JP2004356282A - 光照射装置、レーザアニール装置、およびコリメータ調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザアニール装置において、被照射物を均一な強度で照射することを可能にする。
【解決手段】レーザ光源71から発せられたレーザ光L71の光軸に対して垂直な面内で直交するX,Y方向に光束形状を略円形かつ平行光束化するコリメータ部72を配置する。射出されたビーム光L72を、1本のレーザ光を互いに干渉性のない4本のレーザ光に分割/合成する光分割結合部98に入力する。これをさらに互いに干渉性のない16本のビーム光に分割する光分割部102に入射させ、レンズアレイ103で2次光源化した後にコンデンサレンズ104を介して基板11上で合成する。
【選択図】 図1
【解決手段】レーザ光源71から発せられたレーザ光L71の光軸に対して垂直な面内で直交するX,Y方向に光束形状を略円形かつ平行光束化するコリメータ部72を配置する。射出されたビーム光L72を、1本のレーザ光を互いに干渉性のない4本のレーザ光に分割/合成する光分割結合部98に入力する。これをさらに互いに干渉性のない16本のビーム光に分割する光分割部102に入射させ、レンズアレイ103で2次光源化した後にコンデンサレンズ104を介して基板11上で合成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシリコンをチャネル層とした薄膜トランジスタの製造などに用いられるレーザアニール装置、およびレーザアニール装置などに適用される光照射装置、並びにコリメート調整装置に関する。より詳細には、複数の光源により被照射物に対して均一照射する照射光学系に関し、特に、液晶表示装置、有機EL表示素子の駆動回路素子、スイッチング素子などに用いられる多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造装置、非晶質シリコン薄膜を溶融・再結晶化して薄膜トランジスタ活性層となる多結晶シリコン膜に転換させるレーザアニール装置に用いるレーザ照射光学系への適用に有効な照射光学系の構成と当該照射光学系のコリメート調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイなどに用いられる薄膜トランジスクでは、チャネル層にキャリア移動度の高いポリシリコン膜が用いられている。薄膜トランジスタのポリシリコン膜は、一般に、ガラス基板上にアモルファスシリコンを成膜し、そのアモルファスシリコンにレーザ光を照射することによってアニールして製造される。物質にレーザ光を照射して、その物質をアニールする装置のことを、レーザアニール装置という。
【0003】
薄膜トランジスタを製造する際に用いられるレーザアニール装置には、従来、光源として、高エネルギーの紫外領域のレーザ光を照射できるエキシマレーザが採用されている。しかしながら、従来のレーザアニール装置の光源として用いられているエキシマレーザは、出力安定性に欠け、非常に扱い難いデバイスである。そのため、出力安定性の観点から、レーザアニール装置の光源として、レーザ光のエネルギーが安定であり、かつ寿命が長い、紫外光領域の固体レーザや半導体レーザなどを用いるのが望ましいと考えられる。
【0004】
また、レーザアニール装置の光源として固体レーザや半導体レーザなどを用いた場合、1つの光源のみでは充分なパワーを得ることは困難である。そこで、レーザアニール装置のレーザ光源に固体レーザや半導体レーザを適用できるようにするため、複数の光源から出射されたレーザを合成して、照射領域が広くかつ必要な照射エネルギー密度が得られるに足るレーザ光を生成することが考えられる。ただし、ポリシリコン膜を製造する場合には、光束径内の強度分布が均一となっているレーザ光によりレーザアニールをしなければ、結晶粒径にばらつきが生じ薄膜トランジスタの特性が悪化してしまう。そのため、複数の光源から出射されたレーザ光を合成する際には、照射領域内の強度分布を均一化する必要もある。これらの要請に応える装置例として、たとえば、図13に示すように、レーザ光を発する光源を2つ備える2ビーム構成のものが非特許文献1に開示されている。
【0005】
【非特許文献1】
Kazunori Yamazaki, Toshio Kudo, Koji Seike, Daiji lchishima and Cheng−Guo Jin、“Double−Pulsed Laser Annealing System and Polycrystallization with Green DPSS Lasers ”、AM−LCD ’02 p.149〜152
【0006】
非特許文献1に開示されているレーザアニール装置900は、図13に示すように、アニール対象となるガラス基板911が載置されるステージ912と、レーザ光を出射する2つのレーザ光源971a,971bと、これら2つのレーザ光源971a,971bから出射されたレーザ光を合成するビーム合成部973と、ビーム合成部973から出射されたレーザ光を所定方向に反射するミラー974(図ではそれぞれ974a,974bの2枚)とを備える。レーザ光源971a,971bとビーム合成部973との間には、レーザ光をビーム合成部973に導くためのミラー群972a,972bが設けられている。ミラー群972a,972bは、照射エネルギーを調整するアッテネータ972cが設けられてもよいようになっている。
【0007】
また、レーザアニール装置900は、ミラー974bにて反射されたレーザ光を所定の径の平行光束とするテレスコープ980と、テレスコープ980を通過したレーザ光を均一な広がりを持ち基板911上の所定の照射領域に照射する光学部材(homogenizer )982およびミラー984とを備えている。さらに、レーザアニール装置900は、レーザ光源971a,971bのそれぞれを制御するレーザコントローラ992a,992b、レーザコントローラ992a,992bに供給する駆動パルスの遅延量やオン/オフを制御する遅延パルス制御部994、ステージ912を制御して基板911の照射位置を制御するステージ制御部996、およびこれらの各部を制御するパソコンなどからなる中央制御部998を有し、レーザ光の基板911上の照射領域の位置制御などを行なうコントローラ990を備えている。
【0008】
以上のような従来のレーザアニール装置900では、2つの光源からのレーザ光を合成し、それぞれ基板911上の所定の照射領域に照射している。2つのレーザ光を合成することで、照射エネルギー密度を保ちつつ均一照射領域を拡大できる。さらに、2つレーザ光の発振タイミングをずらすことで、粒径サイズをコントロールすることが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザ光源911a,971bから射出される光束の光束径および射出広がり角は等しくなく、かつ製品個々にある範囲内でばらついてしまう。たとえば、図14(A)に示すように、x軸方向の光束径φxよりもy軸方向の光束径φyの方が長い(φx<φy)縦長の楕円光束が射出されたり、図14(B)に示すようにx軸方向の光束径φxの方がy軸方向の光束径φyよりも長い(φx>φy)横長の楕円で射出されたりする。このばらつきの中心値を狙ってコリメータを設計しても、実際はコリメートされない場合もしくはコリメータ射出後の光束径が異なることが殆どである。レーザ光源の現物に合わせてコリメータを設計する方法もあるが、レーザ光源の交換時にコリメータの再設計が必要となり現実的ではない。
【0010】
また、2つのレーザのコリメート状態が異なる場合、それぞれのレーザで生じる均一照射領域が異なったり、そもそも均一になっていなかったりする。
【0011】
それぞれのレーザ光に対してコリメート状態が異なる場合、照射強度分布にムラが生じ、たとえばレーザアニールを行なうことでポリシリコン膜を製造する場合には、結晶粒径にばらつきが生じ薄膜トランジスタの特性が悪化してしまう。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、均一な強度分布の光を照射対象物に対して照射することが可能な光照射装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、半導体レーザや固体レーザなどの可干渉性の高いレーザを用いてレーザアニールを行なうとともに、被照射物の全体を均一な強度分布でアニールすることが可能なレーザアニール装置を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、光源から発せられた光束(ビーム光)を平行光束にするとともに、そのビーム形状を所定の形状に設定するために使用されるコリメータ調整装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光照射装置やレーザアニール装置は、所定波長の光束を発する光源部と、光源部から出射された光束を平行光束とするとともに、光源部から出射された光束の光軸に対して垂直な面内における異なる複数の方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能に構成されているビーム整形部と、ビーム整形部から出射された光束が入射され照射対象物に対して照射する照明部とを備えるものとした。
【0016】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る光照射装置やレーザアニール装置のさらなる有利な具体例を規定する。
【0017】
たとえば、複数の光束を出射する光源部を使用する場合、ビーム整形部を、光源部から出射されたそれぞれの光束に対して、それぞれ独立に平行光束とするとともに、整形対象方向にそれぞれビーム径を所定の値に設定可能に構成する。
【0018】
この場合、ビーム整形部は、それぞれのビーム形状を、整形対象方向ごとに同一な光束径を有するように平行光束化してもよいし、何れの整形対象方向についても同一な光束径とすることでそれぞれの光束の形状を略円形にするようにしてもよい。
【0019】
また、固体レーザや半導体レーザなどの干渉性の高いレーザ光を発するレーザ光源を光源部に使用して、レーザ光源から発せられたレーザ光を分割し、あるいは分割かつ合成することで、複数の2次ビームを生成した後に、被照射物上で合成し照明するように構成してもよい。この場合、ビーム整形部は、分割する機能部分や、あるいは分割かつ合成する機能部分の前段に配置するのが好ましい。ビーム整形部の使用数を少なくするためである。
【0020】
なお、前記照明部における、分割する機能部分やあるいは分割かつ合成する機能部分の構成(複数の2次ビームを生成する構成)としては、複数の2次ビームが互いに干渉しないような構成とするのがよい。さらにはこれら2次ビームを一旦点光源化し、この後平行ビームにして被照射物に照射する構成とするのがよい。これらの構成としては、たとえば、本出願人が、日本国において2001年12月7日に出願した日本特許出願番号2001−374922号や、この日本出願を基礎として優先権主張して出願している国際出願番号:PCT/JP02/12340号に提案した構成を適用するのが好ましい。
【0021】
本発明に係るコリメータ調整装置は、本発明に係る上記光照射装置やレーザアニール装置を構成している前記ビーム整形部の調整装置であって、このビーム整形部を通過したレーザビームが平行光束となっているか否かを画像パターン解析により検査する平行状態検査部と、ビーム整形部から出力されたレーザビームの形状を画像パターン解析により検査する形状検査部と、平行状態検査部と形状検査部とから得られる各検査結果に基づき、ビーム整形部から出力されるレーザビームが平行光束となり、かつ当該レーザビームの形状が所定形状となるように、ビーム整形部のレンズを光軸方向に移動させるビーム整形制御部とを備えるものとした。
【0022】
つまり、ビーム整形部から出力されるビーム光を画像パターン解析により検査しながら、ビーム整形部から出力されるレーザビームが平行光束かつ所定形状となるように、自動制御(フィードバック制御)する仕組みとすることで、ビーム整形部におけるコリメート調整の自動化を図ることを可能とするものである。
【0023】
【作用】
本発明に係る上記構成においては、光源から発せられた光束(ビーム光)を平行光束にするだけでなく、そのビーム形状につても、所定形状に設定することで、たとえば複数のビーム形状を均一化する。均一化された光束径の間隔で平行に並んだ互いに干渉性のない複数本の光束を出射させることで、各光束での照射強度分布を均一化する。
【0024】
【発明の実施の形態】
<<レーザアニール装置および光照射装置の概要>>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る光照射装置の第1実施形態を搭載したレーザアニール装置の第1実施形態の構成を示す図である。このレーザアニール装置10は、たとえば、アモルファスシリコン膜が形成された後のTFT基板に対してレーザ光を照射して当該TFT基板を熱処理することによって、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に転換するなどの目的で使用される装置である。
【0026】
レーザアニール装置10は、アニール対象となる基板11を載置するステージ12と、レーザ光を平行光束にして射出する光照射部70と、光照射部70から射出されたレーザ光を基板11の所定の領域に導く導光照明部100と、光照射部70から射出されたレーザ光の基板11上の照射領域の位置制御などを行なう制御部(コントローラ)17とを備えている。なお、光照射部70と導光照明部100とで、光照射装置3が構成される。
【0027】
コントローラ17は、レーザ光の基板11上の照射領域の位置制御を行なう位置制御部やレーザ光源71a〜71dのレーザ光の出射タイミングを制御するタイミング制御部(出射制御部)などを備えている構成とする。たとえば、従来技術の項で述べたコントローラ990と同様の構成および機能を備えるものを使用可能である。
【0028】
第1実施形態の光照射部70からは、平行に並んだ4本のレーザ光が出射されるようになっている。以下、この光照射部70から出射されるレーザ光の光軸方向をZ方向とし、4本のレーザ光が平行に並んでいる方向をX方向とし、Z方向およびX方向に直交する方向をY方向として、説明を行なう。なお、図1(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図であり、図1(B)は、レーザアニール装置10をX方向(装置の横方向)から見たときの構成図である。
【0029】
ステージ12は、平板状の基板11が載せられる平坦な主面を有している。ステージ12に載置される基板11は、たとえば、アモルファスシリコン膜が成膜された後のTFT基板である。このステージ12は、主面上に載せられた基板11を保持しながら、主面に平行な方向(図1中のX方向,Y方向)に移動する。レーザアニール装置10では、ステージ12を移動させることによって、基板11に対するレーザ光の照射位置を移動させることができる。つまり、ステージ12を移動させることによって、基板11上のアニール(熱処理)を行なう位置を制御することができる。なお、ステージ12の移動制御は、制御部17により行なわれる。
【0030】
第1実施形態の光照射部70は、図示するように、X方向に平行に並んだ4本のレーザ光(それぞれをL71a〜L71dとする)をパルス発振して出射するレーザ光源71(それぞれを71a,71b,71c,71dとする)と、レーザ光源71から出射されたレーザ光L71a〜L71dの各光路上に設けられ、レーザ光源71から出射された各レーザ光L71a〜L71dを平行光束とするともにビーム形状を所定の形状に設定するビーム整形部72と、ビーム整形部72から出射されたレーザ光L71a〜L71dを結合して4つの合成光L45〜L48を出射する光分割結合部98とを備えている。
【0031】
光照射部70の各レーザ光源71a〜71dは、同一波長のレーザ光L71a〜L71dを出射するものとする。制御部17は、各レーザ光源71a〜71dに対して、レーザ光L71a〜L71dを出射するタイミングや出力パワーなどを制御する。レーザ光源71としては、固体レーザや半導体レーザなどの、エキシマレーザよりも干渉性の高いレーザ光を発する光源を使用できる。たとえば、固体レーザは、半導体を除く結晶やガラスなどの透明物質を母体材料とし、母体材料中に希土類イオンや遷移金属イオンなどをドープした固体レーザ材料を、光によって励起して、レーザビームを出射する。固体レーザの例としては、母体材料にガラスを用いてNd3+をドープしたガラスレーザや、ルビーにCr3+をドープしたルビーレーザ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)にNd3+をドープしたYAGレーザ、さらに、それらのレーザの波長を非線形光学結晶を用いて波長変換したレーザなどが挙げられる。
【0032】
ビーム整形部72は、レーザ光源71a〜71dから射出されたレーザ光L71a〜L71dの光軸に対して垂直な面内のそれぞれ異なる方向に、そのレーザ光L71a〜L71dの光束(ビーム)形状を略円形かつ平行光束化(コリメート)して出力する複数のコリメータレンズ群を有する。
【0033】
本実施形態では、前述の「それぞれ異なる方向」を、互いに直交するX方向とY方向の2つとし、X,Yの各方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能で、かつ独立に平行光束化することが可能に構成されている。具体的には、レーザ光源71a(レーザ光L71a)に対しては、X方向にコリメータ72ax、Y方向にコリメータ72ayを有している。レーザ光源71b(レーザ光L71b)に対しては、X方向にコリメータ72bx、Y方向にコリメータ72byを有している。レーザ光源71c(レーザ光L71c)に対しては、X方向にコリメータ72cx、Y方向にコリメータ72cyを有している。レーザ光源71d(レーザ光L71d)に対しては、X方向にコリメータ72dx、Y方向にコリメータ72dyを有している。
【0034】
このような構成により、それぞれX方向,Y方向に異なる射出光束径φx,φyおよび射出広がり角を有するレーザ光源71a〜71dから射出された光束(レーザ光L71a〜L71d)をX方向やY方向にコリメートするとともにビームサイズを調整する(纏めてビーム整形するという)ことで、ビーム形状を略円形(光束径φ)とし、互いに強度が同一なレーザ光L72a〜L72dを出射する。以下、X方向へコリメートするコリメータをxコリメータ72x、Y方向へコリメートするコリメータをyコリメータ72yという。ビーム整形部72からビーム整形されて出射された4本のレーザ光L72a〜L72dは、光分割結合部98に入射される。必要に応じて、ビームエキスパンダなどによって、ビーム整形部72を通過したレーザ光のビーム径を拡大してもよい。
【0035】
なお、ビーム整形部72と光分割結合部98との間には、後述するように、ビーム整形部72内に配されているシリンドリカルレンズの位置を調整することで、光分割結合部98に入射するレーザ光が平行光束となるとともに光束形状が略円形でかつその光束径がφとなるようにするためのコリメート調整装置200が装着可能となっている。
【0036】
光分割結合部98は、光結合素子73(それぞれを73a,73b,73cとする)と所定のレーザ光を光結合素子73に導くミラー74(それぞれを74a,74b,74c)の対応するものを対にしてなる、入力されたレーザ光を結合して合成光を出射する3つの光分割結合部98a,98b,98cを有する。
【0037】
光分割結合部98aは、コリメータ72ax,72ayからのレーザ光L72aが入射されるミラー74aおよびコリメータ72b,72byからのレーザ光L72bが入射される光結合素子73aを含む。そして、光分割結合部98aは、光結合素子73aに直接入射したレーザ光L72bとミラー74aにて反射した後に光結合素子73aに入射したレーザ光L72aとを結合して、それぞれ光束径φのレーザ光を間隔φで平行に並べ、互いにインコヒーレントな関係の2つの2次ビームとしての合成光L41,L42を出射する。
【0038】
光分割結合部98bは、コリメータ72cx,72cyからのレーザ光L72cが入射されるミラー74bおよびコリメータ72dx,72dyからのレーザ光L72dが入射される光結合素子73bを含む。そして光分割結合部98bは、光結合素子73bに直接入射したレーザ光L72dとミラー74bにて反射した後に光結合素子73bに入射したレーザ光L72cを結合して、それぞれ光束径φのレーザ光を間隔φで平行に並べ、互いにインコヒーレントな関係の2つの2次ビームとしての合成光L43,L44を出射する。
【0039】
光分割結合部98cは、光分割結合部98aから射出される2本のレーザ光L41,L42が入射される光結合素子73cおよび光分割結合部98bから射出される2本のレーザ光L43,L44が入射されるミラー74cを含む。そして、光分割結合部98cは、光結合素子73cに直接入射したレーザ光L41,L42とミラー74cにて反射した後に光結合素子73cに入射したレーザ光L43,L44とを結合して、それぞれ光束径φのレーザ光を間隔φで平行に並べ、互いにインコヒーレントな関係の4つの2次ビームとしての合成光L45〜L48を出射する。
【0040】
このように、光分割結合部98は、互いにインコヒーレントな関係の2本のレーザ光(L41とL42の対またはL43とL44の対)をそれぞれ出射する2つの光分割結合部98a,98bを並べ、これらから射出される4本のレーザ光L41〜L44を光分割結合部98cに入射させることで、X方向に光束径φで平行に並んだ4本のレーザ光L45〜L48として出射するように構成されている。この光分割結合部98から出射された4本のレーザ光L45〜L48は、導光照明部100に入射される。
【0041】
第1実施形態の導光照明部100は、図示するように、光照射部70から出射された4本の各レーザ光L45〜L48をY方向に4分割して合計16本の2次ビームとしてのレーザ光を出力する光分割部102と、光分割部102から出射された16本のレーザ光を集光する複数の集光レンズ(本例では16個の凸レンズ)で構成されたレンズアレイ103と、レンズアレイ103から出射された16本のレーザ光を基板11の所定の領域に導くコンデンサレンズ104とを備えている。
【0042】
光分割部102は、X方向に平行に並んだレーザ光L45〜L48を、それぞれX方向に直交するY方向に4分割して、Y方向に光束径φ間隔で平行に並んだレーザ光に分割する。したがって、光分割部102からは、X−Y平面上に間隔φで4×4のマトリクス状に並んだ合計16本のレーザ光が出射される。
【0043】
光分割部102から出力された16本の出力レーザ光は、レンズアレイ103に入射される。レンズアレイ103の凸レンズの配列間隔は、光分割部102から出射される出力レーザ光の間隔と同一で、各凸レンズが各出力レーザ光の光軸上に設けられている。レンズアレイ103から出射された出力レーザ光は、一旦集光して2次光源(点光源)とされてから、コンデンサレンズ104に入射される。すなわち、レンズアレイ103は、2次光源生成部の一例をなす。コンデンサレンズ104は、レンズアレイ103によって集光された16本の出力レーザ光を合成して、基板11上の所定の照射領域に集光する。このとき、レンズアレイ103をなす凸レンズのうちの同一のものからから射出されたレーザ光同士(たとえば図中のL1,L2)は、コンデンサレンズ104によりそれぞれ平行光束となり、ステージ12に搭載された基板11上に導かれる。
【0044】
以上のような構成のレーザアニール装置10では、ステージ12上に被照射対象物としての基板11が載置され、その後、レーザアニール処理が開始される。レーザアニール装置10は、レーザアニール処理が開始されると、レーザ光源71からパルスレーザを出射する。
【0045】
レーザ光源71から出射されたレーザ光は、ビーム整形部72、光分割結合部98、および光分割部102を通過することによって、互いに干渉性がなく同一強度の16本の平行光束とされる。光分割部102から出射された16本のレーザ光は、レンズアレイ103によって、16個の2次光源とされる。2次光源から出射された16本のレーザ光は、コンデンサレンズ104を介して合成され、基板11上の所定の領域に照射される。そして、レーザアニール装置10では、ステージ12を平行移動させて、平板状の基板11を、主面に対して平行な方向(図中X−Y方向)に移動させ、基板11の全領域にレーザ光を照射してアニール処理を行なう。
【0046】
以下、光照射部70を構成する各機能部分の構成と作用について詳細に説明する。先ず、ビーム整形部72について説明する。
【0047】
<コリメータ部の第1実施形態>
図2は、ビーム整形部72の第1実施形態の構成例を示す図である。ここで、図2(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図であり、図2(B)は、レーザアニール装置10をX方向(装置の横方向)から見たときの構成図である。
【0048】
第1実施形態のxコリメータ72xは、図2(A)に示すように、凸面が入射側を向きx軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ220、凹面が出射側を向きx軸方向に負のパワーを持つシリンドリカルレンズ221、凸面が出射側を向きx軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ222の順番で光軸上(z軸方向)に配置されている。
【0049】
また、第1実施形態のyコリメータ72yは、図2(B)に示すように、凸面が入射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ223、凹面が出射側を向きy軸方向に負のパワーを持つシリンドリカルレンズ224、凸面が出射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ225の順番で光軸上(z軸方向)に配置されている。
【0050】
このように、第1実施形態のビーム整形部72は、コリメータ72x,72y何れについても、両端の2枚の正のパワーを持つシリンドリカルレンズの間に配されているレンズを負のパワーを持つシリンドリカルレンズとしている点に特徴を有する。中間のレンズについては負のパワーを持つシリンドリカルレンズとしたことで、光路長を短くすることができ、後述する第2実施形態よりも光照射部70の光学系を小さくすることができる。
【0051】
ここで、x軸方向とy軸方向とに異なる射出光束径φx,φyおよび射出広がり角を有するレーザ光源71からの光束(レーザ光L71)を、光束径φに保ちながらコリメートするために、xコリメータ72x用のシリンドリカルレンズ221,222、およびyコリメータ72y用のシリンドリカルレンズ224,225を、それぞれ光軸(z軸)方向に変位させる必要がある。
【0052】
図3および図4は、シリンドリカルレンズ221,222あるいはシリンドリカルレンズ224,225を、それぞれ光軸(z軸)方向に変位させるためのコリメート調整機構を説明する図である。ここで、図3は、コリメート調整装置200の構成例を示す図である。図4(A)は、xコリメータ制御部210xにおけるコリメート調整の手法を説明する図、図4(B)は、コリメート調整後の光照射装置3により得られた照射強度分布の一例を示す図である。
【0053】
図3に示すように、コリメート調整装置200は、xコリメータ72x用のシリンドリカルレンズ221,222の位置を制御するxコリメータ制御部210x、およびシリンドリカルレンズ224,225の位置を制御するyコリメータ制御部210yを備える。さらに、コリメート調整装置200は、光束径がφとなるように観測するための機構として、CCD撮像素子などを含むカメラ部212と、コリメートを観測するシアリングプレート214およびスクリーン216により構成されるシアリング干渉計217とを備える。シアリングプレート214は、光軸に対して45°の傾きをもって光路上に配され、入射されたレーザ光に対し、表裏面反射光が同等となるようになっている。
【0054】
カメラ部212とシアリング干渉計217とを取り除き、カメラ部212のz軸方向の位置を変えて、各位置での光束径がともに同一であるか否かを判定することでビームの平行度合いを測定する手法を用いると、カメラ部212のみを使用することでもコリメート調整は可能である。しかしこの場合、カメラ部212のz軸方向の位置を変える必要があるので、z軸方向にカメラ部212を移動可能な大きな機構が必要になる。これに対して、シアリング干渉計217を用いる調整機構では、短い光路長でビームの平行度合いを測定することが可能となり、コリメート調整装置200をコンパクトにできる。
【0055】
また、スクリーン216を、CCD撮像素子などを含むカメラ部218に置き換えることもできる。この場合、形状検査部の一例をなす2つのカメラ部212,218により得られる画像信号に基づき画像パターンを解析し、平行光束かつ略円形(たとえば光束径φ=3)のコリメート光束を得るようにコリメータ制御部210x,210yに対してフィードバック制御を行なう解析制御部219をビーム整形制御部の一例として設けることで、コリメート調整(ビーム整形の調整)を自動化することもできる。
【0056】
このような構成のコリメート調整装置200において、xコリメータ制御部210xは、シリンドリカルレンズ221の変位Δx1に対して、シリンドリカルレンズ222の変位がΔx2となるように制御する。このとき、Δx1とデルタx2の関係は図4(A)のようになる。ここで図4(A)は、個々のレーザ光源71a〜71dの射出広がり角(全角)が1.4mrad〜2.2mradまで存在する場合、シリンドリカルレンズ220,221,222のそれぞれのパワーが38.65,−28.99,38.65としたとき、xコリメータ72xを射出する光束のx軸方向の光束径がφ=3となるようにする場合のΔx1とΔx2の関係を示している。この関係はΔx2=f(Δx1)と近似的に関係式としてxコリメータ制御部210xに与える。
【0057】
同様に、yコリメータ制御部210yは、シリンドリカルレンズ224の変位Δy1に対して、シリンドリカルレンズ225の変位がΔy2となるように制御する。xコリメータ制御部210xについての上記コリメート調整をyコリメータ制御部210yに対しても行なうことで、xコリメータ72xおよびyコリメータ72yを通過した4つの光束(レーザ光L72a〜L72d)を同一の光束径φ(=3)のコリメート光束とすることができる。
【0058】
この光束径が等しい4光束(レーザ光L72a〜L72d)を、光分割結合部98に入射させ、その後、光分割部102、レンズアレイ103、コンデンサレンズ104を介して被照射物としての基板11に照射する。基板11上での照射強度は図4(B)に示すように、照射領域中央部が均一化される。
【0059】
以上説明したように、第1実施形態のビーム整形部72の構成によれば、異なる射出光束径および射出広がり角を有するレーザ光源71a〜71dから射出された光束をX方向およびY方向に光束径φに保ちながらコリメートすることができる。そして、それぞれ同一の光束径φを有するコリメート光束に変換することで、導光照明部100により基板11上における照射強度を均一化する。
【0060】
すなわち、レーザ光源71a〜71dから射出される光束が異なったとしても、xコリメータ72ax,72bx,72cx,72dx、およびyコリメータ72ay,72by,72cy,72dyにより、同一光束径としてコリメートすることができるため、各レーザ光源71a〜71dからの光束により基板11を均一に照射することができる。このように基盤11を均一に照射することで、全光束を有効に利用することができる。したがって、複数のレーザ光源により照射密度を保ちつつ照射領域を拡大することが可能となり、装置の照射能力を向上することができる。
【0061】
また、レーザ光源の現物に合わせてコリメータを設計する必要はなく、コリメート調整装置200を利用してコリメート調整を行なうことにより、光分割結合部98に入射されるレーザ光の光束径を略円形にかつそれぞれの光束径を均一にすることができる。加えて、レーザ光源のレーザ光源の交換時にも、コリメータの再設計は不要であり、コリメート調整を行なうことにより、新たに取り付けらレーザ光源を不都合無く使用することができる。
【0062】
<光分割結合部の構成と作用>
次に、光分割結合部98および導光照明部100の構成と作用について説明する。図1に示したように、光分割結合部98a,98bにおいては、コリメータ部72by,72dyから出射されたレーザ光L72b,L72dは、対応する光結合素子73a,73bに入射され、コリメータ部72ay,72cyから出射されたレーザ光L72a,L72cは、対応するミラー74a,74bにより反射された後に対応する光結合素子73a,73bの反対側の面に入射される。また、光分割結合部98cにおいては、光分割結合部98aから出射されたレーザ光L41,42が、光結合素子73cに入射され、光分割結合部98bから出射されたレーザ光L43,L44が、ミラー74cにより反射された後に光結合素子73cの反対側の面に入射される。
【0063】
後述するように、各光結合素子73a〜73cの光路上の両端面には、光分割膜(半透過膜)、反射防止膜、あるいは全反射膜と言った、それぞれ異なる薄膜が蒸着されている。光結合素子73は、光軸の方向であるZ方向に対して所定の角度で傾いて配置されている。レーザ光は、光結合素子73の前端面側の反射防止膜を透過し、後端面側の光分割膜で透過光と反射光に分割される。反射光は光結合素子73内部を通り前端面側の全反射膜で反射された後に後端面側の反射防止膜を透過する。これにより、光結合素子73の前端面側に入射されたレーザ光は、それぞれ後端面側に設けられた光分割膜からの透過光と反射防止膜からの透過光の2つの光束に分割される。
【0064】
また、ミラー74にて反射された光束は、後端面側に設けられた光分割膜に入射され、透過光と反射光に分割されるようになっている。この透過光は、光結合素子73内部を通り前端面側の全反射膜で反射された後に後端面側の反射防止膜を透過する。これにより、光結合素子73の後端面側に入射されたレーザ光は、それぞれ後端面側に設けられた光分割膜からの反射光と反射防止膜からの透過光の2つの光束に分割される。
【0065】
また、光結合素子73の前端面側の反射防止膜に入射することで分割された2つの光束と、ミラー74にて反射された後に光結合素子73の後端面側に入射することで分割された2つの光束についてみれば、それぞれ対応する透過光と反射光とは、光軸が一致しており、光結合素子73から合成して出力される。このため、光結合素子73a,73bでは、光軸が平行とされた2つの合成光L41,L42あるいはL43,L44を、また、光結合素子73cでは、光軸が平行とされた4つの合成光L45〜L48を、それぞれ出射することができる。なお、光結合素子73a,73bから出射される合成光L41,L42の対や合成光L43,L44の対、および光結合素子73cから出射される合成光L45〜L48は、それぞれインコヒーレントな関係となっている。
【0066】
<光結合素子の構成>
図5は、光結合素子73の構成例を示す図である。ここでは、光結合素子73cにおける光路を用いて示している。各光結合素子73(73a〜73c)は、直方体の形状で、屈折率n1の透明部材(光伝達媒質)からなる基部75を備えている。なお、基部75の任意の一辺に平行な方向を、長辺方向(i方向)と定義する。基部75の長辺方向の一辺の長さは、直方体の巾で最も長い辺でなくてもよい。また、長辺方向(i方向)に直交する任意の一辺の方向を以下、短辺方向(j方向)と定義する。基部75の形状は、ここでは直方体形状としているが、少なくとも互いに平行する平面状の側面75a,側面75bを有する形状であれば、直方体形状でなくてもよい。
【0067】
基部75には、長辺方向(i方向)に直交する一方の側面(後端面)75aに、入射されたレーザ光を1:1の割合で透過および反射する光分割膜76および入射された光を反射させず全透過させる反射防止膜77が形成されている。また、基部75には、側面75aに平行な長辺方向(i方向)に直交するもう一方の側面(前端面)75bに入射された光を反射させず全透過させる反射防止膜78および入射された光を透過させず全反射させる全反射膜79が形成されている。これらの各膜は、たとえば、蒸着などにより側面75a,75bに形成される。
【0068】
光分割膜76は、基部75の側面75aを短辺方向(j方向)に2つの領域に分割し、分割した一方の領域上に形成されている。反射防止膜77は、側面75aの光分割膜76が形成されていない他方の領域に形成されている。また、反射防止膜78は、基部75の側面75bを短辺方向(j方向)に2つの領域に分割し、分割した一方の領域に形成されている。全反射膜79は、側面75bの反射防止膜78が形成されていない他方の領域に形成されている。なお、光分割膜76と反射防止膜78とは、互いに対向する位置に形成されており、反射防止膜77と全反射膜79とが互いに対向する位置に形成される。つまり、光分割膜76および反射防止膜77の短辺方向(j方向)における任意の一方向に対する並び順が、光分割膜76→反射防止膜77の順となっていれば、反射防止膜78および全反射膜79の上記任意の一方向に対する並び順が、反射防止膜78→全反射膜79の順となる。
【0069】
以上のような光結合素子73は、基部75の長辺方向(i方向)が概ねZ方向に向けられ、基部75の短辺方向(j方向)が概ねX方向に向けられ、さらに、基部75がY方向を中心軸として所定の角度θ2(0°<θ2<90゜)回転移動された状態で、光照射部70内に配置される。
【0070】
このように配置された光結合素子73においては、レーザ光L41〜L44が、基部75の側面75aおよび側面75bに垂直な平面に沿って入射される。すなわち、レーザ光L41〜L44は、X−Z平面状に沿って光結合素子73に入射される。
【0071】
たとえば光結合素子73cにおいては、図5に示すように、レーザ光L41,L42が、光軸間距離(=光束径)φaをもって、それぞれ光結合素子73cの外部側から、反射防膜78に角度θ2で入射される。ここで、空気の屈折率をn2とすると、基部75に対して入出射する光には、以下の式(1)に示すような屈折関係が発生する。なお、空気の屈折率は、通常“1”とみなすことができるので、この場合、式(1)は式(2)のように変形することができる。
【数1】
【数2】
【0072】
したがって、反射防止膜78に角度θ2で屈折率“1”の光伝達媒質側から入射されたレーザ光L41,L42は、基部75内に入射する際に角度θ1で屈折する。
【0073】
光結合素子73cに入射されたレーザ光L41,42は、基部75内を通過して、光結合素子73cの内部側から、光分割膜76に角度θ1で入射する。レーザ光L41は、光分割膜76上の位置Aに入射し、レーザ光L42は、光分割膜76上の位置Bに入射する。なお、位置Aと位置BとのX方向の距離は、光束径φa(=レーザ光L41,42の光軸間距離)となっている。
【0074】
光分割膜76は、入射されたレーザ光L41,42を、1:1の割合で透過および反射し、透過光と反射光とに分割する。レーザ光L41の光分割膜76での透過光L41_t(参照子tは通過伝搬;Transmissionを示す)およびレーザ光L42の光分割膜76での透過光は、上述した式(1)に従い、角度θ2で光分割膜76から基部75の外部に向かって出射される。レーザ光L41の光分割膜76での反射光L41_r(参照子“r”は反射;Reflectionを示す)およびレーザ光L42の光分割膜76での反射光L42_rは、角度θ1で基部75内に向かって反射される。
【0075】
一方、レーザ光L43,L44は、ミラー74cにより光路が調整され、光結合素子73の外部である屈折率“1”の光伝達媒質(空気)側から、光軸間距離(=光束径)φbをもって、かつ、基部75内を通過したレーザ光L43,L44の射出点にて法線を挟んだ反対側から光分割膜76に角度θ2で入射される。光軸間距離φbを光軸間距離φaと等しく設定することで、レーザ光L43を光分割膜76上の位置Aに入射させ、レーザ光L44を光分割膜76上の位置Bに入射させる。
【0076】
光分割膜76は、入射されたレーザ光L43,L44を、1:1の割合で透過および反射し、透過光と反射光とに分割する。レーザ光L43の光分割膜76での透過光L43_tおよびレーザ光L44の光分割膜76での透過光L44_tは、上述した式(1)に従い、角度θ1で光分割膜76から基部75の内部に向かって入射される。レーザ光L43の反射光L43_rおよびレーザ光L44の反射光L44_rは、角度θ2で基部75の外部に向かって反射される。
【0077】
ここで、レーザ光L41の透過光L41_tとレーザ光L43の反射光L43_rとは、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L45として光結合素子73cから外部に出力される。同様に、レーザ光L42の透過光L42_tとレーザ光L44の反射光L44_rも、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L46として光結合素子73cから外部に出力される。すなわち、合成光L45,L46は、光分割膜76からそのまま基部75の外部に出射される。
【0078】
一方、レーザ光L41の反射光L41_rとレーザ光L43の透過光L43_tとは、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L47として光結合素子73cの内部に反射される。同様に、レーザ光L42の反射光L42_rとレーザ光L44の透過光L44_tも、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L48として光結合素子73cの内部に反射される。すなわち、合成光L47,L48は、光分割膜76から基部75の内部へ向けて出射され、基部75を通過して、全反射膜79にて反射される。
【0079】
全反射膜79により反射された合成光L47,L48は、基部75を通過して反射防止膜77に角度θ1で入射する。すなわち、再度光分割膜76と平行な境界面を通過する。合成光L47は、反射防止膜77上の位置Cに入射し、合成光L48は、反射防止膜77上の位置Dに入射する。合成光L47,L48は、上述した式(1)に従い、角度θ2で反射防止膜77から、基部75の外部に出射される。
【0080】
したがって、光結合素子73cでは、光軸が平行とされた4つの合成光L45〜L48を、光結合素子73cからZ方向に出射することができる。なお、位置Cと位置DとのX方向の距離は、光束径φ(=φa=φb)となっている。また、位置Bと位置CとのX方向の距離も、光束径φとなっている。つまり、合成光L45〜L48は、互いにX方向に平行に並んで出射され、合成光L45〜L48の光軸の間隔P2は、元のレーザ光L41〜L44の光束径φ(=φa=φb)と一致している。
【0081】
ところで、光分割結合部98cの光結合素子73cから出射される合成光L45〜L48をインコヒーレントな関係とするには、合成光L45〜L48の光路長の差を、レーザ光源71a〜71dで定められている可干渉距離L以上とすればよい。ここで、レーザ光L41の反射光L41_rおよびレーザ光L43の透過光L43_tの全反射膜79上における反射位置を位置Eとする。合成光L45の光軸上の一点を位置Fとする。なお、位置Eと位置Cとを結んだ直線は、合成光L45の光軸に対して垂直となる。同様に、レーザ光L42の反射光L41_rおよびレーザ光L43の透過光L43_tの全反射膜79上における反射位置を位置Gとする。合成光L46の光軸上の一点を位置Hとする。なお、位置Gと位置Dを結んだ直線は、合成光L46の光軸に対して垂直となる。
【0082】
この場合、光路AECと光路AFとの差、および光路BGDと光路BHとの差を、可干渉距離L以上とすれば、光結合素子73cから出射される合成光L45〜L48をインコヒーレントな関係とすることができる。このためには、光分割結合部98a,98bから得られた複数の合成レーザ光のうち、最も光路長が短いレーザ光の光路長をLminとし、最も光路長が長いレーザ光の光路長をLmaxとし、4個のレーザ光源71a〜71dのうち最も短い可干渉距離のレーザ光源の可干渉距離をLとしたとき、光分割膜76から全反射膜79までの距離tc、つまり、光結合素子73cの長辺方向(i方向)の長さtcを、式(3)に示すように設定すればよい。なおここではn=n1とする。
【数3】
【0083】
したがって、光結合素子73は、合成光L45〜L48をインコヒーレントな関係となるように距離tcを設定したとしても、合成光L45〜L48の各間隔P1あるいはP2を、たとえば光束径φ(=φa=φb)に一致させることができる。ここで、合成光L45〜L48の各間隔P2を、光束径φに一致させる条件は、式(4)に示すように設定すればよい。なおここではn=n1とする。また、dは、光結合素子73を複数段構成にする際の段数であり、本例では光結合素子73aと73bが1段目、光結合素子73cが2段目となるため、d=2となる。
【数4】
【0084】
このように、ミラー74や光結合素子73を使用して、レーザ光の分割や合成を行なう構成としているので、簡易な構成で複数のレーザ光を合成することが可能となる。
【0085】
ここで、第1実施形態の光照射部70は、光結合素子73の光分割膜76を2段縦続に備えた構成であるが、この数は、3段であっても、4段であってもよい。すなわち、光結合素子73は、短辺方向(j方向)の長さを調整しさえすれば、平行に配列された複数本のレーザ光同士を合成することが可能である。
【0086】
このように、第1実施形態の光照射部70では、光結合素子73を複数個用いて、複数段のレーザ光の結合を行なう際に、結合する段数を増加させることによって、結合するレーザ光の本数を増加させることが可能となる。
【0087】
なお、光分割結合部98a,98bは、光結合素子73の段数を“1”としたものと考えればよい。この場合、光分割結合部98a,98bの光結合素子73a,73bから出射される合成光L41,L42の対、あるいは合成光L43,L44の対をインコヒーレントな関係とするには、光分割膜76から全反射膜79までの距離ta,tbを式(5)に示すように設定すればよい。この式(5)は、式(3)において、Lmax−Lmin=0と変形したものと等価である。
【数5】
【0088】
また、合成光L41,L42の間隔P1aあるいは合成光L43,L44の間隔P1bを、光束径φに一致させる条件は、次の式(6)に示すように設定すればよい。この式(6)は、式(4)において、d=1と変形したものと等価である。
【数6】
【0089】
上記構成の光結合素子73では、光分割膜76と全反射膜79との間に屈折率n1の光伝達媒質からなる基部75を設けることで、これらが一体的に形成しているので、光分割膜76と全反射膜79、さらには反射防止膜77,78の光軸に対する角度調整が容易となる。
【0090】
なお、角度調整が少々困難にはなるが、光分割膜76と全反射膜79の間、さらには反射防止膜77,78との間に光伝達媒質(光透過部材)を設けることなく、光結合素子73を構成してもよい。この場合、実質的に屈折率“1”の空気が光分割膜76と全反射膜79との間の光伝達媒質となる。
【0091】
<導光照明部の構成>
図6は、導光照明部100を構成する光分割部102の構成例を示す図である。なお、図6は、光分割部102をX方向から見た図である。
【0092】
図示するように、光分割部102は、直方体の形状で、たとえばガラスなどの屈折率nの透明部材(光伝達媒質)からなる基部111を備えている。基部111には、任意の一辺に平行な方向(図6中のi方向)に直交する一側面111aに膜状のBS(ビームスプリッタ)112が形成され、もう一方の側面111bに膜状のBS113が形成されている。BS112,BS113は、光分離面が平行とされ、Z方向に並ぶように配置される。BS112,BS113の透過と反射の分離比率、すなわちビームスプリッタの光分離面で分離された反射光および透過光は、光強度の比が1:1となるように設計されている。BS112は、BS113よりもレーザ光の入射側に配置されている。
【0093】
さらに、光分割部102は、光反射面がBS112,BS113の光分離面と平行とされ、BS112,BS113とZ方向に並んで配置された、平面状の光反射面に入射されたレーザ光を反射するミラー114を備えている。ミラー114は、BS112よりもレーザ光の入射側に配置されている。BS112,BS113の光分離面、並びにミラー114の光反射面は、X−Z軸で形成される平面に対して垂直に配置され、かつ、入射されるレーザ光の入射方向(すなわちZ方向)に対して所定の入射角θ(0°<θ<90゜)をもって配置されている。
【0094】
BS112,BS113は、レーザ光L45〜L48の光軸上に配置されている。また、BS112は、レーザ光L45〜L48のみが入射され、他の光が入射されないような配置および大きさとなっている。BS113は、BS112の透過光およびミラー114で反射された後のBS112の反射光が入射され、他の光が入射されないような配置および大きさとなっている。ミラー114は、BS112,BS35の対応する2つの反射光が入射され、入射されたレーザ光L45〜L48を遮らないような配置および大きさとなっている。
【0095】
つまり、光分割部102は、光反射面がBS112,113の光分離面と平行とされ、BS112,113とZ方向に並んでミラー114を備えるとともに、ミラー114の光反射面が全てのビームスプリッタ(本例ではBS112,113)からの反射光が入射されるように構成されている。加えて、光分割部102内に、レーザ光を透過する光透過部材(本例では基部111)を設け、この光透過部材にBS112,113を取り付け、BS112,113と光透過部材とを一体的に構成している。こうすることによって、BS112,113およびミラー114の位置調整が容易となるようにしている。
【0096】
なお、BS112,113の間に光透過部材を配置することに代えて、BS112とミラー114との間に光透過部材を配置することで、BS112とミラー114と光透過部材とを一体的に構成してもよい。この場合にも、BS112,113およびミラー114の位置調整が容易となる。
【0097】
なお、位置調整が少々困難にはなるが、BS112,113の間、およびBS112とミラー114との間に光透過部材を設けることなく、光分割部102を構成してもよい。この場合、実質的に屈折率“1”の空気がBS112,113の間やBS112とミラー114との間の光伝達媒質となる。
【0098】
ここで、光分割部102に入射されるレーザ光L45〜L48のうち、任意の1本のレーザ光を、レーザ光L51とし、以下説明を行なう。BS112は、レーザ光L51の光路上に設けられている。BS112は、入射されたBS112をレーザ光L52(透過光)とレーザ光L53(反射光)とに1:1の割合で分離する。
【0099】
レーザ光L52は、BS112を透過して基部111内に入射される。レーザ光L52は、基部111内に入射することにより所定の角度で屈折する。屈折したレーザ光L52は、基部111内を通過してBS113に入射される。また、レーザ光L53は、BS112から反射してミラー114に入射される。レーザ光53は、ミラー114により反射された後、基部111に入射する。レーザ光L53は、基部111に入射することにより所定の角度で屈折する。屈折したレーザ光L53は、基部111内を通過してBS113に入射される。
【0100】
BS113は、レーザ光L52およびレーザ光L53の光路上に設けられている。BS113は、入射されたレーザ光L52を1:1の割合でレーザ光L54(透過光)とレーザ光L55(反射光)とに分離する。同様に、BS113は、入射されたレーザ光L53を1:1の割合でレーザ光L56(透過光)とレーザ光L57(反射光)とに分離する。
【0101】
レーザ光L54,L56は、BS113を透過し、所定の角度で屈折して、基部111の外部に出射される。レーザ光L55,L57は、BS113を反射して基部111の内部を通過して、側面111aから所定の角度で屈折して、基部111の外部に出射され、ミラー114に入射される。そして、レーザ光L55,L57は、ミラー114により反射された後、基部111に所定の角度で屈折して、再度入射する。このレーザ光L55,L57は、基部111を通過して、側面111bから所定の角度で屈折して、基部111の外部に出射される。
【0102】
これにより、光分割部102は、X方向に平行に並んだ4本のレーザ光L54〜L57をそれぞれ独立にY方向に並んだ4本のレーザ光に分割して出力する。したがって、光分割部102からは、合計16本のレーザ光が出射される。光分割部102から出射される16本のレーザ光は、X方向に4列、Y方向に4列並んだマトリクス状に光軸が配置されている。光分割部102の側面111から出射される各レーザ光L54〜L57の間隔は、光束径φに設定されている。
【0103】
なお、BS112からミラー114までの距離t0並びにBS112からBS113までの距離t1は、レーザ光源により設定される可干渉距離Lと、光照射部70の構成から決まる。光照射部70から得られた複数のレーザ光L45〜L48のうち、最も光路長が短いレーザ光の光路長Lminと最も光路長が長いレーザ光の光路長Lmaxとしたとき、t0は式(7)、t1は式(8)にそれぞれ示すように設定すればよい。なお、nは基部111の屈折率である。
【数7】
【数8】
【0104】
式(7)および式(8)は、BS112のレーザ光の入射口から、BS113のレーザ光の出射口までの光路の長さが、16本のレーザ光ごとに全て異なっている場合に、その各光路の光路長差として、レーザ光源71により規定される可干渉距離以上の差を付けることを意味する。光分割部102は、以上のような構成となっていることにより、X方向に平行に並んだ4本のレーザ光L45〜L48をそれぞれ独立にY方向に並んだ4本のレーザ光に分割して、X方向およびY方向にマトリクス状に並んだ16本のレーザ光を、互いに干渉性のない光として出射することができる。光分割部102から出射される16本のレーザ光は、X方向に4列、Y方向に4列並んだマトリクス状に光軸が配置されている。
【0105】
このように、第1実施形態のレーザアニール装置10では、互いに干渉の影響を最小限に抑えられた16本のレーザ光を、基板11上の同一の照射位置へ照射することができる。このため、レーザアニール装置10では、レーザ光を基板11上で合成したときに、Y方向に並んだ4本のレーザ光が互いに干渉しないため、その照射領域内を均一な強度にすることができる。加えて、光分割部102にはX方向に並んだ互いに干渉しない4本のレーザ光L45〜L48が入射されるので、結果として、16本のレーザ光を基板11上で合成したときに、16本のレーザ光が互いに干渉しないため、その照射領域内を均一な強度にすることができる。
【0106】
なお、単一のレーザ光を光分割部102に入射させる場合には、式(7)および式(8)は、それぞれ式(9)あるいは式(10)に示すように変形すればよい。この式(9)および式(10)は、式(7)および式(8)において、Lmax−Lmin=0と変形したものと等価である。
【数9】
【数10】
【0107】
また、上記光分割部102の構成では、Y方向に分割するレーザ光の数は4本であるが、これに限らず、以下に示す式(11)〜式(14)に基づいて、平行に配置されるビームスプリッタの数を増やすことにより、レーザ光の分割数をさらに増やすことができる。
【0108】
まず、光分割部によって分割されるレーザビームの数をjとし、光分割部内に備えられるビームスプリッタの数をkとし、ビーム整形部72側(光分割部内のミラー側)からm番目に配置されるビームスプリッタをBSmとする。なお、mは、自然数であり、その最大値はjとなる。このような多段構成の光分割部102に単一のレーザ光を入射させる場合、jとkとの関係は、以下の式(4)に示す通りとなる。
【数11】
【0109】
また、各ビームスプリッタの透過率Tおよび反射率Rを、全て50%とすると、分割された後の1本のレーザ光の光量Q2は、分割前のレーザ光の光量をQ1としたときに、以下の式(12)に示すようになる。
【数12】
【0110】
また、出力されるj本レーザ光を互いに干渉しないインコヒーレントな光とするためには、各ビームスプリッタおよび反射鏡を次のように配置をする必要がある。なお、各ビームスプリッタヘ入射されるレーザ光の入射角をθとし、また、そのレーザ光の可干渉距離をLとする。
【0111】
1番目のビームスプリッタBS1と反射鏡との問の距離t0は、次の式(13)に示すと通りに設定する。
【数13】
【0112】
また、第m番目に配置されるビームスプリッタBSmと、第(m+1)番目に配置されるビームスブリッタBS(m+1)との間の距離tmを、次の式(14)に示す通りに設定をする。
【数14】
【0113】
このようにビームスプリッタを配置することによって、1本のレーザビームを、互いにインコヒーレントでありかつ強度が同一のj本の平行なレーザビームに分割することができる。
【0114】
多段構成の光分割部102において、1個目のビームスプリッタに入射させるビーム数を増加させる場合には、上記式(11)〜(14)に対して、上記式(7)および式(8)に準じて、(Lmax−Lmin)の補正を加えるとよい。
【0115】
図7は、第1実施形態のレーザアニール装置10(光照射装置3)に用いられるレンズアレイ103の一構成例を示す図である。レンズアレイ103は、X方向,Y方向にそれぞれ4個ずつのマトリクス状に配列された16個の凸レンズ(フライアイ)103a〜103pから構成されている。凸レンズ103a〜103pの配列間隔は、光分割部102から出射される16本のレーザ光の間隔と同一で、各凸レンズ103a〜103pが各レーザ光の光軸上に設けられている。すなわち、光束1つに対して、フライアイのエレメント1つが対応している。レンズアレイ103は、入射された16本のレーザ光をそれぞれ集光して、レンズアレイ103とコンデンサレンズ104の間に16個の2次光源を作る。
【0116】
図8は、第1実施形態のレーザアニール装置10により得られる効果を説明する図である。ここで、図8(A)は、光分割部102から出射されるレーザ光の光軸の配置を示す図である。図8(B)〜図8(D)は、それぞれレーザアニール装置10から基板11に照射されるレーザ光のX方向あるいはY方向の強度分布を示す図である。
【0117】
光分割部102は、上記のような構成となっていることにより、図8(A)に示すように、X−Y方向に2次元マトリクス状に光束径φの間隔で平行に並んだ互いに干渉性のない16本のレーザ光を出射することができる。この16本のレーザ光(光束)は、レンズアレイ103に入射され、さらにレンズアレイ103から出射された16本のレーザ光が、一旦集光されて2次光源となった後、コンデンサレンズ104に入射される。
【0118】
コンデンサレンズ104は、レンズアレイ103によって集光された16本の出力レーザ光を基板11上の略同一(詳しくは所定間隔だけずれて重合せる)の照射位置に照射し、その位置上で16本のレーザ光を合成する。これにより、被照射物としての基板11上では、16個の平行光束が所定の間隔だけずらされて2次元マトリクス状に重ねられる。よって、基板11上を均一に照射する。ステージ12は被照射物をXY2軸に移動させることで、時間的に照射領域を拡大する。また、レーザ光源71を複数台(本例では、71a〜71dの4つ)用いている理由は、照射密度を保ちつつ照射領域を拡大し、レーザアニール装置10の照射能力を向上するためである。また、従来技術同様に、複数のレーザ光束を完全に同軸化できるため、後述する発振タイミングを調整することで、被照射物のアニール状態をコントロールすることができる。
【0119】
このように、第1実施形態のレーザアニール装置10では、レーザ光の結合および分割を2次元的に行ない、マトリクス状に配列されたインコヒーレントな16本のレーザ光を光束径φの間隔で並べた光束群を生成し、この光束群により基板11に対してレーザアニール処理を行なっている。そのため、基板11に照射されるレーザスポットの強度分布(照射領域内の強度分布)を、たとえば、図8(B)および図8(C)に示すように、X方向およびY方向に対して均一にできる。
【0120】
上記構成のビーム整形部72を備えることで、光束径内の強度分布が均一となっているレーザ光により被照射物の全体に対して均一なエネルギーを与えてアニール処理をすることができ、粒径サイズが均一なポリシリコン膜を生成することができる。すなわち、第1実施形態のレーザアニール装置10では、良好な特性のTFTを製造することができ、たとえばこのTFTを使用して表示装置などを作成したときには、欠陥が少なく、画像上に筋や輝点などが生じ難いものとすることができる。
【0121】
さらに、複数の光源から出射されたレーザを合成して照射領域を広くかつエネルギーがパワーが高いレーザ光を生成する際に、エキシマレーザから出射されたレーザ光と比較して干渉性が高い固体レーザおよび半導体レーザから出射されたレーザ光を用いる場合であっても、合成光をインコヒーレントな関係となるように、分割あるいは合成するための光学系をなす部材の配置を設定できる。これにより、第1実施形態のレーザアニール装置10では、固体レーザや半導体レーザなどをレーザ光源71として使用することができるようになるので、そのレーザ光源71の寿命を長くし、さらに出力変動が小さくすることができる。したがって、レーザアニール装置10は、稼働時間を長くするとともに安定した強度のレーザ光を出射することが可能となり、生産効率を向上することができる。
【0122】
また、制御部17にてレーザ光源71a〜71dから出射されるパルス光の出射タイミングの制御を行なう際に、たとえば、各レーザ光源71から出射されるパルス光の発光タイミングを所定時間(Δt)だけずらすことも可能である。たとえばレーザ光L71aの強度がピークとなった直後に、次のレーザ光源71bから出射されたレーザ光L71bの強度が増加するようにという具合に、強度ピークを契機として次の光源の発光時点のタイミングを調整すれば、基板11上に照射されるレーザ光の実効的なパルス幅を長くすることが可能となる。すなわち、レーザ光が基板11上を照射する時間を長くすることが可能となる。また、先行するパルス光のピークの強度よりも、後のパルス光のピークの強度を弱くすることによって、基板11の冷却速度を遅くすることもできる。基板11の冷却速度を遅くすると、生成されるポリシリコンの結晶粒径のサイズを大きくすることが可能である。
【0123】
また、たとえば制御部17による制御に基づいて、レーザ光源71a,71bから同時にパルス光を出射し、所定時間経過した後、レーザ光源71c,71dから同時にパルス光を出射することも可能である。すなわち、レーザアニール装置10では、一度に複数のレーザ光源からレーザ光を出射することも可能である。したがって、単独のレーザ光源が出射するレーザ光のエネルギーが弱いときにも、基板11上を照射するレーザ光の照射強度を充分に強くすることが可能となる。また、レーザ光源の数を増やすことによってレーザ光の照射強度を強くすることができるために、コンデンサレンズ104に入射させるレーザ光の照射強度を増やすことが可能となり、照射領域を拡大することが可能となる。
【0124】
このように、第1実施形態のレーザアニール装置10では、複数のレーザ光源を用いた構成とすることで、互いに干渉の影響を最小限に抑えられた4本のレーザ光を、基板11上の同一の照射位置へ照射することができ、さらに、照射するレーザ光の強度を増加することができ、あるいはパルス光のパルス幅を長くするなど、様々なアニール処理手法に対応可能となる。
【0125】
<コリメータ部の第2実施形態>
図9は、ビーム整形部72の第2実施形態の構成例を示す図である。ここで、図9(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図であり、図9(B)は、レーザアニール装置10をX方向(装置の横方向)から見たときの構成図である。
【0126】
第2実施形態のビーム整形部72は、xコリメータ72xおよびyコリメータ72yを構成する3枚のレンズのパワー配置を第1実施形態とは変えている。すなわち、第2実施形態のxコリメータ72xは、図9(A)に示すように、凸面が入射側を向きx軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ230、x軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ231、x軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ232の順番で光軸(z軸)上に配置されている。
【0127】
また、第2実施形態のyコリメータ72yは、図9(B)に示すように、凸面が入射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ233、凸面が出射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ234、凸面が出射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ235の順番で光軸上に配置されている。
【0128】
このように、第2実施形態のビーム整形部72は、コリメータ72x,72y何れについても、両端の2枚の正のパワーを持つシリンドリカルレンズの間に配されているレンズを正のパワーを持つシリンドリカルレンズに置き換えている点が、第1実施形態の構成と異なる。
【0129】
中間のレンズについても正のパワーを持つシリンドリカルレンズとしたことで、第1実施形態のビーム整形部72よりも光路長が長くなるので、光照射部70の光学系が第1実施形態よりも大きくなる。しかしながら、正のパワーを持つシリンドリカルレンズで構成することで、組み立て偏心精度を緩くすることが可能となり、製造上および調整時の負荷を軽減することができる。
【0130】
<レーザアニール装置の第2実施形態>
図10は、レーザアニール装置10の第2実施形態の構成例を示す図である。ここで、図10(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図である。第2実施形態のレーザアニール装置10は、第1実施形態の光照射部70における光分割結合部98と光分割部102を取り除くとともに、レンズアレイ103をこれに応じた構成のものとすることで、各レーザ光源71a〜71dから射出される光束(レーザ光L71a〜L71d)を直接被照射物上にずらしてライン状に重ね合わせることにより、基板11を均一に照射するようにしている点に特徴を有する。ビーム整形部72は、上記第1あるいは第2実施形態のビーム整形部72を使用することができる。
【0131】
ビーム整形部72にてビーム整形されたレーザ光L72a〜L72dは、それぞれレンズアレイ103のそれぞれのエレメントに入射され、レンズアレイ103により2次光源が生成される。
【0132】
図11は、第2実施形態のレーザアニール装置10(光照射装置3)に用いられるレンズアレイ103の一構成例を示す図である。レンズアレイ103は、X方向のみに4個のライン状に配列された4個の凸レンズ(フライアイ)103a〜103dから構成されている。凸レンズ103a〜103dの配列間隔は、光束1つに対してフライアイのエレメント1つが対応するように、ビーム整形部72から出射される4本のレーザ光L72a〜L72dの間隔(光束径φ)と同一で、各凸レンズ103a〜103dが各レーザ光L72a〜L72dの光軸上に設けられている。このレンズアレイ103は、入射された4本のレーザ光L72a〜L72dをそれぞれ集光して、レンズアレイ103とコンデンサレンズ104の間に4個の2次光源をライン状に作る。
【0133】
図12は、第2実施形態のレーザアニール装置10により得られる効果を説明する図である。ここで、図12(A)は、レンズアレイ103から出射されるレーザ光の光軸の配置を示す図である。図12(B)は、レーザアニール装置10から基板11に照射されるレーザ光のX方向の強度分布を示す図である。
【0134】
図12(B)に示すように、レンズアレイ103は、X方向に光束径φの間隔で平行に並んだ互いに干渉性のない4本のレーザ光を出射することができる。この4本のレーザ光(光束)は、第1実施形態の構成と同様に一旦集光されて2次光源となった後、コンデンサレンズ104に入射される。
【0135】
コンデンサレンズ104は、レンズアレイ103によって集光された4本の出力レーザ光を基板11上の略同一の照射位置に照射し、所定の間隔だけずらして重ね合わせることで、その照射位置上で4本のレーザ光を合成する。このとき、第1実施形態の構成と同様に、レンズアレイ103をなす凸レンズのうちの同一のものからから射出されたレーザ光同士は、コンデンサレンズ104によりそれぞれ平行光束となり、ステージ12に搭載された基板11上に導かれる。
【0136】
よって、第2実施形態のレーザアニール装置10では、ステージ12上の被照射物をXY2軸に移動させることで、第2実施形態の構成でも、時間的に照射領域を拡大することができる。このように第2実施形態のレーザアニール装置10では、ライン状に配列されたインコヒーレントな4本のレーザ光を光束径φの間隔で並べた光束群をビーム整形部72にて生成し、この光束群により基板11に対してレーザアニール処理を行なっている。
【0137】
ここで、レンズアレイ103に入射する4つのレーザ光L72a〜L72dが、xコリメータ72xおよびyコリメータ72yにより同一光束径φとなっているため、基板11を均一に照射できることは、第1もしくは第2実施形態のビーム整形部72について述べた通りである。よって、第2実施形態の構成でも、第1実施形態のレーザアニール装置10と同様に、基板11に照射されるレーザスポットの強度分布を、たとえば、図12(B)に示すように、X方向に対して均一にできる。
【0138】
なお、このことから分かるように、第2実施形態のレーザアニール装置10によって基板11を照射したときには、図12(B)に示すように照射領域がライン状となるのに対して、第1実施形態のレーザアニール装置10によって基板11を照射したときには図8(B),図8(C)に示すように照射領域が矩形状となり、照射領域を広げることができる。
【0139】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0140】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0141】
たとえば、ビーム整形部72としてxコリメータ72xとyコリメータ72yの2つを設け、これによりコリメート調整軸を直交するX方向とY方向の2つとしていたが、必ずしもこれに限らない。たとえば、レーザ光源71a〜71dから射出されたレーザ光L71a〜L71dの光軸に対して垂直な面内のそれぞれ60°ずつ異なる方向をコリメート調整軸としてもよい。この場合、各軸に対応する3つのコリメータ部を設ける。調整軸の数が多くなるほど、ビーム形状の調整を細かく設定でき、結果としてビーム形状をより真円に近い状態とすることができる。
【0142】
また、上記実施形態では、コリメート調整軸に対応する各コリメータ部には3つのシリンドリカルレンズを配していたが、その数は必ずしも3つである必要はない。ただし、少なくとも正のパワーを持つシリンドリカルレンズが2枚以上必要である。また、第1あるいは第2実施形態のビーム整形部72として説明したように、レンズのパワー配置を変えてもよい。
【0143】
また、レーザアニール装置の構成としては、光照射装置から発せられたレーザ光の被照射物上の位置を相対的に移動させることができるものであればよく、その手段は光照射装置3を固定しステージ12を用いて被照射物を移動させる構成に限らず、これとは逆に、被照射物を固定配置しておき光照射装置3を移動させる構成であってもよい。
【0144】
また、ビーム整形部72を除く光照射装置3の構成は、上記実施形態の構成に限らず、様々なものを適用可能である。たとえば、本出願人が、日本国において2001年12月7日に出願した日本特許出願番号2001−374922号や、この日本出願を基礎として優先権を主張して出願している国際出願番号:PCT/JP02/12340号に提案した構成を適用可能である。たとえば、上記第1実施形態で示した光分割結合部98および光分割部102の構成に代えて、1つの光分割部102を配した構成とすることもできる。
【0145】
この場合、光照射装置3やレーザアニール装置10は、レーザ光源から出射されたレーザビームを複数のレーザビームに分割する光分割手段として、入射されるレーザビームを反射および透過して反射光および透過光の2つのレーザビームに分離する光分離面を有し、光分離面を互いに平行として並べられたk(但しkは1以上の自然数)個のビームスプリッタと、光反射面がビームスプリッタの光分離面と平行とされ、全てのビームスプリッタからの反射光が入射される反射鏡とを備える構成となる。分割されて出力される複数のビーム光が干渉しないようにするなどの点は、たとえば上記式(7)および式(8)に従うなど、上記実施形態で示した通りである。
【0146】
また、上記実施形態では、複数のレーザ光源を用いた光照射装置におけるレーザ光を平行光束化する機能部分について、『異なる射出光束および射出広がり角を有する複数のレーザ光源に対して、光軸に対して垂直な面内のそれぞれ異なる方向に光束(ビーム)形状を略円形かつ平行光束化(コリメート)するレンズ群(コリメータ)を配置し、かつコリメータを構成するレンズ(たとえばシリンドリカルレンズ)の配置を調整することで、コリメータを射出し平行光束化したビーム形状を全て略円形にする』技術について説明したが、この技術思想は、単一のビーム(光束)を発するレーザ光源を用いた光照射装置についても同様に適用可能である。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光軸に対して垂直な面内のそれぞれ異なる方向に光束(ビーム)形状を略円形かつ平行光束化(コリメート)するレンズ群(コリメータ)を配置し、当該コリメータを射出し平行光束化したビーム形状を略円形にするようにしたので、被照射物を均一に照射することが可能となる。たとえば、この光束を用いることで、複数のレーザ光源を用いた照射装置およびアニール装置において、分割/合成しても、被照射物を均一に照射することが可能となる。複数のレーザ光源を用いることで、照射密度を保ちつつ照射領域を拡大できるために、装置の処理能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光照射装置の一実施形態を搭載したレーザアニール装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】コリメータ部の第1実施形態の構成例を示す図である。
【図3】コリメート調整装置の構成例を示す図である。
【図4】コリメート調整の手法と、コリメート調整後の光照射装置により得られた照射強度分布の一例を示す図である。
【図5】光結合素子の構成例を示す図である。
【図6】導光照明部を構成する光分割部の構成例を示す図である。
【図7】第1実施形態のレーザアニール装置(光照射装置)に用いられるレンズアレイの一構成例を示す図である。
【図8】第1実施形態のレーザアニール装置により得られる効果を説明する図である。
【図9】コリメータ部の第2実施形態の構成例を示す図である。
【図10】レーザアニール装置の第2実施形態の構成例を示す図である。
【図11】第2実施形態のレーザアニール装置(光照射装置)に用いられるレンズアレイの一構成例を示す図である。
【図12】第2実施形態のレーザアニール装置により得られる効果を説明する図である。
【図13】2ビーム構成の従来のレーザアニール装置の一例を示す図である。
【図14】従来の装置におけるビーム形状の問題を説明する図である(その1)。
【図15】従来の装置におけるビーム形状の問題を説明する図である(その2)。
【図16】従来の装置における照射強度分布の問題を説明する図である。
【符号の説明】
3…光照射装置、10…レーザアニール装置、12…ステージ、17…制御部、70…光照射部、71…レーザ光源、72…コリメータ部、73…光結合素子、74…ミラー、75…基部、76…光分割膜、77…反射防止膜、78…反射防止膜、79…全反射膜、98…光分割結合部、100…導光照明部、102…光分割部、103…レンズアレイ、104…コンデンサレンズ、111…基部、112,113…BS(ビームスプリッタ)、114…ミラー、200…コリメート調整装置200、212,218…カメラ部(形状検査部)、217…シアリング干渉計、219…解析制御部(ビーム整形制御部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシリコンをチャネル層とした薄膜トランジスタの製造などに用いられるレーザアニール装置、およびレーザアニール装置などに適用される光照射装置、並びにコリメート調整装置に関する。より詳細には、複数の光源により被照射物に対して均一照射する照射光学系に関し、特に、液晶表示装置、有機EL表示素子の駆動回路素子、スイッチング素子などに用いられる多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造装置、非晶質シリコン薄膜を溶融・再結晶化して薄膜トランジスタ活性層となる多結晶シリコン膜に転換させるレーザアニール装置に用いるレーザ照射光学系への適用に有効な照射光学系の構成と当該照射光学系のコリメート調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイなどに用いられる薄膜トランジスクでは、チャネル層にキャリア移動度の高いポリシリコン膜が用いられている。薄膜トランジスタのポリシリコン膜は、一般に、ガラス基板上にアモルファスシリコンを成膜し、そのアモルファスシリコンにレーザ光を照射することによってアニールして製造される。物質にレーザ光を照射して、その物質をアニールする装置のことを、レーザアニール装置という。
【0003】
薄膜トランジスタを製造する際に用いられるレーザアニール装置には、従来、光源として、高エネルギーの紫外領域のレーザ光を照射できるエキシマレーザが採用されている。しかしながら、従来のレーザアニール装置の光源として用いられているエキシマレーザは、出力安定性に欠け、非常に扱い難いデバイスである。そのため、出力安定性の観点から、レーザアニール装置の光源として、レーザ光のエネルギーが安定であり、かつ寿命が長い、紫外光領域の固体レーザや半導体レーザなどを用いるのが望ましいと考えられる。
【0004】
また、レーザアニール装置の光源として固体レーザや半導体レーザなどを用いた場合、1つの光源のみでは充分なパワーを得ることは困難である。そこで、レーザアニール装置のレーザ光源に固体レーザや半導体レーザを適用できるようにするため、複数の光源から出射されたレーザを合成して、照射領域が広くかつ必要な照射エネルギー密度が得られるに足るレーザ光を生成することが考えられる。ただし、ポリシリコン膜を製造する場合には、光束径内の強度分布が均一となっているレーザ光によりレーザアニールをしなければ、結晶粒径にばらつきが生じ薄膜トランジスタの特性が悪化してしまう。そのため、複数の光源から出射されたレーザ光を合成する際には、照射領域内の強度分布を均一化する必要もある。これらの要請に応える装置例として、たとえば、図13に示すように、レーザ光を発する光源を2つ備える2ビーム構成のものが非特許文献1に開示されている。
【0005】
【非特許文献1】
Kazunori Yamazaki, Toshio Kudo, Koji Seike, Daiji lchishima and Cheng−Guo Jin、“Double−Pulsed Laser Annealing System and Polycrystallization with Green DPSS Lasers ”、AM−LCD ’02 p.149〜152
【0006】
非特許文献1に開示されているレーザアニール装置900は、図13に示すように、アニール対象となるガラス基板911が載置されるステージ912と、レーザ光を出射する2つのレーザ光源971a,971bと、これら2つのレーザ光源971a,971bから出射されたレーザ光を合成するビーム合成部973と、ビーム合成部973から出射されたレーザ光を所定方向に反射するミラー974(図ではそれぞれ974a,974bの2枚)とを備える。レーザ光源971a,971bとビーム合成部973との間には、レーザ光をビーム合成部973に導くためのミラー群972a,972bが設けられている。ミラー群972a,972bは、照射エネルギーを調整するアッテネータ972cが設けられてもよいようになっている。
【0007】
また、レーザアニール装置900は、ミラー974bにて反射されたレーザ光を所定の径の平行光束とするテレスコープ980と、テレスコープ980を通過したレーザ光を均一な広がりを持ち基板911上の所定の照射領域に照射する光学部材(homogenizer )982およびミラー984とを備えている。さらに、レーザアニール装置900は、レーザ光源971a,971bのそれぞれを制御するレーザコントローラ992a,992b、レーザコントローラ992a,992bに供給する駆動パルスの遅延量やオン/オフを制御する遅延パルス制御部994、ステージ912を制御して基板911の照射位置を制御するステージ制御部996、およびこれらの各部を制御するパソコンなどからなる中央制御部998を有し、レーザ光の基板911上の照射領域の位置制御などを行なうコントローラ990を備えている。
【0008】
以上のような従来のレーザアニール装置900では、2つの光源からのレーザ光を合成し、それぞれ基板911上の所定の照射領域に照射している。2つのレーザ光を合成することで、照射エネルギー密度を保ちつつ均一照射領域を拡大できる。さらに、2つレーザ光の発振タイミングをずらすことで、粒径サイズをコントロールすることが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザ光源911a,971bから射出される光束の光束径および射出広がり角は等しくなく、かつ製品個々にある範囲内でばらついてしまう。たとえば、図14(A)に示すように、x軸方向の光束径φxよりもy軸方向の光束径φyの方が長い(φx<φy)縦長の楕円光束が射出されたり、図14(B)に示すようにx軸方向の光束径φxの方がy軸方向の光束径φyよりも長い(φx>φy)横長の楕円で射出されたりする。このばらつきの中心値を狙ってコリメータを設計しても、実際はコリメートされない場合もしくはコリメータ射出後の光束径が異なることが殆どである。レーザ光源の現物に合わせてコリメータを設計する方法もあるが、レーザ光源の交換時にコリメータの再設計が必要となり現実的ではない。
【0010】
また、2つのレーザのコリメート状態が異なる場合、それぞれのレーザで生じる均一照射領域が異なったり、そもそも均一になっていなかったりする。
【0011】
それぞれのレーザ光に対してコリメート状態が異なる場合、照射強度分布にムラが生じ、たとえばレーザアニールを行なうことでポリシリコン膜を製造する場合には、結晶粒径にばらつきが生じ薄膜トランジスタの特性が悪化してしまう。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、均一な強度分布の光を照射対象物に対して照射することが可能な光照射装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、半導体レーザや固体レーザなどの可干渉性の高いレーザを用いてレーザアニールを行なうとともに、被照射物の全体を均一な強度分布でアニールすることが可能なレーザアニール装置を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、光源から発せられた光束(ビーム光)を平行光束にするとともに、そのビーム形状を所定の形状に設定するために使用されるコリメータ調整装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光照射装置やレーザアニール装置は、所定波長の光束を発する光源部と、光源部から出射された光束を平行光束とするとともに、光源部から出射された光束の光軸に対して垂直な面内における異なる複数の方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能に構成されているビーム整形部と、ビーム整形部から出射された光束が入射され照射対象物に対して照射する照明部とを備えるものとした。
【0016】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る光照射装置やレーザアニール装置のさらなる有利な具体例を規定する。
【0017】
たとえば、複数の光束を出射する光源部を使用する場合、ビーム整形部を、光源部から出射されたそれぞれの光束に対して、それぞれ独立に平行光束とするとともに、整形対象方向にそれぞれビーム径を所定の値に設定可能に構成する。
【0018】
この場合、ビーム整形部は、それぞれのビーム形状を、整形対象方向ごとに同一な光束径を有するように平行光束化してもよいし、何れの整形対象方向についても同一な光束径とすることでそれぞれの光束の形状を略円形にするようにしてもよい。
【0019】
また、固体レーザや半導体レーザなどの干渉性の高いレーザ光を発するレーザ光源を光源部に使用して、レーザ光源から発せられたレーザ光を分割し、あるいは分割かつ合成することで、複数の2次ビームを生成した後に、被照射物上で合成し照明するように構成してもよい。この場合、ビーム整形部は、分割する機能部分や、あるいは分割かつ合成する機能部分の前段に配置するのが好ましい。ビーム整形部の使用数を少なくするためである。
【0020】
なお、前記照明部における、分割する機能部分やあるいは分割かつ合成する機能部分の構成(複数の2次ビームを生成する構成)としては、複数の2次ビームが互いに干渉しないような構成とするのがよい。さらにはこれら2次ビームを一旦点光源化し、この後平行ビームにして被照射物に照射する構成とするのがよい。これらの構成としては、たとえば、本出願人が、日本国において2001年12月7日に出願した日本特許出願番号2001−374922号や、この日本出願を基礎として優先権主張して出願している国際出願番号:PCT/JP02/12340号に提案した構成を適用するのが好ましい。
【0021】
本発明に係るコリメータ調整装置は、本発明に係る上記光照射装置やレーザアニール装置を構成している前記ビーム整形部の調整装置であって、このビーム整形部を通過したレーザビームが平行光束となっているか否かを画像パターン解析により検査する平行状態検査部と、ビーム整形部から出力されたレーザビームの形状を画像パターン解析により検査する形状検査部と、平行状態検査部と形状検査部とから得られる各検査結果に基づき、ビーム整形部から出力されるレーザビームが平行光束となり、かつ当該レーザビームの形状が所定形状となるように、ビーム整形部のレンズを光軸方向に移動させるビーム整形制御部とを備えるものとした。
【0022】
つまり、ビーム整形部から出力されるビーム光を画像パターン解析により検査しながら、ビーム整形部から出力されるレーザビームが平行光束かつ所定形状となるように、自動制御(フィードバック制御)する仕組みとすることで、ビーム整形部におけるコリメート調整の自動化を図ることを可能とするものである。
【0023】
【作用】
本発明に係る上記構成においては、光源から発せられた光束(ビーム光)を平行光束にするだけでなく、そのビーム形状につても、所定形状に設定することで、たとえば複数のビーム形状を均一化する。均一化された光束径の間隔で平行に並んだ互いに干渉性のない複数本の光束を出射させることで、各光束での照射強度分布を均一化する。
【0024】
【発明の実施の形態】
<<レーザアニール装置および光照射装置の概要>>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る光照射装置の第1実施形態を搭載したレーザアニール装置の第1実施形態の構成を示す図である。このレーザアニール装置10は、たとえば、アモルファスシリコン膜が形成された後のTFT基板に対してレーザ光を照射して当該TFT基板を熱処理することによって、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に転換するなどの目的で使用される装置である。
【0026】
レーザアニール装置10は、アニール対象となる基板11を載置するステージ12と、レーザ光を平行光束にして射出する光照射部70と、光照射部70から射出されたレーザ光を基板11の所定の領域に導く導光照明部100と、光照射部70から射出されたレーザ光の基板11上の照射領域の位置制御などを行なう制御部(コントローラ)17とを備えている。なお、光照射部70と導光照明部100とで、光照射装置3が構成される。
【0027】
コントローラ17は、レーザ光の基板11上の照射領域の位置制御を行なう位置制御部やレーザ光源71a〜71dのレーザ光の出射タイミングを制御するタイミング制御部(出射制御部)などを備えている構成とする。たとえば、従来技術の項で述べたコントローラ990と同様の構成および機能を備えるものを使用可能である。
【0028】
第1実施形態の光照射部70からは、平行に並んだ4本のレーザ光が出射されるようになっている。以下、この光照射部70から出射されるレーザ光の光軸方向をZ方向とし、4本のレーザ光が平行に並んでいる方向をX方向とし、Z方向およびX方向に直交する方向をY方向として、説明を行なう。なお、図1(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図であり、図1(B)は、レーザアニール装置10をX方向(装置の横方向)から見たときの構成図である。
【0029】
ステージ12は、平板状の基板11が載せられる平坦な主面を有している。ステージ12に載置される基板11は、たとえば、アモルファスシリコン膜が成膜された後のTFT基板である。このステージ12は、主面上に載せられた基板11を保持しながら、主面に平行な方向(図1中のX方向,Y方向)に移動する。レーザアニール装置10では、ステージ12を移動させることによって、基板11に対するレーザ光の照射位置を移動させることができる。つまり、ステージ12を移動させることによって、基板11上のアニール(熱処理)を行なう位置を制御することができる。なお、ステージ12の移動制御は、制御部17により行なわれる。
【0030】
第1実施形態の光照射部70は、図示するように、X方向に平行に並んだ4本のレーザ光(それぞれをL71a〜L71dとする)をパルス発振して出射するレーザ光源71(それぞれを71a,71b,71c,71dとする)と、レーザ光源71から出射されたレーザ光L71a〜L71dの各光路上に設けられ、レーザ光源71から出射された各レーザ光L71a〜L71dを平行光束とするともにビーム形状を所定の形状に設定するビーム整形部72と、ビーム整形部72から出射されたレーザ光L71a〜L71dを結合して4つの合成光L45〜L48を出射する光分割結合部98とを備えている。
【0031】
光照射部70の各レーザ光源71a〜71dは、同一波長のレーザ光L71a〜L71dを出射するものとする。制御部17は、各レーザ光源71a〜71dに対して、レーザ光L71a〜L71dを出射するタイミングや出力パワーなどを制御する。レーザ光源71としては、固体レーザや半導体レーザなどの、エキシマレーザよりも干渉性の高いレーザ光を発する光源を使用できる。たとえば、固体レーザは、半導体を除く結晶やガラスなどの透明物質を母体材料とし、母体材料中に希土類イオンや遷移金属イオンなどをドープした固体レーザ材料を、光によって励起して、レーザビームを出射する。固体レーザの例としては、母体材料にガラスを用いてNd3+をドープしたガラスレーザや、ルビーにCr3+をドープしたルビーレーザ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)にNd3+をドープしたYAGレーザ、さらに、それらのレーザの波長を非線形光学結晶を用いて波長変換したレーザなどが挙げられる。
【0032】
ビーム整形部72は、レーザ光源71a〜71dから射出されたレーザ光L71a〜L71dの光軸に対して垂直な面内のそれぞれ異なる方向に、そのレーザ光L71a〜L71dの光束(ビーム)形状を略円形かつ平行光束化(コリメート)して出力する複数のコリメータレンズ群を有する。
【0033】
本実施形態では、前述の「それぞれ異なる方向」を、互いに直交するX方向とY方向の2つとし、X,Yの各方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能で、かつ独立に平行光束化することが可能に構成されている。具体的には、レーザ光源71a(レーザ光L71a)に対しては、X方向にコリメータ72ax、Y方向にコリメータ72ayを有している。レーザ光源71b(レーザ光L71b)に対しては、X方向にコリメータ72bx、Y方向にコリメータ72byを有している。レーザ光源71c(レーザ光L71c)に対しては、X方向にコリメータ72cx、Y方向にコリメータ72cyを有している。レーザ光源71d(レーザ光L71d)に対しては、X方向にコリメータ72dx、Y方向にコリメータ72dyを有している。
【0034】
このような構成により、それぞれX方向,Y方向に異なる射出光束径φx,φyおよび射出広がり角を有するレーザ光源71a〜71dから射出された光束(レーザ光L71a〜L71d)をX方向やY方向にコリメートするとともにビームサイズを調整する(纏めてビーム整形するという)ことで、ビーム形状を略円形(光束径φ)とし、互いに強度が同一なレーザ光L72a〜L72dを出射する。以下、X方向へコリメートするコリメータをxコリメータ72x、Y方向へコリメートするコリメータをyコリメータ72yという。ビーム整形部72からビーム整形されて出射された4本のレーザ光L72a〜L72dは、光分割結合部98に入射される。必要に応じて、ビームエキスパンダなどによって、ビーム整形部72を通過したレーザ光のビーム径を拡大してもよい。
【0035】
なお、ビーム整形部72と光分割結合部98との間には、後述するように、ビーム整形部72内に配されているシリンドリカルレンズの位置を調整することで、光分割結合部98に入射するレーザ光が平行光束となるとともに光束形状が略円形でかつその光束径がφとなるようにするためのコリメート調整装置200が装着可能となっている。
【0036】
光分割結合部98は、光結合素子73(それぞれを73a,73b,73cとする)と所定のレーザ光を光結合素子73に導くミラー74(それぞれを74a,74b,74c)の対応するものを対にしてなる、入力されたレーザ光を結合して合成光を出射する3つの光分割結合部98a,98b,98cを有する。
【0037】
光分割結合部98aは、コリメータ72ax,72ayからのレーザ光L72aが入射されるミラー74aおよびコリメータ72b,72byからのレーザ光L72bが入射される光結合素子73aを含む。そして、光分割結合部98aは、光結合素子73aに直接入射したレーザ光L72bとミラー74aにて反射した後に光結合素子73aに入射したレーザ光L72aとを結合して、それぞれ光束径φのレーザ光を間隔φで平行に並べ、互いにインコヒーレントな関係の2つの2次ビームとしての合成光L41,L42を出射する。
【0038】
光分割結合部98bは、コリメータ72cx,72cyからのレーザ光L72cが入射されるミラー74bおよびコリメータ72dx,72dyからのレーザ光L72dが入射される光結合素子73bを含む。そして光分割結合部98bは、光結合素子73bに直接入射したレーザ光L72dとミラー74bにて反射した後に光結合素子73bに入射したレーザ光L72cを結合して、それぞれ光束径φのレーザ光を間隔φで平行に並べ、互いにインコヒーレントな関係の2つの2次ビームとしての合成光L43,L44を出射する。
【0039】
光分割結合部98cは、光分割結合部98aから射出される2本のレーザ光L41,L42が入射される光結合素子73cおよび光分割結合部98bから射出される2本のレーザ光L43,L44が入射されるミラー74cを含む。そして、光分割結合部98cは、光結合素子73cに直接入射したレーザ光L41,L42とミラー74cにて反射した後に光結合素子73cに入射したレーザ光L43,L44とを結合して、それぞれ光束径φのレーザ光を間隔φで平行に並べ、互いにインコヒーレントな関係の4つの2次ビームとしての合成光L45〜L48を出射する。
【0040】
このように、光分割結合部98は、互いにインコヒーレントな関係の2本のレーザ光(L41とL42の対またはL43とL44の対)をそれぞれ出射する2つの光分割結合部98a,98bを並べ、これらから射出される4本のレーザ光L41〜L44を光分割結合部98cに入射させることで、X方向に光束径φで平行に並んだ4本のレーザ光L45〜L48として出射するように構成されている。この光分割結合部98から出射された4本のレーザ光L45〜L48は、導光照明部100に入射される。
【0041】
第1実施形態の導光照明部100は、図示するように、光照射部70から出射された4本の各レーザ光L45〜L48をY方向に4分割して合計16本の2次ビームとしてのレーザ光を出力する光分割部102と、光分割部102から出射された16本のレーザ光を集光する複数の集光レンズ(本例では16個の凸レンズ)で構成されたレンズアレイ103と、レンズアレイ103から出射された16本のレーザ光を基板11の所定の領域に導くコンデンサレンズ104とを備えている。
【0042】
光分割部102は、X方向に平行に並んだレーザ光L45〜L48を、それぞれX方向に直交するY方向に4分割して、Y方向に光束径φ間隔で平行に並んだレーザ光に分割する。したがって、光分割部102からは、X−Y平面上に間隔φで4×4のマトリクス状に並んだ合計16本のレーザ光が出射される。
【0043】
光分割部102から出力された16本の出力レーザ光は、レンズアレイ103に入射される。レンズアレイ103の凸レンズの配列間隔は、光分割部102から出射される出力レーザ光の間隔と同一で、各凸レンズが各出力レーザ光の光軸上に設けられている。レンズアレイ103から出射された出力レーザ光は、一旦集光して2次光源(点光源)とされてから、コンデンサレンズ104に入射される。すなわち、レンズアレイ103は、2次光源生成部の一例をなす。コンデンサレンズ104は、レンズアレイ103によって集光された16本の出力レーザ光を合成して、基板11上の所定の照射領域に集光する。このとき、レンズアレイ103をなす凸レンズのうちの同一のものからから射出されたレーザ光同士(たとえば図中のL1,L2)は、コンデンサレンズ104によりそれぞれ平行光束となり、ステージ12に搭載された基板11上に導かれる。
【0044】
以上のような構成のレーザアニール装置10では、ステージ12上に被照射対象物としての基板11が載置され、その後、レーザアニール処理が開始される。レーザアニール装置10は、レーザアニール処理が開始されると、レーザ光源71からパルスレーザを出射する。
【0045】
レーザ光源71から出射されたレーザ光は、ビーム整形部72、光分割結合部98、および光分割部102を通過することによって、互いに干渉性がなく同一強度の16本の平行光束とされる。光分割部102から出射された16本のレーザ光は、レンズアレイ103によって、16個の2次光源とされる。2次光源から出射された16本のレーザ光は、コンデンサレンズ104を介して合成され、基板11上の所定の領域に照射される。そして、レーザアニール装置10では、ステージ12を平行移動させて、平板状の基板11を、主面に対して平行な方向(図中X−Y方向)に移動させ、基板11の全領域にレーザ光を照射してアニール処理を行なう。
【0046】
以下、光照射部70を構成する各機能部分の構成と作用について詳細に説明する。先ず、ビーム整形部72について説明する。
【0047】
<コリメータ部の第1実施形態>
図2は、ビーム整形部72の第1実施形態の構成例を示す図である。ここで、図2(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図であり、図2(B)は、レーザアニール装置10をX方向(装置の横方向)から見たときの構成図である。
【0048】
第1実施形態のxコリメータ72xは、図2(A)に示すように、凸面が入射側を向きx軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ220、凹面が出射側を向きx軸方向に負のパワーを持つシリンドリカルレンズ221、凸面が出射側を向きx軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ222の順番で光軸上(z軸方向)に配置されている。
【0049】
また、第1実施形態のyコリメータ72yは、図2(B)に示すように、凸面が入射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ223、凹面が出射側を向きy軸方向に負のパワーを持つシリンドリカルレンズ224、凸面が出射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ225の順番で光軸上(z軸方向)に配置されている。
【0050】
このように、第1実施形態のビーム整形部72は、コリメータ72x,72y何れについても、両端の2枚の正のパワーを持つシリンドリカルレンズの間に配されているレンズを負のパワーを持つシリンドリカルレンズとしている点に特徴を有する。中間のレンズについては負のパワーを持つシリンドリカルレンズとしたことで、光路長を短くすることができ、後述する第2実施形態よりも光照射部70の光学系を小さくすることができる。
【0051】
ここで、x軸方向とy軸方向とに異なる射出光束径φx,φyおよび射出広がり角を有するレーザ光源71からの光束(レーザ光L71)を、光束径φに保ちながらコリメートするために、xコリメータ72x用のシリンドリカルレンズ221,222、およびyコリメータ72y用のシリンドリカルレンズ224,225を、それぞれ光軸(z軸)方向に変位させる必要がある。
【0052】
図3および図4は、シリンドリカルレンズ221,222あるいはシリンドリカルレンズ224,225を、それぞれ光軸(z軸)方向に変位させるためのコリメート調整機構を説明する図である。ここで、図3は、コリメート調整装置200の構成例を示す図である。図4(A)は、xコリメータ制御部210xにおけるコリメート調整の手法を説明する図、図4(B)は、コリメート調整後の光照射装置3により得られた照射強度分布の一例を示す図である。
【0053】
図3に示すように、コリメート調整装置200は、xコリメータ72x用のシリンドリカルレンズ221,222の位置を制御するxコリメータ制御部210x、およびシリンドリカルレンズ224,225の位置を制御するyコリメータ制御部210yを備える。さらに、コリメート調整装置200は、光束径がφとなるように観測するための機構として、CCD撮像素子などを含むカメラ部212と、コリメートを観測するシアリングプレート214およびスクリーン216により構成されるシアリング干渉計217とを備える。シアリングプレート214は、光軸に対して45°の傾きをもって光路上に配され、入射されたレーザ光に対し、表裏面反射光が同等となるようになっている。
【0054】
カメラ部212とシアリング干渉計217とを取り除き、カメラ部212のz軸方向の位置を変えて、各位置での光束径がともに同一であるか否かを判定することでビームの平行度合いを測定する手法を用いると、カメラ部212のみを使用することでもコリメート調整は可能である。しかしこの場合、カメラ部212のz軸方向の位置を変える必要があるので、z軸方向にカメラ部212を移動可能な大きな機構が必要になる。これに対して、シアリング干渉計217を用いる調整機構では、短い光路長でビームの平行度合いを測定することが可能となり、コリメート調整装置200をコンパクトにできる。
【0055】
また、スクリーン216を、CCD撮像素子などを含むカメラ部218に置き換えることもできる。この場合、形状検査部の一例をなす2つのカメラ部212,218により得られる画像信号に基づき画像パターンを解析し、平行光束かつ略円形(たとえば光束径φ=3)のコリメート光束を得るようにコリメータ制御部210x,210yに対してフィードバック制御を行なう解析制御部219をビーム整形制御部の一例として設けることで、コリメート調整(ビーム整形の調整)を自動化することもできる。
【0056】
このような構成のコリメート調整装置200において、xコリメータ制御部210xは、シリンドリカルレンズ221の変位Δx1に対して、シリンドリカルレンズ222の変位がΔx2となるように制御する。このとき、Δx1とデルタx2の関係は図4(A)のようになる。ここで図4(A)は、個々のレーザ光源71a〜71dの射出広がり角(全角)が1.4mrad〜2.2mradまで存在する場合、シリンドリカルレンズ220,221,222のそれぞれのパワーが38.65,−28.99,38.65としたとき、xコリメータ72xを射出する光束のx軸方向の光束径がφ=3となるようにする場合のΔx1とΔx2の関係を示している。この関係はΔx2=f(Δx1)と近似的に関係式としてxコリメータ制御部210xに与える。
【0057】
同様に、yコリメータ制御部210yは、シリンドリカルレンズ224の変位Δy1に対して、シリンドリカルレンズ225の変位がΔy2となるように制御する。xコリメータ制御部210xについての上記コリメート調整をyコリメータ制御部210yに対しても行なうことで、xコリメータ72xおよびyコリメータ72yを通過した4つの光束(レーザ光L72a〜L72d)を同一の光束径φ(=3)のコリメート光束とすることができる。
【0058】
この光束径が等しい4光束(レーザ光L72a〜L72d)を、光分割結合部98に入射させ、その後、光分割部102、レンズアレイ103、コンデンサレンズ104を介して被照射物としての基板11に照射する。基板11上での照射強度は図4(B)に示すように、照射領域中央部が均一化される。
【0059】
以上説明したように、第1実施形態のビーム整形部72の構成によれば、異なる射出光束径および射出広がり角を有するレーザ光源71a〜71dから射出された光束をX方向およびY方向に光束径φに保ちながらコリメートすることができる。そして、それぞれ同一の光束径φを有するコリメート光束に変換することで、導光照明部100により基板11上における照射強度を均一化する。
【0060】
すなわち、レーザ光源71a〜71dから射出される光束が異なったとしても、xコリメータ72ax,72bx,72cx,72dx、およびyコリメータ72ay,72by,72cy,72dyにより、同一光束径としてコリメートすることができるため、各レーザ光源71a〜71dからの光束により基板11を均一に照射することができる。このように基盤11を均一に照射することで、全光束を有効に利用することができる。したがって、複数のレーザ光源により照射密度を保ちつつ照射領域を拡大することが可能となり、装置の照射能力を向上することができる。
【0061】
また、レーザ光源の現物に合わせてコリメータを設計する必要はなく、コリメート調整装置200を利用してコリメート調整を行なうことにより、光分割結合部98に入射されるレーザ光の光束径を略円形にかつそれぞれの光束径を均一にすることができる。加えて、レーザ光源のレーザ光源の交換時にも、コリメータの再設計は不要であり、コリメート調整を行なうことにより、新たに取り付けらレーザ光源を不都合無く使用することができる。
【0062】
<光分割結合部の構成と作用>
次に、光分割結合部98および導光照明部100の構成と作用について説明する。図1に示したように、光分割結合部98a,98bにおいては、コリメータ部72by,72dyから出射されたレーザ光L72b,L72dは、対応する光結合素子73a,73bに入射され、コリメータ部72ay,72cyから出射されたレーザ光L72a,L72cは、対応するミラー74a,74bにより反射された後に対応する光結合素子73a,73bの反対側の面に入射される。また、光分割結合部98cにおいては、光分割結合部98aから出射されたレーザ光L41,42が、光結合素子73cに入射され、光分割結合部98bから出射されたレーザ光L43,L44が、ミラー74cにより反射された後に光結合素子73cの反対側の面に入射される。
【0063】
後述するように、各光結合素子73a〜73cの光路上の両端面には、光分割膜(半透過膜)、反射防止膜、あるいは全反射膜と言った、それぞれ異なる薄膜が蒸着されている。光結合素子73は、光軸の方向であるZ方向に対して所定の角度で傾いて配置されている。レーザ光は、光結合素子73の前端面側の反射防止膜を透過し、後端面側の光分割膜で透過光と反射光に分割される。反射光は光結合素子73内部を通り前端面側の全反射膜で反射された後に後端面側の反射防止膜を透過する。これにより、光結合素子73の前端面側に入射されたレーザ光は、それぞれ後端面側に設けられた光分割膜からの透過光と反射防止膜からの透過光の2つの光束に分割される。
【0064】
また、ミラー74にて反射された光束は、後端面側に設けられた光分割膜に入射され、透過光と反射光に分割されるようになっている。この透過光は、光結合素子73内部を通り前端面側の全反射膜で反射された後に後端面側の反射防止膜を透過する。これにより、光結合素子73の後端面側に入射されたレーザ光は、それぞれ後端面側に設けられた光分割膜からの反射光と反射防止膜からの透過光の2つの光束に分割される。
【0065】
また、光結合素子73の前端面側の反射防止膜に入射することで分割された2つの光束と、ミラー74にて反射された後に光結合素子73の後端面側に入射することで分割された2つの光束についてみれば、それぞれ対応する透過光と反射光とは、光軸が一致しており、光結合素子73から合成して出力される。このため、光結合素子73a,73bでは、光軸が平行とされた2つの合成光L41,L42あるいはL43,L44を、また、光結合素子73cでは、光軸が平行とされた4つの合成光L45〜L48を、それぞれ出射することができる。なお、光結合素子73a,73bから出射される合成光L41,L42の対や合成光L43,L44の対、および光結合素子73cから出射される合成光L45〜L48は、それぞれインコヒーレントな関係となっている。
【0066】
<光結合素子の構成>
図5は、光結合素子73の構成例を示す図である。ここでは、光結合素子73cにおける光路を用いて示している。各光結合素子73(73a〜73c)は、直方体の形状で、屈折率n1の透明部材(光伝達媒質)からなる基部75を備えている。なお、基部75の任意の一辺に平行な方向を、長辺方向(i方向)と定義する。基部75の長辺方向の一辺の長さは、直方体の巾で最も長い辺でなくてもよい。また、長辺方向(i方向)に直交する任意の一辺の方向を以下、短辺方向(j方向)と定義する。基部75の形状は、ここでは直方体形状としているが、少なくとも互いに平行する平面状の側面75a,側面75bを有する形状であれば、直方体形状でなくてもよい。
【0067】
基部75には、長辺方向(i方向)に直交する一方の側面(後端面)75aに、入射されたレーザ光を1:1の割合で透過および反射する光分割膜76および入射された光を反射させず全透過させる反射防止膜77が形成されている。また、基部75には、側面75aに平行な長辺方向(i方向)に直交するもう一方の側面(前端面)75bに入射された光を反射させず全透過させる反射防止膜78および入射された光を透過させず全反射させる全反射膜79が形成されている。これらの各膜は、たとえば、蒸着などにより側面75a,75bに形成される。
【0068】
光分割膜76は、基部75の側面75aを短辺方向(j方向)に2つの領域に分割し、分割した一方の領域上に形成されている。反射防止膜77は、側面75aの光分割膜76が形成されていない他方の領域に形成されている。また、反射防止膜78は、基部75の側面75bを短辺方向(j方向)に2つの領域に分割し、分割した一方の領域に形成されている。全反射膜79は、側面75bの反射防止膜78が形成されていない他方の領域に形成されている。なお、光分割膜76と反射防止膜78とは、互いに対向する位置に形成されており、反射防止膜77と全反射膜79とが互いに対向する位置に形成される。つまり、光分割膜76および反射防止膜77の短辺方向(j方向)における任意の一方向に対する並び順が、光分割膜76→反射防止膜77の順となっていれば、反射防止膜78および全反射膜79の上記任意の一方向に対する並び順が、反射防止膜78→全反射膜79の順となる。
【0069】
以上のような光結合素子73は、基部75の長辺方向(i方向)が概ねZ方向に向けられ、基部75の短辺方向(j方向)が概ねX方向に向けられ、さらに、基部75がY方向を中心軸として所定の角度θ2(0°<θ2<90゜)回転移動された状態で、光照射部70内に配置される。
【0070】
このように配置された光結合素子73においては、レーザ光L41〜L44が、基部75の側面75aおよび側面75bに垂直な平面に沿って入射される。すなわち、レーザ光L41〜L44は、X−Z平面状に沿って光結合素子73に入射される。
【0071】
たとえば光結合素子73cにおいては、図5に示すように、レーザ光L41,L42が、光軸間距離(=光束径)φaをもって、それぞれ光結合素子73cの外部側から、反射防膜78に角度θ2で入射される。ここで、空気の屈折率をn2とすると、基部75に対して入出射する光には、以下の式(1)に示すような屈折関係が発生する。なお、空気の屈折率は、通常“1”とみなすことができるので、この場合、式(1)は式(2)のように変形することができる。
【数1】
【数2】
【0072】
したがって、反射防止膜78に角度θ2で屈折率“1”の光伝達媒質側から入射されたレーザ光L41,L42は、基部75内に入射する際に角度θ1で屈折する。
【0073】
光結合素子73cに入射されたレーザ光L41,42は、基部75内を通過して、光結合素子73cの内部側から、光分割膜76に角度θ1で入射する。レーザ光L41は、光分割膜76上の位置Aに入射し、レーザ光L42は、光分割膜76上の位置Bに入射する。なお、位置Aと位置BとのX方向の距離は、光束径φa(=レーザ光L41,42の光軸間距離)となっている。
【0074】
光分割膜76は、入射されたレーザ光L41,42を、1:1の割合で透過および反射し、透過光と反射光とに分割する。レーザ光L41の光分割膜76での透過光L41_t(参照子tは通過伝搬;Transmissionを示す)およびレーザ光L42の光分割膜76での透過光は、上述した式(1)に従い、角度θ2で光分割膜76から基部75の外部に向かって出射される。レーザ光L41の光分割膜76での反射光L41_r(参照子“r”は反射;Reflectionを示す)およびレーザ光L42の光分割膜76での反射光L42_rは、角度θ1で基部75内に向かって反射される。
【0075】
一方、レーザ光L43,L44は、ミラー74cにより光路が調整され、光結合素子73の外部である屈折率“1”の光伝達媒質(空気)側から、光軸間距離(=光束径)φbをもって、かつ、基部75内を通過したレーザ光L43,L44の射出点にて法線を挟んだ反対側から光分割膜76に角度θ2で入射される。光軸間距離φbを光軸間距離φaと等しく設定することで、レーザ光L43を光分割膜76上の位置Aに入射させ、レーザ光L44を光分割膜76上の位置Bに入射させる。
【0076】
光分割膜76は、入射されたレーザ光L43,L44を、1:1の割合で透過および反射し、透過光と反射光とに分割する。レーザ光L43の光分割膜76での透過光L43_tおよびレーザ光L44の光分割膜76での透過光L44_tは、上述した式(1)に従い、角度θ1で光分割膜76から基部75の内部に向かって入射される。レーザ光L43の反射光L43_rおよびレーザ光L44の反射光L44_rは、角度θ2で基部75の外部に向かって反射される。
【0077】
ここで、レーザ光L41の透過光L41_tとレーザ光L43の反射光L43_rとは、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L45として光結合素子73cから外部に出力される。同様に、レーザ光L42の透過光L42_tとレーザ光L44の反射光L44_rも、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L46として光結合素子73cから外部に出力される。すなわち、合成光L45,L46は、光分割膜76からそのまま基部75の外部に出射される。
【0078】
一方、レーザ光L41の反射光L41_rとレーザ光L43の透過光L43_tとは、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L47として光結合素子73cの内部に反射される。同様に、レーザ光L42の反射光L42_rとレーザ光L44の透過光L44_tも、上述した式(1)に従っているので光軸が一致しており、両者を合成して合成光L48として光結合素子73cの内部に反射される。すなわち、合成光L47,L48は、光分割膜76から基部75の内部へ向けて出射され、基部75を通過して、全反射膜79にて反射される。
【0079】
全反射膜79により反射された合成光L47,L48は、基部75を通過して反射防止膜77に角度θ1で入射する。すなわち、再度光分割膜76と平行な境界面を通過する。合成光L47は、反射防止膜77上の位置Cに入射し、合成光L48は、反射防止膜77上の位置Dに入射する。合成光L47,L48は、上述した式(1)に従い、角度θ2で反射防止膜77から、基部75の外部に出射される。
【0080】
したがって、光結合素子73cでは、光軸が平行とされた4つの合成光L45〜L48を、光結合素子73cからZ方向に出射することができる。なお、位置Cと位置DとのX方向の距離は、光束径φ(=φa=φb)となっている。また、位置Bと位置CとのX方向の距離も、光束径φとなっている。つまり、合成光L45〜L48は、互いにX方向に平行に並んで出射され、合成光L45〜L48の光軸の間隔P2は、元のレーザ光L41〜L44の光束径φ(=φa=φb)と一致している。
【0081】
ところで、光分割結合部98cの光結合素子73cから出射される合成光L45〜L48をインコヒーレントな関係とするには、合成光L45〜L48の光路長の差を、レーザ光源71a〜71dで定められている可干渉距離L以上とすればよい。ここで、レーザ光L41の反射光L41_rおよびレーザ光L43の透過光L43_tの全反射膜79上における反射位置を位置Eとする。合成光L45の光軸上の一点を位置Fとする。なお、位置Eと位置Cとを結んだ直線は、合成光L45の光軸に対して垂直となる。同様に、レーザ光L42の反射光L41_rおよびレーザ光L43の透過光L43_tの全反射膜79上における反射位置を位置Gとする。合成光L46の光軸上の一点を位置Hとする。なお、位置Gと位置Dを結んだ直線は、合成光L46の光軸に対して垂直となる。
【0082】
この場合、光路AECと光路AFとの差、および光路BGDと光路BHとの差を、可干渉距離L以上とすれば、光結合素子73cから出射される合成光L45〜L48をインコヒーレントな関係とすることができる。このためには、光分割結合部98a,98bから得られた複数の合成レーザ光のうち、最も光路長が短いレーザ光の光路長をLminとし、最も光路長が長いレーザ光の光路長をLmaxとし、4個のレーザ光源71a〜71dのうち最も短い可干渉距離のレーザ光源の可干渉距離をLとしたとき、光分割膜76から全反射膜79までの距離tc、つまり、光結合素子73cの長辺方向(i方向)の長さtcを、式(3)に示すように設定すればよい。なおここではn=n1とする。
【数3】
【0083】
したがって、光結合素子73は、合成光L45〜L48をインコヒーレントな関係となるように距離tcを設定したとしても、合成光L45〜L48の各間隔P1あるいはP2を、たとえば光束径φ(=φa=φb)に一致させることができる。ここで、合成光L45〜L48の各間隔P2を、光束径φに一致させる条件は、式(4)に示すように設定すればよい。なおここではn=n1とする。また、dは、光結合素子73を複数段構成にする際の段数であり、本例では光結合素子73aと73bが1段目、光結合素子73cが2段目となるため、d=2となる。
【数4】
【0084】
このように、ミラー74や光結合素子73を使用して、レーザ光の分割や合成を行なう構成としているので、簡易な構成で複数のレーザ光を合成することが可能となる。
【0085】
ここで、第1実施形態の光照射部70は、光結合素子73の光分割膜76を2段縦続に備えた構成であるが、この数は、3段であっても、4段であってもよい。すなわち、光結合素子73は、短辺方向(j方向)の長さを調整しさえすれば、平行に配列された複数本のレーザ光同士を合成することが可能である。
【0086】
このように、第1実施形態の光照射部70では、光結合素子73を複数個用いて、複数段のレーザ光の結合を行なう際に、結合する段数を増加させることによって、結合するレーザ光の本数を増加させることが可能となる。
【0087】
なお、光分割結合部98a,98bは、光結合素子73の段数を“1”としたものと考えればよい。この場合、光分割結合部98a,98bの光結合素子73a,73bから出射される合成光L41,L42の対、あるいは合成光L43,L44の対をインコヒーレントな関係とするには、光分割膜76から全反射膜79までの距離ta,tbを式(5)に示すように設定すればよい。この式(5)は、式(3)において、Lmax−Lmin=0と変形したものと等価である。
【数5】
【0088】
また、合成光L41,L42の間隔P1aあるいは合成光L43,L44の間隔P1bを、光束径φに一致させる条件は、次の式(6)に示すように設定すればよい。この式(6)は、式(4)において、d=1と変形したものと等価である。
【数6】
【0089】
上記構成の光結合素子73では、光分割膜76と全反射膜79との間に屈折率n1の光伝達媒質からなる基部75を設けることで、これらが一体的に形成しているので、光分割膜76と全反射膜79、さらには反射防止膜77,78の光軸に対する角度調整が容易となる。
【0090】
なお、角度調整が少々困難にはなるが、光分割膜76と全反射膜79の間、さらには反射防止膜77,78との間に光伝達媒質(光透過部材)を設けることなく、光結合素子73を構成してもよい。この場合、実質的に屈折率“1”の空気が光分割膜76と全反射膜79との間の光伝達媒質となる。
【0091】
<導光照明部の構成>
図6は、導光照明部100を構成する光分割部102の構成例を示す図である。なお、図6は、光分割部102をX方向から見た図である。
【0092】
図示するように、光分割部102は、直方体の形状で、たとえばガラスなどの屈折率nの透明部材(光伝達媒質)からなる基部111を備えている。基部111には、任意の一辺に平行な方向(図6中のi方向)に直交する一側面111aに膜状のBS(ビームスプリッタ)112が形成され、もう一方の側面111bに膜状のBS113が形成されている。BS112,BS113は、光分離面が平行とされ、Z方向に並ぶように配置される。BS112,BS113の透過と反射の分離比率、すなわちビームスプリッタの光分離面で分離された反射光および透過光は、光強度の比が1:1となるように設計されている。BS112は、BS113よりもレーザ光の入射側に配置されている。
【0093】
さらに、光分割部102は、光反射面がBS112,BS113の光分離面と平行とされ、BS112,BS113とZ方向に並んで配置された、平面状の光反射面に入射されたレーザ光を反射するミラー114を備えている。ミラー114は、BS112よりもレーザ光の入射側に配置されている。BS112,BS113の光分離面、並びにミラー114の光反射面は、X−Z軸で形成される平面に対して垂直に配置され、かつ、入射されるレーザ光の入射方向(すなわちZ方向)に対して所定の入射角θ(0°<θ<90゜)をもって配置されている。
【0094】
BS112,BS113は、レーザ光L45〜L48の光軸上に配置されている。また、BS112は、レーザ光L45〜L48のみが入射され、他の光が入射されないような配置および大きさとなっている。BS113は、BS112の透過光およびミラー114で反射された後のBS112の反射光が入射され、他の光が入射されないような配置および大きさとなっている。ミラー114は、BS112,BS35の対応する2つの反射光が入射され、入射されたレーザ光L45〜L48を遮らないような配置および大きさとなっている。
【0095】
つまり、光分割部102は、光反射面がBS112,113の光分離面と平行とされ、BS112,113とZ方向に並んでミラー114を備えるとともに、ミラー114の光反射面が全てのビームスプリッタ(本例ではBS112,113)からの反射光が入射されるように構成されている。加えて、光分割部102内に、レーザ光を透過する光透過部材(本例では基部111)を設け、この光透過部材にBS112,113を取り付け、BS112,113と光透過部材とを一体的に構成している。こうすることによって、BS112,113およびミラー114の位置調整が容易となるようにしている。
【0096】
なお、BS112,113の間に光透過部材を配置することに代えて、BS112とミラー114との間に光透過部材を配置することで、BS112とミラー114と光透過部材とを一体的に構成してもよい。この場合にも、BS112,113およびミラー114の位置調整が容易となる。
【0097】
なお、位置調整が少々困難にはなるが、BS112,113の間、およびBS112とミラー114との間に光透過部材を設けることなく、光分割部102を構成してもよい。この場合、実質的に屈折率“1”の空気がBS112,113の間やBS112とミラー114との間の光伝達媒質となる。
【0098】
ここで、光分割部102に入射されるレーザ光L45〜L48のうち、任意の1本のレーザ光を、レーザ光L51とし、以下説明を行なう。BS112は、レーザ光L51の光路上に設けられている。BS112は、入射されたBS112をレーザ光L52(透過光)とレーザ光L53(反射光)とに1:1の割合で分離する。
【0099】
レーザ光L52は、BS112を透過して基部111内に入射される。レーザ光L52は、基部111内に入射することにより所定の角度で屈折する。屈折したレーザ光L52は、基部111内を通過してBS113に入射される。また、レーザ光L53は、BS112から反射してミラー114に入射される。レーザ光53は、ミラー114により反射された後、基部111に入射する。レーザ光L53は、基部111に入射することにより所定の角度で屈折する。屈折したレーザ光L53は、基部111内を通過してBS113に入射される。
【0100】
BS113は、レーザ光L52およびレーザ光L53の光路上に設けられている。BS113は、入射されたレーザ光L52を1:1の割合でレーザ光L54(透過光)とレーザ光L55(反射光)とに分離する。同様に、BS113は、入射されたレーザ光L53を1:1の割合でレーザ光L56(透過光)とレーザ光L57(反射光)とに分離する。
【0101】
レーザ光L54,L56は、BS113を透過し、所定の角度で屈折して、基部111の外部に出射される。レーザ光L55,L57は、BS113を反射して基部111の内部を通過して、側面111aから所定の角度で屈折して、基部111の外部に出射され、ミラー114に入射される。そして、レーザ光L55,L57は、ミラー114により反射された後、基部111に所定の角度で屈折して、再度入射する。このレーザ光L55,L57は、基部111を通過して、側面111bから所定の角度で屈折して、基部111の外部に出射される。
【0102】
これにより、光分割部102は、X方向に平行に並んだ4本のレーザ光L54〜L57をそれぞれ独立にY方向に並んだ4本のレーザ光に分割して出力する。したがって、光分割部102からは、合計16本のレーザ光が出射される。光分割部102から出射される16本のレーザ光は、X方向に4列、Y方向に4列並んだマトリクス状に光軸が配置されている。光分割部102の側面111から出射される各レーザ光L54〜L57の間隔は、光束径φに設定されている。
【0103】
なお、BS112からミラー114までの距離t0並びにBS112からBS113までの距離t1は、レーザ光源により設定される可干渉距離Lと、光照射部70の構成から決まる。光照射部70から得られた複数のレーザ光L45〜L48のうち、最も光路長が短いレーザ光の光路長Lminと最も光路長が長いレーザ光の光路長Lmaxとしたとき、t0は式(7)、t1は式(8)にそれぞれ示すように設定すればよい。なお、nは基部111の屈折率である。
【数7】
【数8】
【0104】
式(7)および式(8)は、BS112のレーザ光の入射口から、BS113のレーザ光の出射口までの光路の長さが、16本のレーザ光ごとに全て異なっている場合に、その各光路の光路長差として、レーザ光源71により規定される可干渉距離以上の差を付けることを意味する。光分割部102は、以上のような構成となっていることにより、X方向に平行に並んだ4本のレーザ光L45〜L48をそれぞれ独立にY方向に並んだ4本のレーザ光に分割して、X方向およびY方向にマトリクス状に並んだ16本のレーザ光を、互いに干渉性のない光として出射することができる。光分割部102から出射される16本のレーザ光は、X方向に4列、Y方向に4列並んだマトリクス状に光軸が配置されている。
【0105】
このように、第1実施形態のレーザアニール装置10では、互いに干渉の影響を最小限に抑えられた16本のレーザ光を、基板11上の同一の照射位置へ照射することができる。このため、レーザアニール装置10では、レーザ光を基板11上で合成したときに、Y方向に並んだ4本のレーザ光が互いに干渉しないため、その照射領域内を均一な強度にすることができる。加えて、光分割部102にはX方向に並んだ互いに干渉しない4本のレーザ光L45〜L48が入射されるので、結果として、16本のレーザ光を基板11上で合成したときに、16本のレーザ光が互いに干渉しないため、その照射領域内を均一な強度にすることができる。
【0106】
なお、単一のレーザ光を光分割部102に入射させる場合には、式(7)および式(8)は、それぞれ式(9)あるいは式(10)に示すように変形すればよい。この式(9)および式(10)は、式(7)および式(8)において、Lmax−Lmin=0と変形したものと等価である。
【数9】
【数10】
【0107】
また、上記光分割部102の構成では、Y方向に分割するレーザ光の数は4本であるが、これに限らず、以下に示す式(11)〜式(14)に基づいて、平行に配置されるビームスプリッタの数を増やすことにより、レーザ光の分割数をさらに増やすことができる。
【0108】
まず、光分割部によって分割されるレーザビームの数をjとし、光分割部内に備えられるビームスプリッタの数をkとし、ビーム整形部72側(光分割部内のミラー側)からm番目に配置されるビームスプリッタをBSmとする。なお、mは、自然数であり、その最大値はjとなる。このような多段構成の光分割部102に単一のレーザ光を入射させる場合、jとkとの関係は、以下の式(4)に示す通りとなる。
【数11】
【0109】
また、各ビームスプリッタの透過率Tおよび反射率Rを、全て50%とすると、分割された後の1本のレーザ光の光量Q2は、分割前のレーザ光の光量をQ1としたときに、以下の式(12)に示すようになる。
【数12】
【0110】
また、出力されるj本レーザ光を互いに干渉しないインコヒーレントな光とするためには、各ビームスプリッタおよび反射鏡を次のように配置をする必要がある。なお、各ビームスプリッタヘ入射されるレーザ光の入射角をθとし、また、そのレーザ光の可干渉距離をLとする。
【0111】
1番目のビームスプリッタBS1と反射鏡との問の距離t0は、次の式(13)に示すと通りに設定する。
【数13】
【0112】
また、第m番目に配置されるビームスプリッタBSmと、第(m+1)番目に配置されるビームスブリッタBS(m+1)との間の距離tmを、次の式(14)に示す通りに設定をする。
【数14】
【0113】
このようにビームスプリッタを配置することによって、1本のレーザビームを、互いにインコヒーレントでありかつ強度が同一のj本の平行なレーザビームに分割することができる。
【0114】
多段構成の光分割部102において、1個目のビームスプリッタに入射させるビーム数を増加させる場合には、上記式(11)〜(14)に対して、上記式(7)および式(8)に準じて、(Lmax−Lmin)の補正を加えるとよい。
【0115】
図7は、第1実施形態のレーザアニール装置10(光照射装置3)に用いられるレンズアレイ103の一構成例を示す図である。レンズアレイ103は、X方向,Y方向にそれぞれ4個ずつのマトリクス状に配列された16個の凸レンズ(フライアイ)103a〜103pから構成されている。凸レンズ103a〜103pの配列間隔は、光分割部102から出射される16本のレーザ光の間隔と同一で、各凸レンズ103a〜103pが各レーザ光の光軸上に設けられている。すなわち、光束1つに対して、フライアイのエレメント1つが対応している。レンズアレイ103は、入射された16本のレーザ光をそれぞれ集光して、レンズアレイ103とコンデンサレンズ104の間に16個の2次光源を作る。
【0116】
図8は、第1実施形態のレーザアニール装置10により得られる効果を説明する図である。ここで、図8(A)は、光分割部102から出射されるレーザ光の光軸の配置を示す図である。図8(B)〜図8(D)は、それぞれレーザアニール装置10から基板11に照射されるレーザ光のX方向あるいはY方向の強度分布を示す図である。
【0117】
光分割部102は、上記のような構成となっていることにより、図8(A)に示すように、X−Y方向に2次元マトリクス状に光束径φの間隔で平行に並んだ互いに干渉性のない16本のレーザ光を出射することができる。この16本のレーザ光(光束)は、レンズアレイ103に入射され、さらにレンズアレイ103から出射された16本のレーザ光が、一旦集光されて2次光源となった後、コンデンサレンズ104に入射される。
【0118】
コンデンサレンズ104は、レンズアレイ103によって集光された16本の出力レーザ光を基板11上の略同一(詳しくは所定間隔だけずれて重合せる)の照射位置に照射し、その位置上で16本のレーザ光を合成する。これにより、被照射物としての基板11上では、16個の平行光束が所定の間隔だけずらされて2次元マトリクス状に重ねられる。よって、基板11上を均一に照射する。ステージ12は被照射物をXY2軸に移動させることで、時間的に照射領域を拡大する。また、レーザ光源71を複数台(本例では、71a〜71dの4つ)用いている理由は、照射密度を保ちつつ照射領域を拡大し、レーザアニール装置10の照射能力を向上するためである。また、従来技術同様に、複数のレーザ光束を完全に同軸化できるため、後述する発振タイミングを調整することで、被照射物のアニール状態をコントロールすることができる。
【0119】
このように、第1実施形態のレーザアニール装置10では、レーザ光の結合および分割を2次元的に行ない、マトリクス状に配列されたインコヒーレントな16本のレーザ光を光束径φの間隔で並べた光束群を生成し、この光束群により基板11に対してレーザアニール処理を行なっている。そのため、基板11に照射されるレーザスポットの強度分布(照射領域内の強度分布)を、たとえば、図8(B)および図8(C)に示すように、X方向およびY方向に対して均一にできる。
【0120】
上記構成のビーム整形部72を備えることで、光束径内の強度分布が均一となっているレーザ光により被照射物の全体に対して均一なエネルギーを与えてアニール処理をすることができ、粒径サイズが均一なポリシリコン膜を生成することができる。すなわち、第1実施形態のレーザアニール装置10では、良好な特性のTFTを製造することができ、たとえばこのTFTを使用して表示装置などを作成したときには、欠陥が少なく、画像上に筋や輝点などが生じ難いものとすることができる。
【0121】
さらに、複数の光源から出射されたレーザを合成して照射領域を広くかつエネルギーがパワーが高いレーザ光を生成する際に、エキシマレーザから出射されたレーザ光と比較して干渉性が高い固体レーザおよび半導体レーザから出射されたレーザ光を用いる場合であっても、合成光をインコヒーレントな関係となるように、分割あるいは合成するための光学系をなす部材の配置を設定できる。これにより、第1実施形態のレーザアニール装置10では、固体レーザや半導体レーザなどをレーザ光源71として使用することができるようになるので、そのレーザ光源71の寿命を長くし、さらに出力変動が小さくすることができる。したがって、レーザアニール装置10は、稼働時間を長くするとともに安定した強度のレーザ光を出射することが可能となり、生産効率を向上することができる。
【0122】
また、制御部17にてレーザ光源71a〜71dから出射されるパルス光の出射タイミングの制御を行なう際に、たとえば、各レーザ光源71から出射されるパルス光の発光タイミングを所定時間(Δt)だけずらすことも可能である。たとえばレーザ光L71aの強度がピークとなった直後に、次のレーザ光源71bから出射されたレーザ光L71bの強度が増加するようにという具合に、強度ピークを契機として次の光源の発光時点のタイミングを調整すれば、基板11上に照射されるレーザ光の実効的なパルス幅を長くすることが可能となる。すなわち、レーザ光が基板11上を照射する時間を長くすることが可能となる。また、先行するパルス光のピークの強度よりも、後のパルス光のピークの強度を弱くすることによって、基板11の冷却速度を遅くすることもできる。基板11の冷却速度を遅くすると、生成されるポリシリコンの結晶粒径のサイズを大きくすることが可能である。
【0123】
また、たとえば制御部17による制御に基づいて、レーザ光源71a,71bから同時にパルス光を出射し、所定時間経過した後、レーザ光源71c,71dから同時にパルス光を出射することも可能である。すなわち、レーザアニール装置10では、一度に複数のレーザ光源からレーザ光を出射することも可能である。したがって、単独のレーザ光源が出射するレーザ光のエネルギーが弱いときにも、基板11上を照射するレーザ光の照射強度を充分に強くすることが可能となる。また、レーザ光源の数を増やすことによってレーザ光の照射強度を強くすることができるために、コンデンサレンズ104に入射させるレーザ光の照射強度を増やすことが可能となり、照射領域を拡大することが可能となる。
【0124】
このように、第1実施形態のレーザアニール装置10では、複数のレーザ光源を用いた構成とすることで、互いに干渉の影響を最小限に抑えられた4本のレーザ光を、基板11上の同一の照射位置へ照射することができ、さらに、照射するレーザ光の強度を増加することができ、あるいはパルス光のパルス幅を長くするなど、様々なアニール処理手法に対応可能となる。
【0125】
<コリメータ部の第2実施形態>
図9は、ビーム整形部72の第2実施形態の構成例を示す図である。ここで、図9(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図であり、図9(B)は、レーザアニール装置10をX方向(装置の横方向)から見たときの構成図である。
【0126】
第2実施形態のビーム整形部72は、xコリメータ72xおよびyコリメータ72yを構成する3枚のレンズのパワー配置を第1実施形態とは変えている。すなわち、第2実施形態のxコリメータ72xは、図9(A)に示すように、凸面が入射側を向きx軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ230、x軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ231、x軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ232の順番で光軸(z軸)上に配置されている。
【0127】
また、第2実施形態のyコリメータ72yは、図9(B)に示すように、凸面が入射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ233、凸面が出射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ234、凸面が出射側を向きy軸方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ235の順番で光軸上に配置されている。
【0128】
このように、第2実施形態のビーム整形部72は、コリメータ72x,72y何れについても、両端の2枚の正のパワーを持つシリンドリカルレンズの間に配されているレンズを正のパワーを持つシリンドリカルレンズに置き換えている点が、第1実施形態の構成と異なる。
【0129】
中間のレンズについても正のパワーを持つシリンドリカルレンズとしたことで、第1実施形態のビーム整形部72よりも光路長が長くなるので、光照射部70の光学系が第1実施形態よりも大きくなる。しかしながら、正のパワーを持つシリンドリカルレンズで構成することで、組み立て偏心精度を緩くすることが可能となり、製造上および調整時の負荷を軽減することができる。
【0130】
<レーザアニール装置の第2実施形態>
図10は、レーザアニール装置10の第2実施形態の構成例を示す図である。ここで、図10(A)は、レーザアニール装置10をY方向(装置の上方)から見たときの構成図である。第2実施形態のレーザアニール装置10は、第1実施形態の光照射部70における光分割結合部98と光分割部102を取り除くとともに、レンズアレイ103をこれに応じた構成のものとすることで、各レーザ光源71a〜71dから射出される光束(レーザ光L71a〜L71d)を直接被照射物上にずらしてライン状に重ね合わせることにより、基板11を均一に照射するようにしている点に特徴を有する。ビーム整形部72は、上記第1あるいは第2実施形態のビーム整形部72を使用することができる。
【0131】
ビーム整形部72にてビーム整形されたレーザ光L72a〜L72dは、それぞれレンズアレイ103のそれぞれのエレメントに入射され、レンズアレイ103により2次光源が生成される。
【0132】
図11は、第2実施形態のレーザアニール装置10(光照射装置3)に用いられるレンズアレイ103の一構成例を示す図である。レンズアレイ103は、X方向のみに4個のライン状に配列された4個の凸レンズ(フライアイ)103a〜103dから構成されている。凸レンズ103a〜103dの配列間隔は、光束1つに対してフライアイのエレメント1つが対応するように、ビーム整形部72から出射される4本のレーザ光L72a〜L72dの間隔(光束径φ)と同一で、各凸レンズ103a〜103dが各レーザ光L72a〜L72dの光軸上に設けられている。このレンズアレイ103は、入射された4本のレーザ光L72a〜L72dをそれぞれ集光して、レンズアレイ103とコンデンサレンズ104の間に4個の2次光源をライン状に作る。
【0133】
図12は、第2実施形態のレーザアニール装置10により得られる効果を説明する図である。ここで、図12(A)は、レンズアレイ103から出射されるレーザ光の光軸の配置を示す図である。図12(B)は、レーザアニール装置10から基板11に照射されるレーザ光のX方向の強度分布を示す図である。
【0134】
図12(B)に示すように、レンズアレイ103は、X方向に光束径φの間隔で平行に並んだ互いに干渉性のない4本のレーザ光を出射することができる。この4本のレーザ光(光束)は、第1実施形態の構成と同様に一旦集光されて2次光源となった後、コンデンサレンズ104に入射される。
【0135】
コンデンサレンズ104は、レンズアレイ103によって集光された4本の出力レーザ光を基板11上の略同一の照射位置に照射し、所定の間隔だけずらして重ね合わせることで、その照射位置上で4本のレーザ光を合成する。このとき、第1実施形態の構成と同様に、レンズアレイ103をなす凸レンズのうちの同一のものからから射出されたレーザ光同士は、コンデンサレンズ104によりそれぞれ平行光束となり、ステージ12に搭載された基板11上に導かれる。
【0136】
よって、第2実施形態のレーザアニール装置10では、ステージ12上の被照射物をXY2軸に移動させることで、第2実施形態の構成でも、時間的に照射領域を拡大することができる。このように第2実施形態のレーザアニール装置10では、ライン状に配列されたインコヒーレントな4本のレーザ光を光束径φの間隔で並べた光束群をビーム整形部72にて生成し、この光束群により基板11に対してレーザアニール処理を行なっている。
【0137】
ここで、レンズアレイ103に入射する4つのレーザ光L72a〜L72dが、xコリメータ72xおよびyコリメータ72yにより同一光束径φとなっているため、基板11を均一に照射できることは、第1もしくは第2実施形態のビーム整形部72について述べた通りである。よって、第2実施形態の構成でも、第1実施形態のレーザアニール装置10と同様に、基板11に照射されるレーザスポットの強度分布を、たとえば、図12(B)に示すように、X方向に対して均一にできる。
【0138】
なお、このことから分かるように、第2実施形態のレーザアニール装置10によって基板11を照射したときには、図12(B)に示すように照射領域がライン状となるのに対して、第1実施形態のレーザアニール装置10によって基板11を照射したときには図8(B),図8(C)に示すように照射領域が矩形状となり、照射領域を広げることができる。
【0139】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0140】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0141】
たとえば、ビーム整形部72としてxコリメータ72xとyコリメータ72yの2つを設け、これによりコリメート調整軸を直交するX方向とY方向の2つとしていたが、必ずしもこれに限らない。たとえば、レーザ光源71a〜71dから射出されたレーザ光L71a〜L71dの光軸に対して垂直な面内のそれぞれ60°ずつ異なる方向をコリメート調整軸としてもよい。この場合、各軸に対応する3つのコリメータ部を設ける。調整軸の数が多くなるほど、ビーム形状の調整を細かく設定でき、結果としてビーム形状をより真円に近い状態とすることができる。
【0142】
また、上記実施形態では、コリメート調整軸に対応する各コリメータ部には3つのシリンドリカルレンズを配していたが、その数は必ずしも3つである必要はない。ただし、少なくとも正のパワーを持つシリンドリカルレンズが2枚以上必要である。また、第1あるいは第2実施形態のビーム整形部72として説明したように、レンズのパワー配置を変えてもよい。
【0143】
また、レーザアニール装置の構成としては、光照射装置から発せられたレーザ光の被照射物上の位置を相対的に移動させることができるものであればよく、その手段は光照射装置3を固定しステージ12を用いて被照射物を移動させる構成に限らず、これとは逆に、被照射物を固定配置しておき光照射装置3を移動させる構成であってもよい。
【0144】
また、ビーム整形部72を除く光照射装置3の構成は、上記実施形態の構成に限らず、様々なものを適用可能である。たとえば、本出願人が、日本国において2001年12月7日に出願した日本特許出願番号2001−374922号や、この日本出願を基礎として優先権を主張して出願している国際出願番号:PCT/JP02/12340号に提案した構成を適用可能である。たとえば、上記第1実施形態で示した光分割結合部98および光分割部102の構成に代えて、1つの光分割部102を配した構成とすることもできる。
【0145】
この場合、光照射装置3やレーザアニール装置10は、レーザ光源から出射されたレーザビームを複数のレーザビームに分割する光分割手段として、入射されるレーザビームを反射および透過して反射光および透過光の2つのレーザビームに分離する光分離面を有し、光分離面を互いに平行として並べられたk(但しkは1以上の自然数)個のビームスプリッタと、光反射面がビームスプリッタの光分離面と平行とされ、全てのビームスプリッタからの反射光が入射される反射鏡とを備える構成となる。分割されて出力される複数のビーム光が干渉しないようにするなどの点は、たとえば上記式(7)および式(8)に従うなど、上記実施形態で示した通りである。
【0146】
また、上記実施形態では、複数のレーザ光源を用いた光照射装置におけるレーザ光を平行光束化する機能部分について、『異なる射出光束および射出広がり角を有する複数のレーザ光源に対して、光軸に対して垂直な面内のそれぞれ異なる方向に光束(ビーム)形状を略円形かつ平行光束化(コリメート)するレンズ群(コリメータ)を配置し、かつコリメータを構成するレンズ(たとえばシリンドリカルレンズ)の配置を調整することで、コリメータを射出し平行光束化したビーム形状を全て略円形にする』技術について説明したが、この技術思想は、単一のビーム(光束)を発するレーザ光源を用いた光照射装置についても同様に適用可能である。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光軸に対して垂直な面内のそれぞれ異なる方向に光束(ビーム)形状を略円形かつ平行光束化(コリメート)するレンズ群(コリメータ)を配置し、当該コリメータを射出し平行光束化したビーム形状を略円形にするようにしたので、被照射物を均一に照射することが可能となる。たとえば、この光束を用いることで、複数のレーザ光源を用いた照射装置およびアニール装置において、分割/合成しても、被照射物を均一に照射することが可能となる。複数のレーザ光源を用いることで、照射密度を保ちつつ照射領域を拡大できるために、装置の処理能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光照射装置の一実施形態を搭載したレーザアニール装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】コリメータ部の第1実施形態の構成例を示す図である。
【図3】コリメート調整装置の構成例を示す図である。
【図4】コリメート調整の手法と、コリメート調整後の光照射装置により得られた照射強度分布の一例を示す図である。
【図5】光結合素子の構成例を示す図である。
【図6】導光照明部を構成する光分割部の構成例を示す図である。
【図7】第1実施形態のレーザアニール装置(光照射装置)に用いられるレンズアレイの一構成例を示す図である。
【図8】第1実施形態のレーザアニール装置により得られる効果を説明する図である。
【図9】コリメータ部の第2実施形態の構成例を示す図である。
【図10】レーザアニール装置の第2実施形態の構成例を示す図である。
【図11】第2実施形態のレーザアニール装置(光照射装置)に用いられるレンズアレイの一構成例を示す図である。
【図12】第2実施形態のレーザアニール装置により得られる効果を説明する図である。
【図13】2ビーム構成の従来のレーザアニール装置の一例を示す図である。
【図14】従来の装置におけるビーム形状の問題を説明する図である(その1)。
【図15】従来の装置におけるビーム形状の問題を説明する図である(その2)。
【図16】従来の装置における照射強度分布の問題を説明する図である。
【符号の説明】
3…光照射装置、10…レーザアニール装置、12…ステージ、17…制御部、70…光照射部、71…レーザ光源、72…コリメータ部、73…光結合素子、74…ミラー、75…基部、76…光分割膜、77…反射防止膜、78…反射防止膜、79…全反射膜、98…光分割結合部、100…導光照明部、102…光分割部、103…レンズアレイ、104…コンデンサレンズ、111…基部、112,113…BS(ビームスプリッタ)、114…ミラー、200…コリメート調整装置200、212,218…カメラ部(形状検査部)、217…シアリング干渉計、219…解析制御部(ビーム整形制御部)
Claims (24)
- 所定波長の光束を発する光源部と、
前記光源部から出射された光束を平行光束とするとともに、前記光源部から出射された光束の光軸に対して垂直な面内における異なる複数の方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能に構成されているビーム整形部と、
前記ビーム整形部から出射された光束が入射され、照射対象物に対して照射する照明部と
を備えたことを特徴とする光照射装置。 - 前記光源部は、複数の光束を出射するものであり、
前記ビーム整形部は、前記光源部から出射されたそれぞれの光束に対して、それぞれ独立に前記平行光束とするとともに、整形対象方向にそれぞれ前記ビーム径を所定の値に設定可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記ビーム整形部は、何れの整形対象方向についても同一な光束径とすることで、それぞれの光束の形状を略円形にする
ことを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。 - 前記ビーム整形部は、前記ビーム径を前記所定の値に設定する設定対象方向にはパワーを有し、当該設定対象方向と直交する方向にはパワーを有しないシリンドリカルレンズを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記ビーム整形部は、整形対象方向ごとに少なくとも3枚の前記シリンドリカルレンズを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記ビーム整形部は、前記3枚のシリンドリカルレンズのうちの2枚の前記シリンドリカルレンズを光軸方向に変位可能に構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の光照射装置。 - 前記3枚のシリンドリカルレンズのうちの2枚は、前記設定対象方向に対して正のパワーを有する
ことを特徴とする請求項5に記載の光照射装置。 - 前記3枚のシリンドリカルレンズは、
そのうちの2枚は、前記設定対象方向に対して正のパワーを有するとともに、残りの1枚は前記設定対象方向に対して負のパワーを有し、かつ、
正→負→正のパワーの順に光軸方向に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の光照射装置。 - 前記ビーム整形部に入力される光束のパワーと入力タイミングとが所定の条件を満たすように、前記光源部を制御する制御部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記照明部は、前記ビーム整形部から出射された光束を複数の光束に分割する光分割部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記光分割部は、
前記複数の光束の光路長が異なりかつ平行に出力するとともに、当該光路長の差が可干渉距離以上となるように配置された光学部材を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の光照射装置。 - 前記照明部は、
入射された複数の光束の一部を反射させるとともに残りを通過させ、かつ、当該反射および通過した各光束を所定の組合せにて同軸上に合成することで、複数の合成ビームを生成する第1の光学手段と、
前記第1の光学手段により生成された複数の合成ビームのうちの一部が入射され、当該一部の合成ビームが残りの合成ビームと平行となるように反射させる第2の光学手段と
を具備してなる光分割結合部を有し、
当該光分割結合部の前記第1の光学手段と前記第2の光学手段とは、平行になった前記複数の合成ビームの光路長の差が前記入射された複数の光束の可干渉距離以上となるように、所定の間隔をもつとともに前記平行になった複数の合成ビームの光軸に対して所定の角度を持って配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記照明部は、
所定の光学面上の所定の入射点において、一方の側面から前記入射点に入射した第1の光束を反射するとともに透過させ、かつ他方の側面から前記入射点に入射した第2の光束を反射するとともに透過させることで、それぞれ反射した光束と透過した光束とを合成した第1および第2の合成ビームを生成する第1の光学手段と、
前記第1の光学手段の前記光学面に対して平行に設けられ、前記第2の合成ビームを反射し前記第1の合成ビームと平行な方向に出力可能な光学面を有する第2の光学手段と
を具備してなる光分割結合部を有し、
前記第1の光学手段の前記光学面と前記第2の光学手段の前記光学面とは、前記第1の合成ビームの光路と前記第2の合成ビームの光路との光路長の差が前記第1および第2の光束の可干渉距離以上となるように、前記第1の光束の入射角と前記第2の光束の入射角とが設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 入力される複数の光束に対応し、各光束を集光する複数の集光レンズを含んで成る2次光源生成部と、
前記2次光源生成部により生成された2次光源からの光束が前記集光レンズを介して入射され、前記集光レンズのそれぞれについて平行光束に変換するとともに、被照射物面上で特定の間隔だけずらして重ね合わることで前記被照射物面を照射する照明レンズと
を有することを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 照射対象物を載置するステージと、
所定波長のレーザビームを出射するレーザ光源部、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを平行光束とするとともに、前記レーザ光源部から出射されたレーザビームの光軸に対して垂直な面内における異なる複数の方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能に構成されているビーム整形部、および前記ビーム整形部から出射されたレーザビームが入射され前記照射対象物に対して照射する照明部を具備してなる照明装置と、
前記ステージに載置されている前記照射対象物の、前記照明部による前記レーザビームの照射位置を相対移動させる照射位置制御部と
を備えたことを特徴とするレーザアニール装置。 - 前記レーザ光源部は、複数のレーザビームを出射するものであり、
前記ビーム整形部は、前記レーザ光源部から出射されたそれぞれのレーザビームに対して、それぞれ独立に前記平行光束とするとともに、整形対象方向にそれぞれ前記ビーム径を所定の値に設定可能に構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - 前記ビーム整形部は、整形対象方向ごとに、前記ビーム径を前記所定の値に設定する設定対象方向にはパワーを有し、当該設定対象方向と直交する方向にはパワーを有しないシリンドリカルレンズを少なくとも3枚含み、その内の2枚は光軸方向に変位可能に構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - 前記ビーム整形部は、前記ビーム径を前記所定の値に設定する設定対象方向にはパワーを有し、当該設定対象方向と直交する方向にはパワーを有しないシリンドリカルレンズを少なくとも3枚含み、
その内の2枚は、前記設定対象方向に対して正のパワーを有する
ことを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - 前記照明部は、前記ビーム整形部から出射されたレーザビームを複数のレーザビームに分割する光分割部を有する
ことを特徴とする請求項16に記載のレーザアニール装置。 - 前記複数の光束の光路長が異なりかつ平行に出力するとともに、当該光路長の差が可干渉距離以上となるように配置された光学部材を有する
ことを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - 前記照明部は、
入射された複数のレーザビームの一部を反射させるとともに残りを通過させ、かつ、当該反射および通過した各レーザビームを所定の組合せにて同軸上に合成することで、複数の合成ビームを生成する第1の光学手段と、
前記第1の光学手段により生成された複数の合成ビームのうちの一部が入射され、当該一部の合成ビームが残りの合成ビームと平行となるように反射させる第2の光学手段と
を具備してなる光分割結合部を有し、
当該光分割結合部の前記第1の光学手段と前記第2の光学手段とは、平行になった前記複数の合成ビームの光路長の差が前記入射された複数のレーザビームの可干渉距離以上となるように、所定の間隔をもつとともに前記平行になった複数の合成ビームの光軸に対して所定の角度を持って配置されている
ことを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - 前記照明部は、
所定の光学面上の所定の入射点において、一方の側面から前記入射点に入射した第1のレーザビームを反射するとともに透過させ、かつ他方の側面から前記入射点に入射した第2のレーザビームを反射するとともに透過させることで、それぞれ反射したレーザビームと透過したレーザビームとを合成した第1および第2の合成ビームを生成する第1の光学手段と、
前記第1の光学手段の前記光学面に対して平行に設けられ、前記第2の合成ビームを反射し前記第1の合成ビームと平行な方向に出力可能な光学面を有する第2の光学手段と
を具備してなる光分割結合部を有し、
前記第1の光学手段の前記光学面と前記第2の光学手段の前記光学面とは、前記第1の合成ビームの光路と前記第2の合成ビームの光路との光路長の差が前記第1および第2のレーザビームの可干渉距離以上となるように、前記第1のレーザビームの入射角と前記第2のレーザビームの入射角とが設定されている
ことを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - 入力される複数の光束に対応し、各光束を集光する複数の集光レンズを含んで成る2次光源生成部と、
前記2次光源生成部により生成された2次光源からの光束が前記集光レンズを介して入射され、前記集光レンズのそれぞれについて平行光束に変換するとともに、被照射物面上で特定の間隔だけずらして重ね合わることで前記被照射物面を照射する照明レンズと
を有することを特徴とする請求項15に記載のレーザアニール装置。 - レーザ光源から発せられたレーザビームの光軸方向に変位可能に構成されている複数のレンズを有し、前記レーザ光源から発せられたレーザビームを平行光束にするとともに前記光軸に対して垂直な面内における異なる複数の方向にそれぞれ独立にビーム径を所定の値に設定可能に構成されているビーム整形部を通過したレーザビームが平行光束となっているか否かを画像パターン解析により検査する平行状態検査部と、
前記ビーム整形部から出力されたレーザビームの形状を画像パターン解析により検査する形状検査部と、
前記平行状態検査部と前記形状検査部とから得られる各検査結果に基づき、前記ビーム整形部から出力されるレーザビームが平行光束となり、かつ当該レーザビームの形状が所定形状となるように、前記ビーム整形部の前記レンズを前記光軸方向に移動させるビーム整形制御部と
を備えることを特徴とするコリメータ調整装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003150774A JP2004356282A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 光照射装置、レーザアニール装置、およびコリメータ調整装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003150774A JP2004356282A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 光照射装置、レーザアニール装置、およびコリメータ調整装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=34046489
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003150774A Pending JP2004356282A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 光照射装置、レーザアニール装置、およびコリメータ調整装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004356282A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007027612A (ja) * | 2005-07-21 | 2007-02-01 | Sony Corp | 照射装置および照射方法 |
JP2008168323A (ja) * | 2007-01-11 | 2008-07-24 | Disco Abrasive Syst Ltd | レーザー加工装置 |
KR20170085184A (ko) * | 2016-01-13 | 2017-07-24 | 삼성디스플레이 주식회사 | 레이저 결정화 장치 |
US20210138581A1 (en) * | 2019-11-11 | 2021-05-13 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Laser annealing system and method of fabricating a semiconductor device using the same |
-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003150774A patent/JP2004356282A/ja active Pending
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KR102507094B1 (ko) | 2016-01-13 | 2023-03-08 | 삼성디스플레이 주식회사 | 레이저 결정화 장치 |
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