JP2004339595A - 成膜装置及びその制御方法 - Google Patents

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Tsutomu Okubo
努 大久保
Makoto Yoshida
吉田  誠
Susumu Nakamura
奨 中村
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Abstract

【課題】プラズマ等を利用して基材に成膜形成を行う成膜装置において、専用の電源を設けなくても基材の電位を制御することができ、簡易な構成で、良好なプラズマ放電による高品質の成膜が得られるようにする。
【解決手段】真空チャンバー1内の下方に蒸発材料を容器に収容した蒸発源2を設置し、その上方に膜形成が行われる基材3を配置する。また、真空チャンバー1内にはプラズマを発生するプラズマ発生源4を設け、基材3の近傍には回り込み防止板5を設ける。また、プラズマ発生源4と基材3との間にグリッド7を配置し、このグリッド7を基材3とスイッチSW1、SW2を介して接続し、更にスイチSW3を介して真空チャンバー本体とも接続し、端部は接地する。そして、スイッチSW1〜SW3の開閉により基材3の電位を制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ等を利用して基材に膜形成を行う成膜装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2の(a)、(b)はプラズマを利用した一般的な成膜装置の概略構成を示す断面図である。この成膜装置は、真空チャンバー1内の下方に蒸発材料を容器に収容した蒸発源2を設置し、その上方に基材3を配置したものである。4はプラズマ発生源、5は回り込み防止板、6は基材3に接続された専用の電源である。
【0003】
上記のようなプラズマなどを用いた成膜系において、膜形成を行う基材の電位の大きさは、プラズマ中の電子やイオン等の荷電粒子の基材への衝突エネルギーに関わる重要な要素である。そして、膜成長面がこれらの荷電粒子からダメージを負うことを防いだり、基材への膜付着力を高めたりするなどの理由から、上記基材の電位を制御することが行われている。
【0004】
具体的には、真空槽内の下方に設置された蒸発源とその上方の基板間にグリッドを配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、多層膜の形成の際に、一つの材料の成膜中に基板の電位を変えるか、もしくは一つの材料を複数のプロセスで成膜する過程で基板の電位を変えることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3174313号公報
【特許文献2】
特開2001−77443号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の成膜方法にあっては、基材へ印加する電圧の制御のために個別の電源が必要となる。また、その電源を用いることにより、プラズマ発生源と干渉してしまい、プラズマ放電が不安定になりやすくなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、専用の電源を設けなくても基材の電位を制御することができ、簡易な構成で、良好なプラズマ放電等による高品質の成膜が得られる成膜装置及びその制御方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る成膜装置は、真空槽内で基材に膜形成を行う成膜装置であって、前記基材の膜形成側にグリッドを設けるとともに、該グリッドと前記基材をスイッチ部材を介して接続し、該スイッチ部材の開閉により前記基材の電位を制御するようにしたものである。
【0009】
また、プラズマを利用して基材に膜形成を行う成膜装置であって、プラズマを発生するプラズマ発生源と膜が形成される基材との間にグリッドを配置するとともに、該グリッドと前記基材をスイッチを介して接続し、該スイッチの開閉により前記基材の電位を制御するようにしたものである。
【0010】
本発明に係る成膜装置の制御方法は、真空槽内で基材に膜形成を行う成膜装置の制御方法であって、前記基材の膜形成側に設けたグリッドと前記基材間に接続したスイッチ部材の開閉により前記基材の電位を制御するようにしたものである。
【0011】
また、プラズマを利用して基材に膜形成を行う成膜装置の制御方法であって、プラズマを発生するプラズマ発生源と膜が形成される基材との間に配置したグリッドと前記基板間に改装されたスイッチの開閉により前記基材の電位を制御するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面について説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例による成膜装置の構成を示す断面図であり、図2と同一符号は同一構成要素を示している。
【0014】
図1中、1は真空槽を構成する真空チャンバーで、この真空チャンバー1内の下方には蒸発材料を容器に収容した蒸発源2が設置され、その上方に膜形成が行われる基材3が配置されている。また、真空チャンバー1内にはプラズマを発生するプラズマ発生源4が設けられ、基材3の近傍には回り込み防止板5が設けられている。また、プラズマ発生源4と基材3との間にはグリッド7が配置され、このグリッド7は基材3とスイッチSW1、SW2を介して接続され、更にスイチSW3を介して真空チャンバー本体とも接続され、端部は接地されている。
【0015】
上記構成の成膜装置においては、プラズマ発生源4と基材3との間に配置したグリッド7と基板3間に改装されたスイッチSW1〜SW3の開閉により基材3の電位が制御される。このため、専用の電源を設けなくても基材3の自己バイアス量を簡易的に制御することができる。
【0016】
前述のようにプラズマを用いた成膜系では、基材を電気的に浮いた状態に配置すると、自己バイアスによってグランドに対して電位差を持つようになる。この電位差は、プラズマ中の電子、イオンといった荷電粒子の挙動に関与することから、膜成長に大きく影響を与える要因となる。
【0017】
そこで本実施例では、基材3とプラズマ発生源4の間にグリッド7を配置することにより、基材3の自己バイアス量を簡易的に制御している。具体的には、基材3と、グリッド7、グランド間の電気的組み合わせを変えるものであり、下記の表1の組み合わせで、(1)→(2)→(3)→(4)の順に基材の電位の絶対値は大きくなる。
【0018】
【表1】
Figure 2004339595
【0019】
また、上記表1の(1)〜(3)において任意の閉となるスイッチSWを抵抗体に置換し、その抵抗値を変えることによって、(1)を最小、(4)を最大とした電位差の調整が可能である。
【0020】
更に、シャッターや防着板、邪魔板など、元来から設置してある導電性の部品に電気配線を施し、これをグリッド7として用いることも可能である。
【0021】
このように、専用の電源を設けなくても基材3の電位を制御することができ、簡易な構成で、良好なプラズマ放電による高品質の成膜を得ることができる。しかも、既存の部品を流用することが可能であり、安価な構成とすることができる。
【0022】
ここで、本発明はプラズマ成膜における基材への電圧印加方法に関するものであり、プラズマやイオン発生源を持つ成膜装置、例えばプラズマCVD装置、イオンプレーティング装置、スパッタリング装置などへの利用が可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、専用の電源を設けなくても基材の電位を制御することができ、簡易な構成で、良好なプラズマ放電等による高品質の成膜が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示す断面図
【図2】従来例の構成を示す断面図
【符号の説明】
1 真空チャンバー
2 蒸発源
3 基材
4 プラズマ発生源
5 回り込み防止板
7 グリッド
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
SW3 スイッチ

Claims (4)

  1. 真空槽内で基材に膜形成を行う成膜装置であって、前記基材の膜形成側にグリッドを設けるとともに、該グリッドと前記基材をスイッチ部材を介して接続し、該スイッチ部材の開閉により前記基材の電位を制御することを特徴とする成膜装置。
  2. プラズマを利用して基材に膜形成を行う成膜装置であって、プラズマを発生するプラズマ発生源と膜が形成される基材との間にグリッドを配置するとともに、該グリッドと前記基材をスイッチを介して接続し、該スイッチの開閉により前記基材の電位を制御することを特徴とする成膜装置。
  3. 真空槽内で基材に膜形成を行う成膜装置の制御方法であって、前記基材の膜形成側に設けたグリッドと前記基材間に接続したスイッチ部材の開閉により前記基材の電位を制御するようにしたことを特徴とする成膜装置の制御方法。
  4. プラズマを利用して基材に膜形成を行う成膜装置の制御方法であって、プラズマを発生するプラズマ発生源と膜が形成される基材との間に配置したグリッドと前記基板間に改装されたスイッチの開閉により前記基材の電位を制御するようにしたことを特徴とするプラズマ成膜装置の制御方法。
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