JP2004337190A - アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法 - Google Patents

アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004337190A
JP2004337190A JP2003133854A JP2003133854A JP2004337190A JP 2004337190 A JP2004337190 A JP 2004337190A JP 2003133854 A JP2003133854 A JP 2003133854A JP 2003133854 A JP2003133854 A JP 2003133854A JP 2004337190 A JP2004337190 A JP 2004337190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base
abutment
fixture
resin
base end
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003133854A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirobumi Hosho
博文 寶諸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2003133854A priority Critical patent/JP2004337190A/ja
Publication of JP2004337190A publication Critical patent/JP2004337190A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】歯科治療においてインプラントフィクスチュアーとの間の隙間をなくして菌類の停滞を有効に回避する。
【解決手段】アバットメント14は、先端から歯槽骨11に挿入されるインプラントフィクスチュアー12の基端部に設置される基台部14aと、基台部14aと一体的に形成され歯科用補綴冠16が嵌着される嵌着部14bとを有し、基台部14aが基端部に設置された状態で基端部に形成された断面非円形の係合穴12a又は係合部に挿嵌される被係合部14d又は被係合穴が基台部14aに形成される。基台部14aが基端部に設置された状態でフィクスチュアー12の基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴12bに挿入接着される接着ピン14gが基台部14aに一体的に形成される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯槽骨に挿入されたインプラントフィクスチュアーの基端部に設置固定されてそのフィクスチュアーとともに人工歯根を構成するアバットメントに関する。更に詳しくは、インプラントフィクスチュアーの基端部に設置された状態でそのフィクスチュアーに接着固定するアバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図12に示すように、従来、歯科治療に用いられる人工歯根2として、欠如歯部の歯槽骨3内に形成した挿入孔3a内に先端から挿入されるインプラントフィクスチュアー4と、その基端部に設置されるアバットメント5と、フィクスチュアー4の基端部に設置されたアバットメント5をそのフィクスチュアー4に固定する雄ねじ6とを有するものが知られている。インプラントフィクスチュアー4には基端部に断面非円形の係合穴4a又は係合部が形成され、その基端部から中心軸に添って雌ねじ穴4bが穿設される。アバットメント5は、インプラントフィクスチュアー4の基端部に設置可能に構成されその周囲が歯肉7に当接する基台部5aと、その基台部5aと一体的に突出して形成され歯科用補綴冠8が嵌着される嵌着部5bとを有する。一方、基台部5aには、フィクスチュアー4の係合穴4a又は係合部の横断面形状に相応する横断面形状を有しかつ係合穴又は係合部に挿嵌してフィクスチュアー4の中心軸を回転中心とするアバットメント5の回転を防止する被係合部5c又は被係合穴が形成される。アバットメント5には、嵌着部5bと基台部5aとを貫通するように雄ねじ用の貫通孔5dが形成され、雄ねじ6をアバットメント5に貫通させてインプラントフィクスチュアー4の基端部からねじ孔4bに螺合することによりインプラントフィクスチュアー4の基端部にアバットメント5を固定するように構成される。そしてインプラントフィクスチュアー4に固定されたアバットメント5の嵌着部5bに歯科用補綴冠8を嵌着し、歯科接着用レジンセメントで固定するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような人工歯根2を用いた具体的な治療方法として1回法と2回法が知られている。1回法は、患者の欠如歯部の歯槽骨3にインプラントフィクスチュアー4が挿入される挿入孔3aを形成し、この挿入孔3a内にインプラントフィクスチュアー4を挿入し、その後直ちにインプラントフィクスチュアー4の口腔内側の基端部にアバットメント5を雄ねじ6を用いて設置固定し、その嵌着部5bに歯科用補綴冠8を嵌着させる方法である。これに対して2回法は、患者の欠如歯部の歯槽骨3に形成された挿入孔3a内にインプラントフィクスチュアー4を挿入した後、この挿入されたインプラントフィクスチュアー4の口腔内側中央に露出しているねじ穴4bに図示しないカバースクリューを螺着して所定期間放置する方法である。具体的には、インプラントフィクスチュアー4のねじ穴4bにカバースクリューを螺着した後、挿入孔3aの周囲歯肉を縫合し、挿入されたインプラントフィクスチュアー4が欠如歯部の歯槽骨3に充分に結合し且つ挿入孔3aを形成したことによる手術部分が治癒するまでの間3〜12ヶ月放置する。その後、2回法ではそのインプラントフィクスチュアー4が挿入された口腔内の歯肉部分を再度切開してカバースクリューをそのフィクスチュアー4から取り外し、インプラントフィクスチュアー4の口腔内側の基端部にアバットメント5を雄ねじ6を用いて設置固定し、アバットメント5の嵌着部5bに歯科用補綴冠8を嵌着させている。
【0004】
一方、従来からアバットメント5には、インプラントフィクスチュアー4の中心軸に対して歯科用補綴冠8が嵌着される嵌着部5bの中心軸が一致するように形成されたものの他、インプラントフィクスチュアー4の中心軸に対して嵌着部5bの中心軸を所定の角度で傾斜させたものがある(例えば、特許文献2参照。)。即ち、治療の対象が前歯のような場合には歯槽骨3に挿入されたインプラントフィクスチュアー4の中心軸に対して歯科用補綴冠8の中心軸は必ずしも一致しない。また、歯槽骨3の内部に空洞がある場合には、その空洞をさけてインプラントフィクスチュアー4を挿入しなければならず、インプラントフィクスチュアー4を歯科用補綴冠8の中心軸に一致させて挿入することが一般的に困難である。このことから、インプラントフィクスチュアー4の中心軸に対して嵌着部5bの中心軸を所定の角度で傾斜させたものが準備され、歯槽骨3に挿入されたインプラントフィクスチュアー4の中心軸に対してその部位に取付けようとする歯科用補綴冠8の中心軸が一致しない場合、その治療を行う歯科医において予め準備された複数種類のアバットメントの中から嵌着部5bの中心軸が最適な角度で傾斜するものを選択して、或いは嵌着部5bの中心軸が最適な角度で傾斜するアバットメント5をその都度オーダーして使用することが行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−192145号公報
【特許文献1】
特開平9−234210号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、雄ねじ6をインプラントフィクスチュアー4の基端部に形成されたねじ穴4bに螺合することによりアバットメント5をフィクスチュアー4に固定する従来の人工歯根2では、雄ねじ6をねじ穴4bに螺着させる必要上、アバットメント5とフィクスチュアー4との間、アバットメント5と雄ねじ6との間及びフィクスチュアー4と雄ねじ6との間にわずかな隙間を生じさせている。このため、この隙間に食べかすや細菌や嫌気性菌等の菌類が停滞して汚染される。また、悪臭を放つ等の不都合があった。
【0007】
この点を解消するために、フィクスチュアー4の係合穴4a又は係合部と、アバットメント5の被係合部5c又は被係合穴を接着し、それらの間に生じる隙間を接着剤で充填してしまうことも考えられるが、これらを接着するだけではアバットメント5のフィクスチュアー4に対する接着強度が不足する問題点がある。それでは、アバットメント5とフィクスチュアー4と雄ねじ6とをそれぞれ接着剤で接着し、アバットメント5のフィクスチュアー4に対する接着強度を確保しつつ、それらの間にそれぞれ生じる隙間を接着剤で充填してしまうことも考えられる。しかし、ねじ穴4bの内部に接着剤を入れて雄ねじ6を螺合させると、ねじ穴4bの中に接着剤が残存して雄ねじ6を最後まで螺合させることが困難になり、フィクスチュアー4の基端部からアバットメント5が浮き上がってしまう不具合がある。
【0008】
また、歯槽骨3に挿入されたインプラントフィクスチュアー4の中心軸に対して歯科用補綴冠8の中心軸を傾斜させたい場合には、インプラントフィクスチュアー4の中心軸に対して嵌着部5bの中心軸が所定の角度で傾斜するアバットメント5が使用されるけれども、インプラントフィクスチュアー4の中心軸を回転中心とするアバットメント5の回転は禁止されるため、例えば断面六角形状の係合穴4aがインプラントフィクスチュアー4の基端部に形成されている場合には、円周角方向に対し理想的角度から最大で30度の偏差が発生してしまう。また、インプラントフィクスチュアー4の中心軸に対する嵌着部5bの角度も予め決められているため、実際の使用に際して、アバットメント5の嵌着部5bを歯列の配列に合わせて切削する必要があった。しかし、アバットメント5自体は比較的硬度の高い金属により作られており、アバットメント5の嵌着部5bを切削すること自体が困難で、その加工に時間がかかり加工費が上昇して医療費が押し上げられる不具合があった。また、嵌着部5bを切削加工するとその先端部が細くなり補綴冠8と嵌着部5bとのセメントによる接着強度が弱くなる不具合もある。
【0009】
本発明の目的は、歯科治療においてインプラントフィクスチュアーとの間の隙間をなくして細菌や嫌気性菌等の菌類の停滞を有効に回避し得るアバットメントを提供することにある。
本発明の別の目的は、歯槽骨に挿入されたインプラントフィクスチュアーに対して歯科用補綴冠を理想的な位置に取付けることのできるアバットメントを容易に得ることのできる鋳造模型用基台並びにアバットメントの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1及び図11に示すように、先端から歯槽骨11に挿入されるインプラントフィクスチュアー12の基端部に設置される基台部14aと、基台部14aと一体的に形成され歯科用補綴冠16が嵌着される嵌着部14bとを有し、基台部14aが基端部に設置された状態で基端部に形成された断面非円形の係合穴12a又は係合部12eに挿嵌される被係合部14d又は被係合穴14jが基台部14aに形成されたアバットメントの改良である。
その特徴ある構成は、基台部14aが基端部に設置された状態でフィクスチュアー12の基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴12bに挿入接着される接着ピン14gが基台部14aに一体的に形成されたところにある。
【0011】
この請求項1に係るアバットメントでは、接着ピン14gを基台部14aに一体的に形成したので、従来生じていたアバットメント14と雄ねじとの間の隙間をなくすことができる。また、ねじ穴12bに接着ピン14gを挿入接着してアバットメント14とフィクスチュアー12とを接着剤で接着することにより、必要な接着強度を確保しつつ、かつアバットメント14とフィクスチュアー12との間の隙間をその接着剤で充填することができる。このため、従来生じていた全ての隙間をなくすことができ、食べかすの他に細菌や嫌気性菌等の菌類が隙間に停滞して汚染され、悪臭を放つような事態を回避することができる。ここで、インプラントフィクスチュアー12とアバットメント14を接着するには、接着ピン14gをねじ穴12bに挿入する必要があるけれども、接着ピン14gは雄ねじと異なりその外周面にねじ山を有していないので、ねじ穴12bに入った余剰の接着剤は、ねじ穴12bを構成するねじ山の頂部と接着ピン14gの外周面との間の隙間から外部に排出することができる。このため、余剰接着剤がねじ穴12bの内部に滞在してアバットメント14が浮き上がるような事態を有効に回避することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、図5及び図6に示すように、加熱焼失可能な樹脂からなる鋳造模型用基台21であって、先端から歯槽骨に挿入されるインプラントフィクスチュアー12の基端部に設置され基端部に設置された状態で基端部に形成された断面非円形の係合穴12a又は係合部12eに挿嵌される被係合樹脂部21b又は被係合樹脂穴21jを有する樹脂基台部21aと、樹脂基台部21aに設けられ樹脂基台部21aが基端部に設置された状態でフィクスチュアー12の基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴12bに挿入される樹脂ピン21cと、樹脂基台部21aに設けられ歯科用補綴冠16より小さく形成された突起21dとを備えたことを特徴とするアバットメントの鋳造模型用基台である。
【0013】
図9に示すように、アバットメント14を鋳造するための鋳型30は、鋳造模型27を鋳型用埋没材32に埋設させた後にその鋳造模型27を加熱焼失することにより作られる。ここで、図1に示すように、アバットメント14の接着ピン14gはフィクスチュアー12の雌ねじ穴12bに挿入接着可能に鋳造される必要がある。図5に示すように、この請求項2に係る鋳造模型用基台21では、ねじ穴12bに挿入される樹脂ピン21cを有するので、この模型用基台を用いて鋳造模型27を得て、この模型27により得られた鋳型30に鋳込まれた鋳造物からなるアバットメント14は、高い精度の接着ピン14gが一体的に形成されたものになる。
【0014】
請求項3に係る発明は、図5〜図10に示すように、請求項2に係る鋳造模型用基台21を準備する工程と、インプラントフィクスチュアー12の基端部と同一の形態の基端部を有する技工用フィクスチュアー23が埋設されかつ歯槽骨11に先端から挿入されたインプラントフィクスチュアー12の基端部を含む隣接歯部と同一の形態を有する技工用模型24を準備する工程と、鋳造模型用基台21の樹脂ピン21cを技工用フィクスチュアー23の基端に形成されたねじ穴23aに挿入しかつ樹脂基台部21aを技工用フィクスチュアー23の基端に設置させる工程と、鋳造模型用基台21の基台部21aに突起21dを覆うように歯科技工用固形ワックス26を歯科用補綴冠16が嵌着可能な形状に盛りつけて鋳造模型用基台21とワックス26からなるアバットメントの鋳造模型27を作製する工程と、鋳造模型27を鋳型用埋没材32に埋没させて鋳造模型27を加熱焼失しアバットメント用鋳型30を得る工程と、鋳型30に歯科用金属を鋳込んで鋳造模型と同一形態を有するアバットメント14を得る工程とを含むアバットメントの製造方法である。
【0015】
この請求項3に係るアバットメントの製造方法では、鋳造模型用基台21の基台部21aに突起21dを覆うように歯科技工用固形ワックス26を歯科用補綴冠16が嵌着可能な形状に盛りつけて鋳造模型用基台21とワックス26からなるアバットメントの鋳造模型27を作製するので、歯槽骨11に挿入されたインプラントフィクスチュアー12に対して歯科用補綴冠16を理想的な位置に取付けることのできるアバットメント14を比較的容易に得ることができる。
また、この製造方法によりその都度アバットメント14を製造するようにすれば、従来必要であったインプラントフィクスチュアーの中心軸に対して嵌着部の中心軸が所定の角度で傾斜させた複数種類のアバットメントを管理する手間や、その市販のアバットメントをその都度オーダーする手間を省くことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、人工歯根10は歯槽骨11に先端から挿入されて固定される略円柱状に形成されたインプラントフィクスチュアー12と、このインプラントフィクスチュアー12の基端部に設置されて周囲に歯肉13が当接するアバットメント14を有する。インプラントフィクスチュアー12は、欠如歯部の歯槽骨11内に形成された挿入孔11a内に先端から挿入されて固定されるものである。このインプラントフィクスチュアー12は生体親和性が良好であってかつ比較的硬度の高いチタン素材の金属から作られ、歯槽骨11内に挿入される先端が略半球状に形成される。一方、フィクスチュアー12の基端部には断面非円形の係合穴12aが形成され、その基端部からは中心軸に添ってねじ穴12b穿設される。図2に示すように、この実施の形態における係合穴12aは、その横断面形状が、雌ねじ穴12bより大径であってかつ雌ねじ穴12bと同軸に形成された中心円12cと、その中心円12cを挟んで中心円12cの両側に形成された外側に膨出する一対の半円状の膨出部12dとを有する。この実施の形態における係合穴12aは、その深さが3〜5mmであり、かつ深さが深くなるほど中心円12cが縮径するように中心軸に対して1〜5度の角度θ1(図1)でその周面が傾斜して形成される。そして中心円12cはその直径が2〜3mmに形成される。
【0017】
図1に戻って、アバットメント14は、インプラントフィクスチュアー12の基端部に設置可能に構成された基台部14aと歯科用補綴冠16が嵌着される嵌着部14bとを有する。基台部14aには、インプラントフィクスチュアー12の端面に下面が当接するフランジ14cと、インプラントフィクスチュアー12の係合穴12aに挿嵌される被係合部14dが形成される。フランジ14cの下面の外径はインプラントフィクスチュアー12の端面における外径と同一の外径に形成される。また図1の拡大図に示すように、フランジ14cの周囲は、挿入孔11a周囲の歯肉13に添うように、フィクスチュアー12の当接面から離れるに従って外径が大きくなるようにその周囲における軸方向の稜線が傾斜又は湾曲して形成される。
【0018】
一方、アバットメント14の被係合部14dは、フィクスチュアー12の係合穴12aに挿入された状態で、その非円形の断面を有する係合穴12aの内周面にその外周面が対向してアバットメント14のフィクスチュアー12に対する回転を防止するものであり、この実施の形態における被係合部14dの断面形状は、図3に示すように、係合穴12aの中心円12cよりわずかに小さな直径を有する被中心円14eと、係合孔12aの膨出部12dに対応する一対の半円状の被膨出部14fとを有するように形成され、その高さは係合穴12aの深さと同一又はわずかに低くなるように形成される。即ち、この実施の形態における被係合部14dは、その高さが3〜5mmであり、かつ係合穴12aに挿入される先端ほど被中心円14eが縮径するように中心軸に対して1〜5度の角度θ2(図1)でその周面が傾斜して形成される。そして被中心円14eはその直径が2〜3mmに形成される。
【0019】
図1に示すように、歯科用補綴冠16が嵌着される嵌着部14bは基台部14aに突設されてその基台部14aと一体的に形成される。この実施の形態における嵌着部14bは基台部14aから離れるに従って小径になるような円錐台形状に形成され、その底面における外径は基台部14aの外径より小さくなるように形成される。図1に示す嵌着部14bの中心軸は、基台部14aの中心軸に一致するように形成されたものを示すけれども、嵌着部14bの中心軸は、基台部14aの中心軸に対して一定の角度で傾斜するものであっても良い。
【0020】
一方、基台部14aからはインプラントフィクスチュアー12の雌ねじ穴12bに挿入可能な接着ピン14gが一体的に形成される。この接着ピン14gは雌ねじ穴12bの内径より0.05〜0.3mm、好ましくは0.05〜0.2mm、更に好ましくは0.1〜0.15mm小さい外径を有する断面円形の棒状部材であり、その先端は半球状に形成される。また、接着ピン14gの長さは雌ねじ穴12bの深さと同一又はわずかに短く形成され、3〜5mmであることが好ましい。アバットメント14は上述した基台部14a、嵌着部14b及び接着ピン14gとが一体的に形成され、接着ピン14gはインプラントフィクスチュアー12より軟らかくなるようにその材質が選定される。具体的には一般的な歯科用合金、即ち金合金、銀合金又は非貴金属合金等からアバットメント14を作ることが好ましく、特にインプラントフィクスチュアー12に比較して硬度の低い金合金におけるタイプ三が好ましい。そして、図4に示すように、この接着ピン14gの外周には長手方向に凹溝14hが形成される。図4では1本の凹溝14hが形成される例を示すが、この凹溝14hは2本でも3本でも良い。
【0021】
次に、本発明の人工歯根を用いた具体的な治療方法を説明する。
先ず、患者の欠如歯部の歯槽骨11に挿入孔11aを形成し、この挿入孔11a内にインプラントフィクスチュアー12を先端から挿入する。図示しないが、フィクスチュアー12の外周面に凸条が螺旋状に形成されている場合には、フィクスチュアー12を回転挿入させるためのドライバの先端を係合穴12aに係合させ、この状態でドライバをその中心軸を回転中心として回転させることにより、フィクスチュアー12を挿入孔11aに挿入することができる。その後、1回法では直ちにアバットメント14を接着する。一方、2回法では挿入されたフィクスチュアー12の口腔内側中央に露出しているねじ穴12bに図示しないカバースクリューを螺着し、その挿入孔11aの周囲歯肉を縫合する。そして、挿入されたフィクスチュアー12が欠如歯部の歯槽骨11に充分に結合し且つ挿入孔11aを形成したことによる手術部分が治癒するまでの間3〜12ヶ月放置する。その後、そのフィクスチュアー12が挿入された口腔内側の歯肉部分を再度切開してカバースクリューをフィクスチュアー12から取り外し、その基端部にアバットメント14を接着する。
【0022】
アバットメント14の接着はフィクスチュアー12の雌ねじ穴12bに接着剤としての歯科用セメントを充填するか、或いはアバットメント14の接着ピン14gにそのセメントを塗布し、接着ピン14gをフィクスチュアー12の基端部から雌ねじ穴12bに挿入する。そして被係合部14dを係合穴12aに挿入し、更に基台部14aをフィクスチュアー12の基端部に配置させる。接着ピン14gを挿入する際に、雌ねじ穴12bに充填された余剰のセメントはねじ穴12b周囲の螺旋状に形成されたねじ山の頂部と接着ピン14gとの間の隙間から排出されるか、又はねじ穴12b周囲のねじ山とねじ山の間を螺旋状に上昇して排出される。またこの実施の形態では、接着ピン14gに凹溝14hを形成したので、余剰のセメントはその凹溝14hを上昇して排出される。このようにして、アバットメント14はその基台部14aをフィクスチュアー12の基端部に配置させた状態でフィクスチュアー12の基端部に接着される。
その後、そのアバットメント14を含む隣接歯部の印象を採取し、そのアバットメント14に嵌着される補綴冠16を製作し、アバットメント14の嵌着部14bにセメントでその補綴冠16を嵌着させる。
【0023】
このように構成されたアバットメント14では、接着ピン14gを基台部14aに一体的に形成したので、従来生じていたアバットメント14と雄ねじとの間の隙間をなくすことができる。また、アバットメント14とフィクスチュアー12とを接着するので、アバットメント14とフィクスチュアー12との間の隙間をそのセメントで充填することができる。このため、従来の人工歯根において生じていた全ての隙間をなくすことができ、食べかすや細菌や嫌気性菌等の菌類が隙間に停滞して汚染され、悪臭を放つような事態を回避することができる。
【0024】
また、接着ピン14gを雌ねじ穴12bに挿入するには先に接着ピン14gの先端を係合穴12aに挿入させる必要があるけれども、係合穴12aはその横断面形状が雌ねじ穴12bの中心軸を中心とする中心円12cを有するので、接着ピン14gの先端を係合穴12aに挿入させれば、その後接着ピン14gの半球状に形成された先端はその係合穴12aから雌ねじ穴12bに速やかに案内される。この結果、接着ピン14gを雌ねじ穴12bに挿入させることが困難になるような事態は回避される。
【0025】
また、インプラントフィクスチュアー12とアバットメント14との接着は接着ピン14gをねじ穴12bに挿入することにより行うので、ねじ穴12bを構成するねじ山の頂部と接着ピン14gの外周面との間の隙間から余剰セメントを外部に排出することができる。特にこの実施の形態では、接着ピン14gに凹溝14hを形成するので、余剰のセメントはその凹溝14hを介して排出され、余剰セメントがねじ穴12bの内部に滞在してアバットメント14が浮き上がるような事態を有効に回避することができる。
【0026】
更に、歯科治療後に歯科用補綴冠16又はアバットメント14自体が損傷した場合には、その補綴冠16及びアバットメント14をフィクスチュアー12から取り外す必要がある。この場合には、ドリルで補綴冠16及びアバットメント14を削り取ることが必要となる。この手順として、フィクスチュアー12の基端部から表出するアバットメント14の基台部14a及び嵌着部14bを最初に削る。その後アバットメント14の接着ピン14gをドリルで削ることになるけれども、接着ピン14gの硬度をフィクスチュアー12の硬度より低くしているので、その接着ピンを削る際にそのドリルがフィクスチュアー12に接触してもそのフィクスチュアー12自体が著しく削られることはなく、接着ピン14gのみを削り取ることが可能になる。この場合、ドリルの回転方向を反時計回りにすれば、削られた接着ピン14gは雌ねじ穴12bの螺旋状に形成されれたねじ山に案内されて雌ねじ穴12bから外部に有効に排出させることが可能になる。
【0027】
なお、歯槽骨11に挿入されたフィクスチュアー12の中心軸に対して歯科用補綴冠16の中心軸を傾斜させたい場合には、フィクスチュアー12の中心軸に対して嵌着部14bの中心軸が所定の角度で傾斜するアバットメント14が使用されるけれども、適切なアバットメント14が存在しない場合には、このアバットメント14を製作する必要がある。
次に、適切なアバットメントが存在しない場合に行うアバットメントの製造方法を説明する。
このアバットメント14は鋳造により作られる。この鋳造に際して用いられる鋳型30(図9)は鋳造模型27(図5又は図6)を用いて作られ、鋳造模型27の製作に際してはそのアバットメント14が用いられる部分の歯形を形取った技工用模型24(図7(d))を準備する必要がある。以下このアバットメント14の製造方法を順を追って説明する。
【0028】
(1) 鋳造模型用基台準備工程
図9に示すように、アバットメント14を鋳造するための鋳型30は、鋳造模型27を埋設した後にその鋳造模型27を加熱焼失することにより作られる。ここで、図1に示すように、アバットメント14の接着ピン14gはフィクスチュアー12の雌ねじ穴12bに挿入接着可能に鋳造される必要がある。このため、この接着ピン14gは比較的高い精度で鋳造されることが必要である。このため、鋳型30を製作に際しては、図5又は図6の実線で示すように予め所定の形状に成形された鋳造模型用基台21を準備する。図5に示す鋳造模型用基台21は、歯槽骨11に挿入されたフィクスチュアー12の基端部に係合穴12a(図1)が形成されている場合に用いられるものであり、図6に示す鋳造模型用基台21は、そのフィクスチュアー12の基端部に係合部12e(図11)が形成されている場合に用いられるものである。
【0029】
図5に示す鋳造模型用基台21は、先端から歯槽骨11(図1)に挿入されたフィクスチュアー12の基端部に設置される樹脂基台部21aを有する。この樹脂基台部21aには、フィクスチュアー12の基端面に下面が当接するフランジ部21gと、フィクスチュアー12の基端部に設置された状態でその基端部に形成された断面非円形の係合穴12aに挿嵌される被係合樹脂部21bとが形成される。一方、図6に示す鋳造模型用基台21の樹脂基台部21aには、フィクスチュアー12の基端面に下面が当接するフランジ部21gと、フィクスチュアー12の基端部に設置された状態でその基端部に形成された断面非円形の係合部12e(図11)に挿嵌される被係合樹脂穴21jとが形成される。
【0030】
樹脂基台部21aには、樹脂基台部21aがフィクスチュアー12の基端部に設置された状態でその基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴12bに挿入される樹脂ピン21cが設けられる。樹脂ピン21cは、得ようとするアバットメント14の接着ピン14gに相応する形状に形成され、樹脂ピン21cには接着ピン14gに形成された凹溝14hに対応する凹樹脂溝21hが形成される。また、樹脂基台部21aの樹脂ピン21cと反対側には歯科用補綴冠16より小さい突起21dが形成される。突起21dは球状部21eと連結部21fとにより構成され、球状部21eは先端側に形成される。連結部21fは球状部21eと樹脂基台部21aとを連結するように形成され、連結部21fは球状部21eの直径より小径に形成される。樹脂ピン21c、樹脂基台部21a及び突起21dは金型を用いた成型により一体的に成型され、使用される樹脂は加熱焼失可能な樹脂である。
【0031】
(2) 技工用模型準備工程
図7(d)に示すように、技工用模型24は、フィクスチュアー12が歯槽骨11に挿入され、その基端部を含む隣接歯部と同一の形態を再現した模型である。この模型の作製にあっては、図7(a)に示すように、フィクスチュアー12に形成された雌ねじ穴12bに螺合するねじ部22aを有する技工用アバットメント22を準備し、そのねじ部22aをねじ穴12bに螺合し、その技工用アバットメント22周辺の印象25を採得する。図7(b)に示すように、その後フィクスチュアー12から技工用アバットメント22を取り外して採取された印象材料の対応部位にその技工用アバットメント22を差し込む。その後フィクスチュアー12の基端部と同一形状を有しかつ同一のねじ穴23aが形成された技工用フィクスチュアー23を準備し、技工用アバットメント22の雄ねじ22aを技工用フィクスチュアー23のねじ穴23aに螺合させる。このとき技工用フィクスチュアー23における係合穴の方向性を、歯槽骨11に挿入されたフィクスチュアー12における係合穴12aの位置と一致させる。図7(c)に示すように、次に、流動化した技工用模型材料28をその印象内に流し込んで硬化させ印象面から離型する。そして図7(d)に示すように、技工用フィクスチュアー23の端部から技工用アバットメント22を取り外して、技工用フィクスチュアー23が埋設されかつ歯槽骨11に挿入されたフィクスチュアー12の基端部を含む隣接歯部と同一の形態を有する技工用模型24を得る。
【0032】
(3) アバットメントの鋳造模型製作工程
図8(a)に示すように、前述した模型用基台21の樹脂ピン21cを技工用模型24に埋設された技工用フィクスチュアー23の基端部に形成されたねじ穴23aに挿入し、樹脂基台部21aを技工用フィクスチュアー23の基端部に設置させる。そして、図8(b)に示すように、模型用基台21の突起21dを覆うように歯科技工用固形ワックス26を盛りつける。歯科技工用固形ワックス26は加熱焼失可能に構成され、突起21dは中央がくびれるように構成されているので、その突起21dを覆うように盛りつけられた固形ワックス26がその突起21dから離脱することは防止される。ワックス26は隣接歯部の形状に沿ってもっとも適切な形状であって、かつ歯科用補綴冠16が嵌着可能な形状に盛りつけられる。例えば、隣接歯部の形状から、図の一点鎖線で示すような補綴冠16が好ましい場合には、この補綴冠16が嵌着可能なようにワックス26が傾斜するように盛りつける。このようにして模型用基台21とワックス26からなるアバットメント用の鋳造模型27を作製する(図5及び図6)。なお、このワックス26の盛りつけの際には、技工用模型24に再現されたフィクスチュアー12周囲の歯形を考慮し、その中心軸が、基台部14aの中心軸と同軸であればそれらを一致させても良い。
【0033】
(4) 鋳型製作工程
図9に示すように、次にアバットメント用の鋳造模型27から鋳型を製作する。この製作に際して、先ず図示しないゴム製の台座に湯道部材を介してアバットメント用の鋳造模型27を取付ける。そしてこの鋳造模型27をリング部材31で囲い、リング部材31の内部に砂等の埋没材32を少しずつ垂れ落としながら埋没材32をリング部材31の内部に充填していく。埋没材32の全ての充填が完了したら、これを所定時間放置して、埋没材32を膨張固化させる。次に鋳造模型用基台21とワックス26からなる鋳造模型27を包み込んだ埋没材32一式をリング部材31ごと図示しない台座より取り外し、そのリング部材31一式を加熱炉等の中に入れ、650〜1000℃、好ましくは650〜750℃程度に加熱して30分から60分程度係留する。このようにして、埋没材32中のアバットメント用の鋳造模型27を焼失させて鋳型30を得る。
【0034】
(5) 鋳込み成形工程
このようにして得られた鋳型30に、従来より知られている公知の方法により金合金、銀合金又は非貴金属合金等の歯科用金属を鋳込む。この歯科用金属の選定に際しては、インプラントフィクスチュアー12より軟らかいものが選定される。例えばインプラントフィクスチュアー12がチタン合金の場合には金合金のタイプ三が好ましい。その後、埋没材32を掻き出して歯科用金属からなる鋳造体を取り出し、この鋳造体を構成する湯道部材とアバットメント14とを切断して所定の成形を施す。これにより、フィクスチュアー12のねじ穴12bに挿入接着される接着ピン14gを有しかつ歯列の配列に合わせて嵌着部14bが所望の角度で傾斜する図10に示すアバットメント14が得られる。その後この金属からなるアバットメント14に表面硬化処理を施すけれども、この表面硬化処理はアバットメント14の基台部14a及び嵌着部14bにのみ行うことが好ましい。これにより、接着ピン14gが必要以上に硬くなることを防止できる。このようにして、フィクスチュアー12の中心軸に対して嵌着部14bの中心軸が所望の角度で傾斜するアバットメント14が得られる。
【0035】
このようなアバットメントの製造方法では、ねじ穴12bに挿入される樹脂ピン21cを有する鋳造模型用基台21を用いて鋳造模型27を得るので、この模型27により得られた鋳型30に鋳込んでアバットメント14を得ることにより、高い精度の接着ピン14gが基台部14aに一体的に形成されたアバットメント14を得ることができる。
また、鋳造模型用基台21の基台部21aに突起21dを覆うように歯科技工用固形ワックス26を歯科用補綴冠16が嵌着可能な形状に盛りつけて鋳造模型用基台21とワックス26からなるアバットメントの鋳造模型27を作製するので、歯槽骨11に挿入されたインプラントフィクスチュアー12に対して歯科用補綴冠16を理想的な位置に取付けることのできるアバットメント14を比較的容易に得ることが可能になる。更に、この製造方法によりその都度アバットメント14を製造するようにすれば、従来必要であったインプラントフィクスチュアーの中心軸に対して嵌着部の中心軸が所定の角度で傾斜する複数種類のアバットメントを管理する手間やそれらをオーダーする手間を省くことができる。
【0036】
更に、人工歯根は常に改良され、一旦歯槽骨に挿入されたインプラントフィクスチュアー12に対応するアバットメント14が改良等により製造が中止される事態も生じ得る。しかし、このアバットメントの製造方法においては、その都度歯槽骨に挿入されたインプラントフィクスチュアーに適したアバットメント14を製造できるので、一旦治療した部位を再度治療する際に歯槽骨にすでに挿入されているインプラントフィクスチュアー12に対応するアバットメント14の製造が中止され、手に入らないというような事態を回避することができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、中心円12cの両側に膨出部12dを形成した係合穴12aがフィクスチュアー12に形成され、アバットメント14に被係合部14dが形成される例を示したが、図11に示すように、フィクスチュアー12に係合部12eを形成し、アバットメント14に被係合穴14jを形成するようにしても良い。また、係合穴12a,被係合部14d,係合部12e及び被係合穴14jは、断面非円形であってアバットメント14のフィクスチュアー12に対する回転を防止するものである限り、その断面は4角形,5角形又は6角形等であっても良い。
また、上述した実施の形態では、樹脂ピン21cの断面を円形とし接着ピン14gに形成された凹溝14hに対応する凹樹脂溝21hを形成したが、得られたアバットメント14における接着ピン14gをフィクスチュアー12の雌ねじ穴12bに挿入する際に、余剰の歯科用セメントがねじ山の頂部と接着ピン14gとの間の隙間から排出できる限り、凹樹脂溝21hを形成することなく樹脂ピン21cの断面形状を円形,4角形,5角形又は6角形にして、得られるアバットメント14における接着ピン14gの断面形状を円形,4角形,5角形又は6角形にしても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、アバットメントの基台部がフィクスチュアーの基端部に設置された状態でフィクスチュアーの基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴に挿入接着される接着ピンをアバットメントの基台部に一体的に形成したので、アバットメントとフィクスチュアーとを接着剤で接着することにより、アバットメントとフィクスチュアーとの間の隙間をその接着剤で充填することができる。このため、食べかすや細菌や嫌気性菌等の菌類が隙間に停滞して汚染され、悪臭を放つような事態を回避することができる。ここで、インプラントフィクスチュアーとアバットメントを接着するには、接着ピンをねじ穴に挿入する必要があるけれども、接着ピンは雄ねじと異なりその外周面にねじ山を有していないので、ねじ穴に入った余剰の接着剤は、ねじ穴を構成するねじ山の頂部と接着ピンの外周面との間の隙間から外部に排出することができる。このため、余剰接着剤がねじ穴の内部に滞在してアバットメントが浮き上がるような事態を有効に回避することができる。
【0039】
また、アバットメントを鋳造する際に、フィクスチュアーのねじ穴に挿入される樹脂ピンを有する鋳造模型用基台を用いて模型を作成すれば、高い精度の接着ピンが一体的に形成されたアバットメントを得ることができ、鋳造模型用基台の基台部に突起を覆うように歯科技工用固形ワックスを歯科用補綴冠が嵌着可能な形状に盛りつけて鋳造模型用基台とワックスからなるアバットメントの鋳造模型を作製すれば、歯槽骨に挿入されたインプラントフィクスチュアーに対して歯科用補綴冠を理想的な位置に取付けることのできるアバットメントを比較的容易に得ることができる。また、この製造方法によりその都度アバットメントを製造するようにすれば、従来必要であった嵌着部を傾斜させた複数種類のアバットメントを管理する手間やそれらをオーダーする手間を省くことができる。また、一旦埋め込まれたフィクスチュアーに適合するアバットメントの製造が将来において中止されようとも、本発明の製造方法によりそのフィクスチュアーに適合するアバットメントを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアバットメントを用いた歯科治療状態を示す構成断面図。
【図2】そのアバットメントとともに人工歯根を構成するフィクスチュアーの上面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】アバットメントを得るため模型用基台とワックスからなる鋳造模型を示す図。
【図6】被係合樹脂穴が形成された模型用基台とワックスからなる鋳造模型を示す図。
【図7】技工用模型の製作工程を示す図。
【図8】その技工用模型を用いて鋳造模型を製作する工程を示す図。
【図9】その鋳造模型から鋳型を得る状態を示す図。
【図10】その鋳型から得られたアバットメントの正面図。
【図11】本発明の別のアバットメントを用いた歯科治療状態を示す構成断面図。
【図12】従来の人工歯根による歯科治療状態を示す構成断面図。
【符号の説明】
11 歯槽骨
12 インプラントフィクスチュアー
12a 係合穴
12b ねじ穴
12e 係合部
14 アバットメント
14a 基台部
14b 嵌着部
14d 被係合部
14g 接着ピン
14j 被係合穴
16 歯科用補綴冠
21 鋳造模型用基台
21a 樹脂基台部
21b 被係合樹脂部
21c 樹脂ピン
21d 突起
21j 被係合樹脂穴
23 技工用フィクスチュアー
23a ねじ穴
24 技工用模型
26 歯科技工用固形ワックス
27 鋳造模型
30 アバットメント用鋳型
32 鋳型用埋没材

Claims (3)

  1. 先端から歯槽骨(11)に挿入されるインプラントフィクスチュアー(12)の基端部に設置される基台部(14a)と、前記基台部(14a)と一体的に形成され歯科用補綴冠(16)が嵌着される嵌着部(14b)とを有し、前記基台部(14a)が前記基端部に設置された状態で前記基端部に形成された断面非円形の係合穴(12a)又は係合部(12e)に挿嵌される被係合部(14d)又は被係合穴(14j)が前記基台部(14a)に形成されたアバットメントにおいて、
    前記基台部(14a)が前記基端部に設置された状態で前記フィクスチュアー(12)の基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴(12b)に挿入接着される接着ピン(14g)が前記基台部(14a)に一体的に形成されたことを特徴とするアバットメント。
  2. 加熱焼失可能な樹脂からなる鋳造模型用基台(21)であって、
    先端から歯槽骨に挿入されるインプラントフィクスチュアー(12)の基端部に設置され前記基端部に設置された状態で前記基端部に形成された断面非円形の係合穴(12a)又は係合部(12e)に挿嵌される被係合樹脂部(21b)又は被係合樹脂穴(21j)を有する樹脂基台部(21a)と、
    前記樹脂基台部(21a)に設けられ前記樹脂基台部(21a)が前記基端部に設置された状態で前記フィクスチュアー(12)の基端部から中心軸に添って形成されたねじ穴(12b)に挿入される樹脂ピン(21c)と、
    前記樹脂基台部(21a)に設けられ歯科用補綴冠(16)より小さく形成された突起(21d)と
    を備えたことを特徴とするアバットメントの鋳造模型用基台。
  3. 請求項2に係る鋳造模型用基台(21)を準備する工程と、
    インプラントフィクスチュアー(12)の基端部と同一の形態の基端部を有する技工用フィクスチュアー(23)が埋設されかつ歯槽骨(11)に先端から挿入された前記インプラントフィクスチュアー(12)の基端部を含む隣接歯部と同一の形態を有する技工用模型(24)を準備する工程と、
    前記鋳造模型用基台(21)の樹脂ピン(21c)を前記技工用フィクスチュアー(23)の基端に形成されたねじ穴(23a)に挿入しかつ樹脂基台部(21a)を前記技工用フィクスチュアー(23)の基端に設置させる工程と、
    前記鋳造模型用基台(21)の基台部(21a)に突起(21d)を覆うように歯科技工用固形ワックス(26)を歯科用補綴冠(16)が嵌着可能な形状に盛りつけて前記鋳造模型用基台(21)と前記ワックス(26)からなるアバットメントの鋳造模型(27)を作製する工程と、
    前記鋳造模型(27)を鋳型用埋没材(32)に埋没させて前記鋳造模型(27)を加熱焼失しアバットメント用鋳型(30)を得る工程と、
    前記鋳型(30)に歯科用金属を鋳込んで前記鋳造模型(27)と同一形態を有するアバットメント(14)を得る工程と
    を含むアバットメントの製造方法。
JP2003133854A 2003-05-13 2003-05-13 アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法 Pending JP2004337190A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003133854A JP2004337190A (ja) 2003-05-13 2003-05-13 アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003133854A JP2004337190A (ja) 2003-05-13 2003-05-13 アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004337190A true JP2004337190A (ja) 2004-12-02

Family

ID=33524554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003133854A Pending JP2004337190A (ja) 2003-05-13 2003-05-13 アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004337190A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8360775B2 (en) 2009-03-06 2013-01-29 Gc Corporation Wax model base for abutment of dental implant
JP2016010716A (ja) * 2015-09-07 2016-01-21 中島 康 歯科用インプラント
US9408677B2 (en) 2007-07-16 2016-08-09 Laszlo Joseph Kalman Dental prosthesis abutment system and method for using same

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9408677B2 (en) 2007-07-16 2016-08-09 Laszlo Joseph Kalman Dental prosthesis abutment system and method for using same
US8360775B2 (en) 2009-03-06 2013-01-29 Gc Corporation Wax model base for abutment of dental implant
JP2016010716A (ja) * 2015-09-07 2016-01-21 中島 康 歯科用インプラント

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101091587B1 (ko) 치과용 임플란트 지대주
EP1523284B1 (en) Dental prosthesis
US6672871B2 (en) Coping with standoffs
US20110306014A1 (en) Components, Systems and Related Methods for Temporary Prosthetics
JP2004000780A (ja) 義歯を保持および/または形成するための支持具
US20070099152A1 (en) Dental implant system
US20100151423A1 (en) Temporary restorations and related methods
JP5543914B2 (ja) 人工歯根システム
JP2012517861A (ja) インプラントと共に使用される構成要素、および関連する方法
KR20080005368A (ko) 덴탈 임플랜트들을 위한 트랜스퍼 코핑
PL182766B1 (pl) Proteza zębowa i sposób wytwarzania protezy zębowej
US20120122056A1 (en) Dental implant
JP2010533515A (ja) 歯牙インプラント
US6280195B1 (en) Method of treating a partially or totally edentulous patient
KR20210076401A (ko) 임플란트 크라운의 회전을 방지하는 지대주
KR102224795B1 (ko) 임플란트 시술용 임프레션 코핑
JP2019005614A (ja) 一体型インプラント
US20060141419A1 (en) Method for treating a screw-cement retained prosthesis and adjustment for a screw-cement retained prosthesis
JP2004337190A (ja) アバットメント及びその鋳造模型用基台並びに製造方法
JP6383958B2 (ja) フィクスチャー、アバットメント、インプラントクラウン、インプラント用ドライバー、インプラント
KR102198248B1 (ko) 레진광중합힐링부가 구비된 힐링 어버트먼트
KR20050090651A (ko) 즉시 고정 가능한 임플란트
US9259298B2 (en) Dental implant system
JP5538463B2 (ja) 歯科用インプラント
WO2000000103A1 (en) Dental implant component