JP2004358568A - 把持装置 - Google Patents

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Taiichi Nobemoto
泰一 延本
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Abstract

【課題】把持される物体に所定以上の圧力を加えることなく当該物体を油圧駆動により把持できるように構成した把持装置を提供すること。
【解決手段】油圧により駆動される駆動ロッド8,9の伸縮作用に基づいて、センサロッドによる把持部2が物体aの把持方向に、もしくは開放方向に駆動される。前記把持部2を構成するセンサロッドは、物体aの把持力に応じてストローク動作を行い、当該センサロッドの所定以上のストローク動作に伴い、油圧回路を構成する把持力調整弁12が、前記把持部を開放方向に駆動するように作用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、物体を把持する把持装置に関し、特に把持される物体に所定以上の圧力を加えることなく当該物体を油圧駆動により把持できるように構成した把持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の把持装置として、多関節の指型あるいは腕体型のロボットハンドが実用化されており、これらは定型物を扱う産業用のロボットチャック、あるいは重機と組み合わせることで工事もしくは荷役作業等を行うための把持装置などにも応用されている。特に工事もしくは荷役作業等に利用される把持装置は、相当の把持力が必要となる場合があり、したがって、その多くが油圧により駆動されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−279265号公報(段落0002〜0005、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したような把持装置により把持される物体の性質によっては、過剰な圧力を加えることができない場合もある。例えば、地雷を処理する場合の地雷除去ハンドを想定した場合、把持装置による過剰な圧力を受けて地雷が爆発を起こすという問題を抱えている。しかも、この地雷の外形形状は様々であり、このような不定形のものに対して過剰な圧力を加えることなく、これを確実に把持することができる機構が求められる。
【0005】
一方、前記した特許文献1に開示された把持装置においても、把持力を調整することができる構成が示されている。これによると、把持装置を駆動する油圧シリンダに連通する把持側油路に複数の圧力スイッチが設けられ、この圧力スイッチが所定以上の圧力を関知した場合に、リレーを駆動するように構成されている。そして、リレーの駆動によって電磁切替え弁を制御し、油圧シリンダへの圧油の供給を停止させるように制御される。したがって、前記した特許文献1に開示された把持装置においても、把持する物品に対して過剰な圧力が加わるのが防止できる。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に開示された把持装置の構成によると、複数の圧力スイッチ、これにより駆動されるリレー、当該リレーの動作により切替えられる電磁切替え弁等の組み合わせ構成を具備する必要があり、その構成は複雑にならざるを得ない。
【0007】
この発明は、前記した問題点に着目してなされたものであり、比較的単純な構成にして、外形が不定形な物体に所定以上の圧力を加えることなく当該物体を油圧駆動により把持できるように構成した把持装置を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかる把持装置は、油圧により駆動される駆動ロッドの伸縮作用に基づいて、把持部が物体の把持方向に、もしくは開放方向に駆動されるハンド機構と、前記駆動ロッドに伸縮作用を与える油圧回路とを備えた把持装置であって、前記把持部には、ハンド機構の駆動による物体の把持力に応じてストローク動作を行うセンサロッドが備えられ、当該センサロッドの所定以上のストローク動作に伴い、前記油圧回路が前記把持部を開放方向に駆動するように構成した点に特徴を有する。
【0009】
前記した構成によると、ハンド機構の把持部によって物体に与える把持力を、センサロッドのストローク動作により関知することができる。そして、センサロッドが所定以上のストローク動作を受けた場合には、ハンド機構を駆動する油圧回路は、前記把持部を開放する方向に駆動するので、把持部により把持される物体に対して、過剰な把持力を与えるのを阻止することができる。
【0010】
この場合、好ましくは前記ハンド機構が、センサロッドによる把持部を先端に備えた第1アーム部材と、この第1アーム部材の基端部を関節部材を介して支持する第2アーム部材とからなる屈曲可能なアーム機構を少なくとも一対具備することで構成され、前記油圧により駆動される駆動ロッドの伸縮作用に基づいて、前記把持部が前記関節部材を介して互いに物体の把持方向に接近もしくは開放方向に離反するように駆動されるように構成される。
【0011】
前記したハンド機構の構成によると、少なくとも一対の関節型のアーム機構が備えられ、当該アーム機構の先端部における把持部は、関節部材を介して互いに物体の把持方向に接近もしくは開放方向に離反するように駆動されるので、物体の外形形状に関わりなく、これを挟持することができる。
【0012】
一方、前記油圧回路には、前記センサロッドのストローク動作に応じて油路が切替えられる把持力調整弁が具備されることが望ましく、前記把持力調整弁による油路の切替え動作により、前記把持部を開放方向に駆動することができるように構成される。この場合、好ましくは前記センサロッドのストローク動作に応じて、前記把持力調整弁を構成する切替えスプールを移動させるための伝達手段が備えられ、当該伝達手段を介した前記切替えスプールの移動により、前記把持力調整弁による油路の切替え動作がなされるように構成される。
【0013】
前記した把持力調整弁によると、センサロッドのストローク動作によって、切替えスプールが移動され、このスプールの移動により油路の切替え動作がなされる。これにより、センサロッドが所定以上のストローク動作を受けた場合、前記把持部を開放方向に駆動することができ、前記したとおり把持部により把持される物体に対して、過剰な把持力を与えるのを阻止することができる。
【0014】
そして、好ましい実施の形態においては、前記駆動ロッドは、シリンダにおける第1圧力室への圧油の導入により伸長されると共に、第2圧力室への圧油の導入により縮小されるように構成される。加えて把持力調整弁は、センサロッドにおける第1のストローク動作の範囲において、前記第1圧力室および第2圧力室への圧油の導入を停止させる中立モードを設定すると共に、前記センサロッドにおける第1のストローク動作の範囲を超えた第2のストローク動作の範囲において、前記第2圧力室への圧油の導入モードを設定し、前記把持部を開放方向に駆動するように構成される。
【0015】
前記した構成によると、シリンダにおける第1圧力室および第2圧力室への圧油の導入により、駆動ロッドの伸縮動作が得られ、これにより前記したとおり把持部が駆動される。そして、センサロッドのストローク動作によって制御される把持力調整弁は、センサロッドの所定内のストローク動作の範囲(第1のストローク動作の範囲)においては、駆動ロッドの伸縮動作を停止させるように働くので、前記把持部は適正な把持力により物体を把持することができる。
【0016】
一方、前記センサロッドの所定以上のトローク動作の範囲(第2のストローク動作の範囲)においては、前記把持部を開放方向に駆動するので、把持部により把持される物体に対して、過剰な把持力を与えるのが阻止され、把持部は前記したセンサロッドの所定内のストローク動作の範囲(第1のストローク動作の範囲)において、物体を把持するように作用する。
【0017】
前記した構成に加えて前記油圧回路には、マニュアル操作される駆動方向切替え弁がさらに具備され、前記駆動方向切替え弁を介した油圧源からの圧油が、前記把持力調整弁を介することで、前記駆動ロッドに伸縮作用を与えるように構成されていることが望ましい。
【0018】
この構成により、駆動方向切替え弁をマニュアル操作することにより、前記把持部による把持動作および開放動作を実現することができ、前記把持部による物体の把持動作の実行中においては、前記したとおり、センサロッドの作用により物体を所定の圧力の範囲内で把持するように作用する。
【0019】
さらに、前記把持部には前記センサロッドを複数配置する構成とすることもできる。この構成によると物体の把持作用をより確実なものとすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる把持装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1はこの発明が適用された把持装置の一例を示したものであり、一対の多関節型のアーム機構1A,1Bにより構成されたハンド機構1と、後述する油圧回路から構成される。そして、各アーム機構1A,1Bの先端部にそれぞれ形成された把持部2,2によって被把持物体aをその両外側から把持(挟持)することができるように構成されている。
【0021】
前記それぞれのアーム機構1A,1Bは、後で詳細に説明するセンサロッドによる把持部2を先端に備えた第1アーム部材3と、この第1アーム部材3の基端部を関節部材4を介して支持する第2アーム部材5と、さらに第2アーム部材5の基端部を関節部材6を介して支持するコ字状に形成されたベース部材7が具備されている。そして、前記各第2アーム部材5には第1駆動ロッド8が、後述する油圧回路により伸縮されるように配置されており、この第1駆動ロッド8の先端部は第1アーム部材3に係止され、その伸縮作用により第1アーム部材3は、第2アーム部材5をベースにして関節(屈曲)運動がなされるように構成されている。
【0022】
また、前記ベース部材7には、一対の第2駆動ロッド9が、後述する油圧回路により伸縮されるように配置されており、この第2駆動ロッド9の先端部は第2アーム部材5に係止され、その伸縮作用により第2アーム部材3は、ベース部材7に対して関節(屈曲)運動がなされるように構成されている。なお、コ字状に形成された前記ベース部材7は、その折り曲げ中央部において、ハンド機構1を支持する図示せぬ支持部材に取付けられる。
【0023】
したがって、前記した構成により各アーム機構1A,1Bの第1および第2駆動ロッド8,9がそれぞれ油圧により伸長される場合には、各第1アーム部材3の先端に備えられた把持部2が前記関節部材4,6を介して互いに物体aの把持方向に接近するように作用する。また、各アーム機構1A,1Bの第1および第2駆動ロッド8,9がそれぞれ油圧により縮小される場合には、各第1アーム部材3の先端に備えられた把持部2は前記関節部材4,6を介して互いに離反し、把持状態の物体aを開放するように作用する。
【0024】
図2および図3は、図1に示した一方のアーム機構1Aにおける第1と第2のアーム部材3,5に対応する部分を拡大して示したものである。なお、図2は駆動ロッド8が縮小されて、把持部2による物体の把持が開放された状態を示し、図3は駆動ロッド8が伸長されて、把持部2により物体aが把持された状態を示している。
【0025】
図2および図3に示されたように、駆動ロッド8はそのピストン部材8aが、第2アーム部材5に形成されたシリンダ11内に収容され、当該駆動ロッド8はシリンダ11における第1圧力室11aへの圧油の導入により伸長されると共に、第2圧力室11bへの圧油の導入により縮小されるように構成されている。なお、シリンダ11における第1圧力室11aもしくは第2圧力室11bへの圧油の導入は、後述するマニュアル操作される駆動方向切替え弁からの圧油が、図2および図3に示した把持力調整弁12を介して供給される。これら、駆動方向切替え弁および把持力調整弁12の構成については後で詳細に説明する。
【0026】
一方、図2および図3に示すように、第1アーム部材3の先端部に備えられた把持部2は、この実施の形態においてはセンサロッドにより構成されている。すなわち、この把持部を構成するセンサロッド2は、第1アーム部材3の先端部において、第1アーム部材3の屈曲可能な方向に向かってストローク動作が行えるように配置されている。
【0027】
このセンサロッド2は、その先端部が半球状に形成されて、把持される物体aのいずれかの箇所に接触されるように構成されており、その基端部が第1アーム部材3に円筒状に穿設されたバネ収容室14の側壁に沿って摺動するように構成されている。そして、バネ収容室14内にはコイル状のバネ(符号はバネ収容室と同じ14で示している。)が収容されており、センサロッド2はこのコイル状のバネ14によって、第1アーム部材3の屈曲方向に突出するように付勢されている。したがって、前記センサロッド2は把持される物体aに加わる圧力の反作用により、ストローク動作を受ける。
【0028】
また、前記バネ収容室14と前記把持力調整弁12との間には、センサロッド2のストローク動作に応じて、把持力調整弁12を構成する後述する切替えスプールを移動させるための伝達手段15が連結されている。この実施の形態においては、前記伝達手段15としては例えば可撓性のチューブが用いられ、このチューブ内にはパイロット油が封入されて油圧通路が形成されている。
【0029】
図4は前記したセンサロッド2のストローク動作と、油圧回路の一部を構成する前記把持力調整弁12との動作を模式的に示したものである。なお、前記把持力調整弁12には、後で説明する駆動方向切替え弁からの圧油が、第1油路17もしくは第2油路18に供給されるように構成されている。すなわち、後述する駆動方向切替え弁からの圧油が第1油路17に加わる時には、第2油路18はドレインに連通されるようになされ、この時、第1駆動ロッド8は伸長される。また、後述する駆動方向切替え弁からの圧油が第2油路18に加わる時には、第1油路17はドレインに連通されるようになされ、この時、第1駆動ロッド8は縮小される。
【0030】
図4に示すように把持力調整弁12内には、切替えスプール12aが備えられており、これはセンサロッド2が物体aを把持した場合に受けるストローク動作により把持力調整弁12内を移動するように構成されている。すなわち、センサロッド2のストローク動作により、前記伝達手段15を構成する油圧通路をパイロット油が移動することで、切替えスプール12aは移動作用を受ける。
【0031】
図4(A)は、第1油路17に圧油が供給され、駆動ロッド8が伸長される状態、すなわち、把持部を構成するセンサロッド2が物体aを把持する方向に駆動される状態を示している。この図4(A)に示す状態においては、センサロッドによる把持部2が物体を把持する状態には至っていない。この状態においては、図4(A)に示すように第1油路17からの圧油は、切替えスプール12aによって阻止されずにシリンダ11における第1圧力室11aに導入される。そして、図4(A)に示す状態が続き、やがてセンサロッド2が物体を把持することで、センサロッド2はストローク動作を受ける。
【0032】
図4(B)は、センサロッド2が物体aを把持することで、センサロッド2が第1のストローク動作の範囲に至った状態を示している。この場合においては、センサロッド2のストローク動作により、伝達手段15を構成する油圧通路を介してパイロット油が把持力調整弁12内に導入される。これにより、切替えスプール12aは、把持力調整弁12内に収容されたコイルバネ12cを収縮させつつ図4(B)に示す状態まで移動する。
【0033】
この状態においては、第1油路17からの圧油が、切替えスプール12aによってシリンダ11内に導入されるのを阻止する中立モードに設定される。したがって、駆動ロッド8の伸縮動作は停止され、この状態で一対のセンサロッド2により物体aを把持(挟持)することができる。すなわち、この状態で把持される物体aには、センサロッド2を突出させるように付勢するコイルバネ14による拡開力(バネ圧)、および把持力調整弁12内に収容されたコイルバネ12cによる拡開力(バネ圧)の和が圧力として加わり、これにより物体aは一対のセンサロッド2により把持される。したがって、この実施の形態においては、コイルバネ14および12cのバネ圧によって、物体aに加えられる圧力が決定される。
【0034】
図4(C)は、何らかの要因により図4(B)に示す状態から、センサロッド2のストローク動作がより大きく作用した場合の動作例、すなわち、センサロッド2が前記した第1のストローク動作の範囲を超えた第2のストローク動作の範囲に至った場合の動作例を示している。この状態においては、把持力調整弁12内の切替えスプール12aは、よりコイルバネ12cを収縮させる方向に移動する。
【0035】
この時、切替えスプール12aの一部が第2油路18への連通を塞ぐように作用する。それ故、第1油路17からの圧油は、図4(C)に示すようにシリンダ11の第2圧力室11bに導入され、第1圧力室11a内の駆動油は逆止弁19を介して排出される。したがって、駆動ロッド8は縮小する方向に駆動され、把持部としてのセンサロッド2を備えた前記第1アーム部材3は把持状態の物体aを開放する方向に移動する。
【0036】
この作用によりセンサロッド2は、前記した第1のストローク動作の範囲に戻され、したがって、即座に図4(B)に示す状態に落ち着く。要するに、把持部としてのセンサロッド2は、前記したようにコイルバネ14および12cにより決定されるバネ圧の範囲において物体aを把持するように動作し、物体aに対して過剰な圧力が加わるのを効果的に阻止するように作用する。
【0037】
図5は前記した一方のアーム機構1Aに対して圧油を供給する油圧回路の構成を説明するものであり、すでに説明した主要部を同一符号で示している。なお、他方のアーム機構1Bに対して圧油を供給する油圧回路においても、図5に示す構成と同一になされている。
【0038】
タンク21に貯留された駆動油は、メインポンプ22によって加圧されて油路23に供給される。なお、メインポンプ22によって加圧された駆動油は油圧の上限を規定するリリーフ弁24を介してタンク21に戻されるようになされる。前記油路23に送られた圧油は、それぞれ油圧回路を構成する駆動方向切替え弁26A,26Bに供給されるように構成されている。第1の駆動方向切替え弁26Aは、前記した第1の駆動ロッド8の伸縮動作を制御するものであり、第2の駆動方向切替え弁26Bは、前記した第2の駆動ロッド9の伸縮動作を制御するものである。
【0039】
前記第1および第2の駆動方向切替え弁26A,26Bは、それぞれ中立位置を挟んで2つの作動位置が設けられた3位置弁で構成されている。そして、この実施の形態においては、第1および第2の駆動方向切替え弁26A,26Bは、図示せぬ操作ボタンもしくは操作レバー等をマニュアル操作することで、3位置弁の作動位置が同期して切替えられるように構成されている。
【0040】
前記駆動方向切替え弁26A,26Bを前記中立位置から1つの作動位置に切替えた場合には、前記油路23に送られた圧油は、第1および第2の駆動ロッド8,9を伸長させる方向に供給される。これにより、多関節型のアーム機構1A,1Bは物体aを把持する方向に駆動される。この時、前記第1の駆動方向切替え弁26Aを介した圧油は、すでに説明した把持力調整弁12を経由して第1駆動ロッド8を伸長させるように動作する。したがってこの時、図4に基づいて説明した把持力調整弁12の作用効果をそのまま享受することができる。
【0041】
また、前記駆動方向切替え弁26A,26Bを前記中立位置から他の1つの作動位置に切替えた場合には、前記油路23に送られた圧油は、第1および第2の駆動ロッド8,9を縮小させる方向に供給される。これにより、アーム機構1A,1Bは物体aを開放する方向に駆動される。
【0042】
図6は、この発明にかかる把持装置の他の実施の形態を示したものであり、図5と同様の構成で示している。そして、図6においてはすでに説明した主要部は同一符号で示されている。この図6に示した実施の形態においては、把持部としてのセンサロッドが、第1アーム部材3に対して一対配置されている。すなわち、把持部を構成する一対のセンサロッド2a,2bは、第1アーム部材3の屈曲可能な方向に向かってそれぞれストローク動作が行えるように配置されている。そして、各センサロッド2a,2bと把持力調整弁12との間におけるパイロット油が封入された油圧通路は共通になされている。
【0043】
この構成によると、多関節型のアーム機構1A,1Bのそれぞれに一対のセンサロッド2a,2bが備えられるので、物体aの把持作用をより確実なものとすることができる。なお、図6に示す構成においては一対のセンサロッド2a,2bを備えた構成を示しているが、同様にさらに多数のセンサロッドを備えるようにすれば、物体aの把持作用をより一層確実なものにすることができる。
【0044】
以上説明した実施の形態においては、把持部を構成するセンサロッドのストローク動作をパイロット油が封入された油圧通路を介して把持力調整弁に伝達するようにしているが、前記センサロッドのストローク動作を、例えばワイヤによって伝達するワイヤレリーズ方式を採用することもできる。
【0045】
また、以上説明した把持装置について、この説明の冒頭において地雷を扱う例えば地雷除去ハンドに好適に使用することができる点について述べているが、この発明にかかる把持装置は、前記したような特定のものに限られず、過剰な把持力により損傷を与えてはならない他の被把持物体を扱う把持装置にも採用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、この発明にかかる把持装置によると、ハンド機構の駆動による物体の把持力に応じてストローク動作を行うセンサロッドを備え、当該センサロッドの所定以上のストローク動作に伴い、油圧回路が把持部を開放方向に駆動するように構成したので、比較的単純な構成により常に適正な把持力をもって物体を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる把持装置の一例を示した平面図である。
【図2】図1に示した把持装置において駆動ロッドの縮小状態を一部拡大して示した平面図である。
【図3】同じく駆動ロッドの伸長状態を一部拡大して示した平面図である。
【図4】センサロッドのストローク動作と把持力調整弁の動作を示した模式図である。
【図5】この発明にかかる把持装置に採用される主に油圧回路部分を示した構成図である。
【図6】この発明にかかる他の実施の形態を説明する主に油圧回路部分を示した構成図である。
【符号の説明】
1 ハンド機構
1A,1B アーム機構
2,2a,2b センサロッド(把持部)
3 第1アーム部材
5 第2アーム部材
4,6 関節部材
7 ベース部材
8,9 駆動ロッド
11 シリンダ
11a 第1圧力室
11b 第2圧力室
12 把持力調整弁
12a 切替えスプール
14 コイルバネ(バネ収容室)
15 伝達手段(油圧通路)
17,18,23 油路
19 逆止弁
22 メインポンプ
24 リリーフ弁
26A,26B 駆動方向切替え弁
a 被把持物体

Claims (7)

  1. 油圧により駆動される駆動ロッドの伸縮作用に基づいて、把持部が物体の把持方向に、もしくは開放方向に駆動されるハンド機構と、前記駆動ロッドに伸縮作用を与える油圧回路とを備えた把持装置であって、
    前記把持部には、ハンド機構の駆動による物体の把持力に応じてストローク動作を行うセンサロッドが備えられ、当該センサロッドの所定以上のストローク動作に伴い、前記油圧回路が前記把持部を開放方向に駆動するように構成したことを特徴とする把持装置。
  2. 前記ハンド機構が、センサロッドによる把持部を先端に備えた第1アーム部材と、この第1アーム部材の基端部を関節部材を介して支持する第2アーム部材とからなる屈曲可能なアーム機構を少なくとも一対具備することで構成され、前記油圧により駆動される駆動ロッドの伸縮作用に基づいて、前記把持部が前記関節部材を介して互いに物体の把持方向に接近もしくは開放方向に離反するように駆動されることを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
  3. 前記油圧回路には、前記センサロッドのストローク動作に応じて油路が切替えられる把持力調整弁が具備され、前記把持力調整弁による油路の切替え動作により、前記把持部を開放方向に駆動することができるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の把持装置。
  4. 前記センサロッドのストローク動作に応じて、前記把持力調整弁を構成する切替えスプールを移動させるための伝達手段が備えられ、当該伝達手段を介した前記切替えスプールの移動により、前記把持力調整弁による油路の切替え動作がなされるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の把持装置。
  5. 前記駆動ロッドは、シリンダにおける第1圧力室への圧油の導入により伸長されると共に、第2圧力室への圧油の導入により縮小されるように構成され、前記把持力調整弁は、前記センサロッドにおける第1のストローク動作の範囲において、前記第1圧力室および第2圧力室への圧油の導入を停止させる中立モードを設定すると共に、前記センサロッドにおける第1のストローク動作の範囲を超えた第2のストローク動作の範囲において、前記第2圧力室への圧油の導入モードを設定し、前記把持部を開放方向に駆動するように構成したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の把持装置。
  6. 前記油圧回路には、マニュアル操作される駆動方向切替え弁がさらに具備され、前記駆動方向切替え弁を介した油圧源からの圧油が、前記把持力調整弁を介することで、前記駆動ロッドに伸縮作用を与えるように構成したことを特徴とする請求項請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の把持装置。
  7. 前記把持部には前記センサロッドを複数配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の把持装置。
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