JP2004356913A - 圧電装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電基板10の一方主面上に形成された接続電極13及び封止電極14と、対向するベース基板2上の素子接続用電極21及び素子封止用電極22上にハンダを溶融させて形成したハンダバンプ部材3及びハンダ接合部材4とを当接させて超音波熱圧着する際に、素子封止用電極22上に形成したハンダ接合部材4の頂点部が封止電極14の外側に当接する構造とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電装置及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、気密構造に特徴を有する圧電装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電現象を利用した圧電装置は広範な分野で用いられており、例えば、圧電体の厚み振動を利用した圧電共振装置は、小型化や高周波化が必要な分野への適用が進んでいる。
【0003】
従来の圧電共振装置としては、基体の一方主面に圧電体層とそれを挟み込む一対の振動電極とを形成した圧電素子を、セラミック等のパッケージで気密封止した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図5は特許文献1に示されている従来の圧電共振装置100を模式的に示す断面図である。圧電素子101はパッケージ102のベース基板102aの上面にハンダ接合部103を介してフリップチップボンディングされ、蓋体104によって気密封止されている。圧電素子101とパッケージ102との電気的接続もハンダ接合部103を介して行われ、パッケージ102のベース基板102aに内蔵された配線導体105を介して、ベース基板102aの底面に形成された外部端子電極(図示せず)と接続されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−232253号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の圧電共振装置100は小型化と低コスト化の点で問題を有していた。すなわち、従来の圧電共振装置100においては圧電素子101をパッケージ102で気密封止していることから、その全体形状が圧電素子101の大きさに比し著しく大型となり、小型化が困難であった。また、形状が複雑で、高価なパッケージ102や蓋体104を使用する必要があるため、部材費が高くなり、低コスト化が困難であった。
【0007】
上述の問題を解決する為に、本発明者は、図6に示すような構造の圧電共振装置を案出した。図6は本発明者が案出した圧電共振装置を模式的に示す断面図であり、図6において、圧電共振装置50は、圧電素子51、ベース基板52、ハンダバンプ部材53、ハンダ接合部材54、外装樹脂層55とから構成されている。
【0008】
圧電素子51としては、圧電共振子や、複数の圧電共振子を組み合わせたフィルタやデュプレクサなどが例示でき、基体56の一方主面上に、間に圧電体層57が介在されている一対の振動電極58、この振動電極58とそれぞれ接続される接続電極59が形成され、さらに、基体56の一方主面の外周に環状の封止電極60が形成されている。尚、振動電極58の振動領域上には空隙61が形成されており、振動の減衰が防止されている。
【0009】
ベース基板52構成する基板62はセラミックやガラス−セラミック材料からなり、その表面には、素子接続用電極63、素子封止用電極64及び外部端子電極65が形成されている。さらに、その内部には、素子接続用電極63と外部端子電極65とを接続する、ビアホール導体を含む内部配線パターン66が形成されている。
【0010】
このようなベース基板52上に圧電素子51を接合するにあたり、ベース基板52の一方主面と圧電素子51の一方主面(圧電体層57、振動電極58等が形成された面)との間に所定間隙が形成されるように、圧電素子51の接続電極59とベース基板52の主面の素子接続用電極63とをハンダバンプ部材53によりそれぞれ接続し、圧電素子51の封止電極60とベース基板52の素子封止用電極64とをハンダ接合部材54によって接合する。
【0011】
ハンダバンプ部材53、ハンダ接合部材54は、Pb−Sn系、Sn−Sb系、Sn−Ag系のハンダ材料を用いる。なお、この接合時にあたり、ベース基板52と圧電素子51との間隙が所定雰囲気、例えば窒素雰囲気になるように、接合は窒素雰囲気中で処理する。
【0012】
また、ベース基板52に接合された圧電素子51は、他方主面側及び側面にわたり、外装樹脂層55が被着形成されている。この外装樹脂層55としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などが例示できる。
【0013】
このような圧電共振装置において、ベース基板52は、圧電素子51の素子サイズよりも若干大きく成形されており、ベース基板52の一方主面には素子接続用電極63、素子封止用電極64が形成され、他方主面には外部端子電極65が形成され、その内部には、内部配線パターン66が形成されている。
【0014】
また、圧電素子51は、シリコン等からなる基体56に、圧電体層57、振動電極58、接続電極59、封止電極60が形成されている。
【0015】
この圧電共振装置の製造方法としては、大型ベース基板の各素子領域内に存在する素子接続用電極63と素子封止用電極64の上にクリームハンダを印刷塗布し、リフロー炉を通して溶融することによりそれぞれハンダバンプ部材53、ハンダ接合部材54を形成する。その後、ハンダバンプ部材53、ハンダ接合部材54に対してハンダフラックス洗浄を行い、圧電素子51の接続電極59が、ベース基板52上のハンダバンプ部材53に当接するように、同時に、圧電素子51の封止電極60がベース基板52上のハンダ接合部材54に当接するように、多数個の圧電素子51を大型ベース基板のそれぞれの素子領域に位置決め載置して、各圧電素子51に適当な荷重を印加しながらリフロー炉に通してリフロー処理を行う。これによりハンダバンプ部材53、ハンダ接合部材54が再溶融されて、ハンダパンプ部材53によってベース基板52側の素子接続用電極63と圧電素子51側の接続電極59との間の電気的な接続が達成され、同時にハンダ接合部材54によってベース基板52側の素子封止用電極64と圧電素子51側の封止電極60との間の封止接合が達成される。これにより、圧電素子51の振動電極58の形成領域においてベース基板52との間に空洞が形成された状態で接合される。
【0016】
なお、圧電素子51の振動電極58はモリブデン、タングステン、アルミニウムなどからなるが、接続電極59と封止電極60は、ニッケル層と金層からなる表面層を有し、ハンダとの接続性を良好なものとしている。
【0017】
次に、多数個取りの大型ベース基板上に実装された複数の圧電素子51に、すくなくとも圧電素子51が覆われるように、外装樹脂を流し込んで加熱硬化して外装樹脂層55となる樹脂を形成する。
【0018】
最後に、大型ベース基板上に樹脂によって被覆された圧電素子51を、ダイシングソーなどで各素子領域毎に切断し、圧電共振装置50を得る。
【0019】
しかしながら、上述の圧電共振装置50では、大型ベース基板上に、多数個の圧電素子51を位置決めした状態で各素子に荷重を印加しながらリフロー炉に通さなければならないが、大型ベース基板に載置した圧電素子51が位置ずれしないように各工程を施すことが困難であった。
【0020】
この対策として圧電素子51を1つ1つベース基板52に超音波熱圧着することで大型ベース基板の上に仮固定したあとリフロー炉に通すことを試みたが、このような超音波熱圧着により仮固定を施したのち、リフローハンダを溶融させて接合された場合、量産ベースでハンダ接合部材54部分を評価すると、このハンダ接合部材54で封止不良が発生する場合があった。
【0021】
不具合部の詳細を観察してみると、圧電素子51の封止電極60の表面中のニッケル、金と、ベース基板52上の素子封止用電極64上に形成したハンダ接合部材54中のSnとが超音波圧着時に合金化し、SnNi、SnAuなどのハンダ密着性の悪い粒状物質(合金層)が、ハンダ接合部材54と封止電極60との当接部分を中心に形成される。この密着性の悪い合金層ははんだと一体化しないため気密性が悪化し、結果として、外周封止接合部分での耐湿信頼性不良を引き起こしてしまう。
【0022】
特に、この密着性の悪い合金層は、上述したように、ハンダ接合部材54の頂点、すなわち断面半円形状となった頂点部分に集中する。しかも、従来の圧電素子51の封止電極60とベース基板52側の素子封止用電極64とは、その形状が同一となっており、且つ素子封止用電極64の全幅にわたってハンダ接合部材54が形成されているため、密着性の悪い合金層が、圧電素子51側の封止電極60の中央部分に位置することになる。この密着性の悪い合金層が外周封止を行う部分の中央部分に位置することによって、安定した接合をおこなう領域を大きく減少させ、耐湿信頼性不良を引き起こしてしまうものである。
【0023】
また、外周接合部分での耐湿信頼性の低下は、素子封止用電極64の形状にも起因する。すなわち、素子封止用電極64は、圧電素子51の形状に対応して、全体が矩形状となった環状に形成されている。この場合、そのコーナー部分に形成されるリフローハンダは表面張力の関係で、コーナー部分以外の他の辺に比べて盛り上がった形になりやすい。このため、ハンダ接合部材54と圧電素子51の封止電極60との接触状態が、コーナー部分とそれ以外の部分で変化してしまい、これによって、全外周を安定して接合することが困難となる。特に、超音波熱圧着で仮固定する際に、このコーナー部分で接触度合いが増加して、上述の合金層の影響を受け易く、封止不良を引き起こしてしまうという問題があった。
【0024】
本発明は上述の課題に鑑み案出されたもので、その目的は、圧電素子を大型ベース基板に超音波熱圧着法を用いて仮固定することを容易にし、信頼性の高い圧電共振装置を提供するとともに、製造効率が高い製造方法を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電装置は、基体上に、間に圧電体層が介在されている一対の振動電極を形成するとともに、該振動電極の一端に接続電極を設け、更に前記振動電極及び前記圧電体層を囲繞する環状の封止電極を前記基板上に形成した圧電素子と、
前記接続電極に電気的に接続される素子接続用電極、前記封止電極と接合する環状の素子封止用電極、及び、外部端子電極を形成したベース基板とを、
前記ベース基板と前記圧電素子との間に所定の間隙を形成するようにして、前記接続電極と前記素子接続用電極とをハンダバンプ部材を介して接続するとともに、前記封止電極と前記素子封止用電極とをハンダ接合部材を介して接合してなる圧電装置において、
前記素子封止用電極の電極幅を前記封止電極の電極幅よりも広くし、且つ前記素子封止用電極の内周形状と前記封止電極の内周形状とを略一致せしめたことを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の圧電装置は、前記素子封止用電極は、その全周にわたり実質的に同一の導体幅で形成されており、前記素子封止用電極上に接合される前記ハンダ接合部材の幅は、前記素子封止用電極の導体幅と略同一であることを特徴とするものである。
【0027】
更に、本発明の圧電装置の製造方法は、前記ハンダバンプ部材を前記素子接続用電極上に、前記ハンダ接合部材を前記素子封止用電極上にそれぞれ形成し、次に、前記接続電極と前記素子接続用電極、あるいは前記封止電極と前記素子封止用電極の少なくとも一方を、前記素子接続用電極上に形成した前記ハンダバンプ部材または前記素子封止用電極上に形成した前記ハンダ接合部材を用いて超音波熱圧着により仮固定し、しかる後、前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材を溶融させて、前記接続電極と前記素子接続用電極とを接続させるとともに前記封止電極と前記素子封止用電極とを接合させることを特徴とするものである。
【0028】
また更に、本発明の圧電装置の製造方法は、前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材を溶融させて、前記接続電極と前記素子接続用電極とを接続させるとともに前記封止電極と前記素子封止用電極とを接合させる時、前記圧電素子に荷重が印加されており、且つ、前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材の溶融がリフロー処理により行われることを特徴とするものである。
【0029】
更にまた、本発明の圧電装置の製造方法は、前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材を溶融させて、前記接続電極と前記素子接続用電極とを接続させるとともに前記封止電極と前記素子封止用電極とを接合させた後、前記荷重を解除した状態で溶融温度から常温まで徐冷することを特徴とするものである。
【0030】
【作用】
本発明の圧電共振装置は、ハンダバンプ部材及びハンダ接合部材を介して、ベース基板に圧電素子がハンダ接合されている。即ち、圧電素子の接続電極とベース基板の素子接続用電極とがハンダバンプ部材により電気的に接続されている。
また、圧電素子の封止電極とベース基板の素子封止用電極とがハンダ接合部材によって気密封止接合されている。
【0031】
本発明においては、圧電素子をベース基板が複数抽出できる大型ベース基板に超音波熱圧着によりハンダバンプ部材ないしハンダ接合部材を介して、圧電素子が1個ずつ位置決めされながらベース基板に仮固定される。
【0032】
本発明では、素子封止用電極の電極幅Wは、前記封止電極の電極幅wよりも広く、且つ素子封止用電極の内周形状と封止電極の内周形状とが略一致している。
すなわち、素子封止用電極の電極幅Wの中央部分は、封止電極の中央部分よりも外側に偏在している。すなわち、素子封止用電極の電極幅に形成された接合前のハンダ接合部材(断面半円形状)の頂点は、封止電極の外側に当接することにより、この部分で仮固定されることになる。このため当接部分で発生しやすいハンダ濡れ性の悪い合金層は、封止電極の外寄り部分に偏在し、その後のリフローハンダを溶融させて接合する時に、圧電素子の封止電極の電極幅中央から内側にかけては、ハンダ濡れ性の悪い合金層が存在しない領域で安定且つ確実な溶融接合ができ、気密的に封止することができる。これにより、超音波熱圧着で生成されたハンダ濡れ性の悪い合金層の影響を受けることなく、耐湿信頼性の高い封止接合が可能な圧電共振装置となる。
【0033】
ここでベース基板の素子封止用電極の導体幅Wが全周にわたり均一に形成されているため、ハンダ接合部材をこの素子封止用電極に形成してもハンダ接合部材の盛り上がりを均一にすることができ、これにより封止電極に超音波熱圧着で仮固定されるときは、全周にわたって均等な仮固定が達成でき、従来のように部分的に超音波熱圧着が集中してハンダ封止が困難な合金層による封止不良を引き起こすことがない。
【0034】
また、上述の圧電共振装置の製造方法においては、ベース基板に圧電素子を超音波熱圧着により仮固定するため、圧電素子の位置ずれなどを抑えることができ、圧電素子とベース基板との安定した接続が維持でき、しかも、製造工程中の搬送などの取り扱いが非常に容易となる。
【0035】
特に、仮固定されたハンダバンプ部材とハンダ接合部材を所定加圧条件(荷重)下で加熱処理により溶融するが、その状態で荷重を解除して溶融温度から常温に徐冷すると、溶融ハンダによるセルフアラインメント効果により、ベース基板上の圧電素子が若干位置ずれしていても本来の位置自動的に修正される。特に加圧条件が強かった場合は溶融ハンダが押しつぶされた形になり、電極間の距離が狭まり、最悪ショートする可能性が考えられるが、上記のような加圧の解放により適切な接続・封止状態が達成できる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の圧電共振装置及びその製造方法を図面に基づいて詳説する。
【0037】
図1は、本発明の圧電共振装置の断面図であり、図2(a)は、本発明の圧電共振装置の仮固定前の状態を示す部分側面図であり、図2(b)は、仮固定した後の部分側面図であり、図2(c)は、ハンダバンプ部材及びハンダ接合部材で接合した後の部分側面図である。また、図3は、本発明の圧電共振装置に用いるベース基板の概略平面図であり、図4は、本発明の圧電共振装置の製造方法の主要工程を示す断面図である。
【0038】
図1において、本発明の圧電共振装置は、圧電素子1、ベース基板2、ハンダバンプ部材3、ハンダ接合部材4、外装樹脂層5から構成されている。
【0039】
圧電素子1は、圧電共振子や、複数の圧電共振子を組み合わせたフィルタやデュプレクサなどが例示でき、例えば、シリコンからなる基体10の一方主面上に、間に窒化アルミニウムからなる圧電体層11が介在されている一対の振動電極12、この振動電極12とそれぞれ接続される接続電極13が形成されている。
さらに、基体10の一方主面の外周には、圧電素子1とベース基板2との間に形成される間隙を気密封止する為の環状の封止電極14が形成されている。尚、振動電極12の振動領域上には空隙15が形成されており、振動の減衰が防止されている。
【0040】
なお、振動電極12はモリブデン、タングステン、アルミニウムなどからなるが、接続電極13と封止電極14はニッケル層と金層からなる表面層を有し、ハンダとの接続性を良好なものとしている。
【0041】
ベース基板2の材料としては、たとえば、ガラス−セラミック材料、アルミナなどが例示できる。ベース基板2を構成する基板20の表面には、素子接続用電極21、素子封止用電極22及び外部端子電極23が形成されている。さらに、基板10の内部には、素子接続用電極21と外部端子電極23とを接続するビアホール導体を含む内部配線パターン24が形成されている。この素子接続用電極21、素子封止用電極22及び外部端子電極23は、銀の導体膜上にメッキ処理などを施して、少なくともハンダ濡れ性が良好な金属表面を形成する。
【0042】
このようなベース基板2上に圧電素子1を接合するにあたり、ベース基板2の一方主面(素子接続用電極21、素子封止用電極22等が形成された面)と圧電素子1の一方主面(振動電極11、接続電極12、封止電極13などが形成された面)との間に所定間隙を形成するように、圧電素子1の接続電極13とベース基板2の主面の素子接続用電極21とをハンダバンプ部材3により電気的に接続して、圧電素子1の封止電極14とベース基板2の素子封止用電極22とをハンダ接合部材4によって気密封止接合する。なお、ハンダバンプ部材3、ハンダ接合部材4は、環境問題を考慮して、無鉛はんだ材料であるSn−Sb系またはSn−Ag系のハンダを用いることが望ましい。
【0043】
なお、圧電素子1とベース基板2との間の間隙は、所定雰囲気、たとえば窒素雰囲気になるように、気密封止接合処理を窒素雰囲気でおこなう。
【0044】
また、ベース基板2に接合された圧電素子1には、他方主面側及び側面にわたり、外装樹脂層5を被着形成する。この外装樹脂層5は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などが例示できる。
【0045】
本発明で特徴的なことは、環状の素子封止用電極22の導体幅Wが、これに対応する環状の封止電極14の電極幅wよりも大きく設定され、しかも素子封止用電極22の内周形状と前記封止電極14の内周形状とが略一致するように形成している点である。すなわち、平面視すると素子封止用電極22の外周が、封止電極14の外周よりも突出した形状を有している。また、環状の素子封止用電極22は、その全周にわたり、すなわち、コーナー部分及び他の辺部分においても、実質的に同一の導体幅Wで構成され、さらに、素子封止用電極22上に形成されるハンダ接合部材4は、この素子封止用電極22の導体幅Wいっぱいに形成されている。
【0046】
そして、このようなベース基板2と圧電素子1との接合は、まず、例えばベース基板2側の素子接続用電極21上及び素子封止用電極22上にハンダバンプ部材3(図2で符号3aと付す)及びハンダ接合部材4(図2で符号4aと付す)を形成する。具体的には、素子接続用電極21上及び素子封止用電極22上にクリームハンダを塗布し、リフロー処理を施して形成する。
【0047】
次いで、前記圧電素子1とベース基板2とを溶融接合する。
【0048】
このよう接合工程は、素子接続用電極21上に形成したハンダバンプ部材3aと圧電素子1の接続電極13とを、同時に素子封止用電極22上に形成したハンダ接合部材4aと圧電素子1の封止電極14とをそれぞれ位置合わせして、少なくともその一方を超音波熱圧着により仮固定する工程と、仮固定された状態でハンダバンプ部材3a及びハンダ接合部材4aを溶融させて接合する工程からなる。
【0049】
尚、溶融接合する工程は、圧電素子1に荷重を印加しながらリフロー処理(再溶融)により行われるものであり、さらに、その後、この荷重を解除した状態で溶融温度から常温まで徐冷する処理を含むものである。
【0050】
それらの工程を図2に示す。
【0051】
図2(a)に示すように、ベース基板2側の素子接続用電極21上にハンダバンプ部材3aを、ベース基板2側の素子封止用電極22上にハンダ接合部材4aをそれぞれ形成する。次に、仮固定をおこなうため、ハンダバンプ部材3aを圧電素子1の接続電極13に、ハンダ接合部材4aを圧電素子1の封止電極14にそれぞれ位置合わせしてベース基板2に圧電素子1を載置する。
【0052】
次に、図2(b)に示すように、ベース基板2を、超音波熱圧着を確実にするために、例えば100〜150℃に加熱し、圧電素子1側から超音波振動をあたえ、同時に圧着して仮固定する。例えば、ハンダバンプ部材3aの突出量が、ハンダ接合部材4aの突出量よりも大きい場合、超音波融着は先行してハンダパンプ部材3(3b)側で行われ、このハンダパンプ部材3の突出量が低くなると、超音波融着は素子封止用電極22上のハンダ接合部材4(4b)でも行われる。
すなわち、これにより仮固定は達成される。
【0053】
次に、図2(c)に示すように、圧電素子1側から荷重をかけながら、ハンダ溶融温度以上の温度でリフロー炉に通して、ハンダバンプ部材3(3c)、ハンダ接合部材4(4c)を溶融させて、圧電素子1とベース基板2の電気的接続及び外周部分での気密封止を達成する。
【0054】
尚、圧電素子1とベース基板2のとの間の間隙を所定雰囲気とするために、これらの接合工程を所定雰囲気で行う。
【0055】
このように、溶融させて接合する時に圧電素子1側から荷重をあたえているため、素子封止用電極22と封止電極14との間のハンダ接合部材4が充分につぶれた状態で溶融接合され、封止が確実に行われることになる。
【0056】
その後、この荷重を解除した状態で、溶融温度から常温まで徐冷する。これにより、接合工程が完了する。すなわち、荷重のかからない状態で常温にまで徐冷される間に、ハンダのセルフアライメント効果が動作して、特に、接続電極13と素子接続用電極21との間の位置ずれが補正され、確実な電気的な接続が達成される。
【0057】
本発明では、ベース基板2側の素子封止用電極22上に形成したハンダ接合部材4が仮固定される際、このハンダ接合部材4の頂点部分が、表面に金層を有する封止電極14に接触して超音波熱圧着され、その結果、ハンダ濡れ性の悪い合金層が発生してしまう。しかし、このハンダ濡れ性の悪い合金層は、図2(b)で示すハンダ接合部材4bの頂点部(▲印で示す)で主に発生する。しかし、上述したように、素子封止用電極22の外周が封止電極14の外周よりも突出した形状であるため、ハンダ接合部材4bの頂点部は、封止電極14の幅w方向の外寄りに位置することになる。すなわち、図2(c)のようにリフロー炉を通して溶融接合する場合には、封止電極14の幅wの中央から内寄り、すなわち、ハンダ濡れ性の悪い合金層が形成されない領域で、溶融したハンダが安定して濡れて、確実なハンダ接合が達成でき、良好な封止が達成される。
【0058】
したがって、従来でははんだ濡れ性が悪い領域が封止電極60の中央に位置していたのに対して、本発明では、濡れ性の悪い領域が外寄りに偏在し、その結果、確実なはんだ接合に寄与する領域が増大することにより、上述の作用が得られる。
【0059】
このような状況を安定して作り出すためには、図3に示すようにベース基板2の上の素子封止用電極22の導体幅Wを全ての領域において同一の幅に形成することが効果的である。すなわち、素子封止用電極22の導体パターンは、コーナー部の外周は1/4円状の形状を有し、コーナー部の内周と外周のいずれもが円弧状のパターンを有している。このような形状とすることにより素子封止用電極22の上に形成されるハンダ接合部材4の高さを、コーナー部分においても他の辺部分と略同一な高さとすることができる。
【0060】
本発明において、素子封止用電極22の幅Wと封止電極14の電極幅wとの関係は、ハンダ接合部材4(4b)の頂点が、封止電極14の中央よりも外よりに位置すればよい。
【0061】
また、溶融したハンダが気密封止接合に大きく寄与できるため、素子封止用電極22及び封止電極14の内周側に流れるハンダ量を減少されることが重要となる。このため、素子封止用電極22の内周部分と、封止電極14の内周部分と一致させることが好ましい。
【0062】
以上の2点を考慮して、素子封止用電極22の導体幅の全体にハンダ接合部材4が形成されることを前提とすれば、素子封止用電極22の幅Wと封止電極14の幅wとを、w<Wであり、且つw>W/2とすればよい。
【0063】
次に、本発明の圧電共振装置の概略的な製造方法を図4に従って説明する。なお、ベース基板2は最終工程で切断処理される大型ベース基板6を用いて製造する。
【0064】
まず、大型ベース基板6は、複数のベース基板領域(便宜上、符号2を付す。)を有している。この基板領域2の一方主面には、素子接続用電極21、素子封止用電極22が形成され、他方主面には、外部端子電極23が形成され、さらに、各基板領域2には、内部配線パターン24が形成されている(図4(a)参照。)。なお、各基板領域の平面形状は、圧電素子1の平面形状よりも1周り、たとえば、0.5mm程度大きくしておく。
【0065】
次に、圧電素子1とベース基板領域2とを電気的に接続するハンダバンプ部材3、及び圧電素子1とベース基板領域2とを気密封止接合する環状のハンダ接合部材4を形成する(図4(b)参照。)。
【0066】
ハンダバンプ部材3及びハンダ接合部材4は、例えば、ベース基板領域2の素子接続用電極21及び素子封止用電極22上に、ハンダペーストを所定回数塗布し、この塗布したクリームハンダを加熱溶融して形成する。これにより、溶融したハンダは、表面張力により、素子接続用電極21上で断面概略半円形状となる。さらに、洗浄処理を行うことにより、クリームハンダに含有し、かつ溶融によりハンダの表面に浮き上がったフラックス成分を除去することができる。
【0067】
尚、ハンダ接合部材4(4a)の突出量(突出高さ)よりもハンダバンプ部材3(3a)の突出量(突出高さ)が高くするようにすることが望ましい。このため、ハンダバンプ部材3となるクリームハンダの塗布回数を多くする。またハンダバンプ部材3となるクリームハンダを印刷するスクリーン製版の開口面積を広くして、塗布量を多くする。例えば、ハンダバンプ部材3(3a)の突出量(突出高さ)を約42μmとし、ハンダ接合部材4(4a)の突出量(突出高さ)を38μmとする。
【0068】
次に、シリコンなどの基体10が複数抽出できる大型圧電基板を用意する。この大型圧電基板の一方主面の各素子領域には、圧電体層11、振動電極12、接続電極13、封止電極14、空隙15を形成する。そして、大型圧電基板を各圧電素子1毎に切断処理し、その後、例えば整列パレットなどに整列させる。そして、大型ベース基板6の各基板領域に圧電素子1を実装するにあたり、この整列パレットより各圧電素子1が取り出されることになる(図4(c)参照。)。
【0069】
その後、大型ベース基板6の各ベース基板領域2に圧電素子1を載置する。このとき、圧電素子1側の接続電極13と、基板領域2の素子接続用電極21とを位置合わせし、同時に、圧電素子1側の封止電極14と基板領域2側の素子封止用電極22とを位置合わせする。このとき、ハンダバンプ部材3aとハンダ接合部材4aとの突出量の差により、圧電素子1はハンダバンプ部材のみで支持されることになる。
【0070】
次に、圧電素子1を大型ベース基板6に仮固定を行い、次いで、ハンダバンプ部材3、ハンダ接合部材4で溶融接合を行う(図4(d)参照。)。
【0071】
なお、図4(d)の仮固定及び溶融接合は、図3を用いて説明したとおりである。この仮固定では、例えば、ハンダバンプ部材3、ハンダ接合部材4が溶融しない程度の温度(100〜150℃)に加熱された金属製ヒータブロック上に大型ベース基板6を載置して、圧電素子1を加圧しながら、超音波振動をあたえて、主にハンダバンプ部材3を超音波融着させる。
【0072】
次に、仮固定された複数の圧電素子1を大型ベース基板6に接合する。具体的にはこの大型ベース基板6を1対の金属製ヒータブロックで挟持した状態で、窒素雰囲気とされたチャンバー内に投入される。チャンバー内の酸素濃度はハンダ接合が確実に行える10ppm以下とされる。この時圧電素子1は大型ベース基板6上に仮固定されているが、圧電素子1と大型ベース基板6との間には、ハンダ接合部材の突出量以上の間隙が形成されており、窒素ガスがこの間隙内に安定的に流入することができる。
【0073】
その後、金属製ヒータブロックを加熱するとともに、圧電素子1の上面側から荷重を加え、ハンダバンプ部材3、ハンダ接合部材4を溶融接合して気密封止を行う。尚、この荷重により、大型ベース基板6と圧電素子1との間の間隙は例えば20μm程度となる。
【0074】
この気密封止接合工程において、圧電素子1が大型ベース基板6に仮固定されているため、このチャンバー内での加熱処理時に位置ずれを起こすことがないため、安定した気密封止接合が可能となる。
【0075】
また、ハンダバンプ部材3とハンダ接合部材4が加熱処理により溶融した状態で荷重を解除しハンダ溶融温度から常温まで徐冷すると、溶融ハンダによるセルフアラインメント効果により、圧電素子1がベース基板2の上の若干位置ずれしたところに仮固定されたとしても本来の位置に自動的に修正される。
【0076】
次に、必要に応じて、圧電素子1の他方主面(露出している表面)側から、外装樹脂層5となる例えばエポキシ樹脂ペーストを塗布して、硬化処理する。この時、圧電素子1よりも大型ベース基板の各素子領域の平面形状が大きいため、隣接しあう圧電素子1の間隙にもエポキシ樹脂が塗布される。即ち、圧電素子1は、他方主面側及びその側面に外装樹脂層5が塗布されることになる(図4(e)参照。)。
【0077】
次に、複数の圧電素子1が実装され、且つ外装樹脂層5が被着された大型ベース基板6を、各基板領域2毎に外装樹脂層5が被着された状態でダイシング処理により切断する(図4(f)参照。)。この工程により、図1に示す圧電共振装置が得られることになる。
【0078】
【発明の効果】
以上のように、圧電素子が大型ベース基板の上で、ハンダの溶融接合により接続されるとともに封止を完了する方法として、超音波熱圧着で圧電素子を仮固定したあと、荷重をかけながら溶融させる方法を提供している。これにより大量の圧電共振装置を一括して形成することができ、安価に量産することができる。
【0079】
また、上述の製造方法でおこなっても、素子封止用電極の外周が、封止電極の外周から延出するように形成されているため、ハンダ接合部材に超音波熱圧着により封止性の悪い合金層が発生しても、その影響を抑制し、信頼性の高い圧電共振装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電共振装置を模式的に示す断面構造図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の圧電共振装置の製造方法にかかるハンダバンプ部材とハンダ接合部材の仮固定工程から溶融工程を示す部分側面図である。
【図3】本発明の圧電共振装置に用いるベース基板を模式的に示す平面図である。
【図4】(a)〜(g)は、本発明の圧電共振装置の製造工程を説明する断面図である。
【図5】従来の圧電共振装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図6】従来の圧電共振装置の問題点を解決する為に本発明者が考案した圧電共振装置の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・圧電素子
2・・・ベース基板
10・・・基体
11・・・圧電体層
12・・・振動電極
13・・・接続電極
14・・・封止電極
20・・・基板
21・・・素子接続用電極
22・・・素子封止用電極
23・・・外部端子電極
24・・・内部配線パターン
3・・・ハンダバンプ部材
4・・・ハンダ接合部材
5・・・外装樹脂
Claims (5)
- 基体上に、間に圧電体層が介在されている一対の振動電極を形成するとともに、該振動電極の一端に接続電極を設け、更に前記振動電極及び前記圧電体層を囲繞する環状の封止電極を前記基板上に形成した圧電素子と、
前記接続電極に電気的に接続される素子接続用電極、前記封止電極と接合する環状の素子封止用電極、及び、外部端子電極を形成したベース基板とを、
前記ベース基板と前記圧電素子との間に所定の間隙を形成するようにして、前記接続電極と前記素子接続用電極とをハンダバンプ部材を介して接続するとともに、前記封止電極と前記素子封止用電極とをハンダ接合部材を介して接合してなる圧電装置において、
前記素子封止用電極の電極幅を前記封止電極の電極幅よりも広くし、且つ前記素子封止用電極の内周形状と前記封止電極の内周形状とを略一致せしめたことを特徴とする圧電装置。 - 前記素子封止用電極は、その全周にわたり実質的に同一の導体幅で形成されており、前記素子封止用電極上に接合される前記ハンダ接合部材の幅は、前記素子封止用電極の導体幅と略同一であることを特徴とする請求項1記載の圧電装置。
- 請求項1または請求項2に記載の圧電装置の製造方法であって、
前記ハンダバンプ部材を前記素子接続用電極上に、前記ハンダ接合部材を前記素子封止用電極上にそれぞれ形成し、次に、前記接続電極と前記素子接続用電極、あるいは前記封止電極と前記素子封止用電極の少なくとも一方を、前記素子接続用電極上に形成した前記ハンダバンプ部材または前記素子封止用電極上に形成した前記ハンダ接合部材を用いて超音波熱圧着により仮固定し、しかる後、前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材を溶融させて、前記接続電極と前記素子接続用電極とを接続させるとともに前記封止電極と前記素子封止用電極とを接合させることを特徴とする圧電装置の製造方法。 - 前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材を溶融させて、前記接続電極と前記素子接続用電極とを接続させるとともに前記封止電極と前記素子封止用電極とを接合させる時、前記圧電素子に荷重が印加されており、且つ、前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材の溶融がリフロー処理により行われることを特徴とする請求項3に記載の圧電装置の製造方法。
- 前記ハンダバンプ部材及び前記ハンダ接合部材を溶融させて、前記接続電極と前記素子接続用電極とを接続させるとともに前記封止電極と前記素子封止用電極とを接合させた後、前記荷重を解除した状態で溶融温度から常温まで徐冷することを特徴とする請求項4に記載の圧電装置の製造方法。
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