JP2004340820A - 超音波プラットフォーム型マイクロチップ及びアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法 - Google Patents

超音波プラットフォーム型マイクロチップ及びアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流体組成を変えず、液層微小空間に代表される様々なメリットを損なわずに、汎用性、即応性、機能拡張性を持ちながらも製造時間が短く安いコストで製造可能な超音波プラットフォーム型マイクロチップ及びアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法を提供することである。
【解決手段】基板上に微細な流路18を有して成るフロー型マイクロチップ14が構成されているマイクロ化学分析システムに於いて、アレイ状の超音波トランスデューサ16を有するトランスデューサ層12と、信号制御回路層11と、から成る共通プラットフォーム13を具備している。そして、上記フロー型マイクロチップ14は、上記共通プラットフォーム13上に構成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に微細な流路を有してなるフロー型マイクロチップに関するものである。より詳細には、アレイ状超音波トランスデューサを有するトランスデューサ層と信号制御回路層とから成る共通プラットフォーム上に、目的に応じた流路が形成されたフロー型マイクロチップが構成され、任意の超音波トランスデューサを信号制御することにより流体に対して各種機能を達成する超音波プラットフォーム型マイクロチップ及び該チップに於ける超音波トランスデューサの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の応用展開分野として、バイオ、環境、IT分野が注目されている。その具体的な展開として、僅か数10mm角のガラスやシリコンの基板上に、マイクロマシニング技術を用いて化学分析や化学合成に必要な機能を集積し、化学分析、合成システムそのものの小型化を図る研究が世界中で精力的に取組まれている。
【0003】
この研究分野はμTAS(Micro Total Analysis Systems)と称されており、従来の実験室で使用する分析装置と比較して、以下のような多くの特長を有している。すなわち、分析時間の高速化が可能、分析装置の小型化や可搬化が可能、消費する溶媒や試料の低減が可能、分析コストの低減が可能、といった特長であり、ハイスループットで安価な分析を医療や環境測定の現場で実現する新しい技術として期待されている。特に、化学反応のための流路やポンプ等に加え、μTASのチップにセンサや電子回路を集積化したシステムへ発展させることにより、最も小さなものでもテーブルトップサイズであった化学システムを、手のひらに乗るサイズへと小型化することが期待されている。
【0004】
従来提案されているμTASチップの多くは、チップ上で流体を流しながら攪拌、混合、反応、分取等を行うフロー型マイクロチップである。例えば、流路に高電圧勾配を生じさせて流体を移動させて、前処理、分離を行うと共に、生体物質の非接触伝導度計測を1枚の基板で行うマイクロキャピラリ電気泳動チップが知られている(例えば非特許文献1参照)。キャピラリ電気泳動チップ上には微小流路のみが形成されているため、チップ自体の構造及び作製が簡単である。
【0005】
また、マイクロチップパイルアップ型化学反応システムに関しては、反応原料液導入部と反応用生成液排出部と、これらに連通する反応域としてのマイクロチャネルを備えたマイクロチップが所定枚数で積層一体化された構成の化学反応システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムの各チップ上にはマイクロチャネル(微小流路)のみが形成されており、化学反応場として分子拡散距離が短く比界面積が大きい等のメリットを利用して、錯形反応、溶媒抽出、免疫反応、酵素反応、イオン対抽出反応等、様々な反応を効率的に行えるように流路設計されている。この化学反応システムでは、チップを並列に積層一体化することで、高効率で大量有機合成を可能としている。
【0006】
更に、化学集積回路及びその製造方法に関して、光造形法を利用して1つのチップ内に同一機能、同一機構から成る部品を複数配置してなる単一機能チップを形成し、異なる単一機能を持つチップ同士を複数層に組み合わせて構成される化学反応回路が知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、1つのマイクロチップに必要な全ての機能を盛り込む単目的型化学ICが汎用性、即応性、機能拡張性の点で問題があるのに対し、この光造形法μTASは多品種少量生産や個別生産に向いており、製造時間とコストの点で優れている。具体的な一例として、第1層チップが外部と流体の入出力コネクタ群を有する「コネクタチューブ」、第2層チップが「バルブチップ」、第3層チップが「リアクタチップ」、第4層が「濃縮チップ」である、4つのチップが積層結合され、1つの目的を達成できる化学集積回路が記載されている。
【0007】
更に、マイクロシステムに於ける流れの制御方法に関しては、マイクロシステムの微小流路を流れる流体に刺激でゾル−ゲル転移する物質を添加し、微小流路上の所望の箇所に刺激を与え、流体をゲル化させて流れを制御するマイクロシステムが知られている(例えば、特許文献3参照)。これによれば、マイクロチップ上に複雑なバルブ構造を用いることなく、マイクロシステムに於ける流体の流れを停止したり、流量や流速を調整することが可能となる。
【0008】
【非特許文献1】
Micro Total Analysis Systems 2002第491頁〜第493頁「Sparation and detectionof organic scids in a CE microchip with contactless four−electrode conductivity detection」
【0009】
【特許文献1】
特開2002−292275号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−158000号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2002−163022号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述した非特許文献1に記載されたような技術のキャピラリ電気泳動チップの場合、チップ上で行うことができる反応、分析の項目が、非常に限られてしまう。また、流路中に高電圧勾配を発生させる電極が、外部から流路に挿入されて直接流体に接するので、電極近傍で電気化学反応が起こりやすい、生化学物質が変質しやすい等の課題を有している。
【0013】
また、上記特許文献1に記載されたようなマイクロチップパイルアップ型化学反応システムに於けるマイクロチップの場合、マイクロチャネル(微小流路)のみで各種反応及び抽出を行う構成となっている。そのため、利用する流体や目的に応じて、マイクロチャネル設計(幅、深さ、長さ等)を細かく変更しなければならない。その他に、流体の搬送機構(ポンプ)が外付けであったり、流体の定量分取を行うことができない等の課題を有している。
【0014】
一方、上記特許文献2に記載されたような化学集積回路の場合、各種マイクロチップは光造形法で成形されるため、バルブ、コネクタ等の各部品だけでなく、流路についても半導体プロセスほど微細に製作することが困難であり、液層微小空間に代表される分子拡散距離、比界面積、熱容量などの様々なメリットが低減してしまう。また、特定の微細回路を大量生産できるシリコンプロセスと比較した場合、光造形法は工程に時間を要するので、1チップあたりのコストは高くならざるをえない。
【0015】
そして、上記特許文献3に記載されたような流体のゾル−ゲル転移を利用したマイクロシステムでは、ゾル−ゲル転移をする物質(一般に高分子化合物)を流体に添加するため、流体の組成が少なからず変化してしまうことから、反応、抽出、分析の結果に影響を及ぼしてしまうものであった。
【0016】
したがって本発明は、流体組成を変えず、液層微小空間に代表される様々なメリットを損なわずに、汎用性、即応性、機能拡張性を持ちながらも製造時間が短く安いコストで製造可能な超音波プラットフォーム型マイクロチップ及びアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に記載の発明は、マイクロ化学分析システムに用いられるフロー型マイクロチップであって、基板上に流体が流れる微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップに於いて、アレイ状超音波トランスデューサを有するトランスデューサ層と、信号制御回路層と、から成る共通プラットフォームを具備し、上記フロー型マイクロチップは、上記共通プラットフォーム上に構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記共通プラットフォームの上記トランスデューサ層と上記信号制御回路層は、半導体プロセスにより1枚の基板に作製されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記共通プラットフォームの上記トランスデューサ層と上記信号制御回路層は、各々別個の基板上に作成された後、各層の導通を確保した状態で接着若しくは接合により組み立てられることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明に於いて、上記制御回路層は半導体プロセスで作製された電気回路層で構成されることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサは、静電容量型マイクロ超音波トランスデューサで構成されることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサは、噴射堆積法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサは、ゾルゲル法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサは、水熱合成法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサは、スパッタ法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサは、印刷法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記トランスデューサ層は、直接フロー型マイクロチップの流路に接して構成されることを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記共通プラットフォームと上記フロー型マイクロチップの流路の間に音響整合層が形成されることを特徴とする。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明に於いて、上記音響整合層は、シリコンの陽極化成によるポーラス化したポーラスシリコンで構成されることを特徴とする。
【0030】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップは、それ自体が音響整合層となり得る樹脂で構成されることを特徴とする。
【0031】
請求項15に記載の発明は、請求項12に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップは、その内部の流体に接する部位の音響整合層に音響レンズが設けられていることを特徴とする。
【0032】
請求項16に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサに対して上記流路の入口から該流路の出口に向かって放射音圧が大きくなるべく駆動信号を供給することで、上記流路の入口から上記流路の出口に向かう流体の流れを発生させることを特徴とする。
【0033】
請求項17に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップの上記流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサに対して上記流路の入口から該流路の出口に向かって音波放射時刻をずらして駆動信号を供給することで、上記流路の入口から上記流路の出口に向かう流体の流れを発生させることを特徴とする。
【0034】
請求項18に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップの上記流路の直下に配置された超音波トランスデューサに対して、駆動信号の周波数が流路寸法よりも十分短い波長で、且つ高放射音圧となるような駆動信号を供給することで、所定の流路中の流量を制御することを特徴とする。
【0035】
請求項19に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップ内に上記流路の幅よりも大きい収液セルを有し、該収液セルの下部に二次元マトリクス状に配置された複数の超音波トランスデューサに対して不規則な順序で駆動信号を供給することで、上記収液セル内の液体を攪拌混合することを特徴とする。
【0036】
請求項20に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップの流路入口側に設けられた送波用超音波トランスデューサと、該送波用超音波トランスデューサから流路出口側へ所定距離離れて配置された受波用超音波トランスデューサと、上記送波用超音波トランスデューサから送波されたトーンバースト波が上記受波用超音波トランスデューサで検知されるまでの時間を計測することで流速を得る超音波流速計と、を更に具備することを特徴とする。
【0037】
請求項21に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップの流路入口側に設けられた送波用超音波トランスデューサと、該送波用超音波トランスデューサから流路出口側へ所定距離離れて配置された受波用超音波トランスデューサと、上記送波用超音波トランスデューサから送波されたトーンバースト波が上記受波用超音波トランスデューサで検知されるまでの時間を計測することで温度を得る超音波温度計と、を更に具備することを特徴とする。
【0038】
請求項22に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記超音波トランスデューサがフロー型マイクロチップの流路と平行に振動する超音波トランスデューサであって、上記超音波トランスデューサが共振回路の一部を構成し、該共振回路の共振周波数変化から流体の粘度を検出することを特徴とする。
【0039】
請求項23に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記フロー型マイクロチップは透明な材質から構成され、上記信号制御回路層は、その一部にフォトディテクタを有し、上記トランスデューサ層は、上記フォトディテクタの上方に貫通孔を有し、上記フォトディテクタが上方に設けられたフロー型マイクロチップ流路の上面から照射された光について測光を行うことを特徴とする。
【0040】
請求項24に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記共通プラットフォームは、1枚の基板上に複数の流体計測制御要素を有して成ることを特徴とする。
【0041】
請求項25に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記共通プラットフォームは、流体計測制御要素毎に分けられて任意に組み合わせて構成されることを特徴とする。
【0042】
請求項26に記載の発明は、基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、上記流路の入口から該流路の出口に向かって、上記流路内の音圧が大きくなるよう選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とする。
【0043】
請求項27に記載の発明は、基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、上記超音波トランスデューサの超音波放射時刻をずらすことで、上記流路の入口から該流路の出口に向かって音圧が大きくなるように、選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とする。
【0044】
請求項28に記載の発明は、基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、上記流路の入口から該流路の出口の間で、局所的に音圧が大きくなるように選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とする。
【0045】
請求項29に記載の発明は、基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、上記流路中に複数の異なる物性若しくは状態の流体が存在し、上記複数の流体の界面と交わる方向に流れが発生するように、選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明に係る超音波プラットフォーム型マイクロチップに於いて、流体は超音波によって計測制御されるものである。超音波には、1)膜または板があっても、音響整合されていれば超音波がその膜または板を透過できる、2)周波数を高くすることで小さな音響パワーでも音の非線形性に伴う現象を誘起できる、等の特徴がある。
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係る超音波プラットフォーム型マイクロチップを用いた、超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0048】
図1は本発明の第1の実施の形態を示すもので、本発明に係る超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの基本構成を示す断面図、図2は図1に於けるトランスデューサ層の平面図である。図3は超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの一形態であり、トランスデューサ層上に透明なフロー型マイクロチップを積層した平面図である。更に、図4は、この超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの断面図である。
【0049】
図1及び図2に於いて、本発明の第1の実施の形態は次のように構成されている。
【0050】
図1に示される基本的な超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システム10は、信号制御回路層11とトランスデューサ層12とから成る1枚の共通プラットフォーム13と、この共通プラットフォーム13上に構成された透明なフロー型マイクロチップ14とを有して構成されている。
【0051】
上記信号制御回路層11は、その内部に複数個の処理回路15を有している。上記トランスデューサ層12は、図2に示されるような、流体の流れる方向に沿って配置されたアレイ状の超音波トランスデューサ16を有している。超音波トランスデューサは、入力された電流を振動(超音波)に変換する、または入力された振動を電流に変換することができる。そして、上記トランスデューサ層12は、アレイ状の超音波トランスデューサ16が信号制御回路層内の処理回路15と配線17で接続されることによって導通が確保されている。これにより、所定の超音波トランスデューサに対して駆動、センシグ等の信号制御が可能な構成となっている。尚、上記共通プラットフォーム13は、半導体プロセスにより構成することも可能である。
【0052】
上記フロー型マイクロチップ14は、樹脂またはガラス等により構成される。そして、このフロー型マイクロチップ14の内部には、目的に応じた流路18が形成されており、共通プラットフォームとは別に、樹脂基板に作製された後に共通プラットフォーム上に固定される。
【0053】
図3及び図4は、第1の実施の形態に於ける超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの一形態を示した図である。これは、流体温度をモニタしながら、2つの試薬と1つのサンプルを定量、攪拌混合した後に、所定の波長の光吸収を測定する化学分析システムである。
【0054】
本形態では、超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの基本構成に加えて、共通プラットフォーム13の信号制御回路層11の一部にフォトディテクタ21を有して構成される。この共通プラットフォーム13は、シリコン基板に半導体プロセスで形成される。
【0055】
また、上記共通プラットフォーム13内の信号制御回路層11上には、トランスデューサ層12として、二次元アレイ状に配置された複数の静電容量型超音波トランスデューサ(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers:cMUT)が、同一基板上に形成された構成となっている。
【0056】
上記信号制御回路層11内には複数個の処理回路15とフォトディテクタ21が配されており、上記トランスデューサ層12内にはアレイ状の超音波トランスデューサ16を有している。上記トランスデューサ16は、配線17によって処理回路15と接続されている。
【0057】
また、トランスデューサ層12内で、フォトディテクタ21部分の上部には、貫通孔12aが形成されている。トランスデューサ層12は、配線17によって信号制御回路層11と導通が確保されており、所定のcMUTを信号制御することができる構成となっている。
【0058】
更に、マイクロチップ側は、トランスデューサ層12上に、例えばシリコンの陽極化成によるポーラス化したポーラスシリコンで構成された音響整合層22が設けられている。そして、この音響整合層22上に、流路層23及び流路24が形成されており、更に流路層23及び流路24上にはカバー25が設けられている。
【0059】
図3に示されるように、本形態の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システム20に於いて、マイクロチップ内の流路24は、トランスデューサ層12の任意の超音波トランスデューサ16が、流体に対して超音波を照射し流体の流れる方向に音圧強度の分布を生じさせることで、次の4つの機能を達成することができる位置に構成されている。
【0060】
第1の機能は流体を流路に沿って動かす「ポンプ」であり、第2の機能は流体の流量をコントロールする「バルブ」である。また、第3の機能は流体温度を検出する「温度計」であり、第4の機能は異なる種類の流体を攪拌混合する「ミキサ」である。これら4つの機能は、全てトランスデューサ層12に於ける任意の超音波トランスデューサ16に選択的に所望の駆動信号を入力することで達成される。
【0061】
例えば、図3に示される超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システム20に於いて、流路24の上流側には、試薬入口用の第1試薬用インレット(流路入口)27a及び第2試薬用インレット27bと、サンプル入口用のサンプル用インレット28が設けられている。一方、この流路24の下流側には、1つのアウトレット(流路出口)30が設けられている。
【0062】
そして、アレイ状に配置された超音波トランスデューサ16のうち、上記流路24に沿って、上述した第1の機能としてのポンプ用トランスデューサ16aが配置されている。また、流路24の略中央部分には、第4の機能としての混合用トランスデューサ16dが配置されている。
【0063】
更に、流路24の分岐部位の各上流側と、混合用トランスデューサ16dの下流側には、第2の機能としてのバルブ用トランスデューサ16bが、それぞれ配置されている。そして、流路24の分岐部位の下流側と、混合用トランスデューサ16dの上流側及び下流側と、アウトレット30の上流側には、第3の機能としての温度計用トランスデューサ16cが、それぞれ配置されている。
【0064】
尚、アウトレットの上流側で流路24の下方には、フォトディテクタ21が設けられている。
【0065】
次に、本発明の第1の実施の形態の作用について説明する。
【0066】
先ず、図5及び図6参照して、第1の機能である「ポンプ」の作用を説明する。
【0067】
尚、ここでは、説明を簡単にするため、超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムは、図5に示されるように、インレット27とアウトレット30を有する流路24の両外側に沿って、それぞれn個の超音波トランスデューサ31、31、…、31及び32 、32、…、32が配置された構成とする。
【0068】
マイクロチップ下部に於いて流路24の両外側に沿って、それぞれn個配置された超音波トランスデューサ31、31、…、31及び32 、32、…、32が、各々所定の信号で同時に駆動される。このとき、各超音波トランスデューサ31、31、…、31及び32 、32、…、32に供給される信号は、各々の放射音圧が、インレット27付近のトランスデューサ31(32)<トランスデューサ31(32)<…<アウトレット30付近のトランスデューサ31(32)の順番に、駆動電圧が大きくなるように設定される。各超音波トランスデューサ31、31、…、31及び32 、32、…、32は、駆動信号に応じて振動し、流体の流れる方向と異なる方向に超音波を放射する。
【0069】
図6に示されるように、各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させる。このとき、隣接するトランスデューサの音圧強度のバランスの偏り(分布)により、音響流は音圧の高い方向へ曲げられる。そのため、巨視的にはインレット27からアウトレット30に向かう流れ場が形成される。すなわち、マイクロチップ下部に於いて、流路の両外側に沿ってn個配置された超音波トランスデューサにより、上記のように少なくとも1つの超音波送波手段に与えられる電圧が、残余の超音波搬送手段に与えられる電圧と異なるようにする。または、少なくとも1つの上記超音波送波手段付近の音圧強度は、残余の超音波送波手段付近の音圧強度と異なるようにすることで、流体を流路に沿って動かす「ポンプ」機能を達成することができる。
【0070】
また、このような「ポンプ」機能は、図7に示されるように、マイクロチップ流路24の直下に、流路24に沿ってn個配置された超音波トランスデューサ33、33、…、33でも達成可能である。
【0071】
更に、流路に沿ってn個配置された超音波トランスデューサが、各々所定の信号で同時に駆動される。このとき、図8に示されるように、各超音波トランスデューサ33、33、…、33に対して、各々の放射音圧がインレット27付近のトランスデューサ33<トランスデューサ33<…<アウトレット30付近のトランスデューサ33の順番に音波放射時刻をずらして、駆動信号が供給される。
【0072】
各トランスデューサから放射された超音波により、音源から離れる方向に音響流(直進流)が発生するが、隣接するトランスデューサの音波発生時間をずらすことにより、時間的に流路中に形成される音場が変化する。そのため、音響流は各時刻での音圧の高い方向へ曲げられ、時間平均的にインレット27からアウトレット30に向かう流れ場を形成することができる。すなわち、時間制御によっても、「ポンプ」機能を達成することができる。
【0073】
また、SAWのような、表面波を発生させる超音波トランスデューサを用いた場合であっても、図9及び図10に示されるように、インレット27付近のトランスデューサ33<トランスデューサ33<…<アウトレット30付近のトランスデューサ33の順番に、ある時刻に於ける振動振幅が大きくなるべく駆動信号を設定すれば、「ポンプ」機能を達成できる。
【0074】
次に、図11乃至図13を参照して、第2の機能である「バルブ」の作用について説明する。
【0075】
図11に示されるように、フロー型マイクロチップの流路35が分岐する部位に於いて、分岐流路の入口近傍下にそれぞれ配置された超音波トランスデューサを所定の信号で別個に駆動する。このとき、駆動信号として、周波数が流路寸法よりも十分短い波長で、且つ高放射音圧となるような駆動電圧に設定された連続波を印加する。超音波トランスデューサから放射された超音波は、周波数が流路寸法よりも十分短い波長の連続波であるため、図12に示されるように、音響放射面と対向する流路壁との間で、超音波の非線形性による音響流を双方向から発生させる。これと同時に、高放射音圧となっているため、この部位が流体移動の障壁となる。
【0076】
例えば、図12に示されるトランスデューサ38が上記のように駆動されれば、インレット36からの流体移動がトランスデューサ38で阻害できる。このため、結果として、図13に示されるように、インレット36からアウトレット37aにのみ流体を流す切り替えバルブとすることができる。また、一本の流路直下に配置された超音波トランスデューサを短波長、高放射音圧で駆動することで、オン、オフバルブとすることが可能である。
【0077】
尚、駆動電圧値の設定により、放射音圧を変化させることで流量調整を行えるバルブとすることもできる。
【0078】
更に、図14に示されるように、2つのインレット36a及び36bと、1つのアウトレット37を有する流路35の場合にも適用可能である。すなわち、2つのインレット36a及び36bからの流体が、メイン流路35で合流するマイクロチップの場合、各バルブ用トランスデューサ38及び38が交互に所定時間駆動されることで、図15に示されるように、それぞれの流体を定量することができる。
【0079】
以上のように、流路直下に配置された超音波トランスデューサにより、音圧強度の分布を局所的に生じさせ、分布が生じる部分に於いて流体の流れに対する抵抗を生じさせることで、流体のオン、オフ切り替え、流量調整、定量等を行うことができる「バルブ」機能を達成することができる。
【0080】
上記の第1または第2の機能を達成するマイクロチップに於いて、トランスデューサは流体の流れる方向に所望の音圧強度の分布を生じさせることが可能であれば、流路上部、下部、左右、流路の片側、両側に配置してもよく、その配置及び数は限定されない。
【0081】
次に、図16乃至図19を参照して、第3の機能である「温度計」の作用を説明する。
【0082】
この場合、インレット41及びアウトレット42を有する流路40の直下で、インレット41の近傍に超音波送波手段としての送波用の超音波トランスデューサ43が、そしてアウトレット42の近傍に超音波受波手段としての受波用の超音波トランスデューサ43が配置されている。
【0083】
図16に示されるフロー型マイクロチップの流路40のインレット41側下部に設けられた送波用超音波トランスデューサ43が、トーンバースト波駆動される。図17に示されるように、送波されたトーンバースト波は、減衰されながらインレット41からアウトレット42側へ送られ、所定距離Lだけ離間されて配置された受波用超音波トランスデューサで検知され、受波用超音波トランスデューサは超音波を受波したことが判別できる出力信号を出力する。
【0084】
図18に示されるように、送波用超音波トランスデューサ43での送波から受波用超音波トランスデューサ43による音波検知までの時間差を△Tとすると、一般に次式が成立する。
U+c(t)=L/ΔT …(1)
ここで、Uは流体の流速、cは温度tの関数で与えられる流体の音速である。
【0085】
すなわち、距離L、流速U及び流体の温度と音速の関係を示す関数c(t)が既知であれば、式上記(1)式により得られる音速値cが、関数c(t)に入力されることにより、温度tが得られる。したがって、流路下に所定距離で配置された2つの超音波トランスデューサを用いて、上記の処理を信号処理回路層で行うことにより、流体の温度を計測する「温度計」機能を達成することができる。
【0086】
尚、上記流速Uに代えて流量(Q)としても、同様の結果を得ることができる。
【0087】
次に、図20を参照して、第4の機能である「ミキサ」の作用について説明する。
【0088】
例えば、2つのインレット46a及び46bと1つのアウトレット47を有する流路45に於いて、マイクロチップの流路上に、流路幅よりも大きい収液セル48が設けられている。そして、この収液セル48の下に二次元マトリクス状の複数の超音波トランスデューサ49(1 1 )、49(1 2 )、…、49(1 n )、…、49(m 1 )、…、49(m n )が配置されている。更に、この二次元マトリクス状の複数の超音波トランスデューサ49(1 1 )〜49(m n )の下流側には、後述する光吸収計用のバルブ用トランスデューサ50が配置されている。
【0089】
いま、上記収液セル下の二次元マトリクス状に配置された複数の超音波トランスデューサに対して、不規則な順序で所定の駆動信号が供給される。上述した「ポンプ」機能でも説明したように、各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)が発生されるが、隣接するトランスデューサの音圧強度のバランスにより、音響流は音圧の高い方向へ曲げられる。そのため、各トランスデューサが不規則な順序で駆動されることにより、音圧強度の分布を時間的に変化させ、分布が変化する部分で各時刻に於いてそれぞれ異なる複雑な流れ場、例えば2つのインレット46a、46bから導入される複数の異なる物性または状態の流体同士の界面と交わる方向の流れ、または各流体に互いに逆向きの方向の流れが生じている流れ場を形成することができる。したがって、二次元マトリクス状に配置された超音波トランスデューサを最適に駆動することにより、収液セル内の液体を攪拌混合する「ミキサ」を達成することができる。
【0090】
尚、図20に示されるように、「ミキサ」機能よりも下流に「バルブ」機能を付加することで、収液セル内に攪拌したい流体を保持した状態で攪拌混合させることができる。
【0091】
尚、上記の第1の実施の形態では、より複雑な流れが生成できる収液セル中で攪拌を行ったが、流路中で攪拌を行ってもよい。また、音圧強度の分布を時間的に変化させることが可能であれば、超音波トランスデューサの配置は、二次元マトリクス上に限定されない。また、必ずしも不規則な順序で動かす必要はなく、少なくとも1つの上記超音波送波手段付近の音圧強度と、残余の超音波送波手段付近の音圧強度を時間に応じて変化させることで、複雑な流れを生成してもよい。
【0092】
ところで、本第1の実施の形態では、更に、「ミキサ」機能の下流側に、光吸収計が構成されている。以下、これについて、図21及び図22を参照して、フォトダイオードによる光吸収計の作用について説明する。
【0093】
図21には示されていないが、フロー型マイクロチップ流路の上方に離れて設置された光源から、マイクロチップ流路45に向けて所定の光が照射される。すると、マイクロチップ流路45を透過した光は、信号制御回路層11に設けられたフォトディテクタ21によって検出される。
【0094】
フォトディテクタ21で検出された光の所定波長については、その光強度が入力光と比較されることにより、所定波長での吸収率を信号制御回路層11に於いて得ることができる。
【0095】
以上の第1の実施の形態は、流体温度をモニタしながら2つの試薬と1つのサンプルを定量、攪拌混合するという流体制御の工程を、全て共通プラットフォームのトランスデューサ層に於ける任意の超音波トランスデューサの組合せのみで達成し、光吸収測定も共通プラットフォームの信号処理層を利用した化学分析システムにより実現している。
【0096】
超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムは、共通プラットフォームとマイクロチップについて、各々シリコンプロセス、樹脂加工で別途作製することができる。そのため、液層微小空間に代表される様々なメリットを損なわずに、マイクロチップに要求される汎用性、即応性、機能拡張性を持ちながらも、規格化された共通プラットフォームをシリコンプロセスで製造できるので、製造時間が短く、コストを安くすることができる。また、本実施の形態では、流体組成を変える必要もない。
【0097】
更に、マイクロチップ上に複雑な流体制御要素(例えばバルブ等)を構成する必要もなく、しかもマイクロチップの目的に応じて共通プラットフォームの超音波トランスデューサの信号制御により照射される超音波の周波数または振幅或いは照射時刻または照射時間の制御を最適に行うだけで、流体制御に必要な機能を達成することができる。
【0098】
尚、この第1の実施の形態の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。
【0099】
例えば、マイクロチップ上の流路は、目的に応じて適宜変更することが可能である。また、流体制御要素は、本実施形態で示された4つに限定されることなく、更に多く達成されても、逆に1枚の共通プラットフォームに1要素であっても構わない。
【0100】
上記第1または第2の機能を達成するマイクロチップに於いて、トランスデューサは流体の流れる方向に所望の音圧強度の分布を生じさせることが可能であれば、流路上部、下部、左右、流路の片側、両側に配置してもよく。流路直下や両外側に限定されない。
【0101】
半導体プロセスで形成される信号制御回路は、CMOS、バイポーラ、フォトダイオード、バイCMOS等であってもよい。
【0102】
更に、共通プラットフォームのトランスデューサ層と信号制御回路層は、別々に製作後、導通を確保して接合、接着等で組み立てても構わない。
【0103】
また、図3に示される温度計用トランスデューサ16cを、図23に示されるように、流速計用トランスデューサ16eに置き換えることもできる。
【0104】
詳細には、音速cが温度tの関数で与えられる流体の音速であることを利用して、距離L、流体の種類及び温度tが既知であれば、図24に示されるように、その温度に於ける音速c(t)が得られるため、上記(1)式から、流速Uが得られる。したがって、流路下に所定距離で配置された2つの超音波トランスデューサを用いて、上記の処理を信号処理回路層で行うことにより、流体の流速を計測する「流速計」機能を達成することができる。
【0105】
尚、送波から受波(音波検知)までの時間差、入力された駆動信号と受波手段からの出力信号との時間差以外に、出力信号の周波数、駆動(入力)信号と出力信号との周波数の差、または超音波の強度に応じた入力または出力信号の強度、駆動信号と出力信号との強度差等を計測するように構成してもよい。例えば、受波した超音波に応じた信号を計測し、それに基づいて入力信号を制御する制御系を構成することで、所望の音圧分布になるように容易に制御することが可能であるので、より正確な流体の制御が可能となる。
【0106】
超音波送波手段と超音波受波手段とを兼ねる超音波送受波手段として、上記の超音波トランスデューサを用いてもよい。更に、時刻や目的、一に応じて超音波送波手段としての機能と超音波受波手段としての機能を切り換え可能なように構成してもよい。
【0107】
尚、超音波トランスデューサは、cMUTに限らず、噴射堆積法、ゾル−ゲル合成法、水熱合成法、スパッタ法、印刷法等で作製される圧電厚膜、圧電薄膜であっても良く、バルク状の圧電材を研磨したものであっても良い。
【0108】
更に、図25に示されるように、トランスデューサ層12が、直接フロー型マイクロチップ14aの流路18に接した構成でも構わない。
【0109】
また、図26に示されるように、トランスデューサ層12とフロー型マイクロチップ14aの流路18の間は、音響整合された材質(音響整合層22)であっても良い。音響整合層22は、シリコンの陽極化成によるポーラス化したポーラスシリコンであるか、フロー型マイクロチップ自体が音響整合層となり得る樹脂で構成されるか、或いはフロー型マイクロチップ14aを共通プラットフォーム13に固定する接着剤が音響整合層を兼用していても良い。
【0110】
加えて、図27に示されるように、トランスデューサ層12とフロー型マイクロチップ14の流路18の間に、音響レンズ53が設けられていても良い。このように、音響レンズ53が構成されることで、所定の位置で超音波の非線形性効果を強めることができる。
【0111】
次に、本発明の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムに係る第2の実施の形態について、図28を参照して説明する。
【0112】
この第2実施の形態に於ける共通プラットフォーム及びフロー型マイクロチップの基本構成は、上述した第1の実施の形態の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムと同じであるが、同種の流体計測制御要素毎に分けられた共通プラットフォームを任意に複数組み合わせて目的を達成する構成となっている。
【0113】
図28に於いて、第1の共通プラットフォーム60aは、試薬用インレット27を有する複数個の流路55と、これら流路55に対応するポンプ用トランスデューサ16aと、流速計用トランスデューサ16eとを個有して構成されている。同様に、第2の共通プラットフォーム60bは、サンプル用インレット28を有する複数個の流路56と、これら流路56に対応するポンプ用トランスデューサ16aと、流速計用トランスデューサ16eとを有して構成されている。
【0114】
そして、第3の共通プラットフォーム61〜61は、上記第1の共通プラットフォーム60a用のインレットと第2の共通プラットフォーム60b用のインレット及び1つのアウトレット30を有する流路57と、バルブ用トランスデューサ16bと、混合用(ミキサ用)トランスデューサ16dと、フォトディテクタ21とを、それぞれ有して構成されている。
【0115】
第3の共通プラットフォーム61〜61は、上記第1及び第2の共通プラットフォーム60a及び60bの流路55及び56の数に対応した個数が用意される。例えば、図28に示されるように、上記流路55及び56の数がそれぞれ5個であれば、それぞれの流路用に2個のインレットを有する流路57を有した第3の共通プラットフォーム61〜61が5個組み合わされる。
【0116】
本第2の実施の形態では、「ポンプ」機能と「流速計」機能、「ミキサ」機能、「バルブ」機能が搭載されている。これらの各種機能は、上述した第1の実施形態と同じ作用効果をもたらすものである。
【0117】
本第2の実施の形態は、同じ工程で多量の流体を処理したい場合に有効であり、具体的には化学合成プラント等に応用可能である。
【0118】
尚、この第2の実施の形態の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。
【0119】
例えば、マイクロチップ上の流路は目的に応じて適宜変更することが可能である。また、流体制御要素は本第2の実施の形態で示された4つに限定されることなく、更に多く達成されるものであってもよい。
【0120】
次に、本発明に係る第3の実施の形態の「粘度計」機能について、図29を参照して説明する。
【0121】
第3実施の形態に於ける共通プラットフォーム及びフロー型マイクロチップの基本構成は、上述した第1の実施の形態の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムと同じであるが、流体制御要素として超音波粘度計が構成されていることが異なっている。
【0122】
この第3の実施の形態の超音波粘度計は、フロー型マイクロチップの流路55と平行に振動する超音波(SAW型)トランスデューサ58と、図29には示されないが、超音波トランスデューサを共振回路の一要素とする共振回路と、共振回路の周波数変化から流体の粘度を検出する信号制御回路とから構成されている。
【0123】
次に、この第3の実施の形態の作用について説明する。
【0124】
SAWのように表面波を発生する超音波デバイスを流体に接触させて振動させると、その粘性に応じた負荷が超音波トランスデューサにかかるため、見かけ上の共振周波数が低下する。一方、超音波デバイスは、等価回路的に、直流抵抗成分、コイル成分、キャパシタンス成分を有している。このため、コンデンサ等他の電気的要素と組み合わせることによって共振回路を構成することができる。
【0125】
これによって、共振回路の出力をモニタすることにより、超音波トランスデューサの共振周波数の低下をリアルタイムに取得することができる。
【0126】
本第3の実施の形態では、共振回路を共通プラットフォームの信号制御回路層の回路(例えば図11の処理回路15)とするため、超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの流体制御要素として、「粘度計」機能を達成することが可能である。
【0127】
図30は、この第3の実施の形態による超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの構成例を示した図である。
【0128】
図30に於いて、第1の共通プラットフォーム63aは、試薬用インレット27を有する流路55と、この流路55に対応するポンプ用トランスデューサ16aと、流速計用トランスデューサ16eと、粘度計用トランスデューサ16fとを有して構成されている。同様に、第2の共通プラットフォーム63bは、サンプル用インレット28を有する流路56と、この流路56に対応するポンプ用トランスデューサ16aと、流速計用トランスデューサ16eと、粘度計用トランスデューサ16fとを有して構成されている。
【0129】
そして、第3の共通プラットフォーム64は、上記第1の共通プラットフォーム63a用のインレットと第2の共通プラットフォーム63b用のインレット及び1つのアウトレット30を有する流路57と、バルブ用トランスデューサ16bと、混合用(ミキサ用)トランスデューサ16dと、フォトディテクタ21とを有して構成されている。
【0130】
尚、この第3の実施の形態の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。
【0131】
次に、本発明の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムに係る第4の実施の形態について、図1を参照して説明する。
【0132】
第4の実施の形態の基本構成は、上述した第1の実施の形態の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムと同じであるが、共通プラットフォームのトランスデューサ層と信号制御回路層を各々別個の基板上に製作し、各層の導通を確保した状態で接着または接合により組み立てられた構成となっている。
【0133】
この構成は、トランスデューサ層の加工精度を上げるために必要な高温処理に信号制御回路が対応できない場合に有効である。例えば、一般的にCMOS回路の高温耐性は約200℃程度であるが、超音波トランスデューサの微細加工精度を向上する際に、それ以上の高温が要求される場合がある。その場合、トランスデューサ層と信号制御回路層を各々別個の基板上に製作すれば、信号制御回路に損傷を与えることなく、トランスデューサを微細に作成する等、トランスデューサ層の基板の特性を向上させることができる。
【0134】
(付記)
上記の具体的な実施の形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0135】
(1) マイクロ化学分析システムに用いられるフロー型マイクロチップであって、基板上に流体が流れる微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップに於いて、
アレイ状超音波トランスデューサを有するトランスデューサ層と、信号制御回路層と、から成る共通プラットフォームを具備し、
上記フロー型マイクロチップは、上記共通プラットフォーム上に構成されていることを特徴とする超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0136】
尚、上記(1)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(1)に記載の発明によれば、共通プラットフォーム上に構成されたトランスデューサ層のアレイ状超音波トランスデューサがマイクロチップの目的に応じてフロー型マイクロチップの基板上に形成された微細な流路中の流体に対して作用するように、信号制御回路層の信号制御回路で最適に駆動する。目的を達成するための流体制御の全工程を共通プラットフォームのトランスデューサ層に於ける任意の超音波トランスデューサの組合せのみで達成することができる。超音波プラットフォーム型マイクロチップは、共通プラットフォームとフロー型マイクロチップとから構成されるため、液層微小空間に代表される様々なメリットを損なわずに、マイクロチップに要求される汎用性、即応性、機能拡張性を持ちながらも規格化された共通プラットフォームをシリコンプロセスで製造できるため、時間が短くコストを安くすることができる。また、流体組成を変える必要もない。更に、マイクロチップ上に複雑な流体制御要素(例えばバルブ等)を構成する必要もなく、しかもマイクロチップの目的に応じて共通プラットフォームの超音波トランスデューサの信号制御を最適に行うだけで流体制御に必要な機能を達成できる。
【0137】
(2) 上記共通プラットフォームの上記トランスデューサ層と上記信号制御回路層は、半導体プロセスにより1枚の基板に作製されていることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0138】
尚、上記(2)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第3の実施の形態が対応する。そして、上記(2)に記載の発明によれば、トランスデューサ層と信号制御回路層とから構成される規格化された共通プラットフォームが半導体プロセスにより1枚の基板に作製されるため、時間が短くコストを安くすることができる。
【0139】
(3) 上記共通プラットフォームの上記トランスデューサ層と上記信号制御回路層は、各々別個の基板上に作成された後、各層の導通を確保した状態で接着若しくは接合により組み立てられることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0140】
尚、上記(3)に記載の発明に関する実施の形態は、第4の実施の形態が対応する。そして、上記(3)に記載の発明によれば、共通プラットフォームのトランスデューサ層と信号制御回路層を各々別個の基板上に製作し、各層の導通と確保した状態で接着または接合により組み立てるため、トランスデューサ層の加工精度を上げるために必要な高温処理に信号制御回路が対応できない場合に、信号制御回路層の損傷を避けながらトランスデューサ層の特性を向上できる。
【0141】
(4) 上記制御回路層は半導体プロセスで作製された電気回路層で構成されることを特徴とする上記(2)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0142】
尚、上記(4)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第3の実施の形態が対応する。そして、上記(4)に記載の発明によれば、制御回路層が半導体プロセスで作製された電気回路層であるため、規格化されたシリコンプロセスで製造できるため、時間が短くコストを安くすることができる。
【0143】
(5) 上記超音波トランスデューサは、静電容量型マイクロ超音波トランスデューサで構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0144】
尚、上記(5)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(5)に記載の発明によれば、静電容量型マイクロ超音波トランスデューサはシリコンプロセスで製造できるため、時間が短くコストを安くすることができる。また、信号制御回路層をCMOSとした場合、“CMOSコンパーチブル“な製造工程も可能である。更に、高周波駆動可能で微細な音源を得ることができると共に、広帯域なトランスデューサを得ることができる。
【0145】
(6) 上記超音波トランスデューサは、噴射堆積法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0146】
尚、上記(6)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(6)に記載の発明によれば、マスクパターンを用いた製作が可能であるため、二次元アレイ状超音波トランスデューサを構成しやすい。また、圧電薄膜、圧電厚膜の製作が可能であるため、対応する周波数の自由度が高い。
【0147】
(7) 上記超音波トランスデューサは、ゾルゲル法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0148】
尚、上記(7)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(7)に記載の発明によれば、圧電薄膜、圧電厚膜の製作が可能であるため、対応する周波数の自由度が高い。
【0149】
(8) 上記超音波トランスデューサは、水熱合成法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0150】
尚、上記(8)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(8)に記載の発明によれば、圧電薄膜、圧電厚膜の製作が可能であるため、対応する周波数の自由度が高い。
【0151】
(9) 上記超音波トランスデューサは、スパッタ法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0152】
尚、上記(9)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(9)に記載の発明によれば、マスクパターンを用いた製作が可能であるため、二次元アレイ状超音波トランスデューサを構成しやすい。また、圧電薄膜、圧電厚膜の製作が可能であるため、対応する周波数の自由度が高い。
【0153】
(10) 上記超音波トランスデューサは、印刷法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0154】
尚、上記(10)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(10)に記載の発明によれば、マスクパターンを用いた製作が可能であるため、二次元アレイ状超音波トランスデューサを構成しやすく、安価に製作できる。
【0155】
(11) 上記トランスデューサ層は、直接フロー型マイクロチップの流路に接して構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0156】
尚、上記(11)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(11)に記載の発明によれば、超音波トランスデューサが直接流体に接するので、音波を効率的に流体に放射できる。これに伴って、少ないエネルギーで超音波による流体制御を行うことができる。
【0157】
(12) 上記共通プラットフォームと上記フロー型マイクロチップの流路の間に音響整合層が形成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0158】
尚、上記(12)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(12)に記載の発明によれば、音響整合層が超音波トランスデューサと流体との音響整合をするので、反射を低減し効率的に音波の流体に放射できる。これに伴って、比較的少ないエネルギーで超音波による流体制御を行うことができる。
【0159】
(13) 上記音響整合層は、シリコンの陽極化成によるポーラス化したポーラスシリコンで構成されることを特徴とする上記(12)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0160】
尚、上記(13)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(13)に記載の発明によれば、シリコンの陽極化成によるポーラス化したポーラスシリコンを音響整合層とすることにより、シリコンプロセスによる音響整合層の製造が可能である。
【0161】
(14) 上記フロー型マイクロチップは、それ自体が音響整合層となり得る樹脂で構成されることを特徴とする上記(12)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0162】
尚、上記(14)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(14)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップ自体が超音波トランスデューサと流体との音響整合層となる樹脂で構成されているので、少ないエネルギーで効率的に音波の流体に放射できるだけでなく、製造工程が少なくなるためコストを安くすることができる。
【0163】
(15) 上記フロー型マイクロチップは、その内部の流体に接する部位の音響整合層に音響レンズが設けられていることを特徴とする上記(12)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0164】
尚、上記(15)に記載の発明に関する実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態が対応する。そして、上記(15)に記載の発明によれば、超音波トランスデューサと流体との音響整合をする音響整合層に音響レンズが構成されているので、効率的に音波の流体に放射できるだけでなく、焦点という局所的に音を集中できるので、所定の位置で少ないエネルギーで超音波による流体制御を行うことができる。
【0165】
(16) 上記フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサに対して上記流路の入口から該流路の出口に向かって放射音圧が大きくなるべく駆動信号を供給することで、上記流路の入口から上記流路の出口に向かう流体の流れを発生させることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0166】
尚、上記(16)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(16)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサは流路入口から流路出口に向かって放射音圧が大きくなるべく設定された駆動信号に応じて各々振動し超音波を放射する。各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させるが、隣り合うトランスデューサの音圧強度のバランスにより音響流は音圧の高い方向へ曲げられるため、巨視的には流路入り口(インレット)から流路出口(アウトレット)に向かう流れ場が形成される。すなわち、マイクロチップ下部に於いて流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサにより、流体を流路に沿って動かす「ポンプ」機能を達成することができる。
【0167】
(17) 上記フロー型マイクロチップの上記流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサに対して上記流路の入口から該流路の出口に向かって音波放射時刻をずらして駆動信号を供給することで、上記流路の入口から上記流路の出口に向かう流体の流れを発生させることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0168】
尚、上記(17)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(17)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサは流路入口から流路出口に向かって時刻をずらして音波を放射するように設定された駆動信号に応じて各々振動し超音波を放射する。各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させるが、隣り合うトランスデューサの瞬間的な音圧強度のバランスにより音響流は音圧の高い方向へ曲げられるため、巨視的には流路入り口(インレット)から流路出口(アウトレット)に向かう流れ場が形成される。すなわち、マイクロチップ下部に於いて流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサにより、流体を流路に沿って動かす「ポンプ」機能を達成することができる。
【0169】
(18) 上記フロー型マイクロチップの上記流路の直下に配置された超音波トランスデューサに対して、駆動信号の周波数が流路寸法よりも十分短い波長で、且つ高放射音圧となるような駆動信号を供給することで、所定の流路中の流量を制御することを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0170】
尚、上記(18)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(18)に記載の発明によれば、駆動信号として、周波数が流路寸法よりも十分短い波長で、且つ高放射音圧となるような駆動電圧に設定された連続波を供給する。超音波トランスデューサから放射された超音波は周波数が流路寸法よりも十分短い波長の連続波であるため、音響放射面と対向する流路壁との間で超音波の非線形性による音響流を双方向から発生させる。これと同時に高放射音圧となっているため、この部位が流体移動の障壁となる。例えば、分岐流路に於いてインレットからの片方の分岐流路への流体移動を阻害する切り替えバルブやオン、オフバルブとすることが可能である。また、駆動電圧値の設定により、放射音圧を変化させることで流量調整を行えるバルブとすることもできる。更に、2つのインレットからの流体がメイン流路で合流するマイクロチップの場合、各バルブを交互に所定時間駆動することでそれぞれの流体を定量する定量バルブとすることができる。
【0171】
(19) 上記フロー型マイクロチップ内に上記流路の幅よりも大きい収液セルを有し、該収液セルの下部に二次元マトリクス状に配置された複数の超音波トランスデューサに対して不規則な順序で駆動信号を供給することで、上記収液セル内の液体を攪拌混合することを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0172】
尚、上記(19)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(19)に記載の発明によれば、マイクロチップの流路上に設けられた流路幅よりも大きい収液セル下に二次元マトリクス配置された複数の超音波トランスデューサに対して、不規則な順序で所定の駆動信号を供給する。各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させるが、隣り合うトランスデューサの音圧強度のバランスにより音響流は音圧の高い方向へ曲げられるため、各トランスデューサを不規則な順序で駆動することにより各時刻に於いてそれぞれ異なる複雑な流れ場を形成することができる。したがって、収液セル下に二次元マトリクス配置された超音波トランスデューサを最適に駆動することにより、収液セル内の液体を攪拌混合する「ミキサ」を達成することができる。
【0173】
(20) 上記フロー型マイクロチップの流路入口側に設けられた送波用超音波トランスデューサと、
該送波用超音波トランスデューサから流路出口側へ所定距離離れて配置された受波用超音波トランスデューサと、
上記送波用超音波トランスデューサから送波されたトーンバースト波が上記受波用超音波トランスデューサで検知されるまでの時間を計測することで流速を得る超音波流速計と、
を更に具備することを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0174】
尚、上記(20)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(20)に記載の発明によれば、音速が温度の関数で与えられる関数であることを利用して、距離、流体の種類及び温度が既知であれば、その温度に於ける音速が得られるため流速が得られる。したがって、流路下に所定距離で配置された2つの超音波トランスデューサを用いて流体の流速を計測する「流速計」機能を達成できる。
【0175】
(21) 上記フロー型マイクロチップの流路入口側に設けられた送波用超音波トランスデューサと、
該送波用超音波トランスデューサから流路出口側へ所定距離離れて配置された受波用超音波トランスデューサと、
上記送波用超音波トランスデューサから送波されたトーンバースト波が上記受波用超音波トランスデューサで検知されるまでの時間を計測することで温度を得る超音波流速計と、
を更に具備することを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0176】
尚、上記(21)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(21)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップの流路入口側下部に設けられた送波用超音波トランスデューサをトーンバースト波駆動する。送波されたトーンバースト波は減衰しながら流路出口側へ所定距離はなして配置された受波用超音波トランスデューサで検知される。送波用超音波トランスデューサでの送波から受波用超音波トランスデューサによる音波検知までの距離、時間差により、流速と流体の種類が既知であれば音速が得られる。この音速を温度に依存する音速関数に入力することにより温度が得られる。すなわち、流路下に所定距離で配置された2つの超音波トランスデューサを用いて流体の温度を計測する「温度計」機能を達成できる。
【0177】
(22) 上記超音波トランスデューサがフロー型マイクロチップの流路と平行に振動する超音波トランスデューサであって、
上記超音波トランスデューサが共振回路の一部を構成し、該共振回路の共振周波数変化から流体の粘度を検出することを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0178】
尚、上記(22)に記載の発明に関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。そして、上記(22)に記載の発明によれば、流路と平行に振動する超音波デバイスを流体に接触させて振動させると、その粘性に応じた負荷が超音波トランスデューサにかかるため、見かけ上の共振周波数が低下する。一方、超音波デバイスは等価回路的に直流抵抗成分、コイル成分、キャパシタンス成分を有するため、コンデンサ等、他の電気的要素と組み合わせることによって共振回路を構成することができる。これによって、共振回路の出力をモニタすることにより超音波トランスデューサの共振周波数の低下をリアルタイムに取得できる。共振回路を共通プラットフォームの信号制御回路層の回路とするため、超音波プラットフォーム型マイクロチップの流体制御要素として「粘度計」機能を達成することが可能である。
【0179】
(23) 上記フロー型マイクロチップは透明な材質から構成され、
上記信号制御回路層は、その一部にフォトディテクタを有し、
上記トランスデューサ層は、上記フォトディテクタの上方に貫通孔を有し、
上記フォトディテクタが上方に設けられたフロー型マイクロチップ流路の上面から照射された光について測光を行うことを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0180】
尚、上記(23)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(23)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップ流路の上方に離れて設置された光源からマイクロチップ流路に向けて所定の光を照射し、マイクロチップ流路を透過した光が信号制御回路層に設けられたフォトディテクタで検出される。フォトディテクタで検出された光の所定波長について、その光強度を入力光と比較することにより、信号制御回路層を利用して所定波長での吸収率を得ることができる。
【0181】
(24) 上記共通プラットフォームは、1枚の基板上に複数の流体計測制御要素を有して成ることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0182】
尚、上記(24)に記載の発明に関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。そして、上記(24)に記載の発明によれば、共通プラットフォームが1枚の基板上に複数の流体計測制御要素を有するため、トランスデューサ層に於ける任意の超音波トランスデューサを組合せて駆動することでマイクロチップの目的に応じた機能全てを達成することができる。
【0183】
(25) 上記共通プラットフォームは、流体計測制御要素毎に分けられて任意に組み合わせて構成されることを特徴とする上記(1)に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
【0184】
尚、上記(25)に記載の発明に関する実施の形態は、第2の実施の形態が対応する。そして、上記(25)に記載の発明によれば、同種の流体計測制御要素ごとに分けられた共通プラットフォームを任意に複数組み合わせるため、マイクロチップの目的を達成することができる。且つ、同じ工程で多量の流体を処理したい場合に有効であり、具体的には化学合成プラントなどへ応用できる。
【0185】
(26) 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
上記流路の入口から該流路の出口に向かって、上記流路内の音圧が大きくなるよう選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
【0186】
尚、上記(26)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(26)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサは流路入口から流路出口に向かって放射音圧が大きくなるべく設定された駆動信号に応じて各々振動し超音波を放射する。各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させるが、隣り合うトランスデューサの音圧強度のバランスにより音響流は音圧の高い方向へ曲げられるため、巨視的には流路入り口(インレット)から流路出口(アウトレット)に向かう流れ場が形成される。すなわち、マイクロチップ下部に於いて流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサにより、流体を流路に沿って動かす「ポンプ」機能を達成することができる。
【0187】
(27) 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
上記超音波トランスデューサの超音波放射時刻をずらすことで、上記流路の入口から該流路の出口に向かって音圧が大きくなるように、選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
【0188】
尚、上記(27)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(27)に記載の発明によれば、フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサは流路入口から流路出口に向かって時刻をずらして音波を放射するように設定された駆動信号に応じて各々振動し超音波を放射する。各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させるが、隣り合うトランスデューサの瞬間的な音圧強度のバランスにより音響流は音圧の高い方向へ曲げられるため、巨視的には流路入り口(インレット)から流路出口(アウトレット)に向かう流れ場が形成される。すなわち、マイクロチップ下部に於いて流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサにより、流体を流路に沿って動かす「ポンプ」機能を達成することができる。
【0189】
(28) 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
上記流路の入口から該流路の出口の間で、局所的に音圧が大きくなるように選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
【0190】
尚、上記(28)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(28)に記載の発明によれば、駆動信号として、周波数が流路寸法よりも十分短い波長で、且つ高放射音圧となるような駆動電圧に設定された連続波を供給する。超音波トランスデューサから放射された超音波は周波数が流路寸法よりも十分短い波長の連続波であるため、音響放射面と対向する流路壁との間で超音波の非線形性による音響流を双方向から発生させる。これと同時に高放射音圧となっているため、この部位が流体移動の障壁となる。例えば、分岐流路に於いてインレットからの片方の分岐流路への流体移動を阻害する切り替えバルブやオン、オフバルブとすることが可能である。また、駆動電圧値の設定により、放射音圧を変化させることで流量調整を行えるバルブとすることもできる。更に、2つのインレットからの流体がメイン流路で合流するマイクロチップの場合、各バルブを交互に所定時間駆動することでそれぞれの流体を定量する定量バルブとすることができる。
【0191】
(29) 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
上記流路中に複数の異なる物性若しくは状態の流体が存在し、上記複数の流体の界面と交わる方向に流れが発生するように、選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
【0192】
尚、上記(29)に記載の発明に関する実施の形態は、第1及び第2の実施の形態が対応する。そして、上記(29)に記載の発明によれば、マイクロチップの流路上に設けられた流路幅よりも大きい収液セル下に二次元マトリクス配置された複数の超音波トランスデューサに対して、不規則な順序で所定の駆動信号を供給する。各超音波トランスデューサから放射された超音波は、その非線形性により音源から離れる方向に音響流(直進流)を発生させるが、隣り合うトランスデューサの音圧強度のバランスにより音響流は音圧の高い方向へ曲げられるため、各トランスデューサを不規則な順序で駆動することにより各時刻に於いてそれぞれ異なる複雑な流れ場を形成することができる。したがって、収液セル下に二次元マトリクス配置された超音波トランスデューサを最適に駆動することにより、収液セル内の液体を攪拌混合する「ミキサ」を達成することができる。
【0193】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、流体組成を変えず、液層微小空間に代表される様々なメリットを損なわずに、汎用性、即応性、機能拡張性を持ちながらも製造時間が短く安いコストで製造可能な超音波プラットフォーム型マイクロチップ及びアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すもので、本発明に係る超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの基本構成を示す断面図である。
【図2】図1に於けるトランスデューサ層の平面図である。
【図3】超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの一形態であり、トランスデューサ層上に透明なフロー型マイクロチップを積層した平面図である。
【図4】図3の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの断面図である。
【図5】第1の実施の形態の第1の機能である「ポンプ」の作用を説明する図である。
【図6】第1の実施の形態の第1の機能である「ポンプ」の作用を説明する図である。
【図7】第1の実施の形態の第1の機能である「ポンプ」の作用を説明するもので、マイクロチップ流路の直下に流路に沿って超音波トランスデューサが配置された例を示した図である。
【図8】第1の実施の形態の第1の機能である「ポンプ」の作用を説明するもので、マイクロチップ流路の直下に流路に沿って超音波トランスデューサが配置された例を示した図である。
【図9】第1の実施の形態の第1の機能である「ポンプ」の作用を説明するもので、表面波を発生させる超音波トランスデューサを用いた場合の例を示した図である。
【図10】第1の実施の形態の第1の機能である「ポンプ」の作用を説明するもので、表面波を発生させる超音波トランスデューサを用いた場合の他の例を示した図である。
【図11】第1の実施の形態の第2の機能である「バルブ」の作用について説明する図である。
【図12】第1の実施の形態の第2の機能である「バルブ」の作用について説明する図である。
【図13】第1の実施の形態の第2の機能である「バルブ」の作用について説明する図である。
【図14】第1の実施の形態の第2の機能である「バルブ」の作用について説明するもので、他の構成例を示した図である。
【図15】第1の実施の形態の第2の機能である「バルブ」の作用について説明するもので、図14の構成例を説明する図である。
【図16】第1の実施の形態の第3の機能である「温度計」の作用を説明する図である。
【図17】第1の実施の形態の第3の機能である「温度計」の作用を説明するもので、トーンバースト波の変化状態を示した図である。
【図18】第1の実施の形態の第3の機能である「温度計」の作用を説明する図である。
【図19】第1の実施の形態の第3の機能である「温度計」の作用を説明するもので、流速の特性を示した特性図である。
【図20】第1の実施の形態の第4の機能である「ミキサ」の作用について説明する図である。
【図21】第1の実施の形態の他の例であって、フォトダイオードによる光吸収計の作用について説明する図である。
【図22】第1の実施の形態の他の例であって、フォトダイオードによる光吸収計の作用について説明する図である。
【図23】第1の実施の形態の更に他の構成例を示した図である。
【図24】第1の実施の形態の更に他の構成例を説明するもので、温度の特性を示した図である。
【図25】第1の実施の形態の変形例を示した断面図である。
【図26】第1の実施の形態の別の変形例を示した断面図である。
【図27】第1の実施の形態の更に別の変形例を示した断面図である。
【図28】本発明の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムに係る第2の実施の形態を示した図である。
【図29】本発明の超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムに係る第3の実施の形態を示した図である。
【図30】第3の実施の形態による超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システムの構成例を示した図である。
【符号の説明】
10…超音波プラットフォーム型マイクロ化学分析システム、11…信号制御回路層、12…トランスデューサ層、13…共通プラットフォーム、14…フロー型マイクロチップ、15…処理回路、16…超音波トランスデューサ、16a…ポンプ用トランスデューサ、16b…バルブ用トランスデューサ、16c…温度計用トランスデューサ、16d…混合用トランスデューサ、16e…流速計用トランスデューサ、16f…粘度計用トランスデューサ、17…配線、18、24…流路、21…フォトディテクタ、22…音響整合層、23…流路層、25…カバー、27…インレット、27a…第1試薬用インレット、27b…第2試薬用インレット、28…サンプル用インレット、30…アウトレット。

Claims (29)

  1. マイクロ化学分析システムに用いられるフロー型マイクロチップであって、基板上に流体が流れる微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップに於いて、
    アレイ状超音波トランスデューサを有するトランスデューサ層と、信号制御回路層と、から成る共通プラットフォームを具備し、
    上記フロー型マイクロチップは、上記共通プラットフォーム上に構成されていることを特徴とする超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  2. 上記共通プラットフォームの上記トランスデューサ層と上記信号制御回路層は、半導体プロセスにより1枚の基板に作製されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  3. 上記共通プラットフォームの上記トランスデューサ層と上記信号制御回路層は、各々別個の基板上に作成された後、各層の導通を確保した状態で接着若しくは接合により組み立てられることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  4. 上記制御回路層は半導体プロセスで作製された電気回路層で構成されることを特徴とする請求項2に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  5. 上記超音波トランスデューサは、静電容量型マイクロ超音波トランスデューサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  6. 上記超音波トランスデューサは、噴射堆積法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  7. 上記超音波トランスデューサは、ゾルゲル法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  8. 上記超音波トランスデューサは、水熱合成法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  9. 上記超音波トランスデューサは、スパッタ法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  10. 上記超音波トランスデューサは、印刷法で作製したトランスデューサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  11. 上記トランスデューサ層は、直接フロー型マイクロチップの流路に接して構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  12. 上記共通プラットフォームと上記フロー型マイクロチップの流路の間に音響整合層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  13. 上記音響整合層は、シリコンの陽極化成によるポーラス化したポーラスシリコンで構成されることを特徴とする請求項12に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  14. 上記フロー型マイクロチップは、それ自体が音響整合層となり得る樹脂で構成されることを特徴とする請求項12に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  15. 上記フロー型マイクロチップは、その内部の流体に接する部位の音響整合層に音響レンズが設けられていることを特徴とする請求項12に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  16. 上記フロー型マイクロチップの流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサに対して上記流路の入口から該流路の出口に向かって放射音圧が大きくなるべく駆動信号を供給することで、上記流路の入口から上記流路の出口に向かう流体の流れを発生させることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  17. 上記フロー型マイクロチップの上記流路に沿って配置された複数の超音波トランスデューサに対して上記流路の入口から該流路の出口に向かって音波放射時刻をずらして駆動信号を供給することで、上記流路の入口から上記流路の出口に向かう流体の流れを発生させることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  18. 上記フロー型マイクロチップの上記流路の直下に配置された超音波トランスデューサに対して、駆動信号の周波数が流路寸法よりも十分短い波長で、且つ高放射音圧となるような駆動信号を供給することで、所定の流路中の流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  19. 上記フロー型マイクロチップ内に上記流路の幅よりも大きい収液セルを有し、該収液セルの下部に二次元マトリクス状に配置された複数の超音波トランスデューサに対して不規則な順序で駆動信号を供給することで、上記収液セル内の液体を攪拌混合することを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  20. 上記フロー型マイクロチップの流路入口側に設けられた送波用超音波トランスデューサと、
    該送波用超音波トランスデューサから流路出口側へ所定距離離れて配置された受波用超音波トランスデューサと、
    上記送波用超音波トランスデューサから送波されたトーンバースト波が上記受波用超音波トランスデューサで検知されるまでの時間を計測することで流速を得る超音波流速計と、
    を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  21. 上記フロー型マイクロチップの流路入口側に設けられた送波用超音波トランスデューサと、
    該送波用超音波トランスデューサから流路出口側へ所定距離離れて配置された受波用超音波トランスデューサと、
    上記送波用超音波トランスデューサから送波されたトーンバースト波が上記受波用超音波トランスデューサで検知されるまでの時間を計測することで温度を得る超音波温度計と、
    を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  22. 上記超音波トランスデューサがフロー型マイクロチップの流路と平行に振動する超音波トランスデューサであって、
    上記超音波トランスデューサが共振回路の一部を構成し、該共振回路の共振周波数変化から流体の粘度を検出することを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  23. 上記フロー型マイクロチップは透明な材質から構成され、
    上記信号制御回路層は、その一部にフォトディテクタを有し、
    上記トランスデューサ層は、上記フォトディテクタの上方に貫通孔を有し、
    上記フォトディテクタが上方に設けられたフロー型マイクロチップ流路の上面から照射された光について測光を行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  24. 上記共通プラットフォームは、1枚の基板上に複数の流体計測制御要素を有して成ることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  25. 上記共通プラットフォームは、流体計測制御要素毎に分けられて任意に組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波プラットフォーム型マイクロチップ。
  26. 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
    上記流路の入口から該流路の出口に向かって、上記流路内の音圧が大きくなるよう選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
  27. 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
    上記超音波トランスデューサの超音波放射時刻をずらすことで、上記流路の入口から該流路の出口に向かって音圧が大きくなるように、選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
  28. 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
    上記流路の入口から該流路の出口の間で、局所的に音圧が大きくなるように選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
  29. 基板上に微細な流路を有して成るフロー型マイクロチップの下に構成されたアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法であって、
    上記流路中に複数の異なる物性若しくは状態の流体が存在し、上記複数の流体の界面と交わる方向に流れが発生するように、選択的に上記超音波トランスデューサに所望の駆動信号を入力することを特徴とするアレイ状超音波トランスデューサの駆動方法。
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