JP2004349133A - 内燃機関用の点火装置及び,その取り付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】内蔵する圧力検出素子を用いて,燃焼室で生じるノッキング現象を確実性高く検知する内燃機関用の点火装置及び,その取り付け構造を提供すること。
【解決手段】内燃機関用の点火コイル3と点火プラグ2とを一体化してなり,2次コイル32及び中心電極22を収容すると共に,1次コイル31を外挿する略円筒形状の碍子5と,碍子5を内挿すると共に,接地電極23を設けてなる略円筒形状のケース10と,内燃機関の燃焼室200の圧力を計測するための圧力検出素子4とを有する点火装置である。点火装置1は,軸方向における後端側の端部においてケース10に係合すると共に,碍子5の軸方向の位置を規制する保持部材8を有してなる。そして,圧力検出素子4は,碍子5の軸方向における後端側の端部と,保持部材8との間に配置してある。さらに,ケース10の外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材15を装着してある。
【選択図】 図8
【解決手段】内燃機関用の点火コイル3と点火プラグ2とを一体化してなり,2次コイル32及び中心電極22を収容すると共に,1次コイル31を外挿する略円筒形状の碍子5と,碍子5を内挿すると共に,接地電極23を設けてなる略円筒形状のケース10と,内燃機関の燃焼室200の圧力を計測するための圧力検出素子4とを有する点火装置である。点火装置1は,軸方向における後端側の端部においてケース10に係合すると共に,碍子5の軸方向の位置を規制する保持部材8を有してなる。そして,圧力検出素子4は,碍子5の軸方向における後端側の端部と,保持部材8との間に配置してある。さらに,ケース10の外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材15を装着してある。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,点火プラグと点火コイルと圧力検出素子とを一体化した内燃機関用の点火装置及び,その取り付け構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、点火コイルと点火プラグを一体化した内燃機関用の点火装置に、圧力検出素子を内蔵した点火装置が提案されている。該内燃機関用の点火装置は,内蔵した圧力検出素子を用いて,燃焼室の圧力を計測できるように構成してある。
そして,燃焼室の圧力を計測するよう構成した点火装置によれば,内燃機関の燃焼状態,例えばノッキング等の検知が可能となる。
【0003】
上記の点火装置は,例えば,点火コイルと点火プラグとを同軸上に配置すると共に,点火プラグの外周側に圧力検出素子を配置し,点火コイルの近傍に配置した出力信号線を介して圧力検出素子の出力信号を出力するよう構成することがある(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−277232号公報(明細書中の段落番号「0020」〜「0031」,図1)
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の内燃機関用の点火装置では,次のような問題がある。すなわち,圧力検出素子の信号線を配設するためのスペースを点火コイルの外周側に確保する必要があり、上記点火装置の大径化を招来するという問題がある。また、点火コイルの外周側に配設された圧力検出素子の出力信号線には,点火ノイズが混入するおそれが高い。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,内蔵する圧力検出素子を用いて,燃焼室で生じるノッキング現象を確実性高く検知する内燃機関用の点火装置及び,その取り付け構造を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
【0008】
第1の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記ケースの上記後端側の端部の内周には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を固定してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記ケースの外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材を装着してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項1)。
【0009】
上記第1の発明の内燃機関用の点火装置では,上記2次コイルを収容すると共に,上記1次コイルを外挿した上記碍子の上記後端側の端部に対峙して,上記圧力検出素子を配設してある。
すなわち,上記内燃機関用の点火装置では,上記点火コイルの配設位置に対して,上記燃焼室と反対側の端部である上記後端側の端部に近く,上記圧力検出素子を配設してある。
【0010】
そのため,上記点火装置では,上記圧力検出素子の出力信号を取り出す信号線を上記点火コイルの外周側に配設する必要がない。
それ故,上記内燃機関用の点火装置では,上記点火コイルの外周側に上記出力信号を配設するためのスペースを確保する必要がないため,小径に構成することができる。
また,上記点火装置では,上記点火コイルから発生するおそれがある点火ノイズが,上記出力信号線に混入するおそれが少ない。
【0011】
一方,上記内燃機関用の点火装置は,上記ケースの外周面の一部を,上記内燃機関に当接した状態で取り付けられる。
そのため,上記ケース及び,該ケースに係合する上記保持部材を経由して,上記内燃機関の振動等のノイズが上記圧力検出素子に伝達されるおそれがある。
【0012】
すなわち,上記内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関等,外部から上記圧力検出素子に向けて,上記ケース及び上記保持部材等よりなる伝達系(以下,適宜,ノイズ伝達系と記載する。)が形成されることになる。
ここで,上記ケース及び上記保持部材等を弾性部材として把握したとき,上記ノイズ伝達系は,上記ケース及び上記保持部材等の重さを重量マスとし,上記ケース及び上記保持部材を弾性体とした,いわゆる「ばね−マス振動系」と等価な系として表すことができる。
【0013】
ここで,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ケースの外周側に,取り外し可能な状態でウェイト部材を装着してある。
そのため,上記内燃機関用の点火装置では,上記ケースに装着する上記ウェイト部材の重量が,上記ばね−マス振動系に付加したおもりとして作用することになる。そして,上記ウェイト部材の重量に応じて,上記ノイズ伝達系の特性を適宜,変更することができる。
【0014】
上記ウェイト部材を装着しない状態における上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,上記ばね−マス振動系の固有振動周波数として求めることができる。
すなわち,上記ケース及び上記保持部材等の合計の重量をmc,ケース及び保持部材を一体の弾性部材として把握したときのばね定数をkcとすると,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは次式のごとく表現される。
fon=1/2×π×(kc/(mc/3))0.5 ・・・式1
【0015】
一方,上記ケースの外周側に上記ウェイト部材を装着すると,該ウェイト部材は,上記ばね−マス振動系に付加したおもりとして作用する。
そうすると,重量mwの上記ウェイト部材を装着したときの上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,次式のごとく表現することができる。
fon=1/2×π×(kc/(mw+(mc/3)))0.5 ・・・式2
【0016】
そのため,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置のように,上記ケースの外周側に上記ウェイト部材を装着する場合には,上記ケースと上記保持部材等とからなるノイズ伝達系の固有振動周波数fonを,ウェイト部材の重量mwに応じて変更することができる。
さらに,様々な重量の上記ウェイト部材を各種準備しておけば,該ウェイト部材の付け替えにより,上記内燃機関用の点火装置の上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを制御することが可能である。
【0017】
上記内燃機関で生じるおそれのあるノッキングは,一定の周波数(以下,適宜,ノッキング周波数と記載。)の振動を伴う現象である。
上記第1の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ノッキング周波数の圧力変動を,上記圧力検出素子により検知することによりノッキングの発生を検出するように構成してある。
したがって,上記点火装置では,上記ノッキング周波数近傍におけるノイズ成分を抑制することで,上記圧力検出素子によるノッキング検出精度を向上することができる。
【0018】
ここで,一般的に,ある伝達系に対して,特定の周波数の振動が入力されたとき,該伝達系を経由して伝達される振動の大きさは,伝達系の固有振動周波数と上記入力周波数との大小関係によって左右される。
上記固有振動周波数と上記入力周波数とが接近すると,上記伝達系が共振し,増幅された振動が伝達されることになる。すなわち,この場合には,上記ノイズ伝達系の入力と出力との比である伝達率(出力/入力)が1を超えることになる。
【0019】
一方,入力周波数/固有振動周波数比が大きくなると(固有振動周波数が小さい状態),入力された振動は,上記伝達系において伝達が抑えられ,伝達される振動が小さくなる。すなわち,この場合には,上記ノイズ伝達系の伝達率が1よりも小さくなることになる。
他方,入力周波数/固有振動周波数比が小さくなると(固有振動周波数が大きい状態),上記伝達系が剛体的な伝達部材として作用する。そのため,大きな増幅等を生じることなく,入力された振動が上記伝達系を伝達されることになる。
すなわち,この場合には,上記ノイズ伝達系の伝達率が1に近づくことになる。
【0020】
以上のことから,ノッキング周波数/固有振動周波数fon比が大きくなるように,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを小さく設定すると,ノッキング周波数近傍の周波数を有するノイズ成分について,上記ノイズ伝達系の伝達率を抑制することができる。
そのため,上記ノッキング周波数の近傍の周波数領域において,圧力検出素子で計測する圧力のS(信号)/N(ノイズ)比を向上して,正確にノッキング検出を実施することができる。
特に,ノッキング周波数/固有振動周波数fonの比である周波数比が,2の平方根より大きくなるように上記固有振動周波数fonを設定すると,ノッキング周波数近傍のノイズ成分の伝達率を1未満にすることができる。
【0021】
第2の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
該点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールと,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材とを有してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールの上記突出部には,上記内燃機関に固定した支持部材に係合するよう構成した係合部を設けてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項4)。
【0022】
ここで,一般に,上記内燃機関用の点火装置においては,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力の伝達経路である圧力伝達系は,ばね−マス振動系と等価な系として表現することができる。
すなわち,上記碍子等の重量をmg,該碍子を弾性部材として把握したときのばね定数をkgとすると,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは次式のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0023】
ここで,上記第2の発明の内燃機関用の点火装置のごとく,上記内燃機関側に固定した支持部材により上記スプールを保持した場合には,式3における上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。
すなわち,上記スプールに上記1次コイルを固定してある場合には,上記構成部品として上記1次コイルの重量が排除され,上記スプールに上記1次コイルを固定してない場合には,上記1次コイルの重量は排除されない。
いずれにしても,上記重量mgから少なくとも上記スプールの重量を排除した上記内燃機関用の点火装置では,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力伝達系について,その固有振動周波数fosを高く設定できる。
【0024】
上記ノイズ伝達系の場合と同様に,上記の圧力伝達系のような伝達系に対して,特定の周波数の振動が入力されたとき,該伝達系を経由して伝達される振動の大きさは,伝達系の固有振動周波数と上記入力周波数との大小関係によって左右される。
上記固有振動周波数と上記入力周波数とが接近すると,上記伝達系が共振し,増幅された振動が伝達されることになる。すなわち,この場合には,上記圧力伝達系の入力と出力との比である伝達率(出力/入力)が1を超えることになる。一方,入力周波数/固有振動周波数比が大きくなると(固有振動周波数が小さい状態),入力された振動は,上記伝達系において伝達が抑えられ振動が小さくなる。すなわち,この場合には,上記圧力伝達系の伝達率が1よりも小さくなることになる。
他方,入力周波数/固有振動周波数比が小さくなると(固有振動周波数が大きい状態),上記伝達系が剛体的な伝達部材として作用する。そのため,大きな増幅等を生じることなく,入力された振動が上記伝達系を伝達されることになる。
すなわち,この場合には,上記圧力伝達系の伝達率が1に近づくことになる。
【0025】
上記第2の発明の内燃機関用の点火装置によれば,上記内燃機関側に固定した上記支持部材により上記スプールを保持することにより,上記点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
そして,ノッキング周波数/固有振動周波数fos比を小さくすることができ,上記燃焼室において生じたノッキング時の圧力変動を,正確に上記圧力検出素子に伝達することができる。
特に,圧力伝達系の固有振動周波数fosを,ノッキング周波数の2倍以上に設定した場合には,ノッキングに伴う上記圧力伝達系の共振を抑制すると共に,計測すべき圧力変動の減衰を抑制して,精度高くノッキングの発生を検知することができる。
【0026】
第3の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
該点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記碍子の上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールと,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材とを有してなり,上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールは,上記突出部に設けた係合部を上記保持部材に係合させてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項5)。
【0027】
上記第3の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ケースの内周側に固定した保持部材により上記スプールを保持してある。
この場合には,上記第2の発明の内燃機関用の点火装置と同様に,上記式3における上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。例えば,上記スプールの外周に上記2次コイルを固定した場合には,上記構成部品として上記2次コイルの重量を排除することができる。
そして,上記第2の発明の内燃機関用の点火装置と同様に,上記点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
【0028】
第4の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設する状態で内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに取り付けるように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記点火装置の上記後端側の端部には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を配置してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
該保持部材は,上記点火装置を上記プラグホールに取り付けた際,上記内燃機関側に固定した支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,軸方向の位置が規制されるように構成してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項6)。
【0029】
上記第4の発明の内燃機関用の点火装置では,上記圧力検出素子を,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置と同様,上記点火プラグと反対側の端部に配置してある。
そのため,上記第4の発明の内燃機関用の点火装置によれば,小径であって,かつ,圧力検出素子の出力信号中に点火ノイズが混入するおそれの少ない内燃機関用の点火装置を提供することができる。
【0030】
また,上記内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関等,外部から上記圧力検出素子に向けて,上記ケース及び上記保持部材等よりなる伝達系(以下,適宜,ノイズ伝達系と記載する。)が形成されることになる。
ここで,上記ケース及び上記保持部材等を弾性部材として把握したとき,上記ノイズ伝達系は,上記ケース及び上記保持部材等の重さを重量マスとし,上記ケース及び上記保持部材等を弾性体とした,いわゆる「ばね−マス振動系」と等価な系として表現することができる。
【0031】
特に,上記第4の発明の内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関側に固定した上記支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,上記保持部材の軸方向の位置を規制するように構成してある。
そのため,上記内燃機関用の点火装置では,上記ノイズ伝達系に上記支持部材が追加されることになる。上記式1におけるばね定数kcとしては,上記支持部材の剛性が加味された値となる。
【0032】
この支持部材の剛性を高くすると上記式1における振動伝達系のばね定数を大きくすることができ,上記内燃機関用の点火装置におけるノイズ伝達系の固有振動周波数fonを高くすることができる。
一方,上記支持部材の剛性を抑制すると,上記式1におけるノイズ伝達系のばね定数kcを小さくすることができ,上記内燃機関用の点火装置におけるノイズ伝達系の固有振動周波数fonを低くすることができる。
【0033】
以上のごとく,上記第4の発明の内燃機関用の点火装置では,上記支持部材の剛性を適宜,変更することにより,上記内燃機関用の点火装置における上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適宜,変更することができる。
ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを,ノッキング周波数から離して設定すれば,上記圧力検出素子における圧力計測について外部からのノイズの影響を抑制することができる。
【0034】
第5の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記ケースの上記後端側の端部の内周には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を固定してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記内燃機関用の点火装置における上記ケースから上記圧力検出素子に至るノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,14kHz以下であり,上記内燃機関用の点火装置における上記燃焼室から上記圧力検出素子に至る圧力伝達系の固有振動周波数fosは,3.5kHz以上であって,
かつ,上記fonと上記fosとは,fon<fosなる関係を満たしていることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項9)。
【0035】
上記第5の発明の内燃機関用の点火装置では,上記圧力検出素子を,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置と同様,上記点火プラグと反対側の端部に配置してある。
そのため,上記第5の発明の内燃機関用の点火装置によれば,小径であって,かつ,圧力検出素子の出力信号中に点火ノイズが混入するおそれの少ない内燃機関用の点火装置を提供することができる。
【0036】
上記内燃機関用の点火装置は,上記ケースの外周面の一部を,上記内燃機関に当接した状態で取り付けられる。
そのため,上記内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関等,外部から上記圧力検出素子に向けて,上記ケース及び上記保持部材等よりなり,上記第1の発明と同様のノイズ伝達系が構成されている。そして,内燃機関の振動等のノイズは,上記ノイズ伝達系を介して,上記圧力伝達素子に伝達されるおそれがある。
【0037】
また,上記内燃機関用の点火装置は,上記碍子の端部を,上記燃焼室に露出した状態で上記内燃機関に取り付けられる。
そのため,上記内燃機関用の点火装置においては,上記燃焼室から上記圧力検出素子に向けて,上記碍子及び,該碍子に係合する部材よりなり,上記第2の発明と同様の圧力伝達系が構成されている。そして,計測対象である燃焼室の圧力は,上記圧力伝達系を介して,圧力検出素子に伝達される。
【0038】
そこで,上記第5の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを14kHz以下に設定すると共に,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosを3.5kHz以上に設定し,さらに,上記fonと上記fosとが,fon<fosなる関係を満たすように設定してある。
【0039】
ここで,上記ノッキング周波数は内燃機関によって異なるものの,自動車用の内燃機関に限ると,概ね,5kHz〜20kHzの範囲にある。
ノッキング周波数近傍のノイズ成分の伝達率を1未満にするためには,上記のごとく,ノッキング周波数/固有振動周波数fonを2の平方根より大きく設定すればよく,ノッキング周波数近傍のノッキング信号の伝達率を1以上にするためには,上記のごとく,ノッキング周波数/固有振動周波数fosを2の平方根よりも小さくすればよい。
【0040】
すなわち,ノッキング周波数5kHzの内燃機関に対しては,上記固有振動周波数fonを3.5kHz(5kHzを2の平方根で除した周波数値。)未満とし,上記固有振動周波数fosを3.5kHz以上とするのが良い。
また,ノッキング周波数20kHzの内燃機関に対しては,上記固有振動周波数fosを14kHz(20kHzを2の平方根で除した周波数値。)未満とし,上記固有振動周波数fosを14kHz以上とするのが良い。
【0041】
以上のことから,上記固有振動周波数fon及び上記固有振動周波数fosを上記のごとく設定してなる上記内燃機関用の点火装置は,自動車用の内燃機関のノッキング信号を検出するのに適当な点火装置である。
【0042】
第6の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する内燃機関用の点火装置を,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設した状態で,内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに装着する点火装置の取付構造において,
上記点火装置は,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材と,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールとを有してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールは,上記突出部に設けた係合部を,上記内燃機関側に固定した支持部材に係合していることを特徴とする点火装置の取り付け構造にある(請求項10)。
【0043】
上記第6の発明の点火装置の取り付け構造では,上記内燃機関側に固定した上記支持部材に上記スプールを保持してある。
ここで,上記取り付け構造により取り付けた上記内燃機関用の点火装置では,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力の伝達経路に形成される圧力伝達系は,ばね−マス振動系と等価な系として表現することができる。
すなわち,上記碍子等の重量をmg,該碍子を弾性部材として把握したときのばね定数をkgとすると,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは,前出の次式のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0044】
ここで,上記第6の発明の内燃機関用の点火装置のごとく,上記内燃機関側に固定した上記支持部材により上記スプールを保持した場合には,上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。例えば,スプールの外周に上記2次コイルを固定してある場合には,上記構成部品として上記2次コイルの重要を排除することができる。
そして,重量mgを小さくすれば,上記点火装置における上記燃焼室から上記圧力検出素子に至る圧力伝達系について,その固有振動周波数fosを高く変更して設定できる。
【0045】
第7の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する内燃機関用の点火装置を,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設した状態で,内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに装着する点火装置の取付構造において,
上記点火装置の上記後端側の端部には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を配置してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
該保持部材は,上記内燃機関側に固定した支持部材との直接的あるいは間接的な係合により軸方向の位置を規制してあることを特徴とする点火装置の取り付け構造にある(請求項12)。
【0046】
上記第7の発明の取り付け構造により取り付けた点火装置は,上記内燃機関側に固定した上記支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,上記保持部材の軸方向の位置を規制してある。
そのため,上記第7の発明の取り付け構造によれば,上記支持部材の剛性の如何によって,上記内燃機関から上記圧力検出素子に至るノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適宜,変更することができるという上記第4の発明と同様の効果が得られる。
そして,ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適切に設定した上記内燃機関用の点火装置によれば,上記第4の発明と同様に,上記内燃機関で生じたノッキングを精度良く検知することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
また,上記第1の発明においては,上記ウェイト部材は,略円筒形状を呈しており,該ウェイト部材と上記ケースとは,上記ウェイト部材の内周面に形成した雌ねじ部と,上記ケースの外周面に形成した雄ねじ部との係合によるねじ結合により固定してあることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記ケースに対して,上記ウェイト部材を容易に脱着することができる。そして,上記ウェイト部材の重量設定により,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適宜,変更して設定することができる。
【0048】
また,上記点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールを有してなり,
該スプールの上記突出部には,上記内燃機関側に固定した支持部材に係合するよう構成した係合部を設けてあることが好ましい(請求項3)。
【0049】
上記内燃機関用の点火装置においては,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力の伝達経路である圧力伝達系は,ばね−マス振動系と等価な系として表現することができる。
すなわち,上記碍子等の重量をmg,該碍子を弾性部材として把握したときのばね定数をkgとすると,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは,前出の次式のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0050】
ここで,上記のごとく,上記内燃機関に係合する上記支持部材により上記スプールを保持した場合には,上記圧力伝達系を構成する上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。例えば,上記スプールの外周に上記1次コイルを固定してある場合には,併せて,該1次コイルの重量を排除することができる。
すなわち,上記式3における重量mgを小さくすることができる。そのため,上記内燃機関用の点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
【0051】
上記第2及び第3の発明では,例えば,上記内燃機関のノッキング時に生じる圧力変動の振幅が小さい場合には,上記式3で表現される上記内燃機関用の点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosが,ノッキング周波数に接近するように上記碍子の重量を設定するのが良い。
【0052】
この場合には,ノッキング発生時に上記内燃機関の燃焼室で生じた圧力変動を増幅して,上記圧力検出素子に伝達することができる。
なお,より好ましくは,ノッキング周波数に対する固有振動周波数fosの比率(fos/ノッキング周波数)を1/(2の平方根)〜2に設定すると上記圧力変動を効率良く増幅することができる。
【0053】
また,例えば,上記圧力検出素子を用いて,上記内燃機関のノッキング時に生じる圧力変動を正確に計測したい場合には,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosをノッキング周波数の約2倍以上に設定するのが良い。
この場合には,ノッキング発生時に上記内燃機関の燃焼室で生じた圧力変動について,その振幅や位相を正確に上記圧力検出素子に伝達することができる。
そして,該圧力検出素子に作用した圧力波形によれば,よりきめ細かな燃焼状態の把握が可能となる。すなわち,例えば,燃焼室における燃焼割合や,熱発生率等を算出することが可能となる。
【0054】
上記第4の発明においては,上記保持部材は,上記ケースの内周側に固定してあり,かつ,上記支持部材は,上記ケースの上記後端側の端面に当接しており,上記保持部材は,上記ケースを介して,間接的に上記支持部材と係合するように構成してあることが好ましい(請求項7)。
この場合には,上記係合部材を介して,上記保持部材の軸方向の位置を上記支持部材により,確実に規制することができる。
【0055】
また,上記保持部材は,上記支持部材が当接する作用面を有してなり,上記保持部材は,上記作用面を上記支持部材に当接した状態で,該支持部材と直接的に係合するように構成してあることが好ましい(請求項8)。
この場合には,上記支持部材により直接的に,上記保持部材の軸方向の位置を規制することができる。
【0056】
上記第4の発明においては,上記ケースは,その外周側に,略円筒形状を呈するウェイト部材を装着するように構成してあることが好ましい(請求項11)。この場合には,重量mwのウェイト部材を装着することにより,前出の式2示すごとく,内燃機関から上記圧力検出素子に至る上記ノイズ伝達系において,その固有振動周波数fonを変更することができる。
【0057】
上記第6の発明においては,上記保持部材は,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定してあり,かつ,上記支持部材は,上記ケースの上記後端側の端面に当接していることが好ましい(請求項13)。
この場合には,上記係合部材を介在して,上記保持部材の軸方向の位置を,上記支持部材により規制することができる。
【0058】
また,上記保持部材は,上記支持部材が当接する作用面を有してなり,上記保持部材は,上記作用面を上記支持部材に当接した状態で,該支持部材と直接的に係合していることが好ましい(請求項14)。
この場合には,上記支持部材により直接的に,上記保持部材の軸方向の位置を規制することができる。
【0059】
【実施例】
(実施例1)
本例の内燃機関用の点火装置1について,図1〜図11を用いて説明する。
本例の内燃機関用の点火装置1は,図8に示すごとく,1次コイル31及び2次コイル32を含む点火コイル3と,中心電極22及び接地電極23を含む点火プラグ2とを一体化してなる点火装置である。
上記点火装置1は,2次コイル32及び中心電極22を収容すると共に,1次コイル31を外挿する略円筒形状の碍子5と,該碍子5を内挿すると共に,接地電極23を設けてなる略円筒形状のケース10と,内燃機関(図示略)の燃焼室200の圧力を計測するための圧力検出素子4とを有する点火装置である。
そして,この点火装置1は,その軸方向の先端側を燃焼室200に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成してある。
【0060】
上記ケース10の上記後端側の端部の内周には,碍子5の軸方向の位置を規制する保持部材8を固定してある。
そして,上記圧力検出素子4は,碍子5の上記後端側の端部と,保持部材8との間に挟持してある。
さらに,上記ケース10の外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材15を装着してある。
以下に,この内容について詳しく説明する。
【0061】
本例の内燃機関用の点火装置1は,図8に示すごとく,磁性体で且つ導電性の鉄鋼材料よりなる円筒形状のケース10内に,点火プラグ2と点火コイル3とを収納してなる点火装置である。
この内燃機関用の点火装置1は,点火プラグ2を構成する中心電極22及び接地電極23が内燃機関(図示略)の燃焼室200に露出した状態で,内燃機関のシリンダヘッド210に穿孔されたプラグホール211に装着されるように構成してある。
【0062】
ケース10は,図1に示すごとく,点火コイル3(図8)を収容するコイル収容部130と,該コイル収容部130よりも小径であり,点火プラグ2(図8)を収容するプラグ収容部120とを組み合わせた2重円柱状をなす貫通孔を設けてなる略円筒形状を呈する部材である。
ここで,ケース10における大径のコイル収容部130と小径のプラグ収容部120との間の内周面には,コイル収容部130からプラグ収容部120に向けて縮径するテーパ面123を形成してある。
【0063】
さらに,プラグ収容部120の内周面には,図1に示すごとく,さらに小径を呈する段部121を形成してあり,該段部121におけるコイル収容部130側の表面には,後述する碍子5の当たり面523(図2)と当接する棚状の受け面125を形成してある。
また,ケース10におけるコイル収容部130側の端部の内周面には,雌ねじ部134を形成してある。そして,該雌ねじ部134には,後述する保持部材8(図5)をねじ結合するように構成してある。
【0064】
またさらに,ケース10は,図1に示すごとく,コイル収容部130の外周に当たる部分の外径を,プラグ収容部120の外周に当たる部分の外径よりも大きく構成してなる2重円柱状を呈する外形状を呈する。
ケース10におけるプラグ収容部120側の端部付近の外周面には,雄ねじ部122を形成してあり,軸方向反対側の端部の外周面には,工具を係合可能なナット部132を形成してある。
さらに,ナット部132に軸方向に隣接して,ウェイト部材15の内周面に形成した雌ねじ151(図6)に係合する雄ねじ部133を形成してある。
【0065】
そして,本例の内燃機関用の点火装置1は,図8に示すごとく,所定の工具を上記ナット部132に係合して軸芯中心に回転させることにより,上記雄ねじ部122を,プラグホール211の内周面に形成した雌ねじにねじ結合できるよう構成してある。
さらに,ケース1における雄ねじ部122側の先端には,接地電極23を溶融接合してある。点火装置1においては,接地電極23と,中心電極22の先端とが所定の間隙を形成した状態で対向するように構成してある。
【0066】
また,上記ケース10には,図8に示すごとく,アルミナ等の電気絶縁材料からなる円筒状の碍子5を内挿収容してある。
この碍子5は,図1及び図2に示すごとく,ケース10のプラグ収容部120に内挿されて点火プラグ2を構成するプラグ側筒部52と,コイル収容部130に内挿されて点火コイル3を構成するコイル側筒部53とからなる。
【0067】
上記プラグ側筒部52の外周面には,図2に示すごとく,コイル側筒部53に向けて拡径する段部521を形成してある。そして,該段部521におけるコイル側筒部53と反対側に向かう表面には,上記ケース10の受け面125(図1)と当接する当たり面523を形成してある。
【0068】
本例の点火装置1においては,ケース10に対する碍子5の軸方向の挿入位置は,図8に示すごとく,受け面125(図1)と当たり面523(図2)との当接により規制されるように構成してある。
そして,両者を当接させた際,碍子5におけるプラグ側筒部52の先端が,接地電極23と所定の間隙を形成した状態で,ケース10の端部から突出するように構成してある。
また,上記点火装置1は,受け面125と当たり面523との当接により,ケース1と碍子5との間の気密性を高く保持し得るように構成してある。
【0069】
さらに,コイル側筒部53の外周面には,図2に示すごとく,1次コイル31(図8)を外挿配置する巻線配設部531を形成してある。
そして,図8に示すごとく,巻線配設部531に配設した一次コイル31の両端には,図示しないターミナルを電気的に接続してある。そして,1次コイル31は,このターミナル及び,該ターミナルと電気的に接続したターミナルピン61を介して外部から電力供給できるように構成してある。
【0070】
また,碍子5には,図2に示すごとく,同軸貫通する貫通孔を形成してある。該貫通孔は,コイル側筒部53の内周側に配置されるコイル孔部530と,プラグ側筒部52の内周側に配置されると共に,上記コイル孔部530よりも小径のプラグ孔部520とから構成されている。
該プラグ孔部520は,点火プラグ2(図8)の一部を収容するように構成してあり,コイル孔部530は,点火コイル3(図8)の一部を収容するように構成してある。
【0071】
上記点火プラグ2は,図3及び図8に示すごとく,導電性金属よりなるステム21と,導電性金属よりなる中心電極22と,導電性金属よりなる接地電極23とを有している。
そして,ステム21及び中心電極22は,図3及び図8に示すごとく,碍子5のプラグ孔部520に収容してある。ここで,プラグ孔部520に配置された中心電極22は,その先端と,上記接地電極23との間に所定の間隙を形成した状態で,内燃機関の燃焼室200に露出するように構成してある。
【0072】
上記点火コイル3は,図8に示すごとく,点火電源91と点火用トランジスタ回路92との組み合わせにより電力供給する1次コイル31と,該1次コイル31の内周側に配置した2次コイル32と,該2次コイル32のさらに内周側に配置した円柱状の中心コア33とを組み合わせてなる。
そして,この点火コイル3は,1次コイル31への電力供給に応じた電磁誘導により,2次コイル32の両端に高電圧を発生するように構成してある。
【0073】
該2次コイル32の高電圧端は,図8に示すごとく,ステム21を介して,点火プラグ2の中心電極22に電気的に接続してある。また,低電圧端は,図示しないターミナルを介してケース1に電気的に接続してある。
なお,ケース1はシリンダヘッド210等を介して,内燃機関を搭載する車両のボデーに接地されている。
【0074】
上記の1次コイル31は,図8に示すごとく,碍子5における巻線配設部531に配設する巻線である。
本例の1次コイル31は,銅よりなる断面矩形状を呈する絶縁被覆付きの電線を,碍子5の巻線配設部531の外周に巻回してなる1重巻の巻線である。
なお,本例では,巻回した1次コイル31に,エポキシ樹脂を含浸させて固定してある。
【0075】
上記中心コア33は,図8に示すごとく,強磁性材料よりなる円柱状の部材である。この中心コア33は,スプール34の軸方向の一方の端部から穿孔された穴に収容された状態で,上記2次コイル32の内周側に配置してある。
そして,上記スプール34は,図4に示すごとく,2次コイル32を巻き付ける巻線用筒部341と,この巻線用筒部341からさらに,燃焼室200と反対側(図8)に向けて延びる突出筒部342とを有している。
本例の点火装置1では,図8に示すごとく,スプール34の巻線用筒部341の外周に2次コイル32を巻回してある。
【0076】
また,スプール34の同軸に穿設した中心穴340には,図4及び図8に示すごとく,上記の中心コア33を挿入してある。
この中心穴340は,上記中心コア33が巻線用筒部341の内周側に対応して配置されるように,中心コア33と比較して軸方向に長く形成してある。本例では,中心コア33の端部が突出筒部342に配置されないように,中心穴340を構成してある。
【0077】
なお,本例では,スプール34の中心穴340に中心コア33を収容したうえ,図4及び図8に示すごとく,その開口部をゴムやスポンジ等の弾性材よりなるコア押え蓋35により封止してある。
さらに,本例の点火装置1では,上記のごとく2次コイル32,中心コア33及びコア押さえ蓋35等を組み付けたスプール34を,上記碍子5のコイル孔部530に充填した電気絶縁性の樹脂中で固定してある。
【0078】
上記のごとく,本例の内燃機関用の点火装置1では,図8に示すごとく,2次コイル32,ステム21及び中心電極22を含む高電圧部と,1次コイル31及びケース10を含む低電圧部とが,碍子5によって完全に絶縁されている。
そのため,本例の内燃機関用の点火装置1は,電気的な信頼性が高く,優れた点火性能を有する装置である。
【0079】
さらに,図7及び図8に示すごとく,碍子5における巻線配設部531側の端部の端面510には,圧力検出素子4を挟持した状態で,保持部材8の端面810が対面するように構成してある。
該保持部材8は,その軸方向に貫通する穴であって,上記リング状の圧力検出素子4の内径と略同一径の貫通穴80を有する略円筒形状を呈する部材である。なお,該貫通穴80は,図5に示すごとく,後述するコネクタ6を嵌合するように構成してある。
【0080】
この保持部材8の外周面のうち,ケース10に収容される部分には,図5に示すごとく,上記ケース10の雌ねじ部134(図1)とネジ結合する雄ねじ部84を形成してある。
また,保持部材8の外周面のうち,ケース10に収容されず外部に露出する部分には,断面略6角形状を呈するナット部85を形成してある。
【0081】
そして,本例の点火装置1では,図7に示すごとく,スパナ等の工具(図示略)をナット部85に係合して保持部材8を回転させることにより,該保持部材8の雄ねじ部84と,ケース10の雌ねじ部134(図1)とのねじ結合による保持部材8の進退を可能としてある。
【0082】
また,保持部材8の軸方向における碍子5側の端面には,図5に示すごとく,碍子5の端面510と対面する端面810を形成してある。
そして,図8に示すごとく,保持部材8は,ケース10への螺入に伴って,上記端面810から碍子5の端面510に向けて軸方向の荷重を作用し得るように構成してある。
本例の点火装置1は,碍子5に向けて軸方向の荷重を作用した状態で上記保持部材8を配設することにより,碍子5と保持部材8との間に挟持した上記圧力検出素子4に予荷重を作用し得るように構成してある。
【0083】
圧力検出素子4における碍子5側にある端面には,図示しないリング状のターミナルを当接してある。そして,このリング状のターミナルは,図8に示すごとく,ターミナルピン62と電気的に接続してある。
一方,炭素鋼よりなる保持部材8は,導電性を有している。そして,保持部材8は,同様に導電性を有するケース10にねじ結合している。
そして,本例の圧力検出素子4は,ケース10とターミナルピン62との間に圧力計測信号を出力し得るように構成してある。
【0084】
上記圧力検出素子4は,図7に示すごとく,チタン酸鉛からなる薄板状の素子であって,負荷される荷重の変化に伴って電気的な内部抵抗の大きさが変化するように構成してある。そして本例の圧力検出素子4は,上記碍子5の端面510と略同一断面形状を呈するリング状をなすように形成してある。
なお,本例の点火装置1では,圧力検出素子4の内部抵抗の変化を,ケース10とターミナルピン62との間の電位差として出力できるように構成してある。
【0085】
上記ウェイト部材15は,図6に示すごとく,略円筒形状を呈する部材である。そして,このウェイト部材15は,所定の重量mwを有するように形成してある。
ウェイト部材15における軸方向の端部付近の内周面には,上記ケース10の外周面に形成した雄ねじ部133(図1)と係合する雌ねじ部151を形成してある。
そして,ウェイト部材15は,その雌ねじ部151を上記ケース10の雄ねじ部133(図1)にねじ結合することにより,ケース10に外挿した状態で固定し得るように構成してある。
【0086】
コネクタ6は,図5に示すごとく,保持部材8の貫通穴80に嵌合するように構成してなる樹脂製の部材である。
該コネクタ6は,略円筒状を呈する部材について,軸方向の1箇所に壁面65を形成してなるものである。そしてそのため,コネクタ6は,軸方向の両端面に,相互に連通しない凹みを有している。
コネクタ6における軸方向の外部側に開口する凹みには,イグナイタ等の外部機器から延設されたコネクタソケット(図示略)を収容するように構成してある。
また,上記の壁面65には,上記の1次コイル31と電気的に接続したターミナルピン61及び,圧力検出素子4と電気的に接続したターミナルピン62を貫通固定する挿通穴を形成してある。
【0087】
本例の点火装置1は,図7に示すごとく,中心電極22,ステム21,2次コイル32及び,中心コア33等を組み付けた上記スプール34等を収容した上記碍子5と,上記圧力検出素子4とを,上記保持部材8により軸方向の位置を規制した状態でケース10に収容したものである。
そして,特に,本例の点火装置1では,ケース10の外周側にウェイト部材15を装着してある。
【0088】
次に,本例の内燃機関用の点火装置1の動作について概説する。この内燃機関用の点火装置1では,図8に示すごとく,バッテリやコンデンサ等の点火電源91と点火用トランジスタ回路92との組み合わせにより駆動される点火コイル3が高電圧を発生する。
そして,その高電圧は,点火プラグ2に供給されて,その中心電極22と接地電極23との間の放電ギャップ間において放電火花を形成し,燃焼室内の混合ガスを着火する。
【0089】
一方,燃焼室200内の圧力は,碍子5を介して圧力検出素子4に伝達される。該圧力検出素子4は,上記燃焼室200の圧力に応じた出力信号を,上記ターミナルピン62を介して出力する。
本例では,圧力検出素子4の出力信号は,図8に示すごとく,アンプ93により増幅したうえでバンドパスフィルタ94に供給され,該バンドパスフィルタ94においてノイズ除去される。なお,本例のバンドパスフィルタ94は,6kHz〜8kHzの周波数の信号を通過させ,それ以外の周波数の信号を遮断するように構成してある。
【0090】
内燃機関でノッキングを生じた際に,圧力検出素子4が出力した信号波形によれば,図9に示すごとく,点火後約0.5msec後に生じる燃焼室200の圧力ピークから減衰する過程(点火後,およそ0.5msec〜2.5msecの区間)において,ノッキング周波数である7kHzの圧力変動が顕在化しているのがわかる。
そして,上記バンドパスフィルタ94によれば,図10に示すごとく,7kHzのノッキング周波数の圧力変動を抽出することができる。
【0091】
なお,図9のグラフでは,横軸に点火後の時間を示し,縦軸に圧力検出素子4が出力する出力信号(電圧値)を示している。なお,該出力信号としては,ゼロ点補正後の出力値を示している。また,図10のグラフでは,横軸に点火後の時間を示し,縦軸には,バンドバスフィルタ94を通過する信号波形を示している。
また,本例の点火装置1は,図10に示すごとく,バンドパスフィルタ94の出力信号が,しきい値Kを超えたか否かを判断するというしきい値処理により,ノッキング現象の発生を検出可能なように構成してある。
【0092】
ここで,本例の内燃機関用の点火装置1では,上記燃焼室200から上記圧力検出素子4への圧力(燃焼室の圧力)の伝達経路中に,中心コア33や,点火コイル3や,スプール34等を配設した碍子5により構成される振動系(以下,適宜,圧力振動系と記載する。)が形成されている。
【0093】
この圧力振動系を構成する碍子5の重量mg,碍子5を弾性部材として把握したときのばね定数kgに対して,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは,前出の式3のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
本例の点火装置1について,上記の固有振動周波数fosを実測すると,その値は,10kHzであった。
【0094】
一方,本例の点火装置1は,ケース10の外周に形成した雄ねじ部122を介して,内燃機関のプラグホール211に固定するように構成してある。
そのため,上記内燃機関の構造部材から圧力検出素子4に向けて,ノイズが伝達する経路が形成されるおそれがある。
このノイズが伝達する経路であるノイズ伝達系は,ケース10及び保持部材8よりなる振動系であり,ケース10及び保持部材8の重量mc,ケース10及び保持部材8を弾性体として把握したときのばね定数kcに対して,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,前出の式1のごとく表現される。
fon=1/2×π×(k/(m/3))0.5 ・・・式1
【0095】
ここで,本例の点火装置1のようにケース10の外周に,重量mwのウェイト部材15を装着すると,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数foは,前出の式2のごとく,表現される。
fon=1/2×π×(k/(mw+(m/3)))0.5 ・・・式2
式2に示すごとく,本例の点火装置1では,上記ケース10の外周側に装着した上記ウェイト部材15の重量mwに応じて,上記点火装置1の固有振動周波数fonをコントロールすることができる。
【0096】
そして,一般的に,ある振動伝達系(本例では,上記圧力伝達系と上記ノイズ伝達系との2つの系。)に対して,特定の加振周波数の加振力を入力したとき,上記振動伝達系に伝達される加振力の大きさは,図11に示すごとく,上記振動伝達系の固有振動周波数と上記加振周波数との大小関係によって左右される。
なお,同図,横軸には,上記周波数比を示し,縦軸には,振動伝達系の入出力比としての伝達比(出力/入力)を示してある。
【0097】
すなわち,本例の圧力伝達系とノイズ伝達系を介して,上記圧力検出素子4に伝達される加振力の大きさは,それぞれの系の固有振動周波数と上記加振周波数との大小関係によって左右される。
なお,同図中,横軸には,加振周波数/固有振動周波数としての周波数比を示し,縦軸には,燃焼室から上記内燃機関用の点火装置に入力された圧力に対して,上記圧力検出素子4に伝達される圧力の比を表す伝達比を示している。
【0098】
図11によれば,上記固有振動周波数と上記加振周波数とが接近して周波数比が1に近づくと(図中,B領域),上記振動伝達系が共振し,上記振動伝達系を伝わる加振力が増幅されることがわかる。
一方,固有振動周波数が小さくなり,上記の加振周波数/固有振動周波数なる周波数比が2の平方根を超えると(図中,C領域),加振力が上記振動伝達系において弱められるようになり,上記振動伝達系を伝わる加振力が小さくなることがわかる。
他方,固有振動周波数が大きくなり,上記の加振周波数/固有振動周波数なる周波数比が1/2よりも小さくなると(図中,A領域),上記振動伝達系を伝わる上記加振力がそのままの大きさで伝わることがわかる。
【0099】
なお,ノッキングを検知するように構成した本例の点火装置1では,ノッキング周波数と略一致する上記加振周波数に対する上記ノイズ伝達系及び上記圧力伝達系の伝達特性が重要となる。
このノッキング周波数は,内燃機関を構成する燃焼シリンダのシリンダ径や,燃焼室の形状等によって定まる固有の周波数である。
本例の内燃機関について,ノッキング周波数を実測すると,その周波数は8kHzであった。
【0100】
本例の上記点火装置1を用いて,内燃機関側から伝達されるノイズを抑制しながら,燃焼室200で生じるノッキングに応じて発生する圧力変動を精度良く検知するためには,ノッキング周波数である8kHz付近において,▲1▼圧力伝達系に伝達される加振力を弱めないこと,▲2▼上記ノイズ伝達系に伝達される加振力を弱めることが必要である。
【0101】
本例の点火装置1について,圧力伝達系の固有振動周波数fos=10kHzと,ノッキング周波数=8kHzとを比較すると,その周波数比(加振周波数/固有振動周波数)は,図9に示すごとく,B領域中のB1点にある。
そのため,本例の点火装置1の圧力伝達系によれば,燃焼室で生じたノッキング周波数は,およそ2倍程度に増幅されて圧力検出素子4に伝達されることになる。
したがって,本例の点火装置1は,上記の▲1▼の要件を満たしている。
【0102】
また,本例の点火装置1では,上記▲2▼の要件を満たすべく,図8に示すごとく,ケース10の外周にウェイト部材15を装着した。
ここで,本例の点火装置1では,上記ウェイト部材15を装着しない状態での上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,6kKz(実測値)であった。
そして,本例の点火装置1では,重量mwの上記ウェイト部材を装着することにより,ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを3.5kHzに設定変更してある。
【0103】
その結果,本例の点火装置1では,ノイズ伝達系の周波数比が,図11に示すごとく,C領域中の点C1に設定されることになる。
ノイズ伝達系の周波数比が点C1にあれば,内燃機関側から圧力検出素子4に伝達されるおそれのあるノイズを,ノッキング周波数の近傍において0.3倍程度に弱めて,圧力検出素子4への影響を抑制することができる。
【0104】
以上のごとく,本例の点火装置1によれば,ノッキング周波数近傍において,燃焼室200から圧力検出素子4へ伝達される圧力変動を増幅すると共に,内燃機関側から圧力検出素子4に伝達されるおそれのある振動等のノイズを抑制するため,確実性高くノッキングの発生を検知することができる。
【0105】
(実施例2)
本例は,実施例1の内燃機関用の点火装置を基にして,2次コイル32を配設するスプール36の保持構造を変更した例である。本例の内容について,図12を用いて説明する。
本例の点火装置1では,碍子5によりスプール36を保持する構造に代えて,シリンダヘッド210に固定した支持部材28,29によりスプール36を保持する構造としてある。
【0106】
本例のスプール36は,図12に示すごとく,保持部材8を貫通して,プラグホール211から突出する突出部を有してなり,該突出部には,保持部材8に内周側に配置される部分よりも大径のフランジ部361を形成してある。
該フランジ部361は,支持部材28,29によって,軸方向の位置を規制された状態で固定されるように構成してある。
【0107】
シリンダヘッド210におけるプラグホール211の開口部(燃焼室200の反対側)には,図12に示すごとく,支持部材28をボルト接合するように構成してある。
該支持部材28は,シリンダヘッド210に対してボルト接合するためのフランジ部281と,支持部材29を内挿する筒部282とよりなり,軸方向に貫通する貫通穴280を有する部材である。
貫通穴280は,シリンダヘッド210側の小径部と,反対側の小径部よりも大径の大径部とよりなり,小径部と大径部とを接続する棚面285を有している。そして,大径部の内周面には,雌ねじが形成してある。
【0108】
支持部材29は,略円筒状を呈する部材である。支持部材29の外周面には,支持部材28の内周面に形成した雌ねじと係合する雄ねじを形成してある。また,支持部材29の内周は,実施例1と同一形状のコネクタ6を嵌合するように構成してある。
【0109】
上記のように構成した点火装置1では,スプール36のフランジ部361は,支持部材28の棚面285と係合し,かつ,該棚面285と支持部材29との間で挟持した状態で固定してある。
そのため,実施例1の点火装置における燃焼室200から圧力検出素子4に至る圧力伝達系の固有振動周波数fosを表す前出の次式において,碍子5の重量mgから,スプール36,2次コイル32及び中心コア33の重量を除外して,重量mgを小さくすることができる。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0110】
そのため,本例の点火装置1では,式3で示す圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
そして,本例の点火装置1では,圧力伝達系の固有振動周波数fosを17kHzとして,図11に示すごとく,その周波数比(加振周波数/固有振動周波数)をA領域の点A1に設定してある。
【0111】
そして,圧力伝達系の固有振動周波数fosを,図11に示すごとく,A領域に設定すれば,燃焼室から入力される圧力変動の振幅を,そのまま維持して正確に圧力検出素子4に伝達することができる。
なお,上記スプール36に代えて,中心コア33を軸方向に延長し,その端部を支持部材28,29に保持させるように構成することもできる。
この場合には,実施例1の圧力伝達系を表現する式3における碍子5の重量mgから,中心コア33の重量を排除して,固有振動周波数fosを高くすることができる。
【0112】
また,本例のスプール36の支持構造は,圧力伝達系の固有振動周波数fosと,ノッキング周波数との周波数比が,図11に示すごとく,C領域に属しており,圧力伝達系で検出すべき圧力変動が弱められてしまうような場合に特に有効となる。本例のスプール36の支持構造によれば,圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定でき,その周波数比をA領域或いはB領域に遷移させることが可能となるからである。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0113】
さらに,本例の点火装置1からウェイト部材15を省略して,図13に示すごとく,構成することも可能である。
この場合には,点火装置1におけるノイズ伝達系の固有振動周波数fonはそのままにして,圧力伝達系の固有振動周波数fosの設定を変更するという本例の作用効果を実現することができる。
【0114】
さらになお,図14に示すごとく,スプール36の端部を,ケース10に係合する保持部材8に保持させる構造とすることもできる。
この場合には,本例のウェイト部材15に代えて,スプール36をノイズ伝達系に含めることができ,その固有振動周波数fonの設定変更が可能(fonを低くできる。)になると共に,圧力伝達系からスプール36を排除して,その固有振動周波数fosの設定変更が可能(fosを高くできる。)となる。
【0115】
(実施例3)
本例は,実施例1の内燃機関用の点火装置を基にして,シリンダヘッド210に係合する支持部材27が,ケース10の端部に当接する構造に変更した例である。
本例の点火装置1では,上記の構造により,ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを変更して設定してある。本例の内容について,図15及び16を用いて説明する。
【0116】
本例のシリンダヘッド210のプラグホールの開口部には,外周に雄ねじを形成してなる円筒突出部212を形成してある。
上記支持部材27は,第1の円筒形状と,該第1の円筒形状よりも小径の第2の円筒形状とを同軸に重ねてなる2重円筒形状について,上記第1の円筒形状と上記第2の円筒形状とを相互に接続する端面271を,軸方向の一方に形成してなる部材である。
すなわち,支持部材27は,端面271の一方の側に,上記第1の円筒形状と,上記第2の円筒形状とが突出するように形成した部材である。
【0117】
この支持部材27における第1の円筒形状を形成する外周壁272の内周面には,上記円筒突出部の外周の雄ねじとねじ結合する雌ねじを形成してある。
また,支持部材27における第2の円筒形状を形成する内周壁273の軸方向の端面は,ケース10の軸方向の端部と当接するように構成してある。
【0118】
上記のように構成した本例の点火装置1では,ケース10の軸方向の端部に,支持部材27を当接することにより,上記ノイズ伝達系を構成するケース10の剛性を,見かけ上,向上してある。
すなわち,本例の点火装置1では,上記の式1で表現されるノイズ伝達系について,ケース10のばね定数kcを大きくしたことと同様の効果が得られる。
【0119】
以上のように,本例の点火装置1によれば,ケース10の端部を,シリンダヘッド210に係合する支持部材27に当接させることで,ノイズ伝達系の固有振動周波数fosを変更して設定することができる。
ここで,支持部材27の剛性を変更すれば,固有振動周波数fosを適宜,変更することが可能である。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0120】
なお,また,本例の点火装置1を基にして,図16に示すごとく,ケース10の軸方向長さを短くすると共に,支持部材27を碍子5の軸方向の端部に当接させることもできる。
この場合には,ケース10の軸方向の長さを短縮して,その剛性を向上するという効果を得ることができる。
そして,式1におけるケース10のばね定数kcを等価的に大きく設定して,ノイズ伝達係数の固有振動周波数fosを高くするように設定変更することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,ケースの構造を示す断面図。
【図2】実施例1における,碍子の構造を示す断面図。
【図3】実施例1における,点火プラグの中心電極及びステムを示す側面図。
【図4】実施例1における,スプールの構造を示す断面図。
【図5】実施例1における,保持部材と,コネクタとの組み合わせ構造を示す断面図。
【図6】実施例1における,ウェイト部材の構造を示す断面図。
【図7】実施例1における,点火装置の組み付け構造を示す説明図。
【図8】実施例1における,点火装置の取り付け構造を示す断面図。
【図9】実施例1における,圧力検出素子の出力信号の変化を示すグラフ。
【図10】実施例1における,バンドパスフィルタの出力信号の変化を示すグラフ。
【図11】実施例1における,周波数比と,伝達比との関係を示すグラフ。
【図12】実施例2における,点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図13】実施例2における,その他の点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図14】実施例2における,その他の点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図15】実施例3における,点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図16】実施例3における,その他の点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【符号の説明】
1...点火装置,
10...ケース,
15...ウェイト部材,
2...点火プラグ,
21...ステム,
22...中心電極,
23...接地電極,
200...燃焼室,
27,28,29...支持部材,
3...点火コイル,
31...1次コイル,
32...2次コイル,
33...中心コア,
34,36...スプール,
4...圧力検出素子,
5...碍子,
6...コネクタ,
61,62...ターミナルピン,
8...保持部材,
【技術分野】
本発明は,点火プラグと点火コイルと圧力検出素子とを一体化した内燃機関用の点火装置及び,その取り付け構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、点火コイルと点火プラグを一体化した内燃機関用の点火装置に、圧力検出素子を内蔵した点火装置が提案されている。該内燃機関用の点火装置は,内蔵した圧力検出素子を用いて,燃焼室の圧力を計測できるように構成してある。
そして,燃焼室の圧力を計測するよう構成した点火装置によれば,内燃機関の燃焼状態,例えばノッキング等の検知が可能となる。
【0003】
上記の点火装置は,例えば,点火コイルと点火プラグとを同軸上に配置すると共に,点火プラグの外周側に圧力検出素子を配置し,点火コイルの近傍に配置した出力信号線を介して圧力検出素子の出力信号を出力するよう構成することがある(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−277232号公報(明細書中の段落番号「0020」〜「0031」,図1)
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の内燃機関用の点火装置では,次のような問題がある。すなわち,圧力検出素子の信号線を配設するためのスペースを点火コイルの外周側に確保する必要があり、上記点火装置の大径化を招来するという問題がある。また、点火コイルの外周側に配設された圧力検出素子の出力信号線には,点火ノイズが混入するおそれが高い。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,内蔵する圧力検出素子を用いて,燃焼室で生じるノッキング現象を確実性高く検知する内燃機関用の点火装置及び,その取り付け構造を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
【0008】
第1の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記ケースの上記後端側の端部の内周には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を固定してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記ケースの外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材を装着してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項1)。
【0009】
上記第1の発明の内燃機関用の点火装置では,上記2次コイルを収容すると共に,上記1次コイルを外挿した上記碍子の上記後端側の端部に対峙して,上記圧力検出素子を配設してある。
すなわち,上記内燃機関用の点火装置では,上記点火コイルの配設位置に対して,上記燃焼室と反対側の端部である上記後端側の端部に近く,上記圧力検出素子を配設してある。
【0010】
そのため,上記点火装置では,上記圧力検出素子の出力信号を取り出す信号線を上記点火コイルの外周側に配設する必要がない。
それ故,上記内燃機関用の点火装置では,上記点火コイルの外周側に上記出力信号を配設するためのスペースを確保する必要がないため,小径に構成することができる。
また,上記点火装置では,上記点火コイルから発生するおそれがある点火ノイズが,上記出力信号線に混入するおそれが少ない。
【0011】
一方,上記内燃機関用の点火装置は,上記ケースの外周面の一部を,上記内燃機関に当接した状態で取り付けられる。
そのため,上記ケース及び,該ケースに係合する上記保持部材を経由して,上記内燃機関の振動等のノイズが上記圧力検出素子に伝達されるおそれがある。
【0012】
すなわち,上記内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関等,外部から上記圧力検出素子に向けて,上記ケース及び上記保持部材等よりなる伝達系(以下,適宜,ノイズ伝達系と記載する。)が形成されることになる。
ここで,上記ケース及び上記保持部材等を弾性部材として把握したとき,上記ノイズ伝達系は,上記ケース及び上記保持部材等の重さを重量マスとし,上記ケース及び上記保持部材を弾性体とした,いわゆる「ばね−マス振動系」と等価な系として表すことができる。
【0013】
ここで,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ケースの外周側に,取り外し可能な状態でウェイト部材を装着してある。
そのため,上記内燃機関用の点火装置では,上記ケースに装着する上記ウェイト部材の重量が,上記ばね−マス振動系に付加したおもりとして作用することになる。そして,上記ウェイト部材の重量に応じて,上記ノイズ伝達系の特性を適宜,変更することができる。
【0014】
上記ウェイト部材を装着しない状態における上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,上記ばね−マス振動系の固有振動周波数として求めることができる。
すなわち,上記ケース及び上記保持部材等の合計の重量をmc,ケース及び保持部材を一体の弾性部材として把握したときのばね定数をkcとすると,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは次式のごとく表現される。
fon=1/2×π×(kc/(mc/3))0.5 ・・・式1
【0015】
一方,上記ケースの外周側に上記ウェイト部材を装着すると,該ウェイト部材は,上記ばね−マス振動系に付加したおもりとして作用する。
そうすると,重量mwの上記ウェイト部材を装着したときの上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,次式のごとく表現することができる。
fon=1/2×π×(kc/(mw+(mc/3)))0.5 ・・・式2
【0016】
そのため,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置のように,上記ケースの外周側に上記ウェイト部材を装着する場合には,上記ケースと上記保持部材等とからなるノイズ伝達系の固有振動周波数fonを,ウェイト部材の重量mwに応じて変更することができる。
さらに,様々な重量の上記ウェイト部材を各種準備しておけば,該ウェイト部材の付け替えにより,上記内燃機関用の点火装置の上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを制御することが可能である。
【0017】
上記内燃機関で生じるおそれのあるノッキングは,一定の周波数(以下,適宜,ノッキング周波数と記載。)の振動を伴う現象である。
上記第1の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ノッキング周波数の圧力変動を,上記圧力検出素子により検知することによりノッキングの発生を検出するように構成してある。
したがって,上記点火装置では,上記ノッキング周波数近傍におけるノイズ成分を抑制することで,上記圧力検出素子によるノッキング検出精度を向上することができる。
【0018】
ここで,一般的に,ある伝達系に対して,特定の周波数の振動が入力されたとき,該伝達系を経由して伝達される振動の大きさは,伝達系の固有振動周波数と上記入力周波数との大小関係によって左右される。
上記固有振動周波数と上記入力周波数とが接近すると,上記伝達系が共振し,増幅された振動が伝達されることになる。すなわち,この場合には,上記ノイズ伝達系の入力と出力との比である伝達率(出力/入力)が1を超えることになる。
【0019】
一方,入力周波数/固有振動周波数比が大きくなると(固有振動周波数が小さい状態),入力された振動は,上記伝達系において伝達が抑えられ,伝達される振動が小さくなる。すなわち,この場合には,上記ノイズ伝達系の伝達率が1よりも小さくなることになる。
他方,入力周波数/固有振動周波数比が小さくなると(固有振動周波数が大きい状態),上記伝達系が剛体的な伝達部材として作用する。そのため,大きな増幅等を生じることなく,入力された振動が上記伝達系を伝達されることになる。
すなわち,この場合には,上記ノイズ伝達系の伝達率が1に近づくことになる。
【0020】
以上のことから,ノッキング周波数/固有振動周波数fon比が大きくなるように,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを小さく設定すると,ノッキング周波数近傍の周波数を有するノイズ成分について,上記ノイズ伝達系の伝達率を抑制することができる。
そのため,上記ノッキング周波数の近傍の周波数領域において,圧力検出素子で計測する圧力のS(信号)/N(ノイズ)比を向上して,正確にノッキング検出を実施することができる。
特に,ノッキング周波数/固有振動周波数fonの比である周波数比が,2の平方根より大きくなるように上記固有振動周波数fonを設定すると,ノッキング周波数近傍のノイズ成分の伝達率を1未満にすることができる。
【0021】
第2の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
該点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールと,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材とを有してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールの上記突出部には,上記内燃機関に固定した支持部材に係合するよう構成した係合部を設けてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項4)。
【0022】
ここで,一般に,上記内燃機関用の点火装置においては,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力の伝達経路である圧力伝達系は,ばね−マス振動系と等価な系として表現することができる。
すなわち,上記碍子等の重量をmg,該碍子を弾性部材として把握したときのばね定数をkgとすると,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは次式のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0023】
ここで,上記第2の発明の内燃機関用の点火装置のごとく,上記内燃機関側に固定した支持部材により上記スプールを保持した場合には,式3における上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。
すなわち,上記スプールに上記1次コイルを固定してある場合には,上記構成部品として上記1次コイルの重量が排除され,上記スプールに上記1次コイルを固定してない場合には,上記1次コイルの重量は排除されない。
いずれにしても,上記重量mgから少なくとも上記スプールの重量を排除した上記内燃機関用の点火装置では,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力伝達系について,その固有振動周波数fosを高く設定できる。
【0024】
上記ノイズ伝達系の場合と同様に,上記の圧力伝達系のような伝達系に対して,特定の周波数の振動が入力されたとき,該伝達系を経由して伝達される振動の大きさは,伝達系の固有振動周波数と上記入力周波数との大小関係によって左右される。
上記固有振動周波数と上記入力周波数とが接近すると,上記伝達系が共振し,増幅された振動が伝達されることになる。すなわち,この場合には,上記圧力伝達系の入力と出力との比である伝達率(出力/入力)が1を超えることになる。一方,入力周波数/固有振動周波数比が大きくなると(固有振動周波数が小さい状態),入力された振動は,上記伝達系において伝達が抑えられ振動が小さくなる。すなわち,この場合には,上記圧力伝達系の伝達率が1よりも小さくなることになる。
他方,入力周波数/固有振動周波数比が小さくなると(固有振動周波数が大きい状態),上記伝達系が剛体的な伝達部材として作用する。そのため,大きな増幅等を生じることなく,入力された振動が上記伝達系を伝達されることになる。
すなわち,この場合には,上記圧力伝達系の伝達率が1に近づくことになる。
【0025】
上記第2の発明の内燃機関用の点火装置によれば,上記内燃機関側に固定した上記支持部材により上記スプールを保持することにより,上記点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
そして,ノッキング周波数/固有振動周波数fos比を小さくすることができ,上記燃焼室において生じたノッキング時の圧力変動を,正確に上記圧力検出素子に伝達することができる。
特に,圧力伝達系の固有振動周波数fosを,ノッキング周波数の2倍以上に設定した場合には,ノッキングに伴う上記圧力伝達系の共振を抑制すると共に,計測すべき圧力変動の減衰を抑制して,精度高くノッキングの発生を検知することができる。
【0026】
第3の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
該点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記碍子の上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールと,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材とを有してなり,上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールは,上記突出部に設けた係合部を上記保持部材に係合させてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項5)。
【0027】
上記第3の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ケースの内周側に固定した保持部材により上記スプールを保持してある。
この場合には,上記第2の発明の内燃機関用の点火装置と同様に,上記式3における上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。例えば,上記スプールの外周に上記2次コイルを固定した場合には,上記構成部品として上記2次コイルの重量を排除することができる。
そして,上記第2の発明の内燃機関用の点火装置と同様に,上記点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
【0028】
第4の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設する状態で内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに取り付けるように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記点火装置の上記後端側の端部には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を配置してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
該保持部材は,上記点火装置を上記プラグホールに取り付けた際,上記内燃機関側に固定した支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,軸方向の位置が規制されるように構成してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項6)。
【0029】
上記第4の発明の内燃機関用の点火装置では,上記圧力検出素子を,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置と同様,上記点火プラグと反対側の端部に配置してある。
そのため,上記第4の発明の内燃機関用の点火装置によれば,小径であって,かつ,圧力検出素子の出力信号中に点火ノイズが混入するおそれの少ない内燃機関用の点火装置を提供することができる。
【0030】
また,上記内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関等,外部から上記圧力検出素子に向けて,上記ケース及び上記保持部材等よりなる伝達系(以下,適宜,ノイズ伝達系と記載する。)が形成されることになる。
ここで,上記ケース及び上記保持部材等を弾性部材として把握したとき,上記ノイズ伝達系は,上記ケース及び上記保持部材等の重さを重量マスとし,上記ケース及び上記保持部材等を弾性体とした,いわゆる「ばね−マス振動系」と等価な系として表現することができる。
【0031】
特に,上記第4の発明の内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関側に固定した上記支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,上記保持部材の軸方向の位置を規制するように構成してある。
そのため,上記内燃機関用の点火装置では,上記ノイズ伝達系に上記支持部材が追加されることになる。上記式1におけるばね定数kcとしては,上記支持部材の剛性が加味された値となる。
【0032】
この支持部材の剛性を高くすると上記式1における振動伝達系のばね定数を大きくすることができ,上記内燃機関用の点火装置におけるノイズ伝達系の固有振動周波数fonを高くすることができる。
一方,上記支持部材の剛性を抑制すると,上記式1におけるノイズ伝達系のばね定数kcを小さくすることができ,上記内燃機関用の点火装置におけるノイズ伝達系の固有振動周波数fonを低くすることができる。
【0033】
以上のごとく,上記第4の発明の内燃機関用の点火装置では,上記支持部材の剛性を適宜,変更することにより,上記内燃機関用の点火装置における上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適宜,変更することができる。
ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを,ノッキング周波数から離して設定すれば,上記圧力検出素子における圧力計測について外部からのノイズの影響を抑制することができる。
【0034】
第5の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記ケースの上記後端側の端部の内周には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を固定してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記内燃機関用の点火装置における上記ケースから上記圧力検出素子に至るノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,14kHz以下であり,上記内燃機関用の点火装置における上記燃焼室から上記圧力検出素子に至る圧力伝達系の固有振動周波数fosは,3.5kHz以上であって,
かつ,上記fonと上記fosとは,fon<fosなる関係を満たしていることを特徴とする内燃機関用の点火装置にある(請求項9)。
【0035】
上記第5の発明の内燃機関用の点火装置では,上記圧力検出素子を,上記第1の発明の内燃機関用の点火装置と同様,上記点火プラグと反対側の端部に配置してある。
そのため,上記第5の発明の内燃機関用の点火装置によれば,小径であって,かつ,圧力検出素子の出力信号中に点火ノイズが混入するおそれの少ない内燃機関用の点火装置を提供することができる。
【0036】
上記内燃機関用の点火装置は,上記ケースの外周面の一部を,上記内燃機関に当接した状態で取り付けられる。
そのため,上記内燃機関用の点火装置では,上記内燃機関等,外部から上記圧力検出素子に向けて,上記ケース及び上記保持部材等よりなり,上記第1の発明と同様のノイズ伝達系が構成されている。そして,内燃機関の振動等のノイズは,上記ノイズ伝達系を介して,上記圧力伝達素子に伝達されるおそれがある。
【0037】
また,上記内燃機関用の点火装置は,上記碍子の端部を,上記燃焼室に露出した状態で上記内燃機関に取り付けられる。
そのため,上記内燃機関用の点火装置においては,上記燃焼室から上記圧力検出素子に向けて,上記碍子及び,該碍子に係合する部材よりなり,上記第2の発明と同様の圧力伝達系が構成されている。そして,計測対象である燃焼室の圧力は,上記圧力伝達系を介して,圧力検出素子に伝達される。
【0038】
そこで,上記第5の発明の内燃機関用の点火装置では,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを14kHz以下に設定すると共に,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosを3.5kHz以上に設定し,さらに,上記fonと上記fosとが,fon<fosなる関係を満たすように設定してある。
【0039】
ここで,上記ノッキング周波数は内燃機関によって異なるものの,自動車用の内燃機関に限ると,概ね,5kHz〜20kHzの範囲にある。
ノッキング周波数近傍のノイズ成分の伝達率を1未満にするためには,上記のごとく,ノッキング周波数/固有振動周波数fonを2の平方根より大きく設定すればよく,ノッキング周波数近傍のノッキング信号の伝達率を1以上にするためには,上記のごとく,ノッキング周波数/固有振動周波数fosを2の平方根よりも小さくすればよい。
【0040】
すなわち,ノッキング周波数5kHzの内燃機関に対しては,上記固有振動周波数fonを3.5kHz(5kHzを2の平方根で除した周波数値。)未満とし,上記固有振動周波数fosを3.5kHz以上とするのが良い。
また,ノッキング周波数20kHzの内燃機関に対しては,上記固有振動周波数fosを14kHz(20kHzを2の平方根で除した周波数値。)未満とし,上記固有振動周波数fosを14kHz以上とするのが良い。
【0041】
以上のことから,上記固有振動周波数fon及び上記固有振動周波数fosを上記のごとく設定してなる上記内燃機関用の点火装置は,自動車用の内燃機関のノッキング信号を検出するのに適当な点火装置である。
【0042】
第6の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する内燃機関用の点火装置を,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設した状態で,内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに装着する点火装置の取付構造において,
上記点火装置は,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材と,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールとを有してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールは,上記突出部に設けた係合部を,上記内燃機関側に固定した支持部材に係合していることを特徴とする点火装置の取り付け構造にある(請求項10)。
【0043】
上記第6の発明の点火装置の取り付け構造では,上記内燃機関側に固定した上記支持部材に上記スプールを保持してある。
ここで,上記取り付け構造により取り付けた上記内燃機関用の点火装置では,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力の伝達経路に形成される圧力伝達系は,ばね−マス振動系と等価な系として表現することができる。
すなわち,上記碍子等の重量をmg,該碍子を弾性部材として把握したときのばね定数をkgとすると,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは,前出の次式のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0044】
ここで,上記第6の発明の内燃機関用の点火装置のごとく,上記内燃機関側に固定した上記支持部材により上記スプールを保持した場合には,上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。例えば,スプールの外周に上記2次コイルを固定してある場合には,上記構成部品として上記2次コイルの重要を排除することができる。
そして,重量mgを小さくすれば,上記点火装置における上記燃焼室から上記圧力検出素子に至る圧力伝達系について,その固有振動周波数fosを高く変更して設定できる。
【0045】
第7の発明は,1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する内燃機関用の点火装置を,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設した状態で,内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに装着する点火装置の取付構造において,
上記点火装置の上記後端側の端部には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を配置してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
該保持部材は,上記内燃機関側に固定した支持部材との直接的あるいは間接的な係合により軸方向の位置を規制してあることを特徴とする点火装置の取り付け構造にある(請求項12)。
【0046】
上記第7の発明の取り付け構造により取り付けた点火装置は,上記内燃機関側に固定した上記支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,上記保持部材の軸方向の位置を規制してある。
そのため,上記第7の発明の取り付け構造によれば,上記支持部材の剛性の如何によって,上記内燃機関から上記圧力検出素子に至るノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適宜,変更することができるという上記第4の発明と同様の効果が得られる。
そして,ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適切に設定した上記内燃機関用の点火装置によれば,上記第4の発明と同様に,上記内燃機関で生じたノッキングを精度良く検知することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
また,上記第1の発明においては,上記ウェイト部材は,略円筒形状を呈しており,該ウェイト部材と上記ケースとは,上記ウェイト部材の内周面に形成した雌ねじ部と,上記ケースの外周面に形成した雄ねじ部との係合によるねじ結合により固定してあることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記ケースに対して,上記ウェイト部材を容易に脱着することができる。そして,上記ウェイト部材の重量設定により,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを適宜,変更して設定することができる。
【0048】
また,上記点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールを有してなり,
該スプールの上記突出部には,上記内燃機関側に固定した支持部材に係合するよう構成した係合部を設けてあることが好ましい(請求項3)。
【0049】
上記内燃機関用の点火装置においては,上記燃焼室から上記圧力検出素子への圧力の伝達経路である圧力伝達系は,ばね−マス振動系と等価な系として表現することができる。
すなわち,上記碍子等の重量をmg,該碍子を弾性部材として把握したときのばね定数をkgとすると,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは,前出の次式のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0050】
ここで,上記のごとく,上記内燃機関に係合する上記支持部材により上記スプールを保持した場合には,上記圧力伝達系を構成する上記重量mgから,スプール及び該スプールに保持した構成部品の重量を排除することができる。例えば,上記スプールの外周に上記1次コイルを固定してある場合には,併せて,該1次コイルの重量を排除することができる。
すなわち,上記式3における重量mgを小さくすることができる。そのため,上記内燃機関用の点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
【0051】
上記第2及び第3の発明では,例えば,上記内燃機関のノッキング時に生じる圧力変動の振幅が小さい場合には,上記式3で表現される上記内燃機関用の点火装置の圧力伝達系の固有振動周波数fosが,ノッキング周波数に接近するように上記碍子の重量を設定するのが良い。
【0052】
この場合には,ノッキング発生時に上記内燃機関の燃焼室で生じた圧力変動を増幅して,上記圧力検出素子に伝達することができる。
なお,より好ましくは,ノッキング周波数に対する固有振動周波数fosの比率(fos/ノッキング周波数)を1/(2の平方根)〜2に設定すると上記圧力変動を効率良く増幅することができる。
【0053】
また,例えば,上記圧力検出素子を用いて,上記内燃機関のノッキング時に生じる圧力変動を正確に計測したい場合には,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosをノッキング周波数の約2倍以上に設定するのが良い。
この場合には,ノッキング発生時に上記内燃機関の燃焼室で生じた圧力変動について,その振幅や位相を正確に上記圧力検出素子に伝達することができる。
そして,該圧力検出素子に作用した圧力波形によれば,よりきめ細かな燃焼状態の把握が可能となる。すなわち,例えば,燃焼室における燃焼割合や,熱発生率等を算出することが可能となる。
【0054】
上記第4の発明においては,上記保持部材は,上記ケースの内周側に固定してあり,かつ,上記支持部材は,上記ケースの上記後端側の端面に当接しており,上記保持部材は,上記ケースを介して,間接的に上記支持部材と係合するように構成してあることが好ましい(請求項7)。
この場合には,上記係合部材を介して,上記保持部材の軸方向の位置を上記支持部材により,確実に規制することができる。
【0055】
また,上記保持部材は,上記支持部材が当接する作用面を有してなり,上記保持部材は,上記作用面を上記支持部材に当接した状態で,該支持部材と直接的に係合するように構成してあることが好ましい(請求項8)。
この場合には,上記支持部材により直接的に,上記保持部材の軸方向の位置を規制することができる。
【0056】
上記第4の発明においては,上記ケースは,その外周側に,略円筒形状を呈するウェイト部材を装着するように構成してあることが好ましい(請求項11)。この場合には,重量mwのウェイト部材を装着することにより,前出の式2示すごとく,内燃機関から上記圧力検出素子に至る上記ノイズ伝達系において,その固有振動周波数fonを変更することができる。
【0057】
上記第6の発明においては,上記保持部材は,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定してあり,かつ,上記支持部材は,上記ケースの上記後端側の端面に当接していることが好ましい(請求項13)。
この場合には,上記係合部材を介在して,上記保持部材の軸方向の位置を,上記支持部材により規制することができる。
【0058】
また,上記保持部材は,上記支持部材が当接する作用面を有してなり,上記保持部材は,上記作用面を上記支持部材に当接した状態で,該支持部材と直接的に係合していることが好ましい(請求項14)。
この場合には,上記支持部材により直接的に,上記保持部材の軸方向の位置を規制することができる。
【0059】
【実施例】
(実施例1)
本例の内燃機関用の点火装置1について,図1〜図11を用いて説明する。
本例の内燃機関用の点火装置1は,図8に示すごとく,1次コイル31及び2次コイル32を含む点火コイル3と,中心電極22及び接地電極23を含む点火プラグ2とを一体化してなる点火装置である。
上記点火装置1は,2次コイル32及び中心電極22を収容すると共に,1次コイル31を外挿する略円筒形状の碍子5と,該碍子5を内挿すると共に,接地電極23を設けてなる略円筒形状のケース10と,内燃機関(図示略)の燃焼室200の圧力を計測するための圧力検出素子4とを有する点火装置である。
そして,この点火装置1は,その軸方向の先端側を燃焼室200に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成してある。
【0060】
上記ケース10の上記後端側の端部の内周には,碍子5の軸方向の位置を規制する保持部材8を固定してある。
そして,上記圧力検出素子4は,碍子5の上記後端側の端部と,保持部材8との間に挟持してある。
さらに,上記ケース10の外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材15を装着してある。
以下に,この内容について詳しく説明する。
【0061】
本例の内燃機関用の点火装置1は,図8に示すごとく,磁性体で且つ導電性の鉄鋼材料よりなる円筒形状のケース10内に,点火プラグ2と点火コイル3とを収納してなる点火装置である。
この内燃機関用の点火装置1は,点火プラグ2を構成する中心電極22及び接地電極23が内燃機関(図示略)の燃焼室200に露出した状態で,内燃機関のシリンダヘッド210に穿孔されたプラグホール211に装着されるように構成してある。
【0062】
ケース10は,図1に示すごとく,点火コイル3(図8)を収容するコイル収容部130と,該コイル収容部130よりも小径であり,点火プラグ2(図8)を収容するプラグ収容部120とを組み合わせた2重円柱状をなす貫通孔を設けてなる略円筒形状を呈する部材である。
ここで,ケース10における大径のコイル収容部130と小径のプラグ収容部120との間の内周面には,コイル収容部130からプラグ収容部120に向けて縮径するテーパ面123を形成してある。
【0063】
さらに,プラグ収容部120の内周面には,図1に示すごとく,さらに小径を呈する段部121を形成してあり,該段部121におけるコイル収容部130側の表面には,後述する碍子5の当たり面523(図2)と当接する棚状の受け面125を形成してある。
また,ケース10におけるコイル収容部130側の端部の内周面には,雌ねじ部134を形成してある。そして,該雌ねじ部134には,後述する保持部材8(図5)をねじ結合するように構成してある。
【0064】
またさらに,ケース10は,図1に示すごとく,コイル収容部130の外周に当たる部分の外径を,プラグ収容部120の外周に当たる部分の外径よりも大きく構成してなる2重円柱状を呈する外形状を呈する。
ケース10におけるプラグ収容部120側の端部付近の外周面には,雄ねじ部122を形成してあり,軸方向反対側の端部の外周面には,工具を係合可能なナット部132を形成してある。
さらに,ナット部132に軸方向に隣接して,ウェイト部材15の内周面に形成した雌ねじ151(図6)に係合する雄ねじ部133を形成してある。
【0065】
そして,本例の内燃機関用の点火装置1は,図8に示すごとく,所定の工具を上記ナット部132に係合して軸芯中心に回転させることにより,上記雄ねじ部122を,プラグホール211の内周面に形成した雌ねじにねじ結合できるよう構成してある。
さらに,ケース1における雄ねじ部122側の先端には,接地電極23を溶融接合してある。点火装置1においては,接地電極23と,中心電極22の先端とが所定の間隙を形成した状態で対向するように構成してある。
【0066】
また,上記ケース10には,図8に示すごとく,アルミナ等の電気絶縁材料からなる円筒状の碍子5を内挿収容してある。
この碍子5は,図1及び図2に示すごとく,ケース10のプラグ収容部120に内挿されて点火プラグ2を構成するプラグ側筒部52と,コイル収容部130に内挿されて点火コイル3を構成するコイル側筒部53とからなる。
【0067】
上記プラグ側筒部52の外周面には,図2に示すごとく,コイル側筒部53に向けて拡径する段部521を形成してある。そして,該段部521におけるコイル側筒部53と反対側に向かう表面には,上記ケース10の受け面125(図1)と当接する当たり面523を形成してある。
【0068】
本例の点火装置1においては,ケース10に対する碍子5の軸方向の挿入位置は,図8に示すごとく,受け面125(図1)と当たり面523(図2)との当接により規制されるように構成してある。
そして,両者を当接させた際,碍子5におけるプラグ側筒部52の先端が,接地電極23と所定の間隙を形成した状態で,ケース10の端部から突出するように構成してある。
また,上記点火装置1は,受け面125と当たり面523との当接により,ケース1と碍子5との間の気密性を高く保持し得るように構成してある。
【0069】
さらに,コイル側筒部53の外周面には,図2に示すごとく,1次コイル31(図8)を外挿配置する巻線配設部531を形成してある。
そして,図8に示すごとく,巻線配設部531に配設した一次コイル31の両端には,図示しないターミナルを電気的に接続してある。そして,1次コイル31は,このターミナル及び,該ターミナルと電気的に接続したターミナルピン61を介して外部から電力供給できるように構成してある。
【0070】
また,碍子5には,図2に示すごとく,同軸貫通する貫通孔を形成してある。該貫通孔は,コイル側筒部53の内周側に配置されるコイル孔部530と,プラグ側筒部52の内周側に配置されると共に,上記コイル孔部530よりも小径のプラグ孔部520とから構成されている。
該プラグ孔部520は,点火プラグ2(図8)の一部を収容するように構成してあり,コイル孔部530は,点火コイル3(図8)の一部を収容するように構成してある。
【0071】
上記点火プラグ2は,図3及び図8に示すごとく,導電性金属よりなるステム21と,導電性金属よりなる中心電極22と,導電性金属よりなる接地電極23とを有している。
そして,ステム21及び中心電極22は,図3及び図8に示すごとく,碍子5のプラグ孔部520に収容してある。ここで,プラグ孔部520に配置された中心電極22は,その先端と,上記接地電極23との間に所定の間隙を形成した状態で,内燃機関の燃焼室200に露出するように構成してある。
【0072】
上記点火コイル3は,図8に示すごとく,点火電源91と点火用トランジスタ回路92との組み合わせにより電力供給する1次コイル31と,該1次コイル31の内周側に配置した2次コイル32と,該2次コイル32のさらに内周側に配置した円柱状の中心コア33とを組み合わせてなる。
そして,この点火コイル3は,1次コイル31への電力供給に応じた電磁誘導により,2次コイル32の両端に高電圧を発生するように構成してある。
【0073】
該2次コイル32の高電圧端は,図8に示すごとく,ステム21を介して,点火プラグ2の中心電極22に電気的に接続してある。また,低電圧端は,図示しないターミナルを介してケース1に電気的に接続してある。
なお,ケース1はシリンダヘッド210等を介して,内燃機関を搭載する車両のボデーに接地されている。
【0074】
上記の1次コイル31は,図8に示すごとく,碍子5における巻線配設部531に配設する巻線である。
本例の1次コイル31は,銅よりなる断面矩形状を呈する絶縁被覆付きの電線を,碍子5の巻線配設部531の外周に巻回してなる1重巻の巻線である。
なお,本例では,巻回した1次コイル31に,エポキシ樹脂を含浸させて固定してある。
【0075】
上記中心コア33は,図8に示すごとく,強磁性材料よりなる円柱状の部材である。この中心コア33は,スプール34の軸方向の一方の端部から穿孔された穴に収容された状態で,上記2次コイル32の内周側に配置してある。
そして,上記スプール34は,図4に示すごとく,2次コイル32を巻き付ける巻線用筒部341と,この巻線用筒部341からさらに,燃焼室200と反対側(図8)に向けて延びる突出筒部342とを有している。
本例の点火装置1では,図8に示すごとく,スプール34の巻線用筒部341の外周に2次コイル32を巻回してある。
【0076】
また,スプール34の同軸に穿設した中心穴340には,図4及び図8に示すごとく,上記の中心コア33を挿入してある。
この中心穴340は,上記中心コア33が巻線用筒部341の内周側に対応して配置されるように,中心コア33と比較して軸方向に長く形成してある。本例では,中心コア33の端部が突出筒部342に配置されないように,中心穴340を構成してある。
【0077】
なお,本例では,スプール34の中心穴340に中心コア33を収容したうえ,図4及び図8に示すごとく,その開口部をゴムやスポンジ等の弾性材よりなるコア押え蓋35により封止してある。
さらに,本例の点火装置1では,上記のごとく2次コイル32,中心コア33及びコア押さえ蓋35等を組み付けたスプール34を,上記碍子5のコイル孔部530に充填した電気絶縁性の樹脂中で固定してある。
【0078】
上記のごとく,本例の内燃機関用の点火装置1では,図8に示すごとく,2次コイル32,ステム21及び中心電極22を含む高電圧部と,1次コイル31及びケース10を含む低電圧部とが,碍子5によって完全に絶縁されている。
そのため,本例の内燃機関用の点火装置1は,電気的な信頼性が高く,優れた点火性能を有する装置である。
【0079】
さらに,図7及び図8に示すごとく,碍子5における巻線配設部531側の端部の端面510には,圧力検出素子4を挟持した状態で,保持部材8の端面810が対面するように構成してある。
該保持部材8は,その軸方向に貫通する穴であって,上記リング状の圧力検出素子4の内径と略同一径の貫通穴80を有する略円筒形状を呈する部材である。なお,該貫通穴80は,図5に示すごとく,後述するコネクタ6を嵌合するように構成してある。
【0080】
この保持部材8の外周面のうち,ケース10に収容される部分には,図5に示すごとく,上記ケース10の雌ねじ部134(図1)とネジ結合する雄ねじ部84を形成してある。
また,保持部材8の外周面のうち,ケース10に収容されず外部に露出する部分には,断面略6角形状を呈するナット部85を形成してある。
【0081】
そして,本例の点火装置1では,図7に示すごとく,スパナ等の工具(図示略)をナット部85に係合して保持部材8を回転させることにより,該保持部材8の雄ねじ部84と,ケース10の雌ねじ部134(図1)とのねじ結合による保持部材8の進退を可能としてある。
【0082】
また,保持部材8の軸方向における碍子5側の端面には,図5に示すごとく,碍子5の端面510と対面する端面810を形成してある。
そして,図8に示すごとく,保持部材8は,ケース10への螺入に伴って,上記端面810から碍子5の端面510に向けて軸方向の荷重を作用し得るように構成してある。
本例の点火装置1は,碍子5に向けて軸方向の荷重を作用した状態で上記保持部材8を配設することにより,碍子5と保持部材8との間に挟持した上記圧力検出素子4に予荷重を作用し得るように構成してある。
【0083】
圧力検出素子4における碍子5側にある端面には,図示しないリング状のターミナルを当接してある。そして,このリング状のターミナルは,図8に示すごとく,ターミナルピン62と電気的に接続してある。
一方,炭素鋼よりなる保持部材8は,導電性を有している。そして,保持部材8は,同様に導電性を有するケース10にねじ結合している。
そして,本例の圧力検出素子4は,ケース10とターミナルピン62との間に圧力計測信号を出力し得るように構成してある。
【0084】
上記圧力検出素子4は,図7に示すごとく,チタン酸鉛からなる薄板状の素子であって,負荷される荷重の変化に伴って電気的な内部抵抗の大きさが変化するように構成してある。そして本例の圧力検出素子4は,上記碍子5の端面510と略同一断面形状を呈するリング状をなすように形成してある。
なお,本例の点火装置1では,圧力検出素子4の内部抵抗の変化を,ケース10とターミナルピン62との間の電位差として出力できるように構成してある。
【0085】
上記ウェイト部材15は,図6に示すごとく,略円筒形状を呈する部材である。そして,このウェイト部材15は,所定の重量mwを有するように形成してある。
ウェイト部材15における軸方向の端部付近の内周面には,上記ケース10の外周面に形成した雄ねじ部133(図1)と係合する雌ねじ部151を形成してある。
そして,ウェイト部材15は,その雌ねじ部151を上記ケース10の雄ねじ部133(図1)にねじ結合することにより,ケース10に外挿した状態で固定し得るように構成してある。
【0086】
コネクタ6は,図5に示すごとく,保持部材8の貫通穴80に嵌合するように構成してなる樹脂製の部材である。
該コネクタ6は,略円筒状を呈する部材について,軸方向の1箇所に壁面65を形成してなるものである。そしてそのため,コネクタ6は,軸方向の両端面に,相互に連通しない凹みを有している。
コネクタ6における軸方向の外部側に開口する凹みには,イグナイタ等の外部機器から延設されたコネクタソケット(図示略)を収容するように構成してある。
また,上記の壁面65には,上記の1次コイル31と電気的に接続したターミナルピン61及び,圧力検出素子4と電気的に接続したターミナルピン62を貫通固定する挿通穴を形成してある。
【0087】
本例の点火装置1は,図7に示すごとく,中心電極22,ステム21,2次コイル32及び,中心コア33等を組み付けた上記スプール34等を収容した上記碍子5と,上記圧力検出素子4とを,上記保持部材8により軸方向の位置を規制した状態でケース10に収容したものである。
そして,特に,本例の点火装置1では,ケース10の外周側にウェイト部材15を装着してある。
【0088】
次に,本例の内燃機関用の点火装置1の動作について概説する。この内燃機関用の点火装置1では,図8に示すごとく,バッテリやコンデンサ等の点火電源91と点火用トランジスタ回路92との組み合わせにより駆動される点火コイル3が高電圧を発生する。
そして,その高電圧は,点火プラグ2に供給されて,その中心電極22と接地電極23との間の放電ギャップ間において放電火花を形成し,燃焼室内の混合ガスを着火する。
【0089】
一方,燃焼室200内の圧力は,碍子5を介して圧力検出素子4に伝達される。該圧力検出素子4は,上記燃焼室200の圧力に応じた出力信号を,上記ターミナルピン62を介して出力する。
本例では,圧力検出素子4の出力信号は,図8に示すごとく,アンプ93により増幅したうえでバンドパスフィルタ94に供給され,該バンドパスフィルタ94においてノイズ除去される。なお,本例のバンドパスフィルタ94は,6kHz〜8kHzの周波数の信号を通過させ,それ以外の周波数の信号を遮断するように構成してある。
【0090】
内燃機関でノッキングを生じた際に,圧力検出素子4が出力した信号波形によれば,図9に示すごとく,点火後約0.5msec後に生じる燃焼室200の圧力ピークから減衰する過程(点火後,およそ0.5msec〜2.5msecの区間)において,ノッキング周波数である7kHzの圧力変動が顕在化しているのがわかる。
そして,上記バンドパスフィルタ94によれば,図10に示すごとく,7kHzのノッキング周波数の圧力変動を抽出することができる。
【0091】
なお,図9のグラフでは,横軸に点火後の時間を示し,縦軸に圧力検出素子4が出力する出力信号(電圧値)を示している。なお,該出力信号としては,ゼロ点補正後の出力値を示している。また,図10のグラフでは,横軸に点火後の時間を示し,縦軸には,バンドバスフィルタ94を通過する信号波形を示している。
また,本例の点火装置1は,図10に示すごとく,バンドパスフィルタ94の出力信号が,しきい値Kを超えたか否かを判断するというしきい値処理により,ノッキング現象の発生を検出可能なように構成してある。
【0092】
ここで,本例の内燃機関用の点火装置1では,上記燃焼室200から上記圧力検出素子4への圧力(燃焼室の圧力)の伝達経路中に,中心コア33や,点火コイル3や,スプール34等を配設した碍子5により構成される振動系(以下,適宜,圧力振動系と記載する。)が形成されている。
【0093】
この圧力振動系を構成する碍子5の重量mg,碍子5を弾性部材として把握したときのばね定数kgに対して,上記圧力伝達系の固有振動周波数fosは,前出の式3のごとく表現される。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
本例の点火装置1について,上記の固有振動周波数fosを実測すると,その値は,10kHzであった。
【0094】
一方,本例の点火装置1は,ケース10の外周に形成した雄ねじ部122を介して,内燃機関のプラグホール211に固定するように構成してある。
そのため,上記内燃機関の構造部材から圧力検出素子4に向けて,ノイズが伝達する経路が形成されるおそれがある。
このノイズが伝達する経路であるノイズ伝達系は,ケース10及び保持部材8よりなる振動系であり,ケース10及び保持部材8の重量mc,ケース10及び保持部材8を弾性体として把握したときのばね定数kcに対して,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,前出の式1のごとく表現される。
fon=1/2×π×(k/(m/3))0.5 ・・・式1
【0095】
ここで,本例の点火装置1のようにケース10の外周に,重量mwのウェイト部材15を装着すると,上記ノイズ伝達系の固有振動周波数foは,前出の式2のごとく,表現される。
fon=1/2×π×(k/(mw+(m/3)))0.5 ・・・式2
式2に示すごとく,本例の点火装置1では,上記ケース10の外周側に装着した上記ウェイト部材15の重量mwに応じて,上記点火装置1の固有振動周波数fonをコントロールすることができる。
【0096】
そして,一般的に,ある振動伝達系(本例では,上記圧力伝達系と上記ノイズ伝達系との2つの系。)に対して,特定の加振周波数の加振力を入力したとき,上記振動伝達系に伝達される加振力の大きさは,図11に示すごとく,上記振動伝達系の固有振動周波数と上記加振周波数との大小関係によって左右される。
なお,同図,横軸には,上記周波数比を示し,縦軸には,振動伝達系の入出力比としての伝達比(出力/入力)を示してある。
【0097】
すなわち,本例の圧力伝達系とノイズ伝達系を介して,上記圧力検出素子4に伝達される加振力の大きさは,それぞれの系の固有振動周波数と上記加振周波数との大小関係によって左右される。
なお,同図中,横軸には,加振周波数/固有振動周波数としての周波数比を示し,縦軸には,燃焼室から上記内燃機関用の点火装置に入力された圧力に対して,上記圧力検出素子4に伝達される圧力の比を表す伝達比を示している。
【0098】
図11によれば,上記固有振動周波数と上記加振周波数とが接近して周波数比が1に近づくと(図中,B領域),上記振動伝達系が共振し,上記振動伝達系を伝わる加振力が増幅されることがわかる。
一方,固有振動周波数が小さくなり,上記の加振周波数/固有振動周波数なる周波数比が2の平方根を超えると(図中,C領域),加振力が上記振動伝達系において弱められるようになり,上記振動伝達系を伝わる加振力が小さくなることがわかる。
他方,固有振動周波数が大きくなり,上記の加振周波数/固有振動周波数なる周波数比が1/2よりも小さくなると(図中,A領域),上記振動伝達系を伝わる上記加振力がそのままの大きさで伝わることがわかる。
【0099】
なお,ノッキングを検知するように構成した本例の点火装置1では,ノッキング周波数と略一致する上記加振周波数に対する上記ノイズ伝達系及び上記圧力伝達系の伝達特性が重要となる。
このノッキング周波数は,内燃機関を構成する燃焼シリンダのシリンダ径や,燃焼室の形状等によって定まる固有の周波数である。
本例の内燃機関について,ノッキング周波数を実測すると,その周波数は8kHzであった。
【0100】
本例の上記点火装置1を用いて,内燃機関側から伝達されるノイズを抑制しながら,燃焼室200で生じるノッキングに応じて発生する圧力変動を精度良く検知するためには,ノッキング周波数である8kHz付近において,▲1▼圧力伝達系に伝達される加振力を弱めないこと,▲2▼上記ノイズ伝達系に伝達される加振力を弱めることが必要である。
【0101】
本例の点火装置1について,圧力伝達系の固有振動周波数fos=10kHzと,ノッキング周波数=8kHzとを比較すると,その周波数比(加振周波数/固有振動周波数)は,図9に示すごとく,B領域中のB1点にある。
そのため,本例の点火装置1の圧力伝達系によれば,燃焼室で生じたノッキング周波数は,およそ2倍程度に増幅されて圧力検出素子4に伝達されることになる。
したがって,本例の点火装置1は,上記の▲1▼の要件を満たしている。
【0102】
また,本例の点火装置1では,上記▲2▼の要件を満たすべく,図8に示すごとく,ケース10の外周にウェイト部材15を装着した。
ここで,本例の点火装置1では,上記ウェイト部材15を装着しない状態での上記ノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,6kKz(実測値)であった。
そして,本例の点火装置1では,重量mwの上記ウェイト部材を装着することにより,ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを3.5kHzに設定変更してある。
【0103】
その結果,本例の点火装置1では,ノイズ伝達系の周波数比が,図11に示すごとく,C領域中の点C1に設定されることになる。
ノイズ伝達系の周波数比が点C1にあれば,内燃機関側から圧力検出素子4に伝達されるおそれのあるノイズを,ノッキング周波数の近傍において0.3倍程度に弱めて,圧力検出素子4への影響を抑制することができる。
【0104】
以上のごとく,本例の点火装置1によれば,ノッキング周波数近傍において,燃焼室200から圧力検出素子4へ伝達される圧力変動を増幅すると共に,内燃機関側から圧力検出素子4に伝達されるおそれのある振動等のノイズを抑制するため,確実性高くノッキングの発生を検知することができる。
【0105】
(実施例2)
本例は,実施例1の内燃機関用の点火装置を基にして,2次コイル32を配設するスプール36の保持構造を変更した例である。本例の内容について,図12を用いて説明する。
本例の点火装置1では,碍子5によりスプール36を保持する構造に代えて,シリンダヘッド210に固定した支持部材28,29によりスプール36を保持する構造としてある。
【0106】
本例のスプール36は,図12に示すごとく,保持部材8を貫通して,プラグホール211から突出する突出部を有してなり,該突出部には,保持部材8に内周側に配置される部分よりも大径のフランジ部361を形成してある。
該フランジ部361は,支持部材28,29によって,軸方向の位置を規制された状態で固定されるように構成してある。
【0107】
シリンダヘッド210におけるプラグホール211の開口部(燃焼室200の反対側)には,図12に示すごとく,支持部材28をボルト接合するように構成してある。
該支持部材28は,シリンダヘッド210に対してボルト接合するためのフランジ部281と,支持部材29を内挿する筒部282とよりなり,軸方向に貫通する貫通穴280を有する部材である。
貫通穴280は,シリンダヘッド210側の小径部と,反対側の小径部よりも大径の大径部とよりなり,小径部と大径部とを接続する棚面285を有している。そして,大径部の内周面には,雌ねじが形成してある。
【0108】
支持部材29は,略円筒状を呈する部材である。支持部材29の外周面には,支持部材28の内周面に形成した雌ねじと係合する雄ねじを形成してある。また,支持部材29の内周は,実施例1と同一形状のコネクタ6を嵌合するように構成してある。
【0109】
上記のように構成した点火装置1では,スプール36のフランジ部361は,支持部材28の棚面285と係合し,かつ,該棚面285と支持部材29との間で挟持した状態で固定してある。
そのため,実施例1の点火装置における燃焼室200から圧力検出素子4に至る圧力伝達系の固有振動周波数fosを表す前出の次式において,碍子5の重量mgから,スプール36,2次コイル32及び中心コア33の重量を除外して,重量mgを小さくすることができる。
fos=1/2×π×(kg/(mg/3))0.5 ・・・式3
【0110】
そのため,本例の点火装置1では,式3で示す圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定することができる。
そして,本例の点火装置1では,圧力伝達系の固有振動周波数fosを17kHzとして,図11に示すごとく,その周波数比(加振周波数/固有振動周波数)をA領域の点A1に設定してある。
【0111】
そして,圧力伝達系の固有振動周波数fosを,図11に示すごとく,A領域に設定すれば,燃焼室から入力される圧力変動の振幅を,そのまま維持して正確に圧力検出素子4に伝達することができる。
なお,上記スプール36に代えて,中心コア33を軸方向に延長し,その端部を支持部材28,29に保持させるように構成することもできる。
この場合には,実施例1の圧力伝達系を表現する式3における碍子5の重量mgから,中心コア33の重量を排除して,固有振動周波数fosを高くすることができる。
【0112】
また,本例のスプール36の支持構造は,圧力伝達系の固有振動周波数fosと,ノッキング周波数との周波数比が,図11に示すごとく,C領域に属しており,圧力伝達系で検出すべき圧力変動が弱められてしまうような場合に特に有効となる。本例のスプール36の支持構造によれば,圧力伝達系の固有振動周波数fosを高く設定でき,その周波数比をA領域或いはB領域に遷移させることが可能となるからである。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0113】
さらに,本例の点火装置1からウェイト部材15を省略して,図13に示すごとく,構成することも可能である。
この場合には,点火装置1におけるノイズ伝達系の固有振動周波数fonはそのままにして,圧力伝達系の固有振動周波数fosの設定を変更するという本例の作用効果を実現することができる。
【0114】
さらになお,図14に示すごとく,スプール36の端部を,ケース10に係合する保持部材8に保持させる構造とすることもできる。
この場合には,本例のウェイト部材15に代えて,スプール36をノイズ伝達系に含めることができ,その固有振動周波数fonの設定変更が可能(fonを低くできる。)になると共に,圧力伝達系からスプール36を排除して,その固有振動周波数fosの設定変更が可能(fosを高くできる。)となる。
【0115】
(実施例3)
本例は,実施例1の内燃機関用の点火装置を基にして,シリンダヘッド210に係合する支持部材27が,ケース10の端部に当接する構造に変更した例である。
本例の点火装置1では,上記の構造により,ノイズ伝達系の固有振動周波数fonを変更して設定してある。本例の内容について,図15及び16を用いて説明する。
【0116】
本例のシリンダヘッド210のプラグホールの開口部には,外周に雄ねじを形成してなる円筒突出部212を形成してある。
上記支持部材27は,第1の円筒形状と,該第1の円筒形状よりも小径の第2の円筒形状とを同軸に重ねてなる2重円筒形状について,上記第1の円筒形状と上記第2の円筒形状とを相互に接続する端面271を,軸方向の一方に形成してなる部材である。
すなわち,支持部材27は,端面271の一方の側に,上記第1の円筒形状と,上記第2の円筒形状とが突出するように形成した部材である。
【0117】
この支持部材27における第1の円筒形状を形成する外周壁272の内周面には,上記円筒突出部の外周の雄ねじとねじ結合する雌ねじを形成してある。
また,支持部材27における第2の円筒形状を形成する内周壁273の軸方向の端面は,ケース10の軸方向の端部と当接するように構成してある。
【0118】
上記のように構成した本例の点火装置1では,ケース10の軸方向の端部に,支持部材27を当接することにより,上記ノイズ伝達系を構成するケース10の剛性を,見かけ上,向上してある。
すなわち,本例の点火装置1では,上記の式1で表現されるノイズ伝達系について,ケース10のばね定数kcを大きくしたことと同様の効果が得られる。
【0119】
以上のように,本例の点火装置1によれば,ケース10の端部を,シリンダヘッド210に係合する支持部材27に当接させることで,ノイズ伝達系の固有振動周波数fosを変更して設定することができる。
ここで,支持部材27の剛性を変更すれば,固有振動周波数fosを適宜,変更することが可能である。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0120】
なお,また,本例の点火装置1を基にして,図16に示すごとく,ケース10の軸方向長さを短くすると共に,支持部材27を碍子5の軸方向の端部に当接させることもできる。
この場合には,ケース10の軸方向の長さを短縮して,その剛性を向上するという効果を得ることができる。
そして,式1におけるケース10のばね定数kcを等価的に大きく設定して,ノイズ伝達係数の固有振動周波数fosを高くするように設定変更することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,ケースの構造を示す断面図。
【図2】実施例1における,碍子の構造を示す断面図。
【図3】実施例1における,点火プラグの中心電極及びステムを示す側面図。
【図4】実施例1における,スプールの構造を示す断面図。
【図5】実施例1における,保持部材と,コネクタとの組み合わせ構造を示す断面図。
【図6】実施例1における,ウェイト部材の構造を示す断面図。
【図7】実施例1における,点火装置の組み付け構造を示す説明図。
【図8】実施例1における,点火装置の取り付け構造を示す断面図。
【図9】実施例1における,圧力検出素子の出力信号の変化を示すグラフ。
【図10】実施例1における,バンドパスフィルタの出力信号の変化を示すグラフ。
【図11】実施例1における,周波数比と,伝達比との関係を示すグラフ。
【図12】実施例2における,点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図13】実施例2における,その他の点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図14】実施例2における,その他の点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図15】実施例3における,点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【図16】実施例3における,その他の点火装置の組み付け構造を示す断面図。
【符号の説明】
1...点火装置,
10...ケース,
15...ウェイト部材,
2...点火プラグ,
21...ステム,
22...中心電極,
23...接地電極,
200...燃焼室,
27,28,29...支持部材,
3...点火コイル,
31...1次コイル,
32...2次コイル,
33...中心コア,
34,36...スプール,
4...圧力検出素子,
5...碍子,
6...コネクタ,
61,62...ターミナルピン,
8...保持部材,
Claims (14)
- 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記ケースの上記後端側の端部の内周には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を固定してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記ケースの外周側には,所定の重量を呈するウェイト部材を装着してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。 - 請求項1において,上記ウェイト部材は,略円筒形状を呈しており,該ウェイト部材と上記ケースとは,上記ウェイト部材の内周面に形成した雌ねじ部と,上記ケースの外周面に形成した雄ねじ部との係合によるねじ結合により固定してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。
- 請求項1又は2において,上記点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールを有してなり,
該スプールの上記突出部には,上記内燃機関側に固定した支持部材に係合するよう構成した係合部を設けてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。 - 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
該点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールと,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材とを有してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールの上記突出部には,上記内燃機関に固定した支持部材に係合するよう構成した係合部を設けてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。 - 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
該点火装置は,上記2次コイルを外挿すると共に,上記碍子の上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールと,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材とを有してなり,上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールは,上記突出部に設けた係合部を上記保持部材に係合させてあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。 - 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設する状態で内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに取り付けるように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記点火装置の上記後端側の端部には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を配置してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
該保持部材は,上記点火装置を上記プラグホールに取り付けた際,上記内燃機関側に固定した支持部材との直接的あるいは間接的な係合により,軸方向の位置が規制されるように構成してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。 - 請求項6において,上記保持部材は,上記ケースの内周側に固定してあり,かつ,上記支持部材は,上記ケースの上記後端側の端面に当接しており,上記保持部材は,上記ケースを介して,間接的に上記支持部材と係合するように構成してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。
- 請求項6において,上記保持部材は,上記支持部材が当接する作用面を有してなり,上記保持部材は,上記作用面を上記支持部材に当接した状態で,該支持部材と直接的に係合するように構成してあることを特徴とする内燃機関用の点火装置。
- 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する点火装置であって,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設して使用するように構成した内燃機関用の点火装置において,
上記ケースの上記後端側の端部の内周には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を固定してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記内燃機関用の点火装置における上記ケースから上記圧力検出素子に至るノイズ伝達系の固有振動周波数fonは,14kHz以下であり,上記内燃機関用の点火装置における上記燃焼室から上記圧力検出素子に至る圧力伝達系の固有振動周波数fosは,3.5kHz以上であって,
かつ,上記fonと上記fosとは,fon<fosなる関係を満たしていることを特徴とする内燃機関用の点火装置。 - 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する内燃機関用の点火装置を,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設した状態で,内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに装着する点火装置の取付構造において,
上記点火装置は,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定され,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材と,上記2次コイルを外挿すると共に,上記ケースの上記後端側の端部から突出する突出部を備えたスプールとを有してなり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
上記スプールは,上記突出部に設けた係合部を,上記内燃機関側に固定した支持部材に係合していることを特徴とする点火装置の取り付け構造。 - 請求項10において,上記ケースは,その外周側に,略円筒形状を呈するウェイト部材を装着するように構成してあることを特徴とする点火装置の取り付け構造。
- 1次コイル及び2次コイルを含む点火コイルと,中心電極及び接地電極を含む点火プラグとを一体化してなり,上記2次コイル及び上記中心電極を収容すると共に,上記1次コイルを外挿する略円筒形状の碍子と,該碍子を内挿すると共に,上記接地電極を設けてなる略円筒形状のケースと,内燃機関の燃焼室の圧力を計測するための圧力検出素子とを有する内燃機関用の点火装置を,その軸方向の先端側を上記燃焼室に挿入し,後端側を外部に向けて配設した状態で,内燃機関のヘッド部に穿孔したプラグホールに装着する点火装置の取付構造において,
上記点火装置の上記後端側の端部には,上記碍子の軸方向の位置を規制する保持部材を配置してあり,
上記圧力検出素子は,上記碍子の上記後端側の端部と,上記保持部材との間に挟持してあり,
該保持部材は,上記内燃機関側に固定した支持部材との直接的あるいは間接的な係合により軸方向の位置を規制してあることを特徴とする点火装置の取り付け構造。 - 請求項12において,上記保持部材は,上記ケースの上記後端側の端部の内周側に固定してあり,かつ,上記支持部材は,上記ケースの上記後端側の端面に当接していることを特徴とする点火装置の取り付け構造。
- 請求項12において,上記保持部材は,上記支持部材が当接する作用面を有してなり,上記保持部材は,上記作用面を上記支持部材に当接した状態で,該支持部材と直接的に係合していることを特徴とする点火装置の取り付け構造。
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