JP2004353266A - 梯子支持装置及びそれを具備した梯子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】梯子10が立て掛けられる建物などの屋根面や壁面に載置される面支持部材21と、面支持部材21をその先端側に伸縮させて長さ設定可能に支持してその基端側が左右一対の梯子脚柱の内側面に回動自在に軸支されるアーム部材22とを備え、面支持部材21及びアーム部材22が梯子脚柱11、12間に収納可能に配置されるように梯子支持装置20、20aを構成する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、その使用時において設置姿勢を安定に保持させて高所作業などを安全に行うための梯子支持装置及びそれを具備した作業用梯子や梯子兼用脚立などを含む梯子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の屋根や壁面などに立てかけて作業するための梯子を安定して支持する装置として種々のものが提案されており、例えば、以下のような技術のものが開示されている。
【0003】
特許文献1には、梯子の左右側桿に着脱自在に取り付けられる取付枠に、屋根面に係止せしめる鉤状の継合桿を昇降スライド自在に設け、この継合桿のスライド部と取付枠のガイド部とに紐の引動により継合桿を取付枠に対して昇降せしめる昇降機構を設けた掛梯子安定装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、梯子に固定する側面に壁面保持部固定ピンを挿入するための複数個の穴を有する壁面保持部固定金物と壁面保持部支持金物を介して、梯子の支柱と家屋の壁面との間に取り付ける長さが伸縮自在な壁面保持部と、梯子の上端部に、上端保持固定金物と上端保持部支持金物を介して、屋根の傾斜に応じて上下方向に移動可能に取り付ける上端保持部との組み合わせからなる梯子の保持機構が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
実開昭58−141099号公報
【0006】
【特許文献2】
実開昭63−165100号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術のものでは以下のような課題があった。
(a)特許文献1及び2に記載のものは、これらの梯子支持機構が梯子脚柱の外側面に突設されているので、これらの部材をトラックなどの狭い荷台などに載せて搬送する際などの収納性が悪く、また、梯子からはみだした部分が搬送中に周囲とぶつかりあって破損しやすいなどの搬送性に欠けるという課題があった。
(b)これら梯子支持機構を梯子幅間に収納させた場合には、屋根や壁面に当接される梯子支持機構の幅がこの梯子の幅に限定されるので、屋根などの設定面に対する座りなどの安定性が悪いという課題があった。
(c)特に、特許文献1に記載のものでは、屋根面に湾曲して載置される支持部材や昇降機などを要するので全体をコンパクトに収納して運搬することができずハンドリング性や収納性に欠けるという課題があった。
(d)特許文献2に記載のものでは、梯子の上下二ヶ所に上端保持部と壁面保持部とを取り付け、それぞれの固定金物を介して固定するようにしているので、屋根と壁面との位置関係を考慮して微細に長さや角度を設定する作業が煩雑で、汎用性に欠けるという課題があった。
【0008】
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、その運用時における設置安定性と設定の容易性に優れた梯子支持装置を提供すると共に、運搬時などにおける携帯性や収納性、ハンドリング性に優れた作業用梯子や梯子兼用脚立などの梯子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)前記従来の課題を解決するためになされた本発明の梯子支持装置は、梯子の梯子脚柱の内側又は外側の側面にその基端側が固定又は着脱自在に取り付けられ回動自在に軸支されるアーム部材を備え、前記アーム部材の回動角度を調整してその先端を前記梯子が立て掛けられる建物などの基床面や建物周囲の地盤面、建物の屋根面、壁面、軒下面、雨樋部、庇部、コーナー部、ベランダ柵、植木部、電柱や鋼管などに載置して前記梯子を支持するように構成されている。これによって、建物や電柱などにおける施工作業や保守点検作業に対応して、梯子の上部及び/又は下部を周囲構造物に固定又は載置、さらには係止して安定に支持させることが容易にでき、高所作業などにおける安全性を確保できる。
(2)本発明の梯子支持装置は、前記(1)において、前記梯子が立て掛けられる建物などの屋根面や壁面に載置される面支持部材と、前記面支持部材をその先端側に伸縮させて長さ設定可能に支持してその基端側が左右一対の梯子脚柱の内側面に回動自在に軸支されるアーム部材とを備え、前記面支持部材及び前記アーム部材が前記梯子脚柱間に収納可能に配置されるように構成される。これによって、屋根面や壁面に面支持部材を載置することにより梯子を安定に支持することができ、設置安定性と設定の容易性に優れる。また、保管時や運搬時には梯子支持装置が梯子脚柱間にコンパクトに収納できるので、携帯性や収納運搬性に優れている。
(3)本発明の梯子支持装置は、前記(1)又は(2)において、前記アーム部材が前記梯子脚柱の内側面又は外側面の法線方向に対して所定の傾斜角度を有して配置される傾斜回動軸を備えたアーム取付部材と、前記傾斜回動軸に嵌合して回動されその先側に前記面支持部材が配置される伸縮機構を有した支持部材とを備えるように構成することもできる。これによって、梯子脚柱間に収納されたり、梯子脚柱の外側面に配置されたりした左右のアーム部材を回動させることにより、それぞれの先端間が逆八の字状に開いた状態に拡開させて屋根面や壁面、基床面などに当接させて配置することができるので、梯子支持装置で支持される梯子をより安定に支持して安全性に優れた梯子を提供することができる。
(4)本発明の梯子支持装置は、前記(1)又は(2)において、前記アーム部材がその中間位置に配置されたヒンジ部を介してV字状に折り畳み自在に取り付けられ、前記梯子脚柱間にそれぞれ対向して配置された左右一対の前記アーム部材の展開された先端間が前記梯子脚柱間の幅より大きく拡開して配置されるようにしてもよい。これによって、折り畳まれたアーム部材を拡開させて面支持部材を屋根面や壁面に当接させることができ、梯子の支持状態をさらに安定化させることができる。
(5)本発明の梯子支持装置は、前記(1)〜(4)において、前記アーム部材が、環状噛合部を備えて前記梯子脚柱の内側面又は外側面に取り付けられるアーム取付部材と、前記環状噛合部に離接可能に当接して嵌装される噛合部を有した回動軸部と、前記環状噛合部及び前記噛合部間を緩締させて前記アーム部材を前記梯子脚柱に対して所定回動角度に設定する緩締用把持部とを備えていることにも特徴を有する。これによって、アーム部材の回動角度を微細に調整して設定することができ、梯子支持装置を介して支持される梯子の安定性や信頼性をさらに高めることができる。
(6)本発明の梯子支持装置は、前記(1)〜(5)において、前記面支持部材が、多面体状や球体状に形成されたプラスチックやゴムなどの滑り防止体を備えるようにしてもよい。多面体状や球体状の滑り防止体が設けることによって、面支持部材が載置される屋根面や壁面、コーナー面などが左右で異なるような場合でも、これに対応して確実にその先端を位置付けることができ、面支持部材が横滑りして作業者が転落するなどの事故を引き起こすようなことがなく安全性に優れ、しかもその汎用性と設置操作性にも優れている。
(7)本発明の梯子は、前記(1)〜(6)の梯子支持装置が、その梯子本体が重なった状態からスライドして多連伸縮するかもしくは伸縮機構を備えた脚部が伸縮して高さ調節可能に設けられた左右一対の梯子脚柱の内側面や外側面に着脱自在に又は固定して取り付けられて構成される。これによって、屋根面や壁面、基床面、地盤面などに対して設置される梯子を梯子支持装置を介して確実かつ安定に支持できる。また、梯子支持装置を梯子脚柱の内側面に設けた場合は、梯子の保管時や運搬時には梯子支持装置を梯子脚柱間に収納でき収納運搬性やハンドリング性に優れている。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る梯子支持装置を具備した梯子の正面図であり、図2は、同梯子支持装置の正面図であり、図3は、同梯子支持装置の平面断面図である。
【0011】
図1において、10は実施の形態1の梯子支持装置を具備した梯子、11、12は梯子10の左右一対の梯子脚柱、13は梯子脚柱11、12間を連結して多段に配置された踏桟、20、20aは梯子脚柱11、12上部の内側面にそれぞれ対向して配置された一対の梯子支持装置である。
【0012】
なお、以下に述べる本実施の形態においては、梯子支持装置20、20aを梯子脚柱11、12の内側面に対向して配置した場合について説明するが、この梯子支持装置は梯子脚柱の内側面に限らず、その外側面に配置して用いることもできる。さらに、梯子支持装置を梯子の下部に設けることによって、その角度及び長さが調整が可能なアウトリガーとして機能させることもできる。
【0013】
梯子10の梯子脚柱11、12の下端側は八の字状に開脚して形成し、地面などに安定して載置される基脚部14としている。梯子脚柱11、12はそれぞれが前後に2段などの多段に構成され、これら多段の梯子脚柱を把持部15などを用いて連結部16の部分で上下にスライドさせて所定位置で固定することによりその全体の高さ調整が可能になっている。ここで、梯子脚柱11、12はその断面が矩形状となるチャンネル状や角筒状にしているが、円形状やパイプ状のものを用いることも可能である。
【0014】
梯子支持装置20、20aは、図2及び図3に示すように、梯子10が立て掛けられる建物などの屋根面や壁面に載置される面支持部材21と、同面支持部材21をその先端側に伸縮させ長さ設定可能に支持してその基端側が梯子脚柱11、12の内側面に回動自在に軸支されるアーム部材22とを備えている。
【0015】
面支持部材21はゴムやプラスチックなどの軟質材で被覆されて多角形状に形成され、伸縮機構を有したアーム部材22の先側に取り付けられている。
【0016】
アーム部材22は、梯子脚柱11、12の内側面の法線方向に対して傾斜角度θを有して配置される傾斜回動軸22aを備えたアーム取付部材22bと、傾斜回動軸22aにその基端受部材22cが嵌合して回動される内筒支持部材(支持部材)22dと、内筒支持部材22dにスライド自在に嵌装された外筒支持部材(支持部材)22eと、回動軸22aに嵌合した基端受部材22cを緩締させる緩締用把持部22fとを備えている。なお、図1〜図3においては梯子支持装置20、20aのそれぞれのアーム部材22を縮小させて梯子脚柱11、12間に収納させた待機状態を示している。なお、22a´は回動軸22aの延長線である。
【0017】
ここで、傾斜回動軸22aの傾斜角度θは、例えば約5〜45度の範囲に設定することが以下の理由から好ましい。すなわち、この傾斜角度θが5度より少なくなるとアーム部材22を傾斜回動軸22aを中心として回動させたときに、その先端側の開脚度合いが不足するために梯子10を安定状態に保持させることが困難となり、逆に傾斜角度θが45度を超えるように設定すると梯子支持装置を梯子脚柱11、12間にコンパクトに収納させることが困難になるからである。
【0018】
なお、梯子脚柱11,12がパイプ状に形成されている場合は、傾斜回動軸の傾斜角度θは、この梯子脚柱の軸線方向に垂直な面に対する回動軸の角度となる。
【0019】
図4は、梯子支持装置の梯子使用状態における平面図であり、図5はその側面図である。
【0020】
梯子脚柱11、12間に収納された梯子支持装置20、20aは、傾斜回動軸22aを軸として図4中、手前側に回動させることができる。このようにして、アーム部材22の先端に取り付けられた左右の面支持部材21を開脚させることができる。
【0021】
面支持部材21は、内筒支持部材22dに嵌合された外筒支持部材22eを引き出して、同外筒支持部材22eの先部を逆八の字状に伸長させて、その先端の面支持部材21を屋根面や壁面に当接させるようにしている。
【0022】
なお、アーム部材22の回動角度及びアーム伸長の程度は、梯子脚柱11、12の左右それぞれのものについて個別に調整することができ、梯子10の使用状況に応じて適宜設定することができる。このようにして、各アーム部材22の設定状態を緩締用把持部22fや係止ピンなどを用いてアーム部材22を梯子脚柱11、12に対して固定して、梯子10を安定して保持できるようにしている。
【0023】
図6は、アーム部材22の梯子脚柱内壁への取り付け状態を示す図5における矢視A−A断面図であり、図7はアーム取付部材22bに基端受部材22cを嵌装させる状態の分解説明図である。
【0024】
図示するように、アーム部材22は梯子脚柱11、12の内側面の法線方向に対して傾斜角度θを有して配置される回動軸部22gを備えたアーム取付部材22bを有しており、基端受部材22cがその回動軸部22gに嵌合して取り付けられるようになっている。アーム取付部材22bは回動軸部22gの基端部に環状噛合部22hを備えている。一方、基端受部材22cには環状噛合部22hに離接可能に当接する噛合部22iを有している。このような環状噛合部22hと噛合部22i間を緩締用把持部22fを介して緩めることにより、両者の相対的回動動作を可能にして、アーム部材22を梯子脚柱11、12に対して所定の回動角度に位置付ける。そして、環状噛合部22hと噛合部22i間を緩締用把持部22fを介して締め付けることによって固定することができる。こうして、アーム部材22の回動角度を精密に調整して、梯子支持装置20、20aを介して支持される梯子10の安定性や信頼性を高めることができる。
【0025】
図8(a)はアーム取付部材22bの一例を示す平面図であり、図8(b)はその正面図であり図8(c)はその側面図である。
【0026】
アーム取付部材22bは梯子脚柱11、12の内側面にボルトやナットなどを介して着脱可能に取り付けられるボルト孔22jを備えた基台部22kと、基台部22kの面に対して傾斜角度θを有して環状噛合部22hが形成される回動面22mとを備えている。
【0027】
このような環状噛合部22hや噛合部22iの噛合面としては、円形又は多角形状の当接面に山刃状の突起を形成したものが適用できる。この噛合面を互いに中心の軸で組合せて山と谷が噛み合って、中心軸を締付けることにより固定され、中心の軸を緩めることにより回転可能に構成されている。このように構成することによって、山と谷が噛み合わされて双方が固定されガタつきがなく保持できる。また、噛合部が山刃状のため、中心軸を緩めたり締付けたりする操作を容易かつ確実にできる。また、噛合部の山刃の噛み合わせだけで固定解除ができるため、構造的に簡単でコンパクトなものとすることができる。
【0028】
さらに、山刃の形状により細かい角度調整ができ、又旋回範囲が大きくとれる。また、中心軸と噛合部同士の山刃が嵌合しており強度的に強い。こうして右と左のアーム部材22の角度を個別に変えることにより屋根の側面(妻側)に梯子上部を安定した状態にして設置できると共に、梯子10の立掛け角度を変えた際、アーム部材22の回動角度を自在にかつ簡単に変更できる。
【0029】
すなわち、環状噛合部22hと噛合部22iを備えたこのようなジョイント機構では、緩締用把持部22fを操作して両噛合部22h、22i同士の噛合の程度を強めることによりアーム部材22の基端受部材22cとアーム取付部材22bとの回動角度を固定することができる。また、両噛合部22h、22i同士の噛合を緩めることにより連結回動角度を変更可能としている。こうして、単純でコンパクトな構造でありながら確実に双方の部材を固定したり、回動角度を変更したりする操作を容易にしている。
【0030】
しかも、両部材の回動角度は、環状噛合部22hと噛合部22iの一方又は両方を軸線廻りに回動させて両噛合部22h、22i同士の噛合位置をずらすことにより変更するので、両噛合部22h、22i同士の噛合位置を一つずらすごとに回動角度を変更することができる。その結果、アーム部材22の回動角度を微調整することができる。なお、環状噛合部22hと噛合部22iの噛合部分の形状、すなわち、噛合する歯の数や形状やサイズはその負荷の大きさなどの使用条件に応じて適宜変更することができる。
【0031】
なお、緩締用把持部22fは、ここで図示しない取り付け自在な回動レバーを螺軸に連設して用いることもできる。このような締付軸の構成とすることによっても、回動レバーを螺軸に取り付けた後、螺軸廻りに回動させることにより容易に回動軸部22gを回転操作することができる。この回動軸部22gを正逆回転させて、環状噛合部22hと噛合部22i同士を締付けて被連結部材同士の連結角度を固定したり、逆に噛合部同士の締付力を緩めて被連結部材同士の連結角度を変更したりすることができる。
【0032】
このようにして、簡単な構成によって両噛合部を締付けたり緩めたりすることができ、壊れにくく安価に製造可能な連結角度可変のジョイント機構とすることができる。特に、締付軸に螺軸を用いていることにより被連結部材の重量等に応じてその締付力を容易に調整することができる。
【0033】
さらに、回動軸部の周面に付勢体係止用突出部を設けて、同付勢体係止用突出部と一方の被連結部材との間に、両者を離隔する方向に付勢する付勢体を配設すれば、同付勢体によって常に締付軸に回転方向と直交する方向から圧力を加えることができ、締付軸を操作したときにのみ前記圧力に逆らって回動軸部を回転可能とすることができる。
【0034】
このような付勢体を用いて締付軸の自動的な回転を防止することにより、噛合部同士の噛合状態を保持することができ、各噛合部の回動角度がずれるのを防止できる。
【0035】
一方、各被連結部材に形成した噛合部同士を離隔する方向に付勢する付勢体を配設して締付軸の操作によって噛合部同士の締付力を緩めた場合には、両噛合部を付勢体によって互いに離隔する方向に押圧させて、両噛合部を速やかに離隔させることができる。従って、一旦連結した被連結部材同士も速やかに離隔することができ、回動角度の調整を円滑に行うことができる。
【0036】
図9はアーム部材22の伸縮機構を示す図5における矢視B−B断面図である。図示するように、アーム部材22の内筒支持部材22dは外筒支持部材22eにスライド自在に嵌合されている。
【0037】
内筒支持部材22dは、その内部に保持された係止ピン30を外周に向かって突出させるように摺動自在に保持するピン保持部31と、ピン保持部31底部に設けられ係止ピン30がピン孔32から突出するように付勢するスプリング33とを有している。
【0038】
外筒支持部材22eには、内筒支持部材22dのスライド移動するピン孔32に対応する周面上の所定位置に係止ピン嵌合孔34が複数形成され、この外筒支持部材22eの係止ピン嵌合孔34に内筒支持部材22dから突出する係止ピン30の先部が嵌合して内筒支持部材22dと外筒支持部材22eとの相対的位置が固定できるようにしている。
【0039】
また、この相対位置の設定長さを変更したり、長さをもとの収納状態の位置に復帰させたりする場合には、係止ピン30の先端を指で押圧してピン保持部31内に押し込むことで内筒支持部材22dと外筒支持部材22eとの係止状態を解除して次のピン位置に移動させることができる。
【0040】
以上説明したようにアーム部材22は、環状噛合部22hを備えて梯子脚柱11、12の内側面に取り付けられるアーム取付部材22bと、環状噛合部22hに離接可能に当接して嵌装される噛合部22iを有した回動軸部22gと、環状噛合部22h及び噛合部22i間を緩締させてアーム部材22を梯子脚柱11、12に対して所定回動角度に設定する緩締用把持部22fとを備えて構成されている。
【0041】
実施の形態1の梯子支持装置20、20aを具備した梯子10は以上のように構成されているので、以下の作用効果を有する。
(1)保管時や運搬時には梯子支持装置20、20aが梯子脚柱11、12間にコンパクトに収納できるので、携帯性や収納運搬性に優れている。
(2)梯子支持装置20、20aの面支持部材21を多様な立掛け面に対応させて配置するためのアーム部材22の回動や伸縮などの調整操作を容易かつ確実に行うことができ設置安定性と設定の容易性に優れる。
(3)梯子10を安定した状態に支えることができる。梯子支持装置20、20aを雨樋部や屋根の側面(妻側)、建物の壁面、コーナー部に立掛けると、梯子10が安定した状態となり、梯子上部で作業を行っても梯子10の横すべりもなく転落、墜落がなく安全である。屋根面や壁面に面支持部材21を載置することにより梯子10を安定に支持することができる。
(4)梯子脚柱11、12間に収納された左右のアーム部材22を回動させることにより、それぞれの先端が逆八の字状に開いた状態に拡開させて屋根面や壁面に当接させることができ、梯子支持装置20、20aによって支持される梯子10を安定に支持できる。
(5)梯子支持装置20、20aの取付け部より外側で滑り防止体を備えた面支持部材21が立掛け面に当る(接触)ように、アーム取付部材22bに傾斜を取り、梯子使用時にアーム部材22の先端を広くしている。また、滑り防止体が梯子脚柱より外側で立掛け面と当たるため、梯子10の横転力に対し強くなり、梯子上部が安定して転落、墜落がなく安全である。すなわち、梯子10側面からの力に対しアーム部材22が逆八の字状に接触するため、梯子10の横ゆれが少なく安全に作業ができる。
(6)アーム部材22先端の面支持部材21に一体式のあらゆる方向の屋根、壁面に接触可能な樹脂又はゴム製の滑り防止体を取付けているので、屋根瓦、波スレートの曲線部の大小に関係なくその接触面にフィットさせることができる。また、壁面、コーナー面に対しても滑り防止体を接触面に効果的にフィットできる。なお、接触面のすべり摩擦は、接触面積に関係なく接触面の密着度の方が優先される。滑り防止体とアーム部材とを一体式にした方が耐久性に優れている。
(7)梯子支持装置20、20aの各アーム部材22を左右単独で伸縮する構造にしている。これにより、屋根の側面(妻側)に本装置を取付けた梯子10を立掛けた時、屋根の傾斜に合せ片側のアーム部材22を縮め、又反対側のアーム部材22を伸ばして下側に向けることにより、梯子10の昇降面側を垂直にさせることができ、梯子上部が横滑りすることなく安全に作業ができる。アーム部材22を伸ばすことによりコーナー面に、梯子10を立て掛けてもコーナー部と踏桟13が当たることがなく昇降でき、安全に作業ができる。
(8)アーム部材22を伸ばして樋受け部等に立て掛けることにより、梯子10上部の突き出し量を長くすることでき、労働安全衛生規則の基準(600mm以上)を簡単に満足させることができる。又梯子10から屋根、屋根から梯子10に安全に乗り移りができる。
(9)アーム部材22の支持部材とアーム取付部材22bとを噛合部を介して回動させるジョイント機構を備えるので、この互いに当接される噛合面に山刃状の突起を形成して組合せ、山と谷との噛み合い中心軸を締付けることにより噛合面の動きが固定され、中心軸を緩めることにより噛合面が互いに回転可能に構成されている。これにより中心軸を締付ける操作が楽に確実にできる。中心軸の操作だけで固定解除ができるため、構造的に簡単でコンパクトなものとなる。山刃の形状により細かい角度調整ができ、又旋回範囲が大きくとれる。噛合面同士の山刃が嵌合しており強度的に強い。右と左のアーム部材の角度を変えることにより屋根の側面(妻側)に梯子上部を安定させる状態に設置ができる。梯子10の立掛け角度を変えた時、アーム部材22の取付け角度も自在かつ簡単に変更できる。
(10)梯子支持装置のアーム部材にアルミニウム合金材を使用して、装置を軽くすることができるので、梯子上部に取付けても梯子10の立て起こしを容易に行うことができる。サビ等の腐食の問題がなく、外観的にも見栄えがよくなる。
(11)梯子脚柱11、12の側面にドリルで穴をあけ、小ねじで梯子支持装置20、20aを簡単に取付けられる。はしごメーカーの型式(はしごの幅寸法など)に関係なく梯子支持装置20、20aの取付けができる。又必要時に梯子支持装置を後付けすることができる。
【0042】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2に係る梯子支持装置の模式平面図である。
【0043】
図10において、40、40aは梯子10の梯子脚柱11、12の内側にそれぞれ対向して配置された実施の形態2の梯子支持装置、41は梯子10が立て掛けられる屋根面などに載置される面支持部材、42はその中間位置に配置されたヒンジ部43を介して基端側支持部材(支持部材)44と面支持部材41を保持する先端側支持部材(支持部材)45とを所定角度まで回動させてV字状に折り畳み自在に取り付けられたアーム部材、46は基端側支持部材44の基部に設けられた基端受部材、47は基端受部材46の噛合部22iに当接する環状噛合部22hを備えて基端受部材46が回動自在に嵌合結合される回動軸部を備えたアーム取付部材である。なお、図10に示した上記面支持部材41は矩形形状にしているが、略球体形状とすることもできる。
【0044】
このようにして、面支持部材41を略球体形状にした場合には、屋根面などの相手部材がどのような形状であっても、梯子10を安定して支持することができる。
【0045】
なお、実施の形態2の梯子支持装置40,40aは前記実施の形態1の梯子支持装置20、20aとは梯子への取り付け形態などを異にしている。以下においては実施の形態1と同様の機能を有するものについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
実施の形態2のアーム取付部材47の回動軸は梯子脚柱11、12を連結する踏桟13方向すなわち、傾斜角度θがゼロとなるように配置されるが、アーム部材42が先端側支持部材45と基端側支持部材44とを有して折り畳み自在になっている。これによって、アーム部材42を建物側に回動させた後、ヒンジ部43を中心として双方を開脚させると全体が逆八の字状となるように180度以上の所定の回動角度で係止され、建物の壁面や屋根面に当接して載置される面保持部41の押圧力を安定的に受けることができるようにしている。
【0047】
なお、基端側支持部材44及び/又は先端側支持部材45に実施の形態1に示したような伸縮機構を必要に応じて設けることもでき、これによって梯子支持装置40、40aを設定する際における汎用性や操作性をさらに高めるようにしてもよい。また、これらアーム部材42の構成に加えて、実施の形態1のようにアーム取付部材47の回動軸を傾斜させて梯子脚柱間に配置することも可能であり、これによって、種々の異なる梯子設置条件のもとであっても、面支持部材41を屋根面や軒下の壁面などにさらに柔軟に適合させることができる。
【0048】
(実施の形態3)
図11(a)は本発明の実施の形態3に係る梯子支持装置を具備した梯子の正面図であり、図11(b)はその側面図である。
【0049】
図11において、50は実施の形態3の梯子支持装置を具備した梯子、51は梯子50の梯子脚柱11、12の外側の下部側面にその基端側のアーム取付部材52を介して固定又は着脱自在に取り付けられるアーム部材53を備えた梯子支持装置である。
【0050】
アーム部材53のアーム取付部材52は、梯子脚柱11、12のそれぞれの外側面に同一高さで対となって取り付けられている。アーム部材53は梯子脚柱11、12の軸線に対して15〜45度の角度で傾斜した状態で回動できるように取り付けられ、アーム取付部材52に設けた緩締用把持部54を操作して回動角度の調整ができるようになっている。
【0051】
このようにして、図11に示すように、梯子50を建物などの基床面や建物周囲の地盤面などに載置する際に、梯子支持装置51のアーム部材53の回動角度や伸縮長さを調整して梯子50の基部側を安定して支持することができる。
【0052】
(実施の形態4)
図12(a)は本発明の実施の形態4に係る梯子支持装置を具備した梯子の平面図であり、図12(b)はその側面図である。
【0053】
図12において、60は実施の形態4の梯子支持装置を具備した梯子、61、61aは梯子60の梯子脚柱11、12の内側の上部側面に取り付けられた左右一対の梯子支持装置、62は梯子支持装置61のアーム部材63、63aの先部間に渡設して取り付けられたベルトやケーブルなど可撓性支持具である。
【0054】
なお、実施の形態4の梯子支持装置61、61aは実施の形態1の梯子支持装置20、20aのものに可撓性支持具を取り付けるようにしたものであり、その他の主要構成は略同様のものである。
【0055】
実施の形態4の梯子支持装置を具備した梯子60は、図示するようにアーム部材63、63aの先部に渡設された帯状などの可撓性支持具62を電柱64の丸い側面に係止させて、梯子60上部を支持できるようにしたものである。これによって、電柱64に特別な係止部などを設けることなく、梯子60を安定に支持することができ、安全かつ容易に作業を行うことができる。
【0056】
ここで図13は梯子60の他の使用状態の説明図である。図13においては、可撓性支持具62をアーム部材63、63aから必要に応じて取り外して、アーム部材63、63aを突出した状態で固定し、この先端を建物に付属するベランダなどの手摺り部64に係止して固定することができる。
【0057】
以上説明したように、梯子60はアーム部材63、63aのそれぞれの回動角度を調整することができるので、その先端を梯子60が立て掛けられる建物などの基床面や建物周囲の地盤面、建物の屋根面、壁面、軒下面、雨樋部、庇部、コーナー部、ベランダ柵、植木部、電柱や鋼管などに載置して安定支持することができ、その汎用性と安全性に優れている。
【0058】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、建物や電柱などにおける施工作業や保守点検作業に対応して、梯子の上部及び/又は下部を周囲構造物に固定又は載置、さらには係止して安定に支持させることが容易にでき、高所作業などにおける安全性を確保することができる。
【0059】
請求項2に記載の発明によれば、屋根面や壁面に面支持部材を載置することにより梯子を安定に支持することができ、設置安定性と設定の容易性に優れる。また、保管時や運搬時には梯子支持装置が梯子脚柱間にコンパクトに収納できるので、携帯性や収納運搬性に優れている。
【0060】
請求項3に記載の発明によれば、傾斜角度を有してアーム部材が設けられているので、梯子脚柱間に収納された左右のアーム部材を回動させることにより、それぞれの先端間が逆八の字状に開いた状態に開脚して屋根面や壁面に当接して配置することができる。こうして、梯子支持装置で支持される梯子をより安定に支持して安全性に優れた梯子を提供できる。
【0061】
請求項4に記載の発明によれば、その先端間が梯子脚柱間の幅より大きく開脚する一対のアーム部材を備えるので、折り畳まれたアーム部材を開脚させて面支持部材を屋根面や壁面に当接させ梯子の支持状態を安定させることができる。
【0062】
請求項5に記載の発明によれば、環状噛合部及び噛合部間をねじ部を介して緩締させてアーム部材を前記梯子脚柱に対して所定回動角度に設定する緩締用把持部を備えるので、アーム部材の回動角度を微細に調整して設定でき、梯子支持装置を介して支持される梯子の安定性や信頼性をさらに高めることができる。
【0063】
請求項6に記載の発明によれば、面支持部材が多面体状や球体状に形成された滑り防止体を備えるので、面支持部材が載置される屋根面や壁面、コーナー面などが左右で微妙に異なるような場合でも、これに対応して確実にその先端を位置付けることができ、安全性と汎用性、設置操作性に優れている。
【0064】
請求項7に記載の発明によれば、屋根面や壁面に立て掛けられる梯子を梯子支持装置を介してその上部及び下部を確実かつ安定に支持できる。梯子支持装置を梯子脚柱の内側面に設けた場合には梯子の保管時や運搬時には梯子支持装置を梯子脚柱間に収納でき収納運搬性やハンドリング性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る梯子支持装置を具備した梯子の正面図である。
【図2】同梯子支持装置の正面図である。
【図3】同梯子支持装置の平面断面図である。
【図4】梯子支持装置の梯子使用状態における平面図である。
【図5】その側面図である。
【図6】アーム部材の取り付け状態を示す図5における矢視A−A断面図である。
【図7】アーム取付部材に基端受部材を嵌装させる状態の分解説明図である。
【図8】(a)アーム取付部材の一例を示す平面図である。
(b)その正面図である。
(c)その側面図である。
【図9】アーム部材の伸縮機構を示す図5における矢視B−B断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る梯子支持装置の模式平面図である。
【図11】(a)実施の形態3に係る梯子支持装置を具備した梯子の正面図である。
(b)その側面図である。
【図12】(a)実施の形態4に係る梯子支持装置を具備した梯子の平面図である。
(b)その側面図である。
【図13】実施の形態4に係る梯子の他の使用状態の説明図である。
【符号の説明】
10 実施の形態1の梯子支持装置を具備した梯子
11、12 梯子脚柱
13 踏桟
14 基脚部
15 把持部
16 連結部
20、20a 実施の形態1の梯子支持装置
21 面支持部材
22 アーム部材
22a 傾斜回動軸
22b アーム取付部材
22c 基端受部
22d 内筒支持部材(支持部材)
22e 外筒支持部材(支持部材)
22f 緩締用把持部
22g 回動軸部
22h 環状噛合部
22i 噛合部
22j ボルト孔
22k 基台部
22m 回動面
30 係止ピン
31 ピン保持部
32 ピン孔
33 スプリング
34 係止ピン嵌合孔
40、40a 実施の形態2の梯子支持装置
41 面支持部材
42 アーム部材
43 ヒンジ部
44 基端側支持部材(支持部材)
45 先端側支持部材(支持部材)
46 基端受部材
47 アーム取付部材
50 実施の形態3の梯子
51 梯子支持装置
52 アーム取付部材
53 アーム部材
54 緩締用把持部
60 実施の形態4の梯子
61、61a 梯子支持装置
62 可撓性支持具
63、63a アーム部材
64 手摺り部
Claims (7)
- 梯子の梯子脚柱の内側又は外側の側面にその基端側が固定又は着脱自在に取り付けられ回動自在に軸支されるアーム部材を備え、前記アーム部材の回動角度を調整してその先端を前記梯子が立て掛けられる建物などの基床面や建物周囲の地盤面、建物の屋根面、壁面、軒下面、雨樋部、庇部、コーナー部、ベランダ柵、植木部、電柱や鋼管などに載置して前記梯子を支持することを特徴とする梯子支持装置。
- 前記梯子が立て掛けられる建物などの屋根面や壁面に載置される面支持部材と、前記面支持部材をその先端側に伸縮させて長さ設定可能に支持してその基端側が左右一対の梯子脚柱の内側面に回動自在に軸支されるアーム部材とを備え、前記面支持部材及び前記アーム部材が前記梯子脚柱間に収納可能に配置されることを特徴とする請求項1に記載の梯子支持装置。
- 前記アーム部材が前記梯子脚柱の内側面又は外側面の法線方向に対して所定の傾斜角度を有して配置される傾斜回動軸を備えたアーム取付部材と、前記傾斜回動軸に嵌合して回動されその先側に前記面支持部材が配置される伸縮機構を有した支持部材と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の梯子支持装置。
- 前記アーム部材がその中間位置に配置されたヒンジ部を介してV字状に折り畳み自在に取り付けられ、前記梯子脚柱間にそれぞれ対向して配置された左右一対の前記アーム部材の展開された先端間が前記梯子脚柱間の幅より大きく拡開して配置されることを特徴とする請求項1〜3の内いずれか1項に記載の梯子支持装。
- 前記アーム部材が、環状噛合部を備えて前記梯子脚柱の内側面又は外側面に取り付けられるアーム取付部材と、前記環状噛合部に離接可能に当接して嵌装される噛合部を有した回動軸部と、前記環状噛合部及び前記噛合部間を緩締させて前記アーム部材を前記梯子脚柱に対して所定回動角度に設定する緩締用把持部とを備えていることを特徴とする請求項1〜4の内いずれか1項に記載の梯子上部支持装置。
- 前記面支持部材が、多面体状や球体状に形成されたプラスチックやゴムなどの滑り防止体を備えていることを特徴とする請求項1〜5の内いずれか1項に記載の梯子支持装置。
- 請求項1〜6の内いずれか1項に記載の梯子支持装置が、その梯子本体が重なった状態からスライドして多連伸縮するかもしくは伸縮機構を備えた脚部が伸縮して高さ調節可能に設けられた左右一対の梯子脚柱の内側面や外側面に着脱自在に又は固定して取り付けられていることを特徴とする梯子。
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