JP2004333480A - 動的粘弾性測定方法および動的粘弾性測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜の動的粘弾性を効果的に測定する方法を提供すること。
【解決手段】試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定する動的粘弾性測定方法。
【選択図】なし
【解決手段】試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定する動的粘弾性測定方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、動的粘弾性測定方法および動的粘弾性測定装置に関し、特に薄膜の動的粘弾性を効果的に測定する方法および装置に関する。
従来より、粘弾性測定には、非共振の強制振動法が用いられることが多い。当該手法では、試料に周期的な歪みを付与し、理想的には周期的となる応答を検知する。そして、得られた応答の大きさから、付与した周期的な歪みが引っ張り・圧縮方向の場合、複素弾性率が求まる。また得られた応答を、歪みに対して同位相の成分と位相がπ/2ずれている成分に分離し、前者を弾性的性質を示す貯蔵弾性率、後者を粘性的性質を示す損失弾性率として求める。なお、試料に剪断歪みを付与する場合には、複素弾性率は複素剛性率、貯蔵弾性率は貯蔵剛性率、損失弾性率は損失剛性率としてそれぞれ求められる。
また、フィルム等の薄い試料に対する測定方法としては、上記の引っ張り・圧縮方向の歪みを付与する方法が用いられることが多い。その場合、例えば短冊状の試料の両端をチャック等でつかみ、一方のチャック等により面方向に引っ張り・圧縮の歪みを付与し、他方のチャック等で得られた応答を解析することにより粘弾性の各値を求めることができる。
ただし、本方法では試料の面方向の値しか得られないという欠点がある。また、得られる値は試料全体の平均的な値であり、微小部等の局所的な値ではないという欠点もある。また、試料全体の平均的な値しか得られないため、基板上の薄膜のみの値を得ることができないという欠点がある。
また、薄膜に対する動的粘弾性測定が可能な方法および装置としては、トライボインデンター(HYSITRON社製)等がある。当該装置では、例えば、三角錐の圧子先端を薄膜試料表面に押し込み、厚み方向に微小な歪みを付与し、得られる応答から粘弾性の各値を求めるという方法を用いる。ただし、この方法では、測定部位に圧子を押し込んでしまい圧痕が残ってしまうため、同じ部位を繰り返して測定に用いることができないという欠点がある。また、例えば、当該装置では適用可能な温度範囲が室温〜120℃付近とされているが、温度を変えて測定を行う場合は、試料表面の熱膨張だけでなく測定系の熱膨張等も考慮せねばならないため、各測定温度に保持し、かつ測定温度毎に測定部位を変えて圧子を押し込まねばならず、測定部位を変えずに連続的に温度を変化させて同測定部位の粘弾性の温度依存性を測定することができないという欠点がある。また、当該装置は試料裏面から加熱し温度調整するが、試料全体を加熱してしまうことになり、局所的な温度調整が困難であるという欠点がある。また、当該装置は室温より低い温度での測定ができず、測定温度範囲が狭いという欠点もある。
薄膜単体の厚さ方向の粘弾性測定方法および装置としては、超音波振動子に薄膜を挟み、一方の振動子により試料の一方の面に振動を付与し、他方の面と接触した振動子で得られる透過振動波と振動を付与した振動子で得られる反射振動波の振幅と位相差より粘弾性測定を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ただし、当該方法では振動子間に挟むのは薄膜単体でなくてはならず、基板上の薄膜については薄膜のみの値を得ることができないという欠点がある。また、当該装置では測定可能な試料の厚さが20μm以上でなくてはならず、数ミクロンの厚さの試料では測定できないという欠点がある。
また、バルク材表面の動的粘弾性を測定する方法としては、走査型プローブ顕微鏡を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この方法は、プローブを試料表面に対して走査させたとき、試料とプローブとの間における力変調に対して得られる応答から、試料表面の粘弾性分布を測定するというものである。ただし、当該手法は、ある単一の試料の表面における微小部の粘弾性を測定できるものの、一定温度下における同試料の別の部位との相対的な比較しかできないという欠点がある。また、温度を連続的に変化させて粘弾性の温度依存性を求めることができない、または試料を変更した場合に試料間の比較ができないという欠点がある。
特開平9−243617号公報(第1−2頁)
特開2000−346784号公報(第1−2頁)
本発明は、前述の課題の解決を目的とするものであり、より具体的には、薄膜またはバルク材料表面の微小部の動的粘弾性測定を簡便且つ効率的に行える方法および装置の提供を目的とする。
上記課題を達成するため、本発明は以下の構成をとる。すなわち、本発明は、
(1)試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定することを特徴とする動的粘弾性測定方法、
(2)試料表面に平行に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定することを特徴とする動的粘弾性測定方法、
(3)前記周期的な微小歪みの振幅が2nm〜300μmの範囲内である(1)または(2)に記載の動的粘弾性測定方法、
(4)測定部位の面積が1平方μm〜10平方cmの範囲内である(1)〜(3)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(5)前記周期的な微小歪みの周波数が0.001〜100ヘルツの範囲内である(1)〜(4)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(6)測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(7)試料が薄膜単体または基材上の薄膜であり、かつ、測定される動的粘弾性が薄膜の動的粘弾性または粘弾性分布である(1)〜(6)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(8)試料がバルク材料であり、かつ、測定される動的粘弾性がバルク材料表面の動的粘弾性または粘弾性分布である(1)〜(6)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(9)薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与する手段、および試料からの応答を観測する手段を有する、試料の動的粘弾性または粘弾性分布を測定する動的粘弾性測定装置、
(10)薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料表面に平行に周期的な微小歪みを付与する手段、および試料からの応答を観測する手段を有する、試料の動的粘弾性または粘弾性分布を測定する動的粘弾性測定装置、
(11)1平方μm〜10平方cmの任意の部位に対して測定を行うことができ、試料に応じて測定部位の面積を変えることができる(9)または(10)に記載の動的粘弾性測定装置、
(12)微小歪みの振幅として2nm〜300μmを発生させる手段または歪みの周波数として0.001〜100ヘルツを発生させる手段を有することを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置、
(13)薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料表面に対して法線方向の荷重を付与することができ、該荷重を調整する手段を有することを特徴とする(9)〜(12)のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置、
(14)測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整する手段を有することを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置。
(1)試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定することを特徴とする動的粘弾性測定方法、
(2)試料表面に平行に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定することを特徴とする動的粘弾性測定方法、
(3)前記周期的な微小歪みの振幅が2nm〜300μmの範囲内である(1)または(2)に記載の動的粘弾性測定方法、
(4)測定部位の面積が1平方μm〜10平方cmの範囲内である(1)〜(3)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(5)前記周期的な微小歪みの周波数が0.001〜100ヘルツの範囲内である(1)〜(4)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(6)測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(7)試料が薄膜単体または基材上の薄膜であり、かつ、測定される動的粘弾性が薄膜の動的粘弾性または粘弾性分布である(1)〜(6)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(8)試料がバルク材料であり、かつ、測定される動的粘弾性がバルク材料表面の動的粘弾性または粘弾性分布である(1)〜(6)のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法、
(9)薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与する手段、および試料からの応答を観測する手段を有する、試料の動的粘弾性または粘弾性分布を測定する動的粘弾性測定装置、
(10)薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料表面に平行に周期的な微小歪みを付与する手段、および試料からの応答を観測する手段を有する、試料の動的粘弾性または粘弾性分布を測定する動的粘弾性測定装置、
(11)1平方μm〜10平方cmの任意の部位に対して測定を行うことができ、試料に応じて測定部位の面積を変えることができる(9)または(10)に記載の動的粘弾性測定装置、
(12)微小歪みの振幅として2nm〜300μmを発生させる手段または歪みの周波数として0.001〜100ヘルツを発生させる手段を有することを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置、
(13)薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料表面に対して法線方向の荷重を付与することができ、該荷重を調整する手段を有することを特徴とする(9)〜(12)のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置、
(14)測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整する手段を有することを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置。
本発明によれば、薄膜またはバルク材料表面の微小部の動的弾性測定を簡便かつ効率的に行える。
本発明は、試料に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定する動的粘弾性測定方法に関する。
本発明において、周期的な微小歪みは、厚み方向または試料表面に平行に付与される。厚み方向に微小歪みを付与することにより、得られる応答の大きさや位相のずれから、複素弾性率等を得ることができる。
また、試料表面に平行に微小歪みを付与した場合は、得られる応答の大きさや位相のずれから、複素剛性率等を得ることができる。
ここで、得られる応答や位相のずれから複素弾性率や複素剛性率等を求める方法としては、公知の動的粘弾性理論を適用することができる。
本発明において、測定部位の面積は1平方μm〜10平方cmの範囲であることが好ましい。このような範囲内での測定ができることにより、微小域または様々なサイズの試料に対して粘弾性測定が行える。また、測定部位よりも面積の大きい試料に対し、測定部位を変えて粘弾性測定を行い各部位の測定結果を組み合わせることにより、同試料の粘弾性分布を求めることもできる。
本発明において、周期的な微小歪みの振幅は2nm〜300μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは10nm〜50μm、さらに好ましくは50nm〜1μmである。歪みの振幅を上記範囲にすることにより、動的粘弾性理論が効果的に適用できるからである。とくに、試料が薄膜で、歪みの振幅が薄膜の膜厚の20%以下である場合、本発明の効果が顕著である。
本発明において、周期的な微小歪みの周波数は0.001〜100ヘルツの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.01〜10ヘルツ、さらに好ましくは0.1〜2ヘルツである。このような周波数を用いることにより、例えば、従来、バルク材に対して行われた測定で得られる動的粘弾性の値との比較が容易になるからである。
本発明において、測定部位近傍の温度は、−100℃〜400℃の範囲内に調整されていることが好ましい。より好ましくは−50〜200℃である。例えば、試料が高分子材料である場合、この温度範囲に制御することで、ガラス状態やゴム状態の粘弾性挙動を測定することができる。
本発明において、試料の形状は特に限定されないが、薄膜単体または基材上の薄膜は好ましい一態様である。薄膜であることにより、従来の測定方法では有意な測定値を得ることが困難であった試料であっても、動的粘弾性の温度依存性、または周波数依存性等の様々なデータが得られるからである。基材に使用される素材は、薄膜と異なる素材であれば制限無く使用することができ、例えば、シリコンウェハ、高分子材料、金属材料等が使用される。
本発明において、試料がバルク材料であり、該バルク材料表面の動的粘弾性を測定することは、別の好ましい一態様である。試料がバルク材料であっても、試料表面に平行に微小歪みを付与することにより、従来方法に比べて、より効果的に該バルク材料表面の動的粘弾性を測定することができる。
次に、本発明の動的粘弾性測定装置について記載する。
本発明の動的粘弾性測定装置は、薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料に周期的な微小歪みを付与する手段、微小歪みの付与により得られる応答を測定する手段を具備しすることと特徴とする。ここで、周期的な微小歪みは、厚み方向または試料表面と平行に付与される。
試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与する手段は特に限定されないが、好ましくは直径数μm〜数cmの円形平面圧子を周期的に試料表面に押し込む手段であり、このような円形平面圧子が装置に好ましく設けられる。また、応答を得る手段についても特に限定はないが、例えば、圧子から得られる荷重を、荷重計を用いて、歪みと共に時系列的に測定する手段を用いることが好ましく、荷重計が装置に好ましく設けられる。
また、圧子の位置を変えて複数の測定部位で粘弾性測定を行い、各部位の測定結果を組み合わせることにより、粘弾性分布を求めることができる。
試料の表面と平行に周期的な微小歪みを付与する手段は特に限定されないが、好ましくは底面が数μm〜数cm角の圧子の底面を試料表面に接触させ、圧子を接触面と平行に一軸方向に往復させる方法であり、このような圧子が装置に好ましく設けられる。また、応答を得る手段についても特に限定はないが、圧子から得られる荷重を、荷重計を用いて、歪みと共に時系列的に測定する手段を用いるて得ることが好ましく、荷重計が装置に好ましく設けられる。
また、圧子の位置を変えて複数の測定部位で粘弾性測定を行い、各部位の測定結果を組み合わせることにより、粘弾性分布を求めることができる。また、荷重計で得られる値は、試料を変更しても基準値が変動しないため、試料間の粘弾性分布の比較も行うことができる。
本発明の動的粘弾性測定装置は、測定部位の面積が1平方μm〜10平方cmの範囲とし、任意の部位における測定を可能とする手段を有することが好ましい。このような手段としては特に限定されないが、例えば、測定部位の面積と接触面の面積がほぼ一致した圧子を用いることが好ましい。また、例えば、測定部位を移動させ、希望の測定部位に圧子を接触させるためにX−Yステージを用いることが好ましい。また、測定部位の面積に応じて用いる圧子を交換することにより、種々のサイズの領域に対して粘弾性測定を行うことができる。
本発明の動的粘弾性測定装置は、試料表面に対して法線方向の荷重を付与することができ、該荷重を調整する手段を有することが好ましい。このような手段としては特に限定されないが、例えば、圧子付近にロードセル等を取り付けることで荷重を容易に発生させることができる。このように試料表面に対する法線方向の荷重を調整することにより、温度変化による試料の収縮の影響を抑えることができる。また、試料表面を不必要に加圧しないため、押さえつけ方の違いによる測定値の変動を無くすことができる。
本発明の動的粘弾性測定装置には、微小歪みの振幅として2nm〜300μmを発生させる手段または微小歪みの周波数として0.001〜100ヘルツを発生させる手段を有することが好ましい。このような手段としては特に限定されないが、例えば、ピエゾ素子を用いることができる。ピエゾ素子を用いることで、周期的な歪みを容易に発生させることができる。
本発明の動的粘弾性測定装置は、測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整する手段を有することが好ましい。温度を調整する方法は特に限定されないが、例えば、室温以上に調整する場合は電気ヒーターにより別途温度を調整したガスを測定部位近傍に供給し、室温以下に調整する場合は液体窒素および電気ヒーターにより別途温度を調整した窒素ガスを測定部位近傍に供給する方法が好ましく使用され、このような装置を本発明の装置に付帯させることが好ましい。
ここで、温度は一定温度に保持すること、または、一定速度での昇降温、ステップ昇降温などが適用可能であり、このような機能が付与されていることが好ましい。この様な温度調整を行うことにより、温度変化が生じるのは測定部位近傍のみですむため、温度変化による装置系の伸縮等を考慮する必要がない。
本発明の動的粘弾性測定装置において、測定部位近傍の温度を計測する方法は特に限定されないが、好ましくは熱電対を測定部位近傍に設置し温度を計測する方法であり、熱電対が好ましく設置される。ここで、温度は、時系列的に測定値を得ることが好ましい。
本発明により製作した装置による動的粘弾性測定の実施例を以下に示す。
(実施例1)
樹脂はエピコート815とエピコート871(いずれもジャパン・エポキシ・レジン(株)製)を重量比1/1で混合したものであり、さらに、この混合物30gに対して硬化促進剤D(ジャパン・エポキシ・レジン(株)製)を1.5g加え、混合したものを使用した。この樹脂をシリコンウェハ基板上にコートし、80℃で2時間保持して硬化させたものを試料とした。なお、この樹脂膜の厚さは20μmであった。
(実施例1)
樹脂はエピコート815とエピコート871(いずれもジャパン・エポキシ・レジン(株)製)を重量比1/1で混合したものであり、さらに、この混合物30gに対して硬化促進剤D(ジャパン・エポキシ・レジン(株)製)を1.5g加え、混合したものを使用した。この樹脂をシリコンウェハ基板上にコートし、80℃で2時間保持して硬化させたものを試料とした。なお、この樹脂膜の厚さは20μmであった。
測定は30℃・大気中で行った。用いた圧子は直径0.2mmのものであり、試料に付与した最大変位(振幅)は100nmとした。また、測定部位に対して滑り等を防止するため、予め0.5Nの静荷重を付与した。
測定時には、樹脂膜の厚さ方向に0.1Hzの三各関数型の変位を付与し、同時に三角関数型の荷重を得た。このとき得られた最大荷重(振幅)は0.15Nであった。そして、各時点での変位と荷重に対して装置定数等による補正を加え、歪みと応力の経時変化を得た。ここで、歪みは付与した変位を試料の厚さで割った値、応力は得られた荷重を測定部位の面積で割った値である。
そして、これらの値に公知の粘弾性理論[例えば、講座レオロジー,日本レオロジー学会編,高分子刊行会(1993)参照]を適用した。すなわち、付与した歪みと得られた応力の経時変化は、それぞれ以下の(1)式,(2)式のように表せる。
ここで、ωは周波数、δは歪みと応力の位相のずれである。そして、応力を歪みと同一位相の成分と、位相がπ/2ずれた成分に分けて、各成分の大きさを求めた。
また、以下の(3)式,(4)式のように粘弾性関数は定義されるので、(1)式、(2)式で得られた値を用いて、それぞれの値を求めた。
ここで、G*:複素弾性率、G‘:貯蔵弾性率、G“(ω):損失弾性率,i:虚数単位である。
その結果、0.1Hzにおける上記樹脂膜の複素弾性率は7.8×108Pa、貯蔵弾性率は7.8×108Pa、損失弾性率は2.7×107Paと算出された。
Claims (14)
- 試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定することを特徴とする動的粘弾性測定方法。
- 試料表面に平行に周期的な微小歪みを付与し、得られる応答から試料の動的粘弾性を測定することを特徴とする動的粘弾性測定方法。
- 前記周期的な微小歪みの振幅が2nm〜300μmの範囲内である請求項1または2に記載の動的粘弾性測定方法。
- 測定部位の面積が1平方μm〜10平方cmの範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
- 前記周期的な微小歪みの周波数が0.001〜100ヘルツの範囲内である請求項1〜4のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
- 測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
- 試料が薄膜単体または基材上の薄膜であり、かつ、測定される動的粘弾性が薄膜の動的粘弾性または粘弾性分布である請求項1〜6のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
- 試料がバルク材料であり、かつ、測定される動的粘弾性がバルク材料表面の動的粘弾性または粘弾性分布である請求項1〜6のいずれかに記載の動的粘弾性測定方法。
- 薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料の厚み方向に周期的な微小歪みを付与する手段、および試料からの応答を観測する手段を有する、試料の動的粘弾性または粘弾性分布を測定する動的粘弾性測定装置。
- 薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料表面に平行に周期的な微小歪みを付与する手段、および試料からの応答を観測する手段を有する、試料の動的粘弾性または粘弾性分布を測定する動的粘弾性測定装置。
- 1平方μm〜10平方cmの任意の部位に対して測定を行うことができ、試料に応じて測定部位の面積を変えることができる請求項9または10に記載の動的粘弾性測定装置。
- 微小歪みの振幅として2nm〜300μmを発生させる手段または歪みの周波数として0.001〜100ヘルツを発生させる手段を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置。
- 薄膜またはバルク材料表面の動的粘弾性を測定する装置であって、試料表面に対して法線方向の荷重を付与することができ、該荷重を調整する手段を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置。
- 測定部位近傍の温度を、−100℃〜400℃の範囲内に調整する手段を有することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の動的粘弾性測定装置。
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WO2015098956A1 (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-02 | 日本ゼオン株式会社 | 多層フィルム、偏光板、および多層フィルムの製造方法 |
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CN105829102A (zh) * | 2013-12-27 | 2016-08-03 | 日本瑞翁株式会社 | 多层膜、偏振片、及多层膜的制造方法 |
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