JP2004337087A - 高血糖並びに高脂血症改善作用を有する食品又は食品素材 - Google Patents

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康一 奥谷
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Abstract

【課題】高血糖並びに高脂血症を改善する作用を有し、かつ日々摂取しても安全で、副作用がなく、しかも有効性の高い食品又は食品素材を提供すること。
【解決手段】コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖改善作用或いは高脂血症改善作用を有する機能性食品又は食品素材並びに当該食品又は食品素材を含有することを特徴とする血管障害性疾患の予防若しくは改善剤を提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高血糖並びに高脂血症改善作用を有する食品又は食品素材に関し、詳しくはコンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含有する高血糖改善作用や高脂血症改善作用を有する機能性食品又は食品素材並びに当該食品又は食品素材を含有する血管障害性疾患の予防若しくは改善剤に関する。動脈硬化性疾患は、高脂血症や糖尿病の合併症により発症し、これは高血圧、腎障害、網膜症等と共に代表的な血管障害性疾患である。
【0002】
コンドロシンは、β (1,3)−D−グルクロノシル−D−ガラクトサミンとも称される既知物質であり、コンドロイチン硫酸を構成する最小単位のオリゴ糖である。
コンドロシンは、コンドロイチン硫酸或いは特定の微生物によって生産されるコンドロイチンモチーフ(基本骨格)を含む酸性ムコ多糖を酵素および酸で加水分解することにより得られる。
【0003】
【従来の技術】
我が国では食生活が豊かになり、現在では飽食の時代とも呼ばれ、カロリー摂取の過剰、さらには運動不足も原因となり、肥満或いは糖尿病が急激に増加している。糖尿病患者数は約670万人であり、予備軍を含めると1370万人に達すると言われている。
高血糖が持続すると、血管内蛋白との糖化反応等により動脈硬化、腎障害、網膜症、その他の重篤な糖尿病合併症へとつながる。また、糖尿病によりインスリンに対する感受性が低下した状態では、高インスリン血症により、脂質代謝異常が起こり、高脂血症が誘発される。
【0004】
一方、粥状動脈硬化症発症の初期には、細胞内に大量のコレステロールエステルを蓄積した泡沫細胞の血管内皮下での局在化が見られるが、このような泡沫細胞の起源は、大部分は血中のマクロファージ由来であると言われる。
これは、変性LDLである酸化LDLをマクロファージが取り込んだことが原因である。血管壁内に侵入したマクロファージはリポ蛋白由来のコレステロールを蓄積して泡沫化する。このような泡沫細胞病変は動脈硬化の発症、進展に深くかかわっている。
マクロファージの泡沫化は、酸化変性を受けた低比重リポ蛋白(LDL)が発生しやすい高脂血症を基礎として発症すると考えられている。さらに、最近、糖尿病においては、ポリオール代謝や糖化反応の亢進により、高血糖そのものが活性酸素を増大させ、酸化ストレスを起こす原因になっていると言われる。
したがって、高脂血症状態においては、このような酸化ストレスとの相乗作用で動脈硬化性疾患が非常に起こりやすい。
このような動脈硬化性血管障害を伴う合併症を予防、改善するためには、血糖コントロールを厳格に行うこと、及び高脂血症を改善することが重要であると考えられる。
これまでに、係る改善策として、特開平6−293655号公報(特許文献1)等が提案されている。
しかしながら、現在のところ、日常的に食品として摂取可能で、安全にこれら疾病を予防、改善するために有用なものはほとんどない。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−293655号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高血糖並びに高脂血症を改善する作用を有し、かつ日々摂取しても安全で、副作用がなく、しかも有効性の高い食品又は食品素材を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、軟骨等に多く存在するコンドロイチン硫酸の加水分解物であるコンドロシンにその作用を見出し、本発明を完成した。
【0008】
請求項1記載の本発明は、コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖改善作用を有する機能性食品又は食品素材である。
請求項2記載の本発明は、コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症改善作用を有する機能性食品又は食品素材である。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の食品又は食品素材を含有することを特徴とする血管障害性疾患の予防若しくは改善剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】
コンドロシンの生理学的に許容される塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩やアンモニウム塩等の無機塩基との間で形成された塩、さらには塩酸塩、硫酸塩などを挙げることができ、コンドロシンと併用することもできる。これらの中では、塩酸塩が好ましい。
本発明に係る機能性食品又は食品素材は、様々な態様で用いることができ、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの形態とすることができる。血管障害性疾患の予防若しくは改善剤の形態も同様である。なお、当該食品又は食品素材は、医薬品素材としても利用できる。
本発明に係る機能性食品又は食品素材などの使用量については、その使用目的などを考慮して適宜決定すればよく、特に制限されることはないが、通常は一日当たりのコンドロシンとして0.01〜5g、好ましくは0.1〜1.0g程度が摂取されるように、1日1回ないし数回に分けて用いると良い。
【0010】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
製造例1
市販のコンドロイチン硫酸(三栄源エフ・エフ・アイ製、サメ軟骨抽出物)を1.0N塩酸に溶解して1.0重量%溶液とし、100℃で6時間加熱して加水分解処理を行った。反応液を冷却後、水酸化ナトリウムで中和した。
この中和液をそのまま又は中和液に活性炭を加えて良く撹拌した後、ブフナー濾斗上のガラス繊維濾紙(Whatmann GFF)を通して濾過し、水で良く洗浄してから、さらに2.5%エタノールで洗浄した。
次に、5%エタノールで溶出する画分を集め、ロータリーエバポレータで蒸発乾固した後、300mlの水に溶解し、AC−220−550カートリッジを装着した電気透析システム(旭化成(株)製、S3型)を用いてコンドロシンを精製し、凍結乾燥した。
【0011】
実施例1
製造例1で得られたコンドロシンを用いて、自然発症糖尿病db/dbマウスの糖代謝、脂質代謝に対する効果を検討した。
6週齡のC57BL/KsJ−db/db Jc1雌性マウスは日本クレア(株)より購入した。室温23±2℃、湿度60±3%、明暗サイクル12時間の部屋で飼育した。餌(実験動物固形飼料CE−2,日本クレア(株))及び飲用水は自由摂取とし、2日間の予備飼育後実験に用いた。
【0012】
マウスを2群(n=6)に分け、被験物を1g/kgになるよう生理食塩水に溶解し、1日1回ゾンデを用いて28日間強制経口投与した。Control群には生理食塩水を同様に投与した。
試験開始時から経時的(週1回)に尾静脈より採血を行い、遠心分離(12,000rpm,5min)により得られた血清のトリグリセライド値、血糖値及びコレステロール値を測定した。トリグリセライドはトリグリセライド Gテストワコー、血糖値はグルコース Bテストワコー、コレステロールはコレステロール Eテストワコー(すべて和光純薬工業(株)製)により測定した。なお、採血は非絶食下にて行った。
【0013】
また、28日間の連続投与終了時から約20時間絶食後、同様に尾静脈より採血を行い、前記項目に加え遊離脂肪酸値をNEFA Cテストワコー(和光純薬工業(株)製)により測定した。
各測定値は平均値(means)±標準誤差(SD)で示した。有意差検定はstudent’s t−testを用いて行い、Control群に対しp<0.05を有意と判定した(図中の*印参照、以下同じ)。
体重変化の測定値を図1に、血中脂質の変化を示す血中トリグリセライド値を図2に、血中コレステロール値を図3に示した。また、血糖値の変化を図4に示した。図1〜4において、◆はControl群、○は被検物投与群の結果を示す。なお、*は有意水準5%未満(p<0.05)を示す。
【0014】
図から明らかなように、体重については、コンドロシン投与による影響は認められなかった。血中トリグリセライドについては、投与開始後7日で低下傾向(p=0.087)が、14日後では有意な低下(p<0.05)が見られ、28日後には変化は見られなくなった。また、血中コレステロールについては、7日で有意な低下が見られた(p<0.05)が、それ以降は有意な差は見られなかった。血糖値の変化については、Control群と比較して投与開始後21日まではControl群に対し変化は見られなかったが、28日で有意な低下が認められた(p<0.05)。
【0015】
さらに、28日間の連続投与終了日に一夜絶食を行い、空腹時の血中脂質及び血糖値の変化を測定し、その結果を図5〜8に示した。すなわち、血中トリグリセライド値を図5に、血中遊離脂肪酸値を図6に、血中総コレステロール値を図7に、血糖値を図8に示した。図5〜8において、黒棒はControl群、白棒は被検物投与群の結果を示す。なお、*は有意水準5%未満(p<0.05)を示す。
図5〜8から、血中トリグリセライドは、Control群に対して有意に低値であること(p<0.05)、並びに血中遊離脂肪酸、総コレステロールには有意な差は見られないことが分かる。また、血糖値は、Control群に比べ有意に低下していること(p<0.05)が分かる。
【0016】
以上のことから、自然発症糖尿病db/dbマウスは、成長するに伴い遺伝的に高血糖を呈し、また脂質代謝異常により、高トリグリセライド、高コレステロール血症を引き起こす病態モデルであることが明らかである。
このようなモデル系において、コンドロシンの連続経口投与により、高血糖、高トリグリセライド、高コレステロールのいずれにおいても有意な低下作用が示された。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、コンドロシンを有効成分として含有する機能性食品又は食品素材が提供される。この食品又は食品素材は、高血糖のみならず高脂血症に対しても改善作用を有する。
したがって、本発明は糖尿病、高脂血症を基礎疾患として発症する動脈硬化、網膜症、腎炎、高脂血症等の血管障害性疾患に対して、これらを予防若しくは改善するための機能性食品又は食品素材として安全に、かつ日常的に摂取することができる。さらに、このものは医薬品や医薬素材として利用することも可能であり、極めて有用性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】自然発症糖尿病db/dbマウスに対するコンドロシン経口投与試験において、マウスの体重変化を経時的に示したものである。
【図2】自然発症糖尿病db/dbマウスに対するコンドロシン経口投与試験において、マウスの血中トリグリセライド値の変化を経時的に示したものである。
【図3】自然発症糖尿病db/dbマウスに対するコンドロシン経口投与試験において、マウスの血中コレステロール値の変化を経時的に示したものである。
【図4】自然発症糖尿病db/dbマウスに対するコンドロシン経口投与試験において、マウスの血糖値の変化を経時的に示したものである。
【図5】コンドロシン経口投与試験終了後、一夜絶食させた自然発症糖尿病db/dbマウスにおける、血中トリグリセライド値を示したものである。
【図6】コンドロシン経口投与試験終了後、一夜絶食させた自然発症糖尿病db/dbマウスにおける、血中遊離脂肪酸値を示したものである。
【図7】コンドロシン経口投与試験終了後、一夜絶食させた自然発症糖尿病db/dbマウスにおける、血中総コレステロール値を示したものである。
【図8】コンドロシン経口投与試験終了後、一夜絶食させた自然発症糖尿病db/dbマウスにおける、血糖値を示したものである。

Claims (3)

  1. コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖改善作用を有する機能性食品又は食品素材。
  2. コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症改善作用を有する機能性食品又は食品素材。
  3. 請求項1又は2記載の食品又は食品素材を含有することを特徴とする血管障害性疾患の予防若しくは改善剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015033372A (ja) * 2013-08-09 2015-02-19 学校法人明治大学 糖尿病予防食品及び糖尿病治療薬

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