JP2004356504A - 寄生エタロンの影響を低減したレーザ - Google Patents

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Serguei Koulikov
クーリコフ セルゲイ
Barbara A Paldus
エー. パルダス バーバラ
Grzegorz Pakulski
パクルスキー グジェゴージュ
Chris W Rella
ダブリュー. レッラ クリス
Jinchun Xie
シエ ジンチュン
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Abstract

【課題】レーザキャビティ内に存在する複数のエタロンのスペクトル周期をほぼ一致させてレーザの性能を改善する。
【解決手段】レーザキャビティ21内にグリッド固定エタロン16を有し、グリッド固定エタロン16の自由スペクトル領域(FSR)が、レーザキャビティ21のFSRの整数倍であり、半導体利得素子10の面12−1,12−2に起因するチップ寄生エタロンのFSRの整数倍である、離散同調可能外部キャビティ半導体レーザを提供する。また、前記チップエタロンのFSRがレーザキャビティ21のFSRの整数倍であり、レーザキャビティ21内にモード抑制エタロン16’が挿入され、モード抑制エタロン16’のFSRが前記チップエタロンのFSRの整数倍である、固定波長外部キャビティ半導体レーザを提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、レーザに関するものである。
【0002】
【背景技術】
レーザは、光共振器の中にポンプ利得媒体を設けることで構成される。ポンプ利得媒体によって光を増幅し、光共振器によって光を帰還させることで、光共振器内の光路に沿って光が循環し、利得媒体によって繰返し増幅される。光共振器(またはレーザキャビティ)は、リングキャビティであっても定在波キャビティであっても良い。レーザキャビティは複数の縦方向キャビティモードを規定し、これらは、レーザキャビティの自由スペクトル領域(FSR)と称される周波数間隔で等間隔に位置する。レーザ発光は、一般的に、1つまたは複数の縦モード波長で発生する。利得媒体をポンピングする方法として、光ポンピングや電流注入による電気的ポンピングが知られている。このようにして発生する光は、電磁波スペクトルの可視領域に属するものであってそうでもなくてもよい。
【0003】
光共振器内の要素のうち1つは出力カプラとして機能し、循環する光のうち特定量の一部を光共振器から導出し、有用なレーザ出力として供給する。出力カプラとして、部分透過ミラーを使用することは周知である。半導体レーザにおいて、出力カプラは通常、半導体利得媒体の端面であるが、これは、性能を最適化する反射率を得るようにコーティングが施されている場合もある。半導体利得媒体は、通常、エピタキシアル成長による多層構造を有し、放射される光の伝播方向によって分類される。伝播方向が層の表面に対して垂直であれば、利得媒体は表面発光型である。伝播方向が層の表面に対して平行であれば、利得媒体は側面発光型である。側面発光型の半導体利得媒体は、通常、単一モードの光導波路を有する。
【0004】
レーザを同調可能にしたり、レーザの特定の発光波長を選択するために、レーザキャビティが利得媒体から離間された1つまたは複数の光学素子を有する、外部キャビティ構造を使用することが好ましい場合がある。同調可能な半導体レーザに外部キャビティを採用することで、モノリシック半導体構造では製造が困難な同調素子を使用することが可能になる。同様に、固定波長半導体レーザに外部キャビティを使用することで、モノリシック半導体構造では製造が困難な波長選択素子を使用することが可能になる。同調可能半導体レーザであっても、固定波長半導体レーザであっても、通常、外部キャビティ構造の柔軟性によって、モノリシック半導体レーザに比較して向上された光学性能(例えば、高い側モード抑制率および高い波長精度)が得られる。
【0005】
外部キャビティ半導体レーザの光学性能を改善するためには、半導体利得媒体の各端面によって形成される寄生エタロンの影響を抑止しなくてはならない。レーザキャビティ内の2つの反射面によって形成されるキャビティ内エタロンは、レーザ性能を劣化させるものであれば、寄生エタロンとされる。寄生チップエタロンの影響を抑制する方法として、利得チップの片方または両方の端面に反射防止(AR)コーティングを設ける方法や、利得素子導波路を、チップの端面に対して直角に交差しないように配置する方法等が知られている。これらの方法は、同時に採用されることがある。しかし、その場合であってもなお、寄生チップエタロンはレーザ性能に悪影響をもたらすことが多い。
【0006】
従って、本発明は、外部キャビティレーザにおける寄生エタロンのレーザ性能に対する悪影響を低減する装置および方法を提供することを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
本発明によると、レーザキャビティ内の複数のエタロンのスペクトル周期を適切に整合することでレーザの性能が改善される。エタロンの隣接する透過率ピーク間の周波数間隔が、そのエタロンの自由スペクトル領域(FSR)である。本発明の第1実施形態は、レーザキャビティ内にグリッド固定エタロンが存在し、グリッド固定エタロンのFSRがレーザキャビティのFSRの整数倍であり、グリッド固定エタロンのFSRがチップエタロンのFSRの整数倍である、離散的に同調可能な外部キャビティ半導体レーザである。本発明の第2実施形態はチップエタロンのFSRがレーザキャビティのFSRの整数倍であり、レーザキャビティ内にモード抑制エタロンが挿入され、モード抑制エタロンのFSRがチップエタロンのFSRの整数倍である、固定波長外部キャビティ半導体レーザである。本発明の第3実施形態は、チップエタロンのFSRがレーザキャビティのFSRの整数倍である同調可能な外部キャビティ半導体レーザである。本発明の第4実施形態は、チップエタロンのFSRがレーザキャビティのFSRの整数倍である固定波長外部キャビティ半導体レーザである。
【0008】
【好ましい実施形態の詳細な説明】
図1は、本発明の第1の同調可能レーザ形態を概略的に示したものである。便宜上、半導体利得素子10の出力面12−1で説明を開始し、レーザキャビティ内を往復して説明を進めていく。出力面12−1は、レーザ出力を最適化する低レベルの反射性を設けるようにコーティングが施されていることが好ましい。出力面12−1の反射率は、通常、1ないし10%の範囲内である。利得素子10は、単一モード光学導波路12を内包した電気的にポンピングされた単一または複数量子井戸構造の半導体であることが好ましい。出力面12−1から反射された光は利得素子10の導波路12内を伝播し、利得素子10の内面12−2から射出される。内面12−2は、面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンの影響を低減するために、通常反射防止(AR)コーティングが施されている。また、面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンの影響をさらに低減するために、導波路12の主軸が鋭角で内面12−2と交差するように配置されていてもよい。
【0009】
光は、拡りビームとして利得素子10の内面12−2から放射され、レンズ14に入射し、平行化される。この目的に適するレンズとして、焦点距離が1.45nmの非球面レンズであるGeltech社製の350140型があるが、本発明を実施するために、異なる焦点距離を有するその他のレンズを使用することも可能である。平行化ビームは、レンズ14からグリッド固定エタロン16に伝播する。
【0010】
グリッド固定エタロン16の場合、その等間隔の透過率ピーク以外の波長ではキャビティ内損失が高くなる。従って、図1のレーザは、1つのグリッド固定エタロン透過率ピークから次のピークへと離散的に同調し、その中間の波長には同調しない。離散同調性は、高密度波長分割多重(DWDM)等において、周波数が等間隔に位置する個別のチャネルだけにレーザが同調することが必要な応用に適している。レーザの組立時に、グリッド固定エタロン16の透過率ピークによって規定されるレーザチャネルを望ましい周波数グリッドと一致させることで、優れた開ループ波長精度が得られ、所望のグリッドからの測定開ループ偏差は、少なくとも5THzの同調範囲に亘って、通常では1GHz以下である。
【0011】
その目的とする機能を果たすために、図1におけるグリッド固定エタロン16は、好ましくは、エタロン表面の法線がキャビティ軸に対して小さな角度(好ましくは0.1ないし2度)を成すようにレーザキャビティ内に挿入することで、エタロン表面から反射されるビームがレーザキャビティ内に結合され難くなるようにする。エタロンのフィネスは中間的(例えば、2<フィネス<10)であり、このフィネス値は、傾いているエタロンを通過する場合に損失を低減し、好ましいレベルのスペクトル選択性を得るように選択される。エタロンは、レーザの絶対波長基準となるため、融解石英等、機械的に安定し、温度に対して感受性のない材料を使用して製造することが好ましい。また、縦キャビティモード(レーザ共振器によって規定)波長は、望ましい同調範囲内に位置する、グリッド固定エタロン16の各透過率ピークの周辺に存在することが好ましい。このように縦モードとグリッド固定エタロン16の透過率ピークのアラインメントを行う方法として、グリッド固定エタロン16のFSRが実質的にレーザ共振器のFSRの整数倍(すなわち、N≧1として、N倍)となり、望ましい同調範囲内のグリッド固定エタロン16の透過率ピークのうち1つがレーザ共振器によって規定される縦モードと実質的に一致するように、レーザを設計する方法がある。
【0012】
グリッド固定エタロン16のさらなる利点として、その透過率ピークに一致しない縦キャビティモードは抑制される点が挙げられる。特に、波長が発光波長に隣接する縦キャビティモードが抑制されるので、単一モードレーザ性能(例えば、高い側モード抑制率および/または広い単一モード同調範囲)が改善される。
【0013】
グリッド固定エタロン16から射出されるビームは同調素子18に入射する。本発明を実施するにあたり、同調素子として、音響光学同調素子を使用することができる。また、機械的に回転可能なエタロン、マイクロエレクトロメカニカル(MEMS)エタロン、液晶同調素子、回折格子および複屈折リオフィルタ等のその他の同調素子も本発明を実施するために使用することが可能であるが、この限りではない。
【0014】
同調素子18から射出するビームは戻りミラー20によって反射され、同調素子18、グリッド固定エタロン16、レンズ14および利得素子10の導波路12を再度通過し、キャビティ内を一往復する。戻りミラー20は、通常、反射率が90%以上であり、平面ミラーであっても曲面ミラーであっても良い。レーザキャビティ21は、利得素子10の端面12−1と戻りミラー20によって画定される。場合によって、戻りミラー20および同調素子18の機能を、1つの構造(例えば、回折格子)によって実現することもできる。
【0015】
図2は、グリッド固定エタロン16のFSRが25GHzであり、利得素子10の端面12−1および12−2によって形成された寄生エタロンのFSRが29GHzである場合の音響光学同調素子18における測定側モード抑制率(SMSR)および出力波長対高周波周波数を示すグラフである。図中、2つのSMSR曲線が見える。点線は、レージングモードにおける出力と、周波数がレージングモードに隣接する2つの縦モードのうち強い方における出力との比率を示すものである。鎖線は、レージングモードにおける出力と、周波数がレージングモードに隣接しない側モードのうち最も強いものの出力との比率を示すものである。その透過率ピークと一致しない縦キャビティモードを有効に抑制するグリッド固定エタロン16が存在するため、上記の「周波数が...隣接する」とは、実際はレージングモードからグリッド固定エタロンのFSR分離れていることを意味する。出力波長グラフに、レーザがある波長チャネルから次の波長チャネルへ離散的に同調し、その間の波長には同調しない様子が示されており、グリッド固定エタロン16の効果が明らかである。
【0016】
ただし、図2に見えるように、容易に同調可能な(すなわち、レーザが特定のチャネルで比較的広いRF周波数範囲でレージングする)チャネルもあれば、同調が難しい(すなわち、レーザが特定のチャネルで比較的狭いRF周波数範囲でレージングする)チャネルも存在する。換言すると、図2に見える「段」の幅に大きな偏差がある。段の幅が非常に狭い場合、同調パラメータの許容範囲が小さいため、安定した単一モード動作を保証するための制御に対する条件が厳しくなるので、好ましくない。極端なケースには、チャネルが完全に使用不可能になることさえある。
【0017】
図2に見えるような段幅の偏差は、レーザの周波数依存性損失によるものであり、この周波数依存性損失は同調が容易なチャネルにおいては低く、同調が困難なチャネルにおいては比較的高い。このような周波数依存性損失は、例えば利得媒体10の端面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンの影響で発生し、図2に示すような段幅偏差特性をもたらす。
【0018】
図2の結果は、利得素子10の端面12−2がARコーティングを有し、導波路12の主軸が利得素子10の端面12−2と鋭角で交差するレーザによるものである。この2つの方法で寄生チップエタロンの影響をある程度抑えることができるものの、多少の悪影響は残ってしまう。寄生チップエタロンの影響を取除く方法として、内面12−2による再帰反射をさらに低くすることが考えられる。しかし、ARコーティングを施し、端面に傾きを設けることで既に反射率は低く(例えば、0.0001以下)なっており、反射率をさらに低くすることは至難である。
【0019】
レーザ動作に対する寄生エタロンの影響を無くすためには、必ずしも寄生エタロンを完全に取除く(例えば、端面12−2の反射率を無視し得るレベルまで下げる)必要はない。寄生エタロンにおいて、グリッド固定エタロン16によって規定される全チャネルにおいて損失が等しくなるようにすれば良い。これは、グリッド固定エタロン16のFSRが、端面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンのFSRの整数倍になるように、利得素子10の長さを設定することで行うことができる。このようにして、グリッド固定エタロンのFSRを寄生チップエタロンのFSRと一致させることで、全チャネルにおいて寄生エタロンによる損失は等しくなり、チャネル間の偏差が無くなる。また、レーザは限られた同調範囲内で動作し、波長に依存する損失の変動は同調範囲内でしか意味を有しないため、実際にはFSRを厳格に精確に一致させる必要はないことが多い。
【0020】
図3は、グリッド固定エタロン16のFSRが50GHzであり、利得素子10の端面12−1および12−2によって形成された寄生エタロンのFSRが50GHzである場合の音響光学同調素子18における測定側モード抑制率(SMSR)および出力波長対高周波周波数を示すグラフである。図3中のSMSR曲線は、図2のものと同様に定義される。図3における段の幅はさほど変らず、この例において、この好ましい特性は、やはりグリッド固定エタロン16のFSRを寄生チップエタロンのFSRと一致させたことによるものであると考えられる。
【0021】
端面12−2にARコーティングおよび/または傾きが設けてあるので、寄生エタロンによる損失は、通常は、寄生エタロンのスペクトル損失の極小をグリッド固定エタロン16の透過率ピークと一致させる必要がなくなるほど低くなる。換言すると、寄生エタロンによる損失は、チャネル間で相違する場合にのみ問題となるのである。それでも寄生エタロンのスペクトルの極小をグリッド固定エタロン16の透過率ピークと一致させたい場合、寄生エタロンの光路長(すなわち、実際の長さ×屈折率)を制御することで実現可能である。
【0022】
同調可能なレーザ(例えば、図1のレーザ)の、単一モードで動作する能力を向上するデザイン上の特徴は、通常、単一モードの固定波長レーザにも適用可能である。よって、図4に概略的に示すように、本発明の第1の固定波長形態は、図1の同調素子18の代わりに図4には波長選択器22が設けてあり、グリッド固定エタロン16の代わりにモード抑制エタロン16’が設けてあること以外は、図1の構造と同じである。
【0023】
本発明を実施するために使用できる波長選択器22として、その透過率ピークのうち所望の発光波長にある透過率ピークだけが利得素子10の帯域幅内に位置するようにキャビティ内に配置された干渉フィルタを採用することができる。干渉フィルタを傾かせると、最大透過率の波長が変るため、組立時にレーザの発光波長を選択することができる。回折格子やエタロンなど、他の波長選択器を使用して本発明を実施することも可能であるが、この限りではない。戻りミラー20および波長選択器22による機能を1つの構造(例えば、回折格子)によって実現することも可能である。
【0024】
図4のレーザは固定波長レーザであるため、モード抑制エタロン16’の透過率ピークは所定の周波数グリッドと一致させなくても良い。しかし、モード抑制エタロン16’は、図1のグリッド固定エタロンについて述べた他の条件を満たすことが好ましい。
【0025】
図4のレーザは、一度(組立時に)のみ同調される同調可能なレーザとして考えることができるので、図2および3の説明はこの実施形態にも該当する。より具体的に、利得素子10の端面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンの周波数依存性損失により、レーザが所望の波長で動作するように組立てることが困難になったり、SMSRが低下したりする。図1の実施形態のように、この課題は、モード抑制エタロン16’のFSRが端面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンのFSRの整数倍となるように、利得素子10の長さを設定することで解決することができる。このように、モード抑制エタロンのFSRが寄生チップエタロンのFSRと一致されていると、組立時にレーザが設定され得るあらゆる波長において寄生エタロンによる損失は等しくなり、波長間の偏差が無くなる。また、レーザは一般的に限られた波長調節可能範囲を有し、波長に依存する損失の変動は波長調節可能範囲内でしか意味を有しないため、実際にはFSRを厳格に精確に一致させる必要はないことが多い。
【0026】
端面12−2にARコーティングおよび/または傾きが設けてあるので、寄生エタロンによる損失は、通常は、寄生エタロンのスペクトル損失の極小をモード抑制エタロン16’の透過率ピークと一致させる必要がなくなるほど低くなる。換言すると、寄生エタロンによる損失は、波長間で相違する場合にのみ問題となるのである。それでも寄生エタロンのスペクトルの極小をモード抑制エタロン16’の透過率ピークと一致させたい場合、寄生エタロンの光路長を制御および/または調製することで実現可能である。
【0027】
図5に概略的に示す本発明の第2の同調可能レーザ形態は、図1のグリッド固定エタロン16が図5に存在しないこと以外は図1の形態と同じである。図5のレーザにおいて、端面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンのFSRがレーザ共振器のFSRの整数倍になるように、利得素子10の長さを選択することが好ましい。例えば、レーザ共振器のFSRが12.5GHzであり、寄生エタロンのFSRが50GHzであり、レーザが50GHz離れているチャネルに同調している場合、寄生エタロンの効果は各チャネルにおいて同等である。上記の実施形態のように、寄生エタロンのFSRをレーザ共振器のFSRと一致させることで、寄生エタロンにおけるチャネル間の偏差を防止する。
【0028】
図6に示す本発明の第2の固定波長レーザ形態は、図3のモード抑制エタロン16’が図6に存在しないこと以外は図3の構造と同じである。この実施形態において、端面12−1および12−2によって形成される寄生エタロンのFSRがレーザ共振器のFSRの整数倍になるように、利得素子10の長さが選択される。
【0029】
上記の実施形態の共通の特徴は、寄生チップエタロンのFSRが「基準FSR」に一致していることである。図5および6の実施形態もそうであるように、基準FSRがレーザ共振器のFSRであることがある。図1および4の実施形態に示すような他のケースでは、基準FSRはレーザ共振器内に設けてあるエタロンのFSRである。従って、基準FSRは、a)レーザ共振器のFSR、または、b)レーザ内に存在するエタロンのFSRに等しい。ここで、ケース(b)において、基準FSRを定義するレーザキャビティ内のエタロンは寄生エタロンではない。
【0030】
図5および6の実施形態において、寄生チップエタロンFSRは基準FSRの整数倍であるが、図1および4の実施形態において、基準FSRは寄生チップエタロンのFSRの整数倍である。ここで、AとBの間に整数関係があることは、AがBの整数倍あるいはBがAの整数倍であることを意味する。従って、本明細書に示した各実施形態において、寄生チップエタロンのFSRは基準FSRに対して整数関係を有する。チップFSRと基準FSRとの差が大き過ぎると様々な問題(例えば、共振器のFSRが小さいと、共振器を長くする必要があるが、そうすると短い共振器より機械的に安定させることが難しくなる)が生じるため、上記の整数は約20以下であることが好ましく、より好ましくは約10以下である。
【0031】
上述の実施形態において、半導体利得媒体は側面発光型である。本発明を実施するために、表面発光型の半導体利得媒体を使用することも可能である。図7は、表面発光型の半導体利得媒体30を概略的に示すものである。通常は光学的または電気的にポンピングすることができる多量子井戸構造である有効領域36によって光学的な利得が得られる。有効領域36は、上部領域38と下部領域34との間に位置する。基板32によって、領域34、36および38が機械的に支持される。基板32は通常は単一の半導体層であるが、領域34および38は多層半導体構造を有する。領域34および38の機能性は、所望の表面発光レーザ構造によるものである。下部領域34の反射率を高くし(例えば、領域34を1/4波長ミラーとし)、上部領域38の反射率を低くし(または設けず)、上部領域38の上方に戻りミラー(図1の戻りミラー20に該当)を配置すると、垂直外部キャビティ表面発光レーザ(VECSEL)が得られる。また、上部領域38が高い反射率を有し、下部領域34が低い反射率を有し(または存在せず)、戻りミラーが基板32の下方に位置する場合にもVECSELが得られる。
【0032】
いずれのVECSEL構造においても、基板32の下面(またはインタフェース)31および高反射率ミラー(すなわち、構造によって領域34または領域38)によって形成される寄生エタロンはレーザ性能に悪影響を及ぼす。図1、4、5および6に対応する本発明のVECSELの形態において、VECSEL利得媒体内の寄生エタロンのFSRを基準FSRと一致させることが好ましい。本発明のこれらの実施形態において、平行化レンズ(例えば、図1の14)を設けることは必ずしも必要ではない。、
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発の第1の同調可能レーザ形態を概略的に示すものである。
【図2】図2は、本発明による、チップFSRとグリッド固定エタロンFSRを一致させている離散的に同調可能な外部キャビティ半導体の測定出力対波長曲線を示すものである。
【図3】図3は、本発明による、チップFSRとグリッド固定エタロンFSRを一致させていない離散的に同調可能な外部キャビティ半導体の測定出力対波長曲線を示すものである。
【図4】図4は、本発明の第1の固定波長レーザ形態を概略的に示すものである。
【図5】図5は、本発の第2の同調可能レーザ形態を概略的に示すものである。
【図6】図6は、本発明の第2の固定波長レーザ形態を概略的に示すものである。
【図7】図7は、表面発光型の利得媒体を概略的に示すものである。
【符号の説明】
10 利得素子
12 導波路
12−1 導波路の端面
12−2 導波路の端面
14 レンズ
16 グリッド固定エタロン
16’ モード抑制エタロン
18 同調素子
20 戻りミラー
21 レーザキャビティ
22 波長選択器
30 半導体利得媒体
31 下面
32 基板
34 下部領域
36 有効領域
38 上部領域

Claims (34)

  1. 共振器FSRを有する光共振器を具備するレーザであって、該共振器が利得素子FSRを有する半導体利得素子を具備し、該利得素子FSRがある選択された基準FSRに対して実質的に整数関係を有することを特徴とするレーザ。
  2. 前記基準FSRが前記共振器FSRと実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
  3. エタロンFSRを有するエタロンをさらに具備し、前記基準FSRが該エタロンFSRに実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
  4. 前記エタロンが、所定の周波数グリッドと一致する透過率ピークを少なくとも2つ有することを特徴とする請求項3に記載のレーザ。
  5. 前記利得素子が、側面発光型利得素子および表面発光型利得素子からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
  6. 前記共振器内に配置された同調素子をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
  7. 前記共振器内に配置された波長選択器をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のレーザ。
  8. 共振器FSRを有する光共振器を具備するレーザであって、該共振器が利得素子FSRを有する半導体利得素子およびエタロンFSRを有するエタロンを具備し、該エタロンFSRが実質的に該利得素子FSRの整数倍であり、該整数が20以下であることを特徴とするレーザ。
  9. 前記エタロンFSRが実質的に前記共振器FSRの整数倍であることを特徴とする請求項8に記載のレーザ。
  10. 前記エタロンが、所定の周波数グリッドと一致する透過率ピークを少なくとも2つ有することを特徴とする請求項8に記載のレーザ。
  11. 前記利得素子が、側面発光型利得素子および表面発光型利得素子からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項8に記載のレーザ。
  12. 前記共振器内に配置された同調素子をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載のレーザ。
  13. 前記共振器内に配置された波長選択器をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載のレーザ。
  14. 共振器FSRを有する光共振器を具備するレーザであって、該共振器が利得素子FSRを有する半導体利得素子を具備し、該利得素子FSRが実質的に該共振器FSRの整数倍であり、該整数が20以下であることを特徴とするレーザ。
  15. 前記利得素子が、側面発光型利得素子および表面発光型利得素子からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項14に記載のレーザ。
  16. 前記共振器内に位置する同調素子をさらに具備することを特徴とする請求項14に記載のレーザ。
  17. 前記共振器内に配置された波長選択器をさらに具備することを特徴とする請求項14に記載のレーザ。
  18. レーザビームを供給するための方法であって、
    a)共振器FSRを有する光共振器内に光を循環させ、
    b)利得素子FSRを有し、該共振器内に配置された半導体利得素子によって循環光を増幅し、
    c)共振器から循環光の一部を導出することでレーザビームを供給する過程を含み、
    該利得素子FSRがある選択された基準FSRに対して実質的に整数関係を有することを特徴とする方法。
  19. 該基準FSRを、該共振器FSRに実質的に等しくなるように選択する過程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記循環光をエタロンFSRを有するエタロン内に通過させる過程をさらに含み、前記基準FSRが実質的にエタロンFSRに等しいことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  21. 前記エタロンの少なくとも2つの透過率ピークを所定の周波数グリッドと一致させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 前記利得素子を、側面発光型利得素子および表面発光型利得素子からなる群より選択する過程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  23. 前記循環光を、前記共振器内に配置された同調素子に通過させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  24. 前記循環光を、前記共振器内に配置された波長選択器に通過させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  25. レーザビームを供給するための方法であって、
    a)エタロンFSRを有するエタロンおよび利得素子FSRを有する半導体利得素子を具備する共振器であって、共振器FSRを有する光共振器内に光を循環させ、
    b)該利得素子によって循環光を増幅し、
    c)共振器から循環光の一部を導出することでレーザビームを供給する過程を含み、
    該エタロンFSRが実質的に該利得素子FSRの整数倍であり、該整数が20以下であることを特徴とする方法。
  26. 前記エタロンFSRを、実質的に前記共振器FSRの整数倍になるように選択する過程をさらに含む請求項25に記載の方法。
  27. 前記エタロンの少なくとも2つの透過率ピークを所定の周波数グリッドと一致させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  28. 前記利得素子を、側面発光型利得素子および表面発光型利得素子からなる群より選択された利得素子を選択する過程をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  29. 前記循環光を、前記共振器内に配置された同調素子に通過させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  30. 前記循環光を、前記共振器内に配置された波長選択器に通過させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  31. レーザビームを供給するための方法であって、
    a)利得素子FSRを有する半導体利得素子を具備する共振器であって、共振器FSRを有する光共振器内に光を循環させ、
    b)該利得素子によって循環光を増幅し、
    c)共振器から循環光の一部を導出することでレーザビームを供給する過程を含み、
    該利得素子FSRが実質的に該共振器FSRの整数倍であり、該整数が20以下であることを特徴とする方法。
  32. 前記利得素子を、側面発光型利得素子および表面発光型利得素子からなる群より選択する過程をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 前記循環光を、前記共振器内に配置された同調素子に通過させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  34. 前記循環光を、前記共振器内に配置された波長選択器に通過させる過程をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
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