JP2004347294A - チタンを用いた重鎖(リング・メッシュ)とその製造方法 - Google Patents

チタンを用いた重鎖(リング・メッシュ)とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋭利な刃物による攻撃から身を守る自己防衛手段として人体に装着でき、手軽で意匠性にも優れ、ファッション性を兼ね備えた安全防護衣の開発。
【解決手段】リング状に形作られたチタンを上下左右に連結することにより、金属の集合体でありながらしなやかな柔軟性を持ち、軽くて錆びることなく優れた生体適合性でメタルアレルギーに対する抑制効果を有し、その構成要素が単純で手軽に改造可能で、さらに目的に応じた処理を施すことで、強度やファッション性、抗菌・消臭といった付加的特性を持たせることを実現させた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、チタンを素材にしてそれを網目(メッシュ)状に加工することにより、金属としての強靭さを持ちながら衣服のように身に纏えるしなやかな柔軟性を持つことが可能で、さらに、チタンの持つ耐食性、軽さ、高強度、弾性、超弱磁性、優れた生体適合性、メタルアレルギーに対する抑制効果、陽極酸化処理により発色する意匠性の多彩さと酸化チタン皮膜の光触媒化による抗菌・消臭作用など、多くの特性を古来よりある用途に新素材として適合させ、そこから更なる新たな製品用途を開発させる可能性を持つ新しい製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
古来、金属を線状にしたものを輪形に加工し、それを上下左右に連続して繋げることにより、金属線から成る網目状のものを作り出し、それを他の衣類と重ね合わせて身に纏う防具的な用途があった。 古来日本の文化で言えば、南蛮鎖の一種とされ、重鎖(かさねぐさり)、あるいは八重鎖(やえぐさり)と呼ばれたもので、江戸時代以降、政権争いの裏舞台で暗躍した忍者が身に着けたと云われる鎖帷子(くさりかたびら)は、これを用いた防護衣の一種である。 このようなものは、現在社会において全く日常的に目につくことはなくなったが、それは、この防護衣の必要性が時代の移り変わりと共に消滅したことに多くは起因するものの、この防護衣の重鎖の部分を形作っていた素材の悪さに最大の原因がある。これまでは、単純に鉄線で作られており、身に纏うにはとても重くて動きにくく、水分に触れるとすぐに錆びる、といった欠点があり、よほどの必要性がない限り、全く使えない代物と云えた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明品の最大の特徴は、その素材の開発にある。 また、その素材の特徴を最大限に生かすことに注力をしたその製造方法である。 古来、鉄線で作られた重鎖を綿の生地に縫い付けた鎖帷子は、身に纏うには重過ぎて、どちらかと言えば、甲冑(かっちゅう)の一種と云えた。 しかも、雨やとくに人体の汗、海水などが表面に付着すればすぐに錆びて、そのまま放置すると朽ち果てて使えなくなった。 しかし、この重鎖には大きな特徴があり、それは、「金属としての高強度を持ちながら衣服のように身に纏えるしなやかな柔軟性を持つ」点である。 この特徴を最大限に活かしながら、尚且つ、「重い」と「錆びる」といった欠点を解決する方法はないものか。 しかも、このふたつの欠点を克服するだけでなく、さらにそれ以上の高付加価値を併せ持つことにより、現代社会において、新たな需要を呼び起こせる可能性まで持つような方法はないものか。 それには、鉄に代わる新素材の開発と、それをどのように製品実現させるか、の研究が必要不可欠であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、金属であるチタンを線状に加工したものをその素材に用いる方法を開発した。 チタンの特性については数多く挙げられるが、まず耐食性に優れていることで、海水には完全耐食であり、人体の汗に触れても錆びることがない。 そして、軽い。 鉄の比重が7.9g/cmであるのに対し、純チタン1種TW270で4.51g/cm3、βチタン合金DAT51で4.69g/cm、さらにα−βチタン合金Ti−6Al−4Vになると4.42g/cmと非常に軽くなる。 強度面に着目すれば、βチタン合金が最適で、溶体化処理(Solution treatment)状態で830N/mm、溶体化時効処理(Solution treatment & aging)を施すと1,400N/mmの高引張強度が得られる。ステンレス鋼SUS304の約50%の縦弾性係数を持ち、その透磁率は、1.00005と極めて低い。 生体適合性に優れ毒性が少なく、メタルアレルギーに対して高い抑制効果を発揮し、肌にやさしい。 焼鈍加工時に付く表面の酸化皮膜を残した状態で伸線加工し製品にすれば、黒い光沢を持った表面仕上げになるし、溶液による表面処理を施すことによっては白仕上げ、それを磨いて鏡面仕上げ、さらにはチタンの特性を最大に生かした陽極酸化処理による発色効果で、ゴールド・ブルー・イエロー・ピンクといった様々な色調を表面に表わすことができるなど、意匠性にも極めて優れた金属である。 またその陽極酸化によって表面に形成された酸化チタン皮膜は、その形成の状態によっては光触媒作用を持ち、光に感応して電子励起を生じて、「抗菌作用」や「消臭作用」を持つことが従来から知られている。 この金属を用いて重鎖を作れば、古来より存在した重鎖に更に大いなる高付加価値をもって現代に蘇り、かつて防護用具としてのみ用いられたものが、全く新たな用途を自らが開拓していく新商品となって、世に再現される可能性を持つ。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を実現化するに当たり、まず留意すべき点は、その用途をどのようなものと考えて開発するかであった。 古来、鉄線で作られた重鎖を綿の生地に縫い付けた鎖帷子は、身に纏うには重すぎて、どちらかと言えば、甲冑(かっちゅう)の一種と云えた。 それは、かつて刀剣を武器として戦われた時代に、相手方の「斬る」「突く」の攻撃から我が身を防護するものとして有効であったからこそ、忍者なり戦国の武将が、鎧冑(よろいかぶと)の下に身に着けたとされる。西洋でも、この鎖帷子のようなものは「ジャーコ」と称され、甲冑の下に衣服のように、あるいは甲冑では身を隠し切れない首周りから頭部、腕などにかけての防護に身に纏ったとされている。 その特筆すべき防護効果は、この現代の時勢において全く再現される意味がないであろうかと考える時、それがかつてのもの程「重く」「錆びる」代物でないならば、そして、手軽に身に纏えるものに出来上がるものならば、むしろ求められるべき大きな特性ではないかと考えられ、そのため使用する素材に、高い引張強度を求めた。 刀剣による攻撃から身を守るには、この鎖帷子は極めて有効で、つまりは硬い金属に身を包まれていることになるが、特に「斬り付けられる」衝撃より、尖った先端で「刺される」衝撃からの防護が現代においては求められる重大な要素であろう点に留意し、素材の選定は、あくまで高い引張強度を持つチタンである必要性があった。 「刺される」衝撃からの「完全防護」は不可能であるにしても、致命的刺傷には至らない程度には身を守る強度がその材質には求められる。
【0006】
チタンにはいろいろな種類があり、純チタンと呼ばれるものは、1種、2種、3種、4種ぐらいが代表的鋼種で4種が最もその引張強度は高い。 1種が320N/ mmだとすると、4種で650N/ mmと倍ほど高いが、これを線の状態に伸線加工するのは非常に困難である。 チタン合金は様々な種類があるが、強度面を重視した選定になるとその含まれる化学成分の種類から、α型、α−β型、β型と称する3種類のものが挙げられ、それぞれに純チタンより高い引張強度を持つ。 α型のTi−5Al−2.5Snでその引張強度は860N/ mm、α−β型のTi−6Al−4Vで960N/ mm、これを溶体化時効処理して1,170N/ mmまで強度を上げることができるが、β型チタン合金はさらにそれを上回る強度を出すことが可能で、Ti−15V−3Cr−3Sn−3Alを溶体化時効処理した場合、1,400N/ mm程度まで強度を上げることができる。 この素材をいかにして伸線加工し、線の状態にしてリング状(輪形)にするか、が課題であった。
【0007】
βチタン合金で作られた重鎖で、衣服のように身に付けることができ、鋭利な刃物で斬り付けられたり刺されたりしても、それを纏っている人体には致命傷とはならない程度に防護となるに足りる十分な強度を持ち、しかも比較的簡単に装着可能で動きやすく軽い。 この条件に見合う最も適切な線径とリング形状を考え出すのに思考錯誤の結果、その素材の線径は0.80ミリ程度が望ましく、その輪径は、外径で7.00ミリ程度が良いと判断した。 線径は、その前後、1.00ミリから0.50ミリも許容され、その輪径は8.00ミリから下は例えば3.00ミリも十分適合するが、その場合、その重鎖を着用する目的が、刀剣の攻撃から身を守ることよりファッション性の追究に移行してゆく傾向が出る。
また、あまり輪径を小さくすると、衣服のような生地状に加工するのに要する手間が大きくなるし、その分明らかにコストアップになるが、輪径が小さく、目の大きさが細かい方が、見た目に美しいのは事実である。
【0008】
まずは、最終的な仕上がりを想定してその重鎖を構成する線径を設定し、そのサイズの線をβチタン合金で作ることから始まる。 純チタンであれ、チタン合金であれ、線状に加工する工程として、ダイス(冶具の一種)を用いて伸線する場合、あまりリダクション(減面)率を高く掛けられないので、最終の線径に冷間加工(伸線)する際、どの線径の段階で最終の焼鈍加工(溶体化処理)をしておくかが、ひとつのポイントである。 あまり最終の線径に近い前段階で焼鈍加工をすると、そのあとのリダクション(減面)率が小さくなってしまうので冷間加工による硬化が十分期待できないし、その逆に、あまり最終の線径からかけ離れた太いサイズで前段階として焼鈍加工をすると、今度はリダクション(減面)率が大き過ぎて伸線時に加工硬化を起こし過ぎ、線が伸びずに断線するという結果になる。 これは、確立すべきひとつのノウ・ハウである。 後工程で溶体化時効処理をすることによって、更なる強度アップは期待できるものの、この最初の伸線段階で可能な限りの強度をまず確保しておくことは、非常に大切な要素である。
【0009】
このようにして線状になったものを、今度は輪形(リング状)に加工する。
これはどんな方法でも良いが、とにかく線を丸く曲げて切断し、その両端の切断面が前後や左右にずれて重なり合うことなくぴたりと合わさると、きれいな円(輪・丸)形になるように作る。 この工程での大事なポイントは、いかにきれいな輪径を持った円(リング)を作ることができるか、ということであり、線の切断面が線に対して垂直でなく斜めに歪んでいたりすると、円になってもその円の繋ぎ目部分に大きな隙間が空くことになるし、互いの切断面がぴたりと合うことなく、前後や左右にずれていると、そこが引っ掛かりとなって重鎖として身に纏った時に、その柔軟性の障害となり、滑らかにそれぞれの輪が上下左右にスライドすることによって体感される柔らかさそのものに悪影響を及ぼす。 また、円の繋ぎ目部分がそのように隙間があったりずれている状態であると、上下左右の隣の円(リング)が、それを着用している際に、知らぬ間に抜けていたりはずれたり、という結果になることが予想される。
【0010】
この円あるいは輪形のものを「リング」と呼び、これを上下左右に連続して繋げたものが、編み込まれた「網」に似ていることから、これを重鎖ではなくて、「リング・メッシュ」と称することもある。 次の工程は、これを繋げていく作業である。 このリング・メッシュに仕上げる際に要求されることは、「一定の規則性」であり、その「規則の連続性」が重要となる。 どこを採って見ても、同じある一定の規則に従ってすべてのリングが上下左右に連結している。 それが、「金属としての高強度を持ちながら衣服のように身に纏えるしなやかな柔軟性を持つ」大きなポイントである。 この「柔軟性」はこの均等で同一な連続性から生まれる産物である。 リングは、基本的にひとつに対し、上下左右に4つが繋がる。 正確に言えば、ひとつのリングに対し、上の左右に2つ、下の左右に2つ合計4つの別のリングが繋がる。 そしてこの上の左右、下の左右それぞれのリングにも、そのリングを中心として上の左右、下の左右に同じように別のリングが繋がるようになる。 それぞれの全てのリングがこのような繋がり方で連続することで、全体となった場合に、「生地のような網(メッシュ)」の様相となる。このリングを連結させる作業において、完全にその継ぎ目部分が密着(閉じた)した状態のリングと、次のリングを繋げる際に容易な様に、その継ぎ目部分がその線径を少し超える程度の隙間をもって開いている状態のものとの、2種類を予め用意しておくとやり易い。 「繋げて閉じる」の単純な連続作業の繰り返しである。 この作業を、最終的に計画する大きさが生地として確保できるまで繰り返すわけであるが、かつて古来に鎖帷子と称して使われたように別の生地(例えば綿)に縫い付けて着用する場合は、ある程度の大きさを持った正方形や長方形の形状を目指せばそれで良いので比較的簡単であるが、この重鎖(リング・メッシュ)のみで衣服のような形状を作ることを目的とする場合は、若干の工夫が必要となる。 成人が袖のないベストのような形状で衣服のように身に纏いたい場合、先述した線径が0.80ミリ、その輪形が外径で7.00ミリの輪(リング)を連結して仕上げるとして、総数で25,000個から30,000個の輪(リング)が必要である。
【0011】
このような工程を経て、衣服のような、あるいは正方形や長方形の形状に仕上げた後、やっておくと望ましい処理が溶体化時効処理(Solution treatment
& aging)である。 仕上がった形状の重鎖(リング・メッシュ)を450℃から480℃近辺の温度で4から5時間程度の時間を掛けてじっくりと低温焼鈍してやれば(金属の熱処理温度としてここで指定する温度は、低温の部類に属する)、
βチタン合金の持つ特性により、その引張強度が低温焼鈍する前と比較すると、約1.50から1.80倍高くなる。 これが溶体化時効処理と呼ばれるもので、これをすることにより、βチタン合金の線そのものの強度が極めて高くなり、鋭利な刃物で突き刺された場合においても、その強い衝撃によりリングの輪が開いて刃物がその重鎖を突き抜けるという現象が起らずに、そのリングの部分でしっかりとその刃物の先端を受け止め、それ以上先へは刃物を通過させない防御の効果を最大限に発揮することが可能となる。 このことにより、例え刃物の先端の一部がその重鎖を身に纏った着用者の肌の一部に傷を負わせることになったとしても、致命傷には至らないという被害を最小限に喰い止める結果を導き出す効果がある。
【0012】
このようにして出来あがった重鎖は、これで防御の効果は発揮するが意匠性が悪い。 伸線加工し、溶体化時効処理を経たβチタン合金の表面には、黒い酸化皮膜が残っているからである。 この黒い酸化皮膜は、伸線の状態が良好で表面が滑らかであれば光沢を持ち、それはそれで美しい趣もあるが、酸化皮膜を除去することによっては、更なるカラー・バリエーションを作り出すことが可能になる。 除去する方法としては、単純に硝弗(しょうふつ)酸に浸け置くいわゆる「酸洗」処理でも良いが、使用する薬品の種類によっては、酸洗ほど表面肌が白くならず、むしろ若干の光沢すら帯びたツヤのある仕上がりになるものもある。鋭利な刃物から身を守る防御の目的からは逸脱するが、ファッション的な意匠性を追究する場合においては、伸線上がりでまず酸化皮膜を除去し線の状態において表面肌を研磨して鏡面に仕上げたものを素材として、丸めて切って輪形に加工し繋げる作業を連続させ重鎖を形作れば、非常に光沢がありシルバー色に輝くものを最終的に作り出すことも可能である。 また、チタンには陽極酸化処理にてその表面に100Åから1,800Å(Å=10−7)の厚みの酸化皮膜を、人工的に電圧を8Vから120Vぐらいの間で変化させることにより形成させることができる特性があり、その皮膜の厚さによって、薄い方から順に並べると、ゴールド、ブラウン、ブルー、イエロー、パープル、グリーン、グリーンイエロー、ピンク、といった具合に光の干渉作用による彩度の高い発色をさせることが可能になる。これがまさに意匠性を高めるチタンの特質で、このような現象を線の表面に付加させることにより、ただ単純に、万が一に起り得るかもしれない程度の鋭利な刃物による攻撃から自分の身を守る自己防衛手段の防具という扱いを超えて、その重鎖(リング・メッシュ)は、ファッション性すら兼ね備えた趣味のアイテムとしての商品化の、大いなる可能性を秘めた現代社会への再現の意味を持つ。
【0013】
陽極酸化処理によってその表面に酸化チタン皮膜を形成させることにより、カラー・バリエーションに富んだ発色が可能である意匠性とは別に、酸化チタンには光触媒作用を持つことが十分に知られている。 とくに「アナターゼ型」と言われる酸化チタンに光触媒活性があることは従来から知られており、アナターゼ型酸化チタンの表面に太陽光、あるいは蛍光灯のような人口光を照射させると、光に感応して電子励起を生じる。 例えば、その皮膜の形成状態が適正であれば、雨天時室内での消灯時の雰囲気自然光でも、数十mVオーダーの光電子電圧を持つ。 光触媒作用を持つ酸化チタンには、「抗菌効果」があって、酸化チタン薄膜を形成させた板状の純チタンの表面上に大腸菌や黄色ブドウ球菌を置き、その上から紫外線を照射させたところ、大腸菌や黄色ブドウ球菌の菌数が明らかに減少した、というような実験事例がすでにあちこちで証明されているし、また「消臭効果」もあって、紫外線の照射によって、酸化チタン薄膜に近い空間に漂うアセトアルデヒドガスの濃度が、時間の経過と共に減少していき、最終的にはほぼ完全に分解されるといった実験事例もある。
【0014】
上記のような付加的な特質も確かに優れた長所ではあるが、本発明の最も優れた点は、自己防衛手段の防具として実用面での効果が程度の差はあれ確実に期待できることである。 製品を構成する部品のひとつひとつは、間違いなく高強度の金属でできており、通常はそういった金属を衣類のように身に着けることなど鎧冑でない限り不可能である。 しかしそれが、現代社会において、チタンという新素材の開発と融合することによって、汗や雨の付着で錆びることもなく、軽くて弾性があり、磁性が極めて弱く、優れた生体適合性でメタルアレルギーに対する抑制効果まで有し、あたかも手軽に、生地として衣服のように身に纏えるしなやかな柔軟性を持つ防具として再現されたことは、今後の展開に大きな可能性を秘める。 現代が必ずしも安全で犯罪フリーの社会であると断言できない限り、自己防衛手段としての需要は大きい。 防弾チョッキは、銃弾から身を守るための安全防具として普及したが、その製品の構造上、銃弾には強くとも刀剣による「突き刺し」衝撃には弱い。 防弾チョッキの内部は、幾つもの高強度な繊維の集合体で構成されているので衣類として着用しても軽くて柔軟性に富んでいると言えるが、例えばその内部に、このようにβチタン合金でできた重鎖を一枚組み込んだとすれば、その安全性の効果は、銃弾にも刀剣による突き刺しにも強いという両面を持ち倍増する。
【0015】
また、そのチタンの線が、輪形(リング状)にさえなっていれば、ラジオペンチかプライヤーのような金属を挟んで持ち、「ねじる」ことを容易にしてくれる補助的な工具さえあれば、誰でも簡単に、その輪(リング)の数を増やしたり減らしたりすることで重鎖を短くも長くも変えることが可能である。 溶体化時効処理や表面の陽極酸化処理等に関しては、工場の特殊で専門的な設備が必要となるが、そうでない部分において全体の大きさやサイズの変更は、各家庭で、ふつうに備品として常備されている程度の日曜大工用工具があれば、手軽にできる。そういった意味で、手作りの組み立てキッドのように、趣味の世界での普及もあり得るアイテムとしても、今後の展開が期待される。 ファッション性を重視するのであれば必ずしも生地状の大きな面積を持つ必要がなく、その輪(リング)の繋げ方次第で、重鎖のリストバンド(腕に巻く帯)や、ブレスレット(腕輪)といった違った用途にその最終フォーム(かたち)を自由に形作ることも可能である。
【0016】
【発明の効果】
本発明品は、以上説明したように、製品を構成する部品のひとつひとつは、間違いなく高強度の金属でできており、通常はそういった金属を衣服のように身に着けることなど鎧冑でない限り不可能であったところが、その素材にチタンを用いてさらに目的に応じた適切な処理を付加的に様々に施すことにより、鋭利な刃物で斬り付けられたり刺されたりしても、それを纏っている人体には致命傷とはならない程度に防護となるに足りる十分な強度を持って、あたかも衣服のように比較的簡単に装着可能で動きやすくて軽く、多彩な意匠性を持ち、ファッションの一部として現代社会においての需要を十分に開拓できる商品化の可能性を生み出した。 自己防衛手段の防具として実用面での効果が程度の差はあれ確実に期待でき、海水や汗の付着で錆びることもなく、弾性があり、磁性が極めて弱く、優れた生体適合性でメタルアレルギーに対する抑制効果まで有し、あたかも手軽に、生地として衣服のように身に纏えるしなやかな柔軟性を持つ。 金属が金属として「強靭である」という特質を十分に発揮しながら、まさに相反すると思われる「しなやかな柔軟性」を兼ね備えて、人体に「安全防護」と「ファッション性」を寄与する実証例として、新たな開拓となった。 光触媒作用を持つ酸化チタンがマイナスイオンを湧出する効果を実証し、その「抗菌作用」や「消臭作用」においても更なる着目をした展開を進めれば、その需要はさらに拡大するものと思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重鎖においてリングがどのような規則性を持って連結されているかの構造を示す概略図である。

Claims (2)

  1. リング形状にした純チタン、あるいはチタン合金を上下左右に連結させ網目状にし、防護、あるいはファッション的装飾をその目的として身に纏うために使用するその用途と、それを可能にするための製造方法。
  2. 純チタン、あるいはチタン合金を重鎖(リング・メッシュ)として身に纏うことを目的に、陽極酸化処理や溶体化時効処理といった付加的処理を施すことを含めたその製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006055432A1 (de) * 2006-11-22 2008-05-29 Georg-August-Universität Göttingen Stiftung Öffentlichen Rechts (Bereich Humanmedizin) Bauteil aus Geflechtelementen
JP4823220B2 (ja) * 2004-05-27 2011-11-24 ケインメイル リミテッド メッシュおよびメッシュを形成および使用する方法および装置
KR101930491B1 (ko) * 2016-12-16 2018-12-19 주식회사 한림이앤지 수중 방어 장치

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