以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1には、本発明の一実施例に係るコミュニケーション・ナビゲーション・システムが示されている。同図によると、センター局1には、キー情報保持部11、呼関係候補決定部12および呼関係通知部13からなり、キー情報保持部11には、例えばオブジェクトの属性の一つとして、仮想3次元空間に於けるオブジェクトの位置と大きさが保持されている。ネットワーク資源は利用者オブジェクト2、静的資源オブジェクト3および動的資源オブジェクト3の3つの種類に分類される。
利用者オブジェクト2は、例えばユーザのプロセスなどであり、システム利用者にシステムの状況を表示し、利用者からオブジェクトに対する指示を受取る為に、マルチメディア情報制御部25を有する。又、他のオブジェクトと呼関係を結ぶ前に参照すべき情報を格納する呼関係制御部24を有する。
この利用者オブジェクト2の各部の動作においては、システム利用者が、マルチメディア情報制御部25を操作してシステムにログインする様に指示する。マルチメディア情報制御部25は、キー情報登録部21に対して、オブジェクトのネットワーク・エントリとオブジェクトの属性とを、センター局1に登録する様に指示する。ここでは、オブジェクトの属性として、オブジェクトの3次元空間内の位置と大きさ、利用者端末2の所在地域が含まれているものとする。
静的資源オブジェクト3は、言わば「待ちオブジェクト」であり、例えば劇場などの動かないオブジェクトであり、データベース的なものである。静的資源オブジェクトのキー情報登録部31は、静的資源オブジェクトをセンター局1に登録する際にのみ用いられ、後は他のオブジェクトから通信の要求が来るのを待っている。
動的資源オブジェクト4は、「自走オブジェクト」であり、例えば、自動車等のような移動オブジェクトであり、エージェントやデーモンのようなプロセスである。動的資源オブジェクト4はキー情報登録部41を有しており、例えば3次元空間での位置を一定時間ごとに更新することができる。
実際のネットワークには、図2に示すようにこれらのオブジェクトの組合せで種々の形態を取ることができる。
それぞれのオブジェクト2、3および4はそれぞれのキー情報登録部21、31および41が登録を終えると、例えば利用者端末2に属するマルチメディア情報制御部25は呼関係候補要求部22に3次元空間内の位置に基づく呼関係を要求する様指示を出す。呼関係候補要求部22はセンター局1に3次元空間内の位置に基づく呼関係候補を通知するよう要求を出す。センター局1から通知される呼関係候補のネットワーク・エントリとその属性は、呼関係候補格納部23に格納される。呼関係候補格納部23は、呼関係候補の更新を、呼関係制御部24に通知する。呼関係格納部23は現在締結中の呼関係を格納している。ログイン時には、当然、呼関係格納部23には呼関係が格納されていない。呼関係制御部24は、呼関係格納部23に格納されている呼関係を検索し、特定の呼関係が結ばれているか否かを調べる事ができる。呼関係制御部24は、現在呼関係締結を禁止されているオブジェクトを格納している。それは、オブジェクトのネットワーク・エントリで指定されている場合もあり、オブジェクトの属性で指定されている場合もある。オブジェクトの属性で指定されていると言うことは、即ち「或る属性を有する(有しない)オブジェクトとは呼関係を結ばない」と言う事である。
呼関係制御部24に格納される呼関係制御情報は、利用者が設定したものである。呼関係制御部24は、呼関係制御部24に格納されている呼関係制御情報を検索し、特定の呼関係の締結が許可されているか否かを調べる事ができる。利用者が呼関係制御情報を適切に設定することにより、呼関係制御部24の呼関係制御情報設定手段を次の様に活用することができる。
i)仕事でシステムにアクセスする際に、私的な交遊関係の知人・友人とは呼関係を結ばない様にする。
ii)以前に出会った好ましくない人物とは一定期間呼関係を結ばない様にする。
図3、図4、図5および図6は、呼関係制御部24、32および44の動作を示している。
図3において、まず、呼関係候補更新通知、オブジェクトXからの接続要求、オブジェクトXからの接続受理およびオブジェクトXからの切断通告を受け取ると、それぞれに対応する処理が実行される。
即ち、呼関係候補更新通知を受けると、呼関係オブジェクトのリストLおよび呼関係オブジェクトのリストL’が読み出され、これらリストに基づいてオブジェクトM;について、呼関係候補の更新が実行される。なお、この図3において、COSは図18に示されるように呼関係格納部を示し、IWおよびSWは画像情報格納部および音響情報格納部を示している。
図3において、接続要求を受け取った場合には、図4のフローに従って接続処理を実行する。また、接続受理を受け取った場合には、図5のフローに従って接続受理の処理を実行する。同様に、切断通告を受け取った場合には、図6のふろーに従って切断通告の処理を実行する。なお、図6において、IRおよびSRは図18に示すように画像情報読み取り部および音響情報読み取り部を示している。
マルチメディア情報制御部25は、オブジェクトに関係するマルチメディアデータを格納し、ネットワークを通じたアクセスに応じて、格納しているデータを送信する。マルチメディア情報制御部25は、呼関係制御部24から与えられるネットワーク・エントリから、データを読み出す。呼関係制御部24がマルチメディア情報制御部25に対してデータ読取り中止を指示したとき、マルチメディア情報制御部25は、読取り中であれば読取りを中止し、マルチメディア情報制御部25との接続を切断する。読取り中でなければ何も行わない。マルチメディア情報制御部25は読み取ったデータ表示する。
動(静)的資源オブジェクト4(3)の各部の動作は、利用者オブジェクト2の各部の動作と同様である。ただし、動的資源オブジェクト4は、一定時間毎に3次元空間上のオブジェクトの位置を更新でき、オブジェクトの属性を変更し、新たな属性をセンター局1に登録するよう、キー情報登録部41に指示を与える。次いで、呼関係候補要求部42に対して、新たな呼関係候補を要求するように指示を与える。位置の変化によって、呼関係を結ぶべきオブジェクトは変わっている筈だからである。
利用者オブジェクト2において、利用者がマルチメディア情報制御部25を通して位置を変更した場合も、同様に呼関係を更新しなければならない。この手続きは、動的資源オブジェクト4とまったく同様に、キー情報登録部21に次いで呼関係候補要求部22に対する指示で実現される。
次に、センター局1の各部の動作を説明する。
キー情報保持部11は、例えばオブジェクト2のキー情報登録部21から送られるネットワーク・エントリと属性とを図7の様なリストで保持する。検索と登録の便を計るため、幾つかの一般的な属性に関しては、ハッシュ・テーブルを作成する。呼関係候補決定部12は、オブジェクト2の呼関係候補要求部22からの要求に応じて、キー情報保持部11のリストを検索し、当該オブジェクト2に関する呼関係候補を決定し、それを呼関係候補通知部13に送る。呼関係候補要求部22からの要求は、例えば、次の様な形で与えられる。
GETNB オブジェクト名,(3d,d)
GETNB オブジェクト名,(3d,d),(loc,T市)
dは実数である。初めの要求は、仮想3次元空間において、当該オブジェクト2の中心から距離d内にある呼関係候補を与える様要求している。後の例では、それに加えて、端末所在地域がT市である様な呼関係候補オブジェクトを要求している。呼関係候補通知部13は呼関係候補決定部12から送られた呼関係候補のリストを、属性付きで当該オブジェクトの呼関係候補格納部23に転送する。
次に、第2の実施例を説明する。この実施例は、上記第1の実施例のシステムによって、仮想的な市場(バーチャル・マーケット)を実現したときの実施例をである。
図7は、このバーチャルマーケットの構成を示している。バーチャルマーケットマップ管理装置5では、仮想的な空間座標とその空間に存在するオブジェクトのデータを管理しており、必要に応じて各オブジェクトにネットワークを介してデータを提供したり、受けとったりする。ネットワークには、買物客が使う買物客用端末6、店員が使う店員用端末8、自動販売機のような挙動をする動的資源オブジェクトである店エージェントをもつサーバ7などが存在する。
図8はバーチャルマーケットマップ管理装置5が有しているデータの一例であり、呼関係候補リストとして各端末や各サーバに通知される。なお、このデータはユーザのマーケットへのログイン、ログアウトなどによって動的に変化する。
ところで、実際にバーチャルマーケットを運用する場合、コミュニケーションの形態は、次のように仮定できる。
1)お店の数に対して、買物客が大多数である。
2)対話の大部分は「お客ー店員」である。
3)「お客ーお客」、「店員ー店員」の対話は相対的に非常に少ない。
そこで、これらの形態に会わせた呼関係制御部が考えられる。
図9は買物客用に特化したユーザオブジェクトにおける呼関係制御部の一例を示す。これによると、ユーザは買物の形態として、次の3つのモードを選択できる。
“決め買いモード”は、買うもの(または買う店)がはっきり決まっていて、他の客オブジェクトと通信することを全く必要としないときに使用し、店員や店舗とのみ通信を確立することで、人混みにわずらさされることがなく、通信量も大幅に縮小できる。
“活気実感モード”は、買うもの(または買う店)が漠然としていて、周囲の状況(お店の人気や活気)を知りたいが、他の客オブジェクトと通信は必要ないときに使用し、店員や店舗とのみ通信を確立すると同時に、他のお客の流れを示した“人混み”オブジェクトを生成する。これによってどの店に人が集まっているかを視覚化でき、買物の判断に利用することができ、同時に、通信量も縮小できる。
“通常通信モード”は、マーケットを無目的でぶらつきたいような時に使用し、通常の呼関係制御によって選択されたオブジェクト全てと通信を確立する。これにより、「お客ーお客」、「店員ー店員」の対話を実現する。
図10は上記の3つのモードによって、買物客用の端末でどのように表示が行なわれるかを示している。図10(a)は“決め買いモード”での表示であり、他のお客は全く見ずに済む。図10(b)は“活気実感モード”での表示であり、他の1つの人混みオブジェクトとして見え、お店の人気具合を感じることができる。図10(c)は“通常通信モード”であり、店に集まっているお客全てと対話が可能になっており、個人個人を識別できる。
図11は“活気実感モード”での”人混みオブジェクトの生成処理のフローチャートである。初めに店舗オブジェクトを呼関係候補リストから選び(S81)、店舗の座標をもとに、例えば“半径r以内”のような範囲基準で、お客オブジェクトの数を数える(S82)。つぎに、その数に応じた“人混み図形”を選択し(S83)、端末に表示する。この人混みオブジェクトはローカルなものなので、バーチャルマーケットマップ管理装置には通知は行なわない(S84)。
この3つのモードは動的に変更もしくは混在可能で、例えば、“決め買い”が終ったので町をブラついたり、人混みオブジェクトの中の特定のオブジェクトを分離して通信路確立したりすることも可能である。図12は人数に応じた人混み図形の例を示し、人数を直観的に感じることができる。
次に、お店の方の立場からの対話を考え、お店や商品の宣伝をお客の合わせて効率的に行なう手段について説明する。
図13は店員と店舗オブジェクトの一実現形態であり、店員用端末の利用者オブジェクト110と店舗オブジェクト111から構成される。店員用の利用者オブジェクト110では、呼関係候補リストと店舗オブジェクトが持つ顧客データ113から客層分離部116で客層を分類し、その分類の従って、宣伝広告の内容を制御し、広告通知部117を介して呼関係を結んだ各買物客オブジェクトに自動的に発送する。
図16に広告データ112の一例を示す。ここでは、例えば、特売品、取扱商品一覧、お店の紹介などその性質でいくつかに分類された形になっている。また、通常の商談は通信を介して直接、買物客と店員の間で行なわれる。
店舗オブジェクト111は顧客データ113、商品データ114、店舗データ115などで構成される。商品データ114は品物在庫などが管理され、店舗データ115はグラフィック表示用のデータが格納されている。
図14には広告通知処理のフローチャートを示す。初めに広告データを読み込み(step111)、呼関係候補リストの中から、新たに来店したお客オブジェクトを抽出する(step112 〜step113)。抽出した各オブジェクトと顧客データとを比較しお客の常連の度合を求める。図17に顧客データの一例を示す。ここでは、利用回数や利用金額などのデータから顧客の重要度をある評価関数を用いて計算し、常連の度合としている。
度合がある閾値を越え、“常連”と判断されると、その買物客には、例えば特売品のデータのみを発送するので、お客が既知であると判断できるような無駄なデータを送らずに済む。また、”来店経験が有る”程度と判断されると、特売品と一般商品の広告を発送する。全く新規のお客にはより多くの広告を出して、顧客を広げることを支援する。
さらに、より詳細に顧客データを分析して、お客の傾向に合わせて、広告を制御することも可能である。
また、本実施では、常連の度合に応じて制御を行なったが、例えば、呼関係候補リストが持つ属性として、性別、年齢、家族構成なども持てば、これらの情報を用いて制御を行なう事ももちろん可能である。そして、これらの広告は、買物客の方で広告の受理・拒否を制御する事ができ、興味のない広告を受け取らずに済むこともできる。
図15は、買物客が店に近付いた時に受けとる広告の様子を示している。図15(a)は”常連”客の表示、(b)は来店経験が有る客の表示、(c)は新規のお客に対する表示であり、それぞれ広告の内容が異なる。
上記第2の実施例の発明によれば、第1の実施例で実現できる動的なコミュニケーション部をつかって仮想的な市場を実現でき、その市場の性質に適合した呼関係制御部を用いることで、仮想市場における効率的なコミュニケーションや広告の部を提供できる。
図18を参照して第3の実施例を説明する。この実施例によると、センター局のキー情報持部には、オブジェクトの属性の一つとして、仮想3次元空間に於けるオブジェクトの位置と大きさが保持されているものとする。
オブジェクトAは、システム利用者にシステムの状況を表示し、利用者からオブジェクトに対する指示を受取る為のGUIを有する。又、他のオブジェクトと呼関係を結ぶ前に参照すべき情報を格納する呼関係制御情報格納部を有する。
オブジェクトBは、言わば「待ちオブジェクト」である。オブジェクトBのキー情報登録部は、オブジェクトBをセンター局に登録する際にのみ用いられ、後は他のオブジェクトから通信の要求が来るのを待っている。
オブジェクトCは、「自走オブジェクト」であり、3次元空間でのオブジェクトCの位置を一定時間ごとに更新する位置更新部PUを有している。
オブジェクトBとオブジェクトCとは、同一の利用者端末T´上にある。
次に、オブジェクトAの各部の動作を説明する。
システム利用者が、GUIを操作してシステムにログインする様に指示する。GUIは、キー情報登録部KRに対して、オブジェクトのネットワーク・エントリとオブジェクトの属性とを、センター局に登録する様に指示する。ここでは、オブジェクトの属性として、オブジェクトの3次元空間内の位置と大きさ、利用者端末の所在地域が含まれているものとする。
キー情報登録部KRが登録を終えると、GUIは呼関係候補要求部CRに3次元空間内の位置に基づく呼関係を要求する様に指示を出す。呼関係候補要求部CRはセンター局に3次元空間内の位置に基づく呼関係候補を通知するよう要求を出す。
センター局から通知される呼関係候補のネットワーク・エントリとその属性は、呼関係候補格納部CSに格納される。呼関係候補格納部CSは、呼関係候補の更新を、呼関係制御部CCに通知する。呼関係格納部COSは現在締結中の呼関係を格納しているが、ログイン時には、当然、呼関係格納部COSには呼関係が格納されていない。呼関係制御部CCは、呼関係格納部COSに格納されている呼関係を検索し、特定の呼関係が結ばれているか否かを調べる事ができる。
呼関係制御情報格納部CIは、現在呼関係締結が禁止されているオブジェクトを格納している。それは、オブジェクトのネットワーク・エントリで指定されている場合もあり、オブジェクトの属性で指定されている場合もある。オブジェクトの属性で指定されているとは、即ち「或る属性を有する(有しない)オブジェクトとは呼関係を結ばない」と言う事である。呼関係制御情報格納部CIに格納される呼関係制御情報は、利用者が設定したものである。呼関係制御部CCは、呼関係制御情報格納部CIに格納されている呼関係制御情報を検索し、特定の呼関係の締結が許可されているか否かを調べる事ができる。利用者が呼関係制御情報を適切に設定することで、呼関係制御情報設定部を次の様に活用することができる:i)仕事でシステムにアクセスする際に、私的な交遊関係の知人・友人とは呼関係を結ばない様にする,ii)以前に出会った好ましくない人物とは一定期間呼関係を結ばない様にするなどがある。
呼関係制御部CCの動作は図3ないし図6に示すフローチャートと同様である。即ち、画像(音響)情報格納部IW(SW)は、オブジェクトに関係する画像データ(音響データ)を格納し、ネットワークを通じたアクセスに応じて、格納しているデータを送信する。
画像(音響)情報読取り部IR(SR)は、呼関係制御部CCから与えられる画像(音響)情報格納部IW(SW)のネットワーク・エントリから、画像(音響)データを読み出す。呼関係制御部CCが画像(音響)情報読取り部IR(SR)に対してデータ読取り中止を指示したとき、画像(音響)情報読取り部IR(SR)は、読取り中であれば読取りを中止し、画像(音響)情報格納部IW(SW)との接続を切断する。読取り中でなければ何も行わない。画像情報読取り部IRは読み取った画像データをGUIに送り、GUIがそれを表示する。音響情報読取り部SRが読み取った音響データは、利用者端末の音響データ再生装置に送られ、そこで再生される。
オブジェクトBおよびCの各部の動作は、オブジェクトAの各部の動作と同様である。ただし、オブジェクトCは、一定時間ごとに3次元空間上のオブジェクトの位置を更新する位置更新部UPを有している。位置更新部UPは3次元空間の位置というオブジェクトの属性を変更し、新たな属性をセンター局に登録するよう、キー情報登録部に指示を与える。次いで、呼関係候補要求部CRに対して、新たな呼関係候補を要求するように指示を与える。位置の変化によって、呼関係を結ぶべきオブジェクトは変わっている筈だからである。
オブジェクトAにおいて、利用者がGUIを通して位置を変更した場合も、同様に呼関係を更新しなければならない。この手続きは、オブジェクトCとまったく同様に、キー情報登録部KRに次いで呼関係候補要求部CRに対する指示で実現される。
センター局の各部の動作を説明する。
キー情報保持部は、オブジェクトのキー情報登録部から送られるネットワーク・エントリと属性とを図19の様なリストで保持する。検索と登録の便を計るため、幾つかの一般的な属性に関しては、ハッシュ・テーブルを作成する。呼関係候補決定部は、オブジェクトの呼関係候補要求部CRからの要求に応じて、キー情報保持部のリストを検索し、当該オブジェクトに関する呼関係候補を決定し、それを呼関係候補通知部に送る。呼関係候補要求部CRからの要求は、例えば、次の様な形で与えられる。
GETNB オブジェクト名,(3d,d)
GETNB オブジェクト名,(3d,d),(loc,T市)
dは実数である。初めの要求は、仮想3次元空間において、当該オブジェクトの中心から距離d内にある呼関係候補を与える様要求している。後の例では、それに加えて、端末所在地域がT市である様な呼関係候補オブジェクトを要求している。
呼関係候補通知部は、呼関係候補決定部から送られた呼関係候補のリストを、属性付きで当該オブジェクトの呼関係候補格納部CSに転送する。
以上に述べた実施例のシステムによって、オブジェクトのGUIは、例えば図20の様な形でネットワーク資源を提示する事ができる。オブジェクトCは、二階建ての家の様な施設であり、オブジェクトBはどうやら亀らしきものであると言うことが分かる。さらに、利用者端末Tのスピーカーから、家の中から聞こえてくるピアノの音と、何やらぶつぶつと言う亀の呟きが再生される。
端末Tのシステム利用者が、端末所在地がT市であるオブジェクトのみを表示したいと考えた場合、GUIを通じて、呼関係候補要求部CRに対して、上記二番目のGETNBコマンドを発行する様に指示すれば良い。或いは次の様な方法を用いる事も可能である。即ち、呼関係制御情報格納部CIにT市にあるオブジェクトのみ表示する様に呼関係制御情報を設定する。次に、呼関係制御部CCに対して、呼関係格納部COSに格納されている呼関係をスキャンして呼関係制御情報が満たされているか否かのチェックを行い、制御情報を満足しない呼関係を切断する様に指示する。この方法によれば、センター部にアクセスする事なく、所望の表示が容易に得られる。
次に、第4の実施例を説明するが、この実施例によると、ネットワーク利用者やネットワークに接続されているオブジェクトは, 各々他のネットワーク利用者やオブジェクトからネットワーク・コミュニケーションを通じて何らかの情報を得たいと考えている. 或は, 何らかの知識或は与えたい情報を有しており, ネットワーク・コミュニケーションを通して, それを他のネットワーク利用者やオブジェクトに与えたいと考えている. オブジェクトAのキー情報登録部がセンター局に登録する属性の一例を次に挙げる。
(KNOW (数学 (幾何学 (位相多様体 (ホモロジー論, ホモトピー論)))))、
(KNOW (数学 (計算機数学 計算量の理論)))、
(ASK (計算機 (数値解析 (構造解析, 多変量解析))))、
(INTEREST (音楽 (クラシック音楽 (モーツァルト(ロマン派 ブラームス)))))
即ち, このオブジェクトは, 数学の中で幾何学と計算機数学の知識を有し, それを公開する用意がある. 数学については, 幾何学特に位相多様体のホモロジー論とホモトピー論に関する知識がある。 又計算機数学に関しては, 計算量の理論に関する知識を有している。更に、このオブジェクトは計算機に関する知識を求めている。必要としているのは、数値解析の中で構造解析と多変量解析に関する知識である。又、このオブジェクトは (即ち, このオブジェクトを通じてネットワークにアクセスしている利用者は)クラシック音楽に興味を持っており、モーツァルトとロマン派、就中ブラームスを好む.
他のオブジェクトA’の呼関係候補要求部から鍵管理装置に対して次の様なGETNB コマンドが発行されたとする。
GETNB オブジェクト名、(ASK (絵画 印象派))、 (INTERST モーツァルト)(INTEREST モーツァルト) によって、オブジェクト A’がモーツァルトに興味を有している事が分かるからセンター局の呼関係候補決定部はオブジェクトAを含む呼関係候補を求め、呼関係候補通知部が、それをオブジェクトA’に通知する。従って、第3の実施例に記述した仕組みにより、オブジェクトA’とAとの間に呼関係が成立する。呼関係通知部は、オブジェクトAの登録属性も送るので、オブジェクトA’の呼関係候補格納部には、上記のオブジェクトAの属性が格納されている。オブジェクトA’の利用者は、適宜それを参照し、例えば、オブジェクトAが構造解析に関する知識を求めている事を知る事ができる。オブジェクトA’の利用者は、構造解析の専門家を知っているので、その人物へのアクセスの方法をオブジェクトAに知らせる事ができる。
上記第3及び第4の実施例によるコミュニケーション・ナビゲーション・システムによれば, リアルタイムで変化するネットワーク資源を, センターに過大な負荷を懸けることなく,様々な視点で提示する事ができる. しかも、その視点は、各利用者の便宜に応じて任意にかつ容易に切替える事が可能である.
図21を参照して第5の実施例を説明する。この実施例によると、オフィスサーバ201とユーザ作業環境211に大きく分かれており、この2つの間はコンピュータネットワークで交信を行なう。オフィスサーバ201はモデルサーバ204と位置サーバ208で構成される。モデルサーバ204はレイアウト送信部205と出退勤管理部206からなり、この2つは仮想オフィスモデル202と勤務データ部203とで情報をやりとりする。また、位置サーバ208はユーザ情報制御部209と近接ユーザ送信部210からなり、位置データベース207とのやりとりを行なう。
オフィスデータ管理部212はネットワークを介してレイアウト送信部205からオフィスのデータを受けとり、ユーザインターフェース217で利用者にグラフィカルに表示を行なう。ユーザデータ管理部213は、利用者の操作を管理し、ネットワークを介して出退勤管理部206へログインしたり、社員に関するデータをレイアウト送信部から受け取ったり、また仮想オフィス内の移動情報をユーザ情報制御部209に送り、更新された近接データをユーザ送信部210から受けとる。さらに、他の勤務者との通信の管理も行ない、これらの情報と人物イメージデータ214を基に、ユーザインターフェース217で利用者にグラフィカルに人物の表示を行なう。またユーザデータ管理部213は視点による見え方の変化が生じた場合はオフィスデータ管理部212へ視点に関すデータを送り、オフィスデータ管理部はその変化を画面に反映させる。
ユーザ作業ファイル215および216は利用者の本来の業務に必要な作業用のファイルであるユーザ作業環境211でローカルに持っていたり、ネットワークを介して持っていたりできる。
以下、図21の各部分について説明を行なう。
図22は、図21における仮想オフィスモデル202の例である。仮想オフィスモデルは3次元のグラフィカルなデータが階層的に表現されているレイアウトデータ221とオフィスでの勤務のルールを記述した勤務ルール222と社員の仮想オフィスでの座席に関する社員データ223で構成されている。これらのデータはモデルサーバ204で使用される。
図23は、図21における勤務データ203の例を示しており、仮想オフィスに対する遠隔勤務に関する情報が記述されている。このデータは出退勤管理部206で管理される。
図24は、図21における出勤管理部206の処理フローチャートであり、利用者がネットワークを通じてオフィスサーバ204へログインしてくると(S401)、社員データ223と照合を行なう(S402)。社員であれば(S403)、レイアウト送信部205へ「出社」を通知し(S404)、勤務データ203にログインの時刻を記録する(S405)。その後、利用者がログアウトすると、その時刻を勤務データ203に記録する(S407)。
図25は、図21におけるレイアウト送信部205の処理フローチャートであり、出退勤管理部206から「出社」のメッセージを受けると(S501)、仮想オフィスモデル202からレイアウトデータ221を取りだし、利用者の環境が持つオフィスデータ管理部212へ送信する(S503)。同時に社員データ223をユーザデータ管理部213へ送信する(S504)。
図26は、図21におけるユーザ情報制御部209の処理フローチャートである。ユーザ情報制御部209はユーザデータ管理部213から利用者の仮想オフィス上での位置データまたはログアウト情報を受けとる(S601)。利用者が「出社」した場合は、以前の位置データがあるかがチェックされ(S602)、初期値として位置データを生成し(S603)、近接ユーザデータも生成する(S604)。利用者が仮想オフィス上で位置を変更したかがチェックされ(S605)、変更した場合は、位置データを更新し(S606)、近接ユーザデータも更新する(S607)。利用者がログアウトしたかがチェックされ(S608)、変更した場合は、位置データと近接ユーザデータを消去する(S609-S612)。これらのデータの変化を位置データベース207に反映させる。
図27は、図21における近接ユーザ送信部210の処理フローチャートである。近接ユーザ送信部210は位置データベース207が更新されたどうかを監視しており(S701)、更新があった場合、位置データを更新したユーザに新たな近傍データをネットワークを介して送信し(S702)、他の勤務者の中で近傍データの更新を受けたユーザ全てに新たな近傍データを送信する(S703)。位置データベースが更新されない場合には、サーバ停止命令の有無がチェックされ(S704)、命令があれば、処理が終了し、なければ、ステップS701に戻る。
図28は、図21における位置データベース207のデータ例である。位置データベース207は位置データ280と近傍データ281で構成されている。位置データ820は勤務者のネットワーク上のアドレス、仮想オフィス上の座標データ、勤務者の近傍データ名が記述されており、近傍データ281は勤務者の近傍に存在する全ての勤務者の仮想オフィス上の座標とネットワーク上でのアドレスが記述されている。このデータは位置の更新や「出社」、「退社」などのイベントがあるたびに、ユーザ情報制御部209によって更新される。
図29は、図21におけるオフィスデータ管理部212の処理フローチャートである。オフィスデータ管理部212はレイアウト送信部205からレイアウトデータを受けとると(S901)、利用者に指定された表示方法にデータを変換して表示する(S902-S906)。その後、ユーザデータ管理部213からの視点の変化に関するメッセージに即して仮想オフィスの表示を変更する(S907-S910)。
図30は、図21におけるユーザデータ管理部213の処理フローチャートである。ユーザデータ管理部213はユーザがいろいろなイベント毎にそれぞれの処理を行なう。即ち、入力イベントの有無が確認され(S1001)、これがYESであると、ステップS1002、S1004,S1006,S1008,S1010,S1012およびS1014の確認処理が順次行われ、これら処理に対応する処理S1003,S1005,S1007,S1009,S1011、S1013およびS1015が実行される。イベントがない場合には、近傍データの更新の有無が確認され(S1016)、YESで更新の表示が行われる(S1017)。
図31は、図30におけるログイン処理S1003の処理フローチャートである。ログインイベントを受けとると、人物イメージデータ214から人物イメージを取り出し、社員データ223を基にして仮想オフィス内に表示する(S1101)。ユーザステータスの値を他の勤務者と交信可能な「Normal」にセットし(S1102)、位置データをユーザ情報制御部209に送信する(S1103)。新たに生成された近傍データを近接ユーザ送信部より受け取り(S1104)、仮想オフィスに近傍ユーザを表示する(S1105)。
図32は、図30における位置変更処理S1005の処理フローチャートである。位置変更イベントを受け取ると、位置データをオフィスデータ管理部212に視点の変更として送り(S1201)、同時に位置データをユーザ情報制御部209に送信し、更新された近傍データを近傍データ送信部210より受け取り画面に反映する(S1202-S1204)。
図33は、図30におけるユーザステータス処理S1007の処理フローチャートであり、指定されたユーザステータスに再設定すると(S1301)、例えばユーザステータスの値を「対話不可」に設定すると、他の人との対話を拒絶でき、逆に「Nor-mal」にしておくと、現在対話可能であることを他の人に宣言できる。また、対話中は自動的に「対話中」となる。また、対話中は第3者の参加を認める「(参加可)」と参加を認めない「(参加不可)」の属性を与えることができる。
図34は、図30における視点変更処理S1009の処理フローチャートであり、これによると、ステップS1401では、仮想オフィスへの位置の移動を伴わない視点の変更をオフィスデータ管理部212に送信する。
図35は、図30における近接ユーザ状態一覧処理S1011の処理フローチャートである。このイベントにより、現在の近傍ユーザのユーザステータスの値をネットワークを通じて各ユーザ作業環境に問い合わせを発し(S1501)、その値を画面に表示する(S1502)。
図36は、図30における近接ユーザとのアクセス処理S1013の処理フローチャートである。この処理において、ステータスの値の要求の有無が確認され(S1601)、要求があれば、その値を送る(S1602-S1604)。要求がなければ、外部からの対話要求が来ているかが確認され(S1605)、これがYESであれば、ステータスが「対話不可」または「対話中(参加不可)」が順次確認され(S1606, S1607)、これらステップS1606およびS1607がYESであれば、要求の有無のみを通知し(S1608)、そうでなければ、対話が開始される(S1613-S1618)。逆に、自分から他のユーザへのアクセスをした場合(S1609)、同様に、相手のステータスが「対話不可」または「対話中(参加不可)」が確認され(S1610, S1611, S1612)、これがYESであれば、要求の有無のみを通知し(S1613)、そうでなければ、同様に対話が開始される。なお、対話中に第三者の参加の合否を決めることができ(S1615-S1614)、対話を制御できる。
図37は、図30におけるログアウト処理S1015の処理フローチャートであり、これによると、ステップS1701,S1702およびS1703においてログアウトのメッセージを出退勤管理部206、オフィスデータ管理部212およびユーザ情報制御部209に送信する。
図38は、本発明によって実現される仮想オフィスの表示例を示しており、この例では、現在4名が勤務中であり、ユーザであるFと同僚のCとが対話中であることを示している。
図39は、本発明によって実現される遠隔勤務の様子を示す図であり、仮想的なオフィスの中で勤務している同僚の様子が分かり、遠隔でも同僚が勤務している事が実感でき、公私の切り替えをつけるために心理的な効果が得られる。また、B主任のように自分の現在ステータスをセットすることで会話を制御し、重要度や緊急度の低いものを排除できる。
次に、図40を参照して第6の実施例を説明する。図40は、図21における近接ユーザ送信部210の処理および近傍データ218をユーザ作業環境211に持たせた実施例を示しており、図41はユーザ情報制御部209で実行される処理のアルゴリズムを示し、図42は近接ユーザ送信部210で実行される処理のアルゴリズムを示している。
第5の実施例では、個人端末の処理能力が低く、オフィスサーバが高性能を持った計算機である場合に適した構成であり、位置データベース207が一元的にデータを管理し、データの更新は全てサーバを介して各ユーザに反映する集中型の構成である。それに対し、この第6の実施例では、個人端末の処理能力が高く、オフィスサーバが極端に高性能ではない計算機である場合に適した構成であり、位置データのみを一元的に管理し、近接ユーザデータの更新は各ユーザ間での通信によって反映する分散型の構成である。
上記第5及び第6の実施例によると、仮想的なオフィスのイメージを勤務者の視点に合わせて表示し、その中に自分の近傍で勤務している同僚の様子を表示することによって、遠隔でも同僚が勤務している事が実感でき、公私の切り替えをつけるために心理的な効果をユーザに与える事ができ、自分の現在状態をセットし、その情報を用いて同僚との会話を制御することで重要度や緊急度の低いものを排除することができ、効率的な勤務を行う環境を提供できる。
図43及び図44を参照して第7の実施例を説明する。この実施例においては、図43に矢線で示すように、オブジェクト間で呼関係が成立する。即ち、オブジェクトから呼関係管理装置に向かう矢線は呼関係の登録を示し、呼関係管理装置からオブジェクトに向かう矢線は呼関係の通知を示している。図44には、オブジェクトと呼関係管理装置の構成が示されている。これによると、オブジェクトが他のオブジェクトと呼関係を確立すると、呼関係登録部が呼関係管理装置の呼関係取得部に対して呼関係を登録する。この実施例では、通信を求めたオブジェクトが呼関係を登録するものとする。無論、通信要求を受理したオブジェクトが呼関係を登録しても良い。
呼関係の登録には、例えば、次のような文字列を呼関係取得部に送信する。即ち、register(A,X,0)。Aは通信を求めたオブジェクトのオブジェクトIDであり、Xは通信関係の確率を受理したオブジェクトのIDである。最後の0はセキュリティレベルが0であることを表している。呼関係管理装置の呼関係取得部は新規に取得した呼関係を呼関係格納部に格納する。
オブジェクトAがオブジェクトXとの呼関係を解消したときの動作は、次のようになる。即ち,Aの呼関係登録部がXとの呼関係の解消を呼関係管理装置に通知する。具体的には、文字列delete(A,X)を呼関係取得部に送信する。呼関係取得部は呼関係格納部に格納されているAとXとの間の呼関係情報を消去する。
本発明では、呼関係の解消を呼関係装置に通知するのは、呼関係を解消したオブジェクトの側としているが、呼関係を解消された側で通知を行っても良い。
次に、オブジェクトのコミュニケーション・モニタが呼関係を表示する際の動作を説明する。
まず、呼関係要求部が呼関係管理装置に対して呼関係を要求する。具体的には、文字列reg(A、<=、1)を呼関係要求受理部に対して送信する。ここに、Aは要求を出すオブジェクトのIDであり、残りの引数によって、セキュリティレベルが1以下の呼関係を通知するように要求している。オブジェクトからの要求は呼関係受理部から呼関係検索部に送られる。呼関係検索部は呼関係格納部の中から要求に応じた呼関係(群)を見出し、それを呼関係通知部に転送する。呼関係通知部は要求を出したオブジェクトの呼関係入力部に呼関係のリストを送信する。それは、例えば次のような文字列として表現されている。
(A,B,0);(A,C,0);(A,D,0);(C,D,0)
(X,Y,0);(X,Z,0);(Y,Z,0);(Y,W,0)
オブジェクト内のコミュニケーションモニタの呼関係表示部が呼関係入力部が受け取った呼関係リストを表示する。
呼関係表示部の表示例が図45に示されている。これは、上記呼関係リストの表示を示している。即ち、A,C,D間の会話は三者間で呼関係が全結合であるため、お互いの話を聞くことができるが、C,Dの話を聞くことができない。このことに注意を喚起するために、B,C間及びB,D間は点線によって結ばれている。また、Y,W間の通信はセキュリティレベルが1であり、セキュリティレベルが0である他の通信と区別される。このことは、図45では、Y,W間の二重線で示されている。
上記の実施例によると、ネットワークに接続されているオブジェクトがリアルタイムで変化するネットワーク内の呼関係を必要に応じて取得し、例えば他のオブジェクト間の呼関係をアクセスする等、呼関係情報を積極的に利用することができる。
次に、図46を参照して第8の実施例を説明する。
この実施例によると、センター局301には予め複数の利用者端末304、305、306、307からキー情報302が入力され、キー情報302はメモリ303に保持されている。ここで、キー情報302とは、例えば図47に示すように、利用者のある2次元仮想空間Aでの位置、別の1次元仮想空間Bでの位置、スポーツへの興味の度合い、音楽への興味の度合い、その他の趣味、職業などである。そしてそれらの鍵は利用者毎に番号が割り振られ、その利用者が用いる端末のアドレスとともに保持されている。
図46に戻り、利用者は他の端末のいずれかと接続したい場合には、端末304を操作して、まず呼関係候補要求部309から同要求信号308をセンター局301に送信する。センター局301の中にある呼関係候補決定部310は、要求信号308に含まれている端末304のアドレスから、メモリ303を参照することにより、端末304の登録番号を検知する。次に、所定のキー情報において、端末304と近い値を持つ他の端末をメモリ303の中から見つけ、それらのアドレス311が呼関係候補通知部312を介して端末304に知らせる。
端末304と近いものを見つけるアルゴリズムが図48に示されており、これによると、まず初めに、ステップS313において、メモリ303を参照することにより、端末304のアドレスから要求者の登録番号を検知し、その番号をここではnrとする。次に、番号に関する変数nをゼロにセットし、続いてnに1を加える。nがnrと異なる場合にステップS314において、所定のキー情報αiのnの値αi(n)とαi(nr)距離hを求める。この距離hは例えばαiが空間の位置ならば通常のユークリッド距離を用いればよいし、スポーツへの興味の度合いといったものなら、その値の差でよい。また、趣味や職業といった数値で与えられていないものの場合は予め決めておく遠近の決まりに基づき距離を決定する。そして、その距離hがしきい値Tよりも小さい場合はnのアドレス311を出力し、これは上述した様に端末304に送られる。この手順をnが登録件数Nに達するまで行うことにより、キー情報αiにおいて端末304と近い端末のアドレス311を全て見つけることができる。
図47において、仮に端末304が番号1、空間Bでの呼関係の要求、T=500の場合は番号2と3のアドレス「0010」と「0101」が端末304に通知される。Tよりも近くにいる人が多すぎる場合には、距離の小さなものを優先したり、ランダムにまびいた残りを端末304に通知すればよい。
図46に戻り、端末304はアドレス311を一時的にメモリ315に格納する。呼関係制御部316を介してアドレス311を発し、これにより端末304と他の端末の通信が開始する。ここで通信を行いたくない他の端末がある場合は、予め制御部316に登録しておけば、たとえアドレス311にその端末が含まれていたとしても、それを除くことができる。
距離の決定に用いるキー情報αiはセンター局301が適当に決めてもよいし、端末304が要求信号308に含めて指定してもよい。また、利用者が、ある特定の端末及びその周辺の端末と通信したい場合には、その通信したい端末のアドレスを要求信号308に含めてセンター局301に通知する。決定部310ではnrの他に、端末304から通信を希望されているアドレスからその番号npを求める。
次に、図49に示すようにキー情報の種類を意味する変数iをゼロにセットし、これを1ずつ加算しながら、αi(np)とαi(nr)の距離を求める。その距離がしきい値Tよりも小さくなった時点でαiを決定し、あとは図48に示したアルゴリズムと同じようにして、アドレス311を決定する。全てのiにおいて、距離がTよりも小さくならなかった場合は、アドレス311の代わりにその旨を端末304に伝える。
利用者はキー情報を指定することにより、例えば仮想空間で近くにいる人達、あるいは、自分と趣味が近い人達などと通信をすることができる。また、特定の相手のアドレスを指定することにより、その人が必ず含まるように何人かの人達と通信できる。あるいは、端末側からは何も指定をしない場合は、センター局301が適当にキー情報を決めることにより偶然の出会いが可能となる。この場合も利用者とは何らかのキー情報で近くにいる人達と通信ができる点はキー情報を利用者が指定する場合と同じであり、全く何の関連もない人と通信してしまうことはない。
1…センター局、2…利用者端末局、3…静的資源オブジェクト、4…動的資源オブジェクト、11…キー情報保持部、12…呼関係候補決定部、13…呼関係候補通知部、21…キー情報登録部、22…呼関係候補要求部、23…呼関係候補格納部、24…呼関係制御部、25…マルチメディア情報制御部。