JP2004334272A - 環境負荷出力装置及び方法 - Google Patents

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裕三 堀越
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Abstract

【課題】CADによる製品の設計段階において予め環境負荷を予測し迅速かつ簡易に自動的に環境負荷を算出し、設計支援することを課題とする。
【解決手段】部品及び/又は素材に対する取引金額を示す産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する環境負荷データベースと、部品及び/又は素材の設計データを記憶する設計データベースと、部品又は素材が入力されると、環境負荷データベースを基に入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する環境負荷出力手段と、部品又は素材が入力されると、設計データベースを基に入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う設計手段とを有する環境負荷出力装置が提供される。環境負荷出力手段で入力する部品又は素材の名称と設計手段で入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境負荷出力技術に関し、特に部品又は素材の環境負荷データを出力する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製品の製造から廃棄処分に至るライフサイクルを原料の採取・輸送、材料の製造、部品の製造、製品の製造・輸送、使用、リサイクル、廃棄の各段階に分けて、各段階におけるエネルギー、資源等の消費量、排出物の種類・発生量を求めそれらを総合して環境に与える負荷を定量的に評価するライフサイクルアセスメント(LCA)が注目されている。LCAに関係する従来技術としては、例えば下記の特許文献1が開示されている。これは、評価対象製品の製造に関する工程および処分する工程について細部にわたる綿密なツリー構造を築き、全工程での環境負荷を明らかにする手法を採用している。しかし、製品の全工程にわたる綿密な工程分析を行うには、その部品点数や素材の多さから莫大な時間と労力を要するものであった。
【0003】
これを解決するために、下記の特許文献2では、産業連関表を使用することで、環境負荷算出のための工数を削減することが可能になるとしている。
【0004】
また、近年の製品は計算機支援による設計(CAD:Computer Aided Design)で行われ、CAD上で迅速かつ簡易に環境負荷を算出するようなシステムが嘱望されていた。CADでは製品の構成素材の寸法、形状に関するデータをもっており、これを使用して構成素材・部品の環境負荷データと関連づけることが試みられた。下記の特許文献3では、CADシステムと3次元モデルデータベースと材料データベースとを関連付け、環境負荷データを取得することを目的としているが、材料データベースおよび環境負荷データベースに応じた個々の素材・部品データを取得しておく必要があるため、予め膨大な素材・部品データを入力するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−311760号公報
【特許文献2】
特開平10−57936号公報
【特許文献3】
特開2000−348068号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたもので、CADによる製品の設計段階において予め環境負荷を予測し迅速かつ簡易に自動的に環境負荷を算出し、設計支援するような技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、部品及び/又は素材に対する取引金額を示す産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する環境負荷データベースと、部品及び/又は素材の設計データを記憶する設計データベースと、部品又は素材が入力されると、環境負荷データベースを基に入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する環境負荷出力手段と、部品又は素材が入力されると、設計データベースを基に入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う設計手段とを有する環境負荷出力装置が提供される。環境負荷出力手段で入力する部品又は素材の名称と設計手段で入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である。
【0008】
環境負荷データベースは、産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する。また、環境負荷出力手段で入力する部品又は素材の名称と設計手段で入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である。これにより、設計者は、部品又は素材を入力することにより、その部品又は素材の環境負荷データ(環境負荷量又は環境負荷原単位)を参照しながら、環境負荷を考慮し、その部品又は素材の設計データによる設計を行うことができる。すなわち、CADによる製品の設計段階において環境負荷を迅速かつ簡易に自動的に出力し、部品又は素材の選択の設計支援をすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1(A)は、本発明の第1の実施形態による環境負荷評価システムの構成例を示す。環境負荷評価システムは、環境負荷出力装置100及び産業連関表データベース104を有する。環境負荷出力装置100は、3次元モデルデータベース(VPS)、CAD(Computer Aided Design)装置101及び環境負荷データベース103を有する。
【0010】
3次元モデルデータベース102は、設計データベースであり、部品及び/又は素材の3次元モデル設計データを記憶する。設計者がCAD装置101に入力名称111として、部品又は素材を入力すると、CAD装置101は、3次元モデルデータベース102を基に、入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行うことができる。具体的には、部品又は素材を選択して、部品又は素材を組み合わせた製品を設計することができる。CAD装置101は、その製品の3次元モデル設計データを3次元モデルデータベース102に登録し、3次元モデルデータベース102を基にその製品を3次元表示することができる。
【0011】
産業連関表データベース104について説明する。データベース104に記憶される産業連関表は、総務省が5年毎に公表する統計データであり、全産業間における部品及び素材に対する取引金額を示す統計データである。図1(B)に、産業連関表データベース104の一部の例を示す。部品及び素材は、木構造の分類がされている。例えば、半導体素子の中に集積回路が存在し、集積回路の中に計数回路が存在し、計数回路の中にDRAM112が存在する。この分類の末端のDRAM112等について、それに対応する取引金額が記憶されている。
【0012】
環境負荷データベース103は、産業連関表データベース104を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する。環境負荷の原単位は、例えばCO排出原単位である。
【0013】
図2は、環境負荷データベース103の一部の例を示す。環境負荷データベース103は、図1(B)の産業連関表と同様に、部品及び素材が木構造分類されている。その末端の部品又は素材201について、それに対応する単位重量当たりのCO排出原単位202が記憶されている。例えば、CO排出原単位202は、素材の1kg当たりのCO排出量が1830kgである。部品又は素材201には、図1(B)のDRAM112が含まれる。
【0014】
次に、産業連関表について説明する。図7に示すように、産業連関表は、取引基本表をはじめとする各種の付帯表から構成されている。エネルギ原単位、CO排出原単位算出には、取引基本表及び付帯表の物量表を使用する。取引基本表は、日本国内において1年間に行われた財貨、サービスの産業間の取引金額を一覧表にしたもので、総務省が中心となり11省庁の共同作業として5年ごとに作成されている。1995年の統計が1999年5月に発行され、現在の最新版として入手可能である。2000年の統計表は2004年に発行予定である。
【0015】
図8に示すように、ある一つの産業部門は他の産業部門から原材料や燃料を購入し、これらを加工することにより、別の財・サービスを生産し、様々な産業部門や最終需要者に販売している。これらの投入と算出の関係を、図9に示すように投入側の内訳を縦方向(列方向)に並べ、算出側の内訳を横方向(行方向)に並べて、国内の全産業について整理したものが産業連関表である。1995年表の場合、519行部門×403列部門が最も詳細な取引表である。
【0016】
次に、産業連関表に基づく原単位の算出原理を説明する。素材・部品投入に伴う環境負荷量と組立・製造におけるエネルギ投入に伴う環境負荷量の和が製品の環境負荷量となる。したがって、ある製品の環境負荷量は下式(1)で表される。
(素材・部品投入に伴う環境負荷量)+(直接エネルギ投入に伴う環境負荷量)=(製品の環境負荷量) ・・・(1)
【0017】
ある産業において産出される製品jを1単位生産するときのエネルギ原単位をEとし、この時、製品jへの素材・部品投入量をAij、i=1,2,・・・,n(iは製品jの生産に使用される素材、部品を表す)、素材・部品iのエネルギ原単位をE、i=1,2,・・・,n、製品jの製造において直接投入されるエネルギをeとする。
【0018】
(1)式の第1項は素材・部品投入量Aijと素材・部品のエネルギ原単位Eの積について総和を求めることにより得られるので、(2)式の関係が成り立つ。
Σ(i=1〜n)Eij+e=E ・・・(2)
【0019】
ここで、Eは製品jのエネルギ原単位である。(2)式の第1項を行列式に書き換えると、(2)式は以下の行列式(3)で表される。
EA+e=E ・・・(3)
【0020】
ここで、Eは原単位を要素とする行ベクトル、Aはj製品に投入される資源量を要素とする列ベクトルであり、第1項はスカラー量となる。eはj製品に投入されるエネルギ量である。
【0021】
さらに、j=1,2,・・・,nの製品について考える。n種類の製品に投入される素材・部品はすべてn種類の製品から生産されるものとする。すなわち、Aをn種類の製品群からの投入量を列要素に持つn行×n列の正方行列ベクトル(投入係数行列)とすると、(4)式が得られる。
EA+e=E ・・・(4)
【0022】
したがって、E(I−A)=eとなり、両辺に右から(I−A)−1をかけると、下式(5)が得られる。ここで、行列Iは単位行列である。
E=e(I−A)−1 ・・・(5)
【0023】
直接投入エネルギe、投入係数行列Aから、エネルギ原単位Eの算出が可能である。さらに、(5)式において、直接投入エネルギeをCO排出量、SO排出量等に置き換えることにより、他の原単位を算出できる。
【0024】
次に、環境負荷データベース103の作成方法を説明する。上式(5)において、行列eを、製品製造における直接CO排出量行列に置き換えることにより、単位金額当たりのCO排出原単位Eを求めることができる。
【0025】
次に、上記の行列Eに、部品又は素材の単位量(単位数、単位重量又は容量)当たりの金額を乗算することにより、図2に示す単位量当たりのCO排出原単位202を求めることができる。上記の部品又は素材の単位量当たりの金額は、例えば商業データベースである機械統計年報から得ることができる。
【0026】
環境負荷データベース103で使用される部品又は素材201は、図1(B)の産業連関表で使用される部品又は素材112と同じ名称である。また、3次元モデルデータベース102でも、産業連関表で使用される部品又は素材と同一名称の部品又は素材の設計データを作成し、記憶させておく。
【0027】
設計者が、CAD装置101に入力名称111として、例えば部品又は素材(例えばDRAM)を入力する。CAD装置101は、部品又は素材が入力されると、環境負荷データベース103を基に、入力した部品又は素材の環境負荷量を出力(表示)する。例えば、図3に示すように、入力した複数の部品又は素材の環境負荷データ(環境負荷量又は環境負荷原単位)をグラフ表示する。横軸は複数の部品又は素材を示し、縦軸はCO排出データ(排出量又は排出原単位)を示す。グラフ301は第1の素材、グラフ302は第2の素材、グラフ303は第3の素材のCO排出原単位を示す。設計者は、このグラフを参照することにより、環境負荷を考慮した上で、製品に使用する部品又は素材を選択することができる。また、CAD装置101は、設計者により部品又は素材111が入力されると、3次元モデルデータベース(設計データベース)102を基に、入力した部品又は素材111の設計データを読み出してCAD設計を行う。
【0028】
図2に示したように、環境負荷データベースは、単位量(単位数、単位重量又は容量)当たりの環境負荷の原単位202を記憶する。また、3次元モデルデータベース102は、製品に使用する部品又は素材の量(数、重量又は容量)を含む設計データを記憶する。したがって、単位量当たりの環境負荷の原単位202に、使用する素材等の量を乗算することにより、製品にその素材等を使用することによる環境負荷量を求め、表示することができる。すなわち、CAD装置101は、設計者により部品又は素材が入力されると、3次元モデルデータベース102を基に、入力した部品又は素材111の設計データを読み出し、読み出した設計データ及び環境負荷データベース103を基に、入力した部品又は素材111の環境負荷量を出力(表示)することができる。
【0029】
以上のように、本実施形態の環境負荷出力装置100は、CADシステムの指定する設計部品の環境負荷を評価することで、CADシステムの設計を支援するものであって、図1(A)に示すCAD装置101と、3次元モデルデータベース102と、産業連関表データベース104と連携した環境負荷データベース103よりなる。
【0030】
CAD装置101は、CADシステムを構成して、設計者と対話することで製品を設計する。3次元モデルデータベース102は、CAD装置101が設計した3次元モデルを格納する。環境負荷データベース103は、各部品又は素材の示す単位量当たりの環境負荷量を管理し、この環境負荷量を算出するための排出原単位は産業連関表データベース104より算出される。
【0031】
CAD装置101が作成した設計データから、処理要求の設計部品又は素材を特定する。この際、産業連関表記載の素材又は部品の名称の中から選択するものとし、これと関連付けられた環境負荷データベース103にアクセスすることができ、特定した部品又は素材の環境負荷量を算出する。この結果を受けて、図3に示すように、CAD装置101の編集画面上に算出した結果をグラフ表示する。
【0032】
例えば、指定部品のCAD入力画面の入力名称111として「DRAM」を入力すると、図1(B)に示すように、細分類化した分類の中から半導体素子−集積回路−計数回路−DRAMと検索を行い、環境負荷データベース103内の単位量当たりのCO排出原単位202(図2)として、1.83t−CO/1000個を算出することができる。
【0033】
なお、CAD装置101と環境負荷データベース103をつなぐ中間テーブルとして、通常CAD上で使用される素材又は部品の名称と産業連関表に記載される素材又は部品の名称とを照合させたテーブルをもっていてもよく、CAD装置101から素材又は部品名称を入力する際にこの中間テーブルから選択できるようにしてもよい。すなわち、中間テーブルにより名称変換し、環境負荷データベース103及び3次元モデルデータベース102の部品又は素材名称を共通化してもよい。
【0034】
このように、CAD装置101から設計部品を指定して環境負荷評価を算出する際、産業連関表に記載された素材又は部品名称から選択し、環境負荷データベース103より環境負荷量を自動算出して、それをCAD編集画面などに表示する。さらに、環境負荷量を算出するCADシステムの編集画面に、算出結果をグラフ表示する。これより、設計者はCADシステムを使用して部品を設計する際に、予め環境負荷を予測することができ、より環境負荷に配慮した製品設計を行うことができる。画面には、環境負荷量の代わりに、環境負荷原単位を表示させてもよい。
【0035】
(第2の実施形態)
図4(A)は、本発明の第2の実施形態による環境負荷評価システムの構成例を示す。本実施形態による環境負荷評価システムは、第1の実施形態(図1(A))と基本的構成が同じである。例えば、CAD装置101の入力名称411として、「FeRAM」の部品を入力する場合を考える。「FeRAM」は、3次元モデルデータベース102には登録されているが、環境負荷データベース103には登録されていないとする。すなわち、産業連関表データベース104内の部品又は素材412として、FeRAMが存在しないために、環境負荷データベース103内にもFeRAMが存在しない。図4(B)に示すように、産業連関表データベース104において、半導体素子−集積回路−計数回路の中にはFeRAM412が存在しない。この場合、新規に当該部品についての環境負荷データを環境負荷データベース103に登録する構成を設けることにより、独自のデータベースを構成することができる。この際、登録するデータは、産業連関表記載の類似データを参照し、そのデータを割り当てることができる。
【0036】
すなわち、入力された部品又は素材が産業連関表に存在しない部品又は素材であるときには、未定義の部品又は素材として、新たにその未定義の部品又は素材の環境負荷の原単位を環境負荷データベース103に登録することができる。その際、新たな部品又は素材の環境負荷の原単位として、環境負荷データベース103に記憶されている部品又は素材の中から選択した部品又は素材の環境負荷の原単位と同一の環境負荷の原単位を環境負荷データベース103に登録することができる。
【0037】
CAD装置101で部品名称を入力する際の素材又は部品名称は、まず産業連関表記載の名称を使用するが、産業連関表に記載がない場合には、次いでその名称が独自に登録したデータベース中にないか検索し、素材又は部品候補を選択するよう構成する。
【0038】
さらに、産業連関表に記載がない場合に、例えばプラスチック製造業、アルミ鉄鋼業、電気・電子機器業など各産業界(産業部門)が文献、CD−ROM、インターネット等で提供する機械統計年報等の商業データベースから部品又は素材候補名称を選択して登録できる構成にしてもよい。
【0039】
また、その他、産業連関表に記載がない場合に、例えば大学又は公的研究機関が文献、CD−ROM、インターネット等で提供するデータベースから部品又は素材候補名称を選択して登録できる構成にしてもよい。
【0040】
図5は、本実施形態によるCAD装置101が行う処理を示すフローチャートである。ステップS501では、3次元モデルデータベース102から編集要求のある部品のCAD情報(設計データ)を読み込み、CAD編集画面にその部品を表示する。次に、ステップS502では、設計者による部品又は素材名称の入力を受け付ける。次に、ステップS503では、その入力された名称は産業連関表に記載されている名称か否かをチェックする。記載されているものであればステップS504へ進み、記載されていないものであればステップS506へ進む。
【0041】
ステップS504では、産業連関表ベースで作成した環境負荷データベース103を検索し、入力名称に対応する環境負荷データ(環境負荷原単位)を取得する。次に、ステップS505では、環境負荷データ(環境負荷量又は環境負荷原単位)を出力(表示)する。以上で、処理を終了する。
【0042】
ステップS506では、独自環境負荷データベースがあるか否かをチェックする。独自環境負荷データベースがあればステップS507へ進み、なければステップS508へ進む。ステップS507では、独自環境負荷データベースを検索し、入力名称に対応する環境負荷データ(環境負荷原単位)を取得する。その後、ステップS505で環境負荷データ(環境負荷量又は環境負荷原単位)を出力(表示)し、処理を終了する。
【0043】
ステップS508では、新規に環境負荷データ(環境負荷原単位)を登録し、ステップS509で独自環境負荷データベースを作成する。その後、ステップS502でその部品又は素材を入力すれば、その環境負荷データ(環境負荷量又は環境負荷原単位)を表示させることができる。
【0044】
図6は、図1のCAD装置101のコンピュータのハードウエア構成図である。バス601には、中央処理装置(CPU)602、ROM603、RAM604、ネットワークインタフェース605、入力装置606、出力装置607及び外部記憶装置608が接続されている。
【0045】
CPU602は、データの処理及び演算を行うと共に、バス601を介して接続された上記の構成ユニットを制御するものである。ROM603には、予めブートプログラムが記憶されており、このブートプログラムをCPU602が実行することにより、コンピュータが起動する。外部記憶装置608にコンピュータプログラムが記憶されており、そのコンピュータプログラムがRAM604にコピーされ、CPU602により実行される。このコンピュータは、コンピュータプログラムを実行することにより、図5の処理等の上記の処理を行う。
【0046】
外部記憶装置608は、例えばハードディスク記憶装置等であり、電源を切っても記憶内容が消えない。外部記憶装置608は、3次元モデルデータベース102、環境負荷データベース103、産業連関表データベース104、コンピュータプログラム等を記録媒体に記録したり、記録媒体からそれらを読み出すことができる。
【0047】
ネットワークインタフェース605は、ネットワークに対して設計データ又はコンピュータプログラム等を入出力することができる。入力装置606は、例えばキーボード及びポインティングデバイス(マウス)等であり、各種指定又は入力等を行うことができる。出力装置607は、ディスプレイ及びプリンタ等である。
【0048】
本実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びコンピュータプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、産業連関表を環境負荷データベースに使用し、かつ、CADによる設計支援システムであり、CAD上で部品名称を入力する際の素材候補を産業連関表記載の中から選択する。これにより、製品設計において部品を選択すると同時に当該部品の環境負荷を自動的に算出することが可能となる。また、従来長時間かけて行っていた製品の環境負荷評価を、CAD設計段階で迅速かつ簡易に行うことが可能になり、ライフサイクルアセスメント(LCA)手法の省力化とコストダウンを促進することができる。
【0050】
LCAは、製品の製造から廃棄処分に至るライフサイクルを原料の採取・輸送、材料の製造、部品の製造、製品の製造・輸送、使用、リサイクル、廃棄の各段階に分けて、各段階におけるエネルギー、資源等の消費量、排出物の種類・発生量を求めそれらを総合して環境に与える負荷を定量的に評価するものである。
【0051】
また、設計者により部品又は素材が入力されると、環境負荷データベースを基に入力した部品又は素材の環境負荷データ(環境負荷量又は環境負荷原単位)を出力する。また、設計者により部品又は素材が入力されると、3次元モデルデータベース(設計データベース)を基に入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う。これらの環境負荷データを出力させる際に入力する部品又は素材の名称とCAD設計を行う際に入力する部品又は素材の名称とは共通の名称である。
【0052】
これにより、設計者は、部品又は素材を入力することにより、その部品又は素材の環境負荷データを参照しながら、環境負荷を考慮し、その部品又は素材の設計データによる設計を行うことができる。すなわち、CADによる製品の設計段階において環境負荷を迅速かつ簡易に自動的に出力し、部品又は素材の選択の設計支援をすることができる。
【0053】
なお、環境負荷原単位の例として、CO排出原単位について説明したが、その他、NOやSOの排出原単位等でもよい。
【0054】
上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0055】
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
【0056】
(付記1)部品及び/又は素材に対する取引金額を示す産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する環境負荷データベースと、
部品及び/又は素材の設計データを記憶する設計データベースと、
部品又は素材が入力されると、前記環境負荷データベースを基に前記入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する環境負荷出力手段と、
部品又は素材が入力されると、前記設計データベースを基に前記入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う設計手段とを有し、
前記環境負荷出力手段で入力する部品又は素材の名称と前記設計手段で入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である環境負荷出力装置。
(付記2)さらに、前記環境負荷出力手段にて入力された部品又は素材が産業連関表に存在しない部品又は素材であるときには、未定義の部品又は素材として、新たにその未定義の部品又は素材の環境負荷の原単位を前記環境負荷データベースに登録する登録手段を有する付記1記載の環境負荷出力装置。
(付記3)前記環境負荷出力手段は、前記入力した複数の部品又は素材の環境負荷データをグラフ表示する付記1又は2記載の環境負荷出力装置。
(付記4)前記環境負荷データベースは、部品又は素材の単位量当たりの環境負荷の原単位を記憶し、
前記設計データベースは、使用する部品又は素材の量を含む設計データを記憶し、
前記環境負荷出力手段は、部品又は素材が入力されると、前記設計データベースを基に前記入力した部品又は素材の設計データを読み出し、前記読み出した設計データ及び前記環境負荷データベースを基に前記入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する付記1〜3のいずれか1項に記載の環境負荷出力装置。
(付記5)前記登録手段は、新たな部品又は素材の環境負荷の原単位として、前記環境負荷データベースに記憶されている部品又は素材の中から選択した部品又は素材の環境負荷の原単位と同一の環境負荷の原単位を前記環境負荷データベースに登録する付記2記載の環境負荷出力装置。
(付記6)前記登録手段は、産業部門が提供する商業データベースから部品又は素材を選択し、新たな部品又は素材の環境負荷の原単位を前記環境負荷データベースに登録する付記2記載の環境負荷出力装置。
(付記7)前記登録手段は、大学又は公的研究機関が提供するデータベースから部品又は素材を選択し、新たな部品又は素材の環境負荷の原単位を前記環境負荷データベースに登録する付記2記載の環境負荷出力装置。
(付記8)部品及び/又は素材に対する取引金額を示す産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を環境負荷データベースに登録する環境負荷データ登録ステップと、
部品及び/又は素材の設計データを設計データベースに登録する設計データ登録ステップと、
部品又は素材が入力されると、前記環境負荷データベースを基に前記入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する環境負荷出力ステップと、
部品又は素材が入力されると、前記設計データベースを基に前記入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う設計ステップとを有し、
前記環境負荷出力ステップで入力する部品又は素材の名称と前記設計ステップで入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である環境負荷出力方法。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、環境負荷データベースは、産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する。また、環境負荷出力手段で入力する部品又は素材の名称と設計手段で入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である。これにより、設計者は、部品又は素材を入力することにより、その部品又は素材の環境負荷データを参照しながら、環境負荷を考慮し、その部品又は素材の設計データによる設計を行うことができる。すなわち、CADによる製品の設計段階において環境負荷を迅速かつ簡易に自動的に出力し、部品又は素材の選択の設計支援をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)及び(B)は本発明の第1の実施形態による環境負荷評価システムの構成例を示す図である。
【図2】環境負荷データベースの一部の例を示す図である。
【図3】入力した複数の部品又は素材の環境負荷データのグラフ表示例を示す図である。
【図4】図4(A)及び(B)は本発明の第2の実施形態による環境負荷評価システムの構成例を示す図である。
【図5】本実施形態によるCAD装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図6】CAD装置のコンピュータのハードウエア構成図である。
【図7】産業連関表の構成を示す図である。
【図8】財貨・サービスの取引を示す図である。
【図9】産業連関表のイメージを示す図である。
【符号の説明】
100 環境負荷出力装置
101 CAD装置
102 3次元モデルデータベース(設計データベース)
103 環境負荷データベース
104 産業連関表データベース
601 バス
602 CPU
603 ROM
604 RAM
605 ネットワークインタフェース
606 入力装置
607 出力装置
608 外部記憶装置

Claims (5)

  1. 部品及び/又は素材に対する取引金額を示す産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を記憶する環境負荷データベースと、
    部品及び/又は素材の設計データを記憶する設計データベースと、
    部品又は素材が入力されると、前記環境負荷データベースを基に前記入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する環境負荷出力手段と、
    部品又は素材が入力されると、前記設計データベースを基に前記入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う設計手段とを有し、
    前記環境負荷出力手段で入力する部品又は素材の名称と前記設計手段で入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である環境負荷出力装置。
  2. さらに、前記環境負荷出力手段にて入力された部品又は素材が産業連関表に存在しない部品又は素材であるときには、未定義の部品又は素材として、新たにその未定義の部品又は素材の環境負荷の原単位を前記環境負荷データベースに登録する登録手段を有する請求項1記載の環境負荷出力装置。
  3. 前記環境負荷出力手段は、前記入力した複数の部品又は素材の環境負荷データをグラフ表示する請求項1又は2記載の環境負荷出力装置。
  4. 前記環境負荷データベースは、部品又は素材の単位量当たりの環境負荷の原単位を記憶し、
    前記設計データベースは、使用する部品又は素材の量を含む設計データを記憶し、
    前記環境負荷出力手段は、部品又は素材が入力されると、前記設計データベースを基に前記入力した部品又は素材の設計データを読み出し、前記読み出した設計データ及び前記環境負荷データベースを基に前記入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する請求項1〜3のいずれか1項に記載の環境負荷出力装置。
  5. 部品及び/又は素材に対する取引金額を示す産業連関表を基に演算した部品及び/又は素材に対する環境負荷の原単位を環境負荷データベースに登録する環境負荷データ登録ステップと、
    部品及び/又は素材の設計データを設計データベースに登録する設計データ登録ステップと、
    部品又は素材が入力されると、前記環境負荷データベースを基に前記入力した部品又は素材の環境負荷データを出力する環境負荷出力ステップと、
    部品又は素材が入力されると、前記設計データベースを基に前記入力した部品又は素材の設計データを読み出してCAD設計を行う設計ステップとを有し、
    前記環境負荷出力ステップで入力する部品又は素材の名称と前記設計ステップで入力する部品又は素材の名称とが共通の名称である環境負荷出力方法。
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