JP2004344854A - 微粒子集積体の形成方法 - Google Patents

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Yoshitake Masuda
佳丈 増田
Kunihito Kawamoto
邦仁 河本
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Abstract

【課題】基材上の目的とする部位に、規則的に配列されてなる微粒子集積体を簡易に形成せしめ得る方法を提供すること。
【解決手段】微粒子22表面のゼータ電位の絶対値が10mV以上となるように調製された微粒子分散液を用いて、かかる微粒子分散液が、基板10上の少なくとも親水性領域18の一部を覆うこととなるように、基板10上に滴下して、液滴20を形成せしめ、かかる液滴20を親水性領域18上に移行させた後、液滴20を乾燥させることにより、親水性領域18上に微粒子22よりなる微粒子集積体26を形成した。
【選択図】 図 2

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、粒子集積体の形成方法に係り、特に、基材上に、微粒子が規則的に配列されてなる集積体のパターンを有利に形成せしめ得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年、マイクロメーター(μm)サイズやナノメーター(nm)サイズの各種微粒子の単体や、それら微粒子が複数集積してなる構造体(微粒子集積体)が発現する特有の機能に着目して、フォトニック結晶材料等のような新規の材料についての研究、開発が盛んに行なわれている。
【0003】
ここにおいて、このような微粒子特有の機能を利用した新規な材料を作製するに際しては、微粒子を、基材上の目的とする部位に、規則的に配列せしめることが要求されるところから、従来より、マイクロメーターサイズやナノメーターサイズの微粒子を配列せしめる技術として、様々な手法が提案されている。
【0004】
例えば、非特許文献1(梅村鎮男,新技術開発事業団,創造科学技術推進事業超微粒子プロジェクト,”研究報告会講演要旨”,1984年)においては、電子ビームによりシリコン基板(Siウェハー)の表面を改質して、40nmφ以下の金の微粒子を整列配置せしめる手法が提案されており、また、非特許文献2(M.Egashira, T.Konno, M.Shinya, Journal of Intelligent Material Systems and Structures ,第7号,第267巻,1996年)においては、先端径が2μmのタングステン針をプローブとして用いて、金粒子(50〜100nmφ)を、金基板上の任意の箇所に配置せしめる手法等が、提案されている。
【0005】
しかしながら、このような従来の手法にあっては、何れも、各基板に対する個別の操作が長時間にわたって必要とされるものであるところから、これらの手法を用いて工業的に実施することは、生産性の観点から効率が悪かったのであり、また、これらの手法においては、特殊な装置が必要とされるところから、生産コストが嵩むという問題をも内在していた。
【0006】
一方、本発明者らは、先に、非特許文献3(Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 第7号,第4頁〜12頁,2000年)において、以下の如き手法を提案している。
【0007】
すなわち、先ず、シリコン基板表面に作製されたフェニルトリクロロシランよりなる被膜(自己組織膜)に対して、フォトマスクを用いて紫外線を照射することにより、基板表面上に存在するフェニル基の一部を水酸基に変化せしめる。そして、このように表面処理が施されたシリコン基板を、粒子表面にカルボキシル基が修飾されたSiO 微粒子を分散させてなる分散液中に浸漬することにより、粒子表面のカルボキシル基と、自己組織膜上の水酸基との間において、エステル結合を形成させ、シリコン基板上の水酸基が存在する部位にのみSiO 微粒子を配列させるのである。
【0008】
しかしながら、このような本発明者らが提案した手法にあっては、シリコン基板上の水酸基とSiO 微粒子表面のカルボキシル基との間における化学結合(エステル結合)を利用するものであるところから、微粒子の規則性を制御することが非常に困難であるという問題を内在すると共に、SiO 微粒子が分散した分散液中に、表面処理が施されたシリコン基板を浸漬せしめるものであるため、長時間の浸漬により、シリコン基板上の水酸基が存在しない部位(フェニル基が存在する部位)においてもSiO 微粒子が付着する恐れがあるのであり、未だ改善の余地が残されていたのである。
【0009】
【非特許文献1】
梅村鎮男,新技術開発事業団,創造科学技術推進事業 超微粒子プロジェクト,「研究報告会講演要旨」,1984年
【非特許文献2】
M.Egashira, T.Konno, M.Shinya, Journal of Intelligent Material Systems and Structures,第7号,第267巻,1996年
【非特許文献3】
『無機微粒子が発現する新機能と粒子配列技術』、増田 佳丈、河本邦仁、Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 第7号,第4頁〜12頁,2000年
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その課題とするところは、基材上に、規則的に配列された微粒子集積体を、簡易に形成せしめることが出来る微粒子集積体の形成方法を提供することにある。
【0011】
【解決手段】
そして、本発明は、かかる課題の解決のために、微粒子表面のゼータ電位の絶対値が10mV以上となるように調製された微粒子分散液を用いて、基材上の目的とする部位に、前記微粒子分散液よりなる液滴を形成せしめた後、該液滴を乾燥させることを特徴とする微粒子集積体の作製方法を、その要旨とするものである。
【0012】
このように、本発明に係る微粒子集積体の形成方法にあっては、微粒子表面のゼータ電位の絶対値が一定値以上となるように調製された微粒子分散液を用いて、基材上に、かかる微粒子分散液よりなる液滴を形成せしめた後、その液滴を乾燥させるものであるところから、特殊な装置が必要とされず、以て、従来の方法に比して、簡易に、微粒子が規則的に配列されてなる微粒子集積体を形成し得るのである。
【0013】
また、本発明においては、前記した課題をより一層具体的に解決するために、a)基板上に疎水性領域と親水性領域を形成する工程と、b)微粒子を、微粒子表面のゼータ電位の絶対値が10mV以上となるように、分散媒としての水系溶媒中に分散せしめて、微粒子分散液を調製する工程と、c)かかる微粒子分散液を、前記基板上に滴下して、該微粒子分散液の液滴が前記親水性領域の少なくとも一部を覆うように位置せしめる工程と、d)前記微粒子分散液の液滴を、前記基板に形成した親水性領域上に移行せしめる工程と、e)前記液滴を乾燥させ、前記親水性領域上に粒子集積体を形成せしめる粒子集積工程とを含むことを特徴とする微粒子集積体の形成方法をも、その要旨とするものである。
【0014】
本発明にあっては、その表面に疎水性領域と親水性領域を形成せしめられた基板上に、微粒子表面の微粒子表面のゼータ電位が所定値以上となるように調製された微粒子分散液を滴下して、かかる微粒子分散液よりなる液滴を基板上の親水性領域上のみに形成せしめた後に、液滴を乾燥せしめるものであるところから、基板上の微細な領域を親水性領域とすることにより、かかる微細な領域においても、微粒子が規則的に配列されてなる微粒子集積体が有利に形成されることとなる。
【0015】
なお、本発明に従う微粒子集積体の形成方法における好ましい態様の一つによれば、前記疎水性領域は、前記基板上に形成された感光性の疎水基を有する疎水性被膜にて構成されている一方、前記親水性領域は、かかる疎水性被膜の所定の部位に光を照射して、該部位に存在する前記疎水基を親水基の変化せしめることによって、形成されることとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を適宜に参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0017】
図1及び図2には、本発明に従う微粒子集積体の形成方法を用いて、基板10上に微粒子22の集積体26を形成する各工程が、概略的に示されている。具体的には、図1においては、基板10上に、感光性の疎水基12が表面に配されてなる疎水性領域14と、親水基16が表面に配されてなる親水性領域18とを形成する工程が示されており、また、図2においては、別途調製した微粒子分散液を基板10上に滴下して、かかる微粒子分散液よりなる液滴20を形成せしめた後、該液滴20を乾燥させて、微粒子22の集積体26を形成せしめる工程が、示されているのである。なお、図1及び図2においては、説明の便宜上、疎水基12を○にて、また、親水基16を●にて、それぞれ模式的に示すと共に、図2においては、微粒子22を、疎水基12を示す○よりも大きな○にて、模式的に示している。
【0018】
本発明に従う微粒子集積体の形成方法にあっては、先ず、基板10上に、疎水性領域14と親水性領域18が形成されることとなるが、図1及び図2に示されている如き微粒子集積体の形成方法においては、図1(b)に示されているように、先ず、基板10上に、感光性の疎水基12が表面に配されてなる疎水性被膜が形成される。
【0019】
かかる被膜は、感光性の疎水基12が表面に配されている被膜であれば、如何なるものであっても本発明において用いることが出来るが、そのような公知の被膜の中でも、特に、各種の自己組織膜が好適に用いられ得ることとなる。本発明においては、特に、感光性の疎水基としてオクタデシル基を有するオクタデシルトリクロロシランよりなる自己組織膜や、感光性の疎水基としてフルオロ基を有するヘプタデカフルオロ−1,1,2,2, テトラヒドロデシルトリクロロシランよりなる自己組織膜等が、有利に選択されることとなる。なお、これらの自己組織膜にあっては、例えば、基板10を、自己組織膜を形成する物質の溶液中に所定時間浸漬し、基板10上にて前記物質の自己組織化を進行せしめることによって、形成されることとなる。
【0020】
次いで、基板10上に形成された、感光性の疎水基12を有する被膜の所定の部位に対して、光を照射する。なお、光を照射する際に用いられる光源としては、水銀灯、キセノンランプ、エキシマランプ、パルス・レーザー等の種々のものを用いることが出来、その照射時間は、用いる光源の出力等に応じて、適宜に決定されることとなる。
【0021】
そして、このような光の照射によって、被膜における光が照射された部位においては、被膜表面に存在する感光性の疎水基12が親水基16に変性せしめられるところから、以て、基板10上には、図1(c)に示されているように、疎水基12が表面に配されて疎水性を発揮することとなる疎水性領域14と、親水基16が表面に配されて親水性を発揮することとなる親水性領域18とが、形成せしめられるのである。
【0022】
このように、基板10上に疎水性領域14と親水性領域18とが形成せしめられる一方で、本発明においては、水系溶媒中に、目的とする集積体を構成する微粒子22が分散せしめられた微粒子分散液であって、微粒子22の表面におけるゼータ電位の絶対値が所定値以上とされたものが、調製されることとなる。
【0023】
ここで、本発明に従って集積体を形成せしめ得る微粒子22としては、従来より公知の各種材料よりなる微粒子を用いることが可能である。具体的には、微粒子を構成する材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリル樹脂等の各種ポリマーや、SiO 、TiO 、BaTiO 、Y、ZnO、ZrO 、Fe、Fe、Si、SiC、Al等のセラミックスや金属化合物、更には、Au、Ag、Cu、Fe、Pt、Pd、Ni等の金属等を例示することができ、これらの材料よりなる微粒子が、目的に応じて適宜に選択されて用いられることとなる。
【0024】
また、上述の如き材料の微粒子であれば、如何なる形状のものであっても、具体的には、球形の微粒子(球状粒子)は勿論のこと、板状結晶や針状結晶等であっても、本発明に従って、集積体を形成せしめることが可能である。更に、微粒子の大きさについても、マイクロメーターサイズの微粒子のみならず、ナノメーターサイズの微粒子であっても好適に用いることが出来るのであり、特に、粒子径が100nm〜数μm程度の球状粒子が、有利に採用されることとなる。
【0025】
このような材料よりなる所定形状の微粒子22が、水(蒸留水)やエタノールを始めとするアルコール水溶液等の水系溶媒中に分散せしめられることとなるが、本発明に従う微粒子集積体の形成方法においては、後述するように、水系溶媒の乾燥(蒸発)速度が、形成される微粒子集積体26における微粒子配列の規則性に大きな影響を与えるものであるところから、用いられる水系溶媒にあっては、微粒子22の大きさや、目的とする微粒子集積体26の配列性を考慮して、適宜選定されることとなる。
【0026】
そして、本発明においては、微粒子22が、所定の水系溶媒に分散せしめられてなる微粒子分散液であって、微粒子22表面のゼータ電位の絶対値が10mV以上となるように調製されたものが、用いられるのである。
【0027】
このように、微粒子22表面のゼータ電位が所定値以上となるように調製された微粒子分散液を用いることにより、かかる微粒子分散液を基板10に滴下して形成された液滴20の内部においては、微粒子22の再配列が良好に進行せしめられ、以て、微粒子22が規則的に配列されてなる集積体26が形成されることとなるのである。
【0028】
なお、かかるゼータ電位の絶対値が10mV未満の微粒子分散液においては、液滴20内における微粒子22の再配列が良好に進行し得ないことから、微粒子22表面のゼータ電位での絶対値は10mV以上、好ましくは30mV以上となるように、微粒子分散液を調製することが好ましい。また、微粒子分散液の調製に際しては、例えば、微粒子分散液中に、酸やアルカリを添加してpHを調整したり、分散剤としての各種界面活性剤を添加する等の、従来より公知の各種手法を採用することが可能である。
【0029】
このようにして微粒子22表面のゼータ電位が所定値以上となるように調製された微粒子分散液にあっては、図2(a)に示すように、ピペット24を用いて、基板10における親水性領域18の少なくとも一部を覆うように滴下されて、基板10上に、かかる微粒子分散液よりなる液滴20が形成せしめられるのである。
【0030】
ここで、形成された液滴20は、基板10における親水性領域18の少なくとも一部を覆っているところから、疎水性領域14上に存在する微粒子分散液にあっては、疎水性領域14の撥水作用により、疎水性領域14上から親水性領域18上へと移行せしめられることとなる。
【0031】
そして、本発明に係る微粒子集積体の形成方法においては、上述のように親水性領域18上へ移行せしめられた液滴20を乾燥させることにより、基板10における親水性領域18上においてのみ、微粒子22の集積体26が形成されることとなるのである。
【0032】
すなわち、親水性領域18上に移行せしめられた液滴20は、微粒子22の表面におけるゼータ電位の絶対値が所定値以上となるように調製され、各々の微粒子22が均一に分散せしめられた微粒子分散液よりなるであるところから、かかる液滴20の内部においては、各微粒子22の再配列が効果的に進行することとなる。また、そのような微粒子22の再配列と共に、液滴20を乾燥せしめることにより、隣り合う微粒子22間に存在する水系溶媒の液架橋力が駆動力となって、各微粒子22が集積せしめられるところから、以て、本発明の微粒子集積体の形成方法に従えば、図2(c)に示すように、各微粒子22が2次元的或いは3次元的に規則的に配列された集積体26が、基板10における親水性領域18上においてのみ形成されることとなるのである。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施態様について詳述してきたが、それは文字通りの例示であって、本発明は、そのような実施形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものでないことが、理解されるべきである。
【0034】
例えば、上述した実施態様においては、基板上に形成された親水性領域18上に微粒子22の集積体26を形成せしめるものであるが、本発明にあっては、そのような親水性領域が形成されていない各種形状の基材表面においても、微粒子が規則的に配列されてなる微粒子集積体を形成せしめることは勿論可能である。
【0035】
また、基材上の目的とする部位が親水性領域とされていない場合には、微粒子分散液の溶媒として、一般的な有機溶媒を用いることも可能である。
【0036】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において、実施され得るものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【0037】
【実施例】
以下に、本発明の代表的な実施例を含む幾つかの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実験例の記載によって何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0038】
実験例1
洗浄した4枚のシリコン基板(10)の表面に対して酸化処理を施す一方、トルエンを溶媒として用いて、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)を1 vol%含有するOTS溶液を調製した。酸化処理を施したシリコン基板(10)を、グローブボックス内の窒素気流中において、OTS溶液中に5分間浸漬せしめ、かかる浸漬の後にOTS溶液中より取り出し、120℃で5分間乾燥させることによって、シリコン基板(10)の表面に、感光性の疎水基(12)たるオクタデシル基を有する疎水性被膜(OTS自己組織膜)を形成した。なお、このようにして作製された疎水性被膜(OTS自己組織膜)について、水及びエタノールに対する接触角を測定したところ、水に対する接触角は約96°であり、またエタノールに対する接触角は約10〜20°であった。
【0039】
所定材料よりなるフォトマスクに、二つの円盤状の孔(直径:3mm)が矩形状の孔(長さ:10mm×幅:10μm)にて連結されてなる略鉄アレイ形状の孔部を設けた。かかる略鉄アレイ形状の孔が設けられたフォトマスクを介して、上述したシリコン基板(10)の疎水性被膜(OTS自己組織膜)上に、紫外線(波長:184.9nm)を2時間照射することにより、かかる疎水性被膜における、フォトマスクの略鉄アレイ形状の孔部に対応する部位において、疎水基(12)であるオクタデシル基を親水基(16)たるシラノール基に変性せしめて、二つの円盤部が細線部にて連結された形状を呈する親水性領域(18)を形成した。なお、このようにして形成された親水性領域(18)にあっては、水に対する接触角及びエタノールに対する接触角は、何れも5°以下であった。
【0040】
一方で、市販されている2種類のポリスチレン粒子分散溶液A、B(以下、「原液A」、「原液B」と言う。何れも、米国;セラダイン社製)を用いて、これらポリスチレン粒子分散溶液の各150μlを、水:3ml、又はエタノール:3mlに分散させて、4種類のポリスチレン粒子分散液(分散液1〜4)を調製した。ここで、原液Aは、550nmφのポリスチレン微粒子を、蒸留水中に10重量%の割合において分散せしめてなるものであり、また、原液Bは、表面にカルボキシル基が修飾された820nmφのポリスチレン微粒子を、蒸留水中に10重量%の割合において分散せしめてなるものである。このような原液A、Bを用いて調製された分散液1〜4の組成を、下記表1に示す。
【0041】
また、調製された4種類の分散液1〜4中におけるポリスチレン微粒子表面のゼータ電位を、electrophoretic light scattering spectorometer(英国;マルバーン社製:Zetasizer 3000HS)を用いて測定した。その測定結果についても、下記表1に併せて示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004344854
【0043】
このようにして調製された4種類の分散液1〜4の所定量を、疎水性領域(14)及び親水性領域(18)が形成せしめられたシリコン基板(10)上に、少なくとも分散液の一部が、二つの円盤部が細線部にて連結された形状を呈する親水性領域(18)を覆うように滴下し、液滴(20)を形成せしめた後、かかる液滴(20)を乾燥させて、ポリスチレン微粒子集積体(以下、単に「集積体」とも言う。)(26)を形成した。なお、液滴20の乾燥の際には、分散媒として水を用いた分散液1、3にあっては、親水性領域(18)の円盤部において約48時間を、また細線部においては約24時間を要し、一方、分散媒としてエタノールを用いた分散液2、4にあっては、かかる円盤部において約20分間を、また細線部においては約1分間を、それぞれ要した。
【0044】
そして、かかる乾燥の後、各々の基板上の親水性領域(18)上に形成されたポリスチレン微粒子集積体(26)を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製;S−3000N)により観察した。かかる観察の際に撮影した集積体(26)の電子顕微鏡写真を、図3乃至図7に示す。なお、図3は、分散液3を用いて形成された集積体(26)のうち、親水性領域(18)の細線部上に形成された部分を撮影したものであり、また、図4は、分散液1によって形成された集積体(26)のうち、親水性領域(18)の円盤部上に形成された部分を撮影したものである。更に、図5及び図6は、分散液2を用いて形成された集積体(26)のうち、図5にあっては親水性領域(18)の細線部上に形成された部分を、また、図6にあっては円盤部上に形成された部分を、各々撮影したものである。
【0045】
図3乃至図6からも明らかなように、本発明に従う方法にて形成されたポリスチレン微粒子集積体(26)は、親水性領域(18)の細線部及び円盤部の何れの部位に形成されたものであっても、ポリスチレン微粒子が規則的に配列せしめられてなる構造を呈することが確認された。また、特に、分散媒として、乾燥速度(蒸発速度)が比較的遅い水が用いられた場合には、図4にて示されているように、最密充填構造の如き立体構造を呈することが認められたのである。
【0046】
実験例2
疎水性被膜として、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2, テトラヒドロデシルトリクロロシランを用いて、実験例1と同様の手法により、シリコン基板上にポリスチレン微粒子集積体(26)を形成せしめた後、形成された集積体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、ポリスチレン微粒子(22)が規則的に配列されていることが認められた。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う微粒子集積体の形成方法にあっては、従来の方法の如く、特別な装置を必要とすることなく、微粒子表面のゼータ電位の絶対値が所定値以上となるように調製した微粒子分散液を用いて、かかる微粒子分散液よりなる液滴を乾燥せしめるという簡単な操作により、微粒子が規則的に配列されてなる微粒子集積体を形成することが可能ならしめられたのである。
【0048】
また、本発明において、微粒子分散液における分散媒として水系溶媒を用いると共に、基材上の目的とする部位を親水性領域とし、他の部位を疎水性領域とした場合にあっては、かかる親水性領域においてのみ、微粒子が規則的に配列されてなる微粒子集積体を形成せしめることが可能となるのであり、フォトニック結晶材料等といった、微細な微粒子集積体のパターンが要求される材料の作製に応用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う微粒子集積体の形成工程における、基板表面に疎水性領域及び親水性領域を形成せしめるまでの工程の一例を、概略的に示す説明図である。
【図2】図1に続く微粒子集積体の形成工程における最終工程までの一例を、概略的に示す説明図である。
【図3】実施例にて形成された一の微粒子集積体の一部を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例にて形成された他の一の微粒子集積体の一部を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例にて形成された更に別の微粒子集積体の一部を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図6】図5にて撮影された微粒子集積体における他の部位を撮影した電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10 基板 12 疎水基
14 疎水性領域 16 親水基
18 親水性領域 20 液滴
22 微粒子 24 ピペット
26 集積体

Claims (3)

  1. 微粒子表面のゼータ電位の絶対値が10mV以上となるように調製された微粒子分散液を用いて、基材上の目的とする部位に、前記微粒子分散液よりなる液滴を形成せしめた後、該液滴を乾燥させることを特徴とする微粒子集積体の形成方法。
  2. 基板上に疎水性領域と親水性領域を形成する工程と、
    微粒子を、微粒子表面のゼータ電位の絶対値が10mV以上となるように、分散媒としての水系溶媒中に分散せしめて、微粒子分散液を調製する工程と、
    かかる微粒子分散液を、前記基板上に滴下して、該微粒子分散液の液滴が前記親水性領域の少なくとも一部を覆うように位置せしめる工程と、
    前記微粒子分散液の液滴を、前記基板に形成した親水性領域上に移行せしめる工程と、
    前記液滴を乾燥させ、前記親水性領域上に微粒子集積体を形成せしめる微粒子集積工程と、
    を含むことを特徴とする微粒子集積体の形成方法。
  3. 前記疎水性領域が、前記基板上に形成された感光性の疎水基を有する疎水性被膜にて構成されている一方、前記親水性領域が、かかる疎水性被膜の所定の部位に光を照射して、該部位に存在する前記疎水基を親水基に変化せしめることによって、形成されていることを特徴とする請求項2に記載の微粒子集積体の形成方法。
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