【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は中心に金属コアを入れた圧電、誘電セラミックファイバーに関し、特に、量産化に好適な中心に金属コアを入れた圧電、誘電セラミックファイバー、その製造方法、それら用途としての圧電、誘電体素子、変調PZTセラミックファイバー等を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、いわゆる銅線の表面に絶縁体を被覆した被覆電線が知られている。また、同様な方法で圧電体からなるセラミックファイバーを押出方法で成形して焼結した圧電セラミックファイバーが非特許文献1〜3等に記載されている。さらに、米国では既に市販されているが、圧電体を金属コアに被覆した形態とした程度で、圧電、誘電セラミックファイバーとしての特性上充分なものが得られていなかった。
【0003】
これは、圧電、誘電セラミックファイバーとしてより細く、円形断面で、更に長尺物の特性が要求されているためである。しかし、成形困難、電極形成の難しさ、特に、電極塗布の問題があり、分極実施に困難さがあり、素子単体では使用できないといった課題があった。
【0004】
これの一解決方法として圧電セラミックファイバーを数十から数百本束ね、また横に並べて絶縁フィルムまたはエポキシ樹脂等で硬化させ、くし型電極等を利用したものが考えられていた。この場合フィルムやエポキシなどセラミックス以外の材料を利用するため使用する圧電素子が耐熱性に優れている割に、樹脂に起因する耐熱性のなさ、使用可能な環境温度に制限があった。
さらに、振動モードに自由度が無く、棒の縦振動モードの電気機械結合係数k33方向にしか使用できず、振動制御以外のデバイスにはほとんど適用できない課題があった。
【0005】
また、最近では本件発明者らを中心として、圧電セラミックファイバーの中心に金属コアを入れた側面電極間の電位差で変形させるファイバーが試作されてきた。
このような、圧電セラミックファイバーの中心に金属コア、特に、白金芯材を挿入した圧電セラミックファイバーでは、前記エポキシ樹脂等、くし型電極等を利用しないといった課題解決が図られている。
しかしながら、なお、成形性の点で未だ課題が残されていた。すなわち、セラミックスが円形断面を有するファイバーに対し、前記白金が中心から偏心した位置になってしまう欠点があった。
【0006】
また、ファイバーが長手方向で切断するような欠点もあった。
さらに、金属コアを引っ張るとコアの位置が中心軸から大きくずれるといった欠点もあった。他方、コアにテンションを掛けないとファイバー外径が300μmを超えるといった小型化にするには不都合もあった。
【0007】
これに対して、本件発明者の谷(非特許文献1)にあつては、これらを回避した試作品を提供した。それにより金属コア自体はファイバー中心からの偏心を回避した圧電セラミックファイバーを提供できたが、これらは、圧電セラミックファイバー自体の試作段階での開示であり、品質面、量産面で不十分であった。
【0008】
【非特許文献1】
谷順二他4名 ”アクチュエータ材料・素子の高性能化”、第4回知的材料・構造システムシンポジウム講演集、P123−129、平成15年1月21日、22日
【非特許文献2】
Shoko Yoshikawa ”PZT Fibers−Fabriation and Meaurement Method”、Journal Intelligent Material Systems and Structures,Vol.6、March (1995) pp152−158
【非特許文献3】
関谷忠他2名 ”押出し成形法による金属コア入りPZT線材の作製とスマートボードへの応用”、第4回知的材料・構造システムシンポジウム講演集、P141−145、平成14年1月22日、23日
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決し、圧電、誘電セラミックファイバーの量産化として好適な製造方法、圧電、誘電素材としての適当な材料の提供、これら圧電、誘電セラミックファイバーの用途としての課題解決を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、中心に金属コアを入れた圧電、誘電セラミックファイバーであって、前記ファイバー原料とセラミックス粉末から構成され同質のゾルとの混合比(モル比)を1:4〜1:30の範囲で混合させた押出原料を押出成形させ、これを焼結させたことを特徴とする圧電、誘電セラミックファイバーにより提供される。
【0011】
また、前記同質のゾルが酢酸で調整されたゾルからなることを特徴とする場合に、さらに、前記押出原料を押出装置の上方から下方へ移動可能な押出しシリンダー部及び金型口金部からなる場合には、より効果的に提供される。
【0012】
前記ファイバー原料にリラクサー系強誘電体材料を追加成分とした場合や、圧電、誘電セラミックファイバー部分にチタバリを追加成分とした場合には、ファイバー自体に形態性能と相まって素材からの特徴も期待される。
一方、前記金属コア素材として白金又はニッケル系材料のコアを用いた場合に、前記ファイバー原料にリラクサー系強誘電体材料を、また、チタン酸バリウム系強誘電体材料を追加成分とした場合により効果的に提供される。
【0013】
これらの製造方法としては、中心に金属コアを入れた圧電、誘電セラミックファイバーであって、前記ファイバー原料とセラミックス粉末から構成され同質のゾルとの混合比(モル比)を1:4〜1:30の範囲で押出原料として混合し、該材料を押出装置に投入し、前記原料を前記装置の外側及び内側中空シリンダー部間で加圧させつつ、一方前記外側中空シリンダー部と同心軸で配置した内側中空シリンダー部内に金属コアを前記装置上端から装入し、前記原料を前記装置の金型口金部の小孔から吐出させ前記金属コアの周面に被覆させ、かつ、前記原料の吐出力を付加させ前記金属コアを下方へ引き出させ、前記圧電、誘電セラミックファイバーとして形成させ、さらに、前記金属コアの先端部は前記口金部小孔端から連続的に下方へ引っ張りながら形成させ、得られた前記ファイバーを焼結・分極させたことを特徴とする圧電、誘電セラミックファイバーの製造方法により提供される。
【0014】
また、前記同質のゾルが酢酸で調整されたゾルを用いた場合、前記金属コア素材として白金又はニッケル系材料を用いた場合、前記押出原料に追加成分としてリラクサー系強誘電体材料を付加した場合における前記の圧電、誘電セラミックファイバーの製造方法により効果的に提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
圧電、誘電セラミックファイバー(以下、主として、圧電ファイバーを使用する。)は図1の一部切欠断面図、図2の断面図の形態を有していることが知られている。圧電ファイバー1は圧電体層2の中心部に金属コア3を入れることで円周表面との間で分極された圧電セラミックファイバー1を形成させたものである。図3はファイバー切断面の倍率3500倍の電子顕微鏡写真である。得られた圧電セラミックファイバーは圧電素子として単体で使用することができる。
【0016】
圧電セラミックファイバーの製造には、押出成形法として、従来から熱可塑性プラスチック材料の成形に利用されている押出成形機が参考となる。これは水平に成形品を押し出すのが一般的である。電線被覆等ではこれにより実施されている。しかしながら、本件発明のファイバーの成形にあっては不十分であった。理由は、加熱押出を通常とする押出成形機と異なり加熱成形をしない圧電セラミックファイバー素材に起因する。これは熱可塑性プラスチックの押出成形法は一般にホッパーからかさの大きなペレット材料を供給する。材料がスクリューにより前進し、加熱溶融され見掛け容量としてのかさが減少しながら、いわゆる圧縮を受けて、スクリューのピッチの変化により押出原料が前進して金型から押出成形されるものである。
【0017】
これに対して本件発明の押出原料は少なくとも加熱溶融ではない、また、かさも減少せず押し出す必要がある。このため、成形容易な流動性は逆に押出後のセラミックス内からのバインダー残留、脱気不足、脆弱性、とりわけ金属コアの偏心等特性上の課題があった。また、流動しにくいものはセラミックス内から脱気不足、成形しにくい課題があった。この結果は、従来の被覆電線におけるような押出成形の成形容易さとは異なり困難な製造上の設計、製造条件が要求されていた。
【0018】
さらに、一定断面形状、偏心が無いこと、ファイバー層の均一性、長さも相当程度達成できること等の面から従来方法では量産化できなかった。かかる必要性から成形時の条件を種種検討した結果、下方押出方式を取り入れた。図4は図示しない押出成形手段の押出装置1の一実施例を示したものである。この装置1はファイバー及び金属コアを下方から排出させる円筒型シリンダー部が内筒、外筒を基本構成とした断面図を模式的に示したものである。なお、本件発明に使用される押出成形手段は一般的な押出成形機を意味しないが、部分的には原料を装置内で圧縮押出行程での加圧手段は参考となる。
【0019】
押出成形手段で成形品を得るためには外筒シリンダー部6及び金型口金までを一体型とした押出装置の構成とした。また、これらを別個として製作してもよい。以下それぞれについて説明する。
一体型とした押出装置1のシリンダー部6は基本的には円筒型となる。シリンダー部は内筒7、外筒6からなり、内筒には金属コア3が装入できる内径とする。外筒と内筒との隙間は押出原料の通路となる。
【0020】
内筒及び外筒シリンダー部は嵌合部12で固定され、両者が同心円として位置づけられるよう固定する役割を担う。内筒及び外筒シリンダー部の下方部分はいわゆる金型口金部9である。内筒シリンダー部7の先端テーパ部分のニップル8と外筒シリンダー部内壁面との間のギャップは押出原料の排出量、すなわち成型品の厚みを決定する。内筒シリンダー部に対する外筒シリンダー部の図の上下位置調整により押出成形時の加圧程度を左右し、成型品の品質面にも影響するので予め実験的に最適値を調整することが望ましい。
【0021】
押出原料の投入及びそれへの加圧は外筒シリンダー部6の側面に設けた加圧口5によった。原料の流動速度の不均一は成型品の亀裂に影響することが確認されている。金属コアの送り速度を速めることで原料の流速も均一に保つことも確認された。これらとともに加圧制御により均質な成型品を取得できる。
【0022】
一方、押出装置1の内筒シリンダー部7のニップル8部分及び外筒シリンダー部6の下端付近に別途金型口金部9を形成しても良い。この場合には図示しない金型押さえ金具で金型口金を装着する。同様前記ニップル部分を金型口金の一部としてシリンダー部に嵌着することができる。金型口金部の交換自在とすることで成型品の外径の制御がし易い効果が期待できる。この口金も前記と同様基本的には円筒型となり、先端がテーパ状となる。金型口金9には図示しない金属コアの偏心制御のためニップル位置制御用センタリングボルト設けると良い。これによりいわゆる偏肉のない成型品が金型口金から押出成形される。
【0023】
さらに、成型品の製造には、金型口金部分の図4の上下長さとしてのいわゆるランド10の厚み、金型口金9の内面に接するニップル8との隙間の設定も成形性を上げる上で考慮すべきである。
【0024】
本件発明から得られる成型品の製造にはその形状、材質及び成形条件が重要な要素となる。成形手段のシリンダー部6にあるホッパーから後述するゾル及び圧電材料からなる押出原料2を投入する。金型先端部の口金9では、別途金属コア3の表面に押出原料2の摩擦力を利用して金属コアを引き出しつつ被覆させながら成形品4を得る。成型品は圧電セラミックファイバーとして押出成形されることになる。
【0025】
原料と金属コアとの密着性も重要な要素である。金属コア3と原料2の間の摩擦抵抗の設定は原料の設定、ニップル8の先端位置と金型出口間の図の上下位置関係の距離等からも成形性に影響する。
本件発明では、金属コア外径50μmのとき、口金の内径は100μm、ランドの厚み7mm、金型口金9の内面に接するニップル8との隙間100μmに設定した。押出原料の吐出にはニップル及び金型出口内のテーパ角度30度とした。
【0026】
これらから容易に理解されるように、従来の押出成型機は一般にホッパーから原料を投入し、加熱溶融したもので、本件発明では、溶融、流動性の増加、成形後の冷却手段を用いていない。押出成形手段としては従来にない新規な製造手段を提供したものである。
【0027】
さらに、金型口金9の直下にはXYZステージを設置し、成型品の収受とともに偏心回避、亀裂のない成型品を取り出すことができた。
金型口金9まで金属コア3はシリンダー部上端3よりガイドされニップル8を経由して金型口金9より押出原料を被覆させつつ吐出させる。
【0028】
成形された成型品4はいわば内面にある金属コア3があり、これが圧電素子の一方電極となる。他方成型品の外面には別途電極面の塗布が行われる。成型品の金属コア部分の接合強度は前記したように成形条件、すなわち、金型口金部分とニップルの位置・構造設定及び加圧、原料の粘度、成形速度等の製造条件に影響される。成型品質は剥離のないこと、すなわち、接合部の密着性の制御により確保される。
【0029】
金属コア3は中心軸及び長手方向での偏心がない、いわゆるズレがないことも必要である。押出原料は製造のし易さから、粘度、流動性を制御すべきである。また、品質面からはセラミックス粉末(原料)の粒度、不純物濃度等均一性の確保、結果としてセラミックス層の緻密性の確保も重要であり、押出成形条件と押出原料の双方からの生産性及び品質確保が必要である。
【0030】
図3は成型品として得られたファイバー素材断面のセラミックス層の電子顕微鏡写真(走査型電子顕微鏡SEM)である。加速電圧15kV、倍率3500倍によった。二次電子像であるため、深さの情報が得られることを示している。この時、SEMでの観察から緻密さとして粒径が平均して5μm以下であることが認められた。
【0031】
柔軟性等も重要な成形品性能を決定する。この成形装置1の金型口金9の先端の小孔の内径及びニップル部分の位置及びテーパ制御により所望の圧電セラミックファイバーの外径、金属コアとの密着性、偏心程度等が決定される。また、必要により圧電セラミックファイバーの断面形状(四角、楕円形、各種の断面形状)は押出装置1の先端の金型口金の形状、寸法、製造条件で決定される。具体的には押出装置1から排出される金属コアとセラミック原料は成形後乾燥され、焼結後圧電セラミックファイバーとして得ることができた。このように押出装置から同一の断面形状を有する成型品を量産できた。
【0032】
一般の熱可塑性プラスチック原料の混練は前記ホッパー内で行い、シリンダ及びヒーター部で溶融させることから行うが、本件発明では後述するゾル及びセラミック原料を前処理の上押出装置に投入し押出成形した。
【0033】
【実施例】
実施例1
圧電、誘電素子としてはセラミックス粉末(原料)の均一性、緻密性保持のため、以下の処方により押出原料を作製し成形した。
処方
1.ファイバー原料としてのセラミック原料粉末
PZT粉末の合成には酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタンが用いられ、一般的にはPb(Zr0.52Ti0.48)O3となるように秤量する。更に添加剤として酸化ニオブを重量比で0.5%添加する。
その後、水を溶媒としてボールミルで24時間混合した。混合後乾燥させ1050℃で仮焼きし再度ボールミルで48時間粉砕した粉末を出発原料とした。
【0034】
2.ゾルの合成
Pb(Zr0.52Ti0.48)O3組成に原料を秤量する。原料として、酢酸鉛三水和物、酢酸ニッケル四水和物、ニオブ‐エトキサイト、ジルコニウム‐n‐プロキシド、チタニウムイソプロポキシドを用いた。
合成中に水が入らないように2‐メトキシエタノールを溶媒として用いた。
出来たゾルの濃度はゾルに酢酸をモル数で2〜6倍添加し80℃で保持して調節した。
粘度調整には多価カルボン酸を添加が望ましい。また、アクリル樹脂,エチルセルロース,PVA等の有機バインダーを添加してもよい。この反応によれば、反応系中に水が入らない。
【0035】
3.押出原料の作製
前記で調製されたファイバー原料と合成ゾルとの混合比(モル比)を1:4〜1:30の範囲でそれぞれ混合させて押出原料を作製した。
【0036】
4.製造方法
図4の押出装置を押出成形手段に装着し、前記押出原料及び白金(外径50μm)を前記したように下方口金から白金コアに被覆させながら成型品を得た。最小5gの原料で約10mのファイバーを成形できた。金属コアをファイバーの中心に位置させるためにはX−Y−Zステージを使い白金コアをモーターで一定のテンションを維持しながら巻き取りを行いつつ成形した。前記混合比の押出原料では、混合比で合成ゾルが低いレベルではゾル的な流動性を示し、高いレベルでは混合できずファイバーを押し出すことができないといった特性となり、また、白金コアの太さ、細さ、断面形状による差異もありこれらを考慮した設定をすべきである。ファイバー内のコアのズレは中心からプラスマイナス3ミクロン以内に制御でき、均一で緻密な焼結体を得ることができた。
【0037】
本件発明のゾルとしてはPZT系材料が利用できる。
実施例1では前記処方の[Pb(Nb2/3Ni1/3)O3] 0.55 −[(Pb(Zr0.3Ti0.7)O3]O.45系材料(PNN−PZT)を使用した。
また、セラミックス粉末は前記処方の他、チタン酸バリウム系をはじめとする非鉛系材料を用いても良い。
【0038】
最近着目されているものとして、前記ファイバー原料にリラクサ‐系強誘電体材料を追加成分として添加しても良い。
例えばPb(Mg1/3Nb2/3)O3 −PbTiO3 (PMN−PT)を使用することが可能である。
PNN−PZT粉末の合成には酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ニッケルが用いられる。
この場合[Pb(Nb2/3Ni1/3)O3] 0.55 −[(Pb(Zr0.3Ti0.7)O3]O.45系材料(PNN−PZT)となるように秤量するが組成は求める特性により自由に選べる。原料として酢酸鉛三水和物、酢酸ニッケル四水和物、ニオブ‐エトキサイト、ジルコニウム‐n‐プロキシド、チタニウムイソプロポキシドを用いた。
【0039】
先に酢酸鉛三水和物、酢酸ニッケル四水和物を2‐メトキシエタノールに溶かし脱水、その後ジルコニウム‐n−プロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、ニオブ‐エトキサイトを添加して合成した。
これにより形態の特徴から生ずる作用効果と共にアクチュエータ特性の向上が考えられる。具体的に作製したアクチュエータの電界に対する変位量の増大が想定されよう。
【0040】
合成ゾルを入れる目的は、セラミック粉末のバインダーの役割を目的として、成形時シリンダー部内の移動のし易さを考慮している。また、セラミックファイバー仕上がり外径により粘度調整に配慮した量の制御が必要となる。
ゾルとセラミックス粉末の比率を1:2〜1:20の割合にすることにより断面形状の変化を観察した。結果は、円形で長いファイバーを成形には表1に示すとおり「セラミックス粉末とゾルとの比率を変化させた時のファイバー形態」となった。
【0041】
【表1】
【0042】
本件発明ではゾルの急激な加水分解、縮重合反応を抑制する。また、線状高分子の発達を促す目的で酢酸を添加する。ゾルに酢酸をモル数で2〜6倍添加し、80℃で保持することで適切な濃度のゾルを得ることができる。巻き取り速度は1〜6cm/minの間で円形の長いファイバーを成形することができた。
得られた成形品は80℃で24時間乾燥後、焼結温度は800℃〜1250℃で2時間焼結させ良質のファイバーを得ることができた。
【0043】
ファイバーの表面電極はメッキ、スパッタで塗布することができ、電極パターンを選ぶことでファイバー内の金属コアとの間で分極でき圧電性を得ることができる。分極は金属コアと表面電極の間で行い500〜2000V/mmの分極電圧が望ましい。また、分極を行わなくても圧電効果を得ることができる。図5は発明の製造方法で作製した圧電セラミックファイバーの長さ方向に電圧を加えた強誘電性の測定結果である。分極値は飽和し、高い残留分極を有する強誘電体ヒステリシスを示しており、作製したファイバが強誘電性を有することが確認された。
【0044】
また、金属コア素材として白金のほかニッケル系材料、例えばコバルトニッケルのコアを用いたものも適用でき、ファイバーの焼結温度に対する耐久性を主として選定条件として他に変更可能である。
【0045】
実施例2
本件発明の圧電セラミックファイバーを利用した片持ち梁について説明する。金属板の片面に圧電セラミックファイバーを貼り付けこれを振動させ、その変位からセンサーとしての利用が確認された。図6は変位と出力電圧の時間的変化を図示したものである。縦軸が電圧及び変位である。変位に対する電圧出力の相関性が認められる。なお、変位と電圧間の位相差は圧電セラミックファイバーの静電容量に起因したものであることも確認された。
【0046】
実施例3
実施例2と同様に圧電セラミックファイバーを利用した他の応用例について説明する。
圧電セラミックファイバーに片持ち梁を貼り付け、その梁の先端変位を計測することでアクチュエータへの利用可能性を検討した。
印加電圧と変位の関係は図7に示したようになった。変位はレーザー変位計で読み圧電ファイバーの共振周波数38Hzで100Vを加えて測定した。図7の横軸は+50〜−50Vの交流電圧、縦軸は2〜−2μmの変位である。この結果ファイバーが規則的に振動していることが分かった。最大変位は電圧により変位しまたファイバーの振動周期は交流周波数を変えることで変化するためファイバーがアクチュエータとして利用可能であることが分かった。グラフのヒステリシスは一周期の振動で減衰によって消費されるエネルギーが表わされる。
【0047】
実施例4
さらに、本件発明では、各種の圧電、誘電ファイバーを用いた圧電、誘電素子として期待される。長手方向に細長い素子としての形態の特徴から各種の用途が期待されよう。具体的にはファイバー単体をコイル状に加工すればスプリングの用途が考えられよう。
他方、前記圧電、誘電ファイバーを束ね、並べて形成させた圧電、誘電素子としての利用も考えられる。長手方向に細長い素子を束ね、くし形電極等を用いることで長さ方向モード(d33モード)を持つものや上下面電極を利用した横方向(d31モード)を持つ矩形型素子としての形態の特徴から生じる素子としての利用が考えられる。具体的には振動制御、音響制御等への応用が想定されよう。
【0048】
実施例5
本件発明の用途としては、前記したセンサー、アクチュエータのほか、圧電、誘電セラミックファイバーから製造された変調PZTセラミックファイバーの用途が考えられる。具体的には、変調PZTセラミックスファイバーの用途が考えられる。具体的には精密部分で使用する触手やモーターに応用できる。
このように、主に単体で利用できるが、従来のようにくし型電極面をファイバー表面にスパッタリング等で形成させたくし型電極ないしくし型電極を並べて振動制御にも利用できる。圧電、誘電セラミックファイバーを単体として利用する場合主にMEMS(マイクロマシン)に利用可能である。
【0049】
このほか、電極塗布方法により分極を行わなくても本質的に圧電効果を有する素材から得られているため圧電、誘電素子ないしセラミックファイバーとしての利用を否定するものではない。このことは、軽く、長い形状を有する従来にない圧電、誘電セラミックファイバーないし素子として、単体ないし他の振動板等との組み合わせての多方面での用途開発も可能とした。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、従来技術に比較した格別の効果が見いだされることが確認された。圧電、誘電セラミックファイバーとしての提供、量産化として好適な製造方法、それにより得られた応用面である圧電、誘電体素子、変調PZTセラミックファイバーを提供できた。請求項1の発明によれば、中心に金属コアを入れた圧電、誘電セラミックファイバーは断面がほぼ丸く形成でき、容易に分極が可能、素子としての偏心を回避できた。
【0051】
請求項2以下の発明によれば、容易に製造でき、より精度の高い、品質レベルを高めた圧電、誘電セラミックファイバーが提供される。
他方原材料の変更は、前記形態性に付加した素材の特性をより用途的にも最適な圧電、誘電セラミックファイバーの提供が可能となった。
これらは、特徴のある素子としても効果的な作用効果を有する。
一方、これらの製造方法としては、より高品質で、量産可能な圧電、誘電セラミックファイバーの提供が可能となった。
【0052】
具体的には、前記請求項から、最小5gの原料で圧電セラミックファイバーを数m成形することができるので原料の無駄がない。ゾルをバインダーの代わりに利用しているためポアのない緻密な圧電セラミックファイバーを得ることができる。さらにゾルを利用することで金属コアとの接合強度も大きく、円形で長い圧電セラミックファイバーが容易に作製できた。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電セラミックファイバーの一部切欠断面図。
【図2】圧電セラミックファイバーの断面図。
【図3】ファイバー内部の電子顕微鏡写真。
【図4】下方押出装置の断面図。
【図5】ファイバーの強誘電特性図。
【図6】センサ特性図
【図7】アクチュエータ特性図。
【符号の説明】
1 押出装置金型
2 原料
3 金属コア
4 成形品
5 加圧圧力口
6 外筒シリンダー部
7 内筒シリンダー部
8 ニップル
9 金型口金部[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a piezoelectric / dielectric ceramic fiber having a metal core at the center thereof, and more particularly to a piezoelectric / dielectric ceramic fiber having a metal core at the center suitable for mass production, a method of manufacturing the same, and a piezoelectric or dielectric element for those uses. , Modulated PZT ceramic fibers and the like.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art A covered electric wire in which an insulator is coated on a surface of a so-called copper wire is conventionally known. Non-Patent Documents 1 to 3 disclose piezoelectric ceramic fibers obtained by molding and sintering a ceramic fiber made of a piezoelectric body by an extrusion method in a similar manner. Furthermore, although it is already commercially available in the United States, a material in which a piezoelectric material is coated on a metal core is not sufficient in terms of characteristics as a piezoelectric or dielectric ceramic fiber.
[0003]
This is because piezoelectric and dielectric ceramic fibers are required to be thinner, have a circular cross section, and have properties of a long object. However, there is a problem that there are difficulties in molding and difficulty in forming electrodes, in particular, there is a problem in electrode application, there is a difficulty in performing polarization, and the device cannot be used alone.
[0004]
One solution to this problem has been considered in which dozens to hundreds of piezoelectric ceramic fibers are bundled, arranged side by side and cured with an insulating film or epoxy resin, and a comb-shaped electrode or the like is used. In this case, although a piezoelectric element used because a material other than ceramics such as a film or epoxy is used is excellent in heat resistance, there is no heat resistance due to the resin and there is a limit to a usable environmental temperature.
Further, there is a problem that the vibration mode has no degree of freedom and can be used only in the electromechanical coupling coefficient k33 direction of the longitudinal vibration mode of the rod, and is hardly applicable to devices other than vibration control.
[0005]
In recent years, mainly by the present inventors, a fiber that deforms by a potential difference between side electrodes having a metal core inserted in the center of a piezoelectric ceramic fiber has been trial manufactured.
In such a piezoelectric ceramic fiber in which a metal core, particularly, a platinum core material is inserted at the center of the piezoelectric ceramic fiber, a problem is solved in which the above-described epoxy resin or the like, such as a comb-shaped electrode, is not used.
However, there still remains a problem in terms of moldability. That is, there is a defect that the platinum is located at a position eccentric from the center with respect to the fiber having a circular cross section of the ceramics.
[0006]
There is also a disadvantage that the fiber is cut in the longitudinal direction.
Further, when the metal core is pulled, there is a disadvantage that the position of the core is largely shifted from the central axis. On the other hand, if tension is not applied to the core, there is also an inconvenience in downsizing such that the fiber outer diameter exceeds 300 μm.
[0007]
On the other hand, in the case of the present inventor's valley (Non-Patent Document 1), a prototype was provided in which these were avoided. As a result, the metal core itself could provide piezoelectric ceramic fibers that avoided eccentricity from the center of the fiber, but these were disclosures at the prototype stage of the piezoelectric ceramic fibers themselves, and were insufficient in quality and mass production. .
[0008]
[Non-patent document 1]
Junji Tani et al. "High Performance Actuator Materials and Devices", 4th Symposium on Intelligent Materials and Structural Systems, P123-129, January 21 and 22, 2003
[Non-patent document 2]
Shoko Yoshikawa, "PZT Fibers-Fabrication and Measurement Method", Journal Intellectual Materials Systems and Structures, Vol. 6, March (1995) pp 152-158
[Non-Patent Document 3]
Sadatani Sekiya et al. "Preparation of PZT Wires with Metal Cores by Extrusion Molding and Application to Smart Boards", 4th Symposium on Intelligent Materials and Structural Systems, P141-145, January 22, 2002, 23rd
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to solve the above-mentioned problems, to provide a manufacturing method suitable for mass production of piezoelectric and dielectric ceramic fibers, to provide suitable materials as piezoelectric and dielectric materials, and to solve the problems as applications of these piezoelectric and dielectric ceramic fibers. And
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present invention relates to a piezoelectric or dielectric ceramic fiber having a metal core at the center, wherein the mixing ratio (molar ratio) of the fiber raw material and the sol of the same quality, which is composed of ceramic powder, is in the range of 1: 4 to 1:30. The extruded raw material mixed in the above is extruded, and the extruded raw material is sintered, thereby providing a piezoelectric or dielectric ceramic fiber.
[0011]
Further, in the case where the homogeneous sol comprises a sol adjusted with acetic acid, the extruded raw material further comprises an extrusion cylinder portion and a mold die portion capable of moving the extrusion raw material downward from above. Is provided more effectively.
[0012]
When a relaxor ferroelectric material is added as an additional component to the fiber raw material, or when a piezoelectric or dielectric ceramic fiber portion is made to have an additional component, characteristics of the fiber itself are also expected in combination with the morphological performance. .
On the other hand, when a platinum or nickel-based material core is used as the metal core material, a relaxor-based ferroelectric material is used as the fiber material, and a barium titanate-based ferroelectric material is used as an additional component. Will be provided.
[0013]
As a method for producing these, a piezoelectric or dielectric ceramic fiber having a metal core in the center, and a mixing ratio (molar ratio) of the fiber raw material and a sol of the same quality, which is composed of ceramic powder, is 1: 4 to 1: The mixture was mixed as an extruded raw material in the range of 30 and the material was charged into an extruder, and the raw material was pressurized between the outer and inner hollow cylinder portions of the device, while being arranged concentrically with the outer hollow cylinder portion. A metal core is charged into the inner hollow cylinder from the upper end of the device, the raw material is discharged from a small hole of a die unit of the device to cover the peripheral surface of the metal core, and the discharge force of the raw material is reduced. The metal core is added and pulled out downward to form the piezoelectric and dielectric ceramic fibers, and the tip of the metal core is continuously downward from the end of the base hole. Was formed while tension Tsu, piezoelectric, characterized in that Sintered-polarized the fiber obtained, is provided by the production method of the dielectric ceramic fibers.
[0014]
Further, when the same sol is a sol adjusted with acetic acid, when a platinum or nickel-based material is used as the metal core material, when a relaxor-based ferroelectric material is added as an additional component to the extrusion raw material. Are effectively provided by the above-described method for producing a piezoelectric or dielectric ceramic fiber.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
It is known that a piezoelectric or dielectric ceramic fiber (hereinafter, mainly a piezoelectric fiber is used) has a partially cutaway sectional view in FIG. 1 and a sectional view in FIG. The piezoelectric fiber 1 is formed by placing a metal core 3 in the center of a piezoelectric layer 2 to form a piezoelectric ceramic fiber 1 polarized with respect to a circumferential surface. FIG. 3 is an electron micrograph of a section of the fiber at a magnification of 3500. The obtained piezoelectric ceramic fiber can be used alone as a piezoelectric element.
[0016]
In the production of the piezoelectric ceramic fiber, an extrusion molding machine conventionally used for molding a thermoplastic material can be referred to as an extrusion molding method. Generally, the molded product is extruded horizontally. This is implemented in the case of wire covering and the like. However, the molding of the fiber of the present invention was insufficient. The reason is derived from the piezoelectric ceramic fiber material which does not perform heat molding unlike an extruder which usually performs heat extrusion. This is because thermoplastic extrusion generally supplies bulky pellet material from a hopper. The material is advanced by a screw, is heated and melted, and while being reduced in apparent volume, is subjected to so-called compression, and the extruded material is advanced by a change in the pitch of the screw and extruded from a mold.
[0017]
On the other hand, the extruded raw material of the present invention is at least not heated and melted, and must be extruded without reducing its bulk. For this reason, the fluidity that can be easily formed has a problem in characteristics such as a binder remaining in the ceramic after extrusion, insufficient degassing, brittleness, and particularly eccentricity of the metal core. In addition, there is a problem that a material that does not easily flow is insufficiently deaerated from within the ceramic and is difficult to mold. As a result, unlike the ease of extrusion molding as in the case of conventional coated electric wires, difficult manufacturing design and manufacturing conditions are required.
[0018]
Furthermore, mass production was not possible by the conventional method in view of the fact that a constant cross-sectional shape, no eccentricity, uniformity and length of the fiber layer could be achieved to a considerable extent. As a result of various examinations on the conditions at the time of molding from this necessity, a downward extrusion method was adopted. FIG. 4 shows an embodiment of an extruder 1 of an extruder (not shown). This apparatus 1 schematically shows a cross-sectional view in which a cylindrical cylinder portion for discharging a fiber and a metal core from below is basically composed of an inner cylinder and an outer cylinder. The extrusion molding means used in the present invention does not mean a general extrusion molding machine, but the pressurizing means in the compression extrusion step of the raw material in the apparatus is partially referred to.
[0019]
In order to obtain a molded product by the extrusion molding means, an extruding apparatus was constructed in which the outer cylinder 6 and the die were integrated. Further, these may be manufactured separately. Hereinafter, each will be described.
The cylinder section 6 of the integrated extruder 1 is basically cylindrical. The cylinder portion is composed of an inner cylinder 7 and an outer cylinder 6, and the inner cylinder has an inner diameter in which the metal core 3 can be inserted. The gap between the outer cylinder and the inner cylinder serves as a passage for the extrusion raw material.
[0020]
The inner and outer cylinder portions are fixed by the fitting portion 12 and play a role of fixing them so that they are positioned as concentric circles. A lower part of the inner cylinder and the outer cylinder is a so-called die base 9. The gap between the nipple 8 at the tapered end of the inner cylinder 7 and the inner wall surface of the outer cylinder determines the amount of extruded material discharged, that is, the thickness of the molded product. Adjustment of the vertical position of the outer cylinder portion relative to the inner cylinder portion in the figure affects the degree of pressurization during extrusion molding and affects the quality of the molded product. Therefore, it is desirable to experimentally adjust the optimum value in advance.
[0021]
Extrusion raw material was charged and pressurized by the pressurizing port 5 provided on the side surface of the outer cylinder 6. It has been confirmed that unevenness in the flow velocity of the raw material affects cracks in the molded product. It was also confirmed that the flow rate of the raw material was kept uniform by increasing the feeding speed of the metal core. Together with these, a uniform molded product can be obtained by controlling the pressure.
[0022]
On the other hand, a mold die 9 may be separately formed near the nipple 8 of the inner cylinder 7 and the lower end of the outer cylinder 6 of the extrusion device 1. In this case, the mold base is mounted by a mold holding member (not shown). Similarly, the nipple portion can be fitted to the cylinder portion as a part of a die. By making the mold base freely replaceable, an effect that the outer diameter of the molded product can be easily controlled can be expected. This base is also basically cylindrical as described above, and the tip is tapered. It is preferable to provide a centering bolt for controlling the nipple position on the die 9 to control the eccentricity of a metal core (not shown). Thus, a molded product without so-called uneven thickness is extruded from the die.
[0023]
Further, in the production of a molded product, setting the thickness of the land 10 as the vertical length of the mold die portion as shown in FIG. 4 and the gap with the nipple 8 which is in contact with the inner surface of the mold die 9 are also necessary for improving the moldability. Should be considered.
[0024]
The shape, material and molding conditions are important factors for the production of the molded product obtained from the present invention. An extruding raw material 2 composed of a sol and a piezoelectric material, which will be described later, is charged from a hopper provided in a cylinder section 6 of the molding means. In the die 9 at the tip of the mold, the molded product 4 is obtained while coating the surface of the metal core 3 while pulling out the metal core using the frictional force of the extruded raw material 2. The molded article will be extruded as piezoelectric ceramic fibers.
[0025]
The adhesion between the raw material and the metal core is also an important factor. The setting of the frictional resistance between the metal core 3 and the raw material 2 also affects the formability from the setting of the raw material, the distance between the tip position of the nipple 8 and the die outlet in the vertical positional relationship in the figure.
In the present invention, when the outer diameter of the metal core is 50 μm, the inner diameter of the die is set to 100 μm, the thickness of the land is set to 7 mm, and the gap between the nipple 8 and the inner surface of the die 9 is set to 100 μm. The extrusion raw material was discharged at a taper angle of 30 degrees in the nipple and the mold outlet.
[0026]
As can be easily understood from the above, the conventional extruder is generally one in which a raw material is charged from a hopper and is heated and melted. In the present invention, melting, increase in fluidity, and cooling means after molding are not used. . The present invention provides an unprecedented new manufacturing means as an extrusion molding means.
[0027]
Furthermore, an XYZ stage was set immediately below the die 9 to prevent the eccentricity and to take out the molded product without cracks while receiving the molded product.
The metal core 3 is guided from the upper end 3 of the cylinder portion to the die 9, and is discharged from the die 9 through the nipple 8 while covering the extruded raw material.
[0028]
The molded product 4 has a metal core 3 on the inner surface, so to speak, and serves as one electrode of the piezoelectric element. On the other hand, an electrode surface is separately applied to the outer surface of the molded product. As described above, the bonding strength of the metal core portion of the molded product is affected by the molding conditions, that is, the production conditions such as the position and structure of the die and the nipple, the pressure, the viscosity of the raw material, and the molding speed. The molding quality is ensured by no peeling, that is, by controlling the adhesion of the joint.
[0029]
It is necessary that the metal core 3 does not have eccentricity in the central axis and the longitudinal direction, that is, does not have so-called deviation. Extrusion materials should be controlled in viscosity and fluidity for ease of production. In terms of quality, it is also important to ensure the uniformity of the particle size and impurity concentration of the ceramic powder (raw material) and, as a result, the denseness of the ceramic layer. Needs to be secured.
[0030]
FIG. 3 is an electron micrograph (scanning electron microscope SEM) of a ceramic layer in a cross section of a fiber material obtained as a molded product. The acceleration voltage was 15 kV and the magnification was 3500 times. This indicates that depth information can be obtained because the image is a secondary electron image. At this time, it was confirmed from observation with an SEM that the average particle size was 5 μm or less.
[0031]
Flexibility also determines important molded article performance. By controlling the inner diameter of the small hole at the tip of the die 9 of the molding apparatus 1 and the position of the nipple and the taper control, the desired outer diameter of the piezoelectric ceramic fiber, adhesion to the metal core, degree of eccentricity, and the like are determined. If necessary, the cross-sectional shape (square, elliptical, various cross-sectional shapes) of the piezoelectric ceramic fiber is determined by the shape, dimensions, and manufacturing conditions of the die at the tip of the extruder 1. Specifically, the metal core and the ceramic raw material discharged from the extrusion device 1 were dried after molding, and were obtained as piezoelectric ceramic fibers after sintering. In this way, molded products having the same cross-sectional shape could be mass-produced from the extruder.
[0032]
The kneading of a general thermoplastic material is performed in the hopper and is performed by melting the material in a cylinder and a heater. In the present invention, a sol and a ceramic material, which will be described later, are put into an extruder after pretreatment and extruded.
[0033]
【Example】
Example 1
For the piezoelectric and dielectric elements, an extruded raw material was prepared and molded according to the following recipe in order to maintain uniformity and denseness of the ceramic powder (raw material).
Prescription
1. Ceramic raw material powder as fiber raw material
Lead oxide, zirconium oxide, and titanium oxide are used in the synthesis of PZT powder, and generally Pb (Zr0.52Ti0.48) O3Weigh so that Further, 0.5% by weight of niobium oxide is added as an additive.
Thereafter, the mixture was mixed by a ball mill for 24 hours using water as a solvent. After mixing, the powder was dried, calcined at 1050 ° C., and pulverized again with a ball mill for 48 hours to obtain a starting material.
[0034]
2. Sol synthesis
Pb (Zr0.52Ti0.48) O3Weigh the ingredients into the composition. As raw materials, lead acetate trihydrate, nickel acetate tetrahydrate, niobium-ethoxide, zirconium-n-proxide, and titanium isopropoxide were used.
2-Methoxyethanol was used as solvent to keep out water during the synthesis.
The concentration of the resulting sol was adjusted by adding acetic acid to the sol in a molar number of 2 to 6 times and maintaining at 80 ° C.
It is desirable to add a polyvalent carboxylic acid for viscosity adjustment. Further, an organic binder such as an acrylic resin, ethyl cellulose, or PVA may be added. According to this reaction, no water enters the reaction system.
[0035]
3. Preparation of extrusion raw materials
Extrusion raw materials were prepared by mixing the fiber raw materials prepared as described above and the synthetic sol in a mixing ratio (molar ratio) of 1: 4 to 1:30, respectively.
[0036]
4. Production method
The extruder shown in FIG. 4 was attached to an extrusion molding means, and a molded product was obtained while coating the extrusion raw material and platinum (outer diameter 50 μm) on the platinum core from the lower die as described above. About 10 m of fiber could be formed with a minimum of 5 g of raw material. In order to position the metal core at the center of the fiber, an XYZ stage was used to form the platinum core while winding it while maintaining a constant tension with a motor. The extruded raw material having the above mixing ratio has characteristics such that the synthetic sol exhibits a sol-like fluidity at a low mixing ratio, cannot be mixed at a high mixing ratio and cannot extrude fibers, and has a thickness and a fineness of a platinum core. There is a difference depending on the cross-sectional shape, and the setting should be made in consideration of these. The deviation of the core in the fiber could be controlled within plus or minus 3 microns from the center, and a uniform and dense sintered body could be obtained.
[0037]
A PZT-based material can be used as the sol of the present invention.
In Example 1, [Pb (Nb2/3Ni1/3) O3]0.55− [(Pb (Zr0.3Ti0.7) O3]O. 45A system material (PNN-PZT) was used.
In addition, the ceramic powder may use a lead-free material such as a barium titanate-based material in addition to the above-described formulation.
[0038]
Recently, a relaxor-based ferroelectric material may be added to the fiber material as an additional component.
For example, Pb (Mg1/3Nb2/3) O3 -PbTiO3(PMN-PT) can be used.
Lead oxide, zirconium oxide, titanium oxide, niobium oxide, and nickel oxide are used for synthesizing the PNN-PZT powder.
In this case, [Pb (Nb2/3Ni1/3) O3]0.55− [(Pb (Zr0.3Ti0.7) O3]O. 45The composition is weighed so as to be a system material (PNN-PZT), but the composition can be freely selected depending on the required characteristics. As raw materials, lead acetate trihydrate, nickel acetate tetrahydrate, niobium ethoxide, zirconium-n-proxide, and titanium isopropoxide were used.
[0039]
First, lead acetate trihydrate and nickel acetate tetrahydrate were dissolved in 2-methoxyethanol and dehydrated, and then synthesized by adding zirconium-n-propoxide, titanium isopropoxide, and niobium-ethoxy.
Thereby, it is possible to improve the actuator characteristics together with the operation and effect resulting from the feature of the form. An increase in the amount of displacement of the specifically manufactured actuator with respect to the electric field will be assumed.
[0040]
The purpose of adding the synthetic sol is to facilitate the movement in the cylinder during molding for the purpose of serving as a binder for the ceramic powder. Further, it is necessary to control the amount in consideration of the viscosity adjustment depending on the finished outer diameter of the ceramic fiber.
By changing the ratio of the sol to the ceramic powder to a ratio of 1: 2 to 1:20, a change in the cross-sectional shape was observed. As shown in Table 1, the result was "the fiber form when the ratio between the ceramic powder and the sol was changed" for molding a circular long fiber.
[0041]
[Table 1]
[0042]
In the present invention, rapid hydrolysis and polycondensation of the sol are suppressed. Also, acetic acid is added for the purpose of promoting the development of the linear polymer. Acetic acid is added to the sol in a molar number of 2 to 6 times, and the sol is maintained at 80 ° C. to obtain a sol having an appropriate concentration. With a winding speed of 1 to 6 cm / min, a long circular fiber could be formed.
The obtained molded product was dried at 80 ° C. for 24 hours and then sintered at a sintering temperature of 800 ° C. to 1250 ° C. for 2 hours to obtain a good quality fiber.
[0043]
The surface electrode of the fiber can be applied by plating or sputtering, and by selecting an electrode pattern, it can be polarized between a metal core in the fiber and piezoelectricity. Polarization is performed between the metal core and the surface electrode, and a polarization voltage of 500 to 2000 V / mm is desirable. In addition, a piezoelectric effect can be obtained without performing polarization. FIG. 5 shows the measurement results of ferroelectricity when a voltage was applied in the length direction of the piezoelectric ceramic fiber manufactured by the manufacturing method of the present invention. The polarization value was saturated, indicating ferroelectric hysteresis having high remanent polarization, and it was confirmed that the fabricated fiber had ferroelectricity.
[0044]
Further, a material using a nickel-based material, for example, a cobalt-nickel core in addition to platinum as the metal core material can be applied, and the durability against the sintering temperature of the fiber can be mainly changed as another selection condition.
[0045]
Example 2
The cantilever using the piezoelectric ceramic fiber of the present invention will be described. A piezoelectric ceramic fiber was attached to one side of a metal plate and vibrated, and its displacement confirmed its use as a sensor. FIG. 6 illustrates the change over time of the displacement and the output voltage. The vertical axis represents voltage and displacement. There is a correlation between the voltage output and the displacement. It was also confirmed that the phase difference between the displacement and the voltage was caused by the capacitance of the piezoelectric ceramic fiber.
[0046]
Example 3
Another application example using a piezoelectric ceramic fiber as in the second embodiment will be described.
The applicability of the cantilever to a piezoelectric ceramic fiber was studied by measuring the displacement of the tip of the cantilever.
The relationship between the applied voltage and the displacement was as shown in FIG. The displacement was measured by reading with a laser displacement meter and applying 100 V at a resonance frequency of the piezoelectric fiber of 38 Hz. The horizontal axis in FIG. 7 is an AC voltage of +50 to −50 V, and the vertical axis is a displacement of 2 to −2 μm. As a result, it was found that the fiber vibrated regularly. It was found that the fiber can be used as an actuator because the maximum displacement is changed by the voltage and the oscillation period of the fiber changes by changing the AC frequency. The hysteresis in the graph represents energy consumed by damping in one cycle of vibration.
[0047]
Example 4
Further, in the present invention, various kinds of piezoelectric and dielectric elements using dielectric fibers are expected. Various applications are expected due to the features of the form as an element elongated in the longitudinal direction. Specifically, if a single fiber is processed into a coil shape, a spring may be used.
On the other hand, it is also conceivable to use the piezoelectric and dielectric fibers by bundling and forming the piezoelectric and dielectric fibers. The features of the form as a device having a lengthwise mode (d33 mode) by using a comb-shaped electrode or the like, and a rectangular device having a lateral direction (d31 mode) using upper and lower electrodes, by bundling elongated devices in the longitudinal direction. Utilization as an element resulting from is considered. Specifically, application to vibration control, sound control, and the like can be assumed.
[0048]
Example 5
As the application of the present invention, in addition to the above-described sensors and actuators, the application of a modulated PZT ceramic fiber manufactured from a piezoelectric or dielectric ceramic fiber can be considered. Specifically, the use of the modulated PZT ceramic fiber can be considered. Specifically, it can be applied to tentacles and motors used in precision parts.
As described above, the comb electrode can be mainly used alone, but it can also be used for vibration control by arranging a comb electrode or a comb electrode in which a comb electrode surface is formed on the fiber surface by sputtering or the like as in the related art. When a piezoelectric or dielectric ceramic fiber is used alone, it can be mainly used for MEMS (micromachine).
[0049]
In addition, since it is essentially obtained from a material having a piezoelectric effect without polarization by an electrode coating method, its use as a piezoelectric, dielectric element or ceramic fiber is not denied. This has made it possible to develop a variety of applications in combination with a simple or other diaphragm as a non-conventional piezoelectric or dielectric ceramic fiber or element having a light and long shape.
[0050]
【The invention's effect】
According to the present invention, it was confirmed that a remarkable effect was found as compared with the prior art. It was possible to provide a piezoelectric and dielectric ceramic fiber, a manufacturing method suitable for mass production, and a piezoelectric, dielectric element and a modulated PZT ceramic fiber obtained by using the manufacturing method. According to the first aspect of the present invention, the piezoelectric and dielectric ceramic fibers having a metal core in the center can be formed to have a substantially round cross section, can be easily polarized, and can prevent eccentricity as an element.
[0051]
According to the second and subsequent aspects of the present invention, there is provided a piezoelectric or dielectric ceramic fiber which can be easily manufactured, has higher accuracy, and has a higher quality level.
On the other hand, by changing the raw material, it has become possible to provide a piezoelectric or dielectric ceramic fiber that is optimal in terms of the characteristics of the material added to the morphology.
These have effective functions and effects even as characteristic elements.
On the other hand, as these manufacturing methods, it has become possible to provide piezoelectric and dielectric ceramic fibers which can be mass-produced with higher quality.
[0052]
Specifically, according to the above claims, a minimum of 5 g of the raw material can be used to form several meters of the piezoelectric ceramic fiber, so that there is no waste of the raw material. Since the sol is used instead of the binder, a dense piezoelectric ceramic fiber without pores can be obtained. Furthermore, by using the sol, the bonding strength with the metal core was large, and a long piezoelectric ceramic fiber having a circular shape could be easily produced.
[0053]
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partially cutaway sectional view of a piezoelectric ceramic fiber.
FIG. 2 is a sectional view of a piezoelectric ceramic fiber.
FIG. 3 is an electron micrograph of the inside of a fiber.
FIG. 4 is a cross-sectional view of the lower extrusion device.
FIG. 5 is a ferroelectric characteristic diagram of a fiber.
FIG. 6 is a sensor characteristic diagram.
FIG. 7 is an actuator characteristic diagram.
[Explanation of symbols]
1 Extrusion device mold
2 Raw materials
3 Metal core
4 Molded products
5 Pressure port
6 Outer cylinder cylinder
7. Inner cylinder cylinder
8 nipples
9 Mold base