料およびそれを用いた二酸化炭素センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、気密空間の環境保全、温室での植物栽培、環境問題に関連した大気中の濃度監視などの多くの分野で、二酸化炭素の濃度を連続して計測する必要性が高くなってきている。二酸化炭素濃度の測定には、通常、二酸化炭素センサが用いられる。二酸化炭素センサは、大気中の二酸化炭素を吸着可能な材料を用い、この材料の電気伝導率が二酸化炭素の濃度により変化することを利用して、二酸化炭素の濃度を測定する。
【0003】
しかし、従来の二酸化炭素センサのほとんどは、400℃以上の測定条件を必要としており、室温付近で二酸化炭素濃度を連続的に精度よく測定することは困難であった。
【0004】
こうした課題を解決するために、特許文献1では、炭酸水素イオン(HCO )をドーパントとして取り込み可能な導電性ポリマーと、吸湿性で水を保持可能な絶縁性ポリマーとを含むガスセンサ用複合膜を提案している。この複合膜では、絶縁性ポリマーにより保持される水と二酸化炭素とが反応し、その解離平行により生成した炭酸水素イオンが導電性ポリマーに取り込まれることにより、その取り込み量に応じて電気伝導率が変化する。よって、この複合膜の電気伝導率を測定することにより、二酸化炭素の濃度を測定することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−321232号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、動作の確認がなされたに過ぎず、用いる導電性ポリマーあるいは絶縁性ポリマーなどの材料についての検討は十分になされていない。例えば、特許文献1では、導電性ポリマーとしてポリアニリンを用いているが、ポリアニリンは溶媒に対する溶解度が低いので、材料を均一に混合することが難しい。よって、成膜性が悪く、二酸化炭素感応膜が基板から剥離してしまう場合があり、しかも二酸化炭素感応膜の均質性も低く、安定した高い特性を得ることができないという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、安定した高い特性を得ることができる二酸化炭素感応材料および二酸化炭素センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の二酸化炭素感応材料は、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を含むものである。
【0009】
本発明による第2の二酸化炭素感応材料は、炭酸水素イオンをドーパントとして取り込み可能であり、炭酸水素イオンを取り込んだ状態で導電性を示す導電性ポリマーと、吸湿性を有する絶縁性ポリマーとを含むものであって、導電性ポリマーは、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を含むものである。
【0010】
本発明による二酸化炭素センサは、一対の電極と、この一対の電極と電気的に接続された二酸化炭素感応膜とを有するものであって、二酸化炭素感応膜は、上述の二酸化炭素感応材料よりなるものである。
【0011】
本発明による二酸化炭素感応材料および二酸化炭素センサでは、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を用いているので、溶媒に対する溶解性が高く、均質性が向上し、それにより特性が向上する。
【0012】
なお、本発明による第2の二酸化炭素感応材料では、導電性ポリマーが、二酸化炭素と絶縁性ポリマーに保持される水との反応により生成した炭酸水素イオンを取り込むことにより、電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスが変化することを利用するようにしてもよい。本発明による二酸化炭素センサでは、その変化から二酸化炭素濃度を検出する検出手段を有するようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して、詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る二酸化炭素感応材料は、炭酸水素イオンをドーパントとして取り込み可能な導電性ポリマーと、吸湿性を有する絶縁性ポリマーとを含んでおり、二酸化炭素の濃度に応じて電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスなどの電気特性が変化するという特性を有している。
【0015】
導電性ポリマーは、炭酸水素イオンを取り込んだ状態で導電性を示すものであればよく、炭酸水素イオンを取り込んでいない状態では絶縁性であっても導電性であってもよい。本実施の形態では、この導電性ポリマーとして、ヒドロキシ基あるいはアミノ基、またはその両方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を含んでいる。このようなポリアニリン誘導体は、溶媒に対する溶解度が比較的大きく、均質性を高めることができるからである。
【0016】
ヒドロキシ基を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体としては、例えば、化1に示すo−アミノフェノールを重合させた化2に示すポリo−アミノフェノールが挙げられる。アミノ基を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体としては、例えば、化3に示すo−フェニレンジアミンを重合させた化4に示すポリo−フェニレンジアミン、あるいは化5に示すm−フェニレンジアミンを重合させた化6に示すポリm−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0017】
【化1】
Figure 2004361335
【0018】
【化2】
Figure 2004361335
【0019】
【化3】
Figure 2004361335
【0020】
【化4】
Figure 2004361335
【0021】
【化5】
Figure 2004361335
【0022】
【化6】
Figure 2004361335
【0023】
導電性ポリマーは、上述したポリアニリン誘導体のいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。また、上述したポリアニリン誘導体のみにより構成するようにしてもよいが、他の材料を混合して用いてもよい。他の材料としては、例えば、ポリアニリン、他のポリアニリン誘導体、ポリチオフェン、ポリピロールなどの複素環ポリマー、またはポリパラフェニレンなどのポリフェニレン系ポリマーが挙げられる。
【0024】
絶縁性ポリマーは、二酸化炭素と保持している水とを反応させて、炭酸水素イオンを生成させるためのものである。このような絶縁性ポリマーとしては、例えば、化7に示すポリビニルアルコール、化8に示すポリアクリル酸、化9に示すポリビニルピロリドン、あるいは化10に示すポリエチレングリコールが挙げられる。化7ないし化10において、n1,n2,n3およびn4はそれぞれ2以上の数である。絶縁性ポリマーは、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。また、絶縁性ポリマーには、絶縁性、吸湿性および溶解性を有する他の材料を用いてもよい。
【0025】
【化7】
Figure 2004361335
【0026】
【化8】
Figure 2004361335
【0027】
【化9】
Figure 2004361335
【0028】
【化10】
Figure 2004361335
【0029】
導電性ポリマーと絶縁性ポリマーとの割合は、導電性ポリマーの絶縁性ポリマーに対する質量比(導電性ポリマー/絶縁性ポリマー)が1以下となるようにすることが好ましく、1/3以下となるようにすればより好ましい。この質量比が小さいほど、二酸化炭素濃度に対する電気伝導度、荷電容量および交流インピーダンスの変化を示す傾きが大きくなり、より高い精度を得ることができるからである。但し、この質量比が小さすぎると、いずれについても炭酸水素イオンの濃度がかなり高くならないと電気特性が変化しなくなり、測定感度が低下してしまうので好ましくない。具体的には、この質量比が1/7以上となるようにすることが好ましく、1/6以上となるようにすればより好ましい。
【0030】
この二酸化炭素感応材料は、例えば、次のような二酸化炭素センサに用いられる。
【0031】
図1は本発明の一実施の形態に係る二酸化炭素センサ10の構成を表すものである。二酸化炭素センサ10は、絶縁基板11の上に、ギャップを介して対向するように設けられた一対の櫛形の電極12,13と、電極12,13とそれぞれ電気的に接続するように設けられた本実施の形態に係る二酸化炭素感応材料よりなる二酸化炭素感応膜14とを有している。
【0032】
絶縁基板11は、例えば、ガラス、フェノール樹脂あるいはエポキシ樹脂などのプラスチック、酸化アルミニウムなどのセラミック、または樹脂で絶縁被覆した金属板などにより構成されている。中でも、酸化アルミニウムは機械的強度、絶縁性および安定性が高いので好ましい。電極12,13は、例えば、金(Au)などの金属材料、あるいは酸化ルテニウム(RuO)などの酸化物を含んで構成されている。
【0033】
電極12,13の各一端部には、電極端子15,16がそれぞれ取り付けられており、電極端子15,16にはリード線17,18が半田層19によりそれぞれ接続されている。電極端子15,16は、半田と相溶性のある材料により構成されることが好ましく、例えば、銀−パラジウム(Ag−Pd)合金などの金属材料により構成されている。
【0034】
二酸化炭素センサ10は、また、図示しないが、二酸化炭素感応膜14の電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスなどの電気特性の変化から二酸化炭素濃度を検出する検出手段を備えていてもよい。この図示しない検出手段は、リード線17,18などを介して二酸化炭素感応膜14と電気的に接続されている。
【0035】
二酸化炭素センサ10は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、ヒドロキシ基あるいはアミノ基またはその両方を有するアニリン誘導体を重合させて導電性ポリマーであるポリアニリン誘導体を生成する。次いで、生成したポリアニリン誘導体と絶縁性ポリマーとを、ジメチルスルホキシドなどの溶媒を用いて混合し、混合溶液を作製する。その際、導電性ポリマーとしてポリアニリン誘導体以外の他の材料を用いる場合には、その材料も共に混合して混合溶液とする。本実施の形態では、導電性ポリマーとして上述したポリアニリン誘導体を用いるので、溶媒に対する溶解度が高く、導電性ポリマーと絶縁性ポリマーとが容易に均一に混合される。
【0036】
続いて、作製した混合溶液を、例えば、電極12,13を形成した絶縁基板11の上に塗布し、乾燥させて溶媒を除去し、二酸化炭素感応膜14を形成する。本実施の形態では、混合溶液が均一に混合されているので、高い成膜性を有し、均一で良好な二酸化炭素感応膜14が形成される。その後、電極12,13に電極端子15,16をそれぞれ取り付け、更に、電極端子15,16に半田層19によりリード線17,18をそれぞれ接続する。最後に、必要に応じて、図示しない検出手段を図示しない配線によりリード線17,18に接続する。これにより、図1に示した二酸化炭素センサ10が得られる。
【0037】
この二酸化炭素センサ10では、絶縁性ポリマー2が吸湿性を有しているので、二酸化炭素感応膜14には水が保持されている。雰囲気中の二酸化炭素は、二酸化炭素感応膜14に保持されている水と反応し、解離平衡により、化11に示したように炭酸水素イオンを生成する。
【0038】
【化11】
Figure 2004361335
【0039】
生成された炭酸水素イオンは、二酸化炭素感応膜14中の導電性ポリマーにドーピングされる。これにより、炭酸水素イオンのドーピング数に応じて、二酸化炭素感応膜14の電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスなどの電気特性が変化する。なお、上述したポリアニリン誘導体であれば、炭酸水素イオンが結合していない状態では導電性を有していないが、炭酸水素イオンの結合数が増えるに従って、導電性が高くなる。よって、電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスなどの電気特性を測定することにより、雰囲気中の二酸化炭素濃度が測定される。
【0040】
特に、本実施の形態では、導電性ポリマーとして上述したポリアニリン誘導体を用いているので、良質な二酸化炭素感応膜14が得られ、剥離などが抑制されると共に、均質性の向上により感度などの特性が向上する。
【0041】
また、電気特性として、荷電容量あるいは交流インピーダンスを測定するようにすれば、湿度が50%以上の高い状態であっても、高い精度で二酸化炭素濃度を測定することができる。電気伝導度は湿度の影響を受けやすく、湿度が50%以上となると、二酸化炭素濃度と電気伝導度との関係が線形を示さなくなるのに対して、荷電容量および交流インピーダンスは湿度の影響を受けにくいからである。
【0042】
このように本実施の形態によれば、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を用いるようにしたので、溶媒に対する溶解度を高めることができ、材料を均一に混合することができる。よって、二酸化炭素感応膜14の成膜性を高めることができ、剥がれなどを抑制することができると共に、二酸化炭素感応膜14の均質性を高め、感度などを向上させることができる。従って、安定した高い特性を得ることができる。
【0043】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。なお、以下の実施例では、図1に示した構造を有する二酸化炭素センサ10を作製し、特性を評価した。よって、以下の実施例においても、図1を参照し、同一の符号を用いて説明する。
【0044】
(実施例1)
まず、化1に示したo−アミノフェノール2.183g(20mmol)を0.1mol/lの硫酸水溶液400mlに溶解し、これに酸化剤の硫酸アンモニウム27.4g(0.12mol)を溶解した0.1mol/lの硫酸水溶液100mlに加え、24時間室温にて攪拌し、反応させた。反応終了後、濾過および洗浄を行い、室温で一昼夜真空乾燥し、黒色粉末を得た。次いで、この黒色粉末をアルゴン雰囲気において250℃で8時間熱処理した。これにより、化2に示した導電性ポリマーであるポリo−アミノフェノールを得た。
【0045】
続いて、得られたポリo−アミノフェノールの粉末を溶媒であるジメチルスホキシドに溶解したのち、これに絶縁性ポリマーであるポリビニルアルコールを添加し、更に混合して混合溶液を得た。その際、ポリo−アミノフェノールのポリビニルアルコールに対する質量比(ポリo−アミノフェノール/ポリビニルアルコール)は、1/3とした。
【0046】
また、酸化アルミニウム製セラミックよりなる絶縁基板11を用意し、この絶縁基板11の上に、酸化ルテニウムとガラスフリットとを含むペーストをスクリーン印刷し、焼成して電極12,13を形成した。次いで、絶縁基板11の電極12,13を形成した側の上に、作製した混合溶液を塗布し、真空乾燥により溶媒を除去して二酸化炭素感応膜14を形成した。続いて、電極11,12に電極端子15,16を取り付けると共に、電極端子15,16にリード線17,18を半田層19により取り付け、二酸化炭素センサ10を得た。
【0047】
得られた二酸化炭素センサ10を図2に示した測定セル20に装着し、二酸化炭素ガスおよび水蒸気を流しながら、交流インピーダンスを測定した。温度は25℃とし、湿度は95%RHとした。図3に、二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を示す。また、図4に、周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を示す。
【0048】
(実施例2)
o−アミノフェノールに代えて、化3に示したo−フェニレンジアミン2.169g(20mmol)を用い、実施例1と同様にして重合を行い、化4に示したポリo−フェニレンジアミンを得た。得られたポリo−フェニレンジアミンを用い、実施例1と同様にして、二酸化炭素センサ10を作製した。実施例2の二酸化炭素センサ10についても、実施例1と同様にして交流インピーダンスを測定した。図5に、二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を示す。また、図6に、周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を示す。
【0049】
(実施例3)
o−アミノフェノールに代えて、化5に示したm−フェニレンジアミン2.169g(20mmol)を用い、実施例1と同様にして重合を行い、化6に示したポリm−フェニレンジアミンを得た。得られたポリm−フェニレンジアミンを用い、実施例1と同様にして、二酸化炭素センサ10を作製した。実施例3の二酸化炭素センサ10についても、実施例1と同様にして交流インピーダンスを測定した。図7に、二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を示す。また、図8に、周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を示す。
【0050】
(比較例)
o−アミノフェノールに代えて、化12に示したアントラニル酸2.77g(20.2mmol)を用い、実施例1と同様にして重合を行い、化13に示したポリアニリンを得た。なお、比較例では熱処理温度を280℃とした。得られたポリアニリンを用い、実施例1と同様にして、二酸化炭素センサを作製した。比較例の二酸化炭素センサについても、実施例1と同様にして交流インピーダンスを測定した。図9に、二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を示す。また、図10に、周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を示す。
【0051】
【化12】
Figure 2004361335
【0052】
【化13】
Figure 2004361335
【0053】
(実施例1〜3と比較例との比較)
図3,5,7に示したように、本実施例によれば、二酸化炭素濃度に応じて、測定周波数の広い範囲で交流インピーダンスの変化が見られた。また、図4,68に示したように、本実施例によれば、二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの間に良好な関係が見られた。これに対して、比較例では、図9に示したように、二酸化炭素濃度が3500ppm以上となると交流インピーダンスの変化が小さくなり、図10に示したように、実施例に比べて二酸化炭素濃度に対する交流インピーダンスの変化が小さかった。すなわち、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を用いれば、二酸化炭素感応膜14の均質性が向上し、感度を向上させることができることが分かった。
【0054】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、二酸化炭素センサの構造について具体的に説明したが、絶縁基板11と二酸化炭素感応膜14との間、あるいは二酸化炭素感応膜14の上に他の層を備えていてもよく、電極12,13も他の形状とされていてもよい。
【0055】
また、本発明の二酸化炭素センサにおいて、電気伝導度、荷電容量または交流インピーダンスの変化を検出する手段は特に限定されず、例えば従来のインピーダンス変化型の各種センサと同様な手段を用いることもできる。また、本発明の二酸化炭素センサには、必要に応じ温度補償回路の付加回路を設けてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による二酸化炭素感応材料および二酸化炭素センサによれば、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を用いるようにしたので、溶媒に対する溶解度を高めることができ、材料を均一に混合することができる。よって、二酸化炭素感応膜の成膜性を高めることができ、剥がれなどを抑制することができると共に、二酸化炭素感応膜の均質性を高め、感度などを向上させることができる。従って、安定した高い特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二酸化炭素センサの構成を表す部分分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る二酸化炭素センサの特性を調べる際に用いた測定セルである。
【図3】実施例1の二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図4】実施例1の周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図5】実施例2の二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図6】実施例2の周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図7】実施例3の二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図8】実施例3の周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図9】比較例の二酸化炭素濃度別における周波数と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【図10】比較例の周波数別における二酸化炭素濃度と交流インピーダンスとの関係を表す特性図である。
【符号の説明】
10…二酸化炭素センサ、11…絶縁基板、12,13…電極、14…感湿膜、15,16…電極端子、17,18…リード線、19…半田層。

Claims (6)

  1. ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を含むことを特徴とする二酸化炭素感応材料。
  2. 炭酸水素イオン(HCO )をドーパントとして取り込み可能であり、炭酸水素イオンを取り込んだ状態で導電性を示す導電性ポリマーと、吸湿性を有する絶縁性ポリマーとを含む二酸化炭素感応材料であって、
    前記導電性ポリマーは、ヒドロキシ基およびアミノ基のうちの少なくとも一方を有するアニリン誘導体を重合させたポリアニリン誘導体を含むことを特徴とする二酸化炭素感応材料。
  3. 前記導電性ポリマーが、二酸化炭素(CO)と前記絶縁性ポリマーに保持される水との反応により生成した炭酸水素イオンを取り込むことにより、電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスが変化することを特徴とする請求項2記載の二酸化炭素感応材料。
  4. 前記導電性ポリマーの前記絶縁性ポリマーに対する質量比は、1以下であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の二酸化炭素感応材料。
  5. 一対の電極と、この一対の電極と電気的に接続された二酸化炭素感応膜とを有する二酸化炭素センサであって、
    前記二酸化炭素感応膜は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二酸化炭素感応材料よりなることを特徴とする二酸化炭素センサ。
  6. 更に、前記二酸化炭素感応膜と電気的に接続されており、前記二酸化炭素感応膜の電気伝導度、荷電容量あるいは交流インピーダンスの変化から二酸化炭素濃度を検出する検出手段を有することを特徴とする請求項5記載の二酸化炭素センサ。
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