JP2004354133A - マイクロ波の強度測定装置およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子レンジ内のような空間で、該空間に照射されたマイクロ波の強度を、該空間の所望位置で容易に測定できるようにする。
【解決手段】光ファイバー2の先端の発熱材料10の薄膜で覆われた感熱部4を、マイクロ波が照射される空間の所望の被測定位置に位置させて、光ファイバー温度計2による温度の計測を、所定時間の間隔を置いて複数回行なうことで、マイクロ波の照射による発熱材料10の所定時間での温度上昇幅を、温度上昇幅検出部12によって検出することにより、この温度上昇幅に基づいて被測定位置でのマイクロ波の強度を測定する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバー2の先端の発熱材料10の薄膜で覆われた感熱部4を、マイクロ波が照射される空間の所望の被測定位置に位置させて、光ファイバー温度計2による温度の計測を、所定時間の間隔を置いて複数回行なうことで、マイクロ波の照射による発熱材料10の所定時間での温度上昇幅を、温度上昇幅検出部12によって検出することにより、この温度上昇幅に基づいて被測定位置でのマイクロ波の強度を測定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部の空間にマイクロ波が照射される電子レンジ(高周波オーブン)等において、空間の所望位置でマイクロ波の強度(マイクロ波エネルギーの強度)を測定するためのマイクロ波の強度測定装置、および、そのような装置を使用したマイクロ波の強度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、有磁場マイクロ波エッチング装置のようなマイクロ波を利用した装置において、装置内でのマイクロ波の伝播状態を計測するための方法として、マイクロ波を吸収して発熱する材料であるカーボンを、加熱されることにより不可逆に変化する材料である感熱紙に塗布して、このカーボン付き感熱紙を(例えば、円筒状の固定枠に固定した状態で)装置内に設置しておき、装置内に照射されたマイクロ波によるカーボンの発熱に応じて黒く変化した感熱紙の黒変度の分布状態を目視することにより、装置内でのマイクロ波の電界強度分布を測定するということが従来から公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−331463号公報
【0004】
なお、上記のようなマイクロ波の測定に関する技術とは関係はないが、物体の表面温度を計測するための温度計として、光ファイバーの先端に接着された蛍光物質の感熱部に該光ファイバーを通して閃光をあてたときの該感熱部での蛍光輝度の減衰により温度を計測するような接触型の光ファイバー温度計というものは従来から市販されて公知となっている(例えば、蛍光式光ファイバー温度計FL−2000 安立計器株式会社製)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来から、カップ状の容器内に食品を収納してヒートシール蓋により密封した容器入りの商品で、容器ごと電子レンジ(高周波オーブン)に入れて加熱できるような商品が数多く提供されているが、そのような商品を電子レンジに入れて加熱した際に、中身の食品が突然沸騰して容器が転倒してしまうようなことがある。これに対して、そのような不都合が起きないようにするためには、先ず、電子レンジ内の空間の各位置でのマイクロ波エネルギーの強度(以下、単にマイクロ波の強度と言う)がどうであるかを測定してから、それが商品における容器や食品の形状や大きさにどう影響しているかを解明することが必要となってくる。
【0006】
そこで、電子レンジ内の空間の各位置でのマイクロ波の強度を測定するために、上記の特開平7−331463号公報に開示された方法について詳細に検討してみると、この方法では、装置内のマイクロ波の電界強度分布を測定するために、カーボンが塗布された感熱紙を円筒状の固定枠に固定した状態で装置内に設置して、マイクロ波を照射した後の感熱紙の黒変度を目視しているが、そのような方法では、感熱紙が設置された平面(2次元的な各位置)でのマイクロ波の相対的な分布状態を測定できるものの、電子レンジ内の空間における任意の位置(3次元的な各位置)での測定を行なうことが難しく、しかも、被測定位置でのマイクロ波の絶対的な強度を正確に計測することはできない。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするもので、具体的には、電子レンジ内のような空間で、該空間に照射されたマイクロ波の強度を、該空間の所望位置で容易に測定できるようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、マイクロ波の強度測定装置として、光ファイバーの先端に接着された蛍光物質の感熱部に該光ファイバーを通して閃光をあてたときの該感熱部での蛍光輝度の減衰により温度を計測するような接触型の光ファイバー温度計に対して、その感熱部の外面側を、マイクロ波を吸収して発熱する発熱材料の薄膜により覆っていると共に、該温度計により所定時間の間隔を置いて計測される複数の温度の計測値から発熱材料の温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部を設けていることを特徴とするものである。
【0009】
また、そのような装置を使用したマイクロ波の強度測定方法として、光ファイバーの先端の発熱材料の薄膜で覆われた感熱部を、マイクロ波が照射される空間の所望の被測定位置に位置させて、光ファイバー温度計による温度の計測を、所定時間の間隔を置いて複数回行なうことで、マイクロ波の照射による発熱材料の所定時間での温度上昇幅を検出することにより、この温度上昇幅に基づいて被測定位置でのマイクロ波の強度を測定していることを特徴とするものである。
【0010】
上記のような装置および方法によれば、光ファイバーの先端の発熱材料の薄膜で覆われた感熱部を、電子レンジ内のような空間の所望位置(3次元的な各位置)に位置させるだけで、その位置でのマイクロ波の強度を、光ファイバー温度計による発熱材料の温度の計測結果に基づいて、容易に且つ正確に測定することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のマイクロ波の強度測定装置およびその使用方法の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロ波の強度測定装置を模式的に示し、図2は、従来公知の光ファイバー温度計を模式的に示すものである。
【0012】
本実施形態のマイクロ波の強度測定装置では、物質の表面に接触して物質の表面温度を測定する従来公知の接触型の光ファイバー温度計(例えば、蛍光式光ファイバー温度計FL−2000 安立計器株式会社製)が主要部分として使用されている。
【0013】
そのような従来公知の光ファイバー温度計については、図2に示すように、直径が1mm程度の太さの光ファイバー3と、光ファイバー3の先端に設けられる蛍光物質(マグネシウム蛍光体等)からなる感熱部4と、光ファイバー3の基端に向けて青色光を発振する青色発光ダイオード5と、光ファイバー3と青色発光ダイオード5との間に配置されて青色光を透過させる反射板6と、反射板6で反射され赤色フィルター7を通して入射された光の輝度と減衰時間を計測する光検出器8と、光検出器8で計測された輝度と減衰時間の関係を温度に換算する演算回路9とを備えたものである。
【0014】
そのような光ファイバー温度計2による温度測定について説明すると、青色発光ダイオード5から光ファイバー3の基端に向けて青色光を閃光的に発振することで、発振された青色光は、反射板6を透過してから、光ファイバー3の中を通って、感熱部4に閃光的に照射される。それにより、被測定物(図示せず)に接触している感熱部4は、被測定物の表面温度に対応する輝度で発光して減衰するが、この感熱部4の光が、光ファイバー3の中を戻って反射板6で反射され、赤色光だけを通す赤色フィルター7で分光されてから光検出器8に入射され、光検出器8で輝度と減衰時間が計測される。そして、その輝度と減衰時間の関係から演算回路9で温度に換算されて、被測定物の表面温度の測定を完了する。
【0015】
ところで、上記のような従来公知の光ファイバー温度計(接触型に限らず非接触型であっても)では、物体の表面温度を測定することはできるものの、マイクロ波が照射されている空間の任意の位置での温度を測定することはできない。
【0016】
これに対して、本実施形態のマイクロ波の強度測定装置では、図1に示すように、上記のような従来公知の接触型の光ファイバ一温度計の構造に対して、更に、光ファイバー3の先端に設けられた感熱部4の外面側(光ファイバー3の側とは反対側)を、マイクロ波を吸収して発熱するフェライト等の発熱材料10の薄膜で覆うことによって、マイクロ波が照射されている空間の任意の位置での温度の測定が可能となるようにしている。
【0017】
マイクロ波を吸収して発熱するフェライト等の発熱材料10については、マイクロ波を大量に吸収し過ぎることなく、それ自体の熱容量をできるだけ少なくするように、光が透過しない程度の1〜2mmの薄さの薄膜に形成されており、この薄膜状の発熱材料10は、感熱部4に密着された状態で熱収縮性プラスチックチューブ11によって固定されている。
【0018】
また、本実施形態のマイクロ波の強度測定装置1では、上記のような従来公知の光ファイバ一温度計の構造に対して、その演算回路9により換算された温度による複数の計測値を入力して、それら複数の温度の計測値から発熱材料10の温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部12が設けられている。なお、そのような温度上昇幅検出部12に対して、更に、温度上昇幅検出部12で検出された温度上昇幅を自動的にマイクロ波の強度に換算するための演算部13を設けるようにしても良い。
【0019】
上記のようなマイクロ波の強度測定装置1を使用して電子レンジ内の空間の所望位置でのマイクロ波の強度を測定する本実施形態のマイクロ波の強度測定方法について説明すると、先ず、電子レンジ内に光ファイバー3を入れて、その先端の感熱部4を電子レンジ内の空間の所望位置(マイクロ波の強度を測定したい位置)に位置させてから、青色発光ダイオード5から青色光を閃光的に発振させて、感熱部4を覆っている発熱材料10の初期温度を計測する。そして、この発熱材料10の初期温度を、演算回路9から温度上昇幅検出部12に送信してそこに記憶させる。
【0020】
次いで、電子レンジのスイッチを入れて、電子レンジ内にマイクロ波を照射させることで、電子レンジ内の空間の所望位置で発熱材料10にマイクロ波を吸収させ、マイクロ波の照射開始から所定時間経過後に、再び、青色発光ダイオード5から青色光を閃光的に発振させて、その時点での発熱材料10の温度を計測する。そして、この発熱材料2の温度(マイクロ波の照射により上昇した後の温度)を、演算回路9から温度上昇幅検出部12に送信してそこに記憶させる。
【0021】
そして、温度上昇幅検出部12において、発熱材料10の初期温度とマイクロ波照射開始から所定時間経過後の温度とから、所定時間での発熱材料10の温度上昇幅を検出して、この検出された温度上昇幅をマイクロ波の強度と見なすことで、電子レンジ内の空間の所望位置でのマイクロ波の強度を測定している。
【0022】
なお、温度上昇幅検出部12に対して更に演算部13を設けている場合には、所定時間での発熱材料10の温度上昇幅とマイクロ波の強度との相関関係(関数)のデータを予め実験等により得ておいて、この関数データを予め演算部13に入力しておくことにより、温度上昇幅検出部12から演算部13に温度上昇幅のデータを送信するだけで、演算部13での演算により温度上昇幅をマイクロ波の強度に自動的に換算して表示させることができる。
【0023】
上記のような本実施形態のマイクロ波の強度測定装置1およびその使用方法によれば、従来公知の接触型の光ファイバー温度計に対して、その感熱部4を発熱材料10の薄膜によって覆うと共に、複数の温度の計測値を記憶してそれらの計測値から温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部12(および、必要とあれば、温度上昇幅をマイクロ波の強度に換算する演算部13)を設けるだけで、光ファイバー3の先端の感熱部4を電子レンジ内の空間の所望位置に位置させることにより、その位置(3次元的な各位置)でのマイクロ波の強度を、光ファイバー温度計による計測の結果に基づいて、容易に且つ正確に測定することができる。
【0024】
以上、本発明のマイクロ波の強度測定装置およびその使用方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、発熱材料の温度の計測について、上記の実施形態では初期温度を計測してから、マイクロ波照射開始から所定時間経過後に計測しているが、そのように初期温度を計測しなくても、マイクロ波の照射を開始してから、所定時間の間隔を置いて複数回の計測を行なうことで、相対的な温度上昇幅を検出するようにしても良く、また、初期温度の計測から連続的に所定時間を置いて複数回の計測を行なうことで、温度上昇幅を検出してマイクロ波の強度を測定するだけでなく、マイクロ波の強度の変化の有無やマイクロ波の強度の変化量を検出するようにしても良い等、適宜に変更可能なものであることは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のマイクロ波の強度測定装置およびその使用方法によれば、接触型の光ファイバー温度計を利用した簡単な構造により、光ファイバーの先端の感熱部を空間の所望位置に位置させるだけで、空間の任意の位置でのマイクロ波の強度を、光ファイバー温度計による温度の計測に基づいて、容易に且つ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ波の強度測定装置の一実施形態を模式的に示す説明図。
【図2】従来公知の光ファイバー温度計を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
1 マイクロ波の強度測定装置
2 光ファイバー温度計
3 光ファイバー
4 感熱部
5 青色発光ダイオード
10 発熱材料
12 温度上昇幅検出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部の空間にマイクロ波が照射される電子レンジ(高周波オーブン)等において、空間の所望位置でマイクロ波の強度(マイクロ波エネルギーの強度)を測定するためのマイクロ波の強度測定装置、および、そのような装置を使用したマイクロ波の強度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、有磁場マイクロ波エッチング装置のようなマイクロ波を利用した装置において、装置内でのマイクロ波の伝播状態を計測するための方法として、マイクロ波を吸収して発熱する材料であるカーボンを、加熱されることにより不可逆に変化する材料である感熱紙に塗布して、このカーボン付き感熱紙を(例えば、円筒状の固定枠に固定した状態で)装置内に設置しておき、装置内に照射されたマイクロ波によるカーボンの発熱に応じて黒く変化した感熱紙の黒変度の分布状態を目視することにより、装置内でのマイクロ波の電界強度分布を測定するということが従来から公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−331463号公報
【0004】
なお、上記のようなマイクロ波の測定に関する技術とは関係はないが、物体の表面温度を計測するための温度計として、光ファイバーの先端に接着された蛍光物質の感熱部に該光ファイバーを通して閃光をあてたときの該感熱部での蛍光輝度の減衰により温度を計測するような接触型の光ファイバー温度計というものは従来から市販されて公知となっている(例えば、蛍光式光ファイバー温度計FL−2000 安立計器株式会社製)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来から、カップ状の容器内に食品を収納してヒートシール蓋により密封した容器入りの商品で、容器ごと電子レンジ(高周波オーブン)に入れて加熱できるような商品が数多く提供されているが、そのような商品を電子レンジに入れて加熱した際に、中身の食品が突然沸騰して容器が転倒してしまうようなことがある。これに対して、そのような不都合が起きないようにするためには、先ず、電子レンジ内の空間の各位置でのマイクロ波エネルギーの強度(以下、単にマイクロ波の強度と言う)がどうであるかを測定してから、それが商品における容器や食品の形状や大きさにどう影響しているかを解明することが必要となってくる。
【0006】
そこで、電子レンジ内の空間の各位置でのマイクロ波の強度を測定するために、上記の特開平7−331463号公報に開示された方法について詳細に検討してみると、この方法では、装置内のマイクロ波の電界強度分布を測定するために、カーボンが塗布された感熱紙を円筒状の固定枠に固定した状態で装置内に設置して、マイクロ波を照射した後の感熱紙の黒変度を目視しているが、そのような方法では、感熱紙が設置された平面(2次元的な各位置)でのマイクロ波の相対的な分布状態を測定できるものの、電子レンジ内の空間における任意の位置(3次元的な各位置)での測定を行なうことが難しく、しかも、被測定位置でのマイクロ波の絶対的な強度を正確に計測することはできない。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするもので、具体的には、電子レンジ内のような空間で、該空間に照射されたマイクロ波の強度を、該空間の所望位置で容易に測定できるようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、マイクロ波の強度測定装置として、光ファイバーの先端に接着された蛍光物質の感熱部に該光ファイバーを通して閃光をあてたときの該感熱部での蛍光輝度の減衰により温度を計測するような接触型の光ファイバー温度計に対して、その感熱部の外面側を、マイクロ波を吸収して発熱する発熱材料の薄膜により覆っていると共に、該温度計により所定時間の間隔を置いて計測される複数の温度の計測値から発熱材料の温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部を設けていることを特徴とするものである。
【0009】
また、そのような装置を使用したマイクロ波の強度測定方法として、光ファイバーの先端の発熱材料の薄膜で覆われた感熱部を、マイクロ波が照射される空間の所望の被測定位置に位置させて、光ファイバー温度計による温度の計測を、所定時間の間隔を置いて複数回行なうことで、マイクロ波の照射による発熱材料の所定時間での温度上昇幅を検出することにより、この温度上昇幅に基づいて被測定位置でのマイクロ波の強度を測定していることを特徴とするものである。
【0010】
上記のような装置および方法によれば、光ファイバーの先端の発熱材料の薄膜で覆われた感熱部を、電子レンジ内のような空間の所望位置(3次元的な各位置)に位置させるだけで、その位置でのマイクロ波の強度を、光ファイバー温度計による発熱材料の温度の計測結果に基づいて、容易に且つ正確に測定することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のマイクロ波の強度測定装置およびその使用方法の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロ波の強度測定装置を模式的に示し、図2は、従来公知の光ファイバー温度計を模式的に示すものである。
【0012】
本実施形態のマイクロ波の強度測定装置では、物質の表面に接触して物質の表面温度を測定する従来公知の接触型の光ファイバー温度計(例えば、蛍光式光ファイバー温度計FL−2000 安立計器株式会社製)が主要部分として使用されている。
【0013】
そのような従来公知の光ファイバー温度計については、図2に示すように、直径が1mm程度の太さの光ファイバー3と、光ファイバー3の先端に設けられる蛍光物質(マグネシウム蛍光体等)からなる感熱部4と、光ファイバー3の基端に向けて青色光を発振する青色発光ダイオード5と、光ファイバー3と青色発光ダイオード5との間に配置されて青色光を透過させる反射板6と、反射板6で反射され赤色フィルター7を通して入射された光の輝度と減衰時間を計測する光検出器8と、光検出器8で計測された輝度と減衰時間の関係を温度に換算する演算回路9とを備えたものである。
【0014】
そのような光ファイバー温度計2による温度測定について説明すると、青色発光ダイオード5から光ファイバー3の基端に向けて青色光を閃光的に発振することで、発振された青色光は、反射板6を透過してから、光ファイバー3の中を通って、感熱部4に閃光的に照射される。それにより、被測定物(図示せず)に接触している感熱部4は、被測定物の表面温度に対応する輝度で発光して減衰するが、この感熱部4の光が、光ファイバー3の中を戻って反射板6で反射され、赤色光だけを通す赤色フィルター7で分光されてから光検出器8に入射され、光検出器8で輝度と減衰時間が計測される。そして、その輝度と減衰時間の関係から演算回路9で温度に換算されて、被測定物の表面温度の測定を完了する。
【0015】
ところで、上記のような従来公知の光ファイバー温度計(接触型に限らず非接触型であっても)では、物体の表面温度を測定することはできるものの、マイクロ波が照射されている空間の任意の位置での温度を測定することはできない。
【0016】
これに対して、本実施形態のマイクロ波の強度測定装置では、図1に示すように、上記のような従来公知の接触型の光ファイバ一温度計の構造に対して、更に、光ファイバー3の先端に設けられた感熱部4の外面側(光ファイバー3の側とは反対側)を、マイクロ波を吸収して発熱するフェライト等の発熱材料10の薄膜で覆うことによって、マイクロ波が照射されている空間の任意の位置での温度の測定が可能となるようにしている。
【0017】
マイクロ波を吸収して発熱するフェライト等の発熱材料10については、マイクロ波を大量に吸収し過ぎることなく、それ自体の熱容量をできるだけ少なくするように、光が透過しない程度の1〜2mmの薄さの薄膜に形成されており、この薄膜状の発熱材料10は、感熱部4に密着された状態で熱収縮性プラスチックチューブ11によって固定されている。
【0018】
また、本実施形態のマイクロ波の強度測定装置1では、上記のような従来公知の光ファイバ一温度計の構造に対して、その演算回路9により換算された温度による複数の計測値を入力して、それら複数の温度の計測値から発熱材料10の温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部12が設けられている。なお、そのような温度上昇幅検出部12に対して、更に、温度上昇幅検出部12で検出された温度上昇幅を自動的にマイクロ波の強度に換算するための演算部13を設けるようにしても良い。
【0019】
上記のようなマイクロ波の強度測定装置1を使用して電子レンジ内の空間の所望位置でのマイクロ波の強度を測定する本実施形態のマイクロ波の強度測定方法について説明すると、先ず、電子レンジ内に光ファイバー3を入れて、その先端の感熱部4を電子レンジ内の空間の所望位置(マイクロ波の強度を測定したい位置)に位置させてから、青色発光ダイオード5から青色光を閃光的に発振させて、感熱部4を覆っている発熱材料10の初期温度を計測する。そして、この発熱材料10の初期温度を、演算回路9から温度上昇幅検出部12に送信してそこに記憶させる。
【0020】
次いで、電子レンジのスイッチを入れて、電子レンジ内にマイクロ波を照射させることで、電子レンジ内の空間の所望位置で発熱材料10にマイクロ波を吸収させ、マイクロ波の照射開始から所定時間経過後に、再び、青色発光ダイオード5から青色光を閃光的に発振させて、その時点での発熱材料10の温度を計測する。そして、この発熱材料2の温度(マイクロ波の照射により上昇した後の温度)を、演算回路9から温度上昇幅検出部12に送信してそこに記憶させる。
【0021】
そして、温度上昇幅検出部12において、発熱材料10の初期温度とマイクロ波照射開始から所定時間経過後の温度とから、所定時間での発熱材料10の温度上昇幅を検出して、この検出された温度上昇幅をマイクロ波の強度と見なすことで、電子レンジ内の空間の所望位置でのマイクロ波の強度を測定している。
【0022】
なお、温度上昇幅検出部12に対して更に演算部13を設けている場合には、所定時間での発熱材料10の温度上昇幅とマイクロ波の強度との相関関係(関数)のデータを予め実験等により得ておいて、この関数データを予め演算部13に入力しておくことにより、温度上昇幅検出部12から演算部13に温度上昇幅のデータを送信するだけで、演算部13での演算により温度上昇幅をマイクロ波の強度に自動的に換算して表示させることができる。
【0023】
上記のような本実施形態のマイクロ波の強度測定装置1およびその使用方法によれば、従来公知の接触型の光ファイバー温度計に対して、その感熱部4を発熱材料10の薄膜によって覆うと共に、複数の温度の計測値を記憶してそれらの計測値から温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部12(および、必要とあれば、温度上昇幅をマイクロ波の強度に換算する演算部13)を設けるだけで、光ファイバー3の先端の感熱部4を電子レンジ内の空間の所望位置に位置させることにより、その位置(3次元的な各位置)でのマイクロ波の強度を、光ファイバー温度計による計測の結果に基づいて、容易に且つ正確に測定することができる。
【0024】
以上、本発明のマイクロ波の強度測定装置およびその使用方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、発熱材料の温度の計測について、上記の実施形態では初期温度を計測してから、マイクロ波照射開始から所定時間経過後に計測しているが、そのように初期温度を計測しなくても、マイクロ波の照射を開始してから、所定時間の間隔を置いて複数回の計測を行なうことで、相対的な温度上昇幅を検出するようにしても良く、また、初期温度の計測から連続的に所定時間を置いて複数回の計測を行なうことで、温度上昇幅を検出してマイクロ波の強度を測定するだけでなく、マイクロ波の強度の変化の有無やマイクロ波の強度の変化量を検出するようにしても良い等、適宜に変更可能なものであることは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のマイクロ波の強度測定装置およびその使用方法によれば、接触型の光ファイバー温度計を利用した簡単な構造により、光ファイバーの先端の感熱部を空間の所望位置に位置させるだけで、空間の任意の位置でのマイクロ波の強度を、光ファイバー温度計による温度の計測に基づいて、容易に且つ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ波の強度測定装置の一実施形態を模式的に示す説明図。
【図2】従来公知の光ファイバー温度計を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
1 マイクロ波の強度測定装置
2 光ファイバー温度計
3 光ファイバー
4 感熱部
5 青色発光ダイオード
10 発熱材料
12 温度上昇幅検出部
Claims (2)
- 光ファイバーの先端に接着された蛍光物質の感熱部に該光ファイバーを通して閃光をあてたときの該感熱部での蛍光輝度の減衰により温度を計測するような接触型の光ファイバー温度計に対して、その感熱部の外面側を、マイクロ波を吸収して発熱する発熱材料の薄膜により覆っていると共に、該温度計により所定時間の間隔を置いて計測される複数の温度の計測値から発熱材料の温度上昇幅を検出するような温度上昇幅検出部を設けていることを特徴とするマイクロ波の強度測定装置。
- 上記の請求項1に記載された装置を使用したマイクロ波の強度測定方法として、光ファイバーの先端の発熱材料の薄膜で覆われた感熱部を、マイクロ波が照射される空間の所望の被測定位置に位置させて、光ファイバー温度計による温度の計測を、所定時間の間隔を置いて複数回行なうことで、マイクロ波の照射による発熱材料の所定時間での温度上昇幅を検出することにより、この温度上昇幅に基づいて被測定位置でのマイクロ波の強度を測定していることを特徴とするマイクロ波の強度測定方法。
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JP2003150313A JP2004354133A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | マイクロ波の強度測定装置およびその使用方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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