JP2004353686A - 磁気粘性流体を用いた緩衝装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中空部を磁気粘性流体Fで満たしたシリンダボディ1にピストンヘッド2を嵌装して、その移動方向に第1及び第2流体室3,4を区画するとともに、それら2つの流体室3,4間の流体通路7に強い磁場を形成して磁気粘性流体Fの粘性抵抗を増大させることにより、減衰力を高めるようにした磁気粘性流体ダンパーAにおいて、構成の複雑化や部品点数の増加等を招くことなく、減衰特性を長期間に亘って維持できるようにする。
【解決手段】ダンパーAの作動ストロークが小さい場合、所要の減衰力を得るためには流体通路7における磁気粘性流体F中に磁性粒子を保持できればよいことに着目し、電磁石8の埋設されるピストンヘッド2を硬磁性材料により形成するとともに、該ピストンヘッド2の外周面に溝部2c,2c,…を設けて、電磁石8による強い磁場の形成が行われないときでも、残留磁場と溝部22cとによって流体通路7には磁性粒子を保持できるようにした。
【選択図】 図4
【解決手段】ダンパーAの作動ストロークが小さい場合、所要の減衰力を得るためには流体通路7における磁気粘性流体F中に磁性粒子を保持できればよいことに着目し、電磁石8の埋設されるピストンヘッド2を硬磁性材料により形成するとともに、該ピストンヘッド2の外周面に溝部2c,2c,…を設けて、電磁石8による強い磁場の形成が行われないときでも、残留磁場と溝部22cとによって流体通路7には磁性粒子を保持できるようにした。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒体中に磁性粒子が分散してなる磁気粘性流体を用いたダンパー等の緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の緩衝装置として、例えば特許文献1に記載されているように、磁性流体や磁気粘性流体で満たしたシリンダ内にピストンヘッドを収容し、このピストンヘッドに設けたコイル(電磁石)に給電することにより磁場を形成して、該ピストンヘッドの外周面とシリンダ内周面との間の間隙(流体通路)を通過する流体の粘性抵抗を変化させることにより、所要の減衰特性を得るようにしたダンパー装置が知られている。
【0003】
すなわち、コイルへの給電によって流体通路に磁場が形成されると、この通路における磁性流体等の粘性抵抗が増大し、磁場の形成されないときに比べてピストンヘッドの両側に大きな圧力差が生じることになるから、その給電のオン・オフ切替えによって、ダンパーの減衰力を大きく変化させることができるものである。
【0004】
ところで、比較的大きな磁性粒子を含有する磁気粘性流体では、その磁性粒子が沈降しやすく、装置のレイアウトによっては流体通路における磁気粘性流体中の磁性粒子の量が時間の経過とともに減少してしまうことがあり、そうなると、前記のように流体通路に磁場を形成したとしても、磁気粘性流体により所期の粘性抵抗(減衰力)を得ることが難しくなる。つまり、磁気粘性流体を用いたダンパー装置では、磁性粒子の沈降に起因して、減衰力を長期間に亘って維持することができなくなるという問題がある。
【0005】
この点について、前記従来例に記載のダンパー装置では、ピストンヘッドによってシリンダ内に区画される2つの流体室にそれぞれ電磁石や永久磁石を配置して、これにより流体室全体に比較的弱い磁場を形成することで、磁気粘性流体中に含まれる磁性粒子の沈降を防止するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特表2001−512220号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の如く磁性粒子の沈降を防止するためだけに、流体室全体に弱い磁場を形成するような専用の磁石を備えるというのは如何にも無駄が多く、このことがダンパー装置の構成を徒に複雑化することになるし、部品点数の増加やコストの増大等の不具合を招くことも避けられない。
【0008】
しかも、そのように配置された磁石により弱いながらも磁場が形成されることから、ピストンヘッドのコイルに給電して流体通路に磁場を形成するときには、この磁場に前記弱い磁場が干渉して、流体通路における磁気粘性流体に対して所要の磁力を付与することができなくなってしまう虞れがある。
【0009】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体通路を通過する磁気粘性流体に対して磁場形成手段により磁力を付与して、減衰力を変化させるようにした緩衝装置において、その作動ストロークが小さい場合には流体室全体で磁性粒子の沈降を防ぐ必要はないことに着目し、装置構成の複雑化や部品点数の増加等を招くことなく、流体通路における磁気粘性流体中に所要量の磁性粒子を保持できるようにして、緩衝装置の減衰特性を長期間に亘って維持することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明では、流体通路の周壁部に溝部を設けるとともに、該流体通路において磁場形成手段による磁場の形成が行われないときに、そこに相対的に弱い磁場を形成することで、当該流体通路における磁気粘性流体中に所要量の磁性粒子を保持できるようにした。
【0011】
具体的に、本発明の請求項1の発明では、中空部を有する第1の部材と、この第1部材の中空部内に該第1部材に対し相対移動可能に配置され、各々、磁性粒子を含有してなる磁気粘性流体が充填された2つの流体室を区画形成する第2の部材と、前記2つの流体室を互いに連通するように設けられ、前記第2部材の相対移動に伴い両流体室間で磁気粘性流体を流通させる流体通路と、前記第2部材に配設され、外部の給電手段から給電されて前記流体通路に磁場を形成する磁場形成手段と、を備えた磁気粘性流体を用いた緩衝装置が前提である。
【0012】
そして、前記第2部材の第1部材に対する相対移動距離を所定値以下に設定するとともに、前記流体通路の周壁部に溝部を形成し、さらに、当該流体通路に前記磁場形成手段により形成される磁場と同じ向きで且つ相対的に弱い磁場を形成する弱磁場形成手段を設けるものとする。
【0013】
前記の構成により、まず、緩衝装置の基本的な動作としては、外力の作用によって第2部材が第1部材に対し相対移動すると、これに伴い容積の減少する一方の流体室から流体通路に押し出された磁気粘性流体が、容積の拡大する他方の流体室に向かって移動する。このときに、前記第2部材に配設された磁場形成手段によって流体通路に磁場が形成されていると、その磁場の作用によって磁気粘性流体の見かけの粘性抵抗が増大し、磁場の形成されていないときに比べて大きな減衰力が得られるようになる。つまり、磁場の形成によって減衰力を変化させることができる。
【0014】
また、前記磁場の形成が長期間、なされないときでも、前記流体通路には弱磁場形成手段によって弱い磁場が形成されており、これにより磁気粘性流体中の磁性粒子が引き寄せられて、特に、通路周壁部に形成されている溝部内に残留することになる。このようにして、流体通路内の磁気粘性流体における磁性粒子の含有量が比較的多い状態に保つことができるので、緩衝装置が長期間、停止した後に再び作動したときにも、その作動量(ストローク)があまり大きくなければ、前記流体通路に形成される強い磁場の作用によって磁気粘性流体の見かけの粘性抵抗を増大させて、狙い通り大きな減衰力を得ることができる。
【0015】
つまり、磁気粘性流体中の磁性粒子が沈降しやすいものであっても、流体通路における溝部と弱い磁場とによって磁気粘性流体中の磁性粒子の含有量を確保し、減衰特性を長期間に亘って維持することができる。
【0016】
しかも、減衰装置の作動時に前記の如く磁場形成手段によって強い磁場を形成するときには、この磁場の向きが弱磁場形成手段により形成される弱い磁場の向きと同じなので、磁場同士の干渉によって強い磁場の形成に悪影響を及ぼすこともない。
【0017】
加えて、前記のように流体通路における磁気粘性流体中に所要量の磁性粒子を保持することができれば、それ以外の部位では磁性粒子の含有量を少なめにしても、初期の磁気粘性特性を長期間に亘って維持することができるから、全体としては磁性粒子の含有量が少ない磁気粘性流体を用いることも可能になり、こうすることで、低コスト化が図られる。
【0018】
ここで、前記第2部材の第1部材に対する相対移動距離は、約10mm以下であることが好ましい(請求項2の発明)。このように緩衝装置の作動ストロークの小さいときには、流体通路における磁気粘性流体中に磁性粒子を保持しやすく、十分な減衰特性を得ることができる。
【0019】
また、前記磁気粘性流体としては、その磁性粒子の粒径が約1ミクロン以上のものを用いれば、それよりも粒径の小さなものを用いたときと比べて大きな減衰力が容易に得られる(請求項3の発明)。そして、このように磁性粒子の粒径が大きい場合には特に磁性粒子の沈降による不具合が発生しやすいので、このようなときにこそ前記請求項1の発明の作用効果が極めて有効なものとなる。
【0020】
さらに、前記磁場形成手段としては、第2部材に配設した電磁石と、この電磁石に給電手段から所定量以上の電力供給を行わせる第1の給電制御手段とからなるものとし、一方、前記弱磁場形成手段は、前記給電手段から電磁石へ前記所定量よりも少量の電力供給を行わせる第2の給電制御手段を有するものとすればよい(請求項4の発明)。
【0021】
この構成によれば、減衰装置の作動時に第1給電制御手段による給電手段の制御によって、電磁石に所定量以上の電力を供給することで、流体通路に強い磁場を形成して、大きな減衰力を得ることができる。一方、減衰装置の非作動時には前記給電手段を第2給電制御手段により制御して、前記電磁石への電力供給を少なくすることで、電力消費を抑えながら、流体通路に弱い磁場を形成することができる。
【0022】
また、磁場形成手段を前記同様の電磁石と給電制御手段(第1給電制御手段)とからなるものとし、一方、弱磁場形成手段は、第2部材を硬磁性材料により形成することによって実現することもできる(請求項5の発明)。
【0023】
こうすれば、減衰装置の作動時に大きな減衰力が必要なときには、前記請求項4の発明と同様に、給電制御手段による給電手段の制御によって電磁石に所定量以上の電力が供給される。また、そうして一旦、強い磁場が形成されると、電磁石への給電を終了した後も硬磁性材料からなる第2部材には残留磁場が生じ、流体通路に弱い磁場を形成することができる。この場合には、弱い磁場を形成するための電力は不要になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るシリンダ型磁気粘性流体ダンパーA(緩衝装置)の全体構成を示し、この磁気粘性流体ダンパーAは、例えば図2に模式的に示すように、自動車用エンジンのベルト式駆動装置Sにおいて、ベルトBの張力を一定に保持するためのテンショナTと一体的に設けられて、該ベルトBの張力を直接に受けるテンショナプーリPの動作を、その動作方向に応じて減衰させるものである。その際、ベルト張力の変動に伴うテンショナプーリPの動作はあまり大きなものではなく、従って、ダンパーAが有効な減衰力を発生するストロークは小さくてよい(例えば、最大伸び位置から最大縮み位置まで約10mm以内でよい)。
【0026】
この実施形態の磁気粘性流体ダンパーAは、概略円筒状をなしかつ両端が閉じられたシリンダボディ1の内部(中空部)に、その軸心に沿って直線的に往復移動するようにピストンヘッド2を嵌装してなり、該ピストンヘッド2によりシリンダボディ1内に第1及び第2の2つの流体室3,4を区画して、それぞれ、磁性粒子を含有してなる磁気粘性流体Fを充填したものである。この実施形態では、磁気粘性流体Fは、磁性粒子として粒径が約1ミクロン以上の鉄粉を含有するものとしており、このように比較的粒径の大きな磁性粒子を用いることで、大きな減衰力を比較的容易に得ることができる。
【0027】
前記シリンダボディ1は、この実施形態では、両端が開放された円筒状の本体部材11と、その両側の開放端をそれぞれ閉止するように内嵌合状態で配置された閉止部材12,13と、該各閉止部材12,13の少なくとも外周部をそれぞれ覆うように配置されて、前記本体部材11の端部に螺合されることにより各閉止部材12,13を固定するキャップ14,15とからなる。この2つのキャップ14,15のうち、図の左側に示す一方のキャップ14は、内周壁に周方向全体に亘る段部14aの形成された有底状とされ、図の左側に示す一方の閉止部材12との間に閉空間を区画するものである。
【0028】
そして、その閉空間には例えば高圧の窒素ガスが充填されているとともに、前記一方の閉止部材12がシリンダボディ1の軸心に沿って直線的に往復移動するように嵌装されて、フリーピストンとしての機能を有しており、このことで、シリンダボディ1の内部には、第1流体室3における液圧の急激な上昇を緩和するとともに、該第1流体室3及び第2流体室4を合わせた合計の容積変化を吸収するアキュムレータが設けられている。尚、前記一方のキャップ14には、概略矩形板部の略中央に丸穴を有する連結部16が設けられている。
【0029】
前記ピストンヘッド2は、この実施形態では、軸心方向よりも直径方向の寸法が大きい円柱状とされ、図の左右方向であるシリンダボディ1の軸心方向に移動する。また、ピストンヘッド2にはその軸心に沿って略中心部を貫通する孔部2aが設けられ、第1流体室3に臨む孔部2aの一方の開口部に封止部材5が圧入されて、油密に封止されている一方、第2流体室4に臨む孔部2aの他方の開口部にはピストンヘッド2に外力を伝達するロッド6の一方の端部が嵌入されている。尚、前記ピストンヘッド2の孔部2aは必ずしも貫通孔とする必要はなく、第2流体室4に臨んで開口するように設ければ足りる。この場合には前記封止部材5は不要になる。
【0030】
すなわち、前記ロッド6は第2流体室4内をシリンダボディ1の軸心に沿って延びていて、その一方の端部(図の左端部)には相対的に小径の部位6aが設けられ、この小径部6aの外径が前記ピストンヘッド孔部2aの他端開口部の内径よりも僅かに大きくされており、この小径部6aが前記孔部2aの他端開口部に圧入されている。また、前記ロッド6の他端側(図の右側)は、シリンダボディ1の端部壁である閉止部材13に設けられた貫通孔13aに挿通されていて、シリンダボディ1の外部に突出するロッド6の他方の端部(右端部)には、前記キャップ14の連結部16と同様の連結部17が配設されている。
【0031】
尚、前記のようにロッド6が貫通する閉止部材13の貫通孔13a内周壁には、その貫通孔13aに向かって開口するように環状の溝部が設けられており、この溝部内にシール材18が配設されている。同様に、シリンダボディ1の本体部材11の内周面に当接する各閉止部材12,13の外周側にもそれぞれ環状の溝部が設けられ、そこにシール材19,19が配設されている。
【0032】
図2に示すように、前記ダンパーAの一方の連結部16は、図には仮想線で示すエンジンの側壁Eに回動可能に固定され、また、他方の連結部17は、長手方向の先端部にテンショナプーリPを枢支する揺動部材Rの側部に回動可能に固定されている。この揺動部材Rは、基端部においてエンジン側壁Eに回動可能に固定されるとともに、図示しない付勢手段によってダンパーAを圧縮する向き(図の時計回りの向き)に回動付勢されており、これにより、テンションプーリPがベルトBをその張力の増す方向に常時、押圧付勢するようになっている。
【0033】
従って、例えば前記ベルトBの張力が低下すると、前記揺動部材RはベルトBを押圧する方向(時計回り)に回動する。これにより、ダンパーAのロッド6がシリンダボディ1の中に退入する縮み側に移動して、ピストンヘッド2はシリンダボディ1において第1流体室3の容積が小さくなり、且つ第2流体室4の容積が大きくなる向き(図1の左側)に移動する。一方、ベルト張力の増加によって前記揺動部材Rが前記ベルト押圧方向と反対の反押圧方向に回動するときには、ロッド5はシリンダボディ1から突出する伸び側に移動し、これによりピストンヘッド2が図1の右側に移動して、第1流体室3の容積が大きくなり、且つ第2流体室4の容積が小さくなる。
【0034】
そのようなロッド6及びピストンヘッド2の移動に伴う流体室3,4の容積の変化を許容しつつ、これにより所要の減衰力を発生するように、前記第1及び第2流体室3,4の間には両者を互いに連通する流体通路7が設けられている。すなわち、シリンダボディ1の本体部材11の内周壁とピストンヘッド2の外周壁との間には所定の間隙が確保されており、流体通路7は、この間隙によってシリンダボディ1内周面とピストンヘッド2外周面との間に円環状に形成されている。そして、この円環状の流体通路7を磁気粘性流体Fが流通するときには、流体Fの剪断応力に対応する抵抗力が発生して、これがダンパー減衰力となる。
【0035】
さらに、この実施形態では、前記の如く流体通路7を通過する磁気粘性流体Fの抵抗力、即ちダンパー減衰力を可変とすべく、ピストンヘッド2に電磁石8を埋設して、流体通路7の少なくとも軸心方向両端側(図1の左右両側)にそれぞれ比較的強い磁場を形成するようにしている。この電磁石8は、ピストンヘッド2の外周に全周に亘って凹設された矩形断面の凹陥部2bに電線を巻き付けたコイルからなり、その電線には、ロッド6内を長手方向に延びる通路6bに配置された配線9を経由して、外部の給電制御装置10により給電されるようになっている。
【0036】
前記給電制御装置10は、バッテリ等の給電装置10a(給電手段)と、この給電装置10aから電磁石8へ供給される電流乃至電圧を制御する制御回路10b(給電制御手段)とからなり、この制御回路10bを介して給電装置10aから電磁石8に対し所定量以上の電力供給が行われることで、流体通路7に強い磁場が形成され、その磁場の作用によって磁気粘性流体Fの見かけの粘性抵抗が増大する。この現象は、図3に太い破線Φ1で模式的に示すように磁場が形成されると、この磁場の作用によって磁気粘性流体F中の磁性粒子が磁化されて、概略、磁力線の延びる方向に沿って連なるように配置され、この磁性粒子の連鎖が流れの抵抗となることによるものと考えられている。
【0037】
尚、図示の如く、前記電磁石8の外周には保護材20が配設されている。また、ピストンヘッド2の軸心方向両端面には、それぞれ、電磁石8により形成される磁場を流体通路7に集中させるために、真鍮製薄板からなる磁気シールド21,21が配設されている。
【0038】
本発明の特徴部分として、この実施形態では、前記ピストンヘッド2を例えばハードフェライトやアルニコ等の硬磁性材料により形成するとともに、その外周面、即ち流体通路7の周壁部に、周方向全体に亘る環状の溝部2c,2c,…を形成している。そのようにピストンヘッド2を硬磁性材料により形成したことで、電磁石8への給電によって一旦、強い磁場が形成されると、その給電が終了した後も、図4に細い破線Φ2で模式的に示すように残留磁場が形成され、これにより流体通路7における磁気粘性流体F中の磁性粒子がピストンヘッド2外周面と対向するシリンダボディ1内周面とにそれぞれ引き寄せられるようになる。
【0039】
そして、そのようにしてピストンヘッド2外周に引き寄せられた磁性粒子はそこに開口する溝部2c,2c,…内に残留しやすくなり、このことで、磁性粒子が比較的大きくて沈降しやすいものであっても、流体通路7内の磁気粘性流体F中には所定以上の磁性粒子を保持することができる。尚、ピストンヘッド2の外周に設ける溝部2c,2c,…は、図3,4に例示するように4本とする必要はない。また、該各溝部2cの断面形状は、前記の例ではV字状となっているが、これに限らず、例えば半円形状であっても、また、矩形状であってもよい。さらに、残留磁場の強さとしては、例えば、流体通路7の半径方向の間隔が約0.5〜約1mmの場合、ピストンヘッド2の外周面における磁束密度が約0.01〜約0.02テスラ[T]程度とすることが好ましい。
【0040】
次に、前記の如き構成の磁気粘性流体ダンパーAの作動を、上述した自動車用エンジンのベルト式駆動装置Sの場合について説明する。一般的に、自動車用エンジンのクランクシャフトの出力には大きな回転変動成分が含まれており、この影響でベルトBの張力にも振動的な変動成分が含まれることになる。このため、テンショナTのプーリPを枢支する揺動部材Rは常に小さな振幅で揺動することになり、ダンパーAにはその揺動を適切に抑えることが求められる。
【0041】
より詳しくは、エンジンの運転中に回転変動の影響でベルトBの張力が瞬間的に低下すると、テンショナTの揺動部材Rは付勢手段の付勢力によってベルト押圧方向に回動し、これにより、ダンパーAのロッド6及びピストンヘッド2が縮み側に移動して、第1流体室3から流体通路7を磁気粘性流体Fが第2流体室4に向かって流通する。このとき、給電制御装置10から電磁石8への給電は停止して、該電磁石8による強い磁場の形成を行わないようにすれば、流体通路7における磁気粘性流体Fの粘性抵抗が小さくなり、ダンパーAの縮み側減衰力は小さなものとなる。
【0042】
また、そのように電磁石8への給電が停止されている間も、流体通路7には残留磁場が形成されているので、磁気粘性流体F中の磁性粒子は流体通路7内の特に溝部2c,2c,…に残留することになる。さらに、磁性粒子の一部は磁気粘性流体Fの流動に伴い第2流体室4へ流出するが、ダンパーAの作動ストロークが小さいので、流出する磁性粒子の量は少なく、また、その磁性粒子も流体通路7の近傍に留まることになる。尚、前記残留磁場は弱いものなので、これが直接的に磁気粘性流体Fの粘性抵抗を増大させることはない。
【0043】
続いてベルトBの張力が回復すると、テンショナTの揺動部材Rは前記とは反対の反押圧方向に回動変位し、これによりロッド6及びピストンヘッド2が伸び側に移動して、今度は第2体室4の磁気粘性流体Fが流体通路7を介して第1流体室3へ移動する。このとき、前記の如く流体通路7内の特に溝部2c,2c,…には磁性粒子が残留しており、さらに、一旦、第2流体室4に流出した磁性粒子も磁気粘性流体Fの流れに乗って流体通路7内に戻ることになるから、当該流体通路7を通過する磁気粘性流体F中には十分に多くの磁性粒子が含まれることになる。
【0044】
このことで、給電制御装置10から電磁石8へ給電して流体通路7に強い磁場を形成すれば、この磁場の作用により流体通路7を通過する磁気粘性流体Fの粘性抵抗を増加させて、十分に大きな減衰力を得ることができる。また、その強い磁場の向きは残留磁場と同じなので、残留磁場が前記強い磁場と干渉して悪い影響を及ぼすこともない。
【0045】
斯くの如く、ベルト張力の増加時にはダンパーAの減衰力を十分に大きくして、テンショナプーリPによりベルトBの張力変動を確実に抑えるることができるとともに、ベルト張力の低下時には減衰力を小さくして、テンショナプーリPのベルト押圧方向への移動を容易に行えるようにしているので、テンショナプーリPのベルトBに対する追随性は非常に高く、このことで、エンジンの出力変動に起因するベルトBのばたつきを適切に抑制することができる。
【0046】
さらに、例えばエンジンが停止状態で長い期間を経過するときには、前記ダンパーAにおいてピストンヘッド2の電磁石8への給電はなされず、該ダンパーAの流体通路7における強い磁場の形成が長期間、なされないことになるが、このときでも、その流体通路7には弱い磁場が形成されていて、磁気粘性流体F中には磁性粒子が保持されている。このため、再びエンジンが運転されるときには、ダンパーAの流体室3,4において磁気粘性流体F中の磁性粒子が沈降していても、流体通路7における磁気粘性流体F中には十分に多くの磁性粒子が含まれることになり、このことで、電磁石8による強い磁場の形成によって十分に大きな減衰力を得ることができる。
【0047】
したがって、この実施形態に係るシリンダ型磁気粘性流体ダンパーAによると、電磁石8を埋設するピストンヘッド2自体を硬磁性材料により形成するとともに、流体通路7に臨むピストンヘッド2の外周部に溝部2c,2c,…を設けることで、ダンパーAの構成が徒に複雑化したり、部品点数や組立工数の増加を招くこともなく、流体通路7における磁気粘性流体F中に磁性粒子を保持できるようにして、その減衰特性を長期間に亘って維持することができる。
【0048】
しかも、流体通路7以外では磁気粘性流体F中の磁性粒子の含有量を少なめにしても、所期の磁気粘性特性が得られることになるから、全体としては磁性粒子の含有量が比較的少ない磁気粘性流体Fを用いることも可能となり、こうすることで、コストの低減も可能となる。
【0049】
尚、前記の磁気粘性流体ダンパーAでは、ピストンヘッド2を硬磁性材料からなるものとすることで、流体通路7に弱い磁場を形成する弱磁場形成手段を構成したが、これに限るものではなく、例えば、給電制御装置10により電磁石8に相対的に少量の給電を行わせることで、弱い磁場を形成するようにしてもよい。その場合には、給電制御装置10の制御回路10aが、給電装置10bから電磁石8に所定量以上の電力供給を行わせる第1の給電制御手段と、該給電装置10bから前記所定量よりも少量の電力供給を行わせる第2の給電制御手段と、の両方の機能を備えることになる。
【0050】
また、前記の実施形態では、流体通路7をシリンダボディ1の内周面とピストンヘッド2の外周面との間の隙間により構成しているが、ピストンヘッド2に、その軸方向に貫通するオリフィスを設けて、そのオリフィスにより流体通路7を構成するようにしてもよい。
【0051】
さらに、前記の実施形態では、シリンダ型磁気粘性流体ダンパーの場合について説明しているが、本発明は、その他の型式の磁気粘性流体ダンパーを含め、液体封入式エンジンマウントや精密機器の支持台、免震装置等、磁気粘性流体を用いた種々の緩衝装置に適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る磁気粘性流体を用いた減衰装置によると、磁気粘性流体を充填した第1部材の中空部内に第2部材により2つの流体室を区画し、これらを相互に連通する流体通路に相対的に強い磁場を形成して、磁気粘性流体の見かけの粘性抵抗を増大させることにより、所要の減衰力を得るようにした緩衝装置において、その作動ストロークが小さい場合、所要の磁気粘性特性を得るためには前記流体通路の磁気粘性流体中に磁性粒子が含有されていれば十分であることに着目して、該流体通路の周壁部に溝部を設けるとともに、相対的に弱い磁場を常時、形成することにより、当該流体通路に磁性粒子を保持できるようにしたので、装置構成の複雑化や部品点数の増加等を招くことなく、緩衝装置の減衰特性を長期間に亘って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンダ型磁気粘性流体ダンパーの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明のダンパーを適用する自動車用エンジンのベルト駆動装置の概略構成図である。
【図3】流体通路に形成した磁場によって磁性粒子の連鎖が形成されるイメージ図である。
【図4】溝部と弱い磁場とによって磁性粒子を保持するときの図3相当図である。
【符号の説明】
A 磁気粘性流体ダンパー(緩衝装置)
F 磁気粘性流体
1 シリンダボディ(第1部材)
2 ピストンヘッド(第2部材、弱磁場形成手段)
2c 溝部
3 第1流体室
4 第2流体室
7 流体通路
8 電磁石(磁場形成手段)
10 給電制御装置
10a 給電装置(給電手段)
10b 制御回路(給電制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒体中に磁性粒子が分散してなる磁気粘性流体を用いたダンパー等の緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の緩衝装置として、例えば特許文献1に記載されているように、磁性流体や磁気粘性流体で満たしたシリンダ内にピストンヘッドを収容し、このピストンヘッドに設けたコイル(電磁石)に給電することにより磁場を形成して、該ピストンヘッドの外周面とシリンダ内周面との間の間隙(流体通路)を通過する流体の粘性抵抗を変化させることにより、所要の減衰特性を得るようにしたダンパー装置が知られている。
【0003】
すなわち、コイルへの給電によって流体通路に磁場が形成されると、この通路における磁性流体等の粘性抵抗が増大し、磁場の形成されないときに比べてピストンヘッドの両側に大きな圧力差が生じることになるから、その給電のオン・オフ切替えによって、ダンパーの減衰力を大きく変化させることができるものである。
【0004】
ところで、比較的大きな磁性粒子を含有する磁気粘性流体では、その磁性粒子が沈降しやすく、装置のレイアウトによっては流体通路における磁気粘性流体中の磁性粒子の量が時間の経過とともに減少してしまうことがあり、そうなると、前記のように流体通路に磁場を形成したとしても、磁気粘性流体により所期の粘性抵抗(減衰力)を得ることが難しくなる。つまり、磁気粘性流体を用いたダンパー装置では、磁性粒子の沈降に起因して、減衰力を長期間に亘って維持することができなくなるという問題がある。
【0005】
この点について、前記従来例に記載のダンパー装置では、ピストンヘッドによってシリンダ内に区画される2つの流体室にそれぞれ電磁石や永久磁石を配置して、これにより流体室全体に比較的弱い磁場を形成することで、磁気粘性流体中に含まれる磁性粒子の沈降を防止するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特表2001−512220号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例の如く磁性粒子の沈降を防止するためだけに、流体室全体に弱い磁場を形成するような専用の磁石を備えるというのは如何にも無駄が多く、このことがダンパー装置の構成を徒に複雑化することになるし、部品点数の増加やコストの増大等の不具合を招くことも避けられない。
【0008】
しかも、そのように配置された磁石により弱いながらも磁場が形成されることから、ピストンヘッドのコイルに給電して流体通路に磁場を形成するときには、この磁場に前記弱い磁場が干渉して、流体通路における磁気粘性流体に対して所要の磁力を付与することができなくなってしまう虞れがある。
【0009】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体通路を通過する磁気粘性流体に対して磁場形成手段により磁力を付与して、減衰力を変化させるようにした緩衝装置において、その作動ストロークが小さい場合には流体室全体で磁性粒子の沈降を防ぐ必要はないことに着目し、装置構成の複雑化や部品点数の増加等を招くことなく、流体通路における磁気粘性流体中に所要量の磁性粒子を保持できるようにして、緩衝装置の減衰特性を長期間に亘って維持することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明では、流体通路の周壁部に溝部を設けるとともに、該流体通路において磁場形成手段による磁場の形成が行われないときに、そこに相対的に弱い磁場を形成することで、当該流体通路における磁気粘性流体中に所要量の磁性粒子を保持できるようにした。
【0011】
具体的に、本発明の請求項1の発明では、中空部を有する第1の部材と、この第1部材の中空部内に該第1部材に対し相対移動可能に配置され、各々、磁性粒子を含有してなる磁気粘性流体が充填された2つの流体室を区画形成する第2の部材と、前記2つの流体室を互いに連通するように設けられ、前記第2部材の相対移動に伴い両流体室間で磁気粘性流体を流通させる流体通路と、前記第2部材に配設され、外部の給電手段から給電されて前記流体通路に磁場を形成する磁場形成手段と、を備えた磁気粘性流体を用いた緩衝装置が前提である。
【0012】
そして、前記第2部材の第1部材に対する相対移動距離を所定値以下に設定するとともに、前記流体通路の周壁部に溝部を形成し、さらに、当該流体通路に前記磁場形成手段により形成される磁場と同じ向きで且つ相対的に弱い磁場を形成する弱磁場形成手段を設けるものとする。
【0013】
前記の構成により、まず、緩衝装置の基本的な動作としては、外力の作用によって第2部材が第1部材に対し相対移動すると、これに伴い容積の減少する一方の流体室から流体通路に押し出された磁気粘性流体が、容積の拡大する他方の流体室に向かって移動する。このときに、前記第2部材に配設された磁場形成手段によって流体通路に磁場が形成されていると、その磁場の作用によって磁気粘性流体の見かけの粘性抵抗が増大し、磁場の形成されていないときに比べて大きな減衰力が得られるようになる。つまり、磁場の形成によって減衰力を変化させることができる。
【0014】
また、前記磁場の形成が長期間、なされないときでも、前記流体通路には弱磁場形成手段によって弱い磁場が形成されており、これにより磁気粘性流体中の磁性粒子が引き寄せられて、特に、通路周壁部に形成されている溝部内に残留することになる。このようにして、流体通路内の磁気粘性流体における磁性粒子の含有量が比較的多い状態に保つことができるので、緩衝装置が長期間、停止した後に再び作動したときにも、その作動量(ストローク)があまり大きくなければ、前記流体通路に形成される強い磁場の作用によって磁気粘性流体の見かけの粘性抵抗を増大させて、狙い通り大きな減衰力を得ることができる。
【0015】
つまり、磁気粘性流体中の磁性粒子が沈降しやすいものであっても、流体通路における溝部と弱い磁場とによって磁気粘性流体中の磁性粒子の含有量を確保し、減衰特性を長期間に亘って維持することができる。
【0016】
しかも、減衰装置の作動時に前記の如く磁場形成手段によって強い磁場を形成するときには、この磁場の向きが弱磁場形成手段により形成される弱い磁場の向きと同じなので、磁場同士の干渉によって強い磁場の形成に悪影響を及ぼすこともない。
【0017】
加えて、前記のように流体通路における磁気粘性流体中に所要量の磁性粒子を保持することができれば、それ以外の部位では磁性粒子の含有量を少なめにしても、初期の磁気粘性特性を長期間に亘って維持することができるから、全体としては磁性粒子の含有量が少ない磁気粘性流体を用いることも可能になり、こうすることで、低コスト化が図られる。
【0018】
ここで、前記第2部材の第1部材に対する相対移動距離は、約10mm以下であることが好ましい(請求項2の発明)。このように緩衝装置の作動ストロークの小さいときには、流体通路における磁気粘性流体中に磁性粒子を保持しやすく、十分な減衰特性を得ることができる。
【0019】
また、前記磁気粘性流体としては、その磁性粒子の粒径が約1ミクロン以上のものを用いれば、それよりも粒径の小さなものを用いたときと比べて大きな減衰力が容易に得られる(請求項3の発明)。そして、このように磁性粒子の粒径が大きい場合には特に磁性粒子の沈降による不具合が発生しやすいので、このようなときにこそ前記請求項1の発明の作用効果が極めて有効なものとなる。
【0020】
さらに、前記磁場形成手段としては、第2部材に配設した電磁石と、この電磁石に給電手段から所定量以上の電力供給を行わせる第1の給電制御手段とからなるものとし、一方、前記弱磁場形成手段は、前記給電手段から電磁石へ前記所定量よりも少量の電力供給を行わせる第2の給電制御手段を有するものとすればよい(請求項4の発明)。
【0021】
この構成によれば、減衰装置の作動時に第1給電制御手段による給電手段の制御によって、電磁石に所定量以上の電力を供給することで、流体通路に強い磁場を形成して、大きな減衰力を得ることができる。一方、減衰装置の非作動時には前記給電手段を第2給電制御手段により制御して、前記電磁石への電力供給を少なくすることで、電力消費を抑えながら、流体通路に弱い磁場を形成することができる。
【0022】
また、磁場形成手段を前記同様の電磁石と給電制御手段(第1給電制御手段)とからなるものとし、一方、弱磁場形成手段は、第2部材を硬磁性材料により形成することによって実現することもできる(請求項5の発明)。
【0023】
こうすれば、減衰装置の作動時に大きな減衰力が必要なときには、前記請求項4の発明と同様に、給電制御手段による給電手段の制御によって電磁石に所定量以上の電力が供給される。また、そうして一旦、強い磁場が形成されると、電磁石への給電を終了した後も硬磁性材料からなる第2部材には残留磁場が生じ、流体通路に弱い磁場を形成することができる。この場合には、弱い磁場を形成するための電力は不要になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るシリンダ型磁気粘性流体ダンパーA(緩衝装置)の全体構成を示し、この磁気粘性流体ダンパーAは、例えば図2に模式的に示すように、自動車用エンジンのベルト式駆動装置Sにおいて、ベルトBの張力を一定に保持するためのテンショナTと一体的に設けられて、該ベルトBの張力を直接に受けるテンショナプーリPの動作を、その動作方向に応じて減衰させるものである。その際、ベルト張力の変動に伴うテンショナプーリPの動作はあまり大きなものではなく、従って、ダンパーAが有効な減衰力を発生するストロークは小さくてよい(例えば、最大伸び位置から最大縮み位置まで約10mm以内でよい)。
【0026】
この実施形態の磁気粘性流体ダンパーAは、概略円筒状をなしかつ両端が閉じられたシリンダボディ1の内部(中空部)に、その軸心に沿って直線的に往復移動するようにピストンヘッド2を嵌装してなり、該ピストンヘッド2によりシリンダボディ1内に第1及び第2の2つの流体室3,4を区画して、それぞれ、磁性粒子を含有してなる磁気粘性流体Fを充填したものである。この実施形態では、磁気粘性流体Fは、磁性粒子として粒径が約1ミクロン以上の鉄粉を含有するものとしており、このように比較的粒径の大きな磁性粒子を用いることで、大きな減衰力を比較的容易に得ることができる。
【0027】
前記シリンダボディ1は、この実施形態では、両端が開放された円筒状の本体部材11と、その両側の開放端をそれぞれ閉止するように内嵌合状態で配置された閉止部材12,13と、該各閉止部材12,13の少なくとも外周部をそれぞれ覆うように配置されて、前記本体部材11の端部に螺合されることにより各閉止部材12,13を固定するキャップ14,15とからなる。この2つのキャップ14,15のうち、図の左側に示す一方のキャップ14は、内周壁に周方向全体に亘る段部14aの形成された有底状とされ、図の左側に示す一方の閉止部材12との間に閉空間を区画するものである。
【0028】
そして、その閉空間には例えば高圧の窒素ガスが充填されているとともに、前記一方の閉止部材12がシリンダボディ1の軸心に沿って直線的に往復移動するように嵌装されて、フリーピストンとしての機能を有しており、このことで、シリンダボディ1の内部には、第1流体室3における液圧の急激な上昇を緩和するとともに、該第1流体室3及び第2流体室4を合わせた合計の容積変化を吸収するアキュムレータが設けられている。尚、前記一方のキャップ14には、概略矩形板部の略中央に丸穴を有する連結部16が設けられている。
【0029】
前記ピストンヘッド2は、この実施形態では、軸心方向よりも直径方向の寸法が大きい円柱状とされ、図の左右方向であるシリンダボディ1の軸心方向に移動する。また、ピストンヘッド2にはその軸心に沿って略中心部を貫通する孔部2aが設けられ、第1流体室3に臨む孔部2aの一方の開口部に封止部材5が圧入されて、油密に封止されている一方、第2流体室4に臨む孔部2aの他方の開口部にはピストンヘッド2に外力を伝達するロッド6の一方の端部が嵌入されている。尚、前記ピストンヘッド2の孔部2aは必ずしも貫通孔とする必要はなく、第2流体室4に臨んで開口するように設ければ足りる。この場合には前記封止部材5は不要になる。
【0030】
すなわち、前記ロッド6は第2流体室4内をシリンダボディ1の軸心に沿って延びていて、その一方の端部(図の左端部)には相対的に小径の部位6aが設けられ、この小径部6aの外径が前記ピストンヘッド孔部2aの他端開口部の内径よりも僅かに大きくされており、この小径部6aが前記孔部2aの他端開口部に圧入されている。また、前記ロッド6の他端側(図の右側)は、シリンダボディ1の端部壁である閉止部材13に設けられた貫通孔13aに挿通されていて、シリンダボディ1の外部に突出するロッド6の他方の端部(右端部)には、前記キャップ14の連結部16と同様の連結部17が配設されている。
【0031】
尚、前記のようにロッド6が貫通する閉止部材13の貫通孔13a内周壁には、その貫通孔13aに向かって開口するように環状の溝部が設けられており、この溝部内にシール材18が配設されている。同様に、シリンダボディ1の本体部材11の内周面に当接する各閉止部材12,13の外周側にもそれぞれ環状の溝部が設けられ、そこにシール材19,19が配設されている。
【0032】
図2に示すように、前記ダンパーAの一方の連結部16は、図には仮想線で示すエンジンの側壁Eに回動可能に固定され、また、他方の連結部17は、長手方向の先端部にテンショナプーリPを枢支する揺動部材Rの側部に回動可能に固定されている。この揺動部材Rは、基端部においてエンジン側壁Eに回動可能に固定されるとともに、図示しない付勢手段によってダンパーAを圧縮する向き(図の時計回りの向き)に回動付勢されており、これにより、テンションプーリPがベルトBをその張力の増す方向に常時、押圧付勢するようになっている。
【0033】
従って、例えば前記ベルトBの張力が低下すると、前記揺動部材RはベルトBを押圧する方向(時計回り)に回動する。これにより、ダンパーAのロッド6がシリンダボディ1の中に退入する縮み側に移動して、ピストンヘッド2はシリンダボディ1において第1流体室3の容積が小さくなり、且つ第2流体室4の容積が大きくなる向き(図1の左側)に移動する。一方、ベルト張力の増加によって前記揺動部材Rが前記ベルト押圧方向と反対の反押圧方向に回動するときには、ロッド5はシリンダボディ1から突出する伸び側に移動し、これによりピストンヘッド2が図1の右側に移動して、第1流体室3の容積が大きくなり、且つ第2流体室4の容積が小さくなる。
【0034】
そのようなロッド6及びピストンヘッド2の移動に伴う流体室3,4の容積の変化を許容しつつ、これにより所要の減衰力を発生するように、前記第1及び第2流体室3,4の間には両者を互いに連通する流体通路7が設けられている。すなわち、シリンダボディ1の本体部材11の内周壁とピストンヘッド2の外周壁との間には所定の間隙が確保されており、流体通路7は、この間隙によってシリンダボディ1内周面とピストンヘッド2外周面との間に円環状に形成されている。そして、この円環状の流体通路7を磁気粘性流体Fが流通するときには、流体Fの剪断応力に対応する抵抗力が発生して、これがダンパー減衰力となる。
【0035】
さらに、この実施形態では、前記の如く流体通路7を通過する磁気粘性流体Fの抵抗力、即ちダンパー減衰力を可変とすべく、ピストンヘッド2に電磁石8を埋設して、流体通路7の少なくとも軸心方向両端側(図1の左右両側)にそれぞれ比較的強い磁場を形成するようにしている。この電磁石8は、ピストンヘッド2の外周に全周に亘って凹設された矩形断面の凹陥部2bに電線を巻き付けたコイルからなり、その電線には、ロッド6内を長手方向に延びる通路6bに配置された配線9を経由して、外部の給電制御装置10により給電されるようになっている。
【0036】
前記給電制御装置10は、バッテリ等の給電装置10a(給電手段)と、この給電装置10aから電磁石8へ供給される電流乃至電圧を制御する制御回路10b(給電制御手段)とからなり、この制御回路10bを介して給電装置10aから電磁石8に対し所定量以上の電力供給が行われることで、流体通路7に強い磁場が形成され、その磁場の作用によって磁気粘性流体Fの見かけの粘性抵抗が増大する。この現象は、図3に太い破線Φ1で模式的に示すように磁場が形成されると、この磁場の作用によって磁気粘性流体F中の磁性粒子が磁化されて、概略、磁力線の延びる方向に沿って連なるように配置され、この磁性粒子の連鎖が流れの抵抗となることによるものと考えられている。
【0037】
尚、図示の如く、前記電磁石8の外周には保護材20が配設されている。また、ピストンヘッド2の軸心方向両端面には、それぞれ、電磁石8により形成される磁場を流体通路7に集中させるために、真鍮製薄板からなる磁気シールド21,21が配設されている。
【0038】
本発明の特徴部分として、この実施形態では、前記ピストンヘッド2を例えばハードフェライトやアルニコ等の硬磁性材料により形成するとともに、その外周面、即ち流体通路7の周壁部に、周方向全体に亘る環状の溝部2c,2c,…を形成している。そのようにピストンヘッド2を硬磁性材料により形成したことで、電磁石8への給電によって一旦、強い磁場が形成されると、その給電が終了した後も、図4に細い破線Φ2で模式的に示すように残留磁場が形成され、これにより流体通路7における磁気粘性流体F中の磁性粒子がピストンヘッド2外周面と対向するシリンダボディ1内周面とにそれぞれ引き寄せられるようになる。
【0039】
そして、そのようにしてピストンヘッド2外周に引き寄せられた磁性粒子はそこに開口する溝部2c,2c,…内に残留しやすくなり、このことで、磁性粒子が比較的大きくて沈降しやすいものであっても、流体通路7内の磁気粘性流体F中には所定以上の磁性粒子を保持することができる。尚、ピストンヘッド2の外周に設ける溝部2c,2c,…は、図3,4に例示するように4本とする必要はない。また、該各溝部2cの断面形状は、前記の例ではV字状となっているが、これに限らず、例えば半円形状であっても、また、矩形状であってもよい。さらに、残留磁場の強さとしては、例えば、流体通路7の半径方向の間隔が約0.5〜約1mmの場合、ピストンヘッド2の外周面における磁束密度が約0.01〜約0.02テスラ[T]程度とすることが好ましい。
【0040】
次に、前記の如き構成の磁気粘性流体ダンパーAの作動を、上述した自動車用エンジンのベルト式駆動装置Sの場合について説明する。一般的に、自動車用エンジンのクランクシャフトの出力には大きな回転変動成分が含まれており、この影響でベルトBの張力にも振動的な変動成分が含まれることになる。このため、テンショナTのプーリPを枢支する揺動部材Rは常に小さな振幅で揺動することになり、ダンパーAにはその揺動を適切に抑えることが求められる。
【0041】
より詳しくは、エンジンの運転中に回転変動の影響でベルトBの張力が瞬間的に低下すると、テンショナTの揺動部材Rは付勢手段の付勢力によってベルト押圧方向に回動し、これにより、ダンパーAのロッド6及びピストンヘッド2が縮み側に移動して、第1流体室3から流体通路7を磁気粘性流体Fが第2流体室4に向かって流通する。このとき、給電制御装置10から電磁石8への給電は停止して、該電磁石8による強い磁場の形成を行わないようにすれば、流体通路7における磁気粘性流体Fの粘性抵抗が小さくなり、ダンパーAの縮み側減衰力は小さなものとなる。
【0042】
また、そのように電磁石8への給電が停止されている間も、流体通路7には残留磁場が形成されているので、磁気粘性流体F中の磁性粒子は流体通路7内の特に溝部2c,2c,…に残留することになる。さらに、磁性粒子の一部は磁気粘性流体Fの流動に伴い第2流体室4へ流出するが、ダンパーAの作動ストロークが小さいので、流出する磁性粒子の量は少なく、また、その磁性粒子も流体通路7の近傍に留まることになる。尚、前記残留磁場は弱いものなので、これが直接的に磁気粘性流体Fの粘性抵抗を増大させることはない。
【0043】
続いてベルトBの張力が回復すると、テンショナTの揺動部材Rは前記とは反対の反押圧方向に回動変位し、これによりロッド6及びピストンヘッド2が伸び側に移動して、今度は第2体室4の磁気粘性流体Fが流体通路7を介して第1流体室3へ移動する。このとき、前記の如く流体通路7内の特に溝部2c,2c,…には磁性粒子が残留しており、さらに、一旦、第2流体室4に流出した磁性粒子も磁気粘性流体Fの流れに乗って流体通路7内に戻ることになるから、当該流体通路7を通過する磁気粘性流体F中には十分に多くの磁性粒子が含まれることになる。
【0044】
このことで、給電制御装置10から電磁石8へ給電して流体通路7に強い磁場を形成すれば、この磁場の作用により流体通路7を通過する磁気粘性流体Fの粘性抵抗を増加させて、十分に大きな減衰力を得ることができる。また、その強い磁場の向きは残留磁場と同じなので、残留磁場が前記強い磁場と干渉して悪い影響を及ぼすこともない。
【0045】
斯くの如く、ベルト張力の増加時にはダンパーAの減衰力を十分に大きくして、テンショナプーリPによりベルトBの張力変動を確実に抑えるることができるとともに、ベルト張力の低下時には減衰力を小さくして、テンショナプーリPのベルト押圧方向への移動を容易に行えるようにしているので、テンショナプーリPのベルトBに対する追随性は非常に高く、このことで、エンジンの出力変動に起因するベルトBのばたつきを適切に抑制することができる。
【0046】
さらに、例えばエンジンが停止状態で長い期間を経過するときには、前記ダンパーAにおいてピストンヘッド2の電磁石8への給電はなされず、該ダンパーAの流体通路7における強い磁場の形成が長期間、なされないことになるが、このときでも、その流体通路7には弱い磁場が形成されていて、磁気粘性流体F中には磁性粒子が保持されている。このため、再びエンジンが運転されるときには、ダンパーAの流体室3,4において磁気粘性流体F中の磁性粒子が沈降していても、流体通路7における磁気粘性流体F中には十分に多くの磁性粒子が含まれることになり、このことで、電磁石8による強い磁場の形成によって十分に大きな減衰力を得ることができる。
【0047】
したがって、この実施形態に係るシリンダ型磁気粘性流体ダンパーAによると、電磁石8を埋設するピストンヘッド2自体を硬磁性材料により形成するとともに、流体通路7に臨むピストンヘッド2の外周部に溝部2c,2c,…を設けることで、ダンパーAの構成が徒に複雑化したり、部品点数や組立工数の増加を招くこともなく、流体通路7における磁気粘性流体F中に磁性粒子を保持できるようにして、その減衰特性を長期間に亘って維持することができる。
【0048】
しかも、流体通路7以外では磁気粘性流体F中の磁性粒子の含有量を少なめにしても、所期の磁気粘性特性が得られることになるから、全体としては磁性粒子の含有量が比較的少ない磁気粘性流体Fを用いることも可能となり、こうすることで、コストの低減も可能となる。
【0049】
尚、前記の磁気粘性流体ダンパーAでは、ピストンヘッド2を硬磁性材料からなるものとすることで、流体通路7に弱い磁場を形成する弱磁場形成手段を構成したが、これに限るものではなく、例えば、給電制御装置10により電磁石8に相対的に少量の給電を行わせることで、弱い磁場を形成するようにしてもよい。その場合には、給電制御装置10の制御回路10aが、給電装置10bから電磁石8に所定量以上の電力供給を行わせる第1の給電制御手段と、該給電装置10bから前記所定量よりも少量の電力供給を行わせる第2の給電制御手段と、の両方の機能を備えることになる。
【0050】
また、前記の実施形態では、流体通路7をシリンダボディ1の内周面とピストンヘッド2の外周面との間の隙間により構成しているが、ピストンヘッド2に、その軸方向に貫通するオリフィスを設けて、そのオリフィスにより流体通路7を構成するようにしてもよい。
【0051】
さらに、前記の実施形態では、シリンダ型磁気粘性流体ダンパーの場合について説明しているが、本発明は、その他の型式の磁気粘性流体ダンパーを含め、液体封入式エンジンマウントや精密機器の支持台、免震装置等、磁気粘性流体を用いた種々の緩衝装置に適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る磁気粘性流体を用いた減衰装置によると、磁気粘性流体を充填した第1部材の中空部内に第2部材により2つの流体室を区画し、これらを相互に連通する流体通路に相対的に強い磁場を形成して、磁気粘性流体の見かけの粘性抵抗を増大させることにより、所要の減衰力を得るようにした緩衝装置において、その作動ストロークが小さい場合、所要の磁気粘性特性を得るためには前記流体通路の磁気粘性流体中に磁性粒子が含有されていれば十分であることに着目して、該流体通路の周壁部に溝部を設けるとともに、相対的に弱い磁場を常時、形成することにより、当該流体通路に磁性粒子を保持できるようにしたので、装置構成の複雑化や部品点数の増加等を招くことなく、緩衝装置の減衰特性を長期間に亘って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンダ型磁気粘性流体ダンパーの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明のダンパーを適用する自動車用エンジンのベルト駆動装置の概略構成図である。
【図3】流体通路に形成した磁場によって磁性粒子の連鎖が形成されるイメージ図である。
【図4】溝部と弱い磁場とによって磁性粒子を保持するときの図3相当図である。
【符号の説明】
A 磁気粘性流体ダンパー(緩衝装置)
F 磁気粘性流体
1 シリンダボディ(第1部材)
2 ピストンヘッド(第2部材、弱磁場形成手段)
2c 溝部
3 第1流体室
4 第2流体室
7 流体通路
8 電磁石(磁場形成手段)
10 給電制御装置
10a 給電装置(給電手段)
10b 制御回路(給電制御手段)
Claims (5)
- 中空部を有する第1の部材と、
前記第1部材の中空部内に該第1部材に対し相対移動可能に配置され、各々、磁性粒子を含有してなる磁気粘性流体が充填された2つの流体室を区画形成する第2の部材と、
前記2つの流体室を互いに連通するように設けられ、前記第2部材の相対移動に伴い両流体室間で磁気粘性流体を流通させる流体通路と、
前記第2部材に配設され、外部の給電手段から給電されて前記流体通路に磁場を形成する磁場形成手段と、を備えた磁気粘性流体を用いた緩衝装置において、
前記第2部材の第1部材に対する相対移動距離が所定値以下とされ、
前記流体通路の周壁部には溝部が形成され、
前記流体通路に前記磁場形成手段により形成される磁場と同じ向きで且つ相対的に弱い磁場を形成する弱磁場形成手段が設けられている
ことを特徴とする磁気粘性流体を用いた緩衝装置。 - 請求項1において、
第2部材の第1部材に対する相対移動距離が約10mm以下であることを特徴とする磁気粘性流体を用いた緩衝装置。 - 請求項1又は2のいずれかにおいて、
磁気粘性流体の磁性粒子の粒径が約1ミクロン以上であることを特徴とする磁気粘性流体を用いた緩衝装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
磁場形成手段は、第2部材に配設された電磁石と、この電磁石に給電手段から所定量以上の電力供給を行わせる第1の給電制御手段とからなり、
弱磁場形成手段は、前記給電手段から電磁石へ前記所定量よりも少量の電力供給を行わせる第2の給電制御手段を有することを特徴とする磁気粘性流体を用いた緩衝装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
磁場形成手段は、第2部材に配設された電磁石と、この電磁石に給電手段から所定量以上の電力供給を行わせる給電制御手段とからなり、
弱磁場形成手段は、硬磁性材料により形成された前記第2部材からなることを特徴とする磁気粘性流体を用いた緩衝装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003148608A JP2004353686A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 磁気粘性流体を用いた緩衝装置 |
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JP2003148608A JP2004353686A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 磁気粘性流体を用いた緩衝装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=34044925
Family Applications (1)
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JP2003148608A Pending JP2004353686A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 磁気粘性流体を用いた緩衝装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004353686A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009535594A (ja) * | 2006-05-01 | 2009-10-01 | ロード・コーポレーション | 制御可能な磁性流体の支柱体を備えた制御可能な車両サスペンションシステム |
CN101915282A (zh) * | 2010-07-30 | 2010-12-15 | 浙江大学 | 无源磁流变抗拉阻尼自适应控制方法与装置 |
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2003
- 2003-05-27 JP JP2003148608A patent/JP2004353686A/ja active Pending
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